研究開発活動(本文)
FY2025|4,903 文字
6【研究開発活動】 当社グループでは、社会のニーズに対して高い技術で応えるため、研究開発活動を積極的に推進し、新しい技術の開発や知見の獲得に努めています。研究開発体制としては、川田テクノロジーズ㈱がグループを跨いだ生産性向上技術や新しい市場を目指した技術開発を担当し、グループ各社が事業活動に直結する研究開発を担当しています。 当連結会計年度における研究開発費は1,555百万円であり、セグメント別の主な内容は次のとおりであります。 (鉄構セグメント) 主に川田工業㈱の橋梁事業部が、鋼構造・複合構造に関する研究開発を推進しています。当連結会計年度における研究開発費は574百万円であり、材料・構造・施工・保全などに関する新技術の開発・改善を行っています。主な研究開発の状況は次のとおりであります。① 複合構造に関する研究開発 当社グループが得意とする鋼材とコンクリートを用いた複合構造物において、合成床版やプレビーム合成桁等の製品で多くの実績を収めています。合成床版に関しては、施工性や耐久性を大幅に向上させた「SCデッキ・スタッドレス」において、現場での施工性を向上させるワンサイド施工用の樹脂ナットを開発し、防錆仕様の策定と施工方法の確立を図っています。また、多機能突起リブを用いた新型合成梁の開発では、同構造の優れた耐震性能を確認しており、土木、建築分野での製品化を進めています。② 橋梁保全技術に関する研究開発 高速道路の高架橋から地方自治体の一般橋梁まで、「最小限の労力と費用で適切な維持管理が可能な保全アイテムの創造」をコンセプトに継続的な開発を進めています。鋼床版桁や鉄道軌道桁の支点上補剛材への疲労き裂抑制対策については検証試験及び施工検討が概ね終了し、実構造物への適用を順次進めています。また、腐食が著しいボルト継手部における防錆能力向上を目的に開発したフィルム・キャップについては、特許を取得し、NETIS登録を完了しました。更に高周波加熱装置を用いたリベット取替え工法については、施工法の確立と効率化に向けた施工機器の開発を進めています。今後ますますニーズが高まる保全事業に備え、多種多様なラインナップを整えています。③ 生産技術に関する研究開発 溶接施工においては、新たなMAG溶接法の開発、溶接部の疲労強度を高める施工法の開発、溶接の可視化による溶接現象の解明などを進めています。また、川田テクノロジーズ㈱と共同で、溶接士のハイダイナミックレンジ視野画像を用いた溶接中管理システムの開発も進めています。さらに工場製作においては、精度の高い最新の点群データ取得機器(レーザートラッカー、3Dスキャナー)を使用し、出来形の高精度な計測と管理を行うことで仮組立作業の省力化を進めています。④ 生産性向上に関する研究開発 橋梁の製作・架設現場において、これまでの労働集約的な作業の機械化、自動化に資する様々な技術の開発に取り組んでいます。川田テクノロジーズ㈱と共同で開発した「自動塗装ロボット」と「自動搬送装置」を組み合わせて、川田工業㈱の主力製品である合成床版(SCデッキ)を対象に工場塗装のさらなる品質向上と生産性向上に取り組んでまいります。 (土木セグメント) 川田建設㈱が、コンクリート構造物に関する研究開発を推進しています。当連結会計年度における研究開発費は223百万円であり、主な研究開発の状況は次のとおりであります。① 新設橋梁の品質・耐久性向上技術に関する研究開発 各種施工管理システムの高精度化・全自動化を目的として研究開発を推進しています。ジャッキの油圧ポンプ操作を含めてタブレットで集中管理できる全自動緊張管理システムを高速道路会社発注の工事で適用し、実績が7橋に積み上がったことで、使用頻度が多い定着具・PC鋼材径で実績を作ることができました。また、高炉スラグ微粉末やフライアッシュを配合した高品質・高耐久性コンクリートの研究開発を継続実施しており、蒸気養生を工夫することでセメントを70~80%置換したコンクリートをプレテンション桁に適用できることが確認できました。② 更新技術に関する研究開発 今後需要が増大する橋梁の改修・更新技術に着目して、更新用プレキャストPC床版とPC中間定着システムの研究開発を継続して推進しています。前者については、ウォータージェット搭載台車・水分離装置等で構成される鋼桁ケレン装置システムを川田テクノロジーズ㈱と共同で開発し、人力に頼っていた鋼桁ケレンの作業効率化と品質均等化を図りました。後者については各種のPC鋼線やPC鋼棒の実績が積み上がっている中、取得した特許技術により減肉したPC鋼棒の長期定着効率が低下しないことを確認しています。③ 保全技術に関する研究開発 既設PC橋梁の維持管理をターゲットにした非破壊検査技術、延命化・長寿命化技術については、大学や専門会社と共同して基礎的な研究開発を継続しています。非破壊検査技術は、超音波法によってPC橋の応力度を簡易的に把握できることを確認できました。また、長寿命化技術は、KKグラウト注入工法が完成し、少量のグラウト再注入に適したポンプや容易に脱着が可能な注入・排出孔治具の有効性をデモ実験で確認できました。さらに、支承交換の補修技術は、アンカー削孔を伴わずに橋脚にブラケットを設置する工法の実証実験で、上部工重量を安全に支持できることが確認でき、今後は実橋での工事に適用する予定です。 (建築セグメント) 川田工業㈱の建築事業部と事業企画部が建築分野に関する研究開発を推進しています。当連結会計年度における研究開発費は52百万円であり、主な研究開発の状況は次のとおりであります。① 建築設計業務におけるDX推進に関する研究開発 DX推進に向け、BIM及び構造最適化ソフトの導入に向けた環境整備を進めています。BIMについては、設計業務だけでなく積算業務への利用拡大や確認申請におけるBIM図面審査に向けた調査を行いました。構造最適化ソフトについては、設計条件をパラメータとする部材検証を自動で数千パターン行い、従来の設計方法から鋼重削減効果を確認しました。設計条件の最適化を進めることで、経験の差による技術のバラツキが低減でき、高水準で経済設計が実現できると考えています。これらの活用を進め、業務の効率化、成果物の品質向上を目指します。② 土間工事の工数削減に向けた研究開発 土間床のコンクリート工事は、打設から仕上げまでを同日中に完了する必要があり、作業員10名で1日あたり1,000㎡程度の施工が限界です。また、作業員や監督員の拘束時間が長く、冬場には早朝から深夜まで作業が続くことがあります。これらの背景から、施工性の高い自己充填コンクリートに着目し、大学と共同で高効率化を図る配合を検討しています。本研究開発は、人手不足や長時間労働の対策として省力化を目指すとともに、高効率化による1日あたりの施工面積の拡大も目指しています。③ 環境事業に関する研究開発 水やりが基本的に不要な屋上緑化システム「みどりちゃん」は、引き続きインド、サウジアラビア、タイ、シンガポールなどの海外地域で実証実験を実施し、各国における植生の育成状況を確認するとともに、再生炭等の材料の現地調達に関する調査を行いました。特に乾燥地域であるサウジアラビアでは、半年間のモニタリングを経て想定を上回る成果が得られ、乾燥地向けの市場展開に向けた足掛かりとなる結果が得られています。 また「みどりちゃん」の雨水流出抑制効果についても、屋外での検証試験を実施し、再生炭を含む土壌が降雨後の体積含水率をより高く維持する傾向が確認されました。これは異常気象による都市型洪水の抑制対策や、植物の安定育成に資する成果として、今後の製品アピールに活用していく予定です。 また、壁面緑化システム「Stand by みどりちゃん」の室内利用についても研究を行い、潅水量を最小限に抑えた実験を通じて、観葉植物においては一定の育成効果が確認されました。一方、排水循環に関する構造的課題や土壌代替素材の選定など、屋内利用における課題も明確となりました。実験結果をもとに他製品との差別化に向けた検討を進めてまいります。 (ソリューションセグメント) 川田テクノシステム㈱が建設向けソフトウエアソリューションに関する研究開発を、カワダロボティクス㈱が産業用双腕ロボットに関する研究開発を実施しています。当連結会計年度における研究開発費は516百万円であり、主な研究開発の状況は次のとおりであります。① 自然言語系AIの研究 人手不足が深刻なヘルプデスク業務に関して自然言語系AIを用いて応答する研究を行っています。川田テクノシステム㈱では、システムに関する様々な情報をセキュリティで保護された領域に学習をさせ、学習した様々な質問に対して正しく応答ができるか実証実験を行っています。学習においては、文字だけでなく、表やグラフ、図、写真なども併せて行う独自のアルゴリズムを使用して行っています。将来、一定レベルの成果が発揮できれば、同業他社や当社の顧客へ販売できる事業になると考えています。② 画像解析AIの研究 撮影動画から物体検知及び顔認証を行うAIを構築しています。事前に撮影した動画やライブカメラ映像から車、人、自転車など様々な物体を検知し、また顔認証も行うことが可能であることから、この2つの要素を合わせることで特定のエリア内の行動パターンや物体の数量の時間的推移を検知します。交通量調査や倉庫、建物内の移動検知、分析に貢献するシステムを目指しています。③ ヒト型協働ロボットに関する研究開発 川田テクノロジーズ㈱と共同でヒト型協働ロボット(双腕ロボット)「NEXTAGE」のハードウエア及びソフトウエアの性能・機能、拡張性向上を目的とした要素技術開発を継続して実施しています。当連結会計年度の成果としては、新機能となる衝突検知オプションのリリースを行いました。また、アプリケーションパッケージの製品化に向けて20種類のデモ開発を行いました。 さらに外部機関との連携に関しては、日本国内の大学・研究機関との共同研究を実施しつつ、テクナリア(スペイン)を含む欧州の15の研究機関と共同でEU HORIZON PROJECTに継続参加するとともに、東京理科大と共にカナダとのJST共同研究へ参画し、「人と働くヒューマノイドロボット」の市場価値を高めるための技術開発を継続して実施しています。 この他、特定のセグメントに関連付けされない研究開発も実施しています。当連結会計年度における研究開発費は189百万円であり、主な研究開発の状況は次のとおりであります。 川田工業㈱は、2022年度より国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの委託を受け、岐阜大学と共同で「大気圧プラズマを利用する新規CO₂分解・還元プロセスの研究開発」を実施し、当連結会計年度をもってプロジェクトは終了いたしました。2025年度からは、3年間をかけて、実用化に向けた新しい研究プロジェクトの受託が決定しています。 川田テクノロジーズ㈱では、㈱オリィ研究所(本社:東京都中央区、代表取締役:吉藤健太朗)と共同で、外出困難者の社会参加を目指した遠隔操作ロボットの開発を行っています。当連結会計年度には、カワダロボティクス㈱製「NEXTAGE」と㈱オリィ研究所製「OriHime」を使った、遠隔地からの作業が可能な分身ロボットシステム「Tele-Barista」に「Tele-Bartender」としての機能を追加し、実証実験を行いました。今後は分身ロボットカフェでの運用に向けた準備を行い、一般公開を開始する予定です。 当社グループは、引き続きサステナブル社会の実現に向け、関係機関と協力しながら研究開発を続けてまいります。
