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ダブル・スコープ(6619)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

電気機器 電機・精密

事業の概要

ダブル・スコープグループは、リチウムイオン二次電池の主要材料であるセパレータと、イオン交換膜の製造・販売を主な事業としています。セパレータは、電池の正極と負極を隔てつつリチウムイオンを通し、異常時には電池の機能を安全に停止させる重要な役割を担っています。この製造には、数ミクロンレベルの厚さ管理や100ナノメートル前後の微孔を均一に分布させる高い技術が必要です。また、セパレータで培った技術を応用し、水処理や電気分解などに使われるイオン交換膜の事業も展開しています。

出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成

ダブル・スコープグループの事業セグメントは、「セパレータ事業」と「イオン交換膜事業」の2つです。セパレータ事業は、リチウムイオン二次電池の主要材料であるセパレータの製造・販売を行い、グループの売上高の大部分を占める主力事業です。イオン交換膜事業は、セパレータで培った技術を応用し、浄水や電気分解などに使われるイオン交換膜の製造・販売を行っており、新規事業として立ち上げられました。最新年度の売上高は、セパレータ事業が22.11億円、イオン交換膜事業が14.19億円であり、セパレータ事業が引き続き主要な収益源となっています。製品の製造は主に韓国で行われ、アジア、欧州、米国などグローバルに展開しています。

2026-01 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
SeparatorReportableSegment 事業 22
IonExchangeMembraneReportableSegment 事業 14
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|1,775 文字
3 【事業の内容】当社及び当社の関係会社は、当社と連結子会社2社(W-SCOPE KOREA CO.,LTD.、W-SCOPE HONGKONG CO.,LIMITED)並びに持分法適用関連会社2社(W-SCOPE CHUNGJU PLANT CO.,LTD.、LIB Material Investment Fund 1)の合計5社(以下、「当社グループ」)で構成されております。当社グループはリチウムイオン二次電池用セパレータ及びイオン交換膜の製造・販売を主たる事業とし、アジア、欧州及び米国等に拠点を置くリチウムイオン二次電池メーカーやリチウム精製プラントを主要な顧客としております。リチウムイオン二次電池の主要材料は、正極材、負極材、電解液、セパレータであり、4つの主要材料以外に、銅箔、バインダー、添加剤など関連部材は、20~30点ありますが、リチウムイオン二次電池の性能と価格は主要材料によってほとんど決定されております。当社グループの主要製品のセパレータには、一般的にポリオレフィン製の微多孔膜が用いられており、正極材と負極材を隔離しつつ、正極・負極間のリチウムイオンの伝導性を確保する役割があります。また電池が異常発熱し高温状態になった場合、ポリオレフィンが溶融して孔を塞ぐ安全機構(シャットダウン特性)により、リチウムイオンの移動を阻止して安全に電池の機能を停止させる重要な役割があり、電池の安全性を担っています。セパレータは、リチウムイオン二次電池の繰り返し充放電機能を支える中核部品であり、製造においては高分子設計、高分子材料加工(フィルム化、多孔質化)など複数の技術が必要とされております。具体的には、数ミクロンレベルでの厚さの作り分け及び厚さ管理が要求され、さらに直径100ナノメートル前後の微孔を均一に分布させる高い技術と製造ノウハウが必要とされております。 当社製品出荷仕様 当社製品5万倍拡大写真 リチウムイオン二次電池用セパレータの最終製品への流れは、以下のとおりであります。 また、リチウムイオン二次電池用セパレータで培ったメンブレン技術を応用し、数年前からイオン交換膜の事業化に取り組んでおり、当期からイオン交換膜事業を新規事業として立ち上げました。イオン交換膜とは陽イオン又は陰イオンのうち選択的移動分離機能をする合成樹脂膜で浄水、濃縮、抽出、脱塩、電気分解などに使用されます。 イオン交換膜には、機能別に、陽イオン交換膜(CEM: Cation Exchange Membrane)、陰イオン交換膜(AEM: Anion Exchange Membrane)及び双極交換膜(BEM: Bipolar Exchange Membrane)の3種類があります。W-SCOPE KOREA CO.,LTD.ではこの3種類のイオン交換膜及びこれらを組み合わせた双極電気透析(BPED)モジュールの量産販売を2024年より開始しております。当社製品は、長年セパレータ事業にて蓄積された成膜技術を最大限に生かし、柔軟な製品設計と高い価格競争力を有し、すでにリチウム析出事業等に採用されています。今後はさらに水処理事業、水電解事業等に参入していくことを計画しております。 (当社グループの生産・販売・研究開発体制) 当社グループの製品(セパレータ、イオン交換膜)の製造は、連結子会社W-SCOPE KOREA CO., LTD.(以下、WSK)と持分法適用関連会社W-SCOPE CHUNGJU PLANT CO., LTD.(以下、WCP)で行っております。当社グループでは当社にてアジア、米国市場及びグループ全体での営業活動を統括し、WSKからは主に民生向けセパレータ及びイオン交換膜をアジア、欧州市場へ、WCPからは車載向けセパレータをアジア、欧州市場へ、WSKの連結子会社W-SCOPE HONGKONG CO., LIMITEDは主に民生向けセパレータを中国、香港市場へ営業活動を展開しております。また、当社グループの研究開発活動は、WSK及びWCPの開発部門にて行っており、超薄膜化及び高耐熱セパレータの開発や新規メンブレンフィルムの開発に取組んでおります。 事業の系統図は、次のとおりであります。(以下図示)

