事業の概要
- 多角的な事業展開荏原製作所グループは、ポンプやタービンなどの機械製品から、ごみ焼却プラント、半導体製造装置まで、幅広い分野で製品の製造、販売、工事、保守、サービスを提供しています。これにより、特定の市場変動に左右されにくい安定した収益基盤を構築しています。
- 社会インフラを支える事業建築設備、産業設備、エネルギー、水インフラ、環境、精密・電子といった多岐にわたる事業を展開しており、社会の基盤を支える重要な役割を担っています。例えば、上下水道ポンプや都市ごみ焼却プラントは、人々の生活に不可欠なインフラを支えるものです。
- グローバルな事業体制日本国内だけでなく、子会社108社、関連会社3社、共同支配企業1社を含む広範なグループ会社を通じて、世界中で事業を展開しています。これにより、地域ごとのニーズに対応し、国際市場での競争力を高めています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 流体機械事業(Fluid Machinery And Systems)ポンプ、冷熱機械、送風機、コンプレッサ・タービン、クライオポンプなどを製造・販売し、建築設備、産業設備、エネルギー、水インフラなど幅広い分野に製品を提供しています。売上高は2,261.53億円と最も大きく、荏原製作所の基盤を支える事業ですが、営業利益は12.62億円と利益率は比較的低めです。
- 環境プラント事業(Environmental Plants)都市ごみ焼却プラントや産業廃棄物焼却プラント、水処理プラントのエンジニアリング、工事、運転、保守、薬品製造・販売を行っています。売上高は476.16億円ですが、営業利益は31.48億円と比較的高い利益率を誇り、社会の環境問題解決に貢献する事業です。
- 精密・電子事業(Precision Machinery)半導体製造に不可欠な真空ポンプ、CMP装置、めっき装置、排ガス処理装置の製造・販売・保守を手掛けています。売上高は1,073.69億円、営業利益は136.67億円と、最も高い利益率を上げており、半導体市場の成長を背景に荏原製作所の収益を牽引する重要な事業セグメントです。
FY2017 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| FluidMachineryAndSystems | 事業 | 2,262 | 13 | 0.6% |
| EnvironmentalPlants | 事業 | 476 | 31 | 6.6% |
| PrecisionMachinery | 事業 | 1,074 | 137 | 12.7% |
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3 【事業の内容】当社グループは、当社、子会社108社(うち連結子会社 108社)、関連会社3社及び共同支配企業1社より構成されています。当社を中心として5事業の各分野にわたり製造、販売、工事、保守、サービス等を行っています。主な事業内容と当社、主要な連結子会社及び関連会社並びに共同支配企業の機能及び分担は、以下のとおりです。なお、この事業区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.事業セグメント」に掲げるセグメント区分と同一です。事業区分対面市場主要製品機能・分担当社、主要な連結子会社及び関連会社並びに共同支配企業建築・産業建築設備、産業設備標準ポンプ(陸上ポンプ、水中ポンプ、給水ポンプ)、冷熱機械、送風機製造、販売及び保守当社㈱荏原風力機械荏原冷熱システム㈱EBARA BOMBAS AMÉRICA DO SUL LTDA.Ebara Pumps Europe S.p.A.EBARA PUMPS IBERIA, S.A.荏原冷熱システム(中国)有限公司Ebara Engineering Singapore Pte. Ltd.Vansan Makina Sanayi ve Ticaret A.S.EBARA HG Holdings Inc.EBARA PUMPS AMERICAS CORPORATION荏原機械(中国)有限公司エネルギー石油・ガス、電力、新エネルギーカスタムポンプ、コンプレッサ・タービン、クライオポンプ、エキスパンダ製造、販売及び保守当社㈱荏原エリオット嘉利特荏原ポンプ業有限公司 (注)1Elliott CompanyElliott Ebara Singapore Pte. Ltd.荏原機械淄博有限公司インフラ水インフラカスタムポンプ(農業用ポンプ、排水ポンプ、上下水道ポンプ)、トンネル用送風機製造、販売、運転及び保守当社㈱荏原電産環境固形廃棄物処理都市ごみ焼却プラント、産業廃棄物焼却プラント、水処理プラントエンジニアリング及び工事 荏原環境プラント㈱荏原環境工程(中国)有限公司水ing㈱ (注)2運転及び保守荏原環境プラント㈱水ing㈱ (注)2薬品製造及び販売水ing㈱ (注)2精密・電子半導体製造真空ポンプ、CMP装置、めっき装置、排ガス処理装置製造及び販売当社販売及び保守㈱荏原フィールドテックEbara Technologies Inc.上海荏原精密機械有限公司Ebara Precision Machinery Korea Inc.台湾荏原精密股份有限公司Ebara Precision Machinery Europe GmbHその他 -地域統括会社等荏原(中国)有限公司 (注)1.ポンプの中国語表記は石の下に水です。 2.持分法を適用した共同支配企業です。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 中程度 製品開発による差別化、S&S事業への注力、業務効率化による競争優位性の確保 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 カスタムポンプ、コンプレッサ・タービン、クライオポンプ、真空ポンプ、CMP装置などの専門技術 |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | 中程度 |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 中程度 |
会社が挙げる主要リスク:人材リスク / 国際情勢・地政学上のリスク / サプライチェーンリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 9 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
荏原製作所は、ポンプやコンプレッサーなどの産業機械分野で長年の実績と技術力を有するが、特定の強力なブランドや特許による独占的な地位は限定的。一部のニッチ分野での技術的優位性は存在するものの、広範な無形資産による競争優位性はまだ弱い。
スイッチングコスト★★☆☆☆
産業インフラやプラント向けの高付加価値製品は、導入後のメンテナンスや仕様の適合性から、顧客が他社製品へ容易に乗り換えにくい側面がある。しかし、汎用的なポンプ製品などではスイッチングコストはそれほど高くない。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
同社の事業モデルは、製品の利用者が増えることで価値が増すようなネットワーク効果を生み出す構造ではない。
コスト優位★★☆☆☆
長年の生産ノウハウやサプライチェーンの最適化により一定のコスト競争力はあるが、グローバルな競合他社と比較して圧倒的なコスト優位性を確立しているとは言えない。特に、人件費や原材料費の変動影響を受けやすい。
規模の経済★★★★☆
ポンプ、コンプレッサー、半導体製造装置などの主要事業において、グローバル市場で一定以上のシェアを確保しており、規模の経済による効率的な生産・販売体制を構築している。特にポンプ事業では世界有数の規模を誇る。
- 幅広い技術と製品ポートフォリオ荏原製作所は、標準ポンプからカスタムポンプ、冷熱機械、送風機、コンプレッサ・タービン、真空ポンプ、CMP装置など、非常に多岐にわたる製品と技術を持っています。これにより、多様な顧客ニーズに対応し、幅広い産業で事業を展開できる強みがあります。
- 社会インフラにおける実績と信頼水インフラや環境プラントといった分野では、長年の実績と高い技術力により、社会の重要なインフラを支える信頼性の高い製品・サービスを提供しています。これにより、公共性の高い事業において安定した受注基盤を築いていると考えられます。
- グローバルな事業展開力世界中に子会社や関連会社を展開し、製造、販売、保守、サービスをグローバルに行う体制が整っています。これにより、地域ごとの市場特性や顧客の要求に柔軟に対応し、国際競争力を維持・強化していると推測されます。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。 (1)経営方針① はじめに当社グループは、持続的な成長を確かなものにするため、常に10年程度の長期的な展望が不可欠であると考えています。2020年に策定した長期ビジョン「E-Vision2030」のターゲット期間が残り5年となったことから、同ビジョン以降に顕在化した社内外の環境変化を10年先の展望に反映させ、新たな長期ビジョン「E-Vision2035」を策定しました。 ② E-Vision2030の進捗と課題E-Vision2030の進捗については、社会・環境価値の提供及び経済価値の創出の両面で順調に進展しています。「6億人に水を届ける」や「CO₂約1億トン相当のGHG(Greenhouse Gas:温室効果ガス)削減」、「14Åへの挑戦」といったマテリアリティ解決に向けた取り組みが着実に進捗したほか、売上収益1兆円以上、ROIC10%以上といった経済価値についても想定を上回る水準で進捗しています。一方で、既存事業については、「ソリューションプロバイダー」へのシフトを掲げ様々な試みを通じ、一定の成果を創出しましたが、今後に向けては課題が残る状況です。新規事業については、水素関連事業プロジェクト、新事業開発部門による様々な種まきにより新たなビジネスの芽が生まれており、この実現のため、2025年以降刈り取りを行っていく必要があります。経営基盤の面では、コーポレートの各機能は、CxO制導入により対面市場別カンパニーに機能軸の横ぐしを通す基盤を構築しました。機能別横ぐし施策を通じて、グループとしての価値向上に結びつけていくことが課題です。こうした状況を踏まえ、E-Vision2030で定めた価値創造ストーリーは、より解像度が高く、荏原らしいものへと進化させる必要性が認識されるようになりました。 ③ 価値創造ストーリーとスローガン Essential EBARA. Everywhere.事業領域やコア技術の視点から、当社グループが「持続可能性」の解決に本業を通じて直接的に貢献できる立ち位置にあることを踏まえ、目指すべき「価値創造プロセス」の具体性と解像度を向上させるべく、改めて以下のとおり「価値創造ストーリー」を設定しました。 (2)2035年にありたい姿① 2035年にありたい姿とその実現のための事業ポートフォリオ2035年にありたい姿として、グローバルエクセレントカンパニーとして、持続可能な社会の実現に欠かせない企業となっている状態を目指します。ありたい姿実現のための事業ポートフォリオにおいては、当社独自のポートフォリオで事業間シナジーを創出しつつ、全体最適を追求し、事業の総和を超えた企業価値を創造します。具体的には、グローバルビジネスセグメント(精密・電子、エネルギー、建築・産業)は、会社を支える3本柱として、一定以上の事業規模と高い収益性・効率性を実現します。また、日本起点ビジネスセグメント(インフラ、環境)は、課題先進国としての日本におけるソリューション提供ノウハウを、世界の必要な地域にも価値として提供することを通じて、安定したビジネス基盤を構築します。 (参考)E-Vision2035事業ポートフォリオ ② 事業ポートフォリオの合理性2035年にありたい事業ポートフォリオがグループの中長期的な企業価値最大化に資する合理的な構成であると、以下に基づき判断しています。今後においても、この構成が当社グループにとって最適解であり続けるかを常に検証し、事業環境の変化に応じて、ポートフォリオの入れ替えを含めた柔軟な経営判断を行う姿勢を保持します。 ③ ありたい姿実現のためのマテリアリティE-Vision2035におけるマテリアリティは、本業を通じた“社会の持続可能性への貢献”と、そのための“事業基盤の強化”の観点から「持続可能な社会づくりへの貢献」「進化する豊かな生活づくりへの貢献」「環境マネジメントの徹底」「人材の活躍推進」「ガバナンスの更なる革新」の5項目とします。結果的にE-Vision2030のマテリアリティと同一の項目ですが、それぞれの概念がもつ普遍性に鑑み、継続して注力すべき課題として設定しています。 ④ 全社方針(i)資源配分方針資源配分については、過去に実施した成長投資の成果を刈り取りつつ、中長期的な企業価値最大化に資する成長分野に積極的に投資することで、回収・投資・成長の好循環を生み出すことを基本方針とします。上記前提のもと、成長投資については、目指す事業ポートフォリオ実現のため、精密・電子、エネルギー、建築・産業のグローバルビジネスセグメントに経営資源を優先的に投下します。併せて、グローバルで効率的なオペレーションを実現させるための基盤構築に投資します。 (ii)人事・情報システム・技術に関する方針a.人事に関する方針:今後の当社グループに求められる人材像を「自らの意思で考え、行動するキャリアオーナーシップを発揮する“人財”」と定めます。このような個人と会社が互いに選び合い応え合う関係を通じて、価値創出の好循環の実現を目指します。その実現のために、個の成長と多様性を支えるグローバル人事基盤を整備するとともに、“人財”を「増やす」、「活かす」、「適切に評価する」ことを基軸とした環境を整備します。b.情報システムに関する方針:AI技術と情報分析を新たなコア技術と位置づけIT機能を高度化させます。また情報基盤を整備し、オペレーショナルエクセレンスによって全体最適に寄与します。c.技術に関する方針:流体解析・制御、振動・騒音制御、界面制御といったコア技術を掛け合わせることで社会・環境課題を解決していくとともに、事業の経験を通じ新たなコア技術を蓄積し、さらに新たな課題解決に活かす好循環を実現します。 (iii)事業方針 a.事業共通方針各事業はそれぞれの対面市場に向き合い、データから価値を生み出す枠組みを高度化することで、システム全体の最適化を目指します。当該方針の下、対面市場別の当社製品インストールベースをビジネス上の資産とし、適切にマネジメントするために必要なデータを収集・分析・活用し、顧客の省エネ・脱炭素化のサポート、故障予兆管理・稼働保証等のサービスを提供するソリューションプロバイダーを目指します。また、積極的にM&Aや外部パートナーとの共創・協業を検討・推進していきます。 b.グローバルビジネスセグメント精密・電子:半導体顧客の迅速な開発と効率的な生産を支える多様なソリューションを提供することで、先端半導体の発展に貢献するとともに、顧客の省エネ・脱炭素化をサポートし、サステナブルに進化するAI社会を支える業界で唯一無二の存在となります。エネルギー:流体圧縮移送技術、アフターサービス、グローバルオペレーションを中核に据えた技術指向型ソリューションプロバイダーを目指します。人類の発展に資するエネルギー・基礎材料の安定供給に貢献すべく、既存市場において存在感と収益性を高めつつ、新エネルギー・サステナビリティ領域では、脱炭素化のトレンドをリードする技術・ソリューション開発を積極的に行い、収益基盤の一角として育成します。建築・産業:「業界の『初』の要求を叶える機器・ユニットを届ける新機能メーカ」「既設を含む顧客設備に『初』の価値を提案する省エネ・省人化メーカ」「機器・技術の壁を越えて『初』のサービスを提供する安定稼働実現メーカ」の3つの姿を目指します。成長市場(データセンター・電子デバイス等)でトップの地位を獲得します。ポンプ・冷熱製品とIoT技術を組み合わせたソリューション提供による付加価値向上と、生涯収益を最大化するサービス事業への進化を図ります。同時に、継続的な事業・拠点の整理・統廃合と、高収益な分野・ビジネスモデルへの経営資源のシフトにより、事業構造全体を効率化します。 c.日本起点ビジネスセグメントインフラ:「水と共に」人を・生活を・社会を支え、未来を創ります。製品とサービスのイノベーションを通じて社会・産業インフラを効率的で強靭なものにします。国内は国土強靭化・老朽化対策等に貢献し、安定的な収益と揺るぎないブランド価値を確立します。海外はグローバル供給網全体の効率化を図り、収益の安定化とグローバルブランド価値の向上を実現します。環境:廃棄物を高付加価値の資源に変える「アップサイクラー」として、リニア経済から循環経済への移行をリードします。中核事業の高収益化と資源循環、脱炭素、ネイチャーポジティブ領域へのドメイン拡大を目指します。ケミカルリサイクル(ICFG技術)を社会実装し、資源循環処理の重要プレーヤーとなります。 d.新規事業水素エネルギー領域のソリューションで世界トップシェアを獲得し、未来の水素社会の構築に貢献します。加えて、その他の水素利活用領域をはじめ、航空・宇宙や医療・バイオ、フードテック領域などの有望市場において、新たなビジネスを確立します。 (ⅳ)E-Vision2035で目指す、社会・環境価値と経済価値E-Vision2035の中では、「グローバルエクセレントカンパニーとして、持続可能な社会の実現に欠かせない企業になる」ことを10年後のありたい姿として設定し、世の中に社会・環境価値を提供しつつ、同時に経済価値の最大化を目指します。 [社会・環境価値の代表例]脱炭素社会・エネルギートランジションをリードする・CO₂約2.5億トン相当のGHG(温室効果ガス)を削減安心・安全なくらし・気候変動に伴う水害リスクから人々の生活を守る・世界で8億人に水を届ける進化する豊かなくらし・半導体製造における高集積化とサステナビリティを支え、AI社会の進展に貢献する [経済価値]売上収益 :2兆円以上営業利益率:20%以上ROIC :20%以上ROE :25%以上 企業価値向上の目安:時価総額6兆円規模 (3)中期的な経営戦略と目標とする経営指標① E-Plan2028の位置付けE-Plan2028は、E-Vision2035実現に向けた最初の3か年を担う中期経営計画として、2035年の「ありたい姿」からのバックキャストと、E-Plan2025の振り返りから見えた課題を踏まえて策定しました。 ② E-Plan2025の総括全社指標及び事業別指標については一部課題が残る項目もあるものの、全般に良好な進捗となりました。 [全社]指標 E-Plan2025目標2025年度実績収益性営業利益率10%以上11.9%ROIC10%以上11.9%ROE15%以上15.6%成長性売上収益CAGR7%以上12.1%健全性D/Eレシオ0.3~0.5(管理目安)0.44財務方針成長投資(3か年)成長投資 1,800~2,250億円研究開発投資 650億円成長投資 1,748億円研究開発投資 619億円基盤投資(3か年)500~850億円818億円株主還元(3か年)連結配当性向35%以上機動的な自己株式取得連結配当性向35%以上維持自己株式取得200億円 [事業別]指標 E-Plan2025目標2025年度実績収益性営業利益率精密・電子17%以上16.9%エネルギー12%以上11.9%建築・産業7%以上6.3%インフラ6%以上8.2%環境7%以上13.3%成長性売上収益CAGR精密・電子15%以上15.5%建築・産業6%以上7.7% [非財務] 指標E-Plan2025目標2025年度実績環境(E)CDP評価(気候変動カテゴリ)B以上を維持A-Scope 1,2 GHG排出量(CO2換算)2018年比32%削減149千t排出(2018年度比46.3%削減)(速報値)Scope 3/削減貢献量/他(バリューチェーン)(注)1バリューチェーンにおけるGHG排出量の合理的測定手法の確立バリューチェーンにおけるGHG排出量の合理的測定手法の確立とそれぞれの指標に対する目標設定社会(S)競争し、挑戦する風土へ変革し、多様な社員が働きやすさを感じて活躍できる環境づくりを目指す・グローバルエンゲージメントサーベイ83以上81グローバルモビリティの向上を目指す・Global Key Position(GKP)における非日本人社員比率(連結)30%以上26%男女の賃金差異解消 ①GKP女性ポジション比率(連結) ②女性基幹職比率(単体)①8%以上②8%以上①8%②8.6%性別に関係なく仕事と育児を両立できる企業風土を醸成・男性育児休業取得比率(単体)100%100%障がいのある社員の活躍促進・障がい者雇用比率(単体+グループ適用会社4社)2.6%以上2.57%サプライヤ向けの人権DDの結果に基づく必要な施策の実施国内外サプライヤへのCSR調査・教育と実地改善を通じた人権DD推進による事業継続リスクの最小化ガバナンス(G)取締役会のパフォーマンスの深化とG to Vへの貢献 取締役会実効性評価:評価プロセス(注)2 100%実施社外取締役支援活動:社外取会議12回/視察2回社外取締役によるステークホルダーとの対話:2件 (注)1. 2023年11月に表記変更。 WBCSD (World Business Council For Sustainable Development)が2023年3月に発行した、 Guidance on Avoided Emissionsを踏まえ、バリューチェーンにおける目標の記述に 「削減貢献量/他」を追記しました。「他」には、当社グループ製品が無害化する GHG排出係数の高い排ガスのCO₂換算相当量などを含んでいます。 2. 評価プロセス:質問票、議長による個別インタビュー、取締役の自己評価・相互評価、 議長の評価、課題の抽出、結果の開示 [5つの重点領域] 評価評価理由対面市場・顧客起点◎対面市場別組織は概ね定着し、製品横断の受注が増加するなど統合シナジーが発現。顧客起点での開発(例:建築・産業のセットメーカ営業等)も端緒につくも刈り取りは今後の課題である新たな価値創発〇水素関連事業プロジェクト、マーケティング部門による新規事業探索、建築・産業におけるEBARAメンテナンスクラウド等、顧客に入り込んだ新たな価値創出について萌芽がみられるも十分ではない。さらに顧客との共創が求められるグローバル事業基盤の確立〇拠点の新設・統廃合を進め、グローバルでの製造・サービス体制の最適化を推進した経営インフラの高度化△ROIC経営による投資判断は深化した一方、ERPは計画より遅延しており早期挽回を図る。CxO制による機能軸運営は導入を完了し、具体的成果創出のフェーズへ移行するESG経営の更なる進化〇E(環境)はScope1,2に関するGHG削減目標を達成した。また、製品・サービスを通じた顧客のGHG削減に貢献した。S(社会)は、社会課題解決に向けた事業展開を推進したほか、人材の活躍促進に向けGKP比率向上やHCM(注)1 導入、サクセッションプランの再構築を推進した。また、サプライチェーン人権DDを実施した。G(ガバナンス)は2023年にコーポレートガバナンス・オブ・ザ・イヤーを受賞も、事業拡大に伴うグループガバナンス体制の再構築、下請法違反事案等の再発防止に向けた内部統制強化が課題である (注)1. HCM:Human Capital Management ③ E-Plan2028における事業環境E-Plan2028における事業環境は以下のように認識しています。 精密・電子(市場CAGR:CMP・ドライポンプ8.0%):生成AIが市場を牽引し、AIサーバー向け投資が加速し、先端パッケージング技術の重要度が増します。米中対立によるサプライチェーンの二極化が進む一方、インド等の新市場が台頭します。また、半導体工場においては、省エネやPFAS規制への対応ニーズが増加します。エネルギー(市場CAGR:LNG6.0%、エチレン3.0%):低炭素燃料であるLNGは、液化・輸送・再ガス化に至るプロセス全般で堅調な需要が継続します。水素・アンモニア・CCUS等の新市場が本格形成され、脱炭素市場が拡大します。また、設備の老朽化・人員不足を背景に、保守・遠隔監視等の省人化ニーズが増大します。建築・産業(市場CAGR:建築・産業向けポンプ3.5%):生成AIの普及により、データセンターの冷却需要が急増します。グローバル市場は緩やかに成長する一方で、中国市場は低迷が続きます。国内の人手不足を背景に、設備のIoT化やメンテナンス省人化のニーズが高まります。インフラ(市場CAGR:国内ポンプEPC 横ばい):新たな国土強靭化中期計画が始まり、インフラ老朽化に伴う更新需要がさらに大きく高まります。インフラDXにより、維持管理分野でのAIやロボット等を活用した自動化・省人化が進展します。 