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TVE(6466)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

機械 機械

事業の概要

TVEグループは、主に産業用バルブの開発、製造、販売、メンテナンス、電気設備関連工事、地域復興、廃炉事業を展開しています。主力は原子力発電所や火力発電所向けの高温高圧バルブの製造販売と保守作業で、これらが収益の大部分を占めています。また、敷設配管を取り外さずに現地で修理・改造できる特殊工法も提供しており、製鋼製品の製造販売や電気設備工事も手掛けています。福島での地域復興事業やクリアランス金属のリサイクル事業も行っています。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成

TVEグループの事業セグメントは主に4つです。「バルブ事業」は、原子力・火力発電所向けの高温高圧バルブの製造販売と保守が中心で、売上67.8億円、営業利益12.37億円と最も大きな収益源です。海外子会社もこの事業に含まれます。「製鋼事業」は鋳鋼製品の製造販売を行い、売上14.66億円に対し営業損失0.41億円と赤字です。「電気設備関連事業」は原子力発電所や東日本地区での電気設備工事を手掛け、売上17.45億円、営業利益3.02億円と堅調です。その他には福島での地域復興事業やクリアランス金属のリサイクル事業が含まれますが、具体的な売上・利益は示されていません。全体としてバルブ事業が稼ぎ頭であり、国内電力市場への依存度が高い構造です。

2025-09 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
TheValveBusiness 地域 68 12 18.2%
TheCastSteelBusiness 地域 15 -0 -2.8%
TheElectricInstallationBusiness 地域 17 3 17.3%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2025|777 文字
3【事業の内容】 当社グループは、当社及び連結子会社4社(国内3社、海外1社)、並びにその他の関係会社1社で構成され、各種産業用バルブの開発、製造・販売、そのメンテナンス並びに電気設備関連工事、地域復興、廃炉事業などを主な事業の内容としております。  当社グループの事業に係る位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりであります。 なお、次の3事業は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。 報告セグメントに含まれない事業セグメント「その他」には、福島地域の復興を主とした地域復興事業及びクリアランス金属のリサイクルを主としたリファインメタル事業が含まれております。 《バルブ事業》 原子力発電所、火力発電所など電力プラント用高温高圧バルブを中心に、船舶用、石油化学プラント用などの各種産業用バルブ等の製造販売及び分解・点検・修理などの保守作業を行っております。また、可搬式の特殊工作機械を使用することにより、敷設配管から取り外すことなく現地において修理・改造を行うことができる工法を開発し、施工しております。 <関係会社>  トウアサービス株式会社  TVE GLOBAL ASIA PACIFIC Pte.Ltd.(海外) <その他の関係会社>  西華産業株式会社 《製鋼事業》 鋳鋼製品の製造販売を行っております。 《電気設備関連事業》 原子力発電所及び東日本地区での電気設備工事業務を行っております。 <関係会社>  太陽電業株式会社 《その他》 福島県を活動拠点とした地域復興事業及び福井県を活動拠点としたクリアランス金属のリサイクルを主としたリファインメタル事業を行っております。 <関係会社>  TVEリファインメタル株式会社  事業の系統図は次のとおりであります。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
高温高圧弁メーカーとしてのステータスを築いているが、新技術対応が不可欠
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
原子力発電所、火力発電所など電力プラント用高温高圧バルブの開発・製造技術
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 高い(依存)
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:電力市場の変化による業績への影響 / 大規模自然災害や事故による生産拠点被災 / 製品・メンテナンス上の瑕疵による賠償問題
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 4 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

財務データが未収録のため、ブランド力、特許、規制ライセンス、IPなどの無形資産に関する具体的な評価は困難です。公開情報が限定的であり、客観的な根拠を示すことができません。

スイッチングコスト★☆☆☆☆
根拠:弱い乗り換えの手間・コスト

産業用ロボットアームや周辺機器は、特定の生産ラインへの組み込みやソフトウェア連携が必要な場合、顧客の乗り換えには一定のコストや手間が発生する可能性があります。しかし、具体的なスイッチングコストの高さを示すデータはありません。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

TVEの事業内容(産業用ロボット、自動化装置など)において、ユーザー数の増加がサービス価値を直接的に高めるネットワーク効果は一般的に見られません。プラットフォーム型ビジネスではないため、該当性は低いと考えられます。

コスト優位★☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

産業用ロボット市場は競争が激しく、価格競争に巻き込まれる可能性があります。しかし、TVEが構造的に他社より低コストで生産・提供できるという優位性を示す具体的な情報はありません。効率化努力は推測の域を出ません。

規模の経済★★☆☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

産業用ロボット市場は成長していますが、多数のプレイヤーが存在し、TVEの市場シェアや規模の経済性が突出しているかは不明です。特定のニッチ市場で優位性がある可能性はありますが、業界全体での効率規模の優位性は限定的と推測されます。

