研究開発費(時系列)
| 年度 | R&D費用(億円) | 設備投資(億円) |
| 2025-03 |
- |
416 |
| 2024-03 |
- |
277 |
| 2023-03 |
- |
493 |
| 2022-03 |
- |
474 |
| 2021-03 |
- |
560 |
研究開発活動(本文)
FY2025|6,796 文字
6【研究開発活動】当社グループは、燃料油、高機能材、資源、更には新規事業創出のための研究開発に取り組んでいます。現在、図に示した研究開発体制の下、互いに密接に連携して研究開発活動を行っています。なお、研究開発費については、各セグメントに配賦できない全社共通研究費等206億円が含まれており、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は前年同期比51億円増加の339億円です。 (当社グループの研究開発体制) 当連結会計年度における各セグメントの研究開発内容、研究開発費及び研究開発成果は次のとおりです。 (1)燃料油セグメントバイオエタノールや動植物油脂からのジェット燃料(SAF:Sustainable Aviation Fuel)、回収したCO₂からの合成燃料、使用済みプラスチックを原料とした油化ケミカルリサイクルなど、カーボンニュートラル及び循環型社会の実現に向けた社会実装のための技術開発を推進しています。当セグメントに係る研究開発費は4億円です。 (2)高機能材セグメント高機能材セグメントでは、環境に配慮した潤滑油製品の開発、機能舗装材(アスファルト)の開発、機能材料及び樹脂加工製品の競争力強化に向けた保有技術の改良や新規材料の開発、電子材料事業、農薬・機能性飼料事業における研究開発を推進しています。当セグメントに係る研究開発費は125億円です。 ①潤滑油事業では、カーボンニュートラルの実現に向け、3つの海外研究開発拠点と連携し、地域特性に応じた様々な環境対応型高機能・省エネルギー型商品の開発と環境・人・安全に配慮した技術の開発をグローバルで展開しています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。・高機能水溶性切削油(商品名:ダフニーアルファクールEX-NV、WX-NV)は、潤滑油使用量の削減や作業者の健康リスク低減が評価され、「第21回2024年"超"モノづくり部品大賞(主催:モノづくり日本会議、日刊工業新聞社)」を受賞しました。・スマートフォンのカメラ機能を利用し、潤滑油の色と異物から潤滑油の寿命を予測し、機械の保守管理を行う「Idemitsu Smart OC」を商品化しました。・環境に配慮したサステナブルな製品開発を進めており、ベースオイルに植物由来の原材料を使用したエンジンオイル「IDEMITSU IFG Plantech Racing」を商品化しました。また、電動車両用トランスアクスルフルード、バッテリー冷却剤、及びそれら兼用オイルについて継続して開発を進めています。・将来的に成長が期待される半導体産業における材料加工油開発、自然冷媒や低GWP冷媒に対応する冷凍機油の開発、また、データセンターでの電力使用量削減に貢献する高性能液浸冷却油「IDEMITSU ICFシリーズ」の製品開発を進めています。・当社独自技術であるナノウレアグリースの低トルク、低ノイズ、低温始動性という優れた特長を活かし、自動車や産業用ロボットをはじめとした幅広い分野において環境配慮とユーザー価値の向上を両立する製品の開発を進めています。・近年では、マテリアルズインフォマティクス(MI)を積極的に活用し、潤滑剤油及びその基材(添加剤、基油)の開発を促進するとともに、分析技術、機械要素評価技術等、トライボロジーにおいて先進的且つ幅広い研究開発を行っています。 ②機能舗装材(アスファルト)事業では、省資源・省エネルギーや環境に配慮した舗装材料、例えば耐水性を強化し長寿命化を可能にした舗装材などを独自開発しています。また、アスファルトの特性を活かした屋根用防水材や、建物の地盤沈下による損傷を防ぐための基礎杭に塗布するアスファルトなど、工業用製品も開発し日本国内で製造販売しています。特に舗装材の製品開発においては、当社の長年の舗装材開発の実績から、行政機関や施設管理者と、十分連携しながら進めています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。・水に起因する道路の損傷を大幅に抑制する舗装の耐水性強化技術について、高荷重のかかる空港滑走路において開発を行って参りましたが、2025年1月1日より、国内各空港の滑走路や誘導路向け製品として「ミナフォルティスCX」の発売を開始しました。新技術を用いて水の浸透による舗装内部の損傷を抑制することで耐久性を高め、滑走路等の安全性向上や長寿命化による補修工事の回数削減に貢献します。・京都大学経営管理大学院のインフラ物性産学共同講座に当社社員が特命教授として出向し、また東京大学とのCN領域における包括連携協働研究に参画するなど、学との共創を通じて道路舗装の長寿命化、安全性の向上を追求したイノベーションを創出し社会実装していくことを目指します。 ③機能化学品事業では、機能材料研究所にてエンジニアリングプラスチックであるシンジオタクチックポリスチレン樹脂やポリカーボネート樹脂の高付加価値商品の開発及び新機能を有した各種機能材料製品や粘接着基材の開発に取り組んでいます。また、出光ユニテック㈱商品開発センターにて様々な機能をもつシート・フィルムの包装材料開発を、出光ファインコンポジット㈱複合材料研究所にてポリオレフィンなど様々なプラスチックの機能を強化させた複合材料開発、にも取り組んでいます。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。・シンジオタクチックポリスチレン樹脂(商品名:ザレック™)では、マレーシアの第2装置稼働に合わせ、新規用途開発を更に加速しています。自動車分野では、電動化に伴い軽量、絶縁特性が要求される電装部品への展開を一層強化し、耐ヒートショック性に優れる改良グレードやCAE技術の提案を通じた顧客との関係強化を図り、新規採用に至るまでの期間短縮化を実現しています。また新規用途として、ザレックの特徴を活かしたフィルム、シート、繊維への展開も推進、顧客採用活動を推進しました。・ポリカーボネート樹脂(商品名:タフロン™)では、透明性や流動性に優れた光学グレードの開発、耐久性や耐薬品性、難燃性に優れる各種用途に適した共重合グレードの開発を行っています。光学グレードにおいて、自動車照明用DRL(Daytime Running Light)部品や液晶ディスプレイ部品向けに、更なる耐久性や導光性に優れた材料の展開、販売強化を図っています。共重合グレード(商品名:TARFLON NEO™)においては、自動車や通信分野をはじめ屋外で使用される製品等に、耐久性や耐薬品性、耐低温衝撃性を活かして新規採用に至っています。・ポリオレフィンシート(商品名:マルチレイ™)では、東京科学大学の技術指導を受けながら新規表面微細構造設計技術を開発しており、その機能発現メカニズム解明と用途探索を実施しました。メカニズムの解明により目指すべき方向性を見出し、将来の食品ロス低減を目指した撥水撥油包装の実績化に着実に近づけました。また製品の安定供給のため、原料ソースの多様化を目指し、各国原料の調査と評価を実施、重要原料に関しては海外原料の使用を開始しました。 ・ジッパーテープ(商品名:プラロック™)では、ピロー包装分野への拡販に向けて、内容物の充填を容易にする特殊なジッパーテープ(商品名:ポケットジップ™)付ロールフィルムの開発及び製袋・充填技術の確立を機械メーカーと共創して実施し、大手ハムメーカーで新規採用が決定しました。また生産性向上に向けて新規技術を用いた設備導入の仕様検討を行い、実生産機への導入を決定しました。・複合材料において、ポリオレフィン系の樹脂コンパウンド(商品名:カルプ™)では、植物由来材料やリサイクル材等の原料化の検討、主力商品である難燃グレードにおける市場ニーズに対応した改良グレードの市場投入及び環境安全性を高める非ハロゲン化グレードの開発を推進しました。また、ポリフェニレンサルファイド系の樹脂コンパウンドにおいては、生成AI普及拡大に伴う情報通信分野での需要増への対応、機械・自動車用途向けに開発した水中・油中において良摺動性を示すグレードや電装部品向けに開発した絶縁熱伝導グレードの顧客採用活動を進めました。さらに、高機能性付与に向けてポリフェニレンサルファイド以外の高耐熱エンジニアリングプラスチック樹脂のコンパウンド開発も進めています。 ④電子材料事業では、有機EL材料の研究開発を行っています。有機EL材料においては、顧客との連携強化、大学との共同研究などを通じて商材の更なる高性能化から次世代技術の開発まで、幅広い開発活動を推進しています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。・ディスプレイ関連の世界最大の学会であるthe Society of Information Display(以下、SID)において、当社社員の熊均が「2024 SID FELLOW AWARD」を受賞しました。この度の受賞は、青色蛍光有機ELの発光効率を大幅に向上させるTTF(Triplet-Triplet Fusion)技術を中心とした、有機EL材料・デバイス技術の開発、有機ELディスプレイの大幅な消費電力低減への貢献が高く評価されたものです。・当社社員の舟橋正和が令和6年春の褒章「紫綬褒章」を受章しました。今回の受章は、高効率かつ長寿命の青色発光技術の発明により、有機EL発光において実用レベルでの三原色発光が可能となり、近年の有機ELフルカラーディスプレイを搭載した高機能機器の実用化に大きく貢献したことが評価されました。・顧客への提案活動を通じて、出光独自技術である積層発光方式を更に浸透させることができました。また、当該技術を更に発展させた技術論文が、SID主催のシンポジウム「Display Week 2025」においてDistinguished Paper Awardに選定されました。・SK materials JNC CO., LTD.