6502

東芝(6502)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

電気機器

事業の概要

東芝グループは、多岐にわたる製品とサービスを提供する複合企業です。主な事業は、火力・原子力発電システムや電力流通システムなどの「エネルギーシステムソリューション」、上下水道・放送システムや交通機器などの「インフラシステムソリューション」、エレベーターや照明などの「ビルソリューション」、POSシステムや複合機などの「リテール&プリンティングソリューション」、半導体やHDDなどの「デバイス&ストレージソリューション」、ITソリューションサービスなどの「デジタルソリューション」です。これらの事業を通じて、社会インフラから個人向け製品まで幅広く展開し、収益を上げています。

出典: FY2023 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成

東芝グループの事業セグメントは大きく7つに分かれています。1. エネルギーシステムソリューション:火力・原子力発電、電力流通、再生可能エネルギー関連。2. インフラシステムソリューション:上下水道、放送、交通、産業システム関連。3. ビルソリューション:エレベーター、照明関連。4. リテール&プリンティングソリューション:POSシステム、複合機関連。5. デバイス&ストレージソリューション:半導体、HDD関連。6. デジタルソリューション:ITソリューションサービス関連。7. その他:電池など。各セグメントは製造販売、エンジニアリング、サービスを主に行い、幅広い製品とサービスを提供しています。特定のセグメントが突出して稼ぎ頭であるとの記述はありませんが、社会インフラから先端技術まで多角的な事業展開が特徴です。

有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2023|2,223 文字
3【事業の内容】 当社は米国会計基準によって連結財務諸表を作成しており、当該連結財務諸表をもとに、関係会社については米国会計基準の定義に基づいて開示しています。これについては、「第2 事業の状況」及び「第3 設備の状況」においても同様です。 当社グループは、当社及び連結子会社253社(2023年3月31日現在)により構成され、「エネルギーシステムソリューション」、「インフラシステムソリューション」、「ビルソリューション」、「リテール&プリンティングソリューション」、「デバイス&ストレージソリューション」、「デジタルソリューション」及び「その他」の7部門に関係する事業を主として行っており、その製品はあらゆる種類にわたっています。各事業における当社及び主要な関係会社の位置付け等の概要は次のとおりであり、当区分は事業の種類別セグメント情報の区分と一致しています。また、持分法適用会社は130社(2023年3月31日現在)です。部門別主要製品当社及び主要な関係会社の位置付け製造販売・エンジニアリング・サービス他エネルギーシステムソリューション 火力発電システム、原子力発電システム、電力流通システム、太陽光発電システム、水力発電システム等原子燃料工業㈱、東芝エネルギーシステムズ㈱、東芝水力機器杭州社、東芝ジェイエスダブリュー・パワーシステム社、東芝電力流通システム・アジア社、東芝電力流通システム・インド社、常州東芝変圧器社、ジーイー東芝タービンコンポーネンツ・メキシコ社、河南平芝高圧開閉器社、平高東芝(河南)開関零部件製造社原子燃料工業㈱、東芝エネルギーシステムズ㈱、東芝プラントシステム㈱、東芝水力機器杭州社、東芝ジェイエスダブリュー・パワーシステム社、東芝電力流通システム・アジア社、東芝電力流通システム・インド社、ティーピーエスシー・インド社、ティーピーエスシー・タイ社、イーレックスニューエナジー佐伯㈱、KK6安全対策共同事業㈱、常州東芝変圧器社、河南平芝高圧開閉器社、平高東芝(河南)開関零部件製造社 部門別主要製品当社及び主要な関係会社の位置付け製造販売・エンジニアリング・サービス他インフラシステムソリューション 上下水道システム、放送システム、電波機器、産業光源、コンプレッサー、産業システム、環境システム、道路システム、駅務自動化機器、交通機器等西芝電機㈱、東芝産業機器システム㈱、東芝インフラシステムズ㈱、東芝産業機器アジア社、東芝インターナショナル米国社、東芝三菱電機産業システム㈱、大連東芝機車電気設備社、TMEICインド社、東芝三菱電機工業系統(中国)社西芝電機㈱、東芝産業機器システム㈱、東芝インフラシステムズ㈱、東芝産業機器アジア社、東芝インターナショナル米国社、東芝三菱電機産業システム㈱、大連東芝機車電気設備社、シュネデール東芝インバータ社、TMEIC米国社、TMEICインド社、東芝三菱電機工業系統(中国)社、エムティジェイブイビルソリューション エレベーター、一般照明等東芝エレベータ㈱、東芝ライテック㈱、東芝電梯(中国)社、東芝電梯(瀋陽)社、東芝照明(昆山)社 東芝エレベータ㈱、東芝ライテック㈱、東芝電材マーケティング㈱、東芝電梯(中国)社、東芝電梯(瀋陽)社、東芝照明(昆山)社リテール&プリンティングソリューション POSシステム、複合機等東芝テック㈱、東芝アメリカビジネスソリューション社、東芝テックヨーロッパ画像情報システム社、東芝泰格信息系統(深圳)社、東芝テックシンガポール社東芝グローバルコマースソリューション・ホールディングス㈱、東芝テック㈱、東芝テックソリューションサービス㈱、東芝アメリカビジネスソリューション社、東芝オーストラリア社、東芝テックフランス画像情報システム社、東芝泰格信息系統(深圳)社、東芝テックシンガポール社、東芝テック英国画像情報システム社デバイス&ストレージソリューション パワーデバイス、小信号デバイス、光半導体、ミックスドシグナルIC、イメージセンサ、ロジックLSI、HDD、半導体製造装置等㈱ジャパンセミコンダクター、加賀東芝エレクトロニクス㈱、㈱ニューフレアテクノロジー、東芝デバイス&ストレージ㈱、東芝マテリアル㈱、東芝情報機器フィリピン社、東芝セミコンダクタ・タイ社㈱ニューフレアテクノロジー、東芝デバイス&ストレージ㈱、東芝マテリアル㈱、東芝アメリカ電子部品社、東芝エレクトロニクス台湾社、東芝情報機器フィリピン社デジタルソリューション ITソリューションサービス等東芝デジタルソリューションズ㈱東芝デジタルソリューションズ㈱、東芝ITサービス㈱、ウイングアーク1st㈱ 部門別主要製品当社及び主要な関係会社の位置付け製造販売・エンジニアリング・サービス他その他 電池等当社、東芝大連社、キオクシア㈱、ティディエス リチウムイオン バッテリー グジャラート社当社、東芝データ㈱、東芝トレーディング㈱、東芝アメリカ社、東芝アジア・パシフィック社、東芝大連社、東芝中国社、東芝システム欧州社、東芝欧州社、東芝ガルフ社、東芝国際調達香港社、キオクシア㈱、キオクシアホールディングス㈱、SBS東芝ロジスティクス㈱、ティディエス リチウムイオン バッテリー グジャラート社  当社グループにおける主要な関係会社の事業の系統は、概ね図のとおりです。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2023時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
高度な技術とグローバルな競争があるため、一定の価格決定力を持つ。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
エネルギーシステム、インフラシステム、デバイス&ストレージ、デジタルソリューション等で高度な技術が必要。
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 中程度
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:事業計画の前提条件の変化 / 戦略的選択肢(公開買付け)の不確実性 / コンプライアンス、内部統制の不備
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 5 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

東芝は長年培ってきたブランド力を持つが、近年は事業再編や不祥事の影響でその価値は低下傾向にある。半導体メモリ事業(現キオクシア)の売却など、かつての強みであった無形資産の多くが失われている。

スイッチングコスト★☆☆☆☆
根拠:弱い乗り換えの手間・コスト

産業機器やインフラシステムなどBtoB事業が中心であり、顧客との長期的な関係性はある。しかし、特定のシステムへの依存度は限定的で、競合他社への乗り換え障壁はそれほど高くないと考えられる。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

ネットワーク効果を享受するようなプラットフォーム事業やサービスは展開しておらず、このタイプのモートは存在しない。

コスト優位★☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

長年の製造業としての経験から一定のコスト管理能力はあるが、グローバルな競合と比較して構造的なコスト優位性を持つとは言えない。特に、人件費や研究開発費の負担は大きい。

規模の経済★★☆☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

インフラシステムやエネルギー関連事業においては、一定の規模を持つ。しかし、事業ポートフォリオの変動が激しく、業界全体で見た場合に最適化された少数寡占を形成しているとは言い難い。

東芝グループは、エネルギー、インフラ、デバイスなど多岐にわたる分野で高度な技術と製品開発力を有しており、これが競争優位性の源泉と考えられます。特に、火力・原子力発電システムや半導体製造装置など、参入障壁の高い専門分野での実績と技術蓄積は強みです。長年の事業活動で培われたブランド力と、国内外に広がる販売・サービスネットワークも、事業を安定させる要因となっています。ただし、各事業分野でのグローバルな競争は激しく、常に技術革新と効率化が求められる環境にあります。

