5 【研究開発活動】当社グループは、JTEKT GROUP VISION「No.1 & Only One-より良い未来に向かって-」を2014年4月に策定し、必要な要素として「価値づくり」「モノづくり」「人づくり」という3本の柱を掲げております。そのなかの「価値づくり」が技術の分野では特に重要であり、ステアリング、駆動系部品、ベアリング、工作機械・メカトロニクス商品を中心に、まだない価値をつくり続けるという想いを込めて、研究開発活動を推進しております。お客様の期待を超えるような新しい価値を生み出し続けるために、先を見据えた将来の商品に繋げる基盤要素研究に取り組んでおります。その内容は強い技術領域をさらに進化、融合させるもので、トライボロジー(潤滑、摩擦、摩耗等を対象とする科学技術)・材料技術、要素・基盤技術、システム制御技術、超精密加工技術などをベースにしております。また、「地球にやさしい、安全・安心・快適」な新商品をスピーディかつ確実に提供することを目的に、成長分野を視野に入れた積極的な研究開発に取り組んでおります。なお、当連結会計年度における研究開発費は64,712百万円であり、各セグメントにおける研究開発活動の状況は、次のとおりであります。(1) 機械器具部品① ステアリング事業ステアリング事業では、自動車の低燃費/高機能化に貢献できる電動パワーステアリングの全ラインアップを品揃えしており(Only One)、また、グローバルシェアは25%を超え世界トップであります(No.1)。今後も社会やお客様のニーズにお応えした商品を提供するため、次世代商品の開発に取り組んでまいります。当連結会計年度の主な成果としては、次のとおりであります。より大きな車両への適用、ならびに高度な自動運転に対応するため、システムの機能安全への取り組みを強化しております。当期は、従来の電動パワーステアリングシステムの電気系統を冗長化したシステムを受注いたしました。電気系統を完全二重系とすることにより、システム失陥のリスクを回避でき、安全性の飛躍的な向上を図ることができました。また、ステアリングホイールとステアリングギアとの間のメカニカルなリンクをなくし、ステアリングホイールの操作を電気信号でタイヤに伝えるステア・バイ・ワイヤシステムを受注いたしました。メカニカルなリンクがないため、より一層の安全性が求められる中、当社が開発したリチウムイオンキャパシタをシステムの補助電源として採用することにより、当社システムの冗長範囲の拡張を図ってまいります。ワンランク上の機能安全を実現することにより、未来のモビリティー社会に貢献してまいります。② 駆動事業駆動事業では、従来からのドライブライン技術(ドライブシャフト、プロペラシャフト及びトルクコントロールデバイス等)の深化を進め、安全・安心・快適に向けたシステムトータルでのソリューションを提供し、モビリティー社会に貢献できるよう開発に取り組んでおります。また、電動化に向けて、四輪駆動システムメーカーの強みを生かした4WDシステム「eモーター後輪駆動ユニット」の開発や、駆動用モーターの油冷・潤滑用途へのオイルポンプ技術の展開、ならびにFCV向けにも引き続き、低コストな高圧水素バルブ及び高圧水素減圧弁の開発を進めております。また、商品力を向上するため、当社保有技術のステアバイワイヤシステムやリチウムイオンキャパシタとの協調等、差別化を進めております。当連結会計年度の主な成果としては、次のとおりであります。当社の主力商品の一つである電子制御4WD用カップリング(ITCC)においては、新開発の電磁クラッチと組み合わせた新4WDシステムを量産いたしました。また、フロントデファレンシャル用として、トルセンも小型スポーツ車に採用され、2020年度に量産開始予定です。さらに、豊精密工業株式会社との連携により、さらなる商品力向上に取り組んでまいります。③ 軸受(ベアリング)事業軸受事業では、環境規制への対応、高効率化のニーズが高まる中、これまで培ってきた基盤技術をさらに進化させるとともに、自動車の電動化や産機分野での使用環境の多様化に対応する、新たな商品開発に取り組んでおります。当連結会計年度の主な成果としては、次のとおりであります。自動車用ベアリングでは、主に変速機で使用される「クリープ摩耗抑制玉軸受」を開発いたしました。この製品は、変速機のハウジング内で起こる軸受のクリープによるハウジングの摩耗を抑制いたします。また、EVやHV等の電動車に適した電動キャリパブレーキへの適用を目指した「非循環ボールねじ」を開発いたしました。これらの製品は車両の軽量化やCO2排出削減に貢献いたします。