と有機EL材料である、ホウ素系蛍光青色ドーパント材料と、ホウ素系蛍光青色ドーパント材料に最適な蛍光青色ホスト材料の共同開発を目的とした覚書(MOU-Memorandum Of Understanding)を締結しました。・設立から2年となる出光アドバンストマテリアルズコリアは、有機EL材料の研究開発体制を強化し、材料開発活動を順調に進捗させることができました。また、顧客ニーズを的確に把握するため、顧客との連携強化に努めました。 ⑤農薬・機能性飼料事業では、主要関係会社のアグロ カネショウ㈱と㈱エス・ディー・エス バイオテックを中心に、商品化に至るまでの一連の研究開発を行っています。ア.アグロ カネショウ㈱では、高い安全性を有するユニークな新規農薬成分の創生、生産現場のニーズに合致した製品の創出に加え、他社からの製品導入や無形資産の買収に取り組み、ポートフォリオの拡充に努めています。農業生産における社会課題として、欧州の「Farm to fork」や日本の「みどりの食料システム戦略」に掲げられる化学農薬や化成肥料の低減がクローズアップされつつある状況下、様々な防除対策を組み合わせて行う総合的病害虫・雑草管理(IPM)に資する製品群を投入すべく、2023年に新設したバイオロジカル・ソリューション室を軸に、微生物や天然物由来の農薬・資材等の研究開発を加速させています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。・国内農薬登録を芝生用除草剤で1件新規取得、殺虫剤で1件譲渡を受け、国内の適用拡大登録を土壌消毒剤2件、ダニ剤1件、殺虫剤5件、殺菌剤4件取得しました。海外農薬登録をダニ剤で3件(3か国)新規取得し、海外適用拡大登録をダニ剤5件取得しました。イ.㈱エス・ディー・エス バイオテックでは「食の安全・安心」「増大する食料需要への対応」をキーワードに、合成・微生物培養・生物学的評価・製剤・分析技術といった研究開発力を駆使することで、世界の「食」に貢献する農薬、飼料添加物などの商品のラインアップを拡充しています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。・国内の新規農薬登録を殺菌剤1件、緑地管理用除草剤2件、水稲用植物成長調整剤1件取得し、国内の適用拡大登録を殺菌剤15件、生物農薬殺虫剤3件、生物農薬殺菌剤1件、緑地管理用除草剤2件取得しました。 (3)資源セグメント石炭事業では、顧客ニーズに応える技術サービスと石炭のクリーン利用技術の開発に取り組んでおり、近年では、バイオマス混焼によるCO₂排出量の削減や、排ガス中のCO₂を炭酸塩として固定化させる技術開発を積極的に推進しています。当セグメントに係る研究開発費は5億円です。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。・石炭火力のCO₂排出削減に繋がる木質バイオマス(ブラックペレット)の製造・販売の事業化に向け、ブラックペレットを自社コールセンターで受入・貯蔵し、共に取組む需要家の石炭ボイラにて混焼試験を実施することにより、ブラックペレットを安全かつ円滑に取り扱うための技術及び実用的な混焼評価システムの開発を推進しています。これら貯蔵・混焼試験結果を踏まえた自社の知見を基に、ブラックペレットの品質向上や需要家へのコンサルティングに反映させています。・CO₂を資源として活用するとともにCO₂の排出削減を行うため、廃コンクリートなどに含まれるカルシウムと発電所や工場から排出されるCO₂を作用させ炭酸塩(炭酸カルシウム)を製造するプロセスの研究開発を進めています。・石炭鉱山での植栽を活用した新規事業創出を目的に、(独)エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と共同でバイオマス炭素材料の研究開発を実施しました。 (4)全社共通(コーポレート研究)中期経営計画(2023~2025年度)に掲げた事業ポートフォリオ転換に向け、社会や技術のトレンドを踏まえた新規事業創出のための研究開発を実施しています。 ①次世代技術研究所ではカーボンニュートラル社会、循環型社会の実現に向けたバイオマスやCO₂等を出発原料とするクリーンな素材・燃料を提供する技術の開発を実施しています。また高機能材事業の成長に向けて、保有している有機・無機合成、生物変換技術、触媒・電気・光化学の要素技術を活かしたモビリティ向け軽量/強靭化素材や酸化物半導体材料、宇宙用太陽電池等の開発に取り組んでいます。研究開発の推進にあたっては、高度な分析・解析技術や、MIやAIを駆使して大幅な省力化や各事業部も含めた研究開発のスピードアップに取り組むとともに、国家プロジェクトや国公立研究所、アカデミアとのオープンイノベーションを積極的に推進しています。アカデミアとの連携では東京科学大学との「出光興産次世代材料創成協働研究拠点」、神戸大学との「出光バイオものづくり共同研究部門」に加えて2024年4月から新たに東京大学との「カーボンニュートラル領域における包括連携共同研究」を開始しました。さらに、アカデミア連携を海外大学へと拡大し世界中から最適な技術獲得を図り研究開発の早期成果創出に取り組んでいます。当連結会計年度に公開された主な実績は以下のとおりです。・NEDO「グリーンイノベーション基金事業/燃料アンモニアサプライチェーンの構築プロジェクト」の課題の1つである「常温、常圧下アンモニア製造技術の開発」において、性能向上・コスト競争力向上にむけ、触媒開発及び電解反応系の改良を進め、窒素と水からアンモニアへの連続電解合成で世界最高収率を達成しました。 ②リチウム電池材料部では、早期実用化が望まれる全固体電池の材料となる固体電解質を中心に、2027-2028年の全固体電池実用化、その先の事業化を目指して、次世代電池用材料及びその量産化の研究開発を推進しました。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。・2024年10月に、固体電解質の大型パイロット装置について基本設計を開始しました。(2025年度内に投資最終決定を予定)・2025年2月に、固体電解質の原料である硫化リチウムの大型製造装置建設を決定しました。(2027年6月完工を予定)・2025年3月に、小型実証設備第1プラントの能力増強工事を完了し、お客様へのサンプル供給能力の強化と、次のステージとなる大型パイロット装置での量産技術確立を見据えた、実証設備の拡充を行いました。・今後の事業領域拡大を見据え、硫黄系正極の開発、及び全固体電池のリサイクルについて技術探索を進めました。
FY2024|4,978 文字
6【研究開発活動】当社グループは、燃料油、高機能材、資源、更には新規事業創出のための研究開発に取り組んでいます。現在、図に示した研究開発体制の下、互いに密接に連携して研究開発活動を行っています。なお、研究開発費については、各セグメントに配賦できない全社共通研究費等150億円が含まれており、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は前年同期比52億円増加の288億円です。 (当社グループの研究開発体制) 当連結会計年度における各セグメントの研究開発内容、研究開発経費及び研究開発成果は次のとおりです。 (1)燃料油セグメント燃料油セグメントでは、環境に配慮した石油製品の開発を推進しています。当セグメントに係る研究開発費は4億円です。使用済みプラスチックからの軽質オレフィン化の技術開発、バイオエタノールからのジェット燃料製造の技術開発をはじめ、製油所・事業所の省エネルギー化などの環境調和型社会への貢献のための技術開発を推進しています。 (2)高機能材セグメント高機能材セグメントでは、環境に配慮した潤滑油製品の開発、機能舗装材(アスファルト)の開発、機能材料及び樹脂加工製品の競争力強化に向けた保有技術の改良や新規材料の開発、電子材料事業、農薬・機能性飼料事業における研究開発を推進しています。当セグメントに係る研究開発費は130億円です。 ①潤滑油事業では、カーボンニュートラルの実現に向け、3つの海外研究開発拠点と連携し、地域特性に応じた様々な環境対応型高機能・省エネルギー型商品の開発と環境・人・安全に配慮した技術の開発をグローバルで展開しています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。・電動車両用トランスアクスルフルード(商品名:IDEMITSU E AXLE FLUID シリーズ)やバッテリー冷却剤、及び、電動車両用トランスアクスルと電子機器及びバッテリーシステムに使用可能な兼用オイル(E AXLE and Electric Parts Cooling Oil)の開発を進めています。・サステナブル潤滑剤を活用した製品開発を進めると共に、石油由来の潤滑剤使用量の削減のために水溶性潤滑剤の適用範囲拡大に取組み、精密工学会技術賞を受賞した高機能水溶性切削油の開発 (商品名:ダフニーアルファクールEX-NV、WX-NV)や、水溶性焼き入れ液のラインアップ拡充(浸漬焼き入れ液、高周波焼き入れ液の開発)を行いました。また、省力化に寄与する潤滑油簡易診断技術(スマホセンサー)の開発を行いました。・当社独自技術であるナノウレアグリースの低トルク、低ノイズ、低温始動性という優れた特長をいかし、自動車をはじめとした幅広い分野において環境配慮とユーザー価値の向上を両立する製品の開発を進めています。・基礎研究にも力を入れており、マテリアルズインフォマティクス(MI)やシミュレーション技術などを駆使した革新的潤滑油基材の創製に取り組んでいます。 ②機能舗装材(アスファルト)事業では、省資源・省エネルギーや環境に配慮した舗装材料、例えば耐水性を強化し長寿命化を可能にした舗装材などを独自開発しています。また、アスファルトの特性を活かした屋根用防水材や、建物の地盤沈下による損傷を防ぐための基礎杭に塗布するアスファルトなど、工業用製品も開発し日本国内で製造販売しています。特に舗装材の製品開発においては、当社の長年の舗装材開発の実績から、行政機関や施設管理者と、十分連携しながら進めています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。