研究開発費(時系列)
| 年度 | R&D費用(億円) | 設備投資(億円) |
|---|---|---|
| 2025-03 | - | 62 |
| 2024-03 | - | 33 |
| 2023-03 | - | 84 |
| 2022-03 | - | 29 |
| 2021-03 | - | 23 |
研究開発活動(本文)
FY2025|5,521 文字
6 【研究開発活動】研究開発では、“新規事業、成長分野に向けた研究開発”をキーワードとし、“パインケミカルを軸に、成長分野への資源配分を継続し、新製品開発による新市場参入を目指す”ことを目標に活動しております。またデジタル技術を活用したものづくりでは、経済産業省が定める制度に基づき、「DX認定事業者」に選定されました。DXの推進により、引き続き研究開発の合理化とスピードアップを図っていきます。各分野の取り組みとして、パインケミカル分野では当社製品の出発原料である粗トール油に関わる国際持続可能性カーボン認証を取得するとともに機能性や環境調和性の高いゴム用添加剤、機能性樹脂分野では乳化・分散技術を利用した水系樹脂やPFAS(有機フッ素)フリーとなる離型剤の研究開発により、新たな事業領域への挑戦を進めております。また製紙用薬品分野では海外の紙製食品包装材料規制に対応する製品の拡充を継続しており、紙素材に撥水や撥油およびヒートシール性を付与できるバリアコート剤は日本や海外顧客での採用が始まりました。これらの分野では、化学素材の機能向上やバイオリニューアブル化への流れを意識した製品開発を進めていきます。電子材料分野では、引き続き、生成AIや3Dパッケージなどで成長が期待される半導体産業や自動車産業向けの材料開発に取り組んでおります。さらに先端技術分野として着手した、「情報通信市場」「エネルギー市場」「環境・ヘルスケア市場」に向けた新製品開発では、銀ナノ抗菌液や情報通信市場向けの金属ペーストといった進展している複数のテーマについて現中期計画期間中の製品化を目指しております。当社グループは、日本以外にも、ベルギー、オランダ、英国、米国、アルゼンチンに研究開発拠点を有しており、これら拠点間の連携を密に取り合うことで、グローバル市場の多様なニーズを迅速かつ的確に捉え、顧客の課題解決につながる研究開発活動を推進しております。当連結会計年度の研究開発費は、2,782百万円、特許の登録件数は国内6件、海外が15件、国内の出願件数は12件、海外の出願件数は13件でした。 (1)パインケミカル当分野においては、当社の強みである粗トール油精留事業に関連した技術開発に加え、印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂、合成ゴム用乳化剤、ロジンや脂肪酸誘導体等の研究開発を行っております。松材から得られるバイオマス資源である粗トール油は、温室効果ガスの排出量削減に貢献できるため、世界的にニーズが高まっております。当社グループでは、特性の異なる世界中の粗トール油を余りなく活用できる技術の構築や、粗トール油から得られたロジンや脂肪酸を使った製品における国際持続可能性カーボン認証「ISCC(International Sustainability and Carbon Certification) PLUS」ならびに「ISCC EU」の取得を通じ、これらを使用した製品の価値向上に取り組み、さらなる事業成長へ繋げていきます。印刷インキ用樹脂は平版インキ市場が縮小していますが、販売数量の確保と収益性の改善のため、印刷適性に優れた新製品の開発と市場への投入を進めていきます。粘接着剤用樹脂は、高温使用環境下でも粘着力を維持できる耐熱性を重視した新規の粘着付与材樹脂を開発しており、当社が保有する水系化技術を駆使することで同樹脂のエマルション製品も開発が進んでおります。また新たな分野への取り組みでは、国内や海外の顧客にてタイヤ用添加剤やアスファルト用添加剤の評価が進展、いずれも初期段階の評価で目的とした機能を確認いただき、次のフェーズへと進んでおります。いずれも各分野で要求される機能について、その発現機構を踏まえながら新しい添加剤の開発を進めていきます。当分野における研究開発費の金額は275百万円であり、報告セグメントに帰属しない全社費用であります。 (2)機能性樹脂当分野においては、塗料用樹脂およびフィルム等のコーティング剤に使用される機能性樹脂の研究開発を行っております。塗料用樹脂は、建築外壁用の環境配慮型弱溶剤系樹脂の開発を進めるとともに、より環境に配慮した水系塗料用樹脂の開発にも取り組み、いずれも新たな製品を上市しました。新たな水系塗料用樹脂は、高光沢で高い密着性と耐水性を併せ持ち、建築外装だけでなく鉄部等の塗装に適した耐久性を持っております。市場でも高い評価を得ることができており、今後はさらなる拡販に取り組んでいきます。コーティング剤に使用される機能性樹脂は、ディスプレイや電子部品等の伸長市場や高付加価値市場向けに製品開発を進めております。当社の基盤技術である樹脂合成、分散、表面・界面制御技術を応用した光学フィルム向けのコーティング剤や、樹脂変性技術および相溶化技術を深化させた離型剤の開発により、市場のニーズに応えていきます。離型剤ではPFASフリーの製品を開発するとともに、製造工程が複雑化する半導体のモールド工程向けの革新的な離型フィルムも開発しました。開発した離型フィルムは、深い金型や大面積の成型でも破れにくく、安定した成型プロセスの実現が期待できます。現在、半導体パッケージ、パワー半導体、生成AIなど、様々な用途で市場への提案を行っております。当分野における研究開発費の金額は273百万円でありました。 (3)製紙用薬品当分野においては、水性樹脂の合成をコア技術とし、段ボールなどの紙の強度を高めるPAM(ポリアクリルアミド)系紙力増強剤、紙の吸水性を制御して水性インクのにじみ防止や耐水性を付与するロジン系サイズ剤、紙の表面に塗ることで印刷適性や撥水性を付与する表面紙力増強剤や表面サイズ剤など、製紙工程で使用される機能性薬剤を軸とする研究開発を行っております。基盤製品であるPAM系紙力増強剤やロジン系サイズ剤については、国内の紙の需要減少を踏まえ、紙生産量の約50%を占める中国と米国、生産量が増加している東南アジア市場で適用できる製品やアプリケーションの開発を進めております。特に紙製品の世界的な輸出入、脱プラスチックの潮流から需要が高まりつつある食品包装用紙向け薬剤として、米国食品医薬品局(FDA)、ドイツ・BfR、中国・GB9685といった、世界的に主要な三法規制に対応可能な安心で安全な製品(間接食品添加物として海外法規制に対応可能な製品)の拡充に注力しております。また事業拡大に向け、紙の原料となるパルプの生産工程に用いるピッチコントロール剤や、紙製素材に耐水、耐油、防湿性などを与えるバリアコート剤を開発し、顧客展開を進めております。バリアコート剤に関しては、近年人体や環境への悪影響が取りざたされているPFASを使用しない耐水・耐油剤へのニーズが高まっており、開発依頼や採用が増えております。また、バイオマスベースのバリアコート剤も開発しており、顧客展開とともに、さらなる機能向上を検討しております。海外市場に関しては、当社子会社である中国の杭州杭化哈利瑪化工有限公司や米国のPlasmine Technology,Inc.と連携して、現地市場に合致した製品や技術の開発を進めております。紙生産量世界一位の中国では、一昨年に開発したPAM系紙力増強剤用の定着助剤の販売が順調に伸長しており、新たに開発した食品包装用紙や衛生紙専用のPAM系紙力増強剤も販売を開始しました。米国では、FDA認証取得製品を軸とした事業展開を進めることで、従来のロジン系サイズ剤に加え、PAM系紙力増強剤の販売も順調に増加しております。環境負荷が少なく、紙製素材の利活用に大きく貢献できる製品の開発と市場への提供によって、サステナブルな社会の構築に貢献していきます。当分野における研究開発費の金額は845百万円でありました。 (4)電子材料当分野においては、自動車産業、半導体産業用途を中心に、はんだ付け材料、半導体用機能性樹脂、ろう付け材料の研究開発を行っております。はんだ付け材料は、精緻な電子制御が要求される車載用電子機器の高機能化と大きなストレスでも接合部が壊れない高信頼性、これらの両立を実現するソルダペーストの開発とグローバル市場への展開を推進しております。半導体用機能性樹脂では、当社の得意とする高分子合成技術や有機合成技術を活用し、微細・微小な配線や電極形成に対応できる製品の開発を推進しております。生成AIなどの成長分野における採用が進んでおり、半導体デバイスの高性能化に大きく貢献することができると期待しております。熱交換器用ろう付け材料は、自動車用アルミニウム熱交換器接合用材料の海外展開推進と、給湯器等への搭載が拡大しているステンレス熱交換器を接合するろう付け材料の開発に注力しております。とくに、熱交換器の小型化や軽量化の実現、環境保全や省エネルギー化に向けて、ろう付け材の水系化や多様化する塗布工法に対応できる製品の開発に取り組んでおります。当分野における研究開発費の金額は447百万円でありました。 (5)先端技術当分野においては、今後の成長が期待される「情報通信市場」「エネルギー市場」「環境・ヘルスケア市場」に向けた新製品の開発に取り組んでおります。これまで当社が培ってきた金属ナノ粒子の設計技術、分散剤の設計技術、分散技術、バイオテクノロジーをコアコンピタンスとして、それぞれの市場の発展に貢献できる製品や技術の開発を進めております。情報通信市場では、積層セラミックコンデンサ(MLCC)用部材や各種チップ部品用電極材料の開発に注力し、進化・発展する市場において、さらなる付加価値の向上に貢献できる製品開発に取り組んでおります。エネルギー市場では、リチウムイオン二次電池(LiB)用部材の開発に注力しており、市場で要求される高エネルギー密度・高出力密度に対応できる製品開発に取り組んでおります。また環境・ヘルスケア市場においては、抗菌材料およびバイオプロセスによる新規ヘルスケア商品の開発に注力しており、環境に配慮した付加価値の高い商品開発に向けた検討を進めております。2024年度、進展がみられた銀ナノ抗菌液や情報通信市場向けの金属ペーストなどについては、2025年度での本格的な販売を目指しております。当分野における研究開発費の金額は248百万円であり、報告セグメントに帰属しない全社費用であります。 (6)ローター当事業においては、サステナビリティをキーワードとして粘接着剤用樹脂、道路標識塗料用樹脂、印刷インキ用樹脂、合成ゴム用乳化剤およびアロマケミカルなどの研究開発を行っております。粘接着剤用樹脂の分野では、水系粘着付与剤樹脂(商品名:SnowTackTM)は、高いグローバルシェアを維持しております。そして、次世代型の水系粘接着付与剤として当社特許技術を活用し開発した高濃度水系粘着付与剤は、省エネルギーの観点から多くのお客様から関心を寄せていただいており、量産段階に入っております。自動車部品等に用いられるテープ分野においては、高耐久性が求められるため、溶剤系粘接着剤が主流ですが、近年は、揮発性有機化合物(VOC)の削減の観点から、水系や紫外線硬化型粘接着剤への移行が進んでおります。当社は、そのニーズに対応するために水系粘接着剤用には、高軟化点の水系粘接着付与剤、紫外線硬化型粘接着剤用には、超淡色粘接着付与剤の開発に注力しております。印刷インキ用樹脂の分野では、印刷のデジタル化、小ロット化に伴い、熱乾燥工程が不要で瞬時に硬化できる紫外線硬化型インキが伸長しております。当社開発品(商品名:ReactolTM UVシリーズ)は、紫外線硬化型インキに優れた顔料分散性、耐乳化性を付与できることから大手印刷インキメーカーで採用となり、欧州、米国、アジアへのグローバル展開が進んでおります。特に欧州諸国(ドイツ、スイス、フランス)においては、食品包装関連の規制が毎年厳しくなっており、新規制に対応可能な樹脂を開発することが非常に重要になっております。また、食品用の紙容器に耐水性、耐油性を付与できる当社の水系バイオマスバリアコート剤は、多くの製紙会社およびコンバーター各社様よりサンプル依頼をいただき、ご使用を検討いただいております。アロマケミカルの分野では、テレピン油から派生する香料原料の開発を進めております。香料市場においても、石油由来香料から植物由来香料への原料置換ニーズが高まっており、今後の需要拡大に対応すべく生産効率向上をめざした製造技術の開発を進めております。さらに、ローターでは中長期的な視野で研究開発を行う部門を設け、ロジンや脂肪酸などバイオマス原料の機能を追求し、石油化学品を代替できるグリーンな製品の開発を行っております。例えば、苗木保護用に従来はプラスチックシートが使用されておりましたが、これを生分解性の天然材料に置き換えることで、苗木が成長して役割を終えた後は生分解させることのできる新製品を英国のお客様が開発されました。その新製品の原料として当社のバイオポリオール(商品名:Pine-PolTM)が採用されております。今後も、市場伸長が見込める事業への新規開発投資を推し進め、ハリマ化成の研究開発カンパニーと連携の上、戦略的な技術開発、マーケティングを進めてまいります。当事業における研究開発費の金額は690百万円でありました。
FY2024|4,991 文字
