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ソシオネクスト(6526)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

電気機器 電機・精密

事業の概要

ソシオネクストは、ロジック半導体市場で「ソリューションSoC」という独自のビジネスモデルを展開するファブレス半導体ベンダーです。顧客の差別化された製品に必要なカスタムSoCを開発・提供しており、自社で工場を持たず、製造は外部の専門業者に委託しています。収益は、設計開発段階で顧客から受け取るNRE売上と、量産段階での製品売上が主です。特に2019年3月期以降は、顧客と共同で仕様策定や論理設計を行い、最適なSoCを提供する「ソリューションSoC」に注力しています。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成

ソシオネクストは、事業セグメントとして「オートモーティブ」「データセンター/ネットワーク」「スマートデバイス」「産業機器」「IoT&レーダーセンシング」の5つの分野に注力しています。以前はテレビなどのコンシューマ向けが中心でしたが、現在は自動運転・先進運転支援システム向けの「オートモーティブ」、データセンターやAIアクセラレータ向けの「データセンター/ネットワーク」、アクションカメラやネットワークカメラ向けの「スマートデバイス」が主要な稼ぎ頭です。今後は工場自動化機器や計測機器向けの「産業機器」も注力分野とし、電波式測距センサーなどの「IoT&レーダーセンシング」分野でも事業を展開しています。

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FY2025|4,308 文字
3【事業の内容】 当社グループは、ロジック半導体市場の中で、「ソリューションSoC」という新しくかつ独自のビジネスモデルのもとで顧客にカスタムSoCを開発・提供しているファブレスの半導体ベンダーです。新しいサービス/製品の差別化のために独自の先端SoCを必要とする顧客のパートナーとして、また、IP(※1)、EDA(※2)ツール、ソフトウエアからプロセス、アセンブリ、テストに至るまでの最新の技術を提供する半導体のエコシステムを構成するサプライヤーと協働して、顧客、さらにはその先にいる世界中の人々に新しい価値を提供し、豊かな社会を実現することを目指しています。 当社グループは、従来、顧客から受領したSoCの仕様に基づき物理設計のみを担う従来型のASIC(※3)や、分野・アプリケーションを限定して機能・目的を特化させた汎用的なASSP(※4)を中心に事業を展開しておりましたが、2019年3月期以降、従来型のASICおよびASSPに加え、自社製品における差別化を求める顧客に対して、顧客とともに仕様の策定や論理設計を行い、先端テクノロジーを組み合わせて顧客にとって最適なSoCを提供するビジネスモデルへのシフトを進め、この「ソリューションSoC」ビジネスモデルによるカスタムSoCを中心に事業を展開しております。 カスタムSoCには主として3つのビジネスモデルが存在します。まず従来型ASICでは、アーキテクチャ設計、企画・仕様設計および論理設計等SoC設計における上流設計を顧客自身が行い、それ以降の工程を外部のカスタムSoCベンダーが担当します。そのため、従来型ASICは上流設計を自ら行う能力を有する顧客に利用が限定されます。他方、当社グループの「ソリューションSoC」ビジネスモデルでは、当社グループが顧客とともにこれらの上流設計を行うため、上流設計を行う能力を保有していない顧客にも製品を提供することができます。また、ASSPをベースにカスタマイズされたASICを提供するモデルでは、ベンダー自身のASSPをベースとしてカスタマイズするため、カスタマイズの幅が限定されるとともに、顧客からはベンダーロックイン(※5)への警戒感が生じることとなります。これに対し、「ソリューションSoC」ビジネスモデルでは、外部ベンダーが提供する最先端の技術も活用し、顧客に最適なSoCを提供しつつ、ベンダーロックインを回避することができます。  近年、半導体製造技術の進展やこれを使ったネットワーク、クラウド、AI等様々な革新的技術の普及と融合により、今までにない新たなサービスや製品が次々と出現しています。それらのサービス/製品を開発する企業は、自社のサービス/製品の差別化のために先端テクノロジーを活用した高性能かつ拡張性の高い独自のSoCを必要としています。 一方で、半導体産業においては、プロセス技術(※6)、パッケージング技術(※7)、テスト技術のほか、IP/EDAツール/ソフトウエアまでも含めてそれぞれを専業にする企業が出現し、常に最先端のイノベーティブな技術が生み出され、誰もがその最先端の技術を市場から入手することが可能なエコシステムへと進化を遂げています。その一方で、それらの様々な技術を選択し、組み合わせて顧客にとって最適なSoCを設計開発する難易度は上昇しています。そのため、独自のSoCを必要とする多くの企業は、SoCのアーキテクチャに対する知識はもとより、SoCが搭載される最終製品やサービスに関する理解が深く、差別化のために、先端のハードウエアからソフトウエアに至るまでの技術を組み合わせて最適なソリューションを提案できるパートナーを求めています。こうした市場の変化の中、当社グループは、ソフトウエアからサブシステムまでも含めたカスタムSoCの設計開発能力を有し、顧客と共同して技術的課題を解決できるエンジニアリソース群を抱えていることに加えて、量産/品質保証/SCMまでトータルにサポートできる総合力を有しているといった強みを持っております。これにより、従来型のASIC、ASSPおよびASSPをベースにカスタマイズされたASICでは満足できない顧客に対して、顧客とともにSoCの仕様を決めていく共同開発プロセスを通じて、顧客にとってより最適なカスタムSoCを提供することができるビジネスモデルとして「ソリューションSoC」を確立しました。また、こうした新たな最先端の市場で経験を積み重ね、ノウハウを蓄積すると同時に、競争力をさらに強化するため、差別化のための先端技術や種々の技術の組み合わせとその実証にも積極的に投資するとともに、事業部ごとの壁を取り除き、開発機能ごとに集約し、その中から各プロジェクトに必要なリソースを割り当てていくフラットな研究開発体制へと移行しました。また、大規模先端技術分野のモデルプロジェクトを通じた開発基盤構築に取り組む組織として、グローバルリーディンググループを設けました。「ソリューションSoC」ビジネスモデルに相応しいコンピュータアーキテクチャベースの開発基盤と標準的な開発プロセスの構築、開発の効率化/可視化、開発マネジメント改革を一体として実現する取り組みを進めています。これらの結果、7nm以細の先端プロセスノード(半導体の製造技術(半導体プロセス)の世代を表す指標。1nmは100万分の1mmであり、nm数が小さくなるほど先端のテクノロジーを表す。)を活用する案件がNRE売上(※8)に占める割合は、2025年3月期には74%になりました。 また、ビジネスモデルのシフトに加え、注力する事業領域に関しても、それまでのテレビ等のコンシューマ向け中心の分野から、「オートモーティブ」「データセンター/ネットワーク」「スマートデバイス」といった先端分野へと大幅な転換を果たしました。当社グループは、AD(自動運転)/ADAS(先進運転支援システム)や車載センシング等の「オートモーティブ」、データセンターやAIアクセラレータ等の「データセンター/ネットワーク」、アクションカメラやネットワークカメラ等の「スマートデバイス」等の先端分野を注力分野としております。また、FA(Factory Automation)機器や計測機等の「産業機器」の分野でも先端テクノロジーの活用、「ソリューションSoC」ビジネスモデルへの需要が拡大する傾向にあり、今後は「産業機器」についても当社グループの注力分野として位置付けることとします。これらの注力分野に加え、特異な技術で今後の成長が期待できる電波式測距センサー等の「IoT&レーダーセンシング」分野でも事業を展開しております。 半導体製品が顧客に採用され量産に至るまでには一般的に長い期間が掛かります。商談獲得後の設計開発および顧客の評価完了から量産開始まで通常2年以上を必要とし、さらに量産を終了するまでには相当の期間が掛かります。このため、顧客の基幹部品を長期間にわたって開発、供給する責任を有する企業として、強固な財務基盤のもと事業を行っております。 当社グループは、設計開発段階において、顧客から設計開発に要する費用の大半をNRE売上として段階的に受領し、量産段階において、当社グループの売上全体の大半を占める製品売上を受領しております。また、当社グループは、水平分業が進む半導体業界のメリットを最大限活かすべく、工場を持たないファブレスの事業形態を採っております。製品の製造についてはTaiwan Semiconductor Manufacturing Company Limited(以下「TSMC」という。)をはじめとするファウンドリやOSAT(※9)等の専業メーカに委託しております。 顧客の最先端の製品やサービスには、常に新たなSoCが求められ、そのような先端SoCを求める顧客や市場も変化し続けます。当社グループもこの変化をいち早く捉えるべく、先行開発投資や開発力の強化を進め、今後も常に持続的な成長を目指します。 ※1.IPとは、Intellectual Propertyの略語であり、半導体業界においては、半導体を構成するための部分的な機能単位でまとめられている回路情報のことです。外部から購入する調達IPと自社で開発を行う自社IPとに分けられます。2.EDAとは、Electronic Design Automationの略語であり、半導体の設計作業を自動化して行うソフトウエアやツールです。3.ASICとは、Application Specific Integrated Circuitの略語であり、特定の顧客向けに複数機能の回路を1つにまとめた集積回路の総称です。4.ASSPとは、Application Specific Standard Productの略語であり、分野・アプリケーションを限定して、機能・目的を特化させた大規模集積回路のことです。ASSPは、特定の顧客用にカスタマイズされておらず、顧客を限定しないため、複数の顧客に提供する汎用部品です。5.ベンダーロックインとは、特定ベンダーが提供する製品やサービスを一旦採用してしまうと、将来他のベンダーが提供するよりよい製品やサービスへの乗り換えが困難となり、顧客側の選択肢が限定されることをいいます。 6.プロセス技術とは、半導体の製造工程のうち前工程と呼ばれるシリコンウエハに回路を形成するまでの工程における技術のことです。7.パッケージング技術とは、半導体の製造工程のうち後工程と呼ばれる半導体チップを外部から守るパーツで保護し、かつ電気的に接続するための工程における技術のことです。8.NRE売上とは、Non-Recurring Engineering 売上の略語であり、製品の量産化前の開発段階において顧客から受け取る売上のことを指します。NRE売上は、人件費、IP、設計ツール、レチクル(半導体製造の露光工程で使用され、設計した回路をシリコンウエハに転写するためのフォトマスク)、試作品製造等といった、開発段階で発生する設計開発コストに対応し、通常、開発のマイルストーン進捗に応じて複数回にわたって計上されます。9.OSATとは、半導体製造の後工程における請負製造サービス(Outsourced Semiconductor Assembly and Test)の略語です。  事業の系統図は以下のとおりです。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
製造委託費の値上げを製品価格に転嫁できない場合、利益率が低下する可能性があるため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
最先端のプロセス技術、パッケージング技術、テスト技術、IP/EDAツール/ソフトウェアの組み合わせ。
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 高い(依存)
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか シクリカル
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 軽い(資本不要)
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 中程度
会社が挙げる主要リスク:製造委託先が限定的であること / 製造委託における価格変動 / 製品の品質問題
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 10 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★★☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

