経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。(1) 経営方針当社グループは、グローバルニッチトップの複合体を成す、すなわち国内外の小規模市場を一体的に捉えたグローバル市場において高いシェアと確固たる地位を築く、という成長シナリオに主眼を置き、次の指針に沿った事業活動を展開しております。① 経営ビジョンオンリーワン企業の実現に資する研究開発、技術開発等を遂行していき、高収益事業を構築していく。 ② 中期経営基本方針ⅰ.市場開拓による事業規模の拡大ⅱ.構造改革による収益力の強化ⅲ.新たなGNT(グローバルニッチトップ)事業の創出ⅳ.未来を担う人材の育成ⅴ.グローバル経営管理体制の強化 ③ 目標とする経営指標当社では、中期経営基本方針に基づき、2028年12月期に向けて以下の経営指標について目標を設定し、企業価値の向上に取り組んでおります。 (2) 経営環境各事業セグメントにおける経営環境は以下の通りであります。① リード端子事業(自動車関連市場)自動車関連市場において、EV、PHV等の電動化や、ADAS(先進運転支援システム)に代表される自動運転機能の高度化や安全性の向上等の動きを背景に、ECU(電子制御装置)が100個以上搭載されるなど自動車用エレクトロニクス市場は成長を続けています。こうした中、ECU等に搭載されるアルミ電解コンデンサについては、小型高容量化、漏れ電流特性、耐リップル電流(低抵抗)特性等、様々な高機能化のニーズが急速に高まっております。当社は、リード端子における重要な要素技術である異種金属の溶接技術や金属加工技術を得意とし、高い品質水準をベースに、アルミ電解コンデンサのハイブリッドタイプ、導電性高分子タイプ、EDLC(電気二重層キャパシタ)等、高機能コンデンサの特性向上とコンデンサ製造工程での歩留まり向上に寄与する新技術製品において高い評価を頂いており、自動車市場(駆動系)やAIサーバー向けにおいては高い市場シェアを占める等、市場をリードしております。また、それ以外を含めたアルミ電解コンデンサ市場全体でも相対的に高い市場シェアを持ち、市場の変化・変動に柔軟に対応できる総合的な安定供給力を有していると考えております。当社のリード端子は、創業当時から全ての製造工程と装置・設備を自社設計・開発するなど、長年にわたって蓄積してきたリード端子の製造技術に裏打ちされた圧倒的な品質と技術の優位性を有しております。今後ますます高機能、高信頼性が求められる分野において、技術開発力をさらに強化し、製品の競争力、安定供給体制で市場をリードしてまいります。 (情報通信機器市場等、自動車関連以外の市場)自動車関連以外の市場においても、通信関係や電子機器の高機能化に伴い、アルミ電解コンデンサの高機能化のニーズが今後高まると考えております。特に生成AI・データセンタ市場においては、高度な情報処理を支えるGPU(画像処理半導体)に代表されるAI半導体の性能向上と半導体の消費電力増大に対応する電力容量を供給する電源・電子回路を構成する電子部品の高機能化が求められています。こうした中、自動車市場向けと同様に、アルミ電解コンデンサのハイブリッドタイプ、導電性高分子タイプのニーズが急速に高まっており、当社の特長である高機能製品の採用がグローバル市場において増加しております。一方で、民生機器市場の一部においては、自動車市場、情報通信機器市場と比較して汎用化が進んでおり、価格競争が加速しております。こうした市場については、品質や信頼性、安定供給といった高付加価値分野に的を絞りながら、自社開発設備を軸とした製造工程のさらなる高効率化を進め、価格競争力を高めてまいります。 ② 光部品・デバイス事業(海底ケーブル市場)世界的な情報通信容量の拡大に伴い、大陸間の情報通信インフラとしての海底ケーブルの重要性が高まっております。また、生成AI・データセンタの増加に伴うデータセンタ間の情報通信等の拡大ニーズがますます高まる傾向にあり、海底ケーブルの敷設件数が増加しております。さらに、敷設件数の増加に加えて、海底ケーブルごとの通信容量の拡大が同時に求められる中で、光ファイバーペア数の増加による光部品の小型化、モジュール化、さらにはマルチコアファイバへの対応等、当社製品に対する技術進化が求められております。当社では、海底ケーブル向け光部品市場の主力製品である光アイソレータにおいて、世界で高い市場シェアを持ち、海底で25年間にわたってメンテナンスフリーで動作可能な高い信頼性を実現しており、顧客である海底ケーブル敷設会社との間で、高い信頼を背景に蓄積してきた技術力に基づくパートナーシップを構築しております。