研究開発活動(本文)
FY2025|3,845 文字
6 【研究開発活動】研究開発活動につきましては、技術進化、ビジネストレンド、社会環境・人々の価値観の変化等の不確実な状況を踏まえ、新技術の探索、評価・検証、顧客企業への導入支援等において長年にわたって蓄積してきた経験とノウハウを基に、社会全体の「サステナビリティ」の実現に向けた将来像を3つの「未来目標」として設定しております。 未来目標1「究極のデジタルツイン(注1)」 - すべてをデジタルな世界に転写して再現しよう 未来目標2「業務を理解・実行できる人工知能」 - 機械の知的能力をとことん人間に近づけよう 未来目標3「サステナブルな企業情報システム」 - 変化への対応力があり長持ちするシステムにしよう当連結会計年度においては、これら未来目標からのバックキャストに対し2025-2027中期経営計画に向けた新たなデリバリーモデルや収益モデルの考え方を反映した課題や必要となる技術を検討して、研究開発活動に取り組みました。当連結会計年度における研究開発費の総額は、2,833百万円であり、各未来目標に向けた主な研究開発成果は次のとおりであります。 (1)未来目標1:究極のデジタルツイン製造業のデジタルツインを実現するシステム「Geminant(ジェミナント)」(注2)において、PoC(注3)案件を経て製品版をリリースし本番環境への導入に向けた活動を行っております。同様にIoX(注4)関連技術・エッジ技術につきましても実案件への適用を進め、画像解析基盤アーキテクチャやデータ取り込みロジック等の拡張やリアルタイム映像解析デモ環境等の整備を進めております。アンビエント技術(注5)につきましては、「溶接技能伝承」をテーマとしたVR(注6)溶接シミュレーターの研究開発、「農福連携」(注7)をテーマとした現場作業支援システムの研究開発、「匂いセンサー」を活用した社会課題解決に向けた産学連携の推進等を行っております。最適化技術及びシミュレーション技術(注8)につきましては、東海旅客鉄道㈱との共同研究が日本オペレーションズ・リサーチ学会の「事例研究賞」を受賞、日本製鉄㈱の実フィールドへの適用において「発明改善功績表彰1級」(注9)を受賞しております。また、惣菜部門向けクラウド販売計画サポートサービス「Delifit AI」(注10)の最適化エンジンとして研究成果を適用しております。プライバシー保護技術を中心としたデータセキュリティにつきましては、特に秘匿性の確保とデータ活用の両立を実現する匿名加工技術に関して、加工や安全性/有用性検査の自動化について実装が進み、製薬業界を中心とした現場に適用されております。データ流通につきましては、前年度着目した「データスペース」(注11)に加え「データクリーンルーム」(注12)や「Data Train」(注13)も対象とした研究開発に着手しております。 (2)未来目標2:業務を理解・実行できる人工知能生成AI(注14)技術を中心に、マルチモーダル(注15)や自律エージェント(注16)等の新たな技術につきましてタイムリーに研究開発を進めております。応用研究としても、具体的業務で成果を発揮することを目指し顧客要求に基づく案件支援を多数行いつつ、当社内のサービス開発や他の研究テーマへの適用等実用化を進めており、並行して特許等の知的財産化を進めております。企業がAIを活用する上で重要なAIアーキテクチャにつきましてはRAG(注17)に加えエージェント(注18)やニューロシンボリック(注19)の研究開発を進めております。AIによる開発プロセスの改善や人材育成にも取り組んでおります。育成コンテンツを整備して実践的なデータ分析ワークショップを行う等この分野の戦力強化にも取り組んでおります。(2024年度の主なコンペティション成績)データ分析世界大会“Kaggle”「Kaggle - Santa 2024 - The Perplexity Permutation Puzzle」で1,514チーム中 第6位に入賞 Gold Medal獲得 (3)未来目標3:サステナブルな企業情報システムこの目標は、環境変化に対して柔軟に対応できるように最新技術の活用によって、システム自体のサステナビリティを担保しながら、サステナブルな社会やビジネスを支えるシステムの実現を目指すものであります。開発プロセスにつきましては、データドリブン(注20)なプロジェクト管理をプロアクティブに行うために「プロジェクト状況可視化ダッシュボード」の実案件への適用を開始しております。また、様々なユースケースや作業を対象に生成AIの適用可能性検証を開始しております。システムの設計ノウハウの展開に対しては、クラウドネイティブ技術(注21)のデザインパターン(注22)を整備し複数の実案件に適用しております。国内においてもクラウドネイティブ技術を採用するプロジェクトのすそ野が広がりはじめており、戦力強化のための人材育成として130人を超える受講者を輩出しております。今後の企業情報システムでは、アジリティを重視するDXと、品質や安定性が重視される基幹系を含む既存の情報システムにおいて、一見相反する要求を両立しなければなりません。それらのエンタープライズレベルでの統合を実現する組織分担・開発プロセス・システムアーキテクチャの研究開発を進めております。 (注1) デジタルツイン:工場の設備・製品等の実世界のオブジェクトをデータとしてデジタルな空間に転写・再現することで、リモートからの監視・制御や、過去の状況の再現・未来の予測シミュレーション等を可能にすること。(注2) Geminant(ジェミナント):当社が開発したデジタルツイン可視化のためのプラットフォーム及び部品群。(注3) PoC:概念実証(Proof of Concept)(注4) IoX:機械・部品が互いにつながる「IoT(モノのインターネット)」と、ヒトがIT武装によって互いにつながる「IoH(ヒトのインターネット)」が、高度に連携・協調することにより大きな成果を出すコンセプト。(注5) アンビエント技術:環境に溶け込み、ユーザーが促さなくてもいつでも支援を提供できる技術。(注6) VR:仮想現実(Virtual Reality)。(注7) 農福連携:農業と福祉の連携。(注8) シミュレーション技術:合理的に最適条件を導出する技術をコンピュータ上でシミュレーションすること、実験や試験と比較して、時間やコストを抑えられる場合が多く、有用な技術。(注9) 発明改善功績表彰1級:日本製鉄㈱が社員(含:出向者)の考案した発明や改善提案の中から、特に優秀なものを選び、その貢献を称える表彰制度。1級は1~5級の最上位。(注10) Delifit AI:2024年12月に当社の流通・サービスソリューション事業本部より提供を開始した惣菜部門に特化した販売計画サポートサービス。(注11) データスペース:デジタル社会で不可欠なデータに注目した概念で、異なる組織・国・エコシステム・異業種等の間で、信頼性を確保しながらデータを共有するための標準化されたルールや仕組み。(注12) データクリーンルーム:企業間でデータを安全に共有・分析するためのクラウド環境。個人情報保護法に対応し、かつデータ活用を促進するための重要なツールとして注目。