事業等のリスク
電通グループは、競争環境の激化や巨大プラットフォームの台頭により、市場シェアを失うリスクがあります。また、事業変革が計画通りに進まない場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。ネガティブな報道やソーシャルメディアでのスキャンダルは、ブランドイメージを損ない、顧客からの信頼喪失や収益減少につながるリスクがあります。さらに、2030年の価値創造戦略目標が未達成に終わる可能性も存在し、これらは企業の評判に悪影響を及ぼす可能性があります。
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FY2025|8,199 文字
3 【事業等のリスク】当社グループの戦略・事業その他を遂行する上でのリスクについて、投資家の投資判断上重要であると考えられる主要な事項を以下に記載しております。ただし、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見出来ない、又は重要と見なされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。なお、当社グループは、グループの持続的成長と価値提供のための重要課題としてマテリアリティを策定しております。マテリアリティに関する詳細は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご覧ください。後述のとおり、公表したマテリアリティも念頭においた当社グループの全社的リスク評価(Enterprise Risk Assessment、略称ERA)を2024年に実施いたしました。 また、本項に記載した将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループのリスク管理体制当社グループでは、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要」に記載のコーポレート・ガバナンス体制図にあるコーポレート・ガバナンス体制の下、リスク管理を所管するグループリスク委員会を設置してERM(Enterprise Risk Management: 全社的リスクマネジメント)のアプローチを基軸に、グループ経営上重要なリスクを識別・評価し、そのリスクの顕在化の予防及び顕在化した場合の影響の最小化のため、リスク対応の責任者となるリスク・スポンサーを選定し、リスク対応計画の策定と実施を委任しております。対応すべきリスクとその評価は、グループリスク委員会で定期的に見直しその対応状況とともにグループ・マネジメント・ボード並びに取締役会に定期的に報告しております。2024年より、グループリスク委員会によるOne dentsuとしてのガバナンス強化を目的に、日本、Americas、EMEA、APACの各CEOをグループリスク委員会の委員に加えました。また、グループ・マネジメント・ボード傘下に4つの地域別リージョナル・ガバナンス委員会を設置し、各地域におけるリスク、コンプライアンス及び内部統制等の管理を行っております。リスクについては、グループリスク委員会が、4つのリージョナル・ガバナンス委員会を活用して、グループ横断的にリスク管理を統括できる体制を整備しております。さらに、グループ・マネジメント・チームからグローバル内部統制&リスク責任者を任命し、リスク管理活動を強力に推進しております。 主なリスク項目とその対応策当社グループでは、2024年に実施したERAの一環として、グループのリーダー、リージョン・主要マーケットのリーダー、社外取締役へのリスクに関する広範なインタビューを行い、そこから得た洞察をグループリスク委員会及びグループ・マネジメント・ボードで検討し、重要と判断するリスクの一覧であるリスク・レジスターを更新しました。その後、2025年のリスク・レジスターの更新においては、ブランディングとレピュテーション・リスクを新たに認識しました。また、グループリスクの網羅性をより確実なものにするために、用語整理を含めたリスクの体系化も同時に行いました。本項では、当該体系に基づき重要であると考えられる主要なリスクを記載しております。 (1) 戦略リスク当社グループは、戦略リスク領域として「事業開発と成長リスク」、「事業変革リスク」、「サステナビリティ・リスク」を識別・評価・対応しております。具体的には「競争力・長期戦略」、「事業変革」、「ブランディングとレピュテーション」、「2030価値創造戦略目標の未達」などに係るリスクがあります。 ① 競争力・長期戦略 2025年2月、当社グループは中長期に渡る成長を実現していくための基本的な方針として、2025年度から2027年度までの3年間を対象とした「中期経営計画」を策定し、公表しました。本計画は、競争優位性及び収益性の回復を目標として掲げており、その実現に向け、事業戦略のフォーカス、経営基盤の再構築、不振ビジネスの見直しに取り組んでまいります。当社グループがまず着手する取り組みは、不振ビジネスの見直し・事業モデルの再構築を中心とした収益成長力の回復です。併せて、経営基盤の見直しを行い、計画的かつ持続的なコスト改善にも取り組みます。 当社グループは各マーケットにおける顧客のグロースパートナーとなることを目指しております。そして、その成功を積み上げることでグローバル全体での成長を実現していきます。そのために、マーケット、顧客及びケイパビリティの各戦略を更新し、当社グループの競争力を明確化した上で、事業戦略のフォーカスを加速してまいります。 さらに、将来の柱となる事業創出の取り組みも並行して進めます。その一環として、これまで主に日本事業の下でビジネスを行ってきたスポーツ&エンターテインメント事業をグローバルに展開し、非連続的な成長を目指します。 しかしながら、メディアプラットフォームなど巨大プレーヤーの台頭や、テクノロジー企業・コンサルティング企業他によるAI等への巨額の投資など、業界内外での競争環境の激化等によって当社グループのポジションも相対的に変化していくことが想定されます。このような環境下において、当社グループが競争力を維持できず、既存顧客の維持や新規顧客獲得に影響が出ることにより、戦略目標や財務目標を達成できず、市場シェアの喪失、協賛権・放送権並びにコンテンツの価値の低下、財務上の損失につながる可能性があります。 ② 事業変革 当社グループは2024年1月、クライアントに提供するサービスと価値を最大化するためのフレームワークである「One dentsu オペレーティング・モデル」を導入し、意思決定の迅速化、責任の明確化、権限委譲を可能にする簡素化された組織構造への変革を進めております。 しかしながら、同事業変革が想定どおりに進まなかった場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、事業環境の急速な変化に構造改革が追いつかない場合、内部統制の脆弱化、管理体制の不備が顕在化するリスクがあります。 ③ ブランディングとレピュテーション 当社グループは、ネガティブなメディア報道、ソーシャルメディア上のスキャンダル、広報上の失敗などをブランディングとレピュテーションに係るリスクとして認識し、その影響や対応について検討しております。 しかしながら、その影響が継続することにより、当社グループのブランドイメージが毀損する場合、クライアントからの信頼喪失、収益減少、従業員のモチベーション低下や退職者の増加、新規雇用の困難などの悪影響が生じる可能性があります。 ④ 2030価値創造戦略目標の未達 変化する社会情勢を見据えたより強固な経営基盤構築を目的に、当社グループは2025年6月において「2030サステナビリティ戦略」を「2030価値創造戦略」に改訂し、マテリアリティを「インテグリティ」「ピープル&カルチャー」「イノベーション」「環境」としました。 2030価値創造戦略の進捗と、マテリアリティへの取り組み状況は、年4回開催されるグループサステナビリティ委員会を通じて管理し、全てのアクションプランとKPIが達成されるよう、委員会メンバーと担当部門は連携して推進しています。また、推進統括にはグローバル・チーフ・サステナビリティ・オフィサーを任命しております。 しかしながら、社会・経済の外部環境要因などにより、これらの目標達成が計画どおりに進捗しなかった場合、当社グループのレピュテーションなどに悪影響が生じる可能性があります。 (2) オペレーショナル・リスク当社グループは、オペレーショナル・リスク領域として「ガバナンスと監督リスク」、「第三者に係るリスク」、「レジリエンス・リスク」、「人的資本リスク」、「データ管理リスク」、「テクノロジー・リスク」、「情報セキュリティ・リスク」を識別・評価・対応しております。具体的には「人財の獲得、育成、リテンション」、「エンタープライズ・テクノロジーの統合及び導入」などに係るリスクがあります。 ① 人財の獲得、育成、リテンション 当社グループは、創業以来一貫して「人が資本」の企業であり、創造力と実行力に長けた多様な人財こそが持続的な企業価値向上の源泉であると考えております。そのため、必要な人財を十分に獲得、維持できない場合、顧客への高度なサービス提供ができずに当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは「People Discussion」と呼ばれる人財についての議論を毎年実施し、人財の可視化を行うとともに、部門ごとの人財課題に応じた獲得・育成・リテンションの打ち手を議論します。その結果明らかになったポテンシャル人財の成長を加速すべく、グローバル/ローカルのさまざまな環境で自身をストレッチできる機会、スキルや視野を広げるプログラムを戦略的に提供しています。また、当社グループが求めるリーダー像を定義した「dentsu Leadership Attributes」を人財マネジメントのバックボーンとして設定・活用し、リーダーシップについてのあるべき育成投資を行います。 人財獲得については特に人財流動性の高い海外市場において注力しており、採用業務の効率化と精度向上を目指したテクノロジー活用を進めています。これにより、募集から採用までの期間短縮などの成果も現れています。上級職の採用に特化した専門チームを設置し、コストを抑えつつ社内に専門知見を蓄積する活動も進めています。「人的資本の開発」は、当初グループのマテリアリティの1つでもあります。 ② エンタープライズ・テクノロジーの統合及び導入 当社グループは、2024年1月に導入したフレームワークである「One dentsu オペレーティング・モデル」によって、ビジネス・オペレーションとエンタープライズ・テクノロジーの強化及び高度化を目指しています。これらは、組織の簡素化と統合の実現(部門の垣根をこえた協働を可能にすることで、オペレーショナル・エクセレンスを実現する組織の構築)とスピードの向上(ITインフラへの投資と拡張を実現することで、俊敏で柔軟性のある組織を実現)を推進する鍵となります。 しかしながら、適切なテクノロジーソリューションへの投資が実行できない場合、また、グループとしてのITマネジメントが適切に実行できない場合、業務の管理及び事業の成長に悪影響を及ぼす可能性があります。 ③ 情報セキュリティ、サイバーセキュリティに係るリスク 当社グループは、その業務遂行の過程で、顧客の未公開の商品・サービスや事業に係る情報を受領することが頻繁にあります。当社グループでは情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格を取得するなど、情報管理には万全を期しておりますが、仮に情報漏えい等の事故が発生した場合、当社グループに対する信頼が損なわれ、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、想定外の外部サイバー攻撃、従業員又はサプライヤーによって、重大なビジネスシステム及びデータの機密性、完全性又は可用性が脅かされ、その結果、重大な運用・規制・財務・レピュテーション上の問題、又は顧客への影響が生じる可能性があります。 当社グループでは、セキュリティ・リスクへの対応を確かなものとするため、国内・海外のネットワークのセキュリティ部門を束ねるグループ・セキュリティ機能を設けて、進化する脅威の重大性を継続的に評価し、ERMアプローチに沿ったリスク管理・統制の有効性評価を行っております。 ④ 個人情報等に係るリスク(データ・ガバナンス) 当社グループは、その業務遂行の過程で、顧客にとってのエンドユーザーに関する個人情報を受領することがあります。また、顧客からエンドユーザー一人ひとりにカスタマイズしたマーケティング・コミュニケーションへの要求が高まる中、パーソナルデータを利活用した商品・サービスを開発して顧客企業に提供しております。 当社グループは、国内・海外を問わず、個人情報保護法及びEU一般データ保護規則等の法令又は諸規制を遵守し、これら法令又は諸規制の改定に迅速に対応しております。また、グループ共通の「グローバルデータ保護原則」を制定しており、現時点においてこれらの法令又は諸規制が当社グループの事業に悪影響を及ぼすことは想定しておりません。 しかしながら、仮に個人情報の漏えい等の事故が発生した場合、当社グループの信頼性が損なわれ、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、今後、これら法令又は諸規制が改定され、倫理的な観点から、当社グループのパーソナルデータの利活用に何らかの制限が課され、商品・サービスの一部を顧客企業に提供できなくなった場合、当社グループの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。 (3) コンプライアンス&法務リスク当社グループは、コンプライアンス&法務リスク領域として「コンダクト・倫理リスク」、「クライアント契約の遵守に係るリスク」を識別・評価・対応しております。具体的には「企業文化」、「コンプライアンス」などに係るリスクがあります。 ① 企業文化 当社グループの人財は、困難な課題に前向きに取り組み、多様な個性が互いの強みを活かしながら、チームの力で複合的な視点からアイデアを出し、クライアントの課題を解決へ導く力を持っています。顧客企業やステークホルダーの皆さまとともに、「人が生きる喜びに満ちた活力ある社会」の実現を目指してイノベーションを進めていく企業文化は、当社グループのDNAであり、世界中のチームに浸透しています。 しかしながら、人財を管理するリーダーたちが自らの責任を果たさない、人的資本に関する適切な経営を実行しない、「倫理」や「インテグリティ」を企業価値のトップに据えて適切な社内浸透を図らない等の場合、当社グループの企業文化が損なわれ、従業員のモチベーションや生産性に悪影響が生じる可能性があります。 ② コンプライアンス 当社グループは、当社グループのマテリアリティ及び「2030年価値創造戦略」において、「企業倫理・コンプライアンス」「データプライバシーとサイバーセキュリティの強化」「リスクマネジメントの強化」「コーポレート・ガバナンスの強化」「人権の尊重」を含む「インテグリティ」を重要課題に掲げ、「インテグリティを最優先に仕事に取り組む」ことをこの課題に対応するゴールイメージとしております。社会をはじめすべてのステークホルダーに対して、企業倫理とコンプライアンスを順守し、インテグリティを実践することは、当社グループが企業活動を行う上での大前提です。 しかしながら、故意又は過失不注意により、当社グループの事業において法規制や会社方針を無視する、或いはこれに違反した行動が発生した場合、当社グループのレピュテーションが低下し、企業価値を著しく損なう可能性があります。 ③ 訴訟等に係るリスク 当社グループが広範な領域にわたり遂行している事業は、国内・海外問わず、政府機関・顧客・媒体社・協力会社等から調査・訴訟・メディア監査等に基づく請求・課徴金等を受けるリスクを内包しております。 当社グループでは、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会関連事案に関して、2023年5月15日に「dentsu Japan改革委員会」を設置し、意識行動改革に取り組んでまいりました。そして、同委員会の下で進めてきた再発防止のための17施策については、2024年12月18日に全ての施策を完了しました。2025年1月からは、インテグリティを最優先する組織風土の定着、高いレベルでのコンプライアンスの徹底などを目的に、これまでの取り組みを発展させ、「意識行動改革プロジェクト」を推進しております。 (4) 外部リスク① 景気変動及び社会的変革に伴うリスク 当社グループの業績は、景気によって主要な顧客である企業からの予算が増減されることが多いため、景気変動の影響を受けやすい傾向があります。世界経済は緩やかな回復基調にあるものの、地政学上のリスクの顕在化やインフレ再燃懸念等により、未だ不確実な状況にあると言わざるを得ません。 また、2020年以降のコロナ禍の影響は、経済面に留まらず、生活者の意識と行動様式の変化を加速させ、より個人化された体験が重要になっております。企業も、D2Cコマースのチャネル構築やデジタルトランスフォーメーションの実装、生成AIの活用など企業活動の本質的な転換が迫られる中、当社グループへの顧客のニーズは、従来の広告・コミュニケーション領域を超えて高度化・複合化しており、データとテクノロジーを活用した顧客体験の設計や体験価値の向上に拡大しております。これらのニーズに当社グループが適切に対応できない場合は、中長期的な事業成長に悪影響を及ぼす可能性があります。 ② 災害、事故並びに地政学に関わるリスク 当社グループが事業を遂行又は展開する地域において、自然災害、電力その他の社会的インフラの障害、通信・放送の障害、流通の混乱、大規模な事故、伝染病の爆発的な流行、戦争、テロ、政情不安、社会不安等が起こった場合、当社グループ又は当社グループの取引先の事業活動に悪影響を及ぼし、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、リージョン・マーケット等で想定される上記の問題に対し、クライシス・マネジメントや事業継続計画(BCP)を定期的に検討しております。2025年においては、南海トラフ地震を想定した事業継続対応策を策定しました。 (5) 継続企業の前提に関する重要事象等当社グループは、2025年12月期 (2025年1月1日~2025年12月31日) (IFRS)に実施したのれんの減損テストにおいて、直近の経済環境を踏まえた様々な将来リスクを反映した結果、当社グループの4事業地域に含まれるEMEA及びAmericasにおいて、のれんの減損損失396,074百万円を計上いたしました。これに伴い、当社の個別決算では、海外事業の持株会社となるDentsu International Limitedの株式において実質価額の著しい低下が確認されたこと、また、同社傘下の海外子会社において貸付金の回収リスクが高まったことから、当事業年度において関係会社株式評価損286,714百万円及び貸倒引当金繰入額171,858百万円を計上いたしました。上記の結果、当社は、当事業年度の個別財務諸表において債務超過となり、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる状況が存在しておりますが、当事業年度末における資金残高の状況や多様な資金調達手段、当社を含むグループ全体の資金繰り等の観点から、当社及び当社グループの事業活動において継続性に関する懸念はなく、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。当社及び当社グループは、このような状況を解消すべく、中期経営計画に定めた施策である不振ビジネスの見直しと経営基盤の再構築を中心にグループ全体の収益体質を改善していくとともに、必要な投資等を通じて競争力を強化することにより利益成長を実現してまいります。加えて、その他の施策と併せバランスシートの健全化に取り組むことで、個別財務諸表における債務超過を早期に解消してまいります。なお、当社は、2026年1月に実施した固定資産の譲渡により、翌事業年度の個別財務諸表において固定資産売却益270億円を計上する見込みです。詳細は、「第5 経理の状況 2財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」をご参照ください。
FY2024|7,086 文字
