経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1)中期経営計画2024振り返り ●当社グループを取り巻く事業環境中期経営計画2024(以下、中計2024)策定時に想定した事業環境に対して大きな変化が生じました。第一に、世界的なインフレと部材調達の長納期化であります。その影響は主に社会システム事業セグメントの業績を直撃しました。しかし、代替品の開発や新規調達先の開拓といった様々な取組みを進めてきたことで、当連結会計年度は長納期化の影響は概ね収まり、またインフレ影響の価格転嫁も進むなど、業績には明るい兆しが見えてまいりました。第二にEV市場の動向の変化であります。2015年のパリ協定採択以降、多くの国がEV化の目標を掲げ、EV導入を推進した結果、EV市場は大きく成長しましたが、その勢いが落ち着きつつあります。これは、新技術への関心が高いアーリーアダプターの需要が一巡したことや各国のEV購入に対する補助金終了等の影響であると考えております。脱炭素の観点から、今後も世界全体のEVへの移行は進んでいくと考えられておりますが、国によっては導入期から普及期へ転換するにあたり、充電インフラの整備等が必要となってきていると捉えております。最後に電力市場の動向の変化であります。国内においては、送配電網について、高度経済成長期に整備された設備の老朽化による更新需要に加え、脱炭素社会実現に向けた再生可能エネルギー導入のための整備を目的とした需要が拡大しました。更に、レベニューキャップ制度が導入されたことによって計画的な送配電網の整備が可能となり、安定的に更新できることとなりました。海外においても、先進国を中心にSF6ガス不使用製品の需要が高まるなど市場が急速に拡大しました。このような動向は、今後も暫く継続すると考えております。 ●業績(2021年度~2024年度)このような事業環境の中、当社グループは業績を順調に拡大させ、中計2024で目標として掲げた営業利益180億円、ROE10%を上回り、当連結会計年度は受注高、売上高、営業利益いずれも過去最高値を達成することができました。財務状況について、中計2024開始前の2021年3月末時点と比べて、自己資本比率は34.6%から40.7%に向上し、有利子負債の圧縮も進んだことでネットD/Eレシオは0.34倍から0.10倍に改善するなど、より強固な財務基盤を構築することができました。効率性の面においては、総資産回転率が0.84回転から0.89回転に若干の改善が見られた一方で、部材長納期化への対策で戦略的に在庫を増やした影響等により、棚卸資産回転率が3.95回転から3.24回転に大きく悪化し、課題の残る結果となりました。受注環境については、インド高速鉄道1号線(ムンバイ〜アーメダバード間)向け変電機器の大型受注を獲得するなど極めて良好で、受注残も年々増加しております。好調な受注状況を業績向上に繋げていくためにも、効率性指標の向上による生産力の拡大は重要な経営課題であると捉えております。 (2) 新中期経営計画:中期経営計画2027 ●ビジョン達成に向けた価値創造プロセス当社グループは、企業理念である「より豊かな未来をひらく」のもと、「人」と「技術」を企業価値創造の中核に据え、社会と共に発展してまいりました。中計2024では、2030年のビジョンとして「サステナビリティ・パートナー」を掲げ、そこからバックキャストする形で6つのマテリアリティ(重要課題)を特定し、その解決に取り組んでまいりました。近年、生成AIをはじめとする革新的な技術が次々と実用化されており、企業を取り巻く環境や提供すべき価値のあり方は、今後更に大きく、かつ多様に変化していくと想定されます。その中で、2030年のビジョンを実現していくためには、成長と挑戦による価値提供方法の更新や、その実現を担う人財、企業文化の変革が必要になります。これらを踏まえ、マテリアリティにデジタル化の視点を加えて再構成し、「未来へ挑む人財・企業文化づくり」、「価値提供のアップグレード」、「人とデジタルの調和」を新たな重要課題として追加しました。注力領域のうち「リニューアブルエナジー」及び「サステナブルインフラ」の両領域においては、顧客や社会の課題に対し、ソリューションを通じた価値提供を推進してまいります。また、「グリーンモビリティ」及び「スマートインダストリー」の両領域では、製品技術及び生産技術を当社のコアコンピタンスと位置づけ、これらを活かした価値提供を展開してまいります。 ビジョン達成に向けた価値創造プロセスについて ●価値創造を実現するための戦略当社グループは、「中期経営計画2027」(以下、「中計2027」)を「ニーズに対応した着実な成長」と「未来に向けた変化・挑戦」を両立する3年間として位置づけております。中計2027では既存事業の持続的な成長と非連続的な成長の両方を実現することを目指し、「成長&挑戦」をキーワードに成長戦略を推進してまいります。成長戦略は大きく3つの柱で構成されます。