研究開発費(時系列)
| 年度 | R&D費用(億円) | 設備投資(億円) |
|---|---|---|
| 2025-12 | - | 1,068 |
| 2024-12 | - | 843 |
| 2023-12 | - | 673 |
| 2022-12 | - | 726 |
| 2021-12 | - | 659 |
研究開発活動(本文)
FY2025|6,562 文字
6 【研究開発活動】当社グループにおける研究開発活動は、私たちの使命「私たちは、独創性の高い技術で産業の新領域を開拓し、自然環境と生活環境の向上に寄与します。」に基づいて、カンパニー・グループ会社に所属するディビジョナル研究開発とコーポレート研究開発との緊密な連携の下に推進されています。ディビジョナル研究開発は、カンパニー・グループ会社等が各事業所に研究開発部署を有しています。コーポレート研究開発は、研究開発本部内に、くらしき研究センターとつくば研究センターの2拠点に加え、東京女子医科大学・早稲田大学 連携先端生命医科学研究教育施設 TWIns(ツインズ)に「東京ラボ」を有しています。またイノベーションネットワーキングセンター及びポートフォリオ戦略部との連携のもと新規事業創出を推進しています。生産技術に関しては、技術本部 技術開発センターにおいてシミュレーション技術を活用した原理原則に基づく生産技術開発を進めており、主要な研究開発テーマについては早期設備化を推進しています。並行してデジタル技術を活用した生産効率、及び品質向上への取り組みも着実に進めています。ディビジョナル研究開発とコーポレート研究開発を合わせた当社グループ(当社及び連結子会社)の研究開発人員数は1,115人です。 当連結会計年度のセグメントごとの研究開発費は、ビニルアセテート11,206百万円、イソプレン1,817百万円、機能材料3,883百万円、繊維2,171百万円、トレーディング107百万円、その他861百万円、全社共通(コーポレート研究開発)8,321百万円、合計28,369百万円になります。セグメントごと及びコーポレートの研究開発活動を示すと次のとおりです。 [ビニルアセテート]・ポバール樹脂、ポバールフィルム、PVBフィルム、EVOH樹脂〈エバール〉(樹脂、フィルム)のビニルアセテートチェーンについては、世界のリーディングカンパニーとして、国内外の研究開発部署が連携し、新規用途開発、新商品開発、新規生産技術開発も併せて、研究開発活動を推進し、新たな価値を顧客に提案します。また、社会情勢やニーズの変化を成長機会と捉え、地球環境改善や社会貢献につながる製品開発を積極的に行っています。その中で、グローバルサプライチェーンのサステナビリティ向上の取り組みとして、製造現場の省エネ技術開発とともに、バイオ原料・リサイクル原料の活用を進めており、チェーン全体でのISCC PLUS認証の取得を推進しています。昨年までに取得した欧米中心の5拠点に加え、日本の事業所へと拡大し計9拠点となり、ほぼすべての主力製品を認証スコープに取り込みました。加えて、伸長著しいインドや東南アジア地域でのマーケティングを更に加速するため、シンガポールにテクニカルセンターを開設し、2025年9月より運用を開始しました。ポバール樹脂及び〈エバール〉樹脂を中心に当該地域でのテクニカルサービスの一層の充実を図り、各ステークホルダーの皆様方との協創展開を通じて市場開発を加速します。・ポバール樹脂は、ビニルアセテートチェーンの根幹に位置する事業として、これまで培った技術開発力をベースに自消・外販両面で高品質かつ差別化された製品を提供します。日米欧亜の6工場をベースとしたグローバルネットワークを強みとして、世界各地の顧客に対して安定供給を図るとともに、ポバール樹脂の安全かつ環境に優しい特徴に注目し、新たな用途、ビジネス機会を提案します。・ポバールフィルムは、液晶ディスプレイ向け光学フィルムの構成部材の一つとして、さらなる高性能化・高品質化に加え、顧客での生産性向上などにも顧客と一体となって取り組んでいます。なお、100インチを超える広幅パネルへの需要増に対応するため、2024年度第2四半期の新ライン稼働に加え、更なる新設備の投資を決定しました(2027年12月稼働予定)。・PVBフィルムは、自動車・建築向け合わせガラス用中間膜の高付加価値品の開発を進めており、新たな価値を顧客に提案しています。その一環として、近年の先進運転支援システム(ADAS)の進展により、今後益々高度な光学精度がカメラに求められる中、フロントガラスの光学歪みを低減できる特殊PVBフィルム〈Cam Viera〉や意匠性を高めたサンルーフ向け特殊PVBフィルム〈Sky Viera〉など最先端の技術提案を行っており、〈Sky Viera〉は2025年度から採用及び販売を開始しました。また、アイオノマー樹脂をシート化した〈セントリグラス〉の更なる高付加価値化やPVBフィルムとのシナジー効果の発現、新規用途開発を引き続き推進しています。また、顧客の合わせガラスメーカーにて発生するPVBフィルムトリムを回収・有効活用する再生中間膜のビジネスモデルを確立しており、カーボンフットプリント削減にも積極的に取り組んでいます。・〈エバール〉樹脂は、世界規模で食品廃棄ロスの削減や環境負荷の低減が求められるなか、日米欧の3拠点に加え、シンガポールでの新プラント建設を決定し、グローバル4拠点体制での供給網を構築中です。これにより、世界各地の顧客ニーズや市場動向を把握しながらバリア材料の新技術開発・用途開発を推進し、持続的な成長を目指します。〈エバール〉フィルムは、省エネルギー・地球環境保全に貢献する用途へ積極的に展開していきます。さらにバイオマス由来のガスバリア材料〈PLANTIC〉については、CO2排出削減効果とガスバリア性を併せ持つ新素材として、用途開発に取り組んでいます。 [イソプレン]・イソプレンケミカル関連では、独自性の高いC4ケミストリーを展開しており、溶剤やウレタン原料、香粧品原料などを中心に用途開発に取組んでいます。近年は、EVバッテリー材料や生分解性樹脂改質剤、家庭用・産業用洗浄剤など、社会のニーズにタイムリーに応える開発を推進しています。・エラストマー関連では、熱可塑性エラストマー及び液状ゴムの差別化・高付加価値化に取り組んでいます。熱可塑性エラストマーでは、軟質コンパウンドや樹脂改質などの用途で環境に配慮した製品を開発し、市場開発を推進しています。また液状ゴムは、主力のタイヤ用途で様々なタイプの製品を市場に提案し、高機能タイヤの改質剤として採用が広がっています。・耐熱性ポリアミド樹脂〈ジェネスタ〉では、サーバー向けコネクタ及び自動車用コネクタ等に適した電気・電子用途向けのグレード開発に注力するとともに、自動車の環境規制強化や電気自動車の急速充電時の高電圧化に対応するため熱マネジメント部品や高電圧部品に適した材料の開発を加速しており、部品メーカー各社で評価が進んでいます。[機能材料]・メタクリル樹脂については、差別化ポリマーの拡充とメタクリル系樹脂を活用した新規用途開発、新商品開発、リサイクル技術開発を主体に研究開発活動を行っています。・メディカル事業では、クラレノリタケデンタル株式会社の無機/有機の技術の融合による新規歯科材料の開発に注力し、CAD/CAM用ジルコニア、高強度レジン等のデジタル化の流れにも対応した開発、商品化を行っています。・環境ソリューション事業では、重点戦略領域である「環境(水・大気)・エネルギー」分野において、環境阻害物質の効果的吸着剤開発と商品群展開、吸着物の無害化処理を含む吸着活性炭の再生技術及び再利用法の開発を推進しています。また、拡大するエネルギー関連材に向け、新素材、新商品開発に取り組んでいます。・アクア事業推進本部では、中空糸水処理膜を用いた様々な水の製造・回収を通して、「高品質で安全な水の提供」と「環境負荷の低減」に貢献する素材・技術開発に取り組んでいます。[繊維]・液晶ポリマー繊維〈ベクトラン〉は、極低温域までの広い温度領域において、高強度、低誘電損失、低線膨張であることに加え、ほとんど吸水することがない特質を有していることから、海洋資材、光ファイバー等の電材など高機能、高性能であることが求められる分野で需要が広がっており、さらなる用途拡大を目指し、性能向上、用途開発を進めています。またリサイクル技術開発を推進し商品価値の向上に取り組んでいます。・ビニロン事業では、社会のニーズに応えるべく、ゴム補強、難燃衣料、特殊紙などの用途に向けた製品及び生産技術の開発を進めています。・人工皮革〈クラリーノ〉では、靴やラグジュアリー用途などに向けて、リサイクル原料を使用した製品や環境配慮型製造プロセスによる製品など、サステナブルで低CFP(カーボンフットプリント)である製品の開発に取り組んでいます。・不織布事業では、メルトブローン不織布の開発に注力し差別化樹脂銘柄、各種複合銘柄の開発を進めています。[トレーディング]・ポリエステル長繊維〈クラベラ〉では、①地球環境に配慮した独自原糸(PETボトル再生樹脂を用いた機能繊維〈スペースマスター〉、再生ナイロンを用いた分割繊維〈WRAMP〉)、②独自の樹脂を用いて糸自体に性能付与した速乾繊維〈エプシロン〉、抗ピリング繊維〈パナパック〉、③衣服内環境を制御した生地の開発を推進しています。[その他]・クラレプラスチックス㈱では、スチレン系エラストマーを使用した機能性コンパウンド〈アーネストン〉及び同コンパウンドを原料とした不織布やフィルム(コンパウンド二次製品)、〈エバール〉をコーティング加工した特殊フィルム、成型加工技術による高気密高断熱住宅向け換気・空調ダクト及び周辺部材、高強力繊維〈ベクトラン〉を使用した土木用途向け繊維複合ホースの開発を推進しています。[コーポレート研究開発]研究開発本部では、以下を通じて、当社グループ全体の業容拡大・収益向上に資することを目指しています。① 新事業の創出:素材事業を主に、加工による付加価値化もターゲットに、社内外の連携を通じて早期の事業化、利益貢献を目指します。特に、検討ステージが高いテーマや、当社が原料から一貫して強みを発揮できるテーマを中心に、研究開発リソースを集中して投入することで、早期事業化を図っています。② 既存事業の強化・拡大:カンパニー・グループ会社との協働体制のもと、分析・解析・成形加工・デジタルなど高度な技術を駆使して全社事業の盤石化を図るとともに、既存事業の拡大に貢献します。また当社グループ事業の急速なグローバル化に対応し、グループ海外拠点との連携を強化しています。 以下、研究開発活動を示します。研究開発本部では、触媒技術や高分子化合物の設計・重合・変性技術、高分子材料の成形・加工技術、炭素材料の合成技術等の基盤技術をベースに、新たな要素を加え、新規の素材・部材創出に取り組んでいます。再生医療などライフサイエンス領域での事業創出に向けた研究開発を推進し、再生医療用の細胞を安全・効率的に培養できるPVAマイクロキャリア(細胞培養担体)〈スキャポバ〉の事業化に取り組んでいます。2024年から国内販売を開始しました。2025年から米国での販売を開始し、欧州への展開も計画しています。東京女子医科大学・早稲田大学 連携先端生命医科学研究教育施設 TWIns(ツインズ)に設立した「東京ラボ」にて、顧客ソリューションの充実や産学連携の強化を図っています。また、炭素材の構造制御技術を駆使して開発した新規機能性炭素材は、特殊な細孔構造により、リチウムイオン二次電池の正極用添加剤として優れた効果を発揮します。特に寒冷地向けの急速充電の改善効果が期待されており、一部顧客で評価がスタートしています。加えて、サステナビリティを機会ととらえ、フッ素樹脂代替材料(PFAS規制対応)として可能性が期待される新規高機能性ポリマーの開発も推進しています。競争力強化を目的に、2025年1月に新設したデジタルソリューション部では、開発プロジェクトとの協業を通じて、高度シミュレーション技術、マテリアルズインフォマティクスの活用、独自AIの開発やロボティクスによる自動化といった各種デジタル関連技術の活用の幅を広げてきており、研究開発の加速や効率化など、そのあり方の変革が進んでいます。[イノベーションネットワーキングセンター] イノベーションネットワーキングセンター(以下、「INC」という。)は、中期経営計画「PASSION 2026」で掲げる「3つの挑戦」の内の1つ「ネットワーキングから始めるイノベーション」を推進するため、2022年1月に設立されました。INCは社内外のネットワーキングを広げながらイノベーションを生み出していけるよう、アクセラレーターの役割を担いグループ一丸となった活動を推進しています。多様なバックグラウンドをもち、グローバルに展開する80名余のINCメンバーと各本部や事業部門が連携し、クラレグループの多様な人材、ユニークな技術力、これまでに培った顧客との関係性や市場へのアプローチ手法などを駆使することで、中長期的な視点から新たなビジネス機会の創出に取り組んでいます。この組織が担う業務・役割は主に以下になります。①当社グループの保有する技術開発力、お客様との繋がり、多様な人材といった総合力を全社員で共有するプラットフォーム(コア技術プラットフォーム)、試作用設備を全社で共有するためのプラットフォーム(技術設備プラットフォーム)を展開し、ネットワーキングを推進します。②グループ全体で取り組んでいる新規ビジネス開発プロジェクト群の優先順位を明確にし、事業創出の確度を高めるためのシステム(イノベーションパイプライン)を運用しながら、各プロジェクトのインキュベーションを進めます。③当社グループソリューション群をまとめて市場へアプローチするため、自動車、紙・包装資材、建築・建設といった市場セグメント別のマーケティングチームを横串で運営します。INCメンバーが主導して各チーム運営を行い、お客様に持続的な提案をすることによってビジネス機会を発見・発掘し、顧客やパートナー企業との協業を進めます。以下、INCの2025年度の成果を示します。・2023年に立ち上げたコア技術プラットフォーム、及び技術設備プラットフォームの利便性向上を目的に、AI検索機能を開発し、本格運用を開始しました。また、全社最適の観点から、当社の他プラットフォームとの連携を検討開始しました。・昨年度より正式に稼働したイノベーションパイプラインには、現在7件の新規ビジネスプロジェクトが登録されており、研究開発本部や事業部のプロジェクトメンバーとINCのインキュベーターが事業化に向けて推進しています。さらに、運用ルールの整備や中断したプロジェクトから得られた知見の共有を進め、テーマ選定における判断力の向上を図っています。・市場セグメントごとのチーム活動を基盤に、KAM(Key Account Management)とABM(Account-Based Marketing)を推進しました。国内外で600件以上の顧客対話・提案を実施し、その結果、4つの新規テーマがプロジェクトとして本格稼働しました。さらに、事業部連携によるクロスセル活動を通じて、既存技術を活用した新用途検討やビジネス機会の拡大を図りました。・グローバル全社での新規プロジェクト創出とイノベーション文化の醸成を目指し、「第3回イノベーションデイズ」を開催しました。国内外34名の有志メンバーが集結し、4テーマを設定し集中的に議論しました。現在もイノベーションパイプラインへの提案に向けて、精力的にテーマ検討を続けています。・2025年4月に米国カリフォルニア州に本社を置くNelumbo Inc.を買収し、PMI活動を推進しました。同社の無機系表面改質技術はPFAS等の規制物質を用いず、幅広い基材に高機能性を付与できるものであり、当社の高分子化学技術との融合により新事業創出を目指します。
FY2024|6,775 文字
