研究開発活動(本文)
FY2025|5,124 文字
6【研究開発活動】 当社グループは、顧客価値の創出を目的に中長期的な技術戦略のもと研究開発を実行しています。コア技術「センシング&コントロール+Think」を技術戦略の核として、当社の研究開発部門である技術・知財本部が基盤的な技術開発を担い、各事業部門がその応用技術開発や商品開発を実施しています。さらに、研究開発の成果を確実に事業競争力へとつなげるため、事業戦略と技術戦略に紐づいた知的財産活動を推進しています (1)当社グループの研究開発への取組み オムロンの強みである技術経営をさらに強化し、継続的な事業競争力と開発生産性の向上を図るべく、2024年7月に全社テクノロジーガバナンス体制の構築に着手しました。本活動ではコーポレートの研究開発部門である技術・知財本部と事業部の開発部門が一体となり、事業戦略と技術戦略を強固に連結させた全社技術戦略の策定および、全社技術戦略に基づいたポートフォリオマネジメントに取り組んでいます。また、開発生産性や技術戦略の有効性を示す指標の策定、継続的に経営視点でモニタリングするための仕組み作りに取り組んでいます。 事例の1つとして、パワーエレクトロニクス領域では事業・商品戦略と技術戦略の連携を通じて、競争優位の確立を図っています。技術・知財本部がエネルギーソリューションビジネス領域で先行研究および技術開発を進めていた次世代パワー半導体デバイスの1つであるGaN(ガリウム・ナイトライド)の活用を、社会システム事業にとどまらず、FA領域など他の事業領域にも展開しています。こうした取り組みを通じて、顧客価値を実現する差異化技術としての横展開を図っています。 並行して、オムロンでは次世代の革新技術の創出にも積極的に取り組んでいます。例えば、2024年12月に開催された「SEMICON Japan」では、コア技術の象徴である卓球ロボット「FORPHEUS(フォルフェウス)」の最新第9世代を世界初披露しました。言語や動画像などのマルチモーダルな情報源から意図したロボット動作を生成するAI技術としてオムロン サイニックエックス株式会社(以下、OSX)で開発した「ViLaIn(ヴィラン)」を搭載し、片方向であった人と機械のコミュニケーションを、双方向へと進化させました。 <ロボット動作を生成するAI技術 「ViLaln(ヴィラン)」> その他、技術・知財本部およびOSXは、ロボティクス分野において世界最大かつ最も影響力のあるトップカンファレンスの一つであるIROS2024(The 2024 IEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Systems)にて最新の研究成果を8件発表するなど、次世代の革新技術創出に向けた研究開発活動も積極的に行いました グループ全体の研究開発に関する費用の総額は、前連結会計年度は501億44百万円、当連結会計年度は443億39百万円です。なお、研究開発費には技術・知財本部で行っている技術開発費用53億58百万円が含まれています。 (2)価値創造型の知財・無形資産活動 当社グループでは、知的財産を軸に新たな価値を創り、届けることで持続的な成長を実現するべく、知財・無形資産活動を進化させ続けています。自社製品の売上やシェアを伸ばすことを目的に、知財を自社だけが使用することを原則とする「独占排他型」の活動と、パートナーとのアライアンスを重視しながら必要な知財を相互にシェアする「共有共鳴型」の活動を最適なバランスで組み合わせた"両利きの知財活動"をオムロンの知財活動方針として掲げ、その実践に取り組んでいます。<両利きの知財活動> 特に、共有共鳴型の知財活動においては、これまで活動の中心となっていた個々の知財権だけではなく、無形資産まで対象として捉え、顧客価値の最大化を念頭に知財・無形資産をマネジメントするように取り組んでいます。 <知財・無形資産のマネジメント> 今後、投資に対して、最大限の事業競争力を獲得するために、全社的に知財・無形資産の活用効率を高めることがますます重要となります。そのため、社内に存在する知財・無形資産を全社員が認識し、活用することが不可欠です。そこで、個別事業毎に蓄積されている知財・無形資産、および、人財を、顧客価値を実現するために必要なコア技術を軸に体系的な可視化に取り組んでいます。これにより、知財・無形資産の活用効率の向上を目指します。 加えて、知財情報を活用して顧客・事業環境の分析を行う「IPランドスケープ」をマーケティングなど、事業の意思決定プロセスに取り入れています。例えば、事業仮説の具体化、開発テーマの設定段階において、仮説検証のサイクルを効率的に回すことで、「顧客ニーズの把握」「事業で勝つためのストーリー作り」「事業における投資対効果の向上」を推進しています。このような活動を事業プロセスの上流から実装することで経営戦略、事業戦略、技術戦略の質を高め、全社方針に沿った知財ポートフォリオの構築を進めています。 さらに、価値創造型の知財活動を加速すべく、AI活用にも注力しています。例えば、人間にしかできないと考えられていたアイデアの創出等に対して、積極的に生成AIを活用することで業務効率の飛躍的な向上を図るとともに、IPランドスケープにおける仮説検証の更なる質向上・ハイサイクル化を目指しています。その実現に向け、組織的かつ継続的な教育プログラムを実施しています。これらの活動が評価され、オムロンは世界で最も革新的な企業・研究機関を選出する「Top100 グローバル・イノベーター」(クラリベイト社)にも9年連続で選出されました。このように、技術・知財本部では、全社視点での技術戦略のもと、コア技術の進化と価値創造型の知財・無形資産活動を通じて、ソーシャルニーズの創造に貢献していきます。 (3)事業セグメント別の研究開発活動 セグメントの名称 当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)金額(百万円)インダストリアルオートメーションビジネス21,553ヘルスケアビジネス8,123ソーシアルシステムズ・ソリューション&サービス・ビジネス4,692デバイス&モジュールソリューションズビジネス4,467データソリューションビジネス146本社他5,358合計44,339 ①インダストリアルオートメーションビジネス(制御機器事業) 当セグメントは、人を重労働から解放しエネルギー制御と融合させる「①人を超える自働化」、機械が人に寄り添い人の可能性を引き出し、人と機械が共に成長する「②人と機械の高度協調」、前述の2つのコンセプトを支える、現場の商品や人のナレッジ、そしてデータを繋ぎ、価値ある形に擦り合わせる「③デジタルエンジニアリング革新」のモノづくりコンセプトで研究開発に取り組んでいます。 これら3つのコンセプトを基に、デジタルデバイス、環境モビリティ、食品・日用品、医療、物流の5つの業界において、「顧客起点」で価値創造とグローバルの顧客への価値伝達を進めています。従来のモノ視点から、コト視点で俯瞰して顧客課題を捉えるようにシフトし「ソリューション」としての創出・提供に取り組んでいます。様々な先進コア技術やオムロンの幅広いFA商品群を起点にして、機能モジュールやソフトウェア、アプリケーション、サービスを体系的に構成し、各業界の顧客や工程に合わせて提供できるように技術や商品開発を強化しています。積極的に特許の出願や活用する取組みも強化し、”Top 100 Global Innovators”を9年連続で受賞しています。 加えて、新規技術獲得には、自社内だけで不足しているものは積極的にグローバルのスタートアップ企業や大学等も含めた産官学でのオープンイノベーションも進めています。 ②ヘルスケアビジネス(ヘルスケア事業)当セグメントは、マーケティング部門と研究開発部門が一体となり、パーソナライズ医療の実現に向けて、真のユーザーニーズの把握・創出に努め、一層の開発スピードアップを目指しています。また研究開発部門は、一人ひとりの健康ですこやかな生活の実現に向け、脳・心血管疾患の発症ゼロを目指す「循環器事業」、喘息・COPD患者の重症化ゼロを目指す「呼吸器事業」、慢性痛による日常の活動制限ゼロを目指す「ペインマネジメント事業」の3事業領域において新しい価値を提供できる新商品の創出を目指しています。当期の主な開発テーマとして、循環器事業においては、疾患の早期発見・治療に繋げることを目的として、血圧、脈拍、脈波、心電計測技術を搭載した心機能低下を捉える新たな血圧計の開発を引き続き進めるとともに、遠隔診療サービスのシステム開発・改善に取り組んでいます。呼吸器事業においては、喘息やCOPDの患者を対象に、発作の予兆や症状を計測する機器の開発にパートナーと共に取り組んでいます。ペインマネジメント事業においては、従来の肩こりや腰痛などのケアに加え、新たにスポーツ後の筋肉疲労をケアする機能を搭載した低周波治療器の開発に取り組んでいます。 ③ソーシアルシステムズ・ソリューション&サービス・ビジネス(社会システム事業) 当セグメントは、太陽光発電用パワーコンディショナー、蓄電システム、自動改札機や券売機などの駅務システム、交通管制システム、決済システム、UPSなどのネットワーク保護といった、多岐にわたる端末・システムに対するお客様のニーズに応える商品開発に取り組んでいます。 エネルギーソリューション事業では、再生可能エネルギーへの一層の関心の高まりに応えるため、蓄電システムおよび太陽光発電用パワーコンディショナーを中心に高効率化や小型軽量化などの技術開発並びに発電した電力の自家消費ニーズに応える商品創出などに継続して取り組んでいます。 駅務システム事業、交通管制システム事業においては駅や道路など、公共の場における利用者の安心・安全・快適に貢献する商品として、AI技術・IoT技術を組み込んだ人や車の動きを検知するセンサー・システムの開発に取り組んでいます。 また、近年、社会課題となっている労働人口減少に対し、社会インフラにおける労働生産性を向上させる技術が求められる中、データサイエンス分野の技術力強化を進めています。 ④デバイス&モジュールソリューションズビジネス(電子部品事業) 当セグメントは、リレー、スイッチ、コネクターを中心としてエレクトロメカニカルコンポ商品および顔認証等の組込画像ソフト技術、光技術などを用いたセンシングコンポ商品、更にはモジュール化技術による高機能化を強みにお客様のニーズに応える新製品開発に取り組んでいます。 「脱炭素」など環境への配慮やエネルギー費の高騰により、全世界がいま、化石燃料から再生可能エネルギーへと加速度的にシフトしています。 太陽光や風力発電などの再生可能エネルギーは、天候に依存するため非常に不安定な電力であるため、そのエネルギーを効果的に活用するためにはバッテリ(蓄電)が必要不可欠となります。 「電気をたくさん貯めて、安定的かつ効率的に使いたい」という蓄電ニーズの実現に向け、高容量パワーリレーの新商品開発に注力し、その一つとしてG9KB-Eを2024年6月に発売しました。 G9KB-Eは、G9KBシリーズの高容量形で、同じサイズ・重量でありながら、最大開閉電圧をDC800V、最大通電電流100Aへ拡張しており、蓄電システムやEV充電器など、15~45KWクラスの蓄電池関連用途に適しています。 今後も環境負荷低減に向けた製品創出、価値提供を業界に先駆けて進めることで、脱炭素社会の実現に貢献します。 ⑤データソリューションビジネス(データソリューション事業) 当セグメントは人材やテクノロジーに積極的に投資し、医療ビッグデータを活用した新しい取組みやサービス開発にチャレンジし続けます。ヘルスケアデータの収集のためのサービス開発とヘルスケアデータの利活用方法の開発を目的にアカデミアとの連携を含めた研究開発活動を実施しています。また、ディープラーニングを中心とするAIテクノロジーを用いた診断アシストエンジンを日々の読影の中で活用できるようにする診断アシストプラットフォーム「AI-RAD」の開発に取り組んでおります。
