研究開発費(時系列)
| 年度 | R&D費用(億円) | 設備投資(億円) |
|---|---|---|
| 2025-03 | - | 175 |
| 2024-03 | - | 171 |
| 2023-03 | - | 196 |
| 2022-03 | - | 188 |
| 2021-03 | - | 267 |
研究開発活動(本文)
FY2025|7,203 文字
6 【研究開発活動】 (1)研究の目的当社グループ(当社および連結子会社)の研究開発部門では、「食の持続性」の実現に向けて、既存の事業戦略上急務となっている課題に対する研究開発や、中長期的成長の基盤となる基礎研究を幅広く実施しております。また、新規事業創出につながる新たな価値や技術を創造し、グループの持続的発展と事業の戦略的拡大を目指しております。中期経営計画2025においては、6つの戦略課題実現に向けて、基礎研究とそれによる商品への具現化を進めてまいりました。引き続き、NextDesign 2030においては、機動的な研究・商品開発テーマの運用や知財の戦略的活用を通じて新たな価値や技術を創造し、グループの持続的発展と各事業部の戦略的拡大に貢献してまいります。 (2)研究開発体制当社グループの研究開発部門は、当社、雪印種苗㈱および雪印ビーンスターク㈱に設置されています。そのうち、当社の研究開発体制は、おいしさ向上や健康寿命延伸などに繋がる乳の研究や環境負荷低減に関する研究を行う「ミルクサイエンス研究所」、乳食品や市乳の新商品開発や既存商品の改良を行う「商品開発部」、そして事業戦略に基づき研究開発・知財戦略を策定・推進する「研究開発部」が相互に連携することで、新たな需要の創出、高付加価値化、商品力の強化を実現させています。 (3)研究開発費 当連結会計年度の研究開発費の総額は4,983百万円です。 各セグメント別の主な研究開発活動は次のとおりです。乳製品:当連結会計年度の研究開発費の総額は2,089百万円です。飲料・デザート類:当連結会計年度の研究開発費の総額は1,946百万円です。 飼料・種苗:当連結会計年度の研究開発費の総額は947百万円です。 (4)研究開発成果主な研究開発活動とセグメントおよび6つの戦略課題との関係性は以下の通りとなります。●中期経営計画2025の6つの戦略課題における研究開発成果 セグメント6つの戦略課題乳食品・ニュートリション飲料・デザート飼料・種苗プラントベースフードへの参入●当社・これまで当社が「乳」で培ってきた知見を活かし、プラントベースフード市場の新たな領域への新商品として「Plant Label えんどう豆由来のおつまみ」、「米粉由来のもちもち食感シュレッド」を新発売しました。●当社・「ナチュレ恵 megumi 植物生まれ」では、おいしさを向上させ、リニューアル発売しました。・飲料では、より手に取りやすいフレーバー品として「Plant Label えんどう豆生まれ コーヒー」を新発売しました。●-●当社・これまで培ってきた「乳」の知見と機能を活かした商品開発を進めています。●- セグメント6つの戦略課題乳食品・ニュートリション飲料・デザート飼料・種苗機能付加商品の育成●当社・2023年度、「ガセリ菌SP株」の腸内環境改善効果を確認し、2024年度は従来の肥満気味の方の内臓脂肪を減らす機能に加えて、腸内環境を改善する機能を付加した機能性表示食品として「ガセリ菌SP株ヨーグルト」シリーズ、「ガセリ菌SP株カプセル」を発売しました。 ● ―●当社・2017年度より実施していた名古屋大学との産学共同研究講座の成果であるBifidobacterium adolescentis SBT2786が、ヒトにおいて睡眠改善効果を有することを確認しました。今後の商品化に向けて取り組んでいます。 ● ―● ―●当社・野菜飲料に新たな価値を訴求するため「おなかの調子を整える」、「食事に含まれるカルシウム・鉄・マグネシウムの吸収を促進する」機能が報告されたマルトビオン酸を使用した商品を新たに発売しました。 ● ―●当社・機能素材・乳酸菌等について、新たな価値訴求を目指した研究開発を実施中です。 ● ―海外展開の強化●当社・グローバル戦略を加速するため、機能素材や乳酸菌等のヘルスクレームの取得等に継続して取り組んでいます。 ● ―● ―チーズの徹底拡大●当社・2023年から展開している「torochi」シリーズに、原料や風味のバランスにこだわって開発した「torochi モスバーガー監修 チーズソース」を新たに発売しました。 ● ―● ―●当社・北海道生乳を有効活用したチーズ展開を目指し、製造技術開発や商品開発を推進しています。 ● ―● ―白物拡大を前提とする市乳事業の成長● ―●当社・弘前大学との共同研究講座「ミルク栄養学研究講座」による新たな価値創出を目指し、牛乳・乳製品の摂取と健康状態への影響を調査し、骨代謝や骨強度は日常的な牛乳・乳製品摂取と関連すること、乳製品を多く摂取する人は収縮期血圧が低いことを示しました。・当社独自の情報発信サイト「骨太な未来プロジェクト」に学術データを掲載し、情報発信や新たな価値提案に繋げています。 ● ―● ―●当社・牛乳の価値向上のため、UHT牛乳の風味特性の可視化や牛乳の香りによる脳機能の安定化に関する研究、学会発表を行いました。可視化した風味特性は、「雪印メグミルクおいしい牛乳」のパッケージに「おいしさカーブ」として掲載し、お客様に商品の魅力を伝えています。 ● ― セグメント6つの戦略課題乳食品・ニュートリション飲料・デザート飼料・種苗自給飼料需要拡大の取組● ―● ―●雪印種苗<牧草>・雪印種苗(株)と農業・食品産業技術総合研究機構とで共同開発した高栄養オーチャードグラス品種「わせじまん」「えさじまん」「きたじまん」に関し、「寒地・寒冷地向きオーチャードグラス高WSC(水溶性炭水化物)含量品種の育成」として日本草地学会賞を受賞しました。・フェストロリウムは越冬性に優れる草種であるメドウフェスクと飼料品質に優れる草種であるペレニアルライグラスとの属間雑種ですが、雪印種苗(株)が農業・食品産業技術総合研究機構、北海道立総合研究機構と共同開発した品種「ノースフェスト」は双方の優れた特性を併せ持ち、さらに放牧適性も備えており、「北海道農作物優良品種」の認定も受けています。この種子販売を2024年4月に開始しました。 <自給可能植物を利用したメタン抑制技術開発>・持続可能な酪農を確立する上でウシの曖気(げっぷ)中のメタン発生を抑制することが求められています。雪印種苗(株)はソラマメ属のヘアリーベッチとコモンベッチの水溶性成分が牛のゲップからのメタン発生を抑制することを発見し、北海道畜産草地学会で発表しました。ただし、生草そのものには毒性があるため、今後は有効性を高めつつ毒性を低減した飼料添加物に加工する方法を開発していきます。 <高消化性トウモロコシ>・ウシ第一胃中でのトウモロコシサイレージの消化性を調べた結果、雪印種苗(株)の品種「LG31295」が優れていることを明らかにしました。 セグメント6つの戦略課題乳食品・ニュートリション飲料・デザート飼料・種苗その他●当社・オープンイノベーションを活用した研究開発の取り組みを行っております。 ◇弘前大学との共同研究講座「ミルク栄養学研究講座」を通し、「岩木健康増進プロジェクト健診」のビッグデータの活用や参画企業との共創により、乳製品の新たな価値創造を行っています。 ◇バッカス・バイオイノベーションに出資し、腸内細菌叢モデル技術や統合型バイオファウンドリ技術を活用し、バイオテクノロジー分野における研究開発を加速し、当社が保有する乳酸菌等の価値の向上とともに新たな価値の創造に取り組んでいます。 ◇NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)事業において、食品企業および団体と京都大学、九州大学と連携したコンソーシアムにて「食のAIシステム」に関する取り組みを開始しています。期待する食品の品質(物性・風味など)を得るための配合、加工条件を予測AI技術により最適化することを目指して取り組んでまいります。 ●雪印種苗<ポットカーネーション>農業・食品産業技術総合研究機構との共同開発品種「ひなあられ」がジャパンフラワーセレクション(ジャパンフラワーセレクション実行協議会)にて芳香がうるわしく、香りのデザインが優れた品種に授与される「フレグランス賞」を受賞しました。 <スイートコーン>近年の地球温暖化に伴う気候変動の中でも耐倒伏性・収量性が高く、加工適性にも優れた品種「SBS104」を発売しました。●当社・原子間力顕微鏡を用いてバターの組織構造を維持したまま直接観察できる方法を世界で初めて開発しました。今後、バターの付加価値向上に繋げることを目指します。・オープンイノベーションを活用した研究開発の取り組みにより、ラマンイメージングと機械学習でマーガリンの品質や乳化状態を化学的な定量性に基づき評価する解析技術を開発しました。 ●雪印ビーンスターク<第3回全国母乳調査>・母乳の主要成分(たんぱく質、脂質、炭水化物、エネルギー)について、統計解析により、母親や児の健康状態や栄養摂取などの背景因子が影響していることを見出し、新生児栄養フォーラムにて、発表しました。・母乳中の糖鎖と児の感染症とアレルギーとの関連について、日本糖質学会、ビフィズス菌研究会にて発表しました。<つわり対策サプリ「つわびー」リニューアル>・通販(ポスト便)でお求めやすいように、容器包装を箱タイプからパウチタイプへ変更しました。10日分から30日分への入数を増量し、包材使用量と1日単価を削減しました。丸型の錠剤からハート型を開発し、情緒的な付加価値を追加しました。<マムシリーズの試供品フィルム統一>・マムシリーズ3品で個別に作成していた試供品のフィルムを工場での印字で品名を識別し、統一デザインとし、改版時の廃棄量を削減しました。 ●当社・石油由来プラスチック削減容器の開発に向けた研究開発を継続して実施しております。2025年3月から「ナチュレ 恵 megumi」「牧場の朝ヨーグルト」「恵 megumi ビフィズス菌SP株ヨーグルト」の3ブランドに、バイオマスプラスチック配合容器を順次導入しております。 各研究開発成果の補足事項は次のとおりです。●当社〈乳製品〉当社は2024年3月に、新ブランド「Plant Label」を立ち上げ、プラントベースフード市場へ本格的に参入しました。当社のこれまで「乳」で培ってきた幅広い知見や機能を活かし、低脂質でたんぱく質や食物繊維が豊富な「えんどう豆」由来の原料を使用した「Plant Label えんどう豆由来のおつまみ」を新たに発売し、プラントベースフード市場の新たな領域に展開を開始しました。さらに、加熱するともちもちした食感が楽しめる「米粉由来のもちもち食感シュレッド」を発売しました。