出典: FY2023 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、本文中の将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。 経営方針(対処すべき課題)◎株主価値の向上に関して 当社及び当社株主の最善の利益のために行動することが当社取締役会の責任であり、最も重要であると認識しております。 当社は、潜在的な投資家やスポンサーとのエンゲージメントと戦略的選択肢の検討を行うため、すべての委員が当社から独立した社外取締役で構成される特別委員会を設置し、2022年4月7日、潜在的な投資家やスポンサー(以下「本パートナー候補」という。)とのエンゲージメントと戦略的選択肢の検討を行うこととしました。当社は本パートナー候補との協議を交えながら、当社の企業価値向上に向けた戦略的選択肢に関する提案を募集するプロセスを慎重に進めてまいりました。 当社は、2022年7月19日、複数の本パートナー候補を第2次入札プロセスに招聘することを決定し、以後、より包括的な提案を受領すべく、財務・法務・税務・規制その他の事項を含む当社事業に関するデューディリジェンスを実施する機会を付与してまいりました。その後、当社は、複数の本パートナー候補から、完成度は様々ではあるものの、複数のより詳細な意向表明書(法的拘束力のあるものを含む。)を2022年9月30日までに受領しました。これらの提案を受け、当社は、今後のステップを決定するために、財務・法務・税務・規制その他の観点から各提案の評価を進めてまいりました。当社は、2023年3月3日、日本産業パートナーズ㈱(以下「JIP」という。) から最終提案書を受領し、その後の交渉を経て、2023年3月23日、当社は、取締役会において、JIPの曾孫会社であるTBJH㈱(現TBJH合同会社。以下「公開買付者」という。)による当社の普通株式に対する公開買付け(以下「本公開買付け」という。)に関して、当該時点における当社の意見として、公開買付けが開始された場合には、本公開買付けに対して賛同の意見を表明するものの、当該時点において、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨することまではしないことを決議するとともに、公開買付者との間で、公開買付者による本公開買付けの実施や当社による本公開買付けへの賛同の意見の維持等について定める本公開買付契約を締結いたしました。 当社は、本取引の意義やその後に生じた当社を取り巻く状況の変化を踏まえ、2023年3月23日付の意見において留保していた本公開買付けへの応募を推奨するか否かに係る意見の内容について継続して検討しておりましたが、2023年6月8日、当社が設置した特別委員会の意見の内容を踏まえて、原意見表明を変更し、同日時点の当社の意見として、本公開買付けに関して、公開買付けが開始された場合には、これに賛同するとともに、当社の株主の皆様に対し、本公開買付けへの応募を推奨することを決議しました。なお、本公開買付けが開始されるまでの間に、特別委員会に対して、特別委員会が同日付で当社取締役会に対して答申した意見に変更がないかを検討し、変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更内容を明らかにした上で更に意見を述べるよう諮問すること、及びかかる特別委員会の意見を踏まえ、本公開買付けが開始される時点で、あらためて本公開買付けに関する意見表明を行うことを併せて決議しております。 公開買付者は、2023年7月下旬を目途に本公開買付けを開始することを目指しているとのことですが、公開買付者によれば、本公開買付けの開始には、国内外の競争法令等及び投資規制法令等上の手続が必要になり、かかる競争法令等及び投資規制法令等上の手続には一定の期間を要し、これらの手続に要する期間を正確に予想することは困難であるとのことです。かかる国内外の競争法令等及び投資規制法令等上の手続が2023年3月23日から6ヶ月を経過する日までに完了されない場合等一定の場合には、本公開買付けが開始されず、当社又は公開買付者によって本公開買付契約が解除される可能性があります。 ◎当社グループの目指す姿 当社グループは、「人と、地球の、明日のために。」というグループ経営理念に基づき、長年に亘り培ってきた社会インフラから電子デバイスに至る幅広い事業領域の知見や実績と、情報処理やデジタル・AI技術の強みを融合し、今後も新たな製品、サービスやソリューションの創出と提供を通じて、社会課題を解決し、社会のさらなる発展に貢献していく方針です。 当社は、2022年6月、デジタルとデータの力を活用し、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーの実現に貢献する当社グループ経営方針を発表しました。 当社は、事業開始時の事業単位による運営が長年に亘り継続され、現在のデジタル化やサービス化が進む時代に適合せずに生じている内部硬直性という課題と、外部と協業をせずに、独自技術を自社のみで立ち上げようとする外部硬直性という2つの課題を当社は抱えていると認識しており、これを克服していきます。 また、デジタルエコノミーの発展に伴い、今後、様々な企業が産業の垣根を越えて繋がることで、新たな社会価値が創造されます。当社では、この変化に対応するために、サービス化・リカーリング化していくデジタルエボリューション(DE)、それをプラットフォーム化するデジタルトランスフォーメーション(DX)、そして、様々なプラットフォーム自体が業界を超えて繋がる量子の世界であるクアンタムトランスフォーメーション(QX)への発展を実現し、データサービスを収益の柱とする企業へと変革していきます。 ◎内部管理体制の改善 2022年7月、当社の米国子会社において、当社経営幹部を装う第三者による虚偽の指示に基づき、約360万米ドル(約5億円)の資金を流出させる事案が発生いたしました。当該子会社では、被害額の約5億円を最大影響額として、2022年度第2四半期に損失を計上しました。この事案を受け、当社は、グループ内での一斉教育や規程類点検を含む再発防止策を実施しました。 また、2023年2月に当社の代表執行役兼取締役が、執行役及び代表執行役を辞任しました。監査委員会による調査において、当該代表執行役兼取締役は、執行役就任以前の2019年当時、継続的に、当社グループのルールに反して会食の相手方を正確に申請せずに交際費の処理をしていたことが明らかになったものです。この事案を受け、当社は、交際費の管理ルールの強化、交際費使用状況に係る網羅チェック等の施策を推進しています。 当社は、これらの事案を真摯に受け止め、内部管理体制の取組みを改善・強化していきます。 ◎サステナビリティについて 当社グループは、「人と、地球の、明日のために」を経営理念とし、事業を通じて社会の発展に貢献していくという変わらぬ信念を示し、この理念のもと、エネルギー不足や資源の枯渇、気候変動などのさまざまな課題を抱える社会の一員として、短期的な利益のみを追求するのではなく、企業活動によって社会に与えるインパクトを長期的に考え、社会課題の解決に貢献する取り組みを進めてきました。この取り組みを更に前進させ社会のサステナビリティに寄与する活動を強化するために、東芝グループサステナビリティ基本方針を定め、サステナビリティ経営を推進し、企業価値の向上につなげていきます。 サステナビリティに関する具体的な考え方は、「第2 事業の状況 2サステナビリティに関する考え方及び取組」を参照ください。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、本文中の将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。 経営方針(対処すべき課題)◎株主価値の向上に関して 当社及び当社株主の最善の利益のために行動することが当社取締役会の責任であり、最も重要であると認識しております。 当社は、潜在的な投資家やスポンサーとのエンゲージメントと戦略的選択肢の検討を行うため、すべての委員が当社から独立した社外取締役で構成される特別委員会を設置し、2022年4月7日、潜在的な投資家やスポンサー(以下「本パートナー候補」という。)とのエンゲージメントと戦略的選択肢の検討を行うこととしました。当社は本パートナー候補との協議を交えながら、当社の企業価値向上に向けた戦略的選択肢に関する提案を募集するプロセスを慎重に進めてまいりました。 当社は、2022年7月19日、複数の本パートナー候補を第2次入札プロセスに招聘することを決定し、以後、より包括的な提案を受領すべく、財務・法務・税務・規制その他の事項を含む当社事業に関するデューディリジェンスを実施する機会を付与してまいりました。その後、当社は、複数の本パートナー候補から、完成度は様々ではあるものの、複数のより詳細な意向表明書(法的拘束力のあるものを含む。)を2022年9月30日までに受領しました。これらの提案を受け、当社は、今後のステップを決定するために、財務・法務・税務・規制その他の観点から各提案の評価を進めてまいりました。当社は、2023年3月3日、日本産業パートナーズ㈱(以下「JIP」という。) から最終提案書を受領し、その後の交渉を経て、2023年3月23日、当社は、取締役会において、JIPの曾孫会社であるTBJH㈱(現TBJH合同会社。以下「公開買付者」という。)による当社の普通株式に対する公開買付け(以下「本公開買付け」という。)に関して、当該時点における当社の意見として、公開買付けが開始された場合には、本公開買付けに対して賛同の意見を表明するものの、当該時点において、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨することまではしないことを決議するとともに、公開買付者との間で、公開買付者による本公開買付けの実施や当社による本公開買付けへの賛同の意見の維持等について定める本公開買付契約を締結いたしました。 当社は、本取引の意義やその後に生じた当社を取り巻く状況の変化を踏まえ、2023年3月23日付の意見において留保していた本公開買付けへの応募を推奨するか否かに係る意見の内容について継続して検討しておりましたが、2023年6月8日、当社が設置した特別委員会の意見の内容を踏まえて、原意見表明を変更し、同日時点の当社の意見として、本公開買付けに関して、公開買付けが開始された場合には、これに賛同するとともに、当社の株主の皆様に対し、本公開買付けへの応募を推奨することを決議しました。なお、本公開買付けが開始されるまでの間に、特別委員会に対して、特別委員会が同日付で当社取締役会に対して答申した意見に変更がないかを検討し、変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更内容を明らかにした上で更に意見を述べるよう諮問すること、及びかかる特別委員会の意見を踏まえ、本公開買付けが開始される時点で、あらためて本公開買付けに関する意見表明を行うことを併せて決議しております。 公開買付者は、2023年7月下旬を目途に本公開買付けを開始することを目指しているとのことですが、公開買付者によれば、本公開買付けの開始には、国内外の競争法令等及び投資規制法令等上の手続が必要になり、かかる競争法令等及び投資規制法令等上の手続には一定の期間を要し、これらの手続に要する期間を正確に予想することは困難であるとのことです。かかる国内外の競争法令等及び投資規制法令等上の手続が2023年3月23日から6ヶ月を経過する日までに完了されない場合等一定の場合には、本公開買付けが開始されず、当社又は公開買付者によって本公開買付契約が解除される可能性があります。 ◎当社グループの目指す姿 当社グループは、「人と、地球の、明日のために。」というグループ経営理念に基づき、長年に亘り培ってきた社会インフラから電子デバイスに至る幅広い事業領域の知見や実績と、情報処理やデジタル・AI技術の強みを融合し、今後も新たな製品、サービスやソリューションの創出と提供を通じて、社会課題を解決し、社会のさらなる発展に貢献していく方針です。 当社は、2022年6月、デジタルとデータの力を活用し、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーの実現に貢献する当社グループ経営方針を発表しました。 当社は、事業開始時の事業単位による運営が長年に亘り継続され、現在のデジタル化やサービス化が進む時代に適合せずに生じている内部硬直性という課題と、外部と協業をせずに、独自技術を自社のみで立ち上げようとする外部硬直性という2つの課題を当社は抱えていると認識しており、これを克服していきます。 また、デジタルエコノミーの発展に伴い、今後、様々な企業が産業の垣根を越えて繋がることで、新たな社会価値が創造されます。