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ACSL(6232)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

機械 機械

事業の概要

  • ドローン関連事業の収益源
    ACSLは、ドローン関連事業を単一セグメントとして展開しています。収益は主に、顧客の業務にドローンが使えるかを検証する「概念検証(PoC)」、ドローンの導入・配備を行う「機体量産」、そして導入後の保守や消耗品販売を行う「運用・導入支援」の3つのフェーズから得られます。
  • カスタム開発とプラットフォーム販売
    概念検証フェーズでは、顧客の要望に応じたカスタム開発や、自社開発のプラットフォーム機体をベースにした機体の生産・販売を行います。これにより、顧客の具体的な課題解決に合わせた柔軟な対応が可能となり、初期段階から収益を確保しています。
  • 用途特化型ドローンの量産と保守
    ドローンの利活用が期待される特定の用途向けに、「用途特化型機体」を量産・販売しています。機体販売後の「運用・導入支援」では、保守手数料や消耗品の販売が主な収益源となり、継続的な収益確保と顧客との長期的な関係構築を目指しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • ドローン関連事業
    ACSLグループは、ドローン関連事業の単一セグメントで事業を展開しています。この事業では、自律制御技術を核としたロボティクス技術を追求し、産業向けの飛行ロボット(ドローン)の社会実装を通じて、労働人口減少やインフラ老朽化といった社会課題の解決を目指しています。
  • 概念検証から運用支援まで
    事業内容は、顧客のドローン導入を検証する「概念検証(PoC)」、ドローンの量産・販売を行う「機体量産」、そして導入後の保守やデータ解析システムなどの「運用・導入支援」に分かれます。これにより、顧客のニーズに合わせた多角的なサービスを提供し、収益を上げています。
  • 用途特化型と海外展開
    特に、ドローンの利活用が見込まれる特定の用途に特化した「用途特化型機体」の開発・生産・販売に注力しています。また、セキュリティが担保された国産ドローンとして、日本国内だけでなく、米国市場での販売子会社設立を通じて海外市場への展開も積極的に進めています。
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2025|5,807 文字
3 【事業の内容】当社グループは、「技術を通じて、人々をもっと大切なことへ/Liberate Humanity through Technology」というミッションのもと、「世界中の安全・安心を支える人が頼れるパートナーとなる/Become a partner for those that build safety and security around the world」というヴィジョンを掲げております。当社グループは、自律制御(※1)技術を始めとしたロボティクス技術を追求し、常に最先端の技術開発を行っております。労働人口の減少や高齢化による人手不足の深刻化が進む一方で、インフラ設備の老朽化による設備点検・維持業務の増加や、生活様式の変化に伴うEC化による宅配業務の増加など、労働力の供給不足及び需要と供給の不一致は社会的な課題となっています。当社グループは独自開発の制御技術をコアとし、それを利用した「産業向け」の飛行ロボット(以下、「ドローン(※2)」という。)の社会実装により、当社グループのミッション・ヴィジョンの実現を通じてこれらの社会課題の解決を目指しております。近年、ドローン市場は防衛・安全保障及び経済安全保障を中心とした社会環境の変化を背景に、その位置付けが大きく変化しています。地政学的リスクの高まりを受け、日本及び海外諸国においてドローンは国家の安全保障や重要インフラを支える重要技術として位置付けられ、調達や運用において規制と活用が同時に進んでいます。こうした動きに加え、労働人口の減少による無人化ニーズの拡大や、災害調査・物資輸送・インフラ点検といった分野での実装が進む中、ドローン市場は単なる効率化の手段にとどまらず、防衛・安全保障や経済安全保障の観点からも活用が広がる転換期を迎えています。当社グループは、セキュリティが担保された国産ドローンを有しているのみならず、企業向け対応及び用途特化型をキーワードとしたポジショニング形成が可能であり、日本国内だけでなく海外におけるセキュアなドローンへの需要にも適応することが可能で、当社製品は海外市場においても十分に競争力を持つ製品であると認識しております。当社グループは、米国市場での官庁・社会インフラ関連企業にて利用されている中国製ドローンからのスイッチングを目指し、販売子会社として2023年1月にACSL, Inc.を設立しております。当社グループの事業は、ドローン関連事業の単一セグメントであるため、以下に当社グループの主要な製品及びサービスの内容を記載いたします。 (1) 当社グループの事業内容当社グループのビジネスモデルは、顧客においてドローンの有用性を検証する「概念検証」、顧客の実現場におけるドローンの導入・配備を実施する「機体量産」、その後、用途ごとのデータ解析システムや運行システムなどの拡張を伴う「運用・導入支援」に分かれます。「概念検証」では、業務にドローンが使えるかをPoC(Proof of Concept(※3))を通じて検証し、顧客の要望に応じたカスタム開発を実施します。加えて、当社のプラットフォーム(※4)機体をベースにした機体の生産・販売を行う「プラットフォーム機体販売」も行います。「機体量産」では、ドローンの利活用が多く見込まれる用途において「用途特化型機体」として量産機体の開発・生産・販売を行います。「概念検証」では、顧客のドローン導入のニーズを踏まえて、課題解決のために当社のテスト機体を用いた概念検証(PoC)に係るサービスを有償で提供しております。この概念検証(PoC)では、最小限のシステム構成にすることで、顧客のドローン活用の導入検討のハードルを下げつつ、業務効率化・無人化の検証を並行して行っております。なお、当社における概念検証(PoC)は単にアイデア提供等を行うサービスではなく、目的の業務においてドローン導入の有効性を判断するための飛行試験・実演を伴う概念検証サービスを指します。更に当社では、顧客の既存システムへの組み込みも含めた特注システム全体の設計・開発を行っております。実証実験においては、PoCや特注システムの仕様提案・設計・開発・実証に係る人件費、カスタム開発料を主な収益源としております。「プラットフォーム機体販売」においては、当社が保有するプラットフォーム機体の生産・販売を行っております。この段階では、当社のプラットフォーム機体をベースに顧客の実業務への展開に向けたカスタマイズなどを行っております。当社グループでは、各段階で収益を獲得する案件が一般的ですが、案件によっては、特注機体を開発、複数台製造をしつつ、運用システムを構築するなどPoCとプラットフォーム機体販売を組み合わせて包括的に契約を締結する場合もあります。「用途特化型機体」の開発、生産、販売として、ドローンの幅広い利活用が見込まれる特定の用途においては、用途に特化したドローンの量産を進めております。用途特化型機体販売においては機体及びオプションパーツの販売を収益源としております。なお、機体販売後の「運用・導入支援」においては、販売後、定常的に発生する機体の保守手数料や消耗品の販売料などを主な収益源としております。当社グループ製品・サービスが産業向けドローン業界におけるデファクト・スタンダードとなるためには、今後も継続的かつ積極的に研究開発活動を実施していくことが不可欠となります。そこで、当社グループでは産学官連携で様々なプロジェクトに参画し、最先端の技術開発に取り組んでおります。国家プロジェクトにおいては、各プロジェクトで発生した研究開発費用について、管轄機関の監査を受けて認められた金額を、助成金又は補助金として収受しております。なお、助成金又は補助金に関して、新規技術の研究開発に係る助成金又は補助金については、営業外収益として計上しております。また、新規の研究開発を行わず、既存の当社の技術を用いて委託された実験を行うことが主目的であるプロジェクトについては、収受した金額を売上高として計上しております。当社グループは、国内のドローン専業メーカーとして、ドローンの社会実装と国産ドローン採用への回帰が進む中で、日本のドローン市場の成長と合わせて、黎明期に求められる評価用機体の試作やPoCといったソリューションの作り込みから、成熟期に求められる量産機の開発、量産体制の構築、その後の販売・導入支援までを一気通貫で提供し、デファクト・スタンダードの技術としてドローンの社会実装を推進するべく、国産のセキュアな産業用ドローンを提供してまいります。 ■ ドローン市場のバリューチェーンと当社の立ち位置 [事業系統図] (2) 当社グループの特徴当社グループは自律制御の研究開発をゼロから国内で行うことで、「自ら考えて飛ぶ」最先端の制御技術を核とした技術力を有しており、通信・ソフトウエアなどを統合した制御パッケージや、高性能な機体プラットフォームを提供することに加えて、用途別にカスタマイズした産業向け特注機体、特注システムの開発、更に最終的には顧客システムに統合されたレベルのシステム開発まで、事業として幅広く対応することが可能となっております。 ① 独自開発の自律制御システム 当社は千葉大学発のスタートアップ企業として創業して以来、自律制御技術を中核技術と位置づけ、継続的に開発投資を行ってまいりました。当社の中核技術でもある自律制御技術は、人間でいう「頭脳」に相当します。人間でいう運動機能をつかさどる「小脳」に該当する部分であるドローンの姿勢制御、飛行動作制御等の技術については、モデルベース(※5)の先端制御理論に加え、一部で非線形制御(※6)に係るアルゴリズム(※7)を使用しており、競合他社やオープンソースコードを推進する団体が採用する一般的なPID制御(※8)と比較しても、耐風性や高速飛行時の安定性、突発的な動作に対する安定性などの点で優位性があります。人間でいう、目で見ることや自ら考えること等に係る機能をつかさどる「大脳」に相当する部分の技術は、画像処理による自己位置推定(Visual SLAM(※9))やLidar(光センサー技術)等のセンサー・フュージョン、AI(※10)による環境認識を開発し、ドローンの「小脳」部分に統合しており、従来のドローンに搭載されている衛星(GPS(※11)・GNSS(※12))を用いる制御では自律飛行(※13)することができなかった非GPS環境下での完全自律飛行を実現しております。 また、人間がロボットに対し状態の監視や指令を行い、対話を可能とするための技術として「UI/UX(※14)」の技術が必要となります。ドローンはエッジ処理(ドローン端末側で計算処理を実行すること)による自律的な飛行を行いますが、一般的には地上局と通信を行いながら飛行しており、自律飛行を行うためのルート設計及びドローンの飛行中の情報を遠隔にて可視化・モニタリングするため、地上局のソフトウエア技術が必要不可欠となっております。当社では地上局のソフトウエアについても独自開発を行っており、パソコンやタブレット、スマートフォンなどに搭載されたソフトウエアにリアルタイム情報を表示し、飛行速度や高度などの機体状態や飛行状況の管理を行うことや、飛行ルート変更の操作指示、緊急時には非常用介入操作指示を出したりすることが可能となっております。 また、当社は小型空撮機体における製品の量産体制を構築しており、量産機体販売において求められる生産能力を有しております。さらに、日本において唯一のレベル4に対応する型式認証を取得しており、品質保証面においても高い技術力を有しております。 ② 顧客との取り組みを通じたノウハウ 産業用ドローンの社会実装においては、単に機体性能や制御技術の高いドローンを提供するだけでなく、特定用途で利用するための機体や制御の改良、アプリケーション(※15)や搭載オプションの開発・追加等が必要となります。これらの改良や開発を行うためには、実際にドローンが導入される実環境下での飛行実績を積み重ねることが重要となっており、多様な環境下での実証実験とデータの蓄積、クライアントからのフィードバック及びそれらに基づく機体開発や技術開発が不可欠となっております。 当社グループは主に大企業を中心に多くの幅広い顧客ベースを有し、これまでの多くの顧客とのプロジェクトを通じて、様々な現場視察、クライアントとの対話、そして豊富な実証実験の実績があります。実証から得られた情報やフィードバックを基に、プラットフォーム機体の改良や搭載オプションの開発・追加、UI/UXの改善を行っております。 ③ グローバルな展開力 当社はセキュアな機体開発を行っており、海外で顕著となっている経済安全保障への対応に適合した機体開発を行っております。当社は国籍に関係なくトップクラスのエンジニアを採用し、高度な技術力を持つチームを構築しており、最先端の技術を駆使して、常に高品質な製品を提供することを目指しています。また、アメリカ市場の展開においては米国のドローン業界において長年の経験を持つチームが、現地市場のニーズに即した対応を行っております。これにより、アメリカ市場での競争力を高め、顧客満足度の向上を図っています。 用語解説本項「3 事業の内容」において使用しております用語の定義について以下に記します。 No.用語用語の定義※1自律制御機体の自律行動を実現する制御方式または技術※2ドローン遠隔操縦または自律式の無人航空機一般※3概念検証(PoC:Proof of Concept)新たな概念やアイデアの実現可能性を示すために、可能な範囲で限られた手段を組み合わせて試験的な実験を行うこと。デモンストレーションによって特定の概念や理論の実用化が可能であることを示すこと※4プラットフォーム必要最低限の技術要素をパッケージ化した技術の塊のことを意味し、カスタム製品や搭載物を変えて用途別製品を開発する際に使用できる基盤となる一連の技術要素の組み合わせのこと※5モデルベース制御対象の運動を数学モデルによって表現することに基づいた制御設計技術※6非線形制御制御理論、制御技術の一つであり、一般的にPID制御よりも高度な数学が用いられ、制御対象をより正確に制御することが可能な制御技術※7アルゴリズムコンピューター上における問題を解くための手順・解き方※8PID制御比例(P)制御、積分(I)制御、微分(D)制御の組み合わせによって、設定された目標値にフィードバック(検出値)を一致させる制御機能を指す。速度、圧力、流量、温度などの制御に使用される技術※9SLAMSimultaneous Localization and Mappingの略称で、各種センサーから取得した情報から、自己位置推定と地図作成を同時に行うこと※10AIArtificial Intelligenceの略称。学習・推論・認識・判断などの人間の知能的な振る舞いを行うコンピュータシステム※11GPSGlobal Positioning Systemの略称で、全地球無線測位システムを指す。カーナビゲーションシステムなどに利用されているシステム※12GNSSGlobal Navigation Satellite Systemの略称で、全地球測位システムを指す。人工衛星を使用して地上の現在位置を計測する「衛星測位システム」のうち、全地球を測位対象とすることができるシステム※13自律飛行事前のプログラミングなどにより人の操縦がなくても飛行可能な飛行方法※14UI/UXUser Interface及びUser Experienceの略称で、機械が利用者のために有する特性・機能とそれらを利用することで得られる印象・体験のこと※15アプリケーション特定の適用または応用する用途のこと全般、もしくは特定の用途のためのソフトウエアのこと(アプリケーションソフトウエア)

