事業の概要
- 農薬及び農業関連事業殺虫剤、殺菌剤、除草剤などの農薬を製造し、主に全国農業協同組合連合会(JA)を通じて国内の農家へ販売しています。ゴルフ場などで使われる薬剤も子会社を通じて販売しており、農業だけでなく幅広い分野に製品を提供しています。海外でも子会社や関連会社を通じて販売網を広げており、グローバルに事業を展開しています。
- 化成品事業クロロトルエン・クロロキシレン系の化学品や、医薬品の中間体、ウレタンの原料となる精密化学品、産業用薬剤などを製造・販売しています。これらの製品は、様々な産業の素材や部品の原料として使われており、多岐にわたる製品の根幹を支える事業です。発泡スチロールの製造販売も行っています。
- その他事業不動産の賃貸や発電・売電事業のほか、建設業、バイオ関連事業、食品添加物事業、印刷事業、物流事業、人材派遣事業など、多角的な事業を展開しています。これにより、特定の事業に依存しない安定した収益基盤を構築し、グループ全体の収益性を高めています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 農薬及び農業関連事業殺虫剤、殺菌剤、除草剤などの農薬を製造し、主に国内の農協を通じて販売しています。ゴルフ場向けの薬剤販売や海外での販売も手掛けており、グループ全体の売上高の約7割を占める1,356.97億円を稼ぎ出す主力事業です。営業利益は105.81億円と、収益の大部分をこの事業で生み出しています。
- 化成品事業クロロトルエン・クロロキシレン系化学品、医薬中間体などの精密化学品、産業薬品などを製造・販売しています。発泡スチロールの製造販売も行っており、幅広い産業に製品を提供しています。売上高は251億円、営業利益は15.28億円で、グループの重要な収益源の一つです。
- その他事業不動産賃貸、発電・売電、建設業、バイオ関連事業、食品添加物事業、印刷事業、物流事業、人材派遣事業など、多岐にわたる事業を展開しています。これらの事業は、主力事業を補完し、グループ全体の安定的な収益基盤を支える役割を担っています。
2025-10 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| AgricultualChemicalsAndAgricultureRelatedReportableSegmentsMemberReportableSegment | 事業 | 1,357 | 106 | 7.8% |
| ChemicalsReportableSegment | 事業 | 251 | 15 | 6.1% |
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3 【事業の内容】当社グループの事業に係る位置づけ及びセグメント情報との関連は次のとおりであります。 [農薬及び農業関連事業]当社は殺虫剤、殺菌剤、除草剤等の農薬を製造し、農協の全国組織であります全国農業協同組合連合会を通じて国内に販売しております。製品の一部は連結子会社の尾道クミカ工業株式会社に生産委託しております。ゴルフ場等の農耕地以外で使用される薬剤等につきましては、連結子会社の株式会社理研グリーン、良地産業株式会社及び浅田商事株式会社を通じて国内の需要先に販売しております。農薬原材料は、連結子会社のイハラニッケイ化学工業株式会社及びケイ・アイ化成株式会社ならびに持分法適用関連会社の上海群力化工有限公司より購入しております。海外販売につきましては、当社の海外営業部が販売活動をする一方、連結子会社のK-I CHEMICAL U.S.A. INC.(米国)、K-I CHEMICAL EUROPE SA/NV(ベルギー)、PI Kumiai Private Ltd.(インド)及びAsiatic Agricultural Industries Pte. Ltd.(シンガポール)ならびに持分法適用関連会社のT.J.C. CHEMICAL CO., LTD.(タイ)及びIHARABRAS S.A. INDUSTRIAS QUIMICAS(ブラジル)がそれぞれの担当地域で販売を行っております。 [化成品事業]当社はクロロトルエン・クロロキシレン系化学品、精密化学品、産業薬品等を製造し販売しております。クロロトルエン・クロロキシレン系化学品につきましては、連結子会社のイハラニッケイ化学工業株式会社が製造、販売しております。精密化学品につきましては、医薬中間体、ウレタン用架橋剤、ポリウレア樹脂原料等のアミン類、樹脂原料を製造、販売しております。当社が製造、販売するほか、連結子会社のイハラニッケイ化学工業株式会社及びケイ・アイ化成株式会社が製造、販売しております。産業薬品につきましては、産業用薬剤、環境衛生薬剤、医療用殺菌剤原体等の製造、販売をしております。連結子会社のケイ・アイ化成株式会社が製造、販売しております。また、連結子会社の株式会社理研グリーンが販売しております。海外販売につきましては、連結子会社のK-I CHEMICAL U.S.A. INC.(米国)及びIharanikkei Chemical(Thailand)Co., Ltd.(タイ)が行っております。連結子会社のイハラ建成工業株式会社が発泡スチロール製造業を営んでおります。 [その他]当社は不動産賃貸事業ならびに発電及び売電を行っております。連結子会社の株式会社理研グリーンが建設業、連結子会社のケイ・アイ化成株式会社がバイオ関連事業、連結子会社のイハラ建成工業株式会社が建設業及び不動産業、連結子会社の良地産業株式会社が食品添加物事業、連結子会社の日本印刷工業株式会社が印刷事業、連結子会社の株式会社クミカ物流が物流事業、連結子会社のK-I CHEMICAL DO BRASIL LTDA.(ブラジル)が受託事業、連結子会社の株式会社ネップが人材派遣事業をそれぞれ営んでおります。 事業の系統図は次のとおりであります。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 中程度 主力製品「アクシーブ」は抵抗性雑草に有効という優位性があるが、価格競争も激しい。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 農薬は各国の法令に基づく登録制度があり、薬効・安全性・環境影響に関する厳しい審査が必要。 |
| 顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい | 中程度 |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | 中程度 |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 高い |
会社が挙げる主要リスク:農薬需要の減少(天候、病害虫、農作物価格、競合、法規制) / 海外事業における法令・規制、政治・経済、農業情勢、異常気象、関税政策の変更 / 化成品市場の需給バランス、末端製品の需要・在庫状況、輸出先の規制強化
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 9 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
農薬原体や製剤に関する特許は保有しているが、グローバルな大手と比較すると、その影響力や独占性は限定的。特定の分野での技術力は認められるものの、広範なIPポートフォリオによる強力なブランド力や参入障壁形成には至っていない。
スイッチングコスト★★☆☆☆
農薬は、効果、安全性、コスト、既存の防除体系との適合性など、総合的な判断で選定される。一度採用された農薬が、他の製品に容易に切り替えられるわけではないが、新製品の登場や抵抗性の発達により、乗り換えが発生する可能性は十分にある。スイッチングコストは中程度。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
農薬事業は、製品の性能や販売網が重要であり、ユーザー数の増加が直接的に製品価値を高めるネットワーク効果は基本的に存在しない。
コスト優位★★★☆☆
長年の製造ノウハウと、一部の原体における独自製造技術により、コスト競争力を維持している。特に、ジェネリック農薬市場においては、効率的な生産体制が強みとなる。しかし、研究開発費や環境対策費の増加は、コスト優位性を圧迫する要因となりうる。
規模の経済★★★☆☆
国内農薬市場においては、一定のシェアを確保しており、JAグループとの連携による販売網は強み。しかし、グローバル市場でのプレゼンスは限定的であり、世界的な大手化学メーカーと比較すると、規模の経済による圧倒的な優位性は確立されていない。国内市場での寡占化は進んでいる。
- 広範な販売ネットワーク国内では農協の全国組織である全国農業協同組合連合会を通じて農薬を販売しており、強固な販売チャネルを確立しています。また、ゴルフ場向け薬剤は子会社を通じて販売し、海外でも地域ごとの子会社や関連会社が販売を担うことで、国内外に広範な販売網を持っています。
- 多様な製品ポートフォリオ農薬だけでなく、医薬中間体やウレタン原料などの精密化学品、産業薬品、さらには発泡スチロール、食品添加物など、幅広い製品を手掛けています。これにより、特定の市場変動リスクを分散し、安定した事業運営を可能にしています。
