事業の内容
ACSLは、自律制御技術を核としたロボティクス技術を追求し、産業用ドローン(飛行ロボット)の開発・製造・販売を行っています。労働力不足やインフラ老朽化、宅配需要増といった社会課題に対し、ドローンを活用したソリューションを提供。収益は、顧客の要望に応じたカスタム開発や概念検証(PoC)サービス、プラットフォーム機体販売、特定の用途に特化した量産機体の販売、そして販売後の保守・運用支援から得ています。特に、セキュリティを重視した国産ドローンとして、防衛・安全保障分野や海外市場での需要獲得を目指しています。
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FY2025|5,807 文字|出典 docID: S100XVUY
3 【事業の内容】当社グループは、「技術を通じて、人々をもっと大切なことへ/Liberate Humanity through Technology」というミッションのもと、「世界中の安全・安心を支える人が頼れるパートナーとなる/Become a partner for those that build safety and security around the world」というヴィジョンを掲げております。当社グループは、自律制御(※1)技術を始めとしたロボティクス技術を追求し、常に最先端の技術開発を行っております。労働人口の減少や高齢化による人手不足の深刻化が進む一方で、インフラ設備の老朽化による設備点検・維持業務の増加や、生活様式の変化に伴うEC化による宅配業務の増加など、労働力の供給不足及び需要と供給の不一致は社会的な課題となっています。当社グループは独自開発の制御技術をコアとし、それを利用した「産業向け」の飛行ロボット(以下、「ドローン(※2)」という。)の社会実装により、当社グループのミッション・ヴィジョンの実現を通じてこれらの社会課題の解決を目指しております。近年、ドローン市場は防衛・安全保障及び経済安全保障を中心とした社会環境の変化を背景に、その位置付けが大きく変化しています。地政学的リスクの高まりを受け、日本及び海外諸国においてドローンは国家の安全保障や重要インフラを支える重要技術として位置付けられ、調達や運用において規制と活用が同時に進んでいます。こうした動きに加え、労働人口の減少による無人化ニーズの拡大や、災害調査・物資輸送・インフラ点検といった分野での実装が進む中、ドローン市場は単なる効率化の手段にとどまらず、防衛・安全保障や経済安全保障の観点からも活用が広がる転換期を迎えています。当社グループは、セキュリティが担保された国産ドローンを有しているのみならず、企業向け対応及び用途特化型をキーワードとしたポジショニング形成が可能であり、日本国内だけでなく海外におけるセキュアなドローンへの需要にも適応することが可能で、当社製品は海外市場においても十分に競争力を持つ製品であると認識しております。当社グループは、米国市場での官庁・社会インフラ関連企業にて利用されている中国製ドローンからのスイッチングを目指し、販売子会社として2023年1月にACSL, Inc.を設立しております。当社グループの事業は、ドローン関連事業の単一セグメントであるため、以下に当社グループの主要な製品及びサービスの内容を記載いたします。 (1) 当社グループの事業内容当社グループのビジネスモデルは、顧客においてドローンの有用性を検証する「概念検証」、顧客の実現場におけるドローンの導入・配備を実施する「機体量産」、その後、用途ごとのデータ解析システムや運行システムなどの拡張を伴う「運用・導入支援」に分かれます。「概念検証」では、業務にドローンが使えるかをPoC(Proof of Concept(※3))を通じて検証し、顧客の要望に応じたカスタム開発を実施します。加えて、当社のプラットフォーム(※4)機体をベースにした機体の生産・販売を行う「プラットフォーム機体販売」も行います。「機体量産」では、ドローンの利活用が多く見込まれる用途において「用途特化型機体」として量産機体の開発・生産・販売を行います。「概念検証」では、顧客のドローン導入のニーズを踏まえて、課題解決のために当社のテスト機体を用いた概念検証(PoC)に係るサービスを有償で提供しております。この概念検証(PoC)では、最小限のシステム構成にすることで、顧客のドローン活用の導入検討のハードルを下げつつ、業務効率化・無人化の検証を並行して行っております。なお、当社における概念検証(PoC)は単にアイデア提供等を行うサービスではなく、目的の業務においてドローン導入の有効性を判断するための飛行試験・実演を伴う概念検証サービスを指します。更に当社では、顧客の既存システムへの組み込みも含めた特注システム全体の設計・開発を行っております。実証実験においては、PoCや特注システムの仕様提案・設計・開発・実証に係る人件費、カスタム開発料を主な収益源としております。「プラットフォーム機体販売」においては、当社が保有するプラットフォーム機体の生産・販売を行っております。この段階では、当社のプラットフォーム機体をベースに顧客の実業務への展開に向けたカスタマイズなどを行っております。当社グループでは、各段階で収益を獲得する案件が一般的ですが、案件によっては、特注機体を開発、複数台製造をしつつ、運用システムを構築するなどPoCとプラットフォーム機体販売を組み合わせて包括的に契約を締結する場合もあります。「用途特化型機体」の開発、生産、販売として、ドローンの幅広い利活用が見込まれる特定の用途においては、用途に特化したドローンの量産を進めております。用途特化型機体販売においては機体及びオプションパーツの販売を収益源としております。なお、機体販売後の「運用・導入支援」においては、販売後、定常的に発生する機体の保守手数料や消耗品の販売料などを主な収益源としております。当社グループ製品・サービスが産業向けドローン業界におけるデファクト・スタンダードとなるためには、今後も継続的かつ積極的に研究開発活動を実施していくことが不可欠となります。そこで、当社グループでは産学官連携で様々なプロジェクトに参画し、最先端の技術開発に取り組んでおります。国家プロジェクトにおいては、各プロジェクトで発生した研究開発費用について、管轄機関の監査を受けて認められた金額を、助成金又は補助金として収受しております。なお、助成金又は補助金に関して、新規技術の研究開発に係る助成金又は補助金については、営業外収益として計上しております。また、新規の研究開発を行わず、既存の当社の技術を用いて委託された実験を行うことが主目的であるプロジェクトについては、収受した金額を売上高として計上しております。当社グループは、国内のドローン専業メーカーとして、ドローンの社会実装と国産ドローン採用への回帰が進む中で、日本のドローン市場の成長と合わせて、黎明期に求められる評価用機体の試作やPoCといったソリューションの作り込みから、成熟期に求められる量産機の開発、量産体制の構築、その後の販売・導入支援までを一気通貫で提供し、デファクト・スタンダードの技術としてドローンの社会実装を推進するべく、国産のセキュアな産業用ドローンを提供してまいります。 ■ ドローン市場のバリューチェーンと当社の立ち位置 [事業系統図] (2) 当社グループの特徴当社グループは自律制御の研究開発をゼロから国内で行うことで、「自ら考えて飛ぶ」最先端の制御技術を核とした技術力を有しており、通信・ソフトウエアなどを統合した制御パッケージや、高性能な機体プラットフォームを提供することに加えて、用途別にカスタマイズした産業向け特注機体、特注システムの開発、更に最終的には顧客システムに統合されたレベルのシステム開発まで、事業として幅広く対応することが可能となっております。 ① 独自開発の自律制御システム 当社は千葉大学発のスタートアップ企業として創業して以来、自律制御技術を中核技術と位置づけ、継続的に開発投資を行ってまいりました。当社の中核技術でもある自律制御技術は、人間でいう「頭脳」に相当します。人間でいう運動機能をつかさどる「小脳」に該当する部分であるドローンの姿勢制御、飛行動作制御等の技術については、モデルベース(※5)の先端制御理論に加え、一部で非線形制御(※6)に係るアルゴリズム(※7)を使用しており、競合他社やオープンソースコードを推進する団体が採用する一般的なPID制御(※8)と比較しても、耐風性や高速飛行時の安定性、突発的な動作に対する安定性などの点で優位性があります。人間でいう、目で見ることや自ら考えること等に係る機能をつかさどる「大脳」に相当する部分の技術は、画像処理による自己位置推定(Visual SLAM(※9))やLidar(光センサー技術)等のセンサー・フュージョン、AI(※10)による環境認識を開発し、ドローンの「小脳」部分に統合しており、従来のドローンに搭載されている衛星(GPS(※11)・GNSS(※12))を用いる制御では自律飛行(※13)することができなかった非GPS環境下での完全自律飛行を実現しております。 また、人間がロボットに対し状態の監視や指令を行い、対話を可能とするための技術として「UI/UX(※14)」の技術が必要となります。ドローンはエッジ処理(ドローン端末側で計算処理を実行すること)による自律的な飛行を行いますが、一般的には地上局と通信を行いながら飛行しており、自律飛行を行うためのルート設計及びドローンの飛行中の情報を遠隔にて可視化・モニタリングするため、地上局のソフトウエア技術が必要不可欠となっております。当社では地上局のソフトウエアについても独自開発を行っており、パソコンやタブレット、スマートフォンなどに搭載されたソフトウエアにリアルタイム情報を表示し、飛行速度や高度などの機体状態や飛行状況の管理を行うことや、飛行ルート変更の操作指示、緊急時には非常用介入操作指示を出したりすることが可能となっております。 また、当社は小型空撮機体における製品の量産体制を構築しており、量産機体販売において求められる生産能力を有しております。さらに、日本において唯一のレベル4に対応する型式認証を取得しており、品質保証面においても高い技術力を有しております。 ② 顧客との取り組みを通じたノウハウ 産業用ドローンの社会実装においては、単に機体性能や制御技術の高いドローンを提供するだけでなく、特定用途で利用するための機体や制御の改良、アプリケーション(※15)や搭載オプションの開発・追加等が必要となります。これらの改良や開発を行うためには、実際にドローンが導入される実環境下での飛行実績を積み重ねることが重要となっており、多様な環境下での実証実験とデータの蓄積、クライアントからのフィードバック及びそれらに基づく機体開発や技術開発が不可欠となっております。 当社グループは主に大企業を中心に多くの幅広い顧客ベースを有し、これまでの多くの顧客とのプロジェクトを通じて、様々な現場視察、クライアントとの対話、そして豊富な実証実験の実績があります。実証から得られた情報やフィードバックを基に、プラットフォーム機体の改良や搭載オプションの開発・追加、UI/UXの改善を行っております。 ③ グローバルな展開力 当社はセキュアな機体開発を行っており、海外で顕著となっている経済安全保障への対応に適合した機体開発を行っております。当社は国籍に関係なくトップクラスのエンジニアを採用し、高度な技術力を持つチームを構築しており、最先端の技術を駆使して、常に高品質な製品を提供することを目指しています。また、アメリカ市場の展開においては米国のドローン業界において長年の経験を持つチームが、現地市場のニーズに即した対応を行っております。これにより、アメリカ市場での競争力を高め、顧客満足度の向上を図っています。 用語解説本項「3 事業の内容」において使用しております用語の定義について以下に記します。 No.用語用語の定義※1自律制御機体の自律行動を実現する制御方式または技術※2ドローン遠隔操縦または自律式の無人航空機一般※3概念検証(PoC:Proof of Concept)新たな概念やアイデアの実現可能性を示すために、可能な範囲で限られた手段を組み合わせて試験的な実験を行うこと。デモンストレーションによって特定の概念や理論の実用化が可能であることを示すこと※4プラットフォーム必要最低限の技術要素をパッケージ化した技術の塊のことを意味し、カスタム製品や搭載物を変えて用途別製品を開発する際に使用できる基盤となる一連の技術要素の組み合わせのこと※5モデルベース制御対象の運動を数学モデルによって表現することに基づいた制御設計技術※6非線形制御制御理論、制御技術の一つであり、一般的にPID制御よりも高度な数学が用いられ、制御対象をより正確に制御することが可能な制御技術※7アルゴリズムコンピューター上における問題を解くための手順・解き方※8PID制御比例(P)制御、積分(I)制御、微分(D)制御の組み合わせによって、設定された目標値にフィードバック(検出値)を一致させる制御機能を指す。速度、圧力、流量、温度などの制御に使用される技術※9SLAMSimultaneous Localization and Mappingの略称で、各種センサーから取得した情報から、自己位置推定と地図作成を同時に行うこと※10AIArtificial Intelligenceの略称。学習・推論・認識・判断などの人間の知能的な振る舞いを行うコンピュータシステム※11GPSGlobal Positioning Systemの略称で、全地球無線測位システムを指す。カーナビゲーションシステムなどに利用されているシステム※12GNSSGlobal Navigation Satellite Systemの略称で、全地球測位システムを指す。人工衛星を使用して地上の現在位置を計測する「衛星測位システム」のうち、全地球を測位対象とすることができるシステム※13自律飛行事前のプログラミングなどにより人の操縦がなくても飛行可能な飛行方法※14UI/UXUser Interface及びUser Experienceの略称で、機械が利用者のために有する特性・機能とそれらを利用することで得られる印象・体験のこと※15アプリケーション特定の適用または応用する用途のこと全般、もしくは特定の用途のためのソフトウエアのこと(アプリケーションソフトウエア)
FY2024|5,783 文字|出典 docID: S100VITW