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
セキュリティが担保された国産ドローンを有し、海外市場でも競争力を持つ。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
独自開発の自律制御技術をコアとし、常に最先端の技術開発を行っている。
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 成長投資
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:ドローンの安全性に対する社会的信用の低下 / ドローン事業を取り巻く法規制の変更・厳格化 / 部品・部材等の供給中断、供給不足、価格変動
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 3 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

公開情報からは、特許やブランド力、規制ライセンスといった明確な無形資産の優位性を示す具体的な情報は確認できませんでした。ドローン関連技術は進歩が速く、特許の陳腐化リスクも考慮されます。

スイッチングコスト★☆☆☆☆
根拠:弱い乗り換えの手間・コスト

顧客が特定のドローンシステムやソフトウェアに慣れている場合、乗り換えにはトレーニングコストやデータ移行の手間が発生する可能性があります。しかし、現時点では乗り換え障壁が極めて高いとは言えません。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

現時点では、ACSLのドローン製品やサービスにおいて、ユーザー数の増加が製品価値を直接的に高めるようなネットワーク効果は確認できません。

コスト優位★☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

ドローン業界全体として、量産効果によるコスト削減は進む可能性がありますが、ACSLが構造的に競合他社よりも大幅に低いコストで生産・提供できるという明確な証拠はありません。

規模の経済★☆☆☆☆
根拠:弱い規模が参入障壁になる

ドローン市場は成長していますが、ACSLが業界規模に対して最適な少数寡占を形成しているとは言えません。多数の競合が存在し、市場シェアも分散している可能性があります。

