研究開発費(時系列)
| 年度 | R&D費用(億円) | 設備投資(億円) |
|---|---|---|
| 2025-03 | - | 2,433 |
| 2024-03 | - | 1,938 |
| 2023-03 | - | 2,083 |
| 2022-03 | - | 1,897 |
| 2021-03 | - | 1,722 |
研究開発活動(本文)
FY2025|6,327 文字
6【研究開発活動】当社及び連結子会社は、「技術を創造し、変革を生み出し、絶えざる成長に努めます」との経営理念の下、社会の変革・伸長分野に焦点を合わせ、オリジナリティがあり、かつ収益力のある新事業・新製品の開発に努めております。また、将来の社会ニーズを踏まえ、当社グループの次代の成長を担う研究テーマの発掘・育成にも積極的に取り組んでおります。環境エネルギー関連事業、情報通信関連事業、自動車関連事業、エレクトロニクス関連事業、産業素材関連事業他の各事業分野及び共通基盤技術における当連結会計年度の主な成果は以下のとおりであります。また、当連結会計年度における研究開発費の総額は156,293百万円であります。(1) 環境エネルギー関連事業超電導や次世代送電網の分野でのネットワーク技術を活用したエネルギーソリューション事業など、新しい分野への進出を図るとともに、蓄電池、電力ケーブルなどエネルギー分野での積極的な開発を推進しております。超電導の分野では、溶液塗布熱分解法による低コスト希土類系高温超電導線材の実用化に取り組んでおります。また、世界初の安定した超電導接続技術を開発し、永久電流で磁場を発生することが可能なコイルを実現しました。これらの技術により、高温超電導線材のNMR(核磁気共鳴装置)やMRI(磁気共鳴画像)への展開や小型核融合炉用マグネットへの応用が期待できます。次世代送電網の分野では、自然エネルギーの導入、省エネルギー、電力網の分散管理といった社会ニーズに対応すべく、レドックスフロー電池(蓄電池)について、大規模システムによる実証運転を実施しております。HEV(ハイブリッド自動車)などの環境対応車に多用されるニッケル水素電池の集電体として上市しているニッケル製セルメットを各種燃料電池、水素製造電極向けに展開するため、高温耐久性を付与した耐熱セルメットや、耐強酸性を高めた耐食セルメットを開発しております。また、EV(電気自動車)やHEV等の環境対応車の分野では、固有の高分子材料の合成技術を駆使し、駆動モーター等に適用する高性能平角巻線の開発にも取り組んでおり、モーターの高性能化に貢献する薄肉皮膜で高度な電気絶縁性を発揮する次世代平角巻線の開発に注力しております。電力ケーブルの技術開発では、長距離直流連系線、再生エネルギー関連の需要伸長に対応すべく、超高圧直流ケーブル、洋上風力向けケーブルの開発や送電線路に用いられるシステム製品を開発しております。住友電設㈱では、社会や顧客の多様化するニーズに応えるべく、脱炭素化社会実現に向けたカーボンニュートラル・省エネルギー技術、IoTや5Gを活用した監視・エネルギー管理等のビルディングマネジメントシステム、工場向け統合セキュリティシステム、ローカル5Gシステム、HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)による食品衛生管理をクラウドで一元管理するシステムなど、最新技術、情報化技術を活用し、新技術、新工法、各種システムの開発に取り組んでおります。日新電機㈱では、環境配慮への要請の高まり、脱炭素に向けた電力システムの変化など、持続可能な社会に向けた動きへ対応すべく、研究開発に取り組んでおります。電力・環境システム分野では、環境負荷の低減、省スペース化を狙いとする製品の開発と共に、多様な分散型電源が導入拡大される社会において電力の安定需給を支える技術や製品、システムの開発、蓄電池システムや工場・水処理設備の進化に資する運用管理、IoT関連の技術や製品、システムの開発を進めております。ビーム・プラズマ分野では、社会を支える材料・部品・デバイスの進化に資するべく、パワー半導体用等のイオン注入装置や多様な材料改質に利用される電子線照射装置、ファインコーティング関連の技術研究や製品開発を進めております。当事業に係る研究開発費は15,661百万円であります。(2) 情報通信関連事業光通信関連製品、デバイス関連製品、化合物半導体材料、ネットワーク・システム関連製品などの分野において、総合的に研究開発を行っております。光通信関連分野では、光ファイバ・ケーブルの伝送容量向上や長距離化に向け、超低損失ガラス、新タイプの細径光ファイバや高耐曲げ性・高耐側圧性の光ファイバ、脱炭素に向けた光ファイバ新製法、次世代技術である中空コア光ファイバ等、広範囲な開発に取り組んでおります。特に、伝送容量の飛躍的拡大に向け、1本の光ファイバ中に複数のコアを有するマルチコア型光ファイバと関連技術は、2023年に世界初の商用導入を果たし、実用化への開発・実証をさらに進めております。一方で、生成AIに必要な大規模データセンターを支える様々な大容量・高密度光配線製品を開発しており、コンピューティング能力向上と消費電力低減の両立が期待される光電融合に向けた新技術創出にも取り組んでおります。デバイス関連分野では、光通信用デバイス及び無線通信用電子デバイス関連の新製品をいち早く市場に投入することにより、事業拡大に努めております。光通信用デバイス関連製品では、データセンター用機器等に搭載される支線系対応製品や、長距離幹線機器に対応したコヒーレント伝送用デバイスを開発しております。無線通信デバイス関連製品では、高効率・高出力のGaN(窒化ガリウム)トランジスタを開発し、携帯基地局用途に製品化しておりますが、5G及び次世代通信用にさらなる効率改善、高周波/広帯域化に取り組んでおります。また、これらデバイス技術の蓄積を活かし、多様な分野への応用が期待できる近赤外、中赤外領域の製品開発も進めております。化合物半導体材料では、高速通信用の光デバイスや無線通信用電子デバイスなどに用いられるInP(インジウムリン)及びGaAs(ガリウムヒ素)系エピタキシャルウエハの新製品開発を進めております。ネットワーク・システム関連分野では、持続可能で強靭な社会を支える情報通信機器・システムの研究開発を推進しております。光・無線技術及びその融合技術を活用し、5G/Beyond 5G向けネットワークやオール光ネットワークを支える光伝送システム、無線伝送システム及びそのコアとなる部品の研究開発に、通信事業者とも連携しながら取り組んでおります。当事業に係る研究開発費は21,623百万円であります。(3) 自動車関連事業モビリティ分野の主要製品である自動車関連製品においては、顧客目線の開発・提案が求められております。当社では㈱オートネットワーク技術研究所にてマーケティングから製品開発まで一貫して行う研究開発体制を整備することで、変化の激しい事業環境に追随するための方針決定の迅速化や効率化を図っております。本研究所ではCASEやSDGsなどの社会の大きなニーズの変化と当社が持つ技術シーズをマッチングさせるためのマーケティング活動を強化しており、それを基に顧客とのパートナー活動を深化させ、得意とする情報通信やエネルギー関連技術を活かしたワイヤーハーネス及びエレクトロニクス製品などの新製品の開発を行っております。ワイヤーハーネスに関しては、次世代車載システムにパワー供給や情報伝送するためのネットワークアーキテクチャを顧客と共に構想し、システム設計やそれに必要な要素技術の開発を進めております。例えば自動運転等で必要となる高速通信用ハーネス・コネクタにおいては、将来必要とされる超高速通信に向け車載光ハーネス・コネクタの開発も推進しております。また、モジュール生産など車両の製造革新に対応するための、モジュール対応ワイヤーハーネスについても開発を進めております。本格普及が進んでいる電動車(EV・PHEV・HEV)向けでは、高圧ハーネス・コネクタ、バッテリー内配線モジュールなど各製品の開発に取り組む他、高電圧・大電流化により今後大きな問題となる電磁ノイズ対策製品の開発も進めております。GX、CE(サーキュラーエコノミー)視点での研究活動も強化しており、ワイヤーハーネスからの金属・樹脂などの材料分離・再生などの技術開発にも取り組んでおります。エレクトロニクス機器に関しては、給電・分配・変換・蓄電に関わる車載電源機器や、車内の情報配線のハブ機能となる車載ゲートウェイなどの開発を進めております。さらに当社事業であるエネルギーや通信の社会基盤と車が繋がる変革に対応した新しいシステムやサービスの開発にも取り組んでおります。一方で、新製品の開発効率化や高いレベルの品質確保に不可欠な試験・分析・評価・解析技術など基盤技術の研究開発も推進しております。CAE(Computer-Aided Engineering)技術やAIなどのDX化を推し進めることで、材料選定と強度・発熱等の性能予測サイクルを短期化させ、顧客に対するタイムリーな提案を実現しております。また、今後進んでいく電磁ノイズの高周波化に対応するための高精度計測技術やノイズ測定環境の構築なども進めております。交通インフラ関連分野では、交通事故削減や自動運転社会に向けたインフラ機器・クラウド技術の研究開発を推進しております。具体的には、レーダやカメラ映像を使った車両・歩行者等のセンサや、コネクティッドカー管理システム等の開発を行っております。住友理工㈱では、ワイヤーハーネスと制遮音品や内装品、ホースなどの製品を組み合わせたシステムの提案等をはじめとして、さらなる協業体制の構築を進めております。これまで培ってきた配合技術を活かし開発した放熱性防音材が、令和6年度愛知発明表彰において「愛知発明大賞」を受賞しました。この材料は、「磁気誘導発泡成形法:MIF®(Magnetic Induction Foaming)」を用いて開発したもので、一般的な防音ウレタンの10~50倍もの放熱性能を備えております。自動運転やEVに必要とされる防音・熱対策での課題を同時に解決する材料として期待されております。EV向け熱対策においては、優れた断熱効果を持つ薄膜高断熱材「ファインシュライト」に加え、冷却系ホースや電池用断熱材、バッテリー冷却プレート「クールフィットプレート」等を開発しており、受注に向けた取組みを進めております。また、より高精度な製品設計と競争力のある量産生産性の実現を目指し、独自の加硫シミュレーション技術の確立による設計から量産工程まで一貫したDXを推進しております。自動車分野以外でも、エレクトロニクス分野、インフラ・住環境分野、ヘルスケア分野などにおいて、材料技術・センサ技術等を活かした新製品・新サービスの研究開発を進めております。SRセンサを応用した「モニライフシリーズ」は、2023年度に令和5年度中部地方発明表彰「文部科学大臣賞」と令和5年度愛知発明表彰「発明奨励賞」を受賞いたしましたが、2024年度に宿泊者の睡眠状態を可視化するサービス用途で品川駅の㈱ナインアワーズ・スリープラボに採用されました。当事業に係る研究開発費は104,238百万円であります。(4) エレクトロニクス関連事業当社固有の材料技術、マイクロ・ナノテクノロジーをベースに、FPC、電子ワイヤー製品、照射架橋製品、多孔質フッ素樹脂膜製品など広範な新材料や部品の開発を行っております。FPCでは、携帯機器や医療機器等向けの次世代微細回路製品、5Gやミリ波など高周波用途向け部材の開発に取り組んでおります。また、電子デバイス用の低線膨張率の高放熱素材、独自の多孔化技術を適用した半導体用途向けの微小孔径の多孔質フッ素樹脂膜の開発にも注力しております。当事業に係る研究開発費は5,913百万円であります。(5) 産業素材関連事業他超硬合金、ダイヤモンド、立方晶窒化硼素、コーティング薄膜、特殊鋼線、鉄系焼結部品やセラミックスに関する当社固有の材料技術とプロセス技術を駆使し、切削用工具・研削用工具や超精密加工用工具、各種自動車機構部品、機能部品等の開発を進めております。切削用工具・研削用工具開発においては、今後、市場が伸長していく航空機分野及び半導体分野を重点ターゲットとし、計算科学を活用した硬質材料の開発、コーティング技術開発を進めております。ダイヤモンドでは、超精密加工や高品位加工用工具素材として使用することを目的として、独自の原料技術や超高圧技術で単結晶ダイヤモンド素材や新材料開発及び精密加工技術開発に注力しております。また、量子センサ用ダイヤモンド素材開発にも取り組んでおります。当事業に係る研究開発費は8,858百万円であります。今後の成長を担う新規分野への挑戦として、水素エネルギー社会を実現する技術開発を行っております。また次世代の電線や高強度材料として期待されるカーボンナノチューブの長尺化にも独自製法で取り組んでおります。以上の各事業分野の研究開発及び生産、品質などを支える解析技術の分野では、電子顕微鏡による原子構造の観察や、ポリマーの分子構造解析など、最先端技術によってモノづくりの品質強化を行っております。これに加え、公益財団法人佐賀県産業振興機構・九州シンクロトロン光研究センターに当社グループ専用のビームラインを保有し、放射光による世界トップ水準の原子スケール解析を常時利用することで、製品開発の加速や知的財産権の強化などを進めております。また、大規模計算や計算科学など高度な計算機シミュレーション技術の開発、AI活用にも注力しており、本技術を活用することで新製品設計最適化、生産プロセスの改善による信頼性向上を推進しております。その他、中国・蘇州市に中国解析センターを設置し、当社グループのグローバル展開を支えております。研究開発・モノづくりを強化するためにDX技術の開発も進めてまいります。新材料の研究開発を加速するために、MI(マテリアルズ・インフォマティクス)や、PI(プロセス・インフォマティクス)の取組みを積極的に推進してまいります。また、生産現場からIoT技術を用いてデータを収集する技術や、AIや分析によりデータ活用するための技術開発を進めてまいります。以上の取組みや技術を用いた改善事例をツール化・アプリ化し、当社グループの様々な工場に横展開してまいります。並行して、社外からのサイバー攻撃からシステムを守るセキュリティ関連技術も強化いたします。大阪製作所内の研究本館「WinDLab」を研究・開発活動の中核とし、2020年度に伊丹製作所内に開所した「CRystal Lab.」並びに横浜製作所内の情報通信分野の研究開発拠点が連携して部門横断的な研究開発の加速に取り組んでおります。なお、生成AIの拡大に伴い、今後も需要増が見込まれるデータセンター関連製品の研究開発を強化するため、2026年3月の竣工を目指して横浜製作所内に新たな研究開発棟を建設中であります。海外においても米国カリフォルニア州のICS(Innovation Core SEI,Inc.)の他、欧州・中国等に設けた研究拠点を活用して、広い視野で事業の成長を目指してまいります。また、グループ全体として、これらの研究開発の成果を早期に収穫すべく努めるとともに、企業の社会的責任を自覚し、先進情報通信インフラ構築、省エネ、省資源、環境保護を一層前進させる研究にも注力してまいります。
FY2024|6,201 文字
6【研究開発活動】当社及び連結子会社は、「技術を創造し、変革を生み出し、絶えざる成長に努めます」との経営理念の下、社会の変革・伸長分野に焦点を合わせ、オリジナリティがあり、かつ収益力のある新事業・新製品の開発に努めております。また、将来の社会ニーズを踏まえ、当社グループの次代の成長を担う研究テーマの発掘・育成にも積極的に取り組んでおります。環境エネルギー関連事業、情報通信関連事業、自動車関連事業、エレクトロニクス関連事業、産業素材関連事業他の各事業分野及び共通基盤技術における当連結会計年度の主な成果は以下のとおりであります。また、当連結会計年度における研究開発費の総額は141,992百万円であります。(1) 環境エネルギー関連事業超電導や次世代送電網の分野でのネットワーク技術を活用したエネルギーソリューション事業など、新しい分野への進出を図るとともに、蓄電池、電力ケーブルなどエネルギー分野での積極的な開発を推進しております。超電導の分野では、溶液塗布熱分解法による低コスト希土類系高温超電導線材の実用化に取り組んでおります。また、世界初の安定した超電導接続技術を開発し、永久電流で磁場を発生することが可能なコイルを実現いたしました。これらの技術により、高温超電導線材のNMR(核磁気共鳴装置)やMRI(磁気共鳴画像)への展開や小型核融合炉用マグネットへの応用が期待できます。次世代送電網の分野では、自然エネルギーの導入、省エネルギー、電力網の分散管理といった社会ニーズに対応すべく、レドックスフロー電池(蓄電池)について、大規模システムによる実証運転を実施しております。また、分散型電源を統合的に監視し最適な制御を行うためのエネルギーマネジメントシステム、送電線の増容量化と過負荷保護を実現する架空線ダイナミックレーティングシステムの開発にも注力しております。HEV(ハイブリッド自動車)などの環境対応車に多用されるニッケル水素電池の集電体として上市しているニッケル製セルメットを各種燃料電池、水素製造電極向けに展開するため、高温耐久性を付与した耐熱セルメットや、耐強酸性を高めた耐食セルメットを開発しております。また、EV(電気自動車)やHEV等の環境対応車の分野では、固有の高分子材料の合成技術を駆使し、駆動モーター等に適用する高性能平角巻線の開発にも取り組んでおり、モーターの高性能化に貢献する薄肉皮膜で高度な電気絶縁性を発揮する次世代平角巻線の開発に注力しております。電力ケーブルの技術開発では、長距離直流連系線、再生エネルギー関連の需要伸長に対応すべく、超高圧直流ケーブル、洋上風力向けケーブルの開発や送電線路に用いられるシステム製品を開発しております。住友電設㈱では、社会や顧客の多様化するニーズに応えるべく、脱炭素化社会実現に向けた技術、省エネルギー技術、IoTや5Gを活用した監視・エネルギー管理等のビルマネジメントシステム、工場向け統合セキュリティシステム、ローカル5Gシステム、HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)による食品衛生管理をクラウドで一元管理するシステムなど、最新技術、情報化技術を活用し、新技術、新工法、各種システムの開発に取り組んでおります。日新電機㈱では、電力システム改革の進展や環境配慮への要請の高まり、持続可能な社会に向けた動きに対応すべく、研究開発に取り組んでおります。電力・環境システム分野では、コンパクト化及び環境負荷の低減を狙いとした製品開発と共に、多様な分散型電源が導入拡大される社会において電力供給を支えるための技術や製品、システムの開発、工場・水処理設備の進化に資する監視制御、蓄電池を含むエネルギー管理やIoT関連の技術や製品、システムの開発を進めております。ビーム・プラズマ分野では、社会を支える材料・部品・デバイスの進化に資するべく、半導体製造用イオン注入装置や電子線照射装置、ファインコーティング装置の技術研究や製品開発を進めております。また、送配電機器・エネルギーソリューション事業を強化すべく、日新電機㈱の研究開発部門を融合した新たな組織、日新住電エネルギーシステム開発センターを2024年4月1日に開設いたしました。当事業に係る研究開発費は21,345百万円であります。(2) 情報通信関連事業光通信関連製品、デバイス関連製品、化合物半導体材料、ネットワーク・システム関連製品などの分野において、総合的に研究開発を行っております。光通信関連製品では、光ファイバ・ケーブルの伝送容量向上や長距離化に向け、新タイプの細径光ファイバや高耐曲げ性・高耐側圧性の光ファイバの開発と製品化に取り組んでおります。また、伝送容量の飛躍的拡大に向けては、1本の光ファイバ中に複数のコアを有するマルチコア型光ファイバ及び関連光部品・接続技術の実用に向けた開発・実証を更に進めております。一方で、従来のテレコム光通信で培った技術の展開として、データセンターにおける情報機器内や情報機器間の高速大容量伝送に適した光配線製品を開発しております。