3405

クラレ(3405)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

化学 素材・化学

事業の概要

  • 多角的な化学製品事業
    クラレは、ビニルアセテート、イソプレン、機能材料、繊維、トレーディング、その他の6つの事業部門で多岐にわたる化学製品を製造・販売しています。例えば、ビニルアセテート部門ではポバール樹脂やEVOH樹脂(エバール)などを手掛け、食品包装材や液晶パネル材料など幅広い用途に供給しています。これにより、特定の産業に依存しない安定した収益構造を構築しています。
  • グローバルな事業展開
    同社は、連結子会社67社、持分法適用関連会社2社を擁し、北米、欧州、アジア、豪州など世界各地に生産・販売拠点を展開しています。海外売上高比率が7割を超えるグローバル企業であり、地域ごとの需要や市場特性に対応した製品供給と販売戦略により、収益機会を最大化しています。特に、米国や欧州でのポバール樹脂やPVB樹脂の製造・販売が事業の柱の一つです。
  • 高機能・特殊化学品に強み
    クラレの製品は、一般的な汎用化学品だけでなく、高機能な特殊化学品が多いのが特徴です。例えば、耐熱性ポリアミド樹脂(ジェネスタ)や熱可塑性エラストマー(セプトン)、中空糸水処理膜、活性炭、人工皮革(クラリーノ)など、特定の性能が求められる分野で高い競争力を持っています。これにより、価格競争に巻き込まれにくい高付加価値製品で収益を上げています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • ビニルアセテート事業
    この事業は、ポバール樹脂、EVOH樹脂(エバール)、PVB樹脂・フィルムなどの製造・販売が中心です。食品包装材、液晶パネル、自動車用ガラスなど幅広い用途に使われる高機能素材であり、クラレの売上高の約3871.69億円、営業利益の約625.45億円を占める最大の稼ぎ頭です。北米、欧州、アジアに主要な生産・販売拠点を持ち、グローバルに展開しています。
  • 機能材料事業
    メタクリル樹脂、活性炭、中空糸水処理膜、歯科材料などを手掛ける事業です。売上高は約2022.08億円、営業利益は約108.26億円を計上しており、環境分野(水処理・空気浄化)や医療分野(歯科材料)など、特定の機能が求められる市場で強みを発揮しています。Calgon Carbon Corporationなどの子会社が北米・欧州・アジアで活性炭事業を展開し、事業の多角化に貢献しています。
  • イソプレン事業
    イソプレン系化学品、耐熱性ポリアミド樹脂(ジェネスタ)、熱可塑性エラストマー(セプトン)などを製造・販売しています。売上高は約610.57億円ですが、営業利益は約-48.64億円と赤字を計上しており、事業再編や効率化が課題となっている可能性があります。自動車部品や電子材料など、特定の高性能材料市場に製品を供給しており、今後の収益改善が注目されます。
2025-12 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
VinylAcetate 事業 3,872 625 16.2%
Isoprene 事業 611 -49 -8.0%
FunctionalMaterials 事業 2,022 108 5.4%
FibersAndTextiles 事業 563 26 4.7%
Trading 事業 673 60 9.0%
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FY2025|1,997 文字
3 【事業の内容】当社及び当社の関係会社においては、「ビニルアセテート」、「イソプレン」、「機能材料」、「繊維」、「トレーディング」、「その他」の6部門に関係する事業を行っており、その製品は多岐にわたっています。関係会社のうち、連結子会社は67社、持分法を適用している関連会社は2社です。各事業における当社及び関係会社の位置付け及びセグメントとの関連は次のとおりです。 ビニルアセテート:当社はポバール樹脂・フィルム、EVOH樹脂〈エバール〉・フィルム等の製造・販売を行っています。Kuraray America, Inc.は、北米でポバール樹脂、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂・フィルム、〈エバール〉の製造・販売を行っています。Kuraray Europe GmbHは、欧州でポバール樹脂及びPVB樹脂・フィルムの製造・販売を行っています。EVAL Europe N.V.は、欧州で〈エバール〉の製造・販売を行っています。Kuraray Asia Pacific Pte. Ltd.は、アジアでポバール樹脂の製造・販売を行っています。MonoSol, LLC及びその子会社は、北米及び欧州で産業用ポバールフィルムの製造・販売を行っています。可楽麗国際貿易(上海)有限公司は、アジアで当社グループからポバール樹脂、〈エバール〉、PVBフィルム等の供給を受け、販売を行っています。Kuraray Specialities (Thailand) Co., Ltd.は、アジアで当社グループから〈エバール〉、PVBフィルム等の供給を受け、販売を行っています。Kuraray Europe Moravia s.r.o.は、欧州でPVBフィルムの製造を行っています。