6 【研究開発活動】当社グループにおける研究開発活動は、私たちの使命「私たちは、独創性の高い技術で産業の新領域を開拓し、自然環境と生活環境の向上に寄与します。」に基づいて、カンパニー・グループ会社に所属するディビジョナル研究開発とコーポレート研究開発との緊密な連携の下に推進されています。ディビジョナル研究開発は、カンパニー・グループ会社等が各事業所に研究開発部署を有しています。コーポレート研究開発は、研究開発本部内に、くらしき研究センターとつくば研究センターの2拠点に加え、東京女子医科大学・早稲田大学 連携先端生命医科学研究教育施設 TWIns(ツインズ)に「東京ラボ」を有しています。またイノベーションネットワーキングセンター及びポートフォリオ戦略推進部との連携のもと新規事業創出を推進しています。生産技術に関しては、技術本部 技術開発センターにおいてシミュレーション技術を活用した原理原則に基づく生産技術開発を進めており、主要な研究開発テーマについては早期設備化を推進しています。並行してデジタル技術を活用した生産効率、及び品質向上への取り組みも着実に進めています。ディビジョナル研究開発とコーポレート研究開発を合わせた当社グループ(当社及び連結子会社)の研究開発人員数は1,039人です。 当連結会計年度のセグメントごとの研究開発費は、ビニルアセテート9,664百万円、イソプレン1,810百万円、機能材料4,213百万円、繊維2,228百万円、トレーディング130百万円、その他713百万円、全社共通(コーポレート研究開発)6,939百万円、合計25,699百万円になります。セグメントごと及びコーポレートの研究開発活動を示すと次のとおりです。 [ビニルアセテート]・ポバール樹脂、ポバールフィルム、PVBフィルム、EVOH樹脂〈エバール〉(樹脂、フィルム)のビニルアセテートチェーンについては、世界のリーディングカンパニーとして、国内外の研究開発部署が連携し、新規用途開発、新商品開発、新規生産技術開発も併せて、研究開発活動を推進し、新たな価値を顧客に提案します。また、社会情勢やニーズの変化を成長機会と捉え、地球環境改善や社会貢献につながる製品開発を積極的に行っています。その中で、グローバルサプライチェーンのサステナビリティ向上の一環として、2024年に米国と欧州のビニルアセテート関連製品について、ISCC PLUS認証を取得し、米国ラ・ポルテ工場が生産する酢酸ビニルを起点とする欧米間の認証済サプライチェーンを構築しました。米国内では、酢酸ビニルからポバール樹脂を経て水溶性フィルムに至る、すべての製品で認証を取得しました。欧州では、クラレヨーロッパのトレーダー認証取得とともに、ビニルアセテートカンパニーが欧州で生産する樹脂(ポバール樹脂、PVB樹脂、〈エバール〉樹脂)製品の認証取得が完了し販売を開始しました。2025年度は引き続き、PVBフィルム製品や日本国内に生産拠点を持つ製品についても手続きを進め、自消・外販を通じて、継続してサステナビリティの向上に努めます。・ポバール樹脂は、ビニルアセテートチェーンの根幹に位置する事業として、これまで培った技術開発力をベースに自消・外販両面で高品質かつ差別化された製品を提供します。日米欧亜の6工場をベースとしたグローバルネットワークを強みとして、世界各地の顧客に対して安定供給を図るとともに、ポバール樹脂の安全かつ環境に優しい特徴に注目し、新たな用途、ビジネス機会を提案します。・ポバールフィルムは、液晶ディスプレイ向け光学フィルムの構成部材の一つとして、さらなる高性能化・高品質化に加え、顧客での生産性向上などにも顧客と一体となって取り組んでいます。なお、広幅対応可能な新ラインについて、2024年度第2四半期から商用生産を開始しました。また、洗剤包装用途を中心に益々拡大する水溶性フィルムについても、顧客からの新たなニーズに応えるべく、ポバール樹脂メーカーである強みを活かし、原料まで遡った高性能化・多機能化を加速させます。・PVBフィルムは、自動車・建築向け合わせガラス用中間膜の高付加価値品の開発を進めており、新たな価値を顧客に提案しています。その一環として、近年の先進運転支援システム(ADAS)の進展により、今後益々高度な光学精度がカメラに求められる中、フロントガラスの光学歪みを低減できる特殊PVBフィルム〈Cam Viera〉や意匠性を高めたサンルーフ向け特殊PVBフィルム〈Sky Viera〉など最先端の技術提案とともに、アイオノマー樹脂をシート化した〈セントリグラス〉の更なる高付加価値化やPVBフィルムとのシナジー効果の発現、新規用途開発を推進しています。また、顧客の合わせガラスメーカーにて発生するPVBフィルムトリムを回収・有効活用する再生中間膜のビジネスモデルを確立しており、カーボンフットプリント削減にも積極的に取り組んでいます。・〈エバール〉樹脂は、世界規模で食品廃棄ロスの削減や環境負荷の低減が求められるなか、日米欧の3拠点を中心に世界各地の顧客ニーズや市場動向を把握しながらバリア材料の新技術開発・用途開発を推進し、持続的な成長を目指します。また、旺盛な需要に応えるべく、2024年度にシンガポールでの新プラント建設を決定しました。現在、順調に建設を進めており、2026年末の商用生産開始を計画しています。〈エバール〉フィルムは、省エネルギー・地球環境保全に貢献する用途へ積極的に展開していきます。さらにバイオマス由来のガスバリア材料〈PLANTIC〉については、CO2排出削減効果とガスバリア性を併せ持つ新素材として、用途開発に取り組んでいます。 [イソプレン]・イソプレンケミカル関連では、独自性の高いC4ケミストリーを展開しており、溶剤やウレタン原料、香粧品原料などを中心に新規用途開発を推進しています。また、特に環境貢献を強く意識し、脱炭素やサステナビリティといった社会のニーズに応える機能性ポリマー・化学品の創出にも注力しています。・エラストマー関連では、熱可塑性エラストマー及び液状ゴムの差別化・高付加価値化に取り組んでいます。熱可塑性エラストマーでは、軟質コンパウンドや樹脂改質などの用途で環境に配慮した製品を開発し、市場開発を推進しています。また液状ゴムは、主力のタイヤ用途で様々なタイプの製品を市場に提案し、高機能タイヤの改質剤として採用が広がっています。・耐熱性ポリアミド樹脂〈ジェネスタ〉では、サーバー向けコネクタ及び自動車用コネクタ等に適した電気・電子用途向けのグレード開発に注力するとともに、自動車の環境規制強化や電気自動車の急速充電時の高電圧化に対応するため熱マネジメント部品や高電圧部品に適した材料の開発を加速しており、部品メーカー各社で評価が進んでいます。[機能材料]・メタクリル樹脂については、差別化ポリマーの拡充とメタアクリル系樹脂を活用した新規用途開発、新商品開発、リサイクル技術開発を主体に研究開発活動を行っています。・メディカル事業では、クラレノリタケデンタル㈱の無機/有機の技術の融合による新規歯科材料の開発に注力し、CAD/CAM用ジルコニア、高強度レジン等のデジタル化の流れにも対応した開発、商品化を行っています。・環境ソリューション事業では、重点戦略領域である「環境(水・大気)・エネルギー」分野において、環境阻害物質の効果的吸着剤開発、商品群展開に加え、吸着物の無害化処理を含む吸着活性炭の再生技術、再利用法の開発を推進しています。また、拡大するエネルギー関連材に向け、新素材、新商品開発に取り組んでいます。・アクア事業推進本部では、中空糸水処理膜を用いた様々な水の製造・回収を通して、「高品質で安全な水の提供」と「環境負荷の低減」に貢献する素材・技術開発に取り組んでいます。[繊維]・液晶ポリマー繊維〈ベクトラン〉は、極低温域までの広い温度領域において、高強度、低誘電損失、低線膨張であることに加え、ほとんど吸水することがない特質を有していることから、海洋資材、光ファイバー等の電材など高機能、高性能であることが求められる分野で需要が広がっており、さらなる用途拡大を目指し、性能向上、用途開発を進めています。・ビニロン事業では、ゴム補強用フィラメントや難燃材料、特殊紙分野の拡大に応じた体制整備を行い順調に稼働しています。社会のニーズに応えるべく、生産技術、製品開発を続けています。・人工皮革〈クラリーノ〉は、環境配慮型生産プロセスにより、リサイクル原料などを用いたサステナブルで低CFP(カーボンフットプリント)の商品の開発、靴やラグジュアリー用途などに向けた拡販に取り組んでいます。・不織布事業では、メルトブローン(MB)不織布の開発に注力し差別化樹脂銘柄、各種複合銘柄の開発を進めています。液晶ポリマーを用いたMB不織布〈ベクルス〉は高機能を活かした用途拡大が進展しています。[トレーディング]・ポリエステル長繊維〈クラベラ〉では、①地球環境に配慮した独自原糸(PETボトル再生樹脂を用いた機能繊維〈スペースマスター〉、再生ナイロンを用いた分割繊維〈WRAMP〉)、②独自の樹脂を用いて糸自体に性能付与した速乾繊維〈エプシロン〉、衝撃吸収繊維〈スパンドール〉、③電子部品などへの静電気放電対策としてIEC基準にも対応する導電性繊維〈クラカーボ〉などの機能性原糸の開発を推進しています。[その他]・クラレプラスチックス㈱では、スチレン系エラストマーを使用した機能性コンパウンド〈アーネストン〉及び同コンパウンドを原料とした不織布やフィルム(コンパウンド二次製品)、〈エバール〉をコーティング加工した特殊フィルム、成型加工技術による高気密高断熱住宅向け換気・空調ダクト及び周辺部材、高強力繊維〈ベクトラン〉を使用した土木用途向け繊維複合ホースの開発を推進しています。[コーポレート研究開発]研究開発本部では、以下3点を通じて、当社グループ全体の業容拡大・収益向上に資することを目指しています。① 新事業の創出:素材事業あるいはそれらに加工技術を付加した部材事業をターゲットとし、早期創出を目指します。種々の施策・改革を進め、当社の強み(技術・商流・市場)を活かした研究開発テーマの発掘・推進を継続します。② 既存事業の強化・拡大:カンパニー・グループ会社との協働体制のもと、分析・解析・成形加工・デジタルなど高度な技術を駆使して全社事業の盤石化を図るとともに、既存事業の拡大に貢献します。また当社グループ事業の急速なグローバル化に対応し、グループ海外拠点との連携を強化しています。③ 基盤技術の構築・深耕:新事業の創出及び既存事業の強化・拡大を通じて、必要とする基盤技術を構築し、深化・深耕を図ります。 以下、研究開発活動を示します。新規化学品や高分子素材原料の創出に資する触媒技術、高分子化合物の設計・重合・変性技術、高分子材料の成形・加工技術、炭素材料の合成技術等の基盤技術をベースに、新たな要素を加え、新事業創出及び既存事業強化・拡大のための研究開発活動を加速しています。サステナビリティを機会とする取組みとして、新規バイオマス素材の創出に向けた開発、PFAS(有機フッ素化合物)や廃プラスチック等の環境規制への対応を機会とする環境負荷低減素材の開発、GHG排出を抑制する新規合成プロセス開発等を推進しています。エネルギー分野ではリチウムイオン電池用の添加剤としての活用が期待できる新規炭素材料・新規ポリマー材料を着想し、製造技術開発や市場開発に取組んでいます。加えて、再生医療や細胞農業などライフサイエンス領域での事業創出に向けた研究開発を推進し、細胞を大量に培養する培養資材であるマイクロキャリア〈スキャポバ〉の事業化に取組んでいます。またライフサイエンス領域でのオープンイノベーション推進を目的に、東京女子医科大学・早稲田大学 連携先端生命医科学研究教育施設 TWIns(ツインズ)に「東京ラボ」を設立し顧客ソリューションの充実や産学連携の強化を図っています。また、競争力強化を目的に、DX推進グループを組織し、高度シミュレーション技術、マテリアルズインフォマティクスの活用、独自AIの開発やロボティクスによる自動化といった各種デジタル関連技術を導入し、研究開発のあり方の変革を図っています。 既存事業の強化・拡大に関しては、先進的かつ豊富な分析・解析技術、成形加工技術及びシミュレーションや機械学習などのデジタル技術を応用し、カンパニー、事業部、グループ会社が抱える生産・開発課題を解決する取組みを実施しています。具体的には、緊急的トラブルシューティングや、作用機構の解明、社内外の機器分析を用いた原因解析、成形加工シミュレーションの構築などの顧客要望の解決への寄与、各拠点のグローバルサポートを実施しています。[イノベーションネットワーキングセンター] イノベーションネットワーキングセンター(以下、「INC」という。)は、中期経営計画「PASSION 2026」で掲げる「3つの挑戦」の内の1つ「ネットワーキングから始めるイノベーション」を推進するため、2022年1月に設立されました。INCは社内外のネットワーキングを広げながらイノベーションを生み出していけるよう、アクセラレーターの役割を担いグループ一丸となった活動を推進しています。多様なバックグラウンドをもち、グローバルに展開する40名余のINCメンバーと各本部や事業部門が連携し、クラレグループの多様な人材、ユニークな技術力、これまでに培った顧客との関係性や市場へのアプローチ手法などを駆使することで、中長期的な視点から新たなビジネス機会の創出に取り組んでいます。この組織が担う業務・役割は主に以下になります。①当社グループの保有する技術開発力、お客様との繋がり、多様な人材といった総合力を全社員で共有するプラットフォーム(コア技術プラットフォーム)、試作用設備を全社で共有するためのプラットフォーム(技術設備プラットフォーム)を展開し、ネットワーキングを推進します。②グループ全体で取り組んでいる新規ビジネス開発プロジェクト群の優先順位を明確にし、事業創出の確度を高めるためのシステム(イノベーションパイプライン)を運用しながら、各プロジェクトのインキュベーションを進めます。③当社グループソリューション群をまとめて市場へアプローチするため、自動車、紙・包装資材、建築・建設といった市場セグメント別のマーケティングチームを横串で運営します。INCメンバーが主導して各チーム運営を行い、お客様に持続的な提案をすることによってビジネス機会を発見・発掘し、顧客やパートナー企業との協業を進めます。以下、INCの2024年度の成果を示します。・2023年に立ち上げたコア技術プラットフォーム、及び技術設備プラットフォームの全社的な活用を促すべくグローバル・イントロダクションツアーを実施しました。また利便性向上のためにモバイルアプリとAI検索機能を開発し、運用を開始しました。・イノベーションパイプラインは試運転を経て、2024年5月に正式に始動しました。現在、6つの新規ビジネスプロジェクトが登録され、研究開発本部や事業部のプロジェクトメンバーとINCのインキュベーターが事業化に向けて推進しています。・重点戦略領域を定義すべくイノベーション戦略を策定し、定義された戦略領域に基づき、経営企画室、研究開発本部、各事業部と連携してアイデア創出とビジネスシナリオ作りを開始しました。イノベーションパイプラインへの提案に向けた活動を展開しています。・市場セグメントごとのチーム活動を基盤に、日本国内外で500回を超える顧客対話と提案を実施しました。対話を通じて4つのテーマが新たにプロジェクトとして本格稼働し、市場セグメントチーム活動を通じたクロスセルの実績としても、既存技術が採用につながった案件が複数生まれました。・グローバル全社での新規プロジェクト創出とイノベーション文化の醸成を目指し、米国で「第2回イノベーションデイズ」を開催しました。24名の有志メンバーがグローバルから集結し、設定した3テーマを集中的に議論しました。現在もイノベーションパイプラインへの提案に向けて精力的にテーマ検討を続けています。
FY2023|6,249 文字