環境(市場CAGR:一般廃棄物焼却施設の新設 横ばい):国内の一般廃棄物処理施設の老朽化に伴う延命化対策が進む一方、建替案件は広域化などにより、長期的に漸減します。廃棄物処理分野においては、循環経済(サーキュラーエコノミー)への移行が促進されます。 ④ E-Plan2028のテーマ・基本方針2025年度は5期連続で過去最高の連結業績を達成しましたが、各カンパニーにおいては個別最適の追求が進む一方、急激な事業拡大に対応した共通基盤の整備に課題があります。全体最適による成長余地がある中で、その実現に向けた経営インフラの拡充が必要な局面にあることを踏まえ、E-Plan2028のテーマ及び基本方針を以下のとおり定めます。 ⑤ 事業別基本方針精密・電子:ドライ真空ポンプ・CMP・パッケージめっきで市場シェアトップを目指し、テープ研磨装置等、新装置市場の確立・シェア拡大を図ります。他セグメントのコア技術も含めたOne Ebaraでのユニークなソリューション・パッケージ提案による競合との差別化を図ります。 エネルギー:脱炭素社会の実現をリードし、エネルギー市場向けのアンモニア、CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)、水素、SAF(持続可能な航空燃料)、地熱、そして遠隔監視・故障予知などサステナビリティ領域への取り組みを推進します。また、世界の人口増加、生活水準向上に不可欠な、エネルギーの安定供給を支え、COTC(Crude Oil to Chemicals:原油から化学品へ)を含めたエチレンを中心とした石油化学分野でのリーディングポジションを確立します。これらを実現するため、人材開発、技術製品開発、DX領域への重点的な投資を積極的に行い、競争力を確保・強化します。 建築・産業:マーケットインの視点でポンプ・冷熱機器等のソリューションを提供しつつ、成長産業(データセンター・電子デバイス市場)で新市場を開拓し、迅速に供給体制を確立します。積極的にサービス事業を展開するため、各種機器・サービスを一体で提供し、メンテナンスクラウドを中心に新しいビジネスモデルを展開します。これらを支えるグローバルな製販/地域間連携体制とSCM最適化に向け、ERP活用など事業基盤のデジタル化を進め、組織の連携と業務の効率化・変革を推進します。同時に、事業・拠点の整理・統廃合を進め、事業全体の効率性を改善します。 インフラ:国内はトップシェア維持と、守りのDXによる業務効率化・ロスコスト削減で生産性を最大化し収益力を高めます。国内インフラ老朽化、気象災害、インフラDX等の社会的要請に対しプレゼンスの強化に向けた製品・サービス開発体制の強化と市場投入の迅速化を図ります。海外は拠点との連携深化と安定収益市場へのアクセス拡大で事業規模を拡大します。 環境:既存中核事業(EPC/DBO、O&M)では、官需・民需の案件パイプラインの確実な形成による安定受注と、自働化・予兆保全によるO&Mの更なる収益性向上を図ります。既存事業と並行して、リニア経済から循環経済への移行を捉え、ICFG技術、資源循環、脱炭素に資する技術・サービスの社会実装に向けた取組みを強化し、新規事業領域を通じた成長の道筋を明確にします。 ⑥ コーポレートの基本方針全事業オペレーションを一段高い視座から俯瞰して全体最適を追求します。その実行機能を、全社全体最適の実現を通じて企業価値を高める「純粋な本社機能」と、専門サービス提供・業務支援/代行を通じカンパニーを支援する「本社の拡張機能」の2つとして定義します。「純粋な本社機能」を強化しグループ経営を牽引します。また、「本社の拡張機能」は、受益者のニーズを踏まえて実施します。ガバナンス:コーポレートガバナンスにおいて、取締役会はサステナビリティ経営を重視し、「執行」と両輪となって、将来を見据えた議論を一層強化します。グループガバナンスにおいては、事業の成熟度と市場の特性に応じた適切な権限委譲を通じて対面市場の対応力を高めるとともに、グループ会社の取締役選任プロセスを含む株主エンゲージメントと取締役会を通じた経営への関与により、執行としてのグループ会社監督機能の強化を進め、グループ全体のリスクを低減します。成長投資の管理・推進:成長投資の確実な実行に向け全社的な検証プロセスを強化します。特に新規事業開発予算及び精密・電子セグメント中心の研究開発費予算は、戦略的な設定とモニタリングにより投資機会を逸することなく計画を完遂します。EBARAソリューションプラットフォーム構築:世界中に展開されている製品群の運転データを「共通資産」と捉え、事業や製品の枠を超えて価値に変えていくための「全社的なデータ活用環境」を構築します。 ⑦ 財務方針E-Plan2028をさらなる成長期間と捉え、過去に実施した成長投資の成果を刈り取りつつ、中長期的な企業価値最大化に資する成長投資を優先的に実施します。残余のキャッシュは原則として株主還元に振り向け最適な資本構成を保ちます。投資戦略と規律:投資の優先順位は、EVA=(投下資本)×(ROIC-WACCスプレッド)の増加を判断基準とし、営業活動キャッシュフローを考慮のうえ、投資総額を決めます。財務規律:格付「A」維持を前提とし、D/Eレシオ0.4~0.5かつ月商1.5~2か月の現預金保持を規律とします。株主還元方針:配当は連結配当性向35%以上を維持しつつ、必要な投資を行い且つ財務規律の範囲内であることを前提に、ROE目標に沿った適正な自己資本水準への調整として自己株式の取得を継続的に実施していきます。これらをふまえ、3年間累計のフリーキャッシュフロー(資産売却・圧縮によるキャッシュインフローを除く)の100%以上となるよう株主還元(配当・自己株式取得)を実施します。 ⑧ 目標指標財務数値目標及び管理目安 [全社]分類指標2025年度実績2028年度目標収益性・効率性ROIC(WACC)11.9%(5.0~6.0%)13.0%以上(8.0~9.0%)ROE15.6%18.0%以上営業利益率11.9%14.5%以上規模・成長性売上収益9,582億円1.2兆円規模健全性D/E レシオ0.440.4~0.5(管理目安)手元現預金水準(月商)1.85か月1.5~2.0か月(管理目安) [事業別]分類指標2025年度実績2028年度目標収益性・効率性事業別ROIC(事業別WACC) - 精密・電子21.0%(7.0~8.0%)25.0%以上(9.5~10.0%)- エネルギー12.2%(4.5~5.0%)15.0%以上(8.0~8.5%)- 建築・産業5.5% (4.5~5.0%)8.5%以上 (6.0~6.5%)- インフラ10.3%(4.0~4.5%)12.5%以上(6.0~6.5%)- 環境19.1%(4.7~5.2%)13.0%以上(6.5~7.0%)営業利益率 - 精密・電子16.9%20.0%以上- エネルギー11.9%14.5%以上- 建築・産業6.3%9.0%以上- インフラ8.2%9.0%以上- 環境13.3%8.5%以上規模・成長性売上収益CAGR(FY2022-2025)(FY2025-2028)- 精密・電子15.5%15.0%以上- エネルギー14.9%8.0%以上- 建築・産業7.7%8.0%以上 [サステナビリティ]マテリアリティ提供する社会・環境価値(2035年度)KPI(2028年度)目標M1持続可能な社会づくりへの貢献8億人に水を届ける(注)1(建築・産業)水の供給状況75%(2035年の提供価値に対する達成率)気候変動に伴う水害リスクから人々の生活を守る(インフラ)浸水回避換算流域面積(注)27,800ha(2026年~2028年の累計)脱炭素化に伴うエネルギートランジションをリードする(エネルギー)サステナビリティ向け(注)3 受注構成比(製品事業)20%CO₂削減と炭素の資源循環に寄与する技術を社会実装する(環境)ICFG®/EUP®(ガス化)の受注1件以上(環境)ICFG®技術(油化)開発・社会実装進捗状況油化技術の確立CO₂約2.5億トン相当のGHGを削減する(2023年~2035年の累計)(注)4当社製品・サービスによるGHG削減量(CO₂換算)(注)56,500万t削減(2023年~2028年の累計)責任ある調達活動重要サプライヤにおけるCSR調達要件適合率75%M2進化する豊かな生活づくりへの貢献“ダウンタイムゼロ“で世界の快適な暮らしの“流れ“を止めない(建築・産業)遠隔監視サービスへの接続機器台数の成長率(EBARAメンテナンスクラウド、RISSA、RISS、JES)50%以上(2025~2028年のCAGR)半導体製造における高集積化とサステナビリティを支え、AI社会の進展に貢献する(注)6(精密・電子)半導体の微細化7Å世代の半導体製造技術に対応した要素技術の開発進捗率75%(注)7M3環境マネジメントの徹底事業活動に伴う環境負荷の最小化CDP評価(気候変動)リーダーシップレベル(A、A-)を継続GHG(Scope 1,2)排出量(CO₂換算)46%削減(2018年比)GHG(Scope 1,2)主要事業の売上収益あたり排出量 (排出原単位)(CO₂換算)66%削減(2018年比)GHG(Scope 3)カテゴリ11排出量(CO₂換算)20%削減(2021年比)水使用原単位継続的な改善国内における廃棄物の再資源化率95%以上の維持M4人材の活躍推進多様な人財の活躍促進 Global Key Position(GKP)を占める多様性女性ポジション比率(連結)国籍に関する多様性指標(連結) 11.0%グローバルカンパニーとしての遜色のない水準女性管理職比率(国内)11.0%男性育児休業取得率(国内)100%障がい者雇用比率(国内 単体+グループ適用会社5社)2.80%安全・安心・健康な職場環境の推進グローバルエンゲージメントサーベイスコア85死亡事故・重大災害ゼロ0件健康経営優良法人の認定(注)8 (国内)認定取得M5ガバナンスの更なる革新コーポレートガバナンスの実践取締役会の実効性評価の実施と課題対応 議長インタビュー、自己・相互評価、議長評価、課題抽出・改革等社外取締役を支える活動の実施社外取締役会議、事業所視察、勉強会等社外取締役とステークホルダーとの対話の実施継続的な対話 (注)1. E-Vision2030で目指した価値提供「6億人に水を届ける」の更新2. 2026〜2028年に新規・更新受注を目指す排水ポンプの総能力を基に試算した24時間連続稼働時に、浸水を床下浸水基準(50cm)以下に抑制可能な面積(東京都23区の約13%に相当)3. CO2、アンモニア、水素、SAFなど 4. E-Vision2030で目指した価値提供「CO₂約1億トン相当の温室効果ガスを削減する」の更新5. 当社製品の導入前後で削減できるGHG排出量をCO₂換算で算定。一部WBCSDのガイダンスを参照して算定した削減貢献量を含む6. E-Vision2030で目指した価値提供「14Åへの挑戦」の更新7. 7Å世代半導体製造技術の開発が完了し、商用化され、世の中の豊かな生活を支えている状態を2035年の目標と設定8. 経産省と健康経営会議が主催する健康経営会議優良法人ホワイト500の維持および健康経営銘柄の認定 ⑨ E-Plan2028期間におけるキャッシュ・アロケーション更なる成長に向けた投資へ経営資源を優先的に配分し、残余のキャッシュは原則として株主還元に振り向け最適な資本構成を保持します。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。 (1)経営方針① はじめに当社グループは、持続的な成長を確かなものにするため、常に10年程度の長期的な展望が不可欠であると考えています。2020年に策定した長期ビジョン「E-Vision2030」のターゲット期間が残り5年となったことから、同ビジョン以降に顕在化した社内外の環境変化を10年先の展望に反映させ、新たな長期ビジョン「E-Vision2035」を策定しました。 ② E-Vision2030の進捗と課題E-Vision2030の進捗については、社会・環境価値の提供及び経済価値の創出の両面で順調に進展しています。「6億人に水を届ける」や「CO₂約1億トン相当のGHG(Greenhouse Gas:温室効果ガス)削減」、「14Åへの挑戦」といったマテリアリティ解決に向けた取り組みが着実に進捗したほか、売上収益1兆円以上、ROIC10%以上といった経済価値についても想定を上回る水準で進捗しています。一方で、既存事業については、「ソリューションプロバイダー」へのシフトを掲げ様々な試みを通じ、一定の成果を創出しましたが、今後に向けては課題が残る状況です。