第一の柱は「製品」であり、生産能力の増強のため、国内では変圧器や電子機器の生産設備を増設・増強し、海外ではアメリカ・ドイツ・シンガポール・インドにおける拠点再構築や新工場設立を進めるなど、合計260億円超の設備投資を計画しております。また、受注から出荷までの情報基盤整備や自動化・試験データの連携による生産プロセスの効率化等、DXによる生産性向上とリードタイムの削減を進めてまいります。第二の柱は「事業」であり、新たな需要が見込まれる海外市場の開拓と、データ活用によるサービスビジネスの拡大を図ってまいります。変電事業・電鉄事業・半導体関連事業のグローバル展開に加え、水インフラ事業では機器・工事・運転維持管理・保守までを担う総合エンジニアリング体制を構築するなど、従来の機器販売に留まらない価値提供を推進してまいります。そして第三の柱は「技術」であり、未来の社会を見据えた指向型研究を通じて、将来的な競争力の源泉を育成してまいります。注力する技術の方向性を、①直流・高周波、②パワーケミトロニクス(パワーエレクトロニクス×電気化学)、③デジタルツインO&Mという3つに定め、実現したい社会を構成するシステム・要素を整理し、その中で当社が特に取り組むコア技術の獲得を目指してまいります。これら3つの成長戦略を支えるのが、「グリーン戦略の深化」、「人的資本の強化」、「社内DXの加速」を軸とした経営基盤の強化であります。「グリーン戦略の深化」では、脱炭素経営を加速し、工場ユニットの脱炭素化や再生可能エネルギーの導入、ライフサイクルアセスメント(LCA)の取組みを推進してまいります。「人的資本の強化」では、多様な人財が活躍できる環境づくりを進め、採用・育成・活躍の質的転換を目指してまいります。そして「社内DXの加速」では、基幹システムの刷新とデータ基盤の整備による業務の標準化・効率化・可視化を推進してまいります。 価値創造を実現するための戦略について (3) 資本コストや株価を意識した経営 ●基本方針当社グループは、企業価値向上の取組みとして、ROE(自己資本利益率)の向上とPER(株価収益率)の向上という二つの観点から方針を掲げ、それぞれに基づいた施策を実行しております。ROE向上に向けては、収益力の強化や投資効率の向上に取り組むことで、効率的な資本活用を通じた価値の創出を目指しております。一方、PER向上に向けては、成長期待を高める投資の実行と、人的資本やガバナンス体制の強化等、非財務価値の充実を通じて、将来にわたる持続的な価値創造に取り組んでおります。これらの方針は、中計2027における成長戦略・投資戦略と連動しており、収益力や資産効率の向上を通じてキャッシュ創出力を高め、創出されたキャッシュを再投資することで、更なる成長と企業価値の向上を生み出す好循環の構築を目指してまいります。また、限られた経営資源をいかに成長投資と株主還元へ配分していくかというキャッシュ・アロケーションの最適化にも重点を置き、長期的な視点での価値創造に取り組んでまいります。 ●キャッシュ・アロケーション中計2027においては、上位格付けの取得に向けた財務基盤の強化と、大型投資を可能とする資本力の増強に取り組み、将来に向けた戦略的投資を着実に実行できる体制を整備してまいります。設備投資については、事業の持続的成長と競争力強化を目的に、「成長・DX投資」に350億円、「通常投資」に350億円を計画しております。成長投資では、真空コンデンサ製造ラインの増設等、新市場の開拓や生産能力の増強を通じて新たな価値の創出に挑戦してまいります。DX投資では、プロジェクト管理や経営情報の可視化、データ活用の高度化を目的とした基幹システムの再構築により、全社的な業務価値の最大化を図ってまいります。通常投資については、既存設備の更新・維持・補修を通じて、生産性と品質の安定を確保し、継続的な事業価値の維持・向上に努めてまいります。設備投資において、特に大型案件については社内の投資判断における収益率の基準(ハードルレート)等の定量的指標と戦略的意義等の定性的要素を総合的に評価したうえで実施の可否を判断してまいります。また、将来を見据えた戦略の具体化を進める中で、非連続的な価値創造を目指すM&A等の大型投資とその資金調達方法についても検討を進めてまいります。株主還元については、「安定的かつ継続的な配当の実施」と「成長による中長期的な株主価値の向上」の両立を基本方針としております。具体的には、親会社株主に帰属する当期純利益の30%を配当によって直接還元するとともに、中計2027の施策を通じて、既存事業による継続的な価値の創出と新たな収益源の確保を両立させ、株主価値の更なる向上を実現してまいります。 資本コストや株価を意識した経営について (4)「中期経営計画2027」財務指標・非財務指標 以上の戦略を踏まえ、中計2027の財務指標・非財務指標は次のとおり設定しております。 ※1.