研究開発費(時系列)
| 年度 | R&D費用(億円) | 設備投資(億円) |
|---|---|---|
| 2025-12 | - | 164 |
| 2024-12 | - | 184 |
| 2023-12 | - | 192 |
| 2022-12 | - | 172 |
| 2021-12 | - | 197 |
研究開発活動(本文)
FY2025|4,369 文字
6 【研究開発活動】当企業グループは、artienceとして新たにスタートを切った2024年からの3年間をartience2027とし、2030年をゴールとした経営計画artience2027/2030“GROWTH”に基づき、変革へ向けた取組みを進めています。 当企業グループの研究開発活動は、次期事業開発に向けて、車載用リチウムイオン電池材料、ラミネート接着剤をはじめとするモビリティ・バッテリー分野と、液晶ディスプレイカラーフィルター用材料や光学用粘着剤、半導体向け材料などのディスプレイ・先端エレクトロニクス分野の2つの領域にグループの資源を集中し、新たな収益の柱となる事業群創出を目指しています。そのほか、2030年以降を見据え、環境・バイオ・エネルギーを次世代事業と位置付け、戦略的に資源を配分し事業の拡大や創出へ向けた取り組みを進めてまいります。また、研究開発体制では、国内のみならず、海外を含めたグループ全体の技術・研究開発・技術企画を強化していくため、名称を「R&D本部」から「グループR&D本部」へと変更いたしました。また、「グループR&D本部」内に、社内にある技術知見と生成AIやMIを融合した新しい研究開発手法を開発するため、「AIイノベーション技術部」を新設致しました。本体制のもと、国内・海外事業会社の連携による新製品開発、新技術開発、探索活動の強化、生成AI活用に取り組みグループ全体のR&D機能、生産技術機能の強化・拡大を目指していきます。また、国内・海外の大学やアカデミア、スタートアップ、パートナー企業との連携を強化し、次世代へ向けた技術の可能性を広げ、イノベーションを推し進めます。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は10,159百万円であり、各セグメント別の研究目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は、次のとおりです。 (1)色材・機能材関連事業当事業では、コア技術である低分子/高分子の有機合成技術と粒子の表面処理および分散加工技術をそれぞれ進化/融合させることで社会、市場、お客様の課題解決に貢献する製品開発を続けております。顔料及び顔料分散体事業は、これまで培ってきた独自の顔料合成技術および粒子制御/加工技術を進化/応用することで、従来のメイン市場であった印刷インキ市場に加えて、高付加価値市場である自動車塗料用をターゲットとした製品開発を進めました。これまでにない意匠を発現する技術開発が進展し、技術マーケティング活動を進めました。メディア材料事業は、LCDパネルの中国市場へのシフトに対応し、顧客製造プロセスの生産性向上に繋がる製品を開発し拡販につなげました。イメージセンサー用レジストインキの採用が着実に進展し、市場での存在感がさらに高まりました。また、これまで培った技術を基に、OLED用レジストインキの開発を開始しました。そこで必要となる低温硬化技術の開発を継続して進めています。着色剤事業は、廃プラスチック削減問題、CO2排出量削減といった社会課題に対し、マテリアルリサイクル、天然材料/バイオマス材料、生分解をテーマとして技術構築が進み、製品の採用が拡大しつつあります。一方世界的に需要が拡大しているエレクトロニクス材料に使用される高付加価値製品の開発も同時に進めており、将来の事業の柱とすべく事業が拡大しております。機能材料事業は、カーボンナノチューブを用いた車載用リチウムイオン電池用導電材料については、世界的なEV市場の鈍化により、各拠点で出荷が停滞したものの、正極用導電助剤の開発および改良は堅調に進み、加えて負極用導電材料や次世代バッテリーとして注目の全固体リチウムイオン電池用の導電材料など、これまでの開発で培った技術の応用展開も進め、採用に向けた評価が始まっている状況です。一方、無機材料の表面処理/加工技術を応用した先端エレクトロニクス市場向け材料の製品開発も堅調に推移し、実績拡大が進んでいます。インクジェットインキ事業は、印刷市場のデジタル化をビジネスチャンスと捉え、商業印刷、軟包装用途を中心に開発を進めました。両テーマとも、素材からインキ設計までのコア技術を有する強みを活かすことで、市場の技術進化に即した課題を着実にクリアし、国内外の事業拡大に貢献しました。当事業に係わる研究開発費は、4,109百万円です。 (2)ポリマー・塗加工関連事業当事業では、重点市場を①包装・工業材市場、②エレクトロニクス市場、③メディカル・ヘルスケア市場と位置づけ、その事業の礎となるポリマー・サイエンス・テクノロジープラットフォームの拡充に取り組み、高付加価値製品や環境調和型製品の開発を続けております。包装・工業材市場向けについては、粘着剤では、環境調和型製品として、バイオマス原料と無溶剤UV硬化技術を融合した次世代製品の開発を進め、顧客評価段階に入っています。バイオマス製品については、持続可能性を証明するISCC PLUS認証を取得し、サプライチェーン全体での環境価値提案を強化しました。また、サーキュラーエコノミーへの貢献を目的として、最終製品のリサイクルを容易にするトリガー剥離粘着剤や易解体接着剤を新たに開発しました。接着剤では、無溶剤タイプのラミネート用製品「ECOAD®」の開発、用途拡張に注力し、採用が拡大しています。また、工業用高耐久接着剤はペロブスカイト太陽電池・水素燃料電池用途や、成型加飾フィルム用途で評価が進みました。水性樹脂では、高付加価値なエマルジョン製品の開発を進めており、化粧品用途で品質確立に至りました。ホットメルト(熱溶融無溶剤型接着剤)では、工業用途の開発を進め、作業環境改善や効率向上を訴求して、自動車内装向けに採用となりました。缶用塗料では、フッ素化合物(PFAS)やビスフェノールA等の懸念物質を含まない環境配慮型製品の顧客評価が進み、特に東南アジア市場での採用が拡大しています。エレクトロニクス市場向けについては、半導体周辺材料の開発が進展しました。半導体パッケージ基板を一括封止する絶縁保護シート、電磁波シールドシート「LIOTELAN®」の開発が進み、絶縁保護シートの採用が拡大しました。また、半導体部材の絶縁材料に低誘電性を付与する新規ポリマーが採用され実績となりました。ディスプレイ用途では、粘着剤が、中国での新製品の採用が継続して進展するとともに、台湾でも採用を獲得し、東アジア地域での事業基盤が拡大しています。また、当社独自のポリマー設計技術を活かしたマイクロLEDディスプレイ用の機能性シートを新規に開発し、顧客評価が進んでいます。さらに、UV硬化型接着剤の開発が進展し採用を獲得しました。メディカル・ヘルスケア市場については、貼付型医薬品、検査薬用のシート製品、粘着剤製品の開発を引き続き進め、検査薬用のシート製品が採用を獲得しております。当事業に係わる研究開発費は、2,981百万円です。 (3)パッケージ関連事業当事業では、環境調和型のパッケージ用グラビア、フレキソインキ、建装材用グラビアインキ、機能性インキの開発を始め、マテリアルリサイクルシステムの構築など、サステナブル社会の実現に貢献する製品、ソリューションの提供及び新たな価値の創造に取り組んでおります。パッケージ分野では、植物由来原料を一部使用したバイオマス製品や水性インキのラインナップ拡充、用途拡大を進めております。また、パッケージのモノマテリアル化、紙化、単層化に向けた各種機能性インキ(酸素・水蒸気バリア性、耐熱性、耐水性、撥水性付与など)の品質向上、及びPFASフリー耐油剤のラインナップ拡充に取り組んでおります。ブランドオーナーやコンバーターの関心も高く、実績拡大に向けて取り組んでおります。マテリアルリサイクルでは、高効率、高純度に再生が可能となる工場端材を対象として包装材の選定ならびに検証が進み、脱墨工程を基軸とした一連の設備設計をパートナー企業とともに効率化、最大化を進めております。協業の枠を拡大して再生材の品質、経済性の精度を向上させ、早期の社会実装を進めていきます。建装材分野では、国内外で進展する環境負荷低減製品の開発・実用化で得た知見を基盤に、自動車加飾用途への応用開発を加速しております。さらに、複数産業領域に向けた市場展開を重点施策として推進しております。 今後も、環境調和型製品及び高機能、高付加価値製品の開発やパッケージに関わるソリューション開発を通じて、お客様に新たな価値を提供するとともに社会課題の解決に貢献してまいります。当事業に係わる研究開発費は、1,676百万円です。 (4)印刷・情報関連事業当事業では、グローバル市場において成長が続くUV硬化型インキを中核としつつ、高いバイオマス度を特長とする油性オフセットインキの製品開発を推進しています。一層厳しくなる環境規制やサステナビリティ要請に対応しながら、カーボンニュートラルの実現をはじめとする社会課題の解決に資する製品・技術の提供を通じ、持続的な企業価値の向上を目指しています。UVインキは、瞬間硬化による高い生産性、VOC非含有という環境優位性等を有しており、多様な用途で世界各地で幅広く採用されています。近年は、長寿命かつ低消費電力で省エネルギー化に寄与するLED-UV硬化システムの導入がグローバルに進展しており、当社は各国の印刷環境や法規制に対応したLED-UV対応製品群の拡充を図ることで、サプライチェーン全体におけるGHG排出量、特にScope3削減への貢献を強化しています。さらに、今後の普及拡大が見込まれる電子線(EB)硬化型製品については、当社が保有する電子線照射装置を活用し、グローバル展開を見据えた研究開発に注力しています。EBインキは、UVインキと同様に高い塗膜強度を有しつつ、光重合開始剤を必要としない点や優れた密着性を特長としており、食品包材を含む多様な用途への展開が期待されています。様々な多様な既存の印刷形式に対し、EBトップコートを適用し、包材構成の表刷化を実現することで、プラスチック使用量の削減および環境負荷低減に貢献してまいります。このように既存事業を着実に強化しつつ、工業材用途で培った技術的知見を活かし、光学・エレクトロニクス分野における材料開発および関連製品の展開を進めております。これらの取り組みを通じて、先端分野における新たな価値創出を目指しております。当事業に係わる研究開発費は、1,389百万円です。 なお、上記の4つの事業に含まれない研究開発費は、3百万円です。
FY2024|4,364 文字
