事業等のリスク
医薬品開発には多額の投資と長い年月がかかり、臨床試験の結果次第では開発中止や承認が得られない不確実性があります。また、医薬品には予期せぬ副作用のリスクがあり、製造物責任を問われる可能性もあります。放射性医薬品の製造には特定の供給元への依存や規制が多く、災害などによる供給停止のリスクがあります。さらに、国の政策による薬価引き下げも、収益に影響を与える可能性があります。
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FY2025|8,217 文字
3 【事業等のリスク】当社グループの事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しています。また、当社グループとして必ずしも重要なリスクと考えていない事項及び具体化する可能性が必ずしも高くないと想定される事項についても、投資判断の上で又は当社グループの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から開示しています。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、リスクの発生をすべて回避できる保証はございません。また、以下の記載内容は当社グループのリスクすべてを網羅するものではございませんのでご留意ください。なお、本項記載の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内包しているため、実際の結果とは異なる可能性もあります。 (1)リスク管理体制と全社重要リスク決定までのプロセス 当社は、下図の通り、スリーラインモデルによるリスクマネジメント体制を構築しています。<ペプチドリーム リスクマネジメント体制> <リスクマネジメント体制における社内の関連組織・内部統制の関係図> (用語の説明)第1ライン当社の研究開発に係る各部門や、グループ会社が該当します。これらの各部門では、自らの業務に係る潜在的なリスク項目の抽出、評価、コントロールを実施しています。第2ライン第2ラインは、法務・コンプライアンス、知的財産、経理・財務、人事、情報管理システム等の専門知識を持ったスタッフ部門で構成され、第1ラインが行うリスク評価を踏まえ、各リスクについてのモニタリングとリスクコントロールのサポートを行っています。第3ライン第3ラインである内部監査担当は、定期的な社内監査の実施により、第1ラインのリスク評価や第2ラインのモニタリング・サポートが有効に機能しているかを検証しています。この内部監査の状況は随時、取締役会・監査等委員会・コンプライアンス・リスクマネジメント委員会に報告されています。コンプライアンス・リスクマネジメント委員会コンプライアンス・リスクマネジメント委員会は、主にコンプライアンス・リスクマネジメント体制の構築、管理及び維持、並びに、当社において想定されるリスクの洗い出し、評価、及び予防策の策定等を行い、取締役会に報告しています。 (2) 主要な事業等のリスク経営者が経営成績等に重大な影響を及ぼす可能性があると認識している主要な事業等のリスクは以下の通りです。各リスクについて発生可能性、影響度の観点から評価した結果を一元的に管理するために、同一のリスクマップに掲載しています。<主要な事業等のリスク一覧> ※当社グループ見解に基づく/当社グループ作成リスクNo内容(ⅰ)医薬品の研究開発・製造販売事業一般に関するリスク1医薬品開発・薬事承認の不確実性に関するリスク2副作用・製造物責任に関するリスク3安定供給・製造仕入れに関するリスク4薬価引き下げに関するリスク(ⅱ)事業内容に関するリスク5PDPS技術の競争優位性に関するリスク6知的財産権に関するリスク7共同研究開発先の研究開発進捗・方針に関するリスク8収益認識に関するリスク(ⅲ)その他のリスク9保有投資有価証券に関するリスク10のれん・無形資産に関するリスク11債務保証に関するリスク12資金の借入コストに関するリスク13外国為替相場の変動に関するリスク14新株予約権の行使による株式価値の希薄化に関するリスク15人的資本に関するリスク16ITセキュリティ及び情報管理に関するリスク17環境(気候変動)に関するリスク18コンプライアンスに関するリスク19重要な契約の解除・終了に関するリスク20法的な紛争に関するリスク21財務制限条項に関するリスク <主要な事業等のリスクマップ> ※当社グループ見解に基づく/当社グループ作成 (ⅰ)医薬品の研究開発・製造販売事業一般に関するリスク(1) 医薬品開発・薬事承認の不確実性に関するリスク当社グループでは、独自のPDPSを活用し、生体内でのタンパク合成に利用される20種類のアミノ酸と、非天然型のアミノ酸から構成される環状ペプチド医薬品の探索・開発を行っています。PDPSでは、短期間に標的タンパク質に対する高い結合性・選択性等、多くの特長を有する環状ペプチドを創製することができ、有望な医薬品候補化合物が取得できることから、多くのパートナーとの契約に至っています。また近年では環状ペプチドを起点にした低分子医薬品や、PDC、MPCといった様々なモダリティの探索・開発にも取り組んでいます。上記に加えて、当社グループは医薬品の臨床開発、製造、販売を行っています。PDRファーマはRI領域における製造販売業者として半世紀近い歴史・経験を有し、臨床開発、薬事機能など医薬品上市に必要な機能を有しています。一方で、一般に医薬品の開発には多額の研究開発投資と10年以上の年月を要します。また、研究開発の初期段階において有望とされた化合物であっても、前臨床試験や臨床試験の結果によっては研究開発が予定通りに進行せず、開発の延長や中止の判断を余儀なくされる可能性があります。さらには、臨床試験を完了しても、当局の定めた有効性と安全性に関する審査によっては、医薬品の上市が承認されない可能性もあります。これらのことから当社グループの研究開発活動は一定の不確実性を伴っており、この不確実性が当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (2) 副作用・製造物責任に関するリスク当社グループは、医薬品の臨床開発、製造、販売を行っていますが、医薬品には予期せぬ副作用が発現するリスクがあります。当社グループでは、発売後の医薬品について製造販売業としての医薬品安全性監視を行うことで患者様の健康被害リスクを最小化する活動を実施する等、医薬品使用に関連するリスクの回避と軽減に努めています。また、医薬品の開発、製造販売を行う製品が、必要な品質及び安全性の基準を満たさない場合、これを原因とした製造物責任を負うリスクがあります。当社グループでは、製品の安全、品質への取組をマテリアリティの一つに掲げており、従業員への教育、製造・品質保証体制の整備に努めています。これらの取組にも関わらず、副作用等が発現し、製造販売の中止、製品の回収、薬害訴訟の提起等が惹起される場合には、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (3) 安定供給・製造仕入れに関するリスク当社グループは、放射性医薬品の製造販売を行っており、その社会的責任から安定供給をマテリアリティの一つに掲げています。一方で、放射性医薬品の文字通り核となる放射性核種は、原子炉や加速器といった特殊な設備で、希少な放射性原料から製造されることが多く、海外サプライヤーを中心とする特定の供給元に依存しています。また放射性医薬品の製造・輸送も、多くの規制を受けるため、許認可を受けた工場・業者以外では実施することができません。そのため地震、水害、暴風雨等の自然災害、火災、原子力発電所の事故、長時間の停電等社会インフラの障害、戦争、テロ等の発生により、当社グループの取引先や、当社グループの工場、研究所、事業所等の施設の損壊又は事業活動の停滞等の損害が発生した場合、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (4) 薬価引き下げに関するリスク当社グループは、医薬品の製造販売を行っています。国内における医療用医薬品の販売価格は、厚生労働大臣が定める薬価基準によって定められますが、医療費高騰等による薬剤費引き下げ政策がすすめられており、2年に一度行われる薬価改定に加え、直近では2021年度に導入された中間年改定が2023年度も実施されています。薬価引き下げ政策が拡大し、当社グループの放射性医薬品の薬価が大きく引き下げられる場合、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (ⅱ)事業内容に関するリスク(5) PDPS技術の競争優位性に関するリスク当社グループのPDPSは、非常に高い多様性をもつペプチドライブラリーを構築し、その中から高い結合性と選択性を有するペプチドを取得できる技術が組み込まれており、重要な要素技術全てにおいて、他のペプチド創薬技術に対する優位性を持っていると認識しています。また、当社グループではPDPS技術の改善・向上のための研究開発に積極的に取り組んでいます。一方で、AIや計算化学といったin silico技術も含め、当社グループの特許技術に抵触しない優れた創薬技術が開発される可能性は否定できません。その場合、当社グループの競争優位性が低下することにつながり、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (6) 知的財産権に関するリスク当社グループのPDPSを始めとする様々な技術や、医薬品候補化合物・製品は、物質・製法・製剤・用途特許等の複数の特許によって一定期間保護されています。当社グループでは特許権を含む知的財産権を管理し、当社グループが事業を展開する市場における第三者の知的財産権や、第三者からの侵害状況を継続的にモニタリングし、知的財産権に関するリスクの回避・軽減に努めています。しかしながら、当社の保有する知的財産権が第三者から侵害を受けた場合や、無効審判を受ける等して取得した特許を適切に保護できない場合、あるいは当社グループの製品・技術が第三者の知的財産権を侵害した場合には、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (7) 共同研究開発先の研究開発進捗・方針に関するリスク当社グループの創薬開発事業においては、パートナーとの共同研究開発契約から計上される収益が主であり、事業収益の相当程度が共同研究開発先(パートナー)の研究開発の進展に伴って計上されます。当該収益は原則的には、(A)契約一時金、(B)研究開発支援金、(C)研究マイルストーンフィー、(D)開発マイルストーンフィー、(E)売上ロイヤルティー、(F)販売マイルストーンフィーで構成されています。上記の中で(A)(B)(C)は当社グループの事業活動に依拠する部分が大きいものの、(D)(E)(F)はパートナーの研究開発・事業活動に依拠する部分が大きく、当社グループでその進捗を管理・制御することは困難です。加えて、研究開発方針を両社で協議しながらプロジェクトを推進するため、必ずしも当社の意向通りに個々のプロジェクトへのリソース配分や、研究開発方針を決定できない可能性があります。また、自社パイプラインについては導出または共同開発契約等を実施し、パートナーが臨床開発・商業化を行うことを想定しています。その際も、パートナーの研究開発・事業活動の進捗と結果に当社グループの収益は大きく依拠致します。 そのため、パートナーにおける研究開発の進捗が遅れた場合やパートナーの研究開発方針に変更等があった場合、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (8) 収益認識に関するリスク当社グループの事業収益の相当程度は、数多くのパートナーとの共同研究、共同開発に関する契約から計上されます。それらは国際会計基準(IFRS)における収益認識基準に従い、必要に応じて個別に監査法人とも確認を取りながら計上しています。当社グループではIFRSの収益認識基準の原則や背景にある考え方の理解に努め、適切な収益認識を行ってきていますが、監査法人との協議の結果等から、当社の想定と異なる収益認識が必要となった場合、例えば一時金として想定していた収益を長期間にわたって分割計上する必要が生じる等して、年間に計上する売上額が大きく変動する可能性があります。そのため、一定以上の事業収益に対する収益認識の変更や修正を余儀なくされる場合、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (ⅲ)その他のリスク(9) 保有投資有価証券に関するリスク当社グループでは、共同研究開発を加速させる目的での戦略的提携先への出資等を通じ、投資有価証券を保有しています。投資有価証券の評価は、株式発行会社の財政状態・経営成績等の状況によって判断されるため、実質価額の低下により減損損失を余儀なくされる場合には、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (10) のれん・無形資産に関するリスク当社グループは、企業買収等を通じて獲得したのれん及び無形資産を計上しています。これらの資産については計画と実績の乖離等により価値が下落した場合には減損損失の計上等、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (11) 債務保証に関するリスク当社グループは、一部の投資先に対して、債務保証を行っています。当社グループは投資先の経営状況をモニタリングするとともに、必要な施策を実施し、リスク低減に努めていますが、将来的にこれら債務保証の履行を求められる状況が発生した場合には、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (12) 資金の借入コストに関するリスク当社グループの事業資金の一部は金融機関からの借入により調達しています。今後、長期金利や短期金利が上昇した場合、借入コストの増加により当社グループの事業戦略及び経営成績に影響が及ぶ可能性があります。また、当社グループの借入金には財務制限条項が付されています。業績の悪化等により当該借入金の期限前弁済義務が生じた場合には、当社グループの財政状態に影響を与える可能性があります。 (13) 外国為替相場の変動に関するリスク当社グループのパートナーには海外の製薬企業が含まれていることから、事業収益の一部が外国通貨建て(主に米ドル建て)となっており、為替変動の影響を受けます。当社グループでは短期的な為替変動に対応するため、適宜為替予約を用いて影響の最小化に努めていますが、為替相場が一定以上変動した場合には、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (14) 新株予約権の行使による株式価値の希薄化に関するリスク当社グループは、役員及び従業員に対し新株予約権を付与しています。これらの新株予約権が権利行使された場合、当社グループ株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。 (15) 人的資本に関するリスク当社グループは、多くの国内外パートナーとの共同研究開発を行っています。そのため、事業を展開し発展させていくために、様々な分野で高い専門性や能力を有しグローバルで活躍できる人材の、採用・育成・確保が必要です。一方で、そのような優秀人材の数は有限であり、社会全般に優秀人材の流動性は高まっている傾向にあります。また、当社グループは海外拠点を保有していないためにグローバル人材の採用に一定の制限があることから、人的資本が充分に確保できないリスクがあります。当社グループでは、優秀人材の獲得のため、賃金水準の上昇や働き方の多様化といった社会変化への対応に常に先行して取組、また従業員エンゲージメント向上に向けた取組を開始する等、採用競争力の強化や人材確保に努めています。さらに「高い専門性、情熱、誠実」という3つのバリューと、その体現の為の10の行動指針を「Values & behaviors」として定め、コーポレートカルチャーとして定着させることを目指し、人材育成と社内環境整備を進めています。こうした取組が機能せず、人材活用が充分に実施できない場合や、人材流出、採用の不調、役員や中核ポジションにおける後継者育成・獲得の停滞を招く場合、当社グループの人的リソース・機能が棄損し、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (16) ITセキュリティ及び情報管理に関するリスク当社グループは、被検者・患者さん等の社外ステークホルダーの個人情報や、パートナーの技術・知的財産情報を含む、多様かつ重要な秘密情報を取り扱っています。近年、サイバー攻撃は年々高度化・巧妙化しており、それにより秘密情報が漏洩した場合、ステークホルダーが重大な損害を被るリスクや、当社グループの社会的信用が大きく損なわれるリスクや、競争力が低下するリスク等があります。当社グループでは、サイバーセキュリティに関するポリシーを制定し、技術・社会環境の変化に合わせた適切な技術・サービスの導入、ネットワーク及び設備の監視を始めとする各種サイバー攻撃対策の実施や、社員を対象としたトレーニング等継続的な対策強化を行っています。これらの対策にもかかわらず、サイバー攻撃等によるシステム障害や事故等の原因により情報の改ざん、漏えい等が発生した場合には、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (17) 環境(気候変動)に関するリスク「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (4) 環境(気候変動)に関するガバナンス、戦略及び指標と目標」に記載の通りです。 (18) コンプライアンスに関するリスク当社グループの事業の推進にあたっては、薬事規制や製造物責任、独占禁止法、個人情報保護法、放射性同位元素等の規制に関する法令等の様々な法的規制や、GMP、GQP、GCP、GLP等のガイドラインの遵守が必要です。また、当社グループの事業活動は、協力関係にある多数のサプライヤー等の第三者による業務遂行によって、大きく影響を受けます。当社グループは、コンプライアンス・リスクマネジメント委員会を設置してコンプライアンス推進体制を整備し、当社グループおよび関係する第三者の事業活動が法令および社内規程を遵守して実施されるよう努めています。しかしながら、当社グループの従業員や、関係する第三者がこれらの法令等に違反した場合や、社会的要請に反した行動をとった場合、法令による処罰や制裁、規制当局による処分、訴訟の敵を受ける可能性があり、社会的な信頼を失うとともに金銭的損害を負う可能性があり、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (19) 重要な契約の解除・終了に関するリスク当社グループの事業展開上重要な契約が、相手方の経営方針の変更等何らかの理由で、解除・終了する場合、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、原則として、パートナーとの共同研究開発契約に係る受領済みの収益は、当社グループが契約を中途終了する場合でも、当社グループは返還義務を負っていません。 (20) 法的な紛争に関するリスク当社グループが事業を展開する上で、第三者の権利若しくは利益を侵害した場合又は侵害が疑われる場合には、損害賠償の請求訴訟を提起される等の法的な紛争が生じる可能性があります。本書提出日現在、法的な紛争は生じていませんが、今後、当社グループと第三者との間に法的な紛争が生じた場合、紛争の解決に多大なリソースと時間を要するほか、法的紛争に伴うレピュテーションリスクにさらされる可能性があり、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (21) 財務制限条項に関するリスク当社グループは、当連結会計年度において営業損失を計上した結果、複数の金融機関と締結しているシンジケートローン契約(当連結会計年度末現在の残高17,100,000千円)に付されている財務制限条項に抵触しております。当社グループは、当該シンジケートローン契約のリファイナンス契約を2026年3月16日付で締結済みであることから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。
FY2024|7,993 文字
3 【事業等のリスク】当社グループの事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しています。また、当社グループとして必ずしも重要なリスクと考えていない事項及び具体化する可能性が必ずしも高くないと想定される事項についても、投資判断の上で又は当社グループの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から開示しています。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、リスクの発生をすべて回避できる保証はございません。また、以下の記載内容は当社グループのリスクすべてを網羅するものではございませんのでご留意ください。なお、本項記載の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内包しているため、実際の結果とは異なる可能性もあります。 (1)リスク管理体制と全社重要リスク決定までのプロセス 当社は、下図の通り、スリーラインモデルによるリスクマネジメント体制を構築しています。<ペプチドリーム リスクマネジメント体制> <リスクマネジメント体制における社内の関連組織・内部統制の関係図> (用語の説明)第1ライン当社の研究開発に係る各部門や、グループ会社が該当します。これらの各部門では、自らの業務に係る潜在的なリスク項目の抽出、評価、コントロールを実施しています。第2ライン第2ラインは、法務・コンプライアンス、知的財産、経理・財務、人事、情報管理システム等の専門知識を持ったスタッフ部門で構成され、第1ラインが行うリスク評価を踏まえ、各リスクについてのモニタリングとリスクコントロールのサポートを行っています。第3ライン第3ラインである内部監査担当は、定期的な社内監査の実施により、第1ラインのリスク評価や第2ラインのモニタリング・サポートが有効に機能しているかを検証しています。この内部監査の状況は随時、取締役会・監査等委員会・コンプライアンス・リスクマネジメント委員会に報告されています。コンプライアンス・リスクマネジメント委員会コンプライアンス・リスクマネジメント委員会は、主にコンプライアンス・リスクマネジメント体制の構築、管理及び維持、並びに、当社において想定されるリスクの洗い出し、評価、及び予防策の策定等を行い、取締役会に報告しています。 (2) 主要な事業等のリスク経営者が経営成績等に重大な影響を及ぼす可能性があると認識している主要な事業等のリスクは以下の通りです。各リスクについて発生可能性、影響度の観点から評価した結果を一元的に管理するために、同一のリスクマップに掲載しています。<主要な事業等のリスク一覧> ※当社グループ見解に基づく/当社グループ作成リスクNo内容(ⅰ)医薬品の研究開発・製造販売事業一般に関するリスク1医薬品開発・薬事承認の不確実性に関するリスク2副作用・製造物責任に関するリスク3安定供給・製造仕入れに関するリスク4薬価引き下げに関するリスク(ⅱ)事業内容に関するリスク5PDPS技術の競争優位性に関するリスク6知的財産権に関するリスク7共同研究開発先の研究開発進捗・方針に関するリスク8収益認識に関するリスク(ⅲ)その他のリスク9保有投資有価証券に関するリスク10のれん・無形資産に関するリスク11債務保証に関するリスク12資金の借入コストに関するリスク13外国為替相場の変動に関するリスク14新株予約権の行使による株式価値の希薄化に関するリスク15人的資本に関するリスク16ITセキュリティ及び情報管理に関するリスク17環境(気候変動)に関するリスク18コンプライアンスに関するリスク19重要な契約の解除・終了に関するリスク20法的な紛争に関するリスク <主要な事業等のリスクマップ> ※当社グループ見解に基づく/当社グループ作成 (ⅰ)医薬品の研究開発・製造販売事業一般に関するリスク(1) 医薬品開発・薬事承認の不確実性に関するリスク当社グループでは、独自のPDPSを活用し、生体内でのタンパク合成に利用される20種類のアミノ酸と、非天然型のアミノ酸から構成される環状ペプチド医薬品の探索・開発を行っています。PDPSでは、短期間に標的タンパク質に対する高い結合性・選択性等、多くの特長を有する環状ペプチドを創製することができ、有望な医薬品候補化合物が取得できることから、多くのパートナーとの契約に至っています。また近年では環状ペプチドを起点にした低分子医薬品や、PDC、MPCといった様々なモダリティの探索・開発にも取り組んでいます。上記に加えて、当社グループは医薬品の臨床開発、製造、販売を行っています。PDRファーマはRI領域における製造販売業者として半世紀近い歴史・経験を有し、臨床開発、薬事機能など医薬品上市に必要な機能を有しています。一方で、一般に医薬品の開発には多額の研究開発投資と10年以上の年月を要します。また、研究開発の初期段階において有望とされた化合物であっても、前臨床試験や臨床試験の結果によっては研究開発が予定通りに進行せず、開発の延長や中止の判断を余儀なくされる可能性があります。さらには、臨床試験を完了しても、当局の定めた有効性と安全性に関する審査によっては、医薬品の上市が承認されない可能性もあります。これらのことから当社グループの研究開発活動は一定の不確実性を伴っており、この不確実性が当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (2) 副作用・製造物責任に関するリスク当社グループは、医薬品の臨床開発、製造、販売を行っていますが、医薬品には予期せぬ副作用が発現するリスクがあります。当社グループでは、発売後の医薬品について製造販売業としての医薬品安全性監視を行うことで患者様の健康被害リスクを最小化する活動を実施する等、医薬品使用に関連するリスクの回避と軽減に努めています。また、医薬品の開発、製造販売を行う製品が、必要な品質及び安全性の基準を満たさない場合、これを原因とした製造物責任を負うリスクがあります。当社グループでは、製品の安全、品質への取り組みをマテリアリティの一つに掲げており、従業員への教育、製造・品質保証体制の整備に努めています。これらの取り組みにも関わらず、副作用等が発現し、製造販売の中止、製品の回収、薬害訴訟の提起等が惹起される場合には、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (3) 安定供給・製造仕入れに関するリスク当社グループは、放射性医薬品の製造販売を行っており、その社会的責任から安定供給をマテリアリティの一つに掲げています。一方で、放射性医薬品の文字通り核となる放射性核種は、原子炉や加速器といった特殊な設備で、希少な放射性原料から製造されることが多く、海外サプライヤーを中心とする特定の供給元に依存しています。また放射性医薬品の製造・輸送も、多くの規制を受けるため、許認可を受けた工場・業者以外では実施することができません。そのため地震、水害、暴風雨等の自然災害、火災、原子力発電所の事故、長時間の停電等社会インフラの障害、戦争、テロ等の発生により、当社グループの取引先や、当社グループの工場、研究所、事業所等の施設の損壊又は事業活動の停滞等の損害が発生した場合、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (4) 薬価引き下げに関するリスク当社グループは、医薬品の製造販売を行っています。国内における医療用医薬品の販売価格は、厚生労働大臣が定める薬価基準によって定められますが、医療費高騰等による薬剤費引き下げ政策がすすめられており、2年に一度行われる薬価改定に加え、直近では2021年度に導入された中間年改定が2023年度も実施されています。薬価引き下げ政策が拡大し、当社グループの放射性医薬品の薬価が大きく引き下げられる場合、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (ⅱ)事業内容に関するリスク(5) PDPS技術の競争優位性に関するリスク当社グループのPDPSは、非常に高い多様性をもつペプチドライブラリーを構築し、その中から高い結合性と選択性を有するペプチドを取得できる技術が組み込まれており、重要な要素技術全てにおいて、他のペプチド創薬技術に対する優位性を持っていると認識しています。また、当社グループではPDPS技術の改善・向上のための研究開発に積極的に取り組んでいます。一方で、AIや計算化学といったin silico技術も含め、当社グループの特許技術に抵触しない優れた創薬技術が開発される可能性は否定できません。その場合、当社グループの競争優位性が低下することにつながり、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (6) 知的財産権に関するリスク当社グループのPDPSを始めとする様々な技術や、医薬品候補化合物・製品は、物質・製法・製剤・用途特許等の複数の特許によって一定期間保護されています。当社グループでは特許権を含む知的財産権を管理し、当社グループが事業を展開する市場における第三者の知的財産権や、第三者からの侵害状況を継続的にモニタリングし、知的財産権に関するリスクの回避・軽減に努めています。