FY2024|5,618 文字
6【研究開発活動】 当社グループは、技術の強化と人財の育成を目的に中長期的視野に立った技術戦略を定め、研究開発を実行しています。自社の強み、コア技術として進化させ続けている「センシング&コントロール+Think」技術を技術戦略の核として、全社的視点から当社の研究開発部門である技術・知財本部が基盤的な技術開発を担い、各事業部門がその応用技術開発や商品開発を実施しています。主力事業である制御機器事業をはじめ、ヘルスケア事業、社会システム事業、電子部品事業に重点的に研究開発費を割当て、製品開発およびものづくり技術の強化を実施しています。 (1)当社グループの研究開発への取組み 自社コア技術の注力領域としてロボティクス、センシング、パワーエレクトロニクス、AI・データ解析の4領域に対し継続的な研究開発に取組んでいます。 当社グループのコア技術に関する情報はこちらをご覧ください。 https://www.omron.com/jp/ja/technology/technology/<注力する技術領域> ロボティクスにおいては、2023年7月より中外製薬株式会社様、オムロン サイニックエックス株式会社、当社の3社による共同研究として、ラボオートメーションシステムの実現に向けた実証実験を開始しています。創薬研究の生産性向上、実験データの品質向上、ならびに新たな実験活動を実現する研究工程の自動化において、既存システムより自由度、汎用性、人との共存性の高い柔軟なラボオートメーションシステムの実現を目指しています。<ラボオートメーションシステム> パワーエレクトロニクスにおいては、技術・知財本部と社会システム事業の開発部門が連携し開発した、電気自動車を大容量の蓄電池システムと見立て住宅や施設で活用可能とするV2Xシステムを発売いたしました。同システムは、次世代半導体デバイスGaN(窒素ガリウム)をV2Xシステムに先進的に活用したことで国内最小最軽量クラス(注1)を実現し、これまで設置が難しかった狭小地等への設置が可能になりました。 (注1) EV・PHEV向けパワーコンディショナメーカー各社公開の商品情報に基づき、当社で独自調査を行ったもの(2022年12月現在) センシングとAI・データ解析においては、継続的な研究開発活動に加え、学会等での社外発信を積極的に行い、製造現場などで扱うワイヤーなどの線形状物体が重なり合っていても輪郭を高精度に検出する手法に関する論文(注2)が、公益社団法人 精密工学会「2023年度 精密工学会髙城賞」を受賞いたしました。 (注2) 論文タイトル:「線形状物体における高精度な形状予測のためのインスタンスセグメンテーションモデル」 また、技術・知財本部に属する研究子会社であるオムロン サイニックエックス株式会社においては、ディープラーニングモデルの「トランスフォーマー」を活用した無機材料の結晶構造の生成に関する手法を提案した論文(注3)、機械学習分野のトップカンファレンスであるICLR2024で採択されました。この成果は、これまで研究者が試行錯誤により行っていた材料開発の効率化に期待されます。 (注3) 論文タイトル:「Crystalformer: Infinitely Connected Attention for Periodic Structure Encoding」 グループ全体の研究開発に関する費用の総額は、前連結会計年度は501億82百万円、当連結会計年度は501億44百万円です。なお、研究開発費には技術・知財本部で行っている技術開発費用65億10百万円が含まれています。(2)知的財産活動 当社グループにおける知財活動は、技術・知財本部傘下の知的財産センタを中心に、長期ビジョンの実現に向けて知財・無形資産の活用と連結する価値創造ストーリーとしてビジネスモデルの具体化を進め、「独占排他型」と「共有共鳴型」を最適なバランスで組み合わせた"両利きの知財活動"を実行することを方針とし、その実践に取り組んでいます。 自社製品の売上やシェアを伸ばすことを目的として、知財を他者と共有せず独占することを原則とする知財活動のみならず、各事業の価値創造ストーリー実現に向け、パートナーとのアライアンスを重視しながら、必要な知財を相互にシェアすることで、ビジネスエコシステムを広げて市場の成長を促進しています。 その実現に向け、知的財産センタでは、知財で新たな価値を創り、届けることで当社グループを持続的な成長に導けるよう、ミッション&ビジョンを定め取り組みを進化させています。以下に、ミッションの達成に向けた具体的な知財活動事例を紹介します。 <オムロン知的財産センタのミッション・ビジョン> まず、事業創造の初期段階から知的財産センタが参画し、「IPランドスケープ」(注4)を通じて想定顧客のニーズ分析や技術課題を構造化しています。そして、事業仮説の具体化、開発テーマの設定において、仮説検証のサイクルを効率的に回すことで、事業・技術・知財の戦略を三位一体で策定・実行する環境を整えています。 (注4) IPランドスケープ:特許等の知財情報や非知財情報、社内情報等を俯瞰的に分析して、経営判断の戦略情報として活用するとともに、事業・技術戦略へフィードバックして戦略策定・実行を推進する手法 また、事業環境や社会環境が変化していく中で、コーポレートブランドの核である「OMRON」商標の使用範囲はグローバルに拡大しています。それに伴い、第三者によるECサイトでの模倣品販売、SNS上での偽アカウント等、巧妙な不正使用も増加しています。知的財産センタは、グローバル各国で「OMRON」商標を活用しながらブランディングを行うと共に、各拠点の知財部門と連携しながらブランド侵害のモニタリングを行い、各国の法律・制度も踏まえた対策を実施しています。2024年2月には、インドにおいて、「OMRON」が日本企業では16件目の著名商標(注5)に認定されました。今後さらに模倣品対策を強化し、オムロンブランドの維持・拡大を通じて顧客に安心・信頼を届けることに努めます。 (注5) 著名商標:対象国全土で高い認知度を有する商標として認定されるもの <TOP100グローバル・イノベーター2024表彰> さらに、戦略に基づき出願から活用までシームレスに繋げる「知財サイクル」を回すことで、特許等の知財権を侵害する企業に対して、国内外を問わず警告や訴訟提起を行う等の対応を徹底しています。また、事業部門がお客様に新たなソリューションを提案する中で、知財・無形資産がオムロン製品・サービスの競争力の源泉となっていることをお伝えし、お客様との共創によって、オムロンならではの価値を生み出せることをご理解いただくことにも取り組んでいます。 これらの知財活動が評価され、オムロンは、世界で最も革新的な企業・研究機関を選出する「Top100 グローバル・イノベーター」(クラリベイト社)に8年連続で選出されています。 このように、技術・知財本部では、磨き続けるコア技術の進化と両利きの知財活動の進化をもとに、ソーシャルニーズの創造を世に先んじて取り組んでまいります。 (3)事業セグメント別の研究開発活動 セグメントの名称 当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)金額(百万円)インダストリアルオートメーションビジネス25,897ヘルスケアビジネス8,273ソーシアルシステムズ・ソリューション&サービス・ビジネス4,340デバイス&モジュールソリューションズビジネス4,939データソリューションビジネス185本社他6,510合計50,144 ①インダストリアルオートメーションビジネス(制御機器事業) 当セグメントは、人を重労働から解放しエネルギー制御と融合させる「①人を超える自働化」、機械が人に寄り添い人の可能性を引き出し、人と機械が共に成長する「②人と機械の高度協調」、前述の2つのコンセプトを支える、現場の商品や人のナレッジ、そしてデータを繋ぎ、価値ある形に擦り合わせる「③デジタルエンジニアリング革新」のモノづくりコンセプトで研究開発に取り組んでいます。 これら3つのコンセプトを基に、デジタルデバイス、環境モビリティ、食品・日用品、医療、物流の5つの業界において、「顧客起点」で価値創造とグローバルの顧客への価値伝達を進めています。従来のモノ視点から、コト視点で俯瞰して顧客課題を捉えるようにシフトし「ソリューション」としての創出・提供に取り組んでいます。様々な先進コア技術やオムロンの幅広いFA商品群を起点にして、機能モジュールやソフトウェア、アプリケーション、サービスを体系的に構成し、各業界の顧客や工程に合わせて提供できるように技術や商品開発を強化しています。積極的に特許の出願や活用する取組みも強化し、”Top 100 Global Innovators”を8年連続で受賞しています。 加えて、新規技術獲得には、自社内だけで不足しているものは積極的にグローバルのスタートアップ企業や大学等も含めた産官学でのオープンイノベーションも進めています。 ②ヘルスケアビジネス(ヘルスケア事業) 当セグメントは、マーケティング部門と研究開発部門が一体となり、パーソナライズ医療の実現に向けて、真のユーザーニーズの把握・創出に努め、一層の開発スピードアップを目指しています。