5019

出光興産(5019)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

石油・石炭製品 エネルギー資源

事業の概要

  • 石油製品の製造販売
    出光興産は、ガソリン、灯油、軽油などの石油製品を精製し、全国のサービスステーションや産業向けに販売することで収益を得ています。原油を輸入し、自社の製油所で加工する一貫体制が特徴で、日本のエネルギー供給を支える基幹事業です。
  • 基礎化学品の製造販売
    ナフサなどの石油由来原料から、プラスチックや合成繊維の原料となる基礎化学品を製造・販売しています。国内外の工場で生産し、自動車、家電、建材など幅広い産業に供給しており、多様な製品を通じて収益を上げています。
  • 電力・再生可能エネルギー事業
    火力発電所や再生可能エネルギー発電所(太陽光、風力など)を運営し、電力を供給しています。卸電力取引市場での売買や、企業・家庭への電力小売を通じて収益を確保しており、脱炭素社会への移行を見据えた新たな収益源として育成しています。
出典: FY2024 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 石油事業
    売上高7兆6,963億円、営業利益1,083億円で、出光興産の最大の稼ぎ頭です。ガソリン、灯油、軽油などの石油製品の精製・販売が中心で、日本のエネルギー供給を支える基幹事業であり、同社の収益の大部分を占めています。
  • 基礎化学品事業
    売上高5,871億円、営業利益は-99億円と赤字です。ナフサを原料として、プラスチックや合成繊維の原料となる基礎化学品を製造・販売していますが、市場競争の激化や原料価格の変動、中国での新規設備増加による供給過多が収益を圧迫しています。
  • 資源事業
    売上高2,652億円、営業利益683億円と高収益です。石油・天然ガス開発や石炭採掘・販売を手掛けており、特にオーストラリアでの石炭生産やベトナムなどでの油ガス田開発が貢献しています。国際的な資源価格の動向が業績に大きく影響します。
2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
Petroleum 事業 76,964 1,084 1.4%
BasicChemicals 事業 5,872 -100 -1.7%
FunctionalMaterials 事業 5,034 280 5.6%
PowerAndRenewableEnergy 事業 1,276 -113 -8.9%
Resources 事業 2,652 684 25.8%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2024|206 文字
3【事業の内容】当社及び当社の関係会社(当社、子会社177社及び関連会社55社)が営む主要な事業の内容と主要な関係会社の当該事業における位置付けは、次のとおりです。また、当連結会計年度より連結子会社又は持分法適用会社の数を変更しています。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表等 注記事項 1.連結の範囲に関する事項 2.持分法の適用に関する事項」に記載のとおりです。 [事業系統図]

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
市場における激しい競争等により、価格変動を製品価格に適切に転嫁できない場合があるため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 設備
製油所・工場や販売設備等の維持更新、油田の権益取得や探鉱開発等に多額の投資が必要。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか シクリカル
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:国際情勢や経済環境等の変化によるリスク / 事業を取り巻く外部環境の変化によるリスク / 気候変動に関するリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 11 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★☆☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

出光ブランドは一定の認知度を持つが、石油業界全体でブランドロイヤリティは限定的。特許やIPによる明確な競争優位性は見えにくい。一部の独自技術や研究開発への投資は存在するが、それが持続的な無形資産としてのモートに繋がるかは不透明。

スイッチングコスト★★☆☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

ガソリンスタンド利用者は価格や利便性で選択することが多く、特定のブランドへの強いスイッチング・コストは低い。法人向け燃料供給などでは、契約による一定のスイッチング・コストが発生する可能性があるが、業界全体で見た場合の顧客の囲い込み力は限定的。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

石油製品の販売・供給事業であり、ネットワーク効果が働くビジネスモデルではない。プラットフォーム型サービスとは異なり、ユーザー数の増加が直接的にサービス価値を高める構造ではない。

コスト優位★★★☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

製油所や物流網の効率化、スケールメリットによる調達コストの低減が競争力の源泉。特に、複数の製油所を統合・最適化する取り組みはコスト優位性を高める可能性がある。ただし、原油価格の変動リスクは大きく、構造的なコスト優位性は限定的。

規模の経済★★★★☆
根拠:強い規模が参入障壁になる

国内有数の石油元売会社として、精製能力、販売網において大規模な設備投資と事業規模を持つ。業界再編や統合が進む中で、一定の寡占状態を維持し、効率的な事業運営が可能。業界内での相対的な規模の経済性は高い。