6 【研究開発活動】当企業グループは、社会から求められる価値の変化に対応し、「感性に響く価値」を提供し、心豊かで持続可能な社会に貢献する会社となるべく、新しい中期経営計画artience2027を策定しました。“GROWTH”を柱に、グループの強みであるコア素材・コア技術を強化、自社技術と外部技術との融合により、新技術開発・新生産技術開発を推進し、世界の人々に対しその感性を揺さぶるような、新製品、新事業創出に取り組んでまいります。artience2027では、既存事業については、成長事業/収益基盤事業/構造改革・戦略再構築事業に区分し、それぞれに応じた戦略の実践により高収益化を図ってまいります。また、戦略的重点事業群として、モビリティ・バッテリー関連事業、ディスプレイ・先端エレクトロニクス関連事業、環境・バイオ・エネルギーなどの次世代事業の3つを設定し、それぞれの領域で戦略的に技術開発し、新たな収益基盤の創出に日々取り組んでまいります。当企業グループにおける研究開発体制では、新たな製品やソリューションを生み出す素材技術や科学技術の獲得を目的に、「R&D本部」内の「技術開発研究所」と「フロンティア研究所」の一部機能を統合し、「次世代研究所」としました。また、事業化推進を目的に「フロンティア研究所」の一部機能であったバイオ研究部門を「インキュベーションセンター」に移管し、マーケティング部門と研究開発部門を統合しました。さらに、「R&D本部」内の「知的財産部」を「グループ知的財産部」に昇格し、グループ全体の知財力強化に向け、AIの活用に向けた取り組みを開始しました。本体制のもと、国内・海外事業会社の連携による新製品開発、探索活動の強化、新技術開発に取り組みグループ全体のR&D機能、生産技術機能の強化・拡大を目指していきます。また、国内・海外の大学やアカデミア、スタートアップ、パートナー企業との連携を強化させ、さらには、海外の研究開発活動にも積極的に取り組み、将来の核となる事業の育成を推進していきます。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は10,109百万円であり、各セグメント別の研究目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は、次のとおりです。 (1)色材・機能材関連事業当事業では、コア技術である有機合成技術と分散加工技術を進化/融合させることで社会、市場、お客様の課題解決に貢献する製品開発を続けております。顔料及び顔料分散体事業は、これまで培ってきた独自の顔料合成及び加工技術を進化/応用することで、従来のメイン市場であった印刷インキ市場に加えて、高付加価値市場である自動車塗料用をターゲットとした製品開発を進めました。これまでにない意匠を発現する技術開発が進み、採用に向けた技術マーケティング活動に繋げていく計画です。メディア材料事業は、生産工程での使用エネルギーを削減可能な革新製法への転換が進み、製品の環境負荷低減に繋げることができました。加えて液晶ディスプレイ製造工程におけるCO2削減に貢献する低温硬化レジストインキの開発を継続して進めており、SCMトータルでの環境負荷低減による社会貢献を目指しています。製品開発面では市場の大きな伸びが期待されるイメージセンサー用レジストインキの開発による採用が進みました。着色剤事業は、CO2削減によるカーボンニュートラルの達成・廃プラスチック削減問題という社会課題に対し、マテリアルリサイクルに寄与する製品や天然材料/バイオマス材料を使用した製品開発を進め、採用が拡大しつつあります。一方で世界的に需要が拡大しているエレクトロニクス材料に使用されるマスターバッチ、コンパウンドといった高付加価値製品のニーズも高まっており、将来の事業の柱とすべく開発を進め、一部では事業化が始まっています。機能材料事業は、カーボンナノチューブを用いた車載用リチウムイオン電池用導電材料のグローバル商業生産の軌道化が堅調に進みました。一方で従来の正極用導電材料の開発・工業化に加えて負極用導電材料、次世代のバッテリーとして期待されている全固体リチウムイオン電池用の導電材料など、これまでの開発で培った技術の応用展開で、多様化するバッテリーシステム及び各部材に向けた開発も進めております。バッテリー市場向け以外にも、無機材料の分散加工技術を応用した半導体/エレクトロニクス市場向け材料の製品開発を進め、採用が広がりつつあります。インクジェットインキ事業は、印刷市場のデジタル化をビジネスチャンスと捉えて開発を進めました。商業印刷用途は、材料設計技術とインキの処方化技術の両面から従来の品質課題を解決し、事業化に繋げることができました。また軟包装用途では、年々厳しくなる化学物質法規制への対応をクリアすることができ、国内/海外ともに大きく事業を伸長させることができました。また印刷工程でのエネルギー低減を付加価値と捉えた製品開発も進めております。当事業に係わる研究開発費は、4,361百万円です。 (2)ポリマー・塗加工関連事業当事業では、重点市場を①包装・工業材市場、②エレクトロニクス市場、③メディカル・ヘルスケア市場と位置づけ、その事業の礎となるポリマー・サイエンス・テクノロジープラットフォームの拡充に取り組み、高付加価値製品や環境調和型製品の開発を続けております。包装・工業材市場向けについては、粘着剤では、環境調和型製品として、バイオマス製品の非可食・非パーム油化や、無溶剤型のUV硬化型製品を開発しました。接着剤では、環境価値提供を目的とした無溶剤タイプのラミネート用製品「ECOAD®」の用途拡張に注力し、採用が拡大しております。また、工業用高耐久接着剤は太陽電池(ペロブスカイト太陽電池)・自動車部材で評価が進んでおります。水性樹脂では、プラスチックゴミの削減に貢献する紙用耐油・耐水コーティング剤の開発が進み、食品包装材用途で顧客評価が進んでいます。ホットメルト(熱溶融型接着剤)では、PETボトル胴巻ラベル用が海外顧客で採用となり供給を開始しました。缶用塗料では、環境負荷が疑われるビスフェノールAやフッ素化合物(PFAS)を含まない環境配慮型製品が完成し、国内外で展開しています。また、成型加飾フィルム用のハードコート剤では耐候性に優れた製品を開発し、自動車外装向けで顧客評価が進んでいます。エレクトロニクス市場向けについては、半導体パッケージ基板を一括封止する絶縁保護シート、電磁波シールドシート「LIOTELAN®」の開発が進み、絶縁保護シートが採用を獲得しました。また、半導体部材の絶縁材料に低誘電性と寸法安定性を付与する新規ポリマーの採用が内定し、現在顧客での量産検討が進んでいます。粘着剤では、中国のディスプレイ用途向けで新製品が採用され事業が拡大しました。メディカル・ヘルスケア市場については、貼付型医薬品、検査薬用のシート製品、粘着剤製品の開発を引き続き進め、インドでのヘルスケア向け粘着剤が新規に採用を獲得しております。当事業に係わる研究開発費は、2,873百万円です。 (3)パッケージ関連事業当事業では、環境調和型の軟包装用グラビア、フレキソインキ、建装材用グラビアインキ、機能性インキの開発を始め、マテリアルリサイクルシステムの構築など、CO2排出量削減や循環型社会の実現に貢献する製品、ソリューションの開発及び新たな価値の創造に取り組んでおります。軟包装分野では、植物由来原料を一部使用したバイオマス製品のラインナップ拡充や水性インキの品質向上、用途拡大を進めております。また、パッケージのモノマテリアル化、紙化、単層化に向けた各種機能性インキ(酸素・水蒸気バリア性、耐熱性、耐水性、撥水性付与など)の品質向上、ラインナップ拡充に取り組み、国内外で市場評価が拡大し一部実績化が進んでおります。さらに、当企業グループの単分散微粒子合成技術×周期配列化技術を用いた色素を含まない構造色インキを開発し、その特徴的な鮮やかな発色によるパッケージの新たな加飾表現付与の提案を行っております。マテリアルリサイクルでは、複数社と開発した剥離脱墨層を有する複層プラスチック包装材や成型品において高純度な再生材が得られることがパイロット設備にて実証されました。今後、早期の社会実装に向け、外部パートナー企業との連携により効率的なリサイクルフローならびに設備の検討・開発を進めていきます。建装材分野では、環境負荷低減製品(水性化、無溶剤)や建装材の長寿命化に繋がる高耐久性を有するグラビアインキ及びトップコートの開発に力を入れております。今後も、次世代環境配慮型パッケージ及び建装材分野に役立つ製品やマテリアルリサイクルシステムなどのソリューション提供を通じて、持続可能な開発目標(SDGs)の達成など、社会課題の解決に貢献してまいります。当事業に係わる研究開発費は、1,634百万円です。 (4)印刷・情報関連事業当事業では、グローバルで成長著しいUV硬化型インキの他、バイオマス度が高いことを特徴とする油性オフセットインキの製品開発を通して、カーボンニュートラルをはじめとする様々な社会課題の解決に資する価値を提供しています。UVインキには瞬間硬化、VOCの非含有、紙からプラスチックまでの対応幅の広さという利点があることから、パッケージやラベルなどの身の回りの製品にて数多く使用されています。特に長寿命、低消費電力により省エネ化が期待できるLED-UV硬化システムが普及しつつあり、当社はLEDに対応した製品群を多数ラインナップする事により、GHG排出量のうちScope3の削減に貢献いたします。また、循環型社会の実現に貢献すべく、硬質プラスチックに印刷されたUVインキを分離できる当社独自開発脱墨コーティング剤を用いることによるリサイクルの試験研究を外部パートナー企業と進めています。一方、今後普及することが予想される電子線(EB)硬化型製品については 、当社保有電子線照射装置を活用し、研究開発に注力しています。UVインキと同様にEBインキも堅牢な塗膜を有する事を特徴としつつ、UVインキで必須の光重合開始剤が不要のほか、良好な密着性を有する事から様々な包材への適用が期待されています。グラビア印刷やデジタル印刷上にEBトップコートを塗工し、包材の構成を表刷化することによるプラスチックの削減に貢献いたします。当事業に係わる研究開発費は、1,218百万円です。 なお、上記の4つの事業に含まれない研究開発費は、21百万円です。
FY2023|4,028 文字