  • 独自開発の自律制御技術
    ACSLは、千葉大学発のスタートアップとして創業以来、ドローンの「頭脳」にあたる自律制御技術を独自に開発し、投資を続けています。この技術は、一般的な制御方式よりも耐風性や高速飛行時の安定性に優れ、突発的な動作にも強く、他社製品に対する明確な技術的優位性を持っています。
  • セキュリティと国産ドローンの強み
    地政学的リスクの高まりから、ドローンは国家の安全保障や重要インフラを支える技術として位置づけられています。ACSLはセキュリティが担保された国産ドローンを提供しており、日本国内だけでなく、米国市場など海外におけるセキュアなドローン需要にも対応できる競争力を持っています。
  • 一貫したソリューション提供能力
    ACSLは、評価用機体の試作や概念検証(PoC)といった初期段階から、量産機の開発、量産体制の構築、さらには販売・導入支援までを一貫して提供できる体制を整えています。これにより、顧客はドローン導入の全プロセスにおいてACSLのサポートを受けることができ、デファクト・スタンダード(事実上の標準)となることを目指しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 経営方針当社グループは、「技術を通じて、人々をもっと大切なことへ」というミッションのもと、「世界中の安全・安心を支える人が頼れるパートナーとなる」というヴィジョンを掲げております。当社グループは自律制御技術を始めとしたロボティクス技術を追求し、常に最先端の技術開発を行っております。それらの技術の社会実装を通じて、人類の活動の基盤となる社会インフラにおける、人類の経済活動の生産性を高め、付加価値の低い業務、危険な業務を一つでも多く代替させ、次世代に向けた社会の進化を推し進めるべく事業を展開しております。 (2) 経営環境ドローン市場は防衛・安全保障及び経済安全保障を中心とした社会環境の変化を背景に、その位置付けが大きく変化しています。地政学的リスクの高まりを受け、日本及び海外諸国においてドローンは国家の安全保障や重要インフラを支える重要技術として位置付けられ、調達や運用において規制と活用が同時に進んでいます。こうした動きに加え、労働人口の減少による無人化ニーズの拡大や、災害調査・物資輸送・インフラ点検といった分野での実装が進む中、ドローン市場は単なる効率化の手段にとどまらず、防衛・安全保障や経済安全保障の観点からも活用が広がる転換期を迎えています。当社は、事業進捗や環境変化に応じてローリング方式で中期経営方針「ACSL Accelerate」を更新しており、昨今の事業環境の変化を踏まえ、当社の中長期的な方向性と目標、マイルストーンを明確に示すために「ACSL Accelerate FY26」を発表いたしました。具体的には、先端技術による機体進化、強靭なサプライチェーンの構築、北米事業の本格拡大、防衛・安全保障分野への貢献、社会インフラ維持・管理の国産化、持続的な財務基盤強化を重点戦略として掲げております。国内における直近の進捗としては、防衛分野への貢献として防衛省を含めた政府調達への取り組みを進めております。防衛省及び経済産業省は防衛分野における民生先端技術の活用(デュアルユース)を推進しており、当社は2025年4月に経済産業省を訪問したルッテNATO事務総長一行に日本のデュアルユース・スタートアップ企業として小型空撮ドローン「SOTEN」を紹介し、防衛分野での注目を集めました。昨年度及び今年度において防衛装備庁から「SOTEN」を受注するなど、政府調達における受注実績を着実に積み重ねております。さらに、2025年12月に陸上自衛隊が主催した国内外防衛関係者向けフォーラム「Landpower Forum in Japan」では「SOTEN」が陸上自衛隊装備品として出展され、国内外の政府関係者への認知向上の機会となりました。また、当社は、経済産業省令和4年度第2次補正予算「中小企業イノベーション創出推進事業」(SBIR事業)に係る事業者に採択され、「行政等ニーズに応える小型空撮ドローンの性能向上と社会実装」事業(事業総額約26億円)として新たな小型空撮ドローンの開発を進めております。2025年8月には省庁向け開発進捗確認会を実施し、50名以上の行政関係者から直接ヒアリングを行うなど、開発段階から政府調達に向けた需要創出に取り組んでおります。さらに、当社は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した、経済安全保障重要技術育成プログラム(K Program)における研究開発構想「小型無人機の自律制御・分散制御技術の研究開発」にて実施する事業「小型無人機の自律制御・分散制御技術(研究開発項目(2))」(事業総額約29億円)の委託先として採択され、自律制御・分散制御に係るソフトウエアを搭載する小型無人機のハードウエア等の初期型機体開発に取り組んでまいります。社会インフラの維持・管理として物流分野において、日本郵便株式会社と共同で開発を進めていた長距離飛行マルチユースドローン「PF4」の製品化に取り組み、2025年10月より量産を開始いたしました。物流用途に適した高い飛行性能とユーザー自身でペイロード交換が可能な取り付け機構を備える「PF4」は、物流分野以外にも広域測量等、他分野の顧客獲得も視野に入れて販促を行ってまいります。「PF4」はこれまでの開発期間で複数の実証実験や災害支援活動等に用いられております。機体の共同開発を行った日本郵便株式会社及び日本郵政キャピタル株式会社とは、2021年6月に資本業務提携を行っており、今後もドローン物流の社会実装の推進とドローン市場の拡大に向けて連携を進めてまいります。また、物流分野ではレベル4飛行による実証実験にも取り組んでおります。2025年11月に長崎県、同年12月に福島県でそれぞれ実施されたレベル4飛行配送実証では、当社の第一種型式認証取得機種「PF2-CAT3」を提供いたしました。国内初の第一種型式認証取得機体である「PF2-CAT3」は、これまで国内の複数のレベル4飛行実証で活用されており、ドローン物流の実証実験の拡大にも寄与しております。北米事業としては、米国において、National Defense Authorization Act(NDAA)によりロシア製や中国製のドローンの政府調達が禁止されており、加えて、中国製ドローンメーカーのDJI社は、2022年10月より米国国防総省の「中国軍事関連企業」に指定されるなど、経済安全保障を強く意識した施策が行われております。2025年12月、米国で米国連邦通信委員会(FCC)による外国製ドローンの機器認証規制が強化され、中国製を含む新規機体の販売は実質制限されることとなりました。当社「SOTEN」はNDAA準拠に加え、必要認証を取得済みで継続販売が可能であり、米国での販売機会拡大を見込むとともに、需要の取り込みを図ってまいります。米国市場では官庁・社会インフラ関連企業にて利用されている中国製ドローンからのスイッチングを目指し、カリフォルニア州に当社子会社ACSL, Inc.を2023年1月に設立しました。同社CEOには米国大手ドローンソフトウェア開発企業であるAuterion社や中国ドローンメーカーDJI社にて北米の企業向けドローン市場において大きな成果を発揮してきた、シンシア・ホァン(Cynthia Huang)が就任し、また、グローバルCTO兼ACSL, Inc.取締役のクリス・ラービ(Chris Raabe)が現地に駐在し、米国市場に向けた技術開発をリードしております。販売体制については、Almo Corporation(DBA Exertis Almo)社を総代理店として合計20社以上の販売会社と販売代理店契約を締結し、全米で当社製品の販売・サポート・修理を行っています。当社は2023年11月に米国市場向けの「SOTEN」の販売輸出許可を取得し、同年12月より販売を開始しました。2024年10月にはAlmo Corporation社より500台の受注を獲得し、一部を同年12月、残数は2025年度内に納品しております。さらに、2025年11月には同社より追加の400台の受注を獲得いたしました。米国市場の顧客ニーズを踏まえた製品開発も進展しており、2025年8月にはNDAA準拠の新型スマートコントローラー「TAITEN」のリリース、SOTEN用高画素赤外線カメラ「SAMO」の機能アップグレードを発表し、展示会等で高い評価を得ております。また、2025年10月には米国の最大手電波塔運営事業者であるAmerican Tower Corporationと戦略的パートナーシップに関する覚書(MOU)を締結し、重要インフラ産業におけるドローン活用の拡大に向けた取り組みを進めております。加えて、当社は、今後、米国と同様の規制導入が見込まれるカナダにおいても事業展開を開始しました。2025年12月に同国のドローン販売代理店Jam Industries Ltd.と販売代理店契約を締結し、カナダ市場での販売活動を本格的に開始しております。同社からは同月に「SOTEN」200台の受注を獲得しており、2026年度に納品を予定しております。なお、持続的な財務基盤強化として当社は世界的な経済安全保障の高まりと市場拡大を背景に、事業拡大と海外展開を加速するための成長資金を確保するため、普通株式と新株予約権の第三者割当により最大約31億円の資金調達を実施いたしました。当社グループの研究開発投資は、短期的な利益を追うのではなく、海外展開も含め、中長期的な成長を実現するために戦略的かつ積極的に研究開発費を投下する方針を維持し、各種用途特化型機体の機体開発、量産体制の構築を進めるとともに、プラットフォーム技術の強化を行っております。 (3) 経営戦略等2024年2月に発表した構造改革として、具体的には、幅広く展開してきた市場、用途及び製品について、収益性の改善を目的とした「選択と集中」を行い、大幅な売上増加を前提としない黒字化を実現できるコスト構造へ転換すべく「リソースの最適化」を実施しました。「選択と集中」としては小型空撮機体の強みを活かせる経済安全保障、脱中国製品が明確である日本の政府調達及び米国の点検・災害対応分野に注力いたします。加えて、物流分野としては日本郵便株式会社との機体開発及び社会実装に向けた体制構築に注力いたします。リソースの最適化としては、注力事業領域に合わせて研究開発テーマの中止、日本国内の人員最適化及び連動する間接費用の削減を実現し、成長市場となる米国への再投資を進めております。 (4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当社グループが優先的に対処すべき課題は下記のように考えております。① 開発戦略 小型空撮機体については、量産販売及び市場対応のフェーズとして、顧客からのフィードバックを踏まえた機能改善や品質向上を継続しております。加えて、国家プロジェクトであるSBIR事業において行政等のニーズを反映した高性能化と社会実装を推進するとともに、経済安全保障重要技術育成プログラム(K program)に採択された次々世代機体の開発として分散制御技術及びAI等の先端技術開発を進めてまいります。また、海外展開の拡大に向け、現地法規及び運用要件に対応するための開発を推進してまいります。 社会インフラの維持・管理として物流分野において、日本郵便株式会社と共同で開発を進めていた長距離飛行マルチユースドローン「PF4」の製品化に取り組み、2025年10月より量産を開始いたしました。機体の共同開発を行った日本郵便株式会社及び日本郵政キャピタル株式会社とは、2021年6月に資本業務提携を行っており、今後もドローン物流の社会実装の推進とドローン市場の拡大に向けて連携を進めてまいります。 ② 生産体制 当社グループは、安全品質を最優先事項と位置付け、品質向上に向けた社内体制の強化及び量産パートナー企業との連携を進めてまいりました。今後も高品質かつ安定的な量産体制を維持するとともに、顧客からのフィードバックを反映した継続的な品質向上に取り組んでまいります。加えて、経済安全保障の観点も踏まえ、複数生産拠点の活用や部品のトレーサビリティ確保等により、サプライチェーンの強靭化を推進してまいります。さらに、限界利益率上昇を目的とした原価低減に取り組むとともに、構造改革の進捗を踏まえ、間接原価の抑制を通じた売上総利益率の改善にも取り組んでまいります。 調達戦略としては、新規サプライヤーの発掘、キーサプライヤーとの協力体制の構築及び調達条件の改善にも取り組んでまいります。 ③ 営業戦略 国内市場においては、国産かつ高セキュリティ対応の強みを活かし、防衛・安全保障分野を含む官公庁等の政府調達への取り組みを強化しております。また、社会インフラ維持・管理領域における実運用の拡大に向け、顧客課題に即した提案と導入支援を進めてまいります。物流分野については、日本郵便株式会社との連携を継続するとともにドローンサービス事業者との連携を通じて、ドローン物流の社会実装を進めてまいります。 海外市場については、経済安全保障を背景とした脱中国製品の動きが加速する北米を重点地域と位置づけております。米国では現地子会社を軸に販売ネットワーク及びサポート体制を強化するとともに、現地規制に適合した機体として継続的な販売が可能な体制を整えております。加えて、カナダ市場への展開を本格化し、公共領域や社会インフラ分野での需要獲得を図ってまいります。 ④ 規制への対応 ドローン関連業界を取り巻く規制の変化に対応し、需要の拡大に的確に対応すべく、国土交通省、経済産業省等の関係行政機関と引き続き密に連携してまいります。 また、海外市場への進出においては、北米における機器認証等の規制強化を含む現地法規制の動向を継続的に把握し、必要な認証取得及び体制整備を進めてまいります。あわせて、外国為替及び外国貿易法等の輸出管理を含むコンプライアンスの徹底により、適切な海外事業運営を行ってまいります ⑤ 内部管理体制の強化 当社グループは、ガバナンス及び内部統制の整備及び運用を重要課題として位置付け、継続的な強化に取り組んでおります。過年度に発生した元代表取締役による不適切な事案を踏まえ再発防止策を策定し、実行しております。 具体的には、取締役及び代表取締役の選任等に係る公正性及び客観性を高めるため、社外取締役を中心とする任意の指名委員会の設置並びに候補者評価プロセスの整備を進めております。あわせて、契約や購買等の重要な意思決定について複数の代表取締役による相互確認及び承認を要する仕組みを整備するとともに、権限規程及び承認基準の見直しにより牽制機能を強化しております。さらに、契約締結及び支払プロセスの厳格運用並びに取引先管理の強化を徹底するとともに、研修等を通じたコンプライアンス意識の醸成、内部通報制度の運用強化に取り組んでおります。 (5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループでは、急速かつ持続的な利益成長を目指して成長性や効率性の向上に取り組んでおり、主な経営指標として、売上高、粗利、営業利益を特に重視しております。また、当社グループの事業モデルを勘案した上での成長ドライバーとしてのKPIは、小型空撮の金額・機体数、ソリューションの構築の金額があげられます。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 経営方針当社グループは、「技術を通じて、人々をもっと大切なことへ」というミッションのもと、「世界中の安全・安心を支える人が頼れるパートナーとなる」というヴィジョンを掲げております。当社グループは自律制御技術を始めとしたロボティクス技術を追求し、常に最先端の技術開発を行っております。それらの技術の社会実装を通じて、人類の活動の基盤となる社会インフラにおける、人類の経済活動の生産性を高め、付加価値の低い業務、危険な業務を一つでも多く代替させ、次世代に向けた社会の進化を推し進めるべく事業を展開しております。 (2) 経営環境ドローン市場は防衛・安全保障及び経済安全保障を中心とした社会環境の変化を背景に、その位置付けが大きく変化しています。地政学的リスクの高まりを受け、日本及び海外諸国においてドローンは国家の安全保障や重要インフラを支える重要技術として位置付けられ、調達や運用において規制と活用が同時に進んでいます。こうした動きに加え、労働人口の減少による無人化ニーズの拡大や、災害調査・物資輸送・インフラ点検といった分野での実装が進む中、ドローン市場は単なる効率化の手段にとどまらず、防衛・安全保障や経済安全保障の観点からも活用が広がる転換期を迎えています。当社は、事業進捗や環境変化に応じてローリング方式で中期経営方針「ACSL Accelerate」を更新しており、昨今の事業環境の変化を踏まえ、当社の中長期的な方向性と目標、マイルストーンを明確に示すために「ACSL Accelerate FY26」を発表いたしました。具体的には、先端技術による機体進化、強靭なサプライチェーンの構築、北米事業の本格拡大、防衛・安全保障分野への貢献、社会インフラ維持・管理の国産化、持続的な財務基盤強化を重点戦略として掲げております。国内における直近の進捗としては、防衛分野への貢献として防衛省を含めた政府調達への取り組みを進めております。防衛省及び経済産業省は防衛分野における民生先端技術の活用(デュアルユース)を推進しており、当社は2025年4月に経済産業省を訪問したルッテNATO事務総長一行に日本のデュアルユース・スタートアップ企業として小型空撮ドローン「SOTEN」を紹介し、防衛分野での注目を集めました。昨年度及び今年度において防衛装備庁から「SOTEN」を受注するなど、政府調達における受注実績を着実に積み重ねております。さらに、2025年12月に陸上自衛隊が主催した国内外防衛関係者向けフォーラム「Landpower Forum in Japan」では「SOTEN」が陸上自衛隊装備品として出展され、国内外の政府関係者への認知向上の機会となりました。また、当社は、経済産業省令和4年度第2次補正予算「中小企業イノベーション創出推進事業」(SBIR事業)に係る事業者に採択され、「行政等ニーズに応える小型空撮ドローンの性能向上と社会実装」事業(事業総額約26億円)として新たな小型空撮ドローンの開発を進めております。2025年8月には省庁向け開発進捗確認会を実施し、50名以上の行政関係者から直接ヒアリングを行うなど、開発段階から政府調達に向けた需要創出に取り組んでおります。さらに、当社は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した、経済安全保障重要技術育成プログラム(K Program)における研究開発構想「小型無人機の自律制御・分散制御技術の研究開発」にて実施する事業「小型無人機の自律制御・分散制御技術(研究開発項目(2))」(事業総額約29億円)の委託先として採択され、自律制御・分散制御に係るソフトウエアを搭載する小型無人機のハードウエア等の初期型機体開発に取り組んでまいります。社会インフラの維持・管理として物流分野において、日本郵便株式会社と共同で開発を進めていた長距離飛行マルチユースドローン「PF4」の製品化に取り組み、2025年10月より量産を開始いたしました。物流用途に適した高い飛行性能とユーザー自身でペイロード交換が可能な取り付け機構を備える「PF4」は、物流分野以外にも広域測量等、他分野の顧客獲得も視野に入れて販促を行ってまいります。「PF4」はこれまでの開発期間で複数の実証実験や災害支援活動等に用いられております。機体の共同開発を行った日本郵便株式会社及び日本郵政キャピタル株式会社とは、2021年6月に資本業務提携を行っており、今後もドローン物流の社会実装の推進とドローン市場の拡大に向けて連携を進めてまいります。また、物流分野ではレベル4飛行による実証実験にも取り組んでおります。2025年11月に長崎県、同年12月に福島県でそれぞれ実施されたレベル4飛行配送実証では、当社の第一種型式認証取得機種「PF2-CAT3」を提供いたしました。国内初の第一種型式認証取得機体である「PF2-CAT3」は、これまで国内の複数のレベル4飛行実証で活用されており、ドローン物流の実証実験の拡大にも寄与しております。北米事業としては、米国において、National Defense Authorization Act(NDAA)によりロシア製や中国製のドローンの政府調達が禁止されており、加えて、中国製ドローンメーカーのDJI社は、2022年10月より米国国防総省の「中国軍事関連企業」に指定されるなど、経済安全保障を強く意識した施策が行われております。2025年12月、米国で米国連邦通信委員会(FCC)による外国製ドローンの機器認証規制が強化され、中国製を含む新規機体の販売は実質制限されることとなりました。当社「SOTEN」はNDAA準拠に加え、必要認証を取得済みで継続販売が可能であり、米国での販売機会拡大を見込むとともに、需要の取り込みを図ってまいります。