有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|12,132 文字
3【事業等のリスク】(1) グローバルな事業活動を支える統合リスクマネジメント 当社グループでは、統合リスクマネジメントというグループ共通のフレームワークでリスクマネジメントを行っています。経営・事業を取り巻く環境変化のスピードが上がり、不確実性が高くなる中で変化に迅速に対応するためには、リスクへの感度を上げ、リスクが顕在化する前に察知し、打ち手を講じていく必要があるためです。 現場だけでは対処できない環境変化から生じる問題を、現場と経営が力を合わせて解決する活きたリスクマネジメントを目指し、グローバルでPDCAサイクルを回しながら、当活動の質の向上を図っています。 「SF2030」を実現していくため、企業理念やルールを守りつつ、いかに効率的、効果的で迅速なリスク判断を現場ができる仕組みを構築するかという点も重要なテーマとして、取組みを進めています。 (2) 統合リスクマネジメントの仕組みと体制 統合リスクマネジメントの枠組みは、内部統制システムの下、グローバルリスクマネジメント・法務本部長(GRL長)を推進責任者とし、オムロングループルール(OGR)(注1)「オムロン統合リスクマネジメントルール」にまとめ、グループ経営における位置づけを明確にしています。また、リスクマネージャを本社機能部門、ビジネスカンパニー、海外の地域統括、国内外の各グループ会社で任命し(約150名)、経営と現場が一体となってグローバルの活動を推進しています。 主な活動は次の3点です。・環境変化をタイムリーに把握して、関係者で共有し、適時に影響評価を行うこと・定期的に、グローバルにリスクを分析して重要リスクを洗い出し、対策をとること・リスクが顕在化し、危機が発生した場合は、即時に報告し危機対策を講じること <企業倫理リスクマネジメント委員会体制> 取締役・監査役の参加・監督のもと、GRL長を委員長、主要なリスクマネージャを構成員とする企業倫理・リスクマネジメント委員会(原則年4回開催)においては、重要なリスクの発生状況、環境変化、リスク対策の状況について議論・共有するとともに、グループ全体のリスク評価を行っています。また、危機が発生した場合には、速やかに経営報告され、リスクのランクに応じて危機対策本部を通じて対応を行っています。 これらリスクマネジメントの活動状況については、執行会議や取締役会への報告を通じ、継続的な評価・モニタリングが行われます。さらに、内部監査部門により、リスクマネジメント活動を中心としたテーマ監査が行われます。 <統合リスクマネジメントのサイクル> (注1)当社グループでは、公正かつ透明性の高い経営を実現する経営基盤として、グループ共通の「オムロングループルール(OGR)」を制定しています。OGRは、リスクマネジメントの他、会計・資金、人財、情報セキュリティ、品質保証等の主な機能に対し制定されています。環境変化等を適宜・適切にルールへ反映するため、毎年見直しを行っています。 (3) グループ重要リスクとその分析 当社グループでは、「SF2030」において、「新たな社会・経済システムへの移行」に伴い生じる社会的課題を解決するため、事業ドメインにおける社会価値創出、事業とサステナビリティとの一体としての取組みを行っています。2024年4月1日から2025年9月末については構造改革期間とし、構造改革プログラム「NEXT2025」を実行中です。これらを遂行する中で対処すべき重要な要素を、リスクと捉えています。 リスクのうち、当社グループを運営する上で、グループの存続を危うくするか、重大な社会的責任が生じうるリスク(Sランク)および重要なグループ目標の実現を阻害するリスク(Aランク)を「グループ重要リスク」に位置付け、これらを顕在化させることなく許容レベルにリスクを収めるため、環境変化や対策の実行状況をモニタリングしています。 ・2024年度末時点のリスク評価 2024年度末に実施した当社グループのリスク分析に基づくグループ重要リスクのテーマは下表の通りです。引き続き「NEXT2025」の実行に伴うリスク、事業スピードの加速や収益性の改善を図る中でのグループガバナンス・コンプライアンスリスク等については特に注視をしていきます。これらのリスクは、適切かつ充分な対策が取られなかった場合、長期ビジョン目標の実現、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があるため、投資家の皆様の判断にも重要な影響を及ぼす可能性がある事項と考えています。ただし、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見出来ない又は重要とみなされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年6月23日)現在において当社グループが判断したものです。 <事業等のリスクの全体像> ・グループ重要リスクへの対応① 事業ポートフォリオリスク認識中国経済の成長鈍化やサプライチェーンの混乱など経済環境が悪化、米国関税政策等を背景とした一時的な新規投資の減速や個人消費の減退など、今後もボラティリティが高い不透明な状況が続くことが見込まれます。 当社グループにおいて、成長業界・エリアの需要拡大に的確に応えていく中、現在依存度の高い中華圏エリアや各事業で成長の牽引役となる事業・製品の事業環境が想定以上に悪化し、環境変化に対して適切な対策が十分に行われなかった場合、売上減少等の業績低迷や、収益を伴った持続的成長が実現しないリスクが発生する可能性があります。体制・取組「NEXT2025」のもと、成長事業・エリアへの優先投資や低収益事業の収益化、終息の検討などを実行する等、業界・エリアポートフォリオの最適化に取り組みます。また、米国関税政策の影響に対しては、価格転嫁によるコスト増の吸収に加え、関税政策への耐性を備えたサプライチェーンを構築しリスクを最小化します。 「NEXT2025」の詳細は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 構造改革プログラム「NEXT2025」の進捗と将来の成長に向けた取組み」をご参照ください。 ② 品質リスク認識品質に対しては高い安全性や正確性の確保が求められ、AI利用や製品セキュリティ等の新たな技術に対しても法規制の検討・制定が進んでいます。また、環境負荷低減や生物多様性の保全に対する社会的要請も高まっており、循環経済への移行に向け、欧州等グローバルで包装材の規制等が強化されています。当社グループにおいて、高い信頼性が求められる多様な製品・サービスをグローバルに展開する中、適切な対策が十分に行われなかった場合、損失の発生や売上減少、ブランド価値の棄損につながる以下のようなリスクが発生する可能性があります。・当社グループ製品の大規模リコール・製品環境・安全・セキュリティ関連の法規制違反・製品セキュリティの脆弱性に対するサイバー攻撃によりネットワーク製品・サービスの稼働停止体制社長を最高責任者とする品質保証体制を構築し、「品質第一」を基本とする「品質基本方針」のもと、グローバル購買・品質・物流本部が推進しています。重大な品質問題が発生した場合は、取締役会の監督のもと、迅速かつ適切に対応を行っています。・関連OGR:品質保証ルール、製品品質リスク管理ルール取組具体的には、以下を含む対策を推進しています。・ISO9001等(ISO13485:医療機器産業、IATF16949:自動車産業)品質マネジメントシステム(QMS)の取得・サービス事業に適合したQMSの適用展開・安全リスクが高い技術(リチウムイオン電池、パワーデバイス等)に関する品質技術確立・製品セキュリティ体制強化(外部からの脆弱性情報収集と対応(PSIRT)・セキュリティ監視活動等)・製品環境、安全、セキュリティ関連の法規制・規格の動向の把握、影響評価を行う管理体制の強化・品質相談窓口の設置・運用、品質コンプライアンス研修、現場品質点検の実施[注力取組事例:現場品質点検] 構造改革による人員数の最適化・リソース配分の見直しを進める中、品質・生産性への影響を早期かつ的確に捉えるため、現場品質点検を実施し、モニタリング体制を強化しています。 ③ 会計・税務リスク認識企業のグローバル化や取引のボーダーレス化が加速し、会計基準や監査基準はますます複雑化・高度化しています。また、各国間の協調・連携により国際課税ルールの整備が進む一方で、米国で展開される関税施策等に対し、各国は様々な反応を示しており、企業には、変化の激しい各国の租税法、関税法、移転価格税制への適時的確な対応が求められています。 当社グループにおいて、モノづくりからデータを活用したソリューションビジネスへの進化、多様な新サービスや新事業のグローバル展開を加速する中、適切な対策が十分に行われなかった場合、決算修正や損失の計上、多額の追徴や和解金の支払い、ブランド価値の棄損につながる以下のようなリスクが発生する可能性があります。・社内不正や会計基準に準拠しない不適切な会計処理の発生・市況の悪化やシステム等への投資効果が十分でないことによる資産の貸倒や評価額の下落・関税法や移転価格税制等に関する法規制違反体制財務報告に係る内部統制の基本的枠組み、取締役会で承認した「税務方針」(注1)のもと、グローバル理財本部を中心に、会計・税務の適正性を担保するための体制・ルールを整備し、運用しています。・関連OGR:会計・資金ルール、不正統制ルール、J-SOX推進ルール、関税・通関ルール取組具体的には、以下を含む対策を推進しています。・内部統制の自主点検強化とリスク兆候への重点監査・外部専門家等を活用した会計基準の定期的な情報収集と影響等の調査・対応・OECDの各種報告書や新しい国際課税ルールの整備状況などを踏まえた国際税務に係る方針の見直し・現地法人と連携した各国・地域における税制や当局の執行状況の変化への対応・関税コンプライアンス体制およびモニタリングの強化[注力取組事例:構造改革に伴う不適切な会計処理の防止] 構造改革施策を進める中、経理体制のモニタリングや財務諸表・CAAT分析の強化を通じて、不適切な会計処理の未然防止に努めました。 (注1)「税務方針」については下記をご参照ください。 https://www.omron.com/jp/ja/sustainability/governance/tax/ ④ IT・情報セキュリティリスク認識社会課題の解決や企業の成長に向けたDXやデータ活用のためのデジタル投資が加速する中、サイバー攻撃等に対する情報資産保護やプライバシー保護の必要性が高まっています。また、AI等新たな情報技術についても規制の検討や導入が進んでいます。 当社グループにおいて、「コーポレートシステムプロジェクト」をはじめとするIT投資やデータを活用した新たなサービスを拡大する中、適切な対策が十分に行われなかった場合、損失の発生や重大な行政罰、売上減少、ブランド価値の棄損につながる以下のようなリスクが発生する可能性があります。・大規模なシステム障害・サイバー攻撃や個人・技術情報の管理不全による情報漏洩、事業の停止・各国データプライバシー規制違反体制基本方針として「情報セキュリティ基本方針」を制定し公表しています。施策については、統括担当取締役の監督のもと、情報セキュリティ、製品セキュリティ、個人情報管理の領域ごとに、各本社機能本部長が執行責任者として統制・管理しています。各領域を横断する課題については、サイバーセキュリティ統括担当執行役員が議長となり、サイバーセキュリティ統括担当取締役が監督する「サイバーセキュリティ統合会議」を随時開催し、解決しています。さらに、経営レベルで推進の方向付けを行うために、社長を議長とする「情報セキュリティ戦略会議」にて優先課題と戦略を議論しています。実行面においては、サイバーセキュリティ統括担当役員を議長とし、各地域のIT責任者が参画する「情報セキュリティ推進会議」を通じて施策を推進・管理しています。また、個人データについては、グローバルリスクマネジメント・法務本部長の責任のもと、各国法令動向や当社グループの状況を把握し、法規制対応の強化を図っています。・関連OGR:IT統制ルール・情報セキュリティルール取組具体的には、以下を含む対策を推進しています。・グローバル標準のフレームワークであるNIST-CSF(注1)に準拠した評価と対策の強化・外部専門機関を通じた包括的な脅威情報の収集とグループ内への対策の展開・インシデント対応オフィス(CSIRT)による事故発生時の迅速な報告と被害最小化に向けた対応・高リスクのサプライチェーンのセキュリティ確保のためリスク評価と対応の推進・情報リテラシー向上のための社員教育・サイバー攻撃訓練の実施・Webサイトの脆弱性診断と改善の実行・グローバルでの個人データ規制への対応体制構築[注力取組事例:情報漏洩対策の強化] 情報資産の価値が高まり、人材の流動化も進む中、パソコンやネットワークのログをモニタリング・分析し、懸念のある挙動に対して確認や調査を行う仕組みの導入を進め、情報漏洩リスクへの対策を強化しています。 (注1)NIST-CSF:米国国立標準技術研究所(NIST)が2014年に発行したサイバーセキュリティフレームワーク(CST)。 汎用的かつ体系的 なフレームワークで、米国だけでなく世界各国の公的機関や企業が準拠を進めている。 ⑤ 地政学リスク認識世界のパワーバランスの多極化が進む中、米国による関税引上げ等の保護主義政策をはじめとする各国の政策動向、半導体・AI等の先端技術等の競争・保護政策の激化等は、グローバルの経済秩序や国際平和と経済安全保障をめぐる情勢の流動化を加速し、企業活動にも大きな影響を与えています。当社グループにおいて、生産・販売拠点およびサプライヤー網をグローバルに展開し、またロボット等先端技術や経済安全保障政策にも関わる製品の開発等を進める中、適切な対策が十分に行われなかった場合、売上減少や戦略の見直し、重大な行政罰、ブランド価値の棄損につながる以下のようなリスクが発生する可能性があります。・サプライチェーンの見直し等、各国経済安全保障政策への対応が遅れ、競争力が低下・紛争発生に伴う製品供給の停止・輸出規制や制裁への違反体制事業対応方針については、取締役会や執行会議等の経営会議体にて議論し、決定しています。法規制対応については、各主管部門が統括し、例えば、輸出規制はグローバルリスクマネジメント・法務本部が輸出管理全社委員会のもと、グローバルに安全保障取引管理を行っています。・関連OGR:統合リスクマネジメントルール、安全保障取引管理ルール取組具体的には、以下を含む対策を推進しています。・地政学リスク影響を低減する中長期的な生産・研究開発等の体制検討と推進・グローバルの政治・経済情勢や法規制動向のモニタリング、経済制裁等に対する影響分析と対応[注力取組事例:安全保障取引管理の強化] 各国の輸出規制や制裁が強化・複雑化する中、安全保障取引管理について取引管理体制のOGR改定を含む整備を行うとともに、主要グループ会社へ教育の強化を行い、グローバルでの体制強化を進めています。 ⑥ 事業継続(自然災害等)リスク認識洪水・豪雨、巨大地震等の自然災害や感染症の発生により、社会が機能不全に陥る可能性がグローバルで継続しています。当社グループにおいて、グローバルの様々な国や地域に存在する仕入先や生産拠点を有する中、予期できない災害等が発生し、適切な対策が十分に行われなかった場合、事業活動の一部停止や縮小等につながる以下のようなリスクが発生する可能性があります。・ITインフラ等の大規模停止・自社工場の生産停止・重要仕入先からの長期にわたる部品供給停止体制人身の安全、社会インフラの維持、復興への全面協力等を定めた基本方針のもと、各ビジネスカンパニーと本社機能部門とが連携し、生産、購買調達、物流、ITを含めた事業継続計画を整備しています。・関連OGR:統合リスクマネジメントルール、購買ルール取組具体的には、以下を含む対策を推進しています。・有事を想定したシミュレーション・訓練・社員の安否確認システムの運用、リスクに応じた事業所での非常食や飲料水の備蓄対応・仕入先の生産地情報の一元管理、代替え生産拠点の評価体制整備・緊急時のエスカレーションルート・影響を把握する仕組みの整備[注力取組事例:有事を想定したシミュレーション] 南海トラフ地震等の被害想定が随時更新される中、重点拠点を中心に継続的に事業継続計画を見直すことで、危機発生時の対応体制を強化しています。 ⑦ グループガバナンス・コンプライアンスリスク認識公正な取引をはじめとするコンプライアンスに対する社会的要請は高く、国際機関や各国政府による反競争法的行為や贈収賄防止等に対する法規制の運用強化や、ITやAI等技術の進化やアライアンス等によるイノベーションの推進に対応した規制の検討等、事業環境は複雑化しています。日本では、サプライチェーン全体での価格転嫁等を促進する要請も高まっています。また、一部の新興国、地域においては法による統治機能が脆弱であったり、政情が不安定であることから、汚職や腐敗等が社会問題化する場合があります。 当社グループにおいて、グローバルに新製品・サービスの開発や販売を加速する中、適切な対策が十分に行われなかった場合、重大な行政罰、ブランド価値の棄損につながる以下のようなリスクが発生する可能性があります。・新規事業における業法違反、許認可取得に関する不備・競争法、下請法等の公正な取引に関する法規制違反・接待・贈答等の贈収賄に関する法規制違反体制企業倫理・コンプライアンスを含む内部統制システムの基本方針は、取締役会で議論し決定しています。「オムロングループマネジメントポリシー」のもと、OGRに基づくグループ会社におけるガバナンス体制の構築と運用、企業倫理リスクマネジメント委員会による活動の展開を行っています。・関連OGR:法人運営ルール、倫理行動ルール、内部監査ルール、購買ルール等取組具体的には、以下を含む対策を推進しています。・各機能主管部門におけるグローバルでの牽制とモニタリング・地域毎のリスクマネジメントにより、エリア特性に応じた重要リスクへの対応・毎年10月のグローバル企業倫理月間等による定期的なコンプライアンス教育・グローバル内部通報制度の運用・リスクアプローチに基づく内部監査と改善指導・購買統括部門における対象事業所に対するモニタリング・下請法研修[注力取組事例:コンプライアンス教育] 構造改革における大きな環境変化の中で起こり得るコンプライアンス問題をテーマとした教育を行うとともに、社員が安心して相談できるよう内部通報制度の再周知を行いました。 ⑧ 人権リスク認識強制労働、児童労働、低賃金や未払い、長時間労働、安全や衛生が不十分な労働環境、ハラスメント等の是正は社会課題となっており、人権への配慮は企業のビジネスライセンスとなっています。また、デューディリジェンスによるサプライチェーンの人権への負の影響の特定・防止・軽減・是正や人権侵害懸念国・地域からの輸入禁止等、人権の尊重を法規制で担保する取組みも進んでいます。さらに、AIの活用等技術革新による人権課題も生じており、各国でのAIに関する規制化も加速しています。当社グループにおいて、中国・アジアを含むグローバルで事業を展開し、また、事業でのAI活用を推進する中、適切な対策が十分に行われなかった場合、取引停止・製品の開発中止や戦略の見直し、ブランド価値の棄損につながる以下のようなリスクが発生する可能性があります。・ハラスメントの発生、労働基準違反、労働安全衛生問題の発生・サプライチェーン上の人権課題の発生・AIに関する規制への非準拠体制人権課題への対応については、取締役会決議により制定されたオムロン人権方針に基づいた活動を行っています。具体的な執行体制としては、社長CEOから権限委譲されたサステナビリティ推進担当役員の責任のもと、グローバルコーポレートコミュニケーション&エンゲージメント本部が中心となって取組みを推進し、自社領域はグローバル人財総務本部長、サプライチェーン領域はグローバル購買・品質・物流本部長、事業戦略領域は各ビジネスカンパニー長、AIを含むテクノロジーの倫理的な活用については技術・知財本部長、救済メカニズムについてはグローバルリスクマネジメント・法務本部長がそれぞれ責任を持って対応しています。・関連OGR:HRMルール、労働安全衛生管理ルール、購買ルール取組具体的には、企業の人権尊重責任を果たすために、国連「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGP)」に沿って、以下を含む対策を推進しています。・RBA(注1)アセスメントツールを活用した人権リスク評価と課題の是正・仕入先に対するサステナブル調達ガイドラインの提示・遵守状況確認・AIに関する情報収集およびAIを事業で活用するための社内ルールの整備・グローバルでの人権救済メカニズムの運用[注力取組事例:AIガバナンス体制の構築] 「オムロンAI方針」の策定、適切なAI使用の支援・リスク低減を図るAIガバナンス委員会の運用開始を通じて、AI活用に起因する事故や人権侵害等のリスクを最小限にした上で安全・安心なAI利用を推進しました。 (注1)RBA:Responsible Business Allianceの略。電子業界を中心とするグローバルなCSRアライアンス。 ⑨ 人財・労務リスク認識グローバルで人財の流動化が進むなか、IT人財をはじめ先端技術を保有する希少な人財の獲得競争がこれまで以上に激化しています。また、世界的なインフレや人手不足を契機として、賃金水準はグローバルで上昇傾向にあります。このような環境においては、多様な人財から選ばれる人的資本経営を実行し、従業員のエンゲージメントを高めることが重要となります。当社グループにおいて、SF2030人財戦略ビジョンに向けて、一人ひとりが主体性を持って能力を惜しみなく発揮し、持続的に成長していく強い組織づくりを進める中、適切な対策が十分に行われなかった場合、事業競争力の低下やブランド価値の棄損につながる以下のようなリスクが発生する可能性があります。・事業成長のために必要なスキルや経験を持つ人財の流出や獲得の失敗・従業員のエンゲージメント低下や労務トラブルの発生体制重要な人財戦略については、取締役会・執行会議にて議論し、決定しています。CHRO(最高人事責任者)の下、グローバル人財総務本部が中心となり施策を実行しています。・関連OGR:HRMルール取組具体的には、以下を含む対策を推進しています。・多様な人財の獲得に向けた採用力の強化・多様な人財の成長や働きがいを高めるためのマネージャーのスキル強化・エンゲージメントサーベイ「VOICE」を通じた、組織課題への主体的な社員のアクションの促進[注力取組事例:ピープルマネジメントスキルを自ら高めていくサイクルの定着と加速] 経営層(執行役員・マネージャー)が、顧客への価値創造に向けて、多様な人財の能力と主体的な貢献意欲を引き出すピープルマネジメントスキルを高めていく仕組みを構築し、定着と活性化に取り組むことにより、リーダーシップの質の変革を進めています。 ⑩ 環境リスク認識世界各地で異常気象による大規模な自然災害が多発しており、世界的に脱炭素に向けた取組みが加速しています。また、生態系の破壊等は地球レベルでの社会課題となっています。これらの環境問題を受けて、欧州を中心に排出量取引制度の整備や森林破壊防止を求める取引のデューディリジェンス規制の制定等が進んでいます。また、企業の環境課題への取組みに対する開示要請は年々高まっており、内容の第三者保証を法規制化する動きも進んでいます。 当社グループにおいて、サステナビリティ重要課題「脱炭素・環境負荷低減の実現」を設定し、企業としての社会的責任の実践と各事業での更なる競争優位性の構築を図る中、適切な対策が十分に行われなかった場合、戦略の見直し、ブランド価値の棄損につながる以下のようなリスクが発生する可能性があります。・環境に関する新たな取引・開示規制への違反・対応コストの増加、顧客要請への不十分な対応・販促活動においていわゆるグリーンウォッシングといわれる不適切な広告開示体制環境課題への対応については、取締役会決議により制定されたオムロン環境方針に基づいた活動を行っています。具体的な執行体制としては、社長CEOから権限委譲されたサステナビリティ推進担当役員の責任のもと、グローバルコーポレートコミュニケーション&エンゲージメント本部が中心となって取組みを推進し、自社領域はグローバル人財総務本部長、サプライチェーン領域はグローバル購買・品質・物流本部長、事業戦略領域は各ビジネスカンパニー長がそれぞれ責任を持って対応しています。・関連OGR:環境経営ルール、購買ルール取組具体的には、以下を含む対策を推進しています。・Scope1・2、Scope3カテゴリー11ごとに目標を設定した温室効果ガスの削減の加速・回収・リサイクルの拡大、循環型の原材料調達等による循環経済への移行・気候変動関連のリスク・機会に係る情報開示・TNFD(注1)提言に沿った生物多様性保全活動の推進[注力取組事例:環境評価制度を通じた製品ライフサイクル全体における環境パフォーマンスの可視化] 製品をライフサイクルの視点から評価し、環境パフォーマンスを可視化する「環境評価制度」を導入しました。制度を通じて、全製品が環境に配慮した「環境配慮製品」であることを確認するとともに、特定の環境特性において優れた効果を示す「環境貢献製品」を特定し、製品付加価値の透明性・信頼性向上を図りました。 (注1)TNFD:自然関連財務情報開示タスクフォース。自然資本等に関する企業のリスク管理と開示枠組みを構築するための国際的組織。⑪ 知的財産リスク認識知的財産は企業における国際競争力の源泉として重要な経営資源となっており、企業や国家間で知的財産を巡る競争が激化するとともに、スタートアップ企業との事業連携における公正取引上の課題も指摘されています。また、コロナ禍を契機とした電子商取引(EC)市場の急激な発展に伴い、正規品を騙った模倣品の流通が新興国を中心にグローバルで年々増加しています。当社グループにおいて、共創によるイノベーションで新たな価値を生み出す新規事業を創造し、多様な製品をグローバルに展開する中、適切な対策が十分に行われなかった場合、損失の発生や売上減少、ブランド価値の棄損につながる以下のようなリスクが発生する可能性があります。・当社グループの技術・ノウハウの流出やブランドの模倣・特許等の侵害や不正使用に関する紛争の発生・事業戦略に連動した知財活用が十分に行われず事業競争力を喪失体制技術・知財本部を主管として、基本方針に基づく知的財産活動を実行しています。また、知的財産戦略については定期的に取締役会にて報告・議論されています。・関連OGR:知的財産管理ルール取組具体的には、以下を含む対策を推進しています。・IPランドスケープを活用して研究テーマの方向性決定や協業先選定の確度を高める取組み・事業や研究開発と連動させた知的財産戦略を策定・実行し、強みのある知的財産権を蓄積・研究開発および設計にあたっての第三者の知的財産権調査・第三者の当社グループへの知的財産権の侵害に対する分析・評価と権利行使の強化・オンライン取引も含む模倣品摘発活動、悪意を持った当社ブランド名と類似した商標権取得の阻止 ⑫ M&A・投資リスク認識社会課題を解決する手段として、テクノロジーの進化が求められる中、技術力のある企業との協業を通じたイノベーションの加速が期待されています。一方、経済安全保障政策による投資規制化等の動きもあります。 当社グループにおいて、ポートフォリオマネジメントのもと、アライアンス、M&A、スタートアップとの共創に向けた投資等を推進する中、適切な対策が十分に行われなかった場合、損失の計上や戦略の見直しにつながる以下のようなリスクが発生する可能性があります。・M&A・投資先の業績・評価の悪化や想定していたシナジー効果の未発揮、ガバナンス問題の発生・海外投資規制への対応によるM&Aや出資審査の想定外の長期化体制M&A・投資の方針と実行は、投資規律のもと、経営ルールに定める責任権限に基づき取締役会等の経営会議体にて議論・決定し、案件ごとに、ビジネスカンパニーと本社部門および外部専門家から構成されるプロジェクトチームにより推進しています。・関連OGR:経営ルール取組具体的には、以下を含む対策を推進しています。・事業戦略に基づいたM&A・投資候補の探索・評価・対象企業の財務内容や契約内容の確認等の詳細な事前審査・デューディリジェンス・取締役会における、買収や出資後の経済効果の具体的目標進捗のレビュー(少なくとも年に1回)