今後も大手通信事業者や海底ケーブル敷設会社等、次世代通信技術の開発を進めるお客様との連携を強化し、プラットフォーム作りに関わることでさらなる技術進化をリードしてまいります。 (高純度石英ガラス部品市場)石英ガラス市場において、半導体関連、光ファイバ、医療機器等の分野で耐熱性、光透過性、耐化学特性等に優れた高純度石英ガラスの需要が高まっています。また、半導体製造装置の高機能化、光ファイバ用プリフォームの形状の多様化等に伴い、様々な分野で様々な形状の高純度石英ガラスが求められる状況となっています。こうした中、当社独自の製造方法であるスラリーキャスト法で作製する高純度石英ガラス製品(SSG®)は、高い成型の自由度と高純度を両立した石英ガラス製品として注目を集めています。当社では、重点分野である半導体関連、光ファイバ用プリフォーム、各種レンズ、バイオメディカルでの採用に向けて製品ラインアップの拡充に加えて、生産能力の増強、BCP体制の整備等、安定供給体制の構築に注力してまいります。 (3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題① リード端子事業リード端子事業におきましては、引き続き収益構造の改善を進め、安定的に営業利益率10%以上を維持できる体質を確立していきます。従来から不採算製品の価格是正や高付加価値製品の開発と採用拡大に努めてまいりましたが、高機能化が進むアルミ電解コンデンサの技術ニーズを先取りした新製品の開発やレーザ溶接等、新しい製造技術の開発に注力していきます。また、設備総合効率の改善を主軸とした生産効率の改善を進めると共に、自動車市場向けをはじめグローバル化が進む海外市場への営業体制の強化を進めてまいります。 ② 光部品・デバイス事業光部品・デバイス事業におきましては、引き続き主力である海底ケーブル向け光部品市場において、新製品の開発と売上の拡大に努めてまいります。海底ケーブルにおいては、生成AIやクラウドサービスの進化等の情報通信の増大を背景として、中長期的な視点での技術革新が進んでおり、次世代技術であるマルチコアファイバ技術への対応等、10年或いはそれ以上先を考慮した研究開発を進めてまいります。また、海底ケーブル向け光部品市場で蓄積してきた高い信頼性を活かし、今後拡大が進むと考えられる宇宙通信分野向けの製品開発に努めてまいります。さらには、生成AI・データセンタをはじめとして進化が期待される光電融合の分野においても、超高速通信向けに期待されるPLZT光デバイスの開発を進め、長期的視点に立った技術開発を進めてまいります。 ③ コア技術を活かした新しい事業分野への取組新しい事業分野への取組も積極化してまいります。これまで開発を進めてきた当社独自のスラリーキャスト法を用いた高純度石英ガラス製品(SSG®)については、半導体製造装置メーカー、光ファイバメーカー等からの引き合いが増加しており、本格的な量産体制の構築に取り組んでまいります。さらに、宇宙通信分野や、生成AI・データセンタ分野については、これまで培ってきた高品質・高信頼性製品の強みを活かして製品開発を進めてまいります。さらに、企業買収・事業提携等による技術補完やマーケティング力強化についても積極的に取り組んでまいります。 ④ 人材育成及び経営管理体制の強化 中長期の成長を支える経営体制作りとして、従業員のキャリアアップ制度の充実や新しい拠点整備等、人材確保と長期人材育成への仕組み作りを進めてまいります。さらに、ガバナンスの強化や社会貢献等、非財務に関する活動を引き続き強化し、持続可能な社会実現への貢献と、さらなる企業価値の向上に取り組んでまいります。 (4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、持続的な成長と株主価値の向上に資するため、売上高営業利益率、ROIC、ROEといった指標の改善に努めることとしており、こうした指標の改善に向けた内部指標として、設備総合効率をはじめとする様々な指標を設定し、継続的に管理しております。また、事業部門別の改善指標の充実と分析の強化を進めており、事業部門ごとの経営効率改善に取り組んでまいります。また、非財務に関する活動についても積極的な取組を行っております。2024年2月から全社横断組織としてサステナビリティ推進委員会を設置し、CO2排出量削減をはじめとした環境保全活動や、働きやすさ、ダイバーシティの観点からの指標を取り入れ、改善に取り組んでまいります。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。