米国市場では官庁・社会インフラ関連企業にて利用されている中国製ドローンからのスイッチングを目指し、カリフォルニア州に当社子会社ACSL, Inc.を2023年1月に設立しました。同社CEOには米国大手ドローンソフトウェア開発企業であるAuterion社や中国ドローンメーカーDJI社にて北米の企業向けドローン市場において大きな成果を発揮してきた、シンシア・ホァン(Cynthia Huang)が就任し、また、グローバルCTO兼ACSL, Inc.取締役のクリス・ラービ(Chris Raabe)が現地に駐在し、米国市場に向けた技術開発をリードしております。販売体制については、Almo Corporation(DBA Exertis Almo)社を総代理店として合計20社以上の販売会社と販売代理店契約を締結し、全米で当社製品の販売・サポート・修理を行っています。当社は2023年11月に米国市場向けの「SOTEN」の販売輸出許可を取得し、同年12月より販売を開始しました。2024年10月にはAlmo Corporation社より500台の受注を獲得し、一部を同年12月、残数は2025年度内に納品しております。さらに、2025年11月には同社より追加の400台の受注を獲得いたしました。米国市場の顧客ニーズを踏まえた製品開発も進展しており、2025年8月にはNDAA準拠の新型スマートコントローラー「TAITEN」のリリース、SOTEN用高画素赤外線カメラ「SAMO」の機能アップグレードを発表し、展示会等で高い評価を得ております。また、2025年10月には米国の最大手電波塔運営事業者であるAmerican Tower Corporationと戦略的パートナーシップに関する覚書(MOU)を締結し、重要インフラ産業におけるドローン活用の拡大に向けた取り組みを進めております。加えて、当社は、今後、米国と同様の規制導入が見込まれるカナダにおいても事業展開を開始しました。2025年12月に同国のドローン販売代理店Jam Industries Ltd.と販売代理店契約を締結し、カナダ市場での販売活動を本格的に開始しております。同社からは同月に「SOTEN」200台の受注を獲得しており、2026年度に納品を予定しております。なお、持続的な財務基盤強化として当社は世界的な経済安全保障の高まりと市場拡大を背景に、事業拡大と海外展開を加速するための成長資金を確保するため、普通株式と新株予約権の第三者割当により最大約31億円の資金調達を実施いたしました。当社グループの研究開発投資は、短期的な利益を追うのではなく、海外展開も含め、中長期的な成長を実現するために戦略的かつ積極的に研究開発費を投下する方針を維持し、各種用途特化型機体の機体開発、量産体制の構築を進めるとともに、プラットフォーム技術の強化を行っております。 (3) 経営戦略等2024年2月に発表した構造改革として、具体的には、幅広く展開してきた市場、用途及び製品について、収益性の改善を目的とした「選択と集中」を行い、大幅な売上増加を前提としない黒字化を実現できるコスト構造へ転換すべく「リソースの最適化」を実施しました。「選択と集中」としては小型空撮機体の強みを活かせる経済安全保障、脱中国製品が明確である日本の政府調達及び米国の点検・災害対応分野に注力いたします。加えて、物流分野としては日本郵便株式会社との機体開発及び社会実装に向けた体制構築に注力いたします。リソースの最適化としては、注力事業領域に合わせて研究開発テーマの中止、日本国内の人員最適化及び連動する間接費用の削減を実現し、成長市場となる米国への再投資を進めております。 (4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当社グループが優先的に対処すべき課題は下記のように考えております。① 開発戦略 小型空撮機体については、量産販売及び市場対応のフェーズとして、顧客からのフィードバックを踏まえた機能改善や品質向上を継続しております。加えて、国家プロジェクトであるSBIR事業において行政等のニーズを反映した高性能化と社会実装を推進するとともに、経済安全保障重要技術育成プログラム(K program)に採択された次々世代機体の開発として分散制御技術及びAI等の先端技術開発を進めてまいります。また、海外展開の拡大に向け、現地法規及び運用要件に対応するための開発を推進してまいります。 社会インフラの維持・管理として物流分野において、日本郵便株式会社と共同で開発を進めていた長距離飛行マルチユースドローン「PF4」の製品化に取り組み、2025年10月より量産を開始いたしました。機体の共同開発を行った日本郵便株式会社及び日本郵政キャピタル株式会社とは、2021年6月に資本業務提携を行っており、今後もドローン物流の社会実装の推進とドローン市場の拡大に向けて連携を進めてまいります。 ② 生産体制 当社グループは、安全品質を最優先事項と位置付け、品質向上に向けた社内体制の強化及び量産パートナー企業との連携を進めてまいりました。今後も高品質かつ安定的な量産体制を維持するとともに、顧客からのフィードバックを反映した継続的な品質向上に取り組んでまいります。加えて、経済安全保障の観点も踏まえ、複数生産拠点の活用や部品のトレーサビリティ確保等により、サプライチェーンの強靭化を推進してまいります。さらに、限界利益率上昇を目的とした原価低減に取り組むとともに、構造改革の進捗を踏まえ、間接原価の抑制を通じた売上総利益率の改善にも取り組んでまいります。 調達戦略としては、新規サプライヤーの発掘、キーサプライヤーとの協力体制の構築及び調達条件の改善にも取り組んでまいります。 ③ 営業戦略 国内市場においては、国産かつ高セキュリティ対応の強みを活かし、防衛・安全保障分野を含む官公庁等の政府調達への取り組みを強化しております。また、社会インフラ維持・管理領域における実運用の拡大に向け、顧客課題に即した提案と導入支援を進めてまいります。物流分野については、日本郵便株式会社との連携を継続するとともにドローンサービス事業者との連携を通じて、ドローン物流の社会実装を進めてまいります。 海外市場については、経済安全保障を背景とした脱中国製品の動きが加速する北米を重点地域と位置づけております。米国では現地子会社を軸に販売ネットワーク及びサポート体制を強化するとともに、現地規制に適合した機体として継続的な販売が可能な体制を整えております。加えて、カナダ市場への展開を本格化し、公共領域や社会インフラ分野での需要獲得を図ってまいります。 ④ 規制への対応 ドローン関連業界を取り巻く規制の変化に対応し、需要の拡大に的確に対応すべく、国土交通省、経済産業省等の関係行政機関と引き続き密に連携してまいります。 また、海外市場への進出においては、北米における機器認証等の規制強化を含む現地法規制の動向を継続的に把握し、必要な認証取得及び体制整備を進めてまいります。あわせて、外国為替及び外国貿易法等の輸出管理を含むコンプライアンスの徹底により、適切な海外事業運営を行ってまいります ⑤ 内部管理体制の強化 当社グループは、ガバナンス及び内部統制の整備及び運用を重要課題として位置付け、継続的な強化に取り組んでおります。過年度に発生した元代表取締役による不適切な事案を踏まえ再発防止策を策定し、実行しております。 具体的には、取締役及び代表取締役の選任等に係る公正性及び客観性を高めるため、社外取締役を中心とする任意の指名委員会の設置並びに候補者評価プロセスの整備を進めております。あわせて、契約や購買等の重要な意思決定について複数の代表取締役による相互確認及び承認を要する仕組みを整備するとともに、権限規程及び承認基準の見直しにより牽制機能を強化しております。さらに、契約締結及び支払プロセスの厳格運用並びに取引先管理の強化を徹底するとともに、研修等を通じたコンプライアンス意識の醸成、内部通報制度の運用強化に取り組んでおります。 (5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループでは、急速かつ持続的な利益成長を目指して成長性や効率性の向上に取り組んでおり、主な経営指標として、売上高、粗利、営業利益を特に重視しております。また、当社グループの事業モデルを勘案した上での成長ドライバーとしてのKPIは、小型空撮の金額・機体数、ソリューションの構築の金額があげられます。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況a.財政状態の分析(資産)当連結会計年度末における資産合計は、5,665,019千円となり、前連結会計年度末に比べ1,101,760千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が775,142千円、売掛金が824,457千円それぞれ増加した一方で、商品及び製品が283,914千円減少したことにより流動資産が前連結会計年度末に比べ1,468,297千円増加し、これに加えて、主に投資有価証券が147,557千円減少したことにより固定資産が前連結会計年度末に比べ366,537千円減少したことによるものであります。(負債)当連結会計年度末における負債合計は、3,909,100千円となり、前連結会計年度末に比べ459,554千円減少いたしました。これは主に短期借入金が1,320,097千円減少したことにより、流動負債が前連結会計年度末に比べ1,084,278千円減少し、これに加えて、転換社債型新株予約権付社債が624,725千円増加したことにより固定負債が前連結会計年度末に比べ624,725千円増加したことによるものであります。(純資産)当連結会計年度末における純資産合計は1,755,918千円となり、前連結会計年度末に比べ1,561,313千円増加いたしました。これは主に減資及び欠損填補、第三者割当による新株式発行や当期純損失の計上等により、資本金が1,327,232千円、利益剰余金が340,127千円それぞれ増加した一方で、資本剰余金が96,873千円減少したこと等によるものであります。この結果、自己資本比率は29.1%(前連結会計年度末は2.0%)となりました。 b.経営成績の分析(売上高)当連結会計年度の売上高は、2,598,734千円となりました。これは主に既存顧客を中心にした実証実験及び機体販売によるものであります。(売上原価・売上総利益)当連結会計年度の売上原価は、2,097,451千円となりました。これは主に実証実験と機体販売に関わる材料費、外注加工費によるものであります。その結果、売上総利益は、501,282千円となりました。