計画為替レート:140円/USD ※2.ROIC=税引後営業利益/(有利子負債+自己資本) ※3.Scope1,2,3:2019年度実績比※4.eNPS:従業員向けNPS®(ネット・プロモーター・スコア)。NPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標であります。eNPSの単位を%とし、記載しております。また、eNPSの対象は、提出会社及び国内関係会社(イームル工業株式会社及び明電ユニバーサルサービス株式会社を除く。)であります。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1)中期経営計画2024振り返り ●当社グループを取り巻く事業環境中期経営計画2024(以下、中計2024)策定時に想定した事業環境に対して大きな変化が生じました。第一に、世界的なインフレと部材調達の長納期化であります。その影響は主に社会システム事業セグメントの業績を直撃しました。しかし、代替品の開発や新規調達先の開拓といった様々な取組みを進めてきたことで、当連結会計年度は長納期化の影響は概ね収まり、またインフレ影響の価格転嫁も進むなど、業績には明るい兆しが見えてまいりました。第二にEV市場の動向の変化であります。2015年のパリ協定採択以降、多くの国がEV化の目標を掲げ、EV導入を推進した結果、EV市場は大きく成長しましたが、その勢いが落ち着きつつあります。これは、新技術への関心が高いアーリーアダプターの需要が一巡したことや各国のEV購入に対する補助金終了等の影響であると考えております。脱炭素の観点から、今後も世界全体のEVへの移行は進んでいくと考えられておりますが、国によっては導入期から普及期へ転換するにあたり、充電インフラの整備等が必要となってきていると捉えております。最後に電力市場の動向の変化であります。国内においては、送配電網について、高度経済成長期に整備された設備の老朽化による更新需要に加え、脱炭素社会実現に向けた再生可能エネルギー導入のための整備を目的とした需要が拡大しました。更に、レベニューキャップ制度が導入されたことによって計画的な送配電網の整備が可能となり、安定的に更新できることとなりました。海外においても、先進国を中心にSF6ガス不使用製品の需要が高まるなど市場が急速に拡大しました。このような動向は、今後も暫く継続すると考えております。 ●業績(2021年度~2024年度)このような事業環境の中、当社グループは業績を順調に拡大させ、中計2024で目標として掲げた営業利益180億円、ROE10%を上回り、当連結会計年度は受注高、売上高、営業利益いずれも過去最高値を達成することができました。財務状況について、中計2024開始前の2021年3月末時点と比べて、自己資本比率は34.6%から40.7%に向上し、有利子負債の圧縮も進んだことでネットD/Eレシオは0.34倍から0.10倍に改善するなど、より強固な財務基盤を構築することができました。効率性の面においては、総資産回転率が0.84回転から0.89回転に若干の改善が見られた一方で、部材長納期化への対策で戦略的に在庫を増やした影響等により、棚卸資産回転率が3.95回転から3.24回転に大きく悪化し、課題の残る結果となりました。受注環境については、インド高速鉄道1号線(ムンバイ〜アーメダバード間)向け変電機器の大型受注を獲得するなど極めて良好で、受注残も年々増加しております。好調な受注状況を業績向上に繋げていくためにも、効率性指標の向上による生産力の拡大は重要な経営課題であると捉えております。 (2) 新中期経営計画:中期経営計画2027 ●ビジョン達成に向けた価値創造プロセス当社グループは、企業理念である「より豊かな未来をひらく」のもと、「人」と「技術」を企業価値創造の中核に据え、社会と共に発展してまいりました。中計2024では、2030年のビジョンとして「サステナビリティ・パートナー」を掲げ、そこからバックキャストする形で6つのマテリアリティ(重要課題)を特定し、その解決に取り組んでまいりました。近年、生成AIをはじめとする革新的な技術が次々と実用化されており、企業を取り巻く環境や提供すべき価値のあり方は、今後更に大きく、かつ多様に変化していくと想定されます。その中で、2030年のビジョンを実現していくためには、成長と挑戦による価値提供方法の更新や、その実現を担う人財、企業文化の変革が必要になります。これらを踏まえ、マテリアリティにデジタル化の視点を加えて再構成し、「未来へ挑む人財・企業文化づくり」、「価値提供のアップグレード」、「人とデジタルの調和」を新たな重要課題として追加しました。注力領域のうち「リニューアブルエナジー」及び「サステナブルインフラ」の両領域においては、顧客や社会の課題に対し、ソリューションを通じた価値提供を推進してまいります。また、「グリーンモビリティ」及び「スマートインダストリー」の両領域では、製品技術及び生産技術を当社のコアコンピタンスと位置づけ、これらを活かした価値提供を展開してまいります。 