FY2024|5,260 文字
6【研究開発活動】 当社グループでは、社会のニーズに対して高い技術で応えるため、研究開発活動を積極的に推進し、新しい技術の開発や知見の獲得に努めています。研究開発体制としては、川田テクノロジーズ㈱がグループを跨いだ生産性向上技術や新しい市場を目指した技術開発を担当し、グループ各社が事業活動に直結する研究開発を担当しています。 当連結会計年度における研究開発費は1,343百万円であり、セグメント別の主な内容は次のとおりであります。 (鉄構セグメント) 主に川田工業㈱の橋梁事業部が、鋼構造・複合構造に関する研究開発を推進しています。当連結会計年度における研究開発費は590百万円であり、材料・構造・施工・保全などに関する新技術の開発・改善を行っています。主な研究開発の状況は次のとおりであります。① 複合構造に関する研究開発 当社グループが得意とする鋼材とコンクリートを用いた合成構造物では、合成床版やプレビーム合成桁橋等の製品で多くの実績を収めてきました。合成床版に関しては、施工性や耐久性を大幅に向上させた「SCデッキ・スタッドレス」の採用が好調であり、トップシェアをキープしています。また、SCデッキの多機能突起リブを活用した新しい合成構造の製品開発を橋梁・鉄構・建築分野のノウハウを活かして進めています。② 橋梁保全技術に関する研究開発 高速道路の高架橋から地方自治体の一般橋梁まで、「最小限の労力と費用で適切な維持管理が可能な保全アイテムの創造」をコンセプトに継続的な開発を進めています。鋼床版桁や鋼製橋脚の疲労き裂抑制対策として開発した補強工法では、新たに鉄道軌道桁の支点上補剛材への適用に向けた各種検証試験及び施工検討を進めました。また、高周波加熱装置を用いて新たに開発したリベット取替え工法では、高速道路会社の実橋梁においてリベット取替えの試験施工を行い、その有用性を確認しました。今後ますます増加する保全事業に備え、多種多様なニーズに応えるためのラインナップを整えています。③ 生産技術に関する研究開発 溶接施工においては、低スパッタ・低コストの新たなMAG溶接法の開発、溶接部の疲労強度を高める施工法の開発、溶接の可視化による溶接現象の解明と理解、及びこれを通じた最適溶接条件の検討などを進めています。また、川田テクノロジーズ㈱と共同で、溶接士のハイダイナミックレンジ視野画像を用いた溶接品質評価技術の開発も進めています。昨年度販売を開始した「3Dデジタル溶接マスクシステム」はすでに複数台の販売実績を収めており、今年度も引き続き販売台数が伸びる見込みです。さらに工場製作においては、精度の高い最新の点群データ取得機器(レーザートラッカー、3Dスキャナー)の特長を活かして、出来形の高精度な計測と管理に基づく仮組立作業の省力化を進めています。④ 生産性向上に関する研究開発 橋梁の製作・架設現場のDX推進に向け、従来、労働集約的であった作業の機械化、自動化に資する様々な技術の開発に取り組んでいます。その一環として開発したクラウド型塗装品質管理システムでは、当社現場で活用したノウハウを活かし、一般ユーザーへのサービス提供に向けた製品改良を進めています。また、種々のメカトロ技術を保有する川田テクノロジーズ㈱と共同で、橋梁の新設工事のみならず、増加の一途をたどる保全工事に対しても施工品質を高めながら現場の省力化・省人化に資する自動機器の開発を進めています。 (土木セグメント) 川田建設㈱が、コンクリート構造物に関する研究開発を推進しています。当連結会計年度における研究開発費は154百万円であり、主な研究開発の状況は次のとおりであります。① 新設構造物の品質・耐久性向上技術に関する研究開発 各種施工管理システムの高精度化・全自動化を目的として研究開発を推進しています。ジャッキの油圧ポンプ操作を含めてタブレットで集中管理できる全自動緊張管理システムをNEXCO発注の工事で適用し、現場の省人化と省力化を図ることができました。また、高炉スラグ微粉末やフライアッシュを配合した高品質・高耐久性コンクリートの研究開発を継続実施しており、高炉スラグ50%置換の配合は凍結融解抵抗性や塩化物浸透に対する抵抗性が良好なことを確認できましたので、高炉スラグとフライアッシュを混ぜてさらに高置換率の配合について検討していきます。② 更新技術に関する研究開発 今後需要が増大する橋梁の改修・更新技術に着目して、更新用プレキャストPC床版とPC中間定着システムの研究開発を継続して推進しています。前者についてはNEXCOでの工事が施工中を含めて26件と実績を伸ばしており、競争力向上のために開発を進めていた繊維補強軽量プレキャストPC床版は輪荷重走行試験が完了し、NETIS登録を済ませ拡販に向けてPR活動しているところです。後者についてはPC鋼線やPC鋼棒の種類ごとの定着金具のラインナップを広げ、減肉したPC鋼材の定着方法についての特許を取得しました。③ 保全技術に関する研究開発 既設PC橋梁の維持管理をターゲットにした非破壊検査技術、延命化・長寿命化技術について工法化を目指して、大学や専門会社と共同して基礎的な研究開発を継続しています。非破壊検査技術として塩害劣化したプレキャスト桁におけるPC鋼材の破断検知の研究を継続し、長寿命化技術としてKKグラウト注入工法が完成し、予防保全技術として簡易な塩分除去工法を研究中で、電気を使わずコンクリート表面に貼り付けるだけで塩化物イオンを吸着するシートができました。また、補修工事における作業環境改善対策として、川田テクノロジーズ㈱と共同で、超短焦点プロジェクタを使った罫書作業省力化技術の開発を行っています。首都高速道路の保全工事での罫書き作業時間の削減が期待されています。 (建築セグメント) 川田工業㈱建築事業部が、川田工業㈱事業企画部と連携して研究開発を実施しています。当連結会計年度における研究開発費は43百万円であり、主な研究開発の状況は次のとおりであります。① BIM導入に関する研究開発 建築BIM(Building Information Modeling)は様々な場面で活用が期待されています。建築事業部においては本連結会計年度をBIM導入に向けた準備期間と位置付け研究開発を進めました。BIMは詳細な情報を付与した1つのモデルから複数の図面を作成するため業務の効率化が図れます。また、モデルの変更を自動で図面に反映するため、修正が容易でかつ修正漏れが無くなり設計成果物の品質向上が図れます。成果物の品質は顧客満足度に直結しますので、BIM導入を加速化していきます。② 多層階倉庫の受注に向けた構法の開発 物流倉庫の需要は未だ高く建物規模がますます大型化しています。昨今の鋼材費の高騰やBox柱納期の遅れに対応すべく、柱を鉄筋コンクリート(RC)造、梁を鉄骨(S)造とするRCS造採用に向けた開発を進めました。採用した仕口形式は、ブレースの取り付けが可能なため構造部材のスリム化が図れます。また、川田建設㈱の協力のもと実大の施工実験を行い施工性も確認しました。採用できる構造形式が増えたことで、社会情勢に応じた設計が可能となりました。多層階物流倉庫の設計に活用し受注拡大を目指します。③ 環境に配慮したコンクリートの開発 建築事業部は鉄骨造を主に取り扱っていますが、基礎や床には多くのコンクリートを使用しています。コンクリートは約300kg/m3のCO₂が発生する環境負荷の高い建築材料で、その90%以上がポルトランドセメント製造時に発生しています。そのため、高炉スラグ微粉末やフライアッシュなどの副産物を活用した、ポルトランドセメント量を抑えたコンクリートの需要が高まっています。本連結会計年度は副産物の使用に向けた調査及び環境配慮コンクリートの動向調査を進めました。環境への配慮は企業として果たすべき役割であるため、継続して情報収集を行い積極的な採用を進めていきます。④ 環境事業に関する研究開発 水やりが基本的に不要な屋上緑化システム「みどりちゃん」は、バングラデシュ、サウジアラビアにおいて新たな実験施工を行いました。海外における施工済みの実験場のモニタリングを継続的に実施し、実験結果に基づく研究開発を引き続き行うことで、香港に続く海外市場の開拓を目指します。 「みどりちゃん」において新たに注目されている都市防災機能については、自然降雨環境における試験を実施し、独自技術である再生炭の効果によって高い保水力を有していること、及び降雨後の緩やかな雨水流出挙動を確認することができました。近年、異常気象による集中豪雨が頻発する中、都市型洪水防止の観点から効果が期待できます。さらに再生炭の存在による土壌の乾燥抑制も確認できており、植物の育成における優位性が評価できています。 (ソリューションセグメント) 川田テクノシステム㈱が建設向けソフトウエアソリューションに関する研究開発を、カワダロボティクス㈱が産業用双腕ロボットに関する研究開発を実施しています。当連結会計年度における研究開発費は395百万円であり、主な研究開発の状況は次のとおりであります。① 写真・動画から3次元モデルを生成する技術の研究 写真あるいは動画を画像解析し、3次元モデル及び点群データを生成できる技術です。特別な機材などを必要としないため、災害時における現場把握(災害規模や影響範囲の把握)や大規模な建設事業計画の3次元基図を写真や動画から生成できることから用途が非常に広い技術です。このシステムは、これまでの建設業以外の市場にも販売できる汎用技術と考えています。② シミュレーション可能なCADシステムの研究 3次元CADにて容易に地形図や構造物を3次元化できることを利用し、流体シミュレーション解析を3次元CADに実装する研究を行っています。水、泥、セメントなど流動性の高い物質の構造物への流れを再現したり、風など目に見えないものを可視化し都市形成、都市空間の計画に役立てることができます。また、BIM/CIMの観点で3次元モデルの利用価値の向上や新しい観点での利用効果の創出ができます。③ 双腕型産業用ロボット「NEXTAGE」に関する研究開発 双腕ロボット関連では、川田テクノロジーズ㈱と共同で「NEXTAGE」のハードウエア及びソフトウエアの性能・機能、拡張性向上を目的とした要素技術開発を継続して実施しています。成果として、当連結会計年度では、新機能となる外部通信連携や制御機能を追加した新ソフトウエアのリリースを行いました。また、2023国際ロボット展にて、粉体秤量システムなどの共同開発を実施している㈱エクサウィザーズを始めとした、外部パートナーとの連携により各種ロボットソリューションの発表を行っています。