6016

ジャパンエンジンコーポレーション(6016)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

輸送用機器 自動車・輸送機

事業の概要

  • 舶用内燃機関の製造販売
    ジャパンエンジンコーポレーションは、船舶の主要な動力源となる内燃機関(主機関)の製造と販売を主な事業としています。これは、大型船が航行するために不可欠なエンジンであり、同社の主要な収益源となっています。新造船への供給だけでなく、既存の船舶向けに部品販売や修理といったアフターサービスも展開しており、安定的な収益確保に努めています。
  • 部品販売と修理サービス
    主機関の製造販売に加え、そのエンジンに係わる部品の販売や修理サービスも重要な事業活動です。船舶は長期間にわたって運用されるため、定期的なメンテナンスや部品交換が不可欠であり、これらのサービスは継続的な収益をもたらします。これにより、製品ライフサイクル全体での顧客との関係を維持し、安定した事業基盤を構築しています。
  • 関連事業の展開
    連結子会社であるシンパツサンライズ株式会社を通じて、鉄工に関する請負、清掃及び警備請負、労働者派遣といった関連事業も行っています。これらの事業は、主力の舶用内燃機関事業を補完し、グループ全体の事業多角化に貢献しています。これにより、特定の事業に依存するリスクを軽減し、経営の安定性を高めることを目指しています。
出典: FY2021 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 舶用内燃機関事業
    ジャパンエンジンコーポレーションの主要な事業であり、船舶の動力源となる内燃機関(主機関)の製造と販売を行っています。この事業は、新造船向けのエンジン供給だけでなく、既存の船舶に対する部品販売や修理サービスも含まれており、同社の収益の大部分を占める稼ぎ頭です。単一セグメントとして報告されており、事業規模はグループ全体に相当します。
  • 部品販売・修理事業
    主機関の製造販売に付随する形で、舶用内燃機関の部品販売や修理サービスを提供しています。船舶は長期間運用されるため、定期的なメンテナンスや部品交換が不可欠であり、この事業は安定した収益源となっています。主機関事業と一体として運営されており、顧客の製品ライフサイクル全体をサポートすることで、継続的な収益確保に貢献しています。
  • 関連請負・派遣事業
    連結子会社であるシンパツサンライズ株式会社が展開する事業で、鉄工に関する請負、清掃及び警備請負、労働者派遣など多岐にわたります。これらの事業は、主力である舶用内燃機関事業を補完し、グループ全体の事業ポートフォリオの多様化に貢献しています。規模としては主力事業より小さいものの、グループ全体の安定性向上に寄与しています。
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2021|207 文字
3【事業の内容】当社グループの企業集団は、当社及び連結子会社1社から構成されており、舶用内燃機関(主機関)の製造販売を主な事業内容として、当事業に係わる部品販売・修理等の事業活動を展開しております。舶用内燃機関及びこれらの付随業務の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。なお、連結子会社であるシンパツサンライズ株式会社は、鉄工に関する請負、清掃及び警備請負、労働者派遣等を行っております。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
原材料・購入部品費の比率が高く、価格高騰が業績に影響を及ぼす可能性があるため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
GHGゼロエミッションとなるアンモニア・水素燃料エンジンの開発など、先端技術開発。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか シクリカル
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 成長投資
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:受注環境の変動 / 特定の取引先への依存 / 原材料・購入部品等価格の変動
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 6 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

ジャパンエンジンコーポレーションは、主に船舶用エンジンおよび関連機器の製造・販売を手掛けている。特定の強力なブランド力や特許による独占的な競争優位性を示す具体的な情報は限定的である。技術力は存在するものの、それが参入障壁として機能するほどの無形資産とは評価しにくい。

スイッチングコスト★★☆☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

船舶用エンジンの交換やメンテナンスは、専門知識と設備が必要であり、既存のサプライヤーからの乗り換えには一定のコストと時間がかかる。特に大型船舶の場合、エンジンの仕様やメンテナンス体制が重要視されるため、顧客が容易に他社へ乗り換えることは考えにくい。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

同社の事業モデルは、ユーザー数の増加が製品やサービスの価値を直接的に高めるネットワーク効果を生み出す構造ではない。個々の顧客との取引が中心であり、プラットフォーム型ビジネスのような広範なネットワーク効果は期待できない。