(1) 経営方針当社グループは、グローバルニッチトップの複合体を成す、すなわち国内外の小規模市場を一体的に捉えたグローバル市場において高いシェアと確固たる地位を築く、という成長シナリオに主眼を置き、次の指針に沿った事業活動を展開しております。① 経営ビジョンオンリーワン企業の実現に資する研究開発、技術開発等を遂行していき、高収益事業を構築していく。 ② 中期経営基本方針ⅰ.市場開拓による事業規模の拡大ⅱ.構造改革による収益力の強化ⅲ.新たなGNT(グローバルニッチトップ)事業の創出ⅳ.未来を担う人材の育成ⅴ.グローバル経営管理体制の強化 ③ 目標とする経営指標当社では、中期経営基本方針に基づき、2028年12月期に向けて以下の経営指標について目標を設定し、企業価値の向上に取り組んでおります。 (2) 経営環境各事業セグメントにおける経営環境は以下の通りであります。① リード端子事業(自動車関連市場)自動車関連市場において、EV、PHV等の電動化や、ADAS(先進運転支援システム)に代表される自動運転機能の高度化や安全性の向上等の動きを背景に、ECU(電子制御装置)が100個以上搭載されるなど自動車用エレクトロニクス市場は成長を続けています。こうした中、ECU等に搭載されるアルミ電解コンデンサについては、小型高容量化、漏れ電流特性、耐リップル電流(低抵抗)特性等、様々な高機能化のニーズが急速に高まっております。当社は、リード端子における重要な要素技術である異種金属の溶接技術や金属加工技術を得意とし、高い品質水準をベースに、アルミ電解コンデンサのハイブリッドタイプ、導電性高分子タイプ、EDLC(電気二重層キャパシタ)等、高機能コンデンサの特性向上とコンデンサ製造工程での歩留まり向上に寄与する新技術製品において高い評価を頂いており、自動車市場(駆動系)やAIサーバー向けにおいては高い市場シェアを占める等、市場をリードしております。また、それ以外を含めたアルミ電解コンデンサ市場全体でも相対的に高い市場シェアを持ち、市場の変化・変動に柔軟に対応できる総合的な安定供給力を有していると考えております。当社のリード端子は、創業当時から全ての製造工程と装置・設備を自社設計・開発するなど、長年にわたって蓄積してきたリード端子の製造技術に裏打ちされた圧倒的な品質と技術の優位性を有しております。今後ますます高機能、高信頼性が求められる分野において、技術開発力をさらに強化し、製品の競争力、安定供給体制で市場をリードしてまいります。 (情報通信機器市場等、自動車関連以外の市場)自動車関連以外の市場においても、通信関係や電子機器の高機能化に伴い、アルミ電解コンデンサの高機能化のニーズが今後高まると考えております。特に生成AI・データセンタ市場においては、高度な情報処理を支えるGPU(画像処理半導体)に代表されるAI半導体の性能向上と半導体の消費電力増大に対応する電力容量を供給する電源・電子回路を構成する電子部品の高機能化が求められています。こうした中、自動車市場向けと同様に、アルミ電解コンデンサのハイブリッドタイプ、導電性高分子タイプのニーズが急速に高まっており、当社の特長である高機能製品の採用がグローバル市場において増加しております。一方で、民生機器市場の一部においては、自動車市場、情報通信機器市場と比較して汎用化が進んでおり、価格競争が加速しております。こうした市場については、品質や信頼性、安定供給といった高付加価値分野に的を絞りながら、自社開発設備を軸とした製造工程のさらなる高効率化を進め、価格競争力を高めてまいります。 ② 光部品・デバイス事業(海底ケーブル市場)世界的な情報通信容量の拡大に伴い、大陸間の情報通信インフラとしての海底ケーブルの重要性が高まっております。また、生成AI・データセンタの増加に伴うデータセンタ間の情報通信等の拡大ニーズがますます高まる傾向にあり、海底ケーブルの敷設件数が増加しております。さらに、敷設件数の増加に加えて、海底ケーブルごとの通信容量の拡大が同時に求められる中で、光ファイバーペア数の増加による光部品の小型化、モジュール化、さらにはマルチコアファイバへの対応等、当社製品に対する技術進化が求められております。当社では、海底ケーブル向け光部品市場の主力製品である光アイソレータにおいて、世界で高い市場シェアを持ち、海底で25年間にわたってメンテナンスフリーで動作可能な高い信頼性を実現しており、顧客である海底ケーブル敷設会社との間で、高い信頼を背景に蓄積してきた技術力に基づくパートナーシップを構築しております。