当社では、この変化に対応するために、サービス化・リカーリング化していくデジタルエボリューション(DE)、それをプラットフォーム化するデジタルトランスフォーメーション(DX)、そして、様々なプラットフォーム自体が業界を超えて繋がる量子の世界であるクアンタムトランスフォーメーション(QX)への発展を実現し、データサービスを収益の柱とする企業へと変革していきます。 ◎内部管理体制の改善 2022年7月、当社の米国子会社において、当社経営幹部を装う第三者による虚偽の指示に基づき、約360万米ドル(約5億円)の資金を流出させる事案が発生いたしました。当該子会社では、被害額の約5億円を最大影響額として、2022年度第2四半期に損失を計上しました。この事案を受け、当社は、グループ内での一斉教育や規程類点検を含む再発防止策を実施しました。 また、2023年2月に当社の代表執行役兼取締役が、執行役及び代表執行役を辞任しました。監査委員会による調査において、当該代表執行役兼取締役は、執行役就任以前の2019年当時、継続的に、当社グループのルールに反して会食の相手方を正確に申請せずに交際費の処理をしていたことが明らかになったものです。この事案を受け、当社は、交際費の管理ルールの強化、交際費使用状況に係る網羅チェック等の施策を推進しています。 当社は、これらの事案を真摯に受け止め、内部管理体制の取組みを改善・強化していきます。 ◎サステナビリティについて 当社グループは、「人と、地球の、明日のために」を経営理念とし、事業を通じて社会の発展に貢献していくという変わらぬ信念を示し、この理念のもと、エネルギー不足や資源の枯渇、気候変動などのさまざまな課題を抱える社会の一員として、短期的な利益のみを追求するのではなく、企業活動によって社会に与えるインパクトを長期的に考え、社会課題の解決に貢献する取り組みを進めてきました。この取り組みを更に前進させ社会のサステナビリティに寄与する活動を強化するために、東芝グループサステナビリティ基本方針を定め、サステナビリティ経営を推進し、企業価値の向上につなげていきます。 サステナビリティに関する具体的な考え方は、「第2 事業の状況 2サステナビリティに関する考え方及び取組」を参照ください。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 以下に記載する事項は、当有価証券報告書提出日現在において入手した情報に基づいて、当社グループが判断したものです。(1)経営成績等の状況の概要 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりです。 売上高33,617(+247)営業損益1,105(△484)税引前損益1,890(△501)当期純損益1,266(△681)(注)1.単位:億円、( )内 前期比較、△はマイナスを表示(以下、同じ)  2.「当社株主に帰属する当期純損益」を当期純損益として表示しています(以下、同じ)。  当期の世界経済は、米国、中国をはじめとして持ち直していますが、欧州では、持ち直しに足踏みがみられます。国内経済は、サービス産業をはじめ個人消費は全体として緩やかに持ち直し、設備投資は一部で足踏みがみられるものの全体として持ち直しています。輸出は弱含んでいます。 来期(2023年度)は、緩やかな持ち直しが続くことが期待されますが、米国では金融引締めによる下振れリスク、中国では不動産市場の動向等による下振れリスク、また、欧州については金融引締めやエネルギー情勢による下振れリスクがあります。また、国内経済も、アフターコロナの下で、景気の持ち直しが続いていくことが期待されますが、海外景気の下振れが国内景気を下押しするリスクとなっており、また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動などのリスクもあります。 こうした状況下、当社グループの売上高は、エネルギーシステムソリューションが、原子力の安全対策工事関連の工事進捗差等の影響や、火力・水力の既受注案件の工事進捗等の影響、送変電・配電システムの増収による影響で増収、インフラシステムソリューションは、鉄道・産業システムが増収、ビルソリューションは昇降機の海外事業及び照明は増収になったものの昇降機の国内事業が減収、空調事業の連結除外の影響等により減収、リテール&プリンティングソリューションはリテール事業、プリンティング事業ともに増収、デバイス&ストレージソリューションは、半導体が増収になったものの、HDD他がモバイルやデスクトップのHDD市場縮小、ニアラインHDD市場の調整等の影響で減収になった結果減収、デジタルソリューションは、中部東芝エンジニアリング㈱(現キオクシアエンジニアリング㈱)の売却影響等があったものの、官公庁向け、民間向けシステムがともに伸びており増収になった結果増収となり、全体としては前年同期比247億円増収し3兆3,617億円になりました。営業損益は、インフラシステムソリューション、デジタルソリューション、その他が増益・改善となったものの、エネルギーシステムソリューション、ビルソリューション、リテール&プリンティングソリューション、デバイス&ストレージソリューションは減益となり、前年同期比484億円減少し1,105億円になりました。税引前損益は、空調事業の売却益や当社保有の関連会社株式の一部譲渡益、特別配当等により増益となったものの、キオクシアホールディングス㈱の持分法投資損益等の影響で減益となり、前年同期比501億円減少し1,890億円になりました。当期純損益は、連結子会社の繰延税金資産の取崩し影響等で、前年同期比681億円減少し1,266億円になりました。    1)売上高及び営業損益事業の種類別セグメントの業績は、次のとおりです。セグメント売上高営業損益エネルギーシステムソリューション6,695(+1,105:120%)304(△52)インフラシステムソリューション6,932(+385:106%)450(+33)ビルソリューション4,481(△1,509:75%)59(△204)リテール&プリンティングソリューション5,131(+599:113%)△41(△158)デバイス&ストレージソリューション7,971(△627:93%)429(△228)デジタルソリューション2,356(+50:102%)270(+26)その他2,328(+163:107%)△420(+107)消去△2,277(+81:―%)54(△8)合 計33,617(+247:101%)1,105(△484)(注)単位:億円、( )内 前期比較、△はマイナスを表示 ①エネルギーシステムソリューション発電システムは、原子力が安全対策工事関連の工程進捗差等の影響により増収、火力・水力は既受注案件の工事進捗差等の影響により増収になった結果増収、送変電・配電等は、送変電・配電システム、太陽光発電システムが増収になった結果、部門全体として増収になりました。損益面では、送変電・配電等が増収により増益になったものの、発電システムは東芝プラントシステム㈱のプロジェクト案件のコスト精査、発電システムに係る製品保証引当金の見直しの影響により減益になった結果、部門全体として減益になりました。 ②インフラシステムソリューション公共インフラは、社会システム事業の規模減等の影響で減収になったものの、鉄道・産業システムが産業システム事業の新型コロナウイルス感染症の影響による市況低迷からの回復を主因とした規模増・為替影響等で増収になり、部門全体として増収になりました。損益面では、公共インフラは社会システム事業の減収による影響で減益になったものの、鉄道・産業システムは産業システム事業の増収、前年の構造改革がなくなったことによる影響等で改善し、部門全体として増益になりました。 ③ビルソリューション 昇降機の海外事業及び照明が増収になりましたが、空調事業の連結除外の影響や昇降機の国内事業の減収の影響等により、部門全体として減収になりました。 損益面では、照明は増益になったものの、空調事業の連結除外の影響や、昇降機の減益等により、部門全体として減益になりました。 ④リテール&プリンティングソリューションリテール事業、プリンティング事業ともに増収となった結果、部門全体として増収になりました。損益面では、プリンティング事業ののれん減損等の影響で減益になった結果、部門全体として減益になりました。 ⑤デバイス&ストレージソリューション半導体は、産業向け等の市況堅調等により増収になったものの、HDD他はモバイルやデスクトップのHDD市場の縮小、ニアラインHDD市場の調整等の影響で減収となった結果、部門全体として減収になりました。損益面では、半導体は増収により増益になりましたが、HDD他は減収による影響、製品保証引当金の計上等の影響で減益となり、部門全体として減益になりました。 ⑥デジタルソリューション中部東芝エンジニアリング㈱の売却影響等があったものの、官公庁向け、民間向けシステムがともに伸びており、部門全体として増収になりました。損益面では、中部東芝エンジニアリング㈱の売却の影響があったものの、官公庁向け、民間向けシステムがともに好調で、部門全体として増益になりました。 なお、上記の事業の種類別の売上高には、セグメント間の内部売上高又は振替高2,277億円が含まれています。また、当社グループのエネルギーシステムソリューション、インフラシステムソリューションにおいては売上高が第4四半期に集中する傾向があります。   2)税引前損益 営業外損益は、空調事業の売却益や当社保有の関連会社株式の一部譲渡益、特別配当等により増益となったものの、キオクシアホールディングス㈱の持分法投資損益等の影響で減益となり、前期に比べ17億円減少し、785億円になりました。この結果、税引前損益は、前期に比べ501億円減少し、1,890億円になりました。   3)当期純損益 法人税等は、前期に比べ392億円増加し、△640億円になりました。非支配持分帰属損益は、△16億円の利益控除になり、前期に比べ控除額が212億円減少しました。これらの結果、当期純損益は、前期に比べ681億円減少し、1,266億円になり、基本的1株当たり当社株主に帰属する当期純損益は、前期に比べ149円49銭減少し、292円56銭になりました。   4)キャッシュ・フローの状況    要約連結キャッシュ・フロー計算書営業活動によるキャッシュ・フロー340(△2,152)投資活動によるキャッシュ・フロー△88(+1,157)フリー・キャッシュ・フロー252(△ 995)財務活動によるキャッシュ・フロー△1,423(+ 745)為替変動の現金及び現金同等物への影響額9(△ 86)現金及び現金同等物純増減額△1,162(△ 336)現金及び現金同等物期首残高4,429(△ 826)売却目的保有に分類された現金及び現金同等物(控除)―(△ 217)現金及び現金同等物期末残高3,267(△ 945)(注)単位:億円、( )内 前期比較、△はマイナスを表示 当期における営業活動によるキャッシュ・フローは、前期の2,492億円の収入から2,152億円減少し、340億円の収入になりました。 投資活動によるキャッシュ・フローは、前期の1,245億円の支出から1,157億円減少し、88億円の支出になりました。これらの結果、当期のフリー・キャッシュ・フローは、前期の1,247億円の収入から995億円減少し、252億円の収入になりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、前期の自己株式の取得による影響等があり、前期の2,168億円の支出から745億円減少し、1,423億円の支出になりました。その他に為替の影響によるキャッシュの増加が9億円あり、当期末の現金及び現金同等物の残高は、前期の4,429億円から1,162億円減少し、3,267億円になりました。   5)生産、受注及び販売の実績 当社グループの受注高及び受注残高については、前期並みとなりました。デジタルソリューションの受注残高は、前年度までに受注した大型案件の受注残が売上に至ったため前年度末に比べて減少しています。なお、未充足の履行義務に配分した取引価格の総額については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表に対する注記13.」をご参照ください。 生産規模については、当社グループの生産品目は広範囲かつ多種多様であり、事業の種類別セグメントごとに生産規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。販売規模については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 1)売上高及び営業損益」の売上高をご参照ください。受注については、当連結会計年度の実績をセグメント毎に示すと次のとおりです。セグメントの名称当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)受注高(億円)前期比(%)受注残高(億円)前期比(%)エネルギーシステムソリューション5,98010712,29396インフラシステムソリューション5,196996,953107ビルソリューション(昇降機)2,3591011,09095デジタルソリューション2,207901,08787合計15,74210021,42299(注)1.