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2026時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
大手企業が市場シェアの大半を占め、当社は後発企業として競合するため
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
数ミクロンレベルの厚さの作り分け、直径100ナノメートル前後の微孔を均一に分布させる技術
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 高い(依存)
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 成長投資
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 中程度
会社が挙げる主要リスク:セパレータ事業への収益依存 / 競合他社との競争 / 技術革新とライフサイクルの短期化
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 6 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

財務データが未収録のため、ブランド力、特許、規制ライセンス、独占的IPに関する具体的な評価は不可能。公開情報からは明確な無形資産の存在は確認できない。

スイッチングコスト★☆☆☆☆
根拠:弱い乗り換えの手間・コスト

リチウムイオン電池セパレータというニッチな市場であり、顧客(電池メーカー)との関係性は構築されていると考えられるが、顧客が他社製品に切り替える際の具体的なコストやリスクに関する情報は乏しい。現時点では弱いスイッチング・コストの可能性を示唆するに留まる。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

リチウムイオン電池セパレータ事業は、直接的なネットワーク効果を生み出す性質のものではない。プラットフォーム型ビジネスではないため、ユーザー数の増加が製品価値を直接高める構造ではない。

コスト優位★★☆☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

セパレータ製造における生産技術や歩留まりの改善はコスト競争力に寄与する可能性がある。しかし、競合他社とのコスト構造の優位性を示す具体的なデータや、原材料調達における圧倒的な優位性などは確認できないため、現時点では限定的な評価。

規模の経済★★★☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

リチウムイオン電池セパレータ市場は、大手メーカーが寡占化している傾向がある。ダブル・スコープは一定の生産能力と市場シェアを有しており、業界規模に対して最適な少数寡占の一角を担っている可能性がある。しかし、グローバルな大手競合と比較した場合の規模の優位性は限定的かもしれない。

ダブル・スコープグループの優位性は、リチウムイオン二次電池用セパレータ製造における高度な技術力にあります。数ミクロンレベルの厚さ管理や、直径100ナノメートル前後の微孔を均一に分布させる技術は、電池の性能と安全性を左右する重要な要素であり、高い製造ノウハウが求められます。このセパレータ製造で培ったメンブレン技術をイオン交換膜事業にも応用し、柔軟な製品設計と価格競争力を持つ製品を提供しています。これにより、リチウム析出事業だけでなく、水処理や水電解事業への参入も計画しており、技術の多角的な活用が強みです。

