6268

ナブテスコ(6268)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

機械 機械

事業の概要

  • 多角的な事業展開:ナブテスコグループは、産業用ロボット部品、鉄道・航空機・自動車・船舶用機器、自動ドア、福祉介護機器など、多岐にわたる分野で事業を展開しています。これにより、特定の産業の景気変動に左右されにくい安定した収益構造を目指しています。
  • モーションコントロール技術:同社のビジネスモデルの中核は、精密な動きを制御する「モーションコントロール技術」です。この技術を基盤に、産業機械から交通インフラ、生活空間に至るまで、幅広い製品とサービスを提供し、社会の様々なニーズに応えています。
  • グローバルな事業体制:日本国内だけでなく、中国、欧州、北米、アジアなど世界各地に子会社や関連会社を展開し、グローバルな生産・販売・保守体制を構築しています。これにより、各地域の市場ニーズに合わせた製品供給とサービス提供を可能にし、事業成長を追求しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 精密機器事業:産業用ロボット部品の設計、製造、販売、保守、修理を主な事業内容としています。売上高は570.79億円、営業利益は86.16億円と、セグメントの中で最も高い利益率を誇る稼ぎ頭の事業です。国内外の産業用ロボット市場の成長に支えられています。
  • 輸送機器事業:鉄道車両用ブレーキ装置・自動扉装置、航空機用部品、自動車用ブレーキ装置、舶用制御装置などを手掛けています。売上高は613.67億円、営業利益は103.35億円と、売上・利益ともに最大のセグメントであり、同社の主力事業です。国内外の交通インフラの発展に貢献しています。
  • 産業機器事業:建物・一般産業用自動扉装置、排煙設備機器、プラットホーム安全設備、福祉・介護用機器などを提供しています。売上高は789.47億円、営業利益は45.46億円と、売上規模は最大ですが、利益率は他の主要セグメントと比較して低めです。人々の生活空間の安全性と利便性向上に貢献しています。
FY2016 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
PrecisionEquipment 事業 571 86 15.1%
TransportEquipment 事業 614 103 16.8%
AircraftAndOilHydraulicEquipment 事業 509 -0 -0.1%
IndustrialEquipment 事業 789 45 5.8%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2025|2,783 文字
3 【事業の内容】当社グループは、当社、子会社66社、関連会社5社で構成され、主な事業はコンポーネントソリューション事業、トランスポートソリューション事業、アクセシビリティソリューション事業に分かれ、その事業内容と各事業に係る位置付け及びセグメントとの関連は以下のとおりです。なお、以下に示す区分は、セグメントと同一の区分です。 (1) 事業内容セグメントの名称事業内容コンポーネントソリューション事業産業用ロボット部品及びこれらの部品の設計、製造、販売、保守、修理トランスポートソリューション事業鉄道車両用ブレーキ装置・自動扉装置・連結装置・安全設備、航空機用部品、自動車用ブレーキ装置・駆動制御装置・安全装置、舶用制御装置・消火装置等、及びこれらの部品の設計、製造、販売、保守、修理アクセシビリティソリューション事業建物及び一般産業用自動扉装置、排煙設備機器、プラットホーム安全設備、福祉・介護用機器等、及びこれらの部品の設計、製造、販売、据付、保守、修理その他包装機械、立体モデル作成装置、繊維機械等、及びこれらの部品の設計、製造、販売、保守、修理 (2) 当社、子会社及び関連会社のセグメントとの関連2025年12月31日現在セグメントの名称国内海外コンポーネントソリューション事業当社 ㈱テイ・エス・メカテック※1コムテスコ㈱※1,3 納博特斯克(中国)精密机器有限公司※1常州納博特斯克精密機械有限公司※1Nabtesco Precision Europe GmbH※1Nabtesco Motion Control Inc.※1上海納博特斯克伝動設備有限公司※2上海納博特斯克液圧有限公司※1,3Nabtesco Power Control (Thailand) Co., Ltd.※1,3Nabtesco Power Control Europe GmbH※1,3 トランスポートソリューション事業当社 ナブテスコマリン四国㈱※1ナブテスコオートモーティブ㈱※1ナブテスコサービス㈱※1㈱ナブテック※1旭光電機㈱※2 江蘇納博特斯克今創軌道設備有限公司※1成都納博特斯克今創軌道設備有限公司※1Nabtesco Oclap S.r.l.※1上海納博特斯克船舶機械有限公司※1Nabtesco Marine Europe B.V.※1Nabtesco Marine Asia Pacific Pte. Ltd.※1Nabtesco Marinetec Co., Ltd.※1Deep Sea Technologies SMPC※1R.K. DEEP SEA TECHNOLOGIES LIMITED※1Nabtesco Aerospace, Inc.※1Nabtesco Aerospace Europe GmbH※1納博特斯克汽車系統(上海)有限公司※1Nabtesco Automotive Products (Thailand) Co., Ltd.※1台湾納博特斯克科技股份有限公司※1Nabtesco Service Southeast Asia Co., Ltd.※1NS Autotech Co., Ltd.※2OVALO GmbH※1adcos GmbH※1 アクセシビリティソリューション事業当社 ナブコドア㈱※1ナブコシステム㈱※1㈱新潟ナブコ※1ナブコメタル㈱※1ナブコトート㈱※1ナブコアール㈱※1 納博克自動門(北京)有限公司※1NABCO Entrances, Inc.※1NABCO Canada Inc.※1Royal Doors Ltd.※1Gilgen Door Systems AG※1Gilgen Nabtesco (Hong Kong) Limited※1Gilgen Door Systems Germany GmbH※1Gilgen Door Systems Austria GmbH※1Gilgen Door Systems Italy srl※1Wupper Glas und Tür Technik GmbH※1Gilgen Door Systems Australia Pty Ltd.※1Copas Systèmes SAS※1Access Entry Pty Ltd.※1GDS Vostok AG※2 その他PACRAFT㈱※1シーメット㈱※1TMTマシナリー㈱※2 派克拉弗特(大連)包装科技有限公司※1PACRAFT America Corporation※1PACRAFT Europe GmbH※1Engilico Engineering Solutions NV ※1Engilico BV※1Engilico USA, LLC※1Engilico Trading, LLC※1 全社共通当社 ナブテスコリンク㈱※1 上海納博特斯克管理有限公司※1Nabtesco India Private Ltd.※1Nabtesco USA Inc.※1Nabtesco Europe GmbH※1Nabtesco Technology Ventures AG※1Nabtesco Technology Ventures (Cayman) Ltd.※1Nabtesco Technology Ventures L.P.※1 子会社及び関連会社 計71社国内17社海外54社 ※1 連結子会社※2 持分法適用関連会社※3 非継続事業に分類しています。 (注) 連結子会社及び持分法適用関連会社の異動状況(連結子会社)増加:3社Access Entry Pty Ltd.は、当社のグループ会社であるGilgen Door Systems AGが同社の株式を追加取得 (株式保有比率を33%から80%に引き上げ) したことにより、持分法適用関連会社より除外され、当社の連結子会社となりました。ナブコアール株式会社(旧社名:リンタツ工業株式会社)は、当社のグループ会社であるナブコシステム株式会社が株式の100%を取得したことにより、当社の連結子会社になりました。当社の持分100%のグループ会社であるコムテスコ株式会社を設立しました。 減少:1社上海納博特斯克液圧設備商貿有限公司は、当該会社の資産を上海納博特斯克液圧有限公司に移管し、清算しました。 (持分法適用関連会社)減少:1社Access Entry Pty Ltd.は、Gilgen Door Systems AGが同社の株式を追加取得 (株式保有比率を33%から80%に引き上げ) したことにより、持分法適用関連会社より除外され、当社の連結子会社となりました。 (3) 事業系統図(子会社) (関連会社)(注)非継続事業に分類しています。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
高い市場占有率を誇る製品を多数保有しているが、競合リスクも存在する。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
独自のモーションコントロール技術、メカ設計、電気・電子設計、品質保証などの基礎技術。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか シクリカル
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 中程度
会社が挙げる主要リスク:経済、市場、為替相場の変動に関するリスク / 地政学に関するリスク / 大規模災害・気候変動に関するリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 9 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★☆☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