6 【研究開発活動】当企業グループは、創業200周年を見据え、10年後のありたい姿を新たな長期構想として掲げ、持続的な成長を実現する企業活動のコンセプト「Scientific Innovation Chain 2027(SIC27)」を設定し、第二ステップである中期経営計画「SIC-Ⅱ」を2021年度より展開してきました。すべての生活者・生命・地球環境がいきいきと共生する世界に貢献する企業グループを目指し、研究開発においては、サイエンス領域を広げて新技術を獲得し、新たな価値を創造し、お客様とともに成長、発展すべく積極的に活動を進めてまいりました。「SIC-Ⅱ」ではサステナビリティ・サイエンス、コミュニケーション・サイエンス、ライフ・サイエンスを重点開発領域として設定し、変わりつつある新たな社会ニーズに対して真に必要とされる価値を提供し続けてきました。「SIC-Ⅱ」の最終年度となる2023年度は、それら重点開発領域の拡大と創出に注力し、それぞれの領域で戦略的に技術開発し、イノベーションの連鎖を起こすべく、日々取り組んでまいりました。当企業グループにおける研究開発は、各開発テーマの初期段階から生産プロセスを意識した体制を構築するため、「生産技術研究所」を「生産・物流本部」から「R&D本部」に移管いたしました。本体制のもと、中核事業会社研究所(先端材料研究所、ポリマー材料研究所、機能材開発研究所)及び当社R&D本部(技術開発研究所、フロンティア研究所、生産技術研究所)の連携を強化し、新製品・新事業創出の加速につながる研究開発活動及び開発製品の迅速な工業化を推進してまいります。更に東京工業大学との協働研究拠点をはじめとした国内外オープンイノベーションの推進により新技術の導入を図り、持続可能でクリーンな社会の実現に向けた新素材やシステムの提供、5G・IoT社会への貢献、人々の生活を豊か・健やかにする製品やソリューション創出など、それぞれの社会ニーズに対して真に必要とされる価値を提供し、新たな事業の創出・拡大を目指すべく研究開発活動を推進しております。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、9,616百万円であり、各セグメント別の研究目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は、次のとおりです。 (1) 色材・機能材関連事業当事業では、コア技術である有機合成技術と分散/加工技術を進化及び融合させ、社会/市場/お客様の課題解決に貢献する独自の色材・分散加工製品・着色剤・インクジェットインキの製品開発を続けております。顔料及び顔料分散体事業関連では、これまで培ってきた顔料合成技術を進化させ、印刷インキ市場に向けて広色域化が可能な顔料の開発を進めております。また分散加工技術を応用した製品開発では自動車塗料を中心とした低VOC化、水性化等の社会ニーズへの適合に加え、これまでの技術では表現が困難な色や質感を実現する色材の開発を進めております。メディア事業関連では、従来法より生産工程での使用エネルギーを削減可能な革新製法への転換を進めており、各拠点への展開を開始しました。また液晶ディスプレイの生産工程におけるCO2削減に貢献するべく、生産工程の低温プロセス化に対応した低温硬化レジストインキの開発を進めております。新規用途向けに市場拡大が続いているVR・ARディスプレイ用のマイクロディスプレイ用レジストインキは、前連結会計年度に続き伸長しました。着色事業関連では、CO2削減によるカーボンニュートラルの達成・廃プラスチック問題解決という社会課題に対し、電気自動車用機能性コンパウンド、リサイクル材料を使用した機能性マスターバッチ、再生可能な資源を材料とした天然材機能性コンパウンド、生分解性コンパウンド等の環境調和型製品群の開発に注力しております。高機能プラスチック製品による脱炭素社会への貢献を果たすことで、提供価値の転換と事業成長を図っていきます。機能材料事業関連では、カーボンナノチューブを用いた車載用リチウムイオン電池材料の商業生産を、米国拠点に続き、欧州ハンガリー拠点でも開始し軌道化しました。益々拡大するリチウムイオン電池市場の要求品質と需要に応えるため、グローバルでの開発体制及び供給体制を強化していきます。また将来を見据えた全固体電池用材料の開発も進めております。インクジェットインキは、印刷市場のデジタル化を主軸とした開発を進めました。UV硬化型インクジェットインキは、近年加速する欧米の化学物質関連法規制への対応と、市場の要求品質の両立を達成し、主に海外市場でのビジネスが拡大しております。水性インクジェットインキは、商業印刷用途及びフィルム包装用途にて開発を継続し、印刷基材拡大への対応、各国法令対応を進め、堅調に事業拡大が進んでおります。当事業に係わる研究開発費は、4,024百万円です。 (2) ポリマー・塗加工関連事業当事業では、重点市場を①包装・工業材市場、②エレクトロニクス市場、③メディカル・ヘルスケア市場と位置づけ、その事業の礎となるポリマー・サイエンス・テクノロジープラットフォームの拡充に取り組み、高付加価値製品や環境調和型製品の開発を続けております。 包装・工業材市場向けについては、粘着剤では、環境調和型製品として、バイオマスマーク取得製品がラベル用途に初採用となりました。また、接着性と再剥離性を両立した高機能水性粘着剤を開発し、国内及び中国で採用となりました。接着剤では、環境価値提供を目的としたバイオマスタイプや無溶剤タイプのラミネート用製品の採用が拡大しております。また、高耐久高柔軟の工業用接着剤を開発し、自動車部材などでの評価が進んでおります。ホットメルト(熱溶融型接着剤)では、生活インフラ用のホットメルト接着シートなど工業用製品の開発が進みました。缶用塗料では、国際的な使用制限が進む有機フッ素化合物(PFAS)を含まない外面塗料を開発し、海外の顧客で採用となりました。また、成型加飾フィルム用のハードコート剤を開発し、自動車内装向けに採用となりました。エレクトロニクス市場向けについては、半導体パッケージ基板を一括封止する絶縁保護シート、電磁波シールドシート「LIOTELAN®」の開発、及び半導体部材の絶縁材料に低誘電性と応力緩和性を付与できる新規のポリマー開発が進展し、現在顧客での評価が進んでおります。また、有機ELディスプレイの伸長に伴って、ディスプレイ製造工程で用いられる保護シート用のウレタン粘着剤の採用が拡大しました。 メディカル・ヘルスケア市場については、貼付型医薬品、検査薬用のシート製品、粘着剤製品の開発を引き続き進めております。当事業に係わる研究開発費は、2,717百万円です。 (3) パッケージ関連事業当事業では、環境調和型の軟包装用グラビア、フレキソインキ、建装材用グラビアインキ、機能性インキの開発を始め、マテリアルリサイクルシステムの構築など、持続可能な社会の実現及び新たな価値の提供に向けた開発に取り組んでおります。軟包装分野では、有機溶剤削減及び作業環境改善に貢献する水性インキのラインナップ拡充を図り、国内外で実績化が進んでおります。また、パッケージの紙化推進に必要な耐水性、撥水性、水蒸気バリア性を付与するコート剤や、パッケージのモノマテリアル化、単層化推進に必要な酸素及び水蒸気バリア性、耐熱性を付与するコート剤など各種機能性コーティング剤の市場評価が国内外で進んでおります。マテリアルリサイクルでは、各種パッケージからのプラスチック再生技術の構築に向け、実証検証が可能なパイロット設備を導入し、パートナー企業の皆様と共同研究開発を進めております。建装材分野では、内装向けインキ・トップコートの耐久性を大幅に向上させた屋外用途向け製品群の開発やVOCフリー、省エネルギー化に繋がる塗装代替技術の開発に取り組んでおります。今後も、環境調和型インキ、次世代環境調和型パッケージ及び建装材の普及に貢献する機能性製品、リサイクル技術の開発を通じて、お客様とともに持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献する製品とサービスを提供し、社会に貢献してまいります。当事業に係わる研究開発費は、1,643百万円です。 (4) 印刷・情報関連事業当事業では、パッケージやラベルなどの身の回りの商品で幅広く使用されているUV硬化型インキのほか、バイオマス度が高いことを特徴とする油性オフセットインキの製品開発を通して、カーボンニュートラルをはじめとする様々な社会課題の解決に資する価値を提供しています。UVインキには瞬間硬化、VOCの非含有、紙からプラスチックまで基材対応できる幅広さという利点があることから、今後も海外市場で高い伸長が予想されます。UV印刷における世界的な大きなトレンドとして、従来のUVランプ方式と比較して消費電力が小さくランプ寿命が長いなどの特徴を有するLED-UV硬化システムが普及しつつあり、当社はLEDに対応した製品群を多数ラインナップしております。また、UVインキは被膜の堅牢性が高く傷に強い反面、基材から分離しにくい傾向があります。当社は硬質プラスチックに印刷されたUVインキを分離できる業界初となる脱墨コーティング剤を開発しました。本製品は自動販売機の商品見本シート等の、これまでリサイクルが出来なかったプラスチック製品のリサイクル化への貢献が期待されております。また、軟包装用グラビア印刷の小ロット対応のひとつとして普及が期待される電子線(EB)硬化型インキの製品開発も鋭意進めております。当事業に係わる研究開発費は、1,224百万円です。 なお、上記の4つの事業に含まれない研究開発費は、6百万円です。
FY2022|4,027 文字
5 【研究開発活動】当企業グループは、創業200周年を見据え、10年後のありたい姿を新たな長期構想として掲げ、持続的な成長を実現する企業活動のコンセプト「Scientific Innovation Chain 2027(SIC27)」を設定し、第二ステップである中期経営計画「SIC-Ⅱ」を2021年度より展開しています。すべての生活者・生命・地球環境がいきいきと共生する世界に貢献する企業グループを目指し、研究開発においては、サイエンス領域を広げて新技術を獲得し、新たな価値を創造し、お客様とともに成長、発展すべく積極的に活動を進めております。「SIC-Ⅱ」ではサステナビリティ・サイエンス、コミュニケーション・サイエンス、ライフ・サイエンスを重点開発領域として設定し、変わりつつある新たな社会ニーズに対して真に必要とされる価値を提供し続けていきます。「SIC-Ⅱ」の2年目となる2022年度は、それら重点開発領域の拡大と創出に注力し、それぞれの領域で戦略的に技術開発し、イノベーションの連鎖を起こすべく、日々取り組んでまいりました。当企業グループにおける研究開発は、各セグメントの中核事業会社研究所(先端材料研究所、ポリマー材料研究所、機能材開発研究所)、当社のR&D本部(技術開発研究所、フロンティア研究所、解析技術研究所)、生産・物流本部(生産技術研究所)及び国内外の各連結子会社の技術部門により推進しており、組織を超えた技術融合を実践しております。さらに東京工業大学との協働研究拠点を設置する等、オープンイノベーション活動を強化する事で新技術の導入を図り、持続可能でクリーンな社会の実現に向けた新素材やシステムの提供、5G・IoT社会への貢献、人々の生活を豊か・健やかにする製品やソリューション創出など、それぞれの社会ニーズに対して真に必要とされる価値を提供し、新たな事業の創出・拡大を目指すべく研究開発活動を推進しております。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、9,111百万円であり、各セグメント別の研究目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は、次のとおりです。 (1) 色材・機能材関連事業当事業では、コア技術である有機合成技術と精密分散技術を進化・融合させ、社会/市場のニーズに合った独自の新素材、分散加工製品、着色剤、インクジェットインキの製品開発を続けております。顔料及び顔料分散体事業関連では、独自の顔料合成技術を活用し、印刷インキ市場に向けて広色域化が可能な顔料の開発を進めております。また分散加工技術を応用した製品開発では塗料用途における低VOC(揮発性有機化合物)化、水性化、省エネルギーなどの社会ニーズに適合した製品開発を進めております。メディア事業関連では、生産工程での使用エネルギーを削減可能な革新製法への転換を進めております。また、液晶ディスプレイの生産工程におけるCO2削減に貢献するべく、生産工程の低温プロセス化に対応したレジストインキの開発を進めております。新規用途としては、VR、ARディスプレイ用のレジストが市場拡大に伴い伸長しました。着色事業関連では、CO2削減によるカーボンニュートラルの達成・廃プラスチック問題解決という社会課題に対する取り組みとして、電気自動車用機能性コンパウンド、リサイクル材料を使用した機能性マスターバッチ、再生可能な資源を材料とした天然材機能性コンパウンド、生分解性コンパウンド等の環境調和型製品群の開発に注力しております。