研究開発費(時系列)
| 年度 | R&D費用(億円) | 設備投資(億円) |
|---|---|---|
| 2025-03 | - | 234 |
| 2024-03 | - | 228 |
| 2023-03 | - | 221 |
| 2022-03 | - | 211 |
| 2021-03 | - | 235 |
研究開発活動(本文)
FY2025|9,414 文字
6【研究開発活動】当社グループは、経営理念である「新しい価値の創造」及び経営ビジョンとして「Imaging to the People」を掲げ、創業以来150年にわたりこだわり続けてきた材料・光学・微細加工・画像の4つのコア技術を高度化・融合するとともに、IoT・AI技術を組み合わせることで“見えないものをみえる化する”技術として発展させました。そして、この独自技術を活用することで顧客の課題を解決する新たな製品・サービスを各事業セグメントで開発しております。中期経営計画に基づいた基本方針に対応して、「強化領域への技術資源シフト」、「エキスパート・DX人財活用」、「成長領域への技術の仕込み」の3つを技術戦略の基本方針として推進してまいりました。「強化領域への技術資源シフト」においては、確かな成長基盤を確立するため、強化領域として主にインダストリー領域、プロフェッショナルプリント領域に対し、技術資源投入を増強しております。インダストリー領域における技術資源シフトの一例として、コーポレート開発で蓄積を進めるマテリアルズ・インフォマティクス及びプロセス・インフォマティクスのノウハウをディスプレイフィルム生産工場に適応しております。生産工程に設置されたセンサーデバイスにより生産状態がモニタリングされ、製品の高品質化や生産の安定化で効果が得られております。またヘルスケア領域に対しては、次世代の超音波トランスデューサ開発にコーポレート開発の技術資源を投入し、事業拡大の加速を行っております。この開発により、超音波診断装置の感度が飛躍的に向上し、これまで超音波診断装置では見ることができなかった早期の癌を発見することが可能になると期待されます。「エキスパート・DX人財活用」では、技術やビジネスにおける高い専門性によって変革をリードする「エキスパート」と、AIやデータサイエンス、ITスキル等の社内教育により増強した「DX人財」の活躍により各事業の変革を進めております。全社横断での伴走支援や生成AI活用推進等により、全社の各事業でビジネスや業務プロセスにおけるDXが進み成果が出ております。今後は中長期の成長を見据えたコア技術進化・伝承や後進育成にも取り組み、専門人財の更なる活用促進を進めてまいります。「成長領域への技術の仕込み」においては、持続的成長に向けた技術開発テーマに投資を行い、イノベーションの加速を実施しております。例えば、次世代のものづくりとして世界中で研究開発が進んでいる、生物の力を活用する「バイオものづくり」への取組として、産業技術総合研究所と共同で「バイオプロセス技術連携研究ラボ」を設立し、実用化への課題解決に向けて取り組んでおります。化石資源由来の材料原料から作るものづくりからの転換として、微生物を用いて非化石資源由来の原料から合成するバイオものづくり技術はカーボンニュートラル実現のキーテクノロジーとして注目されております。この領域では、当社が強みとするセンシング技術とAIを組み合わせた技術をさらに進化させ、バイオものづくりの工業化の課題を解決するための技術として、分光分析技術を応用した“高生産株検出システム”等、従来にない複雑系物質生産工程における物質モニタリング技術を開発し培養槽モニタリングシステムの事業化を目指して取り組んでまいります。また、次世代太陽電池の有力候補である軽くて柔軟なフィルム型ペロブスカイト太陽電池向けに、耐久性の課題を解決するバリアフィルム開発にも着手し、当社の成膜技術と量産化で、再生可能エネルギーのさらなる普及に貢献することを目指しております。その他、循環型社会の実現に向けた再生プラスチックの高度化にも取り組んでおり、高機能性を付与するアップグレードリサイクルにより、自社の複合機だけでなく社外の電子機器製品等への適用展開も進めております。当社は、これらのように環境負荷低減に貢献し将来大きく成長が期待される領域において、強みであるコア技術の高度化と活用を基本方針とし、将来社会が求めるイノベーションの原動力となる研究開発に取り組んでまいります。研究開発により創出される技術(発明、アイデア、ノウハウ等)については、特許権の取得に加え、著作権法・不正競争防止法等の各種法制度や契約を利用し、知的財産として適切に保護・活用することで、当社グループの競争優位性を維持し、成長のドライバーとしております。中期経営計画に基づき、事業戦略と密接に連携した知財戦略を策定・実行し、事業の成長、収益力向上を支援しております。具体的には、中期経営計画に対応する「中期知的財産計画」を定め、事業の選択と集中による強化事業の拡大をさらに推進するために、知財投資においても選択と集中を進め、全社の特許出願に占める強化事業の比率を2025年度までに70%近くにまで高めてまいります。 また、強化事業やその事業拡大のキーとなる製品・サービスについては、競合他社の参入を抑制する強力な知財障壁の構築を進め、事業の成長・拡大を確かなものとしております。例えば、プロフェッショナルプリント事業の強化領域では、デジタルラベル印刷機「AccurioLabel(アキュリオラベル)シリーズ」について知財障壁の構築・強化に取り組んでおります。飲料・食品・雑貨等の生活必需品に欠かせないラベル印刷は、年々需要が増加している分野です。「AccurioLabelシリーズ」は、優れたプリント速度や操作性により高い生産性を実現し、拡大する市場における短納期化の要望に応えるだけでなく、トナーを用いた電子写真方式の採用により高品質な画像出力を可能にし、品質に厳しい市場ニーズに対応し、堅調に販売を伸ばしております。当社では、「AccurioLabelシリーズ」に採用される技術を、強固な知財障壁の構築を目指す重要領域と位置付け、開発部門と連携し、技術開発段階から集中的な特許出願を進め、プロフェッショナルプリント事業の強化領域の成長と拡大に貢献しております。当社は、確かな成長基盤を確立していくためには、競争力の源泉となる重要な経営資源である知財の活用と、市場参入を促進し市場規模拡大へとつなげる国際標準化の推進という両輪の事業戦略が重要であると考えております。当社技術を軸に、知財活用によってコア領域をクローズ化し当社の市場ポジションを確保すると同時に、標準化推進によって国内外の市場そのものを拡大することで、市場シェアと市場規模の双方を最適化・最大化してまいります。 上述した環境負荷を低減する技術開発に加え、持続可能な社会の実現をめざして、省エネルギー、リサイクル可能な環境配慮型製品の開発、使用済み製品の廃材を高機能材料として再活用する技術、バイオマス由来材料を活用する技術の研究開発を進めております。複合機の本体や消耗品(トナー等)に使う化石資源由来材料を再生材料へ転換し、プラスチック由来のCO2排出量の削減を進めてまいります。バイオマス由来材料や廃材を複合機等の高機能材料として活用するためには、一般的に化石資源由来のバージン材に比べて性能が低下するとともに製品品質が安定しにくいという課題があります。当社グループは、この課題を解決するために、長年培ってきたコア技術の1つである材料技術、成形加工技術を発展させ、材料開発、材料選択、加工技術の組み合わせにより、新しい樹脂開発を進めます。複合機への展開だけでなく、様々な企業と本技術を共有し実用化することで、連携の輪をグローバルに広げ、環境価値の効果を飛躍的に大きくしてまいります。当連結会計年度(以下「当期」)におけるグループ全体の研究開発費は596億円となりました。そのうち、デジタルワークプレイス事業及びプロフェッショナルプリント事業が308億円、インダストリー事業が140億円、画像ソリューション事業が84億円、基礎研究費用が64億円であります。各事業部門別の研究の目的及び研究成果は以下のとおりであります。なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記6 事業セグメント」に記載のとおりであります。 (1)デジタルワークプレイス事業デジタルワークプレイス事業においては、機械、電気、光学、化成品、制御ソフトウェア等を総合したハードウェア開発やITソリューション開発を行い、顧客の働きがい向上に資する製品やサービスを市場に提供し続けております。オフィスユニットでは、複合機とITサービスを組み合わせることで、オフィス環境の課題解決や最適化に貢献するソリューションの開発を行い、顧客の社員がより創造的な業務に従事することで働きがいを向上させ、事業のさらなる発展と企業価値向上を支援しております。オフィス用複合機のラインアップ bizhub(ビズハブ)1iシリーズを13機種開発しました。(カラーA3複合機:bizhub C751i/bizhub C651i/bizhub C551i/bizhub C451i/bizhub C361i/bizhub C301i/bizhub C251i モノクロA3複合機:bizhub 751i/bizhub 651i/bizhub 551i/bizhub 451i/bizhub 361i/bizhub 301i)「bizhub 1i シリーズ」は、部品調達、生産、使用、使用後のリサイクルに至るまでの環境負荷をさらに低減するとともに、多様な働き方に合わせた多彩な機能と使いやすさで働く人々をサポートします。環境負荷低減では、より低温で融けるトナーや、新開発の定着ユニット(「C751i」「C651i」「C551i」「751i」「651i」「551i」に採用しております)と高効率電源ユニットの採用により、省エネ性能を高めております。さらに、使用済みペットボトルとポリカーボネート製ガロンボトルを複合機の外装材にアップグレードリサイクルするために、強度や難燃性、成形容易性を向上させる技術開発に取り組んできました。機能と使いやすさでは、スマートフォンのような直感的操作とアプリで業務効率化に貢献するとともに、「紙種センサー(IM-103)」が、用紙の種類を判別し、最適な用紙設定を自動で選択します。独自の検知技術で開発されたIM-103は、普通紙よりも薄い紙や、封筒やハガキといった厚めの紙でも、紙づまりの発生を低減させ、プリント画質を最適化します。ほかにも、オフィス業務だけでなく、マニュアル、チラシ、名刺等の企業内印刷ならではの用途にも対応する1台2役の機能が充実した複合機として「bizhub C751i Premium」を開発しております。開発体制としては、ベトナムの大手IT企業であるFPTソフトウェアの日本法人FPTジャパンホールディングス株式会社と複合機ソフトウェア開発に関する合弁会社「コニカミノルタFPTソリューションラボ株式会社」を設立しました。これにより、複合機のソフトウェア開発の最適化と顧客への価値提供の維持拡大を進めております。この合弁会社の事業計画を具体的に推進する開発拠点としてベトナムに「KONICA MINOLTA FPT Solution Labs Vietnam Co., Ltd. 」を設立いたしました。グローバルに事業展開し、豊富なハイレベルIT人財を擁するベトナム最大手IT企業であるFPTソフトウェアグループの開発リソースを最大限活用することで、中期経営計画で収益堅守事業と定めたオフィス事業の基盤をさらに強化し、安定的な収益を創出します。さらに当社は、AIやSaaS等のテクノロジーを活用して社会課題を解決することを目指し、ICW(Intelligent Connected Workplace)事業を展開しております。2020年に商用稼働した「COCOMITE(ココミテ)」はクラウドで提供される自社開発のオンラインマニュアル作成・運用サービスです。このサービスは、人材育成や技能伝承の課題解決に焦点を当て、従来の業務マニュアルの作成・運用の非効率さを解消するために開発されました。マニュアルの効率的な作成と管理を基本機能としてリリースしたあと、顧客の声やアクセスログ解析を基に新機能の開発や改善を重ね、オンラインマニュアルコラボレーションツールとして進化し続けております。当期には、生成AIを活用したAIインタビューによる技能伝承機能を開発し、静岡県富士市と富士市内の製造業2社との実証活動を行い、高い評価を得ております。また、AI技術を活用して教育分野における教員の働く現場の課題解決に貢献するため、2019年から文部科学省の学校における先端技術の活用に関する実証事業に取り組んでおります。学習支援サービスや学びの分析サービスを搭載した教育機関向けのトータルソリューション「tomoLinks(トモリンクス)」を通じて、教育のDXを広く展開し、多様な子どもたちが誰一人取り残されることなく社会とつながる個別最適化された協働的・探究的な学びに貢献しております。当期には、生成AIを教育現場で安心安全に目的に沿って活用するための機能を開発し、この機能を通じて、「問題を発見し課題を設定する」「自分の考えを深める」「異なる考えを整理・比較・深堀りする」といった学習プロセスを引き続きサポートしてまいります。 (2)プロフェッショナルプリント事業プロフェッショナルプリント事業においては、プロダクションプリント/産業印刷の生産性と印刷品質、自動化・省人化・スキルレスを訴求し各種印刷機やサービスソリューションに至るまで幅広く研究開発を実施し、顧客のDX支援によるプロセス改善・リモート化・分散印刷を実現してまいります。生産機としての信頼性を向上させ、白トナーの追加によって表現力を高めたデジタルカラー印刷システム「AccurioPress(アキュリオプレス)C14010/C12010シリーズ」を、印刷工程の自動化・省力化を推進するオプション製品、インテリジェントクオリティーオプティマイザー「IQ-601」、インテリジェントメディアセンサー「IM-104/IM-105」とともに発売しました。さらに複数のプロダクションプリント機の情報を一括で可視化し管理効率化と工程の継続的な改善を支援するソリューション「AccurioPro(アキュリオプロ)Dashboard」シリーズに「AccurioPro Dashboard JobManager」を追加し、印刷データ入稿から梱包・出荷まで工程全体進捗をリアルタイムでみえる化することで、効率的な生産計画の作成や修正を可能とします。プリントコントローラでのRIP処理を高速化、検品をこれまで以上に作業フリーにする基準画像登録不要なRIP-Scan比較方式の自動検品、印刷時に複数のパラメーターを監視することでハーフトーン(色味)の安定性をこれまで以上に向上させるインテリジェントカラーコントロールを開発しました。産業印刷ユニットにおいては、2024年5月にドイツ デュッセルドルフで開催された世界最大規模の印刷・メディア産業展である「drupa(ドルッパ)2024」においてB2サイズインクジェット印刷機の最上位機種となる「AccurioJet(アキュリオジェット)60000」を出展しました。また、ラベル印刷では使いやすさと導入コストでご好評をいただいた「AccurioLabel(アキュリオラベル)230」とその上位機種である「AccurioLabel 400」を提供しております。当社初の白トナーを搭載し、自動品質最適化ユニット「IQ-520」を導入することで常に安定した画像品質を保ちます。 (3)インダストリー事業インダストリー事業においては、光学・材料・微細加工等のコア技術に、AI等を加えて複合化し、産業界のバリューチェーン変革推進で顧客と社会に貢献するため、産業のモノづくり最適化と安全・安心を提供してまいります。インダストリー事業は、センシング、機能材料、IJコンポーネント、光学コンポーネントの4事業で構成されております。センシングユニットでは、光・色・外観の計測、ハイパースペクトルイメージング技術をはじめとした計測技術を用いて、ICTやモビリティ、環境・資源といった成長領域へソリューションを提供しております。色計測分野において、製品の高意匠化が進む自動車・スマートフォン等の業界ニーズに対応するため、高精度かつ使いやすさを追求したポータブル分光測色計「CM-17d」を開発し市場投入しました。また、世界最高水準の精度を実現した分光測色計「CM-3700A Plus」を開発し、ものづくり現場における品質管理の高度化に貢献しております。ICT分野では、各種ディスプレイにおける新規評価ニーズに対応すべくカラーアナライザー「CA-527」等を活用したソリューション拡大を図りました。自動車の外観検査においては、トンネル型の塗装欠陥検査、すき間・段差検査装置に加え、自動車ホイールの品質検査が可能な新ソリューションを開発し、顧客への新たな価値を提供しております。環境分野においては、リサイクル分野における材料識別と分類の高度化とともに、鉱物資源の調査や環境モニタリングといった新用途での応用開発・実証実験が進んでおります。機能材料ユニットにおいては、液晶画面の基幹部材となる偏光板用保護フィルム向けに、従来のTAC製品に加え、新樹脂フィルム「SANUQI」(COP系)、「SAZMA」(アクリル系)等を新プラットフォームとすることでお客様の選択の自由度を高め、さらに 液晶大型TV向けの2.5mの超広幅品やOLED-TV向けの反射防止フィルム等の高付加価値商品の販売及び開発を展開しております。また原材料の使用量を減らすことができる薄型フィルムや、サプライチェーンの環境負荷やロスの低減が可能な長尺フィルム商品等、環境に配慮した商品の準備を進めております。IJコンポーネントユニットにおいては、優れた長距離吐出性能や幅広いインク選択肢を特徴とした産業用インクジェットヘッド技術の開発、製品化に注力し、サイングラフィック領域からプリントオンデマンドの商業印刷領域、そしてプリント基板上の回路形成をはじめとした工業用途への拡大に向けて、さらなる製品ラインアップの拡充に取り組んでおります。光学コンポーネントユニットにおいては、主に成長領域である半導体製造装置用レンズに欠かせない超高精度加工技術の開発や、高機能膜、新規光学素子の開発に取り組んでおります。光学設計技術・微細加工技術に材料技術を掛け合わせた高機能コンポーネントの開発に注力し、事業化の推進を図ってまいります。 (4)画像ソリューション事業画像ソリューション事業は、コア技術を起点とした“画像データ×AI”によって価値を提供する事業です。当事業のお客様の業種は、医療・介護、製造業、プラント、社会インフラ等多岐にわたりますが、「医療・介護」「セーフティ&セキュリティ」「製造」といった当社の強みが活きる領域にフォーカスし、お客様に寄り添ったソリューションを構築・展開していきます。ヘルスケアユニットにおいては、デジタル診断にフォーカスし、データサイエンスの力をフル活用して「早期診断」と「個別化医療」を実現することで、患者様個々のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を追求するとともに、医療費の削減に貢献するべく研究開発を推進しております。近年では、"見えないものをみえる化する"高度なイメージング技術を重要な柱に据え、IoTプラットフォームにAI技術を活用した診断支援機能や患者ポータル等、様々な高付加価値サービスを搭載・展開するための研究開発を推進しております。当期においては、新生児医療分野において、ノルウェーのPicterus社との連携を開始し、黄疸測定技術の強化に向けた取組を推進しております。また、抗がん剤治療による脱毛抑制を目的とした「頭皮冷却システム DigniCap Delta」の国内販売を開始し、患者様のQOL向上に貢献しております。医療診断機器分野では、「SONIMAGE UX1」及び「SONIMAGE UX1 TRiFOR」において、独自の高画質化技術と新リニアプローブ「X20L」の開発により、深部画質の向上と穿刺針の描出安定性の改善を実現いたしました。さらに、胸部X線画像診断支援AI「CXR Finding-i」において、数十万件以上の画像学習による精度改良を達成し、特異度を69%から88%まで大幅に向上させ、医療現場の診断効率化に貢献しております。また、産婦人科分野向けに高画質を追求した経腟用超音波診断装置「SONOVISTA LX」を発売し、診断精度の向上と患者様の負担軽減に寄与しております。これらの研究開発成果により、さらなる診断価値の向上と医療現場の効率化に貢献してまいります。画像IoTソリューションユニットにおいては、製造業・プラント・インフラ等の領域を中心に、画像AIや自動化技術を活用し顧客現場の安全・安心確保、生産性・品質向上に貢献するソリューションを展開しております。当期においては、国内では、山間部における厳しい冬季降雪状況について画像AIを活用し遠隔・リアルタイムに状況を把握する「積雪モニタリングソリューション」の開発・実証を長野県との連携で進めております。また、欧州では、工場等における作業員入退場時のヘルメット・マスク等防具の正しい装着状況を画像AIで素早く判定することで現場の安全な環境維持につなげるソリューション「FORXAI Mirror(フォーサイ ミラー)」の展開を開始しております。さらに、米国では、メタン排出削減に取り組む天然ガス生産・輸送・供給等を含む事業者約50社からなる連合団体ONE Future(ワン フューチャー)が主催する年次イベントにおいて、メタンガス漏えいを映像データから高精度に定量化する「流量推定技術」を搭載した「ガス漏えい検査システム(GMP02)」が「2024 ONE Future Awards」Technology of the Year(Production部門)を受賞しました。世界的に加速する石油ガス事業者のメタン排出削減活動に対し、ガス漏洩検査システムを提供することにより顧客の課題解決に貢献してまいります。QOLソリューションユニットにおいては、強みである行動認識を向上するためのデバイスとして、3D骨格推定技術を搭載したデバイスの開発とそこから得られるデータを活用したサービスの構築を進めております。これにより介護施設だけでなく病院・大規模介護施設へのデータ利活用を進め、事業領域を拡大していきます。