ナブテスコは、航空機用油圧機器や自動ドアシステム等で長年培ってきた高い技術力と信頼性を基盤としている。特に、航空機分野における高度な認証や実績は、新規参入障壁となり得る無形資産の一部と見なせる。しかし、具体的な特許ポートフォリオの強さやブランド力が明確に示されているわけではない。

スイッチングコスト★★★☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

航空機用油圧機器や鉄道車両用ドアシステムなど、高度な安全性と信頼性が求められる分野では、一度採用された部品メーカーを変更することに伴う認証コストや開発リスクは非常に大きい。顧客企業は、長年の実績と品質を重視するため、スイッチング・コストは高いと考えられる。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

ナブテスコの事業モデルは、直接的なネットワーク効果を生み出す性質のものではない。製品の価値がユーザー数の増加によって増幅されるような構造は見られない。

コスト優位★☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

精密機器の製造には高度な生産技術と品質管理が不可欠であり、コスト競争力よりも品質・信頼性が優先される傾向にある。一部の汎用品においてはコスト優位性を持つ可能性もあるが、主要事業における構造的なコスト優位性は限定的と推測される。

規模の経済★★★☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

航空機用油圧機器や鉄道車両用ドアシステムといったニッチかつ高度な技術が要求される分野において、ナブテスコは世界でも有数のシェアを誇る。この分野での規模の経済と、長年の実績に裏打ちされた生産・開発能力は、一定の寡占状態を形成していると言える。