(注13) Data Train:主にドイツの研究データインフラストラクチャ(NFDI)のコンポーネントとして、データリテラシーを向上させることを目的としたトレーニングプログラム。研究データの有効利用を促進する役割も担う。(注14) 生成AI:深層学習や機械学習の手法を駆使し、人が生成するようなテキスト、画像、音楽、ビデオ等のデジタルコンテンツを自動で生成するAI技術。(注15) マルチモーダル:テキスト、画像、音楽、ビデオ等、異なる種類のデータを組み合わせることで、生成AIがより高度な情報処理を行う技術。(注16) 自律エージェント:環境を感知し、自身の内部方針に従って自律的に行動するプログラムやシステム。(注17) RAG(Retrieval-Augmented Generation):外部の信頼できる情報源から関連情報を「検索(Retrieval)」し、その情報を参照して回答を「生成(Generation)」する手法(注18) エージェント:周囲の環境を「認識」し、その情報に基づいて自律的に「判断・意思決定」を行い、特定の「目標達成」のために「行動」を実行するシステム又はプログラム(注19) ニューロシンボリック:ニューラルネットワーク(統計的学習・パターン認識)とシンボリックAI(記号処理・論理的推論)という、異なる二つのAIアプローチを組み合わせた技術(注20) データドリブン :収集した様々なデータをもとに意思決定を行う手法。(注21) クラウドネイティブ技術:クラウドの提供する機能を徹底的に活用して、スケーラブルで信頼性・回復性のある疎結合なシステムを開発する設計技術。(注22) デザインパターン:ソフトウェア設計において過去に編み出した設計ノウハウを蓄積し、再利用しやすいように特定の規約に沿ってカタログ化したもの。
FY2024|3,523 文字
6 【研究開発活動】研究開発活動につきましては、技術進化・ビジネストレンド・社会環境・人々の価値観の変化等の不確実な状況を踏まえ、新技術の探索、評価・検証、顧客企業への新技術導入支援等において長年にわたって蓄積してきた経験とノウハウを基に、社会全体の「サステナビリティ」の実現に向けた将来像を3つの「未来目標」として設定しております。 未来目標1「究極のデジタルツイン(注1)」 - すべてをデジタルな世界に転写して再現しよう 未来目標2「業務を理解・実行できる人工知能」 - 機械の知的能力をとことん人間に近づけよう 未来目標3「サステナブルな企業情報システム」 - 変化への対応力があり長持ちするシステムにしよう当連結会計年度においては、生成AI(注2)の社会への急速な浸透を踏まえ、未来目標への生成AIが及ぼすインパクトを整理しつつ、そこからバックキャストすることで解決すべき課題や必要となる技術を検討して、研究開発活動に取り組みました。当連結会計年度における研究開発費の総額は、2,405百万円であり、各未来目標に向けた主な研究開発成果は次のとおりであります。 (1)未来目標1:究極のデジタルツイン製造業のデジタルツインを実現するシステム「Geminant(ジェミナント)」(注3)は協業を進める三井E&Sシステム技研株式会社(MSR)主催の「MSRソリューションフェア2023」へのデモ出展等複数のPoV(注4)案件に取り組みユースケースの具体化と社外公開を進めております。同様にIoX(注5)関連技術・エッジ技術につきましても実案件への適用を進め、画像解析基盤アーキテクチャやデータ取り込みロジック等の拡張やリアルタイム映像解析デモ環境等の整備が進んでおります。アンビエント技術(注6)につきましては、HCMIコンソーシアム(注7)と共同で「溶接技能伝承」をテーマとしたVR(注8)溶接シミュレーターの研究開発を行っており、溶接VR訓練システムを開発しました。生成AIを活用した対話型リコメンデーションシステムのデモ環境の整備も進んでおります。最適化技術及びシミュレーション技術(注9)につきましては、日本製鉄㈱等の実フィールドへの適用と検証を行いつつ、研修やワークショップ等で人材育成に注力(50名以上を育成)しております。新たに、Geminantとの連携を前提としたシミュレーション機能とのセットで効果を発揮する最適化モデルの開発にも着手しております。プライバシー保護技術を中心としたデータセキュリティにつきましては、特に秘匿性の確保とデータ活用の両立を実現する匿名加工技術に関して、加工や安全性/有用性検査の自動化について実装が進み、製薬業界を中心とした現場に適用されております。新たに、社会課題解決に向けて欧州や日本で注目されている「データスペース」(注10)について研究開発に着手しております。 (2)未来目標2:業務を理解・実行できる人工知能生成AIは、ChatGPT(注11)にて利用される等、世の中で急速に活用と議論が進んでおります。顧客要求に基づく案件支援を多数行いつつ、当社内のサービス開発や他の研究テーマへの適用等実用化を進めており、並行して特許等の知的財産化を進めております。そうした人工知能(AI)技術は、自然言語だけでなく、画像・ビッグコードを含むマルチモーダル(注12)なドキュメント処理モデルでは、オープンなモデルの検証と活用に加え、独自データセットと基盤モデル(注13)の開発を行っております。文章の意味を理解し、同時に画面レイアウトを理解するマルチモーダルなAI技術を用いて、Web画面テスト自動化AI「Curatis(キュラティス)」を開発し、実証実験と実用性向上を進めておりますが、これにより、システムの素早い提供と工数の大幅な削減に貢献します。AIによる開発プロセスの改善や人材育成にも取り組んでおります。育成コンテンツを整備して実践的なデータ分析ワークショップを行う等この分野の戦力強化にも取り組んでおります。(2023年度の主なコンペティション成績)データ分析世界大会“Kaggle”「BirdCLEF 2023」で1,209チーム中 第6位に入賞 Gold Medal獲得データ分析世界大会“Kaggle”「LLM Science Exam」で2,662チーム中 第7位に入賞 Gold Medal獲得データ分析世界大会“Amazon KDD Cup 2023”で451チーム中 第6位に入賞 (3)未来目標3:サステナブルな企業情報システムこの目標は、環境変化に対して柔軟に対応できるように最新技術の活用によって、システム自体のサステナビリティを担保しながら、サステナブルな社会やビジネスを支えるシステムの実現を目指すものであります。開発プロセスにつきましては、データドリブン(注14)なプロジェクト管理をプロアクティブに行うために「プロジェクト状況可視化ダッシュボード」の実案件への適用を開始しております。また、様々なユースケースや作業を対象に生成AIの適用可能性検証を開始しております。システムの設計ノウハウの展開に対しては、クラウドネイティブ技術(注15)のデザインパターン(注16)を整備し複数の実案件に適用しております。国内においてもクラウドネイティブ技術を採用するプロジェクトのすそ野が広がりはじめており、戦力強化のための人材育成として130人を超える受講者を輩出しております。今後の企業情報システムでは、アジリティを重視するDXと、品質や安定性が重視される基幹系を含む既存の情報システムにおいて、一見相反する要求を両立しなければなりません。