3 【事業の内容】当社グループは、「技術を通じて、人々をもっと大切なことへ/Liberate Humanity through Technology」というミッションのもと、「世界中の安全・安心を支える人が頼れるパートナーとなる/Become a partner for those that build safety and security around the world」というヴィジョンを掲げております。当社グループは、自律制御(※1)技術を始めとしたロボティクス技術を追求し、常に最先端の技術開発を行っております。労働人口の減少や高齢化による人手不足の深刻化が進む一方で、インフラ設備の老朽化による設備点検・維持業務の増加や、生活様式の変化に伴うEC化による宅配業務の増加など、労働力の供給不足及び需要と供給の不一致は社会的な課題となっています。当社グループは独自開発の制御技術をコアとし、それを利用した「産業向け」の飛行ロボット(以下、「ドローン(※2)」という。)の社会実装により、当社グループのミッション・ヴィジョンの実現を通じてこれらの社会課題の解決を目指しております。近年、ドローン市場を取り巻く環境は大きく変化しており、オペレーションの効率化・無人化に向けたドローンを含むロボティクスの導入が、世界的に広がっております。また、世界的な脱炭素化の流れのなかで、電気を動力源とするドローンは、脱炭素化・EV化の手段としても注目を集めております。加えて、地政学的リスクの高まりや不安定な世界情勢などから、経済安全保障やセキュリティへの関心が強くなっております。特に海外ドローン市場においては、日本以上に経済安全保障への関心が高く、昨今の世界情勢の状況により転換期を迎えております。当社グループは、セキュリティが担保された国産ドローンを有しているのみならず、企業向け対応および用途特化型をキーワードとしたポジショニング形成が可能であり、海外におけるセキュアなドローンへの需要にも適応することが可能で、当社製品は海外市場においても十分に競争力を持つ製品であると認識しております。当社グループは、米国市場での官庁・社会インフラ関連企業にて利用されている中国製ドローンからのスイッチングを目指し、販売子会社として2023年1月にACSL, Inc.を設立しております。当社グループの事業は、ドローン関連事業の単一セグメントであるため、以下に当社グループの主要な製品及びサービスの内容を記載いたします。 (1) 当社グループの事業内容当社グループのビジネスモデルは、顧客においてドローンの有用性を検証する「概念検証」、顧客の実現場におけるドローンの導入・配備を実施する「機体量産」、その後、用途ごとのデータ解析システムや運行システムなどの拡張を伴う「運用・導入支援」に分かれます。「概念検証」では、業務にドローンが使えるかをPoC(Proof of Concept(※3))を通じて検証し、顧客の要望に応じたカスタム開発を実施します。加えて、当社のプラットフォーム(※4)機体をベースにした機体の生産・販売を行う「プラットフォーム機体販売」も行います。「機体量産」では、ドローンの利活用が多く見込まれる用途において「用途特化型機体」として量産機体の開発・生産・販売を行います。「概念検証」では、顧客のドローン導入のニーズを踏まえて、課題解決のために当社のテスト機体を用いた概念検証(PoC)に係るサービスを有償で提供しております。この概念検証(PoC)では、最小限のシステム構成にすることで、顧客のドローン活用の導入検討のハードルを下げつつ、業務効率化・無人化の検証を並行して行っております。なお、当社における概念検証(PoC)は単にアイデア提供等を行うサービスではなく、目的の業務においてドローン導入の有効性を判断するための飛行試験・実演を伴う概念検証サービスを指します。更に当社では、顧客の既存システムへの組み込みも含めた特注システム全体の設計・開発を行っております。実証実験においては、PoCや特注システムの仕様提案・設計・開発・実証に係る人件費、カスタム開発料を主な収益源としております。「プラットフォーム機体販売」においては、当社が保有するプラットフォーム機体の生産・販売を行っております。この段階では、当社のプラットフォーム機体をベースに顧客の実業務への展開に向けたカスタマイズなどを行っております。当社グループでは、各段階で収益を獲得する案件が一般的ですが、案件によっては、特注機体を開発、複数台製造をしつつ、運用システムを構築するなどPoCとプラットフォーム機体販売を組み合わせて包括的に契約を締結する場合もあります。「用途特化型機体」の開発、生産、販売として、ドローンの幅広い利活用が見込まれる特定の用途においては、用途に特化したドローンの量産を進めております。用途特化型機体販売においては機体及びオプションパーツの販売を収益源としております。なお、機体販売後の「運用・導入支援」においては、販売後、定常的に発生する機体の保守手数料や消耗品の販売料などを主な収益源としております。当社グループ製品・サービスが産業向けドローン業界におけるデファクト・スタンダードとなるためには、今後も継続的かつ積極的に研究開発活動を実施していくことが不可欠となります。そこで、当社グループでは産学官連携で様々なプロジェクトに参画し、最先端の技術開発に取り組んでおります。国家プロジェクトにおいては、各プロジェクトで発生した研究開発費用について、管轄機関の監査を受けて認められた金額を、助成金又は補助金として収受しております。なお、助成金又は補助金に関して、新規技術の研究開発に係る助成金又は補助金については、営業外収益として計上しております。また、新規の研究開発を行わず、既存の当社の技術を用いて委託された実験を行うことが主目的であるプロジェクトについては、収受した金額を売上高として計上しております。当社グループは、国内のドローン専業メーカーとして、ドローンの社会実装と国産ドローン採用への回帰が進む中で、日本のドローン市場の成長と合わせて、黎明期に求められる評価用機体の試作やPoCといったソリューションの作り込みから、成熟期に求められる量産機の開発、量産体制の構築、その後の販売・導入支援までを一気通貫で提供し、デファクト・スタンダードの技術としてドローンの社会実装を推進するべく、国産のセキュアな産業用ドローンを提供してまいります。 ■ ドローン市場のバリューチェーンと当社の立ち位置 [事業系統図] (2) 当社グループの特徴当社グループは自律制御の研究開発をゼロから国内で行うことで、「自ら考えて飛ぶ」最先端の制御技術を核とした技術力を有しており、通信・ソフトウエアなどを統合した制御パッケージや、高性能な機体プラットフォームを提供することに加えて、用途別にカスタマイズした産業向け特注機体、特注システムの開発、更に最終的には顧客システムに統合されたレベルのシステム開発まで、事業として幅広く対応することが可能となっております。 ① 独自開発の自律制御システム 当社は千葉大学発のスタートアップ企業として創業して以来、自律制御技術を中核技術と位置づけ、継続的に開発投資を行ってまいりました。当社の中核技術でもある自律制御技術は、人間でいう「頭脳」に相当します。人間でいう運動機能をつかさどる「小脳」に該当する部分であるドローンの姿勢制御、飛行動作制御等の技術については、モデルベース(※5)の先端制御理論に加え、一部で非線形制御(※6)に係るアルゴリズム(※7)を使用しており、競合他社やオープンソースコードを推進する団体が採用する一般的なPID制御(※8)と比較しても、耐風性や高速飛行時の安定性、突発的な動作に対する安定性などの点で優位性があります。人間でいう、目で見ることや自ら考えること等に係る機能をつかさどる「大脳」に相当する部分の技術は、画像処理による自己位置推定(Visual SLAM(※9))やLidar(光センサー技術)等のセンサー・フュージョン、AI(※10)による環境認識を開発し、ドローンの「小脳」部分に統合しており、従来のドローンに搭載されている衛星(GPS(※11)・GNSS(※12))を用いる制御では自律飛行(※13)することができなかった非GPS環境下での完全自律飛行を実現しております。 また、人間がロボットに対し状態の監視や指令を行い、対話を可能とするための技術として「UI/UX(※14)」の技術が必要となります。ドローンはエッジ処理(ドローン端末側で計算処理を実行すること)による自律的な飛行を行いますが、一般的には地上局と通信を行いながら飛行しており、自律飛行を行うためのルート設計及びドローンの飛行中の情報を遠隔にて可視化・モニタリングするため、地上局のソフトウエア技術が必要不可欠となっております。当社では地上局のソフトウエアについても独自開発を行っており、パソコンやタブレット、スマートフォンなどに搭載されたソフトウエアにリアルタイム情報を表示し、飛行速度や高度などの機体状態や飛行状況の管理を行うことや、飛行ルート変更の操作指示、緊急時には非常用介入操作指示を出したりすることが可能となっております。 また、当社は小型空撮機体における製品の量産体制を構築しており、量産機体販売において求められる生産能力を有しております。さらに、日本において唯一のレベル4に対応する型式認証を取得しており、品質保証面においても高い技術力を有しております。 ② 顧客との取り組みを通じたノウハウ 産業用ドローンの社会実装においては、単に機体性能や制御技術の高いドローンを提供するだけでなく、特定用途で利用するための機体や制御の改良、アプリケーション(※15)や搭載オプションの開発・追加等が必要となります。これらの改良や開発を行うためには、実際にドローンが導入される実環境下での飛行実績を積み重ねることが重要となっており、多様な環境下での実証実験とデータの蓄積、クライアントからのフィードバック及びそれらに基づく機体開発や技術開発が不可欠となっております。 当社グループは主に大企業を中心に多くの幅広い顧客ベースを有し、これまでの多くの顧客とのプロジェクトを通じて、様々な現場視察、クライアントとの対話、そして豊富な実証実験の実績があります。実証から得られた情報やフィードバックを基に、プラットフォーム機体の改良や搭載オプションの開発・追加、UI/UXの改善を行っております。 ③ グローバルな展開力 当社はセキュアな機体開発を行っており、特に海外で顕著となっている経済安全保障への対応に適合した機体開発を行っております。当社は国籍に関係なくトップクラスのエンジニアを採用し、高度な技術力を持つチームを構築しており、最先端の技術を駆使して、常に高品質な製品を提供することを目指しています。また、アメリカ市場の展開においては米国のドローン業界において長年の経験を持つチームが、現地市場のニーズに即した対応を行っております。これにより、アメリカ市場での競争力を高め、顧客満足度の向上を図っています。 用語解説本項「3 事業の内容」において使用しております用語の定義について以下に記します。 No.用語用語の定義※1自律制御機体の自律行動を実現する制御方式または技術※2ドローン遠隔操縦または自律式の無人航空機一般※3概念検証(PoC:Proof of Concept)新たな概念やアイデアの実現可能性を示すために、可能な範囲で限られた手段を組み合わせて試験的な実験を行うこと。デモンストレーションによって特定の概念や理論の実用化が可能であることを示すこと※4プラットフォーム必要最低限の技術要素をパッケージ化した技術の塊のことを意味し、カスタム製品や搭載物を変えて用途別製品を開発する際に使用できる基盤となる一連の技術要素の組み合わせのこと※5モデルベース制御対象の運動を数学モデルによって表現することに基づいた制御設計技術※6非線形制御制御理論、制御技術の一つであり、一般的にPID制御よりも高度な数学が用いられ、制御対象をより正確に制御することが可能な制御技術※7アルゴリズムコンピューター上における問題を解くための手順・解き方※8PID制御比例(P)制御、積分(I)制御、微分(D)制御の組み合わせによって、設定された目標値にフィードバック(検出値)を一致させる制御機能を指す。速度、圧力、流量、温度などの制御に使用される技術※9SLAMSimultaneous Localization and Mappingの略称で、各種センサーから取得した情報から、自己位置推定と地図作成を同時に行うこと※10AIArtificial Intelligenceの略称。学習・推論・認識・判断などの人間の知能的な振る舞いを行うコンピュータシステム※11GPSGlobal Positioning Systemの略称で、全地球無線測位システムを指す。カーナビゲーションシステムなどに利用されているシステム※12GNSSGlobal Navigation Satellite Systemの略称で、全地球測位システムを指す。人工衛星を使用して地上の現在位置を計測する「衛星測位システム」のうち、全地球を測位対象とすることができるシステム※13自律飛行事前のプログラミングなどにより人の操縦がなくても飛行可能な飛行方法※14UI/UXUser Interface及びUser Experienceの略称で、機械が利用者のために有する特性・機能とそれらを利用することで得られる印象・体験のこと※15アプリケーション特定の適用または応用する用途のこと全般、もしくは特定の用途のためのソフトウエアのこと(アプリケーションソフトウエア)
FY2023|6,142 文字|出典 docID: S100T5GY
3 【事業の内容】当社グループは、「技術を通じて、人々をもっと大切なことへ/Liberate Humanity through Technology」というミッションのもと、「最先端のロボティクス技術を追求し、社会インフラに革命を/Revolutionizing Social Infrastructure by Pursuing Cutting-Edge Robotics Technology」というヴィジョンを掲げております。当社グループは、自律制御(※1)技術を始めとしたロボティクス技術を追求し、常に最先端の技術開発を行っております。労働人口の減少や高齢化による人手不足の深刻化が進む一方で、インフラ設備の老朽化による設備点検・維持業務の増加や、生活様式の変化に伴うEC化による宅配業務の増加など、労働力の供給不足及び需要と供給の不一致は社会的な課題となっています。これらの社会課題に対し、当社グループはコアである独自開発の制御技術とそれを利用した「産業向け」の飛行ロボット(以下、「ドローン(※2)」という。)の社会実装により、当社グループのミッション・ヴィジョンの実現を通じて解決を目指しております。近年、ドローン市場を取り巻く環境は大きく変化しており、オペレーションの効率化・無人化に向けたドローンを含むロボティクスの導入が、世界的に広がっております。また、世界的な脱炭素化の流れのなかで、電気を動力源とするドローンは、脱炭素化・EV化の手段としても注目を集めております。加えて、地政学的リスクの高まりや不安定な世界情勢などから、経済安全保障やセキュリティへの関心が強くなっております。特に海外ドローン市場においては、日本以上に経済安全保障への関心が高く、昨今の世界情勢の状況により転換期を迎えております。当社グループは、セキュリティが担保された国産ドローンを有しているのみならず、企業向け対応および用途特化型をキーワードとしたポジショニング形成が可能であり、海外におけるセキュアなドローンへの需要にも適応することができる可能性が高く、当社製品は海外市場においても十分に競争力を持つ製品であると認識しております。当社グループは、米国市場での官庁・社会インフラ関連企業にて利用されている中国製ドローンからのスイッチングを目指し、販売子会社として2023年1月にACSL, Inc.を設立しております。当社グループの主たる事業は、産業用ドローンの自社開発、ドローンを活用した無人化システムの受注開発、生産及び販売・サービス提供であります。ドローンは、「空(そら)」や「空(カラ:屋内の開かれた場)」といった、屋内外問わず、空間の制約を克服して自動化・省人化を達成可能であり、この技術の潜在的な利用可能分野は極めて大きいと考えております。