  • 精密制御技術の強み:ナブテスコは、産業用ロボットの減速機や鉄道車両のブレーキ・自動扉など、高度な精密制御を要する製品で高い技術力を持っています。この技術は、製品の性能や信頼性を大きく左右するため、他社が容易に追随できない競争優位性となっています。
  • 多様な事業ポートフォリオ:コンポーネントソリューション、トランスポートソリューション、アクセシビリティソリューションといった多岐にわたる事業を展開することで、特定の市場の変動リスクを分散しています。これにより、安定した収益基盤を築き、持続的な成長を目指せる可能性があります。
  • グローバルな供給網とサービス網:世界各地に生産拠点とサービス網を持つことで、顧客への迅速な製品供給とアフターサービスを実現しています。特に、MRO(保守・修理・オーバーホール)事業の拡大は、景気変動に左右されにくい安定収益源となり、顧客との長期的な関係構築にも寄与しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループは、「独創的なモーションコントロール技術で、移動・生活空間に安全・安心・快適を提供」することを企業理念とし、その実現に向け、企業理念を体現する姿勢やマインドを「私たちが大切にすること」として明文化した「ナブテスコ ウェイ」を掲げています。2030年のありたい姿である「長期ビジョン」、長期目標実現に向けて取り組むべき特に重要な経営課題を示す「経営マテリアリティ」、その実行策である「中期経営計画」からなる長期的な価値創造ストーリーを推進しています。これにより、イノベーションを創出し、長期的に経済価値、環境価値・社会価値を向上させることで、社会と当社グループ双方の持続的成長を目指す経営を追求しています。 <ナブテスコの価値創造ストーリー> (1) ナブテスコ ウェイ当社グループでは、2012年に企業理念及び行動指針を表す「ナブテスコ ウェイ」を策定し、グループ内での浸透活動を行いながら、企業理念の実践に取り組んできました。2023年には、昨今のさまざまな外部・内部環境の変化を踏まえ、世界中の多様な人材が理解・共感し、さらに意欲的に行動していくことを意図して「ナブテスコ ウェイ」を改定しました。新しい『ナブテスコ ウェイ』は、「企業理念」はそのままに、「ナブテスコの約束」と「行動指針」について、次世代へ引き継ぎたい要素を整理し、挑戦する企業としての新たな視点を組み入れ、「私たちが大切にすること」を6項目に集約しています。“人と地球の視点”で顧客・社会のニーズと課題を捉え、“オープン・フェア・オネスト”の精神で、“好奇心と探求心”を大切に“挑戦を楽しみ”ながら、“多様性を共創力”とし、自律的な“個の成長”を促進することで、期待を超える満足を社会にお届けすることを目指していきます。 (2) 長期ビジョン当社グループは、2030年に向けてグループの成長・発展の実現に向けた指針として長期ビジョン「未来の“欲しい”に挑戦し続けるイノベーションリーダー」を設定し、「2030年のありたい姿」を目指しています。 長期ビジョンの達成に向けて、2030年までの長期ビジョンのコンセプトを下図のとおり設定しています。これまで培ってきた「ナブテスコらしさ」を基盤とし、「技術」「グローバル化」「社会貢献」に注力しながら事業を推進することで、市場の新価値を創造し、顧客の一歩先を行くイノベーションリーダーとなることを目指していきます。 (3) 経営マテリアリティ当社グループでは、「経営マテリアリティ」を長期目標実現に向けて特に重要な経営課題と位置づけ、取り組みを推進することで社会と当社グループ双方の持続的な成長を目指しています。その実現のため、経営マテリアリティを「財務パフォーマンス向上への取り組み」「経営基盤強化への取り組み」「長期目標実現への固有の取り組み」の3つの柱で構成し、財務・非財務両面での取り組みを通じて経済価値と環境価値・社会価値の両立を長期的な視点で追求します。今後も事業環境、社会要請の変化を踏まえ、経営マテリアリティを迅速かつ適切に見直しながら経営基盤を一層強化し、ステークホルダーの皆さまへの価値を創造してまいります。なお、経営マテリアリティの詳細につきましては、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) サステナビリティ全般に対する対応」に記載しています。 (4) 中期経営計画当社グループは、自社の企業理念を踏まえて、2021年2月に発表した2030年を最終年度とする長期ビジョンの実現に向け、2025年度から3ヵ年の中期経営計画を策定しています。 (中期経営計画基本方針)“再興”と“進化”再興:Project 10による収益性改善進化:当社の掲げる「モーションコントロール」を「スマートモーションコントロール」へ発展させ、社会ニーズに対して新たな価値を提供 ① 中期経営計画の目標当社グループは2025年度から2027年度の中期経営計画の目標を、以下のとおり設定しました。 ROIC       : 10%以上株主還元    : DOE 3.5%を目安とした安定配当および機動的な自社株買い環境目標   : 2027年 CO₂排出量削減 △50%(2015年基準/SBT1.5℃目標達成) 2025年度の実績は以下のとおりです。 2025年度(実績)ROIC4.4%DOE3.5%CO₂排出削減量(Scope1+2、2015年度比削減率)△43.6% (注) 1 2026年3月26日開催予定の定時株主総会の議案(決議事項)として、「剰余金の処分の件」を提案しており、当該議案が承認可決されますと、DOE数値が以上のとおりとなる予定です。2 CO₂排出削減量は提出日時点の集計値に基づいたものです。 ② 中長期的な会社の経営戦略2030年をゴールとする長期ビジョンの目指す姿である「未来の“欲しい”に挑戦し続けるイノベーションリーダー」の実現に向け、中期経営計画では、Project 10により稼ぐ力を取り戻し(再興)、製品/サービスの価値を高めるためにスマートモーションコントロールを志向(進化)します。 1) Project 10による稼ぐ力・収益性改善事業成長、原価低減、固定費抑制による利益拡大 2) スマートモーションコントロール当社の強みであるコンポーネントを中心とする「モーションコントロール」を、「スマートモーションコントロール」(電動化/インテグレーション/データ活用)へ進化させることで、当社の事業領域に関連する社会課題に対して、新たな価値を創造 3) レジリエントな企業基盤の構築目指すべき方向性(スマートモーションコントロール)・収益性(ROIC)を軸に、ポートフォリオバランスを最適化 (注) 本有価証券報告書における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において入手している情報に基づき当社が判断したものであり、実際の業績等は、「3 事業等のリスク」に挙げた事項等により、異なる結果となる可能性があります。