有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|23,977 文字
3【事業等のリスク】(1)当社のリスクマネジメント体制 当社は、当社グループの事業活動に関する諸種のリスク管理を所管するリスクマネジメント委員会を設置し、リスクマネジメント委員会規則に従い、取締役会で任命された執行役及び執行役員が以下のリスク管理体制の構築と運用にあたっております。 当社グループの事業活動に関する事業リスク及びオペレーショナルリスクについては、執行役及び執行役員の職務分掌に基づき各執行役及び執行役員が、それぞれの担当職務ごとに管理しており、リスクマネジメント委員会はそれを支援しております。また、リスクマネジメント委員会は、グループ経営上重要なリスクに関する抽出・評価・見直しの実施、対応策の策定、管理状況の確認を定期的に行っております。 当連結会計年度(以下「当期」)はグループ重要リスクとして、以下の2つのリスク項目を選定しました。・サプライチェーンにおけるリスクマネジメント・情報セキュリティにおけるリスクマネジメント (2)当社のリスクマネジメント体制の運用状況 当社は、リスクマネジメント委員会を定期的(年2回)及び必要に応じて臨時に開催しております。この委員会では、企業活動に関して抽出されたリスクとその対応策を策定するとともに、リスクマネジメントシステムが有効に機能しているかどうかの検証・評価を行っております。当期は、同委員会を2回開催し、特に地政学リスクに起因する国際物流情勢、米中貿易摩擦に係る規制、経済安全保障や人権問題など、当社のグローバルサプライチェーンに与える影響が大きいリスクについて、事業への影響度の高い国・地域に適用される制裁や新たな法規制等の定期的なモニタリングを実施しました。 また、リスクマネジメント委員会の協議内容は定期的に監査委員会に報告しており、取締役会への報告は必要に応じて実施し、取締役会を構成するメンバーには月次の報告が行われております。 なお、当社では、リスクが顕在化し企業価値に大きな影響を及ぼす状況を「危機(クライシス)」と定義し、クライシス発生時には上長経由で担当役員と危機管理担当役員へ報告し、さらに担当役員と危機管理担当役員は、代表執行役へ報告を行います。様々なリスクによって発生するクライシスに対し、当社は迅速・適切に対応するためにクライシス発生時の報告ルールを設け、執行役及び執行役員や当社子会社役員等に周知しております。その報告ルールに沿って、世界各地で発生した災害・事故、その他のクライシスに関する情報を危機管理担当役員が集中管理しております。 (3)事業等のリスク 当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を与える可能性がある主要なリスクを以下に記載しておりますが、これらのリスクは必ずしも全てのリスクを網羅したものではなく、想定していないリスクや重要性が低いと考えられるほかのリスクの影響を将来的に受ける可能性もあります。 また、当社は、リスクを「組織の収益や損失に影響を与える不確実性」と捉えております。リスクを単にマイナスの側面からだけではなく、「機会」としてのプラスの側面からも捉えたうえで、リスクマネジメントを「リスクのマイナス影響を抑えつつ、リターンの最大化を追求する活動」と位置付け、収益の源泉としてリスクを管理するため、そのマイナスとリターンのバランスに重きを置いたリスクアペタイトに考慮した取組を行っております。 リスクへの対応と機会の考え方は、以降、個々のリスクの項目の中に記載しております。 記載事項のうち将来に関する事項は、当期末現在において入手可能な情報等に基づいて、当社グループが判断したものであります。 最初に、各リスク項目をリスクマップ上にプロットした図を掲載いたします。 なお、「発生可能性」については、3年以内に発生する頻度・確率より評価し、「影響度」については、発生した際に営業利益へ与える影響により評価しております。 また、「発生可能性」と「影響度」について、前連結会計年度(以下「前期」)より評価が変更されているリスクは、評価欄に矢印を用い、前期と当期の評価を記載しております。 ①経済環境に関するリスク1)経済動向・市場環境発生可能性:高発生する可能性のある時期:1年以内影響度:大 ●リスク 当社グループは、複合機やデジタル印刷システム、ヘルスケア用機器製品、計測機器や光学部材、ディスプレイ材料及び関連サービス等を世界中の顧客に向けて提供しております。これらの事業の売上及び損益は各国の景気動向に大きく影響を受けます。 当期の世界経済は比較的順調に推移しましたが、今後については米国の関税政策の影響が世界的な景気悪化に発展する可能性が懸念されます。 日本経済は、一時停滞感を強めたものの、個人消費の復調やインバウンド需要の堅調な拡大により回復基調を維持し、幅広い分野でインフレ経済への回帰が見られました。物価上昇が落ち着く中、緩やかな回復基調を維持すると見込まれるものの、米国の関税政策等による不確実性が悪影響を及ぼす懸念があります。 米国経済は、金融引き締めが続く中、安定した雇用情勢と賃金上昇による個人消費を中心とした国内需要に支えられ、堅調に推移しました。しかし、米国の関税政策によりインフレ率に上昇圧力がかかり、消費者の負担が増加することによる国内需要の減速が懸念されております。 欧州(EU)経済は、雇用情勢が堅調に推移し、所得環境の改善による個人消費の回復により緩やかな回復基調で推移しました。一方、ウクライナ情勢やイスラエル・パレスチナ情勢によるエネルギー価格の高止まりや地政学リスク等により、経済見通しの不確実性は増大しております。 中国経済は、不動産市場の長期低迷、雇用や所得環境の悪化を受けた個人消費の停滞、地方行政の財政難等により景気は停滞しました。大手不動産会社の破綻リスクが高まる等、不動産市場の低迷に起因した金融不安は解消されておらず、また、米国と相互に関税引き上げ措置を行うことに伴う対米輸出入の減少が、景気回復に悪影響を及ぼすことが懸念されます。 こうしたリスクが発生し、各国の経済活動が停滞した場合、顧客の投資抑制や消費行動の変化を引き起こし、結果として当社の予想を超えた新規機器購入の減少、競争激化に伴う販売価格下落、在庫増加等、将来にわたり当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 2)為替レートの変動発生可能性:高発生する可能性のある時期:1年以内影響度:中 ●リスク 当社グループは、高い海外売上高比率が示すようにグローバルに事業活動を展開しており、為替レート変動の影響を大きく受ける状況にあります。また、外貨建ての取引から生じる当社の資産及び負債の円貨額や海外子会社の外貨建財務諸表から発生する在外営業活動体の換算差額も変動するおそれがあります。ユーロにつきましては、為替レートが1円円安に変動した場合、欧州での利益増により、営業利益に約4億円のプラスの影響を与えます。人民元も同様に、1円円安に変動した場合、中国での利益増により、営業利益に約8億円のプラスの影響を与えます。一方、米ドルについては、1円円安に変動した場合、調達・製造コスト増等により、営業利益に約1億円のマイナスの影響を与えます。 ●対応策 為替レート変動の影響を軽減するため、米ドル・ユーロ等の主要通貨では為替予約を中心としたヘッジを実施しております。米ドルにつきましては、米ドル建ての調達と米ドル建ての売上を相殺することにより影響を軽減しております。また、多通貨建てのグローバルでのグループ間決済を、金融機関が提供するネッティングシステムを利用し実施しており、子会社が持つ為替変動リスクを当社へ集約することにより為替リスクの集中管理及び効率的なヘッジを実施しております。 ②事業活動に関するリスク1)デジタルワークプレイス事業 プリント環境の変化に関連するリスク発生可能性:高 → 中発生する可能性のある時期:3年以内影響度:大 ●リスク 先進国や新興国を中心に、情報共有の媒体が紙からタブレット端末やスマートフォン等のデジタル機器に急速に移行しております。さらに、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に、世界中の企業でリモートワーク、ハイブリッドワーク及びワークフローのデジタル化が加速しております。このため、各国のオフィスにおけるプリント需要は今後も継続的に減少することが予測されます。IDC(International Data Corporation)によると、2028年の世界市場における電子写真方式による総プリントボリュームは、2019年と比べて約4割減少すると予測されております。当社グループの注力するカラープリントは2019年比で80.0%に留まる一方、モノクロプリントは46.6%にまで落ち込む予測となっております。プリントボリュームの下落が永続的に続くわけではなく、ある水準で下げ止まるとの見解もありますが、現時点では、中期的に想定を超えるプリント需要の減少が発生することをリスクとして捉えており、このような状況下で顧客動向に迅速に対応できない場合、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ●機会 先進国や新興国、各国における大企業を中心に紙文書のデジタル化が進む中、複合機のスキャン需要やプリント出力のセキュリティ対応、ドキュメント管理支援等のオフィスソリューションのニーズが増加すると予想されます。これにより、プリント出力にオフィスソリューションを組み合わせた新たなサービスやソリューションを提供する機会が広がるものと予想しております。 ●対応策 当社グループでは、複合機を活用したスキャンサービスやドキュメントマネジメントサービスの拡大を中心に、多様化する顧客ニーズとオフィスにおけるプリント出力機会の減少リスクに対応する取組を進めております。 また、プリント出力契約においては、顧客における請求管理、支払い業務、予算管理の簡素化を図るため、米国を中心に当社独自のワンレートサービス契約(注)を提供し、好評を博しております。今後は、同契約のさらなる拡大や他地域展開に加え、リモートサービス推進によるサービス効率化・省人化の加速、物価上昇に応じた価格対応、インド等のプリント出力機会に成長余力のある国や地域におけるカラー複合機の設置拡大等を通じて、プリント出力減少の環境下でも安定的な利益創出が可能な体制を構築してまいります。 (注)複合機のハードウェア・消耗品・プリント管理・セキュリティ対策を含むサービスを一括提供し、定額の月額課金サブスクリプションモデルにすることにより、顧客の運用管理及び導入コストの削減を図る契約形態 2)各国・各地域の規制発生可能性:高発生する可能性のある時期:1年以内影響度:中 ●リスク 当社グループの事業活動の多くの部分は、北米、欧州及びアジア諸国といった日本国外で行われており、その国や地域固有の法制、規制や承認手続きの影響を受けております。米国による各国に対する相互関税の賦課及び各国の対応、特に米中間での技術輸出規制等の経済措置の動向には常に十分な注意を払っておりますが、将来、各国の政府や国際的枠組による規制、例えば税制、輸出入規制、通貨規制、個人情報保護規制、デジタル関税、その他各種規則等が新規に導入される、又は変更された場合には、これらに対応するための費用が発生し、事業活動に支障をきたす可能性があります。特に、個人情報規制や生成AI規制については、巨大IT企業でのターゲティング広告への規制法案、欧州GDPR、欧州AI規制法等、各国で法制化、罰則が強化され、当社で推進している関連事業への影響が高くなります。 さらに、主要国における予期せぬ戦争状態等の発生により、それに対する各国の制裁措置が発動された場合、当社グループが予期しない法制、規制や承認手続き等の変更に直面するリスクがあります。 また、特に、当社グループの画像ソリューション事業のヘルスケアユニットでは、事業活動を行っている各国の様々な医療制度や許認可の手続きの影響を受けております。医療制度改革等によって、予測できない大規模な医療行政の方針変更が行われ、その環境変化に速やかに対応できない場合、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ●機会 新制度導入や制度改定による市場参入要件の新設・変更に迅速に対応することで、当社にとって販売機会創出あるいは事業継続強化の可能性があります。特に、環境法規制への対応、個人情報保護や情報セキュリティに関する規制への対応は、当社が強みとする環境経営やITサービス・ソリューションに追い風になるものと認識し、対応を進めております。 また、画像ソリューション事業のヘルスケアユニットでは、各国医療政策の情報収集、専門学会等との連携により対応を行なっております。医療政策による先端技術の導入は新たな市場創出につながります。 ●対応策 各国・各地域の法律・規制の動向、及び地政学リスクの変化には、常に十分な注意を払い、情報の収集に努めております。各地域の法務担当者と連携し、海外各地域の実情を把握し、必要に応じ、弁護士・コンサルタント等、専門機関の協力を得て、国あるいは地域ごとにリスクを判断し、対策を講じております。 画像ソリューション事業のヘルスケアユニットにおいては、近年、診断力向上や医師の負担軽減に役立つAIを用いた画像診断の利用が、新型コロナウイルス感染症をきっかけに増大しております。当社グループは、各国の医療政策に応じた対応を進め、最先端の医療サービス実装に向けた取組を進めてまいります。 3)次世代技術変化発生可能性:中発生する可能性のある時期:3年以内影響度:中 ●リスク 生成AIの急速な普及や環境法規制等のグローバル規模での中長期トレンドの進行に伴い、事業環境が大きく変貌するリスクがあります。これらの変化の中で、他社に先んじた技術革新は当社グループにとって重要な競争優位の源泉ですが、競合他社が先行して類似技術や代替技術を開発し事業活用する可能性があります。また、グローバルかつ広範な視点で競争優位になり得る革新的技術を開発対象として見定め、迅速・柔軟に市場に提供できなければ、長期にわたり市場でのポジションを喪失する等、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ●機会 中長期トレンドの変化は業界における企業間の競争優位性に大きな影響を持つことが予想され、新規市場への参入機会を生む場合があります。その中で、他社に先んじた技術革新による競争優位性の獲得のためにデジタル技術を駆使した開発の高速化が不可避であり、これに適応することで開発・生産が効率化されると考えられます。特にデジタル技術の変化については、生成AIを積極的に活用することで新たな事業機会を創出する可能性があります。また、競争優位を獲得・維持するために、事業に必要な技術を全て自社で用意するのではなく、オープンイノベーションも積極的に実践し、市場の変化に対して柔軟に対応する能力が欠かせないと認識しております。 当社グループの技術開発力と、各事業において優れた技術を持つ企業が連携することにより、多様化する顧客課題に対応した解決策を導き出す機会を得ることができると考えております。こうした取組を通して、社会に価値を提供できる企業への変革に取り組んでまいります。 ●対応策 当社グループは、広範な技術理解に基づき、材料・光学・微細加工・画像の4分野のコア技術とIoT・AIに代表されるデジタル技術というユニークで幅広い技術ポートフォリオを有しております。研究開発拠点が相互に連携して、幅広い技術横断視点で競争優位を確立するためのコア技術を見定め、マテリアルズ・インフォマティクス等データ駆動型の開発手法を駆使して迅速に製品・サービスを開発してまいります。 また、すでにコア技術とIoT・AIを融合した「見えないものを見える化する技術」を製品として具現化し、デジタルワークプレイス、プロフェッショナルプリント、インダストリー、画像ソリューションの各事業より顧客へ提供しておりますが、さらに生成AI技術を積極的に活用することにより、新たな顧客価値の提供や業務効率化等の実現を目指して取り組んでまいります。加えて、当社の技術戦略やコア技術資産を外部に積極的に発信し、大学、研究機関、スタートアップ等の幅広いパートナーとの共創活動の強化を進めてまいります。これらの取組により、当社グループは気候変動・デジタル革新に伴う社会課題の解決に向けたイノベーションを起こし、次世代技術変化のもたらすリスクに対応してまいります。 4)新製品への移行発生可能性:中発生する可能性のある時期:3年以内影響度:大 ●リスク 当社グループが展開する事業領域では、市場投入されている競合製品・サービスのバージョンアップとの比較、または既存市場の製品やビジネスモデルを非連続的に変革し得る製品・サービスとの比較の2つの観点で、顧客が別の製品・サービスを選択する可能性があり、新製品への移行リスクが常に存在しております。前者は、個別にサービス・機能が追加された場合だけではなく、ユーザー体験自体を変容させるようなサービス・機能が市場投入され、顧客の選定基準が高度化した場合にも起こる可能性があります。後者は、破壊的技術の登場や社会的潮流に起因するビジネスモデルの変革によって引き起こされる可能性があります。 ●機会 市場での競争力を維持・拡大するためには、顧客の声に耳を傾け、顧客満足度を向上させていく必要があります。そのためには顧客やパートナー企業と向き合いながら、解決すべき潜在的な課題を深く理解することが重要です。当社グループには、現場に密着した開発姿勢が根付いており、現場を観察しワークフローを洞察することにより潜在的なニーズを抽出できる機会が多くあります。これらの潜在的なニーズを開発にフィードバックすることにより、顧客価値を提供できる製品やサービスを生み出すことが可能になります。 また、今後予想されるモノづくりの複雑化や環境配慮への社会的要求は、モノづくりにおけるプロセスモニタリングの複雑化を示唆しております。これは、当社のセンシングデバイスを中心としたモニタリング技術にとり新製品投入の機会となり得ると考えております。 ●対応策 当社グループは、各事業分野において顧客満足度の継続的な向上を図るとともに、市場変化の激しい状況を考慮し、競合に対して競争力のある新製品やサービスを計画的に市場導入しております。こうした競争力の源泉として、「顧客関係」・「技術の融合」・「多様な人財」という当社の無形資産があります。 「顧客関係」を起点とした新製品開発の例として、デジタル印刷機の自動品質最適化ユニット「IQ-501(インテリジェントクオリティオプティマイザー)」では、従来印刷現場のオペレーターが時間をかけて行っていた細かな調整作業に着目し、この工程を自動化し再現性を高めることにより、顧客の生産性向上に貢献しました。偏光板用新世代光学フィルム「SANUQI(サヌキ)」では、偏光板メーカーの現場に入ることにより、新たな生産課題を発見し、課題対策を新材料の機能設計に落とし込み具現化した製品を顧客へ提供しております。「技術の融合」を起点とした新製品開発の例として、画像ソリューション事業のヘルスケアユニットでは、X線動画像の撮影に、高度な画像解析AI技術を適応させることで、従来のX線静止画では得られなかった、生体内の組織の動きの情報を診断情報として取得することができる高付加価値なイメージング解析を実現しました。簡便に高度な診療を可能とする製品・サービスの提供を可能にしております。 また、先端技術の獲得と既存技術との融合を目的とし、大学や研究機関等のパートナー連携を積極的に行い、研究開発体制の構築に取り組んでおります。例えば、世界中からAIの研究人材が集結しているトロント大学と、2020年9月より画像AI技術の応用システムに関する共同研究を実施しており、画像AIの処理性能向上や製造品質管理へのAI活用、分散システムにおけるAI活用時のデータ処理性能向上につながる技術獲得を行いました。多種多様なセンシングデバイスで取得した大量データのAI処理技術で、環境負荷を低減する材料開発や製造工程の無人化実現を目指す「AI強化センシング」への取組に注力しております。 社会的潮流を踏まえた取組として、循環型社会の実現に向けた再生プラスチックの高度化を実践しております。再生プラスチックに高い機能性を付与してアップグレードリサイクルし、複合機をはじめとするきょう体表面に採用するほか、社外製品への展開もしております。また、生成AI市場の急速な拡大により、演算処理能力の高い半導体に対する需要は今後も増加が見込まれております。半導体製造の多様化や市場拡大を機会と捉え、半導体製造装置用光学製品の提供と先端技術の開発に注力しております。加えて、将来予想される環境対応型モノづくりにおいて市場が形成された際、迅速に製品の市場投入ができるよう、バイオものづくり領域におけるプロセスモニタリングに関する研究開発も、社会実装に向けて、外部機関と連携し実施する等の取組を行っております。これらの施策を通じて、製品のバージョンアップ並びに革新的製品の創出を両立し、当社グループの持続的な事業運営とイノベーションの創出に尽力してまいります。 5)他社との協業、企業買収等について発生可能性:中発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:中 ●リスク 当社グループは、事業競争力の強化あるいは効率化の観点から、他社との協業、資本提携・企業買収、譲渡等を進めております。 企業買収等に伴い、のれん及び無形資産を計上しており、定期的に減損テストを実施しております。事業環境の変化に伴い、買収対象会社にかかる将来キャッシュ・フローの低下が見込まれた場合等では、減損損失を認識する可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 ●機会 当社グループが実施する他社との協業や企業買収、譲渡等は、イノベーションの加速による社会課題解決への貢献や、事業競争力強化や効率化を目的とするものであり、事業ポートフォリオ強化にとって有効な手段であると考えております。激しい市場・競争環境の変化の中、双方が有する技術・製品・顧客基盤・人財等の経営資源を積極的に有効活用していくことにより、持続的な事業成長の機会が得られると認識しております。 ●対応策 当社グループは、他社との協業や企業買収等に際して、当社との戦略的適合性、計画の蓋然性、投資額の妥当性、リスク対応等の観点から投資評価を行ったうえで、投資の可否を見極めております。具体的には、投資回収期間及び投資額等の妥当性判断のため、投下資本に対する期待収益指標として事業別のハードルレート及び中期経営計画ごとの全社加重平均資本コストを基準の一つとして設定しております。また、投資実施後のモニタリングとして定期的に投資レビューを実施し、上記の加重平均資本コスト及びハードルレートの達成状況に加え、収益性、市場成長等の観点から案件ごとの当社企業価値への貢献状況を見極め、投資時点の計画からの変化に対する迅速な対応を講じられるようにしております。 加えて、事業単位でのレビューも定期的に実施することで、必要に応じて事業ポートフォリオにおける選択と集中を図れるようにしております。 6)生産・調達等発生可能性:中 → 高発生する可能性のある時期:1年以内影響度:中 → 大 ●リスク 当社グループの主力事業であるデジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業及びインダストリー事業では、コスト競争力強化と市場への迅速な製品供給のために海外及び日本での生産活動を継続しております。グローバルに生産活動を行う中で、法規制や労務政策変更、輸出入規制や税制、環境規制の変更、紛争等の地政学リスク等、予測困難な事態が発生する可能性が高まっております。特に米国は、相互関税等の関税政策により、コスト悪化につながるリスクが顕在化しております。また、欧州情勢や中東情勢等の影響も含め、部品・原材料価格や原油価格・エネルギー価格の急激な変動や物流障害が発生するリスクも増大しております。これらの要因により生産コストが上昇する場合、当社グループの経営成績及び成長戦略に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、特定の製品・部品や材料、エネルギー等を世界中のサプライヤーから調達しておりますが、サプライヤーにおける不測の事態や自然災害、さらには労働争議や地政学リスク等により供給が途絶・遅延した場合には、生産及び供給能力に大きな影響を及ぼす可能性があります。 また、当社グループの生産活動において使用する鉄やアルミニウム等の金属製品、原油を原料とする石油化学製品、レアアース等の希少天然資源等の原材料価格、及びエネルギー価格の高騰は当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ●機会 デジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業では、調達及びトナー領域において他社との協業・アライアンスによりレジリエンス力を高め、グローバル競争力の強化・安定供給、さらなる事業強化を図ることで持続的な事業成長の機会が得られると認識しております。 ●対応策 当社グループは、生産に関するリスクへの備え及び流動的な事業環境の変化に対する柔軟性を高めるため、日本・中国・マレーシアにおける製品組立の生産拠点を強化しております。特に近年は、サプライチェーン上のリスクが増大していることを受け、東南アジア諸国連合(ASEAN)と日本での生産比率を高める活動にも注力しております。これにより、複数拠点による分散と相互バックアップ体制を強化し、供給の安定性を確保してまいります。また、部品生産及び印刷用トナーの充填を行う拠点として欧州・北米にも生産拠点を展開し、需要変動への迅速な対応や消費地生産によるコスト競争力の維持を図っております。 調達面では、主力調達地域である日本・中国・ベトナム・タイ・マレーシアに、規制・制限・経済動向等の情報収集を行う専門部門を配置し、各地域のサプライヤーとの協業を通じて品質・生産性向上とコスト競争力を高める活動を推進しております。具体的には、サプライヤーとの品質改善活動や生産工程の自動化技術の導入支援、DX支援等を進めることで、主要な原材料・電子部品における品質・供給・コスト競争力を継続的に維持・向上させております。さらに、他社との協業・アライアンスによる調達基盤の強化や、新規サプライヤーの開拓、代替部品や材料の評価・検討を実施することで、関税リスクや地政学リスクへの対応力を高めております。 BCP管理体制については、開発・品質保証・調達・生産各部門が連携する体制を強化し、サプライヤーの材料調達状況、生産稼働状況、物流状況を迅速かつ的確に把握することで早期の意思決定を行い、問題発生時の被害を可能な限り抑制しております。特に、米国の関税政策がもたらす供給網への影響を注視し、代替品の評価・検証から生産投入までのプロセスを最優先課題として対応することにより、当社グループの事業活動に及ぶリスクの最小化に取り組んでおります。 7)グローバルサプライチェーン発生可能性:高発生する可能性のある時期:1年以内影響度:大 ●リスク 当社グループの生産、販売活動の多くは日本国外で行われており、サプライチェーンもグローバルに展開しております。各国・各地域の物流上の問題が当社グループのグローバルサプライチェーン全体に波及し、供給遅延により当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは中国・ASEANにおける生産が多く、その拠点からグローバルに供給を行っております。中国・ASEAN各国で新たな感染症のパンデミック等による活動制限が発生した場合、港湾・空港での荷役作業の停滞・混雑により物流が滞り、販売拠点への供給に大きなリスクを及ぼす可能性があります。 また、製品の輸出先である欧米主要国では、主要各港での港湾労使交渉の長期化・決裂によるストライキの発生や、スエズ運河航行制限(喜望峰ルートへの迂回)の影響による供給リードタイム延伸とコンテナ輸送費上昇の長期化、及び米国の関税政策、中国建造船への入港料課徴施策によるコンテナ船の船腹供給と輸送需要のバランス悪化・輸送費上昇等により、販売拠点における在庫不足の発生によって顧客への納品遅延による売上機会損失等、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 日本国内においては、2024年の働き方改革関連法の施行に伴うドライバー不足の深刻化により、供給リードタイムの延伸や物流コストの上昇リスクが顕在化し、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ●対応策 当社グループの主力事業であるデジタルワークプレイス事業やプロフェッショナルプリント事業では、物流実態に応じた販売拠点の在庫見通しシミュレーションを適宜実施しております。将来の在庫見通しに応じて、各地域への供給量の振り分け、環境の変化に即した適正な販売拠点における安全在庫の確保、物流ルートの柔軟な変更等を適宜実施することにより、販売への影響を回避しております。 中国・ASEANの港湾課題については、新規フォワーディング会社のサービス利用や通常輸出港以外の代替港利用も含めてフレキシビリティを確保し、課題発生時には、生産拠点からの貨物の優先付けを行うことで、出港地側での供給リスク回避・低減に努めております。 海上輸送については、従来取引がある主要フォワーダーとのコミュニケーション・情報連携を強化し、コンテナ船のスペースを安定的、かつ柔軟に確保しつつ、コンテナ輸送単価の上昇幅を最小限に留める交渉・調整に努めております。特に、欧州航路においては、イスラエル・パレスチナ情勢に注視しながら、喜望峰迂回ルートによる延伸日数影響を踏まえた適切な供給調整を図り、欧州販売拠点での販売に与える影響や、物流コスト増加による影響を最小化しております。北米航路においても、米国の関税政策の動向に注視しながら、適宜最適な供給調整を図っております。また、日本国内においては、物流委託パートナー業者とともに「2024年問題」による課題へ継続的に最優先で取り組み、運搬できないというリスクを回避・低減しつつ、配送効率化施策等を積み上げ、物流コスト上昇の影響の吸収・最小化を図っております。 当社グループでは、必要なものを必要な時に必要なだけ必要なところへ供給できる、柔軟な物流体制を構築し、引き続き、顧客の満足度向上に努めてまいります。 8)製造物・品質責任発生可能性:低発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:中 ●リスク 当社グループは、国内外のグループ会社や生産委託先において厳格な品質保証体制を構築し、顧客に対して高い性能と信頼性を備えた製品及びサービスを提供しております。万が一、当社グループの製品あるいはサービスに欠陥が発生した場合、その欠陥に起因した損害に対して当社グループは賠償責任を負う可能性があり、また、その欠陥に対して多大な対策費用が発生する可能性があります。さらに、当該問題により、企業ブランドや製品ブランドが毀損され経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ●対応策 重大品質問題を起こさない仕組み・取組として、品質に関する責任と権限を担う執行役又は執行役員を議長とする「品質保証責任者会議」を設置し、グループ全体の品質マネジメントを統括しております。品質に起因するリスクの極小化と顧客満足度向上に向けた方針・計画の推進・進捗確認、情報共有及び是正・改善に取り組んでおります。さらに、各事業では、品質課題についてPDCAサイクルを徹底することで継続的な品質向上に取り組んでおります。 製品品質にかかわる問題が発生した場合は、当社グループ統一の「市場品質速報データベース」に情報を登録することが義務付けられており、登録された情報は即座に品質を担当する役員と事業責任者へ伝達され、関連部門で共有、必要な対策・情報開示が迅速に行えるようになっております。また、過去に発生した品質問題に対し、原因の解析、対策の実施及び技術・評価基準への反映を行い、再発防止に努めております。さらに、法的基準よりも厳しい独自の製品安全基準を設け、製品の様々な箇所について詳細に規定し確認を行っております。これらの施策をより確実に実施するため、「製品安全教育」をグループ内に展開し、品質マインドの定着に努めております。 また、デジタル社会の進展や新たな技術の進化により、当社が提供する製品やサービスにおいて、セキュリティの脅威にお客様を晒すリスクを持つ可能性があります。当社グループでは、リスクの極小化に向け、サービス事業及びセキュリティ対応に関連する社内規程の運用を強化しております。製品セキュリティ事故発生時の対応と脆弱性への対策・予防として、製品の脆弱性に関する情報を全社で一元管理し必要な対応を推進するとともに、公的機関等とも連携するための全社共通組織として「KONICA MINOLTA PSIRT(注)」活動を展開しております。加えて、AIを活用した製品・サービスの販売も増えており、AIガバナンス体制を構築し、リスクアセスメントの実施と社内外のAI有識者から構成する「AI倫理審査委員会」での審議等により、AI利活用における倫理的・法的な問題発生リスクの低減に努めております。 さらに、品質コンプライアンス遵守強化に向けては、品質不正のみならず、法規制、認証、契約等の不遵守防止に向けて、ガバナンスの強化を図っております。組織の定期診断や品質従事者に向けた意識調査をもとに、改善活動のPDCAを回すことにより、リスク低減を行うほか、階層別教育や啓蒙により定期的に品質意識の醸成を図っております。 (注)KONICA MINOLTA PSIRT (Product Security Incident Response Team)、当社グループにおける製品脆弱性対応チーム ③その他のリスク1)人権発生可能性:中 → 高発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:中 ●リスク 当社グループはグローバルに事業を展開している一方で、東南アジアに多くの部品・材料の取引先があり、サプライチェーン全体での人権が十分尊重されず、児童労働や強制労働等の人権に関する負の影響が発生する可能性があります。その場合、ブランドイメージの毀損等の社会的批判を受け、投資家からの信頼喪失による株価の下落、顧客からの要求に適合できないことによる販売機会の喪失等、経営成績への悪影響を及ぼす可能性があります。 また、国連人権理事会における「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGPs)」の採択に基づき、各国で人権尊重に関する法整備が進んでおります。例えば、米国のウイグル強制労働防止法、ドイツのサプライチェーンにおける企業のデュー・デリジェンス義務に関する法律に加えて、2024年はEUにおいて企業持続性デュー・デリジェンス指令(CSDDD)や強制労働製品禁止規則の施行が決まる等、各国における法規制の強化が加速しております。これらに適合できない場合、輸入禁止や高額な罰金の対象になるおそれがあります。 ●機会 各国で政府調達要件や製品ラベルの取得要件に、人権デュー・デリジェンスの実施や社会的責任監査の受審等の人権リスクに関する項目を追加する動きが加速しており、これに対応することは当社グループにとって販売機会の創出につながると考えております。 また、人権尊重の取組を通じてサプライチェーンにおける労働条件や作業環境の改善を進めることで、従業員の満足度を向上させ、エンゲージメントを高める効果が期待できます。その結果、生産性や品質の向上、離職率の低下等につながり、サプライチェーン全体の競争力の向上や持続的な成長が実現すると考えております。 ●対応策 当社グループは、グローバルに事業を展開する企業として、コニカミノルタグループ行動憲章、コニカミノルタグループ人権方針、コニカミノルタサプライチェーン行動規範において、事業活動における最も基本的な要件の一つとして人権尊重を規定しております。また、これらの方針に基づき人権デュー・デリジェンスを実施し、人権尊重に努めるとともに当社グループの事業に関連するビジネスパートナーやその他の関係者に対しても、人権の尊重を求めております。こうした活動では国連グローバル・コンパクト(UNGC)、レスポンシブル・ビジネス・アライアンス(RBA)行動規範等、グローバルに認知された団体の活動理念を反映させております。 具体的な手順としては、UNGPsの人権デュー・デリジェンスの考えに基づき、潜在的又は顕在的に負の影響を受けるステークホルダーとその人権課題を抽出し影響度を評価することで、特に優先度が高いと思われる人権課題を特定しております。例えば、サプライチェーン(地域住民、先住民を含む)上の強制労働、児童労働、安全衛生等の人権課題に対して、重要取引先に対する「コニカミノルタCSR調達推進プログラム(注1)」の展開をはじめ、経済協力開発機構(OECD)によるガイダンス(注2)に基づく責任ある鉱物調達への対応をグループ全体で推進する体制を構築し、負の影響の防止又は軽減に取り組んでおります。 人権デュー・デリジェンスを通じて人権侵害の可能性が発見された場合、又は社内外から人権侵害の申し立てが発生した場合には、ステークホルダーとの真摯な対話と速やかな調査を実行してまいります。その結果、人権に対する負の影響を直接的に引き起こしている場合(Cause)、直接的又は間接的に助長している場合(Contribute)、取引関係を通じて人権への負の影響と直接関連している場合(Directly Linked)は、社内外のしかるべき手続きを通じて是正策を講じてまいります。 (注1)下記の手順にてサプライチェーンのリスクの発見、改善、予防に取り組んでおります。1.全ての取引先に対して、当社グループが定める「コニカミノルタ調達方針」、「コニカミノルタサプラ イチェーン行動規範」及び「コニカミノルタ責任ある鉱物調達方針」の遵守を要請し、書面での合意を得ております。さらに上流の取引先にも、直接の取引先を通じて要請を依頼しております。2.当社グループの全生産拠点、及び取引金額やESGリスクの大きさより選定した重要取引先に対して自己評価質問票(SAQ)を実施。リスクが高い結果となった拠点に対して是正指導を実施しております。3.自主的な改善が難しい場合は、必要に応じてオンサイト監査を実施し、第三者視点を入れた改善提案を実施しております。4.社内関係者及び取引先のキャパシティビルディングのため、潜在的なリスク予防のための教育や、顕在化リスクに対する是正指導を実施しております。(注2)責任ある企業行動のためのOECDデュー・ディリジェンス・ガイダンス 2)大地震・自然災害・感染症等発生可能性:中発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:大 ●リスク 当社グループは、研究開発・調達・生産・販売等の拠点を世界各国に置き、グローバルに事業活動を展開しております。地震・火災・気候変動に伴う大規模な台風・洪水・森林火災等の災害、大規模な感染症の発生、また戦争・テロ行為・サイバー攻撃等が起こった場合、当社グループの設備等が被害を受け、一時的に操業が停止し生産及び出荷の遅れにより、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 特に、首都直下、南海トラフ等における巨大地震の発生においては、想定を超えた規模で被害が発生する可能性があり得ると考えられます。 当社グループは、防災対策や事業継続マネジメントを今後も継続して推進してまいりますが、このような事態が発生した場合、機能停止、設備の損壊、電力・水・ガス等の供給停止、公共交通機関や通信手段の停止、サプライチェーンへの被害等による顧客へのサービスの提供や製品出荷の停止等、当社グループの事業活動の継続に影響を及ぼす可能性があります。 ●対応策 当社グループは、災害や、感染症の発生、戦争・テロ行為・サイバー攻撃等が起こった場合の情報を、危機管理担当役員が集中管理し、従業員の安全を最優先として適切な対応をとる体制を構築しております。 巨大地震をはじめとした日本国内での災害に対しては防災中期計画に基づき、予防・減災対策、応急対策・初動対応、復旧・復興対策の観点でハード・ソフト両面からの対応実践力の強化を図っております。具体的には建物の耐震対策、通信・データ関連の主要サーバーの海外設置、安否確認システム・防災情報収集システム等のITによる被災時情報共有基盤の整備等の対策を講じております。大規模災害時には国内に有する約200のグループ拠点について緊急時の情報ネットワークを構築し、被害情報の迅速な収集と、必要な支援や対策を実施できる体制を構築しております。さらに、各拠点で従業員が災害時に命を守るための自律的行動をとれるよう、定期的に実践的な防災訓練や教育を実施するとともに、働き方の変化に対応すべく、ITツールを活用し、リモートワーク時においても防災体制が機能するよう整備しております。 また、当社グループでは、事業を継続し企業としての社会的責任を遂行するとともに、顧客が必要とする製品やサービスを安定的に供給するために、主要消耗品の生産拠点の分散化によるリスクの低減、調達リスクの高い品目については代替手段の検討、在庫の確保等、対応策の有効性の確認と改善を図っております。各拠点においては、地域の自治体と連携し、自然災害発生時の避難場所や飲料水及び物資の提供等、地域貢献にも努めております。 3)気候変動・環境規制発生可能性:中発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:中 ●リスク 世界全体が低炭素社会へ移行した場合、環境関連の法規制が厳格化するおそれがあり、追加的義務及び費用が発生する可能性があります。ステークホルダーからの再生可能エネルギー調達及び温室効果ガス排出ネットゼロの要求が高まることにより、投融資を受ける機会及び販売機会の逸失、企業ブランドの低下につながる可能性があります。また、オフィスにおける紙への出力の減少、化石燃料や化石資源の代替化による製造・調達コストの増加等も当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 一方、世界各地で気候変動による物理的影響が顕在化した場合、森林火災の頻発化や水ストレスの高い地域での大規模な干ばつ発生により、セルロース原材料の調達が不安定になり事業機会の損失につながる可能性があります。また、大規模又は局地的な風水害が発現すると、原材料等の供給量が制限又は一時停止することで、当社グループの拠点及びサプライヤーで一時的に操業が停止し、生産及び出荷が遅延する可能性があります。 加えて、大気汚染、水質汚染、有害物質の除去、廃棄物処理、製品含有化学物質、製品リサイクル、容器包装、土壌・地下水汚染等に関する様々な環境法及び規則の適用を受けており、それらの遵守のために必要な経営資源を投入しておりますが、現在及び過去の生産活動、及び開発・販売活動にかかわる環境責任に伴う費用負担や賠償責任が発生する可能性があります。 気候変動に関するリスクの詳細は、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。 ●機会 低炭素社会への移行が加速した社会では、顧客の気候変動に関する課題の解決に貢献することで、事業機会につながる可能性があります。当社グループが培ってきた画像技術とAI技術を融合させ、社会・顧客の移行計画の実現へ貢献する新たなサービスやソリューションを提供することで、売上増大を図ることが期待できます。 短期から中期的には、印刷産業及びアパレル産業のサプライチェーンを変革するデジタルソリューション、製品のカーボンフットプリントを低減した機能材料、使用済みプラスチックの分別性・リサイクル率向上に貢献する材料技術やセンシング技術、インクジェット技術による生産プロセスの変革、メタンガスの漏えいの早期発見と排出量の削減に貢献できるガス漏えい検査システムを提供してまいります。 中長期的には、バイオものづくり、再生プラスチック技術等の成長の芽を全社強化テーマとして掲げ、成長基盤の確立を目指してまいります。 一方で、気候変動の影響が発現する場合においても、事業機会を生み出す可能性があると考えております。 中期的には、異常気象・自然災害への防災・減災に貢献するセンシングソリューション、災害医療現場で活用できる画像診断ソリューション等、社会の新たな需要を取り込むことができると考えております。 当社グループでは、こうした社会課題の解決に直結した事業を強化しております。 ●対応策 リスク低減策としては、当社グループでは生産工程の効率化を徹底して追求するとともに、生産技術の開発・改善を進め、CO2排出削減とコストダウンを同時に実現する「グリーンファクトリー活動」を推進しております。また、自ら培った省エネ技術・ノウハウをデジタル化して提供し、サプライヤーと一体となりエネルギー削減に取り組む「カーボンニュートラルパートナー活動」を通じて、サプライチェーン全体でのエネルギーコスト削減とCO2排出削減の最大化を目指しております。加えて、再生可能エネルギー100%での事業運営を目指し、国際リーダーイニシアチブ「RE100」に加盟しております。 気候変動による物理的影響が顕在化した場合への適応策として、原材料の供給ルートを粗原料まで遡り把握し、安定供給リスクが高い原材料は、調達先の複数確保や代替材料の検討に取り組んでおります。