研究開発費(時系列)
| 年度 | R&D費用(億円) | 設備投資(億円) |
|---|---|---|
| 2025-03 | - | 27 |
| 2024-03 | - | 68 |
| 2023-03 | - | 76 |
| 2022-03 | - | 76 |
| 2021-03 | - | 74 |
研究開発活動(本文)
FY2025|4,312 文字
6【研究開発活動】当社グループの研究開発活動は、長年にわたり蓄積してきた技術力を基盤とし、新技術の開発、応用を進めて、多様化する社会のニーズに応える商品開発を図り、もって事業基盤の強化と新規事業の拡大を行うことを目標としている。当連結会計年度の研究開発費は3,220百万円であり、この中には総合研究所で行っている全社共通テーマの各事業部門に配賦できない費用1,084百万円が含まれている。(1)高分子事業セグメントフィルム事業では、高付加価値品の展開および拡大を推進している。高耐熱性ポリアミドフィルム「ユニアミド」は、耐熱性と溶融加工性が評価されポリイミドフィルムの代替としてモバイル機器向けの採用が増加し、販売量は着実に増加している。また、顧客からの様々な要望に応えるため、新たな生産設備の投資を実行した。これにより、生産能力の向上と多品種対応が可能となり、今後はFPC(フレキシブルプリント基板)および関連基材や、耐熱性と無色透明性、優れた衝撃吸収性能などの特長を活かした用途への展開を進めていく。シリコーンフリー離型PETフィルム「ユニピール」は、年々、高まる高品位化への要望に対応することで、銘柄も増加し、着実に販売量が拡大している。また、高粗度PETフィルム「エンブレットPTH、PTHA」の性能が国内だけでなく、海外まで認められて、販売量が拡大している。柔軟性のある有機系バリア層をナイロンフィルムに積層した新規バリアナイロンフィルム「エンブレムHG」もボイル・レトルト用途に対する高いガスバリア性能と食品の色目保持効果が格段に高いことから、漬物、惣菜、農産加工品を中心に国内だけでなく、海外でも採用が拡大し、ユニチカバリアフィルム商品群の主力銘柄に成長した。さらに、昨今の環境問題への意識の高まりの中、循環社会による持続可能な成長社会を目指す「Circular Economy:CE循環経済」の考えに基づいて、当社の重合設備にてケミカルリサイクルし、再生した樹脂を使用したフィルム「エンブレムCE」と「エンブレットCE」は、ケミカルリサイクルとマテリアルリサイクルを併用することで、機械物性、印刷適性などを損ねることなく、二酸化炭素の排出量を削減できるため採用が進んでいる。さらに、「エンブレムCE」にバリア性を付与した、「エンブレムKCN」も食品包装分野を中心に採用が拡大している。樹脂事業では、当社固有のエンジニアリングプラスチックであるポリアリレート樹脂「Uポリマー」については、その広い温度域における性能、寸法の安定性から、スマートフォン、タブレット用途などのほか、自動車用ランプ用途で引き続き販売を継続している。さらに、新たに開発した溶剤可溶タイプのポリアリレート樹脂「ユニファイナー」の引き合いも増えており、優れた耐熱性と電気特性から、多用途で評価が進んでおり、早期実績化を目指している。ポリアミド樹脂について高耐熱性ポリアミド樹脂である「ゼコット」は、バイオマスプラスチックでありながらスーパーエンジニアプラスチックに属し、電気・電子用途のほか、摺動用途など多くの自動車用テーマを獲得して採用が進んでいる。「ナノコン」については、メタリック着色、ピアノブラック着色等の高外観グレードで、家電関係や自動車関係に採用が増えており、特に注目度の高い欧州での自動車内装材への採用が始まった。オレフィン系エマルションである「アローベース」は、環境に優しい水系のコーティング材料であり、包装材料などの接着層、コーティング層として拡大しているほか、金属と樹脂といった異種材料の接着に効果が認められ引き合いが増加している。また、ナノ多孔膜を形成することができるポリイミドワニスについては、リチウムイオン電池の熱暴走を防ぐ新たな技術として高い関心が寄せられ、ユーザーでの評価が続いている。環境意識の高まりを背景に、サステナブルな社会の実現に向けて環境配慮型素材へのニーズが高まっている状況の中、環境に貢献する100%マテリアルリサイクルが可能なナイロン樹脂「ナノコン」さらに、ケミカルリサイクルナイロン6樹脂の展開も注力している。2024年12月にはマスバランス方式によるマテリアルリサイクルナイロン樹脂に関してISCC PLUS認証を取得した。バイオマスプラスチック事業では、バイオマスプラスチックの普及に向けた研究開発を引き続き進めている。前述した「ゼコット」は、スーパーエンジニアリングプラスチックでありながらバイオマスを原料とした樹脂であり、ポリ乳酸を用いた環境素材「テラマック」とともに、ユニチカの高い環境意識を象徴した製品としての役割も期待されている。用途開発においては、それぞれの特性をユーザーのニーズと一致させることに注力しており、「ゼコット」の電気、自動車用途への適用に加えて、「テラマック」については、音質の良さから楽器(リコーダー)に採用されるなど、広がりを見せており、その成果を示す例が出てきている。当事業セグメントに係る研究開発費は1,127百万円である。(2)機能資材事業セグメントガラス繊維事業では、産業資材用途で顧客ニーズに応えた各種のガラスクロス、及びそれら処理加工、複合品の製品開発を進めている。ユーザーから好評価を得ている透明性に優れたガラス繊維強化樹脂シート(ユークリアーシート)では新規商品展開として製造時の環境負荷を低減した商品を開発し、販売強化を行っているところである。また、膜天井材等の建築不燃認定品の開発にも注力している。電子材料用途においては、スマートフォンなどに搭載される各種プリント配線基板用ICクロスとして超薄ガラスクロスや特殊ガラス(低熱膨張性、低誘電性)を使用したクロスの生産技術の革新に取り組んでいる。また次世代材料の開発ではさらに薄いガラスクロスを望む顧客要求の高まりを受けて、より薄さを追求した超々薄ガラスクロス(特殊ガラスを含む)などの高機能な製品の開発に力を入れている。活性炭繊維事業では、液相分野においては、分子サイズの小さい物質から大きな物質の吸着に有効な幅広い細孔構造を持つ、各種活性炭繊維と機能性繊維の複合化により多成分除去が可能な、国内外の規格適合フィルターを日本及び欧米浄水器市場に展開している。また、高寿命、かつ、低圧力損失、耐熱性を有する繊維・粒状ミックスカーボンフィルターを工業プロセス及び医療用途へ拡販を進める。気相分野においては、四大悪臭(アンモニア、トリメチルアミン、硫化水素、メチルメルカプタン)除去用に加え、揮発性有機化合物(VOC)の中でも、特に揮発性が高く、人体への有害性が強い、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒドに対する吸着性能を向上した特殊活性炭繊維シートを開発し、自動車用に加え、空気清浄機やマスク等、空気浄化用として、海外展開を進めている。ガラスビーズ事業では、粒度分布をシャープにコントロールした「高精度ユニビーズ」について、半導体や電気・電子材料分野向けを中心とした新規ユーザー獲得に向け、さらなる技術改良・開発に取り組んでいる。また、従来製品にはない新規ガラス材料を素材とする球状製品について、ユーザーからのニーズに応えるべく、ガラス熔解・粉砕・球状化・分級・異形選別などのノウハウを活かした技術開発を進めている。不織布事業において、スパンボンド分野では、異形断面糸形状である「ディラ」は、特異な繊維構造を実現し、その高通気性からフィルター材、ワイパー材等の用途展開を図り採用に繋がっており、他素材との複合品の開発も行っている。抗アレルゲン・消臭・抗菌等の多機能性を有する新たな用途への展開も進めており、「ユニダイヤ」として販売を実施している。コンクリートの高品質・長寿命化を可能にしたコンクリート湿潤養生シート「アクアパック」を開発し上市している。スパンレース分野では、コットン素材の持つ優位性から国内外の衛材用途を中心に積極的な開発を推し進めており、撥水や抗菌等の機能性や柄付け等の意匠性の開発により採用実績に繋がっている。また、コットンと長繊維不織布との積層品を「コットエース プラス」として、コットンの風合いを活かしつつ長繊維不織布の強度やシール性をうたった積層品として、2021年上期より販売を開始している。産業繊維事業では、ポリ乳酸紡糸技術による「Material Extrusion方式(熱で融解した造形材料を少しずつ積み重ねていく方式)」に使用される3Dプリンター用フィラメントにおいて、ポリ乳酸製オリジナル、『3Dプリンター用“感温性”フィラメント』、そしてポリ乳酸製の弱点をカバーして造形表現の幅を広げることを実現する易研磨性ポリ乳酸フィラメントも品揃えに加えた。また、業界で初めて製品化したナイロン6樹脂製の中空糸膜フィルターは、これまでの平膜タイプの同樹脂製フィルターに比べて高流量、かつ、長寿命であり、有機溶剤系での使用にも耐えられることから、半導体や化学分野で使用される薬液に含まれる不純物の除去などの用途で採用が続いている。さらに、孔を微細化した限外濾過膜、ナノ濾過膜の開発に成功し、蒸留等の分離プロセスを膜分離で代替できる省エネルギー技術として実用化開発を進めている。その他、高性能・高機能な膜分離を実現させるため、他素材も含めた研究開発を加速している。当事業セグメントに係る研究開発費は974百万円である。(3)繊維事業セグメント環境対応型高機能繊維の開発に注力している。高機能リサイクルポリエステル繊維シリーズとして、潜在捲縮型繊維「ゼットテン」、20葉断面繊維「セシェ」等を、また、バイオマス繊維シリーズとして、ナイロン11繊維「キャストロン」等を開発し、市場では大きな注目を浴びている。また、主要グループ企業では「GRS」、「GOTS」等の認証の取得も完了した。また、ユニチカトレーディング㈱とシキボウ㈱とで、2021年4月に繊維部門における企業間ビジネス連携に合意し、両社の国内外の工場を活用した、ユニークで高機能な商品開発を実施中である。2024年1月に「次世代のサステナブル素材、“カポック”を用いた芯鞘二層構造糸 『PALPA × KAPOK』(パルパー×カポック)を使用した衣料製品販売について」を発表した。以降、複数社で大型案件の採用が進んでいる。さらなる拡販に向けての開発も継続中である。当事業セグメントに係る研究開発費は33百万円である。
FY2024|4,387 文字
6【研究開発活動】当社グループの研究開発活動は、長年にわたり蓄積してきた技術力を基盤とし、新技術の開発、応用を進めて、多様化する社会のニーズに応える商品開発を図り、もって事業基盤の強化と新規事業の拡大を行うことを目標としている。当連結会計年度の研究開発費は3,602百万円であり、この中には中央研究所で行っている全社共通テーマの各事業部門に配賦できない費用1,296百万円が含まれている。(1)高分子事業セグメントフィルム事業では、高付加価値品の展開および拡大を推進している。高耐熱性ポリアミドフィルム「ユニアミド」は、耐熱性と溶融加工性が評価されポリイミドフィルムの代替としてモバイル機器向けの採用が増加し、販売量は着実に増加している。また、顧客からの様々な要望に応えるため、新たな生産設備の投資を意思決定した。2021年8月より工事を着手し、2023年4月に稼働を開始した。これにより、生産能力の向上と多品種対応が可能となり、今後はFPC(フレキシブルプリント基板)および関連基材や、耐熱性と無色透明性、優れた衝撃吸収性能などの特長を活かした用途への展開を進めていく。シリコーンフリー離型PETフィルム「ユニピール」は、年々、高まる高品位化への要望に対応することで、銘柄も増加し、着実に販売量が拡大している。また、高粗度PETフィルム「エンブレットPTH、PTHA」の性能が国内だけでなく、海外まで認められて、販売量が拡大している。柔軟性のある有機系バリア層をナイロンフィルムに積層した新規バリアナイロンフィルム「エンブレムHG」もボイル・レトルト用途に対する高いガスバリア性能と食品の色目保持効果が格段に高いことから、漬物、惣菜、農産加工品を中心に国内だけでなく、海外でも採用が拡大し、ユニチカバリアフィルム商品群の主力銘柄に成長した。さらに、昨今の環境問題への意識の高まりの中、循環社会による持続可能な成長社会を目指す「Circular Economy:CE循環経済」の考えに基づいて、当社の重合設備にてケミカルリサイクルし、再生した樹脂を使用したフィルム「エンブレムCE」と「エンブレットCE」は、ケミカルリサイクルとマテリアルリサイクルを併用することで、機械物性、印刷適性などを損ねることなく、二酸化炭素の排出量を削減できるため採用が進んでいる。さらに、エンブレムCEにバリア性を付与した、「エンブレムKCN」も新たに上市し、食品包装分野を中心に採用が拡大している。樹脂事業では、当社固有のエンジニアリングプラスチックであるポリアリレート樹脂「Uポリマー」については、その広い温度域における性能、寸法の安定性から、スマートフォン、タブレット用途などのほか、自動車用ランプ用途で引き続き販売を継続している。さらに、新たに開発した溶剤可溶タイプのポリアリレート樹脂「ユニファイナー」の引き合いも増えており、優れた耐熱性と電気特性から、多用途で評価が進んでおり、早期実績化を目指している。ポリアミド樹脂について高耐熱性ポリアミド樹脂である「ゼコット」は、バイオマスプラスチックでありながらスーパーエンジニアプラスチックに属し、電気・電子用途のほか、摺動用途など多くの自動車用テーマを獲得して採用が進んでいる。