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループは、「独創的なモーションコントロール技術で、移動・生活空間に安全・安心・快適を提供」することを企業理念とし、その実現に向け、企業理念を体現する姿勢やマインドを「私たちが大切にすること」として明文化した「ナブテスコ ウェイ」を掲げています。2030年のありたい姿である「長期ビジョン」、長期目標実現に向けて取り組むべき特に重要な経営課題を示す「経営マテリアリティ」、その実行策である「中期経営計画」からなる長期的な価値創造ストーリーを推進しています。これにより、イノベーションを創出し、長期的に経済価値、環境価値・社会価値を向上させることで、社会と当社グループ双方の持続的成長を目指す経営を追求しています。 <ナブテスコの価値創造ストーリー> (1) ナブテスコ ウェイ当社グループでは、2012年に企業理念及び行動指針を表す「ナブテスコ ウェイ」を策定し、グループ内での浸透活動を行いながら、企業理念の実践に取り組んできました。2023年には、昨今のさまざまな外部・内部環境の変化を踏まえ、世界中の多様な人材が理解・共感し、さらに意欲的に行動していくことを意図して「ナブテスコ ウェイ」を改定しました。新しい『ナブテスコ ウェイ』は、「企業理念」はそのままに、「ナブテスコの約束」と「行動指針」について、次世代へ引き継ぎたい要素を整理し、挑戦する企業としての新たな視点を組み入れ、「私たちが大切にすること」を6項目に集約しています。“人と地球の視点”で顧客・社会のニーズと課題を捉え、“オープン・フェア・オネスト”の精神で、“好奇心と探求心”を大切に“挑戦を楽しみ”ながら、“多様性を共創力”とし、自律的な“個の成長”を促進することで、期待を超える満足を社会にお届けすることを目指していきます。 (2) 長期ビジョン当社グループは、2030年に向けてグループの成長・発展の実現に向けた指針として長期ビジョン「未来の“欲しい”に挑戦し続けるイノベーションリーダー」を設定し、「2030年のありたい姿」を目指しています。 長期ビジョンの達成に向けて、2030年までの長期ビジョンのコンセプトを下図のとおり設定しています。これまで培ってきた「ナブテスコらしさ」を基盤とし、「技術」「グローバル化」「社会貢献」に注力しながら事業を推進することで、市場の新価値を創造し、顧客の一歩先を行くイノベーションリーダーとなることを目指していきます。 (3) 経営マテリアリティ当社グループでは、「経営マテリアリティ」を長期目標実現に向けて特に重要な経営課題と位置づけ、取り組みを推進することで社会と当社グループ双方の持続的な成長を目指しています。その実現のため、経営マテリアリティを「財務パフォーマンス向上への取り組み」「経営基盤強化への取り組み」「長期目標実現への固有の取り組み」の3つの柱で構成し、財務・非財務両面での取り組みを通じて経済価値と環境価値・社会価値の両立を長期的な視点で追求します。今後も事業環境、社会要請の変化を踏まえ、経営マテリアリティを迅速かつ適切に見直しながら経営基盤を一層強化し、ステークホルダーの皆さまへの価値を創造してまいります。なお、経営マテリアリティの詳細につきましては、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) サステナビリティ全般に対する対応」に記載しています。 (4) 中期経営計画当社グループは、自社の企業理念を踏まえて、2021年2月に発表した2030年を最終年度とする長期ビジョンの実現に向け、2025年度から3ヵ年の中期経営計画を策定しています。 (中期経営計画基本方針)“再興”と“進化”再興:Project 10による収益性改善進化:当社の掲げる「モーションコントロール」を「スマートモーションコントロール」へ発展させ、社会ニーズに対して新たな価値を提供 ① 中期経営計画の目標当社グループは2025年度から2027年度の中期経営計画の目標を、以下のとおり設定しました。 ROIC       : 10%以上株主還元    : DOE 3.5%を目安とした安定配当および機動的な自社株買い環境目標   : 2027年 CO₂排出量削減 △50%(2015年基準/SBT1.5℃目標達成) 2025年度の実績は以下のとおりです。 2025年度(実績)ROIC4.4%DOE3.5%CO₂排出削減量(Scope1+2、2015年度比削減率)△43.6% (注) 1 2026年3月26日開催予定の定時株主総会の議案(決議事項)として、「剰余金の処分の件」を提案しており、当該議案が承認可決されますと、DOE数値が以上のとおりとなる予定です。2 CO₂排出削減量は提出日時点の集計値に基づいたものです。 ② 中長期的な会社の経営戦略2030年をゴールとする長期ビジョンの目指す姿である「未来の“欲しい”に挑戦し続けるイノベーションリーダー」の実現に向け、中期経営計画では、Project 10により稼ぐ力を取り戻し(再興)、製品/サービスの価値を高めるためにスマートモーションコントロールを志向(進化)します。 1) Project 10による稼ぐ力・収益性改善事業成長、原価低減、固定費抑制による利益拡大 2) スマートモーションコントロール当社の強みであるコンポーネントを中心とする「モーションコントロール」を、「スマートモーションコントロール」(電動化/インテグレーション/データ活用)へ進化させることで、当社の事業領域に関連する社会課題に対して、新たな価値を創造 3) レジリエントな企業基盤の構築目指すべき方向性(スマートモーションコントロール)・収益性(ROIC)を軸に、ポートフォリオバランスを最適化 (注) 本有価証券報告書における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において入手している情報に基づき当社が判断したものであり、実際の業績等は、「3 事業等のリスク」に挙げた事項等により、異なる結果となる可能性があります。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要① 経営成績当社は、2025年7月31日に「油圧機器事業の会社分割(簡易吸収分割)ならびにComer Industries S.p.A.との株式譲渡契約および株主間契約締結のお知らせ」にて公表のとおり、油圧機器事業の会社分割並びに同事業を継承する子会社の株式譲渡に関する決議がなされたことから、IFRS第5号に基づき第3四半期連結会計期間より、同事業を非継続事業に分類しています。これに伴い、売上高、営業利益、税引前利益について、期首より非継続事業を除いた継続事業の金額を表示し、当期利益、親会社の所有者に帰属する当期利益は、継続事業及び非継続事業の合算を表示しています。なお、前期についても同様に組み替えて表示しています。