特に、新型光コネクタや情報機器内の高密度光配線を実現する光部品などの製品開発と市場開拓を進めております。デバイス関連分野では、光通信用デバイス及び無線通信用電子デバイス関連の新製品をいち早く市場に投入することにより、事業拡大に努めております。光通信用デバイス関連製品では、データセンター用機器等に搭載される支線系対応製品や、長距離幹線機器に対応したコヒーレント伝送用デバイスを開発しております。無線通信デバイス関連製品では、高効率・高出力のGaN(窒化ガリウム)トランジスタを開発し、携帯基地局用途に製品化しておりますが、5G及び次世代通信用にさらなる効率改善、高周波/広帯域化に取り組んでおります。また、これらデバイス技術の蓄積を活かし、多様な分野への応用が期待できる近赤外、中赤外領域の製品開発も進めております。化合物半導体材料では、高速通信用の光デバイスや無線通信用電子デバイスなどに用いられるInP(インジウムリン)及びGaAs(ガリウムヒ素)系エピタキシャルウエハの新製品開発を進めております。ネットワーク・システム関連分野では、持続可能で強靭な社会を支える情報通信機器・システムの研究開発を推進しております。光・無線技術及びその融合技術を活用し、5G/Beyond 5G向けネットワークやオール光ネットワークを支える光伝送システム、無線伝送システム及びそのコアとなる部品の研究開発に、通信事業者とも連携しながら取り組んでおります。当事業に係る研究開発費は21,656百万円であります。(3) 自動車関連事業モビリティ分野の主要製品である自動車関連製品においては、顧客目線の開発・提案が求められており、マーケティング機能を強化し、車の進化に対応した新技術をタイムリーに製品化することが重要となります。そこでマーケティングから製品開発までを一貫体制で実施することによる方針決定のスピードアップや重複機能の解消による効率化、及びループシナジーの更なる推進を目的に、2023年10月に当社のCAS-EV開発推進部が担当してきた自動車関連製品のマーケティングと先行開発に係る事業を㈱オートネットワーク技術研究所へ承継し、新たな研究開発体制を整備いたしました。新体制の㈱オートネットワーク技術研究所では、CASEやSDGsなどの社会の大きな流れに対応すべく顧客とのパートナー活動を深化させ、得意とする情報通信やエネルギー関連技術を活かしたワイヤーハーネス及びエレクトロニクス機器などの新製品の開発を行っております。ワイヤーハーネスに関しては、次世代車載システムにパワー供給や情報伝送するためのネットワークアーキテクチャを顧客と共に構想し、システム設計を行うと共に、それに必要な要素技術の開発を進めております。例えば自動運転や安全運転支援などで必要になる高速通信用ハーネス・コネクタの開発を進めております。また本格普及が進んでいるEV・HEV向けの高圧ハーネス・コネクタ、バッテリー内配線モジュールなどの開発にも取り組んでおります。エレクトロニクス機器に関しては、給電・分配・変換・蓄電に関わる車載電源機器や、車内の情報配線のハブ機能となる車載ゲートウェイなどの開発を進めております。さらに当社事業であるエネルギーや通信の社会基盤と車が繋がる変革に対応した新しいシステムやサービスの開発にも取り組んでおります。一方、新製品の開発効率化や高いレベルの品質確保に不可欠な試験・分析・評価・解析技術など基盤技術の開発を推進しております。環境試験装置や分析装置等の評価設備の充実を図るとともに、DX化を推し進めCAE(Computer-Aided Engineering)技術を用いたシミュレーション技術も充実させており、強度、発熱などを予測し製品開発を効率化しております。またAIを活用した材料の選定、性能予測、最適化などを行うことで、大幅な工数削減を実現しております。また、交通インフラ関連では、車両・歩行者等のセンサの開発、コネクティッドカー管理やEVを含むエネマネ需給最適化に資するクラウド技術の開発を行っております。住友理工㈱では、自動車分野でCASEをはじめとした技術革新に対応した製品や関連技術などについて、研究開発・技術確立を進めております。また、DX推進の一つとして独自の加硫シミュレーション技術の確立に取り組んでおります。新商品開発センターでは、圧力の検知により、バイタルデータ(呼吸成分や心拍成分などの生体情報)を推定することが可能な独自開発の「スマートラバー(SR)センサ」を応用し、ドライバーモニタリングシステムを開発中であります。国立研究開発法人産業技術総合研究所との連携研究室を2020年10月に設立し、実証実験を継続しております。さらに、EVで注目される熱マネジメントへの対応製品として、車室内の断熱効果を高める薄膜高断熱材「ファインシュライト™ 」は、その断熱性能が認められ令和4年度愛知発明表彰「愛知発明賞」を受賞したほか、冷却系ホースや電池用の断熱材、バッテリー冷却板などの開発も進めており、省エネや環境負荷軽減に貢献できる製品でさらなる技術開発を進めます。自動車分野以外でも、エレクトロニクス分野、インフラ・住環境分野、ヘルスケア分野などにおいて、材料技術・センサ技術等を活かした新製品・新サービスの研究開発を進めており、ヘルスケア分野では、SRセンサを応用した「モニライフシリーズ」が令和5年度中部地方発明表彰「文部科学大臣賞」と、令和5年度愛知発明表彰「発明奨励賞」を受賞いたしました。当事業に係る研究開発費は84,970百万円であります。(4) エレクトロニクス関連事業当社固有の材料技術、マイクロ・ナノテクノロジーをベースに、FPC、電子ワイヤー製品、照射架橋製品、多孔質フッ素樹脂膜製品など広範な新材料や部品の開発を行っております。FPCでは、携帯機器や医療機器等向けの次世代微細回路製品、車載向けの高耐熱性電子回路製品、5Gやミリ波など高周波用途向け部材の開発に取り組んでおります。また、電子デバイス用の低線膨張率の高放熱素材、独自の多孔化技術を適用した半導体用途向けの微小孔径の多孔質フッ素樹脂膜の開発にも注力しております。当事業に係る研究開発費は5,312百万円であります。(5) 産業素材関連事業他超硬合金、ダイヤモンド、立方晶窒化硼素、コーティング薄膜、特殊鋼線、鉄系焼結部品やセラミックスに関する当社固有の材料技術とプロセス技術を駆使し、切削用工具・研削用工具や超精密加工用工具、各種自動車機構部品、機能部品等の開発を進めております。切削用工具・研削用工具開発においては、今後、市場が伸長していく航空機分野及び半導体分野を重点ターゲットとし、計算科学を活用した硬質材料の開発、コーティング技術開発を進めております。ダイヤモンドでは、超精密加工や高品位加工用工具素材として使用することを目的として、独自の原料技術や超高圧技術で単結晶ダイヤモンド素材や新材料開発及び精密加工技術開発に注力しております。また、量子センサ用ダイヤモンド素材開発にも取り組んでおります。当事業に係る研究開発費は8,710百万円であります。今後の成長を担う新規分野への挑戦として、水素エネルギー社会を実現する技術開発を行っております。また次世代の電線や高強度材料として期待されるカーボンナノチューブの長尺化にも独自製法で取り組んでおります。そのほか、脱炭素社会実現のキーデバイスとして期待されているSiCパワーデバイスでは、エピ基板及びデバイスの製品化を進めております。当社SiCエピ基板は高品質が好評で、生産能力増強を進めております。デバイスでは、当社独自構造のV溝型トランジスタを開発し、車載分野や産業機械分野への製品展開を進めております。以上の各事業分野の研究開発及び生産、品質などを支える解析技術の分野では、電子顕微鏡による原子構造の観察や、ポリマーの分子構造解析など、最先端技術により、モノづくりの品質強化を行っております。これに加え、公益財団法人佐賀県産業振興機構・九州シンクロトロン光研究センターに当社グループ専用のビームラインを保有し、放射光による世界トップ水準の原子スケール解析を常時利用することで、製品開発の加速や知的財産権の強化などを進めております。また、大規模計算や計算科学など高度な計算機シミュレーション技術の開発に加え、計算処理能力向上にも注力しており、生産プロセスの改善、新製品設計最適化により、製品の信頼性向上を推進しております。その他、中国・蘇州市に中国解析センターを設置し、当社グループのグローバル展開を支えております。モノづくり力を更に強化するために、IoTやAIを精度よく、かつ効率よく活用する技術開発を進めるとともに、改善事例をパターン化し、当社グループの様々な工場に対し、迅速に横展開するシステムの開発を進めてまいります。また、新材料の研究開発を加速するために、MI(マテリアルズ・インフォマティクス)や、PI(プロセス・インフォマティクス)の研究開発を組織的に進めてまいります。2020年度に伊丹製作所内に「CRystal Lab.」を開所し、部門横断的な研究開発の加速に取り組んでおります。大阪製作所内の研究本館「WinDLab」を研究・開発活動の中核とし、横浜製作所に情報通信分野の研究開発拠点を置き、米国カリフォルニア州のICS(Innovation Core SEI,Inc.)の他、欧州・中国等の海外の研究拠点を活用して、広い視野で事業の成長を目指します。また、当社グループ全体として、これらの研究開発の成果を早期に収穫すべく努めるとともに、企業の社会的責任を自覚し、先進情報通信インフラ構築、省エネ、省資源、環境保護を一層前進させる研究にも注力してまいります。
FY2023|6,356 文字
6【研究開発活動】当社及び連結子会社は、「技術を創造し、変革を生み出し、絶えざる成長に努めます」という経営理念の下、社会の変革・伸長分野に焦点を合わせ、オリジナリティがあり、かつ収益力のある新事業・新製品の開発に努めております。また、将来の社会ニーズを踏まえ、当社グループの次代の成長を担う研究テーマの発掘・育成にも積極的に取り組んでおります。自動車関連事業、情報通信関連事業、エレクトロニクス関連事業、環境エネルギー関連事業、産業素材関連事業他の各事業分野における当連結会計年度の主な成果は以下のとおりであります。また、当連結会計年度における研究開発費の総額は127,672百万円であります。(1) 自動車関連事業ワイヤーハーネス及び車載エレクトロニクス機器については、当社、住友電装㈱及び両社の共同出資による㈱オートネットワーク技術研究所と連携し、当社固有の情報通信やエネルギー関連技術を活かして、安全・快適・環境のニーズに対応した新製品の開発を行っております。特に近年のCASEやSDGsなどの社会の大きな流れに対応するために2020年4月、当社内にCAS-EV開発推進部を新たに立ち上げ、従来の枠にとらわれないコンセプト・企画から技術開発まで一貫して行う開発体制を構築することで、ハーネスを起点とした新事業創出のスピードアップを進めております。ワイヤーハーネスについては、次世代車載システムにパワー供給や情報伝送するためのネットワークアーキテクチャを顧客と共に構想し、システム設計を行うとともに、それに必要な要素技術の開発を進めております。例えば自動運転や安全運転支援等で必要になる高速通信用ハーネス・コネクタの開発を進めております。また本格普及が進んでいる電気自動車(EV)・ハイブリッド自動車(HEV)向けの高圧ハーネス・コネクタ、バッテリー内配線モジュールなどの開発にも取り組んでおります。車載エレクトロニクス機器に関しては、CASEに対応するため、パワー系ネットワークは給電・分配・変換・蓄電に関わる電源機器部品を開発し、また情報系ネットワークは車内の情報配線のハブ機能となる車載ゲートウェイの開発や高速大容量通信が可能な光通信技術などの開発をしております。さらに当社事業であるエネルギーや通信の社会基盤と車が繋がる変革に対応した新しいモビリティサービスの開発にも取り組んでおります。一方、新製品の開発効率化や高いレベルの品質確保に不可欠な試験・分析・評価・解析技術など基盤技術の開発を推進しております。環境試験装置や分析装置等の評価設備の充実を図るとともに、DX化を推し進めCAE(Computer-Aided Engineering)技術を用いたシミュレーション技術も充実させております。シミュレーション技術の活用により強度、発熱などを予測し製品開発を効率化するほか、電気自動車の電費予測など自動車メーカーと同じ目線で新製品の付加価値を検証できるようにしています。また、交通インフラ関連では、交通流改善技術や車両・歩行者等のセンサの開発、モビリティサービスやコネクティッドカー管理に資するクラウド技術の開発を行っております。住友理工㈱では、自動車分野でCASEをはじめとした技術革新に対応した製品や関連技術などについて、研究開発・技術確立を進めております。新商品開発センターでは、圧力の検知により、呼吸成分や心拍成分などの生体情報(バイタルデータ)を推定することが可能な独自開発の「スマートラバー(SR)センサ」を応用し、ドライバーモニタリングシステムを開発中であります。国立研究開発法人産業技術総合研究所との連携研究室を2020年10月に設立し、実証実験を継続しております。さらに、EVで注目される熱マネジメントへの対応製品として、車室内の断熱効果を高める薄膜高断熱材「ファインシュライト™ 」は、その断熱性能が認められ2022年愛知発明賞を受賞したほか、冷却系ホースや電池用の断熱材などの開発も進めており、省エネや環境負荷軽減に貢献できる製品でさらなる技術開発を進めます。自動車分野以外でも、エレクトロニクス分野、インフラ・住環境分野、ヘルスケア分野などにおいても、材料技術・センサ技術等を活かした新製品・新サービスの研究開発を進めております。当事業に係る研究開発費は70,338百万円であります。(2) 情報通信関連事業光通信関連製品、デバイス関連製品、化合物半導体材料、ネットワーク・システム関連製品などの分野において、総合的に研究開発を行っております。光通信関連製品では、光ファイバ・ケーブルの伝送容量向上や長距離化に向け、新タイプの細径光ファイバや高耐曲げ性・高耐側圧性の光ファイバの開発と製品化に取り組んでおります。また、伝送容量の飛躍的拡大に向けては、1本の光ファイバ中に複数のコアを有するマルチコア型光ファイバ及び関連光部品・接続技術の実用に向けた開発・実証を更に進めております。一方で、従来のテレコム光通信で培った技術の展開として、データセンターにおける情報機器内や情報機器間の高速大容量伝送に適した光配線製品を開発しております。特に、新型光コネクタや情報機器内の高密度光配線を実現する光部品などの製品開発と市場開拓を進めております。デバイス関連分野では、光通信用デバイス及び無線通信用電子デバイス関連の新製品をいち早く市場に投入することにより、事業拡大に努めております。光通信用デバイス関連製品では、データセンター用機器等に搭載される支線系対応製品や、長距離幹線機器に対応したコヒーレント伝送用デバイスを開発しております。無線通信デバイス関連製品では、高効率・高出力のGaNトランジスタを開発し、携帯基地局用途に製品化しておりますが、5G及び次世代通信用にさらなる効率改善、高周波/広帯域化に取り組んでおります。また、これらデバイス技術の蓄積を活かし、多様な分野への応用が期待できる近赤外、中赤外領域の製品開発も進めております。化合物半導体材料では、高速通信用の光デバイスや無線通信用電子デバイスなどに用いられるInP及びGaAs(ガリウムヒ素)系エピタキシャルウエハの新製品開発を進めております。ネットワーク・システム関連分野では、情報通信技術の革新による、Society5.0の実現を目指した情報通信機器・システムの研究開発を推進しております。有線通信システム関連では、5G/Beyond 5G向けネットワークやオール光ネットワークを支える光伝送システムの研究開発に、無線通信システム関連では、あらゆるものを繋げるIoTを実現する5G/Beyond 5G向けの新製品の研究開発に、通信事業者とも連携しながら取り組んでおります。当事業に係る研究開発費は25,151百万円であります。(3) エレクトロニクス関連事業当社固有の材料技術、マイクロ・ナノテクノロジーをベースに、FPC、電子ワイヤー製品、照射架橋製品、多孔質フッ素樹脂膜製品など広範な新材料や部品の開発を行っております。FPCでは、携帯機器や医療機器等向けの次世代微細回路製品、車載向けの高耐熱性電子回路製品、5Gやミリ波など高周波用途向け部材の開発に取り組んでおります。また、金属材料とセラミックスを複合化した電子デバイス用の低線膨張率の高放熱素材、独自の多孔化技術を適用した半導体用途や水処理向けの微小孔径の多孔質フッ素樹脂膜の開発にも注力しております。当事業に係る研究開発費は4,344百万円であります。(4) 環境エネルギー関連事業 超電導や次世代送電網の分野でのネットワーク技術を活用したエネルギーソリューション事業など、新しい分野への進出を図るとともに、蓄電池、電力ケーブルなどエネルギー分野での積極的な開発を推進しております。 超電導分野では、ビスマス系高温超電導線材の特性と量産性を大幅に向上させ、MRIやNMRなどのマグネット用や、世界各国のケーブルプロジェクト用などに線材を納入するなど、商業ベースでの線材販売及びマーケティングに注力しております。産業応用では超電導マグネットシステムの開発を進めており、磁気特性評価装置への適用、さらに産業界での実用化、用途開拓に注力しているところであります。一方、レアアース系次世代超電導線材の実用化にも取り組んでおります。本線材では超電導接合技術を開発し、国立研究開発法人理化学研究所他とともに永久電流モード高温超電導コイルの実現と同コイルを用いた核磁気共鳴信号の取得に世界で初めて成功いたしました。 次世代送電網の分野では、自然エネルギーの導入、省エネルギー、電力網の分散管理といった社会ニーズに対応すべく、レドックスフロー電池(蓄電池)について、大規模システムによる実証運転を実施しております。また、分散型電源を統合的に監視し最適な制御を行うためのエネルギーマネジメントシステム、送電線の増容量化と過負荷保護を実現する架空線ダイナミックレーティングシステムの開発にも注力しております。 HEVなどの環境対応車に多用されるニッケル水素電池の集電体として上市しているニッケル製セルメットを各種燃料電池向けに展開するため、高温耐久性を付与した耐熱セルメットや、耐強酸性を高めた耐食セルメットを開発しております。また、EVやHEV等の環境対応車の分野では、固有の高分子材料の合成技術を駆使し、駆動モーター等に適用する高性能平角巻線の開発にも取り組んでおり、モーターの高性能化に貢献する薄肉皮膜で高度な電気絶縁性を発揮する次世代平角巻線の開発に注力しております。 電力ケーブルの技術開発では、長距離直流連系線、再生エネルギー関連の需要伸長に対応すべく、超高圧直流ケーブル、洋上風力向けケーブルの開発や送電線路に用いられるシステム製品を開発しております。 住友電設㈱では、社会や顧客の多様化するニーズに応えるべく、脱炭素化社会実現に向けた技術、省エネルギー技術、IoTや5Gを活用した監視・エネルギー管理等のビルマネジメントシステム、工場向け統合セキュリティシステム、ローカル5Gシステム、HACCP*による食品衛生管理をクラウドで一元管理するシステムなど、最新技術、情報化技術を活用し、新技術、新工法、各種システムの開発に取り組んでおります。* HACCP:Hazard Analysis and Critical Control Point 日新電機㈱では、電力システム改革の進展や環境配慮への要請の高まり、持続可能な社会に向けた動きに対応すべく、研究開発に取り組んでおります。 電力・環境システム分野では、コンパクト化及び環境負荷の低減を狙いとした製品開発と共に、太陽光発電をはじめ、多様な分散型電源が導入拡大される社会を支えるための技術研究や製品開発、並びに、工場・水処理設備の進化に資する監視制御システム、EMS(エネルギー管理システム)関連やIoT関連の技術研究や製品開発、並びにソリューション開発を進めております。 