6 【研究開発活動】研究開発では、“新規事業、成長分野に向けた研究開発”をキーワードとし、“パインケミカルを軸に、成長分野への資源配分を継続し、新製品開発による新市場参入を目指す”ことを目標として活動しております。また、デジタル技術を活用したものづくりとDX体制づくりを推進し、研究開発の合理化とスピードアップを図っております。各分野の取り組みとして、パインケミカル分野ではロジンや脂肪酸の組成および純度をコントロールする技術開発や機能性および環境調和性の高いゴム用添加剤、機能性樹脂分野では乳化・分散技術を利用した水系樹脂の研究開発に取り組んでおります。また製紙用薬品分野では海外の紙製食品包装材料規制に対応する製品の拡充、紙素材に撥水や撥油およびヒートシール性を付与できるバリアコート剤の開発に注力しております。これらの分野は、いずれも化学素材のバイオリニューアブル化への流れを意識した製品開発を進めていきます。電子材料分野では、引き続き、成長が期待される半導体産業や自動車産業向けの材料開発に取り組んでおります。さらに先端技術分野として、「情報通信市場」「エネルギー市場」「環境・ヘルスケア市場」に向けた新製品開発にも着手しており、顧客での製品展開ステージに進展している複数のテーマについては現中期計画期間中の製品化を目指しております。当社グループは、日本以外にも、ベルギー、オランダ、英国、米国、アルゼンチンに研究開発拠点を持っており、これら拠点間の連携を密に取り合うことで、グローバル市場の多様なニーズを迅速かつ的確に捉え、顧客の課題解決につながる研究開発活動を推進しております。当連結会計年度の研究開発費は、2,707百万円、特許の登録件数は国内8件、海外が16件、国内の出願件数は10件、海外の出願件数は8件でした。 (1)パインケミカル当分野においては、当社の強みである粗トール油精留事業に関連した技術開発に加え、印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂、合成ゴム用乳化剤や脂肪酸誘導体等の研究開発を行っております。松材から得られるバイオマス資源である粗トール油は、温室効果ガスの排出量削減に貢献できるため、世界的にニーズが高まっております。当社グループでは、特性の異なる世界中の粗トール油を余りなく活用できる技術の構築や、粗トール油から得られたロジンや脂肪酸を使った製品におけるトレーサビリティに関わる認証取得を通じ、これらを使用した製品の価値向上に取り組んでおります。印刷インキ用樹脂は平版インキ市場が縮小しておりますが、販売数量の確保と収益性の改善のため、印刷適性に優れた新製品の開発と市場への投入を進めていきます。粘接着剤用樹脂は、高温使用環境下でも粘着力を維持できる耐熱性を重視した新規の粘着付与材樹脂を開発しており、当社が保有する水系化技術を駆使して同樹脂のエマルション製品の開発も進めております。またゴム用添加剤の分野では、建物を守る制振ゴム用添加剤の拡販に加え、防振ゴム用やタイヤ用の新たな製品開発に取り組んでおります。顧客での評価に進展しているタイヤ用添加剤は、初期の評価段階であるものの、複数顧客で目的とした機能を確認いただいております。いずれも各分野で要求される機能について、その発現機構を踏まえながら新しい添加剤の開発を進めていきます。当事業における研究開発費の金額は427百万円であり、報告セグメントに帰属しない全社費用であります。 (2)機能性樹脂当分野においては、塗料用樹脂およびフィルム等のコーティング剤に使用される機能性樹脂の研究開発を行っております。塗料用樹脂は、建築外壁用の環境配慮型弱溶剤系樹脂の開発を進めるとともに、より環境に配慮した水系塗料用樹脂の開発に取り組んでおります。水系塗料用樹脂では高光沢で高い密着性と耐水性を併せ持ち、建築外装だけでなく鉄部等の塗装に適した耐久性を持つ樹脂を開発しました。市場でも高い評価を得ることができ、現在、拡販活動を進めております。コーティング剤に使用される機能性樹脂は、ディスプレイや電子部品等の伸長市場や高い付加価値が要求される市場に向けた製品開発を進めております。当社の基盤技術である樹脂合成、分散、表面・界面制御技術を応用した光学フィルム向けの光学調整用ハードコート剤を開発しており、他用途への技術展開を検討していきます。また、様々な用途で使用される離型剤の開発にも取り組んでおり、市場への提案、顧客評価へと進めていきます。当事業における研究開発費の金額は311百万円でありました。 (3)製紙用薬品当分野においては、水性樹脂の合成をコア技術とし、段ボール等に使用される紙の強度を高めるポリアクリルアミド(PAM)系紙力増強剤、紙の吸水性を制御して水性インクのにじみ防止や耐水性を付与するロジン系サイズ剤、紙の表面に塗ることで印刷適性や撥水性を付与する表面紙力増強剤や表面サイズ剤など、製紙工程で使用される機能性薬剤を軸とする研究開発を行っております。基盤製品であるPAM系紙力増強剤やロジン系サイズ剤については、国内の紙の内需減少を踏まえ、紙生産量の約50%を占める中国と米国、生産量が増加している東南アジア市場で適用できる製品やアプリケーションの開発を進めております。特に紙製品の世界的な輸出入、脱プラスチックの潮流から需要が高まりつつある食品包装用紙向け薬剤として、米国食品医薬品局(FDA)、ドイツ・BfR、中国・GB9685といった、世界的に主要な三法規制に対応可能な安心で安全な製品(間接食品添加物として海外法規制に対応可能な製品)の拡充に注力しております。また事業拡大に向け、紙の原料となるパルプを生産する際の工程改善薬剤であるピッチコントロール剤や、脱プラスチックの動きの中で紙製素材の利用を促進できるバリアコート剤を開発しました。バリアコート剤に関しては、新たに開発したバイオマスベースの製品も顧客での評価に進展しており、更なる機能向上を検討しております。海外市場に関しては、当社子会社である中国の杭州杭化哈利瑪化工有限公司や米国のPlasmine Technology,Inc.と連携して、現地市場に合致した製品や技術の開発を進めております。紙生産量世界一位の中国では、昨年、PAM系紙力増強剤の添加率上昇によって頭打ちとなる効果を改善するために開発した助剤の販売が順調に伸長しました。米国では、FDA認証取得製品を軸とした事業展開を進めることで、従来のロジン系サイズ剤に加え、PAM系紙力増強剤の販売も順調に増加しております。環境負荷が少なく、紙製素材の利活用に大きく貢献できる製品の開発と市場への提供によって、サステナブルな社会の構築に貢献していきます。当事業における研究開発費の金額は683百万円でありました。 (4)電子材料当分野においては、成長が期待される自動車産業、半導体産業用途を中心に、はんだ付け材料、ろう付け材料、レジスト用樹脂の研究開発を行っております。はんだ付け材料は、精緻な電子制御が要求される自動車向け車載電機器の高機能化への対応と併せて、大きなストレスでも壊れない接合耐久性を実現するソルダペーストの開発に注力しております。また、ヘンケル社のはんだ事業買収により取得した技術と当社技術との融合により、新たな製品の開発を進めております。ろう付け材料は、自動車用アルミニウム熱交換器接合用材料の海外展開推進と、給湯器等への搭載が拡大しているステンレス熱交換器を接合するろう付け材料の開発に注力しております。熱交換器の軽量化や熱交換効率の向上に留まらず、顧客の生産工程における使用エネルギーの削減に繋がる製品の開発にも取り組んでおります。レジスト用樹脂では、当社の得意とする高分子合成技術や有機合成技術を活用することで、微細・微小な配線や電極形成に対応できる製品の開発に注力しております。生成AI(人工知能)等、成長分野における採用が進んでおり、今後の市場成長に大きく貢献していくことを期待しております。当事業における研究開発費の金額は418百万円でありました。 (5)先端技術当分野においては、今後の成長が期待される「情報通信市場」「エネルギー市場」「環境・ヘルスケア市場」に向けた新製品の開発に取り組んでおります。これまで当社が培ってきた金属ナノ粒子の設計技術、分散剤の設計技術、分散技術、バイオテクノロジーをコアコンピタンスとして、それぞれの市場の発展に貢献できる製品や技術の開発を進めております。情報通信市場では、積層セラミックコンデンサ(MLCC)用部材や各種チップ部品用電極材料の開発に注力し、進化・発展する市場において、さらなる付加価値の向上に貢献できる製品開発に取り組んでおります。エネルギー市場では、リチウムイオン二次電池(LiB)用部材の開発に注力しており、市場で要求される高エネルギー密度・高出力密度に対応できる製品開発に取り組んでおります。また環境・ヘルスケア市場においては、抗菌材料およびバイオプロセスによる新規ヘルスケア商品の開発に注力しており、環境に配慮した付加価値の高い商品開発に向けた検討を進めております。当事業における研究開発費の金額は174百万円であり、報告セグメントに帰属しない全社費用であります。 (6)ローター当事業においては、サステナビリティをキーワードとして粘接着剤用樹脂、道路標識塗料用樹脂、印刷インキ用樹脂、合成ゴム用乳化剤およびアロマケミカル等の研究開発を行っております。粘接着剤用樹脂の分野では、水系粘着付与剤樹脂(商品名:SnowTackTM)の高いグローバルシェアを維持しつつ、得意とするラベル・シール用途だけでなく、産業用テープ向け粘着付与剤樹脂市場への用途拡大をめざしております。また、省エネルギーの観点から水系粘着付与剤樹脂の高濃度化、熱乾燥工程を必要としないUV粘着剤向け粘着付与剤樹脂の開発も進んでおり、量産準備段階に入っております。さらに、自動車部品等に使用される当分野の製品については、顧客から事業継続計画(BCP)の策定を強く求められるようになっており、ハリマ化成の日本国内拠点とローターのグローバル拠点で共通の製品づくりができる体制へ向けた研究開発も推進しております。印刷インキ用樹脂の分野では、印刷のデジタル化、小ロット化に伴い、紫外線硬化型インキが伸長しております。当社開発品(商品名:ReactolTM UVシリーズ)は、紫外線硬化型インキに優れた顔料分散性、耐乳化性を付与できることから大手印刷インキメーカーで採用となり、欧州、米国、アジアへのグローバル展開を進めております。水系フレキソインキ市場では、持続可能な社会の創造をめざす顧客が掲げる温室効果ガス削減目標を達成するために、包装容器に使用されるインキ、コーティング剤の原料を従来の石油由来から植物由来に置換したいという需要が高まっております。その需要に対応すべく開発したロジンをベースにした水系フレキソインキ用樹脂(商品名:SnowpackTM)は一部の顧客に採用され、商業化の段階に入りました。アロマケミカルの分野では、テレピン油から派生する香料原料の開発を進めております。香料市場においては、昨今の環境志向の高まりにより、石油由来香料から植物由来香料への原料置換ニーズが高まっております。ローターでは、ニュージーランドで、松材を原料としたパルプ製造工程で副生する粗サルフェートテレピン油を蒸留し得られた成分から香料原料の製造を行っておりますが、今後の需要拡大に対応すべく生産効率向上をめざした製造技術の開発を進めております。さらに、ローターでは中長期的な視野で研究開発を行う部門を設け、ロジンや脂肪酸等バイオマス原料の機能を追求し、石油化学品を代替できるグリーンな製品の開発を行っております。今後、市場伸長が見込める事業への新規開発投資を推し進め、ハリマ化成の研究開発カンパニーと連携の上、戦略的な技術開発、マーケティングを進めております。当事業における研究開発費の金額は690百万円でありました。
FY2023|5,157 文字
6 【研究開発活動】当社グループは、松から得られる再生可能な植物資源であり、特性が異なるトールロジンとガムロジンを、日本国内をはじめブラジル、アルゼンチン、ニュージーランド等においてグローバルに生産する唯一のメーカーです。当社グループでは、この強みをさらに活かすために、各種誘導体製品の開発はもとより、ロジンや脂肪酸の組成や純度をコントロールする技術開発や、松やにに含まれる天然資源の生成に関する代謝経路の解明とその仕組みを活かした生産技術開発等を推進しております。また、昨今の環境対応への関心の高まりを受けて、化学素材のバイオリニューアブル化への流れを意識した製品開発を進めるとともに、有機溶剤を媒体とした製品から水を媒体とする乳化・分散技術を利用した製品の研究開発に取り組んでおります。先端技術分野では、当社グループの保有技術である樹脂合成や界面制御技術、金属接合技術を応用し、半導体製造工程に使用されるレジスト用樹脂、光学フィルム向け各種材料、導電性材料などの研究を推進しております。 当連結会計年度の研究開発費は、2,731百万円、特許の登録件数は国内6件、海外が16件、国内の出願件数は2件、海外の出願件数は4件でした。 (1)樹脂化成品当事業においては、塗料用樹脂、印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂、機能性樹脂、合成ゴム用乳化剤および脂肪酸誘導体などの研究開発を行っております。印刷インキ用樹脂については、主力市場である平版インキ市場の縮小が続いていますが、当期は印刷適性に優れた複数の新製品を上市するに至りました。これら新たな価値を提供する新製品開発に注力するとともに、当社の材料や技術で、印刷業界における環境保全の取り組みに貢献できる新製品の開発にも注力しております。塗料用樹脂については、建築外壁用の環境配慮型弱溶剤系樹脂の開発を進めるとともに、より環境に配慮した水系塗料用の樹脂開発に取り組んでおります。水系塗料用樹脂では高光沢で高密着性と耐水性を併せ持ち、建築外装だけでなく鉄部等の塗装に適した耐久性を持つ樹脂を開発し、拡販活動を開始しております。粘接着剤用樹脂については、高温使用環境下でも粘着力を維持できる耐熱性を重視した新規タッキファイヤーを開発中です。また、この分野では使用が限定的であったトールロジンを使用した新製品開発を進めており、トレーサビリティの観点からもトールロジンを原料とする粘着剤用樹脂は注目を集めつつあります。ゴム用添加剤については、建物を守る制振ゴム用添加剤の販売を開始しました。この技術を用いて制振、防振分野に投入できる新製品の開発を進めております。また、各ゴム製品に求められる性能を最大化するように機能発現のメカニズムを踏まえながら新しい添加剤の開発を進めており、タイヤ用添加剤の分野では顧客評価へと進んでおります。機能性樹脂分野では、光学フィルム用の屈折率調整ハードコート剤の製品開発を進めるとともに、新規用途展開を図っており、複数の開発テーマを推進しております。加えて、ナノ粒子を分散する技術を光学用途以外に展開する検討を進めており、顧客での評価を進めながら製品の高機能化に挑戦しております。また、当社の基盤技術である表面・界面制御技術を応用し、離型フィルムや帯電防止コート剤などの新規開発を進めております。当事業における研究開発費の金額は395百万円でありました。 (2)製紙用薬品当事業においては、水性樹脂の合成をコア技術とし、段ボール等に使用される板紙の強度を高めるポリアクリルアミド(PAM)系紙力増強剤、紙や板紙の吸水性を制御して水性インクのにじみ防止や耐水性を付与するロジン系サイズ剤、紙や板紙の表面に塗ることで印刷適性や撥水性を付与する表面紙力増強剤や表面サイズ剤といった、主に製紙工程で使用される機能性薬剤の開発を行っております。日本国内における紙・板紙の内需は、2011年以降、マイナス傾向で推移していますが、当期は、4月からプラスチック資源循環促進法が施行されたことや、これまでのコロナ禍による行動規制が緩和されたことより、包装用紙や段ボールといったパッケージング用紙の需要が2年連続で増加となりました。このような業界の動向を踏まえ、PAM系紙力増強剤やロジン系サイズ剤を中心に、日本国内、紙板紙生産量の約50%を占める中国と米国、板紙の生産量が増加している東南アジアに適用できる製品やアプリケーションの開発を進めております。また、紙の原料となるパルプを生産する工程には操業性や生産性を改善する工程(改善)薬剤であるピッチコントロール剤、脱プラスチックの動きの中で紙製素材の利用を推進できるバリアコート剤の開発も進めております。バリアコート剤では、耐水性や耐油性に加え、ヒートシール性等を付与できるコート剤の開発により、紙化を望む顧客のニーズに応え、紙製素材の普及に貢献していきます。紙板紙製品の世界的な輸出入、脱プラで需要が高まりつつある食品包装用紙向けとしては、米国食品医薬品局(FDA)、ドイツ・BfR、中国・GB9685の三法規制に対応可能な安心で安全な製品(間接食品添加物として海外法規制に対応可能な製品)の拡充を進めております。アニオン性のロジン系エマルジョンサイズ剤「NeuRoz」全シリーズとPAM系乾燥紙力増強剤「ハーマイドC-10」に加え、両イオン性のPAM系乾燥紙力増強剤「ハーマイドT2」が新たに三法規制に対応可能となりました。FDAとGB9685に対応する「ハーマイドKS」シリーズと併せて、多様化する国内外の顧客ニーズに応えていきます。