Kuraray Korea Ltd.は、アジアでPVBフィルムの製造・販売を行っています。Plantic Technologies Limitedは、豪州でバイオマス由来のガスバリア材〈PLANTIC〉フィルムの製造・販売を行っています。イソプレン:当社はイソプレン系化学品・ファインケミカル、耐熱性ポリアミド樹脂〈ジェネスタ〉、熱可塑性エラストマー〈セプトン〉等の製造・販売を行っています。Kuraray America, Inc.は、〈セプトン〉等の製造・販売を行っています。Kuraray Advanced Chemicals (Thailand) Co., Ltd.は、イソプレン系化学品の製造・販売を行っています。Kuraray GC Advanced Materials Co., Ltd.は、〈ジェネスタ〉、〈セプトン〉の製造・販売を行っています。機能材料:当社はメタクリル樹脂及び樹脂加工品、活性炭、中空糸水処理膜等の製造・販売を行っています。可楽麗亜克力(張家港)有限公司は、アジアでメタクリル樹脂シートの製造・販売を行っています。クラレノリタケデンタル㈱は、歯科材料の製造・販売を行っています。Calgon Carbon Corporation及びその子会社は、北米・欧州・アジアなどで、活性炭及び水処理機器の製造・販売を行っています。クラレアクア㈱は水処理設備の設計・施工等を行っています。 繊維:当社はビニロン、人工皮革〈クラリーノ〉の製造・販売を行っています。可楽麗香港有限公司は、アジアで当社グループから人工皮革等の供給を受け、販売を行っています。クラレファスニング㈱は、面ファスナー〈マジックテープ〉等の製造・販売を行っています。クラレ玉島㈱は、ポリエステルの製造を行っています。クラレ岡山スピニング㈱は、ビニロンの加工を行っています。トレーディング:クラレトレーディング㈱は、クラレ西条㈱が製造しているポリエステル等当社グループ製品及び他社品、加工品の販売を行っています。その他:当社は液晶ポリマーフィルム等の製造・販売を行っています。クラレプラスチックス㈱は、ゴム・樹脂加工品などの製造・販売を行っています。クラレエンジニアリング㈱は、各種プラントの設計・施工を行っています。クラレテクノ㈱は、生産付帯業務・物流サービスの受託等を行っています。㈱テクノソフトは、ISО取得支援のコンサルティング等を行っています。クラレトラベル・サービス㈱は、保険・旅行等の業務サービスを行っています。㈱倉敷国際ホテルは、ホテル事業を行っています。 事業の系統図は以下のとおりです。 (注)1.図中の会社名で、{ }は「持分法適用会社」を表しています。2.丸角四角で囲った会社は複数のセグメントにまたがっています。3.Kuraray Holdings U.S.A., Inc.は、Kuraray America, Inc.、MonoSol, LLC及びCalgon Carbon Corporationの持株会社です。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
特殊化学品が多く商品市況の影響を受けにくい構成だが、原燃料市況変動の影響を受ける。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
ポバール樹脂・フィルム、EVOH樹脂、イソプレン系化学品、メタクリル樹脂、活性炭、中空糸水処理膜、ビニロン、人工皮革など多岐にわたる製品の製造・販売技術。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:事業環境の変化に関わるリスク / 原材料に関わるリスク / 海外事業展開に関わるリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 9 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★★★☆
根拠:強いブランド・特許・許認可

クラレは高機能樹脂・繊維分野で独自の技術と特許を多数保有。特に、光学用アクリル樹脂「クラリティ」や、人工皮革「クラリーノ」は高いブランド力と技術的優位性を確立しており、競合他社が容易に模倣できない無形資産となっている。これらの製品は、特定の用途で高いシェアを維持している。

スイッチングコスト★★★☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

クラレの製品は、自動車、エレクトロニクス、医療など、高い品質と信頼性が求められる分野で使用されることが多い。これらの産業では、サプライヤー変更に伴う認証プロセスや品質リスクを考慮すると、顧客が容易に他社製品へ切り替えることは難しい。特に、カスタム仕様の製品や長年の取引実績がある場合、スイッチング・コストは高くなる。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

クラレの事業モデルは、製品の機能性や品質に依存するものが中心であり、ユーザー数の増加によって製品価値が向上するネットワーク効果は基本的に見られない。

コスト優位★★☆☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

化学品製造においては、規模の経済や生産プロセスの効率化によるコスト競争力が一定程度存在する。しかし、クラレの強みは高付加価値製品にあり、汎用品における圧倒的なコスト優位性を持つとは言えない。一部の汎用化学品ではコスト競争に晒される可能性がある。