当社グループは最先端の自律制御技術をコアとして、顧客の業務を代替・進化させるドローンを提供するべく、顧客の現場視察、対話、そして実証を通して用途特化型ドローンの開発を進めております。当社グループの事業は、ドローン関連事業の単一セグメントであるため、以下に当社グループの主要な製品及びサービスの内容を記載いたします。 (1) 当社グループの事業内容当社グループのビジネスモデルは、顧客からのドローン導入の打診に基づき、顧客におけるドローン活用による課題解決の概念検証(PoC:Proof of Concept(※3))、及び概念検証(PoC)を経て顧客の既存システムへの組み込みも含めた特注システム全体の設計・開発を行う「実証実験」と、顧客における試用(パイロット)ベースの導入として当社のプラットフォーム(※4)機体をベースにした機体の生産・販売を行う「プラットフォーム機体販売」であります。更に、これらの実証実験、プラットフォーム機体販売を通じて、当社が提供できるソリューションの作り込みを行い、ドローンの利活用が多く見込まれる用途において、「用途特化型機体」として量産機体の開発・生産・販売を推進しております。「実証実験」では、顧客のドローン導入のニーズを踏まえて、課題解決のために当社のテスト機体を用いた概念検証(PoC)に係るサービスを有償で提供しております。この概念検証(PoC)では、最小限のシステム構成にすることで、顧客のドローン活用の導入検討のハードルを下げつつ、業務効率化・無人化の検証を並行して行っております。なお、当社における概念検証(PoC)は単にアイデア提供等を行うサービスではなく、目的の業務においてドローン導入の有効性を判断するための飛行試験・実演を伴う概念検証サービスを指します。更に当社では、顧客の既存システムへの組み込みも含めた特注システム全体の設計・開発を行っております。業務効率化などの効果実現に向け、特注システムの提供のみに留まらず、安全導入に不可欠なドローンの操作シミュレータやドローンの保守点検サービスを提供し、システム導入・運用サポートを一貫して提供しております。なお、顧客の既存システムへ組み込むソリューションの取り組み事例としては、工場設備、橋梁、煙突内部、下水道管路内等の閉鎖環境、風力発電設備、船舶内のホールド等の点検自動化、建設現場や発電所等の屋内巡視自動化、ドローンによる物流システムの運用構築、災害現場の把握等がございます。これらの特注システム開発に際しては、概念検証(PoC)のサービス提供料や特注システムの仕様提案・設計・開発・試験運用に係るカスタム開発料を主な収益源としております。概念検証(PoC)を含めて有償のサービスモデルを構築し、顧客の側で継続的なプロジェクトをスムーズに立案・実施することを可能にしております。「プラットフォーム機体販売」においては、顧客における試用(パイロット)もしくは商用ベースでのドローン導入として、当社が保有するプラットフォーム機体の生産・販売を行っております。この段階では、当社のプラットフォーム機体をベースに顧客の実業務への展開に向けたカスタマイズなどを行っております。「用途特化型機体」の開発、生産、販売として、ドローンの幅広い利活用が見込まれる特定の用途においては、用途に特化したドローンの量産を進めております。当社グループでは、各段階で収益を獲得する案件が一般的ですが、案件によっては、特注機体を開発、複数台製造をしつつ、運用システムを構築するなど実証実験とプラットフォーム機体販売を組み合わせて包括的に契約を締結する場合もあります。なお、機体販売後の運用サポートにおいては、販売後、定常的に発生する機体の保守手数料や消耗品の販売料などを主な収益源としております。当社グループ製品・サービスが産業向けドローン業界におけるデファクト・スタンダードとなるためには、今後も継続的かつ積極的に研究開発活動を実施していくことが不可欠となります。そこで、当社グループでは産学官連携で様々なプロジェクトに参画し、最先端の技術開発に取り組んでおります。国家プロジェクトにおいては、各プロジェクトで発生した研究開発費用について、管轄機関の監査を受けて認められた金額を、助成金又は補助金として収受しております。なお、助成金又は補助金に関して、新規技術の研究開発に係る助成金又は補助金については、営業外収益として計上しております。また、新規の研究開発を行わず、既存の当社の技術を用いて委託された実験を行うことが主目的であるプロジェクトについては、収受した金額を売上高として計上しております。当社グループは、国内のドローン専業メーカーとして、ドローンの社会実装と国産ドローン採用への回帰が進む中で、日本のドローン市場の成長と合わせて、黎明期に求められる評価用機体の試作や実証実験といったソリューションの作り込みから、成熟期に求められる量産機の開発、量産体制の構築、その後の販売・導入支援までを一気通貫で提供し、デファクト・スタンダードの技術としてドローンの社会実装を推進するべく、国産のセキュアな産業用ドローンを提供してまいります。 ■ ドローン市場のバリューチェーンと当社の立ち位置 [事業系統図] (2) 当社グループの特徴当社グループは自律制御の研究開発をゼロから国内で行うことで、「自ら考えて飛ぶ」最先端の制御技術を核とした技術力を有しており、通信・ソフトウエアなどを統合した制御パッケージや、高性能な機体プラットフォームを提供することに加えて、用途別にカスタマイズした産業向け特注機体、特注システムの開発、更に最終的には顧客システムに統合されたレベルのシステム開発まで、事業として幅広く対応することが可能となっております。① 独自開発の自律制御システム当社は千葉大学発のスタートアップ企業として創業して以来、自律制御技術を中核技術と位置づけ、継続的に開発投資を行ってまいりました。当社の中核技術でもある自律制御技術は、人間でいう「頭脳」に相当します。人間でいう運動機能をつかさどる「小脳」に該当する部分であるドローンの姿勢制御、飛行動作制御等の技術については、モデルベース(※5)の先端制御理論に加え、一部で非線形制御(※6)に係るアルゴリズム(※7)を使用しており、競合他社やオープンソースコードを推進する団体が採用する一般的なPID制御(※8)と比較しても、耐風性や高速飛行時の安定性、突発的な動作に対する安定性などの点で優位性があります。人間でいう、目で見ることや自ら考えること等に係る機能をつかさどる「大脳」に相当する部分の技術は、画像処理による自己位置推定(Visual SLAM(※9))やLidar(光センサー技術)等のセンサー・フュージョン、AI(※10)による環境認識を開発し、ドローンの「小脳」部分に統合しており、従来のドローンに搭載されている衛星(GPS(※11)・GNSS(※12))を用いる制御では自律飛行(※13)することができなかった非GPS環境下での完全自律飛行を実現しております。また、人間がロボットに対し状態の監視や指令を行い、対話を可能とするための技術として「UI/UX(※14)」の技術が必要となります。ドローンはエッジ処理(ドローン端末側で計算処理を実行すること)による自律的な飛行を行いますが、一般的には地上局と通信を行いながら飛行しており、自律飛行を行うためのルート設計及びドローンの飛行中の情報を遠隔にて可視化・モニタリングするため、地上局のソフトウエア技術が必要不可欠となっております。当社では地上局のソフトウエアについても独自開発を行っており、パソコンやタブレット、スマートフォンなどに搭載されたソフトウエアにリアルタイム情報を表示し、飛行速度や高度などの機体状態や飛行状況の管理を行うことや、飛行ルート変更の操作指示、緊急時には非常用介入操作指示を出したりすることが可能となっております。当社が有している独自開発の自律制御システムは、三次元空間において自律制御が求められる難易度の高いドローン分野で培った技術であり、今後、これらの技術はドローン以外の様々な用途のロボティクスに展開可能となっております。 ■ コア技術の自律制御システムとその展開性 ② 顧客との取り組みを通じたノウハウ産業用ドローンの社会実装においては、単に機体性能や制御技術の高いドローンを提供するだけでなく、特定用途で利用するための機体や制御の改良、機能アプリケーション(※15)や搭載オプションの開発・追加等が必要となります。これらの改良や開発を行うためには、実際にドローンが導入される実環境下での飛行実績を積み重ねることが重要となっており、多様な環境下での実証実験とデータの蓄積、クライアントからのフィードバック及びそれらに基づく機体開発や技術開発が不可欠となっております。当社グループは主に大企業を中心に多くの幅広い顧客ベースを有し、これまでの多くの顧客とのプロジェクトを通じて、様々な現場視察、クライアントとの対話、そして豊富な実証実験の実績があります。実証から得られた情報やフィードバックを基に、プラットフォーム機体の改良や搭載オプションの開発・追加、UI/UXの改善を行っております。 用語解説本項「3 事業の内容」において使用しております用語の定義について以下に記します。 No.用語用語の定義※1自律制御機体の自律行動を実現する制御方式または技術※2ドローン遠隔操縦または自律式の無人航空機一般※3概念検証(PoC:Proof of Concept)新たな概念やアイデアの実現可能性を示すために、可能な範囲で限られた手段を組み合わせて試験的な実験を行うこと。デモンストレーションによって特定の概念や理論の実用化が可能であることを示すこと※4プラットフォーム必要最低限の技術要素をパッケージ化した技術の塊のことを意味し、カスタム製品や搭載物を変えて用途別製品を開発する際に使用できる基盤となる一連の技術要素の組み合わせのこと※5モデルベース制御対象の運動を数学モデルによって表現することに基づいた制御設計技術※6非線形制御制御理論、制御技術の一つであり、一般的にPID制御よりも高度な数学が用いられ、制御対象をより正確に制御することが可能な制御技術※7アルゴリズムコンピューター上における問題を解くための手順・解き方※8PID制御比例(P)制御、積分(I)制御、微分(D)制御の組み合わせによって、設定された目標値にフィードバック(検出値)を一致させる制御機能を指す。速度、圧力、流量、温度などの制御に使用される技術※9SLAMSimultaneous Localization and Mappingの略称で、各種センサーから取得した情報から、自己位置推定と地図作成を同時に行うこと※10AIArtificial Intelligenceの略称。学習・推論・認識・判断などの人間の知能的な振る舞いを行うコンピュータシステム※11GPSGlobal Positioning Systemの略称で、全地球無線測位システムを指す。カーナビゲーションシステムなどに利用されているシステム※12GNSSGlobal Navigation Satellite Systemの略称で、全地球測位システムを指す。人工衛星を使用して地上の現在位置を計測する「衛星測位システム」のうち、全地球を測位対象とすることができるシステム※13自律飛行事前のプログラミングなどにより人の操縦がなくても飛行可能な飛行方法※14UI/UXUser Interface及びUser Experienceの略称で、機械が利用者のために有する特性・機能とそれらを利用することで得られる印象・体験のこと※15アプリケーション特定の適用または応用する用途のこと全般、もしくは特定の用途のためのソフトウエアのこと(アプリケーションソフトウエア)
FY2022|5,957 文字|出典 docID: S100QG6H
3【事業の内容】 当社は、「技術を通じて、人々をもっと大切なことへ/Liberate Humanity through Technology」というミッションのもと、「最先端のロボティクス技術を追求し、社会インフラに革命を/Revolutionizing Social Infrastructure by Pursuing Cutting-Edge Robotics Technology」というヴィジョンを掲げております。当社は自律制御(※1)技術を始めとしたロボティクス技術を追求し、常に最先端の技術開発を行っております。日本の社会課題である労働力のミスマッチに対し、当社のコアである独自開発の制御技術とそれを利用した「産業向け」の飛行ロボット(以下、「ドローン(※2)」という。)の社会実装により、当社のミッション・ヴィジョンの実現を通じて社会課題の解決を目指しております。 近年、我が国のドローン市場を取り巻く環境は大きく変化しており、経済安全保障やセキュリティに対する意識の高まりとそれに伴う国産回帰需要の台頭、航空法改正に伴う有人地帯上空における目視外飛行(レベル4)に関する法規制の整備、デジタル田園都市国家構想におけるドローンの利活用など、今後の新たな市場創造に向けた動きが加速しております。また、世界的な脱炭素化の流れのなかで、電気を動力源とするドローンは、物流の効率化やクリーンエネルギー設備の保守点検等への利用において注目を集めております。 当社の主たる事業は、産業用ドローンの自社開発、ドローンを活用した無人化システムの受注開発、生産及び販売・サービス提供であります。ドローンは、「空(そら)」や「空(カラ:屋内の開かれた場)」といった、屋内外問わず、空間の制約を克服して自動化・省人化を達成可能であり、この技術の潜在的な利用可能分野は極めて大きいと考えております。当社は最先端の自律制御技術をコアとして、顧客の業務を代替・進化させるドローンを提供するべく、顧客の現場視察、対話、そして実証を通して用途特化型ドローンの開発を進めております。 当社の事業は、ドローン関連事業の単一セグメントであるため、以下に当社の主要な製品及びサービスの内容を記載いたします。 (1)当社の事業内容 当社のビジネスモデルは、顧客からのドローン導入の打診に基づき、顧客におけるドローン活用による課題解決の概念検証(PoC:Proof of Concept(※3))、及び概念検証(PoC)を経て顧客の既存システムへの組み込みも含めた特注システム全体の設計・開発を行う「実証実験」と、顧客における試用(パイロット)ベースの導入として当社のプラットフォーム(※4)機体をベースにした機体の生産・販売を行う「プラットフォーム機体販売」であります。更に、これらの実証実験、プラットフォーム機体販売を通じて、当社が提供できるソリューションの作り込みを行い、ドローンの利活用が多く見込まれる用途において、「用途特化型機体」として量産機体の開発・生産・販売を推進しております。 「実証実験」では、顧客のドローン導入のニーズを踏まえて、課題解決のために当社のテスト機体を用いた概念検証(PoC)に係るサービスを有償で提供しております。この概念検証(PoC)では、最小限のシステム構成にすることで、顧客のドローン活用の導入検討のハードルを下げつつ、業務効率化・無人化の検証を並行して行っております。なお、当社における概念検証(PoC)は単にアイデア提供等を行うサービスではなく、目的の業務においてドローン導入の有効性を判断するための飛行試験・実演を伴う概念検証サービスを指します。