事業の概要
- 多角的な素材事業:東レは、繊維、機能化成品、炭素繊維複合材料、環境・エンジニアリング、ライフサイエンスといった多岐にわたる事業を展開しています。これらの事業は、衣料品から自動車、航空機、水処理、医薬品まで、幅広い産業と社会のニーズに応える素材や製品を提供することで収益を上げています。特に、高機能素材の開発・製造・販売を中核としています。
- グローバルな事業展開:東レは、日本国内だけでなく、子会社266社、関連会社等42社を含む308社の関係会社を通じて世界中で事業を展開しています。これにより、特定の地域や産業の景気変動リスクを分散し、多様な市場からの収益獲得を目指しています。各地域のニーズに合わせた製品供給や技術提供を行うことで、安定的な収益基盤を構築しています。
- 研究開発型ビジネス:東レのビジネスモデルは、先端技術の研究開発に基づいています。ナイロン、ポリエステル、炭素繊維などの基盤素材から、医薬品や医療機器といったライフサイエンス分野まで、常に新しい素材や技術を生み出すことで、高付加価値製品を提供しています。これにより、競合他社との差別化を図り、持続的な成長と収益確保を目指しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 繊維事業:ナイロン、ポリエステル、アクリルなどの糸・綿、紡績糸、織編物、不織布、人工皮革、アパレル製品の製造、加工、販売を行っています。衣料品から産業資材まで幅広い用途に対応し、私たちの日常生活に密接に関わる製品を提供しています。この事業は、東レの創業以来の基盤であり、安定した収益源の一つとなっています。
- 機能化成品事業:ナイロン、ABS、PBT、PPSなどの樹脂や樹脂成形品、ポリオレフィンフォーム、ポリエステル・ポリエチレン・ポリプロピレンなどのフィルムおよびフィルム加工品、合成繊維・プラスチック原料、ファインケミカル、電子情報材料、印写材料などを手掛けています。自動車、家電、IT機器など、多岐にわたる産業分野に高機能な素材を提供しており、東レの技術力が光る事業です。
- 炭素繊維複合材料事業:炭素繊維および同複合材料、同成形品の製造、加工、販売を行っています。炭素繊維は、鉄よりも軽く、強度が高いという特性を持ち、航空機、自動車、風力発電ブレード、スポーツ用品などに使われる最先端素材です。この事業は、高い技術力と将来性を持つ東レの成長ドライバーの一つであり、世界の軽量化ニーズに応える重要な役割を担っています。
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3 【事業の内容】当社及び当社の関係会社308社(子会社266社・関連会社等42社)において営まれている主な事業の内容は、下記製品の製造、加工及び販売です。なお、以下の事業区分は、セグメント情報における事業区分と同一です。事業区分主要製品繊維事業ナイロン・ポリエステル・アクリル等の糸・綿・紡績糸及び織編物、不織布、人工皮革、アパレル製品機能化成品事業ナイロン・ABS・PBT・PPS等の樹脂及び樹脂成形品、ポリオレフィンフォーム、ポリエステル・ポリエチレン・ポリプロピレン等のフィルム及びフィルム加工品、合成繊維・プラスチック原料、ファインケミカル、電子情報材料、印写材料炭素繊維複合材料事業炭素繊維・同複合材料及び同成形品環境・エンジニアリング事業水処理用機能膜及び同機器、総合エンジニアリング、マンション、産業機械類、住宅・建築・土木材料ライフサイエンス事業医薬品、医療機器その他分析・調査・研究等のサービス関連事業 各事業区分における、当社及び当社の関係会社の位置付けや、主要な関係会社の名称を示した事業系統図は、以下のとおりです。(注) 1.複数の事業に携わっている会社は、各事業区分に記載しております。2.商事会社は事業区分が多岐に渡るため、事業規模が最大の事業区分に記載しております。3.上記会社名の○は子会社、△は関連会社等を示しております。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 中程度 独自技術による高機能・高付加価値素材の創出と幅広い産業への供給 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 有機合成化学、高分子化学、バイオテクノロジー、ナノテクノロジーをベースとした先端材料創出 |
| 顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい | 低い(分散) |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | 中程度 |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 高い |
会社が挙げる主要リスク:戦争危険を踏まえた危機対応リスク / 製品供給途絶リスク / 製品の需要・市況の動向と事業計画に関わるリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 11 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★★☆☆
東レは長年培ってきた高機能繊維(炭素繊維、アラミド繊維など)やフィルム、化学品分野での高い技術力とブランド力を有する。特に炭素繊維複合材料は航空宇宙産業や自動車産業で採用実績があり、高い品質と信頼性が評価されている。これらの素材は特許やノウハウによって保護されている側面がある。
スイッチングコスト★★☆☆☆
東レの素材は、顧客であるメーカーの製品設計や製造プロセスに深く組み込まれている場合が多い。特に自動車や航空機などの分野では、一度採用された素材を変更するには、再設計、認証取得、テストなど多大な時間とコストがかかるため、一定のスイッチング・コストが発生する可能性がある。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
東レの事業モデルは、主に素材の製造・販売であり、ユーザーが増えることで価値が増大するネットワーク効果は基本的に見られない。
コスト優位★★☆☆☆
長年の経験と規模の経済により、一部の汎用素材においてはコスト競争力を持つ可能性がある。しかし、高機能素材分野では研究開発費や設備投資が先行するため、必ずしも構造的なコスト優位があるとは言えない。
規模の経済★★★★☆
東レは炭素繊維、フィルム、化学品などの分野で世界有数の生産能力と販売網を持つ。特に炭素繊維ではグローバルでトップクラスのシェアを誇り、規模の経済を活かした効率的な生産体制を構築している。この規模は新規参入者にとって大きな障壁となる。
- 高機能素材の技術力:東レは、ナイロン、ポリエステル、炭素繊維といった基盤素材から、高機能フィルム、電子情報材料、医薬品に至るまで、幅広い分野で独自の技術を保有しています。長年の研究開発で培われたこれらの技術は、製品の性能や品質において他社との差別化を可能にし、高い競争優位性を生み出しています。特に炭素繊維複合材料は、航空機や自動車の軽量化に貢献する重要な素材であり、高い技術障壁を誇ります。
- 多角的な事業ポートフォリオ:東レは、繊維、機能化成品、炭素繊維複合材料、環境・エンジニアリング、ライフサイエンスといった多様な事業を展開しています。この多角的な事業構成により、特定の市場の変動リスクを分散し、安定した収益基盤を築いています。例えば、景気変動の影響を受けやすい事業がある一方で、ライフサイエンスのように安定した需要が見込める事業も持ち合わせることで、全体としての経営の安定性を高めています。
