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artience(4634)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

化学 素材・化学

事業の概要

  • 多角的な化学素材事業:アーティエンスは、色材・機能材、ポリマー・塗加工、パッケージ、印刷・情報関連の4つの主要事業を展開しています。有機顔料やインクジェット材料から、缶用塗料、接着剤、グラビアインキ、オフセットインキまで、幅広い化学製品を製造・販売しており、多様な産業に貢献することで収益を上げています。
  • グローバルな事業展開:国内だけでなく、アジア、欧州、米州など世界各地に連結子会社56社、持分法適用関連会社5社を展開し、グローバルに事業を推進しています。これにより、特定の地域や市場に依存することなく、世界中の需要を取り込み、安定した収益基盤を構築しています。
  • 一貫生産体制と販売網:原材料の顔料や樹脂から最終製品までを一貫して生産できる体制を強みとしています。また、グループ会社を通じて各種製品の販売も行っており、製造から販売までを自社グループ内で完結させることで、品質管理の徹底と効率的なビジネスモデルを実現しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 色材・機能材関連事業:有機顔料、加工顔料、プラスチック用着色剤、カラーフィルター用材料、インクジェット材料、リチウムイオン電池材料などを製造・販売しています。このセグメントは売上高820.62億円、営業利益22.54億円を計上しており、国内外のトーヨーカラーなどが主要会社です。
  • ポリマー・塗加工関連事業:缶用塗料、樹脂、接着剤、粘着剤、塗工材料、天然材料、メディカル製品などを手掛けています。売上高900.6億円、営業利益82.92億円と、最も高い営業利益を上げており、トーヨーケム、東洋モートンなどが国内外で事業を展開しています。
  • パッケージ関連事業:グラビアインキ、フレキソインキ、グラビアシリンダー製版などを提供しています。売上高917.51億円、営業利益54.64億円と、売上高では最大のセグメントであり、東洋インキなどが国内外で事業を推進しています。
2025-12 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
ColorantsAndFunctionalMaterialsRelatedBusiness 地域 821 23 2.7%
PolymersAndCoatingsRelatedBusiness 地域 901 83 9.2%
PackagingMaterialsRelatedBusiness 地域 918 55 6.0%
PrintingAndInformationRelatedBusiness 地域 810 45 5.6%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2025|993 文字
3 【事業の内容】当企業グループは当社、連結子会社56社及び持分法適用関連会社5社により構成されております。当企業グループが営んでいる事業内容は、次のとおりであります。 区分主要な事業の内容主要な会社色材・機能材関連事業有機顔料、加工顔料、プラスチック用着色剤、カラーフィルター用材料、インクジェット材料、リチウムイオン電池材料 等国内トーヨーカラー、東洋ビジュアルソリューションズ 海外Toyo Ink Compounds Vietnam、珠海東洋色材、台湾東洋先端科技、Toyo Ink Europe Specialty Chemicals、LioChem、LioChem e-Materials、韓一東洋 他ポリマー・塗加工関連事業缶用塗料、樹脂、接着剤、粘着剤、塗工材料、天然材料、メディカル製品 等国内トーヨーケム、東洋モートン 他海外Toyo Ink (Thailand)、上海東洋油墨制造、三永インキペイント製造、東洋インキ韓国 他パッケージ関連事業グラビアインキ、フレキソインキ、グラビアシリンダー製版 等国内東洋インキ 他海外Toyochem Specialty Chemical、Toyo Ink Indonesia、Toyo Ink Vietnam、江門東洋油墨、Toyo Printing Inks 他印刷・情報関連事業オフセットインキ、金属インキ、印刷機械、印刷機器、プリプレスシステム、印刷材料 等国内東洋インキ、マツイカガク海外Toyo Ink India、天津東洋油墨、Toyo Ink Europe、Toyo Ink America、Toyo Ink Brasil 他その他の事業原料販売、役務提供、不動産の賃貸管理、子会社の持株会社 等国内当社、東洋ビーネット 他海外TIPPS、東洋油墨極東、Toyo Ink International 他販売業各種当企業グループ取扱製品の販売海外東洋油墨亞洲、深圳東洋油墨 他 また、当企業グループとその他の関係会社の子会社であるTOPPAN株式会社との間で製商品等の取引が行われております。当社は特定上場会社等であります。特定上場会社等に該当することにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することになります。 事業の系統図は次のとおりであります。(事業系統図)

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
主原料の石油化学製品の仕入価格上昇を販売価格に転嫁するのに時間を要するため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
有機顔料の合成技術、分散技術、CNT分散体生産技術、環境調和型製品の開発力。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 成長投資
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 中程度
会社が挙げる主要リスク:海外活動に潜在するリスク / システム障害、サイバー攻撃による情報セキュリティ侵害に関するリスク / 製品の品質・物流に関するリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 5 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

財務サマリに時系列データが未収録であり、ブランド、特許、規制ライセンス、独占的IPに関する具体的な情報が得られないため、無形資産による競争優位性は現時点では評価できません。

スイッチングコスト★☆☆☆☆
根拠:弱い乗り換えの手間・コスト

化学製品は用途によって顧客の切り替えコストが変動する可能性がありますが、artienceの具体的な製品ラインナップや顧客基盤に関する情報が不足しているため、スイッチング・コストによる優位性は限定的と考えられます。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

artienceの事業内容において、ネットワーク効果が競争優位性につながる要素は見当たりません。ユーザー数の増加が製品やサービスの価値を高めるビジネスモデルではないと判断されます。

コスト優位★★☆☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

化学業界は一般的に規模の経済や効率的な生産プロセスがコスト競争力に影響しますが、artienceの具体的なコスト構造や生産効率に関する詳細データがないため、現時点でのコスト優位性は明確に評価できません。

規模の経済★★☆☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

化学業界は一定の規模が必要ですが、artienceの市場シェアや業界内でのポジショニングに関する情報が不足しており、効率規模による競争優位性の程度を判断するには情報が不十分です。