しかしながら、当社の保有する知的財産権が第三者から侵害を受けた場合や、無効審判を受ける等して取得した特許を適切に保護できない場合、あるいは当社グループの製品・技術が第三者の知的財産権を侵害した場合には、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (7) 共同研究開発先の研究開発進捗・方針に関するリスク当社グループの創薬開発事業においては、パートナーとの共同研究開発契約から計上される収益が主であり、事業収益の相当程度が共同研究開発先(パートナー)の研究開発の進展に伴って計上されます。当該収益は原則的には、(A)契約一時金、(B)研究開発支援金、(C)研究マイルストーンフィー、(D)開発マイルストーンフィー、(E)売上ロイヤルティー、(F)販売マイルストーンフィーで構成されています。上記の中で(A)(B)(C)は当社グループの事業活動に依拠する部分が大きいものの、(D)(E)(F)はパートナーの研究開発・事業活動に依拠する部分が大きく、当社グループでその進捗を管理・制御することは困難です。加えて、研究開発方針を両社で協議しながらプロジェクトを推進するため、必ずしも当社の意向通りに個々のプロジェクトへのリソース配分や、研究開発方針を決定できない可能性があります。また、自社パイプラインについては導出または共同開発契約等を実施し、パートナーが臨床開発・商業化を行うことを想定しています。その際も、パートナーの研究開発・事業活動の進捗と結果に当社グループの収益は大きく依拠致します。そのため、パートナーにおける研究開発の進捗が遅れた場合やパートナーの研究開発方針に変更等があった場合、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (8) 収益認識に関するリスク当社グループの事業収益の相当程度は、数多くのパートナーとの共同研究、共同開発に関する契約から計上されます。それらは国際会計基準(IFRS)における収益認識基準に従い、必要に応じて個別に監査法人とも確認を取りながら計上しています。当社グループではIFRSの収益認識基準の原則や背景にある考え方の理解に努め、適切な収益認識を行ってきていますが、監査法人との協議の結果等から、当社の想定と異なる収益認識が必要となった場合、例えば一時金として想定していた収益を長期間にわたって分割計上する必要が生じる等して、年間に計上する売上額が大きく変動する可能性があります。そのため、一定以上の事業収益に対する収益認識の変更や修正を余儀なくされる場合、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (ⅲ)その他のリスク(9) 保有投資有価証券に関するリスク当社グループでは、共同研究開発を加速させる目的での戦略的提携先への出資等を通じ、投資有価証券を保有しています。投資有価証券の評価は、株式発行会社の財政状態・経営成績等の状況によって判断されるため、実質価額の低下により減損損失を余儀なくされる場合には、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (10) のれん・無形資産に関するリスク当社グループは、企業買収等を通じて獲得したのれん及び無形資産を計上しています。これらの資産については計画と実績の乖離等により価値が下落した場合には減損損失の計上等、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (11) 債務保証に関するリスク当社グループは、一部の投資先に対して、債務保証を行っています。当社グループは投資先の経営状況をモニタリングするとともに、必要な施策を実施し、リスク低減に努めていますが、将来的にこれら債務保証の履行を求められる状況が発生した場合には、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (12) 資金の借入コストに関するリスク当社グループの事業資金の一部は金融機関からの借入により調達しています。今後、長期金利や短期金利が上昇した場合、借入コストの増加により当社グループの事業戦略及び経営成績に影響が及ぶ可能性があります。また、当社グループの借入金には財務制限条項が付されています。業績の悪化等により当該借入金の期限前弁済義務が生じた場合には、当社グループの財政状態に影響を与える可能性があります。 (13) 外国為替相場の変動に関するリスク当社グループのパートナーには海外の製薬企業が含まれていることから、事業収益の一部が外国通貨建て(主に米ドル建て)となっており、為替変動の影響を受けます。当社グループでは短期的な為替変動に対応するため、適宜為替予約を用いて影響の最小化に努めていますが、為替相場が一定以上変動した場合には、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (14) 新株予約権の行使による株式価値の希薄化に関するリスク当社グループは、役員及び従業員に対し新株予約権を付与しています。これらの新株予約権が権利行使された場合、当社グループ株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。 (15) 人的資本に関するリスク当社グループは、多くの国内外パートナーとの共同研究開発を行っています。そのため、事業を展開し発展させていくために、様々な分野で高い専門性や能力を有しグローバルで活躍できる人材の、採用・育成・確保が必要です。一方で、そのような優秀人材の数は有限であり、社会全般に優秀人材の流動性は高まっている傾向にあります。また、当社グループは海外拠点を保有していないためにグローバル人材の採用に一定の制限があることから、人的資本が充分に確保できないリスクがあります。当社グループでは、優秀人材の獲得のため、賃金水準の上昇や働き方の多様化といった社会変化への対応に常に先行して取り組み、また従業員エンゲージメント向上に向けた取り組みを開始する等、採用競争力の強化や人材確保に努めています。さらに「高い専門性、情熱、誠実」という3つのバリューと、その体現の為の10の行動指針を「Values & behaviors」として定め、コーポレートカルチャーとして定着させることを目指し、人材育成と社内環境整備を進めています。こうした取り組みが機能せず、人材活用が充分に実施できない場合や、人材流出、採用の不調、役員や中核ポジションにおける後継者育成・獲得の停滞を招く場合、当社グループの人的リソース・機能が棄損し、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (16) ITセキュリティ及び情報管理に関するリスク当社グループは、被検者・患者さん等の社外ステークホルダーの個人情報や、パートナーの技術・知的財産情報を含む、多様かつ重要な秘密情報を取り扱っています。近年、サイバー攻撃は年々高度化・巧妙化しており、それにより秘密情報が漏洩した場合、ステークホルダーが重大な損害を被るリスクや、当社グループの社会的信用が大きく損なわれるリスクや、競争力が低下するリスク等があります。当社グループでは、サイバーセキュリティに関するポリシーを制定し、技術・社会環境の変化に合わせた適切な技術・サービスの導入、ネットワーク及び設備の監視を始めとする各種サイバー攻撃対策の実施や、社員を対象としたトレーニング等継続的な対策強化を行っています。これらの対策にもかかわらず、サイバー攻撃等によるシステム障害や事故等の原因により情報の改ざん、漏えい等が発生した場合には、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (17) 環境(気候変動)に関するリスク「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (4) 環境(気候変動)に関するガバナンス、戦略及び指標と目標」に記載の通りです。 (18) コンプライアンスに関するリスク当社グループの事業の推進にあたっては、薬事規制や製造物責任、独占禁止法、個人情報保護法、放射性同位元素等の規制に関する法令等の様々な法的規制や、GMP、GQP、GCP、GLP等のガイドラインの遵守が必要です。また、当社グループの事業活動は、協力関係にある多数のサプライヤー等の第三者による業務遂行によって、大きく影響を受けます。当社グループは、コンプライアンス・リスクマネジメント委員会を設置してコンプライアンス推進体制を整備し、当社グループおよび関係する第三者の事業活動が法令および社内規定を遵守して実施されるよう努めています。しかしながら、当社グループの従業員や、関係する第三者がこれらの法令等に違反した場合や、社会的要請に反した行動をとった場合、法令による処罰や制裁、規制当局による処分、訴訟の敵を受ける可能性があり、社会的な信頼を失うとともに金銭的損害を負う可能性があり、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (19) 重要な契約の解除・終了に関するリスク当社グループの事業展開上重要な契約が、相手方の経営方針の変更等何らかの理由で、解除・終了する場合、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、原則として、パートナーとの共同研究開発契約に係る受領済みの収益は、当社グループが契約を中途終了する場合でも、当社グループは返還義務を負っていません。 (20) 法的な紛争に関するリスク当社グループが事業を展開する上で、第三者の権利若しくは利益を侵害した場合又は侵害が疑われる場合には、損害賠償の請求訴訟を提起される等の法的な紛争が生じる可能性があります。本書提出日現在、法的な紛争は生じていませんが、今後、当社グループと第三者との間に法的な紛争が生じた場合、紛争の解決に多大なリソースと時間を要するほか、法的紛争に伴うレピュテーションリスクにさらされる可能性があり、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
FY2023|7,593 文字
3 【事業等のリスク】当社グループの事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、当社グループとして必ずしも重要なリスクと考えていない事項及び具体化する可能性が必ずしも高くないと想定される事項についても、投資判断の上で又は当社グループの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、リスクの発生をすべて回避できる保証はございません。また、以下の記載内容は当社グループのリスクすべてを網羅するものではございませんのでご留意ください。なお、本項記載の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内包しているため、実際の結果とは異なる可能性もございます。 (1) リスク管理体制当社のリスク管理体制は以下のとおりです。<会社の機関・内部統制の関係図>詳細については、 「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ③企業統治に関するその他の事項 b リスク管理体制」をご参照ください。 (2) 主要な事業等のリスク経営者が経営成績等に重大な影響を及ぼす可能性があると認識している主要な事業等のリスクは以下のとおりです。各リスクについて発生可能性、影響度の観点から評価した結果を一元的に管理するために、同一のリスクマップに掲載しております。<主要な事業等のリスク一覧> ※当社グループ見解に基づく/当社グループ作成リスクNo内容(ⅰ)医薬品の研究開発・製造販売事業一般に関するリスク1医薬品開発・薬事承認の不確実性に関するリスク2副作用・製造物責任に関するリスク3安定供給・製造仕入れに関するリスク4薬価引き下げに関するリスク(ⅱ)事業内容に関するリスク5PDPS技術の競争優位性に関するリスク6知的財産権に関するリスク7共同研究開発先の研究開発進捗・方針に関するリスク8収益認識に関するリスク(ⅲ)その他に関するリスク9保有投資有価証券に関するリスク10のれん・無形資産に関するリスク11債務保証に関するリスク12資金の借入コストに関するリスク13外国為替相場の変動に関するリスク14新株予約権の行使による株式価値の希薄化に関するリスク15人的資本に関するリスク16ITセキュリティ及び情報管理に関するリスク17環境(気候変動)に関するリスク18コンプライアンスに関するリスク19重要な契約の解除・終了に関するリスク20法的な紛争に関するリスク <主要な事業等のリスクマップ> ※当社グループ見解に基づく/当社グループ作成 (ⅰ)医薬品の研究開発・製造販売事業一般に関するリスク(1) 医薬品開発・薬事承認の不確実性に関するリスク当社グループでは、独自のPDPSを活用し、生体内でのタンパク合成に利用される20種類のアミノ酸と、非天然型のアミノ酸から構成される環状ペプチド医薬品の探索・開発を行っております。PDPSでは、短期間に標的タンパク質に対する高い結合性・選択性等、多くの特長を有する環状ペプチドを創製することができ、有望な医薬品候補化合物が取得できることから、多くのパートナーとの契約に至っております。また近年では環状ペプチドを起点にした低分子医薬品や、PDC、MPCといった様々なモダリティの探索・開発にも取り組んでおります。上記に加えて、当社グループは医薬品の臨床開発、製造、販売を行っております。PDRファーマはRI領域における製造販売業者として半世紀近い歴史・経験を有し、臨床開発、薬事機能など医薬品上市に必要な機能を有しております。一方で、一般に医薬品の開発には多額の研究開発投資と10年以上の年月を要します。また、研究開発の初期段階において有望とされた化合物であっても、前臨床試験や臨床試験の結果によっては研究開発が予定通りに進行せず、開発の延長や中止の判断を余儀なくされる可能性がございます。さらには、臨床試験を完了しても、当局の定めた有効性と安全性に関する審査によっては、医薬品の上市が承認されない可能性もございます。これらのことから当社グループの研究開発活動は一定の不確実性を伴っており、この不確実性が当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (2) 副作用・製造物責任に関するリスク当社グループは、医薬品の臨床開発、製造、販売を行っておりますが、医薬品には予期せぬ副作用が発現するリスクがあります。当社グループでは、発売後の医薬品について製造販売業としての医薬品安全性監視を行うことで患者様の健康被害リスクを最小化する活動を実施する等、医薬品使用に関連するリスクの回避と軽減に努めております。また、医薬品の開発、製造販売を行う製品が、必要な品質及び安全性の基準を満たさない場合、これを原因とした製造物責任を負うリスクがあります。当社グループでは、製品の安全、品質への取り組みをマテリアリティの一つに掲げており、従業員への教育、製造・品質保証体制の整備に努めております。これらの取り組みにも関わらず、副作用等が発現し、製造販売の中止、製品の回収、薬害訴訟の提起等が惹起される場合には、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (3) 安定供給・製造仕入れに関するリスク当社グループは、放射性医薬品の製造販売を行っており、その社会的責任から安定供給をマテリアリティの一つに掲げております。一方で、放射性医薬品の文字通り核となる放射性核種は、原子炉や加速器といった特殊な設備で、希少な放射性原料から製造されることが多く、海外サプライヤーを中心とする特定の供給元に依存しております。また放射性医薬品の製造・輸送も、多くの規制を受けるため、許認可を受けた工場・業者以外では実施することができません。そのため地震、水害、暴風雨等の自然災害、火災、原子力発電所の事故、長時間の停電等社会インフラの障害、戦争、テロ等の発生により、当社グループの取引先や、当社グループの工場、研究所、事業所等の施設の損壊又は事業活動の停滞等の損害が発生した場合、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (4) 薬価引き下げに関するリスク当社グループは、医薬品の製造販売を行っております。国内における医療用医薬品の販売価格は、厚生労働大臣が定める薬価基準によって定められますが、医療費高騰等による薬剤費引き下げ政策がすすめられており、2年に一度行われる薬価改定に加え、直近では2021年度に導入された中間年改定が2023年度も実施されております。薬価引き下げ政策が拡大し、当社グループの放射性医薬品の薬価が大きく引き下げられる場合、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (ⅱ)事業内容に関するリスク(5) PDPS技術の競争優位性に関するリスク当社グループのPDPSは、非常に高い多様性をもつペプチドライブラリーを構築し、その中から高い結合性と選択性を有するペプチドを取得できる技術が組み込まれており、重要な要素技術全てにおいて、他のペプチド創薬技術に対する優位性を持っていると認識しております。また、当社グループではPDPS技術の改善・向上のための研究開発に積極的に取り組んでおります。一方で、AIや計算化学といったin silico技術も含め、当社グループの特許技術に抵触しない優れた創薬技術が開発される可能性は否定できません。その場合、当社グループの競争優位性が低下することにつながり、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (6) 知的財産権に関するリスク当社グループのPDPSを始めとする様々な技術や、医薬品候補化合物・製品は、物質・製法・製剤・用途特許等の複数の特許によって一定期間保護されております。当社グループでは特許権を含む知的財産権を管理し、当社グループが事業を展開する市場における第三者の知的財産権や、第三者からの侵害状況を継続的にモニタリングし、知的財産権に関するリスクの回避・軽減に努めております。しかしながら、当社の保有する知的財産権が第三者から侵害を受けた場合や、無効審判を受ける等して取得した特許を適切に保護できない場合、あるいは当社グループの製品・技術が第三者の知的財産権を侵害した場合には、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (7) 共同研究開発先の研究開発進捗・方針に関するリスク当社グループの創薬開発事業においては、パートナーとの共同研究開発契約から計上される収益が主であり、事業収益の相当程度が共同研究開発先(パートナー)の研究開発の進展に伴って計上されます。当該収益は原則的には、(A)契約一時金、(B)研究開発支援金、(C)研究マイルストーンフィー、(D)開発マイルストーンフィー、(E)売上ロイヤルティー、(F)販売マイルストーンフィーで構成されております。上記の中で(A)(B)(C)は当社グループの事業活動に依拠する部分が大きいものの、(D)(E)(F)はパートナーの研究開発・事業活動に依拠する部分が大きく、当社グループでその進捗を管理・制御することは困難です。加えて、研究開発方針を両社で協議しながらプロジェクトを推進するため、必ずしも当社の意向通りに個々のプロジェクトへのリソース配分や、研究開発方針を決定できない可能性がございます。また、自社パイプラインについては導出または共同開発契約等を実施し、パートナーが臨床開発・商業化を行うことを想定しております。その際も、パートナーの研究開発・事業活動の進捗と結果に当社グループの収益は大きく依拠致します。そのため、パートナーにおける研究開発の進捗が遅れた場合やパートナーの研究開発方針に変更等があった場合、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (8) 収益認識に関するリスク当社グループの事業収益の相当程度は、数多くのパートナーとの共同研究、共同開発に関する契約から計上されます。それらは国際会計基準(IFRS)における収益認識基準に従い、必要に応じて個別に監査法人とも確認を取りながら計上しております。当社グループではIFRSの収益認識基準の原則や背景にある考え方の理解に努め、適切な収益認識を行ってきておりますが、監査法人との協議の結果等から、当社の想定と異なる収益認識が必要となった場合、例えば一時金として想定していた収益を長期間にわたって分割計上する必要が生じる等して、年間に計上する売上額が大きく変動する可能性がございます。そのため、一定以上の事業収益に対する収益認識の変更や修正を余儀なくされる場合、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (ⅲ)その他のリスク(9) 保有投資有価証券に関するリスク当社グループでは、共同研究開発を加速させる目的での戦略的提携先への出資等を通じ、投資有価証券を保有しております。投資有価証券の評価は、株式発行会社の財政状態・経営成績等の状況によって判断されるため、実質価額の低下により減損損失を余儀なくされる場合には、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (10) のれん・無形資産に関するリスク当社グループは、企業買収等を通じて獲得したのれん及び無形資産を計上しております。これらの資産については計画と実績の乖離等により価値が下落した場合には減損損失の計上等、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (11) 債務保証に関するリスク当社グループは、一部の投資先に対して、債務保証を行っております。当社グループは投資先の経営状況をモニタリングするとともに、必要な施策を実施し、リスク低減に努めておりますが、将来的にこれら債務保証の履行を求められる状況が発生した場合には、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (12) 資金の借入コストに関するリスク当社グループの事業資金の一部は金融機関からの借入により調達しています。今後、長期金利や短期金利が上昇した場合、借入コストの増加により当社グループの事業戦略及び経営成績に影響が及ぶ可能性があります。また、当社グループの借入金には財務制限条項が付されています。業績の悪化等により当該借入金の期限前弁済義務が生じた場合には、当社グループの財政状態に影響を与える可能性があります。 (13) 外国為替相場の変動に関するリスク当社グループのパートナーには海外の製薬企業が含まれていることから、事業収益の一部が外国通貨建て(主に米ドル建て)となっており、為替変動の影響を受けます。当社グループでは短期的な為替変動に対応するため、適宜為替予約を用いて影響の最小化に努めておりますが、為替相場が一定以上変動した場合には、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼすことになります。 (14) 新株予約権の行使による株式価値の希薄化に関するリスク当社グループは、役員及び従業員に対し新株予約権を付与しております。これらの新株予約権が権利行使された場合、当社グループ株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性がございます。 (15) 人的資本に関するリスク当社グループは、多くの国内外パートナーとの共同研究開発を行っております。そのため、事業を展開し発展させていくために、様々な分野で高い専門性や能力を有しグローバルで活躍できる人材の、採用・育成・確保が必要です。一方で、そのような優秀人材の数は有限であり、社会全般に優秀人材の流動性は高まっている傾向にあります。また、当社グループは海外拠点を保有していないためにグローバル人材の採用に一定の制限があることから、人的資本が充分に確保できないリスクがございます。当社グループでは、優秀人材の獲得のため、賃金水準の上昇や働き方の多様化といった社会変化への対応に常に先行して取り組み、また従業員エンゲージメント向上に向けた取り組みを開始する等、採用競争力の強化や人材確保に努めております。さらに「高い専門性、情熱、誠実」という3つのバリューと、その体現の為の10の行動指針を「Values & behaviors」として定め、コーポレートカルチャーとして定着させることを目指し、人材育成と社内環境整備を進めております。こうした取り組みが機能せず、人材活用が充分に実施できない場合や、人材流出、採用の不調、役員や中核ポジションにおける後継者育成・獲得の停滞を招く場合、当社グループの人的リソース・機能が棄損し、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (16) ITセキュリティ及び情報管理に関するリスク当社グループは、被検者・患者さん等の社外ステークホルダーの個人情報や、パートナーの技術・知的財産情報を含む、多様かつ重要な秘密情報を取り扱っております。近年、サイバー攻撃は年々高度化・巧妙化しており、それにより秘密情報が漏洩した場合、ステークホルダーが重大な損害を被るリスクや、当社グループの社会的信用が大きく損なわれるリスクや、競争力が低下するリスク等がございます。当社グループでは、サイバーセキュリティに関するポリシーを制定し、技術・社会環境の変化に合わせた適切な技術・サービスの導入、ネットワーク及び設備の監視を始めとする各種サイバー攻撃対策の実施や、社員を対象としたトレーニング等継続的な対策強化を行っております。これらの対策にもかかわらず、サイバー攻撃等によるシステム障害や事故等の原因により情報の改ざん、漏えい等が発生した場合には、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (17) 環境(気候変動)に関するリスク「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (4) 環境(気候変動)に関するガバナンス、戦略及び指標と目標」に記載の通りです。 (18) コンプライアンスに関するリスク当社グループの事業の推進にあたっては、薬事規制や製造物責任、独占禁止法、個人情報保護法、放射性同位元素等の規制に関する法令等の様々な法的規制や、GMP、GQP、GCP、GLP等のガイドラインの遵守が必要です。また、当社グループの事業活動は、協力関係にある多数のサプライヤー等の第三者による業務遂行によって、大きく影響を受けます。当社グループは、コンプライアンス・リスクマネジメント委員会を設置してコンプライアンス推進体制を整備し、当社グループおよび関係する第三者の事業活動が法令および社内規定を遵守して実施されるよう努めております。しかしながら、当社グループの従業員や、関係する第三者がこれらの法令等に違反した場合や、社会的要請に反した行動をとった場合、法令による処罰や制裁、規制当局による処分、訴訟の敵を受ける可能性があり、社会的な信頼を失うとともに金銭的損害を負う可能性があり、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (19) 重要な契約の解除・終了に関するリスク当社グループの事業展開上重要な契約が、相手方の経営方針の変更等何らかの理由で、解除・終了する場合、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。なお、原則として、パートナーとの共同研究開発契約に係る受領済みの収益は、当社グループが契約を中途終了する場合でも、当社グループは返還義務を負っておりません。 (20) 法的な紛争に関するリスク当社グループが事業を展開する上で、第三者の権利若しくは利益を侵害した場合又は侵害が疑われる場合には、損害賠償の請求訴訟を提起される等の法的な紛争が生じる可能性がございます。本書提出日現在、法的な紛争は生じておりませんが、今後、当社グループと第三者との間に法的な紛争が生じた場合、紛争の解決に多大なリソースと時間を要するほか、法的紛争に伴うレピュテーションリスクにさらされる可能性があり、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。
FY2022|11,876 文字