- グローバルな供給網と顧客基盤:東レは、世界中に広がる生産拠点と販売ネットワークを通じて、多様な産業の顧客に製品を供給しています。子会社266社、関連会社等42社を含む308社の関係会社がこのネットワークを支え、地域ごとのニーズに合わせた迅速な対応を可能にしています。これにより、特定の顧客や地域に依存することなく、幅広い市場からの収益を確保し、事業の安定性を高めています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】以下の記載事項のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。 (1) 東レ理念東レグループは、1926年の創業以来、「企業は社会の公器であり、その事業を通じて社会に貢献する」との経営思想の下、社会から尊敬される企業体として存在することを目指してきました。1955年にはこの考え方を初めて明文化した「社是」を制定し、創立60周年を迎えた1986年には現在の「企業理念」を最上位とする経営理念体系を整備しました。この経営理念は一部改定しながら受け継がれており、2020年5月に「東レ理念」として創業以来の考え方を改めて体系化しております。「東レ理念」は、従来の経営理念である「企業理念」「経営基本方針」「企業行動指針」に加え、企業理念を具現化するための企業姿勢を端的に示した「コーポレートスローガン」、東レグループが将来に向けて進む方向性を示した「ビジョン」、これらの考え方の基礎となる創業以来受け継いできた価値観・経営観などの「企業文化」、「経営者の信条」から構成されております。当社は企業理念の具現化において、社会の中で、お客様、社員、株主など数多くのステークホルダーによって支えられていることを認識し、それぞれに対して責任を果たし、広く社会に貢献していきます。 (企業理念)わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します(経営基本方針)お客様のために新しい価値と高い品質の製品とサービスを 社員のために働きがいと公正な機会を 株主のために誠実で信頼に応える経営を 社会のために社会の一員として責任を果たし相互信頼と連携を (2) 東レグループ サステナビリティ・ビジョン(ビジョン)人口増加、高齢化、気候変動、水不足、資源の枯渇など世界が直面する「発展」と「持続可能性」の両立をめぐる地球規模の課題に対し、革新技術・先端材料の提供によって、本質的なソリューションを提供していくことが東レグループの使命と考えます。「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」は、「2050年に向け東レグループが目指す世界」、その実現に向けた「東レグループが取り組む4つの課題」及び「2030年度に向けた数値目標(KPI)」を定めております。「2030年度に向けた数値目標(KPI)」については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) サステナビリティに関する考え方及び取り組みの状況 ④ 指標及び目標」に記載しております。 (2050年に向け東レグループが目指す世界) (3) 長期経営ビジョン“TORAY VISION 2030”東レグループの長期戦略は、「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」に示す「2050年に向け東レグループが目指す世界」の実現に向けて、そのマイルストーンとしての「2030年度に向けた数値目標」の達成を目指します。今後の事業環境は、人口分布・環境問題・技術イノベーションなどで大きな変化が想定され、産業構造や社会システムの変化により事業機会が創出される一方で、これまで存在した事業が縮小するリスクもあります。私たちは産業の潮流の変化を的確に捉えて、「ビジネスモデルの変革」を進めながら「持続的かつ健全な成長」を実現することを目標としております。 (4) 中期経営課題“プロジェクト AP-G 2025”2023年度から2025年度までの3年間を対象期間とする中期経営課題“プロジェクト AP-G 2025”は、「東レ理念」を起点として、「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」に示す「『発展』と『持続可能性』の両立をめぐる地球規模の課題の解決への貢献」を通じた「持続的かつ健全な成長」の実現を目指し、その成長戦略を可能にするための価値創造、それを支える人材基盤の強化に注力して、投下資本効率、財務体質、人材の面から成長投資を可能にする経営基盤強化を進めます。“プロジェクト AP-G 2025”では、「持続的な成長の実現」「価値創出力強化」「競争力強化」「『人を基本とする経営』の深化」「リスクマネジメントとグループガバナンスの強化」を基本戦略として掲げ、成長領域であるサステナビリティイノベーション(SI)事業(注)とデジタルイノベーション(DI)事業の拡大、事業の高度化・高付加価値化及び品質力・コスト競争力強化に取り組みます。同時に、財務健全性を確保するために、利益、キャッシュ・フロー、資産効率性のバランスに配慮した事業運営を行います。また、新たな成長軌道を描くために、高成長・高収益事業の拡大、低成長・低収益事業の構造改革を推進します。“プロジェクト AP-G 2025”の財務目標については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (4) 経営上の目標の達成状況」に記載しております。 (注) サステナビリティイノベーション(SI)事業「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」の実現に貢献する事業・製品群。 (“プロジェクト AP-G 2025”の基本戦略と具体的取り組み) (“プロジェクト AP-G 2025”での各セグメント戦略と取り組み)① 繊維事業3大合成繊維(ナイロン、ポリエステル、アクリル)を有し、テキスタイル、縫製品までのサプライチェーン一貫型事業をグローバルに展開しております。また衣料用途のみならず、工業、土木、農業、ライフサイエンスといったあらゆる用途で進化しており、近年はサステナビリティへの要請の高まりを受けて、バイオマス由来素材やリサイクル素材の開発・展開を強化しております。当社グループは、(a) 技術開発力と多彩な素材群、(b) サプライチェーンへの対応力、(c) グローバルな事業展開、からお客様にソリューションを提供できることが特徴であり、“プロジェクト AP-G 2025”では「環境配慮型素材を活用した高感性・高機能商品による成長領域での事業拡大」「価値創出力強化による収益力向上」「競争力強化」を成長戦略として推進します。具体的にはリサイクルサプライチェーンの再構築、自動車向け人工皮革、エアバッグ事業の拡大、革新複合紡糸技術NANODESIGN®を活用した高付加価値製品の開発、及び衣料用途におけるファイバー・テキスタイル・縫製品の一貫供給体制の強化に取り組み、お客様と付加価値の創出に取り組みます。 ② 機能化成品事業(樹脂・ケミカル事業)自動車の動力源が本格的に電動化し、自動化・IoT化が進むほか、サステナブル社会の本格化から、産業構造変化に応じた製品を先行的に投入することが重要となります。樹脂事業は、多くの自動車用部品や民生用途に採用されておりますが、材料供給に留まらず、設計・加工法まで含めたトータルソリューションを提供することでお客様とともに社会問題を解決するパートナーとしてバリューチェーンを築いており、成長領域であるxEV向けの開発を進めて事業拡大を図ります。また、サステナブル社会への対応として環境対応(リサイクル)材料の事業規模を拡大するとともに、ケミカルリサイクルの技術開発を推進してリサイクルの高度化なども進めていきます。ケミカル事業は、世界トップシェアであるファインケミカル事業において、食料の安定供給に貢献する農薬原料や半導体製造に貢献する溶剤を拡大するほか、3Dプリンターの造形素材に最適なPPS微粒子の自動車部品等への適用を進めます。(フィルム事業)自動車のxEV台数の拡大や自動化、コネクト化の進化により、車載用需要が拡大するほか、5G、IoTなど情報・インターフェースの進化により、回路材料での高精細化が進むと想定しております。また、世界的に環境規制の強化が進み、廃プラ削減・リサイクルへの要請が強まることから、マテリアルリサイクルの本格運用、ケミカルリサイクルへの参画のほか、モノマテリアル化への設計変更、生分解性フィルムの開発などに取り組みます。