それらのエンタープライズレベルでの統合を実現する組織分担・開発プロセス・システムアーキテクチャの研究開発を進めております。 (注1) デジタルツイン:工場の設備・製品等の実世界のオブジェクトをデータとしてデジタルな空間に転写・再現することで、リモートからの監視・制御や、過去の状況の再現・未来の予測シミュレーション等を可能にすること。(注2) 生成AI:深層学習や機械学習の手法を駆使し、人が生成するようなテキスト、画像、音楽、ビデオ等のデジタルコンテンツを自動で生成するAI技術。後述の注13「基盤モデル」によって実現されており、注11「ChatGPT」もこの一種。(注3) Geminant(ジェミナント):当社が開発したデジタルツイン可視化のためのプラットフォーム及び部品群。(注4) PoV:価値実験(Proof of Value)(注5) IoX:機械・部品が互いにつながる「IoT(モノのインターネット)」と、ヒトがIT武装によって互いにつながる「IoH(ヒトのインターネット)」が、高度に連携・協調することにより大きな成果を出すコンセプト。(注6) アンビエント技術:環境に溶け込み、ユーザーが促さなくてもいつでも支援を提供できる技術。(注7) HCMIコンソーシアム:産業技術総合研究所の産学官連携プラットフォーム。(注8) VR:仮想現実(Virtual Reality)。(注9) シミュレーション技術:合理的に最適条件を導出する技術をコンピュータ上でシミュレーションすること、実験や試験と比較して、時間やコストを抑えられる場合が多く、有用な技術。(注10) データスペース:デジタル社会で不可欠なデータに注目した概念で、異なる組織・国・エコシステム・異業種等の間で、信頼性を確保しながらデータを共有するための標準化されたルールや仕組み。(注11) ChatGPT:OpenAIが2022年11月に公開した人工知能チャットボット。(注12) マルチモーダル:複数状態、複数形式等を意味し、例えばマルチモーダルAIでは数値、画像、テキスト、音声等複数種類のデータの組み合わせを処理できる単一のAIを意味する。(注13) 基盤モデル:大量で多様なデータを用いて訓練され、様々なタスクに適応(ファインチューニング等)できる深層学習モデル。(注14) データドリブン :収集した様々なデータをもとに意思決定を行う手法。(注15) クラウドネイティブ技術:クラウドの提供する機能を徹底的に活用して、スケーラブルで信頼性・回復性のある疎結合なシステムを開発する設計技術。(注16) デザインパターン:ソフトウェア設計において過去に編み出した設計ノウハウを蓄積し、再利用しやすいように特定の規約に沿ってカタログ化したもの。
FY2023|3,663 文字
6 【研究開発活動】研究開発活動につきましては、技術進化・ビジネストレンド・社会環境・人々の価値観の変化等の不確実な状況を踏まえ、新技術の探索、評価・検証、顧客企業への新技術導入支援等において長年にわたって蓄積してきた経験とノウハウを基に、社会全体の「サステナビリティ」の実現に向けた将来像を3つの「未来目標」として設定しております。 未来目標1「究極のデジタルツイン(注1)」 - すべてをデジタルな世界に転写して再現しよう 未来目標2「業務を理解・実行できる人工知能」 - 機械の知的能力をとことん人間に近づけよう 未来目標3「サステナブルな企業情報システム」 - 変化への対応力があり長持ちするシステムにしよう当連結会計年度においては、未来目標からバックキャストすることで解決すべき課題や必要となる技術を検討して、研究開発活動に取り組みました。当連結会計年度における研究開発費の総額は、2,320百万円であり、各未来目標に向けた主な研究開発成果は次のとおりであります。 (1)未来目標1:究極のデジタルツイン製造業のデジタルツインを実現するシステム「Geminant(ジェミナント)」(注2)は実フィールドでの検証を行いデータモデルやGIS(注3)の整備を進めております。同様にIoX(注4)関連技術・エッジ技術につきましても実フィールドへの適用からのフィードバックにより、技術知見の蓄積に加えて学習コンテンツ等の整備が進んでおります。アンビエント技術(注5)につきましては、HCMIコンソーシアム(注6)と共同で「溶接技能伝承」をテーマとしたVR(注7)溶接シミュレーターの研究開発を行っており、プレス向けに研究成果発表会を実施しました。国際ウェルディングショーへの出展や特許出願を行うと同時に、HCMIの枠組みを活かし日本溶接協会等とも連携しながら、日本のものづくりにおけるディープデータ(注8)の活用や競争力向上に取り組んでおります。最適化技術及びシミュレーション技術(注9)につきましては、日本製鉄等の実フィールドへの適用検討と検証を行いつつ、研修やワークショップを整備することで人材育成メニューを拡充しております。匿名加工技術を中心としたデータセキュリティにつきましては、秘匿性の確保とデータ活用の両立が必要な製薬業界の顧客企業と共同で統合データ利活用基盤を構築してプレスリリースを行い、コンサルティングのケイパビリティ強化と相まって、同業種からの引き合いが増加しております。 (2)未来目標2:業務を理解・実行できる人工知能大規模言語モデル/LLM(注10)は、ChatGPT(注11)にて利用される等、世の中で急速に活用と議論が進んでおります。当社では、これらを含めた自然言語処理に関する研究開発を、2014年頃から継続的に行っており、実フィールドにて業務の自動化、ナレッジ抽出、情報検索等への実案件適用を進めるとともに、世間での認知度の高まりに応じて教育コンテンツの拡充を進めております。そうした人工知能(AI)技術を、これまで注力してきたシステム開発高度化の研究開発に応用することを進めてきました。自然言語だけでなく、画像・ビッグコードを含むマルチモーダル(注12)なドキュメント処理モデルでは、オープンなモデルの検証と活用に加え、独自データセットと基盤モデル(注13)の開発を行っております。例えば、文章の意味を理解し、同時に画面レイアウトを理解するマルチモーダルなAI技術を用いて、Web画面テスト自動化AI「Curatis(キュラティス)」を開発し、実証実験と実用性向上を進めております。これにより、システムの素早い提供と工数の大幅な削減に貢献します。AI開発プロセスの改善にも取り組んでおります。AI開発案件の振り返りを元に、ボトルネックとして認識された精度評価の時間短縮を図るツールを開発し、ある実証実験では1人月程度かかっていた作業を数人日に短縮する効果が得られております。(2022年度の主なコンペティション成績)国際的画像認識コンペ「Google Universal Image Embedding」で1022チーム中第5位に入賞データ分析世界大会“Kaggle”でGold Medal獲得~「G2Net Detecting Continuous Gravitational Waves」で936チーム中第10位に入賞~~「1st and Future - Player Contact Detection」で939チーム中第9位に入賞~ (3)未来目標3:サステナブルな企業情報システムこの目標は、環境変化に対して柔軟に対応できるように最新技術の活用によって、システム自体のサステナビリティを担保しながら、サステナブルな社会やビジネスを支えるシステムの実現を目指すものであります。