セグメント毎の受注高及び受注残高は、上表のセグメントにおいて受注生産方式にて事業を行っている事業部門の社内管理上の経営数値であり、これらを正確に把握することは困難であるため概算値で示しています。2.受注残高は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表に対する注記13.」で公表している残存履行義務残高とは異なります。3.受注高については、当連結会計年度に受注した額のみを記載しており、当期より前に受注した案件が当期に解除された場合でも受注高からは控除しておりません。4.セグメント間取引については消去していません。   6)資産、負債及び資本の状況    要約連結貸借対照表現金及び現金同等物3,267(△945)受取手形、売掛金及び契約資産8,419(△173)棚卸資産5,942(+624)その他の流動資産2,991(△1,547)長期受取債権60(+8)投資等5,302(△282)有形固定資産4,914(+311)オペレーティング・リース使用権資産920(△130)その他の資産3,578(+182)資産計35,393(△1,952)短期借入金600(△157)支払手形及び買掛金4,481(△342)短期オペレーティング・リース債務366(+1)その他の流動負債8,241(△913)未払退職及び年金費用2,618(△153)長期オペレーティング・リース債務594(△132)長期借入金及びその他の固定負債5,122(+40)株主資本12,474(+408)非支配持分897(△704)負債・資本計35,393(△1,952)(注)単位:億円、( )内 前期比較、△はマイナスを表示  総資産は、2022年3月末に比べ1,952億円減少し、3兆5,393億円になりました。 株主資本は、当期純損益及び包括損益の増加による影響により、2022年3月末に比べ408億円増加し、1兆2,474億円になりました。 借入金及びリース債務残高は、2022年3月末に比べ140億円減少し、4,884億円になりました。 この結果、2023年3月末の株主資本比率は2022年3月末に比べ2.9ポイント増加し、35.2%になりました。(注)1.連結財務諸表は、米国会計基準に準拠して作成しています。但し、当社グループの営業損益は、売上高から売上原価、販売費及び一般管理費並びにのれん減損損失を控除して算出したものであり、経営資源の配分の決定及び業績の検討のため、定期的に評価を行う対象となる損益を示しています。訴訟和解費用等は、当社グループの営業損益には含まれていません。2.なお、以上の定性的情報は、特記のない限り前年同期との比較で記載しています。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。 1)重要な会計方針及び見積り 当社の連結財務諸表は、米国において一般に公正妥当と認められた企業会計の基準及び会計慣行に従っています。連結財務諸表を作成するために資産・負債及び収益・費用の計上並びに偶発資産・負債の開示において、種々の見積り及び仮定を前提としています。①繰延税金資産 当社グループは、繰延税金資産を計上しており、繰延税金資産の帳簿価額は、入手可能な証拠に基づいて50%超の可能性で回収可能性がないと考えられる場合、評価性引当金の計上により減額することが要求されています。そのような場合には、繰延税金資産に対する評価性引当金を計上しています。評価性引当金の計上は、見積りを含む本質的に不確実な処理であり、将来の不確実な経済条件の変動によって、追加の評価性引当金の計上、あるいは過去に計上した評価性引当金の取り崩しが必要となる場合があります。また、繰延税金資産、評価性引当金の計上は事業年度末時点で適用されている税制や税率に基づいており、それらの改正が行われた場合には影響を受ける可能性があります。 ②未払退職及び年金費用 当社及び一部の子会社の期間純退職及び年金費用は最新の統計数値に基づく割引率、退職率、死亡率及び年金資産の期待収益等の前提条件に基づき算定しており、算定に影響を与える特に重要な仮定は、割引率と年金資産の期待収益率です。割引率は、現在利用可能で、かつ、年金給付の支払期日までの間利用可能と予想される高格付けで確定利付の社債及び確定利付の国債の利回りなどを考慮して決定しています。期待収益率は、保有している年金資産の構成、運用手法から想定されるリスク、過去の運用実績、年金資産運用の基本方針及び市場の動向等を考慮して決定しています。 当社グループは、年金制度の積立状況(退職給付債務と年金資産の公正価値の差額)を連結貸借対照表で認識しており、対応する調整を税効果控除後、資本の部の「その他の包括損失累計額」に含めて報告しています。そのため、運用収益の悪化による年金資産の公正価値の減少や、割引率の低下、昇給率やその他の年金数理計算に使用する前提とする比率の変動による退職給付債務の増加に伴い年金制度の積立状況が悪化した場合、当社グループの株主資本は悪影響を受け、また、その他費用として計上される期間純退職及び年金費用が増加する可能性があります。 ③長期性資産 有形固定資産及び耐用年数が明らかな無形資産は見積耐用年数、契約期間、または見積利用期間にわたり定額法により償却しています。これらの資産について資産の帳簿価額を回収できない可能性を示す事象や状況の変化が生じた場合には、割引前予想キャッシュ・フローに基づいて減損の有無を評価しています。減損の兆候があり、かつ資産の帳簿価額を回収できない可能性がある等の場合には、減損損失を計上する可能性があります。 ④のれん のれんは1年に1回減損テストを実施しています。減損テストにおいて、報告単位の帳簿価額がその公正価値を上回る場合に、当該報告単位に割り当てられたのれんの総額を上限として、その上回る額を減損額として計上しています。また、1年に1回の減損テストに加えて、事業環境の変化等による企業価値の下落を示唆する状況が発生した場合で、帳簿価額の合計額が公正価値を上回っている場合は、減損を認識することになります。したがって、のれんの対象事業の将来キャッシュ・フローの見込み、加重平均資本コストの割引率の変動によっては、減損を計上する可能性があります。 ⑤有価証券の減損 当社グループは、市場価格のない持分証券については減損の兆候の有無の判断において考慮する定性的な評価を行っています。その結果、公正価値の下落が認められる場合、その下落分について評価損を計上する可能性があります。また、負債証券及びその他の投資については、公正価値の下落が一時的でないか否かの評価を、市場価格の下落の程度とその期間、被投資会社の財政状態及び今後の見通し並びに当該有価証券の今後の保有方針等の観点から定期的に行っています。一時的でない公正価値の下落が発生している場合には、その下落分について評価損を計上する可能性があります。 ⑥偶発債務 当社グループは全世界において事業活動を展開しており、訴訟やその他の法的手続に関与し、当局による調査を受けています。国内においても、複数の訴訟や損害賠償請求を受けており、不利益な結果を引き起こす可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積もることが出来る場合には、合理的に見積り可能な金額を引当計上しています。見積りを行う際には、訴訟の進捗、及び他の会社が受けている同種の訴訟や関連する要因等を考慮していますが、通常の想定を超えた金額の支払が命じられる可能性も皆無ではありません。その場合、その決定の内容によっては当社グループの事業、業績や財政状態に悪影響を与える可能性がありますが、当社グループが現在知りうるかぎり、これらの争訟は当社グループの財政状態及び経営成績に直ちに重大な影響を及ぼすものではないと当社グループは考えています。 上記以外の事項については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表に対する注記1.会計処理の原則及び手続並びに連結財務諸表の表示方法、2.主要な会計方針の要約」に記載しています。  2)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容当社は、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等として、売上高、営業利益、ROS(売上高営業利益率)、EBITDA(営業利益と減価償却費を合算して算出)、ROIC(投下資本利益率)を選定しています。これらの指標を設定した理由は以下のとおりです。 売上高すべての利益の源泉となるものであり、事業規模も表すことができる指標として採用しました。営業利益本業の利益水準を計る指標として採用しました。ROS本業の収益効率性を計る指標として採用しました。EBITDA減価償却費等の非現金費用を除外することにより、実態に近い収益性を把握できる指標として採用しました。ROIC資本効率性を計る指標であり、投下した資金からどれだけの利益を生み出したかを把握することができると考え、採用しました。2022年6月に、以下のとおり、2022年度の見通し及び2025年度の目標値を公表しました。併せてTSR(株主にとっての総合投資利回り)の拡大を図ります。 <経営数値目標(2022年6月時点)>(単位:億円) 2021年度実績2022年度見通し2025年度目標売上高33,37033,00040,000営業利益(ROS%)1,589(4.8%)1,700(5.2%)3,600(9.0%)EBITDA2,4412,7005,000ROIC15.8%13.8%17.0%(注) 経営数値目標は数値目標であり、達成を保証するものではありません。これに対する2022年度の実績は以下のとおりです。<2022年度実績>(単位:億円) 2021年度実績2022年度実績売上高33,37033,617営業利益(ROS%)1,589(4.8%)1,105(3.3%)EBITDA2,4412,264ROIC15.8%8.7% 2022年度は空調事業の連結除外影響等による減収があったものの、エネルギーシステムソリューション、インフラシステムソリューション、リテール&プリンティングソリューション及びデジタルソリューションで増収となり、全体として増収、売上高の見通しを達成しました。一方、HDDの製品保証引当金、プリンティング事業ののれん減損、HDD市場の急激な縮小、発電システムに係わる製品保証引当金などの影響により営業利益及びEBITDAは減益、見通し未達となっております。なお、売上高及び営業損益の状況の詳細は、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 1)売上高及び営業損益」に記載のとおりであり、経営方針については「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」を、事業上のリスクについては「3 事業等のリスク」をご覧ください。  3)経営成績に重要な影響を与える要因当社グループの事業領域であるエネルギーシステムソリューション、インフラシステムソリューション、ビルソリューション、リテール&プリンティングソリューション、デバイス&ストレージソリューション、デジタルソリューションの各事業は、高度で先進的な技術が事業遂行上必要である上に、グローバルな激しい競争があります。詳細は、「3 事業等のリスク」に記載しています。   4)資本の財源及び資金の流動性資金調達 当社グループは、金利上昇局面への対応及び事業に必要な基本的資産である固定資産の手当てとして、安定的な長期資金をバランスよく調達・確保するよう配慮しています。固定資産については、株主資本・固定負債を含めた長期資金で賄えるよう、長期資金比率の適正化を図っています。 資金調達の直接・間接調達の比率については、資金調達環境等を十分鑑み、バランスの取れた資金構成の維持を基本方針としています。当期末の直接調達枠は、コマーシャル・ペーパーの発行枠を6,000億円、国内普通社債の発行枠を3,000億円保有しています。流動性管理 2023年3月末においては、現金及び現金同等物として3,267億円、コミットメントライン未使用枠の2,580億円を合わせ、5,847億円の手元流動性を確保しました。格付け 当社は、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン㈱(以下「S&P」という。)、㈱格付投資情報センター(以下「R&I」という。)、㈱日本格付研究所(以下「JCR」という。)の3社から格付けを取得しています。当有価証券報告書提出日現在の格付状況(長期/短期)は、S&P: BB+(引き下げ方向のクレジット・ウォッチ)/B、R&I: BBB(格付けの方向性はネガティブ)/a-2、JCR: BBB+(見通しは安定的)/J-2です。  なお、当期末(2023年3月31日)現在における、2022年度(2023年3月期)の設備の新設・改修等に係る投資計画は、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載しています。