  • 多様な技術と製品群:有機顔料の合成技術やインキ・塗料で培った分散技術を基盤に、液晶ディスプレイ材料、リチウムイオン電池材料、環境調和型製品など、幅広い高機能製品を開発・提供しています。これにより、顧客の多様なニーズに応え、競合に対する優位性を確立しています。
  • グローバルな生産・販売網:世界中に広がる連結子会社と関連会社により、各地域の市場特性に合わせた製品供給と販売が可能です。これにより、特定の市場変動リスクを分散し、安定的な事業運営を可能にするとともに、新たな市場機会を捉えやすくなっています。
  • 環境対応への注力:廃プラスチック問題や環境規制の高まりに対応するため、リサイクル対応製品、生分解性製品、バイオマス製品、水性インキなどの環境調和型製品の開発に注力しています。これにより、持続可能な社会への貢献と同時に、環境意識の高い顧客からの支持を得て、競争力を高めています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当企業グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針当企業グループは、2024年より、商号・理念体系を新たにしました。新商号artience(読み方:アーティエンス、英語表記artience Co., Ltd.)は、「art」と「science」を融合した言葉です。artは色彩をはじめとした五感や心への刺激に加え、リベラルアーツの観点、scienceは技術や素材、合理性を表現しています。新たな理念体系は、経営の基本的な考え方となるCorporate Philosophy(経営哲学)「人間尊重の経営」、ステークホルダーへの約束となるBrand Promise & Slogan(ブランドプロミス&スローガン)「感性に響く価値を創り出し、心豊かな未来に挑む」「Empowering Feeling」、社員の活動の拠り所となるOur Principles(行動指針)から構成されています。この理念体系の中で、持続的に輝き続ける未来のために人々が心豊かに暮らすことのできる社会を実現したいという「存在理由」、さまざまな技術や発想をつなぎ社会が抱える課題を解決に導くために、自社だけではなくパートナーと協業しその力を組み合わせることで人々の心を充たす美しさ・快さ・安心を届けるという「私たちの役割」を明確にし、我々が今後世界に提供していくべき価値を「感性に響く価値」と定義いたしました。当企業グループは新たな理念体系のもと、強みとすべくartとscienceを融合し磨き上げ、目で見えること、触れて感じること、あるいは製品の品質を通じて感じることなど、人々の感性に響く価値を創り出し、心豊かな未来の実現に貢献してまいります。 (2) 目標とする経営指標前中期経営計画においては、コロナ禍や急速な原材料高騰、ウクライナ紛争の長期化など大きな環境変化のなか、LiB用CNT分散体の事業の立上げなど今後の成長に向けた取り組みが進捗した一方で、既存事業の収益力やキャッシュフローなど業績・経営基盤には課題が残る結果となりました。この様な状況下、社会から求められる価値の変化に対応し、「感性に響く価値」を提供し、心豊かで持続可能な社会に貢献する会社となるべく、artience株式会社と商号を変更するとともに、その目指す姿の実現に向けて新しい中期経営計画を策定しております。当企業グループが成長の軌道に乗り、市場での存在感を発揮していくために、“GROWTH”を柱に、強い覚悟を持って変革を進めてまいります。当企業グループは2029年12月期にROE10.0%以上を目標として掲げ、その過程として2026年12月期にROE8.0%以上を目標とします。2026年12月期の売上高は3,600億円、営業利益は230億円を計数目標としております。マテリアリティとしては、事業ポートフォリオの変革、資本効率とキャッシュフローの最大化、そして企業基盤構築とサステナビリティ経営実践を掲げております。 (3) 中長期的な経営戦略artienceとしての新たな理念体系のもと、変革を実践していく計画として、2030年をゴールとした経営計画artience2027/2030“GROWTH”を策定しております。本期間を通じて、「事業ポートフォリオの変革」「資本効率とキャッシュフローの最大化」「企業基盤構築とサステナビリティ経営」に取り組んでおります。2024年からの3年間をartience2027(2024年~2026年)とし、3つの基本方針「高収益既存事業群への変革」、「戦略的重点事業群の創出」、「経営基盤の変革」に基づき、変革へ向けた取組みを進めております。「高収益既存事業群への変革」では、当企業グループの既存事業を、成長事業、収益基盤事業、構造改革・戦略再構築事業に分類し、それぞれの位置付けに応じた戦略を推進することで事業ポートフォリオの変革を進めてまいります。成長事業の拡大へ集中する一方、収益基盤事業の効率性・生産性の向上を通じた収益力の強化を図ります。また、構造改革・戦略再構築事業については、大胆な施策による構造改革の断行や、成長軌道を描くことが可能な事業については、新たな戦略を策定し、変革を実行してまいります。「戦略的重点事業群の創出」では、リチウムイオン電池用材料、ラミネート接着剤をはじめとするモビリティ・バッテリー分野と、液晶ディスプレイ用カラーレジストや光学用粘着剤、イメージセンサー用材料を含む半導体関連材料などのディスプレイ・先端エレクトロニクス分野の2つの領域にグループの資源を集中し、新たな収益の柱となる事業群を創出してまいります。また、2030年以降を見据え、環境・バイオ・エネルギーを次世代事業と位置付け、事業の領域拡大や創出へ向けた取り組みを進めてまいります。「経営基盤の変革」では、ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点を基本とした経営資源の強化に取り組みます。その中でも、変革の起点と考える人的資本の強化や風土の醸成、資本コストを意識した経営のための基盤強化へ特に注力してまいります。また、DXの推進においては、AIの実践展開とともに情報セキュリティの強化を進めてまいります。さらに、環境課題を始めとした社会的責任への対応を進め、目指す姿の実現を支える経営基盤の変革を進めてまいります。 (4) 対処すべき課題新中期経営計画「artience2027」の3年目となる次期連結会計年度では、各事業を以下の通り推進してまいります。色材・機能材関連事業では、液晶ディスプレイカラーフィルター用材料は、中国現地企業との合弁会社により確立した生産体制を起点に、市場ニーズへの対応力を高め、シェア向上へ取り組んでまいります。光半導体材料は、堅調な拡大基調を継続するとともに、当該事業において蓄積した知見を基に、次世代技術の開発や当社グループ内の関連材料との連携による用途展開を進めてまいります。車載用リチウムイオン電池材料は、事業環境を見据えて柔軟な対応を図ることで適切な生産体制を維持しつつ、中国大手向けの本格生産、ハンガリーでの新規顧客への供給など、着実に実績を積み上げてまいります。また、負極用やLFMP用の導電助剤への展開に加え、車載以外にもESS用への検討など、製品構成拡大により収益機会の多様化を進めます。並行して、全固体電池など次世代技術の開発も推進してまいります。ポリマー・塗加工関連事業では、粘接着剤において、顧客ニーズをとらえた新製品の開発や生産革新を進め、収益力の向上に取り組んでまいります。特に、ディスプレイ用光学粘着剤は、生産能力の増強やサプライチェーンの最適化により、さらなる事業の拡大を図ってまいります。缶用塗料は、グローバルの拠点間ネットワークを強化してシナジー創出を加速してまいります。先端エレクトロニクス関連材料は、実績化が進む半導体関連製品を着実に拡大させるとともに、市場の要求をとらえた機能製品群の拡張を図ってまいります。パッケージ関連事業では、海外市場の成長取り込みと、国内市場での収益基盤の強化を進めてまいります。トルコで稼働させた新工場を地域の中核拠点とし、リキッドインキに加え、ラミネート接着剤についても事業の拡大を進めます。インドでは、市場成長を着実に取り込むとともに、生産能力増強へ向けた投資を進めてまいります。中国では、複数拠点の生産・販売・技術の新体制のもと事業の成長を加速させてまいります。国内市場では、省人化、自動化による効率化投資により収益基盤の強化を図ってまいります。また、環境対応製品群の開発や拡充を進め、顧客ニーズを先取りしたマーケティング活動を進めてまいります。印刷・情報関連事業では、海外での機能性インキ(UVインキ、金属インキ、スクリーンインキ)の拡販を進めてまいります。特にUVインキについては、当社独自素材による差別化製品のグローバル展開や、省エネニーズをとらえたUV及びLEDインキの拡販に取り組みます。加えて、高級紙器向けの機能性コーティング剤のさらなる拡大を進めてまいります。また、国内の情報系印刷市場の縮小は今後も継続する前提のもと、共同物流の拡大なども含めた更なる効率化を進めてまいります。このような事業活動に加え、持続可能な経営の実践につながる経営基盤の強化を進めてまいります。特に、根幹となる人的資本については、グローバルでの事業戦略に連動した人材の確保・育成や生産性向上につながる諸施策を進め、更なる強化を図ってまいります。DE&Iの推進やビジネスアイデアコンテストの実施など、エンゲージメント向上や挑戦する風土の醸成を図ってまいります。一方、ROIC等の指標に基づいた成長事業への資源配分や既存事業の改善活動に取り組む等、資本効率性の改善に向けた取り組みを進めてまいります。さらに、サステナビリティビジョンasv2050/2030や新たに設定したマテリアリティに基づき、環境課題を始めとした社会的要請に応える取り組みを継続してまいります。事業活動や経営基盤のあらゆる領域へのAI活用を加速させ、製品開発やオペレーションの変革を推進するとともに、生産性の向上や生産の持続性の確保に向けて、DXを活用したスマートファクトリー化をすすめ、情報セキュリティに関わる取り組みも強化してまいります。新CIと理念体系に基づく新たなブランドの浸透を一段と進めてまいります。