経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針当社グループは「豊かな創造力と誇れる品質」を経営理念とし、顧客をはじめ社会や社員に対し「信頼と満足」を普遍的に提供することを経営の基本方針としております。また事業領域を「快適環境の創造」と定義し、業務用空調機器を中核にしながら、建物に関わる各種事業へ業容拡大を目指しております。 (2) 目標とする経営指標当社グループは、中期経営計画にて資本コスト経営を事業運営の軸としていくことを明示し、目標とする経営指標をROE10%以上・PBR1倍以上と設定したうえで、資本コストと資本収益性を意識した経営を進めることとしております。 (3) 経営環境① 当社の主力事業領域空調システムは、大きく家庭用と業務用に分けることができます。業務用は、事務所、工場、病院、ホテル、商業施設などを指し、建物の規模によって空調方式を使い分けます。大規模な建物で採用されるセントラル空調は、建物を一体のシステムと捉える空調方式です。熱源機器を集中設置してまとめて熱を作り、建物全体に循環させて空調します。それに対し中小規模の建物で採用される個別空調は、各部屋に室外機、室内機をセットで設置して、個々で熱を作って空調します。当社は両空調方式において、居室の温度、湿度、気流、清浄度をコントロールする業務用の空調機器のメーカーです。 ② 各方式の特徴と動向空調方式は、建物の規模や運用によって最適なものが選択されます。熱源機器を大型化して効率を上げ、システムを一括で制御するセントラル空調は、建物全体の管理や省エネルギーに適しています。一方、熱源機器を集中しても効率化されない規模の建物では、個々に制御でき、システムが簡易で利便性が高いと言われる個別空調が採用されます。 1) セントラル空調(大規模建物)大規模建物においては、エネルギー効率の面から古くよりセントラル空調が採用されてきました。近年、その簡易性から個別空調の採用が増加していましたが、「2050年カーボンニュートラル」に代表される地球環境の面から、セントラル空調が改めて注目されております。その大きなメリットの一つは、熱源からAHU(※)内までの熱の搬送に地球温暖化係数の高いフロンガスを使っていないという点にあります。AHUは自然冷媒である冷温水を使用して熱交換するため、気候変動関連で規制が強化されているフロンガスの使用量を削減することができ「カーボンニュートラル」に貢献いたします。空調分野において、熱の移動を媒介する冷媒ガス(以下、冷媒)には、古くはアンモニアや二酸化硫黄、20世紀半ば頃からは高効率かつ不燃性で毒性もないフロンが利用されておりました。ところが、フロンによるオゾン層破壊問題がクローズアップされ、1987年のモントリオール議定書によって特定フロンが規制されると、オゾン層を破壊しない代替フロンへの転換が始まりました。その後さらに、地球温暖化問題が顕在化し、1997年の京都議定書では先進国が、2015年のパリ協定では発展途上国を含む全ての国が温室効果ガスの削減に取り組むこととなり、温暖化係数の高い代替フロンに対する規制が全世界で進んでおります。セントラル空調には、その他にも、フロンガスにはできない精緻な温度・湿度制御ができる、上質な空気質を作ることができる、熱源をまとめて大型化するためエネルギー効率の高い運転ができる、機器がまとまって設置されているため保守性がよいなど、多くのメリットがあります。 ※ AHU…「Air Handling Unit」(エアハンドリングユニット)の略称。AHUは、セントラル空調方式の二次側機器として、熱源機器(一次側)で作られた冷温水を用いて空気の温度調整をするほか、湿度・清浄度・音・省エネ性・振動・気流などをコントロールし、建物に最適な空気を提供する製品です。 2) 個別空調(中小規模建物)中小規模の建物においては、簡易性、利便性に加え、エネルギーの効率からも個別空調が採用されており、今後も続くものと思われます。個別空調で使用される機器についても高効率化は進んでおり、今後は地球温暖化係数のより低い冷媒への転換が進むことで、従来の利便性に加え製品の環境性も向上していく見込みです。 ③ 当社製品の役割当社の主力製品は、セントラル空調で使用されるAHU、ファンコイルユニット(FCU)です。大型のAHUはフロア全体の換気・空調を、小型のFCUは各部屋の空調を行います。セントラル空調は建物用途に合わせて個々に設計されるため、そこで採用される製品もその要求仕様に合わせて一品一様で設計・製造されますが、当社は特にAHUに強みを持っております。また個別空調で使用されるヒートポンプAHUも主力製品の一部です。セントラル空調と比べると簡易的なシステムが構築されるため、採用される製品も汎用品が多くなりますが、建物の換気・空調を行うヒートポンプAHUには固有の要求仕様が多く、当社がセントラル空調分野で蓄積してきたノウハウを存分に活かすことができます。 ④ 業界構造一定以上の規模の業務用建物の工事において、空調機器は建築工程に合わせて納入、設置されます。発注主としてディベロッパーなどの施主、建物の設計をする設計事務所、建築工事として全体を束ねるゼネコン、設備工事を請けるサブコンを中心に多くの企業が関わり、工事が進められます。サブコンにはそれぞれの専門分野があり、熱源、空調、計装の各メーカーは、空調設備工事を担当するサブコンに対して製品を納入します。従いまして当社の事業は、主にサブコンから発注を受け、製造した空調機器を建物の工期に合わせて建築現場に納入するという流れで進められます。 (4) 中長期的な会社の経営戦略当社グループは、少子高齢化に伴う労働者不足や気候変動問題への対応など、ESG経営・SDGsへの取り組みを通じて、持続的に発展できる企業グループとして更なる成長を遂げるため中期経営計画を策定しております。資本コスト経営を採用し、2027年3月期に連結売上高600億円・連結営業利益100億円ならびにROE10%以上・PBR1倍以上の達成を目標と定め以下の経営戦略を進めてまいります。 ① 当社グループが提供する価値と強み1) 高い環境価値空調は建物のなかで多くの電力を消費する機能であり、その効率向上は建物の環境性向上に貢献します。主力製品である冷温水を用いるAHUは、地球温暖化係数の高いフロンガスの使用量が少ないシステムであり、温室効果ガスの低減に貢献します。ファン効率やコイルの熱交換効率がもたらす省エネ性の追求のほか、外板のノンフロン発泡、溶接レス、塗装レスなど製品の作り方も見直し、より良い環境性の提供を目指して研究開発を強化しております。2) 空調による建物の価値向上空調は建物の重要な機能の一つです。居住空間では温度や湿度のコントロールを間違えると、快適性が損なわれ建物自体の価値を低下させます。工場では空気の清浄度や温湿度管理によって生産能力や製品の品質が左右されます。データセンターでは24時間の安定稼働が求められます。様々な建物で要求される空気条件を満たし、空調を通じ、建物の価値向上に貢献することが当社グループの提供する価値です。3) 信頼性の高い稼働と充実したサービスによるお客様体験AHUをはじめ当社グループの製品が納まる建物には、工場や研究所、オフィスや商業施設などがあります。これらは収益や重要な機能を生み出すインフラであり、竣工に向けて厳格な工期管理が求められます。定められた工期ですべての設備を納めるためには、AHUの品質はもとより、施工過程で生じる技術的要求への対応力や様々な調整力が必要とされます。当社は、過去国内の代表的な建物に製品を納めてきたなかで、お客様とともに数々の挑戦とトラブル対応を含めた現場経験を共有してまいりました。高度な要求に応えなければならないお客様に対して、豊富な現場経験を経て高められた製品の品質と高水準のサポートやメンテナンスサービスを提供することで、信頼と満足を感じるお客様体験が当社グループの提供する価値です。 事業運営のなかでこれらの強みを磨き、お客様や社会に提供する価値を高めることが当社グループの事業基盤を形成しております。 ② SINKO Scalable Architecture(SSA)を軸にした新しい製品開発と製販体制製造・販売・製品開発を含めた事業のデジタル化を目指す「SINKO Scalable Architecture(以下「SSA」)」は、これまでの開発を経て3D-CADシステムが一部完成し段階的な実装を進めるフェーズに至りました。将来に渡って3D化を拡充し、従来の設計・製造指示やカスタマイズに必要な各種ノウハウがデジタル化され、上流の販売情報、設計、生産を一気通貫で融合した、革新的なAHU生産方式とすることを目指してまいります。これらSSAの中心でもあるSIMAをハブとして、社内外の様々な側面での価値創造を目指しております。設計の3D-CAD化・BOM化をベースに、設計・積算・調達・製造・物流の次世代化を進めております。具体的には、AI技術を活用し運用を開始した生産予約システムや当社独自の製品データベースをお客様ご自身で検索できるサービス「SINKOダイレクト」、製品本体のQRコードからメンテナンス情報にアクセスできる「SINKOかざしてメンテ」、画像認識技術を活用した社内図面検索システムの稼働、生成AI技術を用いた未利用技術データ検索システムのリリースなど、生産計画・積算・マーケティング・メンテナンス・技術データ活用などにおいて新しい変革が生まれております。また、製品組立工程に「ライン生産方式」を部分的に導入し、「セル生産方式」と併用して最適な生産体制を進めております。一方、事業継続プランを準備し、大規模地震などの災害が起こった場合の調達過程等の不確実性に備えております。さらに、物流の2024年問題の対策として全国の中継拠点を整備するなど、新しい物流システムの構築に取り組んでおります。これらによって当社グループの価値を総合的に引き上げ、中長期的に事業の発展性・収益性を高めてまいります。 研究開発においては、長年培ってきた実績・経験・ノウハウを活用し、引き続きコア技術(送風機・熱交換器)の高効率・コンパクト化の研究開発に注力し、環境負荷低減・CO₂削減・省エネルギー化のニーズに応えてまいります。また施工現場、生産現場での人手不足に対応するため、分割搬入・現地組立が可能な製品の設計や現場省力化の技術開発に努めてまいります。流体解析・シミュレーション技術活用等によって、製品の基幹部品は企業成長とカーボンニュートラルなどの社会貢献の2つの軸でNo.1を追求してまいります。 ③ ターゲット市場と成長戦略国内市場当社ではAHU市場を5つの重点分野に分け、それぞれのターゲットに合った販売戦略を立てております。5つの重点分野とは、大型ビル空調、産業空調、データセンター、更新案件、個別空調をいいます。それぞれのターゲットは固有の市場特性があり求められる技術要件も異なりますが、当社が培ってまいりましたノウハウをもって5つの分野にオールラウンドでアプローチしてまいります。そのなかでも、 (A)データセンター、(B)個別空調、(C)空調設備工事・メンテナンス、(D)再エネ蓄熱・水素冷却を成長領域のターゲットとして定めております。各ターゲットと想定する市場規模および経営戦略は以下のとおりです。 1) データセンター近年のAI技術の大幅な進化、サービスのクラウド化、5Gから6Gへの切り替えに伴う通信量の増大を背景として、国内市場においてデータセンターの建築需要が高まっています。特に、生成AIの登場を機にハイパースケーラーのデータセンターは、グローバルな大手テック企業を含め、積極的な投資を計画しており、今後も中長期的に増加する見込みです。当社の主力製品であるAHUが有する大風量で大きな熱負荷を処理できる能力は、データセンターのサーバー冷却に適しております。また、当社のグループ会社である日本ビー・エー・シー株式会社が取り扱っている大型冷却塔も、同様にサーバー冷却のための熱源として採用されております。データセンターのサーバーの冷却方式は、空冷から液冷に一定程度変わっていくと予測しておりますが、大型冷却塔はサーバーの冷却方式に関わらず必要な設備であり重要な事業と位置付けております。また、24時間安定稼働する品質と迅速な国内サービス体制など当社グループのバリューチェーンを活かした信頼性という価値提供を通じて、多くのハイパースケーラーのデータセンターで採用が進んでおります。それに合わせてデータセンター事業への人財増強を進めるとともに、神奈川工場内に、国内有数の規模でデータセンター向け空調機の試験ができる総合実験棟「SINKO AIR DEVELOPMENT LAB」及び同じくデータセンター向け大型冷却塔の実機の展示施設「BAC BASE」を開設いたしました。本ターゲットにおいては、2027年3月期で55億円としていた売上高目標に対し、2025年3月期において43億円を達成しております。2) 個別空調ヒートポンプAHUは、熱源と一体で提供されるため設計の容易さや設置工事の簡便さにおいて高い価値を有しており、中小規模の建物の空調やスポットでの空調に適しております。地球温暖化係数の高いフロンガスを用いるヒートポンプAHUは環境規制にさらされているものの、今後は環境性の高い新冷媒への切り替えが進むことで、従来のメリットを保持しながらその価値を高めていくと考えております。ヒートポンプAHUは、中小建物向け市場を開拓する戦略製品であり製品開発と販売強化に挑戦してまいります。本ターゲットにおいては、2027年3月期の目標としていた売上高30億円を前倒しで達成しております。 3) 空調設備工事・メンテナンス空調設備工事は、AHUやヒートポンプAHUなどの製品の据付工事や整備工事及びメンテナンス工事等を示しております。この市場では、当社グループ会社で空調工事を専門とする新晃アトモス株式会社が、当社製品のほか他社のAHU関連製品も扱う専門の工事会社として事業を続けてまいりました。大型の建物で使われるAHUの整備工事は、建物の重要な要素である空調の機能を左右するため、製品知識、工事技術、安全管理など高度なノウハウと現場経験が求められます。建築市場の拡大や更新需要の高まりを背景に、空調設備工事市場の規模は増大しており人手が常に不足している状態にあります。この分野での人財採用と育成が課題ですが、一方で収益性の高い成長が見込める市場と捉えております。働き方改革や社員の支援を強化し、従業員エンゲージメントを高めることで人財の確保と育成を進め、収益拡大を目指してまいります。本ターゲットにおいては、2027年3月期で126億円としていた売上高目標に対し、2025年3月期において123億円を達成しております。4) 再エネ蓄熱・水素冷却太陽光・風力・地熱・中小水力・バイオマスといった再生可能エネルギーは、温室効果ガスを排出せず、エネルギー安全保障にも寄与できる重要な国産エネルギー源です。これらは高い環境価値がある一方で、発電時間や発電量が安定しないという側面があります。日本ビー・エー・シー株式会社の製品である氷蓄熱は、余剰電力を冷熱として維持できることから、再生可能エネルギーを利用した発電を安定させる機能を有しています。今後拡大が見込まれる再生可能エネルギー市場に対して蓄熱機器の販売を強化し新しい市場の獲得に挑戦してまいります。これら再生可能エネルギーによって生成される水素は、酸素と結合し発電する際にも温室効果ガスを排出しないことから、グリーンなエネルギー循環社会を実現する媒体として期待されています。この水素の生成過程等において、当社グループの製品を用いた冷却需要があると見込んでおり販売活動を強化しております。本ターゲットは長期的なターゲットとしており、2027年3月期で7億円としていた売上高目標に対し、2025年3月期において2億円を達成しております。5) 更新需要東京オリンピックを境に控えられた建設投資は2021年度以降回復しており、産業空調並びに東京大阪を中心とした大型再開発などで新築物件が見込まれます。今後は納入後20~30年が経過したAHUの更新需要を中心としたストックビジネスへの移行が予測されます。