研究開発費(時系列)
| 年度 | R&D費用(億円) | 設備投資(億円) |
| 2025-03 |
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2 |
| 2024-03 |
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7 |
| 2023-03 |
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1 |
| 2022-03 |
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3 |
| 2021-03 |
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1 |
研究開発活動(本文)
FY2025|5,647 文字
6 【研究開発活動】当社グループの研究開発活動は、既存技術・各種装置の高度化並びに技術の差別化・競争力の向上を目指し、開発を行っております。また、新分野への積極的展開及び新技術・新製品開発を行っており、当連結会計年度におけるセグメント別の研究開発費は、エンジニアリング事業219百万円、単体機械事業290百万円の総額510百万円であります。主な研究開発は次のとおりであります。 (エンジニアリング事業)「廃プラスチックのガス化及びメタノール化実証事業」世界では海洋プラスチック問題が社会問題化するなど環境保護等の観点から、プラスチックのリサイクル方法確立の必要性が急速に高まっており、本事業はこれまで廃棄されていたプラスチックについて、ケミカルリサイクルによる資源循環システム構築を目指すものです。現在、実用化されている廃プラスチックのリサイクル技術は、リサイクル品の品質を確保するため、原料に一定の純度・清浄度が求められております。純度・清浄度が低く、リサイクルが困難な雑多なプラスチック(以下、雑多な廃プラ)は、単純焼却・熱利用焼却・埋立てにより処理されておりますが、プラスチック資源の循環と脱炭素化をいかに両立していくかが大きな課題となっております。上記のような課題に対し、流動床ガス化技術を有する神鋼環境ソリューション、廃プラスチックのケミカルリサイクルを推進する大栄環境及びDINS関西、水素製造・合成ガス製造技術を有する当社及び環境循環型メタノール構想を推進する三菱ガス化学は、循環型社会の構築に貢献するために、廃プラスチックの有効資源化を進めたいという共通の思いのもと、雑多な廃プラであっても処理可能な流動床式ガス化技術をベースに、雑多な廃プラをガス化して得られた合成ガスからメタノールを合成する、国内初のケミカルリサイクル技術を構築する共同実証プロジェクトを実施しました。当社は、水素製造技術等で培った触媒技術・ガス改質技術を活用し、廃プラスチック等のガス化炉から得られる合成ガスをケミカルリサイクル可能なガスに改質するプロセスの検証を行い、メタノール合成に適した改質ガスを製造することに成功致しました。今後はスケールアップ検討を実施し、商用化に向けた取り組みを継続してまいります。 「高効率消化システムによる地産地消エネルギー活用化技術」B-DASH実証事業として、唐津市浄水センターに建設した実証施設は、2019年度より自主研究として実負荷運転を継続してまいりました。2020年3月には、国土交通省及び国土技術政策総合研究所(国総研)より本技術に関するガイドラインが公表され、技術的な方向性が明確化されました。昨年度2024年度(自主研究6年目)は、国総研との契約に基づく最終年度として、自主研究の最終報告を2025年3月に完了しております。また、唐津市浄水センターにおいては、2023年3月に既設の消化タンク(容量:1,860m³)の機械設備改修に伴い、当社の可溶化装置を加温設備として導入しております。本装置は、自治体向けとしては初の導入事例となります。この導入により、当浄水センターで発生する汚泥の全量を高効率消化システム(熱可溶化方式)により処理するシステムが整い、導入効果の継続的な調査を実施しております。2024年度の調査結果として、以下の成果が確認されました。·排出汚泥量:約45%削減·放流水質への悪影響:確認されずこれらの成果は、2025年8月に開催予定の「第62回下水道研究発表会」において報告を予定しております。別途、今後の市場拡大が見込まれる汚泥集約処理に向け、外部汚泥の受け入れに対応した可溶化装置の適用に関する研究も進行中です。国内の各自治体においても脱炭素社会の実現に向けた取り組みが加速する中、引き続き本システムの導入促進及び拡販を積極的に推進してまいります。 (単体機械事業)「iFactory®の開発」NEDO(*)が取り組む「戦略的省エネルギー技術革新プログラム/テーマ設定型事業者連携スキーム」の一環で、当社は現在のバッチ式製造法にかわり、連続生産方式を採用した再構成可能なモジュール型の医薬品製造設備「iFactory®」(アイファクトリー)の開発に参画しております。当社は連続真空ろ過機「CURUPO®」(クルポ)と連続棚段乾燥機「プレートドライヤ―」を、プロセスに応じて組み換え可能なモジュール「iCube」内へ組み込み、制御システムの動作検証、自動運転調整を行った後、2022年10月に株式会社高砂ケミカル様の掛川工場iFactoryに納入致しました。その後、iFactoryを構成する前後段のiCube、ユーティリティを構成する「iConnect」と連結され、消防検査を経て、2023年2月、掛川工場iFactoryの竣工式が執り行われ、iFactory全体の運転検証を開始しております。2023年4月より開始した実証試験では3種類の化合物を連続生産し、バッチ生産と同等の品質が確保されていることを確認しました。更に本開発の功績が特に顕著であると認められ、2023年度「NEDO省エネルギー技術開発賞」最優秀事業者として「理事長賞」を受賞致しました。また、最新の実証結果から、連続晶析したスラリーの濃縮装置として回転式セラミック膜ろ過機「DyF(ダイナフィルタ)」が新たなラインナップに加わりました。当社は「iFactory®」の普及により、生産性の向上とCO2排出量の大幅な削減を目指してまいります。* NEDOは国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の略称。本内容成果の一部は、NEDOの助成事業の結果得られたものです。 (その他)「微細藻類によるカーボンニュートラル社会の実現を目指した研究開発」当社は、製造機能を兼ね備えたエンジニアリング会社として、カーボンニュートラルな社会を実現できるよう取り組んでおります。その1つとして、微細藻類を原料としたバイオジェット燃料開発への研究協力など、微細藻類に関連する取り組みを進めております。2022年度に国立研究開発法人科学技術振興機構「共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)・共創分野(本格型)」に採択された、「バイオDX産学共創コンソーシアム(代表機関:国立大学法人 広島大学)」の『Bio-Digital Transformation(バイオDX)産学共創拠点』に当社も参画し、東京科学大学太田啓之名誉教授のもと「カーボンゼロを推進するバイオものづくり」を目標に、「微細藻類および植物による有用物質生産プラットフォームの開発」として、当社川崎製作所敷地内の実証エリア(200㎡)に、当社製品である都市型フォトバイオリアクターとレースウェイ培養装置を複数基設置し、多角的な微細藻類の研究開発を実施しております。藻類培養に必要な二酸化炭素は、隣接する当社の水素製造装置「HyGeia-A」の排ガスを供給源とし、CCU(Carbon dioxide Capture and Utilization)をはかっています。また、ちとせグループが運営する『MATSURI(まつり)』の活動に賛同し、ゴールドパートナー契約を締結しています。『MATSURI』は多様な業界から様々な企業が参加している藻類を活用した企業連携型プロジェクトで、光合成を活用した藻類の生産を通じてカーボンニュートラル実現を推進すると同時に、パートナー企業間で連携して事業開発を行い、再生燃料をはじめプラスチックや食品、化粧品など人々の生活を支える藻類製品を社会に普及させることを目指します。ちとせグループの中核法人である株式会社ちとせ研究所は、2023年3月に新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業/バイオものづくり技術による二酸化炭素を直接原料としたカーボンリサイクルの推進」に「光合成によるCO2直接利用を基盤とした日本発グローバル産業構築」のテーマで採択され、マレーシアでの大規模実証が進められています。