「ナノコン」については、メタリック着色、ピアノブラック着色等の高外観グレードで、家電関係や自動車関係に採用が増えており、特に注目度の高い欧州での自動車内装材への採用が始まった。オレフィン系エマルションである「アローベース」は、環境に優しい水系のコーティング材料であり、包装材料などの接着層、コーティング層として拡大しているほか、金属と樹脂といった異種材料の接着に効果が認められ引き合いが増加している。また、ナノ多孔膜を形成することができるポリイミドワニスについては、リチウムイオン電池の熱暴走を防ぐ新たな技術として高い関心が寄せられ、ユーザーでの評価が続いている。環境意識の高まりを背景に、サステナブルな社会の実現に向けて環境配慮型素材へのニーズが高まっている状況の中、環境に貢献する100%マテリアルリサイクルが可能なナイロン樹脂「ナノコン」と、商品のエコマーク取得が可能(定められた認定基準を満たすことが要件)なポリエステル(PET)樹脂「プレコン シューマリサイクル CoPET」の販売を強化している。「ナノコン」は自動車関連等、「プレコンシューマリサイクル CoPET」 は化粧品・医薬ボトル用途等、その他の各分野を含め、マテリアルリサイクルで環境に貢献する樹脂としての提案をより一層推進し販売拡大を目指している。さらに、ケミカルリサイクルナイロン6樹脂の展開も注力している。バイオマスプラスチック事業では、バイオマスプラスチックの普及に向けた研究開発を引き続き進めている。前述した「ゼコット」は、スーパーエンジニアリングプラスチックでありながらバイオマスを原料とした樹脂であり、ポリ乳酸を用いた環境素材「テラマック」とともに、ユニチカの高い環境意識を象徴した製品としての役割も期待されている。用途開発においては、それぞれの特性をユーザーのニーズと一致させることに注力しており、「ゼコット」の電気、自動車用途への適用に加えて、「テラマック」については、音質の良さから楽器(リコーダー)に採用されるなど、広がりを見せており、その成果を示す例が出てきている。当事業セグメントに係る研究開発費は1,287百万円である。(2)機能資材事業セグメントガラス繊維事業では、産業資材用途で顧客ニーズに応えた各種のガラスクロス、及びそれら処理加工、複合品の製品開発を進めている。ユーザーから好評価を得ている透明性に優れたガラス繊維強化樹脂シート(ユークリアーシート)の新規商品展開や膜天井材等の不燃認定品の開発にも注力している。電子材料用途においてはプリント配線基板用ICクロスとして、超薄ガラスクロスや特殊ガラス(低熱膨張、低誘電)を使用したクロスの生産技術の革新に取り組んでいる。また、次世代材料としてさらに薄いガラスクロスを望む顧客要求の高まりを受けて、さらに薄い超々薄ガラスクロス(特殊ガラスを含む)などの高機能な製品の開発に力を入れている。活性炭繊維事業では、液相分野においては、分子サイズの小さい物質から大きな物質の吸着に有効な幅広い細孔構造を持つ、各種活性炭繊維と機能性繊維の複合化により多成分除去が可能な、国内外の規格適合フィルターを日本及び欧米浄水器市場に展開している。また、高寿命、かつ、低圧力損失、耐熱性を有する繊維・粒状ミックスカーボンフィルターを工業プロセス及び医療用途へ拡販を進める。気相分野においては、四大悪臭(アンモニア、トリメチルアミン、硫化水素、メチルメルカプタン)除去用に加え、揮発性有機化合物(VOC)の中でも、特に揮発性が高く、人体への有害性が強い、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒドに対する吸着性能を向上した特殊活性炭繊維シートを開発し、自動車用に加え、空気清浄機やマスク等、空気浄化用として、海外展開を進めている。ガラスビーズ事業では、粒度分布をシャープにコントロールした「高精度ユニビーズ」について、半導体や電気・電子材料分野向けを中心とした新規ユーザー獲得に向け、さらなる技術改良・開発に取り組んでいる。また、従来製品にはない新規ガラス材料を素材とする球状製品について、ユーザーからのニーズに応えるべく、当事業部のガラス熔解・粉砕・球状化・分級・異形選別などのノウハウを生かした技術開発を進めている。不織布事業において、スパンボンド分野では、異形断面糸形状である「ディラ」は、特異な繊維構造を実現し、その高通気性からフィルター材、ワイパー材等の用途展開を図り採用に繋がっており、他素材との複合品の開発も行っている。抗アレルゲン・消臭・抗菌等の多機能性を有する新たな用途への展開も進めており、「ユニダイヤ」として販売を実施している。コンクリートの高品質・長寿命化を可能にしたコンクリート湿潤養生シート「アクアパック」を開発し上市している。スパンレース分野では、コットン素材の持つ優位性から国内外の衛材用途を中心に積極的な開発を推し進めており、撥水や抗菌等の機能性や柄付け等の意匠性の開発により採用実績に繋がっている。また、コットンと長繊維不織布との積層品を「コットエース プラス」として、コットンの風合いを活かしつつ長繊維不織布の強度やシール性をうたった積層品として、2021年上期より販売を開始している。産業繊維事業では、ポリ乳酸紡糸技術による「Material Extrusion方式(熱で融解した造形材料を少しずつ積み重ねていく方式)」に使用される3Dプリンター用フィラメントにおいて、ポリ乳酸製オリジナル、『3Dプリンター用“感温性”フィラメント』、そしてポリ乳酸製の弱点をカバーして造形表現の幅を広げることを実現する易研磨性ポリ乳酸フィラメントも品揃えに加えた。また、業界で初めて製品化したナイロン6樹脂製の中空糸膜フィルターは、これまでの平膜タイプの同樹脂製フィルターに比べて高流量、かつ、長寿命であり、有機溶剤系での使用にも耐えられることから、半導体や化学分野で使用される薬液に含まれる不純物の除去などの用途で採用が続いている。さらに、孔を微細化した限外濾過膜、ナノ濾過膜の開発に成功し、蒸留等の分離プロセスを膜分離で代替できる省エネルギー技術として実用化開発を進めている。その他、高性能・高機能な膜分離を実現させるため、他素材も含めた研究開発を加速している。当事業セグメントに係る研究開発費は985百万円である。(3)繊維事業セグメント環境対応型高機能繊維の開発に注力している。高機能リサイクルポリエステル繊維シリーズとして、潜在捲縮型繊維「ゼットテン」、20葉断面繊維「セシェ」等を、また、バイオマス繊維シリーズとして、ナイロン11繊維「キャストロン」、ナイロン56繊維「BEAMEX ECO+」等を開発し、市場では大きな注目を浴びている。また、主要グループ企業では「GRS」、「GOTS」等の認証の取得も完了した。また、ユニチカトレーディング(株)とシキボウ(株)とで、2021年4月に繊維部門における企業間ビジネス連携に合意し、両社の国内外の工場を活用した、ユニークで高機能な商品開発を実施中。繊研新聞社主催の2023年度繊研合繊賞において、「BEAMEX ECO+」がマテリアル部門賞を、シキボウ(株)との企業間ビジネス連携が特別賞を受賞した。当事業セグメントに係る研究開発費は32百万円である。
FY2023|5,009 文字
6【研究開発活動】当社グループの研究開発活動は、長年にわたり蓄積してきた技術力を基盤とし、新技術の開発、応用を進めて、多様化する社会のニーズに応える商品開発を図り、もって事業基盤の強化と新規事業の拡大を行うことを目標としている。当連結会計年度の研究開発費は3,757百万円であり、この中には中央研究所で行っている全社共通テーマの各事業部門に配賦できない費用1,299百万円が含まれている。(1)高分子事業セグメントフィルム事業では、高付加価値品の展開および拡大を推進している。高耐熱性ポリアミドフィルム「ユニアミド」は、耐熱性と溶融加工性が評価されポリイミドフィルムの代替としてモバイル機器向けの採用が増加し、販売量は着実に増加している。また、顧客からの様々な要望に応えるため、新たな生産設備の投資を意思決定した。2021年8月より工事を着手し、2023年4月に稼働を見込んでいる。これにより、生産能力の向上と多品種対応が可能となり、今後はFPC(フレキシブルプリント基板)および関連基材や、耐熱性と無色透明性、優れた衝撃吸収性能などの特長を活かした用途への展開を進めていく。シリコーンフリー離型PETフィルム「ユニピール」は、年々、高まる高品位化への要望に対応することで、銘柄も増加し、着実に販売量が拡大している。また、高粗度PETフィルム「エンブレットPTH、PTHA」の性能が国内だけでなく、海外まで認められて、販売量が拡大している。柔軟性のある有機系バリア層をナイロンフィルムに積層した新規バリアナイロンフィルム「エンブレムHG」もボイル・レトルト用途に対する高いガスバリア性能と食品の色目保持効果が格段に高いことから、漬物、惣菜、農産加工品を中心に国内だけでなく、海外でも採用が拡大し、ユニチカバリアフィルム商品群の主力銘柄に成長した。さらに、昨今の環境問題への意識の高まりの中、循環社会による持続可能な成長社会を目指す「Circular Economy:CE 循環経済」の考えに基づいて、当社の重合設備にてケミカルリサイクルし、再生した樹脂を使用したフィルム「エンブレムCE」と「エンブレットCE」は、ケミカルリサイクルとマテリアルリサイクルを併用することで、機械物性、印刷適性などを損ねることなく、二酸化炭素の排出量を削減できるため採用が進んでいる。さらに、エンブレムCEにバリア性を付与した、「エンブレムKCN」も新たに上市し、食品包装分野を中心に採用が拡大している。樹脂事業では、当社固有のエンジニアリングプラスチックであるポリアリレート樹脂「Uポリマー」については、その広い温度域における性能、寸法の安定性から、スマートフォン、タブレット用途などのほか、自動車用ランプ用途で引き続き販売を継続している。さらに、新たに開発した溶剤可溶タイプのポリアリレート樹脂「ユニファイナー」の引き合いも増えており、優れた耐熱性と電気特性から、多用途で評価が進んでおり、早期実績化を目指している。ポリアミド樹脂については、世界的に需給がひっ迫するPA66や同6Tの代替銘柄を開発、提案を実施した結果、多くの引き合いを集めている。中でも、PA6T代替の高耐熱性ポリアミド樹脂である「ゼコット」は、バイオマスプラスチックでありながらスーパーエンジニアプラスチックに属し、電気・電子用途のほか、摺動用途など多くの自動車用テーマを獲得して採用が進んでいる。「ナノコン」については、メタリック着色、ピアノブラック着色等の高外観グレードで、家電関係や自動車関係に採用が増えており、特に注目度の高い欧州での自動車内装材への採用が始まった。オレフィン系エマルションである「アローベース」は、環境に優しい水系のコーティング材料であり、包装材料などの接着層、コーティング層として拡大しているほか、金属と樹脂といった異種材料の接着に効果が認められ引き合いが増加している。また、ナノ多孔膜を形成することができるポリイミドワニスについては、リチウムイオン電池の熱暴走を防ぐ新たな技術として高い関心が寄せられ、ユーザーでの評価が続いている。中央研究所発の新素材である「セルロースナノファイバー配合ナイロン6」は、重合工程でセルロースナノファイバーを樹脂中にナノレベルで均一に分散させる独自の製造方法により得られる。この樹脂は、発泡成形すると気泡の大きさが均一になる特色があり、「樹脂化」、「軽量化」のキーワードで注目を浴びている。また、通常のフィラー配合樹脂では発現しない特性も確認されており、高機能化樹脂としての用途開発を推進している。さらに、環境意識の高まりを背景に、サステナブルな社会の実現に向けて環境配慮型素材へのニーズが高まっている状況の中、環境に貢献する100%マテリアルリサイクルが可能なナイロン樹脂「ナノコン」と、商品のエコマーク取得が可能(定められた認定基準を満たすことが要件)なポリエステル(PET)樹脂「プレコンシューマリサイクル CoPET」の販売を強化している。「ナノコン」は自動車関連等、「プレコンシューマリサイクル CoPET」は化粧品・医薬ボトル用途等、その他の各分野を含め、マテリアルリサイクルで環境に貢献する樹脂としての提案をより一層推進し販売拡大を目指している。さらに、ケミカルリサイクルナイロン6樹脂の展開も注力している。バイオマスプラスチック事業では、バイオマスプラスチックの普及に向けた研究開発を引き続き進めている。前述した「ゼコット」は、スーパーエンジニアリングプラスチックでありながらバイオマスを原料とした樹脂であり、ポリ乳酸を用いた環境素材「テラマック」とともに、ユニチカの高い環境意識を象徴した製品としての役割も期待されている。用途開発においては、それぞれの特性をユーザーのニーズと一致させることに注力しており、「ゼコット」の電気、自動車用途への適用に加えて、「テラマック」については後述の3Dプリンター用フィラメントなど、その成果を示す例が出てきている。当事業セグメントに係る研究開発費は1,420百万円である。(2)機能資材事業セグメントガラス繊維事業では、産業資材用途で顧客ニーズに応えたガラスクロス及びそれら処理加工品の製品開発を進め、ユーザーから好評価を得ている。また、電子材料用途では、超薄クロスの生産技術革新に取り組むとともに、高性能な新規ICクロスも開発中である。活性炭繊維事業では、液相分野においては、浄水器用及び工業フィルター用の高性能化とコストダウンにより国内外での競争力の強化を図っている。また、気相分野においては、自動車用に加え、空気清浄機やマスクなど、空気脱臭用の高性能化とコストダウンにより海外展開を進めていく。