この商品は、チーズ開発の知見を活かして風味を調整し、料理に適したチーズの風味に仕上げています。また、子会社であるヨシダコーポレーションと連携することで、シナジー効果を発揮し、新商品開発を進めています。これにより、新しい商品を通じて、日々の食事をより楽しいものにしていきます。手軽にかけるだけで、チーズの新しい食習慣や食文化の創出を目指す「torochi」シリーズは、2023年に発売されました。このシリーズに新しく、「torochi モスバーガー監修 チーズソース」が加わりました。この商品は、見た目の楽しさに加え、86%の北海道産ゴーダチーズを使用しています。濃厚なチーズ感がありながら、ハンバーグとよく合い、肉の脂っこさを軽減する酸味のバランスにもこだわって仕上げています。今後も当社は、消費者の健康ニーズおよび環境負荷軽減への対応を進め、新しい価値を提供し続けることで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。主な研究成果は以下の通りです。・バターの物性に関わる組織の微細構造を維持したまま直接観察できる世界初の観察方法について発表いた しました。バターの組織(固体脂ネットワーク)を分析することは、バターの品質を予測する上で重要です。今回、原子間力顕微鏡を用いることで、乳脂肪の微細結晶が凝集した構造を直接観察できることが分かりました。今後、バターの品質の安定化や風味や機能性のさらなる向上、製菓・製パン用途を始め、調理方法や用途に適した商品の開発に役立てることが期待されます。・産業技術総合研究所、大阪大学との共同研究で、ラマンイメージングと機械学習でマーガリンの品質や乳化状態を化学的な定量性に基づき評価する解析技術を開発し、発表いたしました。今回開発した解析手法は、マーガリンの口どけなどの制御だけでなく、品質管理、商品改良などを行う際の実用的な品質評価技術として利用することが期待されます。また、マーガリンのみならず、一般に液体成分が多く含まれる食品の検査や、製薬やその他の分野でも強力なツールになると考えられます。これら研究成果は、日本酪農科学会の酪農科学シンポジウム2024で発表、論文としてFood Chemistryに掲載されました。 〈飲料・デザート類〉ヨーグルトカテゴリーでは、2024年10月に、当社の独自乳酸菌である「ガセリ菌SP株」の機能として、従来の「肥満気味の方の内臓脂肪を低減する機能」に「腸内環境を改善する機能」をプラスし、「恵 megumi ガセリ菌SP株ヨーグルト」シリーズをリニューアル発売しました。これまでご愛顧いただいているお客様にさらに満足いただける機能を訴求することで、より選ばれる商品に進化しました。2025年3月、「ナチュレ 恵 megumi 植物生まれ」は、えんどう豆のクセのある風味を抑え、食感をなめらかにすることでおいしさを向上させ、リニューアル発売をしました。また、「2つの菌を、毎日のおなかに。」をパッケージ上部に配置、「ガセリ菌SP株」「ビフィズス菌SP株」のアイコンも大きく配置して、2つの菌が配合されていることがより視覚的に伝わるようにデザインを変更しました。「Plant Label えんどう豆生まれ オリジナル」は、苦み渋みを低減し、よりコクが感じられる風味に改良しました。商品名とパッケージデザインは、素材や商品特長が伝わるように刷新しました。また、今回のリニューアルにあわせて、手に取りやすいフレーバー品「Plant Label えんどう豆生まれ コーヒー」を新発売しました。これまで培ってきた「乳」の知見と機能を活かし、植物性商品の展開を進めることで、食の持続性に取り組んでまいります。牛乳カテゴリーでは、ブランドを刷新した「雪印メグミルクおいしい牛乳」を発売。関東エリアでは少人数世帯の増加に対応した新容器750mlを関東で発売しました。パッケージには、「おいしさカーブ」を掲載し、おいしさの理由が視覚的に伝わるようにしました。その他の飲料カテゴリーにおいては、「農協 野菜Days 野菜1日分 腸得Life」は、「おなかの調子を整える」、「食事に含まれるカルシウム・鉄・マグネシウムの吸収を促進する」機能が報告されたマルトビオン酸を配合した機能性表示食品として上市しました。野菜飲料に機能を求める人をターゲットに、野菜飲料に新たな価値を提案しました。飲料・デザート類事業における「おいしさ」、「健康機能」に関する研究では、当社独自のプロバイオティクス乳酸菌や乳素材の機能性の深耕や、乳の持つ可能性を明らかにすることを目的に検討を行い、得られた研究成果(新知見、新技術、新手法など)を「ヨーグルト」、「牛乳、乳飲料」などの商品開発に応用できるよう、研究を続けております。主な研究成果は以下の通りです。・弘前大学と当社との共同研究講座「ミルク栄養学研究講座」において、健康ビッグデータである「岩木健康増進プロジェクト健診」を用いた解析研究に着手しました。牛乳・乳製品摂取量と骨代謝マーカーおよび音響的骨評価値に関して研究した結果、日常的な牛乳・乳製品摂取は、骨の健康状態を示す骨代謝マーカーや骨強度値と関連し、骨の健康に必要な栄養補給に寄与することが示唆され、この成果を論文発表しました。また、乳製品摂取と血圧に関して研究した結果、牛乳・乳製品を多く摂取する人は収縮期血圧が低いことが示され、この成果を論文発表しました。・当社独自のビフィズス菌Bifidobacterium adolescentis SBT2786について、日常生活で睡眠に不満を持つ人、特にストレス状態の高い人の睡眠状態を改善するとともに、ネガティブな気持ちを改善することを臨床試験で明らかにしました。この研究は、2017年に名古屋大学と設立した産学共同講座で進めていたモデル生物を用いた研究で、モデル生物で選抜した菌をヒト試験においても有効性を示した成功例であり、食品の機能性研究の新たな可能性を示す結果になりました。・牛乳の新たな価値を見出すため、超高温殺菌(UHT)牛乳を口に含んでから飲み込んだ後までの風味特徴(香り、甘みなど)について、時間経過毎に評価する官能評価手法を用いることにより風味を可視化しました。これにより味わいの特徴やその変化をより分かりやすくお客様に伝えることが可能になり、商品のパッケージへ活用しました。また、牛乳の香りが脳機能に与える影響を研究し、牛乳の香りには、脳の働きを安定化させる効果(鎮静効果)があることを見出しました。これらの研究成果は、論文としてBone ReportやHypertension Research、Nutrientsに掲載され、日本農芸化学会にて発表しました。
FY2024|7,485 文字
6 【研究開発活動】当社グループ(当社および連結子会社)は、当社、雪印種苗㈱および雪印ビーンスターク㈱を中心に、コーポレートスローガン「未来は、ミルクの中にある。」に基づき、事業戦略上急務となっている課題に対する研究開発や、中長期的成長の基盤となる基礎研究を幅広く実施しております。原材料価格の高騰による調達コストの上昇、また国内外の乳・乳製品需給が変動する中、環境変化を先取りして消費者に受け入れられる商品を継続的に提案するために、乳(ミルク)の価値を中軸に「市場対応型商品」と「付加価値型商品」を両輪とした商品開発を行っております。また、商品開発を支える研究開発として、乳(ミルク)の機能を中心とした「おいしさ」と「健康機能」の追求と、「環境配慮」を主軸とした基礎研究と技術開発に取り組んでおります。 当連結会計年度の研究開発費の総額は5,030百万円です。各セグメント別の主な研究開発活動は次のとおりです。 〈乳製品〉当連結会計年度の研究開発費の総額は2,205百万円です。●当社新たなチーズの需要創造を目指し、いつもの料理に、調味料のようにチーズをかけるという新しいチーズの食習慣、食文化の創出を狙った「torochiモッツァレラチーズ入り」、「torochi芳醇ゴーダ入り」を発売しました。また、今までのチーズデザートとは一線を画す、本格デザートとして「雪印北海道100 マスカルポーネドルチェ バニラソース」「雪印北海道100 マスカルポーネドルチェ アールグレイソース」を発売し、チーズの新しい食シーンの創出に取り組みました。同時に、従来から広く支持されているブランドから、「6Pチーズ鉄分入り」「雪印北海道100 さけるチーズコンソメ味」を発売し、それぞれのブランドのラインナップ強化と、新しい顧客層の獲得に取り組みました。また、社会課題である健康寿命の延伸に対応した付加価値商品として「記憶ケア βラクトリンスキムスティック」を発売しました。今後も様々な食シーンの提案と、たゆまざる商品力向上へ取り組んで参ります。 乳製品事業における「おいしさ」と「健康機能」に関する研究を行い、おいしさを構成する技術と、当社独自の乳製品の健康機能の深耕を目的に検討を行い、得られた研究成果(新知見、新技術、新手法など)を乳製品の商品開発と商品力強化、および当社独自の機能性素材の価値向上に活用いたしました。主な研究成果は以下の通りです。 ・油脂製品のトランス脂肪酸の低減に向け、米ぬかワックス(RBX)を用いてキャノーラ油とオリーブ油のW/Oエマルション(マーガリン代替品)を作製し、RBXオレオゲルの安定性評価を行いました。その結果、W/OエマルションのRBX濃度が高くなるにつれ、貯蔵弾性率が増加し、より密なネットワークが形成されました。また、オリーブ油の方が高い貯蔵弾性率を示しました。トランス脂肪酸を低減する際、油脂製品の貯蔵弾性率が低下して構造が保てなくなる課題が生じますが、今回得られた結果から、RBXを活用することで油脂製品のトランス脂肪酸を低減できる可能性が示されました。・新たな機能性乳素材の開発に向け、母乳中に多く含まれるシアル酸の生理機能に着目し、乳中のグリコマクロペプチドのシアル酸を含む糖鎖部分を高度に濃縮したシアリル糖ペプチド濃縮物の機能研究を実施しました。流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)の原因であるムンプスウイルスへの感染阻害効果を検証した結果、赤血球凝集阻害効果および濃度依存的な感染阻害を細胞実験で確認しました。また、線虫を用いて学習記憶に与える影響を検証した結果、シアリル糖ペプチドの高い記憶維持効果が認められ、これはシアル酸を含む糖鎖が寄与していることが示唆されました。・2023年4月に開設した国立大学法人弘前大学と当社の共同研究講座『ミルク栄養学研究講座』にて、2015年に実施した青森県弘前市岩木地区住民の牛乳・乳製品摂取量と骨代謝マーカーおよび音響的骨評価値に関して評価を行い、現在解析中です。今後は、非侵襲的な骨の健康管理ツールとして、終末糖化産物(AGEs)の皮下自家蛍光測定と骨折リスク問診票の導入を検討しています。