有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|6,827 文字
3【事業等のリスク】当社グループは、事業活動に関わる様々なリスクを未然に認知・評価し、リスクに応じた適切な対応を講じることで、経営の安定を図っています。経営を取り巻く環境が大きく変化する中で事業構造改革を推進するためには、リスクの予防強化に向けてリスクマネジメントをより全社的、統合的に高めていく必要があり、2025年度からの本格運用に向け統合的なリスクマネジメントの強化を図っています。当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの財政状態・経営成績及び投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。当社の業績に特に大きな影響を与える商品分野につきましては、セグメント別に記載しています。文中の将来に関する部分は、当社が有価証券報告書提出日現在において判断したものです。 (1)国際情勢や経済環境等の変化によるリスク当社グループは日本及び世界各地にビジネスを展開しており、各々の地域の政治動向、景気動向及び経済情勢による影響を受ける可能性があります。特に、ウクライナや中東情勢の緊迫化、米国新政権の関税政策をはじめ、海外諸国の政治的要因又は経済的要因に起因する世界景気の減速及び日本国内における人口構成の変化等がもたらすエネルギー資源及び製品需要の変動や価格の乱高下は、当社の業績へ影響を与える可能性があります。 (2)事業を取り巻く外部環境の変化によるリスク商品市況リスク(燃料油セグメント)当社グループは、石油製品の生産に必要な原油の殆どを輸入していますが、原油価格は過去においても大きく変動しており、2022年から続くウクライナ情勢のほか、米国を始めとした世界各国の金融政策の動向、アジアにおける原油需要の変動、中東やアフリカの産油国の政情不安、米国を始め石油消費国における環境規制・税制の動向、投機的な石油取引等により、今後も大きく変動することが懸念されます。当社グループは、石油製品価格を国内の市場価格に連動させることによりマージンを確保することに努めていますが、原油価格の変動が大きい場合や国内石油市場の激しい競争等により国内の市場価格が低迷した場合、財政状態及び経営成績は重大な影響を受ける可能性があります。また、当社グループは、棚卸資産を総平均法により評価しています。一般的に総平均法は、原油価格が上昇する局面では、期初の相対的に安価な棚卸資産による売上原価押し下げ影響により損益の改善要因となります。一方、原油価格が下落する局面では、期初の相対的に高価な棚卸資産による売上原価の押し上げ影響により損益の悪化要因となります。なお、1バレル当たりのドバイ原油価格が1米ドル変動すると、当社の営業利益は年間100億円増減する可能性があります。 (基礎化学品セグメント)①原料コストの変動について当社グループは、基礎化学品の原料であるナフサを自社製油所で生産するとともに市場から調達しています。ナフサ価格は、原油価格や、ガソリンの需要・価格動向、政治経済情勢あるいはその他の要因、また中国等において進められている石油化学設備の新設による需要増加の影響を受けることがあります。市場における激しい競争等の要因により、ナフサ価格の変動を製品価格に適切に転嫁できない場合、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。②製品市況の変動について日本を含むアジアの基礎化学品市場は激しい競争状況にあり、需要の変動や供給の増加の影響を受けます。アジアでは経済成長に伴う需要の増加が見込まれますが、近年中国を中心とした基礎化学品を製造する大型の新設プラントが急増しており、アジア市場における供給過多や、新興国の経済成長鈍化に伴う需要低迷の可能性があります。このような市場における競争の激化や需要の低迷や、政治経済情勢あるいはその他の要因により、当社グループの財政状態及び営業利益は影響を受ける可能性があります。 (高機能材セグメント)当社グループは、潤滑油の原料であるベースオイル・添加剤を自社事業所で生産するとともに国内外の市場から調達しています。ベースオイル・添加剤の価格は原油価格のほか、潤滑油需給バランス等の影響を受けることがあります。また、市場における激しい競争等により、原料価格の変動を製品価格に適切に転嫁できない場合、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。 (電力・再生可能エネルギーセグメント)当社グループでは、卸電力取引市場を通じた電力取引を行っています。この取引価格は、燃料価格や国内の電力需要及び発電所稼働状況の影響を受け変動する可能性があります。また、燃料価格については、当社グループが保有する発電所の発電コストや、当社の電力小売価格における燃料費調整単価に影響を与える可能性があります。これらの影響により、当社の電力取引価格や発電コスト、燃料費調整単価が大きく変動した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 (資源セグメント)石油・天然ガス開発事業においては、原油・天然ガスを生産し販売していますが、政治経済情勢あるいはその他の要因により将来的に原油・天然ガス価格が下落した場合、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。石炭事業においては、オーストラリアの自社鉱山で石炭を生産し、主に日本向けに販売していますが、政治経済情勢あるいはその他の要因により石炭価格が下落した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 調達リスク当社グループは、原油輸入の大宗を中東地域に依存していますが、原油の安定調達を目的として主要な中東産油国と長期の原油輸入契約を締結し、同地域内におけるリスクの分散を図っています。しかしながら、これらの地域における政情不安、原油の生産調整、石油関連施設の事故並びにシーレーンにおける海上輸送リスクの上昇等により、長期にわたって原油の輸入に制約が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績は重大な影響を受ける可能性があります。 カントリーリスク(基礎化学品・高機能材セグメント)当社グループは、主にアジア市場を中心とした基礎化学品の販売及び、潤滑油分野においてはグローバルで事業展開をしていますが、経済の低迷や政治リスク等の要因により市場成長が鈍化する可能性があります。このような経済環境の変動により、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。 (資源セグメント)当社グループは、ベトナムをはじめとする東南アジア及びノルウェーを中心に、石油・天然ガスの探鉱・開発・生産(油ガス田開発)プロジェクトを推進しており、これらの地域における政治経済情勢、税制、規制方針やそのほかの不確定要因の影響を受けることがあります。また、当社グループは、オーストラリアの自社鉱山で石炭を生産し、主に日本向けに販売しています。石炭鉱山事業につきましても、政治経済情勢、税制、規制方針やその他の不確定要因の影響を受けることがあります。 為替リスク当社グループは、多額の外貨建取引を行い、また外貨建の資産及び負債を有しています。このため、為替相場の変動は外貨建取引の収益や財務諸表の円貨換算額に影響を与えます。また、原油輸入を米ドル建てで行っているため、原油の調達コストは円の米ドルに対する為替相場の影響を受けるほか、燃料油セグメントにおける在庫評価も影響を受けます。なお、1米ドル当たり1円変動すると、当社の営業利益は年間50億円増減する可能性があります。 (3)気候変動に関するリスク上記の「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)気候変動対応」に記載のとおりです。 (4)環境規制に関するリスク当社グループは、事業展開する日本やその他の国における広範な環境保全やその他の法的規制の下にあります。例えば、当社グループは、製油所や工場からの汚染物質の排出、廃棄物の処理等について規制を受け、基準を超える環境汚染発生に伴う罰則を受ける可能性もあります。また、日本や他の国の当局が新たな規制を行うこと、あるいは現在や将来の環境規制を遵守することにより多額の支出を伴う可能性があります。 (5)事業投資に関するリスク当社グループは、事業資産の規模が大きく、既存の製油所・工場や販売設備等の維持更新、油田の権益取得や探鉱開発等の国内外の事業活動に多額の投資を必要とします。今後も石油、石油化学、資源事業等、既存事業の競争力維持には投資を継続する予定です。一方で、カーボンニュートラル実現に向けて、製油所・工場の機能を低炭素で循環型の事業にシフトするための投資や、潤滑油、機能化学品、電子材料、固体電解質等の高付加価値製品の開発投資、更には水素・アンモニア・SAF・合成燃料といった新たなエネルギーの事業開発投資等、化石燃料以外の新しい事業拡大へ向けた戦略投資を行っていく計画です。このような成長分野への投資においては、必要なキャッシュ・フローを生み出すまでに一定の時間を要するため、期待された収益機会を失う可能性があります。更に国内外における経済情勢や政治動向、市場拡大の遅れ、新素材を含む他社との開発競争等によりこれらの投資が計画どおりの収益をあげられない場合は固定資産の減損損失を計上する可能性もあります。なお、投資の意思決定プロセスにおいて、投資金額をはじめとする様々なリスクの多寡に応じた投資審議を設計することで、投資リスク低減と意思決定の迅速化の両立に努めています。また、当社グループは、アジア市場における石油及び石油化学事業の海外展開の一環として、クウェート国際石油、ペトロベトナム及び三井化学㈱(以下当社を含め、「スポンサー」という。)と共同でニソンリファイナリー・ペトロケミカルリミテッド(以下「NSRP」という。)を設立し、ベトナム社会主義共和国タインホア省ニソン経済区に20万バレル/日の石油精製設備とパラキシレンをはじめとする石油化学品製造設備を有するニソン製油所・石油化学コンプレックスを操業しています。プロジェクトの総事業費は約90億米ドルであり、このうち50億米ドルは国際協力銀行をはじめとする銀行団によるプロジェクト・ファイナンスにより調達し、約40億米ドルはスポンサーによる出資及び貸付で調達しています。プロジェクト・ファイナンスによる調達額について銀行団に対し行っている債務保証及びスポンサーによる出資・貸付のうち、NSRPへの当社グループ出資比率相当の35.1%については、ベトナムにおける政治経済情勢、法律や規制及び雇用環境の変化等からプロジェクトが計画どおりに進展しない場合、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。 (6)その他経営全般に係るリスク人権に関するリスク当社グループは、人権の尊重は欠くことのできない経営の根幹であり、全ての判断や行動において最優先させるべきことと考え、世界人権宣言やILO宣言で国際的に認められた人権を尊重することを基本方針として定めています。当社グループは、グローバルに事業拠点を持ち、取引するサプライヤーも多国にわたることから、「ビジネスと人権」に関する意識を国際基準で高く持ち、人権デューデリジェンスを通じたリスクの軽減を進めるとともに、ビジネスパートナーにも方針の理解と遵守を要請しています。しかしながら、事業活動の領域で人権の侵害等が生じた場合には、ステークホルダーの信頼を失い、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。 コンプライアンスに関するリスク当社グループでは、コンプライアンス規程等に基づき、国内外の法令その他諸規則等を遵守すべく、コンプライアンス推進体制及び内部統制の強化に努めています。しかしながら、当社グループにおいて法令その他諸規則等を遵守できなかった場合、又は内部統制システムが有効に機能せずコンプライアンス上の問題が完全に回避できない事態が生じた場合には、ステークホルダーの信頼を失い、当社グループのレピュテーションを損ね、当社グループの財政状態及び経営成績が影響を受ける可能性があります。また、当社グループは確実性の高い品質マネジメントシステムに則り製品を製造していますが、予期せぬ事情で大規模なリコールや訴訟が発生した場合に備え保険を手当てしています。しかしながら、それに伴い法的責任が発生する可能性や、直接的な責任を負わずともバリューチェーンの一部を担う者としてブランドイメージやレピュテーションの低下を回避できない場合もあり、ひいては当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性もあります。 知的財産に関するリスク当社グループは、事業の遂行のために知的財産権を活用しており、特に石油精製技術や、リチウム電池向け固体電解質、潤滑油、機能化学品、電子材料等の付加価値の高い製品・サービスにおいて特許や企業秘密の位置づけは重要です。また、当社グループは、ブランドを商標登録しています。しかしながら、当社グループの知的財産権は、これらに関して紛争が生じたり、無効にされたりする可能性があります。また、当社グループが保有する特許、企業秘密、商標が当社の知的財産を保護するために十分であるとは限りません。また、当社グループの企業秘密が、従業員や取引先、その他の関係者によって不適切に取り扱われる可能性があります。更に、当社グループの製品やサービスが第三者から知的財産権を侵害しているという主張がなされ、あるいは当社グループが第三者から供与されている技術ライセンスが更新されない可能性があります。