3 【事業等のリスク】当社グループの戦略・事業その他を遂行する上でのリスクについて、投資家の投資判断上重要であると考えられる主要な事項を以下に記載しております。ただし、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見出来ない、又は重要と見なされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。なお、当社グループは、グループの持続的成長と価値提供のための重要課題としてマテリアリティを策定し、2023年8月に公表しております。マテリアリティに関する詳細は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご覧ください。後述のとおり、公表したマテリアリティも念頭においた当社グループの全社的リスク評価(Enterprise Risk Assessment、略称ERA)を新たに2024年に実施いたしました。 また、本項に記載した将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループのリスク管理体制当社グループでは、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要」に記載のコーポレート・ガバナンス体制図にあるコーポレート・ガバナンス体制の下、リスク管理を所管するグループリスク委員会を設置してERM(Enterprise Risk Management: 全社的リスクマネジメント)のアプローチを基軸に、グループ経営上重要なリスクを識別・評価し、そのリスクの顕在化の予防及び顕在化した場合の影響の最小化のため、リスク対応の責任者となるリスク・スポンサーを選定し、リスク対応計画の策定と実施を委任しております。対応すべきリスクとその評価は、グループリスク委員会で定期的に見直しその対応状況とともにグループ・マネジメント・ボードならびに取締役会に定期的に報告しております。2024年より、グループリスク委員会によるOne dentsuとしてのガバナンス強化を目的に、日本、Americas、EMEA、APACの4リージョンCEOも新たにグループリスク委員会の委員に加えました。また、グループ・マネジメント・チームから新たにグローバル内部統制&リスク責任者を任命し、リスク管理活動を強力に推進しております。さらに、グループリスク委員会傘下に、海外3リージョンにリスク&コンプライアンス委員会、日本にリスク委員会を設置し、グループリスク委員会がグループ横断的にリスク管理を統括できる体制を整備しております。 主なリスク項目とその対応策当社グループでは、2024年に実施したERAの一環として、グローバルCEO、グローバルCGO/CFOをはじめとするグループのリーダー、リージョン・主要マーケットのリーダー、社外取締役へのリスクに関する広範なインタビューを行い、そこから得た洞察をグループリスク委員会及びグループ・マネジメント・ボードで検討し、重要と判断するリスクの一覧であるリスク・レジスターを更新いたしました。 また、グループリスクの網羅性をより確実なものにするために、用語整理を含めたリスクの体系化も同時に行いました。本項では、当該体系に基づき重要であると考えられる主要なリスクを記載しております。 (1) 戦略リスク当社グループは、戦略リスク領域として「事業開発と成長リスク」、「事業変革リスク」、「サステナビリティ・リスク」を識別・評価・対応しております。具体的には「競争力・長期戦略」、「事業変革」、「サステナビリティ目標の未達」などに係るリスクがあります。 ① 競争力・長期戦略 2025年2月、当社グループは中長期に渡る成長を実現していくための基本的な方針として、2025年度から2027年度までの3年間を対象とした「中期経営計画」を策定し、公表しました。本計画においては、競争優位性及び収益性の回復を目標として掲げており、その実現に向けて、事業戦略のフォーカス、経営基盤の再構築、不振ビジネスの見直しに取り組みます。当社グループがまず着手する取り組みは、不振ビジネスの見直し・事業モデルの再構築を中心とした収益成長力の回復です。併せて、経営基盤の見直しを行い、計画的かつ持続的なコスト改善に取り組みます。 当社グループは各マーケットにおける顧客のグロースパートナーとなることを目指してまいります。そして、この成功を積み上げることでグローバル全体での成長を実現していきます。そのために、マーケット、顧客及びケイパビリティの各戦略を更新し、当社グループの競争力を明確化した上で、事業戦略のフォーカスを加速してまいります。 さらに、将来の柱となる事業創出の取り組みも並行して進めます。その一環として、これまで主に日本事業の下でビジネスを行ってきたスポーツ&エンターテインメント事業をグローバルに展開し、非連続的な成長を目指します。 しかしながら、業界内外でのメディアプラットフォームなど巨大プレーヤーの台頭やテクノロジー企業・コンサルティング企業他によるAI等への巨額の投資など、競争環境の激化等によって当社グループのポジションも相対的に変化していくことが想定されます。このような環境下において、当社グループが競争力を維持できず、戦略目標や財務目標を達成できない場合、既存顧客の維持や新規顧客獲得に影響が出ることにより、市場シェアの喪失、協賛権・放送権並びにコンテンツのブランド価値の低下、財務上の損失につながる可能性があります。 ② 事業変革 当社グループは、事業・競争環境の急速な変化に対応するため、事業変革を推進しております。2024年1月より、顧客企業に提供するサービスと価値を、グローバルに効率的かつ迅速に最大化するための事業管理モデル「One dentsu オペレーティング・モデル」を導入し、意思決定の迅速化、責任の明確化、権限委譲を可能にする簡素化された組織構造への変革を進めております。 しかしながら、同事業変革が想定どおりに進まなかった場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、事業環境や構造改革の変化に対応できなかった場合、内部統制の脆弱化、管理体制の不備が顕在化するリスクがあります。 ③ サステナビリティ目標の未達 2024年に当社グループの「2030サステナビリティ戦略」は、当社グループを取り巻く事業環境やサステナビリティに関わる世の中の状況・認識の急速な変化に対してOne dentsuとしてより能動的に対応し、社会やステークホルダーに対する責任を果たしていくことを目的に、「人」、「地球」、「イノベーション」の3つの重点領域にわたって、5つのマテリアリティ(「企業倫理とコンプライアンス/データ・セキュリティ」「DEI」「人的資本の開発」「気候変動へのアクション」「イノベーションに導くリーダーシップ」)を反映したアップデートを行いました。 「2030サステナビリティ戦略」の進捗と、5つの重要課題への取り組みの状況は、年4回開催されるグループサステナビリティ委員会を通じて管理し、全てのアクションプランとKPIが達成されるよう、委員会メンバーと担当部門は連携して推進しています。2024年より、気候変動リスクへの対応をはじめとする「2030サステナビリティ戦略」の実行を統括するグローバル・チーフ・サステナビリティ・オフィサーを任命いたしました。 しかしながら、社会・経済の外部環境要因などにより、これらの目標達成が計画どおりに進捗しなかった場合、当社グループのレピュテーションなどに悪影響が生じる可能性があります。 (2) オペレーショナル・リスク当社グループは、オペレーショナル・リスク領域として「ガバナンスと監督リスク」、「第三者に係るリスク」、「レジリエンス・リスク」、「人的資本リスク」、「データ管理リスク」、「テクノロジー・リスク」、「情報セキュリティ・リスク」を識別・評価・対応しております。具体的には「人財の獲得、開発、維持」、「エンタープライズ・テクノロジーの統合及び導入」などに係るリスクがあります。 ① 人財の獲得、開発、維持 当社グループは、創業以来一貫して「人が資本」の企業であり、創造力と実行力に長けた多様な人財こそが持続的な企業価値向上の源泉です。そのため、必要な人財を十分に獲得、維持できない場合、顧客への高度なサービス提供ができずに当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは「People Discussion」と呼ばれる人財についての議論の場を設定して、人財の可視化を行うとともに、そのポテンシャルを最大化すべく、グローバル/ローカルのさまざまな環境で自身をストレッチできる機会、スキルや視野を広げるプログラムを戦略的に提供しています。また、当社グループらしいリーダー像を定義した「dentsu Leadership Attributes」を人財マネジメントのバックボーンとして設定・活用し、リーダーシップについてのあるべき育成投資を行います。 人財獲得については特に人財流動性の高い海外市場において注力しており、採用業務の効率化と精度向上を目指したテクノロジー活用を進めています。これにより、募集から採用までの期間短縮などの成果も現れています。上級職の採用に特化した専門チームを設置し、コストを抑えつつ社内に専門知見を蓄積する活動も進めています。「人的資本の開発」は、当初グループのマテリアリティの1つでもあります。 ② エンタープライズ・テクノロジーの統合及び導入 当社グループは、2024年1月に導入した事業管理モデル「One dentsu オペレーティング・モデル」によって、ビジネス・オペレーションとエンタープライズ・テクノロジーの強化及び高度化を目指しています。これらは、組織の簡素化と統合の実現(部門の垣根をこえた協働を可能にすることで、オペレーショナル・エクセレンスを実現する組織の構築)とスピードの向上(ITインフラへの投資と拡張を実現することで、俊敏で柔軟性のある組織を実現)を推進する鍵となります。 しかしながら、適切なテクノロジーソリューションへの投資が実行できない場合、また、グループとしてのITマネジメントが適切に実行できない場合、業務の管理及び事業の成長に悪影響を及ぼす可能性があります。 ③ 情報セキュリティ、サイバーセキュリティに係るリスク 当社グループは、その業務遂行の過程で、顧客の未公開の商品・サービスや事業に係る情報を受領することが頻繁にあります。当社グループでは情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格を取得するなど、情報管理には万全を期しておりますが、仮に情報漏えい等の事故が発生した場合、当社グループに対する信頼が損なわれ、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、想定外の外部サイバー攻撃、従業員又はサプライヤーによって、重大なビジネスシステム及びデータの機密性、完全性又は可用性が脅かされ、その結果、重大な運用・規制・財務・レピュテーション上の問題、又は顧客への影響が生じる可能性があります。 当社グループでは、セキュリティ・リスクへの対応を確かなものとするため、国内・海外のネットワークのセキュリティ部門を束ねるグループ・セキュリティ機能を設けて、進化する脅威の重大性を継続的に評価し、ERMアプローチに沿ったリスク管理・統制の有効性評価を行っております。 ④ 個人情報等に係るリスク(データ・ガバナンス) 当社グループは、その業務遂行の過程で、顧客にとってのエンドユーザーに関する個人情報を受領することがあります。また、顧客からエンドユーザー一人ひとりにカスタマイズしたマーケティング・コミュニケーションへの要求が高まる中、パーソナルデータを利活用した商品・サービスを開発して顧客企業に提供しております。 当社グループは、国内・海外を問わず、個人情報保護法及びEU一般データ保護規則等の法令又は諸規制を遵守し、これら法令又は諸規制の改定に迅速に対応しております。また、グループ共通の「グローバルデータ保護原則」を制定しており、現時点においてこれらの法令又は諸規制が当社グループの事業に悪影響を及ぼすことは想定しておりません。 しかしながら、仮に個人情報の漏えい等の事故が発生した場合、当社グループの信頼性が損なわれ、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、今後、これら法令又は諸規制が改定され、倫理的な観点から、当社グループのパーソナルデータの利活用に何らかの制限が課され、商品・サービスの一部を顧客企業に提供できなくなった場合、当社グループの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。 (3) コンプライアンス&法務リスク当社グループは、コンプライアンス&法務リスク領域として「コンダクト・倫理リスク」、「クライアント契約の遵守に係るリスク」を識別・評価・対応しております。具体的には「企業文化」、「コンプライアンス」などに係るリスクがあります。 ① 企業文化 当社グループの人財は、一歩先のより良い社会を創りだすことにモチベーションを見出します。顧客企業やステークホルダーの皆さまとともに、「人が生きる喜びに満ちた活力ある社会」の実現を目指してイノベーションを進めていく企業文化は、当社グループのDNAであり、世界中のチームに浸透しています。 しかしながら、人財を管理するリーダーたちが自らの責任を果たさない、人的資本に関する適切な経営を実行しない、「倫理」や「インテグリティ」を企業価値のトップに据えて適切な社内浸透を図らない等の場合、当社グループの企業文化が損なわれ、従業員のモチベーションや生産性に悪影響が生じる可能性があります。 ② コンプライアンス 当社グループは、当社グループのマテリアリティ及び「2030年サステナビリティ戦略」において、「企業倫理とコンプライアンス/データ・セキュリティ」を重要課題に掲げ、「インテグリティを最優先に仕事に取り組む」ことをこの課題に対応するゴールイメージとしております。社会をはじめすべてのステークホルダーに対して、企業倫理とコンプライアンスを順守し、インテグリティを実践することは、当社グループが企業活動を行う上での大前提です。 しかしながら、故意又は過失不注意により、当社グループの事業において法規制や会社方針を無視する、或いはこれに違反した行動が発生した場合、当社グループのレピュテーションが低下し、企業価値を著しく損なう可能性があります。 ③ 訴訟等に係るリスク 当社グループ会社が広範な領域にわたり遂行している事業は、国内・海外問わず、政府機関・顧客・媒体社・協力会社等から調査・訴訟・メディア監査等に基づく請求・課徴金等を受けるリスクを内包しております。 当社グループでは、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会関連事案に関して、2023年5月15日に「dentsu Japan改革委員会」を設置し、意識行動改革に取り組んでまいりました。そして、2023年5月よりdentsu Japan改革委員会の下で進めてきた再発防止のための17施策については、2024年12月18日に全ての施策を完了しました。2025年1月からは、インテグリティを最優先する組織風土の定着、高いレベルでのコンプライアンスの徹底などを目的に、これまでの取り組みを発展させ、「意識行動改革プロジェクト」を推進しております。 (4) その他外部リスク① 景気変動及び社会的変革に伴うリスク 当社グループの業績は、景気によって主要な顧客である企業からの予算が増減されることが多いため、景気変動の影響を受けやすい傾向があります。世界経済は緩やかな回復基調にあるものの、地政学上のリスクの顕在化やインフレ再燃懸念等により、未だ不確実な状況にあると言わざるを得ません。 また、2020年以降のコロナ禍の影響は、経済面に留まらず、生活者の意識と行動様式の変化を加速させ、より個人化された体験が重要になっております。企業も、D2Cコマースのチャネル構築やデジタルトランスフォーメーションの実装、生成AIの活用など企業活動の本質的な転換が迫られる中、当社グループへの顧客のニーズは、従来の広告・コミュニケーション領域を超えて高度化・複合化しており、データとテクノロジーを活用した顧客体験の設計や体験価値の向上に拡大しております。これらのニーズに当社グループが適切に対応できない場合は、中長期的な事業成長に悪影響を及ぼす可能性があります。 ② 災害、事故並びに地政学に関わるリスク 当社グループが事業を遂行又は展開する地域において、自然災害、電力その他の社会的インフラの障害、通信・放送の障害、流通の混乱、大規模な事故、伝染病の爆発的な流行、戦争、テロ、政情不安、社会不安等が起こった場合、当社グループ又は当社グループの取引先の事業活動に悪影響を及ぼし、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、リージョン・マーケット等で想定される上記の問題に対し、クライシス・マネジメントや事業継続計画(BCP)を定期的に検討しております。
FY2023|7,996 文字
3 【事業等のリスク】当社グループの戦略・事業その他を遂行する上でのリスクについて、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しております。ただし、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見出来ない、又は重要と見なされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。当社グループでは、グループの戦略、経営目標達成に影響を及ぼす可能性のある不確実な将来の事象としてのリスクを最小化するとともに、これらを機会として活かすための様々な対応及び仕組み作りを行っております。なお、当社グループは、グループの持続的成長と価値提供のための重要課題として、マテリアリティを策定し2023年8月に公表しております。マテリアリティに関する詳細は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご覧ください。「One dentsuオペレーティング・モデル」導入に伴う、既に認識している主要なリスクの見直しやマテリアリティとの関連付け、新たに追加するリスクについては、後述のグループリスク委員会での検討を進めております。また、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループのリスク管理体制当社グループでは、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要」に記載のコーポレートガバナンス体制図にあるコーポレート・ガバナンス体制の下、リスクの管理を所管するグループリスク委員会を設置し、ERM(Enterprise Risk Management: 全社的リスクマネジメント)のアプローチを基軸に、グループ経営上重要なリスクを識別・評価し、そのリスクの顕在化の予防及び顕在化した場合の影響の最小化のため、リスク対応の責任者となるリスク・スポンサーを選定、リスク対応計画の策定と実施を委任しております。対応すべきリスクとその評価は、グループリスク委員会で定期的に見直しその対応状況とともにグループ・マネジメント・ボードならびに取締役会に定期的に報告しております。2024年より、グループ全体のリスク管理および内部統制を統括するグローバル内部統制 & リスク責任者をグループ・マネジメント・チームの一員として新たに任命し、グループリスク委員会の委員長であるグローバルCEOの下、グループ全体のリスク管理活動を推進しております。また、「One dentsuオペレーティング・モデル」の導入に伴い、グループリスク委員会傘下に、4リージョン並びに主要ファンクションのリスク委員会を配し、グループリスク委員会がグループ横断的にリスク管理を統括できる体制を整備しております。 主なリスク項目とその対応策(1) 景気変動及び社会的変革に伴うリスク当社グループの業績は、景気によって主要な顧客である企業からの予算が増減されることが多いため、景気変動の影響を受けやすい傾向があります。世界経済は緩やかな回復基調にあるものの、地政学上のリスクの顕在化やインフレ再燃懸念等により、まだ不確実な状況と言わざるを得ません。また、2020年以降のコロナ禍の影響は、経済面に留まらず、生活者の意識と行動様式の変化を加速させ、より個人化された体験が重要になっております。企業も、D2Cコマースのチャネル構築やデジタルトランスフォーメーションの実装、生成AIの活用など企業活動の本質的な転換が迫られる中、当社グループへの顧客のニーズは、従来の広告・コミュニケーション領域を超え、高度化・複合化しており、データとテクノロジーを活用した顧客体験の設計や体験価値の向上に拡大しております。これらのニーズに当社グループが適切な対応ができない場合は、中長期的な事業成長に悪影響を及ぼす可能性があります。 (2) 中長期の視点での新たなビジネス開発に伴うリスク当社グループは、上記のような事業環境の変化に速やかに対応し、新たな事業機会を的確に捉えるため2024年を最終年とする中期経営計画を2021年に公表し、着実に実行してまいりました。現在、「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載した2024年度のアクションプランを遂行するとともに、2024年下期に向け次期中期経営改革を策定中です。現中計では、広告マーケティングで培ったノウハウをデータとテクノロジーと融合し進化させるとともに、「カスタマートランスフォーメーション&テクノロジー(CT&T)」事業と位置付けた顧客企業の事業変革を支援する領域の強化による成長戦略の実践を骨子のひとつとし、2023年通期には、その売上総利益構成比を32%にまで高めてまいりました。しかしながら、グループ内のイノベーションの不足、生活者動向の読み違い、過度に楽観的な事業計画、共同事業パートナーとの交渉難航、投資パフォーマンスの管理不十分、事業環境変化を認識するインテリジェンスの不足などの理由で、これらのビジネス開発が中長期的に収益化できず、当社グループの業績に悪影響が出る可能性があります。 (3) 人的資本に係るリスク当社グループの成長力及び競争力は、優秀な人財の獲得と維持による人的資本の拡充に依存します。