  • 広範な事業ポートフォリオ
    石油製品、基礎化学品、高機能材、電力・再生可能エネルギー、資源開発と多岐にわたる事業を展開しており、特定の事業に依存しない安定した収益基盤を築いています。これにより、市場変動リスクを分散し、経営の安定性を高めています。
  • 国内外の強固な供給網
    日本国内に複数の製油所や販売網を持つほか、アジアを中心に海外にも事業を展開し、製品の安定供給能力が高いです。特に中東からの原油輸入においては、長期契約とリスク分散により安定調達を図っており、事業継続性を確保しています。
  • 技術開発力と多様な製品群
    潤滑油や機能性材料などの高機能材分野において、独自の技術開発を進め、高付加価値製品を提供しています。これにより、価格競争に巻き込まれにくい製品群を持ち、高い収益性を追求できる強みがあります。
出典: FY2024 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1)2050年ビジョン・2030年ビジョン当社はカーボンニュートラル・循環型社会を見据え、3つの事業領域「一歩先のエネルギー」、「多様な省資源・資源循環ソリューション」、「スマートよろずや」の社会実装を通して、「人びとの暮らしを支える責任」「未来の地球環境を守る責任」を果たしていくことを、2050年ビジョン「変革をカタチに」として定めています。その手前では2030年ビジョン「責任ある変革者」を掲げ、エネルギー・マテリアルの安定供給責務を果たしながら、カーボンニュートラル・循環型社会に向けた取組みを具現化させる時期と位置づけています。 (2)2030年基本方針現行の中期経営計画の期間中、様々な地政学リスクやカーボンニュートラルの世界的潮流において大きな環境変化に直面したものの、当社は掲げた中長期ビジョンを軸にぶれることなく、引き続きエネルギー・マテリアルの安定供給という使命を果たしながら、既存事業の資本効率・収益力の更なる向上と、カーボンニュートラル・循環型社会に向けた準備を並行して進めています。これにより当社は持続的に成長を続け、社会とともに未来に進んでいけるものと考えています。また、事業構造改革と並んで、当社の経営戦略の根幹となる人財戦略については、人的資本投資を通じて、従業員の成長・やりがいの最大化を図り、競争力の源泉となる人財育成を推進しています。事業構造改革と人財戦略を柱とする経営戦略を加速させるべく、ビジネスプラットフォームの進化に向けDX戦略やガバナンスの進化にも取組み、変革の基盤を築いていきます。(3)中期経営計画2年目の進捗①事業構造改革の取組み―既存事業の資本効率・収益力向上当社では、エネルギー・マテリアルの安定供給を果たすためには、既存事業の資本効率・収益力の更なる向上が非常に重要だと考えています。この方針の下、2023年度は機能化学品事業の構造改革、太陽光発電システムのオンサイトでの導入、潤滑油事業では車両の低コスト化や高性能化へ貢献するEVやHEVの駆動ユニット向けオイルなどの高付加価値製品の新開発・販売拡大、また資源事業ではボガブライ鉱山への石炭生産の集約等に取り組みました。さらに2024年度は以下の主な取組みを通じ、資本効率・収益力の向上に加えCO₂排出量の削減を加速させました。 <2024年度の主な取組み> 精製・製造拠点の競争力の強化 ・西部石油㈱の精製機能停止とCNXセンター化に向けた検討推進・富士石油㈱との資本業務提携・三井化学㈱との千葉地区エチレン装置集約による生産最適化検討  サービスステーション(SS)ネットワークの維持・強化と顧客体験価値の向上 ・「スマートよろずや」に向けた、SSの収益力を強化する各種施策の全国展開・顧客体験価値を向上させる「DriveOn(アプリ)」の普及拡大(1,100万ダウンロード突破)と新業態の展開(apolloONE・Type Green)  高機能材、先進マテリアル領域の拡大 ・海外市場における潤滑油“Idemitsu Brand Motor Oil”の販売拡大・アグロ カネショウ㈱の完全子会社化によるバイオ・ライフソリューション事業の基盤強化  次世代燃料導入の加速 ・「出光バイオディーゼル5」の販売開始・「出光リニューアブルディーゼル」の販売開始・「出光バイオ重油」の船舶燃料実証  ②事業構造改革の取組み―カーボンニュートラル・循環型社会を見据えた取組み当社は前述のとおりカーボンニュートラル・循環型社会を見据え、3つの事業領域「一歩先のエネルギー」「多様な省資源・資源循環ソリューション」、「スマートよろずや」の社会実装を通じて、事業ポートフォリオの転換を推進しています。2024年5月にブルーアンモニア、e-メタノール、SAF、リチウム固体電解質を重点4事業に設定しました。また、使用済プラスチックスの油化ケミカルリサイクル装置の建設を開始しました。 <2024年度の主な取組み>●一歩先のエネルギー ブルーアンモニア   石炭や重油の代替として期待されるアンモニアは、石油製品と同様の輸送・保管が可能であり、既存設備やサプライチェーンの活用が可能です。当社は徳山事業所のアンモニア供給基地化及び周南コンビナート各社への供給インフラの構築に向け検討を進めているほか、2024年10月、三菱商事㈱とともに、エクソンモービル社が推進する製造プロジェクトへの参画、アンモニア調達等の共同検討など、2030年までに年間100万トン超の供給体制構築に向けた取組みを進めています。アンモニアの次世代の製造技術の研究開発においても、2024年7月、常温・常圧下で進行するアンモニアの連続電解合成で世界最高性能の達成を発表しました。  徳山事業所 (アンモニア貯蔵検討を進めているLPGタンク) e-メタノール e-メタノールなどのe-fuel(合成燃料)は、自動車等の内燃機関(エンジン)に手を加えることなく利用可能であり、早期の実用化が期待されています。当社は、再生可能エネルギーをベースにした合成燃料製造プロジェクトを推進するグローバル企業、HIF Global社にJOGMECと共同で出資するなど、政府機関とも連携を行いつつ、海外からの調達に向けた検討を進めています。当社北海道製油所のある苫小牧エリアにおいても、パートナー企業と連携して水素サプライチェーン構築とe-メタノール製造の検討を進めています。これら国内外の拠点において、2030年までに年間28万トン規模の供給体制構築を目指し取組みを進めていきます。  北海道製油所 SAF(持続可能な航空燃料)   国内航空業界では、2030年に使用燃料の10%(年間約170万KL)をSAFへ置き換える目標を掲げるなど、近い将来の需要が見込まれています。当社は2030年までに年間50万KLの国内供給体制の構築へ向けた取組みを進めており、2028年度までの生産開始を目指し、千葉・徳山両事業所において製造装置の建設に向けた検討を進めています。海外では、豪州Jet Zero Australia社との協業のほか、安定的な原料確保に向け、2025年1月から豪州にて米国Terviva社と原料(ポンガミア)の試験植林を開始するなど、グローバルサプライチェーンの構築に向けた取組みを進めています。  ●多様な省資源・資源循環ソリューション リチウム固体電解質   安全面のほか、充電時間短縮や航続距離などの飛躍的な性能向上が期待される、次世代のEVバッテリー「全固体電池」について、主要原料である固体電解質の開発・量産に向けた取組みを進めています。2027~28年度の全固体電池実用化を目指し、トヨタ自動車㈱と固体電解質の量産技術開発、性能向上に向けた協業を行うとともに、製造設備建設に向けた取組みを進めています。2024年10月、大型パイロット装置の基本設計を開始したほか、2025年2月に固体電解質の中間原料である硫化リチウムの大型製造装置の建設を決定しました。  固体電解質 使用済プラスチックスの油化ケミカルリサイクル 2025年度の商業運転開始を目指し、千葉事業所隣接エリアにて使用済プラスチックスの油化ケミカルリサイクル装置(処理能力年間2万トン)の建設を進めています。