今後も大手通信事業者や海底ケーブル敷設会社等、次世代通信技術の開発を進めるお客様との連携を強化し、プラットフォーム作りに関わることでさらなる技術進化をリードしてまいります。 (高純度石英ガラス部品市場)石英ガラス市場において、半導体関連、光ファイバ、医療機器等の分野で耐熱性、光透過性、耐化学特性等に優れた高純度石英ガラスの需要が高まっています。また、半導体製造装置の高機能化、光ファイバ用プリフォームの形状の多様化等に伴い、様々な分野で様々な形状の高純度石英ガラスが求められる状況となっています。こうした中、当社独自の製造方法であるスラリーキャスト法で作製する高純度石英ガラス製品(SSG®)は、高い成型の自由度と高純度を両立した石英ガラス製品として注目を集めています。当社では、重点分野である半導体関連、光ファイバ用プリフォーム、各種レンズ、バイオメディカルでの採用に向けて製品ラインアップの拡充に加えて、生産能力の増強、BCP体制の整備等、安定供給体制の構築に注力してまいります。 (3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題① リード端子事業リード端子事業におきましては、引き続き収益構造の改善を進め、安定的に営業利益率10%以上を維持できる体質を確立していきます。従来から不採算製品の価格是正や高付加価値製品の開発と採用拡大に努めてまいりましたが、高機能化が進むアルミ電解コンデンサの技術ニーズを先取りした新製品の開発やレーザ溶接等、新しい製造技術の開発に注力していきます。また、設備総合効率の改善を主軸とした生産効率の改善を進めると共に、自動車市場向けをはじめグローバル化が進む海外市場への営業体制の強化を進めてまいります。 ② 光部品・デバイス事業光部品・デバイス事業におきましては、引き続き主力である海底ケーブル向け光部品市場において、新製品の開発と売上の拡大に努めてまいります。海底ケーブルにおいては、生成AIやクラウドサービスの進化等の情報通信の増大を背景として、中長期的な視点での技術革新が進んでおり、次世代技術であるマルチコアファイバ技術への対応等、10年或いはそれ以上先を考慮した研究開発を進めてまいります。また、海底ケーブル向け光部品市場で蓄積してきた高い信頼性を活かし、今後拡大が進むと考えられる宇宙通信分野向けの製品開発に努めてまいります。さらには、生成AI・データセンタをはじめとして進化が期待される光電融合の分野においても、超高速通信向けに期待されるPLZT光デバイスの開発を進め、長期的視点に立った技術開発を進めてまいります。 ③ コア技術を活かした新しい事業分野への取組新しい事業分野への取組も積極化してまいります。これまで開発を進めてきた当社独自のスラリーキャスト法を用いた高純度石英ガラス製品(SSG®)については、半導体製造装置メーカー、光ファイバメーカー等からの引き合いが増加しており、本格的な量産体制の構築に取り組んでまいります。さらに、宇宙通信分野や、生成AI・データセンタ分野については、これまで培ってきた高品質・高信頼性製品の強みを活かして製品開発を進めてまいります。さらに、企業買収・事業提携等による技術補完やマーケティング力強化についても積極的に取り組んでまいります。 ④ 人材育成及び経営管理体制の強化 中長期の成長を支える経営体制作りとして、従業員のキャリアアップ制度の充実や新しい拠点整備等、人材確保と長期人材育成への仕組み作りを進めてまいります。さらに、ガバナンスの強化や社会貢献等、非財務に関する活動を引き続き強化し、持続可能な社会実現への貢献と、さらなる企業価値の向上に取り組んでまいります。 (4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、持続的な成長と株主価値の向上に資するため、売上高営業利益率、ROIC、ROEといった指標の改善に努めることとしており、こうした指標の改善に向けた内部指標として、設備総合効率をはじめとする様々な指標を設定し、継続的に管理しております。また、事業部門別の改善指標の充実と分析の強化を進めており、事業部門ごとの経営効率改善に取り組んでまいります。また、非財務に関する活動についても積極的な取組を行っております。2024年2月から全社横断組織としてサステナビリティ推進委員会を設置し、CO2排出量削減をはじめとした環境保全活動や、働きやすさ、ダイバーシティの観点からの指標を取り入れ、改善に取り組んでまいります。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要① 経営成績の状況当連結会計年度における世界経済は、日本や米国で回復傾向が続くなど明るさが見られましたが、中国や欧州では夏以降回復が鈍化するなど一進一退の状況が続きました。