5741

UACJ(5741)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

非鉄金属 鉄鋼・非鉄

事業の概要

UACJグループは、アルミニウムとその合金の圧延製品、鋳物製品、鍛造製品、加工品の製造・販売を主な事業としています。主力は「板製品関連」で、アルミニウム板や箔の製造・販売を行い、収益の大部分を占めています。その他、「押出・加工品関連」では押出製品や加工品の製造・販売、「航空宇宙・防衛材関連」では鋳物・鍛造製品、「自動車部品関連」では自動車部品を手掛けています。アルミニウムという素材を基盤に、幅広い製品を国内外で展開し、多角的な収益構造を築いています。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成

UACJグループは単一セグメントですが、製品区分別に事業を展開しています。「Rolled Aluminum Products(板製品関連)」は、アルミニウムおよびその合金の板圧延製品や箔製品の製造・販売を行い、売上7735.52億円、営業利益233.37億円と、グループの主要な収益源となっています。一方、「Precision Machined Components And Related Businesses(精密加工部品および関連事業)」は、売上1893.33億円に対し営業利益は-1.57億円と赤字であり、改善が課題と見られます。全体として、板製品関連が事業の中核を担い、グループ全体の業績を牽引している構造です。

2023-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
RolledAluminumProducts 事業 7,736 233 3.0%
PrecisionMachinedComponentsAndRelatedBusinesses 地域 1,893 -2 -0.1%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2025|1,146 文字
3【事業の内容】 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社、当社の子会社48社及び持分法適用会社9社で企業集団を形成し、アルミニウム等の非鉄金属及びその合金の圧延製品・鋳物製品・鍛造製品並びに加工品の製造・販売等を主な業務として行っております。 なお、単一セグメントであるため、製品区分別に記載しております。 板製品関連 アルミニウム及びその合金の板圧延製品、箔製品の製造及び販売を行っております。(主な関係会社)当社、UACJ (Thailand) Co., Ltd.、Tri-Arrows Aluminum Holding Inc.、Tri-Arrows Aluminum Inc.、UACJ ELVAL HEAT EXCHANGER MATERIALS GmbH、優艾希杰東陽光(韶関)鋁材銷售有限公司、㈱UACJ製箔、UACJ Foil Malaysia Sdn. Bhd.、㈱日金、㈱UACJアルミセンター、㈱UACJ Marketing & Processing、UACJ Trading & Processing America,Inc.、Logan Aluminum Inc.、乳源東陽光優艾希杰精箔有限公司 押出・加工品関連 アルミニウム等の押出製品、加工製品の製造・販売、それらに関連する土木工事の請負等を行っております。(主な関係会社)当社、㈱UACJ押出加工安城、㈱UACJ押出加工群馬、㈱UACJ押出加工滋賀、UACJ Extrusion Czech s.r.o.、UACJ Extrusion (Thailand) Co., Ltd.、㈱UACJ金属加工、UACJ Metal Components North America, Inc.、UACJ Metal Components Mexico, S.A. de C.V.、戴卡優艾希傑渤鋁(天津)精密鋁業有限公司 航空宇宙・防衛材関連 アルミニウム等の鋳物製品、鍛造製品の製造及び販売を行っております。 (主な関係会社)当社、UACJ Foundry & Forging (Vietnam) Co., Ltd. 自動車部品関連 アルミニウム等の自動車部品の製造・販売を行っております。(主な関係会社)当社、UACJ Automotive Whitehall Industries, Inc.、戴卡優艾希杰渤鋁汽車零部件有限公司 その他 グループの事業に関連する貨物運送・荷扱、製品等の卸売等を行っております。    以上の事項を事業系統図によって示すと以下のとおりであります。 [事業系統図](注)1.→印は、製品・サービス等の流れを示しております。2.◆印は連結子会社、△印は持分法適用会社であります。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
相場変動を販売価格に反映する値決め方式の定着により、収益への影響を抑制
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
アルミニウム合金のろう付時の挙動、アルミニウム材料に関する多角的・学際的な研究など、高度な技術開発力
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか シクリカル
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:気候変動等地球環境の変化 / 政治環境・経済動向の変化(地政学的リスク) / 市況の激変
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 8 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

UACJは非鉄金属メーカーであり、特定の強力なブランド、特許、規制ライセンス、独占的IPに依存する事業モデルではない。汎用品に近い製品が多く、無形資産による競争優位性は限定的と考えられる。

スイッチングコスト★☆☆☆☆
根拠:弱い乗り換えの手間・コスト

顧客は特定のアルミ製品や銅製品を調達する際に、品質や納期、価格などを総合的に判断してサプライヤーを選定する。一度取引が始まっても、代替サプライヤーへの切り替えコストが極めて高いわけではないため、スイッチング・コストは弱い。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

非鉄金属の製造・販売事業は、ユーザー数の増加が製品価値を直接的に高めるネットワーク効果を生むビジネスモデルではない。プラットフォーム型ビジネスとは異なり、ネットワーク効果は期待できない。

コスト優位★★★☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

UACJは、アルミニウム事業において、製販一体のサプライチェーンと生産技術の効率化により、一定のコスト競争力を有している。特に、リサイクル材の活用や省エネルギー化への取り組みは、コスト優位性を支える要因となりうる。

規模の経済★★★★☆
根拠:強い規模が参入障壁になる

アルミニウム圧延品や押出品の分野では、UACJは国内トップクラスの生産能力と販売網を有している。この規模の経済性は、原料調達や生産効率において競合他社に対する優位性をもたらし、業界内での寡占的な地位を築いている。