FY2024|8,278 文字
6【研究開発活動】当社グループは、経営理念である「新しい価値の創造」及び経営ビジョンとして「Imaging to the People」を掲げ、創業以来150年にわたりこだわり続けてきた材料・光学・微細加工・画像の4つのコア技術を高度化・融合するとともに、ICT・AI技術を組み合わせることで“見えないものをみえる化する”技術として発展させました。そして、この独自技術を活用することで顧客の課題を解決する新たな製品・サービスを各事業セグメントで開発しております。当連結会計年度(以下「当期」)より開始された、新たな中期経営計画に基づいた基本方針に対応して、「強化領域への技術資源シフト」、「エキスパート・DX人財活用」、「成長領域への技術の仕込み」の3つを技術戦略の基本方針と定め、その初年度として推進してまいりました。「強化領域への技術資源シフト」においては、確かな成長基盤を確立するため、強化領域であるインダストリー事業、ヘルスケア事業、プロフェッショナルプリント事業の領域に対し、技術資源投入を増強しております。インダストリー領域における技術資源シフトの一例として、コーポレート開発で蓄積を進めるマテリアルズインフォマティクス及びプロセスインフォマティクスのノウハウをディスプレイフィルム生産工場に適応しております。生産工程に設置されたセンサーデバイスにより生産状態がモニタリングされ、製品の高品質化や生産の安定化で効果が得られております。またヘルスケア事業に対しては、次世代の超音波トランスデューサ開発にコーポレート開発の技術資源を投入し、事業拡大の加速を行っております。この開発により、超音波診断装置の感度が飛躍的に向上し、これまで超音波診断装置では見ることができなかった早期の癌を発見することが可能になると期待されます。「エキスパート・DX人財活用」では、管理職制度を複線化して技術やビジネスで高い専門性によって変革をリードする人財として新設した「エキスパート」と、AIやデータサイエンス、ITスキル等の社内教育・認定により1,000名まで増強した「DX人財」の活躍により各事業の変革を進めています。全社の各事業が、従来の事業モデルからデータを活用した新たなビジネス創出に取り組み、全社横断で生成AI活用を推進することで業務効率化が進む等の成果が出ています。今後も各事業が成長のための必須人財として、エキスパート・DX人財の更なる育成強化と活用促進を進めてまいります。「成長領域への技術の仕込み」においては、持続的成長に向けた技術開発テーマに投資を行い、イノベーションの加速を実施しております。特に当社では2030年に想定される社会課題からのバックキャストから5つのマテリアリティ(1.働きがい向上及び企業活性化、2.健康で質の高い生活の実現、3.社会における安全・安心確保、4.気候変動への対応、5.有限な資源の有効利用)を制定しており、環境負荷低減への貢献は技術開発のスコープの一つです。例えば、カーボンニュートラルの実現を目指した取り組みの一例としては、産業技術総合研究所と共同で「バイオプロセス技術連携研究ラボ」を設立いたしました。石油由来の材料原料から作るものづくりからの転換として、微生物を用いて非石油由来の原料から合成するバイオモノづくり技術はカーボンニュートラル実現のキーテクノロジーとして注目されています。この技術領域に対して、当社が保有するセンシング技術や、機械学習、ディープラーニング等のAI技術の強みを生かし、バイオものづくりを将来社会に拡大していく上で課題の一つである生産プロセスの“みえる化”による安定生産・スケールアップの実現に向けて取り組んでおります。研究開発により創出される技術(発明、アイデア、ノウハウ等)については、特許権の取得に加え、著作権法・不正競争防止法等の各種法制度や契約を利用することにより、知的財産として適切な保護・活用を行い、当社グループの競争優位性の維持、成長のドライバーとしております。新たな中期経営計画の策定に合わせて、同計画に沿った知財戦略を策定し、実行しております。具体的には、中期経営計画の基本方針のうち、特に事業の選択と集中による事業収益力の強化を推進すべく、「知財アロケーションの見直し」、「強化事業の拡大を支える知財障壁構築」等の施策を進めています。 「知財アロケーションの見直し」においては、事業の選択と集中による強化事業の拡大をさらに推進するため、知財投資の選択と集中を進め、全社の特許出願に占める強化事業の比率を大幅に引き上げています。「強化事業の拡大を支える知財障壁構築」においては、事業の拡大・成長を確かなものとするため、事業や製品が立ち上げ期から拡大・成長期に差し掛かるタイミングで「知財の壁」を築き、競合の参入を抑制しております。例えば、インダストリー領域の中核事業の1つである機能材料事業においては、大型ディスプレイ領域でのシェア拡大のキーとなる「SANUQI」フィルムの価値を守る「知財の壁」を構築しております。大型ディスプレイ領域の市場では各ディスプレイサイズへの効率的な対応の観点から偏光板メーカーでの広幅ライン化が加速しており、偏光板に使用する機能性フィルムにおいても広幅シフトへの対応がシェア拡大のキーとなります。「SANUQI」はCOPフィルムとしては比較的後発ながら、「溶液流延+ベルト」方式で製膜することにより、超薄膜化や多様な機能の付与によるカスタマイズが可能な点に加え、後延伸工程と組み合わせることにより柔軟に広幅化に対応可能という価値で、顧客のニーズを捉え、シェアを拡大しております。当社では、COPフィルム全般については特許に関しても競争優位のポジションではありませんが(左グラフ)、「SANUQI」の提供価値を実現する「溶液流延+ベルト」方式での製膜に集中的に出願することにより、右のグラフに示すように「知財の壁」を築き、「SANUQI」の価値について競合が参入することを抑制しております。 「新樹脂全般での領域」と「溶液流延+ベルト方式領域」に関する日本特許(公開特許+登録特許)のスコアマップ(注)株式会社パテント・リザルトの特許分析ツール「Biz Cruncher」を用いて当社にて作成いたしました。円の大きさが各社の特許件数を、横軸が最も評価の高い特許の評価値を、縦軸が特許群全体の評価値を示しております。 上述した環境負荷を低減する技術開発に加え、持続可能な社会の実現をめざして、省エネルギー、リサイクル可能な環境配慮型製品の開発、使用済み製品の廃材を高機能材料として再活用する技術、バイオマス由来材料を活用する技術の研究開発を進めております。複合機の本体や消耗品(トナー等)に使う石油由来材料を再生材料へ転換し、プラスチック由来のCO2排出量の削減を進めてまいります。バイオマス由来材料や廃材を複合機等の高機能材料として活用するためには、一般的に石油からのバージン材に比べて性能が低下するとともに製品品質が安定しにくいという課題があります。当社グループは、この課題を解決するために、長年使ってきたコア技術の1つである材料技術、成形加工技術を発展させ、材料開発、材料選択、加工技術の組み合わせにより、新しい樹脂開発を進めます。複合機への展開だけでなく、様々な企業と本技術を共有し実用化することで、連携の輪をグローバルに広げ、環境価値の効果を飛躍的に大きくしてまいります。当期におけるグループ全体の研究開発費は651億円となりました。そのうち、デジタルワークプレイス事業及びプロフェッショナルプリント事業に係る研究開発費が294億円、ヘルスケア事業に係る研究開発費が122億円、インダストリー事業に係る研究開発費が142億円、その他事業及び基礎研究費用が93億円であります。各事業部門別の研究の目的及び研究成果は以下のとおりであります。 (1)デジタルワークプレイス事業デジタルワークプレイス事業においては、複合機、ITサービス・ソリューション、「Workplace Hub(ワークプレイスハブ)」を組み合わせた、各種ハードウェア、ソフトウェア、システムソリューションに至るまで幅広く研究開発を実施しております。オフィス用複合機・プリンターのラインアップ bizhub(ビズハブ) iシリーズとして、A4カラー複合機「bizhub C4051i」「bizhub C3321i」、A4カラープリンター「bizhub C4001i」、A4モノクロ複合機「bizhub 4051i」(以下、bizhub C4051iシリーズ)を開発しました。働き方の多様化やDX推進による業務環境とプロセスの急速な変化により、ドキュメントを扱う複合機やプリンターの役割は、IoT機器の一つとしてますます大きくなっております。bizhub C4051iシリーズは、シンプルな操作性と高生産性により業務効率を向上させ、豊富なネットワーク機能と堅牢なセキュリティ機能により、働く場所や時間を柔軟に選ぶことができる多様な働き方をサポートします。bizhub i シリーズは、複合機のパネルからアプリケーションダウンロードサイト「Konica Minolta MarketPlace」に接続し、アプリケーションをインストールすることで、操作性向上やクラウドとのスキャン連携等の機能を複合機に追加することができます。さらに、リモートメンテナンスによる常時監視・保守や自動アップデートにより複合機が最適な状態に維持されるほか、災害時の早期復旧が可能になる等、将来にわたって顧客の事業継続をサポートするサステナブルな高品質サービスの提供とあわせて企業のDXを促進しオフィスのITサービスとのタッチポイントとなり、効率的なIT活用を支援しております。また、生産に必要な部品調達過程からメンテナンスを含む顧客先での使用期間、その後の回収と再利用のための処理にいたるまで製品ライフサイクル全体にわたって環境に配慮した製品となるよう開発しております。開発体制の最適化として、ベトナムの大手IT企業であるFPTソフトウェアの日本法人FPTジャパンホールディングス株式会社と 複合機ソフトウェア開発に関する合弁会社を2024年4月1日付で設立することを決定しました。これにより、顧客への価値提供は維持拡大しながら、開発投資を効率化することで、中期経営計画で収益堅守事業と定めたオフィス事業の基盤をさらに強化し、安定的な収益を創出します。さらに当社は、「Intelligent Connected Workplace」のプラットフォーマーとして顧客のDXを支援する技術を開発しております。2020年に商用稼働した「COCOMITE(ココミテ)」はクラウドで提供する自社開発オンラインマニュアル作成・運用サービスです。人材育成・技能伝承の課題解決に着眼し、既知の業務マニュアルの作成・運用の非効率さの解消を切り口に新たに開発されました。マニュアルの効率的な作成、管理を基本機能としてリリースして以降、顧客の声・アクセスログ解析から新機能開発や改善を重ね、オンラインマニュアルコラボレーションツールに進化、成長を続けております。また、AI技術によって、教育分野における教員の働く教育現場の課題解決に貢献するべく、2019年から文部科学省の学校における先端技術の活用に関する実証事業に取り組んでおります。学習支援サービスや学びの分析サービスを搭載した教育機関向けのトータルソリューション「tomoLinks(トモリンクス)」によって、教育のDXを広く展開し、多様な子どもたちが誰一人取り残されることなく社会とつながる個別最適化された協働的・探究的な学びに貢献しております。 (2)プロフェッショナルプリント事業プロフェッショナルプリント事業においては、プロダクションプリント/産業印刷の生産性と印刷品質、自動化・省人化・スキルレスを訴求し各種印刷機やサービスソリューションに至るまで幅広く研究開発を実施し、顧客のDX支援によるプロセス改善・リモート化・分散印刷を実現してまいります。新世代モノクロデジタル印刷システム「AccurioPress(アキュリオプレス) 7136シリーズ」、またモニター画面に近い鮮やかな色合いを表現できるハイクロマトナー(高彩度トナー)採用のデジタル印刷システム「AccurioPress C84hc」を発売しました。さらに、複数のプロダクションプリント機の情報を一括で可視化し管理効率化と工程の継続的な改善を支援するソリューション「AccurioPro(アキュリオプロ)Dashboard」シリーズに「AccurioPro Dashboard JobManager」を追加し、印刷データ入稿から梱包・出荷まで工程全体進捗をリアルタイムでみえる化することで、効率的な生産計画の作成や修正を可能とします。産業印刷ユニットにおいては、多様なメディアへの印刷と高い生産性、優れた画質と信頼性で新たな印刷ビジネス領域を切り開く「AccurioJet(アキュリオジェット)KM-1e」を提供し、様々なアプリケーション(出力用途)や市場からのニーズに対応しております。また、ラベル印刷では使いやすさと導入コストでご好評をいただいた「AccurioLabel(アキュリオ ラベル)230」とその上位機種である「AccurioLabel 400」を提供しております。当社初の白トナーを搭載し、自動品質最適化ユニット「IQ-520」を導入することで常に安定した画像品質を保ちます。 (3)ヘルスケア事業ヘルスケア事業においては、デジタル診断にフォーカスし、データサイエンスの力をフル活用して「早期診断」と「個別化医療」を実現することで、患者様個々のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を追求するとともに医療費の削減に貢献するべく研究開発を推進しております。ヘルスケア分野では、“見えないものをみえる化する”高度なイメージング技術を重要な柱に据え、IoTプラットフォームにAI技術を活用した診断支援機能や患者ポータル等様々な高付加価値サービスを搭載・展開するための研究開発を推進しております。当期においては、ヘルスケア分野では、X線画像診断の始まりである国産初の「さくらレントゲンフィルム」の発売から90年の節目の年を迎えました。X線画像診断に“動き”の情報を付加した「X線動態」による解析を「診断学」へ進化させるべく、国内外の大学との動態撮影に関連する有用性研究を複数開始し、成果が見え出しております。具体的には、国内の放射線技術学会において、X線動態撮影に関する発表セッションが前連結会計年度(以下「前期」)よりも倍増しました。世界中の医師や放射線技師、医学研究者の方々と新たな価値の共創を進め、動態画像に『こういう活用ができる』という意味づけをしていただき、医療界の課題解決と進歩・発展に貢献してまいります。医療IT分野では、日米アジア諸国へ各国のニーズに適合したソリューションを効率的に展開できる開発体制構築が進捗しました。国内において、患者も活用できる「infomity(インフォミティ) スマートクリニックサービス」を発売しました。これにより、医療機関と患者をつなぐインフラとなり、より日常に寄り添った医療の提供をサポートし、生活習慣病の予防や重症化予防に貢献してまいります。また、X線動画解析ワークステーション「KINOSIS(キノシス)」が公益財団法人日本デザイン振興会主催の2023年度グッドデザイン賞を受賞しました。プレシジョンメディシンユニットでは、グループ会社のコニカミノルタREALM株式会社が、DNA及びRNAの2種類の遺伝子情報を解析する機能を併せ持つがんゲノムプロファイリング検査用システム「GenMineTOP がんゲノムプロファイリングシステム」の前期の製造販売承認に続き、日本国内で保険適用を受けて検査受託を開始しました。本システムを用いて精緻ながん診断を推進することで、患者一人ひとりの特性を鑑みた適切な治療の実現等を通じて、患者のQOL向上に寄与してまいります。 (4)インダストリー事業インダストリー事業においては、センシング技術、材料コンポーネント技術、画像IoT技術を活かしたソリューションに至るまで幅広く研究開発を実施し、産業界のバリューチェーン変革推進で顧客と社会に貢献するため、産業のモノづくり最適化と安全・安心を提供してまいります。センシング分野においては、強みである光・色・外観の計測技術を基盤として、ICT領域や自動車領域に向け、高品質な製品・ソリューションを提供しております。ICT端末のディスプレイの高性能化、今後市場の成長が見込まれるAR/VR分野の計測需要に対応し、超低輝度領域まで測定可能な分光放射輝度計「CS-3000HDR」や次世代ディスプレイカラーアナライザー「CA-527」を開発し、ソリューションの拡大を図りました。自動車の外観計測においてはトンネル型の塗装欠陥検査装置に加え、顧客の最終検査工程で必要となる検査機能、例えば車体のすき間・段差・キズ・へこみ等の測定を自由に組み合わせられるAll in One検査装置の提供を開始しました。ハイパースペクトルイメージング技術においては、リサイクル分野において中赤外線分光カメラで、識別と分類が困難とされる黒色プラスチックの仕分けを実現しております。さらには、長波長赤外線分光カメラ「FX120」を開発し、鉱物調査、環境分析の用途にも新たな可能性の探索を進めております。材料・コンポーネント分野における機能材料ユニットにおいては、液晶画面の基幹部材となる偏光板用保護フィルム向けに、従来のTAC製品に加え、新樹脂フィルム「SANUQI」(COP系)、「SAZMA」(アクリル系)等を新プラットフォームとすることでお客様の選択の自由度を高め、さらに 2.5mの超広幅品等の高付加価値商品の販売及び開発を展開しております。また原材料の使用量を減らすことができる薄型フィルムや、サプライチェーンの環境負荷やロスの低減が可能な長尺フィルム商品等、環境に配慮した商品の準備を進めております。光学コンポーネントユニットにおいては、成長領域である半導体検査用レンズに欠かせない超高精度加工技術開発や移動体に搭載するセンサーデバイス用レンズ及び観測観察用レンズ等の開発・製品化に取り組んでおります。光学設計技術・微細加工技術に材料技術を掛け合わせた高機能コンポーネントの開発に注力し事業化推進を図ってまいります。IJコンポーネントユニットにおいては、産業用インクジェットヘッド技術の開発、製品化に注力し、サイングラフィック領域からプリントオンデマンドの商業印刷領域、そしてプリント基板上の回路形成をはじめとした工業用途への拡大に向けて、さらなる製品ラインアップの拡充に取り組んでおります。画像IoTソリューションユニットは、製造業・防災・セキュリティ等の領域を中心に、AIによる予知保全、安全安心確保に向けたモニタリング・ソリューションを展開しております。当期においては、ガス漏えい検知技術にAI解析を掛け合わせ、従来捉えられなかった煙の発生を、いち早く、正確に検知可能なアプリケーションを開発し、AIカメラとの組み合わせによる「火災予防ソリューション」や「高精度な自動車のライセンスプレートの検知・認識ソリューション」を展開しております。さらに、世界的に脱炭素/環境負荷低減の機運が高まる中、国連の活動であるメタンガス排出量報告フレームワーク「OGMP2.0」推進向けた石油ガス事業者の活動が進展しております。また、米国においては米国環境保護庁(EPA)によるメタン排出規制強化への対応が石油ガス事業者に求められる中、ガス漏えいを定量化する「流量推定技術」を搭載した「ガス漏えい検査システム(GMP02)」を提供することにより、顧客の課題解決に取り組んでおります。
FY2023|7,539 文字