そのため、労働市場の逼迫による人財不足や当社グループのレピュテーションやブランディングを効果的に確立できない等に起因して、当社グループが必要な人財を十分に維持・確保できない場合、顧客への高付加価値のサービス提供ができずに当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの戦略目標の実現のためには、従業員のエンゲージメントが重要であり、グループ内で、DEIなどを含めたビジョンや価値観を実行できず、従業員のモチベーションを保つことができなかった場合、従業員のロイヤルティが低下し、優秀な人財を惹きつけ維持することが難しくなるリスクが存在します。当社グループは、ビジョンを<「人起点の変革」の最前線に立ち、社会にポジティブな動力を生み出す>と定めており、その推進のため、従業員が性別、国籍、年齢、性的志向、障がいの有無、勤続年数などにかかわらず、誰もが自分らしさを存分に発揮して働けるインクルーシブな企業文化を醸成し、多様性を競争力につなげていく企業風土の浸透に取り組んでおります。また、2021年度からは、グループ全体でのエンゲージメント調査を継続的に実施し、従業員の声に耳を傾け、組織課題の発見・改善を目指すとともに、従業員エンゲージメントスコアの役員報酬への反映を進めています。また、この「人起点の変革」の加速と経営のさらなる高度化を実現すべく、グループ・リーダーシップの要件定義を明確にしたうえで、2023年1月から「グループ・マネジメント・チーム」によるグローバル経営体制に移行し、2024年からは、グローバルCEOの下に、グローバルCOO、グローバル・プレジデント‐グローバル・プラクティス、グローバル・プレジデント‐データ&テクノロジーを新設し体制強化を図っています。あるべきガバナンスを浸透させていくのはリーダーの役割という観点から、当社グループのあるべき姿を牽引するリーダーシップを見極め、育て、組織全体にポジティブな影響を与えていくため、リーダーシップの後継者計画についても、その育成システムの確立とともに進めております。 (4) 事業の構造改革に係るリスク当社グループは、事業・競争環境の急速な変化に対応するため、構造改革の加速を推進しております。2024年度より顧客企業の窓口をグローバルで一本化し、高度なプラクティスのより迅速な提供と、オペレーションの効率向上により、顧客企業の更なる成長支援を目指すグローバル共通の事業管理モデル「One dentsuオペレーティング・モデル」の導入を進めております。しかしながら、同構造改革が想定通りに進まなかった場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、事業環境や構造改革の変化に社内体制が対応できなかった場合には、内部統制の弱体化、管理システムの不備が顕在化するリスクがあります。 (5) 競争環境と構造変化に起因するリスク① 異業種との競争の拡大当社グループは、同業の広告会社グループやデジタルエージェンシーグループとの競争に加え、この数年でコンサルタント、テックカンパニーなど異業種との新たな競争にさらされております。顧客からの広告・マーケティング活動の効率化・最適化の要求が強まり、生活者一人ひとりにカスタマイズしたマーケティング・コミュニケーションへの要求が高まる中、データアナリティクス領域、カスタマーエクスペリエンス領域、コンサルティング領域の企業と競合するケースが増えております。今後、当社グループの従来の基軸事業である広告マーケティング領域と他領域の間の境界線が今後ますます曖昧になり、異業種との競争が激化した場合、当社グループの収益の一部を異業種の競合社に奪われる可能性があります。また、マーケティング、テクノロジーとコンサルティングの融合領域における有力なプレイヤーとしての当社グループのレピュテーションやブランディングを効果的に確立できなかった場合に、この領域のビジネスを十分に獲得できない可能性があります。当社グループは、この業界構造の変化を商機と捉え、広告マーケティングで培ったノウハウやクリエティビティを、データとテクノロジーと融合して進化させ、コンシューマー・インテリジェンスを活用したインテグレーテッド・グロース・ソリュ―ションを提供するモデルを確立し、戦略から実施までエンド・トゥー・エンドの統合サービスを提供していくと共に、人財の育成にも力を入れてまいります。 ② グローバル企業の扱い喪失リスク当社グループの顧客には、グローバルレベルで事業を展開する企業が多数含まれます。これらの顧客は、広告キャンペーンの統一性を担保する必要性や効率的な運用の観点から、グローバルレベル(あるいはAPAC等の地域レベル)で取り扱い広告会社を選定する入札(グローバルピッチ)を実施することがあります。グローバルピッチは対象となるメディア予算などの取扱高が多額になる傾向があります。今後、当社グループの既存顧客が実施するグローバルピッチで当社グループが敗北した場合、当社グループの収益減少につながる可能性があります。また、これらのピッチで勝利するために従来よりも低マージンでの受注を余儀なくされた場合、当社グループのオペレーティング・マージンの悪化につながる可能性があります。当社グループは、グローバル・アクセラレーター・クライアント(重要顧客企業)とのパートナーシップを強化しビジネスの獲得率や定着率を向上させるとともに、そういったクライアントに対して、提供する統合ソリューションの価値に対する正当な対価を得るため、全社的な取り組みを推進しております。 ③ メディア環境の構造変化に伴うリスク生活者を取り巻くメディア環境は、イノベーションを背景に、グローバルレベルで大きくデジタルへとシフトしております。当社グループは、このメディア環境の構造変化を商機と捉え、次世代のメディアにグループのリソースを柔軟に配分・投下し、常に最適の顧客体験を提供するための統合ソリューションを顧客企業に提供しております。しかしながら、当社グループが、メディア環境の構造変化に迅速に対応できない場合、又は変化に適切に対応した取引条件や形態を取ることができなかった場合に、メディアからの収益の喪失、顧客との関係性の悪化などに繋がり、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、このメディア環境の構造変化は、国・地域ごとに異なる形態及び時間軸で進行しており、当社グループが、一部の国・地域において、この潮流に乗り遅れるリスクもあります。 ④ コンテンツ事業に係るリスク当社グループは、国内・海外を問わず、映画への制作出資やスポーツイベントの放送権の仕入販売などのコンテンツ事業を展開しております。これらのコンテンツ事業には、収入を得る前に支払が先行するもの、収支計画が多年度にわたるものが多く含まれております。また、大型のスポーツイベントの協賛権や放送権の獲得などには多額の財務的コミットメントを必要とするものもあります。 当社グループはこれらのコンテンツ事業領域に長く従事しているため一定の精度で収支計画を立てる知見を有しており、また多くのコンテンツ事業案件をポートフォリオとして管理することでコンテンツ事業のリスク分散を図っております。しかしながら、コンテンツ事業の収入を左右する生活者の反応を確実に予測することは困難であり、案件が収支計画通りに進捗しない場合、また、当社グループによる仕入金額を下回る金額でしか協賛権や放送権を顧客に販売できない場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (6) のれん及び無形資産の減損リスク当社は2013年3月に英国の大手広告会社Aegis Group plcを買収、その後もグローバルレベルで多数の会社の買収を実施したことに伴い、多額ののれん及び無形資産を計上しております。当社グループは、買収案件の投資リターンの定期レビューや、減損の兆候の有無にかかわらず年に一度毎年第4四半期会計期間中、もしくは減損の兆候を認識した場合はその都度行うのれん減損テストを通じて、投資パフォーマンスの予期せぬ大規模な悪化を防ぐための管理を行っております。当連結会計年度において、直近の実績を踏まえた最新の事業計画を基にのれんの減損テストを行った結果、APACののれんが配分された資金生成単位グループにおいてのれんの全額及び無形資産の一部について減損損失678億4百万円を認識しました。今後の減損テストの結果、再び巨額の減損損失が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (7) 情報セキュリティ・サイバーセキュリティに係るリスク当社グループは、その業務遂行の過程で、顧客企業の未公開の商品・サービスや事業に係る情報を受領することが頻繁にあります。当社グループでは情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格を取得するなど、情報管理には万全を期しておりますが、万一情報漏えい等の事故が発生した場合、当社グループの信頼性が損なわれ、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、想定外の外部サイバー攻撃、従業員又はサプライヤーのアクションによって、重大なビジネスシステム及びデータの機密性、完全性又は可用性が脅かされ、その結果、重大な運用・規制・財務・レピュテーション上の、又はクライアントへの影響が生じる可能性があります。当社グループでは、セキュリティリスクへの対応を確かなものとするため、国内・海外のネットワークのセキュリティ部門を束ねるグループ・セキュリティ機能を設け、進化する脅威の重要性を継続的に評価し、ERMアプローチに沿ったリスク管理とコントロールの有効性評価を行っております。 (8) サステナビリティ課題に係るリスク当社グループは、2021年1月に策定した「2030サステナビリティ戦略」に、5つのマテリアリティ(「企業倫理とコンプライアンス/データセキュリティ」「DEI」「人的資本の開発」「気候変動へのアクション」「イノベーションに導くリーダーシップ」)を反映したアップデートを行い、同戦略に掲げた環境、社会性、ガバナンス、及び事業をも含めた指標の目標を達成する施策を推進しております。しかしながら、社会・経済の外部環境要因などにより、これらの目標達成が計画通りに進捗しなかった場合には、当社グループのレピュテーションなどに悪影響がある可能性があります。2024年より、気候変動リスクへの対応をはじめとする「2030サステナビリティ戦略」の実行を統括するグローバル・チーフ・サステナビリティ・オフィサーを任命いたしました。 (9) 法規制・訴訟等に係るリスク① 労働法規に違反するリスク当社グループは、従業員ひとりひとりが恒常的に良好なコンディションを維持できる労働環境を整えることを経営の最優先課題の1つとして取り組んでおりますが、同労働環境の整備が維持できない場合、当社グループの従業員のモチベーション及びパフォーマンスの低下、優秀な従業員の外部流出、多様性ある人財の獲得の困難化などの事態が発生し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社の完全子会社である株式会社電通を中心に2017年度から継続的に取り組んできた労働環境改革により、国内における従業員の労働環境は着実に改善されているものの、労務管理上の不祥事が再発した場合、当社グループのレピュテーションが大きく悪化する可能性があります。 ② 個人情報等に係るリスク(データ・ガバナンス)当社グループは、その業務遂行の過程で、顧客企業にとっての既存顧客・潜在顧客の個人情報を受領することがあります。また、顧客企業からの消費者ひとりひとりにカスタマイズしたマーケティング・コミュニケーションへの要求が高まる中、パーソナルデータを利活用した商品・サービスを開発して顧客企業に提供しております。当社グループは、国内・海外を問わず、個人情報保護法及びEU一般データ保護規則等の法令又は諸規制を遵守し、また、これら法令又は諸規制の改定に迅速に対応しており、またグループ共通の「グローバルデータ保護原則」を制定しており、現時点においてこれらの法令又は諸規制が当社グループの事業に悪影響を及ぼすことは想定しておりません。しかしながら、万一個人情報の漏えい等の事故が発生した場合、当社グループの信頼性が損なわれ、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、今後、これら法令又は諸規制が改定され、一方、倫理的な観点から、当社グループのパーソナルデータの利活用に何らかの制限が課され、商品・サービスの一部を顧客企業に提供できなくなった場合、当社グループの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。 ③ 訴訟等に係るリスク当社グループ会社が広範な領域にわたり遂行している事業は、国内・海外問わず、政府機関・顧客・媒体社・協力会社等から調査・訴訟・メディア監査等に基づく請求・課徴金等を受けるリスクを内包しております。なお、前連結会計年度の有価証券報告書に記載した東京2020オリンピック・パラリンピック関連事案については、調査検証委員会からの提言を受け、社会に対する責任意識と透明性を高め、自分たちが守るべきルールやプロセスを明確にすることを目的とした「意識行動改革」をdentsu Japan改革委員会が具体化し、その施策を推進しております。 (10) 災害、事故並びに地政学に関わるリスク当社グループが事業を遂行又は展開する地域において、自然災害、電力その他の社会的インフラの障害、通信・放送の障害、流通の混乱、大規模な事故、伝染病、パンデミックの再発、戦争、テロ、政情不安、社会不安等が起こった場合には、当社グループ又は当社グループの取引先の事業活動に悪影響を及ぼし、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、地域・マーケット毎に想定される上記の問題に対し、クライシス・マネジメントや事業継続計画(BCP)を定期的に検討しております。
FY2022|7,342 文字
2 【事業等のリスク】当社グループの戦略・事業その他を遂行する上でのリスクについて、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しております。ただし、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見出来ない、又は重要と見なされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。当社グループではこのような経営目標の達成を阻害する将来の不確実な要因としてのリスクを最小化するとともに、これらを機会として活かすための様々な対応及び仕組み作りを行っております。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループのリスク管理体制当社グループでは、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要」に記載のコーポレートガバナンス体制図のコーポレートガバナンス体制の下、リスクの管理を所管するグループリスク委員会を設置し、ERM(Enterprise Risk Management: 全社的リスクマネジメント)のアプローチを基軸に、グループ経営上重要なリスクを識別・評価し、そのリスクの顕在化の予防及び顕在化した場合の影響の最小化のため、リスク・スポンサーを選定、リスク対応計画の策定と実施を委任し、その対応状況のモニタリングをグループ経営会議において定期的に行っております。また、2023年より、コーポレート領域で当社グループの戦略的変革を推進し、将来にわたる企業ガバナンス強化に対する説明責任を負うチーフ・ガバナンス・オフィサーを任命いたしました。 (1) 景気変動及びポスト・パンデミックに向けた社会的変革に伴うリスク当社グループの業績は、景気によって主要な顧客である企業からの予算が増減されることが多いため、景気変動の影響を受けやすい傾向があります。新型コロナウイルスの世界的蔓延に伴うマクロ経済の減速は、2021年以降回復傾向に転じたものの、地政学上のリスクの顕在化等により、まだ不安定な状況と言わざるを得ません。また、コロナ禍の影響は、経済面に留まらず、生活者の意識と行動様式の変化を加速させ、より個人化された体験が重要になっております。企業も、D2Cコマースのチャネル構築やデジタルトランスフォーメーションの実装など企業活動の本質的な転換が迫られる中、当社グループへの顧客のニーズは、従来の広告・コミュニケーション領域を超え、高度化・複合化しており、データとテクノロジーを活用した顧客体験の設計や体験価値の向上に拡大しております。これらのニーズに当社グループが適切な対応ができない場合は、中長期的な事業成長に悪影響を及ぼす可能性があります。 (2) 中長期の視点での新たなビジネス開発に伴うリスク当社グループは、上記のような事業環境の変化に速やかに対応し、新たな事業機会を的確に捉えるための事業変革を企図した中期経営計画を策定し、2021年2月に発表し、また2022年2月には、その内容のアップデートを行いました。本計画では、広告マーケティングで培ったノウハウをデータとテクノロジーと融合し進化させるとともに、「カスタマートランスフォーメーション&テクノロジー」事業と位置付けた顧客企業の事業変革を支援する領域の強化による成長戦略の実践を骨子のひとつとしております。しかしながら、グループ内のイノベーションの不足、生活者動向の読み違い、過度に楽観的な事業計画、共同事業パートナーとの交渉難航、投資パフォーマンスの管理不十分、事業環境変化を認識するインテリジェンスの不足などの理由で、これらのビジネス開発が中長期的に収益化できず、当社グループの業績に悪影響が出る可能性があります。 (3) 人財に係るリスク当社グループの成長力及び競争力は、優秀な人財の獲得と維持に依存します。そのため、労働市場の逼迫による人財不足や当社グループのレピュテーションやブランディングを効果的に確立できない等に起因して、当社グループが必要な人財を十分に確保できない場合、顧客への高付加価値のサービス提供ができずに当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの中期経営計画の実現のためには、社員のエンゲージメントが重要であり、グループ内で、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンなどを含めたビジョンや価値観を実行できなかった場合、あるいは社員のモチベーションを保つことができなかった場合、社員のロイヤルティが低くなり、優秀な人財を惹きつけ維持することが難しくなるリスクが存在します。当社グループは、事業ドメインを「人起点の変革(People-centered Transformation)」と捉えており、その推進のため、社員が性別、国籍、年齢、性的志向、障がいの有無、勤続年数などにかかわらず、誰もが自分らしさを存分に発揮して働けるインクルーシブな企業文化を醸成し、多様性を競争力につなげていく企業風土の浸透に取り組んでおります。また、2021年度からは、グループ全体でのエンゲージメント調査を実施し、従業員の声に耳を傾け、組織課題の発見・改善を目指しております。また、この「人起点の変革(People-centered Transformation)」の加速と経営のさらなる高度化を実現すべく、グループ経営幹部の要件定義を明確にしたうえで、2023年1月から「グループ・マネジメント・チーム」によるグローバル経営体制に移行いたしました。また、新しい経営幹部の後継者計画についても、その育成システムの確立とともに進めております。 (4) 事業の構造改革に係るリスク当社グループは、事業・競争環境の急速な変化に対応するため、構造改革の加速を決定し推進しております。海外事業においては、2年間で、現在160以上あるエージェンシーブランドの数を6つのグローバルリーダーシップブランドへ統合する計画が順調に進捗しております。また、国内事業においては、「ビジネスフォーメーションの変革」「人財フォーメーションの変革」「オフィス環境の進化」を推進しており、この構造改革により、新たな事業モデルの導入を加速してクライアントへより良いサービスを提供し、従業員満足度の向上、収益の拡大及びオペレーティング・マージンの改善を目指します。しかしながら、同構造改革が想定通りに進まなかった場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、事業環境や構造改革の変化に社内体制が対応できなかった場合には、内部統制の弱体化、管理システムの不備が顕在化するリスクがあります。 (5) 競争環境と構造変化に起因するリスク① 異業種との競争の拡大当社グループは、同業の広告会社グループやデジタルエージェンシーグループとの競争に加え、この数年でコンサルタント、テックカンパニーなど異業種との新たな競争にさらされております。顧客からの広告・マーケティング活動の効率化・最適化の要求が強まり、生活者ひとりひとりにカスタマイズしたマーケティング・コミュニケーションへの要求が高まる中、データアナリティクス領域、カスタマーエクスペリエンス領域、コンサルティング領域の企業と競合するケースが増えております。今後、当社グループの既存の基軸事業である広告マーケティング領域と他領域の間の境界線が今後ますます曖昧になり、異業種との競争が激化した場合、当社グループの収益の一部を異業種の競合社に奪われる可能性があります。また、マーケティング、テクノロジーとコンサルティングの融合領域における有力なプレイヤーとしての当社のレピュテーションやブランディングを効果的に確立できなかった場合に、この領域のビジネスを十分に獲得できない可能性があります。