ガラスビーズ事業では、粒度分布をシャープにコントロールした「高精度ユニビーズ」について、半導体や電気・電子材料分野向けを中心とした新規ユーザー獲得に向け、さらなる技術改良・開発に取り組んでいる。また、従来製品にはない新規ガラス材料を素材とする球状製品について、ユーザーからのニーズに応えるべく、当事業部のガラス熔解・粉砕・球状化・分級・異形選別などのノウハウを生かした技術開発を進めている。不織布事業では、スパンボンド分野にて、極太の異形断面糸形状である「ディラ」は、類をみない繊維構造で硬さと高通気性からフィルター材、ワイパー材他、多様な用途への展開を図り、採用実績に繋がっている。また、「ディラ」の特長を活かして、他不織布、他素材との複合品の開発も行っており、さらなる拡販を行う。農業分野へは多様なニーズに応えるべく、べたがけシートについて、透光・保温を兼ね備え、かつ従来品よりさらなる耐久性の向上を目指した開発を進めた結果、2018年度より新規品として本格販売を行い高評価を得ている。多機能(抗アレルゲン・消臭・抗菌等)の性能を有する新たな用途への展開も進めており、アレル物質低減機能などを付与した「ユニダイヤ」として販売している。さらに、「エルベス」等への同様の性能付与についても今後大きく展開しようと計画している。土木分野では、コンクリート面に貼り付けることで、コンクリートの高品質化を可能にし、構造物の長寿命化に貢献するコンクリート湿潤養生シート「アクアパック」を開発し上市している。また、タイ国における新機台の増設により、差別化を図った素材を提供することが可能となり、新規用途を含めた開発を進めている。スパンレース分野では、コットン素材の持つ優位性から国内外の衛材用途を中心に積極的な開発を推し進めている。撥水や抗菌等の機能性付与や他シートとの複合、柄付け等の意匠性の開発により採用実績に繋がっている。また、コットンと長繊維不織布との積層品を「コットエース プラス」として、2021年上期より販売を開始している。コットンの風合いを活かしつつ、長繊維不織布の強度やシール性をうたった積層品であり、各種分野への拡販が期待できる製品である。産業繊維事業では、ポリ乳酸紡糸技術による「Material Extrusion方式(熱で融解した造形材料を少しずつ積み重ねていく方式)」に使用される3Dプリンター用フィラメントにおいて、ポリ乳酸製オリジナル、『3Dプリンター用“感温性”フィラメント』、そしてポリ乳酸製の弱点をカバーして造形表現の幅を広げることを実現する易研磨性ポリ乳酸フィラメントも品揃えに加えた。また、業界で初めて製品化したナイロン6樹脂製の中空糸膜フィルターは、これまでの平膜タイプの同樹脂製フィルターに比べて高流量、かつ、長寿命であり、有機溶剤系での使用にも耐えられることから、半導体や化学分野で使用される薬液に含まれる不純物の除去などの用途で採用が続いている。さらに、孔を微細化した限外濾過膜、ナノ濾過膜の開発に成功し、蒸留等の分離プロセスを膜分離で代替できる省エネルギー技術としてNEDO助成事業に採択され実用化開発を進めている。その他、高性能・高機能な膜分離を実現させるため、他素材も含めた研究開発を加速している。当事業セグメントに係る研究開発費は1,002百万円である。(3)繊維事業セグメント衣料繊維事業では、環境対応型高機能繊維の開発に注力している。高機能リサイクルポリエステル繊維シリーズでは、潜在捲縮型繊維「ゼットテン」、20葉断面繊維「セシェ」の他、太陽光遮蔽性繊維「サラクール」、マイクロ繊度繊維「EQ」、さらには異型断面繊維「セシェ6」、「ルーチェ」を新たに上市した。一方、バイオマス繊維としては、ナイロン11繊維「キャストロン」、ナイロン56繊維「BEAMEX ECO+」、DUPONTの植物由来繊維「SORONA」を紡績した「パルパー Made with Sorona Polymer」を開発し、市場では大きな注目を浴びている。主要グループ企業であるユニチカトレーディング(株)、日本エステル(株)、ユニテックスにおいて、リサイクル繊維認証GRS(Global Recycled Standard)を、また、ユニチカトレーディング(株)、ユニチカテキスタイル(株)、P.T.UNITEXにおいては、オーガニックコットン認証GOTS(Global Organic Textile Standard)を取得、さらに、ユニチカトレーディング(株)では、リサイクル繊維認証RCS(Recycled Claim Standard)、オーガニックコットン認証OCS(Organic Content Standard)の取得も完了した。異型断面ポリエステル長繊維「セシェ6」が繊研新聞社主催の繊研合繊賞・マテリアル部門賞を受賞、業界での注目が集まっている。また、ユニチカトレーディング(株)とシキボウ(株)とで、2021年4月に繊維部門における企業間ビジネス連携に合意し、両社の国内外の工場を活用した、ユニークで高機能な商品開発を実施中。2021年12月に初の両社合同展示会に続き、2022年8~9月に2回目展示会を開催し、各販売分野においての開発が進んでいる。当事業セグメントに係る研究開発費は34百万円である。
FY2022|4,826 文字
5【研究開発活動】当社グループの研究開発活動は、長年にわたり蓄積してきた技術力を基盤とし、新技術の開発、応用を進めて、多様化する社会のニーズに応える商品開発を図り、もって事業基盤の強化と新規事業の拡大を行うことを目標としている。当連結会計年度の研究開発費は3,601百万円であり、この中には中央研究所で行っている全社共通テーマの各事業部門に配賦できない費用1,147百万円が含まれている。(1)高分子事業セグメントフィルム事業では、高付加価値品の展開および拡大を推進している。高耐熱性ポリアミドフィルム「ユニアミド」は、耐熱性と溶融加工性が評価されポリイミドフィルムの代替としてモバイル機器向けの採用が増加し、販売量は着実に増加している。また、顧客からの様々な要望に応えるため、新たな生産設備の投資を意思決定した。2021年8月より工事を着手し、2023年1月に稼働を見込んでいる。これにより、生産能力の向上と多品種対応が可能となり、今後はFPC(フレキシブルプリント基板)および関連基材や、耐熱性と無色透明性、優れた衝撃吸収性能などの特長を活かした用途への展開を進めていく。シリコーンフリー離型PETフィルム「ユニピール」は、年々、高まる高品位化への要望に対応することで、銘柄も増加し、着実に販売量が拡大している。また、高粗度PETフィルム「エンブレットPTH、PTHA」の性能が国内だけでなく、海外まで認められて、販売量が拡大している。柔軟性のある有機系バリア層をナイロンフィルムに積層した新規バリアナイロンフィルム「エンブレムHG」もボイル・レトルト用途に対する高いガスバリア性能と食品の色目保持効果が格段に高いことから、漬物、惣菜、農産加工品を中心に国内だけでなく、海外でも採用が拡大し、ユニチカバリアフィルム商品群の主力銘柄に成長した。さらに、昨今の環境問題への意識の高まりの中、循環社会による持続可能な成長社会を目指す「Circular Economy:CE 循環経済」の考えに基づいて、当社の重合設備にてケミカルリサイクルし、再生した樹脂を使用したフィルム「エンブレムCE」と「エンブレットCE」は、ケミカルリサイクルとマテリアルリサイクルを併用することで、機械物性、印刷適性などを損ねることなく、二酸化炭素の排出量を削減できるため採用が進んでいる。さらに、エンブレムCEにバリア性を付与した、「エンブレムKCN」も新たに上市し、食品包装分野を中心に採用が拡大している。樹脂事業では、当社固有のエンジニアリングプラスチックであるポリアリレート樹脂「Uポリマー」については、その広い温度域における性能、寸法の安定性から、スマートフォン、タブレット用途などのほか、自動車用ランプ用途で引き続き販売を継続しているほか、新たに開発した溶剤可溶タイプのポリアリレート樹脂「ユニファイナー」Ⅴシリーズの引き合いも増えており、優れた耐熱性と電気特性から、多用途で評価が進んでおり、早期実績化を目指している。ポリアリレート樹脂の旺盛な需要に応えるため行っていた増産工事が2018年12月に完了し、生産能力20%アップを実現した。ポリアミド樹脂については、世界的に需給がひっ迫するPA66や同6Tの代替銘柄を開発、提案を実施した結果、多くの引き合いを集めている。中でも、PA6T代替の高耐熱性ポリアミド樹脂である「ゼコット」は、電気・電子用途のほか、摺動用途など多くの自動車用テーマを獲得して採用が進んでいる。オレフィン系エマルションである「アローベース」は包装材料などの接着層、コーティング層として拡大しているほか、金属と樹脂といった異種材料の接着に効果が認められ引き合いが増加している。また、ナノ多孔膜を形成することができるポリイミドワニスについては、リチウムイオン電池の熱暴走を防ぐ新たな技術として高い関心が寄せられ、ユーザーでの評価が続いている。ナノコンについては、メタリック着色、ピアノブラック着色等の高外観グレードで、家電関係や自動車関係に採用が増えており、特に注目度の高い欧州での自動車内装材への採用が始まった。中央研究所発の新素材である「セルロースナノファイバー配合ナイロン6」は、重合工程でセルロースナノファイバーを樹脂中にナノレベルで均一に分散させる独自の製造方法により得られる。この樹脂は、発泡成形すると気泡の大きさが均一になる特色があり、「樹脂化」、「軽量化」のキーワードで注目を浴びている。また、通常のフィラー配合樹脂では発現しない特性も確認されており、高機能化樹脂としての用途開発を推進している。バイオマスプラスチック事業では、バイオマスプラスチックの普及に向けた研究開発を引き続き進めている。前述した「ゼコット」は、スーパーエンジニアリングプラスチックでありながらバイオマスを原料とした樹脂であり、ポリ乳酸を用いた環境素材「テラマック」とともに、ユニチカの高い環境意識を象徴した製品としての役割も期待されている。用途開発においては、それぞれの特性をユーザーのニーズと一致させることに注力しており、「ゼコット」の電気、自動車用途への適用に加えて、「テラマック」については後述の3Dプリンター用フィラメントなど、その成果を示す例が出てきている。当事業セグメントに係る研究開発費は1,473百万円である。(2)機能資材事業セグメントガラス繊維事業では、産業資材用途で顧客ニーズに応えたガラスクロス及びそれら処理加工品の製品開発を進め、ユーザーから好評価を得ている。また、電子材料用途では、超薄クロスの生産技術革新に取り組むとともに、高性能な新規ICクロスも開発中である。活性炭繊維事業では、液相分野においては、浄水器用及び工業フィルター用の高性能化とコストダウンにより国内外での競争力の強化を図っている。また、気相分野においては、自動車用に加え、空気清浄機やマスクなど、空気脱臭用の高性能化とコストダウンにより海外展開を進めていく。ガラスビーズ事業では、粒度分布をシャープにコントロールした「高精度ユニビーズ」について、半導体や電気・電子材料分野向けを中心とした新規ユーザー獲得に向け、さらなる技術改良・開発に取り組んでいる。また、従来製品にはない新規ガラス材料を素材とする球状製品について、ユーザーからのニーズに応えるべく、当事業部のガラス熔解・粉砕・球状化・分級・異形選別などのノウハウを生かした技術開発を進めている。不織布事業では、スパンボンド分野にて、極太の異形断面糸形状である「ディラ」は、類をみない繊維構造で硬さと高通気性からフィルター材、ワイパー材他、多様な用途への展開を図り、採用実績に繋がっている。また、「ディラ」の特長を活かして、他不織布、他素材との複合品の開発も行っており、さらなる拡販を行う。農業分野へは多様なニーズに応えるべく開発を進めており、従来からのべたがけシートについて、透光・保温を兼ね備え、かつさらなる耐久性の向上を目指した開発を進めた結果、開発が完了し、2018年度から本格販売を行い高評価を得ている。また、さらに透明性を向上した高透光性シートの開発も進めている。多機能(抗アレルゲン・消臭・抗菌等)の性能を有する新たな用途への開発も進めており、アレル物質低減機能などを付与した「ユニダイヤ」を2018年6月より上市している。さらに、「エルベス」等への同様の性能付与についても開発を開始している。土木分野では、コンクリート面に貼り付けることで、コンクリートの高品質化を可能にし、構造物の長寿命化に貢献するコンクリート湿潤養生シート「アクアパック」を開発し、2019年9月より上市している。また、タイ国における新機台の増設により、今までと違った素材を提供することが可能となり、新規用途を含めた開発を進めている。スパンレース分野では、コットン素材の持つ優位性から国内外の衛材用途を中心に積極的な開発を推し進めている。撥水や抗菌等の機能性付与や他シートとの複合、柄付け等の意匠性の開発により採用実績に繋がっている。また、コットンと長繊維不織布との積層品を「コットエース プラス」として、2021年上期より販売を開始している。コットンの風合いを活かしつつ、長繊維不織布の強度やシール性をうたった積層品であり、各種分野への拡販を進めている。今後もユーザーの要望に応える製品をタイムリーに提供できるよう開発を進めていく。産業繊維事業では、ポリ乳酸紡糸技術による「Material Extrusion方式(熱で融解した造形材料を少しずつ積み重ねていく方式)」に使用される3Dプリンター用フィラメントにおいて、ポリ乳酸製オリジナル、『3Dプリンター用“感温性”フィラメント』、そしてポリ乳酸製の弱点をカバーして造形表現の幅を広げることを実現する易研磨性ポリ乳酸フィラメントも品揃えに加えた。