開発プロセスにつきましては、データドリブン(注14)なプロジェクト管理をプロアクティブに行うために「プロジェクト状況可視化ダッシュボード」を開発し、機能の充実を進めております。また、開発効率化やレビューの高度化のための「レビュー支援Bot」を開発し、実案件に適用して効果を検証しております。システムの設計ノウハウの展開に対しては、クラウドネイティブ技術(注15)の研修コンテンツとして「クラウドネイティブ設計標準」及び「コンテナセキュリティ及びマイクロサービス(注16)認証認可に関する設計標準」を作成して、ゼロトラスト(注17)セキュリティにおけるID管理/認証認可の検討ポイントを整備しております。また、「クラウドネイティブ可用性設計ガイド」を策定して実案件に適用し、レジリエンシー設計に活用しております。今後の企業情報システムでは、アジリティを重視するDXと、品質や安定性が重視される基幹系を含む既存の情報システムにおいて、一見相反する要求を両立しなければなりません。それらのエンタープライズレベルでの統合を実現する組織分担・開発プロセス・システムアーキテクチャの研究開発を進めております。 (注1) デジタルツイン:工場の設備・製品等の実世界のオブジェクトをデータとしてデジタルな空間に転写・再現することで、リモートからの監視・制御や、過去の状況の再現・未来の予測シミュレーション等を可能にすること。(注2) Geminant(ジェミナント):当社が開発したデジタルツイン可視化のためのプラットフォーム及び部品群。(注3) GIS:地理情報システム(Geographic Information System)。(注4) IoX:機械・部品が互いにつながる「IoT(モノのインターネット)」と、ヒトがIT武装によって互いにつながる「IoH(ヒトのインターネット)」が、高度に連携・協調することにより大きな成果を出すコンセプト。(注5) アンビエント技術:環境に溶け込み、ユーザーが促さなくてもいつでも支援を提供できる技術。(注6) HCMIコンソーシアム:産業技術総合研究所の産学官連携プラットフォーム。(注7) VR:仮想現実(Virtual Reality)。(注8) ディープデータ:特定の対象について長期的あるいは様々な観点から詳細に収集したデータ。(注9) シミュレーション技術:合理的に最適条件を導出する技術をコンピュータ上でシミュレーションすること、実験や試験と比較して、時間やコストを抑えられる場合が多く、有用な技術。(注10) 大規模言語モデル/LLM:従来のモデルに比べて1,000倍ほど巨大な自然言語処理のモデル。少量の学習データでも高い精度で問題を解くことを実現した技術。(注11) ChatGPT:OpenAIが2022年11月に公開した人工知能チャットボット。(注12) マルチモーダル:複数状態、複数形式等を意味し、例えばマルチモーダルAIでは数値、画像、テキスト、音声等複数種類のデータの組み合わせを処理できる単一のAIを意味する。(注13) 基盤モデル:大量で多様なデータを用いて訓練され、様々なタスクに適応(ファインチューニング等)できる深層学習モデル。(注14) データドリブン :収集した様々なデータをもとに意思決定を行う手法。(注15) クラウドネイティブ技術:クラウドの提供する機能を徹底的に活用して、スケーラブルで信頼性・回復性のある疎結合なシステムを開発する設計技術。(注16) マイクロサービス:アプリケーションを機能ごとのサービスに分割して、それらが連携して動作するアーキテクチャ。開発のアジリティ、スケーラビリティ、可用性の向上等が期待される。(注17) ゼロトラスト:社内外のネットワーク環境の「境界」という概念を取り去り、情報資産にアクセスするものはすべて信用せずに、安全性を検証することで情報資産の脅威を防ぐとするセキュリティの考え方。
FY2022|2,777 文字
5 【研究開発活動】当連結会計年度の研究開発活動は、システムの構築・運用における品質・生産性向上、情報システムの高度化に関する技術開発に加え、クラウドをはじめとするITサービスの競争力強化、お客様との価値共創に寄与する研究開発を進めました。また、お客様のデジタルトランスフォーメーション(DX)に資するAIなどの技術領域に対し、差別性のある情報技術の研究開発に積極的に取り組みました。当連結会計年度における研究開発費の総額は、1,942百万円であり、主な研究開発成果は以下のとおりです。 (1)システムの構築・運用における品質及び生産性の向上システム構築・運用のアジリティを向上する手法としてDevOps(注1)やアジャイルを含む開発プロセス、非定型業務の知的作業支援について研究活動を継続しています。運用プロセスに対しては、物理的に離れた環境においても、仮想空間を共有することで臨場感を持って共同作業やコミュニケーションを可能とする仕組みについてVR技術を活用して整備、研究所内で試用しつつ機能強化を継続しています。また、実システムでの利用が拡大しているクラウドにおいて、そのメリットを活かした高品質なシステム構築・運用を実現するために、クラウドネイティブ技術(注2)、コンテナ関連技術、マイクロサービスアーキテクチャ(注3)による設計に関する知見を蓄積・整理し、要求される非機能要件を実現する設計・運用技術に取り組んでいます。加えて、派生開発(注4)を対象に、品質・生産性の向上を目的としたプロセス整備、およびソースコード解析技術を活用した支援ツールの研究開発を継続しています。また、近年発展の著しい自然言語処理の領域の技術をソースコードに適用する研究開発も引き続き行い、テスト仕様書を読んで自動的にテストを実行するAIのプロトタイプの開発などを実行しています。 (2)ITサービスの競争力強化、価値共創の取り組み重要システムに適用範囲が拡大しているクラウド領域については、次世代クラウドサービスの重要な要素であるコンテナ関連技術の適用やSRE(注5)の実践を複数のお客様の実案件で実行いたしました。さらに、DXを推進するお客様は、「ビジネスアイデアをシステムとして具現化し、ビジネスにフィードバックする」というBizDevOps(注6)プロセス全体のサイクルをアジリティと品質を両立しながら回していく必要があり、この全体プロセスを支えるためのプラットフォームに関する調査や一部機能の開発を進めています。 (3)デジタルトランスフォーメーション(DX)を実現する技術への取り組みAIを用いた業務高度化では、自然言語処理や機械学習を応用してチーム活動の強化・支援を行う技術や、多目的最適化技術(注7)を使ってトレードオフのある環境下で実用的な計画を高速に立案するとともに、その結果を人が理解しやすい形で提供して、人とAIが協調することによって計画の質的向上を図るための仕組みの研究開発を進めています。IoTに関しては、「ヒトの安全」をサポートする「安全見守りアプリケーション」に対して研究成果を適用した追加機能の開発や、さらなる機能追加に向けて、例えばGPS電波の届きにくい屋内での正確な位置測位技術などの研究開発を継続しています。