ビジョン達成に向けた価値創造プロセスについて ●価値創造を実現するための戦略当社グループは、「中期経営計画2027」(以下、「中計2027」)を「ニーズに対応した着実な成長」と「未来に向けた変化・挑戦」を両立する3年間として位置づけております。中計2027では既存事業の持続的な成長と非連続的な成長の両方を実現することを目指し、「成長&挑戦」をキーワードに成長戦略を推進してまいります。成長戦略は大きく3つの柱で構成されます。第一の柱は「製品」であり、生産能力の増強のため、国内では変圧器や電子機器の生産設備を増設・増強し、海外ではアメリカ・ドイツ・シンガポール・インドにおける拠点再構築や新工場設立を進めるなど、合計260億円超の設備投資を計画しております。また、受注から出荷までの情報基盤整備や自動化・試験データの連携による生産プロセスの効率化等、DXによる生産性向上とリードタイムの削減を進めてまいります。第二の柱は「事業」であり、新たな需要が見込まれる海外市場の開拓と、データ活用によるサービスビジネスの拡大を図ってまいります。変電事業・電鉄事業・半導体関連事業のグローバル展開に加え、水インフラ事業では機器・工事・運転維持管理・保守までを担う総合エンジニアリング体制を構築するなど、従来の機器販売に留まらない価値提供を推進してまいります。そして第三の柱は「技術」であり、未来の社会を見据えた指向型研究を通じて、将来的な競争力の源泉を育成してまいります。注力する技術の方向性を、①直流・高周波、②パワーケミトロニクス(パワーエレクトロニクス×電気化学)、③デジタルツインO&Mという3つに定め、実現したい社会を構成するシステム・要素を整理し、その中で当社が特に取り組むコア技術の獲得を目指してまいります。これら3つの成長戦略を支えるのが、「グリーン戦略の深化」、「人的資本の強化」、「社内DXの加速」を軸とした経営基盤の強化であります。「グリーン戦略の深化」では、脱炭素経営を加速し、工場ユニットの脱炭素化や再生可能エネルギーの導入、ライフサイクルアセスメント(LCA)の取組みを推進してまいります。「人的資本の強化」では、多様な人財が活躍できる環境づくりを進め、採用・育成・活躍の質的転換を目指してまいります。そして「社内DXの加速」では、基幹システムの刷新とデータ基盤の整備による業務の標準化・効率化・可視化を推進してまいります。 価値創造を実現するための戦略について (3) 資本コストや株価を意識した経営 ●基本方針当社グループは、企業価値向上の取組みとして、ROE(自己資本利益率)の向上とPER(株価収益率)の向上という二つの観点から方針を掲げ、それぞれに基づいた施策を実行しております。ROE向上に向けては、収益力の強化や投資効率の向上に取り組むことで、効率的な資本活用を通じた価値の創出を目指しております。一方、PER向上に向けては、成長期待を高める投資の実行と、人的資本やガバナンス体制の強化等、非財務価値の充実を通じて、将来にわたる持続的な価値創造に取り組んでおります。これらの方針は、中計2027における成長戦略・投資戦略と連動しており、収益力や資産効率の向上を通じてキャッシュ創出力を高め、創出されたキャッシュを再投資することで、更なる成長と企業価値の向上を生み出す好循環の構築を目指してまいります。また、限られた経営資源をいかに成長投資と株主還元へ配分していくかというキャッシュ・アロケーションの最適化にも重点を置き、長期的な視点での価値創造に取り組んでまいります。 ●キャッシュ・アロケーション中計2027においては、上位格付けの取得に向けた財務基盤の強化と、大型投資を可能とする資本力の増強に取り組み、将来に向けた戦略的投資を着実に実行できる体制を整備してまいります。設備投資については、事業の持続的成長と競争力強化を目的に、「成長・DX投資」に350億円、「通常投資」に350億円を計画しております。成長投資では、真空コンデンサ製造ラインの増設等、新市場の開拓や生産能力の増強を通じて新たな価値の創出に挑戦してまいります。DX投資では、プロジェクト管理や経営情報の可視化、データ活用の高度化を目的とした基幹システムの再構築により、全社的な業務価値の最大化を図ってまいります。通常投資については、既存設備の更新・維持・補修を通じて、生産性と品質の安定を確保し、継続的な事業価値の維持・向上に努めてまいります。設備投資において、特に大型案件については社内の投資判断における収益率の基準(ハードルレート)等の定量的指標と戦略的意義等の定性的要素を総合的に評価したうえで実施の可否を判断してまいります。また、将来を見据えた戦略の具体化を進める中で、非連続的な価値創造を目指すM&A等の大型投資とその資金調達方法についても検討を進めてまいります。株主還元については、「安定的かつ継続的な配当の実施」と「成長による中長期的な株主価値の向上」の両立を基本方針としております。