④ 外部研究機関との共同開発 日本国内の大学との共同研究を実施しつつ、国際的な先端研究機関であるエディンバラ大学(イギリス)とのビジュアルフィードバックや感覚フィードバックの共同開発を行うとともに、テクナリア(スペイン)を含む欧州の15の研究機関と共同でEU HORIZON PROJECTに継続して参加するなど、双腕ロボットの市場価値を高めるための技術開発を実施しています。 この他、特定のセグメントに関連付けされない研究開発も実施しています。これらの当連結会計年度における研究開発費は159百万円であります。主な研究開発の状況は次のとおりであります。 川田工業㈱では、非平衡プラズマによる気相化学反応を利用した水素製造やCO₂分離還元技術の研究開発に取り組んでいます。現在、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が実施する「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/CO₂有効利用拠点における技術開発」プロジェクトに対して、「大気圧プラズマを利用する新規CO₂分解・還元プロセスの研究開発」のテーマで岐阜大学と共同研究を実施中であり、当該会計年度は3年プロジェクトの2年目でした。また、川田テクノロジーズ㈱では、㈱オリィ研究所(本社:東京都中央区、代表取締役:吉藤健太朗)と共同で、外出困難者の社会参加を目指した遠隔操作ロボットの開発を行っています。当連結会計年度は双腕型産業用ロボット「NEXTAGE」を応用した分身ロボットシステム「Tele-Barista」の継続運用に加え、今後の実証実験に向けて、さらに作業バリエーションを増設するためのハードウエアフレームワークを考案し、実装しました。 当社グループでは引き続きサステナブル社会の実現に向け、関係機関と協力しながら研究開発を続けてまいります。
FY2023|4,897 文字
6【研究開発活動】 当社グループでは、社会のニーズに高い技術で応えることができるよう、研究開発活動を積極的に推進し新しい技術の開発や知見の獲得に努めています。研究開発体制としては、川田テクノロジーズ㈱がグループを跨いだ生産性向上技術や新しい市場を目指した技術開発を担当し、グループ各社が事業活動に直結する研究開発を担当しています。 当連結会計年度における研究開発費は1,006百万円であり、セグメント別の主な内容は次のとおりであります。 (鉄構セグメント) 主に川田工業㈱の橋梁事業部が、鋼構造・複合構造に関する研究開発を推進しています。当連結会計年度における研究開発費は399百万円であり、材料・構造・施工・保全などに関する新技術の開発・改善を行っています。主な研究開発の状況は次のとおりであります。① 複合構造に関する研究開発 当社グループが得意とする鋼材とコンクリートの複合構造物では、鋼・コンクリート合成床版やプレビーム合成桁等の製品で多くの実績を収めてきました。合成床版に関しては、施工性や耐久性を大幅に向上させた「SCデッキ・スタッドレス」の採用が増加し、安定した受注に繋がっています。また、施工効率をより一層高めるため、構造面での改善も進めています。さらに、ニーズが高まっている橋梁の架け替えに適した製品に関しても、SCデッキ・スタッドレスで培った技術の活用を進めるなど、競争優位性をさらに高めるためのリニューアルを進めています。② 橋梁保全技術に関する研究開発 高速道路の高架橋から地方自治体の一般橋梁まで、「最小限の労力と費用で適切な維持管理が可能な保全アイテムの創造」をコンセプトに継続的な開発を進めています。鋼床版桁や鋼製橋脚の疲労き裂抑制対策として開発した補強工法では、今後の拡販に向けた試験施工や実工事への展開を行いました。また、歴史的鋼橋に多く採用されているリベット接合の取替需要に対し、開発済のリベット加熱装置に加え、より安全で効率の良いリベット打設工法の開発にも取り組み、施工機器のさらなる改良を進めています。今後迎える保全事業を主体とした時代を見据え、多種多様なニーズに応えるためのラインナップを整えています。③ 生産技術に関する研究開発 溶接施工においては、低スパッタ・低コストの新たなMAG溶接法の開発、溶接部の疲労強度を高める施工法の開発、溶接の可視化による溶接現象の解明と理解、及びこれを通じた最適溶接条件の検討などを進めています。また、川田テクノロジーズ㈱と共同で、ハイダイナミックレンジ画像処理技術を用いた溶接技量評価技術の開発も進めています。本技術は当連結会計年度に、「3Dデジタル溶接マスクシステム」として、製品販売を開始しています。さらに工場製作においては、最新の点群データ取得機器(レーザートラッカー、3Dスキャナー)の利用において、レーザーによる計測精度が向上しており、その特長を活かして出来形の高精度な計測と管理による仮組立作業の省力化を進めています。④ 生産性向上に関する研究開発 製品の品質や工事の安全性を高めながら、より一層の生産性向上を図るため、様々な現場作業の機械化、自動化を進めています。既設構造物に隣接して行う橋梁架設工事を安全かつ効率よく行うため、クレーンで吊り上げた長尺な橋桁の回転を、人力によらず機械的に制御する装置を川田テクノロジーズ㈱と共同で開発しました。また、工場や現場での各種の品質・出来形管理に関しても、IoTやクラウドサービスを利用した自動化技術の開発を進めています。これらの機械化、自動化の促進により、製品品質の向上と現場の生産性向上を両立させ、顧客満足度の向上を図っていきます。 (土木セグメント) 川田建設㈱が、コンクリート構造物に関する研究開発を推進しています。当連結会計年度における研究開発費は112百万円であり、主な研究開発の状況は次のとおりであります。① 新設構造物の品質・耐久性向上技術に関する研究開発 各種施工管理システムの高精度化・全自動化を目的として研究開発を推進しています。ジャッキの油圧ポンプ操作を含めてタブレットで集中管理できる全自動緊張管理システムをNEXCO発注の工事で適用し施工中(工期:2022年4月~2024年8月)です。また、高炉スラグ微粉末やフライアッシュを配合した高品質・高耐久性コンクリートの研究開発を継続実施しており、高炉スラグ50%置換の配合は凍結融解抵抗性や塩化物浸透に対する抵抗性が良好なことを確認できましたので、さらに高置換率の配合について検討していきます。② 更新技術に関する研究開発 今後需要が増大する橋梁の改修・更新技術に着目して、更新用プレキャストPC床版とPC中間定着システムの研究開発を継続して推進しています。前者についてはNEXCOでの工事が施工中を含めて21件と実績を伸ばしており、競争力向上のために開発を進めていた繊維補強軽量プレキャストPC床版は輪荷重走行試験が完了し、NETIS登録を申請しているところです。後者についてはPC鋼線やPC鋼棒の種類ごとの定着金具のラインナップを広げ、鉄道駅舎の改築工事等で採用されました。③ 保全技術に関する研究開発 既設PC橋梁の維持管理をターゲットにした非破壊検査技術、延命化・長寿命化技術について工法化を目指して、大学や専門会社と共同して基礎的な研究開発を継続しています。非破壊検査技術として塩害劣化したプレキャスト桁におけるPC鋼材の破断検知の研究を継続し、長寿命化技術としてKKグラウト注入工法が完成し、予防保全技術として簡易な塩分除去工法を研究中です。また、補修工事における作業環境改善対策として、川田テクノロジーズ㈱と共同で、超短焦点プロジェクタを使った罫書作業省力化技術の開発を行っています。首都高速道路の保全工事での罫書き作業時間の削減が期待されています。 (建築セグメント) 川田工業㈱建築事業部が、川田工業㈱事業企画部と連携して研究開発を実施しています。当連結会計年度における研究開発費は33百万円であり、主な研究開発の状況は次のとおりであります。① 床組構法に関する研究開発 鉄骨床組の躯体数量を低減できる床組構法は2021年度に構造評定を取得しました。多層階物流倉庫の実施物件に採用が増えており、構造設計の効率化が望まれていました。当連結会計年度は構造設計の電算化を行い、スピーディーな検討と設計が可能となりました。多層階物流倉庫の設計に活用し受注拡大を目指します。② 耐火断熱仕様の外壁材の研究開発 多層階建物や都市部に建設する建物の外壁には耐火性能が要求されます。また、倉庫・工場建築においては室内の温度環境を重視する案件が少なくなく、外壁に断熱性能も求められます。これら耐火性能と断熱性能を併せ持つ新たな耐火断熱仕様の外壁材を開発しました。当連結会計年度は耐火構造の外壁材として国土交通大臣の認定を取得しました。今後システム建築の外壁ラインナップに加えて拡販を進めていきます。③ 環境事業に関する研究開発 水やりが基本的に不要な屋上緑化システム「みどりちゃん」は、インド、フィリピンにおいて新たな実験施工を行い、北アメリカ、インドにおいては現地材料調達調査を行っています。海外における施工済みの実験場のモニタリングを継続的に実施し、実験結果に基づく研究開発を引き続き行うことで、香港に続く海外市場の開拓を目指します。 また、「みどりちゃん」が有する機能を壁面緑化に応用したローメンテナンスでデザイン性に優れた新しい壁面緑化システム「Stand by みどりちゃん」の実証実験を前年度に引き続いて国内で実施しました。そしてこの実証実験結果から得た課題に基づき、ユニット形状を一部変更したうえで、製品リリースを行いました。今後国内外において市場開拓を行ってまいります。 さらに、都市緑化機構の「先駆的な緑化関連技術開発のための実証調査」に「屋上緑化(当社みどりちゃん)における再生木炭の利用による雨水貯留及び流出遅延に対する効果検証試験」が採択されました。人工降雨に対する供試体の排水遅延時間と質量変化等を調査し、再生炭の保水効果、流出遅延効果を評価することができました。 (ソリューションセグメント) 川田テクノシステム㈱が建設向けソフトウエアソリューションに関する研究開発を、カワダロボティクス㈱が産業用双腕ロボットに関する研究開発を実施しています。当連結会計年度における研究開発費は332百万円であり、主な研究開発の状況は次のとおりであります。① 3D点群ヒートマップ表示に関する研究 発注者の出来形検査を効果的に実施することや施工誤差を確認するため3D点群と3Dモデルを重ね合わせヒートマップを作成します。点群は加工が難しいことからその情報の真正性も担保して実施できるものとして、昨年度、国土交通省からも着目された技術です。② 土工のCIMに関する研究 地中埋設物の干渉を勘案した設計CADシステム及び矢板掘削に関する3Dモデルと設計が連動したシステムのサービスを開始しました。インフラ工事を請負う会社や官公庁向けの情報管理システム、設計システムとして幅広い、利用性と発展性が期待できるものとなっています。③ DXルームの設立 DXが国全体で推進される中、モーションキャプチャを使用した3Dモデルが表現できる大型ビジョン施設を構築しました。