当社グループの当連結会計年度の業績は、コンポーネントソリューション事業、トランスポートソリューション事業及びアクセシビリティソリューション事業で需要が増加したことにより、売上高は307,912百万円となりました。営業利益は増収による増益に加え、Project 10による収益性改善活動の効果があったものの、鉄道車両用機器に係る関係会社整理損失やDeep Sea社に配分されたのれんの減損損失もあり、20,726百万円となりました。また、税引前当期利益は21,656百万円となり、親会社の所有者に帰属する当期利益は15,695百万円となりました。 (単位:百万円) 売上高営業利益税引前当期利益親会社の所有者に帰属する当期利益当連結会計年度(2025年12月期)307,91220,72621,65615,695前連結会計年度(2024年12月期)280,45812,93313,78810,119前期比(%)9.860.357.155.1 当連結会計年度のセグメント別概況は次のとおりです。 [売上高](単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度前期比(%)(2024年12月期)(2025年12月期)コンポーネントソリューション事業67,64679,32517.3トランスポートソリューション事業88,727100,47313.2アクセシビリティソリューション事業106,771110,6683.7その他17,31517,4450.8合計280,458307,9129.8 [営業利益](単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度前期比(%)(2024年12月期)(2025年12月期)コンポーネントソリューション事業2,6675,420103.2トランスポートソリューション事業12,50213,5868.7アクセシビリティソリューション事業9,0039,0850.9その他1,0432,194110.3全社又は消去△12,282△9,560-合計12,93320,72660.3 ② 財政状態(単位:百万円) 前連結会計年度末(2024年12月31日)当連結会計年度末(2025年12月31日)増減資産445,544463,99118,447負債158,267175,15716,890資本287,278288,8341,557 (資産)当連結会計年度末の流動資産は256,426百万円、非流動資産は207,566百万円であり、その結果、資産合計は463,991百万円と前連結会計年度末比18,447百万円の増加となりました。主な増加要因は、IFRS第5号に基づき油圧機器事業を非継続事業に分類したことに伴う売却目的で保有する資産の増加43,665百万円です。主な減少要因は、営業債権の減少13,512百万円、及び有形固定資産の減少12,657百万円です。 (負債)当連結会計年度末の流動負債は134,955百万円、非流動負債は40,202百万円であり、その結果、負債合計は175,157百万円と前連結会計年度末比16,890百万円の増加となりました。主な増加要因は、流動負債における借入金の増加13,129百万円、及びIFRS第5号に基づき油圧機器事業を非継続事業に分類したことに伴う売却目的で保有する資産に直接関連する負債の増加12,256百万円です。主な減少要因は、その他の債務の減少9,181百万円です。 (資本)当連結会計年度末の資本合計は288,834百万円となりました。親会社の所有者に帰属する持分合計は271,932百万円と前連結会計年度末比1,840百万円の増加となりました。主な増加要因は、親会社の所有者に帰属する当期利益15,695百万円、及び在外営業活動体の換算差額等によるその他の資本の構成要素の増加4,754百万円です。主な減少要因は、配当及び自己株式の消却による利益剰余金の減少20,089百万円です。以上の結果、親会社の所有者に帰属する持分比率は58.6%となり、1株当たり親会社所有者帰属持分は2,320.45円となりました。 (2) キャッシュ・フローの状況(単位:百万円) 前連結会計年度(2024年12月期)当連結会計年度(2025年12月期)営業活動によるキャッシュ・フロー26,65032,824投資活動によるキャッシュ・フロー△28,733△15,725フリーキャッシュ・フロー△2,08317,098財務活動によるキャッシュ・フロー△4,137△13,559 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、営業活動及び短期借入れにより獲得した資金を、主に設備投資、自己株式の取得及び配当金の支払に充てた結果、73,340百万円と前連結会計年度末比1,136百万円の減少となりました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは32,824百万円の資金の増加となりました。主な増加要因は、当期利益、減価償却費及び償却費によるものです。一方、主な減少要因は、棚卸資産の増加、及び営業債務の減少によるものです。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは15,725百万円の資金の減少となりました。主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出です。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは13,559百万円の資金の減少となりました。主な増加要因は、短期借入れによる収入です。主な減少要因は、自己株式の取得による支出、及び配当金の支払いです。 (3) 生産、受注及び販売の状況① 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと以下のとおりです。 セグメントの名称生産高(百万円)前期比(%)コンポーネントソリューション事業81,84120.4トランスポートソリューション事業101,79611.2アクセシビリティソリューション事業112,3944.2その他19,50416.3合計315,53511.0 (注) 上記の金額は、セグメント間取引の相殺消去後の数値です。  ② 受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと以下のとおりです。 セグメントの名称受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前期比(%)コンポーネントソリューション事業82,42816.219,66618.7トランスポートソリューション事業109,3548.4100,1999.7アクセシビリティソリューション事業111,1458.747,8031.0その他20,32614.512,38730.3合計323,25410.8180,0559.3 (注) 上記の金額は、セグメント間取引の相殺消去後の数値です。  ③ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと以下のとおりです。 セグメントの名称販売高(百万円)前期比(%)コンポーネントソリューション事業79,32517.3トランスポートソリューション事業100,47313.2アクセシビリティソリューション事業110,6683.7その他17,4450.8合計307,9129.8 (注) 1 上記の金額は、セグメント間取引の相殺消去後の数値です。2 総販売実績に対し10%以上に該当する販売先はありません。 (4) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容① 重要性のある会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表で採用する重要性のある会計方針及び見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 注記3.重要性のある会計方針 及び 注記5.重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載のとおりです。 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容1) 売上高(非継続事業を除く)当社グループの当連結会計年度の業績は、コンポーネントソリューション事業、トランスポートソリューション事業及びアクセシビリティソリューション事業で需要が増加したことにより、前期比9.8%増加し307,912百万円となりました。 2) 営業利益(非継続事業を除く)営業利益は増収による増益に加え、Project 10による収益性改善活動の効果があったものの、当第4四半期では鉄道車両用機器に係る関係会社整理損失やDeep Sea社に配分されたのれんの減損損失もあり、前期比60.3%増加し20,726百万円となりました。売上高営業利益率は6.7%となりました。 3) 税引前当期利益(非継続事業を除く)金融収益は、為替差益等を計上したことにより992百万円となりました。金融費用は、支払利息等を計上したことにより1,105百万円となりました。持分法による投資利益は1,043百万円となりました。その結果、税引前当期利益は21,656百万円と前期比57.1%増加となりました。 4) 親会社の所有者に帰属する当期利益(非継続事業を含む)以上の結果、法人所得税費用5,933百万円及び非支配持分に帰属する当期利益1,930百万円を差引いた親会社の所有者に帰属する当期利益は、15,695百万円と前期比55.1%増加となりました。また、基本的1株当たり当期利益は前期比47.31円増加し、131.56円となりました。 当連結会計年度のセグメントの業績の状況は次のとおりです。 (コンポーネントソリューション事業)コンポーネントソリューション事業の受注高は、前期比16.2%増加し82,428百万円となりました。売上高は、同17.3%増加し79,325百万円、営業利益は、同103.2%増加し5,420百万円となりました。精密減速機は、長期化していた産業用ロボット在庫が適正水準となったことに加え、需要が堅調に推移したことにより、売上高は前期比で増加となりました。 (トランスポートソリューション事業)トランスポートソリューション事業の受注高は、前期比8.4%増加し109,354百万円となりました。売上高は、同13.2%増加し100,473百万円、営業利益は、同8.7%増加し13,586百万円となりました。鉄道車両用機器は、国内外での新車向け需要及びMRO (Maintenance, Repair and Overhaul)需要が好調に推移したことにより、売上高は前期比で増加となりました。航空機器は、防衛費の増額による需要拡大と民間航空機向けでも増収となり、売上高は前期比で増加となりました。舶用機器は、新造船向け需要及びMRO需要が好調に推移したことにより、売上高は前期比で増加となりました。商用車用機器は、東南アジア市場で需要の低迷が継続しているものの、国内市場の需要は底堅く推移したことから、売上高は前期並みとなりました。なお、当期は鉄道車両用機器に係る関係会社整理損失1,324百万円及びDeep Sea社に配分されたのれんの減損損失989百万円を計上しました。 (アクセシビリティソリューション事業)アクセシビリティソリューション事業の受注高は、前期比8.7%増加し111,145百万円となりました。売上高は、同3.7%増加し110,668百万円、営業利益は、同0.9%増加し9,085百万円となりました。自動ドア事業は、国内での建物用ドア及びプラットホームドア需要が堅調に推移したことに加え、為替効果により、売上高は前期比で増加となりました。 (その他)その他の受注高は、前期比14.5%増加し20,326百万円となりました。売上高は、同0.8%増加し17,445百万円、営業利益は、同110.3%増加し2,194百万円となりました。包装機は、国内での設備更新需要が堅調だったものの、海外での設備投資の見合わせが継続したことにより、売上高は前期並みとなりました。 ③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析当社グループにおける主な資金需要は、営業活動においては、生産活動に必要な運転資本(原材料、人件費等)、受注獲得のための販売費、既存事業の競争力強化や新商品や新事業の創出のための研究開発費等があります。投資活動においては、コンポーネントソリューションセグメントにおける精密減速機における生産能力増強等を中心に、製品の増産対応や更新等の設備投資を実施しました。財務活動においては、短期借入12,900百万円を実施しました。また、当社グループは2026年12月期において、12,500百万円の設備投資を予定しています。当社グループの事業活動に必要な資金は、主として自己資金、及び金融機関からの借入等により調達しており、親会社所有者帰属持分比率やROE等の指標を注視しながら、最適な資金調達方法を選択しています。当連結会計年度末の借入金の残高は44,985百万円と前期比13,101百万円の増加となりました。 ④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、2025年度を初年度とする中期経営計画における経営目標として、ROIC 10%以上という財務目標を設定していました。当期の各指標の実績は以下のとおりです。 第23期(2025年度)ROIC(%)4.4DOE(%)3.5 (注) 2026年3月26日開催予定の定時株主総会の議案(決議事項)として、「剰余金の処分の件」を提案しており、当該議案が承認可決されますと、DOE数値が以上のとおりとなる予定です。