また、業界で初めて製品化したナイロン6樹脂製の中空糸膜フィルターは、これまでの平膜タイプの同樹脂製フィルターに比べて高流量、かつ、長寿命であり、有機溶剤系での使用にも耐えられることから、半導体や化学分野で使用される薬液に含まれる不純物の除去などの用途で採用が続いている。さらに、孔を微細化した限外濾過膜、ナノ濾過膜の開発に成功し、蒸留等の分離プロセスを膜分離で代替できる省エネルギー技術としてNEDO助成事業に採択され実用化開発を進めている。その他、高性能・高機能な膜分離を実現させるため、他素材も含めた研究開発を加速している。当事業セグメントに係る研究開発費は956百万円である。(3)繊維事業セグメント衣料繊維事業では、環境対応型高機能繊維の開発に注力している。グループ企業の工場廃材をケミカルリサイクルした潜在捲縮型ポリエステル繊維「Z-10」及び、20葉断面シルキー調ポリエステル繊維「セシェ」の開発が完了し上市した。高機能リサイクルポリエステル繊維シリーズは、今後も、太陽光遮蔽性ポリエステル繊維「サラクール」、マイクロ繊度ポリエステル繊維「EQ」等、順次上市していく予定。紡績糸においてもリサイクルポリエステル繊維による紡績糸「パルパーエコ」の商品を拡充した。主要グループ企業であるユニチカトレーディング(株)、日本エステル(株)、ユニテックスにおいてGRS(Global Recycled Standard)認証を取得した。また、ユニチカトレーディング(株)、ユニチカテキスタイル(株)、P.T.UNITEXにおいて、オーガニックコットンの国際認証であるGOTS(Global Organic Textile Standard)も取得した。一方、バイオマス繊維としては、ナイロン11繊維「キャストロン」、ナイロン56繊維「BEAMEX ECO+」、DUPONTの植物由来繊維「SORONA」を紡績した「パルパー Made with Sorona Polymer」を開発し、市場では大きな注目を浴びている。2019年末から世界的に大流行している新型コロナウイルス感染症に対応した商品として、医療現場従事者向けに、より高機能なアイソレーションガウン用素材「ユニソフィア」シリーズを開発し、販売を開始した。当社初の試みとして、独自のECサイトを立ち上げ、一般消費者向けに高機能マスクの販売を開始、市場から高い評価を得られている。また、ユニチカトレーディング(株)とシキボウ(株)とで、繊維部門における企業間ビジネス連携に合意した。今後、両社の国内外の工場を活用した、ユニークで高機能な商品開発を目指していく中で、2021年12月に初の両社合同展示会を開催した。当事業セグメントに係る研究開発費は24百万円である。
FY2021|4,655 文字
5【研究開発活動】当社グループの研究開発活動は、長年にわたり蓄積してきた技術力を基盤とし、新技術の開発、応用を進めて、多様化する社会のニーズに応える商品開発を図り、もって事業基盤の強化と新規事業の拡大を行うことを目標としている。当連結会計年度の研究開発費は3,639百万円であり、この中には中央研究所で行っている全社共通テーマの各事業部門に配賦できない費用1,124百万円が含まれている。(1)高分子事業セグメントフィルム事業では、高付加価値品の展開および拡大を推進している。高耐熱性ポリアミドフィルム「ユニアミド」は、耐熱性と溶融加工性が評価されポリイミドフィルムの代替としてモバイル機器向けの採用が増加し、販売量は着実に増加している。また、顧客からの様々な要望に応えるため、新たな生産設備の投資を意思決定した。2021年8月より工事に着手し、2023年1月に稼働を見込んでいる。これにより、生産能力の向上と多品種対応が可能となり、今後はFPC(フレキシブルプリント基板)および関連基材や、耐熱性と無色透明性、優れた衝撃吸収性能などの特長を活かした用途への展開を進めていく。シリコーンフリー離型PETフィルム「ユニピール」は、年々、高まる高品位化への要望に対応することで、銘柄も増加し、着実に販売量が拡大している。また、高粗度PETフィルム「エンブレットPTH、PTHA」の性能が国内だけでなく、海外まで認められて、販売量が拡大している。柔軟性のある有機系バリア層をナイロンフィルムに積層した新規バリアナイロンフィルム「エンブレムHG」もボイル・レトルト用途に対する高いガスバリア性能と食品の色目保持効果が格段に高いことから、漬物、惣菜、農産加工品を中心に国内だけでなく、海外でも採用が拡大し、ユニチカバリアフィルム商品群の主力銘柄に成長した。また、ユニチカを代表するバリアフィルム、「エンブレムDCR」の新銘柄として、バリア性と低温での耐ピンホール性をさらに向上させた「エンブレムDCR-25(K)」を上市し、好評を得ている。さらに、昨今の環境問題への意識の高まりの中、循環社会による持続可能な成長社会を目指す「Circular Economy:CE循環経済」の考えに基づいて、当社の重合設備にてケミカルリサイクルし、再生した樹脂を使用したフィルム「エンブレムCE」と「エンブレットCE」を上市した。ケミカルリサイクルとマテリアルリサイクルを併用することで、機械物性、印刷適性などを損ねることなく、再生材料の利用比率を高めることができた。樹脂事業では、当社固有のエンジニアリングプラスチックであるポリアリレート樹脂「Uポリマー」(Tシリーズ含む)については、その広い温度域における性能、寸法の安定性から、スマートフォン、タブレット用途などのほか、自動車用ランプ用途で引き続き販売を継続しているほか、新たに開発した溶剤可溶タイプのポリアリレート樹脂「ユニファイナー」Vシリーズの引き合いが増えており、優れた耐熱性と電気特性から、多用途で評価が進んでおり、早期実績化を目指している。ポリアリレート樹脂の旺盛な需要に応えるため行っていた増産工事が2018年12月に完了し、生産能力20%アップを実現した。高耐熱性ポリアミド樹脂である「ゼコット」は電気・電子用途のほか、摺動用途でも採用が進んでいる。オレフィン系エマルションである「アローベース」は包装材料などの接着層、コーティング層として拡大しているほか、金属と樹脂といった異種材料の接着に効果が認められ引き合いが増加している。また、ナノ多孔膜を形成することができるポリイミドワニスについては、リチウムイオン電池の熱暴走を防ぐ新たな技術として高い関心が寄せられ、ユーザーでの評価が続いている。ナノコンについては、メタリック着色、ピアノブラック着色等の高外観グレードで、家電関係や自動車関係に採用が増えており、特に注目度の高い欧州での自動車内装材への採用が始まった。中央研究所発の新素材である「セルロースナノファイバー配合ナイロン6」は、重合工程でセルロースナノファイバーを樹脂中にナノレベルで均一に分散させる独自の製造方法により得られる。この樹脂は、発泡成形すると気泡の大きさが均一になる特色があり、「樹脂化」、「軽量化」のキーワードで注目を浴びている。また、通常のフィラー配合樹脂では発現しない特性も確認されており、高機能化樹脂としての用途開発を推進している。バイオマスプラスチック事業では、バイオマスプラスチックの普及に向けた研究開発を引き続き進めている。前述した「ゼコット」は、スーパーエンジニアリングプラスチックでありながらバイオマスを原料とした樹脂であり、ポリ乳酸を用いた環境素材「テラマック」とともに、ユニチカの高い環境意識を象徴した製品としての役割も期待されている。用途開発においては、それぞれの特性をユーザーのニーズと一致させることに注力しており、「ゼコット」の電気、自動車用途への適用に加えて、「テラマック」については後述の3Dプリンター用フィラメントなど、その成果を示す例が出てきている。さらに、グループ内の全事業における技術開発に関わる支援および技術企画を担う技術開発本部内に、サステナブル推進グループを2019年5月に新設し、当該グループを2020年7月にはサステナブル推進室に昇格させ、環境配慮型素材の開発を全社的に推し進めていく体制を整えた。当事業セグメントに係る研究開発費は1,524百万円である。(2)機能資材事業セグメントガラス繊維事業では、産業資材用途で顧客ニーズに応えたガラスクロス及びそれら処理加工品の製品開発を進め、ユーザーから好評価を得ている。また、電子材料用途では、超薄クロスの生産技術革新に取り組むとともに、高性能な新規ICクロスも開発中である。活性炭繊維事業では、液相分野においては、浄水器用及び工業フィルター用の高性能化とコストダウンにより国内外での競争力の強化を図っている。また、気相分野においては、自動車用に加え、空気清浄機やマスクなど、空気脱臭用の高性能化とコストダウンにより海外展開を進めていく。ガラスビーズ事業では、粒度分布をシャープにコントロールした「高精度ユニビーズ」について、半導体や電気・電子材料分野向けを中心とした新規ユーザー獲得に向け、さらなる技術改良・開発に取り組んでいる。また、従来製品にはない新規ガラス材料を素材とする球状製品について、ユーザーからのニーズに応えるべく、当事業部のガラス熔解・粉砕・球状化・分級・異形選別などのノウハウを生かした技術開発を進めている。不織布事業では、スパンボンド分野にて、極太の異形断面糸形状である「ディラ」は、類をみない繊維構造で硬さと高通気性からフィルター材、ワイパー材他、多様な用途への展開を図り、採用実績に繋がっている。また、「ディラ」の特長を活かして、他不織布、他素材との複合品の開発も行っており、さらなる拡販を行う。農業分野へは多様なニーズに応えるべく開発を進めており、従来からのべたがけシートについて、透光・保温を兼ね備え、かつさらなる耐久性の向上を目指した開発を進めた結果、開発が完了し、2018年度から本格販売を行い高評価を得ている。また、さらに透明性を向上した高透光性シートの開発も進めている。多機能(抗アレルゲン・消臭・抗菌等)の性能を有する新たな用途への開発も進めており、アレル物質低減機能などを付与した「ユニダイヤ」を2018年6月より上市している。土木分野では、コンクリート面に貼り付けることで、コンクリートの高品質化を可能にし、構造物の長寿命化に貢献するコンクリート湿潤養生シート「アクアパック」を開発し、2019年9月より上市している。また、タイ国における新機台の増設により、今までと違った素材を提供することが可能となり、新規用途を含めた開発を進めている。スパンレース分野では、コットン素材の持つ優位性から国内外の衛材用途を中心に積極的な開発を推し進めている。撥水や抗菌等の機能性付与や他シートとの複合、積層、柄付け等の意匠性の開発により採用実績に繋がっている。今後ともユーザーの要望に応える製品をタイムリーに提供できるよう開発を進めていく。産業繊維事業では、ポリ乳酸紡糸技術による「Material Extrusion方式(熱で融解した造形材料を少しずつ積み重ねていく方式)」に使用される3Dプリンター用フィラメントにおいて、ポリ乳酸製オリジナル、『3Dプリンター用“感温性”フィラメント』、そしてポリ乳酸製の弱点をカバーして造形表現の幅を広げることを実現する易研磨性ポリ乳酸フィラメントも品揃えに加えた。また、業界で初めて製品化したナイロン6樹脂製の中空糸膜フィルターは、これまでの平膜タイプの同樹脂製フィルターに比べて高流量、かつ、長寿命であり、有機溶剤系での使用にも耐えられることから、半導体や化学分野で使用される薬液に含まれる不純物の除去などの用途で採用が続いている。さらに、孔を微細化した限外濾過膜、ナノ濾過膜の開発に成功し、蒸留等の分離プロセスを膜分離で代替できる省エネルギー技術としてNEDO助成事業に採択され実用化開発を進めている。その他、高性能・高機能な膜分離を実現させるため、他素材も含めた研究開発を加速している。当事業セグメントに係る研究開発費は982百万円である。(3)繊維事業セグメント衣料繊維事業では、環境対応型高機能繊維の開発に注力している。グループ企業の工場廃材をケミカルリサイクルした潜在捲縮型ポリエステル繊維「Z-10」及び、20葉断面シルキー調ポリエステル繊維「セシェ」の開発が完了し上市した。高機能リサイクルポリエステル繊維シリーズは、今後も、太陽光遮蔽性ポリエステル繊維「サラクール」、マイクロ繊度ポリエステル繊維「EQ」等、順次上市していく予定。紡績糸においてもリサイクルポリエステル繊維による紡績糸「パルパーエコ」の商品を拡充した。主要グループ企業であるユニチカトレーディング(株)、日本エステル(株)、ユニテックスにおいてGRS(Global Recycled Standard)認証を取得した。一方、バイオマス繊維としては、ナイロン11繊維「キャストロン」、DUPONTの植物由来繊維「SORONA」を紡績した「パルパー Made with Sorona Polymer」を開発し、市場では大きな注目を浴びている。2019年末から世界的に大流行している新型コロナウイルス感染症に対応した商品として、アイソレーションガウンを、国内サプライチェーンを整備した上で、2020年に関係省庁に対して緊急供給した。また、医療現場従事者向けに、より高機能なアイソレーションガウン用素材「ユニソフィア」シリーズを開発した。さらに、当社初の試みとして、独自のECサイトを立ち上げ、一般消費者向けに高機能マスクの販売を開始、市場から高い評価を得られている。また、ユニチカトレーディング(株)とシキボウ(株)とで、繊維部門における企業間ビジネス連携に合意した。今後、両社の国内外の工場を活用した、ユニークで高機能な商品開発を目指していく。当事業セグメントに係る研究開発費は8百万円である。
FY2020|4,992 文字