災害時における広域の情報把握や大型工事の情報把握を現地に行かず、この施設を用いて情報確認できます。④ 双腕型産業用ロボット「NEXTAGE」に関する研究開発 双腕ロボット関連では、川田テクノロジーズ㈱と共同で「NEXTAGE」のハードウエア及びソフトウエアの性能・機能、拡張性向上を目的とした要素技術開発を実施しています。成果として、当連結会計年度では、NEXTAGEシリーズの新型ロボット「Fillie」のAPIソフトウエア及び研究向けOPEN機が市場リリースされました。⑤ 外部研究機関との共同開発 国際的な先端研究機関であるエディンバラ大学(イギリス)とのビジュアルフィードバックや感覚フィードバックの共同開発や、テクナリア(スペイン)を含む欧州の15の研究機関と共同でEU HORIZON PROJECTに参加するなど、双腕ロボットの市場価値を高めるための技術開発を継続して実施しています。 この他、特定のセグメントに関連付けされない研究開発も実施しています。これらの当連結会計年度における研究開発費は128百万円であります。主な研究開発の状況は次のとおりであります。 川田工業㈱では、非平衡プラズマによる気相化学反応を利用した水素製造やCO₂分離還元技術の研究開発に国立大学法人東海国立大学機構(岐阜大学)と共同で取り組んでいます。当連結会計年度には、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が実施する「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/CO₂有効利用拠点における技術開発」プロジェクトに対して、「大気圧プラズマを利用する新規CO₂分解・還元プロセスの研究開発」のテーマが岐阜大学と共同で採択されました。また、川田テクノロジーズ㈱では、㈱オリィ研究所(本社:東京都中央区、代表取締役:吉藤健太朗)と共同で、外出困難者の社会参加を目指した遠隔操作ロボットの開発を行っています。当連結会計年度は双腕型産業用ロボット「NEXTAGE」を応用した分身ロボットシステム「Tele-Barista」の継続運用に加えて、子ども向けの接客に用いる作業や操作者による遠隔サインなど、遠隔作業の試作及び実際のターゲット顧客への実証実験のバリエーションを増やし、可能性の追究を実施しました。 当社グループでは引き続きサステナブル社会の実現に向け、関係機関と協力しながら研究開発を続けてまいります。
FY2022|4,405 文字
5【研究開発活動】 当社グループでは、社会のニーズに高い技術で応えることができるよう、研究開発活動を積極的に推進し新しい技術の開発や知見の獲得に務めています。研究開発体制としては、川田テクノロジーズ㈱がグループを跨いだ生産性向上技術や新しい市場を目指した技術開発を担当し、グループ各社が事業活動に直結する研究開発を担当しています。 当連結会計年度における研究開発費は1,318百万円であり、セグメント別の主な内容は次のとおりであります。 (鉄構セグメント) 主に川田工業㈱の橋梁事業部が、鋼構造・複合構造に関する研究開発を推進しています。当連結会計年度における研究開発費は355百万円であり、材料・構造・施工・保全などに関する新技術の開発・改善を行っています。主な研究開発の状況は次のとおりです。① 複合構造に関する研究開発 当社グループが得意とする鋼材とコンクリートの複合構造物では、鋼・コンクリート合成床版やプレビーム合成桁等の製品で多くの実績を収めてきました。合成床版に関しては、施工性や耐久性を大幅に向上させた「SCデッキ・スタッドレス」の実績が急増しており、引き続き、様々なニーズに応えるための開発を進めています。また、今後ニーズが高まる橋梁の架け替えに適したSCスラブ橋等の製品に関しても、適用範囲の拡大や、競争優位性をさらに高めるためのリニューアルを進めています。② 橋梁保全技術に関する研究開発 高速道路の高架橋から地方自治体の一般橋梁まで、「最小限の労力と費用で適切な維持管理が可能な保全アイテムの創造」をコンセプトに開発を進めています。既に開発済みの鋼床版桁疲労き裂部に対する補強工法の応用として、鋼製橋脚の支点部ダイヤフラムに設置する補強工法を開発し、試験施工を完了しています。また、歴史的鋼橋に多く利用されているリベット接合に対して、取替可能なリベット施工システムを開発し、知財の取得を完了しています。今後迎える保全事業を主体とした時代を見据え、多種多様なニーズに応えるためのラインナップを整えています。③ 生産技術に関する研究開発 高能率・高品質で低コストの新たなアーク溶接法の開発、溶接部疲労強度向上施工法の開発、溶接の可視化による溶接現象の解明と理解を通した最適溶接条件の検討等を進めています。また、川田テクノロジーズ㈱技術研究所と共同でハイダイナミックレンジ画像処理技術を用いた溶接技量評価技術及び溶接品質判定技術の開発も進めています。製作工場では部材寸法計測装置(レーザートラッカー、3Dスキャナ)を新しく導入し、出来形管理の高精度化と計測作業の省力化を進めています。④ 現場の生産性向上に関する研究開発 橋梁の架設現場での生産性向上を図るために新たに開発したIoTに対応した測量システムや塗装品質管理システムを投入し、データの取得から書類作成までの工程をデジタル化することで着実な省力化、省人化の効果を上げています。またAIを利用した検査技術の開発や、今後拡大する保全事業を視野に入れた機械開発を川田テクノロジーズ㈱技術研究所と共同で行い、現場の品質保証能力を高めつつ、施工の効率化を推進しています。 (土木セグメント) 川田建設㈱が、コンクリート構造物に関する研究開発を推進しています。当連結会計年度における研究開発費は95百万円であり、主な研究開発の状況は次のとおりです。① 新設構造物の品質・耐久性向上技術に関する研究開発 各種施工管理システムの高精度化・全自動化を目的として研究開発を推進しています。ジャッキの油圧ポンプ操作を含めてタブレットで集中管理できる全自動緊張管理システムを遠隔臨場の形でも適用しました。また、高炉スラグ微粉末やフライアッシュを配合した高品質・高耐久性コンクリートの研究開発を継続実施しており、今年度は九州工場を対象に海洋構造物仕様の試験練りを実施し、来年度から性能データを取得していきます。今後とも当社プレキャスト製品のJIS認定範囲を拡張することで、製品の販路拡大を図っていきます。② 更新技術に関する研究開発 今後需要が増大する橋梁の改修・更新技術に着目して、更新用プレキャストPC床版とPC中間定着システムの研究開発を継続して推進しています。前者についてはNEXCOでの12件目の工事受注に結びつき、昨年度から現場作業の省力化技術の検討を開始しています。競争力向上のために開発を進めていた繊維補強軽量プレキャストPC床版は輪荷重走行試験が完了し、NEXCO規準における100年相当の耐疲労性が確認でき、NETIS登録を申請しているところです。後者については適用PC鋼材種類の増加に伴い、金具の更なるコンパクト化を検討するとともに、拡幅工事に適用可能な特殊接続具等の開発も進めています。③ 保全技術に関する研究開発 既設PC橋梁の維持管理をターゲットにした非破壊検査技術、延命化・長寿命化技術について工法化を目指して、大学や専門会社と共同して基礎的な研究開発を継続しています。非破壊検査技術として塩害劣化したプレキャスト桁におけるPC鋼材の破断検知の研究を継続し、長寿命化技術としてKKグラウト注入工法が完成し、予防保全技術として簡易な塩分除去工法を研究中です。また、補修工事における作業環境改善対策として、川田テクノロジーズ㈱技術研究所と共同で現場ビューワーによるデジタルツイン化や作業補助装置の開発を継続しています。 (建築セグメント) 川田工業㈱建築事業部が、川田工業㈱事業企画部と連携して研究開発を実施しています。当連結会計年度における研究開発費は36百万円であり、主な研究開発の状況は次のとおりです。① 耐震/制振用の座屈拘束ブレースに関する研究開発 研究・開発を継続している座屈拘束ブレース「ハイパー・ブレース」は、市販の一貫構造計算ソフトに製品のデータベース組み込みが完了しました。製品番号の入力により「ハイパー・ブレース」の設計が可能になり、今後の拡販に期待できます。② 耐火断熱仕様の外壁材の研究開発 多層階建物や都市部に建設する建物の外壁には耐火性能が要求されます。また、倉庫・工場建築においては室内の温度環境を重視する案件が少なくなく、外壁に断熱性能も求められます。これらの要求に応えるため、システム建築用の鋼板外壁材と断熱材を組み合わせた耐火断熱仕様の外壁材を開発し、商品化を目指しています。③ システム建築設計におけるDXの取組 システム建築における設計技術の伝承と若手社員の生産性向上を目的とした設計支援システムを、川田テクノロジーズ㈱技術研究所と共同で開発に着手しました。今まで蓄積されてきた物件情報をデータ化して、類似案件の検索や構造断面の推測を可能にするシステムを目指しています。④ 環境事業に関する研究開発 水やりが基本的に不要な屋上緑化システム「みどりちゃん」は、フィリピンにおいて新たに実験施工を行いました。北アメリカ、シンガポール、インド、タイにて施工済みの実験場のモニタリングを継続的に実施しており、実験結果に基づく研究開発を引き続き行い、香港に続く海外市場の開拓を目指します。 また、「みどりちゃん」が有する機能を壁面緑化に応用したローメンテナンスでデザイン性に優れた新しい壁面緑化システム「Stand by みどりちゃん」を開発し、実証実験を国内で実施しました。今後、実証実験に基づく改良を行い、製品リリースの準備に入ります。 (ソリューションセグメント) 川田テクノシステム㈱が建設向けソフトウエアソリューションに関する研究開発を、カワダロボティクス㈱が産業用双腕ロボットに関する研究開発を実施しています。当連結会計年度における研究開発費は671百万円であり、主な研究開発の状況は次のとおりです。① 3DCADシステムを用いたインフラ設計に関する研究 3DCADシステムを単なる描画システムとしてではなく、設計システム及び積算システムなど周辺システムとコネクトすることで設計事業における業務効率化と高度化、品質向上を実現しています。② 情報統合表示に関する研究 電子地図を基盤とし、3Dモデル、2D図面、点群データのほか、動画や写真など関連情報を統合表示及びグラフィカル表示を実施しています。多様な情報を統合管理することで意思決定や情報把握の効率を飛躍的に向上しました。③ 情報分析及び表現技術の研究 DXの普及により、情報共有システム「basepage」には多様な情報が集積されています。これらの価値を創出するため、情報分析・解析及び視覚的表現を実施できるコンテンツ群を構築しました。④ 双腕型産業用ロボット「NEXTAGE」に関する研究開発 双腕ロボット関連では、川田テクノロジーズ㈱基盤技術研究室と共同で「NEXTAGE」のハードウエア及びソフトウエアの性能・機能、拡張性向上を目的とした要素技術開発を実施しています。