新規事業については、水素関連事業プロジェクト、新事業開発部門による様々な種まきにより新たなビジネスの芽が生まれており、この実現のため、2025年以降刈り取りを行っていく必要があります。経営基盤の面では、コーポレートの各機能は、CxO制導入により対面市場別カンパニーに機能軸の横ぐしを通す基盤を構築しました。機能別横ぐし施策を通じて、グループとしての価値向上に結びつけていくことが課題です。こうした状況を踏まえ、E-Vision2030で定めた価値創造ストーリーは、より解像度が高く、荏原らしいものへと進化させる必要性が認識されるようになりました。 ③ 価値創造ストーリーとスローガン Essential EBARA. Everywhere.事業領域やコア技術の視点から、当社グループが「持続可能性」の解決に本業を通じて直接的に貢献できる立ち位置にあることを踏まえ、目指すべき「価値創造プロセス」の具体性と解像度を向上させるべく、改めて以下のとおり「価値創造ストーリー」を設定しました。 (2)2035年にありたい姿① 2035年にありたい姿とその実現のための事業ポートフォリオ2035年にありたい姿として、グローバルエクセレントカンパニーとして、持続可能な社会の実現に欠かせない企業となっている状態を目指します。ありたい姿実現のための事業ポートフォリオにおいては、当社独自のポートフォリオで事業間シナジーを創出しつつ、全体最適を追求し、事業の総和を超えた企業価値を創造します。具体的には、グローバルビジネスセグメント(精密・電子、エネルギー、建築・産業)は、会社を支える3本柱として、一定以上の事業規模と高い収益性・効率性を実現します。また、日本起点ビジネスセグメント(インフラ、環境)は、課題先進国としての日本におけるソリューション提供ノウハウを、世界の必要な地域にも価値として提供することを通じて、安定したビジネス基盤を構築します。 (参考)E-Vision2035事業ポートフォリオ ② 事業ポートフォリオの合理性2035年にありたい事業ポートフォリオがグループの中長期的な企業価値最大化に資する合理的な構成であると、以下に基づき判断しています。今後においても、この構成が当社グループにとって最適解であり続けるかを常に検証し、事業環境の変化に応じて、ポートフォリオの入れ替えを含めた柔軟な経営判断を行う姿勢を保持します。 ③ ありたい姿実現のためのマテリアリティE-Vision2035におけるマテリアリティは、本業を通じた“社会の持続可能性への貢献”と、そのための“事業基盤の強化”の観点から「持続可能な社会づくりへの貢献」「進化する豊かな生活づくりへの貢献」「環境マネジメントの徹底」「人材の活躍推進」「ガバナンスの更なる革新」の5項目とします。結果的にE-Vision2030のマテリアリティと同一の項目ですが、それぞれの概念がもつ普遍性に鑑み、継続して注力すべき課題として設定しています。 ④ 全社方針(i)資源配分方針資源配分については、過去に実施した成長投資の成果を刈り取りつつ、中長期的な企業価値最大化に資する成長分野に積極的に投資することで、回収・投資・成長の好循環を生み出すことを基本方針とします。上記前提のもと、成長投資については、目指す事業ポートフォリオ実現のため、精密・電子、エネルギー、建築・産業のグローバルビジネスセグメントに経営資源を優先的に投下します。併せて、グローバルで効率的なオペレーションを実現させるための基盤構築に投資します。 (ii)人事・情報システム・技術に関する方針a.人事に関する方針:今後の当社グループに求められる人材像を「自らの意思で考え、行動するキャリアオーナーシップを発揮する“人財”」と定めます。このような個人と会社が互いに選び合い応え合う関係を通じて、価値創出の好循環の実現を目指します。その実現のために、個の成長と多様性を支えるグローバル人事基盤を整備するとともに、“人財”を「増やす」、「活かす」、「適切に評価する」ことを基軸とした環境を整備します。b.情報システムに関する方針:AI技術と情報分析を新たなコア技術と位置づけIT機能を高度化させます。また情報基盤を整備し、オペレーショナルエクセレンスによって全体最適に寄与します。c.技術に関する方針:流体解析・制御、振動・騒音制御、界面制御といったコア技術を掛け合わせることで社会・環境課題を解決していくとともに、事業の経験を通じ新たなコア技術を蓄積し、さらに新たな課題解決に活かす好循環を実現します。 (iii)事業方針 a.事業共通方針各事業はそれぞれの対面市場に向き合い、データから価値を生み出す枠組みを高度化することで、システム全体の最適化を目指します。当該方針の下、対面市場別の当社製品インストールベースをビジネス上の資産とし、適切にマネジメントするために必要なデータを収集・分析・活用し、顧客の省エネ・脱炭素化のサポート、故障予兆管理・稼働保証等のサービスを提供するソリューションプロバイダーを目指します。また、積極的にM&Aや外部パートナーとの共創・協業を検討・推進していきます。 b.グローバルビジネスセグメント精密・電子:半導体顧客の迅速な開発と効率的な生産を支える多様なソリューションを提供することで、先端半導体の発展に貢献するとともに、顧客の省エネ・脱炭素化をサポートし、サステナブルに進化するAI社会を支える業界で唯一無二の存在となります。エネルギー:流体圧縮移送技術、アフターサービス、グローバルオペレーションを中核に据えた技術指向型ソリューションプロバイダーを目指します。人類の発展に資するエネルギー・基礎材料の安定供給に貢献すべく、既存市場において存在感と収益性を高めつつ、新エネルギー・サステナビリティ領域では、脱炭素化のトレンドをリードする技術・ソリューション開発を積極的に行い、収益基盤の一角として育成します。建築・産業:「業界の『初』の要求を叶える機器・ユニットを届ける新機能メーカ」「既設を含む顧客設備に『初』の価値を提案する省エネ・省人化メーカ」「機器・技術の壁を越えて『初』のサービスを提供する安定稼働実現メーカ」の3つの姿を目指します。成長市場(データセンター・電子デバイス等)でトップの地位を獲得します。ポンプ・冷熱製品とIoT技術を組み合わせたソリューション提供による付加価値向上と、生涯収益を最大化するサービス事業への進化を図ります。同時に、継続的な事業・拠点の整理・統廃合と、高収益な分野・ビジネスモデルへの経営資源のシフトにより、事業構造全体を効率化します。 c.日本起点ビジネスセグメントインフラ:「水と共に」人を・生活を・社会を支え、未来を創ります。製品とサービスのイノベーションを通じて社会・産業インフラを効率的で強靭なものにします。国内は国土強靭化・老朽化対策等に貢献し、安定的な収益と揺るぎないブランド価値を確立します。海外はグローバル供給網全体の効率化を図り、収益の安定化とグローバルブランド価値の向上を実現します。環境:廃棄物を高付加価値の資源に変える「アップサイクラー」として、リニア経済から循環経済への移行をリードします。中核事業の高収益化と資源循環、脱炭素、ネイチャーポジティブ領域へのドメイン拡大を目指します。ケミカルリサイクル(ICFG技術)を社会実装し、資源循環処理の重要プレーヤーとなります。 d.新規事業水素エネルギー領域のソリューションで世界トップシェアを獲得し、未来の水素社会の構築に貢献します。加えて、その他の水素利活用領域をはじめ、航空・宇宙や医療・バイオ、フードテック領域などの有望市場において、新たなビジネスを確立します。 (ⅳ)E-Vision2035で目指す、社会・環境価値と経済価値E-Vision2035の中では、「グローバルエクセレントカンパニーとして、持続可能な社会の実現に欠かせない企業になる」ことを10年後のありたい姿として設定し、世の中に社会・環境価値を提供しつつ、同時に経済価値の最大化を目指します。 [社会・環境価値の代表例]脱炭素社会・エネルギートランジションをリードする・CO₂約2.5億トン相当のGHG(温室効果ガス)を削減安心・安全なくらし・気候変動に伴う水害リスクから人々の生活を守る・世界で8億人に水を届ける進化する豊かなくらし・半導体製造における高集積化とサステナビリティを支え、AI社会の進展に貢献する [経済価値]売上収益 :2兆円以上営業利益率:20%以上ROIC :20%以上ROE :25%以上 企業価値向上の目安:時価総額6兆円規模 (3)中期的な経営戦略と目標とする経営指標① E-Plan2028の位置付けE-Plan2028は、E-Vision2035実現に向けた最初の3か年を担う中期経営計画として、2035年の「ありたい姿」からのバックキャストと、E-Plan2025の振り返りから見えた課題を踏まえて策定しました。 ② E-Plan2025の総括全社指標及び事業別指標については一部課題が残る項目もあるものの、全般に良好な進捗となりました。 [全社]指標 E-Plan2025目標2025年度実績収益性営業利益率10%以上11.9%ROIC10%以上11.9%ROE15%以上15.6%成長性売上収益CAGR7%以上12.1%健全性D/Eレシオ0.3~0.5(管理目安)0.44財務方針成長投資(3か年)成長投資 1,800~2,250億円研究開発投資 650億円成長投資 1,748億円研究開発投資 619億円基盤投資(3か年)500~850億円818億円株主還元(3か年)連結配当性向35%以上機動的な自己株式取得連結配当性向35%以上維持自己株式取得200億円 [事業別]指標 E-Plan2025目標2025年度実績収益性営業利益率精密・電子17%以上16.9%エネルギー12%以上11.9%建築・産業7%以上6.3%インフラ6%以上8.2%環境7%以上13.3%成長性売上収益CAGR精密・電子15%以上15.5%建築・産業6%以上7.7% [非財務] 指標E-Plan2025目標2025年度実績環境(E)CDP評価(気候変動カテゴリ)B以上を維持A-Scope 1,2 GHG排出量(CO2換算)2018年比32%削減149千t排出(2018年度比46.3%削減)(速報値)Scope 3/削減貢献量/他(バリューチェーン)(注)1バリューチェーンにおけるGHG排出量の合理的測定手法の確立バリューチェーンにおけるGHG排出量の合理的測定手法の確立とそれぞれの指標に対する目標設定社会(S)競争し、挑戦する風土へ変革し、多様な社員が働きやすさを感じて活躍できる環境づくりを目指す・グローバルエンゲージメントサーベイ83以上81グローバルモビリティの向上を目指す・Global Key Position(GKP)における非日本人社員比率(連結)30%以上26%男女の賃金差異解消 ①GKP女性ポジション比率(連結) ②女性基幹職比率(単体)①8%以上②8%以上①8%②8.6%性別に関係なく仕事と育児を両立できる企業風土を醸成・男性育児休業取得比率(単体)100%100%障がいのある社員の活躍促進・障がい者雇用比率(単体+グループ適用会社4社)2.6%以上2.57%サプライヤ向けの人権DDの結果に基づく必要な施策の実施国内外サプライヤへのCSR調査・教育と実地改善を通じた人権DD推進による事業継続リスクの最小化ガバナンス(G)取締役会のパフォーマンスの深化とG to Vへの貢献 取締役会実効性評価:評価プロセス(注)2 100%実施社外取締役支援活動:社外取会議12回/視察2回社外取締役によるステークホルダーとの対話:2件 (注)1. 2023年11月に表記変更。 WBCSD (World Business Council For Sustainable Development)が2023年3月に発行した、 Guidance on Avoided Emissionsを踏まえ、バリューチェーンにおける目標の記述に 「削減貢献量/他」を追記しました。「他」には、当社グループ製品が無害化する GHG排出係数の高い排ガスのCO₂換算相当量などを含んでいます。 2. 評価プロセス:質問票、議長による個別インタビュー、取締役の自己評価・相互評価、 議長の評価、課題の抽出、結果の開示 [5つの重点領域] 評価評価理由対面市場・顧客起点◎対面市場別組織は概ね定着し、製品横断の受注が増加するなど統合シナジーが発現。顧客起点での開発(例:建築・産業のセットメーカ営業等)も端緒につくも刈り取りは今後の課題である新たな価値創発〇水素関連事業プロジェクト、マーケティング部門による新規事業探索、建築・産業におけるEBARAメンテナンスクラウド等、顧客に入り込んだ新たな価値創出について萌芽がみられるも十分ではない。