ビーム・プラズマ分野では、ファインコーティング装置やその用途拡大に向けた研究開発、半導体製造用イオン注入装置や電子線照射装置など、社会を支える材料・部品・デバイスの進化に資するべく、技術研究や製品開発を進めております。当事業に係る研究開発費は18,814百万円であります。(5) 産業素材関連事業他超硬合金、ダイヤモンド、立方晶窒化硼素、コーティング薄膜、特殊鋼線、鉄系焼結部品やセラミックスに関する当社固有の材料技術とプロセス技術を駆使し、切削用工具や超精密加工用工具、各種自動車機構部品、機能部品等の開発を進めております。切削用工具開発においては、今後、市場が伸長していく航空機分野を重点ターゲットとし、計算科学を活用した硬質材料の開発、コーティング技術開発を進めております。また切削加工のIoT化に向け、切削工具に各種センサを内蔵させたセンシングツールの開発にも取り組んでおります。ダイヤモンドでは、超精密加工や高品位加工用工具素材として使用することを目的として、独自の原料技術や超高圧技術で機械特性を向上させた単結晶ダイヤモンド素材や新材料の開発及び精密金型・航空機部品・医療に用いられる難削材の精密加工技術の開発に注力しております。焼結部品の関連では、自動車の電動化ニーズに対応した小型・高出力モーターに貢献する、磁気特性と造形性に優れた圧粉軟磁性材料の開発に注力しております。当事業に係る研究開発費は9,025百万円であります。今後の成長を担う新規分野への挑戦として、水素エネルギー社会を実現する技術開発を行っております。また次世代の電線や高強度材料として期待されるカーボンナノチューブの長尺化にも独自製法で取り組んでおります。そのほか、当社の持つ材料技術を活かし、脱炭素社会実現のキーデバイスとして期待されているSiCパワーデバイスでは、結晶(基板)から、エピ、デバイスまでの一貫生産体制の構築を進めております。当社SiCエピ基板は高品質が市場で好評で、生産能力増強を進めております。デバイスでは、当社独自構造のV溝型トランジスタを開発し、車載分野や産業機械分野への製品展開を進めております。並行して、市場の需要拡大の要求に応えるべく、車載用をはじめとするそれぞれの用途に適した製品の供給に向け、性能・コスト・供給能力の改善を進めております。以上の各事業分野の研究開発及び生産、品質などを支える解析技術の分野では、電子顕微鏡による原子構造の観察や、ポリマーの分子構造解析など、最先端技術により、モノづくりの品質強化を行っております。これに加え、公益財団法人佐賀県産業振興機構・九州シンクロトロン光研究センターに当社グループ専用のビームラインを保有し、放射光による世界トップ水準の原子スケール解析を常時利用することで、製品開発の加速や知的財産権の強化などを進めております。また、大規模計算や計算科学など高度な計算機シミュレーション技術の開発に加え、計算処理能力向上にも注力しており、生産プロセスの改善、新製品設計最適化により、製品の信頼性向上を推進しております。その他、中国・蘇州市に中国解析センターを設置し、当社グループのグローバル展開を支えております。モノづくり力を更に強化するために、IoTやAIを精度よく、かつ効率よく活用する技術開発を進めるとともに、改善事例をパターン化し、住友電工グループの様々な工場に対し、迅速に横展開するシステムの開発を進めていきます。また、新材料の研究開発を加速するために、MI(マテリアルズ・インフォマティクス)や、PI(プロセス・インフォマティクス)の研究開発を組織的に進めていきます。2020年度に伊丹製作所内に「CRystal Lab.」を開所し、部門横断的な研究開発の加速に取り組んでおります。大阪製作所内の研究本館「WinDLab」を研究・開発活動の中核とし、横浜製作所に情報通信分野の研究開発拠点を置き、米国カリフォルニア州のICS(Innovation Core SEI, Inc.)の他、欧州・中国等の海外の研究拠点を活用して、広い視野で事業の成長を目指します。また、グループ全体として、これらの研究開発の成果を早期に収穫すべく努めるとともに、企業の社会的責任を自覚し、先進情報通信インフラ構築、省エネ、省資源、環境保護を一層前進させる研究にも注力してまいります。
FY2022|6,535 文字
5【研究開発活動】当社及び連結子会社は、「技術を創造し、変革を生み出し、絶えざる成長に努めます」という経営理念の下、社会の変革・伸長分野に焦点を合わせ、オリジナリティがあり、かつ収益力のある新事業・新製品の開発に努めております。また、将来の社会ニーズを踏まえ、当社グループの次代の成長を担う研究テーマの発掘・育成にも積極的に取り組んでおります。自動車関連事業、情報通信関連事業、エレクトロニクス関連事業、環境エネルギー関連事業、産業素材関連事業他の各事業分野における当連結会計年度の主な成果は以下のとおりであります。また、当連結会計年度における研究開発費の総額は123,060百万円であります。(1) 自動車関連事業ワイヤーハーネス及び車載エレクトロニクス機器については、当社、住友電装㈱及び両社の共同出資による㈱オートネットワーク技術研究所を中心に、当社固有の情報通信やエネルギー関連技術を活かして、安全・快適・環境のニーズに対応した新製品の開発を行っております。特に近年のCASEやSDGsなどの社会の大きな流れに対応するために2020年4月、当社内に新しい組織(CAS-EV開発推進部)を立上げ、従来の枠にとらわれないコンセプト・企画から技術開発まで一貫して行う開発体制を構築することで、ハーネスを起点とした新事業創出のスピードアップを進めております。ワイヤーハーネスについては、次世代車載システムにパワー供給や情報伝送するためのネットワークアーキテクチャを構築し、システム設計を行うとともに、それに必要な要素技術の開発を進めております。例えば自動運転等で必要になる高速通信用ハーネス、コネクタ技術の開発を進めております。また市場規模が拡大してきた電気自動車(EV)・ハイブリッド自動車(HEV)用高圧ハーネスやコネクタ、バッテリー内配線モジュールの開発等にも取り組んでおります。車載エレクトロニクス機器に関しては、CASE時代を見据えて、パワー系ネットワークは給電・分配・変換・蓄電に関わる電源機器部品などを開発し、また情報系ネットワークは車内の情報配線のハブ機能となる車載ゲートウェイの開発や高速大容量通信が可能な光通信技術などの適用も検討しております。さらに当社事業であるエネルギーや通信の社会基盤と車が繋がる変革に対応した新製品・新技術の開発にも取り組んでおります。一方、新製品の開発効率化や高いレベルの品質確保に向け、要素技術開発や信頼性確保に不可欠な試験・分析・評価・解析技術など基盤技術の開発を推進しております。環境試験装置や分析装置等の評価設備の充実を図るとともに、DX化を推し進めCAE(Computer-Aided Engineering)技術を用いたシミュレーション技術も充実させております。シミュレーション技術は電気自動車の電費予測など自動車メーカーと同じ目線での評価にも活用しております。また、交通インフラ関連では、交通流改善技術や車両・歩行者等のセンサの開発、モビリティサービスやコネクティッドカー管理に資するクラウド技術の開発を行っております。住友理工㈱では、自動車分野でCASEをはじめとした技術革新に対応した製品や関連技術などについて、研究開発・技術確立を進めております。新商品開発センターでは、圧力の検知により、呼吸や心拍などの生体情報(バイタルデータ)を測定することが可能な独自開発の「スマートラバー(SR)センサ」を応用し、ドライバーモニタリングシステムを開発中であります。国立研究開発法人産業技術総合研究所との連携研究室を2020年10月に設立し、実証実験を継続しております。さらに、EVで注目される熱マネジメントへの対応製品として、車室内の断熱効果を高める薄膜高断熱材「ファインシュライト™ 」を2020年9月に発売したほか、冷却系ホースや電池用の断熱材などの開発にも着手しており、省エネや環境負荷軽減に貢献できる製品でさらなる技術開発を進めます。自動車分野以外でも、エレクトロニクス分野、インフラ・住環境分野、ヘルスケア分野においても、材料技術・センサ技術等を活かした新製品・新サービスの研究開発を進めております。当事業に係る研究開発費は72,946百万円であります。(2) 情報通信関連事業光通信関連製品、通信用デバイス・化合物半導体材料、ネットワーク・システム製品などの分野において、総合的に研究開発を行っております。光通信関連製品では、光ファイバ通信のさらなる高速化・長距離化に向けて、海底ケーブル用途の低損失光ファイバの品質改善及び生産性向上に取り組んでおります。また、伝送容量の飛躍的な拡大に向けて、1本の光ファイバ中に複数本のコアを有するマルチコア型光ファイバ、及び、関連光部品・接続技術の実用に向けた開発・実証を進めております。一方で、従来のテレコム光通信で培った技術の展開として、データセンターにおける情報機器内や情報機器間の高速大容量伝送に適した光配線製品を開発しております。特に、新型光コネクタや情報機器内の高密度光配線を実現する光部品などの製品開発と市場開拓を進めております。デバイス関連分野では、光通信用デバイス及び無線通信用電子デバイス関連の新製品をいち早く市場に投入することにより、事業拡大に努めております。光通信用デバイス関連製品では、データセンター用機器等に搭載される支線系対応製品や、長距離幹線機器に対応したコヒーレント伝送用デバイスを開発しております。無線通信デバイス関連製品では、高効率・高出力のGaN(窒化ガリウム)トランジスタを開発し、携帯基地局用途に製品化しておりますが、5G及び次世代通信用にさらなる効率改善、高周波/広帯域化に取り組んでおります。また、これらデバイス技術の蓄積を活かし、多様な分野への応用が期待できる近赤外、中赤外領域の製品開発も進めております。化合物半導体では、高速通信用の光デバイスや無線通信用電子デバイスなどに用いられるInP(インジウムリン)及びGaAs(ガリウムヒ素)系エピタキシャルウエハの新製品開発を進めております。また、青紫色レーザダイオード、白色LEDやパワーデバイス等に応用されるGaN基板の高品質化に加え、それら材料からデバイス技術の研究とその応用製品の開発も行っております。ネットワーク・システム関連分野では、情報通信技術の革新による、Society5.0の実現を目指した情報通信機器・システムの研究開発を推進しております。有線通信システム関連では、5G/Beyond 5G向けネットワークやデータセンター間接続を支える光伝送システムの研究開発に、無線通信システム関連では、あらゆるものを繋げるIoTを実現する5G/Beyond 5G向けの新製品の研究開発に、通信事業者とも連携しながら取り組んでおります。当事業に係る研究開発費は21,842百万円であります。(3) エレクトロニクス関連事業当社固有の材料技術、マイクロ・ナノテクノロジーをベースに、FPC、電子ワイヤー製品、照射架橋製品、多孔質フッ素樹脂膜製品など広範な新材料や部品の開発を行っております。FPCでは、携帯機器等向けの次世代微細回路製品、車載向けの高耐熱性電子回路製品、5Gやミリ波など高周波用途向け部材の開発に取り組んでおります。また、金属材料とセラミックスを複合化した電子デバイス用の低線膨張率の高放熱素材、独自の多孔化技術を適用した半導体用途や水処理向けの微小孔径の多孔質フッ素樹脂膜の開発にも注力しております。当事業に係る研究開発費は3,790百万円であります。(4) 環境エネルギー関連事業超電導や次世代送電網の分野でのネットワーク技術を活用したエネルギーソリューション事業など、新しい分野への進出を図るとともに、蓄電池などエネルギー分野での積極的な開発を推進しております。超電導分野では、ビスマス系高温超電導線材の特性と量産性を大幅に向上させ、MRIやNMRなどのマグネット用や、世界各国のケーブルプロジェクト用などに線材を納入するなど、商業ベースでの線材販売の本格化を図りつつあります。機械強度を大幅に向上した高強度超電導線材は、超高磁場発生用の超電導マグネットに採用され、30Tを超える磁場発生に貢献しております。産業応用では超電導マグネットシステムの開発を進めており、磁気特性評価装置への適用、さらに産業界での実用化、用途開拓に注力しているところであります。一方、レアアース系次世代超電導線材の実用化にも取り組んでおります。本線材では超電導接合技術を開発し、国立研究開発法人理化学研究所他とともに永久電流モード高温超電導コイルの実現と同コイルを用いた核磁気共鳴信号の取得に世界で初めて成功いたしました。次世代送電網の分野では、自然エネルギーの導入、省エネルギー、電力網の分散管理といった社会ニーズに対応すべく、レドックスフロー電池(蓄電池)について、大規模システムによる実証運転を実施しております。また、分散型電源を統合的に監視し最適な制御を行うためのエネルギーマネジメントシステム、宅内の電力使用量を最適化するシステム(HEMS)、電力線通信(PLC)によるメガソーラー監視装置とAIによる異常診断サービスの開発にも注力しております。HEVなどの環境対応車に多用されるニッケル水素電池の集電体として上市しているニッケル製セルメットを各種燃料電池向けに展開するため、高温耐久性を付与した耐熱セルメットや、耐強酸性を高めた耐食セルメットを開発しております。一方、蓄電池分野では、リチウムイオン電池やキャパシタなどの蓄電デバイスの高性能化に貢献する集電材料として、当社独自の溶融塩めっき技術を用いた金属多孔体「アルミセルメット」を開発しており、性能の評価を進めております。また、EVやHEV等の環境対応車の分野では、固有の高分子材料の合成技術を駆使し、駆動モーター等に適用する高性能平角巻線の開発にも取り組んでおり、モーターの高性能化に貢献する薄肉皮膜で高度な電気絶縁性を発揮する次世代平角巻線の開発に注力しております。電力ケーブルの技術開発では、長距離直流連系線、再生エネルギー関連の需要伸長に対応すべく、超高圧直流ケーブル、洋上風力向けケーブルや送電線路の効率的な保守監視を支援するシステム製品を開発しております。住友電設㈱では、社会や顧客の多様化するニーズに応えるべく、脱炭素化社会実現に向けた技術、省エネルギー技術、IoTや5Gを活用した監視・エネルギー管理等のビルマネジメントシステム、工場向け統合セキュリティシステム、バーチャルパワープラント、HACCP*による食品衛生管理をクラウドで一元管理するシステムなど、最新技術、情報化技術を活用し、新技術、新工法、各種システムの開発に取り組んでおります。* HACCP:Hazard Analysis and Critical Control Point日新電機㈱では、電力システム改革の進展や環境意識の向上、持続可能な社会に向けた動きに対応すべく、研究開発に取り組んでおります。電力・環境システム分野においては、コンパクト化及び環境負荷の低減を狙いとした製品開発と共に、太陽光発電をはじめ、多様な分散型電源が導入拡大される社会を支えるための技術研究や製品開発、並びに工場・水処理設備の進化に資する監視制御システム、EMS(エネルギー管理システム)関連やIoT関連の技術研究、製品開発及びソリューション開発を進めております。ビーム・プラズマ分野においては、新たなコーティング薄膜装置やその用途拡大に向けた研究開発、半導体製造用イオン注入装置や電子線照射装置など、社会を支える材料・部品・デバイスの進化に資するべく、技術研究や製品開発を進めております。当事業に係る研究開発費は16,168百万円であります。(5) 産業素材関連事業他超硬合金、ダイヤモンド、立方晶窒化硼素、コーティング薄膜、特殊鋼線、鉄系焼結部品やセラミックスに関する当社固有の材料技術とプロセス技術を駆使し、切削用工具や超精密加工用工具、各種自動車機構部品、機能部品等の開発を進めております。切削用工具開発においては、今後、市場が伸長していく航空機分野を重点ターゲットとし、計算科学を活用した硬質合金の開発、コーティング技術開発を進めております。また切削加工のIoT化に向け、切削工具に各種センサを内蔵させたセンシングツールの開発にも取り組んでおります。ダイヤモンドでは、超精密加工や高品位加工用工具素材として使用することを目的として、独自の原料技術や超高圧技術で機械特性を向上させた単結晶ダイヤモンド素材や新材料の開発及び精密金型・航空機部品・医療に用いられる難削材の精密加工技術の開発に注力しております。焼結部品の関連では、自動車の電動化ニーズに対応し磁気特性と造形性に優れた圧粉軟磁性材料を使った小型・高出力モーターの開発に注力しております。当事業に係る研究開発費は8,313百万円であります。今後の成長を担う新規分野への挑戦として、水素エネルギー社会を実現する技術開発を行っております。また次世代の電線や高強度材料として期待されるカーボンナノチューブの長尺化にも独自製法で取り組んでおります。そのほか、当社の持つ材料技術を活かし、脱炭素社会実現のキーデバイスとして期待されているSiCパワーデバイスを、結晶(基板)から、エピ、デバイスまで一貫して製品化を進めております。2021年度は、機械学習も組み入れた当社独自技術 "MPZ®"を活用し、さらなる高品質結晶と低欠陥エピの安定製造に取り組むとともに、6インチ(150mm径)基板の加工技術を向上させました。デバイスでは、当社独自構造のV溝型トランジスタの低損失かつ高信頼性を有する特長を生かし、車載分野や産業機械分野への製品展開を進めております。並行して、市場の需要拡大の要求に応えるべく、車載用をはじめとするそれぞれの用途に適した製品の供給に向け、性能・コスト・供給能力の改善を進めております。以上の5分野他の研究開発及びグループ全体の生産、品質などを支える解析技術の分野では、電子顕微鏡による原子構造の観察や、ポリマーの分子構造解析など、最先端技術により、モノづくりの品質強化を行っております。これに加え、公益財団法人佐賀県産業振興機構・九州シンクロトロン光研究センターに当社グループ専用のビームラインを保有し、放射光による世界トップ水準の原子スケール解析を常時利用することで、製品開発の加速や知的財産権の強化などを進めております。また、大規模計算や計算科学など高度な計算機シミュレーション技術の開発に加え、計算処理能力向上にも注力しており、生産プロセスの改善、新製品設計最適化により、製品の信頼性向上を推進しております。その他、中国・蘇州市に中国解析センターを設置し、当社グループのグローバル展開を支えております。IoT・AI技術の分野では、グループ全体のモノづくり力強化に向け、生産性向上、検査自動化、設備故障予兆診断、安全性向上をテーマに、各種センシング、無線通信、AI・ビッグデータ分析技術の開発に取り組んでおります。2020年度に伊丹製作所内に「CRystal Lab.」を開所し、部門横断的な研究開発の加速に取り組んでおります。大阪製作所内の研究本館「WinD Lab」を研究・開発活動の中核とし、米国カリフォルニア州のICS(Innovation Core SEI)の他、欧州・中国等の海外の研究拠点を活用して、広い視野で事業の成長を目指します。また、グループ全体として、これらの研究開発の成果を早期に収穫すべく努めるとともに、企業の社会的責任を自覚し、先進情報通信インフラ構築、省エネ、省資源、環境保護を一層前進させる研究にも注力してまいります。
FY2021|6,593 文字