コスト優位★☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

船舶用エンジン製造は、高度な技術と大規模な生産設備を要するため、新規参入には高いコストがかかる。しかし、同社が競合他社に対して構造的に圧倒的なコスト優位性を持っているという明確な証拠は少ない。規模の経済による効率化は存在する可能性がある。

規模の経済★★★☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

船舶用エンジン市場は、主要プレイヤーが限られる寡占市場であり、同社はその中で一定のシェアを占めている。特に大型エンジンの分野では、高い技術力と生産能力を持つ少数の企業が市場を形成しており、効率的な規模による競争優位性が存在する可能性がある。

  • 舶用内燃機関の専門性
    ジャパンエンジンコーポレーションは、舶用内燃機関の製造販売に特化しており、この分野における深い専門知識と技術を有していると考えられます。船舶の心臓部ともいえる主機関は高度な技術と信頼性が求められるため、長年の経験と実績が競争優位の源泉となっている可能性があります。これにより、顧客からの信頼を獲得し、安定した受注に繋がっていると推測されます。
  • 部品販売と修理の継続性
    主機関の製造販売だけでなく、部品販売や修理といったアフターサービスまで一貫して提供している点は強みです。一度納入したエンジンに対して継続的なサポートを提供することで、顧客との長期的な関係を構築し、安定した収益源を確保しています。これは、製品のライフサイクル全体で顧客を囲い込む効果があり、他社へのスイッチングコストを高める可能性があります。
  • グループ内での事業補完
    連結子会社が鉄工請負や清掃・警備、労働者派遣といった関連事業を展開していることは、グループ全体の事業安定化に寄与している可能性があります。主力事業の変動リスクを他の事業で補完することで、経営の安定性を高める効果が期待できます。これにより、多様な事業を通じて収益源を確保し、リスク分散を図っていると考えられます。
出典: FY2021 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 (1)経営方針<経営理念>○伝統と革新スピリットを融合「永くに亘る歴史と伝統を基盤にし、革新的スピリットの融合で、機動的かつ柔軟な経営を推進する」○社会と業界の発展に貢献「環境対応と経済性を両立した技術と品質向上への飽くなき挑戦で、社会、海運・造船業界の発展に 貢献する」○総合力を発揮し、世界へ飛躍「社員の力を結集し、開発・設計・製造・販売・サービスの一貫体制で、世界に伍していける企業を 目指す」○無災害職場の確立「危険予知の徹底と闊達なコミュニケーションで、災害ゼロを目指す」 <経営ビジョン>「世界的視野に立ち、伝統と革新を融合させ、日の丸舶用エンジンをお客様とともに育て、次代を拓く」 (2)経営戦略等当社は、2022~2024年度の「第1次中期事業計画」期間中に、外部環境の変化に柔軟に対応しながら、攻めの経営を推進し、将来の飛躍に向けた成長戦略を適時・適切に遂行したことで、「新たな成長ステージ」へと突入し、全ての事業領域において、想定を大きく上回る活動成果を得ました。これらを踏まえて、2025年度からの3ヶ年を対象に、「第2次中期事業計画」を策定しており、主に以下の3点の取り組みを進めることで、持続的な事業成長と企業価値の向上に努めてまいります。 ①環境対応への取り組み深化国際海運における脱炭素・環境保全の取り組みは前進を続けており、当社は、環境規制の進展や環境意識の高まりにあわせ、社会・業界の需要に応える新製品を開発し、市場へ投入しております。当社は、GHG(温室効果ガス)排出量削減に向け、ファーストムーバーとして世界に先駆けて、次世代脱炭素(アンモニア・水素)燃料エンジンの開発、製造、社会実装を押し進めることで、将来の成長ドライバーの育成と新たな市場創造を目指してまいります。また、足元では引き続き、堅調な需要が見込まれる重油燃料エンジンについても、全方位で製品競争力強化を図り、高品質製品の安定供給を実現してまいります。 ②UEエンジン世界シェアの更なる拡大ライセンスビジネスは、造船市場の発展が著しい中国を主軸に、グローバル展開を強化することで、UEエンジン世界シェアの更なる拡大を具体化してまいります。これにより、ライセンス関連事業(ロイヤリティー収入および部品供給ビジネス)を伸長させるとともに、急増する海外ライセンシー製エンジンのアフターサービスについても、新たな市場として取り込みを進めることで、アフターサービス事業も伸長させてまいります。 ③企業価値の持続的な向上当社は、「新しい成長ステージ」に突入することで「収益力」も向上しております。厚みを増してきた経営資源をもとに、中長期での事業伸長を見据えた成長投資を間断なく実行するとともに、資本コストや株価を意識した経営の実現、サステナビリティ経営の深化、人的資本への投資の拡充なども推進し、当社企業価値を持続的に向上させてまいります。 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等経営指標としては、「経常利益」を重視し、安定した収益体質の確立を目指してまいります。 (4)経営環境当事業年度における我が国経済は、企業収益や雇用・所得環境が改善するなか、緩やかな回復基調で推移しました。世界経済については、インフレの緩やかな低下を背景に底堅い成長を維持したものの、ウクライナ、中東情勢等の地政学リスクに加え、米国の通商・経済政策の不確実性や中国の景気後退懸念等、先行きは依然として、不透明な状況が続いております。当社と関連性が高い我が国海運・造船業界は、海運業界では、限定的な新造船の供給圧力と中東情勢に起因する紅海から喜望峰周りへの迂回運航等も相まって船腹需給は引き締まり傾向が継続しました。また、造船業界では、将来的な海上荷動きの伸長に備えた新造船建造需要の好況が継続し、造船所は超先物商談も受注することで、豊富な先行き工事量を確保するに至りました。 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題2026年3月期の通期業績につきましては、売上高の続伸により、前年同期比で増収、そして営業利益については、研究開発費の増加により前年同期比で減益となりますが、経常利益段階以降では、交付金の受領で増益を見込むことで、売上高29,120百万円(257百万円、0.9%増)、営業利益4,760百万円(△330百万円、△6.5%減)、経常利益5,850百万円(428百万円、7.9%増)、当期純利益4,340百万円(13百万円、0.3%増)を予想しております。売上高・利益(経常、当期純利益)は、3期連続での過去最高更新を見込んでおります。売上高および損益の詳細は以下の通りです。 <売上高>舶用内燃機関では、新造船市場での好況が継続しており、既受注案件の生産で、工場操業は引き続き高位で推移する見通しです。こうした状況下で、ファーストムーバーとして先行者利益を獲得するべく、次期主力製品となる次世代脱炭素燃料エンジンの開発・製造も進捗させております。2026年3月期は、戦略的な先行投資として、世界に先駆けて、工場生産ラインの一部を、アンモニア・水素燃料エンジン初号機の実証運転に割り当てる予定です。このため、エンジンの生産・販売台数は、前年度との対比では、一時的に減少する見通しです。初号機の完成は、アンモニアは2026年3月期を、水素は2027年3月期を、各々予定しておりますが、主機関は、既に超先物案件まで生産枠取りおよび受注を終えており、実証運転終了後には、生産・販売台数は増加する見通しです。また、更に2029年3月期には、当社新工場の完成・稼働開始を予定しており、主機関の生産・販売台数は続伸していく見通しです。修理・部品等では、アフターサービスでは、船舶の高稼働運航が一定水準で継続することで、売上高も堅調に推移する見通しです。また、更なる事業拡大に向け、海外ライセンシー製エンジンのアフターサービス支援を新たな市場として開拓を進めていきます。ライセンスでは、海外ライセンシーで建設中の新工場が稼働を開始することで、UEエンジンの生産台数も順次、拡大する見通しであることから、ロイヤリティー収入および部品供給ビジネスともに、前期からの更なる伸長を見込みます。これらの結果、舶用内燃機関で一時的に減収となるものの、修理・部品等の事業拡大による増収が継続することで、売上高全体としては前年同期比で増収になる見通しです。 <損益>舶用内燃機関では、一時的な減収による減益を見込む一方、修理・部品等では、アフターサービスおよびライセンス事業ともに堅調に推移することで、増収による増益を見込んでおります。この結果、全体としては、前年同期比で増益を見込んでおります。研究開発費につきましては、グリーンイノベーション基金事業のご支援のもとで、水素燃料エンジン初号機の製造を進捗させることから、前年同期比で計上額が大きく増加する見通しです。この結果、営業利益を押し下げますが、一方で、開発進捗見合いで受け取る交付金も、前年同期比で大きく増加する見通しであることから、営業外収益を押し上げ、経常利益段階では前年同期比で増益となる見通しです。なお、利益段階につきましては、研究開発費の計上と交付金の受け取りの影響を大きく受けることから、当社の現状を把握するための経営指標としては、これらの増減を織り込んだ後の「経常利益」を重視しております。また、2029年3月期にかけて進捗させる新工場建設工事につきましては、今後、工事を進捗させる過程で、既存建屋・設備を再配置することで一時的な費用の発生も見込んでおりますが、2026年3月期については、建設仮勘定への計上が主となる見通しであることから、利益への影響は軽微と見込んでおります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 (1)経営方針<経営理念>○伝統と革新スピリットを融合「永くに亘る歴史と伝統を基盤にし、革新的スピリットの融合で、機動的かつ柔軟な経営を推進する」○社会と業界の発展に貢献「環境対応と経済性を両立した技術と品質向上への飽くなき挑戦で、社会、海運・造船業界の発展に 貢献する」○総合力を発揮し、世界へ飛躍「社員の力を結集し、開発・設計・製造・販売・サービスの一貫体制で、世界に伍していける企業を 目指す」○無災害職場の確立「危険予知の徹底と闊達なコミュニケーションで、災害ゼロを目指す」 <経営ビジョン>「世界的視野に立ち、伝統と革新を融合させ、日の丸舶用エンジンをお客様とともに育て、次代を拓く」 (2)経営戦略等当社は、2022~2024年度の「第1次中期事業計画」期間中に、外部環境の変化に柔軟に対応しながら、攻めの経営を推進し、将来の飛躍に向けた成長戦略を適時・適切に遂行したことで、「新たな成長ステージ」へと突入し、全ての事業領域において、想定を大きく上回る活動成果を得ました。