また研究開発部門は、一人ひとりの健康ですこやかな生活の実現に向け、脳・心血管疾患の発症ゼロを目指す「循環器事業」、喘息・COPD患者の重症化ゼロを目指す「呼吸器事業」、慢性痛による日常の活動制限ゼロを目指す「ペインマネジメント事業」の3事業領域において新しい価値を提供できる新商品の創出を目指しています。 当期の主な開発テーマとして、循環器事業においては、疾患の早期発見・治療に繋げることを目的として、血圧、脈拍、脈波、心電計測技術を搭載した心機能低下を捉える新たな血圧計の開発を進めるとともに、遠隔診療サービスのシステム開発・改善に取り組んでいます。 呼吸器事業においては、喘息やCOPDの患者を対象に、発作の予兆や症状を計測する機器の開発にパートナーと共に取り組んでいます。 ペインマネジメント事業においては、新たな鎮痛技術を搭載した低周波治療器の開発に取り組んでいます。 ③ソーシアルシステムズ・ソリューション&サービス・ビジネス(社会システム事業) 当セグメントは、太陽光発電用パワーコンディショナー、蓄電システム、自動改札機や券売機などの駅務システム、交通管制システム、決済システム、UPSなどのネットワーク保護といった、多岐にわたる端末・システムに対するお客様のニーズに応える商品開発に取り組んでいます。 エネルギーソリューション事業では、再生可能エネルギーへの一層の関心の高まりに応えるため、蓄電システムおよび太陽光発電用パワーコンディショナーを中心に高効率化や小型軽量化などの技術開発並びに発電した電力の自家消費ニーズに応える商品創出などに継続して取り組んでいます。 駅務システム事業、交通管制システム事業においては駅や道路など、公共の場における利用者の安心・安全・快適に貢献する商品として、AI技術・IoT技術を組み込んだ人や車の動きを検知するセンサー・システムの開発に取り組んでいます。 また、近年、社会課題となっている労働人口減少に対し、社会インフラにおける労働生産性を向上させる技術が求められる中、データサイエンス分野の技術力強化を進めています。 ④デバイス&モジュールソリューションズビジネス(電子部品事業) 当セグメントは、リレー、スイッチ、コネクターを中心としてエレクトロメカニカルコンポ商品および顔認証等の組込画像ソフト技術、光技術などを用いたセンシングコンポ商品、更にはモジュール化技術による高機能化を強みにお客様のニーズに応える新製品開発に取り組んでいます。モジュール化技術においてはセンサ開発を得意とするオムロンと予報精度No.1の技術を誇る株式会社ウェザーニューズの両社の強味を活かし、気温・湿度・気圧・雨量・風向・風速・照度の7つの気象要素を1分毎に観測する小型の気象IoTセンサである「ソラテナPro」を共創し開発しました。これにより現場の気象を見える化し、アプリを通して気象の変化をすばやく伝えるため、農業・建築・ドローン・物流・電力・食品小売など業界を問わず企業の安全対策や生産性向上などにご活用いただけます。また、気象における課題解決に貢献する製品として高い評価を獲得したことで、第66回「十大新製品賞」(主催: モノづくり日本会議、日刊工業新聞社)において、「日本力賞」を受賞することができました。「ソラテナPro」を通してデジタル化社会の促進や災害リスクの低減を支援することで、持続可能な社会づくりに貢献していきます。 ⑤データソリューションビジネス(データソリューション事業) 当セグメントは人材やテクノロジーに積極的に投資し、医療ビッグデータを活用した新しい取組みやサービス開発にチャレンジし続けます。ヘルスケアデータの収集のためのサービス開発とヘルスケアデータの利活用方法の開発を目的にアカデミアとの連携を含めた研究開発活動を実施しています。また、ディープラーニングを中心とするAIテクノロジーを用いた診断アシストエンジンを日々の読影の中で活用できるようにする診断アシストプラットフォーム「AI-RAD」の開発に取り組んでおります。
FY2023|5,096 文字
6【研究開発活動】 当社グループは、技術の強化と人財の育成を目的に中長期的視野に立った技術戦略を定め、研究開発を実行しています。自社の強み、コア技術として進化させ続けている「センシング&コントロール+Think」技術を技術戦略の核として、全社的視点から当社のコーポレート研究所である技術・知財本部が基盤的な技術開発を担い、各事業部門がその応用技術開発や商品開発を実施しています。主力事業である制御機器事業をはじめ、ヘルスケア事業、社会システム事業、電子部品事業に重点的に研究開発費を割当て、製品開発およびものづくり技術の強化を実施しています。 (1)オムロングループの研究開発への取組み 2022年度の取組みとしては、ロボティクス、センシング、パワーエレクトロニクス、AI・データ解析を自社コア技術の注力領域として継続的な高度化の取組みを行っています。 <注力する技術領域> ロボティクスにおいては、技術・知財本部の研究開発拠点である京阪奈イノベーションセンタにロボット開発専用の実験環境スペース「ROBOBASE」を新設するなど、人に寄り添うロボット技術の開発に注力しています。 <人と機械の融和の象徴:第7世代 卓球ロボット「フォルフェウス」> フォルフェウスは、オムロンのコア技術「センシング&コントロール+Think」で、機械が人の能力や創造性を引き出す「人と機械の融和」をわかりやすく体現するロボットです。2021年度から取り組んだ第7世代は、最新のAIや、ロボティクスなど、オムロンのコア技術の活用により、ダブルスを組む2人のチームパフォーマンスを高める機能を搭載しています。 フォルフェウスを始め、オムロンのコア技術に関する情報はこちらをご覧ください。https://www.omron.com/jp/ja/technology/ パワーエレクトロニクスにおいては、今後、電気自動車の急速な普及拡大が見込まれている中、技術・知財本部と社会システム事業の開発部門が連携し、電気自動車を大容量の蓄電池システムと見立て、自然災害時には貯めた電気を住宅や施設で活用可能なV2Xシステムの要素技術を開発いたしました。同システムは、既存の太陽光発電や蓄電池システムとも接続が可能でありながら国内最小最軽量クラスを実現、これまで設置が難しかった狭小地等にも設置が可能な高い自由度を実現しています。 また、ロボティクスやAI・データ解析においては、技術・知財本部に属する研究子会社であるオムロン サイニックエックス株式会社の牛久 祥孝がプロジェクトマネージャーを務める研究テーマ「人と融和して知の創造・越境をするAIロボット」が、内閣府が推進する困難でインパクトが大きな社会的課題の解決に取り組む挑戦的な研究プロジェクトに資金を提供する「ムーンショット型研究開発制度」における目標3「2050年までに、AIとロボットの共進化により、自ら学習・行動し人と共生するロボットを実現」のプロジェクトに採択されました。 グループ全体の研究開発に関する費用の総額は、前連結会計年度は442億77百万円、当連結会計年度は501億82百万円です。なお、研究開発費については、技術・知財本部で行っている技術開発費用64億84百万円が含まれています。 (2)知的財産活動 新たな価値創出を進める中で、知的財産は非財務価値の要素としてますます重要となっています。オムロングループの柱として活動する技術・知財本部傘下の知的財産センタは、知財で新たな価値を創り届け、我々の持続的成長に導くように、ミッション、ビジョンを定めて、日々の活動に取り組んでいます。 <オムロン知的財産センタのミッション・ビジョン> 知的財産戦略について取締役会の議題として定期的に報告・議論を行うと共に、CTO管掌の元、知的財産センタが司令塔となって、全社横断で知的財産活動に取り組んでいます。知的財産センタは、コーポ―レートの全社技術開発、新規事業創出における知財戦略の策定・実行のほか、事業部門における知財活動の推進責任者を配置し、事業戦略と連結した知財戦略の策定・実行・監督を行っています。2022年度においては、長期ビジョンの実現に向けて知財・無形資産の活用と連結する価値創造ストーリー(ビジネスモデル)の具体化を進めており、「独占排他型」と「シェアリング&インクルージョン型」を最適なバランスで組み合わせ、両利きの知財活動を実行する、全社知的財産戦略の方向性を、取締役会に報告しました。取締役会では、知財活動が従来以上にビジネスモデルに直結した活動に進化している点や、長期ビジョンのコトビジネス化の推進にタイムリーな取組みである点、社内における知財活用の浸透、知的財産財の知見とビジネスセンスを保有する専門人財育成の重要性などについて、活発な議論が行われました。 両利きの知財活動においては、自社特徴技術の権利化とそれを活用した権利行使の強化だけでなく、近未来デザインを実現する複数のシナリオを知財アーキテクチャとして策定し、ソーシャルニーズの先行出願を行うことで、オムロンユニークな価値を届ける知財活動を強化しています。また、技術者の特許に対するスキル向上のための社内研修を、全技術者向けに継続的に実施すると共に、発明褒賞制度や知財表彰制度を活用することで、技術者の知財活動に対するモチベーションを向上させ、全社的な知財活動の強化を通じて事業成長を図っています。さらに、モノ視点からコト視点への事業環境変化によって発明者の裾野が拡大しているため、技術者のみならず企画部門などの非開発部門のメンバーも対象に、顧客課題・社会課題を解決するコトビジネスの発明創出を推進しています。 2022年度には、公益社団法人 発明協会が主催する令和4年度全国発明表彰において、製造装置等の信頼性を高めるソフトエラー対策法の発明で、「発明賞」を受賞しました。本発明は、デジタル機器の中核をなすマイクロプロセッサーやメモリーなど半導体デバイスの偶発的エラーを防ぐことで、製造現場のシステム、そして将来的には、EVや自動運転、医療機器といったデジタル機器の信頼性を向上し、人々の安心・安全を支える新技術です。 この様に、知的財産を経営・事業へ積極的に活かすべく、事業や研究開発と連動させた知的財産戦略を策定・実行し、質・量の両側面で特許創出力を向上してきました。これらの活動の成果により、クラリベイト・アナリティクス社が知財動向の分析に基づき優れたイノベーションパフォーマンスを継続的に発揮している革新企業/機関トップ100を選定する「Clarivate Top 100グローバル・イノベーター」に2017年から7年連続で選出されました。 (3)事業セグメント別の研究開発活動 セグメントの名称 当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)金額(百万円)インダストリアルオートメーションビジネス27,028ヘルスケアビジネス7,905ソーシアルシステムズ・ソリューション&サービス・ビジネス3,503デバイス&モジュールソリューションズビジネス5,262本社他6,484合計50,182 ①インダストリアルオートメーションビジネス(制御機器事業) 社会的マテリアリティ実践に対する社会からの期待は一段と加速している中、“社会的”課題と“経済的”課題の両方を同時に解決すべく3つのモノづくりのコンセプトを定めています。人を重労働から解放しエネルギー制御と融合させる「①人を超える自働化」、機械が人に寄り添い人の可能性を引き出し、人と機械が共に成長する「②人と機械の高度協調」、前述の2つのコンセプトを支える、現場の商品や人のナレッジ、そしてデータを繋ぎ、価値ある形に擦り合わせる「③デジタルエンジニアリング革新」です。 これら3つのコンセプトを基に、デジタルデバイス、環境モビリティ、食品・日用品、医療、物流の5つの業界ドメインにおいて、顧客起点で価値創造とグローバルの顧客への価値伝達を進めています。従来のオムロン起点の「モノ」視点から、「コト」視点で俯瞰して顧客課題を捉えるようにシフトし「ソリューション」としての創出・提供にも取り組んでいます。「ソリューション」は様々な先進コア技術やオムロンの幅広いFA商品群を起点にして、機能モジュールやソフトウェア、アプリケーション、サービスを体系的に構成し、各業界の顧客や工程に合わせて提供できるように価値創出を強化しています。新規技術については積極的にパテントを出願や活用する取組みも強化し、各種の受賞も得ています。 ②ヘルスケアビジネス(ヘルスケア事業) 当セグメントは、マーケティング部門と研究開発部門が一体となり、パーソナライズ医療の実現に向けて、真のユーザーニーズの把握・創出に努め、一層の開発スピードアップを目指しています。また研究開発部門は、一人ひとりの健康ですこやかな生活の実現に向け、脳・心血管疾患の発症ゼロを目指す「循環器事業」、喘息・COPD患者の重症化ゼロを目指す「呼吸器事業」、慢性痛による日常の活動制限ゼロを目指す「ペインマネジメント事業」の3事業領域において新しい価値を提供できる新商品の創出を目指しています。 当期の主な開発テーマとして、循環器事業においては、疾患の早期発見・治療に繋げることを目的として、血圧、脈拍、脈波、心電計測技術を搭載した心機能低下を捉える新たな血圧計の開発を進めるとともに、遠隔診療サービスのシステム開発・改善に取り組んでいます。 呼吸器事業においては、喘息やCOPDの患者を対象に、発作の予兆や症状を計測する機器の開発にパートナーと共に取り組んでいます。ペインマネジメント事業においては、新たな鎮痛技術を搭載した低周波治療器の開発に取り組んでいます。 ③ソーシアルシステムズ・ソリューション&サービス・ビジネス(社会システム事業) 当セグメントは、太陽光発電用パワーコンディショナー、蓄電システム、自動改札機や券売機などの駅務システム、交通管制システム、決済システム、UPSなどのネットワーク保護といった、多岐にわたる端末・システムに対するお客様のニーズに応える商品開発に取り組んでいます。 エネルギーソリューション事業では、再生可能エネルギーへの一層の関心の高まりに応えるため、蓄電システムおよび太陽光発電用パワーコンディショナーを中心に高効率化や小型軽量化などの技術開発並びに発電した電力の自家消費ニーズに応える商品創出などに継続して取り組んでいます。 駅務システム事業、交通管制システム事業においては駅や道路など、公共の場における利用者の安心・安全・快適に貢献する商品として、AI技術・IoT技術を組み込んだ人や車の動きを検知するセンサー・システムの開発に取り組んでいます。 また、近年、社会課題となっている労働人口減少に対し、社会インフラにおける労働生産性を向上させる技術が求められる中、データサイエンス分野の技術力強化を進めています。 ④デバイス&モジュールソリューションズビジネス(電子部品事業) 当セグメントは、リレー、スイッチ、コネクタを中心としてエレクトロメカニカルコンポ商品および顔認証等の組込画像ソフト技術、光技術などを用いたセンシングコンポ商品、更にはモジュール化技術による高機能化を強みにお客様のニーズに応える新製品開発に取り組んでいます。リレー技術において、アーク遮断技術と産学連携による三次元アークシミュレーション技術により蓄電システムの充電および放電時に流れる直流電流のオン/オフ制御と安全遮断機能を1つのリレーで実現すると共に、高電圧直流電流の安全遮断プロセスを解析しその解析結果を構造設計に反映することで製品サイズをコンパクトにした高電圧直流リレーを発売しました。カーボンニュートラルの実現や災害用レジリエンス強化に向けて蓄電システムのニーズが高まっており、太陽光発電システムで作り出した電力の自家消費を目的として家庭用蓄電池は製品の高容量化が進んでいます。これを実現するにあたり製品の安全性と小型化が課題となっており、アーク制御技術とCAEによる評価・解析技術を活用することでリレーの高容量化だけでなく安全性・小型化まで実現し、再生可能エネルギーの普及を促進し、脱炭素社会の実現に貢献します。
FY2022|3,250 文字
5【研究開発活動】 当社グループは、技術の育成・強化を目的に中長期的視野に立った技術戦略を定め、研究開発を実行しています。自社の強み、コア技術として進化させ続けている「センシング&コントロール+Think」技術を技術戦略の核として、全社的視点から当社のコーポレート研究所である技術・知財本部が基盤的な技術開発を担い、各事業部門がその応用技術開発や商品開発を実施しています。主力事業である制御機器事業をはじめ、ヘルスケア事業、社会システム事業に重点的に研究開発費を割当て、製品開発およびものづくり技術の強化を実施しています。 当期の取組みとしては、ロボット技術、AI技術、センシング技術、パワーエレクトロニクス技術などの自社コア技術の継続的な高度化に加えて、学会等での社外発信を積極的に行い、「2021年度 システム制御情報学会 産業技術賞」を受賞いたしました。また、研究子会社であるオムロン サイニックエックスでは、世界最先端のロボット技術、AI技術の研究開発に取り組み、主要な国際会議でも論文が採択されています。 知的財産活動においては、技術者の特許に対するスキル向上のための社内研修を、コロナ禍においてもオンラインを活用して全技術者向けに実施すると共に、発明褒賞制度や知財表彰制度を活用することで、技術者の知財活動に対するモチベーションを向上させ、全社的に知財活動の底上げを図っています。また、モノ視点からコト視点への事業変化によって発明者の裾野が拡大していることから、技術者のみならず企画部門やプロダクトマネージャーも対象に、顧客課題・社会課題を解決するコトビジネスの発明創出も推進しています。併せて、知財を経営・事業へ積極的に生かすべく、事業や研究開発と連動させた知財戦略を策定・実行し、質・量の両側面で特許創出力を向上してきました。これらの活動の成果により、クラリベイト・アナリティクス社が知財動向の分析をもとに世界の革新企業/機関トップ100を選定する「Clarivate Top 100グローバル・イノベーター」に2017年から6年連続で選出されました。 グループ全体の研究開発に関する費用の総額は、前連結会計年度は431億84百万円、当連結会計年度は442億77百万円です。なお、研究開発費については、技術・知財本部で行っている技術開発費用52億24百万円が含まれています。 セグメントの名称 当連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)金額(百万円)インダストリアルオートメーションビジネス22,559ヘルスケアビジネス7,852ソーシアルシステムズ・ソリューション&サービス・ビジネス3,466デバイス&モジュールソリューションズビジネス5,176本社他5,224合計44,277 (1) インダストリアルオートメーションビジネス(制御機器事業) 当セグメントは、製造業における省人化、安全性の向上、新工法による歩留りの改善に関して、様々な要素技術や生産技術を開発し、新商品や、商品を組合せた制御アプリケーションを通じて価値提供をおこなっています。 省人化については、制御コントローラーとロボットコントローラーを一体化した統合コントローラーを活用し、生産設備の全ての動作を再現できる統合シミュレータを開発し、遠隔地からロボットを含む生産設備全体を監視することを可能としました。これによりWith/Postコロナにおいて技術者が国や地域を超えて移動することなく、生産設備の調整、立上げを行うことが可能となりました。加えて、ロボットとロボットハンド、周辺機器を同時にOne Controllerで制御することで、人にしかできなかったフレキシブルケーブル挿入等の複雑な組立作業の自働化を実現しました。 安全性の向上では、国際規格に定められた8種の安全機能に対応したサーボモーターを開発し、生産現場における安全性と生産性の両立を実現可能としました。 新工法による歩留りの改善では、自由度ステージ制御により微細なマイクロLEDチップの超高精度の貼り合わせの新工法の技術を創出し、デジタルデバイス業界をはじめとする製造現場で歩留り向上を実現しました。 (2) ヘルスケアビジネス(ヘルスケア事業) 当セグメントは、マーケティング部門と研究開発部門が一体となり、パーソナライズ医療の実現に向けて、真のユーザーニーズの把握・創出に努め、一層の開発スピードアップを目指しています。また研究開発部門は、一人ひとりの健康ですこやかな生活の実現に向け、脳・心血管疾患の発症ゼロを目指す「循環器事業」、喘息・COPD患者の重症化ゼロを目指す「呼吸器事業」、慢性痛による日常の活動制限ゼロを目指す「ペインマネジメント事業」の3事業領域において新しい価値を提供できる新商品の創出を目指しています。 当期の主な開発テーマとして、循環器事業においては、血圧、脈拍、心電計測技術を搭載した心機能低下を捉える新たな血圧計の開発を進め、遠隔診療サービスに向けたシステムの開発にも取り組んでいます。 呼吸器事業においては、喘息やCOPDの患者を対象に、発作の予兆や症状を計測する機器の開発に取り組んでいます。ペインマネジメント事業においては、新たな鎮痛技術を搭載した低周波治療器の開発に取り組んでいます。 (3) ソーシアルシステムズ・ソリューション&サービス・ビジネス(社会システム事業) 当セグメントは、太陽光発電用パワーコンディショナー、蓄電システム、自動改札機や券売機などの駅務システム、交通管制システム、決済システム、UPSなどのネットワーク保護といった、多岐にわたる端末・システムに対するお客様のニーズに応える商品開発に取り組んでいます。 エネルギーソリューション事業では、再生可能エネルギーへの一層の関心の高まりに応えるため、蓄電システムおよび太陽光発電用パワーコンディショナーを中心に高効率化や小型軽量化などの技術開発並びに発電した電力の自家消費ニーズに応える商品創出などに継続して取り組んでいます。 駅務システム事業、交通管制システム事業においては駅や道路など、公共の場における利用者の安心・安全・快適に貢献する商品として、AI技術・IoT技術を組み込んだ人や車の動きを検知するセンサー・システムの開発に取り組んでいます。 また、近年、社会課題となっている労働人口減少に対し、社会インフラにおける労働生産性を向上させる技術が求められる中、データサイエンス分野の技術力強化を進めています。 (4) デバイス&モジュールソリューションズビジネス(電子部品事業) 当セグメントは、エレクトロメカニカルコンポ商品(リレー、スイッチ、コネクタ)および顔認証等の組込画像ソフト技術、光技術、MEMS技術などを用いたセンシングコンポ商品、更にはモジュール化技術による高機能化を強みにお客様のニーズに応える新製品開発に取り組んでいます。 リレー技術において、従来の発熱対策であったヒートシンクなど放熱機構の簡素化による小型化軽量化や基盤の温度上昇を抑制し、機器の長寿命化に寄与すべく、業界トップクラスの超低接触抵抗値を実現し、従来の一般的な高容量リレーに比べ通電時の温度上昇を低くしました。また同程度の電流容量のコンタクタと比べ本体を低背化した高容量リレーを発売しました。 太陽光など再生可能エネルギーによる発電設備ではエネルギー変換の高効率化と共に更なる高容量化大電流化が進むことで機器の発熱によるエネルギーロス対策が社会的課題であり、機器が発熱する要因のひとつである機器内部の基板に搭載されているリレーの低接触抵抗による低発熱化の研究を進めており、太陽光発電システムのパワーコンディショナーや電源設備、関連機器の発熱課題を解決し、再生可能エネルギーの普及を促進し、脱炭素社会の実現に貢献します。
FY2020|3,140 文字
5【研究開発活動】当社グループは、技術の育成・強化を目的に中長期的視野に立った技術戦略を定め研究開発を実行しています。自社の強み、コア技術として「センシング&コントロール+Think」を位置づけ、進化させています。これを技術戦略の核として、全社的視点から当社のコーポレート研究所である技術・知財本部が基盤的な技術開発を担い、各事業部門がその応用技術開発や商品開発を実施しています。主力事業である制御機器事業をはじめ、ヘルスケア事業、社会システム事業に重点的に研究開発費を割当て、製品開発およびものづくり技術の強化を実施しています。 当期の取り組みとしては、センシング技術、制御技術、AI技術、ロボット技術、パワーエレクトロニクス技術などの自社コア技術の継続的な高度化に加えて、昨年度設立した全社イノベーションプラットフォームであるイノベーション推進本部において近未来デザインから戦略策定、事業検証までを一気通貫で行い、農業に関連した事業や地方都市の社会課題解決など新規事業の創出の加速を行いました。知的財産活動においては、技術者の特許に対するスキルを向上させる特許道場を国内外の研究開発拠点で実行すると共に、発明褒賞制度の実行により、技術者の知財活動に対するモチベーションを向上させ、全社的に知財活動の底上げを図っています。併せて、知財を経営・事業へ積極的に生かすべく、事業や研究開発と連動させた知財戦略を策定・実行し、量、質ともに特許創出力を大幅に向上させました。これらの活動の成果により、2017年から4年連続でクラリベイト アナリティクス様が知財動向の分析をもとに世界の革新企業/機関トップ100を選定する「Derwent Top 100グローバル・イノベーター2020」に選出されました グループ全体の研究開発に関する費用の総額は、前連結会計年度は493億35百万円、当連結会計年度は459億88百万円です。なお、研究開発費については、技術・知財本部で行っている技術開発費用85億53百万円が含まれています。 オペレーティング・セグメント別の研究開発費は、次のとおりです。セグメントの名称 当事業年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)金額(百万円)インダストリアルオートメーションビジネス19,964エレクトロニック&メカニカルコンポーネンツビジネス4,921ソーシアルシステムズ・ソリューション&サービス・ビジネス3,605ヘルスケアビジネス6,842その他2,103全社(共通)8,553合計45,988 オペレーティング・セグメント別の研究の目的、主要課題および研究成果は、次のとおりです。 (1) インダストリアルオートメーションビジネス(制御機器事業) 当セグメントは、製造業の生産現場や機械設備に関わる生産性や安全性の向上、品質歩留り改善に関して、さまざまな要素技術や生産技術を開発し、新商品や、商品を組合せた制御アプリケーションを通じて価値提供をおこなっています。 生産性の向上では、制御コントローラとロボットコントローラを統合し一体化した統合コントローラを開発し、ロボットを組み込んだ機械設備を高速に同期して動作させるとともに、機械設備の開発期間を大幅に短縮することを実現しました。また、AIを搭載した自律型のモバイルロボットの機種追加を行い、従来90Kgであった最大積載容量を250Kgまで拡張しました。加えて、従来から保有する画像検査機器に搬送装置との同期制御を行う制御アプリケーションを開発し、搬送の途中でも機器を止めることなく検査することを可能とし、生産時間を大幅に短縮することができました。 安全性の向上では、製造現場で作業者を検知するセーフティラインカーテンを刷新し、生産現場のあらゆる場所で使用できる機種の品揃えをおこないました。 品質歩留まり改善では、2次元コードリーダ、レーザーマーカー、コントローラを組み合わせた制御アプリケーションを開発し、従来必須であった上位サーバーを不要とする個体管理システムを開発しました。(2) エレクトロニック&メカニカルコンポーネンツビジネス(電子部品事業) 当セグメントは、リレー、スイッチ、コネクタを中心としたエレクトロメカニカルコンポ商品および、顔認証等の組込画像ソフト技術、光技術、MEMS技術などを用いたセンシングコンポ商品、更にはモジュール化技術による高機能化を強みにお客様のニーズに応える新製品開発に取り組んでいます。 光技術においては独自の光技術を駆使し、4種類の非球面レンズを組み合わせたオムロン独自の「トロイダルレンズ構造」を採用し、鏡面や黒色、透明など、検出対象の色や素材に関わらず、広い検出範囲で安定検出を実現する業務用、産業用機器組み込み用の限定反射形センサを発売しました。検出物体ごとの設定変更、物体の色や背景による誤動作、検出物体の位置ズレによる不安定動作を低減し、様々な業務のオートメーション化を実現し、お客様の課題解決に貢献します。モジュール化技術においては世界で初めて「T型回路構造」を採用し、無接点で信号を出力する長寿命で小型の半導体リレーを複数組み合わせて、半導体試験装置で課題となっていた「漏れ電流」を極小化したリレーモジュールを発売しました。高精度な測定を行う箇所で用いられていた接点式リレーの強みと小型で長寿命な半導体リレーそれぞれの特長を兼ね備え、試験装置において長年の課題であった信頼性の向上とメンテナンスによるダウンタイム削減を両立させます。 (3) ソーシアルシステムズ・ソリューション&サービス・ビジネス(社会システム事業) 当セグメントは、駅や道路など、公共の場における利用者の安心・安全・快適に貢献する商品として、AI技術・IoT技術を組み込んだ人や車の動きを検知するセンサ・システム・ロボットの開発に取り組んでいます。 また、近年、社会課題となっている労働人口減少に対し、社会インフラにおける労働生産性を向上させる技術が求められる中、データサイエンス分野の技術力強化を、大学などと共同で進めています。 (4) ヘルスケアビジネス(ヘルスケア事業) 当セグメントは、マーケティング部門と研究開発部門が一体となり、パーソナライズ医療の実現に向けて、真のユーザーニーズの把握・創出に努め、一層の開発スピードアップを目指しています。また研究開発部門は、一人ひとりの健康ですこやかな生活の実現に向け、脳・心血管疾患の発症ゼロを目指す「循環器事業」、ぜんそく患者の重症化ゼロを目指す「呼吸器事業」、薬の力を借りずに痛みの緩和を目指す「ペインマネジメント事業」の3事業領域において新しい価値を提供できる新商品の創出を目指しています。 当期の主な開発テーマとして、循環器事業においては、新たな血圧計測技術を搭載した血圧計の開発に取組んでいます。呼吸器事業においては、喘息発作の予兆や症状を計測する機器の開発に取り組んでいます。ペインマネジメント事業においては、新たな疼痛緩和技術を搭載した低周波治療器の開発に取り組んでいます。 (5) その他 その他のセグメントは、事業の育成・強化や新規事業の探索・育成を目的とした事業を、本社直轄で担当しており、環境事業、バックライト事業などが含まれます。 環境事業では、再生可能エネルギーへの一層の関心の高まりに応えるため、蓄電システム用機器および太陽光発電用パワーコンディショナを中心に高効率化や小型軽量化などの技術開発並びに発電した電力の自家消費ニーズに応える商品創出などに継続して取り組んでいます。
FY2019|3,522 文字