2024年3月、㈱本田技術研究所とともに実証実験を実施し、使用済自動車由来プラスチックスからケミカルリサイクル油を生産、あわせて石油化学製品原料としての有用性を確認しました。  ③人的資本―人財戦略当社では事業を通じて人を育てる、「人が中心の経営」を実践することを大切にしています。現行の中期経営計画では「企業理念・ビジョンの体現」「DE&Iの深化」「個々人の能力・個性の発揮」の3本の柱として各施策を推進し、いかなる環境になろうとも難題を克服できる人財を育てていきます。人財戦略の詳細については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本の多様性に関する戦略並びに指標及び目標」に記載のとおりです。 ④ビジネスプラットフォームの進化―DX人財の育成と生産性向上当社は、事業構造改革を成し遂げるためにデジタル化を進め、「変革をカタチに」することを目指しています。エネルギーや産業構造の変化に対応し、ITインフラの再構築や様々なデジタルツールを活用し、仕事の質やビジネスモデルの革新に取り組んでいます。この変革の鍵は「ひとのチカラ」であり、DX人財の育成が重要であると考えています。多くの従業員が仕事の中で、自然とデジタル技術を活用できている状態を目指しています。2024年度は、DX人財の育成と生産性向上を図るべく、以下の主な取組みを行いました。 <2024年度の主な取組み> DXを支える人財育成 ・DXリテラシー研修の受講者が4,000名を突破 AIの活用による生産性向上と価値創出 ・陸上配車・外航船配船システムへのAI活用・製油所・事業所のデータの一元化・生成AIによる人財マッチング 研究領域におけるMI*+AI活用の強化 体系的研修を導入し、研究者の3割がMIスキル保有者*マテリアルズ・インフォマティクス(ITを活用した材料開発) ⑤業績見通し (中期経営計画期間累計及び2025年度)中期経営計画期間(2023-2025年)累計の業績見通しについては、中期経営計画策定時点(2022年11月)の当初目標を上回る想定です。2025年度業績見通しは、米国の関税政策による影響を踏まえ、ドバイ原油価格、豪州一般炭市況等の前提を引き下げた結果、前年対比減益を想定しています。不透明な事業環境が想定されるものの、事業所稼働の更なる安定化、海外トレーディング事業の拡大、M&Aの加速といった追加施策を今後具現化し、更なる収益改善に向けた取組みを推進していきます。 中期経営計画期間(2023-2025年)累計業績見通し 当初目標最新見通し増減営業+持分損益※5,600億円6,722億円+1,122億円当期純利益※3,800億円4,369億円+569億円※在庫影響除き2025年度連結業績見通し 2024年度実績最新見通し増減営業+持分損益※2,147億円1,470億円△677億円当期純利益※1,248億円1,200億円△48億円※在庫影響除き主要市況前提 2024年度実績2025年度見通し増減ドバイ原油価格($/バレル)78.565.0△13.5豪州一般炭*($/トン)134.895.0△39.8為替(円/$)152.6145.0△7.6*1~12月平均⑥資本・財務戦略及び株主還元投資配分については、戦略投資を中期経営計画より増額し、既存事業の収益力強化のための投資を促進すると共に、重点4事業を中心としたカーボンニュートラル投資を通じてCO₂排出量削減と事業ポートフォリオ転換を推進しています。株主還元については、2023年11月に年間配当を24円から32円へ増配、さらに2024年11月に年間配当を32円から36円へ増配し、併せて2025年度までの下限配当水準に設定しました。加えて、株価水準を意識した機動的な自己株式取得を推進するなど、株主還元の更なる充実を図っています。また、財務構成の最適化については、現行格付維持による財務安定性の確保を前提として、資本効率の更なる向上を図るため、株主還元方針に加え1,000億円の自己株式取得を実施する方針を2024年5月に決定し、2024年度中に取得を完了しています。なお、2025年度の配当については、不透明な事業環境ではあるものの、株主還元方針に基づき1株当たり年間36円(中間18円、期末18円)を予定しています。 株主還元方針2023~2025年度の3カ年累計の在庫影響除き当期純利益に対し、総還元性向50%以上の株主還元を実施します。 配当 1株当たり36円、当水準を下限とする 自己株式取得 株価水準を意識し機動的に実施する
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1)2050年ビジョン・2030年ビジョン当社はカーボンニュートラル・循環型社会を見据え、3つの事業領域「一歩先のエネルギー」、「多様な省資源・資源循環ソリューション」、「スマートよろずや」の社会実装を通して、「人びとの暮らしを支える責任」「未来の地球環境を守る責任」を果たしていくことを、2050年ビジョン「変革をカタチに」として定めています。その手前では2030年ビジョン「責任ある変革者」を掲げ、エネルギー・マテリアルの安定供給責務を果たしながら、カーボンニュートラル・循環型社会に向けた取組みを具現化させる時期と位置づけています。 (2)2030年基本方針現行の中期経営計画の期間中、様々な地政学リスクやカーボンニュートラルの世界的潮流において大きな環境変化に直面したものの、当社は掲げた中長期ビジョンを軸にぶれることなく、引き続きエネルギー・マテリアルの安定供給という使命を果たしながら、既存事業の資本効率・収益力の更なる向上と、カーボンニュートラル・循環型社会に向けた準備を並行して進めています。これにより当社は持続的に成長を続け、社会とともに未来に進んでいけるものと考えています。また、事業構造改革と並んで、当社の経営戦略の根幹となる人財戦略については、人的資本投資を通じて、従業員の成長・やりがいの最大化を図り、競争力の源泉となる人財育成を推進しています。事業構造改革と人財戦略を柱とする経営戦略を加速させるべく、ビジネスプラットフォームの進化に向けDX戦略やガバナンスの進化にも取組み、変革の基盤を築いていきます。(3)中期経営計画2年目の進捗①事業構造改革の取組み―既存事業の資本効率・収益力向上当社では、エネルギー・マテリアルの安定供給を果たすためには、既存事業の資本効率・収益力の更なる向上が非常に重要だと考えています。この方針の下、2023年度は機能化学品事業の構造改革、太陽光発電システムのオンサイトでの導入、潤滑油事業では車両の低コスト化や高性能化へ貢献するEVやHEVの駆動ユニット向けオイルなどの高付加価値製品の新開発・販売拡大、また資源事業ではボガブライ鉱山への石炭生産の集約等に取り組みました。さらに2024年度は以下の主な取組みを通じ、資本効率・収益力の向上に加えCO₂排出量の削減を加速させました。 <2024年度の主な取組み> 精製・製造拠点の競争力の強化 ・西部石油㈱の精製機能停止とCNXセンター化に向けた検討推進・富士石油㈱との資本業務提携・三井化学㈱との千葉地区エチレン装置集約による生産最適化検討  サービスステーション(SS)ネットワークの維持・強化と顧客体験価値の向上 ・「スマートよろずや」に向けた、SSの収益力を強化する各種施策の全国展開・顧客体験価値を向上させる「DriveOn(アプリ)」の普及拡大(1,100万ダウンロード突破)と新業態の展開(apolloONE・Type Green)  高機能材、先進マテリアル領域の拡大 ・海外市場における潤滑油“Idemitsu Brand Motor Oil”の販売拡大・アグロ カネショウ㈱の完全子会社化によるバイオ・ライフソリューション事業の基盤強化  次世代燃料導入の加速 ・「出光バイオディーゼル5」の販売開始・「出光リニューアブルディーゼル」の販売開始・「出光バイオ重油」の船舶燃料実証  ②事業構造改革の取組み―カーボンニュートラル・循環型社会を見据えた取組み当社は前述のとおりカーボンニュートラル・循環型社会を見据え、3つの事業領域「一歩先のエネルギー」「多様な省資源・資源循環ソリューション」、「スマートよろずや」の社会実装を通じて、事業ポートフォリオの転換を推進しています。