当社グループが、事業遂行に必要な知的財産権を保護できない、あるいは全面的に活用できない場合、当社グループの事業や経営成績は影響を受ける可能性があります。自然災害・事故等によるリスク当社グループの事業は、地震、津波、台風、豪雨豪雪、火山爆発等の自然災害やこれらに起因する製油所・工場における火災、爆発、油の大規模流出等の事故といったリスクを有しています。また保有する大型タンカーを含む原油や石油製品の輸送は、海賊や悪天候による転覆、衝突、非友好国による拿捕、撃沈等の危険にさらされています。更に当社グループは、労働争議やサイバー攻撃等によるシステムダウンや情報漏洩、感染症の大規模蔓延による事業中断のリスクにも晒されています。これらのリスクを会社としていち早く認識し、全社を挙げて被害の拡大防止を図るため、「危機発生時の対応規程」を策定し、予兆を含めたトラブルの早期共有のための連絡系統、対応時の優先順位、危機レベルの設定とそれに応じた対策本部の体制等についてまとめています。事業継続計画(BCP : Business Continuity Plan)については、2006年度に首都直下地震版、2009年度には新型インフルエンザ版、2010年度には南海トラフ巨大地震版(2021年度に「南海トラフ含む地域的地震津波版」に拡充)を制定しました。更に2015年度に内閣府より「指定公共機関」に指定されたことを受け、「防災業務計画」を作成しました。BCPに基づく総合防災訓練を毎年実施し、各拠点との連携やリモートを含む本部運用等についての課題を抽出し、実効力の強化に努めるとともにBCPの改定に反映しています。製油所・事業所・工場等においては、各々の危機対応規程類に基づき、拠点ごとに又は相互連携の上、防災訓練を定期的に実施しています。当社グループは、事故や災害で想定される多額の損失に対し、自家再保険子会社を活用し適正な損害保険や損害保険サービスをグローバルに調達しています。 個人情報管理に関するリスク当社グループは、石油製品販売、電力小売り、クレジットカード事業等で顧客の個人情報を多数取り扱っています。当社グループは、これらの情報の管理不徹底や外部からの不正な搾取、それによってもたらされる問題への対処のために、多額の費用を負担する可能性があります。また、昨今の日本国や欧州を始めとする個人情報保護関連法令の適用拡大・厳格化に対する必要な対応の不備・不足により、多額の制裁金、賠償金の発生、当社グループの信用低下、クレームや訴訟等に繋がった場合、当社グループの事業や経営成績が影響を受ける可能性があります。 (7)事業等のリスク管理上記の「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)サステナビリティ(ESG)共通 ③リスク管理」に記載のとおりです。
FY2024|6,376 文字
3【事業等のリスク】当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの財政状態・経営成績及び投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。当社の業績に特に大きな影響を与える商品分野につきましては、セグメント別に記載しています。文中の将来に関する部分は、当社が有価証券報告書提出日現在において判断したものです。 (1)国際情勢や経済環境等の変化によるリスク 当社グループは日本及び世界各地にビジネスを展開しており、各々の地域の政治動向、景気動向及び経済情勢による影響を受ける可能性があります。特に足元のウクライナ情勢のほか、海外諸国の政治的要因又は経済的要因に起因する世界景気の減速及び日本国内における人口構成の変化等がもたらすエネルギー資源及び製品需要の変動や価格の乱高下は、当社の業績へ影響を与える可能性があります。 (2)事業を取り巻く外部環境の変化によるリスク 商品市況リスク(燃料油セグメント)当社グループは、石油製品の生産に必要な原油の殆どを輸入していますが、原油価格は過去においても大きく変動しており、一昨年から続くウクライナ情勢のほか、米国を始めとした世界各国の金融政策の動向、アジアにおける原油需要の変動、中東やアフリカの産油国の政情不安、米国を始め石油消費国における環境規制・税制の動向、投機的な石油取引等により、今後も大きく変動することが懸念されます。当社グループは、石油製品価格を国内の市場価格に連動させることによりマージンを確保することに努めていますが、原油価格の変動が大きい場合や国内石油市場の激しい競争等により国内の市場価格が低迷した場合、財政状態及び経営成績は重大な影響を受ける可能性があります。また、当社グループは、棚卸資産を総平均法により評価しています。一般的に総平均法は、原油価格が上昇する局面では、期初の相対的に安価な棚卸資産による売上原価押し下げ影響により損益の改善要因となります。一方、原油価格が下落する局面では、期初の相対的に高価な棚卸資産による売上原価の押し上げ影響により損益の悪化要因となります。なお、1バレル当たりのドバイ原油価格が1米ドル変動すると、当社の営業利益は年間70億円増減する可能性があります。 (基礎化学品セグメント)①原料コストの変動について当社グループは、基礎化学品の原料であるナフサを自社製油所で生産するとともに市場から調達しています。ナフサ価格は、原油価格や、ガソリンの需要・価格動向、中国等において進められている石油化学設備の新設による需要増加の影響を受けることがあります。市場における激しい競争等の要因により、ナフサ価格の変動を製品価格に適切に転嫁できない場合、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。 ②製品市況の変動について日本を含むアジアの基礎化学品市場は激しい競争状況にあり、需要の変動や供給の増加の影響を受けます。アジアでは経済成長に伴う需要の増加が見込まれますが、近年で中国を中心とした基礎化学品を製造する大型の新設プラントが急増しており、アジア市場における供給過多や、新興国の経済成長鈍化に伴う需要低迷の可能性があります。このような市場における競争の激化や需要の低迷により、当社グループの財政状態及び営業利益は影響を受ける可能性があります。 (電力・再生可能エネルギーセグメント)当社グループでは、卸電力取引市場を介した電力の卸売及び調達を行っていますが、この取引価格は燃料価格や電力需要、原子力・火力・再生可能エネルギー等の電源の稼働状況等の影響を受けて変動します。これらの要因によって取引価格が大きく変動した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 (資源セグメント)石油開発事業においては、油・ガスを生産し販売していますが、原油価格は過去においても変動しており、政治経済情勢あるいはその他の要因により将来的に原油価格が下落した場合、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。石炭事業においては、オーストラリアの自社鉱山で石炭を生産し、主に日本向けに販売していますが、政治経済情勢あるいはその他の要因により石炭価格が下落した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 調達リスク当社グループは、原油輸入の大宗を中東地域に依存していますが、原油の安定調達を目的として主要な中東産油国と長期の原油輸入契約を締結し、同地域内におけるリスクの分散を図っています。しかしながら、これらの地域における政情不安、原油の生産調整、石油関連施設の事故並びにシーレーンにおける海上輸送リスクの上昇等により、長期にわたって原油の輸入に制約が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績は重大な影響を受ける可能性があります。 カントリーリスク(基礎化学品・高機能材セグメント)当社グループは、主にアジア市場を中心とした基礎化学品の販売及び、潤滑油分野においてはグローバルで事業展開をしていますが、経済の低迷や政治リスク等の要因により市場成長が鈍化する可能性があります。このような経済環境の変動により、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。 (資源セグメント)当社グループは、商業生産につながる資源の権益の取得、発見に努めています。現在、当社グループが保有する確認済みの資源や探鉱活動については、ベトナム等のアジア地域とノルウェーが中心となっており、これらの地域における政治経済情勢等により当社グループの探鉱開発が中断され、確認済みの資源の開発や追加的な資源の発見ができない可能性があります。また、当社グループは、オーストラリアの自社鉱山で石炭を生産し、主に日本向けに販売しています。石炭鉱山事業につきましても、政治経済情勢、税制、規制方針やその他の不確定要因の影響を受けることがあります。 為替リスク当社グループは、多額の外貨建取引を行い、また外貨建の資産及び負債を有しています。このため、為替相場の変動は外貨建取引の収益や財務諸表の円貨換算額に影響を与えます。また、原油輸入を米ドル建てで行っているため、原油の調達コストは円の米ドルに対する為替相場の影響を受けるほか、燃料油セグメントにおける在庫評価も影響を受けます。なお、1米ドル当たり1円変動すると、当社の営業利益は年間40億円増減する可能性があります。 (3)気候変動に関するリスク 上記の「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)気候変動」に記載のとおりです。 (4)環境規制に関するリスク 当社グループは、事業展開する日本やその他の国における広範な環境保全やその他の法的規制の下にあります。例えば、当社グループは、製油所や工場からの汚染物質の排出、廃棄物の処理等について規制を受け、基準を超える環境汚染発生に伴う罰則を受ける可能性もあります。また、日本や他の国の当局が新たな規制を行うこと、あるいは現在や将来の環境規制を遵守することにより多額の支出を伴う可能性があります。 (5)事業投資に関するリスク 当社グループは、事業資産の規模が大きく、既存の製油所・工場や販売設備等の維持更新、油田の権益取得や探鉱開発等の国内外の事業活動に多額の投資を必要とします。今後も石油、石油化学、資源事業など、既存事業の競争力維持には一定の投資を継続する予定です。一方で、カーボンニュートラル実現に向けて、製油所・工場の機能を低炭素で循環型の事業にシフトするための投資や、潤滑油、機能化学品、電子材料、固体電解質などの高付加価値製品の開発投資、更には水素・アンモニア・SAF・合成燃料といった新たなエネルギーの事業開発投資など、化石燃料以外の新しい事業拡大へ向けた戦略投資を行っていく計画です。このような成長分野への投資においては、必要なキャッシュ・フローを生み出すまでに一定の時間を要するため、期待された収益機会を失う可能性があります。更に国内外における経済情勢や政治動向、市場拡大の遅れ、新素材を含む他社との開発競争等によりこれらの投資が計画どおりの収益をあげられない場合は固定資産の減損損失を計上する可能性もあります。なお、投資の意思決定プロセスにおいて、投資金額をはじめとする様々なリスクの多寡に応じた投資審議を設計することで、投資リスク低減と意思決定の迅速化の両立に努めています。また、当社グループは、アジア市場における石油及び石油化学事業の海外展開の一環として、クウェート国際石油、ペトロベトナム及び三井化学㈱(以下当社を含め、「スポンサー」という。)と共同でニソンリファイナリー・ペトロケミカルリミテッド(以下「NSRP」という。)を設立し、ベトナム社会主義共和国タインホア省ニソン経済区に20万バレル/日の石油精製設備とパラキシレンをはじめとする石油化学品製造設備を有するニソン製油所・石油化学コンプレックスを操業しています。プロジェクトの総事業費は約90億米ドルであり、このうち50億米ドルは国際協力銀行をはじめとする銀行団によるプロジェクトファイナンスにより調達し、約40億米ドルはスポンサーによる出資及び貸付で調達しています。プロジェクトファイナンスによる調達額について銀行団に対し行っている債務保証及びスポンサーによる出資・貸付のうち、NSRPへの当社グループ出資比率相当の35.1%については、ベトナムにおける政治経済情勢、法律や規制及び雇用環境の変化等からプロジェクトが計画どおりに進展しない場合、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。 (6)その他経営全般に係るリスク 人権に関するリスク当社グループは、人権の尊重は欠くことのできない経営の根幹であり、全ての判断や行動において最優先させるべきことと考え、世界人権宣言やILO宣言で国際的に認められた人権を尊重することを基本方針として定めています。当社グループは、グローバルに事業拠点を持ち、取引するサプライヤーも多国にわたることから、「ビジネスと人権」に関する意識を国際基準で高く持ち、人権デューデリジェンスを通じたリスクの軽減を進めるとともに、ビジネスパートナーにも方針の理解と遵守を要請しています。しかしながら、事業活動の領域で人権の侵害等が生じた場合には、ステークホルダーの信頼を失い、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。 コンプライアンスに関するリスク当社グループでは、コンプライアンス規程等に基づき、国内外の法令その他諸規則等を遵守すべく、コンプライアンス推進体制及び内部統制の強化に努めています。しかしながら、当社グループにおいて法令その他諸規則等を遵守できなかった場合、又は内部統制システムが有効に機能せずコンプライアンス上の問題が完全に回避できない事態が生じた場合には、ステークホルダーの信頼を失い、当社グループのレピュテーションを損ね、当社グループの財政状態及び経営成績が影響を受ける可能性があります。