さらに当社では、FCVへの対応として業界初となる水素ガス環境下で軸受を評価できる「水素環境用軸受評価試験機」を開発いたしました。この試験機により、水素環境中における材料及び潤滑剤の評価が可能となり水素環境でも安心して使用できる軸受の開発が可能となりました。産機用ベアリングでは、成長産業である半導体分野での欧州化学物質規制に対応した真空・クリーン用ベアリング「EXSEV®-EX」の開発や光学フィルム製造装置などに使用する特殊環境用軸受として、耐食性が従来品の3倍となる長寿命軸受「コロガードプロベアリング®-ZO」を開発いたしました。また当社が国内トップシェアを誇る、鉄鋼設備用ベアリングでは、設備の長期安定操業とLCC(ライフサイクルコスト)低減に貢献する「焼結機パレット台車加圧ローラ用軸受」の改良を行い、軸受寿命従来比2倍を達成いたしました。さらに高荷重・極低速回転、水及び水蒸気環境下での耐久性を向上させたJHS(ジェイテクト・ハイパー・ストロング)軸受のシリーズ第三弾となる連続鍛造設備用長寿命自動調心ころ軸受「JHS®330」を開発いたしました。これからもお客様の価値を創造するモノづくりに取り組んでまいります。(2) 工作機械工作機械・メカトロ事業においては,モノづくりイノベーションカンパニーとして、工作機械、IoEソリューション、ライフサイクルサポートなどあらゆる価値を提供しております。研究開発活動においては、まだない価値をつくり続けるため新たな技術開発及び開発した技術を組み込んだ新商品の開発を推進しております。当連結会計年度の主な成果としては、次のとおりであります。労働人口の減少ならびに熟練技能者の減少により、自動化・省人化の要求が高まっております。当社では,熟練者のみが感じ取れる微小な加工状態の変化を監視する、高度なセンシング機能を産学連携により開発し,加工条件の設定においても熟練者のノウハウを組み込んだ知能化システムを開発いたしました。EV化に伴い高機能な減速機の需要が増加しており、これに使用されるギヤは静粛性の向上など新たな機能が求められます。当社ではこの要求に対応するため,工法,工具を含めた独自の歯形理論に基づく創成技術を開発いたしました。工程集約による生産効率の向上や航空機など高付加価値市場をねらい,コンパクトで高い主軸剛性を持つフレキシブル旋回主軸を開発し、5軸マシニングセンタ「FH630SX-5A」の販売を開始いたしました。本機は,高精度で高効率な切削能力が評価され,日刊工業新聞社主催2019年(第62回)十大新製品賞を受賞いたしました。
FY2019|2,973 文字
5 【研究開発活動】当社グループは、JTEKT GROUP VISION「No.1 & Only One-より良い未来に向かって-」を2014年4月に策定し、必要な要素として「価値づくり」「モノづくり」「人づくり」という3本の柱を掲げております。その中の「価値づくり」が技術の分野では特に重要であり、ステアリング、駆動系部品、ベアリング、工作機械・メカトロニクス商品を中心に、まだない価値をつくり続けるという想いを込めて、研究開発活動を推進しております。お客様の期待を超えるような新しい価値を生み出し続けるために、先を見据えた将来の商品につなげる基盤要素研究に取り組んでおります。その内容は強い技術領域をさらに進化、融合させるもので、トライボロジー(潤滑、摩擦、摩耗などを対象とする科学技術)・材料技術、超精密加工技術、システム制御技術、基盤・要素技術などをベースにしております。また、「地球にやさしい、安全・安心・快適」な新商品をスピーディかつ確実に提供することを目的に、成長分野を視野に入れた積極的な研究開発に取り組んでおります。なお、当連結会計年度における研究開発費は63,626百万円であり、各セグメントにおける研究開発活動の状況は、次のとおりであります。(1) 機械器具部品① ステアリング事業ステアリング事業では、自動車の低燃費/高機能化に貢献できる電動パワーステアリングの全ラインアップを品揃えしており(Only One)、また、グローバルシェアは25%を超え世界トップであります(No.1)。今後も社会やお客様のニーズにお応えした商品を提供するため、次世代商品の開発に取り組んでまいります。当連結会計年度の主な成果としては、次のとおりであります。内閣府が推進する戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の一環として、自動運転技術・正着制御技術の開発とともに、東京臨海地区や沖縄で大型路線バスによる実証実験を実施いたしました。