5【研究開発活動】当社及び連結子会社は、「技術を創造し、変革を生み出し、絶えざる成長に努めます」という経営理念の下、社会の変革・伸長分野に焦点を合わせ、オリジナリティがあり、かつ収益力のある新事業・新製品の開発に努めております。また、将来の技術ニーズを踏まえ、当社グループの次代の成長を担う研究テーマの発掘・育成にも積極的に取り組んでおります。自動車関連事業、情報通信関連事業、エレクトロニクス関連事業、環境エネルギー関連事業、産業素材関連事業他の各事業分野における当連結会計年度の主な成果は以下のとおりであります。また、当連結会計年度における研究開発費の総額は118,820百万円であります。(1) 自動車関連事業ワイヤーハーネス及び車載エレクトロニクス機器については、当社、住友電装㈱及び両社の共同出資による㈱オートネットワーク技術研究所を中心に、当社固有の材料技術・解析技術を活かして安全・快適・環境のニーズに対応した新製品の開発を行っております。特に近年のCASEの流れに対応するため体制を強化し、従来の枠にとらわれないコンセプト・企画から技術開発まで一貫して行い、ハーネスをコアとした新事業創出のスピードアップを進めております。ワイヤーハーネスについては、次世代車載システムにパワー供給や情報伝送するためのハーネスアーキテクチャを構築し、システム設計を行うとともに、それに必要な要素技術の開発を進めております。例えば自動運転等で必要になる高速通信用ハーネスやコネクタ技術の開発を進めております。また市場規模が拡大してきた電気自動車(EV)・ハイブリッド自動車(HEV)用高圧ハーネスやコネクタ、バッテリー内配線モジュールの開発等にも取り組んでおります。車載エレクトロニクス機器に関しては、パワー系ネットワークに対応すべく電源制御機器や半導体デバイスなどを開発し、また情報系ネットワークに向けてはゲートウェイ、情報セキュリティ技術などの高速大容量通信に適用可能な次世代車載LAN(Local Area Network)製品の開発を進めております。さらに当社事業であるエネルギーや通信の社会基盤と車が繋がる変革に対応した新製品・新技術の開発にも取り組んでおります。一方、新製品の開発効率化や高いレベルの品質確保に向け、要素技術開発や信頼性確保に不可欠な試験・分析・評価・解析技術の開発を推進しております。環境試験装置や分析装置等の評価設備の充実を図るとともに、CAE(Computer-Aided Engineering)技術を用いたシミュレーション技術も充実させております。また、交通インフラ関連では、信号制御アルゴリズム、自動運転支援を含む高度走行支援システムやインフラミリ波レーダの開発を行っております。住友理工㈱では、CASEをはじめとした技術革新に対応した製品や関連技術などについて、研究開発・技術確立を進めております。新商品開発センターでは、圧力の検知により、呼吸や心拍などの生体情報(バイタルデータ)を測定することが可能な独自開発の「スマートラバー(SR)センサ」を応用し、ドライバーモニタリングシステムのプロトタイプを2021年3月に完成させました。国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)との連携研究室を2020年10月に設立し、実証実験を継続しているほか、収集したバイタルデータを活用したサービス展開も視野に、事業拡大を図っております。さらに、EVで注目される熱マネジメントへの対応製品として、車室内の断熱効果を高める薄膜高断熱材「ファインシュライト™ 」を2020年9月に発売したほか、冷却系ホースや電池用の断熱材などの開発にも着手しており、省エネや環境負荷軽減に貢献できる製品で、さらなる技術開発を進めます。当事業に係る研究開発費は71,153百万円であります。(2) 情報通信関連事業光通信関連製品、通信用デバイス・化合物半導体材料、ネットワーク・システム製品などの分野において、総合的に研究開発を行っております。光通信関連製品では、光ファイバ通信のさらなる高速化・長距離化に向けて、海底ケーブル用途の低損失低非線形光ファイバの品質改善及び生産性向上に取り組んでおります。また、伝送容量の飛躍的な拡大に向けて、1本の光ファイバ中に複数本のコアを有するマルチコア型光ファイバの実用化検討を進めており、光ファイバのみならず、周辺光部品や接続技術の開発にも力を注いでおります。一方で、従来のテレコム光通信で培った技術の展開として、データセンターにおける情報機器内や情報機器間の高速大容量伝送に適した光配線製品を開発しております。特に、新型光コネクタや情報機器内の高密度光配線を実現する光部品などの製品開発と市場開拓を進めております。デバイス関連分野では、光通信用デバイス及び無線通信用電子デバイス関連の新製品をいち早く市場に投入することにより、事業拡大に努めております。光通信用デバイス関連製品では、データセンター用機器等に搭載される支線系対応製品や、長距離幹線機器に対応したコヒーレント伝送用デバイスを開発しております。無線通信デバイス関連製品では、高効率・高出力のGaN(窒化ガリウム)トランジスタを開発し、携帯基地局用途に製品化しておりますが、5G用にさらなる効率改善、高周波/広帯域化に取り組んでおります。また、これらデバイス技術の蓄積を活かし、多様な分野への応用が期待できる近赤外、中赤外領域の製品開発も進めております。化合物半導体では、高速通信用の光デバイスや無線通信用電子デバイスなどに用いられるインジウムリン及びガリウムヒ素系エピタキシャルウエハの新製品開発を進めております。また、青紫色レーザダイオード、白色LEDやパワーデバイス等に応用されるGaN基板の高品質化に加え、それら材料からデバイス技術の研究とその応用製品の開発も行っております。ネットワーク・システム関連分野では、情報通信技術の革新による、Society5.0の実現を目指した情報通信機器の研究開発を推進しております。有線通信システム関連では、都市ネットワークやデータセンター間接続を支える光伝送システムの研究開発に、無線通信システム関連では、産業用途を含めあらゆるものを繋げるIoTの実現に向けた、5G向けの新製品の研究開発に、通信事業者とも連携しながら、取り組んでおります。当事業に係る研究開発費は21,134百万円であります。(3) エレクトロニクス関連事業当社固有の材料技術、マイクロ・ナノテクノロジーをベースに、FPC、電子ワイヤー製品、照射架橋製品、多孔質ふっ素樹脂膜製品など広範な新材料や部品の開発を行っております。FPCでは、携帯機器等向けの次世代微細回路製品、車載向けの高耐熱性電子回路製品、5Gやミリ波など高周波用途向け部材の開発に取り組んでおります。また、金属材料とセラミックスを複合化した電子デバイス用の低線膨張率の高放熱素材、独自の多孔化技術を適用した半導体用途や水処理向けの微小孔径の多孔質ふっ素樹脂膜の開発にも注力しております。当事業に係る研究開発費は3,280百万円であります。(4) 環境エネルギー関連事業超電導や次世代送電網の分野でのネットワーク技術を活用したエネルギーソリューション事業など、新しい分野への進出を図るとともに、蓄電池などエネルギー分野での積極的な開発を推進しております。超電導分野では、ビスマス系高温超電導線材の特性と量産性を大幅に向上させ、MRIやNMRなどのマグネット用や、世界各国のケーブルプロジェクト用などに線材を納入するなど、商業ベースでの線材販売の本格化を図りつつあります。機械強度を大幅に向上した高強度超電導線材は、超高磁場発生用の超電導マグネットに採用され、30Tを超える磁場発生に貢献しております。産業応用では超電導マグネットシステムの開発を進めており、磁気特性評価装置への適用、さらに産業界での実用化、用途開拓に注力しているところであります。一方、レアアース系次世代超電導線材の実用化にも取り組んでおります。本線材では超電導接合技術を開発し、国立研究開発法人理化学研究所他とともに永久電流モード高温超電導コイルの実現と同コイルを用いた核磁気共鳴信号の取得に世界で初めて成功しました。次世代送電網の分野では、自然エネルギーの導入、省エネルギー、電力網の分散管理といった社会ニーズに対応すべく、レドックスフロー電池(蓄電池)について、大規模システムによる実証運転を実施しております。また、分散型電源を統合的に監視し最適な制御を行うためのエネルギーマネジメントシステム、宅内の電力使用量を最適化するシステム(HEMS)、電力線通信(PLC)によるメガソーラー監視装置とAIによる異常診断サービス、家庭用の小型蓄電池やパワーコンディショナ等の開発にも注力しており、販売を開始しております。HEVなどの環境対応車に多用されるニッケル水素電池の集電体として上市しているニッケル製セルメットを各種燃料電池向けに展開するため、高温耐久性を付与した耐熱セルメットや、耐強酸性を高めた耐食セルメットを開発しております。一方、蓄電池分野では、リチウムイオン電池やキャパシタなどの蓄電デバイスの高性能化に貢献する集電材料として、当社独自の溶融塩めっき技術を用いた金属多孔体「アルミセルメット」を開発しており、顧客での評価を進めております。また、EVやHEV等の環境対応車の分野では、固有の高分子材料の合成技術を駆使し、駆動モータ等に適用する高性能平角巻線の開発にも取り組んでおり、モータの高性能化に貢献する薄肉皮膜で高度な電気絶縁性を発揮する次世代平角巻線の開発に注力しております。電力ケーブルの技術開発では、長距離直流連系線、再生エネルギー関連の需要伸長に対応すべく、超高圧直流ケーブル、洋上風力向けケーブルや送電線路の効率的な保守監視を支援するシステム製品を開発しております。住友電設㈱では、社会や顧客の多様化するニーズに応えるべく、省エネルギー技術、IoTや5Gを活用した監視・エネルギー管理等のビル・マネジメントシステム、工場向け統合セキュリティシステム、バーチャルパワープラント、HACCP*による食品衛生管理をクラウドで一元管理するシステムなど、最新技術、情報化技術を活用し、新技術、新工法、各種システムの開発に取り組んでおります。* HACCP:Hazard Analysis and Critical Control Point日新電機㈱では、電力システム改革の進展や環境意識の向上、持続可能な社会に向けた動きに対応すべく、研究開発に取り組んでおります。電力機器分野においては、縮小化及び環境負荷の低減を狙いとした製品開発と共に、太陽光発電をはじめ、多様な分散型電源が導入拡大される社会を支えるための技術研究や製品開発、並びにソリューション開発に取り組んでおります。ビーム・真空応用分野では、新たなコーティング薄膜や用途拡大に向けた研究開発、半導体製造用イオン注入装置や電子線照射装置など、社会を支える材料・部品・デバイスの進化に資するべく、技術研究や製品開発に注力しております。また新エネルギー・環境分野においては、太陽光発電の導入などに資するパワーエレクトロニクス応用製品の開発、工場・水処理設備の進化に資する監視制御システム、EMS(エネルギー管理システム)関連やIoT関連の技術研究や製品開発、並びにソリューション開発を進めております。当事業に係る研究開発費は15,256百万円であります。(5) 産業素材関連事業他超硬合金、ダイヤモンド、立方晶窒化硼素、コーティング薄膜、特殊鋼線、鉄系焼結部品やセラミックスに関する当社固有の材料技術とプロセス技術を駆使し、切削用工具や超精密加工用工具、各種自動車機構部品、機能部品等の開発を進めております。切削用工具開発においては、今後、市場が伸長していく航空機分野を重点ターゲットとし、計算科学を活用した硬質合金の開発、コーティング技術開発を進めております。また切削加工のIoT化に向け、切削工具に各種センサを内蔵させたセンシングツールの開発にも取り組んでおります。ダイヤモンドでは、超精密加工や高品位加工用工具素材として使用することを目的として、独自の原料技術や超高圧技術で機械特性を向上させた単結晶ダイヤモンド素材や新材料の開発及び精密金型・航空機部品・医療に用いられる難削材の精密加工技術の開発に注力しております。焼結部品の関連では、粉末冶金技術の特長である均質性や組成自由度を活かした高強度焼結ギアの開発や、自動車の電動化ニーズに対応し磁気特性と造形性に優れた圧粉軟磁性材料を使った小型・高出力モータの開発に注力しております。当事業に係る研究開発費は7,997百万円であります。今後の成長を担う新規分野への挑戦として、水素エネルギー社会を実現する技術開発を行っております。また次世代の電線や高強度材料として期待されるカーボンナノチューブの長尺化にも独自製法で取り組んでおります。新しい軽材料として当社が世界で初めて開発に成功した、アルミ9%と亜鉛1%を添加したマグネシウム合金板材は、国内外の複数の大手パソコンメーカーの筐体での採用が進んでおります。そのほか、当社の持つ材料技術を活かして、省エネルギー化のために期待されているSiCパワーデバイスを、結晶(基板)から、エピ、デバイスまで一貫して開発しております。2020年度は、高精度シミュレーションなどを取り入れた当社独自技術 "MPZ®"を駆使した高品質結晶成長技術の活用、硬脆性なSiCに適した加工技術構築により、低転位密度かつ厚みバラツキや反りが低減されたSiCパワーデバイス用の6インチ(150mm径)基板(製品名 "CrystEra®")の製品化に成功いたしました。デバイスについては、当社独自構造のV溝型トランジスタの低損失かつ高信頼性を有する特長を生かし、車載分野や産業機械分野への製品展開を進めております。また、産総研と共同で開発した、世界最小のオン抵抗をもつトランジスタなど次世代デバイスの製品化に向けた開発も行っております。以上の5分野他の研究開発及びグループ全体の生産、品質などを支える解析技術の分野では、ナノスケールの構造解析や、ポリマーの分子構造解析など、世界トップレベルの分析を行っております。これに加え、公益財団法人佐賀県産業振興機構九州シンクロトロン光研究センターに当社グループ専用のビームラインを建設し、放射光施設を利用した世界トップ水準の原子スケール解析を実現し、製品開発の加速や知的財産権の強化などに利用しております。また、高速計算機を用いた高度な計算機シミュレーション技術の開発にも注力しており、生産プロセスの改善、革新と多くの製品の信頼性に直結する構造解析、電磁波解析など、各種新製品設計に活用することで他社との差別化につながる解析技術の開発を推進しております。その他、中国・蘇州市に中国解析センターを設置し、当社グループのグローバル展開を支えております。IoT・AI技術の分野では、グループ全体のモノづくり力強化に向け、生産性向上、検査自動化、設備故障予兆診断、安全性向上をテーマに、各種センシング、無線通信、AI・ビッグデータ分析技術の開発に取り組んでおります。2020年度に伊丹製作所内に「CRystal Lab.」を開所し、部門横断的な研究開発の加速に取り組んでおります。大阪製作所内の研究本館「WinD Lab」を研究・開発活動の中核とし、米国カリフォルニア州のICS(Innovation Core SEI)等を海外での研究拠点として、広い視野で事業の成長を目指します。また、グループ全体として、これらの研究開発の成果を早期に収穫すべく努めるとともに、企業の社会的責任を自覚し、省エネ、省資源、環境保護を一層前進させる研究にも注力してまいります。
FY2020|6,308 文字
5【研究開発活動】当社及び連結子会社は経営理念に「技術を創造し、変革を生み出し、絶えざる成長に努めます」とありますように、社会の変革・伸長分野に焦点を合わせ、オリジナリティがありかつ収益力のある新事業・新製品の開発に努めております。また、将来の技術ニーズを踏まえ、当社グループの次代の成長を担う研究テーマの発掘・育成にも積極的に取り組んでおります。自動車関連事業、情報通信関連事業、エレクトロニクス関連事業、環境エネルギー関連事業、産業素材関連事業他の各事業分野における当連結会計年度の主な成果は以下のとおりであります。また、当連結会計年度における研究開発費の総額は125,449百万円であります。(1) 自動車関連事業ワイヤーハーネス及び車載エレクトロニクス機器については、当社、住友電装㈱及び両社の共同出資による㈱オートネットワーク技術研究所を中心に、当社固有の材料技術・解析技術を活かして安全・快適・環境のニーズに対応した新製品の開発を行っております。特に近年のCASEの流れに対応するため体制を強化し、従来の枠にとらわれないコンセプト・企画から技術開発まで一貫して行い、ハーネスをコアとした新事業創出のスピードアップを進めております。ワイヤーハーネスについては、次世代車載システムにパワー供給や情報伝送するためのハーネスアーキテクチャを構築し、システム設計を行うとともに、それに必要な要素技術の開発を進めております。例えば自動運転等で必要になる高速通信用ハーネスやコネクタ技術の開発を進めております。また市場規模が拡大してきた電気自動車(EV)・ハイブリッド自動車(HEV)用高圧ハーネスやコネクタ、バッテリー内配線モジュールの開発等にも取り組んでおります。車載エレクトロニクス機器に関しては、パワー系ネットワーク化に対応すべく、電源制御機器や半導体デバイス、情報系ネットワーク対応機器ではゲートウェイ、情報セキュリティ技術などの高速大容量通信に適用可能な次世代車載LAN(Local Area Network)製品の開発を進めております。さらに当社事業であるエネルギーや通信の社会基盤と車が繋がる変革に対応した新製品・新技術の開発にも取り組んでおります。一方、新製品の開発効率化や高いレベルの品質確保に向け、要素技術開発や信頼性確保に不可欠な試験・分析・評価・解析技術の開発を推進しております。環境試験装置や分析装置等の評価設備の充実を図るとともに、CAE(Computer-Aided Engineering)技術を用いたシミュレーション技術も充実させております。また、交通インフラ関連では、信号制御アルゴリズム、自動運転支援を含む高度走行支援システムやインフラミリ波レーダの開発を行っております。住友理工㈱では、CASEを代表とする新たなトレンドに対応した経営資源の最適配分を行う一環として、2020年4月に事業分野別に分かれていた開発センターなどを統合し、新たに「新商品開発センター」を設置し、開発アイテムの優先順位を迅速に見極めることで開発のスピードアップと早期事業化を図ります。また、福岡県糸島市及び九州大学との3者協定に基づき開所した「九州大学ヘルスケアシステムLABO糸島」において医療・介護・日常生活をつなぐ新たな製品やシステム、サービスの創出を目指し、実用化促進に引き続き取り組んでおります。当事業に係る研究開発費は78,464百万円であります。(2) 情報通信関連事業光通信関連製品、通信用デバイス・化合物半導体材料、ネットワーク・システム製品などの分野において、総合的に研究開発を行っております。光通信関連製品では、光ファイバ通信のさらなる高速化・長距離化に向けて、海底ケーブル用途の低損失低非線形光ファイバの研究開発を進め、生産性と品質のさらなる向上に取り組んでおります。また、伝送容量の飛躍的な拡大に向けて、1本の光ファイバに複数本のコアを形成するマルチコア型光ファイバの研究開発を進めており、その実用化に不可欠な光増幅や接続技術の開発に取り組んでおります。一方で、データセンターにおける情報機器内や情報機器間の高速大容量伝送に適した光配線製品を、従来のテレコム光通信で培った技術を応用して開発しております。特に、新型光コネクタや情報機器内の高密度光配線を実現する光部品などの製品開発と市場開拓を進めております。デバイス関連分野では、光通信用デバイス及び無線通信用電子デバイス関連の新製品をいち早く市場に投入することにより、事業拡大に努めております。光通信用デバイス関連製品では、データセンター用機器等に搭載される支線系対応製品や、長距離幹線機器に対応したコヒーレント伝送用デバイスを開発しております。無線通信デバイス関連製品では、高効率・高出力のGaN(窒化ガリウム)トランジスタを開発し、携帯基地局用途に製品化しておりますが、第5世代(5G)移動通信システム用にさらなる効率改善、高周波/広帯域化に取り組んでおります。また、これらデバイス技術の蓄積を活かし、多様な分野への応用が期待できる近赤外、中赤外領域の製品開発も進めております。化合物半導体では、高速通信用の光デバイスや無線通信用電子デバイスなどに用いられるインジウムリン及びガリウムヒ素系エピタキシャルウエハの新製品開発を進めております。また、青紫色レーザダイオード、白色LEDやパワーデバイス等に応用されるGaN基板の高品質化に加え、それら材料からデバイス技術の研究とその応用製品の開発も行っております。ネットワーク・システム関連分野では、情報通信技術の革新により、安全・安心・快適かつ持続可能な社会の実現を目指した情報通信機器の研究開発を推進しております。