また、当社グループは確実性の高い品質マネジメントシステムに則り製品を製造していますが、予期せぬ事情で大規模なリコールや訴訟が発生した場合に備え保険を手当てしています。しかしながら、それに伴い法的責任が発生する可能性や、直接的な責任を負わずともバリューチェーンの一部を担う者としてブランドイメージやレピュテーションの低下を回避できない場合もあり、ひいては当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性もあります。 知的財産に関するリスク当社グループは、事業の遂行のために知的財産権を活用しており、特に石油精製技術や、リチウム電池向け固体電解質、潤滑油、機能化学品、電子材料等の付加価値の高い製品・サービスにおいて特許や企業秘密の位置づけは重要です。また、当社グループは、ブランドを商標登録しています。しかしながら、当社グループの知的財産権は、これらに関して紛争が生じたり、無効にされたりする可能性があります。また、当社グループが保有する特許、企業秘密、商標が当社の知的財産を保護するために十分であるとは限りません。また、当社グループの企業秘密が、従業員や取引先、その他の関係者によって不適切に取り扱われる可能性があります。更に、当社グループの製品やサービスが第三者から知的財産権を侵害しているという主張がなされ、あるいは当社グループが第三者から供与されている技術ライセンスが更新されない可能性があります。当社グループが、事業遂行に必要な知的財産権を保護できない、あるいは全面的に活用できない場合、当社グループの事業や経営成績は影響を受ける可能性があります。 自然災害・事故等によるリスク当社グループの事業は、地震、津波、台風、豪雨豪雪、火山爆発等の自然災害やこれらに起因する製油所・工場における火災、爆発、油の大規模流出等の事故といったリスクを有しています。また保有する大型タンカーを含む原油や石油製品の輸送は、海賊や悪天候による転覆、衝突、非友好国による拿捕、撃沈等の危険にさらされています。更に当社グループは、労働争議やサイバー攻撃等によるシステムダウンや情報漏洩、感染症の大規模蔓延による事業中断のリスクにも晒されています。これらのリスクを会社としていち早く認識し、全社を挙げて被害の拡大防止を図るため、「危機発生時の対応規程」を策定し、予兆を含めたトラブルの早期共有のための連絡系統、対応時の優先順位、危機レベルの設定とそれに応じた対策本部の体制等についてまとめています。事業継続計画(BCP : Business Continuity Plan)については、2006年度に首都直下地震版、2009年度には新型インフルエンザ版、2010年度には南海トラフ巨大地震版(2021年度に「南海トラフ含む地域的地震津波版」に拡充)を制定しました。更に2015年度に内閣府より「指定公共機関」に指定されたことを受け、「防災業務計画」を作成しました。BCPに基づく総合防災訓練を毎年実施し、各拠点との連携やリモートを含む本部運用等についての課題を抽出し、実効力の強化に努めるとともにBCPの改定に反映しています。製油所・事業所・工場等においては、各々の危機対応規程類に基づき、拠点ごとに又は相互連携の上、防災訓練を定期的に実施しています。当社グループは、事故や災害で想定される多額の損失に対し、自家再保険子会社を活用し適正な損害保険や損害保険サービスをグローバルに調達しています。 個人情報管理に関するリスク当社グループは、石油製品販売、電力小売り、クレジットカード事業等で顧客の個人情報を多数取り扱っています。当社グループは、これらの情報の管理不徹底や外部からの不正な搾取、それによってもたらされる問題への対処のために、多額の費用を負担する可能性があります。また、昨今の日本国や欧州を始めとする個人情報保護関連法令の適用拡大・厳格化に対する必要な対応の不備・不足により、多額の制裁金、賠償金の発生、当社グループの信用低下、クレームや訴訟等に繋がった場合、当社グループの事業や経営成績が影響を受ける可能性があります。 (7)事業等のリスク管理 上記の「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)サステナビリティ(ESG)共通 ③リスク管理」に記載のとおりです。
FY2023|6,977 文字
3【事業等のリスク】当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの財政状態・経営成績及び投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。当社の業績に特に大きな影響を与える商品分野につきましては、セグメント別に記載しています。文中の将来に関する部分は、当社が有価証券報告書提出日現在において判断したものです。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する事業等のリスクに関しては、別途記載しています。 (1)国際情勢や経済環境等の変化によるリスク 当社グループは日本及び世界各地にビジネスを展開しており、各々の地域の政治動向、景気動向及び経済情勢による影響を受ける可能性があります。特に足元のウクライナ情勢の他、海外諸国の政治的要因又は経済的要因に起因する世界景気の減速及び日本国内における人口構成の変化等がもたらすエネルギー資源及び製品需要の変動や価格の乱高下は、当社の業績へ影響を与える可能性があります。 (2)事業を取り巻く外部環境の変化によるリスク 商品市況リスク(燃料油セグメント)当社グループは、石油製品の生産に必要な原油の殆どを輸入していますが、原油価格は過去においても大きく変動しており、昨年から続くウクライナ情勢の他、米国を始めとした世界各国の金融政策の動向、アジアにおける原油需要の変動、中東やアフリカの産油国の政情不安、米国を始め石油消費国における環境規制・税制の動向、投機的な石油取引等により、今後も大きく変動することが懸念されます。当社グループは、石油製品価格を国内の市場価格に連動させることによりマージンを確保することに努めていますが、原油価格の変動が大きい場合や国内石油市場の激しい競争等により国内の市場価格が低迷した場合、財政状態及び経営成績は重大な影響を受ける可能性があります。また、当社グループは、棚卸資産を総平均法により評価しています。一般的に総平均法は、原油価格が上昇する局面では、期初の相対的に安価な棚卸資産による売上原価押し下げ影響により損益の改善要因となります。一方、原油価格が下落する局面では、期初の相対的に高価な棚卸資産による売上原価の押し上げ影響により損益の悪化要因となります。なお、1バレル当たりのドバイ原油価格が1米ドル変動すると、当社の営業利益は年間60億円増減する可能性があります。 (基礎化学品セグメント)①原料コストの変動について当社グループは、基礎化学品の原料であるナフサを自社製油所で生産するとともに市場から調達しています。ナフサ価格は、原油価格や、ガソリンの需要・価格動向、中国等において進められている石油化学設備の新設による需要増加の影響を受けることがあります。市場における激しい競争等の要因により、ナフサ価格の変動を製品価格に適切に転嫁できない場合、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。 ②製品市況の変動について日本を含むアジアの基礎化学品市場は激しい競争状況にあり、需要の変動や供給の増加の影響を受けます。アジアでは経済成長に伴う需要の増加が見込まれますが、近年で中国を中心とした基礎化学品を製造する大型の新設プラントが急増しており、アジア市場における供給過多や、新興国の経済成長鈍化に伴う需要低迷の可能性があります。このような市場における競争の激化や需要の低迷により、当社グループの財政状態及び営業利益は影響を受ける可能性があります。 (電力・再生可能エネルギーセグメント)当社グループでは、卸電力取引市場を介した電力の卸売及び調達を行っていますが、この取引価格は燃料価格や電力需要、原子力・火力・再生可能エネルギー等の電源の稼働状況等の影響を受けて変動します。これらの要因によって取引価格が大きく変動した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 (資源セグメント)石油開発事業においては油・ガスを生産し販売していますが、原油価格は過去においても変動しており、政治経済情勢あるいはその他の要因により将来的に原油価格が下落した場合、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。石炭事業においてはオーストラリアの自社鉱山で石炭を生産し、主に日本及びその他のアジア市場で販売していますが、政治経済情勢あるいはその他の要因により石炭価格が下落した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 調達リスク当社グループは、原油輸入の大宗を中東地域に依存していますが、原油の安定調達を目的として主要な中東産油国と長期の原油輸入契約を締結し、同地域内におけるリスクの分散を図っています。しかしながら、これらの地域における政情不安、原油の生産調整、石油関連施設の事故等により、長期にわたって原油の輸入に制約が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績は重大な影響を受ける可能性があります。 カントリーリスク(基礎化学品・高機能材セグメント)当社グループは、主にアジア市場を中心とした基礎化学品の販売及び、潤滑油分野においてはグローバルで事業展開をしていますが、経済の低迷や政治リスク等の要因により市場成長が鈍化する可能性があります。このような需要低迷により、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。 (資源セグメント)当社グループは、商業生産につながる資源の権益の取得、発見に努めています。現在、当社グループが保有する確認済みの資源や探鉱活動については、ベトナム等のアジア地域とノルウェーが中心となっており、これらの地域における政治経済情勢等により当社グループの探鉱開発が中断され、確認済みの資源の開発や追加的な資源の発見ができない可能性があります。また、当社グループは、オーストラリアの自社鉱山で石炭を生産し、主に日本及びその他のアジア市場で販売しています。石炭鉱山事業につきましても、政治経済情勢、税制、規制方針やその他の不確定要因の影響を受けることがあります。 為替リスク当社グループは、多額の外貨建取引を行い、また外貨建の資産及び負債を有しています。このため、為替相場の変動は外貨建取引の収益や財務諸表の円貨換算額に影響を与えます。また、原油輸入を米ドル建てで行っているため、原油の調達コストは円の米ドルに対する為替相場の影響を受けるほか、燃料油セグメントにおける在庫評価も影響を受けます。なお、1米ドル当たり1円変動すると、当社の営業利益は年間40億円増減する可能性があります。 (3)気候変動に関するリスク 上記の「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)気候変動」に記載のとおりです。 (4)環境規制に関するリスク 当社グループは、事業展開する日本やその他の国における広範な環境保全やその他の法的規制の下にあります。例えば、当社グループは、製油所や工場からの汚染物質の排出、廃棄物の処理等について規制を受け、基準を超える環境汚染発生に伴う罰則を受ける可能性もあります。また、日本や他の国の当局が新たな規制を行うこと、あるいは現在や将来の環境規制を遵守することにより多額の支出を伴う可能性があります。 (5)事業投資に関するリスク 当社グループは、事業資産の規模が大きく、既存の製油所・工場や販売設備等の維持更新、油田の権益取得や探鉱開発等の国内外の事業活動に多額の投資を必要とします。今後も石油、石油化学、資源事業など、既存事業の競争力維持には一定の投資を継続する予定です。一方で、カーボンニュートラル実現に向けて、製油所・工場の機能を低炭素で循環型の事業にシフトするための投資や、潤滑油、機能化学品、電子材料、固体電解質などの高付加価値製品の開発投資、更には再生可能エネルギーへの投資など、化石燃料以外の新しい事業拡大へ向けた戦略投資を行っていく計画です。このような成長分野への投資においては、必要なキャッシュ・フローを生み出すまでに一定の時間を要するため、期待された収益機会を失う可能性があります。更に経済情勢や政治動向、市場拡大の遅れ、新素材を含む他社との開発競争等によりこれらの投資が計画どおりの収益をあげられない場合は固定資産の減損損失を計上する可能性もあります。なお、投資の意思決定プロセスにおいて、投資金額をはじめとする様々なリスクの多寡に応じた投資審議を設計することで、投資リスク低減と意思決定の迅速化の両立に努めています。また、当社グループは、アジア市場における石油及び石油化学事業の海外展開の一環として、クウェート国際石油、ペトロベトナム及び三井化学㈱(以下当社を含め、「スポンサー」という。)と共同でニソンリファイナリー・ペトロケミカルリミテッド(以下「NSRP」という。)を設立し、ベトナム社会主義共和国タインホア省ニソン経済区に20万バレル/日の石油精製設備とパラキシレンをはじめとする石油化学品製造設備を有するニソン製油所・石油化学コンプレックスを操業しています。プロジェクトの総事業費は約90億米ドルであり、このうち50億米ドルは国際協力銀行をはじめとする銀行団によるプロジェクトファイナンスにより調達し、約40億米ドルはスポンサーによる出資及び貸付で調達しています。