当社は微細藻類ソリューション技術やエンジニアリング技術を応用して、新規事業を見据えた新たなソリューションの開発・提案に取り組み、サステナブルな社会づくりに貢献してまいります。 「電界フィルターEle-Fil®の開発」膜分離をはじめとする従来のろ過法は、微粒子をろ材が濾し取る直接ろ過方式です。ろ過はケーク形成や目詰まりによる性能低下という恒久的な問題を有しています。ケーク形成や目詰まりが進行すると、ろ液が流れにくくなり、処理量が低下していきます。この問題の解決に取り組んでいた際に、ろ液中の粒子は弱いマイナスの電荷を帯びていることに着目し、荷電粒子間に働く反発を利用する「電界ろ過法」を開発しました。本装置は電気を利用したろ過方法をイメージして、Electric Filter の略称「Ele-Fil®」と命名しました。電界ろ過法とは、積層構造の電極ろ板に形成された電界バリアの電気的反発作用を利用した非接触ろ過方法です。ろ過室に供給されたスラリー液(原液)を、電界ろ過法によって精密にろ液と濃縮液に分離できます。ナノ(nm)レベルの細かい粒子のろ過が適応できます。電界ろ過法は従来困難とされていた精密分離や、分離時間の短縮、メンテナンス性の向上など、様々な可能性が期待されます。社会実装に向けて、多くの用途開発を実施してまいります。 「CO2分離膜を利用したCO2分離回収型水素製造装置とCO2有効利用技術の開発」当社と次世代型膜モジュール技術研究組合(以下、MGM組合という)は、両者が共同提案した「高圧用CO2分離膜の水素製造システムへの適用性検討」が、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「NEDO」という)が公募した、「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/CO2分離・回収技術の研究開発/二酸化炭素分離膜システム実用化研究開発」の助成事業として、2024年5月に採択されました。MGM組合が開発しているCO2分離用分子ゲート膜は、二酸化炭素を選択的に透過する特性があります。この分離膜を水素製造工程に適用するため、同組合は分圧・濃度が低い中圧水素製造工程ガスからでも安定的に高効率に二酸化炭素を分離・回収できるよう、分子ゲート膜をチューニングし、商用サイズの膜エレメントを提供します。当社は、水素製造装置に分離膜を組み込んで、高純度水素製造と二酸化炭素回収機能を有する実証機を設計・製作し、2026年度に実証試験を行う計画です。2024年度は水素とCO2の精製に関する要素試験を実施、またCO2分離膜の特性に適合した運転条件と制御方法を検討し、高効率なCO2分離回収型水素製造装置の基本設計を行いました。当社では別途PSA法による二酸化炭素回収技術にも取り組んでいますが、分離膜を適用する本技術は、二酸化炭素を分離しやすい水素製造工程で分離するため、コスト低減が期待できます。当社とMGM組合は、実証試験の結果をもとに二酸化炭素分離回収コスト、低炭素水素製造コストの評価を行い、2030年に予想される低炭素水素市場価格や二酸化炭素市場価格に経済的に見合った製造コストとするための課題を洗い出し、早期の社会実装を目指します。また、二酸化炭素回収装置を普及させるためには、回収した二酸化炭素の有効利用方法も重要な課題です。当社ではその一つとして、メタネーション装置の開発に取り組んでいます。同装置は分離回収した二酸化炭素と水素を反応させメタンを合成する技術で、反応させる水素が再生可能エネルギー由来の場合には、カーボンニュートラルなメタンが製造可能となるため、カーボンニュートラルに貢献できる技術として期待されています。現在、ベンチスケールでの試験を行っており、今後実証機を製作し、当社川崎製作所内の実証水素ステーションで、実証試験を行う計画です。 「アンモニア・水素利用分散型エネルギーシステムの研究開発」当社は、東海国立大学機構 岐阜大学、株式会社レゾナックと共同で、総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)による戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期課題「スマートエネルギーマネジメントシステムの構築」の研究開発テーマ「アンモニア・水素利用分散型エネルギーシステム」に取組んでおります。アンモニアは早期に社会実装可能な脱炭素エネルギー及び水素キャリアとして期待されておりますが、現状産業・運輸・民生分野でのアンモニア利用の用途は非常に少なく、アンモニア・水素利用の拡大を可能とする技術開発が喫緊の課題であり、2030年社会実装を目指して早急に取り組む必要があります。SIPの研究開発テーマ「アンモニア・水素利用分散型エネルギーシステム」は、アンモニアの使用先として期待の高い、工業炉、ボイラー、ガスエンジン及び燃料電池発電システム、コミュニティ内水素搬送・利用システムの要素研究と実証研究を目的としており、当社はボイラー等の燃焼器向けアンモニア改質器ユニットと、燃料電池向けアンモニア改質器ユニットの研究開発を行っております。2024年度は、燃焼器向けアンモニア改質器ユニットの実証試験装置について設計を完了し、機器調達、製作に着手、加えて燃焼器向けアンモニア改質器ユニット用触媒(ATR触媒)のスクリーニングを実施しました。また、燃料電池向けアンモニア改質ユニットは全体システム検討と燃料電池向けアンモニア改質ユニット用触媒(分解触媒)のスクリーニングを行いました。 研究開発期間は2028年3月までを予定しており、今後は実用機設計・製作を進め、早期の社会実装を目指します。
FY2024|3,990 文字
6 【研究開発活動】当社グループの研究開発活動は、既存技術・各種装置の高度化並びに技術の差別化・競争力の向上を目指し、開発を行っております。また、新分野への積極的展開及び新技術・新製品開発を行っており、当連結会計年度におけるセグメント別の研究開発費は、エンジニアリング事業292百万円、単体機械事業306百万円の総額598百万円であります。主な研究開発は次のとおりであります。 (エンジニアリング事業)「廃プラスチックのガス化及びメタノール化実証事業」世界では海洋プラスチック問題が社会問題化するなど環境保護等の観点から、プラスチックのリサイクル方法確立の必要性が急速に高まっており、本事業はこれまで廃棄されていたプラスチックについて、ケミカルリサイクルによる資源循環システム構築を目指すものです。現在、実用化されている廃プラスチックのリサイクル技術は、リサイクル品の品質を確保するため、原料に一定の純度・清浄度が求められております。純度・清浄度が低く、リサイクルが困難な雑多なプラスチック(以下、雑多な廃プラ)は、単純焼却・熱利用焼却・埋立てにより処理されておりますが、プラスチック資源の循環と脱炭素化をいかに両立していくかが大きな課題となっております。上記のような課題に対し、流動床ガス化技術を有する神鋼環境ソリューション、廃プラスチックのケミカルリサイクルを推進する大栄環境及びDINS関西、水素製造・合成ガス製造技術を有する三菱化工機及び環境循環型メタノール構想を推進する三菱ガス化学は、循環型社会の構築に貢献するために、廃プラスチックの有効資源化を進めたいという共通の思いのもと、雑多な廃プラであっても処理可能な流動床式ガス化技術をベースに、雑多な廃プラをガス化して得られた合成ガスからメタノールを合成する、国内初のケミカルリサイクル技術を構築する共同実証プロジェクトを実施しました。当社は、水素製造技術等で培った触媒技術・ガス改質技術を活用し、廃プラスチック等のガス化炉から得られる合成ガスをケミカルリサイクル可能なガスに改質するプロセスの検証を行い、メタノール合成に適した改質ガスを製造することに成功致しました。今後はスケールアップ検討を実施し、商用化に向けた取り組みを継続してまいります。 「鶏糞および廃棄食糧由来バイオガスからの水素製造技術」トヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ)、豊田通商株式会社(以下、豊田通商)とともに、バイオガスから水素を製造するプロセスをタイ国内に初めて導入することに成功致しました。開発した小型水素製造装置は、2023年11月、タイに設置され、現地の鶏糞や廃棄食料由来のバイオガスから高純度の水素を製造することができ、圧縮、貯蔵、輸送工程を経たのちに水素自動車へ供給されました。今後も、水素を「つくる・はこぶ・ためる・つかう」ためのタイでの一連の取り組みの一環としてこの装置を活用していく予定です。日本の水素関連技術を活用し、各国・地域に合わせたクリーンエネルギーの活用促進に努め、様々なステークホルダーの皆様と連携し、水素社会とその先にあるカーボンニュートラル社会の実現に貢献する第一歩となりました。 