2024年5月にブルーアンモニア、e-メタノール、SAF、リチウム固体電解質を重点4事業に設定しました。また、使用済プラスチックスの油化ケミカルリサイクル装置の建設を開始しました。 <2024年度の主な取組み>●一歩先のエネルギー ブルーアンモニア   石炭や重油の代替として期待されるアンモニアは、石油製品と同様の輸送・保管が可能であり、既存設備やサプライチェーンの活用が可能です。当社は徳山事業所のアンモニア供給基地化及び周南コンビナート各社への供給インフラの構築に向け検討を進めているほか、2024年10月、三菱商事㈱とともに、エクソンモービル社が推進する製造プロジェクトへの参画、アンモニア調達等の共同検討など、2030年までに年間100万トン超の供給体制構築に向けた取組みを進めています。アンモニアの次世代の製造技術の研究開発においても、2024年7月、常温・常圧下で進行するアンモニアの連続電解合成で世界最高性能の達成を発表しました。  徳山事業所 (アンモニア貯蔵検討を進めているLPGタンク) e-メタノール e-メタノールなどのe-fuel(合成燃料)は、自動車等の内燃機関(エンジン)に手を加えることなく利用可能であり、早期の実用化が期待されています。当社は、再生可能エネルギーをベースにした合成燃料製造プロジェクトを推進するグローバル企業、HIF Global社にJOGMECと共同で出資するなど、政府機関とも連携を行いつつ、海外からの調達に向けた検討を進めています。当社北海道製油所のある苫小牧エリアにおいても、パートナー企業と連携して水素サプライチェーン構築とe-メタノール製造の検討を進めています。これら国内外の拠点において、2030年までに年間28万トン規模の供給体制構築を目指し取組みを進めていきます。  北海道製油所 SAF(持続可能な航空燃料)   国内航空業界では、2030年に使用燃料の10%(年間約170万KL)をSAFへ置き換える目標を掲げるなど、近い将来の需要が見込まれています。当社は2030年までに年間50万KLの国内供給体制の構築へ向けた取組みを進めており、2028年度までの生産開始を目指し、千葉・徳山両事業所において製造装置の建設に向けた検討を進めています。海外では、豪州Jet Zero Australia社との協業のほか、安定的な原料確保に向け、2025年1月から豪州にて米国Terviva社と原料(ポンガミア)の試験植林を開始するなど、グローバルサプライチェーンの構築に向けた取組みを進めています。  ●多様な省資源・資源循環ソリューション リチウム固体電解質   安全面のほか、充電時間短縮や航続距離などの飛躍的な性能向上が期待される、次世代のEVバッテリー「全固体電池」について、主要原料である固体電解質の開発・量産に向けた取組みを進めています。2027~28年度の全固体電池実用化を目指し、トヨタ自動車㈱と固体電解質の量産技術開発、性能向上に向けた協業を行うとともに、製造設備建設に向けた取組みを進めています。2024年10月、大型パイロット装置の基本設計を開始したほか、2025年2月に固体電解質の中間原料である硫化リチウムの大型製造装置の建設を決定しました。  固体電解質 使用済プラスチックスの油化ケミカルリサイクル 2025年度の商業運転開始を目指し、千葉事業所隣接エリアにて使用済プラスチックスの油化ケミカルリサイクル装置(処理能力年間2万トン)の建設を進めています。2024年3月、㈱本田技術研究所とともに実証実験を実施し、使用済自動車由来プラスチックスからケミカルリサイクル油を生産、あわせて石油化学製品原料としての有用性を確認しました。  ③人的資本―人財戦略当社では事業を通じて人を育てる、「人が中心の経営」を実践することを大切にしています。現行の中期経営計画では「企業理念・ビジョンの体現」「DE&Iの深化」「個々人の能力・個性の発揮」の3本の柱として各施策を推進し、いかなる環境になろうとも難題を克服できる人財を育てていきます。人財戦略の詳細については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本の多様性に関する戦略並びに指標及び目標」に記載のとおりです。 ④ビジネスプラットフォームの進化―DX人財の育成と生産性向上当社は、事業構造改革を成し遂げるためにデジタル化を進め、「変革をカタチに」することを目指しています。エネルギーや産業構造の変化に対応し、ITインフラの再構築や様々なデジタルツールを活用し、仕事の質やビジネスモデルの革新に取り組んでいます。この変革の鍵は「ひとのチカラ」であり、DX人財の育成が重要であると考えています。多くの従業員が仕事の中で、自然とデジタル技術を活用できている状態を目指しています。2024年度は、DX人財の育成と生産性向上を図るべく、以下の主な取組みを行いました。 <2024年度の主な取組み> DXを支える人財育成 ・DXリテラシー研修の受講者が4,000名を突破 AIの活用による生産性向上と価値創出 ・陸上配車・外航船配船システムへのAI活用・製油所・事業所のデータの一元化・生成AIによる人財マッチング 研究領域におけるMI*+AI活用の強化 体系的研修を導入し、研究者の3割がMIスキル保有者*マテリアルズ・インフォマティクス(ITを活用した材料開発) ⑤業績見通し (中期経営計画期間累計及び2025年度)中期経営計画期間(2023-2025年)累計の業績見通しについては、中期経営計画策定時点(2022年11月)の当初目標を上回る想定です。2025年度業績見通しは、米国の関税政策による影響を踏まえ、ドバイ原油価格、豪州一般炭市況等の前提を引き下げた結果、前年対比減益を想定しています。不透明な事業環境が想定されるものの、事業所稼働の更なる安定化、海外トレーディング事業の拡大、M&Aの加速といった追加施策を今後具現化し、更なる収益改善に向けた取組みを推進していきます。 中期経営計画期間(2023-2025年)累計業績見通し 当初目標最新見通し増減営業+持分損益※5,600億円6,722億円+1,122億円当期純利益※3,800億円4,369億円+569億円※在庫影響除き2025年度連結業績見通し 2024年度実績最新見通し増減営業+持分損益※2,147億円1,470億円△677億円当期純利益※1,248億円1,200億円△48億円※在庫影響除き主要市況前提 2024年度実績2025年度見通し増減ドバイ原油価格($/バレル)78.565.0△13.5豪州一般炭*($/トン)134.895.0△39.8為替(円/$)152.6145.0△7.6*1~12月平均⑥資本・財務戦略及び株主還元投資配分については、戦略投資を中期経営計画より増額し、既存事業の収益力強化のための投資を促進すると共に、重点4事業を中心としたカーボンニュートラル投資を通じてCO₂排出量削減と事業ポートフォリオ転換を推進しています。株主還元については、2023年11月に年間配当を24円から32円へ増配、さらに2024年11月に年間配当を32円から36円へ増配し、併せて2025年度までの下限配当水準に設定しました。加えて、株価水準を意識した機動的な自己株式取得を推進するなど、株主還元の更なる充実を図っています。また、財務構成の最適化については、現行格付維持による財務安定性の確保を前提として、資本効率の更なる向上を図るため、株主還元方針に加え1,000億円の自己株式取得を実施する方針を2024年5月に決定し、2024年度中に取得を完了しています。なお、2025年度の配当については、不透明な事業環境ではあるものの、株主還元方針に基づき1株当たり年間36円(中間18円、期末18円)を予定しています。 株主還元方針2023~2025年度の3カ年累計の在庫影響除き当期純利益に対し、総還元性向50%以上の株主還元を実施します。 配当 1株当たり36円、当水準を下限とする 自己株式取得 株価水準を意識し機動的に実施する