これらを踏まえて、2025年度からの3ヶ年を対象に、「第2次中期事業計画」を策定しており、主に以下の3点の取り組みを進めることで、持続的な事業成長と企業価値の向上に努めてまいります。 ①環境対応への取り組み深化国際海運における脱炭素・環境保全の取り組みは前進を続けており、当社は、環境規制の進展や環境意識の高まりにあわせ、社会・業界の需要に応える新製品を開発し、市場へ投入しております。当社は、GHG(温室効果ガス)排出量削減に向け、ファーストムーバーとして世界に先駆けて、次世代脱炭素(アンモニア・水素)燃料エンジンの開発、製造、社会実装を押し進めることで、将来の成長ドライバーの育成と新たな市場創造を目指してまいります。また、足元では引き続き、堅調な需要が見込まれる重油燃料エンジンについても、全方位で製品競争力強化を図り、高品質製品の安定供給を実現してまいります。 ②UEエンジン世界シェアの更なる拡大ライセンスビジネスは、造船市場の発展が著しい中国を主軸に、グローバル展開を強化することで、UEエンジン世界シェアの更なる拡大を具体化してまいります。これにより、ライセンス関連事業(ロイヤリティー収入および部品供給ビジネス)を伸長させるとともに、急増する海外ライセンシー製エンジンのアフターサービスについても、新たな市場として取り込みを進めることで、アフターサービス事業も伸長させてまいります。 ③企業価値の持続的な向上当社は、「新しい成長ステージ」に突入することで「収益力」も向上しております。厚みを増してきた経営資源をもとに、中長期での事業伸長を見据えた成長投資を間断なく実行するとともに、資本コストや株価を意識した経営の実現、サステナビリティ経営の深化、人的資本への投資の拡充なども推進し、当社企業価値を持続的に向上させてまいります。 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等経営指標としては、「経常利益」を重視し、安定した収益体質の確立を目指してまいります。 (4)経営環境当事業年度における我が国経済は、企業収益や雇用・所得環境が改善するなか、緩やかな回復基調で推移しました。世界経済については、インフレの緩やかな低下を背景に底堅い成長を維持したものの、ウクライナ、中東情勢等の地政学リスクに加え、米国の通商・経済政策の不確実性や中国の景気後退懸念等、先行きは依然として、不透明な状況が続いております。当社と関連性が高い我が国海運・造船業界は、海運業界では、限定的な新造船の供給圧力と中東情勢に起因する紅海から喜望峰周りへの迂回運航等も相まって船腹需給は引き締まり傾向が継続しました。また、造船業界では、将来的な海上荷動きの伸長に備えた新造船建造需要の好況が継続し、造船所は超先物商談も受注することで、豊富な先行き工事量を確保するに至りました。 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題2026年3月期の通期業績につきましては、売上高の続伸により、前年同期比で増収、そして営業利益については、研究開発費の増加により前年同期比で減益となりますが、経常利益段階以降では、交付金の受領で増益を見込むことで、売上高29,120百万円(257百万円、0.9%増)、営業利益4,760百万円(△330百万円、△6.5%減)、経常利益5,850百万円(428百万円、7.9%増)、当期純利益4,340百万円(13百万円、0.3%増)を予想しております。売上高・利益(経常、当期純利益)は、3期連続での過去最高更新を見込んでおります。売上高および損益の詳細は以下の通りです。 <売上高>舶用内燃機関では、新造船市場での好況が継続しており、既受注案件の生産で、工場操業は引き続き高位で推移する見通しです。こうした状況下で、ファーストムーバーとして先行者利益を獲得するべく、次期主力製品となる次世代脱炭素燃料エンジンの開発・製造も進捗させております。2026年3月期は、戦略的な先行投資として、世界に先駆けて、工場生産ラインの一部を、アンモニア・水素燃料エンジン初号機の実証運転に割り当てる予定です。このため、エンジンの生産・販売台数は、前年度との対比では、一時的に減少する見通しです。初号機の完成は、アンモニアは2026年3月期を、水素は2027年3月期を、各々予定しておりますが、主機関は、既に超先物案件まで生産枠取りおよび受注を終えており、実証運転終了後には、生産・販売台数は増加する見通しです。また、更に2029年3月期には、当社新工場の完成・稼働開始を予定しており、主機関の生産・販売台数は続伸していく見通しです。修理・部品等では、アフターサービスでは、船舶の高稼働運航が一定水準で継続することで、売上高も堅調に推移する見通しです。