FY2024|13,892 文字
3【事業等のリスク】(1) グローバルな事業活動を支える統合リスクマネジメント 当社グループでは、統合リスクマネジメントというグループ共通のフレームワークでリスクマネジメントを行っています。経営・事業を取り巻く環境変化のスピードが上がり、不確実性が高くなる中で変化に迅速に対応するためには、リスクへの感度を上げ、リスクが顕在化する前に察知し、打ち手を講じていく必要があるためです。 現場だけでは対処できない環境変化から生じる問題を、現場と経営が力を合わせて解決する活きたリスクマネジメントを目指し、グローバルでPDCAサイクルを回しながら、当活動の質の向上を図っています。 「SF2030」を実現していくため、企業理念やルールを守りつつ、いかに効率的、効果的で迅速なリスク判断を現場ができる仕組みを構築するかという点も重要なテーマとして、取組みを進めています。 (2) 統合リスクマネジメントの仕組みと体制 統合リスクマネジメントの枠組みは、内部統制システムの下、グローバルリスクマネジメント・法務本部長(GRL長)を推進責任者とし、オムロングループルール(OGR)(注1)「オムロン統合リスクマネジメントルール」にまとめ、グループ経営における位置づけを明確にしています。また、リスクマネージャを本社機能部門、ビジネスカンパニー、海外の地域統括本社、国内外の各グループ会社で任命し(160名)、経営と現場が一体となってグローバルの活動を推進しています。 主な活動は次の3点です。・環境変化をタイムリーに把握して、関係者で共有し、適時に影響評価を行うこと・定期的に、グローバルにリスクを分析して重要リスクを洗い出し、対策をとること・リスクが顕在化し、危機が発生した場合は、即時に報告し危機対策を講じること <企業倫理リスクマネジメント委員会体制> GRL長を委員長、主要なリスクマネージャを構成員とする企業倫理・リスクマネジメント委員会(原則年4回開催)においては、重要なリスクの発生状況、環境変化、リスク対策の状況について議論・共有するとともに、グループ全体のリスク評価を行っています。また、危機が発生した場合には、速やかに経営報告され、リスクのランクに応じて危機対策本部を通じて対応を行っています。これらリスクマネジメントの活動状況については、適宜、執行会議や取締役会に報告するとともに、内部監査部門による内部監査を受けています。 <統合リスクマネジメントのサイクル> (注1)当社グループでは、公正かつ透明性の高い経営を実現する経営基盤として、グループ共通の「オムロングループルール(OGR)」を制定しています。OGRは、リスクマネジメントの他、会計・資金、人財、情報セキュリティ、品質保証等の主な機能に対し制定されています。環境変化等を適宜・適切にルールへ反映するため、毎年見直しを行っています。 (3) グループ重要リスクとその分析 当社グループでは、「SF2030」において、「新たな社会・経済システムへの移行」に伴い生じる社会的課題を解決するため、事業ドメインにおける社会価値創出、事業とサステナビリティとの一体としての取組みを行っています。2024年4月から2025年9月については構造改革期間とし、構造改革プログラム「NEXT2025」を実行中です。これらを遂行する中で対処すべき重要な要素を、リスクと捉えています。 リスクのうち、当社グループを運営する上で、グループの存続を危うくするか、重大な社会的責任が生じうるリスク(Sランク)および重要なグループ目標の実現を阻害するリスク(Aランク)を「グループ重要リスク」に位置付け、対策の実行状況やリスク状況の変化をモニタリングしています。「グループ重要リスク」に対して適切な対策が講じられない場合、重大な社会的責任が生じたり、事業戦略の失敗につながり、結果的に企業価値が喪失する可能性があります。 <2023年度末時点のリスク評価> 2023年度末に実施した当社グループのリスク分析に基づくグループ重要リスクのテーマは下表の通りです。事業ポートフォリオや人員数・能力の最適化等「NEXT2025」の実行に伴うリスク、事業スピードの加速や収益性の改善をはかる中でのグループガバナンス・コンプライアンスリスク等については特に注視をしていきます。これらのリスクは、適切かつ充分な対策が取られなかった場合、長期ビジョン目標の実現、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があるため、投資家の皆様の判断にも重要な影響を及ぼす可能性がある事項と考えています。ただし、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見出来ない又は重要とみなされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月21日)現在において当社グループが判断したものです。 <事業等のリスクの全体像> <グループ重要リスクへの対応>① 事業ポートフォリオリスクシナリオ環境認識当社グループが解決すべき社会的課題に対する取組みの必要性は高まる一方で、足元では中国経済の成長鈍化やサプライチェーンの混乱など経済環境が悪化、今後もボラティリティが高い不透明な状況が続くことが見込まれます。これらの環境変化は、以下を含む当社グループの各事業における活動エリアや製品展開に大きな影響があります。 ・制御機器事業における中華圏エリアでの事業展開 ・ヘルスケア事業における血圧計事業 ・社会システム事業におけるエネルギーソリューション事業影響成長業界・エリアの需要拡大に的確に応えていくことは、新たな社会価値創出、事業機会となります。一方、現在依存度の高い中華圏エリアや各事業で成長の牽引役となる事業・製品の事業環境が想定以上に悪化し、環境変化に対応するポートフォリオの最適化が図れなかった場合、売上減少等の業績低迷や、収益を伴った持続的成長が実現しないリスクがあります。対応体制『構造改革プログラム「NEXT2025」』のもと、欧州・米州への事業展開を加速する等、中国依存を低減する業界・エリアポートフォリオの構築に取り組みます。※『構造改革プログラム「NEXT2025」』の詳細は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)構造改革「NEXT2025」」をご参照ください。 ② 地政学リスクシナリオ環境認識米中関係やロシア・ウクライナ情勢、中東紛争などを巡る各国・地域の政策により、グローバルビジネスの環境は複雑さを増しています。特に半導体等重要物資の安定供給や先端技術開発の促進、輸出入や投資への規制等、経済安全保障政策は、多国間枠組みの形成・活用を含め更に進展しています。今後、政治的対立や人権問題、紛争リスクの高まりによる各種措置の更なる拡大や各国での選挙に伴う政策転換の可能性もあり、これらの環境変化は、以下を含む当社グループの長期ビジョン・事業環境に対して大きな影響があります。 ・中国・アジア等の主要工場からグローバル市場への製品供給 ・米国等におけるロボット等 先端技術に対する投資や事業拡大 ・経済安全保障政策の対象製品に関わる顧客への販売、金融・交通等 社会インフラに関する事業の推進影響グローバルでのサプライチェーン再編等の動向は、新たな社会価値創出、事業機会となります。一方、市場変化への対応が十分でなかった場合、当社グループへの需要が減少し、また、新たな法規制への対応が適切に行われなかった場合には、輸出規制や制裁違反等が発生する可能性があります。その結果、売上減少・戦略の見直しや重大な行政罰、ブランド価値の棄損につながるリスクがあります。対応体制事業対応方針については、取締役会や執行会議等の経営会議体にて議論し、決定しています。法規制対応については、各主管部門が統括し、例えば、輸出規制はグローバルリスクマネジメント・法務本部が輸出管理全社委員会のもと、グローバルに安全保障取引管理を行っています。 ・関連OGR:統合リスクマネジメントルール・安全保障取引管理ルール取組具体的には、以下を含む対策を推進しています。 ・地政学リスク影響を低減する中長期的な生産・研究開発等の体制検討と推進 ・グローバルの政治・経済情勢や法規制動向のモニタリング、経済制裁等に対する影響分析と対応[具体的なリスク対応例:ロシア・ウクライナ情勢] 安全保障取引管理について、グローバルに懸念のある取引を事前審査するプロセスを強化することにより、複雑化する各国の輸出規制や制裁に対する対応体制の整備を進めました。 ③ IT・情報セキュリティリスクシナリオ環境認識社会経済活動の急速なデジタル化は、データに基づく経営判断やAI・IoT機器を中心とした新たな製品・サービスの開発等 企業運営に変革をもたらしています。グローバルにデータ流通の基盤が整備されていく一方で、AIの悪用等によるサイバー攻撃や人財の流動化等に伴う技術情報漏えいのリスクはますます高まり、また、プライバシー保護や経済安全保障の観点から個人データや技術情報等、重要情報の取扱いや移転について各国で規制の強化も進んでいます。これらの環境変化は、以下を含む当社グループの長期ビジョン・事業環境に対して大きな影響があります。 ・サプライチェーンも含むグローバルのシステムによる事業運営 ・新たな経営システムの構築を目的とした「コーポレートITシステムプロジェクト」 ・データソリューション事業での健康データの活用等「モノとサービス」での新規ビジネスモデルの推進影響医療におけるビッグデータ活用等の動向は、新たな社会価値創出、事業機会となります。一方、サイバー攻撃対策や技術情報の管理等の情報セキュリティ対応が十分でなかった場合、当社グループの事業活動や製品・サービス提供の停止および情報の漏えいといったセキュリティインシデントが発生する可能性があります。また、グローバルの個人データ規制について、特に国外移転対応が適切に行われなかった場合、法令違反が発生する可能性があります。その結果、売上減少や重大な行政罰、ブランド価値の棄損につながるリスクがあります。対応体制基本方針として「情報セキュリティ基本方針」を新たに制定し公表しています。施策については、統括担当取締役の監督のもと、情報セキュリティ、製品セキュリティ、個人情報管理の領域ごとに、各本社機能本部長が執行責任者として統制・管理しています。各領域を横断する課題については、統括担当取締役を議長とする「サイバーセキュリティ統合会議」を開催し、解決しています。さらに、経営レベルで推進の方向付けを行うために、社長を議長とする「情報セキュリティ戦略会議」にて優先課題と戦略を議論しています。実行面においても、サイバーセキュリティ統括担当役員として、グローバルビジネスプロセス&IT革新本部長を議長とし、全地域統括本社のIT責任者が参画する「情報セキュリティ推進会議」を通じて施策を推進・管理しています。また、個人データについては、グローバルリスクマネジメント・法務本部長の責任のもと、各国法令動向や当社グループの状況を把握し、法規制対応の強化を図っています。・関連OGR:IT統制ルール・情報セキュリティルール取組具体的には、以下を含む対策を推進しています。 ・グローバル標準のフレームワークであるNIST-CSF(注1)に準拠した評価と対策の強化 ・外部専門機関を通じた包括的な脅威情報の収集とグループ内への対策の展開 ・インシデント対応オフィス(CSIRT)による事故発生時の迅速な報告と被害最小化に向けた対応 ・高リスクのサプライチェーンのセキュリティ確保のためリスク評価と対応の推進 ・情報リテラシー向上のための社員教育・サイバー攻撃訓練の実施 ・Webサイトの脆弱性診断と改善の実行 ・グローバルでの個人データ規制への対応体制構築[具体的なリスク対応例:有事を想定した対応体制・プロセスの進化] ランサムウエア危機管理手順の整備、経営層向けサイバー攻撃演習訓練、地域統括本社毎のインシデント対応訓練などの活動により、有事における対応力の向上を図りました。(注1)NIST-CSF:米国国立標準技術研究所(NIST)が2014年に発行したサイバーセキュリティフレームワーク(CST)。 汎用的かつ体系的 なフレームワークで、米国だけでなく世界各国が準拠を進めている。 ④ 品質リスクシナリオ環境認識品質は企業に対する社会的信頼の基盤です。新技術を活用した新規性の高い製品・サービスにおいても、高い安全性や正確性の確保が求められ、AI利用や製品セキュリティに対する新たな法規制等も検討・制定が進んでいます。また、人の健康や環境負荷低減に対する社会的要請はますます高まり、有機フッ素化合物(PFAS)等をはじめとする化学物質の含有やリサイクル、表示等に関する規制が各国で厳格化しています。これらの環境変化は、以下を含む当社グループの長期ビジョン・事業環境に対して大きな影響があります。 ・不具合発生時に火災や事故、設備の停止等につながる制御機器やエネルギーソリューション製品の展開 ・様々な国の製品安全や化学物質、サイバーセキュリティ等の法規則が適用されるグローバル製品の展開 ・製造現場のデータ活用サービスi-BELT等「モノとサービス」を組み合わせたビジネスモデルの推進影響新たな技術や製品安全等の高い基準にグローバルで対応した品質の確保は、新たな社会価値創出、事業機会につながります。一方、製品やサービスの設計・検査の不備や、品質不具合発生時等の顧客対応や報告が十分でなかった場合、グローバルの法規制・規格等への準拠が適切に行われなかった場合には、当社グループ製品の大規模リコール、製品の生産・流通の停止等が生じる可能性があります。その結果、損失の発生や売上減少、ブランド価値の棄損につながるリスクがあります。対応体制社長を最高責任者とする品質保証体制を構築し、「品質第一」を基本とする「品質基本方針」のもと、グローバル購買・品質・物流本部が推進しています。重大な品質問題が発生した場合は、取締役会の監督のもと、迅速かつ適切に対応を行っています。 ・関連OGR:品質保証ルール、製品品質リスク管理ルール取組具体的には、以下を含む対策を推進しています。 ・ISO9001等(ISO13485:医療機器産業、IATF16949:自動車産業)品質マネジメントシステム(QMS)の取得 ・サービス事業に適合したQMSの適用展開 ・安全リスクが高い技術(リチウムイオン電池、パワーデバイス等)に関する品質技術確立 ・製品セキュリティ体制強化(外部からの脆弱性情報収集と対応(PSIRT)・セキュリティ監視活動等) ・製品環境や安全関連の法規制・規格の動向の把握、影響評価を行う管理体制の強化 ・品質相談窓口の設置・運用、品質コンプライアンス研修・現場品質点検の実施 ⑤ 会計・税務リスクシナリオ環境認識適正な財務報告と税務コンプライアンスは企業活動の基本です。企業のグローバル化や取引のボーダーレス化が加速し、新たなビジネスモデルやサービスが生まれる中で、会計基準も高度化し税制も複雑化しています。また、各国間の協調・連携が進み企業に対する税の透明性に対する要請も高まっています。これらの環境変化は、以下を含む当社グループの長期ビジョン・事業環境に対して大きな影響があります。 ・グローバルでの顧客との取引・グループ間取引 ・「モノ」に加え「モノ」と「サービス」の組合せによる多様なサービス展開影響グローバルの会計基準への準拠と税務手続きに対する信頼の確保は、新たな社会価値創出、事業機会につながります。一方、新サービスや事業、構造改革等を行うに際して、資産が適切に管理されなかった場合や、会計処理が適切に行われなかった場合、また、各国の租税法や移転価格税制、関税法、および当局の執行動向に適切な対応が行えなかった場合、決算修正、多額の追徴や和解金の支払い、ブランド価値の棄損につながるリスクがあります。対応体制財務報告に係る内部統制の基本的枠組み、取締役会で承認した「税務方針」(注1)のもと、グローバル理財本部を中心に、会計・税務の適正性を担保するための体制・ルールを整備し、運用しています。・関連OGR:会計・資金ルール、不正統制ルール、J-SOX推進ルール、関税・通関ルール取組具体的には、以下を含む対策を推進しています。 ・内部統制の自主点検強化とリスク兆候への重点監査 ・外部専門家等を活用した会計基準の定期的な情報収集と影響等の調査・対応 ・OECDの各種報告書や新しい国際課税ルールの整備状況などを踏まえた国際税務に係る方針の見直し ・現地法人と連携した各国・地域における税制や当局の執行状況の変化への対応 ・関税コンプライアンス体制およびモニタリングの強化(注1)「税務方針」については下記をご参照ください。https://sustainability.omron.com/jp/governance/tax/ ⑥ 事業継続リスク(自然災害等)リスクシナリオ環境認識洪水・豪雨、巨大地震等の自然災害や感染症の発生により、社会が機能不全に陥る可能性がグローバルで継続しています。これらの環境変化は、以下を含む当社グループの長期ビジョン・事業環境に対して大きな影響があります。・グローバルの様々な国や地域に存在する仕入先や生産拠点・緊急時においても継続が求められる社会インフラや人の健康管理に使用される製品・サービスの提供・防災・減災需要に対するエネルギーソリューションビジネスの展開影響企業に対する事業継続の要請や社会のレジリエンスを高める取組みは、新たな社会価値創出、事業機会となります。一方、予期できない災害等が発生した場合、社会インフラ・経済活動の大規模停止、自社工場の生産停止、重要仕入先からの長期にわたる部品供給停止等により、事業活動の一部停止や縮小等が生じる可能性があります。その結果、売上減少やブランド価値の棄損につながるリスクがあります。対応体制人身の安全、社会インフラの維持、復興への全面協力等を定めた基本方針のもと、各ビジネスカンパニーと本社機能部門とが連携し、生産、購買調達、物流、ITを含めた事業継続計画を整備しています。・関連OGR:統合リスクマネジメントルール・購買ルール取組具体的には、以下を含む対策を推進しています。 ・有事を想定したシミュレーション・訓練 ・社員の安否確認システムの運用、リスクに応じた事業所での非常食や飲料水の備蓄対応 ・仕入先の生産地情報の一元管理、代替え生産拠点の評価体制整備 ・緊急時のエスカレーションルート・影響を把握する仕組みの整備 ⑦ 環境リスクシナリオ環境認識脱炭素・環境負荷低減の実現に向け、気候変動を「機会」と「リスク」の二側面で捉えた企業としての社会的責任の実践と更なる競争優位性の構築が求められています。また、企業価値評価・投資活動に反映させるため、企業の環境課題への取組みに対する開示要請は年々高まっており、内容の第三者保証を法規制化する動きも進んでいます。一方で、温暖化に起因する洪水や干ばつ等の頻発化により生じる食料・水不足、プラスチック問題、生態系の破壊等は地球レベルでの社会課題となっており、グローバル各国でカーボンニュートラルに向けた政策が加速する中、企業に対する温室効果ガス排出量の削減やトレーサビリティの確保等の要請も拡大しています。これらの環境変化は、以下を含む当社グループの長期ビジョン・事業環境に対して大きな影響があります。 ・制御機器事業における生産性とエネルギー効率を高める生産現場オートメーションの実現 ・社会システム事業におけるエネルギー制御技術の進化による再生可能エネルギーの普及 ・電子部品事業におけるカーボンフットプリント削減に繋がる部品の開発・提供 ・「循環型社会」実現に向けたグローバル全生産拠点での廃棄物の削減影響脱炭素に貢献する製品やサービスに対するニーズの高まりは、新たな社会価値の創出と事業機会となります。一方、多くの企業が社会課題の解決に挑む中、戦略と実行の成否は事業競争力に直結します。また、販促活動においていわゆるグリーンウォッシングといわれる不適切な開示を行った場合には、社会的信用が失われ、その結果、取引停止・製品の開発中止や戦略の見直し、ブランド価値の棄損につながる可能性があります。対応体制環境課題への対応については、取締役会決議により制定されたオムロン環境方針に基づいた活動を行っています。具体的な執行体制としては、社長CEOから権限委譲されたサステナビリティ推進担当役員の責任のもと、グローバルコーポレートコミュニケーション&エンゲージメント本部が中心となって取組みを推進し、自社領域はグローバル人財総務本部長、サプライチェーン領域はグローバル購買・品質・物流本部長、事業戦略領域は各ビジネスカンパニー長がそれぞれ責任を持って対応しています。・関連OGR:環境経営ルール、購買ルール取組具体的には、以下を含む対策を推進しています。 ・Scope1・2、Scope3カテゴリー11ごとに目標を設定した温室効果ガスの削減の加速 ・回収・リサイクルの拡大、循環型の原材料調達、再資源化率の最大化等による循環経済への移行 ・TCFD提言に沿った情報を含む環境課題にかかる情報開示※環境リスクへの対応の詳細は「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)オムロンのサステナビリティの考え方及び取組み、(2)気候変動への対応」をご参照ください。 ⑧ 人権リスクシナリオ環境認識持続可能な社会の実現に向け、人権課題に対して、自社だけでなくバリューチェーン全体を通じて、企業が責任を果たすことが求められています。一方で、強制労働、児童労働、低賃金や未払い、長時間労働、安全や衛生が不十分な労働環境、ハラスメント等の是正は社会課題となっており、デューディリジェンスによるサプライチェーンの可視化や人権侵害懸念国・地域からの輸入禁止等により、人権の尊重を法規制で担保する取組みが進んでいます。また、AIの活用等技術革新による新たな人権課題も生じています。これらの環境変化は、以下を含む当社グループの長期ビジョン・事業環境に対して大きな影響があります。 ・中国・アジアを含めグローバルの事業拠点とサプライチェーン ・AIを活用した製品・サービスの研究開発・提供影響人権に配慮したバリューチェーンの構築やAIの活用は、新たな社会価値の創出、事業機会となります。一方、バリューチェーン上の人権課題に適切な対応を行わなかった場合やAIに対する法規制等に準拠せず製品やサービスを通じて差別などの人権問題を発生させた場合には、社会的信用が失われ、その結果、取引停止・製品の開発中止や戦略の見直し、ブランド価値の棄損につながる可能性があります。対応体制人権課題への対応については、取締役会決議により制定されたオムロン人権方針に基づいた活動を行っています。具体的な執行体制としては、社長CEOから権限委譲されたサステナビリティ推進担当役員の責任のもと、グローバルコーポレートコミュニケーション&エンゲージメント本部が中心となって取組みを推進し、自社領域はグローバル人財総務本部長、サプライチェーン領域はグローバル購買・品質・物流本部長、事業戦略領域は各ビジネスカンパニー長、AIを含むテクノロジーの倫理的な活用については技術・知財本部長、救済メカニズムについてはグローバルリスクマネジメント・法務本部長がそれぞれ責任を持って対応しています。・関連OGR: HRMルール、労働安全衛生管理ルール、購買ルール取組具体的には、企業の人権尊重責任を果たすために、国連「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGP)」に沿って、以下を含む対策を推進しています。 ・RBA(注1)アセスメントツールを活用したリスク評価 ・仕入先に対するサステナブル調達ガイドラインの提示・遵守状況確認 ・AIに関する情報収集およびAIを事業で活用するための社内ルールの整備 ・グローバルでの人権救済メカニズムの運用(注1)RBA:Responsible Business Allianceの略。電子業界を中心とするグローバルなCSRアライアンス。※人権リスクへの対応の詳細は「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)オムロンのサステナビリティの考え方及び取組み、(4)人権尊重に関する取組み」をご参照ください。 ⑨ 人財・労務リスクシナリオ環境認識グローバルで人財の流動化が進むなか、IT人財をはじめ先端技術を保有する希少な人財の獲得競争がこれまで以上に激化しています。また、世界的なインフレや人手不足を契機として、賃金水準はグローバルで上昇傾向にあります。このような環境では、人財から選ばれる人的資本経営を実行し、従業員のエンゲージメントを高めることが重要になってきます。加えて、近年は社会から人的資本の情報開示が求められるようになっています。これらの環境変化は、以下を含む当社グループの長期ビジョン・事業環境に対して大きな影響があります。 ・既存人財に対する更なる能力開発と、必要な能力を有する人財の獲得 ・ダイバーシティ&インクルージョンの加速影響スペシャリティを備えた多様な人財が集い、一人ひとりが主体性を持って能力を発揮し続ける人財づくり・環境づくりは企業価値向上の原動力となります。一方、構造改革期間での人事施策の効果が十分でない場合は、新たな人財の採用が困難になるだけでなく、希少なスキルや経験を持つ従業員の流出や労務トラブルにつながる可能性があります。加えて、人的資本の情報開示が不適切な場合、投資家からの信頼低下等により、ブランド価値の毀損にもつながる可能性があります。対応体制重要な人財戦略については、取締役会・執行会議にて議論し、決定しています。CHRO(最高人事責任者)の下、グローバル人財総務本部が中心となり施策を実行しています。 ・関連OGR:HRMルール取組具体的には、以下を含む対策を推進しています。 ・人財ポートフォリオの再構築 ・執行役員・経営基幹職のマネジメント適正評価、登用・配置 ・能力転換に向けた人財への投資 ・社会課題解決の成果を分かち合う取組み・制度(中期連動株式報酬制度等) ・企業理念を全社員に浸透させ、共感と共鳴の拡大を促す取組み「TOGA」の実行※人財・労務リスクへの対応の詳細は「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)オムロンのサステナビリティの考え方及び取組み、(3)人的資本に関する取組み」をご参照ください。 ⑩ 知的財産リスクシナリオ環境認識社会課題を解決しながら持続的に企業価値を向上するためには、強みのある知的財産・無形資産を形成した上で価値創造ストーリーと連結することが必要不可欠となり、また、技術開発やビジネスモデルの構築においてオープンイノベーションやアライアンスが加速しています。一方で、知的財産を巡る企業や国家間の競争や対立も激化するとともに、スタートアップ企業との事業連携における公正取引上の課題も指摘されています。これらの環境変化は、以下を含む当社グループの長期ビジョン・事業環境に対して大きな影響があります。・ロボティクス、センシング、パワエレ、AI・データ解析等の注力する技術領域・データヘルスケア、食生産のオートメーション、製造現場のDX支援等の新規事業創造影響知的財産・無形資産への投資を促進し競争力の源泉とする動向は、新たな社会価値創出、事業機会となります。一方、その取得や保護が十分でなかった場合、技術・ノウハウの流出やブランドの模倣等が発生し、事業競争力を喪失する可能性があります。また、特許等の侵害や不正使用に関する紛争が発生した場合、当社グループの製品・サービスの提供停止や巨額の損害賠償請求・ロイヤリティの支払い等が生じる可能性があります。その結果、損失の発生や売上減少、ブランド価値の棄損につながるリスクがあります。対応体制技術・知財本部を主管として、基本方針に基づく知的財産活動を実行しています。また、知的財産戦略については定期的に取締役会にて報告・議論されています。 ・関連OGR:知財管理ルール取組具体的には、以下を含む対策を推進しています。 ・IPランドスケープを活用して研究テーマの方向性決定や協業先選定の確度を高める取組み ・事業や研究開発と連動させた知的財産戦略を策定・実行し、強みのある知的財産権を蓄積 ・研究開発および設計にあたっての第三者の知的財産権調査 ・第三者の当社グループへの知的財産権の侵害に対する分析・評価と権利行使の強化 ・オンライン取引も含む模倣品摘発活動、悪意を持った当社ブランド名と類似した商標権取得の阻止 ⑪ M&A・投資リスクシナリオ環境認識社会課題を解決する手段として、テクノロジーの進化が求められる中、技術力のある企業とのアライアンス、M&A、出資を通じたイノベーションの加速が期待されています。一方で、投資先の業績・評価の変動に加え、経済安全保障政策による投資規制やIT等新たな分野における独占禁止法の運用強化等の動きもあります。これらの環境変化は、以下を含む当社グループの長期ビジョン・事業環境に対して大きな影響があります。 ・ポートフォリオマネジメントのもとアライアンスや事業売却も含むM&A・投資の推進 ・新規事業の創出等のための、オムロンが捉える社会的課題に共感・共鳴しあえるパートナーとの共創影響戦略的なM&A・投資を通じた新たな経営資源の獲得は、社会価値創出、事業機会となります。一方、計画やデューディリジェンスが不十分であったり、PMI(Post Merger Integration)やM&A・投資先に対するガバナンスが適切に行われなかった場合には、想定したシナジー効果や提携が計画通り進まない可能性があります。その結果、多額の減損や計画の大幅な見直しにつながるリスクがあります。対応体制M&A・投資の方針と実行は、投資規律のもと、経営ルールに定める責任権限に基づき取締役会等の経営会議体にて議論・決定し、案件ごとに、ビジネスカンパニーと本社部門および外部専門家から構成されるプロジェクトチームにより推進しています。 ・関連OGR:経営ルール取組具体的には、以下を含む対策を推進しています。 ・事業戦略に基づいたM&A・投資候補の探索・評価 ・対象企業の財務内容や契約内容の確認等の詳細な事前審査・デューディリジェンス ・取締役会における、買収や出資後の経済効果の具体的目標進捗のレビュー(少なくとも年に1回)[具体的なリスクへの対応例:上場子会社に対する監視・監督] 出資先であるJMDC社に対してTOBを実施し、23年10月に連結子会社化しました。同社の戦略・事業計画や進捗と課題について、当社取締役会にて監視・監督を行い、同社の持続的成長を実現する体制を構築します。 ⑫ グループガバナンス・コンプライアンスリスクシナリオ環境認識気候変動や高齢化等の社会課題に対する取組みはグローバルで加速し、企業の果たす役割が重要になる中、公正な取引に対する社会的要請も益々高まっています。国際機関や各国政府により反競争法的行為や贈収賄防止等に対する法規制は厳格化するとともに、ITやAI等技術の進化やアライアンス等によるイノベーションの推進等に対応した規制の検討や運用も進んでいます。また、一部の新興国、地域においては法による統治機能が脆弱であったり、政情が不安定であることから、汚職や腐敗等が社会問題化する場合があります。日本では、昨今の円安やエネルギー価格高騰等の影響から、下請事業者に対する保護要請が高まっています。これらの環境変化は、以下を含む当社グループの長期ビジョン・事業環境に対して大きな影響があります。 ・各国政府の許認可を含む製品・サービスのグローバル展開 ・様々なビジネスパートナーとの共創による新たな製品やビジネスモデルの開発影響グローバルな需要拡大に的確に捉えること、企業のイノベーションに対する期待は、新たな社会価値創出、事業機会となります。一方、事業スピードの加速や収益性の改善が求められ、各地域やグループ会社における事業運営の自立化も進む中、ガバナンス不全や社内管理の不備により、公正な取引や会計などに関する法規制・コンプライアンス違反が発生した場合には、重大な行政罰、ブランド価値の棄損につながるリスクがあります。対応体制企業倫理・コンプライアンスを含む内部統制としての対応方針は、取締役会で議論し決定しています。「オムロングループマネジメントポリシー」のもと、OGRに基づくグループ会社におけるガバナンス体制の構築と運用、企業倫理リスクマネジメント委員会による活動の展開を行っています。 ・関連OGR:法人運営ルール、倫理行動ルール、内部監査ルール、購買ルール等取組具体的には、以下を含む対策を推進しています。 ・各機能主管部門におけるグローバルでの牽制とモニタリング ・地域統括会社毎のリスクマネジメントにより、エリア特性に応じた重要リスクへの対応 ・毎年10月のグローバル企業倫理月間等による定期的なコンプライアンス教育 ・グローバル内部通報制度の運用 ・リスクアプローチに基づく内部監査と改善指導 ・購買統括部門における対象事業所に対するモニタリング・下請法研修
FY2023|14,006 文字
3【事業等のリスク】(1) グローバルな事業活動を支える統合リスクマネジメント 当社グループでは、統合リスクマネジメントというグループ共通のフレームワークでリスクマネジメントを行っています。経営・事業を取り巻く環境変化のスピードが上がり、不確実性が高くなる中で変化に迅速に対応するためには、リスクへの感度を上げ、リスクが顕在化する前に察知し、打ち手を講じていく必要があるためです。 現場だけでは対処できない環境変化から生じる問題を、現場と経営が力を合わせて解決する活きたリスクマネジメントを目指し、グローバルでPDCAサイクルを回しながら、当活動の質の向上を図っています。 「SF2030」を実現していくため、企業理念やルールを守りつつ、いかに効率的、効果的で迅速なリスク判断を現場ができる仕組みを構築するかという点も重要なテーマとして、取組みを進めています。 (2) 統合リスクマネジメントの仕組みと体制 統合リスクマネジメントの枠組みは、内部統制システムの下、グローバルリスクマネジメント・法務本部が主管するオムロングループルール(OGR)(注1)「オムロン統合リスクマネジメントルール」にまとめ、グループ経営における位置づけを明確にしています。また、リスクマネージャを本社機能部門、ビジネスカンパニー、海外の地域統括本社、国内外の各グループ会社で任命し(約160名)、経営と現場が一体となってグローバルの活動を推進しています。 主な活動は次の3点です。・環境変化をタイムリーに把握して、関係者で共有し、適時に影響評価を行うこと・定期的に、グローバルにリスクを分析して重要リスクを洗い出し、対策をとること・リスクが顕在化し、危機が発生した場合は、即時に報告し危機対策を講じること <企業倫理リスクマネジメント委員会体制> 主要なリスクマネージャを構成員とする企業倫理・リスクマネジメント委員会(原則年4回開催)においては、重要なリスクの発生状況、環境変化、リスク対策の状況について議論・共有するとともに、グループ全体のリスク評価を行っています。また、危機が発生した場合には、速やかに経営報告されリスクのランクに応じて危機対策本部を通じて対応を行っています。これらリスクマネジメントの活動状況については、適宜、執行会議や取締役会に報告するとともに、内部監査部門による内部監査を受けています。 <統合リスクマネジメントのサイクル> (注1)当社グループでは、公正かつ透明性の高い経営を実現する経営基盤として、グループ共通の「オムロングループルール(OGR)」を制定しています。OGRは、リスクマネジメントの他、会計・資金、人財、情報セキュリティ、品質保証等の主な機能に対し制定されています。環境変化等を適宜・適切にルールへ反映するため、毎年見直しを行っています。 (3) グループ重要リスクとその分析 当社グループでは、「SF2030」において、「新たな社会・経済システムへの移行」に伴い生じる社会的課題を解決するため、社会的課題に影響を与える因子を踏まえ、「事業のトランスフォーメーション」と「企業運営・組織能力のトランスフォーメーション」に取り組んでおり、これらを遂行する中で対処すべき重要な要素を、リスクと捉えています。 リスクのうち、当社グループを運営する上で、グループの存続を危うくするか、重大な社会的責任が生じうるリスクおよび重要なグループ目標の実現を阻害するリスクを「グループ重要リスク」に位置付け、そのうち最重要であるリスクをSランク、重要であるリスクをAランクと設定し、対策の実行状況やリスク状況の変化をモニタリングしています。「グループ重要リスク」に対して適切な対策が講じられない場合、重大な社会的責任が生じたり、事業戦略の失敗につながり、結果的に企業価値が喪失する可能性があります。 <2022年度末時点のリスク評価> 2022年度末に実施した当社グループのリスク分析に基づくグループ重要リスクのテーマ、リスクのランクおよび今後の動向に対する認識は下表の通りです。これらのリスクは、適切かつ十分な対策が取られなかった場合、長期ビジョン目標の実現、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があるため、投資家の皆様の判断にも重要な影響を及ぼす可能性がある事項と考えています。ただし、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見できない又は重要とみなされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月23日)現在において当社グループが判断したものです。 <事業等のリスクの全体像> <グループ重要リスクへの対応>① S 製品の安定供給リスクシナリオ環境認識コンテナ不足・通関の遅延等によるサプライチェーンの混乱は収束に向かい、経済環境の不透明性はあるものの、今後も社会・産業構造の変化による消費や投資の拡大が見込まれています。一方で、半導体等の部材不足は長期化し、物流コストの増加が懸念される状況は継続しています。これらの環境変化は、以下を含む当社グループの長期ビジョン・事業環境に対して大きな影響があります。 ・半導体製造装置・電気自動車(EV)・二次電池等成長業界への注力 ・グローバルに需要が増加する血圧計等の販売強化影響拡大する製品需要に的確に応えていくことは、新たな社会価値創出、事業機会となります。一方、部材の調達量が必要量に届かない場合や、物流リードタイムが大幅に長くなった場合、製品供給が低下する可能性があります。その結果、売上減少や事業競争力の低下につながるリスクがあります。対応体制グローバルのビジネスバリューチェーンの最適化を経営計画の重点取組みの一つとして、グローバル購買・品質・物流本部と各ビジネスカンパニーが推進しています。 ・関連OGR:購買ルール取組具体的には、以下を含む対策を推進しています。 ・地産地消を基本スタンスとした生産の移管や分散 ・重要製品における部材調達の現地化・複線化[具体的なリスク対応例:部材逼迫への対応] 部材逼迫の状況が継続する中、調達性の高い部品への切り替えや部品点数の低減を目的とした製品設計の変更、外部EMSとの戦略パートナーシップ締結等の対応を行いました。 ② S 地政学リスクシナリオ環境認識米中関係やロシア・ウクライナ情勢などを巡る各国・地域の政策により、グローバルビジネスの環境は複雑さを増しています。特に半導体等重要物資の安定供給や先端技術開発の促進、輸出や投資への規制等 経済安全保障政策は、多国間枠組みの形成・活用を含め急速に進展しています。今後、政治的対立や人権問題、紛争リスクの高まりにより各種措置は更に拡大する可能性もあり、これらの環境変化は、以下を含む当社グループの長期ビジョン・事業環境に対して大きな影響があります。 ・中国・アジア等の主要工場からグローバル市場への製品供給 ・米国等におけるロボット等 先端技術に対する投資や事業拡大 ・経済安全保障政策の対象製品に関わる顧客への販売、金融・交通等 社会インフラに関する事業の推進影響グローバルでのサプライチェーン再編等の動向は、新たな社会価値創出、事業機会となります。一方、市場変化への対応が十分でなかった場合、当社グループへの需要が減少し、また、新たな法規制への対応が適切に行われなかった場合には、輸出規制や制裁違反等が発生する可能性があります。その結果、売上減少・戦略の見直しや重大な行政罰、ブランド価値の棄損につながるリスクがあります。対応体制事業対応方針については、取締役会や執行会議等の経営会議体にて議論し、決定しています。法規制対応については、各主管部門が統括し、例えば、輸出規制はグローバルリスクマネジメント・法務本部が輸出管理全社委員会のもと、グローバルに安全保障取引管理を行っています。 ・関連OGR:統合リスクマネジメントルール・安全保障取引管理ルール取組具体的には、以下を含む対策を推進しています。 ・地政学リスク影響を低減する中長期的な生産・研究開発等の体制検討と推進 ・グローバルの政治・経済情勢や法規制動向のモニタリング、経済制裁等に対する影響分析と対応[具体的なリスク対応例:ロシア・ウクライナ情勢] 社長を本部長とする全社対策本部を設置し、対応しています。2022年8月には、事業の持続可能性を慎重に精査した結果、ロシアにおける制御機器事業と電子部品事業の無期限停止を決定しました。ヘルスケア事業に関しては、血圧計やネブライザー等 医療機器に限定し、供給を継続しています。 ③ S IT・情報セキュリティリスクシナリオ環境認識社会経済活動の急速なデジタル化は、データに基づく経営判断やIoT機器を中心とした新たな製品・サービスの開発等 企業運営に変革をもたらしています。グローバルにデータ流通の基盤が整備されていく一方で、サイバー攻撃のリスクはますます高まり、また、プライバシー保護や経済安全保障の観点から個人データや技術情報等 重要情報の取扱いや移転について各国で規制の強化も進んでいます。これらの環境変化は、以下を含む当社グループの長期ビジョン・事業環境に対して大きな影響があります。 ・サプライチェーンも含むグローバルのシステムによる事業運営 ・新たな経営システムの構築を目的とした「コーポレートITシステムプロジェクト」 ・ヘルスケア事業における遠隔診療サービス等 「モノとサービス」を組み合わせたビジネスモデルの推進影響医療におけるビッグデータ活用等の動向は、新たな社会価値創出、事業機会となります。一方、サイバー攻撃等 情報セキュリティリスクへの対応が十分でなかった場合、当社グループの事業活動や製品・サービス提供の停止や情報の漏えい、また、グローバルの個人データ規制について、特に国外移転対応が適切に行われなかった場合には、法令違反が発生する可能性があります。その結果、売上減少や重大な行政罰、ブランド価値の棄損につながるリスクがあります。対応体制基本方針や施策については、統括担当取締役の監督のもと、情報セキュリティ、製品セキュリティ、個人情報管理の領域ごとに、各本社機能本部長が執行責任者として統制・管理しています。各領域を横断する課題については、統括担当取締役を議長とする「サイバーセキュリティ統合会議」を随時開催し、解決しています。さらに昨今の環境認識の下、より経営レベルで推進の方向付けを行うために、新たに社長を議長とする「情報セキュリティ戦略会議」にて優先課題と戦略を議論し、決定する体制を整備しました。実行面においても、サイバーセキュリティ統括担当役員として、グローバルビジネスプロセス&IT革新本部長を議長とし、グローバル各局のIT責任者が参画する「情報セキュリティ推進会議」を通じて施策を推進・管理していきます。また、個人データについては、グローバルリスクマネジメント・法務本部長を責任者として、各国法令動向やオムロングループの状況を把握し、法規制対応の強化を図っています。 ・関連OGR:IT統制ルール・情報セキュリティルール取組具体的には、以下を含む対策を推進しています。 ・グローバル標準のフレームワークであるNIST-CSF(注1)に準拠した評価と対策の強化 ・外部専門機関を通じた包括的な脅威情報の収集とグループ内への対策の展開 ・インシデント対応オフィスによる事故発生時の迅速な報告と被害最小化に向けた対応 ・情報リテラシー向上のための社員教育・サイバー攻撃訓練の実施 ・Webサイトの脆弱性診断と改善の実行 ・グローバルでの個人情報規制への対応体制構築[具体的なリスク対応例:IT機器の常時監視と不審挙動検知体制の整備・運用] 当社の情報セキュリティ体制に対する外部評価を踏まえ、サイバー攻撃を検知する対策を重点的に強化しました。社内のIT機器の24時間365日監視をグローバルで行い、不正アクセス等の攻撃を検知した際には、速やかに対処しています。(注1)NIST-CSF:米国国立技術標準研究所(NIST)が2014年に発行したサイバーセキュリティフレームワーク(CST)。汎用的かつ体系的なフレームワークで、米国だけでなく世界各国が準拠を進めている。 ④ S 品質リスクシナリオ環境認識品質は企業に対する社会的信頼の基盤です。新技術を活用した新規性の高い製品やサービスにおいても、高い安全性や正確性の確保が求められ、AI利用や製品セキュリティに対する新たな法規制等も検討・制定が進んでいます。また、人の健康や環境負荷低減に対する社会的要請はますます高まり、有機フッ素化合物(PFAS)等をはじめとする化学物質の含有やリサイクル、表示等に関する規制が各国で厳格化しています。これらの外部環境変化は、以下を含む当社グループの長期ビジョン・事業環境に対して大きな影響があります。 ・不具合発生時に火災や事故、設備の停止等につながる制御機器やエネルギーソリューション製品の展開 ・様々な国の製品安全や化学物質、サイバーセキュリティ等の法規則が適用されるグローバル製品の展開 ・製造現場のデータ活用サービスi-BELT等「モノとサービス」を組み合わせたビジネスモデルの推進影響新たな技術や製品安全等の高い基準にグローバルで対応した品質の確保は、新たな社会価値創出、事業機会につながります。一方、製品やサービスの設計・検査の不備や、品質不具合発生時等の顧客対応や報告が十分でなかった場合、グローバルの法規制・規格等への準拠が適切に行われなかった場合には、当社グループ製品の大規模リコール、製品の生産・流通の停止等が生じる可能性があります。その結果、損失の発生や売上減少、ブランド価値の棄損につながるリスクがあります。対応体制社長を最高責任者とする品質保証体制を構築し、「品質第一」を基本とする「品質基本方針」のもと、グローバル購買・品質・物流本部が推進しています。重大な品質問題が発生した場合は、取締役会の監督のもと、迅速かつ適切に対応を行っています。 ・関連OGR:設計・生産ルール、品質保証ルール、製品品質リスク管理ルール取組具体的には、以下を含む対策を推進しています。 ・ISO9001等(ISO13485:医療機器産業、IATF16949:自動車産業)品質マネジメントシステム(QMS)の取得・ビジネスカンパニーQMS社内監査 ・サービス事業に適合したQMS構築 ・リスクが高い技術(リチウムイオン電池、パワーデバイス等)に関する品質技術確立 ・製品セキュリティ体制強化(外部からの脆弱性情報収集と対応(PSIRT)・セキュリティ監視活動等) ・製品環境や安全関連の法規制・規格の動向の把握、影響評価を行う管理体制の強化 ・品質相談窓口の設置・運用、現場品質点検・品質コンプライアンス研修の実施[具体的なリスクへの対応例:品質問題発生時の対応] 重大な品質問題が発生した際に、経営トップ層に迅速かつ正確にリスクを報告する制度を整備し、運用しています。社会システム事業で生じた蓄電池ユニットの発火リスクに対しては、安心してご使用いただくために、当社の蓄電池ユニットの一部についてソフトウェア更新および無償交換を進めています。 ⑤ S 事業継続リスク(自然災害・感染症)リスクシナリオ環境認識2020年より続いた新型コロナウイルス感染症の緊急事態が収束し、社会経済活動が正常化する一方で、新たな感染症の発生や洪水・豪雨、巨大地震等の自然災害により、社会が機能不全に陥る可能性がグローバルで継続しています。これらの環境変化は、以下を含む当社グループの長期ビジョン・事業環境に対して大きな影響があります。 ・グローバルの様々な国や地域に存在するサプライヤーや生産拠点 ・緊急時においても継続が求められる社会インフラや人の健康管理に使用される製品・サービスの提供 ・防災・減災需要に対するエネルギーソリューションビジネスの展開影響企業に対する事業継続の要請や社会のレジリエンスを高める取組みは、新たな社会価値創出、事業機会となります。一方、予期できない災害等が発生した場合、社会インフラ・経済活動の大規模停止、自社工場の生産停止、重要サプライヤーからの長期にわたる部品供給停止等により、事業活動の一部停止や縮小等が生じる可能性があります。その結果、売上減少やブランド価値の棄損につながるリスクがあります。対応体制人身の安全、社会インフラの維持、復興への全面協力等を定めた基本方針のもと、各ビジネスカンパニーと本社機能部門が連携し、生産、購買調達、物流、ITを含めた事業継続計画を整備しています。 ・関連OGR:統合リスクマネジメントルール・購買ルール取組具体的には、以下を含む対策を推進しています。 ・有事を想定したシミュレーション・訓練 ・社員の安否確認システムの運用、事業所での非常食や飲料水の備蓄 ・サプライヤーの生産地情報の一元管理、代替え生産拠点の評価体制整備 ・緊急時のエスカレーションルート・影響を把握する仕組みの整備[具体的なリスク対応例:新型コロナウイルス感染症] 新型コロナウイルス感染症については、2020年2月に社長を対策本部長とする対策本部を設置し、社員の健康と安全の確保、該当拠点地域への感染拡大防止を最優先とし対応を行っていましたが、2023年3月の日本政府による方針決定を踏まえ、季節性インフルエンザ等と同等の対応に移行しています。 ⑥ S サステナビリティ課題(環境・人権)リスクシナリオ環境認識持続可能な社会の実現に向け、環境や人権課題に対して、自社だけでなくバリューチェーン全体を通じて、企業が責任を果たすことが求められています。また、企業価値評価・投資活動に反映させるため、企業のサステナビリティ課題への取組みに対する開示要請は年々高まっており、内容の第三者保証を法規制化する動きも進んでいます。 環境については、温暖化に起因する洪水や干ばつ等の頻発化により生じる食料・水不足等は地球レベルでの社会課題となっています。グローバル各国でカーボンニュートラルに向けた政策が加速する中、企業に対する温室効果ガス排出量の削減やトレーサビリティの確保等の要請も拡大しています。 人権については、強制労働、児童労働、低賃金や未払い、長時間労働、安全や衛生が不十分な労働環境等の是正が社会課題となっています。デューディリジェンスによるサプライチェーンの可視化や人権侵害懸念国・地域からの輸入禁止等により、人権の尊重を法規制で担保する取組みが進んでいます。また、AIの活用等技術革新による新たな人権課題も生じています。 サステナビリティ課題への対応は企業にとってのビジネスライセンスとなってきており、これらの環境変化は、以下を含む当社グループの長期ビジョン・事業環境に対して大きな影響があります。 ・制御機器事業における生産性とエネルギー効率を高める生産現場オートメーションの実現 ・社会システム事業におけるエネルギー制御技術の進化による再生可能エネルギーの普及 ・電子部品事業におけるカーボンフットプリント削減に繋がる部品の開発・提供 ・中国・アジアを含めグローバルの事業拠点とサプライチェーン ・AIを活用した製品・サービスの研究開発・提供影響脱炭素や人権尊重に貢献する製品やサービスに対するニーズの高まりは、新たな社会価値の創出と事業成長を実現する機会となります。一方、多くの企業が社会課題の解決に挑む中、戦略と実行の成否は事業競争力に直結します。また、販促活動においていわゆるグリーンウオッシングといわれる不適切な開示を行った場合、バリューチェーン上の人権課題に適切な対応を行わなかった場合やAIに対する法規制等に準拠せず製品やサービスを通じて差別などの人権問題を発生させた場合には、社会的信用が失われ、その結果、取引停止・製品の開発中止や戦略の見直し、ブランド価値の棄損につながる可能性があります。対応体制環境・人権課題への対応については、取締役会決議により制定されたオムロン環境方針、オムロン人権方針に基づいた活動を行っています。具体的な執行体制としては、社長CEOから権限委譲されたサステナビリティ推進担当役員の責任の下、サステナビリティ推進室が中心となって取組みを推進し、自社領域はグローバル人財総務本部長、サプライヤー領域はグローバル購買・品質・物流本部長、事業戦略領域は各ビジネスカンパニー長がそれぞれ責任を持って対応しています。・関連OGR:環境経営ルール、HRMルール、購買ルール取組具体的には、以下を含む対策を推進しています。[環境] ・Scope1・2、Scope3カテゴリー11ごとに目標を設定した温室効果ガスの削減の加速 ・回収・リサイクルの拡大、循環型の原材料調達、再資源化率の最大化等による循環経済への移行 ・TCFD提言に沿った情報を含むサステナビリティ課題にかかる情報開示[人権] ・国連「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGP)」に沿った人権デューディリジェンスの実施 ・グローバルでの人権救済メカニズムの構築 ・サプライヤーに対するサステナブル調達ガイドラインの提示・遵守状況確認 ・RBA(注1)アセスメントツールを活用したリスク評価 ・AIに関する情報収集および利用方針・QMSルールへの組み込み検討[具体的なリスク対応例:人権救済窓口としての内部通報制度の拡充] 当期に人権救済メカニズム構築の一環として、グローバルの内部通報制度の対象者をサプライヤーに拡大しました。内部通報窓口には、職場でのハラスメント等人権に関する通報も寄せられていますが、社内規程に基づき適切に対応しています。(注1)Responsible Business Allianceの略。電子業界を中心とするグローバルなCSRアライアンス。※サステナビリティ課題への対応の詳細は「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)オムロンのサステナビリティの考え方及び取組み、(2)気候変動への対応」をご参照ください。 ⑦ S グローバルコンプライアンスリスクシナリオ環境認識気候変動や高齢化等の社会課題に対する取組みはグローバルで加速し、企業の果たす役割が重要になる中、公正な取引に対する社会的要請もますます高まっています。国際機関や各国政府により反競争法的行為や贈賄防止等に対する法規制は厳格化するとともに、ITやAI等技術の進化やアライアンス等によるイノベーションの推進等に対応した規制の検討や運用も進んでいます。これらの環境変化は、以下を含む当社グループの長期ビジョン・事業環境に対して大きな影響があります。 ・各国政府の許認可を含む製品・サービスのグローバル展開 ・様々なビジネスパートナーとの共創による新たな製品やビジネスモデルの開発影響企業のイノベーションに対する期待は、新たな社会価値創出、事業機会となります。一方、公正な取引に関する法規制等に違反したものと当局が発見または判断した場合には、重大な行政罰、ブランド価値の棄損につながるリスクがあります。対応体制企業倫理・コンプライアンスを含む内部統制としての対応方針は、取締役会で議論し決定しています。「オムロングループマネジメントポリシー」のもと企業倫理リスクマネジメント委員会を設置し、活動を展開しています。 ・関連OGR:倫理行動ルール取組具体的には、以下を含む対策を推進しています。 ・毎年10月のグローバル企業倫理月間等による定期的なコンプライアンス教育 ・グローバル各社における反競争法的行為・贈収賄リスク対策を含むガバナンス自己評価 ・グローバル内部通報制度の運用[具体的なリスクへの対応例:グローバル企業倫理月間におけるコンプライアンス教育] 2022年度の企業倫理月間では、グローバル共通活動としてトップメッセージ配信やカルテル研修の他、長期ビジョンと地域のリスクをふまえて各地域統括本社がテーマを設定し、e-learningやリモートでの研修を開催しました。 ⑧ A 人財・労務リスクシナリオ環境認識キャリアに関する価値観が多様化し、これまで以上にグローバルで人財の流動化が進んでいます。また、IT人財をはじめ先端技術を保有する技術系人財など、希少なスキルや経験を持つ人財の獲得競争も激化しています。このような環境では、人財から選ばれる人的資本経営の実行がより重要となっています。加えて、近年は社会から人的資本の情報開示が求められるようになっています。これらの環境変化は、以下を含む当社グループの事業環境に対して大きな影響があります。 ・AI、ロボティクス等の先端技術分野における研究開発影響スペシャリティを備えた多様な人財が集い、一人ひとりが主体性を持って能力を発揮し続けける人財づくり・環境づくりは企業価値向上の原動力となります。一方、人財戦略の効果が十分でない場合は、新たな人財の採用だけでなく、従業員の流出につながるリスクがあります。加えて、人的資本の情報開示が不適切な場合、行政からの指導、投資家からの信頼低下により、ブランド価値の毀損にもつながる可能性があります。対応体制重要な人財戦略については、取締役会・執行会議にて議論し、決定しています。2023年度より設置されたCHRO(最高人事責任者)の下、グローバル人財総務本部が中心となり施策を実行しています。 ・関連OGR:HRMルール取組具体的には、以下を含む対策を推進しています。 ・成長意欲のある人財への投資 ・役割責任・スペシャリティを定めるジョブ型人事制度の導入 ・社会課題解決の成果を分かち合う取組み・制度(中期連動株式報酬制度等) ・企業理念を全社員に浸透させ、共感と共鳴の拡大を促す取組み「TOGA」の実行※人財・労務リスクへの対応の詳細は「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本に関する取組み」をご参照ください。 ⑨ A 会計・税務リスクシナリオ環境認識適正な財務報告と税務コンプライアンスは企業活動の基本です。企業のグローバル化や取引のボーダーレス化が加速し、新たなビジネスモデルやサービスが生まれる中で、会計基準は高度化し税制も複雑化しています。また、各国間の協調・連携が進み企業に対する税の透明性に対する要請も高まっています。これらの環境変化は、以下を含む当社グループの長期ビジョン・事業環境に対して大きな影響があります。 ・グローバルでの顧客との取引・グループ間取引 ・「モノ」に加え「モノ」と「サービス」の組み合わせによる多様なサービス展開影響グローバルの会計基準への準拠と税務手続きに対する信頼の確保は、新たな社会価値創出、事業機会につながります。一方、新サービスや事業等を行うに際して、会計処理が適切に行われなかった場合、また、各国の租税法や移転価格税制、関税法、および当局の執行動向に適切な対応が行えなかった場合、決算修正、多額の追徴や和解金の支払い、ブランド価値の棄損につながるリスクがあります。対応体制財務報告に係る内部統制の基本的枠組み、取締役会で承認した「税務方針」(注1)のもと、グローバル理財本部を中心に、会計・税務の適正性を担保するための体制・ルールを整備し運用しています。 ・関連OGR:会計・資金ルール、不正統制ルール、J-SOX推進ルール取組具体的には、以下を含む対策を推進しています。 ・外部専門家等を活用した会計基準の定期的な情報収集と影響等の調査・対応 ・OECDの各種報告書や新しい国際課税ルールの整備状況などを踏まえた国際税務に係る方針の見直し ・現地法人と連携した各国・地域における税制や当局の執行状況の変化への対応 ・関税コンプライアンス体制およびモニタリングの強化 (注1)「税務方針」については下記をご参照ください。 https://sustainability.omron.com/jp/governance/tax/⑩ A M&A・投資リスクシナリオ環境認識社会課題を解決する手段として、テクノロジーの進化が求められる中、スタートアップ企業を始めとする技術力のある企業とのアライアンス、M&A、出資を通じたイノベーションの加速が期待されています。一方で、投資先の業績・評価の変動に加え、経済安全保障政策による投資規制やIT等新たな分野における独占禁止法の運用強化等の動きもあります。これらの環境変化は、以下を含む当社グループの長期ビジョン・事業環境に対して大きな影響があります。 ・ポートフォリオマネジメントのもとアライアンスや事業売却も含むM&A・投資の推進 ・新規事業の創出等のための、オムロンが捉える社会的課題に共感・共鳴しあえるパートナーとの共創影響戦略的なM&A・投資を通じた新たな経営資源の獲得は、社会価値創出、事業機会となります。一方、計画やデューディリジェンスが不十分であったり、PMI(Post Merger Integration)が適切に行われなかった場合には、想定したシナジー効果や提携が計画通り進まない可能性があります。その結果、多額の減損損失の計上や計画の大幅な見直しにつながるリスクがあります。対応体制M&A・投資の方針と実行は、経営ルールに定める責任権限に基づき取締役会等の経営会議体にて議論、決定し、案件ごとに、ビジネスカンパニーと本社部門および外部専門家から構成されるプロジェクトチームにより推進しています。 ・関連OGR:経営ルール取組具体的には、以下を含む対策を推進しています。 ・事業戦略に基づいたM&A・投資候補の探索、評価 ・対象企業の財務内容や契約内容の確認等の詳細な事前審査・デューディリジェンス ・取締役会における、買収や出資後の経済効果の具体的目標進捗のレビュー(少なくとも年に1回)[具体的なリスクへの対応例:投資先の評価] 出資先である株式会社JMDCやAliveCor,Inc.について、投資先の業績や取り巻く環境の評価及びディスカウント・キャッシュ・フロー法による評価額と帳簿価額との比較など、定性的要素および定量的要素を総合的に勘案し、評価損失の要否を判断しています。 ⑪ A 知的財産リスクシナリオ環境認識社会課題を解決しながら持続的に企業価値を向上するためには、強みのある知的財産・無形資産を形成した上で価値創造ストーリーと連結することが必要不可欠となり、また、技術開発やビジネスモデルの構築においてオープンイノベーションやアライアンスが加速しています。一方で、知的財産を巡る企業や国家間の競争や対立も激化するとともに、スタートアップ企業との事業連携における公正取引上の課題も指摘されています。これらの環境変化は、以下を含む当社グループの長期ビジョン・事業環境に対して大きな影響があります。 ・ロボティクス、センシング、パワーエレクトロニクス、AI・データ解析等の注力する技術領域 ・データヘルスケア、食生産のオートメーション、製造現場のDX支援等の新規事業創造影響知的財産・無形資産への投資を促進し競争力の源泉とする動向は、新たな社会価値創出、事業機会となります。一方、その取得や保護が十分でなかった場合、技術・ノウハウの流出やブランドの模倣等が発生し、事業競争力を喪失する可能性があります。また、特許等の侵害や不正使用に関する紛争が発生した場合には、当社グループの製品・サービスの提供停止や巨額の損害賠償請求・ロイヤリティの支払い等が生じる可能性があります。その結果、損失の発生や売上減少、ブランド価値の棄損につながるリスクがあります。対応体制知的財産戦略については定期的に取締役会にて報告・議論されています。基本方針に基づく知的財産活動は、技術・知財本部を主管として実行しています。 ・関連OGR:知財管理ルール取組具体的には、以下を含む対策を推進しています。 ・IPランドスケープを活用して研究テーマの方向性決定や協業先選定の確度を高める取組み ・事業や研究開発と連動させた知的財産戦略を策定・実行し、強みのある知的財産権を蓄積 ・研究開発および設計にあたっての第三者の知的財産権調査 ・第三者の当社グループへの知的財産権の侵害に対する分析・評価と、権利行使の強化 ・オンライン取引も含む模倣品摘発活動、悪意を持った当社ブランド名と類似した商標権取得の阻止 ⑫ A 新興国における事業展開リスクシナリオ環境認識インド等の新興国市場においては、人口増加によって消費拡大が見込まれ、各種産業が成長している中、様々な社会課題も顕在化しています。一方で、一部の新興国、地域においては法による統治機能が脆弱であったり、政情が不安定であることから、汚職や腐敗等が社会問題化する場合があります。これらの環境変化は、以下を含む当社グループの長期ビジョン・事業環境に対して大きな影響があります。 ・ヘルスケア事業において成長ポテンシャルの高いインドへの進出等影響新興国における需要拡大を的確に捉えることは、新たな社会価値創出、事業機会となります。一方、これらの国、地域における事業運営において、ガバナンス不全や社内管理の不備により、不正会計などの法規制・コンプライアンス違反が発生する可能性があり、その結果、重大な行政罰、ブランド価値の棄損につながるリスクがあります。対応体制グループの内部統制システムのもと、OGR等に基づくグループ会社におけるガバナンス体制の構築と運用を行っております。 ・関連OGR:法人運営ルール、会計・資金ルール、IT統制ルール、内部監査ルール等取組具体的には、以下を含む対策を推進しています。 ・各機能主管部門におけるグローバルでの牽制とモニタリング ・地域統括本社毎のリスクマネジメントにより、エリア特性に応じた重要リスクへの対応 ・リスクアプローチに基づく内部監査と改善指導
FY2022|22,027 文字
2【事業等のリスク】(1) グローバルな事業活動を支える統合リスクマネジメント 当社グループでは統合リスクマネジメントというグループ共通のフレームワークでリスクマネジメントを行っています。経営・事業を取り巻く環境変化のスピードが上がり、不確実性が高くなる中で変化に迅速に対応するためには、リスクへの感度を上げ、リスクが顕在化する前に察知し、打ち手を講じていく必要があるためです。 現場だけでは対処できない環境変化から生じる問題を、現場と経営が力を合わせて解決する活きたリスクマネジメントを目指し、グローバルでPDCAサイクルを回しながら、当活動の質の向上を図っています。 長期ビジョン「SF2030」を実現していくため、企業理念やルールを守りつつ、いかに効率的、効果的で迅速なリスク判断を現場ができる仕組みを構築するかという点も重要なテーマとして、取組みを進めています。 (2) 統合リスクマネジメントの仕組みと体制 統合リスクマネジメントの枠組みは、グローバルリスクマネジメント・法務本部が主管する社内規定(オムロン統合リスクマネジメントルール)にまとめ、グループ経営におけるリスクマネジメントの位置づけを明確にしています。経営と現場が一体となってグローバルの活動を推進するため、リスクマネージャを本社部門、各事業部門、海外の地域統括本社、国内外の各グループ会社で任命(約160名)しています。 リスクマネージャを構成員とする企業倫理・リスクマネジメント委員会(原則年4回開催)や、危機発生時に設定する緊急対策本部を通じて以下の対応を実行しています。また、その実行状況は定期的に執行会議や取締役会に報告を行っています。 主な活動は次の3点です。・環境変化をタイムリーに把握して、関係者で共有し、適時に影響評価を行うこと・定期的に、グローバルにリスクを分析して重要リスクを洗い出し、対策をとること・リスクが顕在化し、危機が発生した場合は、即時に報告し危機対策を講じること <統合リスクマネジメントの活動サイクル> (3) 経営、事業を取り巻くリスクとその分析 当社グループでは、長期ビジョン「SF2030」において、「新たな社会・経済システムへの移行」に伴い生じる社会的課題を解決するため、社会的課題に影響を与える因子を踏まえ、「事業のトランスフォーメーション」と「企業運営・組織能力のトランスフォーメーション」に取り組んでおり、これらを遂行する中で対処すべき重要な要素を、リスクと捉えています。 当社グループは、主要なリスクに対して年1回以上定期的に、リスクへの対策の妥当性・十分性および顕在化しているリスク事案の内容を総合的に分析して、リスクのランクを設定しています。リスクのうち、当社グループを運営する上で、グループの存続を危うくするか、重大な社会的責任が生じうるリスクおよび重要なグループ目標の実現を阻害するリスクを「グループ重要リスク」に位置付け、そのうち最重要であるリスクをSランク、重要であるリスクをAランクと設定し、対策の実行状況やリスク状況の変化をモニタリングしています。 現時点で当社グループが設定するS・Aランクは以下のとおりで、以下の「グループ重要リスク」に対して適切な対策が講じられない場合、重大な社会的責任が生じたり、事業戦略の失敗につながり、結果的に企業価値が喪失する可能性があります。<Sランク> 製品の安定供給 * 事業継続(新型コロナウイルス感染症、自然災害) 地政学 * サステナビリティ課題(気候変動) * サステナビリティ課題(人権) * ITシステム・情報セキュリティ 品質 グロ―バルコンプライアンス<Aランク> 会計・税務 人財・労務 M&A・投資 知的財産 新興国における事業展開 * *…昨年度と比較して重要性が上がったテーマ <事業等のリスクの全体像> (4) グループ重要リスクへの対応 ① S 製品の安定供給外部環境とリスクシナリオ DX機器の普及、生産地分散の進行、地球環境保護に対する社会的な要請の高まりなどにより、グローバルで消費や投資の拡大が継続しています。 一方で、半導体等の部材不足や、コンテナ不足・通関の遅延等によるサプライチェーンの混乱は長期化しています。また、ロシア・ウクライナ情勢の悪化や中国ゼロコロナ政策による都市封鎖の影響も懸念されます。不足している部材の範囲が拡大し、調達量が必要量に届かない場合や、製品の物流リードタイムが大幅に長くなった場合、製品供給力が低下する可能性があります。 当社グループの事業と対策 当社グループは、半導体製造、電気自動車、脱プラスチック対応、再生可能エネルギー関連などでの設備投資需要への拡大、また、高齢化の進行や健康意識の高まりにより血圧計などの健康機器への堅調な需要に応えることで、力強い成長を実現します。 その中で、上記リスクシナリオに対して適切かつ充分な対策が取られなかった場合、長期ビジョン「SF2030」目標の実現、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 2021年度においては、部材が不足する中でも、機動的な設計変更や代替部材の調達、顧客への供給責任を果たすための航空便の拡大などにより、影響低減に努めました。 さらに、長期ビジョン「SF2030」では、半導体を中心とする調達先の拡大、設計変更による調達リスクの低い部材への切り替えを継続強化すると同時に、中長期的視点に立ち、よりレジリエンスを高めるためのサプライチェーン戦略の策定を進めます。 ② S 事業継続(新型コロナウイルス感染症、自然災害)外部環境とリスクシナリオ 事業継続リスクとして、新型コロナウイルス感染症を始めとした感染症が長期に渡って蔓延することによる集団感染の発生や、各国で感染症に対する厳格な防疫措置政策としての都市封鎖等は、事業活動へも大きく影響します。具体的には、自社工場の生産停止や、重要サプライヤーからの部品供給停止に関する情報の早期把握の遅れ等により顧客への長期にわたる製品供給が停滞する可能性があります。 また、近年の気候変動に伴う大規模な自然災害や巨大地震、取引先の大規模火災など予期できない災害等が発生した場合、社会インフラ・経済活動の大規模停止や、重要サプライヤーからの長期にわたる部品供給停止等により、事業活動の一部停止や縮小等が生じる可能性があります。 当社グループの事業と対策 当社グループは、中国・アジアをはじめとして海外に生産拠点を持ち、各国の営業拠点等を通じて製品をグローバルの顧客に供給しています。また、当社グループの部品等のサプライチェーンは材料調達から生産組立て工程までグローバルに展開しています。 その中で、上記リスクシナリオに対して適切かつ充分な対策が取られなかった場合、長期ビジョン「SF2030」目標の実現、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 新型コロナウイルス感染症については、2019年度から引き続き、社長を対策本部長とする対策本部を設置し、社員の健康と安全の確保、該当拠点地域への感染拡大防止を最優先とし、対応を行っています。また、新型感染症事業継続計画をもとに、各国政府・地域の法令・指導も踏まえて、感染防止措置等を継続しています。当社グループは、新型コロナウイルス感染症と共存する「ウィズ・コロナ」を前提に、オフィスワークとリモートワークを最適・柔軟に組み合わせた勤務形態に移行し、業務に応じて最も効果的・効率的な働き方の実践を進めています。 また、自然災害などに備え、必要とされる安全対策や事業継続・早期復旧のため、生産はもとより、購買調達、物流、ITを含めた事業継続計画を策定し、対策を整備、強化しています。さらに、災害に備えた社員の安否確認システムの運用、事業所での非常食や飲料水の備蓄や有事を想定したシミュレーション・訓練などにより、その実効性を高めています。サプライチェーンでの有事に対しては、発災後速やかに部品供給リスクを把握する仕組みの構築や、重要度に応じた戦略的部品在庫の確保などの手立てを講じています。[主な取組み]・新型感染症事業継続計画に基づく対策の施行・新型感染症発生状況・出社率等のモニタリング・事業継続計画の策定と更新/シミュレーション・訓練の実施・サプライヤーの生産地情報の一元管理、代替え生産拠点の評価体制整備・第三者情報を活用した市場・部材情報の把握と分析・重要度に応じた部品在庫の確保・緊急時のエスカレーションルートの整備 ③ S 地政学リスク外部環境とリスクシナリオ 地政学リスクとして、米中をはじめとする二国間関係やロシア・ウクライナ情勢を巡る多国間関係など、国際関係は変化が増しています。 そのような中、各国の経済安全保障政策が強化され、最先端技術の国外への流出を阻止するための法規制や制裁・法規制の対象となった企業との輸出入取引や資金決済が停止となる可能性があります。また、各国で保護主義的な関税政策が行われた場合、価格競争力が低下する可能性があります。 また、戦争・紛争が発生した場合には、該当地域における長期事業停止や事業撤退等、その他、企業活動を行う上で予期しない政策および法規制等の変更に直面するリスクがあります。 これらの情勢変化や政策に適切に対応できない場合、法的紛争や行政罰、さらにブランドに対する社会的信頼の喪失につながる可能性があります。 当社グループの事業と対策 当社グループは、中国・アジアをはじめとして海外にも生産拠点を持ち、各国の営業拠点等を通じて製品をグローバルの顧客に供給しています。 長期ビジョン「SF2030」においても、中国やインド市場への強化など、更なるグローバル展開を加速します。 また、AI・IoT・ロボット等の最先端技術による新規事業の創造や社会システム事業における公共輸送や交通安全といった社会インフラに関する事業を進めています。 