UACJグループは、アルミニウムの特性(軽量性、高い熱伝導性、リサイクル性)を活かした製品とサービス提供により、社会課題解決に貢献する機会を拡大しています。特に「アルミニウムの循環型社会」の牽引や気候変動対応をマテリアリティとして掲げ、ASI認証取得やTCFD賛同など、環境配慮への積極的な取り組みは、持続可能な社会への貢献と同時に、企業価値向上に繋がる優位性と考えられます。また、特定の国・地域に集中しない原材料の分散調達や製造代替拠点の検討により、サプライチェーンの安定性を高めています。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) グループ理念当社グループは、2020年に企業活動の根本的な考え方となる企業理念や目指す姿、大切にしたい価値観を見つめ直し、社員が物事を判断する際の拠りどころとなるグループ理念体系を再定義いたしました。 「企業理念」素材の力を引き出す技術で、持続可能で豊かな社会の実現に貢献する。 「目指す姿」アルミニウムを究めて環境負荷を減らし、軽やかな世界へ。 「価値観」相互の理解と尊重  誠実さと未来志向好奇心と挑戦心 グループ理念体系の社内浸透を図るため、経営幹部と従業員との理念対話会を継続して実施しております。理念対話会は、単にグループ理念を従業員に伝えるだけではなく、従業員の声を経営に活かし、また従業員のエンゲージメントの向上にも資することから、今後も積極的に実施してまいります。このグループ理念を世界中の従業員と共有することで、国境や世代を超えて永続的に社会・生活を支える企業グループになることを目指してまいります。 (2) 経営戦略等当社グループは、グループ理念における目指す姿の実現に向け、2030年における当社グループのありたい姿を描いた「UACJ VISION 2030」(以下、VISION 2030)を策定しています。VISION 2030を実現するための中期経営計画として、第3次中期経営計画(2021年度~2023年度)から具体的な取組みを開始しており、これに続く第4次中期経営計画(2024年度~2027年度)(以下、第4次中計)を策定し、2024年5月に公表しております。 <長期経営ビジョン UACJ VISION 2030>中長期では、世界的な人口増加や経済成長、さらには気候変動への対策の必要性の高まりから、地球環境に優しい循環型素材であるアルミニウムの需要は伸長する見込みです。このようなマクロ環境認識の下、企業理念に掲げた「持続可能で豊かな社会の実現」に向けて、2030年に当社グループが目指していく4つの貢献を定めた VISION 2030を策定いたしました。 UACJ VISION 20301.成長分野や成長市場での需要捕捉により、より広く社会の発展に貢献する2.素材+αでバリューチェーン及びサプライチェーンを通じた社会的・経済的な価値の向上に貢献する3.新規領域への展開により、社会課題の解決に貢献する4.製品のライフサイクル全体を通じて、環境負荷の軽減に貢献する 成長市場や成長分野においては、積極的に新たな需要を捕捉し、これまで培ってきた経営資源や強みを活かした製品の提供を通して、より広く社会の発展に貢献してまいります。また、素材製品の提供のみでなく、加工やリサイクルで新たな価値を付与するなど、バリューチェーン及びサプライチェーンを通した「素材+αの価値創出」に取り組んでまいります。さらに、2030年に向けて拡げていく新規領域としては、2030年の社会においてアルミニウムが活躍する領域として、「モビリティ」「ライフスタイル・ヘルスケア」「環境・エネルギー」の3つを選定し、これら領域における社会課題の解決を図ってまいります。また、既存領域及び新規領域のいずれにおいても、アルミニウムの特性を活かした製品とサービスの提供及びリサイクルの推進を通じて、社会全体での環境負荷の軽減に貢献します。これら4つの貢献を通じて、「持続可能で豊かな社会の実現」を目指してまいります。 <中期経営計画>当社グループは、2024年度から2027年度までを、VISION 2030へ繋がる成長・価値創出拡大と体質強化を実現する期間と位置づけ、素材提供企業から「素材+α」の付加価値提供企業への変革をコンセプトとした第4次中計を策定し、取組みを進めています。事業環境の先行きは不透明な状況が継続すると考えられますが、第4次中計で定めた次の3つの重点方針に基づき、変革に向けた挑戦を続けてまいります。 第4次中期経営計画(2024年度~2027年度)~稼ぐ、繋ぐ、軽やかに~重点方針1.価値創出拡大による収益の最大化と収益率の向上2.筋肉質でしなやかな体質の強化3.価値創出と安定した事業運営を支える基盤の強化 ① 価値創出拡大による収益の最大化と収益率の向上当社グループでは、第4次中計における「素材+α」の戦略として「リサイクル推進」「素材+加工ビジネスの拡大」「先端分野のサプライチェーン安定化への貢献」「新領域の拡大」の4つを定めました。多彩な事業を保有するグループの強みを活かし、社会やお客様へより広く、より高い価値を提供することで、収益の最大化と収益率の向上を目指してまいります。「リサイクル推進」については、アルミニウムの循環型社会の構築を牽引し、川上への事業領域拡大によって、ビジネスモデルの変革を図るとともに、環境価値素材としてのアルミニウムの活躍領域拡大を目指しています。2024年度においては、日本では使用済み飲料缶の溶解リサイクルシステムの構築を目的とした設備投資、米国では缶材増産とスクラップ使用量拡大のための設備投資を進めており、タイではスクラップ処理能力増強のための設備が稼働開始いたしました。さらに、リサイクル性に優れた次世代アルミ飲料缶蓋「EcoEnd™」を他社に先駆けてお客様と共同開発し、その量産に向けて生産体制を構築いたしました。今後も、リサイクル推進による付加価値創出に向けた取組みを進めてまいります。「素材+加工ビジネス」の拡大については、自動車等の軽量化や熱マネジメントによるGHG排出量削減等の環境価値付与をターゲットに、ビジネスの拡大を目指しています。2024年度においては、グループ間シナジー発揮による付加価値の創出を促進すべく、押出製品の素材から加工までの事業領域を一体運営することで、各領域の技術・ノウハウを掛け合わせた最適な提案をお客様へ行い、製品・サービスを通じてより高い価値提供を行うべく取り組んでいます。 「先端分野のサプライチェーン安定化への貢献」については、地政学的リスクを踏まえた経済安全保障強化の機運の高まりに対して、航空宇宙・防衛、電池、半導体製造装置の領域にて、外部と連携した高付加価値製品の安定供給、サービスの提供により、サプライチェーンの安定化への貢献を図ります。2024年度においては、この目標を実現するために鋳鍛事業本部を航空宇宙・防衛材事業本部へ改組し、同分野の需要を顧客・マーケット軸で捕捉するための体制を構築いたしました。また自動車電動化による電池領域の需要拡大を捕捉するため電池箔増産に向けた設備投資を進めており、高品質なアルミニウムを安定供給することで、サプライチェーン安定化に貢献することを目指します。「新領域の拡大」については、アルミニウムが持つ特徴と当社の強みを活かし、新領域ビジネスの創出・拡大を進めています。2024年度においては、「origami™」「水の架け橋」「水用心™」に続く社内ベンチャー制度発の「ワークショップの素™」(アルミホイルを用いてコミュニケーション活性化を図るワークショップ・ツール)をデザイン・コンサルティング会社と共同で開発し、上市いたしました。 ② 筋肉質でしなやかな体質の強化当社グループでは、資本効率向上を目指すとともに、短期及び長期的な環境変化に対応できる筋肉質な体質の強化を目指し、「環境変化への対応力強化」「資産効率化」「自動化・無人化(安全性・生産性向上)」に取り組んでまいります。2024年度においては、需要変動等の外部環境の変化に柔軟に対応する仕組み及び生産体制構築、棚卸資産削減を中心としたCCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)の短縮及び設備能力の最適化等による資産効率の向上と資金の捻出、設備やシステムの刷新によって製造現場の自動化や無人化に取り組み、より安全な職場環境の確保や生産性向上を進めてまいりました。 ③ 価値創出と安定した事業運営を支える基盤の強化当社グループでは、人材・技術・ブランド等の獲得・強化と社内外連携の強化によって「素材+α」を創出し、安定した事業運営の基盤の強化を図るべく、「多様な人材の獲得・育成とエンゲージメント向上」「技術・ブランド等の無形資産の獲得・強化・活用」、「デジタルを活用した競争力・組織力の強化」、「事業間連携やサプライチェーン・バリューチェーンとの連携・協業の更なる推進による提案力の強化」に取り組んでまいります。「多様な人材の獲得・育成とエンゲージメント向上」については、成長を牽引する人材ポートフォリオの構築を推進し、一人ひとりの成長と多様な人材の掛け合わせによる戦略実行力を高めるとともに、個人及び組織の成長を後押しする人材マネジメントシステムの構築もあわせて進めてまいります。2024年度においては「健康経営優良法人(ホワイト500)」に2年連続で選定され、さらに「健康経営銘柄2024」では非鉄金属セクターで唯一選出されるなど、取組みが外部からも評価されました。「技術、ブランド等の無形資産の獲得・強化・活用」については、グループの強みとなる技術力を獲得・強化するとともに、アルミニウムの特性や当社が引き出す価値を訴求したブランディングによる無形資産の強化・活用で、アルミニウムの活躍領域の拡大と付加価値創出力を強化してまいります。2024年度においては、グループの各製品ブランドをファミリー・ブランドとして「ALmitas+(アルミタス)」に統合し、様々なお客様に採用いただきました。ブランド活用を通じ社会課題の解決に貢献する素材であるアルミニウムの可能性と魅力を伝え、新たな用途への採用を通じて当社グループのビジネスを拡大させるべく取り組んでまいります。また、当社が参画している国家プロジェクトであるアルミニウム素材高度資源循環システム構築事業ではアップグレードリサイクルの技術開発に取り組んでおり、事業の中核となる実証実験設備(縦型高速双ロール鋳造実験機)をR&Dセンター内に設置いたしました。今後も社会課題の解決に繋がる技術の開発に取り組んでまいります。「デジタルを活用した競争力・組織力の強化」については、あらゆる領域にデジタルを活用し、業務プロセスの効率化、高度化、最適化、見える化を図るとともに、長期的な視点での製造現場の自動化を推進し、生産性向上のみならず安心安全な職場環境づくりの実現に向けて取り組んでいます。2024年度においては、営業業務の効率化・高度化をかなえるシステムの統合、刷新や経営データの見える化への取組みを進めました。「事業間・部門間連携やサプライチェーン・バリューチェーンとの連携・協業の更なる推進による提案力の強化」については、リサイクル推進、付加価値ビジネスの拡大及び新領域の拡大に向けて、グループが保有するあらゆる資本を有機的かつ最大限に活用するため、事業間・部門間連携の更なる推進によるグループ総合力の強化を図るとともに、サプライチェーン・バリューチェーンにおける最適パートナーとの更なる連携・協業を推進しており、グループの持続的な成長及び価値創出を目指してまいります。 (3) 経営上の目標の達成状況を判断する客観的な指標等当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、株式価値向上の観点からROEを重視しております。株主資本コストを上回るROEを達成することにより、エクイティスプレッドを創出・拡大し株式価値の向上を目指してまいります。また、持続的な事業の成長と収益性を測るため、連結での売上高、売上高事業利益率、ROIC(投下資本利益率)も指標としています。目標値については下表のとおりです。 <第4次中計及びVISION 2030の目標値(連結)> 2024年度実績第4次中計2027年度目標VISION 20302030年度目標売上高9,988億円10,500億円11,000億円以上事業利益459億円600億円-売上高事業利益率4.6%-6%以上ROIC(税引前事業利益を基に算出)7.6%9%以上10%以上ROE9.9%9%以上10%以上 (4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題各国のインフレーションや米国の関税政策の影響等、事業環境の不確実性が高まっています。環境変化を迅速に捉え、柔軟に対応すべく取り組んでまいります。また、アルミ地金価格の高騰により運転資金が増加しているため、財務体質の維持・強化と成長資金の確保の両立を目指す観点から、棚卸資産の削減や設備能力の適正化を進めます。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) グループ理念当社グループは、2020年に企業活動の根本的な考え方となる企業理念や目指す姿、大切にしたい価値観を見つめ直し、社員が物事を判断する際の拠りどころとなるグループ理念体系を再定義いたしました。 「企業理念」素材の力を引き出す技術で、持続可能で豊かな社会の実現に貢献する。 「目指す姿」アルミニウムを究めて環境負荷を減らし、軽やかな世界へ。 「価値観」相互の理解と尊重  誠実さと未来志向好奇心と挑戦心 グループ理念体系の社内浸透を図るため、経営幹部と従業員との理念対話会を継続して実施しております。理念対話会は、単にグループ理念を従業員に伝えるだけではなく、従業員の声を経営に活かし、また従業員のエンゲージメントの向上にも資することから、今後も積極的に実施してまいります。このグループ理念を世界中の従業員と共有することで、国境や世代を超えて永続的に社会・生活を支える企業グループになることを目指してまいります。 (2) 経営戦略等当社グループは、グループ理念における目指す姿の実現に向け、2030年における当社グループのありたい姿を描いた「UACJ VISION 2030」(以下、VISION 2030)を策定しています。VISION 2030を実現するための中期経営計画として、第3次中期経営計画(2021年度~2023年度)から具体的な取組みを開始しており、これに続く第4次中期経営計画(2024年度~2027年度)(以下、第4次中計)を策定し、2024年5月に公表しております。 <長期経営ビジョン UACJ VISION 2030>中長期では、世界的な人口増加や経済成長、さらには気候変動への対策の必要性の高まりから、地球環境に優しい循環型素材であるアルミニウムの需要は伸長する見込みです。このようなマクロ環境認識の下、企業理念に掲げた「持続可能で豊かな社会の実現」に向けて、2030年に当社グループが目指していく4つの貢献を定めた VISION 2030を策定いたしました。 UACJ VISION 20301.成長分野や成長市場での需要捕捉により、より広く社会の発展に貢献する2.素材+αでバリューチェーン及びサプライチェーンを通じた社会的・経済的な価値の向上に貢献する3.新規領域への展開により、社会課題の解決に貢献する4.製品のライフサイクル全体を通じて、環境負荷の軽減に貢献する 成長市場や成長分野においては、積極的に新たな需要を捕捉し、これまで培ってきた経営資源や強みを活かした製品の提供を通して、より広く社会の発展に貢献してまいります。また、素材製品の提供のみでなく、加工やリサイクルで新たな価値を付与するなど、バリューチェーン及びサプライチェーンを通した「素材+αの価値創出」に取り組んでまいります。さらに、2030年に向けて拡げていく新規領域としては、2030年の社会においてアルミニウムが活躍する領域として、「モビリティ」「ライフスタイル・ヘルスケア」「環境・エネルギー」の3つを選定し、これら領域における社会課題の解決を図ってまいります。また、既存領域及び新規領域のいずれにおいても、アルミニウムの特性を活かした製品とサービスの提供及びリサイクルの推進を通じて、社会全体での環境負荷の軽減に貢献します。