プロジェクトファイナンスによる調達額について銀行団に対し行っている債務保証及びスポンサーによる出資・貸付のうち、NSRPへの当社グループ出資比率相当の35.1%については、ベトナムにおける政治経済情勢、法律や規制及び雇用環境の変化等からプロジェクトが計画どおりに進展しない場合、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。 (6)その他経営全般に係るリスク 人権に関するリスク当社グループは、人権は全ての判断や行動において根底をなすものと考え、世界人権宣言やILO宣言で国際的に認められた人権を尊重することを基本方針として定めています。当社グループはグローバルに事業拠点を持ち、取引するサプライヤーも多国にわたることから、「ビジネスと人権」に関する意識を国際基準で高く持ち、人権デューデリジェンスを通じたリスクの軽減を進めるとともに、ビジネスパートナーにも方針の理解と遵守を要請しています。しかしながら、事業活動の領域で人権の侵害等が生じた場合には、ステークホルダーの信頼を失い、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。 コンプライアンスに関するリスク当社グループでは、コンプライアンス規程に基づき、国内外の法令その他諸規則等を遵守すべく、コンプライアンス推進体制及び内部統制の強化に努めています。しかしながら当社グループにおいて法令その他諸規則等を遵守できなかった場合、又は内部統制システムが有効に機能せずコンプライアンス上の問題が完全に回避できない事態が生じた場合には、結果ステークホルダーの信頼を失い、当社グループのレピュテーションを損ね、当社グループの財政状態及び経営成績が影響を受ける可能性があります。また、当社グループは確実性の高い品質マネジメントシステムに則り製品を製造していますが、予期せぬ事情で大規模なリコールや訴訟が発生した場合に備え保険を手当てしています。しかしながら、それに伴い法的責任が発生する可能性や、直接的な責任を負わずともバリューチェーンの一部を担う者としてブランドイメージやレピュテーションの低下を回避できない場合もあり、ひいては当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性もあります。 知的財産に関するリスク当社グループは、事業の遂行のために知的財産権を活用しており、特に石油精製技術や潤滑油、機能化学品、電子材料、アグリバイオ、リチウム電池向け固体電解質等の付加価値の高い製品・サービスにおいて特許や企業秘密の位置づけは重要です。また、当社グループは、ブランドを商標登録しています。しかしながら、当社グループの知的財産権は、これらに関して紛争が生じたり、無効にされたりする可能性があります。また、当社グループが保有する特許、企業秘密、商標が当社の知的財産を保護するために十分であるとは限りません。また、当社グループの企業秘密が、従業員や取引先、その他の関係者によって不適切に取り扱われる可能性があります。更に、当社グループの製品やサービスが第三者から知的財産権を侵害しているという主張がなされ、あるいは当社グループが第三者から供与されている技術ライセンスが更新されない可能性があります。当社グループが、事業遂行に必要な知的財産権を保護できない、あるいは全面的に活用できない場合、当社グループの事業や経営成績は影響を受ける可能性があります。 自然災害・事故等によるリスク当社グループの事業は、自然災害や事故、これらに起因する操業停止等のリスクを有しています。自然災害には、地震、津波、台風、豪雨豪雪に加え、日本という地震の多い地域に立地する製油所・工場における火災、爆発、油の大規模流出のリスクも含みます。また保有する大型タンカーを含む原油や石油製品の輸送は、海賊や悪天候による転覆、衝突、非友好国による拿捕、撃沈等の危険にさらされています。更に当社グループは、労働争議やサイバー攻撃等によるシステムダウンや情報漏洩、COVID-19のような感染症の大規模蔓延による事業中断のリスクにも晒されています。これらのリスクを会社として逸早く認識し、全社を挙げて被害の拡大防止を図るため、「危機発生時の対応規程」を策定し、予兆を含めたトラブルの早期共有のための連絡系統、対応の優先順位の原則、危機レベルの設定とそれに応じた対策本部の体制等についてまとめています。事業継続計画(BCP : Business Continuity Plan)については、2006年度に首都直下地震版、2009年度には新型インフルエンザ版、2010年度には南海トラフ巨大地震版(2021年度に「南海トラフ含む地域的地震津波版」に拡充)を制定しました。更に2015年度に内閣府より「指定公共機関」に指定されたことを受け、「防災業務計画」を作成しました。各BCPに基づく総合防災訓練を毎年実施し、各拠点との連携やリモートを含む本部運用等についての課題を抽出し、実効力の強化に努めるとともにBCPの改定に反映しています。製油所・事業所・工場等においては、各々の危機対応規程類に基づき、拠点ごとに又は相互連携の上、防災訓練を定期的に実施しています。当社グループは、事故や災害で想定される多額の損失に対し、自家再保険子会社を活用し適正な損害保険や損害保険サービスをグローバルに調達しています。 個人情報管理に関するリスク当社グループは、石油製品販売、電力小売り、クレジットカード事業等で顧客の個人情報を多数取り扱っています。当社グループは、これらの情報の管理不徹底や外部からの不正な搾取、それによってもたらされる問題への対処のために、多額の費用を負担する可能性があります。また、昨今の日本国や欧州を始めとする個人情報保護関連法令の適用拡大・厳格化に対する、必要な対応の不備・不足により、多額の制裁金、賠償金の発生、当社グループの信用低下、クレームや訴訟等にも繋がり、当社グループの事業、経営成績が影響を受ける可能性があります。 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大に関するリスク2021年度は、COVID-19の変異株の影響により、当社グループの経営及び財政に影響を及ぼしましたが、2022年度のジェット燃料含む燃料油全体の販売は、前年度対比で回復傾向となりました。新型コロナウイルス感染症は、「5類感染症」に移行されましたが、今後の流行状況によっては、当社グループの事業、経営成績は影響を受ける可能性があります。 (7)事業等のリスク管理 当社グループは、事業活動に関する様々なリスクを未然に認知・評価し、リスクに応じた適切な対応を講じることで、経営の安定を図っています。取締役会が監督する「リスク経営委員会」は、グループ経営に関わるリスクマネジメント方針の決定とマネジメント状況のモニタリングなどを実施しています。他の委員会などに対し重要な業務リスク及び経営リスクに関する報告を随時求めるほか、本委員会の実施状況について、原則年1回取締役会に報告しています。また、「リスク経営委員会」の下、業務リスクに対応する「リスク・コンプライアンス委員会」を設置し、適時、迅速に必要な対策を取ることを通して、業務リスクに関する全社リスクマネジメントを推進しています。当社グループ全体の重点ならびに重要リスクの更新、さまざまなリスク顕在化の兆候や新たなリスクの把握と評価、及びその他業務リスク全般に関する事項を審議、その対策の支援と進捗管理を実施し、リスク経営委員会へ上程する役割と責任を有しています。
FY2022|6,654 文字
2【事業等のリスク】当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの財政状態・経営成績及び投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。当社の業績に特に大きな影響を与える商品分野につきましては、セグメント別に記載しています。文中の将来に関する部分は、当社が有価証券報告書提出日現在において判断したものです。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する事業等のリスクに関しては、別途記載しています。 (1)国際情勢や経済環境等の変化によるリスク 当社グループは日本及び世界各地にビジネスを展開しており、各々の地域の政治動向、景気動向及び経済情勢による影響を受ける可能性があります。特に足元のウクライナ情勢の他、海外諸国の政治的要因又は経済的要因に起因する世界景気の減速及び日本国内における人口構成の変化等がもたらすエネルギー資源及び製品需要の変動や価格の乱高下は、当社の業績へ影響を与える可能性があります。 (2)事業を取り巻く外部環境の変化によるリスク 商品市況リスク(燃料油セグメント)当社グループは、石油製品の生産に必要な原油の殆どを輸入していますが、原油価格は過去においても大きく変動しており、足元のウクライナ情勢の他、アジアにおける原油需要の変動、中東やアフリカの産油国の政情不安、米国を始め石油消費国における環境規制・税制の動向、投機的な石油取引等により、今後も大きく変動することが懸念されます。当社グループは、石油製品価格を国内の市場価格に連動させることによりマージンを確保することに努めていますが、原油価格の変動が大きい場合や国内石油市場の激しい競争等により国内の市場価格が低迷した場合、財政状態及び経営成績は重大な影響を受ける可能性があります。また、当社グループは、棚卸資産を総平均法により評価しています。一般的に総平均法は、原油価格が上昇する局面では、期初の相対的に安価な棚卸資産による売上原価押し下げ影響により損益の改善要因となります。一方、原油価格が下落する局面では、期初の相対的に高価な棚卸資産による売上原価の押し上げ影響により損益の悪化要因となります。なお、1バレル当たりのドバイ原油価格が1米ドル変動すると、当社の営業利益は年間35億円増減する可能性があります。 (基礎化学品セグメント)① 原料コストの変動について 当社グループは、基礎化学品の原料であるナフサを自社製油所で生産するとともに市場から調達しています。ナフサ価格は、原油価格や、ガソリンの需要・価格動向、中国等において進められている石油化学設備の新設による需要増加の影響を受けることがあります。市場における激しい競争等の要因により、ナフサ価格の変動を製品価格に適切に転嫁できない場合、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。 ② 製品市況の変動について 日本を含むアジアの基礎化学品市場は激しい競争状況にあり、需要の変動や供給の増加の影響を受けます。アジアでは経済成長に伴う需要の増加が見込まれますが、近年で中国を中心とした基礎化学品を製造する大型の新設プラントが急増しており、アジア市場における供給過多や、新興国の経済成長鈍化に伴う需要低迷の可能性があります。このような市場における競争の激化や需要の低迷により、当社グループの財政状態及び営業利益は影響を受ける可能性があります。 (電力・再生可能エネルギーセグメント) 当社グループでは、卸電力取引市場を介した電力の卸売及び調達を行っていますが、この取引価格が燃料価格や電力の需要動向、再生可能エネルギーの稼働状況等の要因によって大きく変動した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 (資源セグメント)石油開発事業においては油・ガスを生産し販売していますが、原油価格は過去においても変動しており、政治経済情勢あるいはその他の要因により将来的に原油価格が下落した場合、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。石炭事業においてはオーストラリアの自社鉱山等で石炭を生産し、主に日本及びその他のアジア市場で販売していますが、政治経済情勢あるいはその他の要因により石炭価格が下落した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 調達リスク 当社グループは、原油輸入の大宗を中東地域に依存していますが、原油の安定調達を目的として主要な中東産油国と長期の原油輸入契約を締結し、同地域内におけるリスクの分散を図っています。しかしながら、これらの地域における政情不安、原油の生産調整、石油関連施設の事故等により、長期にわたって原油の輸入に制約が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績は重大な影響を受ける可能性があります。 カントリーリスク(基礎化学品・高機能材セグメント)当社グループは、主にアジア市場を中心とした基礎化学品の販売及び潤滑油分野における海外での事業拡大に努めていますが、経済の低迷や政治等他の要因により市場の成長が鈍化する可能性もあります。このような需要の低迷により、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。 (資源セグメント)当社グループは、商業生産につながる資源の権益の取得、発見に努めています。現在、当社グループが保有する確認済みの資源や探鉱活動については、ノルウェー、ベトナム等のアジア地域が中心となっており、これらの地域における政治経済情勢等により当社グループの探鉱開発が中断され、確認済みの資源の開発や追加的な資源の発見ができない可能性があります。また、当社グループは、オーストラリアの自社鉱山等で石炭を生産し、主に日本及びその他のアジア市場で販売しています。石炭鉱山事業につきましても、政治経済情勢、規制方針やその他の不確定要因の影響を受けることがあります。 為替リスク当社グループは、多額の外貨建取引を行い、また外貨建の資産及び負債を有しています。このため、為替相場の変動は外貨建取引の収益や財務諸表の円貨換算額に影響を与えます。また、原油輸入を米ドル建てで行っているため、原油の調達コストは円の米ドルに対する為替相場の影響を受けるほか、燃料油セグメントにおける在庫評価も影響を受けます。