6【研究開発活動】当社グループは、経営理念である「新しい価値の創造」及び経営ビジョンとして「Imaging to the People」を掲げ、材料・光学・微細加工・画像の4分野のコア技術を高度化・融合化するとともに、ICT・AI技術を組み合わせることで“見えないものをみえる化する”技術として発展させました。そして、この独自技術を活用することで顧客の課題を解決する新たな製品・サービスを各事業セグメントで開発しております。当連結会計年度においては、中期経営計画「DX2022」に基づいた基本方針に対応して、「画像IoT技術の強化」、「技術人財のトランスフォーメーション」を技術戦略の基本方針と定め推進してまいりました。「画像IoT技術の強化」においては、エッジデバイス、画像AI技術、IoTプラットフォームからなる三位一体の技術群で構成される画像IoTプラットフォーム「FORXAI(フォーサイ)」を開発・整備し、人行動、検査、先端医療の重点3領域を中心に技術力強化を進めております。「FORXAI」を介してパートナー企業各社が保有するアセットを持ち寄り、お互いのエッジデバイスやAI技術をオープンにつなぎ、かつ素早く顧客にソリューションを提供する取組みに対し多くのパートナー企業から賛同をいただき共創(企業間連携による事業創出)が加速しております。エッジデバイスの開発では、光学技術に材料、微細加工、画像技術も組み合わせ、目には見えないガス、物体の内部構造、従来の計測手法では測れない液体の状態変化などを“見える化”する独自のセンサーや、5G通信によるリアルタイム画像伝送を実現する低遅延カメラなどを開発してまいりました。また、技術パートナーが保有するデバイスが「FORXAI」に接続・連携することを認定する「FORXAIデバイス認定プログラム」を開始し、高速・高精度なAI画像処理技術を容易に体感できる開発キット「FORXAI Experience Kit」のラインアップを拡充しました。「FORXAI」技術を活用し重点的に取り組んでいる人行動領域では、人の姿勢推定と物体検知の同時認識技術で当社評価における世界最速クラスのAIアルゴリズムを開発しており、当社の人行動認識に関するAI技術は高い評価をいただいております。検査領域では、製造業における製品検査や働く人々の安心安全を実現する技術開発に取り組んでおります。画像AI技術を使ったセンシングとして、検査に使う波長領域を可視光領域からX線や近赤外領域まで拡張することで、物体表面だけでなく内部構造や成分まで検査することを可能にしました。そして、これらの技術を活用し、製造業における製品外観検査の高度化・自動化に加え、労働安全、在庫管理などにおける人手不足が起因の様々な現場課題の解決に貢献する技術開発にも取り組んでおります。医療領域では、デジタルX線動画撮影システム(DDR:Dynamic Digital Radiography)によって得られた動画像に独自の画像処理技術によって「識別能の向上」、「動きの定量化」、「肺機能情報の可視化」を実現しました。造影剤を使用せず肺の血流動態を可視化する技術を開発し、低被爆な診断手法となる可能性を世界で初めて証明しました。 「技術人財のトランスフォーメーション」の取組みでは、画像AI専門のエンジニアとデータサイエンティスト、それらの技術を理解し最適なソリューションを開発できるソリューションディベロッパー、これら3つのスキル人財を画像IoT人財と定義し、その育成と採用強化を継続しております。2020年に500人程度だった画像IoT人財を2023年度末までに1,000人に増員する計画が予定どおり進捗し、現在800人を超えました。画像IoT人財は、既に各事業のDX推進や新規事業創出の場で活躍しており、今後の事業成長に必須の人財として継続的な育成強化と各事業における画像IoT人財の活用推進を進めてまいります。 研究開発により創出される技術(発明、アイデア、ノウハウ等)については、特許権の取得に加え、著作権法・不正競争防止法等の各種法制度や契約を利用することにより、知的財産として適切な保護・活用を行い、当社グループの競争優位性の維持、成長のドライバーとしております。また、中期経営計画「DX2022」に沿った事業ごとの事業戦略と密接に連関した知的財産戦略を策定・実行し、事業の成長、収益力向上を知財面から強力に支援してまいりました。具体的には、各事業の成長戦略を実現するためのキーとなる技術、商品、サービスについて集中的に知財投資を行い、事業シナリオと連動した知的財産の形成、活用を行っております。例えば、計測・検査・診断領域での事業成長の一角を担うヘルスケア事業においては、デジタルX線動画撮影システム・動態解析技術(以下「X線動態」)を、“新しい動きの診断”を提供するソリューションとして、その成長戦略の核としています。このX線動態については、その開発当初から、当社の独自領域である動態解析技術を中心に集中的な特許出願を行ってまいりました。その結果、下図に示されるように、現在では質、量ともに圧倒的なポジションを確立し、X線動態における当社の競争優位を持続的に維持する特許障壁を構築しております。 「X線動態領域」に関する日本特許(公開特許+登録特許) 2017年12月時点(左)と2023年4月時点(右)のスコアマップ(注)株式会社パテント・リザルトの特許分析ツール「Biz Cruncher」を用いて当社にて作成いたしました。円の大きさが各社の特許件数を、横軸が最も評価の高い特許の評価値を、縦軸が特許群全体の評価値を示しております。 持続可能な社会の実現をめざして、省エネルギー、リサイクル可能な環境配慮型製品の開発、使用済み製品の廃材を高機能材料として再活用する技術、バイオマス由来材料を活用する技術の研究開発を進めております。複合機の本体や消耗品(トナーなど)に使う石油由来材料を再生材料へ転換し、プラスチック由来CO2排出量の削減を進めてまいります。バイオマス由来材料や廃材を複合機などの高機能材料として活用するためには、一般的に石油からのバージン材に比べて性能が低下するとともに製品品質が安定しにくいという課題があります。当社グループが長年使ってきたコア技術の1つである材料技術、成形加工技術を発展させ、材料開発、材料選択、加工技術の組み合わせにより、新しい樹脂開発を進めます。複合機への展開だけでなく、様々な企業と本技術を共有し実用化することで、連携の輪をグローバルに広げ、環境価値の効果を飛躍的に大きくしてまいります。 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は638億円となりました。そのうち、デジタルワークプレイス事業及びプロフェッショナルプリント事業に係る研究開発費が278億円、ヘルスケア事業に係る研究開発費が113億円、インダストリー事業に係る研究開発費が140億円、その他事業及び基礎研究費用が106億円であります。各事業部門別の研究の目的及び研究成果は以下のとおりであります。 (1)デジタルワークプレイス事業デジタルワークプレイス事業においては、複合機、ITサービス・ソリューション、「Workplace Hub(ワークプレイスハブ)」を組み合わせた、各種ハードウェア、ソフトウェア、システムソリューションに至るまで幅広く研究開発を実施しております。新世代カラー複合機では、いつでも、どこでも、だれでも働ける環境づくりに貢献する、「bizhub(ビズハブ)i Sシリーズ」を提供しております。「bizhub i Sシリーズ」は、場所に縛られないテレワーク中心の働き方と安心安全なオフィス出社中心の働き方、それぞれの働く場所に合わせた環境づくりをサポートします。複合機のパネルからアプリケーションダウンロードサイト「Konica Minolta MarketPlace」に接続し、アプリケーションをインストールすることで、操作性向上やクラウドとのスキャン連携などの機能を複合機に追加することができます。さらに、リモートメンテナンスによる常時監視・保守や自動アップデートにより複合機が最適な状態に維持されるほか、災害時の早期復旧が可能になるなど、将来にわたって顧客の事業継続をサポートするサステナブルな高品質サービスの提供とあわせて企業のDXを促進しオフィスのITサービスとのタッチポイントとなり、効率的なIT活用を支援しております。さらに当社は、「Intelligent Connected Workplace」のプラットフォーマーとして顧客のDXを支援する技術を開発しております。2020年に商用稼働した「COCOMITE(ココミテ)」はクラウドで提供する自社開発オンラインマニュアル作成・運用サービスです。人材育成・技能伝承の課題解決に着眼し、既知の業務マニュアルの作成・運用の非効率さの解消を切り口に新たに開発されました。 マニュアルの効率的な作成、管理を基本機能としてリリースして以降、顧客の声・アクセスログ解析から新機能開発や改善を重ね、オンラインマニュアルコラボレーションツールに進化、成長を続けております。 また、AI技術によって、教育分野における教員の働く教育現場の課題解決に貢献するべく、2019年から文部科学省の学校における先端技術の活用に関する実証事業に取り組んでおります。学習支援サービスや学びの分析サービスを搭載した教育機関向けのトータルソリューション「tomoLinks(トモリンクス)」によって、教育のDXを広く展開し、多様な子どもたちが誰一人取り残されることなく社会とつながる個別最適化された協働的・探究的な学びに貢献しております。 (2)プロフェッショナルプリント事業プロフェッショナルプリント事業においては、プロダクションプリント/産業印刷の生産性と印刷品質、自動化・省人化・スキルレスを訴求し各種印刷機やサービスソリューションに至るまで幅広く研究開発を実施し、顧客のDX支援によるプロセス改善・リモート化・分散印刷を実現してまいります。クラス最高レベルの印刷速度の140ppmを実現したデジタル印刷システム「AccurioPress(アキュリオプレス)C14000/12000」と、コンパクト設計ながら多彩な印刷業務の獲得を支援する110ppmの印刷速度の「AccurioPress C7100」」を提供しております。全てのプロダクションプリント製品に装着できバリアブル印刷の自動検査機能を可能にする自動品質最適化・検品ユニット「IQ-501」や、多様な後加工を自動化する多機能トリマーユニット「TU-510」をインラインオプションとして提供しご好評をいただいています。さらに、複数のプロダクションプリント機の情報を一括で可視化し管理効率化と工程の継続的な改善を支援するソリューション「AccurioPro(アキュリオプロ)Dashboard」を発売いたしました。これにより「あたらしい生産時間」の創出が可能となり印刷事業者のビジネス拡大に貢献いたします。産業印刷ユニットにおいては、多様なメディアへの印刷と高い生産性、優れた画質と信頼性で新たな印刷ビジネス領域を切り開く「AccurioJet(アキュリオジェット)KM-1e」を提供し、様々なアプリケーション(出力用途)や市場からのニーズに対応しております。また、ラベル印刷では使いやすさと導入コストでご好評をいただいた「AccurioLabel(アキュリオ ラベル)230」の後継機として、「AccurioLabel 400」を発売開始いたしました。当社初の白トナーを搭載し、自動品質最適化ユニット「IQ-520」を導入することで常に安定した画像品質を保ちます。 (3)ヘルスケア事業ヘルスケア事業においては、デジタル診断にフォーカスし、データサイエンスの力をフル活用して「早期診断」と「個別化医療」を実現することで、患者様個々のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を追求するとともに医療費の削減に貢献するべく研究開発を推進しております。ヘルスケア分野では、“見えないものをみえる化する”高度なイメージング技術を重要な柱に据え、IoTプラットフォームにAI技術を活用した診断支援機能や患者ポータル等様々な高付加価値サービスを搭載・展開するための研究開発を推進しております。プレシジョンメディシン分野では、遺伝子、タンパク質、細胞、臓器に至る全身をデジタル化し、AIを駆使してバイオマーカーを抽出し適切な診断と創薬支援に貢献し、プライマリケア・個別化医療の領域でデータ解析による疾病メカニズム解明のサービスビジネスを展開するための研究開発を推進しております。当連結会計年度においては、ヘルスケア分野では、X線画像診断に“動き”の情報を付加した「X線動態解析」を「診断学」へ進化させるため、デジタル症例集「DDR (Dynamic Digital Radiography) Atlas」の第一弾として、正常例を収録した「DDRAtlas Ver. 1.0」を会員制Webサイトにて公開しました。また、九州大学大学院医学研究院により、当社のデジタルX線動画撮影を利用して造影剤を使用せずに肺の血流動態を可視化する技術が開発され、その研究成果が学術雑誌「Radiology」に掲載されました。世界中の医師や放射線技師、医学研究者の方々と新たな価値の共創を進め、動態画像に『こういう活用ができる』という意味づけをしていただき、医療界の課題解決と進歩・発展に貢献してまいります。カセッテ型デジタルX線撮影装置では、軽量化、低線量・高画質、把持性を向上した「AeroDR swift(エアロディーアール スウィフト)」にラインアップを追加し、17×17インチサイズを開発・発売しました。17×17インチサイズでも片手でハンドリングしやすく、回診撮影の持ち運びによる疲労低減に寄与してまいります。プレシジョンメディシン分野では、子会社のコニカミノルタREALM(株)が、DNA及びRNAの2類の遺伝子情報を解析する機能を併せ持つがんゲノムプロファイリング検査用システムとして、厚生労働省より「GenMineTOP がんゲノムプロファイリングシステム」の製造販売承認を取得しました。本システムを用いて精緻ながん診断を推進することで、患者様一人ひとりの特性を鑑みた適切な治療の実現等を通じて、患者様のQOL向上に寄与してまいります。 (4)インダストリー事業インダストリー事業においては、センシング技術、材料コンポーネント技術、画像IoT技術を活かしたソリューションに至るまで幅広く研究開発を実施し、産業界のバリューチェーン変革推進で顧客と社会に貢献するため、産業のモノづくり最適化と安全・安心を提供してまいります。センシング分野においては、強みである光・色・外観の計測技術を基盤として、ICT領域や自動車領域に向け、高品質な製品・ソリューションを提供しております。今後市場の成長が見込まれるAR/VR分野においては、研究開発を支えるソリューションの提供を拡大しております。ICT端末のディスプレイの高精細化に伴う高解像度での計測需要や、顔認証などで用いられるVCSEL等レーザー技術における計測需要に対して引き続き応えてまいります。自動車の外観計測においてはトンネル型の塗装欠陥検査やすき間・段差計測の装置に、キズ・へこみ等の検査機能を追加できるようにしました。これにより、それぞれの検査工程にてフレキシブルに顧客需要に応えることができます。また、AIを用いた塗装欠陥分類については、光学シミュレーションをベースにしたデータ拡張技術により、発生頻度の低い欠陥でも短期間で学習モデルの作成が可能となりました。ハイパースペクトルイメージング(HSI)技術においては、リサイクル分野において中赤外線(MWIR)分光カメラで、識別と分類が困難とされる黒色プラスチックの仕分けを実現しております。材料・コンポーネント分野における機能材料ユニットにおいては、液晶画面の基幹部材となる偏光板用保護フィルム向けに、従来のTAC製品に加え、新樹脂フィルム「SANUQI」(COP系)、「SAZMA」(アクリル系)等を新プラットフォームとする2.5mの超広幅品等の高付加価値商品の販売及び開発を行っております。また原材料の使用量を減らすことができる薄型フィルムや、サプライチェーンの環境負荷やロスの低減が可能な長尺フィルム商品など、環境に配慮した商品の準備を進めております。光学コンポーネントユニットにおいては、成長領域である半導体検査用レンズに欠かせない超高精度加工技術開発や移動体に搭載するセンサーデバイス用レンズ及び観測観察用レンズ等の小型レンズ開発・製品化に取り組んでおります。光学技術・コンポーネント技術に材料技術を掛け合わせた高機能レンズの開発に注力し事業化推進を図ってまいります。IJコンポーネントユニットにおいては、産業用インクジェットヘッド技術の開発、製品化に注力し、サイングラフィック領域からプリントオンデマンドの商業印刷領域、そしてプリント基板などの工業用途への拡大に向けて、さらなる製品ラインアップの拡充に取り組んでおります。画像IoTソリューション分野では、製造業・防災・セキュリティ等の領域を中心に、AIによる予知保全、安全安心確保に向けたモニタリング・ソリューションを展開しております。当連結会計年度においては、ガス漏えい検知技術にAI解析を掛け合わせ、従来捉えられなかった煙の発生を、いち早く、正確に検知可能なアプリケーションを開発し、AIカメラとの組み合わせによる「火災予防ソリューション」として展開しております。さらに、米国では脱炭素/境負荷低減の機運の高まる中、米国環境保護庁(EPA)による規制強化の一環であるメタンガス排出量報告フレームワーク「OGMP2.0」等への対応をガス事業者に求められており、ガス漏えいを定量化する「流量推定技術」を搭載した「ガス漏えい検査システム」を提供することにより、顧客の課題解決に取り組んでおります。
FY2022|7,689 文字
5【研究開発活動】当社グループは、経営理念である「新しい価値の創造」及び経営ビジョンである「Imaging to the People」を掲げ、材料・光学・微細加工・画像の4分野のコア技術を高度化・融合化するとともに、ICT・AI技術を組み合わせることで見えないものを見える化する技術として発展させました。そして、この独自技術を活用することで顧客の課題を解決する新たな製品・サービスを各事業セグメントで開発しております。当連結会計年度においては、中期経営計画「DX2022」に基づいた基本方針に対応して、「画像IoT技術の強化」、「技術人財のトランスフォーメーション」を技術戦略の基本方針と定め推進してまいりました。「画像IoT技術の強化」において、Edge Device、Imaging AI、IoT Platformからなる三位一体の技術群で構成される画像IoTプラットフォーム「FORXAI(フォーサイ)」を開発・整備し、人行動、検査、先端医療の重点3領域を中心に技術力強化を進めています。「FORXAI」を介してパートナー企業各社が保有するアセットを持ち寄り、Edge DeviceやAI技術をオープンに、かつ素早く顧客にソリューション提供する取組みに多くのパートナー企業に賛同いただき連携が加速しております。Edge Deviceの開発では、光学技術に材料、微細加工、画像技術も組み合わせた独自のセンサーを開発してまいりました。そして、センシングの対象領域は、可視光領域からX線や近赤外領域に拡大することにより、物体表面だけでなく、内部構造や成分まで検査することを可能にしました。今後、更にImaging AI技術と材料解析技術を組み合わせることで事業領域の拡大を進めます。人行動領域では、人の姿勢推定と物体検知で当社評価における世界最速クラスのAIアルゴリズムを開発しております。ドイツの子会社MOBOTIX社の最新AIカメラを活用することで、人の体表温度や設備の温度を見える化し、測定データを管理・分析できるモニタリング・ソリューションを開発しました。感染症拡大防止のための体表温度測定、設備機器の劣化や故障の予兆発見、材料や製品の品質管理、温度異常による火災の予防など、温度を面データとしてモニタリングすることで現場のDXに貢献しております。検査領域では、製品の外観検査、労働安全、在庫管理のワークフローを画像AI技術により自動化しております。先端医療領域では、X線動画解析ワークステーション「KINOSIS(キノシス)」を、回診用X線撮影装置「AeroDR(エアロディーアール) TX m01」やカセッテ型デジタルX線撮影装置「AeroDR fine motion」にも展開しております。「技術人財のトランスフォーメーション」の取組みでは、画像AI専門のエンジニアとデータサイエンティスト、それらの技術を理解して最適なソリューションを開発するソリューションディベロッパー、これら3つのスキル人財を画像IoT人財と定義し、その育成と採用強化を継続的に進めています。2023年までに1000人まで増員することを目指し、現在は計画どおりの650人に達しました。今後は、欧米での専門スキル人財の採用と、国内でのソリューション開発人財育成を強化していきます。 研究開発により創出される技術(発明、アイデア、ノウハウ等)については、特許権の取得に加え、著作権法・不正競争防止法等の各種法制度や契約を利用することにより、知的財産として適切な保護・活用を行い、当社グループの競争優位性の維持、成長のドライバーとしております。また、中期経営計画「DX2022」を知的財産面から推進するべく、事業戦略・技術戦略と連動した知財戦略を策定し、実行しております。例えば、上述のX線動画解析ワークステーション「KINOSIS」とカセッテ型デジタルX線撮影装置「AeroDR fine」を組み合わせたデジタルX線動画撮影システム(注)については、顧客起点による価値の把握を進め、キーとなる技術に対して早期権利化対応など戦略的な権利化施策を実行することにより、特許ポートフォリオの強化を進めてきました。この結果、下図に示すとおり、特許の数だけでなく特許の質も加味した知財資産の価値が、大きく向上し、顧客への提供価値を実現する独自技術を保護する特許群を着実に形成しております。(注)一般 X線撮影装置は、株式会社島津製作所「診断用 X線装置 RADspeed Pro」を採用しております。 「X線動態領域」に関する日本特許(公開特許+登録特許) 2017年12月時点(左)と2022年4月時点(右)のスコアマップ(注)株式会社パテント・リザルトの特許分析ツール「Biz Cruncher」を用いて当社にて作成いたしました。円の大きさが各社の特許件数を、横軸が最も評価の高い特許の評価値を、縦軸が特許群全体の評価値を示しております。 