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当企業グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針当企業グループは、2024年より、商号・理念体系を新たにしました。新商号artience(読み方:アーティエンス、英語表記artience Co., Ltd.)は、「art」と「science」を融合した言葉です。artは色彩をはじめとした五感や心への刺激に加え、リベラルアーツの観点、scienceは技術や素材、合理性を表現しています。新たな理念体系は、経営の基本的な考え方となるCorporate Philosophy(経営哲学)「人間尊重の経営」、ステークホルダーへの約束となるBrand Promise & Slogan(ブランドプロミス&スローガン)「感性に響く価値を創り出し、心豊かな未来に挑む」「Empowering Feeling」、社員の活動の拠り所となるOur Principles(行動指針)から構成されています。この理念体系の中で、持続的に輝き続ける未来のために人々が心豊かに暮らすことのできる社会を実現したいという「存在理由」、さまざまな技術や発想をつなぎ社会が抱える課題を解決に導くために、自社だけではなくパートナーと協業しその力を組み合わせることで人々の心を充たす美しさ・快さ・安心を届けるという「私たちの役割」を明確にし、我々が今後世界に提供していくべき価値を「感性に響く価値」と定義いたしました。当企業グループは新たな理念体系のもと、強みとすべくartとscienceを融合し磨き上げ、目で見えること、触れて感じること、あるいは製品の品質を通じて感じることなど、人々の感性に響く価値を創り出し、心豊かな未来の実現に貢献してまいります。 (2) 目標とする経営指標前中期経営計画においては、コロナ禍や急速な原材料高騰、ウクライナ紛争の長期化など大きな環境変化のなか、LiB用CNT分散体の事業の立上げなど今後の成長に向けた取り組みが進捗した一方で、既存事業の収益力やキャッシュフローなど業績・経営基盤には課題が残る結果となりました。この様な状況下、社会から求められる価値の変化に対応し、「感性に響く価値」を提供し、心豊かで持続可能な社会に貢献する会社となるべく、artience株式会社と商号を変更するとともに、その目指す姿の実現に向けて新しい中期経営計画を策定しております。当企業グループが成長の軌道に乗り、市場での存在感を発揮していくために、“GROWTH”を柱に、強い覚悟を持って変革を進めてまいります。当企業グループは2029年12月期にROE10.0%以上を目標として掲げ、その過程として2026年12月期にROE8.0%以上を目標とします。2026年12月期の売上高は3,600億円、営業利益は230億円を計数目標としております。マテリアリティとしては、事業ポートフォリオの変革、資本効率とキャッシュフローの最大化、そして企業基盤構築とサステナビリティ経営実践を掲げております。 (3) 中長期的な経営戦略artienceとしての新たな理念体系のもと、変革を実践していく計画として、2030年をゴールとした経営計画artience2027/2030“GROWTH”を策定しております。本期間を通じて、「事業ポートフォリオの変革」「資本効率とキャッシュフローの最大化」「企業基盤構築とサステナビリティ経営」に取り組んでおります。2024年からの3年間をartience2027(2024年~2026年)とし、3つの基本方針「高収益既存事業群への変革」、「戦略的重点事業群の創出」、「経営基盤の変革」に基づき、変革へ向けた取組みを進めております。「高収益既存事業群への変革」では、当企業グループの既存事業を、成長事業、収益基盤事業、構造改革・戦略再構築事業に分類し、それぞれの位置付けに応じた戦略を推進することで事業ポートフォリオの変革を進めてまいります。成長事業の拡大へ集中する一方、収益基盤事業の効率性・生産性の向上を通じた収益力の強化を図ります。また、構造改革・戦略再構築事業については、大胆な施策による構造改革の断行や、成長軌道を描くことが可能な事業については、新たな戦略を策定し、変革を実行してまいります。「戦略的重点事業群の創出」では、リチウムイオン電池用材料、ラミネート接着剤をはじめとするモビリティ・バッテリー分野と、液晶ディスプレイ用カラーレジストや光学用粘着剤、イメージセンサー用材料を含む半導体関連材料などのディスプレイ・先端エレクトロニクス分野の2つの領域にグループの資源を集中し、新たな収益の柱となる事業群を創出してまいります。また、2030年以降を見据え、環境・バイオ・エネルギーを次世代事業と位置付け、事業の領域拡大や創出へ向けた取り組みを進めてまいります。「経営基盤の変革」では、ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点を基本とした経営資源の強化に取り組みます。その中でも、変革の起点と考える人的資本の強化や風土の醸成、資本コストを意識した経営のための基盤強化へ特に注力してまいります。また、DXの推進においては、AIの実践展開とともに情報セキュリティの強化を進めてまいります。さらに、環境課題を始めとした社会的責任への対応を進め、目指す姿の実現を支える経営基盤の変革を進めてまいります。 (4) 対処すべき課題新中期経営計画「artience2027」の3年目となる次期連結会計年度では、各事業を以下の通り推進してまいります。色材・機能材関連事業では、液晶ディスプレイカラーフィルター用材料は、中国現地企業との合弁会社により確立した生産体制を起点に、市場ニーズへの対応力を高め、シェア向上へ取り組んでまいります。光半導体材料は、堅調な拡大基調を継続するとともに、当該事業において蓄積した知見を基に、次世代技術の開発や当社グループ内の関連材料との連携による用途展開を進めてまいります。車載用リチウムイオン電池材料は、事業環境を見据えて柔軟な対応を図ることで適切な生産体制を維持しつつ、中国大手向けの本格生産、ハンガリーでの新規顧客への供給など、着実に実績を積み上げてまいります。また、負極用やLFMP用の導電助剤への展開に加え、車載以外にもESS用への検討など、製品構成拡大により収益機会の多様化を進めます。並行して、全固体電池など次世代技術の開発も推進してまいります。ポリマー・塗加工関連事業では、粘接着剤において、顧客ニーズをとらえた新製品の開発や生産革新を進め、収益力の向上に取り組んでまいります。特に、ディスプレイ用光学粘着剤は、生産能力の増強やサプライチェーンの最適化により、さらなる事業の拡大を図ってまいります。缶用塗料は、グローバルの拠点間ネットワークを強化してシナジー創出を加速してまいります。先端エレクトロニクス関連材料は、実績化が進む半導体関連製品を着実に拡大させるとともに、市場の要求をとらえた機能製品群の拡張を図ってまいります。パッケージ関連事業では、海外市場の成長取り込みと、国内市場での収益基盤の強化を進めてまいります。トルコで稼働させた新工場を地域の中核拠点とし、リキッドインキに加え、ラミネート接着剤についても事業の拡大を進めます。インドでは、市場成長を着実に取り込むとともに、生産能力増強へ向けた投資を進めてまいります。中国では、複数拠点の生産・販売・技術の新体制のもと事業の成長を加速させてまいります。国内市場では、省人化、自動化による効率化投資により収益基盤の強化を図ってまいります。また、環境対応製品群の開発や拡充を進め、顧客ニーズを先取りしたマーケティング活動を進めてまいります。印刷・情報関連事業では、海外での機能性インキ(UVインキ、金属インキ、スクリーンインキ)の拡販を進めてまいります。特にUVインキについては、当社独自素材による差別化製品のグローバル展開や、省エネニーズをとらえたUV及びLEDインキの拡販に取り組みます。加えて、高級紙器向けの機能性コーティング剤のさらなる拡大を進めてまいります。また、国内の情報系印刷市場の縮小は今後も継続する前提のもと、共同物流の拡大なども含めた更なる効率化を進めてまいります。このような事業活動に加え、持続可能な経営の実践につながる経営基盤の強化を進めてまいります。特に、根幹となる人的資本については、グローバルでの事業戦略に連動した人材の確保・育成や生産性向上につながる諸施策を進め、更なる強化を図ってまいります。DE&Iの推進やビジネスアイデアコンテストの実施など、エンゲージメント向上や挑戦する風土の醸成を図ってまいります。一方、ROIC等の指標に基づいた成長事業への資源配分や既存事業の改善活動に取り組む等、資本効率性の改善に向けた取り組みを進めてまいります。さらに、サステナビリティビジョンasv2050/2030や新たに設定したマテリアリティに基づき、環境課題を始めとした社会的要請に応える取り組みを継続してまいります。事業活動や経営基盤のあらゆる領域へのAI活用を加速させ、製品開発やオペレーションの変革を推進するとともに、生産性の向上や生産の持続性の確保に向けて、DXを活用したスマートファクトリー化をすすめ、情報セキュリティに関わる取り組みも強化してまいります。新CIと理念体系に基づく新たなブランドの浸透を一段と進めてまいります。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当企業グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況 (単位:百万円) 売上高営業利益経常利益親会社株主に帰属する当期純利益2025年12月期349,97920,76520,88810,340伸長率(%)△0.31.7△0.6△44.22024年12月期351,06420,41421,00818,540 当連結会計年度における世界経済は、米国の通商政策による影響がみられた中で、中国など一部の地域においては足踏みがみられたものの、国内や東南アジアでは景気は緩やかな回復基調となり、インドでは景気の拡大が続きました。また、重点開発領域として位置付けているバッテリー関連事業においては、世界的にEV市場の拡大スピードが鈍化したことで、当社グループの戦略も大きな影響を受けました。