出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 世界の二次電池市場は、EV需要の一時的な減速によりEV向け電池の成長ペースはやや鈍化していますが、定置用蓄電池(ESS)など別用途への展開が期待されています。日本でも、車載用蓄電池の国内製造能力について、早期に100GWh規模を目指す方針が示されており、本格的な設備投資が計画されています。今後もEVの普及は着実に進んでいくものとみられており、再生エネルギーの拡大とともに市場は成長が続く見通しです。このような事業環境の中で事業を成長させていくには、事業規模を拡大させ企業価値を極大化していくことが投資家の皆様のご期待に応えるために重要なことであると考え、当社価値の指標をROIC(投下資本利益率)で示し、当社の付加価値について投資家様とのエンゲージメントに活用していくこととしています。 この目標を達成するために、当社グループでは以下の点を優先的に対処すべき事業上及び財務上の重要課題として取り組んでまいります。1.事業上の対処すべき課題① 顧客・製品の多様化当社グループは、これまで限られた大手顧客からの受注が大きかったため、設備投資を積極的に行い、生産能力を振り向けざるを得ない状況が続いてきました。しかし、これまでの事業環境が大きく変化し需要の低迷が続いている状況にあり、顧客やアプリケーションの多様化が業績回復の最も重要な課題と位置付けています。② 財政基盤の強化当社グループは、メンブレン技術の研究開発を進化させることで事業を継続してまいりました。そのために、これからも多くの時間や多額の設備投資や研究開発投資が必要不可欠です。現在、当社グループの主要事業は厳しい環境に置かれていますが、将来の成長を確実なものにしていくため、長期的な視野に立ってこれらの投資が継続できるよう、財務基盤の強化に取り組んでまいります。③ 生産性の向上当社グループは、競争力を確保するために生産性の向上に取り組んでいます。特に製造コストで大きな割合を占める生産設備の改良や革新を通して製造コストを抑えることが、業績を回復させるための重要課題と位置付けています。④ 株式上場維持当社は、2026年1月期末を基準日とした事業年度の末日以前3か月間の流通株式時価総額が、9,506百万円となり、プライム市場の上場維持基準である10,000百万円を下回りました。そのため、2027年1月期は改善経過措置期間となりましたので、2026年4月10日に「上場維持基準への適合に向けた計画」を開示いたしました。また、この経過措置期間は原則として1年間であり、2027年1月期末を基準日とした事業年度の末日以前3か月間の流通株式時価総額が10,000百万円を下回った場合は上場廃止となりますので、株式上場を確実に維持していくために、スタンダード市場への市場区分の変更もできるよう検討を進めてまいります。⑤ 持続可能な成長に向けた取り組み当社グループは、メンブレン技術を通して環境保全に役立つ製品を生み出し、社会に貢献していくことを経営理念としています。また、持続可能な成長のため、工場設備の省エネ化、廃棄物の管理及び従業員の労働環境などでもESG経営を推進しています。今後もこれらの取り組みは経営の重要課題として、一層配慮した会社経営を続けてまいります。2.財務上の対処すべき課題当社グループは、売上高の著しい減少及び継続的かつ重要な営業損失の計上により、当連結会計年度末において継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しています。しかしながら、当社グループの資金面においては、当連結会計年度に営業活動によるキャッシュ・フローのプラスを計上しており、また、当連結会計年度末の手元資金の確保状況、今後の収支推移見込み、金融機関からの資金調達計画及びハンガリー政府からの補助金の受領の目途が立ったこと等を踏まえ、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。なお、当社は、新規顧客とのハイエンド車載用電池向けやESS案件の量産販売の準備を進めております。また、連結子会社であるWSKは、イオン交換膜事業における顧客との一部新規契約を締結し、来期以降においても新規契約及び既存交換需要を見込んでおります。さらに、セパレータ事業においても関連会社であるWCPの主要顧客であるSamsung SDI社との現状の協議においては2027年1月期第4四半期以降からの需要の回復を見込んでおります。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 世界の二次電池市場は、EV需要の一時的な減速によりEV向け電池の成長ペースはやや鈍化していますが、定置用蓄電池(ESS)など別用途への展開が期待されています。日本でも、車載用蓄電池の国内製造能力について、早期に100GWh規模を目指す方針が示されており、本格的な設備投資が計画されています。今後もEVの普及は着実に進んでいくものとみられており、再生エネルギーの拡大とともに市場は成長が続く見通しです。このような事業環境の中で事業を成長させていくには、事業規模を拡大させ企業価値を極大化していくことが投資家の皆様のご期待に応えるために重要なことであると考え、当社価値の指標をROIC(投下資本利益率)で示し、当社の付加価値について投資家様とのエンゲージメントに活用していくこととしています。 この目標を達成するために、当社グループでは以下の点を優先的に対処すべき事業上及び財務上の重要課題として取り組んでまいります。1.事業上の対処すべき課題① 顧客・製品の多様化当社グループは、これまで限られた大手顧客からの受注が大きかったため、設備投資を積極的に行い、生産能力を振り向けざるを得ない状況が続いてきました。しかし、これまでの事業環境が大きく変化し需要の低迷が続いている状況にあり、顧客やアプリケーションの多様化が業績回復の最も重要な課題と位置付けています。② 財政基盤の強化当社グループは、メンブレン技術の研究開発を進化させることで事業を継続してまいりました。そのために、これからも多くの時間や多額の設備投資や研究開発投資が必要不可欠です。現在、当社グループの主要事業は厳しい環境に置かれていますが、将来の成長を確実なものにしていくため、長期的な視野に立ってこれらの投資が継続できるよう、財務基盤の強化に取り組んでまいります。③ 生産性の向上当社グループは、競争力を確保するために生産性の向上に取り組んでいます。特に製造コストで大きな割合を占める生産設備の改良や革新を通して製造コストを抑えることが、業績を回復させるための重要課題と位置付けています。