具体的には、親会社株主に帰属する当期純利益の30%を配当によって直接還元するとともに、中計2027の施策を通じて、既存事業による継続的な価値の創出と新たな収益源の確保を両立させ、株主価値の更なる向上を実現してまいります。 資本コストや株価を意識した経営について (4)「中期経営計画2027」財務指標・非財務指標 以上の戦略を踏まえ、中計2027の財務指標・非財務指標は次のとおり設定しております。 ※1.計画為替レート:140円/USD ※2.ROIC=税引後営業利益/(有利子負債+自己資本) ※3.Scope1,2,3:2019年度実績比※4.eNPS:従業員向けNPS®(ネット・プロモーター・スコア)。NPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標であります。eNPSの単位を%とし、記載しております。また、eNPSの対象は、提出会社及び国内関係会社(イームル工業株式会社及び明電ユニバーサルサービス株式会社を除く。)であります。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、2024年度(当連結会計年度)末現在において判断したものであります。 (1) 経営成績当連結会計年度におけるわが国の経済は、雇用・所得環境の改善が進み、旺盛なインバウンド需要などにより、景気は緩やかに持ち直している一方で、米国の関税政策、円安を背景とした原材料価格やエネルギー価格の高騰の影響などにより、先行きは依然として不透明な状況が続いております。当社の関連する市場においては、国内電力市場では設備更新需要が拡大し、海外先進国を中心にSF6ガス不使用製品の需要が高まるなど当社の事業に好影響を及ぼしております。また半導体市況の需給調整は徐々に回復の兆しが見える一方で、自動車事業でのEVシフトの勢いが弱まり、当社のEV事業の業績に少なからず影響を与えました。このような中、「中期経営計画2024」最終年度となった本年は計画完遂に向け、市場需要の積極的な取り込みや環境に資する事業・製品への注力、海外事業における収益基盤の強化を進めてまいりました。並行してグリーン戦略・人的資本といったサステナビリティ経営の各種施策展開を推し進め、価値創造基盤の強化にも努めてまいりました。 当連結会計年度(以下「当期」)の経営成績は、以下のとおりであります。 (単位:百万円) 2024年3月期実績2025年3月期実績増減額増減率(%)売 上 高287,880301,10113,2214.6営 業 利 益12,73121,5128,78169.0経 常 利 益13,38521,1927,80658.3親会社株主に帰属する当期純利益11,20518,4877,28165.0 当期の営業利益は21,512百万円となり前連結会計年度(以下「前期」)と比較し8,781百万円増加しております。当期の営業外損益につきましては、営業外収益が2,170百万円、営業外費用が2,490百万円となりました。営業外収益の主な内訳は、受取利息及び配当金1,100百万円であります。営業外費用の主な内訳は、支払利息986百万円であります。この結果、経常利益は21,192百万円となり前期と比較して7,806百万円増加し、売上高経常利益率は7.0%となっております。当期の特別損益につきましては、特別利益が3,100百万円、特別損失が456百万円となりました。特別利益の主な内訳は、投資有価証券売却益1,274百万円、受取保険金1,165百万円であります。特別損失の主な内訳は、災害損失354百万円であります。この結果、税金等調整前当期純利益は23,836百万円となり、法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額合計で4,961百万円計上、及び非支配株主に帰属する当期純利益387百万円を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は18,487百万円となっております。また、1株当たり当期純利益は407円51銭、自己資本利益率は13.9%となっております。 なお、当社は、前連結会計年度において明電商事株式会社を吸収合併したことに伴い、当連結会計年度より、同社が手掛けていた事業のセグメント区分の変更を行っております。以下、前年同期比較については、当該変更を反映した前年同期の数値を用いております。 ① 電力インフラ事業セグメント売上高は前期比10.2%増の86,437百万円、営業利益は前期比1,544百万円改善の7,988百万円となり、売上高及び営業利益はいずれも過去最高となりました。海外を主体とする変電事業については、シンガポール、ドイツ、インドなどにおける需要の伸びや収益性改善の取組みにより、増収増益となりました。また、国内主体の電力エネルギー事業についても、電力会社向け案件の需要増を背景に、増収増益となりました。 ② 社会システム事業セグメント売上高は前期比10.0%増の96,323百万円、営業利益は前期比3,568百万円改善の3,034百万円となりました。