5802

住友電気工業(5802)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

非鉄金属 鉄鋼・非鉄

事業の概要

  • 多角的な事業展開
    住友電気工業は、環境エネルギー、情報通信、自動車、エレクトロニクス、産業素材という5つの幅広い分野で事業を展開しています。これにより、特定の市場や製品に依存せず、多様な収益源を確保しているのが特徴です。例えば、自動車関連ではワイヤーハーネス、環境エネルギーでは送配電ケーブルなど、社会を支える基盤技術を提供しています。
  • グローバルな事業活動
    日本だけでなく、米州、アジア、欧州、北アフリカなど世界各地で製品の開発、製造、販売、サービスを行っています。これにより、地域ごとの需要変動リスクを分散し、安定した事業運営を目指しています。特に自動車関連事業は海外での展開が広く、グローバルなサプライチェーンを構築しています。
  • 社会インフラと部品供給
    同社の製品は、光ファイバケーブルや送配電用電線といった社会インフラを支えるものから、自動車のワイヤーハーネスや電子機器の部品まで多岐にわたります。最終消費財の部品や素材供給を通じて、様々な産業の根幹を支えるビジネスモデルを構築しており、景気変動の影響を受けやすい側面もあります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 環境エネルギー事業
    この部門は、送配電用電線・ケーブル、電力機器、電気・電力工事などを手掛けています。売上高は1兆480億円、営業利益は787億円で、社会の電力インフラを支える基盤事業です。再生可能エネルギーの導入拡大や電力網のスマート化に伴い、需要の増加が見込まれる分野です。
  • 自動車関連事業
    ワイヤーハーネス、防振ゴム、自動車用ホース、自動車電装部品などを製造・販売しています。売上高は2兆7325億円、営業利益は1723億円と、住友電気工業グループの中で最も大きな収益源となっています。世界中の自動車メーカーに部品を供給しており、自動車産業の動向に大きく左右される事業です。
  • 情報通信事業
    光ファイバ・ケーブル、通信用ケーブル・機器、光・電子デバイス製品、化合物半導体などを扱っています。売上高は2184億円、営業利益は199億円です。5Gやデータセンターの普及、IoTの進展に伴い、高速・大容量通信を支える製品の需要が高まっています。
2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
EnvironmentAndEnergy 事業 10,481 787 7.5%
Infocommunications 事業 2,184 199 9.1%
Automotive 事業 27,326 1,724 6.3%
Electronics 事業 3,271 293 9.0%
IndustrialMaterialsAndOthers 地域 3,536 206 5.8%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2025|1,489 文字
3【事業の内容】当社グループ(当社及び当社の関係会社)においては、環境エネルギー関連事業、情報通信関連事業、自動車関連事業、エレクトロニクス関連事業、産業素材関連事業他の5部門にわたって、製品の開発、製造、販売、サービス等の事業活動を展開しております。各事業における、当社及び当社の関係会社の位置付け等は次のとおりであります。区分主要製品主要な関係会社環境エネルギー関連事業導電製品、送配電用電線・ケーブル・機器、巻線、空気ばね、受変電設備・制御システムなどの電力機器、ビーム・真空応用装置、電気・電力工事及びエンジニアリング、金属多孔体、電子部品金属材料当社[国内連結子会社]日新電機㈱、住友電設㈱、住友電工ウインテック㈱、住電HSTケーブル㈱[在外連結子会社]スミトモ エレクトリック ユーケー パワー ケーブルズ リミテッド、ピーティー カリヤ スミデン インドネシア、ピーティー スミトモ エレクトリック ウインテック インドネシア、ピーティー スミ インド カベル ティービーケー、エスイーアイ タイ エレクトリック コンダクター カンパニー リミテッド、スミトモ エレクトリック ウインテック マレーシア スンディリアン・ブルハド、住友電工運泰克機電線(常州)有限公司情報通信関連事業光ファイバ・ケーブル、通信用ケーブル・機器、光融着接続機、光データリンク・無線通信用デバイスなどの光・電子デバイス製品、化合物半導体、アクセス系ネットワーク機器(GE-PON・セットトップボックス・CATV関連製品等)当社[国内連結子会社]住友電工デバイス・イノベーション㈱[在外連結子会社]スミトモ エレクトリック ライトウェーブ コープ自動車関連事業ワイヤーハーネス、防振ゴム・自動車用ホース、自動車電装部品、交通制御などのネットワーク・システム製品当社[国内連結子会社]住友電装㈱、住友理工㈱[在外連結子会社]スミトモ エレクトリック ワイヤリング システムズ インク、スミデンソー ド ブラジル インダストリアス エレトリカス リミターダ、スミトモ エレクトリック ワイヤリング システムズ (ヨーロッパ) リミテッド、スミトモ エレクトリック ボードネッツェ エスエー、ソウズ カビンド エスピーエー、スミデンソー ベトナム カンパニー リミテッド、スミ フィリピンズ ワイヤリング システムズ コーポレーション、スミ ノース フィリピンズ ワイヤリング システムズ コーポレーション、蘇州住電装有限公司、福州住電装有限公司、恵州住潤電装有限公司[国内持分法適用関連会社]住友ゴム工業㈱エレクトロニクス関連事業電子ワイヤー、電子線照射製品、フレキシブルプリント回路、ふっ素樹脂製品、鋲螺、金属部品、化成品当社[国内連結子会社]㈱テクノアソシエ[在外連結子会社]ジャッド ワイヤー インク、エスイーアイ エレクトロニック コンポーネンツ (ベトナム) リミテッド、住友電工(蘇州)電子線製品有限公司、住友電工電子配件(深セン)有限公司、スミトモ エレクトリック インターコネクト プロダクツ (ホンコン) リミテッド産業素材関連事業他PC鋼材、精密ばね用鋼線、スチールコード、超硬工具、ダイヤ・CBN工具、レーザ用光学部品、焼結部品、半導体放熱基板当社[国内連結子会社]住友電工ハードメタル㈱、栃木住友電工㈱、北海道住電精密㈱、住友電工焼結合金㈱[在外連結子会社]ピーティー スミデン セラシ ワイヤー プロダクツ 主要な関係会社を事業系統図に示すと以下のとおりであります。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
競合会社との価格競争激化の影響を受けることがあるため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
超電導、次世代送電網、高性能平角巻線、超高圧直流ケーブルなどの分野で技術開発を推進。
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 低い(分散)
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか シクリカル
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:政治経済情勢・需要変動・法律・規制の変更等に係るリスク / コンプライアンス全般に係るリスク / 人権に係るリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 10 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

住友電気工業は「住友」ブランドの信用力を持つが、特許やIPは競合他社も保有しており、明確な無形資産による競争優位性は限定的。研究開発費は継続的に投じられているが、それが直接的なモートに繋がるかは不透明。

スイッチングコスト★★☆☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

光ファイバーや自動車用ワイヤーハーネスなど、顧客との長期的な取引関係や仕様への適合性が求められる製品群は存在する。しかし、顧客は複数のサプライヤーを比較検討する余地があり、スイッチングコストは中程度。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

ネットワーク効果が働く事業モデルは主要事業には見られない。製品・サービスは個別の取引に基づいており、ユーザー数の増加が直接的な価値向上に繋がる構造ではない。

コスト優位★★★☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

非鉄金属の加工・電線製造において、長年の経験と技術蓄積、そして住友グループとしての調達力やスケールメリットを活かしたコスト競争力を持つ可能性がある。ただし、原材料価格の変動リスクは大きい。

規模の経済★★★★☆
根拠:強い規模が参入障壁になる

電線・ケーブル、光ファイバー、自動車部品などの分野でグローバルに事業を展開しており、一定の規模の経済性を享受している。特にインフラ関連や自動車産業においては、大手サプライヤーとしての地位を確立している。