さらに顧客との共創が求められるグローバル事業基盤の確立〇拠点の新設・統廃合を進め、グローバルでの製造・サービス体制の最適化を推進した経営インフラの高度化△ROIC経営による投資判断は深化した一方、ERPは計画より遅延しており早期挽回を図る。CxO制による機能軸運営は導入を完了し、具体的成果創出のフェーズへ移行するESG経営の更なる進化〇E(環境)はScope1,2に関するGHG削減目標を達成した。また、製品・サービスを通じた顧客のGHG削減に貢献した。S(社会)は、社会課題解決に向けた事業展開を推進したほか、人材の活躍促進に向けGKP比率向上やHCM(注)1 導入、サクセッションプランの再構築を推進した。また、サプライチェーン人権DDを実施した。G(ガバナンス)は2023年にコーポレートガバナンス・オブ・ザ・イヤーを受賞も、事業拡大に伴うグループガバナンス体制の再構築、下請法違反事案等の再発防止に向けた内部統制強化が課題である (注)1. HCM:Human Capital Management ③ E-Plan2028における事業環境E-Plan2028における事業環境は以下のように認識しています。 精密・電子(市場CAGR:CMP・ドライポンプ8.0%):生成AIが市場を牽引し、AIサーバー向け投資が加速し、先端パッケージング技術の重要度が増します。米中対立によるサプライチェーンの二極化が進む一方、インド等の新市場が台頭します。また、半導体工場においては、省エネやPFAS規制への対応ニーズが増加します。エネルギー(市場CAGR:LNG6.0%、エチレン3.0%):低炭素燃料であるLNGは、液化・輸送・再ガス化に至るプロセス全般で堅調な需要が継続します。水素・アンモニア・CCUS等の新市場が本格形成され、脱炭素市場が拡大します。また、設備の老朽化・人員不足を背景に、保守・遠隔監視等の省人化ニーズが増大します。建築・産業(市場CAGR:建築・産業向けポンプ3.5%):生成AIの普及により、データセンターの冷却需要が急増します。グローバル市場は緩やかに成長する一方で、中国市場は低迷が続きます。国内の人手不足を背景に、設備のIoT化やメンテナンス省人化のニーズが高まります。インフラ(市場CAGR:国内ポンプEPC 横ばい):新たな国土強靭化中期計画が始まり、インフラ老朽化に伴う更新需要がさらに大きく高まります。インフラDXにより、維持管理分野でのAIやロボット等を活用した自動化・省人化が進展します。 環境(市場CAGR:一般廃棄物焼却施設の新設 横ばい):国内の一般廃棄物処理施設の老朽化に伴う延命化対策が進む一方、建替案件は広域化などにより、長期的に漸減します。廃棄物処理分野においては、循環経済(サーキュラーエコノミー)への移行が促進されます。 ④ E-Plan2028のテーマ・基本方針2025年度は5期連続で過去最高の連結業績を達成しましたが、各カンパニーにおいては個別最適の追求が進む一方、急激な事業拡大に対応した共通基盤の整備に課題があります。全体最適による成長余地がある中で、その実現に向けた経営インフラの拡充が必要な局面にあることを踏まえ、E-Plan2028のテーマ及び基本方針を以下のとおり定めます。 ⑤ 事業別基本方針精密・電子:ドライ真空ポンプ・CMP・パッケージめっきで市場シェアトップを目指し、テープ研磨装置等、新装置市場の確立・シェア拡大を図ります。他セグメントのコア技術も含めたOne Ebaraでのユニークなソリューション・パッケージ提案による競合との差別化を図ります。 エネルギー:脱炭素社会の実現をリードし、エネルギー市場向けのアンモニア、CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)、水素、SAF(持続可能な航空燃料)、地熱、そして遠隔監視・故障予知などサステナビリティ領域への取り組みを推進します。また、世界の人口増加、生活水準向上に不可欠な、エネルギーの安定供給を支え、COTC(Crude Oil to Chemicals:原油から化学品へ)を含めたエチレンを中心とした石油化学分野でのリーディングポジションを確立します。これらを実現するため、人材開発、技術製品開発、DX領域への重点的な投資を積極的に行い、競争力を確保・強化します。 建築・産業:マーケットインの視点でポンプ・冷熱機器等のソリューションを提供しつつ、成長産業(データセンター・電子デバイス市場)で新市場を開拓し、迅速に供給体制を確立します。積極的にサービス事業を展開するため、各種機器・サービスを一体で提供し、メンテナンスクラウドを中心に新しいビジネスモデルを展開します。これらを支えるグローバルな製販/地域間連携体制とSCM最適化に向け、ERP活用など事業基盤のデジタル化を進め、組織の連携と業務の効率化・変革を推進します。同時に、事業・拠点の整理・統廃合を進め、事業全体の効率性を改善します。 インフラ:国内はトップシェア維持と、守りのDXによる業務効率化・ロスコスト削減で生産性を最大化し収益力を高めます。国内インフラ老朽化、気象災害、インフラDX等の社会的要請に対しプレゼンスの強化に向けた製品・サービス開発体制の強化と市場投入の迅速化を図ります。海外は拠点との連携深化と安定収益市場へのアクセス拡大で事業規模を拡大します。 環境:既存中核事業(EPC/DBO、O&M)では、官需・民需の案件パイプラインの確実な形成による安定受注と、自働化・予兆保全によるO&Mの更なる収益性向上を図ります。既存事業と並行して、リニア経済から循環経済への移行を捉え、ICFG技術、資源循環、脱炭素に資する技術・サービスの社会実装に向けた取組みを強化し、新規事業領域を通じた成長の道筋を明確にします。 ⑥ コーポレートの基本方針全事業オペレーションを一段高い視座から俯瞰して全体最適を追求します。その実行機能を、全社全体最適の実現を通じて企業価値を高める「純粋な本社機能」と、専門サービス提供・業務支援/代行を通じカンパニーを支援する「本社の拡張機能」の2つとして定義します。「純粋な本社機能」を強化しグループ経営を牽引します。また、「本社の拡張機能」は、受益者のニーズを踏まえて実施します。ガバナンス:コーポレートガバナンスにおいて、取締役会はサステナビリティ経営を重視し、「執行」と両輪となって、将来を見据えた議論を一層強化します。グループガバナンスにおいては、事業の成熟度と市場の特性に応じた適切な権限委譲を通じて対面市場の対応力を高めるとともに、グループ会社の取締役選任プロセスを含む株主エンゲージメントと取締役会を通じた経営への関与により、執行としてのグループ会社監督機能の強化を進め、グループ全体のリスクを低減します。成長投資の管理・推進:成長投資の確実な実行に向け全社的な検証プロセスを強化します。特に新規事業開発予算及び精密・電子セグメント中心の研究開発費予算は、戦略的な設定とモニタリングにより投資機会を逸することなく計画を完遂します。EBARAソリューションプラットフォーム構築:世界中に展開されている製品群の運転データを「共通資産」と捉え、事業や製品の枠を超えて価値に変えていくための「全社的なデータ活用環境」を構築します。 ⑦ 財務方針E-Plan2028をさらなる成長期間と捉え、過去に実施した成長投資の成果を刈り取りつつ、中長期的な企業価値最大化に資する成長投資を優先的に実施します。残余のキャッシュは原則として株主還元に振り向け最適な資本構成を保ちます。投資戦略と規律:投資の優先順位は、EVA=(投下資本)×(ROIC-WACCスプレッド)の増加を判断基準とし、営業活動キャッシュフローを考慮のうえ、投資総額を決めます。財務規律:格付「A」維持を前提とし、D/Eレシオ0.4~0.5かつ月商1.5~2か月の現預金保持を規律とします。株主還元方針:配当は連結配当性向35%以上を維持しつつ、必要な投資を行い且つ財務規律の範囲内であることを前提に、ROE目標に沿った適正な自己資本水準への調整として自己株式の取得を継続的に実施していきます。これらをふまえ、3年間累計のフリーキャッシュフロー(資産売却・圧縮によるキャッシュインフローを除く)の100%以上となるよう株主還元(配当・自己株式取得)を実施します。 ⑧ 目標指標財務数値目標及び管理目安 [全社]分類指標2025年度実績2028年度目標収益性・効率性ROIC(WACC)11.9%(5.0~6.0%)13.0%以上(8.0~9.0%)ROE15.6%18.0%以上営業利益率11.9%14.5%以上規模・成長性売上収益9,582億円1.2兆円規模健全性D/E レシオ0.440.4~0.5(管理目安)手元現預金水準(月商)1.85か月1.5~2.0か月(管理目安) [事業別]分類指標2025年度実績2028年度目標収益性・効率性事業別ROIC(事業別WACC) - 精密・電子21.0%(7.0~8.0%)25.0%以上(9.5~10.0%)- エネルギー12.2%(4.5~5.0%)15.0%以上(8.0~8.5%)- 建築・産業5.5% (4.5~5.0%)8.5%以上 (6.0~6.5%)- インフラ10.3%(4.0~4.5%)12.5%以上(6.0~6.5%)- 環境19.1%(4.7~5.2%)13.0%以上(6.5~7.0%)営業利益率 - 精密・電子16.9%20.0%以上- エネルギー11.9%14.5%以上- 建築・産業6.3%9.0%以上- インフラ8.2%9.0%以上- 環境13.3%8.5%以上規模・成長性売上収益CAGR(FY2022-2025)(FY2025-2028)- 精密・電子15.5%15.0%以上- エネルギー14.9%8.0%以上- 建築・産業7.7%8.0%以上 [サステナビリティ]マテリアリティ提供する社会・環境価値(2035年度)KPI(2028年度)目標M1持続可能な社会づくりへの貢献8億人に水を届ける(注)1(建築・産業)水の供給状況75%(2035年の提供価値に対する達成率)気候変動に伴う水害リスクから人々の生活を守る(インフラ)浸水回避換算流域面積(注)27,800ha(2026年~2028年の累計)脱炭素化に伴うエネルギートランジションをリードする(エネルギー)サステナビリティ向け(注)3 受注構成比(製品事業)20%CO₂削減と炭素の資源循環に寄与する技術を社会実装する(環境)ICFG®/EUP®(ガス化)の受注1件以上(環境)ICFG®技術(油化)開発・社会実装進捗状況油化技術の確立CO₂約2.5億トン相当のGHGを削減する(2023年~2035年の累計)(注)4当社製品・サービスによるGHG削減量(CO₂換算)(注)56,500万t削減(2023年~2028年の累計)責任ある調達活動重要サプライヤにおけるCSR調達要件適合率75%M2進化する豊かな生活づくりへの貢献“ダウンタイムゼロ“で世界の快適な暮らしの“流れ“を止めない(建築・産業)遠隔監視サービスへの接続機器台数の成長率(EBARAメンテナンスクラウド、RISSA、RISS、JES)50%以上(2025~2028年のCAGR)半導体製造における高集積化とサステナビリティを支え、AI社会の進展に貢献する(注)6(精密・電子)半導体の微細化7Å世代の半導体製造技術に対応した要素技術の開発進捗率75%(注)7M3環境マネジメントの徹底事業活動に伴う環境負荷の最小化CDP評価(気候変動)リーダーシップレベル(A、A-)を継続GHG(Scope 1,2)排出量(CO₂換算)46%削減(2018年比)GHG(Scope 1,2)主要事業の売上収益あたり排出量 (排出原単位)(CO₂換算)66%削減(2018年比)GHG(Scope 3)カテゴリ11排出量(CO₂換算)20%削減(2021年比)水使用原単位継続的な改善国内における廃棄物の再資源化率95%以上の維持M4人材の活躍推進多様な人財の活躍促進 Global Key Position(GKP)を占める多様性女性ポジション比率(連結)国籍に関する多様性指標(連結) 11.0%グローバルカンパニーとしての遜色のない水準女性管理職比率(国内)11.0%男性育児休業取得率(国内)100%障がい者雇用比率(国内 単体+グループ適用会社5社)2.80%安全・安心・健康な職場環境の推進グローバルエンゲージメントサーベイスコア85死亡事故・重大災害ゼロ0件健康経営優良法人の認定(注)8 (国内)認定取得M5ガバナンスの更なる革新コーポレートガバナンスの実践取締役会の実効性評価の実施と課題対応 議長インタビュー、自己・相互評価、議長評価、課題抽出・改革等社外取締役を支える活動の実施社外取締役会議、事業所視察、勉強会等社外取締役とステークホルダーとの対話の実施継続的な対話 (注)1. E-Vision2030で目指した価値提供「6億人に水を届ける」の更新2. 