事業の内容
タカラバイオは、バイオテクノロジーを応用した製品とサービスを提供する企業グループです。主に、大学や研究機関、企業、検査会社を顧客とし、遺伝子や細胞の研究に必要な試薬や機器、受託サービスを提供しています。特に、遺伝子工学や細胞工学の技術を基盤に、DNA/RNA解析製品、幹細胞関連製品、次世代シーケンス、ゲノム編集などの幅広い製品・サービスを展開。また、再生医療等製品の製造受託や遺伝子解析・検査受託を行うCDMO事業にも注力しており、遺伝子治療薬の開発も手掛けています。多岐にわたるバイオ分野の研究開発を支援し、その技術を医療応用へと広げることで収益を上げています。
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FY2025|4,477 文字|出典 docID: S100VZNP
3【事業の内容】 当企業集団は、当社の親会社、当社および当社の関係会社(子会社)8社(以下、当社を含めて「当社グループ」という。)で構成され、試薬、機器、受託、遺伝子医療の各事業を展開しております。当社グループの事業内容と当該事業における各社の位置づけは次のとおりであります。 なお、セグメント情報を記載していないため、事業別に記載しております。(1)現在の事業内容① 試薬・機器・受託 当社グループは、バイオテクノロジーを利用して研究、製品開発、検査事業等を行う大学、公的研究機関や企業、検査会社を主な顧客とし、当社グループの製品およびサービスを販売代理店経由または顧客に対して提供しております。その際、顧客に製品・技術情報を提供し、関連する技術セミナーを開催する等、販促活動を積極的に行い、付加価値を高め、競合との差別化を図っております。1)試薬・機器・受託事業の事業領域について バイオテクノロジーによる研究開発は、遺伝子や細胞レベルで生命現象を解明することが基本となります。当社グループは、遺伝子や細胞を解析するためのテクノロジーとして、PCR/リアルタイムPCR、クローニング、遺伝子/タンパク質発現、遺伝子導入、ベクターシステム、次世代シーケンス、ゲノム編集、幹細胞等の遺伝子工学および細胞工学技術を培ってまいりました。これらの技術を基盤とし、分子生物学分野におけるDNA/RNA解析製品、酵素等のバルク/カスタム製造、細胞生物学分野における幹細胞(ES/iPS細胞等)関連製品、シングルセル解析、空間トランスクリプトーム解析へと製品およびサービスを拡大させております。さらに、研究支援分野から産業応用支援分野へ事業領域を拡大させるべく、GCTP/GMP(注)に準拠した再生医療等製品等の製造受託や研究開発パートナーとして受託サービス等を行うCDMO(Contract Development and Manufacturing Organization)事業を展開しております。CDMO事業では、研究用試薬、遺伝子治療・細胞医療の臨床開発で培った技術・ノウハウを活用し、再生医療等製品関連受託や遺伝子解析・検査関連受託サービスを展開しております。(注)GCTP(Good Gene, Cellular and Tissue-based Products Manufacturing Practice)は再生医療等製品の製造管理および品質管理の基準、GMP(Good Manufacturing Practice)は医薬品および医薬部外品の製造管理および品質管理の基準を指しております。2)試薬 バイオテクノロジーを利用する研究では、その目的や段階、また、対象物質に応じて多くの種類の研究用試薬が必要であります。当社は、1979年に国産初の制限酵素を発売以来、遺伝子工学研究用試薬の主要メーカーとして、遺伝子工学の発展に即応した新技術や新製品の開発を進めております。 当社は、2005年9月に米国のClontech Laboratories, Inc.(現Takara Bio USA, Inc.)を買収し、これにより当社グループの研究用試薬の製品ラインナップに、細胞分子生物学分野を中心としたClontech®製品群が加わりました。また、2014年8月にスウェーデンのCellectis AB(現Takara Bio Europe S.A.S.)を買収し、幹細胞分野を中心としたCellartis®製品群が加わり、2017年1月には、米国Rubicon Genomics,Inc.(その後、Takara Bio USA, Inc.に吸収合併)を買収し、超微量核酸サンプル解析領域の製品群が加わり、2025年1月に米国Curio Bioscience Inc.を買収し、空間トランスクリプトーム解析領域の製品群の品揃えを強化いたしました。 2020年11月からは、PCR技術を用いた体外診断用医薬品を販売しております。3)機器 理化学機器についてもバイオテクノロジーに関する知識が必要であり、機器の消耗品としての試薬と合わせ、システムとして開発・販売されることも多く、当社グループにとってもシナジー効果が得られる領域であります。 当社グループのこの領域における事業は、1988年にPCR法に必須であるサーマルサイクラーと呼ばれる遺伝子増幅装置の米国からの輸入販売を開始したことに始まります。その後、当社独自の実験ノウハウを搭載したPCR装置やリアルタイムPCR装置を開発し、事業拡大に努めております。 さらに、2017年には、シングルセル(1細胞)解析分野で独自技術を持つ、米国WaferGen Bio-systems, Inc. (その後、Takara Bio USA, Inc.に吸収合併)を買収し、理化学機器の製造・販売力を強化しております。4)受託 当社は、研究開発ならびに製造を契約ベースで大学、公的研究機関や製薬企業等から有償で請け負う事業を行っております。特に、製薬企業などが進める再生・細胞医療・遺伝子治療等製品の製法開発から製造までの工程を対象とするCDMO受託に注力しております。a)再生医療等製品関連受託 遺伝子治療の臨床開発で培った技術・ノウハウを活用し、製薬企業等の再生・細胞医療・遺伝子治療等関連の開発・製造支援受託に必要な設備・体制を保有しております。当事業では、遺伝子導入用ベクター、ワクチン、再生・細胞医療に利用される細胞等のGCTP/GMPに準拠した受託製造や製造プロセス開発、試験製造、品質管理試験法の開発、バイオアッセイサービスを行っております。 b)遺伝子解析・検査関連受託 当事業では、単なる遺伝子の配列解析サービスにとどまらず、次世代シーケンス解析を用いた大規模ゲノム解析プロジェクトへの参加や遺伝子の機能解析サービス等を行っております。また、基礎研究支援で培ってきた遺伝子解析技術を応用し、先端的な遺伝子検査サービスを提供しております。さらに、信頼性保証体制のもと、製薬企業等が、薬事申請等に使用するための各種塩基配列解析や医療機関の依頼によりがん患者の検体のゲノム検査等を行っております。 ② 遺伝子医療 当社は、コアテクノロジーである遺伝子工学技術や細胞工学技術の応用分野として、当社が開発したバイオ創薬基盤技術の価値の最大化に向けて取り組んでおります。1)遺伝子治療の現状について 従来、医薬品は化学合成により製造される低分子化合物が中心でしたが、近年になりバイオテクノロジーが発展すると、抗体や組換えタンパク質等を主成分とするバイオ医薬品が出現するようになりました。さらに、幹細胞やウイルスベクター等の新たな技術の発展により、細胞や遺伝子を薬とする再生・細胞医療・遺伝子治療等が、新しいモダリティ(治療手段)として注目を集めております。 遺伝子治療とは、治療用遺伝子、あるいはこれらの遺伝子を組み込んだ細胞をヒトの体に投与することにより疾患を治療する方法であります。欧米の製薬企業を中心に開発が進んだ結果、最近では、上市が相次いでおり、バイオベンチャーや製薬企業等による競争が激しくなっております。2)創薬基盤技術の事業化 遺伝子改変T細胞(遺伝子治療薬の一種)の製造に使用されるレトロネクチン®やmRNAワクチンの製造に使用されるmRNA合成酵素等の製造補助剤(Ancillary Materials)の開発、製造、販売のほか、脳指向性in vivo遺伝子治療用ウイルスベクターCereAAVTM、内耳組織指向性in vivo遺伝子治療用ウイルスベクターSonuAAVTMの開発に取組み、これらの技術の事業化を進めています。3)臨床開発プロジェクト 当社において開発した、siTCR技術を活用した遺伝子改変T細胞療法であるNY-ESO-1・siTCR®遺伝子治療薬(開発コード:TBI-1301)および抗腫瘍効果が長期に持続する次世代CAR遺伝子治療技術(JAK/STAT技術)を利用したCD19・JAK/STAT・CAR(開発コード:TBI-2001)の臨床開発が進行しております。 (2)当社グループ各社の位置づけ① 試薬・機器・受託 当社は、試薬・機器等の開発・製造・販売やCDMO受託を行っております。中国において、宝生物工程(大連)有限公司が試薬の開発・製造や受託を行い、宝日医生物技術(北京)有限公司が試薬や機器の販売を行っております。ヨーロッパにおいて、Takara Bio Europe S.A.S.が試薬の製造・販売、機器の販売や受託を行い、Takara Bio UK Ltdが試薬や機器の販売を行っております。Takara Korea Biomedical Inc.は、韓国において、試薬や機器の販売を行っております。Takara Bio USA, Inc.は、米国において、試薬・機器の開発・製造を行い、全世界に販売しております。DSS Takara Bio India Private Limitedは、インドにおいて、試薬の製造・販売を行っております。② 遺伝子医療 当社は、再生・細胞医療・遺伝子治療等に関連するバイオ創薬基盤技術開発、当社が開発したNY-ESO-1・siTCR®遺伝子治療薬およびCD19・JAK/STAT・CAR遺伝子治療薬の臨床開発等を進めるほか、レトロネクチン等の製造補助剤の開発・製造・販売に取り組んでおります。(3)事業の系統図 以上の企業集団の状況について、当社および主要な子会社等との関係を事業系統図によって示すと以下のとおりであります。 宝ホールディングス(東証プライム市場)は、2025年3月31日現在、当社議決権の60.93%を所有する親会社であります。当社と、宝ホールディングスおよび同社のグループ会社(同社の子会社および関連会社)との間には取引があります。宝ホールディングスグループにおける当社の位置づけおよび同グループ内の会社と当社との主な取引の内容は、以下のとおりであります。① 宝ホールディングスグループにおける当社の位置づけ 宝ホールディングスグループは、純粋持株会社である宝ホールディングスおよび同社の関係会社70社(子会社68社、関連会社2社)で構成されております。その中で当社は、バイオテクノロジー専業の事業子会社として位置づけられており、当社の関係会社(子会社)8社とともにバイオ事業を推進しております。② 宝ホールディングスグループとの取引について 宝ホールディングスグループとは、主に営業拠点に関する不動産賃貸借取引、商標権使用に関する取引およびコンピュータ関係業務の委託等に関する取引があります。詳細は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク (5)当社の親会社について」に記載しております。
FY2024|4,403 文字|出典 docID: S100TQJ2
3【事業の内容】 当企業集団は、当社の親会社、当社および当社の関係会社(子会社)8社(以下、当社を含めて「当社グループ」という。)で構成され、試薬、機器、受託、遺伝子医療の各事業を展開しております。当社グループの事業内容と当該事業における各社の位置づけは次のとおりであります。 なお、セグメント情報を記載していないため、事業別に記載しております。(1)現在の事業内容① 試薬・機器・受託 当社グループは、バイオテクノロジーを利用して研究、製品開発、検査事業等を行う大学、公的研究機関や企業、検査会社を主な顧客とし、当社グループの製品およびサービスを販売代理店経由または顧客に対して提供しております。その際、顧客に製品・技術情報を提供し、関連する技術セミナーを開催する等、販促活動を積極的に行い、付加価値を高め、競合との差別化を図っております。1)試薬・機器・受託事業の事業領域について バイオテクノロジーによる研究開発は、遺伝子や細胞レベルで生命現象を解明することが基本となります。当社グループは、遺伝子や細胞を解析するためのテクノロジーとして、PCR/リアルタイムPCR、クローニング、遺伝子/タンパク質発現、遺伝子導入、ベクターシステム、次世代シーケンス、ゲノム編集、幹細胞等の遺伝子工学および細胞工学技術を培ってまいりました。これらの技術を基盤とし、分子生物学分野におけるDNA/RNA解析製品、酵素等のバルク/カスタム製造、細胞生物学分野における幹細胞(ES/iPS細胞等)関連製品、シングルセル解析へと製品およびサービスを拡大させております。さらに、研究支援分野から産業応用支援分野へ事業領域を拡大させるべく、GCTP/GMP(注)に準拠した再生医療等製品等の製造受託や研究開発パートナーとして受託サービス等を行うCDMO(Contract Development and Manufacturing Organization)事業を展開しております。CDMO事業では、研究用試薬、遺伝子治療・細胞医療の臨床開発で培った技術・ノウハウを活用し、遺伝子解析・検査関連受託や再生医療等製品関連受託サービスを展開しております。(注)GCTP(Good Gene, Cellular and Tissue-based Products Manufacturing Practice)は再生医療等製品の製造管理および品質管理の基準、GMP(Good Manufacturing Practice)は医薬品および医薬部外品の製造管理および品質管理の基準を指しております。2)試薬 バイオテクノロジーを利用する研究では、その目的や段階、また、対象物質に応じて多くの種類の研究用試薬が必要であります。当社は、1979年に国産初の制限酵素を発売以来、遺伝子工学研究用試薬の主要メーカーとして、遺伝子工学の発展に即応した新技術や新製品の開発を進めております。 当社は、2005年9月に米国のClontech Laboratories, Inc.(現Takara Bio USA, Inc.)を買収し、これにより当社グループの研究用試薬の製品ラインナップに、細胞分子生物学分野を中心としたClontech®製品群が加わりました。また、2014年8月にスウェーデンのCellectis AB(現Takara Bio Europe S.A.S.)を買収し、幹細胞分野を中心としたCellartis®製品群が加わり、2017年1月には、米国Rubicon Genomics,Inc.(その後、Takara Bio USA, Inc.に吸収合併)を買収し、超微量核酸サンプル解析領域の製品群の品揃えを強化いたしました。 さらに、2020年11月からは、PCR技術を用いた体外診断用医薬品を販売しております。3)機器 理化学機器についてもバイオテクノロジーに関する知識が必要であり、機器の消耗品としての試薬と合わせ、システムとして開発・販売されることも多く、当社グループにとってもシナジー効果が得られる領域であります。 当社グループのこの領域における事業は、1988年にPCR法に必須であるサーマルサイクラーと呼ばれる遺伝子増幅装置の米国からの輸入販売を開始したことに始まります。その後、当社独自の実験ノウハウを搭載したPCR装置やリアルタイムPCR装置を開発し、事業拡大に努めております。 さらに、2017年には、シングルセル(1細胞)解析分野で独自技術を持つ、米国WaferGen Bio-systems, Inc. (その後、Takara Bio USA, Inc.に吸収合併)を買収し、理化学機器の製造・販売力を強化しております。4)受託 当社は、研究開発ならびに製造を契約ベースで大学、公的研究機関や製薬企業等から有償で請け負う事業を行っております。特に、製薬企業などが進める再生・細胞医療・遺伝子治療等製品の製法開発から製造までの工程を対象とするCDMO受託に注力しております。a)遺伝子解析・検査関連受託 当事業では、単なる遺伝子の配列解析サービスにとどまらず、次世代シーケンス解析を用いた大規模ゲノム解析プロジェクトへの参加や遺伝子の機能解析サービス等を行っております。また、基礎研究支援で培ってきた遺伝子解析技術を応用し、先端的な遺伝子検査サービスを提供しております。さらに、信頼性保証体制のもと、製薬企業等が、薬事申請等に使用するための各種塩基配列解析や医療機関の依頼によりがん患者の検体のゲノム検査等を行っております。b)再生医療等製品関連受託 遺伝子治療の臨床開発で培った技術・ノウハウを活用し、製薬企業等の再生・細胞医療・遺伝子治療等関連の開発・製造支援受託に必要な設備・体制を保有しております。当事業では、遺伝子導入用ベクター、ワクチン、再生・細胞医療に利用される細胞等のGCTP/GMPに準拠した受託製造や製造プロセス開発、試験製造、品質管理試験法の開発、バイオアッセイサービスを行っております。② 遺伝子医療 当社は、コアテクノロジーである遺伝子工学技術や細胞工学技術の応用分野として、当社が開発したバイオ創薬基盤技術の価値の最大化に向けて取り組んでおります。1)遺伝子治療の現状について 従来、医薬品は化学合成により製造される低分子化合物が中心でしたが、近年になりバイオテクノロジーが発展すると、抗体や組換えタンパク質等を主成分とするバイオ医薬品が出現するようになりました。さらに、幹細胞やウイルスベクター等の新たな技術の発展により、細胞や遺伝子を薬とする再生・細胞医療・遺伝子治療等が、新しいモダリティ(治療手段)として注目を集めております。 遺伝子治療とは、治療用遺伝子、あるいはこれらの遺伝子を組み込んだ細胞をヒトの体に投与することにより疾患を治療する方法であります。欧米の製薬企業を中心に開発が進んだ結果、最近では、上市が相次いでおり、バイオベンチャーや製薬企業等による競争が激しくなっております。2)創薬基盤技術の事業化 遺伝子改変T細胞(遺伝子治療薬の一種)の製造に使用されるレトロネクチン®やmRNAワクチンの製造に使用されるmRNA合成酵素等の製造補助剤(Ancillary Materials)の開発、製造、販売のほか、脳指向性in vivo遺伝子治療用ウイルスベクターCereAAVTM、内耳組織指向性in vivo遺伝子治療用ウイルスベクターSonuAAVTMの開発に取組み、これらの技術の事業化を進めています。3)臨床開発プロジェクト 当社において開発した、siTCR技術を活用した遺伝子改変T細胞療法であるNY-ESO-1・siTCR®遺伝子治療薬(開発コード:TBI-1301)および抗腫瘍効果が長期に持続する次世代CAR遺伝子治療技術(JAK/STAT技術)を利用したCD19・JAK/STAT・CAR(開発コード:TBI-2001)の臨床開発が進行しております。 (2)当社グループ各社の位置づけ① 試薬・機器・受託 当社は、試薬・機器等の開発・製造・販売やCDMO受託を行っております。中国において、宝生物工程(大連)有限公司が試薬の開発・製造や受託を行い、宝日医生物技術(北京)有限公司が試薬や機器の販売を行っております。ヨーロッパにおいて、Takara Bio Europe S.A.S.が試薬の製造・販売、機器の販売や受託を行い、Takara Bio UK Ltdが試薬や機器の販売を行っております。Takara Korea Biomedical Inc.は、韓国において、試薬や機器の販売を行っております。Takara Bio USA, Inc.は、米国において、試薬・機器の開発・製造を行い、全世界に販売しております。DSS Takara Bio India Private Limitedは、インドにおいて、試薬の製造・販売を行っております。② 遺伝子医療 当社は、再生・細胞医療・遺伝子治療等に関連するバイオ創薬基盤技術開発、当社が開発したNY-ESO-1・siTCR®遺伝子治療薬およびCD19・JAK/STAT・CAR遺伝子治療薬の臨床開発等を進めるほか、レトロネクチン等の製造補助剤の開発・製造・販売に取り組んでおります。(3)事業の系統図 以上の企業集団の状況について、当社および主要な子会社等との関係を事業系統図によって示すと以下のとおりであります。 宝ホールディングス(東証プライム市場)は、2024年3月31日現在、当社議決権の60.93%を所有する親会社であります。当社と、宝ホールディングスおよび同社のグループ会社(同社の子会社および関連会社)との間には取引があります。宝ホールディングスグループにおける当社の位置づけおよび同グループ内の会社と当社との主な取引の内容は、以下のとおりであります。① 宝ホールディングスグループにおける当社の位置づけ 宝ホールディングスグループは、純粋持株会社である宝ホールディングスおよび同社の関係会社68社(子会社66社、関連会社2社)で構成されております。その中で当社は、バイオテクノロジー専業の事業子会社として位置づけられており、当社の関係会社(子会社)8社とともにバイオ事業を推進しております。② 宝ホールディングスグループとの取引について 宝ホールディングスグループとは、主に営業拠点に関する不動産賃貸借取引、商標権使用に関する取引およびコンピュータ関係業務の委託等に関する取引があります。詳細は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク (5)当社の親会社について」に記載しております。