ソシオネクストは、富士通とパナソニックの半導体事業統合により設立され、長年培われたASIC設計技術と顧客基盤を持つ。特に車載分野における高度なSoC(System on Chip)設計能力は、他社が容易に模倣できない無形資産と言える。顧客との共同開発を通じて、特注SoCの設計・開発・製造受託で強みを発揮している。

スイッチングコスト★★★☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

顧客はソシオネクストの高度なASIC設計・開発能力に依存しており、特に車載分野では、一度採用されたSoCの仕様変更やサプライヤー変更は、開発コスト、認証プロセス、サプライチェーンの再構築など、膨大な時間とコストを要する。このため、顧客は容易に他社へ乗り換えることが難しい。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

ソシオネクストのビジネスモデルは、特定のプラットフォームやエコシステムにおけるネットワーク効果を直接的に生み出すものではない。個々の顧客との関係性は重要だが、ユーザーが増えることでサービス自体の価値が指数関数的に高まるような構造は持たない。

コスト優位★☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

ファブレス企業であり、自社で製造工場を持たないため、固定費を抑えることは可能。しかし、最先端の半導体製造は委託先のファウンドリのコストに大きく依存するため、構造的なコスト優位性を築くことは難しい。設計能力の高さがコスト競争力に繋がる側面はある。

規模の経済★★★☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

車載、IoT、高性能コンピューティング(HPC)など、成長分野に特化したASIC設計・開発で一定の規模を確保している。特に車載分野では、主要なサプライヤーの一つとして、一定の市場シェアを占めている。しかし、グローバルな半導体業界全体で見ると、巨大な統合メモリメーカーやファウンドリと比較すると、規模の優位性は限定的。