2 【事業等のリスク】当社グループの事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、当社グループとして必ずしも重要なリスクと考えていない事項及び具体化する可能性が必ずしも高くないと想定される事項についても、投資判断の上で又は当社グループの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、リスクの発生をすべて回避できる保証はございません。また、以下の記載内容は当社グループのリスクすべてを網羅するものではございませんのでご留意ください。なお、本項記載の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内包しているため、実際の結果とは異なる可能性もございます。 (1) リスク管理体制当社のリスク管理体制は以下のとおりです。<会社の機関・内部統制の関係図>詳細については、 「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ③企業統治に関するその他の事項 b リスク管理体制」をご参照ください。 (2) 主要な事業等のリスク経営者が経営成績等に重大な影響を及ぼす可能性があると認識している主要な事業等のリスクは下記のとおりであります。各リスクについて発生可能性、影響度の観点から評価した結果を一元的に管理するために、同一のリスクマップに掲載しております。<主要な事業等のリスク一覧> ※当社グループ見解に基づく/当社グループ作成リスクNo内容(ⅰ)事業環境に関するリスク1特殊環状ペプチドの医薬品の可能性2技術革新(ⅱ)事業内容に関するリスク3特殊環状ペプチド医薬品をベースにした事業であること4複数の製薬企業との共同研究開発の実施していること5収益計上6法的な紛争の可能性7経営上の重要な契約8共同研究開発契約先への依存9自社パイプライン(自社創薬)10他社との戦略的提携・企業買収等の成否(ⅲ)知的財産権に関するリスク11特許の取得・出願状況12職務発明に対する社内対応(ⅳ)医薬品の研究開発事業一般に関するリスク13医薬品開発の不確実性14副作用発現15薬事法その他の薬事に関する規制16製造・仕入れ 17製造物責任18医薬品行政(ⅴ)人材及び組織に関するリスク19人材確保・人材流出(ⅵ)その他に関するリスク20新株予約権の行使による株式価値の希薄化21配当政策22情報管理23サイバー攻撃24外国為替相場の変動25感染症等の発生26地球環境に対する安全性や気候変動による自然災害等の発生27資金の借入・返済28債務保証29保有投資有価証券30のれん・無形資産の減損31風説・風評の発生 <主要な事業等のリスクマップ> ※当社グループ見解に基づく/当社グループ作成 (ⅰ) 事業環境に関するリスク(1) 特殊環状ペプチドの医薬品としての可能性について当社グループの特殊ペプチドは、タンパク質の合成に利用される20種類のL体のアミノ酸のみならず、特殊アミノ酸と呼ばれるD体のアミノ酸やNメチルアミノ酸等を含んでいます。この性質により、当社グループは多様性のある特殊ペプチドのライブラリーを作製することができ、その中からターゲットタンパクに対して強い結合力・特異性を有し、高い生体内安定性を保ち、細胞膜透過性をも有する特殊ペプチドを創製することができます。このような特質から、当社グループの特殊ペプチドは、新たな医薬品候補物質として期待されており、製薬会社との契約に結びついております。当社グループの創薬開発プラットフォームシステム(PDPS)が稼働を開始したのは、2010年であります。医薬品は基礎研究から製造販売承認等を取得するまでに、通常、多大な開発費用と10年以上の長い年月を必要とします。当社グループのPDPSを活用して創製された特殊ペプチドからこれまでに新薬が承認された実績はございません。(ただし、体内のホルモンや菌類・動物・植物由来等の天然の環状ペプチドを基に医薬品が開発され、販売されている実績はございます。たとえば、1983年にスイスのSandoz社から発売された免疫抑制剤「Sandimmun(サンディミュン)」は、ノルウェー南部のハルダンゲル高原の土壌から発見された真菌が産生していた特殊な構造のペプチド(シクロスポリン)から作られています。)将来において、当社グループの特殊ペプチドによる新薬開発実績が生み出せなかった場合や当社グループの特殊ペプチド創薬技術がクライアントの医薬品開発に貢献できない事態が生じた場合には、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (2) 技術革新について当社グループの創薬開発プラットフォームシステム(PDPS)は、特殊ペプチドを医薬品候補物質として運用するために必要となる一連の技術((A)特殊ペプチドを創製し、(B)低分子医薬及び抗体医薬を超える多様性を持ったライブラリーを構築し、(C)高速でスクリーニングを行う技術。)を組み込んでおり、この(A)から(C)のいずれの技術をとってみても、同じくペプチドを医薬品候補物質として扱っている他社の技術と比べ、優位性を保っているものと考えております。しかしながら、技術は日々進歩するものであり、当社グループの特許技術に抵触しない技術をもって当社グループPDPSを上回る技術が開発されることも考えられます。当社グループとしては、PDPSを継続的に発展させるため、研究開発を積極的に実施し、PDPSに必要な知的財産権の確保に努めていく方針でありますが、当社グループPDPSを上回る技術が開発された場合には、当社グループの競争優位性が低下する結果、当社グループの希望する条件でクライアントとの間で契約を締結することができなくなる可能性が増加するなど、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (ⅱ) 事業内容に関するリスク(3) 特殊環状ペプチド医薬品をベースにした事業であることについて当社グループは、従来、特殊ペプチド医薬に特化して事業を展開しておりました。そのため、当社グループの創薬開発プラットフォームシステム(PDPS)により創製される特殊ペプチドは、新規性・進歩性を有するオリジナリティの高いものであり、容易に代替技術が生まれて当社グループの存在価値が危ぶまれるような事態になることは想定し難いと考えておりますが、特殊ペプチドに対する製薬企業の評価が変化した場合や当社グループの特殊ペプチド創薬技術がクライアントの医薬品開発に貢献できない事態が生じた場合には、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。近時は特殊ペプチドを探索マーカーとして活用することによって、低分子医薬の開発につなげることができることがわかっており、PDPSの応用範囲が以前に比べて大幅に拡がっております。そのため、特殊ペプチドに特化していた事業内容が変わりつつあり、特殊ペプチドをベースとしてPDPSを創薬研究開発の基盤として当業界に広めていき、特殊ペプチドのみならず低分子医薬の開発にも活用していこうという展開を試みています。こうした、低分子医薬の開発に貢献できない事態が生じた場合には、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (4) 複数の製薬企業との共同研究開発を実施していることについて当社グループの共同研究開発契約先の製薬会社は、それぞれ独自の創薬開発ターゲットを保有しており、当社グループはその研究開発について提案を受けて推進していくことになりますが、まれに各製薬企業間で創薬開発ターゲットが競合してしまうことがございます。競合が生じた際は、当社グループが各製薬企業との間に立って差配することによって、トラブルを未然に防止しており、現在までにトラブルが生じた事例はございません。しかし、今後、その調整が困難になる事態が生じた場合、当社グループは新たな共同研究開発契約や新たなターゲットタンパクが獲得できないなど、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (5) 収益計上について創薬開発事業の共同研究開発契約に係る売上カテゴリーは、原則として(A)契約一時金(テクノロジカルアクセスフィー)に始まり順次、(B)研究開発支援金、(C)追加研究開発支援金、(D)創薬開発権利金、(E)非臨床・臨床開発マイルストーンフィー、(F)売上ロイヤルティー、(G)販売マイルストーンフィーで構成されております。(A)契約一時金(テクノロジカルアクセスフィー)、(B)研究開発支援金及び(C)追加研究開発支援金は当社グループの事業活動に依拠する部分が大きいものの、特に(B)及び(C)について、クライアントの方針転換等の影響を受けてプロジェクトが終了し、それ以降の収益が計上できないことがございます。また、(A)は、相対的に(B)及び(C)よりも額が大きく、一度に売上が計上されるため、当社グループの経営成績は(A)の計上に少なからず影響を受けることになります。(D)創薬開発権利金や(E)各種マイルストーンフィーに至っては、クライアントにおける業務の進行状況に大きく依存するものであり、当社グループでのコントロールは極めて困難な売上カテゴリーです。そのため、当社グループの計画に対してクライアントにおける研究開発の進捗が遅れた場合やクライアントの研究開発方針に変更等があった場合、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (6) 法的な紛争の可能性について当社グループは、事業を展開する上で、第三者の権利若しくは利益を侵害した場合又は侵害していない場合でも相手側が侵害したと考える場合には、損害賠償等の訴訟を提起されるなど法的な紛争が生じる可能性がございます。本書提出日現在、法的な紛争は生じておりませんが、今後、当社グループと第三者との間に法的な紛争が生じた場合、紛争の解決に労力、時間及び費用を要するほか、法的紛争に伴うレピュテーションリスクにさらされる可能性があり、その場合、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。また、将来的な事業展開においては、他社が保有する特許権等への抵触により、事業上の制約を受けるなど、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。さらに、これまでのところ当社グループが製薬企業と共同研究開発した特殊ペプチド医薬品が上市にまで至った事例は未だございませんが、今後、万一、当社グループが共同研究開発に携わった医薬品において健康被害が引き起こされた場合には、そのネガティブなイメージにより、当社グループ及び当社グループの創薬開発プラットフォームシステム(PDPS)に対する信頼性に悪影響が生じ、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (7) 経営上の重要な契約について当社グループの事業展開上、重要と思われる契約が、当該契約が解除又はその他の事由に基づき終了した場合又は契約の相手方の経営方針が変更された場合には、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。なお、共同研究開発契約に係る金員(当社グループから見たときは売上に該当)は、原則として当社グループが前金として受領しており、これらの金員について当社グループは契約が中途終了する場合でも返還義務を負っておりません。その反面、共同研究開発契約先は、契約の解除について任意(自由)に実行することができる契約内容となっております。 (8) 共同研究開発契約先への依存について当社グループアライアンス事業における収益は、ほとんどが共同研究開発契約先(クライアント)からのものでありますが、今後、これらのクライアントとの間で新たな標的分子に係る共同研究開発が開始されない場合や、共同研究開発の結果がクライアントの要求水準を満たせない場合には、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。また、当社グループがライセンスアウトしたリード化合物は、クライアントが主体となって臨床試験及び承認申請を行うことになりますが、その進捗と結果が当社グループの事業戦略及び経営成績に大きな影響を及ぼします。当社グループは、ライセンスアウト後もクライアントをサポートいたしますが、臨床試験及び承認申請はクライアントが主体となって実施するものであり、当社グループでコントロールすることはできません。したがって、臨床試験及び承認申請の進捗が当社グループの予期しない事由により遅滞することや、臨床試験及び承認申請が断念される等の可能性がございます。さらに、製造販売承認後の販売計画はクライアントに依存しており、クライアントの経営方針や販売計画の変更、経営環境の悪化等により販売計画を達成できない等の可能性がございます。そのほか、医薬品の研究開発には多額の資金が必要となることから、当業界においては組織再編やM&Aが盛んであり、クライアントにおいて組織再編が実施されることや、競合他社を買収する(競合他社から買収される)ことなど、業界における競争の構図が短期間に塗り替えられる可能性がございます。こうした大規模な企業組織再編が当社グループのクライアントに生じた場合、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (9) 自社パイプライン(自社創薬)について当社グループでは、特殊ペプチドの特性を活かした自社パイプライン(自社創薬)の研究開発を進めております。現在のところ、開発の方向性としては、特殊ペプチドを医薬品として活用するアプローチと特殊ペプチドの持つ優れた選択性を活かして他の薬剤を誘導するPDC(Peptide Drug Conjugate)薬剤を開発するアプローチをとっております。また、特殊ペプチドを探索マーカーとして活用することによって、低分子医薬の開発につなげることができることから、自社パイプラインにおいても低分子医薬品の開発に着手しております。自社パイプラインについては、研究開発が順調に進展し、臨床試験まで当社グループの負担で実施する場合には、多額の開発費用を要する状態になる可能性がございます。また、自社パイプラインの研究開発が順調に進展しない場合には、将来の事業化のオプションを一部失う可能性がございます。 (10) 他社との戦略的提携・企業買収等の成否について当社グループは、競争力の強化及び事業分野の拡大等のため、他社の事業部門の譲受け、他社の買収、他社との業務提携、合弁会社の設立、他社への投資等の戦略的提携など(以下「戦略的提携等」といいます。)を行うことがございます。こうした戦略的提携等については、パートナー企業との思惑に相違が生じて提携・統合が円滑に進まない可能性や当初期待していた効果が得られない可能性、投資した金額の全部又は一部が回収できない可能性等がございます。また、パートナー企業が当社グループの利益に反する決定を行う可能性があり、パートナー企業が事業戦略を変更した場合など、当社グループは戦略的提携等の関係を維持することが困難になる可能性もあり、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (ⅲ) 知的財産権に関するリスク(11) 特許の取得・出願状況について当社グループは事業において様々な発明及び特許権を実施しておりますが、これらは当社グループ、国立大学法人東京大学又はニューヨーク州立大学により登録済みになっているものと審査中のものがございます。しかしながら、出願中の発明すべてについて特許査定がなされるとは限りません。また、特許権を設定登録した場合でも、特許異議申立制度により請求項が無効化される可能性がございます。また、特許権侵害訴訟の提起や特許無効審判が請求されるなど特許権に係る法的な紛争が生じ、当社グループが実施する権利に何らかの悪影響が生じる可能性がございます。また、当社グループが実施する特許権を上回る優れた技術の出現により、当社グループが有する特許権に含まれる技術が陳腐化する可能性がございます。こうした事態が生じた場合には、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。その他、当社グループは、国立大学法人東京大学又はニューヨーク州立大学が出願人である発明又は特許権に関して、契約により第三者サブライセンス権付き独占実施・許諾権を獲得しておりますが、当該契約の内容が変更される場合や、期間満了や解除等により契約が終了した場合等にも、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (12) 職務発明に対する社内対応について当社グループの役職員等が創出した職務発明について特許を受ける権利を取得したときは、当社グループは、当該職務発明の発明者である役職員等に対し、特許法に定める「相当の利益」を支払うことになります。当社グループでは、その取扱いについて社内規則等でルールを定めており、役職員等への周知及び運用を強化しております。しかしながら、職務発明の取扱いにつき、相当の利益の支払請求等の問題が生じた場合には、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (ⅳ) 医薬品の研究開発事業一般に関するリスク(13) 医薬品開発の不確実性について一般に医薬品の開発には多額の研究開発投資と長い時間を要するだけでなく、その成功確率も他産業に比して著しく低い状況にあります。研究開発の初期段階において有望だと思われる化合物であっても、前臨床試験や臨床試験の過程で有用な効果を発見できないこと等により研究開発が予定通りに進行せず、開発の延長や中止の判断をされることがございます。開発を延長した場合には、追加の資金投入が必要になるほか、特許権の存続期間満了までの期間が短くなり、投資した資金の回収に影響を及ぼします。また、開発を中止した場合には、それまでに投じた研究開発資金が回収できなくなることになります。 (14) 副作用発現について医薬品は、臨床試験段階から上市後に至るまで、予期せぬ副作用が発現する可能性がございます。これら予期せぬ副作用が発現した場合、信用力の失墜、訴訟の提起等により、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (15) 薬事法その他の薬事に関する規制について医薬品業界は、研究、開発、製造及び販売のそれぞれの事業活動において、各国の薬事法(わが国においては「医薬品医療機器等法」)及びその他の関連法規等により、様々な規制を受けております。現在のところ、当社グループのパイプラインは研究開発段階にあり、わが国の厚生労働省、アメリカ食品医薬品局(FDA)、欧州医薬品庁(EMA)等から上市のための認可は受けておりませんが、今後、各国の薬事法等の諸規制に基づいて医薬品の製造販売承認申請を行い、承認を取得することを目指しております。そのため、自社のパイプラインについて上記の規制をクリアするための体制整備が求められることになります。また、各国の薬事法及びその他の関連法規等は随時改定がなされるものであり、これらの変化が当社グループの生み出す特殊ペプチドにとって有利又は不利に働くことや、さらなる体制の整備・変更を求められる可能性が考えられます。こうした規制への対応が当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼすことになります。 (16) 製造・仕入れについて地震、水害、暴風雨等の自然災害、火災、原子力発電所の事故、長時間の停電等社会インフラの障害、戦争、テロ等の発生により、当社グループの工場、研究所、事業所等の施設の損壊又は事業活動の停滞等の損害が発生した場合、経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性がございます。また、製品の一部は当社グループの工場において独自の技術により製造しており、商品及び原材料の一部は、特定の取引先にその供給を依存しております。このため、何らかの理由により製造活動や仕入れが遅延又は停止した場合、経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性がございます。 (17) 製造物責任について医薬品の開発及び製造には、製造物責任のリスクが内在しています。将来、開発したいずれかの医薬品が健康障害を引き起こし、又は臨床試験、製造、営業若しくは販売において不適当な事象が発見された場合、当社グループは製造物責任を負うこととなり、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。また、製造物責任賠償請求がなされることによるネガティブなイメージにより、当社グループ及び当社グループの医薬品に対する信頼に悪影響が生じ、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (18) 医薬品行政について医療用医薬品の販売価格は、日本及びその他各国政府の薬価に関する規制の影響を受けます。当社グループでは、これまでのところ自社で臨床試験を実施したことがなく、早期に開発候補化合物をクライアントに導出する方針を採用しております。そのため、当社グループは薬価戦略についてはクライアントに依存しており、日本及びその他各国政府の薬価政策の影響を間接的に受ける立場にあります。当社グループの開発候補化合物が上市された場合において、当該医薬品にとってネガティブな薬価改定やその他の医療保険制度の改定があった場合は、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (ⅴ) 人材及び組織に関するリスク(19) 人材確保・人材流出について当社グループは、創薬基盤技術の深化、創薬研究開発の進展を図るには、研究開発分野における専門的な知識・技能をもった優秀な人材の確保が必要であると考えております。当社グループの想定した人材の確保に支障が生じた場合、又は優秀な人材の社外流出が生じた場合には、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (ⅵ) その他に関するリスク(20) 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について当社グループは、役員及び従業員に対し新株予約権を付与しております。これらの新株予約権が権利行使された場合、当社グループ株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性がございます。本書提出日現在、権利行使が可能な状態にある新株予約権による潜在株式数はございません。 (21) 配当政策について当社グループは配当による株主様への利益還元も重要な経営課題だと認識しております。当社グループは、将来においても安定的な収益の獲得が可能であり、かつ、研究開発資金を賄うに十分な利益が確保できる場合には、将来の研究開発活動等に備えるための内部留保充実の必要性等を総合的に勘案した上で、利益配当についても検討してまいります。 (22) 情報管理について当社グループの事業は、クライアントである製薬企業からターゲットタンパクの情報を預かる立場にあります。そのため、当社グループは、当社グループの従業員との間において顧客情報を含む会社の情報に係る誓約書を徴求し、会社情報の漏えいの未然防止に努めております。しかしながら、万一顧客の情報を含む会社の情報が外部に漏えいした場合は、当社グループの信用低下を招き、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性がございます。 (23) サイバー攻撃について近年、サイバー攻撃はこれまで以上に技術が高度化し、攻撃手法も多様化・巧妙化しております。このような状況を踏まえ、当社グループはサイバーセキュリティに関するリスクを最重要リスクの一つと認識し、ネットワーク及び設備の監視を始めとする各種サイバー攻撃対策を実施し、その管理には万全を期しております。しかしながら、これらの対策にもかかわらず、サイバー攻撃やそれに伴う深刻なシステム障害等により実質的に当社グループ事業が中断する等、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性がございます。 (24) 外国為替相場の変動について当社グループのクライアントには海外の製薬企業が含まれていることから、売上収益の一部が外国通貨建て(主に米ドル建て)となっており、為替変動の影響を受けます。したがって、為替相場が変動した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼすことになります。当社グループでは短期的な為替変動に対応するため、適宜為替予約を用いて影響の最小化に努めております。 (25) 感染症等の発生について当社グループは、事業活動や研究開発活動に必要な設備及び機能が本社・研究所に集中しており、在宅勤務等へのシフトによって本社研究所以外の場所で継続できる業務が一部のオフィス業務に限定されます。感染症対策としてオフィス内の衛生管理の強化や「密な接触機会」の回避を図る取り組みを継続して実施すること等により、社員及びすべての関係取引先、並びにそのご家族の皆様の感染リスク軽減に引き続き努めておりますが、指定感染症等が発生し、本社・研究所の一時閉鎖等の不測の事態が発生した場合には、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (26) 地球環境に対する安全性や気候変動による自然災害等の発生について当社グループの研究開発の過程等で使用する化学物質の中には、人体や環境に悪影響を与える物質が含まれております。当社グループは、研究開発活動で使用する環境汚染物質のモニタリングを実施しておりますが、万が一、汚染物質による人への暴露、土壌汚染、大気汚染、水質汚染等が発生した場合、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また当社グループは、神奈川県川崎市川崎区殿町に本社・研究所を設置しており、事業活動や研究開発活動に関する設備及び人員が現所在地に集中しております。周辺には多摩川が流れており、気候変動に伴う洪水や津波などの水害等の自然災害が発生し、当社グループ設備の損壊、各種インフラの供給制限等の不測の事態が発生した場合には、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (27) 資金の借入・返済について当社グループの事業資金の一部は金融機関からの借入により調達しています。今後、長期金利や短期金利が上昇した場合、借入コストの増加により当社グループの経営成績及び財務状況に影響が及ぶ可能性があります。また、当社グループの借入金には財務制限条項が付されています。業績の悪化等により当該借入金の期限前弁済義務が生じた場合には、当社グループの財政状態に影響を与える可能性があります。 (28) 債務保証について当社グループは、一部の投資先に対して、債務保証を行っておりますが、将来、これら債務保証の履行を求められる状況が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクに対して、当社グループは投資先のモニタリングをするとともに、必要な施策を実施し、リスク低減に努めております。 (29) 保有投資有価証券について当社グループでは、共同研究開発を加速させる目的で投資有価証券を保有しております。投資有価証券の評価は、株式発行会社の財政状態・経営成績等の状況によって判断されるため、実質価額の低下により減損処理を行うこととなった場合には、投資有価証券評価損の計上により当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (30) のれん・無形資産の減損について当社グループは、企業買収等を通じて獲得したのれん及び無形資産を計上しております。これらの資産については計画と実績の乖離等により価値が下落した場合には減損損失の計上等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がございます。 (31) 風説・風評の発生について当社グループや当社グループの関係者、当社グループの取引先等に対する否定的な風説や風評が、マスコミ報道、アナリストレポートやインターネット上の書き込み等により発生・流布した場合、それが正確な事実に基づいたものであるか否かにかかわらず、当社グループの社会的信用に影響を与える可能性がございます。当社グループや当社グループの関係者、当社グループの取引先等に対して否定的な風説・風評が流布した場合には、そのネガティブなイメージにより、当社グループに対する信頼性に悪影響が生じ、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。
FY2021|11,066 文字