- 研究開発と製品優位性主力製品である畑作除草剤「アクシーブ」は、他社製品では防除が難しい抵抗性雑草に有効という性能面での優位性により販売を拡大しています。これは、継続的な研究開発によって生み出された技術力が競争力に繋がっていることを示唆しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
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経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針当社グループは、創立当初より安全で環境負荷の少ない農薬の開発に傾注し、国産第1号農薬の開発・製品化以来、国内のみならず、世界各地で自社開発品を中心とした製品の普及を進め、「いのちと自然」を守り育てることをテーマに、世界規模での農作物の生産性向上に貢献できるよう取り組んでおります。当社グループは、事業の中核をなす農薬の研究開発を根幹として、効率的な経営資源の投入を図ります。また、生産、物流、販売の連携を図り、収益本位の経営に徹底し、売上、利益の確保、増大ができる企業体質を確立することを経営の基本方針としております。 (2) 目標とする経営指標今後も持続的な成長を続け、収益力の一層の強化を目指し、企業価値の向上につなげていくため、当社グループは、「売上高」、「営業利益」ならびに株主資本及び総資本の運用効率を示す指標である「自己資本利益率(ROE)」等を重要な指標として認識しております。中期経営計画における2026年10月期の目標は、売上高185,000百万円、営業利益16,000百万円、自己資本利益率(ROE)11.0%以上と設定しております。 (3) 経営環境農薬を取り巻く環境に関しては、海外の景気減速の可能性や、燃料や原材料価格の高騰などによる物価高、及びウクライナ情勢や中東情勢等の地政学的リスクの高まりや、日中対立の長期化等ににより、先行きは依然として不透明な状況が続くことが予想されます。国内では農業従事者の高齢化・人手不足による耕作面積の減少など依然として課題が多くありますが、みどりの食料システム法が2022年7月に施工され、環境負荷低減や労働生産性向上に向けた取り組みが活発化しております。原材料価格の高騰や為替相場の変動もあり、今後の動向に注視する必要があります。 (4) 中長期的な経営戦略及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題中国を中心とした海外の景気減速の可能性、燃料や原材料価格の高騰などによる物価高、及びウクライナ情勢や中東情勢等の地政学的リスクの高まりや、日中対立の長期化等により、先行きは依然として不透明な状況が続くことが予想されます。当社グループの中核事業である農薬及び農業関連事業は、世界の人口増加に伴う食料及び飼料需要の増加などを背景として今後も拡大するものと考えられますが、上記のような不透明な状況やジェネリック品との市場での競合が激しくなり、市場環境は一層厳しさを増しております。 このような情勢の下、当社グループにおきましては、2024年10月期を初年度とする中期経営計画「KUMI STORY 2026」を策定し、企業価値の向上に向けた重点施策の遂行に全力で取り組んでおります。 国内販売部門におきましては、除草剤「エフィーダ」及び「ベンスルフロンメチル」を含む水稲用除草剤のさらなる普及基盤の拡大により、水稲一発処理除草剤市場におけるシェア1位の維持を図ってまいります。また、殺菌剤「ディザルタ」を含む水稲用箱処理剤の育成と拡販に注力するとともに、スマート農業推進のための継続的な取り組みを進めてまいります。園芸剤分野では殺菌剤「ピリベンカルブ」など自社開発剤の推進活動を強化するとともに、マーケティング戦略に基づく新規導入剤の早期最大化に取り組んでまいります。さらに、当社微生物農薬であるエコシリーズのプロモーション、みどりの食料システム戦略技術カタログに掲載された豆つぶ剤により、環境負荷の低減に貢献してまいります。 海外販売部門におきましては、事業の中核をなす除草剤「アクシーブ」について米国等の主要市場において新規混合剤の開発を推進するとともに、適切な販売促進支援等を行い、継続的な販売拡大・維持を図ります。ジェネリック対策としては、当社保有の特許権の侵害が認められた場合には知的財産権の保護のため提訴を含めた対応を継続し、併せて製造コストの削減を図ることで価格競争力の強化等の対策を実施いたします。また、「エフィーダ」の韓国での販売拡大、及び米州、アジア等での開発、「ディザルタ」の韓国での販売拡大、及びアジアを中心とした各国での開発を行います。今後も自社製品の普及、技術指導を通して、世界の農業の生産性向上と生産者の収入増加へ寄与してまいります。 特販部門におきましては、自社農薬製剤技術及び原体製造技術の有効活用による新規受託加工品目の獲得、「エフィーダ」、「ベンスルフロンメチル」等を含む自社品目の農耕地・非農耕地分野での拡充により、売上・利益の最大化を図ってまいります。また、自社原体製品を農業生産の現場に向けさらに届けるべく、販売ルートの多様性確保を図ってまいります。 化成品部門におきましては、クロロキシレン系化学品と、ビスマレイミド・アミン硬化剤・産業用薬品・発泡スチロール類等の拡販、ならびに市場動向に合わせた受託製造ビジネスの拡大を通じて、売上・利益の最大化に努めてまいります。さらに、半導体材料など電子材料分野への展開を推進し、新たな需要開拓と事業基盤の強化に取り組んでまいります。また、研究開発部門及びグループの化成品事業部門との連携を強化し、高付加価値な新規ビジネスの創出により、化成品事業領域の拡大を図ってまいります。 その他の事業におきましては、建設業では、DXの推進による生産性の向上を図るとともに、業務効率の改善による利益性の向上に取り組んでまいります。また、一般顧客に対する認知度を向上させることでさらなる工事受注量の拡大を図ってまいります。印刷事業では、生産効率の向上やムダ・ロスの削減による原価低減に取り組むとともに、利益管理を重視した販売施策の実施により、利益の確保と拡大を図ってまいります。物流事業では、ホワイト物流推進運動を継続し、物流品質のさらなる向上に取り組んでまいります。また、既存顧客との取引拡大だけでなく新規顧客の獲得を図り、自社倉庫の効率的な活用による収益確保を目指してまいります。さらに、物流データの可視化などデジタル化による業務改善とコスト削減により収益力の向上に努めてまいります。 生産資材部門におきましては、安全操業を前提に原体・製剤の効率的生産、製造条件改善による原価低減、効率的生産のための設備投資と工場機能の強化に取り組んでまいります。また、温室効果ガス排出量削減や廃棄物削減を加速し、よりクリーンな工場の実現を図ってまいります。調達に関しては、海外販売部門と協働し、「アクシーブ」の在庫の適正化に注力するとともに、各種原体及び原材料のコスト低減に向けたサプライヤーとの交渉を進めてまいります。 研究開発部門では、中核事業である農薬及び農業関連事業において、化学農薬に加え微生物農薬やバイオスティミュラント等の開発を進め、「みどりの食料システム戦略」にも対応した、環境にやさしく自然と調和する新製品の創出に取り組んでおります。化学農薬の新規殺ダニ剤「バネンタ」は国内での農薬登録を申請しており、審査が進行しております。また、グローバル市場をターゲットとした化学農薬パイプラインには複数の候補化合物があり、創製研究を加速しております。2025年3月に農薬登録された微生物農薬「エコアーク」は、果樹やバラで問題となっている根頭がんしゅ病の防除剤として上市に向けた準備を進めており、海外での評価も開始しております。農薬事業の中核をなす「アクシーブ」は知財戦略を推進するとともに、新規混合剤や新製剤の開発による差別化を進めてまいります。「エフィーダ」、「ディザルタ」は米国をはじめとするグローバル展開を進めると同時に、原体製造の最適化による収益性改善に取り組み、事業最大化を目指しております。化成品事業では、電子材料や高耐熱樹脂に使用されるビスマレイミド類などの自社保有技術を活用した半導体分野向け製品の開発を進め、競争力のある製品を創出いたします。また、地球温暖化や人口増加、PFAS等の規制を見据え、社会課題の解決を視野に入れた新技術・製品の研究開発を一層推進してまいります。 サステナビリティ経営におきましては、当社の中核事業である農薬及び農業関連事業に深く関わる気候変動や環境負荷低減に対する取り組みとして、当社グループで排出する温室効果ガス排出量を2030年度までに2019年度比30%削減とする目標を設定し、CO2フリー電力の導入やCO2排出量の少ない燃料への転換により着実に削減を進めています。さらに100年企業となる2048年度までのカーボンニュートラルの実現に向けて効果的な削減策の検討を継続します。2022年11月には「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言」への賛同を表明しTCFD提言を踏まえた情報開示に取り組んでいます。また、地域の生物多様性、豊かな景観を維持する活動として、北海道福島町の自社保有林(クミカレフュジア福島町)640haの適正な維持・管理や、静岡県菊川市に3,030㎡のビオトープ(クミカレフュジア菊川)を創設し、地域に生息する希少な動植物の保護活動を行っています。