5【研究開発活動】当社グループは、技術の育成・強化を目的に中長期的視野に立った技術戦略を定め研究開発を実行している。自社の強み、コア技術として「センシング&コントロール+Think」を位置づけ、進化させている。これを技術戦略の核として、全社的視点から当社のコーポレート研究所である技術・知財本部が基盤的な技術開発を担い、各事業部門がその応用技術開発や商品開発を実施している。主力事業である制御機器事業をはじめ、ヘルスケア事業、車載事業およびエネルギーマネジメント事業に重点的に研究開発費を割当て、製品開発およびものづくり技術の強化を実施している。当期の取り組みとしては、センシング技術、制御技術、AI技術、ロボット技術、パワーエレクトロニクス技術などの自社のコア技術の高度化を進めるとともに、オープンイノベーション、中長期を見据えた新規技術の開発の推進や人財育成・獲得の仕組みを整備・実行してきた。また、近未来デザインから戦略策定、事業検証までを一気通貫で担う全社イノベーションプラットフォームとしてのイノベーション推進本部を設立し、オムロン全社横断型でのイノベーション加速を図ってきた。知的財産活動においては、技術者の特許に対するスキルを向上させる特許道場を国内外の研究開発拠点で実行すると共に、発明褒賞制度の実行により、技術者の知財活動に対するモチベーションを向上させ、全社的に知財活動の底上げを図ってきた。併せて、将来を見据えた知財戦略の実行により、量、質ともに特許創出力を大幅に向上させた。これらの活動の成果により、一昨年から3年連続でクラリベイト アナリティクス様が知財動向の分析をもとに世界の革新企業/機関トップ100を選定する「Top 100グローバル・イノベーター2018-19」に選出された。 グループ全体の研究開発に関する費用の総額は、前連結会計年度は590億77百万円、当連結会計年度は577億77百万円である。なお、研究開発費については、技術・知財本部で行っている技術開発費用95億21百万円が含まれている。 オペレーティング・セグメント別の研究開発費は、次のとおりである。セグメントの名称 当年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)インダストリアルオートメーションビジネス23,280エレクトロニック&メカニカルコンポーネンツビジネス5,119オートモーティブエレクトロニックコンポーネンツビジネス8,370ソーシアルシステムズ・ソリューション&サービス・ビジネス2,776ヘルスケアビジネス6,705その他2,006全社(共通)9,521合計57,777 オペレーティング・セグメント別の研究の目的、主要課題および研究成果は、次のとおりである。 (1) インダストリアルオートメーションビジネス(制御機器事業)当セグメントは、製造業の生産現場や機械設備に関わる生産性や安全性の向上、品質歩留り改善に関して、さまざまな要素技術や生産技術を開発し、新商品を通じて価値提供を行っている。生産性の向上では、AIを活用した画像検査技術、新たな照明技術を開発し、従来は人にしかできない製品の検査を自動化した。また、レンズ、カメラ、コントローラ一体型の画像検査機器を開発し、従来の検査性能は維持したまま、画像検査機器および装置全体の小型化を可能とした。加えて、10種の機械故障を予知するAI技術を開発、また、装置のさまざまな状態をセンシングするセンサの品揃えを拡充し、装置の突発的な停止につながる故障要因の予知可能な範囲を大幅に拡大した。安全性の向上では、工場におけるロボットと生産設備を安全に連携させる2種類の標準ネットワークを搭載した安全コントローラを開発し、作業者の安全を確保すると同時に、製造ライン全体を統合管理することで製品の滞留を防ぎ生産性を向上させた。品質歩留まり改善では、製品品質保証に必要な個体管理を可能とする2次元コードリーダを開発し、保有するレーザーコードマーカー、標準上位通信機能を搭載したコントローラを組み合わせて、個体管理システムを構築可能とした。 (2) エレクトロニック&メカニカルコンポーネンツビジネス(電子部品事業) 当セグメントは、リレー、スイッチ、コネクタを中心としたエレクトロメカニカルコンポ商品および、顔認証等の組込画像ソフト技術、光技術、MEMS技術などを用いたセンシングコンポ商品を有し、高度なものづくり技術を強みにお客様のニーズに応える新製品開発に取り組んでいる。 MEMS技術においては独自のデバイス技術を駆使し、加速度、VOCガスなど7種類のセンシング機能を小型パッケージに搭載した複合型センシングコンポーネント「USB型環境センサ」を発売した。ルータやゲートウェイなどの機器に組み込みやすく、また、センサ本体に内蔵したBluetooth®Low Energy技術によるビーコン通信や機器側のネットワークを介してクラウドサーバー等に様々な環境情報をリアルタイムに送信できる。ユーザーは、例えば収集した加速度データを元に、オムロン独自の感震アルゴリズムから地震の大きさを表わす震度階級とも相関性の高いSI値を算出することで地震を検知し、機器への電源供給を蓄電池に切り替えることができる。また、ホルムアルデヒドなどシックハウス症候群の原因となるVOCガスの早期検知による健康被害防止や宿泊施設での臭いなどを検知して空調を制御することができる。これら様々な用途においてIoTソリューションやサービス創出に貢献する。 (3) オートモーティブエレクトロニックコンポーネンツビジネス(車載事業) 当セグメントは、車の安全性やセキュリティ性を高める分野として、自動車の窓やスライドドア、ワゴン車などの後部扉であるテールゲートの自動開閉時に乗員の安全性を確保するためのモータ制御技術、快適性や燃費向上に貢献する分野としては、ステアリング操舵力をアシストする電動パワーステアリングコントロール技術、および利便性を向上する分野としてキー操作不要でドアの開閉やエンジン始動認証をおこなうシステムの商品開発に取り組んでいる。また、環境負荷低減に貢献する小型化、軽量化、省エネ化を実現する技術やアイドリングストップシステム用電圧制御技術、自動運転車に必要となる車内外監視用インテリジェントセンサなど、次世代商品のコアとなる研究開発を進め、商品価値のさらなる向上を目指している。 (4) ソーシアルシステムズ・ソリューション&サービス・ビジネス(社会システム事業) 当セグメントは、駅や道路など、公共の場における利用者の安心・安全・快適に貢献する商品として、AI技術・IoT技術を組み込んだ人や車の動きを検知するセンサ・システム・ロボットの開発に取り組んでいる。 また、近年大きな社会課題として注目されている、老朽化した構造物の状態把握や劣化診断をセンシングする研究開発を、大学などと共同で進めている。 (5) ヘルスケアビジネス(ヘルスケア事業) 当セグメントは、マーケティング部門と研究開発部門が一体となり、真のユーザーニーズの把握・創出に努め、一層の開発スピードアップを目指している。また研究開発部門は、一人ひとりの健康ですこやかな生活の実現に向け、脳・心血管疾患の発症ゼロを目指す「循環器事業」、小児ぜんそく患者の重症化ゼロを目指す「呼吸器事業」、薬の力を借りずに痛みの緩和を目指す「ペインマネジメント事業」の3事業領域において新しい価値を提供できる新商品の創出を目指している。 当期の主な開発テーマとして、循環器事業においては、血圧と心電の同時測定が可能な機器の開発に取り組んでいる。呼吸器事業においては、小児ぜんそく患者の発作の兆候を検知する喘鳴測定器の開発に取り組んでいる。ペインマネジメント事業においては、これまでにない新たな疼痛緩和技術を搭載した低周波治療器の開発に取り組んでいる。 (6) その他 その他のセグメントは、事業の育成・強化や新規事業の探索・育成を目的とした事業を、本社直轄で担当しており、環境事業、バックライト事業などが含まれる。 環境事業では、再生可能エネルギーへの関心の高まりを受けた社会ニーズに応えるため、太陽光発電用パワーコンディショナおよび蓄電システム用機器を中心に高効率化や小型軽量化などの技術開発に継続して取り組んでいる。 バックライト事業では、ウェアラブル・VR・OA機器・アミューズ向け光制御技術と金型成形の技術開発に取り組んでいる。
FY2018|3,338 文字
5【研究開発活動】当社グループは、技術の育成・強化を目的に中長期的視野に立った技術戦略を定め研究開発を実行している。自社の強み、コア技術として「センシング&コントロール+Think」を位置づけ、進化させている。これを技術戦略の核として、全社的視点から当社のコーポレート研究所である技術・知財本部が基盤的な技術開発を担い、各事業部門がその応用技術開発や商品開発を実施している。主力事業である制御機器事業をはじめ、ヘルスケアおよび車載事業に重点的に研究開発費を割当て、製品開発およびものづくり技術の強化を実施している。当期の取り組みとしては、センシング技術、制御技術、AI技術、ロボット技術、パワーエレクトロニクス技術などの自社のコア技術の高度化を進めるとともに、オープンイノベーション、中長期を見据えた新規技術の開発の推進や人財育成・獲得の仕組みを整備・実行してきた。知的財産活動においては、技術者の特許に対するスキルを向上させる特許道場や新褒賞制度の実行により、技術者の知財活動に対するモチベーションを向上させ、全社的に知財活動の底上げを図ると共に、将来を見据えた知財戦略の実行により、量、質ともに特許創出力を大幅に向上させた。これらの活動の成果により、昨年度に引き続きクラリベイト アナリティクス様が知財動向の分析をもとに世界の革新企業/機関トップ100を選定する「Top 100 グローバル・イノベーター2017」に選出された。 グループ全体の研究開発に関する費用の総額は、前連結会計年度は506億97百万円、当連結会計年度は591億34百万円である。なお、研究開発費については、技術・知財本部で行っている技術開発費用99億86百万円が含まれている。 オペレーティング・セグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果および研究開発費は、次のとおりである。 (1) インダストリアルオートメーションビジネス(制御機器事業)当セグメントは、製造業の生産現場や機械設備に関わる生産性や安全性の向上、品質歩留り改善に関して、さまざまな要素技術や生産技術を開発し、新商品を通じて価値提供をおこなっている。生産現場の生産性の向上については、生産人材の不足という社会課題に対する解決策の一つとして、ロボットと画像センサの親和性を高め、ばら積みされた部品を自動で整列させるシステムを開発した。機械設備の生産性と安全性の向上については、NC機能を付加した産業用コントローラを開発しサーボドライブの商品ラインナップを拡充することで、さらなる高速・高精度の加工を可能とした。また工場のIoT化の要求に対応するため、コントローラの通信機能を強化するとともにセキュリティ機能の強化を行った。加えて独自のAI技術を強化するとともにセンシング機器の拡充を図り、機械設備の故障の予知を行う機器群の拡充を図った。さらに生産現場において生産設備とセンサ機器の衝突による故障を防ぐために、磁気センシング技術を進化させ、世界最長の検出距離を持った近接センサを商品化した。品質歩留り改善については、画像センシング技術を進化させ、外観検査の自動化技術の改良を行った。 