更に当社では、顧客の既存システムへの組み込みも含めた特注システム全体の設計・開発を行っております。業務効率化などの効果実現に向け、特注システムの提供のみに留まらず、安全導入に不可欠なドローンの操作シミュレータやドローンの保守点検サービスを提供し、システム導入・運用サポートを一貫して提供しております。なお、顧客の既存システムへ組み込むソリューションの取り組み事例としては、工場設備、橋梁、煙突内部、下水道管路内等の閉鎖環境、風力発電設備、船舶内のホールド等の点検自動化、建設現場や発電所等の屋内巡視自動化、ドローンによる物流システムの運用構築、災害現場の把握等がございます。これらの特注システム開発に際しては、概念検証(PoC)のサービス提供料や特注システムの仕様提案・設計・開発・試験運用に係るカスタム開発料を主な収益源としております。概念検証(PoC)を含めて有償のサービスモデルを構築し、顧客の側で継続的なプロジェクトをスムーズに立案・実施することを可能にしております。 「プラットフォーム機体販売」においては、顧客における試用(パイロット)もしくは商用ベースでのドローン導入として、当社が保有するプラットフォーム機体の生産・販売を行っております。この段階では、当社のプラットフォーム機体をベースに顧客の実業務への展開に向けたカスタマイズなどを行っております。 「用途特化型機体」の開発、生産、販売として、ドローンの幅広い利活用が見込まれる特定の用途においては、用途に特化したドローンの量産を進めております。用途特化型機体は、①小型空撮ドローン、②閉鎖環境点検ドローン、③煙突点検ドローン、④中型物流ドローンの4種類の製品化を進めております。 当社では、各段階で収益を獲得する案件が一般的ですが、案件によっては、特注機体を開発、複数台製造をしつつ、運用システムを構築するなど実証実験とプラットフォーム機体販売を組み合わせて包括的に契約を締結する場合もあります。 なお、機体販売後の運用サポートにおいては、販売後、定常的に発生する機体の保守手数料や消耗品の販売料などを主な収益源としております。 当社製品・サービスが産業向けドローン業界におけるデファクト・スタンダードとなるためには、今後も継続的かつ積極的に研究開発活動を実施していくことが不可欠となります。そこで、当社では産学官連携で様々なプロジェクトに参画し、最先端の技術開発に取り組んでおります。国家プロジェクトにおいては、各プロジェクトで発生した研究開発費用について、管轄機関の監査を受けて認められた金額を、助成金又は補助金として収受しております。なお、助成金又は補助金に関して、新規技術の研究開発に係る助成金又は補助金については、営業外収益として計上しております。また、新規の研究開発を行わず、既存の当社の技術を用いて委託された実験を行うことが主目的であるプロジェクトについては、収受した金額を売上高として計上しております。 当社は、国内のドローン関連企業において、唯一上場しているドローン専業メーカーであり、ドローンの社会実装と国産ドローン採用への回帰が進む中で、日本のドローン市場の成長と合わせて、黎明期に求められる評価用機体の試作や実証実験といったソリューションの作り込みから、成熟期に求められる量産機の開発、量産体制の構築、その後の販売・導入支援までを一気通貫で提供し、デファクト・スタンダードの技術としてドローンの社会実装を推進するべく、国産のセキュアな産業用ドローンを提供してまいります。 ■ ドローン市場のバリューチェーンと当社の立ち位置 [事業系統図] (2)当社の特徴 当社は自律制御の研究開発をゼロから国内で行うことで、「自ら考えて飛ぶ」最先端の制御技術を核とした技術力を有しており、通信・ソフトウエアなどを統合した制御パッケージや、高性能な機体プラットフォームを提供することに加えて、用途別にカスタマイズした産業向け特注機体、特注システムの開発、更に最終的には顧客システムに統合されたレベルのシステム開発まで、事業として幅広く対応することが可能となっております。 ① 独自開発の自律制御システム 当社は千葉大学発のスタートアップ企業として創業して以来、自律制御技術を中核技術と位置づけ、継続的に開発投資を行ってまいりました。当社の中核技術でもある自律制御技術は、人間でいう「頭脳」に相当します。人間でいう運動機能をつかさどる「小脳」に該当する部分であるドローンの姿勢制御、飛行動作制御等の技術については、モデルベース(※5)の先端制御理論に加え、一部で非線形制御(※6)に係るアルゴリズム(※7)を使用しており、競合他社やオープンソースコードを推進する団体が採用する一般的なPID制御(※8)と比較しても、耐風性や高速飛行時の安定性、突発的な動作に対する安定性などの点で優位性があります。人間でいう、目で見ることや自ら考えること等に係る機能をつかさどる「大脳」に相当する部分の技術は、画像処理による自己位置推定(Visual SLAM(※9))やLidar(光センサー技術)等のセンサー・フュージョン、AI(※10)による環境認識を開発し、ドローンの「小脳」部分に統合しており、従来のドローンに搭載されている衛星(GPS(※11)・GNSS(※12))を用いる制御では自律飛行(※13)することができなかった非GPS環境下での完全自律飛行を実現しております。 また、人間がロボットに対し状態の監視や指令を行い、対話を可能とするための技術として「UI/UX(※14)」の技術が必要となります。ドローンはエッジ処理(ドローン端末側で計算処理を実行すること)による自律的な飛行を行いますが、一般的には地上局と通信を行いながら飛行しており、自律飛行を行うためのルート設計及びドローンの飛行中の情報を遠隔にて可視化・モニタリングするため、地上局のソフトウエア技術が必要不可欠となっております。当社では地上局のソフトウエアについても独自開発を行っており、パソコンやタブレット、スマートフォンなどに搭載されたソフトウエアにリアルタイム情報を表示し、飛行速度や高度などの機体状態や飛行状況の管理を行うことや、飛行ルート変更の操作指示、緊急時には非常用介入操作指示を出したりすることが可能となっております。 当社が有している独自開発の自律制御システムは、三次元空間において自律制御が求められる難易度の高いドローン分野で培った技術であり、今後、これらの技術はドローン以外の様々な用途のロボティクスに展開可能となっております。 ■ コア技術の自律制御システムとその展開性 ② 顧客との取り組みを通じたノウハウ 産業用ドローンの社会実装においては、単に機体性能や制御技術の高いドローンを提供するだけでなく、特定用途で利用するための機体や制御の改良、機能アプリケーション(※15)や搭載オプションの開発・追加等が必要となります。これらの改良や開発を行うためには、実際にドローンが導入される実環境下での飛行実績を積み重ねることが重要となっており、多様な環境下での実証実験とデータの蓄積、クライアントからのフィードバック及びそれらに基づく機体開発や技術開発が不可欠となっております。 当社は主に大企業を中心に多くの幅広い顧客ベースを有し、これまでの多くの顧客とのプロジェクトを通じて、様々な現場視察、クライアントとの対話、そして豊富な実証実験の実績があります。実証から得られた情報やフィードバックを基に、プラットフォーム機体の改良や搭載オプションの開発・追加、UI/UXの改善を行っております。 また、多くの実績データやフィードバックの中から、特定の領域において量産が見込める機体については「用途特化型機体」として、量産機体の開発・生産・販売を行っており、2021年12月31日現在、以下の4つの用途特化型機体を展開しております。 ■ 4つの用途特化型機体の量産化と社会実装 用語解説 本項「3 事業の内容」において使用しております用語の定義について以下に記します。No.用語用語の定義※1自律制御機体の自律行動を実現する制御方式または技術※2ドローン遠隔操縦または自律式の無人航空機一般※3概念検証(PoC:Proof of Concept)新たな概念やアイデアの実現可能性を示すために、可能な範囲で限られた手段を組み合わせて試験的な実験を行うこと。デモンストレーションによって特定の概念や理論の実用化が可能であることを示すこと※4プラットフォーム必要最低限の技術要素をパッケージ化した技術の塊のことを意味し、カスタム製品や搭載物を変えて用途別製品を開発する際に使用できる基盤となる一連の技術要素の組み合わせのこと※5モデルベース制御対象の運動を数学モデルによって表現することに基づいた制御設計技術※6非線形制御制御理論、制御技術の一つであり、一般的にPID制御よりも高度な数学が用いられ、制御対象をより正確に制御することが可能な制御技術※7アルゴリズムコンピューター上における問題を解くための手順・解き方※8PID制御比例(P)制御、積分(I)制御、微分(D)制御の組み合わせによって、設定された目標値にフィードバック(検出値)を一致させる制御機能を指す。速度、圧力、流量、温度などの制御に使用される技術※9SLAMSimultaneous Localization and Mappingの略称で、各種センサーから取得した情報から、自己位置推定と地図作成を同時に行うこと※10AIArtificial Intelligenceの略称。学習・推論・認識・判断などの人間の知能的な振る舞いを行うコンピュータシステム※11GPSGlobal Positioning Systemの略称で、全地球無線測位システムを指す。カーナビゲーションシステムなどに利用されているシステム※12GNSSGlobal Navigation Satellite Systemの略称で、全地球測位システムを指す。人工衛星を使用して地上の現在位置を計測する「衛星測位システム」のうち、全地球を測位対象とすることができるシステム※13自律飛行事前のプログラミングなどにより人の操縦がなくても飛行可能な飛行方法※14UI/UXUser Interface及びUser Experienceの略称で、機械が利用者のために有する特性・機能とそれらを利用することで得られる印象・体験のこと※15アプリケーション特定の適用または応用する用途のこと全般、もしくは特定の用途のためのソフトウエアのこと(アプリケーションソフトウエア)
FY2021|8,998 文字|出典 docID: S100LOW1
3【事業の内容】 当社は、「技術を通じて、人々をもっと大切なことへ/Liberate Humanity through Technology」というミッションのもと、「最先端のロボティクス技術を追求し、社会インフラに革命を」というヴィジョンを掲げております。当社は自律制御(※1)技術を始めとしたロボティクス技術を追求し、常に最先端の技術開発を行っております。それらの技術の社会実装を通じて、人類の活動の基盤となる社会インフラにおける、人類の経済活動の生産性を高め、付加価値の低い業務、危険な業務を一つでも多く代替させ、次世代に向けた社会の進化を推し進めるべく事業を展開しております。 主たる事業は、「産業向け」の飛行ロボット(以下、「ドローン(※2)」という。)の自社開発、ドローンを活用した無人化システムの受注開発、生産、及び販売・サービス提供であります。 ドローンは、「空(そら)」や「空(カラ;屋内の開かれた場)」といった、屋内外問わず、空間の制約を克服して自動化・省人化が達成可能であり、この技術の潜在的な利用可能分野は極めて大きいと考えております。当社は最先端の自律制御技術をコアとして、顧客先の業務を代替・進化させるドローンを提供するべく、顧客先の現場視察、対話、そして実証を通して用途特化型ドローンの開発を進めております。 当社の事業は、ドローン関連事業の単一セグメントであるため、以下に当社の主要な製品及びサービスの内容を記載いたします。 (1)当社の事業内容 当社は自律制御の研究開発をゼロから国内で行うことで、「自ら考えて飛ぶ」最先端の制御技術を核とした技術力を有しており、通信・ソフトウエアなどを統合した制御パッケージや、高性能な機体プラットフォーム(※3)を提供することに加えて、用途別にカスタマイズした産業向け特注機体、特注システムの開発、さらに最終的には顧客システムに統合されたレベルのシステム開発まで、事業として幅広く対応することが可能となっております。 ■ 当社が提供可能な次世代社会インフラ 当社では、ドローン活用において、検討段階から実際の導入まで全面的なシステム構築をワンストップで提供することを前提とし、主に大企業を中心としたコアクライアントに対して、概念検証(PoC)に係るサービス提供に取り組んでおり、特注システム開発や用途別の産業用ドローンの機体(以下、「用途特化型機体」という。)の量産供給に繋がるように営業活動を促進しております。 当社のビジネスモデルは、顧客企業からのドローン導入の打診に基づき、顧客企業におけるドローン活用による課題解決の概念検証(PoC:Proof of Concept(※4))、及び概念検証(PoC)を経て顧客先の既存システムへの組み込みも含めた特注システム全体の設計・開発を行う「実証実験」と、顧客先における試用(パイロット)ベースの導入として、当社のプラットフォーム機体をベースにした機体の生産・供給を行う「プラットフォーム機体販売」であります。 また、これらの実証実験、プラットフォーム機体販売を通じて、当社が提供できるソリューションの作り込みを行い、ドローンの利活用が多く見込まれる用途において、用途特化型機体の量産機体の開発・生産・販売を推進しております。 「実証実験」では、顧客のドローン導入のニーズを踏まえて、課題解決のために当社のテスト機体を用いた概念検証(PoC)に係るサービスを有償で提供しております。この概念検証(PoC)では、最小限のシステム構成にすることで、顧客のドローン活用の導入検討のハードルを下げつつ、業務効率化・無人化の検証を並行して行っております。なお、当社の指す概念検証(PoC)は単にアイデア提供等を行うサービスではなく、目的の業務においてドローン導入の有効性を判断するための飛行試験・実演を伴う概念検証サービスを指します。更に当社では、顧客先の既存システムへの組み込みも含めた特注システム全体の設計・開発を行っております。業務効率化などの効果実現に向け、特注システムの提供のみに留まらず、安全導入に不可欠なドローンの操作シミュレータやドローンの保守点検サービスを提供し、システム導入・運用サポートを一貫して提供しております。なお、顧客の既存システムへ組み込むソリューションの取り組み事例としては、工場設備、橋梁、煙突内部、下水道管路内等の閉鎖環境、および風力発電設備等の点検、また、ドローンによる物流システムの運用構築、災害現場の把握等がございます。これらの特注システム開発に際しては、概念検証(PoC)のサービス提供料や特注システムの仕様提案・設計・開発・試験運用に係るカスタム開発料を主な収益源としております。概念検証(PoC)を含めて有償のサービスモデルを構築し、顧客の側で継続的なプロジェクトをスムーズに立案・実施することを可能にしております。 また、当社では、「プラットフォーム機体販売」として、顧客先における試用(パイロット)もしくは商用ベースでのドローン導入として、当社が保有するプラットフォーム機体の生産・供給を行っております。