6 【研究開発活動】当社グループにおける研究開発活動は、私たちの使命「私たちは、独創性の高い技術で産業の新領域を開拓し、自然環境と生活環境の向上に寄与します。」に基づいて、カンパニー・グループ会社に所属するディビジョナル研究開発とコーポレート研究開発との緊密な連携の下に推進されています。ディビジョナル研究開発は、カンパニー・グループ会社等が各事業所に研究開発部署を有しています。コーポレート研究開発体制としては、研究開発本部において、新事業テーマの企画・提案・推進を目的に、くらしき研究センターとつくば研究センターの2拠点を設置しています。オープンイノベーション推進を目的に、米国にはKAI Corporate R&Dを有しています。生産技術に関しては、技術本部 技術開発センターにおいてシミュレーション技術を活用した原理原則に基づく生産技術開発を進めており、主要な研究開発テーマについては早期設備化を推進しています。一方で、デジタル技術を活用した生産効率、及び品質向上への取り組みも着実に進めています。また、当事業年度において、市場開発機能を強化しつつ生産・販売体制を整備し、事業化の加速を図るため、研究開発本部で開発推進してきた・CMPパッドを新たに組織したエレクトロニクスマテリアルズ推進本部に移管しました。ディビジョナル研究開発とコーポレート研究開発を合わせた当社グループ(当社及び連結子会社)の研究開発人員数は1,053人です。 当連結会計年度のセグメントごとの研究開発費は、ビニルアセテート8,733百万円、イソプレン2,757百万円、機能材料3,644百万円、繊維2,183百万円、トレーディング130百万円、その他819百万円、全社共通(コーポレート研究開発)6,164百万円、合計24,434百万円になります。セグメントごと及びコーポレートの研究開発活動を示すと次のとおりです。 [ビニルアセテート]・ポバール樹脂、ポバールフィルム、PVBフィルム、(樹脂、フィルム)のビニルアセテートチェーンについては、世界のリーディングカンパニーとして、国内外の研究開発部署が連携し、新規用途開発、新商品開発、新規生産技術開発も併せて、研究開発活動を推進し、新たな価値を顧客に提案します。また、社会情勢やニーズの変化を成長機会と捉え、地球環境改善や社会貢献につながる製品開発を積極的に行っています。その中で、グローバルサプライチェーンのサステナビリティ向上の一環として、2023年度に北米La Porte工場で生産する酢酸ビニルモノマーについて、持続可能な製品の国際的な認証制度の一つであるISCC PLUS認証を取得しました。併せて、欧州でのトレーダー認証を取得しました。これにより、既に認証取得済の欧州での活用と共に、今後、各グローバル拠点においても同様に認証取得を進め、自消・外販を通じて、継続してサステナビリティの向上に努めます。・ポバール樹脂は、当社ビニルアセテートチェーンの根幹に位置する事業として、これまで培った技術開発力をベースに自消・外販両面で高品質かつ差別化された製品を提供します。日米欧亜の6工場をベースとしたグローバルネットワークを強みとして、世界各地の顧客に対して安定供給を図るとともに、ポバール樹脂の安全かつ環境に優しい特徴に注目し、新たな用途、ビジネス機会を提案します。・ポバールフィルムは、液晶ディスプレイ向け光学フィルムの構成部材の一つとして、さらなる高性能化・高品質化に加え、顧客での生産性向上などにも顧客と一体となって取り組んでいます。なお、広幅対応可能な新ラインについて、2024年年央での生産開始を目標に、現在順調に建設を進めています。また、洗剤包装用途を中心にますます拡大する水溶性フィルムについても、顧客からの新たなニーズに応えるべく、ポバール樹脂メーカーである強みを活かし、原料まで遡った高性能化・多機能化を加速させます。・PVBフィルムは、自動車・建築向け合わせガラス用中間膜の高付加価値品の開発を進めており、新たな価値を顧客に提案しています。その一環として、近年の先進運転支援システム(ADAS)の進展により、今後益々高度な光学精度がカメラに求められる中、フロントガラスの光学歪みを低減できる特殊PVBフィルムなど最先端の技術提案と共に、アイオノマー樹脂をシート化したセントリグラス>の更なる高付加価値化やPVBフィルムとのシナジー効果の発現、新規用途開発を推進しています。また、顧客の合わせガラスメーカーにて発生するPVBフィルムトリムを回収・有効活用する再生中間膜のビジネスモデルを確立しており、カーボンフットプリント削減にも積極的に取り組んでいます。・樹脂は、世界規模で食品廃棄ロスの削減や環境負荷の低減が求められるなか、日米欧の3拠点を中心に世界各地の顧客ニーズや市場動向を把握しながら、バリア材料の新技術開発・用途開発を推進しています。また、旺盛な需要に応えるべく、アジア地域での新プラント建設を計画しており、持続的な成長を目指します。フィルムは、省エネルギー・地球環境保全に貢献する用途へ積極的に展開していきます。さらにバイオマス由来のガスバリア材料については、CO2排出削減効果とガスバリア性を併せ持つ新素材として、用途開発に取り組んでいます。[イソプレン]・イソプレンケミカル関連では、独自性の高いC4ケミストリーを展開しており、溶剤やウレタン原料、香粧品原料などを中心に新規用途開発を推進しています。また、脱炭素やサステナビリティへの貢献といった社会のニーズに応える機能性ポリマー・化学品の創出にも取り組んでいます。・エラストマー関連では、熱可塑性エラストマー及び液状ゴムの差別化・高付加価値化に取り組んでいます。熱可塑性エラストマーでは、軟質コンパウンドや樹脂改質などの用途で環境に配慮した製品を開発し、市場開発を推進しています。また液状ゴムは、主力のタイヤ用途で様々なタイプの製品を市場に提案し、高機能タイヤの改質剤として採用が広がっています。・耐熱性ポリアミド樹脂では、5G通信コネクタ及び高電圧用コネクタ等に適した電気・電子用途向けのグレード開発に注力するとともに、自動車の環境規制強化やCASEの加速に対応するためサーマルマネジメント部品や車載電装部品に適した材料の開発を加速しており、部品メーカー各社で評価が進んでいます。 [機能材料]・メタクリル樹脂については、差別化ポリマーの拡充とメタアクリル系樹脂を活用した新規用途開発、新商品開発を主体に研究開発活動を行っています。・メディカル事業では、クラレノリタケデンタル㈱の無機/有機の技術の融合による新規歯科材料の開発に注力し、CAD/CAM用ジルコニア、高強度レジン等のデジタル化の流れにも対応した開発、商品化を行っています。また、人工骨インプラント、吸収性骨再生用材料は、配向連通孔技術を特長に、多面的な展開を進めています。・環境ソリューション事業では、重点戦略領域である「環境(水・大気)・エネルギー」分野において、環境阻害物質の効果的吸着剤開発、商品群展開に加え、吸着活性炭の再生、再利用技術の開発を推進しています。また、拡大するエネルギー関連材に向け、新素材、新商品開発に取り組んでいます。・アクア事業推進本部では、中空糸水処理膜を用いた様々な水の製造・回収を通して、「高品質で安全な水の提供」と「環境負荷の低減」に貢献する素材・技術開発に取り組んでいます。[繊維]・高強力繊維は、極低温域までの広い温度領域において、高強度、低誘電損失、低線膨張であることに加え、ほとんど吸水することがない特質を有していることから、海洋資材、光ファイバー等の電材など高機能、高性能であることが求められる分野で需要が広がっており、今年度もフル生産が続きました。さらなる用途拡大を目指し、性能向上、用途開発を進めています。・PVA繊維は、ゴム補強用フィラメントや防護材料、特殊紙分野の拡大に応じた体制整備を行い順調に稼働しています。社会のニーズに応えるべく、生産技術、製品開発を続けています。・人工皮革は、環境や健康意識の高まりにより、環境配慮型革新プロセス(CATS)を使ったスポーツ向け製品需要が増加しており、RCS認証を取得した環境配慮銘柄を開発、販売の拡大に取り組んでいます。また、欧州ラグジュアリー用途向けを中心にリサイクル原料を用いた新規環境配慮型製品を拡大させており、さらにバイオマス原料を使った新規製品開発も進めています。・不織布は、液晶ポリマーを用いた不織布の用途拡大や、生活環境向上に寄与する製品開発、新規環境配慮型製品の開発を進めています。[トレーディング]・ポリエステル長繊維では、①地球環境に配慮した独自原糸(PETボトル再生樹脂を用いた機能繊維、再生ナイロンを用いた分割繊維)、②独自の樹脂を用いて糸自体に性能付与した速乾繊維、衝撃吸収繊維、③電子部品などへの静電気放電対策としてIEC基準にも対応する導電性繊維などの機能性原糸の開発を推進しています。[その他]・クラレプラスチックス㈱では、スチレン系エラストマーを使用した機能性コンパウンドアーネストン>及び同コンパウンドを原料とした不織布やフィルム(コンパウンド二次製品)、をコーティング加工した特殊フィルム、成型加工技術による高気密高断熱住宅向け換気・空調ダクト及び周辺部材、高強力繊維 を使用した土木用途向け繊維複合ホースの開発を推進しています。[コーポレート研究開発]研究開発本部では、以下3点を通じて、クラレグループ全体の業容拡大・収益向上に資することを目指しています。① 新事業の創出:素材事業あるいはそれらに加工技術を付加した部材事業をターゲットとし、早期創出を目指します。種々の施策・改革を進め、当社の強み(技術・商流・市場)を活かした新規事業開発テーマの発掘・推進を継続します。② 既存事業の強化・拡大:カンパニー・グループ会社との協働・支援を強化し、分析・解析・デジタルなど高度な技術を駆使して全社事業の盤石化を図るとともに、既存事業の拡大に貢献します。また当社事業の急速なグローバル化に対応し、グループ海外拠点との連携を強化しています。③ 基盤技術の構築・深耕:新事業の創出及び既存事業の強化・拡大を通じて、必要とする基盤技術を構築し、深 化・深耕を図ります。 以下、研究開発活動を示します。・当社基幹原料からの新規化学品開発や新規高分子素材原料の開発に資する触媒開発技術を基盤技術と捉え、これまで長年培った均一系触媒技術のみならず固体触媒技術開発を進めています。これら技術開発を通じ、ビニルアセテート事業、イソプレン事業にかかわる既存事業の強化並びに新規材料開発を展開していきます。・ビニルアセテートチェーンの更なる業容拡大と新規展開を目指し、保有コア技術と内外から取り込んだ技術で新たな機能を有する素材の開発を進めています。環境親和性の高い酢ビ系高分子の精密な構造制御技術や高機能化プロセスを追及するとともに、酢ビ系高分子の研究開発を通じて獲得した知見や技術を酢ビ系高分子の枠を超えて展開することで顧客ニーズに合致した新素材を提案し続け、世界のリーディングカンパニーとして確固たる地位を確立します。・カンパニー・グループ会社との連携を通じて、高分子化合物の設計・重合・変性に関する基盤技術を拡充・深耕し、既存技術の強化・拡大と新事業の創出に資するための新規技術・新規高分子材料を開発します。・自社素材や高分子材料の成形・加工に関する基盤技術を拡充・深耕し、カンパニー・グループ会社と連携して、成形材料・成形体・シート・フィルムなどの機能性素材・部材に関する研究開発を推進しています。・炭素・電池材料に関連する技術基盤に新たな要素を加え、クラレグループの環境・エネルギー関連技術の拡大、深化に向けた研究開発を進めます。・再生医療や細胞農業などライフ関連分野での事業創出に向けた研究開発を推進しています。・先進的かつ豊富な分析・解析技術、及びシミュレーションや機械学習などのデジタル技術を応用し、カンパニー・グループ会社に様々な技術ソリューションを提供することで、クラレグループの業績向上に貢献しています。[イノベーションネットワーキングセンター]イノベーションネットワーキングセンター(以下、「INC」という。)は、中期経営計画「PASSION 2026」で掲げる「3つの挑戦」の内の1つ「ネットワーキングから始めるイノベーション」を推進するため、2022年1月に設立されました。INCは、各事業部・本部、そして顧客が主役となってイノベーションを生み出していけるよう、クラレグループのイノベーションのアクセラレーターの役割を担い、全社・全員参加型の活動を推進しています。多様なバックグラウンドをもつINCのメンバーと各部署を代表するアンバサダーがグローバルに連携し、クラレグループの多様な人材、ユニークな技術力、これまでに培った顧客との関係性や市場へのアプローチ手法などを活用し、中長期的な視点で新たなビジネス機会の創出に取り組んでいます。この組織が担う業務・役割は主に以下です。①当社の技術開発力、お客様との繋がり、多様な人材といった総合力を、グループ社員で活用し合うためのプラットフォーム(コアケイパビリティープラットフォーム)を立上げ、シナジー創出を加速します。②社内の新ビジネス開発プロジェクトの優先順位を明確にし、イノベーションを効率よく進めるための戦略とシステム(イノベーションパイプライン)を作り、パイプライン上でのビジネスインキュベーションを進めます。③全社横断で市場へアプローチするため、自動車、農業、紙・包装資材といった重視する6つの市場セグメントを特定しました。各セグメントでINCのチームが主体となり、新規テーマを発見・発掘し、顧客やパートナー企業との協業を進めます。以下、INCの2023年度の成果を示します。・各事業部に拡散するコア技術及び試作用設備を全社で共有するためのプラットフォームを完成し、7月に立上げました。既に2,000人以上の登録者が社内連携の足掛かりに活用し始めています。・5月に社内イノベーションパイプラインのプロトタイプを立上げ、4つの新規ビジネスプロジェクトを対象に試運転を開始、パイプラインの運営法や仕組みの改善を進めました。・全社イノベーション戦略の策定を進めました。各事業部、研究開発本部と連携し、イノベーション創出を狙う重点戦略領域を定義しました。2024年度は、当該重点戦略領域における機会探索とプロジェクト推進活動を支えるべく、リソースの積極的な投入を進めていきます。・セグメントチーム活動の一環として、海外中心に数百回のビジネスマッチング会を主催しました。発掘されたカスタマーアンメットニーズから新たに14のビジネス開発テーマを抽出し、4テーマをフェイルファストしたものの、1テーマをプロジェクトグループとして本格稼働しました。加えて、海外中心に13の展示会へ出展し、フォローアップを継続しています。
FY2022|6,270 文字
5 【研究開発活動】当社グループにおける研究開発活動は、私たちの使命「私たちは、独創性の高い技術で産業の新領域を開拓し、自然環境と生活環境の向上に寄与します。」に基づいて、カンパニー・グループ会社に所属するディビジョナル研究開発とコーポレート研究開発との緊密な連携の下に推進されています。ディビジョナル研究開発は、カンパニー・グループ会社が各事業所に研究開発部署を有しています。コーポレート研究開発体制としては、研究開発本部において、新事業テーマの企画・提案・推進を目的に、くらしき研究センターとつくば研究センターの2拠点を設置しています。オープンイノベーション推進を目的に、米国にはKAI Corporate R&Dを有しています。事業化段階として、機能製品開発部及びベクスター事業推進部・ベクスター生産開発部を擁しています。生産技術に関しては、技術本部 技術開発センターにおいてシミュレーション技術を活用した原理原則に基づく生産技術開発を推進しています。また、研究開発テーマの早期設備化を推進するための体制整備も進めています。一方で、デジタル技術を活用した生産効率、及び品質向上への取り組みも着実に進めています。ディビジョナル研究開発とコーポレート研究開発を合わせた当社グループ(当社及び連結子会社)の研究開発人員数は1,016人です。 当連結会計年度のセグメントごとの研究開発費は、ビニルアセテート8,860百万円、イソプレン2,057百万円、機能材料3,418百万円、繊維2,116百万円、トレーディング133百万円、その他535百万円、全社共通(コーポレート研究開発)5,530百万円、合計22,653百万円になります。セグメントごと及びコーポレートの研究開発活動を示すと次のとおりです。[ビニルアセテート]・ポバール樹脂、ポバールフィルム、PVBフィルム、<エバール>(樹脂、フィルム)の酢酸ビニルチェーンについては、世界のリーディングカンパニーとして、国内外の研究開発部署が連携し、新規用途開発、新商品開発、新規生産技術開発も併せて、研究開発活動を推進し、新たな価値を顧客に提案します。また、社会情勢やニーズの変化を成長機会と捉え、地球環境改善や社会貢献につながる製品開発を積極的に行います。・ポバール樹脂は、当社ビニルアセテートチェーンの根幹に位置する事業として、これまで培った技術開発力をベースに自消・外販両面で高品質かつ差別化された製品を提供します。日米欧亜の6工場をベースとしたグローバルネットワークを強みとして、世界各地の顧客に対して安定供給を図るとともに、ポバール樹脂の安全かつ環境に優しい特徴に注目し、新たな用途、ビジネス機会を提案します。・ポバールフィルムは、液晶ディスプレイ向け光学フィルムの構成部材の一つとして、さらなる高性能化・高品質化に加え、顧客での生産性向上などにも顧客と一体となって取り組んでいます。また、洗剤包装用途を中心にますます拡大する水溶性フィルムについても、顧客からの新たなニーズに応えるべく、ポバール樹脂メーカーである強みを活かし、原料まで遡った高性能化・多機能化を加速させます。・PVBフィルムは、自動車・建築向け合わせガラス用中間膜の高付加価値品の開発を進めており、新たな価値を顧客に提案しています。その一環として、アイオノマー樹脂をシート化した<セントリグラス>の更なる高付加価値化やPVBフィルムとのシナジー効果の発現、新規用途開発を推進しています。・<エバール>樹脂は、世界規模で食品廃棄ロスの削減や環境負荷の低減が求められるなか、日米欧の3拠点を中心に世界各地の顧客ニーズや市場動向を把握しながら、バリア材料の新技術開発・用途開発を推進しています。また<エバール>フィルムは、省エネルギー・地球環境保全に貢献する用途へ積極的に展開していきます。さらにバイオマス由来のガスバリア材料<PLANTIC>については、CO2排出削減効果とガスバリア性を併せ持つ新素材として、用途開発に取り組んでいます。[イソプレン]・イソプレンケミカル関連では、独自性の高いC4ケミストリーを展開しており、溶剤やウレタン原料、香粧品原料などを中心に新規用途開発を推進しています。また、脱炭素やサステナビリティへの貢献といった社会のニーズに応える機能性ポリマー・化学品の創出にも取り組んでいます。・エラストマー関連では、熱可塑性エラストマー及び液状ゴムの差別化・高付加価値化に取り組んでいます。その一環として、植物由来原料のファルネセンを用いた熱可塑性エラストマーを開発し、市場開発を推進しています。また液状ゴムは、主力のタイヤ用途で様々なタイプの製品を市場に提案し、高機能タイヤの改質剤として採用が広がっています。