更新物件については、高度経済成長期に建設された高層ビルの建て替えや1980~1990年代に建てられた施設の設備更新の時期がきております。例えば建設後50年が経過し、3度目の大規模更新を迎えた日本初の超高層ビルとして知られる霞が関ビル、1990年前後にオープンしたランドマークタワーや東京ドームなどは当社が継続的にAHU更新を行ってきた大規模建物の一例になります。また既設機器の保守サービスについて、これまでは都市圏での引合いが中心でしたが、需要は地方にも広がっております。その中には、過去に撤退した大手電機メーカー製AHUも多く含まれており、これまで以上に個々の現場に合わせた柔軟性と技術力が求められる状況になっております。これら更新案件で特別に求められる工事対応も多く、スピードや信頼性を強みとして更新案件の獲得を強化してまいります。 アジア市場アジア最大の市場である中国では、通商問題の深刻化や不動産市場の停滞を抱えつつも、インフラ整備による生産性向上や技術革新を重視する政策に支えられ、中長期的には製造業を中心とした内需拡大を予測しております。一方で、価格競争の厳しい市場であることから収益性は低迷しておりその向上が課題です。現地の市場における地産地消を進めるべく、日本側からの技術支援やノウハウ提供を行い販売面・製造面での差別化を訴求するほか、空調工事を含めた総合サービスを提示することで販売価格の引き上げと原価低減を実現し収益性の向上を目指してまいります。 ④ 投資戦略中期経営計画における業容拡大を実現するため生産能力の引き上げが必要です。購入した当社神奈川工場の隣接地に生産設備等の投資を行い、生産能力を引き上げ中期経営計画の実現を目指してまいります。また引き続き事業のデジタル化に対する投資を行い、強みの一層の向上と弱みの克服を行い、当社グループが市場に提供できる価値を高めてまいります。2025年3月期から2027年3月期までに135億円の投資を計画しており主な内訳は生産能力の増強とシステム投資です。 ⑤ ESG経営の推進環境面において、塗装や溶接の削減など生産工程での環境負荷低減を進めるほか、現場の省力化や省エネルギーを可能にする製品開発を進め、予測される気候変動リスクを緩和し事業機会の獲得を進めてまいります。また社会面においては人的資本経営を掲げ、挑戦を促す企業文化の定着を目指した人財育成、多様性を活かす安全で生き活きとした職場づくりの維持と発展に努めてまいります。ガバナンス面においては、取締役会の多様性確保、透明性の高い情報開示と投資家との健全な対話を通じて企業価値を向上してまいります。さらに、内部統制システムの整備やリスク管理とコンプライアンスの徹底を通じて、強い事業基盤をつくってまいります。 (5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当社グループは優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題を以下のとおり認識しております。 対処すべき課題① 中期経営計画「move.2027」の実現 ~資本コスト経営の浸透とワクワクの創造~当社グループは2023年11月に公表した中期経営計画「move.2027」において、ROE10%以上・PBR1倍以上を経営指標として掲げ、事業の軸として資本コスト経営を採用することといたしました。その目標達成のためには、空調機器の販売・製造を基盤事業として磨きつつ、新しいマーケットに挑戦するマインドと能力を持つ幹部人財の育成がカギとなります。気候変動やデジタルなどの環境変化のなかに機会を見いだし、持てる専門性を活かして挑戦を続ける幹部人財の育成に注力してまいります。前向きさのなかから生まれる従来の延長線を超えた発想と知恵で成功例を積み重ね、ワクワクしながら未来の自分達に向かって挑戦しているグループを目指してまいります。 ② 気候変動対応としてのセントラル空調及び個別空調気候変動問題は顧客の購買行動に大きな変化をもたらします。当社の主力製品であるAHUは、熱源からAHU内の熱の搬送に地球温暖化係数の高いフロンガスではなく、自然冷媒である冷温水を用いております。顧客要求に応えるAHUを提案し、温室効果ガスの使用量が少なく環境性の高いセントラル空調採用の建築物を増やしていくことに貢献してまいります。一方、個別空調で使用される機器は主にフロンガスが用いられますが、気候変動関連の規制強化の流れから、今後はより温暖化係数の低い冷媒への転換が進む見込みです。設計や施工の簡便性において価値を有する個別空調に、環境価値を高める新冷媒対応を加えることでその製品価値をさらに引き上げてまいります。 ③ 5つの重点ターゲットとSSA当社ではAHU市場を5つの重点分野に分け、それぞれのターゲットに合った販売戦略を立てております。5つの重点分野とは、大型ビル空調、産業空調、データセンター、更新案件、個別空調をいいます。それぞれのターゲットは、固有の市場特性があり、求められる技術要件も異なりますが、当社が培ってまいりましたノウハウをもって5つの分野にオールラウンドでアプローチしてまいります。SSAのハブであるSIMAプロジェクトでは、事業全般のプロセス変革を目指しております。3D-CAD化・BOM化を通じた設計・製造プロセスの効率化、新しい生産予約システムによる生産の平準化、当社製品データの検索サービス「SINKOダイレクト」を通じたデジタルマーケティングの実現、製品にあるQRコードからスマホでメンテナンス情報にアクセスできる「SINKOかざしてメンテ」、AI技術を用いた積算の自動化、画像認識技術を応用した社内技術情報検索など、設計・製造・生産計画・マーケティング・メンテナンス・積算・情報活用など多様な側面で社内外への新しい価値提供が始まっております。今後もSIMAプロジェクトによる事業の益々の進化を狙ってまいります。 ④ 生産方式の進化1) 生産能力の引き上げと事業のデジタル化中期経営計画実現のため、神奈川工場の生産能力の段階的な引き上げを計画しております。購入した同工場の隣接地に新しい生産設備等を導入し中期経営計画に沿った生産体制構築のための投資を実行いたします。労働者の不足・労務費の上昇は技術・製造分野で顕著になっております。また近年の生産現場は外国人労働者が増加し、伝統的な阿吽の呼吸によるものづくりは限界を迎えております。当社が強みとする個々の現場への対応力をさらに高めるには、個人の習熟度合いに左右されない業務体制の確立が急務であり、そのためには顧客要望やそれに伴う設計・製造指示、カスタマイズに必要な各種ノウハウなどのデジタル化による業務プロセスのイノベーションが必須になります。SSAを確実に推進し、需要予測の精度向上、設計工程の見直し、造り方改革、生産工程を効率化するAI開発などを通して、労働集約型工場からの脱却を進めてまいります。 2) 総合品質の向上製品品質の更なる追求に加え、多種多様な要望に対応する個別設計・生産、建築現場の要望に沿った納期対応、納品後の保守サービスなどに積極的にデジタル投資を行い、グループを挙げて総合的な品質を向上させ、お客様に対しより大きな安心を提供できるよう努めてまいります。 ⑤ 需要予測と納期管理サービス多品種少量生産の枠組で製造されるAHUは、それぞれに異なる建物の空調ニーズに応じた能力が求められる製品です。部材手配からラインの組み替えまで、生産現場が柔軟に対応する必要があり、量産メーカーにとっては高い障壁となります。より困難なことは、月によって出荷のバラつきが大きく、生産量を安定させられない点にあります。当社は、建物の計画段階から設計を手伝う業界最大の上流営業部門を構え、早期に案件情報を獲得し、共有された情報による需要予測を行っております。新築案件、納入実績からの更新案件、短納期が多い小口案件などの生産要求を適切に調整するため、SIMAプロジェクトの一環として生産予約システムを2024年4月に稼働させました。生産量を安定させるとともに、お客様に納期情報提供できる仕組みを構築しております。 ⑥ 海外事業の安定化アジア市場において、中国現地法人では採算性を重視した販売戦略への切り替えや原価管理の強化によって、収益の改善が進んでおります。継続的に利益を確保できる体制構築を進めるため、国内事業で蓄積してきたノウハウを現地ニーズに合致・深化させ、製品改良や現地法人の技術者の育成など、事業基盤の安定に注力してまいります。 ⑦ 人的資本経営と従業員エンゲージメントの向上資本コスト経営実現のため、挑戦を促す企業文化の定着が必要と考えております。また、社員の成長が企業価値の向上につながるとの考えのもと、新入社員研修、社内技術講習、AI/DX講習、幹部向け経営セミナーなどの教育機会を充実させております。また、多様な人財が活躍できる組織をつくるため、ダイバーシティ推進委員会を設立し、国籍・性別・世代の異なる意見を取り入れ社内の制度改定に反映しております。特に、女性や外国人社員の活躍を推進することで、経営層と幹部層の活性化を進めてまいります。定期的にストレスチェックを行い組織の問題点を洗い出し、分析結果を職場環境等の改善に活かし従業員エンゲージメントを向上させてまいります。このような施策によって社員の能力と品格を引き上げ、人的資本の質を高めることで企業価値向上を目指してまいります。 ⑧ 次世代の成長市場の探索と新しい事業機会への投資資本収益性を高めるためには、事業から生まれる利益を新しい成長分野に再投資し続けることが必要です。長期的に拡大する市場や新技術の探索・分析を継続的に行い、新しい市場への挑戦と新事業の創造に取り組んでまいります。また、新規ターゲットへの挑戦においては、共通の価値創造を目指すパートナーとの協業・提携の可能性を積極的に取り込んでまいります。 財務上の課題① 株主還元の強化と負債・資本のリバランス2023年11月に公表した中期経営計画「move.2027」にて、2025年3月期からの配当性向を50%に引き上げ、かつ、業績悪化のタイミングにおいてもDOE3.5%を下回らないことを配当政策といたしました。また、2025年3月期から約5年間で100億円を上限とする自己株式の取得を行うこととしております。なお、2025年3月13日、当該自己株式の取得資金として、2030年満期ユーロ円建取得条項付転換社債型新株予約権付社債の発行を決議し、負債と資本のバランスの適正化も進めてまいりました。 ② 政策保有株の売却当社グループは、政策保有株の保有継続について、資本業務提携や強い取引関係の存在など、保有することにビジネス上の合理的な理由がある場合を除き、売却を進める方針としており、これまでも保有株の売却を進めてまいりました。今後も、政策保有株の保有については、継続的に協議を行い適正に判断・対処してまいります。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針当社グループは「豊かな創造力と誇れる品質」を経営理念とし、顧客をはじめ社会や社員に対し「信頼と満足」を普遍的に提供することを経営の基本方針としております。また事業領域を「快適環境の創造」と定義し、業務用空調機器を中核にしながら、建物に関わる各種事業へ業容拡大を目指しております。 (2) 目標とする経営指標当社グループは、中期経営計画にて資本コスト経営を事業運営の軸としていくことを明示し、目標とする経営指標をROE10%以上・PBR1倍以上と設定したうえで、資本コストと資本収益性を意識した経営を進めることとしております。 (3) 経営環境① 当社の主力事業領域空調システムは、大きく家庭用と業務用に分けることができます。業務用は、事務所、工場、病院、ホテル、商業施設などを指し、建物の規模によって空調方式を使い分けます。大規模な建物で採用されるセントラル空調は、建物を一体のシステムと捉える空調方式です。熱源機器を集中設置してまとめて熱を作り、建物全体に循環させて空調します。それに対し中小規模の建物で採用される個別空調は、各部屋に室外機、室内機をセットで設置して、個々で熱を作って空調します。当社は両空調方式において、居室の温度、湿度、気流、清浄度をコントロールする業務用の空調機器のメーカーです。 ② 各方式の特徴と動向空調方式は、建物の規模や運用によって最適なものが選択されます。熱源機器を大型化して効率を上げ、システムを一括で制御するセントラル空調は、建物全体の管理や省エネルギーに適しています。一方、熱源機器を集中しても効率化されない規模の建物では、個々に制御でき、システムが簡易で利便性が高いと言われる個別空調が採用されます。 1) セントラル空調(大規模建物)大規模建物においては、エネルギー効率の面から古くよりセントラル空調が採用されてきました。近年、その簡易性から個別空調の採用が増加していましたが、「2050年カーボンニュートラル」に代表される地球環境の面から、セントラル空調が改めて注目されております。その大きなメリットの一つは、熱源からAHU(※)内までの熱の搬送に地球温暖化係数の高いフロンガスを使っていないという点にあります。AHUは自然冷媒である冷温水を使用して熱交換するため、気候変動関連で規制が強化されているフロンガスの使用量を削減することができ「カーボンニュートラル」に貢献いたします。空調分野において、熱の移動を媒介する冷媒ガス(以下、冷媒)には、古くはアンモニアや二酸化硫黄、20世紀半ば頃からは高効率かつ不燃性で毒性もないフロンが利用されておりました。ところが、フロンによるオゾン層破壊問題がクローズアップされ、1987年のモントリオール議定書によって特定フロンが規制されると、オゾン層を破壊しない代替フロンへの転換が始まりました。その後さらに、地球温暖化問題が顕在化し、1997年の京都議定書では先進国が、2015年のパリ協定では発展途上国を含む全ての国が温室効果ガスの削減に取り組むこととなり、温暖化係数の高い代替フロンに対する規制が全世界で進んでおります。セントラル空調には、その他にも、フロンガスにはできない精緻な温度・湿度制御ができる、上質な空気質を作ることができる、熱源をまとめて大型化するためエネルギー効率の高い運転ができる、機器がまとまって設置されているため保守性がよいなど、多くのメリットがあります。 ※ AHU…「Air Handling Unit」(エアハンドリングユニット)の略称。AHUは、セントラル空調方式の二次側機器として、熱源機器(一次側)で作られた冷温水を用いて空気の温度調整をするほか、湿度・清浄度・音・省エネ性・振動・気流などをコントロールし、建物に最適な空気を提供する製品です。 2) 個別空調(中小規模建物)中小規模の建物においては、簡易性、利便性に加え、エネルギーの効率からも個別空調が採用されており、今後も続くものと思われます。個別空調で使用される機器についても高効率化は進んでおり、今後は地球温暖化係数のより低い冷媒への転換が進むことで、従来の利便性に加え製品の環境性も向上していく見込みです。 ③ 当社製品の役割当社の主力製品は、セントラル空調で使用されるAHU、ファンコイルユニット(FCU)です。大型のAHUはフロア全体の換気・空調を、小型のFCUは各部屋の空調を行います。セントラル空調は建物用途に合わせて個々に設計されるため、そこで採用される製品もその要求仕様に合わせて一品一様で設計・製造されますが、当社は特にAHUに強みを持っております。また個別空調で使用されるヒートポンプAHUも主力製品の一部です。セントラル空調と比べると簡易的なシステムが構築されるため、採用される製品も汎用品が多くなりますが、建物の換気・空調を行うヒートポンプAHUには固有の要求仕様が多く、当社がセントラル空調分野で蓄積してきたノウハウを存分に活かすことができます。 ④ 業界構造一定以上の規模の業務用建物の工事において、空調機器は建築工程に合わせて納入、設置されます。発注主としてディベロッパーなどの施主、建物の設計をする設計事務所、建築工事として全体を束ねるゼネコン、設備工事を請けるサブコンを中心に多くの企業が関わり、工事が進められます。サブコンにはそれぞれの専門分野があり、熱源、空調、計装の各メーカーは、空調設備工事を担当するサブコンに対して製品を納入します。