  • 高機能素材の技術力とブランド
    クラレは、ポバール樹脂、EVOH樹脂(エバール)、耐熱性ポリアミド樹脂(ジェネスタ)、人工皮革(クラリーノ)など、独自の技術に基づいた高機能素材を多数開発し、それぞれの分野で高いブランド認知度と市場シェアを確立しています。これらの素材は、自動車、電気・電子、食品包装、医療など多岐にわたる産業の基幹材料として利用されており、顧客にとって代替が難しい製品群となっています。
  • グローバルな生産・販売ネットワーク
    同社は、世界各地に生産拠点と販売ネットワークを構築しており、特に北米、欧州、アジア、豪州に強固な基盤を持っています。これにより、地域ごとの需要変動やサプライチェーンのリスクに対応しやすく、効率的なグローバル供給体制を維持しています。例えば、北米ではKuraray America, Inc.が、欧州ではKuraray Europe GmbHが主要な役割を担っています。
  • 多角的な事業ポートフォリオ
    ビニルアセテート、イソプレン、機能材料、繊維など、多様な事業セグメントを持つことで、特定の市場や製品に依存するリスクを分散しています。これにより、特定の事業環境の変化が会社全体の業績に与える影響を緩和し、安定的な経営基盤を築いています。例えば、自動車産業向け製品と環境・医療向け製品の両方を手掛けることで、リスクヘッジを図っています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】クラレグループは、企業ステートメントの使命「世のため人のため、他人(ひと)のやれないことをやる」のもと、創立100周年となる2026年度に向けた長期ビジョン『Kuraray Vision 2026』で掲げる「独自の技術に新たな要素を取り込み、顧客、社会、地球に貢献し、持続的に成長するスペシャリティ化学企業」を目指しています。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2025年12月31日)現在において当社が判断したものです。 当社グループは、この長期ビジョン『Kuraray Vision 2026』の実現に向けて、2022年度から始まった5か年の中期経営計画「PASSION 2026」で以下3つの挑戦を設定しています。① 機会としてのサステナビリティサステナビリティを機会としてとらえ、グループ一丸となって推進します。② ネットワーキングから始めるイノベーション社外・社内を問わず、人と人、技術と技術をつなげることで、新たな成長のドライバーを生み出します。③ 人と組織のトランスフォーメーションデジタルでプロセスを変え、多様性で発想の幅を広げ、人と組織に変革をもたらします。中期経営計画「PASSION 2026」の最終年度となる2026年度は、エバール、ジェネスタ、活性炭、歯科材料等の「成長・拡大事業」では強みを生かして拡大する需要に対応するとともに、「最適化・体質改善事業」の収益改善を着実に進め、事業ポートフォリオの高度化を一層推進していきます。また、当社グループの中長期的な成長のために、引き続き新規事業創出に向けた取り組みを加速していきます。当社グループは、2026年度の創立100周年とその先の未来を見据え、持続的に成長するスペシャリティ化学企業として今後も挑戦し続けます。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】クラレグループは、企業ステートメントの使命「世のため人のため、他人(ひと)のやれないことをやる」のもと、創立100周年となる2026年度に向けた長期ビジョン『Kuraray Vision 2026』で掲げる「独自の技術に新たな要素を取り込み、顧客、社会、地球に貢献し、持続的に成長するスペシャリティ化学企業」を目指しています。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2025年12月31日)現在において当社が判断したものです。 当社グループは、この長期ビジョン『Kuraray Vision 2026』の実現に向けて、2022年度から始まった5か年の中期経営計画「PASSION 2026」で以下3つの挑戦を設定しています。① 機会としてのサステナビリティサステナビリティを機会としてとらえ、グループ一丸となって推進します。② ネットワーキングから始めるイノベーション社外・社内を問わず、人と人、技術と技術をつなげることで、新たな成長のドライバーを生み出します。③ 人と組織のトランスフォーメーションデジタルでプロセスを変え、多様性で発想の幅を広げ、人と組織に変革をもたらします。中期経営計画「PASSION 2026」の最終年度となる2026年度は、エバール、ジェネスタ、活性炭、歯科材料等の「成長・拡大事業」では強みを生かして拡大する需要に対応するとともに、「最適化・体質改善事業」の収益改善を着実に進め、事業ポートフォリオの高度化を一層推進していきます。また、当社グループの中長期的な成長のために、引き続き新規事業創出に向けた取り組みを加速していきます。当社グループは、2026年度の創立100周年とその先の未来を見据え、持続的に成長するスペシャリティ化学企業として今後も挑戦し続けます。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析内容は以下のとおりです。