脱炭素社会への貢献を果たすことで、更なる事業成長を図っていきます。機能材料事業関連では、カーボンナノチューブを用いた車載用リチウムイオン電池材料の商業生産を、米国拠点に続き、欧州ハンガリー拠点でも開始しました。益々拡大するリチウムイオン電池市場の需要に対応するため、グローバルでの供給体制・増産体制を強化していきます。インクジェットインキは、印刷市場のデジタル化やグローバルな法規制への対応を主軸とした開発を進めてまいりました。UV硬化型インクジェットインキは、近年加速する欧米の法規制に対応し、環境、安全性に優位なインキの上市に目処が立ちました。水性インクジェットインキは、フィルム包装用途にて開発を継続し、対象基材の拡大、各国食品法令対応を進め、グローバルのパッケージ印刷ニーズに対応いたしました。当事業に係わる研究開発費は、3,838百万円です。 (2) ポリマー・塗加工関連事業当事業では、重点市場を①包装・工業材市場、②エレクトロニクス市場、③メディカル・ヘルスケア市場と位置づけ、その事業の礎となるポリマー・サイエンス・テクノロジープラットフォームの拡充に取り組み、高付加価値製品や環境調和型製品の開発を続けております。 包装・工業材市場向けについては、粘着剤では、環境調和型製品のラインナップを更に拡大し、自動車の内装材に適した低臭気・低VOC粘着剤や、塗工後の養生を待たずに出荷や二次加工を行うことができるエージングレス粘着剤などを開発しました。接着剤では、ハイソリッドタイプのバイオマスラミネート接着剤や、シャンプー・リンスなどの詰替え用パウチや酸性内容物の個包装パウチなどに耐性のある無溶剤ラミネート接着剤を開発し、市場評価が進んでおります。ホットメルト(熱溶融型接着剤)では、サントリー社と共同開発した糊残りのしない飲料ペットボトル用ロールラベル向けホットメルト粘着剤が拡大しました。缶用塗料では、アサヒビール社と共同開発したビール泡立ち缶用塗料が拡大しました。 エレクトロニクス市場向けについては、中国(深圳市)に開設した技術センターと連携した技術サポートをきっかけとして、ブランドオーナーやモジュールメーカーとのつながりを強化し、新規開発案件への取り組みが始まりました。また、折りたたみ可能な携帯端末向けに機能性ハードコート剤や光学用粘着剤が採用されました。 メディカル・ヘルスケア市場については、貼付型医薬品、検査薬用のシート製品、高透湿性アクリル系粘着剤や低皮膚刺激性ウレタン系粘着剤の開発を引き続き進めております。ヘルスケア用粘着製品については海外展開も推進し、インド市場でサージカルテープ用粘着剤が採用されました。当事業に係わる研究開発費は、2,574百万円です。 (3) パッケージ関連事業当事業では、環境調和型の軟包装用グラビア、フレキソインキをはじめ、建装材用グラビアインキ、機能性インキの開発やマテリアルリサイクルのシステム構築など、持続可能な社会の実現及び新たな価値の創造に向けた開発に力を入れております。作業環境及び地球環境に配慮した水性グラビアインキでは、水性印刷普及の課題である乾燥性に対し、インキの超高濃度化と更なる浅版化による塗布量削減により、既存の標準的な印刷機でも高い生産性を確保できるフィルムラミネート用ハイソリッドグラビアインキの開発に成功しました。さらに、樹脂に再生可能な植物由来原料を活用した水性バイオマスインキも一部ラインナップに加え、国内外で実績化が進んでおります。フィルム用フレキソインキは、国内だけでなく、韓国やインドでも採用・実績化が進みました。また、CO2削減や包装材のプラスチック使用量削減、循環型社会実現に貢献できる材料やシステムの開発にも力を入れています。牛乳に含まれるタンパク質を主成分とする生分解性樹脂及び独自に開発した生分解性のあるポリ乳酸樹脂を活用したヒートシール剤とインキを開発し、食品パッケージの完全紙化を実現するための重要アイテムとして採用されました。さらには、インキの色材として化粧品メーカーで不要となった廃棄化粧品を活用するインキを開発しました。化粧品パッケージの印刷に再利用し、化粧品メーカーの持続可能な開発目標(SDGs)の取り組みに貢献するとともに、ラメ感やパール感によって独特な加飾表現を可能としています。建装材分野では、製品の長寿命化や、グラビア印刷による可飾ソリューションのさらなる普及拡大を目指し、建築物の外装など屋外用途に適した高耐久性グラビアインキ及びトップコートの開発に力を入れております。今後も、リサイクル技術、バイオマス製品をはじめ、各種の環境調和型製品やサステナブルなシステムやソリューションの開発を通じて、お客様とともにSDGsの達成に貢献する製品とサービスを提供し、社会に貢献してまいります。当事業に係わる研究開発費は、1,543百万円です。 (4) 印刷・情報関連事業当事業では、オフセット印刷用の油性インキの他、多様な印刷形式に対応したUVインキやEBインキの製品開発を通して、新たな価値を提供しております。UVインキは硬化速度が速い、VOCを含まない、紙からプラスチックまでの幅広い基材に対応するという利点があり、私たちの身の周りの印刷物に幅広く使用されています。特に、CO2排出量の削減に貢献するバイオマスインキのラインナップ増強に注力しており、紙器、ラベル、カップ、商業印刷等の多様な用途に展開しております。バイオマス度の向上にも絶えず努めており、バイオマス度20%のラベル用UVフレキソインキを上市しました。これらのバイオマスインキの多くは省エネルギーのLEDランプでも硬化するよう設計しており、電力使用量削減を通じてお客様が取り組むCO2排出削減など環境負荷低減に貢献していきます。EBインキは電子線を照射することで硬化・乾燥するインキで、無溶剤、低臭気、良好な堅牢性を特徴とし、作業環境や安全性の向上に寄与できるため、軟包装をはじめ多様な用途に展開すべく開発を進めております。当事業に係わる研究開発費は、1,149百万円です。 なお、上記の4つの事業に含まれない研究開発費は、5百万円です。
FY2021|3,758 文字
5 【研究開発活動】当企業グループは、創業200周年を見据え、10年後のありたい姿を新たな長期構想として掲げ、持続的な成長を実現する企業活動のコンセプト「Scientific Innovation Chain 2027(SIC27)」を設定し、第二ステップである中期経営計画「SIC-Ⅱ」を2021年度より展開しています。すべての生活者・生命・地球環境がいきいきと共生する世界に貢献する企業グループを目指し、研究開発においては、サイエンス領域を広げて新技術を獲得し、新たな価値を創造し、お客様とともに成長、発展すべく積極的に活動を進めております。「SIC-Ⅱ」ではサステナブル・サイエンス、コミュニケーション・サイエンス、ライフ・サイエンスを重点開発領域として設定し、変わりつつある新たな社会ニーズに対して真に必要とされる価値を提供し続けていきます。「SIC-Ⅱ」の初年度となる2021年度は、それら重点開発領域の拡大と創出に注力し、それぞれの領域で戦略的に技術開発し、イノベーションの連鎖を起こすべく、日々取り組んでまいりました。当企業グループにおける研究開発においては、素材開発力の強化と新製品・新事業の創出を加速させるため、各セグメントの中核事業会社に2~5年の中期的な研究開発を担う研究所(先端材料研究所、ポリマー材料研究所、機能材開発研究所)を新設しました。当社のR&D本部(技術開発研究所、フロンティア研究所、解析技術研究所)、生産・物流本部(生産技術研究所)では長期的な開発を担います。各研究所及び国内外の各連結子会社の技術部門では、持続可能でクリーンな社会の実現に向けた新素材やシステムの提供、5G・IoT社会への貢献、人々の生活を豊か・健やかにする製品やソリューション創出など、それぞれの社会ニーズに対して真に必要とされる価値を提供し、新たな事業の創出・拡大を目指すべく研究開発活動を推進しております。連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、8,496百万円であり、各セグメント別の研究目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は、次のとおりです。 (1) 色材・機能材関連事業当事業では、コア技術である有機合成技術と精密分散技術を融合し、市場のニーズに合った独自の新素材、分散加工製品、着色剤、インクジェットインキの製品開発を続けております。顔料及び顔料分散体事業関連では、印刷インキ市場に向けてデジタル印刷を含む各種インキの広色域化、難分散顔料の易分散化に寄与できる色材の開発を進めております。また、塗料市場に向けて顔料の高濃度かつ微細分散技術を応用した新製品開発を進めております。メディア事業関連では、液晶ディスプレイカラーフィルター用材料において原料高騰を製法革新などによるコストダウンで補うとともに、好調な市場需要により中国、台湾市場で伸長しました。独自開発した色材もハイエンド用途で採用が伸びております。また、新型ディスプレイ向け低温硬化レジストを新規開発し、量産を開始しました。着色事業関連では、光波長制御機能を持つ新素材を、フィルム包装容器製品や自動車の衝突防止システムに使用されるミリ波レーダー向けの電波吸収コンパウンドへ展開しております。また、CO2削減や廃プラスチック問題などの社会課題を解決するため、電気自動車関連製品及びリサイクル材料やバイオプラスチックを使用した製品の開発に積極的に取り組んでおります。機能材料事業関連では、カーボンナノチューブを用いた車載用リチウムイオン電池材料の供給を米国の拠点よりスタートさせるとともに、欧州でも工場の整備を進め、生産を開始しております。また、特殊無機材料、金属材料の精密分散技術を応用した新たな製品展開として、電子材料向け金属分散体の量産も開始しました。インクジェットインキでは、今期から事業を本セグメントへ移管し、これまで培ってきたインキ及び周辺材料の技術を集結し、高濃度、高演色インキの開発を加速しています。また、食品包装用水性インキについては、耐熱性・耐水性向上や、多様な基材への対応を進めており、パッケージ印刷のさまざまなニーズに対しデジタル化、水性化の提案を行うべく開発を進めております。当事業に係わる研究開発費は、3,533百万円です。 (2) ポリマー・塗加工関連事業当事業では、重点市場を①包装・工業材市場、②エレクトロニクス市場、③メディカル・ヘルスケア市場と位置づけ、その事業の礎となるポリマー・サイエンス・テクノロジープラットフォームの拡充に取り組み、高付加価値製品や環境調和型製品の開発を続けております。包装・工業材市場向けについては、粘着剤では、環境調和型製品のラインナップを更に拡大し、90%以上分解する生分解性粘着剤や、薄膜でも接着力の高い粘着剤などを開発しました。接着剤では、破断強度と伸びを両立する二液硬化型接着剤「LIOWELDTM」を開発し、市場評価が進んでおります。ホットメルト(熱溶融型接着剤)では、飲料ペットボトルに巻き付けるラベルの剥がしやすさを向上したホットメルト粘着剤を開発しました。また、トーヨーケム株式会社と東洋アドレ株式会社との合併を実施し、その技術シナジーにより温度依存性の少ないポリウレタン型反応性ホットメルト粘着剤を開発しました。