5【研究開発活動】当社グループの研究開発活動は、長年にわたり蓄積してきた技術力を基盤とし、新技術の開発、応用を進めて、多様化する社会のニーズに応える商品開発を図り、もって事業基盤の強化と新規事業の拡大を行うことを目標としている。当連結会計年度の研究開発費は3,624百万円であり、この中には中央研究所で行っている全社共通テーマの各事業部門に配賦できない費用1,068百万円が含まれている。(1)高分子事業フィルム事業では、高付加価値品の展開および拡大を推進している。高耐熱性ポリアミドフィルム「ユニアミド」は、耐熱性と溶融加工性が評価されポリイミドフィルムの代替としてモバイル機器向けの採用が増加し、販売量は着実に増加している。今後はFPC(フレキシブルプリント基板)および関連基材や、耐熱性と無色透明性、優れた衝撃吸収性能などの特長を活かした用途への展開を進めていく。シリコーンフリー離型PETフィルム「ユニピール」は、年々、高まる高品位化への要望に対応することで、銘柄も増加し、着実に販売量が拡大している。また、高粗度PETフィルム「エンブレットPTH、PTHA」の性能が国内だけでなく、海外まで認められて、販売量が拡大している。柔軟性のある有機系バリア層をナイロンフィルムに積層した新規バリアナイロンフィルム「エンブレムHG」もボイル・レトルト用途に対する高いガスバリア性能と食品の色目保持効果が格段に高いことから、漬物、惣菜、農産加工品を中心に国内だけでなく、海外でも採用が拡大し、ユニチカバリアフィルム商品群の主力銘柄に成長した。また、ユニチカを代表するバリアフィルム、「エンブレムDCR」の新銘柄として、バリア性と低温での耐ピンホール性をさらに向上させた「エンブレムDCR-25(K)」を上市し、好評を得ている。さらに、昨今の環境問題への意識の高まりの中、循環社会による持続可能な成長社会を目指す「Circular Economy:CE循環経済」の考えに基づいて、当社の重合設備にてケミカルリサイクルし、再生した樹脂を使用したフィルム「エンブレムCE」と「エンブレットCE」を上市した。ケミカルリサイクルとマテリアルリサイクルを併用することで、機械物性、印刷適性などを損ねることなく、再生材料の利用比率を高めることができた。樹脂事業では、自動車などの軽量化に有効なナイロン系射出発泡用樹脂「フォーミロン」の商品展開に注力しており、国内高級車への搭載も始まっている。当社固有のエンジニアリングプラスチックであるポリアリレート樹脂「Uポリマー」については、その広い温度域における性能、寸法の安定性から、スマートフォン、タブレット用途などのほか、自動車用ランプ用途で引き続き販売を継続しているほか、新たに開発した溶剤可溶タイプのポリアリレート樹脂「ユニファイナー」Vシリーズ、高耐熱成形用途Tシリーズの引き合いも増えており、優れた耐熱性と電気特性から、多用途で評価が進んでおり、早期実績化を目指している。ポリアリレート樹脂の旺盛な需要に応えるため行っていた増産工事が2018年12月に完了し、生産能力20%アップを実現した。高耐熱性ポリアミド樹脂である「ゼコット」は電気・電子用途のほか、摺動用途でも採用が進んでいる。オレフィン系エマルションである「アローベース」は包装材料などの接着層、コーティング層として拡大しているほか、金属と樹脂といった異種材料の接着に効果が認められ引き合いが増加している。ポリエステル樹脂としては、ダイレクトブロー用に開発した共重合品のラインナップに耐衝撃グレードを加え、採用が拡大している。昨今の環境配慮意識の高まりもあり、バイオマスかつ生分解材料である「テラマック」のストロー用グレードについては、2019年3月25日にプレスリリースを行い、採用が始まっている。また、ナノ多孔膜を形成することができるポリイミドワニスについては、リチウムイオン電池の熱暴走を防ぐ新たな技術として高い関心が寄せられ、ユーザーでの評価が続いている。ナノコンについては、メタリック着色、ピアノブラック着色等の高外観グレードで、家電関係や自動車関係に採用が増えており、特に注目度の高い欧州での自動車内装材への採用が始まった。中央研究所発の新素材である「セルロースナノファイバー配合ナイロン6」は、重合工程でセルロースナノファイバーを樹脂中にナノレベルで均一に分散させる独自の製造方法により得られる。この樹脂は、発泡成形すると気泡の大きさが均一になる特色があり、「樹脂化」、「軽量化」のキーワードで注目を浴びている。また、通常のフィラー配合樹脂では発現しない特性も確認されており、高機能化樹脂としての用途開発を推進している。不織布事業では、スパンボンド分野にて、極太の異形断面糸形状である「ディラ」は、類をみない繊維構造で硬さと高通気性からフィルター材、ワイパー材他、多様な用途への展開を図り、採用実績に繋がっている。また、「ディラ」の特長を活かして、他不織布、他素材との複合品の開発も行っており、さらなる拡販を行う。農業分野へは多様なニーズに応えるべく開発を進めており、従来からのべたがけシートについて、透光・保温を兼ね備え、かつさらなる耐久性の向上を目指した開発を進めた結果、開発が完了し、2018年度から本格販売を行い高評価を得ている。また、さらに透明性を向上した高透光性シートの開発も進めている。多機能(抗アレルゲン・消臭・抗菌等)の性能を有する新たな用途への開発も進めており、アレル物質低減機能などを付与した「ユニダイヤ」を2018年6月より上市している。土木分野では、コンクリート面に貼り付けることで、コンクリートの高品質化を可能にし、構造物の長寿命化に貢献するコンクリート湿潤養生シート「アクアパック」を開発し、2019年9月より上市している。また、タイ国における新機台の増設により、今までと違った素材を提供することが可能となり、新規用途を含めた開発を進めている。スパンレース分野では、コットン素材の持つ優位性から国内外の衛材用途を中心に積極的な開発を推し進めている。撥水や抗菌等の機能性付与や他シートとの複合、柄付け等の意匠性の開発により採用実績に繋がっている。今後ともユーザーの要望に応える製品をタイムリーに提供できるよう開発を進めていく。バイオマスプラスチック事業では、バイオマスプラスチックの普及に向けた研究開発を引き続き進めている。前述した「ゼコット」は、スーパーエンジニアリングプラスチックでありながらバイオマスを原料とした樹脂であり、ポリ乳酸を用いた環境素材「テラマック」とともに、ユニチカの高い環境意識を象徴した製品としての役割も期待されている。用途開発においては、それぞれの特性をユーザーのニーズと一致させることに注力しており、「ゼコット」の電気、自動車用途への適用に加えて、「テラマック」の包装フィルム用マスターバッチや、後述の3Dプリンター用フィラメントなど、その成果を示す例が出てきている。このほかにも新規バイオマスプラスチックの開発に関して、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業である「木質バイオマスからの各種化学品原料の一貫製造プロセスの開発」プロジェクトに2013年度から参加し、次世代のバイオマスプラスチックの開発を行っている。さらに、グループ内の全事業における技術開発に関わる支援および技術企画を担う技術開発本部内に、サステナブル推進グループを2019年5月に新設し、環境配慮型素材の開発を全社的に推し進めていく体制を整えた。当事業に係る研究開発費は1,879百万円である。(2)機能材事業ガラス繊維事業では、産業資材用途で顧客ニーズに応えたガラスクロス及びそれら処理加工品の製品開発を進め、ユーザーから好評価を得ている。また、電子材料用途では、超薄クロスの生産技術革新に取り組むとともに、高性能な新規ICクロスも開発中である。活性炭繊維事業では、液相分野においては、浄水器用及び工業フィルター用の高性能化とコストダウンにより国内外での競争力の強化を図っている。また、気相分野においては、自動車用に加え、空気清浄機やマスクなど、空気脱臭用の高性能化とコストダウンにより海外展開を進めていく。ガラスビーズ事業では、粒度分布をシャープにコントロールした「高精度ユニビーズ」について、半導体や電気・電子材料分野向けを中心とした新規ユーザー獲得に向け、さらなる技術改良・開発に取り組んでいる。また、従来製品にはない新規ガラス材料を素材とする球状製品について、ユーザーからのニーズに応えるべく、当事業部のガラス熔解・粉砕・球状化・分級・異形選別などのノウハウを生かした技術開発を進めている。当事業に係る研究開発費は494百万円である。(3)繊維事業繊維事業では、多様化するライフスタイルに対応した衣料用途共通素材として、独自のポリマー、ノズル、紡糸・延伸技術による3層特殊断面形状を持つポリエステル長繊維素材「クールアート20」を開発し、これまでに無い高度な防透け性に加え、太陽光に含まれる紫外線遮蔽性、近赤外線遮蔽によるクーリング性および軽量性を有する素材提案を進めており、業界から高い評価を得ている。また、太陽光遮蔽性特殊セラミックを高濃度に練込んだポリエステル短繊維を使用した「サラブリーズ」を開発し、天然繊維調の表現も可能とした。また、当社独自の特殊加工技術により生地表面に微細な凹凸構造を形成し、長時間の降雨に優れた水滴転がり性を発揮する「タクティーム」シリーズや、断面形状に起因する高発色性に加え、独特なドライタッチが特長な「セシェ6」が人気素材として続いている。付帯加工としては、高耐久性防汚・制電素材「ナノアクア」を開発した。ポリエステル繊維と機能剤とのグラフト重合により、繰返しの工業洗濯にも対応できる耐久性を有する。また、塩素系漂白剤による退色を抑制する「エバーズⅠ」(ポリエステル)、「エバーズⅡ」(ポリエステル/綿混)を開発した。メーカーズシャツ鎌倉㈱とは、ドレスシャツ「SUVIN GOLD」に続き、当社が得意とする特殊複重層糸「パルパー」を使用した「TRAVELER」が高評で、シワになりにくく手入れが簡単であり、イージーケアシャツとして好評発売中である。ニチモウ㈱と協業で開発された「スリーノット」は、漁業者が快適に働くためのウェアであり、激しい雨や波しぶき、強風から守る防水性・防風性と、蒸れを軽減する透湿性を持ち、さらに軽量でありながら耐久性も備えたプロフェッショナルフィッシャーマンズウェアとして業界でクローズアップされている。また、ユニチカトレーディングでは新たに、環境に配慮されたポリエステル素材を「エコフレンドリー」と称し、全社共通素材として使用済みPETボトルや繊維の生産工程で発生する廃材等を回収・再生利用し、マテリアル/ケミカルリサイクル技術により新たにつくられた高機能環境配慮型ポリエステル繊維を各種展示会に出展し、スポーツ、レディス、ユニフォームといった各分野での商品提案を進めている。産業繊維事業では、ポリ乳酸紡糸技術による「Material Extrusion方式(熱で融解した造形材料を少しずつ積み重ねていく方式)」に使用される3Dプリンター用フィラメントは、ポリ乳酸製オリジナル、『3Dプリンター用“感温性”フィラメント』、そしてポリ乳酸製の弱点をカバーして造形表現の幅を広げることを実現する易研磨性ポリ乳酸フィラメントも品揃えに加えた。また、業界で初めて製品化したナイロン6樹脂製の中空糸膜フィルターは、これまでの平膜タイプの同樹脂製フィルターに比べて高流量、かつ、長寿命であり、有機溶剤系での使用にも耐えられることから、半導体や化学分野で使用される薬液に含まれる不純物の除去などの用途で採用が続いている。さらに、高性能・高機能なフィルターを実現させるため、他素材も含めた研究開発を加速している。当事業に係る研究開発費は181百万円である。
FY2019|5,103 文字
5【研究開発活動】当社グループの研究開発活動は、長年にわたり蓄積してきた技術力を基盤とし、新技術の開発、応用を進めて、多様化する社会のニーズに応える商品開発を図り、もって事業基盤の強化と新規事業の拡大を行うことを目標としている。当連結会計年度の研究開発費は3,474百万円であり、この中には中央研究所で行っている全社共通テーマの各事業部門に配賦できない費用865百万円が含まれている。(1)高分子事業フィルム事業は、高付加価値品の展開及び拡大を推進している。高耐熱性ポリアミドフィルムは、製品ブランドを「ユニアミド」と決定し、2016年1月に当社宇治事業所(京都府宇治市)の既存設備を改造し、量産体制を整えた。すでに、耐熱性と溶融加工性が評価されポリイミドフィルムの代替としてモバイル機器向けに採用されており、販売量は着実に増加している。今後はFPC(フレキシブルプリント基板)及び関連基材や、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)が使用されている振動板、耐熱性と無色透明性の特長を活かした各種工程フィルムなどへの展開を検討している。柔軟性のある有機系バリア層をナイロンフィルムに積層した新規バリアナイロンフィルム「エンブレムHG」も2015年10月に既存設備を改造し、量産化技術を確立した。ボイル・レトルト用途に対する高いガスバリア性能と食品の色目保持効果が格段に高いことから、漬物、惣菜、農産加工品を中心に国内だけでなく、海外でも採用が拡大している。シリコーンフリー離型PETフィルム「ユニピール」は、さらなる高品位用途へ対応できるように生産設備を改造し、量産化技術を確立した。これにより、表面の凹凸がほとんどない超平滑ユニピールを上市することができた。その他新規商品として、表面粗度がサンドマットと同等レベルで、フィルムを加熱してもオリゴマーによる汚染が極端に少ない高粗度PETフィルムを開発し、市場評価を進めている。樹脂事業では、自動車などの軽量化に有効なナイロン系射出発泡用樹脂「フォーミロン」の商品展開に注力しており、国内高級車への搭載も始まっている。