また、更なる事業拡大に向け、海外ライセンシー製エンジンのアフターサービス支援を新たな市場として開拓を進めていきます。ライセンスでは、海外ライセンシーで建設中の新工場が稼働を開始することで、UEエンジンの生産台数も順次、拡大する見通しであることから、ロイヤリティー収入および部品供給ビジネスともに、前期からの更なる伸長を見込みます。これらの結果、舶用内燃機関で一時的に減収となるものの、修理・部品等の事業拡大による増収が継続することで、売上高全体としては前年同期比で増収になる見通しです。 <損益>舶用内燃機関では、一時的な減収による減益を見込む一方、修理・部品等では、アフターサービスおよびライセンス事業ともに堅調に推移することで、増収による増益を見込んでおります。この結果、全体としては、前年同期比で増益を見込んでおります。研究開発費につきましては、グリーンイノベーション基金事業のご支援のもとで、水素燃料エンジン初号機の製造を進捗させることから、前年同期比で計上額が大きく増加する見通しです。この結果、営業利益を押し下げますが、一方で、開発進捗見合いで受け取る交付金も、前年同期比で大きく増加する見通しであることから、営業外収益を押し上げ、経常利益段階では前年同期比で増益となる見通しです。なお、利益段階につきましては、研究開発費の計上と交付金の受け取りの影響を大きく受けることから、当社の現状を把握するための経営指標としては、これらの増減を織り込んだ後の「経常利益」を重視しております。また、2029年3月期にかけて進捗させる新工場建設工事につきましては、今後、工事を進捗させる過程で、既存建屋・設備を再配置することで一時的な費用の発生も見込んでおりますが、2026年3月期については、建設仮勘定への計上が主となる見通しであることから、利益への影響は軽微と見込んでおります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況当事業年度の売上高は、28,862百万円となり、前期比7,893百万円(37.6%)の増収となりました。このうち舶用内燃機関は、16,780百万円で、前期比7,286百万円(76.8%)の増収となりました。新造船市場が長期的な好況局面に突入している中、最新鋭省エネ主機関LSHシリーズの受注が好調に推移しました。当社は、同型エンジンの連続生産により効率化を図りつつ、一部案件についてはピーク対策として国内ライセンシーに製造を委託し、販売台数を最大化しました。また、窒素酸化物3次規制(NOxTierⅢ)に適合する環境対応設備(EGR/SCR)の搭載や、最先端技術となる層状噴射技術を適用したLSJ型機関の販売、インフレ動向を踏まえた価格改善の進展などで販売単価が上昇しました。 修理・部品等は、12,081百万円となり、前期比606百万円(5.3%)の増収となりました。アフターサービスでは、好況な輸送需要を背景に、船舶の高稼働運航が継続し、電子制御部品や燃焼室関連部品の販売が堅調に推移しました。また、ライセンスでは、中国ライセンシーにおけるUEエンジンの受注・製造・販売の好循環が拡大し、ライセンシーへの部品供給ビジネスや、ロイヤリティー収入が堅調に推移しました。損益面では、舶用内燃機関では、同型エンジンの連続生産で、ロット・マスプロダクション効果を計画的に刈り取り、生産性を高めたことに加え、販売価格の改善も増益に寄与しました。また、修理・部品等では、アフターサービス、ライセンスともに好調に推移したことで、増収による増益となりました。この他に、研究開発関連として、グリーンイノベーション基金事業のご支援のもと、アンモニア・水素燃料エンジンの開発を予定通り進捗させており、研究開発費を計上する一方で、交付金を受け取り、営業外収益に計上しました。これらの結果、営業利益は5,090百万円となり、前期比2,901百万円(132.6%)の増益、経常利益は5,421百万円となり、前期比1,902百万円(54.1%)の増益、当期純利益は4,326百万円となり、前期比1,777百万円(69.8%)の増益となりました。 流動資産は、前事業年度末に比べ13.0%増加し、22,787百万円となりました。これは主として現金及び預金が3,130百万円増加、製品が1,352百万円減少、仕掛品が740百万円増加したことなどによるものであります。固定資産は、前事業年度末に比べ110.2%増加し、10,172百万円となりました。これは主として機械及び装置が978百万円、土地が3,462百万円、投資有価証券が630百万円それぞれ増加したことなどによるものであります。この結果、総資産は、前事業年度末に比べ31.8%増加し、32,960百万円となりました。 流動負債は、前事業年度末に比べ24.7%増加し、15,057百万円となりました。これは主として未払金が1,062百万円、前受金が1,101百万円それぞれ増加したことなどによるものであります。固定負債は、前事業年度末に比べ26.5%増加し、4,022百万円となりました。これは主として長期借入金が1,013百万円増加したことなどによるものであります。この結果、負債合計は、前事業年度末に比べ25.1%増加し、19,080百万円となりました。純資産合計は、前事業年度末に比べ42.4%増加し、13,880百万円となりました。 ② キャッシュ・フローの状況当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ3,130百万円増加し、7,411百万円となりました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)税引前当期純利益による収入5,458百万円、仕入債務の減少による支出1,295百万円、前受金の増加による収入1,101百万円などがあり、営業活動によるキャッシュ・フローは6,750百万円の収入(前年同期は391百万円の収入)となりました。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)有形固定資産の取得による支出4,340百万円などがあり、投資活動によるキャッシュ・フローは4,702百万円の支出(前年同期は761百万円の支出)となりました。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)長期借入れによる収入2,000百万円、長期借入金の返済による支出387百万円、配当金の支払額446百万円などがあり、財務活動によるキャッシュ・フローは1,082百万円の収入(前年同期は389百万円の収入)となりました。 ③ 生産、受注及び販売の実績当社の事業は、舶用内燃機関及びこれらの付随業務の単一セグメントであるため、「生産、受注及び販売の実績」については、事業区分別に記載しております。 a.生産実績当事業年度における生産実績を事業区分別に示すと、次のとおりであります。 事業区分生産高(千円)前期比(%)舶用内燃機関15,273,972125.6修理・部品等12,081,887105.3合計27,355,859115.8(注)金額は、販売価格によっております。 b.受注実績当事業年度における受注実績を事業区分別に示すと、次のとおりであります。 事業区分受注高受注残高金額(千円)前期比(%)金額(千円)前期比(%)舶用内燃機関15,507,87878.221,495,40294.4修理・部品等14,178,844134.15,861,458155.7合計29,686,72297.627,356,860103.1 c.販売実績当事業年度における販売実績を事業区分別に示すと、次のとおりであります。 事業区分販売高(千円)前期比(%)舶用内燃機関16,780,776176.8修理・部品等12,081,887105.3合計28,862,663137.6 (注)最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。相手先前事業年度(自 2023年4月 1日至 2024年3月31日)当事業年度(自 2024年4月 1日至 2025年3月31日)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)㈱名村造船所3,473,70016.68,321,15028.8㈱大島造船所--3,193,20011.1Guangzhou Diesel Engine Factory Co., Ltd.2,832,89413.52,896,40610.0今治造船㈱3,044,08014.5—— (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 当社は、「開発から、設計、製造、販売、アフターサービスまでの一貫体制」を有するグローバルライセンサーとしてのメリットを活かしつつ、外部環境の変化に柔軟に対応しながら、サステナビリティ経営を深化させ、持続的な成長と企業価値の向上に努めております。当社は、中期事業計画のもと、主機関、アフターサービス、ライセンス、部品供給の全ての事業領域で、適時・的確に打ち手を講じて売上高・利益を伸長させ、「新たな成長ステージ」に突入しております。また、GHG(温室効果ガス)排出量削減の取り組みを進める顧客や業界、社会の要請に応えるべく、ファーストムーバーとして世界に先駆けて、次世代アンモニア・水素燃料エンジンの開発、製造、社会実装に取り組むことで、新たな価値創出を進め、社会課題の解決と事業成長を両立させております。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社の資本の財源及び資金の流動性について、運転資金の需要は、舶用内燃機関およびアフターサービス用の部品の購入、製造・販売・一般管理の諸経費、人件費などであり、長期性の資金の需要は、生産設備の取得などであります。必要資金は、自己資金及び金融機関からの調達などで確保しており、加えて、資金の効率性・安定性を盤石とするべく、取引銀行との間でコミットメントライン契約も締結していることから、資金については、十分に流動性を有していると考えております。なお、当事業年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は4,735百万円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高7,411百万円となっております。 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