また、ピッチコントロール剤のASシリーズはFDAとGB9685、バリアコート剤のハイコートBCシリーズもFDAとBfRに対応しております。海外市場においては、中国、北米、東南アジア地域における市場拡大に注力しており、紙・板紙の生産量が世界一位の中国では三拠点で事業展開を進めております。昨年は、PAM系紙力増強剤の添加率上昇によって頭打ちとなる効果を高めるために開発した助剤を実績化しており、今後は、成長する東南アジア市場等、他の地域へも展開したいと考えております。また、米国では、Plasmine Technology,Inc.によるFDA認証取得製品を軸とした事業を展開しております。古紙利用による強度低下や操業性改善に加え、これまで紙力増強剤として使用されてきた澱粉をPAM系紙力増強剤に置換する動きが出てきており、主要製品であるサイズ剤と共に、これまでに得たノウハウを基に展開を進めていきます。当事業における研究開発費の金額は739百万円でありました。 (3)電子材料当事業においては、主として自動車業界と電子機器・情報産業向けのはんだ付け材料、自動車用熱交換器等の組み立てに用いるろう付け材料、半導体製造に用いられるレジスト用樹脂を展開し、顧客が安心して利用いただけるように地球環境への配慮と信頼性を重視した製品開発を行っております。はんだ材料については、鉛フリーペーストや高耐久ペーストを通して、より一層の車載電子機器の高機能化や精細な電子制御の実現と、大きなストレスでも壊れない接合耐久性など、安全で快適な運転に貢献しております。 また、ヘンケル社のはんだ事業の買収により、各々が保有する技術の統合と革新による新製品開発と商品力強化を図っております。ろう付け材料については、自動車用アルミニウム熱交換器接合用材料の海外展開推進と、給湯器などへの搭載が拡大しているステンレス熱交換器を接合するろう付け材料の開発に注力しております。熱交換器の更なる軽量化、熱効率化だけでなく顧客での生産各工程における使用エネルギーの削減提案にも取り組んでおります。レジスト用樹脂については、コロナ禍で加速したデジタル化の動きが一服して足元の半導体市況は調整局面にあるものの、次世代の半導体パッケージを中心とした材料開発は一層加速しております。当社の得意とする高分子合成技術や有機合成技術に更に磨きをかけ、今後も半導体産業の進歩に貢献する開発を進めていきます。当事業における研究開発費の金額は520百万円でありました。 (4)パインケミカル 当事業においては、当社の強みである粗トール油精留事業をさらに活かすため、その精留能力を高める技術を開発しております。粗トール油は、製紙に用いられる松材から工業的に得られるバイオマス資源です。バイオマス資源は温室効果ガスの排出量削減に貢献できるため、そのニーズが世界的にかつ急激に高まっております。そのような環境のもと、当社グループでは、特性の異なる世界中の粗トール油を余りなく精留して活用できる技術構築に取り組んでおります。さらに、粗トール油から得られるロジンや脂肪酸を使った商品開発においては、トール油製品の価値向上のため、トレーサビリティに関わる認証取得を進めております。当社グループでは、グローバルな生産体制と独自の購買ルートで世界中の多彩なロジンや脂肪酸が活用できます。それらの松種の違いによる性能への影響の解明、顧客における事業継続計画(BCP)への貢献、またその特性を活かした製品価値の向上に注力しております。環境問題への取り組みについては、精留プラントで分離した製品原料にならない成分もバイオマス発電プラントの燃料とすることで、環境にやさしい電力や熱源を発生させ、活用しております。現在、さらにそこから排出される二酸化炭素まで低減でき、カーボンニュートラル実現に一層の貢献ができる生産技術開発を行っております。 当事業における研究開発費の金額は430百万円であり、報告セグメントに帰属しない全社費用であります。 (5)ローター当事業においては、サステナビリティをキーワードとして粘接着剤用樹脂、道路標識塗料用樹脂、印刷インキ用樹脂、合成ゴム用乳化剤およびアロマケミカルなどの研究開発を行っております。粘接着剤用樹脂の分野では、水系粘着付与剤樹脂(商品名:SnowTackTM)の高いグローバルシェアを維持しつつ、得意とするラベル・シール用途だけでなく、産業用テープ向け粘着付与剤樹脂市場への用途拡大をめざしております。また、省エネルギーの観点から水系粘着付与剤樹脂の高濃度化、熱乾燥工程を必要としないUV粘着剤向け粘着付与剤樹脂の開発も進んでおり、量産準備段階に入っております。さらに、自動車部品などに使用される当分野の製品については、顧客から事業継続計画(BCP)の策定を強く求められるようになっており、ハリマ化成の日本国内拠点とローターのグローバル拠点で共通の製品づくりができる体制へ向けた研究開発も推進しております。印刷インキ用樹脂の分野では、印刷のデジタル化、小ロット化に伴い、紫外線硬化型インキが伸長しております。当社開発品(商品名:ReactolTM UVシリーズ)は、紫外線硬化型インキに優れた顔料分散性、耐乳化性を付与できることから大手印刷インキメーカーで採用となり、欧州、米国、アジアへのグローバル展開を進めております。水系フレキソインキ市場では、持続可能な社会の創造をめざす顧客が掲げる温室効果ガス削減目標を達成するために、包装容器に使用されるインキ、コーティング剤の原料を従来の石油由来から植物由来に置換したいという需要が高まっております。その需要に対応すべく開発したロジンをベースにした水系フレキソインキ用樹脂(商品名:SnowpackTM)は一部の顧客に採用され、商業化の段階に入りました。アロマケミカルの分野では、テレピン油から派生する香料原料の開発を進めております。香料市場においては、昨今の環境志向の高まりにより、石油由来香料から植物由来香料への原料置換ニーズが高まっております。ローターでは、ニュージーランドで、松材を原料としたパルプ製造工程で副生する粗サルフェートテレピン油を蒸留し得られた成分から香料原料の製造を行っておりますが、今後の需要拡大に対応すべく生産効率向上をめざした製造技術の開発を進めております。さらに、ローターでは中長期的な視野で研究開発を行う部門を設け、ロジンや脂肪酸などバイオマス原料の機能を追求し、石油化学品を代替できるグリーンな製品の開発を行っております。今後、市場伸長が見込める事業への新規開発投資を推し進め、ハリマ化成の研究開発カンパニーと連携の上、戦略的な技術開発、マーケティングを進めております。 当事業における研究開発費の金額は645百万円でありました。
FY2022|5,989 文字
5 【研究開発活動】当社グループは松から得られる植物資源であるトールロジンとガムロジンの2種類のロジンを、日本国内をはじめブラジル、アルゼンチン、ニュージーランド等においてグローバルに生産する唯一のメーカーです。この強みを更に活かす為に、ロジンや脂肪酸の成分や純度をコントロールできる技術開発や、松に含まれる天然資源の生成に関する代謝経路の解明やその仕組みを活かした生産技術を外部機関と連携しながら推進しています。新規分野については、環境対応への関心の高まりから有機溶剤から水に代替する技術の必要性がさらに加速すると予想しています。そこで当社が有する乳化技術、分散技術を活かすべく研究に取り組んでいます。 当連結会計年度の研究開発費は、2,536百万円、特許の登録件数は国内9件、海外が10件、国内の出願件数は4件、海外の出願件数は7件でした。 (1)樹脂化成品当事業においては、塗料用樹脂、印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂、機能性樹脂、合成ゴム用乳化剤及び脂肪酸誘導体の研究開発を行っています。当期は、前期にコロナ禍により落ち込んだ市場が回復し、総売り上げは年度計画を達成しました。しかし、印刷インキ用樹脂に関しては当社の主力市場である平版インキの市場の縮小が続いており、厳しい状況が続いています。回復する市場に対し、新たな価値を提供する新製品投入に注力するとともに、近年の環境意識の高まりもあり、当社の材料・技術で環境に貢献できる新製品の開発にも注力しています。塗料用樹脂においては、建築外壁用の環境配慮型弱溶剤系樹脂の開発を進めるとともに、より環境に配慮した水系塗料用の樹脂開発に取り組んでいます。水系ながら高光沢で高付着性、耐水性を併せ持つとともに、建築外装だけでなく鉄部等の塗装に適した耐久性を持つ樹脂の開発を進めています。印刷インキ用樹脂においては、環境意識の高まりを受け、プラスチック基材に高い密着性を示す水系樹脂の開発を進めています。従来の平版用途ではなく、フィルム用グラビア・フレキソインキ向けを目指すとともに、その高い密着性を活かした用途展開を図るべく開発を進めています。当社の強みであるロジン、脂肪酸を組み込んでおり、バイオマス樹脂としても高い機能発現を目指しています。粘接着剤用樹脂においては、より高温な使用環境下でも粘着力を維持できる耐熱性を高めた新規タッキファイヤーを開発中です。また、この用途では従来ガムロジンが主流でしたが、当社の強みであるトールロジンを使用した新製品開発も進めています。ゴム用添加剤については、自然災害が年々増加する中、ビル、建物を守る制振ゴム用の添加剤を開発しました。これは従来以上に揺れに対する減衰性を示しており、今後の拡大が見込まれます。また、各ゴム製品に求められる性能を最大化するように機能発現のメカニズムを踏まえながら新しい添加剤の開発を進めています。機能性樹脂においては、光学フィルム用の屈折率調整ハードコート剤の製品改良を進めるとともに、新規用途展開を図っており、複数の開発テーマを進めています。また、自動車の塗装を保護する目的で貼られるペイントプロテクションフィルムと呼ばれるフィルムに塗工し、傷・汚れ防止機能を付与するコート剤については開発を完了し、顧客への提案、最終調整を行っている段階です。加えて、ナノ粒子を分散する技術を光学用途以外に展開する事を進めており、顧客評価を進めながら製品の高機能化に挑戦しています。また、当社の基盤技術である表面・界面制御から、離型フィルムや帯電防止コート剤などの新規開発を進め基本設計まで完成しました。当事業における研究開発費の金額は377百万円でありました。 (2)製紙用薬品当事業においては、水性樹脂の合成をコア技術として、段ボール等に使用される板紙の強度を高めるポリアクリルアミド系紙力増強剤、紙や板紙の吸水性を制御して水性インクのにじみ防止や耐水性を付与するロジン系サイズ剤、紙や板紙の表面に塗ることで印刷適性や撥水性を付与する表面紙力増強剤や表面サイズ剤といった、主に製紙工程で使用される機能性薬剤に関する開発を行っています。日本国内における紙・板紙の内需は、2011年以降、2020年にかけてマイナスで推移しました。とくに2020年は、電子化等の影響による出版・広告向けの印刷用紙の減少に加え、コロナ禍の影響を受け、リーマン・ショック直後の2009年を上回るマイナス幅(9.5%減)となりました。しかし、2021年は、コロナ禍におけるネット通販の拡大、食品・化粧品・健康関連市場の伸び等からパッケージング用紙が増加し、紙・板紙の合計では11年ぶりにプラス(1.6%増)に転じました。また、2022年4月からプラスチック資源循環促進法が施行され、これまで以上に脱プラスチックによる紙化の動きが期待されます。この様な状況を受け、国内の製紙会社は、海外事業、エネルギー事業、ケミカル事業、ヘルスケア事業やパッケージ事業といった分野への事業展開を進めています。このような業界の動向を踏まえ、研究開発では、ポリアクリルアミド系紙力増強剤やロジン系サイズ剤を中心に、パッケージング用途で使用される板紙の中性抄紙化(Alum使用量の削減)や軽量化(紙力効果及び操業性の改善)に対応できる製品やアプリケーションの開発を進めています。また、紙の原料となるパルプを生産する工程においては、操業性や生産性を改善する工程薬剤であるピッチコントロール剤を開発しています。薬剤と併せて適切な使用方法も提案することで、高品質パルプの生産に欠かせない薬剤として、大手製紙会社様での実績が拡大しています。さらに、脱プラスチックの動きの中で、紙製素材の利用を推進できるバリアコート剤の開発も進めています。耐水性や耐油性に加え、ヒートシール性等を付与できるコート剤の開発により、紙化を望まれるお客様のニーズに応え、紙製素材の普及に貢献していきます。これら製品開発においては、世界中で安心してご使用いただくことを目的に、安心で安全な製品(間接食品添加物として海外法規制に対応可能な製品)の拡充を進めています。ロジン系エマルションサイズ剤『NeuRoz シリーズ』は、米国のFDA、ドイツのBfR、中国のGB9685といった認証を取得しています。またPAM系乾燥紙力増強剤『ハーマイド KSシリーズ』は米国のFDAと中国のGB9685を取得しており、現在はFDAとBfRの認証を取得した『ハーマイド T2』についてGB9685の申請を進めている段階です。なお、ピッチコントロール剤『ASシリーズ』はFDAとGB9685、バリアコート剤『ハイコートBCシリーズ』はFDAとBfR、といった認証を取得しています。海外市場においては、中国、北米、東南アジア地域における市場拡大に注力しています。紙・板紙の生産量が世界一位(1億1,260万トン/2020年)の中国では、浙江省の杭州杭化哈利瑪化工有限公司を中心として、広東省の東莞市杭化哈利瑪造紙化学品有限公司、山東省の山東杭化哈利瑪化工有限公司の三拠点にて事業展開を進めています。また世界二位(6,796万トン/2020年)の米国では、Plasmine Technology,Inc.によるFDA認証取得製品を軸とした事業展開、東南アジアやオセアニア地域では、日本からの技術支援による事業展開に取り組んでいます。日本を含め、世界の紙・板紙生産量の50%以上を占めるこれら市場にて、各地域における最適なアプリケーションや必要となる法規制に対応できる製品を加速させることにより、更なるグローバル展開を進めていきます。当事業における研究開発費の金額は656百万円でありました。 (3)電子材料当事業においては、主として自動車業界と電子機器・情報産業向けのはんだ付け材料、及び自動車用熱交換器等の組み立てに用いるろう付け材料、半導体製造に用いられるレジスト用樹脂を展開し、お客様に安心してご使用いただけるように地球環境への配慮と信頼性を重視した製品の開発を推進しています。 2021年の自動車の生産台数は世界的な新型コロナウィルス感染や半導体不足の影響を受け、2020年より5%増加に転じたものの8,014万台の生産に留まりました。2022年はこれらの影響が収まり復調に転じる期待の中でスタートしましたが、コロナ感染による経済活動や物流への影響、半導体不足の長期化、ウクライナ情勢、各原材料の高騰など非常に厳しい市場環境が継続しています。 このような動向の中ではんだ材料においては、より一層の電子機器の高機能化や精細な電子制御を実現し安全で快適な運転を実現する商品や大きなストレスにも壊れない接合耐久性を有する高耐久はんだ材料の開発、上市を推進しています。また、ヘンケル社のはんだ事業の買収を受け、各々が保有する技術の統合、革新による新製品開発と商品力強化を図ります。 