事業リスク

  • 経済・市場・為替変動リスク:国内外の自動車、鉄道、建築、産業機械などの景気変動や設備投資動向、為替相場の変動は、ナブテスコグループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。特に、グローバルに事業を展開しているため、各国・地域の経済状況や為替レートの変動が収益に直接影響を及ぼすリスクがあります。
  • 地政学・大規模災害リスク:テロ、戦争、政治的変動、予期せぬ法規制の改正、大規模な自然災害(風水害、地震、パンデミックなど)は、製品市場の混乱、サプライチェーンの寸断、生産活動の停止などを引き起こし、業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、世界各地に事業拠点を置いているため、広範囲な影響を受けるリスクがあります。
  • 調達・サプライチェーンリスク:約1,600社のサプライヤーから部品を調達しており、自然災害、サイバー攻撃、サプライヤーの倒産などにより部品供給が滞る可能性があります。代替調達先の確保が困難な場合、製品の生産遅延や利益率の悪化、機会損失が発生し、業績に影響を及ぼすリスクがあります。同社は複数購買化やサプライチェーンBCP活動で対応しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|6,853 文字
3 【事業等のリスク】(1) 当社グループのリスクマネジメント体制当社グループは、業務執行に関し、損益、資産効率、品質、災害等の状況を適正かつタイムリーに取締役会に報告する体制を整備し、リスクの早期発見に努め、損失の極小化を図っています。また、持続的な企業価値の向上に向けて、重要事項の審議等を行うCEOの直轄機関としてリスクマネジメント委員会を設置しており、その委員はCEOより任命されます。リスクマネジメント委員会の委員長(常務執行役員)は、リスクマネジメントの取組状況をCEOが出席するマネジメント・コミッティや取締役会等の経営会議に定期的に報告しています。 (2) リスク管理リスクマネジメント委員会は、全社横断的な組織として、毎年、コーポレート部門、社内カンパニー及びグループ会社が行ったリスクアセスメントの結果に基づいて、全社的重大リスクを特定し、それらの対策を審議することに加えて、対応策の実施状況を適切にフォローしています。事業活動に影響を与える各リスク項目について、その発生度及び影響度で評価し、さらに発生原因の分析も実施します。そして、リスク対応の優先順位付けとリスクに対する許容度を確認した上、リスクの対応方法を立案し、対策案の審議を経て実行します。また、リスクマネジメント委員会に加えて、内部監査部門をはじめとする本社専門スタッフが業務上のリスク管理状況を監査し、専門的知見に基づき業務改善に向けた必要かつ適切な助言を提供し、取締役会に報告することでリスク対応状況を適切にモニタリングします。なお、当社のリスク評価は、①リスク分析、②リスク評価、③リスク判定の順で実施します。リスク分析において、個々のリスクに対し、発生度5段階と影響度4段階により重要度を分析します。リスク分析から得られた結果に基づいて、スコアを特定し、リスクレベル及び対策レベルを4段階で判定します。 (3) 主要リスク有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりです。このようなリスクが顕在化した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。なお、将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 当社グループにおける主要リスク発生度影響度①経済、市場、為替相場の変動に関するリスク中中②地政学に関するリスク中中③大規模災害・気候変動に関するリスク低大④調達に関するリスク中中⑤製品品質に関するリスク低大⑥競合に関するリスク中中⑦情報セキュリティに関するリスク中中~大⑧知的財産に関するリスク中中⑨企業買収等に関するリスク低~中中~大⑩人財の確保に関するリスク高中 リスクマップ ① 経済、市場の動向、為替相場の変動に関するリスク当社グループの事業は、国内外の自動車、鉄道、建築、産業機械等の各産業分野に直接的又は間接的に関わっています。これら産業の景気変動及び設備投資動向、為替相場の変動等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 発生度中影響度中対応策当社グループでは、景気サイクルの異なる様々な産業分野に関わる事業を展開することによって、景気変動によるリスクを分散させています。また、景気変動の影響を受けにくいMRO(Maintenance, Repair and Overhaul)事業を拡大することによって、業績に及ぼす影響を最小限化できるよう努めています。さらに、2025年から始まった中期経営計画における基本方針の一つとして、当社の強みである「モーションコントロール」を「スマートモーションコントロール」(電動化/インテグレーション/データ活用)へ進化させることを掲げており、当社の事業領域に関連する社会課題に対して、新たな価値を創造することに取り組んでいます。多様化・細分化する顧客ニーズに応え、新たな付加価値提案を行うことによって、事業拡大を図っていきます。また、為替相場の変動による影響については、為替予約等によるリスクヘッジを行っています。 ② 地政学に関するリスク当社グループは、成長性・収益性の追求のため、アジア、北米、欧州を中心に積極的な事業展開を図っています。このため、各国の経済・市場の動向に関するリスクだけでなく、テロ、戦争その他の要因による社会的混乱の発生、政治的変動や予期できない法律、規制等の改正が行われる場合があり、各種製品の市場が影響を受け、その結果、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 発生度中影響度中対応策当社グループでは、各事業拠点の所在地及びその周辺における政治・社会情勢・治安状況などを定期的にモニタリングしており、必要な対策を適切に実施するよう努めています。また、国内外のグループ会社における実務責任者を対象としたコンプライアンス連絡会議及び安全保障貿易管理連絡会議を定期的に開催しており、各国における新たな法規制等の動向や、経済制裁措置、輸出管理状況などをグループ内で展開しています。なお、地政学的リスクに起因する調達不全等のリスクについては、後述する「調達に関するリスク」に掲げる複数購買などの取組を進めています。 ③ 大規模災害・気候変動に関するリスク当社グループは、国内外の工場を始め、世界各地に事業拠点を置いています。近年、世界的な気候変動を背景とした風水害や、大規模地震、パンデミック等各種災害その他の要因による社会的混乱などのリスクが高まっていることに伴い、人的・物的被害の発生や資材調達の停滞及び物流網の寸断により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、これらによる損害が損害保険等で十分にカバーされるという保証はありません。 発生度低影響度大対応策当社グループでは、ESH管理に関するCEO直轄の推進機関であるESH委員会において、気候変動に係るリスク、機会を含めた環境・安全・防災・衛生等に関する重要な情報を収集し、重要性の評価及び重要と評価された事案への対策について審議しています。 世界的な気候変動に対する取組としては、当社グループ全体における温室効果ガスの長期削減目標を設定し、国内外の各事業所においてCO₂排出量削減の目標達成に向けた活動を進めています。これらの活動を含め、気候変動に関わる社会的責任を果たすべく活動を推進しています。 近年において激甚化・頻発化する自然災害への対策としては、発災時における初動対応及び事業継続に関する一貫した対策、並びに平時の継続した教育訓練の実施に努めています。具体的には、①拠点単位の法定訓練以外の自主的な訓練実施によるマニュアル実効性の確認と改善、②e-learningによる国内全従業員の知識と判断力の向上、③BCAO(事業継続推進機構)資格認定者の配置の推進、④拠点単位の被災時の事業継続・再開のための体制構築支援などといった取組を計画的、組織的に実行しています。また、大規模地震などへの備えとして、既存建物の耐震補強、新たな工場・建屋を建設する際の耐震性確保、全事業所における棚・キャビネットなどの転倒防止工事を徹底するとともに、毎年のESH監査を始めとした各事業所での安全パトロールによって人災防止の取組を継続徹底しています。 ④ 調達に関するリスク 当社グループは、約1,600社の多様な規模のサプライヤーより、主に金属部品、電子電装部品等の調達を行っています。