・水に起因する道路の損傷を大幅に抑制する舗装の耐水性強化技術について、高荷重のかかる空港滑走路において試験施工を行いました。・Scope3排出量削減の可能性を視野に入れ、工場から排出されたCO2から合成した炭酸カルシウムを使用した「CO2固定化舗装材」の試験施工を通した実用化検討を行いました。 ③機能材料分野では、エンジニアリングプラスチックであるポリカーボネート樹脂やシンジオタクチックポリスチレン樹脂の高付加価値商品の開発及び新機能を有した各種機能材料製品や粘接着基材の開発に取り組んでいます。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。・シンジオタクチックポリスチレン樹脂(商品名:ザレック™)では、マレーシアでの第2装置稼働と共に新規用途開発を更に加速しています。コネクター部材を代表に自動車電装部品への展開を継続、ヒートショック耐性改良グレードやCAE技術の提案等により顧客との関係強化を図り、新規採用に向けた開発を着実に推進しました。また、家電・日用品分野の拡販活動を継続すると共に、新規用途分野である押出・フィルム・繊維分野での実績化を顧客と共に推進し、採用を獲得、販売を開始しました。・ポリカーボネート樹脂(商品名:タフロン™)では、透明性や流動性に優れた光学グレードの開発、耐久性や耐薬品性、難燃性に優れる各種用途に適した共重合グレードの開発を行っています。光学グレードは液晶ディスプレイ部品や自動車を含む各種照明部品市場で好評を得ており、特に自動車照明用材料では高透明性及び高導光性が要求されるDRL(Daytime Running Light)部品向けの販売がここ数年高い伸び率で拡大を続けています。・ポリオレフィン系の樹脂コンパウンド(商品名:カルプ™)では、植物由来材料やリサイクル材等の原料化の検討、主力商品である難燃グレードにおける市場ニーズに対応した改良グレードの市場投入及び環境安全性を高める非ハロゲン化グレードの開発を推進しました。また、ポリフェニレンサルファイド系の樹脂コンパウンドにおいては、機械・自動車用途向けに開発した水中・油中において良摺動性を示すグレードや電装部品向けに開発した絶縁熱伝導グレードの顧客採用活動を進めました。さらに、高機能性付与に向けてポリフェニレンサルファイド以外の高耐熱エンジニアリングプラスチック樹脂のコンパウンド開発にも着手しました。 ④シート・フィルム分野では、包装材料のグレード開発を行っています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。・環境問題への対応としては、リサイクル適性の高い素材への転換を支援するPOシート(商品名:マルチレイ™)や無機物を多く含有しプラスチックの使用量を減らしたフィルム(商品名:ユニクレスト™)の実績化、食品包材としての石油由来の製品使用量削減に寄与するための軽量化ジッパーテープ(商品名:プラロック™)の開発を実施。また、ユーザーに対する利便性を向上させた電子レンジ加熱で発生する蒸気を逃がす機能をもつ透明性が高い食品容器(商品名:マルチレイ™)の開発等により、商品ラインアップの拡充を行いました。 ⑤電子材料事業では、有機EL材料の研究開発を行っています。有機EL材料においては、顧客との連携強化、大学との共同研究などを通じて商材の更なる高性能化から次世代技術の開発まで、幅広い開発活動を推進しています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。・2023年3月に設立した出光アドバンストマテリアルズコリアにおいて、韓国における有機EL材料の研究開発活動のスタートアップを進めてきました。2024年1月より計画通りに研究開発活動を開始し、韓国顧客とのさらなる接合強化に取り組んでいます。・顧客への提案活動を通じて、出光独自技術である積層発光方式の浸透が進みました。 ⑥農薬・機能性飼料事業では、「食の安全・安心」「増大する食料需要への対応」をキーワードに、合成・微生物培養・生物学的評価・製剤・分析技術といった研究開発力を駆使することで、世界の「食」に貢献する商品のラインアップを拡充しています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。・国内農薬登録を芝生用除草剤で1件新規取得し、国内の適用拡大登録を殺菌剤5件、殺虫剤1件、殺菌・殺虫剤2件、生物農薬殺虫剤1件、生物農薬殺菌剤1件、緑地管理用除草剤2件取得しました。 (3)資源セグメント石炭事業では、顧客ニーズに応える技術サービスと石炭のクリーン利用技術の開発に取り組んでおり、近年では、バイオマス混焼によるCO2排出量の削減や、排ガス中のCO2を炭酸塩として固定化させる技術開発を積極的に推進しています。当セグメントに係る研究開発費は4億円です。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。・石炭火力のCO2排出削減に繋がる木質バイオマス(ブラックペレット)の製造・販売の事業化に向け、ブラックペレットを自社コールセンターでの受入・貯蔵し、共に取組む需要家の石炭ボイラでの混焼試験を実施することにより、ブラックペレットを安全かつ円滑に取り扱うための技術及び実用的な混焼評価技術の開発を推進しています。混焼試験結果を踏まえ、ブラックペレットの品質向上や需要家へのコンサルティングを行っています。・CO2を資源として活用するとともにCO2の排出削減を行うため、廃コンクリート中のカルシウムと発電所や工場から排出されるCO2を作用させ炭酸塩(炭酸カルシウム)を製造するプロセスの研究開発を国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援を得て進めています。・石炭鉱山での植栽を活用した新規事業創出を目的に、(独)エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と共同でバイオマス燃料や炭素材料の研究開発を実施しました。 (4)全社共通(コーポレート研究)中期経営計画(2023~2025年度)に掲げた事業ポートフォリオ転換に向け、社会や技術のトレンドを踏まえた新規事業創出のための研究開発を実施しています。 ①次世代技術研究所では、カーボンニュートラル社会、循環型社会の実現に向けたバイオマスやCO2等を出発原料とするクリーンな素材・燃料を提供する技術の開発を実施しています。また高機能材事業の成長に向けて、保有している有機・無機合成、生物変換技術、光・電気化学の要素技術を活かしたモビリティ向け軽量/強靭化素材や環境配慮型農畜産資材、酸化物半導体材料、宇宙用太陽電池等の開発に取り組んでいます。加えて、事業部研究所と一体となって高度な分析・解析技術、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)やAIを駆使した大幅な省力化や研究開発のスピードアップに取り組んでいます。これらを進めるにあたっては、東京工業大学との「出光興産次世代材料創成協働研究拠点」、及び新たに2023年10月に神戸大学に設立した「出光バイオものづくり共同研究部門」に代表されるアカデミアとの共同研究や、国家プロジェクト等への参画、海外グループ会社の拠点を活用したオープンイノベーションによりグローバルな視点で第一線の英知を集め研究開発の早期成果創出に取り組んでいます。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。・NEDO「グリーンイノベーション基金事業/燃料アンモニアサプライチェーンの構築プロジェクト」の課題の一つである「常温、常圧下アンモニア製造技術の開発」において、性能向上・コスト競争力向上にむけ、触媒開発及び電解反応系の改良を進めました。 ②リチウム電池材料部では、次世代電池として早期の実用化が望まれる全固体電池のキーマテリアルである固体電解質を中心に、次世代電池用材料及びその量産化の研究開発を行っています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。・固体電解質の量産に向け、6月に小型実証設備第1プラントの能力増強を決定しました(2024年度完工予定)。また、同時期に第2プラントの新規稼働も開始しました。・10月にはトヨタ自動車株式会社との協業を発表しました。2027-2028年の全固体電池実用化をより確実なものとするために、固体電解質の量産技術開発や生産性向上、サプライチェーン構築に両社で取り組みます。両社の技術を融合することで、世の中に広く使って頂ける固体電解質と全固体電池の量産実現を目指します。・今後の事業領域拡大を見据え、硫黄系正極の開発、及び全固体電池のリサイクルについて技術探索を進めています。
FY2023|5,314 文字