熱交換器等に用いられるろう付け材料においては、自動車用アルミニウム熱交換器接合用材料の海外展開の推進と、給湯器などへの搭載が拡大しているステンレス熱交換器を接合するろう付け材料の開発に注力しています。熱交換器の更なる軽量化、低燃費化だけでなく生産各工程における使用エネルギーの削減にも取り組んでいます。 半導体製造に用いられるレジスト用樹脂においては、テレワークや巣ごもり需要の拡大、企業でのデジタルトランスフォーメーションの推進などの旺盛な需要を受け2021年も大きな成長となりました。当社の得意である有機合成技術を更に磨き、今後も半導体産業に貢献していきます。当事業における研究開発費の金額は527百万円でありました。 (4)パインケミカル 当事業においては、当社の強みである粗トール油精留事業を更に活かすため、その精留向上技術を開発しています。精留によりトールロジンやトール油脂肪酸が得られる原料粗トール油は、製紙会社から得られるバイオマス資源です。一方で、バイオマス資源自体のニーズが、いま世界的に急激に高まっています。このような動向の中で、当社は、世界の粗トール油を使いこなす、また使い分けられる技術についての構築を進めています。 粗トール油の精製技術は、石油精製とは異なりニッチな技術ですが、社内独自の評価体制を整え、日々アップグレードしています。今後ともトール油関連製品を安心してお使い頂けるよう、安定供給に貢献できる技術開発を続けます。 また、そこから得られるロジンや脂肪酸を使った商品開発においては、トール油製品の価値向上のため、世界に続き日本でも2022年夏までに指針が策定される予定の人権デューデリジェンスへの対応、また、産地証明のためのISCC、RSBなどの認証取得を進めています。一方で当社は、独自の購買ルートにより、世界中のロジンや脂肪酸も活用できます。松種違いによる製品性能への影響差の解明を続けており、万一のBCP対応への貢献、またその差を生かした製品価値の向上に活かしていきます。 環境対応については、日本の加古川製造所にはバイオマス発電プラントを有しており、隣接する粗トール油精留プラントで分離した、製品原料として活かせない成分をバイオマス燃料とすることで、環境にやさしい電力や熱源を発生させ、活用しています。現在、そこから排出されるCO2を商品に組み込んで、さらにカーボンニュートラルに貢献できる商品開発にも注力しています。 当事業における研究開発費の金額は435百万円であり、報告セグメントに帰属しない全社費用であります。 (5)ローター当事業においては、粘接着剤用樹脂、道路標識塗料用樹脂、印刷インキ用樹脂、合成ゴム用乳化剤及びアロマケミカルなどの研究開発を行っています。粘接着剤用樹脂においては、水系粘着付与剤樹脂(商品名:SnowTackTM)の高いグローバルシェアを維持しつつ、得意とするラベル・シール用途だけでなく、産業用テープ向け粘着付与剤樹脂市場への用途拡大をめざしています。また、省エネルギーの観点から水系粘着付与剤樹脂の高濃度化、乾燥工程を必要としないUV粘着剤向け粘着付与剤樹脂の開発にも着手しています。さらに、自動車部品などに使用される当分野の製品については、顧客から事業継続計画(BCP)の策定を強く求められるようになっており、ハリマ化成の日本国内拠点とローターのグローバル拠点で共通の製品づくりができる体制へ向けた研究開発も推進しています。印刷インキ用樹脂においては、特にフレキソ、グラビアインキ市場においては、食品包装材料や電子商取引の伸長により今後も成長が期待されています。特に、水系フレキソインキ市場では、持続可能な社会の創造をめざす顧客が掲げる二酸化炭素削減目標を達成するために、包装容器に使用されるインキ、コーティング剤の原料を従来の石油由来から植物由来に置換したいという需要が高まっています。その需要に対応すべく開発したロジンをベースにした水系フレキソインキ用樹脂(商品名:SnowpackTM)は一部の顧客に採用され、商業化の段階に入りました。一方、商業出版印刷インキ市場においては、コロナ禍の影響で世界的に生産量の落ち込みが加速しましたが、ローターが出資するスウェーデンのサンパイン社で製造されたトールロジンを活用し、高懸念物質であるアルキルフェノールを使用しない環境対応型インキ用樹脂(商品名:EcorezTMシリーズ)の商品群を拡充しました。アロマケミカルにおいては、テレピン油から派生する香料原料の開発を進めています。香料市場においては、昨今の環境志向の高まりにより、石油由来香料から植物由来香料への原料置換ニーズが高まっています。ローターでは、ニュージーランドで、松材を原料としたパルプ製造工程で副生する粗サルフェートテレピン油を蒸留し得られた成分から香料原料の製造を行っていますが、今後の需要拡大に対応すべく生産効率向上をめざした製造技術の開発を進めています。また、ハリマ化成の研究開発部門と協働で新規香料原料の開発も進めています。さらに、ローターでは中長期的な視野で研究開発を行う部門を設け、ロジンや脂肪酸などバイオマス原料の機能を追求し、石油化学品を代替できるグリーンな製品の開発を行っています。今後市場伸長が見込める事業への新規開発投資を推し進め、ハリマ化成の研究開発カンパニーと連携の上、戦略的な技術開発、マーケティングを進めております。 当事業における研究開発費の金額は539百万円でありました。
FY2021|4,802 文字
5 【研究開発活動】当社グループは松から得られる植物資源であるトールロジンとガムロジンの2種類のロジンを、日本国内をはじめブラジル、アルゼンチン、ニュージーランド等においてグローバルに生産する唯一のメーカーです。この強みを更に活かす為に、ロジンや脂肪酸の成分や純度をコントロールできる技術開発や、松に含まれる天然資源の生成に関する代謝経路の解明やその仕組みを活かした生産技術を外部機関と連携しながら推進しています。 新規分野については、環境対応への関心の高まりから有機溶剤から水に代替する技術の必要性がさらに加速すると予想しています。そこで当社が有する乳化技術、分散技術を活かすべく研究に取り組んでいます。 当連結会計年度の研究開発費は、2,598百万円、特許の登録件数は国内9件、海外が25件、国内の出願件数は5件でした。 (1)樹脂化成品当事業においては、塗料用樹脂、印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂、機能性樹脂、合成ゴム用乳化剤及び脂肪酸誘導体の研究開発を行っています。今年度前半はコロナ禍により市場は低調に推移、後半は持ち直していますが計画未達成に終わっています。現行市場に対する新製品投入に注力するとともに、近年の環境意識の高まりもあり、当社の材料・技術で環境に貢献できる新製品の開発に注力しています。 塗料用樹脂においては、建築外壁用の環境配慮型弱溶剤系樹脂の開発を進めるとともに、より環境に配慮した水系塗料用の樹脂開発に取り組みました。高光沢で高付着性、耐水性を併せ持つとともに、建築外装だけでなく鉄部等に適した耐久性を持つ樹脂の開発を進めています。 印刷インキ用樹脂においては、環境意識の高まりを受け、プラスチック基材に高い密着性を示す水系樹脂を開発しました。従来の平版用途ではなく、フィルム用グラビア・フレキソインキ向けを目指すとともに、その高い密着性を活かした用途展開を図るべく開発を進めています。当社の強みであるロジン、脂肪酸を使用しており、バイオマス樹脂としても高い機能を発現しています。粘接着剤用樹脂に関しては、より高温などの使用環境下への適用も可能とする耐熱性を高めた新規タッキファイヤーを開発中です。ゴム用添加剤については、自然災害が年々増加する中、ビル、建物を守る制振ゴム用の添加剤を開発しました。これは従来以上に揺れに対する減衰性を示しており、今後の拡大が見込まれます。また各ゴム製品に求められる性能を最大化するように機能発現のメカニズムを踏まえながら新しい添加剤の開発を進めています。 機能性樹脂分野では、光学フィルム用の屈折率調整ハードコート剤の製品改良を進めており、顧客へ提案しています。また、同フィルム裏面に塗布するハードコート剤の開発も進めており、表裏とも当社品での採用を目指しています。自動車の塗装を保護する目的で貼られるペイントプロテクションフィルムと呼ばれるフィルムに、傷・汚れ防止機能を付与するコート剤については開発を完了し、顧客へ提案、最終的に耐候性を確認中です。加えて、ナノ粒子を分散する技術を光学フィルムだけではなく、他の用途に展開するテーマに着手しており、顧客評価を進めながら製品の高機能化に挑戦しています。当セグメントに係る研究開発費の金額は537百万円でありました。 (2)製紙用薬品当事業においては、水性樹脂の合成をコア技術として、段ボール等に使用される板紙の強度を高めるポリアクリルアミド系紙力増強剤、紙や板紙の吸水性を制御して水性インクのにじみ防止や耐水性を付与するロジン系サイズ剤、紙や板紙の表面に塗ることで印刷適性や撥水性を付与する表面紙力増強剤や表面サイズ剤といった、主に製紙工程で使用される機能性薬剤に関する開発を行っています。日本国内における紙・板紙の内需は、2011年以降マイナスで推移しています。電子化等の影響によって出版・広告向けの印刷用紙が減少していましたが、コロナ禍の影響を受けた2020年は減少ペースが加速、リーマン・ショック直後の2009年(9.2%減)を上回るマイナス幅となりました。一方、ネット通販等の普及や、コロナ禍における衛生意識の高まりによる衛生用紙の需要増といったプラス面も出てきています。また、脱プラスチックによる紙化の動きも期待され、国内の製紙会社は、引き続き、海外事業、エネルギー事業、ケミカル事業、ヘルスケア事業やパッケージ事業といった分野への事業展開を加速させています。このような業界の動向を踏まえ、研究開発では、ポリアクリルアミド系紙力増強剤やロジン系サイズ剤を中心に、パッケージング用途で使用される板紙の中性抄紙化(Alum使用量の削減)や軽量化(紙力効果および操業性の改善)に対応できる製品やアプリケーションの開発を進めています。また、紙の原料となるパルプを生産する工程において、操業性や生産性を改善する工程薬剤(ピッチコントロール剤)でも、薬剤と併せて適切な使用方法を提案しています。これにより、高品質パルプの生産に欠かせない薬剤として認めていただき、大手製紙会社様での実績に繋がっています。さらに、脱プラスチックの動きの中で、紙製素材の利用を推進できるバリアコート剤の開発にも取り組んでいます。耐水性や耐油性に加え、ヒートシール性や水蒸気バリア性を付与できるコート剤の開発により、紙製素材の普及に貢献していきます。これら製品開発においては、世界中で安心してご使用いただくことを目的に、安心で安全な製品(間接食品添加物として海外法規制に対応可能な製品)の拡充を進めています。ロジン系エマルションサイズ剤『NeuRoz CF50』は、米国のFDA、ドイツのBfR、中国のGB9685といった認証を取得しています。また近年では、FDAの認証を取得したPAM系乾燥紙力増強剤『ハーマイド KSシリーズ』および ピッチコントロール剤『ASシリーズ』のGB9685の認可に加え、FDAとBfRの認証を取得した新たなPAM系乾燥紙力増強剤を開発しました。現在は、新規開発品のGB9685の申請を進めています。海外市場においては、南北アメリカ、中国、東南アジア地域における市場拡大に注力しています。紙・板紙の生産量が世界一位(1億867万トン/2019年)の中国では、浙江省の杭州杭化哈利瑪化工有限公司を中心として、広東省の東莞市杭化哈利瑪造紙化学品有限公司、山東省の山東杭化哈利瑪化工有限公司の三拠点にて事業展開を進めています。また世界二位(6,913万トン/2019年)の米国では、プラズミン・テクノロジー,Inc.によるFDA認証取得製品を軸とした事業展開、東南アジアやオセアニア地域では、日本からの技術支援による事業展開に取り組んでいます。今後は、これら諸外国における最適なアプリケーションや必要となる法規制に対応できる製品を加速させることにより、更なるグローバル展開を進めていきます。当セグメントに係る研究開発費の金額は803百万円でありました。 (3)電子材料当事業においては、主として自動車業界と電子機器・情報産業向けのはんだ付け材料、及び自動車用熱交換器等の組み立てに用いるろう付け材料を展開し、お客様に安心してご使用いただけるように地球環境への配慮と信頼性を重視した製品の開発を推進しています。 2020年の自動車の生産台数は新型コロナウィルス感染の拡大の影響を大きく受け前年比1455万台減の7762万台に留まりました。2021年に入り中国市場で回復基調が見られる一方、日本、米国、欧州域では新型コロナウィルスの再拡大や世界的な半導体不足の影響など非常に厳しい市場環境に置かれています。このような動向の中で研究開発においては、より一層の電子機器の高機能化や精細な電子制御が推進でき、安全で快適な運転を実現するはんだ材料の開発に注力しています。 これらの電子機器においては、はんだ接合部に従来よりも大きなストレスがかかるため高い耐久性を有する材料が必要なことから、当社ではこの市場要求に応える高耐久性鉛フリーソルダペースト開発を完了し2021年度からの販売開始に向けた準備を進めています。 熱交換器等に用いられるろう付け材料においては、自動車用アルミニウム熱交換器接合用材料の海外展開を推進しています。更なる軽量化、低燃費化に貢献すると共に、環境負荷を低減するため有機溶剤成分を含まない無溶剤型材料の開発と、これまでに培った技術を活かし、給湯器などへの搭載が拡大しているステンレス熱交換器を接合するろう付け材料の開発にも注力し商品群の拡充を図ります。 半導体製造に用いられるレジスト用樹脂は、企業において在宅勤務、リモート会議が普及し、教育現場でも同様の動きが起こった中、大きく成長しました。当社の得意である有機合成技術を更に磨き、今後も半導体産業に貢献していきます。当セグメントに係る研究開発費の金額は718百万円でありました。 (4)ローター 当事業においては、印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂、路面標示塗料用樹脂、合成ゴム用乳化剤及びアロマケミカルなどの研究開発を行っています。 出版印刷インキ市場は、コロナ禍の影響で昨年の春から夏にかけて世界的に大きく生産量が落ち込みました。欧州においては、当社が出資するスウェーデンのサンパイン社で製造されたトールロジンを活用し、安定した品質で価格面でも優位性を持たせた樹脂の開発を推進しています。枚葉印刷インキ用途では、特に食品包装関連の法規制が年々厳しくなってきており、製品の品質だけでなく、製造工程や、原材料の選別、保管管理に関しても対応できる生産体制が必要になってきております。当分野においては、インキ成分が紙を通じて食品に移行せず、食品の安全性や味覚に影響を与えないような低マイグレーション性の機能を有し、かつ低臭気のインキ用ワニス(商品名:PacksetTM)の開発に成功し、販売を開始しております。 フレキソ、グラビアインキ市場は、主に新興国の食品包装材料需要と電子商取引の伸張により、今後も成長が期待されています。特に、水系フレキソインキでは、持続可能な社会の創造をめざす顧客からは、包装容器に使用されるインキ、コーティング剤にも天然由来成分を原料とした製品を使用したいとの要望が高くなっており、ロジンをベースにしたフレキソインキ用樹脂ディスパーパージョン(商品名:SnowpackTM)は一部の顧客に採用され、今後の展開が期待されています。このような顧客からの要求に応えるべく、当社では、独自のロジン変性技術と水分散技術によって、高性能でかつ環境にやさしい包装インキ用樹脂の開発を進めています。 粘接着剤用樹脂の分野は、水系粘着付与剤樹脂の高いグローバルシェアを維持しつつ、得意とする汎用紙ラベル用途だけでなく、産業用テープ向け粘着付与剤樹脂市場への拡大を目指しています。今後も高性能な水系粘接着剤用樹脂の需要拡大が見込まれており、特に、自動車などの部品に供される当分野の製品については、顧客からBCP(事業継続計画)策定を強く求められるようになっており、ハリマ化成の日本国内拠点とローターのグローバル拠点において、共通の製品づくりができる体制へ向けた研究開発を推進しています。 さらに、イノベーション部門では、ロジンや脂肪酸などバイオマス原料の機能を追求し、石油化学品を代替できるグリーンな製品の開発、今後市場伸長が見込める事業への新規開発投資を推し進め、ハリマ化成の研究開発カンパニーと連携の上、戦略的な技術開発、マーケティングを進めております。 当セグメントに係る研究開発費の金額は539百万円でありました。