当セグメントに係る研究開発費は、210億7百万円である。 (2) エレクトロニック&メカニカルコンポーネンツビジネス(電子部品事業) 当セグメントは、リレー、スイッチ、コネクタを中心としたエレクトロメカニカルコンポ商品および人・顔・顔器官等を検知する組込型画像ソフトや光・電磁界・MEMS技術などを用いたセンシングコンポ商品を有し、多様なコア技術と高度なものづくり技術を強みに、商品のQCD高度化や新商品開発を通じて価値提供を行っている。 進化するお客様のニーズに応えるために、核となる商品の標準化・シリーズ化や当社が保有する基盤技術の結合によるモジュール型商品の開発も行い、アプリケーションにフィットした新たな顧客価値創造を進めている。 MEMS技術関連では、人からの放射温度をビル等の部屋の天井から検出することで、人の数を高精度に検出できるMEMS非接触温度センサを内蔵したサーモパイル型人感センサを開発している。人の特徴点を捉えるアルゴリズムにより様々な熱源(人、OA機器等)から高精度に人数把握が可能となり、人数に応じた照明や空調換気、更には床の放射温度検知による快適な空調温度設定する省エネと快適性の両立制御が出来ると共に、災害時の在室者の把握による防災効果の向上にも貢献している。 当セグメントに係る研究開発費は、52億61百万円である。 (3) オートモーティブエレクトロニックコンポーネンツビジネス(車載事業) 当セグメントは、車の安全性やセキュリティ性を高める分野として、自動車の窓やスライドドア、ワゴン車などの後部扉であるテールゲートの自動開閉時に乗員の安全性を確保するためのモータ制御技術、快適性や燃費向上に貢献する分野としては、ステアリング操舵力をアシストする電動パワーステアリングコントロール技術、および利便性を向上する分野としてキー操作不要でドアの開閉やエンジン始動認証をおこなうシステムの商品開発に取り組んでいる。また、環境負荷低減に貢献する小型化、軽量化、省エネ化を実現する技術やアイドリングストップシステム用電圧制御技術、自動運転車に必要となる車内外監視用インテリジェントセンサなど、次世代商品のコアとなる研究開発を進め、商品価値のさらなる向上を目指している。 当セグメントに係る研究開発費は、104億81百万円である。 (4) ソーシアルシステムズ・ソリューション&サービス・ビジネス(社会システム事業) 当セグメントは、駅や道路など、公共の場における利用者の安心・安全・快適に貢献する商品として、人や車の動きを検知するセンサ・システムの開発に取り組んでいる。 また、近年大きな社会課題として注目されている、老朽化した構造物の状態把握や劣化診断をセンシングする研究開発を、大学などと共同で進めている。 当セグメントに係る研究開発費は、20億63百万円である。 (5) ヘルスケアビジネス(ヘルスケア事業) 当セグメントは、マーケティング部門と研究開発部門が一体となり、真のユーザーニーズの把握・創出に努め、一層の開発スピードアップを目指している。また研究開発部門は、一人ひとりの健康ですこやかな生活の実現に向け、脳・心血管疾患の発症ゼロを目指す「循環器事業」、小児ぜんそく患者の重症化ゼロを目指す「呼吸器事業」、薬の力を借りずに痛みの緩和を目指す「ペインマネジメント事業」の3事業領域において新しい価値を提供できる新商品の創出を目指している。 当期の主な開発テーマとして、循環器事業においては、常時血圧測定が可能な腕時計型血圧計の開発に取り組んでいる。呼吸器事業においては、小児ぜんそく患者の発作の兆候を検知する喘鳴測定器の開発に取り組んでいる。ペインマネジメント事業においては、これまでにない新たな疼痛緩和技術を搭載した低周波治療器の開発に取り組んでいる。 当セグメントに係る研究開発費は66億84百万円である。 (6) その他 その他のセグメントは、主として新規事業の探索・育成と社内カンパニーに属さない事業の育成・強化を担当する領域であり、環境事業、電子機器事業、マイクロデバイス事業、バックライト事業が含まれる。 環境事業では、再生可能エネルギーへの関心や電力自由化の流れを受けた社会ニーズに応えるため、太陽光発電用パワーコンディショナの高効率化・小型軽量化、蓄電池の利用効率向上などの技術開発に継続して取り組んでいる。 マイクロデバイス事業では、長年培ったMEMS技術による小型センシング技術で環境や健康に関する情報を精度良く読み取り、センサネットワーク社会に新しいソリューションを創出することで、社会の継続的発展に貢献している。 バックライト事業では、ウェアラブル・VR・OA機器・アミューズ向け光制御技術と金型成形の技術開発に取り組んでいる。 当セグメントに係る研究開発費は、36億52百万円である。
FY2017|3,379 文字
6【研究開発活動】当社グループは、技術の育成・強化を目的に中長期的視野に立った技術戦略を定め研究開発を実行している。 自社の強み、コアコンピタンスとして「センシング&コントロール」を位置づけ、そこに人の知恵を表す「Think」という概念を加えてコア技術を進化させている。これを技術戦略の核として、全社的視点から当社のコーポレート研究所である技術・知財本部が基盤的な技術開発を担い、各事業部門がその応用技術開発や商品開発を実施している。主力事業である制御機器事業をはじめ、ヘルスケアおよび車載事業に重点的に研究開発費を割当て、製品開発およびものづくり技術の強化を実施している。 当期の取り組みとしては、センシング技術、制御技術、AI技術、パワーエレクトロニクス技術などの自社のコア技術の高度化を進めるとともに、オープンイノベーション、中長期を見据えた新規技術の開発の推進や人財育成の仕組みを整備・実行してきた。 知的財産活動においては、世界最強の知財力を目指す方針のもと、知財改革に取り組んでいる。また、知財力の世界最強化を加速するために発明褒賞制度を36年ぶりに全面改定した。今年度は、クラリベイト アナリティクス様が知財動向の分析をもとに世界の革新企業/機関トップ100を選出する「Top 100 グローバル・イノベーター 2016」に選出された。 グループ全体の研究開発に関する費用の総額は、第79期は527億90百万円、第80期は506億97百万円である。なお、研究開発費については、技術・知財本部で行っている技術開発費用87億3百万円が含まれている。 オペレーティング・セグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果および研究開発費は、次のとおりである。 (1) インダストリアルオートメーションビジネス(制御機器事業)当セグメントは、製造業の生産現場や機械設備に関わる生産性や安全性の向上、品質歩留り改善に関して、さまざまな要素技術や生産技術を開発し、新商品を通じて価値提供をおこなっている。生産現場の生産性の向上については、生産人材の不足という社会課題に対する解決策の一つとして、ロボットと画像センサや制御コントローラとの親和性を高め、従来困難であった生産作業の自動化に貢献した。加えて、生産における部品や製品の搬送自動化にも取り組み、独自のAI技術を搭載し自律走行を行う自動搬送モバイルロボットを開発した。機械設備の生産性と安全性の向上については、多軸モーションコントローラやサーボドライブの性能を強化し、さらなる高速・高精度の加工を可能とした。加えて、拡大する新興国の需要に対応するため、センサ、コントローラ、ドライブといった制御機器や安全機器の低価格化を実現し、商品ラインナップの拡充を図った。また、コアコンピタンスであるセンシング&コントロール技術にAI技術を加えることで、機械設備の故障を予知し未然に防止する技術の開発に取り組んだ。 品質歩留り改善については、製品の高品質化の要求に対し、画像センシング技術を強化し、従来人にしか判定できなかった細かな傷などの外観検査の自動化を実現した。 当セグメントに係る研究開発費は、164億49百万円である。 (2) エレクトロニック&メカニカルコンポーネンツビジネス(電子部品事業) 当セグメントは、リレー、スイッチ、コネクタを中心としたエレクトロメカニカルコンポ商品および顔認証等の組込画像ソフト技術、光技術、MEMS技術などを用いたセンシングコンポ商品を有し、高度なものづくり技術を強みにお客様のニーズに応える新製品開発に取り組んでいる。 独自の顔画像センシング技術「OKAO Vision」とカメラモジュールを一体化し、従来機よりも認識速度を最大10倍にしたことで検出範囲内に入った人を追跡可能なヒューマンビジョンコンポ新製品を発売した。長距離検出タイプと広角検出タイプの2種類を用意し、機器の利用者にカメラを意識させることなく、人の表情や性別、年齢、視線、目つむりなど属性や状態を検出・推定できる。 また、ビルや工場の天井に設置し、オムロン独自の画像センシング技術により、最大5mの高さから人の位置と人数を高精度に検出するビルオートメーション向け画像型人感センサを開発している。人の存在を赤外線センサで捉える方式とは異なり、人の数と位置情報を元に室内状況に合わせたきめ細やかで最適な空調・照明制御で省エネと快適性を両立し、スマートビルディングの実現に貢献する。 当セグメントに係る研究開発費は、45億66百万円である。 (3) オートモーティブエレクトロニックコンポーネンツビジネス(車載事業) 当セグメントは、車の安全性やセキュリティ性を高める分野として、自動車の窓やスライドドア、ワゴン車などの後部扉であるテールゲートの自動開閉時に乗員の安全性を確保するためのモータ制御技術、快適性や燃費向上に貢献する分野としては、ステアリング操舵力をアシストする電動パワーステアリングコントロール技術、および利便性を向上する分野としてキー操作不要でドアの開閉やエンジン始動認証をおこなうシステムの商品開発に取り組んでいる。また、環境負荷低減に貢献する小型化、軽量化、省エネ化を実現する技術やアイドリングストップシステム用電圧制御技術、電気自動車用電源監視制御技術、衝突予防や回避に必要な車外監視用インテリジェントセンサなど、次世代商品のコアとなる研究開発を進め、商品価値のさらなる向上を目指している。 当セグメントに係る研究開発費は、92億31百万円である。 (4) ソーシアルシステムズ・ソリューション&サービス・ビジネス(社会システム事業) 当セグメントは、駅や道路など、公共の場における利用者の安心・安全・快適に貢献する商品として、人や車の動きを検知するセンサ・システムの開発に取り組んでいる。 