また、デジタルワークプレイス事業・プロフェッショナルプリント事業では、消耗品として供給する部品生産並びに印刷用トナーの生産及び充填を行う当社グループの生産拠点を、日本、欧州、北米に展開し、消費地で供給できるレジリエンスの高いサプライチェーン体制を確保するよう努めております。 機会最大化の仕組みとして、グリーンプロダクツを創出し、事業企画や商品企画の段階で気候変動の課題解決への貢献を最大化してまいります。 「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に関連事項を記載しております。 4)知的財産権発生可能性:低発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:小 ●リスク 当社グループは、製品やサービスの開発の中で多くの技術あるいはノウハウを蓄積し、それらを保護するための知的財産権の取得に努めております。しかしながら、一部の地域・国では、知的財産権を保護する制度やその適正な運用が不十分な場合があり、第三者が当社グループの知的財産権を使用して類似製品を製造、販売することを防止できない可能性があります。 また、当社グループでは他社の権利を侵害しないように製品等の開発を進めておりますが、見解の相違等により他社の知的財産権を侵害しているとされ、製品等の開発や販売に支障をきたす可能性や多額の損害賠償責任を負う可能性があります。さらに、現在当社グループがライセンスを受けている第三者の知的財産権の使用が将来差し止められる、あるいは不当な条件に変更される可能性があります。 ●機会 当社グループの事業、製品、サービス等により提供される顧客価値の源泉となる当社独自のビジネスモデル、技術、データ等の知的財産について、特許権等の知的財産権の取得、不正競争防止法によるノウハウ・データの保護要件を満たす管理等、その特性に応じた適切な保護・活用を行うことにより、知的財産を当社グループの持続的な競争優位性の維持、成長のドライバーとしております。なお、各国の産業構造や事業ライフサイクルに鑑み、当社で事業継続するよりも他社で事業化又は事業強化した方がよい場合は、当該事業に関連する特許権等の知的財産権を他社に譲渡又はライセンス供与することにより、産業界全体への貢献及び当社の収益向上を図っております。 さらに、知的財産による社会貢献にも積極的に取り組み、世界知的所有権機関(WIPO)が運営する持続可能な社会の実現を目指す技術移転のための国際的なプラットフォーム「WIPO GREEN」にパートナー企業として参画し、環境技術関連特許群をWIPO GREENに登録することでSDGsの推進に知的財産面から貢献しております。 ●対応策 当社グループは、技術等を保護する知的財産権(例えば特許権)を適切に取得・執行することが困難な国・地域においては、商標権等に基づいて、行政機関と協力し模倣品の押収や輸入差し止めを行う、運営業者と連携し模倣品取扱業者の電子商取引(EC)サイトへの出店差し止めを行う等、様々な方法により類似製品の流通阻止に努めております。 他社の知的財産権に関しては、製品開発の各フェーズにおいて入念な調査・確認を実施し、他社の知的財産権を侵害していないことを商品化の要件としております。万が一、見解の相違等により他社から知的財産権の侵害を指摘された場合やライセンス条件の変更等の事態に備え、非侵害の主張やライセンス条件等の交渉・訴訟対応を行うための専門人財を当社知的財産部門に配置するとともに、経験豊富な国内外の弁護士と連携し、事案の内容に応じて適切に対応する体制を整えております。 これらのリスク対応に加え、知的財産が競争優位性の維持・強化の有効なツールであるとの認識に基づき、当社グループの持続的な事業成長を知的財産面から推進するため、各事業の特性や事業ポートフォリオ上の位置付けに対応して事業ごとに知財戦略を構築し、戦略に沿った知財投資及び知財活動を実行しております。 また、これらの知財戦略構築や知財活動の実効性を高めるため、専門性の高い人財育成のための戦略と施策を策定・実行し、専門知識・スキルとビジネスセンスを兼ね備えたプロ人財の育成に努めております。 5)人財確保発生可能性:中発生する可能性のある時期:3年以内影響度:大 ●リスク 当社グループの新規事業を中心とした将来的な成長には、優秀な人財の継続的な獲得が欠かせないと認識しております。特に、データサイエンティスト等の先端技術人財は、当社事業の競合企業のみならず金融・サービス等、業界を超え、グローバルレベルで獲得上のコンペティターが多く存在しております。 当社でも雇用環境の整備や採用部門の強化を図っておりますが、会社の魅力や働くことの付加価値への訴求に対する重要性が増しており、多様な働き方のニーズへの適合や、従業員が成長できる環境をアピールできない場合は、人財確保がより困難になる可能性があります。 ●機会 当社グループは、様々な製品やサービスを創り出しており、多様な技術領域を有しております。また、BtoBビジネスを営む中で豊富な「データ」を蓄積しております。このデータを活用して、製品とサービスとの組合せ、材料技術とデータとの組合せ等、様々な組合せからなる「形」を無限に創り出せる可能性に魅力を感じる人財は、マーケットに多く存在していると考えております。 また、当社グループが有する豊富な顧客データは、その存在そのものが、当社グループのデータビジネス展開を有利に進める基盤となっており、データ分析に魅力を感じる優秀な人財を獲得できる機会につながると考えております。 さらに、副業やリモートワーク、コア時間のない裁量労働等、従業員に柔軟な働き方を認めている点も、当社グループの魅力として訴求できる点になります。 ●対応策 先端技術人財の獲得にあたり、データサイエンスやAI開発、アーキテクチャ開発等、複数の長期インターンシップを実施しております。この中で、社内研究開発のテーマに取り組みジョブマッチングを向上させるとともに、当社の持つ魅力を対象者に体感いただくことを通じて、人財の獲得に成功しております。また、比較的手薄であった関西地区に2020年10月、「Innovation Garden OSAKA Center」を新設し、本格的な拠点展開を図ることにより、関西地区での人財確保を進めております。 さらに、海外の大学から専門性の高い外国籍のIT人財を10年以上にわたり継続採用しており、2022年度からはベトナムの大学に対するリクルート活動を開始しております。これらの活動は、優秀なエンジニアの獲得につながるとともに、日本人の技術者にも大きな刺激となっております。 DX人財の育成では、社内におけるDX人財の認定制度を設け、スキルアップに必要な教育プログラムを整備しました。2023年度までに1,000名のIT技術者を育成するという目標を達成し、さらなる活用に向けた人財の配置を行っております。また、当社本体及び国内販売子会社の役員・社員全員に2023年度より年2回のDXアセスメントを実施し、社内全体のITスキルの底上げをしております。 人事制度の見直しも実施しております。管理職制度を「エキスパート」・「エンパワーメントリーダー」の複線型にし、「エキスパート」にはデータサイエンティストを含めた専門人財のキャリアアップの道筋を明確にしました。一方の「エンパワーメントリーダー」には多様なスキルを有する人財を統括し育てる、より高度なリーダーシップを求めております。 DX推進による業務環境とプロセスや働き方の急速な変化により、IoT機器の一つとしてドキュメントを扱う複合機の利用方法は顧客により多様化しております。グローバル市場における様々な顧客要望に、より迅速に対応し課題を解決するソリューションを継続的に提供するため、2024年4月、ベトナムの大手IT企業と合弁会社を設立しました。これにより継続的に最先端の人財を確保し、当社の技術を進化させてまいります。 6)情報セキュリティ発生可能性:高発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:大 ●リスク 昨今、企業を狙ったサイバー攻撃の攻撃手法が高度化、巧妙化しており、中でも、ユーザーアカウントのログオン認証を窃盗し、集中管理されている社内ネットワークに侵入し管理者権限を奪取、不正操作を行うといった被害事例が国内外で多数発生しております。また、各種IT機器やソフトウェアの脆弱性をついた攻撃も増えており、このようなサイバー攻撃に対するリスクは拡大しております。 当社グループにおいても、サイバー攻撃により管理者権限が奪取された場合、不正操作等により、技術、営業秘密、人事等にかかわる当社グループの秘密情報が第三者に漏えいし、不正、売買に使用される等の重大な情報セキュリティインシデントが発生する可能性があります。この場合、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ●機会 当社グループは顧客の働き方やセキュリティ対策強化支援も継続的に行っております。IT管理のサービスとしてネットワークやアプリケーションの脆弱性の監視・管理サービス、リスクアセスメントを行うとともに、複合機からの情報漏えいを防止するためのデータの暗号化、パスワード設定やログ管理の機能、設定状況の監視と通知サービスを行う「bizhub(ビズハブ)SECURE」をグローバルに展開しております。 「bizhub iシリーズ」には、社内ネットワークへのウイルス拡散を防止するため、全ての文書・FAXデータのウイルスをチェックする機能を搭載しております。 また、米国のIT管理サービスにおいては、セキュリティソリューションを包括的に支援できる体制を用意しております。医療保険の携行性と責任に関する法律(HIPPA)、経済的及び臨床的健全性のための医療情報技術に関する法律(HITECH)、家族の教育の権利とプライバシーに関する法律(FERPA)等の規制に準拠できるような支援も行っております。 国内では、高度化するIT技術活用のために、設計、導入、保守、運用を顧客にあわせてパッケージ化し、マネジメントIT管理サービスである「IT-Guardians(ITガーディアンズ)」による包括的なセキュリティ対策(多層防御システム)も提供しております。 これらの機能は継続的に更新を行っており、サイバー攻撃の手法が変化する中においても顧客のセキュリティ対策強化支援を行うことができております。 ●対応策 情報セキュリティについて、ネットワークの監視を行い、多様化する攻撃によるサービス停止の早期発見に努めるとともに、定期的にネットワーク侵入テストを実施し、悪用される脆弱性を早期確認する対応を行っております。また、攻撃への備えとして、サイバー保険に加入し、事故発生時の対応フローを整備、当社グループ全体を網羅したセキュリティ推進体制において速やかに対処できるようにしております。 リモートワーク勤務を行う従業員向けとしてセキュリティに配慮した物理的な勤務環境を提供するために、外部からの不正アクセス防止のための暗号化通信によるセキュアなネットワーク環境と会社支給パソコン以外の会社のネットワーク接続制限を実現しております。情報漏えい等の注意喚起のため従業員への教育等も定期的に行っております。 さらなる対応強化のため、包括的セキュリティマネジメント体制(Security Management Office)下においてグループ各社に対しグローバルセキュリティ基準を制定し、5地域のIT責任者と連携しながら個社ごとのセキュリティ対応レベルの自己評価とその評価に基づく対策計画の策定・実行を確認するプロセスを運用しております。これらの活動を通じグループ全体のセキュリティレベルの向上を実現しております。
FY2024|22,885 文字
3【事業等のリスク】(1)当社のリスクマネジメント体制 当社は、当社グループの事業活動に関する諸種のリスク管理を所管するリスクマネジメント委員会を設置し、リスクマネジメント委員会規則に従い、取締役会で任命された執行役及び執行役員が以下のリスク管理体制の構築と運用にあたっております。 当社グループの事業活動に関する事業リスク及びオペレーショナルリスクについては、執行役及び執行役員の職務分掌に基づき各執行役及び執行役員が、それぞれの担当職務ごとに管理しており、リスクマネジメント委員会はそれを支援しております。また、リスクマネジメント委員会は、グループ経営上重要なリスクに関する抽出・評価・見直しの実施、対応策の策定、管理状況の確認を定期的に行っております。 当連結会計年度(以下「当期」)はグループ重要リスクとして、以下の3つのリスク項目を選定しました。・サプライチェーンにおけるリスクマネジメント・情報セキュリティにおけるリスクマネジメント・当局の金融政策の変更によるリセッションの動向 (2)当社のリスクマネジメント体制の運用状況 当社は、リスクマネジメント委員会を定期的(年2回)及び必要に応じて臨時に開催しております。この委員会では、企業活動に関して抽出されたリスクとその対応策を策定するとともに、リスクマネジメントシステムが有効に機能しているかどうかの検証・評価を行っております。当期は、同委員会を2回開催し、主に米中対立やウクライナ情勢及びイスラエル・パレスチナ情勢に起因するグローバルサプライチェーンの混乱及び半導体を中心とした米中ハイテク摩擦に対し、事業への影響度の高い国・地域に適用される制裁や新たな法規制等の定期的なモニタリングを実施しました。 また、リスクマネジメント委員会の協議内容は定期的に監査委員会に報告しており、取締役会への報告は必要に応じて実施し、取締役会を構成するメンバーには月次の報告が行われております。 なお、当社では、リスクが顕在化し企業価値に大きな影響を及ぼす状況を「危機(クライシス)」と定義し、クライシス発生時には上長経由で担当役員と危機管理担当役員へ報告し、さらに担当役員と危機管理担当役員は、代表執行役へ報告を行います。様々なリスクによって発生するクライシスに対し、当社は迅速・適切に対応するためにクライシス発生時の報告ルールを設け、執行役及び執行役員や当社子会社役員等に周知しております。その報告ルールに沿って、世界各地で発生した災害・事故、その他のクライシスに関する情報を危機管理担当役員が集中管理しております。 (3)事業等のリスク 当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を与える可能性がある主要なリスクを以下に記載しておりますが、これらのリスクは必ずしも全てのリスクを網羅したものではなく、想定していないリスクや重要性が低いと考えられるほかのリスクの影響を将来的に受ける可能性もあります。 また、当社は、リスクを「組織の収益や損失に影響を与える不確実性」と捉えております。リスクを単にマイナスの側面からだけではなく、「機会」としてのプラスの側面からも捉えたうえで、リスクマネジメントを「リスクのマイナス影響を抑えつつ、リターンの最大化を追求する活動」と位置付けております。 リスクへの対応と機会の考え方は、以降、個々のリスクの項目の中に記載しております。 記載事項のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において入手可能な情報等に基づいて、当社グループが判断したものであります。最初に、各リスク項目をリスクマップ上にプロットした図を掲載いたします。 なお、「発生可能性」については、3年以内に発生する頻度・確率より評価し、「影響度」については、発生した際に営業利益へ与える影響より評価しております。 また、「発生可能性」と「影響度」について、前連結会計年度(以下「前期」)より評価が変更されているリスクは、評価欄に矢印を用い、前期と当期の評価を記載しております。 ①経済環境に関するリスク1)経済動向・市場環境発生可能性:高発生する可能性のある時期:1年以内影響度:大 ●リスク 当社グループは、複合機やデジタル印刷システム、ヘルスケア用機器製品や遺伝子診断・創薬支援等、計測機器や光学部材、ディスプレイ材料及び関連サービス等を世界中の顧客に向けて提供しております。これらの事業の売上及び損益は各国の景気動向に大きく影響を受けます。 当連結会計年度は、国際情勢が一段と不安定化し不確実性が高まる中、年度の後半より世界経済は減速の傾向が続きました。世界的なエネルギーや食料価格の高騰、欧米各国の金融引き締め等による世界的な景気後退懸念等、経済を取り巻く環境は厳しさを増しております。 米国経済は、金融引き締めが続く中、安定した雇用情勢と賃金上昇による良好な家計状況に支えられ、堅調に推移しました。しかし、長期金利上昇の影響及び商業用不動産市況の悪化による金融不安に起因した景気後退のリスクが懸念されております。欧州連合(EU)の経済は、ウクライナ情勢やイスラエル・パレスチナ情勢によるエネルギー供給の制約や価格高騰、またそれ以外の物価も高止まりしていることから経済活動は停滞しており、さらなる金融引き締めによる景気後退のリスクが懸念されております。 中国経済は、不動産市場の長期低迷、ゼロコロナ政策の後遺症による個人消費の伸び悩み、インフラ投資抑制等により景気は停滞しました。大手不動産会社の破綻リスクが高まる等、不動産市場の低迷に起因した金融不安は解消されておらず、今後の景気回復に与える影響が懸念されております。今後の世界経済は、ウクライナ情勢や米中対立等の地政学リスクへの警戒感や世界主要国をはじめとする金融引き締めによる悪影響が想定されます。特に、米国やEUの金融不安が拡大した場合、経済活動に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、米国における経済安全保障の強化は、自国の半導体を中心とした技術力強化に大規模な予算を投じるほか、対外的な先端技術の流出を阻止する動きに拍車がかかる可能性があります。このような動きは、先端技術や重要物資を中心に既存のサプライチェーンに大きな影響を及ぼす懸念があります。 こうしたリスクが発生し、各国の経済活動が停滞した場合、顧客の投資抑制や消費行動の変化を引き起こし、結果として当社の予想を超えた新規機器購入の減少、競争激化に伴う販売価格下落、在庫増加等、将来にわたり当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 2)為替レートの変動発生可能性:高発生する可能性のある時期:1年以内影響度:中 ●リスク 当社グループは、高い海外売上高比率が示すようにグローバルに事業活動を展開しており、為替レート変動の影響を大きく受ける状況にあります。また、外貨建ての取引から生じる当社の資産及び負債の円貨額や海外子会社の外貨建財務諸表から発生する在外営業活動体の換算差額も変動するおそれがあります。ユーロにつきましては、為替レートが1円円安に変動した場合、欧州での利益増により、営業利益に約4億円のプラスの影響を与えます。人民元も同様に、1円円安に変動した場合、中国での利益増により、営業利益に約10億円のプラスの影響を与えます。一方、米ドルについては、1円円安に変動した場合、調達・製造コスト増等により、営業利益に約1億円のマイナスの影響を与えます。 ●対応策 為替レート変動の影響を軽減するため、米ドル・ユーロ等の主要通貨では為替予約を中心としたヘッジを行っております。米ドルにつきましては、米ドル建ての調達と米ドル建ての売上を相殺することにより影響を軽減しております。また、多通貨建てのグローバルでのグループ間決済を、金融機関が提供するネッティングシステムを利用し行っており、子会社が持つ為替変動リスクを当社へ集約することにより為替リスクの集中管理及び効率的なヘッジを行っております。 ②事業活動に関するリスク1)デジタルワークプレイス事業 プリント環境の変化に関連するリスク発生可能性:高発生する可能性のある時期:1年以内影響度:大 ●リスク 先進国を中心に、情報共有の媒体としての役割が紙からタブレット端末やスマートフォン等のデジタル機器に急速に移行していることに加え、新型コロナウイルス感染症拡大を契機に、世界中の企業においてリモートワーク、ハイブリッドワーク及びワークフローのデジタル化が加速しており、今後もオフィスにおけるプリント需要は継続的に減少することが予測されます。IDC(International Data Corporation)によると、2025年の世界市場における電子写真方式による総プリントボリュームは、新型コロナウイルス感染症拡大前の2019年レベルと比べて約3割減となると予測されております。カラープリントは2019年比で82.9%に留まるものの、モノクロプリントは63.0%まで落ち込む予測となっております。永続的にプリントボリュームが下落し続けるわけではなく、ある水準で下げ止まるという見方もあるものの、現時点では、それがどの水準で、いつなのかの確証は得られておりません。このような状況下で、今後の顧客動向に迅速に対応ができない場合、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ●機会 今後も先進国や大企業を中心に紙文書のデジタル化が進み、複合機のスキャン需要並びにプリント出力のセキュリティ対応や管理強化等のオフィスソリューションのニーズがますます増加することが予想されます。これまで以上に、プリント出力にオフィスソリューションを組み合わせた新たな発想によるサービスやソリューションを提供できる可能性が広がると考えております。 ●対応策 当社グループでは、複合機を活用したスキャンサービス、ドキュメントマネジメントサービスの拡大を中心に、多様化する顧客のニーズと、オフィスにおけるプリント出力機会の減少リスクへの対応を進めております。プリント出力契約におきましても、顧客における請求管理、支払い業務や予算管理の簡素化のため、当社では、米国を中心に当社独自のワンレート・サービス契約(注)を提供し、好評を博しております。同契約の今後のさらなる拡大や他地域展開に加え、リモートサービス推進によるサービス効率化・省人化の加速、さらに価上昇に応じた価格対応や、インド等のプリント出力機会に成長余力のある国や地域におけるカラー複合機の設置拡大等により、プリント出力減少の環境下においても安定的な利益創出が可能な体制を構築してまいります。 (注)複合機のハードウェア・消耗品・プリント管理・セキュリティ対策を含むサービスを一括提供し、定額の月額課金サブスクリプションモデルにすることで、顧客の運用管理及び導入コストの削減を図る契約形態 2)各国・各地域の規制発生可能性:高発生する可能性のある時期:1年以内影響度:中 ●リスク 当社グループの事業活動の多くの部分は、北米、欧州及びアジア諸国といった日本国外で行われており、その国や地域固有の法制、規制や承認手続きの影響を受けております。米国と中国の貿易摩擦に端を発する相互関税の引き上げ、技術輸出規制等の経済措置の動向には常に十分な注意を払っておりますが、将来、各国の政府や国際的枠組による規制、例えば税制、輸出入規制、通貨規制、個人情報保護規制、デジタル関税、その他各種規則等が新規に導入される、又は変更された場合には、これらに対応するための費用が発生し、事業活動に支障をきたす可能性があります。特に、個人情報保護規制については、巨大IT企業でのターゲティング広告への規制法案や欧州GDPR等、各国で法制化、罰則が強化され、当社で推進しているDX関連事業への影響が高くなります。 さらに、主要国における予期せぬ戦争状態等の発生により、それに対する各国の制裁措置が発動された場合、当社グループが予期しない法制、規制や承認手続き等の変更に直面するリスクがあります。 また、特に、当社グループのヘルスケア事業では、事業活動を行っている各国の様々な医療制度や許認可の手続きの影響を受けております。医療制度改革等によって、予測できない大規模な医療行政の方針変更が行われ、その環境変化に速やかに対応できない場合、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ●機会 新制度導入や制度改定による市場参入要件の新設・変更に迅速に対応することで、当社にとって販売機会創出あるいは事業継続強化の可能性があります。特に、環境法規制への対応、個人情報保護や情報セキュリティに関する規制への対応は、当社が強みとする環境経営やITサービス・ソリューションに追い風になるものと認識し、対応を進めております。 また、ヘルスケア事業では、各国医療政策の情報収集、専門学会等との連携により対応を行なっております。医療政策による先端技術の導入は新たな市場創出につながります。 ●対応策 各国・各地域の法律・規制の動向、及び地政学リスクの変化には、常に十分な注意を払い、情報の収集に努めております。各地域の法務担当者と連携し、海外各地域の実情を把握し、必要に応じ、弁護士、コンサルタント等、専門機関の協力を得て、国あるいは地域ごとにリスクを判断し、対策を講じております。 ヘルスケア事業においては、近年、診断向上や医師の負担軽減に役立つAIを用いた画像診断の利用が、新型コロナウイルス感染症をきっかけに増大し、かつ、医師偏在の課題解決につながる遠隔医療、未病・個別化医療のニーズを背景にした遺伝子検査等への期待が高まっております。当社は、各国の医療政策に応じた対応を進め、最先端の医療サービス実装に向けた取組みを進めてまいります。 3)次世代技術変化発生可能性:中発生する可能性のある時期:3年以内影響度:中 ●リスク 生成AIの急速な普及や環境法規制等といったグローバル規模での中長期トレンドの進行に伴い事業環境が大きく変貌するリスクがあります。これらの変化の中で、他社に先んじた技術革新は当社グループにとって重要な競争優位の源泉ですが、競合他社が先行して類似技術や代替技術を開発し事業活用する可能性があります。また、グローバルかつ広範な視点で競争優位になり得る革新的技術を開発対象として見定め、迅速・柔軟に市場に提供できなければ、長期にわたり市場でのポジションを喪失する等、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ●機会 中長期トレンドの変化は業界における企業間の競争優位性に大きな影響を持つことが予想され、新規市場への参入機会を生む場合があります。その中で、他社に先んじた技術革新による競争優位性の獲得のためにデジタル技術を駆使した開発の高速化が不可避であり、これに適応することで開発・生産が効率化されると考えられます。特にデジタル技術の変化については、生成AIを積極的に活用することで新たな事業機会を創出する可能性があります。また、競争優位を獲得・維持するためには、事業に必要な技術を全て自社で用意するのではなく、社外と連携しエコシステムを自ら迅速に再編し柔軟に対応する能力が欠かせないと認識しております。当社グループの技術開発力と、各事業において優れた技術を持つ企業が連携することにより、多様化する顧客課題に対応した解決策を導き出す機会を得ることができると考えております。こうした取組みを通して、社会に価値を提供できる企業への変革に取り組んでまいります。 ●対応策 当社グループは、グローバルかつ広範な技術理解に基づき、材料・光学・微細加工・画像の4分野のコア技術とIoT・AIに代表されるデジタル技術というユニークで幅広い技術ポートフォリオを有しております。研究開発拠点が相互に連携して、幅広い技術横断視点で競争優位を確立するためのコア技術を見定め、マテリアルズ・インフォマティクス等データ駆動型の開発手法を駆使して迅速にコア技術を開発してまいります。また、コア技術とIoT・AIを融合した「見えないものを見える化する技術」をプロダクトとして具現化し、デジタルワークプレイス、プロフェッショナルプリント、ヘルスケア、インダストリーの各事業より顧客へ提供しております。さらに生成AIをかけ合わせることにより、さらなる顧客価値の提供や業務効率化等の効果が予想されます。また、当社の技術戦略やコア技術資産を外部に積極的に発信し、環境デジタルプラットフォームや画像IoTを用いて現場のDXを加速させる「FORXAI(フォーサイ)」を介して大学、研究機関、スタートアップ等の幅広いパートナーとエコシステムを構築してまいります。これらの取組みにより、当社グループは気候変動・デジタル革命に伴う社会課題の解決に向けたイノベーションを起こし、次世代技術変化のもたらすリスクに対応してまいります。 4)新製品への移行発生可能性:中発生する可能性のある時期:3年以内影響度:大 ●リスク 当社グループが事業展開する分野は、ハードウェア・ソフトウェアの急速な技術的進歩による製品・サービスに求められる機能の汎用化が早く、製品ライフサイクル期間内であっても性能・サービスの内容・機能の改善が求められる事業分野になります。このため、顧客・市場ニーズに対応するため常に革新的な技術開発に挑戦し、多くのリソースを投入して研究開発を行っておりますが、新製品・新サービスへの移行には多くのリスクが内在しております。例えば、開発又は生産の遅延、量産初期段階での品質問題、製造原価の変動、新製品導入に伴う現行製品への販売影響、半導体・部品・材料の調達影響等は、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、競合他社から当社新製品・新サービスと類似製品・サービスが先行投入される等競合他社の新製品・新サービス市場導入時期により当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ●機会 市場での競争力を維持・拡大するためには、顧客の声を聞き、絶え間ない改善に取り組み、顧客ロイヤリティを獲得する必要があります。そのためには顧客やパートナー企業と向き合いながら、解決すべき潜在的な課題を深く理解することが重要です。当社グループには、現場に密着した開発姿勢が根付いており、現場を観察しワークフローを洞察することにより潜在的なニーズを抽出できる機会が多くあります。これらの潜在的なニーズを開発にフィードバックすることにより、顧客価値を提供できる製品やサービスを生み出すことが可能になります。 また、今後予想されるモノづくりの複雑化や環境配慮への社会的要求は、モノづくりにおけるプロセスモニタリングの複雑化を示唆しております。これは、当社のセンシングデバイスを中心としたモニタリング技術にとって、新製品投入の機会となり得ると考えております。 ●対応策 当社グループは、各事業分野において顧客満足度を継続的に高め、顧客ロイヤリティを向上させる一方、市場変化の激しい状況を考慮し、競合に対して競争力のある新製品やサービスを計画的に市場導入しております。例として、デジタル印刷機の自動品質最適化ユニット「IQ-501(インテリジェントクオリティオプティマイザー)」では、従来印刷現場のオペレーターが時間をかけて行っていた細かな調整作業に着目し、この工程を自動化し再現性を高めることにより、顧客の生産性向上に貢献しました。偏光板用新世代光学フィルム「SANUQI(サヌキ)」では、偏光板メーカーの現場に入ることにより、新たな生産課題を発見し、課題対策を新材料の機能設計に落とし込み具現化した製品を顧客へ提供しております。また、ヘルスケア事業では、X線動画像を撮影し高度な画像解析処理を行うことで、従来のX線静止画では得られなかった、生体内の組織の動きの情報を診断情報として取得することができる「X線動態解析」をはじめとした高付加価値なイメージング解析により、簡便に高度な診療を可能とする製品・サービスを提供しております。循環型社会への貢献の点では、再生プラスチックに高い機能性を付与してアップグレードリサイクルし、複合機をはじめとするきょう体表面に採用するほか、社外製品への展開もしております。加えて、将来予想される環境対応型モノづくりにおいて市場が形成された際、迅速に製品の市場投入ができるよう、例えば、バイオものづくり領域におけるプロセスモニタリングに関する研究開発を外部機関と連携して実施する等の取組みを行っております。 5)他社との協業、企業買収等について発生可能性:中発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:中 ●リスク 当社グループは、事業競争力の強化あるいは効率化の観点から、他社との協業、資本提携・企業買収等を進めております。 企業買収等に伴い、のれん及び無形資産を計上しており、定期的に減損テストを実施しております。事業環境の変化に伴い、買収対象会社に係る将来キャッシュ・フローの低下が見込まれた場合等では、減損損失を認識する可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 ●機会 当社グループが実施する他社との協業や企業買収等は、事業競争力強化や効率化を目的とするものであり、事業ポートフォリオ強化にとって有効な手段であると考えております。双方が有する技術・製品・顧客基盤・人財等の経営資源を有効活用していくことにより、持続的な事業成長の機会が得られると認識しております。 ●対応策 当社グループは、他社との協業や企業買収等に際して、当社との戦略的適合性、計画の蓋然性、投資額の妥当性、リスク対応等の観点から投資評価を行ったうえで、投資の可否を見極めております。具体的には、投資回収期間及び投資額等の妥当性判断のため、投下資本に対する期待収益指標として事業別のハードルレート及び中期経営計画ごとの全社加重平均資本コストを基準の一つとして設定しております。 また、投資実施後のモニタリングとして定期的に投資レビューを実施し、上記の加重平均資本コスト及びハードルレートの達成状況に加え、収益性、市場成長等の観点から投資案件ごとの当社企業価値への貢献状況を見極め、投資時点の計画からの変化に対しても迅速に対策を講じられるようにしております。 6)生産・調達等発生可能性:中発生する可能性のある時期:1年以内影響度:中 ●リスク 当社グループの主力事業であるデジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業及びインダストリー事業では、コスト競争力強化と市場への迅速な製品供給のために海外での生産活動を継続しております。重要な活動拠点の一つの中国では、経済発展とともに法制面の改定やインフラ整備等も進んでおりますが、法的な変化、労務政策の難しさ、人件費の上昇、輸出入規制や税制、環境規制の変更、台湾にかかわる問題等、予測困難な事態が発生する可能性があります。また、中国のみならず新たに各国の法的な変化、税制・規制見直しによる事業影響が懸念されます。継続して、世界的なインフレによる生活費上昇等の影響により、各国における最低賃金切上げによる労働者の賃金上昇リスクが高まっており、生産コストの上昇につながる可能性があります。生産活動においてこれらのリスクに対処できない場合は、当社グループの経営成績及び成長戦略に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、特定の製品、部品や材料、及びエネルギーを世界中の複数のサプライヤーから調達する方針を取っております。それらのサプライヤーに不測の事態や震災等の自然災害が発生した場合、当社グループの生産及び供給能力に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの生産活動において使用する鉄やアルミニウム等の金属製品、原油を原料とする石油化学製品、レアアース等の希少天然資源等の原材料価格、及びエネルギー価格の高騰は当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ●機会 デジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業では、調達及びトナー領域において他社との協業・アライアンスによりレジリエンス力を高め、グローバル競争力の強化・安定供給、さらなる事業強化を図ることで持続的な事業成長の機会が得られると認識しております。 ●対応策 当社グループは、生産に関するリスクへの対応及び事業環境の変化に対する柔軟性を向上させるため、日本・中国・マレーシアにおいて製品組立の生産拠点を展開しており、特に近年様々な面で高まりを見せる中国のカントリーリスクへの対応として、生産規模の大きい主力製品を中心に中国外生産の比率を高めております。 主力事業であるデジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業の消耗品における部品生産及び印刷用トナーの充填を行う拠点として、欧州・北米に当社生産拠点を展開し、消費地生産による需要変動への柔軟性を確保しております。 主力調達地域である日本・中国・ベトナム・マレーシアにその活動に特化した部門を設置し、調達にかかわる各地域の規制・制限・変化等の情報を収集することで、対応の迅速化を図っております。 また、サプライヤーでの品質・生産性向上を含めたコストの競争力を高めるためのコラボレーション活動を推進しております。具体的には、品質改善活動をサプライヤーと協業して推進すること、当社が保有する生産工程の自動化等の生産技術をサプライヤーに導入することにより、生産性の向上と品質・コストの競争力を高めております。 さらに、主要な原材料・電子部品について集中的な調達を行い、市況・市場・業界変動の中でも品質・供給・コスト競争力を維持する活動を行っております。また、他社との協業・アライアンスを活用した調達機能の基盤強化を検討してまいります。 BCP管理体制については当期から、より開発・品質保証・調達・生産で連携した体制へと強化しております。 サプライヤーの材料調達状況、生産稼働状況、出荷等の物流状況を迅速に把握し、早期の意思決定による課題対応を推進しております。 部品のエリア調達へのシフト加速と代替品の評価・検証から生産投入に至る一連の活動を、開発・生産・品質保証における最優先課題として対応を行い、リスク回避を継続しており、これらによる事業活動への影響を抑制しております。 7)グローバルサプライチェーン発生可能性:中 → 高発生する可能性のある時期:1年以内影響度:大 ●リスク 当社グループの生産、販売活動の多くの部分は日本国外で行われており、サプライチェーンもグローバルに展開しております。各国・各地域の物流上の問題が当社グループのグローバルサプライチェーン全体に波及し、供給遅延により当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは中国・東南アジア諸国連合(ASEAN)における生産が多く、その拠点からグローバルに供給を行っております。中国・ASEAN各国で新たな感染症のパンデミック等による活動制限が発生した場合、港湾・空港での荷役作業の停滞・混雑により物流が滞り、販売拠点への供給に大きなリスクを及ぼす可能性があります。 一方、製品の輸出先である欧米主要国では、主要各港での港湾労使交渉の長期化・決裂によるストライキの発生や、パナマ運河の水不足による通航制限継続、スエズ運河航行制限(喜望峰ルートへの迂回)影響による供給リードタイム延伸とコンテナ輸送費上昇の長期化等により、販売拠点における在庫不足の発生によって顧客への納品遅延による売上機会損失等、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、日本国内では「2024年問題」による供給リードタイム延伸や物流コストの上昇リスクが、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 なお、「発生可能性」は、イスラエル・パレスチナ情勢の悪化による紅海・スエズ運河ルート回復の目途が立っていない状況が継続していることから、評価を「中」から「高」に変更しております。 ●対応策 当社グループの主力事業のひとつであるデジタルワークプレイス事業や、プロフェッショナルプリント事業では、物流実態に応じた販売拠点の在庫見通しシミュレーションを適宜実施しております。将来の在庫見通しに応じて、各地域への供給量の振り分け、物流ルートを柔軟に変更する等、販売への影響を回避しております。 中国・ASEANの港湾課題については、新規フォワーディング会社のサービス利用や通常輸出港以外の代替港利用によりフレキシビリティを確保し、課題発生時には、生産拠点からの貨物の優先付けを行うことで、出港地側での供給リスク回避・低減に努めております。 海上輸送については、従来取引がある主要フォワーダーとのコミュニケーション・情報連携を強化し、コンテナ船のスペースを安定的、かつ柔軟に確保しつつ、コンテナ輸送単価の上昇幅を最小限に留める交渉・調整に努めております。特に、欧州航路においては、イスラエル・パレスチナ情勢に注視しながら、喜望峰迂回ルートによる延伸日数影響を踏まえた適切な供給調整を図り、欧州販売拠点での販売に与える影響や、物流コスト増加による影響を最小化しております。 また、日本国内においては、物流委託パートナー業者とともに「2024年問題」に最優先で取り組み、運搬できないというリスクを回避・低減しつつ、配送効率化施策等を積み上げ、物流コスト上昇の影響の吸収・最小化を図ります。 当社グループでは、必要なものを必要な時に必要なだけ必要なところへ供給できる、柔軟な物流体制を構築し、引き続き、顧客の満足度向上に努めてまいります。 8)製造物・品質責任発生可能性:低発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:中 ●リスク 当社グループは、国内外のグループ会社や生産委託先において厳格な品質保証体制を構築し、顧客に対して高い性能と信頼性を備えた製品及びサービスを提供しております。万が一、当社グループの製品あるいはサービスに欠陥が発生した場合、その欠陥に起因した損害に対して当社グループは賠償責任を負う可能性があり、また、その欠陥に対して多大な対策費用が発生する可能性があります。さらに、当該問題により、企業ブランドや製品ブランドが毀損され経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ●対応策 重大品質問題を起こさない仕組み・取組みとして、品質に関する責任と権限を担う執行役又は執行役員を議長とする「品質保証責任者会議」を設置し、グループ全体の品質マネジメントを統括しております。品質に起因するリスクの極小化と顧客満足度向上に向けた方針・計画の推進・進捗確認、情報共有及び是正・改善に取り組んでおります。さらに、各事業では、品質課題についてPDCAサイクルを徹底することで継続的な品質向上に取り組んでおります。製品品質にかかわる問題が発生した場合は、当社グループ内世界統一の「市場品質速報データベース」に情報を登録することが義務付けられており、登録された情報は即座に品質担当役員と事業責任者へ伝達され、関連部門で共有、必要な対策・情報開示が迅速に行えるようになっております。また、過去に発生した品質問題に対し、原因の解析、対策の実施及び技術・評価基準への反映を行い、再発防止に努めております。また、法的基準よりも厳しい独自の製品安全基準を設け、製品の様々な箇所について詳細に規定し確認を行っております。これらの施策をより確実に実施するため、「製品安全教育」をグループ内に展開し、品質マインドの定着に努めております。 さらに、品質不正を起こさない仕組みとして、当社グループでは「品質不正予防ガイドライン」の策定・運用と定期的診断・監査を実施しております。継続的に、ガイドラインの内容や運用の見直し・強化、グループ本社としての指示や教育・啓蒙、各所における好事例共有等を実施し、運用の徹底を図っております。 また、デジタル社会の進展や当社IoTサービス関連事業の拡大に伴い、セキュリティ事故のリスクも高まっております。当社グループでは、リスクの極小化に向け、サービス事業及びセキュリティ対応に関連する社内規程の運用を強化しております。製品セキュリティ事故発生時の対応と脆弱性への対策・予防として、製品の脆弱性に関する情報を全社で一元管理し必要な対応を推進するとともに、公的機関等とも連携するための全社共通組織として「KONICA MINOLTA PSIRT(注)」活動を展開しております。加えて、AIを活用した製品・サービスの販売も増えており、AIガバナンス体制を構築し、リスクアセスメントの実施と社内外のAI有識者から構成する「AI倫理審査委員会」での審議等により、AI利活用における倫理的・法的な問題発生リスクの低減に努めております。 (注)KONICA MINOLTA PSIRT (Product Security Incident Response Team)、当社グループの製品脆弱性対応チーム ③その他のリスク1)人権発生可能性:中発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:中 ●リスク 当社はグローバルに事業を展開している一方で、東南アジアに多くの部品・材料の取引先があります。サプライチェーン全体での人権が十分尊重されていない場合、サプライチェーン上において児童や移民労働者が強制労働、長時間労働等の人権に関する負の影響が発生する可能性があります。こうした事態は、生産及び販売活動の停滞や企業ブランド・製品ブランドが毀損され、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、2011年に国連人権理事会において「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGPs)」が採択されたことにより、各国で人権尊重に関する国別計画(ビジネスと人権に関する国別行動計画)の策定が進められ、例えば、英国では現代奴隷法、アメリカではウイグル強制労働防止法、ドイツではサプライチェーンにおける企業のデュー・デリジェンスに関する法律等が制定されております。