2 【事業等のリスク】当社の事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、当社として必ずしも重要なリスクと考えていない事項及び具体化する可能性が必ずしも高くないと想定される事項についても、投資判断の上で又は当社の事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、リスクの発生をすべて回避できる保証はございません。また、以下の記載内容は当社のリスクすべてを網羅するものではございませんのでご留意ください。なお、本項記載の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、不確実性を内包しているため、実際の結果とは異なる可能性もございます。 (1) リスク管理体制当社のリスク管理体制は以下のとおりです。<会社の機関・内部統制の関係図> 詳細については、 「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ③企業統治に関するその他の事項 b リスク管理体制」をご参照ください。 (2) 主要な事業等のリスク経営者が経営成績等に重大な影響を及ぼす可能性があると認識している主要な事業等のリスクは下記のとおりであります。各リスクについて発生可能性、影響度の観点から評価した結果を一元的に管理するために、同一のリスクマップに掲載しております。<主要な事業等のリスク一覧> ※当社見解に基づく/当社作成リスクNo内容(ⅰ)事業環境に関するリスク1特殊環状ペプチドの医薬品の可能性2技術革新(ⅱ)事業内容に関するリスク3特殊環状ペプチド医薬品をベースにした事業であること4複数の製薬企業との共同研究開発の実施していること5収益計上6法的な紛争の可能性7経営上の重要な契約8共同研究開発契約先への依存9自社パイプライン(自社創薬)10他社との戦略的提携・企業買収等の成否(ⅲ)知的財産権に関するリスク11特許の取得・出願状況12職務発明に対する社内対応(ⅳ)医薬品の研究開発事業一般に関するリスク13医薬品開発の不確実性14副作用発現15薬事法その他の薬事に関する規制16製造物責任17医薬品行政(ⅴ)人材及び組織に関するリスク18人材確保・人材流出(ⅵ)その他に関するリスク19新株予約権の行使による株式価値の希薄化20配当政策21情報管理22サイバー攻撃23外国為替相場の変動24感染症等の発生25地球環境に対する安全性や気候変動による自然災害等の発生26CDMOへの出資27保有投資有価証券28風説・風評の発生 <主要な事業等のリスクマップ> ※当社見解に基づく/当社作成(ⅰ) 事業環境に関するリスク(1) 特殊環状ペプチドの医薬品としての可能性について当社の特殊ペプチドは、タンパク質の合成に利用される20種類のL体のアミノ酸のみならず、特殊アミノ酸と呼ばれるD体のアミノ酸やNメチルアミノ酸等を含んでいます。この性質により、当社は多様性のある特殊ペプチドのライブラリーを作製することができ、その中からターゲットタンパクに対して強い結合力・特異性を有し、高い生体内安定性を保ち、細胞膜透過性をも有する特殊ペプチドを創製することができます。このような特質から、当社の特殊ペプチドは、新たな医薬品候補物質として期待されており、製薬会社との契約に結びついております。当社の創薬開発プラットフォームシステム(PDPS)が稼働を開始したのは、2010年であります。医薬品は基礎研究から製造販売承認等を取得するまでに、通常、多大な開発費用と10年以上の長い年月を必要とします。当社の特殊ペプチド創薬開発技術は、まだ生まれて日が浅いため、当社の特殊ペプチドからこれまでに新薬が承認された実績はございません。(ただし、自然界に存在する特殊アミノ酸を組み込んだ有機化合物から新薬が承認された実績があります。たとえば、1983年にスイスのSandoz(サンド)社から発売された免疫抑制剤「Sandimmun(サンディミュン)」は、ノルウェー南部のハルダンゲル高原の土壌から発見された真菌が産生していた特殊な構造のペプチド(シクロスポリン)から作られています。)将来において、当社の特殊ペプチドによる新薬開発実績が生み出せなかった場合や当社の特殊ペプチド創薬技術がクライアントの医薬品開発に貢献できない事態が生じた場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (2) 技術革新について当社の創薬開発プラットフォームシステム(PDPS)は、特殊ペプチドを医薬品候補物質として運用するために必要となる一連の技術((A)特殊ペプチドを創製し、(B)低分子医薬及び抗体医薬を超える多様性を持ったライブラリーを構築し、(C)高速でスクリーニングを行う技術。)を組み込んでおり、この(A)から(C)のいずれの技術をとってみても、同じくペプチドを医薬品候補物質として扱っている他社の技術と比べ、優位性を保っているものと考えております。しかしながら、技術は日々進歩するものであり、当社の特許技術に抵触しない技術をもって当社PDPSを上回る技術が開発されることも考えられます。当社としては、PDPSを継続的に発展させるため、研究開発を積極的に実施し、PDPSに必要な知的財産権の確保に努めていく方針でありますが、当社PDPSを上回る技術が開発された場合には、当社の競争優位性が低下する結果、当社の希望する条件でクライアントとの間で契約を締結することができなくなる可能性が増加するなど、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (ⅱ) 事業内容に関するリスク(3) 特殊環状ペプチド医薬品をベースにした事業であることについて当社は、従来、特殊ペプチド医薬に特化して事業を展開しておりました。そのため、当社の創薬開発プラットフォームシステム(PDPS)により創製される特殊ペプチドは、新規性・進歩性を有するオリジナリティの高いものであり、容易に代替技術が生まれて当社の存在価値が危ぶまれるような事態になることは想定し難いと考えておりますが、特殊ペプチドに対する製薬企業の評価が変化した場合や当社の特殊ペプチド創薬技術がクライアントの医薬品開発に貢献できない事態が生じた場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。近時は特殊ペプチドを探索マーカーとして活用することによって、低分子医薬の開発につなげることができることがわかっており、PDPSの応用範囲が以前に比べて大幅に拡がっております。そのため、特殊ペプチドに特化していた事業内容が変わりつつあり、特殊ペプチドをベースとしてPDPSを創薬研究開発の基盤として当業界に広めていき、特殊ペプチドのみならず低分子医薬の開発にも活用していこうという展開を試みています。こうした、低分子医薬の開発に貢献できない事態が生じた場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (4) 複数の製薬企業との共同研究開発を実施していることについて当社の共同研究開発契約先の製薬会社は、それぞれ独自の創薬開発ターゲットを保有しており、当社はその研究開発について提案を受けて推進していくことになりますが、まれに各製薬企業間で創薬開発ターゲットが競合してしまうことがございます。競合が生じた際は、当社が各製薬企業との間に立って差配することによって、トラブルを未然に防止しており、現在までにトラブルが生じた事例はございません。しかし、今後、その調整が困難になる事態が生じた場合、当社は新たな共同研究開発契約や新たなターゲットタンパクが獲得できないなど、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (5) 収益計上について当社の共同研究開発契約に係る売上カテゴリーは、原則として(A)契約一時金(テクノロジカルアクセスフィー)に始まり順次、(B)研究開発支援金、(C)追加研究開発支援金、(D)創薬開発権利金、(E)非臨床・臨床開発マイルストーンフィー、(F)売上ロイヤルティー、(G)販売マイルストーンフィーで構成されております。(A)契約一時金(テクノロジカルアクセスフィー)、(B)研究開発支援金及び(C)追加研究開発支援金は当社の事業活動に依拠する部分が大きいものの、特に(B)及び(C)について、クライアントの方針転換等の影響を受けてプロジェクトが終了し、それ以降の収益が計上できないことがございます。また、(A)は、相対的に(B)及び(C)よりも額が大きく、一度に売上が計上されるため、当社の経営成績は(A)の計上に少なからず影響を受けることになります。(D)創薬開発権利金や(E)各種マイルストーンフィーに至っては、クライアントにおける業務の進行状況に大きく依存するものであり、当社でのコントロールは極めて困難な売上カテゴリーです。そのため、当社の計画に対してクライアントにおける研究開発の進捗が遅れた場合やクライアントの研究開発方針に変更等があった場合、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (6) 法的な紛争の可能性について当社は、事業を展開する上で、第三者の権利若しくは利益を侵害した場合又は侵害していない場合でも相手側が侵害したと考える場合には、損害賠償等の訴訟を提起されるなど法的な紛争が生じる可能性がございます。本書提出日現在、法的な紛争は生じておりませんが、今後、当社と第三者との間に法的な紛争が生じた場合、紛争の解決に労力、時間及び費用を要するほか、法的紛争に伴うレピュテーションリスクにさらされる可能性があり、その場合、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。また、将来的な事業展開においては、他社が保有する特許権等への抵触により、事業上の制約を受けるなど、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。さらに、これまでのところ当社が製薬企業と共同研究開発した特殊ペプチド医薬品が上市にまで至った事例は未だございませんが、今後、万一、当社が共同研究開発に携わった医薬品において健康被害が引き起こされた場合には、そのネガティブなイメージにより、当社及び当社の創薬開発プラットフォームシステム(PDPS)に対する信頼性に悪影響が生じ、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (7) 経営上の重要な契約について当社の事業展開上、重要と思われる契約が、当該契約が解除又はその他の事由に基づき終了した場合又は契約の相手方の経営方針が変更された場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。なお、共同研究開発契約に係る金員(当社から見たときは売上に該当)は、原則として当社が前金として受領しており、これらの金員について当社は契約が中途終了する場合でも返還義務を負っておりません。その反面、共同研究開発契約先は、契約の解除について任意(自由)に実行することができる契約内容となっております。 (8) 共同研究開発契約先への依存について当社アライアンス事業における収益は、ほとんどが共同研究開発契約先(クライアント)からのものでありますが、今後、これらのクライアントとの間で新たな標的分子に係る共同研究開発が開始されない場合や、共同研究開発の結果がクライアントの要求水準を満たせない場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。また、当社がライセンスアウトしたリード化合物は、クライアントが主体となって臨床試験及び承認申請を行うことになりますが、その進捗と結果が当社の事業戦略及び経営成績に大きな影響を及ぼします。当社は、ライセンスアウト後もクライアントをサポートいたしますが、臨床試験及び承認申請はクライアントが主体となって実施するものであり、当社でコントロールすることはできません。したがって、臨床試験及び承認申請の進捗が当社の予期しない事由により遅滞することや、臨床試験及び承認申請が断念される等の可能性がございます。さらに、製造販売承認後の販売計画はクライアントに依存しており、クライアントの経営方針や販売計画の変更、経営環境の悪化等により販売計画を達成できない等の可能性がございます。そのほか、医薬品の研究開発には多額の資金が必要となることから、当業界においては組織再編やM&Aが盛んであり、クライアントにおいて組織再編が実施されることや、競合他社を買収する(競合他社から買収される)ことなど、業界における競争の構図が短期間に塗り替えられる可能性がございます。こうした大規模な企業組織再編が当社のクライアントに生じた場合、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (9) 自社パイプライン(自社創薬)について当社では、特殊ペプチドの特性を活かした自社パイプライン(自社創薬)の研究開発を進めております。現在のところ、開発の方向性としては、特殊ペプチドを医薬品として活用するアプローチと特殊ペプチドの持つ優れた選択性を活かして他の薬剤を誘導するPDC(Peptide Drug Conjugate)薬剤を開発するアプローチをとっております。また、特殊ペプチドを探索マーカーとして活用することによって、低分子医薬の開発につなげることができることから、自社パイプラインにおいても低分子医薬品の開発に着手しております。自社パイプラインについては、研究開発が順調に進展し、臨床試験まで当社の負担で実施する場合には、多額の開発費用を要する状態になる可能性がございます。また、自社パイプラインの研究開発が順調に進展しない場合には、将来の事業化のオプションを一部失う可能性がございます。 (10) 他社との戦略的提携・企業買収等の成否について当社は、競争力の強化及び事業分野の拡大等のため、他社の事業部門の譲受け、他社の買収、他社との業務提携、合弁会社の設立、他社への投資等の戦略的提携など(以下「戦略的提携等」といいます。)を行うことがございます。こうした戦略的提携等については、パートナー企業との思惑に相違が生じて提携・統合が円滑に進まない可能性や当初期待していた効果が得られない可能性、投資した金額の全部又は一部が回収できない可能性等がございます。また、パートナー企業が当社の利益に反する決定を行う可能性があり、パートナー企業が事業戦略を変更した場合など、当社は戦略的提携等の関係を維持することが困難になる可能性もあり、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (ⅲ) 知的財産権に関するリスク(11) 特許の取得・出願状況について当社は事業において様々な発明及び特許権を実施しておりますが、これらは当社、国立大学法人東京大学又はニューヨーク州立大学により登録済みになっているものと審査中のものがございます。しかしながら、出願中の発明すべてについて特許査定がなされるとは限りません。また、特許権を設定登録した場合でも、特許異議申立制度により請求項が無効化される可能性がございます。また、特許権侵害訴訟の提起や特許無効審判が請求されるなど特許権に係る法的な紛争が生じ、当社が実施する権利に何らかの悪影響が生じる可能性がございます。また、当社が実施する特許権を上回る優れた技術の出現により、当社が有する特許権に含まれる技術が陳腐化する可能性がございます。こうした事態が生じた場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。その他、当社は、国立大学法人東京大学又はニューヨーク州立大学が出願人である発明又は特許権に関して、契約により第三者サブライセンス権付き独占実施・許諾権を獲得しておりますが、当該契約の内容が変更される場合や、期間満了や解除等により契約が終了した場合等にも、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (12) 職務発明に対する社内対応について当社の役職員等が創出した職務発明について特許を受ける権利を取得したときは、当社は、当該職務発明の発明者である役職員等に対し、特許法に定める「相当の利益」を支払うことになります。当社では、その取扱いについて社内規則等でルールを定めており、役職員等への周知及び運用を強化しております。しかしながら、職務発明の取扱いにつき、相当の利益の支払請求等の問題が生じた場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (ⅳ) 医薬品の研究開発事業一般に関するリスク(13) 医薬品開発の不確実性について一般に医薬品の開発には多額の研究開発投資と長い時間を要するだけでなく、その成功確率も他産業に比して著しく低い状況にあります。研究開発の初期段階において有望だと思われる化合物であっても、前臨床試験や臨床試験の過程で有用な効果を発見できないこと等により研究開発が予定通りに進行せず、開発の延長や中止の判断をされることがございます。開発を延長した場合には、追加の資金投入が必要になるほか、特許権の存続期間満了までの期間が短くなり、投資した資金の回収に影響を及ぼします。また、開発を中止した場合には、それまでに投じた研究開発資金が回収できなくなることになります。 (14) 副作用発現について医薬品は、臨床試験段階から上市後に至るまで、予期せぬ副作用が発現する可能性がございます。これら予期せぬ副作用が発現した場合、信用力の失墜、訴訟の提起等により、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (15) 薬事法その他の薬事に関する規制について医薬品業界は、研究、開発、製造及び販売のそれぞれの事業活動において、各国の薬事法(わが国においては「医薬品医療機器等法」)及びその他の関連法規等により、様々な規制を受けております。現在のところ、当社のパイプラインは研究開発段階にあり、わが国の厚生労働省、アメリカ食品医薬品局(FDA)、欧州医薬品庁(EMA)等から上市のための認可は受けておりませんが、今後、各国の薬事法等の諸規制に基づいて医薬品の製造販売承認申請を行い、承認を取得することを目指しております。そのため、自社のパイプラインについて上記の規制をクリアするための体制整備が求められることになります。また、各国の薬事法及びその他の関連法規等は随時改定がなされるものであり、これらの変化が当社の生み出す特殊ペプチドにとって有利又は不利に働くことや、さらなる体制の整備・変更を求められる可能性が考えられます。こうした規制への対応が当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼすことになります。 (16) 製造物責任について医薬品の開発及び製造には、製造物責任のリスクが内在しています。将来、開発したいずれかの医薬品が健康障害を引き起こし、又は臨床試験、製造、営業若しくは販売において不適当な事象が発見された場合、当社は製造物責任を負うこととなり、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。また、製造物責任賠償請求がなされることによるネガティブなイメージにより、当社及び当社の医薬品に対する信頼に悪影響が生じ、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (17) 医薬品行政について医療用医薬品の販売価格は、日本及びその他各国政府の薬価に関する規制の影響を受けます。当社では、これまでのところ自社で臨床試験を実施したことがなく、早期に開発候補化合物をクライアントに導出する方針を採用しております。そのため、当社は薬価戦略についてはクライアントに依存しており、日本及びその他各国政府の薬価政策の影響を間接的に受ける立場にあります。当社の開発候補化合物が上市された場合において、当該医薬品にとってネガティブな薬価改定やその他の医療保険制度の改定があった場合は、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (ⅴ) 人材及び組織に関するリスク(18) 人材確保・人材流出について当社は、創薬基盤技術の深化、創薬研究開発の進展を図るには、研究開発分野における専門的な知識・技能をもった優秀な人材の確保が必要であると考えております。当社の想定した人材の確保に支障が生じた場合、又は優秀な人材の社外流出が生じた場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (ⅵ) その他に関するリスク(19) 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について当社は、役員及び従業員に対し新株予約権を付与しております。これらの新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性がございます。本書提出日現在、権利行使が可能な状態にある新株予約権による潜在株式数はございません。 (20) 配当政策について当社は配当による株主様への利益還元も重要な経営課題だと認識しております。当社は、将来においても安定的な収益の獲得が可能であり、かつ、研究開発資金を賄うに十分な利益が確保できる場合には、将来の研究開発活動等に備えるための内部留保充実の必要性等を総合的に勘案した上で、利益配当についても検討してまいります。 (21) 情報管理について当社の事業は、クライアントである製薬企業からターゲットタンパクの情報を預かる立場にあります。そのため、当社は、当社の従業員との間において顧客情報を含む会社の情報に係る誓約書を徴求し、会社情報の漏えいの未然防止に努めております。しかしながら、万一顧客の情報を含む会社の情報が外部に漏えいした場合は、当社の信用低下を招き、当社の事業等に影響を及ぼす可能性がございます。 (22) サイバー攻撃について近年、サイバー攻撃はこれまで以上に技術が高度化し、攻撃手法も多様化・巧妙化しております。このような状況を踏まえ、当社はサイバーセキュリティに関するリスクを最重要リスクの一つと認識し、ネットワーク及び設備の監視を始めとする各種サイバー攻撃対策を実施し、その管理には万全を期しております。しかしながら、これらの対策にもかかわらず、サイバー攻撃やそれに伴う深刻なシステム障害等により実質的に当社事業が中断する等、当社の事業等に影響を及ぼす可能性がございます。 (23) 外国為替相場の変動について当社のクライアントには海外の製薬企業が多いことから、売上高の多くが外国通貨建て(主に米ドル建て)となっており、為替変動の影響を受けます。したがって、為替相場が変動した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼすことになります。 (24) 感染症等の発生について当社は、事業活動や研究開発活動に必要な設備及び機能が本社・研究所に集中しており、在宅勤務等へのシフトによって本社研究所以外の場所で継続できる業務が一部のオフィス業務に限定されます。感染症対策としてオフィス内の衛生管理の強化や「密な接触機会」の回避を図る取り組みを継続して実施すること等により、社員およびすべての関係取引先、並びにそのご家族の皆様の感染リスク軽減に引き続き努めておりますが、指定感染症等が発生し、本社・研究所の一時閉鎖等の不測の事態が発生した場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (25) 地球環境に対する安全性や気候変動による自然災害等の発生について当社の研究開発の過程等で使用する化学物質の中には、人体や環境に悪影響を与える物質が含まれております。当社は、研究開発活動で使用する環境汚染物質のモニタリングを実施しておりますが、万が一、汚染物質による人への暴露、土壌汚染、大気汚染、水質汚染等が発生した場合、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また当社は、神奈川県川崎市川崎区殿町に本社・研究所を設置しており、事業活動や研究開発活動に関する設備及び人員が現所在地に集中しております。周辺には多摩川が流れており、気候変動に伴う洪水や津波などの水害等の自然災害が発生し、当社設備の損壊、各種インフラの供給制限等の不測の事態が発生した場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (26) CDMO(Contract Development and Manufacturing Organization:医薬品開発製造受託機関)への出資について当社は、2017年9月に塩野義製薬株式会社・積水化学工業株式会社とともに合弁会社としてCDMO(商号:「ペプチスター株式会社 」。以下「ペプチスター」といいます。)を大阪府摂津市に設立いたしました。現在、特殊ペプチド医薬品の研究開発が国内外の製薬企業において進められていますが、高品質な特殊ペプチド原薬を低コストで安定供給できるCDMOが世界的に見ても存在しておりません。こうした状況のもと、特殊ペプチド医薬品について専門的な技術を持つCDMOを設立することは、当社の事業の推進に、ひいては特殊ペプチド医薬品市場の拡大に貢献できるものと考えております。合弁事業に参画する各国内企業が持つ最先端技術をこのペプチスターに戦略的に結集することで、特殊ペプチド医薬品の開発・販売に係るボトルネックの解消を目指してまいります。当社は、ペプチスターに対し19億円の出資をしており、また、当社はペプチスターの債務に対して債務保証をしております。そのため、当社が投資時点において想定したとおりにペプチスターが事業を展開できない場合、株式の減損処理が発生するなど、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (27) 保有投資有価証券について当社では、共同研究開発を加速させる目的で投資有価証券を保有しております。投資有価証券の評価は、株式発行会社の財政状態・経営成績等の状況によって判断されるため、実質価額の低下により減損処理を行うこととなった場合には、投資有価証券評価損の計上により当社の経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (28) 風説・風評の発生について当社や当社の関係者、当社の取引先等に対する否定的な風説や風評が、マスコミ報道、アナリストレポートやインターネット上の書き込み等により発生・流布した場合、それが正確な事実に基づいたものであるか否かにかかわらず、当社の社会的信用に影響を与える可能性がございます。当社や当社の関係者、当社の取引先等に対して否定的な風説・風評が流布した場合には、そのネガティブなイメージにより、当社に対する信頼性に悪影響が生じ、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。
FY2020|11,032 文字
2 【事業等のリスク】当社の事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、当社として必ずしも重要なリスクと考えていない事項及び具体化する可能性が必ずしも高くないと想定される事項についても、投資判断の上で又は当社の事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、リスクの発生をすべて回避できる保証はございません。また、以下の記載内容は当社のリスクすべてを網羅するものではございませんのでご留意ください。なお、本項記載の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、不確実性を内包しているため、実際の結果とは異なる可能性もございます。 (1) リスク管理体制当社のリスク管理体制は以下のとおりです。 <会社の機関・内部統制の関係図>詳細については、 「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ③企業統治に関するその他の事項 b リスク管理体制」をご参照ください。 (2) 主要な事業等のリスク経営者が経営成績等に重大な影響を及ぼす可能性があると認識している主要な事業等のリスクは下記のとおりであります。各リスクについて発生可能性、影響度の観点から評価した結果を一元的に管理するために、同一のリスクマップに掲載しております。<主要な事業等のリスク一覧> ※当社見解に基づく/当社作成リスクNo内容(ⅰ)事業環境に関するリスク1特殊環状ペプチドの医薬品の可能性2技術革新(ⅱ)事業内容に関するリスク3特殊環状ペプチド医薬品をベースにした事業であること4複数の製薬企業との共同研究開発の実施していること5収益計上6法的な紛争の可能性7経営上の重要な契約8共同研究開発契約先への依存9自社パイプライン(自社創薬)10他社との戦略的提携・企業買収等の成否(ⅲ)知的財産権に関するリスク11特許の取得・出願状況12職務発明に対する社内対応(ⅳ)医薬品の研究開発事業一般に関するリスク13医薬品開発の不確実性14副作用発現15薬事法その他の薬事に関する規制16製造物責任17医薬品行政(ⅴ)人材及び組織に関するリスク18人材確保・人材流出(ⅵ)その他に関するリスク19新株予約権の行使による株式価値の希薄化20配当政策21情報管理22サイバー攻撃23外国為替相場の変動24感染症等の発生25気候変動による自然災害等の発生26CDMOへの出資27保有投資有価証券28風説・風評の発生 <主要な事業等のリスクマップ> ※当社見解に基づく/当社作成(ⅰ) 事業環境に関するリスク(1) 特殊環状ペプチドの医薬品としての可能性について当社の特殊環状ペプチドは、タンパク質の合成に利用される20種類のL体のアミノ酸のみならず、特殊アミノ酸と呼ばれるD体のアミノ酸やN-メチルアミノ酸等を含んでいます。この性質により、当社は多様性のある特殊環状ペプチドのライブラリーを作製することができ、その中からターゲットに対して強い結合力・特異性を有し、高い生体内安定性を保ち、細胞膜透過性をも有する特殊環状ペプチドを創製することができます。このような特質から、当社の特殊環状ペプチドは、新たな医薬品候補化合物として期待されており、製薬会社との契約に結びついております。当社のPDPSが稼働を開始したのは、2010年であります。医薬品は基礎研究から製造販売承認等を取得するまでに、通常、多大な開発費用と10年以上の長い年月を必要とします。当社の特殊環状ペプチドからこれまでに新薬が承認された実績はございません。(ただし、自然界に存在する特殊アミノ酸を組み込んだ有機化合物から新薬が承認された実績があります。例えば、1983年にスイスのSandoz社から発売された免疫抑制剤「Sandimmun(サンディミュン)」は、ノルウェー南部のハルダンゲル高原の土壌から発見された真菌が産生していた特殊な構造のペプチド(シクロスポリン)から作られています。)将来において、当社の特殊環状ペプチドによる新薬開発実績が生み出せなかった場合や当社の特殊環状ペプチド創薬技術がクライアントの医薬品開発に貢献できない事態が生じた場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (2) 技術革新について当社のPDPSは、特殊環状ペプチドを医薬品候補化合物として運用するために必要となる一連の技術((A)特殊環状ペプチドを創製し、(B)低分子医薬品及び抗体医薬品を超える多様性を持ったライブラリーを構築し、(C)高速でスクリーニングを行う技術。)を組み込んでおり、この(A)から(C)のいずれの技術をとってみても、同じくペプチドを医薬品候補化合物として扱っている他社の技術と比べ、優位性を保っているものと考えております。しかしながら、技術は日々進歩するものであり、当社の特許技術に抵触しない技術をもって当社PDPSを上回る技術が開発されることも考えられます。当社としては、PDPSを継続的に発展させるため、研究開発を積極的に実施し、PDPSに必要な知的財産権の確保に努めていく方針でありますが、当社PDPSを上回る技術が開発された場合には、当社の競争優位性が低下する結果、当社の希望する条件でクライアントとの間で契約を締結することができなくなる可能性が増加するなど、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (ⅱ) 事業内容に関するリスク(3) 特殊環状ペプチド医薬品をベースにした事業であることについて当社は、従来、特殊環状ペプチド環状医薬品に特化して事業を展開しておりました。