事業リスク

東芝グループの事業には複数のリスクが存在します。まず、事業計画の前提条件が変化する可能性があり、米中貿易摩擦、ロシア・ウクライナ情勢によるエネルギー価格高騰、物流コスト上昇、原材料費値上げなどが計画達成に影響を与える可能性があります。次に、現在進行中の日本産業パートナーズによる公開買付けが、国内外の競争法令や投資規制法令上の手続きの遅延により開始されない、または契約解除されるリスクがあります。また、コンプライアンスや内部統制の不備による法令違反、不正会計、情報漏洩などが発生した場合、行政処分や損害賠償請求、社会的評価の低下につながる可能性があります。さらに、キオクシアホールディングス株式の価値変動も、業績に影響を与える可能性があります。

出典: FY2023 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2023|18,733 文字
3【事業等のリスク】 当社グループの事業領域であるエネルギーシステムソリューション、インフラシステムソリューション、ビルソリューション、リテール&プリンティングソリューション、デバイス&ストレージソリューション、デジタルソリューションの各事業は、高度で先進的な技術が事業遂行上必要である上に、グローバルな激しい競争があります。当社が2023年6月28日時点(当有価証券報告書提出日)において認識している当社グループの事業等のリスクのうち主要なものは以下のとおりですが、これらは当社グループの全てのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見できないリスクも存在します。このようなリスクが現実化した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。なお、以下に記載する事項は、当有価証券報告書提出日現在において入手した情報に基づいて当社グループが判断したものであり、不確実性が内在しているため、実際の結果とは異なる可能性があります。 (1) 事業計画の前提条件当社は、2022年6月2日、「人と、地球の、明日のために。」という経営理念のもとで、デジタルとデータの力を活用し、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーの実現に貢献する当社グループ経営方針を発表しました。本経営方針の中では当社グループの企業価値最大化を目指す長期ビジョンを明確にし、中長期の数値目標を公表しております。数値計画は、策定時において適切と考えられる一定の経済状況・産業動向その他様々な前提・仮定及び見通しに基づき策定されたものであり、当社グループが当該数値計画を達成できるかどうかは、「3 事業等のリスク」に記載された事項を含む多くのリスクや課題の影響を受け、前提条件等が変化することがあり、当該数値計画を実現できず、事業計画を予定通り達成できない可能性があります。また、米中の貿易摩擦による一部顧客向け販売への影響、ロシア・ウクライナ情勢等を背景としたエネルギー価格の上昇、物流の混乱による輸送コストの高騰、銅・アルミニウムをはじめとする原材料の値上げなども引き続き事業計画の達成に影響する可能性があります。 (2)戦略的選択肢の検討当社は、潜在的な投資家やスポンサーとのエンゲージメントと戦略的選択肢の検討を行うため、すべての委員が当社から独立した社外取締役で構成される特別委員会を設置し、2022年4月7日、潜在的な投資家やスポンサー(以下「本パートナー候補」という。)とのエンゲージメントと戦略的選択肢の検討を行うこととしました。当社は本パートナー候補との協議を交えながら、当社の企業価値向上に向けた戦略的選択肢に関する提案を募集するプロセスを慎重に進めてまいりました。当社は、2022年7月19日、複数の本パートナー候補を第2次入札プロセスに招聘することを決定し、以後、より包括的な提案を受領すべく、財務・法務・税務・規制その他の事項を含む当社事業に関するデューディリジェンスを実施する機会を付与してまいりました。その後、当社は、複数の本パートナー候補から、完成度は様々ではあるものの、複数のより詳細な意向表明書(法的拘束力のあるものを含む。)を2022年9月30日までに受領しました。これらの提案を受け、当社は、今後のステップを決定するために、財務・法務・税務・規制その他の観点から各提案の評価を進めてまいりました。当社は、2023年3月3日、日本産業パートナーズ㈱(JIP)から最終提案を受領し、その後の交渉を経て、2023年3月23日、当社は、取締役会において、JIPの曾孫会社であるTBJH㈱(現TBJH合同会社。以下、公開買付者という。)による当社の普通株式に対する本公開買付けに関して、当該時点における当社の意見として、本公開買付けが開始された場合には、本公開買付けに対して賛同の意見を表明するものの、当該時点において、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨することまではしないことを決議するとともに、公開買付者との間で、公開買付者による本公開買付けの実施や当社による本公開買付けへの賛同の意見の維持等について定める本公開買付契約を締結いたしました。 当社は、本取引の意義やその後に生じた当社を取り巻く状況の変化を踏まえ、2023年3月23日付の意見において留保していた本公開買付けへの応募を推奨するか否かに係る意見の内容について継続して検討しておりましたが、2023年6月8日、当社が設置した特別委員会の意見の内容を踏まえて、原意見表明を変更し、同日時点の当社の意見として、本公開買付けに関して、公開買付けが開始された場合には、これに賛同するとともに、当社の株主の皆様に対し、本公開買付けへの応募を推奨することを決議しました。なお、本公開買付けが開始されるまでの間に、特別委員会に対して、特別委員会が同日付で当社取締役会に対して答申した意見に変更がないかを検討し、変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更内容を明らかにした上で更に意見を述べるよう諮問すること、及びかかる特別委員会の意見を踏まえ、本公開買付けが開始される時点で、あらためて本公開買付けに関する意見表明を行うことを併せて決議しております。 公開買付者は、2023年7月下旬を目途に本公開買付けを開始することを目指しているとのことですが、公開買付者によれば、本公開買付けの開始には、国内外の競争法令等及び投資規制法令等上の手続が必要になり、かかる競争法令等及び投資規制法令等上の手続には一定の期間を要し、これらの手続に要する期間を正確に予想することは困難であるとのことです。かかる国内外の競争法令等及び投資規制法令等上の手続が2023年3月23日から6ヶ月を経過する日までに完了されない場合等一定の場合には、本公開買付けが開始されず、当社又は公開買付者によって本公開買付契約が解除される可能性があります。 (3)コンプライアンス、内部統制関係当社グループは、法令、社会規範、企業倫理の遵守(コンプライアンス)、財務報告の適正性確保のために内部統制システムを構築し、運用しています。2015年度に、当社において過去数年間にわたって利益の先取りや費用の先送り等不正な会計処理が継続されていたことが判明し、財務報告に係る内部統制の不備を認識したことから、かかる不備を是正するための措置を講じ、適切な内部統制の整備、運用をすすめております。内部統制システムは本質的に内在する固有の限界があるため、その目的が完全に達成されることを保証するものではなく、将来にわたって法令違反等が発生する可能性が皆無ではありません。2022年度においては当社米国子会社において、当社経営幹部を装う第三者による虚偽の指示に基づく資金流出が発生しています。第三者による不正への対応策含め、今後も継続して内部管理体制を強化してまいります。なお、法規制や当局の法令解釈が変更になることにより法規制等の遵守が困難になり、一定の地域又は分野で事業継続が困難となる可能性や、法規制等の遵守のための費用が増加する可能性があります。当社グループがこれらの法規制等に違反した場合には、当社グループが、課徴金等の行政処分、刑事処分若しくは損害賠償請求の対象となり、又は当社グループの社会的評価が悪影響を受け、その結果、当社グループの事業や業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があり、過去には課徴金等の行政処分を受けたことがあります。 (4)キオクシアホールディングス㈱の株式当社は、2017年9月、メモリ事業を営む旧東芝メモリ㈱の全株式を譲渡するため、Bain Capital Private Equity, LPを軸とする企業コンソーシアムにより組成される買収目的会社である㈱Pangeaと株式譲渡契約(以下「本株式譲渡契約」という。)を締結しており、これに伴い、メモリ事業は非継続事業として取り扱われることとなりました。その後、本株式譲渡契約に従い2018年6月1日付で株式譲渡が実行され、当社は、当該株式譲渡の実行に伴い、旧東芝メモリ㈱の当該株式譲渡後の安定的な事業の移管実現を目的として、㈱Pangeaに合計3,505億円を再出資しました。この結果、旧東芝メモリ㈱は、当社連結対象から外れて、㈱Pangea及び旧東芝メモリ㈱は当社の持分法適用会社になり、2018年8月、㈱Pangeaは旧東芝メモリ㈱を吸収合併し、東芝メモリ㈱(2019年10月1日付でキオクシア㈱に商号変更。)に商号変更し、2019年3月、東芝メモリ㈱を株式移転完全子会社とする株式移転によって発足した東芝メモリホールディングス㈱(2019年10月1日付けでキオクシアホールディングス㈱に社名変更、以下「キオクシアホールディングス」という。)の株式を取得し、キオクシアホールディングスは当社の持分法適用会社になりました。当社が保有するキオクシアホールディングスの株式の簿価は個別財務諸表において840億円、連結財務諸表において2,680億円(いずれも2023年3月末現在)であり、2020年8月、当社保有のキオクシアホールディングスの転換型株式を普通株式に転換した結果、その議決権比率は40.6%(ただし、本報告書提出日現在においては、㈱INCJに対して、その議決権の一部につき指図権を付与しております。)です。このため、キオクシアホールディングスの損益が当社グループの持分法投資損益に影響することとなります。当社はキオクシアホールディングスの経営に関与しておらず、また、キオクシアホールディングスの業績に係る今後の見通しについて提供を受けておりません。そのため、キオクシアホールディングスの持分法投資損益の今後の見通しについて予想することは困難ですが、過去の実績としては、メモリ事業は需給の循環的変動傾向が顕著であり、業績は景気変動の影響を受けて大きく変動し、また、為替変動の影響を特に大きく受ける傾向にありました。なお、今後、メモリ事業の市況悪化、ロシア・ウクライナ情勢等を背景としたエネルギー価格の上昇、サプライチェーンの混乱、自然災害、停電を始めとする不可抗力等により同社の業績が著しく悪化した場合、同社株式について減損損失を計上する、または、持分法投資損益に影響を与える可能性があります。