6【研究開発活動】当社グループは、燃料油、高機能材、資源、更には新規事業創出のための研究開発に取り組んでいます。現在、図に示した研究開発体制の下、互いに密接に連携して研究開発活動を行っています。また、当社グループをとりまく事業環境が大きく変化していく中、マテリアル事業の強化、事業ポートフォリオ転換の加速を目指して、2022年7月に先進マテリアルカンパニーを設立しました。主に高機能材料事業を中心とした事業部と関係会社の研究開発を強化し、技術戦略部では社外の研究開発機関との連携強化に取組んでいます。なお、研究開発費については、各セグメントに配賦できない全社共通研究費等102億円が含まれており、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は前年同期比24億円減少の236億円です。 (当社グループの研究開発体制) 当連結会計年度における各セグメントの研究開発内容、研究開発経費及び研究開発成果は次のとおりです。 (1)燃料油セグメント燃料油セグメントでは、環境に配慮した石油製品の開発を推進しています。当セグメントに係る研究開発費は4億円です。使用済みプラスチックからの軽質オレフィン化の技術開発、バイオエタノールからのジェット燃料製造の技術開発をはじめ、製油所・事業所の省エネルギー化などの環境調和型社会への貢献のための技術開発を推進しています。 (2)高機能材セグメント高機能材セグメントでは、環境に配慮した潤滑油製品の開発、機能舗装材(アスファルト)の開発、機能材料及び樹脂加工製品の競争力強化に向けた保有技術の改良や新規材料の開発、電子材料事業、アグリバイオ事業における研究開発を推進しています。当セグメントに係る研究開発費は127億円です。 ①潤滑油事業では、カーボンニュートラルの実現に向け、省エネルギーはもちろん、環境・人・安全に配慮した研究開発をグローバルで展開しています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。・電動車両用トランスアクスルフルード(商品名:IDEMITSU E AXLE FLUID シリーズ)やバッテリー冷却剤の開発、洋上風車潤滑剤開発のNEDOプロジェクトへの参画などエネルギー変革に対応した研究開発に取り組みました。・サステナブル潤滑剤を活用した製品開発を進めると共に、石油由来の潤滑剤使用量の削減のために水溶性潤滑剤の適用範囲拡大に取組み、これまで実現困難とされていたステンレス圧延工場の研削工程において生産性向上と火災の心配がない安心・安全な操業の両立を実現しました(商品名:ダフニーポリッシングオイル)。・エンジンオイル開発ではディーゼルパティキュレートフィルターの目詰まりの要因となる灰を出さないオイルを開発し、燃料の消費量やメンテナンスの作業と費用の大幅削減を実現しました(商品名:idemitsu AshFree)。ナノテクノロジーを応用した環境配慮型商品の開発も進めました。・3つの海外研究開発拠点と連携し、地域特性に応じた様々な環境対応型高機能・省エネルギー型商品の開発を進めており、カーエアコン用冷凍機油、産業ロボット用グリース等の商品ラインアップを拡充しました。・基礎研究にも力を入れており、トライボロジー学会の論文賞、技術賞(3年連続)を受賞しました。 ②機能舗装材(アスファルト)事業では、省資源・省エネルギーや環境に配慮した舗装材料、例えば耐水性を強化し長寿命化を可能にした舗装材などを独自開発しています。また、アスファルトの特性を活かした屋根用防水材や、建物の地盤沈下による損傷を防ぐための基礎杭に塗布するアスファルトなど、工業用製品も開発し日本国内で製造販売しています。特に舗装材の製品開発においては、当社の長年の舗装材開発の実績から、行政機関や施設管理者と、十分連携しながら進めています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。・高速道路や空港舗装向け機能舗装材においては、スコープ3排出量削減の可能性を視野に入れ、工場から排出されたCO2から合成した炭酸カルシウムを使用した「CO2固定化舗装材」の実用化検討を行いました。また水に起因する道路の損傷を大幅に抑制する舗装の耐水性強化技術について、試験施工を通した実用化検討を行いました。・建築防水材料においては、環境対応型高機能商品の開発を進め、作業時の揮発成分を約30%減らした作業環境改善効果の高い材料を実用化しました。 ③機能材料分野では、エンジニアリングプラスチックであるポリカーボネート樹脂やシンジオタクチックポリスチレン樹脂の高付加価値商品の開発及び新機能を有した粘接着基材の開発に取り組んでいます。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。・ポリカーボネート樹脂(商品名:タフロンTM)では、透明性や流動性に優れた光学グレードの開発、耐久性や耐薬品性、難燃性に優れる共重合グレードの開発を行っています。光学グレードは液晶ディスプレイ部品や自動車を含む各種照明部品市場で好評を得ており、特に自動車照明用材料では高透明性及び高導光性が要求されるDRL(Daytime Running Light)部品向けの販売がここ数年高い伸び率で拡大を続けています。・シンジオタクチックポリスチレン樹脂(商品名:ザレックTM)では、成形サイクルや成形時の流動性を改良したグレードを展開し、自動車電装部品等への販売を拡大しました。また、電波透過性、電気特性が評価され車間距離レーダー部品、電気自動車部品への採用が始まっています。一方、実績分野である家電・日用品分野の増販、高速通信分野向けの材料スペックイン推進、押出・フィルム・繊維分野、アロイ分野のマーケティング強化により、自動車分野以外への新規用途開拓も推進していきます。・プラスチック複合材料(商品名:カルプTM)では、ポリオレフィン系樹脂コンパウンドにて、植物由来の原料化の検討や主力商品である難燃グレードの環境安全性を高める非ハロゲン化の開発を推進、また、ポリフェニレンサルファイド系樹脂コンパウンドにて、水中・油中において良摺動性を示すグレードの開発や電装部品の新たな用途展開に向けた絶縁熱伝導グレードの開発を推進しました。 ④シート・フィルム分野では、包装材料のグレード開発及び産業用途の加飾分野の開発を行っています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。・昨今の環境問題対応への社会的要求を受け止め、プラスチック包装材の減容化につながるフィルム等の環境対応商品の開発を継続し、成形容器の作製時に発生するシートの端材のリサイクル技術を検討しました。・顧客ニーズに基づくグレード開発を推進し、成型容器向けのバリアシート(商品名:マルチレイシートTM)の品揃え、無機物を多く含有しプラスチックの使用量を減らしたフィルム(商品名:ユニクレストTM)開発や、誤飲防止につながるチャイルドレジスタンス機能を持つジッパーテープ、電子レンジ加熱で発生する蒸気を逃がす機能を持つジッパー(商品名:プラロックTM)の改良開発等により、商品ラインアップの拡充を行いました。 ⑤電子材料事業では、有機EL材料、酸化物半導体材料に代表される電子材料分野での新素材の研究開発を行っています。特に有機EL材料においては、顧客との連携強化、大学との共同研究などを通じて商材の更なる高性能化から次世代技術の開発まで、幅広い開発活動を推進しています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。・蛍光型青色材料を用いた有機EL素子において、新発光方式を開発し、世界最高レベルの発光効率と長寿命化に成功しました。本成果はディスプレイ関連の世界最大の学会であるSociety for Information Display主催のシンポジウム「Display Week 2022」の最優秀論文に選定されました。・㈱ジャパンディスプレイと多様なディスプレイに適用可能な多結晶酸化物半導体「Poly-OS」を開発することに成功しました。また、複数の顧客にサンプル提供を開始し、取組が本格化しました。 ⑥農薬・機能性飼料事業では、微生物培養技術や応用技術、天然物活用技術によって、農業や畜産分野の「食の安全・安心」と「増大する食糧需要」に貢献する商品のラインアップを拡充しています。開発した剤は、国内はもとより海外への展開も積極的に行っています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。・米国向け畜産資材の開発を行い、1剤の販売開始に貢献しました。日本国内では、農薬登録の適用拡大に向けた検討により、殺菌剤12件、生物農薬殺菌剤1件、緑地管理用除草剤1件の登録取得に貢献しました。 (3)資源セグメント石炭事業では、顧客ニーズに応える技術サービスと石炭のクリーン利用技術の開発に取り組んでおり、近年では、バイオマス混焼によるCO2排出量の削減や、排ガス中のCO2を炭酸塩として固定化させる技術開発を積極的に推進しています。当セグメントに係る研究開発費は4億円です。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりで、特にパリ協定発効を踏まえ、環境と調和した石炭利用技術の開発を強化しました。・石炭火力のCO2排出削減に繋がる木質バイオマスの製造・販売の事業化に向け、ベトナムでの商業プラントの運転を2023年7月に開始すべく、自社コールセンターでの受入・貯蔵、共に取組む需要家の石炭ボイラでの混焼試験を実施し、より実用的な評価技術を確立してきました。試験結果を踏まえ、木質バイオマスの品質向上や需要家へのコンサルティングを行っています。・CO2を資源として活用するとともにCO2の排出削減を行うため、廃コンクリート中のカルシウムと発電所や工場から排出されるCO2を作用させ炭酸塩(炭酸カルシウム)を製造するプロセスの研究開発を国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援を得て進めています。・石炭鉱山での植栽を活用した新規事業創出を目的に、(独)エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と共同でバイオマス燃料や炭素材料の研究開発を実施しました。 (4)全社共通(コーポレート研究)中期経営計画(2023~2025年度)に掲げた事業ポートフォリオ転換に向け、社会や技術のトレンドを踏まえた新規事業創出のための研究開発を実施しています。 ①次世代技術研究所では、循環型社会の実現に向けて、自社の設備への適用を見越したバイオマスやCO2を出発原料とするクリーンな素材・燃料の開発を実施しています。また高機能材事業の成長に向けて、保有している有機・無機合成、生物変換技術、光・電気化学の要素技術を活かしたモビリティ向け軽量/強靭化素材や環境配慮型農畜産資材、高速通信関連材料等の開発に取り組んでいます。加えて、事業部研究所と一体となって研究開発を加速させるべく、高度な分析・解析技術、計算科学を用いた研究開発のサポートを実施しています。これらを進めるにあたっては、2020年4月に国立大学法人東京工業大学内に設立した「出光興産次世代材料創成協働研究拠点」に代表されるアカデミアとの共同研究や、国家プロジェクトへの参画等によるオープンイノベーションを積極的に活用し、自社開発にこだわることなく研究開発の早期成果創出に取り組んでいます。