また、乳製品摂取と健康状態の関係をビッグデータ解析し、骨や乳酸菌研究の深耕に加えて、ミルクの新たな健康価値を研究しています。 これらの研究成果は、日本油化学会や19th Euro Fed Lipid Congress and Expo、日本薬学会、日本農芸化学会、弘前大学COI-NEXTフォーラムの各学会で発表しました。 ●雪印ビーンスターク㈱「赤ちゃんとお母さんをはじめ、家族の健康といきいきしたくらしをサポート」する商品として、「粉ミルク・ベビーおやつなどの赤ちゃん向け商品」、「お母さんのための商品」、「シニア世代の健康をサポートする商品」などをお客様に提供しています。これらの商品は、「母乳調査研究」、「乳幼児の食生活実態調査」をはじめとする赤ちゃんに関する調査研究、「妊産婦・授乳婦の食事調査」などの各種調査研究をベースとして開発しています。本年度は、商品開発においては、2023年10月より、乳児用調製粉乳「ビーンスタークすこやかM1」スティックタイプの1箱18本であった商品を1箱7本へ、また、フォローアップミルク「ビーンスタークつよいこ」スティックタイプ1箱18本を1箱8本に変更し、新発売しました。1箱あたりの本数を減らすことで、よりお買い求め易い価格として、また、新型コロナ感染症の5類への移行にともない外出の機会も増えていることから、お出かけの時に手軽にお使いいただけるようになりました。さらに、環境負荷低減の取り組みとして賞味期限を延長し、商品の廃棄などが発生しにくくする対策も実施しました。(対象商品は、ビーンスタークマムシリーズ「つわびー」、「毎日葉酸+鉄これ1粒」、「毎日カルシウム+鉄」、「3つの乳酸菌M1」、「赤ちゃんに届くDHA」及び口中清涼食品「ビーンスタークハキラ」)研究開発では、雪印メグミルク㈱と当社による第3回全国母乳調査を継続して取り組みました。本調査は、これまで日本全国1,210名の授乳中のお母さんにご協力をいただきました。現在、「母乳の栄養成分組成の変化」、「お母さんの健康状態」、「お母さんのライフスタイル等が母乳成分にどのように影響するか」、また「母乳(成分)が赤ちゃんの成長にどのように関連するか」などを明らかにするべく、2015年より長期間の調査として実施しています。本年度は、母乳中の糖鎖成分に注目した検討を実施しました。母乳中糖鎖成分の一つであるオリゴ糖は、ビフィズス菌を増やす効果に加えて、感染防御や免疫機能の増強、認知機能の発達促進など多様な生理機能が報告されており、非常に注目されている成分です。一方、たんぱく質に結合した糖鎖は分析が複雑なため、十分に検討がなされていませんでした。そこで、母乳中のオリゴ糖とたんぱく質結合糖鎖を分析するための簡便な手法を構築し、日本人の母乳中糖鎖成分の網羅的な分析を行いました。その結果、母親の遺伝的な背景に起因するオリゴ糖の特徴的な分泌パターンと、一部のたんぱく質結合糖鎖との関連が明らかになりました。この研究成果は学術論文として「International Journal of Molecular Sciences」に投稿しました。また、疫学的な解析により、乳児の感染症罹患に影響する母乳中糖鎖成分の探索を行ったところ、気管支炎の予防に寄与するものとして、共通の構造を持つオリゴ糖やたんぱく質結合糖鎖を見出しました。この研究成果は、日本糖質学会年会にて報告しました。本全国母乳調査は、引き続き、「母乳成分分析」、「母親の食事実態」、「母親と乳児の生活実態」及び「乳児の発達状態」などを調べ、その関係性を明らかにすることを目指します。5歳になるまで追跡調査を実施し、今後の商品開発に活かしてまいります。今後も「母乳のちから」を探求し、粉ミルクの機能の向上を目指すとともに、ご家族のみなさまの健康に役立つより良い商品づくりのために、研究開発に取り組んでまいります。 〈飲料・デザート類〉当連結会計年度の研究開発費の総額は1,887百万円です。●当社白物飲料カテゴリーにおいては、2023年3月下旬に「毎日骨太高たんぱくミルクMBP®」を発売しました。(4月上旬には「毎日骨太高たんぱくミルクMBP® カフェオレ」を発売)1本に10gの乳たんぱく質を配合、さらにMBP®も20㎎配合し、外側だけでなく内側からのWのカラダづくり習慣をサポートする新価値の高たんぱく飲料として、特に50代以上をターゲットとして訴求しました。また、秋にはMBPドリンクの追加アイテムとして「MBPドリンク 糖類オフ低カロリー」を上市しました。お客様センターに寄せられたお声を調べたところ、「糖の摂取」を健康上の理由で不安に思う方が一定数おられることから、糖類を既存のMBPドリンク比30%以上カットしながらも、一定の甘さを楽しめて風味は損なわない商品を開発しました。色物飲料カテゴリーにおいては、「Dole® ジューシープラス 1日分の鉄分」を2023年3月下旬に上市しました。(「Dole® ジューシープラス マルチビタミン」を4月中旬に発売)100%果汁でありながら、不足しがちな栄養素(鉄分、ビタミン)を強化、更に開けやすく飲み口から直接飲みやすいドリームキャップ容器を採用しました。ヨーグルトカテゴリーでは、秋に「毎日骨太 高たんぱくヨーグルトMBP®」、「恵 megumi ガセリ菌SP株ヨーグルトPROTEIN」の2つのたんぱく強化ヨーグルトを発売しました。いずれも若年層中心から、中高年を含めた全世代に年々広がっているたんぱく質摂取ニーズに、プラスアルファの機能を強化(MBP、ガセリ菌SP株)し、高たんぱく質ヨーグルト市場に新たな価値を提案しました。 飲料・デザート類事業における「おいしさ」、「健康機能」に関する研究では、主に当社独自のプロバイオティクス乳酸菌や乳素材の機能性の深耕を目的に検討を行い、得られた研究成果(新知見、新技術、新手法など)を「ヨーグルト」、「牛乳、乳飲料」などの商品開発に応用し、商品力強化に活用いたしました。また、環境に配慮した容器包装についても研究を続けております。主な研究成果は以下の通りです。 ・健康な成人男女を対象とし、Lactobacillus paragasseri SBT2055(ガセリ菌SP株)を含むカプセルまたは含まないカプセル(プラセボ)を4週間継続摂取することによる便通改善効果を検証しました。その結果、摂取前の糞便中の乳酸桿菌生菌数が高い被験者を除いて層別解析をした結果、被験食摂取群ではプラセボ群と比較して排便回数の有意な増加が認められました。また、別の摂取試験では、被験食摂取群の乳酸桿菌の生菌数が有意に増加し、腸管内で一部の有用菌が増加、有害菌が減少することが確認できました。以上の結果から、ガセリ菌SP株は生きたまま腸管内へ到達することで腸内環境の改善に寄与することが示唆されました。・健康な成人男女を対象とし、ガセリ菌SP株を含むカプセルまたはプラセボを12週間継続摂取することによる免疫細胞に対する影響、体調に関する自覚症状への影響を評価するヒト摂取試験を実施しました。唾液中分泌型免疫グロブリンA(sIgA)分泌速度が平均値以下であった被験者を対象として層別解析を実施したところ、被験食摂取群はプラセボ群と比較して、免疫細胞の一つであるプラズマサイトイド樹状細胞(pDC)の活性化マーカーのうちCD86が有意に増加していることが認められ、風邪自覚症状の発症率が有意に低くなりました。この結果より、ガセリ菌SP株の摂取は、特に免疫機能が低めな健康な成人においてpDCを活性化し、免疫機能を正常に保つことで体調維持に役立つことが示唆されました。・発酵乳の香りが脳機能に与える影響を調べるため、認知機能を反映する脳波を測定した結果、蒸留水や未発酵乳の場合と比べ、発酵乳の香りを嗅いでいる際は、認知機能を活性化する効果があることが示唆されました。また、発酵乳の主な香気成分である酢酸、酪酸、ジアセチルの3種類について香りを嗅いでいる際の脳波を測定、解析した結果、ジアセチルの香りには認知機能を活性化し、被験者の主観的な評価においても「思考力」を高める効果があることが示唆されました。 これらの研究成果は、論文として薬理と治療誌や応用薬理誌、Nutritionsに掲載され、日本栄養・食糧学会大会や日本食品科学工学会の各学会にて発表しました。 〈飼料・種苗〉当連結会計年度の研究開発費の総額は937百万円です。●雪印種苗㈱飼料分野では、配合飼料価格高騰の対応策として配合設計した「低コスト特化型たん白系飼料」は、従来品に比べて原料原価を大幅に低減することができ、試作品を用いた産乳性試験において良好な結果を確認しました。新規配合飼料として3月から販売しています。飼料原料の有効利用を目的としてトウモロコシのデンプン消化率を高める加工方法を検討し、道東飼料㈱において高α化素材を試作調製したところ、デンプン消化率が71.5%まで向上しました。この試作素材を用いた飼料給餌体系は、従来の飼料給餌体系およびグラスサイレージ主体粗飼料を用いた配合飼料高濃度給餌体系に比べて、飼料コストが低減できることがわかりました。今後、産乳性への影響を把握し、飼料配合および飼料給餌体系の設計に取り組みます。「くろっけスーパー」などの子牛用代用乳主要製品について、新規乳原料(フラッシングパウダー)および低コスト中鎖脂肪酸油脂を用いて原料コストを低減した新配合製品を4月に販売開始しました。飼料イネサイレージ用の乳酸菌新菌株を用いた現地試験を実施し、良好な結果を得ました。新菌株を用いたサイレージ用資材の新商品を2024年度から販売する予定です。牧草・飼料作物種子分野では、寒地型牧草として農業・食品産業技術総合研究機構と共同開発したオーチャードグラス「きたじまん(北海34号)」が北海道優良品種に認定されました。「きたじまん」は高消化性成分の含量が高く、極晩生で出穂期がチモシーと近い特性を有しており、収穫作業体系が組み立てやすいことから、広範囲な普及が期待されます。2029年の発売を計画しています。飼料用トウモロコシでは、雌穂の稔実性が良く、耐倒伏性・耐病性に優れる「ネオデント・エミナ88(SH14081)」(RM(相対熟度)88日クラス)を2024年春から販売します。引き続き、大柄で優れた草姿が特徴の「ネオデント・ユミル85(SL19017)」(RM85日クラス)、稈長が高く、収量性、耐病性に優れている「ネオデント・マグナス95(SHY4041)」(RM95日クラス)の2025年の販売開始に向けて準備を進めています。畑作・園芸種苗分野では、(一社)日本種苗協会主催のエダマメ審査会(北海道帯広市)において「夏風香」が1等特別賞、「青祭」が3等に入賞しました。丸莢インゲン品種として高評価を受けている「キセラ」の後継品種として「キセラネオ」を2024年度から販売します。カボチャ「SQ-024」が(一社)日本種苗協会主催の全日本野菜品種審査会(北海道滝川市)の「秋どり放任密植」分野で2等に入賞しました。