缶用塗料では、前連結会計年度に新ブランドとして立ち上げたビスフェノールAを意図的に含まないBPA-NI塗料「LIONOVA TM」を上市しました。エレクトロニクス市場向けについては、スマートフォン・タブレット向けに高速通信対応の電磁波シールドフィルムの販売が好調に推移しましたうえ、次世代品の開発も進みました。センサー関連では、介護分野でセンサーシート「Fichvita®」が引き続き順調に出荷されております。また、中型自動運転バスに座席センサー、飲食店舗内にフロアセンサーをそれぞれ設置し、屋内施設における滞在人数や位置をリアルタイムに把握する実証試験を行いました。メディカル・ヘルスケア市場向けについては、貼付型医薬品、検査薬用のシート製品、ヘルスケア用の高透湿性アクリル系粘着剤や低皮膚刺激性ウレタン系粘着剤の開発を引き続き進めております。当事業に係わる研究開発費は、2,440百万円です。 (3) パッケージ関連事業当事業では、環境調和型の軟包装用グラビア、フレキソインキを始め、建装材用グラビアインキ、機能性インキの開発やマテリアルリサイクルのシステム構築など、持続可能な社会の実現及び新たな価値の創造に向けた開発に力を入れております。再生可能な植物由来原料を活用したバイオマスインキでは、フィルムラミネート用及び表刷り用、紙器用やシート段ボール用など幅広い製品をラインナップしています。特に、フィルムラミネート用グラビアインキは市場で高い評価を頂いており、CO2排出削減に貢献しております。また、水性化の障壁となっていた乾燥性の課題をブレークスルーしたハイソリッド水性グラビアインキや印刷適性に優れる水性フレキソインキを開発・上市し、国内外で実績化が進んでおります。建装材分野では、建築物の外装など屋外用途に適した高耐久性グラビアインキ及びトップコートの販売を開始しました。製品の長寿命化や、グラビア印刷による可飾ソリューションのさらなる普及拡大を目指してまいります。今後も、リサイクル技術、バイオマス製品をはじめ、各種の環境調和型製品やシステムの開発を通じて、お客様とともに持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献する製品とサービスを提供し、社会に貢献してまいります。当事業に係わる研究開発費は、1,464百万円です。 (4) 印刷・情報関連事業当事業では、持続可能な社会の実現に向けて、CO2排出量や廃棄物の削減に寄与する製品群の開発を積極的に行っております。油性インキ及びUVインキでは、脱炭素社会実現に向けてCO2排出量の削減に貢献するバイオマスインキの開発に注力しており、多様な用途に対応した製品群を上市しています。特に、バイオマス原料の活用が困難とされてきたUVインキにおいて、パッケージ、シール・ラベル、カップ、情報出版用途のバイオマスインキ製品をラインナップしています。バイオマス度の向上にも絶えず努めており、UVランプよりさらに省エネルギーなLEDランプでも硬化するバイオマス度20%のシール・ラベル用UVフレキソインキを開発し、工業化に向けた活動を進めております。また、シリコン系添加剤不使用の後加工適性に配慮したUV硬化型スクリーン印刷用バイオマスインキを開発しました。なお、バイオマス成分については、外食産業等から排出された使用済みの植物油を変性して活用するなど、食用でない植物材料にこだわることで、廃棄物の有効活用を進めております。また、抗菌、抗ウイルス加工製品へのニーズの高まりに対し、油性インキ及びUVインキに対応した抗菌ニス、抗ウイルスニスの開発と市場評価を進めております。当事業に係わる研究開発費は、1,051百万円です。 なお、上記の4つの事業に含まれない研究開発費は、5百万円です。
FY2020|3,715 文字
5 【研究開発活動】当企業グループは、創業200周年を見据え、10年後のありたい姿を新たな長期構想として掲げ、持続的な成長を実現する企業活動のコンセプト「Scientific Innovation Chain 2027(SIC27)」を設定し、それに向けた中期経営計画「SIC-Ⅰ」を2018年度より展開しています。すべての生活者・生命・地球環境がいきいきと共生する世界に貢献する企業グループを目指し、研究開発においては、サイエンス領域を広げて新技術を獲得し、新たな価値を創造し、お客様とともに成長、発展すべく積極的に活動を進めております。当企業グループの目指す事業ドメインは①サスティナブルサイエンスドメイン、②コミュニケーションサイエンスドメイン、③ライフサイエンスドメインであり、「SIC-Ⅰ」の最終年度となる2020年度は、それらのドメインを細分化した11の領域からパッケージ、メディカル、モビリティ、IoT、エネルギー、天然材料の6分野に注力し、それぞれの領域で戦略的に技術開発し、イノベーションの連鎖を起こすべく、日々取り組んでまいりました。当企業グループにおける研究開発は、当社のグループテクノロジーセンター(イノベーションラボ、マテリアルサイエンスラボ、ポリマーデザインラボ、解析技術ラボ)、生産・物流センター(プロセスイノベーションラボ)及び国内外の各連結子会社の技術部門により、5G化による人々の豊かな暮らしを支える機能性製品開発や、新たな社会ニーズである抗菌・抗ウイルス性製品といったWithコロナを意識した新製品開発など、新たな価値の創造に向けた研究開発活動を推進しております。 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、8,112百万円であり、各セグメント別の研究目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は、次のとおりです。 (1) 色材・機能材関連事業当事業では、コア技術である有機合成技術と精密分散技術を融合し、市場のニーズに合った独自の新素材、機能性分散体の製品開発を続けております。顔料及び顔料分散体事業関連では、主にデジタル印刷市場への展開を進めるために、独自の顔料表面処理及び分散技術を活用した高鮮明で分散安定性に優れた新規の色材を開発し、その製造プロセスに対応した生産設備の導入も完了しました。また、難分散素材のカーボンナノチューブを高度に分散することで、これまでにない漆黒性の発現が可能となり、「ZENBLACK®」として市場へ提案し評価が進んでおります。メディア事業関連では、顔料粒子制御と分散技術をベースにしたTV、モバイル用カラーフィルター材料が中国、台湾市場で伸長しました。さらに、独自開発した色材による拡販を目指しております。また、センサー用途においては、可視域から赤外域にかけて各種色材をラインナップし、画像センサーだけでなく、様々な用途への提案を始めております。着色事業関連では、合成技術と分散技術を融合し光波長制御機能を持つ新素材を開発し、フィルム包装容器分野へ機能性製品の展開を進めております。また、近年、プラスチックによる海洋汚染問題が深刻化している中、様々な規制に対応するべく環境対応製品の開発に注力し環境負荷低減に積極的に取り組んでおります。機能材料事業関連では、カーボンナノチューブを用いたリチウムイオン電池用の分散体製品を日本、中国、米国、欧州から供給できる体制の礎を整えました。また、電子材料向け金属分散体の開発にも成功するなど、これら特殊無機材料、金属材料の精密分散技術を応用した新たな製品を川下分野に展開し、成長市場での実績拡大を図っていきます。当事業に係わる研究開発費は、2,912百万円です。 (2) ポリマー・塗加工関連事業当事業では、重点市場を①包装・工業材市場、②エレクトロニクス市場、③メディカル・ヘルスケア市場と位置づけ、その事業の礎となるポリマー・サイエンス・テクノロジープラットフォームの拡充に取り組み、高付加価値製品や環境調和製品の開発を続けております。包装・工業材市場向けについては、粘着剤では、環境調和型製品(ハイソリッド粘着剤、バイオマス粘着剤、生分解粘着剤)の開発が進み、一部外部発表を行い国内外のお客様から多くの引き合いを頂きました。ラミネート接着剤も同様に、環境調和型製品(無溶剤接着剤、バイオマス接着剤、生分解接着剤、包材のリサイクル対応接着剤)の開発・拡販が進みました。粘接着剤分野では、トーヨーケム株式会社と東洋アドレ株式会社の合併を機に、グループ内の接着剤関連の技術を融合させながら開発をさらに強化してまいります。缶用塗料(フィニッシェス)では、環境調和型製品として、ビスフェノールAを意図的に含まないBPA-NI塗料製品群の開発を推進し、「LIONOVATM」ブランドを立ち上げました。さらに、歴史ある金属密着高加工塗料の技術を用いてEV用材料への展開を進めております。樹脂分野では、プラスチック削減に寄与する食品に直接接触可能な紙コート剤「FILLHARMO®」の拡販が進み、また国内外の規制に対応した新製品の開発も進みました。エレクトロニクス市場向けについては、スマートフォン・タブレット向けは、高速通信対応の電磁波シールドフィルムの拡販と、これにあわせて低誘電率ポリマーの開発がさらに進みました。ディスプレイ向けには次期光学用粘着剤の開発が進展し、中国での採用が本格化しました。センサー関連では、介護関連で採用されたセンサーシート「Fichvita®」が順調に出荷されております。また、自動運転・無人店舗等のトライアルで蓄積された人の行動データをリアルタイムで確認するシステムを構築しており、今後のIoT社会で応用できるセンサーシステムとして開発してまいります。メディカル・ヘルスケア市場向けについては、貼付型医薬品、検査薬用のシート製品、ヘルスケア用の粘着剤の開発を進めております。当事業に係わる研究開発費は、2,308百万円です。 (3) パッケージ関連事業当事業では、軟包装用のグラビア、フレキソインキを始め、建装材用グラビアインキ、機能性インキの開発とサービスの提供をグローバルに展開しております。また、マテリアルリサイクルの仕組みの構築に向けた開発にも力を入れています。再生可能な植物由来原料を活用したバイオマスインキでは、ラミネート用、表刷り用及び紙用のグラビアインキだけでなく、処理ポリエチレン(PE)用、紙器用やシート段ボール用のフレキソインキなど製品ラインナップを拡大しております。特にフィルムラミネート用グラビアインキは大きく伸長し、二酸化炭素排出削減に貢献しております。また、揮発性有機化合物排出削減や作業環境改善のソリューションとして、既存の印刷機でも水性化が可能なラミネート用のハイソリッド水性グラビアインキや水性フレキソインキを開発し、その実績化も国内外で進んでおります。さらに、海洋プラスチックごみ問題の解決に向けて、伊藤忠商事株式会社とも協業して2022年までに世界初となる複層フィルム包材のマテリアルリサイクル実用化を目指してまいります。また、機能性インキ分野では、高耐久性建材用トップコート剤を開発し、高い評価を頂いております。今後も、リサイクル技術、バイオマス製品を始め、各種の環境対応型製品の開発を通じて、お客様とともに持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献する製品とサービスを提供し、社会に貢献してまいります。当事業に係わる研究開発費は、1,310百万円です。 (4) 印刷・情報関連事業当事業では、枯渇性資源に依存しない持続可能な社会の実現に向けて、持続可能な開発目標(SDGs)に連動した製品群の開発・販売を積極的に行っております。油性インキでは、再生植物油などリサイクル原料や米ぬか油などの植物由来の有機資源を独自の材料変性技術と組み合わせ、バイオマス度をさらに高めた製品群を拡充し、持続可能な社会に貢献するとともに、お客様の安心・安全、生産性向上、コスト削減に貢献する製品開発を継続して進めております。UVインキにおいても、単に植物由来原料を使用するだけではなく、非可食原料やリサイクル原料を積極的に活用したシール・ラベル用途やカップ用途のバイオマス製品のラインナップを拡充させるとともに、更なる環境調和型インキの開発に注力しております。また、昨今の安心・安全・衛生に関する意識の高まりを背景に、印刷物へ衛生性を付与するUV硬化型抗菌ニスの開発・拡充も行っており、幅広い分野で高い評価を得ております。インクジェットインキでは、食品包装用水性インキの実用化に加えて熱水耐性を付与した材料開発やパッケージ印刷に適した広演色インキの開発を進めております。また、UVインキでは飲料缶や鋼板など産業印刷分野への用途拡大を行っております。当事業に係わる研究開発費は、1,572百万円です。 なお、上記の4つの事業に含まれない研究開発費は、8百万円であります。