最近では、EUにて企業持続性デュー・デリジェンス指令(CSDDD)案の採択や強制労働法により生産された製品のEU域内での流通、EU域外への輸出を禁止する規則案の政治合意がなされる等、各国における法規制の強化が加速しております。これらに対応するための費用が発生する、法規制に対応する社内整備に工数がかかる、また予期しないような事態に対応できない場合には、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ●機会 世界各国で人権デュー・デリジェンスを実施することが政府調達要件や製品ラベル取得要件として検討されており、これに対応することは当社グループにとって販売機会の創出につながる可能性があります。 ●対応策 当社は、グローバルに事業を展開する企業として、コニカミノルタグループ行動憲章、コニカミノルタグループ人権方針、コニカミノルタサプライチェーン行動規範において、事業活動における最も基本的な要件の一つとして人権尊重を規定しております。また、これらの方針に基づき人権デュー・デリジェンスを実施し、人権尊重に努めるとともに当社グループの事業に関連するビジネスパートナーやその他の関係者に対しても、人権の尊重を求めております。こうした活動では国連グローバル・コンパクト(UNGC)、レスポンシブル・ビジネス・アライアンス(RBA)行動規範等、グローバルに認知された団体の活動理念を反映させております。 人権デュー・デリジェンスにおいては、UNGPsに基づき当社グループの事業活動や取引の結果、潜在的又は顕在的に負の影響を受けるステークホルダーとその人権課題を抽出し、抽出した負の影響を受けるステークホルダーとその人権課題に対して影響度を評価し、特に優先度が高いと思われる人権課題を特定しております。例えばサプライチェーン(地域住民、先住民を含む)に関しては、サプライチェーン上の強制労働、児童労働、安全衛生等の人権課題に対して当社ではCSR調達の展開をはじめ、責任ある鉱物調達問題への対応をグループ全体で推進する体制を構築することで、負の影響の防止又は軽減に取り組んでおります。 CSR調達の展開においては、RBAのフレームワークに基づいて、自己診断アンケートを使ったCSR診断、CSR監査によるリスク評価と是正を行っております。自己診断アンケートを使用したCSR診断ではアンケートの採点結果により、A~Cの3段階にランク分けし、グループ生産拠点は総合ランクA、取引先は総合ランクB以上を目標として設定しております。目標ランクに達していても、労働(人権)を含め評価が低い項目があった場合は自主的な改善をお願いしております。2023年度において、コニカミノルタグループの生産拠点5拠点、取引先30社で診断を実施し、生産拠点は全て総合ランクA、取引先は全て総合ランクB以上となり、総合ランクB未満と診断されたハイリスクな取引先はありませんでした。 また万が一、人権侵害の申し立てが発生した場合には、ステークホルダーとの真摯な対話と速やかな調査を実行し、人権に対する負の影響を直接的に引き起こした、あるいはこれに関与したことが明確である場合は、社内外のしかるべき手続きを通じて是正策を講じてまいります。 2)大地震・自然災害・感染症等発生可能性:中発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:大 ●リスク 当社グループは、研究開発・調達・生産・販売等の拠点を世界各国に置き、グローバルに事業活動を展開しております。地震・火災・気候変動に伴う大規模な台風・洪水・森林火災等の災害、大規模な感染症の発生、また戦争・テロ行為・サイバー攻撃等が起こった場合、当社グループの設備等が被害を受け、一時的に操業が停止し生産及び出荷の遅れにより、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 特に、首都直下、南海トラフ等における巨大地震の発生においては、想定を超えた規模で被害が発生する可能性があり得ると考えられます。 当社グループは、防災対策や事業継続マネジメントを今後も継続して推進してまいりますが、このような事態が発生した場合、機能停止、設備の損壊、電力・水・ガス等の供給停止、公共交通機関や通信手段の停止、サプライチェーンへの被害等による顧客へのサービスの提供や製品出荷等の停止等、当社グループの事業活動の継続に影響を及ぼす可能性があります。 ●対応策 当社グループは、災害や、感染症の発生、戦争・テロ行為・サイバー攻撃等が起こった場合の情報を、危機管理担当役員が集中管理し、従業員の安全を最優先として適切な対応をとる体制を構築しております。 巨大地震をはじめとした日本国内での災害に対しては防災中期計画に基づき、予防・減災対策、応急対策・初動対応、復旧・復興対策の観点でハード・ソフト両面からの対応実践力の強化を図っております。具体的には建物の耐震対策、通信・データ関連の主要サーバーの海外設置、安否確認システム・緊急時情報データベース等のITによる被災時情報共有基盤の整備等の対策を講じております。大規模災害時には国内に有する約220のグループ拠点について緊急時の情報ネットワークを構築し、被害情報の迅速な収集と、必要な支援や対策を実施できる体制を構築しております。さらに、各拠点で従業員が災害時に命を守るための自律的行動をとれるよう、定期的に実践的な防災訓練や教育を実施するとともに、働き方の変化に対応すべく、ITツールを活用し、テレワーク時においても防災体制が機能するよう整備しております。 また、当社グループでは、事業を継続し企業としての社会的責任を遂行するとともに、顧客が必要とする製品やサービスを安定的に供給するために、主要消耗品の生産拠点の分散化によるリスクの低減、調達リスクの高い品目については代替手段の検討、在庫の確保等、対応策の有効性の確認と改善を図っております。各拠点においては、地域の自治体と連携し、自然災害発生時の避難場所や飲料水及び物資の提供等、地域貢献にも努めております。 3)気候変動・環境規制発生可能性:中発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:中 ●リスク 世界全体が低炭素社会へ移行した場合、環境関連の法規制が厳格化するおそれがあり、追加的義務及び費用が発生する可能性があります。ステークホルダーからの再生可能エネルギー調達の要求が高まることにより、投融資を受ける機会及び販売機会の逸失、企業ブランドの低下につながる可能性があります。また、オフィスにおける紙への出力の減少、化石燃料や化石資源の代替化による製造・調達コストの増加等も当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 一方、世界各地で気候変動による物理的影響が顕在化した場合、気候災害による森林資源の被災等により、紙原材料の調達が不安定になり事業機会の損失につながる可能性があります。また、気候パターンの変化等気候変動の慢性的な影響が発現すると、原材料等の供給量が制限又は一時停止することで、当社拠点及びサプライヤーで一時的に操業が停止し、生産及び出荷が遅延する可能性があります。 加えて、大気汚染、水質汚染、有害物質の除去、廃棄物処理、製品含有化学物質、製品リサイクル、容器包装、土壌・地下水汚染等に関する様々な環境法及び規則の適用を受けており、それらの遵守のために必要な経営資源を投入しておりますが、現在及び過去の生産活動、及び開発・販売活動にかかわる環境責任に伴う費用負担や賠償責任が発生する可能性があります。 気候変動に関するリスクの詳細は、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。 ●機会 低炭素社会への移行が加速した社会では、顧客の気候変動に関する課題の解決に貢献することで、事業機会につながる可能性があります。当社グループが培ってきた画像技術とIT技術を融合させ、社会・顧客の移行計画の実現へ貢献する新たなサービスやソリューションを提供することで、売上増大を図ることが期待できます。 短期から中期的には、印刷産業及びアパレル産業のサプライチェーンを変革するデジタルソリューション、製品のカーボンフットプリントを低減した機能材料、使用済みプラスチックの分別性・リサイクル率向上に貢献する材料技術やセンシング技術、インクジェット技術による生産プロセスの変革、メタンガスの漏えいの早期発見と排出量の削減に貢献できるガス漏えい検査システムを提供してまいります。 短期的には、継続的な省エネルギー活動により自社工場での原価低減に寄与するとともに、環境・エネルギー視点で取引先やビジネスパートナーと連携することで新たなビジネス機会を創出できる可能性があると考えております。 一方で、気候変動の影響が発現する場合においても、事業機会を生み出す可能性があると考えております。 中期的には、異常気象・自然災害への防災・減災に貢献するセンシングソリューション、災害医療現場で活用できる画像診断ソリューション等、社会の新たな需要を取り込むことができると考えております。 当社グループでは、こうした社会課題の解決に直結した事業を強化しております。 ●対応策 リスク低減策としては、当社グループでは生産工程の効率化を徹底して追求するとともに、生産技術の開発・改善を進め、CO2排出削減とコストダウンを同時に実現する「グリーンファクトリー活動」を推進しております。また、自ら培った省エネ技術・ノウハウをデジタル化して提供し、サプライヤーと一体となりエネルギー削減に取り組む「カーボンニュートラルパートナー活動」を通じて、サプライチェーン全体でのエネルギーコスト削減とCO2排出削減の最大化を目指しております。また、再生可能エネルギー100%での事業運営を目指し、国際リーダーイニシアチブ「RE100」に加盟しております。 気候変動による物理的影響が顕在化した場合への適応策として、原材料の供給ルートを粗原料まで遡り把握し、安定供給リスクが高い原材料は、調達先の複数確保や代替材料の検討に取り組んでおります。また、デジタルワークプレイス事業・プロフェッショナルプリント事業では、消耗品として供給する部品生産並びに印刷用トナーの生産及び充填を行う当社生産拠点を、日本、欧州、北米に複数展開し、消費地で供給できるレジリエンスの高いサプライチェーン体制を確保するよう努めております。 機会最大化の仕組みとして、グリーンプロダクツを創出し、事業企画や商品企画の段階で気候変動の課題解決への貢献を最大化してまいります。 「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に関連事項を記載しております。 4)知的財産権発生可能性:低発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:小 ●リスク 当社グループは、製品やサービスの開発の中で多くの技術あるいはノウハウを蓄積し、それらを保護するための知的財産権の取得に努めております。しかしながら、一部の地域・国では、知的財産権を保護する制度やその適正な運用が不十分な場合があり、第三者が当社グループの知的財産権を使用して類似製品を製造、販売することを防止できない可能性があります。 また、当社グループでは他社の権利を侵害しないように製品等の開発を進めておりますが、見解の相違等により他社の知的財産権を侵害しているとされ、製品等の開発や販売に支障をきたす可能性や多額の損害賠償責任を負う可能性があります。さらに、現在当社グループがライセンスを受けている第三者の知的財産権の使用が将来差し止められる、あるいは不当な条件に変更される可能性があります。 ●機会 当社グループの事業、製品、サービス等により提供される顧客価値の源泉となる当社独自のビジネスモデル、技術、データ等の知的財産について、特許権等の知的財産権の取得、不正競争防止法によるノウハウ・データの保護要件を満たす管理等、その特性に応じた適切な保護・活用を行うことにより、知的財産を当社グループの持続的な競争優位性の維持、成長のドライバーとしております。なお、各国の産業構造や事業ライフサイクルに鑑み、当社で事業継続するよりも他社で事業化又は事業強化した方がよい場合については、当該事業に関連する特許権等の知的財産権を他社に譲渡又はライセンス供与することにより、産業界全体への貢献及び当社の収益向上を図っております。 さらに、知的財産による社会貢献にも積極的に取り組み、世界知的所有権機関(WIPO)が運営する持続可能な社会の実現を目指す技術移転のための国際的なプラットフォーム「WIPO GREEN」にパートナー企業として参画し、環境技術関連特許群をWIPO GREENに登録することでSDGsの推進に知的財産面から貢献しております。 ●対応策 当社グループは、技術等を保護する知的財産権(例えば特許権)を適切に取得・執行することが困難な国・地域においては、商標権等に基づいて、行政機関と協力し模倣品の押収や輸入差し止めを行う、運営業者と連携し模倣品取扱業者の電子商取引(EC)サイトへの出店差し止めを行う等、様々な方法により類似製品の流通阻止に努めております。 他社の知的財産権に関しては、製品開発の各フェーズにおいて入念な調査・確認を実施し、他社の知的財産権を侵害していないことを商品化の要件としております。万が一、見解の相違等により他社から知的財産権の侵害を指摘された場合やライセンス条件の変更等の事態に備え、非侵害の主張やライセンス条件等の交渉・訴訟対応を行うための専門人財を当社知的財産部門に配置するとともに、経験豊富な国内外の弁護士と連携し、事案の内容に応じて適切に対応する体制を整えております。 これらのリスク対応に加え、知的財産が競争優位性の維持・強化の有効なツールであるとの認識に基づき、当社グループの持続的な事業成長を知的財産面から推進するため、各事業の特性や事業ポートフォリオ上の位置付けに対応して事業ごとに知財戦略を構築し、戦略に沿った知財投資及び知財活動を実行しております。 また、これらの知財戦略構築や知財活動の実効性を高めるため、知財人財育成のための戦略と施策を策定・実行し、専門知識・スキルとビジネスセンスを兼ね備えたプロ人財の育成に努めております。 5)人財確保発生可能性:中発生する可能性のある時期:3年以内影響度:大 ●リスク 当社グループの新規事業を中心とした将来的な成長には、優秀な人財の継続的な獲得が欠かせないと認識しております。特に、先端技術人財であるAIのスペシャリスト等のIT人財の獲得は獲得上のコンペティターが多く、また、その業界も日本に限らずグローバルに渡るため、報酬等の一要素だけで惹きつけることは困難であり、会社の魅力や働くことの付加価値への訴求に対する重要性が増しております。 当社グループの魅力や働くことの付加価値を高めることができない場合、人財確保がより困難になる可能性があります。 ●機会 当社グループは、様々な製品を創り出しており、多様な技術領域を有しております。また、デジタルワークプレイス事業等、BtoBビジネスを営む中で、豊富な「データ」を蓄積しております。このデータを活用して、製品とサービスとの組合せ、材料技術とIT技術の組合せ等、様々な組合せからなる「形」を無限に作り出せる可能性に魅力を感じるIT人財は、人財マーケットに多く存在していると考えております。 特に、当社グループが有する豊富な顧客は、その存在そのものが、当社グループのデータビジネス展開を有利に進める基盤となっており、データ分析に魅力を感じる優秀なIT人財を獲得できる機会につながると考えております。 さらに、副業やテレワーク、コア時間のない裁量労働等、従業員に柔軟な働き方を認めている点も、当社グループの魅力として訴求できる点になります。 ●対応策IT人財の獲得にあたり、データサイエンスやAI開発、アーキテクチャ開発等、複数の長期インターンシップを実施しております。この中で、社内研究開発のテーマに取り組みジョブマッチングを向上させるとともに、当社の持つ魅力を対象者に体感いただくことを通じて、人財の獲得に成功しております。また、比較的手薄であった関西地区に2020年10月、高槻サイトに「Innovation Garden OSAKA Center」を新設し、本格的な拠点展開を図ることにより、関西地区での人財確保を進めております。さらに、海外の大学から専門性の高い外国籍のIT人財を10年以上にわたり継続採用しており、インド工科大学へのリクルート活動に加え、2022年度からはベトナムのハノイ工科大学、ベトナム大学等に対するリクルート活動を開始しております。これらの活動は、優秀なエンジニアの獲得につながるとともに、日本人の技術者にも大きな刺激となっております。 IT人財の育成では、社内におけるIT人財の認定制度を設け、各人財が目指すべきハードルを明確にしたうえで、それに対して必要となるスキルの教育プログラムを用意しております。2023年度までに1,000名のIT技術者を育成するという目標を達成し、さらなる活用に向けた人財の配置を行っております。 また、人事制度の見直しを行い、管理職制度に「エキスパート」職を新設し、ITを含めた専門人財のキャリアアップの道筋を明確にしております。 DX推進による業務環境とプロセスや働き方の急速な変化により、IoT機器の一つとしてドキュメントを扱う複合機の利用方法は顧客により多様化しております。グローバル市場における様々な顧客要望に、より迅速に対応し課題を解決するソリューションを継続的に提供するため、2024年4月、ベトナムの大手IT企業と合弁会社を設立しました。これにより継続的に最先端の人財を確保し、独自の技術を維持してまいります。 6)情報セキュリティ発生可能性:高発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:大 ●リスク 昨今、企業を狙ったサイバー攻撃の攻撃手法が高度化、巧妙化しており、中でも、ユーザーアカウントのログオン認証を窃盗し、集中管理されている社内ネットワークに侵入し管理者権限を奪取、不正操作を行うといった被害事例が国内外で多数発生しており、このようなサイバー攻撃に対するリスクは拡大しております。 当社グループにおいても、サイバー攻撃により管理者権限が奪取された場合、不正操作等により、技術、営業秘密、人事等にかかわる当社グループの秘密情報が第三者に漏えい、不正、売買に使用される等の重大な情報セキュリティインシデントが発生する可能性があります。この場合、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ●機会 当社グループは顧客のセキュリティ対策強化支援も継続的に行っております。IT管理のサービスとしてネットワークやアプリケーションの脆弱性の監視・管理サービス、リスクアセスメントを行うとともに、複合機からの情報漏えいを防止するためのデータの暗号化、パスワード設定やログ管理の機能、設定状況の監視と通知サービスを行う「bizhub(ビズハブ)SECURE」をグローバルに展開しております。 「bizhub iシリーズ」には、社内ネットワークへのウイルス拡散を防止するため、全ての文書・FAXデータのウイルスをチェックする機能を搭載しております。 また、米国のIT管理サービスにおいては、顧客のファイヤーウォールに対して専門家が疑似ハッキングをすることにより脆弱性を診断するサービスも行っております。国内では、マネージドITサービス・「IT-Guardians(ITガーディアンズ)」による包括的なセキュリティ対策(多層防御システム)も提供しております。 これらの機能は継続的に更新を行っており、サイバー攻撃の手法が変化する中においても顧客のセキュリティ対策強化支援を行うことができております。 ●対応策 情報セキュリティについて、ネットワークの監視を行い、多様化する攻撃によるサービス停止の早期発見に努めるとともに、定期的にネットワーク侵入テストを実施し、悪用される脆弱性を早期確認する対応を行っております。また、攻撃への備えとして、サイバー保険に加入し、事故発生時の対応フローを整備、当社グループ全体を網羅したセキュリティ推進体制において速やかに対処できるようにしております。 リモートワーク勤務を行う従業員向けに、セキュリティに配慮した物理的な勤務環境を提供するために、外部からの不正アクセス防止のため暗号化通信によるセキュアなネットワーク環境と会社支給パソコン以外の会社のネットワーク接続制限を実現しております。情報漏えい等の注意喚起のため従業員への教育等も定期的に行っております。 さらなる対応強化のため、包括的セキュリティマネジメント体制(Security Management Office)下においてグループ各社に対しグローバルセキュリティ基準を制定し、個社ごとのセキュリティ対応レベルの自己評価とその評価に基づく対策計画の策定・実行を確認するプロセスを運用しております。これらの活動を通じグループ全体のセキュリティレベルの向上を実現してまいります。
FY2023|22,775 文字
3【事業等のリスク】(1)当社のリスクマネジメント体制 当社は、当社グループの事業活動に関する諸種のリスク管理を所管するリスクマネジメント委員会を設置し、リスクマネジメント委員会規則に従い、取締役会で任命された執行役及び執行役員が以下のリスク管理体制の構築と運用にあたっております。 当社グループの事業活動に関する事業リスク及びオペレーショナルリスクについては、執行役及び執行役員の職務分掌に基づき各執行役及び執行役員が、それぞれの担当職務ごとに管理しており、リスクマネジメント委員会はそれを支援しております。また、リスクマネジメント委員会は、グループ経営上重要なリスクに関する抽出・評価・見直しの実施、対応策の策定、管理状況の確認を定期的に行っております。 当連結会計年度(以下「当期」)はグループ重要リスクとして、以下の2つのリスク項目を選定しました。・サプライチェーンにおけるリスクマネジメント・情報セキュリティにおけるリスクマネジメント (2)当社のリスクマネジメント体制の運用状況 当社は、リスクマネジメント委員会を定期的(年2回)及び必要に応じて臨時に開催しております。この委員会では、企業活動に関して抽出されたリスクとその対応策を策定するとともに、リスクマネジメントシステムが有効に機能しているかどうかの検証・評価を行っております。当期は、同委員会を2回開催し、主に米中対立や新型コロナウイルス感染症に起因するグローバルサプライチェーンの停滞及び半導体を中心とした米中ハイテク冷戦に対し、事業への影響度の高い国・地域に適用される制裁や新たな法規制等の定期的なモニタリングを実施しました。 また、リスクマネジメント委員会の協議内容は定期的に監査委員会に報告しております。 なお、取締役会への報告は必要に応じて実施し、取締役会を構成するメンバーに月次の報告が行われております。 地震・台風などの自然災害や火災・爆発などの災害が発生した場合、あるいは、事件・事故などの不祥事案件が発生した場合の対応を誤ると、企業価値の毀損につながる可能性があります。また、インターネットやSNS上の書き込みなどで、企業が批判を受けるリスクが高まっており、ウイルス感染などは一企業のみならず、社会への影響が懸念され、また伝播する速度も速いため、一刻も早い情報収集と、速やかな対応が必要です。さらに、当社の事業領域が製品の販売からITサービスへも広がる中、上記リスクは高まる傾向にあります。 当社では、リスクが顕在化し企業価値に大きな影響を及ぼす状況を「危機(クライシス)」と定義し、クライシス発生時には上長経由で担当役員と危機管理担当役員へ報告し、さらに担当役員と危機管理担当役員は、代表執行役へ報告を行います。様々なリスクによって発生するクライシスに対し、当社は迅速・適切に対応するためにクライシス発生時の報告ルールを設け、執行役及び執行役員や当社子会社役員等に周知しております。その報告ルールに沿って、世界各地で発生した災害事故、その他のクライシスに関する情報を危機管理担当役員が集中管理しております。 (3)事業等のリスク 当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を与える可能性がある主要なリスクを以下に記載しておりますが、これらのリスクは必ずしも全てのリスクを網羅したものではなく、想定していないリスクや重要性が低いと考えられるほかのリスクの影響を将来的に受ける可能性もあります。 また、当社は、リスクを「組織の収益や損失に影響を与える不確実性」と捉えております。リスクを単にマイナスの側面からだけではなく、「機会」としてのプラスの側面からも捉えたうえで、リスクマネジメントを「リスクのマイナス影響を抑えつつ、リターンの最大化を追求する活動」と位置付けております。 リスクへの対応と機会の考え方は、以降、個々のリスクの項目の中に記載しております。 記載事項のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において入手可能な情報等に基づいて、当社グループが判断したものであります。 最初に、各リスク項目をリスクマップ上にプロットした図を掲載いたします。 なお、「発生可能性」については、3年以内に発生する頻度・確率より評価し、「影響度」については、発生した際に営業利益へ与える影響より評価しております。 また、「発生可能性」と「影響度」について、前連結会計年度(以下「前期」)より評価が変更されているリスクは、評価欄に矢印を用い、前期と当期の評価を記載しております。 ①経済環境に関するリスク1)経済動向・市場環境発生可能性:高発生する可能性のある時期:1年以内影響度:大 ●リスク 当社グループは、複合機やデジタル印刷システム、ヘルスケア用機器製品や遺伝子診断・創薬支援等、計測機器や光学部材、ディスプレイ材料及び関連サービス等を世界中の顧客に向けて提供しております。これらの事業の売上及び損益は各国の景気動向や事業環境に大きく影響を受けます。 当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症からの社会経済活動の正常化が進みつつある中、緩やかな回復基調が続きました。その一方で、世界的なエネルギーや食料価格の高騰、欧米各国の金融引き締め等による世界的な景気後退懸念など、経済を取り巻く環境は厳しさを増しております。 米国経済は、個人消費や輸出が底堅く推移し、回復基調を維持しました。雇用情勢は堅調で、労働需給が引き締まり、人手不足と高い賃金上昇が続く中、金融引き締めによる経済への影響が懸念されております。欧州連合(EU)の経済は、ウクライナ情勢による原油や天然ガスを中心としたエネルギー供給の制約や価格高騰、またそれ以外の物価も高止まりしていることから成長は鈍化しており、金融引き締めによる景気後退リスクが懸念されます。 中国経済は、ゼロコロナ政策の解除を機に回復局面に入りました。また、厳しい移動制限が緩和されたことから国内の人流も回復、サービス消費が拡大し景気回復の原動力になりました。しかし、サービス以外の需要を見ると、不動産市場の低迷など脆弱さが残り、今後、景気回復の勢いを削ぐ可能性があります。 今後の世界経済は、ウクライナ情勢や米中対立などの地政学リスクへの警戒感や世界主要国をはじめとする金融引き締めによる悪影響が想定されます。特に、米国やEUの金融不安が拡大した場合、経済活動に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、米国における経済安全保障の強化は、自国の半導体を中心とした技術力強化に大規模な予算を投じるほか、対外的な先端技術の流出を阻止する動きに拍車がかかる可能性があります。このような動きは、先端技術や重要物資を中心に既存のサプライチェーンに大きな影響を及ぼす懸念があります。 こうしたリスクが発生し、各国の経済活動が停滞した場合、顧客の投資抑制や消費行動の変化を引き起こし、結果として当社の予想を超えた新規機器購入の減少、競争激化に伴う販売価格下落、在庫増加等、将来にわたり当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 2)為替レートの変動発生可能性:高発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:中 ●リスク 当社グループは、高い海外売上高比率が示すようにグローバルに事業活動を展開しており、為替レート変動の影響を大きく受ける状況にあります。また、外貨建ての取引から生じる当社の資産及び負債の円貨額や海外子会社の外貨建財務諸表から発生する在外営業活動体の換算差額も変動するおそれがあります。ユーロにつきましては、為替レートが1円円安に変動した場合、欧州での利益増により、営業利益に約6億円のプラスの影響を与えます。人民元も同様に、1円円安に変動した場合、中国での利益増により、営業利益に約12億円のプラスの影響を与えます。一方、米ドルについては、1円円安に変動した場合、調達・製造コスト増等により、営業利益に約3億円のマイナスの影響を与えます。 ●対応策 為替レート変動の影響を軽減するため、米ドル・ユーロ等の主要通貨では為替予約を中心としたヘッジを行っております。米ドルにつきましては、米ドル建ての調達と米ドル建ての売上を相殺することにより影響を軽減しております。また、多通貨建てのグローバルでのグループ間決済を、金融機関が提供するネッティングシステムを利用し行っており、子会社が持つ為替変動リスクを当社へ集約することにより為替リスクの集中管理及び効率的なヘッジを行っております。 ②事業活動に関するリスク1)デジタルワークプレイス事業 プリント環境の変化に関連するリスク発生可能性:高発生する可能性のある時期:1年以内影響度:大 ●リスク 先進国を中心に、情報共有の媒体としての役割が紙からタブレット端末やスマートフォン等のデジタル機器に急速に移行していることに加えて、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に急速に拡大した新たなワークスタイルの定着により、企業におけるオフィスへの出社率が新型コロナウイルス感染症の拡大前の水準に戻ることはないと考えられ、プリント出力機会は継続的に減少するリスクがあると考えております。こうした顧客動向に迅速に対応ができない場合、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ●機会 先進国を中心に紙文書のデジタル化が進み、複合機のスキャン需要やプリント出力のセキュリティ対応や管理強化等のオフィスソリューションのニーズが高まっております。プリント出力とオフィスソリューションを組み合わせた定額課金の導入など、新たな発想によるサービスや課金スキームを提供できる可能性が広がると考えております。 ●対応策 当社グループでは、複合機を活用したスキャンサービス、ドキュメントマネジメントサービスの拡大を中心に、多様化する顧客のニーズと、オフィスにおけるプリント出力機会の減少リスクへの対応を進めております。プリント出力契約につきましても、顧客における請求管理、支払い業務や予算管理の簡素化のため、米国を中心に当社独自のワンレート・サービス契約(注)を展開しており、顧客より好評を博しております。また、プリント管理サービスにおいても、従来のオンプレミス型からクラウド型の対応を行うことにより、システム構築のコストを抑えることが可能となり、中小の顧客に対してもサービス導入が容易になりました。 また、中国・インドをはじめとするプリント出力機会に成長余力のある国や地域においては、引き続きカラー複合機の設置拡大に取り組んでおります。 以上のようなオフィスにおける出力減少のリスクに対するデジタルワークプレイス事業としての対応に加えて、当社グループとしてオフィスユニットと並ぶ収益の柱を構築していくために、インダストリー事業への積極的な投資を展開しております。 (注)複合機のハードウェア・消耗品・プリント管理・セキュリティ対策を含むサービスを一括提供し、定額の月額課金サブスクリプションモデルにすることで、顧客の運用管理及び導入コストの削減を図る契約形態 2)各国・各地域の規制発生可能性:高発生する可能性のある時期:1年以内影響度:中 ●リスク 当社グループの事業活動の多くの部分は、北米、欧州及びアジア諸国といった日本国外で行われており、その国や地域固有の法制、規制や承認手続きの影響を受けております。米国と中国の貿易摩擦に端を発する相互関税の引き上げ、技術輸出規制などの経済措置の動向には常に十分な注意を払っておりますが、将来、各国の政府や国際的枠組による規制、例えば税制、輸出入規制、通貨規制、個人情報保護規制、デジタル関税、その他各種規則等が新規に導入される、又は変更された場合には、これらに対応するための費用が発生し、事業活動に支障をきたす可能性があります。特に、個人情報保護規制については、巨大IT企業でのターゲティング広告への規制法案や欧州GDPRなど、各国で法制化、罰則が強化され、当社で推進しているDX関連事業への影響が高くなります。 さらに、主要国における予期せぬ戦争状態等の発生により、それに対する各国の制裁措置が発動された場合、当社グループが予期しない法制、規制や承認手続きなどの変更に直面するリスクがあります。 また、特に、当社グループのヘルスケア事業では、事業活動を行っている各国の様々な医療制度や許認可の手続きの影響を受けております。医療制度改革等によって、予測できない大規模な医療行政の方針変更が行われ、その環境変化に速やかに対応できない場合、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ●機会 新制度導入や制度改定による市場参入要件の新設・変更に迅速に対応することで、当社にとって販売機会創出あるいは事業継続強化の可能性があります。特に、環境法規制への対応、個人情報保護や情報セキュリティに関する規制への対応は、当社が強みとする環境経営やITサービス・ソリューションに追い風になるものと認識し、対応を進めております。 また、ヘルスケア事業では、各国医療政策の情報収集、専門学会等との連携により対応を行なっております。医療政策による先端技術の導入は新たな市場創出につながります。 ●対応策 各国・各地域の法律・規制の動向、及び地政学リスクの変化には、常に十分な注意を払い、情報の収集に努めております。各地域の法務担当者と連携し、海外各地域の実情を把握し、必要に応じ、弁護士、コンサルタント等、専門機関の協力を得て、国あるいは地域ごとにリスクを判断し、対策を講じております。 ヘルスケア事業は、近年では、診断向上や医師の負担軽減に役立つAIを用いた画像診断の利用が、新型コロナウイルス感染症をきっかけに増大し、かつ、医師偏在の課題解決につながる遠隔医療、未病・個別化医療のニーズを背景にした遺伝子検査等への期待が高まっております。また、がん領域、アルツハイマー病などの新薬開発においては画像診断の活用が重要であり、高度な創薬支援技術(イメージングCRO)が必要とされております。 当社のグローバルな顧客基盤を活用し、先進国・新興国の各国の医療事情に応じた対応を進め、最先端の医療サービス実装に向けた取組みを進めてまいります。 3)次世代技術変化発生可能性:中発生する可能性のある時期:3年以内影響度:中 ●リスク 温暖化による気候変動・デジタル革命といったグローバル規模での中長期トレンドの進行に伴い事業環境が大きく変貌する中で、革新的な技術は企業間の競争優位性に大きな影響を持つことが予想されます。当社グループにとって他社に先んじた技術革新は重要な競争優位の源泉ですが、競合他社が先行して類似技術や代替技術を開発し事業活用する可能性があります。グローバルかつ広範な視点で競争優位になり得る革新的技術を開発対象として見定め、迅速・柔軟に市場に提供できなければ、長期にわたり市場でのポジションを喪失する等、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ●機会 はじめに、グローバルかつ広範な技術理解に基づいて、競争優位を確立し得るコア技術を的確に見定める能力が重要と考えられます。次に、対象となるコア技術にデジタル技術を駆使して迅速に開発する能力が、開発競争に先んじるためには必要です。さらに、事業に必要な技術を全て自社で用意するのではなく、社外と連携しエコシステムを自ら迅速に再編し柔軟に対応する能力が欠かせないと認識しております。 当社グループの技術開発力と、各事業において優れた技術を持った企業との連携により、多様化する顧客課題に対応し解決策を導き出す機会を通して、社会に価値を提供できる企業への変革に取り組んでおります。 ●対応策 当社グループは、材料・光学・微細加工・画像の4分野のコア技術とIoT・AIに代表されるデジタル技術というユニークで幅広い技術ポートフォリオを有しております。研究開発拠点が相互に連携して、幅広い技術横断視点で競争優位を確立するためのコア技術を見定め、マテリアルズ・インフォマティクス等データ駆動型の開発手法を駆使して迅速にコア技術を開発してまいります。コア技術とIoT・AIを融合した「見えないものを見える化する技術」をプロダクトとして具現化、デジタルワークプレイス、プロフェッショナルプリント、ヘルスケア、インダストリー各事業を通じて顧客に提供します。また、当社の技術戦略やコア技術資産を外部に積極的に発信し、環境デジタルプラットフォームや画像IoTプラットフォーム「FORXAI(フォーサイ)」を介して大学、研究機関、スタートアップ等の幅広いパートナーとエコシステムを構築してまいります。 これらの対応によって当社グループは気候変動・新型コロナウイルス感染症の拡大・デジタル革命に伴う社会課題の解決に向けたイノベーションを起こし、次世代技術変化のもたらすリスクに対応してまいります。 4)新製品への移行発生可能性:中発生する可能性のある時期:3年以内影響度:大 ●リスク 当社グループが事業展開する分野は、ハードウェア・ソフトウェアの急速な技術的進歩による製品・サービスに求められる機能の汎用化が早く、製品ライフサイクル期間内であっても性能・サービスの内容・機能の改善が求められる事業分野です。このため、顧客・市場ニーズに対応するため常に革新的な技術開発に挑戦し、多くのリソースを投入し研究開発を行っておりますが、新製品・新サービスへの移行には多くのリスクが内在しております。開発又は生産の遅延、量産初期段階での品質問題、製造原価の変動、新製品導入に伴う現行製品への販売影響、半導体・部品・材料の調達影響等、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、競合他社から当社新製品・新サービスと類似する製品・サービスが先行投入される等、競合他社の新製品・新サービス市場導入時期により当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ●機会 新製品への移行に捉われず、取り組んだ技術開発の成果を順次、バージョンアップという形式でリリースするプロセス実行比率が増加しております。単に機能の向上や重要問題の対策に留まらず、バージョンアップを起点に製品のコストダウン、製造中止を含めた調達困難な部品・材料の切り替え、メンテナンス性の改善を積極的に進め、既存製品であっても常に競争力を失わない取組みを実施しております。 ●対応策 当社グループは、新製品・新サービスへの移行・展開において、開発初期の段階から量産に至る各ステップで、試作品・量産前製品・量産品、それぞれに対する製品仕様・要求品質・製造コスト、及び各種規制への準拠(安全・環境・セキュリティ等)を中心とした検証とゲート管理を徹底し、最大限の取組みを行っております。特に新製品への切替時期におきましては、開発・生産・品質保証の各部門が一体となった管理体制を敷き、顧客に不利益が生じないことを第一に、販売後のサービスを含め顧客価値を高める活動を行っております。 また、各事業分野において顧客満足度を継続的に高め、顧客ロイヤリティを向上させる一方、市場変化の激しい状況下を考え、競合に対して競争力のある新製品・新サービスを計画的に市場へ導入し市場動向の観察・分析とタイムリーな計画変更を実施しております。例えば、プロフェッショナルプリント事業では、デジタル印刷をけん引し、ジャンルトップとなる競争力の高い商材・サービスを提供してまいります。また、ヘルスケア事業では、X線動画像を撮影し高度な画像解析処理をすることで、従来のX線静止画では得られなかった生体内の組織の動きの情報を診断情報として得ることができるX線動画解析システムを始めとした高付加価値イメージングにより、簡便に高度な診療を可能とする製品・サービスを提供してまいります。 5)他社との協業、企業買収等について発生可能性:中発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:中 ●リスク 当社グループは、事業競争力の強化あるいは効率化の観点から、他社との協業、資本提携・企業買収等を進めております。 企業買収等に伴い、のれん及び無形資産を計上しており、定期的に減損テストを実施しております。事業環境の変化に伴い、買収対象会社に係る将来キャッシュ・フローの低下が見込まれた場合などでは、減損損失を認識する可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 ●機会 当社グループが実施する他社との協業や企業買収等は、事業競争力強化や効率化を目的とするものであり、事業ポートフォリオ強化にとって有効な手段であると考えております。双方が有する技術・製品・顧客基盤・人財等の経営資源を有効活用していくことにより、持続的な事業成長の機会が得られると認識しております。 ●対応策 当社グループは、他社との協業や企業買収等に際して、当社との戦略的適合性、計画の蓋然性、投資額の妥当性、リスク対応等の観点から投資評価を行ったうえで、投資の可否を見極めております。具体的には、投資回収期間及び投資額等の妥当性判断のため、投下資本に対する期待収益指標として事業別のハードルレート及び中期経営計画ごとの全社加重平均資本コストを基準の一つとして設定しております。 また、投資実施後のモニタリングとして定期的に投資レビューを実施し、上記の加重平均資本コスト及びハードルレートの達成状況に加え、収益性、市場成長等の観点から投資案件ごとの当社企業価値への貢献状況を見極め、投資時点の計画からの変化に対しても迅速に対策を講じられるようにしております。 6)生産・調達等発生可能性:高 → 中発生する可能性のある時期:1年以内影響度:大 → 中 ●リスク 当社グループの主力事業であるデジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業及びインダストリー事業では、コスト競争力強化と市場への迅速な製品供給のために海外での生産活動を継続しており、重要な活動拠点の一つに中国があります。中国におきましては、経済発展とともに法制面改革やインフラ整備等も進んでおりますが、法的な変化、労務政策の難しさ、人件費の上昇、輸出入規制や税制、環境規制の変更、台湾にかかわる問題等、予測困難な事態が発生する可能性があります。主力事業の生産活動の一部を中国で行っている当社グループにとって、これらのリスクに対処できない場合は、当社グループの経営成績及び成長戦略に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、特定の製品、部品や材料、及びエネルギーを世界中の複数のサプライヤーから調達する方針を取っております。それらのサプライヤーに不測の事態が発生した場合、当社グループの生産及び供給能力に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの生産活動において使用する鉄やアルミニウム等の金属製品、原油を原料とする石油化学製品、レアアース等の希少天然資源等の原材料価格、及びエネルギー価格の高騰により当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。特にウクライナ情勢によって、原材料価格・エネルギー価格の高騰が長期化しており、影響がさらに続く可能性があります。 さらに、世界的なインフレによる生活費上昇等の影響により、各国における最低賃金切上げによる労働者の賃金上昇リスクが高まっており、生産コストの上昇につながる可能性があります。 なお、「発生可能性」は、半導体を中心とした部品や材料の調達が安定したこと及び中国におけるゼロコロナ政策の終了により当社グループの生産体制が安定したことから、評価を「高」から「中」に変更しております。同様に、「影響度」は、中国主要都市におけるロックダウンの発生リスクが低減されたこと及び感染症等の緊急事態が起きた際の複線型調達による対応や安全在庫を確保する体制を整えることができたことから、評価を「大」から「中」に変更しております。 ●対応策 当社グループは、生産に関するリスクへの対応及び事業環境の変化に対する柔軟性を向上させるため、日本、中国、マレーシアにおいて製品組立の生産拠点を展開しており、特に近年様々な面で高まりを見せる中国のカントリーリスクへの対応として、生産規模の大きい主力製品を中心に中国外生産の比率を高めております。 