データ利活用に関しては、データマネジメントについての研究開発を強化しています。また、デジタルツイン(注8)の実現に必要な要素技術の研究やプラットフォーム開発、データライフサイクル全体のシステム化の研究開発、プロトタイプの作成を進めています。データ流通時代に必須となる匿名化技術については、研究開発成果をソリューション化した「匿丸」の機能強化、新たな技術に対する検証・適用領域検討、匿名化技術を競うコンペティションであるPWSCUP2021への参加や実案件を通してのエンジニア育成といった活動を継続して行っています。AI関連技術を含む高度IT技術の活用においては、引き続き日本製鉄㈱のインテリジェントアルゴリズム研究センター(略称IA3センター)と連携することで、製造現場におけるニーズの捕捉、操業データを用いた深層学習などの活用についての研究開発を継続します。そこで得られた汎用的な成果は積極的に社外へも展開いたします。この様にこれまで培ってきたシステム開発に関する豊富な研究開発知見をベースに先端的な技術に取り組んできた一つの結果として、データ分析に関する国際的なコンペティションでも多くの実績を残すなど、AI/データ利活用に関する技術的知見を豊富に蓄積しており、そうした先端技術の研究成果を実際のビジネスにいち早く適用していくことで、顧客のDX推進の支援に取り組んでいます。(2021年度の主なコンペティション成績) データ分析コンペティション「SIGNATE」優勝 データ分析世界大会「Kaggle」第2位、第5位に入賞 強化学習の世界大会「AutoRL Challenge」第5位入賞 データ分析世界大会「KDD Cup」10位入賞 (注1)DevOps:ソフトウェア開発手法の一つ。開発担当者と運用担当者が連携の上、推進する開発手法。(注2)クラウドネイティブ技術:クラウドの提供する機能を徹底的に活用して、スケーラブルで信頼性・回復性のある疎結合なシステムを開発する設計技術。(注3)マイクロサービスアーキテクチャ:アプリケーションを機能ごとのサービスに分割して、それらが連携して動作するアーキテクチャ。開発のアジリティ、スケーラビリティ、可用性の向上などが期待される。(注4)派生開発 : 新規開発と対峙する概念。既存システムの基本構造を保ったまま機能を拡張していく手法。影響範囲分析や回帰テストの効率化、属人化・暗黙知化の防止が特徴的な課題。(注5)SRE:Site Reliability Engineeringの略で、ITサービスにおける開発のアジリティ、ならびに可用性や性能などの信頼性を高めるシステム開発運用手法を指す。SREは開発運用業務の自動化を主要なアプローチの1つとしており、様々なAPIを提供するクラウドやコンテナを活用することで導入効果を相互に高めることができる。(注6)BizDevOps:ビジネス部門、開発部門、運用部門が密に連携し、同じビジネス目標、IT目標を目指し活動すること。(注7)多目的最適化:複数の目的関数間のトレードオフを考慮して最適解を導く最適化手法。(注8)デジタルツイン:工場の設備・製品などの実世界のオブジェクトをデータとしてデジタルな空間に転写・再現することで、リモートからの監視・制御や、過去の状況の再現・未来の予測シミュレーションなどを可能にすること。
FY2021|2,159 文字
5 【研究開発活動】当連結会計年度の研究開発活動は、システムの構築・運用における品質向上・生産性向上、情報システムの高度化に関する技術開発に加え、クラウドをはじめとするITサービスの競争力強化、お客様との価値共創に寄与する研究開発を進めました。また、お客様のデジタルトランスフォーメーション(DX)に資するAIなどの技術領域に対し、差別性のある情報技術の研究開発に積極的に取り組みました。当連結会計年度における研究開発費の総額は、1,694百万円であり、主な研究開発成果は以下のとおりです。 (1)システムの構築・運用における品質及び生産性の向上システム構築・運用のアジリティを向上する手法としてDevOps(注1)やアジャイルを含む開発プロセス、非定型業務の知的作業支援について研究活動を継続しています。運用プロセスに対しては、物理的に離れた環境においても、仮想空間を共有することで共同作業やコミュニケーションを効率的に可能とするツールを開発、AR/VR技術を活用して機能強化を継続しています。また、実システムでの利用が拡大しているクラウドにおいて、そのメリットを活かした高品質なシステム構築・運用を実現するために、クラウドネイティブ技術(注2)、コンテナ周辺技術、マイクロサービスアーキテクチャ(注3)による設計に関する知見を蓄積・整理し、要求される非機能要件を実現する設計・運用技術に取り組んでいます。加えて、派生開発(注4)を対象に、品質・生産性の向上を目的としたプロセス整備、およびソースコード解析技術を活用した支援ツールの研究開発を継続しています。また、近年発展の著しい自然言語処理の領域の技術をソースコードに適用する研究開発に着手いたしました。 (2)ITサービスの競争力強化、価値共創の取り組み重要システムに適用範囲が拡大しているクラウド領域については、次世代クラウドサービスの重要な要素であるコンテナ関連技術を、社内向けのソフトウェア開発環境Tetralinkに適用いたしました。さらに、DXを推進するお客様にとって、「ビジネスアイデアをシステムとして具現化し、ビジネスにフィードバックする」というBizDevOps(注5)プロセス全体サイクルをアジリティと品質を両立しながら回していく必要があり、この全体プロセスを支えるためのプラットフォームの開発を進めています。 (3)デジタルトランスフォーメーション(DX)を実現する技術への取り組みAIを用いた業務高度化では、自然言語処理や機械学習を応用してチーム活動の強化・支援を行う技術や、多目的最適化技術(注6)を使ってトレードオフのある環境下で実用的な計画を高速に立案するとともに、その結果を人が理解しやすい形で提供して、人とAIが協調することによって計画の質的向上を図るための仕組みの研究開発を進めています。IoTに関しては、「ヒトの安全」をサポートする「安全見守りアプリケーション」の開発及び現場への適用を継続しています。データ利活用については、データマネジメントについての研究開発を強化しています。また、デジタルツイン(注7)の実現に必要な要素技術の研究やプラットフォーム開発、データライフサイクル全体のシステム化の研究開発、プロトタイプの作成を進めています。データ流通時代に必須となる匿名化技術の研究開発成果をソリューション化した「匿丸」については、データ加工手法選択の自動化などの強化を行いました。なお、匿名化技術については、その技術を競うコンペティションであるPWSCUP2020にて総合優勝を果たしました。AI関連技術を含む高度IT技術の活用においては、引き続き日本製鉄㈱のインテリジェントアルゴリズム研究センター(略称IA3センター)と連携することで、製造現場におけるニーズの捕捉、操業データを用いた深層学習などの活用についての研究開発を継続します。そこで得られた汎用的な成果は積極的に社外へも展開いたします。 (注1)DevOps:ソフトウェア開発手法の一つ。