なお、1米ドル当たり1円変動すると、当社の営業利益は年間30億円増減する可能性があります。 (3)気候変動・環境規制に関するリスク パリ協定の目標達成に向け、世界各国・地域が気候変動の原因とされる温室効果ガスの排出削減に向けた取組を加速し、気候変動政策の強化、環境関連法規等の変更・新規導入が実施された場合、追加的な費用負担や投資の発生、当社が取り扱う化石燃料・原料の需要の減少スピードの加速、化石燃料事業に対する金融機関の投融資の抑制等の発生により、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。また、自然災害や、海面上昇等の影響により、沿岸部に位置する製造拠点が被害を受け、操業に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、事業展開する日本やその他の国における広範な環境保全やその他の法的規制の下にあります。例えば、当社グループは、製油所や工場からの汚染物質の排出、廃棄物の処理等について規制を受け、基準を超える環境汚染発生に伴う罰則を受ける可能性もあります。また、日本や他の国の当局が新たな規制を行うこと、あるいは現在や将来の環境規制を遵守することにより多額の支出を伴う可能性があります。 (4)事業投資に関するリスク 当社グループは、事業資産の規模が大きく、既存の製油所・工場や販売設備等の維持更新、油田の権益取得や探鉱開発等の国内外の事業活動に多額の投資を必要とします。今後も石油、石油化学、資源事業など、既存事業の競争力維持には一定の投資を継続する予定です。一方で、カーボンニュートラル実現に向けて、製油所・工場の機能を低炭素で循環型の事業にシフトするための投資や、潤滑油、機能化学品、電子材料、リチウム固体電解質などの高付加価値製品の開発投資、更には再生可能エネルギーへの投資など、化石燃料以外の新しい事業拡大へ向けた戦略投資を行っていく計画です。このような成長分野への投資においては、必要なキャッシュ・フローを生み出すまでに一定の時間を要するため、期待された収益機会を失う可能性があります。更に経済情勢や政治動向、市場拡大の遅れ、新素材を含む他社との開発競争等によりこれらの投資が計画どおりの収益をあげられない場合は固定資産の減損損失を計上する可能性もあります。なお、投資の意思決定プロセスにおいて、投資金額をはじめとする様々なリスクの多寡に応じた投融資委員会審議を設計することで、投資リスク低減と意思決定の迅速化の両立に努めています。また、当社グループは、アジア市場における石油及び石油化学事業の海外展開の一環として、クウェート国際石油、ペトロベトナム及び三井化学㈱(以下当社を含め、「スポンサー」という。)と共同でニソンリファイナリー・ペトロケミカルリミテッド(以下「NSRP」という。)を設立し、ベトナム社会主義共和国タインホア省ニソン経済区に20万バレル/日の石油精製設備とパラキシレンをはじめとする石油化学品製造設備を有するニソン製油所・石油化学コンプレックスを操業しています。プロジェクトの総事業費は約90億米ドルであり、このうち50億米ドルは国際協力銀行をはじめとする銀行団によるプロジェクトファイナンスにより調達し、約40億米ドルはスポンサーによる出資及び貸付で調達しています。プロジェクトファイナンスによる調達額について銀行団に対し行っている債務保証及びスポンサーによる出資・貸付のうち、NSRPへの当社グループ出資比率相当の35.1%については、ベトナムにおける政治経済情勢、法律や規制及び雇用環境の変化等からプロジェクトが計画どおりに進展しない場合、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。 (5)その他経営全般に係るリスク 人権に関するリスク 当社グループは、人権は全ての判断や行動において根底をなすものと考え、世界人権宣言やILO宣言で国際的に認められた人権を尊重することを基本方針として定めています。当社グループはグローバルに事業拠点を持ち、取引するサプライヤーも多国にわたることから、「ビジネスと人権」に関する意識を国際基準で高く持ち、人権デューデリジェンスを通じたリスクの軽減を進めるとともに、ビジネスパートナーにも方針の理解と遵守を要請しています。しかしながら、事業活動の領域で人権の侵害等が生じた場合には、ステークホルダーの信頼を失い、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。 コンプライアンスに関するリスク 当社グループでは、コンプライアンス規程に基づき、国内外の法令遵守をはじめとした、コンプライアンスの強化に努めています。しかしながら当社グループの内部統制システムが有効に機能せず、コンプライアンス上の問題が完全に回避できない事態が生じた場合には、結果ステークホルダーの信頼を失い、当社グループのレピュテーションを損ね、当社グループの財政状態及び経営成績が影響を受ける可能性があります。 また、当社グループは確実性の高い品質マネジメントシステムに則り製品を製造していますが、予期せぬ事情で大規模なリコールや訴訟が発生した場合に備え保険を手当てしています。しかしながら、それに伴い法的責任が発生する可能性や、直接的な責任を負わずともバリューチェーンの一部を担う者としてブランドイメージやレピュテーションの低下を回避できない場合もあり、ひいては当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性もあります。 知的財産に関するリスク 当社グループは、事業の遂行のために知的財産権やライセンスを活用しており、特に石油精製技術や潤滑油、機能化学品、電子材料、アグリバイオ、太陽電池等の付加価値の高い製品・サービスにおいて特許や企業秘密の位置づけは重要です。また、当社グループは、ブランドを商標登録しています。しかしながら、当社グループが保有する特許、企業秘密、商標が当社の知的財産を保護するために十分であるとは限りません。 また、当社グループの企業秘密が、従業員や取引先、その他の関係者によって不適切に取り扱われる可能性があります。当社グループが、第三者から供与されている技術ライセンスが更新されない可能性や、第三者から知的財産権の侵害についてクレームを受け、その技術を利用できなくなる可能性があります。当社グループが、事業遂行に必要な知的財産権を保護できない、あるいは全面的に活用できない場合、当社グループの事業や経営成績は影響を受ける可能性があります。 自然災害・事故等によるリスク当社グループの事業は、自然災害や事故、これらに起因する操業停止等のリスクを有しています。自然災害には、地震、津波、台風、豪雨豪雪に加え、日本という地震の多い地域に立地する製油所・工場における火災、爆発、油の大規模流出のリスクも含みます。また保有する大型タンカーを含む原油や石油製品の輸送は、海賊や悪天候による転覆、衝突、非友好国による拿捕、撃沈等の危険にさらされています。更に当社グループは、労働争議やサイバーテロ等によるシステムダウンや情報漏洩、COVID-19のような感染症の大規模蔓延のリスクにも晒されています。これらのリスクを会社として逸早く認識し、全社を挙げて被害の拡大防止を図るため、「危機発生時の対応規程」を策定し、予兆を含めたトラブルの早期共有のための連絡系統、対応の優先順位の原則、危機レベルの設定とそれに応じた対策本部の体制等についてまとめています。事業継続計画(BCP : Business Continuity Plan)については、2006年度に首都直下地震版、2009年度には新型インフルエンザ版、2010年度には南海トラフ巨大地震版(2021年度に「南海トラフ含む地域的地震津波版」に拡充)を制定しました。更に2015年度に内閣府より「指定公共機関」に指定されたことを受け、「防災業務計画」を作成しました。各BCPに基づく総合防災訓練を毎年実施し、各拠点との連携やリモートを含む本部運用等についての課題を抽出し、実効力の強化に努めるとともにBCPの改定に反映しています。製油所・事業所・工場等においては、各々の危機対応規程類に基づき、拠点ごとにまたは相互連携の上、防災訓練を定期的に実施しています。当社グループは、事故や災害で想定される多額の損失に対し、自家再保険子会社を活用し適正な損害保険をグローバルに調達していますが、損失を補填するために必ずしも十分でない被害を受ける可能性もあります。 個人情報管理に関するリスク当社グループは、石油製品販売、電力小売り、クレジットカード事業等で顧客の個人情報を多数取り扱っています。当社グループは、これらの情報の管理不徹底や外部からの不正な搾取、それによってもたらされる問題への対処のために、多額の費用を負担する可能性があります。また、昨今の日本国や欧州を始めとする個人情報保護関連法令の適用拡大・厳格化に対する、必要な対応の不備・不足により、多額の制裁金、賠償金の発生、当社グループの信用低下、クレームや訴訟等にも繋がり、当社グループの事業、経営成績が影響を受ける可能性があります。 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大に関するリスク2021年度は、前年度に引き続きCOVID-19の変異株の影響が、当社グループの経営及び財政に影響を及ぼしました。いまだ国内での完全収束の見通しは立っておらず、特にジェット燃料については大幅な減便の影響が依然として続いており、需要回復までには数年かかるリスクがあります。また、その他の石油製品、石油化学品、潤滑油、電子材料の分野においても、変異株の影響を受けており、見通しを立てにくい状況が続いています。
FY2021|6,645 文字
2【事業等のリスク】当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの財政状態・経営成績及び投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。当社の業績に特に大きな影響を与える商品分野につきましては、セグメント別に記載しています。文中の将来に関する部分は、当社が有価証券報告書提出日現在において判断したものです。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する事業等のリスクに関しては、別途記載しています。 (1)国際情勢や経済環境等の変化によるリスク 当社グループは日本及び世界各地にビジネスを展開しており、各々の地域の政治動向、景気動向及び経済情勢による影響を受ける可能性があります。特に海外諸国の政治的又は経済的要因に起因する世界景気の減速及び日本国内における人口構成の変化等がもたらすエネルギー資源及び製品需要の変動や価格の乱高下は、当社の業績へ影響を与える可能性があります。 (2)事業を取り巻く外部環境の変化によるリスク 商品市況リスク(燃料油セグメント)当社グループは、石油製品の生産に必要な原油の殆どを輸入していますが、原油価格は過去においても大きく変動しており、アジアにおける原油需要の変動、中東やアフリカの産油国の政情不安、米国を始め石油消費国における環境規制・税制の動向、投機的な石油取引等により、今後も変動することが懸念されます。当社グループは、石油製品価格を国内の市場価格に連動させることによりマージンを確保することに努めていますが、原油価格の変動が大きい場合や国内石油市場の激しい競争等により国内の市場価格が低迷した場合、財政状態及び経営成績は重大な影響を受ける可能性があります。また、当社グループは、たな卸資産を総平均法により評価しています。一般的に総平均法は、原油価格が上昇する局面では、期初の相対的に安価なたな卸資産による売上原価押し下げ影響により損益の改善要因となります。一方、原油価格が下落する局面では、期初の相対的に高価なたな卸資産による売上原価の押し上げ影響により損益の悪化要因となります。なお、1バレル当たりのドバイ原油価格が1米ドル変動すると、当社の営業利益は年間40億円増減する可能性があります。 (基礎化学品セグメント)① 原料コストの変動について 当社グループは、基礎化学品の原料であるナフサを自社製油所で生産するとともに市場から調達しています。ナフサ価格は、原油価格や、中国等において計画されている石油化学設備の新設による需要増加の影響を受けることがあります。ナフサ価格の変動を市場における激しい競争等の要因により製品価格に適切に転嫁できない場合、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。 ② 製品市況の変動について 日本を含むアジアの基礎化学品市場は激しい競争状況にあり、需要の変動や供給の増加の影響を受けます。アジアでは経済成長に伴う需要の増加が見込まれますが、近年で中国を中心とした基礎化学品を製造する大型の新設プラントが急増しており、アジア市場における供給過多や、新興国の経済成長鈍化に伴い、製品市況が低迷する可能性があります。このような製品市況の低迷により、当社グループの財政状態及び営業利益は影響を受ける可能性があります。 (電力・再生可能エネルギーセグメント) 当社グループでは、卸電力取引市場を介した電力の卸売及び調達を行っていますが、この取引価格が燃料価格や電力の需要動向、再生可能エネルギーの稼働状況等の要因によって大きく変動した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 (資源セグメント)石油開発事業の近年の営業利益は、主に原油価格に支えられていますが、原油価格は過去においても変動しており、政治経済情勢あるいはその他の要因により将来的に原油価格が下落した場合、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。なお、1バレル当たりのブレント原油価格が1米ドル変動すると、当社の営業利益は年間10億円増減する可能性があります。