環境省が主導する「30by30アライアンス」にも参加し、生態系の維持や回復に向けた活動に取り組んでまいります。また、企業の持続的成長において人財が最も重要なファクターと捉え、「人財の育成/人的資本の考え方をベースにした人財戦略」を重要方針の一つに掲げ、各種取り組みを進めております。その一つとして、当社は2025年11月より新たな人事制度の導入を決定いたしました。新制度の導入により従業員一人ひとりのチャレンジを後押しする環境を整え、その努力や成果を適正に評価することで、従業員の達成感やエンゲージメントの向上を目指してまいります。 当社では2024年10月期から、中期経営計画「KUMI STORY 2026」をスタートさせました。100年企業としてのあるべき姿の実現に向けて7項目(①持続可能な農業への貢献/高品質な製品・サービスの安定供給、②気候変動・環境負荷の低減、③研究開発力の強化、④事業領域の拡大と新規事業の推進、⑤人財の育成/人的資本の考え方をベースにした人財戦略、⑥コーポレートガバナンスの高度化、⑦DXの推進/デジタル化の実践)を重要課題として位置づけ、取り組みを進めております。流動の激しい現代において、変化をしないことはそれ自体がリスクであり、今後も当社グループが継続的に成長をしていくためには、自ら変化に適応し続けていくことが重要であると考えております。意識改革・組織改革で利益追求への意識を高め、収益力を強化していくとともに、革新的な技術開発により新たな価値を創出してまいります。また、人財戦略ビジョンに基づく人財育成、DXによる業務効率化を推し進め、強靭な企業体質への変革を目指してまいります。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針当社グループは、創立当初より安全で環境負荷の少ない農薬の開発に傾注し、国産第1号農薬の開発・製品化以来、国内のみならず、世界各地で自社開発品を中心とした製品の普及を進め、「いのちと自然」を守り育てることをテーマに、世界規模での農作物の生産性向上に貢献できるよう取り組んでおります。当社グループは、事業の中核をなす農薬の研究開発を根幹として、効率的な経営資源の投入を図ります。また、生産、物流、販売の連携を図り、収益本位の経営に徹底し、売上、利益の確保、増大ができる企業体質を確立することを経営の基本方針としております。 (2) 目標とする経営指標今後も持続的な成長を続け、収益力の一層の強化を目指し、企業価値の向上につなげていくため、当社グループは、「売上高」、「営業利益」ならびに株主資本及び総資本の運用効率を示す指標である「自己資本利益率(ROE)」等を重要な指標として認識しております。中期経営計画における2026年10月期の目標は、売上高185,000百万円、営業利益16,000百万円、自己資本利益率(ROE)11.0%以上と設定しております。 (3) 経営環境農薬を取り巻く環境に関しては、海外の景気減速の可能性や、燃料や原材料価格の高騰などによる物価高、及びウクライナ情勢や中東情勢等の地政学的リスクの高まりや、日中対立の長期化等ににより、先行きは依然として不透明な状況が続くことが予想されます。国内では農業従事者の高齢化・人手不足による耕作面積の減少など依然として課題が多くありますが、みどりの食料システム法が2022年7月に施工され、環境負荷低減や労働生産性向上に向けた取り組みが活発化しております。原材料価格の高騰や為替相場の変動もあり、今後の動向に注視する必要があります。 (4) 中長期的な経営戦略及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題中国を中心とした海外の景気減速の可能性、燃料や原材料価格の高騰などによる物価高、及びウクライナ情勢や中東情勢等の地政学的リスクの高まりや、日中対立の長期化等により、先行きは依然として不透明な状況が続くことが予想されます。当社グループの中核事業である農薬及び農業関連事業は、世界の人口増加に伴う食料及び飼料需要の増加などを背景として今後も拡大するものと考えられますが、上記のような不透明な状況やジェネリック品との市場での競合が激しくなり、市場環境は一層厳しさを増しております。 このような情勢の下、当社グループにおきましては、2024年10月期を初年度とする中期経営計画「KUMI STORY 2026」を策定し、企業価値の向上に向けた重点施策の遂行に全力で取り組んでおります。 国内販売部門におきましては、除草剤「エフィーダ」及び「ベンスルフロンメチル」を含む水稲用除草剤のさらなる普及基盤の拡大により、水稲一発処理除草剤市場におけるシェア1位の維持を図ってまいります。また、殺菌剤「ディザルタ」を含む水稲用箱処理剤の育成と拡販に注力するとともに、スマート農業推進のための継続的な取り組みを進めてまいります。園芸剤分野では殺菌剤「ピリベンカルブ」など自社開発剤の推進活動を強化するとともに、マーケティング戦略に基づく新規導入剤の早期最大化に取り組んでまいります。さらに、当社微生物農薬であるエコシリーズのプロモーション、みどりの食料システム戦略技術カタログに掲載された豆つぶ剤により、環境負荷の低減に貢献してまいります。 海外販売部門におきましては、事業の中核をなす除草剤「アクシーブ」について米国等の主要市場において新規混合剤の開発を推進するとともに、適切な販売促進支援等を行い、継続的な販売拡大・維持を図ります。ジェネリック対策としては、当社保有の特許権の侵害が認められた場合には知的財産権の保護のため提訴を含めた対応を継続し、併せて製造コストの削減を図ることで価格競争力の強化等の対策を実施いたします。また、「エフィーダ」の韓国での販売拡大、及び米州、アジア等での開発、「ディザルタ」の韓国での販売拡大、及びアジアを中心とした各国での開発を行います。今後も自社製品の普及、技術指導を通して、世界の農業の生産性向上と生産者の収入増加へ寄与してまいります。 特販部門におきましては、自社農薬製剤技術及び原体製造技術の有効活用による新規受託加工品目の獲得、「エフィーダ」、「ベンスルフロンメチル」等を含む自社品目の農耕地・非農耕地分野での拡充により、売上・利益の最大化を図ってまいります。また、自社原体製品を農業生産の現場に向けさらに届けるべく、販売ルートの多様性確保を図ってまいります。 化成品部門におきましては、クロロキシレン系化学品と、ビスマレイミド・アミン硬化剤・産業用薬品・発泡スチロール類等の拡販、ならびに市場動向に合わせた受託製造ビジネスの拡大を通じて、売上・利益の最大化に努めてまいります。さらに、半導体材料など電子材料分野への展開を推進し、新たな需要開拓と事業基盤の強化に取り組んでまいります。また、研究開発部門及びグループの化成品事業部門との連携を強化し、高付加価値な新規ビジネスの創出により、化成品事業領域の拡大を図ってまいります。 その他の事業におきましては、建設業では、DXの推進による生産性の向上を図るとともに、業務効率の改善による利益性の向上に取り組んでまいります。また、一般顧客に対する認知度を向上させることでさらなる工事受注量の拡大を図ってまいります。印刷事業では、生産効率の向上やムダ・ロスの削減による原価低減に取り組むとともに、利益管理を重視した販売施策の実施により、利益の確保と拡大を図ってまいります。物流事業では、ホワイト物流推進運動を継続し、物流品質のさらなる向上に取り組んでまいります。また、既存顧客との取引拡大だけでなく新規顧客の獲得を図り、自社倉庫の効率的な活用による収益確保を目指してまいります。さらに、物流データの可視化などデジタル化による業務改善とコスト削減により収益力の向上に努めてまいります。 生産資材部門におきましては、安全操業を前提に原体・製剤の効率的生産、製造条件改善による原価低減、効率的生産のための設備投資と工場機能の強化に取り組んでまいります。また、温室効果ガス排出量削減や廃棄物削減を加速し、よりクリーンな工場の実現を図ってまいります。調達に関しては、海外販売部門と協働し、「アクシーブ」の在庫の適正化に注力するとともに、各種原体及び原材料のコスト低減に向けたサプライヤーとの交渉を進めてまいります。 研究開発部門では、中核事業である農薬及び農業関連事業において、化学農薬に加え微生物農薬やバイオスティミュラント等の開発を進め、「みどりの食料システム戦略」にも対応した、環境にやさしく自然と調和する新製品の創出に取り組んでおります。化学農薬の新規殺ダニ剤「バネンタ」は国内での農薬登録を申請しており、審査が進行しております。また、グローバル市場をターゲットとした化学農薬パイプラインには複数の候補化合物があり、創製研究を加速しております。2025年3月に農薬登録された微生物農薬「エコアーク」は、果樹やバラで問題となっている根頭がんしゅ病の防除剤として上市に向けた準備を進めており、海外での評価も開始しております。農薬事業の中核をなす「アクシーブ」は知財戦略を推進するとともに、新規混合剤や新製剤の開発による差別化を進めてまいります。「エフィーダ」、「ディザルタ」は米国をはじめとするグローバル展開を進めると同時に、原体製造の最適化による収益性改善に取り組み、事業最大化を目指しております。化成品事業では、電子材料や高耐熱樹脂に使用されるビスマレイミド類などの自社保有技術を活用した半導体分野向け製品の開発を進め、競争力のある製品を創出いたします。