当社グループは、この業界構造の変化を商機と捉え、広告マーケティングで培ったノウハウを、データとテクノロジーと融合して進化させ、コンシューマー・インテリジェンスを活用した統合ソリュ―ションを提供するモデルを確立していくと共に、人財の育成にも力を入れてまいります。 ② グローバル企業の扱い喪失リスク当社グループの顧客には、グローバルレベルで事業を展開する企業が多数含まれます。これらの顧客は、広告キャンペーンの統一性を担保する必要性や効率的な運用の観点から、グローバルレベル(あるいはAPAC等の地域レベル)で取り扱い広告会社を選定する入札(グローバルピッチ)を実施することがあります。グローバルピッチは対象となるメディア予算などの取扱高が多額になる傾向があります。今後、当社グループの既存顧客が実施するグローバルピッチで当社グループが敗北した場合、当社グループの収益減少につながる可能性があります。また、これらのピッチで勝利するために従来よりも低マージンでの受注を余儀なくされた場合、当社グループのオペレーティング・マージンの悪化につながる可能性があります。一方、そういったクライアントに対して、提供する統合ソリューションの価値に対する正当な対価を得るため、全社的な取り組みを推進しております。 ③ メディア環境の構造変化に伴うリスク生活者を取り巻くメディア環境は、イノベーションを背景に、グローバルレベルで大きくデジタルへとシフトしております。当社グループは、このメディア環境の構造変化を商機と捉え、次世代のメディアにグループのリソースを柔軟に配分・投下し、常に最適の顧客体験を提供するための統合ソリューションを顧客企業に提供しております。しかしながら、当社グループが、メディア環境の構造変化に迅速に対応できない場合、又は変化に適切に対応した取引条件や形態を取ることができなかった場合に、メディアからの収益の喪失、顧客との関係性の悪化などに繋がり、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、このメディア環境の構造変化は、国・地域ごとに異なる形態及び時間軸で進行しており、当社グループが、一部の国・地域において、この潮流に乗り遅れるリスクもあります。 ④ コンテンツ事業に係るリスク当社グループは、国内・海外を問わず、映画への制作出資やスポーツイベントの放送権の仕入販売などのコンテンツ事業を展開しております。これらのコンテンツ事業には、収入を得る前に支払が先行するもの、収支計画が多年度にわたるものが多く含まれております。また、大型のスポーツイベントの協賛権や放送権の獲得などには多額の財務的コミットメントを必要とするものもあります。当社グループはこれらのコンテンツ事業領域に長く従事しているため一定の精度で収支計画を立てる知見を有しており、また多くのコンテンツ事業案件をポートフォリオとして管理することでコンテンツ事業のリスク分散を図っております。しかしながら、コンテンツ事業の収入を左右する生活者の反応を確実に予測することは困難であり、案件が収支計画通りに進捗しない場合、また、当社グループによる仕入金額を下回る金額でしか協賛権や放送権を顧客に販売できない場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (6) のれん及び無形資産の減損リスク当社は2013年3月に英国の大手広告会社Aegis Group plc(以下、「イージス社」)を買収、その後もグローバルレベルで多数の会社の買収を実施したことに伴い、多額ののれん及び無形資産を計上しております。当社グループは、買収案件の投資リターンの定期レビューやのれん減損テストを通じて、投資パフォーマンスの予期せぬ大規模な悪化を防ぐための管理を行っておりますが、2020年度に行ったのれんの減損テストの結果、コロナ禍の長期化により高まった事業環境の不透明化を考慮し、海外事業に係るのれんについて1,403億円の減損損失を計上しました。今後の減損テストの結果、再び巨額の減損損失が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (7) 情報セキュリティ・サイバーセキュリティに係るリスク当社グループは、その業務遂行の過程で、顧客企業の未公開の商品・サービスや事業に係る情報を受領することが頻繁にあります。当社グループでは情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格を取得するなど、情報管理には万全を期しておりますが、万一情報漏えい等の事故が発生した場合、当社グループの信頼性が損なわれ、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、想定外の外部サイバー攻撃、従業員又はサプライヤーのアクションによって、重大なビジネスシステム及びデータの機密性、完全性又は可用性が脅かされ、その結果、重大な運用・規制・財務・レピュテーション上の、又はクライアントへの影響が生じる可能性があります。当社グループでは、セキュリティリスクへの対応を確かなものとするため、国内・海外のネットワークのセキュリティ部門を束ねるグループ・セキュリティ機能を設け、進化する脅威の需要協を継続的に評価し、ERMアプローチに沿ったリスク管理とコントロールの有効性評価を行っております。 (8) サステナビリティ課題に係るリスク当社グループは、「ソーシャルインパクトとESG」を中期経営計画の4つの柱の一つに掲げ、2021年1月には、未来のすべての人々のために真に持続可能な価値を創造することを目指した「2030サステナビリティ戦略」を策定し、「持続可能な世界」「公平で開かれた社会」「デジタルにおける社会貢献」の3つの優先事項を中心に、同戦略に掲げた環境及び社会性指標の目標を達成する施策を推進しております。しかしながら、社会・経済の外部環境要因などにより、これらの目標達成が計画通りに進捗しなかった場合には、当社グループのレピュテーションなどに悪影響がある可能性があります。2023年より、気候変動リスクへの対応をはじめとする「2030サステナビリティ戦略」の実行を統括するチーフ・サステナビリティ・オフィサーを、dentsu Japan並びにインターナショナル・マーケットにおいて任命いたしました。 (9) 法規制・訴訟等に係るリスク① 労働法規に違反するリスク当社グループは、社員ひとりひとりが恒常的に良好なコンディションを維持できる労働環境を整えることを経営の最優先課題の1つとして取り組んでおりますが、同労働環境の整備が維持できない場合、当社グループの社員のモチベーション及びパフォーマンスの低下、優秀な社員の外部流出、多様性ある人材の獲得の困難化などの事態が発生し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社の完全子会社である株式会社電通を中心に2017年度から継続的に取り組んできた労働環境改革により、国内における社員の労働環境は着実に改善されているものの、労務管理上の不祥事が再発した場合、当社グループのレピュテーションが大きく悪化する可能性があります。 ② 個人情報等に係るリスク(データ・ガバナンス)当社グループは、その業務遂行の過程で、顧客企業にとっての既存顧客・潜在顧客の個人情報を受領することがあります。また、顧客企業からの消費者ひとりひとりにカスタマイズしたマーケティング・コミュニケーションへの要求が高まる中、パーソナルデータを利活用した商品・サービスを開発して顧客企業に提供しております。当社グループは、国内・海外を問わず、個人情報保護法及びEU一般データ保護規則等の法令又は諸規制を遵守し、また、これら法令又は諸規制の改定に迅速に対応しており、またグループ共通の「グローバルデータ保護原則」を制定しており、現時点においてこれらの法令又は諸規制が当社グループの事業に悪影響を及ぼすことは想定しておりません。しかしながら、万一個人情報の漏えい等の事故が発生した場合、当社グループの信頼性が損なわれ、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、今後、これら法令又は諸規制が改定され、一方、倫理的な観点から、当社グループのパーソナルデータの利活用に何らかの制限が課され、商品・サービスの一部を顧客企業に提供できなくなった場合、当社グループの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。 ③ 訴訟等に係るリスク当社グループ会社が広範な領域にわたり遂行している事業は、国内・海外問わず、政府機関・顧客・媒体社・協力会社等から調査・訴訟・メディア監査等に基づく請求等を受けるリスクを内包しております。なお、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会におけるテストイベントの入札等事業に関して、国内子会社の従業員1名(事案が発生した2018年当時は株式会社電通に所属)が、独占禁止法違反の疑いで公正取引委員会から刑事告発され、東京地方検察庁により起訴されました。また、同法の両罰規定により、2018年当時に株式会社電通であった現在の株式会社電通グループが法人として起訴されました。詳細は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(4) コンプライアンスの徹底」及び「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表連結財務諸表 注記37.偶発負債」をご参照ください。 (10) 災害、事故並びに地政学に関わるリスク当社グループが事業を遂行又は展開する地域において、自然災害、電力その他の社会的インフラの障害、通信・放送の障害、流通の混乱、大規模な事故、伝染病、パンデミックの再発、戦争、テロ、政情不安、社会不安等が起こった場合には、当社グループ又は当社グループの取引先の事業活動に悪影響を及ぼし、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、地域・マーケット毎に想定される上記の問題に対し、クライシス・マネジメントや事業継続計画(BCP)を定期的に検討しております。
FY2021|7,038 文字
2 【事業等のリスク】当社グループの戦略・事業その他を遂行する上でのリスクについて、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しています。ただし、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見出来ない、または重要と見なされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。当社グループではこのような経営及び事業リスクを最小化するとともに、これらを機会として活かすための様々な対応および仕組み作りを行っております。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。 当社グループのリスク管理体制当社グループでは、下図のようなコーポレートガバナンス体制の下、経営目標の達成を阻害する将来の不確実な要因としてのリスクの管理を所管するグループリスク会議を設置し、ERM(Enterprise Risk Management: 全社的リスクマネジメント)のアプローチを基軸に、グループ経営上重要なリスクを識別・評価し、そのリスクの顕在化の予防および顕在化した場合の影響の最小化のため、リスク・スポンサーを選定、リスク対応計画の策定と実施を委任し、その対応状況のモニタリングをグループ経営会議において定期的に行っています。また、国内事業である電通ジャパンネットワーク(以下、DJN)と海外事業である電通インターナショナル(以下、DI)に各々リスク委員会を設置し、同様のリスク管理活動を行っています。 (1) 景気変動ならびにコロナ禍が加速している社会的変革に伴うリスク当社グループの業績は、景気によって主要な顧客である企業からの予算が増減されることが多いため、景気変動の影響を受けやすい傾向があります。新型コロナウイルスの世界的蔓延に伴うマクロ経済の減速は、2021年においては回復傾向に転じましたが、コロナ禍の影響は、経済面に留まらず、生活者の意識と行動様式の変化を加速させ、企業も、D2Cコマースのチャネル構築やデジタルトランスフォーメーションの実装など企業活動の本質的な転換が迫られる中、当社グループへの顧客のニーズは、従来の広告・コミュニケーション領域を超え、高度化・複合化しており、当社グループが適切な対応ができない場合は、中長期的な事業成長に悪影響を及ぼす可能性があります。 (2) 中長期の視点での新たなビジネス開発に伴うリスク当社グループは、上記のような事業環境の変化に速やかに対応し、新たな事業機会を的確に捉えるための事業変革を企図した中期経営計画を策定し、2021年2月に発表し、また22年2月には、その内容のアップデートを行いました。本計画では、広告マーケティングで培ったノウハウをデータとテクノロジーと融合し進化させるとともに、「カスタマートランスフォーメーション&テクノロジー」事業と位置付けた顧客企業の事業変革を支援する領域の強化による成長戦略の実践を骨子のひとつとしています。しかしながら、グループ内のイノベーションの不足、生活者動向の読み違い、過度に楽観的な事業計画、共同事業パートナーとの交渉難航などの理由で、これらのビジネス開発が中長期的に収益化できず、当社グループの業績に悪影響が出る可能性があります。また、仮に中長期的に収益化できる事業であっても、投下した資本の回収に遅延が出た場合、一時的に当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (3) 人財に係るリスク当社グループの成長力および競争力は、優秀な人財の獲得と維持に依存します。そのため、労働市場の逼迫による人材不足等に起因して、当社グループが必要な人財を十分に確保できない場合、顧客への高付加価値のサービス提供ができずに当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの中期経営計画の実現のためには、社員のエンゲージメントが重要であり、グループ内で、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンなどを含めたビジョンや価値観を実行できなかった場合、あるいは社員のモチベーションを保つことができなかった場合、社員のロイヤルティが低くなり、優秀な人材を惹きつけ維持することが難しくなるリスクが存在します。 当社グループは、長期的に目指す方向性として策定した新しいビジョン&バリューである「an invitation to the never before.」およびこれに基づく8つの行動指針「8 WAYS」のもと、世界中の電通グループ内の企業・個人、さらには外部パートナーとの価値創造に向けたチーミングを推進・加速することで、性別、国籍、年齢、性的志向、障がいの有無、勤続年数などにかかわらず、誰もが自分らしさを存分に発揮して働けるインクルーシブな企業文化を醸成し、多様性を競争力につなげていく企業風土の浸透に取り組んでいます。また、2021年度からは、グループ全体でエンゲージメント調査を実施し、従業員の声に耳を傾け、組織課題の発見・改善を目指しております。 (4)事業の構造改革に係るリスク当社グループは、事業・競争環境の急速な変化に対応するため、構造改革の加速を決定し推進しております。海外事業においては、2年間で、現在160以上あるエージェンシーブランドの数を6つのグローバルリーダーシップブランドへ統合する計画が順調に進捗しています。また、国内事業においては、「ビジネスフォーメーションの変革」「人財フォーメーションの変革」「オフィス環境の進化」を推進しており、この構造改革により、新たな事業モデルの導入を加速してクライアントへより良いサービスを提供し、従業員満足度の向上、収益の拡大およびオペレーティング・マージンの改善を目指します。しかしながら、同構造改革が想定通りに進まなかった場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (5)既存の広告業界の競争環境と構造変化に起因するリスク① 広告業界競合社との価格競争のリスク当社グループは、国内・海外を問わず、競合する広告会社グループやデジタルエージェンシーグループとの競争にさらされており、顧客企業における潜在的なマーケティング予算削減のニーズに対し、とりわけメディアプランニング・バイイングの領域において、価格競争が激化する恐れもあります。 当社グループは、長年の経験で培った生活者インサイトと統合されたソリューションを提供しており、このような高付加価値を引き続き提供することで、競合社との差別化が図られ、強固な顧客との関係性を維持し、過度の価格競争を回避できると考えております。 ② グローバル企業の扱い喪失リスク当社グループの顧客には、グローバルレベルで事業を展開する企業が多数含まれます。これらの顧客は、広告キャンペーンの統一性を担保する必要性や効率的な運用の観点から、グローバルレベル(あるいはAPAC等の地域レベル)で取り扱い広告会社を選定する入札(グローバルピッチ)を実施することがあります。グローバルピッチは対象となるメディア予算などの取扱高が多額になる傾向があります。 今後、当社グループの既存顧客が実施するグローバルピッチで当社グループが敗北した場合、当社グループの収益減少につながる可能性があります。または、これらのピッチで勝利するために従来よりも低マージンでの受注を余儀なくされた場合、当社グループのオペレーティング・マージンの悪化につながる可能性があります。一方、そういったクライアントに対して、提供する価値に対する正当な対価を得るため、全社的な取り組みを推進しております。 ③ メディア環境の構造変化に伴うリスク生活者を取り巻くメディア環境は、イノベーションを背景に、グローバルレベルで大きくデジタルへとシフトしています。当社グループは、このメディア環境の構造変化を商機と捉え、次世代のメディアにグループのリソースを柔軟に配分・投下し、常に最新の生活者の行動原理に合わせたマーケティングソリューションを顧客企業に提供しています。 しかしながら、当社グループが、メディア環境の構造変化に迅速かつ適切に対応できない場合、メディアからの収益の喪失、顧客との関係性の悪化などに繋がり、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、このメディア環境の構造変化は、国・地域ごとに異なる形態および時間軸で進行しており、当社グループが、一部の国・地域において、この潮流に乗り遅れるリスクもあります。 ④ 異業種との競争の拡大当社グループは、同業の広告会社グループやデジタルエージェンシーグループとの競争に加え、この数年でコンサルタント、テックカンパニーなど異業種との新たな競争にさらされています。顧客からの広告・マーケティング活動の効率化・最適化の要求が強まり、生活者ひとりひとりにカスタマイズしたマーケティング・コミュニケーションへの要求が高まる中、データアナリティクス領域、カスタマーエクスペリエンス(CX)領域、コンサルティング領域の企業と競合するケースが増えております。今後、当社グループの既存の基軸事業である広告マーケティング領域と他領域の間の境界線が今後ますます曖昧になり、異業種との競争が激化した場合、当社グループの収益の一部を異業種の競合社に奪われる可能性があります。 当社グループは、この業界構造の変化を商機と捉え、広告マーケティングで培ったノウハウを、データとテクノロジーと融合して進化させ、コンシューマー・インテリジェンスを活用した統合ソリュ―ションを提供するモデルを確立していきます。 (6) コンテンツ事業に係るリスク当社グループは、国内・海外を問わず、映画への制作出資やスポーツイベントの放送権の仕入販売などのコンテンツ事業を展開しております。これらのコンテンツ事業には、収入を得る前に支払が先行するもの、収支計画が多年度にわたるものが多く含まれております。また、大型のスポーツイベントの協賛権や放送権の獲得などには多額の財務的コミットメントを必要とするものもあります。 当社グループはこれらのコンテンツ事業領域に長く従事しているため一定の精度で収支計画を立てる知見を有しており、また多くのコンテンツ事業案件をポートフォリオとして管理することでコンテンツ事業のリスク分散を図っております。 しかしながら、コンテンツ事業の収入を左右する生活者の反応を確実に予測することは困難であり、案件が収支計画通りに進捗しない場合、また、当社グループによる仕入金額を下回る金額でしか協賛権や放送権を顧客に販売できない場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (7)DI社に係るのれんおよび無形資産の減損リスク当社は2013年3月の英国の大手広告会社Aegis Group plc(以下、イージス社)買収後、当社グループの海外事業の推進を一本化して現Dentsu International Limited(以下、DI社、旧電通イージス・ネットワーク社)に再編しました。当社グループは、イージス社の買収、およびその後DI社がグローバルレベルで実施した、多数の会社の買収に伴い、多額ののれんおよび無形資産を計上しております。当社グループは、2020年度においてのれんの減損テストを実施した結果、コロナ禍の長期化により高まった事業環境の不透明化を考慮し、DI社に係るのれんについて1,403億円の減損損失を計上しました。