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2025年12月31日)現在において当社が判断したものです。 (1) 経営成績の概況及び分析当連結会計年度における世界経済は、各国の貿易政策により先行きが見通しにくい状況が続きました。日本経済は内需に支えられ、緩やかに回復しました。米国経済は、AI関連分野は好調だったものの、その他分野は低調に推移しました。欧州経済は緩やかな拡大基調を維持したものの、低成長が継続しました。中国経済は不動産市況の低迷に加え、政府の景気刺激策に支えられてきた個人消費が減速し、低成長となりました。 かかる環境下、当社グループは、2022年度からスタートした中期経営計画「PASSION 2026」に掲げる3つの挑戦、①機会としてのサステナビリティ、②ネットワーキングから始めるイノベーション、③人と組織のトランスフォーメーション、を推進するとともに、事業ポートフォリオの高度化を進め、成長性、競争力の高い事業・製品のさらなる強化を図りました。「成長・拡大事業」「基盤事業」と位置づけた事業・製品では、新たな設備投資や買収など将来の成長に向けた意思決定を行いました。一方で、将来に向けて改善が見込めない一部の事業・製品においては、事業譲渡あるいは縮小・撤退といった判断を行いました。その結果、当社グループの業績は、売上高は前期比18,447百万円(2.2%)減の808,447百万円、営業利益は26,198百万円(30.8%)減の58,882百万円、経常利益は29,964百万円(36.8%)減の51,515百万円となりました。なお、イソプレンケミカル事業関連資産及びエラストマー事業におけるスチレン系熱可塑性エラストマー関連資産での減損損失などを特別損失に計上したため、親会社株主に帰属する当期純利益は24,256百万円(76.5%)減の7,468百万円となりました。(単位:百万円) 2024年度2025年度増減売上高営業利益売上高営業利益売上高営業利益ビニルアセテート414,90787,630404,49562,545△10,412△25,084イソプレン76,365△9,49880,378△4,8644,0124,633機能材料207,98112,946206,93910,826△1,042△2,120繊維62,6741,20760,7492,633△1,9251,425トレーディング67,6255,91568,7666,0391,141124その他50,8632,29540,7941,795△10,069△500消去又は全社△53,523△15,416△53,675△20,092△151△4,676合計826,89585,081808,44758,882△18,447△26,198 [ビニルアセテート]当セグメントの売上高は404,495百万円(前期比2.5%減)、営業利益は62,545百万円(同28.6%減)となりました。欧州経済の停滞等により想定したほど販売数量は増えず、また利益面では在庫評価差額や原燃料価格上昇によるマイナス影響がありました。   ポバール樹脂:販売数量は前年の欧州向け物流の混乱に起因した特需が一巡したことに加えて、欧米中心に需要が低調となったことから減少しました。利益面では原燃料価格上昇によるマイナス影響がありました。なお、米国工場において、外部購入ユーティリティの供給停止や一部製造設備の不具合が発生し、製造を一時停止しました。  光学用ポバールフィルム:販売数量は中国の家電買替支援策や国際的なスポーツイベントに向けたテレビの買い替え需要に支えられ増加しました。利益面では在庫評価差額によるマイナス影響がありました。  高機能中間膜:特殊アイオノマーシート〈セントリグラス〉は米州を中心に販売が順調に推移しましたが、PVBフィルムは欧州・アジアを中心に競争環境の厳しさが増しており、建築用途及び自動車用途ともに販売数量が減少しました。  水溶性ポバールフィルム:個包装洗剤の需要増加により販売数量は増加しました。  EVOH樹脂〈エバール〉:食品包装用途は欧州・アジアで想定したほど販売数量が増えませんでしたが、自動車用途は堅調に推移し、全体として販売数量は増加しました。一方で、利益面では在庫評価差額や原燃料価格の上昇によるマイナス影響がありました。 [イソプレン]当セグメントの売上高は80,378百万円(前期比5.3%増)となりました。営業損失は4,864百万円(前期は営業損失9,498百万円)となりました。タイ拠点の稼働が安定し、当該拠点を活用した拡販を進めました。なお、事業環境の悪化に伴い、当第4四半期においてイソプレンケミカル事業関連資産及びエラストマー事業におけるスチレン系熱可塑性エラストマー関連資産に係る減損損失を特別損失に計上しました。   イソプレンケミカル・エラストマー:イソプレンケミカルは中国の建築用途需要低迷に加え、上期に米国関税政策の影響により需要が前倒しとなった結果、第3四半期以降はその反動で需要が落ち込みました。エラストマーは販売数量が増加したものの、米国関税政策により欧州市場等においてアジアの競合メーカーとの競争が激化しました。  耐熱性ポリアミド樹脂〈ジェネスタ〉:電気・電子用途、自動車用途とも拡販が進み、販売数量が増加しました。 [機能材料]当セグメントの売上高は206,939百万円(前期比0.5%減)、営業利益は10,826百万円(同16.4%減)となりました。米国寒波に加え、生産トラブル等による業績へのマイナス影響がありました。  