主力事業であるデジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業の消耗品における部品生産及び印刷用トナーの充填を行う拠点として、欧州・北米に当社生産拠点を展開し、消費地生産による需要変動への柔軟性を確保しております。 主力調達地域である日本・中国・ベトナム・マレーシアにその活動に特化した部門を設置し、調達にかかわる各地域の規制・制限・変化等の情報を収集することで、対応の迅速化を図っております。 また、サプライヤーでの品質・生産性向上を含めたコストの競争力を高めるためのコラボレーション活動を推進しております。具体的には、品質改善活動をサプライヤーと協業して推進すること、当社が保有する生産工程の自動化などの生産技術をサプライヤーに導入することで、生産性の向上と品質・コストの競争力を高めております。 さらに、主要な原材料・電子部品について集中的な調達を行い、市況・市場・業界変動の中でも品質・供給・コスト競争力を維持する活動を行っております。ウクライナ情勢に起因する原材料価格・エネルギー価格高騰に対しては、商社・サプライヤーとの連携を密にした先読み対応を行い、調達リスクを回避するとともに価格高騰影響を最小化するよう取り組んでまいります。 BCP管理体制を開発・品質保証・調達・生産で連携して構築し、2023年度からは新たな組織体制への変更により活動を強化してまいります。 サプライヤーの材料調達状況、生産稼働状況、出荷等の物流状況を迅速に把握し、早期の意思決定による課題対応を推進しております。 部品のエリア調達へのシフト加速と代替品の評価・検証から生産投入に至る一連の活動を、開発・生産・品質保証における最優先課題として対応を行い、リスク回避を継続しており、これらによる事業活動への影響を抑制しております。 7)グローバルサプライチェーン発生可能性:高 → 中発生する可能性のある時期:1年以内影響度:大 ●リスク 当社グループの生産、販売活動の多くの部分は日本国外で行われており、サプライチェーンもグローバルに展開しております。各国・各地域の物流上の問題が当社グループのグローバルサプライチェーン全体に波及し、供給遅延により当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは中国・東南アジア諸国連合(ASEAN)における生産が多く、その拠点からグローバルに供給を行っております。中国・ASEAN各国で新型コロナウイルス感染症の再拡大などによる活動制限が再び発生した場合、港湾・空港での荷役作業の停滞・混雑により物流が滞り、販売拠点への供給に大きなリスクを及ぼす可能性があります。 一方、製品の輸出先である欧米主要国では、主要各港での港湾労使交渉の長期化・決裂によるストライキの発生や、内陸鉄道輸送の停滞・混雑、スエズ運河通行障害やライン川の水位低下によるバージ輸送停滞等が発生した場合、販売拠点の主要倉庫への供給・入庫リードタイムが長期化し、結果、販売拠点における在庫不足の発生によって顧客への納品遅延による売上機会損失等、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、ウクライナ情勢が悪化した場合、欧州向け航空輸送サービス減少により、航空便を利用した緊急出荷に影響するリスクがあります。 なお、「発生可能性」は、新型コロナウイルス感染症の収束と中国におけるゼロコロナ政策の終了等により、中国及びASEAN発の国際海上・航空輸送が安定してきたことから、評価を「高」から「中」に変更しております。 ●対応策 当社グループの主力事業であるデジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業では、物流実態に応じた販売拠点の在庫見通しシミュレーションを適宜実施しております。将来の在庫見通しに応じて、各地域への供給量の振り分け、物流ルートを柔軟に変更するなど、販売への影響を回避しております。 中国・ASEAN港湾課題については、新規フォワーディング会社のサービス利用・通常輸出港以外の代替港利用によりフレキシビリティを確保し、課題発生時には、生産拠点からの貨物の優先付けを行うことで、出港地側の供給リスク回避・低減に努めております。 海上輸送については、従来取引があるフォワーダーに加えて、各地域のフォワーディング会社との新規取引を増やし、船のスペース・輸送用コンテナの確保に柔軟性を持たせるよう努めております。特に、北米ではカナダ・メキシコの港を荷揚げ地として新規に設定し、東海岸ルートとあわせて供給網のフレキシビリティを確保することにより、米国西海岸労使交渉決裂によるストライキリスクを最小化しております。 また、ウクライナ情勢による影響回避策として欧州向けの航空貨物用スペースの一部をチャーターしており、定期的に航空輸送できる体制を構築しております。 当社グループでは、必要なものを必要な時に必要なだけ必要なところへ供給できる、柔軟な物流体制を構築し、引き続き、顧客の満足度向上に努めてまいります。 8)製造物・品質責任発生可能性:低発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:中 ●リスク 当社グループは、国内外のグループ会社や生産委託先にて厳格な品質保証体制を構築し、顧客に対して高い性能と信頼性を備えた製品及びサービスを提供しております。万が一、当社グループの製品あるいはサービスに欠陥が発生した場合、その欠陥に起因した損害に対して当社グループは賠償責任を負う可能性があり、また、その欠陥に対して多大な対策費用が発生する可能性があります。さらに、当該問題により、企業ブランドや製品ブランドが毀損され経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ●対応策 重大品質問題を起こさない仕組み・取組みとして、品質に関する責任と権限を担う執行役又は執行役員を議長とする「品質保証責任者会議」を設置し、グループ全体の品質マネジメントを統括しております。品質に起因するリスク極小化と顧客満足度向上に向けた方針・計画の推進・進捗確認、情報共有及び是正・改善に取り組んでおります。さらに、各事業では、品質課題についてPDCAサイクルを徹底することで継続的な品質向上に取り組んでおります。製品品質にかかわる問題が発生した場合は、当社グループ内世界統一の「市場品質速報データベース」に情報を登録することが義務づけられており、登録された情報は即座に品質担当役員と事業責任者へ伝達され、関連部門で共有、必要な対策・情報開示が迅速に行えるようになっております。また、過去に発生した品質問題に対し、原因の解析、対策の実施及び技術・評価基準への反映を行い、再発防止に努めております。また、法的基準よりも厳しい独自の製品安全基準を設け、製品の様々な箇所について詳細に規定し確認を行っております。これらの施策をより確実に実施するため、「製品安全教育」をグループ内に展開し、品質マインドの定着に努めております。 さらに、品質不正を起こさない仕組みとして、当社グループでは「品質不正予防ガイドライン」の策定・運用と定期的診断・監査を実施しております。継続的に、ガイドラインの内容や運用の見直し・強化、グループ本社としての指示や教育・啓蒙、各所における好事例共有などを実施し、運用の徹底を図っております。 また、デジタル社会の進展や当社IoTサービス関連事業の拡大に伴い、セキュリティ事故のリスクも高まっております。当社グループでは、リスクの極小化に向け、サービス事業及びセキュリティ対応に関連する社内規程の運用を強化しております。製品セキュリティ事故発生時の対応と脆弱性への対策・予防として、製品の脆弱性に関する情報を全社で一元管理し必要な対応を推進するとともに、公的機関等とも連携するための全社共通組織として「KONICA MINOLTA PSIRT(注)」活動を展開しております。加えて、AIを活用した製品・サービスの販売も増えており、AI利活用における倫理的・法的な問題発生リスクにも備えた対応を展開しております。 (注)KONICA MINOLTA PSIRT (Product Security Incident Response Team)、当社グループの製品脆弱性対応チーム ③その他のリスク1)人権発生可能性:中発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:中 ●リスク 2011年に国連人権理事会において「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGPs)」が採択されたことにより、各国で人権尊重に関する国別計画(ビジネスと人権に関する国別行動計画)の策定が進められ、例えば英国では現代奴隷法、ドイツではサプライチェーンにおける企業のデュー・デリジェンスに関する法律などが制定されています。グローバルで事業を行う当社グループとしては、このような各国の法規制が制定・強化された場合には、これらに対応するための費用が発生する、法規制に対応する社内整備に工数がかかるなどの可能性があります。また、このような予期しない事態に対応できない場合、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 さらに中国及びASEANに生産拠点、取引先を持つ当社グループでは、サプライチェーンにおいて児童や移民労働者が強制労働、長時間労働等の人権に関する負の影響を受けていることが確認された場合は、生産活動の停滞や企業ブランドや製品ブランドが毀損され、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ●機会 世界各国で人権デュー・デリジェンスを実施することが政府調達要件や製品ラベル取得要件として検討されており、これに対応することは当社グループにとって販売機会の創出につながる可能性があります。 ●対応策 当社は、グローバルに事業を展開する企業として、コニカミノルタグループ行動憲章、コニカミノルタグループ人権方針、コニカミノルタサプライチェーン行動規範において、事業活動における最も基本的な要件の一つとして人権尊重を規定しています。また、これらの方針に基づき人権デュー・デリジェンスを実施し、人権尊重に努めるとともに当社グループの事業に関連するビジネスパートナーやその他の関係者に対しても、人権の尊重を求めています。こうした活動では国連グローバル・コンパクト(UNGC)、レスポンシブル・ビジネス・アライアンス(RBA)行動規範等、グローバルに認知された団体の活動理念を反映させております。 人権デュー・デリジェンスにおいては、UNGPsに基づき当社グループの事業活動や取引の結果、潜在的又は顕在的に負の影響を受けるステークホルダーとその人権課題を抽出し、抽出した負の影響を受けるステークホルダーとその人権課題に対して影響度を評価し、特に優先度が高いと思われる人権課題を特定しております。例えばサプライチェーン(地域住民、先住民を含む)に関しては、サプライチェーン上の強制労働、児童労働、安全衛生等の人権課題に対して当社ではCSR調達の展開をはじめ、責任ある鉱物調達問題への対応をグループ全体で推進する体制を構築することで、負の影響の防止又は軽減に取り組んでおります。 CSR調達の展開においては、RBAのフレームワークに基づいて、自己診断アンケートを使ったCSR診断、CSR監査によるリスク評価と是正を行っております。自己診断アンケートを使用したCSR診断ではアンケートの採点結果により、A~Cの3段階にランク分けし、グループ生産拠点は総合ランクA、取引先は総合ランクB以上を目標として設定しております。目標ランクに達していても、労働(人権)を含め評価が低い項目があった場合は自主的な改善をお願いしております。2022年度において、コニカミノルタグループの生産拠点4拠点、取引先28社で診断を実施し、生産拠点は全て総合ランクA、取引先は全て総合ランクB以上となり、総合ランクB未満と診断されたハイリスクな取引先はありませんでした。 また万が一、人権侵害の申し立てがあった場合には速やかに調査し、人権に対する負の影響を直接的に引き起こした、あるいはこれに関与したことが明確である場合は、社内外のしかるべき手続きを通じて是正策を講じてまいります。 2)大地震・自然災害・感染症等発生可能性:中発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:大 ●リスク 当社グループは、研究開発・調達・生産・販売等の拠点を世界各国に置き、グローバルに事業活動を展開しております。地震・火災・気候変動に伴う大規模な台風・洪水・森林火災等の災害、大規模な感染症の発生、また戦争・テロ行為・サイバー攻撃等が起こった場合、当社グループの設備等が被害を受け、一時的に操業が停止し生産及び出荷の遅れにより、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 特に、首都直下、南海トラフ等における巨大地震の発生においては、その影響度を検討して策定した「コンティンジェンシープラン」においても、被害想定を超えた規模で発生する可能性があり得ると考えられます。 当社グループは、防災対策や事業継続マネジメントを今後も継続して推進してまいりますが、このような事態が発生した場合、機能停止、設備の損壊、電力・水・ガス等の供給停止、公共交通機関や通信手段の停止、サプライチェーンへの被害等による顧客へのサービスの提供や製品出荷等の停止等、当社グループの事業活動の継続に影響を及ぼす可能性があります。 ●対応策 当社グループは、災害や、感染症の発生、戦争・テロ行為・サイバー攻撃等が起こった場合の情報を、危機管理担当役員が集中管理し、従業員の安全を最優先として適切な対応をとる体制を構築しております。 巨大地震をはじめとした日本国内での災害に対しては防災中期計画に基づき、予防・減災対策、応急対策・初動対応、復旧・復興対策の観点でハード・ソフト両面からの対応実践力の強化を図っております。具体的には建物の耐震対策、通信・データ関連の主要サーバーの海外設置、安否確認システム・緊急時情報データベースなどのITによる被災時情報共有基盤の整備等の対策を講じております。大規模災害時には国内に有する約220のグループ拠点について緊急時の情報ネットワークを構築し、被害情報の迅速な収集と、必要な支援や対策を実施できる体制を構築しております。さらに、各拠点で従業員が災害時に命を守るための自律的行動をとれるよう、定期的に実践的な防災訓練や教育を実施するとともに、働き方の変化に対応すべく、ITツールを活用し、テレワーク時においても防災体制が機能するよう整備しております。 また、当社グループでは、事業を継続し企業としての社会的責任を遂行するとともに、顧客が必要とする製品やサービスを安定的に供給するために「コンティンジェンシープラン」を策定し、主要消耗品の生産拠点の分散化によるリスクの低減、調達リスクの高い品目については代替手段の検討、在庫の確保等、対応策の有効性の確認と改善を図っております。各拠点においては、地域の自治体と連携し、自然災害発生時の避難場所や飲料水及び物資の提供等、地域貢献にも努めております。 3)気候変動・環境規制発生可能性:中発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:中 ●リスク 世界全体が低炭素社会へ移行した場合、環境関連の法規制が厳格化するおそれがあり、追加的義務及び費用が発生する可能性があります。ステークホルダーからの再生可能エネルギー調達の要求が高まることにより、投融資を受ける機会及び販売機会の逸失、企業ブランドの低下につながる可能性があります。また、オフィスにおける紙への出力の減少、化石燃料や化石資源の代替化による製造・調達コストの増加なども当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 一方、世界各地で気候変動による物理的影響が顕在化した場合、気候災害による森林資源の被災等により、紙原材料の調達が不安定になり事業機会の損失につながる可能性があります。また、気候パターンの変化など気候変動の慢性的な影響が発現すると、原材料等の供給量が制限又は一時停止することで、当社拠点及びサプライヤーで一時的に操業が停止し、生産及び出荷が遅延する可能性があります。 加えて、大気汚染、水質汚染、有害物質の除去、廃棄物処理、製品含有化学物質、製品リサイクル、容器包装、土壌・地下水汚染等に関する様々な環境法及び規則の適用を受けており、それらの遵守のために必要な経営資源を投入しておりますが、現在及び過去の生産活動、及び開発・販売活動にかかわる環境責任に伴う費用負担や賠償責任が発生する可能性があります。 気候変動に関するリスクの詳細は、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。 ●機会 低炭素社会への移行が加速した社会では、顧客の気候変動に関する課題の解決に貢献することで、事業機会につながる可能性があります。当社グループが培ってきた画像技術とIT技術を融合させ、社会・顧客の移行計画の実現へ貢献する新たなサービスやソリューションを提供することで、売上増大を図ることが期待できます。 中期的には、印刷産業やアパレル産業のサプライチェーンを変革するデジタルソリューション、製品のカーボンフットプリントを低減した機能材料、使用済みプラスチックの分別性・リサイクル率向上に貢献するハイパースペクトルイメージング、インクジェット技術による生産プロセスの変革、企業の環境・サステナビリティ経営を支援するエコシステムを提供してまいります。 短期的には、継続的な省エネルギー活動により自社工場での原価低減に寄与するとともに、環境・エネルギー視点で取引先やビジネスパートナーと連携することで新たなビジネス機会を創出できる可能性があると考えております。 一方で、気候変動の影響が発現する場合においても、事業機会を生み出す可能性があると考えております。 中期的には、異常気象・自然災害による影響を未然に防止し予防保全型インフラメンテナンスを実現する画像IoT・センシングソリューション、災害医療現場で活用できるヘルスケアソリューションなど、社会の新たな需要を取り込むことができると考えております。当社グループでは、こうした社会課題の解決に直結した事業を強化しております。 ●対応策 リスク低減策としては、当社グループでは生産工程の効率化を徹底して追求するとともに、生産技術の開発・改善を進め、CO2排出削減とコストダウンを同時に実現する「サステナブルファクトリー活動」を推進しております。また、自ら培った省エネ技術・ノウハウをデジタル化して提供し、サプライヤーと一体となりエネルギー削減に取り組む「カーボンニュートラルパートナー活動」を通じて、サプライチェーン全体でのエネルギーコスト削減とCO2排出削減の最大化を目指しております。また、再生可能エネルギー100%での事業運営を目指し、国際リーダーイニシアチブ「RE100」に加盟しております。 気候変動による物理的影響が顕在化した場合への適応策として、原材料の供給ルートを粗原料まで遡り把握し、安定供給リスクが高い原材料は、調達先の複数確保や代替材料の検討に取り組んでおります。また、デジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業では、消耗品として供給する部品生産並びに印刷用トナーの生産及び充填を行う当社生産拠点を、日本、欧州、北米に複数展開し、消費地で供給できるレジリエンスの高いサプライチェーン体制を確保するよう努めております。 機会最大化の仕組みとして、サステナブルソリューションを創出し、事業企画や商品企画の段階で気候変動の課題解決への貢献を最大化してまいります。 「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に関連事項を記載しております。 4)知的財産権発生可能性:低発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:小 ●リスク 当社グループは、製品やサービスの開発の中で多くの技術あるいはノウハウを蓄積し、それらを保護するための知的財産権の取得に努めております。しかしながら、一部の地域・国では、知的財産権を保護する制度やその適正な運用が不十分な場合があり、第三者が当社グループの知的財産権を使用して類似製品を製造、販売することを防止できない可能性があります。 また、当社グループでは他社の権利を侵害しないように製品等の開発を進めておりますが、見解の相違等により他社の知的財産権を侵害しているとされ、製品等の開発や販売に支障をきたす可能性や多額の損害賠償責任を負う可能性があります。さらに、現在当社グループがライセンスを受けている第三者の知的財産権の使用が将来差し止められる、あるいは不当な条件に変更される可能性があります。 ●機会 当社グループの事業、製品、サービス等により提供される顧客価値の源泉となる当社独自のビジネスモデル、技術、データ等の知的財産について、特許権等の知的財産権の取得、不正競争防止法によるノウハウ・データの保護要件を満たす管理等、その特性に応じた適切な保護・活用を行うことにより、知的財産を当社グループの持続的な競争優位性の維持、成長のドライバーとしております。なお、各国の産業構造や事業ライフサイクルに鑑み、当社で事業継続するよりも他社で事業化又は事業強化した方がよい場合については、当該事業に関連する特許権等の知的財産権を他社に譲渡又はライセンス供与することにより、産業界全体への貢献及び当社の収益向上を図っております。 さらに、知的財産による社会貢献にも積極的に取り組み、世界知的所有権機関(WIPO)が運営する持続可能な社会の実現を目指す技術移転のための国際的なプラットフォーム「WIPO GREEN」にパートナー企業として参画し、環境技術関連特許群をWIPO GREENに登録することでSDGsの推進に知的財産面から貢献しております。 また、2020年4月には、新型コロナウイルス感染症の対策支援に向けた企業及び大学間の知的財産面でのプロジェクト「COVID対策支援宣言」に発起人として参画し、新型コロナウイルス感染症の診断、予防、治療等を目的とする行為について、特許権等の権利行使を一定期間行わないことを宣言しました。かかるプロジェクトを通じて新型コロナウイルス感染症のまん延終結へ向けた社会全体の取組みを知的財産面から支援しております。 ●対応策 当社グループは、技術等を保護する知的財産権(例えば特許権)を適切に取得・執行することが困難な国・地域においては、商標権等に基づいて、行政機関と協力し模倣品の押収や輸入差し止めを行う、運営業者と連携し模倣品取扱業者の電子商取引(EC)サイトへの出店差し止めを行うなど、様々な方法により類似製品の流通阻止に努めております。 また、他社の知的財産権に関しては、製品開発の各フェーズにおいて入念な調査・確認を実施し、他社の知的財産権を侵害していないことを商品化の要件としております。万が一、見解の相違等により他社から知的財産権の侵害を指摘された場合やライセンス条件の変更等に備え、非侵害の主張やライセンス条件等の交渉・訴訟対応を行うための専門人財を当社知的財産部門に配置するとともに、経験豊富な国内外の弁護士と連携し、事案の内容に応じて適切に対応する体制を整えております。 これらのリスク対応に加え、知的財産が他社参入障壁の有効なツールであるとの認識に基づき、当社グループの事業成長及び事業ポートフォリオ転換を知的財産面から推進するため、各事業の特性や事業ポートフォリオ上の位置付けに対応して事業ごとに知財戦略を構築し、戦略に沿った知財投資及び知財活動を実行しております。また、これらの知財戦略構築や知財活動の実効性を高めるため、知財人財育成のための戦略と施策を策定・実行し、専門知識・スキルとビジネスセンスを兼ね備えた知財プロ人財の育成に努めております。 5)人財確保発生可能性:中発生する可能性のある時期:3年以内影響度:大 ●リスク 当社グループの新規事業を中心とした将来的な成長には、優秀な人財の継続的な獲得が欠かせないと認識しております。特に、今後の当社グループの成長を担うインダストリー事業については、新たなサービス創出を構想し実行するマーケティング人財やプロダクトマネジャーの増強が必要となります。 また、インダストリー事業の根幹を支える材料エンジニア、メカトロニクスエンジニアに加え、データを活用するサービスビジネスに欠かせないITエンジニアの増強が必要となります。計画どおりに人財の強化が進まない場合、インダストリー事業の成長が遅れ、当社グループの損益に影響を及ぼす可能性があります。 ●機会 当社グループは、様々な製品を創り出しており、多様な技術領域を有しています。こうした多様な技術は多くの技術系人財をひきつける強みになっております。今後、当社グループが成長していくためには、数多くの顧客やサプライヤーとの「win-win」の関係をさらに強固にし、データビジネス等の新規サービスビジネスを拡大していく必要があります。これらのビジネス拡大にはIT人財の獲得が必須ですが、製品とサービスとの組合せ、材料技術とIT技術の組合せに魅力を感じるIT人財は人財マーケットに多く存在していると考えております。 また、当社グループが有する豊富な顧客は、その存在そのものが、当社グループのデータビジネス展開を有利に進める基盤となっており、データ分析に魅力を感じる優秀なIT人財を獲得できる機会につながると考えております。 さらに、副業やテレワーク、コア時間のない裁量労働等、従業員に柔軟な働き方を認めている点も、当社グループの魅力として訴求できる点になります。 ●対応策 IT人財の獲得にあたり、データサイエンスやAI開発、アーキテクチャ開発等、多くの長期インターンシップを実施しております。この中で、社内研究開発テーマに取り組みジョブマッチングを向上させるとともに、当社の持つ魅力を対象者に感じ取っていただくことにより、人財獲得に成功しております。 画像IoT開発にあたっては、比較的手薄であった関西地区に2020年10月、高槻サイトに「Innovation Garden OSAKA Center」を新設し、本格的な拠点展開を図っております。 さらに、海外の大学から専門性の高い外国籍IT人財を10年以上にわたり継続採用しており、インド工科大学へのリクルート活動に加え、2022年度からはベトナムのハノイ工科大学、ベトナム大学等にも活動を開始しております。これらの活動は、優秀なエンジニアの獲得につながるとともに、日本人の技術者にも大きな刺激となっております。 IT人財の育成では、社外からの採用のみに頼ることなく、社内育成にも力を入れております。社内におけるIT人財の認定制度を設け、各人財が目指すべきハードルを明確にしたうえで、それに対して必要となるスキル教育プログラムを用意しております。2024年度までに1,000名のIT技術者を育成する計画になります。 さらに、人事制度を見直し、管理職制度の中に「エキスパート」職を新設しました。これにより、ITを含めた専門人財のキャリアアップの道筋を明確化しております。 6)情報セキュリティ発生可能性:高発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:大 ●リスク 昨今、企業を狙ったサイバー攻撃の攻撃手法が高度化、巧妙化しており、中でも、ユーザーアカウントのログオン認証を窃盗し、集中管理されている社内ネットワークに侵入し管理者権限を奪取、不正操作を行うといった被害事例が、国内外で多数発生しております。 当社グループにおいても、サイバー攻撃により管理者権限が奪取された場合、不正操作等により、技術、営業秘密、人事等にかかわる当社グループの秘密情報が第三者に漏えい、不正に使用される等の重大な情報セキュリティインシデントが発生する可能性があります。この場合、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ●機会 当社グループは顧客のセキュリティ対策強化の支援にも注力しております。IT管理のサービスとしてネットワークやアプリケーションの脆弱性の監視・管理サービス、リスクアセスメントを行うとともに、複合機からの情報漏えいを防止するためのデータの暗号化、パスワード設定やログ管理の機能、設定状況の監視と通知サービスを行う「bizhub(ビズハブ)SECURE」をグローバルに展開しております。 「bizhub iシリーズ」には、社内ネットワークへのウイルス拡散を防止するため、全ての文書・FAXデータのウイルスをチェックする機能を搭載しております。 また、米国のIT管理サービスにおいては、顧客のファイヤーウォールに対して専門家が疑似ハッキングをすることにより脆弱性を診断するサービスも行っております。 ●対応策 情報セキュリティについて、ネットワークの監視を行い、多様化する攻撃によるサービス停止の早期発見に努めるとともに、定期的にネットワーク侵入テストを実施し、悪用される脆弱性を早期確認する対応を行っております。また、攻撃への備えとして、サイバー保険に加入し、事故発生時の対応フローを整備、当社グループ全体を網羅したセキュリティ推進体制において速やかに対処できるようにしております。 新型コロナウイルス感染症の収束以降も在宅勤務を継続する従業員向けに、セキュリティに配慮した物理的な勤務環境を提供するために、外部からの不正アクセス防止のため暗号化通信によるセキュアなネットワーク環境と会社支給パソコン以外の会社のネットワーク接続制限を実現しております。情報漏えい等の注意喚起のため、在宅勤務における情報セキュリティの徹底について、従業員への教育等の対策を講じております。 さらなる対応強化のため、包括的セキュリティマネジメント体制(Security Management Office)のもとグループ各社に対しグローバルセキュリティ基準を制定し、個社ごとのセキュリティ対応レベルの向上を通じグループ全体のセキュリティレベル向上を実現してまいります。 (4)継続企業の前提に関する重要事象等 当社グループは、当連結会計年度において、多額の減損損失を計上した結果、3期連続での営業損失となり、当連結会計年度末において、複数の金融機関と締結している一部のシンジケートローン契約等に付されている「2期連続して営業損失を計上しないことを確約する」とする財務制限条項に抵触しましたが、期末日後において、当該抵触を理由とする期限の利益喪失請求を行わないことについて該当する全ての金融機関より承諾を得ており、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。
FY2022|26,586 文字
2【事業等のリスク】(1)当社のリスクマネジメント体制 当社は、当社グループの事業活動に関する諸種のリスク管理を所管するリスクマネジメント委員会を設置し、リスクマネジメント委員会規則に従い、取締役会で任命された執行役及び執行役員が以下のリスク管理体制の構築と運用にあたっております。 当社グループの事業活動に関する事業リスク及びオペレーションリスクについては、執行役及び執行役員の職務分掌に基づき各執行役及び執行役員が、それぞれの担当職務ごとに管理することとし、リスクマネジメント委員会はそれを支援しております。また、リスクマネジメント委員会は、グループ経営上重要なリスクの抽出・評価・見直しの実施、対応策の策定、管理状況の確認を定期的に行っております。 (2)当社のリスクマネジメント体制の運用状況 当社は、リスクマネジメント委員会を定期的(年2回)及び必要に応じて臨時に開催しております。この委員会では、企業活動に関して抽出されたリスクとその対応策を策定するとともに、リスクマネジメントシステムが有効に機能しているかどうかの検証・評価を行っております。2021年度は、同委員会を2回開催し、主に米中摩擦に起因するグローバルでの保護主義的な潮流及び米中のハイテク冷戦に対し、事業に影響度の高い国・地域に適用される制裁や新たな法規制等の定期的なモニタリングを実施しました。2019年度末から影響が拡大した新型コロナウイルス感染症に関しては、感染拡大による経営環境への影響を同委員会で体系的に整理し、情報を共有し、各リスク項目の対応状況を確認しました。 また、リスクマネジメント委員会の協議内容は定期的に監査委員会に報告しております。 なお、取締役会へは必要に応じて報告が行われ、取締役会を構成するメンバーに月次の報告が行われております。 地震・台風などの自然災害や火災・爆発などの災害が発生した場合、あるいは、事件・事故などの不祥事案件が発生した場合の対応を誤ると、企業価値の毀損につながる可能性があります。また、インターネットやSNS上の書き込みなどで、企業が批判を受けるリスクが高まっており、ウイルス感染などは一企業のみならず、社会への影響が懸念され、また伝播する速度も速いために、一刻も早い情報収集と、速やかな対応が必要です。さらに、当社の事業領域が製品の販売からITサービスへも広がる中、上記リスクは高まる傾向にあります。 当社では、リスクが顕在化し企業価値に大きな影響を及ぼす状況を「危機(クライシス)」と定義し、クライシス発生時には上長経由で担当役員と危機管理担当役員へ報告し、さらに担当役員と危機管理担当役員は、代表執行役へ報告を行います。様々なリスクによって発生するクライシスに対し、当社は迅速・適切に対応するためにクライシス発生時の報告ルールを設け、執行役及び執行役員や当社子会社役員等に周知しております。その報告ルールに沿って、世界各地で発生した災害事故、その他のクライシスに関する情報を危機管理担当役員が集中管理しております。 2021年度は、当社グループ会社である株式会社コニカミノルタサプライズの辰野工場における爆発事故について、最高責任者である代表執行役のもと、危機管理担当役員を委員長とする危機管理委員会及び社内臨時体制により、事故発生の原因究明を第三者機関も交え徹底的に行い、確実に安全な生産体制を実現すべくリスクアセスメントを行った上で、問題がないことを確認し、新工程によるトナー生産を再開しております。 (3)事業等のリスク 当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を与える可能性がある主要なリスクとして、以下で記載しておりますが、これらのリスクは必ずしも全てのリスクを網羅したものではなく、想定していないリスクや重要性が低いと考えられる他のリスクの影響を将来的に受ける可能性もあります。 また、当社は、リスクを「組織の収益や損失に影響を与える不確実性」と捉えております。リスクを単にマイナスの側面からだけではなく、「機会」としてのプラスの側面からも捉えたうえで、リスクマネジメントを「リスクのマイナス影響を抑えつつ、リターンの最大化を追求する活動」と位置付けております。 リスクへの対応と機会の考え方は、以降、個々のリスクの項目の中に記載しております。 記載事項のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において入手可能な情報等に基づいて、当社グループが判断したものであります。また「新型コロナウイルス感染症の影響」に関する事項については、本記載項目の最後にセグメントごとにまとめて記載をしております。なお、当該事項のうち将来に関する記載事項は2022年4月末現在において当社グループが判断したものであります。 最初に、各リスク項目をリスクマップ上にプロットした図を掲載いたします。 なお、「発生可能性」については、3年以内に発生する頻度・確率より評価。「影響度」については、発生した際に営業利益へ与える影響より評価しております。 また、「発生可能性」と「影響度」について、前年度より評価が変更されているリスクは、評価欄に矢印を用い、2020年度と2021年度の評価を記載しております。 ①経済環境に関するリスク1)経済動向・市場環境発生可能性:高発生する可能性のある時期:1年以内影響度:大 ●リスク 当社グループは、複合機やデジタル印刷システム、ヘルスケア用機器製品や遺伝子診断・創薬支援等、計測機器や光学部材、ディスプレイ材料及び関連サービス等を世界中の顧客に向けて提供しております。これらの事業の売上及び損益は各国の景気動向や事業環境に大きく影響を受けます。 当連結会計年度は、各国の経済政策やワクチン接種者の増加により、世界経済は回復基調を維持しているものの、世界的な経済活動の本格的な再開に伴い、半導体を中心に電子部品が不足するなど、グローバルサプライチェーン上の問題が発生し、また、2021年末にかけて物価上昇圧力が一段と強まりました。 米国経済は、雇用・所得環境の改善により総じて回復基調を維持しましたが、経済活動回復に伴う需要増加による資源価格の高騰、供給網の混乱による需給の不均衡や労働市場の人手不足などの影響によりインフレ率の上昇が続き、米連邦準備制度理事会(FRB)はインフレ抑制に向けて金融緩和の縮小ペースを加速させています。 また、欧州連合(EU)では、感染対策と経済活動を両立する動きが続けられ、変動を繰り返しながらも景気回復基調は維持されましたが、ウクライナ情勢の緊迫化を受け、ロシアからの天然ガス供給は不安定な状況が続きました。 中国は、不動産市場の冷え込み、ゼロコロナ政策下の経済活動抑制から成長減速が継続しています。特に、2022年3月より中国の主要都市で実施されたロックダウンは、供給面での制約となり、中国内外の物流にも悪影響を与えています。 昨今のウクライナ情勢が、世界各国の安全保障並びに経済活動に大きく影響し、ロシアが主な輸出国である天然ガスなどの資源エネルギー、ウクライナが主な輸出国である半導体製造用ネオンガスなどの物資の供給が滞ることにより、今後、エネルギー価格の高騰、更なる半導体不足が加速するリスクがあります。また、ウクライナ情勢による欧州を中心とした物流ルートの変更及びロシア産原油の禁輸措置による原油の高騰は、物流コストの高騰につながります。このような地政学的リスクが継続した場合、当社事業に影響を及ぼす可能性があります。 今後の世界経済は、防疫と経済活動の両立が進む中で景気回復を持続するとみられますが、世界経済の回復ペースは、ウクライナ情勢前と比べて大幅に鈍化し、同情勢のもたらす経済損失は、2022年に世界の経済成長が減速する要因となるほか、欧米での高い物価上昇圧力や米国金融政策、中国のゼロコロナ対策などが引き続きリスク要因として懸念されます。 また、新型コロナウイルス感染症は、国・地域によって差はあるものの、変異株が出現するなど依然として感染拡大の懸念を残しており、米中の覇権争いに起因するハイテク冷戦の影響なども引き続き懸念されます。 各国の経済活動が停滞した場合、顧客の投資抑制や経費削減、消費低迷を引き起こし、結果として当社の予想を超えた在庫増加や競争激化に伴う販売価格の下落、新たな機器設置数の減少等、将来にわたり当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響については、④「新型コロナウイルス感染症に関するリスク」に詳細を記載しております。 2)為替レートの変動発生可能性:高発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:中 ●リスク 当社グループは、高い海外売上高比率が示すようにグローバルに事業活動を展開しており、為替レート変動の影響を大きく受ける状況にあります。また、外貨建ての取引から生じる当社の資産及び負債の円貨額や海外子会社の外貨建財務諸表から発生する在外営業活動体の換算差額も変動するおそれがあります。ユーロにつきましては、為替レートが1円円安に変動した場合、欧州での利益増により、営業利益に約4億円のプラスの影響を与えます。人民元も同様に、1円円安に変動した場合、中国での利益増により、営業利益に約13億円のプラスの影響を与えます。一方、米ドルについては、1円円安に変動した場合、調達・製造コスト増等により、営業利益に約3億円のマイナスの影響を与えます。 ●対応策 為替レート変動の影響を軽減するため、米ドル、ユーロ等の主要通貨では為替予約を中心としたヘッジを行っております。米ドルにつきましては、米ドル建ての調達と米ドル建ての売上を相殺することにより影響を軽減しております。また、2020年10月に、グループ間決済の一部について、金融機関が提供するネッティングシステムの利用を開始し、2022年3月までに全世界への拡大をほぼ完了しました。グループ間決済における支払タームを統一することにより為替エクスポージャーを削減し、子会社が持つ為替変動リスクを当社へ集約することにより為替リスクの集中管理及び効率的なヘッジを行うことを目的としております。②事業活動に関するリスク1)デジタルワークプレイス事業 プリント環境の変化に関連するリスク発生可能性:高発生する可能性のある時期:1年以内影響度:大 ●リスク 先進国を中心としたオフィスにおいては、紙に代わる情報共有の手段としてタブレット端末やスマートフォン等のデジタル機器の普及加速に加えて、ワークスタイルの変化により、オフィスにおける紙への出力機会が徐々に減少するリスクがあります。それに加えて、新型コロナウイルス感染拡大によるテレワークの普及が、このリスクの顕在化を加速させることも懸念されます。こうした顧客の変化に対応ができない場合、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ●機会 先進国を中心に紙文書のデジタル化が進み、複合機のスキャン需要やプリント出力のセキュリティ対応や管理強化等のオフィスソリューションのニーズが高まっております。加えてマネージドITサービスや、情報の管理・編集を支援するコンテンツマネジメントサービスの市場も拡大基調にあります。 また、日本市場においては電子帳簿保存法の改正に伴う中小企業の文書電子化やデジタル庁創設に伴う自治体のDX推進などの機会が増え紙文書のデジタル化に対するIT投資が活性化すると予想しております。 ●対応策 当社グループでは先進国オフィスでの出力機会の減少リスクに対処するために、複合機を活用したスキャンサービス、ドキュメントマネジメントサービスの拡大に努めてまいります。またプリント管理サービスにおいても従来のオンプレミス型からクラウド型の対応を行うことでシステム構築のコストを抑えることが可能となり、中小の顧客に対してもサービス導入が容易になります。また、中国・インドをはじめとするまだ成長余力のある国・地域においては、引き続きカラー複合機の設置拡大に取り組んでおります。これらの活動を通じてオフィスでの出力減少による収益減少を最小化する取組みを展開しております。 また、自治体のDX推進にも取り組んでおり、コア業務とノンコア業務の識別、ノンコア業務のワークフロー改善にAI-OCRやRPAの導入による自動化やプロセスの標準化を提案し、自治体職員の方々の生産性向上に貢献しております。2021年10月に子会社を設立し、さらに2022年3月には株式会社チェンジとの合弁に向けた会社を設立し、当該領域の事業拡大に取り組んでおります。 以上のようなオフィスにおける出力減少のリスクに対するデジタルワークプレイス事業としての対応に加えて、当社グループとしてオフィスユニットと並ぶ収益の柱を構築していくために、プレシジョンメディシン、計測機器、産業印刷、画像IoT分野への積極的な投資を展開しております。 2)各国・各地域の規制発生可能性:高発生する可能性のある時期:1年以内影響度:中 ●リスク 当社グループの事業活動の多くの部分は、北米、欧州及びアジア諸国といった日本国外で行われており、その国や地域固有の法制、規制や承認手続きの影響を受けております。米国と中国の貿易摩擦に端を発する相互関税の引き上げ、技術輸出規制などの経済措置の動向には常に十分な注意を払っておりますが、将来、各国の政府や国際的枠組による規制、例えば税制、輸出入規制、通貨規制、個人情報保護規制、デジタル関税、その他各種規則等が新規に導入される、又は変更された場合には、これらに対応するための費用が発生し、事業活動に支障をきたす可能性があります。特に、個人情報保護規制については、巨大IT企業でのターゲティング広告への規制法案や欧州GDPRなど、各国で法制化、罰則が強化され、当社で推進しているDX関連事業への影響が高くなります。 さらに、主要国における予期せぬ戦争状態等の発生により、それに対する各国の制裁措置が発動された場合、当社グループが予期しない法制、規制や承認手続きなどの変更に直面するリスクがあります。 また、当社グループのヘルスケア事業では、事業活動を行っている各国の様々な医療制度や許認可の手続きの影響を受けております。医療制度改革等によって、予測できない大規模な医療行政の方針変更が行われ、その環境変化に速やかに対応できない場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ●機会 新制度導入や制度改定による市場参入要件の新設・変更に迅速に対応することで、当社にとって販売機会創出あるいは事業継続強化の可能性があります。特に、環境法規制への対応、個人情報保護や情報セキュリティに関する規制への対応は、当社が強みとする環境経営やITサービス・ソリューションに追い風になるものと認識し、対応を進めております。 ヘルスケア事業では、各国医療政策の情報収集、専門学会等との連携により対応を行なっております。医療政策による先端技術の導入は新たな市場創出へとつながります。 ●対応策 各国・各地域の法律・規制の動向、及び地政学的リスクの変化には、常に十分な注意を払い、情報の収集に努めております。