ソシオネクストの優位性は、顧客と共同でSoCの上流設計(仕様策定や論理設計)を行う「ソリューションSoC」ビジネスモデルにあります。これにより、上流設計能力を持たない顧客にも先端SoCを提供でき、外部の最先端技術も活用することでベンダーロックインを回避します。また、ソフトウエアからサブシステムまで含めた設計開発能力、顧客と技術課題を解決できるエンジニアリソース、量産・品質保証・SCMまでトータルにサポートする総合力が強みです。先端プロセスノードを活用する案件の割合も増加しており、技術的な競争力を有しています。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境および対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営の基本方針①基本理念 当社グループは、企業として果たすべき使命、重視する価値観について、以下のとおりグループ共通の考え方を定めております。 この基本理念の下、新しいサービス/製品の差別化のために独自の先端SoCを開発しようとするお客様のパートナーとして、また、進化する半導体エコシステムにおいてファウンドリ/OSATをはじめIP/EDAツール/ソフトウエアに至るまで最新の技術を提供するサプライヤーのパートナーとして、お客様、さらにはその先にいる世界中の人々に新しい価値を提供し、豊かな社会の実現に貢献していきたいと考えています。 ・Mission(企業としての使命) Together with our global partners, we bring innovation to everyone everywhere.・Values(重視する価値観)「Change」 非連続な変化への適応。ビジネス・技術・マインド・オペレーション等環境の変化に合わせ我々自身も変化していく。「Technology」 最先端技術の追求により、世界のイノベーションを支える開発競争力を持つ会社を目指す。「Growth」 私たちの成長が株主・お客様・パートナー・社員等のあらゆるステークホルダーへの貢献に繋がる。「Speed」 ダイナミックかつ急激に変化する市場・お客様への迅速な対応。「Sustainability」 お客様・パートナー・社会との共生により持続可能な未来を創る。 ・行動指針・各人が自身の仕事にオーナーシップを持ち、環境の変化に合わせ、お客様視点・マーケットインの視点から自立的に考え行動を起こす。・成長市場・成長企業にアクセスし続けるために、最新の技術・知識に裏付けられた、お客様にとって価値のある課題解決に向けた提案を行う。・各人が意欲的にあるべき姿に向かってチャレンジしプロフェッショナルを目指すことが、個人の成長・会社の成長に繋がる。・個人単位・組織単位での迅速な判断と意思決定を行い、常に先を見て、お客様にとっての価値を生み出す。・グローバル社会の構成員として、企業としての社会的責任を果たし、持続可能で豊かな社会の実現に向け貢献する。 ・CSR基本方針・法令・社会規範の遵守私たちは法令・社会規範の遵守を徹底し、社会の信頼に応えます。・人権の尊重私たちは一人ひとりの人権を尊重し、差別等の人権侵害行為を許しません。・社員の労働環境整備私たちは社員の幸せを目指し、個性を尊重し、公平な処遇を実現するとともに、健康で働きやすい環境をつくります。・環境への配慮私たちは地球環境に配慮した企業活動を進めていきます。・公正な商取引の推進私たちは常に公正な商取引に則り、お客様/お取引先との信頼関係を築きます。・情報管理の徹底私たちは自社情報、お客様やお取引先等の第三者情報や個人情報等の管理を徹底し、機密を保持します。・知的財産の尊重私たちは企業価値の源である知的財産を守り、尊重します。 ②経営方針 上記の基本理念実現のために、当社グループは、独自の先端SoCを必要とするお客様に向けて、最適な技術の組み合わせにより、お客様が求める機能を実現するSoCを開発・提供する事業を、「ソリューションSoC」という独自のビジネスモデルにより展開しています。「オートモーティブ」、「データセンター/ネットワーク」および「スマートデバイス」といった先端分野に加えて、「産業機器」や「IoT&レーダーセンシング」の分野で、グローバルなお客様から地域的なバランスをとりながら、より多くの商談の獲得を目指します。  事業活動を通して、お客様の信頼を獲得し、世界の主要・成長企業のSoC部門となりお客様の成長を支えるとともに、当社グループの低消費電力技術等を活用して社会の課題解決に貢献します。また、お客様と協力した開発を通して、エンジニアの成長と会社の成長との好循環を実現し、会社の成長による企業価値の向上により株主への還元を図ります。 (2)経営環境および対処すべき課題等①経営環境 近年、ネットワーク、クラウド、AI等様々な革新的技術の普及と融合により、今までにない新たなサービス/製品が次々と出現しています。それらのサービス/製品を取扱う企業においては、自社のサービスや製品を差別化するために独自のSoCへのニーズが増加しており、カスタムSoCの需要は拡大しています。 同時に、半導体のエコシステムの目覚ましい進化により、カスタムSoC開発に必要なコア技術である設計(IP/EDAツール/ソフトウエア)や製造(プロセス/アセンブリ/テスト)の最先端技術をエコシステムから入手し、競争力ある独自のSoCの開発ができる環境が整い、今後も半導体のエコシステムはさらなる進化が見込まれています。 一方、プロセステクノロジーの進歩が継続する中、チップレット技術や高度なパッケージング技術の進化により、これらの新しい技術と連携した先端SoC開発は、より複雑化するとともに、熱管理・電源効率や相互接続などの新たな課題への対応などにより開発の難易度は、ますます高まっています。  こうした事業環境を背景に、独自のカスタムSoCを開発したい顧客と進化する半導体のエコシステムとを繋ぐとともに、課題解決のために重要となるEntire Design(全体設計)を特徴としている「ソリューションSoC」ビジネスモデルに対する需要が高まっています。 ②優先的に対処すべき事業上および財務上の課題 当社グループが持続的な成長を実現するためには、開発競争力の強化、事業体制の変革、組織全体のグローバル化、さらなる利益率の改善など多くの課題があります。「第一の変革」で成し遂げた「量的な変化」を土台として、競争力のある開発体制の構築やグローバル企業に相応しい組織風土を目指す「質的な変化」を当社グループの「第二の変革」と位置づけ、大胆に進めてまいります。 〔開発体制の再構築およびビジネスプロセスの改善〕 当社グループは「ソリューションSoC」ビジネスモデルへの転換に伴い、これまで、開発力強化・開発効率改善のため、開発体制の再構築を進めてきました。今後もグローバルな顧客、半導体エコシステムを構成するプレーヤー、投資家等とのコミュニケーションを通じて、「ソリューションSoC」ビジネスモデルに相応しいグローバルな開発基盤と標準的な開発プロセスの構築、グローバルリーディンググループを中心としたグローバルな開発体制や技術力のさらなる強化、開発の効率化・可視化、開発マネジメント改革を一体的に推進していきます。 また、さらにグローバルな顧客との商談が拡大していくことに伴い、生産管理グループのグローバル化およびオペレーション改善の施策を引き続き実施していきます。顧客と当社グループの生産システムを繋ぎ、デリバリーシステムにおける効率性や透明性の向上を目指していきます。それにより、精度の高い生産計画とタイムリーな調達を可能にする強固な体制を確立し、製造を委託するファウンドリやOSATとの関係を含むビジネスプロセスを改善していきます。 〔先端技術への積極的な投資〕 今後の持続的な成長のために必要な技術力を強化するため、先端技術分野への投資を拡大し、成長重視の経営を進めていきます。具体的には、チップレットやチップレット技術と連携した2nmノード以細のテクノロジーでの開発、先端パッケージング技術および新たなパッケージ/アセンブリ技術のための高信頼性解析技術など先端技術への投資、SoCの設計プロセスに積極的にAIを組み込むなどSoC設計技術の強化、米国/インドなどでの人材確保などに積極的に取り組んでいきます。 〔中長期的な成長を見据えた売上および営業利益の拡大〕 当社グループは将来の売上管理のために、商談獲得残高という経営指標を採用しており、この商談獲得残高は商談獲得金額から売上実績を差し引いた金額です。この商談獲得残高により、現時点において2027年3月期までの売上の推移をある程度見通すことができております。2025年3月期には約1兆1,400億円(1米ドル=100円で換算)に拡大しており、2028年3月期以降の持続的な成長のためには、さらに商談を獲得していくことが必要であると認識しております。そのために、これまで順調に商談を獲得してきているオートモーティブ分野に加え、データセンター/ネットワーク分野をはじめとして、各注力分野においてバランスよく商談獲得への取り組みを進めてまいります。 また、営業利益拡大への施策としては、従来に引き続き製造粗利益の改善、開発収支の改善、販売管理費の適正な管理等に取り組んでいきます。 〔サステナビリティに関する取り組み〕 当社グループでは、優先的に取り組むマテリアリティ(重要課題)を特定し、サステナビリティ活動を推進しています。 マテリアリティのなかでも、特に環境/気候変動への取り組みとして、2024年4月より再生可能エネルギーの導入を開始するなど、当社グループのGHG(温室効果ガス)排出量の削減を進めるとともに、当社グループが提供する低消費電力/省スペースな先端SoCにより、お客様のもとでのGHG排出量の低減へ貢献することで、脱炭素社会の実現を目指しています。 また、人的資本に関しては、人権、ダイバーシティ、安全衛生/健康推進に関する諸制度の充実、エンジニア人材育成に関する教育プログラムの策定等により、当社グループの人的資本の最大化に向けた活動を進めています。 当社グループは、半導体エコシステムのパートナーと協働して、サプライチェーン全体でマテリアリティへの取り組みの実効性を高め、社会課題の解決と事業のさらなる成長を通じて、持続可能な社会の実現を目指しています。 当社グループは、グローバル企業としての社会的責任を全うし、全てのステークホルダーから信頼と共感を得られる存在であり続けたいと考えています。当社グループの最先端SoC技術で新しい価値を世界中に提供し、今後も中長期的な企業価値の向上を追求していきます。 当社グループは、国際連合が提唱する国連グローバルコンパクト(United Nations Global Compact:UNGC)に署名しました。UNGCは、国連と民間(企業/団体)が手を結び、健全なグローバル社会を築くための世界最大のサステナビリティイニシアチブです。各企業/団体が責任ある創造的なリーダーシップを発揮することによって、社会の良き一員として行動し、持続可能な成長を実現するための世界的な枠組みです。当社グループは、組織のトップ自らのコミットメントのもと、4分野(人権/労働/環境/腐敗防止)からなる10原則に基づき、持続可能な社会の実現に向けて努力していきます。 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 カスタムSoCは、一般的に商談獲得から設計開発および顧客による評価期間を経て製品を出荷し売上計上するまで2年以上を要するため、当社グループは、より早い段階から将来売上見通しを見える化し、必要な対策をタイムリーに実行していくために、将来の売上見通しのベースとなる「商談獲得金額」、「商談獲得残高」を会社の重要経営指標としております。日々の商談獲得活動によるこれら指標の積上げ、見直しによる、中期的な売上高成長率の向上、並びに製品売上拡大による売上総利益の増加および開発効率化等を通じた営業利益率の改善を目指しております。 当社グループの商談獲得金額は2018年3月期および2019年3月期は1,000億円の水準でしたが、2023年3月期は2,500億円程度に達し、2025年3月期は約3,000億円規模へと拡大しました。特に高成長が期待されるデータセンター/ネットワーク、オートモーティブを中心とした注力分野において大型の商談を多数獲得しております。その結果、商談獲得残高は2022年6月末時点の約8,800億円から2025年3月末時点で約1兆1,400億円と増加しております。 当社グループは、商談獲得後、SoCの設計開発を行いますが、一般的に顧客から設計開発に要する費用の大半をNRE売上として段階的に受領します。その後、顧客の評価を経て製品の量産段階に入り、製品売上を計上します。2025年3月期において、当社グループの連結売上高に占めるNRE売上高の比率は22%でした。商談獲得から設計開発および顧客の評価完了を経て製品売上が計上されるまでには、通常2年以上を要し、その間に案件の中止や仕様変更等に基づく製品単価の変化が発生しうるため、商談獲得金額が将来の売上を確実に保証するわけではありません。 「商談獲得金額」は、ある会計期間に獲得された商談について、顧客との間で設計開発に係る契約を締結した時点(商談獲得時点)における、将来の設計開発および量産に至る販売全期間における顧客需要として当社グループが予測した金額を、1米ドル100円により示したものです。商談獲得金額は、顧客需要の予測であるため、製造キャパシティの制約は考慮しておらず、また、商談獲得後の案件の中止、実際に計上された売上といった事後的な事象に基づき更新することはしていません。なお、商談獲得時において、製品単価は合意されます(但し、設計開発を経て製品の仕様が変更される場合には製品単価も変更されることがあります。)が、販売数量は合意されません。