「SQ-024」の品種名を「楽ほく丸」として2024年3月に販売開始しました。2021年春に都府県向けに販売開始した緑肥作物のパールミレット「ネマレット」が、気候温暖化の影響により、北海道においても栽培可能であることを確認し、2024年度から販売エリアに北海道を加えて全国展開することとしました。「ネマレット」は飼料用途としての需要が見込まれ、普及拡大に積極的に取り組みます。ポットカーネーションの自社育成品種として、市場で最も重要な花色の赤花品種で栽培しやすいことが特徴の「ステラルビー」、ピンクの白覆輪でボリューム感を出せることが特徴の「ティーパーティー」、黄色で花冠が大きい特徴を有する「ムーンティアラ」、および花色がピンクで甘い芳香の「ひなあられ」(農研機構との共同開発品種)の4品種を品種登録出願申請するとともに、本年度下期より販売しています。環境緑化分野では、スポーツターフ、校庭緑化、芝生用途として優れた特性を持ち、幅広く利用されている現行品種「アメージングXL」の後継品種として、ペレニアルライグラス「ファストボール3GL」を2024年に販売開始し、幅広い需要にお応えします。植物活力資材では、これまで亜鉛高含有作物栽培用として試験販売していた園芸用複合肥料の原材料と製法を改良し、「ラッカインZ」として幅広い作物に対して亜鉛供給可能な液状肥料として2024年度から販売することとしました。発酵技術を活用した当社植物活力資材に関する基盤研究として、乳酸菌培養液中に含有されるフェニル乳酸の発根促進メカニズムを解明し、2022年度に発表した学術論文※(北海道大学、明治大学との共同研究)が日本植物バイオテクノロジー学会の2023年度学会賞の「論文賞」を受賞しました。「植物が乳酸菌代謝物を利用することが可能であることを示したことに意義がある」との評価をいただき、過去1年間に同学会が刊行する学術誌Plant Biotechnology誌に出版された優れた論文として選考されました。※“3-Phenyllactic acid is converted to phenylacetic acid and induces auxin-responsive root growth in Arabidopsis plants”,Maki et al. 2022. Plant Biotechnology 39: 111-117. 当社グループは、今後もコーポレートスローガンである「未来は、ミルクの中にある。」を基本に、乳(ミルク)の可能性の追求および酪農生産への貢献を目指した、高付加価値で独自性のある商品の開発を進めてまいります。
FY2023|7,682 文字
6 【研究開発活動】当社グループ(当社および連結子会社)は、当社、雪印種苗㈱および雪印ビーンスターク㈱を中心に、コーポレートスローガン「未来は、ミルクの中にある。」に基づき、事業戦略上急務となっている課題に対する研究開発や、中長期的成長の基盤となる基礎研究を幅広く実施しております。原材料価格の高騰による調達コストの上昇、また国内外の乳・乳製品需給が変動する中、環境変化を先取りして消費者に受け入れられる商品を継続的に提案するために、乳(ミルク)の価値を中軸に「市場対応型商品」と「付加価値型商品」を両輪とした商品開発を行っております。また、商品開発を支える研究開発として、乳(ミルク)の機能を中心とした「おいしさ」と「健康機能」の追求と、「環境配慮」を主軸とした基礎研究と技術開発に取り組んでおります。 当連結会計年度の研究開発費の総額は4,548百万円です。各セグメント別の主な研究開発活動は次のとおりです。〈乳製品〉当連結会計年度の研究開発費の総額は1,984百万円です。●当社内食需要の伸長に対し、チーズの新しい使い方を提案する商品として「雪印北海道100 かけるチーズ」 「meltoroマイルド」「meltoroラクレットブレンド」を発売しました。「雪印北海道100 かけるチーズ」は、北海道産ゴーダチーズとチェダーチーズを砕いた粒タイプのチーズで、サラダやパスタなどにパラッとかけてチーズの食感を楽しんでいただくことを提案して参ります。また、本商品を通して国産生乳の付加価値向上、需要拡大へ繋げて参ります。「meltoro」は、具材にのせて電子レンジで温めるだけで、とろりとした食感になり、チーズが具材と馴染むことで、料理の見栄えを良くし、具材の美味しさ引き立てます。色々な食材と合わせやすくクセの無い風味の「マイルド」、しっかりとした濃厚なチーズの風味の「ラクレットブレンド」の2品を発売しました。また、「健康寿命の延伸」に対応した付加価値商品の拡充を目指し、「毎日骨太ベビーチーズカマンベール入り」と「プルーンFe2本で一日分の鉄分チーズ」を発売しました。「毎日骨太」ブランドは2023年に30周年となります。この記念すべき年に、チーズにカルシウムの豊富さを求めているターゲット層(年齢層の高い女性)に支持されている「カマンベール入り」の新商品を発売し、ラインナップ強化を行いました。「プルーンFe2本で一日分の鉄分チーズ」は、「鉄分強化」商品としてシェアが高い「プルーンFe」シリーズを活用し、あけやすくチーズに触れずに食べられる「イージースマートパック」包装を採用し、毎日続けられる食べやすいプルーン味に仕立てました。油脂カテゴリーでは雪印コーヒー発売60周年目に合わせて、「雪印コーヒーソフト」を発売しました。「雪印コーヒー」と同じキー成分を配合し、油分と相性のよい成分を使用することで「雪印コーヒー」風味を引き立たせたパンスプレッドに仕立てました。今後も様々な食シーンの提案と、たゆまざる商品力向上へ取り組んで参ります。 乳製品事業における「おいしさ」と「健康機能」に関する研究を行い、おいしさを構成する技術と、当社独自の乳製品の健康機能の深耕を目的に検討を行い、得られた研究成果(新知見、新技術、新手法など)を乳製品の商品開発と商品力強化、および当社独自の機能性素材の価値向上に活用いたしました。主な研究成果は以下の通りです。 ・チーズと酒類との組み合わせの良し悪しについては感覚によるものが多くを占めます。そこで味の数値化手段として味覚センサーを使用し、チーズとビールを組み合わせた際の影響を評価しました。その結果、チーズ→ビールの順に口にした時の後味が、ビールだけを口にした時と比較して旨味が強く、苦味が抑制されることが推測されました。官能評価でも同様に評価した結果、旨味が強くなり、苦味が抑制されることを確認しました。このことから、味覚センサーによって、チーズとビールを組み合わせたときの風味変化を捉えられる可能性が示されました。また、チーズとビールを交互に口にする方が、ビールを続けて飲んだ場合よりも、続けてビールを飲みたい気持ちが維持される可能性が示されました。・乳が凝固する過程は殺菌温度やpHにより大きく異なりますが、それを説明する情報はあまりありません。そこで、ナノ構造変化を非破壊で連続測定できる高エネルギーX線小角散乱(SAXS)および極小角X線小角散乱(USAXS)を用いて、還元脱脂粉乳の凝固過程を測定しました。USAXS測定により高温殺菌脱脂粉乳(HH)では一気に凝乳が進むのに対し、低温殺菌脱脂粉乳(LH)では、8時間程度までは凝乳構造の発達は遅いことがわかりました。LHではpH変化に応じて、コロイド状リン酸カルシウム(CCP)量が減少しましたが、HHではCCP量の変化がpH変化より遅れることがわかりました。これらの情報は凝乳過程において、pH変化と凝乳の進展の双方が最終的な凝乳構造中に残存するCCP量に影響することが示唆されました。・日本人200名の母乳に含まれる糖タンパク質糖鎖を解析しました。その結果、母乳中の糖タンパク質糖鎖の量は個人間の差が大きいことがわかりました。また、母乳オリゴ糖の組成と量に影響する酵素(FUT2)が、母乳に含まれるO結合型糖鎖の組成と量に影響することが明らかにしました。 これらの研究成果は日本食品科学工学会、日本農芸化学会、日本糖質学会の各学会で発表しました。 ●雪印ビーンスターク㈱ 「赤ちゃんとお母さんをはじめ、家族の健康といきいきしたくらしをサポート」する商品として、「粉ミルク・ベビーフードなどの赤ちゃん向け商品」、「お母さんのための商品」、「シニア世代の健康をサポートする商品」などをお客様に提供しています。 これらの商品は、「母乳調査研究」、「乳幼児の食生活実態調査」をはじめとする赤ちゃんに関する調査研究、「妊産婦・授乳婦の食事調査」などの各種調査研究がベースとなって開発されています。 今年度は、赤ちゃんに母乳を与えるお母さん向け商品である「ビーンスタークマム赤ちゃんに届くDHA」を2022年9月にリニューアル発売いたしました。近年の母乳調査研究から、母乳中のビタミンD濃度が過去の調査結果よりも減少していることが明らかとなりました。そこで、お母さんの毎日の食事にプラスしていただきたい成分としてビタミンDを新たに配合しました。 シニア世代の健康サポート食品としては、「大人のための粉ミルク おなかにやさしい」を2023年3月に新発売しました。 この商品の特徴は、牛乳に含まれる乳糖を約90%カット(牛乳中の乳糖含量との比較)することで、高齢者に比較的多い傾向にある牛乳が苦手な方にも飲みやすい仕立てにしたことです。 また、高タンパク質、高カルシウムで20種類のビタミンとミネラルも含んでおり、栄養バランスにも配慮しています。 研究開発では、雪印メグミルク㈱と当社による第3回全国母乳調査を継続して行っています。本調査は、これまで日本全国1,210名の授乳中のお母さんにご協力をいただきました。現在、「母乳の栄養成分組成の変化」、「お母さんの健康状態」、「お母さんのライフスタイル等が母乳成分にどのように影響するか」、また「母乳(成分)が赤ちゃんの成長にどのように関連するか」などを明らかにするべく、2015年より実施しています。 本年度は、日本人の授乳中のお母さんの食事パターンが、4つの食事パターン[「健康パターン」「日本食パターン」「サラダ・野菜パターン」「魚介類パターン」]に分けられることを明らかにしました。 各パターンにおけるお母さんの健康状態を調査したところ、野菜やきのこを多く摂取している「健康パターン」の食事を行っているお母さんでは貧血が少ない傾向にあること、魚介類を多く摂取している「魚介類パターン」の食事を行っているお母さんでは冷え性が少ない傾向にあることなどが明らかになりました。 また、母乳に含まれるキサントフィル類を分析したところ、ルテイン濃度は、お母さんの食事由来の緑色野菜の摂取量など複数の要因と関連があること、β‐クリプトキサンチン濃度は、お母さんのβ‐クリプトキサンチン摂取量(主に柑橘類に由来)と関連があることが明らかになりました。 これらの結果はCurrent Developments in Nutrition誌にて報告しました。 