このような当社画像IoT技術による新たな競争優位領域への知財リソースの集中に加えて、契約戦略の深化とオープン&クローズ戦略を推進し、DXによる高付加価値サービス(DX as a Service)や顧客・パートナーとの協業の拡大を知的財産面から支援しております。 持続可能な社会の実現をめざして、省エネルギー、リサイクル可能な環境配慮型製品の開発、使用済み製品の廃材を高機能材料として再活用する技術、バイオマス由来材料を活用する技術の研究開発を進めています。複合機の本体や消耗品(トナーなど)に使う石油由来材料を再生材料へ転換し、プラスチック由来CO2排出量の削減を進めていきます。バイオマス由来材料や廃材を複合機などの高機能材料として活用するためには、一般的に石油からのバージン材に比べて性能が低下するとともに製品品質が安定しにくいという課題があります。当社グループが長年使ってきたコア技術の1つである材料技術、成形加工技術を発展させ、材料開発、材料選択、加工技術の組み合わせにより、新しい樹脂開発を進めます。複合機への展開だけでなく、様々な企業と本技術を共有し実用化することで、連携の輪をグローバルに広げ、環境価値の効果を飛躍的に大きくしていきます。 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は626億円となりました。そのうち、デジタルワークプレイス事業及びプロフェッショナルプリント事業に係る研究開発費が296億円、ヘルスケア事業に係る研究開発費が111億円、インダストリー事業に係る研究開発費が130億円、その他事業及び基礎研究費用が88億円であります。各事業部門別の研究の目的及び研究成果は以下のとおりであります。 (1)デジタルワークプレイス事業デジタルワークプレイス事業においては、複合機、ITサービス・ソリューション、「Workplace Hub(ワークプレイスハブ)」を組み合わせ、各種ハードウェア、ソフトウェア、システムソリューションに至るまで幅広く研究開発を実施しております。A3/A4複合機「bizhub(ビズハブ) iシリーズ」のフルラインアップによる、強固なセキュリティ機能により、ウイルスやマルウェアを複合機で検知しオフィス内部の感染拡大を防ぐなど、オフィスのセキュリティ強化を支援します。さらに、リモートメンテナンスによる常時監視・保守や自動アップデートにより複合機が最適な状態に維持されるほか、災害時の早期復旧が可能になるなど、将来にわたって顧客の事業継続をサポートするサステナブルな高品質サービスの提供とあわせて企業のDXを促進しオフィスのITサービスとのタッチポイントとなり、効率的なIT活用を支援しております。また、働き方改革関連法を受けて顧客の抜本的な働き方改革が求められている中で、当社は、「Intelligent Connected Workplace」構想のもと、働き方改革の自社実践で得た知見とノウハウを集約した「いいじかん設計」支援サービスにより、企業のIT基盤構築、業務プロセスの改善による新しい働き方の実現に向けた「創造じかん」を生み出す支援を続けています。働き方改革実現のためには、企業のDXによるIT活用が不可欠ですが、特に中小企業ではITサポート専任者が不在な企業も多く、IT活用が進んでいるとは言えません。当社は、クラウドプラットフォーム「INFO-Palette Cloud(インフォパレット クラウド)」の複合機連携機能「bizhub essentials」や統合サービスプラットフォーム「Workplace Hub」と複合機の統合型サービスとの連携により、このような顧客の課題解決に取り組んでおります。当連結会計年度においては、Microsoft Global Managed Partner(グローバルマネージドパートナー)としての新しいステータスを発表しました。グローバルマネージドパートナーとして、共同開発、業界別ソリューション/サービス、そして、対象国の大半の中小企業のデジタルワークプレイスにITクラウドサービス/ソリューションを提供することにより、当社のグローバル戦略の方向性に一層の集中をもたらすという目標を強化しております。クラウド技術を活用したオンラインマニュアル作成・運用サービス「COCOMITE(ココミテ)」にて、エンタープライズに求められるセキュリティ強化・性能向上などの機能拡充を進めています。また、教育現場のDXを実現する教育機関向けソリューション「tomoLinks(トモリンクス)」を開発し、学習支援サービスを自治体へ展開しております。 (2)プロフェッショナルプリント事業プロフェッショナルプリント事業においては、プロダクションプリント/産業印刷の生産性と印刷品質、自動化・省人化・スキルレスを訴求し各種印刷機やサービスソリューションに至るまで幅広く研究開発を実施し、顧客のDX支援によるプロセス改善・リモート化・分散印刷を実現してまいります。当連結会計年度においては、クラス最高レベルの140ppmの印刷速度で生産性を向上させたデジタル印刷システム「AccurioPress(アキュリオプレス)C14000/12000」」に加え、110ppmの印刷速度の「AccurioPress C7100」」を発売いたしました。中速プロダクションプリント領域において「AccurioPress C14000シリーズ」と同等のオプションを装着でき、好評をいただいている自動品質最適化・検品ユニット「IQ-501」を用いた新機能「バリアブル印刷の自動検査機能」、多機能トリマーユニット「TU-510」を用いた多彩で高画質な後加工の自動化を実現します。さらに、作業者のスキルレベルによらない検品作業の負荷を低減したワークフローで、「AccurioPro(アキュリオプロ)シリーズ」のワークフローソフトウェアとともに、さらに高い生産性を提供いたします。産業印刷ユニットにおいては、プリントヘッドとインクジェット出力に最適なインク、さらにプリンターの三位一体の開発・展開を最大の特長として、拡大し続ける様々なアプリケーション(出力用途)への対応や、各市場からの高画質・高生産性ニーズに対応する研究開発を強化・推進しております。また、ラベル印刷では「AccurioLabel(アキュリオ ラベル)230」において使いやすさと導入コストで好評をいただき、更なる操作性とスキルレスを追求してまいります。さらに、デジタル箔押し機により、高い信頼性に加え、高い付加価値と生産性を実現するソリューションの提案を行っております。 (3)ヘルスケア事業ヘルスケア事業においては、デジタル診断にフォーカスし、データサイエンスの力をフル活用して「早期診断」と「個別化医療」を実現することで、患者様個々のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を追求するとともに医療費の削減に貢献するべく研究開発を推進しております。ヘルスケア分野では、高付加価値イメージングにより「見えないものを見える化」し、IoTプラットフォームにAI技術による診断支援機能や患者ポータル等様々な高付加価値サービスを搭載・展開するための研究開発を推進しております。プレシジョンメディシン分野では、遺伝子、タンパク質、細胞、臓器に至る全身をデジタル化し、AIを駆使してバイオマーカーを抽出し適切な診断と創薬支援に貢献し、プライマリケア・個別化医療の領域でデータ解析による疾病メカニズム解明のサービスビジネスを展開するための研究開発を推進しております。当連結会計年度においては、ヘルスケア分野では、X線動画撮影をベッドサイドでも行うことができる回診用X線撮影装置「AeroDR TX m01」の国内販売を開始しました。患者をX線撮影室まで移動させることなく従来の静止画に加えて動画撮影を可能にし、適切な治療や重症化予防に貢献してまいります。カセッテ型デジタルX線撮影装置では、軽量化、低線量・高画質、把持性を向上した「AeroDR swift」を開発しました。X線撮影作業における医療従事者の負担軽減に寄与してまいります。画像診断ワークステーション「CS-7」では、整形領域で再撮影の要否判断を支援するポジショニング判定支援機能「Positioning i」を搭載し、医療安全と業務効率化に貢献してまいります。胸部単純X線検査領域においても、AI技術により医師をサポートする胸部X線画像診断支援ソフトウェア「CXR finding-i」を開発しました。これにより、医師と患者にとって、より安心できる医療の提供に寄与してまいります。乳がん検診領域では、マンモグラフィー画像における乳房構成(乳腺密度)を判定する乳房構成解析ソフトウェア「Breast Density Assessment(Bda)」を開発しました。本ソフトウェアにより、各人の乳房の特性に応じた「個別検診」の普及を支援し、一人ひとりにとって乳がん検診をよりよいものになるよう支援してまいります。プレシジョンメディシン分野では、米国Amazon Web Services, Inc.と連携して、個別化医療の米国子会社であるREALM IDx, Inc.のマルチオミックスプラットフォーム「LATTICE(ラティス)」構想のグローバル展開を進めています。「LATTICE」は、遺伝子、病理、医療画像のデータと他の重要な医療情報を組み合わせて、新たな臨床的に重要なバイオマーカーを発見し、次世代の診断検査を創出する画期的な統合診断データプラットフォームです。その解析能力を活かし、グローバルな臨床試験の支援や診断ツールの提供方法を開発してまいります。当連結会計年度から早期発見・治療が難しいすい臓がんのグローバルな研究機関のコンソーシアム「PRECEDE」やパーキンソン病のプロジェクトに参画しました。これら特定の疾病のプロジェクトに参画しながら、解析手法を特定し、統合診断への道筋を切り開いていきます。 (4)インダストリー事業インダストリー事業においては、センシング技術、材料コンポーネント技術、画像IoT技術を活かしたソリューションに至るまで幅広く研究開発を実施し、産業界のバリューチェーン変革推進で顧客と社会に貢献するため、産業のモノづくり最適化と安全・安心を提供してまいります。センシング分野においては、強みである光・色・外観の計測技術を基盤として、ICT領域や自動車領域に向け、高品質な製品・ソリューションを提供しております。当連結会計年度には需要が拡大しているICT端末の新規計測ニーズに対応するため、高解像度イメージング輝度計Prometric Y61(Radiant社)等を開発し、さらに、VCSEL(面発光レーザー)やAR・VRデバイス測定用ソリューションの拡充も図りました。また、自動車領域に対しては、燃料電池部材の検査や国内外の主要自動車メーカーの外観検査ニーズに対応したソリューションを開発し提供しております。安全安心衛生領域に対しては、前連結会計年度買収したSpecim社とともにリサイクル・食品分別の産業応用を進めるのと並行し、さらなるセンシング分野の技術応用分野拡大に向けて探索を進めております。材料・コンポーネント分野における機能材料ユニットにおいては、液晶画面の基幹部材となる偏光板用保護フィルム向けに、従来のTAC製品に加え、新樹脂フィルム「SANUQI」(COP系)、「SAZMA」(アクリル系)等を新プラットフォームとする2.5mの超広幅品等の高付加価値商品の販売及び開発を行っています。また原材料の使用量を減らすことができる薄型フィルムや、サプライチェーンの環境負荷やロスの低減が可能な長尺フィルム商品など、環境に配慮した商品の準備を進めています。光学コンポーネントユニットにおいては、成長領域である移動体に搭載するセンサーデバイス用レンズや観測観察用レンズ等の小型レンズ開発・製品化に取り組んでおります。光学技術・コンポーネント技術に材料技術を掛け合わせた高機能レンズの開発に注力し事業化推進を図ってまいります。IJコンポーネントユニットにおいては、産業用インクジェットヘッド技術の開発、製品化に注力し、サイングラフィック領域からプリントオンデマンドの商業印刷領域、そしてプリント基板などの工業用途への拡大に向けて、さらなる製品ラインナップの拡充に取り組んでおります。画像IoTソリューション分野においては、製造業・防災・セキュリティ等の領域を中心に、予知保全や安心・安全確保に向け、人行動等の複数のAI解析を組み合わせたモニタリング・ソリューションの提供を開始しております。当連結会計年度においては、大規模プラントの保安・予知保全に貢献するガス監視ソリューションとして、オフサイト配管をはじめとする重要設備・重点監視エリアを広範囲に見守る「パンチルト型ガス漏えい監視システム」、また、業界最小・最軽量で手軽に持ち歩きながら日常点検や災害時の初期スクリーニングの効率化等、点検作業の負担軽減を可能とする「ハンディ型ガス漏えい検査システム」を開発いたしました。ガス監視カメラ映像による顧客の保全・保守活動へのサポートを強化してまいります。さらに、セキュリティ・ソリューションにおいては、物体を三次元データとして検出し、夜間、太陽光やヘッドライト等の屋外のシーンにおいても、高い検知性能を有する3D LiDARに関し、長距離検出機能の搭載と外乱振動に対する耐振動性能を強化いたしました。顧客が望む幅広い活用シーンに対応してまいります。
FY2021|7,561 文字
5【研究開発活動】当社グループは、経営理念である「新しい価値の創造」及び経営ビジョンである「Imaging to the People」を掲げ、材料・光学・微細加工・画像の4分野のコア技術に関わる研究開発はもとより、コア技術を高度化・融合化するとともにICT、AI技術と組み合わせることで見えないものを見える化する技術をさらに発展させ、各事業セグメントにおいては、顧客の課題解決に向け、新製品・サービスの開発を進めております。例えば、プロダクションプリント機では、熟練作業者でも時間がかかる印刷の色調整と位置ずれ調整を徹底的に効率化、省人・省力化する「IQ-501」ユニットを画像と光学技術を結集して製品化し、作業時間を1/4以下に短縮しました。また新樹脂フィルム「SANUQI」では写真技術で培われた材料と微細加工技術を巧みに融合することでディスプレイのフレキシブル化、高コントラスト化といった顧客ニーズに応えてまいりました。当連結会計年度においては、中期経営戦略「DX2022」に基づいた基本方針に対応して、「画像IoT技術の強化」、「技術人財のトランスフォーメーション」を技術戦略の基本方針と定め推進してまいりました。「画像IoT技術の強化」として、当社の画像IoT技術を、当社センサーデバイスや他社センサーデバイスに、最新のImaging AI技術を組み合わせ、IoT Platformを介して顧客価値を提供する三位一体の技術を、当社独自の画像IoTプラットフォーム「FORXAI(フォーサイ)」として強化してまいります。「FORXAI」を活用することで加速するパートナー連携戦略により、様々な業種業態の顧客の課題に対し、高度な画像AI技術で解決するサービスを素早く提供することが出来るようになり、既に多くのパートナー様との協業検討も進んでいます。センサーデバイスの強化としては、センシング領域を可視光領域から波長領域を拡大することにより、事業領域を拡大していきます。インダストリー領域においては、物体表面だけでなく、内部構造、成分まで検査可能となり、当社のコア技術である材料解析技術を活用することで、顧客の開発工程までアプローチしていきます。イメージング AIの強化としては、写真フィルムやカメラといった祖業をルーツとした画像、すなわちイメージングにこだわったAIに特化しており、中でも人行動、検査、先端医療の重点3領域のイメージングAIでは世界トップクラスにこだわり研究開発を続けていきます。検査におけるAIでは、クルマのボディや精密部品の欠陥検出、欠陥分類、画像連結などの研究を続けています。これまでの物体表面だけでなく、今後、内部構造、成分までAI認識・分析ができるよう技術レベルを高め、インダストリー事業の拡大に貢献していこうと考えています。人行動におけるAI技術開発では、ディープラーニングを活用した人検知・姿勢推定・行動認識などのアルゴリズム開発を進めており、介護現場では入居者様の行動を認識する「HitomeQ(ヒトメク)ケアサポート」を展開しております。また昨今、老朽化した化学プラントの漏れた可燃性ガスが原因で起きる火災事故の増加に対し、赤外線カメラとイメージング AIにより、化学プラントのガス漏洩位置、漏洩量を可視化することでガス漏洩による火災事故を未然に防ぐサービスの展開を開始いたしました。「技術人財のトランスフォーメーション」としては、コロナ影響によるオフィスのプリントボリューム減少を鑑み、現在複合機開発に携わっている開発人財を成長事業強化のためにシフトしていきます。AI/IoT技術力の強化については、前中期経営計画「SHINKA 2019」において500人に達した画像IoT人財を、2023年度末には事業拡大に必要となる1,000人を目指して増強していきます。AIやデータサイエンスの高度技術者に加えて、高度な画像IoT技術を活用したソリューションサービスの提供で力を発揮する、ソリューションアーキテクト/ディベロッパーの増強にも注力していきます。 これらの研究開発により創出される技術(発明、アイデア、ノウハウ等)については、特許権の取得に加え、著作権法・不正競争防止法等の各種法制度や契約を利用することにより、知的財産として適切な保護・活用を行い、当社グループの競争優位性の維持、成長のドライバーとしております。例えば、上述の「IQ-501」は、熟練作業者でも時間のかかっていた濃度、色調補正、表裏印字の位置などの機器の調整を効率化、省人・省力化することにより、品質の確保や作業時間の短縮を実現しています。これらの「IQ-501」が提供する付加価値を実現するための当社独自技術については、集中的に特許出願を行い、質・量ともに圧倒的な知財資産を形成しており、同製品の競争優位性を知的財産面から強力にサポートしています。 「リアルタイムな自動品質最適化装置」に関する2021年3月時点の日本特許(公開+特許)のスコアマップ(注)株式会社パテント・リザルトの特許分析ツール「Biz Cruncher]を用いて当社にて作成いたしました。円の大きさが各社の特許件数を、横軸が最も評価の高い特許の評価値を、縦軸が特許群全体の評価値を示しております。 また、中期経営戦略「DX2022」を支える新たな知財戦略として、当社画像IoT技術による新たな競争優位領域への知財リソースの集中、契約戦略の深化とオープン&クローズ戦略を推進し、DXによる高付加価値サービス(DX as a Service)や顧客・パートナーとの協業の拡大を知的財産面から支援します。持続可能な社会の実現をめざして、省エネルギー、リサイクル可能な環境配慮型製品の開発、使用済み製品の廃材を高機能材料として再活用する技術、バイオマス由来材料を活用する技術の研究開発を進めています。複合機の本体や消耗品(トナーなど)に使う石油由来材料を再生材料へ転換し、プラスチック由来CO2排出量の削減を進めていきます。バイオマス由来材料や廃材を複合機などの高機能材料として活用するためには、一般的に石油からのバージン材に比べて性能が低下するとともに製品品質が安定しにくいという課題があります。当社グループが長年使ってきたコア技術の1つである材料技術、成形加工技術を発展させ、材料開発、材料選択、加工技術の組み合わせにより、新しい樹脂開発を進めます。複合機への展開だけでなく、様々な企業と本技術を共有し実用化することで、連携の輪をグローバルに広げ、環境価値の効果を飛躍的に大きくしていきます。 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は650億円となりました。そのうち、デジタルワークプレイス事業及びプロフェッショナルプリント事業に係る研究開発費が333億円、ヘルスケア事業に係る研究開発費が84億円、インダストリー事業に係る研究開発費が136億円、その他事業及び基礎研究費用が95億円であります。各事業部門別の研究の目的及び研究成果は以下のとおりであります。なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記5 事業セグメント」に記載のとおりであります。 (1)デジタルワークプレイス事業デジタルワークプレイス事業においては、複合機、ITサービス・ソリューション、Workplace Hubを組み合わせ、各種ハードウェア、ソフトウェア、システムソリューションに至るまで幅広く研究開発を実施しております。当連結会計年度においては、オフィスユニットでは、A3/A4複合機のラインアップを刷新し「bizhub(ビズハブ) iシリーズ」の9機種拡充でフルラインアップを完成し発売いたしました。当製品では、強固なセキュリティー機能により、ウイルスやマルウェアを複合機で検知しオフィス内部の感染拡大を防ぐなど、オフィスのセキュリティー強化を支援します。さらに、リモートメンテナンスによる常時監視・保守や自動アップデートにより複合機が最適な状態に維持されるほか、災害時の早期復旧が可能になるなど、将来にわたって顧客の事業継続をサポートするサステナブルな高品質サービスを提供いたします。「bizhub iシリーズ」は、企業のDXを促進しオフィスのITサービスとのタッチポイントとなり、効率的なIT活用を支援しております。