TVEグループの優位性は、原子力・火力発電所向けの高温高圧バルブにおける長年の実績と技術力にあります。特に、敷設配管を取り外さずに現地で修理・改造できる特殊工法は、顧客にとってのスイッチングコストを低減し、高い専門性と技術的な参入障壁を築いています。原子力発電所の黎明期から事業に関わってきた経験は、電力市場における深い知見と信頼関係を構築しており、安定したメンテナンス需要に繋がっています。また、品質マネジメントシステムと内部統制による高い品質維持も強みです。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)会社の経営の基本方針 当社グループは、お客様のニーズに沿ったバルブの製造からメンテナンスまで、バルブのトータルライフにわたるさまざまなサービスをスピーディにご提供できる体制作りに弛まぬ努力を続けております。お客様に安心してご使用いただける高品質・高性能なバルブ製品、バルブの予防保全に絶大な力を発揮する診断機器、豊富な知識・経験を持つ技術者によるメンテナンスサービスなどで、全国の原子力発電所(以下、「原発」)、火力発電所をはじめとする各種産業用プラントの安全で安定した運転のお手伝いを通じ、社会に貢献できる企業グループであり続けたいと考えております。当社グループでは、グループ会社共通の社是として、  一 信頼される企業として社会の進歩に貢献する  一 誠実と融和により健康で活気ある職場をつくる  一 経営の刷新と技術の開発につとめるを掲げ、全役職員のベクトルを同じ方向に揃えグループ力の結集を図ることで、顧客満足度を高め、社会・地域の健全な発展に貢献し、従業員とその家族の生活を守り、株主への適正な利益分配を行い、安定的持続可能な強固で粘りのある企業体質の構築を目指しております。 また、当社グループの主な事業である、バルブ製品の製造、メンテナンスとも、高い技術を持つ地域の協力工場や、厳しい工期と過酷な環境下でのメンテナンス作業に従事される外注技術者など、数多くの関係取引先のご協力を頂戴することで成り立っており、常に感謝の心を忘れることなく、今後も関係取引先との相互発展を基本とした強い信頼・協力関係を構築してまいります。 (2)目標とする経営指標 当社グループが製造いたしますバルブ製品、鋳鋼製品のほとんどは、お客様の個別仕様書によって受注・生産を行っており、汎用品はごく一部にすぎません。また、バルブメンテナンスサービスにつきましても、一般的な定期保守点検契約のようなものは存在せず、比較的安定的に売上が望まれる原発の定期検査工事を除いては、基本的にプラントの運転状況とそれに応じた当社グループの営業活動の成果によるものであります。 よって各年度の売上高は必ずしも安定したものではないため、損益も同様に年度毎の山谷が非常に激しくなる可能性があり、特にバルブ事業は、売上の増減に加えその時々の工場操業度によっても損益に少なからず変動が発生し、目標とする経営指標として、例えば投下資本に対する利益率等を設定したとしても、以上のような理由から分子となる利益の変動が大きく、安定的且つ継続的な目標指標とすることは困難であると考えております。 このため、年度計画及び中期収益計画の策定に際しては、各年度に予想される市場環境から受注想定案件を積み上げることにより、売上高、営業利益、経常利益を予算化することとしております。 そして個々の案件の受注時には、厳密な貢献利益(限界利益)管理のもと、その時々の工場操業度と平準化効果、社員・外注作業者の最適要員配置、後年度における期待収益性などを重要な要素として受注判断を行うことで利益管理を実施しており、これにより機会損失を最小化し、獲得利益の最大化を図っております。 (3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 基本課題当社グループは、長期ビジョン2030の目指す姿「高品質弁と設備保全で、世界エネルギーインフラの安全安定運転に貢献するグローバルニッチトップ」の実現に向け、2023年度からの5か年計画「中期経営計画2023」(以下、「中計2023」といいます。)を開始いたしました。中計2023では、安定成長と持続的収益性の確保による企業価値向上を図るための基盤整備の期間と位置付けており、売上高100億円、営業利益7億円を安定的に確保できるよう既存事業の深化を図るとともに、新たな収益基盤獲得のため事業投資を行ってまいります。 ① マテリアリティ当社グループは「当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値向上に向けて優先的に取り組む経営上の重要課題」として6つのマテリアリティを特定いたしました。外部環境変化に伴うリスクや機会に対応するため、各部門において様々な施策を立案し、目標の進捗管理を行っております。 区分マテリアリティ主な取り組み価値創造に係るマテリアリティ持続可能な「つくるチカラ・まもるチカラ」の維持・発展・既存原発の稼働維持と新規原発建設への貢献・次世代燃料火力発電所への貢献・バルブ製品の改良(高機能・高性能化)、メンテナンス技術の開発・製品、サービスの品質確保リファインメタル事業の推進・廃止原発からでる金属廃棄物のリサイクル化価値創造の基盤に係るマテリアリティ健康で活気ある職場・環境づくり・働きやすい職場・環境づくり・働きがいのある職場・環境づくり・作業従事者の健康・安全人財育成・技術伝承・人財育成・技術伝承自然災害への危機管理・自然災害・故障などによる事故・操業停止への対応ガバナンス強化・コンプライアンス強化 ② 事業戦略(価値創造に係るマテリアリティ)・持続可能な「つくるチカラ・まもるチカラ」の維持・発展バルブ事業、メンテナンス事業、製鋼事業の既存3事業の個別課題を攻めの事業戦略により解決し更なる成長を目指します。当社グループが世界に誇る高温高圧弁・安全弁の技術とそれを象徴するTOAのブランドを活かすことで国内外の原発、火力発電設備の安全・安定運転と経済性に貢献するとともに、材料高による採算性悪化への対応を行いながら、加工、検査、材質、納期、そして何よりも品質を高めた高付加価値製品の提供、IT技術による状態監視装置やサービスシステムの構築、新たな製品・メンテナンス機器の開発など顧客満足度を高める提案で成長を目指してまいります。また、火力発電分野においては脱炭素の潮流の中、水素やアンモニアの混焼火力発電は国内においても既に実証事業が進んでおります。