・耐熱性ポリアミド樹脂<ジェネスタ>では、5G通信コネクタ及び高電圧用コネクタ等に適した電気・電子用途向けのグレード開発に注力するとともに、自動車の環境規制強化やCASEの加速に対応するためサーマルマネジメント部品や車載電装部品に適した材料の開発を加速しており、部品メーカー各社で評価が進んでいます。 [機能材料]・メタクリル樹脂については、差別化ポリマーの拡充とメタアクリル系樹脂を活用した新規用途開発、新商品開発を主体に研究開発活動を行っています。・メディカル事業では、クラレノリタケデンタル株式会社の無機/有機の技術の融合による新規歯科材料の開発に注力し、CAD/CAM用ジルコニア、高強度レジン等のデジタル化の流れにも対応した開発、商品化を行っています。また、人工骨インプラント<リジェノス>、吸収性骨再生用材料<アフィノス>は、配向連通孔技術を特長に、多面的な展開を進めています。・環境ソリューション事業では、「環境(水・大気)・エネルギー」分野を重点戦略領域と位置付け、飲用水浄化材、ガス精製、蓄電において、吸着・脱着にイノベーションを創出、活性炭から成型材まで新たな技術開発と商品群展開を推進しています。また、環境材である活性炭の再生、再利用にも新技術の構築に取り組んでいます。・アクア事業推進本部では、中空糸水処理膜を用いた様々な水の製造・回収を通して、「高品質で安全な水の提供」と「環境負荷の低減」に貢献する素材・技術開発に取り組んでいます。[繊維]・高強力繊維<ベクトラン>は、極低温域までの広い温度領域において、高強度、低誘電損失、低線膨張であることに加え、ほとんど吸水することがない特質を有していることから、海洋資材、光ファイバー等の電材など高機能、高性能であることが求められる分野で広がっており、今年度もフル生産が続きました。さらなる用途拡大を目指し、性能向上、構成検討を進めています。・PVA繊維<ビニロン>は、ゴム補強用フィラメントや防護材料、特殊紙分野の拡大に応じた体制整備を行い順調に稼働しています。さらなる成長を目指し、生産技術、製品開発を続けています。・人工皮革<クラリーノ>は、環境や健康意識の高まりにより、環境配慮型革新プロセス(CATS)を使ったスポーツ向け製品需要が増加しており、RCS認証を取得した環境配慮銘柄を開発、販売の拡大に取り組んでいます。また欧州ラグジュアリー用途向けに、リサイクル原料を用いた新規環境配慮型製品の投入を開始し、さらにバイオマス原料を使った新規製品開発も進めています。・不織布<クラフレックス>は、2020年に新設されたメルトブローンと従来のスパンレース技術を融合した革新プロセスに取り組み新規用途の開拓を目指しています。また液晶ポリマーを用いた不織布<ベクルス>の用途拡大や、生活環境向上に寄与する製品開発、新規環境配慮型製品の開発を進めています。[トレーディング]・ポリエステル長繊維<クラベラ>では、①地球環境に配慮した独自原糸(PETボトル再生樹脂を用いた機能繊維<スペースマスター>、バイオEGを用いた<バイオスペース>、ヤシ殻炭練り込み繊維<アグリアス>)、②独自の樹脂を用いて糸自体に性能付与した衝撃吸収繊維<スパンドール>、③電子部品などへの静電気放電対策としてIEC基準にも対応する導電性繊維<クラカーボ>などの機能性原糸の開発を推進しています。[その他]・クラレプラスチックス株式会社では、スチレン系エラストマーを使用した機能性コンパウンド<アーネストン>及び同コンパウンドを原料とした不織布やフィルム(コンパウンド二次製品)、<エバール>をコーティング加工した特殊フィルム、成型加工技術による高気密高断熱住宅向け換気・空調ダクト及び周辺部材、高強力繊維 <ベクトラン>を使用した土木用途向け繊維複合ホースの開発を推進しています。[コーポレート研究開発]研究開発本部では、以下3点を通じて、クラレグループ全体の業容拡大・収益向上に資することを目指しています。① 新事業の創出:素材事業あるいはそれらに加工技術を付加した部材事業をターゲットとし、早期創出を目指します。種々の施策・改革を進め、当社の強み(技術・商流・市場)を活かした新規事業開発テーマの発掘・推進を継続します。② 既存事業の強化・拡大:カンパニー・グループ会社との協働・支援を強化し、分析・解析・デジタルなど高度な技術を駆使して全社事業の盤石化を図るとともに、既存事業の拡大に貢献します。また当社事業の急速なグローバル化に対応し、グループ海外拠点との連携を強化しています。③ 基盤技術の構築・深耕:新事業の創出及び既存事業の強化・拡大を通じて、必要とする基盤技術を構築し、深 化・深耕を図ります。以下、研究開発活動を示します。・当社基幹原料からの新規化学品開発や新規高分子素材原料の開発に資する触媒開発技術を基盤技術と捉え、これまで長年培った均一系触媒技術のみならず固体触媒技術開発を進めています。これら技術開発を通じ、イソプレン事業、ビニルアセテート事業にかかわる既存事業の強化並びに新規材料開発を展開していきます。・酢酸ビニルチェーンの更なる業容拡大と新規展開を目指し、保有コア技術と内外から取り込んだ技術で新たな機能を有する素材の開発を進めています。環境親和性の高い酢ビ系高分子の精密な構造制御技術や高機能化プロセスを追及するとともに、酢ビ系高分子の研究開発を通じて獲得した知見や技術を酢ビ系高分子の枠を超えて展開することで顧客ニーズに合致した新素材を提案し続け、世界のリーディングカンパニーとして確固たる地位を確立します。 ・カンパニー・グループ会社との連携を通じて、高分子化合物の設計・重合・変性に関する基盤技術を拡充・深耕し、既存技術の強化・拡大と新事業の創出に資するための新規技術・新規高分子材料を開発します。・自社素材や高分子材料の成形・加工に関する基盤技術を拡充・深耕し、カンパニー・グループ会社と連携して、成形材料・成形体・シート・フィルムなどの機能性素材・部材に関する研究開発を推進しています。・リチウムイオン二次電池の高性能化、及び開発が進む次世代電池に向け、植物を原料とした高容量負極材用ハードカーボンの開発を加速します。また、全社の電池材料開発の中心としてカンパニー・グループ会社と連携し、当社独自素材の電池部材への応用展開を進めます。・高周波回路基板用途の液晶ポリマーフィルム<ベクスター>は、車載用ミリ波レーダーや5Gアンテナなど高周波による高速伝送の需要が高まる中、フレキシブルプリント配線基板として高周波領域での伝送損失が低く、加工性に優れる点が評価されています。さらにフィルムに加え銅張積層板を事業化しました。需要は今後も伸びると見られ積極的に事業拡大を進めていきます。・半導体用研磨パッド(CMPパッド)は、独自のポリウレタン設計及び製造技術を駆使し、従来に無い高硬度ポリウレタンを原料にしています。当社CMPパッドの特長は、高硬度なため研磨するデバイスを平坦にする能力が優れること、高硬度でありながら研磨傷が少ないこと、耐磨耗性が優れるため長時間使えることなどで、複数の顧客・複数プロセスで採用されています。今後、各顧客のニーズに合った製品をタイムリーに提案することで、顧客の製品機能と品質の向上、コスト削減に貢献し、半導体市場の発展に寄与していきます。・先進的かつ豊富な分析・解析技術、及びシミュレーションや機械学習などのデジタル技術を応用し、カンパニー・グループ会社に様々な技術ソリューションを提供することで、クラレグループの業績向上に貢献しています。[イノベーションネットワーキングセンター]イノベーションネットワーキングセンター(以下、「INC」という。)は、今中期経営計画「PASSION 2026」施策の一環として、2022年1月、グループ全組織や市場・顧客との有機的連携をグローバルに構築し、イノベーションの継続的創出を実現するために設立されました。顧客様中心主義を尊重し、グループが持つ組織的な能力や強みを市場のアンメットニーズに繋ぐことで、新たな価値を創造すること、そして、そのための仕組み作りや、イノベーションへ向けたチャレンジや失敗を奨励する風土醸成を推進します。イノベーションはINCが単独で起こすものではなく、全社参加型の活動が求められます。各事業部、各本部、及びお客様やパートナー企業が主役となり、活動の成果は皆さんに還元されていきます。また、INCは「新しい建物」ではありません。27名の正メンバーと、各部署を代表して繋がっている50名余のアンバサダーから成るバーチャルにグローバルで繋がった組織です。この組織が担う仕事は主に以下です。①仕組作り1(コアケイパビリティープラットフォーム立上げ)…当社の技術開発力、お客様との繋がり、多様な人材といった総合力を、グループ社員で活用し合うためのプラットフォームを立上げ、シナジー創出を加速化します。②仕組作り2(イノベーションパイプライン立上げ)…社内の新ビジネス開発プロジェクトの優先順位を明確にし、イノベーションを効率よく進めるための戦略とシステムを作り、パイプライン上でのインキュベーションも進めていきます。③市場セグメント別マーケティング推進…セグメントチームを主体とし全社横断でセグメント別に市場へアプローチし、新規テーマを発見・発掘し、お客様やパートナー企業との協業を進めていきます。以下、INCの2022年度の成果を示します。・社内ロードショーやイントラネット等でのコミュニケーションを通し、INCの戦略と進め方をマネジメント層から実務者レベルにまで認知してもらい、協力を受けるための土壌作りを進めました。一方、各事業部や海外の事業所とは、個別にアライメントセッションを開催し、協業テーマの発掘を進めました。・各事業部に拡散するコア技術及び試作用設備を全社で共有するためのプラットフォームの試行版を小規模で立上げ、仮説検証を進めました。・セグメントチーム活動の一環として、数百回のビジネスマッチング会をコーディネイトし、発掘されたカスタマーアンメットニーズから10の新たなビジネス開発テーマを立上げました。加えて、国内外10の展示会へ出展し多くの引き合いを受け、フォローアップを継続しています。
FY2021|5,035 文字
5 【研究開発活動】当社グループにおける研究開発活動は、私たちの使命「私たちは、独創性の高い技術で産業の新領域を開拓し、自然環境と生活環境の向上に寄与します。」に基づいて、社内カンパニー・事業部・連結子会社に所属するディビジョン研究開発とコーポレート研究開発との緊密な連携の下に推進されています。ディビジョン研究開発は、社内カンパニー・事業部・連結子会社が各事業所に研究開発部署を有しています。コーポレート研究開発体制としては、研究開発本部において、新事業テーマの企画・提案・推進を目的にくらしき研究センターとつくば研究センターの2拠点を設置しています。オープンイノベーション推進を目的に、米国にはKAI Corporate R&Dを有しています。事業化段階として、機能製品開発部及びベクスター事業推進部・ベクスター生産開発部を擁しています。生産技術に関しては、技術本部 技術開発センターにおいてシミュレーション技術を活用した原理原則に基づく生産技術開発を推進しています。また、研究開発テーマの早期設備化を推進するための体制整備も進めています。一方で、デジタル技術を活用した生産効率、及び品質向上への取り組みも着実に進めています。ディビジョン研究開発とコーポレート研究開発を合わせた当社グループ(当社及び連結子会社)の研究開発人員数は1,014人です。 当連結会計年度のセグメントごとの研究開発費は、ビニルアセテート7,467百万円、イソプレン2,124百万円、機能材料3,152百万円、繊維1,966百万円、トレーディング132百万円、その他847百万円、全社共通(コーポレート研究開発)5,154百万円、合計20,845百万円になります。セグメントごと及びコーポレートの研究開発活動を示すと次のとおりです。[ビニルアセテート]・ポバール樹脂、ポバールフィルム、PVBフィルム、<エバール>(樹脂、フィルム)の酢酸ビニルチェーンについては、世界のリーディングカンパニーとして、国内外の研究開発部署が連携し、新規用途開発、新商品開発、新規生産技術開発も併せて、研究開発活動を推進しています。・ポバール樹脂は、当社ビニルアセテートチェーンの根幹に位置する事業として、これまで培った技術開発力をベースに自消・外販両面で高品質かつ差別化された製品を提供します。日米欧亜の6工場をベースとしたグローバルネットワークを強みとして、ポバール樹脂の安全かつ環境に優しい特徴に注目し、新たな用途、ビジネス機会を提案します。・ポバールフィルムは、液晶ディスプレイ向け光学フィルムの構成部材の一つとして、さらなる高性能化・高品質化に顧客と一体となって取り組んでいます。また、洗剤包装用途を中心にますます拡大する水溶性フィルムについても、ポバール樹脂メーカーである強みを活かし、原料まで遡った高性能化・多機能化を加速させます。・PVBフィルムは、自動車・建築向け合わせガラス用中間膜の高付加価値品の開発を進めています。その一環として、アイオノマー樹脂をシート化した<セントリグラス>の更なる高付加価値化やPVBフィルムとのシナジー効果の発現、新規用途開発を推進しています。・<エバール>樹脂は、世界規模で食品廃棄ロスの削減や環境負荷の低減が求められるなか、日米欧の3拠点を中心に世界各地のニーズを把握しながら、バリア材料の新技術開発・用途開発を推進しています。また<エバール>フィルムは、省エネルギー・地球環境保全に貢献する用途へ積極的に展開していきます。さらにバイオマス由来のガスバリア材料<PLANTIC>については、CO2排出削減効果とガスバリア性を併せ持つ新素材として、用途開発に取り組んでいます。[イソプレン]・イソプレンケミカル関連では、独自性の高いC4ケミストリーを展開しており、溶剤やウレタン原料、香粧品原料などを中心に材料・市場開発を推進しています。また、新規触媒の開発や既存技術の応用により、社会のニーズに応える機能性化学品の創出に取り組んでいます。・エラストマー関連では、熱可塑性エラストマー及び液状ゴムの差別化・高付加価値化に取り組んでいます。その一環として、植物由来原料のファルネセンを用いた熱可塑性エラストマーを開発し、市場開発を推進しています。また液状ゴムは、主力のタイヤ用途で様々なタイプの製品を市場に提案し、高機能タイヤの改質剤として採用が広がっています。・耐熱性ポリアミド樹脂<ジェネスタ>では、5G通信コネクタ及び高電圧用コネクタ等に適した電気・電子用途向けのグレード開発に注力するとともに、自動車の環境規制強化やCASEの加速に対応するためサーマルマネジメント部品や車載電装部品に適した材料の開発を加速しており、部品メーカー各社で評価が進んでいます。またPEEK代替をターゲットとし、さらに耐熱性及び耐久性に優れた新規ポリアミドの開発にも取り組んでいます。[機能材料]・メタクリル樹脂については、差別化ポリマーの拡充とメタアクリル系樹脂を活用した新規用途開発、新商品開発を主体に研究開発活動を行っています。・メディカル事業では、クラレノリタケデンタル株式会社の無機/有機の技術の融合による新規歯科材料の開発に注力し、CAD/CAM用ジルコニア、高強度レジン等のデジタル化の流れにも対応した開発、商品化を行っています。また、人工骨インプラント<リジェノス>、吸収性骨再生用材料<アフィノス>は、配向連通孔技術を特長に、多面的な展開を進めています。・環境ソリューション事業では、「水・環境・エネルギー」分野を重点戦略領域に、飲用水浄化材、オートモーティブ関連、ガス精製、蓄電において、吸着にイノベーションを創出、活性炭から成型材へ新たな商品群展開を推進しています。[繊維]・高強力繊維<ベクトラン>は、極低温域までの広い温度領域において、高強度、低誘電損失、低線膨張であることに加え、ほとんど吸水することがない特質を有していることから、海洋資材、光ファイバー等電材の他、医療用分野など高機能、高性能であることが求められる分野で広がっており、今年度もフル生産が続きました。さらなる用途拡大を目指し、性能向上、構成検討を進めています。・PVA繊維<ビニロン>は、ゴム補強用フィラメントや防護材料の拡大に応じて、革新プロセス(VIP)を用いた生産機台を増設し、順調に稼働しています。国産第一号の合繊として2020年に70周年を迎えましたが、さらなる成長を目指し、生産技術、製品開発を続けています。・人工皮革<クラリーノ>は、環境や健康意識の高まりにより、環境調和型革新プロセス(CATS)を使ったスポーツ向け製品需要が増加しており、RCS認証を取得した環境対応銘柄を開発、販売の拡大に取り組んでいます。また欧州ラグジュアリー用途向けに、バイオマス原料を使った新規開発商品を投入予定です。 ・不織布<クラフレックス>は、2020年に新設されたメルトブローンと従来のスパンレース技術を融合した革新プロセスに取り組み新規用途の開拓を目指しています。また液晶ポリマーを用いた不織布<ベクルス>の用途拡大や、生活環境向上に寄与する製品開発、新規環境対応型製品の開発を続けています。