FY2020|4,908 文字
5 【研究開発活動】当社グループは松から得られる植物資源であるトールロジンとガムロジンの2種類のロジンを、日本国内をはじめブラジル、アルゼンチン、ニュージーランド等においてグローバルに生産するメーカーです。この強みを更に活かす為に、ロジンや脂肪酸の成分や純度をコントロールできる技術開発や、松由来の天然資源の生成メカニズムの探索や工業的活用に発展させることを視野に外部機関や大学と連携し研究開発を推進しています。 新規分野については、喫緊の課題となる環境負荷問題に対し、プラスチックフィルムの減容化を目的に表面を機能化する材料開発を進めています。また、有害物質の使用量削減の観点からは、有機溶剤の代わりに水を用いることが増えると予想されます。そこで当社が有する乳化技術、分散技術を活かせる水系化技術の領域に着目して取り組んでいます。 当連結会計年度の研究開発費は、2,634百万円、特許の登録件数は国内11件、海外が16件、国内の出願件数は8件でした。 (1)樹脂化成品当事業においては、塗料用樹脂、印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂、機能性樹脂、合成ゴム乳化剤及び脂肪酸誘導体の研究開発を行っています。関連市場の生産量は、合成ゴム148万トン、塗料162万トン、印刷インキ31万トン、粘接着剤92万トンで、何れも成熟産業であり市場は低調に推移しています。このような状況下当社グループは、お客様や社会、環境に貢献できる新製品開発を進めており、今年度は次のような成果が出ています。塗料用樹脂においては、建築外壁用に環境に配慮した弱溶剤型樹脂の開発を進めるとともに、より環境に配慮した水系塗料用の樹脂開発に取り組みました。高光沢で高付着性、耐水性を併せ持ち建築外装に適した耐久性を持つ樹脂を開発しました。また、建築外装以外の水系塗料に価値を与えるべく複数用途での開発に着手しました。 印刷インキ用樹脂においては、縮小傾向が続く平版インキ市場に対して海外拠点での生産を見据えた新製品を複数完成させ、まずは国内ユーザーにて採用いただいています。また、平版用UV硬化型インキ向けにロジンを使用した新製品の販売を開始しました。さらに堅調に推移しているフレキソ、グラビアインキ向けに、当社の強みであるロジン、脂肪酸を使用した水系向けの樹脂開発を進めています。粘接着剤用樹脂においては、より高温などの使用環境下への適用も可能とする耐熱性を高めた新規タッキファイヤーを開発中です。また、ゴム用添加剤に関しては、各種ゴムの要求特性、例えば振動吸収性や摩擦性などに適した様々な新規ロジン誘導体の開発を進め、一部用途では採用に向けた市場テストに入っています。また、ゴムの特性を変えるメカニズムを解明しながら開発を進めており、新たな用途に価値を創造できる製品開発を進め、顧客評価へ移行していく段階になっています。 機能性樹脂分野においては、光学フィルム用の屈折率調整ハードコート剤の製品改良を進めており、顧客へ提案しています。また、同フィルム裏面に塗布するハードコート剤の開発も進めており、表裏とも当社品での採用を目指しています。また、自動車の塗装を保護する目的で貼られるペイントプロテクションフィルムと呼ばれるフィルムに、傷・汚れ防止機能を付与するコート剤については、耐候性をより高めた製品の開発を進めています。当セグメントに係る研究開発費の金額は554百万円でありました。 (2)製紙用薬品水性樹脂の合成をコア技術として、段ボール等に使用される板紙の強度を高めるポリアクリルアミド系紙力増強剤、紙や板紙の吸水性を制御して水性インクのにじみ防止や耐水性を付与するロジン系サイズ剤、紙や板紙の表面に塗ることで印刷適性や撥水性を付与する表面紙力増強剤や表面サイズ剤といった、製紙工程で使用される機能性薬剤に関する開発を行っています。日本国内における紙・板紙の内需は、2011年以降、マイナスで推移しています。これは電子化等の影響によって、出版・広告向けの印刷用紙が減少したことが原因となっています。一方、日常生活で使用される衛生用紙、段ボール等のパッケージングに使用される板紙については、堅調な推移を示しています。2020年も、印刷用紙は減少となる一方で、衛生用紙や段ボール原紙の伸びが続くと予想されています。国内の製紙会社は工場の統廃合を進めると同時に、海外事業、エネルギー事業、ケミカル事業、ヘルスケア事業やパッケージ事業といった成長分野への事業展開を加速させています。このような製紙業界の動向を踏まえ、パッケージング用途で使用される板紙の中性抄紙化や軽量化に対応できる製品やアプリケーションの開発を進めています。ポリアクリルアミド系紙力増強剤は紙力効果と共に中性サイズ剤の機能向上が期待できる新製品、ロジン系サイズ剤では併用するAlumの使用量削減に繋がる使用法(Co-mingle®法)と本使用法に適した製品の開発を進めています。また、紙の原料となるパルプを生産する工程において、操業性や生産性を改善する工程薬剤(ピッチコントロール剤)についても実績が出てきました。現在、高品質のパルプを生産いただくために必要な薬剤として、お客様である製紙会社様に認められつつあります。さらに、食品包装用途の紙・板紙に安心してご使用いただくため、海外法規制にも対応可能な間接食品添加物としての製品の拡充を進めています。米国のFDAから間接食品添加物としての認証を取得したアニオン性ロジンエマルションサイズ剤のNeuRoz®シリーズは、新たにドイツのBfRによる食品接触材料に対する推奨基準や中国国家衛生・計画生育委員会によるGB9685といった認証を取得しました。またポリアクリルアミド系乾燥紙力増強剤のハーマイドKSシリーズについても、米国に加えて中国の認証を取得しています。これらは、北米や東南アジア地域に加え、紙製包装材料への関心が高まっている日本のお客様でも実績が出てきています。海外では、北南米、中国、東南アジア地域における製紙用薬品の市場拡大に力を入れています。紙・板紙の生産量が世界第一位(1億0,996万トン/2018年)の中国では、浙江省の杭州杭化哈利瑪化工有限公司を中心として、広東省の東莞市杭化哈利瑪造紙化学品有限公司、山東省の山東杭化哈利瑪化工有限公司の三拠点で事業展開を進めています。また世界第二位(7,206万トン/2018年)の米国では、Plasmine Technology,Inc.によるFDA認証取得製品を軸とした事業展開、東南アジアやオセアニア地域では、日本からの技術支援による事業展開に取り組んでいます。これら諸外国では、それぞれの地域において薬剤に要求される機能が異なっており、適合する技術開発や法規制に対応できる製品を開発しています。今後は、海外展開に対応できる製品開発と、個別顧客の要求に対応できる技術開発を加速させることにより、更なるグローバル展開を進めていきます。当セグメントに係る研究開発費の金額は774百万円でありました。 (3)電子材料主として自動車業界と電子機器・情報産業向けのはんだ付け材料、及び自動車用熱交換器等の組み立てに用いるろう付け材料の事業を展開し、お客様に安心してご使用いただけるように地球環境への配慮と信頼性を重視した製品の開発に注力しております。 昨今の自動車産業の動向について、新車販売台数は新興国市場を中心に中長期的には成長が予測される一方で、2019年度は米中貿易摩擦や景気減速の影響により前年を下回る実績、加えて新型コロナウィルスによる世界的な経済への影響など直近は厳しい市場環境となっています。 こうした環境の中、当事業では自動車内に搭載される電子機器の小型化、高機能化を推進し安全で快適な運転の実現に貢献する自動車用接合材料として、大手自動車部品メーカーと共同で開発したファインピッチ対応の鉛フリーペーストの販売が本年度も順調に増加し、ソルダペースト全体の販売増加に寄与しました。今後もグローバル拠点への展開と新製品への採用活動の推進による販売量増加を計画しています。 また、多くの自動車制御装置メーカーでは、低燃費化、高機能化の実現に向けて新型の電子制御装置の開発が必要となっています。これら装置においては、はんだ付け箇所に大きなストレスがかかることから高い耐久性を有するはんだを使用する方向性が示され、当社もこのような市場要求に応えるため高耐久性鉛フリーソルダペースト開発を加速し、早期の実績化に向けた準備を進めています。もう一つの主力製品である自動車用熱交換器に使用されるろう付け材料の売上は景気減速の影響を受け低調な推移となりました。しかしながら、自動車の低燃費化や電気自動車を想定した場合の自動車重量の軽量化への要望は大きく、熱交換器の小型化、高機能化に大きな期待が持たれています。接点の微細化や形状の変化へ対応するため、多様化する塗布工法に適したろう付け材製品群の拡充を図ると共に、環境負荷物質である有機溶剤成分を含まない無溶剤型材料の開発を推進しています。さらには、自動車用熱交換器だけでなく、給湯器やルームエアコンに用いられる熱交換器向けのろう付け材料の開発にも注力しています。当セグメントに係る研究開発費の金額は723百万円でありました。 (4)ローター 印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂、道路標識塗料用樹脂、合成ゴム用乳化剤及びアロマケミカルの研究開発を行っています。 出版インキ市場は、デジタル化の進展により世界的に市場規模が縮小していますが、欧州においては、当社が出資するスウェーデンのSunPine ABで製造されたトールロジンを活用し、安定した品質で価格面でも優位性を持たせた樹脂の開発を推進しています。枚葉インキ用途では、特に食品包装関連の法規制が年々厳しくなってきており、製品の品質だけでなく、製造工程や、原材料の選別、保管管理に関しても対応できる生産体制が必要になってきております。当分野においては、食品にインキ成分が紙を通じて移行せず、食品の安全性や味覚に影響を与えないような低マイグレーション、低臭気ワニスの開発を進めております。 フレキソ、グラビアインキ市場は、主に新興国の食品包装材料需要と電子商取引の伸張により、今後も成長が期待されています。特に、水系フレキソインキでは、持続可能な社会の創造を標榜する末端顧客からは、包装容器に使用されるインキ、コーティング剤にも天然由来成分を原料とした製品を使用したいとの要望が高くなっており、ロジンをベースにしたフレキソインキ用樹脂ディスパージョン(商品名:SnowpackTM)は一部の顧客に採用され、今後の展開が期待されています。このような顧客からの要求に応えるべく、当社では、独自のロジン変性技術と水分散技術によって、高性能でかつ環境にやさしい包装インキ用樹脂の開発を進めています。 粘接着剤用樹脂の分野では、水系粘着付与剤樹脂の高いグローバルシェアを維持しつつ、得意とする汎用紙ラベル用途だけでなく、産業用テープ向け粘着付与剤樹脂市場への拡大を目指しています。特に、自動車などの部品に供される当分野の製品については、顧客からのBCP(事業継続計画)策定を強く求められるようになっており、ハリマ化成㈱の日本国内拠点とローターのグローバル拠点において、共通の製品づくりができる体制へ向けた研究開発を推進しています。 さらに、イノベーション部門の開発チームでは、既存の印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂中心の製品から、ロジンや脂肪酸などバイオマス原料の機能を追求し、今後市場伸長が見込める事業への新規開発投資を推し進めており、ハリマ化成㈱の研究開発カンパニーと連携の上、戦略的な技術開発、マーケティングを進めております。 当セグメントに係る研究開発費の金額は582百万円でありました。
FY2019|5,230 文字