各エリアの法務担当者と連携し、海外各地域の実情を把握し、必要に応じ、弁護士、コンサルタント等、専門機関の協力を得て、国あるいは地域ごとにリスクを判断し、対策を講じております。 ヘルスケア事業は、近年では、診断向上や医師の負担軽減に役立つAIを用いた画像診断の利用が、新型コロナウイルス感染症をきっかけに増大し、かつ、医師偏在の課題解決につながる遠隔医療、未病・個別化医療のニーズを背景にした遺伝子検査等への期待が高まっております。また、がん領域、アルツハイマー病などの新薬開発においては画像診断の活用が重要であり、高度な創薬支援技術(イメージングCRO)が必要とされております。当社のグローバルな顧客基盤を活用し、先進国、新興国の各国の医療事情に応じた対応を進め、最先端の医療サービス実装に向けた取組みを進めてまいります。 3)次世代技術変化発生可能性:中発生する可能性のある時期:3年以内影響度:中 ●リスク 温暖化による気候変動・長期化する新型コロナウイルス感染症の拡大・デジタル革命といったグローバル規模での中長期トレンドの進行に伴い事業環境が大きく変貌する中で、革新的な技術は企業間の競争優位性に大きな影響を持つことが予想されます。当社グループにとって他社に先んじた技術革新は重要な競争優位の源泉ですが、競合他社が先行して類似技術や代替技術を開発し事業活用する可能性があります。グローバルかつ広範な視点で競争優位になり得る革新的技術を開発対象として見定め、迅速・柔軟に市場に提供できなければ、長期にわたり市場でのポジションを喪失する等、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ●機会 はじめに、グローバルかつ広範な技術理解に基づいて、競争優位を確立し得るコア技術を的確に見定める能力が重要と考えられます。次に、対象となるコア技術にデジタル技術を駆使して迅速に開発する能力が、開発競争に先んじるためには必要です。さらに、事業に必要な技術を全て自社で用意するのではなく、社外と連携しエコシステムを自ら迅速に再編し柔軟に対応する能力が欠かせないと認識しております。 当社グループの技術開発力と、各事業において優れた技術を持った企業との連携により、多様化する顧客課題に対応し解決策を導き出す機会を通して、社会に価値を提供できる企業への変革に取り組んでおります。 ●対応策 当社グループは、材料・光学・微細加工・画像の4分野のコア技術とIoT・AIに代表されるデジタル技術というユニークで幅広い技術ポートフォリオを有しております。研究開発拠点が相互に連携して、幅広い技術横断視点で競争優位を確立するためのコア技術を見定め、マテリアルズ・インフォマティクス等データ駆動型の開発手法を駆使して迅速にコア技術を開発してまいります。コア技術とIoT・AIを融合した「見えないものを見える化する技術」をプロダクトとして具現化、デジタルワークプレイス、プロフェッショナルプリント、ヘルスケア、インダストリー各事業を通じて顧客に提供します。また、当社の技術戦略やコア技術資産を外部に積極的に発信し、環境デジタルプラットフォームや画像IoTプラットフォーム「FORXAI(フォーサイ)」を介して大学、研究機関、スタートアップ等の幅広いパートナーとエコシステムを構築してまいります。 これらの対応によって当社グループは気候変動・新型コロナウイルス感染症の拡大・デジタル革命に伴う社会課題の解決に向けたイノベーションを起こし、次世代技術変化のもたらすリスクに対応してまいります。 4)新製品への移行発生可能性:低 → 中発生する可能性のある時期:3年以内影響度:大 ●リスク 当社グループが事業展開する分野は、ハードウエア・ソフトウエアの急速な技術的進歩による製品・サービスに求められる機能の汎用化が早く、製品ライフサイクル期間内であっても性能・サービスの内容・機能の改善が求められる事業分野です。このため、顧客・市場ニーズに対応するため常に革新的な技術開発に挑戦し、多くのリソースを投入し研究開発を行っておりますが、新製品・新サービスへの移行には多くのリスクが内在しております。開発又は生産の遅延、量産初期段階での品質問題、製造原価の変動、新製品導入に伴う現行製品への販売影響、半導体・部品・材料の調達影響など当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、競合他社から当社新製品・新サービスと類似製品・サービスが先行投入されるなど競合他社の新製品・新サービス市場導入時期により当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ●機会 新製品への移行にとらわれず、取り組んだ技術開発成果を順次、バージョンアップという形式でリリースするプロセス実行比率が増加しております。単に機能の向上や重要問題の対策に留まらず、バージョンアップを起点に製品コストダウン、製造中止を含めた調達困難な部品・材料の切り替え、メンテナンス性の改善を積極的に進め、既存製品であっても常に競争力を失わない取組みを実施しております。 ●対応策 当社グループは、新製品・新サービスへの移行・展開において、開発初期の段階から量産に至る各ステップで、試作品、量産前製品、量産品それぞれに対する製品仕様、要求品質、製造コスト、各種規制準拠(安全・環境・セキュリティなど)を中心とした検証とゲート管理を徹底し、最大限の取組みを行っております。特に新製品への切替時期におきましては、開発・生産・品質保証の各部門が一体となった管理体制を敷き、顧客に不利益が生じないことを第一に、その後のサービスを含め顧客価値を高める活動を行っております。 また、各事業分野において顧客満足度を継続的に高め、顧客ロイヤリティを向上させる一方、競合に対して競争力のある新製品・新サービスの計画的な市場導入を進めております。市場変化の激しい状況下を考え、常に市場動向を観察・分析しタイムリーな計画変更を実施してまいります。例えば、デジタルワークプレイス事業では、複合機を中心に顧客のワークフローの診断・改善につながるソリューションを、プロフェッショナルプリント事業では、デジタル印刷をけん引しジャンルトップとなる競争力の高い商材・サービスを提供してまいります。 5)他社との協業、企業買収等について発生可能性:中発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:中 ●リスク 当社グループは、事業競争力の強化あるいは効率化の観点から、他社との協業、資本提携・企業買収等を進めております。 企業買収等に伴い、のれん及び無形資産を計上しており、定期的に減損テストを実施しております。事業環境の変化に伴い、買収対象会社に係る将来キャッシュ・フローの低下が見込まれた場合などでは、減損損失を認識する可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 ●機会 当社グループが実施する他社との協業や企業買収等は、事業競争力強化や効率化を目的とするものであり、事業ポートフォリオ強化にとって有効な手段であると考えております。双方が有する技術、製品、顧客基盤、人財等の経営資源を有効活用していくことにより、持続的な事業成長の機会が得られると認識しております。 ●対応策 当社グループは、他社との協業や企業買収等に際して、当社との戦略的適合性、計画の蓋然性、投資額の妥当性、リスク対応等の観点から投資評価を行った上で、投資の可否を見極めております。具体的には、投資回収期間及び投資額等の妥当性判断のため、投下資本に対する期待収益指標として事業別のハードルレート及び中期経営計画ごとの全社加重平均資本コストを基準の一つとして設定しております。 また、投資実施後のモニタリングとして定期的に投資レビューを実施し、上記の加重平均資本コスト及びハードルレートの達成状況に加え、収益性、市場成長等の観点から投資案件ごとの当社企業価値への貢献状況を見極め、投資時点の計画からの変化に対しても迅速に対策を講じられるようにしております。 6)生産・調達等発生可能性:高発生する可能性のある時期:1年以内影響度:大 ●リスク 当社グループの主力事業であるデジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業及びインダストリー事業では、コスト競争力強化と市場への迅速な製品供給のために海外での生産活動を継続しており、重要な活動拠点の一つに中国があります。中国におきましては経済発展とともに法制面改革やインフラ整備等も進んでおりますが、法的な変化、労務政策の難しさ、人件費の上昇、人民元の切上げ、輸出入規制や税制、環境規制の変更等予測困難な事態が発生する可能性があります。主力事業の生産活動の一部を中国で行っている当社グループにとって、これらのリスクに対処できない場合は、当社グループの業績及び成長戦略に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、特定の製品、部品や材料、及びエネルギーを世界中の複数のサプライヤーから調達する方針を取っております。それらのサプライヤーに不測の事態が発生した場合、当社グループの生産及び供給能力に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの生産活動において使用する鉄やアルミニウム等の金属製品、原油を原料とする石油化学製品、レアアース等の希少天然資源等の原材料価格、及びエネルギー価格の高騰により業績に影響を及ぼす可能性があります。特にウクライナ情勢によって、原材料価格・エネルギー価格に加え物流費の高騰が顕在化しており、その長期化によって影響がさらに大きくなる可能性があります。 また、新型コロナウイルス感染症の局所的又は全世界的な感染拡大は、当社グループ内の生産、サプライヤー生産、物流網に至るサプライチェーン全体に影響を与えたことから、今後も新型コロナウイルス感染症の拡大状況によっては、サプライチェーンに影響を及ぼす可能性があります。 さらに世界的なインフレによる生活費上昇等の影響により、各国の最低賃金切り上げによる労働者の賃金上昇リスクが高まっており、生産コストの上昇につながる可能性があります。 (株式会社コニカミノルタサプライズ辰野工場における爆発事故について) トナーを生産しているグループ会社の株式会社コニカミノルタサプライズ辰野工場で発生した爆発事故によりトナー供給リスクが顕在化しました。その後、事故原因の究明・再発防止策を実施し、確実に安全な生産体制を実現した上で生産と供給を再開し、現在、事故前の水準までトナー生産能力は順調に回復しております。今後、事故によって減少したトナー在庫を安全水準まで回復させるべく、生産効率の向上など、更なる能力増強策を進めてまいります。 ●対応策 当社グループは、生産に関するリスクへの対応及び事業環境の変化に対する柔軟性を向上させるため、日本、中国、マレーシアにおいて製品組立の生産拠点を展開しており、特に近年様々な面で高まりを見せる中国のカントリーリスクへの対応として、生産規模の大きい主力製品を中心に中国外生産の比率を高めております。 主力事業であるデジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業の消耗品における部品生産及び印刷用トナーの充填を行う拠点として、欧州、北米にも自社生産拠点を展開し、消費地生産による需要変動への柔軟性を確保しております。 また、主力調達地域である日本、中国、ベトナム、マレーシアにその活動に特化した部門を設置し、調達に関わる各地域の規制、制限、変化などの情報を収集することで、対応の迅速化を図っております。また、サプライヤーでの品質、生産性向上を含めたコストの競争力を高めるためのコラボレーション活動を推進しております。具体的には、品質改善活動をサプライヤーと協業して行うこと、また、当社が保有する生産工程の自動化などの生産技術をサプライヤーに導入することで、生産性の向上と品質、コストの競争力を高めております。 さらに、主要原材料、電子部品に対し集中的な調達を行い、市況、市場、業界変動の中でも品質、供給、コスト競争力を維持する活動を行っております。ウクライナ情勢に起因する原材料価格・エネルギー価格高騰に対しては商社・サプライヤーとの連携を密にして先読み対応し、調達リスクを回避するとともに価格高騰影響を最小化するよう取り組んでまいります。 BCP管理体制を開発・品質保証・調達・生産で連携して構築し、活動を継続しております。サプライヤーの材料調達状況、生産稼働状況、出荷などの物流状況を迅速に把握し、早期の課題対応を推進しております。 また、部品のエリア調達へのシフト加速と代替品の評価・検証から生産投入に至る一連の活動を、開発、生産、品質保証において最優先課題として対応し、リスク回避を継続しており、これらによる事業への影響を抑制しております。 7)グローバルサプライチェーン発生可能性:高発生する可能性のある時期:1年以内影響度:大 ●リスク 当社グループの生産、販売活動の多くの部分は日本国外で行われており、サプライチェーンもグローバルに展開しております。各国・各地域の物流上の問題が当社グループのグローバルサプライチェーン全体に波及し、供給遅延により当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは中国・ASEANでの生産が多く、その拠点からグローバルに供給を行っております。欧米を中心とした新型コロナウイルス感染症の感染拡大下における経済活動優先策により輸出物量は増加しており、各国・各港でコンテナ船のスペース不足、輸送コンテナ不足が発生、長期化しています。さらに各国港湾における新型コロナウイルス感染症拡大の影響により不定期に荷役作業が停滞し、輸送遅延が発生、継続しており、影響の拡大リスクがあります。 製品の到着地である欧米各港では、輸入物流増加により港湾の作業が追い付かず、コンテナ船の到着遅延が慢性化しております。また、各港でコンテナヤードの混雑が発生しており、当社グループ販売拠点の倉庫への入荷も遅延が発生しております。今後、更なる輸出入物量の増加、並びに、米国西海岸労使交渉決裂によるストライキが発生すると、これまで以上に国際輸送リードタイムが長期化する可能性があります。結果、販社拠点での在庫不足が発生し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、ウクライナ情勢により、欧州向け航空輸送サービス減少の懸念があり、長期化した場合、航空便を利用した緊急出荷に影響するリスクがあります。さらに中国のゼロコロナ政策による活動制限、特に上海市での影響から、港湾、空港での混雑により輸出物流が滞り、販売拠点への供給に大きなリスクがあります。 ●対応策 当社グループの主力事業であるデジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業では、物流実態に応じた販売拠点の在庫見通しシミュレーションを適宜実施しております。将来の在庫見通しに応じて、各地域への供給量の振り分け、物流ルートを柔軟に変更するなど、販売への影響を回避しております。 また、物流上の問題に対しては、従来取引があるフォワーダーに加えて、各地域のフォワーディング会社と新規の取引を開始し、船のスペース、輸送用コンテナの確保に努めております。また、欧州ではギリシア、北米ではカナダ、メキシコの港を荷揚げ地として新規に設定することにより、輸送リードタイムの短縮を図ると共に、米国西海岸労使交渉決裂によるストライキリスクを最小化しております。 ウクライナ情勢の影響の回避策として、欧州向けの航空貨物用スペースの一部をチャーターしており、定期的に航空輸送できる体制を構築しております。 また、上海市における活動制限の影響を受けた港湾課題についても、フォワーディング会社の拡大、上海以外の輸出港の利用、生産拠点からの貨物の優先付けを行い、物流上のリスク回避に努めております。 当社グループでは、必要なものを必要な時に必要なだけ必要なところへ供給できる、柔軟な物流体制を構築し、引き続き、顧客の満足度向上に努めてまいります。 8)製造物・品質責任発生可能性:低発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:中 ●リスク 当社グループは、国内外のグループ会社や生産委託先にて厳格な品質保証体制を構築し、顧客に対して高い性能と信頼性を備えた製品及びサービスを提供しております。万が一、当社グループの製品あるいはサービスに欠陥が発生した場合、その欠陥に起因した損害に対して当社グループは賠償責任を負う可能性があり、またその欠陥に対して多大な対策費用が発生する可能性があります。さらに当該問題により、企業ブランドや製品ブランドが毀損され経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ●対応策 重大品質問題を起こさない仕組み・取組みとして、品質に関する責任と権限を担う執行役又は執行役員を議長とする「品質保証責任者会議」を設置し、グループ全体の品質マネジメントを統括しております。品質に起因するリスク極小化と顧客満足度向上に向けた方針・計画の推進・進捗確認、情報共有及び是正・改善を行います。さらに各事業では、品質課題についてPDCAサイクルを徹底することで継続的な品質向上に取り組んでおります。 製品品質に関わる問題が発生した場合、全世界グループ統一の「市場品質速報データベース」に情報を登録することが義務づけられており、登録された情報は即座に品質担当役員と事業責任者へ伝達され、関連部門で共有、必要な対策・情報開示が迅速に行えるようになっております。また、過去に発生した品質問題に対し、原因の解析、対策の実施及び技術・評価基準への反映を行い、再発防止に努めております。また、法的基準よりも厳しい独自の製品安全基準を設けて、製品の様々な箇所について詳細に規定し確認を行っております。これらの施策をより確実に実施するために、「製品安全教育」をグループ展開し、品質マインドの定着に努めております。 さらに、品質不正を起こさない仕組みとして、当社グループにおいて「品質不正予防ガイドライン」の策定・運用と定期的診断・監査を実施しております。継続的に、ガイドラインの内容や運用の見直し・強化、グループ本社としての指示や教育・啓蒙、各所における好事例共有などを実施し、運用徹底を図っております。 また、デジタル社会の進展や当社IoTサービス関連事業の拡大に伴い、セキュリティ事故のリスクも高まります。当社グループではリスクの極小化に向け、サービス事業及びセキュリティ対応に関連する社内規程の運用を強化しております。製品セキュリティ事故発生時の対応と脆弱性への対策・予防として、製品の脆弱性に関する情報を全社で一元管理し必要な対応を推進するとともに、公的機関等とも連携するための全社共通組織として「KONICA MINOLTA PSIRT(注)」活動を展開しております。 (注)KONICA MINOLTA PSIRT (Product Security Incident Response Team)、当社グループの製品脆弱性対応チーム ③その他のリスク1)大地震・自然災害・感染症等発生可能性:中発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:大 ●リスク 当社グループは、研究開発・調達・生産・販売等の拠点を世界各国に置き、グローバルに事業活動を展開しております。地震、火災、気候変動に伴う大規模な台風、洪水、森林火災等の災害、新型コロナウイルスや新型インフルエンザのような大規模な感染症の発生、また戦争、テロ行為、サイバー攻撃等が起こった場合、当社グループの設備等が被害を受け、一時的に操業が停止し生産及び出荷の遅れにより、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 特に、首都直下、南海トラフ等における巨大地震の発生においては、その影響度を検討して策定した「コンティンジェンシープラン」においても、被害想定を超えた規模で発生する可能性があり得ると考えられます。 当社グループは、防災対策や事業継続マネジメントを今後も継続して推進してまいりますが、このような事態が発生した場合、機能停止、設備の損壊、電力・水・ガス等の供給停止、公共交通機関や通信手段の停止、サプライチェーンへの被害等により、顧客へのサービスの提供や製品出荷等の停止など、当社グループの事業活動の継続に影響を及ぼす可能性があります。 ●対応策 当社グループは、災害や、感染症の発生、戦争、テロ行為、サイバー攻撃等が起こった場合の情報を、危機管理担当役員が集中管理し、従業員の安全を最優先として適切な対応をとる体制を構築しております。 巨大地震をはじめとした日本国内での災害に対しては防災中期計画に基づき、予防・減災対策、応急対策・初動対応、復旧・復興対策の観点でハード・ソフト両面からの対応実践力の向上を図っております。具体的には建物の耐震対策、通信・データ関連の主要サーバーの海外設置、安否確認システム・緊急時情報データベースなどのITによる被災時情報共有基盤の整備等を進めております。大規模災害時には国内に有する約300のグループ拠点について緊急時の情報ネットワークを構築し、被害情報の迅速な収集と、必要な支援や対策を実施できる体制を構築しております。さらに、各拠点で従業員が災害時に命を守るための自律的行動をとれるよう、定期的に実践的な防災訓練や教育を実施するとともに、新型コロナウイルス感染症の拡大による働き方の変化に対応すべく、ITツールを活用し、テレワーク時においても防災体制が機能するよう整備しております。 また、当社グループでは、事業を継続し企業としての社会的責任を遂行するとともに、顧客が必要とする製品やサービスを安定的に供給するために「コンティンジェンシープラン」を策定し、主要消耗品の生産拠点の分散化によるリスクの低減、調達リスクの高い品目については代替手段の検討、在庫の確保等、対応策の有効性の確認と改善を図っております。各拠点においては、地域の自治体と連携し、自然災害時の避難場所や水及び物資の提供等、地域貢献にも努めております。 2)気候変動・環境規制発生可能性:中発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:中 ●リスク 世界全体が低炭素社会へ移行した場合、当社グループは、温室効果ガス排出規制、エネルギー効率規制、欧州サーキュラーエコノミー(循環型経済)に関する規制、炭素税等、新規・追加の環境関連の法規制が厳格化するおそれがあり、追加的義務及び費用が発生する可能性があります。ステークホルダーからの再生可能エネルギー調達の要求が高まることにより、適時及び適切に対応できなければ、投融資及び販売機会の逸失、企業ブランドの低下につながる可能性があります。 また、気候変動の影響を抑えようと社会・顧客の志向が変化すると、オフィスにおける紙への出力機会の減少、化石燃料や化石資源の代替化による製造・調達コストの増加など当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 一方、世界各地で気候変動による物理的影響が顕在化した場合、当社グループは、極端な異常気象や大規模な森林火災等の発生により森林資源の保護に関する規制や社会要求が強まることで、紙原材料の調達が不安定になり事業機会の損失につながる可能性があります。また、気候パターンの変化など気候変動の慢性的な影響が発現すると、自然資源の調達が不安定化し、原材料等の供給量が制限又は一時停止して工場の稼働に影響を及ぼす可能性があります。また、大規模な台風や洪水などの急性的な気候災害が発生すると、当社グループの設備や労務環境が被災し、従業員の就業が困難になる可能性があります。その結果、自社拠点及びサプライヤーで一時的に操業が停止してサプライチェーンが寸断し、生産及び出荷が遅延する可能性があります。 気候変動をはじめとした地球環境問題の進行は、これら緩和及び適応の局面において将来にわたり当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 加えて、大気汚染、水質汚染、有害物質の除去、廃棄物処理、製品含有化学物質、製品リサイクル、容器包装、土壌・地下水汚染等に関する様々な環境法及び規則の適用を受けており、それらの遵守のために必要な経営資源を投入しておりますが、現在及び過去の生産活動、及び開発・販売活動に関わる環境責任に伴う費用負担や賠償責任が発生する可能性があります。 ●機会 低炭素社会への移行が加速すると、顧客の気候変動に関する課題の解決に貢献できれば、事業機会を生み出す可能性があります。当社グループが培ってきた画像技術とIT技術を融合させ、社会・顧客の移行計画の実現へ貢献する新たなサービスやソリューションを提供することで、売上増大を図ることが期待できます。 中長期的には、紙に代わる情報共有の手段の需要拡大を見込み、既存の複合機の事業から“as a Service”モデル(プロダクトとDXによる高付加価値サービス)へ変容してまいります。当社の強みである無形資産(顧客接点、技術、人財)と最新のIoTやAI技術を組み合わせた独自のプラットフォームビジネスを確立し、エネルギー負荷や温室効果ガス排出を大きく低減させ、社会全体で高まる脱炭素社会への期待に応えてまいります。 中期的には、大量生産・大量廃棄など無駄な生産を抑え事業モデルを変革するオンデマンド生産プロセス、紙出力への依存を無くし多様な働き方を支えるコネクテッドワークプレイス、エネルギー及び資源使用量を抑制する材料加工プロセス変革ソリューション、シェールガスなど温室効果ガスのパイプラインからの漏えいを非破壊で検査する画像IoTソリューション、企業の環境・サステナビリティ経営を支援するエコシステム、新たな資源採掘の抑制に貢献する再生プラスチック、バイオ材料の製造・活用技術を提供してまいります。 短期的には、継続的な省エネルギー活動は、積極的に推進することで自社工場での原価低減に留まらず、取引先やビジネスパートナーと連携することで新たなビジネス機会を創出できる可能性があると考えております。 一方で、気候変動の影響が発現する場合においても、事業機会を生み出す可能性があると考えております。 中長期的には、急性的な自然災害への安全・安心への期待から、異常気象・自然災害による影響を未然防止し予防保全型インフラメンテナンスを実現する画像IoT・センシングソリューション、被災時にニーズが高い災害医療現場で活用できるヘルスケアソリューションなど、社会の新たな需要を取り込むことができると考えております。当社グループでは、こうした社会課題の解決に直結した事業を強化しております。 ●対応策 当社グループでは、2050年までに自社の製品ライフサイクルにおけるCO2排出量を2005年度比で80%削減するとともに、自社の製品ライフサイクルの範囲外において、私たちが排出するCO2よりも多くの排出削減貢献を社会・顧客で創出する「カーボンマイナス」を実現することを目指しております。2021年度には、自社の製品ライフサイクルにおけるCO2排出量は約79万トン、2005年度比で61%削減まで到達しております。 低炭素社会への移行に向けて、当社グループでは生産工程の効率化を徹底して追求するとともに、生産技術の開発・改善を進め、CO2排出削減とコストダウンを同時に実現する「サステナブルファクトリー活動」を推進しております。また、自ら培った省エネ技術・ノウハウをデジタル化により提供し、サプライヤーと一体となってエネルギー削減に取り組む「DXグリーンサプライヤー活動」を通じて、サプライチェーン全体でのエネルギーコスト削減とCO2排出削減の最大化を目指しております。また、化石燃料に依存しない再生可能エネルギー社会へいち早く適合し事業運営することが、持続的に成長できる企業の必須要件であるとの考えから、再生可能エネルギー100%での事業運営を目指す国際リーダーイニシアチブ「RE100」に加盟しております。2050年までに当社グループの事業活動で使用する電力の調達を100%再生可能エネルギー由来にする目標を設定しております。 気候変動による物理的影響が顕在化した場合への適応策として、主力事業であるオフィス事業、プロフェッショナルプリント事業の消耗品における部品生産及び印刷用トナーの生産及び充填を行う拠点として、日本、欧州、北米に自社生産拠点を複数展開し、消費地で生産して供給するレジリエンスの高いサプライチェーン体制を確保するよう努めております。また、原材料の供給ルートを粗原料まで遡り把握を行い、安定供給リスクが高い原材料は、調達先の複数確保や代替材料検討に取り組んでおります。人・場所・国・変動に依存しない生産方式を確立するデジタルマニュファクチャリング構想に沿って、調達先を選定しております。 当社グループは、気候変動をリスクとしてだけではなく機会としても捉え、事業活動を通じて気候変動に関する社会課題を解決していくことを目指しております。また、気候変動による事業影響、機会及びその影響の評価に取り組んでいく姿勢を明確にするため、金融安定理事会が設置した「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同しており、継続的に気候変動の影響の評価及びその情報の開示に取り組んでまいります。 「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (7)気候関連財務情報開示の新しいフレームワークへの対応」に関連事項を記載しております。 3)知的財産権発生可能性:低発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:小 ●リスク 当社グループは、製品やサービスの開発の中で多くの技術あるいはノウハウを蓄積し、それらを保護するための知的財産権の取得に努めております。しかしながら、一部の地域・国では、知的財産権を保護する制度やその適正な運用が不十分な場合があり、第三者が当社グループの知的財産権を使用して類似製品を製造、販売することを防止できない可能性があります。 また、当社グループでは他社の権利を侵害しないように製品等の開発を進めておりますが、見解の相違等により他社の知的財産権を侵害しているとされ、製品等の開発や販売に支障をきたす可能性や多額の損害賠償責任を負う可能性があります。さらに、現在当社グループがライセンスを受けている第三者の知的財産権の使用が将来差し止められる、あるいは不当な条件に変更される可能性があります。 ●機会 当社グループの事業、製品、サービス等により提供される顧客価値の源泉となる独自のビジネスモデル、技術、データ等の知的財産について、特許権等の知的財産権の取得、不正競争防止法によるノウハウ・データの保護要件を満たす管理等、その特性に応じた適切な保護・活用を行うことにより、知的財産を当社グループの持続的な競争優位性の維持、成長のドライバーとしております。なお、各国の産業構造や事業ライフサイクルに鑑み、当社グループで事業継続するよりも他社で事業化又は事業強化した方がよい場合については、当該事業に関連する特許権等の知的財産権を他社に譲渡又はライセンスすることにより、産業界全体への貢献及び当社グループの収益向上を図っております。 さらに、知的財産による社会貢献にも積極的に取り組み、世界知的所有権機関(WIPO)が運営する持続可能な社会の実現を目指す技術移転のための国際的なプラットフォーム「WIPO GREEN」にパートナー企業として参画し、環境技術関連特許群をWIPO GREENに登録することでSDGsの推進に知的財産面から貢献しております。 また、2020年4月には、新型コロナウイルス感染症の対策支援に向けた企業及び大学間の知的財産面でのプロジェクト「COVID対策支援宣言」に発起人として参画し、新型コロナウイルス感染症の診断、予防、治療等を目的とする行為について、特許権等の権利行使を一定期間行わないことを宣言しました。かかるプロジェクトを通じて新型コロナウイルス感染症のまん延終結へ向けた社会全体の取組みを知的財産面から支援しております。 ●対応策 当社グループは、技術等を保護する知的財産権(例えば特許権)を適切に取得・執行することが困難な国・地域においては、商標権等に基づいて、行政機関と協力し模倣品の押収や輸入差し止めを行う、運営業者と連携し模倣品取扱業者の電子商取引(EC)サイトへの出店差し止めを行うなど、様々な方法により類似製品の流通阻止に努めております。 また、他社の知的財産権に関しては、製品開発の各フェーズにおいて入念な調査・確認を実施し、他社の知的財産権を侵害していないことを商品化の要件としております。万一、見解の相違等により他社から知的財産権の侵害を指摘された場合やライセンス条件の変更等に備え、非侵害の主張やライセンス条件等の交渉・訴訟対応を行うための専門人財を社内知的財産部門に配置するとともに、経験豊富な国内外の弁護士と連携し、事案の内容に応じて適切に対応する体制を整えております。 これらのリスク対応に加え、知的財産が他社参入障壁の有効なツールであるとの認識に基づき、当社グループの事業成長及び事業ポートフォリオ転換を知的財産面から推進するため、各事業の特性や事業ポートフォリオ上の位置付けに対応して事業ごとに知財戦略を構築し、戦略に沿った知財投資及び知財活動を実行しております。また、これらの知財戦略構築や知財活動の実効性を高めるため、知財人財育成のための戦略と施策を策定・実行し、専門知識・スキルとビジネスセンスを兼ね備えた知財プロ人財の育成に努めております。 4)人財確保発生可能性:中発生する可能性のある時期:3年以内影響度:中 → 大 ●リスク 当社グループの新規事業を中心とした将来的な成長には、優秀な人財の継続的な獲得が欠かせないと認識しております。特に、IoT、AIに代表されるデジタル技術の普及に伴うデータの活用領域が拡大することによる様々なビジネスモデルの変化に対応するためには、DX/IoT人財の強化が必要となります。計画どおりに人財の強化が進まない場合は、当社グループの目指すソリューションビジネスへの転換に影響を及ぼす可能性があります。 ●機会 当社グループの強みである約200万の顧客基盤は、優秀な人財を獲得できる機会につながると考えております。すなわち、この顧客基盤から得られる特徴的なデータを分析できるという点が、「仕事の面白さ」を大事にするデータサイエンティストなどのIT人財獲得の上でアドバンテージになります。また、副業やテレワーク等、柔軟な働き方を認めている点も、当社の魅力として訴求できる点となります。 ●対応策 IoT人財の獲得にあたり、長期インターンシップを実施しております。この中で、社内研究開発テーマに取り組みジョブマッチングを向上させるとともに、当社の魅力付けを強化しております。また、2019年、大阪梅田に「Innovation Garden OSAKA Front」を新設、2020年10月、高槻に「Innovation Garden OSAKA Center」を新設し、画像IoT開発の本格的な拠点展開を図り、関西地区での人財獲得を進めております。 さらに、海外大学での専門性の高い外国籍IT人財を獲得することを目的として、インド工科大学へのリクルート活動を約10年の期間、続けております。これにより優秀エンジニアの獲得につなげるとともに、日本人の技術者にも大きな刺激となっております。 次に、人財育成においては、今年度より「ファーム戦略」を開始しております。これは、新卒採用において、学生時代に必ずしも即戦力というレベルでなくとも、IT系の素養ある学生に対し、IT専門部門でリアルテーマを通した専門教育を、1年程度の短期集中で実施します。その後、適性を見た上で事業部門に配属するものです。 また、社内におけるIT人財の認定制度を設けております。各人財がめざすべきハードルを明確にした上で、それに対して必要となるスキル教育プログラムを用意し、社内人財の育成強化を図っております。 さらに、人事制度を見直し管理職制度の中に「エキスパート」職を新設しました。これにより、ITを含めた専門人財のキャリアアップの道を明確化しております。 5)情報セキュリティ発生可能性:中 → 高発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:大 ●リスク 当社グループは、様々な事業活動を通じて、顧客や取引先の個人情報あるいは機密情報を入手することがあります。これらの情報管理につきましては、サイバー攻撃等による不正アクセスや改ざん、データの破壊、紛失、漏えい等が不測の事情により発生する可能性があります。また、技術、契約、人事等に関する当社グループの機密情報が第三者に漏えい、不正使用された場合も、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 企業を狙ったサイバー攻撃が多発しておりますが、当社グループにおいても、2022年3月に英国の子会社が第三者によるサーバーへの不正アクセスを受けました。この事案を受け、当社グループ全てに対してセキュリティ運用ルールの再徹底を実施しております。 ●機会 当社グループは顧客のセキュリティ対策強化の支援にも注力しております。IT管理のサービスとしてネットワークやアプリケーションの脆弱性の監視・管理サービス、リスクアセスメントを行うとともに、複合機からの情報漏えいを防止するためのデータの暗号化、パスワード設定やログ管理の機能、設定状況の監視と通知サービスを行う「bizhub(ビズハブ)SECURE」をグローバルに展開しております。新製品の「bizhub iシリーズ」には、社内ネットワークへのウイルス拡散を防止するため、全ての文書・FAXデータのウイルスをチェックする機能を搭載しております。オフィス内のITシステムを統合管理する「Workplace Hub(ワークプレイス・ハブ)」には、Sophos社のファイアウォール機能が搭載されており、ネットワークのリスクや脅威の検知と排除、情報漏えいに対応しております。 ●対応策 情報管理について、適切な技術対策や社内管理体制の整備、従業員への教育等の対策を講じております。 また、サイバー攻撃を含むセキュリティインシデントに対応する組織としてCSIRT(注)を全グループで運用し、定期的な訓練を全グループで実施しております。さらに、2020年度に発足させた包括的セキュリティマネジメント体制(Security Management Office)を強化拡大すべくアメリカ、ヨーロッパ、中国、ASEANの各地域にRegional Security Management Officeを設立いたしました。事業の枠を越えて、リスクマネジメントを各地域で実施することによりグループ全体でのセキュリティレベル向上を実現しております。 新型コロナウイルス感染症の影響によるテレワーク実施者の増加に合わせて、よりセキュリティに配慮した勤務環境を提供する必要があり、暗号化通信による安全なネットワーク環境の提供と、会社指定デバイス以外からの社内環境への接続を制限しております。 (注)CSIRT(Computer Security Incident Response Team)、当社のセキュリティ事故対応チーム ④新型コロナウイルス感染症に関するリスク1)新型コロナウイルス感染症拡大の影響発生可能性:高発生する可能性のある時期:1年以内影響度:大 当社グループは、グローバルな事業を展開しており、売上高における日本以外の地域の構成比は、80%以上を占めます。そうした事業環境下において、2019年度から続く新型コロナウイルス感染症の世界的な流行は、欧米地域では当社グループの顧客企業の事業活動が停滞し大きく需要が減少したため、当社グループの販売活動の停滞を余儀なくされました。新型コロナウイルス感染症の影響は、感染の規模や収束の時期について、2022年4月末現在において入手可能な情報等に基づいて、当社グループが判断し一定の想定をしております。 一方、新型コロナウイルス感染症と闘いながら経済活動を再開していく過程においては、医療従事者への一層の支援が必要とされるとともに人々の価値観や働き方にも変化が生じております。パルスオキシメーターの増産による感染者の在宅療養への対応、胸部X線のAI診断支援、遠隔診断支援や「Workplace Hub」を活用した多拠点連携による働き方改革支援、自社実践から得られたテレワークのノウハウ提供等は、これらの社会課題の解決を通じ事業機会拡大も想定されます。 以下、セグメントごとに、リスク(マイナス側面)と機会(プラス側面)の両面から説明いたします。 ●リスク(デジタルワークプレイス事業・プロフェッショナルプリント事業) デジタルワークプレイス事業では、顧客企業のテレワーク導入や事業活動の制限により、製品購入判断や設置の遅延、商談機会の制約や長期化、印刷量の減少が想定され、当社グループの経営成績においてもマイナスの影響がでております。 プロフェッショナルプリント事業では、企業内印刷等のオフィスドキュメント印刷が減少しております。またリアルイベントの中止などにより、店頭における販促用の印刷物の需要回復が遅れております。(ヘルスケア事業) 病院における一般患者や被検者の減少、当社グループからの病院や製薬企業への訪問が制約されることなどにより、販売の減少がワクチン接種による集団免疫獲得までは継続することが想定されます。(インダストリー事業) 顧客企業のFPD(フラットパネルディスプレイ)製造ライン増設の遅延や最終製品の需要増減の影響が想定されます。特に中国の「ゼロコロナ政策」によるロックダウンが発生した場合、当該地区に工場を構える偏光板メーカー、パネルメーカーの工場稼働率に大きな影響が生じます。(生産・調達) 新型コロナウイルス感染症拡大とその後の需要回復局面では、当社グループの生産に加え、サプライヤーの企業活動や物流網に至るサプライチェーン全体に影響が及んでおります。サプライヤーの需要回復に向けた過剰稼働による事故や局所的なロックダウンによる生産停止などの発生により、当社グループへの部材類の供給不足、生産への影響が断続的に発生しており、特に中国の「ゼロコロナ政策強化」等により、その影響範囲が拡大・長期化する可能性があります。また、サプライヤーの事業継続コストによる調達品目の価格高騰、もしくは調達の継続が困難と判断された場合の代替品調達に伴う追加費用の発生などが生じる可能性があります。 ●機会(デジタルワークプレイス事業・プロフェッショナルプリント事業) デジタルワークプレイス事業においては、新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、リモートによる商談や保守サービスに対する顧客の抵抗感が減り、デジタル技術を活用した商談の機会が増加しております。 例えば、テレワークの導入について悩まれている顧客へ、安全に社内の情報にアクセスできるテレワーク環境の整備、在宅勤務時でも社内に届くFAXを確認できるソリューション、稟議書等の社内ワークフローの電子化等、テレワーク環境を整備するための支援、個々の課題を解決するソリューションを多数、提供しております。 前期から強化している非対面営業に加えWebinar(ウェビナー)による販売機会の創出や電子商取引サイトを活用した複合機やIT機器、ソフトウエアの拡販に努めております。また、家庭でも使えるコンパクトA4プリンターの商品化を行い、オフィスと家庭でシームレスに印刷・スキャンが可能なサービスを提供してまいります。 プロフェッショナルプリント事業においては、ニューノーマル時代におけるブランドオーナーによる印刷物購買のオンデマンド化、それに対応するデジタル機活用による効率化推進が、顧客となる印刷会社の経営課題に挙げられており、併せて、アナログ印刷機を稼働するための熟練労働者の確保や後継者育成が新型コロナウイルス感染症拡大以前よりも厳しい状況にあります。このような状況は、スキルレスで印刷を行えるデジタル印刷機の販売に追い風になると考えております。(ヘルスケア事業) ヘルスケア事業においては、ウィズコロナ・ポストコロナのニューノーマル時代において、遠隔医療や分散化診断のニーズが増え、プライマリケアの重要性が高まり、医療施設間連携強化が必要となり、医療サービスデジタル化が加速すると見ております。 例えば、持続可能な医療環境を支援するX線動画解析、AI読影支援システム、遠隔画像診断システム、医療画像管理と施設間連携をサポートする「infomity(インフォミティ)」、医療従事者の安全確保と作業効率の向上に貢献する生体情報モニタリングシステム、遠隔診療やカウンセリングシステム、従業員健康管理プログラムなどの販売機会の拡大可能性が想定されます。なお、米国子会社のAmbry社では、2020年7月より開始した地域・企業・医療機関に対するPCR・抗体検査について、2021年度も新型コロナウイルス感染症対策への支援として引き続き取り組んでおります。(インダストリー事業) 機能材料の分野においては、新しい働き方の広がりに伴い、需要の拡大が期待されるノートPCやタブレット、スマートフォンなどの中小型ディスプレイ用の部材販売や、中国における大型テレビの需要増に伴う大型ディスプレイ用の部材販売、顧客製造ラインの検査工程の自動化による省人化を支援する当社グループ独自のソリューションなどの販売機会の拡大可能性が想定されます。 画像IoTの分野においては、AI解析によるサーマルカメラの体表温度測定ソリューションへの高い需要は落ち着いたものの、今後は、製造業、防災、セキュリティ等の領域を中心に、予知保全、安心・安全の確保に向けた遠隔でのモニタリングと人行動のAI解析を組み合わせたソリューションの需要が高まり、販売機会の拡大が想定されます。 ●対応策 当社では、新型コロナウイルス感染症拡大に対し、各国政府・地域の法令・指導に従い、グループで働く人々とその家族、顧客、取引先を始めとする全てのステークホルダーの皆様の健康と安全確保を最優先に考え、感染拡大を防止するとともに、社会や顧客への製品・サービスの提供に支障が生じないよう、生産・物流を含めたサプライチェーン網の維持等にも最大限の努力を続けております。 特に、生産では以前より自社生産のデジタル化に取り組み、その効果をサプライヤーにも展開することで生産性の向上と品質、コストの競争力強化を進めております。また、BCP管理体制を、開発・品質保証・調達・生産の連携で整え調達リスクの回避を進めるとともに、社内生産及びサプライヤーにおける労働環境整備(感染症防止策の徹底、リモート生産支援などへの対応)も継続しております。サプライヤーと事業環境の共有を継続し、必要な支援をタイムリーに行ってまいります。 顧客に対しては、特にデジタルワークプレイス事業・プロフェッショナルプリント事業において、顧客ニーズを的確にくみ取り、当社グループが以前から取り組んでいる、自動化、省力化、スキルレスといったデジタル化推進への強みを活かし、顧客の経営課題を解消すべく取組みを進めております。 日本国内では、従業員に対し以前から推進している在宅のテレワークを引き続き推進し、従業員の高いパフォーマンス発揮のため、きめ細かなITサポートを拡充しております。新型コロナウイルス収束後のニューノーマル時代においても、テレワークとオフィスワークのハイブリッド型の働き方が定着するものと思われ、従業員の様々な労働環境に対応したサポートを進めております。 従業員が、新型コロナウイルス感染症に「感染しない」、「うつさない」ための行動ガイドラインを作成し、オフィスにおける具体的な取組み(30分単位の室内換気、少人数定員の座席配置、こまめな手洗いやマスク着用等)を継続し徹底しております。さらには、テレワークを続けることで生じる従業員間の意思疎通や生活環境の変化などに起因する従業員のメンタルリスクに対して、相談窓口の設置などのメンタルケアを行っております。グローバル各拠点においても、各国政府など行政の要請に基づいた適切な対応を継続しております。 (4)継続企業の前提に関する重要事象等 当社グループは、当連結会計年度において2期連続して営業損失を計上した結果、当連結会計年度末において、複数の金融機関と締結している一部のシンジケートローン契約等に付されている財務制限条項に抵触しましたが、本書提出日現在において、当該抵触を理由とする期限の利益喪失請求を行わないことについて全ての当該金融機関より承諾を得ており、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。