成果として、当連結会計年度では、NEXTAGEシリーズの新型ロボットFillie(フィリー)としてリリースされました。⑤ 外部研究機関との共同開発 国際的な先端研究機関であるエディンバラ大学(イギリス)、テクナリア(スペイン)などの外部研究機関との共同開発により、ビジュアルフィードバック、APIを使用した様々な周辺機器・装置への接続などの双腕ロボットの市場価値を高めるための技術開発を継続して実施しています。 この他、特定のセグメントに関連付けされない研究開発を実施しています。これらの当連結会計年度における研究開発費は159百万円であります。主な研究開発の状況は次のとおりです。 川田工業㈱では、非平衡プラズマによる気相化学反応を利用した水素製造やCO₂分離還元技術の研究開発に取り組んでいます。本研究開発は、国立大学法人東海国立大学機構(岐阜大学)と澤藤電機㈱(本社:群馬県太田市、代表取締役社長:吉川昭彦)と共同で、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)のプロジェクトである「カーボンリサイクル技術の共通基盤技術開発」の中の「放電プラズマによるCO₂還元・分解反応の基盤研究開発」として実施中です。また、川田テクノロジーズ㈱では、㈱オリィ研究所(本社:東京都中央区、代表取締役:吉藤健太朗)と共同で、外出困難者の社会参加を目指した遠隔操作ロボットの開発を行っています。当連結会計年度は双腕型産業用ロボット「NEXTAGE」を応用した分身ロボットシステム「Tele-Barista」の継続的な運用の実証試験を兼ねて開始しました。 当社グループでは引き続きサステナブル社会の実現に向け、関係機関と協力しながら研究開発を続けて参ります。
FY2021|3,197 文字
5【研究開発活動】 当社グループでは、社会のニーズに高い技術で応えることができるよう、研究開発活動を積極的に推進し新しい技術や知見の獲得に務めています。研究開発体制としては、川田テクノロジーズ㈱技術研究所がグループを跨いだ生産性向上技術や新しい市場を目指した技術開発を担当し、グループ各社が現業事業に直結する内容の研究開発を担当しています。 当連結会計年度における研究開発費は941百万円であり、セグメント別の主な内容は次のとおりであります。 (鉄構セグメント) 主に川田工業㈱の橋梁事業部が、鋼構造・複合構造に関する研究開発を推進しています。当連結会計年度における研究開発費は434百万円であり、材料・構造・施工・保全などに関する新技術の開発・改善を行っています。主な研究開発の状況は次のとおりであります。① 複合構造に関する研究開発 当社グループが得意とする鋼材とコンクリートの複合構造物では、プレビーム合成桁、鋼・コンクリート合成床版(SCデッキ)などの製品で多くの実績を収めてきました。合成床版に関しては施工性や耐久性を大幅に向上させた新型SCデッキの実用化を済ませ実績を増やしています。また、今後ニーズが高まる橋梁の架け替えに適したSCスラブ橋等の製品に関しても、競争優位性をさらに高めるためのリニューアルを進めています。② 橋梁保全技術に関する研究開発 高速道路の高架橋から地方自治体の一般橋梁まで、「最小限の労力と費用で適切な維持管理が可能な保全アイテムの創造」をコンセプトに開発を進めています。その一環として、鋼床版桁の疲労き裂部に対する補強工法を開発し、国土交通省のNETIS(新技術情報提供システム)に登録しました。また、鋼桁の架け替えやPC床版・合成床版・鋼床版による床版取替え工法などの開発が完了し、多種多様なニーズに応えるためのラインナップを整えています。③ 生産技術に関する研究開発 高能率・高品質で低コストの新たなアーク溶接法の開発、溶接部疲労強度向上施工法の開発、溶接の可視化による溶接現象の解明と理解を通した最適溶接条件の検討等を進めています。また、川田テクノロジーズ㈱技術研究所と共同でハイダイナミックレンジ画像処理技術を用いた溶接技量評価技術の開発も進めています。 製作工場では部材寸法計測装置(レーザートラッカー、3Dスキャナ)を新しく導入し、出来形管理の高精度化と計測作業の省力化を進めています。④ 現場の生産性向上に関する研究開発 新型コロナウイルス感染症対策を契機として、橋梁の架設現場でも人同士の接触機会を減らし、テレワークを積極的に導入するなど、より一層の生産性向上を図っています。開発の一環として、橋梁の品質管理に用いる各種計測機器をIoTに対応させ、データ取得から書類作成までを全てデジタル化することで、現場の品質保証能力を高めつつ、作業の省力化、省人化を進めています。 (土木セグメント) 川田建設㈱が、コンクリート構造物に関する研究開発を推進しています。当連結会計年度における研究開発費は109百万円であり、主な研究開発の状況は次のとおりであります。① 新設構造物の品質・耐久性向上技術に関する研究開発 各種施工管理システムの高精度化・全自動化を目的とした研究開発を推進しています。ジャッキの油圧ポンプ操作を含めてタブレットで集中管理できる、全自動緊張管理システムを2件の現場の縦締めPC鋼材に適用し、来年度は3件目を予定しています。また、高炉スラグ微粉末やフライアッシュを配合した高品質・高耐久性コンクリートの研究開発を継続実施しており、今年度は石川県産のフライアッシュを2件の現場に適用しました。今後とも当社プレキャスト製品のJIS認定範囲を拡張することで、製品の販路拡大を図っていきます。② 更新技術に関する研究開発 今後需要が増大する橋梁の改修・更新技術に着目して、更新用プレキャストPC床版とPC中間定着システムの研究開発を継続して推進しています。前者についてはNEXCOでの11件目の工事受注に結びつき、昨年度から現場作業の省力化技術の検討を開始しています。競争力向上のために開発を進めていた繊維補強軽量プレキャストPC床版は輪荷重走行試験が完了し、NEXCO基準における100年相当の耐疲労性が確認できました。後者については適用PC鋼材種類の増加に伴い、金具の更なるコンパクト化を検討するとともに、拡幅工事に適用可能な特殊接続具等の開発も進めています。③ 保全技術に関する研究開発 既設PC橋梁の維持管理をターゲットにした非破壊検査技術、延命化・長寿命化技術について工法化を目指して、大学や専門会社と共同して基礎的な研究開発を継続して実施しています。非破壊検査技術として塩害劣化したプレキャスト桁におけるPC鋼材の破断検知の研究を開始し、長寿命化技術としてKKグラウト注入工法が完成し、予防保全技術として簡易な塩分除去工法を研究中です。また、補修工事における作業環境改善対策として、川田テクノロジーズ㈱技術研究所と共同で現場ビューワーによるデジタルツイン化や作業補助装置の開発を継続して実施しています。 (建築セグメント) 川田工業㈱建築事業部が、川田工業㈱事業企画部と連携して研究開発を実施しています。当連結会計年度における研究開発費は17百万円であり、主な研究開発の状況は次のとおりであります。① 耐震/制振用の座屈拘束ブレースに関する研究開発 研究・開発を継続している座屈拘束ブレース「ハイパー・ブレース」は、拘束材断面の最小化を図るために局部崩壊確認実験を実施し、設計に用いる検討式の妥当性を確認しました。また、来年度から市販の一貫構造計算ソフトにハイパー・ブレースが組み込まれるため、今後の拡販に期待できます。② 環境事業に関する研究開発 水やりが基本的に不要な屋上緑化システム「みどりちゃん」は、シンガポール、インド、北米において追加実験施工を行いました。これらの3地域においては具体的案件の採用検討の話があり、将来に向けてより多くの植物の実験や、現地での材料調達可能性調査を行っていきます。また、雨量がほとんどない地域からの引合いに対応するため、最小限の潅水による植物の生育を目指し、潅水用IoTデバイスの開発にも着手しました。 (その他) 主にカワダロボティクス㈱が双腕ロボットに関する研究開発を継続して実施しています。当連結会計年度における研究開発費は381百万円であり、主な研究開発の状況は次のとおりであります。① 双腕型産業用ロボット「NEXTAGE」に関する研究開発 双腕ロボット関連では、川田テクノロジーズ㈱技術研究所と共同で「NEXTAGE」のハードウエア及びソフトウエアの性能・機能、拡張性向上を目的とした要素技術開発を実施しています。② 外部研究機関との共同開発 エディンバラ大学などの外部研究機関との共同開発により、ビジュアルフィードバック、APIを使用した様々な周辺機器・装置への接続などの双腕ロボットの市場価値を高めるための技術開発を実施しています。 この他、新エネルギーに関する基礎研究として、川田工業㈱では、非平衡プラズマによる気相化学反応を利用した水素製造やCO2分離還元技術の研究開発に取り組んでいます。昨年度は、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)のプロジェクトである「カーボンリサイクル技術の共通基盤技術開発」に、国立大学法人東海国立大学機構(岐阜大学)と澤藤電機株式会社(本社:群馬県太田市、代表取締役社長:吉川昭彦)との共同研究による「放電プラズマによるCO2還元・分解反応の基盤研究開発」のテーマが採択され、現在研究を進めているところです。
FY2020|2,863 文字
5【研究開発活動】 当社グループは、社会のニーズに高い技術で応えることができるよう、研究開発活動を積極的に推進し、新しい技術や知見の獲得に務めています。研究開発体制としては、川田テクノロジーズ㈱技術研究所がグループをまたいだ分野の技術開発を担当し、グループ各社が現業事業に直結する内容の研究開発を担当しています。 当連結会計年度における研究開発費は908百万円であり、セグメント別の主な内容は次のとおりであります。 (鉄構セグメント) 主に川田工業㈱の鋼構造事業部が、鋼構造・複合構造に関する研究開発を推進しています。当連結会計年度における研究開発費は417百万円であり、材料・構造・施工・保全などに関する新技術の開発・改善を行っています。主な研究開発の状況は次のとおりであります。① 複合構造に関する研究開発 当社グループが得意とする鋼材とコンクリートの複合構造物では、プレビーム合成桁、鋼・コンクリート合成床版(SCデッキ)などの製品化に注力し、多くの実績を収めてきました。これらに関しては、経済性や施工性における優位性をさらに高めるための大幅なリニューアルを進めています。② 橋梁保全技術に関する研究開発 高速自動車道などで計画・実施されている老朽化した橋梁の大規模更新・大規模修繕に対して、鋼桁の架替え工法やPC床版・合成床版・鋼床版による床版取替え工法など、多種多様なニーズに応えるためのラインナップを整えています。③ 生産技術に関する研究開発 高能率・高品質・低コストをキーワードに新たな溶接法の開発を進めています。