④ 株式上場維持当社は、2026年1月期末を基準日とした事業年度の末日以前3か月間の流通株式時価総額が、9,506百万円となり、プライム市場の上場維持基準である10,000百万円を下回りました。そのため、2027年1月期は改善経過措置期間となりましたので、2026年4月10日に「上場維持基準への適合に向けた計画」を開示いたしました。また、この経過措置期間は原則として1年間であり、2027年1月期末を基準日とした事業年度の末日以前3か月間の流通株式時価総額が10,000百万円を下回った場合は上場廃止となりますので、株式上場を確実に維持していくために、スタンダード市場への市場区分の変更もできるよう検討を進めてまいります。⑤ 持続可能な成長に向けた取り組み当社グループは、メンブレン技術を通して環境保全に役立つ製品を生み出し、社会に貢献していくことを経営理念としています。また、持続可能な成長のため、工場設備の省エネ化、廃棄物の管理及び従業員の労働環境などでもESG経営を推進しています。今後もこれらの取り組みは経営の重要課題として、一層配慮した会社経営を続けてまいります。2.財務上の対処すべき課題当社グループは、売上高の著しい減少及び継続的かつ重要な営業損失の計上により、当連結会計年度末において継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しています。しかしながら、当社グループの資金面においては、当連結会計年度に営業活動によるキャッシュ・フローのプラスを計上しており、また、当連結会計年度末の手元資金の確保状況、今後の収支推移見込み、金融機関からの資金調達計画及びハンガリー政府からの補助金の受領の目途が立ったこと等を踏まえ、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。なお、当社は、新規顧客とのハイエンド車載用電池向けやESS案件の量産販売の準備を進めております。また、連結子会社であるWSKは、イオン交換膜事業における顧客との一部新規契約を締結し、来期以降においても新規契約及び既存交換需要を見込んでおります。さらに、セパレータ事業においても関連会社であるWCPの主要顧客であるSamsung SDI社との現状の協議においては2027年1月期第4四半期以降からの需要の回復を見込んでおります。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度は、米国のトランプ政権による関税引き上げで国際貿易の分断化が進行し、ウクライナ侵攻や中東情勢の緊迫化が継続したことによる地政学リスクや、各国の政策の継続性が欠如し自国第一主義が台頭したことなどにより世界情勢の不確実性が一層高まり、世界経済は緩やかな減速傾向となりました。このような状況において、当社グループの主力事業であるセパレータ事業では、リチウムイオン電池の需要を牽引してきたEV需要は中国では伸びているものの、当社の主力市場である欧州では、ウクライナ侵攻の長期化やエネルギー政策の影響などから、未だに需要の回復は見られませんでした。また、米国市場においては、今後の大型データセンターの需要増加を見込んで、電池メーカー各社がEV向けからESS向けに用途をシフトする動きがみられました。そのため、当社でも積極的な製品開発を進め新規案件の目途が立ってきたものの、本格的なESS電池向けの販売は2026年以降の見通しであるため、当連結会計年度の販売は総じて低調に推移しました。また、当連結会計期間から当社グループの新しいセグメントとなったイオン交換膜事業は、W-SCOPE KOREA CO., LTD.(以下、WSK)の事業として昨年出荷が完了したPosco Argentina S.A.U.へのBPED Substack(イオン交換膜スタックモジュール)の交換需要に対する製品の製造が開始され、またPoscoグループへの新規案件として、鉱石から水酸化リチウムを精製するプラント向けの双極電気透析(BPED)モジュールの供給も始まりました。Poscoグループへの出荷は概ね順調に進みましたが、予算化していたその他の新規案件は取引先の設備投資が遅れているため契約締結が遅れており、出荷開始は未定となっています。なお、当社グループの報告セグメントは従来「リチウムイオン二次電池用セパレータ」の単一セグメントでありましたが、第1四半期連結会計期間より、単一セグメントからセパレータ事業、イオン交換膜事業の区分に変更しております。売上高に関しては、EV需要の停滞による販売数量減少の継続の影響やW-SCOPE CHUNGJU PLANT CO., LTD.(以下、WCP)が前第3四半期より連結子会社から持分法適用関連会社へ移行したことで、セパレータ事業の売上高は2,211百万円(前期比7.4%)となりました。また、イオン交換膜事業の売上高は、新規案件の開始がある一方で、受注に遅れが生じている案件もあることから1,419百万円(前期比106.3%)となり、連結売上高の合計は、3,630百万円(前期比11.7%)に留まり、27,416百万円の減少となりました(前期は31,047百万円)。営業利益に関しては、売上高の減少に伴って、原材料費4,582百万円、水道光熱費3,049百万円、減価償却費3,616百万円、人件費4,424百万円それぞれ減少となりました。これは、電池需要が減少したことによりセパレータの出荷量が減少したことで生産量を抑えたことや、WCPの連結除外等により変動費・固定費が減少したことによるものです。これらにより、販売費及び一般管理費を含めた売上原価等の費用が前期比23,504百万円の減少となりました。これらの結果から、当連結会計年度の営業利益は前期比で3,911百万円減少し、4,919百万円の営業損失(前期は営業損失1,008百万円)となりました。営業外収益は取引先の余剰在庫などに対する受取補償金150百万円などを計上しており、営業外費用としては米ドル建て債権債務で為替差損192百万円、支払利息238百万円、前第3四半期よりWCPが持分法適用関連会社となったことから、持分法による投資損失6,331百万円などを計上しております。特別損失はW-SCOPE KOREA CO., LTD.において減損損失を579百万円、当社にてWCP株式を一部売却したことに伴い関係会社株式売却損を468百万円計上しており、結果として、税金等調整前当期純損失12,460百万円(前期は税金等調整前当期純損失3,239百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は12,465百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失3,713百万円)となりました。当連結会計年度の平均為替レートにつきましては1米ドルが149.58円、1,000韓国ウォンが105.2円となりました。