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阿波製紙(3896)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

パルプ・紙 素材・化学

事業の概要

  • 機能紙・不織布の開発製造販売: 阿波製紙グループは、1916年創業の機械抄き和紙メーカーをルーツに持ち、現在は機能紙と不織布の開発、製造、販売を主軸としています。書く、拭く、包むといった一般的な用途を超え、電気絶縁、濾過、耐熱、吸着などの特殊な機能を持つ紙や不織布を製造しており、多様な産業ニーズに応えることで収益を上げています。
  • 自動車関連資材の提供: 自動車の動力部分に不可欠な製品を長年にわたり提供しており、これが主要な収益源の一つです。具体的には、エンジンの性能維持に重要なエンジン用濾材、スムーズな変速を可能にするクラッチ板用摩擦材原紙、そして鉛蓄電池のショートを防ぐセパレータ原紙などがあり、国内外の自動車産業を支えています。
  • 水処理・一般産業用資材: 高度な水処理技術を支える分離膜支持体用不織布や、廃水処理に使われる浸漬膜・ユニットの製造販売も行っています。これらは海水淡水化や超純水製造、廃水リサイクルに貢献し、世界的な水資源問題への対応を通じて収益を得ています。その他、食品の鮮度保持用包材や電子部品の断熱・放熱材など、幅広い産業分野に製品を提供しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 自動車関連資材事業: この事業では、自動車のエンジン性能維持に不可欠なエンジン用濾材、スムーズな変速を可能にするクラッチ板用摩擦材原紙、そして鉛蓄電池のショートを防ぐセパレータ原紙などを製造・販売しています。エンジン用濾材は吸気用、潤滑油用、燃料用があり、燃費向上や排気ガス浄化に貢献しています。タイの子会社や中国の関連会社も製造・販売に関与しており、グローバルに展開する主力事業です。
  • 水処理関連資材事業: 海水淡水化や超純水製造といった高度な水処理に欠かせない分離膜支持体用不織布を製造・販売しています。また、廃水処理に使われるMBR(膜分離活性汚泥法)用浸漬膜およびユニットも手掛けており、水資源の保全と有効利用に貢献しています。インフラ用途から工業用、家庭用浄水器まで幅広く使用されており、世界的な水需要の増加に対応する重要な事業です。
  • 一般産業用資材事業: 食品の鮮度保持に使われる脱酸素剤の包材や、電子機器の断熱部材・放熱部材として使用される機能紙などを製造・販売しています。その他、耐熱プレス用の工程紙として使われる耐熱クッション材など、多岐にわたる産業用途向けの機能紙を提供しており、幅広い顧客ニーズに応えることで安定的な収益を確保しています。
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2025|2,559 文字
3【事業の内容】 当社グループは、当社(阿波製紙株式会社)、連結子会社1社(Thai United Awa Paper Co.,Ltd.)、持分法適用関連会社1社(滁州市国豊阿波濾材有限公司)、非連結子会社で持分法非適用会社1社(イノベーション創出投資事業有限責任組合)により構成されており、機能紙(※1)・不織布の開発、製造・販売を主たる業務としております。 当社は1916年に機械抄き和紙メーカーとして創業し、時代ニーズに合わせた製品の開発、製造・販売を行うことで機能紙・不織布メーカーへと成長を続けてまいりました。さらには、パートナー企業と共同開発を行い、顧客のニーズにマッチした製品の開発や他業種との交流により新たな原材料・製造のノウハウの蓄積を図ってまいりました。 当社グループの特徴としましては、自動車関連業界において、エンジン用濾材やクラッチ板用摩擦材原紙といった、自動車の動力部分に欠かすことの出来ない製品を長年にわたり製造・販売しております。また、水処理関連業界において、海水淡水化や超純水製造といった高度な水処理に欠かすことの出来ない分離膜支持体用不織布の製造・販売を行っております。その他、食品用、電気・電子部品用などの各種産業用途向け機能紙の製造・販売を行っております。  (※1)機能紙………書く、拭く、包む以外に、化学繊維、合成繊維、無機繊維、金属繊維、鉱物繊維など、多種多様な原料に、当社の培ったコア技術を加え、電気絶縁、導電、遮光、耐熱、防音、濾過、分離、吸着などの働きを持たせた紙をいいます。  当社グループの主な事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。 なお、当社グループは、機能紙・不織布の製造・販売を事業内容としており、単一の事業活動を行っておりますので、品目別に記載しております。 (1)自動車関連資材  主要な製品はエンジン用濾材、クラッチ板用摩擦材原紙、鉛蓄電池用セパレータ原紙などであります。① エンジン用濾材 エンジン用濾材は、当社及び子会社のThai United Awa Paper Co.,Ltd.が製造・販売をしております。また、持分法適用関連会社の滁州市国豊阿波濾材有限公司においても、製造・販売をしております。 エンジン用濾材とは、主に自動車のエンジン周りに使用されております。その用途としては、吸気用、潤滑油用、燃料用があります。エンジンの燃焼には大量の空気が必要になりますが、空気中にはエンジンに有害なダスト(ゴミ、他車から排出されるススなど)が含まれており、エンジンの不調やエンジン各部を傷めてしまうことがあります。そこで、これらを防止するために吸気用濾材が使用されています。また、潤滑油は使用することで、カーボン粒子などで汚れていきます。このような不純物除去を行うために潤滑油用濾材が使用されています。燃料用濾材は、燃料タンクに入ったゴミを濾過し、水分を分離することで、エンジンの燃焼を適正に保つ役割を担っています。エンジン用濾材は、これらの働きを通じてエンジンに清浄な空気、燃料を供給及び潤滑油の性能を維持し、自動車の燃費向上や排気ガスの浄化などに貢献しております。 ② クラッチ板用摩擦材原紙 クラッチ板用摩擦材原紙は、当社が製造・販売しております。 主にオートマチック自動車のクラッチ板用摩擦材として使用され、自動車のトランスミッション(変速機)に組み込まれます。クラッチの機能としては、薄い何枚ものクラッチディスクを摩擦させることによりエンジンの動きをトランスミッションに伝え車輪を回し、発進・停止・変速を行います。クラッチ板用摩擦材は、クラッチディスクの表面に張り付けられており、優れた摩擦性能により変速時のショックを吸収し、スムーズなギアチェンジを可能にします。また、トランスミッション内は非常に高温になるため、耐熱性に優れた材料が使用されております。 ③ 鉛蓄電池用セパレータ原紙 鉛蓄電池用セパレータ原紙は、当社が製造・販売するほか、子会社のThai United Awa Paper Co.,Ltd.が製造・販売しております。 鉛蓄電池は主に自動車用として使用されており、正と負の鉛極板、セパレータ、電解液で構成されており、電解液のイオン移動により充放電を行います。当社の製品は鉛蓄電池に入っているプラスとマイナスの極板同士がショートしないように、極板の間に入れるセパレータに使用されております。 (2)水処理関連資材  主要な製品は分離膜支持体用不織布、浸漬膜及びユニットであります。① 分離膜支持体用不織布 分離膜支持体用不織布は、当社が製造・販売を行っております。 当製品は、主に世界の水処理用分離膜メーカーが製造する逆浸透膜モジュールに分離膜支持体として使用されております。用途市場としては、海水淡水化や廃水処理などのインフラ用途をはじめ、工業用、家庭用浄水器などに幅広く使用されております。 ② 浸漬膜及びユニット 主に廃水処理に使用されるMBR(※2)用浸漬膜及びユニットの製造・販売を行っております。水資源問題が世界的に深刻化する昨今、水のリサイクル利用などに活用され、水資源の保全と有効利用に貢献が期待される商品です。(※2)MBR…… Membrane Bio Reactor(膜分離活性汚泥法)の略称であります。膜分離活性汚泥法とは、活性汚泥槽に膜を沈めて直接濾過水を引き抜く方法で、標準活性汚泥法に比べて、水質良好・管理費削減・設置面積削減などの利点があります。 (3)一般産業用資材  主要な製品群は食品用、電気・電子部品用機能紙などであります。 食品用は、主に加工食品の鮮度保持用に使用される脱酸素剤の包材として使用され、当社が製造・販売しております。電気・電子部品用は、主に電子機器などの断熱部材や放熱部材として使用され、当社が製造・販売しております。その他、主に耐熱プレス用の工程紙として使用される耐熱クッション材などがあります。 [事業系統図](注)非連結子会社で持分法非適用会社1社につきましては、投資ファンドであるため、事業系統図には記載   しておりません。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
長年にわたる機能紙・不織布の開発、製造・販売で培ったコア技術とノウハウ。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 中程度
会社が挙げる主要リスク:事業環境変化に関するリスク / 安定調達に関するリスク / 人財確保・育成に関するリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 5 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