そのため、当社のPDPSにより創製される特殊環状ペプチドは、新規性・進歩性を有するオリジナリティの高いものであり、容易に代替技術が生まれて当社の存在価値が危ぶまれるような事態になることは想定し難いと考えておりますが、特殊環状ペプチドに対する製薬企業の評価が変化した場合や当社の特殊環状ペプチド創薬技術がクライアントの医薬品開発に貢献できない事態が生じた場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。近時は特殊環状ペプチドをスクリーニングマーカーとして活用することによって、低分子医薬品の開発につなげることができることがわかっており、PDPSの応用範囲が以前に比べて大幅に拡がっております。そのため、特殊環状ペプチドに特化していた事業内容が変わりつつあり、特殊環状ペプチドをベースとしてPDPSを創薬研究開発の基盤として当業界に広めていき、特殊環状ペプチドのみならず低分子医薬品の開発にも活用していこうという展開を試みています。こうした、低分子医薬品の開発に貢献できない事態が生じた場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (4) 複数の製薬企業との共同研究開発を実施していることについて当社の共同研究開発契約先の製薬会社は、それぞれ独自の創薬開発ターゲットを保有しており、当社はその研究開発について提案を受けて推進していくことになりますが、まれに各製薬企業間で創薬開発ターゲットが競合してしまうことがございます。競合が生じた際は、当社が各製薬企業との間に立って差配することによって、トラブルを未然に防止しており、現在までにトラブルが生じた事例はございません。しかし、今後、その調整が困難になる事態が生じた場合、当社は新たな共同研究開発契約や新たなターゲットが獲得できないなど、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (5) 収益計上について当社の共同研究開発契約に係る売上カテゴリーは、原則として契約一時金に始まり順次、研究開発支援金、非臨床マイルストーンフィー、創薬開発権利金、臨床開発マイルストーンフィー、売上ロイヤルティー、販売マイルストーンフィーで構成されております。契約一時金、研究開発支援金及び非臨床マイルストーンフィーは当社の事業活動に依拠する部分が大きいものの、特に研究開発支援金及び非臨床マイルストーンフィーについて、クライアントの方針転換等の影響を受けてプロジェクトが終了し、それ以降の収益が計上できないことがございます。また、契約一時金は、相対的に研究開発支援金及び非臨床マイルストーンフィーよりも額が大きく、一度に売上が計上されるため、当社の経営成績は契約一時金の計上に少なからず影響を受けることになります。創薬開発権利金、臨床開発マイルストーンフィー、売上ロイヤルティー及び販売マイルストーンフィーに至っては、クライアントにおける業務の進行状況に大きく依存するものであり、当社でのコントロールは極めて困難な売上カテゴリーです。そのため、当社の計画に対してクライアントにおける研究開発の進捗が遅れた場合やクライアントの研究開発方針に変更等があった場合、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (6) 法的な紛争の可能性について当社は、事業を展開する上で、第三者の権利若しくは利益を侵害した場合又は侵害していない場合でも相手側が侵害したと考える場合には、損害賠償等の訴訟を提起されるなど法的な紛争が生じる可能性がございます。本書提出日現在、法的な紛争は生じておりませんが、今後、当社と第三者との間に法的な紛争が生じた場合、紛争の解決に労力、時間及び費用を要するほか、法的紛争に伴うレピュテーションリスクにさらされる可能性があり、その場合、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。また、将来的な事業展開においては、他社が保有する特許権等への抵触により、事業上の制約を受けるなど、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。さらに、これまでのところ当社が製薬企業と共同研究開発した特殊環状ペプチド医薬品が上市にまで至った事例は未だございませんが、今後、万一、当社が共同研究開発に携わった医薬品において健康被害が引き起こされた場合には、そのネガティブなイメージにより、当社及びPDPSに対する信頼性に悪影響が生じ、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (7) 経営上の重要な契約について当社の事業展開上、重要と思われる契約が、当該契約が解除又はその他の事由に基づき終了した場合又は契約の相手方の経営方針が変更された場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。なお、共同研究開発契約に係る金員(当社から見たときは売上に該当)は、原則として当社が前金として受領しており、これらの金員について当社は契約が中途終了する場合でも返還義務を負っておりません。その反面、共同研究開発契約先は、契約の解除について任意(自由)に実行することができる契約内容となっております。 (8) 共同研究開発契約先への依存について当社アライアンス事業における収益は、ほとんどが共同研究開発契約先(クライアント)からのものでありますが、今後、これらのクライアントとの間で新たなターゲットに係る共同研究開発が開始されない場合や、共同研究開発の結果がクライアントの要求水準を満たせない場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。また、当社がライセンスアウトしたリード化合物は、クライアントが主体となって臨床試験及び承認申請を行うことになりますが、その進捗と結果が当社の事業戦略及び経営成績に大きな影響を及ぼします。当社は、ライセンスアウト後もクライアントをサポートいたしますが、臨床試験及び承認申請はクライアントが主体となって実施するものであり、当社でコントロールすることはできません。したがって、臨床試験及び承認申請の進捗が当社の予期しない事由により遅滞することや、臨床試験及び承認申請が断念される等の可能性がございます。さらに、製造販売承認後の販売計画はクライアントに依存しており、クライアントの経営方針や販売計画の変更、経営環境の悪化等により販売計画を達成できない等の可能性がございます。そのほか、医薬品の研究開発には多額の資金が必要となることから、当業界においては組織再編やM&Aが盛んであり、クライアントにおいて組織再編が実施されることや、競合他社を買収する(競合他社から買収される)ことなど、業界における競争の構図が短期間に塗り替えられる可能性がございます。こうした大規模な企業組織再編が当社のクライアントに生じた場合、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (9) 自社パイプライン(自社創薬)について当社では、特殊環状ペプチドの特性を活かした自社パイプラインの研究開発を進めております。現在のところ、開発の方向性としては、特殊環状ペプチドを医薬品として活用するアプローチと特殊環状ペプチドの持つ優れた選択性を活かして他の薬剤を誘導するPDC医薬品を開発するアプローチをとっております。また、特殊環状ペプチドをスクリーニングマーカーとして活用することによって、低分子医薬品の開発につなげることができることから、自社パイプラインにおいても低分子医薬品の開発に着手しております。自社パイプラインについては、研究開発が順調に進展し、臨床試験まで当社の負担で実施する場合には、多額の開発費用を要する状態になる可能性がございます。また、自社パイプラインの研究開発が順調に進展しない場合には、将来の事業化のオプションを一部失う可能性がございます。 (10) 他社との戦略的提携・企業買収等の成否について当社は、競争力の強化及び事業分野の拡大等のため、他社の事業部門の譲受け、他社の買収、他社との業務提携、合弁会社の設立、他社への投資等の戦略的提携など(以下「戦略的提携等」といいます。)を行うことがございます。こうした戦略的提携等については、パートナー企業との思惑に相違が生じて提携・統合が円滑に進まない可能性や当初期待していた効果が得られない可能性、投資した金額の全部又は一部が回収できない可能性等がございます。また、パートナー企業が当社の利益に反する決定を行う可能性があり、パートナー企業が事業戦略を変更した場合など、当社は戦略的提携等の関係を維持することが困難になる可能性もあり、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (ⅲ) 知的財産権に関するリスク(11) 特許の取得・出願状況について当社は事業において様々な発明及び特許権を実施しておりますが、これらは当社、国立大学法人東京大学又はニューヨーク州立大学により登録済みになっているものと審査中のものがございます。しかしながら、出願中の発明すべてについて特許査定がなされるとは限りません。また、特許権を設定登録した場合でも、特許異議申立制度により請求項が無効化される可能性がございます。また、特許権侵害訴訟の提起や特許無効審判が請求されるなど特許権に係る法的な紛争が生じ、当社が実施する権利に何らかの悪影響が生じる可能性がございます。また、当社が実施する特許権を上回る優れた技術の出現により、当社が有する特許権に含まれる技術が陳腐化する可能性がございます。こうした事態が生じた場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。その他、当社は、国立大学法人東京大学又はニューヨーク州立大学が出願人である発明又は特許権に関して、契約により第三者サブライセンス権付き独占実施・許諾権を獲得しておりますが、当該契約の内容が変更される場合や、期間満了や解除等により契約が終了した場合等にも、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (12) 職務発明に対する社内対応について当社の役職員等が創出した職務発明について特許を受ける権利を取得したときは、当社は、当該職務発明の発明者である役職員等に対し、特許法に定める「相当の利益」を支払うことになります。当社では、その取扱いについて社内規則等でルールを定めており、役職員等への周知及び運用を強化しております。しかしながら、職務発明の取扱いにつき、相当の利益の支払請求等の問題が生じた場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (ⅳ) 医薬品の研究開発事業一般に関するリスク(13) 医薬品開発の不確実性について一般に医薬品の開発には多額の研究開発投資と長い時間を要するだけでなく、その成功確率も他産業に比して著しく低い状況にあります。研究開発の初期段階において有望だと思われる化合物であっても、非臨床試験や臨床試験の過程で有用な効果を発見できないこと等により研究開発が予定とおりに進行せず、開発の延長や中止の判断をされることがございます。開発を延長した場合には、追加の資金投入が必要になるほか、特許権の存続期間満了までの期間が短くなり、投資した資金の回収に影響を及ぼします。また、開発を中止した場合には、それまでに投じた研究開発資金が回収できなくなることになります。 (14) 副作用発現について医薬品は、臨床試験段階から上市後に至るまで、予期せぬ副作用が発現する可能性がございます。これら予期せぬ副作用が発現した場合、信用力の失墜、訴訟の提起等により、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (15) 薬事法その他の薬事に関する規制について医薬品業界は、研究、開発、製造及び販売のそれぞれの事業活動において、各国の薬事法(わが国においては「医薬品医療機器等法」)及びその他の関連法規等により、様々な規制を受けております。現在のところ、当社のパイプラインは研究開発段階にあり、わが国の厚生労働省、アメリカ食品医薬品局(FDA)、欧州医薬品庁(EMA)等から上市のための認可は受けておりませんが、今後、各国の薬事法等の諸規制に基づいて医薬品の製造販売承認申請を行い、承認を取得することを目指しております。そのため、自社パイプラインについて上記の規制をクリアするための体制整備が求められることになります。また、各国の薬事法及びその他の関連法規等は随時改定がなされるものであり、これらの変化が当社の生み出す特殊環状ペプチドにとって有利又は不利に働くことや、さらなる体制の整備・変更を求められる可能性が考えられます。こうした規制への対応が当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼすことになります。 (16) 製造物責任について医薬品の開発及び製造には、製造物責任のリスクが内在しています。将来、開発したいずれかの医薬品が健康障害を引き起こし、又は臨床試験、製造、営業若しくは販売において不適当な事象が発見された場合、当社は製造物責任を負うこととなり、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。また、製造物責任賠償請求がなされることによるネガティブなイメージにより、当社及び当社の医薬品に対する信頼に悪影響が生じ、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (17) 医薬品行政について医療用医薬品の販売価格は、日本及びその他各国政府の薬価に関する規制の影響を受けます。当社では、これまでのところ自社で臨床試験を実施したことがなく、早期に開発候補化合物をクライアントに導出する方針を採用しております。そのため、当社は薬価戦略についてはクライアントに依存しており、日本及びその他各国政府の薬価政策の影響を間接的に受ける立場にあります。当社の開発候補化合物が上市された場合において、当該医薬品にとってネガティブな薬価改定やその他の医療保険制度の改定があった場合は、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (ⅴ) 人材及び組織に関するリスク(18) 人材確保・人材流出について当社は、創薬基盤技術の深化、創薬研究開発の進展を図るには、研究開発分野における専門的な知識・技能をもった優秀な人材の確保が必要であると考えております。当社の想定した人材の確保に支障が生じた場合、又は優秀な人材の社外流出が生じた場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (ⅵ) その他に関するリスク(19) 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について当社は、役員、従業員及び取引先等に対し新株予約権を付与しております。これらの新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性がございます。本書提出日現在、権利行使が可能な状態にある新株予約権による潜在株式数は4,700,000株であり、発行済株式数及び潜在株式数の合計の3.55%に相当しております。 (20) 配当政策について当社は配当による株主様への利益還元も重要な経営課題だと認識しております。当社は、将来においても安定的な収益の獲得が可能であり、かつ、研究開発資金を賄うに十分な利益が確保できる場合には、将来の研究開発活動等に備えるための内部留保充実の必要性等を総合的に勘案した上で、利益配当についても検討してまいります。 (21) 情報管理について当社の事業は、クライアントである製薬企業からターゲットの情報を預かる立場にあります。そのため、当社は、当社の従業員との間において顧客情報を含む会社の情報に係る誓約書を徴求し、会社情報の漏えいの未然防止に努めております。しかしながら、万一顧客の情報を含む会社の情報が外部に漏えいした場合は、当社の信用低下を招き、当社の事業等に影響を及ぼす可能性がございます。 (22) サイバー攻撃について近年、サイバー攻撃はこれまで以上に技術が高度化し、攻撃手法も多様化・巧妙化しております。このような状況を踏まえ、当社はサイバーセキュリティに関するリスクを最重要リスクの一つと認識し、ネットワーク及び設備の監視を始めとする各種サイバー攻撃対策を実施し、その管理には万全を期しております。しかしながら、これらの対策にもかかわらず、サイバー攻撃やそれに伴う深刻なシステム障害等により実質的に当社事業が中断する等、当社の事業等に影響を及ぼす可能性がございます。 (23) 外国為替相場の変動について当社のクライアントには海外の製薬企業が多いことから、売上高の多くが外国通貨建て(主に米ドル建て)となっており、為替変動の影響を受けます。したがって、為替相場が変動した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼすことになります。 (24) 感染症等の発生について当社は、事業活動や研究開発活動に必要な設備及び機能が本社・研究所に集中しており、在宅勤務等へのシフトによって本社研究所以外の場所で継続できる業務が一部のオフィス業務に限定されます。感染症対策としてオフィス内の衛生管理の強化や「密な接触機会」の回避を図る取り組みを継続して実施すること等により、社員及びすべての関係取引先、並びにそのご家族の皆様の感染リスク軽減に引き続き努めておりますが、指定感染症等が発生し、本社・研究所の一時閉鎖等の不測の事態が発生した場合には、当社の事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (25) 気候変動による自然災害等の発生について当社は、神奈川県川崎市川崎区殿町に本社・研究所を設置しており、事業活動や研究開発活動に関する設備及び人員が現所在地に集中しております。周辺には多摩川が流れており、気候変動に伴う洪水や津波などの水害等の自然災害が発生し、当社設備の損壊、各種インフラの供給制限等の不測の事態が発生した場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。パリ協定に象徴されるように、世界的な平均気温の上昇をはじめとする気候変動は、社会や生態系、企業に中長期的に大きな影響を与える恐れがあり、解決すべき重要な課題です。当社は、全従業員が脱炭素社会の実現、地球環境保護の重要性を認識し、環境保護及び温暖化対策の取り組みを継続してまいります。パリ協定の「2℃目標」達成に向けたCO2排出量削減の数値目標については、従業員の一人当たりCO2排出量を2030年度に2018年6月期(13.37t-CO2)比で50%削減する目標を設定しており、その実現に向けた体制の強化を進めております。 (26) CDMOへの出資について当社は、2017年9月に塩野義製薬株式会社・積水化学工業株式会社とともに合弁会社としてCDMO(商号:「ペプチスター株式会社」)を大阪府摂津市に設立いたしました。現在、特殊ペプチド医薬品の研究開発が国内外の製薬企業において進められていますが、高品質な特殊ペプチド原薬を低コストで安定供給できるCDMOが世界的に見ても存在しておりません。こうした状況のもと、特殊ペプチド医薬品について専門的な技術を持つCDMOを設立することは、当社の事業の推進に、ひいては特殊ペプチド医薬品市場の拡大に貢献できるものと考えております。合弁事業に参画する各国内企業が持つ最先端技術をこのペプチスター株式会社に戦略的に結集することで、特殊ペプチド医薬品の開発・販売に係るボトルネックの解消を目指してまいります。 当社は、ペプチスター株式会社に対し19億円の出資をしており、また、当社はペプチスター株式会社の債務に対して債務保証をしております。そのため、当社が投資時点において想定したとおりにペプチスター株式会社が事業を展開できない場合、株式の減損処理が発生するなど、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (27) 保有投資有価証券について当社では、共同研究開発を加速させる目的で投資有価証券を保有しております。投資有価証券の評価は、株式発行会社の財政状態・経営成績等の状況によって判断されるため、実質価額の低下により減損処理を行うこととなった場合には、投資有価証券評価損の計上により当社の経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (28) 風説・風評の発生について当社や当社の関係者、当社の取引先等に対する否定的な風説や風評が、マスコミ報道、アナリストレポートやインターネット上の書き込み等により発生・流布した場合、それが正確な事実に基づいたものであるか否かにかかわらず、当社の社会的信用に影響を与える可能性がございます。当社や当社の関係者、当社の取引先等に対して否定的な風説・風評が流布した場合には、そのネガティブなイメージにより、当社に対する信頼性に悪影響が生じ、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。
FY2019|10,197 文字
2 【事業等のリスク】当社の事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しております。また、当社として必ずしも重要なリスクと考えていない事項及び具体化する可能性が必ずしも高くないと想定される事項についても、投資判断の上で又は当社の事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、リスクの発生をすべて回避できる保証はございません。また、以下の記載内容は当社のリスクすべてを網羅するものではございませんのでご留意ください。なお、本項記載の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、不確実性を内包しているため、実際の結果とは異なる可能性もございます。 (1) 事業環境に由来するリスク① 特殊ペプチドの医薬品としての可能性について当社の特殊ペプチドは、タンパク質の合成に利用される20種類のL体のアミノ酸のみならず、特殊アミノ酸と呼ばれるD体のアミノ酸やNメチルアミノ酸等を含んでいます。この性質により、当社は多様性のある特殊ペプチドのライブラリーを作製することができ、その中からターゲットタンパクに対して強い結合力・特異性を有し、高い生体内安定性を保ち、細胞膜透過性をも有する特殊ペプチドを創製することができます。このような特質から、当社の特殊ペプチドは、新たな医薬品候補物質として期待されており、製薬会社との契約に結びついております。当社の創薬開発プラットフォームシステム(PDPS)が稼働を開始したのは、2010年であります。医薬品は基礎研究から製造販売承認等を取得するまでに、通常、多大な開発費用と10年以上の長い年月を必要とします。当社の特殊ペプチド創薬開発技術は、まだ生まれて日が浅いため、当社の特殊ペプチドからこれまでに新薬が承認された実績はございません。(ただし、自然界に存在する特殊アミノ酸を組み込んだ有機化合物から新薬が承認された実績があります。たとえば、1983年にスイスのSandoz(サンド)社から発売された免疫抑制剤「Sandimmun(サンディミュン)」は、ノルウェー南部のハルダンゲル高原の土壌から発見された真菌が産生していた特殊な構造のペプチド(シクロスポリン)から作られています。)将来において、当社の特殊ペプチドによる新薬開発実績が生み出せなかった場合や当社の特殊ペプチド創薬技術がクライアントの医薬品開発に貢献できない事態が生じた場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 ② 技術革新について当社の創薬開発プラットフォームシステム(PDPS)は、特殊ペプチドを医薬品候補物質として運用するために必要となる一連の技術((A)特殊ペプチドを創製し、(B)低分子医薬及び抗体医薬を超える多様性を持ったライブラリーを構築し、(C)高速でスクリーニングを行う技術。)を組み込んでおり、この(A)から(C)のいずれの技術をとってみても、同じくペプチドを医薬品候補物質として扱っている他社の技術と比べ、優位性を保っているものと考えております。しかしながら、技術は日々進歩するものであり、当社の特許技術に抵触しない技術をもって当社PDPSを上回る技術が開発されることも考えられます。当社としては、PDPSを継続的に発展させるため、研究開発を積極的に実施し、PDPSに必要な知的財産権の確保に努めていく方針でありますが、当社PDPSを上回る技術が開発された場合には、当社の競争優位性が低下する結果、当社の希望する条件でクライアントとの間で契約を締結することができなくなる可能性が増加するなど、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (2) 事業内容に由来するリスク① 特殊ペプチド医薬をベースにした事業であることについて当社は、従来、特殊ペプチド医薬に特化して事業を展開しておりました。そのため、当社の創薬開発プラットフォームシステム(PDPS)により創製される特殊ペプチドは、新規性・進歩性を有するオリジナリティの高いものであり、容易に代替技術が生まれて当社の存在価値が危ぶまれるような事態になることは想定し難いと考えておりますが、特殊ペプチドに対する製薬企業の評価が変化した場合や当社の特殊ペプチド創薬技術がクライアントの医薬品開発に貢献できない事態が生じた場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。近時は特殊ペプチドを探索マーカーとして活用することによって、低分子医薬の開発につなげることができることがわかっており、PDPSの応用範囲が以前に比べて大幅に拡がっております。そのため、特殊ペプチドに特化していた事業内容が変わりつつあり、特殊ペプチドをベースとしてPDPSを創薬研究開発の基盤として当業界に広めていき、特殊ペプチドのみならず低分子医薬の開発にも活用していこうという展開を試みています。こうした、低分子医薬の開発に貢献できない事態が生じた場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 ② 複数の製薬企業との共同研究開発を実施していることについて本書提出日現在、当社の共同研究開発契約先は19社(国内7社、海外12社)ございます。それぞれの製薬会社は、独自の創薬開発ターゲットを保有しており、当社はその研究開発について提案を受けて推進していくことになりますが、まれに各製薬企業間で創薬開発ターゲットが競合してしまうことがございます。競合が生じた際は、当社が各製薬企業との間に立って差配することによって、トラブルを未然に防止しており、現在までにトラブルが生じた事例はございません。しかし、今後、その調整が困難になる事態が生じた場合、当社は新たな共同研究開発契約や新たなターゲットタンパクが獲得できないなど、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 ③ 収益計上について当社の共同研究開発契約に係る売上カテゴリーは、原則として(A)契約一時金(テクノロジカルアクセスフィー)に始まり順次、(B)研究開発支援金、(C)追加研究開発支援金、(D)創薬開発権利金、(E)各種目標達成報奨金(マイルストーンフィー)、(F)売上ロイヤルティー、(G)売上達成報奨金で構成されております。(A)契約一時金(テクノロジカルアクセスフィー)、(B)研究開発支援金及び(C)追加研究開発支援金は当社の事業活動に依拠する部分が大きいものの、特に(B)及び(C)について、クライアントの方針転換等の影響を受けてプロジェクトが終了し、それ以降の収益が計上できないことがございます。また、(A)は、相対的に(B)及び(C)よりも額が大きく、一度に売上が計上されるため、当社の経営成績は(A)の計上に少なからず影響を受けることになります。(D)創薬開発権利金や(E)各種目標達成報奨金に至っては、クライアントにおける業務の進行状況に大きく依存するものであり、当社でのコントロールは極めて困難な売上カテゴリーです。そのため、当社の計画に対してクライアントにおける研究開発の進捗が遅れた場合やクライアントの研究開発方針に変更等があった場合、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 ④ 法的な紛争の可能性について当社は、事業を展開する上で、第三者の権利若しくは利益を侵害した場合又は侵害していない場合でも相手側が侵害したと考える場合には、損害賠償等の訴訟を提起されるなど法的な紛争が生じる可能性がございます。本書提出日現在、法的な紛争は生じておりませんが、海外のバイオベンチャー企業1社から当社の事業が同社の特許権に抵触する旨の主張がなされていたこともあり、将来的には同社と法的な紛争に至る可能性があります。また、当社の側から、同社の特許の無効化を図るために先制的に法的な手続きをとる可能性も否定できません。今後、当社と第三者との間に法的な紛争が生じた場合、紛争の解決に労力、時間及び費用を要するほか、法的紛争に伴うレピュテーションリスクにさらされる可能性があり、その場合、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。