メタアクリル:2025年7月からメタクリル酸メチル及び一部の川下製品の生産能力を縮小したことに加えて、一時的な生産トラブルがあり販売数量が減少しました。  メディカル:審美治療用歯科材料の販売が欧米を中心に引き続き好調に推移しており、今後の拡販に向けたマーケティング強化を進めました。  環境ソリューション:活性炭の販売数量は飲料水用途を中心に増加したものの、米国関税政策や景気の先行き不透明感から一部顧客において購入時期を見直す動きがみられ、想定数量には届きませんでした。加えて、2024年12月に珪藻土、パーライト事業を譲渡したことによる減収影響がありました。利益面では米国寒波や生産トラブルによるマイナス影響がありました。 [繊維]当セグメントの売上高は60,749百万円(前期比3.1%減)、営業利益は2,633百万円(同118.1%増)となりました。欧州経済の停滞やEVの生産調整等による影響を受けたものの、販売構成の改善等による寄与がありました。   人工皮革〈クラリーノ〉:靴用途は新規採用の効果により堅調に推移しましたが、欧州市場での需要低迷や中国経済の成長鈍化、EVの生産調整の影響等により、ラグジュアリー用途及び自動車用途を中心に販売数量が減少しました。  繊維資材:欧州の建材用途は低調が続いたものの、液晶ポリマー繊維〈ベクトラン〉の拡販などにより販売構成の改善が進みました。 [トレーディング]当セグメントの売上高は68,766百万円(前期比1.7%増)、営業利益は6,039百万円(同2.1%増)となりました。   繊維関連事業:スポーツ・アウトドア衣料用途が順調に推移しました。また、高機能原糸や環境対応商品といった高付加価値品の拡販を進めました。  樹脂・化成品関連事業:アジア市場を中心に樹脂及び加工品の販売が拡大しました。 [その他]その他事業の売上高は40,794百万円(前期比19.8%減)、営業利益は1,795百万円(同21.8%減)となりました。 (2) 当期の財政状態の概況総資産は、現金及び預金の減少13,965百万円等の一方、受取手形、売掛金及び契約資産の増加11,740百万円及び棚卸資産の増加11,605百万円等により、前連結会計年度末比12,272百万円増の1,303,511百万円となりました。負債は、有利子負債の増加40,637百万円等により、前連結会計年度末比38,887百万円増の548,335百万円となりました。純資産は、資本剰余金の減少等により、前連結会計年度末比26,614百万円減の755,175百万円となりました。自己資本は742,620百万円となり、自己資本比率は57.0%となりました。 (3) 当期のキャッシュ・フローの概況[営業活動によるキャッシュ・フロー]税金等調整前当期純利益19,821百万円に対して、減価償却費84,702百万円、減損損失29,626百万円及び法人税等の支払額22,799百万円等により、営業活動によるキャッシュ・フローは98,591百万円の収入となりました。[投資活動によるキャッシュ・フロー]有形及び無形固定資産の取得94,177百万円等の支出により、投資活動によるキャッシュ・フローは98,129百万円の支出となりました。[財務活動によるキャッシュ・フロー]有利子負債の増加額39,245百万円、自己株式の取得30,004百万円及び配当金の支払額17,367百万円等の支出により、財務活動によるキャッシュ・フローは16,305百万円の支出となりました。以上の要因に加え、現金及び現金同等物に係る換算差額等により、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より13,378百万円減少して、108,314百万円となりました。                                  (単位:百万円) 2024年12月期2025年12月期営業活動によるキャッシュ・フロー138,29498,591投資活動によるキャッシュ・フロー△76,008△98,129財務活動によるキャッシュ・フロー△82,504△16,305現金及び現金同等物に係る換算差額8,8482,464現金及び現金同等物の増減額△11,369△13,378現金及び現金同等物の期首残高133,663121,692連結除外に伴う現金及び現金同等物の減少額△601-現金及び現金同等物の期末残高121,692108,314 なお、当社グループのキャッシュ・フロー関連指標は以下のとおりです。 2021年12月期2022年12月期2023年12月期2024年12月期2025年12月期自己資本比率(%)51.352.956.959.257.0時価ベースの自己資本比率(%)31.529.038.057.237.4キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)3.96.32.21.82.9インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)50.943.657.366.254.2 (注)自己資本比率:自己資本/総資産時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フローインタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い1.各指標は、いずれも連結ベースの財務諸表数値により計算しています。