  • 幅広い技術と製品群
    住友電気工業は、電線・ケーブル製造で培った基盤技術を核に、光ファイバ、半導体、新素材など多岐にわたる製品と技術を有しています。これにより、異なる事業分野間で技術シナジーを生み出し、顧客ニーズに合わせた多様なソリューションを提供できる点が強みです。例えば、情報通信分野での光技術は、自動車の先進運転支援システムにも応用されています。
  • グローバルな生産・販売ネットワーク
    世界各地に生産拠点と販売網を構築しており、特定の国や地域にリスクが集中することを避けています。これにより、地政学的なリスクや地域ごとの需要変動に対して柔軟に対応できる体制を整えています。特に自動車関連事業では、主要な自動車メーカーの生産拠点に合わせてグローバルに部品を供給できる体制が競争優位につながっています。
  • 長年の実績と信頼性
    創業以来培ってきた「住友事業精神」に基づき、高品質な製品とサービスを提供し続けることで、顧客からの厚い信頼を獲得しています。特に社会インフラや自動車部品など、高い信頼性が求められる分野での実績は、新規参入企業に対する参入障壁となり、安定した事業基盤を築いています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。(1) 会社の経営の基本方針当社グループは、連綿と引き継がれる「住友事業精神」と「住友電工グループ経営理念」のもと、公正な事業活動を通して社会に貢献していくことを不変の基本方針としています。この基本方針を堅持し、「公益を重視し、ステークホルダーの皆様との共栄を図る」という「五方よし」*(マルチステークホルダーキャピタリズム)の考え方に基づいて、ステークホルダーとの適切な協働を通じ、適正なコーポレートガバナンスに基づく経営の透明性・公正性を確保し、その充実に取り組むことにより、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上とともに、これらのゴーイングコンサーンとしての成果のステークホルダーの皆様への着実な還元を図ることとしています。* 「五方よし」:当社経営における「還元・配分」についての基本的な考え方を表現したもの(Goho Yoshi)。 [住友事業精神]住友の事業は、今から約400年前、銅と銀を吹き分ける「南蛮吹き」と呼ばれる技術による銅精錬事業に遡り、その後別子銅山における鉱山業を中心に発展を遂げてきました。こうした事業の隆盛を支えてきた精神的基盤が「住友事業精神」であり、住友家初代・住友政友が後生に遺した商いの心得『文殊院旨意書』を礎とし、住友の先人により何代にもわたって深化・発展を遂げてきたものです。その要諦は、1891年に改訂された住友家法の中で「営業の要旨」として端的に示されています。営業の要旨 ※ここでは、住友合資会社社則(1928年制定)より抜粋しました。第一条 我が住友の営業は、信用を重んじ確実を旨とし、以てその鞏固隆盛を期すべし第二条 我が住友の営業は、時勢の変遷、理財の得失を計り、弛張興廃することあるべしと雖も、苟も浮利に趨り、軽進すべからずこの他にも、『技術の重視』、『人材の尊重』、『企画の遠大性』、『自利利他、公私一如』といった精神が今に至るまで脈々と受け継がれています。 [住友電工グループ経営理念] ※創業100周年を機に明文化(1997年6月)住友電工グループは、・顧客の要望に応え、最も優れた製品・サービスを提供します。・技術を創造し、変革を生み出し、絶えざる成長に努めます。・社会的責任を自覚し、よりよい社会、環境づくりに貢献します。・高い企業倫理を保持し、常に信頼される会社を目指します。・自己実現を可能にする、生き生きとした企業風土を育みます。 (2) 経営戦略及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等<住友電工グループ2030ビジョン>当社グループは、様々な社会変革が起こりつつある中で当社グループの目指す姿を示すため、2030年を節目とする長期ビジョン「住友電工グループ2030ビジョン」を策定し、2022年5月に公表いたしました。ステークホルダーの皆様のご理解のもと、当社グループが一体となり企業価値向上に取り組み、「Glorious Excellent Company*」の企業像実現を目指してまいります。* Glorious Excellent Company:”Glorious”は「住友事業精神」と「住友電工グループ経営理念」という精神的基盤を具現化したあるべき姿、”Excellent”は具体的・定量的な事業目標達成の意を込めています。 住友電工グループ「2030ビジョン」グリーンな地球と安心・快適な暮らし- その実現へ技術で挑戦し続けます -Connect with Innovation 1.経営方針「住友事業精神」と「住友電工グループ経営理念」を堅持し、「事業を通じて公益に資する」という経営哲学のもと、常に公益を重視し、ステークホルダーの皆様との共栄を図っていくことを基本思想としています。そして、この基本思想のもと、これからも「トップテクノロジー」を追求し、グループの総合力とイノベーションにより、世界のインフラ・産業の発展を支えていきたいと考え、当社グループの存在価値(パーパス)を次のように定義しました。 住友電工グループの存在価値(パーパス)トップテクノロジーを追求し、つなぐ・ささえる技術をイノベーションで進化させ、グループの総合力により、より良い社会の実現に貢献していく 今後も様々なリスクに的確に対応しながら、世界で活躍する当社グループ28万人(2025年3月末現在)の従業員による新たな価値の創造を通じ、グローバル市場の多様なニーズに応え、永続的な企業価値向上に取り組んでいきたいと考えています。 2.2030年の社会像と事業領域当社グループは「安心」「快適」な社会への貢献に加え、「グリーン」な環境社会の実現に、グループの総力を挙げて取り組みます。そして、この目指す社会像の実現に向けて、これからも幅広く「インフラや産業を支える製品・サービス」を提供します。 3.事業の方向性「エネルギー」「情報通信」「モビリティ」を3つの注力分野と位置づけ、取り組んでいきます。また、これらの注力3分野を支える高機能製品の提供や、グリーン化に向けた様々な取組みを展開します。 4.経営基盤と目標ビジョンの実現に向けて、「的確・迅速・柔軟」に変化に対応できる強い組織づくりを進めるため、3つのグループ共有資本(人的資本・知的資本・財務資本)の充実を図るとともに、3つの推進力(研究開発・サプライチェーン・モノづくり)の強化に取り組み、中長期的な企業価値向上を目指します。 <中期経営計画2025>上記の「2030ビジョン」を踏まえ、2023年度から2025年度の3カ年の実行計画として「中期経営計画2025」を策定し、2023年5月に公表しました。「中期経営計画2025」の具体的な内容は、以下のとおりです。 1.基本方針「中期経営計画2025」は、「つなぐ・ささえる技術でグリーン社会の未来を拓く」をスローガンに、「脱炭素社会の進展」や「情報化社会の進化」に伴うグローバルな事業機会を確実に捉え、グループの総合力で成長戦略を推進するとともに経営基盤の強化に取り組み、その成長の成果を適切にマルチステークホルダーの皆様へ還元していくことを基本方針としています。2.マルチステークホルダーキャピタリズム(「五方よし」)当社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上には、マルチステークホルダーの皆様との協働が不可欠であり、成長の成果を着実にマルチステークホルダーの皆様に還元していくこととしています。このことを「マルチステークホルダーキャピタリズム(「五方よし」)」の実践として、具体的には、以下のそれぞれの指標・目標の実現に向けて取り組んでまいります。 3.成長戦略成長を牽引する「エネルギー」「情報通信」「モビリティ」の注力3分野において、「脱炭素社会」「情報化社会」で広がる事業機会を捉えたグループ横断的な9つのテーマを「成長テーマ」として位置づけ、それらへの取組みを通して技術で新たな価値を創造し、「グリーンな地球と安心・快適な暮らし」の実現へ貢献してまいります。 また、5つの事業セグメントにおける売上高・営業利益の目標及び成長戦略については以下の通りです。                                     (単位:億円) 売上高営業利益 2022年度実績2025年度目標2022年度実績2025年度目標環境エネルギー9,28210,200379500情報通信2,5032,800219250自動車21,86825,0005571,100エレクトロニクス3,6603,600383300産業素材他3,6333,900240350全社 計40,05644,0001,7742,500 ・環境エネルギー2030への方針グリーン社会の未来に向けて、脱炭素に資する製品・サービスを提供することで、次世代のエネルギーインフラをグローバルにささえます2025成長戦略事業環境世界各国で再生可能エネルギーの大量導入に向けた大型投資が本格化し、遠隔地を結ぶ長距離送電や電力需給のバランス調整が求められる中、高電圧技術を進化させ、電力系統の更なる強化・効率化に貢献します2025成長戦略取組方針①大型連系線向け超高圧直流ケーブル・国内外での製造能力・施工力の大幅な増強・環境に優しい高性能絶縁材料の開発・プロジェクトリスク管理力の向上・戦略的パートナーとの連携強化 ②再生可能エネルギー向け製品・サービス・グループ会社(日新電機、住友電設)との連携強化によるソリューションの提案・洋上風力用アレイケーブル、エクスポートケーブルの大容量化と拡販・レドックスフロー電池の大型案件獲得・地産地消推進、家庭用蓄電池のEV連携機能を搭載した新製品投入 ③電動車用駆動モータ平角巻線・電動車の高電圧化に対応する次世代品・差別化製品の上市・電動車の普及拡大に対応した製造能力の増強、生産性の改善・グローバルな供給体制の構築 ・情報通信2030への方針AIや仮想空間の活用などに必要な大容量・低遅延通信を低消費電力にて実現するオール光ネットワークやBeyond5Gの発展に、オリジナリティのある多彩な製品を提供していきます2025成長戦略事業環境データドリブン社会の進展により通信データ量は年率約30%で増加、通信ネットワークの大容量・低遅延化がますます求められる中、多彩な製品・サービスでソリューションを提案し、低消費電力型通信ネットワークの実現に貢献します2025成長戦略取組方針①データセンタ内・間の光通信関連製品・圧送用高密度光ケーブルの展開・極低損失光コネクタにより、低消費電力化・光通信用InP(インジウムリン)デバイスの高速化・省エネ性能向上とInP基板品質向上 ②大容量光通信向け高機能・高付加価値製品・マルチコア光ファイバを大陸間海底光通信で実用化・光ファイバ融着接続機にAI/DX機能を搭載し、施工業務を高度化・光ファイバの高性能化(極低損失・耐曲げ性能向上) ③大容量携帯無線通信(5G/Beyond5G)向けデバイス・機器・携帯無線基地局用GaN(窒化ガリウム)デバイスの広帯域化と省エネ性能向上、生産能力の増強・工場/交通向けなどの産業用5G端末、5Gアクセス光伝送装置供給開始 ・自動車2030への方針ワイヤーハーネスの更なる進化と、電動化・高速通信化への対応で、モビリティの「つなげる」パートナーとして「つながる」ビジネスを拡大します2025成長戦略事業環境2025年には、電動車(BEV、Full-HEV、PHEV、FCV)が世界の自動車生産台数の約30%を占め、自動運転技術や安全支援機能がますます高度化する中、従来ハーネスの進化に加え、電動化・高速通信・インフラ連携の技術を進化させ、モビリティの発展に貢献します2025成長戦略取組方針①ワイヤーハーネスのグローバル供給体制・軽量化に寄与するアルミハーネスの更なる拡販・地産地消など、グローバル最適地生産体制の再構築・ワイヤーハーネスの新設計、新工法の実現・DXによるサプライチェーンの見える化 ②拡大するCASE*市場をとらえた新製品・電動化の進展に高圧製品や電池関連部品の供給を拡大・通信機能の増加/高速化に対応した新製品開発加速・既存顧客とのパートナー関係強化・協業推進・欧米及び新興EVメーカーへの参入 ③モビリティの新時代へ、グループ内連携・高分子材料を用いた次世代モビリティ向け新製品の開発強化、既存事業である防振ゴムやホースの製造拠点再編や事業体質強化(住友理工)・交通システムや電力システムとの連携による、コネクティッド事業とEVエネルギーマネジメント事業の拡大* CASE:自動車業界のトレンドを表す言葉で、Connected(つながる)、Autonomous(自動運転)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)の頭文字をとったもの。 ・エレクトロニクス2030への方針情報化社会やCASEの進展に求められる新しいニーズをとらえ、高機能配線材を開発・提供するとともに、環境や医療に役立つ製品の拡販も進めます2025成長戦略事業環境GX(グリーントランスフォーメーション)、DX、CASEに代表されるさまざまな社会・産業の変革が加速する中、当社独自技術の高機能素材・配線技術を幅広い分野に提供し、快適で環境に優しい社会の実現に貢献します2025成長戦略取組方針①次世代情報端末をささえる高機能FPC・超微細回路形成技術と多層化による更なる差別化・高速伝送パフォーマンスに優れたフッ素樹脂・高周波対応FPCの開発を推進・電動化をはじめとするCASE対応FPCの事業規模拡大 ②電動化など幅広い用途で使われる高機能電線・EV用バッテリー電極リード線の需要増に対応する増産体制構築・情報電線及び車載・航空機用高圧ケーブルの開発・能力増強・人工衛星やロボットまで幅広い用途に高機能電線を供給 ③環境や医療に貢献する高機能部材・半導体製造装置用精密ろ過膜の生産能力増強・水処理膜モジュールの高性能化、高付加価値膜の開発・カテーテル用など医療分野における高機能材の開発・拡販 ・産業素材他2030への方針材料加工技術を更に進化させ、グリーン社会に役立つ高精度・高強度な製品でインフラ・産業の発展を幅広くささえます2025成長戦略事業環境さまざまな産業が転換期を迎え、モノづくりやモノの使われ方が変化していく中、これまで培ってきた高度な素材加工技術を電動車やグリーン関連施設などの幅広い分野に展開し、グリーン社会の実現に貢献します2025成長戦略取組方針①差別化と生産体制強化をすすめる切削工具・次世代CBNや新材種で電動車や風力発電、航空機部品の切削用途に需要を開拓・加工の改善点や工具寿命を予測するセンシング技術とデータ活用で差別化を図り新たな需要を発掘・切削加工全般のグローバルなサービス体制強化 ②技術進化と伸長市場への展開を図る超硬材料・電動車向け磁石用切断ダイヤ砥石や電子部品用高精度カッターを拡販・革新技術・生産能力増により車載・医療用途でヒートシンクを拡販・核融合市場向けに超硬耐熱機能を有するタングステンモノブロックを供給 ③インフラ強化や環境へ貢献する高精度・高強度材・需要増が見込まれる北米・アジア地域で高耐久・高付加価値PC鋼線を拡販・インフラ構造物やのり面地盤を見守る光ファイバ組込み式PC鋼材の開発・拡販・焼結部品のEV用製品の拡充、非車載分野への展開 4.基盤強化経営基盤(研究開発・モノづくり・サプライチェーン・財務資本・人的資本・知的資本)を更に強化し、変化に強い企業体質を構築してまいります。特に、「研究開発」において、顧客ニーズを捉えた現行事業の進化や未来社会ニーズを捉えた新規テーマへの挑戦に取り組むとともに、世界最高水準を実現する「モノづくり力」や構造的変化と急激な変動に対応できる「強靭なサプライチェーン」の構築に向けた取組みを進めてまいります。 (3) 経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題今後の経済情勢は、米国の追加関税をはじめとする政策見直しが経済活動全体に甚大な影響を及ぼすおそれがあるほか、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や中東情勢の緊張、欧州・中国経済の停滞など政治的・地政学的リスクの高まりにより、世界経済の減速感が強まることが懸念され、当社グループを取り巻く事業環境は予断を許さない状況が続くものと予想されます。このような情勢のもと、当社グループは、ありたい将来像「Glorious Excellent Company」の実現を目指して、長期ビジョン「住友電工グループ2030ビジョン」で掲げている「グリーンな地球と安心・快適な暮らし」の実現に向けて、グループが一体となり企業価値向上に取り組み、その成果をステークホルダーの皆様、すなわち、「従業員」「お客様」「お取引先」「地域社会」「株主・投資家」に着実に還元・配分していくというマルチステークホルダーキャピタリズム(「五方よし」)に基づく経営を実践してまいります。具体的には、製造業の基本であるS(安全)、E(環境)、Q(品質)、C(コスト)、D(物流・納期)、D(研究開発)のさらなるレベルアップに取り組むとともに、資産効率向上については、重要指標としているROIC*の改善に向けて、棚卸資産残高や営業債権・債務残高の適正化、設備投資案件の厳選実施、高付加価値品へのシフト、政策保有株式の圧縮などの取り組みを一層強化してまいります。特に、喫緊の課題である米国の追加関税につきましては、グローバルな生産レイアウトの最適化やサプライチェーンの見直しなど、当社として取り得る対策を講じるとともに、顧客とも丁寧に対話をおこない、業績への影響を最小化できるよう努めてまいります。また、2025年度は「中期経営計画2025」の最終年度であり、グループの総合力で成長戦略を推進するとともに経営基盤の強化に取り組み、各事業においては次の施策を進めてまいります。* ROIC:Return on Invested Capital(投下資産利益率)の略。 環境エネルギー関連事業では、電力ケーブルにおいては、国内の設備更新需要等の捕捉に加え、脱炭素化に貢献する国家・地域間連系線や再生可能エネルギー関連の受注に努めるとともに、欧州での新拠点立上げ、コスト低減、品質向上、新製品開発、プロジェクトマネジメント強化にも注力してまいります。電動車向けのモーター用平角巻線においては、コスト低減による収益力の向上と、電動車の高電圧化に対応する次世代品の開発を進めてまいります。また、日新電機㈱との一層のシナジー創出に取り組むとともに、受変電設備においては国内の設備更新需要の確実な捕捉、生産能力増強、環境配慮製品の開発・提案強化に、またイオン注入装置や電子線照射装置においては国内外での拡販に取り組んでまいります。さらには、住友電設㈱も含めたグループ総合力を活かして、一層の受注拡大に努めてまいります。 情報通信関連事業では、生成AI*の急速な普及によるデータセンター関連市場の一層の拡大が期待されるなか、この需要を確実に捕捉すべく、光デバイス、光配線機器、光ケーブルの生産能力増強、さらなる通信の高速化や低消費電力化を実現する新製品の開発に注力し、事業拡大に努めてまいります。また、海底ケーブル用の極低損失・大容量光ファイバ、世界で初めて量産に成功したマルチコアファイバ、第5世代移動通信システム(5G)やさらに高度化する次世代移動通信システム(Beyond 5G)基地局用の高効率な電子デバイス、新方式採用が進むアクセス系ネットワーク機器など、低消費電力等の環境性能を含めた高機能製品の開発・拡販を継続・加速するとともに、徹底したコスト削減による収益性の改善に努めてまいります。* 生成AI:質問や作業指示等に応え、画像や文章、音楽、映像、プログラム等の多様なコンテンツを生成するAI(人工知能:Artificial Intelligence)。 自動車関連事業では、モビリティの「つなげる」パートナーとして「つながる」ビジネスの拡大を目指し、一層のコスト低減と資産効率化の徹底、軽量化ニーズに対応したアルミハーネスのさらなる拡販、生産自動化やコスト低減に繋がる新設計・新工法の拡充など従来ハーネスの進化に取り組んでまいります。また、グループ内連携、顧客との協業やパートナー関係の深化により、電動車向けの高電圧ハーネス、高速通信用のコネクタなど今後も拡大が見込まれるCASE市場をとらえた新製品創出・拡販にも努めてまいります。住友理工㈱では、自動車用防振ゴム及びホースなどの分野において、既存事業の収益力強化を図るとともに、今後の事業成長に向けては、次世代モビリティ向けの新製品開発に重点をおいて取り組んでまいります。 エレクトロニクス関連事業では、微細回路形成技術を活かしたFPC製品やCASE対応製品、医療用製品の拡販、高周波化に対応した新製品の開発を加速するとともに、徹底したコスト低減を進めてまいります。照射架橋技術を活用した耐熱・高機能電線、リチウムイオン電池用リード線(タブリード)、熱収縮チューブに加えて、多孔質分離膜製品においても、多様な客先ニーズを捕捉して事業の拡大を図ってまいります。また、㈱テクノアソシエとの連携強化にも取り組んでまいります。 産業素材関連事業では、超硬工具においては、グローバルな営業力の強化により、主力の自動車分野に加えて、建設機械、農業機械、エレクトロニクス分野等での需要を確実に捕捉するとともに、電動車、航空機、半導体、再生可能エネルギー関連などの新規開拓も進め、市場シェアの拡大に努めてまいります。焼結部品は、電動車や非車載向けの新製品開発・拡販とコスト競争力の一段の強化を図ってまいります。PC鋼材やばね用鋼線は、グローバルな製造販売体制の強化と新製品開発による収益力の向上に取り組んでまいります。研究開発では、多様な技術創出の「要」となる研究開発の活性化・スピードアップを目指し、社会課題からのバックキャスティングやプロセスの高度化・効率化、オープンイノベーションや社外との連携強化に取り組んでまいります。具体的な取り組みとしては、現行事業の進化として、事業部門・営業部門との密な関係や顧客とのパートナー関係を活かし、中長期計画の注力事業分野である、送電網強化と再生可能エネルギーの安定供給、通信ネットワークの大容量・低遅延化、モビリティにおける電動化などのテーマに取り組んでまいります。また新規テーマの挑戦として、「地球」「暮らし」「ヒト」の3つを価値領域として定め、「地球」の持続可能性のため、省エネルギー、再生可能エネルギー、材料循環等の研究を推進するとともに、安心で安全な「暮らし」、「ヒト」の可能性の拡大を目指す研究を推進してまいります。最後に、法令遵守や企業倫理の維持は、当社経営の根幹をなすものであり、企業として存続・発展するための絶対的な基盤と考えております。今後とも、住友事業精神の「萬事入精(ばんじにっせい)」「信用確実」「不趨浮利(ふすうふり)」*という理念のもと、社会から信頼される公正な企業活動の実践に真摯に取り組んでまいります。また、住友事業精神と住友電工グループ経営理念のもと、サステナビリティを巡る課題である、気候変動などの地球環境問題への配慮、人権の尊重、従業員の健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇、取引先との公正・適正な取引、自然災害等の危機管理を通じて、持続可能な社会の実現に向けて取り組んでまいります。* 萬事入精:まず一人の人間として、何事にも誠心誠意を尽くすべきとの考え。信用確実:何よりも信用を重んじること。不趨浮利:常に公共の利益との一致を求め、一時的な目先の利益、不当な利益の追求を厳に戒めること。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。(1) 会社の経営の基本方針当社グループは、連綿と引き継がれる「住友事業精神」と「住友電工グループ経営理念」のもと、公正な事業活動を通して社会に貢献していくことを不変の基本方針としています。