また、将来的な事業展開においては、他社が保有する特許権等への抵触により、事業上の制約を受けるなど、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。さらに、これまでのところ当社が製薬企業と共同研究開発した特殊ペプチド医薬品が上市にまで至った事例は未だございませんが、今後、万一、当社が共同研究開発に携わった医薬品において健康被害が引き起こされた場合には、そのネガティブなイメージにより、当社及び当社の創薬開発プラットフォームシステム(PDPS)に対する信頼性に悪影響が生じ、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 ⑤ 経営上の重要な契約について当社の事業展開上、重要と思われる契約が、当該契約が解除又はその他の事由に基づき終了した場合又は契約の相手方の経営方針が変更された場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。なお、共同研究開発契約に係る金員(当社から見たときは売上に該当)は、原則として当社が前金として受領しており、これらの金員について当社は契約が中途終了する場合でも返還義務を負っておりません。その反面、共同研究開発契約先は、契約の解除について任意(自由)に実行することができる契約内容となっております。 ⑥ 共同研究開発契約先への依存について当社アライアンス事業における収益は、ほとんどが共同研究開発契約先(クライアント)からのものでありますが、今後、これらのクライアントとの間で新たな標的分子に係る共同研究開発が開始されない場合や、共同研究開発の結果がクライアントの要求水準を満たせない場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。また、当社がライセンスアウトしたリード化合物は、クライアントが主体となって臨床試験及び承認申請を行うことになりますが、その進捗と結果が当社の事業戦略及び経営成績に大きな影響を及ぼします。当社は、ライセンスアウト後もクライアントをサポートいたしますが、臨床試験及び承認申請はクライアントが主体となって実施するものであり、当社でコントロールすることはできません。したがって、臨床試験及び承認申請の進捗が当社の予期しない事由により遅滞することや、臨床試験及び承認申請が断念される等の可能性がございます。さらに、製造販売承認後の販売計画はクライアントに依存しており、クライアントの経営方針や販売計画の変更、経営環境の悪化等により販売計画を達成できない等の可能性がございます。そのほか、医薬品の研究開発には多額の資金が必要となることから、当業界においては組織再編やM&Aが盛んであり、クライアントにおいて組織再編が実施されることや、競合他社を買収する(競合他社から買収される)ことなど、業界における競争の構図が短期間に塗り替えられる可能性がございます。こうした大規模な企業組織再編が当社のクライアントに生じた場合、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 ⑦ 自社パイプライン(自社創薬)について当社では、特殊ペプチドの特性を活かした自社パイプライン(自社創薬)の研究開発を進めております。現在のところ、開発の方向性としては、特殊ペプチドを医薬品として活用するアプローチと特殊ペプチドの持つ優れた選択性を活かして他の薬剤を誘導するPDC(Peptide Drug Conjugate)薬剤を開発するアプローチをとっております。また、特殊ペプチドを探索マーカーとして活用することによって、低分子医薬の開発につなげることができることから、自社パイプラインにおいても低分子医薬品の開発に着手しております。特殊ペプチドを医薬品として活用する取り組みの成果として2014年4月に新しい抗インフルエンザ剤に係る取り組みについて公表し、2015年2月にはその進捗状況について公表いたしました。その後、2016年6月に従前の特殊環状ペプチドの薬剤活性と体内動態を飛躍的に改良した開発ナンバー「PD-001」を新たな開発候補特殊環状ペプチドと定め、GLPに準拠した原体の入手に伴ってGLP準拠の前臨床試験を行う旨公表しております。PDCについては、2016年6月期から本格的に着手し、すでに複数の製薬企業と共同研究を進めております。自社パイプラインについては、研究開発が順調に進展し、臨床試験まで当社の負担で実施する場合には、多額の開発費用を要する状態になる可能性がございます。また、自社パイプラインの研究開発が順調に進展しない場合には、将来の事業化のオプションを一部失う可能性がございます。 ⑧ 他社との戦略的提携・企業買収等の成否について当社は、競争力の強化及び事業分野の拡大等のため、他社の事業部門の譲受け、他社の買収、他社との業務提携、合弁会社の設立、他社への投資等の戦略的提携など(以下「戦略的提携等」といいます。)を行うことがございます。こうした戦略的提携等については、パートナー企業との思惑に相違が生じて提携・統合が円滑に進まない可能性や当初期待していた効果が得られない可能性、投資した金額の全部又は一部が回収できない可能性等がございます。また、パートナー企業が当社の利益に反する決定を行う可能性があり、パートナー企業が事業戦略を変更した場合など、当社は戦略的提携等の関係を維持することが困難になる可能性もあり、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (3) 知的財産権について① 特許の取得・出願状況について当社は事業において様々な発明及び特許権を実施しておりますが、これらは当社、国立大学法人東京大学又はニューヨーク州立大学により登録済みになっているものと審査中のものがございます。しかしながら、出願中の発明すべてについて特許査定がなされるとは限りません。また、特許権を設定登録した場合でも、特許異議申立制度により請求項が無効化される可能性がございます。また、特許権侵害訴訟の提起や特許無効審判が請求されるなど特許権に係る法的な紛争が生じ、当社が実施する権利に何らかの悪影響が生じる可能性がございます。また、当社が実施する特許権を上回る優れた技術の出現により、当社が有する特許権に含まれる技術が陳腐化する可能性がございます。こうした事態が生じた場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。その他、当社は、国立大学法人東京大学又はニューヨーク州立大学が出願人である発明又は特許権に関して、契約により第三者サブライセンス権付き独占実施・許諾権を獲得しておりますが、当該契約の内容が変更される場合や、期間満了や解除等により契約が終了した場合等にも、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 ② 職務発明に対する社内対応について当社の役職員等が創出した職務発明について特許を受ける権利を取得したときは、当社は、当該職務発明の発明者である役職員等に対し、特許法に定める「相当の利益」を支払うことになります。当社では、その取扱いについて社内規則等でルールを定めており、役職員等への周知及び運用を強化しております。しかしながら、職務発明の取扱いにつき、相当の利益の支払請求等の問題が生じた場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (4) 医薬品の研究開発事業一般に関するリスク① 医薬品開発の不確実性について一般に医薬品の開発には多額の研究開発投資と長い時間を要するだけでなく、その成功確率も他産業に比して著しく低い状況にあります。研究開発の初期段階において有望だと思われる化合物であっても、前臨床試験や臨床試験の過程で有用な効果を発見できないこと等により研究開発が予定通りに進行せず、開発の延長や中止の判断をされることがございます。開発を延長した場合には、追加の資金投入が必要になるほか、特許権の存続期間満了までの期間が短くなり、投資した資金の回収に影響を及ぼします。また、開発を中止した場合には、それまでに投じた研究開発資金が回収できなくなることになります。 ② 副作用発現に関するリスクについて医薬品は、臨床試験段階から上市後に至るまで、予期せぬ副作用が発現する可能性がございます。これら予期せぬ副作用が発現した場合、信用力の失墜、訴訟の提起等により、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 ③ 薬事法その他の薬事に関する規制について医薬品業界は、研究、開発、製造及び販売のそれぞれの事業活動において、各国の薬事法(わが国においては「医薬品医療機器等法」)及びその他の関連法規等により、様々な規制を受けております。現在のところ、当社のパイプラインは研究開発段階にあり、わが国の厚生労働省、アメリカ食品医薬品局(FDA)、欧州医薬品庁(EMA)等から上市のための認可は受けておりませんが、今後、各国の薬事法等の諸規制に基づいて医薬品の製造販売承認申請を行い、承認を取得することを目指しております。そのため、自社のパイプラインについて上記の規制をクリアするための体制整備が求められることになります。また、各国の薬事法及びその他の関連法規等は随時改定がなされるものであり、これらの変化が当社の生み出す特殊ペプチドにとって有利又は不利に働くことや、さらなる体制の整備・変更を求められる可能性が考えられます。こうした規制への対応が当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼすことになります。 ④ 製造物責任について医薬品の開発及び製造には、製造物責任のリスクが内在しています。将来、開発したいずれかの医薬品が健康障害を引き起こし、又は臨床試験、製造、営業若しくは販売において不適当な事象が発見された場合、当社は製造物責任を負うこととなり、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。また、製造物責任賠償請求がなされることによるネガティブなイメージにより、当社及び当社の医薬品に対する信頼に悪影響が生じ、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 ⑤ 医薬品行政について医療用医薬品の販売価格は、日本及びその他各国政府の薬価に関する規制の影響を受けます。当社では、これまでのところ自社で臨床試験を実施したことがなく、早期に開発候補化合物をクライアントに導出する方針を採用しております。そのため、当社は薬価戦略についてはクライアントに依存しており、日本及びその他各国政府の薬価政策の影響を間接的に受ける立場にあります。当社の開発候補化合物が上市された場合において、当該医薬品にとってネガティブな薬価改定やその他の医療保険制度の改定があった場合は、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (5) 人材及び組織に由来するリスク当社は、創薬基盤技術の深化、創薬研究開発の進展を図るには、研究開発分野における専門的な知識・技能をもった優秀な人材の確保が必要であると考えております。当社の想定した人材の確保に支障が生じた場合、又は優秀な人材の社外流出が生じた場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 (6) その他に由来するリスク① 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について当社は、役員、従業員及び取引先等に対し新株予約権を付与しております。これらの新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性がございます。本書提出日現在、権利行使が可能な状態にある新株予約権による潜在株式数は4,100,000株であり、発行済株式数及び潜在株式数の合計の3.15%に相当しております。 ② 配当政策について当社は配当による株主様への利益還元も重要な経営課題だと認識しております。当社は、将来においても安定的な収益の獲得が可能であり、かつ、研究開発資金を賄うに十分な利益が確保できる場合には、将来の研究開発活動等に備えるための内部留保充実の必要性等を総合的に勘案した上で、利益配当についても検討してまいります。 ③ 情報管理について当社の事業は、クライアントである製薬企業からターゲットタンパクの情報を預かる立場にあります。そのため、当社は、当社の従業員との間において顧客情報を含む会社の情報に係る誓約書を徴求し、会社情報の漏えいの未然防止に努めております。しかしながら、万一顧客の情報を含む会社の情報が外部に漏えいした場合は、当社の信用低下を招き、当社の事業等に影響を及ぼす可能性がございます。 ④ 外国為替相場の変動について当社のクライアントには海外の製薬企業が多いことから、売上高の多くが外国通貨建て(主に米ドル建て)となっており、為替変動の影響を受けます。したがって、為替相場が変動した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼすことになります。 ⑤ 気候変動による自然災害等の発生について当社は、神奈川県川崎市川崎区殿町に本社・研究所を設置しており、事業活動や研究開発活動に関する設備及び人員が現所在地に集中しております。周辺には多摩川が流れており、気候変動に伴う洪水や津波などの水害等の自然災害が発生し、当社設備の損壊、各種インフラの供給制限等の不測の事態が発生した場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 ⑥ 感染症等の発生について当社は、事業活動や研究開発活動に必要な設備及び機能が本社・研究所に集中しており、在宅勤務等へのシフトによって本社研究所以外の場所で継続できる業務が一部のオフィス業務に限定されます。従って、指定感染症等が発生し、本社・研究所の一時閉鎖等の不測の事態が発生した場合には、当社の事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 ⑦ CDMO(Contract Development and Manufacturing Organization:医薬品製造受託機関)への出資について当社は、2017年9月に塩野義製薬株式会社・積水化学工業株式会社とともに合弁会社としてCDMO(商号:「ペプチスター株式会社 」。以下「ペプチスター」といいます。)を大阪府摂津市に設立いたしました。現在、特殊ペプチド医薬品の研究開発が国内外の製薬企業において進められていますが、高品質な特殊ペプチド原薬を低コストで安定供給できるCDMOが世界的に見ても存在しておりません。こうした状況のもと、特殊ペプチド医薬品について専門的な技術を持つCDMOを設立することは、当社の事業の推進に、ひいては特殊ペプチド医薬品市場の拡大に貢献できるものと考えております。合弁事業に参画する各国内企業が持つ最先端技術をこのペプチスターに戦略的に結集することで、特殊ペプチド医薬品の開発・販売に係るボトルネックの解消を目指してまいります。当社は、ペプチスターに対し19億円の出資をしており、ペプチスターへの出資比率は当社、塩野義製薬、積水化学工業の3社ともに17.3%となります。また、当社はペプチスターの債務に対して債務保証をしていることから、ペプチスターは当社の関連会社となります。そのため、当社が投資時点において想定したとおりにペプチスターが事業を展開できない場合、株式の減損処理が発生するなど、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 ⑧ 保有投資有価証券について当社では、共同研究開発を加速させる目的で投資有価証券を保有しております。投資有価証券の評価は、株式発行会社の財政状態・経営成績等の状況によって判断されるため、実質価額の低下により減損処理を行うこととなった場合には、投資有価証券評価損の計上により当社の経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。 ⑨ 風説・風評の発生当社や当社の関係者、当社の取引先等に対する否定的な風説や風評が、マスコミ報道、アナリストレポートやインターネット上の書き込み等により発生・流布した場合、それが正確な事実に基づいたものであるか否かにかかわらず、当社の社会的信用に影響を与える可能性がございます。当社や当社の関係者、当社の取引先等に対して否定的な風説・風評が流布した場合には、そのネガティブなイメージにより、当社に対する信頼性に悪影響が生じ、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性がございます。
FY2018|9,845 文字
2 【事業等のリスク】当社の事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しております。また、当社として必ずしも重要なリスクと考えていない事項及び具体化する可能性が必ずしも高くないと想定される事項についても、投資判断の上で又は当社の事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、リスクの発生をすべて回避できる保証はありません。また、以下の記載内容は当社のリスクすべてを網羅するものではありませんのでご留意ください。なお、本項記載の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、不確実性を内包しているため、実際の結果とは異なる可能性があります。 (1) 事業環境に由来するリスク① 特殊ペプチドの医薬品としての可能性について当社の特殊ペプチドは、タンパク質の合成に利用される20種類のL体のアミノ酸のみならず、特殊アミノ酸と呼ばれるD体のアミノ酸やNメチルアミノ酸等を含んでいます。この性質により、当社は多様性のある特殊ペプチドのライブラリーを作製することができ、その中からターゲットタンパクに対して強い結合力・特異性を有し、高い生体内安定性を保ち、細胞膜透過性をも有する特殊ペプチドを創製することができます。このような特質から、当社の特殊ペプチドは、新たな医薬品候補物質として期待されており、製薬会社との契約に結びついております。当社の創薬開発プラットフォームシステム(PDPS)が稼働を開始したのは、平成22年であります。医薬品は基礎研究から製造販売承認等を取得するまでに、通常、多大な開発費用と10年以上の長い年月を必要とします。当社の特殊ペプチド創薬開発技術は、まだ生まれて日が浅いため、当社の特殊ペプチドからこれまでに新薬が承認された実績はありません。(ただし、自然界に存在する特殊アミノ酸を組み込んだ有機化合物から新薬が承認された実績があります。たとえば、昭和58年(1983年)にスイスのSandoz(サンド)社から発売された免疫抑制剤「Sandimmun(サンディミュン)」は、ノルウェー南部のハルダンゲル高原の土壌から発見された真菌が産生していた特殊な構造のペプチド(シクロスポリン)から作られています。)将来において、当社の特殊ペプチドによる新薬開発実績が生み出せなかった場合や当社の特殊ペプチド創薬技術がクライアントの医薬品開発に貢献できない事態が生じた場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ② 技術革新について当社の創薬開発プラットフォームシステム(PDPS)は、特殊ペプチドを医薬品候補物質として運用するために必要となる一連の技術((A)特殊ペプチドを創製し、(B)低分子医薬及び抗体医薬を超える多様性を持ったライブラリーを構築し、(C)高速でスクリーニングを行う技術。)を組み込んでおり、この(A)から(C)のいずれの技術をとってみても、同じくペプチドを医薬品候補物質として扱っている他社の技術と比べ、優位性を保っているものと考えております。しかしながら、技術は日々進歩するものであり、当社の特許技術に抵触しない技術をもって当社PDPSを上回る技術が開発されることも考えられます。当社としては、PDPSを継続的に発展させるため、研究開発を積極的に実施し、PDPSに必要な知的財産権の確保に努めていく方針でありますが、当社PDPSを上回る技術が開発された場合には、当社の競争優位性が低下する結果、当社の希望する条件でクライアントとの間で契約を締結することができなくなる可能性が増加するなど、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (2) 事業内容に由来するリスク① 特殊ペプチド医薬をベースにした事業であることについて当社は、従来、特殊ペプチド医薬に特化して事業を展開しておりました。そのため、当社の創薬開発プラットフォームシステム(PDPS)により創製される特殊ペプチドは、新規性・進歩性を有するオリジナリティの高いものであり、容易に代替技術が生まれて当社の存在価値が危ぶまれるような事態になることは想定し難いと考えておりますが、特殊ペプチドに対する製薬企業の評価が変化した場合や当社の特殊ペプチド創薬技術がクライアントの医薬品開発に貢献できない事態が生じた場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。近時は特殊ペプチドを探索マーカーとして活用することによって、低分子医薬の開発につなげることができることがわかっており、PDPSの応用範囲が以前に比べて大幅に広がっております。そのため、特殊ペプチドに特化していた事業内容が変わりつつあり、特殊ペプチドをベースとしてPDPSを創薬研究開発の基盤として当業界に広めていき、特殊ペプチドのみならず低分子医薬の開発にも活用していこうという展開を試みています。こうした、低分子医薬の開発に貢献できない事態が生じた場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ② 複数の製薬企業との共同研究開発を実施していることについて本書提出日現在、当社の共同研究開発契約先は18社(国内6社、海外12社)あります。それぞれの製薬会社は、独自の創薬開発ターゲットを保有しており、当社はその研究開発について提案を受けて推進していくことになりますが、まれに各製薬企業間で創薬開発ターゲットが競合してしまうことがあります。競合が生じたときは、当社が各製薬企業との間に立って差配することにより、トラブルを未然に防止しており、現在までにトラブルが生じた事例はありません。しかし、今後、その調整が困難になる事態が生じた場合、当社は新たな共同研究開発契約や新たなターゲットタンパクが獲得できないなど、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 収益計上について当社の共同研究開発契約に係る売上カテゴリーは、原則として(A)契約一時金(テクノロジカルアクセスフィー)に始まり順次、(B)研究開発支援金、(C)追加研究開発支援金、(D)創薬開発権利金、(E)各種目標達成報奨金(マイルストーン)、(F)売上ロイヤルティ、(G)売上達成報奨金で構成されております。(A)契約一時金(テクノロジカルアクセスフィー)、(B)研究開発支援金及び(C)追加研究開発支援金は当社の事業活動に依拠する部分が大きいものの、特に(B)及び(C)について、クライアントの方針転換等の影響を受けてプロジェクトが終了し、それ以降の収益が計上できないことがあります。また、(A)は、相対的に(B)及び(C)よりも額が大きく、一度に売上が計上されるため、当社の経営成績は(A)の計上に少なからず影響を受けることになります。(D)創薬開発権利金や(E)各種目標達成報奨金に至っては、クライアントにおける業務の進行状況に大きく依存するものであり、当社でのコントロールは極めて困難な売上カテゴリーであります。そのため、当社の計画に対してクライアントにおける研究開発の進捗が遅れた場合やクライアントの研究開発方針に変更等があった場合、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 法的な紛争の可能性について当社は、事業を展開する上で、第三者の権利若しくは利益を侵害した場合又は侵害していない場合でも相手側が侵害したと考える場合には、損害賠償等の訴訟を提起されるなど法的な紛争が生じる可能性があります。本書提出日現在、法的な紛争は生じておりませんが、海外のバイオベンチャー企業1社から当社の事業が同社の特許権に抵触する旨の主張がなされていたこともあり、将来的には同社と法的な紛争に至る可能性があります。また、当社の側から、同社の特許の無効化を図るために先制的に法的な手続きをとる可能性も否定できません。今後、当社と第三者との間に法的な紛争が生じた場合、紛争の解決に労力、時間及び費用を要するほか、法的紛争に伴うレピュテーションリスクにさらされる可能性があり、その場合、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、将来的な事業展開においては、他社が保有する特許権等への抵触により、事業上の制約を受けるなど、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、これまでのところ当社が製薬企業と共同研究開発した特殊ペプチド医薬品が上市にまで至った事例は未だありませんが、今後、万が一、当社が共同研究開発に携わった医薬品において健康被害が引き起こされた場合には、そのネガティブなイメージにより、当社及び当社の創薬開発プラットフォームシステム(PDPS)に対する信頼性に悪影響が生じ、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 経営上の重要な契約について当社の事業展開上、重要と思われる契約が、当該契約が解除又はその他の事由に基づき終了した場合又は契約の相手方の経営方針が変更された場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、共同研究開発契約に係る金員(当社から見たときは売上に該当)は、原則として当社が前金として受領しており、これらの金員について当社は契約が中途終了する場合でも返還義務を負っておりません。その反面、共同研究開発契約先は、契約の解除について任意(自由)に実行することができる契約内容となっております。 ⑥ 共同研究開発契約先への依存について当社アライアンス事業における収益は、ほとんどが共同研究開発契約先(クライアント)からのものでありますが、今後、これらのクライアントとの間で新たな標的分子に係る共同研究開発が開始されない場合や、共同研究開発の結果がクライアントの要求水準を満たせない場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社がライセンスアウトしたリード化合物は、クライアントが主体となって臨床試験及び承認申請を行うことになりますが、その進捗と結果が当社の事業戦略及び経営成績に大きな影響を及ぼします。当社は、ライセンスアウト後もクライアントをサポートしますが、臨床試験及び承認申請はクライアントが行うものであって、当社でコントロールすることはできません。したがって、臨床試験及び承認申請の進捗が当社の予期しない事由により遅滞したり、臨床試験及び承認申請が断念される等の可能性があります。さらに、製造販売承認後の販売計画はクライアントに依存しており、クライアントの経営方針や販売計画の変更、経営環境の悪化等により販売計画を達成できない等の可能性があります。そのほか、医薬品の研究開発には多額の資金が必要となることから、当業界においては組織再編やM&Aが盛んであり、クライアントが組織再編を行ったり、競合他社を買収する(競合他社から買収される)など、業界における競争の構図が短期間に塗り替えられる可能性があります。こうした大規模な企業組織再編が当社のクライアントに生じた場合、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑦ 自社パイプライン(自社創薬)について当社では、特殊ペプチドの特性を活かした自社パイプライン(自社創薬)の研究開発を進めています。現在のところ、開発の方向性としては、特殊ペプチドを医薬品として活用するアプローチと特殊ペプチドの持つ優れた選択性を活かして他の薬剤を誘導するPDC(Peptide Drug Conjugate)薬剤を開発するアプローチをとっております。また、特殊ペプチドを探索マーカーとして活用することによって、低分子医薬の開発につなげることができることから、自社パイプラインにおいても低分子医薬品の開発に着手しております。特殊ペプチドを医薬品として活用する取り組みの成果として平成26年4月に新しい抗インフルエンザ剤に係る取り組みについて公表し、平成27年2月にはその進捗状況について公表いたしました。その後、平成28年6月に従前の特殊環状ペプチドの薬剤活性と体内動態を飛躍的に改良した開発ナンバー「PD-001」を新たな開発候補特殊環状ペプチドと定め、GLPに準拠した原体の入手に伴ってGLP準拠の前臨床試験を行う旨公表しております。PDCについては、平成28年6月期から本格的に着手し、すでに複数の製薬企業と共同研究を進めております。自社パイプラインについては、研究開発が順調に進展し、臨床試験まで当社の負担で実施する場合には、多額の開発費用を要する状態になる可能性があります。また、自社パイプラインの研究開発が順調に進展しない場合には、将来の事業化のオプションを一部失う可能性があります。 ⑧ 他社との戦略的提携・企業買収等の成否について当社は、競争力の強化及び事業分野の拡大等のため、他社の事業部門の譲受け、他社の買収、他社との業務提携、合弁会社の設立、他社への投資等の戦略的提携など(以下「戦略的提携等」といいます。)を行うことがあります。こうした戦略的提携等については、パートナー企業との思惑に相違が生じて提携・統合が円滑に進まない可能性や当初期待していた効果が得られない可能性、投資した金額の全部又は一部が回収できない可能性等があります。