(販売費及び一般管理費・営業損失)当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、2,341,683千円となりました。これは主な費目として研究開発費1,319,319千円、人件費等によるものであります。その結果、営業損失は1,840,400千円となりました。(営業外損益・経常損失)当連結会計年度の営業外収益は、1,244,783千円となりました。これは主に国家プロジェクトに係る助成金収入の計上によるものであります。当連結会計年度の営業外費用は、479,600千円となりました。これは主に持分法による投資損失の計上及び株式交付費によるものであります。その結果、経常損失は1,075,217千円となりました。(特別損益・法人税等・当期純損失)当連結会計年度において、主に不正関連損失253,778千円、投資有価証券評価損31,213千円による特別損失合計284,991千円を計上しました。次いで、法人税等合計4,017千円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純損失は1,363,939千円となりました。 なお、当社グループはドローン関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ775,141千円増加し、2,018,722千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果使用した資金は、1,246,490千円となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失1,360,081千円を計上したことによるものであります。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は、6,540千円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出6,667千円によるものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果得られた資金は、2,020,702千円となりました。これは主に、短期借入金の純減額1,320,097千円、株式の発行による収入1,380,743千円、新株予約権の行使による株式の発行による収入525,521千円、転換社債型新株予約権付社債の発行による収入1,429,062千円によるものであります。 ③ 生産、受注及び販売の実績a.生産実績当社グループの生産品はその大部分が生産後すぐに顧客のもとへ出荷されているため、生産実績は販売実績とほぼ同額となります。従いまして、生産実績の記載を省略しております。下記c.販売実績をご参照ください。 b.受注実績当連結会計年度の受注実績は、次のとおりであります。なお、当社グループはドローン関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略し、売上高の主な内訳別に記載しております。区分受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)実証実験218,44771.8206,421123.2プラットフォーム機体販売56,50826.015,126136.1用途特化型機体販売2,053,517171.0855,247104.6その他(注)1106,52737.137,29012.8合計2,435,000121.21,114,08586.5 (注) 1.その他においては、機体の保守手数料や消耗品の販売料に加えて、一般的に国家プロジェクトにおいて受託先が収受する補助金等のうち、新規の研究開発を行わず、既存の当社の技術を用いて委託された実験を行うことが主目的のプロジェクトについての売上高を含んでおります。 c.販売実績当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループはドローン関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略し、売上高の主な内訳別に記載しております。区分前連結会計年度(自 2024年1月1日至 2024年12月31日)当連結会計年度(自 2025年1月1日至 2025年12月31日)前年同期比(%)実証実験(千円)271,481165,52561.0プラットフォーム機体販売(千円)207,45952,49525.3用途特化型機体販売(千円)423,9332,046,087482.6その他(注)2(千円)1,752,729334,62519.1合計(千円)2,655,6022,598,73497.9 (注) 1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。相手先前連結会計年度(自 2024年1月1日至 2024年12月31日)当連結会計年度(自 2025年1月1日至 2025年12月31日)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)Arcv Holdings Private Limited1,700,51864.0――Almo Corporation110,3784.2833,61932.1有限会社タイプエス165,9036.2656,30725.3日本特装株式会社10,2200.4404,65015.6 2.その他においては、機体の保守手数料や消耗品の販売料に加えて、一般的に国家プロジェクトにおいて受託先が収受する補助金等のうち、新規の研究開発を行わず、既存の当社の技術を用いて委託された実験を行うことが主目的のプロジェクトについての売上高を含んでおります。前連結会計年度においては、インド市場におけるArcv Holdings Private Ltd.への地上走行ロボット販売に係る売上高を含んでおります。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容a.財政状態及び経営成績の分析当連結会計年度における財政状態及び経営成績の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。 b.経営成績に重要な影響を与える要因について経営成績に特に重要な影響を与える要因については、以下のとおりであります。当社グループに限らず、ドローンに関する重大な事故が発生した場合には、ドローンの安全性に対する社会的信用が低下することにより、顧客からの需要低下、規制の強化等により市場の成長が減速する可能性があります。当社グループでは、事故を起こさないよう、安全性第一のドローンの実現に努めておりますが、万が一、当社グループの製造した機体が墜落することなどにより人や財産等に損害を与えた場合には、製造物責任賠償、リコールによる支払や費用発生及び社会的信用の失墜等により、当社グループの経営成績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。製品の信頼性には万全の配慮をしてまいりますが、万が一、製品の欠陥が発生した場合には、その欠陥内容によっては多額の支払や費用発生及び社会的信用の失墜を招き、当社グループの経営成績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、国際情勢の変化、経済安全保障上の要請の高まり、世界的なインフレや為替変動による資材価格や物流費の上昇等により、部材の供給の遅れや価格の高騰が発生した場合には、当社の機体生産に影響を与える可能性があり、部材の供給不足や価格高等が継続する場合、用途特化型機体の量産等及び当社の研究開発活動に影響を与え、当社グループの売上高等の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。その他、経営成績に重要な影響を与える要因については「3事業等のリスク」に記載のとおりであります。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、自己資金、金融機関からの借入金、新株発行による調達資金等により充当することとしております。なお、当社グループの資金の流動性につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。重要な資本的支出の予定につきましては、「第3設備の状況」に記載のとおりであります。 ③ 重要な会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りに関して、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる可能性があります。当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5経理の状況 1連結財務諸表等 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。 (3) 経営者の問題認識と今後の方針について当社グループは、自律制御技術を始めとした最先端のロボティクス技術を追求し、それらの技術の社会実装を通じて、人類の活動の基盤となる社会インフラにおける経済活動の生産性を高め、付加価値の低い業務、危険な業務を一つでも多く代替させ、次世代に向けた社会の進化を推し進めるべく事業を展開しており、各分野のコアクライアントとなるパートナー企業とのプロジェクトを通じ、各種用途の産業向けドローン・ソリューションを構築し、実際の経済効果を生み出すドローン用途を創出していくことを経営の基本方針としております。この基本方針を踏まえ、ドローン機体の販売拡大及びシステムインテグレーション、ソリューション構築を通じたドローン機体の利用拡大による売上高の拡大を企図しております。経営者は、事業を拡大し、継続的な成長を実現するために様々な課題に対処していくことが必要であると認識しており、それらの課題に対応するため、常に事業環境についての情報を入手し、戦略の策定、顧客ニーズの把握、製品力の強化、企業規模の拡大に応じた内部管理体制・組織の整備を進め、企業価値のさらなる向上を目指して取り組んでおります。なお、経営者の問題認識と今後の方針についての具体的な内容は、「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