5 【研究開発活動】当社グループは松から得られる植物資源であるトールロジンとガムロジンの2種類のロジンを、日本国内をはじめブラジル、アルゼンチン、ニュージーランド等においてグローバルに生産する唯一のメーカーとして、原料基盤を強化する中で再生可能なバイオマス原料の機能を追求し、さらに創業以来培ってきた高分子合成・評価、乳化・分散などの界面制御、接着・接合などコア技術の融合により先進的な研究開発を進めています。主力のパインケミカル関連事業は既存製品の国内市場が縮小傾向の中、技術の深耕を行う事で当社独自技術、製品の開発に注力しました。その基本コンセプトは「表面、界面、乳化をコントロールする」です。その結果、樹脂、製紙薬品、電子材料及び新規事業分野においても大きな足掛かりを得ることができました。引き続いて同コンセプトに基づいた商品開発に注力するとともに、開発した商品の市場導入を強力に進めていきます。また、グローバル展開という観点では、ローターをはじめとした海外グループ会社との一層の緊密化を図り、国内開発品の海外への導入や新規開発テーマでの連携が進展しました。新規分野については、物質の表面・界面状態の制御や混合物の分散といった既存事業分野で培った基幹技術をもとに、それらの機能を活かした技術により新たな価値を創造することを目標に開発を推進しています。そのような高機能化技術の適用先としては、例えば、今後も益々、社会生活の中でその重要度が高まる電子部品や電池製品の各種構成部材を対象のひとつとしています。また、環境負荷軽減の観点から関心が高まっているプラスチック使用量削減という動向に着目し、その動きを加速するプラスチック表面の機能化材料の開発も進めています。さらに、松由来の天然資源の生成メカニズム探索、および資源の有効活用法も視野に入れた研究も大学や外部機関と連携しながら取り組んでいます。当連結会計年度の研究開発費は、2,594百万円、特許の登録件数は国内12件、海外が22件、国内の出願件数は8件でした。 (1)樹脂化成品当事業においては、塗料用樹脂、印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂、機能性樹脂、合成ゴム乳化剤及び脂肪酸誘導体の研究開発を行っています。関連市場の生産量は、合成ゴム140万トン、塗料165万トン、印刷インキ35万トン、粘接着剤92万トンで、何れも成熟産業であり市場は低調に推移しています。このような状況下、当社は、お客様や社会、環境に貢献できる新製品開発を進めており、今年度は次のような成果が出ています。塗料用樹脂においては、建築外壁用に環境に配慮した弱溶剤型樹脂の開発を進め、耐久性に優れた新製品の販売を開始しました。また、塗料の水系化が進む中で当社が得意とする建築外装塗料用樹脂の水系化に取り組み、完成間近になっています。印刷インキ用樹脂においては、縮小傾向が続く平版インキ市場へ当社独自の原料であるトール油製品を適用した樹脂の新製品を投入しました。また、市場が拡大しているUV硬化型インキ向けにロジンを使用した新製品を開発しました。粘接着剤用樹脂に関しては、より高温などの使用環境下への適用も可能とする耐熱性を高めた新規タッキファイヤーを開発中です。また、ゴム用の添加剤についても各種ゴムの要求特性に適した様々な新規ロジンの開発を顧客評価も通じて推進しています。機能性樹脂分野では、光学フィルム用の屈折率調整ハードコート剤の新製品を販売開始しました。また、自動車の塗装を保護する目的で貼られるペイントプロテクションフィルムと呼ばれるフィルムに、傷・汚れ防止機能を付与するコート剤の販売を開始しました。合成ゴム用乳化剤については、当社のトール油製品がゴムの合成時にどのように機能しているかを検証しながら、より性能を高めるために開発を進めています。当セグメントに係る研究開発費の金額は539百万円でありました。 (2)製紙用薬品当事業においては、水性樹脂の合成をコア技術として、段ボール等に使用される板紙の強度を高める紙力増強剤、紙や板紙の吸水性を制御して水性インクのにじみ防止や耐水性を付与するサイズ剤、紙や板紙の表面に塗ることで印刷適性や撥水性を付与する塗工剤といった、製紙工程で使用される機能性薬剤に関する開発を行っています。2018年の日本国内における紙・板紙の内需量は、昨年比2.0%減の2,605万トンとなる見込みで、2011年以降、マイナス成長が続いています。しかし、段ボールに使用される板紙はプラス成長で推移しており、2018年も前年を上回りました。デジタル化等の影響によって印刷用途は減少が続いていますが、パッケージング用途は段ボールや飲料・食品包装向けを中心に伸びています。国内の製紙会社では、工場の統廃合、紙・板紙の価格修正により収益改善を進めると同時に、海外事業に加えて、エネルギー事業、ケミカル事業、ヘルスケア事業やパッケージ事業といった成長分野への事業展開を進めています。当社では、このような製紙業界の動向を踏まえ、パッケージング用途で使用される板紙の中性抄紙化や軽量化に対応できる製品の開発を進めています。紙力増強剤は紙力効果と共に中性サイズ剤の機能向上が期待できる新製品、ロジン系サイズ剤では併用するAlumの使用量削減に繋がる使用法(Co-mingle®法)と本使用法に適する新製品を開発し、販売を開始しました。また、これらの機能性薬剤に加えて、製紙工程における操業性や生産性を改善するために開発した工程薬剤についても実績が出てきております。さらに、食品包装用途の紙・板紙を中心とする国際的な物流環境に対応するため、間接食品添加物として海外の安全規制要件を満たした製品開発にも取り組んでいます。米国のFDAから間接食品添加物としての認証を取得したアニオン性ロジンエマルションサイズ剤のNeuRoz®シリーズやポリアクリルアミド系乾燥紙力増強剤のハーマイドKSシリーズは、北米や東南アジア地域で実績が出ています。また包装用紙向けを中心として、日本の顧客からも問い合わせが増えつつあります。海外における事業展開では、北南米、中国、東南アジア地域における製紙用薬品の市場拡大に力を入れています。紙・板紙の生産量が世界第一位(1億1,577万トン/2017年)の中国では杭州杭化哈利瑪化工有限公司(浙江省)において、また世界第二位(7,228万トン/2017年)の米国ではプラズミン・テクノロジー,Inc.において、日本との連携による研究開発活動を行っています。また、東南アジアやオセアニア地域への事業展開では、日本からの技術支援による事業展開に取り組んでいます。これら諸外国の顧客では、それぞれの地域において薬剤に要求される項目が異なっており、適合する技術開発や法規制への対応を進めています。今後も、海外展開に対応できる製品開発と、個別顧客の要求に対応できる技術開発により、グローバル展開を進めていきます。当セグメントに係る研究開発費の金額は746百万円でありました。 (3)電子材料当事業においては、主として自動車業界と電子機器・情報産業向けのはんだ付け材料、及び自動車用熱交換器等の組み立てに用いるろう付け材料の事業を展開し、お客様に安心してご使用いただけるように地球環境への配慮と信頼性を重視した製品の開発に注力しております。昨今の自動車産業の動向について、世界的にはその販売台数は伸びており今後も新興国市場を中心に堅調な成長が予測されています。また、技術面に目を向けると、環境に配慮した低燃費の次世代型自動車の普及に加えて、先進安全・自動運転機能の実現に向けて、自動車関連分野だけでなく情報技術関連企業の積極的な進出も大きな動きとなっています。こうした環境の中、当事業では自動車用新規材料として大手自動車部品メーカーと共同で開発したファインピッチ部品接合用の鉛フリーソルダペーストの販売が順調に増加しており、ソルダペースト全体の販売増加に寄与しております。今後もグローバル拠点への展開と新製品への採用活動の推進による販売量増加の計画を立てています。また、多くの自動車制御装置メーカーでは、低燃費化、高機能化の実現に向けて新型の電子制御装置の開発が必要となっています。これら装置においては、はんだ付け箇所に大きなストレスがかかることから高い耐久性を有するはんだを使用する方向性が示されています。当社もこのような市場要求に応えるため高耐久性鉛フリーソルダペースト開発に注力し、早期の実績化を目指しています。もう一つの主力製品である自動車用熱交換器に使用されるろう付け材料の売上も堅調に推移しています。自動車の低燃費化や電気自動車を想定した場合の自動車重量の軽量化への要望が高く、熱交換器も小型化、高機能化が求められています。接合点の微細化、形状の多様化にも適用可能な塗布性とエネルギー使用量を削減する熱分解性に優れたろう付け材料の製品群を拡充しています。さらに環境負荷物質である有機溶剤成分を含まない無溶剤型ろう付け材料の開発を強く推進し、地球にも優しいろう付け材料の開発を推進しています。今後もこれらのろう付け材料を適用する熱交換器は自動車用用途にかかわらず拡大すると予想しています。また、銅の粉末を特殊な樹脂に分散させた当社の銅ペーストはプリント配線板の表裏をつなぐスルーホールと呼ばれる穴に塗布し硬化させることで電気的に接合できる製品であり、既存の工法である銅めっきに比べ大幅にコストを下げられる技術として、現在、世界トップシェアの販売量となっております。現在はスルーホールの小径化に対応した製品を開発するとともに、この技術を活かした電子部品の電極用材料の開発にも注力しています。金属のナノ粒子を溶媒に分散した“ナノペースト”は低温で加熱する事により金属粒子どうしが融着し、極めて低い電気抵抗で、かつ熱を伝えやすい硬化物になります。この特性を活かし、スマートフォンやタブレット端末の高輝度LEDなどの接合材に加え、金型の補修材の様な新規用途にも採用されています。また、今後増えていくパワー半導体の接合材料として、金属粒子をペースト状に分散した焼結材料の開発を進めています。当セグメントに係る研究開発費の金額は732百万円でありました。 (4)ローター 当事業においては、印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂、道路標識塗料用樹脂、合成ゴム用乳化剤及びアロマケミカルの研究開発を行っています。 出版インキ市場は、デジタル化の進展により世界的に市場規模が縮小していますが、欧州においては、当社が出資するスウェーデンのサンパイン社で製造されたトールロジンを活用し、安定した品質で価格面でも優位性を持たせた樹脂の開発を推進しています。枚葉インキ用途は、特に食品包装関連の法規制が年々厳しくなってきており、製品の品質だけでなく、製造工程や、原材料の選別、保管管理に関しても対応できる生産体制が必要になってきております。当分野においては、食品にインキ成分が紙を通じて移行せず、食品の安全性や味覚に影響を与えないような低マイグレーション、低臭気ワニスの開発を進めております。 フレキソ、グラビアインキ市場は、主に新興国の食品包装材料需要と電子商取引の伸張により、今後も成長が期待されています。特に、水系フレキソインキでは、持続可能な社会の創造を標榜する末端顧客からは、包装容器に使用されるインキ、コーティング剤にも天然由来成分を原料とした製品を使用したいとの要望が高くなってきています。このような顧客からの要求に応えるべく、当社では、独自のロジン変性技術と水分散技術によって、高性能でかつ環境にやさしい包装インキ用樹脂の開発を進めています。粘接着剤用樹脂の分野では、水系粘着付与剤樹脂の高いグローバルシェアを維持しつつ、得意とする汎用紙ラベル用途だけでなく、産業用テープ向け粘着付与剤樹脂市場への拡大を目指しています。特に、自動車などの部品に供される当分野の製品については、顧客からのBCP(事業継続計画)策定を強く求められるようになっており、ハリマ化成の日本国内拠点とローターのグローバル拠点において、共通の製品づくりができる体制へ向けた研究開発を推進しています。 さらに、イノベーション部門の開発チームでは、既存の印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂中心の製品から、ロジンや脂肪酸などバイオマス原料の機能を追求し、今後市場伸長が見込める事業の新規開発を推し進めており、研究開発カンパニーと連携の上、戦略的な技術開発、マーケティングを進めております。 当セグメントに係る研究開発費の金額は576百万円であります。
FY2018|5,263 文字
5 【研究開発活動】当社グループは松から得られる植物資源であるトールロジンとガムロジンの2種類のロジンを、日本国内をはじめブラジル、アルゼンチン、ニュージーランド等においてグローバルに生産する唯一のメーカーとして、原料基盤を強化する中で再生可能なバイオマス原料の機能を追求し、さらに創業以来培ってきた高分子合成・評価、乳化・分散などの界面制御、接着・接合などコア技術の融合により先進的な研究開発を進めています。 主力のパインケミカル関連事業は海外市場展開を見据えた製品開発に注力しました。その基本コンセプトは「グローバル展開」、「ロジンの可能性の追求」です。その観点で、海外安全基準認証品、顧客の新たな機能付加につながる等の商品開発に注力してきました。 その結果、樹脂、製紙薬品、電子材料いずれの事業分野においても大きな足掛かりを得ることができました。引き続いて同コンセプトに基づいた商品開発に注力するとともに、開発した商品の市場導入を強力に進めていきます。またグローバル展開という観点では、ローターをはじめとした海外グループ会社との一層の緊密化を図り、国内開発品の海外への導入や新規開発テーマでの連携が進展しました。 新規分野に関しては機能性コート剤をはじめとする物質の表面、界面を科学し新しいテーマ創出を進めていきます。同時に大学等の社外研究機関との連携を活発化させ、強い要素技術の開発を進め、2~5年後をターゲットとする中期テーマの拡充を進めてまいります。当連結会計年度の研究開発費は、24億6千4百万円、特許の登録件数は国内12件、海外が24件、国内の出願件数は19件でした。 (1)樹脂化成品当事業においては、印刷インキ用樹脂、塗料用樹脂、粘接着剤用樹脂、合成ゴム用乳化剤及び脂肪酸誘導体の研究開発を行っています。関連市場の生産量は、合成ゴム141万トン、塗料165万トン、印刷インキ35万トン、粘接着剤95万トンで、何れも成熟産業であり市場は低調に推移しています。このような状況下、当社は、お客様や社会、環境に貢献できる新製品開発を進めており、今年度は次のような成果が出ています。 塗料用樹脂においては、合成樹脂調合ペイント用にホルムアルデヒド放散量を低減した弱溶剤可溶型樹脂の開発を進め、新製品として販売を開始しました。印刷インキにおいては、縮小傾向が続く平版インキ用の樹脂を、当社独自の原料であるトール油製品を利用した新製品に切り替えを進めました。また、インキの中でも市場が拡大している紫外線硬化型インキ向けにも同様の原料を使用した新製品の開発を進め、顧客での評価が進んでいます。加えて、リキッドインキ市場にロジン樹脂を投入するべく開発を進めています。粘接着剤用樹脂に関しては、粘着力を向上させた水系粘着付与剤樹脂の新製品開発を進めており、製造プロセスの改良にも着手しています。ゴム用の添加剤については、乳化重合時に使用するロジンの高機能化、後添して分散性や接着性、ポリマーの相溶化などに機能を発揮するロジン誘導体の開発を推進しており、顧客評価が進んでいます。 海外においては世界的なUV印刷化の流れに対応した樹脂の開発に取り組み始め、ローター社、海外開発拠点との協業により世界市場に投入できる製品の開発を進めています。また、水系粘着付与剤樹脂についてもグローバルでのシェアを拡大するために、樹脂とプロセス両面からの開発をローター社と進めています。 また、機能性樹脂分野では、光学フィルム用のハードコート剤など可視光の透過率に影響なく機能を付与することができる製品の量産化を進めるとともに、培った技術で光学フィルム以外の機能性フィルムへの新製品開発に着手し、一部量産化しました。また、耐擦傷性、防汚性機能を発現するコート剤を開発し、プロテクションフィルム用に販売を開始するとともに新規用途での顧客評価が進んでいます。 我々はアジア圏でトップのトールロジンメーカーとして、ロジンの機能を様々な用途に展開する開発をスタートしています。当セグメントに係る研究開発費の金額は5億9千1百万円でありました。 (2)製紙用薬品当事業においては、水性樹脂の合成をコア技術として、紙の吸水性を制御して水性インクのにじみを防止するサイズ剤、紙の強度を高める紙力増強剤、紙の表面に塗ることで防滑性や撥水性および耐水性を付与する塗工剤といった、製紙工程で使用される機能性薬剤に関する開発を行っています。 日本国内における2017年の紙・板紙の内需量は前年比0.3%減の2,662万トン、2018年は同0.9%減の2,638万トンと予測され、8年連続のマイナス成長となる見込みです。しかし、段ボールに使用される板紙では、2018年の内需量が前年比0.8%増の1,200万トンと予測されており、3年連続のプラス成長が見込まれています。国内の製紙会社は、省資源化(省エネ・省人・省原材料など)、工場の統廃合、紙・板紙の価格修正による収益改善と共に、海外事業、エネルギー事業、ケミカル事業、ヘルスケア事業やパッケージ事業といった成長分野への事業展開を進めています。 このような環境の中、国内では、板紙の中性化や軽量化(商品力向上による販売数量確保)に対応できるサイズ剤を開発し、販売を開始しました。