開発担当者と運用担当者が連携の上、推進する開発手法。(注2)クラウドネイティブ技術:クラウドの提供する機能を徹底的に活用して、スケーラブルで信頼性・回復性のある疎結合なシステムを開発する設計技術。(注3)マイクロサービスアーキテクチャ:アプリケーションを機能ごとのサービスに分割して、それらが連携して動作するアーキテクチャ。開発のアジリティ、スケーラビリティ、可用性の向上などが期待される。(注4)派生開発 : 新規開発と対峙する概念。既存システムの基本構造を保ったまま機能を拡張していく手法。影響範囲分析や回帰テスト、属人化・暗黙知化が特徴的な課題。(注5)BizDevOps:ビジネス部門、開発部門、運用部門が密に連携し、同じビジネス目標、IT目標を目指し活動すること。(注6)多目的最適化:複数の目的関数間のトレードオフを考慮して最適解を導く最適化手法。(注7)デジタルツイン:工場の設備・製品などの実世界のオブジェクトをデータとしてデジタルな空間に転写・再現することで、リモートからの監視・制御や、過去の状況の再現・未来の予測シミュレーションなどを可能にすること。
FY2020|1,758 文字
5 【研究開発活動】当連結会計年度の研究開発活動は、システムの構築・運用における品質向上・生産性向上、情報システムの高度化に関する技術開発に加え、クラウドをはじめとするITサービスの競争力強化、お客様との価値共創に寄与する研究開発を進めました。またIoTやAIに代表される、情報システムの高度化及びお客様の知的作業支援に役立つ技術領域に対し、差別性のある情報技術の研究開発に積極的に取り組みました。当連結会計年度における研究開発費の総額は、1,996百万円であり、主な研究開発成果は以下のとおりです。 (1)システムの構築・運用における品質及び生産性の向上 システム構築・運用のアジリティを向上する手法としてDevOps(注1)やアジャイルを含む開発プロセス、非定 型業務の知的作業支援について研究活動を継続しています。運用プロセスに対して、物理的に離れた環境において も、仮想空間を共有し、共同作業やコミュニケーションを効率的に可能とするツールをAR/VR技術を活用して開発着 手しています。 また、利用が拡大しているクラウド上で、そのメリットを活かした高品質なシステム構築・運用を実現するた め、クラウドネイティブ技術、コンテナ周辺技術などの研究開発に取り組んでいます。 加えて、派生開発(注2)における品質・生産性の向上を目的としたプロセス整備、支援ツールの研究開発を継 続しています。 (2)ITサービスの競争力強化、価値共創の取り組み 重要システムに適用範囲が拡大しているクラウド領域について、次世代クラウドサービスに向けたコンテナ関連 技術に対する技術検証及び、社内開発環境に対する適用検証を行いました。 また、お客様との価値共創を実現するための一つの手法であるデザインシンキング領域について、実適用案件数 も益々増加しております。 さらに、DXを推進するお客様にとって、「ビジネスアイデアをシステムとして具現化し、ビジネスにフィード バックする」というBizDevOps(注3)プロセス全体サイクルをアジリティと品質を両立しながら回していく必要 があり、この全体プロセスを支えるためのプラットフォームをクラウド上で提供出来るように開発を着手しまし た。 (3)IoT、AI・データ利活用領域への取り組み IoTに関しては、「ヒトの安全」をサポートする「安全見守りアプリケーション」の開発及び現場への適用を 継続しています。 AIを用いた業務高度化では、自然言語処理や機械学習を応用してチーム活動の強化・支援を行う技術や、多目 的最適化技術(注4)を使って高精度な計画を高速に立案し、その結果を人が理解しやすい形で提供する技術の 研究開発を進めています。 データ利活用については、データ匿名化技術の研究開発成果をソリューション化した「匿丸」のリリースを行い ました。また、業務及びデータの変化に追随し継続的な業務の高度化を実現するためのデジタルツインの研究開 発や、データライフサイクル全体のシステム化の研究開発、プロトタイプの作成を進めています。それらの研究成 果を活用してお客様の課題解決を進めてまいります。 さらに、AI・データサイエンティスト人材の育成に向けたガイドラインや教育コンテンツの作成も行っていま す。 なお、AI関連技術を含む高度IT技術の活用において、引き続き日本製鉄㈱のインテリジェントアルゴリズム 研究センター(略称IA3センター)と連携することで、製造現場におけるニーズの捕捉、操業データを用いた深層 学習などの最新技術活用に向けた研究開発を継続し、そこで得られた成果は積極的に社外へ発表して行きます。 (注1)DevOps:ソフトウェア開発手法の一つ。開発担当者と運用担当者が連携の上、推進する開発手法。(注2)派生開発 : 新規開発と対峙する概念。既存システムの基本構造を保ったまま機能を拡張していく手法。影響範囲分析や回帰テスト、属人化・暗黙知化が特徴的な課題。(注3)BizDevOps:ビジネス部門、開発部門、運用部門が密に連携し、同じビジネス目標、IT目標を目指し活動すること。(注4)多目的最適化:複数の目的関数間のトレードオフを考慮して最適解を導く最適化手法。
FY2019|1,518 文字
5 【研究開発活動】当連結会計年度の研究開発活動は、システムの構築・運用における品質向上・生産性向上、情報システムの高度化に関する技術開発に加え、クラウドをはじめとするITサービスの競争力強化、お客様との価値共創に寄与する研究開発を進めました。またIoTやAIに代表される、情報システムの高度化およびお客様の知的作業支援に役立つ技術領域に対し、差別性のある情報技術の研究開発に積極的に取り組みました。当連結会計年度における研究開発費の総額は、1,678百万円であり、主な研究開発成果は以下のとおりです。 (1)システムの構築・運用における品質および生産性の向上 システム構築・運用のアジリティを向上する手法としてDevOps(注1)やアジャイルを含む開発プロセス、非定 型業務の知的作業支援について研究活動を継続しています。 また、利用が拡大しているクラウド上で、そのメリットを活かした高品質なシステム構築・運用を実現するた め、クラウドネイティブ技術、コンテナ技術などの研究開発に取り組んでいます。 加えて、派生開発(注2)における品質・生産性の向上を目的としたプロセス整備、支援ツールの研究開発を継 続しています。 (2)ITサービスの競争力強化、価値共創の取り組み 重要システムに適用範囲が拡大しているクラウドについて、OpenStack(注3)などで構成される次世代クラウド サービスは技術検証フェーズを完了し、実サービスにその技術を適用しています。 また、お客様との価値共創を実現するための一つの手法であるデザインシンキング領域についての研究開発活動 を継続しており、実適用案件数も着実に増加しています。今後の更なる適用案件の増加に向けて社内エンジニアに 対する教育活動等も行っています。 (3)IoT、AI・データ利活用領域への取り組み IoTに関しては、「ヒトの安全」をサポートする「安全見守りアプリケーション」やセンサーデータを利用した 「設備の異常検知・予防保全」の仕組みの開発および現場への適用を継続しています。 