今後の減損テストの結果、再び減損損失が発生した場合、当社グループの業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (8)情報セキュリティ・サイバーセキュリティに係るリスク当社グループは、その業務遂行の過程で、顧客企業の未公開の商品・サービス情報や事業戦略に係る情報を受領することが頻繁にあります。当社グループでは情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格を取得するなど、情報管理には万全を期しておりますが、万一情報漏えい等の事故が発生した場合、当社グループの信頼性が損なわれ、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、想定外の外部サイバー攻撃、従業員またはサプライヤーのアクションによって、重大なビジネスシステムおよびデータの機密性、完全性または可用性が脅かされ、その結果、重大な運用・規制・財務・レピュテーション上の、またはクライアントへの影響が生じる可能性があります。 当社グループでは、セキュリティリスクへの対応を確かなものとするため、国内・海外のネットワークのセキュリティ部門を束ねるグループ・セキュリティ機能を設け、進化する脅威の需要協を継続的に評価し、ERMアプローチに沿ったリスク管理とコントロールの有効性評価を行っています。 (9)サステナビリティ課題に係るリスク 当社グループは、「ソーシャルインパクトとESG」を中期経営計画の4つの柱の一つに掲げ、2021年1月には、未来のすべての人々のために真に持続可能な価値を創造することを目指した「2030サステナビリティ戦略」を策定し、「持続可能な世界」「公平で開かれた社会」「デジタルにおける社会貢献」の3つの優先事項を中心に、同戦略に掲げた環境および社会性指標の目標を達成する施策を推進しております。 しかしながら、社会・経済の外部環境要因などにより、これらの目標達成が計画通りに進捗しなかった場合には、当社グループのレピュテーションなどに悪影響がある可能性があります。 当社グループでは、経営トップが推進するサステナビリティ・ビジネス・ボードを発足させ、電通グループの成長戦略、企業文化、そして事業運営の中心に持続可能性を据え、事業成長とサステナビリティ戦略の統合向けた活動を推進しています。 (10)法規制・訴訟等に係るリスク① 労働法規に違反するリスク当社グループは、社員ひとりひとりが恒常的に良好なコンディションを維持できる労働環境を整えることを経営の最優先課題の1つとして取り組んでおりますが、同労働環境の整備が維持できない場合、当社グループの社員のモチベーションおよびパフォーマンスの低下、優秀な社員の外部流出、多様性ある人材の獲得の困難化などの事態が発生し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社の完全子会社である株式会社電通を中心に2017年度から継続的に取り組んでいる労働環境改革により、国内における社員の労働環境は着実に改善されているものの、労務管理上の不祥事が再発した場合、当社グループのレピュテーションが大きく悪化する可能性があります。 ② 個人情報等に係るリスク当社グループは、その業務遂行の過程で、顧客企業にとっての既存顧客・潜在顧客の個人情報を受領することがあります。また、顧客企業からの消費者ひとりひとりにカスタマイズしたマーケティング・コミュニケーションへの要求が高まる中、パーソナルデータを利活用した商品・サービスを開発して顧客企業に提供しております。当社グループは、国内・海外を問わず、個人情報保護法およびEU一般データ保護規則等の法令または諸規制を遵守し、また、これら法令または諸規制の改定に迅速に対応しており、現時点においてこれらの法令または諸規制が当社グループの事業に悪影響を及ぼすことは想定しておりません。しかしながら、万一個人情報の漏えい等の事故が発生した場合、当社グループの信頼性が損なわれ、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、今後、これら法令または諸規制が改定され、一方、倫理的な観点から、当社グループのパーソナルデータの利活用に何らかの制限が課され、商品・サービスの一部を顧客企業に提供できなくなった場合、当社グループの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。 ③ 訴訟等に係るリスク当社グループ会社が広範な領域にわたり遂行している事業は、国内・海外問わず、政府機関・顧客・媒体社・協力会社等から調査・訴訟・メディア監査等に基づく請求等を受けることがあります。なお、インドにおける偶発負債等については、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 38.偶発負債 インドにおける偶発負債等について」をご参照ください。 (11)災害、事故等に関わるリスク当社グループが事業を遂行または展開する地域において、自然災害、電力その他の社会的インフラの障害、通信・放送の障害、流通の混乱、大規模な事故、伝染病、パンデミックの再発、戦争、テロ、政情不安、社会不安等が起こった場合には、当社グループ又は当社グループの取引先の事業活動に悪影響を及ぼし、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、地域・マーケット毎に想定される上記の問題に対し、DJNならびにDIのリスク委員会において、クライシス・マネジメントや事業継続計画(BCP)を定期的に検討しております。なお、2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻した影響については、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 39.重要な後発事象 (ロシア・ウクライナ情勢)」をご参照ください。
FY2020|6,777 文字
2 【事業等のリスク】当社グループの戦略・事業その他を遂行する上でのリスクについて、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しています。ただし、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見出来ない、または重要と見なされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。当社グループではこのような経営及び事業リスクを最小化するとともに、これらを機会として活かすための様々な対応および仕組み作りを行っております。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。 当社グループのリスク管理体制当社グループでは、下図のようなコーポレートガバナンス体制の下、経営目標の達成を阻害する将来の不確実な要因としてのリスクの管理を所管する内部統制・リスク委員会を設置しています。2020年は内部統制・リスク委員会を3回開催し、ERM(Enterprise Risk Management: 全社的リスクマネジメント)のアプローチを基軸に、グループ経営上重要なリスクを識別・評価し、そのリスクの顕在化の予防および顕在化した場合の影響の最小化のため、リスク・スポンサーを選定、リスク対応計画の策定と実施を委任し、その対応状況のモニタリングを定期的に行っていました。また、国内事業である電通ジャパンネットワーク(以下、DJN)に内部統制・リスク委員会、海外事業である電通インターナショナル(以下、DI)にリスク委員会を設置し、同様のリスク管理活動を行っています。2020年は、DJN内部統制・リスク委員会を6回、DIのリスク委員会を4回開催いたしました。 コーポレートガバナンス体制 (1) 景気変動ならびにコロナ禍が加速する社会的変革に伴うリスク当社グループの業績は、景気によって主要な顧客である企業からの予算が増減されることが多いため、景気変動の影響を受けやすい傾向があります。とりわけ、新型コロナウイルスの世界的蔓延に伴うマクロ経済の減速の継続が、当社グループの業績に引き続き悪影響を及ぼす可能性があります。コロナ禍の影響は、経済面に留まらず、生活者の意識と行動様式の変化を加速させ、企業も、D2Cコマースのチャネル構築やデジタルトランスフォーメーションの実装など企業活動の本質的な転換が迫られる中、当社グループへの顧客のニーズは、従来の広告・コミュニケーション領域を超え、高度化・複合化しており、当社グループが適切な対応ができない場合は、中長期的な事業成長に悪影響を及ぼす可能性があります。 (2) 中長期の視点での新たなビジネス開発に伴うリスク当社グループは、上記のような事業環境の変化に速やかに対応し、新たな事業機会を的確に捉えるための事業変革を企図した「中期経営計画―構造改革と事業変革による持続的な成長の実現―」を策定し、2021年2月に発表いたしました。本計画では、広告マーケティングで培ったノウハウをデータとテクノロジーと融合し進化させるとともに、「カスタマートランスフォーメーション&テクノロジー」事業と位置付けた顧客企業の事業変革を支援する領域の強化による成長戦略の実践を骨子のひとつとしています。しかしながら、グループ内のイノベーションの不足、生活者動向の読み違い、過度に楽観的な事業計画、共同事業パートナーとの交渉難航などの理由で、これらのビジネス開発が中長期的に収益化できず、当社グループの業績に悪影響が出る可能性があります。また、仮に中長期的に収益化できる事業であっても、投下した資本の回収に遅延が出た場合、一時的に当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (3) 人材に係るリスク当社グループの成長力および競争力は、優秀な人材の獲得と維持に依存します。そのため、労働市場の逼迫による人材不足等に起因して、当社グループが必要な人材を十分に確保できない場合、顧客への高付加価値のサービス提供ができずに当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの「中期経営計画―構造改革と事業変革による持続的な成長の実現―」の実現のためには、社員のエンゲージメントが重要であり、グループ内で、ダイバーシティ&インクルージョンなどを含めたビジョンや価値観を実行できなかった場合、あるいは社員のモチベーションを保つことができなかった場合、社員のロイヤルティが低くなり、優秀な人材を惹きつけ維持することが難しくなるリスクが存在します。 当社グループは、長期的に目指す方向性として「an invitation to the never before.」というタグラインと8つの行動指針「8 WAYS」からなる新しいビジョン&バリューを掲げ、世界中の電通グループ内の企業・個人、さらには外部パートナーとの価値創造に向けたチーミングを推進・加速することで、多様性を競争力につなげていく企業風土の浸透に取り組んでいます。 (4)事業の構造改革に係るリスク当社グループは、事業・競争環境の急速な変化に対応するため、構造改革の加速を決定しました。海外事業においては、2年間で、現在160以上あるエージェンシーブランドの数を6つのグローバルリーダーシップブランドへ統合します。また、国内事業においては、「ビジネスフォーメーションの変革」「人財フォーメーションの変革」「オフィス環境の進化」を推進します。この構造改革により、新たな事業モデルの導入を加速してクライアントへより良いサービスを提供し、従業員満足度の向上、収益の拡大およびオペレーティング・マージンの改善を目指します。しかしながら、同構造改革が想定通りに進まなかった場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (5)既存の広告業界の競争環境と構造変化に起因するリスク① 広告業界競合社との価格競争のリスク当社グループは、国内・海外を問わず、競合する広告会社グループやデジタルエージェンシーグループとの競争にさらされており、顧客企業における潜在的なマーケティング予算削減のニーズに対し、とりわけメディアプランニング・バイイングの領域において、価格競争が激化する恐れもあります。 当社グループは、長年の経験で培った生活者インサイトと統合されたソリューションを提供しており、このような高付加価値を引き続き提供することで、競合社との差別化が図られ、強固な顧客との関係性を維持し、過度の価格競争を回避できると考えております。 ② グローバル企業の扱い喪失リスク当社グループの顧客には、グローバルレベルで事業を展開する企業が多数含まれます。これらの顧客は、広告キャンペーンの統一性を担保する必要性や効率的な運用の観点から、グローバルレベル(あるいはAPAC等の地域レベル)で取り扱い広告会社を選定する入札(グローバルピッチ)を実施することがあります。グローバルピッチは対象となるメディア予算などの取扱高が多額になる傾向があります。 今後、当社グループの既存顧客が実施するグローバルピッチで当社グループが敗北した場合、当社グループの収益減少につながる可能性があります。または、これらのピッチで勝利するために従来よりも低マージンでの受注を余儀なくされた場合、当社グループのオペレーティング・マージンの悪化につながる可能性があります。一方、そういったクライアントに対して、提供する価値に対する正当な対価を得るため、全社的な取り組みを推進しております。 ③ メディア環境の構造変化に伴うリスク生活者を取り巻くメディア環境は、イノベーションを背景に、グローバルレベルで大きくデジタルへとシフトしています。当社グループは、このメディア環境の構造変化を商機と捉え、次世代のメディアにグループのリソースを柔軟に配分・投下し、常に最新の生活者の行動原理に合わせたマーケティングソリューションを顧客企業に提供しています。 しかしながら、当社グループが、メディア環境の構造変化に迅速かつ適切に対応できない場合、メディアからの収益の喪失、顧客との関係性の悪化などに繋がり、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、このメディア環境の構造変化は、国・地域ごとに異なる形態および時間軸で進行しており、当社グループが、一部の国・地域において、この潮流に乗り遅れるリスクもあります。 ④ 他業種との競争の拡大当社グループは、同業の広告会社グループやデジタルエージェンシーグループとの競争に加え、この数年でコンサルタント、テックカンパニーなど他業種との新たな競争にさらされています。顧客からの広告・マーケティング活動の効率化・最適化の要求が強まり、生活者ひとりひとりにカスタマイズしたマーケティング・コミュニケーションへの要求が高まる中、データアナリティクス領域、カスタマーエクスペリエンス(CX)領域、コンサルティング領域の企業と競合するケースが増えております。今後、当社グループの既存の基軸事業である広告マーケティング領域と他領域の間の境界線が今後ますます曖昧になり、他業種との競争が激化した場合、当社グループの収益の一部を他業種の競合社に奪われる可能性があります 当社グループは、この業界構造の変化を商機と捉え、広告マーケティングで培ったノウハウを、データとテクノロジーと融合して進化させ、コンシューマー・インテリジェンスを活用した統合ソリュ―ションを提供するモデルを確立していきます。 ⑤ 海外におけるインハウス化の潮流この数年、海外の広告市場、とりわけ米国市場を中心に、顧客企業が従来広告会社に外注してきたマーケティング活動の一部を顧客内部で実施する潮流(インハウス化)が広がっており、旧来型の広告会社の提供サービスへの需要が減るとともに、顧客のインハウス化を支援できるコンサルティング機能への需要が高まっています。当社グループは、CXマーケティング・サービスラインを中心にこの潮流に対応したコンサルティング機能の強化を図っておりますが、当社グループ傘下の一部の広告会社は、この潮流の影響を受けて収益が減少する可能性があります。 (6) コンテンツ事業に係るリスク当社グループは、国内・海外を問わず、映画への制作出資やスポーツイベントの放送権の仕入販売などのコンテンツ事業を展開しております。これらのコンテンツ事業には、収入を得る前に支払が先行するもの、収支計画が多年度にわたるものが多く含まれております。また、大型のスポーツイベントの協賛権や放送権の獲得などには多額の財務的コミットメントを必要とするものもあります。 当社グループはこれらのコンテンツ事業領域に長く従事しているため一定の精度で収支計画を立てる知見を有しており、また多くのコンテンツ事業案件をポートフォリオとして管理することでコンテンツ事業のリスク分散を図っております。 しかしながら、コンテンツ事業の収入を左右する生活者の反応を確実に予測することは困難であり、案件が収支計画通りに進捗しない場合、また、当社グループによる仕入金額を下回る金額でしか協賛権や放送権を顧客に販売できない場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (7)DI社に係るのれんおよび無形資産の減損リスク当社は2013年3月の英国の大手広告会社Aegis Group plc(以下、イージス社)買収後、当社グループの海外事業の推進を一本化して現電通インターナショナル社(以下、DI社、旧電通イージス・ネットワーク社)に再編しました。当社グループは、イージス社の買収、およびその後DI社がグローバルレベルで実施した、多数の会社の買収に伴い、多額ののれんおよび無形資産を計上しております。当社グループは、主に海外事業における業績の低迷やコロナ禍によりさらに高まる事業環境の不透明感を踏まえ、2020年は毎四半期末に減損テストを実施してきました。その結果、コロナ禍の長期化によりさらに高まる事業環境の不透明化を考慮し、2020年度決算で海外事業において1,403億円ののれん減損損失を計上しました。今後の減損テストの結果、再び減損損失が発生した場合、当社グループの業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (8)情報セキュリティ・サイバーセキュリティに係るリスク当社グループは、その業務遂行の過程で、顧客企業の未公開の商品・サービス情報や事業戦略に係る情報を受領することが頻繁にあります。当社グループでは情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格を取得するなど、情報管理には万全を期しておりますが、万一情報漏えい等の事故が発生した場合、当社グループの信頼性が損なわれ、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、想定外の外部サイバー攻撃、従業員またはサプライヤのアクションによって、重大なビジネスシステムおよびデータの機密性、完全性または可用性が脅かされ、その結果、重大な運用・規制・財務・レピュテーション上の、またはクライアントへの影響が生じる可能性があります。 当社グループでは、セキュリティリスクへの対応を確かなものとするため、国内・海外のネットワークのセキュリティ部門を束ねるグループ・セキュリティ機能を設け、進化する脅威の需要協を継続的に評価し、ERMアプローチに沿ったリスク管理とコントロールの有効性評価を行っています。 (9)法規制・訴訟等に係るリスク① 労働法規に違反するリスク当社グループは、社員ひとりひとりが恒常的に良好なコンディションを維持できる労働環境を整えることを経営の最優先課題の1つとして取り組んでおりますが、同労働環境の整備が維持できない場合、当社グループの社員のモチベーションおよびパフォーマンスの低下、優秀な社員の外部流出、多様性ある人材の獲得の困難化などの事態が発生し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社の完全子会社である株式会社電通を中心に2017年度から継続的に取り組んでいる労働環境改革により、国内における社員の労働環境は着実に改善されているものの、労務管理上の不祥事が再発した場合、当社グループのレピュテーションが大きく悪化する可能性があります。 ② 個人情報等に係るリスク当社グループは、その業務遂行の過程で、顧客企業にとっての既存顧客・潜在顧客の個人情報を受領することがあります。また、顧客企業からの消費者ひとりひとりにカスタマイズしたマーケティング・コミュニケーションへの要求が高まる中、パーソナルデータを利活用した商品・サービスを開発して顧客企業に提供しております。当社グループは、国内・海外を問わず、個人情報保護法およびEU一般データ保護規則等の法令または諸規制を遵守し、また、これら法令または諸規制の改定に迅速に対応しており、現時点においてこれらの法令または諸規制が当社グループの事業に悪影響を及ぼすことは想定しておりません。しかしながら、万一個人情報の漏えい等の事故が発生した場合、当社グループの信頼性が損なわれ、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、今後、これら法令または諸規制が改定され、一方、倫理的な観点から、当社グループのパーソナルデータの利活用に何らかの制限が課され、商品・サービスの一部を顧客企業に提供できなくなった場合、当社グループの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。 ③ 訴訟等に係るリスク現在、当社グループは、その業績に重大な影響を及ぼし得る訴訟等を抱えておりません。しかしながら、当社グループが広範な領域にわたり遂行している事業は、国内・海外を問わず、常に顧客・媒体社・協力会社等から訴訟を提起されるリスクを内包しております。 (10)災害、事故等に関わるリスク当社グループが事業を遂行または展開する地域において、自然災害、電力その他の社会的インフラの障害、通信・放送の障害、流通の混乱、大規模な事故、伝染病、パンデミックの再発、戦争、テロ、政情不安、社会不安等が起こった場合には、当社グループ又は当社グループの取引先の事業活動に悪影響を及ぼし、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、地域・マーケット毎に想定される上記の問題に対し、DJNならびにDIのリスク委員会において、クライシス・マネジメントや事業継続計画(BCP)を定期的に検討しております。