新型コロナウイルスの感染拡大防止対策でも、顧客の事業継続のための「テレワーク」の導入支援を行っており、例えば、複合機のあるオフィスに行かなくても、「bizhub iシリーズ」の受信FAXデータのメール転送機能を利用いただくことでテレワークや外出時でも滞りなく業務を行うことができます。また、働き方改革関連法を受けて顧客の抜本的な働き方改革が求められている中で、当社は、Intelligent Connected Workplace構想のもと、働き方改革の自社実践で得た知見とノウハウを集約した「いいじかん設計」支援サービスにより、企業のIT基盤構築、業務プロセスの改善による新しい働き方の実現に向けた「創造じかん」を生み出す支援を続けています。働き方改革実現のためには、企業のDXによるIT活用が不可欠ですが、特に中小企業ではITサポート専任者が不在な企業も多く、IT活用が進んでいるとは言えません。当社は、クラウドプラットフォーム「INFO-Palette Cloud(インフォパレット クラウド)」の複合機連携機能「bizhub essentials」や統合サービスプラットフォーム「Workplace Hub(ワークプレイスハブ)」と複合機の統合型サービスとの連携により、このような顧客の課題解決に取り組んでおります。 (2)プロフェッショナルプリント事業プロフェッショナルプリント事業においては、プロダクションプリント/産業印刷の生産性と印刷品質、自動化・省人化・スキルレスを訴求し各種印刷機やサービスソリューションに至るまで幅広く研究開発を実施し、顧客のDX支援によるプロセス改善・リモート化・分散印刷を実現してまいります。当連結会計年度においては、クラス最高レベルの140ppmの印刷速度で生産性を向上させたデジタル印刷システム「AccurioPress(アキュリオプレス)C14000/12000」」を欧米より順次発売を開始いたしました。ヘビープロダクションプリント領域では、従来機種の印字画質で出力速度を140ppmまで向上させ、好評をいただいている自動品質最適化・検品ユニット「IQ-501」を搭載可能とし、作業者のスキルレベルに依らない検品作業の負荷を低減したワークフローで、「AccurioPro(アキュリオプロ)シリーズ」のワークフローソフトウェアとともに、さらに高い生産性を提供いたします。産業印刷ユニットにおいては、プリントヘッドとインクジェット出力に最適なインク、さらにプリンターの三位一体の開発・展開を最大の特長として、拡大し続ける様々なアプリケーション(出力用途)への対応や、各市場からの高画質・高生産性ニーズに対応する研究開発を強化・推進しております。また、ラベル印刷では「AccurioLabel(アキュリオ ラベル)230」において使いやすさと導入コストで好評をいただき、更なる操作性とスキルレスを追求して参ります。さらに、デジタル箔押し機により、高い信頼性に加え、高い付加価値と生産性を実現するソリューションの提案を行っております。 (3)ヘルスケア事業ヘルスケア事業においては、デジタル診断にフォーカスし、データサイエンスの力をフル活用して「早期診断」と「個別化医療」を実現することで、患者様個々のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を追求するとともに医療費の削減に貢献するべく研究開発を推進しています。ヘルスケアユニットでは、高付加価値イメージングにより「見えないものをみえる化」し、ITプラットフォームにAI診断支援や患者ポータル等様々な高付加価値サービスを搭載・展開するための研究開発を推進しています。プレシジョンメディシンユニットでは、遺伝子、タンパク質、細胞、臓器に至る全身をデジタル化し、AIを駆使してバイオマーカーを抽出し適切な診断と創薬支援に貢献すること、プライマリケア・個別化医療の領域でデータ解析による疾病メカニズム解明のサービスビジネスを展開するための研究開発することを推進しています。当連結会計年度においては、X線動画解析ワークステーション「KINOSIS(キノシス)」では、胸部における血流や動き等の新たな解析方法を研究開発し搭載しました。これらの新機能は、診断精度の向上、簡便化、医療費削減に加え、新型コロナウイルスにおける重症化予防への貢献が期待されます。また、整形診断領域においても、その汎用性からアジア地域など新興国への展開も期待されています。X線画像診断ワークステーション「CS-7」では、整形領域で再撮影の要否判断を支援する機能を搭載し、医療安全と業務効率化に貢献してまいります。医療ITソリューションでは、医療機関のDXを支援するサービス「infomity(インフォミティ)」の新メニューとして、オンライン診療では国内トップランナーの一社である株式会社インテグリティ・ヘルスケアのオンライン診療システム「YaDoc Quick(ヤードッククイック)」を搭載しました。本サービスにより、高齢者などの感染時重症化リスクが高い患者も安心して受診できるオンライン診療の普及を支援します。バイタルセンシングでは、新型コロナウイルス感染症の軽症・中等症入院患者において、パルスオキシメーター、体温計、血圧計で測定されたスポットバイタル値やパルスオキシメーターの連続測定データを、ベッドサイドモニターに表示し、Sub-GHz(サブギガ)無線通信で隔離域外のナースステーションで一括管理できる「生体情報モニタリングシステム VS1」を開発、発売により更なる院内感染防止・医療安全に寄与します。プレシジョンメディシンユニットでは、米国Amazon Web Services, Inc.(以下 AWS)と連携して、個別化医療の事業会社であるKonica Minolta Precision Medicine, Inc.(以下 KMPM)のマルチオミックスプラットフォーム「LATTICE(ラティス)」構想をグローバル展開することになりました。「LATTICE」は、遺伝子、病理、医療画像のデータと他の重要な医療情報を組み合わせて、新たな臨床的に重要なバイオマーカーを発見し、次世代の診断検査を創出する画期的な統合診断データプラットフォームです。その解析能力を活かし、グローバルな臨床試験の支援や診断ツールの提供方法を開発してまいります。「LATTICE」は、KMPMの最先端科学とAWSのサービスを組み合わせることで、「Amazon HealthLake」などを活用し、医療提供の支援、創薬加速に貢献します。また、米国で実績を積んだAmbry社の遺伝子診断サービス「CARE Program」の日本版「CAREプログラム」を開発し日本初の未病プラットフォームとしてQOLの向上や医療費の低減に貢献してまいります。 (4)インダストリー事業インダストリー事業においては、センシング技術、材料コンポーネント技術、画像IoT技術を活かしたソリューションに至るまで幅広く研究開発を実施し、産業界のバリューチェーン変革推進で顧客と社会に貢献する為、産業のモノづくり最適化と安全・安心を提供してまいります。センシング分野における計測機器ユニットにおいては、強みである光・色・外観の計測技術を基盤として、ICT領域や自動車領域に向け、高品質な製品・ソリューションを提供しております。当連結会計年度にはハイパースペクトルイメージング技術の有力企業、フィンランドのSpecim社を買収、リサイクル・食品分別など、「安全・安心・衛生」領域にも進出しております。また、物体色測定用に色と光沢を同時に測定し 高精度な色管理を実現するベンチトップ分光測色計「CM-36dG」を発売、Radiant社からはICTデバイスなどの外観計測向けに同社の高精度カメラとともに使用される「Inspect R1(インスペクト・アールワン)ソフトウェアツールキット」を発売、製品ラインの拡充を図りました。材料・コンポーネント分野における機能材料ユニットにおいては、液晶画面の基幹部材となる偏光板用保護フィルム向けに、従来のTAC製品に加え、新樹脂フィルム「SANUQI」(COP系)、「SAZMA」(アクリル系)等を新プラットフォームとする2.5mの超広幅品等の高付加価値商品の販売及び開発を行っており、10μ以下の超薄膜品生産への対応も進めております。これら新樹脂を用いて偏光板保護フィルム以外の市場へも展開できる商品の準備も進めております。光学コンポーネントにおいては、成長が期待される移動体センシング用レンズや監視観察用レンズ等の小型レンズ開発・製品化に取り組んでおります。今後は光学技術・コンポーネント技術に加え材料開発との連携強化で小型レンズの開発に注力し事業化推進を図ってまいります。IJコンポーネントユニットにおいては、産業用インクジェットヘッド技術の開発、製品化に注力し、パナソニックインクジェットヘッド事業買収での技術の獲得により、さらなる製品ラインナップの拡充に取り組んでおります。画像IoTソリューションユニットにおいては、深刻化する新型コロナウイルス感染拡大防止のため、当社グループであるドイツMOBOTIX社製のネットワークサーマルカメラを用いた非接触・顔部分のリアルタイム検知により体表温度の測定可能なアプリケーションを開発し、2020年5月より提供いたしました。リリース後もグローバルでの顧客の声を取り入れ、温度測定精度の改善やマスク検知AI技術の搭載など更に継続的な価値の向上を進めております。また、当社独自の画像IoTプラットフォーム「FORXAI」を活用し、モニタリング、検査領域における顧客の課題をパートナー連携で効率的に解決するソリューションの拡充を図ってまいります。
FY2020|5,005 文字
5【研究開発活動】当社グループは、経営理念である「新しい価値の創造」及び「Giving Shape to Ideas」というお客様への約束を掲げ、材料・光学・微細加工・画像の4分野のコア技術に関わる研究開発はもとより、コア技術を高度化・融合化するとともにICT、AI技術と組み合わせることで見えないものを見える化する技術をさらに発展させ、各事業セグメントにおいてお客様本位の新製品・サービスの開発を進めております。当連結会計年度においては、中期経営計画「SHINKA 2019」に基づいた中期経営戦略基本方針に対応して、「技術競争力の実践的強化」、「継続的なイノベーション創出」を技術戦略の基本方針と定め推進してまいりました。「技術競争力の実践的強化」の1つとして、AIを活用したIoT技術強化による、社内外のデジタルトランスフォーメーションを推進してまいりました。これを推進する担い手である専門技術人財を補強し、2017年3月比で、国内外で2倍となる500人体制にいたしました。注力分野として、データ分析から課題解決策を導く「データサイエンティスト」、短期間での開発、検証を繰り返すスピードを重視した「アジャイル開発リーダー」、ITサービス全体を設計できる「アーキテクト人財」を補強してまいりました。さらに、これらの人財を活用しお客様のデジタルトランスフォーメーションを支援するとともに、データを活用したマテリアルズインフォマティクス、プロセスインフォマティクスを研究開発、生産技術開発に適用し、社内のデジタルトランスフォーメーションも推進してまいりました。「継続的なイノベーション創出」としては、コア技術とICT、AI技術を融合した新規ビジネスを展開してまいりました。オフィス領域では、中小企業のデジタルトランスフォーメーションを支援する複合機と高性能サーバーとITサービスを一体化した新サービス「Workplace Hub(ワークプレイス ハブ)」を日米欧にて展開し、業種別ソリューションなどでの拡大を推進しております。バイオヘルスケア領域では、コニカミノルタ、米国のAmbry社、Invicro社というグループ3社が保有するタンパク質精密定量化技術や遺伝子診断技術、画像解析技術を駆使し、人体の分子レベルでの診断や疾病・薬効の解析を可能にすることで患者様への適切な投薬・治療を支援するとともに、製薬会社にはバイオマーカーの特定や治験の効率化による創薬成功率向上を支援するサービスを提供いたします。当連結会計年度にはAmbry社でDNA検査に加えて生殖細胞系列遺伝子変異を評価するRNA検査を世界で初めて商用化し、遺伝子診断精度の向上に貢献してまいりました。また、乳がんなどの定期健診の受診者向け遺伝子診断サービス「CAREプログラム」を本格展開するための準備を進めました。乳がんは遺伝学的リスクが高いため、定期健診時に遺伝子診断を行うことで、早期発見や予防に大きく貢献できます。また、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、当社グループの保有技術や製品の活用による迅速な社会貢献を検討してまいります。ウイルス感染の初動対策として、ドイツのMOBOTIX社のネットワークサーマルカメラを用いた非接触・顔部分のリアルタイム検知により体表温度の測定が可能なアプリケーションを開発し、2020年5月より提供を開始いたします。また、Ambry社では社会が求める喫緊の要請に応じ、CAREプログラムを通じたPCR検査を含む新型コロナウイルス検査サービスを米国で提供すべく準備を進めております。Invicro社ではグローバルな研究コミュニティをサポートするために、X線とCTイメージングに焦点を当てたCOVID-19関連の安全なデータレポジトリである「COVID-19iPACSプラットフォーム」を開発し、2020年5月から無料で公開いたします。 また、持続可能な地球・社会の実現をめざし、「環境」をメインテーマとして、省エネルギー、リサイクル可能な環境配慮型製品の開発、使用済み製品の廃材を高機能材料として再活用する技術、バイオマス由来材料を活用する技術の構築と社会実装を進めております。具体的には、複合機の本体や消耗品(トナーなど)に使う石油由来材料を再生材料へ転換し、プラスチック由来CO2排出量の削減を進めます。バイオマス由来材料や廃材を複合機などの高機能材料として活用するためには、一般的に石油からのバージン材に比べて性能が低下するとともに製品品質が安定しにくいという課題があります。当社グループが長年使ってきたコア技術の1つである材料技術、成形加工技術を発展させ、材料開発、材料選択、加工技術の組み合わせにより、新しい樹脂開発を進めます。複合機への展開だけでなく、様々な企業と本技術を共有し実用化することで、連携の輪をグローバルに広げ、環境価値の効果を飛躍的に大きくしていきます。 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は740億円となりました。そのうち、オフィス事業及びプロフェッショナルプリント事業に係る研究開発費が369億円、ヘルスケア事業に係る研究開発費が45億円、産業用材料・機器事業に係る研究開発費が121億円、バイオヘルスケア分野を含むその他事業及び基礎研究費用が204億円であります。各事業部門別の研究の目的及び研究成果は以下のとおりであります。 (1)オフィス事業及びプロフェッショナルプリント事業オフィス事業及びプロフェッショナルプリント事業においては、主に複合機やデジタル印刷システムの情報機器から資材、各種ソフトウェア、システムソリューションに至るまで幅広く研究開発を実施し、個々のお客様の働き方に合わせたクラウド利用サービス、ワークフローソリューションのご提案を合わせて行っております。 当連結会計年度においては、オフィスユニットでは、A3/A4複合機のラインアップを刷新し「bizhub(ビズハブ) iシリーズ」を発売いたしました。当製品では、強固なセキュリティー機能により、ウイルスやマルウェアを複合機で検知しオフィス内部の感染拡大を防ぐなど、オフィスのセキュリティー強化を支援します。さらに、リモートメンテナンスによる常時監視・保守や自動アップデートにより複合機が最適な状態に維持されるほか、災害時の早期復旧が可能になるなど、将来にわたって顧客の事業継続をサポートするサステナブルな高品質サービスを提供いたします。プロダクションプリントユニットでは、クラス最高レベルの140ppmの印刷速度で生産性を向上させたデジタル印刷システム「AccurioPress(アキュリオプレス)C14000/12000」」を欧米より順次発売を開始いたしました。新たにヘビープロダクションプリント領域でのお客様に向けて、従来機種の印字画質で出力速度を140ppmまで向上させ、好評をいただいている自動品質最適化・検品ユニット「IQ-501」を搭載可能として、オペレーターのスキルレベルに依らず検品作業の負荷を低減したワークフローで、AccurioPro(アキュリオプロ)シリーズのワークフローソフトウェアなどとともに、さらに高い生産性を提供いたします。産業印刷ユニットにおいては、プリントヘッドとインクジェット出力に最適なインク、さらにプリンターの“三位一体”の開発・展開を最大の特長として、拡大し続ける様々なアプリケーション(出力用途)への対応や、各市場からの高画質・高生産性ニーズに対応する研究開発を強化・推進しております。さらに、デジタル箔押し機により、高い信頼性に加え、高い付加価値と生産性を実現するソリューションの提案を行っております。 (2)ヘルスケア事業ヘルスケア事業においては、デジタルX線撮影装置を基盤とした付加価値サービス拡充や電子カルテ・情報システムと連携した医療機関のIT化を図るシステムソリューションビジネスの強化に加え、超音波診断装置のシリーズ拡充等により、大規模病院と地域の診療所等との医療連携の実現やヘルスケア事業の中長期的拡大を図る研究開発を実施しております。当連結会計年度においては、一般X線撮影装置を用いて“動画撮影”という新たな診断方法を実現したX線動画撮影システム(構成:X線動画解析ワークステーション「KINOSIS(キノシス)」と可搬型デジタルX線撮影装置「AeroDR fine(エアロディーアール ファイン)」)を多くの実臨床の現場に導入頂き、胸部における換気や血流などの新たな解析方法の開発や整形診断領域への拡張を進めています。本システムはその汎用性からアジア地域など新興国への展開も期待されています。付加価値アプリケーションとしては、病気のおそれがある部分を検出する診断支援AIの開発を進めており、医療機器としての申請とあわせて海外での事業の可能性も探究してまいります。超音波診断装置では、高精細画像と直感的な操作性で国内整形外科市場において高シェアを獲得している「SONIMAGE(ソニマージュ) HS1」「SNiBLE(スナイブル)」の後継機種として、画質・ユーザビリティを向上させた「SONIMAGE HS2」と「SNiBLE2」を2020年2月に発売いたしました。高パフォーマンスCPUの採用などにより操作レスポンスを大幅に改善するとともに、血流計測を簡便に行える「Vascular NAVI機能」を搭載し、ベッドサイドで検査や処置を行うPoint of Care領域に新たな価値を提供いたします。医療ITソリューションでは、医療被ばくの線量管理システム「FINO.XManage(フィノエクスマネージ)」に、新たな機能として、一般撮影の多様なデータを可視化・分析できるマネジメント機能「RADInsight」を搭載し、再撮影の管理や撮影技術の教育支援ツールを備えました。ヘルスケア事業は、課題提起型デジタルカンパニーを目指し、ヘルスケア分野の「診断価値向上」・「早期診断」の実現により人々のQOL向上と医療費削減の両立に貢献するべく研究開発を強化・推進してまいります。 (3)産業用材料・機器事業材料・コンポーネント分野における機能材料ユニットにおいては、液晶画面の基幹部材となる偏光板用保護フィルム向けに、従来のTAC製品に加え、新樹脂「SANUQI」(COP系)、「SAZMA」(アクリル系)等を新プラットフォームとする高付加価値商品の開発展開を開始し、さらに2.5mの広幅生産への対応も進めております。SANUQIに関しては既に販売を開始しており、これら新樹脂を用いて偏光板保護フィルム以外の市場へも展開できる商品の準備も進めております。光学コンポーネントにおいては、成長が期待されるドローン用レンズや内視鏡用レンズ等の小型レンズ開発・試作に取り組むとともに、新規開発のイベント用プロジェクタレンズユニットの販売を開始いたしました。今後は光学技術・コンポーネント技術に加え材料開発との連携強化で小型レンズユニットの開発に注力し事業化推進を図ってまいります。 IJコンポーネントユニットにおいては、産業用インクジェットヘッド技術の開発、製品化に注力し、パナソニックインクジェットヘッド事業買収での技術の獲得により、さらなる製品ラインナップの拡充に取り組んでおります。産業用光学システム分野における計測機器ユニットにおいては、トップメーカーとしてディスプレイ・光源色測定及び自動車メーカーなど幅広いアプリケーションで使用される物体色測定の分野で高品質な製品を提供しております。当連結会計年度においては、成長戦略の一環として、自動車生産工程の品質検査ソリューションを提供するスペインのEines Systems社を買収し、外観計測事業の立ち上げを加速しております。また、物体色測定用に色と光沢を同時測定し生産性向上に貢献する新世代の分光測色計「CM-26dG」を、ディスプレイやLED生産ライン向けにドイツのInstrument Systems社から高速分光測定器「CAS 125」を発売し、製品ラインの拡充を図りました。
FY2019|6,704 文字