[トレーディング]・ポリエステル長繊維<クラベラ>では、①地球環境に配慮した独自原糸(PETボトル再生樹脂を用いたスエード調繊維<エルモザ>、バイオEGを用いた<バイオスペース>、ヤシ殻炭練り込み繊維<アグリアス>)、②独自の樹脂を用いて糸自体に性能付与した衝撃吸収繊維<スパンドール>、③電子部品などへの静電気放電対策としてIEC基準にも対応する導電性繊維<クラカーボ>などの機能性原糸の開発を推進しています。[その他]・アクア事業推進本部では、中空糸ろ過膜を用いた様々な水の製造・回収を通して、「高品質で安全な水の提供」と「環境負荷の低減」に貢献する素材・技術開発に取り組んでいます。・クラレプラスチックス株式会社では、スチレン系エラストマーを使用した機能性コンパウンド<アーネストン>及び同コンパウンドを原料とした不織布やフィルム(コンパウンド二次製品)、<エバール>をコーティング加工した特殊フィルム、成型加工技術による高気密高断熱住宅向け換気・空調ダクト、高強力繊維 <ベクトラン>を使用した土木用途向け繊維複合ホースの開発を推進しています。[コーポレート研究開発]研究開発本部では、以下3点を通じて、クラレグループ全体の業容拡大・収益向上に資することを目指しています。① 新事業の創出:素材事業あるいはそれらに加工技術を付加した部材事業をターゲットとし、早期創出を目指します。種々の施策・改革を進め、当社の強み(技術・商流・市場)を活かした新規事業開発テーマの発掘・推進を継続します。② 既存事業の強化・拡大:カンパニー・グループ会社との協働・支援を強化し、分析・解析・デジタルなど高度な技術を駆使して全社事業の盤石化を図るとともに、既存事業の拡大に貢献します。また当社事業の急速なグローバル化に対応し、グループ海外拠点との連携を強化しています。③ 基盤技術の構築・深耕:新事業の創出及び既存事業の強化・拡大を通じて、必要とする基盤技術を構築し、深 化・深耕を図ります。以下、研究開発活動を示します。・当社基幹原料からの新規化学品開発や新規高分子素材原料の開発に資する触媒開発技術を基盤技術と捉え、これまで長年培った均一系触媒技術のみならず固体触媒技術開発を進めています。これら技術開発を通じ、イソプレン事業、ビニルアセテート事業にかかわる既存事業の強化並びに新規材料開発を展開していきます。・酢酸ビニルチェーンの更なる業容拡大と新規展開を目指し、保有コア技術と内外から取り込んだ技術で新たな機能を有する素材の開発を進めています。環境親和性の高い酢ビ系高分子の精密な構造制御技術や高機能化プロセスを追及するとともに、酢ビ系高分子の研究開発を通じて獲得した知見や技術を酢ビ系高分子の枠を超えて展開することで顧客ニーズに合致した新素材を提案し続け、世界のリーディングカンパニーとして確固たる地位を確立します。・カンパニー・グループ会社との連携を通じて、高分子化合物の設計・重合・変性に関する基盤技術を拡充・深耕し、既存技術の強化・拡大と新事業の創出に資するための新規技術・新規高分子材料を開発します。・自社素材や高分子材料の成形・加工に関する基盤技術を拡充・深耕し、カンパニー・グループ企業と連携して、成形材料・成形体・シート・フィルムなどの機能性素材・部材に関する研究開発を推進しています。・リチウムイオン二次電池の高性能化、及び開発が進む次世代電池に向け、植物を原料とした高容量負極材用ハードカーボンの開発を加速します。また、全社の電池材料開発の中心としてカンパニー・グループ企業と連携し、当社独自素材の電池部材への応用展開を進めます。・高周波回路基板用途の液晶ポリマーフィルム<ベクスター>は、車載用ミリ波レーダーや5Gアンテナなど高周波による高速伝送の需要が高まる中、フレキシブルプリント配線基板として高周波領域での伝送損失が低く、加工性に優れる点が評価されています。さらにフィルムに加え銅張積層板を事業化しました。需要は今後も伸びると見られ積極的に事業拡大を進めていきます。・半導体用研磨パッド(CMPパッド)は、独自のポリウレタン設計及び製造技術を駆使し、従来に無い高硬度ポリウレタンを原料にしています。当社CMPパッドの特長は、高硬度なため研磨するデバイスを平坦にする能力が優れること、高硬度でありながら研磨傷が少ないこと、耐磨耗性が優れるため長時間使えることなどで、複数の顧客・複数プロセスで採用されています。今後、各顧客のニーズに合った製品をタイムリーに提案することで、顧客の製品機能と品質の向上、コスト削減に貢献し、半導体市場の発展に寄与していきます。・先進的かつ豊富な分析・解析技術、及びシミュレーションや機械学習などのデジタル技術を応用し、社内カンパニー・事業部・連結子会社に様々な技術ソリューションを提供することで、クラレグループの業績向上に貢献しています。
FY2020|4,951 文字
5 【研究開発活動】当社グループにおける研究開発活動は、私たちの使命「私たちは、独創性の高い技術で産業の新領域を開拓し、自然環境と生活環境の向上に寄与します。」に基づいて、社内カンパニー・事業部・連結子会社に所属するディビジョン研究開発とコーポレート研究開発との緊密な連携の下に推進されています。ディビジョン研究開発は、社内カンパニー・事業部・連結子会社が各事業所に研究開発部署を有しています。コーポレート研究開発体制としては、研究開発本部において、新事業テーマの企画・提案・推進を目的にくらしき研究センターとつくば研究センターの2拠点を設置しています。オープンイノベーション推進を目的に、米国にはKAI Corporate R&Dを有しています。事業化段階として、機能製品開発部及びベクスター事業推進部・ベクスター生産開発部を擁しています。生産技術に関しては、技術本部 技術開発センターにおいてシミュレーション技術を活用した原理原則に基づく生産技術開発を推進しています。また、デジタル技術を活用した生産効率、及び品質向上への取り組みを進めています。ディビジョン研究開発とコーポレート研究開発を合わせた当社グループ(当社及び連結子会社)の研究開発人員数は1,030人です。 当連結会計年度のセグメントごとの研究開発費は、ビニルアセテート6,935百万円、イソプレン2,093百万円、機能材料3,217百万円、繊維2,034百万円、トレーディング128百万円、その他811百万円、全社共通(コーポレート研究開発)5,381百万円、合計20,603百万円になります。セグメントごと及びコーポレートの研究開発活動を示すと次のとおりです。[ビニルアセテート]・ポバール樹脂、ポバールフィルム、PVBフィルム、<エバール>(樹脂、フィルム)の酢酸ビニルチェーンについては、世界のリーディングカンパニーとして、国内外の研究開発部署が連携し、新規用途開発、新商品開発、新規生産技術開発も併せて、研究開発活動を推進しています。・ポバール樹脂は、当社ビニルアセテートチェーンの根幹に位置する事業として、これまで培った技術開発力をベースに自消・外販両面で高品質かつ差別化された製品を提供します。日米欧亜の6工場をベースとしたグローバルネットワークを強みとして、ポバール樹脂の安全かつ環境に優しい特徴に注目し、新たな用途、ビジネス機会を提案します。・ポバールフィルムは、液晶ディスプレイ向け光学フィルムの構成部材の一つとして、さらなる高性能化・高品質化に顧客と一体となって取り組んでいます。また、洗剤包装用途を中心にますます拡大する水溶性フィルムについても、ポバール樹脂メーカーである強みを活かし、原料まで遡った高性能化・多機能化を加速させます。・PVBフィルムは、自動車・建築向け合わせガラス用中間膜の高付加価値品の開発を進めています。その一環として、アイオノマー樹脂をシート化した<セントリグラス>の更なる高付加価値化やPVBフィルムとのシナジー効果の発現、新規用途開発を推進しています。・<エバール>樹脂は、世界規模で食品廃棄ロスの削減や環境負荷の低減が求められるなか、日米欧の3拠点を中心に世界各地のニーズを把握しながら、バリア材料の新技術開発・用途開発を推進しています。また<エバール>フィルムは、省エネルギー・地球環境保全に貢献する用途へ積極的に展開していきます。さらにバイオマス由来のガスバリア材料<PLANTIC>については、CO2排出削減効果とガスバリア性を融合した新素材として、用途開発に取り組んでいます。[イソプレン]・エラストマー関連では、熱可塑性エラストマー及び液状ゴムの差別化・高付加価値化に取り組んでいます。植物由来原料のファルネセンを用いた液状ゴムは、高機能タイヤの改質剤として国内外のタイヤメーカーへ採用が広がっています。ファルネセンを用いた熱可塑性エラストマーの開発も進めており、更なる差別化製品の開発と市場拡大に向けて研究開発、マーケティング活動を推進しています。・イソプレンケミカル関連では、独自性の高いC4ケミストリーを展開しており、溶剤やウレタン原料、香粧品原料などを中心に材料・市場開発を推進しています。また、精密有機合成技術を基盤にした新規材料開発を行い、社会のニーズに応える機能性化学品の創出に取り組んでいます。・耐熱性ポリアミド樹脂<ジェネスタ>では、5G通信コネクタ及び高電圧用コネクタ等に適した電気・電子用途向けのグレード開発に注力するとともに、自動車の環境規制強化やCASEの加速に対応するためサーマルマネジメント部品や車載電装部品に適した材料の開発を加速しており、部品メーカー各社で評価が進んでいます。またPEEK代替をターゲットとし、さらに耐熱性及び耐久性に優れた新規ポリアミドの開発にも取り組んでいます。[機能材料]・メタクリル樹脂については、差別化ポリマーの拡充とメタアクリル系樹脂を活用した新規用途開発、新商品開発を主体に研究開発活動を行っています。・メディカル事業では、クラレノリタケデンタル株式会社の無機/有機の技術の融合による新規歯科材料の開発に注力し、CAD/CAM用ジルコニア、高強度レジン等のデジタル化の流れにも対応した開発、商品化を行っています。また、人工骨インプラント<リジェノス>、吸収性骨再生用材料<アフィノス>は、配向連通孔技術を特長に、多面的な展開を進めています。・環境ソリューション事業では、「水・環境・エネルギー」分野を重点戦略領域に、飲用水浄化材、オートモーティブ関連部材、蓄電材料において、活性炭及び吸着分野のイノベーションを創出、新たな商品群展開を推進しています。[繊維]・高強力繊維<ベクトラン>は、極低温域までの広い温度領域において、高強度、低誘電損失、低線膨張であることに加え、ほとんど吸水することがない特質を有していることから、海洋資材、光ファイバー等電材の他、医療用分野など高機能、高性能であることが求められる分野で広がっており、今年度もフル生産が続きました。また、火星探査車「スピリット」の着陸用エアバックの採用に続いて、小惑星探査機「はやぶさ2」では弾丸発射後にサンプルを集める筒状のホーンの一部に採用されています。・ビニロン(PVA繊維)は、ゴム補強用フィラメントや防護材料の拡大に応じて、革新プロセス(VIP)を用いた生産機台の増設を完了し、順調に稼働しています。・人工皮革<クラリーノ>は、環境や健康意識の高まりを背景として、環境調和型革新プロセス(CATS)を使ったスポーツ向け製品が急速に回復しており、RCS認証を取得した環境対応銘柄を開発、販売を開始しました。また、欧州ラグジュアリー用途向けにも、バイオマス原料を使った新規開発商品を投入予定です。 ・不織布<クラフレックス>は、メルトブローン技術とスパンレース技術を融合した革新プロセスの建設(岡山工場)が完了し稼働を開始しました。これにより、新型コロナウイルス禍で需要が逼迫している高性能マスクフィルター用不織布の生産拡大にも寄与しています。[トレーディング]・ポリエステル長繊維<クラベラ>では、①熱水に溶解し、生分解性をも有する特殊水溶性樹脂<エクセバール>を用いた水溶性繊維<ミントバール>、②要求性能に応じた多様な断面構造で高い帯電防止性能を持つ導電性繊維<クラカーボ>、③バイオEGを用いた<バイオスペース>やPETボトル再生糸<クララペット>、④吸汗性と耐久性に優れた銀イオン練込み十字断面抗菌繊維<スペースマスター AG>など地球環境に配慮した原糸や機能性の高い原糸の開発を推進しています。[その他]・アクア事業推進本部では、中空糸ろ過膜を用いた様々な水の製造・回収、ポリビニルアルコール(PVA)ゲルを用いた産業排水の処理・回収などを通して、「高品質で安全な水の提供」と「環境負荷の低減」に貢献する素材・装置・プラント・技術開発に取り組んでいます。・クラレプラスチックス株式会社では、スチレン系エラストマーを使用した機能性コンパウンド及び同コンパウンドを原料とした不織布等二次製品や新規フィルム、<エバール>をコーティング加工した特殊フィルム、成型加工技術によるスマートハウス向け換気・空調ダクト、高強力繊維 <ベクトラン>を使用した土木・産業廃棄物用途向け繊維複合ホースの開発を推進しています。[コーポレート研究開発]研究開発本部では、以下3点を通じて、クラレグループ全体の業容拡大・収益向上に資することを目指しています。① 新事業の創出:素材事業あるいはそれらに加工技術を付加した部材事業をターゲットとし、早期創出を目指します。種々の施策・改革を進め、当社の強み(技術・商流・市場)を活かした新規事業開発テーマの発掘・推進を継続します。② 既存事業の強化・拡大:コーポレート機能の抜本的見直しのもと、カンパニー・グループ会社との協働・支援を強化し、全社事業の盤石化を図るとともに、既存事業の拡大に貢献します。また当社事業の急速なグローバル化に対応し、グループ海外拠点との連携を強化しています。③ 基盤技術の構築・深耕:新事業の創出及び既存事業の強化・拡大を通じて、必要とする基盤技術を構築し、深 化・深耕を図ります。以下、研究開発活動を示します。・酢酸ビニルチェーンの更なる業容拡大を目指し、保有コア技術と内外から取り込んだ技術で新たな機能を有する酢ビ系素材の開発を進めています。酢ビ系高分子の精密な構造制御技術や高機能化プロセスを追及して、顧客ニーズに合致した新素材を提案し続け、世界のリーディングカンパニーとして確固たる地位を確立します。・触媒開発技術を基盤技術と捉え、これまで長年培った均一系触媒技術のみならず固体触媒技術開発を進めています。これら技術開発を通じ、イソプレン事業、ビニルアセテート事業にかかわる既存事業の強化並びに新規材料開発を展開していきます。・カンパニー・グループ会社との連携を通じて、高分子化合物の設計・重合・変性に関する基盤技術を拡充・深耕し、既存技術の強化・拡大と新事業の創出に資するための新規技術・新規高分子材料を開発します。・自社素材や高分子材料の成形・加工に関する基盤技術を拡充・深耕し、カンパニー・グループ企業と連携して、成形材料・成形体・シート・フィルムなどの機能性素材・部材に関する研究開発を推進しています。・リチウムイオン二次電池の高性能化、及び開発が進む次世代電池に向け、植物を原料とした高容量負極材用ハードカーボンの開発を加速します。また、全社の電池材料開発の中心としてカンパニー・グループ企業と連携し、当社独自素材の電池部材への応用展開を進めます。・高周波回路基板用途の液晶ポリマーフィルム<ベクスター>は、車載用ミリ波レーダーや5Gアンテナなど高周波による高速伝送の需要が高まる中、フレキシブルプリント配線基板として高周波領域での伝送損失が低く、加工性に優れる点が評価されています。さらにフィルムに加え片面銅張板を開発、上市しました。需要は今後も伸びると見られ積極的に事業拡大を進めていきます。・半導体用研磨パッド(CMPパッド)は、独自のポリウレタン設計及び製造技術を駆使し、従来に無い高硬度ポリウレタンを原料にしています。当社CMPパッドの特長は、高硬度なため研磨するデバイスを平坦にする能力が優れること、高硬度でありながら研磨傷が少ないこと、耐磨耗性が優れるため長時間使えることなどで、複数の顧客・複数プロセスで採用されています。今後、各顧客のニーズに合った製品をタイムリーに提案することで、顧客の製品機能と品質の向上、コスト削減に貢献し、半導体市場の発展に寄与していきます。・先進的かつ豊富な分析・解析技術を駆使し、社内カンパニー・事業部・連結子会社に様々な技術ソリューションを提供しています。・機械学習など、デジタル技術の研究開発分野での応用を進めています。
FY2019|5,006 文字