また、パートナー企業が当社の利益に反する決定を行う可能性があり、パートナー企業が事業戦略を変更した場合など、当社は戦略的提携等の関係を維持することが困難になる可能性があり、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (3) 知的財産権について① 特許の取得・出願状況について当社は事業において様々な発明及び特許権を実施しておりますが、これらは当社、国立大学法人東京大学又はニューヨーク州立大学により登録済みになっているものと審査中のものがあります。しかしながら、出願中の発明すべてについて特許査定がなされるとは限りません。また、特許権を設定登録した場合でも、特許異議申立制度により請求項が無効化される可能性があります。また、特許権侵害訴訟の提起や特許無効審判が請求されるなど特許権に係る法的な紛争が生じ、当社が実施する権利に何らかの悪影響が生じる可能性があります。本書提出日現在、当社が実施権を有する特許の1つについて特許異議の申立てがされています。また、当社が実施する特許権を上回る優れた技術の出現により、当社が有する特許権に含まれる技術が陳腐化する可能性があります。こうした事態が生じた場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そのほか、当社は、国立大学法人東京大学又はニューヨーク州立大学が出願人である発明又は特許権に関して、契約により第三者サブライセンス権付き独占実施・許諾権を獲得しておりますが、当該契約の内容が変更されたり、期間満了や解除等により契約が終了した場合等にも、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ② 職務発明に対する社内対応について当社が職務発明の発明者である役職員等から特許を受ける権利を譲り受けた場合、当社は特許法に定める「相当の利益」を支払うことになります。当社では、その取扱いについて社内規則等でルールを定めており、これまでに発明者との間で問題が生じたことはありません。しかしながら、職務発明の取扱いにつき、相当の利益の支払請求等の問題が生じた場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (4) 医薬品の研究開発事業一般に関するリスク① 医薬品開発の不確実性について一般に医薬品の開発には多額の研究開発投資と長い時間を要するだけでなく、その成功確率も他産業に比して著しく低い状況にあります。研究開発の初期段階において有望だと思われる化合物であっても、前臨床試験や臨床試験の過程で有用な効果を発見できないこと等により研究開発が予定どおりに進行せず、開発の延長や中止を行うことがあります。開発を延長した場合には、追加の資金投入が必要になるほか、特許権の存続期間満了までの期間が短くなり、投資した資金の回収に影響を及ぼします。また、開発を中止した場合には、それまでに投じた研究開発資金が回収できなくなることになります。 ② 副作用発現に関するリスクについて医薬品は、臨床試験段階から上市後に至るまで、予期せぬ副作用が発現する可能性があります。これら予期せぬ副作用が発現した場合、信用力の失墜、訴訟の提起等により、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 薬事法その他の薬事に関する規制について医薬品業界は、研究、開発、製造及び販売のそれぞれの事業活動において、各国の薬事法(わが国においては「医薬品医療機器等法」)及びその他の関連法規等により、様々な規制を受けております。現在のところ、当社のパイプラインは研究開発段階にあり、わが国の厚生労働省、アメリカ食品医薬品局(FDA)、欧州医薬品庁(EMA)等から上市のための認可は受けておりませんが、今後、各国の薬事法等の諸規制に基づいて医薬品の製造販売承認申請を行い、承認を取得することを目指しております。そのため、自社のパイプラインについて上記の規制をクリアするための体制整備が求められることになります。また、各国の薬事法及びその他の関連法規等は随時改定がなされるものであり、これらの変化が当社の生み出す特殊ペプチドにとって有利又は不利に働いたり、さらなる体制の整備・変更を求められることが考えられます。こうした規制への対応が当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼすことになります。 ④ 製造物責任について医薬品の開発及び製造には、製造物責任のリスクが内在しています。将来、開発したいずれかの医薬品が健康障害を引き起こし、又は臨床試験、製造、営業若しくは販売において不適当な事象が発見された場合、当社は製造物責任を負うこととなり、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、製造物責任賠償請求がなされることによるネガティブなイメージにより、当社及び当社の医薬品に対する信頼に悪影響が生じ、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 医薬品行政について医療用医薬品の販売価格は、日本及びその他各国政府の薬価に関する規制の影響を受けます。当社では、これまでのところ自社で臨床試験を実施したことがなく、早期に開発候補化合物をクライアントに導出する方針を採用しています。そのため、当社は薬価戦略についてはクライアントに依存しており、日本及びその他各国政府の薬価政策の影響を間接的に受ける立場にあります。当社の開発候補化合物が上市された場合において、当該医薬品にとってネガティブな薬価改定やその他の医療保険制度の改定があった場合は、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (5) 人材及び組織に由来するリスク当社は、創薬基盤技術の深化、創薬研究開発の進展を図るには、研究開発分野における専門的な知識・技能をもった優秀な人材の確保が必要であると考えております。当社の想定した人材の確保に支障が生じた場合、又は優秀な人材の社外流出が生じた場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (6) その他に由来するリスク① 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について当社は、役員、従業員及び取引先等に対し新株予約権を付与しております。これらの新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。本書提出日現在、権利行使が可能な状態にある新株予約権による潜在株式数は6,500,000株であり、発行済株式数及び潜在株式数の合計の4.91%に相当しております。 ② 配当政策について当社は配当による株主様への利益還元も重要な経営課題だと認識しております。当社は、将来においても安定的な収益の獲得が可能であり、かつ、研究開発資金を賄うに十分な利益が確保できる場合には、将来の研究開発活動等に備えるための内部留保充実の必要性等を総合的に勘案した上で、利益配当についても検討してまいります。 ③ 情報管理について当社の事業は、クライアントである製薬企業からターゲットタンパクの情報を預かる立場にあります。そのため、当社は、当社の従業員との間において顧客情報を含む会社の情報に係る誓約書を徴求し、会社情報の漏えいの未然防止に努めております。しかしながら、万一顧客の情報を含む会社の情報が外部に漏えいした場合は、当社の信用低下を招き、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 外国為替相場の変動について当社のクライアントには海外の製薬企業が多いことから、売上高の多くが外国通貨建て(主に米ドル建て)となっており、為替変動の影響を受けます。したがって、為替相場が変動した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼすことになります。 ⑤ 自然災害等の発生当社は、神奈川県川崎市川崎区殿町に本社・研究所を設置しており、事業活動や研究開発活動に関する設備及び人員が現所在地に集中しております。このため、現所在地の周辺地域において、地震、噴火、水害等の自然災害、大規模な事故、テロ等が発生し、当社設備の損壊、各種インフラの供給制限等の不測の事態が発生した場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ CMO(Contract Manufacturing Organization:医薬品製造受託機関)の立ち上げについて当社は、平成29年9月に塩野義製薬株式会社・積水化学工業株式会社とともに合弁会社としてCMO(商号:「ペプチスター株式会社 」。以下「ペプチスター」といいます。)を大阪府摂津市に設立しました。現在、特殊ペプチド医薬品の研究開発が国内外の製薬企業において進められていますが、高品質な特殊ペプチド原薬を低コストで安定供給できるCMOが世界的に見ても存在しておりません。こうした状況のもと、特殊ペプチド医薬品について専門的な技術を持つCMOを設立することは、当社の事業の推進に、ひいては特殊ペプチド医薬品市場の拡大に貢献できるものと考えています。合弁事業に参画する各国内企業が持つ最先端技術をこのペプチスターに戦略的に結集することで、特殊ペプチド医薬品の開発・販売に係るボトルネックの解消を目指します。当社は、平成30年3月30日にペプチスターに対し18億円の追加出資をすることを発表し、同年4月に追加出資を完了しております。ペプチスターへの追加出資後の出資比率は当社、塩野義製薬、積水化学工業の3社ともに17.3%となります。また、当社はペプチスターの債務に対して債務保証をしており、かつ、同社に代表取締役を派遣していることから、ペプチスターは当社の関連会社となります。そのため、当社が投資時点において想定したとおりにペプチスターが事業を展開できない場合、株式の減損処理が発生するなど、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑦ 風説・風評の発生当社や当社の関係者、当社の取引先等に対する否定的な風説や風評が、マスコミ報道、アナリストレポートやインターネット上の書き込み等により発生・流布した場合、それが正確な事実に基づいたものであるか否かにかかわらず、当社の社会的信用に影響を与える可能性があります。当社や当社の関係者、当社の取引先等に対して否定的な風説・風評が流布した場合には、そのネガティブなイメージにより、当社に対する信頼性に悪影響が生じ、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
FY2017|10,469 文字
4 【事業等のリスク】当社の事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しております。また、当社として必ずしも重要なリスクと考えていない事項及び具体化する可能性が必ずしも高くないと想定される事項についても、投資判断の上で又は当社の事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、リスクの発生をすべて回避できる保証はありません。また、以下の記載内容は当社のリスクすべてを網羅するものではありませんのでご留意ください。なお、本項記載の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、不確実性を内包しているため、実際の結果とは異なる可能性があります。 (1) 事業環境に由来するリスク① 特殊ペプチドの医薬品としての可能性について当社の特殊ペプチドは、タンパク質の合成に利用される20種類のL体のアミノ酸のみならず、特殊アミノ酸と呼ばれるD体のアミノ酸やNメチルアミノ酸等を含んでいます。この性質により、当社は多様性のある特殊ペプチドのライブラリーを作製することができ、その中からターゲットタンパクに対して強い結合力・特異性を有し、高い生体内安定性を保ち、細胞膜透過性をも有する特殊ペプチドを創製することができます。このような特質から、当社の特殊ペプチドは、新たな医薬品候補物質として期待されており、製薬会社との契約に結びついております。当社の創薬開発プラットフォームシステム(PDPS)が稼働を開始したのは、平成22年であります。医薬品は基礎研究から製造販売承認等を取得するまでに、通常、多大な開発費用と10年以上の長い年月を必要とします。当社の特殊ペプチド創薬開発技術は、まだ生まれて日が浅いため、当社の特殊ペプチドからこれまでに新薬が承認された実績はありません。(ただし、自然界に存在する特殊アミノ酸を組み込んだ有機化合物から新薬が承認された実績があります。たとえば、昭和58年(1983年)にスイスのSandoz(サンド)社から発売された免疫抑制剤「Sandimmun(サンディミュン)」は、ノルウェー南部のハルダンゲル高原の土壌から発見された真菌が産生していた特殊な構造のペプチド(シクロスポリン)から作られています。)将来において、当社の特殊ペプチドによる新薬開発実績が生み出せなかった場合や当社の特殊ペプチド創薬技術がクライアントの医薬品開発に貢献できない事態が生じた場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ② 技術革新について当社の創薬開発プラットフォームシステム(PDPS)は、特殊ペプチドを医薬品候補物質として運用するために必要となる一連の技術((A)特殊ペプチドを創製し、(B)低分子医薬及び抗体医薬を超える多様性を持ったライブラリーを構築し、(C)高速でスクリーニングを行う技術。)を組み込んでおり、この(A)から(C)のいずれの技術をとってみても、同じくペプチドを医薬品候補物質として扱っている他社の技術と比べ、優位性を保っているものと考えております。しかしながら、技術は日々進歩するものであり、当社の特許技術に抵触しない技術をもって当社PDPSを上回る技術が開発されることも考えられます。当社としては、PDPSを継続的に発展させるため、研究開発を積極的に実施し、PDPSに必要な知的財産権の確保に努めていく方針でありますが、当社PDPSを上回る技術が開発された場合には、当社の競争優位性が低下する結果、当社の希望する条件でクライアントとの間で契約を締結することができなくなる可能性が増加するなど、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (2) 事業内容に由来するリスク① 特殊ペプチド医薬をベースにした事業であることについて当社は、従来、特殊ペプチド医薬に特化して事業を展開しておりました。そのため、当社の創薬開発プラットフォームシステム(PDPS)により創製される特殊ペプチドは、新規性・進歩性を有するオリジナリティの高いものであり、容易に代替技術が生まれて当社の存在価値が危ぶまれるような事態になることは想定し難いと考えておりますが、特殊ペプチドに対する製薬企業の評価が変化した場合や当社の特殊ペプチド創薬技術がクライアントの医薬品開発に貢献できない事態が生じた場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。近時は特殊ペプチドを探索マーカーとして活用することによって、低分子医薬の開発につなげることができることがわかっており、PDPSの応用範囲が以前に比べて大幅に広がっております。そのため、特殊ペプチドに特化していた事業内容が変わりつつあり、特殊ペプチドをベースとしてPDPSを創薬研究開発の基盤として当業界に広めていき、特殊ペプチドのみならず低分子医薬の開発にも活用していこうという展開を試みています。こうした、低分子医薬の開発に貢献できない事態が生じた場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ② 複数の製薬企業との共同研究開発を実施していることについて本書提出日現在、当社の共同研究開発契約先は17社(国内6社、海外11社)あります。それぞれの製薬会社は、独自の創薬開発ターゲットを保有しており、当社はその研究開発について提案を受けて推進していくことになりますが、まれに各製薬企業間で創薬開発ターゲットが競合してしまうことがあります。競合が生じたときは、当社が各製薬企業との間に立って差配することにより、トラブルを未然に防止しており、現在までにトラブルが生じた事例はありません。しかし、今後、その調整が困難になる事態が生じた場合、当社は新たな共同研究開発契約や新たなターゲットタンパクが獲得できないなど、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 収益計上について当社の共同研究開発契約に係る売上カテゴリーは、原則として(A)契約一時金(テクノロジカルアクセスフィー)に始まり順次、(B)研究開発支援金、(C)追加研究開発支援金、(D)創薬開発権利金、(E)各種目標達成報奨金(マイルストーン)、(F)売上ロイヤルティ、(G)売上達成報奨金で構成されております。(A)契約一時金(テクノロジカルアクセスフィー)、(B)研究開発支援金及び(C)追加研究開発支援金は当社の事業活動に依拠する部分が大きいものの、特に(B)及び(C)について、クライアントの方針転換等の影響を受けてプロジェクトが終了し、それ以降の収益が計上できないことがあります。また、(A)は、相対的に(B)及び(C)よりも額が大きく、一度に売上が計上されるため、当社の経営成績は(A)の計上に少なからず影響を受けることになります。(D)創薬開発権利金や(E)各種目標達成報奨金に至っては、クライアントにおける業務の進行状況に大きく依存するものであり、当社でのコントロールは極めて困難な売上カテゴリーであります。そのため、当社の計画に対してクライアントにおける研究開発の進捗が遅れた場合やクライアントの研究開発方針に変更等があった場合、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 法的な紛争の可能性について当社は、事業を展開する上で、第三者の権利若しくは利益を侵害した場合又は侵害していない場合でも相手側が侵害したと考える場合には、損害賠償等の訴訟を提起されるなど法的な紛争が生じる可能性があります。本書提出日現在、法的な紛争は生じておりませんが、海外のバイオベンチャー企業1社から当社の事業が同社の特許権に抵触する旨の主張がなされており、将来的には同社と法的な紛争に至る可能性があります。また、当社の側から、同社の特許の無効化を図るために先制的に法的な手続きをとる可能性も否定できません。今後、当社と第三者との間に法的な紛争が生じた場合、紛争の解決に労力、時間及び費用を要するほか、法的紛争に伴うレピュテーションリスクにさらされる可能性があり、その場合、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、将来的な事業展開においては、他社が保有する特許権等への抵触により、事業上の制約を受けるなど、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、これまでのところ当社が製薬企業と共同研究開発した特殊ペプチド医薬品が上市にまで至った事例は未だありませんが、今後、万が一、当社が共同研究開発に携わった医薬品において健康被害が引き起こされた場合には、そのネガティブなイメージにより、当社及び当社の創薬開発プラットフォームシステム(PDPS)に対する信頼性に悪影響が生じ、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 経営上の重要な契約について当社の事業展開上、重要と思われる契約が、当該契約が解除又はその他の事由に基づき終了した場合又は契約の相手方の経営方針が変更された場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、共同研究開発契約に係る金員(当社から見たときは売上に該当)は、原則として当社が前金として受領しており、これらの金員について当社は契約が中途終了する場合でも返還義務を負っておりません。その反面、共同研究開発契約先は、契約の解除について任意(自由)に実行することができる契約内容となっております。 ⑥ 共同研究開発契約先への依存について当社アライアンス事業における収益は、ほとんどが共同研究開発契約先(クライアント)からのものでありますが、今後、これらのクライアントとの間で新たな標的分子に係る共同研究開発が開始されない場合や、共同研究開発の結果がクライアントの要求水準を満たせない場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社がライセンスアウトしたリード化合物は、クライアントが主体となって臨床試験及び承認申請を行うことになりますが、その進捗と結果が当社の事業戦略及び経営成績に大きな影響を及ぼします。当社は、ライセンスアウト後もクライアントをサポートしますが、臨床試験及び承認申請はクライアントが行うものであって、当社でコントロールすることはできません。したがって、臨床試験及び承認申請の進捗が当社の予期しない事由により遅滞したり、臨床試験及び承認申請が断念される等の可能性があります。さらに、製造販売承認後の販売計画はクライアントに依存しており、クライアントの経営方針や販売計画の変更、経営環境の悪化等により販売計画を達成できない等の可能性があります。そのほか、医薬品の研究開発には多額の資金が必要となることから、当業界においては組織再編やM&Aが盛んであり、クライアントが組織再編を行ったり、競合他社を買収する(競合他社から買収される)など、業界における競争の構図が短期間に塗り替えられる可能性があります。こうした大規模な企業組織再編が当社のクライアントに生じた場合、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑦ 自社パイプライン(自社創薬)について当社では、特殊ペプチドの特性を活かした自社パイプライン(自社創薬)の研究開発を進めています。現在のところ、開発の方向性としては、特殊ペプチドを医薬品として活用するアプローチと特殊ペプチドの持つ優れた選択性を活かして他の薬剤を誘導するPDC(Peptide Drug Conjugate)薬剤を開発するアプローチをとっております。また、特殊ペプチドを探索マーカーとして活用することによって、低分子医薬の開発につなげることができることから、自社パイプラインにおいても低分子医薬品の開発に着手しております。特殊ペプチドを医薬品として活用する取り組みの成果として平成26年4月に新しい抗インフルエンザ剤に係る取り組みについて公表し、平成27年2月にはその進捗状況について公表いたしました。その後、平成28年6月に従前の特殊環状ペプチドの薬剤活性と体内動態を飛躍的に改良した開発ナンバー「PD-001」を新たな開発候補特殊環状ペプチドと定め、GLPに準拠した原体の入手に伴ってGLP準拠の前臨床試験を行う旨公表しております。PDCについては、平成28年6月期から本格的に着手し、すでに複数の製薬企業と共同研究を進めております。自社パイプラインについては、研究開発が順調に進展し、臨床試験まで当社の負担で実施する場合には、多額の開発費用を要する状態になる可能性があります。また、自社パイプラインの研究開発が順調に進展しない場合には、将来の事業化のオプションを一部失う可能性があります。 ⑧ 他社との戦略的提携・企業買収等の成否について当社は、競争力の強化及び事業分野の拡大等のため、他社の事業部門の譲受け、他社の買収、他社との業務提携、合弁会社の設立、他社への投資等の戦略的提携など(以下「戦略的提携等」といいます。)を行うことがあります。こうした戦略的提携等については、パートナー企業との思惑に相違が生じて提携・統合が円滑に進まない可能性や当初期待していた効果が得られない可能性、投資した金額の全部又は一部が回収できない可能性等があります。また、パートナー企業が当社の利益に反する決定を行う可能性があり、パートナー企業が事業戦略を変更した場合など、当社は戦略的提携等の関係を維持することが困難になる可能性があり、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (3) 知的財産権について① 特許の取得・出願状況について当社は事業において様々な発明及び特許権を実施しておりますが、これらは当社、国立大学法人東京大学又はニューヨーク州立大学により登録済みになっているものと審査中のものがあります。しかしながら、出願中の発明すべてについて特許査定がなされるとは限りません。また、特許権を設定登録した場合でも、特許異議申立制度により請求項が無効化される可能性があります。また、特許権侵害訴訟の提起や特許無効審判が請求されるなど特許権に係る法的な紛争が生じ、当社が実施する権利に何らかの悪影響が生じる可能性があります。本書提出日現在、当社が実施権を有する特許の1つについて特許異議の申立てがされています。また、当社が実施する特許権を上回る優れた技術の出現により、当社が有する特許権に含まれる技術が陳腐化する可能性があります。こうした事態が生じた場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そのほか、当社は、国立大学法人東京大学又はニューヨーク州立大学が出願人である発明又は特許権に関して、契約により第三者サブライセンス権付き独占実施・許諾権を獲得しておりますが、当該契約の内容が変更されたり、期間満了や解除等により契約が終了した場合等にも、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ② 職務発明に対する社内対応について当社が職務発明の発明者である役職員等から特許を受ける権利を譲り受けた場合、当社は特許法に定める「相当の利益」を支払うことになります。当社では、その取扱いについて社内規則等でルールを定めており、これまでに発明者との間で問題が生じたことはありません。しかしながら、職務発明の取扱いにつき、相当の利益の支払請求等の問題が生じた場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (4) 医薬品の研究開発事業一般に関するリスク① 医薬品開発の不確実性について一般に医薬品の開発には多額の研究開発投資と長い時間を要するだけでなく、その成功確率も他産業に比して著しく低い状況にあります。研究開発の初期段階において有望だと思われる化合物であっても、前臨床試験や臨床試験の過程で有用な効果を発見できないこと等により研究開発が予定どおりに進行せず、開発の延長や中止を行うことがあります。開発を延長した場合には、追加の資金投入が必要になるほか、特許権の存続期間満了までの期間が短くなり、投資した資金の回収に影響を及ぼします。また、開発を中止した場合には、それまでに投じた研究開発資金が回収できなくなることになります。 ② 副作用発現に関するリスクについて医薬品は、臨床試験段階から上市後に至るまで、予期せぬ副作用が発現する可能性があります。これら予期せぬ副作用が発現した場合、信用力の失墜、訴訟の提起等により、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 薬事法その他の薬事に関する規制について医薬品業界は、研究、開発、製造及び販売のそれぞれの事業活動において、各国の薬事法(わが国においては「医薬品医療機器等法」)及びその他の関連法規等により、様々な規制を受けております。現在のところ、当社のパイプラインは研究開発段階にあり、わが国の厚生労働省、アメリカ食品医薬品局(FDA)、欧州医薬品庁(EMA)等から上市のための認可は受けておりませんが、今後、各国の薬事法等の諸規制に基づいて医薬品の製造販売承認申請を行い、承認を取得することを目指しております。そのため、自社のパイプラインについて上記の規制をクリアするための体制整備が求められることになります。また、各国の薬事法及びその他の関連法規等は随時改定がなされるものであり、これらの変化が当社の生み出す特殊ペプチドにとって有利又は不利に働いたり、さらなる体制の整備・変更を求められることが考えられます。こうした規制への対応が当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼすことになります。 ④ 製造物責任について医薬品の開発及び製造には、製造物責任のリスクが内在しています。将来、開発したいずれかの医薬品が健康障害を引き起こし、又は臨床試験、製造、営業若しくは販売において不適当な事象が発見された場合、当社は製造物責任を負うこととなり、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、製造物責任賠償請求がなされることによるネガティブなイメージにより、当社及び当社の医薬品に対する信頼に悪影響が生じ、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 医薬品行政について医療用医薬品の販売価格は、日本及びその他各国政府の薬価に関する規制の影響を受けます。当社では、これまでのところ自社で臨床試験を実施したことがなく、早期に開発候補化合物をクライアントに導出する方針を採用しています。そのため、当社は薬価戦略についてはクライアントに依存しており、日本及びその他各国政府の薬価政策の影響を間接的に受ける立場にあります。