FY2023|4,474 文字|出典 docID: S100R4ZN
3【事業の内容】 当企業集団は、当社の親会社、当社および当社の関係会社(子会社)8社(以下、当社を含めて「当社グループ」という。)で構成され、試薬、機器、受託、遺伝子医療の各事業を展開しております。当社グループの事業内容と当該事業における各社の位置づけは次のとおりであります。 なお、セグメント情報を記載していないため、事業別に記載しております。(1)現在の事業内容① 試薬・機器・受託 当社グループは、バイオテクノロジーを利用して研究、製品開発、検査事業等を行う大学、公的研究機関や企業、検査会社を主な顧客としております。このような顧客に対し、当社グループの製品・商品およびサービスを販売代理店経由または顧客に対して直接提供しております。その際、技術資料集等を印刷物として配布もしくは当社ホームページに掲載する等の販促活動を行い、付加価値を高め、競合との差別化を図っております。1)当社グループの事業領域について 当社グループは、遺伝子工学技術および細胞工学技術を基盤技術として、大学、公的研究機関や企業の基礎研究を支援する研究支援分野から、企業等の産業活動を支援する産業応用支援分野まで幅広い製品・商品やサービスの展開に注力しております。 バイオテクノロジーによる研究開発は、遺伝子や細胞レベルで生命現象を解明することが基本となります。当社グループは、遺伝子や細胞を解析するためのテクノロジーとして、PCR/リアルタイムPCR、クローニング、遺伝子/タンパク質発現、遺伝子導入、ベクターシステム、次世代シーケンス、ゲノム編集、幹細胞等の遺伝子工学および細胞工学技術を培ってまいりました。これらの技術を基盤とし、分子生物学分野におけるDNA/RNA解析製品、酵素等のバルク/カスタム製造、細胞生物学分野における幹細胞(ES/iPS細胞等)関連製品、シングルセル解析へと製品・商品およびサービスを拡大させております。さらに、研究支援分野から産業応用支援分野へ事業領域を拡大させるべく、GCTP/GMP(注)に準拠した再生医療等製品等の製造受託や研究開発パートナーとして受託サービス等を行うCDMO(Contract Development and Manufacturing Organization)事業を展開しております。CDMO事業では、研究用試薬、遺伝子治療・細胞医療の臨床開発で培った技術・ノウハウを活用し、遺伝子解析・検査関連受託や再生医療等製品関連受託サービスを展開しております。(注)GCTP(Good Gene, Cellular and Tissue-based Products Manufacturing Practice)は再生医療等製品の製造管理および品質管理の基準、GMP(Good Manufacturing Practice)は医薬品および医薬部外品の製造管理および品質管理の基準を指しております。2)試薬 バイオテクノロジーを利用する研究では、その目的や段階、また、対象物質に応じて多くの種類の研究用試薬が必要であります。当社は、1979年に国産初の制限酵素を発売以来、遺伝子工学研究用試薬の主要メーカーとして、遺伝子工学の発展に即応した新技術や新製品の開発を進めております。 当社は、2005年9月に米国のClontech Laboratories, Inc.(現Takara Bio USA, Inc.)を買収し、これにより当社グループの研究用試薬の製品ラインナップに、細胞分子生物学分野を中心としたClontechⓇ製品群が加わりました。また、2014年8月にスウェーデンのCellectis AB(現Takara Bio Europe S.A.S.)を買収し、幹細胞分野を中心としたCellartisⓇ製品群が加わり、2017年1月には、米国Rubicon Genomics,Inc.(その後、Takara Bio USA, Inc.に吸収合併)を買収し、超微量核酸サンプル解析領域の製品群の品揃えを強化いたしました。 さらに、2020年11月からは、PCR技術を用いた体外診断用医薬品の販売を開始いたしました。3)機器 理化学機器についてもバイオテクノロジーに関する知識が必要であり、機器の消耗品としての試薬と合わせ、システムとして開発・販売されることも多く、当社グループにとってもシナジー効果が得られる領域であります。 当社グループのこの領域における事業は、1988年にPCR法に必須であるサーマルサイクラーと呼ばれる遺伝子増幅装置の米国からの輸入販売を開始したことに始まります。その後、当社独自の実験ノウハウを搭載したPCR装置やリアルタイムPCR装置を開発し、事業拡大に努めております。 さらに、2017年には、シングルセル(1細胞)解析分野で独自技術を持つ、米国WaferGen Bio-systems, Inc. (その後、Takara Bio USA, Inc.に吸収合併)を買収し、理化学機器の製造・販売力を強化しております。4)受託 当社は、研究開発ならびに製造を契約ベースで大学、公的研究機関や製薬企業等から有償で請け負う事業を行っております。特に、製薬企業などが進める再生・細胞医療・遺伝子治療等製品の製法開発から製造までの工程を対象とするCDMO受託に注力しております。a)遺伝子解析・検査関連受託 当事業では、単なる遺伝子の配列解析サービスにとどまらず、次世代シーケンス解析を用いた大規模ゲノム解析プロジェクトへの参加や遺伝子の機能解析サービス等を行っております。また、基礎研究支援で培ってきた遺伝子解析技術を応用し、先端的な遺伝子検査サービスを提供しております。さらに、信頼性保証体制のもと、製薬企業等が、薬事申請等に使用するための各種塩基配列解析や医療機関の依頼によりがん患者の検体のゲノム検査等を行っております。b)再生医療等製品関連受託 遺伝子治療の臨床開発で培った技術・ノウハウを活用し、製薬企業等の再生・細胞医療・遺伝子治療等関連の開発・製造支援受託に必要な設備・体制を保有しております。当事業では、遺伝子導入用ベクター、ワクチン、再生・細胞医療に利用される細胞等のGCTP/GMPに準拠した受託製造や製造プロセス開発、試験製造、品質管理試験法の開発、バイオアッセイサービスを行っております。② 遺伝子医療 当社は、コアテクノロジーである遺伝子工学技術や細胞工学技術の応用分野として、当社が開発したバイオ創薬基盤技術の価値の最大化に向けて取り組んでおります。1)遺伝子治療の現状について 従来、医薬品は化学合成により製造される低分子化合物が中心でしたが、近年になりバイオテクノロジーが発展すると、抗体や組換えタンパク質等を主成分とするバイオ医薬品が出現するようになりました。さらに、幹細胞やウイルスベクター等の新たな技術の発展により、細胞や遺伝子を薬とする再生・細胞医療・遺伝子治療等が、新しいモダリティ(治療手段)として注目を集めております。 遺伝子治療とは、治療用遺伝子、あるいはこれらの遺伝子を組み込んだ細胞をヒトの体に投与することにより疾患を治療する方法であります。欧米の製薬企業を中心に開発が進んだ結果、最近では、上市が相次いでおり、バイオベンチャーや製薬企業等による競争が激しくなっております。2)創薬基盤技術の事業化 遺伝子改変T細胞(遺伝子治療薬の一種)の製造に使用されるレトロネクチンⓇやmRNAワクチンの製造に使用されるmRNA合成酵素等の製造補助剤(Ancillary Materials)の開発、製造、販売のほか、抗腫瘍効果が長期に持続する次世代CAR遺伝子治療技術(JAK/STAT技術)、脳指向性in vivo遺伝子治療用ウイルスベクターCereAAVTMの開発に取組み、これらの技術の事業化を進めています。3)臨床開発プロジェクト 当社において開発した、siTCR技術を活用した遺伝子改変T細胞療法であるNY-ESO-1・siTCRⓇ遺伝子治療薬(開発コード:TBI-1301)の臨床開発が進行しております。 ③ その他 当社が保有しております特許やノウハウのライセンスアウト(技術導出)を進めております。 (2)当社グループ各社の位置づけ① 試薬・機器・受託 当社は、試薬や機器等の開発・製造・販売やCDMO受託を行っております。中国において、宝生物工程(大連)有限公司が試薬の開発・製造や受託を行い、宝日医生物技術(北京)有限公司が試薬や機器の販売を行っております。ヨーロッパにおいて、Takara Bio Europe S.A.S.が試薬の製造・販売、機器の販売や受託を行い、Takara Bio UK Ltdが試薬や機器の販売を行っております。Takara Korea Biomedical Inc.は、韓国において、試薬や機器の販売を行っております。Takara Bio USA, Inc.は、米国において、試薬や機器の開発・製造を行い、全世界に販売しております。DSS Takara Bio India Private Limitedは、インドにおいて、試薬の製造・販売を行っております。② 遺伝子医療 当社は、再生・細胞医療・遺伝子治療等に関連するバイオ創薬基盤技術開発、当社が開発したNY-ESO-1・siTCRⓇ遺伝子治療薬の臨床開発等を進めるほか、製造補助剤の開発・製造・販売に取り組んでおります。(3)事業の系統図 以上の企業集団の状況について、当社および主要な子会社等との関係を事業系統図によって示すと以下のとおりであります。 宝ホールディングス(東証プライム市場)は、2023年3月31日現在、当社議決権の60.93%を所有する親会社であります。当社と、宝ホールディングスおよび同社のグループ会社(同社の子会社および関連会社)との間には取引があります。宝ホールディングスグループにおける当社の位置づけおよび同グループ内の会社と当社との主な取引の内容は、以下のとおりであります。① 宝ホールディングスグループにおける当社の位置づけ 宝ホールディングスグループは、純粋持株会社である宝ホールディングスおよび同社の関係会社63社(子会社61社、関連会社2社)で構成されております。その中で当社は、バイオテクノロジー専業の事業子会社として位置づけられており、当社の関係会社(子会社)8社とともにバイオ事業を推進しております。② 宝ホールディングスグループとの取引について 宝ホールディングスグループとは、主に営業拠点に関する不動産賃貸借取引、商標権使用に関する取引およびコンピュータ関係業務の委託等に関する取引があります。詳細は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク (5)当社の親会社について」に記載しております。
FY2022|5,107 文字|出典 docID: S100OH6Z
3【事業の内容】 当企業集団は、当社の親会社、当社および当社の関係会社(子会社)9社(以下、当社を含めて「当社グループ」という。)で構成され、バイオ産業支援および遺伝子医療の各事業を展開しております。当社グループの事業内容と当該事業における各社の位置づけは次のとおりであります。 なお、セグメント情報を記載していないため、事業分野別に記載しております。(1)現在の事業内容① バイオ産業支援 当社グループは、バイオテクノロジーを利用して研究、製品開発、検査事業等を行う大学、公的研究機関や企業、検査会社を主な顧客としております。このような顧客に対し、当社グループの製品・商品およびサービスを販売代理店経由または顧客に対して直接提供しております。その際、技術資料集等を印刷物として配布もしくは当社ホームページに掲載する等の販促活動を行い、付加価値を高め、競合との差別化を図っております。1)バイオテクノロジーの研究開発および産業利用の状況 バイオテクノロジーとは、医療、創薬、診断、農業、環境、資源・エネルギー等の分野で、生物が持つ能力や性質を有効に活用するテクノロジーを指します。1970年代に遺伝子組換え技術が開発され、近代バイオテクノロジーの利用が始まりました。その後も、ゲノムや幹細胞等の分野で相次いで技術革新が進み、世界的にバイオテクノロジーを活用した基礎・応用研究や製品開発が積極的に行われ、その領域は拡大し続けております。2)当社グループの事業領域について 当社グループは、遺伝子工学技術および細胞工学技術を基盤技術として、大学、公的研究機関や企業の基礎研究を支援する研究支援分野から、企業等の産業活動を支援する産業支援分野まで幅広い製品・商品やサービスの展開に注力しております。 バイオテクノロジーによる研究開発は、遺伝子や細胞レベルで生命現象を解明することが基本となります。当社グループは、遺伝子や細胞を解析するためのテクノロジーとして、PCR/リアルタイムPCR、クローニング、遺伝子/タンパク質発現、遺伝子導入、ベクターシステム、次世代シーケンス、ゲノム編集、幹細胞等の遺伝子工学および細胞工学技術を培ってまいりました。これらの技術を基盤とし、分子生物学分野におけるDNA/RNA解析製品、酵素等のバルク/カスタム製造、細胞生物学分野における幹細胞(ES/iPS細胞等)関連製品、シングルセル解析へと製品・商品およびサービスを拡大させております。さらに、研究支援分野から産業支援分野へ事業領域を拡大させるべく、GCTP/GMP(注)に準拠した再生医療等製品等の製造受託や研究開発パートナーとしての受託サービス等を行うCDMO(Contract Development and Manufacturing Organization)事業を展開しております。CDMO事業では、研究用試薬、遺伝子治療・細胞医療の臨床開発で培った技術・ノウハウを活用し、遺伝子解析・検査関連受託や再生医療等製品関連受託サービスを展開しております。(注)GCTP(Good Gene, Cellular and Tissue-based Products Manufacturing Practice)は再生医療等製品の製造管理および品質管理の基準、GMP(Good Manufacturing Practice)は医薬品および医薬部外品の製造管理および品質管理の基準を指しております。3)試薬 バイオテクノロジーを利用する研究では、その目的や段階、また、対象物質に応じて多くの種類の研究用試薬が必要であります。当社は、1979年に国産初の制限酵素を発売以来、遺伝子工学研究用試薬の主要メーカーとして、遺伝子工学の発展に即応した新技術や新製品の開発を進めております。 当社は、2005年9月に米国のClontech Laboratories, Inc.(現Takara Bio USA, Inc.)を買収し、これにより当社グループの研究用試薬の製品ラインナップに、細胞分子生物学分野を中心としたClontech®製品群が加わりました。また、2014年8月にスウェーデンのCellectis AB(現Takara Bio Europe AB)を買収し、幹細胞分野を中心としたCellartis®製品群が加わり、2017年1月には、米国Rubicon Genomics,Inc.(その後、Takara Bio USA, Inc.に吸収合併)を買収し、超微量核酸サンプル解析領域の製品群の品揃えを強化いたしました。 さらに、2020年11月よりPCR技術を用いた体外診断用医薬品の販売を開始いたしました。4)機器 理化学機器についてもバイオテクノロジーに関する知識が必要であり、機器の消耗品としての試薬と合わせ、システムとして開発・販売されることも多く、当社グループにとってもシナジー効果が得られる領域であります。 当社グループのこの領域における事業は、1988年にPCR法に必須であるサーマルサイクラーと呼ばれる遺伝子増幅装置の米国からの輸入販売を開始したことに始まります。その後、当社独自の実験ノウハウを搭載したPCR装置やリアルタイムPCR装置を開発し、事業拡大に努めております。 さらに、2017年には、シングルセル(1細胞)解析分野で独自技術を持つ、米国WaferGen Bio-systems, Inc. (その後、Takara Bio USA, Inc.に吸収合併)を買収し、理化学機器の製造・販売力を強化しております。5)受託 当社は、実験や研究開発ならびに製造そのものを契約ベースで大学、公的研究機関や企業から有償で請け負う事業を行っております。a)遺伝子解析・検査関連受託 この事業では、当社独自の研究開発能力・ノウハウがセールスポイントであり、単なる遺伝子の配列解析サービスにとどまらず、次世代シーケンス解析を用いた大規模ゲノム解析プロジェクトへの参加や遺伝子の機能解析サービス等を行っております。