5【研究開発活動】当社グループは、経営理念である「新しい価値の創造」及び「Giving Shape to Ideas」というお客様への約束を掲げ、材料・光学・微細加工・画像の4分野のコア技術に関わる研究開発はもとより、コア技術を高度化し更に複合化・融合化するとともにICT技術と組み合わせることにより、お客様本位の新製品・新技術の開発を進めております。当連結会計年度においては、中期経営計画「SHINKA 2019」に基づいた中期経営戦略基本方針に対応して、「継続的なイノベーション創出」、「技術競争力の実践的強化」の技術戦略の基本方針を定め推進してまいりました。IoTビジネス領域では、中小企業の働き方改革を支援する、複合機に高性能サーバーとITサービスを一体化した新サービス「Workplace Hub(ワークプレイス ハブ)」の開発をパートナー企業と実施し、欧州を皮切りにグローバルで順次発売を開始しました。2019年度には日本での販売を予定しております。商業・産業印刷分野では、発売以来高い評価を獲得している自動品質最適化ユニット「IQ-501」に加わる新機能として、業界初の自動リカバリー印刷機能を備えた「自動検品システム」を上市いたしました。これは、当社の欠陥検出技術により、インラインで不適合品を自動検出し排出するだけでなく、不適合品の自動リカバリー印刷まで簡単に実行でき、オペレーターのスキルレベルに依らず検品作業の負荷を低減し、ワークフローを改善いたします。バイオヘルスケア分野では、米国の遺伝子診断技術をもつAmbry社、創薬支援事業を展開するInvicro社の技術と、当社の保有するタンパク質高感度定量検出技術(HSTT)を融合し、がんやアルツハイマーといった疾患に対する個別化医療を国内において本格的に推進するため、新会社「コニカミノルタプレシジョンメディシンジャパン株式会社」を設立いたしました。今後、製薬企業、学術研究機関、医療機関に向けて、日本で本格的なサービスの提供を始めます。また、持続可能な地球・社会の実現をめざし、「環境」をメインテーマとして、省エネルギー、リサイクル可能な環境配慮型製品の開発も進めております。長年培った多様な環境技術やノウハウを取引先や顧客に提供し、協働で社会全体のCO2排出量削減に努めるとともに、売上拡大やコストダウンといった事業貢献と両立する施策を、ワールドワイドで着実に推進しております。その結果、2050年に製品ライフサイクルにおけるCO2排出量を2005年度比で80%削減するという長期環境ビジョン「エコビジョン2050」に対して、2018年度実績は約104万トンで49.6%削減まで到達しております。また、人為的なCO2排出の主要因となる化石燃料に依存しない再生可能エネルギー社会へいち早く適合し事業運営することが、持続的に成長できる企業の必須要件であるとの考えから、再生可能エネルギー100%での事業運営を目指す国際リーダーシップイニシアチブ「RE100」に加盟いたしました。2050年までに自社の事業活動で使用する電力の調達を100%再生可能エネルギーにする目標を設定しております。 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は783億円となりました。そのうち、オフィス事業及びプロフェッショナルプリント事業に係る研究開発費が409億円、ヘルスケア事業に係る研究開発費が46億円、産業用材料・機器事業に係る研究開発費が125億円、バイオヘルスケア分野を含むその他事業及び基礎研究費用が203億円であります。各事業部門別の研究の目的、主要課題及び研究成果は以下のとおりであります。 (1)オフィス事業及びプロフェッショナルプリント事業オフィス事業及びプロフェッショナルプリント事業においては、主に複合機やデジタル印刷システムの情報機器から資材、各種ソフトウェア、システムソリューションに至るまで幅広く研究開発を実施し、個々のお客様の働き方に合わせたクラウド利用サービス、ワークフローソリューションのご提案を合わせて行っております。当連結会計年度においては、オフィスユニットでは、限られたスペースにも設置可能なA4機の新ラインナップとして、A4モノクロ複合機「bizhub(ビズハブ)4052/3622/3602P」を発売しました。モバイルプリント・クラウドに対応し、より簡単にモバイル端末との連携が可能となりました。また、当社の出力環境最適化サービス(OPS:Optimized Print Services)をご利用いただくことにより、お客様の設置スペースやレイアウトを考慮した上で、A3サイズ対応の複合機bizhubシリーズと組み合わせた最適配置と印刷環境を提供し、これからの新しい働き方に貢献いたします。プロダクションプリントユニットでは、クラス最高レベルの厚紙対応や長尺印刷などの新機能により用途を拡大し、生産性を向上させたデジタル印刷システム「AccurioPress(アキュリオプレス)6136/6136P/6120」を開発・商品化いたしました。従来のライトプロダクションプリント領域でのユーザーに加えて、生産性と用紙対応力を強化して使用用途を広げ、より多様な印刷を志向するユーザーへの展開拡大を推進しております。さらに、デジタル箔押し機やAccurioPro(アキュリオプロ)シリーズのワークフローソフトウェアなどとともに、高い信頼性に加え、高い付加価値と生産性を実現するソリューションの提案を行っております。産業印刷ユニットにおいては、プリントヘッドとインクジェット出力に最適なインク、さらにプリンターの“三位一体”の開発・展開を最大の特長として、拡大し続ける様々なアプリケーション(出力用途)への対応や、各市場からの高画質・高生産性ニーズに対応する研究開発を強化・推進しております。 環境性能面では、「エコビジョン2050」達成に向けて、製品開発活動において省エネ技術、軽量化技術、石油由来資源削減技術、高耐久化技術等を開発しております。その取り組みにより、A3カラー複合機では、再生プラスチックの採用拡大や業界トップクラスのスリープ待機電力0.5Wを実現しTEC値(注)を従来機から大幅に削減しました。2018年7月上市のA4モノクロ複合機「bizhub 4052/3622/3602P」では、省電力性能を強化し、国際エナジースタープログラムVer.2.0のTEC値基準を大幅にクリアしたうえ、「bizhub 4052/3622」では従来機よりもさらに約22-26%の電力削減を実現しました。その結果、CO2排出量の大幅な削減等、環境負荷低減に成功し、お客様のTCO(トータル・コスト・オブ・オーナーシップ)削減にも効果的な製品開発を推進しております。デザイン面では、フラッグシップモデルであるA3カラー複合機「bizhub C759」を筆頭に「bizhub」シリーズ全体の統一デザインコンセプトである「INFO-Palette(インフォ パレット)」を共通に展開し、シリーズ全体での高い操作性を継承しております。新たに商品化したA4モノクロ機「bizhub 4052/3622/3602P」もbizhubシリーズとして一貫した外観デザインを継承しております。特に「bizhub 4052」では7インチ操作パネルを搭載し、オフィス内でA3機種と混在した利用環境においてもさらなる利便性と効率化の向上を可能にしております。ユニバーサルデザインの観点においても、モバイル端末による複合機の遠隔操作や操作パネルのカラーユニバーサルデザインなどのソフト面と、給紙カセットの上下アクセス可能などのハード面の取り組みを従来から継続し、オフィスで働く様々なユーザーに配慮しております。また、モバイル端末から複合機にデータを入出力するアプリケーション「KONICA MINOLTA Mobile Print」はモバイルアプリケーションに求められる軽快で明快なUI(ユーザーインターフェース)を提供し、クラウドと連携したプリント、データスキャン操作を実現しております。プロダクションプリンターのフラッグシップマシンである「AccurioPress C6136/6136P/6120」においては、シリーズ統一デザインコンセプトである「Grid & Solid(グリッドアンドソリッド)」を共通に展開し、商業・産業印刷機シリーズ全体での高いブランド性を継承しております。高品位で力強く、安心して使える製品をデザインすることに加え、商業・産業印刷領域でブランドを強固にし、よりマシンの顧客満足度を高めるよう努めております。いずれの製品も、高い操作性や合理的で無駄のない外観形状が高く評価されております。アプリケーション面においても、UIを共通展開し、操作性の共通化を図っております。クラウド色管理システム「AccurioPro Cloud Eye」でのインターフェース上の印刷機色再現状態確認を、より簡便でより明確に、「AccurioPro Conductor」では、複数の印刷機を一元管理し、各オペレーションを自動化することで、作業効率の向上、分散印刷処理を可能とし、生産性、印刷稼働率の向上を図っております。(注)TEC値とは「Typical Electricity Consumption」の略で、財団法人省エネルギーセンターの「国際エネルギースタープログラム」に適合するための基準となる値です。 (2)ヘルスケア事業ヘルスケア事業においては、デジタルX線撮影装置を基盤とした付加価値サービス拡充や電子カルテ、情報システムと連携した医療機関のIT化を図るシステムソリューションビジネスの強化に加え、超音波診断装置のシリーズ拡充等により、大規模病院と地域の診療所等との医療連携、地域連携の実現やヘルスケア事業の中長期的拡大を図る研究開発を実施しております。当連結会計年度においては、ヘルスケアユニットでは、一般X線撮影装置を用いて動画の撮影を可能とするデジタルX線動画撮影システムを開発いたしました。本システムはX線動画解析ワークステーション「KINOSIS(キノシス)」と可搬型デジタルX線撮影装置「AeroDR fine(エアロディーアール ファイン)」により構成されます。CT(コンピューター断層撮影)やMRI(核磁気共鳴画像装置)が仰向けに寝た状態で撮影を行うのに対して、本システムは体を起こした立位で撮影できるので、日常生活に近い状態を観察することが可能です。さらに、さまざまな画像処理を用いて“動き”の定量化を行い、診断価値の向上に貢献いたします。従来の静止画においては、デジタルX線画像を個別最適化し、画像処理エンジン「REALISM(リアリズム)」の効果(強いノイズ抑制・高鮮鋭化・立体感の付与)を最大化する「REALISM tune」を開発し上市を行いました。従来は、医師が個別にコントラストを調整する必要がありましたが、本技術は被写体ごとにダイナミックレンジ圧縮強度を自動で調整、最適化し、撮影部位の違いや被写体厚の影響を吸収するため、医師の撮影後の調整作業負担を軽減します。付加価値アプリケーションとしては、単純X線画像から病気のおそれがある部分を検出するAI(人工知能)の開発にも着手いたしました。日本人の体に合わせた診断支援プログラムを開発し、医療機器としての申請とあわせて新興国での事業可能性も探ってまいります。超音波診断装置では、ポータブルエコー装置である「SONIMAGE(ソニマージュ) MX1」「SNiBLE(スナイブル) yb」のベッドサイドで検査や処置を行うPoint of Care領域への本格展開を開始し、小型化・高度化・安全性・使いやすさを実現したデザインが評価され、2018年度グッドデザイン賞を受賞いたしました。シーメンスヘルスケア株式会社から譲受した国内経腟超音波事業では、産科婦人科領域における多くのお客様からご支持いただいておりました「SONOVISTA(ソノビスタ) FX premium edition」の後継機となる「SONOVISTA GX30」を開発し、2019年4月より発売を開始いたします。本製品は、省スペース設計でありながら高度な画像性能を実現しており、胎児検査、不妊検査の利用にとどまらず、経腹用プローブ、乳腺用プローブにも対応しているため、全妊娠期間を通じた胎児検査や乳がん検査など幅広い検査に利用できます。医療ITユニットでは、事業統合を行ったパナソニック メディカルソリューションズ株式会社の各種システムソリューション機器とこれまで培ってきた当社製品との統合を行い、ブランドを一新、「FINO.VITA(フィノヴィータ:ラテン語で上質な人生の意味)」として新たな分野にも挑戦しております。2019年4月のITEM(国際医用画像総合展)では、新ビューア「FINO.view」及び2020年4月から義務化される線量管理の効率化、医療安全に貢献する新製品、線量管理システム「FINO.XManage(フィノエクスマネージ)」を展示、販売を開始いたします。本システムは単なる被ばく線量管理にとどまらず、画像とX線照射情報を紐づけて管理・分析し、見える化することを目指しました。撮影装置ごとの検査時間や撮影室ごとの稼働率の見える化も可能なため、装置・検査技師の最適な配置計画をサポートする等、放射線業務の総合的マネージメントを支援いたします。また、クリニックソリューションとしてご好評をいただいている「Uniteaα(ユニティアアルファ)」については、オリンパス株式会社製内視鏡との親和性を高めるとともに、リモート保守・経営支援サービスを提供する「infomity(インフォミティ)」利用によりBone Suppression(胸部骨減弱)処理、Time Subtraction(胸部経時差分)処理が活用でき、見落とし防止や遠隔読影支援サービスも利用可能となり、とくに判断が困難な症例では「Uniteaα」が主軸となって豊富なアプリケーションとサービスにより診断支援に貢献いたします。ヘルスケア事業は、課題提起型デジタルカンパニーを目指し、ヘルスケア分野の「診断価値向上」、「早期診断」の実現により、人々のQOL向上と医療費削減の両立に貢献してまいります。 (3)産業用材料・機器事業材料・コンポーネント分野における機能材料ユニットにおいては、液晶画面の基幹部材となる偏光板用保護フィルム向けに、従来のTAC製品に加え、新樹脂「SANUQI」(COP系)、「SAZMA」(アクリル系)等を新プラットフォームとする高付加価値商品の開発展開を開始し、2.5mの広幅生産への対応も進めております。更に、これら新樹脂を用い、偏光板保護フィルム以外の市場へも展開できる商品の準備を進めております。光学コンポーネントユニットにおいては、新たに車載用レンズユニットやドローン用レンズユニットを開発し、販売開始しました。今後は光学技術・コンポーネント技術に加え材料開発との連携強化で新規事業の事業化推進を図ってまいります。IJコンポーネントユニットにおいては、産業用インクジェットヘッド技術の開発、製品化に注力し、パナソニックインクジェットヘッド事業買収での技術の獲得により、さらなる製品ラインナップの拡充に取り組んでおります。産業用光学システム分野における計測機器ユニットにおいては、トップメーカーとしてディスプレイ・光源色測定及び自動車メーカーなど幅広いアプリケーションで使用される物体色測定の分野で高品質な製品を提供しております。当連結会計年度においては、物体色測定用に従来機より測定性能を向上させた新世代の分光測色計「CM-26d/CM-25d」を発売いたしました。また、ドイツのInstrument Systems社からは画素数を倍増させたイメージング色彩輝度計「LumiTop4000」を発売、米国のRadiant社からはイメージング色彩輝度計用にディスプレイの明るさ、色の視野角特性の評価用新レンズを発売し、主たる測定分野において、さらなる製品拡充を図りました。
FY2018|7,751 文字
5【研究開発活動】当社グループは、経営理念である「新しい価値の創造」及び「Giving Shape to Ideas」というお客様への約束を掲げ、材料・光学・微細加工・画像の4分野のコア技術に関わる研究開発はもとより、コア技術を高度化し更に複合化・融合化することによるお客様本位の新製品・新技術の開発を進めております。当連結会計年度においては、中期経営計画「SHINKA2019」に基づいた中期経営戦略基本方針に対応して、「継続的なイノベーション創出」、「技術競争力の実践的強化」の技術戦略の基本方針を定め推進してまいりました。IoTビジネス領域では、オフィスのITインフラを1つに統合する画期的な企業向けITプラットフォームである「Workplace Hub(ワークプレイス ハブ)」の開発をパートナー企業と実施しております。顧客価値検証を進め、着実に製品化に向けて進捗しております。商業・産業印刷分野では、出力枚数が多く、特に多彩な用紙への対応力と高い生産性が求められるヘビープロダクションプリント領域へ、コニカミノルタ独自のサービス展開と合わせて業容を広げております。さらに、デジタル加飾印刷機メーカーでは業界トップのフランスのMGI社との連携強化により、ラベル・パッケージ業界のデジタル化を加速させる製品ラインアップの拡充を図り、産業印刷分野の強化を推進しております。バイオヘルスケア分野では、米国の遺伝子診断技術をもつAmbry社、創薬支援事業を展開するInvicro社を買収し、当社の保有するタンパク質高感度定量検出技術(HSTT)、Ambry社のグローバルトップレベルの遺伝子診断技術、Invicro社が持つ数値解析技術、バイオマーカー探索技術、画像処理技術、製薬企業への提案力を統合し、新薬開発の飛躍的な生産性向上、そして患者のQOL(Quality of Life)向上、国民が負担する医療費高騰の抑制に貢献してまいります。また、持続可能な地球・社会の実現をめざし、「環境」をメインテーマとして、省エネルギー、リサイクル可能な環境配慮型製品の開発も進めております。その結果、持続可能な経済を実現させる活動を行う国際NGOのCDP(注1)により最高評価の「気候変動Aリスト」企業として2年連続で認定されました。2050年を見据えた長期環境ビジョン「エコビジョン2050」のもと、新たに「カーボンマイナス」という概念を追加し、より意欲的な目標としました。また、「エコビジョン2050」からのバックキャスティング(注2)により、自社製品のライフサイクル全体におけるCO2排出量について2030年までに2005年度比で60%削減という中間目標を設定し、この目標が、国際的なイニシアチブである「Science Based Targets(SBT)イニシアチブ(注3)」より、科学的根拠に基づいた目標として承認されました。長年培った多様な環境技術やノウハウを取引先や顧客に提供し、協働で社会全体のCO2排出量削減に努めるとともに、コストダウンや売上貢献といった事業貢献と両立した施策を、ワールドワイドで着実に推進しています。なお、製品ライフサイクルにおけるCO2排出量の2017年度実績は約104万トンで、2050年に2005年度比で80%削減するという長期環境ビジョン「エコビジョン2050」に対して、49.8%削減まで到達しています。(注1)CDPは、企業や都市の重要な環境情報を測定、開示、管理し、共有するためのグローバルシステムを提供するイギリスの国際的な非営利団体です。(注2)バックキャスティングは、未来のある時点に目標を設定し、そこから逆算して現在すべきことを考える手法です。(注3)SBTイニシアチブは、産業革命前からの気温上昇を2℃未満に抑えるための科学的根拠に基づいた温室効果ガスの排出削減目標の達成を推進するために、CDP、国連グローバル・コンパクト、WRI(世界資源研究所)、WWF(世界自然保護基金)の4団体が2015年に共同で設立したものです。 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は770億円となりました。そのうち、オフィス事業及びプロフェッショナルプリント事業に係る研究開発費が418億円、ヘルスケア事業に係る研究開発費が50億円、産業用材料・機器事業に係る研究開発費が125億円、バイオヘルスケア分野を含むその他事業及び基礎研究費用が175億円であります。各事業部門別の研究の目的、主要課題及び研究成果は以下のとおりであります。 (1)オフィス事業及びプロフェッショナルプリント事業オフィス事業及びプロフェッショナルプリント事業においては、主に複合機やデジタル印刷システムの情報機器から資材、各種ソフトウェア、システムソリューションに至るまで幅広く研究開発を実施し、個々のお客様の働き方に合わせたクラウド利用サービス、ワークフローソリューションのご提案を合わせて行っております。当連結会計年度においては、オフィスユニットでは、モバイル連携を強化し、顧客のワークフロー改善に貢献するA4カラー複合機「bizhub(ビズハブ)C3851」を発売。現行のA3カラー複合機と共通のソリューションプラットフォームを採用することで、印刷管理や認証、メンテナンスや操作性の統一化が可能となり、お客様の業務の利便性と効率化に貢献するとともに、お客様毎に異なる業務の課題に対して幅広く柔軟なソリューションを提供することが可能となりました。A3複合機としては、ハイボリュームオフィスで高いパフォーマンスを発揮するA3モノクロ複合機658eシリーズ5機種と、オフィスの高度な印刷業務を効率化するフラッグシップA3カラー複合機C759シリーズ3機種を発売し、従来機から培ってきた操作性やソリューション連携能力、大量印刷と連続給紙に耐える堅牢性を備え、オフィスの高度な印刷業務の効率化と生産性向上に貢献しております。