社会システム事業及び水インフラ事業においては、工程の遅れによる売上計上時期の後ろ倒しの影響が一部の案件でみられたものの、資材高騰に伴う収益性悪化は改善傾向にあり、増収増益となりました。電鉄事業においては、海外案件の減少がみられましたが、シンガポールで手掛けてきた大型案件の原価が改善したことなどから、減収増益となりました。 ③ 産業電子モビリティ事業セグメント売上高は前期比8.5%減の72,079百万円となった一方、営業利益は前期比936百万円改善の1,132百万円となりました。電動力ソリューション事業は、主に搬送分野の受注減少、EV事業は、当社製品を搭載する車種で販売台数の落ち込みにより減収減益となりました。その一方で、電子機器事業及びモビリティT&S事業については、緩やかな需要の回復が見られ、増収増益となりました。 ④ フィールドエンジニアリング事業セグメント売上高は前期比17.2%増の49,567百万円、営業利益は前期比3,281百万円改善の9,931百万円となりました。保守サービスに関する堅調な需要が継続していることに加えて、当年度に売り上がる案件の増加により、売上高及び営業利益はいずれも過去最高となりました。 ⑤ 不動産事業セグメント売上高は前期比0.2%増の3,235百万円、営業利益は前期比10百万円改善の1,443百万円となりました。 ⑥ その他報告セグメントに含まれない事業において、売上高は前期比16.3%減の8,672百万円となった一方で、営業利益は前期比149百万円改善の477百万円となりました。 (生産、受注及び販売の状況)① 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称生産高(百万円)前期比(%)電力インフラ事業84,529111.1社会システム事業95,217113.6産業電子モビリティ事業71,27495.1フィールドエンジニアリング事業47,729117.5不動産事業--その他3,25794.0合計302,008108.3 (注) セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。 ② 受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前期比(%)電力インフラ事業125,374129.3158,108131.2社会システム事業117,548118.1161,567122.7産業電子モビリティ事業84,687110.334,596171.9フィールドエンジニアリング事業49,136109.518,061110.8不動産事業3,197100.221084.9その他3,64645.91,81896.3合計383,590116.5374,362128.7 (注) セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。 ③ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称販売高(百万円)前期比(%)電力インフラ事業85,417109.8社会システム事業90,617107.5産業電子モビリティ事業70,47391.8フィールドエンジニアリング事業47,679117.3不動産事業3,197100.2その他3,71671.5合計301,101104.6 (注) セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。 (2) 財政状態当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末(以下「前期末」)比6,559百万円(2.0%)増加し、341,347百万円となりました。流動資産は、受取手形、売掛金及び契約資産の回収が進んだものの、現金及び預金が増加した結果、前期末比8,613百万円(4.1%)増加の217,116百万円となりました。固定資産は、保有する上場株式の売却及び市場価値下落に伴う投資有価証券の減少により、前期末比2,053百万円(1.6%)減少の124,230百万円となりました。負債合計は、社債の償還、支払手形及び買掛金の減少により、前期末比6,164百万円(3.0%)減少して199,134百万円となりました。純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により、前期末比12,724百万円(9.8%)増加して142,212百万円となりました。この結果、自己資本比率は前期末の37.8%から40.7%となりました。 (3) キャッシュ・フロー当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」)は、前連結会計年度末に比べ11,867百万円増加し、29,091百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は35,454百万円(前年同期は8,968百万円の獲得)となりました。 