このため、単価や数量の変動等個々の商談の状況変化を適時反映した「商談獲得残高」も重要な経営指標としております。 「商談獲得残高」は、その時点において存続している案件に関する商談獲得金額の累積値を当社グループが予測した金額で、同じく1米ドル100円で計算しています。商談獲得残高は、商談獲得金額についての、商談を獲得した時点以降の案件の進捗又は変化を反映又は更新したものであるため、商談獲得残高の算定時点により大きく変動する可能性があります。これらの進捗又は変化には、①商談獲得後の案件の中止(2020年3月期から2025年3月期までの商談獲得金額の合計についておよそ15%に相当する商談が事後的に中止となっています。これまでは、このようなキャンセルによる影響額は商談獲得後の単価上昇、数量増などの影響額でオフセットされほぼ同水準で推移してきましたが、2025年3月末時点では、北米オートモーティブ案件の影響もあり、相当する商談獲得残高とこれまでの関連する売上の合計が、商談獲得金額の合計に対して数%の減少となっています)、②実際に計上された売上の控除および③仕様変更等に基づく製品単価の変化や製品の販売数量の見込みの変化が含まれます。  上記のほか、「商談獲得金額」および「商談獲得残高」の留意事項については、下記「3 事業等のリスク (4)当社グループの経営指標について」もご参照ください。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境および対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営の基本方針①基本理念 当社グループは、企業として果たすべき使命、重視する価値観について、以下のとおりグループ共通の考え方を定めております。 この基本理念の下、新しいサービス/製品の差別化のために独自の先端SoCを開発しようとするお客様のパートナーとして、また、進化する半導体エコシステムにおいてファウンドリ/OSATをはじめIP/EDAツール/ソフトウエアに至るまで最新の技術を提供するサプライヤーのパートナーとして、お客様、さらにはその先にいる世界中の人々に新しい価値を提供し、豊かな社会の実現に貢献していきたいと考えています。 ・Mission(企業としての使命) Together with our global partners, we bring innovation to everyone everywhere.・Values(重視する価値観)「Change」 非連続な変化への適応。ビジネス・技術・マインド・オペレーション等環境の変化に合わせ我々自身も変化していく。「Technology」 最先端技術の追求により、世界のイノベーションを支える開発競争力を持つ会社を目指す。「Growth」 私たちの成長が株主・お客様・パートナー・社員等のあらゆるステークホルダーへの貢献に繋がる。「Speed」 ダイナミックかつ急激に変化する市場・お客様への迅速な対応。「Sustainability」 お客様・パートナー・社会との共生により持続可能な未来を創る。 ・行動指針・各人が自身の仕事にオーナーシップを持ち、環境の変化に合わせ、お客様視点・マーケットインの視点から自立的に考え行動を起こす。・成長市場・成長企業にアクセスし続けるために、最新の技術・知識に裏付けられた、お客様にとって価値のある課題解決に向けた提案を行う。・各人が意欲的にあるべき姿に向かってチャレンジしプロフェッショナルを目指すことが、個人の成長・会社の成長に繋がる。・個人単位・組織単位での迅速な判断と意思決定を行い、常に先を見て、お客様にとっての価値を生み出す。・グローバル社会の構成員として、企業としての社会的責任を果たし、持続可能で豊かな社会の実現に向け貢献する。 ・CSR基本方針・法令・社会規範の遵守私たちは法令・社会規範の遵守を徹底し、社会の信頼に応えます。・人権の尊重私たちは一人ひとりの人権を尊重し、差別等の人権侵害行為を許しません。・社員の労働環境整備私たちは社員の幸せを目指し、個性を尊重し、公平な処遇を実現するとともに、健康で働きやすい環境をつくります。・環境への配慮私たちは地球環境に配慮した企業活動を進めていきます。・公正な商取引の推進私たちは常に公正な商取引に則り、お客様/お取引先との信頼関係を築きます。・情報管理の徹底私たちは自社情報、お客様やお取引先等の第三者情報や個人情報等の管理を徹底し、機密を保持します。・知的財産の尊重私たちは企業価値の源である知的財産を守り、尊重します。 ②経営方針 上記の基本理念実現のために、当社グループは、独自の先端SoCを必要とするお客様に向けて、最適な技術の組み合わせにより、お客様が求める機能を実現するSoCを開発・提供する事業を、「ソリューションSoC」という独自のビジネスモデルにより展開しています。「オートモーティブ」、「データセンター/ネットワーク」および「スマートデバイス」といった先端分野に加えて、「産業機器」や「IoT&レーダーセンシング」の分野で、グローバルなお客様から地域的なバランスをとりながら、より多くの商談の獲得を目指します。  事業活動を通して、お客様の信頼を獲得し、世界の主要・成長企業のSoC部門となりお客様の成長を支えるとともに、当社グループの低消費電力技術等を活用して社会の課題解決に貢献します。また、お客様と協力した開発を通して、エンジニアの成長と会社の成長との好循環を実現し、会社の成長による企業価値の向上により株主への還元を図ります。 (2)経営環境および対処すべき課題等①経営環境 近年、ネットワーク、クラウド、AI等様々な革新的技術の普及と融合により、今までにない新たなサービス/製品が次々と出現しています。それらのサービス/製品を取扱う企業においては、自社のサービスや製品を差別化するために独自のSoCへのニーズが増加しており、カスタムSoCの需要は拡大しています。 同時に、半導体のエコシステムの目覚ましい進化により、カスタムSoC開発に必要なコア技術である設計(IP/EDAツール/ソフトウエア)や製造(プロセス/アセンブリ/テスト)の最先端技術をエコシステムから入手し、競争力ある独自のSoCの開発ができる環境が整い、今後も半導体のエコシステムはさらなる進化が見込まれています。 一方、プロセステクノロジーの進歩が継続する中、チップレット技術や高度なパッケージング技術の進化により、これらの新しい技術と連携した先端SoC開発は、より複雑化するとともに、熱管理・電源効率や相互接続などの新たな課題への対応などにより開発の難易度は、ますます高まっています。  こうした事業環境を背景に、独自のカスタムSoCを開発したい顧客と進化する半導体のエコシステムとを繋ぐとともに、課題解決のために重要となるEntire Design(全体設計)を特徴としている「ソリューションSoC」ビジネスモデルに対する需要が高まっています。 ②優先的に対処すべき事業上および財務上の課題 当社グループが持続的な成長を実現するためには、開発競争力の強化、事業体制の変革、組織全体のグローバル化、さらなる利益率の改善など多くの課題があります。「第一の変革」で成し遂げた「量的な変化」を土台として、競争力のある開発体制の構築やグローバル企業に相応しい組織風土を目指す「質的な変化」を当社グループの「第二の変革」と位置づけ、大胆に進めてまいります。 〔開発体制の再構築およびビジネスプロセスの改善〕 当社グループは「ソリューションSoC」ビジネスモデルへの転換に伴い、これまで、開発力強化・開発効率改善のため、開発体制の再構築を進めてきました。今後もグローバルな顧客、半導体エコシステムを構成するプレーヤー、投資家等とのコミュニケーションを通じて、「ソリューションSoC」ビジネスモデルに相応しいグローバルな開発基盤と標準的な開発プロセスの構築、グローバルリーディンググループを中心としたグローバルな開発体制や技術力のさらなる強化、開発の効率化・可視化、開発マネジメント改革を一体的に推進していきます。 また、さらにグローバルな顧客との商談が拡大していくことに伴い、生産管理グループのグローバル化およびオペレーション改善の施策を引き続き実施していきます。顧客と当社グループの生産システムを繋ぎ、デリバリーシステムにおける効率性や透明性の向上を目指していきます。それにより、精度の高い生産計画とタイムリーな調達を可能にする強固な体制を確立し、製造を委託するファウンドリやOSATとの関係を含むビジネスプロセスを改善していきます。 〔先端技術への積極的な投資〕 今後の持続的な成長のために必要な技術力を強化するため、先端技術分野への投資を拡大し、成長重視の経営を進めていきます。具体的には、チップレットやチップレット技術と連携した2nmノード以細のテクノロジーでの開発、先端パッケージング技術および新たなパッケージ/アセンブリ技術のための高信頼性解析技術など先端技術への投資、SoCの設計プロセスに積極的にAIを組み込むなどSoC設計技術の強化、米国/インドなどでの人材確保などに積極的に取り組んでいきます。 〔中長期的な成長を見据えた売上および営業利益の拡大〕 当社グループは将来の売上管理のために、商談獲得残高という経営指標を採用しており、この商談獲得残高は商談獲得金額から売上実績を差し引いた金額です。この商談獲得残高により、現時点において2027年3月期までの売上の推移をある程度見通すことができております。2025年3月期には約1兆1,400億円(1米ドル=100円で換算)に拡大しており、2028年3月期以降の持続的な成長のためには、さらに商談を獲得していくことが必要であると認識しております。そのために、これまで順調に商談を獲得してきているオートモーティブ分野に加え、データセンター/ネットワーク分野をはじめとして、各注力分野においてバランスよく商談獲得への取り組みを進めてまいります。 また、営業利益拡大への施策としては、従来に引き続き製造粗利益の改善、開発収支の改善、販売管理費の適正な管理等に取り組んでいきます。 〔サステナビリティに関する取り組み〕 当社グループでは、優先的に取り組むマテリアリティ(重要課題)を特定し、サステナビリティ活動を推進しています。 マテリアリティのなかでも、特に環境/気候変動への取り組みとして、2024年4月より再生可能エネルギーの導入を開始するなど、当社グループのGHG(温室効果ガス)排出量の削減を進めるとともに、当社グループが提供する低消費電力/省スペースな先端SoCにより、お客様のもとでのGHG排出量の低減へ貢献することで、脱炭素社会の実現を目指しています。 また、人的資本に関しては、人権、ダイバーシティ、安全衛生/健康推進に関する諸制度の充実、エンジニア人材育成に関する教育プログラムの策定等により、当社グループの人的資本の最大化に向けた活動を進めています。 当社グループは、半導体エコシステムのパートナーと協働して、サプライチェーン全体でマテリアリティへの取り組みの実効性を高め、社会課題の解決と事業のさらなる成長を通じて、持続可能な社会の実現を目指しています。 当社グループは、グローバル企業としての社会的責任を全うし、全てのステークホルダーから信頼と共感を得られる存在であり続けたいと考えています。当社グループの最先端SoC技術で新しい価値を世界中に提供し、今後も中長期的な企業価値の向上を追求していきます。 当社グループは、国際連合が提唱する国連グローバルコンパクト(United Nations Global Compact:UNGC)に署名しました。UNGCは、国連と民間(企業/団体)が手を結び、健全なグローバル社会を築くための世界最大のサステナビリティイニシアチブです。各企業/団体が責任ある創造的なリーダーシップを発揮することによって、社会の良き一員として行動し、持続可能な成長を実現するための世界的な枠組みです。当社グループは、組織のトップ自らのコミットメントのもと、4分野(人権/労働/環境/腐敗防止)からなる10原則に基づき、持続可能な社会の実現に向けて努力していきます。 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 カスタムSoCは、一般的に商談獲得から設計開発および顧客による評価期間を経て製品を出荷し売上計上するまで2年以上を要するため、当社グループは、より早い段階から将来売上見通しを見える化し、必要な対策をタイムリーに実行していくために、将来の売上見通しのベースとなる「商談獲得金額」、「商談獲得残高」を会社の重要経営指標としております。日々の商談獲得活動によるこれら指標の積上げ、見直しによる、中期的な売上高成長率の向上、並びに製品売上拡大による売上総利益の増加および開発効率化等を通じた営業利益率の改善を目指しております。 当社グループの商談獲得金額は2018年3月期および2019年3月期は1,000億円の水準でしたが、2023年3月期は2,500億円程度に達し、2025年3月期は約3,000億円規模へと拡大しました。特に高成長が期待されるデータセンター/ネットワーク、オートモーティブを中心とした注力分野において大型の商談を多数獲得しております。その結果、商談獲得残高は2022年6月末時点の約8,800億円から2025年3月末時点で約1兆1,400億円と増加しております。 当社グループは、商談獲得後、SoCの設計開発を行いますが、一般的に顧客から設計開発に要する費用の大半をNRE売上として段階的に受領します。その後、顧客の評価を経て製品の量産段階に入り、製品売上を計上します。2025年3月期において、当社グループの連結売上高に占めるNRE売上高の比率は22%でした。商談獲得から設計開発および顧客の評価完了を経て製品売上が計上されるまでには、通常2年以上を要し、その間に案件の中止や仕様変更等に基づく製品単価の変化が発生しうるため、商談獲得金額が将来の売上を確実に保証するわけではありません。 