また、基礎研究支援で培ってきた遺伝子解析技術を応用し、先端的な遺伝子検査サービスを提供しております。さらに、信頼性保証体制のもと、製薬企業等が、薬事申請等に使用するための各種塩基配列解析や医療機関の依頼によりがん患者の検体のゲノム検査等を行っております。b)再生医療等製品関連受託 遺伝子治療等の再生医療等製品の臨床開発で培った技術・ノウハウを活用し、大学、公的研究機関や企業に対しての再生医療等製品関連の受託に必要な設備・体制を確立しております。この事業では、遺伝子導入用ベクター、ワクチン、再生医療に利用される細胞等のGCTP/GMPに準拠した受託製造や製造プロセス開発、品質管理試験法の開発、試験製造、バイオアッセイサービスを行っております。6)その他 当社が保有しております特許やノウハウのライセンスアウト(技術導出)を進めております。② 遺伝子医療 当社は、コアテクノロジーである遺伝子工学技術や細胞工学技術の応用分野として、遺伝子医療事業に取り組んでおります。この事業では、遺伝子治療等に必要なバイオ創薬基盤技術開発、新規臨床プロジェクト創出活動等を行っております。また、当社が開発し、製薬企業に導出したプロジェクトについても価値の最大化に向けて取り組んでおります。1)遺伝子治療の現状について 従来、医薬品は化学合成により製造される低分子化合物が中心でしたが、近年になりバイオテクノロジーが発展すると、抗体や組換えタンパク質等を主成分とするバイオ医薬品が出現するようになりました。さらに、幹細胞やウイルスベクター等の新たな技術の発展により、細胞や遺伝子を薬とする再生医療や遺伝子治療等が、新しいモダリティ(治療手段)として注目を集めております。 遺伝子治療とは、治療用遺伝子、あるいはこれらの遺伝子を組み込んだ細胞をヒトの体に投与することにより疾患を治療する方法であります。欧米の製薬企業を中心に開発が進んだ結果、最近では、上市が相次いでおり、バイオベンチャーや製薬企業等による競争が激しくなっております。2)創薬基盤技術開発 当社は、バイオ創薬基盤技術開発を進め、新モダリティを創出する創薬企業を目指しております。バイオ創薬基盤技術開発として、特に、ウイルスベクターの大量製造法、固形がんに適応可能な次世代CAR遺伝子治療法の開発、臓器特異的in vivo遺伝子治療用ウイルスベクターの開発、抗腫瘍効果が長期に持続する次世代TCR・CAR遺伝子治療法の開発等のテーマに注力し、取り組んでおります。3)新規臨床開発プロジェクト 既存のCAR遺伝子治療の課題と言われる、治療効果の持続性、固形がんへの適応等の解決を目指したCD19・JAK/STAT・CAR遺伝子治療(開発コード:TBI-2001)の臨床試験準備およびその他の新規プロジェクトの開発が進んでおります。4)導出プロジェクト 当社において初期の臨床開発までを行い、製薬企業等との提携により導出したプロジェクトについては、各プロジェクトの価値の最大化をはかる目的で、提携先製薬企業との緊密な連携のもと、上市後の製造・供給体制の準備や適応症の拡大等に取り組んでおります。 導出プロジェクトとして、遺伝子改変T細胞療法であるNY-ESO-1・siTCR®遺伝子医療(開発コード:TBI-1301)のプロジェクトの臨床開発が進行しております。※ ※導出したプロジェクト3件のうち、腫瘍溶解性ウイルス canerpaturev(略称 C-REV、開発コードTBI-1401)、CD19・CAR遺伝子治療(開発コードTBI-1501)の2件について、導出先企業と合意の上、2021年11月に開発を中止いたしました。 (2)当社グループ各社の位置づけ① バイオ産業支援 当社は、試薬や機器等の開発・製造・販売や受託を行っております。中国において、宝生物工程(大連)有限公司が試薬の開発・製造や受託を行い、宝日医生物技術(北京)有限公司が試薬や機器の販売を行っております。ヨーロッパにおいて、Takara Bio Europe S.A.S.およびTakara Bio UK Ltdが試薬や機器の販売を行い、Takara Bio Europe ABが試薬の製造や受託を行っております。Takara Korea Biomedical Inc.は、韓国において、試薬や機器の販売を行っております。Takara Bio USA, Inc.は、米国において、試薬や機器の開発・製造を行い、全世界に販売しております。DSS Takara Bio India Private Limitedは、インドにおいて、試薬の製造・販売を行っております。② 遺伝子医療 当社は、遺伝子治療等に必要なバイオ創薬基盤技術開発、新規臨床プロジェクト創出活動、当社が開発し製薬企業に導出したプロジェクトについては、そのプロジェクト価値の最大化に向けて取り組んでおります。(3)事業の系統図 以上の企業集団の状況について、当社および主要な子会社等との関係を事業系統図によって示すと以下のとおりであります。 宝ホールディングス(東証一部)は、2022年3月31日現在、当社議決権の60.93%を所有する親会社であります。当社と、宝ホールディングスおよび同社のグループ会社(同社の子会社および関連会社)との間には取引があります。宝ホールディングスグループにおける当社の位置づけおよび同グループ内の会社と当社との主な取引の内容は、以下のとおりであります。① 宝ホールディングスグループにおける当社の位置づけ 宝ホールディングスグループは、純粋持株会社である宝ホールディングスおよび同社の関係会社61社(子会社59社、関連会社2社)で構成されております。その中で当社は、バイオテクノロジー専業の事業子会社として位置づけられており、当社の関係会社(子会社)9社とともにバイオ事業を推進しております。② 宝ホールディングスグループとの取引について 宝ホールディングスグループとは、主に営業拠点に関する不動産賃貸借取引、商標権使用に関する取引およびコンピュータ関係業務の委託等に関する取引があります。詳細は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク (5)当社の親会社について」に記載しております。
FY2021|5,164 文字|出典 docID: S100LRHZ
3【事業の内容】 当企業集団は、当社の親会社、当社および当社の関係会社(子会社)8社(以下、当社を含めて「当社グループ」という。)で構成され、バイオ産業支援および遺伝子医療の各事業を展開しております。当社グループの事業内容と当該事業における各社の位置づけは次のとおりであります。 なお、セグメント情報を記載していないため、事業分野別に記載しております。(1)現在の事業内容① バイオ産業支援 当社グループは、バイオテクノロジーを利用して研究、製品開発、検査事業等を行う大学、公的研究機関や企業、検査会社を主な顧客としております。このような顧客に対し、当社グループの製品・商品およびサービスを販売代理店経由または顧客に対して直接提供しております。その際、技術資料集等を印刷物として配布もしくは当社ホームページに掲載する等の販促活動を行い、付加価値を高め、競合との差別化を図っております。1)バイオテクノロジーの研究開発および産業利用の状況 バイオテクノロジーとは、医療、創薬、診断、農業、環境、資源・エネルギー等の分野で、生物が持つ能力や性質を有効に活用するテクノロジーを指します。1970年代に遺伝子組換え技術が開発され、近代バイオテクノロジーの利用が始まりました。その後も、ゲノムや幹細胞等の分野で相次いで技術革新が進み、世界的にバイオテクノロジーを活用した基礎・応用研究や製品開発が積極的に行われ、その領域は拡大し続けております。2)当社グループの事業領域について 当社グループは、遺伝子工学技術および細胞工学技術を基盤技術として、大学、公的研究機関や企業の基礎研究を支援する研究支援分野から、企業等の産業活動を支援する産業支援分野まで幅広い製品・商品やサービスの展開に注力しております。 バイオテクノロジーによる研究開発は、遺伝子や細胞レベルで生命現象を解明することが基本となります。当社グループは、遺伝子や細胞を解析するためのテクノロジーとして、PCR/リアルタイムPCR、クローニング、遺伝子/タンパク質発現、遺伝子導入、ベクターシステム、次世代シーケンス、ゲノム編集、幹細胞等の遺伝子工学および細胞工学技術を培ってまいりました。これらの技術を基盤とし、分子生物学分野におけるDNA/RNA解析製品、酵素等のバルク/カスタム製造、細胞生物学分野における幹細胞(ES/iPS細胞等)関連製品、シングルセル解析へと製品・商品およびサービスを拡大させております。さらに、研究支援分野から産業支援分野へ事業領域を拡大させるべく、GCTP/GMP(注)に準拠した再生医療等製品等の製造受託や研究開発パートナーとしての受託サービス等を行うCDMO(Contract Development and Manufacturing Organization)事業を展開しております。CDMO事業では、研究用試薬、遺伝子治療・細胞医療の臨床開発で培った技術・ノウハウを活用し、遺伝子解析・検査関連受託や再生医療等製品関連受託サービスを展開しております。(注)GCTP(Good Gene, Cellular and Tissue-based Products Manufacturing Practice)は再生医療等製品の製造管理および品質管理の基準、GMP(Good Manufacturing Practice)は医薬品および医薬部外品の製造管理および品質管理の基準を指しております。3)研究用試薬 バイオテクノロジーを利用する研究では、その目的や段階、また対象物質に応じて多くの種類の研究用試薬が必要であります。当社は、1979年に国産初の制限酵素を発売以来、遺伝子工学研究用試薬の主要メーカーとして、遺伝子工学の発展に即応した新技術や新製品の開発を進めております。 当社は、2005年9月に米国のClontech Laboratories, Inc.(現Takara Bio USA, Inc.)を買収し、これにより当社グループの研究用試薬の製品ラインナップに、細胞分子生物学分野を中心としたClontech®製品群が加わりました。また、2014年8月にスウェーデンのCellectis AB(現Takara Bio Europe AB)を買収し、幹細胞分野を中心としたCellartis®製品群が加わり、2017年1月には、米国Rubicon Genomics,Inc.(その後、Takara Bio USA, Inc.に吸収合併)を買収し、超微量核酸サンプル解析領域の製品群の品揃えを強化いたしました。 さらに、2020年11月よりPCR技術を用いた体外診断用医薬品の販売を開始いたしました。4)理化学機器 理化学機器についてもバイオテクノロジーに関する知識が必要であり、機器の消耗品としての研究用試薬と合わせ、システムとして開発・販売されることも多く、当社グループにとってもシナジー効果が得られる領域であります。 当社グループのこの領域における事業は、1988年にPCR法に必須であるサーマルサイクラーと呼ばれる遺伝子増幅装置の米国からの輸入販売を開始したことに始まります。その後、当社独自の実験ノウハウを搭載したPCR装置やリアルタイムPCR装置を開発し、事業拡大に努めております。 さらに、2017年には、シングルセル(1細胞)解析分野で独自技術を持つ、米国WaferGen Bio-systems, Inc. (その後、Takara Bio USA, Inc.に吸収合併)を買収し、理化学機器の製造・販売力を強化しております。5)受託サービス 当社は、実験や研究開発ならびに製造そのものを契約ベースで大学、公的研究機関や企業から有償で請け負う事業を行っております。a)遺伝子解析・検査関連受託サービス この事業では、当社独自の研究開発能力・ノウハウがセールスポイントであり、単なる遺伝子の配列解析サービスにとどまらず、次世代シーケンス解析や遺伝子の機能解析サービス等を行っております。また、基礎研究支援で培ってきた遺伝子解析技術を応用し、先端的な遺伝子検査サービスを提供しております。また、信頼性保証体制のもと、製薬企業等が、薬事申請等に使用するための各種塩基配列解析や医療機関の依頼によりがん患者の検体のゲノム検査等を行っております。b)再生医療等製品関連受託サービス 遺伝子治療等の再生医療等製品の臨床開発で培った技術・ノウハウを活用し、大学、公的研究機関や企業に対して再生医療等製品関連の受託サービスを行う設備・体制を確立しております。この事業では、遺伝子導入用ベクター、ワクチン、再生医療に利用される細胞等のGCTP/GMPに準拠した受託製造や製造プロセス開発、品質管理試験法の開発、試験製造、バイオアッセイサービスを行っております。6)その他 当社が保有しております特許やノウハウのライセンスアウト(技術導出)を進めております。② 遺伝子医療 当社は、コアテクノロジーである遺伝子工学技術や細胞工学技術の応用分野として、遺伝子医療事業に取り組んでおります。この事業では、遺伝子治療等に必要なバイオ創薬基盤技術開発、新規臨床プロジェクト創出活動などを行っております。また、当社が開発し、製薬企業に導出したプロジェクトについても価値の最大化に向けて取り組んでおります。1)遺伝子治療の現状について 従来、医薬品は化学合成により製造される低分子化合物が中心でしたが、近年になりバイオテクノロジーが発展すると、抗体や組換えタンパク質等を主成分とするバイオ医薬品が出現するようになりました。さらに、幹細胞やウイルスベクター等のあらたな技術の発展により、細胞や遺伝子を薬とする再生医療や遺伝子治療等が、新しいモダリティ(治療手段)として注目を集めております。 遺伝子治療とは、生まれつき欠いている遺伝子や病気を治すために役立つ遺伝子、あるいはこれらの遺伝子を組み込んだ細胞をヒトの体に投与することにより疾患を治療する方法であります。欧米の製薬企業を中心に開発が進んだ結果、最近では、上市が相次いでおり、バイオベンチャーやメガファーマ等による競争が激しくなっております。2)創薬基盤技術開発 当社は、バイオ創薬基盤技術開発を進め、新モダリティを創出する創薬企業を目指しております。バイオ創薬基盤技術開発として、特に、ウイルスベクターの大量製造法、固形がんに適応可能な次世代CAR遺伝子治療法の開発、臓器特異的in vivo遺伝子治療用ウイルスベクターの開発、抗腫瘍効果が長期に持続する次世代TCR・CAR遺伝子治療法の開発などのテーマに注力し、取り組んでおります。3)新規臨床開発プロジェクト 従来の遺伝子治療の課題の解決を目指し、新規臨床開発プロジェクトに取り組んでおります。現在は、CD19・JAK/STAT・CARプロジェクト(開発コード:TBI-2001)、CEA・GITR・CARプロジェクト(開発コード:TBI-2002)の非臨床試験が進行中です。既存のCAR遺伝子治療の課題と言われる、治療効果の持続性、固形がんへの適応などの解決を目指しており、早期の臨床試験開始を目指しております。4)導出プロジェクト 当社において初期の臨床開発までを行い、製薬企業等との提携により導出したプロジェクトについては、各プロジェクトの価値の最大化をはかる目的で、提携先製薬企業との緊密な連携のもと、上市後の製造・供給体制の準備や適応症の拡大などに取り組んでおります。 導出プロジェクトとして、腫瘍溶解性ウイルスC-REV(開発コード:TBI-1401)、遺伝子改変T細胞療法であるNY-ESO-1・siTCR®(開発コード:TBI-1301)およびCD19・CAR(開発コード:TBI-1501)などのプロジェクトの臨床開発が進行しております。 (2)当社グループ各社の位置づけ① バイオ産業支援 当社は、研究用試薬や理化学機器等の製造・販売や受託サービスを行っております。中国において、宝生物工程(大連)有限公司が研究用試薬の開発・製造や受託サービスを行い、宝日医生物技術(北京)有限公司が研究用試薬や理化学機器の販売を行っております。ヨーロッパにおいて、Takara Bio Europe S.A.S.が研究用試薬や理化学機器の販売を行い、Takara Bio Europe ABが研究用試薬の製造・販売や受託サービスを行っております。Takara Korea Biomedical Inc.は、韓国において研究用試薬や理化学機器の販売を行っております。Takara Bio USA, Inc.は、米国で研究用試薬や理化学機器の開発・製造を行い、全世界に販売しております。DSS Takara Bio India Private Limitedは、インドにおいて研究用試薬の製造・販売を行っております。② 遺伝子医療 当社は、遺伝子治療等に必要なバイオ創薬基盤技術開発、新規臨床プロジェクト創出活動、当社が開発し製薬企業に導出したプロジェクトについては、そのプロジェクト価値の最大化に向けて取り組んでおります。(3)事業の系統図 以上の企業集団の状況について、当社および主要な子会社等との関係を事業系統図で示せば以下のとおりであります。 また、宝ホールディングス(東証一部)は、2021年3月31日現在、当社議決権の60.93%を所有する親会社であります。当社と、宝ホールディングスおよび同社のグループ会社(同社の子会社および関連会社)との間には取引があります。宝ホールディングスグループにおける当社の位置づけおよび同グループ内の会社と当社との主な取引の内容は、以下のとおりであります。① 宝ホールディングスグループにおける当社の位置づけ 宝ホールディングスグループは、純粋持株会社である宝ホールディングスおよび同社の関係会社62社(子会社60社、関連会社2社)で構成されております。その中で当社は、バイオテクノロジー専業の事業子会社として位置づけられており、当社の関係会社(子会社)8社とともにバイオ事業を推進しております。② 宝ホールディングスグループとの取引について 宝ホールディングスグループとは、主に営業拠点に関する不動産賃貸借取引、商標権使用に関する取引およびコンピュータ関係業務の委託等に関する取引があります、詳細は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク (5)当社の親会社について」に記載しております。
FY2020|5,433 文字|出典 docID: S100IYED