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要①経営成績の状況ア.一般経済情勢及び当社グループを取り巻く環境当連結会計年度におけるわが国の経済は、雇用や所得環境の改善を背景として、景気は緩やかな回復基調で推移しました。一方で、ロシアによるウクライナ侵攻、中東情勢の緊迫化など地政学リスクの影響の長期化や米国新政権の政策動向等、依然として不安定な状況が続いています。国内石油製品販売量は、ガソリン等主燃料は2020年以降のコロナ禍における需要減からの回復が一服し、前年度から減少しました。ジェット燃料は需要の回復が続くものの、当社においては官公庁向け入札案件の減少により前年度から減少しました。原油価格は、ロシアによるウクライナ侵攻やイスラエルとガザ地区での緊張などの地政学リスクの高まりによる一時的な上昇局面はあったものの、米中の経済指標の弱さから景気減速が意識され、年間を通じて下落基調で推移しました。この結果、ドバイ原油価格は前期比3.8ドル/バレル下落の78.5ドル/バレルとなりました。円の対米ドルレートは、日米の金融政策の差異を背景に円安ドル高が進行し、7月には160円/ドルに近い水準に到達したものの、8月以降は日米金利差を背景に上昇と下落を繰り返し、結果として、平均レートは前期比8.0円/ドル円安の152.6円/ドルとなりました。 イ.業績当社グループの当期の売上高は、円安影響などにより、9兆1,902億円(前期比+5.4%)となりました。売上原価は、8兆5,008億円(前期比+8.0%)となり、販売費及び一般管理費は、5,272億円(前期比+5.3%)となりました。営業損益は、燃料油セグメントにおける原油価格下落による在庫影響や基礎化学品セグメントにおける数量減少及び製品市況の下落、資源セグメントにおける石炭市況の下落などにより、1,622億円(前期比△53.2%)となりました。営業外損益は、持分法投資利益の増加などにより、526億円(前期比+35.1%)となりました。その結果、経常損益は2,148億円(前期比△44.3%)となりました。特別損益は、固定資産の減損損失の計上などにより、△564億円(前期比+21億円)となりました。法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額を合わせた税金費用は、563億円(前期比△43.6%)となり、非支配株主に帰属する当期純損失は20億円(前期比+22.0%)となりました。以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,041億円(前期比△54.5%)となりました。 セグメント別売上高(単位:億円) 前連結会計年度当連結会計年度増減 (2024年3月期)(2025年3月期)増減額増減率燃料油70,80876,964+6,156+8.7%基礎化学品6,0165,872△144△2.4%高機能材5,1545,034△120△2.3%電力・再生可能エネルギー1,4151,276△139△9.9%資源3,7052,652△1,052△28.4%その他・調整額95105+9+9.9%合計87,19291,902+4,710+5.4% セグメント別利益又は損失(△)(単位:億円) 前連結会計年度当連結会計年度増減 (2024年3月期)(2025年3月期)増減額増減率燃料油(在庫評価影響除き)2,197(1,672)1,221(1,520)△975(△152)△44.4%(△9.1%)基礎化学品220△80△300-高機能材276282+7+2.4%電力・再生可能エネルギー△76△123△47-資源1,169774△396△33.9%その他512+6+122.0%調整額△161△238△77-合計(在庫評価影響除き)3,630(3,106)1,848(2,147)△1,782(△959)△49.1%(△30.9%)(注)セグメント別利益又は損失(△)は、セグメント別の営業損益と持分法投資損益の合計額です。 (ア)燃料油セグメント燃料油セグメントについては、売上高は原油価格が下落したものの、円安影響などにより、7兆6,964億円(前期比+8.7%)となりました。セグメント損益は、国内製品マージンが堅調であったものの、海外マージン悪化に伴う輸出利益の減少などにより、1,221億円(前期比△44.4%)となりました。 (イ)基礎化学品セグメント基礎化学品セグメントについては、製品市況の悪化及び定期修繕や製造装置トラブルに伴う数量減などにより、売上高は5,872億円(前期比△2.4%)、セグメント損益は△80億円(前期比△300億円)となりました。 (ウ)高機能材セグメント高機能材セグメントについては、機能化学品製造設備の定期修繕に伴う数量減があったものの、潤滑油事業の販売ポートフォリオの改善などにより、売上高は5,034億円(前期比△2.3%)、セグメント損益は282億円(前期比+2.4%)となりました。 (エ)電力・再生可能エネルギーセグメント電力・再生可能エネルギーセグメントについては、トラブルに伴う調達コストの増加やバイオマス原料コストの増加などにより、売上高は1,276億円(前期比△9.9%)、セグメント損益は△123億円(前期比△47億円)となりました。 (オ)資源セグメント(石油・天然ガス開発事業・地熱事業)石油・天然ガス開発事業・地熱事業については、円安影響があったものの、原油価格の下落などにより、売上高は404億円(前期比+5.4%)、セグメント損益は187億円(前期比△2.3%)となりました。 (石炭事業・その他事業)石炭事業・その他事業については、石炭市況の下落に伴う価格要因などにより、売上高は2,248億円(前期比△32.3%)、セグメント損益は587億円(前期比△40.0%)となりました。 以上の結果、資源セグメントの売上高は2,652億円(前期比△28.4%)、セグメント損益は774億円(前期比△33.9%)となりました。 (カ)その他セグメントその他セグメントの売上高は105億円(前期比+9.9%)、セグメント損益は12億円(前期比+122.0%)となりました。②財政状態の状況要約連結貸借対照表(単位:億円) 前連結会計年度(2024年3月期)当連結会計年度(2025年3月期)増減流動資産29,16826,499△2,670固定資産20,95521,257+303資産合計50,12347,756△2,367流動負債21,92520,974△951固定負債10,0739,405△668負債合計31,99830,379△1,619純資産合計18,12517,377△748負債純資産合計50,12347,756△2,367 ア.資産の部当期末における資産合計は、原油価格の下落等による棚卸資産の減少や前期末の休日影響等による売掛債権の減少などにより、4兆7,756億円(前期末比△2,367億円)となりました。 イ.負債の部当期末における負債合計は、有利子負債の減少や前期末の休日影響による未払金の減少などにより、3兆379億円(前期末比△1,619億円)となりました。 ウ.純資産の部当期末の純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による増加がありましたが、自己株式の取得や配当金の支払いなどにより、1兆7,377億円(前期末比△748億円)となりました。 以上の結果、自己資本比率は前期末の35.9%から当期末は36.0%(前期末比+0.1ポイント)となりました。また、当期末のネットD/Eレシオは0.6(前期末:0.7)となりました。 ③キャッシュ・フローの状況要約連結キャッシュ・フロー計算書(単位:億円) 前連結会計年度(2024年3月期)当連結会計年度(2025年3月期)営業活動によるキャッシュ・フロー3,7744,767投資活動によるキャッシュ・フロー△658△1,185財務活動によるキャッシュ・フロー△2,805△3,435現金及び現金同等物に係る換算差額2718現金及び現金同等物の増減額(△は減少)338166現金及び現金同等物の期首残高1,0311,369連結の範囲の変更に伴う現金及び現金同等物の増減額(△は減少)-2連結子会社の決算期変更に伴う現金及び現金同等物の増減額(△は減少)-106現金及び現金同等物の期末残高1,3691,643 当期末の現金及び現金同等物は、1,643億円となり、前期末に比べ、274億円増加しました。その主な要因は次のとおりです。 ア.営業活動におけるキャッシュ・フロー税金等調整前当期純利益や減価償却費等、運転資本の減少などの資金増加要因が、未払金の減少などの資金減少要因を上回ったことにより、4,767億円の収入となりました。 イ.投資活動におけるキャッシュ・フロー製油所設備の維持更新投資等による有形固定資産の取得などにより、1,185億円の支出となりました。 ウ.財務活動におけるキャッシュ・フロー有利子負債の返済や自己株式の取得、配当金の支払いなどにより、3,435億円の支出となりました。 ④生産、受注及び販売の実績ア.生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)燃料油3,748,76393.7基礎化学品475,85991.0高機能材327,004107.7電力・再生可能エネルギー--資源186,84874.8その他--合計4,738,47693.3(注)上記の金額は、資源セグメントは販売金額、その他のセグメントは製品生産額によって記載をしています。 イ.受注実績当社グループでは主要製品について受注生産を行っていません。 ウ.販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)燃料油7,696,391108.7基礎化学品587,19597.6高機能材503,36697.7電力・再生可能エネルギー127,57390.1資源265,24671.6その他10,452109.9合計9,190,225105.4(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。2.「主な相手先別の販売実績」に該当する販売相手先はないため、記載を省略しています。3.各セグメントの販売実績は、外部顧客への売上高を記載しています。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容①経営成績の分析経営成績の分析については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」における「イ.業績」に記載しています。 ②資本の財源及び資金の流動性についての分析ア.資金需要当社グループの主な運転資金需要は、製品製造のための原油・原材料の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用及び税金の支払いなどによるものです。設備投資資金については、エネルギー安定供給のための操業維持投資に加え、販売・供給体制の競争力強化を目的とした投資、一歩先のエネルギーや多様な省資源・資源循環ソリューション及びスマートよろずや等の事業ポートフォリオ転換推進投資、石油開発事業等における保有鉱区の開発・安定生産継続に向けた投資等の需要があります。 イ.財務政策当社グループは、中長期的な成長を維持するために資本効率と財務健全性のバランスを勘案しつつ、必要な運転資金及び設備投資資金を、営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入、社債、コマーシャル・ペーパーの発行、及び流動性確保のための特定融資枠契約(コミットメントライン契約)の維持等、多様なリソースから効果的に組み合わせて調達しています。なお、国内子会社は、当社が一括して資金調達し、子会社に融通するグループ金融を通じて運転資金及び設備投資資金を調達しています。また、海外子会社は金融機関からの借入れの他、子会社間のグループ金融を通じて運転資金及び設備投資資金を調達しています。また、円滑な資金調達を行うため、当社は格付投資情報センター(R&I)、日本格付研究所(JCR)の2社から格付けを取得しています。当連結会計年度末において当社の格付けはR&IがA(方向性:安定的)、JCRがA+(見通し:安定的)となっています。 (特定融資枠契約)当社グループは、運転資金の効率的な調達や十分な流動性確保、また、災害発生時の円滑な資金調達のため、取引先銀行で作られるシンジケート団と短期借入を実行できる特定融資枠契約2,100億円を締結し、機動的・安定的な資金調達が可能な体制を敷いています。当連結会計年度末において同契約にかかる借入残高はありません。 ③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。④経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標当社グループは、2030年ビジョン「責任ある変革者」の実現に向けて、事業構造改革投資と人的資本投資の両輪により事業ポートフォリオの転換を進めるため、自己資本利益率(ROE)、投下資本利益率(ROIC)、ネットD/Eレシオ、自己資本比率を主要な経営指標としています。2025年3月期の自己資本利益率(ROE)が前期対比で減少している主な要因は、基礎化学品セグメントにおける数量減少及び製品市況の下落、資源セグメントにおける石炭市況の下落などによる、在庫影響除き親会社株主に帰属する当期純利益の減少によるものです。また、同様に実態投下資本利益率(ROIC)の主な増加要因は、燃料油セグメントにおける国内製品マージン堅調などによる在庫影響及びタイムラグ影響を除いた営業利益の増加、自己株式の取得や借入返済に伴う投下資本の減少によるものです。 当社グループの主要な経営指標のトレンドは次のとおりです。 2021年3月期2022年3月期2023年3月期2024年3月期2025年3月期自己資本利益率(ROE)(%)2.69.214.211.37.1投下資本利益率(ROIC)(%)(全社計)2.86.86.28.46.0実態投下資本利益率(ROIC)(%)(既存事業計)--3.44.86.5ネットD/Eレシオ(倍)1.00.90.90.70.6自己資本比率(%)29.130.733.235.936.0(注)1.各指標は、以下の計算式によって計算しています。自己資本利益率(ROE):在庫影響除き親会社株主に帰属する当期純利益/自己資本(期首期末平均)※2024年3月期より算定方法を変更しています。その結果、2021年3月期、2022年3月期及び2023年3月期の指標も変更しています。投下資本利益率(ROIC):(在庫影響除き税後営業利益+持分法投資損益)/(株主資本+有利子負債)※2024年3月期より算定方法を変更しています。その結果、2023年3月期の指標も変更しています。実態投下資本利益率(ROIC):計算式は投下資本利益率(ROIC)と同様。ただし、大きな外部環境影響を除いて比較するため、燃料油セグメントのタイムラグ影響、資源セグメントの石炭価格(実績を2026年3月期計画前提である120USD/tへ)等を補正ネットD/Eレシオ:(有利子負債-現預金及び短期運用有価証券)/(純資産-非支配株主持分)自己資本比率:(純資産-非支配株主持分)/総資産2.有利子負債は、短期借入金、コマーシャル・ペーパー、社債及び長期借入金として連結貸借対照表に計上されている金額及びリース債務の金額を使用しています。3.2021年3月期及び2022年3月期の実態投下資本利益率(ROIC)については、主要な経営指標に含んでいなかったため記載していません。