具体的には、世界トップシェアのポリエステルフィルムで、MLCC (積層セラミックコンデンサ)離型用途において薄膜化・高電圧化への特性に対応するほか、半導体関連用途での高精細化の追求によってお客様の製品価値を向上し、サプライチェーンにおける付加価値を創出します。また、サステナビリティ対応の強化として離型用途フィルムの回収システムを構築していきます。(電子情報材料事業)半導体市場では、xEVや再生可能エネルギーの普及でパワー半導体の需要が増加しております。ディスプレイ市場においては、低消費電力の志向から有機EL比率は今後も堅調に上昇していくと想定しております。高度なコア技術をベースに、お客様との強い信頼関係のもとで将来ニーズを先取りし、早期採用を実現するほか、強固な参入障壁を構築して業界標準化を実現し、有機EL関連材料や、半導体・実装・電子部品用高機能材料における市場拡大を着実に取り込み、事業の成長につなげていきます。 ③ 炭素繊維複合材料事業航空機用途において、ボーイング787の生産機数の回復が想定されるほか、新エネルギーの拡大、環境対応ニーズによる風力発電翼や燃料電池車用途(水素タンクや電極基材)、UAM (Urban Air Mobility)といった新しい事業機会が期待できます。当社グループは50年におよぶ研究開発、データ蓄積に加えて、世界最高性能を有するレギュラートウ、最強のコスト競争力を有するラージトウをグローバルに提案・供給できる事業体制を擁し、世界の有力企業との信頼関係を築いております。“プロジェクト AP-G 2025”においては、圧力容器等産業用途向けの生産設備を増強し、回復する航空機用途の取り込みだけではなく、成長する産業用途の事業拡大を図り、航空用途に依存しない事業基盤を構築します。 ④ 環境・エンジニアリング事業水処理事業では、人口の急速な増加などにより、自然の浄化作用だけでは「水量」と「水質」の確保が世界的に困難なことから、高品質・高速処理・省エネプロセスの膜処理技術が21世紀の必須技術となっております。当社グループが有する水処理分離膜のうち、海水淡水化・飲料水製造に用いられるRO膜(逆浸透膜)、及び下廃水再利用などに用いられるUF膜(限外ろ過)において高い市場成長を想定しております。“プロジェクト AP-G 2025”においては、RO膜のグローバル供給体制の強化を推進するとともに、提案力や技術サービスなどの非価格競争力とコスト体質の徹底強化を継続し、グローバルシェアNo.1の獲得を目指します。また、渇水で苦しむ国・地域においては下廃水再利用の動きが加速していることから、RO膜とUF膜とを組み合わせた事業拡大を推進します。エンジニアリング事業では、ライフサイエンス分野や半導体分野の成長を想定し、プラント事業・エレクトロニクス機器事業において拡大を図ります。 ⑤ ライフサイエンス事業医薬事業において、膵がん診断薬の事業化のほか、既存製品の海外展開や適応拡大を目指します。医療機器事業においては、透析事業において、AIを用いた治療法の最適化等によりQOL向上を目指すほか、HotBalloon™の改良品開発を推進して、患者数が増加している心房細動の根治可能な治療法として拡大を図ります。 (5) 事業環境変化への対応新型コロナウイルスの感染拡大を機に、人々の行動が変容したほか、地政学リスクの増大やデジタル技術の進化など、事業環境が大きく変化しました。しかし、地球環境問題や、エネルギー問題、健康長寿、新興国の人口増加など、世界が直面している大きな課題に変わりはなく、それら課題に、素材メーカーとして取り組んでいくという当社の姿勢も基本的には変わりません。“TORAY VISION 2030”で目指す「持続的かつ健全な成長」の実現に向けた事業方針の下、サステナビリティイノベーション(SI)事業及びデジタルイノベーション(DI)事業を推進します。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】以下の記載事項のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。 (1) 東レ理念東レグループは、1926年の創業以来、「企業は社会の公器であり、その事業を通じて社会に貢献する」との経営思想の下、社会から尊敬される企業体として存在することを目指してきました。1955年にはこの考え方を初めて明文化した「社是」を制定し、創立60周年を迎えた1986年には現在の「企業理念」を最上位とする経営理念体系を整備しました。この経営理念は一部改定しながら受け継がれており、2020年5月に「東レ理念」として創業以来の考え方を改めて体系化しております。「東レ理念」は、従来の経営理念である「企業理念」「経営基本方針」「企業行動指針」に加え、企業理念を具現化するための企業姿勢を端的に示した「コーポレートスローガン」、東レグループが将来に向けて進む方向性を示した「ビジョン」、これらの考え方の基礎となる創業以来受け継いできた価値観・経営観などの「企業文化」、「経営者の信条」から構成されております。当社は企業理念の具現化において、社会の中で、お客様、社員、株主など数多くのステークホルダーによって支えられていることを認識し、それぞれに対して責任を果たし、広く社会に貢献していきます。 (企業理念)わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します(経営基本方針)お客様のために新しい価値と高い品質の製品とサービスを 社員のために働きがいと公正な機会を 株主のために誠実で信頼に応える経営を 社会のために社会の一員として責任を果たし相互信頼と連携を (2) 東レグループ サステナビリティ・ビジョン(ビジョン)人口増加、高齢化、気候変動、水不足、資源の枯渇など世界が直面する「発展」と「持続可能性」の両立をめぐる地球規模の課題に対し、革新技術・先端材料の提供によって、本質的なソリューションを提供していくことが東レグループの使命と考えます。「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」は、「2050年に向け東レグループが目指す世界」、その実現に向けた「東レグループが取り組む4つの課題」及び「2030年度に向けた数値目標(KPI)」を定めております。「2030年度に向けた数値目標(KPI)」については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) サステナビリティに関する考え方及び取り組みの状況 ④ 指標及び目標」に記載しております。 (2050年に向け東レグループが目指す世界) (3) 長期経営ビジョン“TORAY VISION 2030”東レグループの長期戦略は、「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」に示す「2050年に向け東レグループが目指す世界」の実現に向けて、そのマイルストーンとしての「2030年度に向けた数値目標」の達成を目指します。今後の事業環境は、人口分布・環境問題・技術イノベーションなどで大きな変化が想定され、産業構造や社会システムの変化により事業機会が創出される一方で、これまで存在した事業が縮小するリスクもあります。私たちは産業の潮流の変化を的確に捉えて、「ビジネスモデルの変革」を進めながら「持続的かつ健全な成長」を実現することを目標としております。 (4) 中期経営課題“プロジェクト AP-G 2025”2023年度から2025年度までの3年間を対象期間とする中期経営課題“プロジェクト AP-G 2025”は、「東レ理念」を起点として、「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」に示す「『発展』と『持続可能性』の両立をめぐる地球規模の課題の解決への貢献」を通じた「持続的かつ健全な成長」の実現を目指し、その成長戦略を可能にするための価値創造、それを支える人材基盤の強化に注力して、投下資本効率、財務体質、人材の面から成長投資を可能にする経営基盤強化を進めます。