当連結会計年度末における資産につきましては52,004百万円となり、前連結会計年度末に比べ8,074百万円減少しました。また、負債につきましては11,071百万円となり前連結会計年度末に比べ666百万円増加、純資産につきましては40,933百万円となり、前連結会計年度末に比べ8,741百万円の減少となりました。それぞれの主な要因は以下のとおりであります。 (資産)流動資産につきましては3,863百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,898百万円の減少となりました。これは主として、営業未収入金が803百万円、短期貸付金が593百万円増加した一方で、売掛金が2,946百万円、棚卸資産が1,216百万円減少したことによるものであります。固定資産につきましては48,141百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,175百万円の減少となりました。これは主として、投資有価証券が3,718百万円、建設仮勘定が921百万円減少したことによるものであります。 (負債)流動負債につきましては8,566百万円となり、前連結会計年度末に比べ74百万円の増加となりました。これは主として、短期借入金が834百万円減少した一方で、未払金が358百万円、買掛金が291百万円、1年内償還予定の社債が270百万円それぞれ増加したことによるものです。固定負債につきましては2,505百万円となり、前連結会計年度末に比べ592百万円の増加となりました。これは主として、長期借入金が374百万円、退職給付に係る負債が240百万円増加したことによるものであります。 (純資産)純資産につきましては40,933百万円となり、前連結会計年度末と比べ8,741百万円の減少となりました。これは主として、為替換算調整勘定が3,289百万円増加した一方で、利益剰余金が12,465百万円減少したことによるものであります。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ9百万円増加し、271百万円となりました。なお、前期第3四半期より、連結子会社であったW-SCOPE CHUNGJU PLANT CO., LTD.が連結を外れて持分法適用関連会社になっております。当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は以下のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは745百万円の収入(前期は4,008百万円の収入)となりました。これは主として、税金等調整前当期純損失の計上12,460百万円、減価償却費の計上1,533百万円、減損損失の計上579百万円、持分法による投資損失の計上6,331百万円、売上債権の減少2,937百万円、棚卸資産の減少1,216百万円によるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは727百万円の支出(前期28,748百万円の支出)となりました。これは主として、有形固定の売却による収入803百万円、関係会社株式の売却による収入250百万円があった一方で、有形固定資産の取得による支出1,135百万円、短期貸付けによる支出593百万円によるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは22百万円の収入(前期17,278百万円の収入)となりました。これは主として、短期借入金の返済による支出624百万円があった一方で、新株予約権の行使による新株の発行による収入423百万円、短期社債の発行による収入270百万円によるものであります。 ③ 生産、受注及び販売の実績a. 生産実績当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。事業部門の名称当連結会計年度(自 2025年2月1日至 2026年1月31日)生産高(百万円)前年同期比(%)セパレータ事業6,62225.7イオン交換膜事業958194.6合計7,58128.9 (注) 金額は、製造原価によっております。 b. 受注実績当社グループの製品は、販売先からの受注による受注生産ですが、生産から納入までの期間が極めて短いため、現実的には販売先からの月次あるいは四半期の購入計画情報を基に、過去の実績、生産能力を勘案した見込生産的な生産形態を採っており、受注高及び受注残高を算出することが困難でありますので、その記載を省略しております。 c. 販売実績当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。事業部門の名称当連結会計年度(自 2025年2月1日至 2026年1月31日)販売高(百万円)前年同期比(%)セパレータ事業2,2117.4イオン交換膜事業1,419106.3合計3,63011.7 (注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合相手先前連結会計年度(自 2024年2月1日 至 2025年1月31日)当連結会計年度(自 2025年2月1日 至 2026年1月31日)販売高(百万円) 割合(%)販売高(百万円) 割合(%)Samsung SDIグループ27,04587.1――W-SCOPE CHUNGJU PLANT CO., LTD.――1,86951.5POSCOグループ――1,39638.5 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。当社グループの当連結会計年度は、EV需要の停滞による電池需要が減少したことにより、当社も受注が大きく落ち込み、営業利益が前年同期比3,911百万円減少し、4,919百万円の営業損失となりました。そのため、当社価値の指標であるROIC(投下資本利益率)は、△1.55%から△10.06%に悪化しました。具体的には、イオン交換膜事業においては、一部案件の受注に遅れが生じているものの、新規案件の開始があったため、概ね前連結会計年度と同水準の売上高となりました。セパレータ事業においてはEV需要の停滞に伴い、販売数量減少の継続の影響により連結売上高が見込みを下回ったため、WCPが前第3四半期より連結子会社から持分法適用関連会社へ移行したことで変動費・固定費が減少したものの、人件費や減価償却費などの固定費を賄うための生産量が確保できなかったことが主な要因であります。当社は、投資家の皆様の期待収益率を上回るROIC(5%以上を想定)を目標として取り組んでおります。