当社固有のエンジニアリングプラスチックであるポリアリレート樹脂「Uポリマー」については、その広い温度域における性能、寸法の安定性から、スマートフォン、タブレット用途などのほか、自動車用LEDランプ用途で引き続き好調に販売を伸ばしているほか、新たに開発した溶剤可溶タイプのポリアリレート樹脂「ユニファイナー」Vシリーズ、高耐熱成形用途Tシリーズの引き合いも増えており、優れた耐熱性と電気特性から、多用途で評価が進んでおり、早期実績化を目指している。ポリアリレート樹脂の旺盛な需要に応えるため行っていた増産工事が2018年12月に完了し、生産能力20%アップを実現した。高耐熱性ポリアミド樹脂である「ゼコット」は電気・電子用途のほか、摺動用途でも採用が進んでいる。オレフィン系エマルションである「アローベース」は包装材料などの接着層、コーティング層として拡大しているほか、金属と樹脂といった異種材料の接着に効果が認められ引き合いが増加している。ポリエステル樹脂としては、ダイレクトブロー用に開発した共重合品のラインナップに耐衝撃グレードを加え、採用が拡大している。昨今の環境配慮意識の高まりから、バイオマスかつ生分解材料である「テラマック」ストロー用グレードを開発し、2019年3月25日にプレスリリースを行った。また、ナノ多孔膜を形成することができるポリイミドワニスについては、リチウムイオン電池の熱暴走を防ぐ新たな技術として高い関心が寄せられ、ユーザーでの評価が続いている。ナノコンについては、メタリック着色、ピアノブラック着色等の高外観グレードで、家電関係や自動車関係に採用が増えており、特に注目度の高い欧州での自動車内装材への採用が始まった。中央研究所発の新素材技術として「セルロースナノファイバー配合ナイロン6」を2016年4月にプレスリリースした。重合工程でセルロースナノファイバーを樹脂中にナノレベルで均一に分散させる独自の製造方法により得られるこの樹脂は、発泡成形すると気泡の大きさが均一になる特色があり、すでに複数のユーザーで評価が進んでいる。「樹脂化」、「軽量化」のキーワードで注目を浴びている。また、通常のフィラー配合樹脂では発現しない特性も確認されており、高機能化樹脂としての用途開発を推進している。不織布事業では、スパンボンド分野にて、極太の異形断面糸形状である「ディラ」は、類をみない繊維構造で硬さと高通気性からフィルター材、ワイパー材他、多様な用途への展開を図り、採用実績に繋がっている。また、「ディラ」の特長を活かして、他不織布、他素材との複合品の開発も行っており、さらなる拡販を行う。農業分野へは多様なニーズに応えるべく開発を進めており、従来からのべたがけシートについて、透光・保温を兼ね備え、かつ、さらなる耐久性の向上を目指した開発を進めた結果、開発が完了し、2018年度から本格販売を行い高評価を得ている。また、さらに透明性を向上した高透光性シートの開発も進めている。多機能(抗アレルゲン・消臭・抗菌等)の性能を有する新たな用途への開発も進めており、アレル物質低減機能などを付与した「ユニダイヤ」を2018年6月より上市している。土木分野では、コンクリート面に貼り付けることで、コンクリートの高品質化を可能にし、構造物の長寿命化に貢献するコンクリート湿潤養生シート「アクアパック」を開発し、上市に向けて準備を進めている。また、タイ国における新機台の増設により、今までと違った素材を提供することが可能となり、新規用途を含めた開発を進めている。スパンレース分野では、コットン素材の持つ優位性から国内外の衛材用途を中心に積極的な開発を推し進めている。撥水や抗菌等の機能性付与や他シートとの複合、柄付け等の意匠性の開発により採用実績に繋がっている。今後ともユーザーの要望に応える製品をタイムリーに提供できるよう開発を進めていく。バイオマスプラスチック関連では、バイオマスプラスチックの普及に向けた研究開発を引き続き進めている。前述した「ゼコット」は、スーパーエンジニアリングプラスチックでありながらバイオマスを原料とした樹脂であり、ポリ乳酸を用いた環境素材「テラマック」とともに、ユニチカの高い環境意識を象徴した製品としての役割も期待されている。用途開発においては、それぞれの特性をユーザーのニーズと一致させることに注力しており、「ゼコット」の電気、自動車用途への適用に加えて、「テラマック」の包装フィルム用マスターバッチや、後述の3Dプリンター用フィラメントなど、その成果を示す例が出てきている。このほかにも新規バイオマスプラスチックの開発に関して、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業である「木質バイオマスからの各種化学品原料の一貫製造プロセスの開発」プロジェクトに2013年度から参加し、次世代のバイオマスプラスチックの開発を行っている。当事業に係る研究開発費は1,914百万円である。(2)機能材事業ガラス繊維事業では、産業資材用途で顧客ニーズに応えたガラスクロス及びそれら処理加工品の製品開発を進め、ユーザーから好評価を得ている。また、電子材料用途では、超薄クロスの生産技術革新に取り組むとともに、高性能な新規ICクロスも開発中である。活性炭繊維事業では、液相分野においては、浄水器用及び工業フィルター用の高性能化とコストダウンにより国内外での競争力の強化を図っている。また、気相分野においては、自動車用に加え、空気清浄機やマスクなど、空気脱臭用の高性能化とコストダウンにより海外展開を進めていく。業界で初めて製品化したナイロン6樹脂製の中空糸膜フィルターは、これまでの平膜タイプの同樹脂製フィルターに比べて高流量、かつ、長寿命であり、有機溶剤系での使用にも耐えられることから、半導体や化学分野で使用される薬液に含まれる不純物の除去などの用途で採用が続いている。さらに、高性能・高機能なフィルターを実現させるため、他素材も含めた研究開発を加速化している。ガラスビーズ事業では、粒度分布をシャープにコントロールした「高精度ユニビーズ」について、半導体や電気・電子材料分野向けを中心とした新規ユーザー獲得に向け、さらなる技術改良・開発に取り組んでいる。また、従来製品にはない新規ガラス材料を素材とする球状製品について、ユーザーからのニーズに応えるべく、当事業部のガラス熔解・粉砕・球状化・分級・異形選別などのノウハウを生かした技術開発を進めている。当事業に係る研究開発費は491百万円である。(3)繊維事業繊維事業においては、多様化するライフスタイルに対応した衣料用途共通素材として、独自のポリマー、ノズル、紡糸・延伸技術による3層特殊断面のポリエステル長繊維素材「クールアート20」を2016年に開発した。同素材は、これまでに無い高度な防透け性に加え、太陽光に含まれる紫外線遮蔽性、近赤外線遮蔽によるクーリング性及び軽量性を有する。すでに一部有力アパレルでの採用が決定している。スポーツ、レディス、ユニフォームといった各分野での商品提案を進めており、高い評価を得ている。また、太陽光遮蔽性特殊セラミックを高濃度に練込んだポリエステル短繊維素材「サラブリーズ」を開発した。防透け性、紫外線遮蔽性、近赤外線遮蔽によるクーリング性といった機能は、これまで長繊維が中心であったが、新たに短繊維もラインアップすることにより、天然繊維調の表現も可能とした。スポーツ用素材としては、当社独自の特殊加工技術により生地表面に微細な凹凸構造を形成し、長時間の降雨に優れた水滴転がり性を発揮する「タクティーム」シリーズの売上が急増している。国内外における展示会やオーストリアで開催された56th DORNBIRN MAN-MADE FIBERS CONGRESSでの発信効果等により新たな問合わせも増加しており、今後はさらなる売上増が見込まれる。また、これまでは主にユニフォーム用途で展開していた難燃ビニロン繊維による難燃素材「ミューロンFR」をアウトドアウェア用にアレンジし提案した結果、大手アパレルでの採用が進んだ。レディス用素材としては、新規ポリエステル素材として、特殊異型断面を持つ「セシェ6」を開発した。断面形状に起因する高発色性に加え、独特なドライタッチが特長で、一部有力アパレルにて採用が始まっている。また、スウェード調タッチと独特のコンパクト感を兼備する「フィーリングソフ」も新たに市場へ投入し、安定的な売上で推移している。さらに、メーカーズシャツ鎌倉(株)と共同で開発したドレスシャツ「SUVIN GOLD」を上市した。厳選されたコットン原料と当社が得意とする細番手紡績技術との組み合わせにより、これまでにない上質なドレスシャツが完成し、市場では発売間もなく完売となった。なお、本商品は2016年度の経済産業省「モノづくりサプライチェーン再構築支援事業」に採択され、また、繊研新聞社が主催する2017年度「繊研天然繊維特別賞」を受賞した。ユニフォーム用素材としては、高耐久性防汚・制電素材「ナノアクア」を開発した。ポリエステル繊維と機能剤とのグラフト重合により、繰返しの工業洗濯にも対応できる耐久性を有する。また、塩素系漂白剤による退色を抑制する「エバーズⅠ」(ポリエステル)、「エバーズⅡ」(ポリエステル/綿混)を開発し、さらには、「タクティーム」に国内外の基準をクリアする高視認性を付加した素材も開発した。これらの素材は、2017年11月開催のユニフォーム総合素材展に出展した。産業繊維事業では、ポリ乳酸紡糸技術による「Material Extrusion方式(熱で融解した造形材料を少しずつ積み重ねていく方式)」に使用される3Dプリンター用フィラメントの品揃えに加え、さらなる拡大や深化に貢献すべく開発を進めてきた『3Dプリンター用“感温性”フィラメント』の販売を開始した。このフィラメントは当社が得意とする独自の特殊ポリエステル樹脂により、造形後に安全な低温域で、自由な形状の変更を可能にする従来品にはない特徴を持っている。当事業に係る研究開発費は203百万円である。
FY2018|4,786 文字
5【研究開発活動】当社グループの研究開発活動は、長年にわたり蓄積してきた技術力を基盤とし、新技術の開発、応用を進めて、多様化する社会のニーズに応える商品開発を図り、もって事業基盤の強化と新規事業の拡大を行うことを目標としている。当連結会計年度の研究開発費は3,274百万円であり、この中には中央研究所で行っている全社共通テーマの各事業部門に配賦できない費用680百万円が含まれている。(1)高分子事業フィルム事業は、高付加価値品の展開および拡大を推進している。高耐熱性ポリアミドフィルムは、製品ブランドを「ユニアミド」と決定し、平成28年1月に当社宇治事業所(京都府宇治市)の既存設備を改造し、量産体制を整えた。すでに、耐熱性と溶融加工性が評価されポリイミドフィルムの代替としてモバイル機器向けに採用されており、販売量は着実に増加している。今後はFPC(フレキシブルプリント基板)および関連基材や、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)が使用されている振動板、耐熱性と無色透明性の特長を活かした各種工程フィルムなどへの展開を検討している。柔軟性のある有機系バリア層をナイロンフィルムに積層した新規バリアナイロンフィルム「エンブレムHG」も平成27年10月に既存設備を改造し、量産化技術を確立した。ボイル・レトルト用途に対する高いガスバリア性能と食品の色目保持効果が格段に高いことから、漬物、惣菜、農産加工品を中心に採用が拡大している。シリコーンフリー離型PETフィルム「ユニピール」は、さらなる高品位用途へ対応できるように生産設備を改造し、量産化技術を確立した。これにより、表面の凹凸がほとんどない超平滑ユニピールを上市することができた。その他新規商品として、表面粗度がサンドマットと同等レベルで、フィルムを加熱してもオリゴマーによる汚染が極端に少ない高粗度PETフィルムを開発し、市場評価を進めている。樹脂事業では、自動車などの軽量化に有効なナイロン系射出発泡用樹脂「フォーミロン」を平成28年3月にプレスリリースし、商品展開に注力しており、引き合いも増加している。当社固有のエンジニアリングプラスチックであるポリアリレート樹脂「Uポリマー」については、その広い温度域における性能、寸法の安定性から、スマートフォン、タブレット用途などのほか、自動車用LEDランプ用途で引き続き好調に販売を伸ばしているほか、新たに溶剤可溶タイプのポリアリレート樹脂「ユニファイナー」Vシリーズ、高耐熱成形用途Tシリーズについてもプレスリリースを平成28年3月に行った。優れた耐熱性と電気特性から、多用途で評価が進んでおり、早期実績化を目指している。高耐熱性ポリアミド樹脂である「ゼコット」は電気・電子用途のほか、摺動用途でも採用が進みつつある。オレフィン系エマルションである「アローベース」はエネルギー関連用途、食品用途などでの接着層、コーティング層として拡大しているほか、金属と樹脂といった異種材料の接着に効果が認められ引き合いが増加している。ポリエステル樹脂としては、ダイレクトブロー用に開発した共重合品のラインナップに耐衝撃グレードを加え、採用が拡大している。接着剤・コート剤用共重合ポリエステルである「エリーテル」は耐熱グレードを開発し、電気・電子用途で求められる高性能化に対応している。また、ナノ多孔膜を形成することができるポリイミドワニスについては、リチウムイオン電池の熱暴走を防ぐ新たな技術として高い関心が寄せられ、ユーザーでの評価が続いている。ナノコンについては、メタリック着色、ピアノブラック着色等の高外観グレードで、家電関係や自動車関係に採用が増えており、特に注目度の高い欧州での自動車内装材への採用が始まった。中央研究所発の新素材技術として「セルロースナノファイバー配合ナイロン6」を平成28年4月にプレスリリースした。