AIを用いた知的作業支援については、自然言語処理や機械学習を応用してチーム活動の強化・支援を行う技術 や、複数の目的関数間のトレードオフを考慮して多数の最適解候補を導く多目的最適化技術等の研究開発を進めて います。 データ利活用については、活用可能なデータの幅を広げるデータ匿名化技術の研究開発、業務およびデータの変 化に追随し継続的な業務の高度化を実現するためのデジタルツインの研究開発や、データライフサイクル全体のシ ステム化の研究開発を進めています。またそれらの研究成果を活用してお客様の課題解決を進めていくために 「データ・レバレッジ・センター(DLC)」をシステム研究開発センター内に設置しました。 なお、AI関連技術を含む高度IT技術の活用において、引き続き日本製鉄 (株)のインテリジェントアルゴリズム 研究センター(略称IA3センター)と連携することで、製造現場におけるニーズの捕捉、操業データを用いた深層学 習などの最新技術活用に向けた研究開発を継続し、そこで得られた成果は積極的に社外へ発表して行きます。 (注1) DevOps:ソフトウェア開発手法の一つ。開発担当者と運用担当者が連携の上、推進する開発手法。 (注2) 派生開発 : 新規開発と対峙する概念。既存システムの基本構造を保ったまま機能を拡張していく手法。 影響範囲分析や回帰テスト、属人化・暗黙知化が特徴的な課題。 (注3) OpenStack:オープンソースで開発されているクラウド環境構築用のソフトウェア群の名称。
FY2018|1,439 文字
5 【研究開発活動】当連結会計年度の研究開発活動は、システムの設計・構築における品質向上・生産性向上、情報システムの高度化に関する技術開発に加え、クラウドをはじめとするITサービスの競争力強化、お客様との価値共創に寄与する研究開発を進めました。またIoTやAIに代表される、情報システムの高度化およびお客様の知的作業支援に役立つ技術領域に対し、差別性のある情報技術の研究開発に積極的に取り組みました。当連結会計年度における研究開発費の総額は、1,618百万円であり、主な研究開発成果は以下のとおりです。 (1)システムの構築・運用における品質および生産性の向上システム構築・運用のアジリティやスピードを向上する手法としてDevOps(注1)やアジャイル開発の研究活動を継続しています。また、システム構築において大規模ソフトウェア開発・基盤構築の生産性や品質の向上、システム運用における運用効率性の向上を目指して、定型業務の自動化と非定型業務の知的作業支援の実現に向けた研究開発に取り組んでいます。加えて、派生開発(注2)における品質・生産性の向上を目的としたプロセス整備、支援ツールの研究開発を継続しています。 (2) ITサービスの競争力強化、価値共創の取り組み重要システムに適用範囲が拡大しているクラウドについては、OpenStack(注3)などを活用した次世代クラウドサービスに関する技術検証を進めています。加えて、複数のクラウドサービスを組み合わせることを念頭に、環境変化へ柔軟に対応できるシステム構築手法や非機能要件担保に関する研究を継続しています。また、お客様との価値共創を実現するための手法とソリューションの開発を狙い、匿名化を含めたデータの利活用、デザインシンキングの領域で研究開発活動を継続しています。 (3) IoT、AI領域への取り組み今後の適用拡大が見込まれるIoTに関しては、「ヒトの安全」をサポートする「安全見守りアプリケーション」を開発し、サービス化しました。さらに、IoT等から得られるビッグデータ分析に関する技術開発について、センサーデータを利用した「設備の異常検知・予防保全」の仕組みを開発し、「異常検知プラットフォーム」としてお客様現場への実適用を開始しています。AIを用いた知的作業支援については、自然言語処理や機械学習を応用したチーム活動の強化・支援、複数の目的関数間のトレードオフを考慮し多数の最適解候補を導く多目的最適化技術等の研究開発を進めています。また、「AI研究開発センター」をシステム研究開発センター内に設置し、AI関連技術を活用したお客様の課題解決や、新しいサービス・価値創出の実現を支援しております。なお、AI関連技術を含む高度IT技術の活用において、新日鐵住金(株)のインテリジェントアルゴリズム研究センター(略称IA3センター)と連携し、製造現場におけるニーズの捕捉、操業データを用いた深層学習などの最新技術活用に向けた研究開発を進めています。 (注1) DevOps:ソフトウェア開発手法の一つ。開発担当者と運用担当者が連携の上、推進する開発手法。(注2) 派生開発 : 新規開発と対峙する概念。既存システムの基本構造を保ったまま機能を拡張していく手法。影響範囲分析や回帰テスト、属人化・暗黙知化が特徴的な課題。(注3) OpenStack:オープンソースで開発されているクラウド環境構築用のソフトウェア群の名称。
FY2017|2,036 文字
6 【研究開発活動】当連結会計年度の研究開発活動は、クラウドやIoTに代表される情報システムを高度化する技術領域、お客様の知的作業支援に役立つ技術領域に対し、差別性のある情報技術の研究開発を進めてまいりました。また、お客様との共創、ITによるワークスタイルの変革、システムの設計・構築における品質向上・生産性向上に関する技術開発を積極的に進めています。当連結会計年度における研究開発費の総額は、1,801百万円であり、主な研究開発成果は以下のとおりです。 (1)情報システムの高度化重要システムに適用範囲が拡大しているクラウドについては、いくつかのクラウドサービスの組み合わせにより、環境変化に柔軟に対応できるシステム構築手法に関する研究を継続しています。システム基盤の観点からは、OpenStack(注1)やSDN(注2)などを活用して、複数のクラウドに跨る運用管理を透過的に行う技術や、クラウド間で自由にアプリケーションの移動を行う手法の技術、ネットワークの柔軟な構築・運用を実現する技術の開発を行っています。今後の適用拡大が見込まれるIoTに関しては、オープンかつ中立な技術を用いて、重要なデータを安全に格納しIoX(注3)のPoC(注4)・実適用を容易に開始できる「IoXプラットフォーム」を構築するとともに、空間認識機能を備えたデバイスを用いて位置認識機能の向上に関する研究を行うなど、IoTに関する利便性と機能向上を目的とする研究を進めております。さらに、IoTの本格的な展開に合わせて重要性を増すビッグデータ分析に関する技術開発については、平成26年11月にリリースしたデータ分析統合環境「DataVeraci(ダータヴェラーチ)」をクラウドサービスとして商用化するための研究開発を進め、「DataVeraci@absonne」としてのサービス提供に至りました。 (2) 知的作業支援、ワークスタイル変革の促進ITを活用した高度な知的作業の普及促進を目的に、データ分析による予測モデルの作成技術、経験値を数値化する最適化技術、AIの主要技術の一つである機械学習(注5)など、知的作業を支援する領域において実用化に向けた研究開発を行っています。