「高効率消化システムによる地産地消エネルギー活用化技術」本研究は、2020年3月に国土交通省/国総研よりガイドラインを公表して頂いて以降、唐津市浄水センターにて自主研究を継続しており、昨年度は自主研究5年目となりました。2023年3月に、唐津市浄化センターの既設の消化タンク(消化タンク容量:1,860m3)機械設備の改修において、消化タンクの加温設備として、可溶化装置が自治体向けの1号機として導入されました。本装置は、脱水汚泥を熱可溶化するため、加温必要エネルギーが小さく、また、放流水質への影響を少なくする運転を実施しています。本装置の導入により、当処理場は水処理より発生する汚泥全量が、高効率消化システム(熱可溶化)による汚泥処理となり、その導入効果を継続調査しております。昨年度の調査結果といたしましては、以下の導入効果を確認致しました。・排出汚泥量:約42%減・放流水質への悪化影響は確認されないこと 上記調査結果に関しましては、今年度8月に開催される第61回下水道研究発表会でも同様の調査報告を発表する予定です。国内各自治体でも脱炭素への取組みとしまして、改めて消化設備への取り組みが注目されており、今後はこの調査結果をもとに、各自治体向けに本システムの更なる導入促進・拡販に取り組んでまいります。 (単体機械事業)「iFactory®の開発」NEDO(*)が取り組む「戦略的省エネルギー技術革新プログラム/テーマ設定型事業者連携スキーム」の一環で、当社は現在のバッチ式製造法にかわり、連続生産方式を採用した再構成可能なモジュール型の医薬品製造設備「iFactory®」(アイファクトリー)の開発に参画しております。当社は新製品である連続真空ろ過機「CURUPO®」(クルポ)と連続棚段乾燥機「プレートドライヤ―」を、プロセスに応じて組み換え可能なモジュール「iCube」内へ組み込み、制御システムの動作検証、自動運転調整を行った後、2022年10月に株式会社高砂ケミカル様の掛川工場iFactoryに納入致しました。その後、iFactoryを構成する前後段のiCube、ユーティリティを構成する「iConnect」と連結され、消防検査を経て、2023年2月、掛川工場iFactoryの竣工式が執り行われ、iFactory全体の運転検証を開始しております。2023年4月より開始した実証試験では3種類の化合物を連続生産し、バッチ生産と同等の品質が確保されていることを確認しました。更に本開発の功績が特に顕著であると認められ、2023年度「NEDO省エネルギー技術開発賞」最優秀事業者として「理事長賞」を受賞致しました。当社は「iFactoryⓇ」の普及により、生産性の向上とCO2排出量の大幅な削減を目指してまいります。* NEDOは国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の略称。本内容成果の一部は、NEDOの助成事業の結果得られたものです。 (その他)「微細藻類によるカーボンニュートラル社会の実現を目指した研究開発」当社は、製造機能を兼ね備えたエンジニアリング会社として、常に新しい時代のニーズに対応した装置・設備を設計・製作・建設することで、2050年までにカーボンニュートラルな社会を実現できるよう取り組んでおります。その1つとして、1980年代にはクロレラの培養・生産設備の建設に携わり、2000年代後半からの微細藻類を原料としたバイオジェット燃料開発への研究協力など、微細藻類に関連する取り組みを進めてまいりました。2022年度は、当社もメンバーとして参画しております「バイオDX産学共創コンソーシアム(代表機関:広島大学)」が、『Bio-Digital Transformation(バイオDX)産学共創拠点』として国立研究開発法人科学技術振興機構「共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)・共創分野(本格型)」に採択され、2032年3月までの10年間にわたる研究プロジェクトが開始しました。当社を含む研究グループ(5大学及び6企業、1自治体)は、この『バイオDX産学共創拠点』がSDGsに基づくあるべき将来像の構想として定めたターゲット「カーボンゼロを推進するバイオものづくり」を目標に、研究開発課題リーダーである東京工業大学太田啓之名誉教授のもと、「微細藻類および植物による有用物質生産プラットフォームの開発」に取り組んでおり、当社川崎製作所敷地内に実証エリア(200㎡)を設け、多角的な微細藻類の研究開発を実施しております。2022年度は東京工業大学に300L規模の当社「都市型フォトバイオリアクター」を採用いただき、当社の実証エリアの整備、研究装置の製作を実施いたしました。2023年度に設置を完了し、実証試験を開始いたします。今後、レースウェイ培養装置を複数基設置すると共に、隣接する当社の水素製造装置「HyGeia-A」から排出されるCO2を藻類培養のCO2供給源として活用し、CO2利用(CCU:Carbon dioxide Capture and Utillization)をはかり、培養後の工程(収穫~抽出)の研究設備についても整備してまいります。また、ちとせグループが運営し、多様な業界から様々な企業が参加している藻類を活用した企業連携型プロジェクト『MATSURI(まつり)』の活動に賛同し、当社は2022年度に法人パートナー契約を締結いたしました。『MATSURI』は、光合成を活用した藻類の生産を通じてカーボンニュートラル実現を推進すると同時に、パートナー企業間で連携して事業開発を行い、再生燃料をはじめプラスチックや食品、化粧品など人々の生活を支える藻類製品を社会に普及させることをめざすプロジェクトです。取り組みの一つとしまして、ちとせグループの中核法人である株式会社ちとせ研究所は、2023年3月に新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業/バイオものづくり技術によるCO2を直接原料としたカーボンリサイクルの推進」に「光合成によるCO2直接利用を基盤とした日本発グローバル産業構築」のテーマで採択されており、当社としましても、パートナー企業と共にエンジニアリング技術や微細藻類ソリューション技術を応用して、新規事業を見据えた新たなソリューションの開発・提案に取り組み、サステナブルな社会づくりに貢献してまいります。
FY2023|3,415 文字
6 【研究開発活動】当社グループの研究開発活動は、既存技術・各種装置の高度化並びに技術の差別化・競争力の向上を目指し、開発を行っております。また、新分野への積極的展開及び新技術・新製品開発を行っており、当連結会計年度におけるセグメント別の研究開発費は、エンジニアリング事業118百万円、単体機械事業158百万円の総額276百万円であります。主な研究開発は次のとおりであります。 (エンジニアリング事業)「廃プラスチックのガス化及びメタノール化実証事業」世界では海洋プラスチック問題が社会問題化するなど環境保護等の観点から、プラスチックのリサイクル方法確立の必要性が急速に高まっており、本事業はこれまで廃棄されていたプラスチックについて、ケミカルリサイクルによる資源循環システム構築を目指すものです。現在、実用化されている廃プラスチックのリサイクル技術は、リサイクル品の品質を確保するため、原料に一定の純度・清浄度が求められております。純度・清浄度が低く、リサイクルが困難な雑多なプラスチック(以下、雑多な廃プラ)は、単純焼却・熱利用焼却・埋立てにより処理されておりますが、プラスチック資源の循環と脱炭素化をいかに両立していくかが大きな課題となっております。上記のような課題に対し、流動床ガス化技術を有する神鋼環境ソリューション、廃プラスチックのケミカルリサイクルを推進する大栄環境及びDINS関西、水素製造・合成ガス製造技術を有する三菱化工機及び環境循環型メタノール構想を推進する三菱ガス化学は、循環型社会の構築に貢献するために、廃プラスチックの有効資源化を進めたいという共通の思いのもと、雑多な廃プラであっても処理可能な流動床式ガス化技術をベースに、雑多な廃プラをガス化して得られた合成ガスからメタノールを合成する、国内初のケミカルリサイクル技術を構築する共同実証プロジェクトを立ち上げました。当社は、水素製造技術等で培った触媒技術・ガス改質技術を活用し、廃プラスチック等のガス化炉から得られる合成ガスをケミカルリサイクル可能なガスに改質するプロセスを提供いたします。本技術を確立することで脱炭素社会に貢献してまいります。 「高効率消化システムによる地産地消エネルギー活用化技術」本研究は、2020年3月に国土交通省/国総研よりガイドラインを公表して頂いて以降、自主研究を継続しております。昨年度は自主研究4年目といたしまして、以下の項目を継続調査しております。