事業リスク

  • ドローンの安全性と社会的信用
    ドローンの社会利用が進むにつれて、安全性と信頼性への要求が高まっています。もしACSL製または他社製のドローンで重大な事故が発生した場合、ドローン全体の安全性に対する社会的な信用が低下し、市場の成長が減速したり、顧客の需要が減少したりする可能性があります。これにより、ACSLの事業や業績に悪影響を及ぼす恐れがあります。
  • 法規制の変更と事業への影響
    ドローン事業は航空法、電波法、製造物責任法、外国為替及び外国貿易法など、多くの法規制に囲まれています。今後、予期せぬ規制の制定や改廃、運用の厳格化、または予定されている規制緩和が進まない場合、追加的な対応負担や許認可に関する制約が生じ、ACSLの事業活動や業績に影響を与える可能性があります。
  • 部品調達の不安定性とコスト変動
    ドローンの製造に必要な部品や部材の供給が中断したり、不足したりするリスクがあります。また、世界的なインフレや為替変動により、資材価格や物流費が高騰する可能性もあります。これらの要因により、計画通りの調達ができなくなったり、調達コストが増加したりすると、ACSLの生産活動や収益性に悪影響を及ぼす恐れがあります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|8,044 文字
3 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社は代表取締役を委員長とする危機管理委員会にて、主要なリスク発生の可能性及び対応などを検討しております。また、必ずしもリスク要因には該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に記載しておりますが、当社グループに関するすべてのリスクを網羅するものではございません。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。 (1) ドローンの安全性について① ドローンの社会利用が進むにつれ、安全性及び信頼性に対する要求は一層高まるものと認識しております。当社グループに限らず、他社を含め、重大な事故が発生した場合には、ドローンの安全性に対する社会的信用の低下や規制の強化等により市場の成長が減速し、顧客需要が低下する可能性があります。この場合は、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。 ② 当社グループは、安全設計及びリスク分析に基づく開発を推進するとともに、各種認証制度への対応等を通じて安全性の確保に努めております。しかし、当社グループ製造の機体の墜落等により人や財産等に損害を与えた場合には、重大な製造物責任賠償やリコール等による多額の支払や費用発生及び社会的信用の失墜等により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。当社は、保険会社との連携を深め、重大な事故の際の賠償責任、費用発生をカバーするためのドローン機体及び運用について専用の保険の開発を行っております。 ③ 昨今、ドローンの利活用拡大に伴い、データセキュリティ、乗っ取り等の不正操作等のリスクに対する関心が高まっております。当社グループでは、データセキュリティに関連する部品選定において安全性を重視し、また、通信暗号化等による乗っ取り防止等、ドローン側のセキュリティ技術の高度化に取り組んでおります。しかし、サイバー攻撃や不正アクセス等によりセキュリティが破られた場合においては、機体の操縦不能、情報漏洩等が発生し、損害賠償、リコール等による多額の支払又は費用発生及び社会的信用の失墜等により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。 (2) ドローン事業を取り巻く法規制について当社グループの事業に適用される主な法規制は、以下のとおりであります。当社グループは、社内体制の整備及び外部専門家の活用等により、関係法令の遵守に努めております。なお、当社グループは、関係法令及び各種制度の動向を継続的に把握し法規制等の遵守に努めておりますが、今後、予期せぬ規制の制定、改廃、運用の厳格化が行われることや予定されている規制緩和が計画どおりに進まない場合には、追加的な対応負担が生じ又は許認可等に関する制約を受け、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。 ① 航空法当社グループは、ドローンの運航に関し、航空法その他関連法令に基づく各種の許可、承認等が必要となる場合があり、必要に応じて適切な手続を実施しております。また、無人航空機に係る制度は安全確保の観点から継続的に見直されており、飛行方法や運用要件等の変更により、顧客の運用や当社グループの事業活動が制約を受ける可能性があります。 ② 電波法当社グループは、ドローンに搭載及び操縦時に利用する通信機器について、電波法等に基づく技術基準適合等の要件を満たすよう、必要な手続及び管理を行っております。今後、電波利用環境の変化や制度改正等により追加対応が必要となる場合、開発や運用に係るコストの増加や提供時期の遅延等が生じる可能性があります。 ③ 製造物責任法当社グループはドローン等の製品を製造しているため、当社製品の欠陥等により生命、身体又は損害が生じた場合、損害賠償請求が認められる可能性があります。当社グループは取扱説明書の整備、ISO9001の認証取得などの品質管理体制の強化、各種認証の取得及び維持等によりリスクの低減に努めております。加えて、無人航空機の型式認証制度において第一種型式認証書を取得しており、当該制度に基づく適合維持等への対応を継続しております。しかしながら、重大な事故又は品質問題等が発生した場合には、損害賠償、リコール等による多額の支払又は費用の発生及び社会的信用の失墜等により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。 ④ 外国為替及び外国貿易法当社グループが販売する製品、部品又は関連技術の一部は、外国為替及び外国貿易法等の輸出管理規制の対象となる可能性がございます。当社グループが海外向けに製品、部品の輸出又は関連技術の提供を行う場合、同法等を遵守して適切な輸出管理に努めております。今後、輸出入規制の強化、対象範囲の変更、運用の厳格化等が生じた場合、取引の制約、追加対応コストの発生、納期の遅延等により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。 (3) 知的財産権について当社グループの事業に関連する特許権等の知的財産権について適切な管理を行い、第三者の知的財産権の侵害防止に努めております。しかしながら、当社グループが認識していない知的財産権が既に成立している可能性又は新たに成立する可能性もあり、当該侵害のリスクを完全に排除することは極めて困難であります。今後、当社グループが第三者の知的財産権を侵害したとして主張を受け又は紛争が生じた場合、当該紛争の解決までに要する費用負担、損害賠償、製造販売の差止め、ライセンス料の負担等により、当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループが保有する知的財産権については、権利化の遅延、権利範囲の限定、無効主張等により、当社グループが想定する競争優位性を十分に確保できない可能性があります。当社グループは、事業拡大及び技術開発の進展に合わせ、知的財産の整備及び活用を継続してまいります。 (4) 部品・部材等の調達及び価格、在庫について① 供給中断、供給不足及び価格変動取引先からの供給が中断した場合や製品需要の急増などによる供給不足が発生した場合には諸活動が制限され、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。また、世界的なインフレや為替の変動等、資材価格や物流費の上昇等により部材供給遅延又は価格高騰が発生し、当社グループの計画通りの調達ができない場合には、当社グループの売上高および収益性等の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ② 地政学、経済安全保障等に起因する調達制約国際情勢の変化、経済安全保障上の要請の高まり等により、関税の賦課、制裁措置、輸出入規制の強化、対象範囲の変更、通関手続の厳格化又は遅延等が生じた場合、調達先の制約、納期の遅延、代替調達に伴う追加コストの発生等により、当社グループの生産、開発及び供給に影響を及ぼす可能性があります。加えて、当社又は取引先が規制対象に該当する又は該当すると判断される場合、取引停止又は取引条件の変更等が生じる可能性があります。 ③ 品質、サプライヤー体制及び防衛分野の要件高度化当社グループは、調達にあたり、品質確認等の受入検品を慎重に実施しておりますが、品質に問題が生じた場合や、調達先における生産体制及び品質管理体制に問題が生じる場合には、当社グループの事業運営に重要な影響を及ぼす事可能性があります。なお、主要な取引先企業に対しては、生産・開発等の活動状況の確認のための監査を定期的に実施しております。また、防衛分野を含む用途への対応拡大に伴い、部材のトレーサビリティ、情報管理、サイバーセキュリティ等の要件が高度化し、調達可能な取引先が限定される又は取引先の方針変更等により供給制限又は供給停止が生じる場合には、当社グループの生産及び納期、業績に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 在庫在庫については、製品計画、売上規模に合わせ、定期的に需要予測を見直し、最適量を維持してまいりますが、当初グループの想定よりも需要が異なることにより在庫不足による機会損失や逸失利益又は在庫過多による在庫管理費用や減損等の追加費用が発生する可能性があります。 (5) 製品の品質について当社グループは、品質保証管理規程及び生産管理規程に基づき、各種製品の製造、品質管理を行い、品質の保持、向上に努めております。しかしながら、想定を超える不具合の発生、品質問題の顕在化又は品質改善の遅延等が生じた場合、アフターサービス費用、無償修理費用、リコール費用等の追加費用が発生し、社会的信用の失墜を招く可能性があります。この場合、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 (6) 業績の不確実性について① 過年度の業績推移について当社グループの主要な経営指標等の推移は「第1企業の概況 1主要な経営指標等の推移」のとおりであります。