その中で、上記リスクシナリオに対して適切かつ充分な対策が取られなかった場合、長期ビジョン「SF2030」目標の実現、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 地政学リスクに対しては、グローバルで政治・経済情勢や法規制の動向を定期的にモニタリングし、エリア毎の事業環境の変化や業績影響を定期的に把握しています。また最適な生産、研究開発、知的財産管理の在り方や、法規制の変化を捉えて各事業への影響を早期に分析・洞察する体制等の検討を行っています。近年影響が高まっている各国の輸出規制については、グローバルリスクマネジメント・法務本部が輸出管理全社委員会を運営し、適正な安全保障取引管理を実行しています。 2021年度においては、外部の専門家による政策動向や法規制調査の実施、ロシア・ウクライナ情勢への対応、執行会議への定期的な議論・報告や取締役会においても重点テーマとして取り上げ議論を行いました。 長期ビジョン「SF2030」においては、不確実性の高い地政学リスクに先行して対応するため、各国の情勢分析の強化等の取組みを進めます。[主な取組み]・主要国の関税引上げや安全保障貿易管理に基づく輸出規制、新興技術等に対する取引制限等の政策に対する分析と評価・取引形態やサプライチェーンの見直し・製品を複数拠点で並行して生産する体制の構築 ④-1 S サステナビリティ課題(気候変動)外部環境とリスクシナリオ 年々激甚化する自然災害や生物種の喪失などを受けて、気候変動への取組みは地球レベルでの社会課題となっており、企業に対しても脱炭素社会に向けたバリューチェーンにおける温室効果ガス排出量の削減や、製品・サービスの環境配慮につながる取組みが求められています。 一方で、欧米をはじめとして気候変動対応や環境政策に関する法規制やそれらへの取組みの開示が強化されるとともに顧客やサプライヤーを含め社会全体から脱炭素への取組みに対する要求が加速しています。 そのような中、各国の法規制強化に伴うエネルギー価格の上昇や省エネ・再エネ対応の追加設備投資、炭素税導入の影響により事業コストが増加する可能性があります。また、自社やサプライヤーにおいて顧客からの要求や法規制への適切な対応が取れない場合、顧客取引の停止や行政罰、事業機会の損失が生じる可能性があります。さらに、気候関連情報の開示への対応体制が不十分であることにより、ステークホルダーが求める要求水準を満たせず、ブランドに対する社会的信頼の喪失につながる可能性があります。 当社グループの事業と対策 当社グループは、グローバルに事業拠点を持ち、取引するサプライヤーも多国にわたっています。長期ビジョン「SF2030」においては、「カーボンニュートラル社会の実現」を目指し、脱炭素・環境負荷低減に向けて温室効果ガスの排出量削減に取り組んでいきます。また、資源枯渇や環境破壊の問題を解決するため「製品寿命の延長」「回収・リサイクルの拡大」などによる「循環経済への移行」や、将来世代を含めた人類の健康で文化的な活動機会を守っていくため「適正な化学物質の管理」「生物多様性の保全」などによる「自然との共生」にも取り組んでいきます。 その中で、上記リスクシナリオに対して適切かつ充分な対策が取られなかった場合、長期ビジョン「SF2030」目標の実現、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 気候変動リスクに対して、2021年度にオムロンが取り組むべき重要な環境課題と行動指針を明示した「オムロン環境方針」を改定しました。バリューチェーンを俯瞰した責任体制としては、社長から権限委譲されたグローバル人財総務本部長、グローバル購買・品質・物流本部長、各事業部門長がそれぞれ責任を持って環境への対応を推進します。環境に関する重要な事項については、取締役会で決定します。決定された事項の執行状況を社長が取締役会に報告し、取締役会が監視・監督します。 当社グループは、2019年度に「オムロンカーボンゼロ」を宣言し、2050年に自社からの温室効果ガス排出量ゼロを目指しており、その目標達成に向けて毎年、着実に排出量を削減してきました。長期ビジョン「SF2030」においてもスコープ1・2・3(注1)ごとに数値目標を設定し、温室効果ガスの排出量削減の動きを加速させていきます。具体的には、オムロンの事業活動により排出される温室効果ガスを対象としたスコープ1・2では「省エネ・創エネの拡大」と「国内全拠点のカーボンゼロの実現」を通じて、削減に取り組んでいきます。お客様がオムロン製品を使う事で排出される温室効果ガスを対象としたスコープ3カテゴリー11(注2)では、脱炭素化に向けた製品設計の見直しや、新製品の省エネ化に各事業部門で取り組んでいきます。 なお、当社グループは、2019年にTCFD(注3)への賛同を示しており、2021年度に各事業におけるシナリオ分析を行い、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4つの項目に沿った当社グループの取組みを開示しております(TCFDの取組みについては(5)TCFD提言に沿った情報開示参照)。[主な取組み]・「オムロン環境方針」の改定・脱炭素・環境負荷低減の実現 -「オムロンカーボンゼロ宣言」 -スコープ1・2・3ごとの温室効果ガス排出量の削減・TCFDへの賛同と枠組みに沿ったシナリオ分析および情報開示(注1)スコープ1・2: 自社領域から直接的・間接的に排出される温室効果ガス スコープ3: 自社のバリューチェーンからの温室効果ガスの排出 (注2) スコープ3カテゴリー11:スコープ3のうち製造・販売した製品・サービス等の使用に伴う排出(注3)TCFD:Task-force on Climate-Related Financial Disclosures ④-2 S サステナビリティ課題(人権)外部環境とリスクシナリオ SDGsへの関心の高まりから、人権に対して十分配慮された商品やサービスを選択・購入する消費行動が広がっています。また、生命の安全や健康配慮など人権に配慮した活動は、働く人々のパフォーマンス向上にもつながります。 一方で、主に開発途上国での強制労働、児童労働、低賃金や未払い、長時間労働、安全や衛生が不十分な労働環境などの問題に対し、自社だけではなくバリューチェーンを通じて企業が一定の責任を果たすことが社会全体から求められており、人権関連法規制の制定が各国で加速しています。また、AIなど新興技術の普及が進む中、新興技術にかかる倫理的問題が社会課題となっています。 このような人権課題への対応はグローバルで社会課題を解決する企業にとって、ビジネスライセンスとなっています。 バリューチェーン上の人権課題に対し、適切な対応が取られていない場合、顧客との取引の停止や行政罰、また、ブランドに対する社会的信頼の喪失につながる可能性があります。また、AI等の新興技術を活用する上で法規制への対応が不十分であることなどにより、開発テーマの停止や、レピュテーションリスクが発生する可能性があります。 当社グループの事業と対策 当社グループは、グローバルに事業拠点を持ち、取引するサプライヤーも多国にわたっています。また、長期ビジョン「SF2030」では、AI・IoT・ロボット等の最先端技術を活用した事業に積極的に取り組んでいくため、AI倫理等の人権課題が発生する可能性があります。 その中で、上記リスクシナリオに対して適切かつ充分な対策が取られなかった場合、長期ビジョン「SF2030」目標の実現、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 人権リスクに対して、2021年度において、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGP)」の内容に沿った「オムロン人権方針」を制定しました。バリューチェーンを俯瞰した責任体制としては、社長から権限委譲されたグローバル人財総務本部長、グローバル購買・品質・物流本部長、各事業部門長がそれぞれ責任を持って人権尊重への対応を推進します。人権尊重へのコミットメントを果たす上で重要な事項については、取締役会で決定し、決定された事項の執行状況を社長が取締役会に報告し、取締役会が監視・監督します。 また、人権関連法規制の対応としては、「英国現代奴隷法への声明」を表明しており、当社グループの人権取組みの公表を行っております。 なお、これまでも自社生産拠点および重要サプライヤーを対象にしたRBAリスク評価の実施、サプライヤーへのサステナブル調達ガイドラインに基づく適切な管理を求めること等により人権リスクへの対応を行ってきましたが、長期ビジョン「SF2030」では、対象をバリューチェーン全体に拡げ、人権デューディリジェンスの実施やグローバルにおけるバリューチェーンの人権救済メカニズムの構築に向けて、サステナビリティ推進室を中心とした全社横断プロジェクトを組成し、グローバルでの人権ガバナンス体制の確立を目指していきます。(取組の詳細は「第2事業の状況1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)SF 1st Stage中期経営計画(ⅲ)サステナビリティへの取組み強化参照) また、「テクノロジーの倫理的な活用」を重要な人権課題と設定し、AI・ロボティクス・IoTなどのテクノロジーが人権に与える影響を理解し、テクノロジーの適切な活用を推進していきます。[主な取組み]・「オムロン人権方針」の策定・英国現代奴隷法対応公表・内部通報制度をグローバルで運用・RBAアセスメントツールを活用したリスク評価・サプライヤーに対するサステナブル調達ガイドラインの提示、遵守状況確認 ⑤ S ITシステム・情報セキュリティ外部環境とリスクシナリオ 社会のデジタル化が進む中、企業においてもDXとデータの利活用による生産性の向上や社会課題の解決が期待されています。 一方で、サイバー攻撃の脅威が急速に高まっており、その対策が脆弱であった場合、個人情報・秘密情報の漏えいや、サーバダウンなどによる事業停止を引き起こす可能性があります。 また、プライバシー保護の要請や各国の政策により、グローバルで個人情報・データ保護法規制の制改定や運用の強化が行われる中、事業運営において違反が発生した場合には、社会からの信頼を喪失し、事業が行えなくなったり、多額の罰金が課されたりする可能性があります。 共創等による技術開発において情報管理が不十分であった場合、不正な持ち出しや漏えいにより事業競争力が失われる可能性があります。 当社グループの事業と対策 当社グループでは、グローバルで様々なシステムを構築・運用しております。現在はオムロン全社の最重要プロジェクトの一つとしてデータドリブンな企業運営への進化を可能とする経営システムの構築を目的とした「コーポレートシステムプロジェクト(以下 CSPJ)」を推進しています。CSPJは、IT基盤の刷新のみならず、業務プロセスの標準化や将来的なデータ活用までも視野に入れた取組みです。 また、当社グループでは、事業上重要な情報および、事業の過程で入手した個人情報や、取引先の秘密情報などを保有しています。長期ビジョン「SF2030」においては、例えば、ヘルスケア事業におけるグローバルの遠隔診療サービス展開でのデータの活用をはじめとして、「モノとサービス」を組み合わせたビジネスモデルを進化する中で、データプラットフォームの構築を推進していきます。 その中で、上記リスクシナリオに対して適切かつ充分な対策が取られなかった場合、長期ビジョン「SF2030」目標の実現、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 ITシステム・情報セキュリティリスクに対しては、CFOを統括役員とするサイバーセキュリティ統合会議を開催し、グローバル標準のサイバーセキュリティフレームワークに基づき、セキュリティレベルを評価し、課題に対応しています。また、情報セキュリティおよび個人情報保護に関するグループルールを整備し、情報の重要度ランクに応じた取得から利用、廃棄に至る管理策を定めるとともに、インシデント発生時の円滑かつ迅速に対応可能な体制を構築し、運用しています。 2021年度においては、PCの不審な挙動を監視する対策を強化するなど、ゼロトラストモデル(注1)への移行を進めました。また、2022年4月1日に施行された改正個人情報保護法への対応として、プライバシーポリシーやルール・各種手順の見直し、および全社員教育を実施しました。 引続き、サイバー攻撃に対する危機管理体制の強化や各国個人情報・データ保護規制の変化に迅速に対応するグローバル体制の再構築を進めます。[主な取組み]・NIST-CSF(注2)に基づく対策の評価とゼロトラストモデルへの移行(社内アプリ認証強化・異常の検知・分析運用の開始・インターネット通信の制限強化)・情報セキュリティルールに基づく情報の取扱の徹底(利用、保管、廃棄、事故発生時の対処の運用など)・個人情報・データ保護法規制の把握と情報セキュリティルールの改正を含む個人の権利を保護するための対応実施・情報リテラシー向上のための社員教育・サイバーアタック訓練の実施・Webサイトの脆弱性診断(注1)ゼロトラストモデル:人もネットワークもデバイスも信用しない「決して信頼せず、必ず確認せよ」というコンセプトを基本としたセキュリティ・モデル。(注2)NIST-CSF:米国国立標準研究所(NIST)が2014年に発行したサイバーセキュリティフレームワーク(CSF)。汎用的かつ体系的なフレームワークで、米国だけでなく世界各国が準拠を進めている。 ⑥ S 品質外部環境とリスクシナリオ 社会課題の解決の手段として、企業の新規性の高い製品やサービスの提供への期待が高まっています。 一方で、製品の安全性・正確性の確保に対しても高い基準が求められます。製品の不具合発生時の報告や対策、欧州のRoHS指令(注1)や米国のTSCA(注2)をはじめとする製品に含有する化学物質規制や、米国のUL認証(注3)等の製品安全関連の法規制・規格等はグローバルで厳格化しています。また、製品のネットワーク化の拡大やサイバー攻撃の脅威も高まっています。そのような中で、製品の設計・検査の不備、不適切な顧客対応や報告が行われた場合や、法規制・規格等の遵守不備があった場合、大規模リコール、ブランドに対する社会的信頼の喪失や、製品の生産・流通の停止等が生じる可能性があります。 当社グループの事業と対策 当社グループは、センシング&コントロール+Thinkをコア技術として事業に取り組んできました。 長期ビジョン「SF2030」においても、このセンシング&コントロール+Thinkを進化させ、「モノ」だけではなく、「モノ」と「サービス」の組合せによる新たな価値の実現に取り組みます。例えば、制御機器事業における製造現場のデータ活用サービスi-BELTやヘルスケア事業におけるグローバルの遠隔診療サービスの展開などです。 その中で、上記リスクシナリオに対して適切かつ充分な対策が取られなかった場合、長期ビジョン「SF2030」目標の実現、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 品質リスクに対しては、顧客満足の最大化を実現するため「品質第一」を基本に「品質基本方針」を定め、国際規格の要求事項をベースとした品質マネジメントシステムを確立しています。また、品質ガバナンスを推進するため、全社品質を主管するグローバル購買・品質・物流本部は全社品質長会議を運営しています。さらに、品質保証体制や品質保証活動および重大な品質問題が発生した際の管理に関するグループルールを整備し、運用しています。品質コンプライアンスに関しては、グローバルで変化する製品等に係る環境や安全関連の法規制、規格の動向を把握し、管理体制の強化を進めています。製品セキュリティに関しては、製品およびサービスについて外部からの脆弱性情報を受け付けた際の対応体制を整備してきました。 長期ビジョン「SF2030」においては、上記に加え、各事業において使用しているリチウムイオン電池、パワーデバイス等の品質リスクが高い技術について、それぞれのリスクに応じた未然防止のための品質技術の確立を目指します。また、製品セキュリティに関しては、外部コンサルティング会社を活用しながら、サプライチェーンを含む製品およびサービスのライフサイクルにおける体制の強化に取り組んでいきます。さらに、「モノ」から「モノとサービス」へのシフトも踏まえたサービス事業に適合した品質マネジメントシステムを確立し、品質感度や価値観を整合するためのナレッジ(サービス事業でのリスクマネジメントや品質取組み)の蓄積や活用のしくみ構築を目指します。[主な取組み]・ISO9001/ISO13485/IATF16949(注4)の取得・ビジネスカンパニーQMS(注5)監査(社内監査)と製品設計プロセスの課題解決活動・製品等に係る環境や安全関連の法規制・規格の動向の把握、影響評価を行う管理体制の強化・製品セキュリティの脆弱性情報管理体制 (PSIRT)の運用(注1)RoHS指令:電子・電気機器における特定有害物質の使用制限についての欧州連合(EU)による指令(注2)TSCA:有害物質の製造や輸入を規制する米国の法律(注3)UL認証:有害米国の第三者安全科学機関であるUnderwriters Laboratoriesによる原材料や製品の信頼性・安全性に関する認証(注4)ISO9001 :品質マネジメントシステム国際規格 ISO13485 :医療機器産業に特化した品質マネジメントシステム国際規格 IATF16949:自動車産業に特化した品質マネジメントシステム国際規格(注5)QMS:品質マネジメントシステム ⑦ S グロ―バルコンプライアンス外部環境とリスクシナリオ 企業の社会的影響力が強まる中、公正な取引に対する社会的要請が益々高まっています。独占禁止法令や贈収賄防止等のグローバルの法規制は厳格化するとともに、ITやAI等の進化や気候変動などの社会的課題への対応を踏まえた新たな法規制や運用の検討がされています。 これらの法規制等に違反したものと当局が発見または判断した場合には、課徴金等の行政処分、刑事処分または損害賠償訴訟の対象となり、また企業の社会的評価が悪影響を受ける可能性があります。 当社グループの事業と対策 当社グループは、各国政府の許認可を含む製品・サービスをグローバルで展開しています。長期ビジョン「SF2030」においては、様々なビジネスパートナーとの共創によるイノベーティブな製品や、新たなビジネスモデルの開発を推進していきます。また、新興国を含むグローバルな社会課題の解決に積極的に取り組んでいきます。 その中で、上記リスクシナリオに対して適切かつ充分な対策が取られなかった場合、長期ビジョン「SF2030」目標の実現、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 当社では、「社会的責任を果たす企業経営」において、企業倫理・コンプライアンスをその活動の重要課題の一つとして位置付けています。特にカルテル等の反競争的行為、贈賄その他重要なリスクについては、その発生を未然に防ぐための対応を重点的に実施しています。具体的には、経営の方針として「オムロングループマネジメントポリシー」を定め、さらに当社グループの役員・従業員の具体的行動指針を示したものとして「オムロングループ倫理行動ルール」を制定のうえ周知し、法令遵守の徹底を図っています。さらに企業倫理・コンプライアンスに関する推進責任者を任命し、企業倫理・コンプライアンスの推進を行うため、企業倫理リスクマネジメント委員会を設置しています。また、社長自ら企業倫理・コンプライアンスの徹底に関する指示を定期的に発信し周知徹底の機会を設けると共に、カルテル等の反競争的行為や贈賄をはじめ、企業倫理・コンプライアンスに関して、役員および従業員への定期的な研修等を行っています。 加えて、社内外に内部通報窓口を設置し、「オムロングループ倫理行動ルール」・就業規則・法令に違反する行為、またはそのおそれのある行為について、通報を受け付けています。法令・社内規定に従って通報内容を秘密として保持し、通報者に対する不利益な取扱いを行いません。[主な取組み]・「オムロングループ倫理行動ルール」の制定・毎年10月のグローバル企業倫理月間等によるトップメッセージ発信と定期的なコンプライアンス教育・グローバル内部通報制度の運用 ⑧ A 会計・税務外部環境とリスクシナリオ 社会課題の解決の手段としてのデジタル化の実現や企業の経済活動のグローバル化に伴い、今までにない財・サービスの提供や取引のボーダーレス化が加速する中、企業の税の透明性の確保や経済実態を財務諸表に正しく表すことが引続きステークホルダーから求められています。 そのような中、各国の租税法や移転価格税制、関税法、およびその他関連諸規定等の改正や当局の執行動向に適切な対応が行えなかった場合、もしくは、当局との法令等の解釈に相違が生じた場合、当局から多額の追徴や和解金の支払いが必要となる可能性があります。また、今までにないサービスや事業等を行うに際して、会計処理が適切に行われなかった場合、行政罰やブランドに対する社会的信頼の喪失につながる可能性があります。 当社グループの事業と対策 当社グループは、グローバルに存在する顧客に対して取引を行っており、また国内外に子会社を119社(2022年3月末時点)有しており、グループ内でも相互に取引を行っております。さらに、長期ビジョン「SF2030」においては、成長戦略の一つに「モノ」だけではなく、「モノ」と「サービス」の組合せによる新たな価値の実現を目指し、コンサルティング、アフターサービス、オペレーションサービス等の多様なサービス展開を行います。 その中で、上記リスクシナリオに対して適切かつ充分な対策が取られなかった場合、長期ビジョン「SF2030」目標の実現、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 会計・税務リスクに対しては、グローバル理財本部を中心に、グローバルで、財務報告の信頼性の確保のための内部統制システムを含む会計・税務の適正性を担保するための体制・オムロングループルールを整備、運用し、外部専門家も活用しながら、各地域統括会社とも連携し対策を進めています。 税務については、「オムロングループサステナブル行動ポリシー・オムロングループ倫理行動ルール」において、税法などの法令を遵守し、適正な納税を行うことを定めています。2021年度には、「基本方針」、「適正な納税」、「移転価格税制への対応」、「タックスヘイブン対策税制」、「税務コンプライアンスの取組み」、および「税務当局との関係」について具体化した「税務方針」を取締役会で承認し、運用を行っております。[主な取組み]・現地法人と共に各国・地域における税制や当局の執行状況の変化への対応・OECDの各種報告書や新しい国際課税ルールの整備状況などを踏まえた国際税務に係る方針の見直しを適宜実施・関税コンプライアンス体制およびモニタリングの強化・外部専門家等を活用した会計基準の定期的な情報収集と影響等の調査・対応 ⑨ A 人財・労務外部環境とリスクシナリオ 社会課題を解決するため企業が多様な人財の活躍によりイノベーションを創出することで、持続的な企業価値の向上につながることが期待されています。 一方で、高齢化に伴う労働人口の減少や、人財の獲得に向けた企業間の競争激化による専門人財の供給不足、さらには、個人のキャリアや働き方に対する価値観の多様化がより一層進み、人財の流動化が加速することが見込まれています。 そのような中、人財施策や人事制度の設計・運用が不十分である場合、適所適財で必要な人財を確保することが困難となることや、従業員のエンゲージメントの低下、更には労務トラブルの発生といったリスクが生じる可能性があります。 当社グループの事業と対策 当社グループは、グローバルでの事業展開の加速、新事業・新技術におけるイノベーション創出のために、変化を先導するリーダーの獲得と育成、並びに各分野で必要とする高度な専門人財の獲得を行っています。長期ビジョン「SF2030」においては、人財戦略を策定し、DX等の重点分野や新規事業創造における専門人財獲得など、優秀な人財の獲得を強化し、人的創造性の向上を進めます。 その中で、上記リスクシナリオに対して適切かつ充分な対策が取られなかった場合、長期ビジョン「SF2030」目標の実現、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 人財・労務リスクに対しては、グローバル人財総務本部が中心となり、「VOICE」(注)を通じて、グループ全体でのエンゲージメント調査を実施し、従業員の声に耳を傾け、組織課題を把握・特定し、課題解決のためのアクションを起こす取組みを実施しております。また、グローバルレベルで適所適財の配置を実施し、現場での意思決定を迅速に行うため、海外における重要ポジションの現地化推進などに取り組んできました。さらに、当社グループでは、企業倫理の浸透をモニタリングする仕組みの一つとして、内部通報制度を整備し運用しております。 長期ビジョン「SF2030」においては、事業戦略を実現するため、適正なポジションに適正な能力を持った人財を必要な人数配置する状態を目指す「人財ポートフォリオマネジメント」の導入や成長意欲ある人財への積極的な投資、市場競争力あるフェアな報酬を目指し、中期業績連動株式報酬のグローバル全マネジャーへの導入等を進めていきます。[主な取組み]・「VOICE」によるグループ全体でのエンゲージメント調査の実施と改善・グローバルレベルで適所適財の配置・海外における重要ポジションの現地化推進・内部通報制度の運用 ⑩ A M&A・投資外部環境とリスクシナリオ 社会課題を解決する手段として、IoT、ビッグデータ、ロボット、AI等のテクノロジーの進化が求められる中、スタートアップ企業を始めとする技術力のある企業とのアライアンス、M&A、出資を通じたイノベーションの加速が期待されています。 