また、2019年4月には自動運転の普及に向けた統合制御ソフトウェア開発の合弁会社「株式会社J-QuAD DYNAMICS(ジェイクワッド ダイナミクス)」を設立し、ステアリングシステムの開発で培った技術と経験を活かして、より良いクルマづくり、スマートモビリティ社会の創造に貢献してまいります。② 駆動事業駆動事業では、従来からの走行安定性・安全性向上へのニーズに対応したドライブライン既存技術(CVJ、4WDユニット、プロペラシャフト)の深化を進めるとともに、自動車の電動化に対応していくため、4WDシステムへの開発強化にも引き続き取り組んでおります。また、オイルポンプにおいては、従来のトランスミッション用に加え、駆動用モータの油冷・潤滑用途への展開も強化しており、さらに燃料電池車(FCV)向けには、高圧水素供給バルブと減圧弁の需要拡大に対応した低コスト化にも取り組んでおります。当連結会計年度の主な成果としては、次のとおりであります。当社の主力商品の一つである電子制御4WD用カップリング(ITCC)を、リヤデファレンシャルの左右に搭載して左右輪のトルクを独立してコントロールできる、トルクベクタリングを行うシステムがありました。今回、そのシステムに「新開発の電磁クラッチ」を加えたシステム構成とすることにより、2WD走行時にプロペラシャフトの回転を止めて、後輪への動力を切断し燃費向上を図る、ディスコネクト機能を付与した「新4WDシステム」を量産開始いたしました。また一方では、スポーツ用途のリヤデファレンシャル用やフルタイム4WDセンタデファレンシャル用のトルセンを、FF乗用車の更なる“安全・安心”のために、そのフロントデファレンシャル用として用途拡大を図るべく、小型・軽量・低コスト化に取り組んでおります。そして、ドライブラインシステムサプライヤへの飛躍や、急速に進む自動車の電動化にも対応していくため、開発体制の見直しによる開発力強化を図り、4WDシステム「eモータ後輪駆動ユニット」等の開発にも引き続き取り組んでまいります。③ 軸受(ベアリング)事業軸受事業では、環境規制への対応、高効率化のニーズが強まるなか、これまで培ってきた基盤技術をさらに進化させるとともに、自動車の電動化や自動運転化、産機分野での使用環境の多様化、さらには“モノ”から“コト”への市場ニーズ変化に対応する新たな商品開発に取り組んでおります。当連結会計年度における主な成果は、次のとおりであります。自動車用ベアリングでは、泥水環境下でのシール寿命の大幅な向上とトルク75%低減を同時に実現させた「低トルクハブユニット」を開発いたしました。また、電力消費率(電費)向上が強く求められるEV/HEV車の電動ユニット用に、回転トルク30%低減とシールの追随性向上を実現した「超低トルクシール付き玉軸受」を開発いたしました。産機用ベアリングでは、半導体製造装置内の高温下において、300℃まで使用可能なグリースを用い、従来の固体潤滑軸受に比べ軸受寿命を6倍以上に向上させた「超高温用グリース封入軸受」を開発いたしました。また農建機車両等の過酷な条件下での使用において、従来の長寿命軸受よりさらに1.5倍以上寿命を向上させた「次世代長寿命軸受(NK軸受)」を開発いたしました。鉄鋼設備におけるモノからコトへの対応として、多段圧延機用軸受の最適補修研削量を疲労度に応じて高精度に設定する技術や、圧延機用駆動軸の補修・交換時期予測を個々の使用状況に応じて行う「駆動軸履歴管理システム」を開発いたしました。さらに、オリンピック正式種目となったスケートボードに用いて、選手の技の難易度向上に寄与すべく、低トルクと回転フィーリングを徹底的に追求した「スケートボード用玉軸受」も開発いたしました。(2) 工作機械工作機械・メカトロ事業においては、お客様のモノづくりにおいてすべてのフェーズで価値を提供するため、工作機械をはじめ、IoEソリューション、ライフサイクルサポート等、あらゆる価値の提供に取り組んでまいりました。労働人口減少、EV化などの社会変化とAI化などの技術の進展に対し新たな取り組みをいたしました。当連結会計年度における主な成果としては、次のとおりであります。ギヤ複合加工性能を向上させ工程集約が実現できる「ギヤスカイビングセンタGS200H」、AI機能のスマートフェースコントロールで誰でも高品位なロール加工が実現できる「CNC円筒研削盤GE4Pi」、EV化で増加する減速機の偏心シャフトを高速で加工できる「CBN小型クランクシャフト研削盤GF16S」の販売を開始し、第29回日本国際工作機械見本市(JIMTOF 2018)に出品いたしました。また、工程集約で効率的な加工ができる旋回主軸搭載の「5軸マシニングセンタFH630SX-5A」の開発を行い販売を開始いたしました。IoE商品としては、人の成長をサポートする「スキルアップNAVI」を含めた6つのソリューションを商品化し、「JTEKT IoE ソリューション」の充実を図りました。これからも引き続き、商品の価値を高めお客様のニーズに迅速に応えてまいります。