自然災害やサイバー攻撃による調達機能の停止などの外的要因や、調達先の倒産によって部品供給が滞り代替の調達先が確保できない場合には、製品の利益率の悪化や機会損失の発生により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 発生度中影響度中対応策当社グループでは、大規模災害やリスク全般に対応するサプライチェーンBCP活動の推進体制を整備し、調達先に対してレジリエンス認証の取得を推進することで、サプライチェーン全体の強靭化を図っています。サイバー攻撃に対しては、調達先の情報セキュリティレベルを定期的に把握し、改善支援を継続しています。これらの支援に加え、アンケート調査などを通じ、調達先との定期的なコミュニケーションを実施しています。また、主要部品や原材料のリスク評価及び監視を定期的に実施し、複数購買化を推進することで、特定の供給源に依存しない体制を構築しています。 ⑤ 製品品質に関するリスク当社グループは、各種製品について、欠陥が発生しないように万全な品質管理基準のもとに製造しています。しかしながら、万一リコールや製造物責任(PL)につながるような重大な欠陥が発生した場合には、訴訟・リコールなどにより多額のコストの発生につながり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 発生度低影響度大対応策当社グループでは、品質保証の国際規格「ISO9001」に基づき、製品の開発・生産・販売活動を行っています。さらに、必要に応じて各業界専用の品質保証システム(QMS)として、IATF16949やJIS-Q9100などの認証も取得し、その業界の要求に応じた管理体制を整えています。また、市場に出荷する製品の品質・安全性を確保するため、製品の上市前には、開発・設計段階において厳格な品質及び製品安全性のレビュー(審査)を実施しています。さらに製造工程の安定性を継続的に管理し、出荷前には適切な検査を行うことで、お客様にご満足いただける製品を提供しています。なお、品質及びPL管理に関するCEO直轄の推進機関として「品質・PL委員会」を設置しており、グループ内の品質・安全性のレベル向上に努めています。 ⑥ 競合に関するリスク当社グループは、国内外において高い市場占有率を誇る製品を多数保有しています。しかしながら、新製品開発の遅れ又は他社が画期的な新製品を開発する等により、各種製品の市場占有率が低下した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 発生度中影響度中対応策当社グループでは、顧客のニーズを捉えたコスト競争力のある差別化製品の開発に取り組んでいます。また、当社グループは、顧客ニーズに応え続けることで蓄積・進化させてきたメカ設計、電気・電子設計、品質保証などの基礎技術に加えて、CAE解析や熱解析などの各種解析技術、制御技術などの高度な要素技術を有し、独自のモーションコントロール技術を確立しています。さらに、オープンイノベーションを通じて強化した電子制御技術やモデルベース開発、デジタルツインなど最先端の要素技術・開発手法を活用することで、ニーズの多様化、開発速度向上に応えられる体制を整えています。今後は、さらに電動化、システム化、データ活用に取り組み、スマートモーションコントロールへの進化を加速し、予防保全を含めた製品・サービスの開発・提供を進めていきます。 ⑦ 情報セキュリティに関するリスク当社グループは、事業活動を通して、お客様や取引先の個人情報及び機密情報を入手することがあり、また、営業上・技術上の機密情報を保有しています。予想を超えるサイバー攻撃、不正アクセス、コンピューターウイルス感染等により、万一これらの情報が流出した場合や重要データの破壊、改ざん、システム停止等が生じた場合には、生産停止や信用低下により当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。  発生度中影響度中~大対応策当社グループでは、近年の情報セキュリティリスクの増大に対応するために、グループ全体の情報セキュリティレベル向上を目的とした「情報セキュリティ委員会」を設置し、情報セキュリティに関する基本方針の策定、セキュリティ対策のレベル向上及び重大なセキュリティ・インシデントへの迅速な対応を行っています。また、情報資産のセキュリティ対策を組織的かつ継続的に推進するための各種管理規程を整備し、全社員への周知を徹底するとともに、情報資産の適切な管理に関する定期的な教育・訓練を行っています。情報資産に対する不正な侵入、漏えい、改ざん、紛失、破壊、利用妨害等のリスクに対しては、そのリスク低減や業務復旧の早期化を企図したセキュリティシステムを導入するとともに、脆弱性に対する評価と対策を継続的に実施しています。さらに、ユーザーごとにデータへのアクセスを制限するなど、徹底したアクセス制御を施したシステム管理を実現していきます。そして、情報セキュリティに関する取組を定期的に内部及び外部監査することにより、情報セキュリティマネジメントの継続的改善を実施しています。 ⑧ 知的財産に関するリスク当社グループは、特許を含む知的財産権や秘密情報管理により自社技術の保護を図り、これら自社技術に関する知財・無形資産を適切に管理するとともに、第三者の知的財産権等を侵害することのないよう細心の注意を払っています。しかしながら、第三者が当社グループの知的財産権を侵害した場合、秘密情報が漏洩した場合、又は当社グループが第三者から知的財産権の侵害等を主張された場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 発生度中影響度中対応策当社グループでは、事業競争力の源泉である知財・無形資産(コア価値)の持続的な競争優位を担保するため、知的財産部門と事業部門が連携し、製品・サービスの企画・開発段階から分析可能な技術は知的財産権で保護し、分析困難な設計ノウハウや量産段階で継続的に創出される製造ノウハウ等は秘密情報管理を徹底することで保護しています。特に秘密情報管理として、秘密情報の第三者開示前の秘密保持契約締結の徹底の他、当社が秘密情報の正当な保有者であることを国内外で証明できる秘密情報保全体制を構築することで、秘密情報の意図しない漏洩に対する対応も図っています。更に、模倣品の多い製品・国・地域では、定期的な模倣品調査と排除を現地の専門家も活用しながら行っています。特にブランド模倣については当社製品と信じて購入した顧客が被害を受けないように模倣品流通の防止に注力しています。一方、製品・サービスの企画・開発段階から訴訟その他の重大な事業リスク発生を未然に防止するため、知的財産部門と事業部門が連携し、製品・サービスの企画・開発時だけでなく、その後も第三者の知的財産権(特許だけでなく商標や著作権も含む。)の調査分析や社内外弁理士/弁護士による非侵害鑑定取得やライセンス取得を行う等の知的財産権に関する知財クリアランスを行う体制を構築しています。 ⑨ 企業買収等に関するリスク当社グループは、企業買収を通じて、国内外における製品の生産、販売・サービス体制の拡充や技術基盤の強化を図っています。しかしながら、企業買収当初に期待した効果が買収後に得られない場合、認識しているのれん等の固定資産の減損損失等の発生により当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 発生度低~中影響度中~大対応策当社グループでは、グループM&A実施基準を制定し、企業買収プロセスを明確化しています。また、企業買収の検討段階においては、対象企業のデューデリジェンスを行い、買収後の対象企業の運営について検証を行っています。 ⑩ 人財の確保に関するリスク当社グループは、製造・開発・販売、その他専門分野に携わる優秀な人財を幅広く採用・育成することで、グローバルな事業活動の推進と競争力の維持向上を図っています。しかしながら、人財の獲得競争の激化や社員の退職等によって十分な人財の確保及び育成ができなかった場合、競争力の低下につながり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 発生度高影響度中対応策当社グループでは、多様な人財を確保することを目的として、アルムナイ採用(※1)、リファラル採用(※2)など多様な手法を取り入れ、高度専門人財獲得のためのプロフェッショナル制度を整備するなどといった取組を推進しています。また、健康経営の観点から、産業保健専門職の配置によるきめ細かな対応、健康保険組合と事業主が一丸となったコラボヘルス活動といった社員の健康維持に資する取組を行っています。そのほかにも、リテンションを目的とした社内公募制度の運用を行うなど、社員の「いきいき・ワクワク」の創造・活力ある組織の維持に取り組んでいます。 ※1 退職した元社員(アルムナイ)を再雇用する手法2 事業内容や企業文化をよく知る従業員から友人・知人の紹介・推薦を受け、選考・採用する手法

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