一方で、デューディリジェンスが不十分であったり、想定した十分なシナジー効果や資本業務提携の取組が計画通り進まない場合や、PMI(Post Merger Integration)やガバナンスが適切に行われなかった場合に多額ののれんや投資の減損が発生する可能性があります。また、経済安全保障政策による投資規制やIT分野における独占禁止法の運用が強化される中、M&A、出資実行の長期化や計画の大幅な見直しが必要となる可能性もあります。 当社グループの事業と対策 当社グループでは、M&A・投資を将来の成長に必要な戦略と考えており、ポートフォリオマネジメント(注)のもとアライアンスや事業売却も進めながら、当社グループの企業価値向上を推進しています。 長期ビジョン「SF2030」においても、新規事業の創出等を行っていくため、オムロンが捉える社会的課題に共感・共鳴しあえるパートナーとの共創を重視し、積極的に実行して参ります。 なお、2021年度においては、“人と機械が協調するモノづくり現場”を創造し、製造現場における人手不足を解決するため、協調ロボットメーカーのテックマン・ロボット社への出資を実行しました。 また、ヘルスデータプラットフォームをコアに、イベントゼロをはじめとする健康増進・重症化予防ソリューションを社会実装するため、レセプト・健診などの医療データを保有するJMDC社との資本業務提携契約を締結しております。 その中で、上記リスクシナリオに対して適切かつ充分な対策が取られなかった場合、長期ビジョン「SF2030」目標の実現、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 M&A・投資リスクに対しては、事業部門と本社部門および外部専門家から構成されるプロジェクトチームを組成し、対象企業の財務内容や契約内容の確認、経営陣との面談を通した詳細な事前審査等をもとに、当社グループとの協業によるシナジー効果とリスクを考慮した投資判断を行っています。また、買収や出資後も事業部門と本社部門が連携し、事業戦略とリスクを踏まえた計画を策定、実行しています。加えて、対象事業の業績、事業戦略の進捗、事業価値評価を取締役会において定期的にレビューしています。[主な取組み]・事業戦略に基づいたM&A・投資候補の探索、評価・M&A・投資案件に応じた、デューデリジェンスや事業計画の策定・取締役会における、買収や出資後の経済効果の具体的目標進捗のレビュー (少なくとも年に1回)(注)ポートフォリオマネジメント:現在約60ある事業ユニットに対して、経済価値の評価と市場価値の評価に基づいて事業を評価する取組み ⑪ A 知的財産外部環境とリスクシナリオ 社会課題を解決する手段として、カーボンニュートラルやデジタル社会の実現が求められる中、オープンイノベーションを推進し、国際競争力の源泉となる知的財産・無形資産の活用が期待されています。 一方で、AI・IoT・ロボットなどの開発競争が激しい分野の研究を進める中で、第三者から知的財産権の侵害に対する主張を受け、事業の停止や巨額の損害賠償請求、和解のための解決金、知的財産権を使用するためのロイヤリティの支払が発生する可能性があります。 さらに、アライアンス先を含む第三者による当社の知的財産権の不正使用や侵害、またノウハウの流出を適切に防ぐことが出来なかった場合、競争力を喪失する可能性があります。 その他、ブランド管理については、第三者が当社グループのブランド名を不当に使用し、当社商品と類似した商品を製造・販売することにより損害を受ける可能性があります。 当社グループの事業と対策 当社グループは、近未来デザインを起点としたソーシャルニーズの創造のため、知財ポリシーを定め、知財戦略を実行しています。長期ビジョン「SF2030」において、「慢性疾患の予防医療支援」、「1次・3次産業の自動化」、「カーボンニュートラルを実現するエネルギーソリューション」、「製造現場の高度化」といった新規事業創造を目指しており、その中で、他社と差異化できる技術について戦略的に特許化を行います。 また、モノ視点からコト視点への事業変化によって発明者の裾野が拡大していることから、技術者のみならず企画部門やプロダクトマネージャも対象に、顧客課題・社会課題を解決するコトビジネスの発明創出も推進しています。 その中で、上記リスクシナリオに対して適切かつ充分な対策が取られなかった場合、長期ビジョン「SF2030」目標の実現、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 知的財産リスクに対しては、知財センタが中心となり、社内の全技術者向けの知財教育の実施や、研究開発および設計にあたって第三者の知的財産権の調査を実施しています。また、既存製品に関しても、当社グループ製品と第三者が保有する知的財産権、および第三者の製品と当社グループが保有する知的財産権との関係について分析・評価を実施しています。 一方、近年海外にて増加している、第三者による当社グループのブランド名の不当使用に対しては、定期的に模倣品摘発活動を市場やECサイトなどで実施しています。さらに、悪意を持った当社グループのブランド名と類似した商標権の取得を阻止する対応も行っています。[主な取組み]・第三者が保有する知的財産権への侵害調査・当社グループ製品への第三者による知的財産権侵害の分析・評価・模倣品のモニタリング・類似した商標権の取得の阻止 ⑫ A 新興国における事業展開外部環境とリスクシナリオ インド等の新興国市場においては、人口増加によって消費拡大が見込まれ、各種産業が成長している中、様々な社会課題も顕在化しています。 一方で、一部の新興国、地域においては法による統治機能が脆弱であったり、政情が不安定であることから、汚職や腐敗等が社会問題化する場合があります。これらの国、地域における事業運営において、ガバナンス不全や社内管理の不備により、法規制・コンプライアンス違反、不法行為、不正会計などが発生する可能性があります。 当社グループの事業と対策 当社グループは、グローバルに事業展開をしており、各国・地域にグループ会社を有しています。長期ビジョン「SF2030」においては、例えばヘルスケア事業において成長ポテンシャルの高いインドでの販売力強化等さらに需要の高い地域に密着した事業の拡大を推進します。 その中で、上記リスクシナリオに対して適切かつ充分な対策が取られなかった場合、長期ビジョン「SF2030」目標の実現、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、オムロングループ共通の法人運営、会計、IT統制等のルール(「オムロングループルール」)に基づくグループ会社におけるガバナンス体制の構築と運用を行っています。また、各機能主管部門におけるグローバルでの牽制とモニタリング、内部監査における改善指導等により、実効性の向上に努めております。さらに、地域統括会社毎のリスクマネジメントにより、エリア特性に応じた重要リスクへの対応を行っています。 これらのリスクは、経営・事業環境の変化が大きく、現在当社グループとして重点的に取り組んでいるテーマであり、投資家の皆様の判断にも重要な影響を及ぼす可能性がある事項と考えています。ただし、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見出来ない又は重要とみなされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年6月24日)現在において当社グループが判断したものです。 (5)TCFD提言に沿った情報開示気候変動への対応 世界各地で異常気象による大規模な自然災害が多発する中、気候変動は当社が取り組むべき最重要課題であると捉え、2022年度からスタートした長期ビジョン「SF2030」において、「Shaping The Future 2030」というビジョンのもと、社会的課題「カーボンニュートラル社会の実現」に挑みます。 2019年2月に、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同を表明以降、株主・投資家などのステークホルダーと当社の気候変動取組みについてのエンゲージメントを強化するため、TCFDのフレームワークに基づいた情報開示を進めています。 TCFD提言が推奨する4つの開示項目に沿った情報開示 TCFD提言は、すべての企業に対し、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4つの項目に基づいて開示することを推奨しています。当社グループは、TCFD提言の4つの開示項目に沿って、当社の気候関連への取組みを開示します。 ①気候変動に関するガバナンス・取締役会の役割・監視体制 当社グループでは、「オムロン コーポレート・ガバナンス ポリシー」において、TCFD等の枠組みに基づく気候変動リスクへの取組みを含むサステナビリティ方針・重要課題および目標について、取締役会が決定・開示することを明確に定めています。 気候変動に関するリスクや事業機会、目標や具体的な取組み施策については、執行会議およびサステナビリティ委員会で協議・決定・進捗管理・モニタリングを定期的に実施し、必要に応じて是正策を検討します。取締役会は、執行会議で協議・決定された内容の報告を定期的に受け、論議・監督を行っています。 また、2021年度から2024年度を対象とする社内取締役および執行役員の中長期業績連動報酬(株式報酬)(注)の評価指標の一部として、温室効果ガス排出量の削減目標、気候変動対応を含む第三者機関によるサステナビリティ指標(気候変動対応への評価含む)に基づく評価を組み込んでいます。(注)詳細は「第4提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」参照 ②気候変動に関する戦略・短期・中期・長期の気候関連リスク・機会および対応 長期ビジョン「SF2030」および中期経営計画では、サステナビリティ重要課題「脱炭素・環境負荷低減の実現」を設定し、気候変動を「機会」と「リスク」の二側面で捉え、企業としての社会的責任の実践と更なる競争優位性の構築を図ります。 そして、気候変動による生態系および人間社会に対する深刻な影響の拡大を抑止するため、当社は「脱炭素に向けた製品・サービスの提供」、「モノとサービスを組み合わせたビジネスモデルの進化」、「パートナーとの共創」、「エネルギー効率の改善」、「再生可能エネルギーの使用拡大」などによりバリューチェーン全体の温室効果ガス排出量削減に取り組んでいきます。その中で、当社グループは、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)やIEA(国際エネルギー機関)などが発表する「世界の平均気温が4℃以上上昇する」「世界の平均気温がパリ協定で合意した2℃未満の上昇に抑えられる(一部1.5℃以内)」の2つのシナリオで、リスクと機会を分析し、気候変動問題解決にはオムロンの対応が必要であると再確認しました。具体的には、インダストリアルオートメーションの分野において、i-Automation!を進化させ、地球環境との共存と、働く人々の働きがいも両立させるサステナブルな未来を支える製造現場を構築し、生産性とエネルギー効率を高めるオートメーションの実現を行います。また、ソーシャルソリューションの分野において、これまで太陽光発電や蓄電池の普及に貢献してきましたが、今後は、進化したエネルギー制御技術で発電の不安定さを解消し、再生可能エネルギーのさらなる普及に貢献します。またデバイス&モジュールソリューション分野では、製品の環境性能向上、およびカーボンフットプリント削減に係る関心の高まりによる電子部品事業部品の開発・提供も加速させます。その他にも社会と様々な接点を持つ当社グループは、社会の多くの場面でカーボンニュートラル社会の実現に貢献していきます。シナリオ分析結果については、長期ビジョン「SF2030」および中期経営計画の戦略に反映し、対応を具体的に計画しています。 ・想定期間 :SF2030期間(2030年度まで)・採用シナリオ :・4℃シナリオ :IPCC/RCP8.5, IEA/STEPS ・1.5/2℃シナリオ:IPCC/RCP2.6, IEA/SDS(一部IEA/NZE)・時間軸の定義 :短期:3年未満、中期:3年~10年未満、長期:10年~30年・シナリオ分析対象:既存事業 <当社グループの気候変動のリスク・機会の概要と対応> ③気候変動に関するリスク管理・リスクを評価・識別・管理するプロセス 当社グループは、当事業年度に各事業のシナリオ分析を実施し、気候変動影響による「移行リスク」「物理リスク」を網羅的に抽出しました。そして、抽出した気候変動に伴うリスクについて、採用シナリオごとに「顕在時期」「事業および財務への影響額」を可視化し、事業および財務への影響度を評価しました。評価を基に当社にとって重要な気候変動に伴うリスクを特定し、対応策を立案しました。リスクの特定、対応策の立案にあたっての重要事項は、取締役会へ報告しています。 また、2022年度以降も定期的にシナリオ分析を行い、リスク・対応策を更新していくとともに対応策の進捗状況のモニタリングを実施していきます。・全社リスクマネジメントへの統合状況 当社グループは、リスクを全社的に管理する体制を構築することが重要であることを踏まえ、グループ共通のフレームワークで統合リスクマネジメントの取組みを行っています。気候変動リスクをグループ重要リスクと識別・評価し、シナリオ分析によるリスクと整合させ、取組みのモニタリングを行っています。 ④気候変動に関する指標と目標・気候変動のリスク・機会に関する指標 当社グループは、気候関連リスク・機会を管理するための指標として、Scope1・2・3(注1)の温室効果ガス排出量、および事業活動で使用する電力に占める再生可能エネルギーに関する指標を定めています。 ・温室効果ガス排出量に関する目標及び実績(Scope1・2・3) 当社グループは、環境分野において、持続可能な社会をつくることが企業理念にある「よりよい社会をつくる」ことと捉え、2018年7月に、2050年にScope1・2について温室効果ガス排出量ゼロを目指す「オムロン カーボンゼロ」を設定しました。 そして2022年3月、オムロンはカーボンニュートラル社会の実現に向けて取組みを進化させ、Scope1・2については、削減シナリオを2℃シナリオからより積極的な1.5℃シナリオに変更しました 。また、Scope3カテゴリー11について、2030年に18%削減(2016年度比)という目標を新たに設定しました。これらの目標はSBTイニシアチブ(注2)の認定を受けています。 また、目標達成に向けて、オムロンは、引き続きエネルギー効率の改善を進めるとともに、自社のエネルギーソリューション事業が提供する再エネ由来のJ-クレジット(注3)や自己託送(注4)などを活用することで、2024年度にScope2についてオムロンの国内拠点のカーボンゼロ(注5)の実現を目指します。 (注)1 Scope1・2:自社領域から直接的・間接的に排出される温室効果ガス Scope3カテゴリー11:Scope3は自社のバリューチェーンからの温室効果ガスの排出。 そのうち、カテゴリー11は製造・販売した製品・サービス等の使用に伴う排出。 2 SBTイニシアチブ:Science Based Targets イニシアチブ:科学的根拠に基づいた温室効果ガス削減の 中長期目標設定を推奨している国際的イニシアチブ 3 J-クレジット:環境価値 (CO2を排出しない効果)を国が認証する制度 4 自己託送:自家発電設備を保有する事業者が当該設備を用いて発電した電力を、一般送配電事業者の 送電網を介して遠隔地にある自社工場や事業所などに送電・供給し、電力を使用することが 可能となる電力供給制度 5 生産13拠点、非生産(本社・研究開発・販売)63拠点における自社の電力使用により排出される GHG(Scope2)が対象 6 温室効果ガス排出量(Scope1・2)の2021年度の実績は、オムロンコーポレートサイトに掲載し、 ビューローベリタスジャパン株式会社による限定的保証業務により第三者保証を受ける予定です。 当該限定的保証業務は、いずれも国際監査・保証基準審議会の国際保証業務基準(ISAE)3000「過去 財務情報の監査又はレビュー以外の保証業務」に準拠した業務です。
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2【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの経営成績および財務状況(株価等を含む)に影響を及ぼす可能性のある主なリスクには次のようなものがあり、投資家の皆様の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項と考えています。 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年6月24日)現在において当社グループが判断したものです。 (1)新型コロナウイルス感染症 全世界へ急速に拡大した新型コロナウイルス感染症は、グローバルに事業展開する当社グループの事業活動に大きく影響しています。 新型コロナウイルス感染症拡大に対して、当社グループは、2020年1月下旬に対策本部を立ち上げ、社員の安全確保と事業継続に向けた対策をいち早く開始しました。その後、社長を対策本部長として、世界中に展開する当社グループ各社と連携し、社員の健康と安全の確保、該当拠点地域への感染拡大防止を最優先に、規制地域に勤務する社員に対する支援物質の手配や、IT環境の整備をはじめとした在宅勤務の拡充などに取り組んでいます。引き続き、新型コロナウイルス感染症と共存する「ウィズ・コロナ」を前提に、社員の安全・安心の確保と地域への感染拡大防止を継続した上で、顧客への供給責任と社会的責任を果たしていきます。 2020年1月以降の感染拡大に伴い、当社グループにおいても、一時的に生産停止となる生産拠点がありましたが、5月には概ね通常稼働に回復することができています。一方で、顧客の事業活動の停止、設備投資の停滞や個人消費の低迷に伴う需要減は、現在も継続している状況です。 当社グループでは、売上減による事業悪化に備えて、年間200億円規模の固定費削減を前提とした運営を4月からスタートするとともに、適切な手元資金を保有し、資金流動性を確保することで有事における安定的な事業運営を行います。同時に、コロナショック後に生まれる新たな社会的課題を事業機会につなげる取り組みを加速していきます。 (2)経済状況 当社グループは、グローバルに事業展開しているため、各国・エリアのマクロ経済や関連市場の動向等により、当社グループの経営成績および財務状況が悪影響を受ける可能性があります。 当社グループは、社会的課題を捉えた成長事業の創出とROIC経営を継続して推進することで、外部環境の変化に強い収益性と競争力を伴った事業構造の構築に取り組んでいます。具体的には、ファクトリーオートメーション、ヘルスケア、ソーシャルソリューションの3事業とこれらを支えるデバイス/モジュールに経営リソースを集中し、事業ポートフォリオの最適化を進めています。 (3)為替変動 当社グループの積極的な海外市場への事業展開により、今後も海外事業比率は高まると想定しています。 米ドル、ユーロ、人民元などの主要通貨に加え、新興国通貨の急激な円に対する為替レートの変動が長期に及んだ場合は、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 そのため、当社グループは為替レートの変動に対して、短期的には金融機関との為替先物予約による為替ヘッジを実行することに加えて、中期的には海外生産拡大や現地調達率向上など、外貨建支出の増加による収支の為替バランスを改善することで、為替レートの変動に強い収益構造作りに取り組んでいます。 (4)資金調達 当社グループは、設備投資やM&Aなどの資金需要が生じた場合には、調達時の金利情勢、外部マクロ環境、当社の状況などを総合的に勘案し、必要な資金を調達することとしています。このため、金融市場の不安定化が生じた場合などには、資金調達の制約を受け、資金調達コストが増加することにより、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 そこで、当社グループは、経済・金融市場の状況に応じた手元資金の確保を行うとともに、金融機関との間のコミットメントライン契約締結等による資金流動性を確保しています。また、格付け機関から長期発行体格付として「安定的」の高格付けを獲得しており、高い調達力を維持しています。加えて、グループ内各社のグローバルの資金需要に対応できるように、グローバルベースのグループファイナンスを実現することにより、エリアを跨ぐ柔軟な資金供給体制を構築しています。 (5)気候変動による災害・感染症等に伴う事業継続リスク 当社グループは、中国・アジアをはじめとして海外にも生産拠点を持ち、各国の営業拠点等を通じて製品をグローバルの顧客に供給しています。また、当社グループの部品等の仕入先もグローバルに存在しています。このように、当社グループは、グローバルなサプライチェーンのもとで事業活動をおこなっています。その中で、近年の気候変動に伴う災害の大規模化や、これまでに類を見ない感染症の発生などを考えると、想定していない規模の災害や感染症、それらによる広域での社会機能の停止などの発生も考えられます。また、予期できない災害(自然災害、取引先の火災等)や感染症により、仕入先からの部品等の調達や顧客への製品供給に支障をきたす可能性があります。このような災害や感染症などが発生した場合のリスク全てを回避することは困難であり、当社グループの事業活動の一部停止や縮小などが生じた場合、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 そこで、当社グループは、新型インフルエンザ感染症や新型コロナウイルス感染症などの感染症の発生や、南海トラフ巨大地震や首都圏直下地震などの大規模な地震をはじめとする災害などに備え、必要とされる安全対策や事業継続・早期復旧のため、生産はもとより、購買調達、物流、ITを含めたサプライチェーンの事業継続計画(BCP)を策定して対策を進めています。また、有事を想定したシミュレーション・訓練を行うことにより、役員・従業員の危機意識を高めるとともに、事業継続計画(BCP)の内容の改定を行い、その実効性を担保するようにしています。さらに、部品等の生産地情報を一元的に管理し、災害や感染症の発生後、早期に部品等の供給リスクを把握する体制を整備しています。このため、災害や感染症が発生した場合は購買調達部門が直ちに部品等の調達に支障がないかを確認し、必要な対策を取る運用ができています。また、部品等については、重要度に応じて一定の在庫を確保するようにしています。 (6)情報セキュリティ 当社グループは、事業上の重要情報および事業の過程で入手した個人情報や取引先等の秘密情報を保有しています。これらの情報に関して、盗難・紛失などによる第三者の不正流用、法規制違反、想定を超えるサイバー攻撃、そのほか不測の事態によって重要データの破壊や改ざん、情報漏えいや流出、システム停止等のインシデントが発生する可能性があります。これらの脅威は年々高まっています。その結果、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 そこで、当社グループは、情報セキュリティに関する管理体制やルールを整備のうえ、情報リテラシーを高めるための社員教育、委託先管理を含め、情報の取り扱いに関するモニタリング、リスク事案の分析、個人情報保護をはじめとする法規制強化への都度対応、技術対策の強化など、高度化するサイバー攻撃対策、ITガバナンスの強化等の対策を講じています。 (7)品質 当社グループの製品において、想定が難しい多様な環境での製品の使用などにより、すべての製品で欠陥がなくリコールが発生しないという保証は、難しくなってきています。国内では、より消費者保護に配慮した対応が必要であるとともに、海外においても品質に対する関心が高まっています。このため、製品欠陥による大規模なリコールの発生や、初動対応などの危機対応の失敗により当社の信頼性やブランド力低下、売上減少といった可能性があります。これらが発生した場合は、当社グループの経営成績および財務状況、さらに当社グループの社会的評価に影響を及ぼす可能性があります。 そこで、当社グループは、国際規格であるISO9001で認定された品質システムを構築し、それに従った各種商品・サービスの開発や製造を行い、品質チェック体制の整備を図り、品質監査を行うなどグループをあげてすべての商品・サービスの品質向上を継続的に努めることで、「顧客満足の最大化」を目指し、「品質第一」を基本によりよい製品・サービスを提供しています。 (8)法規制等 当社グループは、グローバルに事業展開しているため、労働、個人情報保護、安全保障貿易管理、贈収賄防止、独占禁止法令など、さまざまな法規制の適用を受けています。規則・法令の新設・変更・解釈において年々厳格化が進んでおり、当社グループがこれらの法規制等に違反したものと当局が発見または判断した場合には、当社グループが課徴金等の行政処分、刑事処分または損害賠償訴訟の対象となり、また当社グループの社会的評価が悪影響を受け、それにより経営成績および財務状況にも影響を及ぼす可能性があります。 そこで、当社では、「社会的責任を果たす企業経営」において、企業倫理・コンプライアンスをその活動の重要課題の一つとして位置付けています。特にカルテル等の反競争的行為、贈賄その他重要なリスクについては、その発生を未然に防ぐための対応を重点的に実施しています。