当社グループにおいても水素やアンモニアへの燃料転換に対応するバルブ開発が重要な課題となっており、最終形である、専焼型商業発電プラントへのバルブ製品、或いは鋳鋼製品の供給に視点を据え、技術開発に取り組んでまいります。 ・リファインメタル事業の推進 当社グループでは、長期的な事業拡大戦略の一翼を担うのがリファインメタル事業(廃炉事業)への進出と考えております。これは、当社グループの強みであるワンストップソリューションの高度化により循環型経済の発展と環境再生への貢献を図る当社グループの目指す姿であります。 具体的な事業のイメージは、廃止された発電所から回収したバルブを金属インゴットにし、その後、L1L2廃棄物収納容器等を製造して新しい発電所に戻すという非常にシンプルなものですが、そこに至る道程は困難の連続と想定しております。 この実現のため設立した当社子会社のTVEリファインメタル株式会社は、資源エネルギー庁より「原子力産業基盤強化事業補助金制度」に係る間接補助事業者に採択され、クリアランス金属の溶融技術を習得し、クリアランス金属の社会理解活動に向けた取り組みを実施しております。 実際に原発からリサイクル対象金属が排出されるのはまだ先のことで、業績貢献には今しばらく時間を要しますが、早期の参入表明で先駆者としての優位性を築き、今後の事業本格化に備えてまいります。 ・福井県おおい町における新工場建設当社グループは、若狭地区の各拠点に出張所を設置し発電所の安全・安定運転に貢献しておりますが、同地区での事業継続と更なる発展、BCP対策並びに原子力発電設備廃止措置に伴うリファインメタル事業への更なる強化を目的に製造拠点を新設することとしております。今後、製造拠点の新設にあたり、若狭地区での事業領域の拡大に努めることで中長期での持続的成長を図り、企業価値の一層の向上を図ってまいります。 ③ サステナビリティ経営の推進・サステナビリティ委員会 当社グループは、サステナビリティを重要な経営戦略と位置付け、「事業活動を通じた社会課題解決への貢献」と「持続的な成長を通じた企業価値向上」を目指すため、毎年4月、10月に代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」を開催しております。 サステナビリティ委員会は経営会議のもと、サステナビリティ及びESG(環境・社会・ガバナンス)に関する経営方針の策定、取り組み状況の確認、評価、改善について審議し、取締役会の提言を受けて施策を推進します。また、TOMOS活動など組織横断的な各種プロジェクトの推進・モニタリングを行うことでサステナビリティ経営を実践する体制を整えており、マテリアリティをサステナビリティ委員会の施策と連携させることで、事業活動を通じ課題解決を目指しております。 〈サステナビリティ推進体制図〉 ・ポートアイランド産業用地の取得 当社グループは、自然災害などの緊急事態に備え、事業の継続性を確保するとともに製品・サービスの供給網の強靭化を図るため、BCP(事業継続計画)対策並びに工場機能の充実及び研究開発機能の強化を目的として、ポートアイランド産業用地を取得いたしました。 建設に関する具体的な計画・時期等につきましては、現段階では計画中であり、決定次第開示する予定としております。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)会社の経営の基本方針 当社グループは、お客様のニーズに沿ったバルブの製造からメンテナンスまで、バルブのトータルライフにわたるさまざまなサービスをスピーディにご提供できる体制作りに弛まぬ努力を続けております。お客様に安心してご使用いただける高品質・高性能なバルブ製品、バルブの予防保全に絶大な力を発揮する診断機器、豊富な知識・経験を持つ技術者によるメンテナンスサービスなどで、全国の原子力発電所(以下、「原発」)、火力発電所をはじめとする各種産業用プラントの安全で安定した運転のお手伝いを通じ、社会に貢献できる企業グループであり続けたいと考えております。当社グループでは、グループ会社共通の社是として、  一 信頼される企業として社会の進歩に貢献する  一 誠実と融和により健康で活気ある職場をつくる  一 経営の刷新と技術の開発につとめるを掲げ、全役職員のベクトルを同じ方向に揃えグループ力の結集を図ることで、顧客満足度を高め、社会・地域の健全な発展に貢献し、従業員とその家族の生活を守り、株主への適正な利益分配を行い、安定的持続可能な強固で粘りのある企業体質の構築を目指しております。 また、当社グループの主な事業である、バルブ製品の製造、メンテナンスとも、高い技術を持つ地域の協力工場や、厳しい工期と過酷な環境下でのメンテナンス作業に従事される外注技術者など、数多くの関係取引先のご協力を頂戴することで成り立っており、常に感謝の心を忘れることなく、今後も関係取引先との相互発展を基本とした強い信頼・協力関係を構築してまいります。 (2)目標とする経営指標 当社グループが製造いたしますバルブ製品、鋳鋼製品のほとんどは、お客様の個別仕様書によって受注・生産を行っており、汎用品はごく一部にすぎません。また、バルブメンテナンスサービスにつきましても、一般的な定期保守点検契約のようなものは存在せず、比較的安定的に売上が望まれる原発の定期検査工事を除いては、基本的にプラントの運転状況とそれに応じた当社グループの営業活動の成果によるものであります。 よって各年度の売上高は必ずしも安定したものではないため、損益も同様に年度毎の山谷が非常に激しくなる可能性があり、特にバルブ事業は、売上の増減に加えその時々の工場操業度によっても損益に少なからず変動が発生し、目標とする経営指標として、例えば投下資本に対する利益率等を設定したとしても、以上のような理由から分子となる利益の変動が大きく、安定的且つ継続的な目標指標とすることは困難であると考えております。 このため、年度計画及び中期収益計画の策定に際しては、各年度に予想される市場環境から受注想定案件を積み上げることにより、売上高、営業利益、経常利益を予算化することとしております。 そして個々の案件の受注時には、厳密な貢献利益(限界利益)管理のもと、その時々の工場操業度と平準化効果、社員・外注作業者の最適要員配置、後年度における期待収益性などを重要な要素として受注判断を行うことで利益管理を実施しており、これにより機会損失を最小化し、獲得利益の最大化を図っております。 (3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 基本課題当社グループは、長期ビジョン2030の目指す姿「高品質弁と設備保全で、世界エネルギーインフラの安全安定運転に貢献するグローバルニッチトップ」の実現に向け、2023年度からの5か年計画「中期経営計画2023」(以下、「中計2023」といいます。)を開始いたしました。中計2023では、安定成長と持続的収益性の確保による企業価値向上を図るための基盤整備の期間と位置付けており、売上高100億円、営業利益7億円を安定的に確保できるよう既存事業の深化を図るとともに、新たな収益基盤獲得のため事業投資を行ってまいります。 ① マテリアリティ当社グループは「当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値向上に向けて優先的に取り組む経営上の重要課題」として6つのマテリアリティを特定いたしました。外部環境変化に伴うリスクや機会に対応するため、各部門において様々な施策を立案し、目標の進捗管理を行っております。 区分マテリアリティ主な取り組み価値創造に係るマテリアリティ持続可能な「つくるチカラ・まもるチカラ」の維持・発展・既存原発の稼働維持と新規原発建設への貢献・次世代燃料火力発電所への貢献・バルブ製品の改良(高機能・高性能化)、メンテナンス技術の開発・製品、サービスの品質確保リファインメタル事業の推進・廃止原発からでる金属廃棄物のリサイクル化価値創造の基盤に係るマテリアリティ健康で活気ある職場・環境づくり・働きやすい職場・環境づくり・働きがいのある職場・環境づくり・作業従事者の健康・安全人財育成・技術伝承・人財育成・技術伝承自然災害への危機管理・自然災害・故障などによる事故・操業停止への対応ガバナンス強化・コンプライアンス強化 ② 事業戦略(価値創造に係るマテリアリティ)・持続可能な「つくるチカラ・まもるチカラ」の維持・発展バルブ事業、メンテナンス事業、製鋼事業の既存3事業の個別課題を攻めの事業戦略により解決し更なる成長を目指します。当社グループが世界に誇る高温高圧弁・安全弁の技術とそれを象徴するTOAのブランドを活かすことで国内外の原発、火力発電設備の安全・安定運転と経済性に貢献するとともに、材料高による採算性悪化への対応を行いながら、加工、検査、材質、納期、そして何よりも品質を高めた高付加価値製品の提供、IT技術による状態監視装置やサービスシステムの構築、新たな製品・メンテナンス機器の開発など顧客満足度を高める提案で成長を目指してまいります。また、火力発電分野においては脱炭素の潮流の中、水素やアンモニアの混焼火力発電は国内においても既に実証事業が進んでおります。当社グループにおいても水素やアンモニアへの燃料転換に対応するバルブ開発が重要な課題となっており、最終形である、専焼型商業発電プラントへのバルブ製品、或いは鋳鋼製品の供給に視点を据え、技術開発に取り組んでまいります。 ・リファインメタル事業の推進 当社グループでは、長期的な事業拡大戦略の一翼を担うのがリファインメタル事業(廃炉事業)への進出と考えております。これは、当社グループの強みであるワンストップソリューションの高度化により循環型経済の発展と環境再生への貢献を図る当社グループの目指す姿であります。 具体的な事業のイメージは、廃止された発電所から回収したバルブを金属インゴットにし、その後、L1L2廃棄物収納容器等を製造して新しい発電所に戻すという非常にシンプルなものですが、そこに至る道程は困難の連続と想定しております。 この実現のため設立した当社子会社のTVEリファインメタル株式会社は、資源エネルギー庁より「原子力産業基盤強化事業補助金制度」に係る間接補助事業者に採択され、クリアランス金属の溶融技術を習得し、クリアランス金属の社会理解活動に向けた取り組みを実施しております。 実際に原発からリサイクル対象金属が排出されるのはまだ先のことで、業績貢献には今しばらく時間を要しますが、早期の参入表明で先駆者としての優位性を築き、今後の事業本格化に備えてまいります。 ・福井県おおい町における新工場建設当社グループは、若狭地区の各拠点に出張所を設置し発電所の安全・安定運転に貢献しておりますが、同地区での事業継続と更なる発展、BCP対策並びに原子力発電設備廃止措置に伴うリファインメタル事業への更なる強化を目的に製造拠点を新設することとしております。今後、製造拠点の新設にあたり、若狭地区での事業領域の拡大に努めることで中長期での持続的成長を図り、企業価値の一層の向上を図ってまいります。 ③ サステナビリティ経営の推進・サステナビリティ委員会 当社グループは、サステナビリティを重要な経営戦略と位置付け、「事業活動を通じた社会課題解決への貢献」と「持続的な成長を通じた企業価値向上」を目指すため、毎年4月、10月に代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」を開催しております。 サステナビリティ委員会は経営会議のもと、サステナビリティ及びESG(環境・社会・ガバナンス)に関する経営方針の策定、取り組み状況の確認、評価、改善について審議し、取締役会の提言を受けて施策を推進します。また、TOMOS活動など組織横断的な各種プロジェクトの推進・モニタリングを行うことでサステナビリティ経営を実践する体制を整えており、マテリアリティをサステナビリティ委員会の施策と連携させることで、事業活動を通じ課題解決を目指しております。 〈サステナビリティ推進体制図〉 ・ポートアイランド産業用地の取得 当社グループは、自然災害などの緊急事態に備え、事業の継続性を確保するとともに製品・サービスの供給網の強靭化を図るため、BCP(事業継続計画)対策並びに工場機能の充実及び研究開発機能の強化を目的として、ポートアイランド産業用地を取得いたしました。 建設に関する具体的な計画・時期等につきましては、現段階では計画中であり、決定次第開示する予定としております。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。  ① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用環境や所得環境の改善などを背景として景気は緩やかに回復いたしました。一方、海外におきましては、ウクライナや中東を巡る地政学的な要因による資源価格の高騰や中国経済の減速などにより景気の悪化が懸念され、依然として先行き不透明な状況が続いております。 