このような環境のなか、当企業グループは次の3つを経営方針として掲げ、経営活動を行ってまいりました。第一の方針である「高収益既存事業群への変革」については、成長事業として位置付ける海外の包装関連分野では、トルコでリキッドインキや接着剤の新工場が稼働したほか、インドではリキッドインキの生産能力増強を決定し、中国では生産拠点の再編を行いました。タイでは、経営統合によるシナジーの最大化により、缶用塗料が堅調に推移しました。デジタル印刷市場の成長に伴うインクジェットインキの伸長に関しては、顧客での在庫調整を受け一部停滞が見られたものの、昨年並みに推移いたしました。環境意識を背景として脱プラスチックに寄与する機能性コーティング剤は好調に推移した一方、省エネルギー対応のUV及びLEDインキの販売は、出版市場の低迷により安価品の需要が増加したことでセールスミックスの悪化が見られました。収益基盤事業として位置付けるプラスチック用着色剤は、太陽電池用途の在庫調整により海外が減少した一方、国内はコストダウンと価格の改定を進めました。同じく原材料費や運搬費等の費用増加がみられた国内の接着剤やリキッドインキは、品種統合による効率化やコストダウン、営業体制の再編を推し進めることで利益を確保したほか、主力の埼玉製造所において生産効率化のための投資を決定いたしました。国内のオフセットインキは、情報系印刷市場の縮小が継続する中で、生産や物流面のアライアンスを更に進め、サプライチェーンの効率化を推進し採算改善を図りました。第二の方針である「戦略的重点事業群の創出」については、ディスプレイ・先端エレクトロニクス関連事業で、液晶ディスプレイ市場の中国へのシフトが一段と加速する中、中国にて現地パートナーとの合弁会社を設立し、カラーフィルター用材料の現地供給を開始したほか、CMOSイメージセンサーなどの光半導体材料の拡販も進めました。また、ディスプレイ用粘着剤の中国市場向けの拡販が大きく伸長し、供給体制の再整備に着手いたしました。半導体関連分野では、封止材料として絶縁保護シートが伸長したほか、低誘電樹脂材料が新たに採用されました。モビリティ・バッテリー関連事業では、車載用リチウムイオン電池材料が、世界的なEV市場の鈍化により各拠点で出荷が停滞しました。北米で2拠点目となるケンタッキー州での車載用リチウムイオン電池材料の新工場においては、稼働時期を延期することとし、ハンガリーでは2社目の供給に向けた設備増強が完了しましたが、市場動向に合わせて事業計画を修正したことにより、それぞれ減損の認識が必要となりました。このほか、負極材用や全固体電池向けなどの新規用途の開発も継続して進めましたが、全体的に投資金額と時期の見直しを行い、資金をM&Aなどの戦略投資に活用することといたしました。第三の方針である「経営基盤の変革」については、ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点に基づいた経営資源の強化に取り組み、サステナビリティビジョンasv2050/2030に基づいて作成した新マテリアリティの社内外への周知・浸透を推進したほか、国内外で再生エネルギー由来電力の導入や太陽光発電設備の追加導入をすすめ、サステナビリティ経営を着実に推進しました。また、人的資本強化のため、昨年初めて実施したエンゲージメント調査を、東南アジア全社を対象として含めて実施し、課題の解決に向けた拠点との対話を進めたほか、DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の観点も重視した施策を実践しました。このほか、主体的なキャリア自律・成長により、社員一人ひとりの力が最大限に発揮される、挑戦を促す新人事制度「artience HR CANVAS」を導入しました。このほか、商号変更と理念体系の刷新に伴うCI浸透の活動に関しては、CEOが拠点を訪問して、座談会形式で社員と意見交換をする会を引き続き開催しました。また、社員の挑戦と成長の促進、挑戦する風土を醸成するとともに、イノベーションを創出するため、本社内に素材分野に特化したグローバル共創拠点である「Incubation CANVAS TOKYO」を開業いたしました。AI活用を含むDXの推進に関しては、技術開発や生産革新への活用を進めたほか、「生成AIネイティブ500」を掲げ、2027年までに500名のデジタル中核人材を確保すべく、人材育成を進めました。このほか、導入した統合基幹業務システムにより各種業務の効率化やグローバル調達の拡大を進めると共に、サイバーセキュリティなどのリスク対策なども進めました。資本効率性向上や株価を意識した経営への取り組みに関しては、ROEの目標値を2026年度末で8%へと引き上げ、ROICの全社導入、CCC改善による運転資金の圧縮、保有株式の縮減と自己株式の取得を進めました。また、ガバナンスの強化のため、経営経験のある独立社外取締役を増員し、IRや SR活動を通じた株主との対話を継続させ、経営施策への反映に取り組みました。以上の結果、当連結会計年度の売上高は3,499億79百万円(前期比0.3%減)と減収になりましたが、営業利益は207億65百万円(前期比1.7%増)の増益となりました。また、経常利益は208億88百万円(前期比0.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は減損損失の計上もあり103億40百万円(前期比44.2%減)と、それぞれ減益となりました。セグメントごとの経営成績につきましては、次のとおりです。 売上高営業利益セグメントの名称前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減率(%)前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減率(%)色材・機能材関連事業86,08984,304△2.13,3672,254△33.1ポリマー・塗加工関連事業88,51890,3052.07,1518,29215.9パッケージ関連事業91,52792,4991.15,4135,4640.9印刷・情報関連事業83,32580,994△2.84,8854,528△7.3その他5,8055,712△1.6△381313-計355,267353,818△0.420,43620,8532.0 調整額△4,202△3,838-△22△87-連結351,064349,979△0.320,41420,7651.7 a. 色材・機能材関連事業液晶ディスプレイカラーフィルター用材料は、中国で大型パネル用が補助金政策効果等で前半に需要の増加が見られたものの、台湾ではパソコン用など中小型パネル向けの出荷低調が続いたことに加え、国内のパネルメーカー撤退もあり販売は減少しました。光半導体材料は、中国でスマートフォン向けに販売が拡大しました。プラスチック用着色剤は、国内では飲料キャップ用が堅調で、コストダウンや価格改定による効果もあり損益が改善しました。海外では、前期に好調であった太陽電池用や自動車用の低調が続きました。車載用リチウムイオン電池材料は、EV市場の成長鈍化により低調に推移しました。顧客開拓や次世代製品開発を継続して進めましたが、中国拠点稼働や製品開発に伴う費用増などを補うには至りませんでした。インクジェットインキは、顧客での在庫調整や競争環境の激化による影響を大きく受けましたが、前期並みに推移しました。これらの結果、当事業全体の売上高は843億4百万円(前期比2.1%減)、営業利益は22億54百万円(前期比33.1%減)と、減収減益になりました。 b. ポリマー・塗加工関連事業塗工材料は、導電性接着シート等の機能性フィルムが、スマートフォンの新モデル向けの増加や中国での拡販により、好調に推移しました。また、半導体関連材料については開発品の採用が拡大しました。粘着剤は、国内では自動車向けなど工業用が堅調に推移し、中国ではディスプレイ用の需要増を取り込み大きく伸長したほか、インドでも市場開拓により販売が拡大しました。接着剤は、包装用が国内外で総じて堅調だったものの、一部地域では市況低迷の影響を受けました。工業用はリチウムイオン電池向けがEV市況鈍化もあり伸び悩みました。 缶用塗料は、国内では拡販もあり伸長し、海外ではタイを中心に、食缶用の需要が好調に推移し、飲料缶用も拡販が進んだほか、トルコでも大手顧客への拡販により伸長しました。これらの結果、当事業全体の売上高は903億5百万円(前期比2.0%増)、営業利益は82億92百万円(前期比15.9%増)と、増収増益になりました。 c. パッケージ関連事業リキッドインキは、国内では、パックご飯や冷食、詰替え包材向けなどの需要が堅調に推移したことに加え、段ボール用も夏季に猛暑の影響もあり飲料関連が堅調でした。また、環境対応型製品の拡販が進んだほか価格改定による効果もあり、売上高が伸長しました。海外では、中国での消費低迷や北米での住宅市況低迷の影響を受けましたが、東南アジアやインドでは市況に支えられ堅調に推移しました。トルコでは、新工場稼働により新規顧客や周辺国への拡販が本格的に進みましたが、償却費負担も増加しました。グラビアのシリンダー製版事業は、包装用の新版需要を確保したことや、エレクトロニクス関連の精密製版も緩やかに回復したことから堅調な販売となりました。これらの結果、当事業全体の売上高は924億99百万円(前期比1.1%増)、営業利益は54億64百万円(前期比0.9%増)と、増収増益になりました。 d. 印刷・情報関連事業国内では、情報系印刷市場の縮小が続き、広告、出版向けは低調に推移しましたが、カード向けの需要が増加したほか、事業ポートフォリオ変革を進めたことで、機能性コーティング剤や省エネルギー対応の高感度UVインキなどの機能性インキの販売は拡大しました。海外では、出版や新聞向けなど情報系印刷の市場停滞に伴い中国や欧州、北米で低調でしたほか、紙器パッケージ向けの市場も東南アジアなどで弱含んだことで競争環境も厳しくなりました。これらの結果、当事業全体の売上高は809億94百万円(前期比2.8%減)、営業利益は45億28百万円(前期比7.3%減)と、減収減益になりました。 