有線通信システム関連では、携帯基地局やデータセンターを支える光伝送システムの研究開発に、無線通信システム関連では、携帯基地局向けの高周波増幅器モジュールの開発と第5世代移動通信システム向けの新製品の検討に取り組んでおります。当事業に係る研究開発費は18,641百万円であります。(3) エレクトロニクス関連事業当社固有のマイクロ・ナノテクノロジーをベースに、FPC、電子ワイヤー製品、照射架橋製品、ふっ素樹脂製品など広範な新材料や部品の開発を行っております。FPCでは、携帯機器等向けの次世代微細回路製品や車載向けの高耐熱性電子回路製品、配線部材の開発に取り組んでおります。また、金属材料とセラミックスを複合化した電子デバイス用の低線膨張率の高放熱素材、独自の多孔化技術を適用した半導体用途向けの微細多孔質ふっ素樹脂膜の開発にも注力しております。当事業に係る研究開発費は3,500百万円であります。(4) 環境エネルギー関連事業超電導や次世代送電網の分野でのネットワーク技術を活用したエネルギーソリューション事業など、新しい分野への進出を図るとともに、蓄電池などエネルギー分野での積極的な開発を推進しております。超電導分野では、ビスマス系高温超電導線材の特性と量産性を大幅に向上させ、世界各国のケーブルプロジェクトやモータ、マグネット用などに線材を納入するなど、商業ベースでの販売本格化を図りつつあります。機械強度を大幅に向上した高強度超電導線材は、超高磁場発生用の超電導マグネットに採用され、30Tを超える磁場発生に貢献しております。産業応用では超電導マグネットシステムの開発を進めており、磁気特性評価装置への適用、さらに産業界での実用化、用途開拓に注力しているところであります。一方、レアアース系次世代超電導線材の実用化にも取り組んでおります。本線材では超電導接合技術を開発し、理化学研究所他とともに永久電流モード高温超電導コイルの実現と同コイルを用いた核磁気共鳴信号の取得に世界で初めて成功しました。次世代送電網の分野では、自然エネルギーの導入、省エネルギー、電力網の分散管理といった社会ニーズに対応すべく、レドックスフロー電池(蓄電池)と集光型太陽光発電装置(CPV)について、大規模システムによる実証運転を実施しております。また、分散型電源を統合的に監視し最適な制御を行うためのエネルギーマネジメントシステム、宅内の電力使用量を最適化するシステム(HEMS)、電力線通信(PLC)によるメガソーラー監視装置とAIによる異常診断サービス、家庭用の小型蓄電池やパワーコンディショナ等の開発にも注力しており、販売を開始しております。HEVなどの環境対応車に多用されるニッケル水素電池の集電体として上市しているニッケル製セルメットを各種燃料電池向けに展開するため、高温耐久性を付与した耐熱セルメットや、耐強酸性を高めた耐食セルメットを開発しております。一方、蓄電池分野では、リチウムイオン電池やキャパシタなどの蓄電デバイスの高性能化に貢献する集電材料として、当社独自の溶融塩めっき技術を用いた金属多孔体「アルミセルメット」を開発しており、量産化に向けた生産技術開発に注力するとともに、ニーズの調査、顧客での評価を進めております。また、EVやHEV等の環境対応車の分野では、固有の高分子材料の合成技術を駆使し、駆動モータ等に適用する高性能平角巻線の開発にも取り組んでおり、モータの高性能化に貢献する薄肉皮膜で高度な電気絶縁性を発揮する次世代平角巻線の開発に注力しております。電力ケーブルの技術開発では、長距離直流連系線、再生エネルギー関連の需要伸長に対応すべく、超高圧直流CVケーブル、洋上風力向けケーブルや送電線路の効率的な保守監視を支援するシステム製品を開発しております。住友電設㈱では、社会や顧客の多様化するニーズに応えるべく、太陽光発電システム用保守監視システム、監視・エネルギー管理等のビル・マネジメントシステム、工場向け統合セキュリティシステム、異常通報装置、超電導冷却システム、バーチャルパワープラント、クラウド活用など、最新技術、情報化技術を活用し、新技術、新工法、各種システムの開発に取り組んでおります。日新電機㈱では、電力システム改革の進展や環境意識の向上、持続可能な社会に向けた動きに対応すべく、研究開発に取り組んでおります。電力機器分野においては、縮小化及び環境負荷の低減を狙いとした製品開発と共に、太陽光発電をはじめ、多様な分散型電源が導入拡大される社会を支えるための技術研究や製品開発、並びにソリューション開発に取り組んでおります。ビーム・真空応用分野では、新たなコーティング薄膜や用途拡大に向けた研究開発、半導体製造用イオン注入装置や電子線照射装置など、社会を支える材料・部品・デバイスの進化に資するべく、技術研究や製品開発に注力しております。また新エネルギー・環境分野においては、太陽光発電の導入などに資するパワーエレクトロニクス応用製品の開発、工場・水処理設備の進化に資する監視制御システム、EMS(エネルギー管理システム)関連やIoT関連の技術研究や製品開発、並びにソリューション開発を進めております。当事業に係る研究開発費は16,482百万円であります。(5) 産業素材関連事業他超硬合金、ダイヤモンド、立方晶窒化硼素、コーティング薄膜、特殊鋼線、鉄系焼結部品やセラミックスに関する当社固有の材料技術とプロセス技術を駆使し、切削用工具や超精密加工用工具、各種自動車機構部品・機能部品、家電部品等の開発を進めております。切削用工具開発においては、今後、市場が伸長していく航空機分野を重点ターゲットとし、計算科学を活用した硬質合金の開発、コーティング技術開発を進めております。また切削加工のIoT化に向け、切削工具に各種センサを内蔵させたスマートツールの開発にも取り組んでおります。ダイヤモンドでは、超精密加工や高品位加工用工具素材として使用することを目的として、独自の原料技術や超高圧技術で機械特性を向上させた単結晶ダイヤモンド素材や新材料の開発及び精密金型・航空機部品・医療に用いられる難削材の精密加工技術の開発に注力しております。焼結部品の関連では、粉末冶金技術の特長である均質性や組成自由度を活かした高強度焼結ギアの開発や、自動車の電動化ニーズに対応し磁気特性と造形性に優れた圧粉軟磁性材料を使った小型・高出力モータの開発に注力しております。当事業に係る研究開発費は8,362百万円であります。今後の成長を担う新規分野への挑戦として、水素エネルギー社会を実現する技術開発、ライフサイエンス分野では医療機器及び健康介護の分野向けの製品販売を行っております。また次世代の電線や高強度材料として期待されるカーボンナノチューブの長尺化にも独自製法で取り組んでおります。新しい軽量材料として当社が世界で初めて開発に成功した、アルミ9%と亜鉛1%を添加したマグネシウム合金板材は、国内外の複数の大手パソコンメーカーの筐体での採用が進んでおります。さらに機能を高めた合金開発とその用途開拓も進めております。そのほか、当社の持つ材料技術を活かして、省エネルギー化のために期待されているSiCパワーデバイスを、結晶(基板)から、エピ、デバイスまで一貫して開発しております。2019年度は、自社基板開発を通じSiC高品質エピ基板の品質をさらに改善し、エピに起因する欠陥の無欠陥領域率を97%、さらには基板起因を含むエピ欠陥の無欠陥領域率を85%にまで高め、量産活動を推進しております。またデバイスについては、国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)と協力してつくばに立ち上げた専用6インチ・ラインで製造したSiCトランジスタを販売するとともに、産総研と共同で開発した、世界最小のオン抵抗をもつトランジスタなど次世代デバイスの製品化に向けた開発を行っております。以上の5分野他の研究開発及びグループ全体の生産、品質などを支える解析技術の分野では、ナノスケールの構造解析や、ポリマーの分子構造解析など、世界トップレベルの分析を行っております。これに加え、九州シンクロトロン光研究センターに当社グループ専用のビームラインを建設し、放射光施設を利用した世界トップ水準の原子スケール解析を実現し、製品開発の加速や知的財産権の強化などに利用しております。また、高速計算機を用いた高度な計算機シミュレーション技術の開発にも注力しており、生産プロセスの改善、革新と多くの製品の信頼性に直結する強度解析、電磁波解析など、各種新製品設計に活用することで他社との差別化につながる解析技術の開発を推進しております。その他、中国・蘇州市に中国解析センターを設置し、当社グループのグローバル展開を支えております。生産技術分野では、IoTに向けた高度なサービス実現の基盤となる省電力無線センサ技術、AI・データ分析技術を用いた設備故障の予兆診断等の研究にも取り組んでおります。当社は大阪製作所内の研究本館「WinD Lab」を研究・開発活動の中核とし、海外についても米国カリフォルニア州のICS(Innovation Core SEI)等を拠点として、広い視野で事業の成長を目指します。また、グループ全体として、これらの研究開発の成果を早期に収穫すべく努めるとともに、企業の社会的責任を自覚し、省エネ、省資源、環境保護を一層前進させる研究にも注力してまいります。
FY2019|7,422 文字
5【研究開発活動】当社及び連結子会社は経営理念にあります「技術を創造し、変革を生み出し、絶えざる成長に努めます」という理念の下、伸長分野に焦点を合わせ、オリジナリティがありかつ収益力のある新事業・新製品の開発に努めております。また、将来の技術ニーズを踏まえ、当社グループの次代の成長を担う研究テーマの発掘・育成にも積極的に取り組んでおります。自動車関連事業、情報通信関連事業、エレクトロニクス関連事業、環境エネルギー関連事業、産業素材関連事業他の各事業分野における当連結会計年度の主な成果は以下のとおりであります。また、当連結会計年度における研究開発費の総額は129,627百万円であります。(1) 自動車関連事業ワイヤーハーネス及び車載エレクトロニクス機器については、当社、住友電装㈱及び両社の共同出資による㈱オートネットワーク技術研究所を中心に、当社固有の材料技術・解析技術を活かして安全・快適・環境のニーズに対応した新製品の開発を行っております。ワイヤーハーネスについては、次世代車載システムにパワー供給や情報伝送するためのハーネスアーキテクチャを構築し、システム設計を行うとともに、それに必要な要素技術の開発を進めております。また環境対応としてハーネスの軽量化に取り組んでおり、銅に比べ軽量なアルミを使ったワイヤーハーネスの量産、さらに高強度な電線の開発によるエンジンルーム等への適用範囲拡大を進めております。市場規模が拡大してきた電気自動車(EV)・ハイブリッド自動車(HEV)用高圧ハーネスやコネクタ、バッテリー内配線モジュールの開発等にも取り組んでおります。車載エレクトロニクス機器に関しては、電源系、情報系のネットワーク化に対応すべく、電源制御機器や半導体デバイス、ボディ制御ECU、ゲートウェイなど、高速大容量通信に適用可能な次世代車載LAN(Local Area Network)製品の開発を進めております。さらに当社事業であるエネルギーや通信の社会基盤と車が繋がる変革に対応した新製品・新技術の開発にも取り組んでおります。また、交通インフラ関連では、信号制御アルゴリズム、自動走行支援を含む高度走行支援システムの開発を行っております。一方、新製品の開発効率化や高いレベルの品質確保に向け、要素技術開発や信頼性確保に不可欠な試験・分析・評価・解析技術の開発を推進しております。環境試験装置や分析装置等の評価設備の充実を図るとともに、CAE(Computer-Aided Engineering)技術を用いたシミュレーション技術も充実させております。住友理工㈱では、自動車用品分野においては、「新規顧客開拓」を推進する体制を整え、「防振ゴム」「ホース」「ウレタン製品(制遮音品・内装品)」の既存3分野以外の自動車用新商品を開発・育成していくために、2016年8月に設置した「自動車新商品開発センター」において、体圧を検知する「スマートラバー(SR)センサ」を自動車のシートに埋め込み、呼吸や心拍などのバイタル情報によってドライバーの異変を検知、危険を回避する乗員状態検知機能の実用化に向けた開発や、電気自動車(EV)及び燃料電池自動車(FCV)向けの環境対応製品の技術開発などに引き続き取り組んでおります。当事業に係る研究開発費は81,850百万円であります。(2) 情報通信関連事業光通信関連製品、通信用デバイス・化合物半導体材料、ネットワーク・システム製品などの分野において、総合的に研究開発を行っております。光通信関連製品では、光ファイバ通信のさらなる高速化・長距離化に向けて、海底ケーブル用途の低損失低非線形光ファイバの研究開発を進め、生産性と品質のさらなる向上に取り組んでおります。また、伝送容量の飛躍的な拡大に向けて、1本の光ファイバに複数本のコアを形成するマルチコア型光ファイバの研究開発を進めており、その実用化に不可欠な光増幅や接続技術の開発に取り組んでおります。一方で、データセンタにおける情報機器内や情報機器間の高速大容量伝送に適した光配線製品を、従来のテレコム光通信で培った技術を応用して開発しております。特に、データセンタ内で使用される新型光コネクタや情報機器内の高密度光配線を実現する光部品などの製品開発と市場開拓を進めております。そのほか、光ファイバ製造技術を活用した新材料の開発、光ファイバ実装・光学設計などの基盤技術を活用した新製品の開発を進めており、自動車、エレクトロニクス、ライフサイエンスなどの新たな分野への光技術の展開を図っております。デバイス関連分野では、数十mの短距離伝送から数千kmの長距離伝送に対応するハイエンドの光通信用デバイス及び高効率・高出力特性を有する無線通信用電子デバイス技術を活かして、新製品をいち早く市場に投入することにより、事業拡大に努めております。光通信用デバイス関連製品においては、イーサネットに代表される支線系用光トランシーバQSFP28を製品化するとともに、次世代の400Gbpsに対応した製品開発も進めております。数百kmから数千kmの幹線系対応として、コヒーレント伝送デバイスを開発しております。波長多重技術を用いることにより、数Tbps伝送を可能といたします。構成要素である波長可変半導体レーザ、光多値位相変調デバイス、ホモダイン光受信デバイスは、化合物半導体を用いた光集積回路技術を用いて製品化しており、更なる高機能化を目指した開発を進めております。それらを用いた光トランシーバの開発も進めております。ごく短距離の数十mの建屋内配線市場においても、100Gbps以上の大容量化が検討されており、キーデバイスとなる超低消費電力で光学実装性の優れた面発光型半導体レーザ(VCSEL)の高速化・多波長化を進めております。無線通信デバイス関連製品では、世界に先駆けて高効率・高出力のGaN(窒化ガリウム)トランジスタを開発し、携帯基地局用途に製品化しました。本製品は低消費電力化やLTEへの移行など市場の要請に合致し、国内外で既存のSi(シリコン)トランジスタからGaNへの移行を牽引しました。現在は、LTEに次ぐ第5世代移動通信システム用途を見据え、更なる効率改善を図るとともに、微細化技術開発を推し進めることにより、20GHzから80GHz帯までを視野に入れた高周波/広帯域化を実現する計画としております。さらに、レーダ用途を目指し10GHz帯での高出力・高効率化を図るとともに、20GHz帯、80GHz帯(ミリ波帯)でのMMIC(Microwave Monolithic IC)の開発を進めております。これらのデバイスは、小型化、経済化を目指した、当社独自の3次元配線技術及びWLCSP(Wafer Level Chip Size Package)の特徴を生かして、適用領域の拡大、新規分野への展開を進めてまいります。これらデバイス技術の蓄積を活かし、ライフサイエンス、環境関連、インフラや工業プロセス管理など多様な分野への応用が期待できる高感度な近赤外イメージセンサ(~3μm)の実用化開発を行うとともに、さらなる用途拡大を目指し、中赤外領域(3μm~)の量子カスケードレーザ(QCL-LD)、超格子型イメージセンサの開発も進めております。化合物半導体では、情報通信を支える高速通信用の光デバイスや無線通信用電子デバイスなどに用いられるインジウムリン及びガリウムヒ素系エピタキシャルウエハの新製品開発を進めております。また、青紫色レーザダイオード、白色LEDやパワーデバイス等に応用されるGaN基板の高品質化に加え、それら材料からデバイス技術の研究とその応用製品の開発も行っております。これまでの発光特性と高周波特性に着眼した材料開発に加え、さらに、全く新しい機能を有する光デバイスや電子デバイス用途の半導体材料の開発にも取り組んでおります。ネットワーク・システム関連分野では、情報通信技術の革新により、安全・安心・快適かつ持続可能な社会の実現を目指した情報通信機器の研究開発を推進しております。有線通信システム関連では、10G-EPON等、より高速化した次世代システムの研究開発に、無線通信システム関連では、携帯基地局向けの高周波増幅器モジュールの開発と第5世代移動通信システム向けの新製品の検討に取り組んでおります。当事業に係る研究開発費は18,171百万円であります。(3) エレクトロニクス関連事業当社固有のマイクロ・ナノテクノロジーをベースに、FPC、電子ワイヤー製品、照射架橋製品、ふっ素樹脂製品など広範な新材料や部品の開発を行っております。FPCでは、携帯機器等向けの次世代微細回路製品や車載向けの高耐熱性電子回路製品、配線部材の開発に取り組んでおります。また、金属材料とセラミックスを複合化した電子デバイス用の低線膨張率の高放熱素材、独自の多孔化技術を適用した半導体用途向けの微細多孔質ふっ素樹脂膜の開発にも注力しております。当事業に係る研究開発費は3,327百万円であります。(4) 環境エネルギー関連事業超電導や次世代送電網の分野でのネットワーク技術を活用したエネルギーソリューション事業など、新しい分野への進出を図るとともに、蓄電池などエネルギー分野での積極的な開発を推進しております。超電導分野では、ビスマス系高温超電導線材の特性と量産性を大幅に向上させ、世界各国のケーブルプロジェクトやモータ、マグネット用などに線材を納入するなど、商業ベースでの販売本格化を図りつつあります。2015年4月、従来と比較し、約50~60%の引張り強度の向上を実現した400メガパスカル級の超高強度超電導線材の開発に成功し、販売を開始しました。これにより、核磁気共鳴(NMR)装置などの超高磁場マグネットへの適用範囲が広がりました。産業応用では超電導マグネットシステムの開発を進めており、2014年7月に小型軽量冷凍機冷凍型マグネットシステム(±6T-Φ70mm)の販売を開始し、磁気特性評価装置への適用、さらに産業界での実用化、用途開拓に注力しているところであります。またビスマス系とは異なる次世代の超電導線材の研究も行っており、結晶配向した金属基板、中間層、超電導層からなる薄膜超電導線の特性向上にも注力しております。次世代送電網の分野では、自然エネルギーの導入、省エネルギー、電力網の分散管理といった社会ニーズに対応すべく、2011年6月から、当社大阪製作所において、複数の自然エネルギー発電装置と小型レドックスフロー電池(蓄電池)等を直流電力ケーブルで連結したマイクロスマートグリッドシステムの実証試験を実施しております。2012年7月から、当社横浜製作所において、メガワット級の出力・容量を有するレドックスフロー電池と出力100kWの集光型太陽光発電(CPV)から成る大規模蓄発電システムを開発し、実際の工場電力運用の中で、製品化のための実証運転を実施しております。2015年12月からは、北海道電力㈱南早来変電所において、大型蓄電システム(レドックスフロー電池、容量60MWh)の実証試験を実施しております(経済産業省の大型蓄電システム緊急実証事業に北海道電力㈱と共同で応募し、採択されたものであります)。