「商談獲得金額」は、ある会計期間に獲得された商談について、顧客との間で設計開発に係る契約を締結した時点(商談獲得時点)における、将来の設計開発および量産に至る販売全期間における顧客需要として当社グループが予測した金額を、1米ドル100円により示したものです。商談獲得金額は、顧客需要の予測であるため、製造キャパシティの制約は考慮しておらず、また、商談獲得後の案件の中止、実際に計上された売上といった事後的な事象に基づき更新することはしていません。なお、商談獲得時において、製品単価は合意されます(但し、設計開発を経て製品の仕様が変更される場合には製品単価も変更されることがあります。)が、販売数量は合意されません。このため、単価や数量の変動等個々の商談の状況変化を適時反映した「商談獲得残高」も重要な経営指標としております。 「商談獲得残高」は、その時点において存続している案件に関する商談獲得金額の累積値を当社グループが予測した金額で、同じく1米ドル100円で計算しています。商談獲得残高は、商談獲得金額についての、商談を獲得した時点以降の案件の進捗又は変化を反映又は更新したものであるため、商談獲得残高の算定時点により大きく変動する可能性があります。これらの進捗又は変化には、①商談獲得後の案件の中止(2020年3月期から2025年3月期までの商談獲得金額の合計についておよそ15%に相当する商談が事後的に中止となっています。これまでは、このようなキャンセルによる影響額は商談獲得後の単価上昇、数量増などの影響額でオフセットされほぼ同水準で推移してきましたが、2025年3月末時点では、北米オートモーティブ案件の影響もあり、相当する商談獲得残高とこれまでの関連する売上の合計が、商談獲得金額の合計に対して数%の減少となっています)、②実際に計上された売上の控除および③仕様変更等に基づく製品単価の変化や製品の販売数量の見込みの変化が含まれます。  上記のほか、「商談獲得金額」および「商談獲得残高」の留意事項については、下記「3 事業等のリスク (4)当社グループの経営指標について」もご参照ください。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要 当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ①財政状態および経営成績の状況a.経営成績 当連結会計年度における世界経済は、インフレ圧力は緩和されつつあるものの、地域による温度差が生じています。具体的には、欧州や日本では、中国の内需低迷の影響による輸出需要が減少するなど厳しい状況が続きました。一方、米国では、個人消費の改善や設備投資を含む需要の拡大を背景として経済は堅調に推移しました。なお、為替相場においては、米国の金利引き下げペースの鈍化により日米の金利差が縮まりにくくなることを背景に円安が進みました。  当社グループにおいては、2018年4月以降、ビジネスモデルの転換、グローバルな大型商談が見込まれる成長分野/先端分野へのシフト、さらに大胆な事業体制の変革等の構造改革を進めてきました(「第一の変革」)。その結果、注力分野であるオートモーティブ、データセンター/ネットワーク、スマートデバイス分野を中心に多くの大型商談を獲得しております。年間の商談獲得金額(1米ドル=100円で換算)は、構造改革以前は1,000億円程度でしたが、構造改革後は2,000億円程度へ、2023年3月期は2,500億円程度に達し、2025年3月期は約3,000億円規模へと拡大しました。また、獲得した商談の量産が徐々に始まり、確実に売上拡大に繋がっております。 さらに、競争力のある開発体制の構築やグローバル企業に相応しい組織風土を目指す「第二の変革」を進めております。グローバルな顧客、半導体エコシステムを構成するプレーヤー、投資家等とのコミュニケーションを通じて、社内の体制、組織の構造、従業員の意識を変える取り組みを強化しております。  先端技術分野のモデルプロジェクトの開発および開発基盤構築に取り組む組織であるグローバルリーディンググループを中心に、「ソリューションSoC」ビジネスモデルに相応しいコンピュータアーキテクチャベースの開発基盤と標準的な開発プロセスの構築を進めてきました。また、これと並行して、開発の効率化/可視化、開発マネジメント改革を一体として積極的に推進してきました。  半導体関連サプライヤーが集中する台湾において、委託先の生産を管理するチームを現地(台湾)に配置することでダイレクトインターフェースを構築しました。これにより、サプライヤーとの連携がより強固なものとなり、製造委託先の供給状況の変化にも迅速に対応する体制が整いつつあります。  ここ数年の大型先端開発案件の商談獲得に伴い、半導体業界を取り巻くエコシステムを形成するグローバル企業との関係強化を進めてきました。特に、北米や台湾等に本社を置くグローバル企業とのマネジメントレベルでの関係構築/強化により、これらの企業との先端技術分野での共同開発プロジェクト等の進捗がありました。  当社グループにおける研究開発は、注力分野における商談獲得に繋げるための先行開発と、獲得した商談の製品開発から構成されております。当連結会計年度の研究開発費は、前連結会計年度比12.3%増の59,821百万円となりました。これは主に獲得した商談の製品開発が増加していることによるものであります。先行開発では、日々進化する半導体エコシステムにおいて最新の技術を活用するために、Arm Holding plc(Arm社)およびTaiwan Semiconductor Manufacturing Company Limited(TSMC社)とも密に連携し、2nm以細のプロセステクノロジー、チップレット等の先進的なパッケージング技術、最新設計ツールの実用化およびプラットフォーム化等に積極的に取り組んでおります。また、Arm社のアーキテクチャ採用のTSMC社の3nmプロセステクノロジーを使用したハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)プロセッサーSoCの開発、Google社との量子コンピューティング向けSoCの開発等も順調に進んでおります。さらに、インド電子情報技術省(Ministry of Electronics and Information Technology, MeitY)の主要な研究開発機関であるCentre for Development of Advanced Computing(C-DAC)およびMosChip Technologiesと提携しました。加えて、北米を中心に複数のデータセンター向けSoC商談を獲得しており、それらの開発も開始しております。 今後は、引き続き、設計開発へのAI導入等にも取り組んでいきます。  また、当社グループでは、優先的に取り組むマテリアリティ(重要課題)を特定し、サステナビリティ活動を推進しております。当連結会計年度においては、個々のマテリアリティの実現に向けた取り組みの結果として「脱炭素経営ランキングGX500」への選出、「日経スマートワーク経営企業」および「日経SDGs経営企業」としての認定を受けるなど、社外からも一定の評価をいただくことができました。  当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高は188,535百万円(前連結会計年度比14.8%減)となりました。当社グループの売上は、量産段階で受領する製品売上と、設計開発に要する費用を段階的に受領するNRE売上から構成されております。製品売上は、中国の5G基地局向け商談における特需の終了やデータセンター/ネットワーク分野での中国市場における通信機器などの需要減少により、146,578百万円(前連結会計年度比19.8%減)となりました。NRE売上は、オートモーティブおよびハイエンドカメラでの7nmより微細な先端テクノロジーの開発案件が重なったこともあり、41,019百万円(前連結会計年度比9.1%増)となりました。  また、売上原価は84,616百万円、先端テクノロジーを使用した開発案件の増加および円安影響により販売費及び一般管理費は78,919百万円となり、営業利益は25,000百万円(前連結会計年度比29.6%減)となりました。これに営業外収益・費用を加え、経常利益は25,118百万円(前連結会計年度比32.3%減)となりました。特別利益1,790百万円は、第2四半期に計上した高蔵寺事業所の売却による固定資産売却益であります。特別損失1,531百万円は、第4四半期に計上したオートモーティブ分野の特定顧客の事業撤退方針決定に伴い、当社が保有する技術資産が遊休資産となったことによる減損損失であります。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は19,600百万円(前連結会計年度比25.0%減)となりました。 当連結会計年度の1米ドルの平均為替レートは152.6円、前連結会計年度比8.0円の円安となりました。  なお、当社グループの事業セグメントは、「ソリューションSoC」ビジネスモデルで開発するSoCを主とする単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載は行っておりません。 b.財政状態(資産) 当連結会計年度末における流動資産は126,290百万円となり、前連結会計年度末に比べ12,611百万円減少しました。これは主に、売上高の減少により、売掛金および棚卸資産が減少したことによるものであります。 固定資産は44,022百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,917百万円減少しました。これは主に、獲得した商談の製品開発に係るレチクル、テストボード、設計開発環境の増強およびⅠPマクロ等の設備投資がある一方、減価償却費の増加、高蔵寺事業所の売却および技術資産の減損によるものであります。 この結果、総資産は170,312百万円となり、前連結会計年度末に比べ16,528百万円減少しました。 (負債) 当連結会計年度末における流動負債は31,271百万円となり、前連結会計年度末に比べ21,823百万円減少しました。これは主に、売上高の減少により、買掛金および有償支給に係る負債等の減少によるものであります。 この結果、負債合計は33,266百万円となり、前連結会計年度末に比べ22,554百万円減少しました。 (純資産) 当連結会計年度末における純資産合計は137,046百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,026百万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益19,600百万円、配当金の支払額8,952百万円および自己株式の取得5,000百万円(2,016,500株)によるものであります。 この結果、自己資本比率は80.47%となり、前連結会計年度末から10.35ポイント増加しております。 ②キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は72,837百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,099百万円増加しました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。  営業活動によるキャッシュ・フローは31,866百万円の収入(前連結会計年度は52,882百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益25,377百万円、減価償却費16,237百万円および法人税等の支払額8,551百万円によるものであります。  投資活動によるキャッシュ・フローは14,552百万円の支出(前連結会計年度は23,155百万円の支出)となりました。これは主に、獲得した商談の製品開発に係るレチクル、テストボードおよび設計開発環境の増強等の有形固定資産の取得による支出12,758百万円、IPマクロ等の無形固定資産の取得による支出3,821百万円および固定資産の売却による収入2,363百万円によるものであります。  財務活動によるキャッシュ・フローは13,825百万円の支出(前連結会計年度は6,624百万円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払額8,952百万円および自己株式の取得による支出5,000百万円によるものであります。  当社は、顧客の需要変動および世界景気の減速や地政学リスクの高まり等に対応して、借入枠20,000百万円のコミットメントライン契約を締結しております。なお、当連結会計年度においてコミットメントライン契約に基づく借入は行っておりません。 ③生産・受注および販売の実績 当連結会計年度における生産実績、受注実績および販売実績は次のとおりであります。 なお、当社グループの事業セグメントは、「ソリューションSoC」ビジネスモデルで開発するSoCを主とする単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。 a.生産実績 当社グループは、ファブレスモデルのビジネス形態となっており、製品の製造については、製造委託先(ファウンドリ、OSAT)へ委託しております。当社グループ製品は、顧客の特定製品向け専用で設計し搭載されるものが主であり、受注生産を行っていることから、生産実績は販売実績と概ね同等の金額となるため、生産実績の記載は省略しております。 b.