同社は特定のブランド力や特許、規制ライセンスに関する公開情報が乏しく、無形資産による競争優位性は確認できない。

スイッチングコスト★☆☆☆☆
根拠:弱い乗り換えの手間・コスト

特殊紙の製造販売を行っており、顧客は特定の用途に合わせてカスタマイズされた製品を求める傾向がある。そのため、仕様変更やサプライヤー変更には一定のコストや手間が発生する可能性があるが、その程度は限定的と推測される。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

同社の事業モデルは、ユーザー数の増加が製品価値を向上させるネットワーク効果を生む構造ではない。

コスト優位★★☆☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

パルプ・紙業界は一般的に設備投資が大きく、規模の経済が働きやすい。同社も一定の生産規模を持つが、業界全体でのコスト競争は激しく、突出したコスト優位性は見られない。

規模の経済★★☆☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

パルプ・紙業界は大手企業が市場を寡占する傾向がある。同社は一定の規模を持つものの、業界全体から見ると中堅であり、規模の経済による圧倒的な優位性は限定的。

  • 自動車動力部品への貢献: 阿波製紙グループは、自動車のエンジン用濾材やクラッチ板用摩擦材原紙といった、自動車の動力部分に不可欠な製品を長年にわたり製造・販売しています。これらの製品は、自動車の燃費向上や排気ガス浄化、スムーズなギアチェンジに貢献しており、自動車関連業界における深い知見と実績が強みとなっています。
  • 高度な水処理技術への寄与: 海水淡水化や超純水製造といった高度な水処理に欠かせない分離膜支持体用不織布を製造・販売しています。水資源問題が深刻化する中で、水のリサイクル利用に貢献するMBR用浸漬膜およびユニットも手掛けており、世界の水処理需要に応える技術力と製品ラインナップが競争優位性となっています。
  • 多種多様な機能紙・不織布の開発力: 創業以来培ってきた機械抄き和紙の技術を基盤に、化学繊維、合成繊維、無機繊維など多様な原料を組み合わせ、電気絶縁、導電、遮光、耐熱、防音、濾過、分離、吸着といった特殊な機能を持つ紙や不織布を開発しています。顧客ニーズに合わせた共同開発や他業種との交流を通じて、常に新たなノウハウを蓄積し、高付加価値製品を生み出す開発力が強みです。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営方針 当社グループは、果たすべき使命として「紙の可能性を追求し、多様な機能材との新結合を図ると同時に、環境との調和を目指した商品・サービスの提供を通じて、人類・社会に貢献すること」を掲げ、独自の製品・技術・サービスで世界一の会社を目指しております。 (2)経営戦略 当社グループは、長期経営について以下の基本方針を掲げております。 「新市場の開拓と事業領域の拡大」「中核商品のグローバル市場における競争優位の追究」「SDGsと高収益の両立」  「新市場の開拓と事業領域の拡大」については、マーケティングとベンチマーク活動、アライアンス戦略により、次世代中核商品の開発と生産体制を確立し、事業領域をさらに拡大してまいります。 「中核商品のグローバル市場における競争優位の追究」については、世界に浸透するブランドの構築により売上・利益の最大化を図ってまいります。 「SDGsと高収益の両立」については、当社グループはSDGsにおいて注力する10の目標を設定しております。当社は持続可能な社会の実現と利益追求の両立を目指し、優しい素材を使い、優しい機能を提供し、優しい社会を考え、目標達成を目指してまいります。 (3)経営環境 次期の見通しにつきましては、足元の金融政策の動向や為替の変動に加え、米国の関税政策や地政学的リスクの高まりなど、不確実性の高い事業環境が継続すると見込まれます。当社グループを取り巻く環境におきましては、自動車関連資材の需要は、電動化の流れが鈍化している影響もあり当面は底堅く推移するものと見込まれ、水処理関連資材については、引き続きアジア・中東地域を中心に海水淡水化や廃水処理用途を軸とした需要拡大が期待されます。 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 第4次中期経営計画(2024年4月~2026年3月)の初年度となる当連結会計年度において、当社グループは「事業ポートフォリオの最適化」と「知的資本のフル活用による経営基盤の強化」を重点課題とし、主力製品の拡販と新製品の開発、国内生産体制の再構築、人的資本の強化等の施策を進めてまいりました。一方で、人手不足による人材の確保、為替の乱高下、市場競争の激化、サプライチェーンのリスク増大、米国関税政策による市場環境の不透明化等、不確実性の高い経営環境が続いております。 このような中、当社は新工場の稼働を開始し、生産能力・供給体制の強化を進めるとともに、第4次中期経営計画に基づく各施策の推進を加速することで、企業価値の持続的向上を図ってまいります。  第4次中期経営計画 参照 https://www.awapaper.co.jp/ir/strategy/plan/ Ⅰ. 事業ポートフォリオの最適化 ① 主力製品の拡販と新製品の開発・分離膜支持体の供給体制強化 当社は、世界的な水資源問題へ対応すべく、需要が拡大する逆浸透膜(RO膜)用支持体の分野において、新工場の本格稼働により生産能力を増強し、安定供給体制を構築してまいります。・分離膜支持体の拡販 当社は、グローバル市場でのシェア拡大や多用途展開を図るべく、重点市場での営業体制強化とともに提案型営業の推進に取り組んでまいります。・新製品の開発 当社は、伸びゆくNEV(新エネルギー車)市場の熱課題に対応する耐火・断熱商品の拡販に取り組んでまいります。・顧客対応力の強化 当社の強みである品質の安定性、納期対応力、技術支援機能を生かし、顧客の課題解決や製品開発を支援することで、信頼性の高い関係構築と競争優位性の確立を目指してまいります。・価格適正化と生産性向上によるコスト対応力強化 当社は、原材料費・人件費が上昇する中、販売価格の見直しに加えて、生産現場における工程改善や省力化、自動化の推進、生産技術の高度化を通じて、更なるコスト競争力の向上を目指してまいります。 ② 生産体制の再構築 当社は、新工場の稼働を契機として、国内における生産体制の見直しと効率化に取り組んでおります。収益性の低い製品群や事業については段階的な縮小・撤退を進めるとともに、生産ラインの統合や稼働バランスの調整を通じて、コスト競争力の向上を図ってまいります。 また、海外工場との連携を強め、グローバルな経営資源の再構築を通じ、収益力と生産効率の最大化を目指してまいります。 ③ 新たな顧客価値の創造・市場ニーズに対応した製品開発の加速 当社は、研究開発体制を強化し、外部研究機関や顧客との共創型開発を推進することで、製品設計とプロセス開発の並行化を実現し、開発期間の短縮化と市場投入の迅速化を図っております。実証試験やプロトタイプ評価を早期に実施することで、顧客の期待に即応してまいります。 また、当社の技術的強みを生かしながら、環境負荷の低減や持続可能な社会の実現にもつながる製品・技術を創出してまいります。