事業リスク

  • 国際情勢と経済変動
    世界各地での政治的緊張(ウクライナ、中東情勢など)や経済状況の変化(景気減速、金融政策)は、エネルギー資源や製品の需要、価格に大きな影響を与えます。特に原油価格の乱高下は、石油製品の調達コストや販売価格に直結し、業績を不安定にする可能性があります。
  • 商品市況の変動リスク
    原油やナフサなどの原材料価格は、国際情勢、金融政策、需給バランス、投機的取引などにより大きく変動します。これらの価格変動を製品価格に適切に転嫁できない場合、特に燃料油や基礎化学品セグメントの利益が圧迫され、財政状態や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、ドバイ原油価格が1バレルあたり1ドル変動すると、営業利益が年間100億円増減する可能性があります。
  • 為替変動リスク
    原油輸入の大部分が米ドル建てで行われるため、円安は原油調達コストの増加に直結し、収益を圧迫します。また、海外事業の収益や外貨建て資産・負債の円換算額も為替レートの影響を受け、業績に変動をもたらします。1米ドルあたり1円の変動で、営業利益が年間50億円増減する可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|6,827 文字
3【事業等のリスク】当社グループは、事業活動に関わる様々なリスクを未然に認知・評価し、リスクに応じた適切な対応を講じることで、経営の安定を図っています。経営を取り巻く環境が大きく変化する中で事業構造改革を推進するためには、リスクの予防強化に向けてリスクマネジメントをより全社的、統合的に高めていく必要があり、2025年度からの本格運用に向け統合的なリスクマネジメントの強化を図っています。当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの財政状態・経営成績及び投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。当社の業績に特に大きな影響を与える商品分野につきましては、セグメント別に記載しています。文中の将来に関する部分は、当社が有価証券報告書提出日現在において判断したものです。 (1)国際情勢や経済環境等の変化によるリスク当社グループは日本及び世界各地にビジネスを展開しており、各々の地域の政治動向、景気動向及び経済情勢による影響を受ける可能性があります。特に、ウクライナや中東情勢の緊迫化、米国新政権の関税政策をはじめ、海外諸国の政治的要因又は経済的要因に起因する世界景気の減速及び日本国内における人口構成の変化等がもたらすエネルギー資源及び製品需要の変動や価格の乱高下は、当社の業績へ影響を与える可能性があります。 (2)事業を取り巻く外部環境の変化によるリスク商品市況リスク(燃料油セグメント)当社グループは、石油製品の生産に必要な原油の殆どを輸入していますが、原油価格は過去においても大きく変動しており、2022年から続くウクライナ情勢のほか、米国を始めとした世界各国の金融政策の動向、アジアにおける原油需要の変動、中東やアフリカの産油国の政情不安、米国を始め石油消費国における環境規制・税制の動向、投機的な石油取引等により、今後も大きく変動することが懸念されます。当社グループは、石油製品価格を国内の市場価格に連動させることによりマージンを確保することに努めていますが、原油価格の変動が大きい場合や国内石油市場の激しい競争等により国内の市場価格が低迷した場合、財政状態及び経営成績は重大な影響を受ける可能性があります。また、当社グループは、棚卸資産を総平均法により評価しています。一般的に総平均法は、原油価格が上昇する局面では、期初の相対的に安価な棚卸資産による売上原価押し下げ影響により損益の改善要因となります。一方、原油価格が下落する局面では、期初の相対的に高価な棚卸資産による売上原価の押し上げ影響により損益の悪化要因となります。なお、1バレル当たりのドバイ原油価格が1米ドル変動すると、当社の営業利益は年間100億円増減する可能性があります。 (基礎化学品セグメント)①原料コストの変動について当社グループは、基礎化学品の原料であるナフサを自社製油所で生産するとともに市場から調達しています。ナフサ価格は、原油価格や、ガソリンの需要・価格動向、政治経済情勢あるいはその他の要因、また中国等において進められている石油化学設備の新設による需要増加の影響を受けることがあります。市場における激しい競争等の要因により、ナフサ価格の変動を製品価格に適切に転嫁できない場合、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。②製品市況の変動について日本を含むアジアの基礎化学品市場は激しい競争状況にあり、需要の変動や供給の増加の影響を受けます。アジアでは経済成長に伴う需要の増加が見込まれますが、近年中国を中心とした基礎化学品を製造する大型の新設プラントが急増しており、アジア市場における供給過多や、新興国の経済成長鈍化に伴う需要低迷の可能性があります。このような市場における競争の激化や需要の低迷や、政治経済情勢あるいはその他の要因により、当社グループの財政状態及び営業利益は影響を受ける可能性があります。 (高機能材セグメント)当社グループは、潤滑油の原料であるベースオイル・添加剤を自社事業所で生産するとともに国内外の市場から調達しています。ベースオイル・添加剤の価格は原油価格のほか、潤滑油需給バランス等の影響を受けることがあります。また、市場における激しい競争等により、原料価格の変動を製品価格に適切に転嫁できない場合、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。 (電力・再生可能エネルギーセグメント)当社グループでは、卸電力取引市場を通じた電力取引を行っています。この取引価格は、燃料価格や国内の電力需要及び発電所稼働状況の影響を受け変動する可能性があります。また、燃料価格については、当社グループが保有する発電所の発電コストや、当社の電力小売価格における燃料費調整単価に影響を与える可能性があります。これらの影響により、当社の電力取引価格や発電コスト、燃料費調整単価が大きく変動した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 (資源セグメント)石油・天然ガス開発事業においては、原油・天然ガスを生産し販売していますが、政治経済情勢あるいはその他の要因により将来的に原油・天然ガス価格が下落した場合、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。石炭事業においては、オーストラリアの自社鉱山で石炭を生産し、主に日本向けに販売していますが、政治経済情勢あるいはその他の要因により石炭価格が下落した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 調達リスク当社グループは、原油輸入の大宗を中東地域に依存していますが、原油の安定調達を目的として主要な中東産油国と長期の原油輸入契約を締結し、同地域内におけるリスクの分散を図っています。しかしながら、これらの地域における政情不安、原油の生産調整、石油関連施設の事故並びにシーレーンにおける海上輸送リスクの上昇等により、長期にわたって原油の輸入に制約が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績は重大な影響を受ける可能性があります。 カントリーリスク(基礎化学品・高機能材セグメント)当社グループは、主にアジア市場を中心とした基礎化学品の販売及び、潤滑油分野においてはグローバルで事業展開をしていますが、経済の低迷や政治リスク等の要因により市場成長が鈍化する可能性があります。このような経済環境の変動により、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。 (資源セグメント)当社グループは、ベトナムをはじめとする東南アジア及びノルウェーを中心に、石油・天然ガスの探鉱・開発・生産(油ガス田開発)プロジェクトを推進しており、これらの地域における政治経済情勢、税制、規制方針やそのほかの不確定要因の影響を受けることがあります。また、当社グループは、オーストラリアの自社鉱山で石炭を生産し、主に日本向けに販売しています。石炭鉱山事業につきましても、政治経済情勢、税制、規制方針やその他の不確定要因の影響を受けることがあります。 為替リスク当社グループは、多額の外貨建取引を行い、また外貨建の資産及び負債を有しています。このため、為替相場の変動は外貨建取引の収益や財務諸表の円貨換算額に影響を与えます。また、原油輸入を米ドル建てで行っているため、原油の調達コストは円の米ドルに対する為替相場の影響を受けるほか、燃料油セグメントにおける在庫評価も影響を受けます。