これら4つの貢献を通じて、「持続可能で豊かな社会の実現」を目指してまいります。 <中期経営計画>当社グループは、2024年度から2027年度までを、VISION 2030へ繋がる成長・価値創出拡大と体質強化を実現する期間と位置づけ、素材提供企業から「素材+α」の付加価値提供企業への変革をコンセプトとした第4次中計を策定し、取組みを進めています。事業環境の先行きは不透明な状況が継続すると考えられますが、第4次中計で定めた次の3つの重点方針に基づき、変革に向けた挑戦を続けてまいります。 第4次中期経営計画(2024年度~2027年度)~稼ぐ、繋ぐ、軽やかに~重点方針1.価値創出拡大による収益の最大化と収益率の向上2.筋肉質でしなやかな体質の強化3.価値創出と安定した事業運営を支える基盤の強化 ① 価値創出拡大による収益の最大化と収益率の向上当社グループでは、第4次中計における「素材+α」の戦略として「リサイクル推進」「素材+加工ビジネスの拡大」「先端分野のサプライチェーン安定化への貢献」「新領域の拡大」の4つを定めました。多彩な事業を保有するグループの強みを活かし、社会やお客様へより広く、より高い価値を提供することで、収益の最大化と収益率の向上を目指してまいります。「リサイクル推進」については、アルミニウムの循環型社会の構築を牽引し、川上への事業領域拡大によって、ビジネスモデルの変革を図るとともに、環境価値素材としてのアルミニウムの活躍領域拡大を目指しています。2024年度においては、日本では使用済み飲料缶の溶解リサイクルシステムの構築を目的とした設備投資、米国では缶材増産とスクラップ使用量拡大のための設備投資を進めており、タイではスクラップ処理能力増強のための設備が稼働開始いたしました。さらに、リサイクル性に優れた次世代アルミ飲料缶蓋「EcoEnd™」を他社に先駆けてお客様と共同開発し、その量産に向けて生産体制を構築いたしました。今後も、リサイクル推進による付加価値創出に向けた取組みを進めてまいります。「素材+加工ビジネス」の拡大については、自動車等の軽量化や熱マネジメントによるGHG排出量削減等の環境価値付与をターゲットに、ビジネスの拡大を目指しています。2024年度においては、グループ間シナジー発揮による付加価値の創出を促進すべく、押出製品の素材から加工までの事業領域を一体運営することで、各領域の技術・ノウハウを掛け合わせた最適な提案をお客様へ行い、製品・サービスを通じてより高い価値提供を行うべく取り組んでいます。 「先端分野のサプライチェーン安定化への貢献」については、地政学的リスクを踏まえた経済安全保障強化の機運の高まりに対して、航空宇宙・防衛、電池、半導体製造装置の領域にて、外部と連携した高付加価値製品の安定供給、サービスの提供により、サプライチェーンの安定化への貢献を図ります。2024年度においては、この目標を実現するために鋳鍛事業本部を航空宇宙・防衛材事業本部へ改組し、同分野の需要を顧客・マーケット軸で捕捉するための体制を構築いたしました。また自動車電動化による電池領域の需要拡大を捕捉するため電池箔増産に向けた設備投資を進めており、高品質なアルミニウムを安定供給することで、サプライチェーン安定化に貢献することを目指します。「新領域の拡大」については、アルミニウムが持つ特徴と当社の強みを活かし、新領域ビジネスの創出・拡大を進めています。2024年度においては、「origami™」「水の架け橋」「水用心™」に続く社内ベンチャー制度発の「ワークショップの素™」(アルミホイルを用いてコミュニケーション活性化を図るワークショップ・ツール)をデザイン・コンサルティング会社と共同で開発し、上市いたしました。 ② 筋肉質でしなやかな体質の強化当社グループでは、資本効率向上を目指すとともに、短期及び長期的な環境変化に対応できる筋肉質な体質の強化を目指し、「環境変化への対応力強化」「資産効率化」「自動化・無人化(安全性・生産性向上)」に取り組んでまいります。2024年度においては、需要変動等の外部環境の変化に柔軟に対応する仕組み及び生産体制構築、棚卸資産削減を中心としたCCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)の短縮及び設備能力の最適化等による資産効率の向上と資金の捻出、設備やシステムの刷新によって製造現場の自動化や無人化に取り組み、より安全な職場環境の確保や生産性向上を進めてまいりました。 ③ 価値創出と安定した事業運営を支える基盤の強化当社グループでは、人材・技術・ブランド等の獲得・強化と社内外連携の強化によって「素材+α」を創出し、安定した事業運営の基盤の強化を図るべく、「多様な人材の獲得・育成とエンゲージメント向上」「技術・ブランド等の無形資産の獲得・強化・活用」、「デジタルを活用した競争力・組織力の強化」、「事業間連携やサプライチェーン・バリューチェーンとの連携・協業の更なる推進による提案力の強化」に取り組んでまいります。「多様な人材の獲得・育成とエンゲージメント向上」については、成長を牽引する人材ポートフォリオの構築を推進し、一人ひとりの成長と多様な人材の掛け合わせによる戦略実行力を高めるとともに、個人及び組織の成長を後押しする人材マネジメントシステムの構築もあわせて進めてまいります。2024年度においては「健康経営優良法人(ホワイト500)」に2年連続で選定され、さらに「健康経営銘柄2024」では非鉄金属セクターで唯一選出されるなど、取組みが外部からも評価されました。「技術、ブランド等の無形資産の獲得・強化・活用」については、グループの強みとなる技術力を獲得・強化するとともに、アルミニウムの特性や当社が引き出す価値を訴求したブランディングによる無形資産の強化・活用で、アルミニウムの活躍領域の拡大と付加価値創出力を強化してまいります。2024年度においては、グループの各製品ブランドをファミリー・ブランドとして「ALmitas+(アルミタス)」に統合し、様々なお客様に採用いただきました。ブランド活用を通じ社会課題の解決に貢献する素材であるアルミニウムの可能性と魅力を伝え、新たな用途への採用を通じて当社グループのビジネスを拡大させるべく取り組んでまいります。また、当社が参画している国家プロジェクトであるアルミニウム素材高度資源循環システム構築事業ではアップグレードリサイクルの技術開発に取り組んでおり、事業の中核となる実証実験設備(縦型高速双ロール鋳造実験機)をR&Dセンター内に設置いたしました。今後も社会課題の解決に繋がる技術の開発に取り組んでまいります。「デジタルを活用した競争力・組織力の強化」については、あらゆる領域にデジタルを活用し、業務プロセスの効率化、高度化、最適化、見える化を図るとともに、長期的な視点での製造現場の自動化を推進し、生産性向上のみならず安心安全な職場環境づくりの実現に向けて取り組んでいます。2024年度においては、営業業務の効率化・高度化をかなえるシステムの統合、刷新や経営データの見える化への取組みを進めました。「事業間・部門間連携やサプライチェーン・バリューチェーンとの連携・協業の更なる推進による提案力の強化」については、リサイクル推進、付加価値ビジネスの拡大及び新領域の拡大に向けて、グループが保有するあらゆる資本を有機的かつ最大限に活用するため、事業間・部門間連携の更なる推進によるグループ総合力の強化を図るとともに、サプライチェーン・バリューチェーンにおける最適パートナーとの更なる連携・協業を推進しており、グループの持続的な成長及び価値創出を目指してまいります。 (3) 経営上の目標の達成状況を判断する客観的な指標等当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、株式価値向上の観点からROEを重視しております。株主資本コストを上回るROEを達成することにより、エクイティスプレッドを創出・拡大し株式価値の向上を目指してまいります。また、持続的な事業の成長と収益性を測るため、連結での売上高、売上高事業利益率、ROIC(投下資本利益率)も指標としています。目標値については下表のとおりです。 <第4次中計及びVISION 2030の目標値(連結)> 2024年度実績第4次中計2027年度目標VISION 20302030年度目標売上高9,988億円10,500億円11,000億円以上事業利益459億円600億円-売上高事業利益率4.6%-6%以上ROIC(税引前事業利益を基に算出)7.6%9%以上10%以上ROE9.9%9%以上10%以上 (4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題各国のインフレーションや米国の関税政策の影響等、事業環境の不確実性が高まっています。環境変化を迅速に捉え、柔軟に対応すべく取り組んでまいります。また、アルミ地金価格の高騰により運転資金が増加しているため、財務体質の維持・強化と成長資金の確保の両立を目指す観点から、棚卸資産の削減や設備能力の適正化を進めます。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1) 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容①当期の経営成績 2024年3月期(百万円)2025年3月期(百万円)増減額(百万円)増減率(%)売上収益892,781998,781106,00011.9事業利益43,42045,8822,4625.7営業利益31,37857,36125,98282.8親会社の所有者に帰属する当期利益13,85827,97914,122101.9(注)事業利益は営業利益から棚卸資産影響、一時的・特殊な重要性のある損益を控除して算出しております。 当連結会計年度の世界経済は、持続的な回復基調が見られるものの、欧州や中東の地政学リスクや大国間の国際的な緊張、米国の相互関税政策による影響等、不確実性が高まっている状況であります。国内経済においては、個人消費の増加、インバウンド需要に支えられ、景気は回復基調となっているものの、依然としてインフレ圧力が高い状況であります。このように当社を取り巻く経営環境は依然として先行き不透明な状況にあります。アルミニウム製品業界について板類の国内需要は、自動車関連の需要が前期比で減少した一方、半導体製造装置関連材の需要回復等に支えられ、全体ではほぼ前期並の水準となりました。当社グループの国内向け販売数量については、板類では缶材、半導体製造装置関連材に支えられ、全体として前期比で増加となりました。当社グループの海外向け販売数量については、北米缶材需要の回復を背景にTri-Arrows Aluminum Inc.やUACJ (Thailand) Co., Ltd.の缶材販売量が前期比で増加となりました。これらの結果により、当社グループの板製品の販売数量は前期比で増加となりました。 (財政状態の分析)アルミ地金価格の上昇等による棚卸資産の増加等により、当連結会計年度末の資産については970,006百万円(前期末比6.1%増)となりました。負債については650,418百万円(同6.2%増)となりました。資本については、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上等により、319,588百万円(同5.8%増)となりました。 (経営成績の分析)販売数量の増加やアルミ地金価格の上昇等の影響により、連結売上収益は、998,781百万円(前期比11.9%増)となりました。損益についても、販売数量の増加等により事業利益45,882百万円(同5.7%増)、アルミ地金価格の上昇による棚卸資産影響の好転や販売数量の増加等により、連結営業利益57,361百万円(同82.8%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益27,979百万円(同101.9%増)となりました。なお、当社グループは「アルミ製品事業」の単一セグメントであるため、報告セグメント別の記載を省略しております。また、当連結会計年度より、「アルミニウム製品事業」としていた報告セグメント名称を「アルミ製品事業」に変更しております。この変更はセグメント名称の変更であり、セグメント情報に与える影響はありません。 (2) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末より13,870百万円減少し、26,329百万円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりです。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、棚卸資産の増加等により、前期比85,799百万円減少し、9,119百万円の収入(前期は94,918百万円の収入)となりました。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、一般投資を中心とした有形固定資産の取得による支出が増加し、36,873百万円の支出(前期は36,196百万円の支出)となりました。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の増加等により、12,485百万円の収入(前期は43,994百万円の支出)となりました。 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料の仕入等の製造費用や販売費及び一般管理費等であります。また、投資を目的とした資金需要は、主として設備投資によるものであります。これらの資金需要に対して、自己資金及び金融機関からの借入金等により手当てしております。資金調達の実施にあたっては、金融機関からの借入の他、コマーシャル・ペーパー、売上債権の流動化等の多様な手段の中から、市場環境や当社の貸借対照表の状況等を考慮した上で、当社に最適な手段を選択しております。手元流動性の確保の手段としては、金融機関とコミットメントラインの契約を締結するとともに、金融情勢を勘案して保有現預金を決定することにより、短期的なリスクへの対応をしております。また、日本ではキャッシュ・マネジメント・システムを導入し、北米地域では、UACJ North America, Inc.を地域統括としたグループファイナンスの実施等で資金効率の向上に努めております。なお、当連結会計年度における資金調達の状況としては、第4次中期経営計画及び長期経営ビジョン「UACJ VISION 2030」の目標実現、さらにはその先の持続的な成長に向けた長期性資金を確保するとともに、財務基盤の維持・強化を図るため、2025年3月に330億円の新規劣後特約付ローンによる資金調達をいたしました。資金使途は、事業資金及び既存有利子負債の返済に充当しております。また、2025年度中に福井製造所内で稼働開始予定のUBC処理設備投資を使途に株式会社日本格付研究所からグリーンファイナンス・フレームワーク「Green 1(F)」を2024年11月に取得し、2025年1月にグリーンローンで40億円の資金調達及び2025年3月に60億円のコミットメント型タームローン枠を設定しております。 (3) 生産、受注及び販売の実績当社グループの生産実績及び受注実績は、グループ内の会社間で前工程生産と後工程生産を行っている場合があり、各社の取引額の単純合計がそのまま連結生産実績とはならないこと、また受注生産形態をとらない製品もあることから、事業ごとに生産規模及び受注規模を金額又は数量で示すことはしておりません。なお、販売実績については、「(1) 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容」において記載しております。なお、当連結会計年度において、いずれの相手先についても総販売実績に対する割合が100分の10未満のため、相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合の記載を省略しております。 (4) 重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりであります。