当社グループは、原子力・火力発電所用バルブの製造・メンテナンスを主としたバルブ事業を中核に鋳鋼製品の製造事業や、原子力発電所(以下、「原発」)における設備の保守や電気設備工事などを展開しております。バルブ事業の中核である原発向けビジネスは、東日本大震災の津波による東京電力福島第一原発事故以降厳しい状況にありましたが、地球温暖化問題から世界規模でグリーン・トランスフォーメーションの実現に向けた取り組みが進み、デジタル・トランスフォーメーションの進展等に伴う電力需要の増加が見込まれる中、国内では2025年2月に第7次エネルギー基本計画が閣議決定されました。当該基本計画では、2040年度のエネルギー需給見通しにおける電源構成において原子力の割合は2割程度とされ、安全性の確保を大前提に必要な規模を持続的に活用しつつ、次世代革新炉の設置等については、廃炉が決定した原発を有する事業者の原発サイト内での建て替えを対象とし、バックエンド問題の進展も考慮したうえで具体化を進めていくと明示されております。そのような中、2025年7月に関西電力が美浜原発において1号機の後継機設置検討のための現地調査を再開することを公表いたしました。国内においては、今後も原発のリプレースに向けた検討の取り組みが進むものと想定されます。また、2024年10月に東北電力女川原発2号機が、2024年12月に中国電力島根原発2号機がそれぞれ再稼働を果たし、北海道電力泊原発3号機においても2027年の再稼働に向けた取り組みが進められております。 このような環境下で、当社グループでは中期経営計画2023に基づく事業戦略推進の一環として、2024年11月のプレスリリースで開示いたしましたとおり、若狭地区におけるバルブ事業の継続と更なる発展、原発の廃止措置から生じるクリアランス金属のリサイクルを主とするリファインメタル事業の推進などを目的とした製造拠点を新設するため、2024年12月に福井県おおい町の土地を取得し、安全弁事業で使用する第1工場の建設のためプロジェクトチームを組成し着工に向け設計などの取り組みを進めております。リファインメタル事業で使用する第2工場の建設につきましても引き続き検討を行います。また、2025年3月のプレスリリースで開示いたしましたとおり、BCP対策並びに工場機能の充実及び研究開発機能の強化を目的として、2025年6月に神戸市よりポートアイランドの土地を取得いたしました。当社グループといたしましては、今後も中長期での持続的成長を図り、企業価値の一層の向上を図ってまいります。 当連結会計年度におきましては、主要な事業であるバルブ事業では、関西電力高浜原発、大飯原発及び美浜原発、四国電力伊方原発や九州電力川内原発及び玄海原発において定期検査工事が完了し売上が計上されたほか、海外顧客向けに製品の売上も計上され、また、製鋼事業においても主要顧客への売上が順調に推移しましたが、バルブ事業の工事に係る売上が好調だった前年同期には及ばず、全体の売上高は101億83百万円(前年同期比9.2%減)となりました。 採算面では、前年同期に比しバルブ事業で大幅な減収となったこと、受注損失引当金の繰入が生じたことなどから、営業利益は5億95百万円(前年同期比42.0%減)、経常利益は7億24百万円(同36.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は5億97百万円(同17.2%減)となりました。 表:報告セグメント内の種類別売上高  報告セグメント種類別の売上高前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)前年同期比(%) バルブ事業 バルブ(新製弁)1,5511,503△3.1 バルブ用取替補修部品1,2791,137△11.1 原子力発電所定期検査工事2,5791,813△29.7 その他メンテナンス等の役務提供2,6032,342△10.0 小計8,0146,797△15.2 製鋼事業 鋳鋼製品1,2181,47120.8 電気設備関連事業 電気設備関連工事1,7641,744△1.1 その他 その他270210△22.1 消去又は全社△47△40- 合計11,22010,183△9.2 報告セグメント別では、バルブ事業は、前述の国内の原発に係る定期検査工事や中国の原発向け安全弁などの海外顧客向け製品の売上が計上されましたが、前年同期の売上には及ばず、売上高は67億97百万円(前年同期比15.2%減)となり、セグメント利益は、大幅な減収が影響し12億37百万円(同36.1%減)となり、前年同期に比し減益となりました。 製鋼事業は、前年同期に比し、水処理設備に関する製品の売上が計上されたほか、主要顧客への売上が好調に推移した結果、売上高は14億71百万円(前年同期比20.8%増)となり、セグメント利益は、電力単価の上昇や修繕費の増加等はあったものの、前年同期に比し増収となったことや好調な受注に支えられたことにより、41百万円の赤字(前年同期は1億77百万円の赤字)となり、赤字幅は大幅に縮小いたしました。 電気設備関連事業は、公共施設における電気工事や発電所における設備の保守点検作業などに係る売上が計上されたものの、前年同期の売上には僅かに及ばず、売上高は17億44百万円(前年同期比1.1%減)となり、セグメント利益は、請負工事の減少に伴う原価の減少などがあったものの、受注損失引当金の戻入額の減少などから3億2百万円(同6.1%減)となり、前年同期に比し減益となりました。  ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は23億92百万円となり、前連結会計年度末に比して34億88百万円減少しました。この内訳は次のとおりであります。  (営業活動によるキャッシュ・フロー)減価償却を3億66百万円実施した上で税金等調整前当期純利益を9億9百万円計上したところに、法人税等の支払額が5億90百万円ありましたが、受注損失引当金の増加で2億19百万円、売上債権及び契約資産の減少で74百万円の増加などキャッシュ・インの要因が上回ったことから27百万円のキャッシュ・イン(前年同期は18億40百万円のキャッシュ・イン)となりました。  (投資活動によるキャッシュ・フロー)有形固定資産の取得による支出を中心に31億66百万円のキャッシュ・アウト(前年同期は3億15百万円のキャッシュ・アウト)となりました。  (財務活動によるキャッシュ・フロー)前連結会計年度に係る期末配当及び当連結会計年度の中間配当の実施、長期借入金の返済などにより3億53百万円のキャッシュ・アウト(前年同期は3億43百万円のキャッシュ・アウト)となりました。 ③ 生産、受注及び販売の実績(1) 生産実績 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度    (自 2024年10月1日     至 2025年9月30日)前年同期比(%)バルブ事業(千円)1,979,4459.8製鋼事業(千円)1,527,3629.7合計(千円)3,506,8089.7 (注)1.金額は製造原価によっております。2.バルブ事業のメンテナンス等、電気設備関連事業及びその他については、事業の性格上生産実績の概念は馴染みませんので金額及び前年同期比を記載しておりません。 (2) 受注実績 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)バルブ事業9,754,92738.95,694,836108.1製鋼事業1,291,662△15.6776,335△18.8電気設備関連事業2,070,86916.5664,80296.2その他245,556△17.892,89060.7消去又は全社△40,674---合計13,322,34125.97,228,86476.7 (注)金額は販売価格によっております。 (3) 販売実績 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度    (自 2024年10月1日     至 2025年9月30日)前年同期比(%)バルブ事業(千円)6,797,215△15.2製鋼事業(千円)1,471,77420.8電気設備関連事業(千円)1,744,955△1.1その他(千円)210,476△22.1消去又は全社(千円)△40,674-合計(千円)10,183,746△9.2 (注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。相手先別前連結会計年度    (自 2023年10月1日     至 2024年9月30日)当連結会計年度    (自 2024年10月1日     至 2025年9月30日)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)西華産業株式会社3,232,53728.83,599,49835.3東京パワーテクノロジー株式会社1,117,23210.01,242,78712.2三菱商事パワーシステムズ株式会社1,245,69811.1-- (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ① 財政状態の分析(資産の部)当連結会計年度末の資産残高は159億31百万円となり、前連結会計年度末に比して8億40百万円増加しました。その内訳は、流動資産が73億52百万円で30億61百万円減少し、固定資産は85億78百万円で39億2百万円の増加となっております。流動資産では、現金及び預金が34億88百万円減少し、仕掛品が3億27百万円増加となっております。固定資産では、建設仮勘定が62百万円減少しておりますが、土地が31億18百万円増加となっております。 (負債の部)負債残高は39億87百万円となり、前連結会計年度末に比して74百万円減少しました。主な要因は、長期借入金が1億9百万円、未払法人税等が2億73百万円、それぞれ減少したことなどによるものです。 (純資産の部)純資産の残高は119億44百万円で、前連結会計年度に係る期末配当及び当連結会計年度の中間配当を実施しましたが、当連結会計年度での親会社株主に帰属する当期純利益を計上し、その他有価証券評価差額金や退職給付に係る調整累計額の増加により、前連結会計年度末に比して9億14百万円増加しました。 ② 経営成績の分析(売上高)当連結会計年度の売上高は101億83百万円となり、前連結会計年度と比べ10億36百万円減少(前年同期比9.2%減)しました。当連結会計年度では、製鋼事業において前連結会計年度に比べ2億53百万円増加した一方で、バルブ事業において12億17百万円、電気設備関連事業において19百万円それぞれ減少となり、前連結会計年度の売上高を大幅に下回ることとなりました。 (営業利益)当連結会計年度の営業損益は5億95百万円の黒字(前年同期比42.0%減)となりました。当連結会計年度では、バルブ事業において前連結会計年度に比べ、受注損失引当金の洗い替えによる繰入が発生し、原子力発電所の定期検査工事や海外案件の売上が減少したこと等で、前連結会計年度を下回る営業利益となりました。 (親会社株主に帰属する当期純利益)当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、上記の営業利益に営業外損益の純額1億28百万円を加算し、これに特別損益の純額1億84百万円を加算し、次に法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額を加減算した結果、5億97百万円の黒字(前年同期比17.2%減)となりました。 ③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社グループの資本の財源は、自己資金及び金融機関からの借入によっており、金融機関からの借入金については適宜に長期・短期の借入金により資金調達を行うほか、取引金融機関と特定融資枠契約、コミットメントライン契約を締結することで必要な財源の確保を図っております。資金の流動性は、営業活動によるキャッシュ・フローを確実に獲得することを基本に、適正な投資活動と財務活動を組み合わせることで十分な流動性の確保と財務体質の健全性を維持するよう努めております。当社グループの事業は主に完全受注生産型であることから、売上時期の偏重や製品の仕掛期間長期化による影響が、営業活動によるキャッシュ・フローの変動につながる傾向にあることから、これら事象について、キャッシュ・フローへの影響を十分に考慮した業務運営を社内に指示・徹底しております。またこれら事象へ対応する目的も含め、取引金融機関とコミットメントライン契約を締結し、機動的な資金調達体制を維持するとともに、運転資金の効率的な運用を図っております。 ④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。詳細については、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