2016年11月には、モロッコ王国において出力1MWのCPVプラント運用実証を開始しました。2017年3月には、米国カリフォルニア州において容量8MWhのレドックスフロー電池の実証運転を開始しました(これは当社がNEDOより実証委託を受け、実施するものであります)。また、電力需給逼迫時に電力使用量の調整を行うデマンドレスポンス自動化サーバ、宅内の電力使用量を最適化するシステム(HEMS)、電力線通信(PLC)によるメガソーラー監視システム、非常用の小型蓄電池やパワーコンディショナ等の開発にも注力しております。蓄電池分野では、リチウムイオン電池やキャパシタなどの蓄電デバイスの高性能化に貢献する集電材料として、当社独自の溶融塩めっき技術を用いた金属多孔体「アルミセルメット」を開発しており、量産化に向けた生産技術開発に注力するとともに、ニーズの調査、顧客での評価を進めております。また、EVやHEV等の環境対応車の分野では、固有の高分子材料の合成技術を駆使し、駆動モータ等に適用する高性能平角巻線の開発にも取り組んでおり、モータの高性能化に貢献する薄肉皮膜で高度な電気絶縁性を発揮する次世代平角巻線の開発に注力しております。住友電設㈱では、社会や顧客の多様化するニーズに応えるべく、太陽光発電システム用保守監視システム、監視・エネルギー管理等のビル・マネジメントシステム、工場向け統合セキュリティシステム、異常通報装置、超電導冷却システム、バーチャルパワープラント、クラウド活用など、最新技術、情報化技術を活用し、新技術、新工法、各種システムの開発に取り組んでおります。日新電機㈱では、電力機器分野をはじめ、新エネルギー・環境分野及びライフサイクルエンジニアリング分野にかかわる技術開発・製品開発並びにソリューション開発に注力しております。電力機器分野においては、縮小化及び環境負荷の低減を狙いとした製品開発と共に、太陽光発電をはじめ、多様な分散型電源が導入拡大される社会を支えるための技術研究や製品開発、並びにシステム開発に取り組んでおります。ビーム・真空応用分野では、新たなコーティング薄膜や用途拡大に向けた研究開発、半導体製造用イオン注入装置や電子線照射装置などの次世代製品の研究開発に注力しております。また新エネルギー・環境分野においては、太陽光発電用パワーコンディショナの縮小化及び環境負荷の低減を狙いとした製品開発に注力すると共に、エネルギー管理システム(EMS)関連やIoT関連の技術研究を進めております。当事業に係る研究開発費は17,881百万円であります。(5) 産業素材関連事業他超硬合金、ダイヤモンド、立方晶窒化硼素、コーティング薄膜、特殊鋼線、鉄系焼結部品やセラミックスに関する当社固有の材料技術とプロセス技術を駆使し、切削用工具や超精密加工用工具、各種自動車機構部品・機能部品、家電部品等の開発を進めております。切削用工具開発においては、今後、市場が伸長していく航空機分野を重点ターゲットとし、計算科学を活用した硬質合金の開発、コーティング技術開発を進めております。また切削加工のIoT化に向け、切削工具に各種センサを内蔵させたスマートツールの開発にも取り組んでおります。ダイヤモンドでは、超精密加工や高品位加工用工具素材として使用することを目的として、独自の原料技術や超高圧技術で機械特性を向上させた単結晶ダイヤモンド素材や新材料の開発及び高硬度素材の精密加工技術の開発に注力しております。焼結部品の関連では、粉末冶金技術の特長である均質性や組成自由度を活かした高強度焼結ギアの開発や、自動車の電動化ニーズに対応し磁気特性と造形性に優れた圧粉軟磁性材料を使った小型・高出力モータの開発に注力しております。当事業に係る研究開発費は8,398百万円であります。今後の成長を担う新規分野への挑戦として、水素エネルギー社会を実現する技術開発、ライフサイエンス分野では医療機器及び健康介護の分野向けの製品販売を開始しております。また次世代の電線や高強度材料として期待されるカーボンナノチューブの長尺化にも独自製法で取り組んでおります。新しい軽量材料として当社が世界で初めて開発に成功した、アルミ9%と亜鉛1%を添加したマグネシウム合金板材は、すでに大手のパソコンメーカーの筐体での採用が進んでいるほか、輸送機分野での需要拡大に向けた取り組みを進めております。そのほか、当社の持つ材料技術を活かして、省エネルギー化のために期待されているSiCパワーデバイスを、結晶(基板)から、エピ、デバイスまで一貫して開発しております。2018年度は、前年度に販売開始しましたSiC高品質エピ基板の品質を更に改善し、無欠陥領域率を95%にまで高め、量産活動を推進しております。またデバイスについては、国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)と協力してつくばに立ち上げた専用6インチ・ラインで製造したサンプルの販売を開始するとともに、産総研との共同研究で、世界最小のオン抵抗をもつトランジスタの開発にも成功し、今後の製品拡大に向けた活動を行っております。以上の5分野他の研究開発及びグループ全体の生産、品質などを支える解析技術の分野では、ナノスケールの構造解析や、ポリマーの分子構造解析など、世界トップレベルの分析を行っております。これに加え、九州シンクロトロン光研究センターに当社グループ専用のビームラインを建設し、放射光施設を利用した世界トップ水準の原子スケール解析を実現し、製品開発の加速や知的財産権の強化などに利用しております。また、高速計算機を用いた高度な計算機シミュレーション技術の開発にも注力しており、生産プロセスの改善、革新と多くの製品の信頼性に直結する強度解析、電磁波解析など、各種新製品設計に活用することで他社との差別化につながる解析技術の開発を推進しております。その他、中国・蘇州市に中国解析センターを設置し、当社グループのグローバル展開を支えております。生産技術分野では、IoTに向けた高度なサービス実現の基盤となる省電力無線センサ技術、AI・データ分析技術を用いた設備故障の予兆診断等の研究にも取り組んでおります。当社は大阪製作所内の研究本館「WinD Lab」を研究・開発活動の中核とし、海外についても米国カリフォルニア州のICS(Innovation Core SEI)等を拠点として、さらなる事業の成長を目指します。また、グループ全体として、これらの研究開発成果を早期に確保すべく努めるとともに、企業の社会的責任を自覚し、省エネ、省資源、環境保護に関する研究にも注力してまいります。
FY2018|7,504 文字
5【研究開発活動】当社及び連結子会社は経営理念にあります「技術を創造し、変革を生み出し、絶えざる成長に努めます」という理念の下、伸長分野に焦点を合わせ、オリジナリティがありかつ収益力のある新事業・新製品の開発に努めております。また、将来の技術ニーズを踏まえ、当社グループの次代の成長を担う研究テーマの発掘・育成にも積極的に取り組んでおります。自動車関連事業、情報通信関連事業、エレクトロニクス関連事業、環境エネルギー関連事業、産業素材関連事業他の各事業分野における当連結会計年度の主な成果は以下のとおりであります。また、当連結会計年度における研究開発費の総額は117,735百万円であります。(1) 自動車関連事業ワイヤーハーネス及び車載エレクトロニクス機器については、当社、住友電装㈱及び両社の共同出資による㈱オートネットワーク技術研究所を中心に、当社固有の材料技術・解析技術を活かして安全・快適・環境のニーズに対応した新製品の開発を行っております。ワイヤーハーネスについては、次世代車載システムにパワー供給や情報伝送するためのハーネスアーキテクチャを構築し、システム設計を行うとともに、それに必要な要素技術の開発を進めております。また環境対応としてハーネスの軽量化に取り組んでおり、銅に比べ軽量なアルミを使ったワイヤーハーネスの量産、さらに高強度な電線の開発によるエンジンルーム等への適用範囲拡大を進めております。市場規模が拡大してきた電気自動車(EV)・ハイブリッド自動車(HEV)用高圧ハーネスやコネクタ、バッテリー内配線モジュールの開発等にも取り組んでおります。車載エレクトロニクス機器に関しては、電源系、情報系のネットワーク化に対応すべく、電源制御機器や半導体デバイス、ボディ制御ECU、さらにゲートウェイなど、高速大容量通信に適用可能な次世代車載LAN(Local Area Network)製品の開発を進めております。一方、新製品の開発効率化や高いレベルの品質確保に向け、要素技術開発や信頼性確保に不可欠な試験・分析・評価・解析技術の開発を推進しております。環境試験装置や分析装置等の評価設備の充実を図るとともに、CAE(Computer-Aided Engineering)技術を用いたシミュレーション技術も充実させております。住友理工㈱では、コア技術である高分子材料技術と総合評価技術をベースにスピーディーな新技術の創出とタイムリーな商品開発を目指しております。自動車用品分野においては、「新規顧客開拓」を推進する体制を整え、「防振ゴム」「ホース」「ウレタン製品(制遮音品・内装品)」の既存3分野以外の自動車用新商品を開発・育成していくために、「自動車新商品開発センター」を設置しました。体圧を検知する「スマートラバー(SR)センサ」を自動車のシートに埋め込み、呼吸や心拍などのバイタル情報によってドライバーの異変を検知、危険を回避する乗員状態検知機能の実用化に向けた開発や、EVおよび燃料電池自動車(FCV)向けの環境対応製品の技術開発などに取り組んでおります。当事業に係る研究開発費は71,766百万円であります。 (2) 情報通信関連事業光通信関連製品、通信用デバイス・化合物半導体材料、ネットワーク・システム製品などの分野において、総合的に研究開発を行っております。光通信関連製品では、光ファイバ通信のさらなる高速化・長距離化に向けて、海底ケーブル用途の低損失低非線形光ファイバの研究開発を進め、量産安定化技術とさらなる特性向上に取り組んでおります。また、伝送容量の飛躍的な拡大に向けて、1本の光ファイバに複数本のコアを形成するマルチコア型光ファイバの開発に取り組み、光ファイバ1本当たりの伝送容量の世界記録を更新し、2017年9月に光通信関係の国際学会(ECOC)での共同発表とプレスリリースを行いました。一方で、データセンタにおける情報機器内や情報機器間の高速大容量伝送に適した光配線製品を、従来のテレコム光通信で培った技術を応用して開発しております。特に、データセンタ内で使用される新型光コネクタや情報機器内の高密度光配線を実現する光部品などの製品開発を進めており、マーケティング部門と連携し、2018年3月の光通信関係の国際学会(OFC)の当社展示ブースにてこれら製品群を紹介し、高い技術力をPRしました。そのほか、光ファイバ製造技術を活用した新材料の開発、光ファイバ実装・光学設計などの基盤技術を活用した新製品の開発を進めており、エレクトロニクス、ライフサイエンスなどの新たな分野への光技術の展開を図っております。デバイス関連分野では、数十mの短距離伝送から数千kmの長距離伝送に対応するハイエンドの光通信用デバイス及び高効率・高出力特性を有する無線通信用電子デバイス技術を活かして、新製品をいち早く市場に投入することにより、事業拡大に努めております。光通信用デバイス関連製品においては、イーサネットに代表される支線系用光トランシーバQSFP28を製品化するとともに、次世代の400Gbpsに対応した製品開発も進めております。数百kmから数千kmの幹線系対応として、コヒーレント伝送デバイスを開発しております。波長多重技術を用いることにより、数Tbps伝送を可能とします。構成要素である波長可変半導体レーザ、光多値位相変調デバイス、ホモダイン光受信デバイスは、化合物半導体を用いた光集積回路技術を用いて製品化しつつあります。それらを用いた光トランシーバの開発も進めております。ごく短距離の数十mの建屋内配線市場においても、100Gbps以上の大容量化が検討されており、キーデバイスとなる超低消費電力で光学実装性の優れた面発光型半導体レーザ(VCSEL)の高速化・多波長化を進めております。無線通信デバイス関連製品では、世界に先駆けて高効率・高出力のGaN(窒化ガリウム)トランジスタを開発し、携帯基地局用途に製品化しました。本製品は低消費電力化やLTEへの移行など市場の要請に合致し、国内外で既存のSi(シリコン)トランジスタからGaNへの移行を牽引しました。現在は、LTEに次ぐ第5世代移動通信システム用途を見据え、更なる効率改善を図るとともに、微細化技術開発を推し進めることにより、20GHzから80GHz帯までを視野に入れた高周波/広帯域化を実現する計画としております。さらに、レーダ用途を目指し10GHz帯での高出力・高効率化を図るとともに、20GHz帯、80GHz帯(ミリ波帯)でのMMIC(Microwave Monolithic IC)の開発を進めております。これらのデバイスは、小型化、経済化を目指した、当社独自の3次元配線技術及びWLCSP(Wafer Level Chip Size Package)の特徴を生かして、適用領域の拡大、新規分野への展開を進めてまいります。これらデバイス技術の蓄積を活かし、ライフサイエンス、環境関連、インフラや工業プロセス管理など多様な分野への応用が期待できる高感度な近赤外イメージセンサ(~3μm)の実用化開発を行うとともに、さらなる用途拡大を目指し、中赤外領域(3μm~)の量子カスケードレーザ(QCL-LD)、超格子型イメージセンサの開発も進めております。化合物半導体では、情報通信を支える高速通信用の光デバイスや無線通信用電子デバイスなどに用いられるインジウムリン及びガリウムヒ素系エピタキシャルウエハの新製品開発を進めております。また、青紫色レーザダイオード、白色LEDやパワーデバイス等に応用されるGaN基板の高品質化に加え、それら材料からデバイス技術の研究とその応用製品の開発も行っております。これまでの発光特性と高周波特性に着眼した材料開発に加え、さらに、全く新しい機能を有する光デバイスや電子デバイス用途の半導体材料の開発にも取り組んでおります。ネットワーク・システム関連分野では、情報通信技術の革新により、安全・安心・快適かつ持続可能な社会の実現を目指した情報通信機器の研究開発を推進しております。有線通信システム関連では、10G-EPON等、より高速化した次世代システムの研究開発に、無線通信システム関連では、携帯基地局向けの高周波増幅器モジュールの開発と第5世代移動通信システム向けの新製品の検討に取り組んでおります。交通インフラ関連では、信号制御アルゴリズム、自動走行支援を含む高度走行支援システムの開発を行っております。当事業に係る研究開発費は18,328百万円であります。 (3) エレクトロニクス関連事業マイクロ・ナノテクノロジーを駆使して、広範な新材料や部品の開発を行っております。エレクトロニクス関連部材では、独自の液相還元プロセスで合成した金属ナノ粒子粉末を用いた回路形成用ナノインク及び高精度印刷技術による微細回路基板を開発しており、携帯電子機器用の次世代微細回路基板への応用開発を行っております。さらに、固有の絶縁材料技術や接着材料技術を活用した車載向けの高耐熱性電子回路基板、配線部材の開発にも取り組むとともに、金属材料とセラミックスを複合化した電子デバイス用の低線膨張率の高放熱素材、独自の多孔化技術を適用した半導体用途向けの微細多孔質フッ素樹脂膜の開発にも注力しております。当事業に係る研究開発費は3,301百万円であります。 (4) 環境エネルギー関連事業超電導や次世代送電網の分野でのネットワーク技術を活用したエネルギーソリューション事業など、新しい分野への進出を図るとともに、蓄電池などエネルギー分野での積極的な開発を推進しております。超電導分野では、ビスマス系高温超電導線材の特性と量産性を大幅に向上させ、世界各国のケーブルプロジェクトやモータ、マグネット用などに線材を納入するなど、商業ベースでの販売本格化を図りつつあります。2015年4月、従来と比較し、約50~60%の引張り強度の向上を実現した400メガパスカル級の超高強度超電導線材の開発に成功し、販売を開始しました。これにより、核磁気共鳴(NMR)装置などの超高磁場マグネットへの適用範囲が広がりました。超電導ケーブル交流送電システムでは国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「高温超電導ケーブル実証プロジェクト」に参画し、2012年10月から2013年12月まで1年以上にわたり、日本初の系統連系試験を成功裏に完了いたしました。また、2014年6月から本プロジェクトの後継プロジェクトとして「次世代送電システムの安全性・信頼性に係る実証研究」に参画し、実用化への研究開発に取り組んでおり、2017年3月末から系統接続を再開し、約1年間問題なく運転し、信頼性が実証できました。産業応用では超電導マグネットシステムの開発を進めており、2014年7月に小型軽量冷凍機冷凍型マグネットシステム(±6T-Φ70mm)の販売を開始し、磁気特性評価装置への適用、さらに産業界での実用化、用途開拓に注力しているところであります。またビスマス系とは異なる次世代の超電導線材の研究も行っており、結晶配向した金属基板、中間層、超電導層からなる薄膜超電導線の特性向上にも注力しております。次世代送電網の分野では、自然エネルギーの導入、省エネルギー、電力網の分散管理といった社会ニーズに対応すべく、2011年6月から、当社大阪製作所において、複数の自然エネルギー発電装置と小型レドックスフロー電池(蓄電池)等を直流電力ケーブルで連結したマイクロスマートグリッドシステムの実証試験を実施しております。2012年7月から、当社横浜製作所において、メガワット級の出力・容量を有するレドックスフロー電池と出力100kWの集光型太陽光発電(CPV)から成る大規模蓄発電システムを開発し、実際の工場電力運用の中で、製品化のための実証運転を実施しております。2015年12月からは、北海道電力㈱南早来変電所において、大型蓄電システム(レドックスフロー電池、容量60MWh)の実証試験を実施しております(経済産業省の大型蓄電システム緊急実証事業に北海道電力㈱と共同で応募し、採択されたものであります)。2016年11月には、モロッコ王国において出力1MWのCPVプラント運用実証を開始しました。2017年3月には、米国カリフォルニア州において容量8MWhのレドックスフロー電池の実証運転を開始しました(これは当社がNEDOより実証委託を受け、実施するものであります)。また、電力需給逼迫時に電力使用量の調整を行うデマンドレスポンス自動化サーバ、宅内の電力使用量を最適化するシステム(HEMS)、電力線通信(PLC)によるメガソーラー監視システム、非常用の小型蓄電池やパワーコンディショナ等の開発にも注力しております。蓄電池分野では、リチウムイオン電池やキャパシタなどの蓄電デバイスの高性能化に貢献する集電材料として、当社独自の溶融塩めっき技術を用いた金属多孔体「アルミセルメット」を開発しており、量産化に向けた生産技術開発に注力するとともに、ニーズの調査、顧客での評価を進めております。また、EVやHEV等の環境対応車の分野では、固有の高分子材料の合成技術を駆使し、駆動モータ等に適用する高性能平角巻線の開発にも取り組んでおり、モータの高性能化に貢献する薄肉皮膜で高度な電気絶縁性を発揮する次世代平角巻線の開発に注力しております。住友電設㈱では、社会や顧客の多様化するニーズに応えるべく、太陽光発電システム用保守監視システム、監視・エネルギー管理等のビル・マネジメントシステム、工場向け統合セキュリティシステム、異常通報装置、超電導冷却システム、蓄電池システム、バーチャルパワープラント、クラウド活用など、最新技術、情報化技術を活用し、新技術、新工法、各種システムの開発に取り組んでおります。日新電機㈱では、電力機器分野をはじめ、新エネルギー・環境分野及びライフサイクルエンジニアリング分野にかかわる技術開発・製品開発並びにソリューション開発に注力しております。