また、溶接の可視化による溶接現象の解明と理解を通した最適溶接条件の検討、さらに川田テクノロジーズ㈱技術研究所と共同でハイダイナミックレンジ画像処理技術を用いた若年溶接技能者向け溶接技量向上システムの開発にも注力しています。④ 現場の生産性向上に関する研究開発 橋梁の製作・架設現場にICTを積極導入し、労働生産性を高めるための技術開発を進めています。製作工場では、MR(複合現実)を活用して構造物の出来形検査の省力化に取り組んでいるほか、架設工事では、新開発の機材を導入して作業の機械化・自動化を図り、効率と安全の両立に取り組んでいます。 (土木セグメント) 川田建設㈱が、コンクリート構造物に関する研究開発を推進しています。当連結会計年度における研究開発費は109百万円であり、主な研究開発の状況は次のとおりであります。① 新設構造物の品質・耐久性向上技術に関する研究開発 各種施工管理システムの高精度化・全自動化を目的として研究開発を推進しています。ジャッキの油圧ポンプ操作を含めてタブレットで集中管理できる全自動緊張管理システムを2件の現場の縦締めPC鋼材に適用しました。管理精度の向上に加えて、省力化や安全性向上に寄与することが確認できました。また、高炉スラグ微粉末やフライアッシュを配合した高品質・高耐久性コンクリートの研究開発を継続実施しており、今年度は宮城県産と石川県産のフライアッシュを実工事に適用しました。今後とも当社プレキャスト製品のJIS認定範囲を拡張することで、製品の販路拡大を図っていきます。② 更新技術に関する研究開発 今後需要が増大する橋梁の改修・更新技術に着目して、更新用プレキャストPC床版とPC中間定着工法の研究開発を継続して推進しています。前者についてはNEXCOでの9件目の工事受注に結びつきました。競争力向上のために開発を進めていた繊維補強軽量プレキャストPC床版は輪荷重走行試験が完了し、NEXCO規準における100年相当の耐疲労性が確認できました。後者については問い合わせが増えており、施工実績を6件(PC鋼棒φ23が3件、PC鋼線12φ5が2件、12φ7が1件)とすることができました。③ 保全技術に関する研究開発 既設PC橋梁の維持管理をターゲットにした非破壊検査技術、延命化・長寿命化技術について工法化を目指して、大学や専門会社と共同して基礎的な研究開発を継続しています。長寿命化技術としてKKグラウト注入工法(NETIS登録済)が完成し、予防保全技術として簡易な塩分除去工法を研究中です。また、補修工事における作業環境改善対策として、川田テクノロジーズ㈱技術研究所と共同で現場ビューワーや採寸治具などの作業補助装置の開発を継続しています。 (建築セグメント) 川田工業㈱建築事業部が、川田工業㈱事業企画部と連携して研究開発を実施しています。当連結会計年度における研究開発費は68百万円であり、主な研究開発の状況は次のとおりであります。① 耐震/制振用の座屈拘束ブレースに関する研究開発 研究・開発を継続している座屈拘束ブレース「ハイパー・ブレース」は、(一財)日本建築センターの一般評定を取得し、栃木工場においても耐震ブレースが製作可能になりました。 さらに、制振ブレースの疲労実験を追加し、芯鋼材を小さくできるようにしました。現在までの受注実績は、制振ブレースが超高層建築物で1棟、耐震ブレースが大型倉庫で5棟です。次年度は、拘束材断面の最小化を図るために局所載荷実験を実施する予定です。また、市販の一貫構造計算ソフトにハイパー・ブレースを組み込むことで受注実績を増やし、拡販を行う予定です② 環境事業に関する研究開発 水やりが基本的に不要な屋上緑化システム「みどりちゃん」は、インド、シンガポールにおいて新たに実験施工を行いました。 インドではバンガロール、セーラム、コチの3地域において、現地の大学や設計事務所と共同で実験施工を行いました。いずれの共同実験先も環境意識が高く、今後の市場を一緒に探りながらモニタリングを行います。 シンガポールでは工業・商業の開発管理を行う会社と共同で実験施工を行っています。国の施策として「グリーンビルディング・マスタープラン」を掲げており、その中で国内のビル80%以上に緑化を行うことが明示されています。新たな市場になることも見据え、今後、現地でのマーケティング調査を行っていく予定です。 (その他) カワダロボティクス㈱は双腕ロボットに関する研究開発を継続して実施しています。当連結会計年度における研究開発費は312百万円であり、主な研究開発の状況は次のとおりであります。① 双腕型産業用ロボット「NEXTAGE」に関する研究開発 双腕ロボット関連では、川田テクノロジーズ㈱技術研究所と共同で「NEXTAGE」のハードウエア及びソフトウエアの性能・機能、拡張性向上を目的とした要素技術開発を実施しています。② ロボットの統合拡張プラットフォーム化に関する研究開発 双腕ロボットの導入拡大に向けた研究開発として、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)のプロジェクトに参画し、ロボット作業システムを迅速に構築可能な基幹モジュール及び拡張モジュールの開発及び実証試験を実施しました。
FY2019|3,139 文字
5【研究開発活動】 当社グループは、社会のニーズに高い技術で応えることができるよう、研究開発活動を積極的に推進し、新しい技術や知見の獲得に務めています。研究開発体制としては、川田テクノロジーズ㈱技術研究所がグループをまたいだ分野の技術開発を担当し、グループ各社が現業事業に直結する内容の研究開発を担当しています。 当連結会計年度における研究開発費は1,050百万円であり、セグメント別の主な内容は次のとおりであります。 (鉄構セグメント) 主に川田工業㈱の鋼構造事業部が、鋼構造に関する研究開発を推進しています。当連結会計年度における研究開発費は327百万円であり、材料・構造・施工・保全などに関する新技術の開発・改善を行っています。主な研究開発の状況は次のとおりであります。① 複合構造に関する研究開発 当社グループが得意とする複合構造物では、プレビーム合成桁、鋼・コンクリート合成床版(SCデッキ)、鋼・コンクリート混合桁などの開発に注力し、多くの実績を収めています。これらに関しては、経済性や施工性における優位性を高めるための研究開発を進めています。② 橋梁保全技術に関する研究開発 高速自動車道などで計画されている既設橋の大規模更新・大規模修繕を睨み、特にRC床版の撤去方法、早強コンクリートによる急速施工、疲労耐久性に優れた鋼床版、腐食耐久性に優れた防食工法など、客先ニーズに応え、競争力のある固有の研究開発を行っています。 また、老朽化している橋梁点検の合理化・効率化を支援する技術として、川田テクノロジーズ㈱技術研究所にて橋梁点検用ドローン「マルコ」の開発を実施しています。本開発については、2018年度は開発した「マルコ」の試行業務への適用を行い、その結果を受けた改良開発を行いました。また、2019年2月に公開された国土交通省発行の「点検支援技術性能カタログ」への掲載が実現しました。③ 生産技術に関する研究開発 鋼橋においては、溶接部の疲労耐久性の向上を、鉄骨においては溶接作業の高能率化及び高品質化をキーワードに研究開発を進めています。また、より高品質で低コストである新溶接法の開発や、若年溶接技能者に向けた技量向上システムの開発も進めています。④ AI、IoTの活用に関する研究開発 橋梁の施工現場にAIやIoTを導入し、労働生産性の向上を図るための技術開発を進めています。開発中の技術は、昨年度、国土交通省が公募した「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト」で試行するなど、様々な現場検証を通じて実用化を目指しています。 また、建設現場作業の省人・省力化と技能伝承の一環として、建築現場における鉄骨建て方工事の支援システムの研究開発を川田テクノロジーズ㈱技術研究所と川田工業㈱の鉄構・建築部門と共同で実施しています。本研究開発では、少子高齢化により労働者人口が減少すると言われている将来において、鉄骨建て方工事プロセスでの時間短縮とノウハウのデータ収集と活用を行い、建築・建設業での建設現場における生産性向上を目的に開発を実施しています。 (土木セグメント) 川田建設㈱が、コンクリート構造物に関する研究開発を推進しています。当連結会計年度における研究開発費は112百万円であり、主な研究開発の状況は次のとおりであります。① 新設構造物の品質・耐久性向上技術に関する研究開発 各種施工管理システムの高精度化・全自動化を目的として研究開発を推進しています。ジャッキの油圧ポンプ操作を含めてタブレットで集中管理できる、全自動緊張管理システムを実現場の縦締めPC鋼材に適用しています。また、高炉スラグ微粉末やフライアッシュを配合した高品質・高耐久性コンクリートの研究開発を実施しており、今後もプレキャスト製品のJIS認定範囲を拡張することで、プレキャスト製品の販路拡大を図ってまいります。② 更新技術に関する研究開発 今後需要が増大する橋梁の改修・更新技術に着目して、更新用プレキャストPC床版とPC中間定着工法の研究開発を継続して推進しています。プレキャストPC床版についてはNEXCOでの新たな工事受注をいたしました。競争力向上のために開発を進めている繊維補強軽量プレキャストPC床版についても適用研究を実施しています。PC中間定着工法については、さらにPC鋼材サイズが大きな中間定着具を作成するとともに、疲労試験を実施して永久定着具としての安全性も確認することができました。③ 保全技術に関する研究開発 既設PC橋梁の維持管理をターゲットにした非破壊検査技術、延命化・長寿命化技術について工法化を目指して、大学や専門会社と共同して基礎的な研究開発を継続しています。延命化・長寿命化技術のひとつとして、KKグラウト注入工法を開発し、1月にNETIS登録されました。また、保全工事における作業環境改善対策として、川田テクノロジーズ㈱技術研究所と共同で現場ビューワーや採寸治具などの作業補助装置の開発にも挑戦しています。 (建築セグメント) 川田工業㈱建築事業部が、事業企画部と連携して研究開発を実施しています。当連結会計年度における研究開発費は81百万円であり、主な研究開発の状況は次のとおりであります。① 耐震/制振用の座屈拘束ブレースに関する研究開発 研究・開発を継続している耐震用ブレース「ハイパー・ブレース」は、2018年度に3棟の大型倉庫に採用され、竣工・引渡しをいたしました。また、制振用ブレースについても1棟の高層建物において採用が決定するなど着実に実績を重ねています。各ブレースは量産体制を整えるために栃木工場において一般評定の追加取得を行なっています。2018年度は栃木工場において耐震用ブレースの一般評定を取得しましたが、次年度は引き続き制振用ブレースの一般評定を追加取得する予定です。② 環境事業に関する研究開発 水遣りが基本的に不要な屋上緑化システム「みどりちゃん」は、昨年度行なった米国・カリフォルニア州、フィリピン・マニラの実験経過が良好で、引き続きモニタリングを行うと同時に今後も海外事業展開を検討していきます。また、2018年度は新たにシンガポール、インドから実験施工の引き合いがあり、次年度においては現地企業や大学との共同実験施工を行う予定です。2018年度も香港において地下鉄駅舎の緑化工事を中心に実績数を伸ばしており、今後も更なる海外展開を目指して積極的な研究開発を行っていきます。 地中熱利用ヒートポンプ空調システム「GEOneo」に関しましては、複数の熱源からのエネルギーを効率的にマネジメントできるハイブリッドシステムに関する制御アルゴリズムの開発を実施し、システムの価値の向上を行いました。 (その他) カワダロボティクス㈱は双腕ロボットに関する研究開発を継続して実施しています。当連結会計年度における研究開発費は529百万円であり、主な研究開発の状況は次のとおりであります。① 双腕型産業用ロボット「NEXTAGE」に関する研究開発双腕ロボット関連では、「NEXTAGE」のハードウエア及びソフトウエアの性能・機能、拡張性向上を目的とした要素技術開発を実施しています。② ロボットの統合拡張プラットフォーム化に関する研究開発 双腕ロボットの導入拡大に向けた研究開発として、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)のプロジェクトに参画し、ロボット作業システムを迅速に構築可能な基幹モジュール及び拡張モジュールの開発及び実証試験を実施しています。