米国においては、前半は堅調な雇用情勢や個人消費に支えられ、景気は堅調に推移しましたが、夏以降は関税率引上げに伴う影響や景気の先行きに対する不透明感が高まり、物価上昇率の低下や雇用者数の鈍化がみられました。中国においては、工業生産の回復や自動車販売台数の増加等、いくつかの指標が改善しましたが、個人消費の低迷や設備投資の落ち込み等により、厳しい状況が続きました。日本においては、雇用環境の改善やインバウンド需要の拡大等により景気は緩やかな改善が続きましたが、米国通商政策による輸出の停滞等の影響や、物価上昇に伴う個人消費の伸び悩みも見られました。電子部品業界においては、自動車市場では、日本における自動車生産がプラスに転じ、また中国でのEV販売が大きく伸びるなどしましたが、一方で欧州市場での回復は弱い状態が続き、また中国EV市場での価格競争の激化や半導体の調達難による生産調整等のプラス要因とマイナス要因が併存する状況が続きました。また、中国での不動産不況を背景にした消費の低迷等により、民生機器市場については厳しい状況が続きましたが、生成AIの普及やデータセンタ投資の活発化等により情報通信機器市場が引き続き好調に推移し、電子部品市場は全体として緩やかな回復傾向となりました。こうした中、当社では中期経営計画の達成に向けて、リード端子事業における高付加価値製品の拡販、歩留まり改善を柱とした生産工程の効率化や不採算受注の改善、光部品・デバイス事業における次世代製品の開発や製造工程の自動化、グローバル市場における顧客サポート体制の強化等、売上拡大と収益構造の改善に継続して取り組みました。また、半導体関連市場向けに引き合いが増加している高純度石英ガラス製品(SSG®)の量産体制の構築等、中長期的な成長に向けての施策も推し進めました。当連結会計年度の経営成績は、売上高は17,454百万円(前期比9.6%増)、営業利益は4,624百万円(前期比17.4%増)、経常利益は4,547百万円(前期比6.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,992百万円(前期比8.0%減)となりました。当連結会計年度における期中平均レートは、1米ドル当たり149.62円となりました。 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。 (リード端子事業)当連結会計年度におけるリード端子事業の売上高は8,802百万円(前期比4.7%増)、セグメント利益(営業利益)は766百万円(前期比90.0%増)となりました。自動車用エレクトロニクス市場では、前半は昨年からの欧州自動車市場における調整が続き、また春以降は米国関税政策の影響を受けましたが、中国でのEV、PHVの普及が進むなど、全体では緩やかな回復基調となりました。一方、民生機器市場においては、中国での不動産不況の影響等により市場の調整が続きましたが、情報通信機器市場については、生成AI・データセンタへの投資等、IT需要の拡大により好調に推移しました。こうした中、自動車関連市場、情報通信機器市場等を中心としたアルミ電解コンデンサの高機能化ニーズを先取りしたリード端子の高付加価値製品の拡販に注力し、採用が進みました。生産体制については、引き続き中国東莞工場での生産能力増強等、海外生産拠点における生産再編を進めたほか、各工場において歩留まり改善等の生産効率改善への取組を強化しました。また、収益構造の改善を加速するため、ROIC指標を用いた経営の効率化を進め、資産の圧縮と有効活用等、投下資本に対する収益改善策に努めました。加えて、高効率・高精度を実現する次世代溶接技術として、レーザ溶接技術の開発にも引き続き取り組みました。 (光部品・デバイス事業)当連結会計年度における光部品・デバイス事業の売上高は8,651百万円(前期比15.0%増)、セグメント利益(営業利益)は3,857百万円(前期比9.1%増)となりました。海底ケーブル向け光デバイス製品では、期初においては一部プロジェクトのスケジュール変更や小型製品への切り替えに伴う既存製品の在庫調整による短期的な調整が見られましたが、春以降売上は順次増加傾向をたどりました。また、情報通信容量の拡大ニーズを背景にした新しい海底ケーブルプロジェクトの増加や、技術革新等に対応した光アイソレータの小型製品の採用が進みました。その他の製品については、生成AIの普及拡大によるデータセンタ投資の活発化に伴い、ファラデー回転子の需給逼迫が続いたため生産能力を増強し、受注増加への対応を進めました。