なお、1米ドル当たり1円変動すると、当社の営業利益は年間50億円増減する可能性があります。 (3)気候変動に関するリスク上記の「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)気候変動対応」に記載のとおりです。 (4)環境規制に関するリスク当社グループは、事業展開する日本やその他の国における広範な環境保全やその他の法的規制の下にあります。例えば、当社グループは、製油所や工場からの汚染物質の排出、廃棄物の処理等について規制を受け、基準を超える環境汚染発生に伴う罰則を受ける可能性もあります。また、日本や他の国の当局が新たな規制を行うこと、あるいは現在や将来の環境規制を遵守することにより多額の支出を伴う可能性があります。 (5)事業投資に関するリスク当社グループは、事業資産の規模が大きく、既存の製油所・工場や販売設備等の維持更新、油田の権益取得や探鉱開発等の国内外の事業活動に多額の投資を必要とします。今後も石油、石油化学、資源事業等、既存事業の競争力維持には投資を継続する予定です。一方で、カーボンニュートラル実現に向けて、製油所・工場の機能を低炭素で循環型の事業にシフトするための投資や、潤滑油、機能化学品、電子材料、固体電解質等の高付加価値製品の開発投資、更には水素・アンモニア・SAF・合成燃料といった新たなエネルギーの事業開発投資等、化石燃料以外の新しい事業拡大へ向けた戦略投資を行っていく計画です。このような成長分野への投資においては、必要なキャッシュ・フローを生み出すまでに一定の時間を要するため、期待された収益機会を失う可能性があります。更に国内外における経済情勢や政治動向、市場拡大の遅れ、新素材を含む他社との開発競争等によりこれらの投資が計画どおりの収益をあげられない場合は固定資産の減損損失を計上する可能性もあります。なお、投資の意思決定プロセスにおいて、投資金額をはじめとする様々なリスクの多寡に応じた投資審議を設計することで、投資リスク低減と意思決定の迅速化の両立に努めています。また、当社グループは、アジア市場における石油及び石油化学事業の海外展開の一環として、クウェート国際石油、ペトロベトナム及び三井化学㈱(以下当社を含め、「スポンサー」という。)と共同でニソンリファイナリー・ペトロケミカルリミテッド(以下「NSRP」という。)を設立し、ベトナム社会主義共和国タインホア省ニソン経済区に20万バレル/日の石油精製設備とパラキシレンをはじめとする石油化学品製造設備を有するニソン製油所・石油化学コンプレックスを操業しています。プロジェクトの総事業費は約90億米ドルであり、このうち50億米ドルは国際協力銀行をはじめとする銀行団によるプロジェクト・ファイナンスにより調達し、約40億米ドルはスポンサーによる出資及び貸付で調達しています。プロジェクト・ファイナンスによる調達額について銀行団に対し行っている債務保証及びスポンサーによる出資・貸付のうち、NSRPへの当社グループ出資比率相当の35.1%については、ベトナムにおける政治経済情勢、法律や規制及び雇用環境の変化等からプロジェクトが計画どおりに進展しない場合、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。 (6)その他経営全般に係るリスク人権に関するリスク当社グループは、人権の尊重は欠くことのできない経営の根幹であり、全ての判断や行動において最優先させるべきことと考え、世界人権宣言やILO宣言で国際的に認められた人権を尊重することを基本方針として定めています。当社グループは、グローバルに事業拠点を持ち、取引するサプライヤーも多国にわたることから、「ビジネスと人権」に関する意識を国際基準で高く持ち、人権デューデリジェンスを通じたリスクの軽減を進めるとともに、ビジネスパートナーにも方針の理解と遵守を要請しています。しかしながら、事業活動の領域で人権の侵害等が生じた場合には、ステークホルダーの信頼を失い、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。 コンプライアンスに関するリスク当社グループでは、コンプライアンス規程等に基づき、国内外の法令その他諸規則等を遵守すべく、コンプライアンス推進体制及び内部統制の強化に努めています。しかしながら、当社グループにおいて法令その他諸規則等を遵守できなかった場合、又は内部統制システムが有効に機能せずコンプライアンス上の問題が完全に回避できない事態が生じた場合には、ステークホルダーの信頼を失い、当社グループのレピュテーションを損ね、当社グループの財政状態及び経営成績が影響を受ける可能性があります。また、当社グループは確実性の高い品質マネジメントシステムに則り製品を製造していますが、予期せぬ事情で大規模なリコールや訴訟が発生した場合に備え保険を手当てしています。しかしながら、それに伴い法的責任が発生する可能性や、直接的な責任を負わずともバリューチェーンの一部を担う者としてブランドイメージやレピュテーションの低下を回避できない場合もあり、ひいては当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性もあります。 知的財産に関するリスク当社グループは、事業の遂行のために知的財産権を活用しており、特に石油精製技術や、リチウム電池向け固体電解質、潤滑油、機能化学品、電子材料等の付加価値の高い製品・サービスにおいて特許や企業秘密の位置づけは重要です。また、当社グループは、ブランドを商標登録しています。しかしながら、当社グループの知的財産権は、これらに関して紛争が生じたり、無効にされたりする可能性があります。また、当社グループが保有する特許、企業秘密、商標が当社の知的財産を保護するために十分であるとは限りません。また、当社グループの企業秘密が、従業員や取引先、その他の関係者によって不適切に取り扱われる可能性があります。更に、当社グループの製品やサービスが第三者から知的財産権を侵害しているという主張がなされ、あるいは当社グループが第三者から供与されている技術ライセンスが更新されない可能性があります。当社グループが、事業遂行に必要な知的財産権を保護できない、あるいは全面的に活用できない場合、当社グループの事業や経営成績は影響を受ける可能性があります。自然災害・事故等によるリスク当社グループの事業は、地震、津波、台風、豪雨豪雪、火山爆発等の自然災害やこれらに起因する製油所・工場における火災、爆発、油の大規模流出等の事故といったリスクを有しています。また保有する大型タンカーを含む原油や石油製品の輸送は、海賊や悪天候による転覆、衝突、非友好国による拿捕、撃沈等の危険にさらされています。更に当社グループは、労働争議やサイバー攻撃等によるシステムダウンや情報漏洩、感染症の大規模蔓延による事業中断のリスクにも晒されています。これらのリスクを会社としていち早く認識し、全社を挙げて被害の拡大防止を図るため、「危機発生時の対応規程」を策定し、予兆を含めたトラブルの早期共有のための連絡系統、対応時の優先順位、危機レベルの設定とそれに応じた対策本部の体制等についてまとめています。事業継続計画(BCP : Business Continuity Plan)については、2006年度に首都直下地震版、2009年度には新型インフルエンザ版、2010年度には南海トラフ巨大地震版(2021年度に「南海トラフ含む地域的地震津波版」に拡充)を制定しました。更に2015年度に内閣府より「指定公共機関」に指定されたことを受け、「防災業務計画」を作成しました。BCPに基づく総合防災訓練を毎年実施し、各拠点との連携やリモートを含む本部運用等についての課題を抽出し、実効力の強化に努めるとともにBCPの改定に反映しています。製油所・事業所・工場等においては、各々の危機対応規程類に基づき、拠点ごとに又は相互連携の上、防災訓練を定期的に実施しています。当社グループは、事故や災害で想定される多額の損失に対し、自家再保険子会社を活用し適正な損害保険や損害保険サービスをグローバルに調達しています。 個人情報管理に関するリスク当社グループは、石油製品販売、電力小売り、クレジットカード事業等で顧客の個人情報を多数取り扱っています。当社グループは、これらの情報の管理不徹底や外部からの不正な搾取、それによってもたらされる問題への対処のために、多額の費用を負担する可能性があります。また、昨今の日本国や欧州を始めとする個人情報保護関連法令の適用拡大・厳格化に対する必要な対応の不備・不足により、多額の制裁金、賠償金の発生、当社グループの信用低下、クレームや訴訟等に繋がった場合、当社グループの事業や経営成績が影響を受ける可能性があります。 (7)事業等のリスク管理上記の「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)サステナビリティ(ESG)共通 ③リスク管理」に記載のとおりです。

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