石炭事業においてはオーストラリアの自社鉱山等で石炭を生産し、主に日本及びその他のアジア市場で販売していますが、政治経済情勢あるいはその他の要因により石炭価格が下落した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 調達リスク 当社グループは、原油輸入の大宗を中東地域に依存していますが、原油の安定調達を目的として主要な中東産油国と長期の原油輸入契約を締結し、同地域内におけるリスクの分散を図っています。しかしながら、これらの地域における政情不安、原油の生産調整、石油関連施設の事故等により、長期にわたって原油の輸入に制約が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績は重大な影響を受ける可能性があります。 カントリーリスク(基礎化学品・高機能材セグメント)当社グループは、主にアジア市場を中心とした基礎化学品の販売及び潤滑油分野における海外展開での事業拡大に努めていますが、経済の低迷や政治等他の要因により市場の成長が鈍化する可能性もあります。このような需要の低迷により、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。 (資源セグメント)当社グループは、商業生産につながる資源の権益の取得、発見に努めています。現在、当社グループが保有する確認済みの資源や探鉱活動については、ノルウェー、ベトナム等のアジア地域が中心となっており、これらの地域における政治経済情勢等により当社グループの探鉱開発が中断され、確認済みの資源の開発や追加的な資源の発見ができない可能性があります。また、当社グループは、オーストラリアの自社鉱山等で石炭を生産し、主に日本及びその他のアジア市場で販売しています。石炭鉱山事業につきましても、政治経済情勢、規制方針やその他の不確定要因の影響を受けることがあります。 為替リスク当社グループは、多額の外貨建取引を行い、また外貨建の資産及び負債を有しています。このため、為替相場の変動は外貨建取引の収益や財務諸表の円貨換算額に影響を与えます。また、原油輸入を米ドル建てで行っているため、原油の調達コストは円の米ドルに対する為替相場の影響を受けるほか、燃料油セグメントにおける在庫評価も影響を受けます。なお、1米ドル当たり1円変動すると、当社の営業利益は年間30億円増減する可能性があります。 (3)気候変動・環境規制に関するリスク 気候変動への対応に対して世界的に関心が高まる中、パリ協定に見られる低炭素社会への動きが加速し、今後各国における気候変動政策の強化、環境関連法規等の変更・新規導入が実施された場合、多額の費用負担や投資が必要となり、また当社グループの扱う商品の減少スピードが加速する可能性があります。日本では、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた検討やエネルギー基本計画の見直し議論において、供給力・調整力の観点から今後も火力発電を一定量確保する必要性が認識されているものの、今後、非効率石炭火力のフェードアウトが具体化し石炭需要が減っていく可能性があります。さらに資金調達の観点においても厳しさが増すことが想定され、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。当社グループは、事業展開する日本やその他の国における広範な環境保全やその他の法的規制の下にあります。例えば、当社グループは、製油所や工場からの汚染物質の排出、廃棄物の処理等について規制を受け、基準を超える環境汚染発生に伴う罰則を受ける可能性もあります。また、日本や他の国の当局が新たな規制を行うこと、あるいは現在や将来の環境規制を遵守することにより多額の支出を伴う可能性があります。その他にも、地球温暖化等の環境問題に伴うEV普及等の政策対応等が、将来の石油製品の需要動向に影響を与える可能性があります。また、廃棄プラスチック問題への社会的関心の高まり・規制の強化による使い捨てプラスチック削減に伴う汎用プラスチック需要の伸長鈍化が、基礎化学品や機能化学品の需要動向に影響を与える可能性があります。(4)事業投資に関するリスク 当社グループは、事業資産の規模が大きく、既存の製油所・工場や販売設備等の維持更新、油田の権益取得や探鉱開発等の国内外の事業活動に多額の投資を必要とします。今後も石油、石油化学、資源事業など、既存事業の競争力維持には一定の投資を継続する予定です。一方で、カーボンニュートラル実現に向けて、製油所・工場の機能を低炭素で循環型の事業にシフトするための投資や、潤滑油、機能化学品、電子材料、リチウム固体電解質などの高付加価値製品の開発投資、さらには再生可能エネルギーへの投資など、化石燃料以外の新しい事業拡大へ向けた戦略投資を行っていく計画です。このような成長分野への投資においては、必要なキャッシュ・フローを生み出すまでに一定の時間を要するため、期待された収益機会を失う可能性があります。さらに経済情勢や政治動向、市場拡大の遅れ、新素材を含む他社との開発競争等によりこれらの投資が計画どおりの収益をあげられない場合は固定資産の減損損失を計上する可能性もあります。なお、投資の意思決定プロセスにおいて、投資金額をはじめとするリスクの多寡に応じた投融資委員会審議を設計することで、投資リスク低減と意思決定の迅速化の両立に努めています。また、当社グループは、アジア市場における石油及び石油化学事業の海外展開の一環として、クウェート国際石油、ペトロベトナム及び三井化学㈱(以下当社を含め、「スポンサー」という。)と共同でニソンリファイナリー・ペトロケミカルリミテッド(以下「NSRP」という。)を設立し、ベトナム社会主義共和国タインホア省ニソン経済区に20万バレル/日の石油精製設備とパラキシレンをはじめとする石油化学品製造設備を有するニソン製油所・石油化学コンプレックスを操業しています。プロジェクトの総事業費は約90億米ドルであり、このうち50億米ドルは国際協力銀行をはじめとする銀行団によるプロジェクトファイナンスにより調達し、約40億米ドルはスポンサーによる出資及び貸付で調達しています。プロジェクトファイナンスによる調達額について銀行団に対し行っている債務保証及びスポンサーによる出資・貸付のうち、NSRPへの当社グループ出資比率相当の35.1%については、ベトナムにおける政治経済情勢、法律や規制及び雇用環境の変化等からプロジェクトが計画どおりに進展しない場合、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。 (5)その他経営全般に係るリスク コンプライアンスに関するリスク 当社グループでは、従来からコンプライアンス規程に基づき、国内外の法令遵守をはじめとした、コンプライアンスの強化に努めています。しかしながら、当社グループが構築した内部統制システムが有効に機能せず、コンプライアンス上のリスクが完全に回避できない事態が生じた場合には、ステークホルダーの信頼を失い、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。また、当社グループは厳正な品質管理基準に基づき製品を製造していますが、万が一製品に欠陥が発生した場合に備えて保険に加入しています。しかしながら、予期せぬ事情で大規模なリコールや訴訟が発生した場合には、法的責任を負う可能性がある他、ブランドイメージの低下を招き、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。 知的財産に関するリスク当社グループは、事業の遂行のために知的財産権やライセンスを活用しており、特に石油精製技術や潤滑油、機能化学品、電子材料、アグリバイオ、太陽電池等の付加価値の高い製品分野において特許や企業秘密の位置づけは重要です。また、当社グループは、ブランドを商標登録しています。しかしながら、当社グループが保有する特許、企業秘密、商標が当社の知的財産権を保護するために十分であるとは限りません。 また、当社グループの企業秘密が、従業員や取引先、その他の関係者によって不適切に取り扱われる可能性があります。当社グループが、第三者から供与されている技術ライセンスが更新されない可能性や、第三者から知的財産権の侵害についてクレームを受けて、その技術を利用できなくなる可能性があります。当社グループが、事業遂行に必要な知的財産権を保護できない、あるいは全面的に活用できない場合、当社グループの事業や経営成績は影響を受ける可能性があります。 自然災害・事故等によるリスク当社グループの事業は、自然災害や事故、これらに起因する操業停止等のリスクを有しています。自然災害には、地震や津波、台風に加えて、日本という地震の多い地域に立地する製油所・工場における火災や爆発のリスクを含みます。当社グループの設備は、人的や機械的なエラーによる事故の影響を受けることもあり、また保有する大型タンカーを含む原油や石油製品の輸送は、海賊や悪天候による転覆、衝突等の危険にさらされています。さらに当社グループは、労働紛争や情報システム障害の発生及びパンデミックによるリスクにもさらされています。このようなリスクの発生により当社グループの事業は、長期間にわたって中断される可能性があります。これらのリスクに対応するため、当社グループは危機対応に関する最上位の規程として「危機発生時の対応規程」を策定し、対応方針や危機レベルの捉え方、連絡系統、対策本部の設置方法などについてまとめています。事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)については、2006年度に首都直下地震版、2009年度には新型インフルエンザ版、2012年度に南海トラフ巨大地震版を策定しました。さらに2015年度に、内閣府より指定公共機関に指定されたことを受け、「防災業務計画」を作成しました。各種BCPに基づく総合防災訓練を毎年実施し、各拠点との連携や課題を確認し、実践的な対応力の強化に努めるとともに、BCPの改定に反映しています。製油所・事業所・工場などにおいては、各種危機対応規程類に基づき、拠点全体で防災訓練を定期的に実施しています。当社グループは、事故や災害で想定される損失に対し損害保険等を付保していますが、このような保険が損失を填補するために必ずしも十分ではない可能性があります。 個人情報管理に関するリスク当社グループは、石油製品販売やクレジットカード事業等に関して顧客の個人情報や資産データを直接的、間接的に取り扱っています。当社グループは、これらの情報の管理不徹底やそれによってもたらされる問題への対処のために、多額の費用を負担する可能性があります。さらに、顧客の個人情報が不適切に取り扱われ、あるいは管理上の問題が発生した場合、当社グループがその情報を直接管理していたかどうかにかかわらず、当社グループへの信頼の低下、クレーム、訴訟等につながり、当社の事業、経営成績は影響を受ける可能性があります。 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大に関するリスク2020年度は、世界的なCOVID-19の感染拡大というパンデミックに見舞われ、当社グループの経営及び財政に大きな影響を及ぼしました。未だ国内での収束の見通しは立っておらず、その影響は長期化するリスクがありますが、石油製品需要が再度大幅に下落することは想定しておらず、国内需要は2020年度下期には前年同期に近い水準まで回復し、その後第2波、第3波の際も大幅な下落は見られません。また、石油化学品、潤滑油、電子材料等の分野においても、アジアの需要は順調に回復しているため、ワクチンの普及に伴い徐々に通常の水準に回復すると想定しています。ただし、ジェット燃料については大幅な減便の影響が依然として続いており、特に国際線向けは足下でも前年の半分程度の水準で推移しているため、需要回復までには数年かかるリスクがあります。
FY2020|6,079 文字