また、地球温暖化や人口増加、PFAS等の規制を見据え、社会課題の解決を視野に入れた新技術・製品の研究開発を一層推進してまいります。 サステナビリティ経営におきましては、当社の中核事業である農薬及び農業関連事業に深く関わる気候変動や環境負荷低減に対する取り組みとして、当社グループで排出する温室効果ガス排出量を2030年度までに2019年度比30%削減とする目標を設定し、CO2フリー電力の導入やCO2排出量の少ない燃料への転換により着実に削減を進めています。さらに100年企業となる2048年度までのカーボンニュートラルの実現に向けて効果的な削減策の検討を継続します。2022年11月には「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言」への賛同を表明しTCFD提言を踏まえた情報開示に取り組んでいます。また、地域の生物多様性、豊かな景観を維持する活動として、北海道福島町の自社保有林(クミカレフュジア福島町)640haの適正な維持・管理や、静岡県菊川市に3,030㎡のビオトープ(クミカレフュジア菊川)を創設し、地域に生息する希少な動植物の保護活動を行っています。環境省が主導する「30by30アライアンス」にも参加し、生態系の維持や回復に向けた活動に取り組んでまいります。また、企業の持続的成長において人財が最も重要なファクターと捉え、「人財の育成/人的資本の考え方をベースにした人財戦略」を重要方針の一つに掲げ、各種取り組みを進めております。その一つとして、当社は2025年11月より新たな人事制度の導入を決定いたしました。新制度の導入により従業員一人ひとりのチャレンジを後押しする環境を整え、その努力や成果を適正に評価することで、従業員の達成感やエンゲージメントの向上を目指してまいります。 当社では2024年10月期から、中期経営計画「KUMI STORY 2026」をスタートさせました。100年企業としてのあるべき姿の実現に向けて7項目(①持続可能な農業への貢献/高品質な製品・サービスの安定供給、②気候変動・環境負荷の低減、③研究開発力の強化、④事業領域の拡大と新規事業の推進、⑤人財の育成/人的資本の考え方をベースにした人財戦略、⑥コーポレートガバナンスの高度化、⑦DXの推進/デジタル化の実践)を重要課題として位置づけ、取り組みを進めております。流動の激しい現代において、変化をしないことはそれ自体がリスクであり、今後も当社グループが継続的に成長をしていくためには、自ら変化に適応し続けていくことが重要であると考えております。意識改革・組織改革で利益追求への意識を高め、収益力を強化していくとともに、革新的な技術開発により新たな価値を創出してまいります。また、人財戦略ビジョンに基づく人財育成、DXによる業務効率化を推し進め、強靭な企業体質への変革を目指してまいります。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループの経営成績及びキャッシュ・フローならびに財政状態(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 経営成績等の状況の概要① 経営成績の状況中国を中心とした海外の景気減速の可能性、燃料や原材料価格の高騰などによる物価高、及びウクライナ情勢や中東情勢等の地政学的リスクの高まりや、日中対立の長期化等により、先行きは依然として不透明な状況が続くことが予想されます。当社グループの中核事業である農薬及び農業関連事業は、世界の人口増加に伴う食料及び飼料需要の増加などを背景として今後も拡大するものと考えられますが、上記のような不透明な状況やジェネリック品との市場での競合が激しくなり、市場環境は一層厳しさを増しております。このような情勢の下、当社グループにおきましては、2024年10月期を初年度とする中期経営計画「KUMI STORY 2026」を策定し、企業価値の向上に向けた重点施策の遂行に全力で取り組んでおります。 この結果、売上高は、170,462百万円となり、前連結会計年度と比べて9,413百万円(5.8%)の増加となりました。また、利益面では、次のとおりとなりました。営業利益は、10,567百万円となり、前連結会計年度と比べて783百万円(6.9%)の減少となりました。経常利益は、13,363百万円となり、前連結会計年度と比べて4,936百万円(27.0%)の減少となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、4,381百万円となり、前連結会計年度と比べて9,209百万円(67.8%)の減少となりました。 各セグメントの業績は次のとおりであります。 1) 農薬及び農業関連事業農薬及び農業関連事業の売上高は135,697百万円となり、前連結会計年度と比べて7,563百万円(5.9%)の増加となりました。営業利益は10,581百万円となり、前連結会計年度と比べて1,566百万円(12.9%)の減少となりました。 2) 化成品事業化成品事業の売上高は25,100百万円となり、前連結会計年度と比べて135百万円(0.5%)の増加となりました。営業利益は1,528百万円となり、前連結会計年度と比べて756百万円(97.9%)の増加となりました。 3) その他その他全体の売上高は9,664百万円となり、前連結会計年度と比べて1,715百万円(21.6%)の増加となりました。営業利益は865百万円となり、前連結会計年度と比べて17百万円(2.0%)の増加となりました。 ② 財政状態の状況当連結会計年度末の総資産は248,205百万円で、前連結会計年度末と比べ27,269百万円の減少となりました。流動資産が24,178百万円減少し、固定資産が3,091百万円減少しました。流動資産の減少は商品及び製品ならびに受取手形、売掛金及び契約資産の減少等によるもの、固定資産の減少は建設仮勘定の減少等によるものです。負債は97,098百万円で、前連結会計年度末と比べ25,434百万円の減少となりました。流動負債が22,005百万円減少し、固定負債が3,430百万円減少しました。流動負債の減少は短期借入金ならびに支払手形及び買掛金の減少等によるもの、固定負債の減少は長期借入金の減少等によるものです。純資産は151,107百万円で、前連結会計年度末と比べ1,834百万円の減少となりました。この結果、自己資本比率は58.2%、1株当たり純資産額は1,199円81銭となりました。 ③ キャッシュ・フローの状況営業活動によるキャッシュ・フローは、33,803百万円の増加(前年同期は16,725百万円の減少)となりました。これは、棚卸資産の減少11,642百万円、税金等調整前当期純利益9,087百万円及び売上債権の減少7,031百万円等の資金の増加によるものです。投資活動によるキャッシュ・フローは、8,929百万円の減少(前年同期は8,756百万円の減少)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出8,277百万円等の資金の減少によるものです。財務活動によるキャッシュ・フローは、27,850百万円の減少(前年同期は23,608百万円の増加)となりました。短期借入金の減少17,017百万円、長期借入金の返済による支出8,302百万円及び配当金の支払額4,079百万円等の資金の減少によるものです。以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末残高に比べ5,243百万円減少し、21,845百万円となりました。 ④生産、受注及び販売の状況1) 生産実績 当連結会計年度における生産実績を各セグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称生産高(百万円)前年同期比(%)農薬及び農業関連事業47,065105.5化成品事業19,903100.8その他1,93499.2合計68,902103.9 (注)1.生産金額は販売価格をもって算出しております。 2.各セグメントの区分に基づき開示しております。 2) 受注状況 当連結会計年度におけるその他事業の受注状況を示すと、次のとおりであります。セグメントの名称受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)その他3,68579.82,01169.8 3) 販売実績 当連結会計年度における販売実績を各セグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)農薬及び農業関連事業135,697105.9化成品事業25,100100.5その他9,664121.6合計170,462105.8 (注)1.各セグメントの区分に基づき開示しております。 2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。 相手先前連結会計年度当連結会計年度販売高(百万円)割合(%)販売高(百万円)割合(%)全国農業協同組合連合会24,90815.526,80315.7FMC Corporation16,75210.424,36514.3BASF AGROCHEMICAL PRODUCTS B.V.22,35613.921,78512.8 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 ②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容1) 経営成績(売上高)売上高は、いずれのセグメントも上回ったことから、170,462百万円(前連結会計年度比5.8%の増加)となりました。