・既存市場の深耕 当社は、顧客の環境対応ニーズに応える製品開発や提案型営業に注力し、協働によるVA(価値分析)や環境負荷の低減に配慮した製品を提案し、深耕を図ってまいります。・カーボンニュートラルへの取り組み 当社は、Scope1〜3の温室効果ガス排出量の算定を行い、全社的なCO₂排出の可視化を進めてまいりました。今後は可視化したデータをもとに、原材料の選定、物流の効率化、省エネ設計の推進など、製品のライフサイクル全体を通じた環境負荷の低減に取り組んでまいります。 Ⅱ.知的資本のフル活用 ① 人財の確保 当社は、持続的な成長に向けた人的基盤の強化を図るべく、人財の確保を重要課題の一つと位置づけています。採用競争の激化や地域の人手不足により、人財の確保が年々困難になっております。また、若手を中心とした人財流出も課題であり、採用から定着までを見据えた一体的な対応が求められております。 現在は、採用広報の強化や制度・育成環境の見直しを通じて、確保と定着の両面から基盤づくりに取り組んでおります。 ② エンゲージメント向上と組織力強化 当社は、定期的なエンゲージメントサーベイを通じて、社員の意識や職場の課題を可視化し、キャリアや働き方に関する対話の促進、共通の価値観を醸成する仕組みづくりを進めることで、社員のウェルビーイング向上と組織の活性化を図ってまいります。 ③ 社員能力開発と人財育成支援 当社は、社員一人ひとりのキャリアビジョンの明確化と、その実現に向けた支援を重要な人財戦略と位置づけております。定期的な面談を実施し、自らの役割や将来像への理解を深める機会を設けるとともに、教育体系に基づいた研修プログラムを通じて、専門性と実行力を兼ね備えた人財の育成を進めています。こうした取り組みを推進することで、社員の成長意欲を引き出し、挑戦を後押しする組織風土の醸成と、持続的な人財の定着を図ってまいります。 ④ 知的財産・パートナーシップの活用 当社は、「守りの知財」と「攻めの知財」の両面からの活用を進め、技術競争力の維持・強化を図り、外部機関・顧客との連携によるオープンイノベーションを進めてまいります。 さらに、当社製品に適した知的財産権の活用を進めるべく、外部の知見を習得し、社内で活用することにより、これまで以上に開発成果を知的財産権で保護し、当社技術力の強化に努めてまいります。 Ⅲ.サプライチェーンの強靭化  当社は、環境規制の強化や原材料メーカーの再編など、従来の供給構造が大きく変化する中、原材料の安定調達を課題の一つと認識しております。調達先の多様化や代替検討を進めるとともに、安定供給体制の確保に向けた取り組みを強化してまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営方針 当社グループは、果たすべき使命として「紙の可能性を追求し、多様な機能材との新結合を図ると同時に、環境との調和を目指した商品・サービスの提供を通じて、人類・社会に貢献すること」を掲げ、独自の製品・技術・サービスで世界一の会社を目指しております。 (2)経営戦略 当社グループは、長期経営について以下の基本方針を掲げております。 「新市場の開拓と事業領域の拡大」「中核商品のグローバル市場における競争優位の追究」「SDGsと高収益の両立」  「新市場の開拓と事業領域の拡大」については、マーケティングとベンチマーク活動、アライアンス戦略により、次世代中核商品の開発と生産体制を確立し、事業領域をさらに拡大してまいります。 「中核商品のグローバル市場における競争優位の追究」については、世界に浸透するブランドの構築により売上・利益の最大化を図ってまいります。 「SDGsと高収益の両立」については、当社グループはSDGsにおいて注力する10の目標を設定しております。当社は持続可能な社会の実現と利益追求の両立を目指し、優しい素材を使い、優しい機能を提供し、優しい社会を考え、目標達成を目指してまいります。 (3)経営環境 次期の見通しにつきましては、足元の金融政策の動向や為替の変動に加え、米国の関税政策や地政学的リスクの高まりなど、不確実性の高い事業環境が継続すると見込まれます。当社グループを取り巻く環境におきましては、自動車関連資材の需要は、電動化の流れが鈍化している影響もあり当面は底堅く推移するものと見込まれ、水処理関連資材については、引き続きアジア・中東地域を中心に海水淡水化や廃水処理用途を軸とした需要拡大が期待されます。 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 第4次中期経営計画(2024年4月~2026年3月)の初年度となる当連結会計年度において、当社グループは「事業ポートフォリオの最適化」と「知的資本のフル活用による経営基盤の強化」を重点課題とし、主力製品の拡販と新製品の開発、国内生産体制の再構築、人的資本の強化等の施策を進めてまいりました。一方で、人手不足による人材の確保、為替の乱高下、市場競争の激化、サプライチェーンのリスク増大、米国関税政策による市場環境の不透明化等、不確実性の高い経営環境が続いております。 このような中、当社は新工場の稼働を開始し、生産能力・供給体制の強化を進めるとともに、第4次中期経営計画に基づく各施策の推進を加速することで、企業価値の持続的向上を図ってまいります。  第4次中期経営計画 参照 https://www.awapaper.co.jp/ir/strategy/plan/ Ⅰ. 事業ポートフォリオの最適化 ① 主力製品の拡販と新製品の開発・分離膜支持体の供給体制強化 当社は、世界的な水資源問題へ対応すべく、需要が拡大する逆浸透膜(RO膜)用支持体の分野において、新工場の本格稼働により生産能力を増強し、安定供給体制を構築してまいります。・分離膜支持体の拡販 当社は、グローバル市場でのシェア拡大や多用途展開を図るべく、重点市場での営業体制強化とともに提案型営業の推進に取り組んでまいります。・新製品の開発 当社は、伸びゆくNEV(新エネルギー車)市場の熱課題に対応する耐火・断熱商品の拡販に取り組んでまいります。・顧客対応力の強化 当社の強みである品質の安定性、納期対応力、技術支援機能を生かし、顧客の課題解決や製品開発を支援することで、信頼性の高い関係構築と競争優位性の確立を目指してまいります。・価格適正化と生産性向上によるコスト対応力強化 当社は、原材料費・人件費が上昇する中、販売価格の見直しに加えて、生産現場における工程改善や省力化、自動化の推進、生産技術の高度化を通じて、更なるコスト競争力の向上を目指してまいります。 ② 生産体制の再構築 当社は、新工場の稼働を契機として、国内における生産体制の見直しと効率化に取り組んでおります。収益性の低い製品群や事業については段階的な縮小・撤退を進めるとともに、生産ラインの統合や稼働バランスの調整を通じて、コスト競争力の向上を図ってまいります。 また、海外工場との連携を強め、グローバルな経営資源の再構築を通じ、収益力と生産効率の最大化を目指してまいります。 ③ 新たな顧客価値の創造・市場ニーズに対応した製品開発の加速 当社は、研究開発体制を強化し、外部研究機関や顧客との共創型開発を推進することで、製品設計とプロセス開発の並行化を実現し、開発期間の短縮化と市場投入の迅速化を図っております。実証試験やプロトタイプ評価を早期に実施することで、顧客の期待に即応してまいります。 また、当社の技術的強みを生かしながら、環境負荷の低減や持続可能な社会の実現にもつながる製品・技術を創出してまいります。・既存市場の深耕 当社は、顧客の環境対応ニーズに応える製品開発や提案型営業に注力し、協働によるVA(価値分析)や環境負荷の低減に配慮した製品を提案し、深耕を図ってまいります。