2【事業等のリスク】当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの財政状態・経営成績及び投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。当社の業績に特に大きな影響を与える商品分野につきましては、セグメント別に記載しています。文中の将来に関する部分は、当社が有価証券報告書提出日現在において判断したものです。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する事業等のリスクに関しては、別途記載しています。 (1)国際情勢や経済環境等の変化によるリスク 当社グループは日本及び世界各地にビジネスを展開しており、各々の地域の政治動向、景気動向及び経済情勢による影響を受ける可能性があります。特に海外諸国の政治的又は経済的要因に起因する世界景気の減速及び日本国内における人口構成の変化等がもたらすエネルギー資源及び製品需要の変動や価格の乱高下は、当社の業績へ影響を与える可能性があります。 (2)事業を取り巻く外部環境の変化によるリスク 商品市況リスク(燃料油セグメント)当社グループは、石油製品の生産に必要な原油の殆どを輸入していますが、原油価格は過去においても大きく変動しており、アジアにおける原油需要の変動、中東やアフリカの産油国の政情不安、米国を始め石油消費国における環境規制・税制の動向、投機的な石油取引等により、今後も変動することが懸念されます。当社グループは、石油製品価格を国内の市場価格に連動させることによりマージンを確保することに努めていますが、原油価格の変動が大きい場合や国内石油市場の激しい競争等により国内の市場価格が低迷した場合、財政状態及び経営成績は重大な影響を受ける可能性があります。また、当社グループは、たな卸資産を総平均法により評価しています。一般的に総平均法は、原油価格が上昇する局面では、期初の相対的に安価なたな卸資産による売上原価押し下げ影響により損益の改善要因となります。一方、原油価格が下落する局面では、期初の相対的に高価なたな卸資産による売上原価の押し上げ影響により損益の悪化要因となります。なお、1バレル当たりのドバイ原油価格が1米ドル変動すると、当社の営業利益は年間40億円増減する可能性があります。 (基礎化学品セグメント) 当社グループにおいて、石油化学事業を中心に、ナフサ・スチレンモノマー・パラキシレンなどの価格の変動をタイムリーに製品価格に反映できず、そのスプレッドを十分に確保することができなかった場合、ナフサなどの製品市況変動が当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 (資源セグメント)石油開発事業の近年の営業利益は、主に原油価格に支えられていますが、原油価格は過去においても変動しており、政治経済情勢あるいはその他の要因により将来的に原油価格が下落した場合、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。なお、1バレル当たりのブレント原油価格が1米ドル変動すると、当社の営業利益は年間10億円増減する可能性があります。石炭事業においてはオーストラリアの自社鉱山等で石炭を生産し、主に日本及びその他のアジア市場で販売していますが、政治経済情勢あるいはその他の要因により石炭価格が下落した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 調達リスク 当社グループは、原油輸入の太宗を中東地域に依存していますが、原油の安定調達を目的として主要な中東産油国と長期の原油輸入契約を締結し、同地域内におけるリスクの分散を図っています。しかしながら、これらの地域における政情不安、原油の生産調整、石油関連施設の事故等により、長期にわたって原油の輸入に制約が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績は重大な影響を受ける可能性があります。 カントリーリスク(基礎化学品・高機能材セグメント)当社グループは、主にアジア市場を中心とした基礎化学品の販売及び潤滑油分野における海外展開での事業拡大に努めていますが、経済の低迷や政治等他の要因により市場の成長が鈍化する可能性もあります。このような需要の低迷により、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。 (資源セグメント)当社グループは、商業生産につながる資源の権益の取得、発見に努めています。現在、当社グループが保有する確認済みの資源や探鉱活動については、ノルウェー、ベトナム等のアジア地域が中心となっており、これらの地域における政治経済情勢等により当社グループの探鉱開発が中断され、確認済みの資源の開発や追加的な資源の発見ができない可能性があります。また当社グループは、オーストラリアの自社鉱山等で石炭を生産し、主に日本及びその他のアジア市場で販売しています。石炭鉱山事業につきましても、政治経済情勢、規制方針やその他の不確定要因の影響を受けることがあります。 為替リスク当社グループは、多額の外貨建取引を行い、また外貨建の資産及び負債を有しています。このため、為替相場の変動は外貨建取引の収益や財務諸表の円貨換算額に影響を与えます。また、原油輸入を米ドル建てで行っているため、原油の調達コストは円の米ドルに対する為替相場の影響を受けるほか、燃料油セグメントにおける在庫評価にも影響を受けます。なお、1米ドル当たり1円変動すると、当社の営業利益は年間25億円増減する可能性があります。 (3)気候変動・環境規制に関するリスク 気候変動への対応に対して世界的に関心が高まる中、パリ協定に見られる低炭素社会への動きが加速し、今後各国における気候変動政策の強化、環境関連法規等の変更・新規導入が実施された場合、多額の費用負担や投資が必要となり、また当社グループの扱う商品の減少スピードが加速する可能性があります。さらに資金調達の観点においても厳しさが増すことが想定され、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。当社グループは、事業展開する日本やその他の国における広範な環境保全やその他の法的規制の下にあります。例えば、当社グループは、製油所や工場からの汚染物質の排出、廃棄物の処理等について規制を受け、基準を超える環境汚染発生に伴う罰則を受ける可能性もあります。また、日本や他の国の当局が新たな規制を行うこと、あるいは現在や将来の環境規制を遵守することにより多額の支出を伴う可能性があります。その他にも、地球温暖化等の環境問題に伴うEV普及等の政策対応等が、将来の石油製品の需要動向に影響を与える可能性があります。また、廃棄プラスチック問題への社会的関心の高まり・規制の強化による使い捨てプラスチック削減に伴う汎用プラスチック需要の伸長鈍化が、基礎化学品や機能化学品の需要動向に影響を与える可能性があります。 (4)事業投資に関するリスク 当社グループは、事業資産の規模が大きく、既存の製油所・工場や販売設備等の維持更新、油田の権益取得や探鉱開発等の国内外の事業活動に多額の投資を必要とします。今後も石油、石油化学を始めとする既存事業の競争力強化や石油開発・石炭事業の収益確保、新規事業育成のための投資を継続する予定です。特に将来の成長に向けて、機能化学品分野や電子材料分野、アグリバイオ分野において、付加価値の高い製品の開発や、海外再生可能エネルギーへの積極的な投資、事業拡大へ向けたM&Aを行っていく計画ですが、投資に必要なキャッシュ・フローを生み出すことができない場合や外部調達ができない場合、予定した投資ができず期待された収益機会を失う可能性があります。更に経済情勢や政治動向、市場拡大の遅れ、新素材を含む他社との開発競争等によりこれらの投資が計画どおりの収益をあげられない場合は固定資産の減損損失を計上する可能性もあります。なお、投資の意思決定プロセスにおいて、投資金額を始めとするリスクの多寡に応じた投融資委員会審議を設計することで、投資リスク低減と意思決定の迅速化の両立に努めています。また、当社グループは、アジア市場における石油及び石油化学事業の展開の一環として、クウェート国際石油、ペトロベトナム及び三井化学㈱(以下当社を含め、「スポンサー」という。)と共同でニソンリファイナリー・ペトロケミカルリミテッド(以下「NSRP」という。)を設立し、ベトナム社会主義共和国タインホア省ニソン経済区に20万バレル/日の石油精製設備とパラキシレンをはじめとする石油化学品製造設備を有するニソン製油所・石油化学コンプレックスの建設を進め、2018年11月に商業生産を開始しました。プロジェクトの総事業費は約90億米ドルであり、このうち50億米ドルは国際協力銀行をはじめとする銀行団によるプロジェクトファイナンスにより調達し、約40億米ドルはスポンサーによる出資及び貸付で調達しています。プロジェクトファイナンスによる調達額について銀行団に対し行っている債務保証及びスポンサーによる出資・貸付のうち、NSRPへの当社グループ出資比率相当の35.1%については、ベトナムにおける政治経済情勢、法律や規制及び雇用環境の変化等からプロジェクトが計画どおりに進展しない場合、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。 (5)その他経営全般に係るリスク コンプライアンスに関するリスク 当社グループでは、従来からコンプライアンス規程に基づき、国内外の法令遵守をはじめとした、コンプライアンスの強化に努めています。しかしながら、当社グループが構築した内部統制システムが有効に機能せず、コンプライアンス上のリスクが完全に回避できない事態が生じた場合には、ステークホルダーの信頼を失い、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。また、当社グループは厳正な品質管理基準に基づき製品を製造していますが、万が一製品に欠陥が発生した場合に備えて保険に加入しています。しかしながら、予期せぬ事情で大規模なリコールや訴訟が発生した場合には、法的責任を負う可能性がある他、ブランドイメージの低下を招き、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。 知的財産に関するリスク当社グループは、事業の遂行のために知的財産権やライセンスを活用しており、特に石油精製技術や潤滑油、機能化学品、電子材料、アグリバイオ、太陽電池等の付加価値の高い製品分野において特許や企業秘密の位置づけは重要です。また当社グループは、ブランドを商標登録しています。しかしながら、当社グループが保有する特許、企業秘密、商標が当社の知的財産権を保護するために十分であるとは限りません。 また、当社グループの企業秘密が、従業員や取引先、その他の関係者によって不適切に取り扱われる可能性があります。当社グループが、第三者から供与されている技術ライセンスが更新されない可能性や、第三者から知的財産権の侵害についてクレームを受けて、その技術を利用できなくなる可能性があります。当社グループが、事業遂行に必要な知的財産権を保護できない、あるいは全面的に活用できない場合、当社グループの事業や経営成績は影響を受ける可能性があります。 自然災害・事故等によるリスク当社グループの事業は、自然災害や事故、これらに起因する操業停止等のリスクを有しています。自然災害には、地震や津波、台風に加えて、日本という地震の多い地域に立地する製油所・工場における火災や爆発のリスクを含みます。当社グループの設備は、人的や機械的なエラーによる事故の影響を受けることもあり、また保有する大型タンカーを含む原油や石油製品の輸送は、海賊や悪天候による転覆、衝突等の危険にさらされています。さらに当社グループは、労働紛争や情報システム障害の発生及びパンデミックによるリスクにもさらされています。このようなリスクの発生により当社グループの事業は、長期間にわたって中断される可能性があります。これらのリスクに対応するため、当社グループは危機対応に関する最上位の規程として「危機発生時の対応規程」を策定し、対応方針や危機レベルの捉え方、連絡系統、対策本部の設置方法などについてまとめています。事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)については、2006年度に首都直下地震版、2009年度には新型インフルエンザ版、2012年度に南海トラフ巨大地震版を策定しました。さらに2015年度に、内閣府より指定公共機関に指定されたことを受け、「防災業務計画」を作成しました。各種BCPに基づく総合防災訓練を毎年実施し、各拠点との連携や課題を確認し、実践的な対応力の強化に努めるとともに、BCPの改定に反映しています。製油所・事業所・工場などにおいては、各種危機対応規程類に基づき、拠点全体で防災訓練を定期的に実施しています。当社グループは、事故や災害で想定される損失に対し損害保険等を付保していますが、このような保険が損失を填補するために必ずしも十分ではない可能性があります。 個人情報管理に関するリスク当社グループは、石油製品販売やクレジットカード事業等に関して顧客の個人情報や資産データを直接的、間接的に取り扱っています。当社グループは、これらの情報の管理不徹底やそれによってもたらされる問題への対処のために、多額の費用を負担する可能性があります。更に、顧客の個人情報が不適切に取り扱われ、あるいは管理上の問題が発生した場合、当社グループがその情報を直接管理していたかどうかにかかわらず、当社グループへの信頼の低下、クレーム、訴訟等につながり、当社の事業、経営成績は影響を受ける可能性があります。 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大に関するリスク当社グループの財政状態・経営成績は、COVID-19感染拡大というパンデミックリスクの顕在化により大きな影響を受けています。また、事態が長期化した場合は、その影響が更に拡大する可能性があります。今後の見通しは不透明ではありますが、COVID-19感染拡大は経済動向のみならず、政治・社会・技術動向にも影響を及ぼし得るため、Post COVID-19の事業環境シナリオを策定し、既に公表しています中期経営計画の見直し等、リスクへの対応を進めていきます。(予想されるリスク)・原油、石油製品等の輸送における乗組員、運転手の感染による業務の停滞・国内外での感染拡大防止対策に伴う消費減による石油製品(含む潤滑油)、石油化学製品の需要減及び商品市況への影響・世界経済停滞による耐久消費財の需要減に伴う潤滑油、機能化学品等の高機能材分野での販売減
FY2016|6,223 文字