FY2021|19,490 文字
2【事業等のリスク】(1)当社のリスクマネジメント体制 当社は、当社グループの事業活動に関する諸種のリスク管理を所管するリスクマネジメント委員会を設置し、リスクマネジメント委員会規則に従い、取締役会で任命された執行役及び執行役員が以下のリスク管理体制の構築と運用にあたっております。 当社グループの事業活動に関する事業リスク及びオペレーションリスクについては、執行役及び執行役員の職務分掌に基づき各執行役及び執行役員が、それぞれの担当職務ごとに管理することとし、リスクマネジメント委員会はそれを支援しております。また、リスクマネジメント委員会は、グループ経営上重要なリスクの抽出・評価・見直しの実施、対応策の策定、管理状況の確認を定期的に行っております。 (2)当社のリスクマネジメント体制の運用状況 当社は、リスクマネジメント委員会を定期的(年2回)及び必要に応じて臨時に開催しております。この委員会では、企業活動に関して抽出されたリスクとその対応策を策定するとともに、リスクマネジメントシステムが有効に機能しているかどうかの検証・評価を行っております。2020年度は、同委員会を2回開催し、主に米中貿易摩擦に端を発したグローバルでの保護主義的な潮流ならびに米中のハイテク冷戦に対し、事業に影響度の高い地域・国に適用される制裁や新たな法規制等の定期的なモニタリングを実施しました。2019年度末から影響が拡大した新型コロナウイルス感染症に関しては、感染拡大によるリスクマネジメントへの影響を同委員会で体系的に整理し、情報を共有し、各リスク項目の対応状況を確認しました。 また、リスクマネジメント委員会の協議内容は定期的に監査委員会に報告されております。 様々なリスクによって発生するクライシスに対して、当社はクライシスに迅速・適切に対応するためにクライシス発生時の報告ルールを設け、執行役や当社子会社役員等に周知しております。その報告ルールに沿って、世界各地で発生した災害事故、その他のクライシスに関する情報を危機管理担当執行役が集中管理しております。2020年度は、新型コロナウイルス感染症について、最高責任者たる代表執行役のもと、危機管理担当執行役を危機管理委員長とする社内臨時体制により国内外の対応にあたりました。 (3)事業等のリスク 当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を与える可能性がある主要なリスクとして、以下で記載しておりますが、これらのリスクは必ずしも全てのリスクを網羅したものではなく、想定していないリスクや重要性が低いと考えられる他のリスクの影響を将来的に受ける可能性もあります。 また、当社は、リスクを「組織の収益や損失に影響を与える不確実性」と捉えております。リスクを単にマイナスの側面からだけではなく、「機会」としてのプラスの側面からも捉えたうえで、リスクマネジメントを「リスクのマイナス影響を抑えつつ、リターンの最大化を追求する活動」と位置づけております。 リスクへの対応と機会の考え方は、以降、個々のリスクの項目の中に記載しております。 記載事項のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において入手可能な情報等に基づいて、当社グループが判断したものであります。また「新型コロナウイルス感染症の影響」に関する事項については、本記載項目の最後にセグメントごとにまとめて記載をしております。なお、当該事項のうち将来に関する記載事項は2021年4月末現在において当社グループが判断したものであります。 最初に、各リスク項目をリスクマップ上にプロットした図を掲載いたします。 なお、「発生可能性」については、3年以内に発生する頻度・確率より評価。「影響度」については、発生した際に営業利益へ与える影響より評価しております。 また、「発生可能性」と「影響度」について前年度より評価が変更されているリスクは、評価欄に矢印を用い、2019年度と2020年度の評価を記載しております。 ①経済環境に関するリスク1)経済動向・市場環境発生可能性:高発生する可能性のある時期:1年以内影響度:大 ●リスク 当社グループは、複合機やデジタル印刷システム、ヘルスケア用機器製品や遺伝子診断・創薬支援等、計測機器や光学部材、ディスプレイ材料及び関連サービス等を世界中の顧客に向けて提供しております。これらの事業の売上及び損益は各国の景気動向や事業環境に大きく影響を受けます。 当事業年度は、新型コロナウイルス感染症が世界各地域へ拡大し、経済活動に大きく影響しました。当社も、特に欧米でのロックダウンにより機器の設置やサービス提供、新規受注などの販売活動が制約を受け、当事業年度の業績に大きな影響が出る結果となりました。 欧州では2020年3月以降に実施された大規模なロックダウンが緩和され経済が回復に向かったものの、感染症の再拡大を受けて再び行動規制が強化され景気回復のペースが鈍化しました。米国でもロックダウンの実施により経済活動が大幅に落ち込み、大規模な経済対策が実施されましたが、行動規制が再び強化され、回復は緩やかにとどまりました。一方、バイデン新政権により2021年3月に大規模な追加経済政策が成立し、景気の早期回復期待は高まりつつあります。中国では他国に先行して経済活動が再開され、当第1四半期連結会計期間に回復後、経済成長が持続しております。 かかる状況の中で、2021年3月以降欧米を中心にワクチン接種が進み感染者数が減少する等、改善の兆しも見えてきましたが、新たな変異株の発生により、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大が収束する見通しの不透明さは継続しております。各国の経済政策やワクチン接種者の増加により、世界経済は改善の途上にありますが、国や地域により異なる回復状況下にあります。 さらに世界的な経済活動の再開にともない、半導体を中心に電子部品が不足するなどのサプライチェーン上の問題が発生しております。また、昨年度から続く米中の覇権争いに起因するハイテク冷戦の影響、中東を中心とした地政学的要因やワクチン普及が遅れる新興国の経済成長の停滞などが引き続き懸念されます。各国経済政策がどれほど効果的に未曽有の危機による長期的な損失を抑え込めるのか、金融環境はどう変化してゆくか、などにも経済動向は左右されます。 各国市場の経済活動が停滞した場合、顧客の投資抑制や経費削減、消費低迷を引き起こし、結果として当社の予想を超えた在庫増加や競争激化に伴う販売価格下落、新規設置数減少等、将来にわたり当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響については、④「新型コロナウイルス感染症に関するリスク」に詳細を記載しております。 2)為替レートの変動発生可能性:高発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:中 ●リスク 当社グループは、高い海外売上高比率が示すようにグローバルに事業活動を展開しており、為替レート変動の影響を大きく受ける状況にあります。ユーロにつきましては、為替レートの1円の変動が営業利益に与える影響は約4億円になり、直接損益に影響を与える状況となっております。他の主要通貨においても、円高の状況は当社グループの業績に悪影響を及ぼし、円安は好影響を与えることになります。また、外貨建ての取引から生じる当社の資産及び負債の円貨額や海外子会社の外貨建財務諸表から発生する在外営業活動体の換算差額も変動する恐れがあります。 ●対応 為替レート変動の影響を軽減するため、米ドル、ユーロ等の主要通貨では為替予約を中心としたヘッジを行っております。米ドルにつきましては、米ドル建ての調達と米ドル建ての売上を相殺することにより影響を軽減しております。また、2020年10月に、グループ間決済の一部について、金融機関が提供するネッティングシステムの利用を開始しました。グループ間決済における支払タームを統一することにより為替エクスポージャーを削減し、子会社が持つ為替変動リスクを当社へ集約することにより為替リスクの集中管理及び効率的なヘッジを行うことを目的としております。ネッティングシステムを利用したグループ間決済は、2022年3月までに全世界へ拡大することを予定しております。 ②事業活動に関するリスク1)デジタルワークプレイス事業 プリント環境の変化に関連するリスク発生可能性:高発生する可能性のある時期:1年以内影響度:大 ●リスク 先進国を中心としたオフィスにおいては、紙に代わる情報共有の手段としてタブレット端末やスマートフォン等のデジタル機器の普及加速に加えて、ワークスタイルの変化により、オフィスにおける紙への出力機会が徐々に減少するリスクがあります。それに加えて、新型コロナウイルス感染拡大によるテレワークの普及が、このリスクの顕在化を加速させることも懸念されます。こうした顧客の変化に対応ができない場合、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ●対応・機会 当社グループでは先進国オフィスでの出力機会の減少リスクに対処するために、以前より、オフィスユニットの顧客に対して出力以外にもマネージドITサービスや、情報の管理・編集を支援するコンテンツマネジメントサービスを提供することで、顧客のワークフロー改善に資する価値の提供に取り組んでおります。また、中国・インドをはじめとするまだ成長余力のある国・地域においては、引き続きカラー複合機の設置拡大に取り組んでおります。これらの活動を通じてオフィスでの出力減少による収益減少を最小化する取組みを展開しております。 さらに、中堅・中小規模のオフィスユニットの顧客を主なターゲットとして、新プラットフォームとなる「Workplace Hub(ワークプレイス ハブ)」とクラウドサービスとの連携や種々のアプリケーションソフトを通じて、顧客の業務の効率化や意思決定を支援する新たな価値の提供にも取り組んでおります。また、自治体のDX推進にも取り組んでおり、コア業務とノンコア業務の層別、ノンコア業務のワークフロー改善にAI-OCRやRPAの導入による自動化やプロセスの標準化を提案して自治体職員の方々の生産性向上に貢献しております。 以上のようなオフィスにおける出力減少のリスクに対するデジタルワークプレイス事業としての対応に加えて、当社グループとしてオフィスユニットと並ぶ収益の柱を構築していくために、プレシジョンメディシン、計測機器、産業印刷、画像IoT分野への積極的な投資を展開しております。 「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)中長期での成長に向けて ②デジタルによる顧客価値創出」にも関連事項を記載しております。 2)各国・各地域の規制発生可能性:高発生する可能性のある時期:1年以内影響度:中 ●リスク 当社グループの事業活動の多くの部分は、北米、欧州及びアジア諸国といった日本の国外で行われており、その国や地域固有の法制、規制や承認手続きの影響を受けております。米国と中国の貿易摩擦に端を発する相互関税の引き上げ、技術輸出規制などの経済措置の動向には常に十分な注意を払っておりますが、将来、各国の政府や国際的枠組による規制、例えば税制、輸出入規制、通貨規制、個人情報保護規制、デジタル関税、その他各種規則等が新規に導入されたり、変更されたりした場合には、これらに対応するための費用が発生したり、事業活動に支障をきたす可能性があります。また、このような予期しない事態に対応できない場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 特に、当社グループのヘルスケア事業では、事業活動を行っている各国の様々な医療制度や許認可の手続きの影響を受けております。医療制度改革等によって、予測できない大規模な医療行政の方針変更が行われ、その環境変化に速やかに対応できない場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ●対応・機会 各国・地域の法律・規制の動向には、常に十分な注意を払い、情報の収集に努めております。各エリアの法務担当者と連携し、海外各地域の実情を把握し、必要に応じ外部の弁護士、コンサルタント等、専門機関の協力を得て対応を行っております。また、新制度導入や制度改定による市場参入要件の新設・変更に迅速に対応することで、当社にとって販売機会創出の可能性があります。特に、環境法規制への対応、セキュリティに関する規制への対応は、当社が強みとする環境経営やITサービス・ソリューションに追い風になるものと認識し、対応を進めております。 ヘルスケア事業では、各国医療政策の情報収集、専門学会等との連携により対応を行なっております。プラスの面として、医療政策による先端技術の導入は新たな市場創出につながります。 近年では、診断向上や医師の負担軽減に役立つAIを用いた画像診断の利用が、新型コロナウイルス感染症をきっかけに増大し、かつ、医師偏在の課題解決につながる遠隔医療、未病・個別化医療のニーズを背景にした遺伝子検査等への期待が高まっております。また、がん領域、アルツハイマー病などの新薬開発においては画像診断の活用が重要であり、高度な創薬支援技術(イメージングCRO)が必要とされております。弊社のグローバルな顧客基盤を活用し、先進国、新興国の各国の医療事情に応じた対応を進め、最先端の医療サービス実装に向けた取組みを進めてまいります。 3)次世代技術変化発生可能性:中発生する可能性のある時期:3年以内影響度:中 ●リスク 今後、当社グループが展開すべき新たな事業分野においては、他社に先んじた技術革新が重要な競争優位の源泉となっており、常に革新的な技術開発に挑戦し、そのための研究開発投資及び設備投資も積極的に行っておりますが、競合他社が先行して類似技術や代替技術を出してくる可能性もあります。 また、IoT、AIに代表されるデジタル技術の普及に伴いデータの活用領域が拡大することで、様々な産業分野、ビジネスモデルに変化がもたらされることが想定されます。これらの変化に対応できない場合、将来にわたり市場でのポジションを喪失する等、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ●対応・機会 当社グループの材料・光学・微細加工・画像の4分野のコア技術を高度化・融合化するとともにIoT、AI技術と組み合わせることで、当社独自のデータの源泉となる「見えないものをみえる化する技術」をさらに発展させ、オフィス、ヘルスケア、インダストリー事業のDXを顧客と連携して進めてまいります。例えば、デジタルワークプレイス事業においては、顧客とともに販売と開発が一体となって顕在化していない顧客ニーズを抽出し、デジタル技術を駆使して短期間での開発、検証を繰り返すことで、新型コロナウイルス感染症禍で拡大している、働き方改革、テレワーク等を支援するサービスを提供する体制を構築してまいります。 また、自前主義に陥らず、当社の技術戦略やコア技術資産を外部に積極的に発信し、大学、研究機関、スタートアップ等の幅広いパートナーとのオープンイノベーションを推進することでエコシステムをリードする、あるいは一員として協力するなど様々な形で社会に貢献する技術開発を加速してまいります。 4)新製品への移行発生可能性:低発生する可能性のある時期:3年以内影響度:大 ●リスク 当社グループが事業展開する分野は、ハードウエア・ソフトウエアの急速な技術的進歩による製品・サービスに求められる機能の汎用化が早く、製品ライフサイクル期間内であっても性能・サービスの内容・機能の改善が求められる事業分野です。このため、顧客・市場ニーズに対応するため常に革新的な技術開発に挑戦し、多くのリソースを投入し研究開発を行っておりますが、新製品・新サービスへの移行には多くのリスクが内在しております。開発または生産の遅延、量産初期段階での品質問題、製造原価の変動、新製品導入に伴う現行製品への販売影響等、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、競合他社から当社新製品・新サービスと類似製品・サービスが先行投入されるなど競合他社の新製品・新サービス市場導入時期により当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ●対応・機会 当社グループでは、新製品・新サービスへの移行・展開において、開発初期段階から量産に至るまでの各ステップで、試作品、量産前製品、量産品それぞれに対する製品仕様、要求品質、製造コスト、環境対応を中心とした検証とゲート管理を徹底し、最大限の取組みを行っております。特に新製品への切り替え時期におきましては、開発・生産・品質保証の各部門が一体となった管理体制を敷き、顧客に不利益が生じないことを第一に、その後のサービスを含め顧客価値を高める活動を行っております。 また、各事業分野において顧客満足度を継続的に高め、顧客ロイヤリティを向上させる一方、競合に対して競争力のある新製品・新サービスの計画的な市場導入を進めております。市場変化の激しい状況下を考え、常に市場動向を観察・分析しタイムリーな計画変更を実施してまいります。例えば、デジタルワークプレイス事業では、複合機を中心に顧客のワークフローの診断・改善につながるソリューションを、プロフェッショナルプリント事業では、デジタル印刷を牽引しジャンルトップとなる競争力の高い商材・サービスを提供してまいります。 5)他社との協業、企業買収等について発生可能性:中発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:中 ●リスク 当社グループは、事業競争力の強化あるいは効率化の観点から、資本提携・企業買収等、他社との協業を進めております。 企業買収等に伴い、のれん及び無形資産を計上しており、定期的に減損テストを実施しております。事業環境の変化に伴い、買収対象会社に係る将来キャッシュ・フローの低下が見込まれた場合等には、減損損失を認識する可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 ●対応 当社グループでは、他社との協業・企業買収に際しては、当社との戦略的適合性、計画の蓋然性、投資額の妥当性、リスク対応等の観点から投資評価を行った上で、投資の可否を見極めております。具体的には、投資回収期間及び投資額等の妥当性判断のため、投下資本に対する期待収益指標として事業別のハードルレート及び中期経営計画毎の全社加重平均資本コストを基準の一つとして設定しております。 また、投資実施後のモニタリングとして定期的に投資レビューを実施し、上記の加重平均資本コスト及びハードルレートの達成状況に加え、収益性、市場成長等の観点から投資案件毎の当社企業価値への貢献状況を見極め、投資時点の計画からの変化に対しても迅速に対策を講じるようにしております。 6)生産・調達等発生可能性:中→高発生する可能性のある時期:1年以内影響度:中→大 ●リスク 当社グループの主力事業であるデジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業及びインダストリー事業では、コスト競争力強化と市場への迅速な製品供給のために海外での生産活動を継続しており、重要な活動拠点のひとつに中国があります。中国におきましては経済発展とともに法制面改革やインフラ整備等も進んでおりますが、法的な変化、労務政策の難しさ、人件費の上昇、人民元の切上げ、輸出入規制や税制、環境規制の変更等予測困難な事態が発生する可能性があります。主力事業の生産活動の一部を中国で行っている当社グループにとって、これらのリスクに対処できない場合は、当社グループの業績及び成長戦略に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、特定の製品、部品や材料、及びエネルギーを世界中の複数のサプライヤーから調達する方針を取っております。それらのサプライヤーに不測の事態が発生した場合、当社グループの生産及び供給能力に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの生産活動において使用する鉄やアルミニウム等の金属製品、原油を原料とする石油化学製品、レアアース等の希少天然資源等の原材料価格、及びエネルギー価格の高騰により業績に影響を及ぼす可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症の局所的または全世界的な感染拡大において、当社内生産、サプライヤー生産、物流網に至るサプライチェーン全体に影響を与えたことから、今後も新たな感染症の拡大状況によっては、サプライチェーンに影響を及ぼす可能性があります。 ●対応 当社グループでは、生産に関するリスク対応及び事業環境の変化に対する柔軟性を向上させるため、日本、中国、マレーシアにおいて製品組立の生産拠点を展開しており、特に近年様々な面で高まりを見せる中国のカントリーリスクへの対応として、生産規模の大きい主力製品を中心に中国外生産の比率を高めている状況にあります。また主力事業であるデジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業の消耗品における部品生産及び印刷用トナーの充填を行う拠点として、欧州、北米にも自社生産拠点を展開し消費地生産による需要変動への柔軟性を確保しております。 また、主力調達地域である日本、中国、ベトナム、マレーシアにその活動に特化した部門を設置し、調達に関わる各地域の規制、制限、変化などの情報を収集することで、その対応の迅速化を図っております。また、サプライヤーでの品質、生産性向上を含めたコストの競争力を高めるためのコラボレーション活動を推進しております。具体的には、品質改善活動をサプライヤーと協業して行うこと、また、当社が保有する生産工程の自動化などの生産技術をサプライヤーに導入することで、生産性の向上と品質、コストの競争力を高めております。さらに主要原材料、電子部品に対し集中的な調達を行い、市況、市場、業界変動の中でも品質、供給、コスト競争力を維持する活動を行っております。 BCP管理体制を開発・品質保証・調達・生産が連携し整えております。サプライヤーの材料調達状況、生産稼働状況、出荷などの物流状況を迅速に把握するため各サプライヤー間の連絡網を整備しております。また、部品のエリア調達へのシフト加速と代替品の評価、検証から生産投入に至る一連の活動を、開発、生産、品質保証で最優先課題として対応しリスク回避を進めており、これらにより事業への影響の抑制を図っております。 7)製造物・品質責任発生可能性:低発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:中 ●リスク 当社グループは、国内外のグループ会社や生産委託先にて厳格な品質保証体制を構築し、顧客に対して高い性能と信頼性を備えた製品及びサービスを提供しております。万が一、当社グループの製品あるいはサービスに欠陥が発生した場合、その欠陥に起因した損害に対して当社グループは賠償責任を負う可能性があり、またその欠陥に対して多大な対策費用が発生する可能性があります。さらに当該問題により、企業ブランドや製品ブランドが毀損され経営成績に悪影響が及ぼす可能性があります。 ●対応・機会 重大品質問題を起こさない仕組み・取組みとして、品質に関する責任と権限を担う執行役または執行役員を議長とする「品質保証責任者会議」を設置し、グループ全体の品質マネジメントを統括しております。品質計画の推進・進捗確認とともに、品質保証に関する情報共有及び是正・改善を行います。さらに各事業では、品質課題についてPDCAサイクルを徹底することで継続的な品質向上に取り組んでおります。 製品品質に関わる問題が発生した場合、全世界グループ統一の「市場品質速報データベース」に情報を登録することが義務づけられており、登録された情報は即座に品質担当役員と事業責任者へ伝達され、関連部門で共有、必要な対策・情報開示が迅速に行えるようになっております。また、過去に発生した品質問題に対し、原因の解析、対策の実施及び技術・評価基準への反映を行い、再発防止に努めております。その結果、過去5年間、重大事故の発生はありません。また、法的基準よりも厳しい独自の製品安全基準を設けて、製品の様々な箇所について詳細に規定し確認を行っております。これらの施策をより確実に実施するために、「製品安全教育」をグループ展開し、品質マインドの定着に努めております。 また、デジタル社会の進展や当社IoTサービス関連事業の拡大に伴い、セキュリティ事故のリスクも高まります。当社ではリスクの極小化に向け、サービス事業及びセキュリティ対応に関連する社内規程の改善により運用を強化しております。製品セキュリティ事故発生時の対応と脆弱性への対策・予防として、製品の脆弱性に関する情報を全社で一元管理し必要な対応を推進するとともに、社外の公的機関等と連携するための全社共通組織として「KONICA MINOLTA PSIRT(注)」活動を展開しております。 (注)KONICA MINOLTA PSIRT (Product Security Incident Response Team)、当社の製品脆弱性対応チーム ③その他のリスク1)大地震・自然災害・感染症等発生可能性:中発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:大 ●リスク 当社グループは、研究開発・調達・生産・販売等の拠点を世界各国に置き、グローバルに事業活動を展開しております。地震、火災、気候変動に伴う大規模な台風、洪水、森林火災等の災害、新型コロナウイルスや新型インフルエンザのような大規模な感染症の発生、また戦争、テロ行為、サイバー攻撃等が起こった場合、当社グループの設備等が被害を受け、一時的に操業が停止し生産及び出荷の遅れにより、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 特に、首都直下、南海トラフ等における巨大地震の発生においては、その影響度を検討して策定した「コンティンジェンシープラン」においても、被害想定を超えた規模で発生する可能性があり得ると考えられます。当社グループは、防災対策や事業継続マネジメントを今後も継続して推進してまいりますが、このような事態が発生した場合、機能停止、設備の損壊、電力・水・ガス等の供給停止、公共交通機関や通信手段の停止、サプライチェーンへの被害等により、顧客へのサービスの提供や製品出荷等の停止など、当社グループの事業活動の継続に影響を及ぼす可能性があります。 ●対応 当社グループは災害や、感染症の発生、戦争、テロ行為、サイバー攻撃等があった場合の情報を危機管理担当執行役又は執行役員が集中管理し、従業員の安全を最優先として適切な対応をとる体制を構築しております。その中でも巨大地震をはじめとした災害に対しては防災中期計画に基づき、予防・減災対策、応急対策・初動対応、復旧・復興対策の観点でハード・ソフト両面からの対応実践力の向上を図っております。具体的には建物の耐震対策、通信・データ関連の主要サーバーの海外設置、安否確認システム・緊急時情報データベース等ITによる被災時情報共有基盤の整備等を進めています。大規模災害時には国内に有する約300のグループ拠点について緊急時の情報ネットワークを構築し、必要な支援や対策を実施できる体制を構築しております。さらに、事業拠点で従業員が災害時に自律的行動をとれるよう、定期的に実践的な防災訓練を実施するとともに、コロナ禍による働き方の変化に対応すべく、ITツールを活用しテレワーク時においても防災体制が機能するよう整備いたしました。 また、当社グループでは、事業を継続し、企業としての社会的責任を遂行するとともに、顧客が必要とする製品やサービスを安定的に供給するために「コンティンジェンシープラン」を策定し、主要消耗品の生産拠点の分散化によるリスクの低減、調達リスクの高い品目については代替手段の検討、在庫の確保等、対応策の有効性の確認と改善を図っております。地域においては、各拠点の自治体と連携し、自然災害時の避難場所や水及び物資の提供等、地域貢献にも努めております。 2)気候変動・環境規制発生可能性:中発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:中 ●リスク 世界全体が低炭素社会へ移行した場合、当社グループは、温室効果ガス排出規制、エネルギー効率規制、欧州サーキュラーエコノミー(循環型経済)に関する規制、炭素税等、新規・追加の環境関連の法規制が厳格化する恐れがあり、過去に起因する追加的義務及び費用が発生する可能性があります。また、気候変動の影響を抑えようと顧客の志向が変化し、オフィスにおける紙への出力機会の減少、化石燃料や化石資源の代替化による製造・調達コストの増加など当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 一方、世界全体で温暖化が進行した場合、当社グループは、異常気象や大規模な森林火災により紙原材料の調達が不安定になる恐れがあります。また、気候パターンの変化に伴う自然資源の供給量不足や供給停止、自然災害の大規模化によるサプライチェーン寸断が発生する可能性があります。 気候変動をはじめとした地球環境問題の進行は、その緩和及び適応の局面において将来にわたり当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。一方、その課題の解決に貢献できれば好影響を及ぼす可能性があります。 加えて、大気汚染、水質汚染、有害物質の除去、廃棄物処理、製品リサイクル、土壌・地下水汚染等に関する様々な環境法及び規則の適用を受けており、それらの遵守のために必要な経営資源を投入しておりますが、現在及び過去の生産活動に関わる環境責任に伴う費用負担や賠償責任が発生する可能性があります。 ●対応・機会 当社グループでは、2050年までに自社の製品ライフサイクルにおけるCO2排出量を80%削減するとともに、その排出量を上回る社会・顧客でのCO2排出量削減を生み出し、「カーボンマイナス」を実現することを目指しております。2020年度には、製品ライフサイクルにおけるCO2排出量は約82万トンで60%削減まで到達しております。 また、気候関連の機会については、本格的な低炭素社会の到来に備え、当社グループが培ってきた画像技術とIT技術を融合させ、エッジ(現場)でデータを活用できるビジネスへ転換してまいります。必要なデータを効率的に利用することで、エネルギー負荷の少ないビジネスが成立します。短中期的には、印刷工程のオンデマンド生産プロセス、多様な働き方を支えるコネクテッドワークプレイス、エネルギー使用やCO2排出量が少ない材料加工プロセスの変革ソリューションを提供してまいります。中長期的には、紙に代わる情報共有の手段の需要拡大を見込み、既存の複合機の事業から“as a Service”モデル(プロダクトとDXによる高付加価値サービス)へ変容してまいります。また異常気象・自然災害への備えとしての画像IoT・センシングソリューション、予測せぬ疾病等への遺伝子検査・画像診断等の技術を活用したヘルスケアソリューションなど、社会課題の解決に直結した事業を強化しております。人為的なCO2排出の主要因となる化石燃料に依存しない再生可能エネルギー社会へいち早く適合し事業運営することが、持続的に成長できる企業の必須要件であるとの考えから、再生可能エネルギー100%での事業運営を目指す国際リーダーイニシアチブ「RE100」に加盟しております。2050年までに自社の事業活動で使用する電力の調達を100%再生可能エネルギーにする目標を設定しております。 当社グループは、気候変動をリスクとしてだけではなく機会としても捉え、事業活動を通じて気候変動に関する社会課題を解決していくことを目指します。また、気候変動による事業影響、機会及びその影響の評価に取り組んでいく姿勢を明確にするため、金融安定理事会が設置した「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同しており、継続的に気候変動の影響の評価及びその情報の開示に取り組んでまいります。 「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)中長期での成長に向けて ③地球環境への貢献」に関連事項を記載しております。 3)知的財産権発生可能性:低発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:小 ●リスク 当社グループは、製品開発の中で多くの技術あるいはノウハウを蓄積し、それらを保護するための知的財産権の取得に努めております。しかしながら、一部の地域・国では、知的財産権を保護する制度が不十分な場合があり、第三者が当社グループの知的財産権を使用して類似製品を製造、販売することを防止できない可能性があります。 また、当社グループでは他社の権利を侵害しないように製品の開発を進めておりますが、見解の相違等により他社の知的財産権を侵害しているとされ、当社グループが技術を使用できない可能性や多額の損害賠償責任を負う可能性があります。さらに、現在当社グループがライセンスを受けている第三者の知的財産権の使用が将来差し止められる、あるいは不当な条件に変更される可能性があります。 ●対応・機会 当社グループは、技術等を保護する知的財産権(例えば特許権)を適切に取得・執行することが困難な国・地域において、商標権等に基づいて、行政機関と協力し模倣品の押収や輸入差し止めを行う、運営業者と連携し電子商取引(EC)サイトからの出店差し止めを行うなど、様々な方法により類似製品の流通阻止に努めております。 また、他社の知的財産権に関しては、製品開発の各フェーズにおいて入念な調査・確認を実施し、他社の知的財産権を侵害していないことを商品化の要件としております。また、万一見解の相違等により他社から知的財産権の侵害を指摘された場合やライセンス条件の変更等に備え、非侵害の主張やライセンス条件等の交渉・訴訟対応を行うための専門人財を社内知的財産部門に配置するとともに、経験豊富な国内外の弁護士と連携し、事案の内容に応じて適切に対応する体制を整えております。 これらのリスク管理に加え、当社グループの事業、製品、サービス等により提供される顧客価値の源泉となる独自のビジネスモデル、技術、データ等の知的財産について、特許権等の知的財産権の取得、不正競争防止法によるノウハウ・データの保護要件を満たす管理等、その特性に応じた適切な保護・活用を行うことにより、知的財産を当社グループの持続的な競争優位性の維持、成長のドライバーとしております。なお、各国の産業構造や事業ライフサイクルに鑑み、当社で事業継続するよりも他社で事業化または事業強化した方がよい場合については、当該事業に関連する特許権等の知的財産権を他社に譲渡またはライセンスすることにより、産業界全体への貢献及び当社の収益向上を図っております。 さらに、知的財産による社会貢献にも積極的に取り組み、世界知的所有権機関(WIPO)が運営する持続可能な社会の実現を目指す技術移転のための国際的なプラットフォーム「WIPO GREEN」にパートナー企業として参画し、環境技術関連特許群をWIPO GREENに登録することでSDGsの推進に知的財産面から貢献しております。また、2020年4月には、新型コロナウイルス感染症の対策支援に向けた企業及び大学間の知財面でのプロジェクト「COVID対策支援宣言」に発起人として参画し、新型コロナウイルス感染症の診断、予防、治療等を目的とする行為について、特許権等の権利行使を一定期間行わないことを宣言しました。かかるプロジェクトを通じて新型コロナウイルス感染症の蔓延終結へ向けた社会全体の取組みを知的財産面から支援しております。 4)人財確保発生可能性:中発生する可能性のある時期:3年以内影響度:中 ●リスク 当社グループの新規事業を中心とした将来的な成長には、優秀な人財の継続的な獲得が欠かせないと認識しております。特に、IoT、AIに代表されるデジタル技術の普及に伴うデータの活用領域が拡大することによる様々なビジネスモデルの変化に対応するためには、DX/IoT人財の強化が必要となります。計画どおりに人財の強化が進まない場合は、当社グループの目指すソリューションビジネスへの転換に影響を及ぼす可能性があります。 ●対応・機会 当社グループでは、IoT人財の育成・獲得を重要戦略と位置づけ重点的に施策を進めております。人財育成では、全社員へのIT教育を必須にするとともに、DX推進へ人財シフトを進めるためのIoT転換教育等のRe-skillプログラム、高度専門職(プロ人財)への育成を加速するためのITスキル認定等のUp-skillプログラムの整備を進めております。海外開発拠点や共同研究機関との連携によるグローバル育成プログラムも充実させております。人財獲得では、長期インターンシップや大学との連携強化を行い、IoT分野の優秀な学生を当社に惹きつけております。2019年には大阪梅田に「Innovation Garden OSAKA Front」を新設し、2020年10月には高槻に「Innovation Garden OSAKA Center」を新設、画像IoT開発の本格的な拠点展開をはかり関西地区での人財獲得・人財育成強化を進めております。 また、ニューノーマルにおける働き方としてテレワークを積極的に展開するなど、ワークライフバランスを支える各種制度を整備し、多様な働き方に対応できる仕組みを強化しております。 5)情報セキュリティ発生可能性:中発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:大 ●リスク 当社グループは、様々な事業活動を通じて、顧客や取引先の個人情報あるいは機密情報を入手することがあります。これらの情報管理につきましては、サイバー攻撃等による不正アクセスや改ざん、データの破壊、紛失、漏洩等が不測の事情により発生する可能性があります。また、技術、契約、人事等に関する当社グループの機密情報が第三者に漏えい、不正使用された場合も、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ●対応・機会 情報管理について、適切な技術対策や社内管理体制の整備、従業員への教育等の対策を講じております。 また、サイバー攻撃を含むセキュリティインシデントに対応する組織としてCSIRT(注)を全グループで運用し、定期的な訓練を全グループで実施しております。さらに、製品・サービスに関して開発・設計・製造・販売・保守の全てのフェーズにおいて委託先を含めてサプライチェーン全体を一貫したセキュリティポリシーにてリスク管理を行うための包括的セキュリティマネジメント体制を2020年度より発足いたしました。これらを通してセキュリティの強化に努めてまいります。 新型コロナウイルスの影響によるテレワーク者増加に合わせて、よりセキュリティに配慮した勤務環境を提供する必要があり、暗号化通信による安全なネットワーク環境の提供と、会社指定デバイス以外からの社内環境への接続を制限しております。 また、当社グループは顧客のセキュリティ対策強化の支援にも注力しております。IT管理サービスとしてネットワークやアプリケーションの脆弱性の監視・管理サービス、リスクアセスメントを行うとともに、複合機からの情報漏洩を防止するためのデータの暗号化、パスワード設定やログ管理の機能、設定状況の監視と通知サービスを行う「bizhub(ビズハブ)SECURE」をグローバルに展開しております。新製品の「bizhub iシリーズ」には、社内ネットワークへのウイルス拡散を防止するため、すべての文書・FAXデータのウイルスをチェックする機能を搭載しております。オフィス内のITシステムを統合管理する「Workplace Hub」には、Sophos社のファイアウォール機能が搭載されており、ネットワークのリスクや脅威の検知と排除、情報漏洩に対応しております。 (注)CSIRT(Computer Security Incident Response Team)セキュリティ事故対応チーム ④新型コロナウイルス感染症に関するリスク1)新型コロナウイルス感染拡大の影響発生可能性:高発生する可能性のある時期:1年以内影響度:大 当社グループは、グローバルな事業を展開しており、売上高における日本以外の地域の構成比は、80%以上を占めます。そうした事業環境下において、2019年度から続く新型コロナウイルス感染症の世界的な流行は、欧米地域では当社の顧客企業の事業活動が停滞し大きく需要が減少したため、当社の販売活動の停滞を余儀なくされました。新型コロナウイルスによる感染症の影響は、感染の規模や収束の時期について、4月末現在において入手可能な情報等に基づいて、当社グループが判断し一定の想定をしております。 一方、新型コロナウイルス感染症と闘いながら経済活動を再開していく過程においては、医療従事者への一層の支援が必要とされるとともに人々の価値観や働き方にも変化が生じております。パルスオキシメーターの増産による感染者の在宅療養への対応、胸部X線のAI診断支援、遠隔診断支援や「Workplace Hub」を活用した多拠点連携による働き方改革支援、自社実践から得られたテレワークのノウハウ提供等は、これらの社会課題の解決を通じ事業機会拡大も想定されます。 以下、セグメントごとに、リスク(マイナス側面)と機会(プラス側面)の両面から説明いたします。 ●リスク・機会(デジタルワークプレイス事業・プロフェッショナルプリント事業)顧客企業のテレワークや事業活動の制限により、製品購入判断や設置の遅延、商談機会の制約や長期化、印刷量の減少が想定され、当社の経営成績においてもマイナスの影響がでています。一方、テレワークなどの新しい働き方を支援する当社のITサービス・ソリューションや「Workplace Hub」は、主要顧客である中堅・中小企業や官公庁に強固な情報セキュリティを確立しながら、遠隔での協働を実現するソリューションとして販売機会の拡大を推し進めています。営業活動においては、非対面営業による顧客への提案力向上のためのウェブセミナー開催やデータを活用したマーケティング等の顧客への科学的アプローチ、複合機に加えたIT商材の重ね売りなど、営業力の強化を推進してまいります。プロダクションプリント事業では、企業内印刷等のオフィスドキュメント印刷は減少しますが、中大手印刷領域において、ポストコロナの印刷機器購買の変化をデジタル化拡大の追い風と捉え、自社で培った強みを更に差別化につなげることで、デジタル印刷市場の規模とシェアの拡大を実現してまいります。また、テレワークの導入について悩まれている顧客へ、安全に社内の情報にアクセスできるテレワーク環境の整備、在宅勤務時でも社内に届くFAXを確認できるソリューション、稟議書等の社内ワークフローの電子化など、テレワーク環境を整備するための支援、個々の課題を解決するソリューションを多数、提供しております。(ヘルスケア事業)病院における一般患者や被検者の減少、当社グループからの病院や製薬企業への訪問が制約されることなどにより、販売の減少がワクチン接種による集団免疫獲得までは継続することが想定されます。一方、新型コロナウイルス感染症の収束後には、これらの需要は戻ってくるものと見ており、加えて感染症対応も含めた持続可能な医療環境を支援するX線動態解析、AI読影支援システムや遠隔画像診断システム、医療画像管理と施設間連携をサポートする「infomity(インフォミティ)」、医療従事者の安全と作業効率向上に貢献する生体情報モニタリングシステム、遠隔診療やカウンセリングシステム、従業員健康管理プログラムなどの販売機会の拡大可能性が想定されます。なお、米国のAmbry社では、2020年7月より開始した地域・企業・医療機機関に対するPCR・抗体検査について、2021年度も新型コロナウイルス感染症対策への支援として取り組んでまいります。(インダストリー事業)顧客企業のFPD(フラットパネルディスプレイ)製造ライン増設の遅延や最終製品の需要増減の影響が想定されます。一方、新しい働き方の広がりに伴って、需要の拡大が期待されるノートPCやタブレット、スマートフォンなどの中小型ディスプレイ用の部材販売や、顧客製造ラインの検査工程の自動化による省人化を支援する当社グループ独自のソリューションなどの販売機会の拡大可能性が想定されます。画像IoTの分野においては、AI解析によるサーマルカメラの体表温度測定ソリューションの需要が高まり、販売機会が拡大しております。(生産・調達)新型コロナウイルス感染拡大とその後の需要回復局面では、当社生産に加え、サプライヤーの企業活動や物流網に至るサプライチェーン全体に影響が及んでおります。サプライヤーでの需要回復に向けた過剰稼働による事故や局所的なロックダウンによる生産停止などの発生により、当社への供給不足、生産への影響に繋がる可能性が高まっております。また、サプライヤーの事業継続コストによる調達品目の価格高騰、もしくは事業継続が困難と判断された場合の代替品調達に伴う追加費用の発生などが生じる可能性があります。対策として、BCP管理体制を開発・品質保証・調達・生産の連携で整え、調達リスク回避を進めるとともに、社内生産及びサプライヤーにおける労働環境整備(感染症防止策の徹底、リモート生産支援などニューノーマルへの対応)も継続しております。 ●対応 当社では、新型コロナウイルス感染拡大に対し、各国政府・地域の法令・指導に従い、グループで働く人々とその家族、顧客、取引先を始めとする全てのステークホルダーの皆様の健康と安全確保を最優先に考え、感染拡大を防止するとともに、社会や顧客への製品・サービスの提供に支障が生じないよう、生産・物流を含めたサプライチェーン網の維持等にも最大限の努力を続けております。特に、生産では以前より自社生産のデジタル化(DX化)に取組み、その効果をサプライヤーにも展開することで生産性の向上と品質、コストの競争力強化を進めております。 日本国内では、従業員に対し以前から推進している在宅のテレワークを引き続き推進し、従業員の高いパフォーマンス発揮のため、きめ細かなITサポートを拡充しております。 従業員が新型コロナウイルスに「感染しない・うつさない」ための行動ガイドラインを作成し、オフィスにおける具体的な取組み(30分単位の室内換気、少人数定員の座席配置、小まめな手洗いや勤務中のマスク着用等)を継続し徹底しております。さらには、在宅のテレワークを続けることで生じる従業員間の意思疎通や生活リズムの変化などの従業員のメンタルリスクに対して、相談窓口の設置などのメンタルケアを行っております。グローバル各拠点でも、上記のとおり各国政府など行政の要請に基づいた適切な対応を継続しております。