2027年1月期連結会計年度も第3四半期まではこの需要傾向は続くと見られていますが、この機会に販売先や製品用途の多様化や新規事業の拡大に取り組んでいます。また、製造原価についても生産設備の生産効率化を進めて、価格競争力を強化する対策を行っています。そして、今後の世界的な電池需要の回復と新規事業への参入に合わせて業績回復を図ることで、ROICが改善していくものと見込んでいます。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。 ① 重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容a. 経営成績の分析 (売上高)当社グループの当連結会計年度は、当社の主力市場である欧州でウクライナ侵攻の長期化やエネルギー政策の影響などから、未だに需要の回復は見られませんでした。また、米国市場においては、今後の大型データセンターの需要増加を見込んで、電池メーカー各社がEV向けからESS向けに用途をシフトする動きがみられました。そのため、当社でも積極的な製品開発を進め新規案件の目途が立ってきたものの、本格的なESS電池向けの販売は2026年以降の見通しであるため、当連結会計年度の販売は総じて低調に推移しました。また、前中間連結会計期間まで連結子会社であったW-SCOPE CHUNGJU PLANT CO., LTD.(以下、WCP)が連結を外れて持分法適用関連会社になったため、当連結会計年度はWCPの売上高を加算できないことが影響し、車載向け売上高が740百万円となり前年同期比96.7%の減少となり、民生向けにおいても、その売上高は1,470百万円(イオン交換膜売上を除く)となり前年同期比80.1%減少となりました。新規事業であるイオン交換膜事業については、Poscoグループへの出荷は概ね順調に進みましたが、予算化していたその他の新規案件は取引先の設備投資が遅れているため契約締結が遅れており、出荷開始は未定となっているため、当連結会計年度で1,419百万円を売上計上しています。その結果、当連結会計年度は売上高が3,630百万円となり、前年同期比27,416百万円(同88.3%減)の減収となりました。  (売上総利益)当社グループの当連結会計年度は、3,974百万円の売上総損失(前年同期は売上総利益1,087百万円)となりました。主な要因は、売上高減少に伴い固定費等を賄えなかったことによるものであります。  (販売費及び一般管理費並びに営業損益)当社グループの当連結会計年度の販売費及び一般管理費は945百万円となりました。販売費及び一般管理費のうち主要なものは役員報酬110百万円、給与手当235百万円、支払手数料133百万円、支払報酬138百万円、運送費5百万円であります。この結果、当連結会計年度の営業損失は4,919百万円(前年同期は営業損失1,008百万円)となりました。  (営業外損益及び経常損益)当社グループの当連結会計年度の営業外収益は、主に受取利息5百万円、助成金収入114百万円により335百万円となり、営業外費用は、主に支払利息238百万円、持分法による投資損失6,331百万円により6,828百万円となりました。この結果、当連結会計年度の経常損失は11,412百万円(前年同期は経常損失3,239百万円)となりました。  (特別損益及び親会社株主に帰属する当期純損益)特別損失はW-SCOPE KOREA CO., LTD.において減損損失を579百万円、当社にてWCP株式を一部売却したことに伴い関係会社株式売却損を468百万円計上しており、結果として、税金等調整前当期純損失12,460百万円(前期は税金等調整前当期純損失3,239百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は12,465百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失3,713百万円)となりました。 b. 資本の財源及び資金の流動性の分析当社の資金需要のうち主なものは、設備投資資金のほか、材料等の仕入や研究開発費用等であります。設備投資資金につきましては、株式市場及び金融機関からの長期借入金を基本としており、運転資金につきましては、金融機関からの短期借入金を基本としております。なお、当連結会計年度における借入金残高は7,876百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び預金の残高は271百万円となっております。 c. 経営戦略の現状と見通しセパレータ事業においては、当社主力市場である欧州市場が未だ回復途上であり、EV需要の回復が待たれる状況が続いております。一方、ESS需要については、世界的にデータセンターの設備投資が続く中、急速に成長しています。当社では、既存顧客及び新規顧客とのESS用途新規案件が上期及び下期にそれぞれ量産供給を開始する予定です。2027年1月期においては、ESS向け販売はEV向けを上回る計画となります。イオン交換膜事業では、POSCOグループからの受注は想定どおりに推移しているものの、その他の新規案件の受注に遅れが生じており、供給開始時期が不透明な状況となっているため、2027年1月期の業績見込みへの参入を見送りました。なお、今後の業績見込みはウクライナや中東の情勢により大きく影響を受ける状況が想定されます。業績見通しの前提となる2027年1月期の平均為替レートにつきましては対1米ドル150円、対1米ドル1,400ウォンを想定しております。2028年1月期以降についても、ウクライナや中東の情勢変化により、今後の需要やコストに大きな影響が生じる可能性はありますが、セパレータ事業では、欧州市場でのEV需要は徐々に回復していくものと想定しています。米国市場に関しては、EV需要の回復が不透明ながらESS用途の需要は大幅な拡大傾向にあります。そのため、電池メーカーも昨年から現地工場での生産品目をEV向けからデータセンター向けESS用電池への切替えを進め、当社でも当第3四半期から米国既存顧客向けにESS用セパレータの出荷が始まっており、顧客の増産計画に合わせ今後順調に出荷量を増やしていく見込みとなっています。また、その他の新規大型案件についても、取引開始の準備が想定どおり進んでおりESS用途の販売も大きな軸となり、従来の顧客へのESS案件と新規顧客へのESS案件の量産販売が順次開始されていく見込みとなっています。これらの案件が安定化する2028年1月期下期には、WSKとWCPの2工場のセパレータ設備の稼働率が大幅に回復する見込みです。また、イオン交換膜事業は、POSCOグループの2案件の安定成長に加え、受注が遅れている新規案件の取引も開始される見込みです。