・高効率消化システム(熱可溶化)によるバイオガスの増量及び分解率の向上効果・排出汚泥量の削減効果・本システムを導入する場合に懸念される可溶化汚泥による返流水負荷上昇に伴う放流水質の影響昨年度の調査結果といたしましては、以下の項目を確認しております。・投入有機物当たりのガス発生量:約23%増、消化率:約12%の向上・排出汚泥量:約46%減・放流水質への悪化影響は確認されないこと 上記調査結果に関しましては、日本下水道協会主催「第34回下水汚泥の有効利用に関するセミナー」(2022年11月開催)にて発表しており、今年度8月に開催される第60回下水道研究発表会でも同様の調査報告を発表する予定です。国内各自治体でも脱炭素への取組みとしまして、改めて消化設備への取り組みが注目されており、今後はこの調査結果をもとに、各自治体向けに本システムの更なる導入促進・拡販に取り組んでまいります。 (単体機械事業)「iFactory®の開発」NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術開発機構)が取り組む「戦略的省エネルギー技術革新プログラム/テーマ設定型事業者連携スキーム」の一環で、当社は現在のバッチ式製造法にかわり、連続生産方式を採用した再構成可能なモジュール型の医薬品製造設備「iFactory®」(アイファクトリー)の開発に参画しております。当社は新製品である連続真空ろ過機「CURUPO®」(クルポ)と連続棚段乾燥機「プレートドライヤ―」を、プロセスに応じて組み換え可能なモジュール「iCube」内へ組み込み、制御システムの動作検証、自動運転調整を行った後、2022年10月に株式会社高砂ケミカル様の掛川工場iFactoryに納入致しました。その後、iFactoryを構成する前後段のiCube、ユーティリティを構成する「iConnect」と連結され、消防検査を経て、2023年2月、掛川工場iFactoryの竣工式が執り行われ、iFactory全体の運転検証を開始しております。2023年度はファインケミカルの連続生産実証試験を行い、本開発を完了する予定です。当社は日本の医薬品・ファインケミカルの製造において省人化、省エネルギー化等、生産と資源の効率化に貢献する生産設備の構築と実用化に取り組んでまいります。 (その他)「微細藻類によるカーボンニュートラル社会の実現を目指した研究開発」当社は、製造機能を兼ね備えたエンジニアリング会社として、常に新しい時代のニーズに対応した装置・設備を設計・製作・建設することで、2050年までにカーボンニュートラルな社会を実現できるよう取り組んでおります。その1つとして、1980年代にはクロレラの培養・生産設備の建設に携わり、2000年代後半からの微細藻類を原料としたバイオジェット燃料開発への研究協力など、微細藻類に関連する取り組みを進めてまいりました。2022年度は、当社もメンバーとして参画しております「バイオDX産学共創コンソーシアム(代表機関:広島大学)」が、『Bio-Digital Transformation(バイオDX)産学共創拠点』として国立研究開発法人科学技術振興機構「共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)・共創分野(本格型)」に採択され、2032年3月までの10年間にわたる研究プロジェクトが開始しました。当社を含む研究グループ(5大学及び6企業、1自治体)は、この『バイオDX産学共創拠点』がSDGsに基づくあるべき将来像の構想として定めたターゲット「カーボンゼロを推進するバイオものづくり」を目標に、研究開発課題リーダーである東京工業大学太田啓之名誉教授のもと、「微細藻類および植物による有用物質生産プラットフォームの開発」に取り組んでおり、当社川崎製作所敷地内に実証エリア(200㎡)を設け、多角的な微細藻類の研究開発を実施しております。2022年度は東京工業大学に300L規模の当社「都市型フォトバイオリアクター」を採用いただき、当社の実証エリアの整備、研究装置の製作を実施いたしました。2023年度に設置を完了し、実証試験を開始いたします。今後、レースウェイ培養装置を複数基設置すると共に、隣接する当社の水素製造装置「HyGeia-A」から排出されるCO2を藻類培養のCO2供給源として活用し、CO2利用(CCU:Carbon dioxide and Utillization)をはかり、培養後の工程(収穫~抽出)の研究設備についても整備してまいります。また、ちとせグループが運営し、多様な業界から様々な企業が参加している藻類を活用した企業連携型プロジェクト『MATSURI(まつり)』の活動に賛同し、当社は2022年度に法人パートナー契約を締結いたしました。『MATSURI』は、光合成を活用した藻類の生産を通じてカーボンニュートラル実現を推進すると同時に、パートナー企業間で連携して事業開発を行い、再生燃料をはじめプラスチックや食品、化粧品など人々の生活を支える藻類製品を社会に普及させることをめざすプロジェクトです。取り組みの一つとしまして、ちとせグループの中核法人である株式会社ちとせ研究所は、2023年3月に新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業/バイオものづくり技術によるCO2を直接原料としたカーボンリサイクルの推進」に「光合成によるCO2直接利用を基盤とした日本発グローバル産業構築」のテーマで採択されており、当社としましても、パートナー企業と共にエンジニアリング技術や微細藻類ソリューション技術を応用して、新規事業を見据えた新たなソリューションの開発・提案に取り組み、サステナブルな社会づくりに貢献してまいります。
FY2022|2,710 文字
5 【研究開発活動】当社グループの研究開発活動は、既存技術・各種装置の高度化並びに技術の差別化・競争力の向上を目指し、開発を行っております。また、新分野への積極的展開及び新技術・新製品開発を行っており、当連結会計年度におけるセグメント別の研究開発費は、エンジニアリング事業115百万円、単体機械事業115百万円の総額230百万円であります。主な研究開発は次のとおりであります。 (研究開発事業)「都市型藻類バイオマス生産用フォトバイオリアクター(PBR)の開発・実証」当社は、1980年代からクロレラをはじめとした微細藻類に関わる培養生産技術に携わっております。また、近年の藻類オイルを用いたバイオジェット燃料等などの研究向けに、微細藻類の収穫向けに当社主力製品である分離板型遠心分離機「三菱ディスクセパレータ」の提案・販売を行っております。また、2013年度~2018年度の藻類産業創成コンソーシアムとの共同研究(福島プロジェクト)をはじめ、微細藻類研究や実証事業の研究開発に参画し、目的に応じた藻類バイオマスの収穫設備や、オイル・色素等の成分抽出等、新たな装置の開発も行っております。2020年度からは、都市部のビルや工場でも微細藻類を培養できる都市型バイオマス生産装置として閉鎖系微細藻類培養技術としてフォトバイオリアクター(PBR)の開発にも取り組んでおります。一方、昨今のSAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)の世界的な需要拡大に伴い、藻類オイルを用いたバイオジェット燃料の実用化に向けた研究開発も加速しております。このため、株式会社ユーグレナ殿や株式会社デンソー殿、伊藤忠商事株式会社殿等と共に、2020年度~2022年度のNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術開発機構)の公募事業「バイオジェット燃料生産技術開発事業/微細藻類基盤技術開発」(再委託)に取り組んでおり、当社は食用油脂製造分野での実績や藻類バイオマスの分離技術の知見を活かし、効率的な藻類オイルの抽出装置の開発を担当してまいりました。2022年度は、ヌッチェフィルター型抽出装置のベンチスケール機を、株式会社ユーグレナ殿が整備する微細藻類の屋外大量培養研究拠点に納品し、将来の事業化に向けた、油分抽出の行程や条件等の検討を進めてまいります。 (エンジニアリング事業)「吸蔵合金水素圧縮機の開発」近年、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの削減を目的に、脱炭素社会の実現に向けた取り組みが加速しており、クリーンエネルギーである水素が注目されております。当社では高品質で低コストな水素供給設備の開発に取り組んでおり、2021年度においては、水素貯蔵用途として実用化されている水素吸蔵合金が、温度により水素を吸蔵、放出する特性に着目し、吸蔵合金水素圧縮機の開発を行いました。 