具体的には、経営の方針として「オムロングループマネジメントポリシー」を定め、さらに当社グループの「社会的責任を果たす企業経営」を実践するための役員・従業員の具体的行動指針を示したものとして「オムロングループ倫理行動ルール」を制定のうえ周知し、法令遵守の徹底を図っています。さらに企業倫理・コンプライアンスに関する推進責任者を任命し、企業倫理・コンプライアンスの推進を行うため、企業倫理リスクマネジメント委員会を設置しています。また、社長自ら企業倫理・コンプライアンスの徹底に関する指示を定期的に発信し周知徹底の機会を設けると共に、カルテル等の反競争的行為や贈賄をはじめ、企業倫理・コンプライアンスに関して、役員および従業員への定期的な研修等を行っています。加えて、社内外に内部通報窓口を設置し、「オムロングループ倫理行動ルール」・就業規則・法令に違反する行為、またはそのおそれのある行為について、通報を受け付けています。法令・社内規定に従って通報内容を秘密として保持し、通報者に対する不利益な取扱いを行いません。また、反社会的勢力の排除の基本方針を「オムロングループマネジメントポリシー」および「オムロングループ倫理行動ルール」において明確にしています。 (9)地政学リスク 当社グループは、中国・アジアをはじめとして海外にも生産拠点を持ち、各国の営業拠点等を通じて製品をグローバルの顧客に供給しています。その中で、米中をはじめとする二国間関係や英国のEU離脱などの多国間関係など、国際関係は変化が増しています。関係国の政策や法律の変更、関税の引き上げ、製品供給や技術提供の制限などにより、生産、物流や営業活動が制限を受け、顧客への製品供給に支障をきたす場合、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 そこで、当社グループは、グローバルで政治・経済情勢や法規制の動向を定期的にモニタリングし、最新の状況を踏まえて対策を講じています。具体的には、主要国の関税の引上げや安全保障貿易管理に基づく輸出規制、新興技術等に対する取引制限等の政策に対して分析と評価を行い、必要により取引形態やサプライチェーンの見直し等も行うことにより、事業影響の低減を図っています。また、製品を複数拠点で並行して生産することなどにより、リスクの分散を図っています。 (10)労働安全 当社グループの事業活動において、不測の事態により従業員や施設に影響を与える労働災害が発生し、製品の供給やサービスの提供に支障をきたす事態となった場合、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また労働安全衛生の管理において不備があった場合は、当社グループの社会的評価に悪影響を与える可能性があります。 そこで、労働安全衛生の管理において、当社は、従業員が安全で健康に働ける労働条件と職場環境を実現するために、ISO45001など国際規格に基づく第三者認証の取得などを進め、当社グループの年間活動計画を策定し、それに基づき、拠点の労働安全衛生に関する法令順守等の点検、労働安全衛生を管理する人財配置、労働災害データの分析など、労働安全衛生管理をグローバルに運営・管理をしています。 (11)環境保全 当社グループは、気候変動、大気汚染、水質汚染、有害物質、廃棄物、商品リサイクルおよび土壌・地下水の汚染などに関する種々の環境関連法令および規制等の適用を受けており、それらは当社グループが活動をおこなう世界各国で年々強化されてきています。将来の環境関連法令および規制等の順守、環境改善取り組みの追加的な義務、環境規制への適応が極めて困難な場合、および不測の事態などによる環境に関連する費用の増加、環境規制違反による事業停止、環境規制への未対応による顧客喪失などの可能性があり、それらが発生した場合は、当社グループの経営成績および財務状況に影響、さらには当社グループの社会的評価に影響を及ぼす可能性があります。 そこで、当社グループでは、ISO14001などの国際規格にもとづく環境保全システムを構築し、第三者認証を受け、環境関連法令や規制を順守するための取り組みを行っています。また、当社グループの長期ビジョンの実現に向け、オムロングループ環境方針を定め、そのもとで、製品の企画・開発・設計から、調達、製造、流通、販売、保守サービス、資源回収と再利用、そして廃棄にいたるまでのバリューチェーン全体について製品ライフサイクルの視点から環境負荷低減を進めています。(12)部品等の調達 当社グループは、グローバルなサプライチェーンを通じて、仕入先から部品等の調達をおこなっています。仕入先の経営の不備から、経営状態等が悪化すれば、部品等の供給の停止などが生じ、それが商品等の供給停止につながれば、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、紛争鉱物への対応や、環境への配慮など、サプライチェーンを通して、社会からESG観点で、より高度な対応が求められています。部品等の仕入先に対応不備があれば、部品等の調達や商品の販売にも影響を与え、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの社会的評価が悪影響を受ける可能性もあります。 そこで、当社グループは、第三者機関を活用し、仕入先の財務情報をはじめとする経営リスクを定期的に評価し、リスクレベルに応じた対策を実行しています。また、仕入先に対してサスティナブル調達のガイドラインを提示し、調達現場でのアセスメントなどを定期的に行うことで、ガイドラインの遵守状況を確認し、不備があれば改善を要請する仕組みを整備・運用しています。たとえば、近年社会的要請の高まっている紛争鉱物については、毎年調査を実施し、その取り組みをウェブサイトで開示するとともに、当該調査結果を顧客の求めに応じて開示しています。 (13)知的財産 当社グループが事業活動を行う中で、第三者の知的財産権を侵害しているとの主張を受け、係争となる可能性があります。また、発明者との間で発明褒賞について係争となる可能性があります。ブランド管理については、第三者が当社グループのブランド名を不当に使用し、当社商品と類似した商品を製造・販売することにより損害を受ける可能性があります。さらに、不正なドメインネームの登録について、その全てを把握し対処するのは難しいため、同一または類似のドメインネームを使われることで、当社グループの信頼を損ねるような商行為がなされる可能性があります。このような知的財産に関する重大な係争問題が発生した場合、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 そこで、当社グループは、研究開発および設計にあたって第三者の知的財産権の調査を実施しています。また、社員との関係においては、発明者に対する褒賞制度を整備し適切な対応を取っています。一方、近年海外にて増加している、第三者による当社グループのブランド名の不当使用に対しては、定期的に模倣品摘発活動を市場やECサイトなどで実施しています。さらに、悪意を持った当社グループのブランド名と類似した商標権の取得を阻止する対応も行っています。また、当社グループのブランド名と類似したドメインネームが使用され、かつ、ウェブサイトの内容に商標権等の侵害があれば、ドメインの使用阻止も含め必要な対策を行っています。 (14)危機対応 当社グループは、世界のさまざまな地域に拠点や取引先を持ち、グローバルなサプライチェーンを構築し、事業活動をおこなっています。その中に潜むリスクも変化していますが、顕在化すれば、当社グループにとっての危機となる場合がありえます。もし危機対応に失敗すれば、当社グループに発生する損害などが拡大する可能性があります。また、IT技術の進歩によって、不適切な情報開示を行えば、SNSなどの媒体を通じて情報が瞬時に社会に広がることで、当社グループの社会的評価が悪影響を受け、またそれにより当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 そこで、当社グループでは、「オムロングループ統合リスクマネジメントルール」において、危機対応の方針・体制・手順等を定めています。危機発生時には、当該ルールに定められた手順に従い、報告・情報伝達を行い、必要な対応チームを編成します。危機対応を含めたリスクマネジメントをグローバルで適切に行うため、各拠点にそれらを推進するリスクマネージャーを配置しています。危機に備えるために必要な事項は、企業倫理・リスクマネジメント委員会で審議しています。さらに、危機が発生した場合に迅速かつ適切に対応できるよう、危機対応訓練や研修等も実施しています。危機に適切に対処するため、メディアやSNSなどの動向の把握にも努め、適時・適切に情報の開示などができるようにしています。
FY2019|4,273 文字
2【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの経営成績および財務状況(株価等を含む)に影響を及ぼす可能性のある主なリスクには次のようなものがあり、投資家の皆様の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項と考えている。 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2019年6月19日)現在において当社グループが判断したものである。 (1)経済状況 当社グループは、グローバルに事業展開しているため、マクロ経済の悪化・関連市場の動向・国内外の景気変動等により、当社グループの経営成績および財務状況が悪影響を受ける可能性がある。 また、積極的な海外市場への事業展開により、今後も海外事業比率は高まると想定している。そのため、当社グループは為替レートの変動に対して、海外生産拡大および現地調達率向上など、外貨建支出の増加による収支の為替バランスの改善に加え、短期では金融機関との為替先物予約による為替ヘッジに努めるなど、為替レートの変動に強い構造作りに取り組んでいる。しかし、米ドル、ユーロ、人民元などの主要通貨に加え新興国通貨の急激な円に対する為替レートの変動が長期に及んだ場合は、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。 (2)法規制等 当社グループは、グローバルに事業展開しているため、労働、個人情報保護、安全保障貿易管理、贈収賄防止、独占禁止法令など、さまざまな法規制の適用を受けている。そこで、当社グループの役員・従業員に対し、行動指針である「オムロングループサステナブル行動ポリシー」および「オムロングループ倫理行動ルール」を周知するとともに、必要な研修を実施している。しかし、規則・法令の新設・変更・解釈において厳格化が進んでおり、その遵守のために追加的な費用等が発生する場合は、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。さらに、当社グループがこれらの法規制等に違反したものと当局が発見または判断した場合には、当社グループが課徴金等の行政処分、刑事処分または損害賠償訴訟の対象となり、また当社グループの社会的評価が悪影響を受ける可能性がある。 (3)自然災害等 当社グループは、南海トラフ巨大地震や首都圏直下地震などの大規模な地震をはじめとする災害や新型インフルエンザなどの感染症の発生などを想定し、必要とされる安全対策や事業継続・早期復旧のための対策を、事業継続計画(BCP)を策定して進めている。しかし、当社グループの拠点および取引先がグローバルに存在していることから、災害や感染症などが発生した場合のリスク全てを回避することは困難であり、また、昨今の気候変動などに伴う災害の大規模化を考えると、想定していない規模での発生も考えられ、その場合は、事業活動の縮小など、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。 (4)人財 当社グループは、グローバルでの事業展開を加速するため、計画的に優秀な幹部候補人財の確保・育成を進めている。しかし、事業展開のスピードが増し、幹部人財を十分に確保できない可能性がある。また、新興国を中心として従業員の賃金が急上昇した場合、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。また、労働安全衛生面において、当社は安全で健康に働ける労働条件と職場環境を実現するために、労働安全衛生管理にかかる基本事項を定め運営・管理を行っているが、不測の事態により従業員や施設に影響を与える労働災害が発生した場合、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。 (5)資金 当社グループは、資金需要が生じた場合には、調達時の金利情勢、外部マクロ環境、当社の状況などを総合的に勘案し、事業資金を調達することとしている。このため、金融市場の不安定化・円の金利上昇、また格付機関による当社信用格付けの引下げの事態が生じた場合などには、資金調達の制約を受け、資金調達コストが増加する可能性があり、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性がある。また、当社グループは、グローバルでの設備投資やM&Aの機動的な実行に備えるとともに、資金流動性の確保を行う一方、資金効率向上に留意した手元資金の水準や資金の配置を行っている。当社グループは、事業の運転資金および事業投資の原資として手元資金を保有しているため、投資目的の運用は行っていない。 (6)情報セキュリティ 当社グループは、事業上の重要情報および事業の過程で入手した個人情報や取引先等の秘密情報を保有している。当社グループは、当該情報の盗難・紛失などを通じて第三者が不正流用することを防ぐため、委託先の管理を含め、情報の取り扱いに関する管理を強化、また法規制強化への対応等も都度実施している。また、情報リテラシーを高めるための社員教育等の対策も講じている。しかし、不測の事態によってこれらの情報の漏洩やインシデントが発生する可能性がある。また、情報システムへのサイバー攻撃対策や、ITガバナンスの強化などを実施しているが、想定を超える攻撃などによって、重要データの破壊、改ざん、流出、システム停止等を引き起こす可能性もある。その結果、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。 (7)研究開発活動及び知的財産 当社グループにおいても規格に準拠することにより付加価値が高くなる商品が増えている。規格の策定段階で先行して商品の開発を進める場合、最終的な規格内容が策定時の案から変更される可能性があり、その場合、さらなる開発投資が必要になることで、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。 当社グループは、研究開発及び設計にあたって第三者の知的財産権の調査を実施している。しかし、事業活動を行なう中で、第三者の知的財産権を侵害しているとの主張を受け、係争となる可能性がある。また、社員との関係においては、発明者に対する褒賞制度を整備し適切な対応を取っている。しかし、発明者との間で発明褒賞について係争となる可能性がある。 ブランド管理については、第三者が当社グループのブランド名を不当に使用し、当社商品と類似した商品を製造・販売することにより損害を受ける可能性がある。また、近年海外にて増加している「OMRON」と類似したドメインネームの使用に対して、適時・適切な対処を行っている。しかし、不正なドメインネームの登録について、その全てを把握し対処するのは難しいため、同一または類似のドメインネームを使われることで、当社グループの信頼を損ねるような商行為がなされる可能性がある。このような知的財産に関する重大な係争問題が発生した場合、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。 (8)生産 当社グループは、中国・アジアをはじめとして海外にも生産拠点を持ち、各国の営業拠点等を通じて製品をグローバルの顧客に供給している。当社グループは、顧客への安定的な製品供給のため、生産はもとより、物流、ITを含めたサプライチェーンの事業継続計画(BCP)を策定し、その対策を実施している。しかし、災害、疾病、労働争議、テロや紛争、国際関係等により、生産活動の一部または全部が停止する等、顧客への製品供給に支障をきたす場合、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。 (9)購買調達 当社グループは、商品を製造するにあたって高品質な原材料、部品等をタイムリーかつ必要数入手するため、信頼のおける仕入先を選定している。しかし、予期できない自然災害や事故等によるサプライチェーンへの大きな影響、仕入先の経営状態悪化による部品の供給制限や製造中止、市場での需要増加による供給制限などが生じた場合、当社グループの事業が影響を受ける可能性がある。 また、当社グループと仕入先は契約により購入価格を決定している。しかし、石油化学製品、鉄鋼、金、銀、銅及びレアアースなどの原材料については、市況価格相場に連動するため、市場における需要拡大や投資資金の流入などによる価格変動が製品原価に影響を与えることがある。この場合、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。 当社グループは、紛争鉱物への対応や、環境への配慮など、サプライチェーンを通して、社会からESG観点での高度な対応が求められている。当社グループは仕入先に対してCSR調達の徹底を図っているが、仕入先における対応不備により、調達に影響があった場合、商品の販売にも影響を与え、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。 (10)品質保証 当社グループは、ISO規格認定された品質システムを構築し、それに従った各種商品・サービスの開発や製造を行い、品質チェック体制の整備を図り、品質監査を行うなどグループをあげてすべての商品・サービスの品質向上を継続的に努めることで、「顧客満足の最大化」を目指し、「品質第一」を基本によりよい製品・サービスを提供している。 しかし、想定が難しい多様な環境での製品の使用などにより、すべての製品で欠陥がなくリコールが発生しないという保証は、難しくなってきている。国内では、より消費者保護に配慮した対応が必要であるとともに、海外においても品質に対する関心が高まっている。このため、大規模な製品欠陥によりリコールの発生する可能性や、初動対応などの危機対応の失敗より当社の信頼性やブランド力低下、売上減少といった可能性がある。これらが発生した場合は、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。 (11)環境保全 当社グループは、気候変動、大気汚染、水質汚染、有害物質、廃棄物、商品リサイクルおよび土壌・地下水の汚染などに関する種々の環境関連法令および規制等の適用を受けている。将来の環境関連法令および規制等の遵守、環境改善取り組みの追加的な義務、環境規制への適応が極めて困難な場合および不測の事態などによる環境に関連する費用の増加、環境規制違反による事業停止、環境規制への未対応による顧客喪失などの可能性があり、それらが発生した場合は当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。
FY2018|4,246 文字
2【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの経営成績および財務状況(株価等を含む)に影響を及ぼす可能性のある主なリスクには次のようなものがあり、投資家の皆様の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項と考えている。 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2018年6月20日)現在において当社グループが判断したものである。 (1)経済状況 当社グループは、グローバルに事業展開しているため、マクロ経済の悪化・関連市場の動向・国内外の景気変動等により、当社グループの経営成績および財務状況が悪影響を受ける可能性がある。 また、積極的な海外市場への事業展開により、今後も海外事業比率は高まると想定している。そのため、当社グループは為替レートの変動に対して、海外生産拡大および現地調達率向上など、外貨建支出の増加による収支の為替バランスの改善に加え、短期では金融機関との為替先物予約による為替ヘッジに努めるなど、為替レートの変動に強い構造作りに取組んでいる。しかし、米ドル、ユーロ、人民元などの主要通貨に加え新興国通貨の急激な円に対する為替レートの変動が長期に及んだ場合は、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。 (2)法規制等 当社グループは、グローバルに事業展開しているため、労働、個人情報保護、安全保障貿易管理、贈収賄防止、独占禁止法令など、さまざまな法規制の適用を受けている。そこで、当社グループの役員・従業員に対し、行動指針である「オムロングループCSR行動ポリシー」および「オムロングループ倫理行動ルール」を周知するとともに、必要な研修を実施している。しかし、規則・法令の新設・変更・解釈において厳格化が進んでおり、その遵守のために追加的な費用等が発生する場合は、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。さらに、当社グループがこれらの法規制等に違反したものと当局が発見または判断した場合には、当社グループが課徴金等の行政処分、刑事処分または損害賠償訴訟の対象となり、また当社グループの社会的評価が悪影響を受ける可能性がある。 (3)自然災害等 当社グループは、南海トラフ巨大地震や首都圏直下地震などの大規模な地震をはじめとする災害や新型インフルエンザなどの感染症の発生などを想定し、必要とされる安全対策や事業継続・早期復旧のための対策を、事業継続計画(BCP)を策定して進めている。しかし、当社グループの拠点および取引先がグローバルに存在していることから、災害や感染症などが発生した場合のリスク全てを回避することは困難であり、また、昨今の災害の大規模化を考えると、想定していない規模での発生も考えられ、その場合は、事業活動の縮小など、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。 (4)人財 当社グループは、グローバルでの事業展開を加速するため、計画的に優秀な幹部候補人財の確保・育成を進めている。しかし、事業展開のスピードが増し、幹部人財を十分に確保できない可能性がある。また、新興国を中心として従業員の賃金が急上昇した場合、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。また、労働安全衛生面において、当社は安全で健康に働ける労働条件と職場環境を実現するために、労働安全衛生管理にかかる基本事項を定め運営・管理を行っているが、不測の事態により従業員や施設に影響を与える労働災害が発生した場合、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。 (5)資金 当社グループは、資金需要が生じた場合には、主にコマーシャルペーパーの発行等により事業資金を調達することとしている。このため、金融市場の不安定化・円の金利上昇、また格付機関による当社信用格付けの引下げの事態が生じた場合などには、資金調達の制約を受け、資金調達コストが増加する可能性があり、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性がある。また、当社グループは、グローバルでの設備投資やM&Aの機動的な実行に備えるとともに、資金流動性の確保を行う一方、資金効率向上に留意した手元資金の水準や資金の配置を行っている。当社グループは、事業の運転資金および事業投資の原資として手元資金を保有しているため、投資目的の運用は行っていない。 (6)情報セキュリティ 当社グループは、事業上の重要情報および事業の過程で入手した個人情報や取引先等の秘密情報を保有している。当社グループは、当該情報の盗難・紛失などを通じて第三者が不正流用することを防ぐため、委託先の管理を含め、情報の取り扱いに関する管理を強化、また法規制強化への対応等も都度実施している。また、情報リテラシーを高めるための社員教育等の対策も講じている。しかし、不測の事態によってこれらの情報の漏洩やインシデントが発生する可能性がある。また、情報システムへのサイバー攻撃対策や、ITガバナンスの強化などを実施しているが、想定を超える攻撃などによって、重要データの破壊、改ざん、流出、システム停止等を引き起こす可能性もある。その結果、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。 (7)研究開発活動及び知的財産 当社グループにおいても規格に準拠することにより付加価値が高くなる商品が増えている。規格の策定段階で先行して商品の開発を進める場合、最終的な規格内容が策定時の案から変更される可能性があり、その場合、さらなる開発投資が必要になることで、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。 当社グループは、研究開発及び設計にあたって第三者の知的財産権の調査を実施している。しかし、事業活動を行なう中で、第三者の知的財産権を侵害しているとの主張を受け、係争となる可能性がある。また、社員との関係においては、発明者に対する褒賞制度を整備し適切な対応を取っている。