・カーボンニュートラルへの取り組み 当社は、Scope1〜3の温室効果ガス排出量の算定を行い、全社的なCO₂排出の可視化を進めてまいりました。今後は可視化したデータをもとに、原材料の選定、物流の効率化、省エネ設計の推進など、製品のライフサイクル全体を通じた環境負荷の低減に取り組んでまいります。 Ⅱ.知的資本のフル活用 ① 人財の確保 当社は、持続的な成長に向けた人的基盤の強化を図るべく、人財の確保を重要課題の一つと位置づけています。採用競争の激化や地域の人手不足により、人財の確保が年々困難になっております。また、若手を中心とした人財流出も課題であり、採用から定着までを見据えた一体的な対応が求められております。 現在は、採用広報の強化や制度・育成環境の見直しを通じて、確保と定着の両面から基盤づくりに取り組んでおります。 ② エンゲージメント向上と組織力強化 当社は、定期的なエンゲージメントサーベイを通じて、社員の意識や職場の課題を可視化し、キャリアや働き方に関する対話の促進、共通の価値観を醸成する仕組みづくりを進めることで、社員のウェルビーイング向上と組織の活性化を図ってまいります。 ③ 社員能力開発と人財育成支援 当社は、社員一人ひとりのキャリアビジョンの明確化と、その実現に向けた支援を重要な人財戦略と位置づけております。定期的な面談を実施し、自らの役割や将来像への理解を深める機会を設けるとともに、教育体系に基づいた研修プログラムを通じて、専門性と実行力を兼ね備えた人財の育成を進めています。こうした取り組みを推進することで、社員の成長意欲を引き出し、挑戦を後押しする組織風土の醸成と、持続的な人財の定着を図ってまいります。 ④ 知的財産・パートナーシップの活用 当社は、「守りの知財」と「攻めの知財」の両面からの活用を進め、技術競争力の維持・強化を図り、外部機関・顧客との連携によるオープンイノベーションを進めてまいります。 さらに、当社製品に適した知的財産権の活用を進めるべく、外部の知見を習得し、社内で活用することにより、これまで以上に開発成果を知的財産権で保護し、当社技術力の強化に努めてまいります。 Ⅲ.サプライチェーンの強靭化  当社は、環境規制の強化や原材料メーカーの再編など、従来の供給構造が大きく変化する中、原材料の安定調達を課題の一つと認識しております。調達先の多様化や代替検討を進めるとともに、安定供給体制の確保に向けた取り組みを強化してまいります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ①経営成績等の状況 当連結会計年度における世界経済は総じて回復基調にありましたが、一部の国や地域においては、需要の低迷や金融引き締め等を背景とする回復鈍化の傾向がみられるなど、不安定な状況が継続しました。また、足元では、米国の関税政策の影響により、地政学的および政策的な不確実性が増大しています。 自動車関連市場においては、インフレの影響を受けながらも比較的堅調な需要が見られました。水処理用分離膜市場における需要は、海水淡水化プラント、工業用プロセス水、廃水処理用途などにおいて堅調に推移しました。 このような状況下、当連結会計年度の売上高は、自動車関連資材については中国およびアジア地域の販売不振があったものの、北米の販売が好調だったことに加え、円安の追い風もあり増加しました。水処理関連資材については、市場の堅調な伸びに加え、拡販に努めた結果、分離膜支持体用不織布の売上が増加しました。 利益面では、原材料価格上昇や在庫の減少による影響を受けたものの、原材料価格の上昇に伴う販売価格改定に取り組みました。 その結果、当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高17,124百万円(前年同期比1,008百万円増、6.3%増)、営業利益432百万円(前年同期比77百万円増、21.9%増)、経常利益279百万円(前年同期比21百万円増、8.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は35百万円(前年同期比16百万円減、31.6%減)となりました。 ②財政状態の状況 当連結会計年度末における資産総額は、27,188百万円となり、前連結会計年度末より5,942百万円増加しております。新工場建設に伴い有形固定資産が4,401百万円、未収消費税等が856百万円増加いたしました。 負債総額は19,605百万円となり、前連結会計年度末より5,243百万円増加しております。主に長期借入金が6,221百万円増加し、短期借入金が1,288百万円減少いたしました。 また、純資産につきましては、7,583百万円となり、前連結会計年度末より699百万円増加しております。主に非支配株主持分が454百万円、為替換算調整勘定が221百万円増加いたしました。 以上の結果、自己資本比率は19.6%となりました。 ③キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は739百万円となり、前連結会計年度末と比較して、145百万円の減少となりました。 各キャッシュ・フローの状況とその要因は以下のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動により得られた資金は、160百万円(前年同期比631百万円減、79.7%減)となりました。これは主に未収消費税等の増加額852百万円の減少要因があったものの、減価償却費660百万円、仕入債務の増加額501百万円の増加要因があったことによるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動により使用した資金は、5,179百万円(前年同期比1,406百万円増、37.3%増)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出5,076百万円があったことによるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動により得られた資金は、4,823百万円(前年同期比1,312百万円増、37.4%増)となりました。これは主に短期借入金の純減額1,295百万円の減少要因があったものの、長期借入れによる収入7,300百万円の増加要因があったことによるものであります。 ④生産、受注及び販売の実績a.生産実績 当連結会計年度の生産実績を品目ごとに示すと、次のとおりであります。品目の名称当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)前年同期比(%)自動車関連資材(千円)8,904,571105.4水処理関連資材(千円)6,465,92589.8一般産業用資材(千円)1,276,963104.4合計(千円)16,647,45998.7(注)1.当社グループは単一セグメントであるため、品目別に記載しております。2.金額は販売価格によっております。 b.受注実績 当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。 c.販売実績 当連結会計年度の販売実績を品目ごとに示すと、次のとおりであります。