3【事業の内容】 当企業集団は、当社の親会社、当社および当社の関係会社(子会社)8社(以下、当社を含めて「当社グループ」という。)で構成され、バイオ産業支援事業および遺伝子医療事業の両事業を展開しております。当社グループの事業内容と当該事業における各社の位置づけは次のとおりであります。 なお、この2事業は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」に掲げるセグメントの区分と同一であります。(1)現在の事業内容① バイオ産業支援事業 当社グループは、バイオテクノロジーを利用して研究、製品開発、検査事業等を行う大学、公的研究機関や企業の研究部門、検査会社を主な顧客としております。このような顧客に対し、当社グループの製品・商品およびサービスや技術資料集等を印刷物として配布、もしくは自社ホームページに掲載する等の販促活動を行い、販売代理店経由または顧客に対して直接、製品・商品およびサービスを提供しております。1)バイオテクノロジーの研究開発および産業利用の状況 バイオテクノロジーとは、医療、農業、環境、資源・エネルギー等の分野で、生物が持つ能力や性質を有効に活用するテクノロジーを指します。1970年代に遺伝子組換え技術が開発され、近代バイオテクノロジーの利用が始まりました。その後も、ゲノムや幹細胞等の分野で相次いで技術革新が進み、世界的にバイオテクノロジーを活用した基礎・応用研究や製品開発が積極的に行われ、その領域は拡大し続けております。2)当社グループの事業領域について 当社グループは、遺伝子工学技術および細胞工学技術を基盤技術として、大学、公的研究機関や企業の研究部門の基礎研究を支援する研究支援分野から、企業等の産業活動を支援する産業支援分野まで幅広い製品・商品やサービスの展開に注力しております。 バイオテクノロジーの研究開発は、遺伝子や細胞レベルで生命現象を解明することが基本となります。当社グループは、遺伝子や細胞を解析するためのテクノロジーとして、PCR/リアルタイムPCR、クローニング、遺伝子/タンパク質発現、ベクターシステム、次世代シーケンス、ゲノム編集、幹細胞等の遺伝子工学および細胞工学技術を培ってまいりました。これらの技術を基盤とし、分子生物学分野におけるDNA/RNA解析製品、酵素等のバルク/カスタム製造、遺伝子研究受託から、細胞生物学分野における幹細胞(ES/iPS細胞等)関連製品、シングルセル解析へと製品・商品およびサービスを拡大させております。さらに、研究支援分野から産業支援分野へ事業領域を拡大させるべく、GCTP/GMP(注)に準拠した再生医療等製品等の製造受託や研究開発パートナーとしての受託サービス等を行うCDMO(Contract Development and Manufacturing Organization)事業を展開しております。CDMO事業では、遺伝子治療や細胞医療の臨床開発で培った技術・ノウハウを活用し、遺伝子・細胞プロセッシングセンターを中核拠点として、GCTP/GMP(注)ベクター製造受託、細胞加工、セルバンク作製・保管、細胞製造プロセス開発、GMP(注)グレードタンパク質・酵素の製造・販売等を行っております。(注)GCTP(Good Gene, Cellular and Tissue-based Products Manufacturing Practice)は再生医療等製品の製造管理および品質管理の基準、GMP(Good Manufacturing Practice)は医薬品および医薬部外品の製造管理および品質管理の基準を指しております。3)研究用試薬 バイオテクノロジーを利用する研究では、その目的や段階、また対象物質に応じて多くの種類の研究用試薬が必要であります。当社は、1979年に国産初の制限酵素を発売以来、遺伝子工学研究用試薬の主要メーカーとして、遺伝子工学の発展に即応した新技術や新製品の開発を進めております。研究用試薬の製造は、主に中国の子会社である宝生物工程(大連)有限公司で行い、特殊な技術や施設が必要な製品の製造は、国内で行う体制を整えております。 当社は、2005年9月に米国のClontech Laboratories, Inc.(現Takara Bio USA, Inc.)を買収し、これにより当社グループの研究用試薬の製品ラインナップに、細胞分子生物学分野を中心としたClontech®製品群が加わりました。また、2014年8月にスウェーデンのCellectis AB(現Takara Bio Europe AB)を買収し、幹細胞分野を中心としたCellartis®製品群が加わりました。 さらに、2017年1月には、米国Rubicon Genomics,Inc.を買収し(その後、Takara Bio USA, Inc.に吸収合併)、超微量核酸サンプル解析領域の製品群の品揃えを強化いたしました。4)理化学機器 理化学機器の販売についてもバイオテクノロジーに関する知識が必要であり、機器の消耗品としての研究用試薬と合わせ、システムとして開発・販売されることも多く、当社グループにとってもシナジー効果が得られる領域であります。 当社グループのこの領域における事業は、1988年にPCR法に必須であるサーマルサイクラーと呼ばれる遺伝子増幅装置の米国からの輸入販売を開始したことに始まります。その後、当社独自の実験ノウハウを搭載したPCR装置やリアルタイムPCR装置を開発し、機器メーカーよりOEM供給を受け販売する等事業拡大に努めております。 さらに、2017年には、シングルセル(1細胞)解析分野で独自技術を持つ、米国WaferGen Bio-systems, Inc. (その後、Takara Bio USA, Inc.に吸収合併)を買収し、理化学機器の製造・販売力を強化しております。5)受託サービスa)遺伝子工学研究受託サービス 当社は、実験や研究開発ならびに製造そのものを契約ベースで大学、公的研究機関や企業の研究部門から有償で請け負う事業を行っております。この事業では、当社独自の研究開発能力・ノウハウがセールスポイントであり、単なる遺伝子の配列解析サービスにとどまらず、次世代シーケンス解析や遺伝子の機能解析サービス等を行っております。b)遺伝子検査受託サービス 当社は、基礎研究支援で培ってきた遺伝子解析技術を応用し、先端的な遺伝子検査サービスを提供しております。この事業では、信頼性保証体制のもと、製薬企業等が、薬事申請等に使用するための各種塩基配列解析や医療機関の依頼によりがん患者の検体のゲノム検査等を行っております。c)再生医療等製品関連受託サービス 当社は、遺伝子治療等の再生医療等製品の臨床開発で培った技術・ノウハウを活用し、遺伝子・細胞プロセッシングセンターを中核拠点として、大学、公的研究機関や企業の研究部門に対して再生医療等製品関連の受託サービスを行う設備・体制を確立しております。この事業では、遺伝子導入用ベクターや再生医療に利用される細胞等のGCTP/GMPに準拠した受託製造や製造プロセス開発、品質管理試験法の開発、試験製造、バイオアッセイサービスを行っております。6)その他 当研究事業において当社が保有しております特許やノウハウのライセンスアウト(技術導出)を進めております。② 遺伝子医療事業 当社は、研究用試薬等の開発において培ったコアテクノロジーである遺伝子工学技術や細胞工学技術の応用分野として、がん等を対象とする遺伝子治療等の先端医療技術の開発に注力し、商業化を目指しております。1)遺伝子治療の現状について 従来、医薬品は化学合成により製造される低分子化合物が中心でしたが、近年になりバイオテクノロジーが発展すると、抗体や組換えタンパク質等を主成分とするバイオ医薬品が出現するようになりました。さらに、幹細胞やウイルスベクター等のあらたな技術の発展により、細胞や遺伝子を薬とする再生医療や遺伝子治療等が、新しい治療手段(モダリティ)として注目を集めております。 遺伝子治療とは、生まれつき欠いている遺伝子や病気を治すために役立つ遺伝子、あるいはこれらの遺伝子を組み込んだ細胞をヒトの体に投与することにより疾患を治療する方法であります。また、近年では腫瘍溶解性ウイルスによる治療も遺伝子治療に含まれると解釈されています。遺伝子治療は、1990年に米国でアデノシンデアミナーゼ欠損症の患者に対して、世界で最初に実施されました。その後、様々な技術開発があり、2012年に希少疾患の一つであるリポタンパクリパーゼ欠損症治療薬が海外で初めて上市され、その後も上市が相次いでいます。2017年には、CD19・CAR遺伝子治療薬が一部の白血病を対象として米国で承認され、高い治療奏効率が注目されています。 我が国では、法令を整備し「再生医療等安全確保法」、「医薬品医療機器等法」(2014年11月施行)遺伝子治療を含む再生医療の実用化を促進する各種施策を実施しております。また、海外においても同様の施策が実施され、大手製薬企業、バイテックベンチャー等による競争が激しくなっております。2)臨床開発プロジェクト 当社は、Oncolytic Virus(腫瘍溶解性ウイルス)およびEngineered T cell Therapy(遺伝子改変T細胞療法)等の遺伝子治療の臨床開発を進め、商業化を目指しております。a)腫瘍溶解性ウイルス 腫瘍溶解性ウイルス canerpaturev(略称C-REV)は、単純ヘルペスウイルス1型の弱毒型自然変異株であり、正常細胞ではほとんど増殖いたしませんが、がん細胞に感染すると増殖し、がん細胞を死滅させることが示されております。当社では、この性質を利用し、C-ERVをがん治療薬として国内外で臨床開発を進めております。b)遺伝子改変T細胞療法 遺伝子改変T細胞療法は、免疫細胞の一種であるT細胞が、がん細胞を認識・攻撃する、がん免疫の性質を利用します。治療薬となる遺伝子改変T細胞は、採血により取得した患者のT細胞に体外で遺伝子を導入し、拡大培養を行う事により作製します。患者に投与した遺伝子改変T細胞は、ターゲットとするがん細胞を選択的に認識・攻撃します。当社では、遺伝子改変T細胞療法として、siTCR®遺伝子治療薬およびCAR遺伝子治療薬の臨床開発を進めております。 (2)当社グループ各社の位置づけ① バイオ産業支援事業 当社は、研究用試薬や理化学機器等の製造・販売や受託サービスを行っております。中国において、宝生物工程(大連)有限公司が研究用試薬の開発・製造や受託サービスを行い、宝日医生物技術(北京)有限公司が研究用試薬や理化学機器の販売を行っております。ヨーロッパにおいて、Takara Bio Europe S.A.S.が研究用試薬や理化学機器の販売を行い、Takara Bio Europe ABが研究用試薬の製造・販売や受託サービスを行っております。Takara Korea Biomedical Inc.は、韓国において研究用試薬や理化学機器の販売を行っております。Takara Bio USA, Inc.は、米国で研究用試薬や理化学機器の開発・製造を行い、全世界に販売しております。DSS Takara Bio India Private Limitedは、インドにおいて研究用試薬の製造・販売を行っております。② 遺伝子医療事業 当社は、日本および米国等において、がん等を対象とした遺伝子治療の臨床試験を実施しており、その商業化を目指しております。(3)事業の系統図 以上の企業集団の状況について、当社および主要な子会社等との関係を事業系統図で示せば以下のとおりであります。 また、宝ホールディングス株式会社(東証一部)は、2020年3月31日現在、当社議決権の60.93%を所有する親会社であります。当社と、宝ホールディングス株式会社および同社のグループ会社(同社の子会社および関連会社)との間には取引があります。宝ホールディングス㈱グループにおける当社の位置づけおよび同グループ内の会社と当社との主な取引の内容は、以下のとおりであります。1)宝ホールディングス㈱グループにおける当社の位置づけ 宝ホールディングス㈱グループは、純粋持株会社である宝ホールディングス株式会社および同社の関係会社62社(子会社60社、関連会社2社)で構成されております。その中で当社は、バイオテクノロジー専業の事業子会社として位置づけられており、当社の関係会社(子会社)8社とともにバイオ事業を推進しております。2)宝ホールディングス㈱グループとの取引について 宝ホールディングス㈱グループとは、主に営業拠点に関する不動産賃貸借取引、商標権使用に関する取引およびコンピュータ関係業務の委託等に関する取引があります、詳細は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク (5)当社の親会社について」に記載しております。
FY2019|5,559 文字|出典 docID: S100G4H9
3【事業の内容】 当企業集団は、当社の親会社、当社および当社の関係会社(子会社)9社(以下、当社を含めて「当社グループ」という。)で構成され、バイオ産業支援事業および遺伝子医療事業の両事業を展開しております。当社グループの事業内容と当該事業における各社の位置づけは次のとおりであります。 なお、この2事業は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」に掲げるセグメントの区分と同一であります。(1)現在の事業内容① バイオ産業支援事業 当社グループは、バイオテクノロジーを利用して研究、製品開発、検査事業等を行う大学、公的研究機関や企業の研究部門、検査会社を主な顧客としております。このような顧客に対し、当社グループの製品・商品およびサービスや技術資料集等を印刷物として配布、もしくは自社ホームページに掲載する等の販促活動を行い、販売代理店経由または顧客に対して直接、製品・商品およびサービスを提供しております。1)バイオテクノロジーの研究開発および産業利用の状況 バイオテクノロジーとは、医療、農業、環境、資源・エネルギー等の分野で、生物が持つ能力や性質を有効に活用するテクノロジーを指します。1970年代に遺伝子組換え技術が開発され、近代バイオテクノロジーの利用が始まりました。その後も、ゲノムや幹細胞等の分野で相次いで技術革新が進み、世界的にバイオテクノロジーを活用した基礎・応用研究や製品開発が積極的に行われ、その領域は拡大し続けております。2)当社グループの事業領域について 当社グループは、遺伝子工学技術および細胞工学技術を基盤技術として、大学、公的研究機関や企業の研究部門の基礎研究を支援する研究支援分野から、企業等の産業活動を支援する産業支援分野まで幅広い製品・商品やサービスの展開に注力しております。 バイオテクノロジーの研究開発は、遺伝子や細胞レベルで生命現象を解明することが基本となります。当社グループは、遺伝子や細胞を解析するためのテクノロジーとして、PCR/リアルタイムPCR、クローニング、遺伝子/タンパク質発現、ベクターシステム、次世代シーケンス、ゲノム編集、幹細胞等の遺伝子工学および細胞工学技術を培ってまいりました。これらの技術を基盤とし、分子生物学分野におけるDNA/RNA解析製品、酵素等のバルク/カスタム製造、遺伝子研究受託から、細胞生物学分野における幹細胞(ES/iPS細胞等)関連製品、シングルセル解析へと製品・商品およびサービスを拡大させております。さらに、研究支援分野から産業支援分野へ事業領域を拡大させるべく、GCTP(注)に準拠した再生医療等製品等の製造受託や研究開発パートナーとしての受託サービス等を行うCDMO(Contract Development and Manufacturing Organization)事業を展開しております。CDMO事業では、遺伝子治療や細胞医療の臨床開発で培った技術・ノウハウを活用し、遺伝子・細胞プロセッシングセンターを中核拠点として、GCTP/GMP(注)ベクター製造受託、細胞加工、セルバンク作製・保管、細胞製造プロセス開発、GMP(注)グレードタンパク質・酵素の製造・販売等を行っております。(注)GCTP(Good Gene, Cellular and Tissue-based Products Manufacturing Practice)は再生医療等製品の製造管理および品質管理の基準、GMP(Good Manufacturing Practice)は医薬品および医薬部外品の製造管理および品質管理の基準を指しております。<バイオ産業支援事業の事業領域>3)研究用試薬 バイオテクノロジーを利用する研究では、その目的や段階、また対象物質に応じて多くの種類の研究用試薬が必要であります。当社は、1979年に国産初の制限酵素を発売以来、遺伝子工学研究用試薬の主要メーカーとして、遺伝子工学の発展に即応した新技術や新製品の開発を進めております。研究用試薬の製造は、主に中国の子会社である宝生物工程(大連)有限公司で行い、特殊な技術や施設が必要な製品の製造は、国内で行う体制を整えております。 当社は、2005年9月に米国のClontech Laboratories, Inc.(現Takara Bio USA, Inc.)を買収いたしましたが、これにより当社グループの研究用試薬の製品ラインナップに、細胞分子生物学分野を中心としたClontech®製品群が加わりました。また、2014年8月にスウェーデンのCellectis AB(現Takara Bio Europe AB)を買収し、幹細胞分野を中心としたCellartis®製品群が加わりました。 さらに、2017年1月には、米国Rubicon Genomics,Inc.を買収し(その後、Takara Bio USA, Inc.に吸収合併)、超微量核酸サンプル解析領域の製品群の品揃えを強化いたしました。これらに加えて、欧米メーカーの商品の輸入販売等により、バイオテクノロジー全般にその領域を広げるために取り扱い品目の充実に努めております。4)理化学機器 理化学機器の販売についてもバイオテクノロジーに関する知識が必要であり、機器の消耗品としての研究用試薬と合わせ、システムとして開発・販売されることも多く、当社グループにとってもシナジー効果が得られる領域であります。 当社グループのこの領域における事業は、1988年にPCR法に必須であるサーマルサイクラーと呼ばれる遺伝子増幅装置の米国からの輸入販売を開始したことに始まります。その後、高分子生体構成物質を測定することができる質量分析装置等取り扱い品目を増やしてまいりました。さらに、当社独自の実験ノウハウを搭載したPCR装置やリアルタイムPCR装置を開発し、機器メーカーよりOEM供給を受け販売する等事業拡大に努めております。 さらに、2017年には、シングルセル(1細胞)解析分野で独自技術を持つ、米国WaferGen Bio-systems, Inc. (その後、Takara Bio USA, Inc.に吸収合併)を買収し、理化学機器の製造・販売力を強化しております。5)受託サービスa)遺伝子研究受託サービス 当社は、実験や研究開発ならびに製造そのものを契約ベースで大学、公的研究機関や企業の研究部門から有料で請け負う事業を行っております。この事業では、当社独自の研究開発能力・ノウハウがセールスポイントであり、単なる遺伝子の配列解析サービスにとどまらず、次世代シーケンス解析や遺伝子の機能解析サービス等を行っております。b)遺伝子検査受託サービス 当社は、基礎研究支援で培ってきた遺伝子解析技術を応用し、先端的な遺伝子検査サービスを提供しております。この事業では、信頼性保証体制のもと、製薬企業等が、薬事申請等に使用するための各種塩基配列解析や医療機関の依頼によりがん患者の検体のゲノム検査等を行っております。c)再生医療等製品関連受託サービス 当社は、遺伝子治療や細胞医療の臨床開発で培った技術・ノウハウを活用し、遺伝子・細胞プロセッシングセンターを中核拠点として、大学、公的研究機関や企業の研究部門に対して再生医療等製品関連の受託サービスを行う設備・体制を確立しております。