2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しています。3.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しています。4.有利子負債は、短期借入金、コマーシャル・ペーパー、長期借入金及び社債の合計額を使用しています。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。 (4) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社グループの資金需要は、営業活動に必要となる運転資金や設備投資、M&A等に係る投資資金が主なものです。これらの資金需要に対しては、自己資金のほか、必要に応じ、金融機関からの借入やコマーシャル・ペーパー、社債の発行等により資金調達を行っています。また、資金需要に応じて柔軟に資金調達ができるよう、信用格付けの維持向上や金融機関、資本市場との良好な関係維持に努めるとともに、緊急に資金が必要となる場合や金融市場の混乱に備え、金融機関とコミットメントライン契約を締結しています。 (5) 生産、受注及び販売の状況当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品が多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。このため生産、受注及び販売の状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績の概況及び分析」における各セグメントの業績に関連付けて示しています。 (6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しています。

事業リスク

  • 事業環境の変化による影響
    クラレは自動車、電気・電子、環境、医療などの成長分野に注力していますが、これらの最終製品市場の業界標準の転換、製品の短寿命化、グローバルな開発競争の激化などにより、主要事業が縮小したり、固定資産の減損損失などの大規模な損失が発生する可能性があります。例えば、液晶パネル用ポバールフィルムやコネクタ用耐熱性ポリアミド樹脂の需要が急減するリスクが考えられます。
  • 原材料価格の変動と調達リスク
    化成品、合成樹脂、合成繊維の主原料は原油や天然ガスの市況に影響される石油化学製品であり、予想を超える市況変動が発生した場合、製品価格への転嫁が遅れることで業績に悪影響が生じる可能性があります。また、主要サプライヤーでの事故・災害、物流の混乱、経済制裁などにより、重要な原材料の調達が困難になり、製品供給に支障をきたすリスクも存在します。
  • グローバル事業展開に伴うリスク
    海外売上高比率が7割を超えるため、各国・地域での大規模な伝染病、戦争・暴動・テロ、貿易戦争、予期せぬ法律・規制・税制の変更、地政学リスクの高まり(ロシア・ウクライナ情勢、中東情勢、中台関係など)が、需要の低迷、サプライチェーンの混乱、原燃料価格の高騰などを引き起こし、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|5,616 文字
3 【事業等のリスク】当社グループは、重大な経営リスクの適切な管理、法令遵守・企業倫理の徹底、公正な企業活動の実践を目的に、社長直轄のリスク・コンプライアンス委員会を設置しています。グループリスク管理規定に基づき、国内外の各組織においてリスクの自己評価を実施し、リスク・コンプライアンス委員会での審議を経て、社長が重大な経営リスクを特定、リスク毎に統括責任者を選定し、リスクの回避・軽減のための対策を進め、取締役会は対策の進捗を確認しています。 <リスク管理体制概要図> 当社グループにおけるリスク管理方針に則り、かつ近年の社会情勢及び産業界の動向に鑑み、以下を2025年度の「重点課題」とし、それぞれ対策を実施しました。 (課題1)機密情報漏洩・破壊リスク低減のため、グローバルで統一した情報セキュリティシステムを導入するとともに、機密情報管理ルールの徹底と運用状況のモニタリング結果に基づく改善策の着実な実行により、機密情報管理レベルの向上を図る。(対策) 機密情報管理の継続的強化を図るため、2024年度に運用を開始した大量ダウンロード検知システム、大量ダウンロード自動停止システムについて検知精度の向上施策を推進するとともに、海外グループ会社における機密情報管理体制の整備を進めました。 (課題2)保安事故の発生リスク低減を目指し、全世界のプラントにおいて運転・設備管理の強化策を継続して実施する。組織横断的メンバーで構成するグローバルPSM(プロセス・セーフティ・マネジメント)監査チームの現地監査により保安管理上の課題を客観的に抽出し、その改善を支援するとともに、発見された課題についてグローバルに水平展開を実施しグループ全体の保安事故発生リスクの低減を図る。(対策) 2019年度から開始した海外化学プラントに対する当該カンパニー・事業部によるこれまでの安全監査等に加えて、2022年度からはグローバルな社内専門家で編成した PSM監査チームの活動を立ち上げ、海外保安リスクの把握と対策を推進しています。2025年度は、PSM監査チームが4生産拠点の現地監査を行い課題把握と改善推奨を行いました。 (課題3)原燃料の調達リスクに対するリスク回避・低減対策を、サプライチェーン上流の最新動向を踏まえて修正し、各事業のBCP(事業継続計画)上優先度の高い製品にかかる原燃料から着実に実行する。(対策) サプライチェーン上流の最新動向を踏まえて原燃料供給停止リスク及びリスク回避・低減策を修正し、各事業の優先生産銘柄及び原燃料供給停止リスクの分析結果に基づき、優先度の高いものから順次リスク低減策の策定・実施を進めました。 上記の重点課題を含め、有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクには、以下のような項目があります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2025年12月31日)現在において当社グループが判断したものです。当社グループは、これら事業運営全体に関わるリスクに対して日々の事業活動の中でリスク低減に努めています。 ① 事業環境の変化に関わるリスク当社グループは、多様な事業ポートフォリオを有しており、グローバルかつ様々な用途分野に展開しています。さらに、当社グループの製品は特殊化学品が多く、商品市況の影響を受けにくい構成になっていますが、近年、自動車(フロントガラス用PVBフィルム、ブレーキホース補強用ビニロン等)、電気・電子(液晶パネル用ポバールフィルム、コネクタ用耐熱性ポリアミド樹脂〈ジェネスタ〉等)、環境(食品包装用EVOH樹脂〈エバール〉、水処理・空気浄化用活性炭等)、医療(歯科材料等)などの成長分野へシフトさせつつあり、業績の依存度も高まっています。また、自然環境・生活環境貢献製品等の優位性のある製品の開発や、IoT活用によるビジネスモデルの改革や業務プロセスのデジタル化等のデジタルトランスフォーメーション、社内外のリソースを結び付けることによるイノベーションの創出等に取り組んでいますが、最終製品における業界標準の転換、製品の短寿命化、グローバルな開発競争の激化等の環境変化により、重要な事業が縮小・撤退を余儀なくされたり、固定資産の減損損失等の大規模な損失を計上する可能性があります。 ② 原材料に関わるリスク当社グループの製品である化成品、合成樹脂、合成繊維の主原料は、原油、天然ガスの市況に影響を受けるエチレン等の石油化学製品です。このため、予想を超える市況変動が生じた場合、製品価格への転嫁が遅れること等により、当社グループの業績に悪影響が生じる可能性があります。また、長期購買契約の締結や購入先を複数にするなど、主要原料が購入できないリスクを低減するように努めていますが、重要な原材料の提供を担っているサプライヤーにおける事故・災害の発生、物流の混乱、日本や諸外国における経済制裁や各種規制等により、当社グループの製品供給に悪影響が生じる可能性があります。 ③ 海外事業展開に関わるリスク当社グループは、グローバルな事業展開を行っており、海外売上高比率が7割を超えています。当社グループは、米国、ドイツ、中国、香港、シンガポール、タイ、インド、ブラジルに設置している地域会社にて、各国・各地域のリスク情報収集及びビジネス動向の分析を常時行い、当該地域を越えて対応が必要となる場合は地域会社、カンパニー所管会社、本社の該当部署が連携する体制を構築しています。しかしながら、各国・各地域での大規模な伝染病の流行、戦争・暴動・テロ等、偶発的な要因や、国家や地域の対立による貿易戦争、予期せぬ法律、規制、税制などの変更によって、当社グループの業績に悪影響が生じる可能性があります。ロシア・ウクライナ情勢や中東情勢、中台関係を始めとする東アジア情勢の緊張化などのグローバルな地政学リスクの高まりにより、需要の低迷やサプライチェーンの混乱、原燃料の価格高騰や調達難など、当社グループの業績に悪影響が生じる可能性があります。 ④ 情報セキュリティに関わるリスク当社グループは、事業活動の基盤である情報システム・ネットワークに様々なセキュリティ対策を実施するとともに、情報管理体制のさらなる強化を図っていますが、災害、サイバー攻撃、不正アクセス等により情報システム等に障害が生じた場合や、企業情報及び個人情報等が社外に流出した場合は、事業活動の停滞や信用の低下等により、当社グループの業績に悪影響が生じる可能性があります。 ⑤ 事故・災害に関わるリスク当社グループは、日本、欧州、北米、アジア及び豪州に生産拠点を設けており、これらの多くは大規模な化学工場です。当社グループは、安全に関する行動原則「安全は全ての礎」に従い、安全のマネジメントシステムを構築・運用し、爆発、火災、有害物質の漏洩などの事故・災害の未然防止、及び災害発生時の被害の極小化に努めるとともに、重要な生産設備については拠点分散や損害保険によるリスク対応を行っている他、気候変動に起因する激甚災害に対するリスク評価を実施し、その対策を進めています。しかしながら、重大な保安事故、環境汚染、自然災害、大規模な伝染病の流行等が発生すれば、従業員や第三者への人的・物的な損害、事業資産の毀損、長期の生産停止が生じる可能性があります。また、原燃料、設備・メンテナンス部品やサービスの提供などを担っているサプライヤーにおける事故・災害の発生により、当社グループの製品供給に悪影響が生じる可能性があります。 ⑥ 製造物責任に関わるリスク当社グループは、自動車、電気・電子材料、医療(歯科材料等)、食品包装(〈エバール〉、バイオマス由来のガスバリア材〈PLANTIC〉等)など、最終製品の品質に対して重要な役割を担う製品を数多く供給しています。