事業リスク

UACJグループの主要なリスクは、まず気候変動による温室効果ガス排出削減への対応不足が、素材間競争での劣後や事業機会の喪失に繋がる可能性があります。次に、顧客や仕入先、生産拠点のある国の政治・経済状況の変化や急な規制導入、紛争などが、販売・物流・調達コストの上昇や操業継続の困難を引き起こす可能性があります。また、感染症の蔓延や自然災害は、サプライチェーンへの影響、生産・販売活動の遅延・中断、従業員の安全に影響を及ぼす可能性があります。さらに、デジタル技術の急速な変化や需要構造の変化、アルミニウム新地金価格や原材料価格の変動も、事業に影響を与える可能性があります。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|7,180 文字
3【事業等のリスク】(1) グループリスクマネジメント体制当社グループは、企業理念の実現を不確実にする全ての事象を「リスク」と認識して、「UACJグループリスクマネジメント基本方針」に従い、グループ全体でリスク管理に取り組んでいます。グループ全体のリスク管理としては、社長執行役員、副社長執行役員、経営戦略本部長及びリスクオーナーで構成されたリスクマネジメント推進会議(年5回)を開催することで経営幹部による議論を深める体制を運用しています。その上で、事業環境の変化に、より迅速に対応するために、経営会議(月2回開催)において、リスクマネジメント推進会議での議論内容について適宜報告・審議しています。この体制の下、次のような活動を実施しています。 ① グループ全体のリスクを洗い出し、重要度が高いリスクを選定し、執行役員クラスの「リスクオーナー」を配置したリスク対応体制を決定・幹部によるリスクアセスメント(第2四半期)・リスクマネジメント推進会議他での議論(第2~3四半期)・経営会議で決定(第3四半期)② グループ重要リスクの活動計画の決定・リスクマネジメント推進会議での議論(第4四半期)・経営会議に報告の上決定(第4四半期)③ グループ各社でのリスク管理(通年)④ グループリスクマネジメント活動の進捗モニタリング(PDCAの確認)・リスクマネジメント推進会議で進捗確認(第1~4四半期)・経営会議で報告(第4四半期) このようなグループリスクマネジメント活動について、当社グループではリスクマネジメント担当責任者とリスクマネジメント事務局を設置しています。各事業及び主要なグループ各社には、それぞれリスクマネジメントを推進する担当者を設置し、リスクマネジメントの実践強化に取り組んでいます。リスクマネジメント事務局は、各事業・グループ各社との連携を図りながら、グループ全体のリスク管理を推進・支援しています。このようなグループのリスクマネジメント活動については、定期的に取締役会に報告しています。 (注)PDCA:Plan(計画)Do(実行)Check(評価)Action(改善)の略 (2) 主要なリスク本有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、発生の可能性・影響度等から、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると当社が考える主要なリスクには、以下のようなものがあります。 [凡例]「①外部に主要因のあるリスク」「②内部に主要因のあるリスク」では、次の項目を表形式で記載しています。イ 「リスクの内容とその影響」:各リスクの具体的な内容と当該リスクが顕在化した場合に当社グループの事業に影響を及ぼすと想定される主な事項「○」:「影響」のうち、当社グループの事業に対する機会となり得るもの「●」:「影響」のうち、当社グループの事業に対する脅威となり得るものロ 「対応」:当該リスクに対する主な対応策リスクに*のついている項目:UACJマテリアリティとして選択した項目 ① 外部に主要因のあるリスクリスクリスクの内容とその影響・対応気候変動等地球環境の変化*[リスクの内容とその影響]● 地球温暖化による気候変動への影響が大きいといわれている温室効果ガス(GHG)排出削減への取組みの不十分さによる素材間競争での劣後や事業機会の喪失 ○軽量性、高い熱伝導性、永久にリサイクルが可能であること等、アルミニウムの特性を活かした製品とサービスの提供による社会課題解決への貢献機会拡大や事業機会の拡大[対応]・気候変動対策推進委員会を環境委員会に統合して経営層の確認・審議の継続・「アルミニウムの循環型社会」の牽引(サーキュラーエコノミー)、気候変動への対応、自然の保全と再生・創出(ネイチャーポジティブ)の3つをマテリアリティとして特定し、アクションプランとKPIを設定して活動継続・気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)賛同や、ASI(Aluminium Stewardship Initiative)の認証取得、CDP(Carbon Disclosure Project)、GXリーグなど、気候変動対応に関わる第三者によるイニシアティブへの積極的な参画・カーボンニュートラル挑戦宣言の公表、ICP(Internal Carbon Pricing)、環境保証(マスバランス方式)の運用・提供開始、CBAM(炭素国境調整メカニズム)対応開始政治環境・経済動向の変化(地政学的リスク)[リスクの内容とその影響]● 顧客や仕入先及び当社生産拠点のある国の政治状況・経済状況・急な規制等の導入や治安の悪化による販売・物流・調達コストの上昇、調達困難及び操業継続困難● 当社事業の所在国での紛争などによる従業員の安全への影響[対応]・特定の国・地域に集中しない原材料等の分散調達・必要かつ適切な在庫の確保、製造代替拠点の複数化検討・損益分岐点の引き下げ等外部環境変化への対応力向上策の実施継続・コスト上昇や相場変動を販売価格に適切に転嫁できる値決め体系の整備・国内外の政治経済動向のモニタリングの強化感染症の蔓延[リスクの内容とその影響]● 感染症の蔓延によるサプライチェーン(購買・調達)への影響● 