品目の名称当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)前年同期比(%)自動車関連資材(千円)8,737,543105.9水処理関連資材(千円)7,108,649107.6一般産業用資材(千円)1,278,264101.7合計(千円)17,124,457106.3(注)1.当社グループは単一セグメントであるため、品目別に記載しております。2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。相手先前連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)株式会社サンコー4,265,83126.54,523,57326.4旭洋株式会社1,521,3819.42,202,89812.9 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容a.当連結会計年度の経営成績等について 当連結会計年度は、第4次中期経営計画(2024年4月~2026年3月)の初年度であり、当社グループは「事業ポートフォリオの最適化」と「知的資本のフル活用による経営基盤の強化」を重点課題とし、主力製品の拡販と新製品の開発、国内生産体制の再構築、人的資本の強化等の施策を進めてまいりました。売上高については、中期経営計画の目標に対しては未達となりました。これは、重点市場において新規顧客開拓が遅延したこと、新規製品の販売遅延の影響によるものです。利益面では、原材料単価上昇に伴う販売価格改定や経費削減に取り組んだ結果、営業利益及び経常利益は目標を上回る水準となりました。 かかる状況下、2025年3月に竣工した新小松島工場の稼働により、分離膜支持体用不織布の供給体制の強化と生産効率向上に取り組んでおります。また、高度化する顧客ニーズに対応すべく、研究開発機能を強化するとともに提案型営業を推進しております。さらに、DXの観点からは、RPAやクラウド活用による間接業務の効率化に加え、次期基幹業務システムの構築を進める中、生産現場のデジタル化や製造プロセスの可視化にも着手しており、業務全体の高度化を目指しております。 今後は、重点市場での営業基盤強化と製品ポートフォリオの最適化を進めるとともに、人的資本投資を通じて組織力を高め、中長期的な企業競争力と収益の確保に取り組んでまいります。 b.経営成績に重要な影響を与える要因について 当社グループの経営成績に重要な影響を与える大きな要因として、主要市場における経済状況、原燃料の価格上昇、原材料の調達リスク、自然災害などがあります。 当社グループが関連する市場としては、主として自動車部品業界や水処理関連市場となりますが、成長市場であることから、今後もグローバル競争の激化や有力な新規参入の増加などが予想されます。こうしたなか、当社グループは、グローバル企業として成長していくため、高性能品の開発や商品ラインナップの拡充、安定供給体制の確立などに努めてまいります。 原材料については、原油価格の上昇に加え、調達先における生産性の低下や操業停止・工場閉鎖などの要因によって、さらなる価格上昇とともに調達リスクの顕在化も懸念されます。また、為替動向、とりわけ円安の進行もコスト上昇の一因となる可能性があります。当社グループは、調達先の多様化や調達方法の見直し、適切な製品価格の見直しを通じて収益性の確保に努めてまいります。 自然災害については、当社グループの国内生産拠点が徳島県内に集中していることから、自然災害の発生により当社グループの生産体制に支障をきたす可能性が想定されますが、BCP対応に努め、災害時においても早期に安定供給体制が復旧出来るよう体制整備に取り組んでまいります。 c.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について 当社グループでは、健全経営維持と企業価値向上のため、事業領域の拡大と収益性の向上を目標としております。また、資産効率と収益性の両面を測る指標として、「総資産経常利益率(ROA)」を経営の重要指標として位置付けております。 この指標を達成するために、当社グループとして「売上高経常利益率」や「総資産回転率」の向上に注力しております。具体的には、アライアンスを含めた新事業の創出、基盤事業の強化と収益改善、総資産の効果的かつ効率的な運用に努めております。 当連結会計年度におけるROAは1.2%(前年同期比0.2%減)となりました。引き続き指標の達成に向けて、グループ一丸となって注力しております。 ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報 キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料や副資材などの購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費などの営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資や研究開発投資などによるものであります。 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資資金や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。 なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は12,614百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は739百万円となっております。 当社グループは、厳しい環境下においても将来を見据えた設備投資や研究開発投資を維持してまいります。必要な資金は営業活動により得られるキャッシュ・フローを基本に金融機関からの借入により調達していく方針であります。 ③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。 この連結財務諸表の作成にあたりまして、経営者による会計方針の選択、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。 a.退職給付費用及び退職給付債務 当社グループは、簡便法を採用している連結子会社を除き、確定給付型制度の退職給付費用及び退職給付債務について、割引率等、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算定しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼす可能性があります。 b.固定資産の減損処理 当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産グループについて、当該資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や経営環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。 c.繰延税金資産の回収可能性 繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の十分性により判断しており、課税所得の算定にあたっては、事業計画をもとに最新の経営環境に関する情報等を反映し見積っております。 詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