しかし、発明者との間で発明褒賞について係争となる可能性がある。 ブランド管理については、第三者が当社グループのブランド名を不当に使用し、当社商品と類似した商品を製造・販売することにより損害を受ける可能性がある。また、近年海外にて増加している「OMRON」と類似したドメインネームの使用に対して、適時・適切な対処を行っている。しかし、不正なドメインネームの登録について、その全てを把握し対処するのは難しいため、同一または類似のドメインネームを使われることで、当社グループの信頼を損ねるような商行為がなされる可能性がある。このような知的財産に関する重大な係争問題が発生した場合、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。 (8)生産 当社グループは、中国・アジアをはじめとして海外にも生産拠点を持ち、各国の営業拠点等を通じて製品をグローバルの顧客に供給している。当社グループは、顧客への安定的な製品供給のため、生産はもとより、物流、ITを含めたサプライチェーンの事業継続計画(BCP)を策定し、その対策を実施している。しかし、災害、疾病、労働争議、テロや紛争、国際関係等により、生産活動の一部または全部が停止する等、顧客への製品供給に支障をきたす場合、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。 (9)購買調達 当社グループは、商品を製造するにあたって高品質な原材料、部品等をタイムリー且つ必要数入手するため、信頼のおける仕入先を選定している。しかし、予期できない自然災害や事故等によるサプライチェーンへの大きな影響、仕入先の経営状態悪化による部品の供給制限や製造中止、市場での需要増加による供給制限などが生じた場合、当社グループの事業が影響を受ける可能性がある。 また、当社グループと仕入先は契約により購入価格を決定している。しかし、石油化学製品、鉄鋼、金、銀、銅及びレアアースなどの原材料については、市況価格相場に連動するため、市場における需要拡大や投資資金の流入などによる、価格変動が製品原価に影響を与えることがある。この場合、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。 当社グループは、紛争鉱物への対応や、環境への配慮など、サプライチェーンを通して、社会からESG観点での高度な対応が求められている。当社グループは仕入先に対してCSR調達の徹底を図っているが、仕入先における対応不備により、調達に影響があった場合、商品の販売にも影響を与え、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。 (10)品質保証 当社グループは、ISO規格認定された品質システムを構築し、それに従った各種商品・サービスの開発や製造を行い、品質チェック体制の整備を図り、品質監査を行うなどグループをあげてすべての商品・サービスの品質向上を継続的に努めることで、「顧客満足の最大化」を目指し、「品質第一」を基本によりよい製品・サービスを提供している。 しかし、想定が難しい多様な環境での製品の使用などにより、すべての製品で欠陥がなくリコールが発生しないという保証は、難しくなってきている。国内では、より消費者保護に配慮した対応が必要であるとともに、海外においても品質に対する関心が高まっている。このため、大規模な製品欠陥によりリコールの発生する可能性や、初動対応などの危機対応の失敗より当社の信頼性やブランド力低下、売上減少といった可能性がある。これらが発生した場合は、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。 (11)環境保全 当社グループは、気候変動、大気汚染、水質汚染、有害物質、廃棄物、商品リサイクルおよび土壌・地下水の汚染などに関する種々の環境関連法令および規制等の適用を受けている。将来の環境関連法令および規制等の遵守、環境改善取組みの追加的な義務、環境規制への適応が極めて困難な場合および不測の事態などによる環境に関連する費用の増加、環境規制違反による事業停止、環境規制への未対応による顧客喪失などの可能性があり、それらが発生した場合は当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。
FY2017|4,223 文字
4【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの経営成績および財務状況(株価等を含む)に影響を及ぼす可能性のある主なリスクには次のようなものがあり、投資家の皆様の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項と考えている。 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成29年6月23日)現在において当社グループが判断したものである。 (1)経済状況 当社グループは、グローバルに事業展開しているため、マクロ経済の悪化・関連市場の動向・国内外の景気変動等により、当社グループの経営成績および財務状況が悪影響を受ける可能性がある。 また、積極的な海外市場への事業展開により、今後も海外事業比率は高まると想定している。そのため、当社グループは為替レートの変動に対して、海外生産拡大および現地調達率向上など、外貨建支出の増加による収支の為替バランスの改善に加え、短期では金融機関との為替先物予約による為替ヘッジに努めるなど、為替レートの変動に強い構造作りに取組んでいる。しかし、米ドル、ユーロ、人民元などの主要通貨に加え新興国通貨の急激な円に対する為替レートの変動が長期に及んだ場合は、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。 (2)法規制等 当社グループは、グローバルに事業展開しているため、労働、個人情報保護、安全保障貿易管理、贈収賄防止、独占禁止法令など、さまざまな法規制の適用を受けている。そこで、当社グループの役員・従業員に対し、行動指針である「オムロングループCSR行動ガイドライン」を周知するとともに、必要な研修を実施している。しかし、規則・法令の新設・変更・解釈において厳格化が進んでおり、その遵守のために追加的な費用等が発生する場合は、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。さらに、当社グループがこれらの法規制等に違反したものと当局が発見または判断した場合には、当社グループが課徴金等の行政処分、刑事処分または損害賠償訴訟の対象となり、また当社グループの社会的評価が悪影響を受ける可能性がある。 (3)自然災害等 当社グループは、南海トラフ巨大地震や首都圏直下地震などの大規模な地震をはじめとする災害や新型インフルエンザなどの感染症の発生などを想定し、必要とされる安全対策や事業継続・早期復旧のための対策を、事業継続計画(BCP)を策定して進めている。しかし、当社グループの拠点および取引先がグローバルに存在していることから、災害や感染症などが発生した場合のリスク全てを回避することは困難であり、また、昨今の災害の大規模化を考えると、想定していない規模での発生も考えられ、その場合は、事業活動の縮小など、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。 (4)人財 当社グループは、グローバルでの事業展開を加速するため、計画的に優秀な幹部候補人財の確保・育成を進めている。しかし、事業展開のスピードが増し、幹部人財を十分に確保できない可能性がある。また、新興国を中心として従業員の賃金が急上昇した場合、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。また、労働安全衛生面において、当社は安全で健康に働ける労働条件と職場環境を実現するために、労働安全衛生管理にかかる基本事項を定め運営・管理を行っているが、不測の事態により従業員や施設に影響を与える労働災害が発生した場合、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。 (5)資金 当社グループは、資金需要が生じた場合には、主にコマーシャルペーパーの発行等により事業資金を調達している。このため、金融市場の不安定化・円の金利上昇、また格付機関による当社信用格付けの引下げの事態が生じた場合などには、資金調達の制約を受け、資金調達コストが増加する可能性があり、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性がある。また、当社グループは、グローバルでの設備投資やM&Aの機動的な実行に備えるとともに、資金流動性の確保を行う一方、資金効率向上に留意した手元資金の水準や資金の配置を行っている。当社グループは、事業の運転資金および事業投資の原資として手元資金を保有しているため、投資目的の運用は行っていない。 (6)情報セキュリティ 当社グループは、事業上の重要情報および事業の過程で入手した個人情報や取引先等の秘密情報を保有している。当社グループは、当該情報の盗難・紛失などを通じて第三者が不正流用することを防ぐため、委託先の管理を含め、情報の取り扱いに関する管理を強化、また法規制強化への対応等も都度実施している。また、情報リテラシーを高めるための社員教育等の対策も講じている。しかし、不測の事態によってこれらの情報の漏洩やインシデントが発生する可能性がある。また、情報システムへのサイバー攻撃対策や、ITガバナンスの強化などを実施しているが、想定を超える攻撃などによって、重要データの破壊、改ざん、流出、システム停止等を引き起こす可能性もある。その結果、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。 (7)研究開発活動及び知的財産 当社グループにおいても規格に準拠することにより付加価値が高くなる商品が増えている。規格の策定段階で先行して商品の開発を進める場合、最終的な規格内容が策定時の案から変更される可能性があり、その場合、さらなる開発投資が必要になることで、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。 当社グループは、研究開発及び設計にあたって第三者の知的財産権の調査を実施している。しかし、事業活動を行なう中で、第三者の知的財産権を侵害しているとの主張を受け、係争となる可能性がある。また、社員との関係においては、発明者に対する褒章制度を整備し適切な対応を取っている。しかし、発明者との間で発明褒章について係争となる可能性がある。 ブランド管理については、第三者が当社グループのブランド名を不当に使用し、当社商品と類似した商品を製造・販売することにより損害を受ける可能性がある。また、近年海外にて増加している「OMRON」と類似したドメインネームの使用に対して、適時・適切な対処を行っている。しかし、不正なドメインネームの登録について、その全てを把握し対処するのは難しいため、同一または類似のドメインネームを使われることで、当社グループの信頼を損ねるような商行為がなされる可能性がある。このような知的財産に関する重大な係争問題が発生した場合、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。 (8)生産 当社グループは、中国・アジアをはじめとして海外にも生産拠点を持ち、各国の営業拠点等を通じて製品をグローバルの顧客に供給している。当社グループは、顧客への安定的な製品供給のため、生産はもとより、物流、ITを含めたサプライチェーンの事業継続計画(BCP)を策定し、その対策を実施している。しかし、災害、疾病、労働争議、テロや紛争、国際関係等により、生産活動の一部または全部が停止する等、顧客への製品供給に支障をきたす場合、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。 (9)購買調達 当社グループは、商品を製造するにあたって高品質な原材料、部品等をタイムリー且つ必要数入手するため、信頼のおける仕入先を選定している。しかし、予期できない自然災害や事故等によるサプライチェーンへの大きな影響、仕入先の経営状態悪化による部品の供給制限や製造中止、市場での需要増加による供給制限などが生じた場合、当社グループの事業が影響を受ける可能性がある。 また、当社グループと仕入先は契約により購入価格を決定している。しかし、石油化学製品、鉄鋼、金、銀、銅及びレアアースなどの原材料については、市況価格相場に連動するため、市場における需要拡大や投資資金の流入などによる、価格変動が製品原価に影響を与えることがある。この場合、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。 当社グループは、紛争鉱物への対応や、環境への配慮など、サプライチェーンを通して、社会からESG観点での高度な対応が求められている。当社グループは仕入先に対してCSR調達の徹底を図っているが、仕入先における対応不備により、調達に影響があった場合、商品の販売にも影響を与え、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。 (10)品質保証 当社グループは、ISO規格認定された品質システムを構築し、それに従った各種商品・サービスの開発や製造を行い、品質チェック体制の整備を図り、品質監査を行うなどグループをあげてすべての商品・サービスの品質向上を継続的に努めることで、「顧客満足の最大化」を目指し、「品質第一」を基本によりよい製品・サービスを提供している。 しかし、想定が難しい多様な環境での製品の使用などにより、すべての製品で欠陥がなくリコールが発生しないという保証は、難しくなってきている。国内では、より消費者保護に配慮した対応が必要であるとともに、海外においても品質に対する関心が高まっている。このため、大規模な製品欠陥によりリコールの発生する可能性や、初動対応などの危機対応の失敗より当社の信頼性やブランド力低下、売上減少といった可能性がある。これらが発生した場合は、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。 (11)環境保全 当社グループは、気候変動、大気汚染、水質汚染、有害物質、廃棄物、商品リサイクルおよび土壌・地下水の汚染などに関する種々の環境関連法令および規制等の適用を受けている。将来の環境関連法令および規制等の遵守、環境改善取組みの追加的な義務、環境規制への適応が極めて困難な場合および不測の事態などによる環境に関連する費用の増加、環境規制違反による事業停止、環境規制への未対応による顧客喪失などの可能性があり、それらが発生した場合は当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。
FY2016|4,292 文字
4【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの経営成績および財務状況(株価等を含む)に影響を及ぼす可能性のある主なリスクには次のようなものがあり、投資家の皆様の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項と考えている。 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成28年6月24日)現在において当社グループが判断したものである。 (1)経済状況 当社グループは、グローバルに事業展開しているため、マクロ経済の悪化・関連市場の動向・国内外の景気変動等により、当社グループの経営成績および財務状況が悪影響を受ける可能性がある。 また、積極的な海外市場への事業展開により、今後も海外事業比率は高まると想定している。そのため、当社グループは為替レートの変動に対して、海外生産拡大および現地調達率向上など、外貨建支出の増加による収支の為替バランスの改善に加え、短期では金融機関との為替先物予約による為替ヘッジに努めるなど、為替レートの変動に強い構造作りに取組んでいる。しかし、米ドル、ユーロ、人民元などの主要通貨の急激な円に対する為替レートの変動が長期に及んだ場合は、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。 (2)法規制等 当社グループは、グローバルに事業展開しているため、労働、個人情報保護、安全保障貿易管理、贈収賄防止、独占禁止法令など、さまざまな法規制の適用を受けている。そこで、当社グループの役員・従業員に対し、行動指針である「オムロングループCSR行動ガイドライン」を周知するとともに、必要な研修を実施している。しかし、規則・法令の新設・変更・解釈において厳格化が進んでおり、その遵守のために追加的な費用等が発生する場合は、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。さらに、当社グループがこれらの法規制等に違反したものと当局が発見または判断した場合には、当社グループが課徴金等の行政処分、刑事処分または損害賠償訴訟の対象となり、また当社グループの社会的評価が悪影響を受ける可能性がある。 (3)自然災害等 当社グループは、南海トラフ巨大地震や首都圏直下地震などの大規模な地震をはじめとする災害や新型インフルエンザなどの感染症の発生などを想定し、必要とされる安全対策や事業継続・早期復旧のための対策を、事業継続計画(BCP)を策定して進めている。しかし、当社グループの拠点および取引先がグローバルに存在していることから、災害や感染症などが発生した場合のリスク全てを回避することは困難であり、また、昨今の災害の大規模化を考えると、想定していない規模での発生も考えられ、その場合は、事業活動の縮小など、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。 (4)人財 当社グループでは、グローバルでの事業展開の加速に伴い、国々・法人間をまたがる人事異動や、複数の国籍の従業員が協働する機会が増加している。その結果として、文化、慣習や処遇の差異による労務トラブルが発生する可能性がある。また、経営の現地化を進めるにあたって優秀な幹部候補人財を十分に確保できない可能性や、新興国を中心として従業員の賃金が上昇する可能性があり当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。また、労働安全衛生面において、当社の従業員や施設に影響を与える労働災害が発生する可能性もあるため、そのリスクが顕在化した場合、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。 (5)資金 当社グループは、資金需要が生じた場合には、主にコマーシャルペーパーの発行等により事業資金を調達している。このため、金融市場の不安定化・円の金利上昇、また格付機関による当社信用格付けの引下げの事態が生じた場合などには、資金調達の制約を受け、資金調達コストが増加する可能性があり、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性がある。また、当社グループは、グローバルでの設備投資やM&Aの機動的な実行に備えるとともに、資金流動性の確保を行う一方、資金効率向上に留意した手元資金の水準や資金の配置を行っている。当社グループは、事業の運転資金および事業投資の原資として手元資金を保有しているため、投資目的の運用は行っていない。 (6)情報セキュリティ 当社グループは、事業上の重要情報および事業の過程で入手した個人情報や取引先等の秘密情報を保有している。当社グループは、当該情報の盗難・紛失などを通じて第三者が不正流用することを防ぐため、委託先の管理を含め、情報の取り扱いに関する管理を強化、また法規制強化への対応等も都度実施している。また、情報リテラシーを高めるための社員教育等の対策も講じている。しかし、不測の事態によってこれらの情報の漏洩やインシデントが発生する可能性がある。また、情報システムへのサイバー攻撃対策や、ITガバナンスの強化などを実施しているが、想定を超える攻撃などによって、重要データの破壊、改ざん、流出、システム停止等を引き起こす可能性もある。その結果、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。 (7)研究開発活動及び知的財産 当社グループにおいても規格に準拠することにより付加価値が高くなる商品が増えている。規格の策定段階で先行して商品の開発を進める場合、最終的な規格内容が策定時の案から変更される可能性があり、その場合、さらなる開発投資が必要になることで、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。 当社グループは、研究開発及び設計にあたって第三者の知的財産権の調査を実施している。しかし、事業活動を行なう中で、第三者の知的財産権を侵害しているとの主張を受け、係争となる可能性がある。また、社員との関係においては、発明者に対する補償制度を整備し適切な対応を取っている。しかし、発明者との間で発明の対価について係争となる可能性がある。 ブランド管理については、第三者が当社グループのブランド名を不当に使用し、当社商品と類似した商品を製造・販売することにより損害を受ける可能性がある。また、近年海外にて増加している「OMRON」と類似したドメインネームの使用に対して、適時・適切な対処を行っている。しかし、不正なドメインネームの登録について、その全てを把握し対処するのは難しいため、同一または類似のドメインネームを使われることで、当社グループの信頼を損ねるような商行為がなされる可能性がある。このような知的財産に関する重大な係争問題が発生した場合、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。 (8)生産 当社グループは、中国・アジアをはじめとして海外にも生産拠点を持ち、各国の営業拠点等を通じて製品をグローバルの顧客に供給している。当社グループは、顧客への安定的な製品供給のため、生産はもとより、物流、ITを含めたサプライチェーンの事業継続計画(BCP)を策定し、その対策を実施している。しかし、災害、疾病、労働争議、テロや紛争、国際関係等により、生産活動の一部または全部が停止する等、顧客への製品供給に支障をきたす場合、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。 (9)購買調達 当社グループは、製品を製造するにあたって十分な品質の原材料、部品等をタイムリー且つ必要数入手することが必要であり、信頼のおける仕入先を選定している。しかし、予期できない自然災害や事故等によるサプライチェーンへの大きな影響、仕入先の経営状態悪化による部品の供給制限や製造中止、市場での需要の大幅増加による供給制限などの供給問題が生じた場合、かつ仕入先の変更・追加や他の部品への変更が困難な場合は、当社グループの事業が影響を受ける可能性がある。 また、当社グループと仕入先は契約により購入価格を決定している。しかし、石油化学製品、鉄鋼、銀、銅及びレアアースなどの原材料については市況価格相場に連動するため、新興国における需要拡大や投資資金の流入などにより、価格変動が製品原価に影響を与えることがある。この場合、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。 当社グループは、紛争鉱物対応や、企業活動を環境に配慮した活動とするなど、顧客をはじめとして社会からESG観点での、サプライチェーン全体の高度な対応が求められている。当社グループは仕入先に対してCSR調達の徹底を図っているが、仕入先における対応不備により、調達に影響があった場合、当社グループ製品の販売にも影響を与え、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。 (10)品質保証 当社グループは、ISO規格認定された品質システムを構築し、それに従った各種商品・サービスの開発や製造を行い、品質チェック体制の整備を図り、品質監査を行うなどグループをあげてすべての商品・サービスの品質向上を継続的に努めることで、「顧客満足の最大化」を目指し、「品質第一」を基本によりよい製品・サービスを提供している。 しかし、想定が難しい多様な環境での製品の使用などにより、すべての製品で欠陥がなくリコールが発生しないという保証は、難しくなってきている。国内では、より消費者保護に配慮した対応が必要であるとともに、海外においても品質に対する関心が高まっている。このため、大規模な製品欠陥によりリコールの発生する可能性や、初動対応などの危機対応の失敗より当社の信頼性やブランド力低下、売上減少といった可能性がある。これらが発生した場合は、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。 (11)環境保全 当社グループは、気候変動、大気汚染、水質汚染、有害物質、廃棄物、商品リサイクルおよび土壌・地下水の汚染などに関する種々の環境関連法令および規制等の適用を受けている。将来の環境関連法令および規制等の遵守、環境改善取組みの追加的な義務、環境規制への適応が極めて困難な場合および不測の事態などによる環境に関連する費用の増加、環境規制違反による事業停止、環境規制への未対応による顧客喪失などの可能性があり、それらが発生した場合は当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性がある。