FY2020|16,581 文字
2【事業等のリスク】(1)当社のリスクマネジメント体制 当社は、当社グループの事業活動に関する諸種のリスク管理を所管するリスクマネジメント委員会を設置し、リスクマネジメント委員会規則に従い、取締役会で指名された執行役が以下のリスク管理体制の構築と運用にあたっております。 当社グループの事業活動に関する事業リスク及びオペレーションリスクについては、執行役の職務分掌に基づき各執行役が、それぞれの担当職務ごとに管理することとし、リスクマネジメント委員会はそれを支援しております。また、リスクマネジメント委員会は、グループ経営上重要なリスクの抽出・評価・見直しの実施、対応策の策定、管理状況の確認を定期的に行っております。 (2)当社のリスクマネジメント体制の運用状況 当社は、リスクマネジメント委員会を定期的(年2回)及び必要に応じて臨時に開催しております。この委員会では、企業活動に関して抽出されたリスクとその対応策を策定するとともに、リスクマネジメントシステムが有効に機能しているかどうかの検証・評価を行っております。2019年度は、同委員会を2回開催し、2018年度から引き続き、主に米中貿易摩擦に端を発したグローバルでの保護主義的な潮流に対し、事業に影響度の高い地域・国に適用される制裁や新たな法規制等の定期的なモニタリングを実施しました。 また、リスクマネジメント委員会の協議内容は定期的に監査委員会に報告され、特に経営上・事業上重要なリスクに関しては取締役会に報告、協議されております。 さまざまなリスクによって発生するクライシスに対しては、迅速・適切に対応するためにクライシス発生時の報告ルールを設け、執行役や当社子会社役員等に周知しております。その報告ルールに沿って、世界各地で発生した災害事故、その他のクライシスに関する情報を危機管理担当執行役が集中管理しております。特に、新型コロナウイルス感染症につきましては、2020年1月よりCEOを最高責任者とする危機管理臨時体制を立ち上げ、対応策(BCP)策定と実行推進を行っております。 (3)事業等のリスク 当社グループの財政状態、経営成績績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を与える可能性がある主要なリスクとして、以下で記載しておりますが、これらのリスクは必ずしも全てのリスクを網羅したものではなく、想定していないリスクや重要性が低いと考えられる他のリスクの影響を将来的に受ける可能性もあります。 また、当社は、リスクを「組織の収益や損失に影響を与える不確実性」と捉えております。リスクを単にマイナスの側面からだけではなく、「機会」としてのプラスの側面からも捉えたうえで、リスクマネジメントを「リスクのマイナス影響を抑えつつ、リターンの最大化を追求する活動」と位置づけております。 記載事項のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において入手可能な情報等に基づいて、当社グループが判断したものであります。また「新型コロナウイルス感染症の影響」に関する事項については、本記載項目の最後にセグメントごとにまとめて記載をしております。なお、当該事項のうち将来に関する記載事項は2020年5月末現在において当社グループが判断したものであります。 ①経済環境に関するリスク1)経済動向・市場環境発生可能性:高発生する可能性のある時期:1年以内影響度:大 ●リスク 当社グループは、複合機やデジタル印刷システム、ヘルスケア用機器製品、産業用光学システム製品・部材やディスプレイ材料及び関連サービス等を世界中のお客様に向けて提供しております。これらの事業の売上及び損益は各国の景気動向や事業環境に大きく影響を受けます。 欧州では前連結会計年度後半から引続き経済低迷が継続し、英国のEU離脱は2020年1月に決定したものの英国とEUでの交渉が続くことから先行きの不透明感は継続し、また、米国による保護主義政策の流れ、米中の覇権争いに起因する貿易摩擦による追加関税の実施、ハイテク冷戦の影響、中東を中心とした地政学的要因や中国・新興国の経済成長の停滞などが引き続き懸念されます。 各国市場の景気後退は顧客の投資抑制や経費削減、消費低迷を引き起こし、結果として当社の予想を超えた在庫増加や競争激化に伴う販売価格下落、新規設置数減少等、将来にわたり当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社は、2月以降の新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大に伴い、特に欧米でのロックダウンにより機器の設置やサービス提供、新規受注などの販売活動が制約を受け、2019年度の業績に大きな影響が出る結果となりました。なお、同項目については、④「新型コロナウイルス感染症に関するリスク」に詳細を記載しております。 2)為替レートの変動発生可能性:高発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:中 ●リスク 当社グループは、高い海外売上高比率が示すようにグローバルに事業活動を展開しており、為替レート変動の影響を大きく受ける状況にあります。ユーロにつきましては、為替レートの1円の変動が営業利益に与える影響は約6億円になり、直接損益に影響を与える状況となっております。他の主要通貨においても、円高の状況は当社グループの業績に悪影響を及ぼし、円安は好影響を与えることになります。また、外貨建ての取引から生じる当社の資産及び負債の円貨額や海外子会社の外貨建財務諸表から発生する在外営業活動体の換算差額も変動する恐れがあります。 ●対応 為替レート変動の影響を軽減するため、米ドル、ユーロ等の主要通貨では為替予約を中心としたヘッジを行っております。また、米ドルにつきましては、米ドル建ての調達と米ドル建ての販売地域における売上を相殺することにより影響を軽減しております。 ②事業活動に関するリスク1)オフィス事業 プリント環境の変化に関連するリスク発生可能性:高発生する可能性のある時期:1年以内影響度:大 ●リスク 先進国を中心としたオフィスにおいては、紙に代わる情報共有の手段としてタブレット端末やスマートフォン等のデジタル機器の普及加速に加えて、ワークスタイルの変化により、オフィスにおける紙への出力機会が徐々に減少するリスクがあります。それに加えて、新型コロナウイルス感染拡大によるテレワークの普及が、このリスクの顕在化を加速させることも懸念されます。こうしたお客様の変化に対応ができない場合、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ●対応・機会 当社グループでは先進国オフィスでの出力機会の減少リスクに対処するために、以前より、オフィス事業のお客様に対して出力以外にもマネージドITサービスや、情報の管理・編集を支援するコンテンツマネジメントサービスを提供することで、お客様のワークフロー改善に資する価値の提供に取り組んでおります。また、中国・インドをはじめとするまだ成長余力のある国・地域においては、引き続きカラー複合機の設置拡大に取り組んでおります。これらの活動を通じてオフィスでの出力減少による収益減少を最小化する取組みを展開しております。 さらに、中堅・中小規模のオフィス事業のお客様を主なターゲットとして、新プラットフォームとなる「Workplace Hub(ワークプレイス ハブ)」や種々のアプリケーションソフトを通じて、お客様の業務の効率化や意思決定を支援する新たな価値の提供にも取り組んでおります。この新プラットフォームを通じた価値提供は当社独自のものであり、オフィス顧客の拡大にもつながります。 以上のようなオフィスにおける出力減少のリスクに対するオフィス事業としての対応に加えて、当社グループとしてオフィス事業と並ぶ収益の柱を構築していくために、バイオヘルスケア、産業用光学システム、産業印刷、画像IoT分野への積極的な投資を展開しております。 「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)中長期での成長に向けて ②デジタルによる顧客価値創出」にも関連事項を記載しております。 2)各国・各地域の規制発生可能性:高発生する可能性のある時期:1年以内影響度:中 ●リスク 当社グループの事業活動の多くの部分は、北米、欧州及びアジア諸国といった日本の国外で行われており、その国や地域固有の法制、規制や承認手続きの影響を受けております。米国と中国の貿易摩擦に端を発する相互関税の引き上げ、技術輸出規制などの経済措置の動向には常に十分な注意を払っておりますが、将来、各国の政府や国際的枠組による規制、例えば税制、輸出入規制、通貨規制、個人情報保護規制、デジタル関税、その他各種規則等が新規に導入されたり、変更されたりした場合には、これらに対応するための費用が発生したり、事業活動に支障をきたす可能性があります。また、このような予期しない事態に対応できない場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 特に、当社グループのヘルスケア事業、バイオヘルスケア分野では、事業活動を行っている各国の様々な医療制度や許認可の手続きの影響を受けております。医療制度改革等によって、予測できない大規模な医療行政の方針変更が行われ、その環境変化に速やかに対応できない場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ●対応・機会 各国・地域の法律・規制の動向には、常に十分な注意を払い、情報の収集に努めております。各エリアの法務担当者と連携し、海外各地域の実情を把握し、必要に応じ外部の弁護士、コンサルタント等、専門機関の協力を得て対応を行っております。また、新制度導入や制度改定による市場参入要件の新設・変更に迅速に対応することで、当社にとって販売機会創出の可能性があります。特に、環境法規制への対応、セキュリティに関する規制への対応は、当社が強みとする環境経営やITサービス・ソリューションに追い風になるものと認識し、対応を進めております。 ヘルスケア事業・バイオヘルスケア分野では、各国医療政策の情報収集、専門学会等との連携により対応を行なっております。プラス面では、医療政策による先端技術の導入は新たな市場創出につながり、近年では、AIを用いた画像診断、遠隔医療、遺伝子検査等への期待が高まっております。 3)次世代技術変化発生可能性:中発生する可能性のある時期:3年以内影響度:中 ●リスク 今後、当社グループが展開すべき新たな事業分野においては、他社に先んじた技術革新が重要な競争優位の源泉となっており、常に革新的な技術開発に挑戦し、そのための研究開発投資及び設備投資も積極的に行っておりますが、競合他社が先行して類似技術や代替技術を出してくる可能性もあります。 また、IoT、AIに代表されるデジタル技術の普及に伴いデータの活用領域が拡大することで、様々な産業分野、ビジネスモデルに変化がもたらされることが想定されます。これらの変化に対応できない場合、将来にわたり市場でのポジションを喪失する等、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ●対応・機会 当社グループの材料・光学・微細加工・画像の4分野のコア技術を高度化・融合化するとともにIoT、AI技術と組み合わせることで、当社独自のデータの源泉となる「見えないものを見える化する技術」をさらに発展させ、オフィス、ヘルスケア、産業用材料・機器事業のデジタルトランスフォーメーションを顧客と連携して進めてまいります。例えばオフィス事業においては、顧客とともに販売と開発が一体となって顕在化していない顧客ニーズを抽出し、デジタル技術を駆使して短期間での開発、検証を繰り返すことで、働き方改革、テレワーク等を支援するサービスを提供する体制を構築してまいります。 また、自前主義に陥らず、当社の技術戦略やコア技術資産を外部に積極的に発信し、大学、研究機関、スタートアップ等の幅広いパートナーとのオープンイノベーションを推進することでエコシステムをリードする、あるいは一員として協力するなど様々な形で社会に貢献する技術開発を加速してまいります。 4)新製品への移行発生可能性:低発生する可能性のある時期:3年以内影響度:大 ●リスク 当社グループが事業展開する分野は、ハードウエア・ソフトウエアの急速な技術的進歩による製品・サービスに求められる機能の汎用化が早く、製品ライフサイクル期間内であっても性能・サービスの内容・機能の改善が求められる事業分野です。このため、顧客・市場ニーズに対応するため常に革新的な技術開発に挑戦し、多くのリソースを投入し研究開発を行っておりますが、新製品・新サービスへの移行は多くのリスクが内在しております。開発または生産の遅延、量産初期段階での品質問題、製造原価の変動、新製品導入に伴う現行製品への販売影響等、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、競合他社から当社新製品・新サービスと類似製品・サービスが先行投入されるなど競合他社の新製品・新サービス市場導入時期により当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ●対応・機会 当社グループでは、新製品・新サービスへの移行・展開において、開発初期段階から量産に至るまでの各ステップで、試作品、量産前製品、量産品それぞれに対する製品仕様、要求品質、製造コスト、環境対応を中心とした検証とゲート管理を徹底し、最大限の取組みを行っております。特に新製品への切り替え時期におきましては、開発・生産・品質保証の各部門が一体となった管理体制を敷き、お客様に不利益が生じないことを第一に、その後のサービスを含め顧客価値を高める活動を行っております。 また、各事業分野において顧客価値を継続的に高め、競合に対して競争力のある新製品・新サービスの計画的な市場導入を進めております。市場変化の激しい状況下を考え、常に市場動向を観察・分析しタイムリーな計画変更を実施してまいります。例えば、オフィス事業では、複合機を中心に顧客のワークフローの改善につながるソリューションを、プロフェッショナルプリント事業では、ジャンルトップとなる競争力の高い商材・サービスを提供してまいります。 5)他社との協業、企業買収等について発生可能性:中発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:中 ●リスク 当社グループは、事業競争力の強化あるいは効率化の観点から、資本提携・企業買収等、他社との協業を進めております。 企業買収等に伴い、のれん及び無形資産を計上しており、定期的に減損テストを実施しております。事業環境の変化に伴い、買収対象会社に係る将来キャッシュ・フローの低下が見込まれた場合等には、減損損失を認識する可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 ●対応 企業買収に際しては、投資評価の審議を行い当社との戦略的適合性、計画の蓋然性、投資額の妥当性、リスク対応等の観点から投資評価を行った上で、投資の可否を見極めております。また、投資実施後においては、定期的な投資レビューにより、投資時点の計画からの変化に対しても、迅速に対策を講じるようにしております。 6)調達・生産等発生可能性:中発生する可能性のある時期:1年以内影響度:中 ●リスク 当社グループは、特定の製品、部品や材料、及びエネルギーを世界中の複数のサプライヤーから調達する方針を取っております。それらのサプライヤーに不測の事態が発生した場合、当社グループの生産及び供給能力に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの生産活動において使用する鉄やアルミニウム等の金属製品、原油を原料とする石油化学製品、レアアース等の希少天然資源等の原材料価格、及びエネルギー価格の高騰が業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの主力事業であるオフィス事業、プロフェッショナルプリント事業及び産業用材料・機器事業では、コスト競争力強化と市場への迅速な製品供給のために海外での生産活動を継続しており、重要な活動拠点のひとつに中国があります。中国におきましては経済発展とともに法制面改革やインフラ整備等も進んでおりますが、法的な変化、労務政策の難しさ、人件費の上昇、人民元の切上げ、輸出入規制や税制、環境規制の変更等予測困難な事態が発生する可能性があります。主力事業の生産活動の一部を中国で行っている当社グループにとって、これらのリスクに対処できない場合は、当社グループの業績及び成長戦略に悪影響を及ぼす可能性があります。 ●対応 当社グループでは、主力調達地域である日本、中国、ベトナム、マレーシアにその活動に特化した部門を設置し、調達に関わる各地域の規制、制限、変化などの情報を収集することで、その対応の迅速化を図っております。また、サプライヤーでの品質、生産性向上を含めたコストの競争力を高めるためのコラボレーション活動を推進しております。具体的には、品質改善活動をサプライヤーと協業して行うこと、また、当社が保有する生産工程の自動化などの生産技術をサプライヤーに導入することで、生産性の向上と品質、コストの競争力を高めております。さらに主要原材料、電子部品に対し集中的な調達を行い、市況、市場、業界変動の中でも品質、供給、コスト競争力を維持する活動を行っております。 また、生産に関するリスク対応及び事業環境の変化に対する柔軟性を向上させるため、日本、中国、マレーシアにおいて製品組立の生産拠点を展開しており、特に近年様々な面で高まりを見せる中国のカントリーリスクへの対応として、生産規模の大きい主力製品を中心に中国外生産の比率を高めている状況にあります。また主力事業であるオフィス事業、プロフェッショナルプリント事業の消耗品における部品生産及び印刷用トナーの充填を行う拠点として、欧州、北米にも自社生産拠点を展開し消費地生産による需要変動への柔軟性を確保しております。 これら活動に加え、不測の事態による部品供給難に対応するため、BCP管理体制を開発・品質保証・調達・生産連携で整えております。サプライヤーの材料調達状況、生産稼働状況、出荷などの物流状況を迅速に把握するため各サプライヤー間の連絡網を整備し、部品供給課題が顕在化した場合は代替品の評価、検証から生産投入に至る一連の活動を、開発、生産、品質保証で最優先に対応しております。これらにより事業への影響の抑制を図っております。 7)製造物・品質責任発生可能性:低発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:中 ●リスク 当社グループは、国内外のグループ会社や生産委託先にて厳格な品質保証体制を構築し、お客様に対して高い性能と信頼性を備えた製品及びサービスを提供しております。万が一、当社グループの製品あるいはサービスに欠陥が発生した場合、その欠陥に起因した損害に対して当社グループは賠償責任を負う可能性があり、またその欠陥に対して多大な対策費用が発生する可能性があります。さらに当該問題により、企業ブランドや製品ブランドが毀損され経営成績に悪影響が及ぼす可能性があります。 ●対応・機会 重大品質問題を起こさない仕組み・取組みとして、グループ全体の品質に関する責任と権限を担う執行役を議長とする「品質保証責任者会議」を設置し、品質マネジメントを統括しております。同会議は、原則として四半期ごとに開催され、品質計画の推進、進捗確認とともに、品質保証に関する情報共有、検討を行います。さらに各事業では、品質課題についてPDCAサイクルを徹底することで継続的な品質向上に取り組んでおります。 製品品質に関わる問題が発生した場合、24時間以内に全世界グループ統一の「市場品質速報データベース」に情報を登録することが義務づけられており、登録された情報は即座に品質担当執行役と事業責任者へ伝達され、関連部門で共有、必要な対策・情報開示が迅速に行えるようになっております。また、過去に発生した品質問題に対し、原因の解析、対策の実施及び技術・評価基準への反映を行い、再発防止に努めております。その結果、過去5年間、重大事故の発生はありません。また、法的基準よりも厳しい独自の製品安全基準を設けて、製品のさまざまな箇所について詳細に規定し確認を行っております。これらの施策をより確実に実施するために、設計・開発、生産技術、調達、品質保証などに携わる技術系従業員を対象とした「製品安全教育」をグループ全体で展開し、品質マインドの定着に努めております。 また、デジタル社会の進展や当社IoTサービス関連事業の拡大に伴い、セキュリティ事故のリスクも増大してくると考えております。製品セキュリティ事故発生時の対応と脆弱性への対策・予防として、製品の脆弱性に関する情報を全社で一元管理し必要な対応を推進するとともに、社外の公的機関等と連携するための全社共通組織として「KONICA MINOLTA PSIRT(注1)」を2017年12月に立ち上げ、活動を開始しました。2019年5月には、92か国約500のCSIRT(注2)・PSIRTチームが所属する国際フォーラムである“FIRST”(注3)に加盟し、企業間での情報連携やセキュリティ貢献が可能な体制を整えております。 (注1)KONICA MINOLTA PSIRT (Product Security Incident Response Team)、当社の製品脆弱性対応チーム (注2)CSIRT(Computer Security Incident Response Team)セキュリティ事故対応チーム (注3)FIRST(Forum of Incident Response and Security Teams) ③その他のリスク1)大地震・自然災害・感染症等発生可能性:中発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:大 ●リスク 当社グループは、研究開発・調達・生産・販売等の拠点を世界各国に置き、グローバルに事業活動を展開しております。地震、火災、気候変動に伴う大規模な台風、洪水、森林火災等の災害、新型コロナウイルスや新型インフルエンザのような大規模な感染症の発生、また戦争、テロ行為、サイバー攻撃等が起こった場合、当社グループの設備等が被害を受け、一時的に操業が停止し生産及び出荷の遅れにより、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 特に、首都直下、南海トラフ等における巨大地震の発生においては、その影響度を検討して策定した「コンティンジェンシープラン」においても、被害想定を超えた規模で発生する可能性があり得ると考えられます。当社グループは、防災対策や事業継続マネジメントを今後も継続して推進してまいりますが、このような事態が発生した場合、機能停止、設備の損壊、電力・水・ガス等の供給停止、公共交通機関や通信手段の停止、サプライチェーンへの被害等により、お客様へのサービスの提供や製品出荷等の停止など、当社グループの事業活動の継続に影響を及ぼす可能性があります。 ●対応 当社グループは災害や、感染症の発生また戦争、テロ行為、サイバー攻撃等があった場合の情報を危機管理担当執行役が集中管理し、従業員の安全を最優先として適切な対応をとる体制を構築しております。その中でも巨大地震をはじめとした災害に対しては防災中期計画に基づき、予防・減災対策、応急対策・初動対応、復旧・復興対策の観点でハード・ソフト両面からの対応実践力の向上を図っております。具体的には建物の耐震対策、通信・データ関連の主要サーバーの海外設置、安否確認システム・緊急時情報データベース等ITによる被災時情報共有基盤の整備等を進めています。大規模災害時には国内に有する約300のグループ拠点について緊急時の情報ネットワークを構築し、必要な支援や対策を実施できる体制を構築しております。さらに、事業拠点で従業員が災害時に自律的行動をとれるよう、定期的に実践的な防災訓練を実施しております。 また、当社グループでは、事業を継続し、企業としての社会的責任を遂行するとともに、お客様が必要とする製品やサービスを安定的に供給するために「コンティンジェンシープラン」を策定し、主要消耗品の生産拠点の分散化によるリスクの低減、調達リスクの高い品目については代替手段の検討、在庫の確保等、対応策の有効性の確認と改善を図っております。地域においては、各拠点の自治体と連携し、自然災害時の避難場所の提供等、地域貢献にも努めております。 2)環境規制・気候変動発生可能性:中発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:中 ●リスク 当社グループは、大気汚染、水質汚濁、有害物質の除去、廃棄物処理、製品リサイクル、土壌・地下水汚染等に関する様々な環境法及び規制の適用を受けており、それらの遵守のために必要な経営資源を投入しておりますが、現在及び過去の生産活動に関わる環境責任に伴う費用負担や賠償責任が発生する可能性があります。加えて、温室効果ガス排出規制、エネルギー効率規制、欧州サーキュラーエコノミー(循環型経済)に関する規制、炭素税等新規・追加の環境関連の法規制が将来さらに厳格化した場合には、遵法のための追加的義務及び費用が発生する恐れがあり、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、気候変動をはじめとした地球環境問題の進行は、その緩和及び適応の局面において将来にわたり当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。一方、その課題の解決に貢献できれば好影響を及ぼす可能性があります。 ●対応・機会 当社グループでは、2050年までに自社の製品ライフサイクルにおけるCO2排出量を80%削減するとともに、その排出量を上回る社会・お客様でのCO2排出量削減を生み出し、「カーボンマイナス」を実現することを目指しております。2019年度には、製品ライフサイクルにおけるCO2排出量は約99万トンで52%削減まで到達しております。 また、気候関連の機会については、多様な働き方を支えるコネクテッドワークプレイス、デジタルトランスフォーメーション(DX)による介護現場ソリューション、印刷工程のオンデマンド生産プロセスなどを通じ、本格的なペーパーレス、オフィスレス(ユビキタス)社会への働き方変革、エネルギー使用やCO2排出量が少ない製造プロセス変革を提供してまいります。また異常気象等への備えとしての画像IoT・センシングソリューション、遺伝子・画像診断等の技術を活用したヘルスケアソリューションなど、社会課題の解決に直結した事業を強化しております。人為的なCO2排出の主要因となる化石燃料に依存しない再生可能エネルギー社会へいち早く適合し事業運営することが、持続的に成長できる企業の必須要件であるとの考えから、再生可能エネルギー100%での事業運営を目指す国際リーダーイニシアチブ「RE100」に加盟しております。2050年までに自社の事業活動で使用する電力の調達を100%再生可能エネルギーにする目標を設定しております。2019年度には再生可能エネルギー比率を5.3%まで高めました。 当社グループは、気候変動をリスクとしてだけではなく機会としても捉え、事業活動を通じて気候変動に関する社会課題を解決していくことを目指します。また、気候変動による事業影響、機会及びその影響の評価に取り組んでいく姿勢を明確にするため、金融安定理事会が設置した「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」の提言に賛同しており、継続的に気候変動の影響の評価及びその情報の開示に取り組んでまいります。 「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)中長期での成長に向けて ③地球環境への貢献」に関連事項を記載しております。 3)知的財産権発生可能性:低発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:小 ●リスク 当社グループは、製品開発の中で多くの技術あるいはノウハウを蓄積し、それらを保護するための知的財産権の取得に努めております。しかしながら、一部の地域・国では、知的財産権を保護する制度が不十分な場合があり、第三者が当社グループの知的財産権を使用して類似製品を製造、販売することを防止できない可能性があります。 また、当社グループでは他社の権利を侵害しないように製品の開発を進めておりますが、見解の相違等により他社の知的財産権を侵害しているとされ、当社グループが技術を使用できない可能性や多額の損害賠償責任を負う可能性があります。さらに、現在当社グループがライセンスを受けている第三者の知的財産権の使用が将来差し止められる、あるいは不当な条件に変更される可能性があります。 ●対応・機会 当社グループは、技術等を保護する知的財産権(例えば特許権)を適切に取得・執行することが困難な国・地域において、商標権等に基づいて、行政機関と協力し模倣品の押収や輸入差し止めを行う、運営業者と連携し電子商取引(EC)サイトからの出店差し止めを行うなど、様々な方法により類似製品の流通阻止に努めております。 また、他社の知的財産権に関しては、製品開発の各フェーズにおいて入念な調査・確認を実施し、他社の知的財産権を侵害していないことを商品化の要件としております。また、万一見解の相違等により他社から知的財産権の侵害を指摘された場合やライセンス条件の変更等に備え、非侵害の主張やライセンス条件等の交渉・訴訟対応を行うための専門人財を社内知的財産部門に配置するとともに、経験豊富な国内外の弁護士と連携し、事案の内容に応じて適切に対応する体制を整えております。 これらのリスク管理に加え、当社グループの事業、製品、サービス等により提供される顧客価値の源泉となる独自のビジネスモデル、技術、データ等の知的財産について、特許権等の知的財産権の取得、不正競争防止法によるノウハウ・データの保護要件を満たす管理等、その特性に応じた適切な保護・活用を行うことにより、当社グループの持続的な競争優位性の維持、成長のドライバーとしております。 4)人財確保発生可能性:中発生する可能性のある時期:3年以内影響度:中 ●リスク 当社グループの新規事業を中心とした将来的な成長には、優秀な人財の継続的な獲得が欠かせないと認識しております。特に、IoT、AIに代表されるデジタル技術の普及に伴うデータの活用領域が拡大することによる様々なビジネスモデルの変化に対応するためには、IoT人財の強化が必要となります。計画どおりに人財の強化が進まない場合は、当社グループの目指すソリューションビジネスへの転換に影響を及ぼす可能性があります。 ●対応・機会 当社グループでは、IoT人財の育成・獲得を重要戦略と位置づけ重点的に施策を進めております。人財育成では、スキル認定の仕組みにより技術系人財のジョブ・スキルマッチングを進めるとともに海外開発拠点や共同研究機関との連携での育成プログラムによるグローバルレベルで計画的な育成を行っております。人財獲得では、長期インターンシップや大学との連携強化を行い、IoT分野の優秀な学生を当社に惹きつけております。2019年には大阪梅田に「Innovation Garden OSAKA Front」を新設し、2020年10月には高槻に「Innovation Garden OSAKA Center」の新設を予定しており、画像IoT開発の本格的な拠点展開をはかり関西地区での人財獲得強化を進めております。 また、New Normal(新常態)における働き方としてテレワークを積極的に展開するなど、ワークライフバランスを支える各種制度を整備し、多様な働き方に対応できる仕組みを強化しております。 5)情報セキュリティ発生可能性:中発生する可能性のある時期:特定時期なし影響度:大 ●リスク 当社グループは、様々な事業活動を通じて、お客様や取引先の個人情報あるいは機密情報を入手することがあります。これらの情報管理につきましては、サイバー攻撃等による不正アクセスや改ざん、データの破壊、紛失、漏洩等が不測の事情により発生する可能性があります。また、技術、契約、人事等に関する当社グループの機密情報が第三者に漏えい、不正使用された場合も、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ●対応・機会 情報管理について、適切な技術対策や社内管理体制の整備、従業員への教育等の対策を講じております。 また、サイバーインシデントに対応する組織としてCSIRTを全グループで運用し、セキュリティインシデントを想定した訓練を実施しております。さらに、製品・サービスに関して開発・設計・製造・販売・保守の全てのフェーズにおいて委託先を含めてサプライチェーン全体を一貫したセキュリティポリシーにてリスク管理を行うための包括的セキュリティマネジメント体制を2020年度より発足いたします。これらを通してセキュリティの強化に努めてまいります。 新型コロナウイルスの影響によるテレワーク者増加に合わせて、よりセキュリティに配慮した勤務環境を提供する必要があり、外部からの不正アクセス防止のため、暗号化通信によるセキュアなネットワーク環境の提供と、会社指定デバイス以外からのネットワーク接続を制限しております。 また、当社グループはお客様のセキュリティ対策強化の支援にも注力しております。IT管理サービスとしてネットワークやアプリケーションの脆弱性の監視・管理サービス、リスクアセスメントを行うとともに、複合機からの情報漏洩を防止するためのデータの暗号化、パスワード設定やログ管理の機能、設定状況の監視と通知サービスを行う「bizhub(ビズハブ)SECURE」をグローバルに展開しております。新製品の「bizhub i-SERIES」には、社内ネットワークへのウイルス拡散を防止するため、すべての文書・FAXデータのウイルスをチェックする機能を搭載しております。オフィス内のITシステムを統合管理する「Workplace Hub」には、Sophos社のファイアウォール機能が搭載されており、ネットワークのリスクや脅威の検知と排除、情報漏洩に対応しております。 ④新型コロナウイルス感染症に関するリスク1)新型コロナウイルス感染拡大の影響発生可能性:高発生する可能性のある時期:1年以内影響度:大 当社グループは、グローバルな事業を展開しており、売上高における日本以外の地域の構成比は、80%以上を占めます。そうした事業環境下において、2020年1月下旬から顕在化した新型コロナウイルス感染症の世界的な流行は、各国政府によるロックダウン(都市封鎖)や活動自粛要請などにより、中国・アジア地域ではサプライチェーンや生産活動に混乱をきたし、当社グループにおいても一部の工場で一時的に操業停止や減産などの対応を、欧米地域では当社の顧客企業の事業活動が停滞し大きく需要が減少したため、当社の販売活動の停滞を余儀なくされました。新型コロナウイルスによる感染症の影響は、感染の規模や収束の時期について、5月末現在において入手可能な情報等に基づいて、当社グループが判断し一定の想定をしておりますが、その想定は不確実性があるため、業績に与える影響を具体的に予想することが困難であります。 一方、新型コロナウイルス感染症と闘いながら経済活動を再開していく過程においては、医療従事者への一層の支援が必要とされるとともに人々の価値観や働き方にも変化が生じると想定されます。胸部X線のAI診断支援、遠隔診断支援や「Workplace Hub」を活用した多拠点連携による働き方改革支援、自社実践から得られたテレワークのノウハウ提供等は、これらの社会課題の解決を通じ事業機会拡大も想定されます。 以下、セグメントごとに、リスク(マイナス側面)と機会(プラス側面)の両面からご説明します。 ●リスク・機会(オフィス事業・プロフェッショナルプリント事業)顧客企業のテレワークや事業活動の制限により、製品購入判断や設置の遅延、商談機会の制約や長期化、印刷量の減少が想定され、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。一方、テレワークなどの新しい働き方を支援する当社のITサービス・ソリューションや「Workplace Hub」は、主要顧客である中堅・中小企業や官公庁に強固な情報セキュリティを確立しながら、遠隔での協働を実現するソリューションとして販売機会の拡大の可能性が想定されます。(ヘルスケア事業・バイオヘルスケア分野)病院における一般患者や被検者の減少、当社グループからの病院や製薬企業への訪問が制約されることなどにより、販売の一時的な減少が想定されます。一方、新型コロナウイルス感染症の収束後には、これらの需要は戻ってくるものと見ており、加えて感染症対応も含めた持続可能な医療環境を支援する遠隔画像診断システム、X線動態解析とAI読影支援システム、医療画像管理と施設間連携をサポートする「infomity(インフォミティ)」、遠隔診療やカウンセリングシステム、従業員健康管理プログラムなどの販売機会の拡大可能性が想定されます。なお、2020年4月に、米国政府からの要請を受け、検査ラボとRNA検査技術を活用し、企業・医療関係者からのPCR・抗体検査を受託しました。創薬支援においては新型コロナウイルス治療薬の研究を支援するべく取り組んでおります。(産業用材料・機器事業)顧客企業のFPD(フラットパネルディスプレイ)製造ライン増設の遅延や最終製品の需要増減の影響が想定されます。一方、新しい働き方の広がりに伴って、需要の拡大が期待されるノートPCやタブレット、スマートフォンなどの中小型ディスプレイ用の部材販売や、顧客製造ラインの検査工程の自動化による省人化を支援する当社グループ独自のソリューションなどの販売機会の拡大可能性が想定されます。画像IoTの分野においては、AI解析によるサーマルカメラの体表温度測定ソリューションの需要が高まり、販売機会が拡大しております。(調達・生産)新型コロナウイルス感染拡大は、当社のサプライヤーの企業活動にも影響を与えており、サプライヤーの事業継続コストによる調達品目の価格高騰、もしくは事業継続が困難と判断された場合の代替品調達に伴う追加費用の発生などが生じる可能性があります。 ●対応 当社では、2020年1月よりCEOを最高責任者とする危機管理臨時体制を立上げ、対応策(BCP)策定と実行推進を行いました。新型コロナウイルス感染拡大に対し、各国政府・地域の法令・指導に従い、グループで働く人々とその家族、お客様、お取引先様を始めとする全てのステークホルダーの皆様の健康と安全確保を最優先に考え、感染拡大を防止するとともに、社会やお客様への製品・サービスの提供に支障が生じないよう、生産・物流を含めたサプライチェーン網の維持等にも最大限の努力を続けております。特に、生産では以前より自社生産のデジタル化(DX化)に取組み、その効果をサプライヤーにも展開することで生産性の向上と品質、コストの競争力強化を進めております。 日本国内では、従業員に対し以前から推進している在宅のテレワークを引き続き推進し、従業員の高いパフォーマンス発揮のため、きめ細かなITサポートを拡充しております。 また、従業員が新型コロナウイルスに「感染しない・うつさない」ための行動ガイドラインを作成し、オフィスにおける具体的な取組み(30分単位の室内換気、少人数定員の座席配置、小まめな手洗いや勤務中のマスク着用等)を徹底しました。さらには、在宅のテレワークを続けることで生じる従業員間の意思疎通や生活リズムの変化などの従業員のメンタルリスクに対して、相談窓口の設置などのメンタルケアを行っております。グローバル各拠点でも、上記のとおり各国政府など行政の要請に基づき、適切に対応しております。
FY2019|5,368 文字