さらに1989年に集めた母乳サンプルと2013年の千葉大学から提供いただいた母乳サンプルに含まれる各種免疫に関連する物質の濃度を比較しました。 この結果、初乳では2013年のオステオポンチンの濃度が低く、成熟乳では2013年のTGFβ1の濃度が高いなど、2013年と1989年とでは母乳に含まれる物質の濃度が異なることを明らかにし、Nutrients誌にて報告しました。 本全国母乳調査は、引き続き、「母乳成分分析」、「母親の食事実態」、「母親と乳児の生活実態」、「乳児の発達状態」を調べ、その関係性を明らかにすることを目指します。5歳になるまで追跡調査を実施し、今後の商品開発に活かしてまいります。 今後も「母乳のちから」を探求し、粉ミルクの機能の向上を目指すとともに、ご家族のみなさまの健康に役立てる商品を目指して研究開発を進めてまいります。 〈飲料・デザート類〉当連結会計年度の研究開発費の総額は1,670百万円です。●当社白物飲料カテゴリーにおいては、2022年3月下旬に「おいしい雪印メグミルク牛乳」をリニューアル発売しました。商品名に「おいしい」を付与し、視覚的にもおいしさが伝わるようにしました。更に新たなキャップ付小型容器「おいしい雪印メグミルク牛乳TT230ml」も発売し、キャップ付ならではの飲用シーンのご提案を継続的に行っています。秋季には白物乳飲料小型PET「関節ケアドリンクグルコサミン」「記憶ケアドリンクβラクトリン」をいずれも機能性表示食品として上市しました。「MBPドリンク」も加え様々なヘルスクレームに応える小型機能性飲料3品ラインナップにより、売場定着に取組んでいます。色物乳飲料カテゴリーにおいては、「雪印コーヒー」発売60年目を迎え、様々なキャンペーン等を実施するとともに新たなラインナップも揃えて、60年目を盛り上げてまいりました。年間商材としては、2022年3月にキャップ付小型容器「雪印コーヒーハンディタイプTT230ml」、「雪印コーヒーLL200ml」を2アイテム、また新しい切り口として色々なアレンジを楽しむことができる「雪印コーヒー希釈タイプ」を発売しました。更に「雪印コーヒー人気投票」企画を実施し、過去のフレーバーで人気投票1位となった「白い雪印コーヒー」をCVS限定で11月に発売し、大きな反響をいただきました。ヨーグルトカテゴリーは、春に「恵ガセリ菌SP株ヨーグルトドリンクタイプほんのりレモン」をマスカットからの差し替えで発売しました。但し「ガセリ菌シリーズ」は、前年のテレビ放映で大きく拡大した裏年となったこともあり、新商品の「ほんのりレモン」も含めて、年間を通じて苦戦を致しました。また秋には「KAORUヨーグルト」を上市しました。つぶつぶカプセルを噛むことにより「味変」を楽しめる新感覚のヨーグルトとして発売しましたが、配荷拡大には至らず、販売不振により4月の終売が決まっております。更に2023年1月末、「乳酸菌ヘルベヨーグルト」に新たな研究成果である「花粉に対する機能」を付与し、デザインも一新しリニューアル発売いたしました。このリニューアルを機にCVSでの導入、そして今年の花粉大量飛散のマスコミ報道や、コロナ禍からのマスク着用状況の変化もあり実績も急拡大しており、2023年3月においてドリンクは前年の倍近い実績進捗となっています。デザートカテゴリーでは、2022年春に「Parfait Style」シリーズをリニューアル。カップの一部を透明化し、中身をイメージしやすいパッケージへ変更致しました。また2022年2月にCVS先行で発売したLL小口径「雪印コーヒープリン」は大変好評に推移し、量販店においても一定のポジショニングを獲得いたしました。そして2023年2月に前年同様CVS先行で、バターを2%配合したLL小口径「雪印北海道バタープリン」を発売しました。SNS等を通じて大きな反響を呼び、3月の量販店へのチャネルオープンでも大きく実績を伸ばしております。 飲料・デザート類事業における「おいしさ」、「健康機能」に関する研究では、主に当社独自のプロバイオティクス乳酸菌や乳素材の機能性の深耕を目的に検討を行い、得られた研究成果(新知見、新技術、新手法など)を「ヨーグルト」、「牛乳、乳飲料」などの商品開発に応用し、商品力強化に活用いたしました。また、環境に配慮した容器包装についても研究を続けております。主な研究成果は以下の通りです。 ・健康な成人男女を対象とし、Lactobacillus paragasseri SBT2055(LG2055)を含むドリンクヨーグルトまたは含まないドリンクヨーグルト(プラセボ)を12週間摂取するプラセボ対照ランダム化二重盲検並行群間試験を実施しました。体調変化アンケートの結果から、LG2055群では鼻水、鼻づまり、くしゃみ、喉の痛み、声のかすれ、咳、頭痛、倦怠感、熱っぽさの項目でプラセボ群と比較して“症状なし”の割合が有意に高く、LG2055群において風邪症状の発症率が低かったことが示されました。さらに、唾液中のsIgA濃度変化がLG2055群で有意に大きく、血液中の酸化ストレスマーカーはLG2055群で有意に低くなりました。以上の結果より、LG2055は正常な免疫機能の改善に働き、健康な人の体調維持に役立つことが示唆されました。・スギ花粉特異的抗体が陽性でありスギ花粉による目や鼻の不快感を有する成人男女を対象とし、Lactobacillus helveticus SBT2171(LH2171)を含むカプセルまたは含まないカプセル(プラセボ)を8週間摂取するプラセボ対照ランダム化二重盲検並行群間試験を実施しました。その結果、摂取開始4週間後に実施した花粉曝露試験において花粉曝露後3日後の目やにの不快感スコア(変化量)において、LH2171群がプラセボ群と比較して有意に改善しました。また、腸内細菌叢を解析したところ、LH2171群で摂取前と比較して菌種数の期待値を示す指標であるChao1指数が有意に低下しました。以上の結果から、LH2171は、腸内細菌に作用することで花粉によるアレルギー症状の緩和作用を発揮する可能性が示唆されました。・茶カテキン添加による蒸しプリンの物性変化(硬度の増大)とそのメカニズムを調べました。その結果、物性変化の原因は、遠心分離により分画した卵黄上清と茶カテキンの相互作用による油水界面の構造変化であることが示唆されました。 これらの研究成果は、論文としてFrontiers in Nutrition誌、薬理と治療誌に掲載され、日本農芸化学会で発表しました。 〈飼料・種苗〉当連結会計年度の研究開発費の総額は893百万円です。●雪印種苗㈱飼料分野では、価格が高騰している穀物を配合飼料原料として有効利用することを目的にトウモロコシのデンプン消化率を高める加工方法の検討を行いました。今年度はα化ダブルペレット加工(フレーク加工後、粉砕してペレット化する)によりデンプン消化率が89.6%まで高まることを確認しました。次年度の販売へ向けて取り組んでいます。輸入粗飼料価格も高騰していることから、国産自給粗飼料として乾物収量が高いソルガムについて品種間の比較試験を行いました。弊社「ビッグシュガーソルゴー」は競合他社品種と比較してサイレージ発酵品質が良好であることを確認しました。サイレージの発酵不良の防止方法として乳酸菌添加による乳酸発酵促進とギ酸添加が行われています。弊社ではギ酸耐性乳酸菌を開発し、今年度はギ酸と弊社の乳酸菌を併用したサイレージ調製試験を行いました。その結果、ギ酸と弊社乳酸菌の併用により雑草混入率が高い原料草に対しても良好な発酵を促進できることを確認しました。次年度から販売を開始する予定です。牧草・飼料作物種子分野では、飼料用トウモロコシ「SH9702(熟期120日タイプ)」に加え、見栄え・収量性に優れる「LG31295(90日タイプ)」、「LG31223(85日タイプ)」の販売を予定しています。寒地型牧草としては、チモシーより栄養価が高いフェストロリウム「ノースフェスト」、およびチモシーと混播適性に優れ蛋白質含有量が高いアルファルファ「カール」について北海道の現地圃場において栽培試験を行い、順調な生育を確認しました。暖地型牧草ではイタリアンライグラス「たちモン」のOECD登録が完了しました。畑作・園芸種苗分野では、スイートコーンスープ原料としてパウダー加工に適した「SBS101」を選定し、次年度から本格販売します。また、エダマメ品種は採種時に大規模機械を利用すると裂莢により回収率が低下する傾向がありますが、採種作業の今後の機械化を想定して、難裂莢性を付与する育種をすすめています。植物工場向けのレタスに関しては、主力品種として販売している「フリルアイス」の後継品種を選抜しました。実規模試験において生育が早いと高評価を得ています。緑肥作物では、都府県の夏季にも栽培できるマメ科緑肥として、カウピーの有望品種を選定しました。窒素肥料価格の高騰に対応する緑肥作物として開発を進めます。環境緑化分野では、ケンタッキーブルーグラス「アコースティック」、「マーキュリー」とハードフェスク「スパルタンⅡ」の発売を予定しています。植物活力資材では、これまで亜鉛高含有大豆栽培用に特化して販売していた亜鉛供給資材の原材料と製法を改良し、「ラッカインZ」として幅広い作物に対して亜鉛供給可能な資材として販売することとしました。また、北海道大学・明治大学・弊社の共同研究において、乳酸菌の培養液に含有されるフェニル乳酸が植物の発根を促進するメカニズムを解明し、Plant Biotechnology誌に発表しました。乳酸菌培養液の農業利用に関する先行研究として注目されています。 当社グループは、今後もコーポレートスローガンである「未来は、ミルクの中にある。」を基本に、乳(ミルク)の可能性の追求および酪農生産への貢献を目指した、高付加価値で独自性のある商品の開発を進めてまいります。
FY2022|7,349 文字