FY2018|2,543 文字
5 【研究開発活動】当社グループは、JTEKT GROUP VISION「No.1 & Only One-より良い未来に向かって-」を平成26年4月に策定し、必要な要素として「価値づくり」「モノづくり」「人づくり」という3本の柱を掲げております。その中の「価値づくり」が技術の分野では特に重要であり、ステアリング、駆動系部品、ベアリング、工作機械・メカトロ商品を中心に、まだない価値をつくり続けるという想いを込めて、研究開発活動を推進しております。 お客様の期待を超えるような新しい価値を生み出し続けるために、先を見据えた将来の商品につなげる基盤要素研究に取り組んでおります。その内容は強い技術領域をさらに進化、融合させるもので、トライボロジー(潤滑、摩擦、摩耗などを対象とする科学技術)・材料技術、超精密加工技術、システム制御技術、基盤・要素技術などをベースにしております。また、「地球にやさしい、安全・安心・快適」な新商品をスピーディかつ確実に提供することを目的に、成長分野を視野に入れた積極的な研究開発に取り組んでおります。 なお、当連結会計年度における研究開発費は552億67百万円であり、各セグメントにおける研究開発活動の状況は、次のとおりであります。(1) 機械器具部品①ステアリング事業ステアリング事業では、自動車の低燃費/高機能化に貢献できる電動パワーステアリングの全ラインアップを品揃えしており(Only One)、また、グローバルシェアは25%を超え世界トップであります(No.1)。今後も社会やお客様のニーズにお応えした商品を提供するため、次世代商品の開発に取り組んでまいります。当連結会計年度の主な成果としては、次のとおりであります。 株式会社ジェイテクトIT開発センター秋田を設立し、高度運転支援システム(ADAS)への対応や「ステアバイワイヤ(SBW)方式のステアリングシステム」の開発に不可欠な、ソフトウェア開発のスピードアップを図ってまいります。100年に一度と言われる自動車業界の変革期の中で、NO.1 & Only Oneのステアリング技術を提供し続け、社会に貢献してまいります。②駆動事業駆動事業では、従来からの走行安定性・安全性向上へのニーズに対応したドライブライン既存技術(CVJ、4WDユニット、プロペラシャフト)の深化を進めるとともに、自動車の電動化に対応していくため、4WDシステムへの開発強化にも取り組んでおります。また、トランスミッション用及び、それ以外の用途に向けての油圧システムの開発強化、さらには燃料電池車(FCV)向けの高圧水素供給バルブと減圧弁の開発も引き続き進めております。当連結会計年度の主な成果としては、次のとおりであります。 ドライブラインシステムサプライヤへの飛躍や、急速に進む自動車の電動化にも対応していくため、開発体制を見直し、4WDシステム開発力強化として、「eモータ後輪駆動ユニット」等の開発にも取り組んでおります。③軸受(ベアリング)事業軸受事業では、環境規制への対応、高効率化のニーズが強くなるなか、これまで培ってきた低トルク化、長寿命化等の基盤技術をさらに進化させるとともに、自動車の電動化や自動運転化、産機分野での使用環境の多様化に対応する新たな商品開発に取り組んでおります。当連結会計年度における主な成果は、次のとおりであります。 自動車用ベアリングでは、トランスミッションやコンプレッサなどに多く使用される「スラスト針状ころ軸受」において、従来の3.5倍の長寿命化商品を開発いたしました。また、加速する自動車の電動化への対応として、EV・HEVモータ用に、「高速回転性能を向上させた深溝玉軸受」を開発いたしました。 産機用ベアリングでは,半導体やフラットパネルディスプレイの製造など、極めて高いクリーン性が求められる環境で使用される、特殊環境用軸受の発塵量を従来比50%に低減し、さらに軸受寿命を10倍以上に向上させた「NEWクリーンプロベアリング」を開発いたしました。 工作機械向けでは、静止時だけではなく、回転中においても「主軸ユニットの剛性・固有値を測定できる新たなシステム」を開発いたしました。本システムは、主軸特性の最適化や経年変化の見える化を可能とし、主軸性能の安定化に貢献いたします。