主な収入は、税金等調整前当期純利益23,836百万円、減価償却費10,463百万円、売上債権の減少額5,159百万円であり、主な支出は、仕入債務の減少額4,433百万円、法人税等の支払額4,309百万円であります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は9,065百万円(前年同期は7,553百万円の使用)となりました。 主な支出は、有形及び無形固定資産の取得による支出10,547百万円によるものであり、主な収入は、投資有価証券の売却による収入1,422百万円によるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果使用した資金は14,536百万円(前年同期は749百万円の獲得)となりました。 主な支出は、社債の償還による支出6,000百万円、短期借入金の返済による支出4,623百万円、コマーシャル・ペーパーの返済による支出4,000百万円、配当金の支払額3,851百万円であり、主な収入は、長期借入れによる収入5,900百万円であります。 (資本の財源及び資金の流動性に係る情報)当連結会計年度における資金調達は、主として借入金及びコマーシャル・ペーパーをもって行いました。調達においては、長期・短期のバランスと安定性を考慮し、長期の借入も実施しております。その結果、借入金、コマーシャル・ペーパー及び社債の残高は、前期比10,114百万円減の44,565百万円となりました。また、コミットメントラインは前期末比5,000百万円増加の40,000百万円で設定されています。 (4) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループでは、「中期経営計画2024」で掲げた、「質の高い成長」「サステナビリティ経営の推進」「両利きの経営の推進」という3つの基本方針に基づき、再生エネルギーやEV等の環境に資する事業拡大、海外事業の収益力強化及び気候変動への対応に向けた各種施策を推し進めてまいりました。当連結会計年度においては、電力インフラ事業を中心に海外事業の収益を前年比で大幅に改善させたとともに、保守サービスに関する堅調な需要が継続したことにより、受注高・売上高・営業利益いずれも過去最高を更新しました。当連結会計年度の投資については、設備投資11,953百万円、研究開発11,234百万円となりました。事業環境の変化に伴い、当初計画していたEV用モーター・インバーター一体機量産や風力発電用風車リプレースを延期した一方、環境負荷低減や電力需要の高まりに対応し、真空インタラプタ製品の増産投資などを進めました。また、従業員の声に耳を傾け、働きやすい環境づくりを目指し、各事業所の食堂や休憩スペース、更衣室、トイレの整備など生産環境改善の投資も実施しました。研究開発の状況は、後記「第2 事業の状況 6 研究開発活動」に記載のとおりであります。今後も、会社の「成長」のために強みを伸ばし、新しい価値を創造するため「挑戦」し続けることを基本方針として、研究開発を推進してまいります。当社を取り巻く事業環境としては、社会課題の解決と経済・産業の持続的な発展が求められる中で、生成AIをはじめとする革新的な技術が次々と実用化され、デジタル活用のニーズは拡大し、更に多様化すると想定しております。このような中、当社グループでは、多くの政治的・社会的な動向を注視する必要がありますが、「成長」を戦略の中心に据え、中期経営計画2027(以下、中計2027)で掲げたとおり、「製品」、「事業」、「技術」の3つの領域でそれぞれに適した戦略的アプローチを展開します。そしてこの3つの成長戦略を支える経営基盤としては、価値創造の根源である「脱炭素経営」「人的資本の強化」「経営マネジメントの変革」を展開し、更なる価値創造に繋げてまいります。2025年度においては、生産性の改善や工場におけるコストリダクションをしっかり行い、利益の拡大に努め、現行のリソースで工夫できることやDXなどの要素も加味した設備投資で収益力の向上を目指してまいります。2024年度(当連結会計年度)実績、2025年度当初計画及び中計2027最終年度目標は以下のとおりであります。 (5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、連結貸借対照表上の資産、負債の計上額、及び連結損益計算書上の収益、費用の計上額に影響を与える見積りを行う必要があります。会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。なお、連結財務諸表の作成に当たり採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しております。 ① 固定資産の減損及び投融資の評価当社グループは、有形固定資産及び無形固定資産について、見積耐用年数にわたり、主として定率法又は定額法により償却しております。これらの有形固定資産及び無形固定資産について、帳簿価額が回収できない可能性を示す事象や状況の変化が生じた場合に、減損の判定を行っております。減損が生じていると判断した場合、当該資産の帳簿価額が回収可能価額を上回る金額を、減損損失として計上しております。 回収可能価額は、使用価値と正味売却価額のうち、いずれか高い金額としております。使用価値の算定においては、見積り将来キャッシュ・フローを、貨幣の時間価値及び資産固有のリスクを反映した割引率を用いて現在価値に割り引いて算出しております。なお、一部の子会社の買収時に発生したのれんの価値算定においては、過去実績、収益と費用の予測、将来の市場の成長度合、経営者により承認された事業計画の実現可能性度合、適切な市場における比較対象等の前提条件を使用しております。また、割引率の算定にあたっては、独立した外部の評価機関を利用しております。これらの前提条件の見積りに関する評価は合理的であると判断しておりますが、予測不能な前提条件の変化等により回収可能価額の評価に関する見積りが変化した場合には、更に減損損失の計上が必要となる可能性があります。また、会計上の見積り及び仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。 ② 繰延税金資産当社グループは、将来の課税所得の見込みにより、回収可能と判断した部分につきましては評価性引当額を認識しておらず、繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性を評価するに際しては、過去実績、将来の課税所得及びタックス・プランニング等を考慮し、慎重に検討しておりますが、予測不能な前提条件の変化等により回収可能性の評価に関する見積りが変化した場合には、繰延税金資産の修正が必要となる可能性があります。 ③ 受注損失引当金当社グループは、受注契約に係る将来の損失に備えるため、翌連結会計年度以降の損失発生見込額を計上しております。実際の発生原価が見積りと異なる場合、引当金の追加計上が必要となる可能性があります。 ④ 製品保証引当金当社グループは、納入した製品の無償補修費用の支出に備えるため、無償補修費用を個別に見積り算出した額を計上しております。実際の補修費用が見積りと異なる場合、引当金の追加計上が必要となる可能性があります。 ⑤ 退職給付に係る負債従業員の退職給付債務及び費用は、割引率、昇給率、退職率、死亡率、長期期待運用収益率等の前提条件を用いた年金数理計算により見積られます。特に割引率及び長期期待運用収益率は、退職給付債務及び費用を決定する上で重要な前提条件であります。割引率は、測定日時点における従業員への給付が実行されるまでの予想平均期間に応じた優良債券の利回りに基づき決定しております。長期期待運用収益率は、債券及び株式等の投資対象資産グループ別の長期期待運用収益の加重平均に基づき決定しております。当社グループは、年金数理計算上用いられる前提条件と方法は適切であると判断しておりますが、前提条件と実際の結果が異なる場合、又は前提条件の変更がある場合には、当社グループの退職給付債務及び費用に影響を与える可能性があります。なお、割引率及び長期期待運用収益率がそれぞれ0.5%変動した場合の連結財務諸表への影響は以下のとおりであります。 退職給付費用退職給付債務割引率0.5%上昇95百万円の減少2,397百万円の減少0.5%低下104百万円の増加2,612百万円の増加長期期待運用収益率0.5%上昇24百万円の減少―0.5%低下24百万円の増加― ⑥ 工事契約に係る収益認識工事契約に係る収益のうち、一定の期間にわたり充足される履行義務については、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき収益を一定の期間にわたり認識しております。履行義務の充足に係る進捗率の見積りの方法は、主として発生原価に基づくインプット法によっております。工事契約に係る収益認識は、工事原価総額の見積りにより収益及び損益の額に影響を与えます。工事原価総額の見積りは当初は実行予算によって行っております。実行予算作成時には、作成時点で入手可能な情報に基づいた仕様や材料価格について仮定を設定し、作業効率等を勘案して各工事毎に詳細に積み上げることによって工事原価総額を見積ります。着工後は、プロジェクト毎に実際の発生原価と対比して適時・適切に工事原価総額の見直しを行っております。 工事原価総額の見積りに用いられる前提は適切であると判断しておりますが、想定していなかった原価の発生等により工事進捗度が変動した場合は、工事契約に係る収益及び費用の修正が必要となる可能性があります。また、会計上の見積り及び仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。