近時の米中貿易摩擦に伴う関税、税金その他の輸出関連規制や運用見直しにより、中国に所在するキオクシアグループの主要顧客への販売が制限される又はかかる規制により当該顧客の生産量が減少する場合には、かかる主要顧客からの同社グループの売上収益が大幅に減少する可能性があるなど同社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす恐れがあり、ひいては、当社グループの財政状態、経営成績に悪影響を及ぼす恐れがあります。当社は、メモリ事業を当社グループにおいて運営する意図はなく、キオクシアホールディングスの株式については当社の株主価値最大化のために最適な方法を追求していきます。キオクシアホールディングスについては2020年8月27日に同社普通株式の東京証券取引所への新規上場が承認されましたが、同社は2020年9月28日開催の取締役会において、上場手続きを延期することを決議しました。同社は、適切な上場時期を検討しており、当社は、引き続き、新規上場の実現に向けて協力し、また、株主間契約、法規制、市場環境、各種ステークホルダーとの関係等の制約条件の下で、キオクシアホールディングスの株式の現金化の可能な方策について継続的に検討しております。当社は、2021年2月にキオクシアホールディングスの金融機関に対する借入金等の債務を担保するために㈱三井住友銀行、㈱三菱UFJ銀行、㈱みずほ銀行及び三井住友信託銀行㈱等に対して、当社が保有するキオクシアホールディングスの株式を担保に供しています。 (5)証券訴訟当社は、2015年、過去に不正な会計処理が行われたことが判明し、過年度の有価証券報告書等の訂正を行いました。当該不正な財務報告について、国内において複数の訴訟提起がされ、約1,421億円の損害賠償請求を受けており、当社は合理的に見積り可能な金額を引当計上しています(「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 連結財務諸表に対する注記.25」参照)。これらの訴訟については、訴訟提起から相当期間が経過しており、2023年度から2024年度にかけて一部の訴訟において一審判決や和解の勧告、成立の可能性があります。これらも含め今後の経過に応じて既に計上している引当金についても適宜合理的に見積り可能な金額を見直していくことから、追加の費用計上が必要になる可能性があり、また一定の支払が必要となる場合には、キャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。また、米国カリフォルニア州で当社を被告として提起された集団訴訟は地方裁判所で棄却され、この決定について原告が上訴していましたが、2018年7月、地方裁判所判決を破棄し、原告が訴状を修正し再提出することを許容すべく本件を地方裁判所に差戻す旨の上訴審判決が出されました。2018年10月、当社は、当該上訴審判決を不服として、連邦最高裁判所に対して上告申立てを行いましたが、2019年6月、同申立てが不受理となり、地方裁判所に差戻されました。さらに、当社グループは、会計処理問題に関連して、当局からの調査等を受け、又は将来受ける可能性があります。これらの結果、何らかの処分等を受けた場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (6)戦略的提携・買収の成否当社グループは、研究開発、製造、販売等あらゆる分野において、成長事業、新規事業を含む様々な事業につき、共同出資関係を含む他社との提携や買収を積極的に推進していました。このような提携や買収において、資金調達、技術管理、製品開発等、経営戦略について提携先と不一致が生じ、提携関係を維持できなくなる可能性や、提携や買収が期待どおりの効果を生まない可能性があります。また、提携先の財務状態の悪化、その他の事情により提携事業に対する追加の資金支出や債務保証を供与することを余儀なくされ、その結果、当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を与える可能性があります。 (7)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に係るもの1)大規模案件の受注に係るリスク当社グループでは、原子力発電システム、火力発電システム、電力流通システム(送変電・配電システム)、鉄道交通システム等において大規模案件の受注及び推進を行っていますが、案件の仕様その他の条件の受注後の変更、工程遅延、材料価格の高騰、政策の変更その他による計画変更・凍結・中止や災害発生等が大規模案件遂行に大きな悪影響を与えることがあります。そして、当初の見積りに不足があった場合、案件の収益が当初の想定より悪化した場合、案件が何らかの事情により遅延または中止となった場合等には、当該案件に関して将来の損失に備えて引き当てを行う、又は、計上した収益を遡って見直して損失として計上する可能性があり、2019年度においても、火力発電システム等において、損失を計上した案件があり、2020年度、2021年度においても、送変電・配電システムで損失を計上した案件があり、また、2018年に海外で受注した鉄道案件では、受注後の仕様変更、設計の遅延、新型コロナウイルス感染症の影響等により大幅な工程の遅延が発生しており、2019年度から2022年度まで損失を計上し、今後も損失を計上する可能性があります。このような大規模案件における損失発生を回避するために、一定規模の案件については受注の段階で、分社会社のみならずコーポレートによって受注の可否について審査を行い、プロジェクトの管理を強化し、損失リスクの極小化を図っています。このような施策によって、既受注の損失が発生している大規模案件は減っていますが、上に述べた案件の仕様その他の条件の受注後の変更、工程遅延、材料価格の高騰、政策の変更その他の事情によって大規模案件において損失が発生し、当社グループの業績や財政状態に悪影響を与える可能性があります。 2)エネルギーシステムソリューション部門の事業環境当部門では、国内外の電力事業者を中心とする民間設備投資に係る売上が当部門の売上の相当部分を占めています。このため、これらの投資動向の影響を受けることから、景気後退、インフラ投資にかかる減税措置の動向、人件費の高騰等に起因する建築コストの増加、その他民間事業者の事業環境の変化等に伴う民間設備投資の低迷、為替変動が当部門の事業に悪影響を与える可能性があります。電力事業のプラント案件では、当社が当社グループ内に機能を持たない所掌に関して、パートナー企業と責任を分担するコンソーシアムを組成し、設計・エンジニアリング、調達、建設工事を一括して、固定価格で受注することがあります。この場合、発注者に対し、パートナー企業と連帯債務を負うことが一般的であるため、パートナー企業の事業遂行能力の不足、分担業務の不履行やパートナー企業自体の財務状態の悪化や法的整理が生じた場合、当社がパートナー企業の債務を負担することとなり、予想外の大幅な費用負担の増大、現金支出の増大が発生する可能性があります。また、固定価格の契約の場合、建設コストの増加や納期遅延によって発生する損失は、発注元との分担の仕組みが導入されている場合を除いて、原則として受注企業が負担することになります。特に、当部門の主要事業の一つである原子力事業においては、テロ対策や大規模自然災害への安全対策の要請が高くなり、各国政府の安全基準の変更が相次いで実施されたことに加え、原子力発電所の新規建設機会が長期間存在していなかった地域における案件や最新鋭の施設の建設においてはベンチマーク可能な案件が存在しないこと等により、コストが当初の見積りと比較して予想外に増大したり、工程が予想外に長期化する案件が発生しました。以上の事情を背景に、案件の中止、規制その他の事業環境の変更や変化、工程遅延や初号機に特有の想定外の事象が生じた場合に追加で発生したコスト等について発注元、パートナー企業、その他に転嫁できず回収不能となる可能性やその負担を巡り係争が生じる可能性があり、実際に訴訟において請求している案件もあります。受注を目的として当該案件を推進する事業者に出資を行う案件については、案件の動向次第によっては発注元その他第三者に対する損害賠償責任の発生、費用負担の発生、出資の減損、資金負担の増加や投資回収の遅れ等が生じる可能性があります。現在進行中の案件についても資金拠出者の方針変更等によりプロジェクトの継続が困難となる可能性があります。電力事業のプラント受注においては、入札時、受注時、工事開始時に履行保証又は支出保証のため銀行保証状等の提出を求められることが通常です。さらに、「3 事業等のリスク (10)取引慣行・履行保証等に係るもの」に記載のとおり、当社子会社がプラント等の物件を受注する際には、子会社による履行保証又は支払保証のために、当社が親会社保証を供与することがあります。当社は、既に子会社によるプラント受注において多額の支払債務及び履行債務に関して親会社保証を提供しているところ、子会社の財政状態の悪化等の結果、子会社により当該債務が履行されない状況に陥った場合、当社が親会社保証を履行する必要が生じ、当社に多額の追加的な現金負担が発生するとともに、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。また、電力事業プラントに関する契約においては製品保証を付けることがあり、合理的に見積り可能な額の製品保証引当金に見直しております。原子力事業については、東京電力ホールディングス㈱、中部電力㈱、㈱日立製作所、及び当社は、原子力発電事業に係る共同事業化を目指した検討を行うことを目的として、2019年8月基本合意書を締結し、共同事業化に向けた検討をしていくこととしました。検討の結果によっては、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。火力事業においては、脱炭素社会に向けた取り組みが国際的に加速することにより主に石炭火力への投資抑制や再生可能エネルギーへのシフトが進み、火力事業の大型新設案件に関する市況は厳しいものと認識しています。このため、今後の損益見込によっては火力事業に係る長期性資産の減損が必要となる可能性があります。現在、サービス事業を中心とした事業体制へ転換し、人員配置、製造拠点の適正化を図っておりますが、競合他社との更なる市場競争の激化等により、悪影響が生じる可能性があります。エネルギーアグリゲーション事業は円安影響による発電事業の燃料費上昇や海上輸送費高騰等により厳しい事業環境にあり、事業環境の変化による将来のキャッシュ・フローの見込の変動によっては、固定資産等の減損が生じるおそれがあります。なお、東芝エネルギーシステムズ㈱の株式については、同社の事業が今後の外部環境が悪化し、計画通りいかない場合には、同社株式の減損が生じる可能性があり、また、当社グループ内での組織再編等があった場合には当社単独決算において損失が生じる可能性があります。 3)インフラシステムソリューション部門の事業環境当部門は、公共インフラ、産業システムの領域に様々なソリューションとコンポーネントを提供しています。当部門では、公共投資及び民間設備投資に係る売上が当部門の売上の相当部分を占めているため、世界各国、各地域における、公共投資の減少や遅れ、景気後退、インフラ投資にかかる減税措置の動向、人件費の高騰等に起因する建築コストの増加、その他民間事業者の事業環境の変化等に伴う民間設備投資の低迷、建築・住宅着工の動向等が、当部門の事業に悪影響を与える可能性があります。