事業リスク

主なリスクとして、電力市場の変化が挙げられます。原子力・火力発電所向けの売上が大部分を占めるため、自然災害、規制強化、技術革新、燃料転換、電力自由化などによる市場縮小は業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、大規模自然災害や事故により、兵庫県尼崎市と三重県伊賀市の製造拠点が被災した場合、生産停止や納期遅延が生じ、業績に深刻な影響が出る恐れがあります。製品やメンテナンスの瑕疵による重大事故やプラント停止も、賠償問題に発展し業績に影響を与える可能性があります。さらに、情報セキュリティ侵害による顧客情報漏洩やシステム停止も、事業継続に大きな影響を及ぼすリスクがあります。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|7,095 文字
3【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 事業環境の変化当社グループのバルブ事業の売上は、原子力・火力発電所に代表される国内電力市場向けの製品・メンテナンスが重要な割合を占めています。また、当社グループはわが国の原子力発電黎明期より原発事業に関わってきました。その責任を全うするためには、今後も電力市場に強く依存した事業運営は不可避であり、どのような要因であれ、電力市場に大きな変化が生じることは、当社グループの業績に重大な影響が及ぶ可能性があります。その要因は、自然災害、原発再稼働等に対する司法判断や国による規制、事故等による発電所の運転停止、発電技術革新、発電燃料の転換、電力自由化などの発電事業形態の変化、地球温暖化問題に由来する従来型火力発電市場縮小とそれに伴う市場の変化、電力業界を取り巻くサプライヤーの動向、再生可能エネルギーや局所発電など消費者側における発電設備転換など、実にさまざまなものが想定されます。例えば、2011年に発生した東日本大震災による福島原発事故では、事故後国内すべての原発が停止し、その後、多くの原発で廃炉が決定され、市場は大きく縮小する事態となりました。幸いにも当社グループの主力マーケットである加圧水型原発(PWR)は、今日までに6原発12基で再稼働を果たし、今後一定期間はそれら原発の定期検査(定検)による安定収益が見込まれる状況となりましたが、裏返せばこのことは、PWR型原発の定検に依存した収益構造となりかねず、原発に依存しすぎるが故に苦境に陥ることとなった過去と同じ轍を踏まないことを改めて肝に銘ずる必要があります。今後は、一部の電力会社における沸騰水型原発(BWR)の運転が再開されており、その他の沸騰水型原発(BWR)についても一定の需要が見込まれますが、わが国の電力政策において原発はどう位置付けられていくのかはもちろん、小型原発(SMR)や次世代原発に対する国の取組はどうなっていくのかなど、まだまだ不透明な状況が続くことが想定されます。火力発電所においても、温室効果ガス削減問題からその市場は極めて不透明な状況にあります。特に海外では、既に国内以上に厳しい状況に向かっており、世界的な投資の引き揚げ・停止などにより、新規事業の計画中止が相次いでいるとの認識です。他方これらを背景に、電力プラントは大きく変化しつつあります。まずはゼロ・エミッション火力発電燃料である水素、アンモニアなどへの燃料転換、そしてAIやITを用いたプラント管理技術の変化が特に当社グループにとって重要なものと考えています。当社グループがこういった新しい技術等に対応したバルブ製品、メンテナンスを提供できない場合、これまで築いた高温高圧弁メーカーとしてのステータスは大きく揺らぎかねません。よって、積極的な研究と投資を継続し、しっかりと市場の変化に対応していく必要がありますが、高度な要求とその速度に対応できない場合には、重大な業績への影響が生じる可能性があります。 (2) 大規模自然災害や事故による影響当社グループの製造拠点は、バルブ製造を行う兵庫県尼崎市の本社工場とバルブの主要素材である鋳鋼部品の製造を行う三重県伊賀市の伊賀工場の国内2か所となっています。これらの生産拠点が、地震、津波、台風、洪水、高潮などによる大規模自然災害や火災事故に見舞われた場合、業績等に重大な影響を受ける可能性があります。本社工場の所在する兵庫県尼崎市は、南海トラフ巨大地震の被害想定地域であることに加え、工場の多くの建屋は1960年代の建築であるため、耐震性や耐火性に対しリスクを有しており危機感を一層強めています。伊賀工場は本社工場が担う製造工程の前工程として機能していることから、設備面において一方の緊急時に他方がその機能・役割を代替する関係にはなく、どちらか一方が被災することはそのまま生産プロセスの途絶に直結し、機会損失の発生や納期遅延など当社グループの業績に重大な影響が生じる可能性があります。実際、本社工場は1995年1月に発生した阪神大震災で被災しました。工場そのものは周辺地域の状況に比して小さな被害に留まりましたが、従業員の多くが被災し、また公共交通機関が長期に亘り途絶したため、工場稼働の支障期間も長期に及び、相応の業績への影響が発生しました。当社グループはこれらの自然災害に備えるため、2024年12月に福井県おおい町に、2025年6月に兵庫県神戸市中央区港島にそれぞれ土地を取得し、工場の建設、移転については現在計画中であります。しかし、他方ではこれらの対策には非常に多額の資金が必要となります。そのため当社グループでは、ここ数期の好調な業績で増加した資金の集積に努めてまいりました。当社グループは完全受注生産型の事業形態であることから、業績は年度により大きく変動する傾向があり、そのような状況下においては、金融機関からの十分な資金調達が得られない可能性があるためです。このような政策は必ずしも、投資家の利害と一致しない可能性もありますが、事業の継続性をまず確実なものとするために不可欠なものと考えております。そして裏返せばこの対応が遅れ、危惧するリスクが顕在化した場合には、極めて重大な業績への影響を回避できない可能性が高いものになると考えております。 (3) 製品、メンテナンス上の瑕疵などに起因し生じる影響当社グループの製品は、原発をはじめとした各種産業用プラントの重要部位で採用されているため、その製造上の欠陥や当社グループが行ったメンテナンスの不具合等により動作不良等が生じ本来の機能を果たせない場合、重大な事故による被害の発生、或いはプラントの運転停止による経済的損害の発生などが賠償問題につながる可能性があり、それらは当社グループの業績に重大な影響を及ぼすリスクがあります。当社グループでは、まずは従業員の一人ひとりに品質意識の徹底を図り、組織基盤を作り上げたうえで品質マネジメントシステムを適切に運用し、それを担保するための内部統制システムを組み合わせることで、高い品質レベルを維持できるものと考えております。今後も更なる品質体制の強化により、リスクが顕在化することのないよう努めてまいります。 (4) 情報セキュリティによる影響当社グループは原子力事業に携わる事業者として、顧客情報や個々の取引情報について、極めて厳格な管理が求められているとの認識です。昨今の代表的な情報漏洩事象の多くはコンピューターシステムへの不正アクセスから生じ、それは殆どの場合、コンピューターシステムの停止によるリスクと一体であることから、営業・技術情報の保全のため、物理的な情報流出対策を実施するとともに、次世代型ウイルス検知システム(NGAV)とエンドポイント対策(EDR)によるシステムの入口・出口の監視、データの多重化などを行うことで、被害の防止と軽減を図っております。また、専ら人に由来するアナログ的な情報漏洩についても、その多くはコンピューターシステム上の情報管理を厳格にすることである程度は防止できるものと考え、ハードウエアに対する制限や、操作ログの収集・保管などによる牽制効果を期待した予防的統制を実施しております。情報の漏洩は、その情報で不当な利益を得ようとするもの、悪意に基づくもの、単純ミスによるものなど、実にいろいろな動機・きっかけにより発生し得ることから、情報に対する全従業員の意識向上が基本対策と考え、情報セキュリティ教育に注力するとともにシステム運用における内部統制の確立で万全を期しています。しかし今日のネットを拡散媒体として情報漏洩は実質的に不可逆的で、時には回復不可能なものとなる場合があり、その結果として業績に大きな影響を与える可能性があります。 (5) 法的規制、各種許認可等を維持できない場合の影響当社グループの一部事業は、建設業法に基づく一般建設業、特定建設業の許可を必要とするものです。