受注実績 当社グループは、商談獲得後、設計開発業務に係る受注を受けて設計開発を開始し、開発終了後にサンプルを製作の上、顧客に提供し評価を受けます。設計開発開始後、顧客の評価完了までの間、受注した設計開発業務に係る売上が段階的に計上されます。顧客により製品の性能等に問題がないことが確認されると、製品の量産段階に移行し、顧客の買取責任が発生する形で製品の量産に係る受注を受け、当社グループは製造委託先へ製造を委託します。当社グループの当連結会計年度における設計開発および製品の量産に係る受注高および受注残高は以下のとおりです。受注高については、2026年3月期に量産に入る新商品の受注が入り始め前年度比増加となりました。受注残高については、半導体不足時における顧客の先行手配の影響で、前連結会計年度は顧客側での発注調整が行われましたが、当連結会計年度でも調整の影響が残っており前年度比減少となりました。なお、下記の受注高および受注残高は、当社グループの経営指標である商談獲得金額および商談獲得残高とは算定方法および基準時点が異なります。 前連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)前年度比受注高 (百万円)114,307171,04549.6%受注残高(百万円)175,124156,802△10.5% c.販売実績 前連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)前年度比売上高 (百万円)221,246188,535△14.8%(注)主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合 ・CRS TECHNOLOGY Co., LTDへの前連結会計年度および当連結会計年度の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、60,171百万円、27.2%および、30,488百万円、16.2%であります。 ・加賀FEI株式会社への前連結会計年度および当連結会計年度の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、56,408百万円、25.5%および、50,169百万円、26.6%であります。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容 当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。 ①経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容a.売上高 当連結会計年度の売上高は188,535百万円(前連結会計年度比14.8%減)となりました。うち「製品売上」は146,578百万円(前連結会計年度比19.8%減)となりました。中国の5G基地局向け商談における特需の終了やデータセンター/ネットワーク分野での中国市場における通信機器等の需要減少により減少しました。「NRE売上」は41,019百万円(前連結会計年度比9.1%増)となりました。オートモーティブおよびハイエンドカメラでの7nmより微細な先端テクノロジーの開発案件が重なったこともあり、対価としてのNRE売上が増加しました。今後、開発が完了し顧客での評価後量産段階に移行した場合には製品売上高の増加に貢献することが見込まれます。「その他」は知的財産のライセンスによる収入が増加しました。 ・財務指標 前連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)前年度比製品売上 (百万円)182,876146,578△19.8%NRE売上(百万円)37,60941,0199.1%その他  (百万円)76193823.3%売上高合計(百万円)221,246188,535△14.8% b.売上原価・販売費及び一般管理費並びに営業利益①売上原価 当連結会計年度の売上原価は84,616百万円、売上総利益は103,919百万円(前連結会計年度比5.5%減)となりました。主に、製品売上の減少による売上総利益の減少によるものです。売上原価率は、製造委託先の能力確保のための一時的なコスト負担が減少したことや、品種構成の変動により減少しました。 ・財務指標 前連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)前年度比売上原価率50.3%44.9%△5.4ポイント売上総利益(百万円)110,003103,919△5.5%(注)各指標の計算方法は下記のとおりであります。 売上原価率:売上原価/売上高×100 ②販売費及び一般管理費 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は78,919百万円(前連結会計年度比4,426百万円増)となりました。先端テクノロジーの開発が進んだことから研究開発費は59,821百万円(前連結会計年度比6,542百万円増)、研究開発費を除いた販売費及び一般管理費は19,098百万円(前連結会計年度比2,116百万円減)であります。 ③営業利益 当連結会計年度の営業利益は25,000百万円(前連結会計年度比10,510百万円減)となりました。主に、売上高の減少によるものです。当連結会計年度の1米ドルの平均為替レートは152.6円、前連結会計年度に比べて8.0円の円安となりました。  ・財務指標 前連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)前年度比営業利益(百万円)35,51025,000△29.6%営業利益率16.1%13.3%△2.8ポイントEBITDA(百万円) ※48,90641,237△15.7% ※ EBITDAは、「営業利益」および「減価償却費」を合計して算出しております。 c.税金等調整前当期純利益 当連結会計年度の特別利益は1,790百万円となりました。第2四半期に計上した高蔵寺事業所の売却による固定資産売却益であります。 当連結会計年度の特別損失1,531百万円は、第4四半期に計上したオートモーティブ分野の特定顧客の事業撤退方針決定に伴い、当社が保有する技術資産が遊休資産となったことによる減損損失であります。  以上の結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は25,377百万円(前連結会計年度比11,745百万円減)となりました。 d.親会社株主に帰属する当期純利益 当連結会計年度の法人税、住民税および事業税の額が5,175百万円、法人税等調整額が602百万円となった結果、親会社株主に帰属する当期純利益は19,600百万円(前連結会計年度比6,534百万円減)となりました。 ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源および資金の流動性に係る情報a.資本の財源および資金の流動性についての分析 当社グループは、経営環境が急激に変化したとしても、顧客にとっての基幹部品である当社グループ製品を長期にわたり供給していく責任があることから、内部留保を厚くし資金の流動性を高く維持する方針としております。  当連結会計年度末における総資産は170,312百万円となり、前連結会計年度末に比べ16,528百万円減少しました。流動資産は126,290百万円となり、前連結会計年度末に比べ12,611百万円減少となりました。これは主に、売上高の減少や顧客要望に基づく先行手配の減少による、売掛金、棚卸資産の減少によるものです。当社グループはファブレスによる事業運営のため、資産構成上流動資産の割合が高く、総資産の74.2%を流動資産が占めております。 ・財政状態および財務指標 前連結会計年度末(2024年3月31日)当連結会計年度末(2025年3月31日)前年度比総資産(百万円)186,840170,312△16,528流動資産(百万円)138,901126,290△12,611流動資産比率(%)74.374.2△0.1ポイント(注)各指標の計算方法は下記のとおりであります。 流動資産比率:流動資産/総資産×100  当連結会計年度末の負債合計は33,266百万円となり、前連結会計年度末に比べ22,554百万円減少となりました。これは主に、製造委託先からの購入金額の減少や顧客要望に基づく先行手配の減少による、買掛金、有償支給に係る負債および未払金の減少によるものです。  ・財政状態および財務指標 前連結会計年度末(2024年3月31日)当連結会計年度末(2025年3月31日)前年度比流動負債(百万円)53,09431,271△21,823流動比率(%)261.6403.9142.3ポイント(注)各指標の計算方法は下記のとおりであります。 流動比率:流動資産/流動負債×100  当連結会計年度末の純資産は137,046百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,026百万円増加となりました。これは主に、利益剰余金が10,648百万円増加したことによるものです。  以上の結果、当連結会計年度の自己資本は137,046百万円となり、自己資本比率は80.47%に、ROEは14.62%となりました。引き続き、経営環境の変化に柔軟に対応できるよう、収益力と財務体質の改善に取り組んでまいります。  ・財政状態および財務指標 前連結会計年度末(2024年3月31日)当連結会計年度末(2025年3月31日)前年度比自己資本(百万円)131,020137,0466,026自己資本比率(%)70.1280.4710.35ポイントROE(%)21.7014.62△7.08ポイント(注)各指標の計算方法は下記のとおりであります。自己資本比率:自己資本/総資産ROE(自己資本利益率):親会社株主に帰属する当期純利益/((前連結会計年度末自己資本+当連結会計年度末自己資本)/2)  当社は、顧客の需要変動および世界景気の減速や地政学リスクの高まり等に対応して、借入枠20,000百万円のコミットメントライン契約を締結しております。なお、当連結会計年度においてコミットメントライン契約に基づく借入は行っておりません。 b.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容 当社グループは、売掛債権の回収期間および棚卸資産の滞留日数の短縮に取り組んでおり、運転資金および成長に必要な資金を、営業キャッシュ・フローから確実に確保できるよう努めております。  当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは前年度比21,016百万円減少の31,866百万円のプラス(前連結会計年度は52,882百万円のプラス)となりました。これは主に、製品売上の減少による、営業利益の減少によるものです。投資活動によるキャッシュ・フローは14,552百万円のマイナス(前連結会計年度は23,155百万円のマイナス)となり、フリー・キャッシュ・フローは17,314百万円のプラス(前連結会計年度は29,727百万円のプラス)となりました。  ・当社グループのキャッシュ・フロー関連指標 前連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)前年度比Ⅰ 営業活動によるキャッシュ・フロー(百万円)52,88231,866△21,016Ⅱ 投資活動によるキャッシュ・フロー(百万円)△23,155△14,5528,603Ⅰ+Ⅱ フリー・キャッシュ・フロー(百万円)29,72717,314△12,413  当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは13,825百万円のマイナス(前連結会計年度は6,624百万円のマイナス)となりました。これは主に、配当金の支払額8,952百万円、自己株式の取得5,000百万円によるものです。  以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末の残高は72,837百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,099百万円増加しております。 ③重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、当社グループの重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えられる特に重要な会計方針は以下のとおりであります。 a.繰延税金資産の回収可能性 繰延税金資産に関して、将来の業績予測やタックス・プランニングを基に将来の課税所得を見積り、繰延税金資産の回収可能性を判断しています。経営環境等の悪化により、その見積りに変更が生じた場合は、繰延税金資産が取り崩されることにより税金費用を計上する可能性があります。 b.棚卸資産の評価 棚卸資産に関して、正味売却価額が取得原価より下落した場合に簿価の切下げを行います。また、一定期間を超えて滞留する棚卸資産について、将来の需要や市場動向を反映した正味実現可能価額まで簿価の切下げを行います。 c.固定資産の減損 固定資産に関して、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損の要否を検討し、固定資産に減損が見込まれる場合は、将来キャッシュ・フローの現在価値又は正味売却価額に基づいて減損損失を計上いたします。将来の事業計画の変更や経営環境等の悪化による将来キャッシュ・フローの見積りが著しく減少する場合は、減損損失を計上する可能性があります。