従いまして当社の事業は、主にサブコンから発注を受け、製造した空調機器を建物の工期に合わせて建築現場に納入するという流れで進められます。 (4) 中長期的な会社の経営戦略当社グループは、少子高齢化に伴う労働者不足や気候変動問題への対応など、ESG経営・SDGsへの取り組みを通じて、持続的に発展できる企業グループとして更なる成長を遂げるため中期経営計画を策定しております。資本コスト経営を採用し、2027年3月期に連結売上高600億円・連結営業利益100億円ならびにROE10%以上・PBR1倍以上の達成を目標と定め以下の経営戦略を進めてまいります。 ① 当社グループが提供する価値と強み1) 高い環境価値空調は建物のなかで多くの電力を消費する機能であり、その効率向上は建物の環境性向上に貢献します。主力製品である冷温水を用いるAHUは、地球温暖化係数の高いフロンガスの使用量が少ないシステムであり、温室効果ガスの低減に貢献します。ファン効率やコイルの熱交換効率がもたらす省エネ性の追求のほか、外板のノンフロン発泡、溶接レス、塗装レスなど製品の作り方も見直し、より良い環境性の提供を目指して研究開発を強化しております。2) 空調による建物の価値向上空調は建物の重要な機能の一つです。居住空間では温度や湿度のコントロールを間違えると、快適性が損なわれ建物自体の価値を低下させます。工場では空気の清浄度や温湿度管理によって生産能力や製品の品質が左右されます。データセンターでは24時間の安定稼働が求められます。様々な建物で要求される空気条件を満たし、空調を通じ、建物の価値向上に貢献することが当社グループの提供する価値です。3) 信頼性の高い稼働と充実したサービスによるお客様体験AHUをはじめ当社グループの製品が納まる建物には、工場や研究所、オフィスや商業施設などがあります。これらは収益や重要な機能を生み出すインフラであり、竣工に向けて厳格な工期管理が求められます。定められた工期ですべての設備を納めるためには、AHUの品質はもとより、施工過程で生じる技術的要求への対応力や様々な調整力が必要とされます。当社は、過去国内の代表的な建物に製品を納めてきたなかで、お客様とともに数々の挑戦とトラブル対応を含めた現場経験を共有してまいりました。高度な要求に応えなければならないお客様に対して、豊富な現場経験を経て高められた製品の品質と高水準のサポートやメンテナンスサービスを提供することで、信頼と満足を感じるお客様体験が当社グループの提供する価値です。 事業運営のなかでこれらの強みを磨き、お客様や社会に提供する価値を高めることが当社グループの事業基盤を形成しております。 ② SINKO Scalable Architecture(SSA)を軸にした新しい製品開発と製販体制製造・販売・製品開発を含めた事業のデジタル化を目指す「SINKO Scalable Architecture(以下「SSA」)」は、これまでの開発を経て3D-CADシステムが一部完成し段階的な実装を進めるフェーズに至りました。将来に渡って3D化を拡充し、従来の設計・製造指示やカスタマイズに必要な各種ノウハウがデジタル化され、上流の販売情報、設計、生産を一気通貫で融合した、革新的なAHU生産方式とすることを目指してまいります。これらSSAの中心でもあるSIMAをハブとして、社内外の様々な側面での価値創造を目指しております。設計の3D-CAD化・BOM化をベースに、設計・積算・調達・製造・物流の次世代化を進めております。具体的には、AI技術を活用し運用を開始した生産予約システムや当社独自の製品データベースをお客様ご自身で検索できるサービス「SINKOダイレクト」、製品本体のQRコードからメンテナンス情報にアクセスできる「SINKOかざしてメンテ」、画像認識技術を活用した社内図面検索システムの稼働、生成AI技術を用いた未利用技術データ検索システムのリリースなど、生産計画・積算・マーケティング・メンテナンス・技術データ活用などにおいて新しい変革が生まれております。また、製品組立工程に「ライン生産方式」を部分的に導入し、「セル生産方式」と併用して最適な生産体制を進めております。一方、事業継続プランを準備し、大規模地震などの災害が起こった場合の調達過程等の不確実性に備えております。さらに、物流の2024年問題の対策として全国の中継拠点を整備するなど、新しい物流システムの構築に取り組んでおります。これらによって当社グループの価値を総合的に引き上げ、中長期的に事業の発展性・収益性を高めてまいります。 研究開発においては、長年培ってきた実績・経験・ノウハウを活用し、引き続きコア技術(送風機・熱交換器)の高効率・コンパクト化の研究開発に注力し、環境負荷低減・CO₂削減・省エネルギー化のニーズに応えてまいります。また施工現場、生産現場での人手不足に対応するため、分割搬入・現地組立が可能な製品の設計や現場省力化の技術開発に努めてまいります。流体解析・シミュレーション技術活用等によって、製品の基幹部品は企業成長とカーボンニュートラルなどの社会貢献の2つの軸でNo.1を追求してまいります。 ③ ターゲット市場と成長戦略国内市場当社ではAHU市場を5つの重点分野に分け、それぞれのターゲットに合った販売戦略を立てております。5つの重点分野とは、大型ビル空調、産業空調、データセンター、更新案件、個別空調をいいます。それぞれのターゲットは固有の市場特性があり求められる技術要件も異なりますが、当社が培ってまいりましたノウハウをもって5つの分野にオールラウンドでアプローチしてまいります。そのなかでも、 (A)データセンター、(B)個別空調、(C)空調設備工事・メンテナンス、(D)再エネ蓄熱・水素冷却を成長領域のターゲットとして定めております。各ターゲットと想定する市場規模および経営戦略は以下のとおりです。 1) データセンター近年のAI技術の大幅な進化、サービスのクラウド化、5Gから6Gへの切り替えに伴う通信量の増大を背景として、国内市場においてデータセンターの建築需要が高まっています。特に、生成AIの登場を機にハイパースケーラーのデータセンターは、グローバルな大手テック企業を含め、積極的な投資を計画しており、今後も中長期的に増加する見込みです。当社の主力製品であるAHUが有する大風量で大きな熱負荷を処理できる能力は、データセンターのサーバー冷却に適しております。また、当社のグループ会社である日本ビー・エー・シー株式会社が取り扱っている大型冷却塔も、同様にサーバー冷却のための熱源として採用されております。データセンターのサーバーの冷却方式は、空冷から液冷に一定程度変わっていくと予測しておりますが、大型冷却塔はサーバーの冷却方式に関わらず必要な設備であり重要な事業と位置付けております。また、24時間安定稼働する品質と迅速な国内サービス体制など当社グループのバリューチェーンを活かした信頼性という価値提供を通じて、多くのハイパースケーラーのデータセンターで採用が進んでおります。それに合わせてデータセンター事業への人財増強を進めるとともに、神奈川工場内に、国内有数の規模でデータセンター向け空調機の試験ができる総合実験棟「SINKO AIR DEVELOPMENT LAB」及び同じくデータセンター向け大型冷却塔の実機の展示施設「BAC BASE」を開設いたしました。本ターゲットにおいては、2027年3月期で55億円としていた売上高目標に対し、2025年3月期において43億円を達成しております。2) 個別空調ヒートポンプAHUは、熱源と一体で提供されるため設計の容易さや設置工事の簡便さにおいて高い価値を有しており、中小規模の建物の空調やスポットでの空調に適しております。地球温暖化係数の高いフロンガスを用いるヒートポンプAHUは環境規制にさらされているものの、今後は環境性の高い新冷媒への切り替えが進むことで、従来のメリットを保持しながらその価値を高めていくと考えております。ヒートポンプAHUは、中小建物向け市場を開拓する戦略製品であり製品開発と販売強化に挑戦してまいります。