(営業利益)売上総利益は農薬及び農業関連事業が前年を下回ったことにより34,366百万円(前連結会計年度比2.9%の減少)となりました。また、販売費及び一般管理費は、アクシーブの特許侵害品対策としての訴訟関連費用、試験研究費の増加等があったものの、運賃や貸倒引当金繰入額等の減少により23,799百万円(前連結会計年度比1.0%の減少)となりました。以上の結果、営業利益は10,567百万円(前連結会計年度比6.9%の減少)となり、減益となりました。なお、営業利益率は6.2%で前連結会計年度比0.8ポイントの減少となりました。(経常利益)経常利益は、持分法による投資利益の減少に加え、為替差損を計上したことにより、13,363百万円(前連結会計年度比27.0%の減少)となりました。(親会社株主に帰属する当期純利益)親会社株主に帰属する当期純利益は、4,381百万円(前連結会計年度比67.8%の減少)となりました。 (セグメント別の状況) (農薬及び農業関連事業)国内向けは、殺菌剤「ディザルタ」を含む水稲用箱処理剤、除草剤「エフィーダ」を含む水稲用除草剤の販売が好調に推移したことなどから、前連結会計年度を上回りました。海外向けは、除草剤「アクシーブ」においてアルゼンチン向け出荷が減少した一方、米国向けは流通在庫の消化が進んだことに加え、販促支援の強化により出荷増となりました。また、オーストラリア向けは特許侵害品に対する法対応が奏功して出荷が増加しました。以上の結果、農薬及び農業関連事業の売上高は135,697百万円、前連結会計年度比7,563百万円(5.9%)の増加となりました。営業利益は、除草剤「アクシーブ」のジェネリック対策としての価格対応等により10,581百万円、前連結会計年度比1,566百万円(12.9%)の減少となりました。 (化成品事業)生成AIサーバー向け電子材料分野の需要が好調に推移し、ビスマレイミド類の出荷が増加したことに加え、アミン類の出荷も堅調に推移しました。その結果、化成品事業の売上高は25,100百万円、前連結会計年度比135百万円(0.5%)の増加となりました。営業利益は、品目構成の改善が進み1,528百万円、前連結会計年度比756百万円(97.9%)の増加となりました。 (その他)建設業における新規工事の順調な受注等により、その他全体の売上高は、9,664百万円、前連結会計年度比1,715百万円(21.6%)の増加となりました。営業利益は、865百万円、前連結会計年度比17百万円(2.0%)の増加となりました。 2) 財政状態当連結会計年度末の総資産は248,205百万円で、前連結会計年度末に比べ27,269百万円の減少となりました。流動資産が24,178百万円減少し、固定資産が3,091百万円減少しました。流動資産の減少は商品及び製品ならびに受取手形、売掛金及び契約資産の減少等によるもの、固定資産の減少は建設仮勘定の減少等によるものです。負債は97,098百万円で、前連結会計年度末に比べ25,434百万円の減少となりました。流動負債が22,005百万円減少し、固定負債が3,430百万円減少しました。流動負債の減少は短期借入金ならびに支払手形及び買掛金の減少等によるもの、固定負債の減少は長期借入金の減少等によるものです。純資産は151,107百万円で、前連結会計年度末に比べ1,834百万円の減少となりました。この結果、自己資本比率は58.2%、1株当たり純資産額は1,199円81銭となりました。 3) キャッシュ・フロー営業活動によるキャッシュ・フローは、33,803百万円の増加(前年同期は16,725百万円の減少)となりました。これは、棚卸資産の減少11,642百万円、税金等調整前当期純利益9,087百万円及び売上債権の減少7,031百万円等の資金の増加によるものです。投資活動によるキャッシュ・フローは、8,929百万円の減少(前年同期は8,756百万円の減少)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出8,277百万円等の資金の減少によるものです。財務活動によるキャッシュ・フローは、27,850百万円の減少(前年同期は23,608百万円の増加)となりました。短期借入金の減少17,017百万円、長期借入金の返済による支出8,302百万円及び配当金の支払額4,079百万円等の資金の減少によるものです。以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末残高に比べ5,243百万円減少し、21,845百万円となりました。 4) 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、原燃料調達や価格の動向、為替動向、市場動向、国内外の法令や政治・経済動向、ESG課題への対応、人的資本に係る対応の影響等があります。資材調達につきましては、サプライチェーンの安定化と適正な在庫管理、委託先・調達先との関係強化等、生産と販売のバランスの調整、物流体制の最適化に努め、為替の影響によるリスクヘッジを含めた安定的な調達に取り組んでおります。また、当社グループをはじめサプライチェーン全体のホワイト物流推進運動への協力のため、発注の早期化を含めた資材調達計画の立案、実行を進めます。市場の変化に対しましては、国内販売部門において、市場動向の把握によるマーケティング戦略に基づく新規導入剤の早期最大化を行うとともに、「エフィーダ剤」や「ディザルタ剤」等の自社原体含有剤の拡販を進めます。海外販売部門においては、畑作用除草剤「アクシーブ剤」の混合剤開発支援による販売拡大に取り組むとともに、ジェネリック対策として当社保有の特許権を侵害する違法品に対しては、知的財産権の保護のため提訴を含めた対応を継続します。またジェネリック品の参入に対しては製造コストの削減を図ることで価格競争力の強化等の対応を実施いたします。研究開発部門では、新規高性能殺ダニ剤「バネンタ剤」、果樹やバラの根頭がんしゅ病防除用の微生物農薬「エコアーク」の開発のほか、「バイオスティミュラント」の開発等を推進しております。また、「みどりの食料システム戦略」をはじめとする各国の政策への対応として、環境や省力化に配慮した新たな製品・パッケージの開発や技術の創出に取り組んでおります。化成品の開発では、グループ化成品事業の連携強化による高付加価値の新規事業の創生と新技術の事業化に取り組んでおります。国内外の法令や政治・経済動向等につきましては、情報入手に努めるとともに、関係会社や開発・販売提携会社と連携し情報共有を図ることで対応を行っております。ESG課題への対応につきましては、気候変動・環境負荷の低減のため、当社グループの温室効果ガス排出量を2030年度に2019年度比30%減とし、創業100年の2048年度までにカーボンニュートラルを実現することを目標に取り組んでおります。人的資本に係る対応につきましては、期待する人財像を確保するための人事課題を深掘りし、人財戦略ビジョンを明確に打ち出すとともに、課題別に人事施策を策定し、取り組みを進めております。なお、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える主要なリスクにつきましては、「第2 事業の状況 3事業等のリスク」に記載のとおりであります。 5) 資本の財源及び資金の流動性当社グループの資金需要のうち主なものは、新剤開発・登録等に係る研究開発費や開発途中の剤の生産設備の設置及び既存剤の生産効率化に係る設備投資であります。これらを主に自己資金ならびに金融機関からの借入金により調達しております。金融機関からの借入金については、取引金融機関との間でコミットメントライン契約(シンジケート方式)を締結し、安定的な資金調達の体制を構築しております。なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は、51,901百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は21,845百万円であり、資金の流動性を確保しております。 6) 目標とする経営指標の達成状況等当社グループは、2024年10月期を初年度とする中期経営計画「KUMI STORY 2026」(2024年10月期~2026年10月期)を策定し、本中期経営計画を100年企業としての「あるべき姿」の実現に向け、経営基本方針「革新的な技術開発、事業領域の拡大により、環境変化に対応可能な経営基盤を構築し人々の暮らしを豊かにする製品・サービスの提供を通じて、サステナブルな社会の実現に貢献できる企業集団を目指す」を掲げております。これに向け、各事業において「持続可能な農業への貢献/高品質な製品・サービスの安定供給」、「気候変動・環境負荷の低減」、「研究開発力の強化」、「事業領域の拡大と新規事業の推進」、「人財の育成/人的資本の考え方をベースにした人財戦略」、「コーポレートガバナンスの高度化」、「DXの推進/デジタル化の実践」の7つの重要方針に基づく重点施策の遂行に取り組んでいます。中期経営計画の2年目となる当連結会計年度の事業に関しては、中期経営計画最終年度の目標値、売上高1,850億円、営業利益160億円、親会社株主に帰属する当期純利益150億円、自己資本利益率(ROE)11.0%以上、売上高営業利益率(ROS)8.5%以上に対し、売上高1,705億円、営業利益106億円、親会社株主に帰属する当期純利益44億円、ROE 3.0%、ROS 6.2%の進捗となりました。 2026年10月期は、中期経営計画の重要方針に基づく重点施策を着実に実行することで、経営基本方針にある「サステナブルな社会の実現に貢献できる企業集団」を目指してまいります。