感染症の蔓延による顧客操業状況変化に伴う生産・販売への影響● 感染症の蔓延による操業の遅延・中断・停止● 感染症の強毒化による従業員の生命への影響[対応]・感染症BCP(Business Continuity Plan)の強化・必要かつ適切な在庫の確保・顧客情報の早期収集及び柔軟な生産計画自然災害[リスクの内容とその影響]● 世界各地の事業拠点での地震、津波、台風、洪水などの自然災害による従業員及びその家族の安全、生産設備の安全、社会インフラ、顧客やサプライチェーンにダメージが生じた場合の当社の生産や販売活動への影響[対応]・事業ごと・拠点ごとのBCP策定推進とグループレベルでのBCM(Business Continuity Management)の継続的なレベルアップ・南海トラフ地震臨時情報発表時の対応検討開始・実効性のあるBCM確立に向けた定期的な訓練の実施・有事の通信手段冗長化社会的基盤となる技術や需要構造の変化[リスクの内容とその影響]●○デジタル技術等、社会基盤となる技術の急速な変化や進展、地球環境保護に対する企業貢献への期待増等の社会情勢の変化●○革新的な技術によって競争激化し、代替素材との置き換えによる需要構造の変化[対応]・デジタル活用基盤の整備及び生成AIの活用は、今後の当社事業発展の根幹を担うばかりでなく、社会課題解決への貢献を支える重要な基盤と認識し、DX推進プロジェクトでの、製造・販売・経営管理の基幹業務でデジタルを使った見える化、自動化を継続的に推進。デジタル活用人材の育成にも注力・現場からの発案を起点とする社内ベンチャー支援案件にアルミホイルを活用した研修サービス“ワークショップの素”を追加・需要構造の変化も捉えた新たな事業を創出するため、全社重点活動分野に沿って、組織横断での活動を強化・各需要分野における他素材との競合度合、比較優位性、社会的要請の変化、これらに対する当社の技術開発の進捗状況を継続的に調査・評価・新ブランド「Almitas+(アルミタス)」を活用したアルミニウム製品の新分野、新領域への拡販やPR活動、また、環境配慮を意識した製品群「ALmitas+SMART」の拡販・市場動向の「収集」「分析」「モニタリング」を継続市況の激変[リスクの内容とその影響]●○アルミ新地金価格の変動:相場変動を販売価格に反映する値決め方式の定着により、大半の当社グループの事業では、中長期的にアルミ新地金価格の変動が収益に影響しない構造になっているが、相場変動と販売価格への反映時期の差異や短期間での急激な変動等が発生した場合、棚卸資産の評価の変動により、会計上の期間損益に影響を生じる可能性がある。●○スクラップ、UBC(Used Beverage Cans:使用済み飲料缶等)価格の変動:今後のリサイクル需要の増減によるスクラップ、UBCの価格変動や調達への影響● 合金用添加金属等の原材料、物流費、エネルギー価格等の変動:短期間での大幅な変動、サプライチェーンの慢性的かつ構造的な問題に起因する変動に見舞われ、当社単独では吸収しきれない大きな影響を生じる可能性がある。●○為替・金利の変動:特に金利の急激な上昇は、国内外の当社事業全般に影響を与える可能性がある。[対応]・販売予測の精度向上による在庫量の適切なコントロール・スクラップ、UBC、合金用添加金属等の原材料の需給変動・価格変動に柔軟に対応し、物流費・エネルギー価格についても、速やかに価格変動を反映する値決め体系の導入。・金利上昇を睨んだ資金調達の多様化・柔軟性の確保、運転資本削減の取組み・市況動向の「収集」「分析」「モニタリング」を継続 ② 内部に主要因のあるリスクリスクリスクの内容とその影響・対応安全衛生*[リスクの内容とその影響]● 業務上の事故や疾病に伴う人的・物的被害の発生による従業員等の安全衛生確保への影響● 被災による当社グループの生産活動への支障の発生[対策]・安全衛生委員会による経営層の確認・審議の継続・安全衛生方針の策定と課題への取組みの継続・安全衛生に関する社内規程の整備、教育の実施の継続・「安全とコンプライアンス」はUACJウェイの基盤となる当たり前の行動原則であることを確認し、安全と健康を最優先とした事業活動の継続・火災・爆発リスクのアセスメント等、職場の危険有害要因排除のための経営資源の配分と対策活動の取組み継続・デジタル技術を活用した安全対策の推進環境への配慮[リスクの内容とその影響]● 環境事故(排水環境負荷物質の流出や大気環境負荷物質の排出等)の発生の脅威[対応]・環境委員会による経営層の確認・審議の継続・環境方針の策定と課題への取組みの継続・環境に関する社内規程の整備、教育の実施の継続製品の品質*[リスクの内容とその影響]● 品質保証に関わる不正や不適切な処理、品質規格未達製品の発生・流出による顧客その他のステークホルダーからの信用失墜● 品質仕様を満たさない製品の発生・流出による顧客や市場での不具合、供給責任の未達成 ○品質管理の徹底による顧客や市場の信頼・支持の更なる獲得[対応]・品質委員会による経営層の確認・審議の継続・品質管理方針の策定と課題への取組みの継続・品質に関する社内規程の整備、教育の実施の継続・品質確認試験の自動化拡大・グループ内品質相互監査の継続・外部専門家による試験・検査データの信頼性に特化したカスタマイズ監査の結果を基にして、「品質保証ガイドライン(UACJ版)」の運用人材*[リスクの内容とその影響]● 少子高齢化による人材確保競争の激化●○海外での事業拡大に伴う必要スキルの変化(高度化)●○適材適所の人材活用● 離職による人材定着への影響[対応]・人材委員会による経営層の確認・審議の継続・全社重点方針として活動継続・経営人材育成検討会議による組織的・計画的な後継者計画と人材育成計画の協議を継続・「ものづくり学園」等、現場作業技能伝承を図る教育システムの充実・社内公募制度による社内人材の有効活用及び採用施策(採用地域拡大、採用媒体拡充、リテンション対策、女性が活躍できる環境整備など)の取組み継続人権への配慮*[リスクの内容とその影響]●○事業拠点所在国の社会的・文化的事情も考慮した人権への配慮の成否● サプライチェーンも含んだ人権対応が不十分である場合、ステークホルダーからの信用失墜、社会的制裁や訴訟問題の発生[対応]・コンプライアンス委員会による経営層の確認・審議の継続・人権の尊重をマテリアリティとして特定し、アクションプランとKPIを設定して活動継続・「UACJグループ人権基本方針」にある人権デュー・ディリジェンスを実施(小山地区(押出・鋳鍛)、UACJ Extrusion Czech s.r.o.