本圧縮機は、複数の水素吸蔵合金を充填した反応器により構成されており、 ・250℃程度の温度域にて吸蔵された水素を放出させることによる水素昇圧工程 ・常温にした熱媒により反応器を冷却し、水素を吸蔵させる水素吸蔵工程を繰り返すことで連続的な昇圧操作が可能となっております。実証試験機を製作し、公益財団法人水素エネルギー製品研究試験センター(HyTReC)において水素昇圧サイクル試験を実施し、吐出圧力19.6MPaG、水素流量1Nm3/hの開発目標を達成しました。また、連続運転中に圧縮性能が損なわれず、安定的に1Nm3/h以上の水素が送ガス可能であることを確認しております。商用化が実現すると、流通する水素の圧力域(19.6MPaG)への昇圧用途に加え、水素ステーションにおいては、既存機械式圧縮機との組み合わせにより機械式圧縮機昇圧負荷を軽減し、より低コストで安全な運営をはかれる可能性があります。今後は、水素吸蔵合金充填量の増加等によるスケールアップを検討し、早期の吸蔵合金水素圧縮機の商用化を目指し、当社の水素事業における新たな技術ラインナップの一つとして、更なる事業展開をはかりたいと考えております。 「高効率消化システムによる地産地消エネルギー活用化技術」本研究は、2017年度国土交通省の下水道革新的技術実証事業(B-DASH事業)に「高効率消化システムによる地産地消エネルギー活用技術の実用化に関する実証研究」が採択され、実証施設(消化槽容量:500m3)を建設、実証運転データによる評価委員会の性能評価を受け、2020年3月に国土交通省/国総研よりガイドラインが公表されております。昨年度の自主研究テーマとして、本システムを導入する場合に各自治体が懸念される可溶化汚泥による返流水負荷上昇に伴う放流水質の悪化に対して調査研究を実施致しました。約1年間に及び調査を実施した結果として、高効率消化に伴う返流水負荷上昇による放流水質への影響は見られないことを確認いたしました。この結果は、他社熱可溶化技術が消化槽投入側の有機物全量に対して熱可溶化を実施するのに比較して、当社の可溶化技術は消化後の消化脱水汚泥を可溶化するため、余分な熱量を使わず、かつ可溶化する汚泥量を調整(投入固形物量の約50%)出来ることに起因していると考えております。国内各自治体でも脱CO2への取組みとして、改めて消化設備への取り組みが注目されており、今後はこの調査結果をもとに、各自治体向けに本システムの更なる導入促進・拡販に取り組んでまいります。 (単体機械事業)「iFactory®の開発」NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術開発機構)が取り組む「戦略的省エネルギー技術革新プログラム/テーマ設定型事業者連携スキーム」の一環で、当社は現在のバッチ式製造法にかわり、連続生産方式を採用した再構成可能なモジュール型の医薬品製造設備「iFactory®」(アイファクトリー)の開発に参画しております。2021年度、当社は連続ろ過機と連続乾燥機を製作、iFactory®のモジュールに組み込み、動作確認を実施いたしました。脱炭素、超高齢化社会において医薬品を含む機能性化学品を持続的に供給可能な産業構造に変革すべく、異業種機関が連携して、省エネ・省人型革新的連続生産システム「iFactory®」の開発は、第4回日本オープンイノベーション大賞「経済産業大臣賞」を受賞しました。 今後はプロトタイプの製作と実証を進め、日本の医薬品製造における省エネルギー化・生産と資源の効率化に貢献する生産設備の構築と実用化に取り組んでまいります。
FY2021|2,479 文字
5 【研究開発活動】当社グループの研究開発活動は、既存技術・各種装置の高度化並びに技術の差別化・競争力の向上を目指し、開発を行っております。また、新分野への積極的展開及び新技術・新製品開発を行っており、当連結会計年度におけるセグメント別の研究開発費は、エンジニアリング事業229百万円、単体機械事業133百万円の総額362百万円であります。主な研究開発は次のとおりであります。 (研究開発事業)「都市型藻類バイオマス生産用フォトバイオリアクター(PBR)の開発・実証」三菱化工機は、1980年代からクロレラをはじめとした微細藻類に関わる培養生産技術に携わっており、近年の藻類オイルを用いたバイオジェット燃料などの研究にも、微細藻類の収穫向けに当社主力製品である分離板型遠心分離機「三菱ディスクセパレータ」の提案・販売を行っております。また、2013~2018年度の藻類産業創成コンソーシアムとの共同研究(福島プロジェクト)をはじめ、微細藻類研究や実証事業の研究開発に参画し、目的に応じた藻類バイオマスの収穫設備や、オイル・色素などの成分抽出等、新たな装置の開発も行っております。昨今、外部からのコンタミネーション防止などメリットを有する閉鎖系微細藻類培養技術としてPBRが注目されることから、旧来からのオープンポンド型培養設備に変わる新たな培養設備としてPBRの開発・販売を目指します。このため2020年から、都市部のビルや工場でも微細藻類を培養できる都市型バイオマス生産装置としてPBRの開発を開始いたしました。同PBRは、樹脂製に比べ、耐光性・耐薬品性に優れ、汚れにくいガラス製のリアクター管を採用し、近年毎年のように発生する台風、地震などへの災害を考慮したオリジナルの免震フレームが採用しております(特許出願)。今後、排ガス中のCO2利用による培養コストの低減や温室効果ガスの排出削減を目的に、当社主力製品の小型水素製造装置「HyGeia-A」が水素を製造する際に排出するCO2を、同PBRへ直接投入して微細藻類の培養を行う実証試験などを行います。 (エンジニアリング事業)「吸蔵合金水素圧縮機の開発」近年、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの削減を目的に、脱炭素社会の実現に向けた取り組みが加速しており、クリーンエネルギーである水素が注目されております。当社では高品質で低コストな水素供給設備の開発に取り組んでおり、今年度においては、水素貯蔵用途として実用化されている水素吸蔵合金が、温度により水素を吸蔵、放出する特性に着目し、吸蔵合金水素圧縮機の開発を行いました。 本圧縮機は、複数の水素吸蔵合金を充填した反応器により構成されており、 ・250℃程度の温度域にて吸蔵された水素を放出させることによる水素昇圧工程 ・常温にした熱媒により反応器を冷却し、水素を吸蔵させる水素吸蔵工程を繰り返すことで連続的な昇圧操作が可能となっております。実証試験機を製作し、公益財団法人水素エネルギー製品研究試験センター(HyTReC)において水素昇圧サイクル試験を実施し、吐出圧力19.6MPaG、水素流量1Nm3/hの開発目標を達成しました。また、連続運転中に圧縮性能が損なわれず、安定的に1Nm3/h以上の水素が送ガス可能であることを確認しております。今後は、水素吸蔵合金充填量の増加等によるスケールアップを検討し、早期の吸蔵合金水素圧縮機の商用化を目指します。商用化実現の際には、流通する水素の圧力域(19.6MPaG)への昇圧用途に加え、水素ステーションにおいては、既存機械式圧縮機との組み合わせにより機械式圧縮機昇圧負荷を軽減し、より低コストで安全な運営をはかれる可能性があります。当社の水素事業における新たな技術ラインナップの一つとして、更なる事業展開をはかりたいと考えております。 「嫌気性膜分離法を用いた省エネ型排水処理技術の研究」本研究は、2017年度より環境省「CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」委託事業に採択され、2020年度で実証研究を完了いたしました。本方式は、嫌気性微生物と膜を使った汚水処理方式で、従来の循環式硝化脱窒法に比較して大幅なCO2削減効果化が得られる技術です。また、嫌気性膜分離槽から発生するバイオガスは、創エネ(発電等)が可能となります。 顧客ニーズを反映したシステムを開発し、排水処理のCO2削減に貢献してまいります。 (単体機械事業)「iFactory®の開発」2018年度において、フロー精密合成コンソーシアム(FlowST:Flow Science & Technology consortium)の会員である化学会社3社と設備系2社で共同提案した「再構成可能なモジュール型単位操作の相互接続に基づいた医薬品製造用iFactoryの開発」がNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術開発機構)の「戦略的省エネルギー技術革新プログラム/テーマ設定型事業者連携スキーム」に採択され、当社は2019年度から本プログラムに参画、連続ろ過機と連続乾燥機の開発を進めております。2020年度までの当社対応として連続ろ過機と連続乾燥機の設計・試作が完了いたしました。今後は各試作機単体の検証を実施した後に、iFactoryのモジュールに組み込み、動作確認を実施する予定です。本プログラムでは、現在、異業種8社並びに1機関の連携により、各社得意技術を企業の壁を越えて、日本における省エネルギー、持続性社会の構築に貢献することを目的としております。「iFactory®の開発」は医薬品やファインケミカルの製造における現在のバッチ生産方式に替わり、連続合成法、バッチ連続型を組み合わせた連続生産方式を採用しております。当社が保有する連続ろ過、連続乾燥技術を「iFactory®」に適用、普及させることにより、医薬品製造のためのオンデマンド生産による効率化と、それに伴うCO2排出量の大幅な削減を目指してまいります。