事業リスク
- 農薬事業の外部環境依存農薬の需要は天候や自然環境、病害虫の発生状況、農作物の価格変動など、様々な外部要因に大きく左右されます。これらの要因により需要が減少したり、予期せぬ薬害が発生したりした場合、経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
- 海外事業における地政学的リスク海外売上高が約6割を占めるため、各国の法令・規制の変更、政治・経済情勢の悪化、貿易協定の失効、関税引き上げなどが事業活動に影響を与える可能性があります。特に米国の関税政策変更はコスト上昇や価格競争力低下につながるリスクがあります。
- 化成品事業の市場変動リスク化成品は素材の原料や中間体が多く、市場の需給バランスや末端製品の需要、在庫状況に影響を受けやすい特性があります。また、製品仕様やニーズの変化への対応が遅れると販売数量が減少し、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3 【事業等のリスク】(1) 当社グループのリスク管理体制リスク管理については、クミアイ化学グループリスク管理に関する基本方針の下、代表取締役社長が委員長を務めるリスク・コンプライアンス委員会において、リスクの網羅性の確認・評価、リスク管理に関する施策の立案等を行っております。また、サステナビリティ推進委員会及びレスポンシブル・ケア推進委員会では、気候変動や労働安全衛生などの課題への取り組みも進めております。 (2) 当社グループの主要なリスク有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性がある全てのリスクを網羅したものではありません。 ① 農薬及び農業関連事業領域におけるリスク 1) 国内における事業活動当社グループは、事業環境の定期的な見直しと市場動向の把握に努めて事業活動を行っておりますが、当社グループの主要な製品である農薬の需要は様々な外部環境要因による影響を受けます。天候や自然環境の影響、病害虫や雑草の薬剤耐性・抵抗性の発達、開発段階では予期できなかった農作物への薬害発生、農作物の価格低迷等による農薬需要の減少、新規他社製品との競合、法規制の強化や事故等による製品製造中止や欠品の発生、自然災害に伴う翌年度以降の耕作面積の減少等により、予想を上回る需要減が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。ゴルフ場等の農耕地以外で使用される薬剤等の需要もゴルフ場の減少など様々な外部環境要因による影響を受けます。また、農薬の再評価(全ての既存登録農薬に対して、最新の科学的知見を基に、国がその安全性を定期的に確認する制度)では、将来の製品の経済性評価、追加の安全性データ作成のための投資判断が必要となります。取扱い製品で他社から原体の供給を受けるものがあり、それら原体の再評価の際に農薬登録が維持されず、原体供給が停止となった場合には売上高や利益が減少し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。かかるリスクへの対応として、当社グループは、農林水産省や各都道府県発表の病害虫発生予察情報、病原菌の薬剤耐性や害虫や雑草の薬剤抵抗性の発生動向、作物の作付け状況などを常に見極めています。また、当社の販売員・普及員からの情報を活用するとともに、法規制の強化にも自社製品を網羅したタイムリーな対応を図っています。 2) 海外における事業活動当社グループは、海外での事業活動をさらに拡大していく方針でありますが、それぞれの国での法令や規制、政治、経済、農業情勢、各地域における異常気象等による病害虫・雑草の発生量、農作物価格や作付面積の変動等により、事業活動に影響を受ける可能性があります。当社グループの海外売上高は6割近くを占め、主要市場の経済情勢の悪化、農作物の価格下落による農薬需要の減少や販売価格の値下げ要求が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。国家間の貿易協定の失効、優遇税制の適用除外、輸出入に関する経済政策の変更、国家間の対立や交渉等により、輸出入に係る関税が引き上げられるリスクがあります。特に米国の関税政策の変更による影響は大きいと捉えています。これによりコストが上昇し、販売価格に転嫁せざるを得ない場合には、市場での価格競争力の低下により販売数量が減少し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループの主力製品である畑作除草剤「アクシーブ」は、他社除草剤では防除が難しい抵抗性雑草に対して有効という性能面での優位性により販売が拡大しておりますが、世界的な農薬市場の激しい競争の中、「アクシーブ」のシェア低下や強力な競合製品の登場による販売減が起きた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。農薬では医薬品と同様に、物質特許期間満了後にジェネリック品が市場に参入してくることがあります。当社グループは、当社製品のジェネリック品に対して優位を保つため、製品付加価値の向上やコスト低減に努めておりますが、価格競争を克服できない場合には、売上高や利益が減少する可能性があります。また、当社グループは、農業情勢や市場の解析を進めるとともに、需要予測精度の向上に努めておりますが、需要予測に反する状況に至り、その影響を受ける場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。かかるリスクへの対応として、当社グループは、各国販売提携先、海外子会社との連携、密な情報交換に加え、提携コンサルタントからの情報収集、外部データベースの購入、当局等のWEBサイトの監視等により、市場環境変化の早期把握を図り、売上維持のための対策を実施することで販売計画未達リスクの低減に努めています。 ② 化成品事業領域におけるリスク当社グループの化成品は、多くが素材の原料及び中間体であることから、市場での需給バランス及び末端製品の需要や在庫状況の影響を受けます。また、中間体や末端製品の仕様変更やニーズの変化への対応が遅れた場合には、販売数量が減少し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、海外販売では、輸出先の規制強化や地政学的リスクなどの影響を受けます。発泡スチロール事業では、魚箱、梱包材、断熱材及び電化製品の緩衝材等を販売しておりますが、これら用途の性質上、外部環境要因による影響を受けます。かかるリスクへの対応として、当社グループは、販売提携先と販売予測数量を共有し、変動要因の解析を行い、早期に対策を実施するとともに、製造委託先への定期的な訪問による安全管理状況、品質管理状況の把握及び複数購買による安定調達を実施しています。また、既存製品の市場開拓や用途開発を進めております。 ③ その他の事業領域におけるリスク建設業では、資材価格などの急激な高騰により建設コストが大幅に増加した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、予期しない重大な事故、労働災害、品質問題などが発生した場合には、社会的信用を失うとともに、受注機会の喪失や工期遅延などにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 かかるリスクへの対応として、安全管理・施工管理を徹底し、安全教育の実施、日常的な安全点検やリスクアセスメントに取り組んでいます。物流事業では、万一、重大事故が発生した場合には、顧客からの信用低下や行政処分による営業活動の停滞等を招く可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、燃料価格の上昇により運送費用が増加する可能性があります。かかるリスクへの対応として、安全確保のためのルールの策定や設備・システムの整備、従業員への安全教育及び安全意識の浸透などに取り組んでいます。建設業や物流事業では、許認可など多くの法的規制があり、各種法令の改正や新たな法令の制定があった場合には、それらに対応するための費用負担が生ずる可能性があります。また、時間外労働の規制強化と技能労働者を含めた人財不足の課題があります。かかるリスクへの対応として、法令・制度の改正等の情報を適宜且つ早期に把握し、十分な時間を持って準備を行い適切に対処できる体制づくりに取り組むとともに、高い技術と経験を備えた人財の採用及び育成を図りながら、職場環境の改善等にも注力し、多様な人財が活躍できる環境づくりに取り組んでいます。