5 【研究開発活動】当社グループ(当社および連結子会社)は、当社、雪印種苗㈱および雪印ビーンスターク㈱を中心に、コーポレートスローガン「未来は、ミルクの中にある。」に基づき、事業戦略上急務となっている研究開発課題や、中長期的成長の基盤となる基礎研究を幅広く実施しております。原材料価格の高騰による調達コストの上昇、また国内外の乳・乳製品需給が変動する中、環境変化を先取りして消費者に受け入れられる商品を継続的に提案するために、乳(ミルク)の価値を中軸に「市場対応型商品」と「付加価値型商品」を両輪とした商品開発を行っております。また、商品開発を支える研究開発として、乳(ミルク)の機能を中心とした「おいしさ」と「健康機能」の追求と、「環境配慮」を主軸とした基礎研究と技術開発に取り組んでおります。 当連結会計年度の研究開発費の総額は4,348百万円です。各セグメント別の主な研究開発活動は次のとおりです。〈乳製品〉当連結会計年度の研究開発費の総額は1,828百万円です。●当社コロナ禍による家飲み需要が伸長するなか、おつまみ向けの「6Pチーズ ペッパー入り」「ガーリック ベビーチーズ」の発売を行いました。「6Pチーズ ペッパー入り」は、ホワイト、ブラックの2種類のペッパーをバランス良く配合し、おつまみにぴったりな刺激のある味わいに仕立てました。「ガーリック ベビーチーズ」は、現在販売されている商品との差別化のため、他社にないフレーバーで、チーズとの相性が良いガーリック味を選定し、風味豊かに仕立てました。また、リモートワークが定着していく過程において朝食の喫食率が上昇していることから、朝食時のチーズトーストやサンドイッチなどに使いやすい新商品として「雪印北海道100 とろけるスライス バターブレンド(7枚入り)」「スライスチーズ(13枚入り)」「とろけるスライス(13枚入り)」の発売を行いました。「雪印北海道100とろけるスライス バターブレンド(7枚入り)」は、北海道産生乳100%で作ったナチュラルチーズとバターを原材料とし、豊かな香りとコクのある味わいに仕立てました。本商品を通して国産生乳の付加価値向上、需要拡大へ繋げて参ります。「スライスチーズ(13枚入り)」「とろけるスライス(13枚入り)」はファミリーユースを想定し、ご家族どなたでも召し上がれるように、クセのないマイルドな風味に仕立てました。油脂カテゴリーでは「発酵バター仕立てのマーガリン」「北海道練乳 ソフト」の発売を行いました。「発酵バター仕立てのマーガリン」は、認知度は上昇しているものの、未だ喫食経験が低い「発酵バター」を15%配合し、気軽に発酵バターの風味を楽しんでいただけるマーガリンに仕立てました。「北海道練乳 ソフト」は北海道練乳を2%配合し、練乳を想起させる甘さと、パンスプレッドとして飽きの来ない塩味をバランス良く仕立てました。今後も様々な食シーンの提案と、たゆまざる商品力向上へ取り組んで参ります。 乳製品事業における「おいしさ」と「健康機能」に関する研究を行い、おいしさを構成する技術と、当社独自の乳製品の健康機能の深耕を目的に検討を行い、得られた研究成果(新知見、新技術、新手法など)を乳製品の商品開発と商品力強化、および当社独自の機能性素材の価値向上に活用致しました。主な研究成果は以下の通りです。・マーガリンにおける香気成分の発現機構の解明を目的に、20種類の香気成分を添加した2種類のモデルマー ガリンを調製した。香気分析の結果、香気物質の官能基、LogP、モノグリセリドに結合した脂肪酸の飽和度 により、モデルマーガリンから遊離する香気成分の量が異なっていた。ラクトンの遊離は、香気物質の炭素 鎖とモノグリセリドの脂肪酸鎖間の分子間相互作用の影響を受けること、不飽和アルデヒドとエステルと脂 肪酸の遊離は、香気物質の界面への吸着に対するモノグリセリドの脂肪酸鎖の立体障害の有無が影響するこ とが推察された。・共同研究により、LC-MS/MSを用いて天然の菜種油中の-OOH基の結合位置を特定する分析手法を構築してい る。この手法を用い、合成した脂肪酸鎖長の異なる5種類のトリグリセリドを用いて、酸化により生成した- OOH基が、当該手法により分析できることがわかった。・乳タンパク質が炭酸水素イオン存在下で金属イオンと複合体を形成する性質を活用し、試料に含まれる金属 イオンを可溶化状態で分離し高い効率で回収する金属回収方法を検討した。その結果、WPI濃度0.125%、炭酸 水素ナトリウム濃度20 mMで複合体を形成させ、限外濾過膜処理でFe3+を100%回収した。金属をCu2+、 Zn2+に変えた場合にも同様に回収可能であった。しかし、金属種によって複合体形成に必要なタンパク質濃 度、炭酸水素ナトリウム濃度、金属イオンの回収率等が異なった。大豆などの植物に由来するタンパク質素 材では、素材によって複合体形成に必要なタンパク質濃度、金属イオンの回収率等が異なった本技術は、特 殊な薬剤を使用せず、限外濾過膜処理のみの単純な工程で金属イオンを回収する、簡便で効率的な方法にな り得る。これらの研究成果は日本食品科学工学会、日本農芸化学会の各学会で発表しました。 ●雪印ビーンスターク㈱「赤ちゃんとお母さんをはじめ、家族の健康といきいきしたくらしをサポート」する商品をお客様にご提供するために、「母乳調査研究」、「乳幼児の食生活実態調査」をはじめとする赤ちゃんに関する調査研究、「妊産婦・授乳婦の食事調査」などの調査研究を実施しています。これらの調査研究をもとに、粉ミルク・ベビーフードなどの赤ちゃん向け商品、お母さんのための母親向け商品、シニア世代の健康をサポートする食品などの幅広い商品の開発を行っています。今年度は、妊娠中の女性向け商品「ビーンスタークマム 葉酸+鉄」を2021年7月より特長が判りやすい表示にパッケージをリニューアルいたしました。生後9か月頃からのベビーおやつ「栄養プラスシリーズ」3品を2021年9月より発売しました。お母さんがお子さまに与えたい栄養素や成分である「鉄」、「カルシウム」、「乳酸菌」、「オリゴ糖」、「食物繊維」を配合した赤ちゃん向けサプリメントおやつです。口腔ケア用「リフレケア 滅菌スポンジブラシ」を2021年9月より、北海道と九州の一部のドラッグストア並びに、雪印ビーンスタークオンライン(通信販売)にて発売しました。一般用スポンジブラシとして日本初の滅菌加工を行っています。乳児用調製粉乳「ビーンスターク・すこやかM1」、乳児用調製液状乳「ビーンスターク・液体ミルク すこやかM1」、フォローアップミルク「ビーンスターク・つよいこ」を2022年3月よりデザイン・表示変更を行いリニューアル発売しました。母乳研究の成果を生かし、母乳の脂肪球膜に多く含まれ、脳に大切な成分「ホスファチジルセリン」を表示に追加しました。また、「ビーンスターク・つよいこ」にはカラダを守る成分「オステオポンチン」も表示に追加しました。1才半頃からの口中清涼食品「ビーンスターク ハキラ」7品につきましては、小粒化と大幅なデザイン変更を行い、2022年3月よりリニューアル発売しました。1袋当たりの重量と価格はそのままに、粒数を45粒から60粒に増量し、お得感と満足感のある商品規格に変更いたしました。研究開発では、雪印メグミルク㈱と当社による第3回全国母乳調査を継続して実施しています。本調査では、日本全国1,210名の授乳中の女性にご協力をいただき、母体の健康状態、ライフスタイル等の要因が母乳成分にどのように影響するか、また母乳成分が児の成長にどのように関連するかなどを明らかにするために実施しております。本年度は、ご協力いただいた対象者の家庭環境や健康状態、母乳中の主要成分の分析、さらには児の健康状態のデータをまとめ、本調査の母集団特性としてまとめました。この結果、産後1-2ヵ月の母乳成分の粗タンパク質量や脂肪量は過去の文献等と同様な傾向を示しました。また、本調査の母乳サンプルの一部を用いて、免疫や脳の発育に重要なオステオポンチンや、脂肪酸、ビタミンD、リン脂質の定量も実施しており、本内容は、BMJ Open誌にて報告しました。全国母乳調査は、5歳になるまで母子の健康に関する追跡調査を計画しております。今後、母乳に含まれる栄養素や生理活性物質の分析、母乳育児や母子の健康、子どもの発達に影響を与える生活習慣や環境要因を調査してまいります。また本調査を活用し、育児ストレスに関する解析結果をNutrients誌において報告いたしました。本研究では、育児ストレスが母乳育児のタイプ(完全母乳の群、または混合栄養の群)と関連するかどうかを検討しました。育児ストレスは、「育児疲れ」、「子どもの成長が心配」、「パートナーの協力が得られない」の3つの項目からなる日本語の有効な尺度で測定しました。この結果、産後6ヵ月後には差が認められなかったものの、産後2ヵ月の時点では完全母乳の群は混合栄養の群に対して、育児ストレスの低減が認められたことから、完全母乳の優位性について報告いたしました。今後も「母乳のちから」を探求し、粉ミルクの機能の向上を目指して開発を進めていきたいと考えています。 〈飲料・デザート類〉当連結会計年度の研究開発費の総額は1,557百万円です。●当社牛乳・乳飲料カテゴリーにおいては、2021年3月に発売した「MBPドリンク100ml」の市場定着と拡大に取組んでまいりました。飲料タイプとして初めてとなる「骨密度を高める」機能性表示食品として、松岡修造さんを起用したTVCM投入等、積極的なマスプロモーション展開も実施してまいりました。2022年度においても、プロモーション投入を含め更なる拡大を目指して参ります。色物飲料については、下期から「Doleワイナリー」「ベジサポ速菜チャージ」の2アイテムを発売。いずれもこれまでにないコンセプト、更に常温販売も可能なロングライフ商品という特性を活かして、チルド売場のみならず、ドライ売場やレジ前販売、陳列什器を使用した突き出し販売など、様々な展開を行ってまいりました。「Doleワイナリー」については、11月のボジョレーや12月のクリスマスといった催事に合わせた露出による飲料シーンの提案、「ベジサポ速菜チャージ」については、手軽に一食分の野菜が摂取できる機能性表示食品(「脂肪や糖の吸収を抑える」・「おなかの調子を整える」)として、市場での定着・拡大に取り組んでおります。ヨーグルトカテゴリーは、6月にキリンとの協業商品となる機能性表示食品「記憶ケアヨーグルトβラクトリン」を発売。機能性ヨーグルトの市場低迷や競争激化もあり、販売は苦戦しております。(但し、下期に発売した宅配専用「記憶ケアβラクトリン」(白物乳飲料)については、当初想定を上回る実績進捗となっております。)更に、下期には「乳酸菌ヘルベヨーグルト」(食べるタイプ)を発売。こちらもドリンクタイプ同様、通年での定番定着へ向けて、取組みを継続しています。デザートカテゴリーでは、2021年春に「Parfait Style」を発売。当社独自の積層技術による4層仕立てのデザートとして、新たなデザートの楽しみ方の提案を行ってまいりました。また「栗原さんちのおすそわけ」については、添付ソースを廃止。装いも新たにリニューアルし、素材本来のシンプルな味わいが楽しめるデザートとしてご好評いただき、前年を大きく上回る実績となっております。更に秋からは、これまでにはない新たなチルドデザートとして、「ジュレグルト」を発売。みずみずしいフルーツジュレと、北海道産生クリームを使用したコクのあるヨーグルトを組み合わせた2層仕立てのデザートで、当初エリア限定での発売としていましたが、2月より全国発売となりました。飲料・デザート類事業における「おいしさ」、「健康機能」に関する研究では、主に当社独自のプロバイオティクス乳酸菌や乳素材の機能性の深耕を目的に検討を行い、得られた研究成果(新知見、新技術、新手法など)を「ヨーグルト」、「牛乳、乳飲料」などの商品開発に応用し、商品力強化に活用致しました。