本ターゲットにおいては、2027年3月期の目標としていた売上高30億円を前倒しで達成しております。 3) 空調設備工事・メンテナンス空調設備工事は、AHUやヒートポンプAHUなどの製品の据付工事や整備工事及びメンテナンス工事等を示しております。この市場では、当社グループ会社で空調工事を専門とする新晃アトモス株式会社が、当社製品のほか他社のAHU関連製品も扱う専門の工事会社として事業を続けてまいりました。大型の建物で使われるAHUの整備工事は、建物の重要な要素である空調の機能を左右するため、製品知識、工事技術、安全管理など高度なノウハウと現場経験が求められます。建築市場の拡大や更新需要の高まりを背景に、空調設備工事市場の規模は増大しており人手が常に不足している状態にあります。この分野での人財採用と育成が課題ですが、一方で収益性の高い成長が見込める市場と捉えております。働き方改革や社員の支援を強化し、従業員エンゲージメントを高めることで人財の確保と育成を進め、収益拡大を目指してまいります。本ターゲットにおいては、2027年3月期で126億円としていた売上高目標に対し、2025年3月期において123億円を達成しております。4) 再エネ蓄熱・水素冷却太陽光・風力・地熱・中小水力・バイオマスといった再生可能エネルギーは、温室効果ガスを排出せず、エネルギー安全保障にも寄与できる重要な国産エネルギー源です。これらは高い環境価値がある一方で、発電時間や発電量が安定しないという側面があります。日本ビー・エー・シー株式会社の製品である氷蓄熱は、余剰電力を冷熱として維持できることから、再生可能エネルギーを利用した発電を安定させる機能を有しています。今後拡大が見込まれる再生可能エネルギー市場に対して蓄熱機器の販売を強化し新しい市場の獲得に挑戦してまいります。これら再生可能エネルギーによって生成される水素は、酸素と結合し発電する際にも温室効果ガスを排出しないことから、グリーンなエネルギー循環社会を実現する媒体として期待されています。この水素の生成過程等において、当社グループの製品を用いた冷却需要があると見込んでおり販売活動を強化しております。本ターゲットは長期的なターゲットとしており、2027年3月期で7億円としていた売上高目標に対し、2025年3月期において2億円を達成しております。5) 更新需要東京オリンピックを境に控えられた建設投資は2021年度以降回復しており、産業空調並びに東京大阪を中心とした大型再開発などで新築物件が見込まれます。今後は納入後20~30年が経過したAHUの更新需要を中心としたストックビジネスへの移行が予測されます。更新物件については、高度経済成長期に建設された高層ビルの建て替えや1980~1990年代に建てられた施設の設備更新の時期がきております。例えば建設後50年が経過し、3度目の大規模更新を迎えた日本初の超高層ビルとして知られる霞が関ビル、1990年前後にオープンしたランドマークタワーや東京ドームなどは当社が継続的にAHU更新を行ってきた大規模建物の一例になります。また既設機器の保守サービスについて、これまでは都市圏での引合いが中心でしたが、需要は地方にも広がっております。その中には、過去に撤退した大手電機メーカー製AHUも多く含まれており、これまで以上に個々の現場に合わせた柔軟性と技術力が求められる状況になっております。これら更新案件で特別に求められる工事対応も多く、スピードや信頼性を強みとして更新案件の獲得を強化してまいります。 アジア市場アジア最大の市場である中国では、通商問題の深刻化や不動産市場の停滞を抱えつつも、インフラ整備による生産性向上や技術革新を重視する政策に支えられ、中長期的には製造業を中心とした内需拡大を予測しております。一方で、価格競争の厳しい市場であることから収益性は低迷しておりその向上が課題です。現地の市場における地産地消を進めるべく、日本側からの技術支援やノウハウ提供を行い販売面・製造面での差別化を訴求するほか、空調工事を含めた総合サービスを提示することで販売価格の引き上げと原価低減を実現し収益性の向上を目指してまいります。 ④ 投資戦略中期経営計画における業容拡大を実現するため生産能力の引き上げが必要です。購入した当社神奈川工場の隣接地に生産設備等の投資を行い、生産能力を引き上げ中期経営計画の実現を目指してまいります。また引き続き事業のデジタル化に対する投資を行い、強みの一層の向上と弱みの克服を行い、当社グループが市場に提供できる価値を高めてまいります。2025年3月期から2027年3月期までに135億円の投資を計画しており主な内訳は生産能力の増強とシステム投資です。 ⑤ ESG経営の推進環境面において、塗装や溶接の削減など生産工程での環境負荷低減を進めるほか、現場の省力化や省エネルギーを可能にする製品開発を進め、予測される気候変動リスクを緩和し事業機会の獲得を進めてまいります。また社会面においては人的資本経営を掲げ、挑戦を促す企業文化の定着を目指した人財育成、多様性を活かす安全で生き活きとした職場づくりの維持と発展に努めてまいります。ガバナンス面においては、取締役会の多様性確保、透明性の高い情報開示と投資家との健全な対話を通じて企業価値を向上してまいります。さらに、内部統制システムの整備やリスク管理とコンプライアンスの徹底を通じて、強い事業基盤をつくってまいります。 (5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当社グループは優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題を以下のとおり認識しております。 対処すべき課題① 中期経営計画「move.2027」の実現 ~資本コスト経営の浸透とワクワクの創造~当社グループは2023年11月に公表した中期経営計画「move.2027」において、ROE10%以上・PBR1倍以上を経営指標として掲げ、事業の軸として資本コスト経営を採用することといたしました。その目標達成のためには、空調機器の販売・製造を基盤事業として磨きつつ、新しいマーケットに挑戦するマインドと能力を持つ幹部人財の育成がカギとなります。気候変動やデジタルなどの環境変化のなかに機会を見いだし、持てる専門性を活かして挑戦を続ける幹部人財の育成に注力してまいります。前向きさのなかから生まれる従来の延長線を超えた発想と知恵で成功例を積み重ね、ワクワクしながら未来の自分達に向かって挑戦しているグループを目指してまいります。 ② 気候変動対応としてのセントラル空調及び個別空調気候変動問題は顧客の購買行動に大きな変化をもたらします。当社の主力製品であるAHUは、熱源からAHU内の熱の搬送に地球温暖化係数の高いフロンガスではなく、自然冷媒である冷温水を用いております。顧客要求に応えるAHUを提案し、温室効果ガスの使用量が少なく環境性の高いセントラル空調採用の建築物を増やしていくことに貢献してまいります。一方、個別空調で使用される機器は主にフロンガスが用いられますが、気候変動関連の規制強化の流れから、今後はより温暖化係数の低い冷媒への転換が進む見込みです。設計や施工の簡便性において価値を有する個別空調に、環境価値を高める新冷媒対応を加えることでその製品価値をさらに引き上げてまいります。 ③ 5つの重点ターゲットとSSA当社ではAHU市場を5つの重点分野に分け、それぞれのターゲットに合った販売戦略を立てております。5つの重点分野とは、大型ビル空調、産業空調、データセンター、更新案件、個別空調をいいます。それぞれのターゲットは、固有の市場特性があり、求められる技術要件も異なりますが、当社が培ってまいりましたノウハウをもって5つの分野にオールラウンドでアプローチしてまいります。SSAのハブであるSIMAプロジェクトでは、事業全般のプロセス変革を目指しております。