“プロジェクト AP-G 2025”では、「持続的な成長の実現」「価値創出力強化」「競争力強化」「『人を基本とする経営』の深化」「リスクマネジメントとグループガバナンスの強化」を基本戦略として掲げ、成長領域であるサステナビリティイノベーション(SI)事業(注)とデジタルイノベーション(DI)事業の拡大、事業の高度化・高付加価値化及び品質力・コスト競争力強化に取り組みます。同時に、財務健全性を確保するために、利益、キャッシュ・フロー、資産効率性のバランスに配慮した事業運営を行います。また、新たな成長軌道を描くために、高成長・高収益事業の拡大、低成長・低収益事業の構造改革を推進します。“プロジェクト AP-G 2025”の財務目標については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (4) 経営上の目標の達成状況」に記載しております。 (注) サステナビリティイノベーション(SI)事業「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」の実現に貢献する事業・製品群。 (“プロジェクト AP-G 2025”の基本戦略と具体的取り組み) (“プロジェクト AP-G 2025”での各セグメント戦略と取り組み)① 繊維事業3大合成繊維(ナイロン、ポリエステル、アクリル)を有し、テキスタイル、縫製品までのサプライチェーン一貫型事業をグローバルに展開しております。また衣料用途のみならず、工業、土木、農業、ライフサイエンスといったあらゆる用途で進化しており、近年はサステナビリティへの要請の高まりを受けて、バイオマス由来素材やリサイクル素材の開発・展開を強化しております。当社グループは、(a) 技術開発力と多彩な素材群、(b) サプライチェーンへの対応力、(c) グローバルな事業展開、からお客様にソリューションを提供できることが特徴であり、“プロジェクト AP-G 2025”では「環境配慮型素材を活用した高感性・高機能商品による成長領域での事業拡大」「価値創出力強化による収益力向上」「競争力強化」を成長戦略として推進します。具体的にはリサイクルサプライチェーンの再構築、自動車向け人工皮革、エアバッグ事業の拡大、革新複合紡糸技術NANODESIGN®を活用した高付加価値製品の開発、及び衣料用途におけるファイバー・テキスタイル・縫製品の一貫供給体制の強化に取り組み、お客様と付加価値の創出に取り組みます。 ② 機能化成品事業(樹脂・ケミカル事業)自動車の動力源が本格的に電動化し、自動化・IoT化が進むほか、サステナブル社会の本格化から、産業構造変化に応じた製品を先行的に投入することが重要となります。樹脂事業は、多くの自動車用部品や民生用途に採用されておりますが、材料供給に留まらず、設計・加工法まで含めたトータルソリューションを提供することでお客様とともに社会問題を解決するパートナーとしてバリューチェーンを築いており、成長領域であるxEV向けの開発を進めて事業拡大を図ります。また、サステナブル社会への対応として環境対応(リサイクル)材料の事業規模を拡大するとともに、ケミカルリサイクルの技術開発を推進してリサイクルの高度化なども進めていきます。ケミカル事業は、世界トップシェアであるファインケミカル事業において、食料の安定供給に貢献する農薬原料や半導体製造に貢献する溶剤を拡大するほか、3Dプリンターの造形素材に最適なPPS微粒子の自動車部品等への適用を進めます。(フィルム事業)自動車のxEV台数の拡大や自動化、コネクト化の進化により、車載用需要が拡大するほか、5G、IoTなど情報・インターフェースの進化により、回路材料での高精細化が進むと想定しております。また、世界的に環境規制の強化が進み、廃プラ削減・リサイクルへの要請が強まることから、マテリアルリサイクルの本格運用、ケミカルリサイクルへの参画のほか、モノマテリアル化への設計変更、生分解性フィルムの開発などに取り組みます。具体的には、世界トップシェアのポリエステルフィルムで、MLCC (積層セラミックコンデンサ)離型用途において薄膜化・高電圧化への特性に対応するほか、半導体関連用途での高精細化の追求によってお客様の製品価値を向上し、サプライチェーンにおける付加価値を創出します。また、サステナビリティ対応の強化として離型用途フィルムの回収システムを構築していきます。(電子情報材料事業)半導体市場では、xEVや再生可能エネルギーの普及でパワー半導体の需要が増加しております。ディスプレイ市場においては、低消費電力の志向から有機EL比率は今後も堅調に上昇していくと想定しております。高度なコア技術をベースに、お客様との強い信頼関係のもとで将来ニーズを先取りし、早期採用を実現するほか、強固な参入障壁を構築して業界標準化を実現し、有機EL関連材料や、半導体・実装・電子部品用高機能材料における市場拡大を着実に取り込み、事業の成長につなげていきます。 ③ 炭素繊維複合材料事業航空機用途において、ボーイング787の生産機数の回復が想定されるほか、新エネルギーの拡大、環境対応ニーズによる風力発電翼や燃料電池車用途(水素タンクや電極基材)、UAM (Urban Air Mobility)といった新しい事業機会が期待できます。当社グループは50年におよぶ研究開発、データ蓄積に加えて、世界最高性能を有するレギュラートウ、最強のコスト競争力を有するラージトウをグローバルに提案・供給できる事業体制を擁し、世界の有力企業との信頼関係を築いております。“プロジェクト AP-G 2025”においては、圧力容器等産業用途向けの生産設備を増強し、回復する航空機用途の取り込みだけではなく、成長する産業用途の事業拡大を図り、航空用途に依存しない事業基盤を構築します。 ④ 環境・エンジニアリング事業水処理事業では、人口の急速な増加などにより、自然の浄化作用だけでは「水量」と「水質」の確保が世界的に困難なことから、高品質・高速処理・省エネプロセスの膜処理技術が21世紀の必須技術となっております。当社グループが有する水処理分離膜のうち、海水淡水化・飲料水製造に用いられるRO膜(逆浸透膜)、及び下廃水再利用などに用いられるUF膜(限外ろ過)において高い市場成長を想定しております。“プロジェクト AP-G 2025”においては、RO膜のグローバル供給体制の強化を推進するとともに、提案力や技術サービスなどの非価格競争力とコスト体質の徹底強化を継続し、グローバルシェアNo.1の獲得を目指します。また、渇水で苦しむ国・地域においては下廃水再利用の動きが加速していることから、RO膜とUF膜とを組み合わせた事業拡大を推進します。エンジニアリング事業では、ライフサイエンス分野や半導体分野の成長を想定し、プラント事業・エレクトロニクス機器事業において拡大を図ります。 ⑤ ライフサイエンス事業医薬事業において、膵がん診断薬の事業化のほか、既存製品の海外展開や適応拡大を目指します。医療機器事業においては、透析事業において、AIを用いた治療法の最適化等によりQOL向上を目指すほか、HotBalloon™の改良品開発を推進して、患者数が増加している心房細動の根治可能な治療法として拡大を図ります。 (5) 事業環境変化への対応新型コロナウイルスの感染拡大を機に、人々の行動が変容したほか、地政学リスクの増大やデジタル技術の進化など、事業環境が大きく変化しました。しかし、地球環境問題や、エネルギー問題、健康長寿、新興国の人口増加など、世界が直面している大きな課題に変わりはなく、それら課題に、素材メーカーとして取り組んでいくという当社の姿勢も基本的には変わりません。“TORAY VISION 2030”で目指す「持続的かつ健全な成長」の実現に向けた事業方針の下、サステナビリティイノベーション(SI)事業及びデジタルイノベーション(DI)事業を推進します。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度(2024年4月1日から2025年3月31日まで)における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりです。なお、文中の将来における事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。 (1) 経営成績の状況の概要及び分析当連結会計年度の世界経済は、米国は堅調に推移し、欧州は一部に足踏みがみられますが、持ち直しが続いています。中国は景気刺激策の効果もみられますが回復は足踏み状態となっています。国内経済については、緩やかな回復が続きました。このような事業環境の中で、当社グループは「持続的かつ健全な成長」を目指し、2023年度からは「持続的な成長の実現」「価値創出力強化」「競争力強化」「『人を基本とする経営』の深化」「リスクマネジメントとグループガバナンスの強化」の5つを基本戦略とした中期経営課題“プロジェクト AP-G 2025”を推進しています。以上の結果、当社グループの連結業績は、売上収益は前期比4.0%増の2兆5,633億円、事業利益は同39.1%増の1,428億円となりました。営業利益は同121.1%増の1,275億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同255.8%増の779億円となりました。(単位:億円) 前連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)増減率(%)売上収益24,64625,6334.0事業利益(注)1,0261,42839.1営業利益5771,275121.1親会社の所有者に帰属する当期利益219779255.8(注) 事業利益は、営業利益から非経常的な要因により発生した損益を除いて算出しております。 セグメントごとの売上収益は、前期に比べ、繊維事業、機能化成品事業、炭素繊維複合材料事業、ライフサイエンス事業で増収となった一方、環境・エンジニアリング事業で減収となりました。事業利益は、全ての事業において増益となりました。セグメントごとの売上収益及び事業利益、並びに事業利益の増減要因は、以下のとおりです。(単位:億円) 売上収益 前連結会計年度当連結会計年度増減繊維事業9,74810,111363機能化成品事業8,8619,449588炭素繊維複合材料事業2,9053,00095環境・エンジニアリング事業2,4412,365△76ライフサイエンス事業5225329その他(注)11691777合計24,64625,633987 (単位:億円) 事業利益 増減の内訳 前連結会計年度当連結会計年度増減 数量差価格差費用差ほか海外子会社の邦貨換算差繊維事業54764295 9114△4618機能化成品事業367600233 19168△348炭素繊維複合材料事業13222593 6325△05環境・エンジニアリング事業23225927 189△32ライフサイエンス事業△13△86 △4540その他(注)13324△9 △1-△7△0調整額(注)2△272△315△44 --△44-合計1,0261,428401 276222△12933(注) 1.「その他」は分析・調査・研究等のサービス関連事業等です。2.「調整額」はセグメント間取引消去及び全社費用です。 ・「数量差」は、主に機能化成品事業及び炭素繊維複合材料事業において、需要の回復・伸長を捉えたことにより、生産・販売数量がともに増加し、合計で276億円の増益要因となりました。機能化成品事業では、電子部品関連用途におけるサプライチェーンの在庫調整の反動により、フィルム事業の需要が伸長し、販売数量及び稼働率がともに改善しました。炭素繊維複合材料事業では、航空宇宙用途及び風力発電翼用途における需要の回復が進み、同様に販売数量及び稼働率が改善しました。・「価格差」は、価格是正、販売構成の改善や高付加価値品への転換などの「戦略的プライシング」が計画を上回るペースで進捗したことを主因に、合計で222億円の増益となりました。・「費用差ほか」は、稼働率向上に伴う費用の増加等により、合計で129億円の減益要因となりました。 セグメントごとの経営成績の詳細は、以下のとおりです。 (繊維事業)衣料用途は欧州市場の低迷や海外品との競争激化の影響は継続していますが、総じて堅調に推移しました。産業用途は自動車用途が国内自動車メーカーの不正問題の影響や欧州の市況低迷などから本格回復に至らず、また中国EV市場での競争激化の影響を受けました。以上の結果、繊維事業全体では、売上収益は前期比3.7%増の1兆111億円、事業利益は同17.3%増の642億円となりました。 (機能化成品事業)樹脂・ケミカル事業は、樹脂事業が国内自動車メーカーの減産の影響を受けたものの、中国及びアセアン向け非自動車用途の需要が回復しました。フィルム事業は電子部品関連において、サプライチェーンの在庫調整の反動から需要が伸長しました。電子情報材料事業は、有機EL関連材料・回路材料の需要に回復が見られました。以上の結果、機能化成品事業全体では、売上収益は前期比6.6%増の9,449億円、事業利益は同63.6%増の600億円となりました。 (炭素繊維複合材料事業)航空宇宙用途は順調に回復しました。一般産業用途については、風力発電翼用途は緩やかな回復が続きましたが、その他用途は調整局面となりました。以上の結果、炭素繊維複合材料事業全体では、売上収益は前期比3.3%増の3,000億円、事業利益は同70.7%増の225億円となりました。 (環境・エンジニアリング事業)水処理事業は中国の市況低迷の影響を受けましたが、需要は堅調に拡大しており、中東向けの大型案件の出荷等により増収増益となりました。エンジニアリング事業は国内エンジニアリング子会社で案件の時期ずれにより減収となったものの、概ね堅調に推移しました。以上の結果、環境・エンジニアリング事業全体では、売上収益は前期比3.1%減の2,365億円、事業利益は同11.6%増の259億円となりました。 (ライフサイエンス事業)医薬事業は、後発医薬品浸透と薬価改定の影響を受けたほか、海外で販売量が伸び悩みました。医療機器事業は、血液透析ろ過用ダイアライザーの出荷が国内外で堅調に推移しましたが、原材料価格高騰の影響を受けました。以上の結果、ライフサイエンス事業全体では、売上収益は前期比1.8%増の532億円、事業利益は同6億円増の8億円の損失となりました。 (その他)売上収益は前期比4.4%増の177億円、事業利益は同25.9%減の24億円となりました。 (生産、受注及び販売の状況)当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その形態、単位等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多いため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。このため生産、受注及び販売の状況については、各セグメントの業績に関連付けて示しております。 (2) 財政状態の状況の概要及び分析当連結会計年度末の財政状態は、資産は、営業債権及びその他の債権やその他の金融資産の減少を主因に、前連結会計年度末に比べ1,739億円減少し3兆2,926億円となりました。負債は、社債及び借入金が減少したことを主因に、前連結会計年度末に比べ1,481億円減少し1兆4,720億円となりました。資本は、利益剰余金が増加した一方、その他の資本の構成要素が減少したことを主因に、前連結会計年度末に比べ258億円減少し1兆8,206億円となり、このうち親会社の所有者に帰属する持分は1兆7,090億円となりました。当連結会計年度末の親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末に比べ1.8ポイント上昇し51.9%、D/Eレシオは同0.05低下し0.49となりました。 (3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析① キャッシュ・フローの状況の概要及び分析当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による資金の増加が投資活動による資金の減少を1,918億円上回った一方、長期借入金の返済を主因に財務活動による資金の減少が1,885億円となったこと等により、前連結会計年度末に比べ14億円増の2,373億円となりました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業債務及びその他の債務の減少額が前期比267億円増加した一方、営業債権及びその他の債権の減少額が同996億円増加したこと等により、営業活動による資金の増加は同694億円(37.4%)増の2,550億円となりました。