とくにロジン系サイズ剤と硫酸バンドによるサイジングシステムの基礎研究を基に開発したロジン系エマルションサイズ剤“CESシリーズ”と新規添加法“Co-mingle®”は、従来品に対して大幅な機能向上が検証され、大手製紙会社での評価が進みつつあります。また、新たに販売を開始した、製紙工程での操業性や生産性を改善する工程薬剤(ピッチコントロール剤)“ASシリーズ”も、パルプ化や抄紙といった製紙工程での効果が確認でき、顧客評価が進んでいます。さらに、FDA(米国食品医薬品局)の認証を得たアニオン性ロジンエマルションサイズ剤“NeuRoz®シリーズ”は、BfR(ドイツ)やGB9685(中国)といった紙製食品包装用材料に対する安全規制要件をも満たし、これら認証品としての取り扱いが可能となりました。FDA認証品であるポリアクリルアミド系乾燥紙力増強剤“ハーマイドKSシリーズ”と併せて、紙・板紙の国際的な物流環境に対応できる商品開発を進めています。 海外においては、北南米、中国、東南アジア地域における製紙用薬品の市場拡大に力を入れています。紙・板紙の年間生産量が世界第一位(1億1129万トン/2016年)の中国では、杭州杭化哈利瑪化工有限公司(浙江省)における研究開発を強化しています。今夏稼働を目指し、山東省での新工場建設も進んでおり、紙力増強剤を軸とした中期的な需要増に対応していきます。また紙・板紙の年産量が世界第二位(7,212万トン/2016年)の米国では、プラズミン・テクノロジー,Inc.において、FDA認証品である“NeuRoz®シリーズ”や“ハーマイドKSシリーズ”の販売活動を強化しています。また、ピッチコントロール剤についても顧客評価が進んでおり、北米でも高い評価を得ています。 海外の製紙会社では、顧客からの要求項目が国内と異なっており、適合する技術開発や法規制への対応を進めることで製紙用薬品のラインナップを充実し、個別顧客の要求に応えています。当セグメントに係る研究開発費の金額は6億6千7百万円でありました。 (3)電子材料当事業においては、主として自動車、電子機器に搭載される電子制御装置用のはんだ材料、及び自動車用熱交換器の製造に用いるろう付け材料を展開しており、「クリーン&ハイリライアビリティ」をコンセプトに、環境配慮と高性能の両立を目指した電子材料製品の開発に注力しております。 主な事業対象分野である自動車産業は、「電気自動車」、「自動運転」、「カーシェアリング」、「コネクテッド」といったキーワードで表現される大変革期にまさに突入しようとしております。このような技術革新を実現するためには、これまで以上に自動車に小型高性能化な電子制御装置を搭載する必要性が高まり、結果として、高信頼性に加えて微細性や高耐久性といった特長がはんだ接合技術に求められています。 こうした背景のもと、当事業では大手自動車部品メーカーと共同で開発した次世代対応の微細接合用鉛フリーソルダペーストの販売量が順調に伸びております。今後はグローバル拠点での採用も加速され、販売量のさらなる増加を見込んでおります。また、電動化、低燃費化を達成するための新型電子制御装置には、接合部に大きな応力負荷がかかるため耐久性の高いはんだ材料が求められております。当社ではこの要求に応えるために高耐久性鉛フリーソルダペーストを新たに開発し、現在、様々なお客様においてご評価を実施いただいている状況です。もう一つの主力製品である自動車用熱交換器に使用されるろう付け材料の売上も堅調に推移しています。低燃費化を目的とした自動車の軽量化では熱交換器も小型化が進んでおり、このような技術動向に対応するため、微細なろう付けを可能とする熱分解性に優れたろう付け材製品を拡充しております。また、最近ではルームエアコンも冷暖房機能の高性能化を追求するために部材を従来の銅からアルミニウムへ変更する動きが見られます。そこで、当社では自動車分野で培ったろう付け材料技術を民生分野へ展開することを視野に入れて開発活動を進めております。 また、銅の粉末を熱硬化性の樹脂を主成分とするビヒクルと混合した当社の銅ペーストは、銅粉末の酸化膜制御により、高い導電性を実現しています。この銅ペーストは、プリント配線板の表裏の電気配線を電気的に接続する用途で、自動車用の基板やパソコン周辺機器、家電等の電子基板に広く使用されています。今後の電子基板の小型化に対応するため、微細な配線の接続にも対応可能な材料開発も進めており、更なる市場拡大を狙っています。これまで銀ペーストが使用されてきた電子部品の電極用途においても、高い導電性を有する当社の銅ペーストの展開を目指しております。 電子機器の省エネを実現するため、より高効率な半導体モジュールが求められており、半導体素子の材料が従来のシリコンから炭化ケイ素へと変化すると考えられています。新しい半導体素子材料である炭化ケイ素は、シリコンより高温での動作が想定されており、これまで半導体素子を基板に接合していたはんだでは対応が困難となります。そのため、高耐熱性の半導体接合材料が求められています。当社の焼結性接合材料は、金属のナノ粒子が持つ低温焼結性を活用し、接合は低温で行い、接合終了後は金属単体と同等の高い耐熱性を有する材料です。また、当社独自の密着性付与成分の添加により、様々な基材への高い密着性を実現しております。当セグメントに係る研究開発費の金額は6億6千4百万円でありました。 (4)ローター 当事業においては、印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂、道路標識塗料用樹脂、合成ゴム用乳化剤及びアロマケミカルの研究開発を行っています。 出版インキ市場は、デジタル化の進展により世界的に市場規模が縮小していますが、欧州においては、当社が出資するスウェーデンのサンパイン社で製造されたトールロジンを活用し、安定した品質で価格面でも優位性を持たせた樹脂の開発を推進しています。 一方、包装インキ市場は、主に新興国の食品包装材料需要と電子商取引の伸張により、今後も成長が期待されています。特に、持続可能な社会の創造を標榜する末端顧客からは、包装容器に使用されるインキ、コーティング剤にも天然由来成分を原料とした製品を使用したいとの要望が高くなってきています。このような顧客からの要求に応えるべく、当社では、独自のロジン変性技術と水分散技術によって、高性能でかつ環境にやさしい包装インキ用樹脂の開発を進めています。また、伸長が著しい紫外線硬化型または電子線硬化型のインキ市場では、ロジンの特性を活かして密着性、流動性、印刷適性等の付加価値を付与し、低エネルギーかつ短時間で硬化可能で、揮発性有機化合物(VOC)を含有しないインキ用樹脂の開発に取り組んでおります。 粘接着剤用樹脂の分野では、水系粘着付与剤樹脂の高いグローバルシェアを維持しつつ、得意とする汎用紙ラベル用途だけでなく、産業用テープ向け粘着付与剤樹脂市場への拡大を目指しています。 さらに、イノベーション部門の開発チームでは、既存の印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂中心の製品から今後市場伸長が見込める新規事業の開発を推し進めるため、研究開発カンパニーと連携の上、戦略的な技術開発、マーケティングを進めております。当セグメントに係る研究開発費の金額は5億4千1百万円であります。
FY2017|4,996 文字
6 【研究開発活動】当社グループは松から得られる植物資源であるトールロジンとガムロジンの2種類のロジンを、日本国内をはじめブラジル、アルゼンチン、ニュージーランド等においてグローバルに生産する唯一のメーカーとして、原料基盤を強化する中で再生可能なバイオマス原料の機能を追求し、さらに創業以来培ってきた高分子合成・評価、乳化・分散などの界面制御、接着・接合などコア技術の融合により先進的な研究開発を進めています。 主力のパインケミカル関連事業は国内市場が縮小傾向の中、当会計年度におきましては当社独自製品の開発、及び海外市場展開を見据えた製品開発に注力しました。その基本コンセプトは「グローバル展開」、「安全・安心、健康、持続可能社会に貢献する商品開発」です。その観点で、植物資源の高度活用、ノンVOC、ノンハロゲン、海外安全基準認証品、顧客の省エネにつながる等の商品開発に注力してきました。 その結果、樹脂、製紙薬品、電子材料いずれの事業分野においても大きな足掛かりを得ることができました。引き続いて同コンセプトに基づいた商品開発に注力するとともに、開発した商品の市場導入を強力に進めていきます。またグローバル展開という観点では、ローターをはじめとした海外グループ会社との一層の緊密化を図り、国内開発品の海外への導入や新規開発テーマでの連携が進展しました。 新規分野に関しては従来から注力している導電性ペーストや機能性コート剤をはじめとする新規テーマを大学等の社外研究機関との連携を活用しつつ継続していきます。また2~5年後をターゲットとする中期テーマの拡充を進めてまいります。当連結会計年度の研究開発費は、24億9千5百万円、特許の登録件数は国内18件、海外が26件、国内の出願件数は20件でした。 セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。 (1)樹脂化成品当事業においては、印刷インキ用樹脂、塗料用樹脂、粘接着剤用樹脂、合成ゴム乳化剤及び脂肪酸誘導体の研究開発を行っています。関連市場の生産量は、合成ゴム140万トン、塗料165万トン、印刷インキ35万トン、粘接着剤92万トンで、何れも成熟産業であり市場は低調に推移しています。このような状況下当社は、お客様や社会、環境に貢献できる新製品開発を進めており、今年度は次のような成果が出ています。 塗料用樹脂においては、比較的堅調な建築外装用途向けに、環境に配慮した弱溶剤型樹脂新製品の開発を進め、耐久性に優れた新製品の販売を開始しました。印刷インキにおいては、縮小傾向が続く平版インキ市場でのシェアを確保するために、当社独自の原料であるトール油製品を応用した樹脂の開発を進め、新製品として開始しています。また、インキの中でも市場が拡大しているUV硬化型インキ向けの新製品を販売開始しました。粘接着剤用樹脂に関しては、粘着力を向上させたタッキファイヤーの新製品が完成し、エマルションタイプの開発に移行しています。ゴム用の添加剤についてもロジンを使用した新製品の開発に着手し、顧客評価が進んでいます。 海外においては世界的なUV印刷化の流れに対応した樹脂の開発に取り組み始め、ローター社、海外開発拠点との協業を進めており世界市場に投入できる製品の開発を進めていきます。 また、機能性樹脂分野では、光学フィルム用のハードコート剤など可視光の透過率に影響なく機能を付与することができる製品の開発に注力し、顧客評価が進んでいると共に、一部は量産化しました。また、傷つきを防止するコート剤を開発し、プロテクションフィルム用に販売を開始しました。当セグメントに係る研究開発費の金額は5億4千6百万円でありました。 (2)製紙用薬品当事業においては、紙の吸水性を制御して水性インクのにじみを防止するサイズ剤、紙の強度を高める紙力増強剤、紙の表面に塗ることで防滑性や撥水性および耐水性を付与する塗工剤といった機能性薬剤について、水系樹脂の合成をコア技術とした研究開発を行っています。 日本国内における2016年の紙・板紙の内需量は、昨年比0.5%減の2,672万トンとなり、10年連続のマイナスとなっています。しかし段ボールに使用される板紙はほぼプラスで推移しており、2016年も前年を上回りました。国内の製紙メーカー各社は、紙・板紙の国内需要の大幅な増加が望めない状況において、省資源化(省エネ・省人・省原材料など)、工場の統廃合、紙・板紙の価格修正により収益改善を進めています。同時に、海外事業に加えて、エネルギー事業、ケミカル事業、ヘルスケア事業やパッケージ事業といった成長分野への事業展開を進めています。 当社では、このような製紙業界のニーズに応えるため、板紙の中性化や軽量化(商品力向上による販売数量確保)に対応できる高機能性薬剤を開発し、販売しています。また従来の機能性薬剤に加えて、製紙工程における操業性や生産性を改善する工程薬剤を開発し、販売を開始しました。さらに、紙・板紙の国際的な物流環境に対応するために、間接食品添加物として海外の安全規制要件を満たした商品を開発しています。FDA等から間接食品添加物としての認証を取得した、アニオン性ロジンエマルションサイズ剤のNeuRoz®シリーズやポリアクリルアミド系乾燥紙力増強剤のハーマイドKSシリーズは、北南米、東南アジアをはじめ、日本においても販売を開始し、顧客からの高い評価を得ています。 海外における事業展開では、北南米、中国、東南アジア地域における製紙用薬品の市場拡大に力を入れています。紙・板紙の年産量が世界第一位(1億919万トン/2015年)の中国では杭州杭化哈利瑪化工有限公司(浙江省)において、また紙・板紙の年産量が世界第二位(7,267万トン/2015年)の米国ではプラズミン・テクノロジー,Inc.において、研究開発活動並びに販売活動を強化しています。さらに2012年に開設したタイ駐在員事務所を通じ、東南アジアやオセアニア地域への事業展開も推進しています。これら諸外国では顧客からの要求項目がそれぞれ異なっており、適合する技術開発や法規制への対応を進めることで製紙用薬品のラインナップを充実し、個別顧客の要求に応えています。当セグメントに係る研究開発費の金額は7億4百万円でありました。 (3)電子材料当事業においては、主として自動車業界と電子機器・情報産業向けのはんだ付け材料、及び自動車用熱交換器等の組み立てに用いるろう付け材料の事業を展開しており、お客様に安心してご使用いただけるように地球環境への配慮と高信頼性を重視した電子材料製品の開発に注力しております。 昨今の自動車産業の動向は、世界的にはその販売台数は伸び続けている状況であり、特に北米市場は好調となっています。またアジアの新興国などの市場も成長を見せています。さらに、技術面に目を向けると、環境に配慮した低燃費の次世代型自動車の普及に加えて、自動運転機能の実現に向けてこの分野への情報技術関連企業の積極的な進出も大きな動きとなっています。 こうした環境の中、当事業では自動車用新規材料として大手自動車部品メーカーと共同で開発した次期鉛フリーソルダペーストの販売が順調に増加しており、ソルダペースト全体の販売促進に寄与しております。今後もグローバル拠点への展開を通して販売量増加の計画を立てています。また、多くの自動車部品装置メーカーでは低燃費化を達成するために新型の電子制御装置の導入が重要となっており、特にそれら装置の接合箇所には、非常に高い耐久性を有するはんだを使用する方向性が示されています。従って、当社もこのような市場の要求に応えるため高耐久性鉛フリーソルダペーストを重点開発分野と位置づけて、その開発を加速しています。 もう一つの主力製品である自動車用熱交換器に使用されるろう付け材料の売上も堅調に推移しています。自動車の低燃費化や電気自動車を想定した場合の自動車重量の軽量化への要望が高く、熱交換器も小型化、高機能化が求められています。そのためこれらの動向に合致する微細な接合にも適用可能な塗布性、熱分解性に優れたろう付け材料の製品群を拡充しています。また、アルミニウム以外の母材を使用する熱交換器用のろう付け材料も展開しています。