5 【研究開発活動】 当社グループにおける研究開発活動は、私たちの使命「私たちは、独創性の高い技術で産業の新領域を開拓し、自然環境と生活環境の向上に寄与します。」に基づいて、社内カンパニー・事業部・連結子会社に所属するディビジョン研究開発とコーポレート研究開発との緊密な連携の下に推進されています。コーポレート研究開発は、以下3点を通じて、クラレグループ全体の業容拡大・収益向上に資することを目指しています。① 新事業の創出:素材事業を主に、あるいはそれらに加工技術を付加した部材事業をターゲットとし、早期創出を目指します。2018年度より開始した中期経営計画「PROUD 2020」の進行中に、部材事業の事業化を推進するとともに、当社における部材事業の立ち上げにおいて、何が必要かを見極めます。② 既存事業の強化・拡大:コーポレート機能の抜本的見直しのもと、カンパニー・グループ会社との協働・支援を強化し、全社事業の盤石化を図るとともに、新事業開発を促進します。③ 基盤技術の保有:新事業の創出及び既存事業の強化・拡大を通じて、必要とする基盤技術を構築し、深化・深耕を図ります。研究開発体制として、コーポレート研究開発は、研究開発本部において、基礎段階のくらしき研究センター・つくば研究センター及びKAI Corporate R&D(米国)、事業化段階の機能製品開発部・成形部材事業推進部及びベクスター事業推進部を擁しています。生産技術に関しては、技術本部 技術開発センターにおいて「原理原則と現場感覚の最適融合」による生産技術開発を推進しています。また、IoTを活用した生産効率、及び品質向上への取り組みを進めています。ディビジョン研究開発は、社内カンパニー・事業部・連結子会社が各事業所に研究開発部署を有しています。コーポレート研究開発とディビジョン研究開発を合わせた当社グループ(当社及び連結子会社)の研究開発人員数は1,040人です。当連結会計年度のセグメントごとの研究開発費は、ビニルアセテート7,025百万円、イソプレン1,575百万円、機能材料3,299百万円、繊維1,996百万円、トレーディング130百万円、その他1,252百万円、全社共通(コーポレート研究開発)5,891百万円、合計21,170百万円になります。セグメントごと及びコーポレートの研究開発活動を示すと次のとおりです。[ビニルアセテート]・ポバール樹脂、ポバールフィルム、PVBフィルム、<エバール>(樹脂、フィルム)の酢酸ビニルチェーンについては、世界のリーディングカンパニーとして、国内外の研究開発部署が連携し、新規用途開発、新商品開発、新規生産技術開発も併せて、研究開発活動を推進しています。・ポバール樹脂は、当社ビニルアセテートチェーンの根幹に位置する事業として、日米欧亜の6工場を中心としたグローバルネットワークを強みとして市場開発を推進しています。自消・外販両面で安定かつ高い品質の原料供給を基本とし、クラレ発の新規技術を積極投入すると共に技術サービスネットワークの強化により付加価値の高いビジネス機会を提案します。・ポバールフィルムは、液晶ディスプレイ向け光学フィルムのトップメーカーとして市場を牽引すべく、さらなる高性能化・高品質化に顧客と一体となって取り組んでいます。また、洗剤包装用途を中心にますます拡大する水溶性フィルムについても、ポバール樹脂メーカーである強みを活かし、原料まで遡った高性能化・多機能化を加速させます。 ・PVBフィルムは、自動車・建築向け合わせガラス用中間膜の高付加価値品の開発を進めています。その一環として、アイオノマー樹脂をシート化した<セントリグラス>の更なる高付加価値化やPVBフィルムとのシナジー効果の発現、新規用途開発を推進しています。・<エバール>樹脂は、世界規模で食品廃棄ロスの削減や環境負荷の低減が求められるなか、日米欧の3拠点を中心に世界各地のニーズを把握しながら、バリア材料の新技術開発・用途開発を推進しています。また<エバール>フィルムは、省エネルギー・地球環境保全に貢献する用途へ積極的に展開していきます。さらにバイオマス由来のガスバリア材料<PLANTIC>については、CO2排出削減効果とガスバリア性を融合した新素材として、用途開発に取り組んでいます。[イソプレン]・エラストマー関連では、熱可塑性エラストマー及び液状ゴムの差別化・高付加価値化に取り組んでいます。植物由来原料のファルネセンを用いた液状ゴムは、高機能タイヤの改質剤として国内外のタイヤメーカーへ採用が広がっています。ファルネセンを用いた熱可塑性エラストマーの開発も進めており、更なる差別化製品の開発と市場拡大に向けて研究開発、マーケティング活動を推進しています。・イソプレンケミカル関連では、独自性の高いC4ケミストリーをさらに進化させた化学品として、香料、溶剤や特殊インキ関連の材料開発並びに精密有機合成技術を基盤にした新規材料など機能性化学品の創出に取り組んでいます。・耐熱性ポリアミド樹脂<ジェネスタ>では、自動車の軽量化に伴いエンジン冷却配管が金属製から樹脂製へ置き換わりつつあり、耐加水分解性と柔軟性を両立する押出グレードを開発し、自動車冷却配管メーカー各社で評価が進んでいます。また、PEEKやフッ素系樹脂を代替できる性能を持つ新規ポリマーの開発に取り組んでいます。[機能材料]・メタクリル樹脂については、差別化ポリマーの拡充とメタアクリル系樹脂を活用した新規用途開発、新商品開発を主体に研究開発活動を行っています。・メディカル事業では、クラレノリタケデンタル株式会社の無機/有機の技術の融合による新規歯科材料の開発に注力し、CAD/CAM用ジルコニア、高強度レジン等のデジタル化の流れにも対応した開発、商品化を行っています。また、人工骨インプラント<リジェノス>、吸収性骨再生用材料<アフィノス>は、配向連通孔技術を特長に、多面的な展開を進めています。・炭素材料では、買収したCalgon Carbon Corporationとの技術融合を進め、「水・環境・エネルギー」分野を重点戦略領域にグローバルな研究開発を推進し、活性炭及び吸着分野のイノベーションを創出していきます。 [繊維]・PVA繊維<ビニロン>は、革新プロセス(VIP)の量産化設備が本格稼働し、ゴム補強用フィラメントとして、国内外のユーザーに販売を開始しました。更に高速化・高収率生産によって事業拡大を目指しています。FRC(セメント補強材)は、中国製PVA繊維との価格競争により苦戦しています。このため、ポリマーや生産方法の改良による繊維の高強度化(耐久性向上)を図り、セメント製品の高性能化や高靭性化により中国品との差別化を進めています。・高強力繊維<ベクトラン>は、長年開発を進めてきた海洋資材、光ファイバー等電材や医療用分野において、その高強度、低吸水性、低誘電損失、低線膨張係数が認められ、フル生産となりました。今後は、利益率の高い商品へのシフトを行い、収益性を高めた上で次期中期経営計画にて設備の増強を進めていきたいと考えています。・人工皮革<クラリーノ>は、環境対応型革新プロセス(CATS)のみならず、リサイクル樹脂やバイオベース樹脂の利用によって、世界で最も環境に配慮した人工皮革を達成しました。カーシートを始めとした新商品展開を狙っていきます。・不織布<クラフレックス>は、メルトブローン技術とスパンレース技術を融合した高付加価値不織布設備が今年秋より岡山で本格稼働します。コスメ用途やマスクとして国内外で展開し、販売拡大を進めていきます。また、食品用途については、製造環境の衛生管理を進め、東南アジアを始め国内外での拡販に努めています。・ジェネスタ繊維(PA9T繊維)は、耐熱性、耐薬品性の特長を生かして、自動車のフィルターに採用されました。その特長を生かし、空調関係他の新たなフィルターや炭素繊維との複合による熱可塑性コンポジットの可能性が広がっています。 [トレーディング]・ポリエステル長繊維<クラベラ>では、①熱水に溶解し、生分解性をも有する特殊水溶性樹脂<エクセバール>を用いた水溶性繊維<ミントバール>、②要求性能に応じた多様な断面構造で高い帯電防止性能を持つ導電性繊維<クラカーボ>、③バイオEGを用いた<バイオスペース>やPETボトル再生糸<クララペット>など、環境に優しい、高機能性をキーワードにした独自素材の開発を推進しています。[その他]・アクア事業推進本部では、中空糸ろ過膜を用いた様々な水の製造・回収、ポリビニルアルコール(PVA)ゲルを用いた産業排水の処理・回収などを通して、「高品質で安全な水の提供」と「環境負荷の低減」に貢献する素材・装置・プラント・技術開発に取り組んでいます。・クラレプラスチックス株式会社では、スチレン系エラストマーを使用した機能性コンパウンド及び同コンパウンドを原料とした不織布等二次製品、エバールをコーティング加工した特殊フィルム、成型加工技術によるスマートハウス向け換気・空調ダクト、高強力繊維 <ベクトラン>を使用した土木・産業廃棄物用途向け繊維複合ホースの開発を推進しています。 [コーポレート研究開発]・コーポレート研究開発のミッションである ①新事業の創出 ②既存事業の強化 ③基盤技術の構築・深耕の達成に向けて、改革を進めています。また、当社事業の急速なグローバル化に対応し、グループ海外拠点との連携を強化しています。・酢酸ビニルチェーンの更なる業容拡大を目指し、保有するコア技術に加え、内外から新たな技術を取り込み、従来に無い優れた機能を有する酢ビ系素材の開発を進めています。酢ビ系高分子の基本構造を精密に制御する技術やスマートなプロセスで既存材料を機能化する技術を徹底的に追求し、顧客ニーズに合致した新素材を早期に提案できる開発体制を構築し、世界のリーディングカンパニーとして確固たる地位を確立します。・触媒開発技術を基盤技術と捉え、これまで長年培った均一系触媒技術のみならず固体触媒技術開発を進めています。これら技術開発を通じ、イソプレン事業、ビニルアセテート事業にかかわる既存事業の強化並びに新規材料開発を展開していきます。・カンパニー・グループ会社との連携を通じて、高分子化合物の設計・重合・変性に関する基盤技術を拡充・深耕し、既存技術の強化・拡大と新事業の創出に資するための新規技術・新規高分子材料を開発します。・自社素材や高分子材料の成形・加工に関する基盤技術を拡充・深耕し、カンパニー・グループ企業と連携して、成形体・シート・フィルムなどの機能性素材・部材に関する研究開発を推進しています。・機械学習など、デジタル技術の研究開発分野での応用を進めています。・リチウムイオン二次電池の高性能化、及び、開発が進む次世代高性能電池に向け、植物を原料とした高容量負極材用ハードカーボンの開発を加速し、そして、当社独自素材の電池部材への応用展開を進めます。・高周波回路基板用途の液晶ポリマーフィルム<ベクスター>は、車載用ミリ波レーダーや5Gアンテナなど高周波による高速伝送の需要が高まる中、フレキシブルプリント配線基板として高周波領域での伝送損失が低く、加工性に優れる点が評価されています。更にフィルムに加え片面銅張板を開発、上市しました。需要は今後も伸びると見られ積極的に事業拡大を進めていきます。・半導体用研磨パッド(CMPパッド)は、独自のポリウレタン設計及び製造技術を駆使し、従来に無い高硬度ポリウレタンを原料にしています。当社CMPパッドの特長は、高硬度なため研磨するデバイスを平坦にする能力が優れること、高硬度でありながら研磨傷が少ないこと、耐磨耗性が優れるため長時間使えること、などで、複数の顧客・複数プロセスで採用されています。また、顧客のプロセスや種々の研磨対象に応じて適正な銘柄を選定・提案できる体制を整えました。現在、国内のみならず海外への展開も進めており、顧客ニーズに対応していきます。
FY2018|5,423 文字
5 【研究開発活動】当社グループにおける研究開発活動は、私たちの使命「私たちは、独創性の高い技術で産業の新領域を開拓し、自然環境と生活環境の向上に寄与します。」に基づいて、社内カンパニー・事業部・連結子会社に所属するディビジョン研究開発とコーポレート研究開発との緊密な連携の下に推進されています。コーポレート研究開発は、以下3点を通じて、クラレグループ全体の業容拡大・収益向上に資することを目指しています。① 新事業の創出:素材事業を主に、あるいはそれらに加工技術を付加した部材事業をターゲットとし、早期創出を目指します。2018年度より開始した中期経営計画「PROUD 2020」の進行中に、部材事業の事業化を推進するとともに、当社における部材事業の立ち上げにおいて、何が必要かを見極めます。② 既存事業の強化・拡大:コーポレート機能の抜本的見直しのもと、カンパニー・グループ会社との協働・支援を強化し、全社事業の盤石化を図るとともに、新事業開発を促進します。③ 基盤技術の保有:新事業の創出及び既存事業の強化・拡大を通じて、必要とする基盤技術を構築し、深化・深耕を図ります。研究開発体制として、コーポレート研究開発は、研究開発本部において、基礎段階のくらしき研究センター・つくば研究センター及びKAI Corporate R&D(米国)、事業化段階の機能製品開発部・成形部材事業推進部及びベクスター事業推進部を擁しています。生産技術に関しては、技術本部 技術開発センターにおいて「原理原則と現場感覚の最適融合」による生産技術開発を推進しています。また、IoTを活用した生産効率、及び品質向上への取り組みを進めています。ディビジョン研究開発は、社内カンパニー・事業部・連結子会社が各事業所に研究開発部署を有しています。コーポレート研究開発とディビジョン研究開発を合わせた当社グループ(当社及び連結子会社)の研究開発人員数は1,029人です。 当連結会計年度のセグメントごとの研究開発費は、ビニルアセテート6,800百万円、イソプレン1,648百万円、機能材料3,333百万円、繊維1,916百万円、トレーディング158百万円、その他1,339百万円、全社共通(コーポレート研究開発)5,962百万円、合計21,160百万円になります。セグメントごと及びコーポレートの研究開発活動を示すと次のとおりです。[ビニルアセテート]・ポバール樹脂、ポバールフィルム、PVBフィルム、<エバール>(樹脂、フィルム)の酢酸ビニルチェーンについては、世界のリーディングカンパニーとして、国内外の研究開発部署が連携し、新規用途開発、新商品開発、新規生産技術開発も併せて、研究開発活動を推進しています。・ポバール樹脂は、当社ビニルアセテートチェーンの根幹に位置する事業として、日米欧亜の6工場を中心としたグローバルネットワークを強みとして市場開発を推進しています。自消・外販両面で安定かつ高い品質の原料供給を基本とし、クラレ発の新規技術を積極投入すると共に技術サービスネットワークの強化により付加価値の高いビジネス機会を提案します。・ポバールフィルムは、液晶ディスプレイ向け光学フィルムのトップメーカーとして市場を牽引すべく、さらなる高性能化・高品質化に顧客と一体となって取り組んでいます。また、洗剤包装用途を中心にますます拡大する水溶性フィルムについても、ポバール樹脂メーカーである強みを活かし、原料まで遡った高性能化・多機能化を加速させます。・PVBフィルムは、自動車用途・建築用途の高付加価値品の開発を進めています。その一環として、アイオノマー樹脂をシート化した<SentryGlas>の更なる高付加価値化やPVBフィルムとのシナジー効果の発現、新規用途開発を推進しています。・<エバール>樹脂は、世界規模で食品廃棄ロスの削減や環境負荷の低減が求められるなか、日米欧の3拠点を中心に世界各地のニーズを把握しながら、バリア材料の新技術開発・用途開発を推進しています。また<エバール>フィルムは、省エネルギー・地球環境保全に貢献する用途へ積極的に展開していきます。さらにバイオマス由来のガスバリアフィルム<PLANTIC>については、CO2排出削減効果とガスバリア性を融合した新素材として、用途開発に取り組んでいます。[イソプレン]・エラストマー関連では、熱可塑性エラストマー及び液状ゴムの差別化・高付加価値化に取り組んでいます。植物由来原料のファルネセンを用いた液状ゴムは、高機能タイヤの改質剤として国内外のタイヤメーカーへ採用が広がっています。ファルネセンを用いた熱可塑性エラストマーの開発も進めており、更なる差別化製品の開発と市場拡大に向けて研究開発、マーケティング活動を推進しています。・イソプレンケミカル関連では、独自性の高いC4ケミストリーをさらに進化させた化学品として、香料、溶剤や特殊インキ関連の材料開発ならびに精密有機合成技術を基盤にした新規材料など機能性化学品の創出に取り組んでいます。・耐熱性ポリアミド樹脂<ジェネスタ>では、自動車の軽量化に伴いエンジン冷却配管が金属製から樹脂製へ置き換わりつつあり、耐加水分解性と柔軟性を両立する押出グレードを開発し、自動車冷却配管メーカー各社で評価が進んでいます。また、PEEKやフッ素系樹脂を代替できる性能を持つ新規ポリマーの開発に取り組んでいます。 [機能材料]・メタクリル樹脂については、差別化ポリマーの拡充とメタアクリル系樹脂を活用した新規用途開発、新商品開発を主体に研究開発活動を行っています。・メディカル事業では、クラレノリタケデンタル株式会社の無機/有機の技術の融合による新規歯科材料の開発に注力し、CAD/CAM用ジルコニア、高強度レジン等のデジタル化の流れにも対応した開発、商品化を行っています。また、人工骨インプラント<リジェノス>、吸収性骨再生用材料<アフィノス>は、配向連通孔技術を特長に、多面的な展開を進めています。・炭素材料では、買収したCalgon Carbon社との技術融合を進め、「水・環境・エネルギー」分野を重点戦略領域にグローバルな研究開発を推進し、活性炭及び吸着分野のイノベーションを創出していきます。 [繊維]・PVA繊維<ビニロン>については、革新プロセス(VIP)によるゴム補強用フィラメントは、量産1号機が本格稼働を始め、AIやビッグデータ解析により高収率生産を目指しています。また、更なる拡大に向け、増速技術の研究や投資効率の優れた設備の検討を進めています。FRC(セメント補強材)は、脱アスベストが本格化する新興国を中心に拡販に努めていますが、中国競合品との競争が激化し、新規用途分野への開拓参入とビジネスポートフォリオの転換を目指しています。・高強力繊維<ベクトラン>は、事業拡大のため、グローバルに知財戦略体制を強化し、また日米生産拠点の品質体制の整備と強化を行いました。高強度・低吸水性や耐切創性の特長が求められる高採算の中細繊度品が国内外で伸長し、収益を確保しました。・人工皮革<クラリーノ>については、環境対応型革新プロセス(CATS)による特長を生かした新商品開発により、販売拡大が進んでいます。・不織布<クラフレックス>については、メルトブローン技術とスパンレース技術を融合した高付加価値不織布をコスメ用途やマスクとして国内外で展開し、急速に販売が拡大しています。また食品用途については、製造環境の衛生管理を進め、東南アジアを始め国内外での拡販に努めています。 ・ジェネスタ繊維(PA9T繊維)は、耐熱性、耐薬品性の特長を生かして、自動車のフィルターに採用されました。その特長を生かし、空調関係他の新たなフィルターや炭素繊維との複合による熱可塑性コンポジットの可能性が広がっています。 [トレーディング]・ポリエステル長繊維<クラベラ>では、①熱水に溶解し、生分解性をも有する特殊水溶性樹脂<エクセバール>を用いた水溶性繊維<ミントバール>、②要求性能に応じた多様な断面構造で高い帯電防止性能を持つ導電性繊維<クラカーボ>、③高白度でありながら透け防止性能に優れる<エクステージ>など、環境に優しい、高機能性をキーワードにした独自素材の開発を推進しています。[その他]・アクア事業推進本部では、中空糸ろ過膜を用いた様々な水の製造・回収、ポリビニルアルコール(PVA)ゲルを用いた産業排水の処理・回収、海洋生態系保全のための海水処理などを通して、「高品質で安全な水の提供」と「環境負荷の低減」に貢献する素材・装置・プラント・技術開発に取り組んでいます。・クラレプラスチックス株式会社では、スチレン系エラストマーを使用した機能性コンパウンド及び同コンパウンドをベースとしたメッシュシート等の二次製品、水溶性樹脂の特殊コーティング(PVAコート)加工を施したフィルム、成型加工技術を利用したゼロエネルギー住宅向け断熱換気・空調ダクトや機能性コンパウンドと高強力繊維 <ベクトラン>を使用した土木・産廃用途等向け繊維複合ホース等の開発を推進しています。[コーポレート研究開発]・コーポレート研究開発のミッションである ①新事業の創出 ②既存事業の強化 ③基盤技術の構築・深耕の達成に向けて、改革を進めています。また、当社事業の急速なグローバル化に対応し、グループ海外拠点との連携を強化しています。・酢酸ビニルチェーンの更なる事業拡大を図るべく、これまで培ったコア技術に加え、内外から新たな技術を取り込み、優れた機能を有する酢ビ系新素材の開発を進めています。酢ビ系高分子の基本構造を精密に制御する技術や安価に機能化する技術を獲得し、顧客ニーズに合致した素材を早期に提案できる開発体制を構築することで、世界のリーディングカンパニーとして確固たる地位を確立します。・触媒開発技術を基盤技術と捉え、これまで長年培った均一系触媒技術のみならず固体触媒技術開発を進めています。これら技術開発を通じ、イソプレン事業、ビニルアセテート事業にかかわる既存事業の強化ならびに新規材料開発を展開していきます。・カンパニー・グループ会社との連携を通じて、高分子化合物の重合・変性・成形材料化に関する基盤技術を拡充・深耕し、既存技術の強化・拡大と新事業の創出に資するための新規技術・新規材料を開発します。・機械学習など、デジタル技術の研究開発分野での応用を進めています。・リチウムイオン二次電池(LiB)の研究開発・市場開発に関し、植物を原料とした低吸湿、耐酸化性ハードカーボンに加え、炭素構造を見直し出力性能をより向上させ、黒鉛同等以上の体積容量を発現する新規炭素材の市場提案、新生産技術開発進めています。加えて、当社ポリマー技術により低抵抗・高接着性を特徴とする水系バインダー、高接着性を特徴とする溶剤系バインダーの開発、低抵抗・高温耐久性を有する新しい構造を有するセパレータの開発を進め、急速に市場進出が進むハイブリッド車や電気自動車などの車載用市場、急速充電コンシューマ市場向けの電池部材の開発を一層加速していきます。・新規アクリル系の特殊フィルムの開発において、アクリルの透明性を生かしながら、新たな機能を付与させた製品の用途開拓を推進しています。展示会においては、多くの顧客からサンプル供給の要求を受けるなど、注目を集めています。光学や加飾分野では採用に向けた評価が進んでおり、更に市場展開を加速していきます。・高周波回路基板用途の液晶ポリマーフィルム<ベクスター>は、車載用ミリ波レーダーや5Gアンテナなど高周波による高速伝送の需要が高まる中、フレキシブルプリント配線基板として高周波領域での伝送損失が低く、加工性に優れる点が評価され数量が拡大しました。この流れは今後も加速することが予想され、積極的に事業拡大を進めていきます。・半導体用研磨パッド(CMPパッド)は、人工皮革で培ったポリウレタンの設計及び製造技術を駆使し、従来に無い高硬度ポリウレタンを原料にしています。当社CMPパッドの特長は、高硬度なため研磨するデバイスを平坦にする能力が優れること、高硬度でありながら研磨傷が少ないこと、耐磨耗性が優れるため長時間使えること、などで、複数の顧客・複数プロセスで採用されています。また、顧客のプロセスや種々の研磨対象に応じて適正な銘柄を選定・提案できる体制を整えています。現在、国内のみならず海外への展開も進めており、顧客の各種プロセスに対応していきます。・微細パターン設計・加工技術を用いた微細パターン付きフィルムを開発し、次世代自動車ディスプレイ用途を中心に市場開拓活動を進めています。拡張現実(AR)を取り入れたヘッドアップディスプレイ(HUD)用途での評価が車載用部材供給メーカー各社で進み、2019年度からの採用を既に決めている自動車メーカーも現れつつあります。特に、欧州Car OEMでの採用が2020年以降加速する事が予想されています。この取組を足掛かりに新規用途創出と市場拡大を目指し、新しいニーズに合った商品開発を更に加速しています。
FY2017|6,014 文字
6 【研究開発活動】当社グループにおける研究開発活動は、私たちの使命「私たちは、独創性の高い技術で産業の新領域を開拓し、自然環境と生活環境の向上に寄与します。」に基づいて、社内カンパニー・事業部・連結子会社に所属するディビジョン研究開発とコーポレート研究開発との緊密な連携の下に推進されています。コーポレート研究開発は、以下3点を通じて、クラレグループ全体の業容拡大・収益向上に資することを目指しています。① 新事業の創出:素材事業を主に、あるいはそれらに加工技術を付加した部材事業をターゲットとし、早期創出を目指します。2018年度より開始した中期経営計画「PROUD 2020」の進行中に、部材事業の事業化を推進するとともに、当社における部材事業の立ち上げにおいて、何が必要かを見極めます。② 既存事業の強化・拡大:コーポレート機能の抜本的見直しのもと、カンパニー、グループ会社との協働・支援を強化し、全社事業の盤石化を図るとともに、新事業開発を促進します。③ 基盤技術の保有:新事業の創出及び既存事業の強化・拡大を通じて、必要とする基盤技術を構築し、深化・深耕を図ります。研究開発の体制として、従来は基礎段階のものを「研究開発本部」、事業化に近いものを「新事業開発本部」が担っていましたが、2017年1月に「研究開発本部」に統合・一本化しました。研究開発本部内には、くらしき研究センター、つくば研究センター及びクラレリサーチ&テクニカルセンター(KRTC:米国)、機能製品開発部、成形部材事業推進部、電材事業推進部を擁しています。なお、2018年1月より、クラレリサーチ&テクニカルセンター(KRTC)は「KAI Corporate R&D」に、電材事業推進部は「ベクスター事業推進部」に名称変更しています。生産技術に関しては、技術開発センターにおいて「原理原則と現場感覚の最適融合」による生産技術開発を推進しています。ディビジョン研究開発は、社内カンパニー・事業部・連結子会社が各事業所に研究開発部署を有しています。コーポレート研究開発とディビジョン研究開発を合わせた当社グループ(当社及び連結子会社)の研究開発人員数は934人です。当連結会計年度のセグメントごとの研究開発費は、ビニルアセテート6,414百万円、イソプレン1,685百万円、機能材料2,989百万円、繊維1,676百万円、トレーディング142百万円、その他1,107百万円、全社共通(コーポレート研究開発)6,945百万円、合計20,961百万円になります。 セグメントごと及びコーポレートの研究開発活動を示すと次のとおりです。[ビニルアセテート]・ポバール樹脂、ポバールフィルム、PVBフィルム、<エバール>樹脂の酢酸ビニルチェーンについては、世界のリーディングカンパニーとして、国内外の研究開発部署が連携し、新規用途開発、新商品開発、新規生産技術開発も併せて、研究開発活動を推進しています。・ポバール樹脂は当社ビニルアセテートチェーンの根幹に位置する事業として日米欧亜の6工場を中心としたグローバルネットワークを強みとして市場開発を推進しています。自消、外販両面で安定かつ高い品質の原料供給を基本とし、クラレ発の新規技術を積極投入すると共に技術サービスネットワークの強化により付加価値の高いビジネス機会を提案します。・ポバールフィルムは、液晶ディスプレイ向け光学フィルムのトップメーカーとして市場を牽引すべく、さらなる高性能化、高品質化に顧客と一体となって取り組んでいます。また、洗剤包装用途を中心にますます拡大する水溶性フィルムについてもポバール樹脂メーカーである強味を活かし原料まで遡った高性能化・多機能化を加速させます。・PVBフィルムは、自動車用途・建築用途の高付加価値品の開発を進めています。その一環として、アイオノマーシートを活用した更なる高付加価値化やPVBフィルムとのシナジー効果の発現、新規用途開発を推進しています。・エバール樹脂を中心とするバリア材料は、日米欧の3拠点で世界各地のニーズを把握しながら、開発を推進しています。既存のエバール樹脂銘柄に加え、スーパーバリア銘柄<エバール>AP、二次加工性改良銘柄<エバール>SPなどの差別化エバール樹脂銘柄、さらに<エバール>フィルムを、特に省エネルギー・地球環境保全に貢献する用途へ積極的に展開していきます。また、バイオマス由来のガスバリア材<PLANTIC>についても既存バリア材料事業とのシナジー効果を早期に発現させます。[イソプレン]・エラストマー関連では、熱可塑性エラストマー及び液状ゴムの差別化、高付加価値化に取り組んでいます。植物由来原料のファルネセンを用いた液状ゴムは、高機能タイヤの改質剤として国内外のタイヤメーカーへ採用が広がっています。ファルネセンを用いた熱可塑性エラストマーの開発も進めており更なる差別化製品の開発と市場拡大に向けて研究開発、マーケティング活動を推進しています。・イソプレンケミカル関連では、独自性の高いC4ケミストリーをさらに進化させた化学品として、香料、溶剤や特殊インキ関連の材料開発並びに精密有機合成技術を基盤にした新規材料など機能性化学品の創出に取り組んでいます。・耐熱性ポリアミド樹脂<ジェネスタ>では、自動車樹脂部品の複合化に伴い普及しつつあるレーザー溶着に対応したレーザー透過グレードを開発し、自動車の冷却部品への販売拡大が進んでいます。また、新規に開発したハロゲンフリー難燃銘柄は幅広い厚みで難燃性を確保でき、電気電子部品用途の市場拡大が進んでいます。 [機能材料]・メタクリル樹脂については、差別化ポリマーの拡充とメタアクリル系樹脂を活用した新規用途開発、新商品開発を主体に研究開発活動を行っています。・メディカル事業では、クラレノリタケデンタル株式会社の無機/有機の技術の融合による新規歯科材料の開発に注力し、CAD/CAM用ジルコニア、高強度レジン等のデジタル化の流れにも対応した開発、商品化を行っています。また、人工骨インプラント<リジェノス>に吸収性骨再生用材料<アフィノス>を加え、配向連通孔技術を特長に、多面的な展開を進めています。・人工皮革<クラリーノ>については、環境対応型革新プロセス(CATS)による特長を生かした新商品開発により、販売拡大が進んでいます。・炭素材料では、「環境・エネルギー」分野をメインターゲットに、活性炭や炭素材料を用いた新規用途開発に取り組んでいます。[繊維]・PVA繊維<ビニロン>については、パイロットプラントにおいて革新プロセス(VIP)によるゴム補強用フィラメントの技術確立を達成し、量産プラントの建設を進めています。既に国内外の顧客に販売を開始しており、現在は、本プロセスを用いた新しい繊維の開発も進めています。FRC(セメント補強材)は、アスベスト不使用製品が本格化する中南米など新興国を中心に拡販に努めています。・高強力繊維<ベクトラン>は、高強度、低吸水性や耐切創性の特長が求められる高採算の中細繊度品が国内外で伸長し、収益を確保しました。・不織布<クラフレックス>については、メルトブローン技術とスパンレース技術を融合した高付加価値不織布をコスメ用途やマスクとして国内外で展開し、販売拡大が進んでいます。また、食品用途については製造環境の衛生管理をすすめ、東南アジアを始め国内外での拡販に努めています。・難燃繊維(ポリエーテルイミド繊維)は、耐熱性、低発煙性や分散染料可染等の特長を生かして、航空機用内装材に採用されました。高温熱可塑性の特長を生かし、炭素繊維補強熱可塑性コンポジットとして、新たな用途開拓を進め、航空機用資材や電気自動車用部材としても可能性が広がっています。[トレーディング]・ポリエステル長繊維<クラベラ>では、①熱水に溶解し、生分解性をも有する特殊水溶性樹脂<エクセバール>を用いた水溶性繊維<ミントバール>、②要求性能に応じた多様な断面構造で高い帯電防止性能を持つ導電性繊維<クラカーボ>、③高白度でありながら透け防止性能に優れる<エクステージ> など、環境に優しい、高機能性をキーワードにした独自素材の開発に注力しています。[その他]・アクア事業推進本部では、中空糸ろ過膜を用いた様々な水の製造・回収、ポリビニルアルコール(PVA)ゲルを用いた産業排水の処理・回収、海洋生態系保全のための海水処理などを通して、「高品質で安全な水の提供」と「環境負荷の低減」に貢献する素材・装置・プラント・技術開発に取り組んでいます。・クラレプラスチックス株式会社では、当社の研究・開発部門と連携し、家電・電子部品、自動車部品、建材、生活用品、メディカル、スポーツ用品等用途でのスチレン系エラストマーを使用した機能性コンパウンド、同コンパウンドをベースとしたフィルム・シートや不織布等の二次製品、エバールフィルムに特殊コーティング加工をした新規フィルム、成型加工技術を利用したスマートハウス向け断熱換気ダクトや、機能性コンパウンドと高強力繊維 <ベクトラン>を使用し土木用途を中心に展開を図る繊維複合ホース等の開発を推進しています。[コーポレート研究開発]・コーポレート研究開発のミッションである①新事業の創出 ②既存事業の強化 ③基盤技術の構築・深耕の達成に向けて、改革を進めています。また、当社事業の急速なグローバル化に対応し、グループ海外拠点との連携を強化しています。2016年度からの2年間は「酢ビ系高分子研究所」と「構造・物性研究所」が中心となり、当社の一番の強みであるビニルアセテート事業に的を絞り、M&Aによって拡大した全世界の拠点を巡りテーマ・課題を集め技術面でバックアップし、一つひとつの課題を解決してきました。同じ取り組みをイソプレン事業や炭素材料事業にも展開していきます。・リチウムイオン二次電池(LiB)の研究開発・市場開発に関し、植物を原料とし当社独自炭素構造由来の低吸湿、耐酸化性を備えたハードカーボンは、黒鉛同等の体積容量を発現する当社ハードカーボン特有の性質を利用した使用方法を市場に提案、さらに、より高容量、高出力の特性を発揮する新しい炭素材の技術開発進めています。加えて、当社ポリマー技術より低抵抗、高接着性を特徴とする水系バインダー、高接着性を特徴とする溶剤系バインダーの開発を進め、急速に市場進出が進むハイブリッド車や電気自動車などの車載用市場向けの電池部材の開発を一層加速していきます。・酢酸ビニルチェーンの更なる事業拡大を図るべく、これまで培ったコア技術に加え、内外から新たな技術を取り込み、優れた機能を有する酢ビ系新素材の開発を進めています。