この事業では、遺伝子導入用ベクターや再生医療に利用される細胞等のGCTP/GMPに準拠した受託製造や製造プロセス開発、品質管理試験法の開発、試験製造、バイオアッセイサービスを行っております。6)その他 当研究事業において当社が保有しております特許やノウハウのライセンスアウト(技術導出)を進めております。 ② 遺伝子医療事業 当社は、研究用試薬等の開発において培ったコアテクノロジーである遺伝子工学技術や細胞工学技術の応用分野として、がん等を対象とする遺伝子治療等の先端医療技術の開発に注力し、商業化を目指しております。1)遺伝子治療の現状について 従来、医薬品は化学合成により製造される低分子化合物が中心でしたが、近年になりバイオテクノロジーが発展すると、抗体や組換えタンパク質等を主成分とするバイオ医薬品が出現するようになりました。さらに、幹細胞やウイルスベクター等のあらたな技術の発展により、細胞や遺伝子を薬とする再生医療や遺伝子治療等が新しい治療手段として、注目を集めております。 遺伝子治療とは、生まれつき欠いている遺伝子や病気を治すために役立つ遺伝子、あるいはこれらの遺伝子を組み込んだ細胞をヒトの体に投与することにより疾患を治療する方法であります。また、近年では腫瘍溶解性ウイルスによる治療も遺伝子治療に含まれると解釈されています。遺伝子治療は、1990年に米国でアデノシンデアミナーゼ欠損症の患者に対して、世界で最初に実施されました。その後、様々な技術開発があり、2012年に希少疾患の一つであるリポタンパクリパーゼ欠損症治療薬が海外で初めて上市し、その後も上市が相次いでいます。2017年には、CD19・CAR遺伝子治療薬が一部の白血病を対象として米国で承認され、高い治療奏効率が注目されています。 我が国では、法令を整備し「再生医療等安全確保法」、「医薬品医療機器等法」(2014年11月施行)遺伝子治療を含む再生医療の実用化を促進する各種施策を実施しております。また、海外においても同様の施策が実施され、大手製薬企業、バイテックベンチャー等による競争が激しくなっております。2)臨床開発プロジェクト 当社は、Oncolytic Virus(腫瘍溶解性ウイルス)およびEngineered T cell Therapy(遺伝子改変T細胞療法)等の遺伝子治療の臨床開発を進め、商業化を目指しております。a)腫瘍溶解性ウイルス 腫瘍溶解性ウイルス canerpaturev(略称C-REV、旧称HF10)は、単純ヘルペスウイルス1型の弱毒型自然変異株であり、正常細胞ではほとんど増殖いたしませんが、がん細胞に感染すると増殖し、がん細胞を死滅させることが示されております。当社では、この性質を利用し、C-ERVをがん治療薬として国内外で臨床開発を進めております。b)遺伝子改変T細胞療法 遺伝子改変T細胞療法は、免疫細胞の一種であるT細胞が、がん細胞を認識・攻撃する、がん免疫の性質を利用します。治療薬となる遺伝子改変T細胞は、採血により取得した患者のT細胞に体外で遺伝子を導入し、拡大培養を行う事により作製します。患者に投与した遺伝子改変T細胞は、ターゲットとするがん細胞を選択的に認識・攻撃します。当社では、遺伝子改変T細胞療法として、siTCR®遺伝子治療薬およびCAR遺伝子治療薬の臨床開発を進めております。 (2)当社グループ各社の位置づけ① バイオ産業支援事業 当社は、研究用試薬や理化学機器等の製造・販売や受託サービスを行っております。中国において、宝生物工程(大連)有限公司が研究用試薬の開発・製造や受託サービスを行い、宝日医生物技術(北京)有限公司が研究用試薬や理化学機器の販売を行っております。ヨーロッパにおいて、Takara Bio Europe S.A.S.が研究用試薬や理化学機器の販売を行い、Takara Bio Europe ABが研究用試薬の製造・販売や受託サービスを行っております。Takara Korea Biomedical Inc.は、韓国において研究用試薬や理化学機器の販売を行っております。Takara Bio USA, Inc.は、米国で研究用試薬や理化学機器の開発を行い、全世界に販売しております。DSS Takara Bio India Private Limitedは、インドにおいて研究用試薬の製造・販売を行っております。② 遺伝子医療事業 当社は、日本および米国等において、がん等を対象とした遺伝子治療の臨床試験を実施しており、その商業化を目指しております。(3)事業の系統図 以上の企業集団の状況について、当社および主要な子会社等との関係を事業系統図で示せば以下のとおりであります。 また、宝ホールディングス株式会社(東証一部)は、2019年3月31日現在、当社議決権の60.92%を所有する親会社であります。当社と、宝ホールディングス株式会社および同社のグループ会社(同社の子会社および関連会社)との間には取引があります。宝ホールディングス㈱グループにおける当社の位置づけおよび同グループ内の会社と当社との主な取引の内容は、以下のとおりであります。1)宝ホールディングス㈱グループにおける当社の位置づけ 宝ホールディングス㈱グループは、純粋持株会社である宝ホールディングス株式会社および同社の関係会社62社(子会社60社、関連会社2社)で構成されております。その中で当社は、バイオテクノロジー専業の事業子会社として位置づけられており、当社の関係会社(子会社)9社とともにバイオ事業を推進しております。2)宝ホールディングス㈱グループとの取引について 宝ホールディングス㈱グループとは、主に営業拠点に関する不動産賃貸借取引、商標権使用に関する取引およびコンピュータ関係業務の委託等に関する取引があります、詳細は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク (5)当社の親会社について」に記載しております。
FY2018|9,957 文字|出典 docID: S100DHC1
3【事業の内容】 当企業集団は、当社の親会社、当社および当社の関係会社(子会社)11社(以下、当社を含めて「当社グループ」という。)で構成されております。その事業内容と当該事業における各社の位置づけは次のとおりであります。 なお、本項中の記載内容については、特に断りがない限り当連結会計年度末現在の事項であり、将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。(1)現在の事業内容 当社グループは、「バイオ産業支援」「遺伝子医療」「医食品バイオ」の3つの事業を展開しております。事業別の売上高実績および売上構成比は以下のとおりであります。 前連結会計年度(自 平成28年4月1日至 平成29年3月31日)当連結会計年度(自 平成29年4月1日至 平成30年3月31日)増減額前期比金額(百万円)構成比(%)金額(百万円)構成比(%)(百万円)(%)バイオ産業支援 研究用試薬19,43666.222,20768.72,770114.3 理化学機器2,9119.92,6358.2△27590.5 受託サービス3,80013.04,21013.0409110.8 その他4241.45141.690121.3計26,57390.529,56891.52,995111.3遺伝子医療5001.75001.5-100.0医食品バイオ2,3017.82,2437.0△5897.5合計29,375100.032,312100.02,937110.0 ① バイオ産業支援事業 当社グループは、バイオテクノロジーの研究開発が行われている大学、公的研究機関や企業の研究部門を主な顧客としております。このような顧客に対し、当社グループの製・商品を掲載したカタログに加え応用データ集や技術資料集等を配布するなどして、販売会社経由または顧客に対して直接、様々な製・商品やサービスを提供しております。1)バイオテクノロジーの研究開発および産業利用の状況 古くから酒や味噌、醤油等の発酵や醸造技術としてバイオテクノロジーは利用されてきました。1970年代に入り遺伝子組換え技術が開発され、バイオテクノロジーは転換期を迎え、利用が拡大いたしました。近年では、先進国を中心にバイオテクノロジーの基礎研究や応用開発が積極的に行われ、医療・農業・環境・資源・エネルギー等幅広い産業分野で利用され、その領域はさらに拡大し続けております。2)当社グループの事業領域について 当社グループは、遺伝子工学技術および細胞工学技術を基盤技術として、大学、公的研究機関や企業の研究部門の基礎研究を支援する研究支援分野から、企業等の産業活動を支援する産業支援分野まで幅広い製・商品やサービスの展開に注力しております。 バイオテクノロジーの研究開発は、遺伝子や細胞レベルで生命現象を解明することが基本となります。当社グループは、遺伝子や細胞を解析するためのバイオテクノロジーとして、PCR/リアルタイムPCR、クローニング、遺伝子/タンパク質発現、ベクターシステム、次世代シーケンス、ゲノム編集等の遺伝子工学および細胞工学技術を培ってまいりました。これらの技術を基盤とし、分子生物学分野におけるDNA/RNA解析製品、タンパク質解析製品、酵素等のバルク/カスタム製造、遺伝子研究受託から、細胞生物学分野における幹細胞(ES/iPS細胞等)関連製品、シングルセル解析、抗体関連製品へと製・商品およびサービスを拡大させております。さらに、研究支援分野から産業支援分野へ事業領域を拡大させるべく、GCTP(注)に準拠した再生医療等製品等の製造受託や研究開発パートナーとしての受託サービス等を行うCDMO(Contract Development and Manufacturing Organization)事業を展開しております。CDMO事業では、遺伝子治療や細胞医療の臨床開発で培った技術・ノウハウを活用し、遺伝子・細胞プロセッシングセンターを中核拠点として、GCTP/GMP(注)ベクター製造受託、細胞加工、セルバンク作製・保管、細胞製造プロセス開発、GMP(注)グレードタンパク質・酵素の製造・販売等を行っております。(注)GCTP(Good Gene, Cellular and Tissue-based Products Manufacturing Practice)は再生医療等製品の製造管理および品質管理の基準、GMP(Good Manufacturing Practice)は医薬品および医薬部外品の製造管理および品質管理の基準を指しております。 <バイオ産業支援事業の事業領域>3)研究用試薬 バイオテクノロジーの研究には、その目的や段階、また対象物質に応じて多くの種類の研究用試薬が必要であります。当社は、昭和54年に国産初の制限酵素を発売以来、遺伝子工学研究用試薬の国内主要メーカーとして、遺伝子工学の発展に即応した新技術や新製品の開発を進めております。研究用試薬の製造は、主に中国の子会社である宝生物工程(大連)有限公司で行い、特殊な技術や施設が必要な製品の製造は、日本国内で行う体制を整えております。当社は、平成17年9月に米国のClontech Laboratories, Inc.(現Takara Bio USA, Inc.)を買収いたしましたが、これにより当社グループの研究用試薬の製品ラインナップに、細胞分子生物学分野を中心としたClontech®製品群が加わりました。また、平成26年8月にスウェーデンのCellectis AB(現Takara Bio Europe AB)を買収し、幹細胞分野を中心としたCellartis®製品群が加わりました。さらに、平成29年1月には、米国Rubicon Genomics,Inc.を買収し(その後、Takara Bio USA, Inc.に吸収合併)、超微量核酸解析分野の製品群の品揃えを強化しました。これらに加えて、欧米メーカーの商品の輸入販売等により、バイオテクノロジー全般にその領域を広げるために取り扱い品目を増やしてまいりました。平成30年3月31日現在、TaKaRa®、Clontech®、Cellartis®製品群を含め、7,000品目を超える製・商品があります。 生体に含まれる遺伝子は非常に微量で、研究を進める過程で増幅してその量を増やす必要があります。当社グループは、遺伝子増幅法に関しても、現在広く用いられているPolymerase Chain Reaction法(以下、「PCR」法という。)やリアルタイムPCR法に必須なDNAを合成する酵素(DNAポリメラーゼ)の製造・販売を行っております。当社の研究用試薬の売上のうち、PCR関連製品が平成30年3月期において41.9%を占めております。4)理化学機器 理化学機器の販売についてもバイオテクノロジーに関する知識が必要であり、機器の消耗品としての研究用試薬と合わせ、システムとして開発・販売されることも多く、当社グループにとってもシナジー効果が得られる領域であります。 当社グループのこの領域における事業は、昭和63年にPCR法に必須であるサーマルサイクラーと呼ばれる反応温度変換装置の米国からの輸入販売を開始したことに始まります。その後、高分子生体構成物質を測定することができる質量分析装置等取り扱い品目を増やしてまいりました。さらに、当社独自の実験ノウハウを搭載したPCR装置やリアルタイムPCR装置を開発し、機器メーカーよりOEM供給を受け販売する等事業拡大に努めております。さらに平成29年2月には、シングルセル(一細胞)解析分野で独自技術を持つ、米国WaferGen Bio-systems, Inc. (その後、Takara Bio USA, Inc.に吸収合併)を買収し、研究用機器の製造・販売力を強化しております。5)受託サービスa)遺伝子研究受託サービス 当社は、実験や研究そのものを契約ベースで大学、公的研究機関や企業の研究部門から有料で請け負う事業を行っております。この事業では、当社独自の研究開発能力・ノウハウがセールスポイントであり、単なるDNAの配列解析サービスにとどまらず、高速シーケンス解析や遺伝子の機能解析サービス等を行っております。b)遺伝子検査受託サービス 当社は、基礎研究支援で培ってきた遺伝子解析技術を応用し、先端的な遺伝子検査サービスを提供しております。この事業では、信頼性保証体制のもと、製薬企業等が、薬事申請等に使用するための各種塩基配列解析を行っております。c)再生医療等製品関連受託サービス 当社は、遺伝子治療や細胞医療の臨床開発で培った技術・ノウハウを活用し、遺伝子・細胞プロセッシングセンターを中核拠点として、大学、公的研究機関や企業の研究部門に対して再生医療等製品関連の受託サービスを行う設備・体制を確立しております。この事業では、遺伝子導入用ベクターや再生医療に利用される細胞等のGCTP/GMPに準拠した受託製造や製造プロセス開発、品質管理試験法の開発、試験製造、バイオアッセイサービスを行っております。6)その他 当研究事業において当社が保有しております特許やノウハウのライセンスアウト(技術導出)を進めております。② 遺伝子医療事業 当社は、研究用試薬等の開発において培ったコアテクノロジーである遺伝子工学技術の応用分野として、遺伝子治療や細胞医療等の先端医療技術の開発に注力し、その商業化を目指した事業展開をはかっております。1)新薬の研究開発について 一般的な新薬の研究開発は、次のような流れになります。まず、①遺伝子やタンパク質の生体内での機能の解析等を行う基礎研究により、薬の候補として適した物質を選定いたします(基礎研究)。従来は、有機化学的手法により合成された低分子化合物が中心でしたが、近年は、酵素や抗体などの生体物質を有効成分とするバイオ医薬品が主流となりつつあります。さらに、直近では、治療に有効な遺伝子やウイルス、あるいは、幹細胞、遺伝子導入細胞などを医薬品(再生医療等製品)とするための開発も行われています。②次に、候補物質の安全性や有効性を、モデル動物等を用いて検討する非臨床試験を行います。③その後、複数の健常人や患者に対して実際に候補物質を投与して、薬としての安全性や有効性を確認する臨床試験(治験)を行います。治験は段階的に実施する必要があり、この過程を経て規制当局へ承認申請が行われます。④承認を取得し、⑤上市・販売後も一定期間、新薬の適正使用等に関する情報を収集する市販後調査が通常は行われます。一般に、新薬の開発には、治験だけでも3年から7年間という長い期間と多額の研究開発費を要します。一方、このような新薬の承認を受けるために行うものではなく、医師が行う患者を対象とした治療に関する研究を臨床研究と呼んでおります。 我が国では、平成26年11月に「薬事法」が改正され、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(医薬品医療機器等法)が施行されました。同法では、治療目的で人体に投与する生きた細胞等を「再生医療等製品」とあらたに定義し、その特性を踏まえた安全性対策等の規制が設けられるとともに、同製品については、有効性が推定され、安全性が認められれば、条件および期限を付して製造販売承認を与える制度が設けられております。<医薬品医療機器等法による承認制度>2)遺伝子治療a)遺伝子治療の現状について 遺伝子治療とは、生まれつき欠いている遺伝子や病気を治すために役立つ遺伝子、あるいはこれらの遺伝子を組み込んだ細胞をヒトの体に投与することにより疾患を治療する方法であります。また、近年では腫瘍溶解性ウイルスによる治療も遺伝子治療に含まれると解釈されています。遺伝子治療は、1990年に米国でアデノシンデアミナーゼ欠損症の患者に対して、世界で最初に実施されました。近年では、先天性遺伝病、感染症、種々のがん、さらには致死的でない慢性疾患にまで対象が広がり、多くの企業が遺伝子治療の開発を進めております。b)レトロネクチン法について 遺伝子治療は、遺伝子の導入方法により体外遺伝子治療と体内遺伝子治療の2つに大別されます。体外遺伝子治療では、遺伝子導入の標的細胞として末梢血リンパ球、造血幹細胞等の利用が検討されております。標的細胞に遺伝子を効率よく導入するため、また、導入した遺伝子が安定的にその機能を発揮するよう、ベクターと呼ばれる“遺伝子の運び屋”が利用されております。世界的に多くの体外遺伝子治療のプロトコールで用いられているのが、無害化した(自己増殖能力を奪った)レトロウイルスを利用したレトロウイルスベクターであります。このベクターを使用すれば種々の細胞に遺伝子導入を行うことができ、標的細胞の染色体に遺伝子が挿入され安定した効果が期待できます。 当社が米国インディアナ大学医学部と共同で開発したレトロネクチン法は、これまで難しいとされてきた造血幹細胞等の血球系細胞へのレトロウイルスベクターによる高効率遺伝子導入を可能にいたしました。前述のように、造血幹細胞に目的の遺伝子を組み込むことができれば、その遺伝子は生涯にわたって体の中に存在することになり、遺伝子治療の治療効果が飛躍的に高まると考えられております。 レトロネクチン®は、ヒトフィブロネクチンと呼ばれる分子を改良した組換えタンパク質であります。