さらにクリーンな技術が望まれる世界で環境負荷物質である有機溶剤成分を含まない無溶剤型ろう付け材料の開発を強力に推進しています。今後も益々これらのろう付け材料を適用する熱交換器が拡大すると予想しています。 また、銅の粉末を特殊な樹脂に分散させたハリマ化成の銅ペーストはプリント配線板の表裏を電気的に接合できる製品であり、既存の工法である銅めっきによる電気的な接合に比べ大幅にコストを下げられる技術として注目を集めております。本用途に関する当社の銅ペーストは現在、世界トップシェアの販売量となっております。現在はこの技術を活かした電子部品の電極用材料としての展開にも力を入れております。 金属のナノ粒子を溶媒に分散した“ナノペースト”は低温で加熱する事により金属粒子どうしが融着し、極めて低い電気抵抗で、かつ熱を伝えやすい硬化物になります。この特性を活かし、スマートフォンやタブレット端末の高輝度LEDなどの接合材に加え、金型の補修材の様な新規用途にも採用されています。また、現在注目を浴びているプリンテッドエレクトロニクス(印刷による電気配線の形成技術)分野においては、ディスプレイ用配線等への適用について顧客評価が進んでおります。当セグメントに係る研究開発費の金額は7億6百万円でありました。 (4)ローター 当事業においては、印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂、道路標識用樹脂、合成ゴム用乳化剤及びアロマケミカルの研究開発を行っています。 印刷インキ用樹脂においては、これまでに様々な産地のトールロジンやガムロジンを柔軟に使用することができる商品の開発体制を構築してきました。特に欧州の出版インキ市場では、デジタル化の進展により年率5-10%の割合で市場規模が縮小しており、競争が激化、収益改善が喫緊の課題となっておりました。このような状況の中、本年度は、2012年に出資しました粗トール油からバイオディーゼルの原料を製造、販売するスウェーデンのサンパイン社のロジン製造設備が稼働を開始したことに伴い、欧州で安定的なトールロジンの調達が可能となり、本ロジンを使用した製品の製造、販売を致しました。これまでは、収益面でロジンの市場価格に大きく影響されましたが、サンパイン社のロジンを使用することで、品質面、価格面でも優位性を持たせ、収益改善に大きく寄与することができました。また、ロジン変性技術に石油樹脂重合技術を組み合わせたハイブリットタイプのインキ用樹脂では、新たにアルキルフェノールを使用しないタイプの新製品を開発する等、ラインアップ拡充に継続して取り組んでおります。一方、市場縮小が続く出版用インキ市場に対し、包装用インキ市場は、主に新興国の食品包装材料需要と、電子商取引の伸張により、今後も成長が期待されます。そこで当社の強みであるロジン変性技術と水分散技術を組み合わせることで、高性能かつ環境にやさしい新製品の開発で包装インキ市場への販売拡大を目指しております。 粘接着剤用樹脂においては、強みである連続乳化技術(ROBUST)を駆使した水系粘着付与剤市場において高いシェアを維持しつつ、汎用紙ラベル用だけでなく、高軟化点樹脂を使用した水系粘接着付与剤も開発中で、テクニカルテープ市場への参入を目指しております。また、現在は比較的市場占有シェアの低いホットメルト接着剤市場において、ロジンエステルの淡色化技術とサンパイン社ロジンを駆使し、新たな市場獲得を目指し取り組んでおります。 既存の印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂中心の製品から今後市場伸長が見込める新規事業の開発を推し進めるため、研究開発カンパニーと連携の上、戦略的な研究、マーケティングを進めております。当セグメントに係る研究開発費の金額は5億3千8百万円であります。
FY2016|4,833 文字
6 【研究開発活動】当社グループは松から得られる植物資源であるトールロジンとガムロジンの2種類のロジンを、日本国内をはじめブラジル、アルゼンチン、ニュージーランドにおいてグローバルに生産する唯一のメーカーとして、原料基盤を強化するなかで再生可能なバイオマス原料の機能を追求し、さらに創業以来培ってきた高分子合成・評価、乳化・分散などの界面制御、接着・接合などコア技術の融合により先進的な研究開発を進めています。主力のパインケミカル関連事業は国内市場が縮小傾向の中、当会計年度におきましては当社独自製品の開発、及び海外市場展開を見据えた製品開発に注力しました。特に環境や安全性に配慮した製品、また当社が強みを持つ原料を生かした低コスト製品により国内市場シェアの維持、海外における販売の増加に寄与しました。新規分野におきましては、「イノベーションを支える産業素材」をキーワードに環境・エネルギー分野、自動車・エレクトロニクス分野において当社独自の製品開発を進めており、導電性ペーストや機能性コート剤などでは新たな市場を獲得しつつあります。中長期的観点より産業素材のみならず、メディカルバイオ分野においても研究者の配置を始めております。現在は大学等社外研究機関との連携を主体に取り進めておりますが、早期に事業化への道筋を定めて参ります。新規分野においては今後更に筑波研究所を拡充していくとともに、開発当初から海外研究開発部門と共同でグローバル市場を見据えた展開を図っていきます。当連結会計年度の研究開発費は、23億7千万円、特許の登録件数は国内10件、海外が19件、国内の出願件数は24件でした。 セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。 (1)樹脂化成品当事業においては、印刷インキ用樹脂、塗料用樹脂、粘接着剤用樹脂、合成ゴム乳化剤及び脂肪酸誘導体の研究開発を行っています。関連市場の生産量は、合成ゴム190万トン、塗料164万トン、印刷インキ35万トン、粘接着剤87万トンで、何れも成熟産業であり市場は低調に推移しています。このような状況下当社は、お客様や社会、環境に貢献できる新製品開発を進めており、今年度は次のような成果が出ています。 塗料用樹脂においては、比較的堅調な建築外装用途向けに、環境に配慮した弱溶剤型樹脂新製品の開発を進めるとともに、重防食塗料用の弱溶剤型新製品を開発しました。印刷インキにおいては、縮小傾向が続く平版インキ市場でのシェアを確保するために、当社独自の原料であるトール油製品を応用した樹脂の開発を進め、一部販売を開始しています。また、インキの中でも市場が拡大しているUV硬化型インキ向けの新製品開発を進めています。粘接着剤用樹脂に関しては、粘着力を向上させたタッキファイヤーの開発を進めました。海外においてはアジア市場向けに印刷インキ用樹脂の新製品開発を進めました。またローター社との協業を進めており、特にインキ用新製品及び粘接着剤用樹脂の開発において成果を出しつつあります。今後はさらに世界市場に投入できる製品の開発を進めて行きます。また、機能性樹脂分野では、タッチパネル用のコーティング剤や、光学フィルム用のハードコート等、可視光の透過率に影響なく機能を付与することができる製品の開発に注力し、顧客評価が進んでいると共に、一部は量産化しました。タッチパネル分野だけではなく、新たに、保護フィルムに求められる耐擦傷性などを付与させるコート剤を開発、顧客で良好な評価をいただいています。当セグメントに係る研究開発費の金額は4億8千9百万円でありました。 (2)製紙用薬品当事業においては、水性インクのにじみを防止するサイズ剤や、紙の強度を高める紙力増強剤、紙の表面を改質する塗工剤といった基盤製品の機能制御をコア技術とする研究開発を行っています。 日本国内における2015年の紙・板紙の内需量は、昨年比2.1%減の2,687万トンとなりました。前年の消費税増税前の駆け込み需要の反動から、1~3月では紙・板紙ともに減少。通年では、紙は減少し、板紙は微減となりました。全体では減少となり、5年連続のマイナスとなっています。 国内の製紙メーカー各社は、紙・板紙の国内需要の大幅な増加が望めない状況において、省資源化(省エネ・省人・省原材料など)、工場の統廃合、紙・板紙の価格修正により収益改善を進め、同時に、木材・ケミカル事業やエネルギー事業への取組みや、海外(中国・東南アジア・オーストラリアなど)への事業展開を進めています。 当社では、このような環境変化の中で製紙業界のニーズに応えるため、板紙の中性化(硫酸バンド低減によるトータルコスト削減)と軽量化(商品力向上による販売数量確保)に対応した高機能商品を開発しています。 また、紙・板紙の国際的な物流環境に対応するために、間接食品添加物として海外安全基準の規制要件を満たした商品開発を進めています。今年度はFDA認証を取得したアニオン性ロジンエマルションサイズ剤及びポリアクリルアミド系乾燥紙力増強剤をプラズミン・テクノロジー,Inc.と共同開発し、販売を開始しています。海外に於ける事業展開も積極的に進めており、北南米、中国、東南アジアへの製紙用薬品の市場拡大に力を入れています。紙・板紙の年産量が世界第一位(1億1775万t/2015年)の中国では、杭州杭化哈利瑪造紙化学品有限公司(浙江省)において、また、紙・板紙の年産量が世界第二位(7319万t/2014年)の米国では、プラズミン・テクノロジー,Inc.において、研究開発活動並びに販売活動を強化しています。さらに、2012年にタイに駐在員事務所を開設しており、東南アジア新興国への事業展開を推進しています。諸外国では、それぞれの顧客からの要求項目が異なっており、適合化技術を確立させながら製紙用薬品のラインナップを充実させて、個別顧客の要求に応えています。当セグメントに係る研究開発費の金額は5億5千6百万円でありました。 (3)電子材料当事業においては、主として自動車業界と電子機器・情報産業向けのはんだ付け材料、及び車載用熱交換器等の組み立てに用いるろう付け材料の事業を展開しており、「クリーン&ハイリライアビリティ」をコンセプトに、環境との調和を重視した高い信頼性を有する電子材料の提供を行っています。自動車業界の2015年の国内新車販売数は、軽自動車税の増税の影響のため前年比9.3%減の約505万台となり、東日本大震災があった2011年以来4年ぶりに前年を下回りました。車種別ではトヨタ自動車株式会社の「アクア」が首位となり、また、普通自動車販売台数上位もハイブリッドカーが占め、日本において環境に配慮した低燃費の次世代型自動車の普及が確実に進んでいます。 こうした環境の中、当事業では自動車用新規材料として大手自動車部品メーカーと共同で開発した次期鉛フリーソルダペーストの販売が増加し、自動車用ソルダペースト全体の販売促進に寄与しております。今後も適用製品を広げ、グローバル拠点への展開を通して販売量増加の計画を立てています。また、多くの自動車部品装置メーカーでは低燃費化を達成する新型装置の開発が重要となっており、はんだ接合部の信頼性が非常に高い高耐久はんだを要望する声が高まっています。従って、当社もこのような市場の要求に応えるため高耐久性鉛フリーソルダペーストの開発を加速しています。 もう一つの主力製品である自動車用熱交換器に使用されるろう付け材料の売上も堅調に推移しています。軽量高機能を目的とした熱交換器の小型化にも追従可能な塗布性、熱分解性に優れるろう付け材料の製品群を拡充しています。また、アルミニウム以外の母材を使用する熱交換器用のろう付け材料も展開しており、さらにクリーンな技術が望まれる世界で環境負荷物質である有機溶剤成分を含まないノンVOC型ろう付け材料の開発に引き続き注力しています。今後も益々これらのろう付け材料を適用する熱交換器が拡大すると予想しています。また、銅の粉末を特殊な樹脂に分散させたハリマ化成の銅ペーストはプリント配線板の表裏を電気的に接合できる製品であり、既存の工法である銅めっきによる電気的な接合に比べ大幅にコストを下げられる技術として注目を集めております。本用途に関する当社の銅ペーストは現在、世界トップシェアの販売量となっております。 金属のナノ粒子を溶媒に分散した“ナノペースト”は低温で加熱する事により金属粒子同士が融着し、極めて低い電気抵抗で、かつ熱を伝えやすい硬化物になります。この特性を活かし、スマートフォンやタブレット端末の高輝度LEDなどの接合材に加え、金型の補修材の様な新規用途にも採用されています。また、現在注目を浴びているプリンテッドエレクトロニクス(印刷による電気配線の形成技術)分野においては、ディスプレイ用配線等への適用について顧客評価が進んでおります。当セグメントに係る研究開発費の金額は7億2千8百万円でありました。 (4)ローター 当事業においては、印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂、合成ゴム用乳化剤及びアロマケミカルの研究開発を行っています。印刷インキ用樹脂においては、これまでに様々な産地のトールロジンやガムロジンを柔軟に使用することができる商品の開発体制を構築してきました。特に欧州オフセットインキ市場では、デジタル化の進展により年率5-10%の割合で市場規模が縮小しており、競争が激化、収益改善が喫緊の課題となっておりました。このような状況の中、2012年に粗トール油からバイオディーゼルの原料を製造、販売するスウェーデンのサンパイン社に出資することにより、欧州で安定的にトールロジンを確保することを進めて参りました。本年度は、サンパイン社から調達するトールロジンが、ほぼすべての製品に使用できるようになりました。2016年1月よりサンパイン社のロジン製造設備が稼働を開始したことに伴い、本ロジンを使用した製品の製造、販売を開始しております。これまでは、収益面でロジンの市場価格に大きく影響されましたが、サンパイン社のロジンを使用することで、品質面、価格面でも優位性を持たせ、収益改善に大きく寄与することが期待されます。また、ロジン変性技術に石油樹脂重合技術を組み合わせた、ハイブリット樹脂では、ノンフェノールタイプの新製品を開発する等、ラインアップ拡充に取り組みました。また、顧客との連携をより密にすることでワニス化の製造工程を最適化し、製造コストを最小限に抑える取り組みも実施しました。さらに、ロジン以外の再生可能資源にも注目し、産学共同のコンソーシアムに積極的に参画し、中長期的な視点でも製品開発を進めております。粘接着剤用樹脂においては、強みである連続乳化技術(ROBUST)を駆使した水系粘着付与剤市場において高いシェアを維持しつつ、汎用紙ラベル用だけでなく、高軟化点樹脂を使用した水系粘接着付与剤も開発中で、テクニカルテープ市場への参入を目指しております。また、現在は比較的シェアの低いホットメルト接着剤市場において、ロジンエステルの淡色化技術とサンパイン社ロジンを駆使し、新たな市場獲得を目指し取り組んでおります。既存の印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂中心の製品から今後市場伸長が見込める新規事業の開発を推し進めるため、研究、マーケティングが一体となったイノベーションチームを発足させておりますが、研究開発カンパニーとの連携をさらに強化するため、研究開発カンパニーの管理下に置き、戦略的な研究、マーケティングを進めております。当セグメントに係る研究開発費の金額は5億9千6百万円であります。