事業リスク

ソシオネクストは、製造を外部委託しているため、製造委託先が限定的であることによるリスクがあります。特に最先端品や車載品ではTSMCへの依存度が高く、製造委託先の技術遅れ、原材料高騰、キャパシティ不足、地政学リスクなどにより、製品供給の遅延や中断、価格上昇が生じる可能性があります。また、製品の設計開発は長期にわたるため、市場環境や顧客戦略の変化によりプロジェクトが延伸・中止となるリスクがあります。これにより、NRE売上が計画通り得られない、または損失が発生する可能性があり、量産数量が予測を下回るリスクも存在します。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|12,804 文字
3【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財務状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。 ・リスクマネジメントに関する基本的な考え方および体制について当社グループがグローバルに事業活動を展開していく上で、複雑かつ多様なビジネス環境の変化によって生じるあらゆるリスクを早期に把握し、適切な対策を講じることが、当社グループの経営戦略/事業戦略の実現に必要不可欠であると考えています。当社グループでは、組織的かつ継続的にリスクの抽出/評価を行い、抽出されたリスク項目ごとに主管役員を選任し、対応案の策定と実行を進めています。 また、これらの取り組みに関して、定期的に取締役会への報告を行い、想定しているリスクの網羅性、各種対策の有効性および進捗状況等について確認する体制を構築し、リスクの発生可能性/損失規模の低減に向けてリスクマネジメントの強化に取り組んでいます。 ・経営/事業を取り巻くリスク(1)製造委託先について 当社グループは、経営資源を設計/開発業務に集中し、製品の生産を外部に委託するファブレスという事業形態を採用し、多くの資金が必要となる生産設備投資に制約されることなく事業を推進しています。生産は国内外のファウンドリおよびOSATといった製造委託先に分散して委託しておりますが、かかる事業形態に関して以下のようなリスクがあります。 ①製造委託先が限定的であることについて 当社グループは台湾、日本、中国、シンガポールおよび韓国等の製造委託先に半導体の製造を委託しています。当社グループの取扱う最先端テクノロジー品や、車載品等の高い品質・信頼性を要求される製品については、その技術力等から製造委託先が限定される場合があり、特に半導体製造の前工程においてはTSMCに多くの製造を委託しています。当社グループの顧客への製品の供給は、製造委託先の方針、技術力や製造キャパシティの制約による影響を受けています。急速に技術革新が進む半導体業界において製造委託先が技術革新に乗り遅れた場合や、原材料や燃料価格の高騰が生じた場合の他、需要が急速に伸び製造キャパシティが不足する場合には、当社グループによる当該製造委託先への委託が困難となる可能性があります。そのような場合に、契約条件、事業上の関係性又は顧客の意向といった制約により、当社グループにおいて適時に合理的な条件で新たな製造委託先を確保できる保証はありません。さらに、製造委託先において、半導体製造のために必要な水、エネルギー又は廃水処理能力の不足による制約が生じる場合、当社グループの製品の供給に遅延が生じる可能性があります。 当社グループは、複数の製造委託先を確保する等、不測の事態に備えてはいますが、半導体業界に固有の急速な業界環境の変化、地政学的な要因や技術革新等により将来の需要予測には限界があり、製造キャパシティの制約に起因して製品の供給に遅延や中断が生じる可能性があります。その結果、製品売上の減少、当社グループの評判の悪化、顧客からの損害賠償請求等、当社グループの事業、財政状態および経営成績に悪影響が生じる可能性があります。 ②製造委託における価格について 当社グループの製造委託先は限定されており、また、製造委託先との間で長期的な製造委託契約を締結しているわけではないことから、製造キャパシティの制約、原材料や燃料価格の高騰、人件費、為替変動その他の理由による製造委託費の値上げの影響を大きく受けることとなります。製造委託先による値上げがあった場合、顧客と製品価格の見直しについて適時交渉を行いますが、製品価格に適切に転嫁できない場合には、当社グループの利益率が大きく低下することとなり、当社グループの事業、財政状態および経営成績に悪影響が生じる可能性があります。 ③製品の品質について 当社グループの製品については、製造委託先の責任による歩留の低下や製品の欠陥が生じる可能性があります。これらの問題は製造過程の初期段階では発見することが困難であり、その改善に多くの時間や費用を要する可能性があります。また、このような場合に、他の製造委託先や製造拠点への移管を行おうとしても、対応可能な製造委託先等が存在しない等移管が困難である可能性や、移管に多くの時間や費用を要する可能性があります。 当社グループの製品に歩留の低下や製品の欠陥その他の製造に関する問題が生じた場合には、顧客への製品の供給に遅延が生じ又は供給ができないことやプロジェクトが中止となること等により、顧客から損害賠償請求を受ける可能性があります。仮にかかる請求が認められない場合でも、その対応には多くの時間や費用が必要となります。また、製造委託先の責任に起因する場合でも、製造委託先に対して費用償還を求めることが困難な可能性もあります。これらにより、当社グループの事業、経営成績、財政状態、ブランドイメージおよび社会的信用に悪影響が生じる可能性があります。 (2)当社グループの製品の設計開発について 当社グループの製品については、商談を獲得したのち、製造に向けた設計/開発を行うこととなります。設計/開発から顧客の評価完了までは2年以上という長期間にわたる可能性があるため、その間に生じる半導体や最終製品の市場環境および顧客の戦略/需要の変化、新規技術の発明/市場への導入、製造委託先の製造キャパシティや繁忙状況の変化といった事象の影響を受け、顧客による仕様変更等に起因してプロジェクトが延伸、または中止となる可能性があるほか、顧客の要求水準を満たす製品の開発や顧客が受入可能な価格および数量での製造に成功しない可能性もあります。設計/開発段階でプロジェクトが中止となった場合、予定していた製品売上は一切受領できないこととなります。 また、当社グループは設計/開発段階において、一般的に顧客から設計/開発に要する費用の大半をNRE売上として段階的に受領しておりますが、上記のように設計/開発段階でプロジェクトが中止された場合には、残りの期間のNRE売上を収受できない可能性があるうえ、NRE売上は設計/開発段階で生じる費用の全てをカバーしない場合があるため、プロジェクトによっては損失が生じる可能性もあります。また、製品売上が当社グループの売上の大半を占め、当社グループの注力分野ではプロジェクトごとの規模が大きくなる傾向にあり、特定のプロジェクトにおける製品の価格もしくは数量の変更又はプロジェクトの延期や中止による当社グループの将来の経営成績への影響が大きくなります。従って、重要なプロジェクト又は複数のプロジェクトが設計/開発段階で中止となった場合には、当社グループの事業、財政状態および経営成績に重大な悪影響が生じる可能性があります。 (3)当社グループの製品の量産化について 設計/開発が完了した場合、製品の量産段階に進むこととなりますが、商談獲得段階では製品単価については顧客との間で合意している(但し、仕様変更により変更される場合があります)ものの、製造数量については合意しておらず、量産段階における顧客からの個別の発注により確定することとなります。そのため、当社グループが商談獲得時に予測した数量の製品を顧客が量産時点において購入する保証はありません。従って、当社グループが当初想定していた数量について製品の量産化が行われない場合には、当社グループの事業、財政状態および経営成績に悪影響が生じる可能性があります。 (4)当社グループの経営指標について 上記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、当社グループは「商談獲得金額」および「商談獲得残高」を重要な経営指標としております。商談獲得金額および商談獲得残高の算出には、製品の販売可能期間および受注が中止される可能性に関する見込みのほか、開発計画、開発コスト、NRE売上、製品単価および将来の製品の販売数量(なお、価格については、仕様変更による変更はありうるものの、商談獲得段階で合意されます。)に関する仮定および見込みを含む当社グループによる将来の予測や主観的判断が相当程度考慮されています。製品の販売数量は、顧客から提示された初期的な数量見込みのほか、顧客との過去の取引履歴や第三者による市場データその他の情報に基づく当社グループ独自の予測、第三者による市場データその他の情報を基礎として判断したものですが、製造委託先の受注制限等、製造キャパシティによる制約は考慮していません。このように商談獲得金額および商談獲得残高の算出は当社グループ独自の方法により行われているため、他社が用いる同種の指標との比較は適切でない可能性があり、当社グループと他社の現在および将来の業績の比較において当該指標に依拠することもできません。当社グループは、商談獲得金額および商談獲得残高が過大な見積りとならないよう、モニタリング部門によるレビューおよび経営陣による承認に関する社内手続を定めていますが、かかる手続が有効である保証はありません。また、ある期間に獲得された商談獲得金額は、かかる期間の末時点における当社グループの仮定および見込みを反映したものに過ぎず、その後の案件の中止、かかる案件に関連して実際に計上された売上、又は開発プロセス、当社グループによる将来の製品販売数量の見込み、製品単価、製造キャパシティ、その他事後的に発生する要因の変更に基づき更新することはしておらず、年度ごとの比較が適切でない可能性があります。商談獲得残高は月次でこれらの情報を考慮し更新していますが、更新時点における見積もりであることに変わりはなく、かかる見積もりが正確である保証はありません。当社グループは商談獲得金額および商談獲得残高の算出方法を将来変更する可能性があり、また、過去にも変更しています。 以上のような制約により、商談獲得金額および商談獲得残高は当社グループの将来予測される業績を示すものではなく、実際の売上と大きく異なる可能性があります。 (5)事業計画等の前提となる事項について 当社グループは、日々変化していく市況に対応し、持続的な成長を遂げていくため、事業計画の策定と実行、組織強化を目的とした各種施策を遂行しております。これら事業計画および各種施策の策定においては、半導体および最終製品の市場動向その他の経営環境について一定の前提を置いており、かかる前提には、例えば、当社グループが成長性のある注力分野において引き続き商談を獲得していくこと、商談獲得金額および商談獲得残高がその需要予測に従いNRE売上および製品売上として実現されること、製造委託先における製造キャパシティの確保が当社グループの想定どおりに実現されること、並びに為替変動が一定の範囲に収まること等が含まれます。しかしながら、これらの前提が現実と異なる場合には、当社グループの事業計画における各種施策の遂行および経営指標の達成が困難となり、当社グループの事業、財政状態および経営成績に悪影響が生じる可能性があります。 (6)主要顧客について 当社グループは、「オートモーティブ」、「データセンター/ネットワーク」、「スマートデバイス」および「産業機器」等の分野において商談を獲得しており、今後当該分野の主要顧客への売上の割合が高くなることが予想されますが、主要顧客への売上は、商談の獲得時期および規模並びに当該商談から得られた製品売上、当社グループの顧客基盤の多様化、消費者の嗜好の変化、業界の動向、法規制の変更、自然災害その他の要因により、大きく変動する可能性があります。当社グループにおける顧客との取引は、個別の発注に基づいており、顧客は長期的な購入義務を負わず、顧客が当社グループの期待する数量の製品を購入する保証はありません。主要顧客が最終製品の市場への投入を延期又は中止し、また、当社グループの製品の機能/性能、又は開発スケジュールが主要顧客の要求水準を満たさない場合には、当社グループの製品の採用を中止する可能性があります。主要顧客は、当社グループの製品を組み込んだ最終製品の売れ行きが芳しくない場合、当社グループの製品の発注数量を減少させ、又は納入期日を延期することがあります。さらに、当社グループの主要顧客が、競争力の低下又はM&Aや提携を契機として、当社グループの製品の購入量を減少し、また、当社グループとの契約条件が主要顧客に有利なように改定される可能性があります。これらにより、当社グループの事業、財政状態および経営成績に悪影響が生じる可能性があります。 (7)海外での事業活動について 当社グループは、顧客が世界の様々な地域に所在していることから、米国、欧州およびアジアの主要エリアに営業拠点を有しており、各地域の特色に合わせた営業活動を行っております。海外で事業活動を行うにあたっては、地政学上のバランス、各国の政治/経済情勢、海外輸送/生産の遅延やコストの上昇、為替の変動、外資規制/知的財産権等に関する法規制の新設又は変更、税制の変更等のリスクが存在すると考えております。これらのリスクが顕在化することにより、当社グループの事業、財政状態および経営成績に悪影響が生じる可能性があります。 (8)経済情勢について 当社グループは、グローバルな景気動向、最終製品の需要変動、技術革新、製品の陳腐化や価格の下落、半導体市場の市況変動の影響を受けております。足元では、米国新政権の発足に伴う関税政策等の新政策の導入や米中摩擦のさらなる激化などにより経済情勢の先行きをますます不透明にしています。また、近年はAI/データセンター向け半導体を中心に需要が高まりを見せていますが、かかる需要が今後も同水準で成長又は継続する保証はありません。経済情勢の停滞/減退局面においては、当社グループの事業、財政状態および経営成績に悪影響が生じる可能性があります。 (9)為替レートの変動について 当社グループは、設計開発/製造/販売活動をグローバルに展開しており、多くの収益を海外から得ているため、米ドルを中心とする為替レートの変動に伴う影響を受けます。当社グループは為替レートの変動の影響を軽減するよう対応に努めていますが、かかる影響を完全に排除することはできないため、為替レートの変動状況によっては、外貨建取引の売上高、外貨建の設計開発や製造販売コスト等への影響により、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響が生じる可能性があります。 (10)競合について 当社グループによるカスタムSoCの開発/供給は独自のビジネスモデルであり、直接的な競合先は少ないと認識しているものの、個別の商談獲得においては、従来型のASIC、汎用的なASSPおよびASSPをベースにカスタマイズされたASICが競合しており、それらのベンダーとは競合関係にあります。 