標的細胞とレトロウイルスベクターの両者に対する特異的な相互作用により、シャーレや無菌培養用バッグの内面に固定化されたレトロネクチン®上で、レトロウイルスベクターと標的細胞が密接に接触するため、遺伝子導入効率が上がると考えられております。<レトロネクチン®を利用した遺伝子治療概念図> このレトロネクチン法を用いた遺伝子治療の臨床試験が、免疫不全症、がんやエイズ等の疾患を対象として、世界各国の医療機関において進められております。 3)臨床開発プロジェクト 当社は、Oncolytic Virus(腫瘍溶解性ウイルス)およびEngineered T cell Therapy(遺伝子改変T細胞療法)等の遺伝子治療の臨床開発を進め、商業化を目指しております。a)腫瘍溶解性ウイルス・HF10プロジェクト 当社は、平成22年より、腫瘍溶解性ウイルス HF10(以下、「HF10」という。)事業に関する臨床開発を進めております。HF10は、単純ヘルペスウイルス1型の弱毒型自然変異株であり、正常細胞ではほとんど増殖いたしませんが、がん細胞に感染すると増殖し、がん細胞を死滅させることが示されております。当社は、HF10について、日本国内においては、悪性黒色腫を対象とした第Ⅱ相臨床試験および膵臓がんを対象とした第Ⅰ相臨床試験を実施中です。また、米国においては、悪性黒色腫を対象とした第Ⅱ相臨床試験を終了し、次相を計画中です。さらに、医師主導第Ⅱ相臨床試験を実施しております。b)遺伝子改変T細胞療法 遺伝子改変T細胞療法は、T細胞に遺伝子を導入し、ターゲットとするがん細胞等を選択的に認識して攻撃させ、治療する方法の総称であります。・siTCR™遺伝子治療プロジェクト 当社の独自技術であるsiTCR™ベクター技術を利用したsiTCR™遺伝子治療の臨床開発を推進しております。 siTCR™ベクター技術により、内在性TCRの関与を抑え、目的のTCRを発現するTリンパ球をより多く得ることができます。これにより、副作用のリスクの低減、有効性の向上につながると考えられます。 当社は、三重大学と共同で、固形がんを対象としたsiTCR™遺伝子治療の臨床開発を推進しております。同大学では、国内で食道がん等の固形がんを対象にしたMAGE-A4・siTCR™遺伝子治療および滑膜肉腫等の固形がんを対象にしたNY-ESO-1・siTCR™遺伝子治療の第Ⅰ相臨床試験(医師主導治験)が実施されております。当社では、これらの試験の知見をもとに、滑膜肉腫を対象とするNY-ESO-1・siTCR™遺伝子治療の第Ⅰ相/Ⅱ相の治験を平成29年1月より開始し、siTCR™遺伝子治療の商業化を目指し開発を進めております。・CD19・CAR遺伝子治療プロジェクト 当社は、日本国内においてCD19・CAR遺伝子治療の難治性急性リンパ芽球性白血病の第Ⅰ相/Ⅱ相臨床試験治験を平成29年1月より進めております。③ 医食品バイオ事業 当社グループでは、当社グループ独自の先端バイオテクノロジーを駆使して食物の科学的根拠を明確にした機能性食品素材の開発、製造および販売を行っております。1)健康食品事業 当社は、当社独自の複合糖質解析技術を駆使して、ガゴメ昆布に含まれる食物繊維“フコイダン”の3種の化学構造を明らかにし、F-フコイダン、U-フコイダン、G-フコイダンと名付けました。こうした長年の研究から得られた科学的根拠に基づき、機能性食品素材としてのフコイダンを開発し、健康食品「フコイダン」シリーズ等として、宝ヘルスケア株式会社を通じて通信販売を中心に展開しております。 この他に、寒天由来のアガロオリゴ糖、明日葉由来のカルコン、ボタンボウフウ由来のイソサミジン、ヤムイモ由来のヤムスゲニン®、キノコ由来のテルペン等の食品由来のユニークな機能性成分に着目して製品化を行うとともに、ヒト介入試験等の研究データの蓄積を進めております。2)キノコ関連事業 当社は、キノコの栽培研究を40年以上続けており、ブナシメジ等の新しい菌株や活性化剤と呼ばれるキノコの発生や収量増を促す物質の開発等、キノコ栽培方法の研究を行っております。 また、栽培が困難であると言われていたハタケシメジの人工栽培法を確立いたしました。当社は、この人工栽培法を活用してハタケシメジの大規模生産を担う瑞穂農林株式会社を、京都府瑞穂町(現京丹波町)および瑞穂町森林組合(現京丹波森林組合)と共同で設立し、平成15年8月より販売を開始いたしました。 さらに当社は、長年培ったキノコの栽培ノウハウや当社が持つバイオテクノロジーを駆使し、ホンシメジの人工栽培法も確立し、平成17年1月よりホンシメジの出荷を開始いたしました。(2)当社グループの事業戦略について 前述のように、当社グループは「バイオ産業支援」「遺伝子医療」「医食品バイオ」の3つの事業に注力しております。バイオ産業支援事業は、当社グループの現在のコアビジネスとも言える収益基盤であり、他の事業へ展開するための技術基盤とも位置づけており、この事業を安定的収益事業として確立しながら、第2の収益事業として医食品バイオ事業の育成に努めております。今後は、遺伝子医療事業に他の事業から生まれたキャッシュ・フローを優先的に投資し、研究支援産業から食品分野、さらに医療分野へ進出することにより事業拡大をはかってまいります。 なお、当連結会計年度(自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日)におけるセグメント別の業績は下記のとおりであります。単位:百万円 バイオ産業支援遺伝子医療医食品バイオ計調整額連結財務諸表計上額売上高 外部顧客に対する売上高29,5685002,24332,312-32,312 セグメント間の内部売上高又は振替高--77△7-計29,5685002,25132,320△732,312セグメント利益又は損失(△)6,683△1,3221075,467△1,9123,555 (注)セグメント利益又は損失(△)の調整額△1,912百万円は、各報告セグメントに配分していない全社費用であります。全社費用は、主に報告セグメントに帰属しない一般管理費および研究開発費であります。(3)当社グループ各社の位置づけ① バイオ産業支援事業 当社は、研究用試薬や理化学機器等の製造・販売や受託サービスを行っております。中国において、宝生物工程(大連)有限公司が研究用試薬の開発・製造や受託サービスを行い(注)、宝日医生物技術(北京)有限公司が研究用試薬の販売を行っております。ヨーロッパにおいて、Takara Bio Europe S.A.S.が研究用試薬や理化学機器の販売を行い、Takara Bio Europe ABが研究用試薬の製造・販売や受託サービスを行っております。Takara Korea Biomedical Inc.は、韓国において研究用試薬や理化学機器の販売を行っております。Takara Bio USA, Inc.は、米国で研究用試薬や理化学機器の開発を行い、全世界に販売しております。DSS Takara Bio India Private Limitedは、インドにおいて研究用試薬の製造・販売を行っております。(注)宝生物工程(大連)有限公司が担っていた中国における販売業務は、平成28年10月より宝日医生物技術(北京)有限公司に業務を移管しております。② 遺伝子医療事業 当社は、日本および米国等において、がん等を対象とした遺伝子治療の臨床試験を実施しており、その商業化を目指しております。③ 医食品バイオ事業 当社は、キノコ生産技術に関するライセンスアウトおよび健康食品にかかわる研究開発、製造・販売を行っております。瑞穂農林株式会社および株式会社きのこセンター金武は、キノコの生産・販売を行っております。有限会社タカラバイオファーミングセンターは、明日葉等の生産を行っております。(注)当社が担っていたキノコの販売業務は、平成30年4月より瑞穂農林株式会社に業務を移管しております。 以上の企業集団の状況について当社および主要な子会社等との関係を事業系統図で示せば次頁のとおりであります。 [事業系統図] また、宝ホールディングス株式会社(東証一部)は、平成30年3月31日現在、当社議決権の60.92%を所有する親会社であります。当社と、宝ホールディングス株式会社および同社のグループ会社(同社の子会社および関連会社)との間には取引があります。宝ホールディングス㈱グループにおける当社の位置づけおよび同グループ内の会社と当社との主な取引の内容は、以下のとおりであります。1)宝ホールディングス㈱グループにおける当社の位置づけ 宝ホールディングス㈱グループは、純粋持株会社である宝ホールディングス株式会社および同社の関係会社65社(子会社63社、関連会社2社)で構成されております。その中で当社は、バイオテクノロジー専業の事業子会社として位置づけられており、当社の関係会社(子会社)11社とともにバイオ事業を推進しております。2)宝ホールディングス㈱グループとの取引についてa) 営業拠点に関する不動産賃貸借取引について 当社は、平成14年4月1日付で寳酒造株式会社(現宝ホールディングス株式会社)が物的分割の方法により会社分割し設立されました経緯から、寳酒造株式会社の工場、営業所、社宅等の不動産の大部分は、宝酒造株式会社および当社へ移転されました。従来は、一つの拠点に酒類・食品事業とバイオ事業がともに展開されておりましたので、移転に伴い、宝酒造株式会社との間に不動産賃貸借取引が発生しております。b) 商標権使用に関する取引について 当社が使用する商標のうち一部の商標について、宝ホールディングス株式会社が所有・管理しているものがあり、当該商標については、同社との間で商標使用許諾契約を結び、使用許諾件数に応じて1商標1国1区分当たり月額固定金額を支払うこととしております。c) コンピュータ関係業務の委託等に関する取引について 当社は、宝ホールディングス株式会社との間で、コンピュータ関係業務の委託ならびに情報関連機器の賃貸借契約を締結しております。d) その他 宝ヘルスケア株式会社とは、健康食品に関する製造・研究開発の委受託契約および知的財産の実施・使用許諾契約を締結しております。 このほか、宝ホールディングス㈱グループ各社(当社グループ各社を除く)とは、発注ベースでの包装資材等の購入等があります。
FY2017|9,863 文字|出典 docID: S100APL5
3【事業の内容】 当企業集団は、当社の親会社、当社および当社の関係会社(子会社)11社(以下、当社を含めて「当社グループ」という。)で構成されております。その事業内容と当該事業における各社の位置づけは次のとおりであります。 なお、本項中の記載内容については、特に断りがない限り当連結会計年度末現在の事項であり、将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。(1)現在の事業内容 当社グループは、「バイオ産業支援」「遺伝子医療」「医食品バイオ」の3つの事業を展開しております。事業別の売上高実績および売上構成比は以下のとおりであります。 前連結会計年度(自 平成27年4月1日至 平成28年3月31日)当連結会計年度(自 平成28年4月1日至 平成29年3月31日)増減額前期比金額(百万円)構成比(%)金額(百万円)構成比(%)(百万円)(%)バイオ産業支援 研究用試薬20,48868.919,43666.2△1,05194.9 理化学機器3,08710.42,9119.9△17694.3 受託サービス3,30911.13,80013.0491114.8 その他4341.54241.4△1097.6計27,32091.926,57390.5△74797.3遺伝子医療--5001.7500-医食品バイオ2,4088.12,3017.8△10695.6合計29,729100.029,375100.0△35398.8 ① バイオ産業支援事業 当社グループは、バイオテクノロジーの研究開発が行われている大学や企業などの研究機関を主な顧客としております。このような顧客に対し、当社グループの製・商品を掲載したカタログに加え応用データ集や技術資料集などを配布するなどして、販売会社経由または顧客に対して直接、様々な製・商品やサービスを提供しております。1)バイオテクノロジーの研究開発および産業利用の状況 古くから酒や味噌、醤油などの発酵や醸造技術としてバイオテクノロジーは利用されてきました。1970年代に入り遺伝子組換え技術が開発され、バイオテクノロジーは転換期を迎え、利用が拡大いたしました。近年では、先進国を中心にバイオテクノロジーの基礎研究や応用開発が積極的に行われ、医療・農業・環境・資源・エネルギーなど幅広い産業分野で利用され、その領域はさらに拡大し続けております。2)当社グループの事業領域について 当社グループは、遺伝子工学技術および細胞工学技術を基盤技術として、大学や企業などの基礎研究を支援する研究支援分野から、企業などの産業活動を支援する産業支援分野まで幅広い製・商品やサービスの展開に注力しております。 バイオテクノロジーの研究開発は、遺伝子や細胞レベルで生命現象を解明することが基本となります。当社グループは、遺伝子や細胞を解析するためのバイオテクノロジーとして、PCR/リアルタイムPCR、クローニング、遺伝子/タンパク質発現、ベクターシステム、次世代シーケンス、ゲノム編集などの遺伝子工学および細胞工学技術を培ってまいりました。これらの技術を基盤とし、分子生物学分野におけるDNA/RNA解析製品、タンパク質解析製品、酵素などのバルク/カスタム製造、遺伝子研究受託から、細胞生物学分野における幹細胞(ES/iPS細胞など)関連製品、シングルセル解析、抗体関連製品へと製・商品およびサービスを拡大させております。さらに、研究支援分野から産業支援分野へ事業領域を拡大させるべく、GCTP(注)に準拠した再生医療等製品などの製造受託や研究開発パートナーとしての受託サービス等を行うCDMO(Contract Development and Manufacturing Organization)事業を展開しております。CDMO事業では、遺伝子治療や細胞医療の臨床開発で培った技術・ノウハウを活用し、遺伝子・細胞プロセッシングセンターを中核拠点として、GCTP/GMP(注)ベクター製造受託、細胞加工、セルバンク作製・保管、細胞製造プロセス開発、GMP(注)グレードタンパク質・酵素の製造販売などを行っております。(注)GCTP(Good Gene, Cellular and Tissue-based Products Manufacturing Practice)は再生医療等製品の製造管理及び品質管理の基準、GMP(Good Manufacturing Practice)は医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準を指しております。 <バイオ産業支援事業の事業領域>3)研究用試薬 バイオテクノロジーの研究には、その目的や段階、また対象物質に応じて多くの種類の研究用試薬が必要であります。当社は、昭和54年に国産初の制限酵素を発売以来、遺伝子工学研究用試薬の国内主要メーカーとして、遺伝子工学の発展に即応した新技術や新製品の開発を進めております。研究用試薬の製造は、主に中国の子会社である宝生物工程(大連)有限公司で行い、特殊な技術や施設が必要な製品の製造は、日本国内で行う体制を整えております。当社は、平成17年9月に米国のClontech Laboratories, Inc.(現Takara Bio USA, Inc.)を買収いたしましたが、これにより当社グループの研究用試薬の製品ラインナップに、分子生物学分野を中心としたClontech製品群が加わりました。また、平成26年8月にスウェーデンのCellectis AB(現Takara Bio Europe AB)を買収し、幹細胞分野を中心としたCellartis®製品群が加わりました。これらに加えて、欧米メーカーの商品の輸入販売などにより、バイオテクノロジー全般にその領域を広げるために取り扱い品目を増やしてまいりました。平成29年3月31日現在、TaKaRa®、Clontech®、Cellartis®製品群を含め、7,000品目を超える製・商品があります。 生体に含まれる遺伝子は非常に微量で、研究を進める過程で増幅してその量を増やす必要があります。当社グループは、遺伝子増幅法に関しても、現在広く用いられているPolymerase Chain Reaction法(以下、「PCR」法という。)やリアルタイムPCR法に必須なDNAを合成する酵素(DNAポリメラーゼ)の製造・販売を行っております。また、PCR法に比べ長い遺伝子を正確に増幅することができるLA PCR法(Long and Accurate PCR法)を応用した製品の販売も行っております。当社は平成5年にPCR法に関するライセンスを受けており、当社の研究用試薬の売上のうち、PCR関連製品が平成29年3月期において45.8%を占めております。 4)理化学機器 当社グループには、機器類の自社製造能力(必要設備や人員など)はありませんが、理化学機器の販売についてもバイオテクノロジーに関する知識が必要であり、機器の消耗品としての研究用試薬と合わせ、システムとして開発・販売されることも多く、当社グループにとってもシナジー効果が得られる領域であります。 当社グループのこの領域における事業は、昭和63年にPCR法に必須であるサーマルサイクラーと呼ばれる反応温度変換装置の米国からの輸入販売を開始したことに始まります。その後、高分子生体構成物質を測定することができる質量分析装置など取り扱い品目を増やしてまいりました。さらに、当社独自の実験ノウハウを搭載したPCR装置やリアルタイムPCR装置を開発し、機器メーカーよりOEM供給を受け販売するなど事業拡大に努めております。5)受託サービスa)遺伝子研究受託サービス 当社は、実験や研究そのものを契約ベースで大学や企業の研究機関から有料で請け負う事業を行っております。この事業では、当社独自の研究開発能力・ノウハウがセールスポイントであり、単なるDNAの配列解析サービスにとどまらず、高速シーケンス解析や遺伝子の機能解析サービスなどを行っております。b)遺伝子検査受託―ビス 当社は、基礎研究支援で培ってきた遺伝子解析技術を応用し、先端的な遺伝子検査サービスを提供しております。この事業では、信頼性保証体制のもと、製薬企業などが、薬事申請などに使用いただくための各種塩基配列解析を行っております。c)再生医療等製品関連受託サービス 当社は、遺伝子治療や細胞医療の臨床開発で培った技術・ノウハウを活用し、遺伝子・細胞プロセッシングセンターを中核拠点として、大学や企業などに対して再生医療等製品関連の受託サービスを行う設備・体制を確立しております。この事業では、遺伝子導入用ベクターや再生医療に利用される細胞などのGCTP/GMPに準拠した受託製造や製造プロセス開発、品質管理試験法の開発、試験製造、バイオアッセイサービスを行っております。6)その他 当研究事業において当社が保有しております特許やノウハウのライセンスアウト(技術導出)を進めております。