事業リスク

  • 事業環境変化と競争激化: 自動車関連資材や水処理関連資材の市場はグローバルサプライチェーンに組み込まれており、世界経済の変動や米国政府の関税政策などが販売動向に影響を及ぼす可能性があります。また、競合他社との競争が激化した場合、販売数量の減少や採算悪化により業績に悪影響が出るリスクがあります。
  • 原材料の安定調達と為替変動: 主要原材料である木材パルプやリンターパルプを海外から調達しているため、原材料の不安定な生産状況や為替レートの変動が調達コストに大きな影響を与える可能性があります。国内メーカーの生産停止なども調達体制に影響を及ぼし、業績低下につながる懸念があります。
  • 事業ポートフォリオの偏りとEV化: 主力事業が自動車関連資材と水処理関連資材に集中しているため、自動車の電気自動車(EV)化の進展により、エンジン用濾材やクラッチ板用摩擦材などの需要が大幅に減少する可能性があります。また、水処理関連資材市場での新規参入や競合激化も市場シェア減少のリスクとなり、業績に影響を及ぼす可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|5,347 文字
3【事業等のリスク】 当社グループは、事業運営及び展開において様々なリスクの発生が想定され、それらの想定されるリスクを事前に認識し、事実上可能な範囲で想定されるリスクの対応策を検討・実施しております。しかし、全てのリスクを低減または排除することは困難であり、これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの業績及び財政状態、社会的信用等に重大な影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、以下において重要なリスクと判断した事項を記載しておりますが、事業に係るリスクをすべて網羅するものではありません。また、将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において判断したものであり、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、経営成績等の状況に与える影響度につきましては、現時点では合理的な予測が困難であり、記載しておりません。 (1)事業環境変化に関するリスク[概要]当社グループは、自動車関連資材及び水処理関連資材を主力製品としております。これらの市場は、グローバルなサプライチェーンに組み込まれており、日本、北米、アジア地域をはじめとする世界経済の変動が、製品の販売動向等に影響する可能性があります。 特に、米国政府の相互関税政策が発動された場合の影響は大きく、サプライチェーンへの重大な影響が及ぶものと懸念されております。 また、当社グループが主力とする分野では競合先が存在しており、今後競争が一段と激化した場合には、販売数量の減少及び採算の悪化により、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。[対応]当社グループは、環境変化に対応するため、自動車関連資材では海外連結子会社と緊密に連携し、最適地生産によるサプライチェーンの強化、グローバルな拡販活動、相互バックアップ体制の構築等を組み合わせ、付加価値向上による商品力の強化に努めてまいります。 水処理関連資材では、増加する世界の水処理需要に応えるため、新小松島工場の稼働により、特に海水の淡水化や純水を製造する際に使われる「逆浸透膜支持体紙」の生産能力を増やし、生産性の向上に努めてまいります。 (2)安定調達に関するリスク[概要]当社グループは、主要原材料の木材パルプ、リンターパルプなどを海外(北米、南米、欧州など)から調達しているため、原材料の不安定な生産及び為替の影響等を強く受けるほか、国内メーカーの生産停止等の影響を受ける可能性があります。 こうした場合には、当社の生産調達体制に大きな影響を受け、当期の業績が低下することが懸念されます。[対応]当社グループは、主要原材料の代替材料の検討や調達における複数購買等による国内外にわたる調達先の分散化及び適正在庫の確保等、グループ全体で安定的な調達に取り組む体制を構築しております。 (3)人財確保・育成に関するリスク[概要]当社グループは、中長期的な企業成長のためには優秀な人財の確保・育成が重要であると認識しています。 しかし、少子高齢化に伴う労働人口減少による人材確保難、人材の流動化に伴う社外流出の増加、人事制度の見直し遅れによるエンゲージメントの低下等により、人的資本の充実や高度技術の承継に支障が生じ、安定的な成長に影響が及ぶ可能性があります。[対応]当社グループは、多様な人財を確保するため、新卒採用においてはインターンシップなどに注力するとともに、専門性を持つ人財の中途採用のため引き続き積極的に通年採用を実施してまいります。 また、幹部人財の育成プログラムを導入するとともに、ワークライフバランスの充実に向けた多様な働き方や健康経営への積極的な取り組みの推進等、エンゲージメントの向上に注力してまいります。 (4)事業ポートフォリオに関するリスク[概要]当社グループは、自動車関連資材及び水処理関連資材の製造・販売を主力の事業分野としております。 自動車エンジン用濾材やクラッチ板用摩擦材等の自動車関連資材は、今後、電気自動車や燃料電池車等の普及拡大が予想されるため、需要が大きく減少する可能性があります。 また、水処理関連資材については、新規参入企業や既存競合他社からの販売攻勢により、市場シェアが大きく減少する可能性があります。こうした状況が発生した場合には、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。[対応]当社グループは、主力の事業分野に依存することに伴う事業ポートフォリオリスクを軽減するため、当社の有する製品開発力や生産技術力を活かし、顧客ニーズに対応する高付加価値製品を提供してまいります。 特に、今後の自動車のEV化進展を見据え、自動車動力源の電動化に伴い発生する熱に対応する断熱材ブランド「M-thermo」の販路拡大によるサーマルマネジメント分野を強化する等、新事業の創出や事業領域の拡大により、事業ポートフォリオの分散化を図ってまいります。(5)自然災害・パンデミックに関するリスク[概要]当社グループは、徳島県内に国内生産拠点の全てが集中しているため、大規模地震による津波の発生懸念及び地球温暖化による大型台風や異常渇水等の自然災害発生頻度が高まっている状況下において、生産活動に甚大な被害が発生する可能性があります。 また、感染症の世界的な流行拡大等によるパンデミックの発生により、サプライチェーンの寸断や従業員の出勤停止等による工場の稼働不能に陥る可能性があります。 このような事態が発生した場合には、生産能力の著しい低下や設備の復旧に伴う多大な費用の発生が見込まれ、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。[対応]当社グループは、「緊急時対応マニュアル」に基づき、大規模地震等の災害発生時にも事業活動を継続し、製品の安定供給を図るためBCP(事業継続計画)を策定しており、定期的に見直しを行うとともに、従業員や家族の安否確認、災害対応備蓄品等を備え、定期的な訓練及び設備の点検を実施しております。 