加えて、更なる技術革新のニーズに対応した光デバイスの複合製品・モジュール製品の開発を進め、一部顧客へのサンプル供給を開始しました。さらに、次世代の技術革新に向けて、海底ケーブルのマルチコアファイバ化に対応した光アイソレータ、ファンイン/ファンアウト(※)デバイス等、新製品の開発に取り組みました。新規事業として強化を進めている高純度石英ガラス製品(SSG®)については、半導体関連の石英部品の引き合いが増加する中で、継続して拡販活動とサンプル供給に努めたほか、生産能力の増強等、将来の需要増に備えた安定供給体制の整備を進めました。そのほか、衛星光通信市場へ進出に向けて、光部品・デバイスの宇宙での環境試験や、衛星光通信における市場調査と顧客開拓に取り組みました。 ※ ファンイン/ファンアウト(製品)マルチコアファイバの各コアとシングルコアファイバのコアを接続する光部品。「ファンイン」とは複数の入力を一つの出力にまとめること、また「ファンアウト」は一つの入力を複数の出力に分岐することです。例えば、1本の光ファイバケーブルに複数のコアを内蔵するマルチコアファイバを海底ケーブルとして使用する際、数十キロメートルごとに設置する光中継器内で、一旦シングルコアファイバへ分岐して光信号を増幅した後に再度一つの出力にまとめ直す場合に使われます。 ② 財政状態の状況(資産)流動資産は前連結会計年度末に比べ1,303百万円減少し、17,027百万円となりました。これは主に、受取手形、売掛金及び契約資産が1,131百万円増加した一方で、現金及び預金が809百万円、有価証券が1,400百万円、原材料及び貯蔵品が232百万円減少したことによるものであります。固定資産は前連結会計年度末に比べ938百万円増加し、11,291百万円となりました。これは主に、工具、器具及び備品(純額)が178百万円、投資有価証券が1,096百万円増加した一方で、のれんが291百万円減少したことによるものであります。この結果、総資産は前連結会計年度末に比べ365百万円減少し、28,319百万円となりました。 (負債)流動負債は前連結会計年度末に比べ360百万円減少し、2,584百万円となりました。これは主に、買掛金が261百万円増加した一方で、1年内返済予定の長期借入金が208百万円、未払法人税等が463百万円減少したことによるものであります。固定負債は前連結会計年度末に比べ15百万円減少し、2,293百万円となりました。これは主に、繰延税金負債が20百万円増加した一方で、リース債務が40百万円減少したことによるものであります。この結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ376百万円減少し、4,877百万円となりました。 (純資産)純資産は前連結会計年度末に比べ11百万円増加し、23,441百万円となりました。これは主に、利益剰余金が2,182百万円増加した一方で、資本剰余金が2,261百万円減少したことによるものであります。 ③ キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物は8,417百万円となりました。当連結会計年度における活動ごとのキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、3,343百万円の収入となりました。主な資金増加要因は、税金等調整前当期純利益4,387百万円、減価償却費973百万円、減損損失310百万円、棚卸資産の減少額355百万円、主な資金減少要因は、売上債権の増加額1,131百万円、法人税等の支払額1,861百万円であります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、1,197百万円の支出となりました。主な資金増加要因は、定期預金の払戻による収入1,083百万円、主な資金減少要因は、定期預金の預入による支出258百万円、有形固定資産の取得による支出781百万円、投資有価証券の取得による支出1,266百万円であります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、3,646百万円の支出となりました。主な資金減少要因は、長期借入金の返済による支出208百万円、自己株式の取得による支出2,490百万円、配当金の支払額809百万円であります。 ④ 生産、受注及び販売の実績a. 