事業リスク

主要なリスクとして、まずリチウムイオン二次電池用セパレータ事業への収益依存度が高い点が挙げられます。民生用機器や電気自動車などの需要縮小は、グループの業績に影響を与える可能性があります。次に、大手企業が市場シェアの大半を占める競合環境において、技術革新や価格競争で十分な競争力を発揮できないリスクがあります。また、リチウムイオン二次電池産業の技術革新が加速する中で、新製品開発の遅れや既存製品の陳腐化により、市場競争力を失う可能性も存在します。さらに、製品の品質問題が発生した場合、製品回収や損害賠償、取引停止などにより業績に悪影響が及ぶリスクがあります。

出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|6,991 文字
3 【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 ① リチウムイオン二次電池用セパレータへの収益の依存について 当社グループは、リチウムイオン二次電池用セパレータ及びイオン交換膜の製造・販売を主たる事業としており、当連結会計年度において、持分法適用関連会社であるWCPの売上高を単純合算したセパレータ事業の売上高は当社グループ(単純合算)の売上高の90.7%を占めています。当社グループが開発、製造、販売しているリチウムイオン二次電池用セパレータは国内外のESS(エナジー・ストレージ・システム)、携帯電話、ノートパソコン、電気自動車(EV)、ハイブリッドカー(HEV)など多様な分野で使用されているリチウムイオン二次電池に利用されております。そのため、経済状況の悪化等を原因とした民生用ポータブル機器や輸送用機器などの需要が縮小した場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ② 競合他社について 当社グループは、リチウムイオン二次電池用セパレータの製造・販売を事業としている企業と競合関係にあります。この業界は、大手企業が市場シェアの大半を占めているため、当社グループは後発企業として、それらの大手企業と競合することになると認識しております。既存競合各社は、概して当社グループより大きな顧客基盤を持ち、当社グループより豊富な財源、技術的資源及び人的資源を有しています。これらの当社グループに対する優位性により、競合他社が技術革新を進め、高性能な新製品を開発・販売した場合、または当社グループの製品よりも安価な製品を提供し、さらに自社製品をより効率的に販売促進した場合などにおいて、当社グループが十分な競争力を発揮できない事態となれば、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 技術革新とライフサイクルの短期化について 当社グループは、先端の生産技術を駆使した製品を販売しておりますが、近年、リチウムイオン二次電池産業全体の技術革新が加速化しており、リチウムイオン二次電池部材全体の性能改善が強く求められる傾向があります。当社グループは、今後もリチウムイオン二次電池用セパレータの超薄膜化や耐熱性向上の為の研究開発を強化する方針であります。 しかしながら、当社グループの予測よりも早く技術革新が起こった場合、新製品の販売開始時期が遅れ、また、既存製品が陳腐化することが想定され、その結果、市場での競争力を失い当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 製品の品質にかかるリスク 当社グループでは、高品質の製品を安定して供給する努力を継続しておりますが、設備等の不良や顧客要求の厳格化等により計画通りの品質や稼働率を達成できず、結果として販売単価や生産数量が下落する可能性があります。また、当社グループではIATF16949に基づいて厳格な品質管理を実施し、出荷製品につきましては細心の注意を払っております。しかし出荷製品の不具合により、製品回収や損害賠償、取引の停止等が発生する可能性があります。このような事態が生じた場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 ⑤ 知的財産権について 当社グループは、リチウムイオン二次電池用セパレータ及びイオン交換膜製造技術に関する特許を保有しており、今後も更なる研究開発を進め、必要に応じて特許を出願する方針であります。しかしながら、当社グループが現在出願している特許及び将来出願する特許の全てが登録されるとは限らず、当社グループの技術やノウハウを必ずしも適切に保護できるとは限りません。 また、当社グループは、第三者の知的財産権を侵害しないように常に留意し、定期的に外部の弁護士・弁理士等を通じて調査をしておりますが、万一、当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合には、当該第三者より製造の差し止めや損害賠償などを請求される可能性があります。その場合、当社グループの経営陣が多大な時間と労力の投入を強いられ、弁護士費用等の費用が増加し、当社グループの評判が低下することにより、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ 原材料及び燃料の価格変動に関するリスク 当社グループのリチウムイオン二次電池用セパレータの主原料であるポリオレフィンはナフサを原料にして製造されています。また、設備稼働に必要な水道光熱費等は原油価格の変動に影響を受けます。そのため、これらについて供給の逼迫や遅延、価格の高騰等が生じた場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑦ 特定仕入先への依存に関するリスク 当社グループがリチウムイオン二次電池用セパレータの製造において購入する資材等には、仕入先や供給品の代替が困難なものや、少数特定の仕入先からしか調達できないものがあります。当社グループで使用する資材、部品、その他の機械・装置等が、現在十分確保されていると認識しておりますが、今後、特定の仕入先における経営悪化や天災等の事情により、供給の遅延・中断や供給不足が生じる可能性があります。当社では、代替調達先を用意する努力を継続しておりますが、その場合にも安定供給が可能であるという保証はありません。また、資材価格の値上りが生じた場合、資材の調達に多額の費用が必要となる可能性があります。こうした事態が生じた場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑧ 顧客の集中に関するリスク 当社グループの売上高は、分散化されつつあるものの、一部特定の企業によって占められており、当連結会計年度における売上高の51.5%を1社が占めております。今後も売上の多くを限られた数の顧客に依存することになると予測しております。かかる顧客が当社グループからの製品の購入を大幅に減らさないという保証はなく、また当社グループからの製品の購入を中止しないという保証もありません。そのため、かかる顧客による当社グループの製品の購入が減少した場合や、中止された場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑨ カントリーリスクについて 当社グループ製品の100%は韓国で生産されております。また当社グループの海外売上高は、前連結会計年度において30,968百万円(海外売上高の割合99.7%)、当連結会計年度において3,551百万円(海外売上高の割合97.8%)であります。W-SCOPE KOREA CO.,LTD.は、販売先の現地におけるサービスを行うために、香港に子会社を設立しております。当社グループは今後も海外向けの販売を強化する計画であるため、地域展開と共に海外の子会社が増える可能性があります。したがって、顧客及び当社グループ会社が存在する国または地域の政治的、経済的情勢及び政府当局が課す法的な規制の影響またはテロ、戦争、感染症、自然災害その他の要因による社会的混乱により当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当連結会計年度末現在の韓国の法人税率は、2億ウォン以下分については10%、2億ウォン超過・200億ウォン以下分については20%、200億ウォン超過分については22%が適用されており、当連結会計年度末現在においてはW-SCOPE KOREA CO., LTD.は減免率による減免を享受することになっています。しかし、租税特例制限法上の減免税額の追徴事由が発生した場合、かかる優遇税制の適用期間の満了により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。   