FY2019|6,365 文字
2 【事業等のリスク】当社グループの業績、株価および財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。 (1) 景気変動に伴うリスク当社グループを含めた広告会社の業績は、景気によって広告支出を増減させる広告主が多いため、景気変動の影響を受けやすい傾向があります。とりわけ、新型肺炎コロナウイルスの感染拡大は世界規模でマクロ経済に影響を与えており、これに伴い、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の延期をはじめ企業や団体等によるイベントを含む広告コミュニケーション活動にも中止や延期による影響が生じ始めています。それに加えて、国内・海外を問わず、広告支出額の大きい産業部門(自動車業界や飲料業界など)の事業環境の変化が、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 (2) 広告業界内の競争環境に起因するリスク① 競合社との価格競争のリスク当社グループは、国内・海外を問わず、同業の広告会社グループやデジタルエージェンシーグループとの厳しい競争にさらされており、顧客企業における営業費削減のニーズが強まる中で、とりわけメディアプランニング・バイイングの領域において、競合社との価格競争に巻き込まれるケースもあります。当社グループは、従来から、単に顧客の商品・サービスの広告作業や各種マーケティング施策を受託するに留まらず、顧客の抱える課題の本質を見極め、その課題解決に向けた統合的ソリューションをデザインし、提案から実施までワンストップで提供できる体制を整えてまいりました。このような高付加価値のソリューションを引き続き提供することで、競合社との差別化が図られ、価格競争に巻き込まれない強固な顧客との関係性を維持できると考えております。しかしながら、競合社との価格競争により低マージンで受注せざるを得ないケース、または利益を確保できないために受注を辞退せざるを得ないケースが増加した場合、当社グループの収益の減少やオペレーティングマージンの悪化につながる可能性があります。② グローバル企業の扱い喪失リスク当社グループの顧客には、グローバルレベルで事業を展開する企業が多数含まれます。これらの顧客は、広告キャンペーンの統一性を担保する必要性や効率的な運用の観点から、とりわけメディアプランニング・バイイングの領域において、グローバルレベル(あるいはAPAC等の地域レベル)で取り扱い広告会社を選定する入札(グローバルピッチ)を実施することがあります。グローバルピッチは対象となる広告宣伝費の取扱高が多額になる傾向があります。今後、当社グループの既存顧客が実施するグローバルピッチで当社が敗北した場合、またはこれらのピッチで勝利するために従来よりも低マージンでの受注を余儀なくされた場合、当社グループの収益の減少やオペレーティングマージンの悪化につながる可能性があります。 (3) 広告業界の構造変化に起因するリスク① メディア環境の構造変化に伴うリスク生活者を取り巻くメディア環境は、インターネットおよびデジタルデバイスの技術革新を背景に、グローバルレベルで大きくデジタルへとシフトしています。当社グループは、このメディア環境の構造変化を商機と捉え、次世代のメディアにグループのリソースを柔軟に配分・投下し、常に最新の生活者の行動原理に合わせたマーケティングソリューションを顧客企業に提供することで、このメディア環境の構造変化を収益拡大につなげております。しかしながら、当社グループがこのメディア環境の構造変化に迅速かつ適切に対応できない場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、このメディア環境の構造変化は、国・地域ごとに異なる形態および時間軸で進行しており、当社グループが、一部の国・地域において、この潮流に乗り遅れるリスクもあります。とりわけ、国内において、マス四媒体(新聞、雑誌、テレビ、ラジオ)の生活者への浸透度や影響力が今後急速に弱まり、それに伴い広告出稿が減少した場合、国内事業の収益の減少やオペレーティングマージンの悪化につながる可能性があります。② 他業種との競争の拡大当社グループは、同業の広告会社グループやデジタルエージェンシーグループとの競争に加え、この数年で他業種との新たな競争にさらされています。顧客からの広告・マーケティング活動の効率化・最適化の要求が強まり、生活者ひとりひとりにカスタマイズしたマーケティング・コミュニケーションへの要求が高まる中、データアナリティクス領域、カスタマーエクスペリエンス(CX)領域、コンサルティング領域の企業と競合するケースが増えております。当社グループは、この業界構造の変化を商機と捉え、国内においては、顧客企業の課題を人(People)基点で捉え直し、必要な人に、必要な場所で、必要なタイミングで情報提供することを目指した統合マーケティング・フレームワークPeople Driven Marketingを軸に据えて、顧客企業のマーケティング戦略の立案から実施まで提供できる体制を整えております。また、海外においては、2016年に米国のマークル社を買収して大規模なデータアナリティクス関連のケイパビリティを獲得する等の施策により、業界構造の変化に対応しつつ大きなトップラインの成長を実現しております。しかしながら、当社グループの基軸事業である広告マーケティング領域と他領域の間の境界線が今後ますます曖昧になり、他業種との競争が激化した場合、当社グループの収益の一部を他業種の競合社に奪われる可能性があります。③ 海外におけるインハウス化の潮流この数年、海外の広告市場、とりわけ米国市場を中心に、顧客企業が従来広告会社に外注してきたマーケティング活動の一部を顧客内部で実施する潮流(インハウス化)が広がっており、旧来型の広告会社の提供サービスへの需要が減るとともに、顧客のインハウス化を支援できるコンサルティング機能への需要が高まっています。当社グループは、マークル社を中心にこの潮流に対応したコンサルティング機能の強化を図っておりますが、当社グループ傘下の一部の広告会社は、この潮流の影響を受けて収益が減少する可能性があります。 (4) テクノロジーおよびサービスの陳腐化に起因するリスク当社グループは、顧客企業のマーケティング・コミュニケーション上の課題を解決するソリューションを提供するために、アドテクノロジーやマーケティングテクノロジー等への継続的な投資および独自のデータマーケティングプラットフォームの開発等を行っております。しかしながら、これらの投資や開発が想定通りに進まない可能性または顧客企業の課題解決に最適なソリューションに必ずしもつながらない可能性、当社グループのテクノロジーまたはサービスが技術革新により陳腐化する可能性、競合社が当社グループよりも顧客企業の課題解決に資するテクノロジーまたはサービスを開発する可能性等があります。 (5) コンテンツ事業に係るリスク当社グループは、国内・海外を問わず、映画への制作出資やスポーツイベントの放送権の仕入販売などのコンテンツ事業を展開しております。これらのコンテンツ事業には、収入を得る前に支払が先行するもの、収支計画が多年度にわたるものが多く含まれております。また、大型のスポーツイベントの協賛権や放送権の獲得などには多額の財務的コミットメントを必要とするものもあります。当社グループはこれらのコンテンツ事業領域に長く従事しているため一定の精度で収支計画を立てる知見を有しており、また多くのコンテンツ事業案件をポートフォリオとして管理することでコンテンツ事業のリスク分散を図っております。しかしながら、コンテンツ事業の収入を左右する生活者の反応を確実に予測することは困難であり、案件が収支計画通りに進捗しない場合、また、当社による仕入金額を下回る金額でしか協賛権や放送権を顧客に販売できない場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (6) 売掛金の未収リスク顧客企業が倒産等した場合に、広告料金を含む業務受託料等の売掛金の一部が未収となるリスクがあります。これらのケースが増加した場合、当社グループの業績及び資金繰りに悪影響を及ぼす可能性があります。 (7) 海外事業の構造改革に係るリスク当社グループは、当期の海外事業の業績の低迷を受けて、オーストラリア、ブラジル、中国、フランス、ドイツ、シンガポール及び英国の7つの市場を対象として、対象市場全体の約11%の人員削減を含む構造改革に着手しております。この構造改革により、新たな事業モデルの導入を加速してクライアントへより良いサービスを提供し、従業員満足度の向上、収益の拡大およびオペレーティング・マージンの改善を目指します。しかしながら、同構造改革が想定通りに進まなかった場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (8) 中長期の視点での新たなビジネス開発に伴うリスク当社グループは、国内において、中長期での新たな収益源の確保を企図して、新たな事業の開発やビジネスモデルの構築に向けた様々な取り組みを強化しております。これらには、顧客企業との共同事業への取り組みや、広告・マーケティング領域とは必ずしも関連性のない領域でのビジネス開発も含みます。例えば、2019年度の、株式会社北海道日本ハムファイターズおよび日本ハム株式会社との新球場の運営業務等に係る合弁会社の設立などが挙げられます。しかしながら、技術革新、消費者動向の読み違い、過度に楽観的な事業計画、共同事業パートナーとの交渉難航など様々な理由で、これらのビジネス開発が中長期的に収益化できず、当社グループの業績に悪影響が出る可能性があります。また、仮に中長期的に収益化できる事業であっても、投下した資本の回収に一定の期間を要する場合、一時的に当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (9) 人材の確保に係るリスク当社グループの成長力および競争力は、優秀な人材の獲得および退職率の低減に依存します。当社グループは、従業員に対して労働市場で一定の競争力ある待遇を提供すること、および従業員ひとりひとりがやりがいを持つとともに成長を実感できる業務にアサインすること等で、優秀な人材の確保および退職率の低減を図りつつ、従業員ひとりひとりの能力を最大限に活性化するよう努めております。しかしながら、労働市場の逼迫による人材不足等に起因して、当社グループが必要な人材を十分に確保できない場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (10) 電通イージス・ネットワーク社に係るのれんおよび無形資産の減損リスク当社は2013年3月に英国の大手広告会社Aegis Group plcを買収し、当社グループの海外事業の推進をイージス社に一本化して電通イージス・ネットワーク社に再編しました。当社は、イージス社の買収、およびその後電通イージス・ネットワーク社がグローバルレベルで実施した、マークル社を含む多数の会社の買収に伴い、多額ののれんおよび無形資産を計上しております。当社は、当期において、オーストラリア・中国等における業績の低迷やAPAC地域のマクロ環境の不透明感を踏まえ、同地域の事業計画を保守的に見直し、同地域を1つの資金生成単位グループとして減損テストを行いました。その結果、同地域に係る将来キャッシュフローの見積もりおよび現在価値を減少させたことで、同地域に係るのれん減損損失約701億円を計上しました。当社は、APAC地域以外の地域に係るのれんおよび無形資産については、現時点で減損の必要はないと考えております。しかしながら、今後の資金生成単位グループ毎の減損テストの結果、再び減損損失が発生した場合、当社グループの業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (11) 法規制・訴訟等に係るリスク① 労働法規に違反するリスク当社グループは、社員ひとりひとりが恒常的に良好なコンディションを維持できる労働環境を整えることを経営の最優先課題の1つとして取り組んでおりますが、同労働環境の整備が不十分なものに留まるまたは遅延する場合、当社グループの社員のモチベーションおよびパフォーマンスの低下、優秀な社員の外部流出、多様性ある人材の獲得の困難化などの事態が発生し、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社の完全子会社である株式会社電通において2017年度から継続的に取り組んでいる労働環境改革により、同社の国内における社員の労働環境は着実に改善され、2016年度に「2,166時間」だった社員1人当たり総労働時間は2019年度には「1,903時間」にまで減少したものの、同社における労務管理上の不祥事が再発した場合、当社グループのレピュテーションが大きく悪化する可能性があります。② 個人情報等に係るリスク当社グループは、その業務遂行の過程で、顧客企業にとっての既存顧客・潜在顧客の個人情報を受領することがあります。また、顧客企業からの消費者ひとりひとりにカスタマイズしたマーケティング・コミュニケーションへの要求が高まる中、パーソナルデータを利活用した商品・サービスを開発して顧客企業に提供しております。当社グループは、国内・海外を問わず、個人情報保護法およびEU一般データ保護規則等の法令または諸規制を遵守し、また、これら法令または諸規制の改定に迅速に対応しており、現時点においてこれらの法令または諸規制が当社グループの事業に悪影響を及ぼすことは想定しておりません。しかしながら、万一個人情報の漏えい等の事故が発生した場合、当社グループの信頼性が損なわれ、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、今後、これら法令または諸規制が改定され、当社のパーソナルデータの利活用に何らかの制限が課され、当社の商品・サービスの一部を顧客企業に提供できなくなった場合、当社グループの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。③ 情報セキュリティに係るリスク当社グループは、その業務遂行の過程で、顧客企業の未公開の商品・サービス情報や事業戦略に係る情報を受領することが頻繁にあります。当社グループでは情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格を取得するなど、情報管理には万全を期しておりますが、万一情報漏えい等の事故が発生した場合、当社グループの信頼性が損なわれ、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。④ 訴訟等に係るリスク現在、当社グループは、その業績に重大な影響を及ぼし得る訴訟等を抱えておりません。しかしながら、当社グループが広範な領域にわたり遂行している事業は、国内・海外を問わず、常に顧客・媒体社・協力会社等から訴訟を提起されるリスクを内包しております。 (12) 災害、事故等に関わるリスク当社グループが事業を遂行又は展開する地域において、自然災害、電力その他の社会的インフラの障害、通信・放送の障害、流通の混乱、大規模な事故、伝染病、戦争、テロ、政情不安、社会不安等が起こった場合には、当社グループ又は当社グループの取引先の事業活動に悪影響を及ぼし、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
FY2018|6,473 文字
2 【事業等のリスク】当社グループの経営成績、株価および財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。また、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努めます (1)広告業界全般に関するリスク① 景気変動によるリスク当社グループを含めた広告会社の業績は、市場変化や景気の影響を受けやすい傾向があります。市場変化や景気によって広告支出を増減させる広告主が多いためです。 当社グループは、サービス内容や事業を行う地域の多様化を進めるなど、景気の影響を受けにくい事業構造の形成に努力しております。しかし、国内マクロ経済の動向および広告支出額の大きい国内主要産業部門における事業環境の変化が、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、海外景気の減速や為替変動等が、国内景気に悪影響を与える場合もあります。2011年3月に発生した東日本大震災は、サプライチェーンの寸断、電力不足その他の事由により、日本経済に大きな悪影響を与えました。その後、国内の経済および事業環境は改善しましたが、将来において地震その他の大きな自然災害等が再び生じた場合には事業環境に悪影響を与える可能性があります。また、当社は2013年3月に、英国の大手広告会社Aegis Group plcを買収しました。これにより当社グループの売上総利益に占める海外比率は大幅に増加し、2018年度では60.4%となりました。この結果、当社グループが事業を行う海外の主要な市場における経済環境や事業環境の悪化が、当社グループ全体の業績にさらに悪影響を与える可能性があります。 ② 技術革新およびメディアの構造変化によるリスク当社グループの事業は技術革新およびメディアの構造変化による影響を受けています。2018年日本の広告費(当社発行)によれば、インターネット広告費は1996年の調査開始以来、伸長を続けており、マス四媒体広告費(新聞、雑誌、ラジオ、テレビの4つのマス媒体に掲出される広告費)のうち新聞、雑誌、ラジオの広告費を上回る規模になっております。当社グループは、インターネット等を活用した広告手法の発達は、マス四媒体広告と、インターネット広告の連携による相乗効果をより高め、将来にわたって広告市場全体の拡大に貢献するものと考えます。既に当社グループはマス四媒体広告のみならずインターネット広告においても主導的な地位を占めており、さらなる事業機会の発掘と拡大に取り組んでおります。しかしながら、当社グループが急速な技術革新とこれに伴うメディアの構造変化に適切に対応できなければ当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。 ③ 取引慣行等に伴うリスク当社グループは、国内においては、広告主の倒産等の場合に、広告主から広告料金の支払を受けられないにもかかわらず、メディア会社等に対して支払債務を負担する可能性があります。広告主による未払いが増加した場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。広告業界においては、様々な事情により、広告計画や内容に、突然の変更が生じることが少なくありません。当社グループでは、主要取引先と基本契約を締結するなど、取引上のトラブルを未然に回避する努力を行っておりますが、不測の事故または紛争が生じる可能性があります。 海外においては、欧米を中心に、広告会社が同一業種に属する複数の広告主を担当しない「一業種一社制」と呼ばれる慣行があります。しかし、わが国では、このような慣行は一般的でなく、当社グループも、同一業種に属する複数の主要企業を顧客としています。仮にわが国の慣行が変化し、それに対する当社グループの対応が適切さを欠いた場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (2) 競合によるリスク① 広告会社との競合当社グループは、国内外において広告会社間における激しい競合に晒されております。 わが国においては国内広告会社間の事業統合や再編、外国広告会社による日本市場への更なる参入は業界構造を変化させ、競争を激化させる可能性があります。将来、顧客獲得をめぐる競合がさらに激しくなった場合、または、外国広告会社の日本市場への参入に伴う業界構造や取引慣行の変化に当社グループが適応できない場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、海外においては、当社グループは、広い地域において事業を運営し、豊富な財務、人材その他の経営資源を有する巨大な外国広告会社や、1またはいくつかの国または地域に特化した小規模な広告会社との間の競合に晒されています。かかる競合において、当社グループが競争力および主要な顧客を維持できない場合、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。 ② 隣接業種および新規参入企業との競合当社グループの事業領域が拡大するにつれて、総合商社、コンサルティング会社など隣接業種との競合が生じる機会も増加しております。さらにインターネット関係やソーシャル・ネットワーク・メディア関係の事業等においては新規参入企業も多く、これら企業と当社グループは、新規事業の開発等において競合する関係にあります。今後、これらの事業領域において当社グループがサービス面またはコスト面で顧客の要求に適切に応えることができない場合、または新規企業の参入により広告の取引慣行が急激に変化した場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (3) 広告主・メディア会社との関係に関するリスク当社グループは、わが国の主要広告主と取引関係を有しており、これら広告主の大半と長年にわたり安定的な取引関係を維持しております。 また、当社グループは、マスメディア各社の事業運営および営業活動を通じ、社業発展の基礎を作ってまいりました。このような活動により、当社グループは、広告主・メディア会社との間でのニーズ調整と円滑な取引を実現しております。 しかしながら、当社グループが、既存または新規の広告主またはメディア会社に対して、そのニーズに合致したサービスを提供できない場合には、取引関係の終了・解消、受注の減少または取引条件の変更等が生じる可能性があり、その結果、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 近年、広告主は、コスト削減の必要から、発注先の広告会社を1社に集中するなどの方法により、効率的な広告サービス提供の要求を強めています。そのため、マスメディア広告取引における収益性が低下する傾向が継続する場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (4) 国内市場における営業基盤の強化に関するリスク① 情報処理技術、データベース等の開発に関するリスク当社グループは、広告主による広告およびマーケティング支出の効果を実証的に検証するための情報処理技術や、データベース等の研究開発に取り組んでおり、これらの活動を通じて潜在的な需要を掘り起こすとともに、国内広告市場における当社グループのシェア拡大を目指しております。しかし、これら研究開発活動の成果が商品化・実用化される時期は未定であり、今後広告主ニーズの変化や、技術的な困難等によって、当社グループの研究開発活動が、予定した成果をあげられない可能性があります。 ② メディアおよびインターネット広告事業等への投資に関するリスク当社グループでは、メディア広告市場における地位を強固にするため、マス四媒体、OOHメディア(交通広告・屋外広告等のアウト・オブ・ホームメディア)および衛星メディア(BS放送およびCS放送)などへの投資、ならびにそれに関連するリサーチや事業開発プロジェクトに対する投資を行ってきております。しかし、メディア広告に対する需要が低迷した場合や競争が激化した場合等には、研究開発や事業化に要した投資に応じた収益や予定した成果をあげられない可能性があります。 また、インターネット広告の領域においては、当社グループはクロスメディア型キャンペーン提案(複数のメディアや広告表現を消費者の行動に合わせて効果的に掛け合わせたキャンペーン提案)の積極化はもちろんのこと、運用型広告(膨大なデータを処理するプラットフォームにより、広告の最適化を自動的もしくは即時的に支援する広告手法)等多様な広告手法や広告主の裾野の広がりに対応すべく、大手専門エージェンシーとのアライアンスや、その他専門会社や技術への積極的な投資を行っています。しかしながら、インターネット広告分野の技術やサービスの急速な進化に対し、当社グループの対応が適切でなかった場合は予定した成果があげられない可能性があります。 ③ プロモーション事業拡大に関するリスク広告主にとってプロモーション施策の重要性が高まっており、市場も拡大しています。当社グループはこの機会を捉え、店頭マーケティング専門会社、チラシ制作専門会社、ダイレクトビジネス専門会社、顧客アクセス専門会社などを設立し、プロモーション領域における事業拡大を図っています。しかしながら、広告主の需要が拡大しない場合、あるいは当社グループが競合会社に対する競争力を維持できない場合には、計画通りの事業拡大ができない可能性があります。 (5) コンテンツ事業に関するリスク当社グループでは、映画、テレビ番組、スポーツイベントおよび音楽等に関する権利の獲得、制作への投資を活発に行っており、映画やその他のコンテンツの製作・配給・販売、ライセンシングおよびスポンサーシップ権や放送権の販売、ならびに映画、その他のコンテンツに関する広告の販売から収入を得ています。しかし、これらの中には、事業計画が多年度にわたる場合、または多額の取得コストや財務的コミットメントを必要とする場合があります。また、昨今ではコンテンツを供給するメディアも多様化しております。しかも、コンテンツ事業の成否を左右する生活者の反応を確実に予測することは、困難であります。これら事業が計画どおりに進捗しない場合、また、予定した投資効果が得られなかった場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (6) グローバル事業に関するリスク① 海外事業展開に関するリスクAegis Group plcの買収により、当社グループは、現在海外140カ国・地域以上において事業を行っておりますが、海外での事業遂行に関しては、とりわけ以下の追加的なリスクを伴います。 ・ 多数かつ広範な国・地域での事業を管理し、調整することの困難さ・ グローバル経済の変動から受ける影響・ 資本規制・外国為替規制を含む、外国の法令、規制、政策等に関するリスク・ 当社グループが事業を行う様々な国・地域における税制の差異・矛盾・ 当社グループの海外子会社による送金その他の支払いに課される源泉徴収税等の賦課・増税を 含む税制の変更・ 外国為替相場の変動・ 契約や知的財産権の執行不可能性または労務管理上の制約を含む、法律・規制・ビジネス文化に おける様々な基準・実務慣行・ 貿易規制および関税制度の変更・ 政情不安に関するリスクおよび事業環境の不確実性・ 当社グループが事業を行う国・地域と日本との間の政治・経済的関係の変化・ テロ行為、戦争、疫病その他の社会不安要因・ 現地の労務管理および提携先の不適切行為を防止することの困難さ 上記のいずれかの事由により、当社グループの費用が増加し、収益が減少し、または業務に支障を来し、これにより当社グループの事業、財政状態または業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。 ② のれんおよび無形資産の減損に関するリスク当社グループは、Aegis Group plcの買収に伴い、多額ののれんおよび無形資産を計上しました。今後当該資産の価値が回復不能な程度に損なわれたと判断された場合には、減損を認識しなければならない可能性があり、当社グループの事業、財政状態または業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。 (7) 人材の確保と育成に関するリスク当社グループの成長力および競争力は、優秀な人材の確保とその育成に大きく依存します。人材の確保に関しては、新卒者の安定的採用や専門的知識・経験を持ち即戦力となる中途採用により確保を図っております。それとともに、本人の職務や能力に応じた教育研修等により、人材の育成を図っています。しかしながら、何らかの理由により人材の確保が困難になる可能性および優秀な人材が流出する可能性もあります。このような事態が生じた場合、当社グループの成長力と競争力に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、文化的・地理的に多様な背景を有する多数の従業員を有し、かかる人材の管理に関する課題に対処しています。特に、Aegis Group plcの買収によって新たに加わった多数の海外従業員との融合が課題となります。当社グループが有能な人材を確保し、十分に活用できず、これらの課題に適切に対処できない場合、当社グループの財政状態、業績または競争上の地位に悪影響を及ぼす可能性があります。 (8) 情報システムに関するリスク当社グループは、取引の執行、業績の報告および広告主のマーケティングまたは広告に関する情報の管理を含む当社グループの事業の管理のために、情報システムおよび情報インフラに依存しています。当社グループの情報システムは、システム障害やネットワークの寸断、システムへの不法な侵入および無差別攻撃に晒される可能性があります。同様に、従業員またはその他の者による許可を受けたうえでのまたは無許可の当社グループのシステムへのアクセスを通じたデータセキュリティの事故および侵害により、機密情報が無権限者または公衆に晒される可能性があります。また、当社グループは、データの保存、通信または処理について第三者を利用しています。当社グループはデータおよび情報システムを保護するために周到な対策を講じていますが、当社グループの取組みが当社グループまたは当社グループが利用する第三者のシステムにおけるシステム障害もしくはネットワークの寸断またはセキュリティ侵害を防止するという保証はなく、これらの事象が生じた場合には当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (9) 法規制等に関するリスク当社グループは、下請代金支払遅延等防止法、個人情報保護法等の法令および諸規制の適用を受けておりますが、いずれも現状では当社グループの事業に悪影響を及ぼす懸念はありません。しかしながら、今後、新たに広告主の広告活動、広告の形式および内容等に影響を及ぼす法令や、各種規制が採用もしくは強化された場合、または法令および各種規制の解釈が変化した場合には、広告業界および当社グループの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは事業遂行上、広告主の情報や個人情報等を取得することがあります。当社グループでは情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格を取得するなど、情報管理には万全を期しておりますが、万一情報漏えい等の事故が発生した場合には、当社グループの信頼性を著しく損なう可能性があり、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (10) 訴訟等について当社グループは、広告の内容および表現等当社グループの事業遂行に関連して提起される、取引先、各種団体、消費者または各種知的財産権の保有者等による訴訟に、直接または間接的に関与する可能性があります。
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4 【事業等のリスク】当社グループの経営成績、株価および財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。 (1) 広告業界全般に関するリスク① 景気変動によるリスク当社グループを含めた広告会社の業績は、市場変化や景気の影響を受けやすい傾向があります。市場変化や景気によって広告支出を増減させる広告主が多いためです。 当社グループは、サービス内容や事業を行う地域の多様化を進めるなど、景気の影響を受けにくい事業構造の形成に努力しております。しかし、国内マクロ経済の動向および広告支出額の大きい国内主要産業部門における事業環境の変化が、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、海外景気の減速や為替変動等が、国内景気に悪影響を与える場合もあります。2011年3月に発生した東日本大震災は、サプライチェーンの寸断、電力不足その他の事由により、日本経済に大きな悪影響を与えました。その後、国内の経済および事業環境は改善しましたが、将来において地震その他の大きな自然災害等が再び生じた場合には事業環境に悪影響を与える可能性があります。また、当社は2013年3月に、英国の大手広告会社イージス社を買収しました。これにより当社グループの売上総利益に占める海外比率は大幅に増加し、2017年度では58.8%となりました。この結果、当社グループが事業を行う海外の主要な市場における経済環境や事業環境の悪化が、当社グループ全体の業績にさらに悪影響を与える可能性があります。 ② 技術革新およびメディアの構造変化によるリスク当社グループの事業は技術革新およびメディアの構造変化による影響を受けています。2017年日本の広告費(当社発行)によれば、インターネット広告費は1996年の調査開始以来、伸長を続けており、マス四媒体広告費(新聞、雑誌、ラジオ、テレビの4つのマス媒体に掲出される広告費)のうち新聞、雑誌、ラジオの広告費を上回る規模になっております。当社グループは、インターネット等を活用した広告手法の発達は、マス四媒体広告と、インターネット広告の連携による相乗効果をより高め、将来にわたって広告市場全体の拡大に貢献するものと考えます。既に当社グループはマス四媒体広告のみならずインターネット広告においても主導的な地位を占めており、さらなる事業機会の発掘と拡大に取り組んでおります。しかしながら、当社グループが急速な技術革新とこれに伴うメディアの構造変化に適切に対応できなければ当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。 ③ 取引慣行等に伴うリスク当社グループは、国内においては、広告主の倒産等の場合に、広告主から広告料金の支払を受けられないにもかかわらず、メディア会社等に対して支払債務を負担する可能性があります。広告主による未払いが増加した場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。広告業界においては、様々な事情により、広告計画や内容に、突然の変更が生じることが少なくありません。当社グループでは、主要取引先と基本契約を締結するなど、取引上のトラブルを未然に回避する努力を行っておりますが、不測の事故または紛争が生じる可能性があります。 海外においては、欧米を中心に、広告会社が同一業種に属する複数の広告主を担当しない「一業種一社制」と呼ばれる慣行があります。しかし、わが国では、このような慣行は一般的でなく、当社グループも、同一業種に属する複数の主要企業を顧客としています。仮にわが国の慣行が変化し、それに対する当社グループの対応が適切さを欠いた場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (2) 競合によるリスク① 広告会社との競合当社グループは、国内外において広告会社間における激しい競合に晒されております。 わが国においては国内広告会社間の事業統合や再編、外国広告会社による日本市場への更なる参入は業界構造を変化させ、競争を激化させる可能性があります。将来、顧客獲得をめぐる競合がさらに激しくなった場合、または、外国広告会社の日本市場への参入に伴う業界構造や取引慣行の変化に当社グループが適応できない場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、海外においては、当社グループは、広い地域において事業を運営し、豊富な財務、人材その他の経営資源を有する巨大な外国広告会社や、1またはいくつかの国または地域に特化した小規模な広告会社との間の競合に晒されています。かかる競合において、当社グループが競争力および主要な顧客を維持できない場合、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。 ② 隣接業種および新規参入企業との競合当社グループの事業領域が拡大するにつれて、総合商社、コンサルティング会社など隣接業種との競合が生じる機会も増加しております。さらにインターネット関係やソーシャル・ネットワーク・メディア関係の事業等においては新規参入企業も多く、これら企業と当社グループは、新規事業の開発等において競合する関係にあります。今後、これらの事業領域において当社グループがサービス面またはコスト面で顧客の要求に適切に応えることができない場合、または新規企業の参入により広告の取引慣行が急激に変化した場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (3) 広告主・メディア会社との関係に関するリスク当社グループは、わが国の主要広告主と取引関係を有しており、これら広告主の大半と長年にわたり安定的な取引関係を維持しております。 また、当社グループは、マスメディア各社の事業運営および営業活動を通じ、社業発展の基礎を作ってまいりました。このような活動により、当社グループは、広告主・メディア会社との間でのニーズ調整と円滑な取引を実現しております。 しかしながら、当社グループが、既存または新規の広告主またはメディア会社に対して、そのニーズに合致したサービスを提供できない場合には、取引関係の終了・解消、受注の減少または取引条件の変更等が生じる可能性があり、その結果、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 近年、広告主は、コスト削減の必要から、発注先の広告会社を1社に集中するなどの方法により、効率的な広告サービス提供の要求を強めています。そのため、マスメディア広告取引における収益性が低下する傾向が継続する場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (4) 国内市場における営業基盤の強化に関するリスク① 情報処理技術、データベース等の開発に関するリスク当社グループは、広告主による広告およびマーケティング支出の効果を実証的に検証するための情報処理技術や、データベース等の研究開発に取り組んでおり、これらの活動を通じて潜在的な需要を掘り起こすとともに、国内広告市場における当社グループのシェア拡大を目指しております。しかし、これら研究開発活動の成果が商品化・実用化される時期は未定であり、今後広告主ニーズの変化や、技術的な困難等によって、当社グループの研究開発活動が、予定した成果をあげられない可能性があります。 ② メディアおよびインターネット広告事業等への投資に関するリスク当社グループでは、メディア広告市場における地位を強固にするため、マス四媒体、OOHメディア(交通広告・屋外広告等のアウト・オブ・ホームメディア)および衛星メディア(BS放送およびCS放送)などへの投資、ならびにそれに関連するリサーチや事業開発プロジェクトに対する投資を行ってきております。しかし、メディア広告に対する需要が低迷した場合や競争が激化した場合等には、研究開発や事業化に要した投資に応じた収益や予定した成果をあげられない可能性があります。また、インターネット広告の領域においては、当社グループはクロスメディア型キャンペーン提案(複数のメディアや広告表現を消費者の行動に合わせて効果的に掛け合わせたキャンペーン提案)の積極化はもちろんのこと、運用型広告(膨大なデータを処理するプラットフォームにより、広告の最適化を自動的もしくは即時的に支援する広告手法)等多様な広告手法や広告主の裾野の広がりに対応すべく、大手専門エージェンシーとのアライアンスや、その他専門会社や技術への積極的な投資を行っています。しかしながら、インターネット広告分野の技術やサービスの急速な進化に対し、当社グループの対応が適切でなかった場合は予定した成果があげられない可能性があります。 ③ プロモーション事業拡大に関するリスク広告主にとってプロモーション施策の重要性が高まっており、市場も拡大しています。当社グループはこの機会を捉え、店頭マーケティング専門会社、チラシ制作専門会社、ダイレクトビジネス専門会社、顧客アクセス専門会社などを設立し、プロモーション領域における事業拡大を図っています。しかしながら、広告主の需要が拡大しない場合、あるいは当社グループが競合会社に対する競争力を維持できない場合には、計画どおりの事業拡大ができない可能性があります。 (5) コンテンツ事業に関するリスク当社グループでは、映画、テレビ番組、スポーツイベントおよび音楽等に関する権利の獲得、制作への投資を活発に行っており、映画やその他のコンテンツの製作・配給・販売、ライセンシングおよびスポンサーシップ権や放送権の販売、ならびに映画、その他のコンテンツに関する広告の販売から収入を得ています。しかし、これらの中には、事業計画が多年度にわたる場合、または多額の取得コストや財務的コミットメントを必要とする場合があります。また、昨今ではコンテンツを供給するメディアも多様化しております。しかも、コンテンツ事業の成否を左右する生活者の反応を確実に予測することは、困難であります。これら事業が計画どおりに進捗しない場合、また、予定した投資効果が得られなかった場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (6) グローバル事業に関するリスク① 海外事業展開に関するリスクイージス社の買収により、当社グループは、現在海外140カ国・地域以上において事業を行っておりますが、海外での事業遂行に関しては、とりわけ以下の追加的なリスクを伴います。 ・ 多数かつ広範な国・地域での事業を管理し、調整することの困難さ・ グローバル経済の変動から受ける影響・ 資本規制・外国為替規制を含む、外国の法令、規制、政策等に関するリスク・ 当社グループが事業を行う様々な国・地域における税制の差異・矛盾・ 当社グループの海外子会社による送金その他の支払いに課される源泉徴収税等の賦課・増税を 含む税制の変更・ 外国為替相場の変動・ 契約や知的財産権の執行不可能性または労務管理上の制約を含む、法律・規制・ビジネス文化に おける様々な基準・実務慣行・ 貿易規制および関税制度の変更・ 政情不安に関するリスクおよび事業環境の不確実性・ 当社グループが事業を行う国・地域と日本との間の政治・経済的関係の変化・ テロ行為、戦争、疫病その他の社会不安要因・ 現地の労務管理および提携先の不適切行為を防止することの困難さ 上記のいずれかの事由により、当社グループの費用が増加し、収益が減少し、または業務に支障を来し、これにより当社グループの事業、財政状態または業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。 ② のれんおよび無形資産の減損に関するリスク当社グループは、イージス社の買収に伴い、多額ののれんおよび無形資産を計上しました。今後当該資産の価値が回復不能な程度に損なわれたと判断された場合には、減損を認識しなければならない可能性があり、当社グループの事業、財政状態または業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。 (7) 人材の確保と育成に関するリスク当社グループの成長力および競争力は、優秀な人材の確保とその育成に大きく依存します。人材の確保に関しては、新卒者の安定的採用や専門的知識・経験を持ち即戦力となる中途採用により確保を図っております。それとともに、本人の職務や能力に応じた教育研修等により、人材の育成を図っています。しかしながら、何らかの理由により人材の確保が困難になる可能性および優秀な人材が流出する可能性もあります。このような事態が生じた場合、当社グループの成長力と競争力に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、文化的・地理的に多様な背景を有する多数の従業員を有し、かかる人材の管理に関する課題に対処しています。特に、イージス社の買収によって新たに加わった多数の海外従業員との融合が課題となります。当社グループが有能な人材を確保し、十分に活用できず、これらの課題に適切に対処できない場合、当社グループの財政状態、業績または競争上の地位に悪影響を及ぼす可能性があります。 (8) 情報システムへの依存に関するリスク当社グループは、取引の執行、業績の報告および広告主のマーケティングまたは広告に関する情報の管理を含む当社グループの事業の管理のために、情報システムおよび情報インフラに依存しています。当社グループの情報システムは、システム障害やネットワークの寸断、システムへの不法な侵入および無差別攻撃に晒される可能性があります。同様に、従業員またはその他の者による許可を受けたうえでのまたは無許可の当社グループのシステムへのアクセスを通じたデータセキュリティの事故および侵害により、機密情報が無権限者または公衆に晒される可能性があります。また、当社グループは、データの保存、通信または処理について第三者を利用しています。当社グループはデータおよび情報システムを保護するために周到な対策を講じていますが、当社グループの取組みが当社グループまたは当社グループが利用する第三者のシステムにおけるシステム障害もしくはネットワークの寸断またはセキュリティ侵害を防止するという保証はなく、これらの事象が生じた場合には当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (9) 法規制等に関するリスク当社グループは、下請代金支払遅延等防止法、個人情報保護法等の法令および諸規制の適用を受けておりますが、いずれも現状では当社グループの事業に悪影響を及ぼす懸念はありません。しかしながら、今後、新たに広告主の広告活動、広告の形式および内容等に影響を及ぼす法令や、各種規制が採用もしくは強化された場合、または法令および各種規制の解釈が変化した場合には、広告業界および当社グループの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは事業遂行上、広告主の情報や個人情報等を取得することがあります。当社グループでは情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格を取得するなど、情報管理には万全を期しておりますが、万一情報漏えい等の事故が発生した場合には、当社グループの信頼性を著しく損なう可能性があり、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (10) 訴訟等について当社グループは、広告の内容および表現等当社グループの事業遂行に関連して提起される、取引先、各種団体、消費者または各種知的財産権の保有者等による訴訟に、直接または間接的に関与する可能性があります。
FY2016|6,772 文字
4 【事業等のリスク】当社グループの経営成績、株価および財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。 (1) 広告業界全般に関するリスク① 景気変動によるリスク当社グループを含めた広告会社の業績は、市場変化や景気の影響を受けやすい傾向があります。市場変化や景気によって広告支出を増減させる広告主が多いためです。 当社グループは、サービス内容や事業を行う地域の多様化を進めるなど、景気の影響を受けにくい事業構造の形成に努力しております。しかし、国内マクロ経済の動向および広告支出額の大きい国内主要産業部門における事業環境の変化が、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、海外景気の減速や為替変動等が、国内景気に悪影響を与える場合もあります。2011年3月に発生した東日本大震災は、サプライチェーンの寸断、電力不足その他の事由により、日本経済に大きな悪影響を与えました。その後、国内の経済および事業環境は改善しましたが、将来において地震その他の大きな自然災害等が再び生じた場合には事業環境に悪影響を与える可能性があります。また、当社は2013年3月に、英国の大手広告会社イージス社を買収しました。これにより当社グループの売上総利益に占める海外比率は大幅に増加し、2016年度では54%となりました。この結果、当社グループが事業を行う海外の主要な市場における経済環境や事業環境の悪化が、当社グループ全体の業績にさらに悪影響を与える可能性があります。 ② 技術革新およびメディアの構造変化によるリスク当社グループの事業は技術革新およびメディアの構造変化による影響を受けています。2016年日本の広告費(当社発行)によれば、インターネット広告費は1996年の調査開始以来、伸長を続けており、マス四媒体広告費(新聞、雑誌、ラジオ、テレビの4つのマス媒体に掲出される広告費)のうち新聞、雑誌、ラジオの広告費を上回る規模になっております。当社グループは、インターネット等を活用した広告手法の発達は、マス四媒体広告と、インターネット広告の連携による相乗効果をより高め、将来にわたって広告市場全体の拡大に貢献するものと考えます。既に当社グループはマス四媒体広告のみならずインターネット広告においても主導的な地位を占めており、さらなる事業機会の発掘と拡大に取り組んでおります。しかしながら、当社グループが急速な技術革新とこれに伴うメディアの構造変化に適切に対応できなければ当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。 ③ 財務目標等の未達リスク2013年5月17日発表の当社グループの中期経営計画「Dentsu 2017 and Beyond」において、2017年度までに達成すべき財務目標等を設定していました。「3 対処すべき課題」に記載の通り、その目標とした水準に2016年度業績をもって到達することができたと考えており、新たな中期経営計画を策定・提示することを予定しております。しかしながら、新たな計画が策定できない、または策定が遅延する可能性があります。また新たな計画が策定された場合には、世界の広告費の伸び、外国為替相場および金利ならびに当社グループが事業を行う国々の経済成長率等の様々な前提に基づいて策定される想定であり、かかる前提が実際と異なる場合には、財務目標等の実現に至らない可能性があります。また、当社の経営陣が新たな中期経営計画を成功裏に実行できない可能性もあります。 ④ 取引慣行等に伴うリスク当社グループは、国内においては、広告主の倒産等の場合に、広告主から広告料金の支払を受けられないにもかかわらず、メディア会社等に対して支払債務を負担する可能性があります。広告主による未払いが増加した場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。広告業界においては、様々な事情により、広告計画や内容に、突然の変更が生じることが少なくありません。当社グループでは、主要取引先と基本契約を締結するなど、取引上のトラブルを未然に回避する努力を行っておりますが、不測の事故または紛争が生じる可能性があります。 海外においては、欧米を中心に、広告会社が同一業種に属する複数の広告主を担当しない「一業種一社制」と呼ばれる慣行があります。しかし、わが国では、このような慣行は一般的でなく、当社グループも、同一業種に属する複数の主要企業を顧客としています。仮にわが国の慣行が変化し、それに対する当社グループの対応が適切さを欠いた場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (2) 競合によるリスク① 広告会社との競合当社グループは、国内外において広告会社間における激しい競合にさらされております。 わが国においては国内広告会社間の事業統合や再編、外国広告会社による日本市場への更なる参入は業界構造を変化させ、競争を激化させる可能性があります。将来、顧客獲得をめぐる競合がさらに激しくなった場合、または、外国広告会社の日本市場への参入に伴う業界構造や取引慣行の変化に当社グループが適応できない場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、海外においては、当社グループは、広い地域において事業を運営し、豊富な財務、人材その他の経営資源を有する巨大な外国広告会社や、1またはいくつかの国または地域に特化した小規模な広告会社との間の競合にさらされています。かかる競合において、当社グループが競争力および主要な顧客を維持できない場合、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。 ② 隣接業種および新規参入企業との競合当社グループの事業領域が拡大するにつれて、総合商社、コンサルティング会社など隣接業種との競合が生じる機会も増加しております。さらにインターネット関係やソーシャル・ネットワーク・メディア関係の事業等においては新規参入企業も多く、これら企業と当社グループは、新規事業の開発等において競合する関係にあります。今後、これらの事業領域において当社グループがサービス面またはコスト面で顧客の要求に適切に応えることができない場合、または新規企業の参入により広告の取引慣行が急激に変化した場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (3) 広告主・メディア会社との関係に関するリスク当社グループは、わが国の主要広告主と取引関係を有しており、これら広告主の大半と長年にわたり安定的な取引関係を維持しております。 また、当社グループは、マスメディア各社の事業運営および営業活動を通じ、社業発展の基礎を作ってまいりました。このような活動により、当社グループは、広告主・メディア会社との間でのニーズ調整と円滑な取引を実現しております。 しかしながら、当社グループが、既存または新規の広告主またはメディア会社に対して、そのニーズに合致したサービスを提供できない場合には、取引関係の終了・解消、受注の減少または取引条件の変更等が生じる可能性があり、その結果、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 近年、広告主は、コスト削減の必要から、発注先の広告会社を1社に集中するなどの方法により、効率的な広告サービス提供の要求を強めています。そのため、マスメディア広告取引における収益性が低下する傾向が継続する場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (4) 国内市場における営業基盤の強化に関するリスク① 情報処理技術、データベース等の開発に関するリスク当社グループは、広告主による広告およびマーケティング支出の効果を実証的に検証するための情報処理技術や、データベース等の研究開発に取り組んでおり、これらの活動を通じて潜在的な需要を掘り起こすとともに、国内広告市場における当社グループのシェア拡大を目指しております。しかし、これら研究開発活動の成果が商品化・実用化される時期は未定であり、今後広告主ニーズの変化や、技術的な困難等によって、当社グループの研究開発活動が、予定した成果をあげられない可能性があります。 ② メディアおよびインターネット広告事業等への投資に関するリスク当社グループでは、メディア広告市場における地位を強固にするため、マス四媒体、OOHメディア(交通広告・屋外広告等のアウト・オブ・ホームメディア)および衛星メディア(BS放送およびCS放送)などへの投資、ならびにそれに関連するリサーチや事業開発プロジェクトに対する投資を行ってきております。しかし、メディア広告に対する需要が低迷した場合や競争が激化した場合等には、研究開発や事業化に要した投資に応じた収益や予定した成果をあげられない可能性があります。また、インターネット広告の領域においては、当社グループはクロスメディア型キャンペーン提案(複数のメディアや広告表現を消費者の行動に合わせて効果的に掛け合わせたキャンペーン提案)の積極化はもちろんのこと、運用型広告(膨大なデータを処理するプラットフォームにより、広告の最適化を自動的もしくは即時的に支援する広告手法)等多様な広告手法や広告主の裾野の広がりに対応すべく、大手専門エージェンシーとのアライアンスや、その他専門会社や技術への積極的な投資を行っています。しかしながら、インターネット広告分野の技術やサービスの急速な進化に対し、当社グループの対応が適切でなかった場合は予定した成果があげられない可能性があります。 ③ プロモーション事業拡大に関するリスク広告主にとってプロモーション施策の重要性が高まっており、市場も拡大しています。当社グループはこの機会を捉え、店頭マーケティング専門会社、チラシ制作専門会社、ダイレクトビジネス専門会社、顧客アクセス専門会社などを設立し、プロモーション領域における事業拡大を図っています。しかしながら、広告主の需要が拡大しない場合、あるいは当社グループが競合会社に対する競争力を維持できない場合には、計画どおりの事業拡大ができない可能性があります。 (5) コンテンツ事業に関するリスク当社グループでは、映画、テレビ番組、スポーツイベントおよび音楽等に関する権利の獲得、制作への投資を活発に行っており、映画やその他のコンテンツの製作・配給・販売、ライセンシングおよびスポンサーシップ権や放送権の販売、ならびに映画、その他のコンテンツに関する広告の販売から収入を得ています。しかし、これらの中には、事業計画が多年度にわたる場合、または多額の取得コストや財務的コミットメントを必要とする場合があります。また、昨今ではコンテンツを供給するメディアも多様化しております。しかも、コンテンツ事業の成否を左右する生活者の反応を確実に予測することは、困難であります。これら事業が計画どおりに進捗しない場合、また、予定した投資効果が得られなかった場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (6) グローバル事業に関するリスク① 海外事業展開に関するリスクイージス社の買収により、当社グループは、現在海外140カ国・地域以上において事業を行っておりますが、海外での事業遂行に関しては、とりわけ以下の追加的なリスクを伴います。 ・ 多数かつ広範な国・地域での事業を管理し、調整することの困難さ・ グローバル経済の変動から受ける影響・ 資本規制・外国為替規制を含む、外国の法令、規制、政策等に関するリスク・ 当社グループが事業を行う様々な国・地域における税制の差異・矛盾・ 当社グループの海外子会社による送金その他の支払いに課される源泉徴収税等の賦課・増税を 含む税制の変更・ 外国為替相場の変動・ 契約や知的財産権の執行不可能性または労務管理上の制約を含む、法律・規制・ビジネス文化に おける様々な基準・実務慣行・ 貿易規制および関税制度の変更・ 政情不安に関するリスクおよび事業環境の不確実性・ 当社グループが事業を行う国・地域と日本との間の政治・経済的関係の変化・ テロ行為、戦争、疫病その他の社会不安要因・ 現地の労務管理および提携先の不適切行為を防止することの困難さ 上記のいずれかの事由により、当社グループの費用が増加し、収益が減少し、または業務に支障を来し、これにより当社グループの事業、財政状態または業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。 ② のれんおよび無形資産の減損に関するリスク当社グループは、イージス社の買収に伴い、多額ののれんおよび無形資産を計上しました。今後当該資産の価値が回復不能な程度に損なわれたと判断された場合には、減損を認識しなければならない可能性があり、当社グループの事業、財政状態または業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。 (7) 人材の確保と育成に関するリスク当社グループの成長力および競争力は、優秀な人材の確保とその育成に大きく依存します。人材の確保に関しては、新卒者の安定的採用や専門的知識・経験を持ち即戦力となる中途採用により確保を図っております。それとともに、本人の職務や能力に応じた教育研修等により、人材の育成を図っています。しかしながら、何らかの理由により人材の確保が困難になる可能性および優秀な人材が流出する可能性もあります。このような事態が生じた場合、当社グループの成長力と競争力に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、文化的・地理的に多様な背景を有する多数の従業員を有し、かかる人材の管理に関する課題に対処しています。特に、イージス社の買収によって新たに加わった多数の海外従業員との融合が課題となります。当社グループが有能な人材を確保し、十分に活用できず、これらの課題に適切に対処できない場合、当社グループの財政状態、業績または競争上の地位に悪影響を及ぼす可能性があります。 (8) 情報システムへの依存に関するリスク当社グループは、取引の執行、業績の報告および広告主のマーケティングまたは広告に関する情報の管理を含む当社グループの事業の管理のために、情報システムおよび情報インフラに依存しています。当社グループの情報システムは、システム障害やネットワークの寸断、システムへの不法な侵入および無差別攻撃に晒される可能性があります。同様に、従業員またはその他の者による許可を受けたうえでのまたは無許可の当社グループのシステムへのアクセスを通じたデータセキュリティの事故および侵害により、機密情報が無権限者または公衆に晒される可能性があります。また、当社グループは、データの保存、通信または処理について第三者を利用しています。当社グループはデータおよび情報システムを保護するために周到な対策を講じていますが、当社グループの取組みが当社グループまたは当社グループが利用する第三者のシステムにおけるシステム障害もしくはネットワークの寸断またはセキュリティ侵害を防止するという保証はなく、これらの事象が生じた場合には当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (9) 法規制等に関するリスク当社グループは、下請代金支払遅延等防止法、個人情報保護法等の法令および諸規制の適用を受けておりますが、いずれも現状では当社グループの事業に悪影響を及ぼす懸念はありません。しかしながら、今後、新たに広告主の広告活動、広告の形式および内容等に影響を及ぼす法令や、各種規制が採用もしくは強化された場合、または法令および各種規制の解釈が変化した場合には、広告業界および当社グループの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは事業遂行上、広告主の情報や個人情報等を取得することがあります。当社グループでは情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格を取得するなど、情報管理には万全を期しておりますが、万一情報漏えい等の事故が発生した場合には、当社グループの信頼性を著しく損なう可能性があり、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (10) 訴訟等について当社グループは、広告の内容および表現等当社グループの事業遂行に関連して提起される、取引先、各種団体、消費者または各種知的財産権の保有者等による訴訟に、直接または間接的に関与する可能性があります。