② 遺伝子医療事業 当社は、研究用試薬などの開発において培ったコアテクノロジーである遺伝子工学技術の応用分野として、遺伝子治療や細胞医療などの先端医療技術の開発に注力し、その商業化を目指した事業展開をはかっております。1)新薬の研究開発について 一般的な新薬の研究開発は、以下のような流れになります。まず、遺伝子やタンパク質の生体内での機能の解析等を行う基礎研究により、薬の候補として適した物質を選定いたします。次に、候補物質の安全性や有効性を、モデル動物などを用いて検討する非臨床試験を行います。その後、複数の健常人や患者に対して実際に候補物質を投与して、薬としての安全性や有効性を確認する臨床試験(治験)を行います。治験は段階的に実施する必要があり、この過程を経て規制当局へ承認申請が行われます。承認を取得し、上市・販売後も一定期間、新薬の適正使用などに関する情報を収集する市販後調査が通常は行われます。一般に、新薬の開発には、治験だけでも3年から7年間という長い期間と多額の研究開発費を要します。一方、このような新薬の承認を受けるために行うものではなく、医師が行う患者を対象とした治療に関する研究を臨床研究と呼んでおります。<一般的な新薬研究開発の流れ> 我が国では、平成26年11月に「薬事法」が改正され、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」が施行されました。同法では、治療目的で人体に投与する生きた細胞等を「再生医療等製品」とあらたに定義し、その特性を踏まえた安全性対策等の規制が設けられるとともに、同製品については、有効性が推定され、安全性が認められれば、条件および期限を付して製造販売承認を与える制度が設けられております。2)遺伝子治療a)遺伝子治療の現状について 遺伝子治療とは、生まれつき欠いている遺伝子や病気を治すために役立つ遺伝子、あるいはこれらの遺伝子を組み込んだ細胞をヒトの体に投与することにより疾患を治療する方法であります。遺伝子治療は、1990年に米国でアデノシン・デアミナーゼ欠損症の患者に対して、世界で最初に実施されました。近年では、先天性遺伝病、感染症、種々のがん、さらには致死的でない慢性疾患にまで対象が広がり、多くの企業が遺伝子治療の開発を進めております。b)レトロネクチン法について 遺伝子治療は、遺伝子の導入方法により体外遺伝子治療と体内遺伝子治療の2つに大別されます。体外遺伝子治療では、遺伝子導入の標的細胞として末梢血リンパ球、造血幹細胞などの利用が検討されております。標的細胞に遺伝子を効率よく導入するため、また、導入した遺伝子が安定的にその機能を発揮するよう、ベクターと呼ばれる“遺伝子の運び屋”が利用されております。世界的に多くの体外遺伝子治療のプロトコールで用いられているのが、無害化した(自己増殖能力を奪った)レトロウイルスを利用したレトロウイルスベクターであります。このベクターを使用すれば種々の細胞に遺伝子導入を行うことができ、標的細胞の染色体に遺伝子が挿入され安定した効果が期待できます。 当社が米国インディアナ大学医学部と共同で開発し、その全世界における独占的実施権を保有するレトロネクチン法は、これまで難しいとされてきた造血幹細胞等の血球系細胞へのレトロウイルスベクターによる高効率遺伝子導入を可能にいたしました。前述のように、造血幹細胞に目的の遺伝子を組み込むことができれば、その遺伝子は生涯にわたって体の中に存在することになり、遺伝子治療の治療効果が飛躍的に高まると考えられております。 レトロネクチン®は、ヒトフィブロネクチンと呼ばれる分子を改良した組換えタンパク質であります。標的細胞とレトロウイルスベクターの両者に対する特異的な相互作用により、シャーレや無菌培養用バッグの内面に固定化されたレトロネクチン®上で、レトロウイルスベクターと標的細胞が密接に接触するため、遺伝子導入効率が上がると考えられております。<レトロネクチン®を利用した遺伝子治療概念図> このレトロネクチン法を用いた遺伝子治療の臨床試験が、免疫不全症、がんやエイズなどの疾患を対象として、世界各国の医療機関において進められております。 3)臨床開発プロジェクト 当社は、Oncolytic Virus(腫瘍溶解性ウイルス)およびEngineered T cell Therapy(分子標的T細胞療法)などの遺伝子治療の臨床開発を進め、商業化を目指しております。a)Oncolytic Virus(腫瘍溶解性ウイルス)・HF10プロジェクト 当社は、平成22年より、腫瘍溶解性ウイルス HF10(以下、「HF10」という。)事業に関する臨床開発を進めております。HF10は、単純ヘルペスウイルス1型の弱毒型自然変異株であり、正常細胞ではほとんど増殖いたしませんが、がん細胞に感染すると増殖し、がん細胞を死滅させることが示されております。当社は、HF10について悪性黒色腫を対象として、米国においては第Ⅱ相臨床試験、日本国内においては第Ⅰ相臨床試験を実施しておりましたが、いずれも終了し、国内では第Ⅱ相臨床試験を開始いたしました。米国においては次相を計画中であります。b)Engineered T cell Therapy(分子標的T細胞療法) Engineered T cell Therapyは、T細胞に遺伝子を導入し、ターゲットとするがん細胞などを選択的に認識して攻撃させ、治療する方法の総称であります。・siTCR遺伝子治療プロジェクト 当社の独自技術であるsiTCRベクター技術を利用したsiTCR遺伝子治療の臨床開発を推進しております。 siTCRベクター技術により、内在性TCRの関与を抑え、目的のTCRを発現するTリンパ球をより多く得ることができます。これにより、副作用のリスクの低減、有効性の向上につながると考えられます。 当社は、三重大学と共同で、固形がんを対象としたsiTCR遺伝子治療の臨床開発を推進しております。同大学では、siTCR遺伝子治療の臨床研究を平成21年8月に開始しており、当社はこれに協力しております。この臨床研究の成果も活用し、国内で食道がん等の固形がんを対象にしたMAGE-A4・siTCR遺伝子治療および滑膜肉腫等の固形がんを対象にしたNY-ESO-1・siTCR遺伝子治療の第Ⅰ相臨床試験(医師主導治験)が実施されております。当社では、これらの知見をもとに、滑膜肉腫を対象とする第1相/Ⅱ相の治験計画届を医薬品医療機器総合機構(PMDA)に平成29年1月に提出し、siTCR遺伝子治療の商業化を目指し開発を進めております。・CD19・CAR遺伝子治療プロジェクト 当社は、日本国内においてCD19・CAR遺伝子治療の難治性急性リンパ芽球性白血病の第Ⅰ相/Ⅱ相臨床試験治験を開始するべく、治験計画届を医薬品医療機器総合機構(PMDA)に平成29年1月に提出いたしました。また、自治医科大学では、非ホジキンリンパ腫を対象としたCD19・CAR遺伝子治療の臨床研究を平成29年1月から実施しております。③ 医食品バイオ事業 当社グループでは、食から医という「医食同源」のコンセプトに基づき、当社グループ独自の先端バイオテクノロジーを駆使して食物の科学的根拠を明確にした機能性食品素材の開発、製造および販売を行っております。1)健康食品事業 当社は、当社独自の複合糖質解析技術を駆使して、ガゴメ昆布に含まれる食物繊維“フコイダン”の3種の化学構造を明らかにし、F-フコイダン、U-フコイダン、G-フコイダンと名付けました。こうした長年の研究から得られた科学的根拠に基づき、機能性食品素材としてのフコイダンを開発し、健康食品「フコイダン」シリーズ等として通信販売を中心に展開しております。 この他に、寒天由来のアガロオリゴ糖、明日葉由来のカルコン、ボタンボウフウ由来のイソサミジン、ヤムイモ由来のヤムスゲニン®、キノコ由来のテルペンなどの食品由来のユニークな機能性成分に着目して製品化を行うとともに、ヒト介入試験などの研究データの蓄積を進め、研究成果の情報発信(研究広告等)を積極的に行っております。2)キノコ関連事業 当社は、キノコの栽培研究を40年以上続けており、ブナシメジなどの新しい菌株や活性化剤と呼ばれるキノコの発生や収量増を促す物質の開発など、キノコ栽培方法の研究を行っております。 また、栽培が困難であると言われていたハタケシメジの人工栽培法を確立いたしました。当社は、この人工栽培法を活用してハタケシメジの大規模生産を担う瑞穂農林株式会社を、京都府瑞穂町(現京丹波町)および瑞穂町森林組合(現京丹波森林組合)と共同で設立し、平成15年8月より販売を開始いたしました。 さらに当社は、長年培ったキノコの栽培ノウハウや当社が持つバイオテクノロジーを駆使し、ホンシメジの人工栽培法も確立し、平成17年1月よりホンシメジの出荷を開始いたしました。(2)当社グループの事業戦略について 前述のように、当社グループは「バイオ産業支援」「遺伝子医療」「医食品バイオ」の3つの事業に注力しております。バイオ産業支援事業は、当社グループの現在のコアビジネスとも言える収益基盤であり、他の事業へ展開するための技術基盤とも位置づけており、この事業を安定的収益事業として確立しながら、第2の収益事業として医食品バイオ事業の育成に努めております。今後は、遺伝子医療事業に他の事業から生まれたキャッシュ・フローを優先的に投資し、研究支援産業から食品分野、さらに医療分野へ進出することにより事業拡大をはかってまいります。 なお、当連結会計年度(自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日)におけるセグメント別の業績は下記のとおりであります。 バイオ産業支援(百万円)遺伝子医療(百万円)医食品バイオ(百万円)計(百万円)調整額(百万円)連結財務諸表計上額(百万円)売上高 外部顧客に対する売上高26,5735002,30129,375-29,375 セグメント間の内部売上高又は振替高--55△5-計26,5735002,30729,380△529,375セグメント利益又は損失(△)6,218△1,3801044,942△1,7393,202 (注)セグメント利益又は損失(△)の調整額△1,739百万円は、各報告セグメントに配分していない全社費用であります。全社費用は、主に報告セグメントに帰属しない一般管理費および研究開発費であります。(3)当社グループ各社の位置づけ[バイオ産業支援事業] 当社は、研究用試薬や理化学機器などの製造・販売や受託サービスを行っております。中国において、宝生物工程(大連)有限公司が研究用試薬の開発・製造や受託サービスを行い(注)、宝日医生物技術(北京)有限公司が研究用試薬の販売を行っております。ヨーロッパにおいて、Takara Bio Europe S.A.S.が研究用試薬の販売を行い、Takara Bio Europe ABが研究用試薬の開発・製造・販売や受託サービスを行っております。Takara Korea Biomedical Inc.は、韓国において研究用試薬や理化学機器の販売を行っております。Takara Bio USA, Inc.は、米国で研究用試薬等の開発を行い、全世界に販売しております。DSS Takara Bio India Private Limitedは、インドにおいて研究用試薬の製造・販売を行っております。(注)平成28年10月より宝生物工程(大連)有限公司の担っていた中国における販売業務は、宝日医生物技術(北京)有限公司に業務を移管しております。[遺伝子医療事業] 当社は、日本および米国において、がんなどを対象とした遺伝子治療の臨床試験を実施しており、その商業化を目指しております。[医食品バイオ事業] 当社は、キノコの生産・販売、キノコ生産技術に関するライセンスアウトおよび健康食品にかかわる研究開発、製造・販売を行っております。瑞穂農林株式会社および株式会社きのこセンター金武は、キノコの製造・販売を行っております。有限会社タカラバイオファーミングセンターは、明日葉等の生産を行っております。 以上の企業集団の状況について当社および主要な子会社等との関係を事業系統図で示せば次頁のとおりであります。 [事業系統図] また、宝ホールディングス株式会社(東証一部)は、平成29年3月31日現在、当社議決権の60.92%を所有する親会社であります。当社と、宝ホールディングス株式会社および同社のグループ会社(同社の子会社および関連会社)との間には取引があります。宝ホールディングス㈱グループにおける当社の位置づけおよび同グループ内の会社と当社との主な取引の内容は、以下のとおりであります。[宝ホールディングス㈱グループにおける当社の位置づけ] 宝ホールディングス㈱グループは、純粋持株会社である宝ホールディングス株式会社および同社の関係会社65社(子会社62社、関連会社3社)で構成されております。その中で当社は、バイオテクノロジー専業の事業子会社として位置づけられており、当社の関係会社(子会社)11社とともにバイオ事業を推進しております。[宝ホールディングス㈱グループとの取引について]① 営業拠点に関する不動産賃貸借取引について 当社は、平成14年4月1日付で寳酒造株式会社(現 宝ホールディングス株式会社)が物的分割の方法により会社分割し設立されました経緯から、寳酒造株式会社の工場、営業所、社宅等の不動産の大部分は、宝酒造株式会社および当社へ移転されました。従来は、一つの拠点に酒類・食品事業とバイオ事業がともに展開されておりましたので、移転に伴い、宝酒造株式会社との間に不動産賃貸借取引が発生しております。② 商標権使用に関する取引について 当社が使用する商標のうち一部の商標について、宝ホールディングス株式会社が所有・管理しているものがあり、当該商標については、同社との間で商標使用許諾契約を結び、使用許諾件数に応じて1商標1国1区分当たり月額固定金額を支払うこととしております。③ コンピュータ関係業務の委託等に関する取引について 当社は、宝ホールディングス株式会社との間で、コンピュータ関係業務の委託ならびに機器の賃貸借契約を締結しております。④ その他 宝ヘルスケア株式会社とは、健康食品に関する製造・研究開発の委受託契約および知的財産の実施・使用許諾契約を締結しております。 このほか、宝ホールディングス㈱グループ各社(当社グループ各社を除く)とは、発注ベースでの包装資材等の購入ならびに人材派遣契約取引等があります。
FY2016|10,205 文字|出典 docID: S10082EU
3【事業の内容】 当企業集団は、当社の親会社、当社および当社の関係会社(子会社)11社(以下、当社を含めて「当社グループ」という。)で構成されております。その事業内容と当該事業における各社の位置づけは次のとおりであります。 なお、本項中の記載内容については、特に断りがない限り当連結会計年度末現在の事項であり、将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。(1)現在の事業内容 当社グループは、「バイオ産業支援」「遺伝子医療」「医食品バイオ」の3つの事業を展開しております。事業別の売上高実績および売上構成比は以下のとおりであります。 前連結会計年度(自 平成26年4月1日至 平成27年3月31日)当連結会計年度(自 平成27年4月1日至 平成28年3月31日)増減額前期比金額(百万円)構成比(%)金額(百万円)構成比(%)(百万円)(%)バイオ産業支援 研究用試薬17,43767.120,48868.93,050117.5 理化学機器2,70510.43,08710.4382114.1 受託サービス3,03111.73,30911.1277109.2 その他4181.64341.516104.0計23,59390.827,32091.93,727115.8遺伝子医療------医食品バイオ2,3769.22,4088.131101.3合計25,969100.029,729100.03,759114.5 ① バイオ産業支援事業 当社グループは、バイオテクノロジーの研究開発が行われている大学や企業などの研究機関を主な顧客としております。当社グループは、このような顧客に対し、当社グループの製・商品を掲載したカタログに加え応用データ集や技術資料集などを配布するなどして、販売会社経由または顧客に対して直接、様々な製・商品やサービスを提供しております。1)バイオテクノロジーの研究開発および産業利用の状況 古くから酒や味噌、醤油などの発酵や醸造技術としてバイオテクノロジーは利用されてきました。1970年代に入り遺伝子組換え技術が開発され、バイオテクノロジーは転換期を迎え、利用が拡大いたしました。近年では、先進国を中心にバイオテクノロジーの基礎研究や応用開発が積極的に行われ、医療・農業・環境・資源・エネルギーなど幅広い産業分野で利用され、その領域はさらに拡大し続けております。2)当社グループの事業領域について 当社グループは、遺伝子工学技術および細胞工学技術を基礎技術として、大学や企業などの基礎研究を支援する研究支援分野から、企業などの産業活動を支援する産業支援分野まで幅広い製・商品やサービスの展開に注力しております。 バイオテクノロジーの研究開発は、遺伝子や細胞レベルで生命現象を解明することが基本となります。当社グループは、遺伝子や細胞を解析するためのバイオテクノロジーとして、PCR/リアルタイムPCR、クローニング、遺伝子/タンパク質発現、ベクターシステム、次世代シーケンス、ゲノム編集などの遺伝子工学および細胞工学技術を培ってきました。これらの技術を基盤とし、分子生物学分野におけるDNA/RNA解析製品、タンパク質解析製品、酵素などのバルク/カスタム製造、遺伝子研究受託から、細胞生物学分野における幹細胞(ES/iPS細胞など)関連製品、シングルセル解析、抗体関連製品へと製・商品およびサービスを拡大させております。さらに、研究支援分野から産業支援分野へ事業領域を拡大させるべく、GCTP(Good Gene, Cellular and Tissue-based Products Manufacturing Practice)に準拠した再生医療等製品などの製造受託や研究開発パートナーとしての受託サービス等を行うCDMO(Contract Development and Manufacturing Organization)事業を展開しております。CDMO事業では、遺伝子治療や細胞医療の臨床開発で培った技術・ノウハウを活用し、遺伝子・細胞プロセッシングセンターを中核拠点として、GCTP/GMPベクター製造受託、細胞加工、セルバンク作製・保管、細胞製造プロセス開発、細胞培養用培地・バッグ販売、GMPグレードタンパク質・酵素の製造販売などを行っております。 バイオ産業支援事業の事業領域を図示すると以下のようになります。次に具体的な事業の内容を説明いたします。<バイオ産業支援事業の事業領域>3)研究用試薬 バイオテクノロジーの研究には、実験目的や実験段階、また実験の対象物質に応じて多くの種類の研究用試薬が必要であります。当社は、昭和54年に国産初の制限酵素を発売以来、遺伝子工学研究用試薬の国内主要メーカーとして、遺伝子工学の発展に即応した新技術や新製品の開発を進めております。