当社の開発候補化合物が上市された場合において、当該医薬品にとってネガティブな薬価改定やその他の医療保険制度の改定があった場合は、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (5) 人材及び組織に由来するリスク① 小規模組織であることについて当社は役員8名(取締役(監査等委員である取締役を除く。)5名、監査等委員である取締役3名)、従業員60名(平成29年6月30日現在)と小規模であり、内部管理体制も相応の規模となっております。当社においては、業務上必要な人員の増強及び内部体制の充実を図っていく方針でありますが、人材流出が生じた場合及び代替要員の不在等の問題が生じた場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ② 人材の確保について当社は、創薬基盤技術の深化、創薬研究開発の進展を図るには、研究開発分野における専門的な知識・技能をもった優秀な人材の確保が必要であると考えております。当社の想定した人材の確保に支障が生じた場合、又は優秀な人材の社外流出が生じた場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (6) その他に由来するリスク① 社歴が浅いことについて当社は、平成18年7月に設立された社歴が浅い会社であることから、業績の期間比較を行うための十分な財務数値が得られておりません。したがって、過年度の経営成績及び財政状態だけでは今後の当社の業績を判断する材料としては十分な期間とは言えないものと考えます。なお、アライアンス事業は第5期(平成23年6月期)から本格的に開始したものであり、特殊ペプチド医薬品が上市にまで至った事例はありません。 ② 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について当社は、役員、従業員及び取引先等に対し新株予約権を付与しております。これらの新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。本書提出日現在、権利行使が可能な状態にある新株予約権による潜在株式数は9,896,000株であり、発行済株式数及び潜在株式数の合計の8.24%に相当しております。 ③ 配当政策について当社は配当による株主様への利益還元も重要な経営課題だと認識しております。当社は、将来においても安定的な収益の獲得が可能であり、かつ、研究開発資金を賄うに十分な利益が確保できる場合には、将来の研究開発活動等に備えるための内部留保充実の必要性等を総合的に勘案した上で、利益配当についても検討してまいります。 ④ 情報管理について当社の事業は、クライアントである製薬企業からターゲットタンパクの情報を預かる立場にあります。そのため、当社は、当社の従業員との間において顧客情報を含む会社の情報に係る誓約書を徴求し、会社情報の漏えいの未然防止に努めております。しかしながら、万一顧客の情報を含む会社の情報が外部に漏えいした場合は、当社の信用低下を招き、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 外国為替相場の変動について当社のクライアントには海外の製薬企業が多いことから、売上高の多くが外国通貨建て(主に米ドル建て)となっており、為替変動の影響を受けます。したがって、為替相場が変動した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼすことになります。 ⑥ 自然災害等の発生当社は、神奈川県川崎市川崎区殿町に本社・研究所を設置しており、事業活動や研究開発活動に関する設備及び人員が現所在地に集中しております。このため、現所在地の周辺地域において、地震、噴火、水害等の自然災害、大規模な事故、テロ等が発生し、当社設備の損壊、各種インフラの供給制限等の不測の事態が発生した場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑦ 本社・研究所の建設と本店移転について当社は、事業の拡大及び研究開発機能の強化のため、新たに神奈川県川崎市川崎区殿町に本社・研究所を建設し、平成29年7月から稼働を開始しています。新しい設備・機器等を導入して運用することになるため、移転初年度においては従業員がそれらの取り扱いに習熟していないなど一定のオペレーショナルリスクが存在しています。また、設備管理等に予想を超える費用を要したり、追加の人員が必要になる事態が生じるおそれがあります。これらのリスクが顕在化した場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑧ CMO(Contract Manufacturing Organization:医薬品製造受託機関)の立ち上げについて当社は、平成29年9月に塩野義製薬株式会社・積水化学工業株式会社とともに合弁会社としてCMO(商号:「ペプチスター株式会社 」。以下「ペプチスター」といいます。)を大阪府摂津市に設立します。現在、特殊ペプチド医薬品の研究開発が国内外の製薬企業において進められていますが、高品質な特殊ペプチド原薬を低コストで安定供給できるCMOが世界的に見ても存在しておりません。こうした状況のもと、特殊ペプチド医薬品について専門的な技術を持つCMOを設立することは、当社の事業の推進に、ひいては特殊ペプチド医薬品市場の拡大に貢献できるものと考えています。合弁事業に参画する各国内企業が持つ最先端技術をこのペプチスターに戦略的に結集することで、特殊ペプチド医薬品の開発・販売に係るボトルネックの解消を目指します。当社は、ペプチスターに対して15億円から19億円程度を出資する予定があります。また、当社はペプチスターの債務に対して債務保証をする予定であり、かつ、同社に代表取締役を派遣していることから、ペプチスターは当社の関連会社となります。そのため、当社が投資時点において想定したとおりにペプチスターが事業を展開できない場合、株式の減損処理が発生するなど、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑨ 風説・風評の発生当社や当社の関係者、当社の取引先等に対する否定的な風説や風評が、マスコミ報道、アナリストレポートやインターネット上の書き込み等により発生・流布した場合、それが正確な事実に基づいたものであるか否かにかかわらず、当社の社会的信用に影響を与える可能性があります。当社や当社の関係者、当社の取引先等に対して否定的な風説・風評が流布した場合には、そのネガティブなイメージにより、当社に対する信頼性に悪影響が生じ、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
FY2016|9,504 文字
4 【事業等のリスク】当社の事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しております。また、当社として必ずしも重要なリスクと考えていない事項及び具体化する可能性が必ずしも高くないと想定される事項についても、投資判断の上で又は当社の事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、リスクの発生をすべて回避できる保証はありません。また、以下の記載内容は当社のリスクすべてを網羅するものではありませんのでご留意ください。なお、本項記載の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、不確実性を内包しているため、実際の結果とは異なる可能性があります。 (1) 事業環境に由来するリスク① 特殊ペプチドの医薬品としての可能性について当社の特殊ペプチドは、タンパク質の合成に利用される20種類のL体のアミノ酸のみならず、特殊アミノ酸と呼ばれるD体のアミノ酸やNメチルアミノ酸等を含んでいます。この性質により、当社は多様性のある特殊ペプチドのライブラリーを作製することができ、その中からターゲットタンパクに対して強い結合力・特異性を有し、高い生体内安定性を保ち、細胞膜透過性をも有する特殊ペプチドを創製することができます。このような特質から、当社の特殊ペプチドは、新たな医薬品候補物質として期待されており、製薬会社との契約に結びついております。当社の創薬開発プラットフォームシステム(PDPS)が稼働を開始したのは、平成22年であります。医薬品は基礎研究から製造販売承認等を取得するまでに、通常、多大な開発費用と10年以上の長い年月を必要とします。当社の特殊ペプチド創薬開発技術は、まだ生まれて日が浅いため、当社の特殊ペプチドからこれまでに新薬が承認された実績はありません。(ただし、自然界に存在する特殊アミノ酸を組み込んだ有機化合物から新薬が承認された実績があります。たとえば、昭和58年(1983年)にスイスのSandoz(サンド)社から発売された免疫抑制剤「Sandimmun(サンディミュン)」は、ノルウェー南部のハルダンゲル高原の土壌から発見された真菌が産生していた特殊な構造のペプチド(シクロスポリン)から作られています。)将来において、当社の特殊ペプチドによる新薬開発実績が生み出せなかった場合や当社の特殊ペプチド創薬技術がクライアントの医薬品開発に貢献できない事態が生じた場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ② 技術革新について当社の創薬開発プラットフォームシステム(PDPS)は、特殊ペプチドを医薬品候補物質として運用するために必要となる一連の技術((A)特殊ペプチドを創製し、(B)低分子医薬及び抗体医薬を超える多様性を持ったライブラリーを構築し、(C)高速でスクリーニングを行う技術。)を組み込んでおり、この(A)から(C)のいずれの技術をとってみても、同じくペプチドを医薬品候補物質として扱っている他社の技術と比べ、優位性を保っているものと考えております。しかしながら、技術は日々進歩するものであり、当社の特許技術に抵触しない技術をもって当社PDPSを上回る技術が開発されることも考えられます。当社としては、PDPSを継続的に発展させるため、研究開発を積極的に実施し、PDPSに必要な知的財産権の確保に努めていく方針でありますが、当社PDPSを上回る技術が開発された場合には、当社の競争優位性が低下する結果、当社の希望する条件でクライアントとの間で契約を締結することができなくなる可能性が増加するなど、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (2) 事業内容に由来するリスク① 特殊ペプチド医薬をベースにした事業であることについて当社は、従来、特殊ペプチド医薬に特化して事業を展開しておりました。そのため、当社の創薬開発プラットフォームシステム(PDPS)により創製される特殊ペプチドは、新規性・進歩性を有するオリジナリティの高いものであり、容易に代替技術が生まれて当社の存在価値が危ぶまれるような事態になることは想定し難いと考えておりますが、特殊ペプチドに対する製薬企業の評価が変化した場合や当社の特殊ペプチド創薬技術がクライアントの医薬品開発に貢献できない事態が生じた場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。近時は特殊ペプチドを探索マーカーとして活用することによって、低分子医薬の開発につなげることができることがわかっており、PDPSの応用範囲が以前に比べて大幅に広がっております。そのため、特殊ペプチドに特化していた事業内容が変わりつつあり、特殊ペプチドをベースとしてPDPSを創薬研究開発の基盤として当業界に広めていき、特殊ペプチドのみならず低分子医薬の開発にも活用していこうという展開を試みています。こうした、低分子医薬の開発に貢献できない事態が生じた場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ② 複数の製薬企業との共同研究開発を実施していることについて本書提出日現在、当社の共同研究開発契約先は16社(国内6社、海外10社)あります。それぞれの製薬会社は、独自の創薬開発ターゲットを保有しており、当社はその研究開発について提案を受けて推進していくことになりますが、まれに各製薬企業間で創薬開発ターゲットが競合してしまうことがあります。競合が生じたときは、当社が各製薬企業との間に立って差配することにより、トラブルを未然に防止しており、現在までにトラブルが生じた事例はありません。しかし、今後、その調整が困難になる事態が生じた場合、当社は新たな共同研究開発契約や新たなターゲットタンパクが獲得できないなど、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 収益計上について当社の共同研究開発契約に係る売上カテゴリーは、原則として(A)契約一時金(テクノロジカルアクセスフィー)に始まり順次、(B)研究開発支援金、(C)追加研究開発支援金、(D)創薬開発権利金、(E)各種目標達成報奨金(マイルストーン)、(F)売上ロイヤルティ、(G)売上達成報奨金で構成されております。(A)契約一時金(テクノロジカルアクセスフィー)、(B)研究開発支援金及び(C)追加研究開発支援金は当社の事業活動に依拠する部分が大きいものの、特に(B)及び(C)について、クライアントの方針転換等の影響を受けてプロジェクトが終了し、それ以降の収益が計上できないことがあります。また、(A)は、相対的に(B)及び(C)よりも額が大きく、一度に売上が計上されるため、当社の経営成績は(A)の計上に少なからず影響を受けることになります。(D)創薬開発権利金や(E)各種目標達成報奨金に至っては、クライアントにおける業務の進行状況に大きく依存するものであり、当社でのコントロールは極めて困難な売上カテゴリーであります。そのため、当社の計画に対してクライアントにおける研究開発の進捗が遅れた場合やクライアントの研究開発方針に変更等があった場合、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 法的な紛争の可能性について当社は、事業を展開する上で、第三者の権利若しくは利益を侵害した場合又は侵害していない場合でも相手側が侵害したと考える場合には、損害賠償等の訴訟を提起されるなど法的な紛争が生じる可能性があります。本書提出日現在、法的な紛争は生じておりませんが、海外のバイオベンチャー企業1社から当社の事業が同社の特許権に抵触する旨の主張がなされており、将来的には同社と法的な紛争に至る可能性があります。また、当社の側から、同社の特許の無効化を図るために先制的に法的な手続きをとる可能性も否定できません。今後、当社と第三者との間に法的な紛争が生じた場合、紛争の解決に労力、時間及び費用を要するほか、法的紛争に伴うレピュテーションリスクにさらされる可能性があり、その場合、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、将来的な事業展開においては、他社が保有する特許権等への抵触により、事業上の制約を受けるなど、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、これまでのところ当社が製薬企業と共同研究開発した特殊ペプチド医薬品が上市にまで至った事例は未だありませんが、今後、万が一、当社が共同研究開発に携わった医薬品において健康被害が引き起こされた場合には、そのネガティブなイメージにより、当社及び当社の創薬開発プラットフォームシステム(PDPS)に対する信頼性に悪影響が生じ、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 経営上の重要な契約について当社の事業展開上、重要と思われる契約が、当該契約が解除又はその他の事由に基づき終了した場合又は契約の相手方の経営方針が変更された場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、共同研究開発契約に係る金員(当社から見たときは売上に該当)は、原則として当社が前金として受領しており、これらの金員について当社は契約が中途終了する場合でも返還義務を負っておりません。その反面、共同研究開発契約先は、契約の解除について任意(自由)に実行することができる契約内容となっております。 ⑥ 共同研究開発契約先への依存について当社アライアンス事業における収益は、ほとんどが共同研究開発契約先(クライアント)からのものでありますが、今後、これらのクライアントとの間で新たな標的分子に係る共同研究開発が開始されない場合や、共同研究開発の結果がクライアントの要求水準を満たせない場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社がライセンスアウトしたリード化合物は、クライアントが主体となって臨床試験及び承認申請を行うことになりますが、その進捗と結果が当社の事業戦略及び経営成績に大きな影響を及ぼします。当社は、ライセンスアウト後もクライアントをサポートしますが、臨床試験及び承認申請はクライアントが行うものであって、当社でコントロールすることはできません。したがって、臨床試験及び承認申請の進捗が当社の予期しない事由により遅滞したり、臨床試験及び承認申請が断念される等の可能性があります。さらに、製造販売承認後の販売計画はクライアントに依存しており、クライアントの経営方針や販売計画の変更、経営環境の悪化等により販売計画を達成できない等の可能性があります。そのほか、医薬品の研究開発には多額の資金が必要となることから、当業界においては組織再編やM&Aが盛んであり、クライアントが組織再編を行ったり、競合他社を買収する(競合他社から買収される)など、業界における競争の構図が短期間に塗り替えられる可能性があります。こうした大規模な企業組織再編が当社のクライアントに生じた場合、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑦ 自社パイプライン(自社創薬)について当社では、特殊ペプチドの特性を活かした自社パイプライン(自社創薬)の研究開発を進めています。現在のところ、開発の方向性としては、特殊ペプチドを医薬品として活用するアプローチと特殊ペプチドの持つ優れた選択性を活かして他の薬剤を誘導するPDC(Peptide Drug Conjugate)薬剤を開発するアプローチをとっております。また、特殊ペプチドを探索マーカーとして活用することによって、低分子医薬の開発につなげることができることから、自社パイプラインにおいても低分子医薬品の開発に着手しております。特殊ペプチドを医薬品として活用する取り組みの成果として平成26年4月に新しい抗インフルエンザ剤に係る取り組みについて公表し、平成27年2月にはその進捗状況について公表いたしました。その後、平成28年6月に従前の特殊環状ペプチドの薬剤活性と体内動態を飛躍的に改良した開発ナンバー「PD-001」を新たな開発候補特殊環状ペプチドと定め、GLPに準拠した原体の入手に伴ってGLP準拠の前臨床試験を行う旨公表しております。PDCについては、平成28年6月期から本格的に着手し、すでに複数の製薬企業と共同研究を進めております。自社パイプラインについては、研究開発が順調に進展し、臨床試験まで当社の負担で実施する場合には、多額の開発費用を要する状態になる可能性があります。また、自社パイプラインの研究開発が順調に進展しない場合には、将来の事業化のオプションを一部失う可能性があります。 ⑧ 他社との戦略的提携・企業買収等の成否について当社は、競争力の強化及び事業分野の拡大等のため、他社の事業部門の譲受け、他社の買収、他社との業務提携、合弁会社の設立、他社への投資等の戦略的提携など(以下「戦略的提携等」といいます。)を行うことがあります。こうした戦略的提携等については、パートナー企業との思惑に相違が生じて提携・統合が円滑に進まない可能性や当初期待していた効果が得られない可能性、投資した金額の全部又は一部が回収できない可能性等があります。また、パートナー企業が当社の利益に反する決定を行う可能性があり、パートナー企業が事業戦略を変更した場合など、当社は戦略的提携等の関係を維持することが困難になる可能性があり、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (3) 知的財産権について① 特許の取得・出願状況について当社は事業において様々な発明及び特許権を実施しておりますが、これらは当社、国立大学法人東京大学又はニューヨーク州立大学により登録済みになっているものと審査中のものがあります。しかしながら、出願中の発明すべてについて特許査定がなされるとは限りません。また、特許権を設定登録した場合でも、特許異議申立制度により請求項が無効化される可能性があります。また、特許権侵害訴訟の提起や特許無効審判が請求されるなど特許権に係る法的な紛争が生じ、当社が実施する権利に何らかの悪影響が生じる可能性があります。本書提出日現在、当社が実施権を有する特許の1つについて特許異議の申立てがされています。また、当社が実施する特許権を上回る優れた技術の出現により、当社が有する特許権に含まれる技術が陳腐化する可能性があります。こうした事態が生じた場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そのほか、当社は、国立大学法人東京大学又はニューヨーク州立大学が出願人である発明又は特許権に関して、契約により第三者サブライセンス権付き独占実施・許諾権を獲得しておりますが、当該契約の内容が変更されたり、期間満了や解除等により契約が終了した場合等にも、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ② 職務発明に対する社内対応について当社が職務発明の発明者である役職員等から特許を受ける権利を譲り受けた場合、当社は特許法に定める「相当の対価」を支払うことになります。当社では、その取扱いについて社内規則等でルールを定めており、これまでに発明者との間で問題が生じたことはありません。しかしながら、職務発明の取扱いにつき、相当の対価の支払請求等の問題が生じた場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (4) 医薬品の研究開発事業一般に関するリスク① 医薬品開発の不確実性について一般に医薬品の開発には多額の研究開発投資と長い時間を要するだけでなく、その成功確率も他産業に比して著しく低い状況にあります。研究開発の初期段階において有望だと思われる化合物であっても、前臨床試験や臨床試験の過程で有用な効果を発見できないこと等により研究開発が予定どおりに進行せず、開発の延長や中止を行うことがあります。開発を延長した場合には、追加の資金投入が必要になるほか、特許権の存続期間満了までの期間が短くなり、投資した資金の回収に影響を及ぼします。また、開発を中止した場合には、それまでに投じた研究開発資金が回収できなくなることになります。 ② 副作用発現に関するリスクについて医薬品は、臨床試験段階から上市後に至るまで、予期せぬ副作用が発現する可能性があります。これら予期せぬ副作用が発現した場合、信用力の失墜、訴訟の提起等により、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 薬事法その他の薬事に関する規制について医薬品業界は、研究、開発、製造及び販売のそれぞれの事業活動において、各国の薬事法及びその他の関連法規等により、様々な規制を受けております。現在のところ、当社のパイプラインは研究開発段階にあり、わが国の厚生労働省、アメリカ食品医薬品局(FDA)、欧州医薬品庁(EMA)等から上市のための認可は受けておりませんが、今後、各国の薬事法等の諸規制に基づいて医薬品の製造販売承認申請を行い、承認を取得することを目指しております。そのため、自社のパイプラインについて上記の規制をクリアするための体制整備が求められることになります。また、各国の薬事法及びその他の関連法規等は随時改定がなされるものであり、これらの変化が当社の生み出す特殊ペプチドにとって有利又は不利に働いたり、さらなる体制の整備・変更を求められることが考えられます。こうした規制への対応が当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼすことになります。 ④ 製造物責任について医薬品の開発及び製造には、製造物責任のリスクが内在しています。将来、開発したいずれかの医薬品が健康障害を引き起こし、又は臨床試験、製造、営業若しくは販売において不適当な事象が発見された場合、当社は製造物責任を負うこととなり、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、製造物責任賠償請求がなされることによるネガティブなイメージにより、当社及び当社の医薬品に対する信頼に悪影響が生じ、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (5) 人材及び組織に由来するリスク① 小規模組織であることについて当社は役員8名(取締役(監査等委員である取締役を除く)5名、監査等委員である取締役3名)、従業員47名(平成28年6月30日現在)と小規模であり、内部管理体制も相応の規模となっております。当社においては、業務上必要な人員の増強及び内部体制の充実を図っていく方針でありますが、人材流出が生じた場合及び代替要員の不在等の問題が生じた場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ② 人材の確保について当社は、創薬基盤技術の深化、創薬研究開発の進展を図るには、研究開発分野における専門的な知識・技能をもった優秀な人材の確保が必要であると考えております。当社の想定した人材の確保に支障が生じた場合、又は優秀な人材の社外流出が生じた場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (6) その他に由来するリスク① 社歴が浅いことについて当社は、平成18年7月に設立された社歴が浅い会社であることから、業績の期間比較を行うための十分な財務数値が得られておりません。したがって、過年度の経営成績及び財政状態だけでは今後の当社の業績を判断する材料としては十分な期間とは言えないものと考えます。なお、アライアンス事業は第5期(平成23年6月期)から本格的に開始したものであり、特殊ペプチド医薬品が上市にまで至った事例はありません。 ② 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について当社は、役員、従業員及び取引先等に対し新株予約権を付与しております。これらの新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。平成28年6月30日現在、権利行使が可能な状態にある新株予約権による潜在株式数は8,564,400株であり、発行済株式数及び潜在株式数の合計の13.17%に相当しております。 ③ 配当政策について当社は配当による株主様への利益還元も重要な経営課題だと認識しております。当社は、将来においても安定的な収益の獲得が可能であり、かつ、研究開発資金を賄うに十分な利益が確保できる場合には、将来の研究開発活動等に備えるための内部留保充実の必要性等を総合的に勘案した上で、利益配当についても検討してまいります。 ④ 情報管理について当社の事業は、クライアントである製薬企業からターゲットタンパクの情報を預かる立場にあります。そのため、当社は、当社の従業員との間において顧客情報を含む会社の情報に係る誓約書を徴求し、会社情報の漏えいの未然防止に努めております。しかしながら、万一顧客の情報を含む会社の情報が外部に漏えいした場合は、当社の信用低下を招き、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 外国為替相場の変動について当社のクライアントには海外の製薬企業が多いことから、売上高の多くが外国通貨建て(主に米ドル建て)となっており、為替変動の影響を受けます。したがって、為替相場が変動した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼすことになります。 ⑥ 自然災害等の発生当社は、東京都目黒区に本社及びラボを設置しており、事業活動や研究開発活動に関する設備及び人員が現所在地に集中しております。このため、現所在地の周辺地域において、地震、噴火等の自然災害、大規模な事故、テロ等が発生し、当社設備の損壊、各種インフラの供給制限等の不測の事態が発生した場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑦ 新研究所の建設と本店移転について当社は、事業の拡大及び研究開発機能の強化のため、新たに神奈川県川崎市川崎区殿町に研究所を建設し、平成29年夏季に現在の施設から移転する予定です。新研究所への移行については万全を期して行う予定ですが、新研究所の工期の延長や研究機材の納入の遅れ、移転作業中の事故、研究資材の破損、新規導入設備の運用トラブル、現施設からの退去に伴うトラブル等が発生した場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑧ 風説・風評の発生当社や当社の関係者、当社の取引先等に対する否定的な風説や風評が、マスコミ報道やインターネット上の書き込み等により発生・流布した場合、それが正確な事実に基づいたものであるか否かにかかわらず、当社の社会的信用に影響を与える可能性があります。当社や当社の関係者、当社の取引先等に対して否定的な風説・風評が流布した場合には、そのネガティブなイメージにより、当社に対する信頼性に悪影響が生じ、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。