FY2018|3,038 文字
5【研究開発活動】 当社グループは、社会のニーズに高い技術で応えることができるよう、研究開発活動を積極的に推進し、新しい技術や知見の獲得に務めています。研究開発体制としては、川田テクノロジーズ㈱技術研究所がグループをまたいだ分野の技術開発を担当し、グループ各社が現業事業に直結する内容の研究開発を担当しています。 当連結会計年度における研究開発費は1,384百万円であり、セグメント別の主な内容は次のとおりであります。 (鉄構セグメント) 主に川田工業㈱の鋼構造事業部が、鋼構造に関する研究開発を推進しています。当連結会計年度における研究開発費は334百万円であり、材料・構造・施工・保全などに関する新技術の開発・改善を行っています。主な研究開発の状況は次のとおりであります。① 複合構造に関する研究開発 当社グループが得意とする複合構造物では、プレビーム合成桁、鋼・コンクリート合成床版(SCデッキ)、鋼・コンクリート混合桁などの複合構造物の開発に注力し、多くの実績を収めてきています。プレビーム合成桁に関しては、道路橋示方書の改定に合わせ、「プレビーム合成桁橋設計施工指針」の改訂を行いますが、プレビーム固有のクリープ・乾燥収縮、ひび割れ制御、ウェブ防錆方法などに着目し、品質や競争力を高めるための最新の研究成果を盛り込みます。また、SCデッキに関しては、現場における施工性や長支間床版での優位性を高めるための研究開発を進めています。② 橋梁保全技術に関する研究開発 高速自動車道などで計画されている既設橋の大規模更新・大規模修繕を睨み、特にRC床版の撤去方法、急速施工に対応した早強コンクリート、疲労耐久性に優れた鋼床版、腐食耐久性に優れた防食工法など、客先ニーズに応え、競争力のある固有の研究開発を行っています。 また、老朽化している橋梁点検の合理化・効率化を支援する技術として、マルチコプタを利用した橋梁点検システムの開発を実施しています。この開発は、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成事業として実施していましたが、2017年度でプロジェクトの最終年度を迎えました。2017年度は開発したシステムの実証試験を実施し、従来点検と比較することで、システムの優位性を実証しました。本システムにつきましては、開発品の改良及び運用方法の改善のための研究を引き続き実施し、実用領域に向け完成度を高めていく計画です。この研究開発は川田テクノロジーズ㈱技術研究所が実施しています。③ 生産技術の研究開発 鋼橋においては、溶接部の疲労耐久性の向上を、鉄骨においては溶接作業の高能率化及び高品質化、そして組立作業の高精度化をキーワードに研究開発を進めています。 (土木セグメント) 川田建設㈱が、コンクリート構造物に関する研究開発を推進しています。当連結会計年度における研究開発費は63百万円であり、主な研究開発の状況は次のとおりであります。① 新設構造物の品質・耐久性向上技術に関する研究開発 各種施工管理システムの高精度化・全自動化を目的として研究開発を推進しています。また、高炉スラグ微粉末やフライアッシュを配合した高品質・高耐久性コンクリートの研究開発を実施しており、いずれも塩害対策に加えてアルカリシリカ反応対策として有効であることを確認できました。今後とも当社プレキャスト製品のJIS認定範囲を拡張することで、プレキャスト製品の販路拡大を図っていきます。② 更新技術に関する研究開発 今後需要が増大する橋梁の改修・更新技術に着目して、更新用プレキャストPC床版とPC中間定着工法の研究開発を継続して推進しています。前者についてはNEXCOでの5、6件目の工事受注に結びつくとともに、更に競争力を向上させるため繊維補強軽量コンクリートの適用研究を実施しています。後者については北陸地整における2件の工事に採用された定着具の小型軽量化や、さらにPC鋼材サイズが大きい定着具の研究開発を実施しています。③ 保全技術に関する研究開発 既設PC橋梁の維持管理をターゲットにした非破壊検査技術、延命化・長寿命化技術について工法化を目指して、大学や専門会社と共同して基礎的な研究開発を継続しています。また、補修工事における作業環境改善対策として、川田テクノロジーズ㈱技術研究所と共同で作業補助装置の開発にも挑戦しています。 (建築セグメント) 川田工業㈱建築事業部が、事業企画部と連携して研究開発を実施しています。当連結会計年度における研究開発費は79百万円であり、主な研究開発の状況は次のとおりであります。① 耐震/制振用の座屈拘束ブレースに関する研究開発 研究・開発を継続している「ハイパー・ブレース」は、耐震用の拘束充填材をモルタルからコンクリートに変更し、製作コストを低減しました。制振用も拘束材断面を縮小してコスト低減を図り、合わせて一般評定を富山工場にて追加取得しています。実案件への採用は自社案件である富山工場事務所棟、及び四国工場業務棟に採用し、2017年度に竣工しました。次年度は、既に3棟の大型倉庫への採用が決定しており、量産体制を整えるため、栃木工場においても一般評定を追加し製作を可能とする予定です。② 環境事業に関する研究開発 水遣りが基本的に不要な屋上緑化システム「みどりちゃん」は、香港において1件で12,000㎡を超える緑化工事を受注するなど、海外での実績を着実に重ねています。その他の国でも注目を集めており、当連結会計年度は、米国・カリフォルニア州で2件、フィリピン・マニラにおいて1件の共同実験施工を行いました。雨量の少ない米国・カリファルニア州ではトマトやハーブ類と言った野菜も栽培していますが、必要最小限の水遣りで問題なく成長しています。いずれも来年度一杯経過観察を行い、その後、現地での展開を検討していく予定です。 上記以外の国においても共同研究の引き合いが来ており、今後も海外での展開を目指して積極的な研究開発を行います。 地中熱利用ヒートポンプ冷暖房システム「GEOneo」に関しましては、複数の熱源からエネルギーをインテリジェントにマネジメントするハイブリッドシステムを当社工場事務所棟に導入し、高効率化のために最適制御アルゴリズムの開発を実施しています。また、地中熱交換器の埋設工事など、熱源側のコスト低減化を目的とした基礎研究や、「GEOneo」の稼働状況を外部からモニタリングするための遠隔監視ソフトウエアの製品化開発も行い、システムの価値の向上に努めています。 (その他) カワダロボティクス㈱は双腕ロボットに関する研究開発を継続して実施しています。当連結会計年度における研究開発費は907百万円であり、主な研究開発の状況は次のとおりであります。① 双腕型産業用ロボット「NEXTAGE」に関する研究開発双腕ロボット関連では、「NEXTAGE」の性能・機能、拡張性向上を目的とした要素技術開発を実施いたしました。② ロボットの統合拡張プラットフォーム化に関する研究開発 双腕ロボットの導入工程拡大に向けた研究開発として、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)のプロジェクトに参画し、ロボット作業システムを迅速に構築可能な基幹モジュール及び拡張モジュールの開発を実施しました。
FY2017|2,761 文字
6【研究開発活動】 当社グループは、社会のニーズに高い技術で応えることができるよう、研究開発活動を積極的に推進し、新しい技術や知見の獲得に務めています。研究開発体制としては、川田テクノロジーズ㈱技術研究所がグループを跨いだ分野の技術開発を担当し、グループ各社が現業事業に直結する内容の研究開発を担当しています。 当連結会計年度における研究開発費は763百万円であり、各セグメント別の主な内容は、次のとおりであります。 (鉄構セグメント) 主に川田工業㈱の鋼構造事業部が、鋼構造に関する研究開発を推進しています。当連結会計年度における研究開発費は185百万円であり、材料構造技術、施工技術、保全技術などに関する新技術の研究開発を行っています。主な研究開発の状況は以下のとおりであります。① 複合構造に関する研究開発 当社グループが得意とする複合構造物では、プレビーム合成桁、鋼・コンクリート合成床版(SCデッキ)、鋼・コンクリート混合桁など複合構造物の開発に注力し、多くの実績を収めてきています。 プレビーム合成桁に関しては、次期道路橋示方書の改定に合わせ、「プレビーム合成桁橋設計施工指針」の改訂を行いますが、特にプレビーム固有のクリープ・乾燥収縮、ひび割れ制御、ウェブ防錆方法などに着目し、さらなる競争力を高めるための研究開発を行っています。 また、SCデッキに関しては、横リブ、底鋼板の構造改善に着目し、長支間での競争力を高めるための研究開発を進めています。② 橋梁保全技術に関する研究開発 高速自動車道などで計画されている既設橋の大規模更新を睨み、特にRC床版の撤去方法、急速施工に着目した早強コンクリート、疲労耐久性に優れた鋼床版、耐久性に優れた塗料など、客先ニーズに応え、競争力のある固有の研究開発を行っています。 また、平成26年度からNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)事業として実施しているマルチコプタを利用した橋梁点検システムの研究開発については、過去2年間に開発した成果に対して現場の意見を取り入れ、より実用的なロボットシステムとなるように改良開発を行っています。本プロジェクトは平成29年度が最終年度となっており、ロボットの社会実装の実現に向け、引き続き努力してまいります。 