この基本方針を堅持し、「公益を重視し、ステークホルダーの皆様との共栄を図る」という「五方よし」*(マルチステークホルダーキャピタリズム)の考え方に基づいて、ステークホルダーとの適切な協働を通じ、適正なコーポレートガバナンスに基づく経営の透明性・公正性を確保し、その充実に取り組むことにより、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上とともに、これらのゴーイングコンサーンとしての成果のステークホルダーの皆様への着実な還元を図ることとしています。* 「五方よし」:当社経営における「還元・配分」についての基本的な考え方を表現したもの(Goho Yoshi)。 [住友事業精神]住友の事業は、今から約400年前、銅と銀を吹き分ける「南蛮吹き」と呼ばれる技術による銅精錬事業に遡り、その後別子銅山における鉱山業を中心に発展を遂げてきました。こうした事業の隆盛を支えてきた精神的基盤が「住友事業精神」であり、住友家初代・住友政友が後生に遺した商いの心得『文殊院旨意書』を礎とし、住友の先人により何代にもわたって深化・発展を遂げてきたものです。その要諦は、1891年に改訂された住友家法の中で「営業の要旨」として端的に示されています。営業の要旨 ※ここでは、住友合資会社社則(1928年制定)より抜粋しました。第一条 我が住友の営業は、信用を重んじ確実を旨とし、以てその鞏固隆盛を期すべし第二条 我が住友の営業は、時勢の変遷、理財の得失を計り、弛張興廃することあるべしと雖も、苟も浮利に趨り、軽進すべからずこの他にも、『技術の重視』、『人材の尊重』、『企画の遠大性』、『自利利他、公私一如』といった精神が今に至るまで脈々と受け継がれています。 [住友電工グループ経営理念] ※創業100周年を機に明文化(1997年6月)住友電工グループは、・顧客の要望に応え、最も優れた製品・サービスを提供します。・技術を創造し、変革を生み出し、絶えざる成長に努めます。・社会的責任を自覚し、よりよい社会、環境づくりに貢献します。・高い企業倫理を保持し、常に信頼される会社を目指します。・自己実現を可能にする、生き生きとした企業風土を育みます。 (2) 経営戦略及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等<住友電工グループ2030ビジョン>当社グループは、様々な社会変革が起こりつつある中で当社グループの目指す姿を示すため、2030年を節目とする長期ビジョン「住友電工グループ2030ビジョン」を策定し、2022年5月に公表いたしました。ステークホルダーの皆様のご理解のもと、当社グループが一体となり企業価値向上に取り組み、「Glorious Excellent Company*」の企業像実現を目指してまいります。* Glorious Excellent Company:”Glorious”は「住友事業精神」と「住友電工グループ経営理念」という精神的基盤を具現化したあるべき姿、”Excellent”は具体的・定量的な事業目標達成の意を込めています。 住友電工グループ「2030ビジョン」グリーンな地球と安心・快適な暮らし- その実現へ技術で挑戦し続けます -Connect with Innovation 1.経営方針「住友事業精神」と「住友電工グループ経営理念」を堅持し、「事業を通じて公益に資する」という経営哲学のもと、常に公益を重視し、ステークホルダーの皆様との共栄を図っていくことを基本思想としています。そして、この基本思想のもと、これからも「トップテクノロジー」を追求し、グループの総合力とイノベーションにより、世界のインフラ・産業の発展を支えていきたいと考え、当社グループの存在価値(パーパス)を次のように定義しました。 住友電工グループの存在価値(パーパス)トップテクノロジーを追求し、つなぐ・ささえる技術をイノベーションで進化させ、グループの総合力により、より良い社会の実現に貢献していく 今後も様々なリスクに的確に対応しながら、世界で活躍する当社グループ28万人(2025年3月末現在)の従業員による新たな価値の創造を通じ、グローバル市場の多様なニーズに応え、永続的な企業価値向上に取り組んでいきたいと考えています。 2.2030年の社会像と事業領域当社グループは「安心」「快適」な社会への貢献に加え、「グリーン」な環境社会の実現に、グループの総力を挙げて取り組みます。そして、この目指す社会像の実現に向けて、これからも幅広く「インフラや産業を支える製品・サービス」を提供します。 3.事業の方向性「エネルギー」「情報通信」「モビリティ」を3つの注力分野と位置づけ、取り組んでいきます。また、これらの注力3分野を支える高機能製品の提供や、グリーン化に向けた様々な取組みを展開します。 4.経営基盤と目標ビジョンの実現に向けて、「的確・迅速・柔軟」に変化に対応できる強い組織づくりを進めるため、3つのグループ共有資本(人的資本・知的資本・財務資本)の充実を図るとともに、3つの推進力(研究開発・サプライチェーン・モノづくり)の強化に取り組み、中長期的な企業価値向上を目指します。 <中期経営計画2025>上記の「2030ビジョン」を踏まえ、2023年度から2025年度の3カ年の実行計画として「中期経営計画2025」を策定し、2023年5月に公表しました。「中期経営計画2025」の具体的な内容は、以下のとおりです。 1.基本方針「中期経営計画2025」は、「つなぐ・ささえる技術でグリーン社会の未来を拓く」をスローガンに、「脱炭素社会の進展」や「情報化社会の進化」に伴うグローバルな事業機会を確実に捉え、グループの総合力で成長戦略を推進するとともに経営基盤の強化に取り組み、その成長の成果を適切にマルチステークホルダーの皆様へ還元していくことを基本方針としています。2.マルチステークホルダーキャピタリズム(「五方よし」)当社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上には、マルチステークホルダーの皆様との協働が不可欠であり、成長の成果を着実にマルチステークホルダーの皆様に還元していくこととしています。このことを「マルチステークホルダーキャピタリズム(「五方よし」)」の実践として、具体的には、以下のそれぞれの指標・目標の実現に向けて取り組んでまいります。 3.成長戦略成長を牽引する「エネルギー」「情報通信」「モビリティ」の注力3分野において、「脱炭素社会」「情報化社会」で広がる事業機会を捉えたグループ横断的な9つのテーマを「成長テーマ」として位置づけ、それらへの取組みを通して技術で新たな価値を創造し、「グリーンな地球と安心・快適な暮らし」の実現へ貢献してまいります。 また、5つの事業セグメントにおける売上高・営業利益の目標及び成長戦略については以下の通りです。                                     (単位:億円) 売上高営業利益 2022年度実績2025年度目標2022年度実績2025年度目標環境エネルギー9,28210,200379500情報通信2,5032,800219250自動車21,86825,0005571,100エレクトロニクス3,6603,600383300産業素材他3,6333,900240350全社 計40,05644,0001,7742,500 ・環境エネルギー2030への方針グリーン社会の未来に向けて、脱炭素に資する製品・サービスを提供することで、次世代のエネルギーインフラをグローバルにささえます2025成長戦略事業環境世界各国で再生可能エネルギーの大量導入に向けた大型投資が本格化し、遠隔地を結ぶ長距離送電や電力需給のバランス調整が求められる中、高電圧技術を進化させ、電力系統の更なる強化・効率化に貢献します2025成長戦略取組方針①大型連系線向け超高圧直流ケーブル・国内外での製造能力・施工力の大幅な増強・環境に優しい高性能絶縁材料の開発・プロジェクトリスク管理力の向上・戦略的パートナーとの連携強化 ②再生可能エネルギー向け製品・サービス・グループ会社(日新電機、住友電設)との連携強化によるソリューションの提案・洋上風力用アレイケーブル、エクスポートケーブルの大容量化と拡販・レドックスフロー電池の大型案件獲得・地産地消推進、家庭用蓄電池のEV連携機能を搭載した新製品投入 ③電動車用駆動モータ平角巻線・電動車の高電圧化に対応する次世代品・差別化製品の上市・電動車の普及拡大に対応した製造能力の増強、生産性の改善・グローバルな供給体制の構築 ・情報通信2030への方針AIや仮想空間の活用などに必要な大容量・低遅延通信を低消費電力にて実現するオール光ネットワークやBeyond5Gの発展に、オリジナリティのある多彩な製品を提供していきます2025成長戦略事業環境データドリブン社会の進展により通信データ量は年率約30%で増加、通信ネットワークの大容量・低遅延化がますます求められる中、多彩な製品・サービスでソリューションを提案し、低消費電力型通信ネットワークの実現に貢献します2025成長戦略取組方針①データセンタ内・間の光通信関連製品・圧送用高密度光ケーブルの展開・極低損失光コネクタにより、低消費電力化・光通信用InP(インジウムリン)デバイスの高速化・省エネ性能向上とInP基板品質向上 ②大容量光通信向け高機能・高付加価値製品・マルチコア光ファイバを大陸間海底光通信で実用化・光ファイバ融着接続機にAI/DX機能を搭載し、施工業務を高度化・光ファイバの高性能化(極低損失・耐曲げ性能向上) ③大容量携帯無線通信(5G/Beyond5G)向けデバイス・機器・携帯無線基地局用GaN(窒化ガリウム)デバイスの広帯域化と省エネ性能向上、生産能力の増強・工場/交通向けなどの産業用5G端末、5Gアクセス光伝送装置供給開始 ・自動車2030への方針ワイヤーハーネスの更なる進化と、電動化・高速通信化への対応で、モビリティの「つなげる」パートナーとして「つながる」ビジネスを拡大します2025成長戦略事業環境2025年には、電動車(BEV、Full-HEV、PHEV、FCV)が世界の自動車生産台数の約30%を占め、自動運転技術や安全支援機能がますます高度化する中、従来ハーネスの進化に加え、電動化・高速通信・インフラ連携の技術を進化させ、モビリティの発展に貢献します2025成長戦略取組方針①ワイヤーハーネスのグローバル供給体制・軽量化に寄与するアルミハーネスの更なる拡販・地産地消など、グローバル最適地生産体制の再構築・ワイヤーハーネスの新設計、新工法の実現・DXによるサプライチェーンの見える化 ②拡大するCASE*市場をとらえた新製品・電動化の進展に高圧製品や電池関連部品の供給を拡大・通信機能の増加/高速化に対応した新製品開発加速・既存顧客とのパートナー関係強化・協業推進・欧米及び新興EVメーカーへの参入 ③モビリティの新時代へ、グループ内連携・高分子材料を用いた次世代モビリティ向け新製品の開発強化、既存事業である防振ゴムやホースの製造拠点再編や事業体質強化(住友理工)・交通システムや電力システムとの連携による、コネクティッド事業とEVエネルギーマネジメント事業の拡大* CASE:自動車業界のトレンドを表す言葉で、Connected(つながる)、Autonomous(自動運転)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)の頭文字をとったもの。 ・エレクトロニクス2030への方針情報化社会やCASEの進展に求められる新しいニーズをとらえ、高機能配線材を開発・提供するとともに、環境や医療に役立つ製品の拡販も進めます2025成長戦略事業環境GX(グリーントランスフォーメーション)、DX、CASEに代表されるさまざまな社会・産業の変革が加速する中、当社独自技術の高機能素材・配線技術を幅広い分野に提供し、快適で環境に優しい社会の実現に貢献します2025成長戦略取組方針①次世代情報端末をささえる高機能FPC・超微細回路形成技術と多層化による更なる差別化・高速伝送パフォーマンスに優れたフッ素樹脂・高周波対応FPCの開発を推進・電動化をはじめとするCASE対応FPCの事業規模拡大 ②電動化など幅広い用途で使われる高機能電線・EV用バッテリー電極リード線の需要増に対応する増産体制構築・情報電線及び車載・航空機用高圧ケーブルの開発・能力増強・人工衛星やロボットまで幅広い用途に高機能電線を供給 ③環境や医療に貢献する高機能部材・半導体製造装置用精密ろ過膜の生産能力増強・水処理膜モジュールの高性能化、高付加価値膜の開発・カテーテル用など医療分野における高機能材の開発・拡販 ・産業素材他2030への方針材料加工技術を更に進化させ、グリーン社会に役立つ高精度・高強度な製品でインフラ・産業の発展を幅広くささえます2025成長戦略事業環境さまざまな産業が転換期を迎え、モノづくりやモノの使われ方が変化していく中、これまで培ってきた高度な素材加工技術を電動車やグリーン関連施設などの幅広い分野に展開し、グリーン社会の実現に貢献します2025成長戦略取組方針①差別化と生産体制強化をすすめる切削工具・次世代CBNや新材種で電動車や風力発電、航空機部品の切削用途に需要を開拓・加工の改善点や工具寿命を予測するセンシング技術とデータ活用で差別化を図り新たな需要を発掘・切削加工全般のグローバルなサービス体制強化 ②技術進化と伸長市場への展開を図る超硬材料・電動車向け磁石用切断ダイヤ砥石や電子部品用高精度カッターを拡販・革新技術・生産能力増により車載・医療用途でヒートシンクを拡販・核融合市場向けに超硬耐熱機能を有するタングステンモノブロックを供給 ③インフラ強化や環境へ貢献する高精度・高強度材・需要増が見込まれる北米・アジア地域で高耐久・高付加価値PC鋼線を拡販・インフラ構造物やのり面地盤を見守る光ファイバ組込み式PC鋼材の開発・拡販・焼結部品のEV用製品の拡充、非車載分野への展開 4.基盤強化経営基盤(研究開発・モノづくり・サプライチェーン・財務資本・人的資本・知的資本)を更に強化し、変化に強い企業体質を構築してまいります。特に、「研究開発」において、顧客ニーズを捉えた現行事業の進化や未来社会ニーズを捉えた新規テーマへの挑戦に取り組むとともに、世界最高水準を実現する「モノづくり力」や構造的変化と急激な変動に対応できる「強靭なサプライチェーン」の構築に向けた取組みを進めてまいります。 (3) 経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題今後の経済情勢は、米国の追加関税をはじめとする政策見直しが経済活動全体に甚大な影響を及ぼすおそれがあるほか、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や中東情勢の緊張、欧州・中国経済の停滞など政治的・地政学的リスクの高まりにより、世界経済の減速感が強まることが懸念され、当社グループを取り巻く事業環境は予断を許さない状況が続くものと予想されます。このような情勢のもと、当社グループは、ありたい将来像「Glorious Excellent Company」の実現を目指して、長期ビジョン「住友電工グループ2030ビジョン」で掲げている「グリーンな地球と安心・快適な暮らし」の実現に向けて、グループが一体となり企業価値向上に取り組み、その成果をステークホルダーの皆様、すなわち、「従業員」「お客様」「お取引先」「地域社会」「株主・投資家」に着実に還元・配分していくというマルチステークホルダーキャピタリズム(「五方よし」)に基づく経営を実践してまいります。具体的には、製造業の基本であるS(安全)、E(環境)、Q(品質)、C(コスト)、D(物流・納期)、D(研究開発)のさらなるレベルアップに取り組むとともに、資産効率向上については、重要指標としているROIC*の改善に向けて、棚卸資産残高や営業債権・債務残高の適正化、設備投資案件の厳選実施、高付加価値品へのシフト、政策保有株式の圧縮などの取り組みを一層強化してまいります。特に、喫緊の課題である米国の追加関税につきましては、グローバルな生産レイアウトの最適化やサプライチェーンの見直しなど、当社として取り得る対策を講じるとともに、顧客とも丁寧に対話をおこない、業績への影響を最小化できるよう努めてまいります。また、2025年度は「中期経営計画2025」の最終年度であり、グループの総合力で成長戦略を推進するとともに経営基盤の強化に取り組み、各事業においては次の施策を進めてまいります。* ROIC:Return on Invested Capital(投下資産利益率)の略。 環境エネルギー関連事業では、電力ケーブルにおいては、国内の設備更新需要等の捕捉に加え、脱炭素化に貢献する国家・地域間連系線や再生可能エネルギー関連の受注に努めるとともに、欧州での新拠点立上げ、コスト低減、品質向上、新製品開発、プロジェクトマネジメント強化にも注力してまいります。電動車向けのモーター用平角巻線においては、コスト低減による収益力の向上と、電動車の高電圧化に対応する次世代品の開発を進めてまいります。また、日新電機㈱との一層のシナジー創出に取り組むとともに、受変電設備においては国内の設備更新需要の確実な捕捉、生産能力増強、環境配慮製品の開発・提案強化に、またイオン注入装置や電子線照射装置においては国内外での拡販に取り組んでまいります。さらには、住友電設㈱も含めたグループ総合力を活かして、一層の受注拡大に努めてまいります。 情報通信関連事業では、生成AI*の急速な普及によるデータセンター関連市場の一層の拡大が期待されるなか、この需要を確実に捕捉すべく、光デバイス、光配線機器、光ケーブルの生産能力増強、さらなる通信の高速化や低消費電力化を実現する新製品の開発に注力し、事業拡大に努めてまいります。また、海底ケーブル用の極低損失・大容量光ファイバ、世界で初めて量産に成功したマルチコアファイバ、第5世代移動通信システム(5G)やさらに高度化する次世代移動通信システム(Beyond 5G)基地局用の高効率な電子デバイス、新方式採用が進むアクセス系ネットワーク機器など、低消費電力等の環境性能を含めた高機能製品の開発・拡販を継続・加速するとともに、徹底したコスト削減による収益性の改善に努めてまいります。* 生成AI:質問や作業指示等に応え、画像や文章、音楽、映像、プログラム等の多様なコンテンツを生成するAI(人工知能:Artificial Intelligence)。 自動車関連事業では、モビリティの「つなげる」パートナーとして「つながる」ビジネスの拡大を目指し、一層のコスト低減と資産効率化の徹底、軽量化ニーズに対応したアルミハーネスのさらなる拡販、生産自動化やコスト低減に繋がる新設計・新工法の拡充など従来ハーネスの進化に取り組んでまいります。また、グループ内連携、顧客との協業やパートナー関係の深化により、電動車向けの高電圧ハーネス、高速通信用のコネクタなど今後も拡大が見込まれるCASE市場をとらえた新製品創出・拡販にも努めてまいります。住友理工㈱では、自動車用防振ゴム及びホースなどの分野において、既存事業の収益力強化を図るとともに、今後の事業成長に向けては、次世代モビリティ向けの新製品開発に重点をおいて取り組んでまいります。 エレクトロニクス関連事業では、微細回路形成技術を活かしたFPC製品やCASE対応製品、医療用製品の拡販、高周波化に対応した新製品の開発を加速するとともに、徹底したコスト低減を進めてまいります。照射架橋技術を活用した耐熱・高機能電線、リチウムイオン電池用リード線(タブリード)、熱収縮チューブに加えて、多孔質分離膜製品においても、多様な客先ニーズを捕捉して事業の拡大を図ってまいります。また、㈱テクノアソシエとの連携強化にも取り組んでまいります。 産業素材関連事業では、超硬工具においては、グローバルな営業力の強化により、主力の自動車分野に加えて、建設機械、農業機械、エレクトロニクス分野等での需要を確実に捕捉するとともに、電動車、航空機、半導体、再生可能エネルギー関連などの新規開拓も進め、市場シェアの拡大に努めてまいります。焼結部品は、電動車や非車載向けの新製品開発・拡販とコスト競争力の一段の強化を図ってまいります。PC鋼材やばね用鋼線は、グローバルな製造販売体制の強化と新製品開発による収益力の向上に取り組んでまいります。研究開発では、多様な技術創出の「要」となる研究開発の活性化・スピードアップを目指し、社会課題からのバックキャスティングやプロセスの高度化・効率化、オープンイノベーションや社外との連携強化に取り組んでまいります。具体的な取り組みとしては、現行事業の進化として、事業部門・営業部門との密な関係や顧客とのパートナー関係を活かし、中長期計画の注力事業分野である、送電網強化と再生可能エネルギーの安定供給、通信ネットワークの大容量・低遅延化、モビリティにおける電動化などのテーマに取り組んでまいります。また新規テーマの挑戦として、「地球」「暮らし」「ヒト」の3つを価値領域として定め、「地球」の持続可能性のため、省エネルギー、再生可能エネルギー、材料循環等の研究を推進するとともに、安心で安全な「暮らし」、「ヒト」の可能性の拡大を目指す研究を推進してまいります。最後に、法令遵守や企業倫理の維持は、当社経営の根幹をなすものであり、企業として存続・発展するための絶対的な基盤と考えております。今後とも、住友事業精神の「萬事入精(ばんじにっせい)」「信用確実」「不趨浮利(ふすうふり)」*という理念のもと、社会から信頼される公正な企業活動の実践に真摯に取り組んでまいります。また、住友事業精神と住友電工グループ経営理念のもと、サステナビリティを巡る課題である、気候変動などの地球環境問題への配慮、人権の尊重、従業員の健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇、取引先との公正・適正な取引、自然災害等の危機管理を通じて、持続可能な社会の実現に向けて取り組んでまいります。* 萬事入精:まず一人の人間として、何事にも誠心誠意を尽くすべきとの考え。信用確実:何よりも信用を重んじること。不趨浮利:常に公共の利益との一致を求め、一時的な目先の利益、不当な利益の追求を厳に戒めること。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、その達成を保証するものではありません。 (1) 経営成績等の状況の概要① 経営成績 売上高(百万円)営業利益(百万円)経常利益(百万円)親会社株主に帰属する当期純利益(百万円)当連結会計年度4,679,789320,663309,496193,771前連結会計年度4,402,814226,618215,341149,723増減率(%)6.341.543.729.4 当連結会計年度の世界経済は、米国では個人消費が安定し引き続き好調に推移しましたが、欧州では景気の持ち直しの動きが見られたものの停滞が続いており、また、中国では不動産不況が続き個人消費も低調で成長のペースが鈍化しました。日本経済については、企業収益の改善を背景に設備投資が増え、雇用や所得環境も改善が進み、世界的な物価上昇の影響を受けつつも景気は緩やかに回復しました。当社グループを取り巻く事業環境につきましては、自動車分野でワイヤーハーネスの需要が堅調に推移したほか、環境エネルギー分野では電力ケーブルや受変電設備の需要が、また情報通信分野ではデータセンター関連市場向けの需要が、それぞれ拡大しました。このような環境のもと、当連結会計年度の連結決算は、売上高は、4,679,789百万円(前連結会計年度4,402,814百万円、6.3%増)と前連結会計年度に比べ増収となりました。利益面では、売上増加に加えて、徹底した生産性改善やコスト低減、売値改善に努め、営業利益は320,663百万円(前連結会計年度226,618百万円、41.5%増)と前連結会計年度に比べ増益、営業利益率は6.9%(前連結会計年度5.1%、1.8ポイント上昇)となりました。