2026〜2028年に新規・更新受注を目指す排水ポンプの総能力を基に試算した24時間連続稼働時に、浸水を床下浸水基準(50cm)以下に抑制可能な面積(東京都23区の約13%に相当)3. CO2、アンモニア、水素、SAFなど 4. E-Vision2030で目指した価値提供「CO₂約1億トン相当の温室効果ガスを削減する」の更新5. 当社製品の導入前後で削減できるGHG排出量をCO₂換算で算定。一部WBCSDのガイダンスを参照して算定した削減貢献量を含む6. E-Vision2030で目指した価値提供「14Åへの挑戦」の更新7. 7Å世代半導体製造技術の開発が完了し、商用化され、世の中の豊かな生活を支えている状態を2035年の目標と設定8. 経産省と健康経営会議が主催する健康経営会議優良法人ホワイト500の維持および健康経営銘柄の認定 ⑨ E-Plan2028期間におけるキャッシュ・アロケーション更なる成長に向けた投資へ経営資源を優先的に配分し、残余のキャッシュは原則として株主還元に振り向け最適な資本構成を保持します。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。 (1)経営成績(単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増減額増減率 (%)受注高860,579949,68389,10310.4売上収益866,668958,28591,61710.6営業利益97,953113,80215,84816.2売上収益営業利益率 (%)11.311.9--親会社の所有者に帰属する当期利益71,40176,6335,2327.3基本的1株当たり当期利益 (円)154.62166.3111.697.6 当連結会計年度における我が国経済は、個人消費や企業の設備投資が持ち直し、景気は緩やかな回復傾向が継続しました。世界経済は、中国経済の停滞による下振れリスクはあるものの、持ち直しの動きがみられました。一方で、米国の政策動向、米中の対立による半導体輸出管理規制強化、ウクライナ情勢や中東情勢などの地政学リスクには注視が必要な状況です。このような環境の下、当社グループは2023年を初年度とした3か年の中期経営計画「E-Plan2025」において、「顧客起点での価値創造」をテーマに対面市場別組織へ移行し競争力の強化を図り、経営指標の達成に向けた各種施策への取り組みを進めてきました。当連結会計年度の受注高は、「エネルギー」においては、大型案件のあった前期を下回りました。一方で、「環境」においては、大型案件の受注があり前期を上回りました。「精密・電子」においては、生成AI向け等、半導体需要の回復により、一部顧客の工場稼働率の上昇や増産投資の再開を受けて前期を上回りました。この結果、全社の受注高は前期比で増加となりました。売上収益は全セグメントで増収となり、営業利益は「精密・電子」「環境」「インフラ」が寄与したことに加え、前期に「建築・産業」で計上したのれんの減損損失が生じなかったため増益となりました。これらの結果、当連結会計年度における受注高は9,496億83百万円(前期比10.4%増)、売上収益は9,582億85百万円(前期比10.6%増)、営業利益は1,138億2百万円(前期比16.2%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は766億33百万円(前期比7.3%増)となり、いずれの項目においても過去最高額を更新しました。 セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。(単位:百万円)セグメント受注高売上収益セグメント損益前連結会計年度当連結会計年度増減率(%)前連結会計年度当連結会計年度増減率(%)前連結会計年度当連結会計年度増減率(%)建築・産業244,401249,2852.0238,182241,9381.610,34115,25147.5エネルギー222,743194,777△12.6210,434217,8453.528,00825,943△7.4インフラ60,55962,9734.051,11857,14311.83,6974,68026.6環境71,594135,39289.187,43897,86411.98,44513,00354.0精密・電子260,059303,44716.7278,378342,26723.050,13357,77315.2報告セグメント計859,359945,87510.1865,552957,05910.6100,625116,65215.9その他1,2203,808212.21,1151,2259.9△2,826△2,294-調整額------153△556-合計860,579949,68310.4866,668958,28510.697,953113,80216.2 <建築・産業>建築設備市場は、日本、中東、欧州は回復傾向にあるものの、その他の地域は弱含んでいます。受注高は、国内ではサービス&サポート需要の取り込みが寄与し、海外では中国は低迷したものの北米のデータセンター向けが堅調だったことにより、前年度を上回りました。売上収益は、国内ではサービス&サポートが好調で、海外では中国は低迷したものの北米、中東、欧州が堅調だったことにより増収となりました。セグメント利益は、増収効果に加え、トルコの子会社Vansan社に係るのれんの減損損失の計上がなくなったことにより、増益となりました。これらの結果、受注高は前期から48億83百万円増の2,492億85百万円、売上収益は37億56百万円増の2,419億38百万円、営業利益は49億9百万円増の152億51百万円となりました。 <エネルギー>石油化学市場は全体的に落ち着いて推移した一方、LNG市場は北米において顧客の投資マインドが回復傾向にあります。受注高は、製品については、石油化学案件の減少により前年度を下回ったものの、中国の電力向けは堅調に推移しました。サービス&サポートについては、フィールドサービスやパーツの減少により前年度を下回りました。売上収益は、製品については前年度を下回ったものの、サービス&サポートは中東、アジアで堅調に推移したことにより、増収となりました。セグメント利益は、主に固定費の増加により減益となりました。これらの結果、受注高は前期から279億66百万円減の1,947億77百万円、売上収益は74億11百万円増の2,178億45百万円、営業利益は20億64百万円減の259億43百万円となりました。 <インフラ>受注高は、国内の公共ポンプ市場の更新・補修に対する需要が堅調に推移したことに加え、海外では南米や北米の大型案件を受注したことにより、前年度を上回りました。売上収益は、国内公共向け、海外ともに受注残を順調に消化し増収となりました。セグメント利益は増収効果により増益となりました。これらの結果、受注高は前期から24億13百万円増の629億73百万円、売上収益は60億24百万円増の571億43百万円、営業利益は9億83百万円増の46億80百万円となりました。 <環境>受注高は、ごみ処理施設の延命化や改修の大型案件4件を受注し、前年度を上回りました。売上収益は、O&M(Operation & Maintenance プラントの運転管理・メンテナンス)の増加により増収となり、セグメント利益も増収効果と収益性改善により増益となりました。これらの結果、受注高は前期から637億97百万円増の1,353億92百万円、売上収益は104億25百万円増の978億64百万円、営業利益は45億57百万円増の130億3百万円となりました。 <精密・電子>半導体市場は、顧客の工場稼働率は生成AI向け需要を中心に引き続き回復傾向であるものの、増産投資の本格的な再開は当初の想定より遅れています。また、中国の半導体市場は従来の勢いが落ち着いたものの一定の規模を維持しました。受注高及び売上収益は、CMP、コンポーネントの需要回復により、製品、サービス&サポートともに前年度を上回りました。セグメント利益は、増収効果により、増益となりました。これらの結果、受注高は前期から433億87百万円増の3,034億47百万円、売上収益は638億88百万円増の3,422億67百万円、営業利益は76億40百万円増の577億73百万円となりました。 <セグメント別の事業環境と事業概況>セグメント2025年12月期の事業環境2025年12月期の事業概況と受注高の増減率 (注)1建築・産業 <海外>・北米は建設コストの高騰、労働力不足が引き続き重荷となり、市場の停滞が続いている。・欧州はエネルギー供給の不安定さや地政学リスクが投資意欲を抑制し、建築設備市場は低迷が続いている。・中国は不動産市場の調整が継続し住宅・商業分野の民間投資は抑制され、建築設備市場は減退している。 <国内>・建築設備市場は、建設コスト上昇の影響により建築着工棟数は減少傾向にあるが、サービス市場での需要は引き続き増加傾向である。・産業市場は、脱炭素化を見据えた設備投資の検討や事業構造の転換など中長期で大きな変化が想定されるが、足元では堅調に推移している。一方で、国内外の製造業・建設業の不振により鉄鋼需要が減退し、さらに輸入材の増加によって国内鉄鋼業界が低迷して、設備投資が停滞している。<海外>・欧米及びアジア地域では受注が堅調に推移しているが、中国の景気減退により、受注高は前期を下回る。 <国内>・サービス&サポートの受注が堅調に推移しており、受注高は前期を上回る。 エネルギー ・製品分野は、オイル&ガス市場は中東地域の需要が増加傾向にある一方、石油化学市場は全体的に落ち着きがみられる。LNG市場では北米において顧客の投資マインドが回復傾向にあり、中国の電力市場も引き続き活発に推移している。・サービス分野は、メンテナンスの需要が一巡し通常レベルに戻る兆しがみられるが、足元では堅調に推移している。 ・製品の受注高は、前期を下回る。・サービス分野の受注高は、前期を下回る。 インフラ<海外>・水インフラ市場は、東南アジアは経済成長によるポンプ需要が牽引し、北米においては施設の老朽化による整備などが進み需要は堅調に推移している。中国は、政府の財政出動による公共投資において減速傾向もみられるが、一定の需要は継続している。 <国内>・社会インフラの更新・補修に対する投資は、堅調に推移している。・公共向け建設市場は、例年どおりに推移している。既存設備のアフター関連は堅調な需要が継続している。<海外>・水インフラの受注高は前期並み。 <国内>・公共向けの受注高は総合評価案件やアフターサービスの受注拡大などの施策の継続的な取り組みにより堅調に推移しており、前期を上回る。 環境(注)2・公共向け廃棄物処理施設の新規建設需要は例年どおりに推移している。・既存施設のO&Mの発注量は例年どおり推移している。・民間向けの木質バイオマス発電施設や廃プラスチックなどの産業廃棄物処理施設は、一定の建設需要が継続している。・大型案件の受注により、EPCは横ばいながらO&Mが大きく伸び、前期を大きく上回る。[大型案件の受注状況]・公共向け廃棄物処理施設の基幹的設備改良工事(2件)・公共向け廃棄物処理施設の基幹的設備改良工事及び長期包括運営契約(2件) 精密・電子 ・顧客の工場稼働率は、生成AI向け需要を中心に引き続き回復傾向であるものの、増産投資の本格的な再開は当初の想定より遅れている。 ・製品受注は、ロジック/ファウンドリ向けが好調に推移、メモリ向けは前期を上回ったものの顧客の本格的な投資再開は2026年以降を見込む。また、顧客の工場稼働率の回復に伴い、サービス&サポート受注も前期を上回る。 (注)1.矢印は受注高の前期比の増減率を示しています。 +5%以上の場合は、△5%以下の場合は、±5%の範囲内の場合はで表しています。 2.EPC(Engineering, Procurement, Construction)………プラントの設計・調達・建設 O&M(Operation & Maintenance)………プラントの運転管理・メンテナンス 生産、受注及び販売の状況は以下のとおりです。① 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。セグメントの名称生産高(百万円)前期比(%)報告セグメント 建築・産業235,3673.1 エネルギー205,9260.9 インフラ52,7287.7 環境23,3762.2 精密・電子248,50315.5 報告セグメント計765,9026.5 その他218△8.8合計766,1206.4 ② 受注状況当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。