当社グループでは主に製造拠点単位で品質マネジメントシステムを導入し品質の向上に努めていますが、品質の欠陥に起因する大規模な製品回収が発生すると、PL保険でカバーできない損害賠償等の損失の発生、顧客からの信頼や社会的信用の失墜等の可能性があります。 ⑦ 人権に関わるリスク近年、自社のみならずサプライチェーン等も含めた人権の尊重への取り組みが求められています。当社グループは、「私たちの信条」において、企業活動に関わる全ての人々を個人として尊重し、その人格と自律を認め合うことを理念の1つとして掲げています。また、人権の尊重に対する当社グループの姿勢及び責任を明確に示すため「クラレグループ人権方針」を制定し、人権侵害リスクの特定・軽減・防止・是正に向けた取り組みを進めていますが、当社グループの事業活動により直接または間接的に人権に負の影響が生じた場合、顧客からの信頼や社会的信用の失墜等により当社グループの業績に悪影響が生じる可能性があります。 ⑧ 法規制・コンプライアンスに関わるリスク当社グループは、多様な社会との接点において遵守すべき事項を「私たちの誓約」として、またこれを企業活動の中で具体的に実践するためのガイドラインを「行動規範」として定めています。そして、法令及び「私たちの誓約」を厳守することを経営トップが宣言しています。この宣言を明記し、「行動規範」をわかりやすく解説したコンプライアンス・ハンドブックを、世界中の当社グループ社員全員に配布し周知徹底を図っています。また、当社各地域拠点及びグループ各社において、コンプライアンス統括者を選任するとともに地域別にコンプライアンス委員会を設け、全社的なテーマの他、地域特有のテーマについても取り組んでいます。独占禁止法遵守に向けた取り組みとしては、グローバルなコンプライアンスプログラムを構築しています。具体的には、独占禁止法遵守指針の定期的見直し、競合他社との接触に関するガイドラインの制定、競合他社との取引・会合の事前審査、役員・従業員向けセミナーの開催、遵守状況に関する社内聴取、入札情報の管理及び入札部署を対象とした法務部監査等の様々な施策を行っています。以上のとおり、コンプライアンスの徹底を図っていますが、重大な法令違反を起こした場合、顧客からの信頼や社会的信用の失墜に加え、損害賠償責任や罰金が課されることなどにより、当社グループの業績に悪影響が生じる可能性があります。当社グループは、グローバルに事業を展開しており、各国の様々な法規制の適用を受けています。将来的に法規制の大幅な変更や規制強化がなされた場合には、新たな対策コストの発生や事業活動の制約につながり、当社グループの業績に悪影響が生じる可能性があります。 ⑨ 訴訟に関わるリスク当社グループは、国内及び海外事業に関連して、取引先や第三者との間で、訴訟その他法的手続きが発生するリスクがあります。重要な訴訟等が提起された場合、当社グループの業績に悪影響が生じる可能性があります。 ⑩ 環境に関わるリスク当社グループは、「クラレグループ環境基本方針」を定め、環境に関する各種法規制を遵守するとともに、GHG排出量削減等の地球温暖化対策の推進、化学物質の排出抑制、資源の有効利用等の環境改善に継続して取り組んでいます。また、気候変動がもたらす異常気象や激甚災害へのリスク評価及び対策を強化しています。これらに加え、当社グループは「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明し、TCFD提言が推奨する4つの開示項目に沿って当社グループにおける気候変動への取り組みについて開示しています。しかしながら、予期せぬ事故や自然災害等により環境汚染が生じた場合や、環境に関する規制が強化された場合は、事業活動の制限や対策費用の増加等により、当社グループの業績に悪影響が生じる可能性があります。 ⑪ 知的財産に関わるリスク当社グループは、独自技術による事業・製品を数多く有しています。当社グループの知的財産権への重大な侵害や当社の権利に対する係争が発生した場合、また当社グループが他社の知的財産権を侵害した場合、当社グループの業績に悪影響が生じる可能性があります。 ⑫ 人材の確保に関わるリスク当社グループにとって、人材は当社グループの事業推進及び持続的成長・発展のために重要かつ不可欠な経営資源であると考えています。ダイバーシティとインクルージョンを推進しつつ、国内外グループ会社を対象としたエンゲージメントサーベイの定期的実施、職場環境及び人事制度・報酬の継続的な見直し、多様な教育・研修の実施等により、従業員にとっても自己成長・実現が可能で働きがいのある魅力的な会社であり続けられるよう努めていますが、少子・高齢化に伴う労働人口の減少や雇用流動化の進展等を背景として、採用難や流出、必要な人材を確保できない場合は、事業活動の停滞等により、当社グループの業績に悪影響が生じる可能性があります。 ⑬ 為替の変動に関わるリスク当社グループは、日本、欧州、北米、アジア及び豪州などの海外諸地域で生産、販売を行っています。当社グループが国内で生産し、海外へ輸出する事業では製品の輸出価格が為替変動の影響を受けます。一方、海外の事業拠点で生産、販売する事業では、異なる通貨圏との間の調達・販売価格及び外貨建て資産・負債の価額が為替変動の影響を受けます。為替予約等によるリスク軽減措置を講じていますが、想定を超える為替変動により、当社グループの業績に悪影響が生じる可能性があります。

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