重合工程でセルロースナノファイバーを樹脂中にナノレベルで均一に分散させる独自の製造方法により得られるこの樹脂は、発泡成形すると気泡の大きさが均一になる特色があり、すでに複数のユーザーで評価が進んでいる。「樹脂化」、「軽量化」のキーワードで注目を浴びている。また、通常のフィラー配合樹脂では発現しない特性も確認されており、高機能化樹脂としての用途開発を推進している。不織布事業においてスパンボンドでは、極太の異形断面糸形状である「ディラ」は、類をみない繊維構造で硬さと高通気性からフィルター材、ワイパー材他、多様な用途への展開を図り、採用実績に繋がっている。また、「ディラ」の特長を活かして、他不織布、他素材との複合品の開発も行っており、さらなる拡販を行う。農業分野へは多様なニーズに応えるべく開発を進めている。従来からのべたがけシートは透光・保温を兼ね備え、かつ、さらなる耐久性の向上を目指した開発を進めた結果、開発が完了し、昨年度から本格販売を行い、高評価を得ている。また、透明性を高めた高透光性シートや遮熱材と複合した遮熱性シートなど新たな用途への開発も進めている。土木分野ではメガソーラー向けの雑草抑制の防草シートなどの開発を行い、販売中である。タイ国における新機台の増設により、今までと違った素材を提供することが可能となり、新規用途を含めた開発を進めている。スパンレースではコットン素材の持つ優位性から国内外の衛材用途を中心に積極的な開発を推し進めている。撥水や抗菌等の機能性付与や他シートとの複合、柄付け等の意匠性の開発により採用実績に繋がっている。今後ともユーザーの要望に応える製品をタイムリーに提供できるよう開発を進めていく。バイオマスプラスチック関連では、バイオマスプラスチックの普及に向けた研究開発を引き続き進めている。前述した「ゼコット」は、スーパーエンジニアリングプラスチックでありながらバイオマスを原料とした樹脂であり、ポリ乳酸を用いた環境素材「テラマック」とともに、ユニチカの高い環境意識を象徴した製品としての役割も期待されている。用途開発においては、それぞれの特性をユーザーのニーズと一致させることに注力しており、「ゼコット」の電気、自動車用途への適用に加えて、「テラマック」の包装フィルム用マスターバッチや、後述の3Dプリンター用フィラメントなど、その成果を示す例が出てきている。このほかにも新規バイオマスプラスチックの開発に関して、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業である「木質バイオマスからの各種化学品原料の一貫製造プロセスの開発」プロジェクトに平成25年度から参加し、次世代のバイオマスプラスチックの開発を行っている。当事業に係る研究開発費は1,932百万円である。 (2)機能材事業ガラス繊維事業では、産業資材用途で顧客ニーズに応えたガラスクロス及びそれら処理加工品の製品開発を進め、ユーザーから好評価を得ている。また、電子材料用途では、超薄クロスの生産技術革新に取り組むとともに、高性能な新規ICクロスも開発中である。活性炭繊維関連では、液相分野においては、浄水器用及び工業フィルター用の高性能化とコストダウンにより国内外での競争力の強化を図っている。また、気相分野においては、自動車用に加え、空気清浄機やマスクなど、空気脱臭用の高性能化とコストダウンにより海外展開を進めていく。業界で初めて製品化したナイロン6樹脂製の中空糸膜フィルターは、これまでの平膜タイプの同樹脂製フィルターに比べて高流量、かつ、長寿命であり、有機溶剤系での使用にも耐えられることから、半導体や化学分野で使用される薬液に含まれる不純物の除去などの用途で採用が続いている。さらに、高性能・高機能なフィルターを実現させるため、他素材も含めた研究開発を加速化している。当事業に係る研究開発費は454百万円である。 (3)繊維事業繊維事業においては、多様化するライフスタイルに対応した衣料用途共通素材として、独自のポリマー、ノズル、紡糸・延伸技術による3層特殊断面のポリエステル長繊維素材「クールアート20」を平成28年に開発した。同素材は、これまでに無い高度な防透け性に加え、太陽光に含まれる紫外線遮蔽性、近赤外線遮蔽によるクーリング性及び軽量性を有する。すでに一部有力アパレルでの採用が決定している。スポーツ、レディス、ユニフォームといった各分野での商品提案を進めており、高い評価を得ている。また、太陽光遮蔽性特殊セラミックを高濃度に練込んだポリエステル短繊維素材「サラブリーズ」を開発した。防透け性、紫外線遮蔽性、近赤外線遮蔽によるクーリング性といった機能は、これまで長繊維が中心であったが、新たに短繊維もラインアップすることにより、天然繊維調の表現も可能とした。スポーツ用素材としては、当社独自の特殊加工技術により生地表面に微細な凹凸構造を形成し、長時間の降雨に優れた水滴転がり性を発揮する「タクティーム」シリーズの売上が急増している。国内外における展示会やオーストリアで開催された56th DORNBIRN MAN-MADE FIBERS CONGRESSでの発信効果等により新たな問合わせも増加しており、今後はさらなる売上げ増が見込まれる。また、これまでは主にユニフォーム用途で展開していた難燃ビニロン繊維による難燃素材「ミューロンFR」をアウトドアウェア用にアレンジし提案した結果、大手アパレルでの採用が進んだ。レディス用素材としては、新規ポリエステル素材として、特殊異型断面を持つ「セシェ6」を開発した。断面形状に起因する高発色性に加え、独特なドライタッチが特長で、一部有力アパレルにて採用が始まっている。また、スウェード調タッチと独特のコンパクト感を兼備する「フィーリングソフ」も新たに市場へ投入し、安定的な売上で推移している。さらに、メーカーズシャツ鎌倉(株)と共同で開発したドレスシャツ「SUVIN GOLD」を上市した。厳選されたコットン原料と当社が得意とする細番手紡績技術との組み合わせにより、これまでにない上質なドレスシャツが完成し、市場では発売間もなく完売となった。なお、本商品は平成28年度の経済産業省「モノづくりサプライチェーン再構築支援事業」に採択され、また、繊研新聞社が主催する平成29年度「繊研天然繊維特別賞」を受賞した。ユニフォーム用素材としては、高耐久性防汚・制電素材「ナノアクア」を開発した。ポリエステル繊維と機能剤とのグラフト重合により、繰返しの工業洗濯にも対応できる耐久性を有する。また、塩素系漂白剤による退色を抑制する「エバーズⅠ」(ポリエステル)、「エバーズⅡ」(ポリエステル/綿混)を開発し、さらには、「タクティーム」に国内外の基準をクリアする高視認性を付加した素材も開発した。これらの素材は、平成29年11月開催のユニフォーム総合素材展に出展した。産業繊維事業では、ポリ乳酸紡糸技術による「Material Extrusion方式(熱で融解した造形材料を少しずつ積み重ねていく方式)」に使用される3Dプリンター用フィラメントの品揃えに加え、さらなる拡大や深化に貢献すべく開発を進めてきた『3Dプリンター用“感温性”フィラメント』を発表した。このフィラメントは当社が得意とする独自の特殊ポリエステル樹脂により、造形後に安全な低温域で、自由な形状の変更を可能にする従来品にはない特徴を持っている。今後、積極的にサンプルワークを進めて素材のブラッシュアップを行った上で、平成29年度中の販売を目指している。当事業に係る研究開発費は202百万円である。
FY2017|4,275 文字
6【研究開発活動】当社グループの研究開発活動は、長年にわたり蓄積してきた技術力を基盤とし、新技術の開発、応用を進めて、多様化する社会のニーズに応える商品開発を図り、もって事業基盤の強化と新規事業の拡大を行うことを目標としている。当連結会計年度の研究開発費は、3,142百万円であり、この中には中央研究所で行っている全社共通テーマの各事業部門に配賦できない費用735百万円が含まれている。(1)高分子事業フィルム事業は、高付加価値品の展開および拡大を推進している。高耐熱性ポリアミドフィルムは、製品ブランドを「ユニアミド」と決定し、平成28年1月に当社宇治事業所(京都府宇治市)の既存設備を改造し、量産体制を整えた。すでに、耐熱性と溶融加工性が評価されポリイミドフィルムの代替としてモバイル機器向けに採用されており、販売量は着実に増加している。今後はFPC(フレキシブルプリント基板)および関連基材や、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)が使用されている振動板、耐熱性と無色透明性の特長を活かした各種工程フィルムなどへの展開を検討している。柔軟性のある有機系バリア層をナイロンフィルムに積層した新規バリアナイロンフィルム「エンブレムHG」も平成27年10月に既存設備を改造し、量産化技術を確立した。ボイル・レトルト用途に対する高いガスバリア性能と食品の色目保持効果が格段に高いことから、漬物、惣菜、農産加工品を中心に採用が拡大している。シリコーンフリー離型PETフィルム「ユニピール」は、さらなる高品位用途へ対応できるように生産設備を改造し、量産化技術を確立した。これにより、表面の凹凸がほとんどない超平滑ユニピールを上市することができた。その他新規商品として、表面粗度がサンドマットと同等レベルで、フィルムを加熱してもオリゴマーによる汚染が極端に少ない高粗度PETフィルムを開発し、市場評価を進めている。樹脂関連では、自動車などの軽量化に有効なナイロン系射出発泡用樹脂「フォーミロン」を平成28年3月にプレスリリースし、商品展開に注力している。当社固有のエンジニアリングプラスチックであるポリアリレート樹脂「Uポリマー」については、その広い温度域における性能、寸法の安定性から、スマートフォン、タブレット用途で引き続き好調に販売を伸ばしているほか、新たに溶剤可溶タイプのポリアリレート樹脂「ユニファイナー」Vシリーズ、高耐熱成形用途Tシリーズについてもプレスリリースを平成28年3月に行った。優れた耐熱性と電気特性から、多用途で評価が進められており、早期実績化を目指している。高耐熱性ポリアミド樹脂である「ゼコット」は電気・電子用途で採用が進み、宇治事業所内の中量産プラントの稼働率が向上しつつある。オレフィン系エマルションである「アローベース」はエネルギー関連用途、食品用途などでの接着層、コーティング層として順調に拡大している。ポリエステル樹脂としては、ダイレクトブロー用に開発した共重合品のラインナップに耐衝撃グレードを加え、採用が拡大している。接着剤・コート剤用共重合ポリエステルである「エリーテル」は電気・電子用途の海外需要の増加に伴い、引き続き海外での用途展開が堅調である。また、ナノ多孔膜を形成することができるポリイミドワニスについて平成27年11月にプレスリリースを行い、リチウムイオン電池の熱暴走を防ぐ新たな技術として高い関心が寄せられている。ナノコンについては、メタリック着色、ピアノブラック着色等の高外観グレードで、家電関係や自動車関係に採用が増えており、特に欧州での自動車業界から注目を浴びている。中央研究所発の技術として「セルロースナノファイバー配合ナイロン6」を平成28年4月にプレスリリースした。重合工程でセルロースナノファイバーを樹脂中に均一に分散させる独自の製造方法により得られるこの樹脂は、発泡成形すると気泡の大きさが均一になる特色があり、すでに複数のユーザーで評価が進んでいる。「樹脂化」、「軽量化」のキーワードで注目を浴びている。不織布関連においてスパンボンドでは、極太の異形断面糸である「ディラ」は、類をみない繊維構造で硬さと高通気性からフィルター材、ワイパー材他、多様な用途への展開を図り、採用実績に繋がっている。また、「ディラ」の特長を活かして、他不織布、他素材との複合品の開発も行っており、さらなる拡販を行う。農業分野へは多様なニーズに応えるべく開発を進めている。従来からのべたがけシートは透光・保温を兼ね備え、耐久性アップを目指した開発を進め完成した。今年度から本格販売を行う。また、透明性を高めた高透光性シートや遮熱材と複合した遮熱性シートなど新たな用途への開発を進めている。土木分野では複合繊維エルベスを使用したガス透過性防水シートは、その性能の優位性から東北地方の除染廃棄物仮置き場に採用され、本年も引き続き順調に推移した。また、メガソーラー向けの雑草抑制の防草シートなどの開発を行い、販売中である。タイ国における新機台の増設により、今までと違った材料を提供することが可能となり、新規用途を含めた開発を進めている。スパンレースではコットンの素材の持つ優位性から国内外の衛材用途を中心に積極的な開発を推し進めている。撥水や抗菌等の機能性付与や他シートとの複合、柄付け等の意匠性の開発により採用実績に繋がっている。今後ともお客様のご要望に応える製品をタイムリーに提供できるよう開発を進めていく。バイオマスプラスチック関連では、バイオマスプラスチックの普及に向けた研究開発を引き続き進めている。前述した「ゼコット」は、スーパーエンジニアリングプラスチックでありながらバイオマスを原料とした樹脂であり、ポリ乳酸を用いた環境素材「テラマック」とともに、ユニチカの高い環境意識を象徴した製品としての役割も期待されている。用途開発においては、それぞれの特性をユーザーのニーズと一致させることに注力しており、「ゼコット」の電気、自動車用途への適用に加えて、「テラマック」の包装フィルム用マスターバッチや、後述の3Dプリンター用フィラメントなど、その成果を示す例が出てきている。このほかにも新規バイオマスプラスチックの開発に関して、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業である「木質バイオマスからの各種化学品原料の一貫製造プロセスの開発」プロジェクトに平成25年度から参加し、次世代のバイオマスプラスチックの開発を行っている。