3D-CAD化・BOM化を通じた設計・製造プロセスの効率化、新しい生産予約システムによる生産の平準化、当社製品データの検索サービス「SINKOダイレクト」を通じたデジタルマーケティングの実現、製品にあるQRコードからスマホでメンテナンス情報にアクセスできる「SINKOかざしてメンテ」、AI技術を用いた積算の自動化、画像認識技術を応用した社内技術情報検索など、設計・製造・生産計画・マーケティング・メンテナンス・積算・情報活用など多様な側面で社内外への新しい価値提供が始まっております。今後もSIMAプロジェクトによる事業の益々の進化を狙ってまいります。 ④ 生産方式の進化1) 生産能力の引き上げと事業のデジタル化中期経営計画実現のため、神奈川工場の生産能力の段階的な引き上げを計画しております。購入した同工場の隣接地に新しい生産設備等を導入し中期経営計画に沿った生産体制構築のための投資を実行いたします。労働者の不足・労務費の上昇は技術・製造分野で顕著になっております。また近年の生産現場は外国人労働者が増加し、伝統的な阿吽の呼吸によるものづくりは限界を迎えております。当社が強みとする個々の現場への対応力をさらに高めるには、個人の習熟度合いに左右されない業務体制の確立が急務であり、そのためには顧客要望やそれに伴う設計・製造指示、カスタマイズに必要な各種ノウハウなどのデジタル化による業務プロセスのイノベーションが必須になります。SSAを確実に推進し、需要予測の精度向上、設計工程の見直し、造り方改革、生産工程を効率化するAI開発などを通して、労働集約型工場からの脱却を進めてまいります。 2) 総合品質の向上製品品質の更なる追求に加え、多種多様な要望に対応する個別設計・生産、建築現場の要望に沿った納期対応、納品後の保守サービスなどに積極的にデジタル投資を行い、グループを挙げて総合的な品質を向上させ、お客様に対しより大きな安心を提供できるよう努めてまいります。 ⑤ 需要予測と納期管理サービス多品種少量生産の枠組で製造されるAHUは、それぞれに異なる建物の空調ニーズに応じた能力が求められる製品です。部材手配からラインの組み替えまで、生産現場が柔軟に対応する必要があり、量産メーカーにとっては高い障壁となります。より困難なことは、月によって出荷のバラつきが大きく、生産量を安定させられない点にあります。当社は、建物の計画段階から設計を手伝う業界最大の上流営業部門を構え、早期に案件情報を獲得し、共有された情報による需要予測を行っております。新築案件、納入実績からの更新案件、短納期が多い小口案件などの生産要求を適切に調整するため、SIMAプロジェクトの一環として生産予約システムを2024年4月に稼働させました。生産量を安定させるとともに、お客様に納期情報提供できる仕組みを構築しております。 ⑥ 海外事業の安定化アジア市場において、中国現地法人では採算性を重視した販売戦略への切り替えや原価管理の強化によって、収益の改善が進んでおります。継続的に利益を確保できる体制構築を進めるため、国内事業で蓄積してきたノウハウを現地ニーズに合致・深化させ、製品改良や現地法人の技術者の育成など、事業基盤の安定に注力してまいります。 ⑦ 人的資本経営と従業員エンゲージメントの向上資本コスト経営実現のため、挑戦を促す企業文化の定着が必要と考えております。また、社員の成長が企業価値の向上につながるとの考えのもと、新入社員研修、社内技術講習、AI/DX講習、幹部向け経営セミナーなどの教育機会を充実させております。また、多様な人財が活躍できる組織をつくるため、ダイバーシティ推進委員会を設立し、国籍・性別・世代の異なる意見を取り入れ社内の制度改定に反映しております。特に、女性や外国人社員の活躍を推進することで、経営層と幹部層の活性化を進めてまいります。定期的にストレスチェックを行い組織の問題点を洗い出し、分析結果を職場環境等の改善に活かし従業員エンゲージメントを向上させてまいります。このような施策によって社員の能力と品格を引き上げ、人的資本の質を高めることで企業価値向上を目指してまいります。 ⑧ 次世代の成長市場の探索と新しい事業機会への投資資本収益性を高めるためには、事業から生まれる利益を新しい成長分野に再投資し続けることが必要です。長期的に拡大する市場や新技術の探索・分析を継続的に行い、新しい市場への挑戦と新事業の創造に取り組んでまいります。また、新規ターゲットへの挑戦においては、共通の価値創造を目指すパートナーとの協業・提携の可能性を積極的に取り込んでまいります。 財務上の課題① 株主還元の強化と負債・資本のリバランス2023年11月に公表した中期経営計画「move.2027」にて、2025年3月期からの配当性向を50%に引き上げ、かつ、業績悪化のタイミングにおいてもDOE3.5%を下回らないことを配当政策といたしました。また、2025年3月期から約5年間で100億円を上限とする自己株式の取得を行うこととしております。なお、2025年3月13日、当該自己株式の取得資金として、2030年満期ユーロ円建取得条項付転換社債型新株予約権付社債の発行を決議し、負債と資本のバランスの適正化も進めてまいりました。 ② 政策保有株の売却当社グループは、政策保有株の保有継続について、資本業務提携や強い取引関係の存在など、保有することにビジネス上の合理的な理由がある場合を除き、売却を進める方針としており、これまでも保有株の売却を進めてまいりました。今後も、政策保有株の保有については、継続的に協議を行い適正に判断・対処してまいります。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績の状況当連結会計年度におけるわが国の経済は、賃上げと投資がけん引する成長型経済の実現を目指すなか、企業収益の改善や設備投資の持ち直しの動きがみられるなど、緩やかな景気回復が続きました。当業界におきましては、製造拠点の国内回帰を背景とした産業空調や、大型再開発案件に伴うビル空調などへの投資が続いたほか、AIやクラウドサービスの拡大を見据えたデータセンターへの投資が広がりました。建設業界では、当期首より働き方改革が始まるなか、管工事設備工事会社において工事単価の引き上げ等が進んだことにより、その受注高は引き続き高水準で推移いたしました。こうした状況下、当社グループは、2027年3月期を最終年度とする中期経営計画「move.2027」を当期からスタートさせました。本中期経営計画では、資本コスト経営を事業運営の軸としていくことを明示し、目標とする経営指標も従来の連結営業利益からROE等に切り替え、資本コストと株価を意識した指標としております。こうしたなか、DXやAIを活用した生産計画の見える化・効率化への取り組みのほか、5つの重点ターゲットであるデータセンター、個別空調(ヒートポンプ空調機)、空調工事を含む更新案件、大型ビル、産業空調などの販売施策についても強化を進めてまいりました。 セグメントの業績は、次のとおりであります。<日 本>期首より取り組んできた生産平準化が通期で功を奏したほか、ターゲット市場であるデータセンターや空調設備工事の需要取り込みに努めた結果、売上高は49,768百万円(前連結会計年度比12.0%増)となりました。利益面におきましては、生産平準化による工場運営の効率化や、前期・当期に行った価格改定の効果が現れたほか、データセンターや空調設備工事などのターゲット市場において付加価値向上に尽力した結果、セグメント利益(営業利益)は10,228百万円(前連結会計年度比21.1%増)となりました。 <アジア>中国では、景況感の悪化や不動産市場の停滞に伴う影響を受けるなか、事業環境の厳しさと不透明感が増しております。こうした状況下、当連結会計年度におきましては、納期ズレにより膨らんだ前期からの反動減により、売上高は7,298百万円(前連結会計年度比3.2%減)となりました。利益面におきましては、製販両面での利益率向上の施策を進めたものの厳しい価格競争が続き、セグメント損失(営業損失)は283百万円(前連結会計年度はセグメント利益135百万円)となりました。 この結果、当社グループの売上高は57,005百万円(前連結会計年度比9.7%増)となりました。