セグメントの名称受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前期比(%)報告セグメント 建築・産業249,2852.075,78910.3 エネルギー194,777△12.6213,790△10.6 インフラ62,9734.083,4538.5 環境135,39289.1384,67511.7 精密・電子303,44716.7151,591△19.3 報告セグメント計945,87510.1909,300△0.8 その他3,808212.22,7191,882.1合計949,68310.4912,020△0.6 ③ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。セグメントの名称販売高(百万円)前期比(%)報告セグメント 建築・産業241,9381.6 エネルギー217,8453.5 インフラ57,14311.8 環境97,86411.9 精密・電子342,26723.0 報告セグメント計957,05910.6 その他1,2259.9合計958,28510.6 (注)上記①から③の金額は、いずれも販売価格によっており、セグメント間取引消去後の金額です。 (2)財政状態① 資産当連結会計年度末における資産総額は、前年度末に比べて現金及び現金同等物が275億46百万円、棚卸資産が82億65百万円減少した一方、有形固定資産が560億40百万円、営業債権及びその他の債権が388億97百万円、のれん及び無形資産が76億76百万円、その他の流動資産が75億65百万円増加したことなどにより、771億15百万円増加し、1兆822億1百万円となりました。 ② 負債当連結会計年度末における負債総額は、前年度末に比べて契約負債が262億80百万円、営業債務及びその他の債務が192億76百万円減少した一方、社債、借入金及びリース負債が743億3百万円、その他の流動負債が86億44百万円、引当金が32億円増加したことなどにより、407億85百万円増加し、5,605億34百万円となりました。 ③ 資本当連結会計年度末における資本は、配当金を277億18百万円支払い、自己株式を200億77百万円取得した一方、親会社の所有者に帰属する当期利益766億33百万円を計上し、在外営業活動体の換算差額が75億円増加したことなどにより、前年度末に比べて363億29百万円増加し、5,216億66百万円となりました。親会社の所有者に帰属する持分は5,088億75百万円で、親会社所有者帰属持分比率は47.0%となりました。 (3)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報① キャッシュ・フロー営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益は前期比11.1%増の1,109億77百万円となったものの、営業債権及びその他の債権の増加、契約負債の減少、営業債務及びその他の債務の減少等により、407億55百万円の収入超過(前期比601億84百万円の収入減少)に留まる結果となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出922億14百万円などにより、912億32百万円の支出超過(前期比426億77百万円の支出増加)となりました。営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは、504億76百万円の支出超過(前期比1,028億62百万円の収入減少)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金及び長期借入金が純額で886億62百万円増加したこと、配当金の支払い277億18百万円、自己株式の取得による支出200億77百万円、社債の償還による支出150億円などにより、168億36百万円の収入超過(前期比487億52百万円の収入増加)となりました。以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前年度末から275億46百万円減少し、1,434億85百万円となりました。 ② 財務戦略の基本方針当社グループは、E-Plan2028において中長期的な企業価値最大化に資する成長投資を優先的に実施し、残余のキャッシュは原則として株主還元に振り向け最適な資本構成を保つことを財務戦略の基本方針とします。現在の事業推進に必要十分と考える「シングルAフラット」(注)の信用格付け維持を基本とし、D/Eレシオを財務規律として0.4~0.5倍を基準に負債の活用を図ります。株主還元について、配当は連結配当性向35%以上を維持しつつ、必要な投資を行い且つ財務規律の範囲内であることを前提に、ROE目標に沿った適正な自己資本水準への調整として自己株式の取得を継続的に実施していきます。これらをふまえ、3年間累計のフリーキャッシュフロー(資産売却・圧縮によるキャッシュインフローを除く)の100%以上となるよう株主還元(配当・自己株式取得)を実施します。 (注)1.格付投資情報センター(R&I)による格付 ③ 資金調達について当社グループは、事業を行う上で必要となる運転資金や成長のための投資資金として、営業キャッシュ・フローを主とした内部資金だけでなく金融機関からの借入や社債の発行などの外部資金を有効に活用していきます。D/Eレシオは0.4~0.5を基準に負債の活用を進めます。また、現金・預金等の水準(手元流動性)については、連結売上収益の1.5~2か月分を目安に適正水準の範囲でコントロールする方針です。これに加えて、金融リスク等不測の事態に対応するためのコミットメントライン契約や季節要因等の手元資金変動に対応するための当座貸越契約を締結することで、代替流動性を確保しています。なお、グループ内の資金効率を高めるため、資金を当社に集中する制度を運用しています。 契約の種別並びに当連結会計年度末の借入未実行残高は次のとおりです。 種別金額当座貸越契約550億円コミットメントライン契約1,000億円借入実行高700億円借入未実行残高850億円 (4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、IFRS会計基準に基づいて作成されています。連結財務諸表の作成にあたり、期末時点の状況をもとに、種々の見積りと仮定を行っていますが、それらは連結財務諸表、偶発債務に影響を及ぼします。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりです。
事業リスク
- 人材確保と育成の課題事業の多様化や専門化に伴い、求める人材像も多様化しており、採用やキャリア構築が困難になる可能性があります。また、管理職の負担増大やマネジメントスキル高度化の必要性から、チーム運営の質の低下や離職増加につながるリスクがあります。
- 国際情勢・地政学上のリスク政治情勢や国際関係の変化、地域紛争の増加は、事業への悪影響や海外拠点での安全確保に影響を及ぼす可能性があります。保護主義の高まりは市場アクセスを制限し、サプライチェーンの分断や不安定化を招くリスクも考えられます。
- 気候変動と自然災害の影響脱炭素化への対応遅れは国際市場での競争力低下やビジネス機会の喪失につながる可能性があります。また、気象災害の激甚化などの自然災害は、事業場やサプライチェーンに直接的な損害を与え、事業継続に影響を及ぼすリスクがあります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3 【事業等のリスク】(1) 当社のリスクマネジメントの体制荏原グループのリスク管理活動を統括し、審議、改善指導・支援を行う機関として、リスクマネジメントパネル(RMP)を設置しています。RMPを中心としたリスクマネジメントの体制は下掲の図のとおりです。RMPは代表執行役社長を議長とし、全執行役により構成しています。また、リスク管理における監督機能を発揮するために非業務執行の取締役が陪席し、必要に応じて助言等を行っています。RMPの審議状況は取締役会に報告され、取締役会が情報を的確に捉えて、監督機能を発揮できる体制を整備しています。あわせて、リスク対応の重要度に応じ全社的に対応が必要な場合には代表執行役社長を本部長とする対策本部を立ち上げ、全社で迅速に報告・連絡・判断をとるようにしています。当社グループの事業活動に関するリスクについては、執行役の職務分掌に基づき各執行役がそれぞれに管理し、重要事項については経営会議で審議します。事業活動を通じたサステナブルな社会・環境の構築にかかるリスクについてはサステナビリティ委員会で審議します。RMPはリスク管理活動を統括し、当社グループ全体のリスク対応体制を整備し、リスク対応活動を支援します。 これらの執行会議体とガバナンス体制の全体像は「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」及びウェブサイトを参照ください。https://www.ebara.com/jp-ja/ir/governance/Basic-Policy-and-Framework/ (2)事業継続マネジメント大地震や大規模な感染症などの発生時において、国民の生命・財産にかかわる重要な施設の機能継続や早期復旧を支援するために製品・サービスを提供することは、当社グループの重要な責務であると認識しています。この認識のもと、事業継続マネジメントシステムを構築し、組織体制や計画をまとめています。当該体制においては、代表執行役社長を本部長とした統括本部を設置し、初動活動から事業継続及び事業復旧まで一貫して全社の活動情況を把握し、全社的な指示や情報発信を行っています。「初動活動」においては、地域毎に設置した現地本部が避難、救助、消火等を含む社員等の安全確保や資産の保全に関する活動を指揮します。「事業継続及び事業復旧活動」においては、重要業務の継続及び速やかな復旧を各カンパニーが指揮する体制としています。2024年8月に南海トラフ地震臨時情報が発表されたことを受け、改めて災害対応の重要性を認識するために、国内主要拠点長を対象にシナリオ非提示型の大規模地震対応訓練を実施しました。また、執行役と各カンパニーのRO(Risk Officer)を対象に有事対応能力の強化を目的としたBCP訓練を実施しました。災害対応における優先順位づけの重要性等の気づきを得る一方、本社が被災した際の代替本部への権限移譲が不明確であるなどの課題が明らかとなったことから、当該課題への対応を進めています。 (3)リスク分析と当社グループの重要リスク当社グループの事業等に関するリスクについて、中長期的な社会情勢や市場環境の変動をシナリオプランニングによって分析しています。また、足下の当社グループを取り巻くリスクについては、事業特性に照らし想定し得るリスクの中から当社グループにとっての発生可能性、影響度及び対策後の残存リスクを分析する「全社リスクアセスメント」を3年ごとに実施しており、2025年はその実施年でした。また、近年は社会情勢の変化が著しいため、中間年でもグループ重要リスクを見直すために簡易的なリスクアセスメントの実施方法を検討し、2026年以降に実施することとしました。2025年に実施したリスクアセスメントでは、前回用いたリスク目録に加えて、第三者的視点としてISO 26000(社会的責任)やGRI(Global Reporting Initiative)スタンダード等を参照し、リスクの網羅性を高めた上で、当社グループの事業運営において想定される約110のリスク項目を作成しました。当社グループにとっての影響度と発生可能性がともに大きいもの、さらに対策の十分性を評価した上で、全執行役及びカンパニー企画部門責任者等へのアンケートとヒアリングを行い、グループ重要リスク10項目を特定しました。あわせて、主管部門や報告先執行会議体などのリスク対応体制を再整備し、RMPに報告しました。なお、2025年2月20日に公正取引委員会から下請代金支払遅延等防止法に基づく勧告を受けたことにより、改めて法令遵守の重要性を認識し、コンプライアンスリスクを選定しています。全社共通のグループ重要リスクと、当社が対面している市場別のリスクは、以下の表の通りです。 ① 全社共通のリスク№項目影響度×起こりうる可能性リスク内容当社の対策1人材リスク中×大・事業ごとに求める人材像の多様化・専門化による採用戦略立案及びキャリア展望構築の困難化による、要員計画の未達。