電力機器分野においては、縮小化及び環境負荷の低減を狙いとした製品開発と共に、太陽光発電をはじめ、多様な分散型電源の増加を受けて、電力品質を維持・向上する技術研究や製品開発並びにシステム開発に取り組みました。ビーム・真空応用分野では、新たなコーティング薄膜や用途拡大に向けた研究開発、半導体製造用イオン注入装置や電子線照射装置などの次世代製品の研究開発に注力しております。また新エネルギー・環境分野においては、太陽光発電用パワーコンディショナの縮小化及び環境負荷の低減を狙いとした製品開発に注力すると共に、エネルギー管理システム(EMS)関連やIoT関連の技術研究を進めております。当事業に係る研究開発費は16,057百万円であります。 (5) 産業素材関連事業他超硬合金、ダイヤモンド、立方晶窒化硼素、コーティング薄膜、特殊鋼線、セラミックスや鉄系焼結部品に関する当社固有の材料技術とプロセス技術を駆使し、切削用工具や超精密加工用工具、各種自動車機構部品・機能部品、家電部品等の開発を進めております。切削用工具開発においては、今後、市場が伸長していく航空機分野を重点ターゲットとし、革新的な粉末冶金技術、コーティング技術、超高圧技術により超硬合金製品、CBN製品の研究開発を進めております。ダイヤモンドでは、15万気圧、2000℃以上の新しい超高圧技術と独自の新プロセスにより合成した、数十nmサイズの超微細粒よりなる高硬度ナノ多結晶ダイヤモンドが従来のダイヤモンドを大きく凌駕する機械的特性を有することを実証し、次世代の高性能精密加工用工具として実用化開発に注力しております。焼結部品の関連では、自動車の電動化ニーズに対応した小型・高出力モータの実現に貢献する磁気特性と造形性に優れた圧粉軟磁性材料の開発や、形状自由度を活かして新規のモータやセンサに貢献する圧粉磁石の開発に注力しております。当事業に係る研究開発費は8,283百万円であります。 今後の成長を担う新規分野への挑戦として、ライフサイエンス分野では医療機器及び健康介護の分野向けの製品開発を進めております。また次世代の電線材料として期待される導電性カーボン単結晶線の長尺化にも独自製法で取り組んでおります。そのほか、当社の持つ材料技術を活かして、省エネルギー化のために期待されているSiCパワーデバイスを基板から一貫して開発しております。2017年度はデバイスの高効率生産のために必要なSiC高品質エピ基板を、当社のエピタキシャル成長技術を活かして量産化いたしました。またデバイスについては、国立研究開発法人 産業技術総合研究所と協力してつくばに専用6インチ・ラインを立ち上げ、事業化に向けた活動を展開しております。 以上の5分野他の研究開発及びグループ全体の生産、品質などを支える解析技術の分野では、ナノスケールの構造解析や、ポリマーの分子構造解析など、世界トップレベルの分析を行っております。これに加え、佐賀県が運営する九州シンクロトロン光研究センターに当社グループ専用のビームラインを建設し、放射光施設を利用した最先端の原子レベルの解析を行い、製品開発の加速や知的財産権の強化などに利用しております。また、高度な計算機シミュレーションを用いたCAE技術の開発にも注力しており、生産プロセスの改善、革新と多くの製品の信頼性に直結する強度解析など、各種新製品設計にCAE技術を活用することで他社との差別化につながる解析技術の開発を推進しております。生産技術分野では、IoTに向けた高度なサービス実現の基盤となる省電力無線センサ技術、AI・データ分析技術を用いた設備故障の予兆診断等の研究にも取り組んでおります。 当社は大阪製作所内の研究本館「WinD Lab」を研究・開発活動の中核とし、さらなる事業の成長を目指します。また、グループ全体として、これらの研究開発成果を早期に確保すべく努めるとともに、企業の社会的責任を自覚し、省エネ、省資源、環境保護に関する研究にも注力してまいります。
FY2017|8,068 文字
6【研究開発活動】当社及び連結子会社は「技術を創造し、変革を生み出し、絶えざる成長に努めます」という経営理念の下、伸長分野に焦点を合わせ、オリジナリティがありかつ収益力のある新事業・新製品の開発に努めております。また、将来の技術ニーズを踏まえ、当社グループの次代の成長を担う新規研究テーマの発掘・育成にも積極的に取り組んでおります。自動車関連事業、情報通信関連事業、エレクトロニクス関連事業、環境エネルギー関連事業、産業素材関連事業他の各事業分野における当連結会計年度の主な成果は以下のとおりであります。また、当連結会計年度における研究開発費の総額は115,155百万円であります。(1) 自動車関連事業ワイヤーハーネス及び車載エレクトロニクス機器については、当社、住友電装㈱及び両社の共同出資による㈱オートネットワーク技術研究所を中心に、当社固有の材料技術・解析技術を活かして安全、快適、環境のニーズに対応した新製品の開発を行っております。ワイヤーハーネスについては、次世代車載システムにパワー供給や情報伝送するためのハーネスアーキテクチャを構築し、それに必要な要素技術の開発を進めております。また、環境対応としてハーネスの軽量化に取り組んでおり、銅に比べ軽量なアルミを使ったワイヤーハーネスの量産、さらに高強度な電線の開発によるエンジンルーム等への適用範囲拡大を進めております。市場規模が拡大してきた電気自動車(EV)・ハイブリッド自動車(HEV)用高圧ハーネスやコネクタ、バッテリー内配線モジュールの開発等にも取り組んでおります。車載エレクトロニクス機器に関しては、電源系、情報系のネットワーク化に対応すべく、電源制御機器や半導体デバイス、ボディ制御ECU、さらにゲートウェイなど、次世代車載LAN(Local Area Network)製品の開発を進めております。一方、新製品の開発効率化や高いレベルの品質確保に向け、要素技術開発や信頼性確保に不可欠な試験・分析・評価・解析技術の開発を推進しております。環境試験装置や分析装置等の評価設備の充実を図るとともに、CAE(Computer-Aided Engineering)技術を用いたシミュレーション技術も充実させております。住友理工㈱では、事業を取り巻く環境がダイナミックに変化する中、将来の成長・発展に結びつく新事業の創出に向けて、コア技術である高分子材料技術と総合評価技術をベースに外部技術の融合・協業を促進し、スピーディーな新技術の創出とタイムリーな商品開発を目指しており、既存事業のコア技術を進化させる材料技術研究所と、先行技術研究所に体制を変更しました。自動車分野においては、新規顧客開拓を推進する体制を整え、「防振ゴム」「ホース」「ウレタン製品(制遮音品・内装品)」の既存3分野以外の自動車用新商品を開発・育成していくために、「自動車新商品開発センター」を設置しました。体圧を検知する「スマートラバー(SR)センサ」を自動車のシートに埋め込み、呼吸や心拍などのバイタル情報によってドライバーの異変を検知、危険を回避する乗員状態検知機能の実用化に向けた開発や、EV及び燃料電池自動車(FCV)向けの環境対応製品の技術開発などにも取り組んでおります。当事業に係る研究開発費は70,894百万円であります。 (2) 情報通信関連事業光通信関連製品、ネットワーク・システム製品などの分野において、総合的に研究開発を行っております。光通信関連製品では、光ファイバ通信のさらなる高速化・長距離化に向けて、海底ケーブル用途の低損失低非線形光ファイバの研究開発を進め、量産安定化技術とさらなる特性向上に取り組んでおります。その一例として、2016年度は光ファイバの低損失世界記録更新に成功し、2017年3月に光通信関係の国際学会(OFC)での発表とプレスリリースを行いました。また、伝送容量の飛躍的な拡大に向けて、1本の光ファイバに複数本のコアが形成されたマルチコア型光ファイバの開発に取り組み、光ファイバ構造・製造方法の検討、複数のコアへの光入出力デバイスなど、実使用上の課題解決に向けた研究を進めております。一方で、データセンタにおける情報機器内や情報機器間の高速大容量伝送に適した光配線製品を従来のテレコム光通信で培った技術で開発を進めております。特に、データセンタ内で使用される新型光コネクタや情報機器内の高密度光配線を実現する光部品などの製品開発を進めております。これらの一例として、上記マルチコア型光ファイバと高密度光コネクタを組み合わせ、世界最高となる256コアを一括接続できる超高密度多心光コネクタも実現可能であることを2017年3月のOFCで発表しました。そのほか、光ファイバ製造技術を活用した新材料の開発、光ファイバ実装・光学設計などの基盤技術を活用した新製品の開発を進めており、エレクトロニクス、環境・エネルギー、ライフサイエンスなどの新たな分野への光技術の展開を図っております。デバイス関連分野では、数十mの短距離伝送から数千kmの長距離伝送に対応するハイエンドの光通信用デバイス及び高効率、高出力特性を有する無線通信用電子デバイス技術を活かして、新製品をいち早く市場に投入することにより、事業拡大に努めております。光通信用デバイス関連製品においては、イーサネットに代表される支線系用10/100Gbpsの製品開発を終え、100Gbps対応では、さらなる小型省電力化、長距離化を目指し、開発を継続しております。高性能受発光素子、広帯域内製IC、波長多重機能を高密度集積した超小型光サブアセンブリ(OSA)を開発し、CFP4/QSFP28(現行製品比、容積約1/10、消費電力約1/3)と呼ばれる光トランシーバを製品化するとともに、次世代の400Gbps対応開発も進めております。数百kmから数千kmの幹線系対応として、コヒーレント伝送デバイスを開発しております。波長多重技術を用いることにより、数Tbps伝送を可能とします。構成要素である波長可変半導体レーザ、光多値位相変調デバイス、ホモダイン光受信デバイスは、化合物半導体を用いた光集積回路技術を用いて製品化しつつあります。それらを用いた光トランシーバの開発も進めております。ごく短距離の数十mの建屋内配線市場においても、100Gbps以上の大容量化が検討されており、キーデバイスとなる超低消費電力で光学実装性の優れた面発光型半導体レーザ(VCSEL)の高速化、多波長化を進めております。無線通信デバイス関連製品では、世界に先駆けて高効率・高出力のGaN(窒化ガリウム)トランジスタを開発し、携帯基地局用途に製品化しました。本製品は低消費電力化やLTEへの移行など市場の要請に合致し、国内外で既存のSi(シリコン)トランジスタからGaNへの移行を牽引しました。現在は、LTEに次ぐ第5世代携帯無線用途を見据え、更なる効率改善を図るとともに、微細化技術開発を推し進めることにより、20GHzから80GHz帯までを視野に入れた高周波/広帯域化を実現する計画としております。さらに、レーダ用途を目指し10GHz帯での高出力・高効率化を図るとともに、20GHz帯、80GHz帯(ミリ波帯)でのMMIC(Microwave Monolithic IC)の開発を進めております。これらのデバイスは、小型化、経済化を目指した、当社独自の3次元配線技術及びWLCSP(Wafer Level Chip Size Package)の特徴を生かして、適用領域の拡大、新規分野への展開を進めてまいります。これらデバイス技術の蓄積を活かし、ライフサイエンス、環境関連、インフラや工業プロセス管理など多様な分野への応用が期待できる高感度な近赤外イメージセンサ(~3μm)の実用化開発を行うとともに、さらなる用途拡大を目指し、中赤外領域(3μm~)の量子カスケードレーザ(QCL-LD)、超格子型イメージセンサの開発も進めております。ネットワーク・システム関連分野では、情報通信技術の革新により、安全・安心・快適かつ持続可能な社会の実現を目指した情報通信機器の研究開発を推進しております。有線通信システム関連では、10G-EPON等、より高速化した次世代システムの研究開発に、無線通信システム関連では、携帯基地局向けの高周波増幅器モジュールの開発と第5世代通信システム向けの新製品の検討に取り組んでおります。交通インフラ関連では、信号制御アルゴリズム、自動走行支援を含む高度走行支援システムの開発を行っております。生産技術分野では、IoTに向けた高度なサービス実現の基盤となる省電力無線センサ技術、AI・データ分析技術を用いた設備故障の予兆診断等の研究にも取り組んでおります。また、超高精細映像技術分野では、8Kの普及促進に向け、大容量画像の圧縮伝送技術に取り組んでおります。当事業に係る研究開発費は16,931百万円であります。 (3) エレクトロニクス関連事業マイクロ・ナノテクノロジーを駆使して、広範な新材料や部品の開発を行っております。化合物半導体では、情報通信を支える高速通信用の光デバイスや無線通信用電子デバイスなどに用いられるインジウムリン及びガリウムヒ素系エピタキシャルウエハの新製品開発を進めております。また、青紫色レーザダイオード、白色LEDやパワーデバイス等に応用されるGaN基板の高品質化に加え、それら材料からデバイス技術の研究とその応用製品の開発も行っております。これまでの発光特性と高周波特性に着眼した材料開発に加え、さらに、全く新しい機能を有する光デバイスや電子デバイス用途の半導体材料の開発にも取り組んでおります。エレクトロニクス関連部材では、独自の液相還元プロセスで合成した金属ナノ粒子粉末を用いた回路形成用ナノインク及び高精度印刷技術による微細回路基板を開発しており、携帯電子機器用の次世代微細回路基板への応用開発を行っております。さらに、固有の絶縁材料技術や接着材料技術を活用した車載向けの高耐熱性電子回路基板、配線部材の開発にも取り組むとともに、金属材料とセラミックスを複合化した電子デバイス用の低線膨張率の高放熱素材、独自の多孔化技術を適用した半導体用途向けの微細多孔質フッ素樹脂膜の開発にも注力しております。当事業に係る研究開発費は3,420百万円であります。 (4) 環境エネルギー関連事業超電導や次世代送電網の分野でのネットワーク技術を活用したエネルギーソリューション事業など、新しい分野への進出を図るとともに、蓄電池などエネルギー分野での積極的な開発を推進しております。超電導分野では、ビスマス系高温超電導線材の特性と量産性を大幅に向上させ、世界各国のケーブルプロジェクトやモータ、マグネット用などに線材を納入するなど、商業ベースでの販売本格化を図りつつあります。2015年4月、従来と比較し、約50~60%の引張り強度の向上を実現した400メガパスカル級の超高強度超電導線材の開発に成功し、販売を開始しました。これにより、核磁気共鳴(NMR)装置などの超高磁場マグネットへの適用範囲が広がりました。超電導ケーブル交流送電システムでは国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「高温超電導ケーブル実証プロジェクト」に参画し、2012年10月から2013年12月まで1年以上にわたり、日本初の系統連系試験を成功裏に完了いたしました。また、2014年6月から本プロジェクトの後継プロジェクトとして「次世代送電システムの安全性・信頼性に係る実証研究」に参画し、実用化への研究開発に取り組んでおり、2017年3月末から約1年の予定で系統接続を再開し、順調に運転しております。産業応用では超電導マグネットシステムの開発を進めており、2014年7月に小型軽量冷凍機冷凍型マグネットシステム(±6T-Φ70mm)の販売を開始し、磁気特性評価装置への適用、さらに産業界での実用化、用途開拓に注力しているところであります。またビスマス系とは異なる次世代の超電導線材の研究も行っており、結晶配向した金属基板、中間層、超電導層からなる薄膜超電導線の特性向上にも注力しております。次世代送電網の分野では、自然エネルギーの導入、省エネルギー、電力網の分散管理といった社会ニーズに対応すべく、2011年6月から、当社大阪製作所において、複数の自然エネルギー発電装置と小型レドックスフロー電池(蓄電池)等を直流電力ケーブルで連結したマイクロスマートグリッドシステムの実証試験を実施しております。2012年7月から、当社横浜製作所において、メガワット級の出力・容量を有するレドックスフロー電池と出力100kWの集光型太陽光発電(CPV)から成る大規模蓄発電システムを開発し、実際の工場電力運用の中で、製品化のための実証運転を実施しております。2015年12月からは、北海道電力㈱南早来変電所において、大型蓄電システム(レドックスフロー電池、容量60MWh)の実証試験を実施しております(経済産業省の大型蓄電システム緊急実証事業に北海道電力㈱と共同で応募し、採択されたものです)。2016年11月には、モロッコ王国において出力1MWのCPVプラント運用実証を開始しました。2017年3月には、米国カリフォルニア州において容量8MWhのレドックスフロー電池の実証運転を開始しました(これは当社がNEDOより実証委託を受け、実施するものです)。また、電力需給逼迫時に電力使用量の調整を行うデマンドレスポンス自動化サーバ、宅内の電力使用量を最適化するシステム(HEMS)、電力線通信(PLC)によるメガソーラー監視システム、非常用の小型蓄電池やパワーコンディショナ等の開発にも注力しております。蓄電池分野では、リチウムイオン電池やキャパシタなどの蓄電デバイスの高性能化に貢献する集電材料として、当社独自の溶融塩めっき技術を用いた金属多孔体「アルミセルメット」を開発しており、量産化に向けた生産技術開発に注力するとともに、ニーズの調査、顧客での評価を進めております。また、EVやHEV等の環境対応車の分野では、固有の高分子材料の合成技術を駆使し、駆動モータ等に適用する高性能平角巻線の開発にも取り組んでおり、モータの高性能化に貢献する薄肉皮膜で高度な電気絶縁性を発揮する次世代平角巻線の開発に注力しております。住友電設㈱では、社会や顧客の多様化するニーズに応えるべく、太陽光発電システム用保守監視システム、監視・エネルギー管理等のビル・マネジメントシステム、工場向け総合セキュリティシステム、異常通報システム、超電導冷却システム、蓄電池システム、バーチャルパワープラントなど、最新技術、情報化技術を活用し、省エネ技術、新工法、各種システムの開発に取り組んでおります。日新電機㈱では、電力機器分野をはじめ、ビーム・真空応用分野、新エネルギー・環境分野、ライフサイクルエンジニアリング分野にかかわる技術開発・製品開発並びにソリューション開発に注力しております。電力機器分野においては、縮小化及び環境負荷の低減を狙いとした製品開発とともに、太陽光発電をはじめ、多様な分散電源の増加を受けて、電力品質を維持・向上する技術研究や製品開発並びにシステム実証に取り組みました。ビーム・真空応用分野においては、新たなコーティング薄膜やその用途拡大に向けた研究開発、半導体製造用イオン注入装置や電子線照射装置などの次世代製品の研究開発に注力しております。また、新エネルギー・環境分野においては、太陽光発電用パワーコンディショナの縮小化及び環境負荷の低減を狙いとした製品開発に注力するとともに、エネルギー管理システム(EMS)関連やIoT関連の技術研究を進めております。当事業に係る研究開発費は16,022百万円であります。 (5) 産業素材関連事業他超硬合金、ダイヤモンド、立方晶窒化硼素、コーティング薄膜、特殊鋼線、セラミックスや鉄系焼結部品に関する当社固有の材料技術とプロセス技術を駆使し、切削用工具や超精密加工用工具、各種自動車機構部品・機能部品、家電部品等の開発を進めております。切削用工具開発においては、今後、市場が伸長していく航空機分野を重点ターゲットとし、革新的な粉末冶金技術、コーティング技術、超高圧技術により超硬合金製品、CBN製品の研究開発を進めております。ダイヤモンドでは、15万気圧、2000℃以上の新しい超高圧技術と独自の新プロセスにより合成した、数十nmサイズの超微細粒よりなる高硬度ナノ多結晶ダイヤモンドが従来のダイヤモンドを大きく凌駕する機械的特性を有することを実証し、次世代の高性能精密加工用工具として実用化開発に注力しております。焼結部品の関連では、ディーゼルエンジン用燃料噴射装置部品など高周波域で優れた磁気特性を持つ圧粉軟磁性材応用製品の開発、EV・HEVなどの自動車の電動化に対応した高性能圧粉軟磁性材料の製品開発に注力しております。また、切削工具分野で培った超硬合金技術、コーティング技術を展開すべく、新接合手法として注目されている摩擦撹拌接合ツールの開発に取り組み、非切削分野での新市場開拓を目指しております。当事業に係る研究開発費は7,888百万円であります。 今後の成長を担う新規分野への挑戦としては、農業分野において、当社独自の砂栽培、情報通信技術(ICT)及び環境制御技術を組み合わせることで抜本的な生産性の改善を目指し「農業の工業化」に取り組んでおります。ライフサイエンス分野では当社の既存技術の応用可能性を探索しております。また次世代の電線材料として期待される導電性カーボン単結晶線の長尺化にも独自製法で取り組んでおります。そのほか、材料に強みを持つ当社の特長を活かして、省エネに対応した新たなパワーデバイスであるSiCパワーデバイスを基板から一貫して開発しており、国立研究開発法人 産業技術総合研究所と協力して、つくばにSiC専用6インチ・ラインを立ち上げ、事業化に向けた活動を展開しております。 以上の5分野他の研究開発及びグループ全体の生産、品質などを支える解析技術の分野では、ナノスケールの構造解析や、ポリマーの分子構造解析など、世界トップレベルの分析を行っております。さらに、SPring-8などの放射光施設を利用した最先端の原子レベル解析により、レアメタルのリサイクル技術開発や知的財産権の強化などに寄与しております。なお、放射光利用の拡大を図るため、佐賀県が運営する九州シンクロトロン光研究センターに当社グループ専用のビームラインを建設し、2016年度下期に稼働を開始しました。また、高度な計算機シミュレーションを用いたCAE技術の開発にも注力しており、2016年度には、社内のCAE用並列計算サーバを増強し、処理能力を4倍以上に高めました。加えて、国立研究開発法人 理化学研究所が保有する「京」など、外部のスーパーコンピュータも利用しながら、生産プロセスの改善や各種新製品の設計にCAE技術を活用することで他社との差別化につながる解析技術の開発を推進しております。 そのほか、大阪製作所内の研究本館「WinD Lab」を研究・開発活動の中核とし、さらなる事業の成長を目指します。また、グループ全体として、これらの研究開発成果を早期に確保すべく努めるとともに、企業の社会的責任を自覚し、省エネ、省資源、環境保護に関する研究にも注力してまいります。