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)リード端子事業6,674△1.0光部品・デバイス事業3,022+35.4合計9,696+8.0 (注) 金額は、製造原価によっております。 b. 受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称 受注高 (百万円)前期比 (%)受注残高 (百万円)前期比 (%)リード端子事業8,802+4.7--光部品・デバイス事業9,988+70.64,198+46.7合計18,790+31.84,198+46.7 (注) リード端子事業については、受注から出荷(売上計上)までの期間が数日と非常に短いことから、受注残高の集計には含めず、販売実績をもって受注高としております。 c. 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称販売高(百万円)前期比(%)リード端子事業8,802+4.7光部品・デバイス事業8,651+15.0合計17,454+9.6 (注) 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。相手先前連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)当連結会計年度(自 2025年1月1日 至 2025年12月31日)販売高(百万円)割合(%)販売高(百万円)割合(%)Alcatel Submarine Networks UK Ltd.2,79617.63,48320.0SubCom,LLC3,26820.52,87216.5 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容当連結会計年度における経営成績の状況の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載しております。また、当連結会計年度における財政状態の状況の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載しております。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報a. キャッシュ・フロー当連結会計年度のキャッシュ・フローの詳細につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッ シュ・フローの状況」に記載しております。 b. 資本の財源及び資金の流動性当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料等の仕入費用や生産子会社の製造費用、及び販売費及び一般管理費の営業費用であります。また、投資を目的とした資金需要は設備投資等によるものであります。当社グループは、事業運営上必要な運転資金及び設備投資資金については、自己資金にて賄うことを基本方針としております。また、一部はグループ会社間で融資を行っております。 ③ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について当社グループでは、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標を事業別営業利益と設定しております。前連結会計年度及び当連結会計年度の数値については、次のとおりとなっております。指標前連結会計年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)当連結会計年度(自 2025年1月1日 至 2025年12月31日) 事業別営業利益(リード端子事業) (百万円)403766事業別営業利益(光部品・デバイス事業) (百万円)3,5363,857 ④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。当社グループの連結財務諸表で採用する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 ⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について経営成績等に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載しております。 ⑥ 経営者の問題認識と今後の方針について経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。