営業外収益は、持分法による投資利益の減少などにより3,352百万円減の40,696百万円、営業外費用は、クレーム損の減少などにより3,462百万円減の51,863百万円となり、経常利益は309,496百万円(前連結会計年度215,341百万円、43.7%増)と前連結会計年度に比べ増益となりました。特別利益では固定資産売却益2,135百万円、投資有価証券売却益11,085百万円に加え、退職給付信託返還益12,919百万円を計上し、合計では26,139百万円となりました。特別損失では、固定資産除却損4,296百万円、減損損失5,204百万円に加え、事業構造改善費用22,071百万円を計上し、合計では31,571百万円となりました。この結果、税金等調整前当期純利益は304,064百万円となりました。ここから法人税等82,238百万円及び非支配株主に帰属する当期純利益28,055百万円を差し引いた結果、親会社株主に帰属する当期純利益は193,771百万円(前連結会計年度149,723百万円、29.4%増)と前連結会計年度に比べ増益となりました。また、棚卸資産や政策保有株式の圧縮など資産効率の改善にも取り組み、税引前ROICは9.3%(前連結会計年度7.6%)と、前連結会計年度を上回る結果となりました。 セグメントごとの経営成績は次のとおりです。 売上高営業利益又は営業損失前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減率(%)前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減率(%)環境エネルギー979,9771,081,34410.342,89078,71883.5情報通信206,074223,2768.3△11,55219,926-自動車2,596,4042,734,7305.3144,674172,39119.2エレクトロニクス356,478377,2485.829,29729,3110.0産業素材他364,185372,6672.321,06720,592△2.3合計4,503,1184,789,2656.4226,376320,93841.8調整額△100,304△109,476-242△275-連結損益計算書計上額4,402,8144,679,7896.3226,618320,66341.5 環境エネルギー関連事業は、電力ケーブル、電動車向けのモーター用平角巻線、日新電機㈱における受変電設備などの増加に加えて、銅価格上昇の影響もあり、売上高は1,081,344百万円と101,367百万円(前連結会計年度比10.3%)の増収となりました。営業利益は、売上増加に加えて、生産性の改善や銅価格上昇の影響もあり、78,718百万円と35,828百万円の増益となりました。売上高営業利益率は7.3%と2.9ポイント上昇しました。なお、工事・プラント受注高は492,648百万円(当連結会計年度末の受注残高は673,287百万円)と、前連結会計年度比52,206百万円(11.9%)増加しました。セグメント資産は、前連結会計年度末に比べ119,129百万円増加の1,101,981百万円となりました。情報通信関連事業は、生成AI市場の拡大を背景にデータセンター向けの光デバイスや光配線機器の需要が増加し、売上高は223,276百万円と17,202百万円(8.3%)の増収となりました。営業利益は、売上増加に加えて、生産性の改善や円安の影響もあり、19,926百万円と31,478百万円の改善となりました。売上高営業利益率は8.9%と14.5ポイント上昇しました。セグメント資産は、前連結会計年度末に比べ2,711百万円減少の284,622百万円となりました。自動車関連事業は、ワイヤーハーネスの販売数量は中国を中心に前連結会計年度を下回りましたが、円安や銅価格上昇の影響もあり、売上高は2,734,730百万円と138,326百万円(5.3%)の増収となりました。営業利益は、生産性の改善や為替影響もあり、172,391百万円と27,717百万円の増益となりました。売上高営業利益率は6.3%と0.7ポイント上昇しました。セグメント資産は、前連結会計年度末に比べ57,774百万円増加の2,231,268百万円となりました。エレクトロニクス関連事業は、主要顧客向けFPCの需要が堅調に推移したことにより、売上高は377,248百万円と20,770百万円(5.8%)の増収となり、営業利益は29,311百万円と14百万円の増益となりました。売上高営業利益率は7.8%と0.4ポイント低下しました。セグメント資産は、前連結会計年度末に比べ5,257百万円減少の307,998百万円となりました。産業素材関連事業他は、自動車向け超硬工具の需要は前連結会計年度を下回りましたが、円安の影響もあり、売上高は372,667百万円と8,482百万円(2.3%)の増収となりました。営業利益は、超硬工具の販売数量減少や人件費の上昇により、20,592百万円と475百万円の減益となりました。売上高営業利益率は5.5%と0.3ポイント低下しました。セグメント資産は、前連結会計年度末に比べ871百万円減少の993,532百万円となりました。なお、各セグメントの営業利益又は営業損失は、連結損益計算書の営業利益又は営業損失に対応しております。② 財政状態 資産合計(百万円)負債合計(百万円)純資産合計(百万円)自己資本比率(%)当連結会計年度末4,441,6291,911,1922,530,43751.6前連結会計年度末4,365,3971,933,5092,431,88850.6増減76,232△22,31798,5491.0 当連結会計年度末の資産合計は、主に退職給付信託の一部返還や株価の下落により退職給付に係る資産が減少した一方、棚卸資産や有形固定資産の増加などにより、前連結会計年度末に比べ76,232百万円増加し、4,441,629百万円となりました。当連結会計年度末の負債合計は、主に借入金や社債の減少などにより、前連結会計年度末に比べ22,317百万円減少し、1,911,192百万円となりました。当連結会計年度末の純資産合計は、退職給付に係る調整累計額の減少や配当金支払の一方、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより、前連結会計年度末に比べ98,549百万円増加し2,530,437百万円となりました。自己資本比率は51.6%と、前連結会計年度末対比1.0ポイント上昇しております。③ キャッシュ・フロー 営業活動によるキャッシュ・フロー(百万円)投資活動によるキャッシュ・フロー(百万円)財務活動によるキャッシュ・フロー(百万円)現金及び現金同等物の残高(百万円)当連結会計年度402,253△223,904△150,825294,487前連結会計年度393,465△123,809△292,313268,273増減8,788△100,095141,48826,214 まず、営業活動によるキャッシュ・フローで402,253百万円の資金を獲得(前連結会計年度比8,788百万円の収入増加)しました。これは、税金等調整前当期純利益304,064百万円と減価償却費206,152百万円との合計、すなわち事業の生み出したキャッシュ・フローが510,216百万円あり、これに運転資本の増減などを差し引いた結果であります。投資活動によるキャッシュ・フローでは、223,904百万円の資金を使用(前連結会計年度比100,095百万円の支出増加)しました。これは、設備投資に伴う有形固定資産の取得による支出199,824百万円などがあったことによるものであります。なお、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを差し引いたフリー・キャッシュ・フローは、178,349百万円のプラス(前連結会計年度は269,656百万円のプラス)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローでは、150,825百万円の資金の減少(前連結会計年度は292,313百万円の資金の減少)となりました。これは、借入金の減少や配当金の支払などがあったことによるものであります。以上により、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より26,214百万円(9.8%)増加し294,487百万円となりました。また、当連結会計年度末における有利子負債は、前連結会計年度末より25,629百万円減少し775,870百万円となり、有利子負債から現金及び現金同等物を差し引いたネット有利子負債は、51,843百万円減少し481,383百万円となりました。④ 生産、受注及び販売の実績当社及び連結子会社の生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。このため生産、受注及び販売の状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績」に記載のセグメントごとの経営成績に関連付けて示しております。(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容① 経営成績等の状況の分析当社グループは、長期ビジョン「住友電工グループ2030ビジョン」の実現に向けたマイルストーンとして2023年度からスタートした「中期経営計画2025」において、経営上の目標の達成状況を、売上高、営業利益、税引前ROICを重要な指標として測定することとしております。当連結会計年度における「売上高」は4,679,789百万円(前連結会計年度比276,975百万円増)、「営業利益」は320,663百万円(前連結会計年度比94,045百万円増)、「税引前ROIC」は9.3%(前連結会計年度比1.7ポイント上昇)と、いずれの指標も前連結会計年度を上回る結果となりました。なお、営業利益の前連結会計年度比での増減要因は以下のとおりとなっております。前期営業利益226,618百万円売上数量の増加34,000 売値の低下・品種構成の変化△13,000 銅価・資材価格変動の影響△5,000 収益体質の改善58,000 為替変動の影響16,000 その他4,045 当期営業利益320,663 ② キャッシュ・フローの状況の分析、資本の財源及び資金の流動性に係る状況当社グループの資金需要のうち主なものは、事業運営に必要な設備資金や運転資金であり、必要資金については自己資金の充当及び金融機関からの借入や社債発行等により調達しております。当社グループは、健全かつ強固な財務体質を維持することを基本方針とし、自己資本比率を50%水準に維持することとしております。当連結会計年度末における「自己資本比率」は51.6%(前連結会計年度末比1.0ポイント上昇)となりました。また、資金の流動性を確保するために、金融機関とコミットメントライン契約を締結するとともに、当連結会計年度末現在において、日本格付研究所(JCR)より「AA(長期)、J-1+(短期)」、格付投資情報センター(R&I)より「AA-(長期)、a-1+(短期)」の格付を取得しております。キャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。 ③ 重要な会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。また、連結財務諸表を作成する際には、当連結会計年度末日時点の資産・負債及び当連結会計年度の収益・費用を認識・測定するため、合理的な見積り及び仮定を使用する必要があります。当社グループが採用している会計方針のうち重要なものについては、「第5 経理の状況」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」及び「重要な会計方針」に記載しております。また、当社グループが用いた会計上の見積りのうち重要なものについては、「第5 経理の状況」の「重要な会計上の見積り」に記載しております。