4【事業等のリスク】当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する部分は、当社が有価証券報告書提出日現在において判断したものです。 (セグメント上のリスク)石油製品セグメント(1) 原油価格の変動について当社グループは、石油製品の生産に必要な原油の殆どを輸入していますが、原油価格は過去においても大きく変動しており、アジアにおける原油需要の増加、中東やアフリカの産油国の政情不安、南米産油国における資源の国有化の動き、米国を始め石油消費国における環境規制・税制の動向、投機的な石油取引等により、今後も変動することが懸念されます。 また原油輸入を米ドル建てで行っているため、原油の調達コストは円の米ドルに対する為替相場の影響を受けます。 当社グループは、石油製品価格を国内の市場価格に連動させることによりマージンを確保することに努めていますが、国内石油市場の激しい競争等により国内の市場価格が低迷した場合、財政状態及び経営成績は重大な影響を受ける可能性があります。 なお当社グループは、たな卸資産を総平均法により評価しています。一般的に総平均法は、原油価格が上昇する局面では、期初の相対的に安価なたな卸資産による売上原価押し下げ影響により損益の改善要因となります。一方、原油価格が下落する局面では、期初の相対的に高価なたな卸資産による売上原価の押し上げ影響により損益の悪化要因となります。 (2) 市場の競争について当社グループの石油製品事業は、複数の石油会社と競合しており、これらの中には当社グループよりも事業規模や市場シェアの大きい会社があります。また日本の石油市場は精製設備やSS数の過剰により激しい競争状態にあります。当社グループがこのような競争下において効率的な事業運営ができない場合、当社グループの財政状態及び経営成績は重大な影響を受ける可能性があります。 (3) 原油輸入先について当社グループは、原油輸入のほぼ全量を中東地域に依存していますが、原油の安定調達を目的として主要な中東産油国と長期の原油輸入契約を締結し、同地域内におけるリスクの分散を図っています。しかしながら、これらの地域における政情不安、原油の生産調整、石油関連施設の事故等により、長期にわたって原油の輸入に制約が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績は重大な影響を受ける可能性があります。 (4) 石油製品の需要について日本の石油市場は成熟しており、石油製品需要は徐々に減少すると見込まれています。更に、原油価格の高騰や、京都議定書に基づく地球温暖化に関する政府の対策等が、将来の石油製品の需要動向に影響を与える可能性があります。これらの要因により石油製品需要が減少した場合、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。 石油化学製品セグメント(1) 原料コストの変動について当社グループは、石油化学製品の原料であるナフサを自社製油所で生産するとともに市場から調達しています。ナフサ価格は、原油価格や、中国等において計画されている石油化学設備の新設による需要増加の影響を受けることがあります。ナフサ価格の変動を市場における激しい競争等の要因により石油化学製品の価格に適切に転嫁できない場合、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。 (2) 需要の変動について日本を含むアジアの石油化学市場は激しい競争状況にあり、需要の変動や供給の増加の影響を受けます。当社グループが石油化学事業を行うに際しては、日本やアジアの市場において、より事業規模が大きく経営基盤の確立した、あるいはより競争力を有する企業との競合にさらされます。また、最近において中国を始めとするアジアの国々における石油化学製品の需要は増加してきましたが、これらの国々における経済の低迷や他の要因により今後の需要は減少する可能性もあります。このような市場における競争の激化や需要の低迷により、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。資源セグメント(1) 石油開発事業について ①資源確保について当社グループは、商業生産につながる資源の権益の取得、発見に努めています。しかし、当社グループによる権益の取得や探鉱が成功しない場合や確認済みの資源を予定どおり効率的に開発することができない場合、将来の原油生産は減少することになります。更に、当社グループが保有する確認済みの資源はノルウェーに集中しており、探鉱活動についてはノルウェー、英国、ベトナムの3地域で行っています。これらの地域における政治経済情勢等により当社グループの探鉱開発が中断され、確認済みの資源の開発や追加的な資源の発見ができない場合、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。 ②原油価格について石油開発事業の近年の営業利益は、主に原油価格に支えられていますが、原油価格は過去においても変動しており、政治経済情勢あるいはその他の要因により将来的に原油価格が下落した場合、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。 (2) 石炭事業について当社グループはオーストラリアの自社鉱山等で石炭を生産し、主に日本及びその他のアジア市場で販売しており、これら地域における今後の石炭需要の伸びに対応して、生産能力を拡大しています。しかしながら、他のエネルギーへの需要の移動、環境及びその他の規制等により、需要が伸びない可能性があります。また、需要が増加した場合でも当社グループよりも事業規模が大きく、経営基盤が確立している他の企業との競争にさらされる可能性もあります。更に、当社グループの石炭鉱山は気候の変動、事故やその他の不確定要因の影響を受けるかもしれません。石炭需要の期待された伸びが実現しない場合や他の企業との競争等により、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。 その他セグメント 電子材料、アグリバイオ事業について当社グループは将来の成長に向けて、電子材料分野やアグリバイオ分野において、付加価値の高い製品の開発を行っています。しかしながら、これらの製品の開発や生産あるいは市場の開拓で成果を挙げられるとは限りません。もし、当社グループが採算のとれる規模でこれらの製品の販売ができない場合、当社グループは開発コストを回収し、利益を確保することができない可能性があります。 (その他のリスク)(1) 投資について当社グループは事業資産の規模が大きく、既存の製油所・工場や販売設備等の維持更新、油田の権益取得や探鉱開発等の事業活動に多額の投資を必要とします。当社グループは当連結会計年度には、576億円の投資を行いました。今後も石油、石油化学を始めとする既存事業の競争力強化や石油開発・石炭事業の収益確保、新規事業育成のための投資を継続する予定ですが、投資に必要なキャッシュ・フローを生み出すことができない場合や外部調達ができない場合、予定した投資ができず期待された収益機会を失う可能性があります。更に経済情勢や市場環境の変化等によりこれらの投資が計画どおりの収益をあげられない可能性もあります。このような場合、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。 (2) 有利子負債について当社グループは、これまで有利子負債の削減を図ってきましたが、依然として多額の負債を負っています。当連結会計年度末における有利子負債残高は9,096億円で、当連結会計年度の支払利息は114億円です。 当社グループは、今後も有利子負債の削減に取り組んでいきますが、事業の継続、拡大に向けた投資を行うため追加的な資金調達が必要となるかもしれません。しかしながら、金融情勢の変化等により、資金調達に制約が生じた場合や金利上昇により金利負担が増加する場合、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。(3) 事業提携について当社グループは競争力強化の一環として、他社との事業提携を進めてきました。このような提携は当社の事業遂行において重要な役割を果たしています。しかしながら、戦略的な提携においては当社グループが出資先の経営、事業、資産に対して、十分なコントロールができない可能性があります。また、提携先企業の事情等によっても影響を受ける可能性があります。このような場合、当社グループの事業、財政状態及び経営成績は重大な影響を受ける可能性があります。 (4) ニソン製油所プロジェクトについて 当社グループはアジア市場における石油及び石油化学事業の展開の一環として、クウェート国際石油、ペトロベトナム、三井化学㈱(以下当社を含め「スポンサー」という)と共同でニソンリファイナリー・ペトロケミカルリミテッド(以下「NSRP」という)を設立し、ベトナム社会主義共和国タインホア省ニソン経済区に20万バレル/日の石油精製設備とパラキシレンをはじめとする石油化学品製造設備を有するニソン製油所・石油化学コンプレックスを建設します。 このプロジェクトは平成25年夏に建設着工しており、平成29年に営業運転を開始する予定です。 プロジェクトの総事業費は約90億米ドルと見込まれ、このうち50億米ドルは国際協力銀行をはじめとする銀行団によるプロジェクトファイナンスにより調達し、約40億米ドルはスポンサーによる出資及び貸付で調達します。 当社グループはプロジェクトファイナンスによる調達額のうち、NSRPへの当社グループ出資比率相当の35.1%について銀行団に対し建設完工までの債務保証を行っており、計画どおりに建設工事が完了しない場合、または建設工事の完了後に設備が一定の条件で稼働することができない場合、保証の実行により当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。 また、当社グループはスポンサーによる出資及び貸付の35.1%を負担しますが、ベトナムにおける政治経済情勢、法律や規制及び雇用環境の変化等からプロジェクトが計画どおりに進展しない場合、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。 当社グループはプロジェクトで想定される損失に対し(独)日本貿易保険の海外投資保険を付保していますが、このような保険が損失を填補するために必ずしも十分ではない可能性があります。 (5) 事故、災害について当社グループの事業は、自然災害や事故、これらに起因する操業停止等のリスクを有しています。自然災害には地震、津波、台風に加えて、日本という地震の多い地域に立地する製油所・工場における火災や爆発のリスクを含みます。当社グループの設備は人的、機械的なエラーによる事故の影響を受けることもあります。当社グループが保有する大型タンカーを含む原油や石油製品の輸送は、海賊や悪天候による転覆、衝突等の危険にさらされています。また、当社グループは労働紛争によるリスクにもさらされます。このようなリスクの発生により当社グループの事業は、長期間にわたって中断される可能性があります。 当社グループは事故や災害で想定される損失に対し、損害保険等を付保していますが、このような保険が損失を填補するために必ずしも十分ではない可能性があります。 (6) 環境に関する規制について当社グループの事業は、当社グループが事業を行い、あるいは権益を有する日本やその他の国における広範な環境保全やその他の法的規制の下にあります。例えば、当社グループは、製油所や工場からの汚染物質の排出、廃棄物の処理等について規制を受け、基準を超える環境汚染発生に伴う罰則を受ける可能性もあります。また、日本や他の国の当局が新たな規制を行ったり、あるいは現在や将来の環境規制を遵守することにより多額の支出を伴う可能性があります。地球温暖化問題への取り組みに関連して、日本や他の国が温室効果ガスの排出の制限や新たな炭素課税を導入することにより、当社グループは多額の費用負担や投資が必要となる可能性があります。このような環境やその他の規制の遵守に伴う債務や義務の負担により、当社グループの財政状態及び経営成績は重大な影響を受ける可能性があります。 (7) 知的財産権について当社グループは、事業の遂行のために知的財産権やライセンスを活用しており、特に石油精製技術や潤滑油、機能性樹脂、機能化学品、電子材料、アグリバイオ等の付加価値の高い製品分野において特許や企業秘密の位置づけは重要です。また、当社グループはブランドを商標登録しています。しかしながら、当社グループが保有する特許、企業秘密、商標が当社の知的財産権を保護するために十分であるとは限りません。 また、当社グループの企業秘密が従業員、取引先、その他の関係者によって不適切に取り扱われる可能性があります。 当社グループが、第三者から供与されている技術ライセンスが更新されない可能性や、第三者から知的財産権の侵害についてクレームを受けて、その技術を利用できなくなる可能性があります。 当社グループが事業遂行に必要な知的財産権を保護できない、あるいは全面的に活用できない場合、当社グループの事業や経営成績は影響を受ける可能性があります。 (8) 為替相場の変動について当社グループは、多額の外貨建取引を行い、また外貨建の資産及び負債を有しています。このため、為替相場の変動は外貨建取引の収益や財務諸表の円貨換算額に影響を与えます。また、為替相場の変動は、海外の連結子会社及び持分法適用会社の収益や財務諸表を円貨換算する場合にも影響を与えることになります。 (9) 資産価格の下落について当社グループは、当期に固定資産の減損損失356億円を計上しました。今後も当社グループが保有する資産の価値が経済情勢等の変化により下落した場合には評価損が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。 (10) 個人情報の管理について当社グループは、石油製品販売やクレジットカード事業等に関して顧客の個人情報や資産データを直接、間接に取り扱っています。当社グループは、これらの情報の管理不徹底やそれによってもたらされる問題への対処のために、多額の費用を負担する可能性があります。更に、顧客の個人情報が不適切に取り扱われ、あるいは管理上の問題が発生した場合、当社グループがその情報を直接管理していたかどうかにかかわらず、当社グループへの信頼の低下、クレーム、訴訟等につながり、当社の事業、経営成績は影響を受ける可能性があります。 (11) 株主との取引について当社は、日章興産㈱、公益財団法人出光文化福祉財団と不動産賃貸借取引を行っており、取引条件は、近隣の相場をもとに決定しています。また、公益財団法人出光美術館に寄付を行っていますが、寄付金は当該公益財団法人の運営費及び当社の事業規模、宣伝効果などを勘案して決定しています。