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)有形固定資産及び無形資産の取得による支出が前期比451億円増加した一方、投資の売却及び償還による収入が同905億円増加したこと等により、投資活動による資金の減少は同578億円(47.8%)減の632億円となりました。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)自己株式の取得による支出が前期比384億円増加したことや、短期借入債務の純減額が同358億円増加したこと等により、財務活動による資金の減少は同1,182億円(167.9%)増の1,885億円となりました。 ② 資金需要当社グループの資金需要の主なものは、設備投資、投融資などの長期資金需要と当社製品製造のための原材料の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費などの運転資金需要です。このうち、設備投資の概要及び重要な設備の新設の計画については、「第3 設備の状況」に記載しております。 ③ 財務政策当社グループは、資金需要の見通しや金融市場の動向などを総合的に勘案した上で、最適なタイミング、規模、手段を判断して資金調達を実施しております。また、財務健全性を維持しつつ、事業拡大を推進することを基本方針とし、運転資金の圧縮、固定資産の稼働率向上、キャッシュ・マネジメント・システムによるグループ内余剰資金の有効活用等、資産効率の改善にも取り組んでおります。2024年5月、資本効率の改善を加速するため、2024年度から2026年度までの3年間で政策保有株式を50%、約1,000億円削減し、その売却代金を全額自己株式の取得に充当する方針を公表しました。この方針に基づき、当連結会計年度において、政策保有株式を1,098億円売却しました。また、2024年11月には1,000億円の自己株式取得枠を設定し、当連結会計年度において、自己株式を384億円取得しました。財務状況は健全性を保っており、現金及び現金同等物などの流動性資産に加え、営業活動によるキャッシュ・フロー、コマーシャル・ペーパー、社債、借入金等による資金調達により、事業拡大に必要な資金を十分に賄えると考えております。また、業績やキャッシュ・フローの悪化等により緊急に資金が必要となる場合や金融市場の混乱に備え、国内外の金融機関とコミットメントライン契約、当座貸越契約等を締結し、資金流動性を確保しております。 (4) 経営上の目標の達成状況中期経営課題“プロジェクト AP-G 2025”の財務目標に対する進捗は以下のとおりです。 2023年度実績2024年度実績2025年度見通し(注)1 2025年度目標(注)2売上収益24,646億円25,633億円26,700億円 28,000億円事業利益1,026億円1,428億円1,500億円 1,800億円事業利益率4.2%5.6%6% 6%ROIC (注)32.8%4.4%約5% 約5%ROE (注)41.3%4.5%約5% 約8%フリー・キャッシュ・フロー647億円1,918億円プラス(3年間累計) プラス(3年間累計)D/Eレシオ0.550.49約0.6 0.7以下(ガイドライン)(注) 1.為替レートの前提は、145円/米ドルです。2.為替レートの前提は、125円/米ドルです。3.税引後事業利益/投下資本(期首・期末平均)4.親会社の所有者に帰属する当期利益/親会社の所有者に帰属する持分(期首・期末平均) 2025年度の連結業績予想は、成長領域における事業拡大及び収益性の改善による増益を見込む一方、米国の関税措置に起因する世界経済の停滞リスクを織り込み、売上収益は2兆6,700億円、事業利益は1,500億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は820億円を見込んでいます。“プロジェクト AP-G 2025”をスタートした2023年度以降、構造改革や「戦略的プライシング」の効果が順調に発現しており、事業利益は3年連続で前年比増益となることを見込んでいます。ただし、足元の事業環境は、地政学リスクの顕在化や米国の関税措置の影響等により不確実性が高まっており、世界経済のコロナ禍からの回復スピードは当初の想定を下回っています。このため、2025年度の事業利益は“プロジェクト AP-G 2025”で掲げていた目標に対し、300億円の減益となる見通しです。係る状況の中、当社は事業環境の変化に柔軟に対応すべく、事業ごとの戦略や購買機能強化等の具体的施策を随時修正しながら推進していきます。 セグメントごとの事業利益は、繊維事業及び環境・エンジニアリング事業が目標を達成する見通しです。一方で、機能化成品事業は自動車市場の回復遅れやディスプレイ関連用途の成長鈍化、炭素繊維複合材料事業は一般産業用途の成長鈍化を主因に目標未達となる見込みです。加えて、米国関税措置による影響として、需要減少を主因に150億円の減益を見込んでいます。セグメントごとの事業利益は以下のとおりです。(単位:億円) 事業利益 2025年度目標2025年度見通し増減繊維事業640760120機能化成品事業910705△205炭素繊維複合材料事業360240△120環境・エンジニアリング事業27029020ライフサイエンス事業00-その他2015△5調整額△400△36040小計1,8001,650△150米国関税措置による影響-△150△150合計1,8001,500△300 なお、サステナビリティ目標に対する進捗については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) サステナビリティに関する考え方及び取り組みの状況 ④ 指標及び目標」に記載しております。 (5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。連結財務諸表の作成にあたって用いた重要な会計上の見積り及び仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
事業リスク
- 地政学リスクの増大:軍事侵攻や経済安全保障といった地政学的なリスクが高まることで、海外の事業拠点における従業員の安全確保が困難になったり、長期的な事業停止や事業撤退を余儀なくされる可能性があります。また、重要な資産(建物、装置、技術情報など)が接収されたり、利用不能になるリスクも考えられます。これにより、東レグループの経営成績や財政状態に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
- 製品供給途絶リスク:原油価格の変動、資源保有国の政情不安、気候変動、人権問題など、グローバルサプライチェーンを取り巻く環境の急激な変化により、製品製造に必要な原材料や部材の調達が困難になる可能性があります。これにより、安定した数量・品質の製品供給ができなくなり、最終製品メーカーの事業継続に影響を与えたり、供給契約の債務不履行による賠償責任が発生するリスクがあります。これは東レグループの収益性や信用に悪影響を及ぼす可能性があります。