また、環境に配慮した容器包装についても研究を続けております。主な研究は以下の通りです。・ホイップクリームディスペンサーを使用し、タンパク質分散液の発泡特性に対するガスとタンパク質の種類 の影響を調査した。その結果、泡の安定性に対する影響はタンパク質の種類による影響も見られたが、ガス の種類による影響の方が大きいことがわかった。・ヨーグルト製造においてホエイ粉添加によりカード強度や保水性に影響を与えることがわかっている。そこ で、ホエイ粉中の各成分がカード形成に与える影響について検討した。その結果、ホエイ粉中のミネラルの 添加量が多いほどカード強度が低下した。しかし、加熱時におけるκカゼイン脱離量とカード強度との関係 性はなかった。また、ミネラルは加熱時よりもカード形成過程中に、カード強度を低下させることが示唆さ れた。・睡眠の特性や睡眠に関わる遺伝子はヒトとショウジョウバエの間でよく保存されている。そこで、モデル動 物であるキイロショウジョウバエを用い、これまでに、ハエの睡眠を有意に促進する乳酸菌株Lactobacillus plantarum SBT2227を見出し、さらに効果の大きいBifidobacterium adolescentis SBT2786を特定した。 SBT2227及びSBT2786を摂取したハエにおいて脳についてRNAseqによるトランスクリプトーム解析をし、発現 が変化する遺伝子を抽出した。また、インシュリンシグナルがこれらSBT2227とSBT2786の睡眠促進効果に関 与することが示唆された。これらの研究成果は、論文としてJournal of Food Engineering誌に掲載され、日本食品保蔵科学会、日本分子生物学会の各学会で発表しました。 〈飼料・種苗〉当連結会計年度の研究開発費の総額は962百万円です。●雪印種苗㈱飼料分野では、弊社が共同出資して設立した新会社「ホクレンくみあい・雪印飼料株式会社」の製造工程が飼料製品の消化性に与える影響を検討しました。新たに設備導入した高温高圧膨化加工装置により調製したペレットは、従来のペレットに比べてデンプン消化率と蛋白質バイパス率が向上することを確認しました。弊社では、このペレットを配合した飼料製品を2021年12月から製造・供給しています。 周産期(分娩前後の時期)には体脂肪の動員に大きな変化が起こることから、飼養管理が難しいとされています。弊社では、機能成分シリマリンを配合した周産期の飼料サプリメント「レバリン」を開発し、2022 年1月から販売開始しました。分娩前後の疾病対策、分娩後の産乳の正常化に貢献する製品として、普及を進めています。 弊社が本年度に実施した粗飼料分析の測定点数は過去最高の9,914点となりました。北海道内における本年度の1番草・2番草・トウモロコシサイレージの栄養成分の傾向を解析し、お客様の飼料設計に活用しています。牧草・飼料作物種子分野では、寒地型牧草として開発しているオーチャードグラス「わせじまん(東北8号OG)」のOECD登録が完了しました。また、アルファルファ「カール(Karlu)」が北海道優良品種審議会において北海道優良品種に認定されました。アルファルファはタンパク質供給源として貴重な飼料作物です。本品種は北海道で栽培されている主要草種チモシーとの混播生育特性に優れていることから、現行品種「ケレス」と並んで粗飼料の栄養価を改善する自給飼料作物として開発を進めていきます。 暖地型牧草では、既存の牧草品種に比べて収量性・耐倒伏性に優れるイタリアンライグラス「たちモン(KYI-01)」を農業・食品産業技術総合研究機構と共同開発しており、品種登録出願を行いました。 畑作・園芸種苗分野では、作型の異なる複数のダイコン品種について良好な栽培特性を確認し、市場導入に向けて推進しています。前年度に販売開始したカボチャ「栗てまり」の抑制栽培・品種比較に関する技術資料を作成し、普及に取り組んでいます。 緑肥作物開発では、土壌中で不溶化したリン酸の吸収を助けるアーバスキュラー菌根菌の増殖が期待されるヒマワリの特性とヒマワリ半身萎凋病(バーティシリウム属菌)抵抗性を併せ持つ新品種「NS-クルナ」の開発を完了し、2022年度春季からの発売に向けて準備を進めています。肥料原料が高騰している現状の環境に対応する緑肥作物として普及を進めていきます。 環境緑化分野では、千葉県と共同育種したクリーピングベントグラス品種「CY-4」が開発の最終段階を迎えています。現行品種「CY-2」よりも耐病性に優れ、密度が高くゴルフ場グリーンに適している品種特性を圃場で実証し、市場に導入する予定です。 生理活性物質関係では、北海道大学・明治大学・弊社の共同研究において、乳酸菌の培養液に含有されるフェニル乳酸がトリプトファンと共存することによって植物の発根を促進する作用があることを解明し、Plant Biotechnology誌に発表しました。乳酸菌培養液を作物生産へ有効利用する基礎的な知見として、また、日本古来の有機質肥料であるボカシ肥料の作用機作の一部を解明したものとして注目されています。 当社グループは、今後もコーポレートスローガンである「未来は、ミルクの中にある。」を基本に、乳(ミルク)の可能性の追求および酪農生産への貢献を目指した、高付加価値で独自性のある商品の開発を進めてまいります。
FY2021|6,881 文字
5【研究開発活動】当社グループ(当社および連結子会社)は、当社、雪印種苗㈱および雪印ビーンスターク㈱を中心に、コーポレートスローガン「未来は、ミルクの中にある。」に基づき、事業戦略上急務となっている研究開発課題や、中長期的成長の基盤となる基礎研究を幅広く実施しております。原材料価格の高騰による調達コストの上昇、また国内外の乳・乳製品需給が変動する中、環境変化を先取りして消費者に受け入れられる商品を継続的に提案するために、乳(ミルク)の価値を中軸に「市場対応型商品」と「付加価値型商品」を両輪とした商品開発を行っております。また、商品開発を支える研究開発として、乳(ミルク)の機能を中心とした「おいしさ」と「健康機能」の追及と、「環境配慮」を主軸とした基礎研究と技術開発に取り組んでおります。 当連結会計年度の研究開発費の総額は4,255百万円です。各セグメント別の主な研究開発活動は次のとおりです。〈乳製品〉当連結会計年度の研究開発費の総額は1,834百万円です。●当社減塩チーズの市場規模は約3倍の潜在規模があると予測されています。そこで、チーズカテゴリーでは、減塩による保存性低下を補うためにイージースマートパックを採用した、塩分35%カット(プロセスチーズ比「日本食品標準成分表2015」)の「あじわい減塩チーズ」の発売を行いました。減塩商品でありながら、ゴーダチーズをベース配合にすることで、しっかりしたチーズのあじわいを感じさせる風味に仕立てました。また、風味に特長のある4種類のチーズ(ゴーダ、モッツァレラ、カマン、チェダー)を配合した「4種のスライスチーズ」の発売を行いました。そのまま食べると、チーズの風味がしっかりと感じられ、加熱すると、「とろ~り」とろけた食感を堪能できる設計と致しました。さらに、骨に特化したコンセプトが高い満足度を生んでいる「毎日骨太」シリーズとして、「毎日骨太2個で1日分のカルシウムチーズケーキヨーグルト味」を発売しました。加えて、「プルーンFe」シリーズとして、「プルーンFe2個で1日分の鉄分」を発売致しました。チーズケーキデザートチーズ市場に「栄養」訴求の新たな価値を提供致します。油脂カテゴリーでは、「ネオソフト」の改良を行いました。「ネオソフト」ならではの価値を訴求するために、「クリーミー」な味わいを強化致しました。改良にあたり、食パンの研究成果を活用し、パンに合う風味へと仕立てました。また、ミルキーシリーズの第4弾として、「ミルキーホワイトチョコ味」を発売致しました。「ミルキー」の原料である練乳とホワイトチョコは相性が良く、良好な風味を実現しました。今後も様々な食シーンの提案と、たゆまざる商品力向上へ取り組んで参ります。 乳製品事業における「おいしさ」と「健康機能」に関する研究を行い、おいしさを構成する技術と、当社独自の乳製品の健康機能の深耕を目的に検討を行い、得られた研究成果(新知見、新技術、新手法など)を乳製品の商品開発と商品力強化、および当社独自の機能性素材の価値向上に活用致しました。主な研究成果は以下の通りです。・クリームチーズを原料としてプロセスチーズに加工する際の製造工程が風味に対してどのような影響を与えるのかを調べた。その結果、製造時の加熱温度が高いと、チーズの構造が強固になり、食べた時にチーズの香りが広がりにくくなることが示唆された。また加熱臭が多く生成されて感じやすくなるため、「ヨーグルトのような香り」「酸っぱい香り」の風味は弱く感じられることが推察された。・バターなどの油脂食品中の香気成分の分析では、蒸留法やSPMEを用いたヘッドスペース香気分析がよく使用されるが、減圧操作により香気成分が失われやすい。そこで、分析法を検討した結果、溶媒抽出とカラムによる分画を併用することで、効果的にバター香気の抽出が可能であることを確認した。また、香気抽出物から64種類の化合物を同定し、23種類の化合物がバター香気の強度に寄与することが示された。・ホエイ粉の製造時の噴霧乾燥工程における回収率と品質の向上に向けて、噴霧乾燥機内部へのホエイ粉の付着現象を解明するために検討した。その結果、噴霧乾燥におけるCFDシミュレーション技術を確立して噴霧乾燥機内における乳製品粒子の動きの予測精度が向上した。また、ホエイ粉の内壁への付着は、ガラス転移温度の低い粒子の影響であることが明らかとなった。これらの研究成果は論文としてInternational Dairy Journal、日本食品化学工学会誌に掲載いたしました。 ●雪印ビーンスターク㈱「赤ちゃんとお母さんをはじめ、家族の健康といきいきしたくらしをサポート」する商品をお客様にご提供するために、「母乳調査研究」、「乳幼児の食生活実態調査」をはじめとする赤ちゃんに関する調査研究、「妊産婦・授乳婦の食事調査」などの調査研究を実施しています。これらの調査研究をもとに、粉ミルク・ベビーフードなどの赤ちゃん向け商品、お母さんのための母親向け商品、シニア世代の健康をサポートする機能性食品などの幅広い商品の開発を行っています。今年度は、乳児用調製液状乳「ビーンスターク・液体ミルク すこやかM1」を乳児用調製粉乳「ビーンスターク・すこやかM1」と同じ開発思想を基に、「オステオポンチン」「DHA」等の成分を配合し、2020年4月下旬に発売しました。授乳中の女性向け商品「ビーンスタークマム カルシウム+鉄」を2020年9月よりリニューアル発売しました。