酢ビ系高分子の基本構造を精密に制御する技術や安価に機能化する技術を獲得し、顧客ニーズに合致した素材を早期に提案できる開発体制を構築することで、世界のリーディングカンパニーとして確固たる地位を確立します。 ・新規アクリル系の特殊フィルムの開発において、アクリルの透明性を生かしながら、新たな機能を付与させた製品の用途開拓を推進しています。展示会においては、多くの顧客からサンプル供給の要求を受けるなど、注目を集めています。光学や加飾分野での採用が見込まれ、市場展開を加速していきます。・高周波回路基板用途の液晶ポリマーフィルム<ベクスター>は、車載用ミリ波レーダーや5Gアンテナなど高周波による高速伝送の需要が高まる中、フレキシブルプリント配線基板として高周波領域での伝送損失が低く、加工性に優れる点が評価され数量が拡大しました。この流れは今後も加速することが予想され、積極的に事業拡大を進めていきます。・半導体用研磨パッド(CMPパッド)は、人工皮革で培ったポリウレタンの設計及び製造技術を駆使し、従来に無い高硬度ポリウレタンを原料にしています。当社CMPパッドの特長は、高硬度なため研磨するデバイスを平坦にする能力が優れること、高硬度でありながら研磨傷が少ないこと、耐磨耗性が優れるため長時間使えること、などで、複数の顧客・複数プロセスで実証されています。また、顧客の要望に応じて適正な硬度を選定・提案し、プロセスに合ったパッドの選択が可能な環境を整えています。今後、国内に留まらず、海外への展開も視野に入れており、顧客の先端プロセスと既存プロセスの両方に対応できる事業環境を整えていく予定です。・微細パターン設計・加工技術を用いた微細パターン付きフィルムを開発し、アミューズメント用途や次世代自動車ディスプレイ用途等での市場開拓活動を進めています。バーチャルリアリティ(VR)分野では、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)用途でマイクロレンズアレイフィルムが採用され、徐々に需要拡大が見込まれています。一方、拡張現実(AR)を取り入れたヘッドアップディスプレイ(HUD)用途での評価が車載用部材供給メーカー各社で進み、2019年度からの採用を既に決めている自動車メーカーも現れつつあります。これら二大用途を足掛かりに新規用途創出と市場拡大を目指し、新しいニーズに合った商品開発を更に加速しています。・光学設計技術及び金型設計技術を活かしたPMMA製導光板をエッジライト方式のLED照明用途へ展開しています。高い照度、配光特性のコントロール及び異方出射特性を有するLED照明用導光板の開発に成功し、省エネ化、薄型化、軽量化された照明器具への採用実績が出てきています。特に、大手医療照明メーカーとの全国展開、オフィスビル分野での大手ゼネコンとの共同開発が進み、今後の拡大が期待されます。一方、更なる市場拡大を促進する為に、拡散板を必要としないノングレア(眩しさを抑制)タイプの新規導光板の開発に成功し、大手照明メーカーでの採用に向けて共同開発を進めています。・微細加工成形技術を用いて開発した三次元細胞培養プレート<Elplasia>の市場評価が進み、がんの創薬スクリーニング用途及び再生医療細胞培養用途での採用実績が徐々に出てきています。創薬スクリーニング用途においては、研究委託機関(CRO)と連携して実験事例データの構築に努め、大手製薬メーカーでの採用事例が徐々に拡大しています。一方、再生医療用途では、産学官で進めてきたプロジェクトに大きな進捗が有り、膵島細胞、肝臓細胞や心筋細胞分野で治験に向けた臨床研究が2018年度から実施される計画です。また、主戦場である米国展開に関しては、大手メディカル商社やメーカーとの提携を通してのローカル化を加速しつつあります。
FY2016|5,623 文字
6 【研究開発活動】当社グループにおける研究開発活動は、私たちの使命「私たちは、独創性の高い技術で産業の新領域を開拓し、自然環境と生活環境の向上に寄与します。」に基づいて、社内カンパニー・事業部・連結子会社に所属するディビジョン研究開発とコーポレート研究開発との緊密な連携の下に推進されています。2015年度よりスタートした中期経営計画「GS-STEP」に掲げた「世界に存在感を示す高収益スペシャリティ企業」の実現を目標とし、技術革新を通じ新たな製品・用途開発を行うことで業容を拡大していきます。「GS-STEP」では「強い素材の開発と成形加工技術の深化・横展開」、「社内で保有しない技術の外部活用」、「カンパニーと関係会社の協働強化」を重点方針として掲げています。本方針に基づき、新事業創出を目指す「高い市場成長力」をもつ分野として定めた、環境(水処理を含む)、エネルギー、光学・電子材料の重点領域において、早期に収益への貢献を果たすことを目指します。コーポレート研究開発は、くらしき研究センター、つくば研究センター及びクラレリサーチ&テクニカルセンター(KRTC:米国及びドイツ)を擁し、世界規模の体制で運営しています。生産技術に関しては、技術開発センターにおいて「原理原則と現場感覚の最適融合」による生産技術開発を推進しています。ディビジョン研究開発は、社内カンパニー・事業部・連結子会社が各事業所に研究開発部署を有しています。コーポレート研究開発とディビジョン研究開発は密接に連携し、基幹事業の強化及び新事業の開発加速のために活動を推進しています。これらを合わせた当社グループ(当社及び連結子会社)の研究開発人員数は957人です。当連結会計年度のセグメントごとの研究開発費は、ビニルアセテート5,943百万円、イソプレン1,724百万円、機能材料2,034百万円、繊維1,653百万円、トレーディング153百万円、その他1,058百万円、全社共通(コーポレート研究開発)7,262百万円、合計19,830百万円になります。 セグメントごと及びコーポレートの研究開発活動を示すと次のとおりです。[ビニルアセテート]・ポバール樹脂、ポバールフィルム、PVBフィルム、<エバール>樹脂の酢酸ビニルチェーンについては、世界のリーディングカンパニーとして、国内外の研究開発部署が連携し、新規用途開発、新商品開発、新規生産技術開発も併せて、研究開発活動を推進しています。・ポバール樹脂は当社ビニルアセテートチェーンの根幹に位置する事業として日米欧亜の6工場を中心としたグローバルネットワークを強みとして市場開発を推進しています。自消、外販両面で安定かつ高い品質の原料供給を基本とし、クラレ発の新規技術を積極投入や技術サービスネットワークの強化により付加価値の高いビジネス機会を提案します。・PVBフィルムは、グローバルな研究開発体制を強化しており、自動車用途・建築用途の高付加価値品の開発を進めています。また、グローバル体制を生かし、社外と連携した活動も各極で推進しています。・ガスバリア材料では、既存銘柄に加え、スーパーバリア材料<エバール>AP、コーティング系透明バリアフィルム<クラリスタ>など食品包装用途を中心に更なる用途拡大を目指します。また、プラスチック製燃料タンクや土壌燻蒸用フィルム用<エバール>樹脂、家庭用冷蔵庫などに使われる真空断熱板用の<エバール>フィルムなど、省エネルギー・地球環境保全に貢献する製品を積極的に展開していきます。・2015年に買収したPlantic Technologies Limitedのでんぷん系バリアプラスチック事業に関しては、原料、成形技術に遡った研究開発を行い、新規製品の上市による市場拡大を加速することで、上記の既存バリア材料事業とのシナジー効果を早期に発現させます。[イソプレン]・エラストマー関連では、植物由来の原料ファルネセンを用いた液状ゴム及び熱可塑性エラストマーを開発しています。液状ゴムは、高機能タイヤの「グリップ性能」「耐摩耗性」等の向上が評価され、国内メーカーの2016年モデルに採用されました。海外大手タイヤメーカーでも評価が進んでおり、更なる採用拡大に向けて研究開発、マーケティング活動を進めていきます。・イソプレンケミカル関連では、独自性の高いC4ケミストリーをさらに進化させた化学品として、香料、溶剤や特殊インキ関連の材料開発、ならびに精密有機合成技術を基盤にした新規材料など機能性化学品の創出に取り組んでいます。・耐熱性ポリアミド樹脂<ジェネスタ>では、自動車樹脂部品の複合化に伴い普及しつつあるレーザー溶着に対応したレーザー透過グレードを開発し、自動車の冷却部品への販売拡大が進んでいます。また、新規に開発したハロゲンフリー難燃銘柄は幅広い厚みで難燃性を確保でき、電気電子部品用途の市場拡大が進んでいます。[機能材料]・メタクリル樹脂については、差別化ポリマーの拡充とメタアクリル系樹脂を活用した新規用途開発、新商品開発を主体に研究開発活動を行っています。・メディカル事業では、クラレノリタケデンタル株式会社の無機/有機の技術の融合による新規歯科材料の開発に注力し、CAD/CAM用ジルコニア、高強度レジン等のデジタル化の流れにも対応した開発、商品化を行っています。また、人工骨インプラント<リジェノス>に吸収性骨再生用材料<アフィノス>を加え、配向連通孔技術を特長に、多面的な展開を進めています。・人工皮革<クラリーノ>については、環境対応型革新プロセス(CATS)による特長を生かした新商品開発により、販売拡大が進んでいます。[繊維]・PVA繊維<ビニロン>については、革新プロセス(VIP)によるフィラメントの実証プラントを建設し、国内外の顧客にて実用化試験の段階に入っています。現在は、高強度フィラメントや新しい繊維の開発を進めています。FRC(セメント補強材)は、欧州の農業向け波板の需要が低迷するも、アスベスト非使用製品が本格化する中南米など新興国を中心に拡販に努めます。また、軽量な成型品の量産化技術がほぼ完成し、アジア地域での実販化を目指します。・高強力繊維<ベクトラン>については、高採算の中細繊度品が伸長し、収益を確保しました。 ・新型不織布<フェリベンディ>については、伸縮包帯用途は欧州での実販を機に、海外での展開を加速しています。またバイオクリーンルームを新設し、メディカル分野への展開を強化します。・難燃繊維(ポリエーテルイミド繊維)は、耐熱性、低発煙性や分散染料可染等の特長を生かして、航空機用インテリアや資材に採用されました。原料メーカーや欧州大手繊維メーカーとの協働によって、更に各種航空機用資材や防護資材への展開を進めます。[トレーディング]・ポリエステル長繊維<クラベラ>では、①熱水に溶解し、生分解性をも有する特殊水溶性樹脂<エクセバール>を用いた水溶性繊維<ミントバール>とウールを複合した<ミントバールミックス>、②高白度でありながら透け防止性能に優れる<エクステージ> など、環境に優しい、高機能性をキーワードにした独自素材の開発に注力しています。[その他]・アクア事業推進本部では、中空糸ろ過膜を用いた様々な水の製造・回収、ポリビニルアルコール(PVA)ゲルを用いた産業排水の処理・回収、海洋生態系保全のための海水処理などを通して、「高品質で安全な水の提供」と「環境負荷の低減」に貢献する素材・装置・プラント・技術開発に取り組んでいます。・クラレケミカル株式会社では、「Ecology & Amenity」を企業コンセプトとし、「環境・エネルギー」分野をメインターゲットに、活性炭や炭素材料を用いた新規用途開発に取り組みました。なお、炭素材料事業の早期拡大を企図して、クラレケミカル株式会社は当社に吸収合併され、2017年1月からは炭素材料事業部として引き続き開発に取り組んでいます。・クラレプラスチックス株式会社では、当社の研究・開発部門と連携し、家電・電子部品、自動車部品、建材、生活用品、メディカル、スポーツ用品等用途でのスチレン系エラストマーを使用した機能性コンパウンド、同コンパウンドをべースとしたフィルム・シートや不織布等の二次製品、エバールフィルムに特殊コーティング加工をした新規フィルム、成型加工技術を利用したスマートハウス向け断熱換気ダクトや土木用途を中心とした繊維複合ホース等の開発を推進しています。[コーポレート研究開発]・コーポレート研究開発は、市場成長が期待される「水・環境」、「エネルギー」、「電子・光学」分野を重点注力分野とし、新規事業の創出と育成に注力しています。また、当社事業の急速なグローバル化に対応し、グループ海外拠点との連携を強化しています。2016年度は<酢ビ系高分子研究所>と<構造・物性研究所>が中心となり、欧米・アジア各拠点との連携強化を図りました。各拠点に点在する研究開発ニーズや技術課題の共有、これまで当社が蓄積してきた分析技術の海外拠点での活用などを進め、コーポレート研究開発とディビジョン研究開発のグローバルレベルでの連携が本格的に始動しました。・リチウムイオン二次電池(LiB)の研究開発・市場開発に関し、クラレケミカル株式会社と株式会社クレハの子会社である株式会社クレハ・バッテリー・マテリアルズ・ジャパンによる生産合弁会社である株式会社バイオハードカーボンを2016年4月に当社に吸収合併し、当社グループ単独事業として改めてスタートしました。植物を原料とし当社独自炭素構造由来の低吸湿、耐酸化性を備え、黒鉛に迫る電気容量のハードカーボンを中心に、新たに当社ポリマー技術より低抵抗を特徴とする水系バインダーを加え、急速な拡大が見込まれるハイブリッド車や電気自動車などの車載用市場向けの電池負極材の開発を一層加速していきます。・当社コア技術を用いて水処理膜として有益な新規イオン交換膜を開発しました。急速に工業発展している中国やインド等の新興国においては、水不足や水質汚染が年々深刻化しており、産業排水の再生・再利用の観点から排水をゼロにする技術(ZLD:ゼロ・リキッド・ディスチャージ)が注目されています。当該技術に適応できる新素材の研究開発を進め、水回収率及び排水濃縮率が高く、膜汚染に対する耐久性が高い、ポリビニルアルコール系の水処理膜の開発に成功しました。国内外の水処理エンジニアリング会社と連携して、工場排水を用いたパイロット試験と市場開拓を進めています。・新規アクリル系の特殊フィルムの開発において、アクリルの透明性を生かしながら、新たな機能を付与させた製品の用途開拓を推進しています。展示会においては、多くの顧客からサンプル供給の要求を受けるなど、注目を集めています。光学や加飾分野での採用が見込まれ、市場投入に向けた販売体制の準備を進めています。・当社独自技術による新規光硬化性エラストマーを新たに開発しました。当社独自の高分子技術により、エラストマー部と光硬化性部の分子量や配列を自在にコントロールし、これまでの光硬化性樹脂にはない優れた硬化性と柔軟性の両立を実現しました。アクリル系由来の「透明性」「耐候性」「接着性」などの特長を持つとともに、柔軟性と強度の制御が自在、各種モノマーとの配合の自由度が高い、硬化時に収縮しにくく、寸法安定性が良好等の優れた特長も併せ持っています。粘・接着剤、コーティング剤、成形材料等の領域で市場展開を加速していきます。・電材事業として、①高周波回路基板用途の液晶ポリマーフィルム<ベクスター>の事業拡大、及び②半導体製造工程で用いられる高性能CMP(化学機械研磨)パッドの事業化を進めています。①の液晶ポリマーフィルム<ベクスター>は、高周波特性が求められる車載用途で数量が拡大しました。②の高性能CMPパッドは販売が始まり、さらに複数の半導体メーカーにて評価が進捗しています。・微細パターン設計・成形技術を用いた微細パターン付きフィルムを開発し、アミューズメント用途や次世代自動車ディスプレイ用途等での市場開拓活動を進めています。バーチャルリアリティ(VR)や拡張現実(AR)といった用途でマイクロレンズアレイフィルムの採用実績も出てきており、更なる市場拡大を目指し、新しいニーズに合った商品開発を更に加速しています。・光学設計技術、及び、金型設計技術を活かしたPMMA製導光板をエッジライト方式のLED照明用途へ展開しています。高い照度、配光特性のコントロール及び異方出射特性を有するLED照明器具の開発に成功し、省エネ化、薄型化、軽量化された照明器具への採用実績が出てきており、更なる市場拡大を目指し、大手照明メーカー、設計事務所、及び、大手建設企業との共同開発を進めています。・当社の微細成形技術を用いて開発したマイクロ空間細胞培養プレート<Elplasia>の市場評価が進み、がんの創薬スクリーニング用途、及び、再生医療細胞培養用途での採用実績が徐々に出てきています。将来の市場拡大に向けて、産学官連携プロジェクトへも積極的に参画しています。また、主戦場である米国展開に関しては、大手メディカル商社との提携を模索しており、ローカル化を加速しつつあります。・オープン・イノベーション推進部を設立しました。2011年開設のシリコンバレーの拠点とリンクさせ、これまで作り上げたネットワークを通して得られた社外提携の種を当社の既存技術や事業と融合させることで、新しいイノベーションを興す作業を進めています。