- 需要・市況変動リスク:東レグループが供給する多種多様な基礎素材製品は、世界的・地域的な需給環境の変動、素材代替の進行、取引先の購買方針変更などにより、需要が減退する可能性があります。景気変動や国内の人口減少による特定顧客・用途での大幅な需要変動、価格下落、新規企業の参入による競争激化、物価上昇圧力による消費マインドの減退などが、東レグループの売上高や利益に悪影響を及ぼす可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3 【事業等のリスク】大規模自然災害の増加、軍事侵攻や経済安全保障といった地政学リスクの高まりなど、事業運営にあたっての不確実性は増しております。当社グループは、以下(1)項に記載のとおり急激に顕在化するリスクや危機発生時に迅速に対応するための体制を構築し、専任組織によって平時のリスクマネジメントと有事(危機発生時)の即応を統括管理しておりますが、リスクが顕在化した場合には、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。「第2 事業の状況」、「第5 経理の状況」等での記載事項に関して、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下(3) (4)項に記載のとおりです。これらは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、事業等のリスクはこれらに限定されるものではありません。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。 (1) 当社グループにおけるリスクマネジメント体制、活動当社グループでは、周辺環境の変化により急激に顕在化するリスクへの対応や、危機発生時に迅速に対応するため、専任組織を設置し、取締役会及びトップマネジメントと緊密に意思疎通を行い、経営戦略の一環としてリスクマネジメントを推進しております。リスクマネジメント推進のための審議・協議・情報共有機関としては、総務・法務・リスクマネジメント部門長を委員長とする「リスクマネジメント委員会」を設置しております(図1)。リスクマネジメント委員会における審議・協議内容については、取締役会に定期的に報告しているほか、重要かつ緊急の案件については、発生した都度もれなく報告しております。また、リスクマネジメント委員会の下部組織として海外危機管理委員会、現地危機管理委員会を設置し、平時の社員の海外渡航管理や海外リスク情報収集を行っております。当社グループでは、平時のリスク管理と有事の即応を統括してリスクマネジメントと定義しております。平時のリスク管理は、後述する「東レグループ優先対応リスク(以下「優先対応リスク」という。)」及び「特定リスク」を管理するPDCAサイクルを構築し、活動しております(図2)。 「優先対応リスク」は、定期的に(3年に1度)網羅的に洗い出したリスクを評価し、潜在リスク度(発生確率×影響度)の高いものから設定され、各リスクの推進責任部署が重点的にリスク低減を図ります。「特定リスク」は、専任部署が国内外のリスク動向を定常的に注視し、調査・分析を行い、経営に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクを検出、評価し、トップマネジメントと協議の上設定します。「特定リスク」は短期で惹起したリスクへの対応が可能で、3年を1期としている「優先対応リスク」と補完関係にあります。また、有事においては、社内規程に則り、危機のレベルに応じて即応体制を立ち上げ、対応しております。 (2) リスクの洗い出し・評価2022年に第6期となる「優先対応リスク」の洗い出し・評価を実施しました。第6期は、当社グループ全体を対象に、2023~2025年度の中期経営課題達成を阻害するリスクの洗い出し・評価を主目的とし、以下のプロセスで実施しました。 ① 当社グループを取り巻くリスク(「経営環境」「災害」「業務」「E(環境)」「S(社会)」「G(ガバナンス)」の区分で網羅的に整理した118項目のリスク(図3))を対象に、当社の機能部署や、国内外関係会社におけるリスクの切迫状況や具体的な懸念の状況を把握するためのアンケート調査を実施。② アンケート調査で得られた情報を集約・分析の上、リスク関係部署及び経営層を対象にリスク認識・課題や対処についてディスカッションを実施。③ アンケートの分析、ディスカッションで得られた情報を総合し、「優先対応リスク案」を取りまとめ、リスクマネジメント委員会で審議・決定。各事業本部においてもそれぞれ対処すべきリスクを設定。 (3) 優先対応リスク第6期(2023-2025年度)優先対応リスクとして、下記2テーマを推進しております。戦争危険を踏まえた危機対応リスクリスク概要海外の当社グループ所在地域において当地の治安悪化が常態化した場合、あるいは戦争・紛争が勃発した場合、以下のリスクが高まる可能性があります。・該当地域における従業員の日常生活や身の安全の確保困難・長期事業停止や事業撤退・重要資産(建物・装置・技術情報等)の接収・利用不能 など対応グローバルに事業展開している当社グループでは、かねてより海外危機管理委員会を設置し、同委員会と海外関係会社(国・地域代表及び各社社長)との連携の下、海外で発生する危機に対する予防的取り組み・危機発生時の対応体制の構築を推進してきました。しかしながら、2022年2月のウクライナ紛争の勃発を契機に、「戦争危険」を踏まえた体制・ルール等の見直しが必要との判断に至り、本テーマを「優先対応リスク」と位置付け対策を強化することとしました。総務・法務・リスクマネジメント部門リスクマネジメントグループを本リスク対策の推進責任部署と位置付け、各国・地域の現地危機管理委員会と連携し、当社グループ所在地で想定される危機対応のシナリオを整備するとともに、リスクが高い国・地域に関しては、有事発生時の対応計画を作成・周知・訓練しております。本取り組みを通じて、従業員の安全性確保並びに当地での事業継続の判断・行動を迅速化することにより、リスクの低減を図ります。製品供給途絶リスクリスク概要原油価格動静等の市況面、資源保有国の政情等の地政学面、気候変動等の環境面や人権等の社会面の混乱に伴う、生産に必要な原材料・部材等の調達逼迫、取引先からのフォースマジュール条項の発動の顕在化により、以下のリスクが高まる可能性があります。・原燃料の調達困難を契機とした安定した数量・品質の製品供給困難・当社の製品供給途絶に伴う最終製品メーカーの事業継続困難・供給契約の債務不履行に伴う賠償責任の発生 など対応当社は社会生活上の必需品や、企業の事業戦略上の重要製品の製造に不可欠な素材を安定的に供給する社会的責任・使命を有しているという認識の下、事業継続計画の策定などを通じ、サプライチェーンの強化を推進してきました。一方、「リスク概要」に記載のとおり、グローバルサプライチェーンを取り巻く環境の急激な変化により、安定供給のための諸条件・前提が大きく変化していることを踏まえ、本テーマを「優先対応リスク」と位置付け対策を強化することとしました。購買・物流部門を中心とした推進体制で、サプライチェーンにおける脆弱性の情報整理を行い、原材料における複数購買化やレシピ変更などのリスク低減策を明確化、実行することにより、製品供給の継続性を強靭化しております。 (4) 主要なリスク(区分:「事業」「E(環境)」「S(社会)」「G(ガバナンス)」の順で掲載)優先対応リスクのほか、当社グループにおいて影響が大きいと評価している主要なリスクは以下のとおりです。これらには、前述のリスク洗い出しから影響が大きいと評価したリスク及び各事業本部で設定した対処すべきリスクも含まれており、全社委員会や専門部署、事業本部などが中心となってリスク低減対応を推進しております。製品の需要・市況の動向と事業計画に関わるリスク区分事業リスク概要当社グループは、多種多様な基礎素材製品を広範な産業及び地域に供給しており、世界的あるいは地域的な需給環境の変動や素材代替の進行、取引先の購買方針の変更等による当社グループの製品に対する需要減退などにより、以下のリスクが高まる可能性があります。・景気・市場変動・国内の人口減少による特定顧客・用途の大幅な需要変動並びに価格下落・新規企業の参入による当社の相対的な優位性低下・物価上昇圧力による消費マインド減退・取引先の与信リスク顕在化 など対応当社グループは、製品の需要や市況の変化に対応すべく、持続的に競争優位の製品確保に努めており、広範囲にわたる事業領域で設備投資を実施しております。また、事業拡大・競争力強化を目的として、事前に収益性や投資回収の可能性について様々な観点から十分な検討を行った上で、第三者との間で様々な合弁事業や戦略的提携、事業買収等を行っております。