2【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。 (1)経済、市場、競合環境 当社グループは、複合機やデジタル印刷システム、ヘルスケア用機器製品、産業用光学システム製品・部材やディスプレイ材料及び関連サービス等を世界中のお客様に向けて提供しております。これらの事業の売上及び損益は各国市場の景気動向や事業環境に大きく影響を受けます。 世界経済においては、欧州におけるポピュリズム勢力の台頭、米国による保護主義政策の流れ、特に米中貿易摩擦の影響、中東を中心とした地政学的要因や中国・新興国経済成長の停滞、広域経済圏の枠組や主要国での金融政策の見直し等が引き続きリスク要因として懸念されます。各国市場の景気後退は顧客の投資抑制や経費削減、消費低迷を引き起こし、結果として当社の予想を超えた在庫増加や競争激化に伴う販売価格下落、販売数量の減少に伴う新規設置減少等、将来にわたり当社グループの経営成績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 複合機やプリンター、デジタル印刷システム等の情報機器、ヘルスケア用機器の領域においては、ネットワーク化、多機能化等に対応した高付加価値製品への需要が拡大し、あわせてソリューションやサービスへのニーズも高まっています。特に情報機器業界においては、チャネル再編や業容拡大のための買収・提携が進んでおり、このようなメーカーや流通を巻き込んだ業界内の競争が想定以上に激化した場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 産業用光学システム製品・部材やディスプレイ材料を提供する液晶テレビ・DVD・デジタルカメラ等のデジタル家電市場では、各メーカー間の熾烈な競争に伴い市場価格は低下傾向を続け、その影響は当社を含む部材・機器メーカーへも及んでおります。同時に、短命化した製品のライフサイクルの中で各社とも大量に生産した製品を短期間に販売しようとする傾向が強く、市場競争の結果、生産調整に伴う急激な需給変化が当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、パソコン、タブレット、スマートフォン等の情報端末市場において今後の成熟化の進展次第では、製品のライフサイクルの変化が起こる可能性があり、それに伴う急激な需給変化は販売数量の減少を招く恐れもあります。 当社グループの主要事業分野や今後当社グループが展開すべき新たな事業分野においては、他社に先んじた技術革新が重要な競争優位の源泉となっており、常に革新的な技術開発に挑戦し、そのための研究開発投資及び設備投資も積極的に行っておりますが、競合他社が先行して類似技術や代替技術を出してくる可能性もあります。また、IoT、AIに代表されるデジタル技術の普及に伴いデータの活用領域が拡大することで、様々な産業分野、ビジネスモデルに変化がもたらされることが想定されます。これらの変化に充分に対応できない場合、将来にわたり市場でのポジションを喪失する等、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、これらの当社グループの成長を支える有能な人財の確保が一層重要になってきております。人財に対する企業間の獲得競争が激化し、これらの有能な人財の確保及び雇用の維持ができない場合、当社グループの成長戦略の遂行に悪影響を及ぼす可能性があります。 (2)為替レートの変動 当社グループは、高い海外売上高比率が示すようにグローバルに事業活動を展開しており、為替レート変動の影響を大きく受ける状況にあります。 この影響を軽減するため、米ドル、ユーロ等の主要通貨では為替予約を中心としたヘッジを行っております。また米ドルにつきましては、米ドル建て調達と米ドル建ての販売地域での売上を相殺することにより影響を軽減しております。しかしながらユーロにつきましては、為替レートの1円の変動が営業利益に与える影響は約6億円であり、直接損益に影響を与える状況となっております。他の主要通貨においても円高の状況は当社グループの業績に悪影響を及ぼし、円安は好影響を与えることになります。 (3)各国、各地域の規制 当社グループの事業活動の多くの部分は、北米、欧州及びアジア諸国といった日本の国外で行われており、その国や地域固有の法制、規制や承認手続きの影響を受けております。2018年度に入り顕在化した米国通商法301条に基づく制裁措置による米国と中国の貿易摩擦の動きをはじめ、それらの動向には常に充分な注意を払っておりますが、将来、各国の政府や国際的枠組による規制、例えば税制、輸出入規制、通貨規制、個人情報保護規制、その他各種規則等が新規に導入されたり、変更されたりした場合には、これらに対応するための費用が発生したり、事業活動に支障をきたす可能性があります。また、このような予期しない事態に対応できない場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 グループ会社間の国際的な取引価格につきましては、当社グループ税務方針に基づき、適用される日本及び相手国の移転価格税制を遵守しておりますが、税務当局から取引価格が不適切であるとの指摘を受ける可能性や、協議が不調となった場合に二重課税や追徴課税を受ける可能性があります。 当社グループのヘルスケア事業、バイオヘルスケア分野では、事業活動を行っている各国の様々な医療制度や許認可手続きの影響を受けております。医療制度改革等によって、予測できない大規模な医療行政の方針変更が行われ、当事業がその環境変化に速やかに対応できない場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (4)環境規制等 当社グループは、大気汚染、水質汚濁、有害物質の除去、廃棄物処理、製品リサイクル、土壌・地下水汚染等に関する様々な環境法及び規制の適用を受けており、それらの遵守のために必要な経営資源を投入しておりますが、現在及び過去の生産活動に関わる環境責任に伴う費用負担や賠償責任が発生する可能性があります。加えて、環境関連の法規制が将来さらに厳格化した場合には、遵法のための追加的義務及び費用が発生する恐れがあり、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また気候変動をはじめとした地球環境問題の進行は、将来にわたり当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。一方、その課題の解決に貢献できれば好影響を及ぼす可能性があります。特に気候変動による事業影響については、金融安定理事会(FSB)が設置した「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」の提言に当社は賛同しております。 (5)他社との提携、協力関係、企業買収等について 当社グループは、事業競争力の強化あるいは効率化の観点から、技術提携や業務提携、合弁、企業買収等、他社との協業を進めております。 お客様のニーズに対応した新しい製品やサービスをタイムリーに提供するためには、他社との提携や買収によって相互に技術やノウハウを補完し合うことは極めて有用な手段ではありますが、経営上あるいは財務等の要因によってこのような協業関係を継続できない場合や、期待した成果が得られない場合には、当社グループの成長戦略に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、当社グループは、企業買収に伴うのれん及び無形資産を計上しており、定期的に減損テストを実施しております。事業環境の変化に伴い買収対象会社に係る将来キャッシュ・フローの低下が見込まれた場合等には、減損損失を認識する可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 (6)調達・生産等 当社グループは、特定の製品、部品や材料、及びエネルギーを世界中の複数のサプライヤーから調達する方針を取っております。調達品目によっては仕入先の代替が難しいものがありますが、これらの資材につきましては適切なバックアップ体制を整えております。しかしながら、それらのサプライヤーに不測の事態が発生した場合、当社グループの生産及び供給能力に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、当社グループの生産活動において使用する鉄やアルミニウム等の金属製品、原油を原料とする石油化学製品、レアアース等の希少天然資源等の原材料価格、及びエネルギー価格の高騰が業績に影響を及ぼす可能性があります。このような原材料価格の上昇分につきましてはコストダウンと製品価格への転嫁に努めておりますが、全てをカバーできる保証はなく、また販売価格の値上げは販売数量の減少を招く恐れもあります。 当社グループの主力事業であるオフィス事業、プロフェッショナルプリント事業及び産業用材料・機器事業では、コスト競争力強化と市場への迅速な製品供給のために海外での生産活動の拡充に注力しており、重要な活動拠点のひとつに中国があります。中国におきましては経済発展とともに法制面改革やインフラ整備等も進んでおりますが、法的な変化、労務政策の難しさ、人件費の上昇、人民元の切上げ、輸出入規制や税制、環境規制の変更等予測困難な事態が発生する可能性があります。主力事業の生産活動の一部を中国で行っている当社グループにとって、これらのリスクに対処できない場合は、当社グループの業績及び成長戦略に悪影響を及ぼす可能性があります。 (7)情報セキュリティ 当社グループは、様々な事業活動を通じてお客様やお取引先の個人情報あるいは機密情報を入手することがあります。これらの情報管理につきましては、サイバー攻撃等による不正アクセスや改ざん、データの破壊、紛失、漏洩等を防ぐために適切な技術的対策や社内管理体制の整備、従業員教育等の対策を講じておりますが、不測の事情により外部へ流出する可能性があります。万が一、情報漏洩が発生した場合には、被害を受けた関係者に対する賠償責任が発生する恐れがあり、当社グループの信用やイメージにも悪影響が及ぶ可能性があります。 また、技術、契約、人事等に関する当社グループの機密情報が第三者に漏洩、不正使用された場合も、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (8)知的財産権等 当社グループは、事業競争力の優位性を確保するため、製品開発の中で多くの差別化技術あるいはノウハウを蓄積し、それら知的財産権の保護に努めております。しかしながら、一部の地域では法的な制約のために知的財産として充分に保護されない場合があり、第三者が当社グループの知的財産を使って類似製品を製造、販売することを防止できない可能性があります。 また、当社グループでは、他社の権利を侵害しないように製品の開発を進めておりますが、見解の相違等により他社の知的財産権を侵害しているとされ、当社グループが事業上重要な技術を使用できない可能性や多額の損害賠償責任を負う可能性があります。 さらには、現在当社グループがライセンスを受けている第三者の知的財産権の使用が将来差し止められる、あるいは不当な条件に変更されるという可能性があります。 (9)製造物・品質責任 当社グループは、国内外のグループ会社や生産委託先にて厳格な品質保証体制を構築し、お客様に対して高い性能と信頼性を備えた製品及びサービスを提供しております。万が一、当社グループの製品あるいはサービスに欠陥が発生した場合、その欠陥に起因した損害に対して当社グループは賠償責任を負う可能性があり、またその欠陥に対して多大な対策費用が発生する可能性があります。さらに当該問題に関する報道により、当社グループの事業やイメージに悪影響が及ぶ可能性があります。 (10)自然災害・戦争・テロ・事故等 当社グループは研究開発・調達・生産・販売等の拠点を世界各国に置き、グローバルに事業活動を展開しております。地震、火災、台風、洪水等の災害や新型インフルエンザのような大規模な疫病の発生、また戦争、テロ行為、サイバー攻撃等が起こった場合、当社グループの設備等が被害を受け、一時的に操業が停止し生産及び出荷が遅れる可能性があります。また、電気・ガス・水道等ライフラインの寸断又は使用制限、サプライヤー被災による部品や原材料の供給不足、物流の停滞、及び市場の混乱が発生する可能性があります。また当社グループでは、自然災害が発生した場合に備えて「コンティンジェンシープラン」を策定し、社員安否確認システムの構築、防災訓練などの対策を講じていますが、自然災害による被害を完全に排除できるものではなく、そのような状況においては、売上が当初計画から減少し、さらには損害を被った設備の修復のため多額の費用が発生する等、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
FY2018|4,968 文字
2【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。 (1)経済、市場、競合環境 当社グループは、複合機やデジタル印刷システム、ヘルスケア用機器製品、産業用光学システム製品・部材やディスプレイ材料及び関連サービス等を世界中のお客様に向けて提供しております。これらの事業の売上及び損益は各国市場の景気動向や事業環境に大きく影響を受けます。 世界経済においては、欧州における反グローバル主義の連鎖リスクは後退したものの、米国による保護主義政策の流れ、中東を中心とした地政学的要因や中国・新興国経済成長の停滞、広域経済圏の枠組や主要国での金融政策の見直し等が引き続きリスク要因として懸念されます。各国市場の景気後退は顧客の投資抑制や経費削減、消費低迷を引き起こし、結果として当社の予想を超えた在庫増加や競争激化に伴う販売価格下落、販売数量の減少に伴う新規設置減少等、将来にわたり当社グループの経営成績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 複合機やプリンター、デジタル印刷システム等の情報機器、ヘルスケア用機器の領域においては、ネットワーク化、多機能化等に対応した高付加価値製品への需要が拡大し、あわせてソリューションやサービスへのニーズも高まっています。特に情報機器業界においては、チャネル再編や業容拡大のための買収・提携が進んでおり、このようなメーカーや流通を巻き込んだ業界内の競争が想定以上に激化した場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 産業用材料・機器事業が部材や機器を提供する液晶テレビ・DVD・デジタルカメラ等のデジタル家電市場では、各メーカー間の熾烈な競争に伴い市場価格は低下傾向を続け、その影響は当社を含む部材・機器メーカーへも及んでおります。同時に、短命化した製品のライフサイクルの中で各社とも大量に生産した製品を短期間に販売しようとする傾向が強く、市場競争の結果、生産調整に伴う急激な需給変化が当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、同事業が関連するパソコン、タブレット、スマートフォン等の情報端末市場の今後の成熟化の進展によっては、製品のライフサイクルの変化が起こる可能性があり、それに伴う急激な需給変化は販売数量の減少を招く恐れもあります。 当社グループの主要事業分野や今後当社グループが展開すべき新たな事業分野においては、他社に先んじた技術革新が重要な競争優位の源泉となっており、常に革新的技術開発に挑戦し、そのための研究開発投資及び設備投資も積極的に行っておりますが、競合他社が先行して類似技術や代替技術を出してくる可能性があります。また、IoT、AIに代表される技術革新に伴いデータの活用領域が拡大することで、様々な産業分野、ビジネスモデルに変化がもたらされることが想定されます。これらの変化に充分に対応できない場合、将来にわたり市場でのポジションを喪失する等、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、これらの当社グループの成長を支える有能な人財の確保が一層重要になってきております。人財に対する企業間の獲得競争が激化し、これらの有能な人財の確保及び雇用の維持ができない場合、当社グループの成長戦略の遂行に悪影響を及ぼす可能性があります。 (2)為替レートの変動 当連結会計年度の海外売上高比率(81.0%)が示すように、当社グループはグローバルに事業活動を展開しており、為替レート変動の影響を大きく受ける状況にあります。 この影響を軽減するため、米ドル、ユーロ等の主要通貨では為替予約を中心としたヘッジを行っております。また米ドルにつきましては、米ドル建て調達と米ドル建ての販売地域での売上を相殺することにより影響を軽減しております。しかしながらユーロにつきましては、為替レートの変動が直接損益に影響を与える状況となっております。米ドル、ユーロともに円高の状況は当社グループの業績に悪影響を及ぼし、円安は好影響を与えることになります。 (3)各国、各地域の規制 当社グループの事業活動の多くの部分は、北米、欧州及びアジア諸国といった日本の国外で行われており、その国や地域固有の法制、規制や承認手続きの影響を受けております。2018年度に入り顕在化した米国通商法301条に基づく制裁措置による米国と中国の貿易摩擦の動きをはじめ、それらの動向には常に充分な注意を払っておりますが、将来、各国の政府や国際的枠組による規制、例えば税制、輸出入規制、通貨規制、個人情報保護規制、その他各種規則等が新規に導入されたり、変更されたりした場合には、これらに対応するための費用が発生したり、事業活動に支障をきたす可能性があります。また、このような予期しない事態に対応できない場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 グループ会社間の国際的な取引価格につきましては、当社グループ税務方針に基づき、適用される日本及び相手国の移転価格税制を遵守しておりますが、税務当局から取引価格が不適切であるとの指摘を受ける可能性や、協議が不調となった場合に二重課税や追徴課税を受ける可能性があります。 当社グループのヘルスケア事業では、事業活動を行っている各国の様々な医療制度や許認可手続きの影響を受けております。医療制度改革等によって、予測できない大規模な医療行政の方針変更が行われ、当事業がその環境変化に速やかに対応できない場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (4)環境規制 当社グループは、大気汚染、水質汚濁、有害物質の除去、廃棄物処理、製品リサイクル、土壌・地下水汚染等に関する様々な環境法及び規制の適用を受けており、それらの遵守のために必要な経営資源を投入しておりますが、現在及び過去の生産活動に関わる環境責任に伴う費用負担や賠償責任が発生する可能性があります。加えて、環境関連の法規制が将来さらに厳格化した場合には、遵法のための追加的義務及び費用が発生する恐れがあり、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (5)他社との提携、協力関係、企業買収等について 当社グループは、事業競争力の強化あるいは効率化の観点から、技術提携や業務提携、合弁、企業買収等、他社との協業を進めております。 お客様のニーズに対応した新しい製品やサービスをタイムリーに提供するためには、他社との提携や買収によって相互に技術やノウハウを補完し合うことは極めて有用な手段ではありますが、経営上あるいは財務等の要因によってこのような協業関係を継続できない場合や、期待した成果が得られない場合には、当社グループの成長戦略に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、当社グループは、企業買収に伴うのれん及び無形資産を計上しており、定期的に減損テストを実施しております。事業環境の変化に伴い買収対象会社に係る将来キャッシュ・フローの低下が見込まれた場合等には、減損損失を認識する可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 (6)調達・生産等 当社グループは、特定の製品、部品や材料、及びエネルギーを外部のサプライヤーから調達しております。これらの資材につきましては適切なバックアップ体制を整えておりますが、それらのサプライヤーに不測の事態が発生した場合、当社グループの生産及び供給能力に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、当社グループの生産活動において使用する鉄やアルミニウム等の金属製品、原油を原料とする石油化学製品、レアアース等の希少天然資源等の原材料価格、及びエネルギー価格の高騰が業績に影響を及ぼす可能性があります。このような原材料価格の上昇分につきましてはコストダウンと製品価格への転嫁に努めておりますが、すべてをカバーできる保証はなく、また販売価格の値上げは販売数量の減少を招く恐れもあります。 当社グループの主力事業であるオフィス事業、プロフェッショナルプリント事業及び産業用材料・機器事業では、コスト競争力強化と市場への迅速な製品供給のために海外での生産活動の拡充に注力しており、重要な活動拠点のひとつに中国があります。中国におきましては経済発展とともに法制面改革やインフラ整備等も進んでおりますが、法的な変化、労務政策の難しさ、人件費の上昇、人民元の切上げ、輸出入規制や税制の変更等予測困難な事態が発生する可能性があります。主力事業の生産活動の多くを中国で行っている当社グループにとって、これらのリスクに対処できない場合は、当社グループの業績及び成長戦略に悪影響を及ぼす可能性があります。 (7)情報セキュリティ 当社グループは、様々な事業活動を通じてお客様やお取引先の個人情報あるいは機密情報を入手することがあります。これらの情報管理につきましては、サイバー攻撃等による不正アクセスや改ざん、データの破壊、紛失、漏洩等を防ぐために適切な技術的対策や社内管理体制の整備、従業員教育等の対策を講じておりますが、不測の事情により外部へ流出する可能性があります。万が一、情報漏洩が発生した場合には、被害を受けた関係者に対する賠償責任が発生する恐れがあり、当社グループの信用やイメージにも悪影響が及ぶ可能性があります。 また、技術、契約、人事等に関する当社グループの機密情報が第三者に漏洩、不正使用された場合も、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (8)知的財産権等 当社グループは、事業競争力の優位性を確保するため、製品開発の中で多くの差別化技術あるいはノウハウを蓄積し、それら知的財産権の保護に努めております。しかしながら、一部の地域では法的な制約のために知的財産として充分に保護されない場合があり、第三者が当社グループの知的財産を使って類似製品を製造、販売することを防止できない可能性があります。 また、当社グループでは、他社の権利を侵害しないように製品の開発を進めておりますが、見解の相違等により他社の知的財産権を侵害しているとされ、当社グループが事業上重要な技術を使用できない可能性や多額の損害賠償責任を負う可能性があります。 さらには、現在当社グループがライセンスを受けている第三者の知的財産権の使用が将来差し止められる、あるいは不当な条件に変更されるという可能性があります。 (9)製造物・品質責任 当社グループは、国内外のグループ会社や生産委託先にて厳格な品質保証体制を構築し、お客様に対して高い性能と信頼性を備えた製品及びサービスを提供しております。万が一、当社グループの製品あるいはサービスに欠陥が発生した場合、その欠陥に起因した損害に対して当社グループは賠償責任を負う可能性があり、またその欠陥に対して多大な対策費用が発生する可能性があります。さらに当該問題に関する報道により、当社グループの事業やイメージに悪影響が及ぶ可能性があります。 (10)自然災害・戦争・テロ・事故等 当社グループは研究開発・調達・生産・販売等の拠点を世界各国に置き、グローバルに事業活動を展開しております。地震、火災、台風、洪水等の災害や新型インフルエンザのような大規模な疫病の発生、また戦争、テロ行為、サイバー攻撃等が起こった場合、当社グループの設備等が被害を受け、一時的に操業が停止し生産及び出荷が遅れる可能性があります。また、電気・ガス・水道等ライフラインの寸断又は使用制限、サプライヤー被災による部品や原材料の供給不足、物流の停滞、及び市場の混乱が発生する可能性があります。そのような状況においては、売上が当初計画から減少し、さらには損害を被った設備の修復のため多額の費用が発生する等、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
FY2017|4,612 文字
4【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。 (1)経済、市場、競合環境 当社グループは、複合機やデジタル印刷システム、ヘルスケア用機器製品、産業用光学システム製品・部材やディスプレイ材料及び関連サービス等を世界中のお客様に向けて提供しております。これらの事業の売上及び損益は各国市場の景気動向や事業環境に大きく影響を受けます。 世界経済においては、欧州における反グローバル主義の連鎖リスクは後退したものの、中東を中心とした地政学的要因や中国・新興国経済成長の停滞、広域経済圏の枠組や主要国での金融政策の見直し等が引き続きリスク要因として懸念されます。各国市場の景気後退は顧客の投資抑制や経費削減、消費低迷を引き起こし、結果として当社の予想を超えた在庫増加や競争激化に伴う販売価格下落、販売数量の減少に伴う新規設置減少等、将来にわたり当社グループの経営成績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 複合機やプリンター、デジタル印刷システム等の情報機器、ヘルスケア用機器の領域においては、ネットワーク化、多機能化等に対応した高付加価値製品への需要が拡大し、あわせてソリューションやサービスへのニーズも高まっています。特に情報機器業界においては、チャネル再編や業容拡大のための買収・提携が進んでおり、このようなメーカーや流通を巻き込んだ業界内の競争が想定以上に激化した場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 産業用材料・機器事業が部材や機器を提供する液晶テレビ・DVD・デジタルカメラ等のデジタル家電市場では、各メーカー間の熾烈な競争に伴い市場価格は低下傾向を続け、その影響は当社を含む部材・機器メーカーへも及んでおります。同時に、短命化した製品のライフサイクルの中で各社とも大量に生産した製品を短期間に販売しようとする傾向が強く、市場競争の結果、生産調整に伴う急激な需給変化が当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの主要事業分野や今後当社グループが展開すべき新たな事業分野においては、他社に先んじた技術革新が重要な競争優位の源泉となっており、常に革新的技術開発に挑戦し、そのための研究開発投資及び設備投資も積極的に行っておりますが、競合他社が先行して類似技術や代替技術を出してくる可能性があります。また、IoT、AIに代表される技術革新に伴いデータの活用領域が拡大することで、様々な産業分野、ビジネスモデルに変化がもたらされることが想定されます。これらの変化に充分に対応できない場合、将来にわたり市場でのポジションを喪失する等当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、これらの当社グループの成長を支える有能な人財の確保が一層重要になってきております。人財に対する企業間の獲得競争が激化し、これらの有能な人財の確保及び雇用の維持ができない場合、当社グループの成長戦略の遂行に悪影響を及ぼす可能性があります。 (2)為替レートの変動 当連結会計年度の海外売上高比率(80.0%)が示すように、当社グループはグローバルに事業活動を展開しており、為替レート変動の影響を大きく受ける状況にあります。 この影響を軽減するため、米ドル、ユーロ等の主要通貨では為替予約を中心としたヘッジを行っております。また米ドルにつきましては、米ドル建て調達と米ドル建ての販売地域での売上を相殺することにより影響を軽減しております。しかしながらユーロにつきましては、為替レートの変動が直接損益に影響を与える状況となっております。米ドル、ユーロともに円高の状況は当社グループの業績に悪影響を及ぼし、円安は好影響を与えることになります。 (3)各国、各地域の規制 当社グループの事業活動の多くの部分は、北米、欧州及びアジア諸国といった日本の国外で行われており、その国や地域固有の法制、規制や承認手続きの影響を受けております。それらの動向には常に充分な注意を払っておりますが、将来、各国の政府や国際的枠組による規制、例えば税制、輸出入規制、通貨規制、個人情報保護規制、その他各種規則等が新規に導入されたり、変更されたりした場合には、これらに対応するための費用が発生したり、事業活動に支障をきたす可能性があります。また、このような予期しない事態に対応できない場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 グループ会社間の国際的な取引価格につきましては、当社グループ税務方針に基づき、適用される日本及び相手国の移転価格税制を遵守しておりますが、税務当局から取引価格が不適切であるとの指摘を受ける可能性や、協議が不調となった場合に二重課税や追徴課税を受ける可能性があります。 当社グループのヘルスケア事業では、事業活動を行っている各国の様々な医療制度や許認可手続きの影響を受けております。医療制度改革等によって、予測できない大規模な医療行政の方針変更が行われ、当事業がその環境変化に速やかに対応できない場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (4)環境規制 当社グループは、大気汚染、水質汚濁、有害物質の除去、廃棄物処理、製品リサイクル、土壌・地下水汚染等に関する様々な環境法及び規制の適用を受けており、それらの遵守のために必要な経営資源を投入しておりますが、現在及び過去の生産活動に関わる環境責任に伴う費用負担や賠償責任が発生する可能性があります。加えて、環境関連の法規制が将来さらに厳格化した場合には、遵法のための追加的義務及び費用が発生する恐れがあり、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (5)他社との提携、協力関係について 当社グループは、事業競争力の強化あるいは効率化の観点から、技術提携や業務提携、合弁等、他社との協業を進めております。 お客様のニーズに対応した新しい製品やサービスをタイムリーに提供するためには、他社との提携によって相互に技術やノウハウを補完し合うことは極めて有用な手段ではありますが、経営上あるいは財務等の要因によってこのような協業関係を継続できない場合や、期待した成果が得られない場合には、当社グループの成長戦略に悪影響を及ぼす可能性があります。 (6)調達・生産等 当社グループは、特定の製品、部品や材料、及びエネルギーを外部のサプライヤーから調達しております。これらの資材につきましては適切なバックアップ体制を整えておりますが、それらのサプライヤーに不測の事態が発生した場合、当社グループの生産及び供給能力に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、当社グループの生産活動において使用する鉄やアルミニウム等の金属製品、原油を原料とする石油化学製品、レアアース等の希少天然資源等の原材料価格、及びエネルギー価格の高騰が業績に影響を及ぼす可能性があります。このような原材料価格の上昇分につきましてはコストダウンと製品価格への転嫁に努めておりますが、すべてをカバーできる保証はなく、また販売価格の値上げは販売数量の減少をまねく恐れもあります。 当社グループの主力事業である情報機器事業及び産業用材料・機器事業では、コスト競争力強化と市場への迅速な製品供給のために海外での生産活動の拡充に注力しておりますが、主な活動拠点は中国にあります。中国におきましては経済発展とともに法制面改革やインフラ整備等も進んでおりますが、法的な変化、労務政策の難しさ、人件費の上昇、人民元の切上げ、輸出入規制や税制の変更等予測困難な事態が発生する可能性があります。主力事業の生産活動の多くを中国で行っている当社グループにとって、これらのリスクに対処できない場合は、当社グループの業績及び成長戦略に悪影響を及ぼす可能性があります。 (7)情報セキュリティ 当社グループは、様々な事業活動を通じてお客様やお取引先の個人情報あるいは機密情報を入手することがあります。これらの情報管理につきましては、サイバー攻撃等による不正アクセスや改ざん、データの破壊、紛失、漏洩等を防ぐために適切な技術的対策や社内管理体制の整備、従業員教育等の対策を講じておりますが、不測の事情により外部へ流出する可能性があります。万が一、情報漏洩が発生した場合には、被害を受けた関係者に対する賠償責任が発生する恐れがあり、当社グループの信用やイメージにも悪影響が及ぶ可能性があります。 また、技術、契約、人事等に関する当社グループの機密情報が第三者に漏洩、不正使用された場合も、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (8)知的財産権等 当社グループは、事業競争力の優位性を確保するため、製品開発の中で多くの差別化技術あるいはノウハウを蓄積し、それら知的財産権の保護に努めております。しかしながら、一部の地域では法的な制約のために知的財産として充分に保護されない場合があり、第三者が当社グループの知的財産を使って類似製品を製造、販売することを防止できない可能性があります。 また、当社グループでは、他社の権利を侵害しないように製品の開発を進めておりますが、見解の相違等により他社の知的財産権を侵害しているとされ、当社グループが事業上重要な技術を使用できない可能性や多額の損害賠償責任を負う可能性があります。 さらには、現在当社グループがライセンスを受けている第三者の知的財産権の使用が将来差し止められる、あるいは不当な条件に変更されるという可能性があります。 (9)製造物・品質責任 当社グループは、国内外のグループ会社や生産委託先にて厳格な品質保証体制を構築し、お客様に対して高い性能と信頼性を備えた製品並びにサービスを提供しております。万が一、当社グループの製品あるいはサービスに欠陥が発生した場合、その欠陥に起因した損害に対して当社グループは賠償責任を負う可能性があり、またその欠陥に対して多大な対策費用が発生する可能性があります。さらに当該問題に関する報道により、当社グループの事業やイメージに悪影響が及ぶ可能性があります。 (10)自然災害・戦争・テロ・事故等 当社グループは研究開発・調達・生産・販売等の拠点を世界各国に置き、グローバルに事業活動を展開しております。地震、火災、台風、洪水等の災害や新型インフルエンザのような大規模な疫病の発生、また戦争、テロ行為、サイバー攻撃等が起こった場合、当社グループの設備等が被害を受け、一時的に操業が停止し生産及び出荷が遅れる可能性があります。また、電気・ガス・水道等ライフラインの寸断又は使用制限、サプライヤー被災による部品や原材料の供給不足、物流の停滞、及び市場の混乱が発生する可能性があります。そのような状況においては、売上が当初計画から減少し、さらには損害を被った設備の修復のため多額の費用が発生する等、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
FY2016|4,457 文字
4【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。 (1)経済、市場、競合環境 当社グループは、複合機やデジタル印刷システム、ヘルスケア用機器製品、画像入出力コンポーネントやディスプレイ材料及び関連サービス等を世界中のお客様に向けて提供しております。これらの事業の売上及び損益は各国市場の景気動向や事業環境に大きく影響を受けます。 世界経済においては、地政学的要因や欧州における財政問題、中国・新興国経済成長の停滞、広域経済圏の枠組みや主要国での金融政策の見直し等が引き続きリスク要因として懸念されます。各国市場の景気後退は顧客の投資抑制や経費削減、消費低迷を引き起こし、結果として当社の予想を超えた在庫増加や競争激化に伴う販売価格下落、販売数量の減少に伴う新規設置減少等、将来にわたり当社グループの経営成績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 複合機やプリンター、デジタル印刷システム等の情報機器、ヘルスケア用機器の領域においては、ネットワーク化、多機能化等に対応した高付加価値製品への需要が拡大し、あわせてソリューションやサービスへのニーズも高まっています。特に情報機器業界においては、自社販売チャネルを強化するための買収・再編及びIT企業との提携が進んでおり、このようなメーカーや流通を巻き込んだ業界内の競争が想定以上に激化した場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 産業用材料・機器事業が部材を提供する液晶テレビ・DVD・デジタルカメラ等のデジタル家電市場では、各メーカー間の熾烈な競争に伴い市場価格は低下傾向を続け、その影響は当社を含む部材メーカーへも及んでおります。同時に、短命化した製品のライフサイクルの中で各社とも大量に生産した製品を短期間に販売しようとする傾向が強く、市場競争の結果、生産調整に伴う急激な需給変化が当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの主要事業分野や今後当社グループが展開すべき新たな事業分野においては、他社に先んじた技術革新が重要な競争優位の源泉となっており、常に革新的技術開発に挑戦し、そのための研究開発投資及び設備投資も積極的に行っておりますが、競合他社が先行して類似技術や代替技術を出してくる可能性があります。そのような場合、将来にわたり当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、これらの当社グループの成長を支える有能な人財の確保が一層重要になってきております。人財に対する企業間の獲得競争が激化し、これらの有能な人財の確保及び雇用の維持ができない場合、当社グループの成長戦略の遂行に悪影響を及ぼす可能性があります。 (2)為替レートの変動 当連結会計年度の海外売上高比率(80.6%)が示すように、当社グループはグローバルに事業活動を展開しており、為替レート変動の影響を大きく受ける状況にあります。 この影響を軽減するため、米ドル、ユーロ等の主要通貨では為替予約を中心としたヘッジを行っております。また米ドルにつきましては、米ドル建て調達と米ドル建ての販売地域での売上を相殺することにより影響を軽減しております。しかしながらユーロにつきましては、為替レートの変動が直接損益に影響を与える状況となっております。米ドル、ユーロともに円高の状況は当社グループの業績に悪影響を及ぼし、円安は好影響を与えることになります。 (3)各国、各地域の規制 当社グループの事業活動の多くの部分は、北米、欧州及びアジア諸国といった日本の国外で行われており、その国や地域固有の法制、規制や承認手続きの影響を受けております。それらの動向には常に充分な注意を払っておりますが、将来、各国の政府や国際的枠組による規制、例えば税制、輸出入規制、通貨規制、個人情報保護規制、その他各種規則等が新規に導入されたり、変更されたりした場合には、これらに対応するための費用が発生したり、事業活動に支障をきたす可能性があります。また、このような予期しない事態に対応できない場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 グループ会社間の国際的な取引価格につきましては、適用される日本及び相手国の移転価格税制を遵守しておりますが、税務当局から取引価格が不適切であるとの指摘を受ける可能性や、協議が不調となった場合に二重課税や追徴課税を受ける可能性があります。 当社グループのヘルスケア事業では、事業活動を行っている各国の様々な医療制度や許認可手続きの影響を受けております。医療制度改革等によって、予測できない大規模な医療行政の方針変更が行われ、当事業がその環境変化に速やかに対応できない場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。(4)環境規制 当社グループは、大気汚染、水質汚濁、有害物質の除去、廃棄物処理、製品リサイクル、土壌・地下水汚染等に関する様々な環境法及び規制の適用を受けており、それらの遵守のために必要な経営資源を投入しておりますが、現在及び過去の生産活動に関わる環境責任に伴う費用負担や賠償責任が発生する可能性があります。加えて、環境関連の法規制が将来さらに厳格化した場合には、遵法のための追加的義務及び費用が発生する恐れがあり、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (5)他社との提携、協力関係について 当社グループは、事業競争力の強化あるいは効率化の観点から、技術提携や業務提携、合弁等、他社との協業を進めております。 お客様のニーズに対応した新しい製品やサービスをタイムリーに提供するためには、他社との提携によって相互に技術やノウハウを補完し合うことは極めて有用な手段ではありますが、経営上あるいは財務等の要因によってこのような協業関係を継続できない場合や、期待した成果が得られない場合には、当社グループの成長戦略に悪影響を及ぼす可能性があります。 (6)調達・生産等 当社グループは、特定の製品、部品や材料、及びエネルギーを外部のサプライヤーから調達しております。これらの資材につきましては適切なバックアップ体制を整えておりますが、それらのサプライヤーに不測の事態が発生した場合、当社グループの生産及び供給能力に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、当社グループの生産活動において使用する鉄やアルミニウム等の金属製品、原油を原料とする石油化学製品、レアアース等の希少天然資源等の原材料価格、及びエネルギー価格の高騰が業績に影響を及ぼす可能性があります。このような原材料価格の上昇分につきましてはコストダウンと製品価格への転嫁に努めておりますが、すべてをカバーできる保証はなく、また販売価格の値上げは販売数量の減少をまねく恐れもあります。 当社グループの主力事業である情報機器事業及び産業用材料・機器事業では、コスト競争力を強化するために中国での生産活動の拡充に注力してきました。中国におきましては経済発展とともに法制面改革やインフラ整備等も進んでおりますが、法的な変化、労務政策の難しさ、人件費の上昇、人民元の切上げ、輸出入規制や税制の変更等予測困難な事態が発生する可能性があります。とりわけ主力事業の生産活動において大きな部分を中国に依存する当社グループにとって、これらのリスクに対処できない場合は、当社グループの業績及び成長戦略に悪影響を及ぼす可能性があります。 (7)情報セキュリティ 当社グループは、様々な事業活動を通じてお客様やお取引先の個人情報あるいは機密情報を入手することがあります。これらの情報管理につきましては、サイバー攻撃等による不正アクセスや改ざん、データの破壊、紛失、漏洩等を防ぐために適切な技術的対策や社内管理体制の整備、従業員教育等の対策を講じておりますが、不測の事情により外部へ流出する可能性があります。万が一、情報漏洩が発生した場合には、被害を受けた関係者に対する賠償責任が発生する恐れがあり、当社グループの信用やイメージにも悪影響が及ぶ可能性があります。 また、技術、契約、人事等に関する当社グループの機密情報が第三者に漏洩、不正使用された場合も、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (8)知的財産権等 当社グループは、事業競争力の優位性を確保するため、製品開発の中で多くの差別化技術あるいはノウハウを蓄積し、それら知的財産権の保護に努めております。しかしながら、一部の地域では法的な制約のために知的財産として充分に保護されない場合があり、第三者が当社グループの知的財産を使って類似製品を製造、販売することを防止できない可能性があります。 また、当社グループでは、他社の権利を侵害しないように製品の開発を進めておりますが、見解の相違等により他社の知的財産権を侵害しているとされ、当社グループが事業上重要な技術を使用できない可能性や多額の損害賠償責任を負う可能性があります。 さらには、現在当社グループがライセンスを受けている第三者の知的財産権の使用が将来差し止められる、あるいは不当な条件に変更されるという可能性があります。 (9)製造物・品質責任 当社グループは、国内外のグループ会社や生産委託先にて厳格な品質保証体制を構築し、お客様に対して高い性能と信頼性を備えた製品並びにサービスを提供しております。万が一、当社グループの製品あるいはサービスに欠陥が発生した場合、その欠陥に起因した損害に対して当社グループは賠償責任を負う可能性があり、またその欠陥に対して多大な対策費用が発生する可能性があります。さらに当該問題に関する報道により、当社グループの事業やイメージに悪影響が及ぶ可能性があります。 (10)自然災害・戦争・テロ・事故等 当社グループは研究開発・調達・生産・販売等の拠点を世界各国に置き、グローバルに事業活動を展開しております。地震、火災、台風、洪水等の災害や新型インフルエンザのような大規模な疫病の発生、また戦争、テロ行為、サイバー攻撃等が起こった場合、当社グループの設備等が被害を受け、一時的に操業が停止し生産及び出荷が遅れる可能性があります。また、電気・ガス・水道等ライフラインの寸断又は使用制限、サプライヤー被災による部品や原材料の供給不足、物流の停滞、及び市場の混乱が発生する可能性があります。そのような状況においては、売上が当初計画から減少し、さらには損害を被った設備の修復のため多額の費用が発生する等、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。