プロダクションプリントユニットでは、クラス最高レベルの厚紙対応や長尺印刷などの新機能により用途を拡大し、生産性を向上させたデジタル印刷システム「AccurioPress(アキュリオプレス)C6100」シリーズを開発・商品化いたしました。従来のライトプロダクションプリント(LPP)領域でのユーザーに加えて、生産性と用紙対応力を強化して使用用途を広げ、より多様な印刷を志向するユーザーへの展開拡大を推進しております。また、コニカミノルタの総合力で分光濃度計・測色計と画像処理技術を組み合わせた「IQ-501」を開発・商品化し、「AccurioPress C6100」シリーズにプラスし、デジタル箔押し機やワークフローソフトウェアなどとともに、高い付加価値と生産性を高信頼性で実現するソリューションの提案を印刷企業に対して行っております。産業印刷ユニットにおいては、従来の捺染印刷(スクリーン印刷)機同様の高い生産性を実現したシングルパス方式インクジェットテキスタイルプリンター「ナッセンジャー SP-1」を拡販し、お客様の業容拡大に貢献しました。さらに、B2サイズの両面印刷を可能にした商業印刷用インクジェットプリンター「AccurioJet(アキュリオジェット)KM-1」は、その画質の良さが高い評価を受け、拡販を続けています。プリントヘッドとインクジェット出力に最適なインク、さらにプリンターの“三位一体”の開発・展開を最大の特長として、拡大し続ける様々なアプリケーション(出力用途)への対応や、各市場からの高画質・高生産性ニーズに対応する研究開発を強化・推進しております。 環境性能面では、再生プラスチックの採用拡大や、業界トップクラスのスリープ待機電力0.5Wを実現しTEC値(注1)を従来機から大幅に削減、加えてCO2排出量の大幅な削減等、環境負荷低減に成功し、お客様のTCO(トータル・コスト・オブ・オーナーシップ)削減にも効果的な製品開発を推進しています。また「エコビジョン2050」達成に向けて、製品開発活動において省エネ技術、軽量化技術、石油由来資源削減技術、高耐久化技術等を開発してまいりました。2018年1月に上市したA3カラー複合機「bizhub C759 / C659 / C759 Premium」(3機種合わせて、以下「bizhub C759」シリーズ)では、省電力性能を強化し、国際エナジースタープログラムVer.2.0のTEC値基準を大幅にクリアしたうえ、従来機よりもさらに約12-20%の電力削減を実現しました。スリープモード時にCPUの電源をオフにすることで消費電力を従来機の半分となる0.5Wまで低減し、CO2排出量の削減にも貢献しています。また、コニカミノルタ独自のケミカルプロセッシング技術をさらに進化させ、PCR比率(注2)を約70%まで増加させた再生PC/PETを採用しました。これにより、この再生素材の使用量は、本体で使用している総樹脂量の重量比で約30%、表面積比では約64%まで高まりました。再生素材の積極的な採用で資源の有効活用に貢献し企業の環境保全を推進します。デザイン面では、「bizhub C759」シリーズにおいても「bizhub」シリーズの統一デザインコンセプトである「INFO-Palette(インフォ パレット)」を共通に展開し、シリーズ全体での高い操作性を継承しています。操作パネルを従来から大型化することで、さらなる見やすさ、使いやすさの向上に努めています。A4カラー複合機「bizhub C3851」はA3カラー複合機と共通のファームウェアを採用し、小型操作パネルにおける操作性を統一できました。これにより機種が混在するオフィスにおいてもさらなる利便性と効率化の向上を可能にしています。ユニバーサルデザインの観点においても、モバイル端末から複合機の遠隔操作や操作パネルのカラーユニバーサルデザインなどのソフト面と、給紙カセットの上下アクセス可能などのハード面の取り組みを従来から継続し、オフィスで働く様々なユーザーに配慮しています。また、モバイル端末から複合機にデータを入出力するアプリケーション「KONICA MINOLTA MobilePrint」はデザインをリニューアルし、モバイルアプリケーションに求められる軽快で明快なUI(ユーザーインターフェース)を提供し、クラウドと連携したプリント、データスキャン操作を高いユーザビリティで実現しています。また、プロダクションプリンターのフラッグシップマシンである「AccurioPress C6100 / C6085」においては、シリーズ統一デザインコンセプトである「Grid & Solid(グリッドアンドソリッド)」を共通に展開し、商業・産業印刷機シリーズ全体での高いブランド性を継承しています。高品位で力強く、安心して使える製品をデザインすることに加え、商業・産業印刷領域でブランドを強固にし、よりマシンの顧客満足度を高めるよう努めております。いずれの製品も、高い操作性や合理的で無駄のない外観形状が高く評価されております。アプリケーション面においても、UIを共通展開し、操作性の共通化を図っています。クラウド色管理システム「AccurioPro(アキュリオプロ)Cloud Eye」でのインターフェース上の印刷機色再現状態確認を、より簡便でより明確に、「AccurioPro Conductor」では、複数の印刷機を一元管理し、各オペレーションを自動化することで、作業効率の向上、分散印刷処理を可能とし、生産性、印刷稼働率の向上を行っています。(注1)TEC値とは「Typical Electricity Consumption」の略で、財団法人省エネルギーセンターの「国際エネルギースタープログラム」に適合するための基準となる値です。(注2)PCR(post-consumer recycling)比率:再生素材中で使用される市中回収材料の割合です。 (2)ヘルスケア事業ヘルスケア事業においては、デジタルX線撮影装置「AeroDR(エアロディーアール)」のラインナップ拡充や電子カルテ、情報システムと連携した医療機関のIT化を図るシステムソリューションビジネスの強化に加え、超音波画像診断装置のシリーズ拡充等により、大規模病院と地域の診療所等との医療連携、地域連携の実現やヘルスケア事業の中長期的拡大を図る研究開発を実施しております。当連結会計年度においては、ヘルスケアユニットでは、2011年の発売以来多くの医療現場で高い評価をいただいておりますワイヤレスタイプカセッテ型DR「AeroDR」シリーズのフラッグシップモデルである「AeroDR fine」にフルサイズ(17×17インチ)モデルと四切(10×12インチ)モデルを追加ラインアップいたしました。「AeroDR fine」は、センサーパネルの画素サイズ100μmを実現することで、世界最高レベルの解像度を達成しており、従来の半切(14×17インチ)モデルに加え、立位・臥位専用機や救急ポータブル撮影に最適なフルサイズモデルと、整形・小児領域における利便性向上が期待できる四切モデルの追加により、より幅広い使用シーンでのご利用が可能となりました。また、新たに開発した画像処理エンジン「REALISM(リアリズム)」を組み合わせることで、黒つぶれや白とび等の課題を抑制し、より立体的で奥行き感に優れた高画質化を実現、診断精度の向上に寄与いたしました。「AeroDR fine」の高度な軽量・堅牢・ハンドリング性と高画質性能とを両立させたデザインは多くのご評価をいただき、2017年度グッドデザイン賞を受賞いたしました。また、今後は「AeroDR」システムを活用した動態解析技術(連続画像から肺換気や血流動態に関する情報を取得する技術)の開発に注力し、単なるモノ売りから付加価値を提供する事業へと、その軸足を変えていきます。超音波画像診断装置では、コンパクトサイズでありながらワンクラス上の画像性能を実現する超音波画像診断装置「SONIMAGE(ソニマージュ) MX1」、「SNiBLE(スナイブル) yb」(以下「SONIMAGE MX1」シリーズ)を発売いたしました。「SONIMAGE MX1」シリーズは、整形外科領域で高いシェアを占め、麻酔領域でも高い評価を得ている2014年発売の「SONIMAGE HS1」シリーズのテクノロジーを継承し、さらに超音波の音響ノイズを抑制して伝達効率を向上させる新技術「Dual Sonic(デュアルソニック)」により軽量・コンパクトでありながらも高精細な画像表示を実現しました。超音波診断措置を手軽に持ち運べることで、場所を選ばない的確な診療をサポートいたします。また、シーメンスヘルスケア株式会社から国内経腟超音波事業を譲受し、日本国内向け経腟用超音波画像診断装置「SONOVISTA(ソノビスタ) FX premium edition」の販売を開始いたしました。本診断装置の販売はウーマンズヘルスケア分野への事業展開を加速するための足がかりの一つと考えており、Ambry社、Invicro社買収によるプレシジョン・メディシン戦略とも融合することで、患者のQOL向上に貢献していきます。医療ITユニットでは、「連携BOXサービス」や「遠隔読影支援サービス」等の機能を有するクラウド型サービスプラットフォーム「infomity(インフォミティ)」、及び独自の画像処理機能による画像診断・管理をサポートする医用画像管理システム「NEOVISTA I-PACS(ネオビスタ アイパックス)」シリーズの機能向上開発を継続的に行いました。また、パナソニック ヘルスケア株式会社から、PACS(医療用画像保管・転送システム)を中核とした病院及びクリニック向けソリューション事業を展開するパナソニック メディカルソリューションズ株式会社の株式を譲受し、コニカミノルタメディカルソリューションズ株式会社として事業活動を開始いたしました。これにより次世代ITソリューション事業の国内展開拡大を加速し、医療IT市場でのプレゼンスを高めるとともに、画像診断機器とITとを組み合わせたソリューション提供による一層の診療の質向上と効率化に貢献していきます。 (3)産業用材料・機器事業材料・コンポーネント分野における機能材料ユニットおいては、液晶画面の基幹部材となる偏光板用保護フィルムにおいて耐水型新VA-TACフィルムを開発・販売しました。TACに加えて、新樹脂をプラットフォームにした幅広い要求に応えられる商品で事業拡大を推進しております。また有機ELディスプレイ向けには円偏光反射防止フィルム、インクジェット部材、有機EL素材等を組み合わせた顧客価値提供に向けた提案取り組みを展開しております。当連結会計年度においては、ディスプレイ分野で最大の学会であるSociety for Information Display(SID)が主催する国際学会にて当社の電極補助材料について発表を行い、IDW '17 Best Paper Awardを受賞いたしました。光学コンポーネントユニットにおいては、長年培ってきたコンポーネント技術やユニット技術を活用した、車載関連・光通信関連などの製品化に注力し、新規事業の立上げに取り組んでおります。産業用光学システム分野における計測機器ユニットにおいては、ディスプレイ・光源色測定におけるトップメーカーとして、高品質な製品を提供してまいりました。当連結会計年度においては、有機ELなど進化し続けるディスプレイの測定ニーズに対応したカラーアナライザー「CA-410」を発売いたしました。ドイツのInstrument Systems社からはイメージング色彩輝度計LumiTop2700を発表し、アメリカのRadiant社からはイメージング色彩輝度計PrometricシリーズのAR/VR評価用新レンズの発売を行い、主たる測定分野において、さらなる製品拡充を図りました。また、世の中でニーズが高まっている安全運転支援システムやその実現の為にキーとなる構成製品の開発も行っております。安全運転支援システムの実現に欠かせない主要構成部品の一つとして、車のフロントガラスに三次元で運転手に必要な情報を表示できる全く新しい3D AR HUD(三次元拡張現実ヘッドアップディスプレイ)を開発しておりますが、車載対応の為のさらなる高性能化・高品質化を実現すべく他社との共同開発体制も開始し開発を加速させております。こうした製品やシステムにより、車に限らず、あらゆる移動体での安全運転支援ソリューションの提供を目指してまいります。
FY2017|6,763 文字
6【研究開発活動】当社グループは、経営理念である「新しい価値の創造」及び「Giving Shape to Ideas」というお客様への約束を掲げ、材料・光学・微細加工・画像の4分野のコア技術に関わる研究開発はもとより、コア技術を高度化し更に複合化・融合化することによるお客様本位の新製品・新技術の開発を進めております。また、持続可能な地球・社会の実現をめざし、「環境」をメインテーマとして、省エネルギー、リサイクル可能な環境配慮型製品の開発も進めております。その結果、持続可能な経済を実現させる活動を行う国際NGOのCDP(注)により最高評価の「気候変動Aリスト」企業として認定されました。2050年を見据えた長期環境ビジョンのもと、自社内に留まらずバリューチェーンを通じた環境負荷低減にも積極的に取り組む環境経営が高く評価されました。製品ライフサイクルにおけるCO2排出量の2016年度実績は約104万トンで、2050年に2005年度比で80%削減するという長期環境ビジョン「エコビジョン2050」に対して、49%削減まで到達しています。当社グループの研究開発活動は、中期経営計画「TRANSFORM 2016」に基づいた中期経営戦略基本方針(持続的な利益成長の実現、顧客密着型企業への変革、強靭な企業体質の確立)に対応して、「持続的成長に向けたインキュベーションの加速」、「顧客価値につながる差別化技術の仕込み」、「一流を目指す技術人財、開発組織力の強化」の3つの技術戦略の基本方針を定め推進してまいりました。既存事業の商業・産業印刷分野では、出力枚数が多く、特に多彩な用紙への対応力と高い生産性が求められるヘビープロダクションプリント領域へ、コニカミノルタ独自のサービス展開と合わせて業容を広げてまいります。さらに、デジタル加飾印刷機メーカーでは業界トップのフランスのMGI社を連結子会社化し、最先端の産業印刷業者が集い、多様な関連機器メーカーも集結しているフランスに産業印刷ビジネスの戦略拠点を設けました。これにより、ラベル・パッケージ業界のデジタル化を加速させる製品ラインアップの拡充を図り、産業印刷分野の強化を推進してまいります。産業光学分野では、ドイツの分散型・録画(DVR)機能内蔵IPネットワークカメラシステム技術を誇るMOBOTIX社を連結子会社化し、当社独自の光学技術である広範囲を高精細に誤報や失報なく検知する3Dレーザーレーダーと、MOBOTIX社の分散処理型IPカメラやビデオマネジメントソフトウェア(VMS)を組み合わせて、次世代分散型ネットワークセキュリティソリューションを提供します。また、バイオヘルスケア分野では、フランスのパスツール研究所及びバイオアキシャル社と共同研究を開始しました。この研究は、マウス体内での薬剤の動きや分布を直接観察すること、さらには臓器や細胞に到達した薬剤が細胞の働きに与える影響を観察する(ライブセルイメージング)ことで、薬剤の効果や作用機序の観察を実現し、これにより薬効の正確な評価の支援が期待できます。コア技術であるナノテクノロジーを駆使した体外診断分野での研究開発を加速し、当該サービスを皮切りに、先進的技術を通じてライフサイエンスにおける社会的課題の解決に貢献してまいります。新たなビジネスモデルとして、コア技術で差別化されたハードウェア(Input/Output)とソフトウェア(Process)を組み合わせたコニカミノルタのサイバーフィジカルシステムとして、ソリューションサービスをお客様に提供してまいります。その一例として、ICTで介護ワークフローを変革する「ケアサポートソリューション」を開発しました。これは、介護施設において入居者の行動を非接触センサーで検知し、介護スタッフにスマートフォンで知らせるとともに、スマートフォンにアプリケーションを追加することで、ケア記録の入力や情報共有といった機能を付加するサービスであり、高齢化社会による要介護者の増加と、生産年齢人口減少による介護スタッフ不足という大きな社会的課題の解決に貢献してまいります。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、前連結会計年度比30億円(4.0%)減少の732億円となりました。また、各事業部門別の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は以下のとおりであります。なお、研究開発費については、以下の事業部門に含まれない金額及び基礎研究費用117億円(前連結会計年度比11.3%減)が含まれております。(注)CDPは、企業や都市の重要な環境情報を測定、開示、管理し、共有するためのグローバルシステムを提供するイギリスの国際的な非営利団体です。 (1)情報機器事業情報機器事業においては、主に複合機やデジタル印刷システムの情報機器から資材、各種ソフトウェア、システムソリューションに至るまで幅広く研究開発を実施し、個々のお客様の働き方に合わせたクラウド利用サービス、ワークフローソリューションのご提案を合わせて行っております。当連結会計年度においては、オフィスサービス分野では、「bizhub(ビズハブ)」シリーズにおいてスキャン能力を大幅に強化しました。これにより、大量文書の電子化をより正確により早く安心して効率的にすすめ、スキャンを中心としたワークフロー変革に寄与するとともに、モバイル端末・クラウドサービスとの連携でお客様の業務効率・生産性の向上を実現しました。さらにスキャン能力を強化したA3モノクロ複合機「bizhub 758」を発表。毎分75枚の出力速度で、大規模オフィスにおける大量プリントの高速処理ニーズにも対応しました。商業・産業印刷分野では、新機能により用途が拡大したデジタル印刷システム「AccurioPress(アキュリオ プレス) C2070」シリーズを開発・商品化いたしました。従来のライトプロダクションプリント(LPP)領域でのユーザーに加えて、用紙対応力を強化して使用用途を広げ、より多様な印刷を志向するユーザーへの展開拡大を図ります。また、色管理ワークフローの効率化のための分光濃度計・測色計を組み合わせたソリューションや、デジタル箔押し機などとの組み合わせにより、「AccurioPress C2070」シリーズにコニカミノルタの総合力をプラスし、生産性の高いワークフロー構築の提案を印刷企業に対して行っていきます。産業用インクジェットにおいては、インクジェット出力システムとして、従来の捺染印刷(スクリーン印刷)機同様の高い生産性を実現するシングルパス方式を採用した、インクジェットテキスタイルプリンター「ナッセンジャー SP-1」を開発しました。イタリアやポルトガルに続きトルコやフランスでも受注・設置し、お客様の業容拡大に貢献しています。さらにB2サイズの両面印刷を可能にした商業印刷用インクジェットプリンター「AccurioJet(アキュリオジェット)KM-1」を開発。2017年度より本格的に市場展開を始めます。プリントヘッドとインクジェット出力に最適なインク、さらにプリンターの“三位一体”の開発・展開を最大の特長として、拡大し続ける様々なアプリケーション(出力用途)への対応や、各市場からの高画質・高生産性ニーズに対応する研究開発を推進しております。 環境性能面では、再生プラスチックの採用拡大や、業界トップクラスのスリープ待機電力0.5Wを実現しTEC値(注)を従来機から大幅に削減、加えてCO2排出量の大幅な削減等、環境負荷低減に成功し、お客様のTCO(トータル・コスト・オブ・オーナーシップ)削減にも効果的な製品開発を推進しています。また「エコビジョン2050」達成に向けて、製品開発活動において省エネ技術、軽量化技術、石油由来資源削減技術、高耐久化技術等を開発してまいりました。省エネ技術では、トナーと定着部材の両面から低温定着技術を開発しプリント中の大幅な電力削減に成功、また機器のスリープ状態の低電力技術を用いることで、業界トップレベルの低電力化を実現しました。軽量化技術では、低中速製品の高速化と高耐久化技術を用いて、質量の大きい製品が主流である高速領域において業界トップレベルの軽量化を実現し、省資源に寄与しました。また、石油由来資源削減技術では、プラスチック素材の外装に当社独自のケミカルプロセッシング技術による複合リサイクル素材「再生PC/PET」(PC:ポリカーボネート PET:ポリエチレンテレフタレート)の採用を拡大し、内装にも高配合の再生プラスチック素材の開発と製品採用をスタートし、日常生活で使われる資源の有効利用促進に貢献しました。特に、再生プラスチックの採用は、2015年度発売のA3カラー複合機「bizhub C368/C308/C258」シリーズ以降、採用を拡大し業界トップレベルの再生プラスチック採用率を実現しました。デザイン面では、新たに商品化したA3カラー複合機の「bizhub C658/C558/C458」においても「bizhub」シリーズの統一デザインコンセプトである「INFO-Palette(インフォ パレット)」を共通に展開し、シリーズ全体での高い操作性を継承しています。