FY2019|3,425 文字
5 【研究開発活動】当企業グループは、創業200周年を見据え、10年後のありたい姿を新たな長期構想として掲げ、持続的な成長を実現する企業活動のコンセプト「Scientific Innovation Chain 2027(SIC27)」を設定し、それに向けた中期経営計画「SIC-Ⅰ」を2018年度より展開しています。すべての生活者・生命・地球環境が、いきいきと共存・共生する世界に貢献する企業グループを目指し、研究開発においては、サイエンス領域を広げて新技術を獲得し、新たな価値を創造し、お客様とともに成長、発展すべく積極的に活動を進めております。当企業グループの目指す事業ドメインは①ライフサイエンスドメイン、②コミュニケーションサイエンスドメイン、③サスティナビリティサイエンスドメインであり、「SIC-Ⅰ」の2年目となる2019年度は、それらのドメインを細分化した11の領域からパッケージ、メディカル、モビリティ、IoT、エネルギー、天然材料の6分野に注力し、それぞれの領域で戦略的に技術開発し、イノベーションの連鎖を起こすべく、日々取り組んでまいりました。当企業グループにおける研究開発は、当社のグループテクノロジーセンター(イノベーションラボ、マテリアルサイエンスラボ、ポリマーデザインラボ、解析技術ラボ)、生産・物流センター(プロセスイノベーションラボ)及び国内外の各連結子会社の技術部門により推進しております。またパッケージのリサイクルや独自センサーシステムの事業開発・検証など、IoT、新デバイス事業開発は、グループ連携プロジェクトとして開発を推進しています。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、8,077百万円であり、各セグメント別の研究目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は、次のとおりです。 (1) 色材・機能材関連事業当事業では、色材開発で培った有機合成技術とインキケミカルのコアである分散技術を進化させて融合し、特徴ある独自の新素材や、それらを応用した高機能分散体の開発を続けております。顔料及び顔料分散体事業関連では、新しい色材の提供を目標に開発を進め、「HAYABUSA®」というユニークなプロセスを用いた色材の開発に成功し、好評を得ております。精密に設計された新しい色材は、染料のような鮮明な色特性と顔料の耐候性を両立させた特徴を有し、デジタル印刷や高機能塗料等に応用され始めています。メディア事業関連では、カラーフィルター用材料をさらに進化させた画像センサーや赤外線センサー等の材料開発を進め、IoTやAI分野での使用が始まりました。また、特定の波長のみをカットする狭帯域センサーに使用される波長制御材料も高評価を得ており、次世代エレクトロニクスデバイスへの応用が期待されています。着色事業関連では、従来の固体分散技術に、機能材料設計技術、精密分散技術を融合させて新たな製品開発に取り組み、光波長制御機能を持つプラスチック素材やシート、繊維等の用途への応用展開を進めております。また、廃プラスチック問題にいち早く取り組み、リサイクル材料を利用した環境対応製品の開発も積極的に取り組んでおります。機能材料事業関連では、リチウムイオン電池用に導電補助剤としてカーボンナノチューブを応用した新たな分散体開発に成功し、国内だけでなくグローバルに事業展開を計画しております。こうした特殊無機材料、金属材料の精密分散技術を武器に、新たな機能を付与した分散体の開発を川下製品へ応用し、成長市場への展開を進めています。当事業に係わる研究開発費は、2,899百万円です。 (2) ポリマー・塗加工関連事業当事業では、重点市場を①包装・工業材市場、②エレクトロニクス市場、③メディカル・ヘルスケア市場と位置づけ、その事業の礎となるポリマー・サイエンス・テクノロジープラットフォームの拡充に取り組み、高付加価値製品や環境調和製品の開発を続けております。包装・工業材市場向けについては、粘接着剤は、ウレタン系粘着剤・アクリル系粘着剤の技術を進化させたバイオマス粘着剤が採用されました。さらに、高バイオマス度粘着剤の開発、生分解粘着剤の開発を始めており、今後環境意識の高いお客様へ提案してまいります。ラミネート接着剤は、特に海外で環境調和型の拡販・開発が進みました。缶用塗料(フィニッシェス)では、既に海外で採用されている環境対応製品が国内でも採用されました。さらに国内外で検討が進んでおります。引き続き、環境調和型製品群の開発を進めてまいります。 エレクトロニクス市場向けについては、スマートフォン・タブレット向けは、5G用の新規電磁波シールドフィルムの拡販が伸長し、高速伝送に必要とされる独自の低誘電樹脂の開発が進みました。ディスプレイ向けには次期光学用粘着剤の開発が進展し、中国での採用も始まりました。二次電池周辺材料は、リチウムイオン電池用接着剤の拡販が進み、さらに電極用樹脂も採用されております。センサー関連では、体験型アトラクションに実績のあるセンサーシート「Fichvita®」が、介護関連で採用されました。さらに自動運転・無人店舗等へのトライアル実証実験が始まっており、今後のIoT社会で拡張できるセンサーシステムとして、開発してまいります。ヘルスケア市場向けでは、特に海外で貼付用粘着剤の開発・拡販が進みました。また、貼付型医薬品事業については、新規ジェネリック貼付薬の開発が進んでおります。当事業に係わる研究開発費は、2,122百万円です。 (3) パッケージ関連事業当事業では、軟包装用のグラビア、フレキソインキを始め、建装材用グラビアインキ、機能性インキの開発とサービスの提供をグローバルに展開しております。近年は、持続可能な開発目標(SDGs)の実現に向けた製品開発に重点を置き製品ラインナップを拡大しております。 再生可能な植物由来原料を活用したバイオマスインキでは、フィルムラミネート用、フィルム表刷用、紙器用、角袋用インキなどのラインナップを拡充してまいりました。フィルムラミネート用を中心に大きく伸長し、二酸化炭素排出削減に貢献しております。また、揮発性有機化合物排出削減や作業環境改善のソリューションとして、ラミネート用水性グラビアインキ及びラミネート用水性フレキソインキの実績化も国内外で進んでおります。さらに、プラスチックごみ汚染問題に対しては、高純度マテリアルリサイクル技術を2022年度量産化・商品化に向けてヴェオリア・ジェネッツ株式会社と開発中です。また、機能性インキ分野では、高耐久性建材用トップコート剤を開発し、高い評価を頂いております。今後も、リサイクル技術、バイオマス製品を始め、各種の環境対応型製品の開発を通じて、お客様とともにSDGsの達成に貢献する製品とサービスを提供し、社会に貢献してまいります。当事業に係わる研究開発費は、1,266百万円です。 (4) 印刷・情報関連事業当事業では、枯渇性資源に依存しない持続可能な社会の実現に向けて、持続可能な開発目標(SDGs)に連動した製品群の開発・販売を積極的に行っております。油性インキでは、再生植物油及び非食用の米ぬか油などの有機資源を当社独自の材料変性技術と組み合わせることで、従来よりもバイオマス度を高めた製品開発を実現し、持続可能な社会に貢献するとともに、お客様の安心・安全、生産性向上、コスト削減に貢献する製品開発を継続して進めております。UVインキにおいても、バイオマス製品のラインナップ拡充に注力しており、従来の紙器パッケージ用途の他、シール・ラベル用途やカップ用途の製品も開発し、環境調和型インキとして高い評価を得ております。単に植物由来原料を使用するだけではなく、非可食原料やリサイクルされた原料を積極的に活用することで、環境負荷低減に取り組んでおります。インクジェットインキでは、サイン用途向けで優れた高輝性を発現する意匠性インキを拡充し、オンデマンド印刷用途向けには、光源による色差を低減するUVインキ、高画質と実用適性を両立した食品包装用水性インキの開発を進めております。当事業に係わる研究開発費は、1,779百万円です。 なお、上記の4つの事業に含まれない研究開発費は、10百万円であります。
FY2018|2,897 文字
5 【研究開発活動】当企業グループは、創業200周年を見据え、次の10年のありたい姿を新たな長期構想として掲げ、持続的な成長を実現する企業活動のコンセプト「Scientific Innovation Chain2027(SIC27)」を設定し、それに向けた中期経営計画「SIC-Ⅰ」を2018年度より展開しています。すべての生活者・生命・地球環境がいきいきと共存・共生する世界に貢献する企業グループを目指し、研究開発においては、サイエンス領域を広げて新技術を獲得し、新たな価値を創造し、お客様とともに成長、発展すべく積極的に活動を進めております。当企業グループの目指す事業ドメインは①ライフサイエンスドメイン、②コミュニケーションサイエンスドメイン、③サスティナビリティサイエンスドメインであり、SIC27長期構想では、それらのドメインを11の領域に細分化し、それぞれの領域で戦略的に技術開発し、イノベーションの連鎖を起こすべく、日々取り組んでおります。当企業グループにおける研究開発は、当社のグループテクノロジーセンター(イノベーションラボ、マテリアルサイエンスラボ、ポリマーデザインラボ、解析技術ラボ)、生産・物流センター(プロセスイノベーションラボ)及び国内・海外の各連結子会社の技術部門により推進しております。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、81億4百万円であり、各セグメント別の研究目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は、次のとおりです。 (1) 色材・機能材関連事業当事業では、色材開発で培った素材開発技術と当企業グループのコアである分散技術をより進化させて、独自の新素材やそれらを応用した機能性分散体の開発を続けております。顔料及び顔料分散体事業関連では、世界各国の環境規制への対応、省エネルギー・廃棄物削減など環境負荷の低減を目指した環境配慮型色材の開発を進めております。