バイオ関連事業では、競合品の状況や市場ニーズなどの外部環境変化への対応が遅れる場合には、販売量が低下する可能性があります。かかるリスクへの対応として、市場動向の把握に努めるとともに、新規分野への進出に取り組みます。 ④ 新製品の開発に関するリスク当社グループの主要な製品である農薬は、各国の法令の下、登録制度による規制がなされ、薬効・薬害、人畜に対する安全性、環境影響等に関する所定の試験成績を提出して厳しい審査を受けて農薬登録を取得する必要があります。新規有望化合物の探索研究から新農薬の製品化までには、人的資源をはじめとして、多額の研究開発経費を必要とし、長期間に亘り各種試験研究を実施することが必要になります。開発段階から多くの試験を重ねて鋭意検討しておりますが、登録に必要な試験の結果、期待通りの有効性が得られない場合や安全性等に疑義が生じた場合には、開発を中止または対象作物や対象病害虫等を制限することも想定され、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、各国の法規制の改正で販売機会を逸する場合や開発期間中の市場の環境変化、技術水準の進歩、競合製品の開発状況等により開発の成否、将来の成長と収益性に影響を受ける場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、自社開発原体や独自製剤技術、有機合成技術を活用する研究開発型企業ですが、顧客ニーズを満足させる新製品を有効に開発できなかった場合には、将来の成長と経営成績に影響を及ぼす可能性があります。かかるリスクへの対応として、当社グループは、新しく導入される、または改正される農薬登録に関する法規制を早期に把握し、自社化合物への影響を検証し、対応策を立てています。また、各国の農薬登録要件や審査方法を把握するとともに、農薬登録に特化した専門のコンサルタントを起用し、登録可能性の試算を早期段階から行っております。一方で、研究開発型企業の強みを活かして、当社グループが革新的な農薬原体を創製し、「みどりの食料システム戦略」などの持続可能な食料システムに合致した新製品の開発を実現した場合には市場優位性獲得が期待されます。 ⑤ 為替変動に関するリスク当社グループの海外売上高比率は高く、さらに、海外に連結子会社6社及び持分法適用会社3社を有しております。急激な為替レートの変動は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、農薬原体を含む原材料や化成品の原材料を輸入しているため、為替変動は調達コストに影響を及ぼす可能性があります。海外子会社や持分法適用会社の経営成績は、連結財務諸表作成のために円換算されていることから、換算時の為替レートにより、円換算後の計上額が影響を受ける可能性があります。かかるリスクへの対応として、当社グループは、先物為替予約の実施や、三国間貿易における仕入と売上の決済通貨を統一することで為替リスクをヘッジするとともに、市場動向を注視し、為替変動を織り込んだ経営計画を作成しています。 ⑥ コンプライアンス及び法令等の変更に関するリスク当社グループは、コンプライアンスに対するステークホルダーからの要求が多様化・高度化する中、コンプライアンスに基盤を置いた企業文化の醸成が必須であると考えております。企業間の競争が激化する中で、製品の差別化要求、販売スケジュールや製品納期の遵守、業績目標達成の圧力などに起因した不正などの重大なコンプライアンス違反事案が発生した場合、その対応に要するコストに加え、顧客からの信頼を失い、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。かかるリスクへの対応として、役職員に対する定期的なコンプライアンス意識調査を実施し、その結果に基づく課題を反映させながら、実効性のあるコンプライアンス啓発活動に努めるとともに、内部公益通報を含む内部通報制度の的確な運用などを行い、不正リスクの発見的統制に努めております。一方で、当社グループがコンプライアンス体制の強化を進め、攻めのコンプライアンスに転じることで、ステークホルダーからの信頼を得ることや市場社会での評価を高めることにつながることが期待されます。当社グループは、化学物質の取扱いに関する国内外の法令による規制を受けております。環境問題に関する世界的な意識の高まりなどから、化学製品に対する規制は強化される傾向にあります。当社グループにおいてはレスポンシブル・ケア活動により「環境・健康・安全」の確保に努めておりますが、将来において環境に関する規制が予想を超えて厳しくなり、新たに多額の対策コストが必要になった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。かかるリスクへの対応として、当社グループは、環境関連法令改正の情報収集及び改正に伴う対応を実施しています。環境事故が発生した場合、会社に与える有事の対応コスト及び風評被害の影響は大きいため、未然防止のための先取対応(設備、人財等)への投資も行っています。 ⑦ 製品の品質に関するリスク当社グループは、各工場において品質マネジメントシステムを導入し、品質保証体制の充実に努めて原料調達管理及び製造・品質管理に万全を期しております。しかしながら、これらの取り組みの範囲を超えた予期しない品質欠陥や瑕疵、偶発的なトラブル等が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。なお、製造物責任に基づく損害賠償については保険に加入しているものの、賠償額を十分にカバーできない可能性があります。かかるリスクへの対応として、当社グループでは、顧客からのフィードバックや生産工程で発見された品質異常の根本原因を特定し、是正処置及び改善活動を通じて品質の継続的な向上に努めております。さらに、クミアイ化学の全工場及び一部グループ会社の工場ではISO9001認証を取得し、第三者による外部審査を受けることで、品質マネジメントシステムの適正な運用を保証しています。 ⑧ 生産・原料調達に関するリスク当社グループは、代替調達先の確保に努めておりますが、海外からの輸入に頼る原材料や、製造技術のノウハウや製造コスト面から原材料の一部に調達先が限定されている原材料があります。当該調達先が生産設備の故障・事故や所在国の法規制等の理由により供給契約の履行ができない場合には、必要な原材料が確保できず、製造が遅延・停止し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、生産拠点の分散化やグローバル展開に対応する生産体制の強化を進めておりますが、予想を上回る需要増等により、製品の安定供給に影響を及ぼす可能性があります。当社グループが調達を行う国・地域において、世界のパワーバランスの多様化が進む中、政治的・社会的情勢の不安定化、外交関係の緊迫化、テロ・紛争などの政治的混乱や自国第一主義の政策など、地政学的リスクが高まり、事業を取り巻く環境が悪化し、サプライチェーンが分断された場合や、経済安全保障に関し他国・地域から経済的威圧を被るなどした場合には、原材料が確保できず、当社グループでの製造が遅延・停止するリスクや予想を上回る原材料コストの増加が利益を圧迫するリスクがあります。このような影響で、当社グループや調達先の事業活動が制限を受けた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループの生産設備では、安全確保のため定期的な保守・点検を行っております。しかしながら、予期しない故障・事故等により生産が一時的に停止し出荷が遅延した場合や役職員や周辺地域に大きな被害や環境汚染等が発生した場合には、当社グループの製品販売の機会損失や社会的信用の失墜等が発生する可能性があります。また、生産再開に長時間を要する場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループ製品の製造は、当社グループの自社工場だけでなく、他社に製造委託をしております。委託先の工場において、予期しない故障・事故等により生産に影響が生じたり、環境や生命に損害を与えた場合には、当社グループの販売の機会損失や補償等が発生する可能性があります。かかるリスクへの対応として、当社グループは、海外など調達先においては、原材料の早期発注による在庫確保と代替品の手配、供給元の多元化などを進めています。また、当社グループにおいては、生産設備の定期点検、修繕により生産機能を維持するとともに、新技術の導入も図りながら老朽化設備の計画的な更新を進めています。 ⑨ 人財の確保・育成に関するリスク当社グループが研究開発型企業の強みを活かして、企業理念の実現と経営計画を実行するためには、高度な専門性を持つ人財や組織運営、経営戦略を企画推進するマネジメント人財などの確保・育成を着実に行う必要があります。しかしながら、人財の確保及び育成が想定どおりに進まない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。かかるリスクへの対応として、当社グループは、目指す人財像に必要なスペックを明確化し、計画的、かつ効率的に人財の獲得を進めるとともに、人財の育成を強化、働き甲斐のある制度の構築や働きやすい職場づくり、ワークライフバランスの充実を図っています。