、UACJ Marketing & Processing、深谷製造所)・「サステナブル調達ガイドライン」の運用多様性と機会均等*[リスクの内容とその影響]● 多様性と機会均等への対応が不十分である場合、ステークホルダーからの信用失墜、社会的制裁●○多様性と多様性の組織への包摂への十分な対応:・不十分な場合には、VUCA(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)の時代に迅速かつ十分に対応が行えず企業の競争力を失うことや多様な従業員を惹きつけることができず、従業員の維持・採用が困難になる。・十分対応できている場合では、事業活動の活性化や将来に向けたイノベーションや事業の強靭化(レジリエンス)へ寄与する。[対応]・人材委員会による経営層の確認・審議の継続(人材の項目で記載の委員会と同様)・多様性と機会均等の浸透(DE&I)をマテリアリティとして特定し、アクションプランとKPIを設定して活動継続・エンゲージメントサーベイ及び職場改革の活動継続・ダイバーシティ(DE&I)推進宣言の従業員への浸透・企業理念の浸透と従業員の声を聞く理念対話会グローバルに実施・働き方改革の各種取組みの活動継続・中途・新卒採用及び管理職における女性比率の目標設定・新規学卒採用における外国籍人材割合の目標設定・特例子会社を活用した障害者採用の促進・定年退職者再雇用制度による高齢者の活用・海外ローカル従業員の日本研修の拡充・キャリア採用の継続実施とアルムナイ(Alumni)採用の試行的運用・従業員のキャリア開発を支援するキャリア面談や各種研修の継続・ワークライフバランス実現のための施策法令遵守(コンプライアンス)[リスクの内容とその影響]● 法令違反に対する刑事罰・行政処分・損害賠償責任の発生、信用の失墜による事業機会の滅失● 新たな法規制・制度への対応コスト● 各種ハラスメントによる信用への影響[対応]・コンプライアンス委員会による経営層の確認・審議の継続・UACJ分科会、グループ会社分科会(コンプライアンス委員会で審議・方向付け・報告された事項をグループ内に展開・推進並びにグループ内の問題を情報共有する場)の運用継続・「安全とコンプライアンス」が当社経営の最優先事項であることの啓蒙・浸透・各種法令教育の拡充(UACJグループ行動規範の教育継続、ハラスメント教育の実施、人事階層別教育継続実施など)・社内通報窓口、ルートの拡充・内部業務監査での遵法性確認の継続実施グループガバナンス[リスクの内容とその影響]●○国内外のグループ各拠点へのグループとしての重要施策浸透やグループ各拠点を統合した運営の巧拙によるグループとしての総合力の発揮への影響[対応]・当社グループ企業理念の浸透・グループ内部統制強化の継続推進・社長執行役員他経営幹部とグループ従業員との対話会の継続実施・内部統制監査・業務監査の継続実施・UACJの規程類整理の継続情報管理[リスクの内容とその影響]● 顧客から提供された情報、個人情報、営業上の秘密、技術情報等の漏えいが発生した場合の損害賠償責任、信用失墜とこれらに起因する取引機会の喪失● サイバー攻撃等による当社情報システムの停止による操業の中断、復旧その他の対応コストの発生● 経済安全保障関連法令による情報管理強化への要請の高まり[対応]・「グループ情報セキュリティ基本方針」、「グループ情報管理規程」、「グループ電子情報セキュリティ規程」、「グループ技術情報管理規程」による管理の継続徹底・経済産業省と独立行政法人情報処理推進機構制定の「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」に基づいたアセスメントや各種セキュリティレベルの向上策の実施継続・外部監視システム及び社内検知システム導入の拡大、サイバー保険の加入・セキュリティ教育実施資金調達[リスクの内容とその影響]● 事業環境、金融環境の変化による資金調達の制約、資金調達コストの上昇[対応]・銀行借入におけるコミットメントラインによる流動性枠の設定、長期性資金の調達による安定性の確保、アセットファイナンス等の資金調達手段の多様化推進・事業収益性、資本効率性の向上等でキャッシュフローの創出力を強化 ③ 会計上の評価・見積りに関するリスクリスクリスクの内容非金融資産の減損当社グループの連結財政状態計算書に計上されている有形固定資産、のれん及び無形資産等の非金融資産の減損について、今後、収益性の低下及び公正価値の変動等により回収可能価額が帳簿価額を下回る場合には減損損失が発生する可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの業績及び財務状況等への影響が大きいリスクを取り上げていますが、全てのリスクを網羅している訳ではありません。また、各リスク以外にも、現時点では予測できないリスクの発生により、当社グループの業績及び財務状況等が影響を受ける可能性があります。当社グループでは、上述の(1) グループリスクマネジメント体制や各リスクに関する記載の中の対応等を講じておりますが、それらの対策が当社の意図するとおりに実現できない可能性もあります。なお、文中における将来に関する事項は、別段の記載がある場合を除き、当連結会計年度末現在において判断したものです。

このページのバフェット流コメンタリーは順次自動生成中です。生成されると、ここに「数値の読み解き方」「同業比較」「投資判断のポイント」を表示します。

もっと深く分析したい?

モート先生 AI が UACJ の事業を 4 賢人の理論で詳しく解説します

モート先生に聞く →