さらに、カーボンナノチューブは、その漆黒性を活かした展開についても好評を得ております。メディア事業関連では、ディスプレイや画像センサーに使用されるカラーフィルター材料を中心に開発を進め、中国市場への製品展開が大きく進展しました。また、赤外線吸収材料も高評価を得ており、デバイスへの応用が期待されています。着色事業関連では、機能性ナノ粒子の分散技術を応用した製品開発に取り組み、国内外で機能性繊維用途への展開を積極的に進めております。また、電磁波吸収体向けの機能性コンパウンドや、リサイクル材料を利用した環境対応・資源有効活用の技術開発も進めております。機能材料事業関連では、リチウムイオン電池用分散体の増産を行っています。また、分散技術を無機材料に応用し、機能付与を可能とする分散液の開発を進め、電子部材・光学部材といった成長市場への展開を進めています。当事業に係わる研究開発費は、27億52百万円です。 (2) ポリマー・塗加工関連事業当事業では、事業の礎となるポリマー・サイエンス・テクノロジープラットフォームの拡充に取り組み、事業の高付加価値製品や環境調和製品の開発を続けております。スマートフォン・タブレット市場向けで高い評価を受けている導電接着シートは、大きく拡販が進みました。第5世代向けには、新規電磁波シールドフィルムが採用され、樹脂や接着シート、電波吸収シートの開発も進みました。粘接着剤は、ウレタン系粘着剤・アクリル系粘着剤の技術をさらに強化し、光学用粘着剤の開発が大きく進展しました。ラミネート接着剤は、特に環境調和型接着剤の拡販・開発が進みました。電池周辺材料は、太陽電池バックシート用のほか、リチウムイオン電池用接着剤や、電極用樹脂の拡販・開発が進みました。機能性コーティング剤の缶用塗料では、環境性能を有する新製品群が、海外市場で実績が拡大しました。引き続き、環境調和型塗料の開発を進めてまいります。ヘルスケア関連では、国内・海外で貼付用粘着剤の拡販が進みました。また、貼付型医薬品事業については、新規ジェネリック貼付薬の開発が順調に進んでおります。また、新たに開発したセンサーシート「Fichvita」が体験型アトラクションに採用されました。今後のIoT社会で拡張できるセンサーシステムとして、開発してまいります。当事業に係わる研究開発費は、21億17百万円です。 (3) パッケージ関連事業当事業では、軟包装用のグラビア、フレキソインキを始め建装材用グラビアインキ、機能性インキの開発とサービスの提供をグローバルに展開しております。近年は、持続可能な開発目標の実現に向けた技術開発に重点を置き製品ラインナップを拡大しております。 軟包装用インキにおいては、非食用天然物由来原料を使用した汎用ラミネートインキを開発し、二酸化炭素排出削減に貢献しております。さらに、ラミネート用水性グラビアインキ及びラミネート用水性フレキソインキを開発し、揮発性有機化合物(VOC)排出削減のソリューションとして国内外で実績化が進んでおります。また、プラスチックごみ汚染問題に対して、樹脂合成技術、分散技術を核としてリサイクルしやすい包材設計を推進する技術開発を行っております。一方、機能性インキ分野では、高耐久性建材用トップコート剤を開発し、高い評価を頂いております。また、導電性インキの開発も進めております。今後も、石化原料使用の削減、VOC排出削減、3R推進技術を進化させ、お客様とともに持続可能な開発目標の達成に貢献する製品とサービスを提供してまいります。 当事業に関わる研究開発費は、13億8百万円です。 (4) 印刷・情報関連事業当事業では、枯渇性資源に依存しない持続可能な社会の実現に向けて、脱石化天然物を使用した製品開発及び省エネルギー・省資源化のインキ開発・販売を積極的に行っております。 油性インキでは、再生植物油及び非食用の米ぬか油を使用したノンVOCインキ及び乾燥時のガス代削減可能な超低温乾燥オフ輪インキの開発など持続可能な社会に貢献するとともに、お客様の生産性向上、コスト削減に貢献する製品開発を継続して進めております。UVインキでは、高い硬化性が得られる新型高感度インキを開発し、印刷工程時間短縮及び電気代削減を図ることで高い評価を得ています。また、再生可能な植物由来の有機資源で化石資源を削減したバイオマス製品として、新たに紙器パッケージ用UVインキを上市し、環境・安全性に配慮した製品のラインアップ拡充を図りました。インクジェットインキでは、サイン用途向けに意匠性を追求した高輝性インキ、LED硬化性型のインクジェット加飾ニスを拡充し、オンデマンド印刷用途向けには、一般コート紙への高速印刷が可能な水性インキ、色再現域を向上させたローマイグレーションUVインキ、後加工性に優れた食品包装用水性インキの開発を進めております。当事業に係わる研究開発費は、19億16百万円です。 なお、上記の4つの事業に含まれない研究開発費は、9百万円であります。
FY2017|3,638 文字
6 【研究開発活動】当企業グループは、強固な基盤技術をベースに新分野への応用展開やより付加価値の高い製品群の拡大に繋がる新規技術の開発を積極的に推し進めています。また、こうした技術・製品開発を通じて、当企業グループの目指す3つの事業ドメインとその重点分野である①ライフサイエンスドメイン:パッケージ分野・ヘルスケア分野、②コミュニケーションサイエンスドメイン:エレクトロニクス分野・ファインイメージング分野、③サスティナビリティサイエンスドメイン:環境調和分野、エネルギー関連分野に対してお客様が求める製品を提供し、世界の人々の豊かな生活や持続可能な社会の実現に貢献しようと日々取り組んでおります。当企業グループにおける研究開発は、当社のグループテクノロジーセンター(イノベーションラボ、マテリアルサイエンスラボ、ポリマーデザインラボ、解析技術ラボ)、生産・物流本部(プロセスイノベーション研究所)、及び国内・海外の各連結子会社の技術部門により推進しております。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、73億90百万円であり、各セグメント別の研究目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は、次のとおりです。 (1) 色材・機能材関連事業当事業では、インキ化学における材料設計、合成技術、粒子制御技術、精密分散技術などのコア技術をさらに進化させ、次世代に向けた新素材や先端部材の開発に挑戦し続けています。顔料・顔料分散体事業では、高付加価値製品開発に注力して顔料事業の再構築を進めています。新規開発では、顔料の微粒子化制御と表面処理技術を進化させ、これまでにない高透明性・高彩度を実現するHAYABUSAプロセスを応用した新規色材の提案を始めました。自動車塗料等、高意匠性塗料製品への展開でお客様の好評を得ております。メディア関連事業では新規の4K、8Kといった高精細LCDパネルやOLEDパネルに使用されるカラーフィルター材料開発を進めるとともに、次世代の高彩度ディスプレー用の色材開発もほぼ完了しました。さらにカラーフィルターで培った技術をさらに進化させ、各種センサー材料開発としてIoTやAIの技術領域で使用される部材開発に注力するプロジェクトをスタートさせました。これまでのカラーフィルターのような可視領域の光の制御だけでなく、赤外線や紫外線といった領域の光制御を目的に新素材の開発からデバイス設計までを考えております。着色剤事業関連では、PET系容器用マスターバッチ(MB)の個別要求性能への迅速な開発対応と、太陽電池用MB改良製品が好評を得ています。またポリマーアロイを応用した意匠性MB、精密電子材料搬送用のカーボンナノチューブ(CNT)コンパウンド等の新製品の実績化が進みました。さらにお客様の声を聞きながら改良を進めている「リキッドカラーシステム」も市場へ紹介できる予定です。機能材料事業関連では、リチウムイオン二次電池用分散体について、巨大市場となる中国向けの展開も進めております。また電池性能向上に向けた提案としてCNT分散体の開発を合わせて進めており電池メーカーより好評を得ております。独自に開発したCNTでは、これまでにない「黒さ」を特徴とする「高漆黒塗料・インキ」を提案し紹介を始めました。さらに色材合成技術を応用した「近赤外吸収剤(オプトリオン)」シリーズでは、インキ、塗料だけでなくフィルム、シートへの応用やプラスチック溶着など、幅広い分野への応用を積極的に考えております。当事業に係わる研究開発費は、28億10百万円です。 (2) ポリマー・塗加工関連事業当事業では、塗加工材料・粘着剤・接着剤・ホットメルト・機能性コーティング剤等の事業の礎となるポリマー・サイエンス・テクノロジープラットフォームの拡充に取り組み、高付加価値製品や環境調和製品の開発を通して、豊かな暮らしと持続可能な社会に貢献してゆきます。スマートフォン・タブレット市場向け機能性フィルムは、独自のポリマー技術と分散技術を駆使した導電材を用いた導電性接着シートが市場の高い評価を受け、拡販が進みました。今後もデバイスの高速通信やコストダウンに繋がる新製品を開発・提案してまいります。粘接着剤は、独自のウレタン系粘着剤・アクリル系粘着剤の技術を使い、国内・海外のお客様に対し光学用粘着剤の実績が拡大しました。また光学用UV接着剤は製品拡充を図る事ができました。ラミネート接着剤については国内・海外での拡販が進み、さらに環境調和型の無溶剤系接着剤の開発を重点化してまいります。電池周辺材料は、太陽電池バックシート用接着剤のほか、今期は特にリチウムイオン二次電池パッケージ用接着剤や、セパレーター・電極用樹脂の開発が進みました。機能性コーティング剤の製缶用塗料(フィニッシェス)では、先端的な環境性能を有する新製品群が完成し、国内・海外への市場展開で実績化を推進中です。ヘルスケア関連では、海外で貼付用粘着剤の拡販が進み、日本でも貼付用粘着剤の新規案件の採用が決まりました。また次期開発品である肌に優しい高透湿粘着剤の開発が進んでおります。 一方、昨年に買収した貼付薬の開発については、獲得した技術と、当企業グループのポリマー・塗加工技術を融合させ、国内・海外の貼付薬開発を進めております。 当事業に係わる研究開発費は、17億86百万円です。 (3) パッケージ関連事業当事業は、持続可能社会及び低炭素化社会への貢献に向け、環境調和型製品群の開発に取り組むとともに、成長を続ける世界のパッケージ市場に向け、日本で培った技術に裏打ちされた製品とサービスを提供しております。当社は、ラミネート用水性グラビアインキ「アクワエコール」を始めとする環境調和型製品をいち早く開発し、国内のお客様から高い評価を頂いておりました。近年、中国・東南アジア諸国における規制強化の動きや環境意識の高まりに合わせ海外にも同製品を展開しております。また、北米におけるレトルト製品市場の拡大を睨みノントルエン・ノンMEK型ラミネートインキ「リオアルファ-US」を開発し展開し始めました。欧州市場では、DoneckEuroflex S.A社と生産・販売ライセンス許諾契約を締結し、水性フレキソインキ「アクワリオナ」及びEBキュア型フレキソインキを欧州のラミネート包材市場に展開してまいります。国内市場においては、非食用天然物由来原料を利用したラミネートインキ「LPバイオ」を開発し、カーボンニュートラルの視点からお客様のCO2排出量削減策の一助となるようご提案しております。