また、感染症等のパンデミックへの対応については、基本的な感染予防対策の徹底に加え、リモートワークによる在宅勤務体制の推進、WEB会議やDXの活用等、グループ全体において可能な限りの感染防止対策に取り組んでおります。 (6)海外事業展開に関するリスク[概要]当社グループは、タイ国の連結子会社において製造販売及び研究開発活動を行うとともに、中国において駐在員事務所を設置し販売支援を行っており、グローバルに事業活動を展開するにあたり、各国の法的規制、経済情勢、政情不安、パンデミックの発生等事業環境の不確実性等のリスクが顕在化した場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。[対応]当社グループは、関係会社管理規程に基づき、海外子会社の情報収集や現地の経営環境に適した事業運営の管理強化に努めております。 また、親会社の役員が子会社の役員に就任しガバナンスを強化するとともに、幹部社員を子会社に派遣するなど、相互連携強化による業務支援とオペレーショナルリスクの低減に取り組み、グループ管理体制の充実を図っております。 (7)コンプライアンスに関するリスク[概要]当社グループは、社是である「道徳経済合一」主義のもと、企業倫理規範を定めてコンプライアンス経営の徹底に努めておりますが、重大なハラスメント、労働法令違反、人権問題等の重大なコンプライアンス違反が発生した場合、または産業廃棄物や工場排水汚染等、事業活動に関連する重大な法令違反等が発生した場合、行政処分等による生産活動の停止など、社会的な信用が失墜し、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。[対応]当社グループは、朝礼において、創業の精神、経営理念、企業倫理規範、コンプライアンスチェックなどを日々周知徹底するともに、内部通報規程を制定し、風通しの良い職場風土の醸成並びにコンプライアンスリスクの未然防止に積極的に取り組んでおります。 また、定期的にコンプライアンス意識調査を実施し、ハラスメントの防止などの課題解決に努めるとともに、コンプライアンス情報の発信とセルフチェックの実践による、コンプライアンス教育の充実に努めております。 (8)品質保証に関するリスク[概要]当社グループは、国内外のお客様に提供する多様な製品において品質不良や不正などの問題が生じた場合には、お客様や社会から当社グループの信用が失墜し、企業価値や製品ブランドを棄損するほか、損害賠償請求等が発生し、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。[対応]当社グループは、品質方針を定め、全員参加で品質マネジメントシステム(QMS)に取り組んでおり、設備の改修も含め、継続的な品質改善活動の実践に努めております。 また、原材料や製品の不良発生時には品質連絡会を開催し、課題を共有するとともに、不良発生のメカニズムを徹底的に分析・評価の上、発生工程への反映及び類似工程への水平展開を行い、再発リスクの低減や発生予防に努めております。 (9)環境問題に関するリスク[概要]当社グループは、サステナビリティに関する活動のうち、気候変動緩和への対応であるCO₂排出量削減や化石化エネルギーの利用低減などの活動が適切に遂行できず目標を達成できない場合、社会的評価の低下及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 また、地球温暖化への対応については、当社グループ事業と密接な関係を有する森林や河川などの環境破壊が世界規模で進んでおり、今後の事業を展開していくうえで重大なリスクと認識しております。[対応]当社グループは、環境方針を制定し、事業活動全般を通じて地球環境に関するグローバルな社会課題の解決に貢献するための取り組みを推進するとともに、地球環境問題への取り組みを強化するため、2030年度に二酸化炭素排出量2014年対比37%削減という目標をはじめとした、環境保護に関する重要項目を設定しております。 また、効率的で実効性の高い事業活動を推進するため、環境マネジメントシステム(EMS)の認証を取得し、環境意識向上のための教育を行うとともに、グリーン調達基準を制定し、当該基準に適合した原材料の購入等、サプライチェーン各社との緊密な連携強化による持続可能な社会の実現に努めております。 (10)情報管理に関するリスク[概要]当社グループは、システム障害やコンピュータウイルスの感染、不正アクセスによるサイバー攻撃、従業員等による個人情報の漏洩、会社機密情報の流出等の情報管理リスクが発生する可能性があります。その場合、当社グループの業績、財政状態及び社会的信用に重大な影響を及ぼす可能性があります。[対応]当社グループは、情報セキュリティ基本方針、個人情報保護方針等を制定し、情報管理を重要な企業活動として位置づけており、情報資産を保護すべく統合セキュリティシステムを最新の状態に保つとともに、重大なセキュリティインシデント発生に備えたサイバー保険を付保しております。 さらに、教育研修等を通じて情報セキュリティに関する重要性について周知徹底に努めております。 (11)知的財産権の侵害に関するリスク[概要]当社グループは、当社グループが保有している知的財産権が第三者から侵害を受けた場合には、製品差別化や競争優位性が確保されず、期待される収益が失われる可能性があります。 また、当社グループが製造または販売する製品が第三者の知的財産権を侵害した場合には、当該製品の回収や販売中止を求められる他、損害賠償を請求される可能性があります。その場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。[対応]当社グループは、特許権を含む知的財産権を適切に管理する体制を整え、継続的なモニタリングを実施することで第三者による知的財産権の侵害に注意を払っております。 また、専門家やデータベース及び調査機関を利用した調査に加え、発明協会等の研修受講による情報収集を強化することにより第三者の知的財産権の侵害防止に努めるとともに、実際に知的財産権に係る係争が発生した場合は、関係者と協力して事業への影響を最小限にとどめるよう努めてまいります。 (12)サプライチェーンの人権等に関するリスク[概要]当社グループは、世界的な人権尊重の意識が高まる中、事業に関わるすべての人々の人権を侵害する場合や人権を軽視した事象が発生した場合には、サプライチェーンの寸断、訴訟などの法務リスクが発生し、社会的信用の失墜、あるいはお客さまとの取引停止や損害賠償責任等により、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。[対応]当社グループは、企業倫理規範において「人権の尊重および差別の禁止」を明確にし、人権方針を制定する等、企業としての人権尊重に努めております。 また、国内外の様々なサプライヤーとの連携を強化し、人権デューディリジェンスを定期的に実施することにより、取引の透明性を確保する等、人権に関するリスクの回避・低減に努めております。

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