FY2020|1,443 文字
5 【研究開発活動】当社グループの研究開発活動は、既存技術・各種装置の高度化並びに技術の差別化・競争力の向上を目指し、開発を行っております。また、新分野への積極的展開及び新技術・新製品開発を行っており、当連結会計年度におけるセグメント別の研究開発費は、エンジニアリング事業139百万円、単体機械事業110百万円の総額249百万円であります。主な研究開発は次のとおりであります。 (エンジニアリング事業)「高効率消化システムによる地産地消エネルギー活用技術」2014年7月に国土交通省にて策定された「新下水道ビジョン」では、革新的な技術・システム等を導入し、他バイオマスも集約することで、下水処理場を水・資源・エネルギーの集約・自立・供給拠点化することが打ち出されております。そのような中、2017年度国土交通省の下水道革新的技術実証事業(B-DASH事業)に「高効率消化システムによる地産地消エネルギー活用技術の実用化に関する実証研究」が採択され、実規模(消化槽容量:500m3)での実証施設を建設、2018年度1年間を通しての実証研究結果として2019年3月に評価委員会の性能評価を受け、2020年3月に国土交通省/国総研よりガイドラインが公表されました。2019年度以降は自主研究期間として実証施設の運転を継続し、前年度の自主研究結果として未検証であったスクリュープレス脱水機による含水率低減効果及び高負荷運転(消化日数:15日)での検証を実施いたしました。この自主研究結果につきましては、日本下水道協会より7月に発刊される2020年度下水道研究発表会講演集に掲載予定であります。また2020年度は、消化槽の高濃度運転の実証研究についても実施する予定で進めております。本システムは、下水処理場に生ごみや他の処理場からの汚泥を受入れ、未利用バイオマスを集積することにより、下水処理場を地産地消エネルギー創世の拠点としていくための理想的なシステムの一つとして注目されており、上記ガイドラインが発行されたことを更なる足掛かりに各自治体向けへの本システムの導入促進・拡販に取り組んでまいります。(単体機械事業)「iFactory®の開発」2018年度において、フロー精密合成コンソーシアム(FlowST:Flow Science & Technology consortium)の会員である化学会社3社と設備系2社で共同提案した「再構成可能なモジュール型単位操作の相互接続に基づいた医薬品製造用iFactoryの開発」がNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術開発機構)の「戦略的省エネルギー技術革新プログラム/テーマ設定型事業者連携スキーム」に採択され、当社は2019年度から本プログラムに参画、連続ろ過機と連続乾燥機の開発を進めております。本プログラムでは、現在、異業種8社並びに1機関の連携により、各社得意技術を企業の壁を越えて、日本における省エネルギー、持続性社会の構築に貢献することを目的としております。「iFactory®の開発」は医薬品やファインケミカルの製造における現在のバッチ生産方式に替わり、連続合成法、バッチ連続型を組み合わせた連続生産方式を採用しております。当社が保有する連続ろ過、連続乾燥技術を「iFactory®」に適用、普及させることにより、医薬品製造のためのオンデマンド生産による効率化と、それに伴う二酸化炭素排出量の大幅な削減を目指してまいります。
FY2019|2,523 文字
5【研究開発活動】当社グループの研究開発活動は、既存技術・各種装置の高度化並びに技術の差別化・競争力の向上を目指し、開発を行っております。また、新分野への積極的展開及び新技術・新製品開発を行っており、当連結会計年度におけるセグメント別の研究開発費は、エンジニアリング事業151百万円、単体機械事業154百万円の総額305百万円であります。主な研究開発は次のとおりであります。(エンジニアリング事業)「水素ステーションの建設」2014年12月に燃料電池自動車(FCV)の市販が開始されて以来、普及台数は3,000台を超え、全国の水素ステーション数は本年4月時点で約110ヶ所と水素社会の実現に向けたインフラ整備が着実に進んでおります。また、経済産業省が2016年3月に公表した「水素・燃料電池戦略ロードマップ改訂版」により、水素ステーションの設置数は、2020年までに160ヶ所程度、2025年までに320ヶ所程度とする目標が明示されました。これに加え、東京オリンピック・パラリンピックを「水素社会のショーケース」とする方針が示された事、また水素ステーション運営事業者、自動車メーカー等計11社(設立時)による、日本水素ステーションネットワーク合同会社(JHyM)の設立等により、水素社会の実現に向けた取り組みがさらに加速しています。当社は実証用水素ステーション建設開始初期より、小型水素製造装置の開発・納入及び建設工事に携わってまいりましたが、更なるコスト競争力・技術力強化のため、2015年にデンマークのH2 Logic社(現Nel Hydrogen社)から水素ステーション充填パッケージ「CAR-100」を技術導入し、日本国内仕様に適合させる商品化開発に取り組んでまいりました。2018年度は、2017年度に当社川崎製作所内に完成したMKK川崎水素ステーションにおいて、水素製造装置HyGeia-Aの運転効率化、改良、より適切なメンテナンス法の確立、また水素ステーション充填パッケージHy-Regulusの実証を目的に試験運転を行いました。また、国内外から多数の視察者にMKK川崎水素ステーションをご訪問頂いており、水素エネルギーの社会受容性向上にも貢献しております。当社は、50年以上にわたり水素関連設備の建設に携わった知見により、CO2削減に寄与する水素社会の実現に貢献してまいります。 「高効率消化システムによる地産地消エネルギー活用技術の実用化に関する実証研究」当社は、下水汚泥を減容化させると同時に汚泥から再生可能エネルギーであるバイオガスを発生させる消化設備を多数納入してきております。その一方で、再生可能エネルギーであるバイオガスをより省エネルギーかつ効率的に発生させる汚泥可溶化設備の研究を進めてまいりました。この研究成果を基に2017年度国土交通省の下水道革新的技術実証事業(B-DASH事業)に「高効率消化システムによる地産地消エネルギー活用技術の実用化に関する実証研究」が採択され、2017年度に実証施設を建設、2018年度は年間を通じた実証施設の運転データをもとに2019年3月に評価委員会の性能評価を受けました。期待された実証効果はほぼ達成できたことを確認しており、本年8月に国土交通省/国総研から本技術を適用する場合のガイドラインが発行される予定です。本システムは、下水処理場に生ごみや他の処理場からの汚泥を受入れ、未利用バイオマスを集積することにより、下水処理場を地産地消エネルギー創世の拠点としていくための理想的なシステムの一つとして注目されています。また実証施設は、本年以降も自主研究期間として実証運転を継続していき、本技術に興味があり導入を検討している各自治体様に実設備の運転状況を直接見て頂くことにより、本システムの導入促進・拡販に取組んでまいります。 (単体機械事業)船舶国際環境規制への対応製品「NOx規制対応 EGRシステム用 循環水処理システムの開発」窒素酸化物(NOx)は、2016年の起工船から、指定された海域での排出規制が開始されております。このNOx規制に対応するエンジンシステム(EGR)について、大手エンジンメーカーのEGRスクラバーに対応した排水処理装置を開発いたしました。2018年10月にIMO(国際海事機関)はEGRシステムの排出基準を改定をいたしました。これを受け、当社では、IMOの新たな排出基準に対応した低硫黄燃料用の循環水処理装置の開発を完了いたました。2019年度は、更なるラインナップの充実と標準化を進めてまいります。 「iFactoryの開発」2018年度において、フロー精密合成コンソーシアム(FlowST:Flow Science & Technology consortium)の会員である化学会社3社と設備系2社で共同提案した「再構成可能なモジュール型単位操作の相互接続に基づいた医薬品製造用iFactoryの開発」がNEDOの「戦略的省エネルギー技術革新プログラム/テーマ設定型事業者連携スキーム」に採択されました。本プログラムは、省エネルギー型経済社会の構築と産業競争力の強化に寄与することを目的に、経済産業省がNEDOと策定した「省エネルギー技術戦略」に掲げる「重要技術」を中心として、高い省エネルギー効果が見込まれる技術開発やその事業化を支援するものです。このたび、本プログラムの技術開発テーマの一つとして取り組んでいる「iFactoryの開発」は、医薬品製造において、現在のバッチ生産方式に替わり、連続合成法、バッチ連続型を組み合わせた連続生産方式を採用しております。再構成可能なモジュール型の製造設備「iFactory」を開発、普及させることにより、医薬品製造のためのオンデマンド生産による効率化と、それに伴う二酸化炭素排出量の大幅な削減を目指すものです。当社は、本プログラムへ参画するため、連続乾燥機と連続ろ過機の開発を実施することとし、2018年度に構想設計を完了いたしました。2019年度より本プログラムへ参画、開発を進めてまいります。