事業リスク

  • 政治経済情勢と需要変動
    世界各地で事業を展開しているため、各国の政治経済情勢の変化、例えば輸出入規制や関税率の引き上げ、地政学的なリスク(テロ、紛争など)が売上減少や原価率悪化に繋がる可能性があります。また、主要製品が景気循環の影響を受けやすいため、需要の変動が業績に影響を及ぼすことも考えられます。
  • コンプライアンス違反のリスク
    グローバルに事業を行う上で、国内外の多様な法令(競争法、贈収賄規制など)を遵守する必要があります。これらの法令に違反した場合、多額の罰金、訴訟、企業イメージの失墜など、経営に重大な影響を与える可能性があります。特に国際的な取引においては、各国の法制度への対応が複雑化します。
  • 人権と気候変動への対応
    サプライチェーン全体での人権尊重や、気候変動への対応(温室効果ガス排出削減目標の達成など)は、企業の社会的責任として重要視されています。これらの取り組みが不十分と判断された場合、ステークホルダーからの信用失墜や、事業活動への制約が生じる可能性があります。カーボンニュートラル目標達成に向けた投資も必要となります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|10,027 文字
3【事業等のリスク】(リスクマネジメントの目的・体制・活動)当社グループでは、事業活動の遂行や経営上の目標・戦略の達成に対して、阻害要因や悪影響の可能性のある要因をリスクとして把握・分析・評価し、リスクの軽減・最小化を図っております。当社グループでは、役付取締役及び役付執行役員で構成されるリスク管理委員会においてリスクマネジメント体制、方針の策定、危機発生時の対策本部設置を含むリスクマネジメント活動全般を統括しており、情報収集及び展開、リスク管理教育の企画・実施などは、リスク管理実務委員会において行っております。また所管のリスクマネジメントを推進するため、リスク管理委員会の承認を得て社長もしくは当該部門担当の役付役員を長とする各種委員会を設置しております。さらにリスクが顕在化した場合は、当該部門が適宜リスク管理委員会に報告し、必要に応じた指示を受けております。加えて取締役会規則に従い、取締役会に報告しております。当社グループでは、各部門及び関係会社ごとに毎年度「リスクの棚卸し」を実施しており、様々なリスクが発生した場合の影響度、発生頻度などの評点化を行い、総合的に評価したうえで、優先的に取り組むべき「重要リスク」を抽出し、対策を検討・実施しております。この活動は、リスク管理委員会が、リスク管理規程に従い統轄しており、リスクの棚卸しの中で全社共通的に重要と考えられるリスクについてはコンプライアンス・リスク管理室より本委員会へ報告され、メンバー間で認識の共有化と対策の検討が行われるとともに、監査役、内部監査部門及び各リスクを所管する各コーポレートスタッフ部門とも連携しながらリスクをモニタリングする体制を敷いております。グループ横断的な主要リスクについては、各リスクを所管するコーポレートスタッフ部門や当該部門担当の取締役等が主催する委員会がグループ内に展開する対応策や事故事例・防止策に従い、各部門が所管事業の遂行に伴うリスクを再評価のうえリスクマネジメントを行っております。また、当該部門が部門に固有のリスクについても、適宜コーポレートスタッフ部門や外部専門家の支援を受けながらリスクの軽減等を行っております。このようなリスクマネジメント体制のもと、また、幅広い分野にわたってグローバルに展開する当社の事業活動も考慮のうえ、当社グループの経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性のある主要なリスクを以下のとおり記載しております。ただし、以下は当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載以外のリスクも存在し、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。(政治経済情勢・需要変動・法律・規制の変更等に係るリスク)当社グループは、環境エネルギー関連、情報通信関連、自動車関連、エレクトロニクス関連及び産業素材関連他の各需要分野にわたって事業を展開しております。また、地域的には、日本の他、米州、アジア、欧州、北アフリカ等に進出しております。これまで、当社では事業継続の観点から、生産拠点の一国集中を避けて複数拠点の分散を行うことでリスクの軽減を図ってきたため、当社グループの経営成績、財政状態ならびにキャッシュ・フローは、特定の地域・取引先・製品・技術等に過度に依存する状況にはありませんが、各分野や各地域に特有の需要変動や、技術革新に起因する製品ライフサイクル短期化、また、国内外の政治情勢の影響を受けることがあります。海外におけるテロ・暴動・紛争等のリスクに対しては、リスクコンサルタント等の専門家や政府関係機関等より情報収集を行うとともに、有事の際には現地拠点の安全確認、現地情報の社内展開を行っております。さらに、欧米、中国、東南アジアに地域コーポレート会社を設置し、必要に応じて弁護士やコンサルタント等の専門家と契約するなどしてコーポレート機能を強化して、リスク管理の側面からも各地域における関係会社の支援をしております。なお、当社グループ製品の多くは、最終消費財の部品や社会インフラ用の素材・システムなどであるため、景気循環の影響を受けることはもとより、顧客の購買政策の変化や設備投資に対する政策的判断、競合会社との価格競争激化などの影響を受けることがあります。また、各市場において、以下のように完全には回避することの困難なリスクが存在しており、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。・地政学的な環境の変化、輸出入規制や関税率の引き上げ等により、売上が減少、もしくは原価率が悪化するリスク・各国の国内及び国際間取引に係る租税制度の変更等により税金コストが上昇するリスク・外貨規制、ハイパーインフレーション、テロ、感染症等により投資資金の回収が不可能となるリスク (コンプライアンス全般に係るリスク)当社グループは、グローバルに事業を遂行するにあたり、国内外の各種法令の適用を受けております。これらの法令違反行為や企業倫理に悖る行為を行うことにより、法令に基づく処罰、訴訟の提起及び信用・評判の失墜など当社グループの経営に重大な影響を与える可能性があります。当社グループでは、コンプライアンスは、経営の根幹をなすものであり、存続・発展していくための絶対的な基盤であるとして、「住友事業精神」の「萬事入精」「信用確実」「不趨浮利」という理念に基づき、社会から信頼される公正な企業活動の実践に取り組んでおります。具体的には、社長が委員長を務めるコンプライアンス委員会の下、コンプライアンス・リスク管理室が世界各拠点の法務部門等と連携しながら、当社グループにおける各コンプライアンス活動全体の調整・確認を行うとともに、コンプライアンスの基本姿勢を示す行動規範の制定、コンプライアンスの意識・理解を高める教育の実施、及び内部通報制度の周知・積極的な利用の呼びかけなどを通じて、法令違反行為及び企業倫理に悖る行為の発生可能性を低減するよう努めております。特に競争法違反及び贈収賄に係るリスクは、欧米を含む厳しい各国法令が適用され、違反時のリスクが高いと考えられます。違反時には、当局への罰金の支払い、役職員個人への刑罰、株主代表訴訟、顧客との取引停止及び信用・評判の失墜など当社グループの経営に重大な影響を与える可能性があります。関連規程の制定、対面研修・Eラーニングの実施、各部・各社におけるこれらのコンプライアンスを担う責任者の設置、ならびに内部通報制度の周知・積極的な利用の呼びかけなどの対応策を実施することにより、運用面でも違反行為の発生可能性を低減するように努めております。(人権に係るリスク)当社グループは、基本精神である「住友事業精神」と「住友電工グループ経営理念」に基づく高い企業倫理の下、人権尊重の取り組みを推進しております。具体的には、コンプライアンスの基本姿勢を規定した「住友電工グループ行動規範」にて、人権の尊重、差別・ハラスメントの禁止等を定め、社内教育を当社グループで実施しております。また、様々なステークホルダーのニーズに応え、国際基準に則った人権尊重の取り組みを推進していくことを明確に示すため、「住友電工グループ人権方針」を制定し、当社グループの事業活動における人権への影響を特定し、対応していくため人権デューデリジェンスを実施しております。さらに、当社グループのサプライチェーンにおいても「住友電工グループサプライヤー行動規範」に基づく実態調査や働きかけ等を通じ、人権尊重の取り組みを推進しております。上記のとおり、当社グループは、人権尊重を事業活動の大前提と認識し、グループ全体で取り組みを推進しておりますが、事業活動において人権問題が発生した場合、ステークホルダーからの信用失墜等により当社グループの経営に重大な影響を及ぼす可能性があります。(気候変動のリスク)当社グループでは「住友電工グループ経営理念」に基づき、地球的視野に立った、環境保全への取り組みを経営の最重要課題として位置付け、「環境方針」を制定しております。本方針のもと、これまでも省エネルギーや再生可能エネルギーの導入など、温室効果ガス排出の削減に取り組んでおりますが、さらなる排出削減を目指し、2050年までにカーボンニュートラル達成を目標に、削減目標に関してSBTi認定を取得し、グループ全体で取り組んでおります。また、当社グループはグローバルに事業を展開していることから、各国・各地域において、気候変動が一因とされる集中豪雨や大型台風の被害を受ける可能性が高まっておりますが、下記の「自然災害や感染症に関するリスク」に記載する対応策を実施し、リスクに対処しております。世界的に地球環境保全への取り組みが強化される中、欧州では国境炭素税導入や電池規則へのLCA(ライフサイクルアセスメント)などが検討されており、顧客から当社グループの製品のカーボンフットプリント(CFP)削減を求められるケースも生じております。これらへの対応不備や遅れは、機会損失となり得ます。加えて、温室効果ガス排出削減に向け、これまで以上に太陽光発電施設等の導入やグリーン電力の購入が必要となる可能性や、炭素税増税によるエネルギー調達コストの上昇などにより、業績に影響を及ぼす可能性があります。これらリスクに対しては、経営層を中心とするGX推進委員会が当社グループ全体の環境保全活動を企画・統括し、地球環境推進責任者会議が具体的活動の推進とともに、行政・顧客を含む社会動向の把握と活動への落とし込み、事業部門及び関係者の環境保全への取り組みに対する監査及び指導を通じて、リスク低減に取り組んでおります。(自然災害や感染症に関するリスク)当社グループは、阪神・淡路大震災や東日本大震災といった巨大地震、又は集中豪雨、大型台風等により被害を受けた経験や新型インフルエンザやコロナウイルス感染症の流行を踏まえ、大規模自然災害や感染爆発(パンデミック)が発生した際も重要業務を継続し、迅速な復旧を図るため、事業継続計画(BCP)の策定と、BCPの継続的な改善を図る事業継続マネジメント(BCM)を推進するなど、従来より対策を講じております。一方、当社グループはグローバルな事業展開を拡大していることから、各国・各地域において巨大地震や風水害等の直接的な被害を受ける可能性があることに加え、顧客の被災や物流網の寸断、電力不足等により生産活動が計画通り進まない可能性があります。また、当社グループの国内拠点の一部が、30年以内に80%程度の確率で発生が見込まれる南海トラフ巨大地震や首都直下地震の想定被災地域あるいは沿岸地域等に存在していることもあり、大規模な地震が発生した場合には津波や液状化等による重大な被害を受ける可能性があり、当社グループの生産活動をはじめとする事業活動全般に影響を及ぼす可能性があるほか、売上減少や修繕費用の支出を余儀なくされるなど、当社グループの経営成績及び財政状態等に大きな影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクに対処するため、当社グループでは、当社各拠点及び各関係会社で同時開催する「統合防災訓練」を毎年2回、継続的に開催し、防災意識を高めております。また、対策本部設置による情報伝達・共有訓練も同時に行っております。さらに、建屋の耐震改修を進め、主要な建屋は現行の耐震基準と同等以上の耐震性能を確保するようにしております。また、災害時も重要システムが停止しないよう、伊丹コンピュータセンターのバックアップセンターを横浜に設置し、年に1回、復旧訓練(BCP訓練)を実施しております。