各事業領域においても、中期経営課題“プロジェクト AP-G 2025”の達成に向けて、事業ポートフォリオの改善(事業拡大、新規参入、多用途化)、新たな販売チャネル開発、手戻りのない効率的な差別化商品の開発、サプライチェーン見直し、在庫適正化など、様々な課題を各事業が個別に設定、推進しております。グローバル事業展開に関わるリスク区分事業リスク概要当社グループは、アジア・欧州・米国をはじめ海外で広く事業を展開しておりますが、米中対立が長期化の様相を示しているように経済安全保障リスクは高まりを見せており、各地域において以下のようなリスクがあります。・不利な影響を及ぼす税制や関税の変更等、予期しない諸規制の設定・運用又は改廃・予期しない不利な経済的又は政治的要因の発生 など対応当社グループでは、2021年に経済安全保障に関する専任チームを設置し、リスク対応を進めております。法務、購買・物流、マーケティング、技術など幅広いメンバーで構成し、米中を中心とする各国の情報収集・分析・周知、当社グループの事業活動(サプライチェーン、資金、研究開発、人事管理、データ管理等)の把握を行い、リスク回避・軽減のための仕組みづくり、リスクが顕在化した場合の機動的対処を行っております。為替相場の変動、金利の変動に関わるリスク区分事業リスク概要当社グループは、原材料等の調達を含む外国通貨建て取引を行っております。また、海外事業の現地通貨建て財務諸表の各項目は連結財務諸表作成のために円換算されます。事業資金においては主に金融機関からの借入、コマーシャル・ペーパーや社債の発行等により調達しております。これらには以下のようなリスクがあります。・為替相場の変動による財務諸表の各項目における円換算への影響・資金調達及び調達コストへの影響 など対応当社グループはグローバルに事業拠点を保有する強みを活かしながら、地産地消を推進するとともに、グローバルオペレーションを機動的に展開することで為替変動の影響を受けにくい経営体質の構築に努めております。また本社及び各国・地域代表や各地区財経チーフ・海外関係会社の駐在員などが常に最新の情報を把握・共有化するとともに、外貨建債権・債務に関して為替予約などのリスクヘッジを実施し、急激な為替レート変動にも対応可能な体制をとっております。また、将来の急激な金利上昇に備え、金利動向を注視し、最適な資金調達を実行していきます。 気候変動、水不足、資源の枯渇等の環境課題に関わるリスク区分E(環境)リスク概要環境課題に対する企業への要求や期待の高まりから、当社グループにおいて、以下のリスクが高まる可能性があります。・GHG削減や資源循環などへの対応の遅れによる競争力低下(環境負荷の低い素材への代替推進など)・石油化学産業へのレピュテーションの悪化による企業ブランド価値の低下・世界的なカーボンプライシング等の導入 など対応当社グループは、「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」の実現に向けた活動に取り組むため、サステナビリティイノベーション(SI)事業拡大、気候変動対策、サステナビリティ情報開示の各プロジェクトにおいて、気候変動対策や資源循環問題等に対する中長期的なロードマップや実行計画を策定、推進し、2030年の数値目標達成に向けた進捗管理を行っております。環境課題への対応を加速させるため、2025年4月にサステナブル経営推進室を新設しました。また、取締役会を補佐し、全社重要事項の協議機関である経営会議において、各プロジェクトの内容及びサステナビリティに関する重要な方針、議題を協議し、グループ横断的・機動的に気候変動関連リスクへの対策を推進しております。自然災害・事故災害に関わるリスク区分E(環境)リスク概要気候変動により台風や洪水等といった風水害の規模が大きくなるなど、自然災害へのリスクが高まっており、当社グループにおいても以下のようなリスクがあります。・突発的な災害や天災、感染症流行、不慮の事故等による製造設備等の損害や原材料等の供給不足・電力・物流をはじめとする社会インフラ機能の低下 など対応当社グループは、「安全・防災・環境保全」をあらゆる経営課題に優先しております。安全・防災・環境保全に関する検討・審議を行うための諮問会議である生産役員会が中心となり、生産活動の中断による損害を最小限に抑えるため、製造設備の定期的な防災点検及び設備保守、また安全活動を推進しております。また大規模地震や水災などに関して、従業員・地域社会への安全対策、事業継続のガイドラインを定め、対策を推進しております。人材戦略リスク区分S(社会)リスク概要働き方や就労観の多様化、労働力人口の減少、長寿・高齢化の加速など、人材戦略に関わる環境は変化しており、当社グループにおいても、以下のようなリスクがあります。・生産継続・事業拡大を支える人材の不足・人材採用競争激化、賃金上昇によるコスト増加・キーマン不足による技術・ノウハウ継承の途絶 など対応当社グループは創業以来、「企業は人なり」の考えを基本に、社会経済情勢や経営環境の変化に対応しながら様々な施策を講じてきましたが、昨今の人材戦略に関わる環境の複雑化を背景に、中期経営課題“プロジェクト AP-G 2025”において「『人を基本とする経営』の深化」を基本戦略の一つに掲げ、人事勤労部門やコーポレートコミュニケーション部門を中心に、各事業、各国・地域と連携して、人を育てる企業文化の継承と発展、個のキャリア形成の充実と働きがいの向上に努めております。多様な人材の確保・登用、自律的なキャリア形成やスキル習得の支援による人材育成、現場の声を尊重する組織風土の醸成などを通じた働きがいと働きやすさの実現により、当社グループの人材基盤を強化します。コンプライアンスに関わるリスク区分G(ガバナンス)リスク概要当社グループは、事業活動を行っている各国及び地域において、環境、商取引、労務、知的財産権、租税、為替、独占禁止法や不正競争防止法等の各種関係法令、投資に関する許認可や輸出入規制の適用を受けており、以下のようなリスクがあります。・新たな環境規制や環境税の導入、法人税率の変動等これらの法令の改変、各種法令での違反判定・競争当局による行政処分、税務当局による更正通知・従業員によるデータ偽装などのコンプライアンス違反・財務報告に係る内部統制の不備・知的財産権、製造物責任、環境、労務等の法令違反に基づく訴訟 など対応全社委員会である倫理・コンプライアンス委員会を中心に、動機・機会・正当化の観点でのリスク抑止、不祥事を起こさせない組織風土づくり、内部通報制度やAIツール活用などを促進し、当社グループ全体の倫理・コンプライアンス活動の深化及びコンプライアンス意識の徹底を図ります。また、当社グループは内部統制システムの整備・維持を図り、国内外関係会社の現場力強化を通じて、内部統制のさらなる充実化を図ります。 情報セキュリティ、サイバー攻撃に関わるリスク区分G(ガバナンス)リスク概要重要技術情報や営業機密を巡っては、悪意のある社内外の者により盗取される事件が巷では継続的に発生しており、情報の取り扱いを巡る問題も複雑化(GDPR、米中対立による情報保護法規制の適用、経済安全保障関連など)していることから、当社グループにおいても以下のようなリスクがあります。・不正侵入、情報の改ざん・盗用・破壊、システムの利用妨害・高度化を続けるサイバー攻撃による事業運営の停止・故意・過失を問わない社外への機密情報流出 など対応当社グループが事業活動を行う上で、情報システム及び情報ネットワークは欠くことのできない基盤であり、構築・運用にあたってはこれまでも十分なセキュリティの確保に努めておりますが、2022年に当社グループ会社を一元的に管理する東レグループ情報セキュリティ推進委員会を設置し、各社個別最適からグループ全体最適を行う体制に変更しました。当該委員会の統括・管理の下で、「東レグループ情報セキュリティ基本方針」を定めるとともに、当社グループ全体のリスク状況と世間動向を把握し、グループ共通のセキュリティ管理基準の策定・実施状況フォロー、定期的なセキュリティ診断及びモニタリングを通じて、当社グループ全体での情報セキュリティの維持向上を図っております。