さらに、東洋モートン株式会社のラミネート接着剤、東洋アドレ株式会社のホットメルト接着剤、東洋FPP株式会社の製版技術との組み合わせにより、お客様の様々なプロセスに対応できる多様なトータルソリューション提案を積極的に進めてまいります。当事業に係わる研究開発費は、9億51百万円です。 (4) 印刷・情報関連事業当事業では、「脱石化素材によるVOC削減」、「非食用天然原料や再生植物油の使用による循環型社会への貢献」、「原料調達・生産過程でのCO2排出量の大幅な削減」など、環境対応にも配慮したインキ製品の開発・販売を積極的に行っております。オフセットインキでは、100%国産米ぬか油を使用したノンVOCインキ「TOYO KING NEX NVライスシリーズ」、乾燥温度を下げる事でエネルギー消費量を削減(ガス消費量削減)できる超低温乾燥オフ輪インキ「WEB DRY レオエックス LTDシリーズ」の開発など、お客様の生産性向上、コスト削減に貢献する製品開発を継続して進めております。UVインキは、より省電力で硬化する新型高感度UV・LEDインキ「FLASH DRY LPC/LEDシリーズ」を上市し、従来品からの特徴である瞬間硬化による短納期化やノンVOCに加え、油性インキ同等の印刷適性・色相により市場にて高い評価を得ています。また、美粧性の向上や耐指紋性・剥離性を具備するなどの高付加価値機能が表現出来るコートニス、シール・ラベル用フレキソインキ、さらに、スイス条例など各種規制に対応し、より安全安心に配慮した食品包装用ローマイグレーションインキ開発など、多様な市場ニーズに対応するラインナップ拡充を図っております。インクジェットインキでは、サイン用途向けの低臭溶剤系インキ、LED硬化型UVインキ、さらには水性インキといった環境対応製品の拡充を図り、プリント・オン・デマンド用途では高速印刷を実現する高演色水性インキや、ローマイグレーションUVインキ、さらには食品包装用水性インキの開発を進めております。当事業に係わる研究開発費は、18億22百万円です。 なお、上記の4つの事業に含まれない研究開発費は、19百万円であります。
FY2016|3,869 文字
6 【研究開発活動】当企業グループは、独自性を有する新規技術の開発とコア技術の更なる進化を柱として、当社の二大素材である顔料と樹脂の設計・合成に係わる要素技術と、分散・印刷・塗加工に係わる要素技術とを融合させることで、3つの事業ドメインとその重点分野(①ライフサイエンスドメイン:パッケージ分野・ヘルスケア分野、②コミュニケーションサイエンスドメイン:エレクトロニクス分野・ファインイメージング分野、③サスティナビリティサイエンスドメイン:環境調和分野、エネルギー関連分野)に向けて、新規材料及び製品の開発から生産技術の開発に至るまで、多彩な生活文化の創造と持続可能な社会の実現を目指して、積極的な研究開発活動を行っております。当企業グループにおける研究開発は、当社のグループテクノロジーセンター(イノベーションラボ、マテリアルサイエンスラボ、ポリマーデザインラボ、解析技術ラボ)、生産・物流本部(プロセスイノベーション研究所)、及び国内外の各連結子会社の技術部門により推進しております。研究開発スタッフは、グループ全体で約600名です。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、74億34百万円であり、各セグメント別の研究目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は、次のとおりです。 (1) 色材・機能材関連事業当事業では、これまで培ってきたコア技術である合成技術、微粒子制御技術、分散技術を駆使し、さらに先端技術へのイノベーションに挑戦することで、新たな独自製品により多様・多彩な生活文化に貢献してゆきます。カラーフィルター用材料では、従来まで市場で好評を頂いている高機能顔料群をさらに充実すべく、省電力及び高画質に寄与することを目的とし、独自設計による新規グリーン色材の開発に成功し、工業化段階に入りました。今後、市場展開を進めていく予定です。さらにモバイル・ウェアラブル端末及び高品位テレビなど多様化するパネル表示方式及びニーズに対応すべく、各種パネル方式に対応した製品群の充実を目指しております。また、今後市場拡大が期待される中国市場向けの製品開発を強化しました。一方、顔料及び分散体生産のプロセス革新にも取り組んでおり、省エネ、環境負荷低減への寄与と、高機能分野への展開を視野に入れた生産工場への改革を進めてゆきます。分散体技術の応用展開である機能性分散体製品群としては、リチウムイオン二次電池用分散体「LIOACCUMワンショットワニス」がトヨタ自動車株式会社のハイブリッド車「新型プリウス」に採用され、工場での生産が本格的に立ち上がりました。海外展開についても積極的に取り組んでおり、LIOACCUMシリーズの更なる事業拡大を進めてゆきます。カーボンナノチューブ及びその分散加工製品に関しては、カーボンナノチューブの各種特性を活かしたアプリケーション開発を推進しております。なかでも、カーボンブラックを超える高漆黒性に着目し、専用グレードのカーボンナノチューブを設定いたしました。また、その分散体の市場展開を開始しております。プラスチック着色剤に関しては、カーボンナノチューブを導電性及び色材としての特性を活かした、導電性樹脂成形材料、高漆黒マスターバッチを開発し、サンプルワークを開始しております。各種の樹脂に対応した提案を進めてまいります。当事業に係わる研究開発費は、30億3百万円です。 (2) ポリマー・塗加工関連事業当事業では、塗加工材料・粘着剤・接着剤・ホットメルト・機能性コーティング剤等の事業の礎となるポリマー・サイエンス・テクノロジープラットフォームの拡充に取り組み、高付加価値製品/環境調和製品の開発を通して、豊かな暮らしと持続可能な社会に貢献してゆきます。 スマートフォン・タブレット市場向け機能性フィルムは、独自のポリマー技術と分散技術を駆使した導電材を用いた機能性フィルム製品群が市場の高い評価を受けており、特にデバイスの構造変化に関わる新製品を開発・提案しております。さらに、耐熱粘着シートや研磨パッド用両面テープ等幅広い分野に向けた製品群を開発しております。粘接着剤は、特に海外での事業進展に伴い、環境調和かつお客様のコストダウンに寄与できる高固形分粘着剤の実績が拡大し、さらに独自の一液化高固形分粘着剤を開発いたしました。また、国内では光学用UV接着剤の製品拡充を図るとともに、ヘルスケア用粘着剤の製品開発も進めてまいりました。このように国内外でお客様のニーズを的確に捉えた製品を拡充いたしました。なお、2016年4月に積水メディカル株式会社から貼付型医薬品事業を取得しております。当事業が開発してきたポリマー・サイエンスのテクノロジープラットフォームから生まれる樹脂との相乗効果で、貼付型医薬品新製品の開発を加速させてまいります。電池周辺材料は、「発電効率向上」「長寿命化」「コストダウン」を目標に開発を進め、太陽電池バックシート用接着剤のほか、密着向上プライマーの開発が拡充するとともに、リチウムイオン二次電池パッケージ用接着剤や、セパレーター・電極用樹脂の開発が進みました。製缶用塗料「Finishes」では、先端的な環境性能を有する新製品の拡販が始まるとともに、海外のニーズを捉えたローグレード/ミドルグレード製品の新製品群が完成し、国内・海外への市場展開で実績化を推進中です。当事業に係わる研究開発費は16億25百万円です。 (3) パッケージ関連事業当事業では、世界に広がる生活文化創造企業として、持続可能社会及び炭素化社会の実現に向け、省材・省エネルギーやVOC・CO2排出削減に繋がる環境調和型製品群の開発に取り組んでおります。グラビアインキでは、ノントルエン・ノンMEK型ラミネートインキ「リオアルファS」、特にグローバルマーケットにおいては「MULTISTAR」がお客様より高いご評価を頂いております。また、ラミネート分野ではVOC排出量削減対策として無溶剤型接着剤を用いたラミネート方式が国内外で増加しておりますが、当社では無溶剤型ラミネート加工適性を大幅に向上したインキを新たにラインナップしました。高難易度構成とされてきたセミバリア構成(PET/インキ/接着剤/VMCPP、OPP/インキ/接着剤/VMCPP)においても良好なラミネート外観が得られることが特徴です。無溶剤ラミネート方式で対応できる用途の拡大により、ラミネート加工の高速化、外観不良によるロスの低減へ貢献致します。さらには東洋モートン社製のノンソル接着剤と併せて使用することで、より良好なラミネート外観が得られます。また、独自の樹脂合成技術により開発した水性グラビアインキ「アクワエコール」は国内のお客様で高い評価を頂いておりますが、グローバル市場、特にVOC排出規制が強化される中国市場への展開も行っております。フレキソインキでは500m/分の高速印刷適性を有する水性ラミネートインキ、安全性と操作性に優れたEBフレキソインキなどVOC削減に繋がる環境調和型製品の開発を継続して進めております。さらには、東洋アドレ株式会社のホットメルト接着剤や東洋FPP株式会社の製版技術とも組み合わせ、お客様の様々なプロセスに対応できる多様なトータルソリューション提案を積極的に進めてまいります。当事業に係わる研究開発費は、9億55百万円です。 (4) 印刷・情報関連事業当事業では、お客様であります印刷会社にとっての生産性や品質の向上に繋がる事はもちろん、製造工程や原材料においても「脱石化素材によるVOC削減」、「非食用天然原料や再生植物油の使用による循環型社会への貢献」、「原料調達・生産過程でのCO2排出量の大幅な削減」など、環境対応にも配慮したインキ製品をラインナップしています。オフセットインキでは、業界初の溶剤型インキ性能を有するノンVOCインキ「TOYO KING NEX NV100シリーズ 」、パウダー不要で棒積み可能な「TOYO KING NEX PLシリーズ」の開発、乾燥温度を下げられる事でガス代が削減でき、かつ火皺・背割れを抑制できる低温乾燥オフ輪インキの開発など、お客様の生産性向上、コスト削減と共に持続可能社会の実現に向けた製品開発を継続して進めております。 UVインキは、より省電力で硬化する高感度UV・LEDインキが、その特徴である瞬間硬化による短納期化や無溶剤、パウダーレス、諸耐性(耐摩擦性、耐熱性、耐溶剤性等)を生かし大きく伸長しております。また、美粧性の向上や耐指紋性を具備するなどの高付加価値機能が表現できるコートニス、シール・ラベル用フレキソインキ、さらに、スイス条例など各種規制に対応し、より安全安心に配慮した食品包装用インキ開発など、多様な市場ニーズに対応するラインナップ拡充を行い、グローバル市場への展開も行っております。インクジェットインキでは、屋外広告サイン向けの低臭気溶剤系インキ、LED硬化型UVインキ、さらには水性インキといった環境対応製品の拡充を図り、プリント・オン・デマンド(POD)用途では高速印刷を実現する水性インキや、ローマイグレーションUVインキの開発を進め、ライフサイエンス市場への拡張を進めております。当事業に係わる研究開発費は、18億35百万円です。 なお、上記の4つの事業に含まれない研究開発費は、15百万円であります。