リモートワークやオンライン会議が定着したことを受け、ネットワークやクラウド環境の二重化など、事業継続力強化に取り組んでおります。(産業事故等のリスク)当社グループは、各製造拠点において火災・爆発、感電、有害物質の漏洩等について、点検と対策を計画的に進め、産業事故や環境汚染等公害事故の発生防止を実施しております。特に火災については、他社及び当社グループで過去に発生した事故・ヒヤリ分析から未然防止に向けた活動を積極的に進めております。産業事故については、重要設備の停止による生産活動への悪影響を最小限に抑えるために、日常的及び定期的な設備保全を行う一方、老朽化更新を計画的に進めております。また、これまでの労働災害の原因分析を基に再発防止策を展開し、日々安全な職場の構築・維持に努めております。環境汚染等の公害事故については、環境保護を含めた各国規制の把握不全ならびに新たな法・規制改正といったリスクが存在します。これらのリスクに対処するため、当社グループでは、各製造拠点においてグループ共通の管理基準に基づく厳格な自己管理のもと操業を行っております。また、施設診断やコンプライアンス(法令遵守)監査を実施することで、公害事故の発生の未然防止及び再発防止策の立案に努めております。しかしながら、予期せぬ事態により産業事故や公害事故が発生し、当該事故が当社グループの業務及び地域社会に大きな影響を及ぼした場合、これに伴い生ずる社会的信用の失墜、補償等を含む事故対応費用、生産活動の停止による機会損失及び顧客に対する補償等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。(人材確保に係るリスク)当社グループは、多岐にわたる事業領域においてグローバルに事業を展開しております。こうした事業活動を支える人材の確保や流出防止ができない場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、人材の育成と活用を経営の最重要事項として位置付けており、「住友事業精神」にある「事業は人なり」の精神を今に受け継いできております。こうした考え方に立脚し、あらゆる人材が仕事を通じて成長し自己実現を図れ、社会に貢献できる会社を目指し、ダイバーシティ&インクルージョンの推進や働きやすい環境の整備、健康経営の推進を行っています。また強固な人材・組織基盤づくりのため、エンゲージメントを強化する施策や競争力のある報酬処遇制度を整備する他、各種施策を進めることで人材の確保や流出防止に努めるとともに、ものづくり教育や高度な専門性を磨く研修などを通じ、人材の育成にも努めております。また、ものづくり人材や高度な専門性、技術を保有する人材の採用を進めるため、世界各地においてグローバルまたは各地域で活躍する人材の採用活動を行い、人材確保に努めております。(金利の変動によるリスク)当社グループは、資金需要、金融市場環境及び調達手段のバランスを考慮し資金調達を実施しております。当社グループでは、設備投資のための長期安定的な資金を必要とするため、長期固定金利の長期借入や社債発行による調達が中心となっていることから、金利の短期的な変動による影響は比較的受けにくくなっておりますが、金利が中長期的に上昇した場合は、長期借入や社債等による資金調達コストを上昇させ、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。(為替レートの変動によるリスク)当社グループは世界各地で製造・販売活動を展開し、グループ各社は所在国通貨やそれ以外の通貨で売買等取引を行っており、各通貨の短期的な為替変動による変動リスクがあります。当社グループでは、売買等取引通貨の一致、為替予約取引等の手段により各通貨の短期的な為替変動による影響を最小限にとどめるようにしておりますが、中長期にわたる大幅な為替変動は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、在外連結子会社及び在外持分法適用関連会社の個別財務諸表を主に現地通貨ベースで作成しており、連結財務諸表の作成時に円換算しております。従って、現地通貨ベースでの業績に大きな変動がない場合でも、期末円換算時の米国ドル、ユーロ等の為替レート変動が業績に影響を及ぼす可能性があります。(原材料等の調達に係るリスク)当社グループは、電線・ケーブルなど銅を主たる原材料とした製品を多数有しております。このうち主要な製品の販売価格については、ロンドン金属取引所の市況価格を反映した銅価格に基づいて決定するという商慣習が普及しており市況価格変動リスクを回避しております。しかし一部の製品についてはこのような価格決定方法を採用していないため、数年に一度起こる急激な市況価格の上昇は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、価格転嫁交渉により損益への影響は最小限にとどまると考えております。その他の非鉄金属、鉄鋼、石油化学製品、半導体等の原材料や副資材の調達についても、当社グループでの共同購買など有利購買活動を強化しておりますが、各産業の構造変化による諸資材の急激な市況価格の上昇や需給の逼迫が当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また希少金属については、産出国の政策による輸出規制や供給制限で必要量の調達が困難となる可能性があり、他の原材料や副資材についても、自然災害、感染症の蔓延、供給者の倒産、戦争、テロ、ストライキ等により、必要量の調達が困難となる可能性があるため、代替が利かない重要部材は戦略的に備蓄を行う等の対策を講じ、影響を最小限にとどめるよう取り組んでおります。(取引先の信用リスク)当社グループは、国内外の様々な顧客と取引を行っており、掛け売りなどの信用供与を行っています。取引相手の財政状態の悪化や経営破綻等が生じた場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに悪影響を及ぼす可能性があります。かかるリスクへの対応として、当社グループでは、定期的な信用調査や信用リスクに応じた取引限度額の設定、債権回収状況のモニタリングなど、信用リスクの管理のための施策を実施しています。(保有有価証券の時価の下落によるリスク)当社グループは、取引先との長期的・安定的な関係の構築・強化や、事業・技術提携の円滑化を主たる目的として、ROE、ROICへの影響や寄与等を勘案し、中長期的な企業価値向上に資するかという観点より、取引先等の政策保有株式を保有しております。保有目的に適さなくなった株式、あるいは中長期的な企業価値の向上に資することのなくなった株式は処分の検討を行っております。また原則、売買目的の株式は保有していないため、株式市況の変動が経営に直接与えるリスクは比較的小さいと考えられますが、株式市況が大幅に悪化した場合は、自己資本比率を低下させる可能性があります。(退職給付債務に係るリスク)当社グループは、ポイント制の退職一時金、確定給付企業年金の他、確定拠出年金制度を導入しています。従業員の退職給付債務及び費用については、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づき算出しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、さらには、株式や債券等の価格下落に伴う年金資産の時価減少や、長期金利の低下に伴う割引率の引き下げなどにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。企業年金基金の年金資産運用にあたっては、運用基本方針の策定、資産構成や資産配分の決定、運用機関の選定等に際し、外部の運用コンサルティング会社の意見を聴取し、理事長の諮問機関として設けている財務担当役員や労働組合の代表者等からなる資産運用委員会に諮り助言を受けた上で、理事会、代議員会での議決を行う体制となっております。(知的財産に係るリスク)当社グループは、特許権、商標権等の知的財産権の取得により自社事業の保護を図るとともに、他社の知的財産権に対しても細心の注意を払っております。事業活動推進時には、知的財産権問題には十分に留意しておりますが、製品技術の進化、海外での事業活動の拡大、デジタル化の進展に伴う情報通信技術の利用やアプリの導入、流通経路の複雑化等により、当社グループの製品が意図せず他社の知的財産権を侵害した場合、販売中止、設計変更等の処置をとらざるを得ない可能性があります。当社グループ事業に関わる部品等の供給者、当社製品の顧客、事業の協業先など、多くの関係先と市場環境に関する情報を共有し、適切な契約を締結することにより、問題の発生抑止と影響の軽減を図っております。各国の法制度や執行状況の相違により、他社による当社グループの知的財産権への侵害に対して常に十分な保護が得られるとは限らず、市場の確保が難しくなる可能性があります。このため、事業を展開する各国・地域の最新の知的財産環境情報を収集し、事業防衛に効果的な権利網の構築を図っております。(情報の流出及びサイバーセキュリティに関するリスク)当社グループは事業活動を通じて、自社及び顧客・取引先の営業秘密、ノウハウ、データ等の機密情報を保有しています。また国内外において25万人を超えるグループ従業員の個人情報も有しております。競争力の源泉としての機密情報や、世界的に規制強化の動きがある個人情報は、企業における管理の重要性が増しております。また、近年は、IoTやDXの活用に伴い生産システムやサプライチェーンも含めたネットワーク環境の重要性が増しており、さらには生成AIの安全な活用が急務となっています。しかしながら、サイバー攻撃が増加・巧妙化しており、当社や国内外の関係会社もしくは関係取引先等へのランサムウェア、コンピューターウイルス感染、不正アクセス等のサイバー攻撃や、故意・過失、その他予期せぬ事態から、当社製品やサービスが影響を受け、情報漏えい、システム停止や重要業務の停止等、海外拠点も含めた当社グループの事業活動に影響する可能性は皆無ではありません。このような事態が生じた場合、当社グループの社会的信用の失墜、ブランドイメージの低下、損害賠償や規制当局による金銭的な賦課の発生(EU一般データ保護規則(GDPR)では最大当社グループ売上高の4%に上る場合がある)などにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクに対し、機密情報や個人情報の秘密保持、情報機器やクラウドサービス等の利用については、社内規程の整備、情報開示先との契約締結、個人情報保護方針の制定・公開、それらの教育による周知徹底、事故時の報告を含む管理体制の整備を行っております。加えて、当社グループにおける情報セキュリティマネジメントの強化とセキュリティ対策の高度化を進め、リスク低減に努めております。具体的には、国際標準に準拠、最新の知見を反映した情報セキュリティポリシーの下、部門・関係会社にセキュリティ責任者を任命して「業務システム」「生産設備」「製品」に関するリスク低減に取り組んでいます。業務システムでは、ウイルス対策や脆弱性対応などの基本対策を徹底し、セキュリティ教育や攻撃メール訓練などによる従業員の意識向上にも注力しています。生産設備では、業務と生産設備のネットワークを分離すると共に、生産設備のパソコンのセキュリティ対策を徹底しています。製品では、全社のセキュア開発運用対策標準に従って、製品・サービスのセキュリティ向上に努めています。(製品及びサービスの欠陥によるリスク)当社グループは国内外で事業を展開していますが、グループ共通の「住友電工グループ 品質管理基準」に基づいて体系化した品質管理の仕組みを各部門において構築し、製品及びサービスの品質向上や品質不正の未然防止に万全の注意を払っております。全社機能としては、各部門の業務の仕組みや運用状況の点検や監査、各階層を対象とした品質管理教育を系統立てて行い、品質管理基準の遵守に努めております。また、万一の事態に備え、製造物責任保険に加入する等の対策を講じております。しかしながら、予期せぬ事態により、製品及びサービスの欠陥等の品質問題が発生し、顧客に対する製品納入の遅れや工場の生産性の低下、さらには大規模なリコールや製造物責任につながる可能性は皆無ではありません。このような事態が生じた場合、当社グループの社会的信用の失墜、ブランドイメージの低下、製品の回収費用や損害賠償の発生などにより、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

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