この段階では、当社のプラットフォーム機体をベースに顧客の実業務への展開に向けたカスタマイズなどを行っております。 更に、直近の新たな市場環境変化に対応すべく、量産が見込める特定の領域において、「用途特化型機体」の開発を進めております。用途特化型機体は、①小型空撮機体、②中型物流ドローン、③煙突点検ドローン、④閉鎖環境点検ドローンの4種類の製品化を進めております。 当社では、各段階で収益を獲得する案件が一般的ですが、案件によっては、特注機体を開発、複数台製造をしつつ、運用システムを構築するなど実証実験とプラットフォーム機体販売を組み合わせて包括的に契約を締結する場合もあります。 なお、機体販売後の運用サポートにおいては、販売後、定常的に発生する機体の保守手数料や消耗品の販売料などを主な収益源としております。 また、当社製品・サービスが産業向けドローン業界におけるデファクト・スタンダードとなるためには、今後も継続的かつ積極的に研究開発活動を実施していくことが不可欠となります。そこで、当社では産学官連携で様々なプロジェクトに参画し、最先端の技術開発に取り組んでおります。国家プロジェクトにおいては、各プロジェクトで発生した研究開発費用について、管轄機関の監査を受けて認められた金額を、助成金又は補助金として収受しております。なお、助成金又は補助金に関して、新規技術の研究開発に係るものについては、営業外収益として計上しております。また、新規の研究開発を行わず、既存の当社の技術を用いて委託された実験を行うことが主目的であるプロジェクトについては、売上高として計上しております。 ■ ドローンを活用した無人化・効率化システムのビジネス ■ 当社の産業向けドローンを活用した無人化・効率化システムの比較コンセプトのイメージ(石油・化学プラント運営企業に対する総合的なソリューションサービスのイメージ) (注)1.スタンドアロンのドローン機体:外部の機器やシステムと繋がっておらず、機体のみが独立して存在しているドローン機体のこと2.業務組み込み型ドローンシステム:ドローン機体が既存の機器やシステムとインターネットなどを活用して繋がり一体化されたシステムのこと3.レポートUI(User Interface):点検調書等のレポートにおける情報の表示 ■ 当社が開発を進めている用途特化型機体 ■ 当社の用途別特化型の機体開発:上市に向けたステップと開発状況 (2)当社保有のプラットフォーム技術 当社は千葉大学発のスタートアップ企業として創業して以来、自律制御技術を中核技術と位置づけ、継続的に開発投資を行ってまいりました。2017年より、自社開発の制御技術の競争力を高めるために、無人化・効率化システムの一部としてドローンを採用することが多い企業需要に着目し、ドローンを活用した産業向けの無人化・効率化システムの開発に注力してまいりました。 この分野においてシステム構築を実現するためには、GPS(※5)が利用できない非GPS環境などあらゆる環境での飛行を可能にする最先端の「自律飛行(※6)能力(Autonomy)」と、業務効率化・無人化・効率化を実現するための「既存システムへの組み込み能力(Connectivity)」が必要になります。当社では、非GPS環境下での自律飛行を実現する画像処理による自己位置推定(Visual SLAM(※7))を軸とした自律制御技術、ドローンの飛行ログや取得画像データ蓄積・解析を行うための独自通信・クラウド(※8)システムの整備、人間や通路認識などの飛行制御向けAI(※9)、安全機能強化として落下エネルギーを約90%減少させ、高度10m以上であれば終端速度を5m/s程度まで減速可能なパラシュート等を点検、防災、物流、測量など多様な用途に対応可能なプラットフォーム技術として開発・商用化しております。また、既存システムへの組み込み能力においては、顧客における実環境でのデータを蓄積することが非常に重要であり、当社はこれまで多くのクライアントとのプロジェクトを通じて、豊富な現場視察、クライアントとの対話、そして実証実験の実績がございます。 ■ 当社が注力している技術分野 現在、商品展開中の産業向けプラットフォーム機体「ACSL-PF2」、「Mini」及びその派生型は、当社の技術を全て集約させ、多様な用途に対応する高度な飛行性能と安全性を実現しております。当社が現在注力している用途特化型機体の開発においても、プラットフォーム機体をベースにした実証を行い、有用性を確認した上で、用途特化型機体の作り込みを行っております。当社プラットフォーム機体の開発コンセプトは、あらゆる用途に適応した機体特性を実現可能とするべく、最大公約数的な技術要素を集約した機体であり、主に以下の4つの特徴を挙げることができます。 ① 「自ら考えて飛ぶ」自律制御技術 当社の中核技術でもある自律制御技術は、人間でいう「頭脳」に相当します。人間でいう運動機能をつかさどる「小脳」に該当する部分であるドローンの姿勢制御、飛行動作制御等の技術については、モデルベース(※10)の先端制御理論に加え、一部で非線形制御(※11)に係るアルゴリズム(※12)を使用しており、競合他社やオープンソースコードを推進する団体が採用する一般的なPID制御(※13)と比較しても、耐風性や高速飛行時の安定性、突発的な動作に対する安定性などの点で優位性があります。 また、人間でいう、目で見ることや自ら考えること等に係る機能をつかさどる「大脳」に相当する部分の技術は、画像処理による自己位置推定(Visual SLAM)やLidar(光センサー技術)等のセンサー・フュージョン、AIによる環境認識を開発し、ドローンの「小脳」部分に統合しており、従来のドローンに搭載されている衛星(GPS・GNSS(※14))を用いる制御では自律飛行することができなかった非GPS環境下での完全自律飛行を実現しております。 ■ 最先端の「大脳」技術 - Visual SLAM 当社では、今後、本格化する目視外飛行や、通信が途絶えた場面、制御不能な状況を想定し、自律的ゴーホーム機能や各種緊急時の自動対応指示機能、操作・制御介入機能を搭載し、より安全で信頼性の高い制御を可能にする開発を進めております。FMEA(※15)等の航空機技術で培われた知見を活用し、故障を論理的、系統的に分析することで、その対応を重要なものから順次、対策技術を導入していくことを試みております。 例えば、当社では通信の冗長性を担保しております。一般的には920MHz帯及び2.4MHz、5.7GHz帯が通信として採用されておりますが、当社の制御技術では片方の通信が不可能になった場合はもう片方によって緊急操作介入ができるようになっております。なお、両方の通信が不可能な場合においても、ドローンは60秒間ホバリングを続けた上、操作介入なしでその場に自動で着陸するフェールセーフ(※16)機能を実装しております。 またプロペラが6枚以上実装されている当社ドローンでは、万一、何らかの原因でESC(モーターの回転数を制御する装置)又はモーターそのものが故障しプロペラ1枚が回らなくなった場合においても、残りの回転しているモーターとプロペラを使用してバランスを保ち、安定して着陸する技術を開発しております。この要素技術開発を元に、標準技術として商品化すべく実装試験を行っております。 ② 機体・駆動ハードウエア 機体・駆動ハードウエアは、構造機能であるCFRP(※17)と、駆動機能であるモーター、CFRPプロペラ及びLiPO(※18)バッテリー等から構成されています。長時間、長距離飛行を行うための軽量化と安全に飛行するための必要な強度との両立、さらに雨に対する防滴性のような環境耐性も要求されます。 当社では、CFRPモノコックデザインを採用し従来品と比較して極めて軽量な機体構造により、ACSL-PF2は30分程度、Miniは40分程度の飛行時間(共にペイロードなしの場合)を実現するとともに、防災や物流向けには雨天時飛行を可能とするため国際IEC規格(ACSL-PF2はIP54、MiniはIP43(※19))の防塵・防水性を満たす機体を製品化しております。当社としてハードウエア技術を社内に有しつつ、量産機体の組み立てについてはパートナー企業と連携することで当社としては生産設備を有さない運用をしております。 ③ 機能アプリケーション(※20)・搭載オプション 自律制御技術と機体・駆動ハードウエア技術を基にドローンを開発した後に、特定用途で利用するためには機能アプリケーションや搭載オプションの追加が必要となります。ドローンは、主に「目」(データ収集)や「手」(作業)の代わりとしての役割を果たすことができ、カメラやセンサーを搭載することで「目」の代わりの役割を、物品輸送用のキャッチャー(※21)や散布機を搭載することで「手」の代わりの機能を果たすことになります。 多くの場合、機能アプリケーションは制御と切り離された形で外付けとなる要素ですが、当社では、制御とのシステム連携を行う機能アプリケーションやオプションを開発、提供しております。点検、物流・郵便、防災・災害対応、測量、空撮など多様な用途に応じた産業向けのソリューションに必要な付属センサーやカメラ、パラシュート等の安全装置付属品など、機能アプリケーション別のカスタマイズも可能であり、個々の顧客のニーズに対応しております。 例えば、安全装置のパラシュートでは、何らかの障害でドローンが故障して落下した場合、地上で大事故とならないように機体が落下していることを検知し、自動でパラシュートが開きます。当社ドローン向けに開発されたパラシュートでは、安全機能として自由落下や機体傾き、電気信号途絶を自動検知し、0.5秒で開化することにより落下エネルギーをパラシュート非搭載の機体との比較で最大90%程度削減し、高度10m以上であれば終端速度を5m/s程度まで減速することを可能としております。 ④ ソフトウエア・外部システム ドローンは本体側での計算処理(エッジ処理)による自律的な飛行を行いますが、一般的には920MHzや2.4GHz、5.7GHz帯の周波数を用いて地上局と通信しながら飛行を行っております。地上局のソフトウエア技術は、自律飛行を行うためのルート設計及びドローンの飛行中の情報を遠隔にて可視化・モニタリングするために必要なもので、特に目視外飛行において重要性が増しております。 当社では、パソコンやタブレット、スマートフォンなどに搭載されたソフトウエアにリアルタイム情報を表示し、飛行速度や高度などの機体状態や飛行状況の管理を行っております。独自開発のソフトウエアからは飛行ルート変更の操作指示を与えたり、緊急時には、非常用介入操作指示を出したりすることが可能です。同時に、気象情報や地図情報、近隣の有人機飛行状況等の飛行管理に必要な多彩な情報を、地上の通信回線から取得し統合して表示を行うことで、ドローン飛行管理の司令塔の役割を果たします。 また、最近ではクラウドサービスとの接続、顧客企業の外部システムへの統合API(※22)、ドローン飛行練習用のシミュレーションソフトウエアなども重要になってきており、当社にて開発、商品化を行っております。 ■ 飛行経路を遠隔モニターしているときの遠隔端末上(パソコンなど)の表示状況 [事業系統図](注)パートナー企業の一部を対象に、当社のドローンの転売又はドローンに付加価値を追加したソリューションをパートナークライアントの事業として商用展開を可能とすることを想定し、「ソリューションパートナー」契約を締結しております。 用語解説 本項「3 事業の内容」において使用しております用語の定義について以下に記します。No.用語用語の定義※1自律制御機体の自律行動を実現する制御方式あるいは技術※2ドローン遠隔操縦あるいは自律式の無人航空機一般※3プラットフォーム必要最低限の技術要素をパッケージ化した技術の塊のことを意味し、カスタム製品や搭載物を変えて用途別製品を開発する際に使用できる基盤となる一連の技術要素の組み合わせのこと※4概念検証(PoC:Proof of Concept)新たな概念やアイデアの実現可能性を示すために、可能な範囲で限られた手段を組み合わせて試験的な実験を行うこと。デモンストレーションによって特定の概念や理論の実用化が可能であることを示すこと※5GPSGlobal Positioning Systemの略称で、全地球無線測位システムを指す。カーナビゲーションシステムなどに利用されているシステム※6自律飛行事前のプログラミングなどにより人の操縦がなくても飛行可能な飛行方法※7SLAMSimultaneous Localization and Mappingの略称で各種センサーから取得した情報から、自己位置推定と地図作成を同時に行うこと※8クラウドサーバーやストレージ、ネットワークのインフラやソフトウエアを持たなくても、インターネットを通じて、サービスを必要な時に必要な分だけ利用することが可能なサービス※9AIArtificial Intelligenceの略称。学習・推論・認識・判断などの人間の知能的な振る舞いを行うコンピュータシステム※10モデルベース制御対象の運動を数学モデルによって表現することに基づいた制御設計技術※11非線形制御制御理論、制御技術の一つであり、一般的にPID制御よりも高度な数学が用いられ、制御対象をより正確に制御することが可能な制御技術※12アルゴリズムコンピューター上における問題を解くための手順・解き方※13PID制御比例(P)制御、積分(I)制御、微分(D)制御の組み合わせによって、設定された目標値にフィードバック(検出値)を一致させる制御機能を指す。速度、圧力、流量、温度などの制御に使用される技術※14GNSSGlobal Navigation Satellite Systemの略称で、全地球測位システムを指す。人工衛星を使用して地上の現在位置を計測する「衛星測位システム」のうち、全地球を測位対象とすることができるシステム※15FMEAFailure Mode and Effect Analysisの略称であり、製品又はプロセスについて、問題が発生する前に問題(故障モード)を識別することと、それが波及する影響の解析をすることを含む、故障を予防する体系的な手法。あくまで解析結果のため、それに対する対応策が各種フェールセーフ機能となる※16フェールセーフ誤操作を起こさない又は誤操作をした場合でも事故が起こらないようにする機能。当社では、故障が起きたときに対する安全機能全般と定義している。フォルトトレランスはフェールセーフの一つ※17CFRPCarbon Fiber Reinforced Plasticsの略称でプラスチック、つまり樹脂を炭素繊維で強化することで、樹脂単体よりも高い強度や剛性を得ることを可能とした「炭素繊維強化プラスチック」のこと※18LiPOリチウムイオンポリマー二次電池のこと。正極と負極の間をリチウムイオンが移動することで充電や放電を行う二次電池であるリチウムイオン二次電池の一種※19国際IEC規格IP54/IP43「IP」とは「IEC(国際電気標準会議)」によって定められている防塵・防水の保護規格であり、IP54は機器の正常な作動に支障をきたしたり、安全を損なう程の料の粉塵が内部に侵入しない防塵性かつ、300〜500mmの高さより全方向に10ℓ/分の放水、10分間放水した際の防水性、IP43は直径1.0mmの外来固形物まで内部に侵入しない防塵性かつ、200mmの高さより60°の範囲で10ℓ/分の放水、10分間放水した際の防水性※20アプリケーション特定の適用・応用する用途のこと全般。もしくは特定の用途のためのソフトウエアのこと(アプリケーションソフトウエア)※21キャッチャー物を掴む、運搬するための機能・装置。機体に実装することによって、人の手に代わって作業を行うことが可能になる※22APIApplication Programming Interfaceの略称であり、コンピュータプログラム(ソフトウェア)の機能や管理するデータなどを、外部の他のプログラムから呼び出して利用するための手順やデータ形式などを定めた規約のこと