将来的には、測定データを利用して、主軸の異常診断や加工条件の最適化を支援するツールとしての活用を目指し、さらなる開発を進めてまいります。(2) 工作機械労働人口の減少、ニーズの多様化、省スペース等に対応するため、新たな機能や価値を商品に盛り込むことにより、お客様の生産活動の課題解決に貢献できるよう取り組んでおります。当期連結会計年度における主な成果としては、次のとおりであります。複合加工機能を持つ「ギヤスカイビングセンタ」では、変種変量対応や、従来ギヤシェーバなど複数の専用機で構成されていたギヤ製造ラインを、一台に工程集約する工程改革、さらに工具の逃がしを小さくできる特長を生かした、部品の小型・軽量化など、製品改革にも貢献いたしました。 研削盤では,二つの砥石によりクランクシャフトの工程集約を実現する「クランクシャフト研削盤GF50MS(H)-70T」のモデルチェンジを実施いたしました。その結果、省スペースとサイクルタイム短縮が可能となり、スペース生産性を1.5倍に向上させました。 IoEでは、労働人口の減少に対応するため、熟練工のノウハウをデジタル化し、それを活用することにより、「工作機械のスマート化並びに工場のスマート化」に取り組みました。工作機械のスマート化としては、長尺工具による金型加工の最適加工条件を、工作機械が瞬時に算出する「スマートカッティング機能」を開発いたしました。また、工場のスマート化については、中小の企業様が比較的安価で簡易に導入できるよう、機械に設置されている状態表示灯にアドオンすることにより、設備の状態を見える化できる「JTEKT-SignalHop」を開発いたしました。これからも引き続き,商品の価値を高めお客様のニーズに迅速に応えてまいります。
FY2017|3,124 文字
6 【研究開発活動】当社グループは、JTEKT GROUP VISION「No.1 & Only One —より良い未来に向かって—」を平成26年4月に策定し、必要な要素として「価値づくり」「モノづくり」「人づくり」という三本の柱を掲げております。その中の「価値づくり」が技術の分野では特に重要であり、ステアリング、駆動系部品、軸受、工作機械・メカトロ商品を中心に、まだない価値をつくり続けるという想いを込めて、研究開発活動を推進しております。 お客様の期待を超えるような新しい価値を生み出し続けるために、先を見据えた将来の商品に繋げる基盤要素研究に取り組んでおります。その内容は強い技術領域をさらに進化・融合させるもので、トライボロジー(潤滑、摩擦、摩耗等を対象とする科学技術)・材料技術、超精密加工技術、システム制御技術、要素・基盤技術等をベースにしております。また、「地球にやさしい、安全・安心・快適」な新商品をスピーディかつ確実に提供することを目的に、成長分野を視野に入れた積極的な研究開発に取り組んでおります。 なお、当連結会計年度における研究開発費は482億13百万円であり、各セグメントにおける研究開発活動の状況は、次のとおりであります。(1) 機械器具部品①ステアリング事業ステアリング事業では、自動車の低燃費/高機能化に貢献できる電動パワーステアリングの全ラインアップを品揃えしており(Only One)、また、グローバルシェアは25%を超え世界トップであります(No.1)。今後も社会やお客様のニーズにお応えした商品を提供するため、次世代商品の開発に取り組んでまいります。当連結会計年度の主な成果としては、次のとおりであります。 ボールねじ機構を介して操舵力を直接出力軸へ伝えるラックパラレルタイプ電動パワーステアリング(RP-EPS)を当連結会計年度後半に量産を開始いたしました。これにより当社の電動パワーステアリングの競争力を高め、従来の油圧パワーステアリングが搭載されていた車種領域にも、電動パワーステアリングを採用していただくことにより、低燃費/高機能化に貢献してまいります。また、高度運転支援システム(ADAS)が進む中、自動運転の実現に向けたステアバイワイヤ(SBW)方式のステアリングシステムの開発も推進してまいります。②駆動事業駆動事業では、走行安定性・安全性向上へのニーズに対応を図る一方で、燃料電池車(FCV)向けの高圧水素供給バルブと減圧弁の開発等、環境に貢献した技術開発にも取り組んでおります。当連結会計年度の主な成果としては、次のとおりであります。 表面処理を改良することにより耐焼付き性が向上し、その結果、しゅう動面の面積を小さくすることが可能となり、小型軽量化を実現したトルセンを量産いたしました。さらに、しゅう動面に微細溝を付与することにより、お客様の高い静粛性への要求にお応えいたしました。