当社グループの半導体製品およびサービスは、主に先端テクノロジーを必要とする各種エレクトロニクス製品に採用されておりますが、当該分野は技術革新の速度が速く、激しい市場競争に晒されております。競合他社の設計/開発能力の向上、異業種からの新規参入、巨大テック企業によるSoCの自社開発の拡大、従来型のASICや汎用的なASSPのベンダーによる開発の動向、顧客の嗜好/需要、各国政府による自国企業の優遇措置、競合他社間の統合/提携により、競争がさらに激化する可能性があります。また、当社グループの注力分野のうち、「オートモーティブ」においては、現状当社グループは優位な地位にあると認識しておりますが、技術革新/他社の積極的な攻勢等によりその地位を維持できない可能性があります。他方、データセンターやネットワーク等の既存市場ではより厳しい競争状況にあるところ、当社グループは顧客との共同開発を通じて顧客にとってより最適なカスタムSoCを提供することができるという強み、先端分野への研究開発投資および多様な製品の提供を通じてより多くの商談を獲得することを目指しておりますが、そのような施策が奏功する保証はありません。 (11)地政学リスクについて 当社グループが開発/販売する半導体は、近年経済安全保障上重要な製品と認識されております。米中対立、ロシアによるウクライナ侵攻、中東地域の不安定化等の地政学リスクの顕在化により、各国が輸出管理規制、関税や制裁措置等を発動/強化した場合、当社グループの主要な販売地域における当社グループの製品に対する需要の減退、競争力の低下、又はサプライチェーンの寸断や遅延が生じ、当社グループの事業、財政状態および経営成績に悪影響が生じる可能性があります。当社グループにおける中国での売上高が一定規模を占めていることや当社グループがTSMCに多くの製造を委託していることから、これらの地域における地政学リスクが顕在化した場合には、当社グループの事業、財政状態および経営成績に重大な悪影響が生じる可能性があります。 (12)研究開発活動について 当社グループが属する半導体業界は技術革新の速度が速く、既存技術の陳腐化、それに伴う新たな市場の創出および既存市場の縮小が急速に起こる可能性があります。このような業界で、日々高まる顧客の要求水準を満たす新製品を開発し顧客が受入可能な価格および数量で製造するためには、多額の研究開発費用を要し、かかる費用が商談獲得や将来の製品売上に繋がらない場合には損失を被る可能性があります。当社グループは今後も積極的な研究開発活動を行う予定ですが、このような技術革新に当社グループが対応できず、当社グループの市場シェアや製品価格が低下する場合や、研究開発を効率化できず研究開発費用が増加する場合には、当社グループの事業、財政状態および経営成績に悪影響が生じる可能性があります。 (13)感染症の世界的な拡大に係る影響について 当社グループ、当社グループの製造委託先およびサプライチェーンにかかわる取引先が事業を行っている台湾等の地域において、新型コロナウイルス感染症その他の感染症の感染拡大により事業活動等が禁止/制限されるような事態に陥った場合、製造委託先の工場閉鎖や生産停止およびそれらに伴う製造/輸送の遅延、部材調達の制限等の予期できない事象により、当社グループの製品に対する需要の減少や供給能力に対する制約を受ける可能性があります。また、それらに伴う当社グループの取引先の経営状態の悪化、通信/金融/サプライチェーンを含む公共および民間のビジネスインフラの混乱等が生じる可能性もあります。 (14)災害等による影響について 当社グループは日本のみならず、世界各地で設計開発/販売活動を行っており、当社グループが事業を展開する各地域において大規模な地震、津波、干ばつ、暴風雨、洪水、大雨、噴火その他の自然災害や火災、停電、感染症の流行、戦争/紛争、テロ行為や政治/社会騒動、セキュリティ侵害又はコンピュータ関連システムの障害その他の事故/事件等が発生した場合、当社グループの事業拠点、当社グループの製造委託先、取引先、顧客およびサプライチェーンに関係する当事者に対して大きな被害が発生する可能性があります。特に、当社グループは、台湾に本拠を置くTSMCに多くの製造を委託しているため、これらの災害等が台湾において発生した場合、当社グループの製品の製造および供給に悪影響が生じる可能性があります。 当社グループにおいては、リスクの予防/回避および発災時の人命の安全、並びに被害の抑制/軽減、二次災害の防止、早期の業務再開を図ることを目的に事業継続に関する規範/規程類を定めており、リスクの軽減に向けた施策を実施しておりますが、かかる施策が奏功しない可能性があり、その場合には、当社グループの事業、財政状態および経営成績に悪影響が生じる可能性があります。 (15)資金調達について 当社グループにおいては、新技術や新製品のための研究開発への継続的な投資が必要となります。当社グループは、これまで必要な資金を主に営業活動から得られるキャッシュ・フローにより賄ってきましたが、業績、資金需要や市場環境並びにこれらの見込みにより資金調達を検討することがあります。しかしながら、当社グループの将来的な資金需要に必要な資金を、適時かつ受入可能な条件で調達できる保証はありません。また、金融市場の混乱、日本銀行を含む各国中央銀行の金融政策の変更、半導体業界の低迷、金融機関の貸付方針の変更、当社グループの信用力の低下等により、当社グループに有利な条件で資金調達をできない可能性もあります。これらの結果、資金調達コストが増加する可能性や、研究開発や必要となる各種投資を適時かつ適切な範囲で実施できない可能性があります。 (16)M&A/提携協業等について 半導体業界では、M&Aや提携が頻繁に行われており、当社グループにおいても、技術や大口顧客の獲得、事業領域の拡大、競争力の強化や収益力向上を図るため、M&Aや提携を実行する可能性があります。しかしながら、当社グループが適切な対象会社や提携先を発見できる保証はなく、また、デュー・デリジェンスで重大な問題点を検出できない可能性や、競争法その他の法規制による事業活動への制約等により当初期待した効果が得られない可能性があります。このような場合には、保有株式やのれんの減損が生じ、当社グループの事業、財政状態および経営成績に悪影響が生じる可能性があります。 (17)知的財産について 当社グループは他社製品と差別化を図るための様々な技術やノウハウを開発/保持しております。当社グループでは、これらの技術やノウハウを知的財産として保護しており、知的財産が流出/不正利用されることのないよう、専門部門で管理するとともに、顧客/パートナー/従業員との秘密保持契約の締結や、第三者によるオフィス/施設へのアクセスの管理等の施策を講じております。しかしながら、知的財産に対する十分な保護が得られない地域もあり、かかる施策にかかわらず、当社グループの知的財産が競合他社により不正に取得又は利用される可能性があります。 また、当社グループの製品には第三者からライセンスを受けて開発/販売しているものがありますが、今後第三者から必要なライセンスを受けられなくなる可能性や、引き続きライセンスを受けられるとしても従前より不利な条件でしかライセンスを受けられない可能性があります。さらに、半導体業界では、多数の特許が存在し、また多数の新たな特許の出願がなされています。当社グループ又はその顧客が事前の調査にかかわらず第三者の権利を侵害する場合、第三者より当社グループ又はその顧客に対して知的財産権に関する訴訟を提起され、当社グループが重要な技術を利用できなくなる可能性や、当社グループに帰責事由がある場合には当社グループが多額の損害賠償責任を負う可能性があり、また、当社グループに帰責事由がない場合でも、訴訟対応のため、時間、費用その他当社グループの経営資源が費やされる可能性があります。 (18)製造物責任について 当社グループでは、様々な施策を通じて最適な品質を確保できるよう品質管理に取り組んでおりますが、当社グループの製品に用いられる技術の高度化や製造委託先に起因する欠陥等により、出荷時に発見できない不具合や異常が製品に存在する可能性があり、顧客への出荷後にそれらが発見される場合があります。この場合、製品の回収および交換、製品の採用中止等により多額の費用が発生する可能性、当該顧客から損害賠償請求を受ける可能性、当該顧客又は他の顧客からの将来の受注を失う可能性があります。 また、当社グループの製品は、顧客がエンドユーザーに販売する最終製品に組み込まれますが、その方法次第で、当社グループがエンドユーザーから損害賠償責任を追及される可能性もあります。顧客における当社グループの製品の使用方法は多様化しており、当社グループが当初想定していなかった方法で使用されることがあるところ、当社グループの製品が顧客の製品に組み込まれた後になって問題が発見される可能性もあります。このような場合には、当社グループもエンドユーザーによる損害賠償請求の対象となる可能性があります。かかる事態に備えて、当社グループは、製造物責任保険やリコール保険に加入していますが、これらの保険により当社グループの負う多額の費用や損害賠償の全額が補填される保証はありません。 (19)人材確保について 当社グループが厳しい事業環境下において競争優位性を確保するためには、経営陣、経営管理、設計/開発、製造技術支援、営業等の各分野において優秀な人材を確保することが重要です。しかしながら、専門性の高い優秀な人材の数は限られており、人材の採用および確保の競争は激化しています。特に当社グループのカスタムSoCの設計開発において、エンジニアは重要な役割を担っていますが、当社グループがエンジニアを含む優秀な人材を十分に採用および確保できない場合は、設計/開発に支障をきたす可能性があります。また、当社グループから、専門性の高い優秀な人材が競合他社に移籍した場合、その者が有する当社グループの知識やノウハウの流出により、当社グループの競争優位性が損なわれる可能性があります。これらにより、当社グループの事業、財政状態、経営成績、ブランドイメージおよび社会的信用に悪影響が生じる可能性があります。 (20)情報セキュリティについて 当社グループは、事業活動全般において、様々な情報システムを利用しており、災害、戦争、テロ行為、コンピュータウイルスの感染やサイバー攻撃等により、システム障害が発生する可能性があります。また、在宅勤務者の増加等の働き方の変化により、新たなサイバー攻撃等のリスクが生じています。これらにより、当社グループの業務活動や製品の製造委託および供給の停止、重要なデータの喪失、多額の対応費用の発生等が生じた場合には、当社グループの事業、財政状態、経営成績、ブランドイメージおよび社会的信用に悪影響が生じる可能性があります。 また、当社グループは、事業活動の遂行に関連して、自己又は顧客その他の第三者の秘密情報や個人情報を多数有しております。これらの情報については、セキュリティシステムを整備し、法令や社内規則等に基づき管理しておりますが、不正行為や妨害行為の手法は多様化しており、かつ発見が困難であることや、関係者による意図的な漏洩の可能性もあるため、予防策が奏功せず、予期せぬ事態により情報が流出するおそれがあります。そのような事態が生じた場合、営業秘密の流出による競争力の低下や、顧客の信用や社会的信用の低下を招く可能性があるほか、システム改修等の対応に要する費用の発生や顧客からの損害賠償請求により、当社グループの事業、財政状態および経営成績に悪影響が生じる可能性があります。 (21)環境について 当社グループは、大気汚染、水質汚濁、有害物質、廃棄物処理、製品リサイクル、地球温暖化防止、エネルギー管理等に関し、世界各国において様々な環境関連法令の適用を受けています。当社グループは、これらの規制に細心の注意を払いつつ事業を行っておりますが、過失の有無にかかわらず、過去分を含む環境問題に対して法的又は社会的責任を負う可能性があり、そのような事態が生じた場合、その対応のために多額の費用負担が発生する可能性、当社グループの事業が停止する可能性や当社グループの社会的信用の低下を招く可能性があります。また、将来、環境に関する規制や社会的な要求がより厳しくなり当社グループおよび製造委託先の事業活動に制約が生じ、かかる規制に対応するためのコストが増加する可能性や、環境関連の規制又は社会的要請に適切に対応しないことにより当社グループに対する社会的評価/信用が低下する可能性があるほか、当社グループの事業、財政状態および経営成績に悪影響が生じる可能性があります。 (22)法規制等について 当社グループはグローバルに事業活動を展開しており、当社グループが事業活動を行っている国および地域における安全保障、外国貿易管理、労働、人権、競争政策、税制、腐敗防止および環境保護等に関連する様々な法律および規制の対象となっています。当社グループは、かかる法律および規制のコンプライアンス体制の整備、業務の適正化のために必要な社内体制を構築しておりますが、かかる体制が適切に機能する保証はなく、また、これらの法律および規制の新設又は改正により法規制等の遵守が困難になる可能性もあります。これらの法律又は規制に違反した場合、当社グループに民事上の損害賠償請求や、刑事上又は規制上の罰則等が科せられ、当社グループの事業、財政状態、経営成績、ブランドイメージおよび社会的信用に悪影響が生じる可能性があります。 (23)訴訟等について 当社グループは、グローバルに事業を展開しているため、様々な国又は地域において、パートナー、従業員、競合他社等から契約違反、労働問題、知的財産権の侵害等に関して訴訟の提起を受け、又は規制当局による措置、処分等に服するリスクを有しています。訴訟やその他の法的手続、当局による調査の結果、当社グループに不利益な決定がなされた場合、その決定の内容によっては当社グループの事業、財政状態、経営成績、ブランドイメージおよび社会的信用に悪影響が生じる可能性があります。 (24)内部統制の整備について 当社グループは、財務報告に係る内部統制の整備/運用および評価のための体制を整備しております。しかしながら、内部統制が有効に機能しなかった場合、又は財務報告に係る内部統制の不備もしくは開示すべき重要な不備が発生した場合、当社グループの内部統制への信頼性が失われる結果、株価に重大な悪影響が生じ、又は法令違反、行政処分および損害賠償請求を受けることにより、当社グループの事業、財政状態および経営成績、ブランドイメージおよび社会的信用に悪影響が生じる可能性があります。 (25)販売特約店について 当社グループは、販売特約店を通じて販売を行う場合と、顧客と直接商談を推進/獲得する場合があります。特に、当社グループの継続的な販売特約店である加賀FEI株式会社およびその子会社を通じて相当の取引を行っております。そのため、販売特約店の事業活動が中止する又は販売特約店との取引が中止される等の場合には、商談推進/販売活動の中断、売掛金回収の遅延/不能により、当社グループの事業、財政状態および経営成績に悪影響が生じる可能性があります。

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