FY2020|9,577 文字|出典 docID: S100IZ6O
3【事業の内容】 当社は、「技術を通じて、人々をもっと大切なことへ/Liberate Humanity through Technology」というミッションのもと、「最先端のロボティクス技術を追求し、社会インフラに革命を」というヴィジョンを掲げております。当社は自律制御(※1)技術を始めとしたロボティクス技術を追求し、常に最先端の技術開発を行っております。それらの技術の社会実装を通じて、人類の活動の基盤となる社会インフラにおける、人類の経済活動の生産性を高め、付加価値の低い業務、危険な業務を一つでも多く代替させ、次世代に向けた社会の進化を推し進めるべく事業を進めております。 主たる事業は、「産業向け」の飛行ロボット(以下、「ドローン(※2)」という。)の自社開発、ドローンを活用した無人化・IoT(※3)システムの受注開発、生産、及び販売・サービス提供であります。 ドローンの普及及び技術革新により、既存産業の業務効率化並びに新規価値創出が期待されております。当社では、自律制御の研究開発をゼロから国内で行うことで技術力を蓄積してきており、「自ら考えて飛ぶ」最先端の自律制御を中心に点検、物流、防災分野などで求められる周辺技術・システムも開発し、現存するドローン市場の定義に縛られることなく顧客に対してドローンを活用した新たな無人化・IoTシステムを提示してまいります。 当社の事業は、ドローン関連事業の単一セグメントであるため、以下に当社の主要な製品及びサービスの内容を記載いたします。 (1)当社の事業内容 当社は「自ら考えて飛ぶ」自律制御技術を中心に周辺技術・システム開発能力を一気通貫で保有することで、点検、物流、防災、空撮、測量、農業といった分野でドローンを活用した産業向け無人化・IoTシステムの構築に係る事業を運営しております。最先端の制御技術を核として、通信・ソフトウエアなどを統合した制御パッケージや高性能な機体プラットフォーム(※4)の提供が可能となるとともに、用途別にカスタマイズした産業向け特注機体、特注システム、最終的には顧客システムに統合されたレベルまで、事業として幅広く対応することが可能となっております。 またドローン以外の分野に対しても、機械等が「自ら考える」ための制御技術を通信やソフトウエアと組み合わせて制御プラットフォームとして販売しております。当該プラットフォームの主な活用見込先は、宇宙産業や工場内で利用される無人地上車両であります。 ■ 当社が提供可能な技術・サービスの広がり 当社のビジネスモデルは、顧客企業からのドローン導入の打診に基づき、顧客企業におけるドローン活用による課題解決の概念検証(PoC:Proof of Concept(※5))(STEP1)、及び用途に応じたシステム全体の仕様策定と特注システム開発を請け負うシステムインテグレータとしての役割(STEP2)と、その後の特注システムの量産供給を担う製造業としての役割(STEP3、STEP4)を併せ持っております。 当社では、主に大企業におけるドローン活用において、検討段階から実際の導入まで全面的なシステム構築をワンストップで提供することを前提とした営業活動を促進しており、これまでにも楽天株式会社の「天空」や株式会社NJSの「AirSlider」などの実績があります。既にコアクライアント約80社に対して、概念検証(PoC)(STEP1)に係るサービス提供を中心に取り組んでおり、今後の特注システム開発や量産供給に繋がるように営業活動を促進しております。 サービス提供の各段階(STEP)に関して、まずSTEP1として、顧客のドローン導入のニーズを踏まえて、課題解決のために当社のテスト機体を用いた概念検証(PoC)に係るサービスを有償で提供しております。この概念検証(PoC)では、最小限のシステム構成にすることで、顧客のドローン活用の導入検討のハードルを下げつつ、業務効率化・無人化・IoT化の検証を並行して行っております。なお、当社の指す概念検証(PoC)は「導入コンサルティング」を超えた概念であり、単にアイデア提供等を行うサービスではなく、目的の業務においてドローン導入の有効性を判断するための飛行試験・実演を伴う概念検証サービスを指します。 顧客の課題解決に合わせた概念検証(PoC)を経て、次のサービス提供の段階において、STEP2として、顧客先の既存システムへの組み込みも含めた特注システム全体の設計・開発を行っております。このSTEPで業務効率化などの効果実現に向け、特注システムの提供のみに留まらず、安全導入に不可欠なドローンの操作シミュレータやドローンの保守点検サービスを提供し、システム導入・運用サポートを一貫して提供しております。なお、顧客の既存システムへ組み込むソリューションの事例としては、工場設備や建物・橋梁等の点検、下水道管路内等の閉鎖環境の調査、ドローンによる物流システムの運用構築、災害現場の把握等が考えられます。これらの特注システム開発に際しては、概念検証(PoC)のサービス提供料や特注システムの仕様提案・設計・開発・試験運用に係るカスタム開発料を主な収益源としております。概念検証(PoC)を含めてSTEP毎の有償のサービスモデルを構築し、顧客の側で継続的なプロジェクトをスムーズに立案・実施することを可能にしております。 次のサービス提供の段階において、当社では、STEP3及びSTEP4で、顧客先における試用(パイロット)もしくは商用ベースでの導入として、特注システムの生産・供給を行っております。STEP2で開発した特注システムの繰り返し生産並びに保守・メンテナンスサポートを実施しております。このSTEPでは、顧客の実業務への展開から得られた知見に基づき、特注システムの「カイゼン」・改良を繰り返すこと、及び効率化やコスト削減を目的とした特注システムの生産改善に取り組んでおります。なお、当社では、STEP4を各顧客における発注数量が10台以上の生産供給と定義しております。 当社では、各段階(STEP)に収益を獲得する案件が一般的ですが、案件によっては、特注機体を開発、複数台製造をしつつ、運用システムを構築するなど各STEPを組み合わせて包括的に契約を締結する場合もあります。 なお、機体販売後の運用サポートにおいては、販売後定常的に発生する機体の保守手数料や消耗品の販売料及びスポットでのコンサルティングサービスに係るサービス提供料を主な収益源としております。 ■ ドローンを活用した無人化・IoTシステムのビジネス ■ 当社の産業向けドローンを活用した無人化・IoTシステムの比較コンセプトのイメージ(石油・化学プラント運営企業に対する総合的なソリューションサービスのイメージ) (注)1.スタンドアロンのドローン機体:外部のIoT機器やシステムと繋がっておらず、機体のみが独立して存在しているドローン機体のこと2.業務組み込み型ドローンシステム:ドローン機体が既存のIoT機器やシステムとインターネットなどを活用して繋がり一体化されたシステムのこと3.レポートUI(User Interface):点検調書等のレポートにおける情報の表示 ■ STEP1 概念検証(PoC)、STEP2 特注システム開発の事例(株式会社NJSと共同開発した閉鎖環境(下水道)点検ドローンとドローンからの撮影画像)□ 閉鎖環境(下水道)点検ドローン □ 閉鎖環境(下水道)点検ドローンからの撮影画像 (2)当社保有のプラットフォーム技術 当社は千葉大学発のスタートアップ企業として創業して以来、自律制御技術を中核技術と位置づけ、継続的に開発投資を行ってまいりました。2017年より、自社開発の制御技術の競争力を高めるために、無人化・IoTシステムの一部としてドローンを採用することが多い企業需要に着目し、ドローンを活用した産業向けの無人化・IoTシステムの開発に注力してまいりました。 この分野においてシステム構築を実現するためには、非GPS(※6)環境などあらゆる環境での飛行を可能にする最先端の「自律飛行(※7)能力(Autonomy)」と、業務効率化・無人化・IoT化を実現するための「既存システムへの組み込み能力(Connectivity)」が必要になります。当社では、非GPS環境下での自律飛行を実現する画像処理による自己位置推定(Visual SLAM(※8))を軸とした自律制御技術(ドローン以外にもUGV(Unmanned Ground Vehicle:無人地上車両)などにも適用可)、ドローンの飛行ログや取得画像データ蓄積・解析を行うための独自通信・クラウド(※9)システムの整備、人間や通路認識などの飛行制御向けAI(※10)、安全機能強化として落下エネルギーを約90%減少させ、高度10m以上であれば終端速度を5m/s程度まで減速可能なパラシュート等を、点検、防災、物流、測量など多様な用途に対応可能なプラットフォーム技術として開発・商用化しております。 ■ 当社が注力している技術分野 現在、商品展開中の産業向けプラットフォーム機体「ACSL-PF2」、「Mini」及びその派生形は、当社の新技術を全て集約させ、多様な用途に対応する高度な飛行性能と安全性を実現しております。当社機体の開発コンセプトは、あらゆる用途に適応した機体特性を実現可能とするべく、最大公約数的な技術要素を集約した機体であり、主に以下の4つの特徴を挙げることができます。 ① 「自ら考えて飛ぶ」自律制御技術 当社の中核技術でもある自律制御技術は、人間でいうところの「頭脳」に相当します。ドローンの姿勢制御、飛行動作制御等、人間でいうところの運動機能をつかさどる「小脳」に該当する部分の技術については、モデルベース(※11)の先端制御理論に加え、一部で非線形制御(※12)に係るアルゴリズム(※13)を使用しており、競合他社やオープンソースコードを推進する団体が採用する一般的なPID制御(※14)と比較しても、耐風性や高速飛行時の安定性、突発的な動作に対する安定性などの点で優位性があります。 また、人間でいうところの目で見ることや自ら考えること等に係る機能をつかさどる「大脳」に相当する部分については、画像処理による自己位置推定(Visual SLAM)やLidar(光センサー技術)等のセンサー・フュージョン、AIによる環境認識を開発し、ドローンの「小脳」部分に統合しており、従来のドローンに搭載されている衛星(GPS・GNSS(※15))を用いる制御では自律飛行することができなかった非GPS環境下での完全自律飛行を実現しております。 ■ 最先端の「大脳」技術 - Visual SLAM 当社では、今後、本格化する目視外飛行や、通信が途絶えた場面、制御不能な状況を想定し、自律的ゴーホーム機能や各種緊急時の自動対応指示機能、操作・制御介入機能を搭載し、より安全で信頼性の高い制御を可能にする開発を進めております。FMEA(※18)等の航空機技術で培われた知見を活用し、故障を論理的、系統的に分析することで、その対応を重要なものから順次、対策技術を導入していくことを試みております。 例えば、当社では通信の冗長性を担保しております。一般的には920MHz帯及び2.4MHz、5.7GHz帯が通信として採用されておりますが、当社の制御技術では片方の通信が不可能になった場合はもう片方によって緊急操作介入ができるようになっております。なお、両方の通信が不可能な場合においても、ドローンは60秒間ホバリングを続けた上、操作介入なしでその場に自動で着陸するフェールセーフ(※19)機能を実装しております。 またプロペラが6枚以上実装されている当社ドローンでは、万一、何らかの原因でESC(モーターの回転数を制御する装置)又はモーターそのものが故障しプロペラ1枚が回らなくなった場合においても、残りの回転しているモーターとプロペラを使用してバランスを保ち、安定して着陸する技術を開発しております。この要素技術開発を元に、標準技術として商品化すべく実装試験を行っております。 ② 機体・駆動ハードウエア 機体・駆動ハードウエアは、ドローンの本体を構成する重要な要素であり、人間でいうところの「骨」や「筋肉」に相当します。主に、構造機能であるCFRP(※20)と、駆動機能であるモーター、CFRPプロペラ及びLiPO(※21)バッテリー等から構成されています。長時間、長距離飛行を行うための軽量化と安全に飛行するための必要な強度との両立、さらに雨に対する防滴性のような環境耐性も要求されます。 当社では、CFRPモノコックデザインを採用し従来品と比較して極めて軽量な機体構造により40分程度の飛行時間(ペイロードなしの場合)を実現するとともに、防災や物流向けには雨天時飛行を可能とするため国際IEC規格のIP43(※22)防塵・防水性を満たす機体ハードウエア技術を製品化しております。 ③ 機能アプリケーション(※23)・搭載オプション 自律制御技術と機体・駆動ハードウエア技術を基に飛行ロボットが実現した後に、特定用途で利用するためには機能アプリケーションや搭載オプションの追加が必要となります。ドローンは、主に「目」(データ収集)や「手」(作業)の代わりとしての役割を果たすことができ、カメラやセンサーを搭載することで「目」の代わりの役割を、物品輸送用のキャッチャー(※24)や散布機を搭載することで「手」の代わりの機能を果たすことになります。 多くの場合、機能アプリケーションは制御と切り離された形で外付けとなる要素ですが、当社では、制御とのシステム連携を行うアプリケーションやオプションを開発、提供しております。点検、物流・郵便、防災・災害対応、測量、空撮など多様な用途に応じた産業向けのソリューションに必要な付属センサーやカメラ、パラシュート等の安全装置付属品など、アプリケーション別のカスタマイズも可能であり、個々の顧客のニーズに対応しております。 例えば、安全装置のパラシュートでは、何らかの障害でドローンが故障して落下した場合、地上で大事故とならないように機体が落下していることを検知し、自動でパラシュートが開きます。当社ドローン向けに開発されたパラシュートでは、安全機能として自由落下や機体傾き、電気信号途絶を自動検知し、0.5秒で開化することにより落下エネルギーをパラシュート非搭載の機体との比較で最大90%程度削減し、高度10m以上であれば終端速度を5m/s程度まで減速することを可能としております。 また、ドローンの高速飛行を最大限活用して測量や防災分野で求められる高解像度画像を撮影可能とするべく、高度なブレ補正、高解像度・高速連写の撮影が可能なデジタルイメージング技術を活用した専用の4眼カメラをカメラモジュール会社と共同開発しております。 ■ 当社製品の機能アプリケーション・搭載オプションの例(高速カメラ、物流用運搬機構) ■ 当社製品における安全装置のパラシュート ■ 時速50km/hの高速飛行に連動した高性能カメラによる高度100mからの撮影画像のイメージ(2cm分解能(ひとつの画素が2cmの大きさを示す)の画像を時速50km/hで撮影可能) ④ ソフトウエア・外部システム ドローンは本体側での計算処理(エッジ処理)による自律的な飛行を行いますが、一般的には920MHzや2.4GHz、5.7GHz帯の周波数を用いて地上局と通信しながら飛行を行っております。ソフトウエア技術は、自律飛行を行うためのルート設計及びドローンの飛行中の情報を遠隔にて可視化・モニタリングするために必要なもので、特に目視外飛行において重要性が増しております。 当社では、パソコンやタブレット、スマートフォンなどに搭載されたソフトウエアにリアルタイム情報を表示し、飛行速度や高度などの機体状態や飛行状況の管理を行っております。独自開発のソフトウエア(PF-Station)からは飛行ルート変更の操作指示を与えたり、緊急時には、非常用介入操作指示を出したりすることが可能です。同時に、気象情報や地図情報、近隣の有人機飛行状況等の飛行管理に必要な多彩な情報を、地上の通信回線から取得し統合して表示を行うことで、PF-Stationはドローン飛行管理の司令塔の役割を果たします。 また、最近ではクラウドサービスとの接続、顧客企業の外部システムへの統合API(※25)、ドローン飛行練習用のシミュレーションソフトウエアなども重要になってきており、当社においても開発、商品化を行っております。 ■ PF-Station - 飛行経路を遠隔モニターしているときの遠隔端末上(パソコンなど)の表示状況 (3)国家プロジェクトへの参画 当社製品・サービスが産業向けドローン業界におけるデファクト・スタンダードとなるためには、今後も継続的かつ積極的に研究開発活動を実施していくことが不可欠となります。そこで、当社では産学官連携で様々なプロジェクトに参画し、最先端の技術開発に取り組んでおります。国家プロジェクトにおいては、各プロジェクトで発生した研究開発費用について、管轄機関の監査を受けて認められた金額を、助成金又は補助金として収受しております。なお、助成金又は補助金に関して、新規技術の研究開発に係るものについては、営業外収益として計上しております。また、新規の研究開発を行わず、既存の当社の技術を用いて委託された実験を行うことが主目的であるプロジェクトについては、売上高として計上しております。[事業系統図] (注)パートナー企業の一部を対象に、当社のドローンの転売又はドローンに付加価値を追加したソリューションをパートナークライアントの事業として商用展開を可能とすることを想定し、「ソリューションパートナー」契約を締結しております。 用語解説 本項「3 事業の内容」において使用しております用語の定義について以下に記します。No.用語用語の定義※1自律制御機体の自律行動を実現する制御方式あるいは技術※2ドローン遠隔操縦あるいは自律式の無人航空機一般※3IoTInternet of Thingsの略称。コンピューターに限らず、家電製品や自動車等のハードウエア機器をインターネットに接続し、情報をやり取りすることで生まれるイノベーションの総称※4プラットフォーム必要最低限の技術要素をパッケージ化した技術の塊のことを意味し、カスタム製品や搭載物を変えて用途別製品を開発する際に使用できる基盤となる一連の技術要素の組み合わせのこと※5概念検証(PoC:Proof of Concept)新たな概念やアイデアの実現可能性を示すために、可能な範囲で限られた手段を組み合わせて試験的な実験を行うこと。デモンストレーションによって特定の概念や理論の実用化が可能であることを示すこと※6GPSGlobal Positioning Systemの略称で、全地球無線測位システムを指す。カーナビゲーションシステムなどに利用されているシステム※7自律飛行事前のプログラミングなどにより人の操縦がなくても飛行可能な飛行方法※8SLAMSimultaneous Localization and Mappingの略称で各種センサーから取得した情報から、自己位置推定と地図作成を同時に行うこと※9クラウドサーバーやストレージ、ネットワークのインフラやソフトウエアを持たなくても、インターネットを通じて、サービスを必要な時に必要な分だけ利用することが可能なサービス※10AIArtificial Intelligenceの略称。学習・推論・認識・判断などの人間の知能的な振る舞いを行うコンピュータシステム※11モデルベース制御対象の運動を数学モデルによって表現することに基づいた制御設計技術※12非線形制御制御理論、制御技術の一つであり、一般的にPID制御よりも高度な数学が用いられ、制御対象をより正確に制御することが可能な制御技術※13アルゴリズムコンピューター上における問題を解くための手順・解き方※14PID制御比例(P)制御、積分(I)制御、微分(D)制御の組み合わせによって、設定された目標値にフィードバック(検出値)を一致させる制御機能を指す。速度、圧力、流量、温度などの制御に使用される技術※15GNSSGlobal Navigation Satellite Systemの略称で、全地球測位システムを指す。人工衛星を使用して地上の現在位置を計測する「衛星測位システム」のうち、全地球を測位対象とすることができるシステム※16ステレオカメラ対象物を複数の異なる方向から同時に撮影することにより、その奥行き方向の情報も記録できるようにしたカメラ※17デジタルコンパス電子的なセンサーによって地磁気を検知し方位を判定する機能若しくはその機能を搭載した製品※18FMEAFailure Mode and Effect Analysisの略称であり、製品又はプロセスについて、問題が発生する前に問題(故障モード)を識別することと、それが波及する影響の解析をすることを含む、故障を予防する体系的な手法。あくまで解析結果のため、それに対する対応策が各種フェールセーフ機能となる※19フェールセーフ誤操作を起こさない又は誤操作をした場合でも事故が起こらないようにする機能。当社では、故障が起きたときに対する安全機能全般と定義している。フォルトトレランスはフェールセーフの一つ※20CFRPCarbon Fiber Reinforced Plasticsの略称でプラスチック、つまり樹脂を炭素繊維で強化することで、樹脂単体よりも高い強度や剛性を得ることを可能とした「炭素繊維強化プラスチック」のこと No.用語用語の定義※21LiPOリチウムイオンポリマー二次電池のこと。正極と負極の間をリチウムイオンが移動することで充電や放電を行う二次電池であるリチウムイオン二次電池の一種※22IP43「IP」とは「IEC(国際電気標準会議)」によって定められている防塵・防水の保護規格でありIPX43は直径1.0mmの外来固形物まで内部に侵入しない防塵性かつ、0.07L/分の水を鉛直から60度、10分間放水した際の防水性※23アプリケーション特定の適用・応用する用途のこと全般。もしくは特定の用途のためのソフトウエアのこと(アプリケーションソフトウエア)※24キャッチャー物を掴む、運搬するための機能・装置。機体に実装することによって、人の手に代わって作業を行うことが可能になる※25APIApplication Programming Interfaceの略称であり、コンピュータプログラム(ソフトウェア)の機能や管理するデータなどを、外部の他のプログラムから呼び出して利用するための手順やデータ形式などを定めた規約のこと※26CoreAPIソフトウエア同士が互いにやりとりするのに使用するJAVA言語でのインターフェース
FY2019|9,745 文字|出典 docID: S100GD82
3【事業の内容】 当社は、「技術を通じて、人々をもっと大切なことへ」というミッションのもと、「世界で最も優れた自律技術を追求し、その社会実装を全うすることで、人が行う業務を一つでも多く自動化・無人化する、そして、社会の進化を推し進めていく」という経営理念を掲げ、ロボットの自律制御(※1)技術を用いて業務効率化・無人化・IoT(※2)化を実現するシステムを創り、既存の様々な業務を改革していくことで、国内外企業の競争力向上を支援することを目指し、事業を展開しております。 その主たる事業内容は、「産業向け」の飛行ロボット(以下、「ドローン(※3)」という。)の自社開発、ドローンを活用した無人化・IoTシステムの受注開発、生産、及び販売・サービス提供であります。 ドローンの普及及び技術革新により、既存産業の業務効率化並びに新規価値創出が期待されております。当社では、自律制御の研究開発をゼロから国内で行うことで技術力を蓄積してきており、「自ら考えて飛ぶ」最先端の自律制御を中心に点検、物流、防災分野などで求められる周辺技術・システムも開発し、現存するドローン市場の定義に縛られることなく顧客に対してドローンを活用した新たな無人化・IoTシステムを提示してまいります。 当社の事業は、ドローン関連事業の単一セグメントであるため、以下に当社の主要な製品及びサービスの内容を記載いたします。 (1)当社の事業内容 当社は「自ら考えて飛ぶ」自律制御技術を中心に周辺技術・システム開発能力を一気通貫で保有することで、点検、物流、防災、空撮、測量、農業といった分野でドローンを活用した産業向け無人化・IoTシステムの構築に係る事業を運営しております。最先端の制御技術を核として、通信・ソフトウエアなどを統合した制御パッケージや高性能な機体プラットフォーム(※4)の提供が可能となるとともに、用途別にカスタマイズした産業向け特注機体、特注システム、最終的には顧客システムに統合されたレベルまで、事業として幅広く対応することが可能となっております。 またドローン以外の分野に対しても、機械等が「自ら考える」ための制御技術を通信やソフトウエアと組み合わせて制御プラットフォームとして販売しております。当該プラットフォームの主な活用見込先は、宇宙産業や工場内で利用される無人地上車両であります。 ■ 当社が提供可能な技術・サービスの広がり 当社のビジネスモデルは、顧客企業からのドローン導入の打診に基づき、顧客企業におけるドローン活用による課題解決の概念検証(PoC:Proof of Concept(※5))(STEP1)、及び用途に応じたシステム全体の仕様策定と特注システム開発を請け負うシステムインテグレータとしての役割(STEP2)と、その後の特注システムの量産供給を担う製造業としての役割(STEP3、STEP4)を併せ持っております。 当社では、主に大企業におけるドローン活用において、検討段階から実際の導入まで全面的なシステム構築をワンストップで提供することを前提とした営業活動を促進しており、これまでにも楽天株式会社の「天空」や株式会社NJSの「AirSlider」などの実績があります。既に主要顧客約60社に対して、概念検証(PoC)(STEP1)に係るサービス提供に取り組んでおり、今後の特注システム開発や量産供給に繋がるように営業活動を促進しております。 サービス提供の各段階(STEP)に関して、まずSTEP1として、顧客のドローン導入のニーズを踏まえて、課題解決のために当社のテスト機体を用いた概念検証(PoC)に係るサービスを有償で提供しております。この概念検証(PoC)では、最小限のシステム構成にすることで、顧客のドローン活用の導入検討のハードルを下げつつ、業務効率化・無人化・IoT化の検証を並行して行っております。なお、当社の指す概念検証(PoC)は「導入コンサルティング」を超えた概念であり、単にアイデア提供等を行うサービスではなく、目的の業務においてドローン導入の有効性を判断するための飛行試験・実演を伴う概念検証サービスを指します。 顧客の課題解決に合わせた概念検証(PoC)を経て、次のサービス提供の段階において、STEP2として、顧客先の既存システムへの組み込みも含めた特注システム全体の設計・開発を行っております。このSTEPで業務効率化などの効果実現に向け、特注システムの提供のみに留まらず、安全導入に不可欠なドローンの操作シミュレータやドローンの保守点検サービスを提供し、システム導入・運用サポートを一貫して提供しております。なお、顧客の既存システムへ組み込むソリューションの事例としては、工場設備や建物・橋梁等の点検、下水道管路内等の閉鎖環境の調査、災害現場の把握等が考えられます。これらの特注システム開発に際しては、概念検証(PoC)のサービス提供料や特注システムの仕様提案・設計・開発・試験運用に係るカスタム開発料を主な収益源としております。概念検証(PoC)を含めてSTEP毎の有償のサービスモデルを構築し、顧客の側で継続的なプロジェクトをスムーズに立案・実施することを可能にしております。 次のサービス提供の段階において、当社では、STEP3及びSTEP4で、顧客先における試用(パイロット)もしくは商用ベースでの導入として、特注システムの生産・供給を行っております。STEP2で開発した特注システムの繰り返し生産並びに保守・メンテナンスサポートを実施しております。このSTEPでは、顧客の実業務への展開から得られた知見に基づき、特注システムの「カイゼン」・改良を繰り返すこと、及び効率化やコスト削減を目的とした特注システムの生産改善に取り組んでおります。なお、当社では、STEP4を各事業年度の発注数量が10台以上の生産供給と定義しております。 当社では、各段階(STEP)毎に収益を獲得する案件が一般的ですが、案件によっては各STEPを組み合わせて包括的に契約を締結する場合もあります。 なお、機体販売後の運用サポートにおいては、販売後定常的に発生する機体の保守手数料や消耗品の販売料及びスポットでのコンサルティングサービスに係るサービス提供料を主な収益源としております。 ■ ドローンを活用した無人化・IoTシステムのビジネス ■ STEP別の案件数及び量産機体の販売台数の推移 2018年3月期2019年3月期ソリューションの構築(STEP1、STEP2)案件数(件)6081量産機体の販売(STEP3、STEP4)販売台数(台)40106 ■ 当社の産業向けドローンを活用した無人化・IoTシステムの比較コンセプトのイメージ(石油・化学プラント運営企業に対する総合的なソリューションサービスのイメージ) (注)1.スタンドアロンのドローン機体:外部のIoT機器やシステムと繋がっておらず、機体のみが独立して存在しているドローン機体のこと2.業務組み込み型ドローンシステム:ドローン機体が既存のIoT機器やシステムとインターネットなどを活用して繋がり一体化されたシステムのこと3.レポートUI(User Interface):点検調書等のレポートにおける情報の表示 ■ STEP1 概念検証(PoC)、STEP2 特注システム開発の事例(株式会社NJSと共同開発した閉鎖環境(下水道)点検ドローンとドローンからの撮影画像)□ 閉鎖環境(下水道)点検ドローン □ 閉鎖環境(下水道)点検ドローンからの撮影画像 (2)当社保有のプラットフォーム技術 当社は千葉大学発のスタートアップ企業として創業して以来、自律制御技術を中核技術と位置づけ、継続的に開発投資を行ってまいりました。