また、ドライブラインのシステムサプライヤーとして、インホイルモータなど将来へ繋がる技術開発も進めてまいります。③軸受(ベアリング)事業軸受事業では、環境規制への対応、高効率化のニーズが強くなる中、将来を見据えた長期ビジョンを描き、これまで培ってきた基盤技術をさらに進化・深化させ、新たな商品の創造に取り組んでおります。当連結会計年度における主な成果は、次のとおりであります。 自動車用ベアリングでは、年々厳しさを増す環境規制に対応するため、当社の強みである低トルク化技術を用いた商品群を「LFTシリーズ」としてラインアップいたしました。 玉軸受では、CVTなど変速機に使用される円すいころ軸受からの置き換えを見込んだ「高アキシアル荷重対応低トルク玉軸受」を開発いたしました。足回りを支えるハブユニットにおいては、SUVやピックアップトラック用の「低トルク・高耐摩耗性テーパードローラハブユニット」を開発いたしました。 産業機器用ベアリングでは、省エネルギー化、メンテナンスフリー化のニーズに応える「モータ用低トルク長寿命深溝玉軸受」を開発いたしました。グリースを最適化することにより、従来よりも大幅な低トルク化と長寿命化を実現しております。また、医療・介護用のロボットの小型化、減速機の高容量化・高剛性化といった市場ニーズに対応する「超小型円すいころ軸受」を開発いたしました。 これからも、新たな視点で、継続的に新商品を開発し、お客様にお届けいたします。 (2) 工作機械工作機械では、研削盤、マシニングセンタ、ギヤスカイビングセンタ、制御システムとIoE(Internet of Everything)の各分野において、戦略的に商品力強化を図ってまいりました。お客様に信頼される真のラインビルダーを目指し、モノづくり、コトづくりを通じてバリューを提供してまいります。当連結会計年度の主な成果としては、次のとおりであります。①研削盤研削盤のトップメーカーとしてお客様の生産活動により貢献するため、主力商品であるCNC円筒研削盤のモデルチェンジを実施いたしました。中型の「GE4i」シリーズに続き、当連結会計年度は「誰でも簡単に高度なモノづくりができる機械」をコンセプトに、小型の「GE3i」シリーズのモデルチェンジを行い、幅広いお客様にお使い頂けるよう3モデルをラインアップいたしました。ⅰ)GE3i:高精度ベースマシンⅱ)GE3i-PRO:「プロフェッショナルハンドル」搭載ⅲ)GE3i-HYPER:超硬の荒加工等、高負荷研削を実現するコンパクトなハイパワー仕様②マシニングセンタエネルギー、農建機、航空機、工作機械等の大型量産部品加工にクラス最大の工作物サイズを誇る超大型横形マシニングセンタFH1600SW5iを開発、これにより横形マシニングとしてパレットサイズ400~1600mmまで幅広いバリエーションから最適な機械を選択頂けるようになりました。 また本機は、大型クイル主軸を有し、門形マシニングセンタと横中ぐり盤の2台を必要とする加工工程を1台に集約することを可能とし、2016年日刊工業新聞社十大新製品賞日本力賞を受賞いたしました。③ギヤスカイビングセンタ中型歯車向けGS300H、大型歯車向けGS700Hに続き、昨年度は自動車の小型量産歯車向けにGS200Hを新規に開発。量産対応として主軸・構造体の剛性を大幅に向上させ、従来工法ギヤシェーパに対し加工時間を1/4に短縮。また小型サイズ化により、中型GS300Hに対しフロアスペースを半減いたしました。④制御システム・IoE人と設備が協調し、人の知恵が働く、人が主役のスマートファクトリーと位置づけ、品質・保全・生産の3つの軸において、現場の困りごとをITで解決する、OT(Operational Technology)とITを融合したIoTに取り組んでおります。昨年11月に開催された工作機械見本市(JIMTOF 2016)では、IoT導入の4つのステップを定義し、それぞれのステップでIoTソリューションを提案いたしました。さらに刈谷工場及び数社の中小企業に対してスマートファクトリー化を実施した具体事例を紹介し、好評を得ることができました。 翌連結会計年度はさらに、東京・香川・亀山の工場全体をスマートファクトリー化する取り組みを推進しながら、ロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)、インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI)といった日本が推進している委員会にも参画し、日本のモノづくりの強化に貢献いたします。
FY2016|3,969 文字