この研究開発は川田テクノロジーズ㈱技術研究所が実施しています。③ 生産技術の研究開発 最近の高層ビル鉄骨はトラス構造や免震構造を含むメガ部材が増加し、形状も複雑化してきています。これに対応するため、組立て精度の確保や溶接作業の効率化を目的とした研究開発を進めています。 (土木セグメント) 川田建設㈱が、コンクリート構造物に関する研究開発を推進しています。当連結会計年度における研究開発費は82百万円であり、主な研究開発の状況は次のとおりであります。① 新設構造物の品質・耐久性向上技術に関する研究開発 各種施工管理システムの高精度化・自動化を目的として研究開発を推進しています。また、高炉スラグ微粉末配合に加えて、フライアッシュ配合の開発を進めており、昨年実績第1号として適用した道路橋プレキャストT桁の長期挙動のモニタリングを継続して実施しています。② 更新技術に関する研究開発 今後需要が増大する橋梁の改修・更新技術に着目して、更新用プレキャストPC床版とPC中間定着工法の研究開発を継続して推進しています。前者については特許取得とNETIS登録を行うとともに、NEXCOでの4件目の受注に結びつきました。後者については北陸地整において2件の工事に採用され、その成果により平成28年度PC工学会賞(技術開発部門)を受賞しました。③ 保全技術に関する研究開発 既設PC橋梁の維持管理をターゲットにした非破壊検査技術、延命化・長寿命化技術について、大学や専門会社と共同して基礎的な研究開発を続けています。また、補修工事における作業環境改善対策として、作業補助装置の開発にも挑戦しています。 (建築セグメント) 川田工業㈱の建築事業部が、事業企画本部、川田テクノロジーズ㈱技術研究所と連携して研究開発を実施しています。当連結会計年度における研究開発費は54百万円であり、主な研究開発の状況は次のとおりであります。① 耐震/制振用の座屈拘束ブレースに関する研究開発 神奈川大学の開発した技術を取り入れて、耐震/制振用の座屈拘束ブレース「ハイパー・ブレース」を開発しました。当連結会計年度では試験体を製作し、漸増と定振幅の載荷実験を行ったところ結果が良好であり、一般財団法人日本建築センターの一般評定を取得しました。次年度において自社案件での採用を目指すと共に、製作コストの低減や製作精度改善等を目指して研究開発を継続します。② 環境関連事業に関する研究開発 水遣りが基本的に不要な屋上緑化システム「みどりちゃん」は、国外では香港において着実に実績を積み重ねており、今後も海外での展開を目指して積極的な研究開発を行います。当連結会計年度ではオーストラリアにおいて現地造園会社と共同で「みどりちゃん」システムが問題なく機能するかどうかの施工試験を行い、問題なく機能することが実証されました。今後、オーストラリアでの展開を検討していきます。 また「みどりちゃん」システムを壁面緑化ユニットに取り込んだ新しいユニット型壁面緑化システムの開発も行っています。試作品を製作し実証実験を行い、既存壁面緑化システムと比較して灌水量を大幅に低減することができました。次年度に製品化を目指します。 さらに、地中熱ヒートポンプ冷暖房システム「GEOneo」に関して、異なる熱源からのエネルギーをインテリジェントにマネジメントするハイブリッドシステムを構築し、熱交換効率の向上に向けた基盤技術を確立しました。 (その他) カワダロボティクス㈱が双腕型ロボットに関する研究開発を継続して実施しています。当連結会計年度における研究開発費は440百万円であり、主な研究開発の状況は次のとおりであります。① 双腕型産業用ロボット「NEXTAGE」に関する研究開発 双腕型産業用ロボット関連では、「NEXTAGE」の性能・機能向上を目的とした要素技術開発を実施いたしました。「NEXTAGE」の各要素部品の性能向上及び低コスト化、機能向上の成果を上げています。② ロボットの適用分野拡大に関する研究開発 双腕ロボットの適用分野拡大に向けた研究開発として、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)のプロジェクトに参画し、適用用途の調査開拓、各分野向けシステムインテグレーション方式の開発及び現場実証を実施しました。
FY2016|2,849 文字
6 【研究開発活動】当社グループは、高い技術力をもって社会に奉仕し、経営理念である「安心で快適な生活環境の創造」を実現することを基本方針としています。このため、鉄構、土木、建築、ITサービスの各ビジネスフィールドでの研究開発を積極的に推進し、新しい技術や知見の獲得に努めています。研究体制としては、川田テクノロジーズ㈱技術研究所が次世代技術及びグループをまたぐ技術の研究開発を担当し、グループ各社では現業事業に直結する内容の研究開発を担当して実施しています。当連結会計年度における研究開発費は749百万円であり、各セグメント別の主な内容は、次のとおりであります。 (鉄構セグメント)主に川田工業㈱の鋼構造事業部が、鋼構造に関する研究開発を推進しています。 当連結会計年度における研究開発費は167百万円であり、材料構造技術、施工技術、工場での製作技術などに関する新技術の研究開発を行っています。主な研究開発の状況は次のとおりであります。① 複合構造に関する研究開発当社グループの得意とする複合構造物では、これまでにプレビームやSCデッキなどを開発し数多くの実績を収めており、これからも現状にとどまることなく常に改善を進めていきます。 プレビームに関しては、近い将来に見込まれている限界状態設計法への移行に対応するため、プレビーム固有のクリープ・乾燥収縮の特性の把握や継手部のひび割れ対策、主桁ウェブ部分の防錆等に関する研究開発を進めています。 また、SCデッキに関しては、さらなる施工性の向上、コストダウンを目指して、横リブ形状の改善、スタッドジベル本数の低減などの構造検討と実験を進めています。② 橋梁保全技術に関する研究開発今後展開される、高速道路のRC床版の大規模更新事業に対して、既設RC床版の急速取替方法に関する施工技術の開発、及び耐疲労性や製作性に優れた高性能取替鋼床版の開発を進めています。 また定期橋梁点検を支援する目的でマルチコプタを利用した橋梁点検システムの開発も進めています。これは、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託事業として平成26年度より実施しているもので、川田テクノロジーズ㈱技術研究所が担当しています。当連結会計年度においては、開発品の実証試験を行い、一定の評価を得ることができました。委託事業としての開発は当連結会計年度で終了しましたが、平成28年度から2年間、NEDOの助成事業として、実用化に向けた研究開発を実施する予定です。川田テクノロジーズ㈱技術研究所は引き続きフィールドロボティクス応用分野での研究開発に努力してまいります。 (土木セグメント)川田建設㈱は、コンクリート構造物に関する研究開発を推進しています。 当連結会計年度における研究開発費は47百万円であり、主な研究開発の状況は次のとおりであります。① 新設橋の品質・耐久性向上技術に関する研究開発コンクリート施工の基本である締固め・仕上げ・養生の研究、各種施工管理システムの開発を推進しています。また、新設PC橋の合理化技術として、従来品より強度が30%向上した高強度PC鋼材を高速道路橋に適用し、実物大施工試験による検証を行いました。現在この検証を経て施工を進めています。② 環境負荷低減技術に関する研究開発高炉スラグ微粉末配合に加えて、フライアッシュ配合の開発を進めており、実績第1号として道路橋プレキャストT桁に適用しました。高耐久化が要求される更新用PC床版への適用を目指し、今後はASR対策への効果を確認していきます。 さらに、今後需要が増大する橋梁の改修・更新技術に着目して、PC中間定着工法、更新用PC床版、PC向け の非破壊検査技術についても着実な改善を積み重ねて、研究開発を継続して推進しています。 (建築セグメント)川田工業㈱の建築事業部が新事業企画本部、川田テクノロジーズ㈱技術研究所と協力して研究開発を実施しています。 当連結会計年度における研究開発費は37百万円であり、主な研究開発の状況は次のとおりであります。① システム建築における新商品開発などの研究開発地震災害時における建物の健全性を、建物に設置したセンサーによって判断する構造ヘルスモニタリングを開発し、平成5年竣工の「牛久大仏」で監視を開始しました。また数年前より開発が続いた多層階倉庫の床組構法については、既に実物件での採用を始め実績を重ねています。施工面においては、将来の職人不足と工期短縮に対応するため、現場で作成するプレキャストコンクリート製腰壁の開発に取り組みました。また、多層階建物の外壁施工を上層階から始め、1階の施工状況に工期を左右されない外壁工法を開発し、実物件で工期短縮の成果をあげています。② 環境関連事業に関する研究開発水遣りが基本的に不要な屋上緑化システム「みどりちゃん」について、水が貴重な海外での展開を目指しており、当連結会計年度ではオーストラリアにおいて現地造園会社と共同で「みどりちゃん」システムが問題なく機能するかどうかの施工試験を開始しました。今後、「みどりちゃん」システムに適した土壌、植物の組み合わせを選定し、既に実績のある香港に引き続き、近い将来、オーストラリアでの販売を目指します。 また、新しいユニット型壁面緑化システムの開発も開始しました。「みどりちゃん」システムを壁面緑化ユニットに取り込むことで、灌水量を大幅低減できるものを目指しています。当連結会計年度においてはユニットの試作品を製作しており、今後は試作品を使った実験施工を行い、先進的な壁面緑化システムの開発に努力します。 さらに、地中熱ヒートポンプ冷暖房システム「GEOneo」は施工実績を着実に積み重ねており、CO2削減などの環境問題の解決に貢献しています。当連結会計年度では遠隔監視技術の開発に取り組み、先進的な地中熱ヒートポンプシステム開発に向けた基礎技術の確立を行いました。 (その他)カワダロボティクス㈱及び川田工業㈱ロボティクス事業部は平成27年10月に統合し、新生カワダロボティクス㈱として双腕型ロボットに関する研究開発を実施しました。 当連結会計年度における研究開発費は497百万円であり、主な研究開発の状況は次のとおりであります。① 双腕型産業用ロボット「NEXTAGE」に関する研究開発 双腕型産業用ロボット関連では、NEXTAGEの性能・機能向上を目的とした要素技術開発を実施いたしました。NEXTAGEの各要素部品の性能向上及び低コスト化、機能向上の成果を上げています。② ロボットの適用分野拡大に関する研究開発双腕ロボットの適用分野拡大に向けた研究開発として、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)のプロジェクトに参画し適用用途の調査開拓、各分野向けシステムインテグレーション方式の開発及び現場実証を実施しました。