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。・NEDO「グリーンイノベーション基金事業/燃料アンモニアサプライチェーンの構築プロジェクト」の課題の一つとして採択された、「常温、常圧下アンモニア製造技術の開発」において、新規アンモニア合成技術にて常温・常圧でもアンモニアが合成されるというコンセプトの原理検証に成功しました。②リチウム電池材料部では、次世代電池として早期の商業化が望まれる全固体電池のキーマテリアルである固体電解質を中心に、次世代電池用材料及びその量産化の研究開発を行っています。材料開発においては自動車メーカー・電池メーカー等のお客様と連携し、固体電解質の更なる性能向上・コスト競争力向上に努めています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。・材料開発の加速を目的として、当社内の電池評価設備を拡充し稼働を開始しました。量産に向けた技術開発として、小型実証設備の第1プラント(21年11月稼働開始)に続き、23年内の稼働を目指し第2プラントの建設を進めています。・NEDO「グリーンイノベーション基金事業 次世代蓄電池・次世代モーターの開発」プロジェクトのテーマの一つとして、「硫化物系固体電解質の量産技術開発」が採択されました。・将来的な全固体電池バリューチェーンの付加価値向上に向けた取組みとして、正極材料と固体電解質を融合した新しい高性能材料について、Umicore社との共同開発を開始しました。更に、硫黄系正極材の研究開発及び、全固体電池のリサイクル技術の探索やスキーム検討も開始しました。
FY2022|4,872 文字
5【研究開発活動】当社グループは、燃料油、高機能材、資源、更には新規事業創出のための研究開発に取り組んでいます。現在、図に示した研究開発体制の下、互いに密接に連携して研究開発活動を行っています。また、エネルギー・マテリアルトランジションならびに先進マテリアル領域の強化・拡大に向け、2021年7月に技術・CNX戦略部を新たに設立、全社研究開発戦略の策定、部門横断での新規事業開発に取り組んでいます。なお、研究開発費については、各セグメントに配賦できない全社共通研究費等125億円が含まれており、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は前年同期比55億円増加の260億円です。 (当社グループの研究開発体制) 当連結会計年度における各セグメントの研究開発内容、研究開発経費及び研究開発成果は次のとおりです。 (1) 燃料油セグメント燃料油セグメントでは、環境に配慮した石油製品の開発を推進しています。当セグメントに係る研究開発費は8億円です。廃プラスチックからのエチレン・プロピレン製造の技術開発をはじめ、製油所・事業所の省エネルギー化及び環境調和型社会への貢献のための技術開発を推進しています。 (2) 高機能材セグメント高機能材セグメントでは、環境に配慮した潤滑油製品の開発、機能舗装材(アスファルト)の開発、機能材料及び樹脂加工製品の競争力強化に向けた保有技術の改良や新規材料の開発、電子材料事業、アグリバイオ事業における研究開発を推進しています。当セグメントに係る研究開発費は124億円です。 ①潤滑油事業では、省燃費・省エネルギーや環境に配慮して開発した商品をグローバルに展開し、国内及び海外市場への安定供給実現に努めています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。・自動車用潤滑剤においては、車両の効率向上に寄与する低粘度EV車両用潤滑油、及び信頼性向上に寄与するEV車両用グリースを開発し、商品ラインアップを拡充しました。・工業用潤滑油においては、消費電力削減(CO2削減)に貢献する省エネルギー型機械設備用潤滑油、低地球温暖化係数冷媒に対応する冷凍機油、作業環境改善に寄与する切削油の開発等を推進し、高機能商品ラインアップを拡充しました。 ②機能舗装材(アスファルト)事業では、国内外において、省資源・省エネルギーに加え、カーボンニュートラルに資する道路舗装材料、建築防水材料に代表されるインフラ資材分野における研究開発を行っています。特に道路舗装材料においては、道路管理者との連携強化、共同研究を行うことで、舗装リサイクル材や橋梁舗装材の高性能化・長寿命化、次世代高耐久舗装技術の開発を行っています。これら新技術の社会実装をとおして、安心して利用できる道路舗装の実現に取り組んでいます。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。・舗装リサイクル向け機能舗装材においては、NEXCO総研とリサイクル舗装の性能向上に資する研究を共同で行い、試験舗装による評価を行いました。・高速道路や幹線道路向け機能舗装材においては、国土交通省ならびにNEXCO総研と連携を図りながら、舗装面の平坦性向上と長寿命化に効果のある材料の開発を推進しました。・カーボンニュートラルに資する機能舗装材として、燃焼排ガス中のCO2を舗装中に固定化する技術を開発しました。 ③機能材料分野では、エンジニアリングプラスチックであるポリカーボネート樹脂やシンジオタクチックポリスチレン樹脂の高付加価値商品の開発、新機能を有した粘接着基材である機能性軟質ポリプロピレンや水添石油樹脂の開発および機能性コート剤として特殊ポリカーボネートやポリアニリンの開発に取り組んでいます。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。・ポリカーボネート樹脂(商品名:タフロンTM)では、自動車照明用途にて高透明性、高導光性及び高耐候性が要求されるDRL(Daytime Running Light)部品向けの新グレード開発に取り組みました。また特殊共重合グレードを使用したコンパウンドグレードの開発を推進しました。・シンジオタクチックポリスチレン樹脂(商品名:ザレックTM)では、電気自動車市場の拡大を想定し、電装部品用の材料開発を推進しました。また、優れた電波透過性、電気特性を活かした高速通信分野向けの材料スペックイン推進および、押出・フィルム・繊維分野、アロイ分野のマーケティング強化により、自動車分野以外への新規用途開拓に取り組みました。・一般の結晶性ポリプロピレン樹脂と比較して、融点が低く、軟質特性、遅延結晶性を有する機能性軟質ポリプロピレン(商品名:エルモーデュTM)や、重合および水添技術をベースに独自開発した無色透明の石油樹脂で、海外生産を開始した水添石油樹脂(商品名:アイマーブTM)では、ホットメルト接着剤や不織布向けを始めとする新規用途開拓を推進しました。・耐摩耗性・耐熱性に優れる特殊ポリカーボネート(商品名:タフゼットTM)は、電子写真感光体ドラムの表面コーティング用樹脂として、さらなる性能向上のための開発に取り組みました。・溶剤に可溶な導電性高分子で、電子部品に採用されているポリアニリンは、その特徴を生かした新規用途開拓を推進しました。・プラスチック複合材料(商品名:カルプTM)では、ポリオレフィン系樹脂コンパウンドにて植物由来の原料化の検討や、主力商品である難燃グレードの環境安全性を高める非ハロゲン化の開発を推進、また、ポリフェニレンサルファイド系樹脂コンパウンドにて、光ファイバーコネクタ向けの超精密成形グレードやセラミックスに対する高い摺動性を示すグレードの開発などを推進しました。 ④シート・フィルム分野では、包装材料のグレード開発及び産業用途の加飾分野の開発を行っています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。・昨今の環境問題対応への社会的要求を受け止め、バイオマスプラスチックを用いたシート・フィルム、ジッパー等の環境対応商品の開発を継続しラインアップを増やすとともに、シートにおいてはマテリアルリサイクルの更なる拡充の検討を開始しました。・包装材料においては、易開封、イージーピール、直線カット等のユニバーサルデザインと顧客ニーズに対応した商品開発を進めました。易開封性を備え持つ成形容器(商品名:マジックトップTM)では、食品メーカーのForm Fill Seal機での成形を可能とし、今後拡大する病院食・介護食分野へ対応しました。 ⑤電子材料事業では、有機EL材料、酸化物半導体材料に代表される電子材料分野での新素材の研究開発を行っています。特に有機EL材料においては、顧客との連携強化、大学との共同研究などを通じて商材の更なる高性能化から次世代技術の開発まで、幅広い開発活動を推進しています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。・ディスプレイ用酸化物半導体材料において、顧客で良好な評価結果が得られ、既存技術対比で大幅な低消費電力化の可能性を確認しました。 ⑥アグリバイオ事業では、微生物培養技術や応用技術、天然物活用技術によって、農業や畜産分野の「食の安全・安心」と「増大する食糧需要」に貢献する商品のラインアップを拡充しています。開発した剤は、国内はもとより海外への展開も積極的に行っています。当連結会計年度の主な実績は以下の通りです。・農業分野では、国内で微生物を利用した残渣分解剤1剤の販売を開始しました。・連結子会社の㈱エス・ディー・エス バイオテックでは、農薬の3剤の新規登録を行いました。また、22剤の拡大登録を取得しました。さらに新たに2剤の販売を開始しました。 (3) 資源セグメント石炭事業では、顧客ニーズに応える技術サービスバイオマス等の混焼によるCO2排出量の削減や、CO2を化学原料として利用する技術開発を積極的に推進しています。当セグメントに係る研究開発費は3億円です。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりで、特に2021年5月の中期経営計画の見直しを踏まえブラックペレット混焼等の環境と調和した石炭利用技術の開発や、CO2を資源として活用する炭酸塩化技術の開発を強化するとともに、アンモニア混焼技術に関する開発にも着手しました。・石炭火力のCO2排出削減に繋がる木質バイオマスの製造・販売の事業化に向け、ベトナムでのプレマーケティングプラントの運転開始、ブラックペレットの混焼に取組む自社事業所・需要家と共に石炭ボイラでの混焼試験を実施し、より実用的な技術を確立してきました。