また、データの利活用、デザインシンキング(注6)の領域で研究開発活動を継続しており、お客様との価値共創や新しい働き方を支えるワークスタイル変革を実現するための手法とソリューションの開発に結びつけています。 (3) システムの構築・運用における品質および生産性の向上システム構築においては、引き続き大規模ソフトウェア開発の生産性向上と基盤構築の品質向上、またシステム運用においては、運用効率性の向上をめざして、定型業務の自動化と非定型業務の作業支援の実現に向けた研究開発に取り組んでいます。システム構築・運用の生産性を向上する手法として注目されているDevOps(注7) の研究活動を継続しています。加えて、エンタープライズレベルでの派生開発(注8)における品質・生産性の向上を目的としたプロセス整備、支援ツールを研究開発しています。また、次世代Webシステム開発のためにHTML5準拠のアプリケーションフレームワークとして公開したオープンソースソフトウェア「hifive」について、インターネットメディアへの寄稿や開発者コミュニティーへの参画を通じた認知度向上を図り、利用促進のための活動を継続しています。 (注1) OpenStack:オープンソースで開発されているクラウド環境構築用のソフトウェア群の名称。(注2) SDN : Software Defined Networkの略。ネットワーク関係のIT基盤の制御をソフトウェアで定義して実現する概念。複雑化・肥大化するITネットワークを柔軟に変更しながら運用できる。(注3) IoX : IoT(Internet of Things)に加え、IoH(Internet of Human:様々な機器を人間の身体とつなげ、インターネットを経由して様々な情報と連携すること)を含めたソリューション。IoXは当社の登録商標です。(注4) PoC:Proof of Conceptの略。実証試験を通じて概念やアイデアの実現可能性を検証すること。(注5) 機械学習:人工知能の一種で、人間が自然に行っている学習能力と同様の機能をコンピュータで実現しようとする技術・手法のこと。 (注6) デザインシンキング :共感、問題定義、創造、プロトタイプ、テストといったステップを通じてイノベーションを生み出す方法。(注7) DevOps:ソフトウェア開発手法の一つ。開発担当者と運用担当者が連携の上、推進する開発手法。(注8)派生開発 : 新規開発と対峙する概念。既存システムの基本構造を保ったまま機能を拡張していく手法。影響範囲分析や回帰テスト、属人化・暗黙知化が特徴的な課題。
FY2016|2,009 文字
6 【研究開発活動】当連結会計年度の研究開発活動は、クラウドコンピューティングによるシステム構築・運用の高度化、IoX(注1)の活用、ワークスタイルの変革など、当社の成長をけん引する技術開発に取り組んできました。当社のSI事業を支える技術開発についても、既存システムへの機能追加や改修を行う派生開発、運用の品質や生産性の向上など、技術力の向上に向けた研究開発に継続的に取り組んでいます。当連結会計年度における研究開発費の総額は、1,598百万円であり、主な研究開発成果は以下のとおりです。 (1)クラウドを中心とする情報システムの高度化サービスインテグレーション事業(注2)に向けて、いくつかのクラウドサービスを組み合わせ、環境変化に柔軟に対応できるシステム構築手法の検討を進めています。システム基盤の観点からは、複数のクラウドに跨る運用管理を透過的に行う技術や、クラウド間で自由にアプリケーションの移動を行う手法の技術開発を行っています。さらに進展著しいITのサービス化を支えることを目的に、クラウドシステムのネットワークを柔軟に構築・運用するSDN(注3)に注力し、ネットワークテストの効率化などの成果を上げています。 (2) 知的作業支援、ワークスタイル変革の促進ITを活用した高度な知的作業の普及促進を目的に、最近注目を集めているデザイン思考アプローチ(注4)を顧客との価値共創活動に適用するなど、方法論の確立を進めています。またIoXによるワークスタイル変革のソリューションの開発にも積極的に取り組んでいます。特にDeep Learning(注5)などの機械学習(注6)やウェアラブルコンピュータ(注7)を活用した現場作業者の安全性・効率性を向上させるソリューションの開発に注力し、お客様とのPoC(注8)を実施しました。さらに重要性を増すビッグデータ分析に関する技術開発にも取り組み、その成果であるデータ分析統合環境 「Data Veraci (ダータヴェラーチ) 」をクラウドサービスとして商用化する検討を始めました。 (3) システムの構築・運用における品質および生産性の向上ソフトウェア開発や基盤構築における生産性と品質の向上に継続的に取り組んでおります。特にソフトウェア開発では、今後ますます増える既存システムへの機能追加・改修といった派生開発を対象に、プロセスの整備、支援ツールの研究開発を進めています。また次世代Webシステム開発の標準であるHTML5(注9)に準拠したアプリケーションフレームワーク「hifive」をオープンソースソフトウェアとして公開し、インターネットメディアへの寄稿やセミナーの開催などを通じて、利用促進の活動を継続しています。重要性が高まっているシステム運用では、コンピュータを活用した定型業務の自動化、非定型業務の作業支援といった技術開発に取り組んでいます。 (注1) IoX:IoT(Internet of Things)に加え、IoH(Internet of Human:様々な機器を人間の身体とつなげ、インターネットを経由して様々な情報と連携すること)を含めたソリューション(商標出願中)(注2) サービスインテグレーション:サーバー・ネットワーク機器などのハードウェアやOS・アプリケーションなどのソフトウェアに加えて、クラウドなどで利用可能な様々なサービスの統合。(注3) SDN:Software Defined Networkの略。ネットワーク関係のIT基盤の制御をソフトウェアで定義して実現する概念。複雑化・肥大化するITネットワークを柔軟に変更しながら運用できる。(注4) デザイン思考アプローチ:共感、問題定義、創造、プロトタイプ、テストといったステップを通じてイノベーションを生み出す方法論。(注5) Deep Learning:システムがデータの特徴を学習して事象の認識や分類を行う「機械学習」の一手法。データの特徴をより深いレベルで学習し、非常に高い精度で特徴を認識できるため、人の声の認識や、カメラで撮影した画像の認識などでの応用が期待されている。(注6) 機械学習:人工知能の一種で、人間が自然に行っている学習能力と同様の機能をコンピュータで実現しようとする技術・手法のこと。(注7) ウェアラブルコンピュータ:身につけて持ち歩くことができるコンピュータのこと。主に衣服状や腕時計状で身につけたまま使えるものを指す。(注8) PoC:Proof of Conceptの略。実証試験を通じて概念やアイデアの実現可能性を検証すること。(注9) HTML5:Hyper Text Markup Language(ハイパーテキスト・マークアップ・ランゲージ)バージョン5の略。Webページを作るための最も基本的な言語の5回目に当たる大幅な改訂版。