当社グループは、中期経営計画の重要方針に「人財の育成/人的資本の考え方をベースにした人財戦略」を掲げ、目指す人財像として、「新しい分野にチャレンジし、イノベーション・新規事業を創出できる人財」、「リーダーシップを発揮し、経営感覚を持つゼネラリスト人財」、「組織の同質性を打破する女性・外国・シニア人財」を設定し、人財の育成と確保に取り組んでいます。 ⑩ 減損会計適用に関するリスク当社グループは、事業の維持・成長や新たな事業機会の獲得のために、継続的な設備やM&Aへの投資を必要としていますが、当社グループの事業資産の価値が大幅に下落した場合、あるいは収益性の低下等により投資額の回収が見込めなくなった場合、減損処理を行うことにより当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。かかるリスクへの対応として、当社グループは、グループ各社の経営状況の的確な把握に加えて、重要案件の進捗や課題の共有化などを行っています。また、政策保有株式については、時価のモニタリングを行い、減損の要否を判断しています。 ⑪ 知的財産に関するリスク当社グループは、保有する知的財産権を厳正に管理しておりますが、一部の国では知的財産権が完全には保護されておらず、第三者による侵害を防止できない場合には、当社グループの製品の売上高や利益が減少する可能性があります。また、予期しない事態により技術情報・ノウハウが漏洩し、第三者が類似製品を製造・販売する可能性があります。さらに、他社の知的財産権を十分に調査・解析した上で事業活動を行っておりますが、他社から知的財産権の侵害を訴えられた場合には、製品の製造・販売等の差し止めや損害賠償金等が発生して、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。農薬の研究開発では、有効性や安全性の確認のための開発期間が長期にわたることから、販売開始に至るまでの間に物質特許の残続期間が短くなる場合があります。当社グループの主力製品である「アクシーブ」の物質特許が満了したため、他社のジェネリック品が参入して売上高や利益が減少し、他地域での「アクシーブ」や他製品の売上増で補填できない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。かかるリスクへの対応として、当社グループは、各国におけるジェネリック品の登録・生産状況を確認するとともに、様々な対抗策を構築することでアクシーブの市場シェアの維持に努めております。また、第三者が当社グループの保有する知的財産権を侵害して類似製品を製造、販売した場合、当社製品の売上やレピュテーションに影響を及ぼす可能性があります。当該第三者に対しては、法的な手段も含め、厳正な態度で対応していきます。 ⑫ 情報セキュリティに関するリスク当社グループは、事業活動を行ううえで、顧客及び取引先、株主、役職員等のすべての個人情報及び研究開発、生産などに関する機密情報の適切な管理に努めております。また、事業活動に関わる情報を財産と考え、継続的に情報セキュリティ体制の構築・強化を図っております。しかしながら、想定を超えるサイバー攻撃やその他の不測の事態による情報セキュリティ事故、地震等の自然災害の発生による情報システムの停止または一時的な混乱に伴う事業への影響が発生した場合、当社グループの社会的信用の失墜、訴訟の提起、社会的制裁等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、各国の個人情報・データ保護法の制定・改定や運用の強化が行われる中、事業運営において違反が発生した場合には、社会的信頼を喪失し、事業が行えなくなったり、多額の罰金が課されたりする可能性があります。かかるリスクへの対応として、当社グループは、従業員一人ひとりの情報セキュリティに対する意識向上を目的とした情報セキュリティ教育を進めるとともに、各種情報セキュリティインシデントが発生した際の迅速な対応を可能とする体制を構築しております。 ⑬ 人権に関するリスク当社は国連グローバル・コンパクトの人権、労働、環境、腐敗防止の4分野に関わる10原則を支持し、実践することで、グローバル企業として持続可能な社会の実現を目指しています。加えて当社グループは、「人権尊重」をサステナビリティ経営の基盤であると考え、「クミアイ化学グループ人権に関する基本方針」を制定しています。また、「人権デュー・ディリジェンスのためのガイドライン」を制定し、同ガイドラインに基づき、人権デュー・ディリジェンスを行うとともに、当社グループの全ての役職員をはじめステークホルダーの皆さまと協働して、人権の尊重を推進しています。しかしながら、欧米を中心とした人権に関する法規制の強化などの国際的な潮流の中、当社グループのサプライチェーン上で人権問題が発生した場合、社会的信頼の低下や取引停止などにつながり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、職場においてハラスメント行為が発生した場合には、従業員の健康の悪化やモチベーションの低下、離職率の増加などにつながる可能性があります。かかるリスクへの対応として、「人権デュー・ディリジェンスのためのガイドライン」に基づき、主要サプライヤーを対象にアンケート調査を実施しています。加えて、人権やハラスメントに関わる研修を実施し、人権尊重の啓発を図っています。 ⑭ DXに関するリスクデジタル技術の進化により、ビジネスにおける様々な側面で変化のスピードが高まっていますが、ITインフラの整備やデジタル人財の確保・育成が継続的に行われないことにより、DXの推進やデジタル技術の効果的な活用ができない場合、新たな市場機会を失う可能性や業務変革や開発力の強化が進まない可能性があります。かかるリスクへの対応として、中期経営計画に「DXの推進/デジタル化の実践」を掲げ、AI等の新規技術を活用した研究開発や生産性向上を目指しております。一方で、当社グループがDXを推進することで、経営効率の向上や新規市場創出につなげることが期待できます。 ⑮ 気候変動、生物多様性・自然資本に関するリスク気候変動の緩和のため温室効果ガス(GHG)の排出規制や脱炭素社会に向けた動きが加速する中、各国の法規制の強化に伴うエネルギー価格の上昇や炭素税導入、GHG排出削減のための追加設備投資などの影響により事業コストが増加する可能性があります。また、気候変動の影響により農耕地面積や農産物の収穫量が減少した場合には、農薬需要が低下し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。かかるリスクへの対応として、当社グループは、各国の法規制の動向を把握し、効果的な対応計画を策定するとともに、GHG排出量の削減に資する製造工程の見直しや効率性の高い設備導入、製品や技術の開発に取り組んでいます。また、当社グループは気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同し、気候変動の緩和のための対応策を実施し情報開示を推進しています。また、自然環境への関心が高まり、生物多様性や自然資本の保全・回復への注目が高まっている中、生物多様性や自然資本の保全への不十分な取り組みが企業の評価や価値を低下させる可能性があります。加えて、当社グループは、事業活動において生物多様性や自然資本に依存、また影響を与えていることから、生物多様性の喪失や自然資本の枯渇がコスト増加や事業の不安定化を招き、当社グループの経営成績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。かかるリスクへの対応として、当社グループは、企業理念として「いのちと自然を守り育てる」を掲げ、「気候変動・環境負荷の低減」「生物多様性への貢献」をマテリアリティとしており、水資源や廃棄物の適正管理、環境負荷低減製品の普及、ビオトープの造成、森林の環境保全等に取り組み、これら取り組みに関する情報を開示しています。一方、環境負荷低減製品の普及を促進することで、売上の増加につながることが期待できます。⑯ 自然災害・感染症に関するリスク当社グループは、防災管理体制を整備し事業継続計画(BCP)を策定していますが、当社グループの重要な製品である農薬は製造場所の登録が必要になるため、突発的な地震等の自然災害や感染症が発生した場合には、緊急に代替生産場所を確保することが難しく、生産・供給が一時的に停止する可能性があります。最近の自然災害の大規模化や新たな感染症の発生等を考慮した場合、想定していない規模の災害や感染症の拡大に伴って、広域での社会機能の停止、事業活動の停止や事業所等の閉鎖、サプライチェーンの分断等が起こる可能性があります。当社グループは、本社・工場の施設・設備の利用不能対応BCP、役職員の出社困難対応BCPに加え、役職員の安否確認システムを運用する等、有事への備えに努めておりますが、万一想定を超える災害等が発生し、生産・販売活動等において甚大な影響を受ける場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。かかるリスクへの対応として、当社グループは、災害を想定した各事業所での定期訓練、BCPの結果事象アプローチへの更新を通じて、有事の際に確実な対応を取ることにより、生産体制・供給体制や販売活動などの実被害を最小限に抑えることができるよう備えています。