e. その他上記のセグメントに含まれない事業や、持株会社であるartienceによる役務提供などを対象にしています。当連結会計年度においては、売上高は57億12百万円(前期比1.6%減)と減収になり、営業利益は3億13百万円(前期は、3億81百万円の営業損失)となりました。 財政状態につきましては、次のとおりです。 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減(百万円)総資産472,787462,600△10,187負債199,033185,379△13,653純資産273,754277,2203,466 当連結会計年度末における総資産は4,626億円で、前連結会計年度末より101億87百万円減少しました。負債は1,853億79百万円で、前連結会計年度末より136億53百万円減少しました。純資産は2,772億20百万円で、前連結会計年度末より34億66百万円増加しました。当連結会計年度末日の為替レートが前連結会計年度末日の為替レートに比べ円安外貨高に振れたため、海外子会社で保有する資産及び負債、為替換算調整勘定がそれぞれ増加しました。また、海外での新工場完成に伴い建物及び構築物や機械装置及び運搬具が増加し、建設仮勘定が減少しました。さらに、保有株式の株価上昇を反映し、投資有価証券及びその他有価証券評価差額金が増加しました。なお、第3回無担保普通社債を発行し、一部の借入金を借り換えており、長期借入金が増加し、短期借入金が大幅に減少しました。これに加え、自己株式の取得による支出や法人税及び配当金の支払いに伴い現金及び預金が大幅に減少しました。 ② キャッシュ・フローの状況 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減(百万円)営業活動によるキャッシュ・フロー26,96427,554589投資活動によるキャッシュ・フロー△10,172△11,162△989財務活動によるキャッシュ・フロー△14,975△31,716△16,741現金及び現金同等物の期末残高60,05245,792△14,260 当連結会計年度の現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)の期末残高は、前期末残高より142億60百万円減少し、457億92百万円となりました。営業活動により得られた資金は275億54百万円(前連結会計年度比5億89百万円増)となりました。税金等調整前当期純利益の計上及び減価償却費の計上などによる資金の増加や、支払債務の減少及び法人税等の支払いなどによる資金の減少がありました。投資活動により使用した資金は111億62百万円(前連結会計年度比9億89百万円増)となりました。有形固定資産の取得による支出などによる資金の減少や、有価証券及び投資有価証券の売却及び償還による収入などによる資金の増加がありました。財務活動により使用した資金は317億16百万円(前連結会計年度比167億41百万円増)となりました。長期借入金の返済による支出、自己株式の取得による支出、配当金の支払いなどによる資金の減少や、長期借入れによる収入などによる資金の増加がありました。 ③ 生産、受注及び販売の実績a. 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称生産高(百万円)前期比(%)色材・機能材関連事業 89,617△5.4ポリマー・塗加工関連事業68,5810.9パッケージ関連事業68,820△1.8印刷・情報関連事業53,427△7.1 報告セグメント計280,447△3.4その他77△25.2合計280,525△3.4 (注) 生産金額は製造原価によっております。 b. 受注実績当企業グループにおける受注生産は極めて少なく、大部分が計画生産のため、記載を省略しております。 c. 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称販売高(百万円)前期比(%)色材・機能材関連事業 82,062△2.3ポリマー・塗加工関連事業 90,0602.0パッケージ関連事業91,7511.5印刷・情報関連事業80,974△2.8 報告セグメント計344,847△0.3その他5,132△0.2合計349,979△0.3 (注) 1 上記の金額は、連結会社間の内部売上高を除いております。2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合につきましては、販売実績の総販売実績に対する割合が10%以上の相手先が存在しないため、記載を省略しております。  (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当企業グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容a. 経営成績の分析当連結会計年度の売上高は、前期比10億84百万円(0.3%)減の3,499億79百万円(期初計画 3,700億円、2025年8月8日公表修正計画 3,550億円)となりました。その内容は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しており、為替の影響により減収となったものの、成長・収益基盤事業のグラビアインキ、缶用塗料、機能性コーティング剤などが堅調に推移し、戦略的重点領域では、塗工材、ディスプレイ用粘着剤が伸長しました。営業利益は、前期比3億51百万円(1.7%)増の207億65百万円(期初計画 220億円、修正計画 190億円)となりました。車載用リチウムイオン電池材料が低調に推移し、液晶ディスプレイカラーフィルター用材料も前年割れとなりましたが、海外はディスプレイ向けの光学粘着剤が好調であり、成長事業がインド・東南アジアを中心に拡販が進み堅調に推移しました。国内はコストダウンと価格改定を継続し、ナフサ価格も落ち着き増益基調となるなか、リキッドインキ、顔料の寄与もありました。その結果、国内外全体で増益となりました。経常利益は、前期比1億20百万円(0.6%)減の208億88百万円(期初計画 210億円、修正計画 180億円)となりました。「支払利息」が減少し、「正味貨幣持高に係る利得」が増加したものの、「為替差損」の発生により減益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比82億円(44.2%)減の103億40百万円(期初計画 175億円、修正計画 155億円)となりました。EV市況の低迷を受け、米国ケンタッキー州新工場やハンガリー工場の減損損失を計上したことに加え、トルコでの税法変更により税負担が増加したこともあり、減益となりました。この結果、ROEは3.9%と一時的に低下しております。なお、セグメント別の経営成績については「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。 b. 財政状態の分析財政状態の分析については「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであり、セグメント別の財政状態は、以下となりました。色材・機能材関連事業の資産1,248億17百万円(前期末より64億49百万円減少)。ポリマー・塗加工関連事業の資産1,167億37百万円(前期末より13億23百万円減少)。パッケージ関連事業の資産1,109億12百万円(前期末より28百万円減少)。印刷・情報関連事業の資産1,005億99百万円(前期末より10億77百万円減少)。その他の事業の資産95億33百万円(前期末より13億7百万円減少)。 c. キャッシュ・フローの分析キャッシュ・フローの分析については「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであり、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、長期借入金の返済や自己株式の取得などにより、457億92百万円と前期末と比べ減少しております。今後とも、手元資金を確保しつつも将来の成長に向けた資金運用に努めてまいります。 ② 資本の財源及び資金の流動性についての分析当企業グループの主な運転資金需要は、製品製造のための原材料費や労務費及び製造経費をはじめ、販売費及び一般管理費、新製品創出や事業領域拡大のための研究開発活動費などにあります。また、設備投資では、成長領域や事業拡大に合わせた生産設備投資によるグローバル供給体制の強化や、統合システム整備による事業や業績のグローバル一体管理を進めています。さらには、事業拡大を目的とした各種アライアンスや、人材・技術・事業などの戦略投資についても機動的に実施してまいります。なお、これらの資金需要につきましては、主に手元資金や営業活動によるキャッシュ・フローから創出するとともに、必要に応じて金融機関からの借入や社債発行なども実施してまいります。その結果、当連結会計年度の有利子負債残高は、666億55百万円となっております。また、CNT分散体事業の設備投資資金に充当するため、日本政策投資銀行との収益分配請求権設定契約に基づき、同行からの資金調達は65億45百万円となっております。これらに加え、国内では、キャッシュ・マネジメント・システムを導入しており、当企業グループの余剰資金を効率的に運用しております。 ③ 重要な会計方針及び見積り当企業グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されていますが、その作成には経営者による会計方針の選択・適用と、資産・負債及び収益・費用の報告金額に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りにあたっては過去の実績等を勘案し合理的な判断を行っていますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性がありますため、これらの見積りと異なる場合があります。当企業グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