FY2016|7,563 文字
6【研究開発活動】当社及び連結子会社は「技術を創造し、変革を生み出し、絶えざる成長に努めます」という経営理念の下、伸長分野に焦点を合わせ、オリジナリティがありかつ収益力のある新事業・新製品の開発に努めております。また、将来の技術ニーズを踏まえ、当社グループの次代の成長を担う新規研究テーマの発掘・育成にも積極的に取り組んでおります。自動車関連事業、情報通信関連事業、エレクトロニクス関連事業、環境エネルギー関連事業、産業素材関連事業他の各主要事業分野における当連結会計年度の主な成果は以下のとおりであります。また、当連結会計年度における研究開発費の総額は110,839百万円であります。(1) 自動車関連事業ワイヤーハーネス及び車載エレクトロニクス機器については、当社、住友電装㈱、及び両社の共同出資による㈱オートネットワーク技術研究所を中心に、当社固有の材料技術・解析技術を活かして安全、快適、環境のニーズに対応した新製品の開発を行っております。ワイヤーハーネスについては、次世代車載システムに対応できるハーネスアーキテクチャを構築し、それに必要な要素技術の開発を進めております。また、環境対応としてハーネスの軽量化に取り組んでおり、銅に比べ軽量なアルミを使ったワイヤーハーネスを量産し、さらに高強度な電線を開発し適用範囲拡大の取組みを進めております。市場規模が拡大してきたEV(Electric Vehicle)・HEV(Hybrid Electric Vehicle)用高圧ハーネスやコネクタ、バッテリー内配線モジュールの開発等にも取り組んでおります。車載エレクトロニクス機器に関しては、電源系、情報系のネットワーク化に対応すべく、電源制御機器や半導体デバイス、ボディ制御ECU、さらにゲートウェイ等の通信機器などの次世代車載LAN(Local Area Network)製品の開発を進めております。一方、新製品の開発効率化や高いレベルの品質確保に向け、要素技術開発や信頼性確保に不可欠な試験・分析・評価・解析技術の開発を推進しております。環境試験装置や分析装置等の評価設備の充実を図るとともに、CAE(Computer-Aided Engineering)技術を用いたシミュレーション技術も充実させております。住友理工㈱では、事業を取り巻く環境がダイナミックに変化する中、将来の成長・発展に結びつく新事業の創出に向けて、コア技術である高分子材料技術と総合評価技術をベースに外部技術の融合・協業を促進し、スピーディーな新技術の創出とタイムリーな商品開発を目指しております。自動車分野においては、小型軽量化・環境性能向上に対応し、高い安全基準を満たす技術開発や次世代自動車への新製品開発に取り組んでおります。一昨年より、高機能ゴムと精密加工技術を融合した燃料電池(FC)自動車に搭載されるFCスタック向けゴムシール材「セル用ガスケット」を量産し、さらなる性能向上に向けて技術開発を続けております。当事業に係る研究開発費は68,402百万円であります。 (2) 情報通信関連事業光通信関連製品、ネットワーク・システム製品などの分野において、総合的に研究開発を行っております。光通信関連製品では、光ファイバ通信のさらなる高速化・長距離化に向けて、海底ケーブル用途の低損失低非線形光ファイバの研究開発を進め、量産安定化技術とさらなる特性向上に取り組んでおります。その結果、当社の「海底ケーブル用極低損失光ファイバの開発と実用化」に対する取組みが高く評価され、一般財団法人光産業技術振興協会より「第31回櫻井健二郎氏記念賞」を2016年1月に受賞しました。また、伝送容量の飛躍的な拡大に向けて、1本の光ファイバに複数本のコアが形成されたマルチコア型光ファイバの開発に取り組み、光ファイバ構造・製造方法の検討、複数のコアへの光入出力デバイスなど、実使用上の課題解決に向けた研究を進めております。一例として、長距離大容量伝送用途に適した新型の結合型マルチコア光ファイバを開発し、空間分割多重用光ファイバにおける伝送損失と空間モード分散の世界記録を更新したことを2016年3月の国際展示会(OFC)で発表しました。一方で、データセンタにおける情報機器内や情報機器間の高速大容量伝送に適した光配線製品を従来のテレコム光通信で培った技術で開発を進めております。特に、データセンタ内で使用される新型光コネクタや情報機器内の高密度光配線を実現する光部品などの製品開発を進めております。そのほか、光ファイバ製造技術を活用した新材料の開発、光ファイバ実装・光学設計などの基盤技術を活用した新製品の開発を進めており、エレクトロニクスやライフサイエンスなどの新たな分野への光技術の展開を図っております。デバイス関連分野では、数十mの短距離伝送から数千kmの長距離伝送に対応するハイエンドの光通信用デバイス、及び高速、高出力特性を有する無線通信用電子デバイス技術を活かして、新製品をいち早く市場に投入することにより、事業拡大に努めております。光通信用デバイス関連製品においては、イーサネットに代表される支線系用10/100Gbpsの製品開発を終え、100Gbps対応では、さらなる小型省電力化、長距離化を目指し、開発を継続しております。高性能受発光素子、広帯域内製IC、波長多重機能を高密度集積した超小型光サブアセンブリ(OSA)を開発し、CFP4/QSFP28(現行製品比、容積約1/10、消費電力約1/3)と呼ばれる光トランシーバを製品化するとともに、次世代の400Gbps対応開発も進めております。数百kmから数千kmの幹線系対応として、コヒーレント伝送デバイスを開発しております。波長多重技術を用いることにより、数Tbps伝送を可能とします。構成要素である波長可変半導体レーザ、光多値位相変調デバイス、ホモダイン光受信デバイスは、化合物半導体を用いた光集積回路技術を用いて製品化しつつあります。それらを用いた光トランシーバの開発も進めております。ごく短距離の数十mの建屋内配線市場においても、100Gbps以上の大容量化が検討されており、キーデバイスとなる超低消費電力で光学実装性の優れた面発光型半導体レーザ(VCSEL)の高速化、多波長化を進めております。無線通信デバイス関連製品では、世界に先駆けて高効率・高出力のGaN(窒化ガリウム)トランジスタを開発し、携帯基地局用途に製品化しました。本製品は低消費電力化やLTEへの移行など市場の要請に合致し、国内外で既存のSi(シリコン)トランジスタからGaNへの移行を牽引しました。現在は、LTEに次ぐ第5世代携帯無線用途を見据え、更なる効率改善を図るとともに、微細化技術開発を推し進めることにより、20GHzから80GHz帯までを視野に入れた高周波/広帯域化を実現する計画としております。さらに、レーダ用途を目指し10GHz帯での高出力・高効率化を図るとともに、20GHz帯、80GHz帯(ミリ波帯)でのMMIC(Microwave Monolithic IC)の開発を進めております。これらのデバイスは、小型化、経済化を目指した、当社独自の3次元配線技術およびWLCSP(Wafer Level Chip Size Package)の特徴を生かして、適用領域の拡大、新規分野への展開を進めてまいります。これらデバイス技術の蓄積を活かし、ライフサイエンス、環境関連、インフラや工業プロセス管理など多様な分野への応用が期待できる高感度な近赤外イメージセンサ(~3μm)の実用化開発を行うとともに、さらなる用途拡大を目指し、中赤外領域(3μm~)の量子カスケードレーザ(QCL-LD)、超格子イメージセンサの開発も進めております。ネットワーク・システム関連分野では、情報通信技術の革新により、安全・安心・快適かつ持続可能な社会の実現を目指した情報通信機器の研究開発を推進しております。有線通信システム関連では、10G-EPON等、より高速化した次世代システムの研究開発に、無線通信システム関連では、携帯基地局向けの新製品であるアクティブアンテナの開発と第5世代通信システムの検討、並びにIoT(Internet of Things)に向けたモノとモノ(Machine to Machine:M2M)との通信による高度なサービス実現の基盤となる無線通信技術に取り組んでおります。安全・安心に関する技術分野では、交通社会の安全のために、交通システム制御アルゴリズムや路車協調による安全運転支援システムの開発を行っております。インフラ・プラント構造物等の劣化監視のために自社センサー技術を用いた分析技術の研究にも取り組んでおります。また、超高精細映像技術分野では、8Kの普及促進に向け、大容量画像の圧縮伝送技術に取り組んでおります。当事業に係る研究開発費は16,926百万円であります。 (3) エレクトロニクス関連事業マイクロ・ナノテクノロジーを駆使して、化合物半導体やエレクトロニクス関連部材などの広範な新材料や部品の開発を行っております。化合物半導体では、情報通信を支える高速通信用の光デバイスや無線通信用電子デバイスなどに用いられるインジウムリン及びガリウムヒ素系エピタキシャルウエハの新製品開発を進めております。また、青紫色レーザダイオード、白色LEDやパワーデバイス等に応用されるGaN基板の高品質化に加え、それら材料からデバイス技術の研究とその応用製品の開発も行っております。これまでの発光特性と高周波特性に着眼した材料開発に加え、さらに、まったく新しい機能を有する光デバイスや電子デバイス用途の半導体材料の開発にも取り組んでおります。エレクトロニクス関連部材では、独自の液相還元プロセスによる金属ナノ粒子粉末を用いた高導電性ペーストや回路形成用ナノインク、及び高精度印刷技術による微細回路基板を開発しております。さらに、固有の接着材料技術や微細回路形成技術を活用した携帯機器用の電子回路基板、高耐熱電子回路基板、車載向けモジュール部品や放熱部材などの開発に取り組んでおります。当事業に係る研究開発費は3,361百万円であります。 (4) 環境エネルギー関連事業超電導や次世代送電網の分野でのネットワーク技術を活用したエネルギーソリューション事業など、新しい分野への進出を図るとともに、蓄電池などエネルギー分野での積極的な開発を推進しております。超電導分野では、ビスマス系高温超電導線材の特性と量産性を大幅に向上させ、世界各国のケーブルプロジェクトやモータ、マグネット用などに線材を納入するなど、商業ベースでの販売本格化を図りつつあります。2015年4月、従来と比較し、約50~60%の引張り強度の向上を実現した400メガパスカル級の超高強度超電導線材の開発に成功し、販売を開始しました。これにより、NMR(核磁気共鳴)装置などの超高磁場マグネットへの適用範囲が広がりました。超電導ケーブル交流送電システムでは新エネルギー・産業技術総合開発機構の「高温超電導ケーブル実証プロジェクト」に参画し、2012年10月から2013年12月まで1年以上にわたり、日本初の系統連系試験を成功裏に完了いたしました。また、2014年6月から本プロジェクトの後継プロジェクトとして「次世代送電システムの安全性・信頼性に係る実証研究」に参画し、実用化への研究開発に取り組んでおります。一方、直流伝送システムでは2013年3月より、経済産業省委託事業「高温超電導直流送電システムの実証研究」へ参画し、2015年9月、太陽光発電(出力200kW)からデータセンタを500mの直流超電導ケーブルで接続し、380Vの直流送電に成功しました。産業応用では超電導マグネットシステムの開発を進めており、2014年7月に小型軽量冷凍機冷凍型マグネットシステム(±6T-Φ70mm)の販売を開始し、磁気特性評価装置への適用、さらに産業界での実用化、用途開拓に注力しているところであります。またビスマス系とは異なる次世代の超電導線材の研究も行っており、結晶配向した金属基板、中間層、超電導層からなる薄膜超電導線の特性向上にも注力しております。次世代送電網の分野では、自然エネルギーの導入、省エネルギー、電力網の分散管理といった社会ニーズに対応すべく、2011年6月から、当社大阪製作所において、自社開発の集光型太陽光発電装置(CPV)を含む複数の自然エネルギー発電装置と小型レドックスフロー電池(蓄電池)等を直流電力ケーブルで連結したマイクロスマートグリッドシステムの実証試験を実施しております。さらに、2012年7月から、当社横浜製作所において、メガワット級の出力・容量を有するレドックスフロー電池と定格出力100kWのCPVから成る大規模蓄発電システムを開発し、実際の工場電力運用の中で、製品化のための実証運転を実施しております。また、電力需給逼迫時に電力使用量の調整を行うデマンドレスポンス自動化サーバ、宅内の電力使用量を最適化するシステム(HEMS)、電力線通信(PLC)によるメガソーラー監視システム、非常用の小型蓄電池やパワーコンディショナ等の開発にも注力しております。蓄電池分野では、リチウムイオン電池やキャパシタなどの蓄電デバイスの高性能化に貢献する集電材料として、当社独自の溶融塩めっき技術を用いた金属多孔体「アルミセルメット」を開発しており、量産化に向けた生産技術開発に注力するとともに、顧客ニーズの調査、顧客での評価を進めております。住友電設㈱では、社会や顧客の多様化するニーズに応えるべく、太陽光発電システム用保守監視システム、監視・エネルギー管理等のビル・マネジメントシステム、工場向け総合セキュリティシステム、異常通報システム、超電導冷却システム、蓄電池システムなど、最新技術、情報化技術を活用し、省エネ技術、新工法、各種システムの開発に取り組んでおります。日新電機㈱では、電力機器分野をはじめ、新エネルギー・環境分野及びライフサイクルエンジニアリング分野にかかわる技術開発・製品開発、並びにソリューション開発に注力しております。電力機器分野においては、縮小化、及び環境負荷の低減を狙いとした製品開発とともに、太陽光発電をはじめ、多様な分散電源の増加を受けて、電力品質を維持・向上する技術研究や製品開発に取り組みました。ビーム・真空応用分野においては、新たなコーティング薄膜やその用途拡大に向けた研究開発、半導体製造用イオン注入装置や電子線照射装置などの次世代製品の研究開発に注力しております。また、新エネルギー・環境分野においては、太陽光発電用パワーコンディショナの高機能化に向けた技術研究・製品開発に注力するとともに、EMS(エネルギー管理システム)関連の技術研究並びに実証検証を進めております。当事業に係る研究開発費は14,545百万円であります。 (5) 産業素材関連事業他超硬合金、ダイヤモンド、立方晶窒化硼素、コーティング薄膜、特殊鋼線、セラミックスや鉄系焼結部品に関する当社固有の材料技術とプロセス技術を駆使し、切削用工具や超精密加工用工具、各種自動車機構部品・機能部品、家電部品等の開発を進めております。ダイヤモンドでは、15万気圧、2000℃以上の新しい超高圧技術と独自の新プロセスにより合成した、数十nmサイズの超微細粒よりなる高硬度ナノ多結晶ダイヤモンドが従来のダイヤモンドを大きく凌駕する機械的特性を有することを実証し、次世代の高性能精密加工用工具として実用化開発に注力しております。焼結部品の関連では、ディーゼルエンジン用燃料噴射装置部品など高周波域で優れた磁気特性を持つ圧粉軟磁性材応用製品の開発、EV・HEVなどの自動車の電動化に対応した高性能圧粉軟磁性材料の製品開発に注力しております。また、切削工具分野で培った超硬合金技術、コーティング技術を展開すべく、新接合手法として注目されている摩擦撹拌接合ツールの開発に取り組み、非切削分野での新市場開拓を目指しております。当事業に係る研究開発費は7,605百万円であります。 今後の成長を担う新規分野への挑戦としては、まず、農業分野において、当社独自の砂栽培、ICT技術および環境制御技術を組み合わせることで抜本的な生産性の改善を目指し「農業の工業化」に取り組んでおります。ライフサイエンス分野では当社の既存技術の応用可能性を探索しております。また次世代の電線材料として期待されるカーボンナノチューブの独自製法による長尺化にも取り組んでおります。なお、水処理分野で取り組んでいたバラスト水処理装置については、リソース有効活用の観点から研究活動を中止しております。 以上の5分野他の研究開発及びグループ全体の生産、品質などを支える解析技術の分野では、ナノスケールの構造解析や、ポリマーの分子構造解析など、世界トップレベルの分析を行っております。さらに、SPring-8などの放射光施設を利用した最先端の原子レベル解析により、レアメタルのリサイクル技術開発や知的財産権の強化などに寄与しております。なお、放射光利用の拡大を図るため、佐賀県が運営する九州シンクロトロン光研究センターに当社グループ専用のビームラインを建設中であり、2016年度下期の稼働を目指しております。また、高度な計算機シミュレーションを用いたCAE技術の開発にも注力しており、2012年度には、社内のCAE用並列計算サーバを増強し、処理能力を4倍以上に高めました。加えて、国立研究開発法人 理化学研究所が保有する「京」など、外部のスーパーコンピュータも利用しながら、生産プロセスの改善や各種新製品の設計にCAE技術を活用することで他社との差別化につながる解析技術の開発を推進しております。 その他、当社では、創業110周年の記念事業の一環として研究本館「WinD Lab」を建設し、2010年4月に竣工しました。この「WinD Lab」を研究・開発活動の中核とし、さらなる事業の成長を目指します。また、グループ全体として、これらの研究開発成果を早期に確保すべく努めるとともに、企業の社会的責任を自覚し、省エネ、省資源、環境保護に関する研究にも注力してまいります。