6 【研究開発活動】当社グループは、「JTEKT GROUP VISION」で掲げた「No.1 & Only One –より良い未来に向かって–」を平成26年4月に策定し、必要な要素として「価値づくり」「モノづくり」「人づくり」という3本の柱を掲げております。研究部門では、ステアリング、駆動系部品、ベアリング、工作機械・メカトロ商品を中心に、今までには存在していなかった価値をつくり続けるという想いを込めて、研究開発活動を推進しております。お客様の期待を超えるような新しい価値を生み出し続けるために、先を見据えた将来の商品に繋げる基盤要素研究に取り組んでおります。その内容は強い技術領域をさらに進化と融合させるもので、トライボロジー(潤滑、摩擦、摩耗等を対象とする科学技術)・材料技術、超精密加工技術、システム制御技術、要素・基盤技術等をベースにしております。また、「地球にやさしい、安全・安心・快適」な新商品をスピーディかつ確実に提供することを目的に、成長分野を視野に入れた積極的な研究開発に取り組んでおります。なお、当連結会計年度における研究開発費は462億96百万円であり、各セグメントにおける研究開発活動の状況は、次のとおりであります。(1) 機械器具部品①ステアリング部門ステアリング部門では、自動車の低燃費・高機能化に貢献できる電動パワーステアリングの全ラインナップを品揃えしており(Only One)、また、グローバルシェアは30%を超え世界トップであります(No.1)。今後も社会ニーズ、顧客ニーズにお応えした商品を提供するため、次世代商品の開発に取り組んでおります。当連結会計年度の主な成果としては、次のとおりであります。ボールねじ機構を介して直接出力軸へ伝えるラックパラレルタイプ電動パワーステアリング(RP-EPS)の開発を完了し市場投入を平成28年度末に予定しております。また、すでに量産しておりますデュアルピニオンタイプ電動パワーステアリング(DP-EPS)の適用領域を広げる高出力化の開発も推進しております。この開発により当社の電動パワーステアリングの競争力を高めることで、従来の油圧パワーステアリングが搭載された車種領域にも、電動パワーステアリングを採用していただくことで低燃費/高機能化に貢献してまいります。②駆動系部品部門駆動系部品部門では、走行安定性・安全性向上へのニーズに対応を図る一方で、低燃費貢献技術にも取り組んでおります。当連結会計年度の主な成果としては、平成26年度までに開発して国内展開した次の二つの商品を北米にも展開いたしました。構成部品の強度バランスを最適化することで小型・軽量化した新型等速ジョイント(Constant Velocity Universal Joint)と、電磁クラッチの表面形状の工夫などで温度によるトルク変化を大幅に低減した第3世代電子制御カップリングITCC(Intelligent Torque-Controlled Coupling)です。③ベアリング部門ベアリング部門では、将来への弾込めとして、新たな領域での新商品創造を目指した活動を、技術戦略の柱としております。当連結会計年度における主な成果は、次のとおりであります。自動車用ベアリングでは、年々厳しさを増す環境規制への対応商品を継続的に市場投入してまいります。当社の強みである低トルク円すいころ軸受において、今後も業界No.1を維持すべく「次世代超低トルク円すいころ軸受(LFT-Ⅳ)」の先行開発を完了いたしました。現在、国内外のお客様に積極的に技術PRをしております。また、CVTやHVなどの自動車変速機用軸受として、従来品より軸受サイズをアップさせることなく耐クリープ性能を向上させた「アンチクリープ軸受」の開発を完了いたしました。足回りを支えるハブユニットでは、大幅なトルク低減と信頼性、耐久性を両立させた、新しい「低トルクハブユニット」も先行開発を完了し、量産化に向けた取り組みを推進しております。産業機器用ベアリングでは、従来のセラミック玉軸受よりも、幅広い温度環境への対応を可能とする新セラミック材料を採用した玉軸受を開発いたしました。この新しいセラミック材料は、ベアリングの軌道輪(内輪・外輪)に使用される金属材料に近い熱膨張率特性を有しており、モータ用など、電食によるベアリング損傷が発生しやすいアプリケーションでも安心して使用していただける新商品として、国内で初めて平成28年度より、量産開始の予定であります。 (2) 工作機械工作機械では、狙い市場を明確化し、戦略的に研削盤、マシニングセンタとギヤスカイビング加工機及び制御システムの商品力強化を図ってまいりました。