当事業に係る研究開発費は1,864百万円である。 (2)機能材事業ガラス繊維関連では、産業資材用途で顧客ニーズに応えたガラスクロス及びそれら処理加工品の製品開発を進め、ユーザーから好評価を得ている。また、電子材料用途では、超薄クロスの生産技術革新に取り組むとともに、高性能な新規ICクロスも開発中である。活性炭繊維関連では、液相分野においては、浄水器用及び工業フィルター用の高性能化とコストダウンにより国内外での競争力の強化を図っている。また、気相分野においては、自動車用に加え、空気清浄機やマスクなど、空気脱臭用の高性能化とコストダウンにより海外展開を進めていく。業界で初めて製品化したナイロン6樹脂製の中空糸膜フィルターは、これまでの平膜タイプの同樹脂製フィルターに比べて高流量で長寿命であり、有機溶剤系での使用にも耐えられることから、半導体や化学分野で使用される薬物に含まれる不純物の除去などの用途で採用が続いている。さらに、高性能・高機能なフィルターを実現させるため、研究開発を加速化している。当事業に係る研究開発費は356百万円である。 (3)繊維事業繊維事業においては、多様化するライフスタイルに対応した衣料用途共通素材として高度な防透性を有するポリエステル素材「クールアート20」を開発。独自のノズル、ポリマー、紡糸・延伸技術により、3層構造からなる特殊な断面形状を有し、これまでにない防透性とUVカット性、軽量性を兼ね備えた新素材であり、スポーツ、レディス、インナー、ユニフォーム等の各分野に対し提案、高い評価を得ているとともに、レディス用途で採用が決定している。スポーツ用素材として当社独自の特殊加工技術により生地表面に凹凸構造を形成し、長時間の降雨に優れた水滴転がり性を発揮する「タクティーム」シリーズを拡充した。レギュラータイプに加え、高密度タイプ、杢タイプのほか、ナイロンタイプも開発し、様々なスポーツ・アウトドアアパレルから高い評価を得ている。レディス用素材としては、鞘部が繊維表面にミクロクレーターを発現させた高発色ポリエステル、芯部が高収縮ポリエステルから構成される芯鞘複合糸で、高発色性、ストレッチ性、ハリ・コシ感等を兼備した「ゼログ」が好調に推移している。平成28年度の販売は前年比3倍の10,000反に達する見込みである。この高い評価から平成28年度の繊研合繊賞「グランプリ」を受賞した。ユニフォーム素材としては、高ストレッチ素材「フリーアクションZ」を開発。ユニフォームアパレルへの採用に向けて営業活動を開始した。また、ISO規格による高視認性基準をクリアした「プロテクサHV」は道路工事などの安全作業服として各ユニフォームアパレルからの引き合いも継続している。生活資材用素材としては、ポリ乳酸繊維「テラマック」100%のボディタオル素材を開発し、昨秋より店頭にて販売している。また、融着性ポリエステル繊維「メルセット」を使用したかつら用ベースネットを開発し、大手かつらメーカーに採用された。産業繊維事業では、ポリ乳酸成形技術による光沢や透明性、そしてモノフィラメント製造技術による真円性、耐屈曲性や配向(結晶)性を有し、クリアで易取扱い性(耐折れ性)に優れた「Material Extrusion方式(熱で融解した造形材料を少しずつ積み重ねていく方式)」に使用される3Dプリンター用フィラメントは生産技術を確立した着色グレードも品揃えに加え、販路が拡大した。またこの製品は、繊維紡糸技術の応用としても高く評価され、平成27年度の繊研合繊賞エコロジー部門を受賞し、さらに平成28年11月には日本バイオマス推進協議会より「第6回バイオマス製品普及推進功績賞」を受賞した。当事業に係る研究開発費は180百万円である。
FY2016|4,203 文字
6【研究開発活動】当社グループの研究開発活動は、長年にわたり蓄積してきた技術力を基盤とし、新技術の開発、応用を進めて、多様化する社会のニーズに応える商品開発を図り、もって事業基盤の強化と新規事業の拡大を行うことを目標としている。当連結会計年度の研究開発費は、3,203百万円であり、この中には中央研究所で行っている全社共通テーマの各事業部門に配賦できない費用809百万円が含まれている。(1)高分子事業フィルム事業は、高付加価値品の展開および拡大を推進している。高耐熱性ポリアミドフィルムは、製品ブランドを「ユニアミド」(商標登録出願中)と決定し、平成28年1月に当社宇治事業所(京都府宇治市)の既存設備を改造し、量産体制を整えた。すでに、耐熱性と溶融加工性が評価されポリイミドフィルムの代替としてモバイル機器向けに採用されており、販売量は着実に増加している。今後はFPC(フレキシブルプリント基板)および関連基材や、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)が使用されている振動板、耐熱性と無色透明性の特長を活かした各種工程フィルムなどへの展開を検討している。柔軟性のある有機系バリア層をナイロンフィルムに積層した新規バリアナイロンフィルム「エンブレムHG」も平成27年10月に既存設備を改造し、量産化技術を確立した。ボイル・レトルト用途に対する高いガスバリア性能と食品の色目保持効果が格段に高いことから、漬物、惣菜、農産加工品を中心に採用が拡大している。シリコーンフリー離型PETフィルム「ユニピール」は、さらなる高品位用途へ対応できるように生産設備を改造し、量産化技術を確立した。これにより、表面の凹凸がほとんどない超平滑ユニピールを上市することができた。その他新規商品として、表面粗度がサンドマットと同等レベルで、フィルムを加熱してもオリゴマーによる汚染が極端に少ない高粗度PETフィルムを開発し、市場評価を進めている。樹脂関連では、自動車などの軽量化に有効なナイロン系射出発泡用樹脂「フォーミロン」(商標登録出願中)を平成28年3月にプレスリリースし、商品展開に注力している。当社固有のエンジニアリングプラスチックであるポリアリレート樹脂「Uポリマー」については、その広い温度域における性能、寸法の安定性から、スマートフォン、タブレット用途で引き続き好調に販売を伸ばしているほか、新たに溶剤可溶タイプのポリアリレート樹脂「ユニファイナー」Vシリーズ、高耐熱成形用途Tシリーズについてもプレスリリースを平成28年3月に行った。優れた耐熱性と電気特性から、多用途で評価が進められており、早期実績化を目指している。高耐熱性ポリアミド樹脂である「ゼコット」は電気・電子用途で採用が進み、宇治事業所内の中量産プラントの稼働率が向上しつつある。オレフィン系エマルションである「アローベース」はエネルギー関連用途、食品用途などでの接着層、コーティング層として順調に拡大している。ポリエステル樹脂としては、ダイレクトブロー用に開発した共重合品のラインナップに耐衝撃グレードを加え、採用が拡大している。接着剤・コート剤用共重合ポリエステルである「エリーテル」は電気・電子用途の海外需用の増加に伴い、引き続き海外での用途展開が堅調である。また、ナノ多孔膜を形成することができるポリイミドワニスについて平成27年11月にプレスリリースを行い、リチウムイオン電池の熱暴走を防ぐ新たな技術として高い関心が寄せられている。メタリック着色、ピアノブラック着色等の高外観グレードは、家電関係、自動車関係で採用が増えており、特に欧州での自動車業界から注目を浴びている。中央研究所発の技術として「セルロースナノファイバー配合ナイロン6」をプレスリリースした。重合工程でセルロースナノファイバーを樹脂中に均一に分散させる独自の製造方法により得られるこの樹脂は、発泡成形すると気泡の大きさが均一になる特色があり、すでに複数のユーザーで評価が進んでいる。不織布関連においてスパンボンドでは、極太の異形断面糸である「ディラ」は、類をみない繊維構造で硬さと高通気性からフィルター材、ワイパー材他、多様な用途への展開を計り、採用実績に繋がっている。また、「ディラ」の特長を活かして、他不織布、他素材との複合品の開発も行っており、更なる拡販を行う。農業分野へは多様なニーズに応えるべく開発を進めている。従来からのべたがけシートは透光・保温を兼ね備え、耐久性アップを目指した開発を進め、今年度中の本格販売を目指す。また、透明性を高めた高透光性シートや遮熱材と複合した遮熱性シートなど新たな用途への開発を進めている。土木分野では複合繊維エルベスを使用したガス透過性防水シートは、その性能の優位性から東北地方の除染廃棄物仮置き場に採用され、本年も引き続き順調に推移した。また、メガソーラー向けの雑草抑制の防草シートなどの開発を行い、販売を開始した。タイ国における新機台の増設により、今までと違った材料を提供することが可能となり、新規用途を含めた開発を進めている。スパンレースではコットンの素材の持つ優位性から国内外の衛材用途を中心に積極的な開発を推し進めている。撥水や抗菌等の機能性付与や他シートとの複合、柄付け等の意匠性等の開発により採用実績に繋がっている。今後ともお客様のご要望に応える製品をタイムリーに提供できるよう開発を進めていく。バイオマスプラスチック関連では、バイオマスプラスチックの普及に向けた研究開発を引き続き進めている。前述した「ゼコット」は、スーパーエンジニアリングプラスチックでありながらバイオマスを原料とした樹脂であり、ポリ乳酸を用いた環境素材「テラマック」と共に、ユニチカの高い環境意識を象徴した製品としての役割も期待されている。用途開発においては、それぞれの特性をユーザーのニーズと一致させることに注力しており、「ゼコット」の電気、自動車用途への適用に加えて、「テラマック」の包装フィルム用マスターバッチや、後述の3Dプリンター用フィラメントなど、その成果を示す例が出てきている。このほかにも新規バイオマスプラスチックの開発に関して、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業である「木質バイオマスからの各種化学品原料の一貫製造プロセスの開発」プロジェクトに参加し、次世代のバイオマスプラスチックの開発を行っている。当事業に係る研究開発費は1,793百万円である。(2)機能材事業ガラス繊維関連では、産業資材用途で顧客ニーズに応えたガラスクロス及びそれら処理加工品の製品開発を進め、ユーザーから好評価をいただいている。また、電子材料用途では、超薄クロスの生産技術革新に取り組むと共に、高性能な新規ICクロスも開発中である。活性炭繊維関連では、液相分野においては、浄水器用及び工業フィルター用の高性能化とコストダウンにより国内外での競争力の強化を図っている。また、気相分野においては、自動車用に加え、空気清浄機やマスクなど、空気脱臭用の高性能化とコストダウンにより海外展開を進めていく。業界で初めて製品化したナイロン6樹脂製の中空糸膜フィルターは、これまでの平膜タイプの同樹脂製フィルターに比べて高流量で長寿命であり、有機溶剤系での使用にも耐えられることから、半導体や化学分野で使用される薬物に含まれる不純物の除去などの用途で採用が続いている。当事業に係る研究開発費は401百万円である。(3)繊維事業繊維事業においては、スポーツ用素材として当社独自の特殊加工技術により生地表面に凹凸構造を形成し、スポーツやアウトドアシーンなどでの長時間の降雨に優れた水滴転がり性を発揮する「タクティーム」を開発した。その撥水機能の持続性より、様々なスポーツ・アウトドアアパレルから好評価を得ている。レディス用素材としては、ユニチカ独自の特殊紡糸、延伸技術により1本の糸に濃染部と淡染部を発生させたシルキー杢調素材の「ラインスターE」に特殊セラミックスを高濃度に付与した「ラインスターFE」を開発した。また、当社独自の特殊仮撚り技術と混繊技術を融合することにより、ポリエステル100%でありながらナチュラルなトップ杢調の外観と適度なストレッチ性、ふくらみと反撥感のある独特な風合いを実現した「ファンシーナ」を開発した。ブラックフォーマル用素材として平成24年から販売開始した「ノイエ」に加え、新たなブランドとして高発色性ストレッチ素材「モニカ」を展開し、多くのファッションアパレルに採用された。この高い評価から、平成27年度の繊研合繊賞マーケティング部門を受賞、更なる拡販を目指している。ユニフォーム素材としては、カレーやラー油といった家庭洗濯では落ちにくい汚れを落ちやすくした後加工素材「ホワイティング」を開発し、ユニフォームアパレルへの採用に向けて営業活動を開始した。また、ISO規格による高視認性基準をクリアした「プロテクサHV」は道路工事などの安全作業服として各ユニフォームアパレルからの引き合いも多く、平成27年10月にJIS規格にも制定されるなどその注目度から平成27年度の繊研合繊賞特別賞を受賞した。生活資材用素材としては、株式会社サクラクレパスとの共同開発で、当社の付帯加工技術を応用した洗濯に強く、書いた文字が滲みにくい素材を開発した。平成27年12月10日から同社より「名前ラベル・マイネームツインセット」、「ゼッケン・マイネームツイン(太・細)セット」として販売が開始された。産業繊維事業では、ポリ乳酸成形技術による光沢や透明性、そしてモノフィラメント製造技術による真円性、耐屈曲性や配向(結晶)性を有し、クリアで易取扱い性(耐折れ性)に優れた「Material Extrusion方式(熱で融解した造形材料を少しずつ積み重ねていく方式)」に使用される3Dプリンター用フィラメントは生産技術を確立した着色グレードも品揃えに加え、販路が拡大した。またこの製品は、繊維紡糸技術の応用としても高く評価され、平成27年度の繊研合繊賞エコロジー部門を受賞した。当事業に係る研究開発費は194百万円である。