事業リスク

  • 受注環境の変動リスク
    世界経済の動向、船舶の供給と需要のバランス、海運市場の状況によって、新しい船の建造需要や既存船のアフターサービス需要が大きく変動する可能性があります。これにより、ジャパンエンジンコーポレーションの製品受注や販売実績が影響を受け、最終的に会社の業績に悪影響を及ぼす恐れがあります。
  • 特定供給元への依存
    主力製品である主機関の多くの部品は外部から調達されており、特に主要な部品の一部は特定の供給元に大きく依存しています。もしこれらの供給元の状況が悪化したり、供給が不安定になったりした場合、部品の調達が滞り、製品の生産に支障をきたすことで、会社の業績に悪影響を与える可能性があります。
  • 原材料価格の変動
    製品の製造原価に占める原材料費や購入部品費の割合が高いため、鉄鋼やその他の金属、電子部品などの価格が高騰すると、製造コストが大幅に増加する可能性があります。同社は調達コストの低減に努めていますが、将来的な価格高騰が販売価格に転嫁できない場合、会社の利益率や財務状況に悪影響を及ぼす恐れがあります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|966 文字
3【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 (1)受注環境について今後の世界景気、船腹需給及び海運市況の動向等によっては、新造船需要や、アフターサービス需要の変動が予想され、当社の受注・販売ひいては経営成績が影響を受ける可能性があります。 (2)特定の取引先への依存について当社の主力製品である主機関の構成部品の多くは、社外調達に依存しており、主要な部品の一部には特定供給元に依存しているものがあります。これらについて、供給元の状況によっては調達が不安定になる可能性があります。 (3)原材料・購入部品等価格の変動について当社製品は、製造原価に占める原材料費・購入部品費の比率が高く、国内での廉価調達や海外を含めた新たな調達先開拓など、継続的に調達コストの低減に取り組んでおりますが、将来の原材料・購入部品等の価格高騰が今後の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 (4)為替の変動について当社は、購入部品の一部を海外から調達しており、また、顧客との間で、米ドルやユーロ等の外貨建てにて取引を行うことがあります。為替予約等によりリスクをヘッジする場合もありますが、将来の為替の変動が今後の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 (5)売掛債権回収リスクについて当社は取引先に対して売掛債権を有しております。金融情勢の変化や景気の動向等を勘案し、与信先の業況を常に把握し、不良債権や貸倒損失の発生を防ぐ対策をしておりますが、市場環境の急速な変化や突発的な取引先の信用不安等により、今後の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 (6)工事量について当社の工場では、主力製品である主機関と並んで、他製品向けの部品の機械加工・組立工事も取り込むことで、工事量の確保・平準化に努めております。これらの工事量が、所期の計画値を大きく下回る場合、工事量不足による作業レート悪化等により、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

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