利益面におきましては、営業利益は9,986百万円(前連結会計年度比15.8%増)、経常利益は10,615百万円(前連結会計年度比16.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は7,829百万円(前連結会計年度比19.0%増)となりました。 また当社グループは、中期経営計画「move.2027」における資本コスト経営の指標として、ROE(自己資本利益率)を10%以上、PBR(株価純資産倍率)を1倍以上とする目標を当期より採用しております。当連結会計年度で、合計4,715百万円の自己株式の取得を行ったほか、2024年12月には、投資単位当たりの金額を引き下げ当社株式の流動性を高めるとともに、投資家層の拡大を図ることを目的として、普通株式1株につき3株の割合で株式分割を実施いたしました。加えて2025年3月には、自己株式の取得資金の調達手段として新株予約権付社債の発行を決議するなど、負債活用による大胆な資本構成の見直しを実行し、資本政策面でもROE向上に取り組んでまいりました。 以上のとおり、ターゲット市場における付加価値向上と株価対策・資本政策を進めた結果、当社グループの当連結会計年度におけるROEは12.8%(前連結会計年度比1.5ポイント増)となりました。また、2025年3月末におけるPBRは1.4倍となりました。 (2) 財政状態の状況当連結会計年度末の総資産は84,997百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,040百万円減少となりました。これは主に、現金及び預金の減少2,066百万円、有価証券の減少2,000百万円、建物及び構築物の増加1,499百万円等によるものであります。負債は20,716百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,413百万円減少となりました。これは主に、支払手形及び買掛金の増加1,294百万円、電子記録債務の減少4,580百万円等によるものであります。純資産は64,280百万円となり、前連結会計年度末に比べ373百万円増加となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上7,829百万円、剰余金の配当3,071百万円、自己株式の取得4,715百万円等によるものであります。 (3) キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2,097百万円減少し、当連結会計年度末には15,638百万円(前連結会計年度比11.8%減)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と主な要因は、次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における営業活動による資金の増加は5,740百万円(前連結会計年度比3,171百万円収入の減少)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益11,481百万円、仕入債務の減少3,761百万円、法人税等の支払3,127百万円等によるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における投資活動による資金の増加は261百万円(前連結会計年度は2,228百万円の支出)となりました。これは主に、有価証券の償還による収入2,000百万円、投資有価証券の売却及び償還による収入1,573百万円、有形固定資産の取得による支出3,046百万円等によるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における財務活動による資金の減少は8,151百万円(前連結会計年度比4,798百万円支出の増加)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出4,767百万円、配当金の支払い3,068百万円等によるものであります。 (4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析当連結会計年度における現金及び現金同等物は、営業活動による資金の増加及び投資活動による増加が6,001百万円となった一方、自己株式の取得による支出を主因に財務活動による資金の減少が8,151百万円となり、為替換算差額を含めると、前連結会計年度末に比べ2,097百万円減少し、当連結会計年度末の残高は15,638百万円となりました。この結果、正味運転資金(流動資産から流動負債を控除した金額)は32,773百万円となりました。 (キャッシュ・フロー指標のトレンド)回次第72期第73期第74期第75期第76期決算年月2021年3月2022年3月2023年3月2024年3月2025年3月自己資本比率(%)70.971.671.169.471.7時価ベースの自己資本比率(%)81.661.453.8108.8100.2キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)0.71.00.80.30.4インタレスト・カバレッジ・レシオ201.9126.0157.4411.9200.3 自己資本比率:自己資本 / 総資産時価ベースの自己資本比率:株式時価総額 / 総資産キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債 / キャッシュ・フローインタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー / 利払い (注) 1 各指標は、いずれも連結ベースでの財務数値により算出しております。2 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。3 キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。 翌連結会計年度の重要な資本的支出として、国内の生産設備への投資を予定しております。また、資金の調達源としては、自己資金を予定しております。 (5) 生産、受注及び販売の状況① 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)日本44,76011.9アジア7,4273.9合計52,18810.7 (注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。2 上記のほか建物設備全般の総合管理等を行っている連結子会社があります。3 金額は販売価格によっております。 ② 受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)日本30,119△4.017,507△1.7アジア2,344△60.62,562△16.5合計32,464△13.020,069△3.9 (注) 1 受注予測に基づく見込生産については、上記受注実績には含めておりません。2 上記のほか建物設備全般の総合管理等を行っている連結子会社があります。 ③ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)日本49,76812.0アジア7,237△3.7合計57,0059.7 (注) セグメント間取引については、相殺消去しております。 (6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。その作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いております。これらの見積り及び仮定は、過去の実績等を勘案し合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。