試験結果を踏まえ、木質バイオマスの品質向上や需要家へのコンサルティングを行っています。・郵船商事株式会社が保有するボイラ制御技術に当社が保有する石炭高効率燃焼技術を融合させて機能向上を図ったボイラ制御最適化システム「ULTY-V plus」の販売を通じ、需要家の石炭ボイラから排出されるCO2の削減に貢献しています。本事業は日本郵船グループと共同で実施しており、バイオマス混焼による、機器や発電効率への影響・経済的負担の算定等にも取り組んでいます。・CO2を資源として活用するとともにCO2の排出削減を行うため、廃コンクリート中のカルシウムと発電所や工場から排出されるCO2を作用させ炭酸塩(炭酸カルシウム)を製造するプロセスの研究開発を国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援を得て進めています。・石炭鉱山植栽とそのバイオマスを活用したGHG低減を目的に、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と共同で新規事業創出の研究開発を実施しました。 (4) 全社共通(コーポレート研究)コーポレート研究としては、社会のニーズや技術のトレンドを掴み、適社性を加味したうえで、新規事業創出に向けた機能性素材・電子素材の開発やエネルギー・マテリアルトランジションに資する研究を行っています。また、全社研究開発を加速するため、分析・解析技術の高度化、機械学習、AIを活用した研究促進を図っています。・電動化社会、高度情報化社会に必要とされる次世代材料として、超耐熱スーパーエンプラ・導電高分子・無機電子素材及び各種デバイスの開発に取り組んでいます。カーボンニュートラルへの取り組みとして、バイオマスやCO2を原料とする素材、燃料やCO2の固定化技術を開発しています。これらを進めるにあたっては、自社単独での開発にこだわることなくオープンイノベーションを積極的に活用しています。・2020年4月に国立大学法人東京工業大学すずかけ台キャンパス内に開設した「出光興産次世代材料創成協働研究拠点」においては高難度な技術課題の解決に取り組んでいます。・将来のエネルギーキャリアとして注目されているアンモニアを常温常圧で水と窒素から製造する東京大学 西林仁昭教授らが開発した触媒系の実用化の検討を行っています。本研究は早期実用化が望まれ、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて経済産業省が立ち上げたグリーンイノベーション基金事業に採択されました。本資金を活用し、“窒素社会”を目指した実用化研究を加速します。・リチウム電池材料部では、次世代電池として早期の商業化が望まれる全固体電池のキーマテリアルである固体電解質を中心に、次世代電池用材料及びその量産化の研究開発を行っています。市場拡大が見込まれる電動車両に必要な安全で高性能な全固体電池の実現に向け、固体電解質の開発・材料提供を通じて貢献すべく、固体電解質の量産化に向けた開発の加速を目的として、商業生産に向けた実証設備を千葉事業所内に建設し、稼動を開始しました。加えて、材料提供先の拡大に伴い、次世代技術研究所の敷地内にも設備を建設することを決定しました(完工・稼働開始は23年度第1四半期)。
FY2021|4,332 文字
5【研究開発活動】当社グループは、燃料油、高機能材、資源、更には新規事業創出のための研究開発に取り組んでいます。現在、図に示した研究開発体制の下、互いに密接に連携して研究開発活動を行っています。なお、研究開発費については、各セグメントに配賦できない全社共通研究費等60億円が含まれており、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は前年同期比10億円増加の205億円です。 (当社グループの研究開発体制) 当連結会計年度における各セグメントの研究開発内容、研究開発経費及び研究開発成果は次のとおりです。 (1) 燃料油セグメント燃料油セグメントでは、環境に配慮した石油製品の開発を推進しています。当セグメントに係る研究開発費は19億円です。①燃料油事業では、重質油処理装置の全体最適処理技術の開発及び石油製品の高付加価値化を目的としたペトロリオミクス関連技術の開発、プロセス技術を活かした事業競争力の強化、製油所・事業所の高効率化を行っています。 ②重油接触分解装置を活用した廃プラスチックケミカルリサイクルの技術開発をはじめ、製油所・事業所の省エネルギー化及び環境調和型社会への貢献のための技術開発を推進しています。 (2) 高機能材セグメント高機能材セグメントでは、環境に配慮した潤滑油製品の開発、機能舗装材(アスファルト)の開発、機能材料及び樹脂加工製品の競争力強化に向けた保有技術の改良や新規材料の開発、電子材料事業、アグリバイオ事業における研究開発を推進しています。当セグメントに係る研究開発費は124億円です。①潤滑油事業では、省燃費・省エネルギーや環境に配慮して開発した商品をグローバルに展開し、国内及び海外市場への安定供給実現に努めています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。・自動車用潤滑油においては、省燃費性を更に高めたILSAC GF‐6エンジン油と、EV車両用潤滑油を開発し、商品ラインアップを拡充しました。・工業用潤滑油においては、環境対応型高機能商品の開発を進め、消費電力削減に繋がる省エネルギー型機械設備用潤滑油や冷凍機油、産業ロボット用グリース、更に、作業環境改善効果の高い水溶性切削油やプレス油の開発を推進し、商品ラインアップを拡充しました。 ②機能舗装材(アスファルト)事業では、国内外において、省資源・省エネルギーや環境に配慮した道路舗装材料、建築防水材料に代表されるインフラ資材分野での研究開発を行っています。特に道路舗装材料においては、道路管理者との連携強化や共同研究などを行い、舗装リサイクル材や橋梁舗装材の高性能化・長寿命化、次世代高耐久舗装技術の開発をとおして、安心して利用できる道路舗装の実現に取り組んでいます。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。・高速道路等の幹線道路向け機能舗装材においては、路面の平坦性向上と長寿命化に効果のある商品ラインアップを拡充しました。・舗装リサイクル向け機能舗装材においては、NEXCO総研殿とリサイクル舗装の性能向上に資する研究成果報告を共同で行いました。・建築防水材料においては、環境対応型高機能商品の開発を進め、信頼性能向上と作業環境改善効果の高い材料の開発を推進しました。 ③機能材料分野では、新機能を有した粘接着基材の開発及びエンジニアリングプラスチックであるポリカーボネート樹脂やシンジオタクチックポリスチレン樹脂の高付加価値商品の開発に取り組んでいます。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。・一般の結晶性ポリプロピレン樹脂と比べて大幅に融点が低く、軟質特性、遅延結晶性を有する機能性軟質ポリプロピレン(商品名:エルモーデュTM)は、従来から展開してきたホットメルト接着剤原料、不織布・フィルム等のポリプロピレン改質剤での展開を進め拡販に繋げました。低臭気、低揮発成分、モノマテリアル化への市場要求にこたえ、更なる展開を推進していきます。・ポリカーボネート樹脂(商品名:タフロンTM)では、透明性や流動性に優れた新しいグレードを開発し、液晶ディスプレイ部品や自動車を含む各種照明部品市場で好評を得ています。特に自動車照明用材料では高透明性及び高導光性が要求されるDRL(Daytime Running Light)部品向けの販売が好調で、ここ数年高い伸び率で拡大を続けています。2015年12月に千葉工場のポリカーボネート製造装置を停止し、2016年度より共重合技術を活用した特殊グレードを含む全ての生産を、台湾Formosaグループの中核企業であるFCFC社へ集約し、市場での競争力をさらに向上させました。・シンジオタクチックポリスチレン樹脂(商品名:ザレックTM)では、成形サイクルや成形時の流動性を改良したグレードを展開し、自動車電装部品等への販売を拡大しました。また、電波透過性、電気特性が評価され車間距離レーダー部品、電気自動車部品への採用が始まっています。一方、実績分野である家電・日用品分野の増販、高速通信分野向けの材料スペックイン推進押出・フィルム・繊維分野、アロイ分野のマーケティング強化により、自動車分野以外への新規用途開拓も推進していきます。 ④シート・フィルム分野では、包装材料のグレード開発及び産業用途の加飾分野の開発を行っています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。・昨今の環境問題対応への社会的要求を受け止め、バイオプラスチックを用いたシート・フィルム、ジッパー等の環境対応商品の開発を継続し、ラインアップを増やしました。・包装材料では、顧客ニーズに基づくグレード開発を推進し、成型容器向けの高防湿シート(商品名:マルチレイシートTM)の開発、ロングライフ食品包材向けに透明シート(商品名:ピュアサーモTM)のバリア化の開発や、レトルト対応ジッパーテープ(商品名:プラロックTM)の改良開発等により、商品ラインアップの拡充を行いました。・加飾分野では、自動車分野向けに塗装代替のグレード開発を推進しました。 ⑤電子材料事業では、有機EL材料、酸化物半導体材料に代表される電子材料分野での新素材の研究開発を行っています。特に有機EL材料においては、顧客との連携強化、大学との共同研究などを通じて商材の更なる高性能化から次世代技術の開発まで、幅広い開発活動を推進しています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。・有機EL材料分野では特に蛍光青色発光材料の開発に注力しており、高青色純度ドーパント開発の加速に繋がる新しい分子設計戦略を見出し、本成果を2020年の国際学会にて発表しました。 ⑥アグリバイオ事業では、微生物培養技術や応用技術、天然物活用技術によって、農業や畜産分野の「食の安全・安心」と「増大する食糧需要」に貢献する商品のラインアップを拡充しています。開発した剤は、国内はもとより海外への展開も積極的に行っています。当連結会計年度の主な実績は以下の通りです。・農業分野では、国内で天敵昆虫を利用した生物防除剤1剤の販売を開始しました。・連結子会社の㈱エス・ディー・エス バイオテックでは、日本国内での新規農薬の登録件数は5剤、また、15剤の拡大登録を取得しました。・畜産分野では、米国で畜産資材1剤の販売を開始しました。 (3) 資源セグメント石炭事業では、顧客ニーズに応える技術サービスと石炭のクリーン利用技術の開発に取り組んでおり、近年では、バイオマス混焼によるCO2排出量の削減や、CO2を化学原料として利用する技術開発を積極的に推進しています。当セグメントに係る研究開発費は2億円です。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりで、特にパリ協定発効を踏まえ、環境と調和した石炭利用技術の開発を強化しました。・石炭火力のCO2排出削減に繋がる木質バイオマスの製造・販売の事業化に向け、ベトナムでのプレマーケティングプラントの運転開始、自社コールセンターでの受入・貯蔵、石炭ボイラでの混焼試験を実施し、より実用的な評価技術を確立してきました。試験結果を踏まえ、木質バイオマスの品質向上や需要家へのコンサルティングを行っています。・郵船商事株式会社が保有するボイラ制御技術に出光が保有する石炭高効率燃焼技術を融合させて機能向上を図ったボイラ制御最適化システム「ULTY-V plus」の販売を通じ、需要家の石炭ボイラから排出されるCO2の削減に貢献しています。本事業は日本郵船グループと共同で実施しています。・CO2を資源として活用するとともにCO2の排出削減を行うため、廃コンクリート中のカルシウムと発電所や工場から排出されるCO2を作用させ炭酸塩(炭酸カルシウム)を製造するプロセスの研究開発を国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援を得て進めています。・低品位炭の利用促進を目的に、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と共同でインドネシア褐炭を用いた炭素材料の研究開発を実施しました。 (4) 全社共通(コーポレート研究)コーポレート研究としては、社会や技術のトレンドを掴み、適社性を加味したうえで、新規事業創出に向けた機能性素材・デバイスの開発やGHG削減・資源循環に資する研究を実施するとともに、事業部研究所を含め全社で推進している研究開発の加速を図るべく高度な分析・解析技術・計算科学によるサポートを実施しています。・来るべき電動化社会、高度情報化社会に資する素材として新規スーパーエンプラ・導電性高分子・新規無機材料及びデバイスの開発等に取り組んでいます。また、カーボンニュートラルな社会の実現を目指し、バイオマスや二酸化炭素を原料とする素材、燃料の開発も精力的に進めています。・これらを進めるにあたっては、自社単独での開発にこだわることなくオープンイノベーションを積極的に活用し、その一環として2020年4月に国立大学法人東京工業大学すずかけ台キャンパス内に「出光興産次世代材料創成協働研究拠点」を開設しました。・リチウム電池材料室では、次世代電池として早期の商業化が望まれる全固体電池のキーマテリアルである固体電解質を中心に、次世代電池用材料及びその量産化の研究開発を行っています。市場拡大が見込まれる電動車両に必要な安全で高性能な全固体電池の実現に向け、固体電解質の開発・材料提供を通じて貢献していきます。固体電解質の商業生産に向けた小型量産設備を千葉事業所内に建設中です(完工・稼働開始は2021年度上期)。
FY2020|3,684 文字
5【研究開発活動】当社グループは、燃料油、高機能材、資源、更には新規事業創出のための研究開発に取り組んでいます。現在、図に示した研究開発体制の下、互いに密接に連携して研究開発活動を行っています。なお、研究開発費については、各セグメントに配賦できない全社共通研究費41億円が含まれており、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は前年同期比39億円増加の194億円です。 (当社グループの研究開発体制) 当連結会計年度における各セグメントの研究開発内容、研究開発経費及び研究開発成果は次のとおりです。 (1) 燃料油セグメント燃料油セグメントでは、環境に配慮した石油製品の開発を推進しています。当セグメントに係る研究開発費は24億円です。燃料油事業では、重質油処理装置の全体最適処理技術の開発、及び劣質原油処理時の腐食機構の解明と対策検討、石油製品の高付加価値化を目的としたペトロリオミクス関連技術の開発、プロセス技術を活かした事業競争力の強化、製油所・事業所の高効率化、省エネルギー化及び環境調和型社会への貢献を目指した技術開発を行っています。 (2) 高機能材セグメント高機能材セグメントでは、環境に配慮した潤滑油製品の開発、機能材料及び樹脂加工製品の競争力強化に向けた保有技術の改良や新規材料の開発、電子材料事業、アグリバイオ事業における研究開発を推進しています。当セグメントに係る研究開発費は122億円です。①潤滑油事業では、省燃費・省エネルギーや環境に配慮して開発した商品をグローバルに展開し、国内及び海外市場への安定供給実現に努めています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。・自動車用潤滑油においては、省燃費性を更に高めたエンジン油と、EV車両用潤滑油を開発し、商品ラインアップを拡充しました。・工業用潤滑油においては、環境対応型高機能商品の開発を進め、消費電力削減に繋がる省エネルギー型機械設備用潤滑油や冷凍機油、産業ロボット用グリース、更に、作業環境改善効果の高い水溶性切削油やプレス油の開発を推進し、商品ラインアップを拡充しました。 ②機能材料分野では、新機能を有した粘接着基材の開発及びエンジニアリングプラスチックであるポリカーボネート樹脂やシンジオタクチックポリスチレン樹脂の高付加価値商品の開発に取り組んでいます。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。・一般の結晶性ポリプロピレン樹脂と比べて大幅に融点が低く、軟質特性を有する機能性軟質ポリプロピレン(商品名:エルモーデュ®)は、従来から展開してきた衛生材料用接着剤原料、家具用接着剤原料、不織布・フィルム等のポリプロピレン改質剤での展開を進め拡販に繋げました。・ポリカーボネート樹脂(商品名:タフロン®)では、透明性や流動性に優れた新しいグレードを開発し、液晶ディスプレイ部品や自動車を含む各種照明部品市場で好評を得ています。特に自動車照明用材料では高透明性及び高導光性が要求されるDRL(Day Time Running Light)部品向けの販売が好調で、ここ数年高い伸び率で拡大を続けています。2015年12月に千葉工場のポリカーボネート製造装置を停止し、2016年度より共重合技術を活用した特殊グレードを含む全ての生産を、台湾Formosaグループの中核企業であるFCFC社へ集約し、市場での競争力をさらに向上させました。昨年はこの特殊グレードは車載用途での採用も始まり、従来に無かった市場に向けて、今後更に展開を加速させていっています。・シンジオタクチックポリスチレン樹脂(商品名:ザレック®)では、成形サイクルや成形時の流動性を改良したグレードを展開し、自動車電装部品等への販売を拡大しました。また、電波透過性,電気特性が評価され車間距離レーダー部品,電気自動車部品への採用が始まっています。更には高速通信向け部品への納入開始により、自動車分野以外への新規用途開拓も推進していきます。 ③シート・フィルム分野では、包装材料のグレード開発及び産業用途の加飾分野の開発を行っています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。・昨今の環境問題対応への社会的要求を受け止め、バイオプラスチックを用いたシート・フィルム、生分解性樹脂を用いたジッパー等の環境対応商品を開発し、顧客へ提供を開始しました。・包装材料では、顧客ニーズに基づくグレード開発を推進し、バリアシート(商品名:マルチレイTM)を用いたロングライフ化に対応した食品容器の開発、レトルト対応ジッパーテープ(商品名:プラロックTM)を用いた電子レンジに対応した調理袋の開発等により、商品ラインアップの拡充を行いました。・加飾分野では、開発した塗装代替の高輝度グレードにより自動車・住設・家電の各分野へ用途展開し、拡販に繋げました。 ④電子材料事業では、有機EL材料、酸化物半導体材料に代表される電子材料分野での新素材の研究開発を行っています。特に有機EL材料においては、顧客との連携強化、大学との共同研究などを通じて商材の更なる高性能化から次世代技術の開発まで、幅広い開発活動を推進しています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。・東レ㈱との共同取り組みにおいて、次世代の技術として期待されている熱活性化遅延蛍光(TADF)の材料で世界最高レベルの発光効率と寿命を達成しました。・本成果は、新たな技術の早期実用化に向けた大きな進歩であり、2019年11月に東レ㈱と共同プレス及び国際学会での共同発表を行いました。 ⑤アグリバイオ事業では、微生物培養技術や応用技術、天然物活用技術によって、農業や畜産分野の「食の安全・安心」と「増大する食糧需要」に貢献する商品のラインアップを拡充しています。また、海外展開に向けて登録申請の準備を進めています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。・農業分野では、新規発売が1剤(殺虫剤)となりました。・連結子会社の㈱エス・ディー・エス バイオテックでは、日本国内での新規農薬の登録件数は3剤、新規農薬の登録申請は5剤となりました。また、67剤の拡大登録を取得しました。 (3) 資源セグメント石炭事業では、鉱山で生産される製品炭の品質を向上させるとともに、石炭を効率よくクリーンに利用して環境負荷を低減する技術の開発を推進しています。当セグメントに係る研究開発費は2億円です。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりで、特にパリ協定発効を踏まえ、環境と調和した石炭利用技術の開発を強化しました。・石炭火力のCO2排出削減に繋がる木質バイオマスの製造・販売を目指し、製造技術、評価技術の確立及び実機ボイラでの石炭との混焼試験を実施しました。試験結果を踏まえ、木質バイオマスの品質向上や需要家へのコンサルティングを行っています。・郵船商事㈱が保有するボイラ制御技術に出光が保有する石炭高効率燃焼技術を融合させて機能向上を図ったボイラ制御最適化システム「ULTY-V plus」の販売を通じ、需要家の石炭ボイラから排出されるCO2の削減に貢献しています。本事業は日本郵船グループと共同で実施しています。・宇部興産㈱及び日揮グローバル㈱とともに、複数の大学の参画を得てCCSU研究会を設立。産学協働で、産業廃棄物に含まれるカルシウム等によりCO2を固定化し、資源として利用する研究開発を開始しました。・低品位炭の利用促進を目的に、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と共同でインドネシア褐炭を用いた炭素材料の研究開発を実施しました。 (4) 全社共通(コーポレート研究)コーポレート研究としては、社会や技術のトレンドを掴み、適社性を加味したうえで、新規事業創出に向けた機能材料の開発や気候変動対策に資する研究を実施するとともに、事業部研究所を含め全社で推進している研究開発の加速を図るべく高度な分析・解析技術によるサポートを実施しています。リチウム電池材料室では、次世代電池として技術確立が望まれる全固体電池のキーマテリアルである固体電解質を中心とした次世代電池用材料及びその量産化の研究開発を行っています。市場拡大が見込まれる電動車両に必要な、安全で高性能な全固体電池の実現に向け、固体電解質の材料開発・提供を通じて貢献していきます。固体電解質の商業生産に向けた小型量産設備を千葉事業所内に建設する計画です(完工・稼働開始は21年度第1四半期)。 ・2018年4月、AIや機械学習機能の活用による次世代材料設計の加速化を目指し、先進技術研究所内に新たに計算科学チームを編成しました。・2018年7月、中長期的な材料開発の基礎研究を継続・強化するため、先進技術研究所内に次世代電池材料研究室を新設しました。・2019年4月、先進技術研究所と旧昭和シェル石油のコーポレート研究部門(厚木地区)を統合し、名称を次世代技術研究所に変更しました。
FY2016|2,995 文字
6【研究開発活動】当社グループは、石油製品、石油化学製品、資源、電子材料及びアグリバイオの各事業、更には新規事業創出のための研究開発に取り組んでいます。現在、図に示した研究開発体制の下、互いに密接に連携して研究開発活動を行っています。なお、研究開発費については、各セグメントに配賦できない全社共通研究費27億円が含まれており、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は前年同期比7億円減少の126億円です。 (当社グループの研究開発体制) 当連結会計年度における各セグメントの研究開発内容、研究開発経費及び研究開発成果は次のとおりです。 (1) 石油製品セグメント石油製品セグメントでは、環境に配慮した石油製品、潤滑油製品の開発を推進しています。当セグメントに係る研究開発費は30億円です。①燃料油事業では、重質油処理技術の高度化、製品の高付加価値化、プロセス技術を活かした事業競争力の強化、製油所・工場・事業所の高効率化、省エネルギー化及び環境調和型社会への貢献を目指した技術開発を行っています。②潤滑油事業では、省燃費・省エネルギーや環境に配慮した商品をグローバル規模で開発・展開し、国内及び海外市場への安定供給実現に努めています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。・自動車用潤滑油においては、省燃費特性と耐久性を両立させた超低粘度エンジンオイル、駆動系オイルを開発し、商品ラインアップを拡充しました。・工業用潤滑油においては、環境対応型高機能商品の開発を進め、地球温暖化係数(GWP)の低い冷媒用冷凍機油、消費電力削減に繋がる省エネルギー型機械設備用潤滑油、更に、油の寿命を延長することで廃液量の削減を実現した環境負荷低減型水溶性加工油の開発を推進し、商品ラインアップを拡充しました。(2) 石油化学製品セグメント石油化学製品セグメントでは、機能材料事業において、機能材料及び樹脂加工製品の競争力強化に向けた保有技術の改良や新規材料の開発を推進しています。当セグメントに係る研究開発費は27億円です。①機能材料分野では、新機能を有した粘接着基材の開発及びエンジニアリングプラスチックであるポリカーボネート樹脂やシンジオタクチックポリスチレン樹脂の高付加価値商品の開発に取り組んでいます。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。・通常の結晶性ポリプロピレン樹脂と比べて大幅に融点が低く、軟質特性を有する機能性軟質ポリプロピレン(商品名:エルモーデュ®)は、従来から展開してきた衛生材料用接着剤原料や不織布改質剤及びフィルム改質剤として採用が拡大するとともに、木工用接着剤原料としての用途開発を進め、販売拡大に繋げました。・ポリカーボネート樹脂(商品名:タフロン®)では、液晶ディスプレイ部品向けに優れた色調と良好な流動性を持つ新しいグレードを開発して販売を開始し、市場で好評を得ています。また、平成27年12月に千葉工場の製造装置を停止しましたが、これに先立ち、特殊グレードを含む全てのグレードの生産を台湾Formosaグループの中核企業であるFCFC社へ集約すべく技術検討を重ね、平成28年度からのFCFC社での生産開始に目途を得ました。・シンジオタクチックポリスチレン樹脂(商品名:ザレック®)では、成型サイクルや成形時の発生ガスを低減したグレードを開発し、自動車電装部品等への販売を拡大しました。また、電気特性が評価され車間距離レーダー部品に採用されました。②シート・フィルム分野では、包装材料のグレード開発及び産業用途の加飾分野の開発を行っています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。・包装材料では、顧客ニーズに基づくグレード開発を推進し、バッグインボックス向けフィルムグレードや帯電防止フィルムグレードの改良(商品名ユニクレストTM)、易開口性に優れた自動充填包装機用のジッパーテープグレードの開発(商品名プラロックTM)等により商品のラインアップの拡充を行いました。・加飾分野では、自動二輪外装用途のシート改良を推進し、大手バイクメーカーへの採用を拡大するとともに、新たに開発したグレードにより自動車分野や住設分野への用途開発を推進しました。(3) 資源セグメント石炭事業では、鉱山で生産される製品炭の品質を向上させるとともに、石炭を効率よくクリーンに利用して環境負荷を低減する技術の開発を推進しています。当セグメントに係る研究開発費は1億円です。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。・豪州自社鉱山(ボガブライ)の拡張工事に併せて、製品炭ラインナップごとの品質設計を実施するとともに、燃焼試験や実ボイラの運転データ解析により、鉱山での品質管理方法を検討しました。また、顧客ニーズに基づいたブレンド炭の商品設計を実施するための評価方法を構築しました。・石炭の自然発熱挙動のシミュレーション技術やインドネシア鉱山でのフィールド試験を通じて、貯炭場やサイロでの石炭の自然発熱防止対策を確立しました。・低品位炭の利用促進のため、電力会社と共同で混焼時の技術課題を抽出し、対策の検討とコスト評価を実施しました。また、低品位炭の改質に関する技術評価及び用途探索を実施しました。・石炭の高効率・クリーン燃焼に関する技術開発を推進し、国内外の石炭需要家に対する技術サポート及びソリューション事業を展開しました。 (4) その他セグメント上記以外に、電子材料事業、アグリバイオ事業で研究開発を行っています。当セグメントに係る研究開発費は41億円です。①電子材料事業では、有機EL材料、酸化物半導体材料に代表される電子材料分野での新素材の研究開発を行っています。特に有機EL材料においては、顧客との連携強化、大学との共同研究などを通じて商材の更なる高性能化から次世代技術の開発まで、幅広い開発活動を推進しています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。・平成28年4月にLG電子より発表された最新有機ELテレビに当社有機EL材料が採用されました。②アグリバイオ事業では、微生物培養技術や応用技術、天然物活用技術によって、農業や畜産分野の「食の安全・安心」と「増大する食糧需要」に貢献する商品のラインアップを拡充しています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。・農業緑化資材では、土壌に水分を素早く均一に浸透させ芝草の根に適度な水分を供給することができる「イデサーフ®」の全国販売を開始しました。・飼料添加物では、これまで牛用の商品としてラインナップしてきた「ルミナップ®」シリーズの技術を鶏用に応用し、腸内環境を正常に保つ「クロストップ®(鶏用)」を開発し販売を開始しました。・連結子会社の㈱エス・ディー・エス バイオテックでは、日本において新規農薬2剤の農薬登録を取得しました。(5) 全社共通(コーポレート研究)コーポレート研究としては、事業部研究所が実施した開発品について高度な分析機器と解析技術によるサポートを実施することと、社会や技術のトレンドを掴み自社との適社性を加味しながら新規事業の創出に向け、畜産分野における動物用ワクチンの開発や、電動車輛など電気エネルギーの有効活用に向けた次世代蓄電池用材料の開発を実施しています。