・働き方の多様化や部下の成長支援など管理職の負担の急増とマネジメントスキル高度化によるチーム運営の質の低下や離職の増加。・事業別の採用環境に即した統合的採用戦略の再構築と、社内公募制度等の活用によるグループ内人材の最適配置。また、人材の定着・成長を促す処遇制度や教育体系の継続的な強化・見直し。・管理職の負担軽減とマネジメント教育の拡充や心理的安全性の醸成と健全な組織風土の構築。2国際情勢・地政学上のリスク中×中・政治情勢や国際関係の変化に関する戦略的情報の収集・活用体制の未確立による事業への悪影響。・国際機関の影響力低下を背景とした地域紛争の増加及び各国に展開する当社グループ拠点の安全への影響。・政治情勢や国際関係の変化に係る専門的な分析及び事業への影響評価を可能とする体制の構築と経済安全保障施策の推進。・有事に備えたリスクシナリオの策定と、安全確保策の策定。3サプライチェーンリスク中×大・保護主義の高まりや地域紛争の増加による市場アクセスの制限やサプライチェーンの分断・不安定化。・サプライヤの高齢化による事業承継リスク及び中小企業等保護に係る規制強化への対応不足。・当社グループの経済活動が人権問題に波及する認識不足。・サプライヤの地政学的分散や多重化の戦略的実施。事業承継リスクを加味した中長期かつ強靭なサプライチェーンの構築。・人権デュー・ディリジェンス等への対応強化と社内教育の充実。4気候変動・自然災害大×小・当社グループ及び当社製品における脱炭素化への対応遅れによる国際市場での競争力低下及びビジネス機会の喪失。・気象災害の激甚化等の自然災害による当社事業場やサプライチェーンへの直接的な損害の発生。・長期的・多様なシナリオ分析に基づくリスクと機会の予測と対策を実施。→気候関連シナリオ分析については当社ウェブサイト「気候関連開示(TCFD提言)」※1を参照ください。・荏原グループの2050年カーボンニュートラルに向けた施策の着実な推進。→詳細は当社ウェブサイト「荏原グループのカーボンニュートラル」※2を参照ください。・国内地震対策を中心とした事業継続計画から、海外グループ会社を含めたオールハザード型の事業継続計画への転換。5市況等の変化リスク中×中・為替変動や金利上昇等による業績への影響。・半導体産業を始めとしたビジネスサイクルの短期化による需要変動への対応遅れによる市場シェア喪失。・対面市場別5カンパニー制によるリスク分散の継続、及びサービス・ソリューション事業の強化による安定的な収益基盤の拡大。・景気変動に対応した生産体制の構築と意思決定の迅速化。6技術革新・研究開発の失敗大×小・変化の激しい市場環境において、技術革新を支える人材不足や研究開発と事業戦略との連携不足による顧客要求への対応遅延や競争優位性の喪失。・チャレンジ精神に溢れる人材不足による新たな付加価値の創出不全。・研究開発活動に関する知識・ノウハウの形式知化及びAI活用による開発効率と質の向上。事業部門トップとの連携強化。・技術者・研究者のローテーションや社外共創・協業を通じた異文化・価値創造体験を増やし、次代を担う「失敗を恐れない人材」の育成。7サイバーセキュリティリスク中×中・外部からのサイバー攻撃、自社や委託先での人為的過失に加え、自然災害やインフラ障害など不測の事態により、重要な業務やサービスの長時間停止、機密情報・個人情報の漏洩、重要データの破壊・改ざんが発生する可能性、及びサプライチェーン全体に影響が及ぶリスクの誘発。・多層的な技術的防御策の導入、及びISO 27001準拠レベル体制整備とそのPDCAサイクルの定着。・情報セキュリティに関する人材の確保、及び攻撃トレンドの変化(アカウント乗っ取り型攻撃の増加等)に対する継続的な教育と訓練実施による防御力の向上。・グループ社員のセキュリティ・リテラシーの向上。・サプライチェーン管理能力強化8M&Aリスク中×小・デュー・ディリジェンスで買収対象会社の財務状況及び事業運営に重大な影響を及ぼす不適切な事項を発見できないことによる、当社への悪影響。・買収後の統合プロセスの不備・遅滞に伴う、期待したシナジーの未達。・案件実行の迅速化及びM&Aに関する知見の集約と人材育成を図る専門部署の設置。ならびに各領域の専門家による不適切事象の精査。・カンパニーとコーポレートの担当部門間連携による、円滑な統合に向けた推進体制の構築とその進捗の確認。9品質リスク中×小・ベテラン社員の知識・ノウハウに過度に依存した製品開発が続くことで、退職による製品品質への負の影響。・自社基準や組織の論理に基づく判断の恣意性による品質不正の誘発。・過去データやノウハウなどをデジタルで見える化・共有化による品質保証プロセスの変革・技術者倫理教育・ガバナンスの徹底及び、早期の予防・未然防止を徹底する品質重視文化の醸成。10コンプライアンスリスク中×小・法令遵守に対する意識の希薄化や制度の形骸化による当社役員や従業員による重大な法令違反等。損害賠償等による経済的損失、行政処分による受注機会の逸失及び社会的評価の低下。・当社グループに大きな影響を与える法令の整理と主管部門の明確化、ならびに法令変更時等の予兆段階からの把握と影響調査とエスカレーション体制の運用による早期対応の徹底。・部下への適切な指導・監督を可能とする組織体制の適正化、報告・相談が咎められない文化の醸成。 注1.気候関連開示(TCFD提言):https://www.ebara.com/jp-ja/sustainability/think/tcfd/ 2.荏原グループのカーボンニュートラル: https://www.ebara.com/jp-ja/sustainability/environment/carbon-neutrality/ ② 対面市場別リスクセグメント対面市場主要製品主なリスク当社の対策建築・産業建築設備・産業設備 標準ポンプ(陸上ポンプ、水中ポンプ、給水ポンプ)、冷熱機械、送風機・需要増加地域での規制強化と価格競争激化・人口減少地域での建築設備需要減による市場縮小に伴う収益悪化・輸出規制及び制裁への対応を含めたコンプライアンスリスク・製品開発による差別化、S&S事業への注力や業務効率化による競争優位性の確保・グローバル市場でのリソースの戦略的最適化・継続的なコンプライアンス教育と内部監査の実施エネルギー石油・ガス電力新エネルギー カスタムポンプ、コンプレッサ・タービン、クライオポンプ・エキスパンダ・石油価格の変動により、急激な需要変動が発生・脱炭素社会への移行により、客先の需要動向が変化・景気後退時に受注量や販売価格が下落し、生産能力の余剰が発生する等、損益を圧迫する一方、景気好転時にはサプライチェーン起因を含む生産能力不足等が生じ、シェアを低下させるリスク・輸出規制及び制裁への対応を含めたコンプライアンスリスク ・水素等、次世代エネルギー関連事業の促進・需要の変化に対し、先行指標の確認等による、高い予測精度での投資計画の策定・実施とリソース管理・需要の変化に対し、リードタイム短縮や設計・製造の自動化等、効率化による損益分岐点の低下・需要の変化に対し、S&S事業比率の上昇による安定収益の確保・継続的なコンプライアンス教育と内部監査の実施 インフラ水インフラ カスタムポンプ(農業用ポンプ、排水ポンプ、上下水道ポンプ)、トンネル用送風機・海外市場での規制強化と価格競争激化・公共事業特有のコンプライアンスリスク・製品開発による差別化、S&S事業への注力や業務効率化による競争優位性の確保・グローバル市場へのリソースのシフト・継続的なコンプライアンス教育と内部監査の実施環境固形廃棄物処理都市ごみ焼却プラント、産業廃棄物焼却プラント・人口減少と循環経済への移行による焼却処理する廃棄物の減少・労働市場の縮小による、施設オペレーションの人材不足の懸念・公共事業特有のコンプライアンスリスク・リチウムイオン電池の発火等が原因の施設火災・新技術やライフサイクルアセスメント(LCA)などによる差別化、業務効率化による競争優位性の確保・継続的なコンプライアンス教育と内部監査の実施・火災の予防および早期検知と拡大防止をソフトとハードの両面で強化精密・電子半導体製造 真空ポンプ、CMP装置、めっき装置、排ガス処理装置 ・半導体需要の変動に伴う、客先の投資・稼働の変化や需給不均衡による収益・シェアへの影響リスク・輸出規制への対応を含めたコンプライアンスリスク・半導体業界の人財獲得競争による人材不足リスク・先行指標の確認等による、高い予測精度での投資計画の策定・実施とリソース管理・リードタイム短縮や設計・製造の自動化等、効率化推進による損益分岐点の低下・S&S事業の拡充による安定収益の確保・継続的なコンプライアンス教育と内部監査の実施・人材戦略の再構築及びエンゲージメント向上施策の推進 (4)顕在化したリスクへの対応状況経営に重要な影響を及ぼす恐れのある、全社的に対応が必要な事態が発生した場合には、リスク対応体制として代表執行役社長を本部長とする対策本部を立ち上げ、全社で迅速に報告・連絡・判断ができるようにしています。161期に顕在化したリスク及びその対応としては以下のとおりです。 ① 法令遵守等のコンプライアンスリスクへの対応当社は2025年2月20日に公正取引委員会から下請代金支払遅延等防止法(以下、下請法)に基づく勧告を受けました。下請法やその他関連する法令遵守に向けた再発防止とサプライヤとのより健全な関係構築に向けて「全社公正調達推進プログラム」に注力しました。具体的には、型管理の適正化、取引の適正化(支払遅延、代金減額、買いたたき、受領拒否、割引困難な手形の交付・受取拒否、協議に応じない一方的な代金決定等の防止)、価格転嫁への適正な対応、関連する業務プロセスや社内規程・制度の見直しや整備を実施しています。また、施策の履行状況については、RMPに対し定期的に報告を行い、実効性のあるモニタリング体制を維持しています。下請法(2026年1月より製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律)に関連する法令のみならず、当社グループが遵守すべき最新の法令を把握し、コンプライアンス経営を一層深化させるために、「法令改定対応委員会」を新設しました。法改正情報の早期捕捉および影響分析に基づき、必要に応じてタスクフォースを組織することで、適時適切な法令改正への対策を講じる体制としています。さらに、CRO(Chief Risk Officer)の主導により改正法の法令遵守方針を定め、各事業責任者およびグループ会社への周知徹底と、モニタリングに努めております。 ② 地政学上のリスクへの対応2025年4月から米中経済対立、米国関税政策、その他地政学上の懸念事項に対する、定期的な執行役等による情報共有および対策協議を実施しています。2025年6月のイスラエル・イランの両国間の緊張激化に際しては、駐在員及びその家族の退避方針を検討しました。国際情勢が大きな転換期を迎えるなか、貿易管理部門の機能を拡張し、経済安全保障施策の推進と経済制裁に対するコンプライアンス体制を整備しました。今後はリスクシナリオの策定やサプライチェーンへの影響分析などを通じ、当社グループの事業の戦略的不可欠性・自律性の実現を図っていきます。 ③ 環境及び労働安全における課題への対応2025年に当社事業所内で発生した事故の中には、重大な事態につながりかねない事案も見られました。これを受け、部門横断的な調査および検証を実施した結果、工程の進捗を優先するあまり工事審査の通過自体が目的化し、施工の計画・実施段階における安全意識が希薄化していることが判明しました。安全性の向上に向けた抜本的な改革を実施するため、2026年にEHS(Environment, Health & Safety:環境・衛生・安全)を統合的に推進する部署を設置しました。今後は、グループ全体で一貫した施策を展開し、安全を優先する組織文化の醸成を図ります。 ④ 国内における巨大地震への対応2025年12月9日に「北海道・三陸沖後発地震注意情報」が発表されたことを受け、対象となる地域(1道6県)の勤務者に対し、地震への備えの再確認や迅速な避難態勢の準備を指示しました。特に津波避難対策特別強化地域の拠点では在宅勤務を原則とし、本社と防災担当者との常時連絡体制を整えました。特別な注意の呼び掛け期間の終了に伴い、業務遂行上の支障がないことを確認した上で、同月16日より通常体制へ移行しました。なお2025年8月に改訂された「南海トラフ地震臨時情報 防災対応ガイドライン(内閣府)」を参考に、2つの地震情報で齟齬が生じないよう、社内ガイドラインを作成しております。