また、近年大きな社会課題として注目されている、老朽化した構造物の状態把握や劣化診断をセンシングする研究開発を、大学などと共同で進めている。 当セグメントに係る研究開発費は、18億46百万円である。 (5) ヘルスケアビジネス(ヘルスケア事業) 当セグメントは、マーケティング部門と研究開発部門が一体となり、真のユーザーニーズの把握・創出に努め、一層の開発スピードアップを目指している。また研究開発部門は、一人ひとりの健康ですこやかな生活の実現に向け、「血圧計を中心とした循環器領域」、「喘息やCOPDなどの呼吸器領域」、「低周波治療器を中止としたペインマネジメント領域」の3事業領域において新しい価値を提供できる新商品の創出を目指している。 当期の主なテーマとして、循環器領域においては、血圧測定の頻度をあげ、いつでも血圧が測定できる超小型手首式血圧計の開発に取り組んでいる。 呼吸器領域においては、小児喘息患者の発作の兆候を検知する喘鳴測定器の開発に取り組んでいる。 ペインマネジメント領域においては、これまでにない新たな疼痛緩和技術を搭載した低周波治療器の開発に取り組んでいる。 当セグメントに係る研究開発費は62億14百万円である。 (6) その他 その他のセグメントは、主として新規事業の探索・育成と社内カンパニーに属さない事業の育成・強化を担当する領域であり、環境事業、電子機器事業、マイクロデバイス事業、バックライト事業が含まれる。 環境事業では、再生可能エネルギーへの関心や電力自由化の流れを受けた社会ニーズに応えるため、太陽光発電用パワーコンディショナの高効率化・軽量化、蓄電池の利用効率向上などの技術開発に継続して取り組んでいる。 マイクロデバイス事業では、長年培ったMEMS技術による小型センシング技術で環境や健康に関する情報を精度良く読み取り、センサネットワーク社会に新しいソリューションを創出することで、社会の継続的発展に貢献している。 バックライト事業では、車載用およびノートPC用などの大判化光源技術に対応する要素技術開発及びウエアラブル(AR/VR)機器用の部品ユニット事業化に向けた技術開発に取り組んでいる。 当セグメントに係る研究開発費は、36億88百万円である。
FY2016|3,588 文字
6【研究開発活動】当社グループは、技術の育成・強化を目的に中長期的視野に立った技術戦略を定め研究開発を実行している。自社の強み、コアコンピタンスとして「センシング&コントロール」を位置付け、これを技術戦略の核として、全社的観点から当社のコーポレート研究所である技術・知財本部が基盤的な技術開発を担い、各事業部門がその応用技術開発や商品開発を実施している。主力事業である制御機器および電子部品事業に重点的に研究開発費を割当て、製品開発およびものづくり技術の強化を実施している。 当期の取り組みとしては、センシング技術、制御技術、知識情報処理技術、パワーエレクトロニクス技術、ネットワーク技術、組込技術などの高度化を進めるとともに、自社のコア技術強化、社外との提携によるオープンイノベーション、中長期を見据えた新規技術の開発の推進に向け、仕組みを整備・実行してきた。 知的財産活動においては、長期的な視点に立ち、事業戦略及び技術戦略と整合した知財戦略に基づき、三位一体での知財活動を実行している。今年度は、経済産業省・特許庁が実施している平成27年度「知財功労賞」において、経済産業大臣表彰を受賞した。 グループ全体の研究開発に関する費用の総額は、第78期は479億13百万円、第79期は527億90百万円である。なお、研究開発費については、技術・知財本部で行っている技術開発費用75億83百万円が含まれている。 オペレーティング・セグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果および研究開発費は、次のとおりである。(1) インダストリアルオートメーションビジネス(制御機器事業)当セグメントは、製造業の生産現場や機械設備に関わる生産性や安全性の向上、品質歩留り改善に関して、さまざまな要素技術や生産技術を開発し、新商品を通じて価値提供をおこなっている。機械設備の性能・生産性向上については、世間の先端ICTや半導体技術などをもとに、厳しいFA環境に耐えうる信頼性やリアルタイム性を確保した高速高精度処理技術を開発・横展開し、生産機械の構成要素である入力~処理~出力~通信機能を受け持つ各種コンポの高速高精度化と商品バリエーション強化に取り組んだ。さらに、これら機械制御に安全制御を統合するコンポ群および設計環境を実現し、生産性と安全性の両立という顧客課題の解決手段を提供可能とした。さらに、IoTの進化、人と機械が協働する生産現場といった近未来のモノづくりを見据えて、情報ハンドリングやロボットなどに技術分野を拡大している。生産設備の制御盤や機械・製造ライン周辺に用いる各種産機コンポ群においても、基本性能強化やユーザビリティ改善を進めて顧客の利便性向上に努めるとともに、新たな工法技術開発を通じて商品のコスト競争力強化を継続中である。 製品品質向上関連については、使用環境の変動に影響しにくい光学・画像検査計測技術の継続強化のほか、新たな市場トレンドである金属異物判別を可能にしたフィルム傷検査向け計測技術を開発し、商品化を実現した。 当セグメントに係る研究開発費は、181億80百万円である。 (2) エレクトロニック&メカニカルコンポーネンツビジネス(電子部品事業) 当セグメントは、リレー、スイッチ、コネクタを中心としたエレクトロメカニカルコンポ商品および顔認証等の組込画像ソフト技術、光技術、MEMS技術などを用いたセンシングコンポ商品を有し、高度なものづくり技術を強みにお客様のニーズに応える新製品開発に取り組んでいる。 独自の顔画像センシング技術「OKAO Vision」を活用し、表情や性別、年齢、視線、ジェスチャーなど人の状態を認識してスマートフォン等へ送信、操作できるネットワークカメラセンサ「ヒューマンビジョンコンポ家族目線」を発売した。更に膨大な画像データから最適な顔写真を検索できる企業向けソフトウェア「画像検索ライブラリー」を発売した。家族やペットの見守り、病院や学校等での見守り、小売や飲食店等でのマーケティングなど”IoT”の進展による多様なニーズに応えるソリューションコンポで新たな価値と機会を提供する。 また、MEMS3軸加速度センサと独自のSI値演算アルゴリズムによる世界最小クラスのサイズと高精度な地震検知を実現した感震センサを発売した。地震の揺れの大きさを表す震度階級とも相関性の高いSI値を採用することで震度5強相当以上の揺れを高精度に判定し装置や設備の的確な停止を行う。加えて通信機能によりネットワーク化し建物などの被害状況を把握し、地震発生後の復旧対策や二次被害防止などへ活用し、安全、安心の確保に貢献する。 当セグメントに係る研究開発費は、48億80百万円である。 (3) オートモーティブエレクトロニックコンポーネンツビジネス(車載事業) 当セグメントは、車の安全性やセキュリティ性を高める分野として、自動車の窓やスライドドア、ワゴン車などの後部扉であるテールゲートの自動開閉時に乗員の安全性を確保するためのモータ制御技術、快適性や燃費向上に貢献する分野としては、ステアリング操舵力をアシストする電動パワーステアリングコントロール技術、および利便性を向上する分野としてキー操作不要でドアの開閉やエンジン始動認証をおこなうシステムの商品開発に取り組んでいる。また、環境負荷低減に貢献する小型化、軽量化、省エネ化を実現する技術やアイドリングストップシステム用電圧制御技術、電気自動車用電源監視制御技術、衝突予防や回避に必要な車外監視用インテリジェントセンサなど、次世代商品のコアとなる研究開発を進め、商品価値のさらなる向上を目指している。 当セグメントに係る研究開発費は、92億77百万円である。 (4) ソーシアルシステムズ・ソリューション&サービス・ビジネス(社会システム事業) 当セグメントは、駅や道路など、公共の場における利用者の安心・安全に貢献する商品として、人や車の動きを検知するセンサ・システムの開発に取り組んでいる。 また、近年大きな社会課題として注目されている、老朽化した構造物の状態把握や劣化診断をセンシングする研究開発を、大学などと共同で進めている。 当セグメントに係る研究開発費は、21億54百万円である。 (5) ヘルスケアビジネス(ヘルスケア事業) 当セグメントは、マーケティング部門と研究開発部門が一体となり、真のユーザーニーズの把握・創出に努め、一層の開発スピードアップを目指している。また研究開発部門は、一人ひとりの健康ですこやかな生活の実現に向け、「血圧計を中心とした循環器領域」、「喘息やCOPDなどの呼吸器領域」、「低周波治療器を中止としたペインマネジメント領域」の3事業領域において新しい価値を提供できる新商品の創出を目指している。 当期の主なテーマとして、循環器領域においては、血圧測定の頻度をあげ、疾病リスクの管理に向けた本体カフ一体型の上腕式血圧計と、いつでも血圧が測定できる超小型手首式血圧計の開発に取り組んでいる。 呼吸器領域においては、家庭で高濃度の酸素を吸入することで、疲労回復や、呼吸器系の軽度疾患の治療を目的とした酸素発生器を開発、中国にて販売を開始した。 ペインマネジメント領域においては、血行を促進する温熱治療とコリや痛みを緩和する低周波治療の両方を行えるコンパクトなデザインの温熱低周波治療器を開発し販売開始した。 当セグメントに係る研究開発費は61億12百万円である。 (6) その他 その他のセグメントは、主として新規事業の探索・育成と社内カンパニーに属さない事業の育成・強化を担当する領域であり、環境事業、電子機器事業、マイクロデバイス事業、バックライト事業が含まれる。 環境事業では、太陽光発電用パワーコンディショナの高効率化、軽量化などの技術開発に継続して取り組んでいる。また、成長が期待される電力自由化市場に向けて、業界最小サイズの蓄電池ユニットを搭載したハイブリッド蓄電システムを開発し、商品化した。 マイクロデバイス事業では、長年培ったMEMS技術をベースにした環境や健康に関する情報を高精度に読み取る小型センサデバイスをもとに、センサネットワーク社会に新しいソリューションを創出することで、社会の継続的発展に貢献している。 バックライト事業では、変化の激しいスマートフォン市場のトレンドを捉えてお客様からのニーズに応えるため、高性能バックライトユニットのコア技術である薄型導光板の射出成型金型技術、圧縮成形金型技術、シート型導光板技術、狭額縁技術等の継続的なブラッシュアップに取り組んでいる。 当セグメントに係る研究開発費は、46億4百万円である。