操作パネルを従来から大型化することで、さらなる見やすさ、使いやすさの向上に努めています。ユニバーサルデザインの観点においても、モバイル端末からの遠隔操作や操作パネルのカラーユニバーサルデザインなどのソフト面と、給紙カセットの上下アクセス可能などのハード面の取り組みを従来から継続し、オフィスで働く様々なユーザーに配慮しています。また、プロダクションプリンターのエントリーマシンである「bizhub PRO 1100」と、インクジェットテキスタイルプリンターの「ナッセンジャー SP-1」が、2016年のグッドデザイン賞を受賞しました。いずれの製品も、高い操作性や合理的で無駄のない外観形状が高く評価されております。(注)TEC値とは「Typical Electricity Consumption」の略で、財団法人省エネルギーセンターの「国際エネルギースタープログラム」に適合するための基準となる値です。 当事業に係る研究開発費は、前連結会計年度比8億円(1.9%)減少の433億円となりました。 (2)ヘルスケア事業ヘルスケア事業においては、主にデジタルX線画像読取装置(CR:コンピューテッドラジオグラフィー)「REGIUS(レジウス)」シリーズ及びフラットパネルディテクタ(FPD)搭載のデジタルX線撮影装置(DR:デジタルラジオグラフィー)「AeroDR(エアロディーアール)」のラインナップ拡充や電子カルテ、情報システムと連携した医療機関のIT化を図るシステムソリューションビジネスの強化に加え、超音波画像診断装置シリーズの拡充等により、大規模病院と地域の診療所等との医療連携、地域連携の実現やヘルスケア事業の中長期的拡大を図る研究開発を実施しております。 当連結会計年度においては、2011年の発売以来多くの医療現場で高い評価をいただいておりますワイヤレスタイプカセッテ型DR「AeroDR」シリーズのフラッグシップモデルとなる、「AeroDR fine(エアロディーアール ファイン)」(14×17インチサイズ)を発売いたしました。「AeroDR fine」は、センサーパネルの画素サイズ100μmを実現することで、世界最高レベルの解像度を達成しました。これにより手指骨画像などの微細構造を高い解像度で得ることができ、診断精度の向上に寄与いたします。また低線量化(当社従来モデル比25%の削減)による患者様の被曝リスクの低減、軽量化(2.6kg)やカセッテ背面全周への凹み部設置などによる作業性の向上といった価値をお客様にご提供いたしました。また、当社開発中の技術「Dynamic Chest Radiography(ダイナミック胸部X線撮影)」を用いた研究成果が世界最大級の放射線医学の国際学会「Radiological Society of North America (RSNA) 2016 : 102nd Annual Meeting(第102回北米放射線学会)」にて2件報告され、最高賞である「Magna Cum Laude award」と「Certificate of Merit award」を、それぞれ受賞しました。「ダイナミック胸部X線撮影」は、大視野の動画対応FPDを用いて胸部の連続画像を撮影する技術で、取得された連続画像から呼吸器や循環器の動的な形態情報が得られるだけでなく、肺換気や血流動態に関連する情報も得ることができます。CTやMRIと比較し、日常生活での体勢(立位や座位)での情報取得が可能、低コストである等のメリットがあり、製品化に向けて引き続き技術開発を進めてまいります。サービス・ソリューション分野では、「連携BOXサービス」、「遠隔読影支援サービス」等の機能を有するICTサービスプラットフォーム「infomity(インフォミティ)」の機能向上開発を継続的に行いました。また製薬会社や医療機関にてイメージングを専門とした臨床試験支援にご利用いただける「臨床試験支援サービス」を実現する「Trial BOX」の販売を開始するなど、ラインナップの拡充を図りました。 超音波画像診断装置では、ハンドキャリー型で最高レベルの分解能を実現した超音波画像診断装置「SONIMAGE(ソニマージュ) HS1/HS1 PRO」及び「SNiBLE(スナイブル)」に、新たに4種類のプローブをラインアップに加えるバージョンアップを行いました。これによって、プローブ交換することなく浅部の組織から深部までが診断可能となる、手の指など細かい組織が診断しやすくなる、鎖骨近傍など狭い隙間からの広い画像描出による診断が可能となる等の特長が加わりました。「SONIMAGE HS1」シリーズの高機能を実現する超広帯域高感度リニアプローブと、高次高調波を用いた広帯域ハーモニックイメージング技術に対して、日本超音波医学会より第16回技術賞を受賞いたしました。 今後も、医療用画像分野において最先端の技術開発に挑戦し、質の高い製品・サービス・ソリューションを通じてお客様へ新たな価値をご提供できるよう取り組んでまいります。当事業に係る研究開発費は、前連結会計年度比3億円(7.3%)増加の51億円となりました。 (3)産業用材料・機器事業機能材料分野においては、液晶画面の基幹部材となる偏光板用TACフィルムについての薄膜化や視野角拡大といった高機能化・多機能化に関する研究開発や、材料技術を生かした機能性フィルム(バリアフィルム等付加価値製品)及び有機素材の研究開発を実施しております。また当連結会計年度におきまして、パイオニア株式会社と当社の強みを集結させ有機EL照明事業の立上を図るべく有機EL照明事業に係る合弁会社の設立に合意し、契約を締結しました。産業光学システム分野における計測機器においては、これまでディスプレイ・光源色測定におけるトップメーカーとして、高品質な製品を提供してまいりました。当連結会計年度においては、自動車の外装色の測定に適したマルチアングル分光測色計「CM-M6」、内装の測定に特化した分光測色計「CM-25cG」を発売いたしました。ドイツのInstrument Systems社からは分光器CASシリーズにおいて新型機CAD-140Dを発表、アメリカのRadiant社からはディスプレイの視野角特性測定用のコノスコープレンズの追加発売を行い、主たる測定分野において、さらなる製品拡充を図りました。光学機器においては、長年培ってきたコンポーネント技術やユニット技術を活用した、車載関連・光通信関連などの新規事業の創出に向けた取組みを本格化させております。また、世の中でニーズが高まっている安全運転支援に向け、車のフロントガラスに三次元で運転手に必要な情報を表示する、世界初3D AR HUD (三次元拡張現実ヘッドアップディスプレイ)を開発いたしました。車に限らず、あらゆる移動体での安全運転支援ソリューションの提供を目指してまいります。当事業に係る研究開発費は、前連結会計年度比10億円(7.3%)減少の130億円となりました。
FY2016|6,219 文字
6【研究開発活動】当社グループは、経営理念である「新しい価値の創造」及び「Giving Shape to Ideas」というお客様への約束を掲げ、材料・光学・微細加工・画像の4分野のコア技術に関わる研究開発はもとより、コア技術を高度化し更に複合化・融合化することによるお客様本位の新製品・新技術の開発を進めております。また、持続可能な地球・社会の実現をめざし「環境」をメインテーマとして、省エネルギー、リサイクル可能な環境配慮型製品の開発も進めております。その結果、日本経済新聞社が実施した第19回「環境経営度調査」において、2年連続で製造業総合ランキング1位を獲得しました。また、次世代に向けた低炭素社会の構築を目的とする「低炭素杯2016」においても、「ベスト長期目標賞」を受賞しました。2050年を見据えた長期環境ビジョンのもと、自社内に留まらずバリューチェーンを通じた環境負荷低減にも積極的に取り組む環境経営が高く評価されました。製品ライフサイクルにおけるCO2排出量の2015年度実績は約108万トンで、2050年に2005年度比で80%削減するという長期環境ビジョン「エコビジョン2050」に対して、47%削減まで到達しています。当社グループの研究活動は、中期経営計画「TRANSFORM 2016」に基づいた中期経営戦略基本方針(持続的な利益成長の実現、顧客密着型企業への変革、強靭な企業体質の確立)に対応して、「持続的成長に向けたインキュベーションの加速」、「顧客価値につながる差別化技術の仕込み」、「一流を目指す技術人財、開発組織力の強化」の3つの技術戦略の基本方針を定め推進してまいります。既存事業の商業・産業用印刷分野では、出力枚数が多く、特に多彩な用紙への対応力と高い生産性が求められるヘビープロダクションプリント領域へ、コニカミノルタ独自のサービス展開と合わせて業容を広げてまいります。さらに、2014年1月に資本・業務提携した、デジタル方式の高付加価値印刷機器メーカーでは業界トップのMGI Technology社に追加出資を行い、ラベル・パッケージ業界のデジタル化を加速させる製品ラインアップの拡充を図り、産業印刷分野の強化を推進してまいります。ヘルスケア領域では、米国のヘルスケアイメージングソリューションプロバイダー Viztek社を買収し、今後、医療ITソリューションサービスを強化してまいります。また、新規に、創薬研究分野を対象とした蛍光ナノ粒子による病理標本作製サービスの提供を日本市場にて開始しました。コア技術であるナノテクノロジーを駆使した体外診断分野での研究開発を加速し、当該サービスを皮切りに、先進的技術を通じてライフサイエンスにおける社会的課題の解決に貢献してまいります。新たなビジネスモデルとして、コア技術で差別化されたハードウェア(Input/Output)とソフトウェア(Process)を組み合わせたコニカミノルタのサイバーフィジカルシステムとして、ソリューションサービスをお客様に提供してまいります。その一例として、ICTで介護ワークフローを変革する「ケアサポートソリューション」を開発しています。これは、介護施設において入居者の行動を非接触センサーで検知し、介護スタッフにスマートフォンで知らせるとともに、スマートフォンにアプリケーションを追加することで、ケア記録の入力や情報共有といった機能を付加するサービスであり、高齢化社会による要介護者の増加と、生産年齢人口減少による介護スタッフ不足という大きな社会的課題の解決に貢献してまいります。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、前連結会計年度比19億円(2.7%)増加の762億円となりました。また、各事業部門別の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は以下のとおりであります。なお、研究開発費については、以下の事業部門に含まれない金額及び基礎研究費用131億円(前連結会計年度比0.5%増)が含まれております。 (1)情報機器事業情報機器事業においては、主に複合機やデジタル印刷システムの情報機器から資材、各種ソフトウェア、システムソリューションに至るまで幅広く研究開発を実施し、個々のお客様の働き方に合わせたクラウド利用サービス、ワークフローソリューションのご提案を合わせて行っております。当連結会計年度の主な成果として商業・産業用印刷分野では、産業印刷をターゲットとしたカラーラベル印刷システム「bizhub PRESS(ビズハブ プレス)C71cf」を開発・商品化いたしました。電子写真ならではの高画質と扱い易さを保ち、さらにリーズナブルな導入コストの商品を実現しました。今後も大きな成長が期待できるラベル印刷のデジタル化の流れを早期につかみ、着実に事業の拡大を狙ってまいります。また、企業、官公庁、学校などの集中印刷部門や商業印刷をターゲットとしたモノクロプロダクションプリンター「bizhub PRO(ビズハブ プロ)1100」を開発・商品化いたしました。定評ある信頼性・生産性・堅牢性を継承するとともに、印刷枚数が毎分100枚へと、さらに高速になりました。企業内集中印刷用途に求められる機能を充実させ、より使いやすく進化しています。さらに、新規市場としての新興国での利用を意識したシンプルな排紙トレイを用意するなど、多様な用途に対応することで市場拡大を図ってまいります。これらの商品は、印刷業務における効率化と利便性、機動性を向上させ、印刷に携わるお客様の業容拡大に貢献いたします。オフィスサービス分野では、モバイル端末、クラウドサービスとの連携をさらに強化したA3カラー複合機「bizhub C368/ C308」、「bizhub C287/C227」、「bizhub C258」及びA3モノクロ複合機「bizhub 287/227」を開発・商品化いたしました。小規模オフィスから大規模オフィスまで、新しいワークスタイルに柔軟に対応すべく、コニカミノルタのクラウドサービス「INFO-Palette(インフォ パレット)Cloud」を活用することで、オフィス外からモバイル端末でオフィスの複合機へ印刷指示やFAX閲覧・送信等も可能であり、ワークフローのさらなる効率化に貢献いたします。環境性能においては、再生プラスチックの外装全体への採用、スリープ中の待機電力は業界トップクラスの0.5Wを実現、TEC値(注)を従来機から大幅に削減することで同時にCO2排出も大幅に削減する等、環境負荷低減に貢献し、お客様のTCO(トータル・コスト・オブ・オーナーシップ)削減にも効果を発揮いたします。 また、当事業では、「エコビジョン2050」達成に向けて、省エネ技術、軽量化技術、石油由来資源削減技術、高耐久化技術等を開発して参りました。省エネ技術では、トナーと定着部材の両面から低温定着技術を開発しプリント中に大幅な電力削減に加えて、機器のスリープ状態の省エネにも着目し低電力モードやスリープモードの低電力技術を開発し業界トップレベルの低電力化を実現しました。軽量化技術では、質量の大きい製品が主流である高速領域において、低中速製品の高速化・高耐久化技術を使用することにより、高速領域における業界トップレベルの軽量化を実現しました。また、石油由来資源削減技術では、プラスチック素材の外装に当社独自のケミカルプロセッシング技術による複合リサイクル素材「再生PC/PET」(PC:ポリカーボネート PET:ポリエチレンテレフタレート)を開発し日常生活で使われる資源の有効利用の促進に貢献するのに加えて、内装にも高配合の再生プラスチック素材を開発し2015年度に発売したA3カラー複合機「bizhub C368/C308/C258シリーズ」で業界トップレベルの再生プラスチック採用率を実現しました。また、デザイン面においてはA3モノクロ複合機「bizhub287/227」とスマートフォンアプリ「bizhub Remote Access」が日本のグッドデザイン賞(2015年)を同時受賞しました。bizhubシリーズの統一コンセプトである「INFO-Palette」の複合機として4年連続の受賞となります。オフィスで働く様々なユーザーに対応して、普段使い慣れているモバイル端末からの遠隔操作や給紙カセットの上下アクセス、画面表示を含めたカラーユニバーサルデザインやフリック操作などの配慮、全体にハード面とソフト面においてバランスよくデザインされている点が高く評価されております。産業用インクジェットにおいては、微小インクの高精度着弾を実現するMEMS精密加工技術を採用したインクジェットプリントヘッドを開発しました。2016年度中には量産工程へ移行し、様々な出力アプリケーションへの対応を行ってまいります。またインクジェット出力システムとして、従来の捺染印刷(スクリーン印刷)機の生産速度に匹敵するシングルパス方式採用のインクジェットテキスタイルプリンター「NASSENGER(ナッセンジャー)SP-1」を開発し、市場展開を始めました。さらにB2サイズの両面印刷を可能にした商業印刷用インクジェットプリンター「KM-1」を開発。2016年度より市場展開を始めます。プリントヘッドとインクジェット出力に最適なインク、さらにプリンターの“三位一体”の開発・展開を最大の特長として、拡大し続けるアプリケーションへの対応や、各市場からの高画質・高生産性ニーズに対応する研究開発を推進しております。当事業に係る研究開発費は、前連結会計年度比10億円(2.3%)増加の442億円となりました。(注)TEC値とは「Typical Electricity Consumption」の略で、財団法人省エネルギーセンターの「国際エネルギースタープログラム」に適合するための基準となる値です。 (2)ヘルスケア事業ヘルスケア事業においては、主にデジタルX線画像読取装置(CR:コンピューテッドラジオグラフィー)「REGIUS(レジウス)」シリーズ及びフラットパネルディテクタ(FPD)搭載のデジタルX線撮影装置(DR:デジタルラジオグラフィー)のラインナップ拡充や電子カルテ、情報システムと連携した医療機関のIT化を図るシステムソリューションビジネスの強化に加え、超音波画像診断装置シリーズの拡充等により、大規模病院と地域の診療所等との医療連携、地域連携の実現やヘルスケア事業の中長期的拡大を図る研究開発を実施しております。 当連結会計年度においては、2011年の発売以来多くの医療現場で高い評価をいただいておりますワイヤレスタイプカセッテ型DR「AeroDR(エアロディーアール)」シリーズの特長を継承しながら、筐体及び構成部品の設計を見直すことで2.5kgという更なる軽量化(弊社従来同等品に対し約10%の軽量化)、耐荷重、耐落下性能、防水設計といった堅牢性の向上を実現した「AeroDR PREMIUM 1417S」(14×17インチサイズ)を発売いたしました。「AeroDR PREMIUM 1417S」はスタンダードモデルでありながら、撮影間隔短縮による患者様待ち時間軽減、ストレスフリーな急速充電等を実現し、ご好評をいただいております。また、X線の散乱線の影響を取り除き画像コントラストを改善する「インテリジェントグリッド」、肋骨及び鎖骨の画像信号を減弱させて肺野部の画像視認性を高める「Bone Suppression(ボーンサプレッション)処理」、そして複数枚のAeroDRパネルを組み合わせて一回のX線照射で広範囲の撮影を可能とする「OneShot(ワンショット)長尺システム」を発売いたしました。いずれも長年培ってきた画像処理技術を進化させることにより実現した機能であり、読影精度の向上、診断時間の短縮、ワークフローの改善といった価値をお客様にご提供いたしました。 サービス・ソリューション分野におきましては、「連携BOXサービス」、「遠隔読影支援サービス」等の機能を有するICTサービスプラットフォーム「infomity(インフォミティ)」の機能向上開発を継続的に行いました。また製薬会社や医療機関にてイメージングを専門とした臨床試験支援にご利用いただける「臨床試験支援サービス」を実現する「Trial BOX」の販売を開始するなど、ラインナップの拡充を図りました。 超音波画像診断装置では、ハンドキャリー型で最高レベルの分解能を実現した超音波画像診断装置「SONIMAGE(ソニマージュ) HS1」の整形外科向け専用機「SNiBLE(スナイブル)」を発売いたしました。「SNiBLE」では、超音波ビームの送信方向を調整することで穿刺針の視認性および、最浅部描写力の向上を図り、整形外科運動器エコーに必要な機能を強化いたしました。「SONIMAGE HS1」の可搬性高いコンパクトなボディや様々な検査スタイルに対応できるデザインは、多くのご評価をいただき、グッドデザイン賞(2014年度)受賞に続き、2015年度機械工業デザイン賞「日本デザイン振興会賞」を受賞いたしました。 今後も、医療用画像分野において最先端の技術開発に挑戦し、質の高い製品・サービス・ソリューションを通じてお客様へ新たな価値をご提供できるよう取り組んでまいります。当事業に係る研究開発費は、前連結会計年度比5億円(10.2%)減少の48億円となりました。 (3)産業用材料・機器事業機能材料分野においては、液晶画面の基幹部材となる偏光板用TACフィルムについての薄膜化や視野角拡大といった高機能化・多機能化に関する研究開発や、材料技術を生かした機能性フィルム(遮熱フィルム等付加価値製品)及び有機素材の研究開発を実施しております。また、偏光サングラス着用下でもディスプレイ本来の色を再現するためのディスプレイ用偏光サングラス対応フィルム「QWPフィルム」を新たに開発いたしました。当連結会計年度におきまして有機EL用青色りん光材料で一般社団法人近畿化学協会が主催した第67回「化学技術賞」を受賞しております。産業光学システム分野における計測機器においては、これまでディスプレイ・光源色測定におけるトップメーカーとして、高品質な製品を提供してまいりました。今年度は、米ディスプレイ検査機器メーカーのRadiant社の買収により、総合的な光源色測定分野においてのトップポジションを更に確固たるものとし、ICT・自動車分野製造検査領域向けのソリューション開発力を強化しています。また、新たに印刷業界向けに自由フォーマット機能を有した自動スキャン分光測色計「FD-9」を開発・発売しました。光学機器につきましては、長年培ってきたコンポーネント技術やユニット技術を活用した、車載関連・光通信関連などの新規事業の創出に向けた取組みを本格化させております。当事業に係る研究開発費は、前連結会計年度比14億円(11.8%)増加の140億円となりました。