FY2018|2,264 文字
5【研究開発活動】当社グループの研究開発活動は、既存技術・各種装置の高度化並びに技術の差別化・競争力の向上を目指し、開発を行っております。また、新分野への積極的展開及び新技術・新製品開発を行っており、当連結会計年度におけるセグメント別の研究開発費は、エンジニアリング事業198百万円、単体機械事業92百万円の総額290百万円であります。主な研究開発は次のとおりであります。(エンジニアリング事業)水素ステーションの建設平成26年12月に燃料電池自動車(FCV)の市販が開始されて以来、普及台数は2,000台を超え、全国の水素ステーション数は本年4月時点で約100ヶ所と水素社会の実現に向けたインフラ整備が着実に進んでおります。また、経済産業省が平成28年3月に公表した「水素・燃料電池戦略ロードマップ改訂版」により、水素ステーションの設置数は、2020年までに160ヶ所程度、2025年までに320ヶ所程度とする目標が明示されました。これに加え、東京オリンピック・パラリンピックを「水素社会のショーケース」とする方針が示された事、また水素ステーション運営事業者、自動車メーカー等計11社(設立時)による、水素ステーション事業の新会社設立等により、水素社会の実現に向けた取り組みがさらに加速していくことが予想されます。当社は実証用水素ステーション建設開始初期より、小型水素製造装置の開発・納入及び建設工事に携わってまいりましたが、更なるコスト競争力・技術力強化のため、平成27年にデンマークのH2 Logic社(現Nel Hydrogen社)から水素ステーション充填パッケージ「CAR-100」を技術導入し、日本国内仕様に適合させる商品化開発に取り組んでまいりました。平成29年度は、水素ステーション充填パッケージHy-Regulusの実証運転、水素製造装置HyGeia-Aの運転最適化・効率化・改良等の検討を目的とした、実証用水素ステーションを当社川崎製作所内に完成させ、実証運転を開始しました。現在も鋭意試験を実施中です。当社は、Hy-RegulusとHyGeia-Aを積極に市場投入し、CO2削減に寄与する水素社会の実現に貢献してまいります。 高効率消化システムによる地産地消エネルギー活用技術の実用化に関する実証研究当社は下水汚泥を減容化させると同時に汚泥から再生可能エネルギーであるバイオガスを発生させる消化設備を今迄に多数納入してきております。その一方で、再生可能エネルギーであるバイオガスを、より省エネルギーでより効率的に発生させる汚泥可溶化設備の研究を進めてきました。この研究成果を基に平成29年2月に国土交通省の平成29年度下水道革新的技術実証事業(B-DASH)に「高効率消化システムによる地産地消エネルギー活用技術の実用化に関する実証研究」を提案・応募して採択されました。国土交通省国土技術政策総合研究所からの研究委託として平成29年7月に契約し、平成30年1月に完成させ、実証運転を開始しました。平成30年度も引き続き委託を受け、実証運転を1年間継続して行い、安定した運転と性能を確認して、本技術を適用する場合のガイドラインを作成していきます。本システムは、下水処理場に生ごみや他の処理場からの汚泥を受入れ、未利用バイオマスを集積することにより、下水処理場を地産地消エネルギー創世の拠点としていくための理想的なシステムの一つとして注目されています。実証終了後は、全国に約300箇所あると言われている消化槽を有する下水処理場に向けて本技術の拡販に取組んでいきます。 (単体機械事業)船舶国際環境規制への対応製品「SOX規制」船舶から排出される硫黄酸化物(SOX)の排出規制は、2020年からすべての海域で高価な低硫黄燃料の使用を義務付けました。当社は、三菱重工業(株)殿と共同して「三菱ハイブリッドSOxスクラバー」を開発、川崎汽船(株)殿の自動車運搬船へ初号機を搭載し、国産で初となる船籍国(パナマ)からの承認を取得するとともに、海事三学会より「コンテナパッケージ型ハイブリッドSOxスクラバーシステム」としてマリンエンジニアリング・オブ・ザ・イヤー2016を受賞いたしました。当年度は、初号機の納入経験を基に、スクラバーシステムの改良を実施いたしました。現在、SOxスクラバー需要は急拡大しており、国内外を問わず新造船やレトロフィットの引き合いに対応し、着実に納入実績を重ねております。「NOX規制」窒素酸化物(NOX)の排出規制として、平成28年の起工船から、指定された海域での排出規制が開始されています。このNOX規制に対応するエンジンシステム(EGR)の排水処理部分を当社が対応しています。大手エンジンメーカであるMAN Diesel&Turbo社およびジャパンエンジンコーポレーション社のEGRシステムに対応した排水処理システムをそれぞれ開発し、販売をしています。また、本年10月に改訂が予定されているIMO規制に対応した処理システムをラインナップし、ユーザーの要求に幅広く対応していきます。大容量回転式セラミック膜フィルタ(DyF)の開発当社は、大容量DyFの開発をさらに推し進め、2軸DyFF312/72d機を開発するとともに、これまでのバッチ式運転から連続処理も可能なシステムを開発いたしました。電子材料、ファインケミカル分野の他、さらに食品、飲料、バイオの分野への用途開拓を進めています。
FY2017|2,741 文字
6【研究開発活動】当社グループの研究開発活動は、既存技術・各種装置の高度化並びに技術の差別化・競争力の向上を目指し、開発を行っております。また、新分野への積極的展開及び新技術・新製品開発を行っており、当連結会計年度におけるセグメント別の研究開発費は、エンジニアリング事業481百万円、単体機械事業102百万円の総額584百万円であります。主な研究開発は次のとおりであります。(エンジニアリング事業)水素ステーション充填パッケージの開発および川崎製作所内水素ステーションの建設平成26年12月に燃料電池自動車(FCV)の市販が開始されて以来、普及台数は1,700台程度まで進み、全国の水素ステーション数は本年4月時点で約90ヶ所と水素社会の実現に向けたインフラ整備が着実に進んでおります。また、経済産業省が平成28年3月に公表した「水素・燃料電池戦略ロードマップ改訂版」により、水素ステーションの設置数は、2020年までに160ヶ所程度、2025年までに320ヶ所程度とする目標が明示されました。これに加え、東京オリンピック・パラリンピックを「水素社会のショーケース」とする方針が示された事、また水素ステーション運営事業者、自動車メーカー等計11社による、水素ステーション事業の新会社設立が動き出した事等により、水素社会の実現に向けた取り組みがさらに加速していくことが予想されます。当社は実証用水素ステーション建設開始初期より、小型水素製造装置の開発・納入及び建設工事に携わってまいりましたが、更なるコスト競争力、技術力強化のため、平成27年にデンマークのH2 Logic社(現Nel Hydrogen社)から水素ステーション充填パッケージ「CAR-100」を技術導入し、日本国内仕様に適合させる商品化開発に取り組んでまいりました。平成28年度は、充填パッケージの実証運転、HyGeia-Aの運転最適化、効率化、改良等の検討を進めるため、当社川崎製作所内に充填パッケージ及び当社水素事業の主力製品である小型水素製造装置HyGeia-Aを組み込んだ、試験用の水素ステーションの建設を行ってまいりました。建設中の水素ステーション試験設備は、充填パッケージの採用、ユーティリティー設備のパッケージ化等により建設費の低減、工期の短縮等をはかることができるため、川崎市が取り組む「水素社会実現に向けた川崎水素戦略」の一環であるパッケージ型水素ステーションの実証プロジェクトとしても川崎市と当社が連携してすすめております。