最近2連結会計年度の販売地域別の売上高の内訳 日本韓国中国ハンガリーその他欧州及び米国その他計2025年1月期(百万円)785,4832,28820,8283082,05831,047(構成比)(%)(0.3)(17.7)(7.4)(67.1)(1.0)(6.5)(100.0)2026年1月期(百万円)792,67155―1336913,630(構成比)(%)(2.2)(73.6)(1.5)(―)(3.7)(19.0)(100.0) ⑩ 販売先が海外に集中しており、与信管理や取引先管理が十分に行われないリスク 当社グループはアジア及び欧米等の諸外国において主に事業展開しております。海外の国・地域においては商習慣の違いにより取引先との関係構築においても予想し得ないリスク等、予測不可能な事態が生じる可能性があります。当社グループでは、与信管理規程等各種規程を厳格に運用し、与信審査を十分に行い、特に中国市場におきましては、一部は販売協力会社を通じて販売し、また一部は前受金決済でのビジネスにより、売上債権等の未回収リスクの低減を図っております。しかし、予期しない事態により、取引先が不測の債務不履行等に陥り、当社グループが有する債権の回収が困難となる場合には、当社グループの業績等が悪影響を受ける可能性があります。 ⑪ 為替変動の影響について 当社グループ製品は、韓国で生産され、世界各国で主に米ドル建で販売活動を行っており、為替レートの変動による影響を受けております。また子会社の外貨建ての利益、費用、資産及び負債の評価は為替レートの変動による影響を受けております。 事業活動において為替変動リスクを完全に排除することは困難でありますので、今後著しい為替変動があった場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑫ 設備投資にかかるリスク 当社グループは、これまで積極的に設備投資を行ってまいりましたが、今後の市場環境の急速な変化や、設備の立ち上げの遅延等により、投資決定時に比べ投資回収期間が長期化することで当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、当社グループが予定通りの増産計画が達成できなかった場合には、顧客の供給量に関する要求にこたえることができないなどの理由により、当社グループ製品の購入を減少させる又は中止させることで、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 ⑬ 人材の確保と定着に関するリスク 当社グループは、製品を開発、製造し、製品についての顧客サポート及びマーケティングを行うため、これらの分野における経験を有する専門性の高い研究者及び装置の開発に熟知している技術者を中心に採用しなければなりません。また、韓国においては、専門性を有する人材はソウルへ一極集中傾向があり、経験者の採用に課題があります。 当社グループにおいても、主要な人材を採用及び確保できない場合、当社グループの事業運営が混乱し、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑭ 新規事業に関する投資リスク 当社グループでは、リチウムイオン電池用のセパレータの開発製造によって培ったメンブレンフィルムの生産技術を他の用途に転用すべく、新規事業として取り組んでいます。現在はメンブレンフィルムを淡水化フィルターなど工業用用途に使用する為のフィルムの開発を行っておりますが、これらが成果をもたらすという保証はなく、研究開発費用の支出の回収が困難となる可能性があります。 ⑮ 特定の人物への依存について 当社グループの取締役はそれぞれ、経営、技術開発、マーケティング、営業戦略、製造戦略等当社グループの業務に関して専門的な知識・技術を有し重要な役割を果たしています。これらの者が当社を退職した場合や、病気等の事情で業務遂行が困難となった場合、後任者の選任に関し深刻な問題に直面する可能性があり、当社グループの事業展開及び経営成績に重要な影響が生じる可能性があります。 ⑯ 法的規制等に関するリスク 当社グループが事業を行っている国及び地域では、投資に関する許認可や輸出入規制のほか、商取引、独占禁止、製造物責任、環境、労務、特許、租税、為替等の各種関係法令の適用を受けています。当社グループは、こうした法令及び規制を遵守し公正な企業活動に努めておりますが、万一当社グループに適用される規制に反することにより、当社グループに制裁金が課されたり、一定の事業活動が強制的に停止させられたりする場合や法令・規制違反を理由とする訴訟や法的手続きにおいて、当社グループにとって不利な結果が生じた場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑰ 特徴的な組織構成について 当社グループはグローバルに事業を展開しており、日本本社のほか、韓国、香港に連結子会社を保有しております。その中でも、当社グループの製造拠点は韓国にあり特徴ある組織構成を構築しており、従業員は日本本社が6名、海外連結子会社が268名となっております。また当社は製造業として製造現場を最重要視し、日本本社の取締役7名のうち2名を韓国に駐在させております。 当社グループでは、今後の事業拡大に伴い人員の増強、内部管理体制の一層の充実に努め、複数の国で事業展開を行うにあたってのグループ全体のコミュニケーションの充実を図っていく方針でありますが、必要な人員が確保できない場合や内部管理体制の充実に適切かつ充分な対応ができない場合、国家間の通信手段の途絶等によりグループ全体のコミュニケーション等が迅速に行えないような場合には、当社グループにおけるガバナンスが発揮できなくなるおそれがあり、業務遂行及び事業拡大に影響を及ぼす可能性があります。 ⑱ 自然災害、操業上の事故に関するリスク  当社グループが事業を行っている国及び地域では、地震、台風等の自然災害の影響を受ける可能性があります。同様に火災等の事故災害が発生した場合、当社グループの拠点の設備等に大きな被害を受け、その一部または全部の操業が中断し、生産及び出荷が遅延する可能性があります。また、損害を被った設備等の修復のために多額の費用が発生し、結果として、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、生産設備において生じうる一定の損失を補償するために、当社グループの財産に対する損害及び製 造の中断をカバーするための保険に加入していますが、かかる保険は生じうる全ての損失や費用をカバーできない可能性があります。そのため自然災害、操業上の事故等により当社グループの制御できない事象により大きな損失を被った場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑲ ストック・オプションについて 当社は、新株予約権方式によるストック・オプション制度を採用しており、当連結会計年度末現在における潜在株式数は4,753,900株(第三者割当分1,199,900株含む)で、発行済株式総数58,025,700株に対する割合は、8.2%となります。当社は、当該制度が役員や従業員等の業績向上に対する意欲を持たせることを目的とした有効な制度であると認識しており、今後もストック・オプションの発行を実施する可能性があります。従いまして、当該新株予約権が行使された場合及び新たに発行・行使された場合には当社の株式価値は希薄化することになります。 ⑳ 継続企業の前提に関する重要事象等当社グループは、売上高の著しい減少及び継続的かつ重要な営業損失の計上により、当連結会計年度末において継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しています。しかしながら、当社グループの資金面においては、当連結会計年度に営業活動によるキャッシュ・フローのプラスを計上しており、また、当連結会計年度末の手元資金の確保状況、今後の収支推移見込み、金融機関からの資金調達計画及びハンガリー政府からの補助金の受領の目途が立ったこと等を踏まえ、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。なお、当社は、新規顧客とのハイエンド車載用電池向けやESS案件の量産販売の準備を進めております。また、連結子会社であるWSKは、イオン交換膜事業における顧客との一部新規契約を締結し、来期以降においても新規契約及び既存交換需要を見込んでおります。さらに、セパレータ事業においても関連会社であるWCPの主要顧客であるSamsung SDI社との現状の協議においては2027年1月期第4四半期以降からの需要の回復を見込んでおります。

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