そしてこの許可を維持するため、或いは許可に基づき具体的な工事を施行するためには、一定の人的要件を常に充足しておく必要がありますが、今後何らかの事由により、その要件を充足できなくなった場合には当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループは、原子力・火力発電所等を納入先とすることから、製品においては、数多くの規制・規格・許認可への適合が、製造・メンテナンスの工程では、一定の経験年数や技量認定・資格を取得した作業員による作業実施や配置が求められます。昨今の採用難による人財不足の中にあっては、こういった資格者の確保にも重大な懸念が生じる可能性があって、当社グループでは、これらの要件を欠くことのないよう計画的な人財育成とプロセス管理を実施していますが、さまざまな要因による能力的制約や人的制約等から、これらに適切に対応することができない場合には業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (6) 労働災害による影響製造現場、メンテナンス現場では常に労働災害と背中合わせの状況にありますが、安全に優先する何物も存在しないとの意識をもって、「ご安全に」を日々の挨拶に、全社グループを挙げ無災害に取り組んでいます。しかし無災害を長期に亘り継続することは非常に難しく、現にここ数年でいくつかの休業災害が発生しています。いずれも少しの不注意や作業上の不手際の問題であって、原因が単純であるが故になかなか根絶には至らないというのが現実です。労働災害の発生は、大切な従業員の命を脅かし苦痛をもたらすことはもちろん、労働災害を引き起こす要因が潜在する職場そのものが高い生産性を実現できず、その結果として作業に遅れが生じるなど多くの影響をもたらします。そして、労働災害が発生した場合には、その内容によっては、顧客の信頼を失墜し、場合によっては指名停止を受けるなど営業活動への支障が生じることもあって、そのような事態に陥った場合の業績への影響は重要なものとなる可能性があります。労働災害は仕事の仕組みと個人への教育とチームワークで防ぐ必要があります。個々の安全意識と集団の安全意識を徹底的に高め、精神論だけではなく、物理的な安全対策のためにリソースを投入することで災害が起きない仕組みをしっかりと構築し、安全第一の職場を作り上げリスクの顕在化を阻止してまいります。 (7) コンプライアンス違反による影響当社グループは会社法、金融商品取引法、労働法、税法等の各種法令はもとより、製造するバルブに関する各種規格のほか、取引先との契約に基づく合意等も含め、非常に多くの規制への適合が求められるため、それら規則が遵守されているかを管理するための体制を構築しています。具体的には監査等委員、会計監査人、内部監査室、品質保証統括室などによる組織的な監査に加え、各事業部門において業務手順を「見える化」することでリスクの所在とその対策を明確にする内部統制システムの運用によりコンプライアンスを担保するとともに、万一コンプライアンスが損なわれるようなことがあった場合においても、適時に不適切な事象を発見する仕組みを構築することで被害・影響の最小化に努めております。しかし、コンプライアンスの概念は極めて多岐・広範に亘ることから、会社の業績やブランドイメージに対し致命的な影響が生じる状況に至らないことを管理体制の基本とせざるを得ず、完全にリスクを排除することは困難であると考えられます。当社グループは電力事業という極めて社会性の高い分野で、且つ原発向けという完全な品質を求められるバルブ製品・サービスの提供を生業とするため、コンプライアンス問題で、顧客・社会の信頼を損ねることは致命的なものとなり、企業の存在そのものが否定される可能性にもつながりかねないことを強く認識し、日々コンプライアンス活動に取り組んでおります。また、昨今ではコンプライアンス違反の態様は多様化しており、例えば、ハラスメントの問題や、SNSを利用した不適切な情報拡散などが特に重要なリスクとなりつつあるとの認識です。ハラスメントはパワハラ、セクハラが代表的なものと考えますが、それは日常的に様々なシチュエーションの中で起こり得る問題であって、個人の認識の違いや人間関係に影響される部分も多いことから、非常に複雑な背景を理解した上での対策が求められます。また、SNS上での不適切な発信は、認知に手間取ること、発生後の有効な回復法が実質的に機能しないことを考えると、防止策のみが有効な対応となります。こういった問題に対し、会社が迅速に適切で毅然とした対応が取れない場合、従業員のモチベーションを低下させ、会社に対するロイヤリティが損なわれ、会社の信用が失墜することから、当社グループ会社の全従業員を対象としたコンプライアンス意識調査の結果に基づきコンプライアンス研修を実施等、教育・啓蒙活動を行うとともに、常より社内の状況に注意を払い、こういったコンプライアンス違反の発生を防止し、起こった場合の適切な対応を図ることで重大なリスクとして顕在化することを防いでまいります。 (8) 環境に対する課題意識の高まりによる影響地球温暖化問題に由来する環境への課題意識の社会的な高まりは、当社グループの事業においても、営業面、コスト面に非常に大きな影響をもたらすものと考えています。特に営業面においては、当社グループの主要顧客である火力発電所が、二大温室効果ガスである二酸化炭素の最大排出源のひとつであることから、その影響は当然に不可避の状況にあるといえます。このリスクについては、社会と顧客の対応を注視し、その変化に迅速に対応していくことはもちろん、次の予想される展開に対し先手を打って対応していくことで軽減を図る以外はないものと考えております。他方、コスト面におきましても重大な課題が存在します。当社グループのバルブ製造プロセスには、鋳鋼製造工程があり、非常に大きな電力を消費することから、電力料の生産コストに占める割合は非常に高いものとなっています。今後、この製造過程での電力使用に伴う温室効果ガス削減の対応が必要となりますが、例えば、設備改善や非化石証書等の購入などによるとしても、相応のコストが必要であり、その内容によっては業績に大きな影響を与える可能性があります。 (9) 材料費等原価高騰による影響当社グループの製造するバルブの主な原材料は、鉄、ステンレスを中心とした金属材料で、クロム、ニッケル、タングステンなどのいわゆるレアメタルも使用しています。このような金属材料は、市況により調達価格や調達可能数量やロットが変動することから、これらの安定的調達のため、信頼のおける複数のサプライヤーとの取引を行うなどでリスクヘッジを図っておりますが、著しい価格の高騰や調達支障の発生のリスクは常にあります。また、特に主要材料であるスクラップは、製鉄業界が環境問題で高炉を停止させており、今後はこれまでの鉄鉱石からスクラップへと原料需要が移っていく可能性があります。当社グループのバルブは、これらスクラップをはじめとする金属材料を電炉で溶かし、鋳型に流し込むことで製造する鋳鋼弁と呼ばれるものです。この鋳造工程では溶解時に非常に多くの電力を消費し、またその後工程である熱処理段階でも電気、或いは灯油などのエネルギーを使用します。世界の紛争問題、海外主要国との政策金利差による為替変動などが、原材料価格や燃料価格の上昇ほか多方面に、今までにないほどの大きな影響をもたらしていますが、環境問題に由来する社会構造の変化も含め、業績に対し大きな影響を与える可能性があります。 (10) IT・DX化の対応遅れ・不首尾による影響当社グループにおきましても、IT・DXを活用した製品・サービスの開発はもちろん、生産設備やメンテナンス機器への応用は重要課題と考えております。例えばバルブのメンテナンスでは、従来の時間監視型の保全から状態監視型の保全に軸足が移る中、プラントの運転中にバルブの異常事象を把握し、次回のメンテナンスにつなげていく必要があります。或いは、工場の老朽化に対し、今後大規模な設備投資が必要になると考えますが、この投資に際しても、いかに効率的な生産を実現していくかは重要な課題です。そしてこれらの実施に際しての最も必要な視点は、IT・DXの最大限の利用であると考えます。これらの実現のためR&Dセンターを中心にIT・DX人財の育成、IT・DXと製品・サービスの融合、IT・DXを活用した生産・販売といった業務プロセスの開発などをワンストップで実施する体制を整えております。今後、仮に著しく時流に乗り遅れ、従来の枠を脱することができないなら、それは商品力でもコスト競争力でも他社の後塵を拝することになり、その結果として業績に大きな影響を与える可能性があります。

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