2017年より、自社開発の制御技術の競争力を高めるために、無人化・IoTシステムの一部としてドローンを採用することが多い企業需要に着目し、ドローンを活用した産業向けの無人化・IoTシステムの開発に注力してまいりました。 この分野においてシステム構築を実現するためには、非GPS(※6)環境などあらゆる環境での飛行を可能にする最先端の「自律飛行(※7)能力(Autonomy)」と、業務効率化・無人化・IoT化を実現するための「既存システムへの組み込み能力(Connectivity)」が必要になります。当社では、非GPS環境下での自律飛行を実現する画像処理による自己位置推定(Visual SLAM(※8))(ドローン以外にもUGV(Unmanned Ground Vehicle:無人地上車両)などにも適用可)、ドローンの飛行ログや取得画像データ蓄積・解析を行うための独自通信・クラウド(※9)システムの整備、人間や通路認識などの飛行制御向けAI(※10)、安全機能強化として落下エネルギーを約90%減少させ、高度10m以上であれば終端速度を5m/s程度まで減速可能なパラシュート等を、点検、防災、物流、測量など多様な用途に対応可能なプラットフォーム技術として開発・商用化しております。 ■ 当社が注力している技術分野 現在、商品展開中の産業向けプラットフォーム機体「ACSL-PF1」及びその派生形は、当社の新技術を全て集約させ、多様な用途に対応する高度な飛行性能と安全性を実現しております。「ACSL-PF1」の開発コンセプトは、あらゆる用途に対応可能とするべく最大公約数的な技術要素を集約した機体であり、主に以下の4つの特徴を挙げることができます。 ① 「自ら考えて飛ぶ」自律制御技術 当社の中核技術でもある自律制御技術は、人間でいうところの「頭脳」に相当します。ドローンの姿勢制御、飛行動作制御等、人間でいうところの運動機能をつかさどる「小脳」に該当する部分の技術については、モデルベース(※11)の先端制御理論に加え、一部で非線形制御(※12)に係るアルゴリズム(※13)を使用しており、競合他社やオープンソースコードを推進する団体が採用する一般的なPID制御(※14)と比較しても、耐風性や高速飛行時の安定性、突発的な動作に対する安定性などの点で優位性があります。 また、人間でいうところの目で見ることや自ら考えること等に係る機能をつかさどる「大脳」に相当する部分については、画像処理による自己位置推定(Visual SLAM)やAIによる環境認識を開発し、ドローンの「小脳」部分に統合しており、従来のドローンに搭載されている衛星(GPS・GNSS(※15))を用いる制御では自律飛行することができなかった非GPS環境下での完全自律飛行を実現しております。 ■ 最先端の「大脳」技術 - Visual SLAM 当社では、今後、本格化する目視外飛行や、通信が途絶えた場面、制御不能な状況を想定し、自律的ゴーホーム機能や各種緊急時の自動対応指示機能、操作・制御介入機能を搭載し、より安全で信頼性の高い制御を可能にする開発を進めております。FMEA(※18)等の航空機技術で培われた知見を活用し、故障を論理的、系統的に分析することで、その対応を重要なものから順次、対策技術を導入していくことを試みております。 例えば、当社では通信の冗長性を担保しております。一般的には920MHz帯及び2.4MHz、5.7GHz帯が通信として採用されておりますが、当社の制御技術では片方の通信が不可能になった場合はもう片方によって緊急操作介入ができるようになっております。なお、両方の通信が不可能な場合においても、ドローンは60秒間ホバリングを続けた上、操作介入なしでその場に自動で着陸するフェールセーフ(※19)機能を実装しております。 またプロペラが6枚以上実装されている当社ドローンでは、万一、何らかの原因でESC(モーターの回転数を制御する装置)又はモーターそのものが故障しプロペラ1枚が回らなくなった場合においても、残りの回転しているモーターとプロペラを使用してバランスを保ち、安定して着陸する技術を開発しております。この要素技術開発を元に、標準技術として商品化すべく実装試験を行っております。 ② 機体・駆動ハードウエア 機体・駆動ハードウエアは、ドローンの本体を構成する重要な要素であり、人間でいうところの「骨」や「筋肉」に相当します。主に、構造機能であるCFRP(※20)やマグネシウム合金等と、駆動機能であるモーター、CFRPプロペラ及びLiPO(※21)バッテリー等から構成されています。長時間、長距離飛行を行うための軽量化と安全に飛行するための必要な強度との両立、さらに雨に対する防滴性のような環境耐性も要求されます。 当社では、CFRPとマグネシウム合金を採用し従来品と比較して極めて軽量な機体構造により50分程度の飛行時間(ペイロードなしの場合)を実現するとともに、防災や物流向けには雨天時飛行を可能とするため国際IEC規格のIPX3(※22)防水性を満たす機体ハードウエア技術を製品化しております。 ③ 機能アプリケーション(※23)・搭載オプション 自律制御技術と機体・駆動ハードウエア技術を基に飛行ロボットが実現した後に、特定用途で利用するためには機能アプリケーションや搭載オプションの追加が必要となります。ドローンは、主に「目」(データ収集)や「手」(作業)の代わりとしての役割を果たすことができ、カメラやセンサーを搭載することで「目」の代わりの役割を、物品輸送用のキャッチャー(※24)や散布機を搭載することで「手」の代わりの機能を果たすことになります。 多くの場合、機能アプリケーションは制御と切り離された形で外付けとなる要素ですが、当社では、制御とのシステム連携を行うアプリケーションやオプションを開発、提供しております。点検、物流・郵便、防災・災害対応、測量、空撮など多様な用途に応じた産業向けのソリューションに必要な付属センサーやカメラ、パラシュート等の安全装置付属品など、アプリケーション別のカスタマイズも可能であり、個々の顧客のニーズに対応しております。 例えば、安全装置のパラシュートでは、何らかの障害でドローンが故障して落下した場合、地上で大事故とならないように機体が落下していることを検知し、自動でパラシュートが開きます。当社ドローン向けに開発されたパラシュートでは、安全機能として自由落下や機体傾き、電気信号途絶を自動検知し、0.5秒で開化することにより落下エネルギーをパラシュート非搭載の機体との比較で最大90%程度削減し、高度10m以上であれば終端速度を5m/s程度まで減速することを可能としております。 また、ドローンの高速飛行を最大限活用して測量や防災分野で求められる高解像度画像を撮影可能とするべく、高度なブレ補正、高解像度・高速連写の撮影が可能なデジタルイメージング技術を活用した専用の4眼カメラをカメラモジュール会社と共同開発しております。 ■ 当社製品の機能アプリケーション・搭載オプションの例(高速カメラ、物流用運搬機構) ■ 当社製品における安全装置のパラシュート ■ 時速50km/hの高速飛行に連動した高性能カメラによる高度100mからの撮影画像のイメージ(2cm分解能(ひとつの画素が2cmの大きさを示す)の画像を時速50km/hで撮影可能) ④ ソフトウエア・外部システム ドローンは本体側での計算処理(エッジ処理)による自律的な飛行を行いますが、一般的には920MHzや2.4GHz、5.7GHz帯の周波数を用いて地上局と通信しながら飛行を行っております。ソフトウエア技術は、自律飛行を行うためのルート設計及びドローンの飛行中の情報を遠隔にて可視化・モニタリングするために必要なもので、特に目視外飛行において重要性が増しております。 当社では、パソコンやタブレット、スマートフォンなどに搭載されたソフトウエアにリアルタイム情報を表示し、飛行速度や高度などの機体状態や飛行状況の管理を行っております。独自開発のソフトウエア(PF-Station)からは飛行ルート変更の操作指示を与えたり、緊急時には、非常用介入操作指示を出したりすることが可能です。同時に、気象情報や地図情報、近隣の有人機飛行状況等の飛行管理に必要な多彩な情報を、地上の通信回線から取得し統合して表示を行うことで、PF-Stationはドローン飛行管理の司令塔の役割を果たします。 また、最近ではクラウドサービスとの接続、顧客企業の外部システムへの統合API(※25)、ドローン飛行練習用のシミュレーションソフトウエアなども重要になってきており、当社においても開発、商品化を行っております。 ■ PF-Station - 飛行経路を遠隔モニターしているときの遠隔端末上(パソコンなど)の表示状況 ■ 当社製品である産業向けプラットフォーム機体「ACSL-PF1」の技術要素 (3)国家プロジェクトへの参画 当社製品・サービスが産業向けドローン業界におけるデファクト・スタンダードとなるためには、今後も継続的かつ積極的に研究開発活動を実施していくことが不可欠となります。そこで、当社では産学官連携で様々なプロジェクトに参画し、最先端の技術開発に取り組んでおります。国家プロジェクトにおいては、各プロジェクトで発生した研究開発費用について、管轄機関の監査を受けて認められた金額を、助成金又は補助金として収受しております。なお、助成金又は補助金に関して、新規技術の研究開発に係るものについては、営業外収益として計上しております。また、新規の研究開発を行わず、既存の当社の技術を用いて委託された実験を行うことが主目的であるNEDO「ロボット・ドローン機体の性能評価基準等の開発」については、売上高として計上しております。 当社が現在取り組んでいる主な国家プロジェクトは、以下のとおりです。国家プロジェクト主な内容国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)無人航空機の運航管理システム及び衝突回避技術の開発壁等の対象物及び機体間同士の衝突を避ける技術を開発NEDOロボット・ドローン機体の性能評価基準等の開発物流業界に特化してドローンの性能や安全性に関する性能評価基準と検証方法を制定 [事業系統図] (注)パートナー企業の一部を対象に、当社のドローンの転売又はドローンに付加価値を追加したソリューションをパートナークライアントの事業として商用展開を可能とすることを想定し、「ソリューションパートナー」契約を締結しております。 用語解説 本項「3 事業の内容」において使用しております用語の定義について以下に記します。No.用語用語の定義※1自律制御機体の自律行動を実現する制御方式あるいは技術※2IoTInternet of Thingsの略称。コンピューターに限らず、家電製品や自動車等のハードウエア機器をインターネットに接続し、情報をやり取りすることで生まれるイノベーションの総称※3ドローン遠隔操縦あるいは自律式の無人航空機一般※4プラットフォーム必要最低限の技術要素をパッケージ化した技術の塊のことを意味し、カスタム製品や搭載物を変えて用途別製品を開発する際に使用できる基盤となる一連の技術要素の組み合わせのこと※5概念検証(PoC:Proof of Concept)新たな概念やアイデアの実現可能性を示すために、可能な範囲で限られた手段を組み合わせて試験的な実験を行うこと。デモンストレーションによって特定の概念や理論の実用化が可能であることを示すこと※6GPSGlobal Positioning Systemの略称で、全地球無線測位システムを指す。カーナビゲーションシステムなどに利用されているシステム※7自律飛行事前のプログラミングなどにより人の操縦がなくても飛行可能な飛行方法※8SLAMSimultaneous Localization and Mappingの略称で各種センサーから取得した情報から、自己位置推定と地図作成を同時に行うこと※9クラウドサーバーやストレージ、ネットワークのインフラやソフトウエアを持たなくても、インターネットを通じて、サービスを必要な時に必要な分だけ利用することが可能なサービス※10AIArtificial Intelligenceの略称。学習・推論・認識・判断などの人間の知能的な振る舞いを行うコンピュータシステム※11モデルベース制御対象の運動を数学モデルによって表現することに基づいた制御設計技術※12非線形制御制御理論、制御技術の一つであり、一般的にPID制御よりも高度な数学が用いられ、制御対象をより正確に制御することが可能な制御技術※13アルゴリズムコンピューター上における問題を解くための手順・解き方※14PID制御比例(P)制御、積分(I)制御、微分(D)制御の組み合わせによって、設定された目標値にフィードバック(検出値)を一致させる制御機能を指す。速度、圧力、流量、温度などの制御に使用される技術※15GNSSGlobal Navigation Satellite Systemの略称で、全地球測位システムを指す。人工衛星を使用して地上の現在位置を計測する「衛星測位システム」のうち、全地球を測位対象とすることができるシステム※16ステレオカメラ対象物を複数の異なる方向から同時に撮影することにより、その奥行き方向の情報も記録できるようにしたカメラ※17デジタルコンパス電子的なセンサーによって地磁気を検知し方位を判定する機能若しくはその機能を搭載した製品※18FMEAFailure Mode and Effect Analysisの略称であり、製品又はプロセスについて、問題が発生する前に問題(故障モード)を識別することと、それが波及する影響の解析をすることを含む、故障を予防する体系的な手法。あくまで解析結果のため、それに対する対応策が各種フェールセーフ機能となる※19フェールセーフ誤操作を起こさない又は誤操作をした場合でも事故が起こらないようにする機能。当社では、故障が起きたときに対する安全機能全般と定義している。フォルトトレランスはフェールセーフの一つ※20CFRPCarbon Fiber Reinforced Plasticsの略称でプラスチック、つまり樹脂を炭素繊維で強化することで、樹脂単体よりも高い強度や剛性を得ることを可能とした「炭素繊維強化プラスチック」のこと No.用語用語の定義※21LiPOリチウムイオンポリマー二次電池のこと。正極と負極の間をリチウムイオンが移動することで充電や放電を行う二次電池であるリチウムイオン二次電池の一種※22IPX3「IP」とは「IEC(国際電気標準会議)」によって定められている防水・防塵の保護規格でありIPX3は0.07L/分の水を鉛直から60度、10分間放水した際の防水性※23アプリケーション特定の作業の総称。特定の用途のためのソフトウエアのことを指し、アプリケーションソフトウエアを意味する※24キャッチャー物を掴む、運搬するための機能・装置。機体に実装することによって、人の手に代わって作業を行うことが可能になる※25APIApplication Programming Interfaceの略称であり、コンピュータプログラム(ソフトウェア)の機能や管理するデータなどを、外部の他のプログラムから呼び出して利用するための手順やデータ形式などを定めた規約のこと※26CoreAPIソフトウエア同士が互いにやりとりするのに使用するJAVA言語でのインターフェース