お客様から信頼される真の総合生産システムインテグレータを目指し、モノづくりすべてのフェーズでバリューを提供してまいります。当連結会計年度の主な成果としては、次のとおりであります。①研削盤自動車用量産部品対応設備では、これまで以上の安定した加工精度、コスト低減のための高生産性と、さらに製品ライフサイクルの短縮、多様化等に伴う設備のフレキシブル性を実現する設備開発を行いました。新開発のミッションシャフトの量産加工に最適なCNC円筒研削盤「e500G」では、砥石軸に、静圧と動圧を組み合わせたハイブリッドタイプの「TOYODA STAT BEARING」を採用し、研削精度を向上するとともにクラス最速サイクルタイムや段取り替えレス、CBN砥石採用による生産性の向上とクラス最少スペース、かんたん操作の改良も加え競合他社の市場の切り崩しを図ります。また、エンジンのバルブ駆動用カムシャフト研削盤では、自動車のさらなる低燃費、性能向上を図る凹プロフィールカムに対応して、定評のあるGC20Mi、GC20Riカムシャフト研削盤に、小径かつ高剛性の砥石軸を開発し搭載することで、他社に先駆け凹プロフィールカムの高能率研削加工を実現し、カム研削盤のシェアNo.1を維持いたします。高付加価値商品では、CNC円筒研削盤GE4iのバリエーション拡大として、匠の技を生かすプロ仕様を追加したCNC円筒研削盤GE4i-PROにおいて、「誰でも簡単に高度なモノづくりができる」CNC機能と、熟練作業者の「匠の技」を生かす油圧機のハンドル操作性の両立でTOYODA研削盤を長くお使いのプロの仕事にお応えいたします。②マシニングセンタ高付加価値商品として、大物部品切削加工を行う当社最大の横形マシニングセンタFH1600SW5iを開発いたしました。本機は、クラス最大の工作物サイズを誇り、農建機、エネルギー、発電機、航空機等の大型部品加工に最適であります。従来の大型部品加工では、門形マシニングセンタや横中ぐり盤等を使用しておりますが、本開発機では、パレットチェンジャと高速性能、高剛性クイル主軸による高い生産性を実現することにより、門形マシニングセンタと横中ぐり盤の2台を1台に工程集約が可能となります。また小型マシニングセンタにはDD(Direct Drive)テーブルを搭載し生産性向上を図りました。③生産型マシニングセンタ自動車用量産設備の開発を進めてまいりましたが、特に今年はTNGA(Toyota New Global Architecture)対応TE704生産型マシニングセンタを開発、更なる高生産性を実現するとともに、設備の高さを抑えコンパクトで見通しの良い新しい発想のライン構築を可能とし、日・米へ展開いたしました。④ギヤスカイビング加工機 当社が新分野として重点的に取り組んでおりますギヤの歯切り加工設備において、従来のGS300Hギヤスカイビングセンタは、工作物外径が最大220mmであり主に自動車に使用されるギヤを対象としておりましたが、今回、新開発の大型ギヤスカイビングセンタGS700Hでは、工作物外径が250~700mmの大型ギヤ加工を可能とし、産業ロボット、建設機械及びトラック等の今後需要が見込める大型ギヤ加工市場への販売強化を図ります。⑤制御お客様のさらなる効率的な生産を支援する生産マネジメントシステムを開発、個々の設備の見える化だけではなく、生産ライン全体、工場全体の見える化を行い、ライン管理者の生産状況の正確な把握と異常時の迅速な解決を支援いたします。また当社のマシニングセンタに新たにHMIであるTOYOPUC-Touchを新開発し搭載、19インチの大画面タッチスクリーンを備え、スマートフォン感覚で使える簡単操作とともに、機械状態、生産状況情報管理及び遠隔診断等を実現しております。 ⑥ IoE(Internet of Everything)IoT(Internet of Things)の概念をより広範に捉えるべく当社はIoE(Internet of Everything)を提唱、生産のIoE・品質のIoE・保全のIoEの3つのIoEに取り組み「モノ」だけではなく、人、サービスなどの「コト」も含めた全てをつなげて、新たな価値を創出することに拘って、取り組んでおります。IoEを実現する、ビッグデータ情報の高速通信と処理を行うPLCであるTOYOPUC-Nanoと高度なビッグデータ解析を実現するPLCであるTOYOPUC-AAAの開発を実施、またそれらを使い予兆管理等を可能とするソフト開発にも併せて取り組み中であります。お客様のスマート工場づくりのために、ハードのみではなくソフト開発も進め、まず当社の社内設備に搭載し実証した上で広く外販できるソフトビジネスにつなげてまいります。