当社は、水素ステーション充填パッケージとHyGeia-Aを積極に市場投入し、CO2削減に寄与する水素社会の実現に貢献してまいります。 下水バイオガス原料による水素創エネ技術当社は、水素ステーション用の水素製造装置の商品開発を行い、既に都市ガスやLPGを原料とした水素製造装置を、水素ステーション用に多数納入しております。その一方で、再生可能エネルギーであるバイオガスを原料とした水素製造について研究をすすめてまいりました。この研究成果を基に平成26年2月に国土交通省の平成26年度下水道革新的技術実証事業(B-DASH)に、「下水バイオガス原料による水素創エネ技術実証事業」を福岡市殿、九州大学殿、豊田通商株式会社殿と連携して提案・応募し、採択されました。国土交通省国土技術政策総合研究所からの委託研究として、平成26年度に実証設備を完成させ、実証運転を行いました。引続き平成27年度も委託を受け、1年間実証運転を行い、安定した運転と水素品質を確認、また平成28年5月には国土交通省から「普及展開戦略検討業務」を委託され、効率的な運転とランニングコスト低減に関する検討を行ないました。これら本実証事業の成果については、地方公共団体等の下水道事業者が本技術の導入を検討する際に参考となるべく、技術の概要・評価、導入検討、設計・維持管理等に関する技術的事項についてガイドラインとして取りまとめられ、平成28年10月に国土技術政策総合研究所から「下水バイオガス原料による水素創エネ技術導入ガイドライン(案)」として公表されております。本設備は地産地消型再生可能エネルギーからの理想的な水素の製造・供給システムであることと、商用規模では世界初であることより、マスコミの感心も高く多方面に情報発信された結果大きな反響を呼び、自治体・研究機関・民間企業・海外等から多数の見学希望を頂き、当社知名度の向上につながっております。更には、「下水汚泥バイオガスからの水素創エネ、FCV用水素ステーションの実証について、基礎研究から出口戦略まで一気通貫の強固な連携体制で世界初を実現」したことが評価され、平成28年8月に内閣府の「つなげるイノベーション大賞(第14回産学官連携功労者表彰)国土交通大臣賞」を受賞しています。当社は全国に約300箇所あると言われている消化槽を有する下水処理場に向けて本技術の普及に取り組んでまいります。(単体機械事業)船舶国際環境規制への対応船舶から排出される硫黄酸化物(SOx)の排出規制として、平成32年からすべての海域で高価な低硫黄燃料の使用が義務付けられました。また、窒素酸化物(NOx)の排出規制として、平成28年起工船から、指定された海域での排出規制が開始されました。当社は、SOx規制に対応するため、三菱重工業(株)殿と共同して「三菱ハイブリッドSOxスクラバー」を開発し、川崎汽船(株)殿の自動車運搬船へ初号機を搭載し、国産で初となる船籍国(パナマ)からの承認を取得いたしました。「三菱ハイブリッドSOxスクラバー」は、海事三学会(日本マリンエンジニアリング学会、日本航海学会、日本船舶海洋工学会)より「コンテナパッケージ型ハイブリッドSOxスクラバーシステム」としてマリンエンジニアリング・オブ・ザ・イヤー2016を受賞いたしました。また、NOx規制に対しましては、舶用エンジンの最大手MAN Diesel&Turbo社向けEGR用排水処理ユニットを開発し、販売を開始致しました。 大容量回転式セラミック膜フィルタの開発電子材料やファインケミカル業界においては、ナノ粒子を素材とした機能性部材の開発が活発化しており、当社ではナノレベルの微細粒子を精密に分離できる分離機として回転式セラミック膜フィルター「三菱ダイナフィルター」DyF152シリーズを開発し販売しておりますが、このたび大型量産機のニーズに応えDyF312シリーズを開発、製品化致しました。これにより食品、飲料、バイオ等の大容量処理が必要とされる広範囲の分野への適応が可能となりました。
FY2016|2,036 文字
6【研究開発活動】当社グループの研究開発活動は、既存技術・各種装置の高度化並びに技術の差別化・競争力の向上を目指し、開発を行っております。また、新分野への積極的展開及び新技術・新製品開発を行っており、当連結会計年度におけるセグメント別の研究開発費は、エンジニアリング事業221百万円、単体機械事業121百万円の総額343百万円であります。主な研究開発は次のとおりであります。(エンジニアリング事業)水素ステーション充填パッケージの開発および川崎製作所内水素ステーションの建設平成26年12月に燃料電池自動車(FCV)の市販が開始され、本年3月には経済産業省より水素・燃料電池戦略ロードマップ改訂版」が公表され、FCV普及目標及び水素ステーション建設目標が明示されました。また、平成32年に実施される東京オリンピック・パラリンピックでは水素インフラを整備し、水素エネルギーシステムを実現することで、環境負荷の低い水素社会の価値を世界に発信していく方針が示されており、水素社会の実現に向けた取組がさらに加速していくことが予想されます。当社は実証用水素ステーション建設開始初期より、小型水素製造装置の開発、納入及び建設工事に携わってまいりましたが、更なるコスト競争力・技術力強化のため、デンマークのH2 Logic社から水素ステーション充填パッケージ「CAR-100」を技術導入し、日本国内仕様に適合させる商品化開発に取り組んでまいりました。平成28年度は、当社川崎製作所内に、この充填パッケージテスト機と当社水素事業の主力製品である小型水素製造装置HyGeia-Aを設置した水素ステーション試験設備を建設し、充填パッケージ及びHyGeia-Aの実証試験を行うことで、水素ステーション設備運転の最適化、効率化、改良等の検討を行なうべく計画を進めております。当社は、水素ステーション充填パッケージとHyGeia-Aを市場へ積極投入し、CO2削減に寄与する水素社会の実現に貢献してまいります。 下水バイオガス原料による水素創エネ技術当社は、水素ステーション用の水素製造装置の商品開発を行い、既に都市ガスやLPGを原料とした水素製造装置を、水素ステーション用に多数納入してきております。その一方で、再生可能エネルギーであるバイオガスを原料とした水素製造について研究をすすめてまいりました。この研究成果を基に平成26年2月に国土交通省の平成26年度下水道革新的技術実証事業(B-DASH)に、「下水バイオガス原料による水素創エネ技術実証事業」を提案・応募し、採択されました。国土交通省国土技術政策総合研究所からの委託研究として、平成27年2月に実証設備を完成させ、実証運転を行いました。平成27年度も引続き委託を受け、1年間実証運転を行い、運転の安定性と水素品質を確認して現在ガイドラインを作成中です。また、平成28年5月には国土交通省から「普及展開戦略検討業務」を委託され、効率的な運転とランニングコスト低減に関する検討を行っております。下水処理場は都市型のバイオマス集積場であり、そのバイオマスを利用して水素を製造するシステムは地産地消型の理想的なエネルギー創生システムとなります。本設備は、再生可能エネルギーからの水素ということでマスコミからも注目され、自治体・研究機関・民間企業・海外等からの見学者も多く、反響を呼んでおります。実証運転終了後は、平成26年12月に市販が開始された燃料電池自動車の普及に合わせ、全国に約300箇所あると言われている消化槽を有する下水処理場に向けて本技術の普及に取り組んでまいります。 (単体機械事業)船舶国際環境規制への対応船舶から排出される硫黄酸化物(SOx)は、平成27年より一部の海域で、平成32年からは世界中全ての海域でさらに厳しい基準の排出削減が求められております。また、窒素酸化物(NOx)は平成28年建造開始の船から指定した海域における排出規制が開始されました。当社は、SOx規制に対応するため、三菱重工業㈱殿と共同して、「三菱ハイブリッドSOxスクラバー」を開発し川崎汽船㈱殿が新規に建造する自動車運搬船へ「三菱ハイブリッドSOxスクラバー」初号機の搭載を完了いたしました。平成28年度は、実船搭載した装置の能力審査を完了し、国産製品としては初めての装置承認を取得するべく取組んでおります。また、NOx規制に対しては、三菱重工舶用機械エンジン㈱殿と共同でNOxを低減する同社「UEシリーズエンジン用EGRシステム」用付帯機器の開発と提供を行ってまいりました。同エンジンの規制値達成の陸上運転評価を終え、新造バラ積み船に搭載し実証試験を行っております。平成28年度には船上での評価を終え、営業活動を開始する予定です。今後も、油清浄機の安定した性能と製品提供に加え、環境分野への貢献を目指して販売活動及び製品の改善を進めてまいります。