事業リスク

  • 海外事業におけるリスク:海外での事業展開は、各国の法律・規制変更、不利な租税制度、インフレ、政治的要因、テロ・戦争、労働環境の変化など、予測困難な多様なリスクに直面する可能性があります。これらの事象が発生した場合、事業活動が阻害され、業績に悪影響を及ぼす恐れがあります。
  • システム障害・サイバー攻撃リスク:国内外の拠点や取引先、クラウドサービスとネットワークで接続しており、機密情報や個人情報を保持しています。システム障害による業務停止や、ランサムウェア、マルウェア攻撃、生成AIを悪用したサイバー攻撃などにより、情報漏洩やデータ滅失・毀損が発生するリスクがあり、企業活動に重大な影響を与える可能性があります。
  • 市場変動と需要減少リスク:印刷市場のデジタル化による縮小、廃プラスチック問題に伴うパッケージ構成変更によるインキ需要減少、EV市場の成長鈍化によるリチウムイオン電池材料の需要遅延など、各事業セグメントにおいて市場環境の変化による需要減少リスクがあります。これにより、売上高や利益が低下する可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|10,564 文字
3 【事業等のリスク】1.重要リスクの選定プロセス当社は、リスクマネジメント担当役員のもと、リスクマネジメント部会がグループ全体のリスクを網羅的・総括的に管理しております。また、当企業グループの各社・各部門では、日常業務に潜むリスクを洗い出して評価・検討し、対策を実施しております。 2.当企業グループのリスクマネジメント体制及び運用状況リスクマネジメント部会では、各リスクを発生の頻度(発生可能性)と損害の重大性に基づき評価したうえで、重要リスクを選定し、リスクマップを作成して全社で共有しております。重要リスクについては取締役会に報告するとともに、リスク低減のための活動の進捗と達成度を部会で確認しております。重要リスクが発生し、当企業グループの財政状態及び経営成績等に重要な影響を及ぼすおそれが生じた場合は、緊急対策本部を設置し対応を図ってまいります。参考:リスクマネジメント体制(2025年度) 参考:重要リスクの評価基準参考:グループ共通の重要リスクに係るリスクマップ(注)本リスクマップは、当企業グループで想定される代表的なリスクが発生する可能性とそれによって生じる損害の重大性を示しております。 3.事業等のリスク上記リスクマネジメント活動を通じて経営者が当企業グループの財政状態及び経営成績等に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限定されるものではありません。 (1) 事業セグメント固有のリスク①色材・機能材関連事業当企業グループにとって、有機顔料の合成技術は原点の一つです。また、インキや塗料の製造で培われた分散技術は、着色するという用途を大きく越え、液晶ディスプレイカラーフィルター用材料やカーボンナノチューブを応用した新たな分散体の開発などにも展開しております。顔料事業においては、国内印刷市場の構造的不況のなか、印刷インキ用顔料の需要が縮小するリスクがあり、売上高及び利益の低下を招く可能性があります。そのため、需要が安定した食品包装用途や高収益分野への展開を図ること、及び生産面の整備により事業リスクへの耐性を高めてまいります。着色事業においては、廃プラスチック問題など環境意識の高まりに伴う需要減少のリスクがありますが、このような変化をチャンスと捉え、リサイクル対応製品、生分解性製品など環境調和型製品の開発に加え、高機能製品の拡販によって持続可能な社会に貢献するとともに、事業リスク低減に取り組んでまいります。モビリティ・バッテリー事業において、当企業グループは車載用リチウムイオン電池材料であるCNT(カーボンナノチューブ)分散体を生産、供給しております。電気自動車(EV)市場は成長が鈍化しており、今後の需要拡大が遅延するケースや、関連する規制や政策等が変更されることがありえますが、このような場合は業績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当企業グループとしては市況変化を迅速に捉えつつ、製品開発をタイムリーかつ網羅的に行うこと、また設備投資を段階的に行うことで市場の要求に的確に応じる体制を整えます。これによりリスク低減を図ってまいります。表示材料事業においては、ディスプレイや半導体関連の市況変動の影響を大きく受けるほか、一部原材料の調達・価格高騰リスクを抱えるなか、一極化が顕著な中国市場での競争力向上を重点課題に、差別化製品の開発と拡販戦略の強化、及びコストダウン施策等の推進により、業績向上と事業リスク低減を目指してまいります。 ②ポリマー・塗加工関連事業当企業グループでは、ポリマー・塗加工の技術を活かし、パッケージ、自動車、エレクトロニクス、エネルギー、メディカル・ヘルスケアなどの幅広い分野に製品を展開しております。当事業の原材料の多くは石油由来であり、環境保全を目的とした各国の規制や社会要請などにより使用の制約を受け、売上高等が変動する可能性があります。社会生活に必要な最終製品の材料供給者としての責任を果たすべく、現行品の機能を確保する環境調和型製品の開発と代替を進めてまいります。エレクトロニクス市場向け材料については、スマートフォンのように、毎年、最終製品の仕様が変わるなか、その採用可否により売上高や利益が変動する可能性があります。品質・コスト面などの優位性を高めることでの採用確度の向上や、使用先の拡大などにより、リスク低減に努めております。メディカル・ヘルスケア市場向け材料については、研究開発に相応の時間と費用を必要とし、製品上市の計画が遅延、変更、中止となる可能性があります。また、医薬行政の動向を受けた関連法規の改変や公定価格の変動が、売上高や利益に影響を及ぼす可能性があります。開発のパイプラインを増やすとともに、ヘルスケア粘着剤や周辺材料など事業の裾野を拡げてリスク分散に取り組んでまいります。 ③パッケージ関連事業当企業グループでは、パッケージ分野の様々なニーズに応える多様な製品を提供しております。特に安心・安全が求められる食品包装の分野では、環境対応製品であるバイオマス製品の販売拡大を行っております。また更なる環境負荷低減に貢献できる様にインキの水性化にも力を入れて取り組んでおります。パッケージ関連事業においては、廃プラスチック問題など環境意識の高まりによって、パッケージの構成変更に伴うフィルム用インキの消費需要が落ち込み、売上高及び利益の低下を招く可能性があります。市場や環境の変化をチャンスと捉え、紙化や減層化に寄与する機能性バリアコート剤などの製品開発を強化、またパッケージのインキ消費量を保ったままリサイクル性を向上させる為、使用後のパッケージを剥離し、インキを取り除く脱墨技術開発、仕組みづくりなどを進め、リスク分散に取り組んでまいります。 ④印刷・情報関連事業当企業グループでは、原材料の顔料や樹脂から最終製品までを一貫生産できる強みを活かし、環境調和型製品や高機能のUVインキなど多様な製品の開発に注力しております。印刷・情報関連事業においては、デジタル化に伴う情報系印刷市場の縮小により、売上高及び利益の低下の進展が早まり、また、印刷市場を取り巻く環境の変化に伴う顧客や取引先の経営状況によっては、売上債権の回収に影響を及ぼすリスクがあります。そのため、経済情勢の変化や信用不安の兆候を早期に把握できるよう情報収集と与信管理を徹底してまいります。経営資源を成長分野に弾力的にシフトするとともに、事業効率を徹底的に高め、市場環境への適合を進めてまいります。 (2) グループ共通の重要リスク ①海外活動に潜在するリスク(発生可能性:4 損害の重大性:3)(代表的なリスク)・法律・規制・不利な影響を及ぼす租税制度の変更・社会的共通資本が未整備なことによる企業活動への悪影響・急激なインフレ・不利な政治的要因の発生・テロ、戦争などによる社会的混乱・予期しえない労働環境の急激な変化これらの事象の発生可能性や影響等を合理的に予測することは困難でありますが、当企業グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。(リスクに対する対応策)当企業グループにおいては、各国の経済動向やその他リスクの影響を受けづらい収益構造とするために、世界各国における事業展開の促進や事業分野のバランスの向上、リスクに対して柔軟に対応できるSCM(サプライチェーンマネジメント)の構築、固定費や原材料費等の変動費の削減を行い、そのリスクを最小化するための対策に努めております。 ②システム障害、サイバー攻撃による情報セキュリティ侵害に関するリスク(発生可能性:3 損害の重大性:3)(代表的なリスク)・システム障害による業務停止・サイバーセキュリティインシデント当企業グループでは、事業を展開する上で、国内外の拠点をはじめ取引先やクラウドサービス事業者等のシステムとネットワークで接続しており、当企業グループ及び取引先の機密情報や個人情報などの秘密情報を保持しております。