当部門は、世界各国、各地域で事業展開を図っていますが、案件の仕様その他の条件の受注後の変更、政策の変更その他による計画変更・凍結、規制の変更、材料価格・人件費の高騰や災害発生等が事業遂行に大きな悪影響を与えることがあります。また、為替変動等も当部門の事業に悪影響を与える可能性があります。 4)ビルソリューション部門の事業環境当部門では、昇降機及び産業光源等に関する事業を遂行しており、昇降機に関しては、中国国内に製造拠点を持ち、中国国内で販売も行っており、当社グループの昇降機の海外事業においては中国が主要市場の一つとなっています。そのため、中国国内の景気後退、建築コストの増加、新型コロナウイルス感染症の流行等その他事業環境の変化等に伴う民間の設備投資の低迷、建築・住宅着工の動向等が、当部門の事業に悪影響を与える可能性があります。今後の米国と中国の貿易摩擦の状況によっては、事業の遂行に悪影響を与える可能性があります。 5)リテール&プリンティングソリューション部門の事業環境当部門は、流通小売業・サービス業、一般オフィス、製造・物流業及び特定顧客向けのリテールソリューションと一般オフィス、製造・物流業向けのプリンティングソリューションを提供しています。リテールソリューション部門およびプリンティングソリューション部門の業績は、各地域の政治、経済、税制、環境対応規制及び為替の変化、顧客の業績悪化による設備投資の延期や中止、複合化・システム化に伴う業界再編の加速、競合他社との更なる市場競争の激化、当該業界への新規参入等により、悪影響が生じる可能性があります。 6)デバイス&ストレージソリューション部門の事業環境当部門は、半導体、ストレージプロダクツ(HDD)、半導体製造装置等で構成され、業績は景気変動の影響を受けて大きく変動し、為替変動の影響を受ける傾向にあります。また、当部門は国内外の同業他社との厳しい競争下にあります。市況が下降局面を迎えたり、新製品の立上げが遅れたり、生産が計画どおり進まなかったり、新技術が急速に出現したりすることにより、現在の製品の競争優位性が失われ又は低下する可能性に加え、米国と中国の貿易摩擦やロシア・ウクライナ情勢の影響による事業活動の一部制約や、原材料価格や物流費の高騰が生じており、これらの状況が続いた場合、当部門の事業に悪影響が生じる可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症による世界的感染の再拡大や、その感染拡大防止に向けた各国政府の行動制限を伴う政策によっては、当部門の事業活動に悪影響が生じる可能性があります。半導体及びHDD事業においては、技術革新や消費者市場・供給先メーカーの動向などにより需要を事前に正確に予測することは困難な傾向にあり、設備投資を実施しても、予期せぬ市場環境の変化に伴い、販売に至るまでの間に需要が変動し、想定した販売規模に合致しない可能性、あるいはサプライチェーン上の在庫過多に起因する販売計画の下方修正などの悪影響を受ける可能性等があります。HDD事業においては、モバイルHDD市場の規模縮小に加え、マクロ経済の停滞を背景とするデータセンター関連市場における在庫調整および新規投資の抑制等、市場環境に急激な変化が継続して生じており、今後、かかる市場環境に改善が見られない場合、当部門の事業に悪影響が生じる可能性があります。また、特定顧客と納入済みの一部製品の品質について、製品保証費用の発生を想定した引当金を計上するとともに、品質責任協議の終結に向けた対応と品質強化対策の効果検証作業にあたっていますが、これらの状況が長期化した場合、当部門の事業に悪影響が生じる可能性があります。半導体製造装置事業については、半導体業界の技術革新による成長が期待される反面、新型コロナウイルス感染症の影響による海外への渡航や現地での据付工事の活動が一部制限されていることに加え、米国と中国の貿易摩擦やロシア・ウクライナ情勢による原材料価格の高騰など、これらの状況が続いた場合、事業計画に悪影響が生じる可能性があります。 7)デジタルソリューション部門の事業環境当部門では、金融業、大手製造業等の民間IT投資や政府、地方公共団体向け等の公共IT投資に係る売上が当部門の売上の相当部分を占めています。このため、これらの投資動向の影響を受けることから、景気後退等に伴う民間IT投資の低迷や公共IT投資の減少や遅れが当部門の事業に悪影響を与える可能性があります。当部門のソリューション・サービスは、請負契約で受注することが多く、受注から納期までの期間が比較的長く、当初の見積りに不足があった場合やプロジェクト管理に問題が発生した場合等には、想定を超えるコストが発生する可能性があります。また、納期遅延や、納入したシステムに瑕疵が発生した場合は、追加でのコスト負担に加え、発注者に対し損害賠償する必要が生じる可能性があります。 8)その他部門の事業環境当部門は、リチウムイオン二次電池「SCiBTM」を提供しており、需要の拡大を見込み設備投資を行っていますが、需要が予想より下回ったり、生産が計画どおりに進まなかったり、新技術が急速に出現したりすることにより、現在の商品の競争優位性が失われ又は低下し、損失を計上する可能性があります。当社製のリチウムイオン二次電池は自動車等幅広い製品に組み込まれているため、当社製品に重大な瑕疵等が発生した場合、リコール等が発生し、多額の損失を被る可能性があります。 9)財務リスク当社の連結及び単体の経営成績及び財政状態は、当社又は当社グループの事業活動の影響を受けるほか、主として以下の財務的な要因の影響を受ける可能性があります。 ①未払退職及び年金費用期間純退職及び年金費用及び退職給付債務の計算に影響を与える最も重要な仮定は、割引率と年金資産の期待収益率です。割引率は、現在利用可能で、かつ、年金給付の支払期日までの間利用可能と予想される高格付けで確定利付の社債及び確定利付の国債の利回りなどを考慮して決定しています。期待収益率は、保有している年金資産の構成、運用手法から想定されるリスク、過去の運用実績、年金資産運用の基本方針及び市場の動向等を考慮して決定しています。当社グループは、年金制度の積立状況(退職給付債務と年金資産の公正価値の差額)を連結貸借対照表で認識しており、対応する調整を税効果控除後、資本の部の「その他の包括損失累計額」に含めて報告しています。この調整の対象は未認識の保険数理上の損失、過去勤務費用及び移行時債務残高であり、適用される会計基準に従い会計処理の上、期間純退職及び年金費用として認識されます。運用収益の悪化による年金資産の公正価値の減少や、割引率の低下、昇給率やその他の年金数理計算に使用する前提とする比率の変動による退職給付債務の増加に伴い年金制度の積立状況が悪化し、その結果、当社グループの株主資本は悪影響を受け、また、その他の費用として計上される期間純退職及び年金費用が増加する可能性があります。 ②長期性資産及びのれんの減損等長期性資産について、減損の兆候があり、かつ資産の帳簿価額を回収できない可能性がある等の場合、当該長期性資産について帳簿価額を公正価値まで減額し、当該減少額を損失として計上する可能性があります。また、当社の連結貸借対照表には、米国会計基準に基づき相当額ののれんが計上されています。のれんについては、1年に1回減損テストを実施しており、減損テストにおいて、報告単位の帳簿価額がその公正価値を上回る場合に、当該報告単位に割り当てられたのれんの総額を上限として、その上回る額を減損額として認識することになります。さらに、1年に1回の減損テストに加えて、事業環境の変化等による企業価値の下落を示唆する状況が発生した場合で、帳簿価額の合計額が公正価値を上回っている場合は、減損を認識することになります。したがって、長期性資産やのれんの対象事業の将来キャッシュ・フローの見込み、加重平均資本コストの割引率の変動によっては、減損を計上する可能性があります。当社の連結貸借対照表に計上されているのれんのうち、主要なものには、東芝テック㈱グループに関するもの、東芝エレベータ㈱グループに関するもの、㈱ニューフレアテクノロジーに関するもの等があります。東芝テック㈱グループ、東芝エレベータ㈱グループに関するのれんについては、各社が非上場の他社を買収した際に計上したものです。なお、東芝テック㈱の作成する連結財務諸表においては、同社の準拠する日本会計基準に従い、のれんの均等償却を行っておりますが、当社の連結財務諸表が準拠する米国会計基準においてはのれんの償却は認められていないため、のれんの残高に差異が生じております。同社は上場会社であることから、減損判定における公正価値の計測において市場環境や当該会社の業績見通しのほかに同社の株価も参照されます。2022年度第2四半期及び第3四半期において、当該報告単位の株価の下落と為替相場の変動を主因として同社株式の公正価値が下落し帳簿価額を下回ったため、同社に関するのれんにつき減損損失を計上いたしましたが、引き続き相当額ののれん残高があります。㈱ニューフレアテクノロジーに関するのれんは、当社が㈱ニューフレアテクノロジーを子会社化した際に計上したものです。上記を含め、当社グループが保有している投資有価証券や関連会社に対する投資の公正価値が下落した場合、損失を計上する可能性があります。 ③為替変動の影響当社グループの事業活動は、世界各地域において様々な通貨を通じて行われているため、為替相場の変動の影響を受けます。当社グループは、売上外貨と購入外貨のバランス化を図り、為替相場の変動の影響を極小化する対応に努めていますが、セグメント毎の事業規模のバランスが変動すること等により、営業損益が為替変動の影響を受ける可能性があります。また、急激な為替変動により、外貨建ての債権債務の計上時期と決済時期等の為替レートの差異から生じる為替差損が発生する可能性があります。当社グループの保有する外貨建ての資産、負債等を連結財務諸表の表示通貨である円に換算することによって発生する外貨換算調整額は、資本の部の「その他の包括損失累計額」に含めて報告されます。このため、当社グループの株主資本は為替相場の変動により悪影響を受ける可能性があります。 ④繰延税金資産当社グループは、繰延税金資産を計上しています。当社グループは、入手可能な証拠に基づき実現可能性が低いと判断されるものを対象として、繰延税金資産に対する評価性引当金を計上しています。評価性引当金の計上は、見積りを含む本質的に不確実な処理です。今後、さらに評価性引当金の計上が必要となる場合があり、将来の当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。また、繰延税金資産、評価性引当金の計上は現行の税制度を前提として行っており、税制の改正が行われた場合には影響を受ける可能性があります。 10)資金調達環境の変化等当社は、従来より営業活動によるキャッシュ・フロー、銀行等の金融機関からの借入金並びにCPや社債のような債券の募集等により資金を調達しております。これらの資金調達手段は世界経済動向、金利等の市場環境、資金需給の影響を強く受けるため、これらの環境の変化が当社グループの資金調達に関して悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社が複数の金融機関との間で締結している借入(コミットメントラインを含む)に係る契約には財務制限条項が定められており、今後当社の連結営業損益等が財務制限条項に定める水準を下回ることとなった場合には、借入先金融機関の請求により当該借入について期限の利益を喪失する可能性があります。 (8)取引先等に係るもの1)資材等調達当社グループの事業活動には、部品、材料等が適時、適切に納入されることが必要ですが、部品、材料等の一部については、その特殊性から外注先が限定されているものや外注先の切替えが困難なものがあります。部品、材料等の供給遅延等が生じた場合には、必要な部品、材料等が不足する可能性又は購入のための費用が増加する可能性があります。また、当社グループが競争力のある製品を市場に供給するためには、競争力のある価格で部品、材料を購入するとともに、外注先を含めたサプライチェーンの最適化が必要ですが、昨今の材料価格、人件費の高騰や為替変動により、必要な部品、材料などの購入費用が増加する可能性があります。さらに、当社グループの生産活動をはじめとする事業活動には、電力が安定して供給されることが必要ですが、国内の原子力発電所の稼動停止に伴う電力供給不足と為替変動を受けた燃料費上昇により、電気料金の更なる値上げが行われる可能性があります。このように、主要な外注先からの調達に支障を来たした場合や、電力供給不足、電気料金の更なる値上げが行われた場合には、当社グループの競争力に悪影響を与えることがあります。また、調達した部品、材料等に欠陥が存在し、仕様が満たされていない場合は、当社グループ及び東芝ブランドの製品の信頼性及び評価に悪影響を及ぼす可能性があります。 2)人的資源の確保当社グループの事業の成否は、開発、生産、販売、経営管理等のすべてのプロセス、分野における優秀な人材の確保に大きく依存しています。特に事業のグローバル展開及び先端的な開発・研究の推進には、人材の確保が必要不可欠です。しかし、各プロセス、分野における有能な人材は限られており、人材に対する需要が高まっているため、人材確保における競争が激しくなっており、人件費も高騰しております。このため、在籍している従業員の流出の防止や新たな人材の獲得ができない又は獲得するために従来以上のコストが必要となる可能性があります。 (9)新規事業に係るもの当社グループは、新規事業を営む会社に投資をし、新規事業に関して他社と提携し、又は新規事業を自ら積極的に推進しています。新規事業は不確定要因が多く、事業計画を予定どおり達成できなかった場合は、それまでの投資負担等が、当社グループに悪影響を与える可能性があります。 (10)取引慣行・履行保証等に係るもの当社は、当社子会社がプラント等の物件を受注する際に、取引先の求めに応じて契約履行保証等の親会社保証を供与することがあります。この親会社保証は、商習慣から経常的に行われているものですが、当社子会社が契約上の義務を履行できない場合には、当社に損失が発生する可能性があります。一部の契約においては、当社の連結純資産、連結営業損益又は格付が当該取引先との契約に定める水準を下回ることとなったため、該当する保証について、親会社保証から信用状、ボンド又は現金担保の提供による保証に切り替え等を行う必要が生じ、追加費用負担が発生する可能性があります。また、当社グループが受注するプロジェクトにおいては、受注代金の一部回収条件がプロジェクト完了後になっているものがあり、客先の与信状態の悪化や、受注代金の回収が滞った場合には財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。 (11)新製品及び新技術に係るもの先進的で魅力的な商品、サービスを提供することが当社グループの責務です。しかしながら、急激な技術の進歩、代替技術・商品の出現、技術標準の変化等により、新商品を最適な時機に市場に投入することができない可能性、新商品が市場から支持される期間が計画期間を下回る可能性があります。また、技術開発に必要な資金と資源を今後も継続して十分に確保できない場合、新商品の開発、投入に支障を来たす可能性があります。当社グループは、経営資源の集中と選択を高める観点から、研究開発においても販売時期を考慮した上で、当社独自の先端技術の開発に開発テーマを厳選しています。特定の商品、技術分野においては、他商品、技術分野に研究開発対象を厳選することに伴い研究開発が進まず、その結果、当社グループの技術面における優位性が損なわれる可能性があります。 (12)法的規制等に係るもの1)情報セキュリティ当社グループは、技術、営業その他事業に関する営業秘密を多数有しています。当社グループは、情報管理体制の整備及び厳重化、社員教育等を通じて、かかる営業秘密のグループ外への漏洩を防ぐ方策を講じていますが、過去には営業秘密の漏洩を疑わせる事態も発生しており、漏洩の結果、第三者がこれを不正に取得、使用するような事態が生じた場合、当社グループの競争力が損なわれ、当社グループの事業や業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。また、当社グループは、事業遂行に関連して、顧客、取引先、従業員等の個人情報を有しています。当社グループは、情報管理に万全を期していますが、予期せぬ事態によりかかる情報が流出し、第三者がこれを不正に取得、使用するような事態が生じた場合、当社グループのブランドイメージや社会的評価、事業に悪影響を与え、当社グループが損害賠償責任を負う可能性があります。加えて、当社グループの事業活動において情報システムや情報通信ネットワークの役割は極めて重要です。当社グループは、情報システムや情報通信ネットワークの安定的運用と安全対策の充実に努めていますが、コンピュータウイルスや不正アクセスなどのサイバー攻撃、ソフトウェア又はハードウェアの障害、外部事業者が提供する情報通信サービスの停止、災害等により情報システムや情報通信ネットワークが機能不全に陥る可能性は皆無ではなく、その結果、当社グループの事業が悪影響を受ける可能性があります。 2)環境関係当社グループは、世界各地域において、大気汚染、水質汚濁、有害物質、廃棄物処理、製品リサイクル、地球温暖化防止、エネルギー等に関する様々な環境関連法令の適用を受けています。当社グループの過失の有無にかかわらず、世界各地に有する製造等の拠点における土地の浄化責任を負うことがあるなど、過去分を含む事業活動に関し、環境に関する法的、社会的責任を負う可能性があります。また、将来環境に関する規制や社会的な要求がより厳しくなり、有害物質の除去や温室効果ガス排出削減等の責任がさらに追加される可能性があります。なお、当社深谷事業所は2021年9月末の閉鎖に伴い土壌汚染対策法及び埼玉県条例に基づく敷地内の土壌調査により基準超過が確認されたことから対策工事を行っていますが、現時点で想定されていない事象が生じた場合は一定程度の追加費用が発生する可能性があります。また、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法に基づき当社グループ事業場で保管されている同廃棄物は、法定期限内の適正な処分を進めていますが、現時点で想定されていない事象が生じた場合は、一定程度の費用が発生する可能性があります。当社グループは、事業遂行に際し、様々な化学物質、放射性物質、核燃料物質等を取り扱っていますが、自然災害、テロ、事故、その他不測の事態(当社グループがコントロールできないものを含む。)が発生することにより、万一環境汚染が発生し、又はそのおそれが発生した場合には、当社グループに損失が生じ又は当社グループの社会的評価に悪影響を与える可能性があります。 3)品質問題当社グループは、製品の特性に応じて最適な品質を確保できるよう、全力を挙げて品質管理に取り組んでいますが、これまでも予期せぬ事情によりリコール、訴訟等が発生しており、今後もそのような事態に発展する品質問題が発生する可能性は皆無ではありません。また、大型案件で重大な品質問題が発生し、顧客への納入の大幅な遅延や再作業が必要となった場合、多額の費用負担や損害賠償責任が生じる可能性があります。 (13)証券訴訟以外の争訟等当社グループは全世界において事業活動を展開しており、集団訴訟を含む訴訟やその他の法的手続に関与し、当局による調査を受けています。又は将来そのようなことが生じる可能性もあります。地域ごとの裁判制度等の違いやこれらの手続は本来見通しがつきにくいものであることから、通常の想定を超えた金額の支払が命じられる可能性も皆無ではありません。このため、これらについて当社グループに不利益な決定がなされた場合、その決定の内容によっては当社グループの事業、業績や財政状態に悪影響を与える可能性があります。また、様々な事情により、支払が命じられる可能性が極めて低いものの訴額の大きな訴訟が提起される可能性も皆無ではありません。 (14)その他1)知的財産権保護当社グループは、知的財産権の確保に努めていますが、地域によっては知的財産権に対する十分な保護が得られない可能性があります。当社グループは、第三者からの使用許諾を受けて第三者の知的財産権を使用していることがありますが、今後、必要な使用許諾を第三者から受けられない可能性や、不利な条件での使用許諾しか受けられなくなる可能性があります。これまでも当社グループは知的財産権に関する訴訟等を提起され、又は自らの知的財産権を保全するために訴訟等を提起したことがあり、今後もこのような訴訟等が生じる可能性があります。このような訴訟等には、時間、費用その他の経営資源が費やされ、また、訴訟等の結果によっては、当社グループが重要な技術を利用できなくなる可能性や損害賠償責任を負う可能性があります。また、当社は、当社グループ以外の会社に東芝商標等の使用を許諾している商品があります。当該許諾に当たっては、当該商品に起因する損害は、許諾先の会社が全責任を負うこととなっておりますが、当該商品に起因する損害を被った第三者から、何らかの請求をされる可能性や、当社グループ製品の品質に対して風評被害が生じる可能性があります。 2)社会情勢等当社グループは、全世界において事業を展開していますが、米中貿易摩擦、ロシア・ウクライナ情勢をはじめとする、国内外の各地域の政治、経済、社会情勢や政策の変化、投資規制、収益の本国への送金規制、輸出入規制、外国為替規制、税制等を含む各種規制の動向、為替レートの変動が各地の需要、当社グループの事業体制に悪影響を与える可能性があります。 3)大規模災害等当社グループの生産、販売拠点が存在する地域において大規模災害、ストライキ、テロ及び新型コロナウイルス感染症等の感染症が発生した場合、多大な悪影響を受ける可能性があります。また、当社グループの生産、販売拠点において地震、洪水、台風等の大規模災害が発生した場合には、生産設備の破損、原材料部品の調達停止、物流販売機能の麻痺等により、生産拠点の操業停止等が生じ、資産価値や生産販売能力に重大な悪影響を与える可能性があります。過去においては、東日本大震災、タイ及びインドにおける洪水により、当社グループの事業は影響を受けました。なお、キオクシア㈱の主要な製造拠点は四日市市にあり、南海トラフ地震が生じた場合にはキオクシアホールディングスの株式価値に悪影響を与える可能性があります。 4)模倣品対策当社グループは、東芝ブランドの価値の保護、増大に努めていますが、世界各地において、模倣品が多数発生しています。当社グループは模倣品の撲滅に努めていますが、多量の模倣品が流通することにより、東芝ブランドの価値が毀損され、当社グループ製品の売上に悪影響を与える可能性があります。

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