当社グループは、産業用ドローン市場の将来的な市場拡大のための技術開発に係る先行投資に注力してきたことなどから、損益について第1期から第7期及び第9期から第14期において損失を計上しております。また、様々な国家プロジェクトに参画し、最先端の技術開発に取り組んでおりますが、研究開発活動に係る補助金等の受領は管轄機関による監査を終えて金額が確定した後の入金となるため、研究開発活動を行うための資金支出は国家プロジェクトの実施中に必要となり、先行して研究開発費用が発生しております。当社グループでは、上記のような先行する開発投資費用を上回る収益を確保すべく取り組んでおりますが、開発、販売活動に必要な人材の採用や育成が進まない場合や、当社製品が市場で受け入れられない場合等、事業展開が当社グループの計画どおりに推移しない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループの過年度の経営成績は期間比較を行うための十分な材料とはならず、過年度の業績のみでは今後の業績を判断する情報としては不十分な可能性があります。 ② 継続的な開発投資について当社グループは、継続的な成長のために、産業用ドローン市場の拡大を見据えた研究開発投資を継続しており、先行費用が発生する局面があります。当社グループは、売上高の伸長、利益性の改善によって、持続的な利益やキャッシュ・フローを創出できる体制を構築する方針ですが、テクノロジーの進化が早く、当社グループがそれらのテクノロジーの進化に追随できない場合や当社グループが顧客や市場からの支持を獲得できる新製品又は新技術が投入できず、研究開発活動の効果が十分に得られない場合に、想定以上の投資に係る費用が発生する場合があります。この場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 中期経営方針について当社グループは2025年12月に中期経営方針を公表し、その実現に向け各施策を推進しておりますが、事業環境、規制動向、顧客需要、競争環境、調達環境、開発の進捗、コスト改善の実現可能性等の前提に依存しております。前提の変化又は施策の実行遅延等により、中期経営方針に掲げる目標を達成できない場合、営業損益等の黒字化に時間を要する可能性があり、当社グループの事業、財政状態及び業績並びに企業価値に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 検収時期の変動について当社グループは、売上計上について検収基準を採用しております。案件の個別性により当初の予定よりも顧客の検収が遅れた場合には、売上計上が遅れることになり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。加えて、当社グループが参画する国家プロジェクトによる収入については、案件の内容に基づき、売上計上または営業外収益として計上しておりますが、案件の個別性により当社グループが想定している区分での計上が認められない場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、検収時期が期末日付近に予定されている案件において、その検収実施時期が翌連結会計年度に延期されるような場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 (7) 運転資金の確保について当社グループの主な事業は、部品仕入、開発、製造、販売、検収、資金回収という事業フローのため、事業拡大に連動して運転資金が増加する傾向にあります。また、当社グループでは、最先端の技術開発に取り組むため産学官連携で様々なプロジェクトに参画しており、国からの補助金や助成金を受領しております。当該補助金等の受領は、管轄機関による監査を終えて金額が確定した後の入金となりますが、研究開発活動を行うための資金支出はプロジェクト実施期間中に必要となり、先行して研究開発費用が発生します。当社グループは、株式発行や、金融機関からの借入等により必要資金を確保しております。市場金利の上昇や金融環境の変化又は信用状況等の変化により、必要な資金を適時に調達できない場合や、調達条件が不利になった場合には、当社グループの経営成績に影響を与えることが考えられます。また、当社グループの借入金の一部には財務制限条項が付されており、これに抵触し期限の利益を喪失した場合には、資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。 (8) 海外進出について当社グループは、北米を中心として海外市場における事業拡大を推進しており、現地子会社又は提携等を通じて海外展開を行っております。しかし、現地における予期しない社会情勢および政治的情勢の変化、法規制等の変更、税制又は税率の変更、労務リスク、為替変動等により当社グループの事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。また、国際情勢の変化及び経済安全保障上の要請の高まり等により、関税の賦課、制裁措置、輸出入規制及び輸出管理の強化、対象範囲の変更、通関手続の厳格化又は遅延等が生じた場合、取引の制約、追加対応コストの発生、納期の遅延等により、当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、合弁企業におけるパートナー企業の経営方針が当初の計画から大きく変更された場合や、管理・運営体制に変更が生じた場合には、合弁企業の運営に支障をきたす可能性があります。 (9) 投資活動について当社グループは、成長戦略の一環として、企業買収、業務提携、戦略的投資等を検討しております。これらの投資等については、投資リスク等を十分勘案したうえで決定し、投資価値の回収可能性を定期的に検討しておりますが、経営環境又は前提条件の変化等により投資先の財政状態及び経営成績が悪化した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、投資等に伴い計上される資産については、期待されるキャッシュ・フローが生み出せない場合、減損損失を計上する可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (10) 小規模組織における管理体制について当社グループは、2025年12月31日現在の従業員数が58名(連結ベース)であり、組織規模に応じた体制で事業運営を行っており、事業拡大及び多様化に対応して、人材の確保及び内部管理体制の充実を図る方針です。当社グループの人員の中心となる開発に関わる人材については、グローバルで最先端な知見を有する人材を獲得するために、幅広い人材プールを採用の対象として積極的な採用活動を実施しており、今後の事業の拡大及び多様化に対応して、国内だけでなく海外も含め、人員の増強と内部管理体制の一層の充実を図っていく方針でありますが、計画どおりに人員の強化が出来ない場合や、事業の中核をなす人材に不測の事態が生じ業務遂行に支障が生じた場合、当社グループの事業活動に支障が生じ、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループは、ガバナンス及び内部統制の整備及び運用を重要課題として位置付け、継続的な強化に取り組んでおります。過年度に発生した不適切な事案を踏まえ再発防止策を策定し実行しておりますが、運用の定着が不十分な場合又は類似事案が再発した場合、調査対応、追加費用の発生、社会的信用の失墜等により、当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 (11) 訴訟について当社グループは、本書提出日現在において、重要な訴訟を提起されている事実はありません。しかしながら、販売した製品の不具合等、取引先との契約関係、知的財産、製造物責任等に起因して損害賠償請求又は訴訟等が提起される可能性があります。その場合、損害賠償の金額、訴訟内容及び結果によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (12) 事業中断に関するリスクについて当社グループは、地震、津波、暴風雨その他の自然災害、火災、停電等の事故、感染症の流行、サイバー攻撃又は情報システム障害、テロ行為等により事業活動が停止又は制限される可能性に備え、BCP(事業継続計画)を策定しております。しかしながら、事業活動の長期間に渡る停止や施設の改修に多額の費用が発生した場合、当社グループの事業、財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (13) その他のリスク① 配当政策について当社グループは、財務体質の強化と事業拡大のための内部留保の充実等を図ることが重要であると考えており、設立以来配当を実施しておりません。今後の配当方針については、収益力の強化や事業基盤の整備を実施しつつ、内部留保の充実状況及び企業を取り巻く事業環境を勘案した上で、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施する方針であります。現時点において当社グループは、内部留保の充実を優先しておりますが、将来的には、業績及び財政状態等を勘案しながら株主への利益の配当を目指していく方針であります。しかしながら、配当実施の可能性及びその実施時期等については、本書提出日現在において未定であります。 ② 新株予約権の行使による株式価値の希薄化に関する事項当社は取締役及び従業員の業績向上に対する意欲や士気を高めることを目的に、会社法の規定に従ってストック・オプションを発行しております。また、2023年2月6日にCVI Investments, Inc.を割当先とする転換社債型新株予約権付社債及び新株予約権、2025年1月10日に株式会社村田製作所及びCVI Investments, Inc.を割当先とする転換社債型新株予約権付社債を発行しております。加えて、2025年8月18日付の取締役会において決議した新株予約権発行プログラム設定契約に基づき、Cantor Fi tzgerald Europeを割当先とする新株予約権を発行しております。2025年12月末日現在、当該新株予約権による潜在株式数は3,415,966株であり、2025年12月末日現在における発行済株式数18,045,018株の18.9%に相当しております。これらの新株予約権の権利行使が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。

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