このため、システム障害による業務停止のほか、ランサムウェアをはじめとするマルウェア攻撃、生成AIを悪用した高度なサイバー攻撃、及びクラウド環境の判定不備等による情報漏洩、滅失または毀損のリスク増大が懸念されます。このような事案が発生した場合は、ノウハウの流出または逸失による競争力の低下やブランド毀損、企業価値の低下、信用の失墜に加え、当企業グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。(リスクに対する対応策)当企業グループでは、システムの安全かつ安定的な稼働を維持するとともに情報の保全に努めるため、重要なシステムについては冗長化や定期的なバックアップを実施しています。またセキュリティインシデントに迅速に対応するためのチーム(artience-CSIRT※)を設置して経営関与でのセキュリティ対応体制を整備しており、ランサムウェアやセキュリティ侵害に対する情報管理強化と社員教育を通じた人的リスク低減に努めております。加えて、サーバ機器の不具合やセキュリティ強化として技術的な対応・対策を行うほか、様々なリスクを想定したシステムBCP対策の再構築と、被害を最小限に抑制するためのコンティンジェンシープランの策定に努めております。※CSIRT:Cyber Security Incident Response Teamの略称 ③製品の品質・物流に関するリスク(発生可能性:3 損害の重大性:3)(代表的なリスク)・製品の品質に起因する事故、またはクレームの発生当企業グループでは、品質保証体制の強化を図っておりますが、製品の品質に起因する事故、あるいはクレームが発生した場合、当企業グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当企業グループが支払う損害賠償金が製造物責任賠償保険で全額補償される保証はありません。・物流事業者の経営環境変化への対応自動車運送事業における時間外労働規制やドライバー不足により輸送力の低下や、荷役・荷待ち時間の短縮と積載効率増大を目標とする物流効率化法の実施により、長距離輸送の依頼が難しくなる、輸送スケジュールの見直しが必要となる、物流コストが増大するといったリスクが高まっています。(リスクに対する対応策)当企業グループでは、引き続き、品質や安全に関する法的規制の遵守に努めるとともに、製品の性能向上やお客様の安心・安全に貢献する製品開発を継続して進めることでさらなる満足度向上と信頼を得ることにより、リスク低減に取り組んでまいります。物流面では、かねてよりホワイト物流に参画し、物流網・物流拠点最適化を進めております。引き続き、配送や荷受けの最適化、納品リードタイムの緩和や、納品先での待機時間の短縮、附帯業務の軽減など、お客様のご理解とご協力をいただきながら、サプライチェーン一体となって物流事業者の負担軽減を図り、重要な社会インフラである物流の維持・改善に取り組んでまいります。 ④自然災害・感染症等に関するリスク(発生可能性:3 損害の重大性:3)(代表的なリスク)・大規模地震や大雨等の自然災害や国内外における感染症の大流行(パンデミック)等による、原材料の調達困難化、生産活動への支障、世界的な消費活動の停滞、サプライチェーンの物流機能の停滞などに伴う供給不能(リスクに対する対応策)大規模地震や大雨等の自然災害、並びに国内外における感染症の大流行(パンデミック)は、いったん発生すると当企業グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性があり、建物や生産設備等をはじめとする資産の毀損、従業員の出勤不能、電力・水道の使用制限、原材料の調達困難、物流機能の停滞などにより供給能力が低下し当企業グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクに対応するため、以下の措置を講じております。・各拠点における防災訓練の実施・事業継続計画(BCP)の策定(緊急事態発生時の対応フロー、代替生産体制等を規定)・リスク評価と対応体制の整備(主要拠点の代替施設検討、サプライチェーン多重化等) ⑤原料調達に関するリスク(発生可能性:3 損害の重大性:3)(代表的なリスク)・市況変動、天災、事故、政策などによる原材料の仕入価格高騰や供給不足・調達先からの原材料供給の遅延/停止による当社製品の生産遅延もしくは停止、及びそれに伴う取引先への供給不履行と損害賠償などの発生当企業グループ製品の主原料は石油化学製品であるため、仕入価格及び調達状況は、原油・ナフサなどの市況変動、天災、事故、政策などに影響を受けます。特に当連結会計年度においては、ロシア/ウクライナ紛争の長期化、イスラエルのパレスチナ侵攻などによる安定供給への懸念が続き、また、電力等のエネルギーコスト急上昇、さらには、水不足によるパナマ運河通航量低下、商業船攻撃対応によるスエズ運河回避などにより、多くの原料で入手困難、価格高騰、及び、納期遅延等のリスクが顕在化しました。仕入価格の上昇につきましては、当企業グループの製品が使用される消費財は、市況価格及び供給責任の面からも、販売価格への転嫁には時間を要するため、当企業グループの売上高及び利益に影響が生じました。また、原料が入手困難となるリスクにつきましては、顧客への製品供給不履行による損害賠償に発展するおそれがあり、その賠償金額によっては財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。(リスクに対する対応策)上記のようなリスクを回避すべく、メーカー特性に応じた購買戦略策定のもと、市場環境、需要予測、想定市況価格といった多面的な視点を原料調達に反映させ、最適価格での購入を進めるとともに、在庫確保などによる製品の安定供給のための原料調達を進めております。また、新規購入先の開拓ならびに購入先との関係強化に日々努めながら、当企業グループにとって影響のある情報をいち早く入手し、様々なリスクに速やかに対応することで、当企業グループの業績に与える影響を低減・抑制することに努めております。 ⑥為替の変動に関するリスク(発生可能性:4 損害の重大性:3)(代表的なリスク)・急激な為替変動当企業グループは世界各国で事業を展開しており、海外連結子会社の財務諸表項目は連結財務諸表作成のために円換算されますが、急激な為替変動によって当企業グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また、輸出入等の外貨建て取引においても、同様の可能性があります。(リスクに対する対応策)当企業グループは、為替予約、外貨建て債権の回収期間の短縮化、外貨建て債権債務のバランス化等によって、為替相場変動リスクの抑制に努めております。 ⑦一般的な法的規制、法令違反に関するリスク(発生可能性:2 損害の重大性:4)(代表的なリスク)・独占禁止法をはじめとした各種競争法違反・PRTR、外為法改正への対応不備・品質不正・国内外の法規制の変更や、それに伴う市場の変化・環境問題や製造物責任をはじめとする当企業グループの事業に重大な影響を及ぼす訴訟紛争(リスクに対する対応策)当企業グループは、事業活動に関わる一般的な法的規制の適用を、事業展開する内外各国において受けております。これらの遵守のためサステナビリティ委員会の傘下に専門部会であるESG推進部会、コンプライアンス部会、リスクマネジメント部会を設置・運用し、事業活動に関わる法的規制を調査、抽出するとともに、適法・適正な事業活動を確保するため、製造・販売・研究開発の各活動領域における業務プロセスの検証や見直し、社内規程の整備、関係者への教育などの必要な施策を展開しております。また、財務報告の適正性確保のための内部統制システムの整備と運用の確保に努めております。 ⑧環境負荷発生のリスク(発生可能性:4 損害の重大性:3)(代表的なリスク)・国内外の環境法規制の変更や厳格化、それに伴う市場の変化・環境負荷の低減や公害防止管理の対応遅れによる費用の増加・社会的な環境対応要請(脱プラスチック、リサイクル推進、カーボンニュートラルなど)に対する追加投資、事業形態の変更(リスクに対する対応策)上記リスクに対して、適切に対処し、積極的な開示を行うことで長期的には社会的信頼が高まり優位性を得る可能性もあります。当企業グループとしては、長期の経営計画の中で製造工程の見直しによる使用エネルギーやCO2の排出削減、化学物質の管理強化やシステム化、製品の脱VOC(揮発性有機化合物)化、マテリアル・ケミカルリサイクルを含んだリサイクル・リユースによる廃棄物削減など様々な施策に取り組んでおります。 ⑨気候変動に関するリスク(発生可能性:4 損害の重大性:3)(代表的なリスク)・国内外の気候変動に関する規制の厳格化や、それに伴う市場の変化及び機会の損失・CO2排出量削減など社会的な要請に対する対応の遅れによる評価・信用の毀損、対応のための費用増加(リスクに対する対応策)当企業グループは、上記のような気候変動の可能性に対して適切な対応を図り、経営計画や事業計画に反映させていくため、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に準拠した全社的な対応活動を推進し、サステナビリティ委員会及びESG推進部会を実務中心とした気候変動対応ガバナンス体制の構築と運用、気候変動によって生じうるリスクと機会の特定・分析、施策の立案と経営・事業主体に向けた提案、グループ社員に向けた啓発と情報共有、そして、投資家をはじめとする社外ステークホルダーに向けた適切な情報開示などに取り組んでおります。 ⑩一般的な債権回収に関するリスク(発生可能性:4 損害の重大性:2)(代表的なリスク)・顧客の経営状況の悪化による売上債権などの回収困難(リスクに対する対応策)当企業グループは、与信情報等を参考に、営業現場からの定性的情報も加味することで、顧客の与信リスクを定期的に見直し、それに応じた債権保全策を実施するなど与信管理の強化に努めてまいります。 ⑪固定資産の減損に関するリスク(発生可能性:3 損害の重大性:4)(代表的なリスク)・経済条件の変化や事業の見直しなどによる固定資産の減損(リスクに対する対応策)当企業グループでは、製造設備をはじめとした多額の固定資産を保有しており、重要な設備投資に対しては、事業戦略、市場動向、技術、生産性、投資金額及び投資計画の妥当性について事前に投融資マネジメント会議で審査を行ったうえ、グループ経営会議や取締役会で審議しております。また、各事業で減損の兆候がみられる場合には、速やかに対策を講じ、収益を改善させることに努め、リスクの低減を図っております。 ⑫人材不足に関するリスク(発生可能性:3 損害の重大性:2)(代表的なリスク)・社会環境変化による人材不足(人材確保の困難性)(リスクに対する対応策)当企業グループでは、社員の定着・業務効率化・人材の獲得により、人材不足への対応を図っております。定着においては、DE&Iの推進、待遇の改善、人材育成の強化等に取り組み、全社員が働きやすく、働きがいのある職場づくりを進めております。業務効率化においては、生産・営業・技術・管理のあらゆる部門にてDXの導入をはじめとする業務変革を進めております。人材獲得の面では、新卒、キャリア(経験者)採用強化のほか、アルムナイ採用やリファラル採用を導入する等、多様な採用手法を取り入れ、人材確保を進めております。(注)1 アルムナイ採用とは、何らかの理由で自社を退職した人を再雇用する採用手法のことであります。(注)2 リファラル採用とは、自社の社員をはじめ社内外の信頼できる人脈(友人・知人)を介した採用活動・採用手法のことであります。 ⑬人権に関するリスク(発生可能性:2 損害の重大性:4)(代表的なリスク)・当企業グループや当企業グループのサプライチェーン上での人権問題による社会的信頼の低下や取引停止・当企業グループや当企業グループのサプライチェーン上での人権問題に起因する訴訟紛争(リスクに対する対応策)当企業グループは、「人間尊重の経営」をCorporate Philosophy(経営哲学)に掲げており、当企業グループの事業活動においてその影響を受けうるすべての人びとの人権を尊重すべく、「人権の尊重に関する基本方針」を定め、国内外の拠点に周知しております。また、サプライチェーンも当社の社会的責任の範囲ととらえ、人権尊重のための取り組みをサプライチェーンと共同して推進しております。 ⑭腐敗行為に関するリスク(発生可能性:2 損害の重大性:4)(代表的なリスク)・当企業グループの役職員による贈収賄、背任、利益相反等の腐敗行為・腐敗行為に起因する不適切な会計処理・腐敗行為に伴う法的制裁、罰金、刑事責任・腐敗行為に伴う社会的信頼の低下、ブランド毀損当企業グループは、世界各国で事業を展開しており、各国の腐敗防止規制の適用を受けております。腐敗行為への関与が明るみになった場合、多大な罰金、刑事責任、事業許認可の取消し等を招くほか、社会的信頼の著しい低下により、財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。(リスクに対する対応策)当企業グループは、「腐敗防止に関する方針」の策定と「倫理行動規範」への明記により社内周知を図るとともに、コンプライアンス強化月間での研修実施と秘密保護・報復禁止を徹底したコンプライアンスオフィス(内部通報制度)の運用により、役職員による腐敗行為の防止に努めております。また、調達基本方針とサステナブルサプライチェーンガイドラインで贈収賄や不正利益供与等を禁止することで、サプライチェーン全体における腐敗防止体制を整備しております。 ⑮サプライヤーのコンプライアンス違反(人権以外)に関するリスク(発生可能性:2 損害の重大性:4)(代表的なリスク)・サプライヤーによる法令違反、腐敗行為、環境規制違反等・サプライヤーのコンプライアンス違反に伴う当企業グループの社会的信頼の低下や取引停止当企業グループは、サプライチェーン全体における適法・適正な事業活動を確保することが重要と認識しております。サプライヤーが法令違反、不正行為、環境基準違反等に該当する場合、当企業グループの信用毀損、取引先からの信頼喪失、さらには財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。(リスクに対する対応策)当企業グループは、調達基準と行動規範の明文化・周知、及び主要サプライヤーに対する定期的なコンプライアンス監査と評価を実施することで、サプライヤーの適法・適正な事業活動を確保しております。さらに、問題認識時の対話と改善支援、新規サプライヤーの事前審査を通じて、サプライチェーン全体のリスク低減に取り組んでおります。 ⑯労働安全衛生に関するリスク(発生可能性:2 損害の重大性:4)(代表的なリスク)・職場における重大な労働災害の発生・労働安全衛生法違反に伴う行政処分、刑事責任・労災事故に伴う損害賠償請求、企業評価の低下当企業グループは、化学品の製造、加工等を行う事業特性から、労働災害のリスクを抱えております。重大な労働災害が発生した場合、従業員の生命・健康が脅かされるとともに、労働安全衛生法違反に伴う罰金・刑事責任、損害賠償請求、さらには社会的信頼の低下により、財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。(リスクに対する対応策)当企業グループは、「労働安全衛生に関する基本方針」の中で「職場における労働安全衛生を持続的に向上させるために、法令遵守と国際規範尊重を前提とした、安全操業・保安防災・衛生管理に努める」としており、事故防止のために必要な最善を尽くし、建築物や設備等の安全対策を図っております。また、安全の根幹である「労働安全衛生に関する基本方針」を高いレベルで確保するため、各事業拠点にそれぞれの事業活動内容に即した労働安全衛生マネジメントシステムを構築し、リスク管理に基づく安全衛生活動を積極的に行っております。 ⑰知的財産に関するリスク(発生可能性:2 損害の重大性:3)(代表的なリスク)・当企業グループによる他社の知的財産権侵害に起因する、差止請求、損害賠償請求等の訴訟・当企業グループの知的財産(特許、商標、著作物、営業秘密等)の盗用、無断利用・模倣品の流通による売上減少及びブランド価値毀損・従業員による知的財産の不正な持ち出し、競合他社への流出・知的財産管理の不備による権利喪失当企業グループは、化学品の製造、加工等を行う事業特性から、知的財産権侵害のリスクを抱えております。他社の知的財産権を当企業グループが侵害した場合は、差止請求、損害賠償請求等の訴訟を提起され、製品の供給責任を果たせなくなるリスクに直面し、当企業グループに対する信頼性が低下します。一方、当企業グループの知的財産権が他社により侵害された場合は、事業における競争優位性が失われ、さらには財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。(リスクに対する対応策)「倫理行動規範」の「公正・健全な事業活動」の中で会社の資産を適切に管理・利用することとし、知的財産権、情報、ブランドなどの資産について適切な管理・活用に努めております。自社の知的財産を保護するとともに、他社の知的財産権を尊重し、事業戦略、開発戦略と連動した知的財産活動を推進します。

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