研究用試薬の製造は、主に中国の子会社である宝生物工程(大連)有限公司で行い、特殊な技術や施設が必要な製品の製造は、日本国内で行う体制を整えております。当社は、平成17年9月に米国のClontech Laboratories, Inc.を買収いたしましたが、これにより当社グループの研究用試薬の製品ラインナップに、分子生物学分野を中心としたClontech製品群が加わりました。また、平成26年8月にスウェーデンのCellectis ABを買収し、幹細胞分野を中心としたCellartis®製品群が加わりました。これらに加えて、欧米メーカーの商品の輸入販売などにより、バイオテクノロジー全般にその領域を広げるために取り扱い品目を増やしてまいりました。平成28年3月31日現在、TaKaRa®、Clontech®、Cellartis®製品群を含め、7,000品目を超える製・商品があります。 生体に含まれる遺伝子は非常に微量で、研究を進める過程で増幅してその量を増やす必要があります。当社グループは、遺伝子増幅法に関しても、現在広く用いられているPolymerase Chain Reaction法(以下、「PCR」法という。)やリアルタイムPCR法に必須なDNAを合成する酵素(DNAポリメラーゼ)の製造・販売を行っております。また、PCR法に比べ長い遺伝子を正確に増幅することができるLA PCR法(Long and Accurate PCR法)を応用した製品の販売も行っております。当社は平成5年にPCR法に関するライセンスを受けており、当社の研究用試薬の売上のうち、PCR関連製品が平成28年3月期において40.1%を占めております。4)理化学機器 当社グループには、機器類の自社製造能力(必要設備や人員など)はありませんが、理化学機器の販売についてもバイオテクノロジーに関する知識が必要であり、機器の消耗品としての試薬類を合わせ、システムとして開発・販売されることも多く、当社グループにとってもシナジー効果が得られる領域であります。 当社グループのこの領域における事業は、PCR法に必須であるサーマルサイクラーと呼ばれる反応温度変換装置の米国からの輸入販売を、昭和63年に開始したことに始まります。その後、高分子生体構成物質を測定することができる質量分析装置など、取り扱い品目を増やしてまいりました。さらに、当社独自の実験ノウハウを搭載したPCR装置やリアルタイムPCR装置を開発し、機器メーカーよりOEM供給を受け販売するなど事業拡大に努めております。5)受託サービスa)遺伝子研究受託サービス 当社は、実験や研究そのものを契約ベースで大学や企業の研究機関から有料で請け負う事業を行っており、この事業は、当社の研究開発能力・ノウハウそのものがセールスポイントとなる事業であります。バイオメディカルセンターにおいては、単なるDNAの配列解析サービスにとどまらず、高速シーケンス解析や遺伝子の機能解析サービスなどを行っております。b)再生医療等製品関連受託サービス 当社は、遺伝子治療や細胞医療の臨床開発で培った技術・ノウハウを活用し、遺伝子・細胞プロセッシングセンターを中核拠点として、大学や企業などに対して再生医療等製品関連の受託サービスを行う設備・体制を確立しています。この事業では遺伝子導入用ベクターや再生医療に利用される細胞などの、GCTP/GMPに準拠した受託製造や製造プロセス開発、品質管理試験法の開発、試験製造、バイオアッセイサービスを行っております。c)クリニック支援サービス がん免疫細胞療法は、外科療法、化学療法、放射線療法に続く第4のがん治療法といわれ、副作用の非常に少ないがん免疫細胞療法が広まり始めています。当社は、自社開発のレトロネクチン®拡大培養法および高純度NK細胞療法を用いて、がん免疫細胞療法の臨床研究やがん免疫細胞療法を実施する医療機関への技術支援サービスを展開しております。6)その他 当研究事業において当社が保有しております特許やノウハウのライセンスアウト(技術導出)を進めております。② 遺伝子医療事業 当社は、研究用試薬などの開発において培った当社のコアテクノロジーである遺伝子工学技術の応用分野として、遺伝子治療や細胞医療などの先端医療技術の開発に注力し、その商業化を目指した事業展開をはかっております。1)新薬の研究開発について 一般的な新薬の研究開発は、以下のような流れになります。まず、遺伝子やタンパク質の生体内での機能の解析等を行う基礎研究により、薬の候補として適した物質を選定いたします。次に、候補物質の安全性や有効性を、モデル動物などを用いて検討する非臨床試験を行います。その後、複数の健常人や患者に対して実際に候補物質を投与して、薬としての安全性や有効性を確認する臨床試験(治験)を行います。治験は段階的に実施する必要があり、この過程を経て規制当局へ承認申請が行われます。承認を取得し、上市・販売後も一定期間、新薬の適正使用などに関する情報を収集する市販後調査が通常は行われます。一般に、新薬の開発には、治験だけでも3年から7年間という長い期間と多額の研究開発費を要します。一方、このような新薬の承認を受けるために行うものではなく、医師が行う患者を対象とした治療に関する研究を臨床研究と呼んでおります。<一般的な新薬研究開発の流れ> 我が国では、平成26年11月に「薬事法」が改正され、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」が施行されました。同法では、治療目的で人体に投与する生きた細胞等を「再生医療等製品」とあらたに定義し、その特性を踏まえた安全性対策等の規制が設けられるとともに、同製品については、有効性が推定され、安全性が認められれば、条件および期限を付して製造販売承認を与える制度が設けられております。2)遺伝子治療a)遺伝子治療の現状について 遺伝子治療とは、生まれつき欠いている遺伝子や病気を治すために役立つ遺伝子、あるいはこれらの遺伝子を組み込んだ細胞をヒトの体に投与することにより疾患を治療する方法であります。遺伝子治療は、1990年に米国で、アデノシン・デアミナーゼ欠損症の患者に対して、世界で最初に実施されました。近年では、先天性遺伝病、感染症、種々のがん、さらには致死的でない慢性疾患にまで対象が広がり、多くの企業が遺伝子治療の開発を進めております。b)レトロネクチン法について 遺伝子治療は、遺伝子の導入方法により体外遺伝子治療と体内遺伝子治療の2つに大別されます。体外遺伝子治療では、遺伝子導入の標的細胞として末梢血リンパ球、造血幹細胞などの利用が検討されております。標的細胞に遺伝子を効率よく導入するため、また、導入した遺伝子が安定的にその機能を発揮するよう、ベクターと呼ばれる“遺伝子の運び屋”が利用されております。世界的に多くの体外遺伝子治療のプロトコールで用いられているのが、無害化した(自己増殖能力を奪った)レトロウイルスを利用したレトロウイルスベクターであります。このベクターを使用すれば種々の細胞に遺伝子導入を行うことができ、標的細胞の染色体に遺伝子が挿入され安定した効果が期待できます。 当社が米国インディアナ大学医学部と共同で開発し、その全世界における独占的実施権を保有するレトロネクチン法は、これまで難しいとされてきた、造血幹細胞等の血球系細胞へのレトロウイルスベクターによる高効率遺伝子導入を可能にいたしました。前述のように、造血幹細胞に目的の遺伝子を組み込むことができれば、その遺伝子は生涯にわたって体の中に存在することになり、遺伝子治療の治療効果が飛躍的に高まると考えられております。 レトロネクチン®は、ヒトフィブロネクチンと呼ばれる分子を改良した組換えタンパク質であります。標的細胞とレトロウイルスベクターの両者に対する特異的な相互作用により、シャーレや無菌培養用バッグの内面に固定化されたレトロネクチン®上で、レトロウイルスベクターと標的細胞が密接に接触するため、遺伝子導入効率が上がると考えられております。<レトロネクチン®を利用した遺伝子治療概念図> このレトロネクチン法を用いた遺伝子治療の臨床試験が、免疫不全症、がんやエイズなどの疾患を対象として、世界各国の医療機関において進められております。3)臨床開発プロジェクト 当社は、Oncolytic Virus(腫瘍溶解性ウイルス)およびEngineered T cell Therapy(分子標的T細胞療法)などの遺伝子治療の臨床開発を進め、商業化を目指しております。a)Oncolytic Virus( 腫瘍溶解性ウイルス)・HF10プロジェクト 当社は、平成22年11月に株式会社エムズサイエンスから、腫瘍溶解性ウイルス HF10(以下、「HF10」という。)事業を譲り受けました。HF10は、単純ヘルペスウイルス1型の弱毒型自然変異株であり、正常細胞ではほとんど増殖いたしませんが、がん細胞に感染すると増殖し、がん細胞を死滅させることが動物実験などにおいて示されております。当社は、HF10について、米国において第Ⅰ相臨床試験を終了し、現在は、悪性黒色腫を対象とした第Ⅱ相試験を実施しております。また、国内では、第Ⅰ相臨床試験を実施中であります。b)Engineered T cell Therapy(分子標的T細胞療法) Engineered T cell Therapyは、T細胞に遺伝子を導入し、ターゲットとするがん細胞などを選択的に認識して攻撃させ、治療する方法の総称であります。・siTCR遺伝子治療プロジェクト 当社の独自技術であるsiTCRベクター技術を利用したsiTCR遺伝子治療の臨床開発を推進しております。 siTCRベクター技術により、内在性TCRの関与を抑え、目的のTCRを発現するTリンパ球をより多く得ることができます。これにより、副作用のリスクの低減、有効性の向上につながると考えられます。当社は、三重大学と共同で、固形がんを対象としたsiTCR遺伝子治療の臨床開発を推進しております。当社は、siTCR遺伝子治療の臨床開発を推進するために、平成17年4月に三重大学医学部に産学官連携講座を設置いたしました。三重大学医学部は、siTCR遺伝子治療の臨床研究を平成21年8月に開始しており、当社はこれに協力しております。この臨床研究の成果も活用し、国内で食道がん等の固形がんを対象にしたMAGE-A4・siTCR遺伝子治療および滑膜肉腫等の固形がんを対象にしたNY-ESO-1・siTCR遺伝子治療の第Ⅰ相臨床試験(医師主導治験)が実施されております。・CAR遺伝子治療プロジェクト 当社は、平成29年3月期に、日本国内においてCD19・CAR遺伝子治療の治験を開始するべく、準備を進めております。対象疾患は造血器悪性腫瘍であります。また、自治医科大学にて非ホジキンリンパ腫を対象とした、CD19・CAR遺伝子治療の臨床研究を実施しております。・MazF遺伝子治療プロジェクト 当社は、大腸菌由来のRNA分解酵素であるMazFを用いたHIV遺伝子治療(MazF遺伝子治療)の開発を進めております。当社は、これまでにエイズの原因ウイルス(HIV-1)を用いた培養細胞への感染実験により、MazF遺伝子をヒトT細胞に導入することによって、細胞に対しては毒性を示すことなく、HIV-1の複製のみが効果的に抑制されることを発見しております。また、MazF遺伝子をレトロウイルスベクターにより導入したヒトT細胞に、さまざまな抗HIV薬が効かなくなった多剤耐性HIV-1株を感染させたところ、HIV-1の増殖を抑制できること(鹿児島大学との共同研究)などの有望な知見を得てまいりました。また、医薬基盤研究所霊長類医科学研究センターと共同で、サルを用いたMazF遺伝子治療の動物試験も実施し、MazF遺伝子を導入した細胞がサル個体に対しても安全であることを確認しております。これらの成果を活用して、平成24年12月より米国のペンシルベニア大学およびドレクセル大学において、HIV感染症を対象としたMazF遺伝子治療の第Ⅰ相臨床試験を実施しております。③ 医食品バイオ事業 当社グループでは、食から医という「医食同源」のコンセプトのもと、日本人が古来常食してきた食物を、当社独自の先端バイオテクノロジーを駆使して科学的に見直し、機能性食品素材としての開発を進めて製品化しております。1)健康食品事業 当社独自の複合糖質解析技術を駆使して、ガゴメ昆布に含まれる食物繊維“フコイダン”の3種の化学構造を明らかにし、F-フコイダン、U-フコイダン、G-フコイダンと名付けました。こうした長年の研究から得られた科学的根拠に基づき、機能性食品素材としての“フコイダン”を開発し、健康食品「フコイダンサプリ」シリーズ等として通信販売を中心に展開しております。 また、ボタンボウフウは主に九州南部から沖縄の海岸沿いに自生するセリ科の多年草であります。当社は、ボタンボウフウ由来のイソサミジンに関する独自の研究成果を踏まえ、「イソサミジン」シリーズ等として発売しております。 明日葉(あしたば)は、セリ科の大型多年草で、伊豆諸島を中心とした太平洋岸に自生する日本固有の植物であります。当社では、明日葉由来のカルコン類に関する独自の研究成果を踏まえて、「明日葉カルコン」シリーズ等を発売しております。2)キノコ関連事業 当社は、キノコの栽培研究を40年以上続けており、ブナシメジなどの新しい菌株や活性化剤と呼ばれるキノコの発生や収量増を促す物質の開発など、キノコ栽培方法の研究を行っております。 また、栽培が困難であると言われていたハタケシメジの人工栽培法を確立いたしました。当社は、この人工栽培法を活用してハタケシメジの大規模生産を担う瑞穂農林株式会社を、京都府瑞穂町(現京丹波町)および瑞穂町森林組合(現京丹波森林組合)と共同で設立し、平成15年8月より販売を開始いたしました。 さらに当社は、長年培ったキノコの栽培ノウハウや当社が持つバイオテクノロジーを駆使し、ホンシメジの人工栽培法も確立いたしました。平成17年1月よりホンシメジの出荷を開始しております。(2)当社グループの事業戦略について 上述のように、当社グループは「バイオ産業支援」「遺伝子医療」「医食品バイオ」の3つの事業に注力しております。バイオ産業支援事業は、当社グループの現在のコアビジネスとも言える収益基盤であり、他の事業へ展開するための技術基盤とも位置づけており、この事業を安定的収益事業として確立しながら、第2の収益事業として医食品バイオ事業の育成に努めております。今後は、遺伝子医療事業に他の事業から生まれたキャッシュ・フローを優先的に投資し、研究支援産業から食品分野、さらに医療分野へ進出することにより事業拡大をはかってまいります。なお、当連結会計年度(自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日)におけるセグメント別の業績は下記のとおりであります。 バイオ産業支援(百万円)遺伝子医療(百万円)医食品バイオ(百万円)計(百万円)調整額(百万円)連結財務諸表計上額(百万円)売上高 外部顧客に対する売上高27,320-2,40829,729-29,729 セグメント間の内部売上高又は振替高--77△7-計27,320-2,41629,736△729,729セグメント利益又は損失(△)6,138△1,7731104,475△1,8082,667 (注)セグメント利益又は損失(△)の調整額△1,808百万円は、各報告セグメントに配分していない全社費用であります。全社費用は、主に報告セグメントに帰属しない一般管理費および研究開発費であります。(3)当社グループ各社の位置づけ[バイオ産業支援事業] 当社は、研究用試薬や理化学機器などの製造・販売や受託サービスを行っております。中国において、宝生物工程(大連)有限公司が研究用試薬の開発・製造・販売や受託サービスを行い、宝日医生物技術(北京)有限公司が研究用試薬の販売を行っております。ヨーロッパにおいて、Takara Bio Europe S.A.S.が研究用試薬の販売を行い、Takara Bio Europe ABが研究用試薬の開発・製造・販売や受託サービスを行っております。Takara Korea Biomedical Inc.は、韓国において研究用試薬や理化学機器の販売を行っております。Clontech Laboratories, Inc.は、米国で研究用試薬等の開発を行い、全世界に販売しております。DSS Takara Bio India Private Limitedは、インドにおいて研究用試薬の製造・販売を行っております。[遺伝子医療事業] 当社は、日本および米国において、がんやエイズを対象とした遺伝子治療の臨床試験を実施しており、その商業化を目指しております。[医食品バイオ事業] 当社は、キノコの製造・販売、キノコ生産技術に関するライセンスアウトおよび健康食品にかかわる研究開発、製造・販売を行っております。瑞穂農林株式会社および株式会社きのこセンター金武は、キノコの製造・販売を行っております。有限会社タカラバイオファーミングセンターは、明日葉等の生産を行っております。 以上の企業集団の状況について当社および主要な子会社等との関係を事業系統図で示せば下図のとおりであります。[事業系統図] また、宝ホールディングス株式会社(東証一部)は、平成28年3月31日現在、当社議決権の60.92%を所有する親会社であります。当社と、宝ホールディングス株式会社および同社のグループ会社(同社の子会社および関連会社)との間には取引があります。宝ホールディングス㈱グループにおける当社の位置づけおよび同グループ内の会社と当社との主な取引の内容を、下記に示します。[宝ホールディングス㈱グループにおける当社の位置づけ] 宝ホールディングス㈱グループは、純粋持株会社である宝ホールディングス株式会社および同社の関係会社48社(子会社45社、関連会社3社)で構成されております。その中で当社は、バイオテクノロジー専業の事業子会社として位置づけられており、当社の関係会社(子会社)11社とともにバイオ事業を推進しております。[宝ホールディングス㈱グループとの取引について]① 営業拠点に関する不動産賃貸借取引について 当社は、平成14年4月1日付で寳酒造株式会社(現 宝ホールディングス株式会社)が物的分割の方法により会社分割し設立されました経緯から、寳酒造株式会社の工場、営業所、社宅等の不動産の大部分は、宝酒造株式会社および当社へ移転されました。従来は、一つの拠点に酒類・食品事業とバイオ事業がともに展開されておりましたので、移転に伴い、宝酒造株式会社との間に不動産賃貸借取引が発生しております。② 商標権使用に関する取引について 当社が使用する商標のうち一部の商標について、宝ホールディングス株式会社が所有・管理しているものがあり、当該商標については、同社との間で商標使用許諾契約を結び、使用許諾件数に応じて1商標1国1区分当たり月額固定金額を支払うこととしております。③ その他 上記のほか宝ホールディングス㈱グループ各社(当社グループ各社を除く)とは、契約ベースでコンピュータ関係業務の委託およびコンピュータ機器の賃借契約ならびに従業員派遣契約取引があります。また、宝ホールディングス㈱グループの宝ヘルスケア株式会社は、当社の健康食品の販売代理店であり、製品の取引があります。