日焼けを避ける女性が増え、コロナ禍において外出機会が減少する中、授乳期のビタミンD不足に対応するため、通常の食事に加えて本品の1日の摂取目安量(6㎍)を摂取することで、日本人の食事摂取基準(2020年版)の目安量を満たせるようにビタミンDの増量をいたしました。1才半頃からの口中清涼菓子「ビーンスターク ハキラ」につきましては「オレンジ」の風味改良を行い、2020年9月よりリニューアル発売しました。新フレーバーとして「ラムネ」「ブドウ」「イチゴ」の3品を2021年3月に発売しました。また、「アソート」タイプについては、「ラムネ」「イチゴ」「ブルーベリー」の3つの味に変更し、リニューアル発売しました。中高年向けに「Wのひらめき」「DHA&EPA」の2品を2021年1月より「雪印メグミルクダイレクト」(通信販売限定)にて発売しました。「Wのひらめき」は60年以上にわたる母乳研究を大人の健康にも活かしたいと考え、母乳中のリン脂質のひとつであるホスファチジルセリンに着目し開発しました。本商品はPS(大豆由来ホスファチジルセリン)とイチョウ葉由来フラボノイド配糖体、イチョウ葉由来テルペンラクトンが含まれ、判断の正確さを向上、記憶の維持をサポートする機能性表示食品です。研究開発では、雪印メグミルク㈱と当社による第3回全国母乳調査を継続して実施しています。今年度は、免疫機能に関連するオステオポンチン(OPN)について2018年に引き続き報告を行っています。すなわち、1989年調査の日本人初乳では、2013年調査した日本人初乳に比較してOPN濃度が高いことを見出しました。小児アレルギーとの関連についてはさらに検討が必要ですが、近年の日本人初乳ではOPNが減少していることを示したものになります。本内容は、EAACI(欧州アレルギー臨床免疫学会)にて報告を行いました。また、感染防御に関連する成分として重要なシアル酸やオリゴ糖について日本人母乳中の含量について分析し、総シアル酸含量は泌乳期の経過に伴い減少することを示しました。本内容は、日本農芸化学会大会にて報告を行いました。引き続き、母乳の免疫機能や感染防御に関しては研究を進めることとしています。一方、日本人母乳の脂肪酸組成について、特にドコサヘキサエン酸(DHA)の母乳中濃度について米国栄養学会の雑誌Current Developments in Nutritionに掲載されました。母乳中のDHA濃度とお母さんの食事調査結果とあわせて解析したところ、母乳中のDHA濃度は、DHAサプリメントの摂取や焼き魚摂取量に相関があることがわかりました。今後も、日本人の母乳成分と対応する母子の背景情報との関連性を調べてまいります。 〈飲料・デザート類〉当連結会計年度の研究開発費の総額は1,487百万円です。●当社牛乳・乳飲料カテゴリーにおいては、2020年春には「毎日骨太MBP®」(900ml、500ml)、「毎日骨太MBP®1日分のカルシウム」(LL200ml)および「アカディおなかにやさしく」(900ml、500ml、180ml)を、「おいしさと栄養を両立させた新しいカテゴリー」へのリポジショニングを目指す商品として発売。特に大容量タイプ(900ml)においては、いずれも「ピュアパックセンスウェーブ」という口栓付新容器を日本初採用いたしました。同じく白物乳飲料において、「特濃」(900ml、500ml)、「すっきりCa鉄」(1000ml、500ml)については、秋にリニューアル発売を実施。「特濃」は大容量タイプ(900ml)を口栓付容器に変更し、「すっきりCa鉄」については、安定供給と収益性の確保を両立するために価格改定を実施いたしました。更に2021年3月23日、満を持して「MBPドリンク100ml」を発売しました。長年の研究の成果である当社独自の乳素材「MBP」を使用した、飲料タイプとして初の「骨密度を高める」機能性表示食品となります。 色物乳飲料においては、春に「BOTTLATTE」シリーズ(400ml)を大きく刷新し、新たに「Bottlatte&Go」(300ml)として発売いたしました。容器を手で持ちやすいスリム容器「TTミディ」に変更し、更に簡単開封できる内フタの無いキャップを採用。利便性・携帯性を大きく向上させました。秋には「タンパク質市場の広がり」へ対応する商品として、「PROTEIN10シリーズ」(LL200g)を発売。他社にはない「カップ」タイプで、「おいしく、さらにスタイリッシュにタンパク質を摂りたい」というニーズに応える商品として発売いたしました。ヨーグルトカテゴリーでは、2020年1月に「目や鼻の不快感を緩和する」機能性表示食品として「乳酸菌ヘルベ ドリンクタイプ」(100ml)を発売し、年間商材としての定着を目指しました。「恵 megumi」ブランドについては、シリーズ全体のパッケージ変更を実施。視認性を高めたデザインを採用いたしました。機能性表示食品の「恵 ガセリ菌SP株ヨーグルト」シリーズについては、商品のキャッチコピーを短くし、保健機能である「内臓脂肪を減らす」を、見えやすく表示しました。デザートカテゴリーでは、チルドΦ71デザートの強化を図るべく、トールカップは全品一新を図りました。「CHEESE MEETS SWEETS」シリーズについては、当社が得意とする「チーズ」を、独自の積層技術を活用し、多層で楽しめるデザートとして2品(濃厚チーズプリン、すっきりレアチーズ)発売しました。「アジア茶房トール」については、アジアンスイーツを2層で楽しむというコンセプトのもと、2品(杏仁マンゴー、黒ごま白ごまプリン)発売しました。また2021年3月には、この積層技術でパフェの味わいを再現した新たなデザート「Parfait Style」シリーズ(ラム酒香るチョコバナナ、いちご&バニラ)を発売しました。 飲料・デザート類事業における「おいしさ」、「健康機能」に関する研究では、主に当社独自のプロバイオティクス乳酸菌や乳素材の機能性の深耕を目的に検討を行い、得られた研究成果(新知見、新技術、新手法など)を「ヨーグルト」、「牛乳、乳飲料」などの商品開発に応用し、商品力強化に活用致しました。また、環境に配慮した容器包装についても研究を続けております。主な研究は以下の通りです。・液体の注ぎやすさを評価するため、高速カメラとフォースプレートで記録し、さまざまな粘度の液体を注ぐ感覚を評価した。粘度の増加とともに注ぎやすさのスコアが減少した。注ぎ込みの3段階、すなわち液体が勢いよく流れ出る流動状態(I)、液体が流れ出て伸びる糸掛け状態(II)、液体が液滴として流れ落ちる垂れ状態(III)が観察された。粘度が増加するにつれ、状態IIの期間は延長した。これらの発見は、特徴的な容器や飲料の開発に役立つことが期待される。・睡眠の特性や睡眠に関わる遺伝子はヒトとショウジョウバエの間でよく保存されている。そこで、モデル動物であるキイロショウジョウバエを用い、Lactobacillus属乳酸菌SBT2227株(SBT2227)による、ハエの睡眠への影響を調べた。その結果、SBT2227の経口投与により、夜間開始時の睡眠量の有意な増加と、睡眠潜時の有意な短縮が認められた。さらに、睡眠促進効果は加熱殺菌処理をしたSBT2227でも消失せず、SBT2227の有効成分は熱安定性を有する物質であることが示唆された。・プラスチック製の大容量ヨーグルト用輸送容器(クレート)について、環境負荷低減を目的に形状の適正化を試みた。その結果、運用上支障のない強度を維持した上で、約14%軽量化し、プラスチック使用量として約95tを削減した。また、積載効率が10%以上向上した。さらに、通気性の向上により、ヨーグルト製造時の冷却時間を最大約60分短縮し、製造時の使用電力を削減した。 これらの研究成果は、論文としてTechnologiesに掲載され、日本分子生物学会、日本包装学会の各学会で発表しました。 〈飼料・種苗〉当連結会計年度の研究開発費の総額は933百万円です。●雪印種苗㈱飼料分野では、機能成分シリマリンを含有する周産期用サプリメントの商品特徴について営業部門との社内情報共有を行い、商品採択・発売に向けて市場導入方法の協議を進めています。代用乳に関しては近年、酪農現場で普及が進んできている個別管理哺乳ロボット(カーフレール)に対応する代用乳を設計・試作し、当社北海道研究農場および外部牧場で給餌試験を実施しています。サイレージ給与試験としてはアントシアン高含有飼料用トウモロコシサイレージ試験を実施しました。比較対象区に比較して発酵品質の向上が認められましたが、産乳性には差が認められませんでした。牧草・飼料作物種子分野では、北海道優良品種審議会において、当社で商品化検討を進めている飼料用トウモロコシの熟期80タイプ「LG31207」、90日タイプ「SH1481」、95日タイプ「SHY4041」、105日タイプ「SH15445」、およびペレニアルライグラス「KSP1403」(道総研と共同開発)が正式に認定を受けました。畑作・園芸種苗分野では、インゲン「BN137」(導入品種)が鹿児島県の現地試験においてジベレリン処理の有無にかかわらず高い評価を得ました。ダイコン開発については「RA425」が外部特性試験において比較対象品種と遜色なく、新製品として有望と判断し、実用化へ向けた開発を進めています。緑肥開発では、パールミレット「ネマレット」(ADR300)がソルガム類連作障害発生圃場においても栽培可能、かつキタネグサレセンチュウ抑制能も持つことを明らかにし、商品採択を行いました。他社に先んじた発売と普及を目指します。ペルシアンクローバ「まめ小町」(CP1402)が水田跡地などでの湿害に強く、ダイズシストセンチュウ抑制能が高いことを明らかにし、商品採択を行いました。多芽性ユリに関しては、増殖用鱗片のウイルス感染が陰性であることを確認し、昨年に引き続いて新潟県花卉球根農業組合での委託増殖と併行して、帯広市でも増殖試験を実施することとしました。生理活性物質関係では、発根促進用液肥「闘根242」の低コスト商品について、当面は現行商品と同一規格として継続販売し、その後、価格低減効果を活用したマーケティング戦略を策定・実行する販売方針を決定しました。また、発売から30年以上経過している「スノーグローエース」の低コスト試作品を調製し、肥料製造委託先であるダン化学㈱による肥料登録申請を進めました。環境緑化分野では、千葉県と共同開発したベントグラス「CY-4」(CY-2後継品種)のOECD登録が完了し、2021年度版にリストアップされました。 当社グループは、今後もコーポレートスローガンである「未来は、ミルクの中にある。」を基本に、乳(ミルク)の可能性の追求および酪農生産への貢献を目指した、高付加価値で独自性のある商品の開発を進めてまいります。
FY2020|6,599 文字
5【研究開発活動】当社グループ(当社および連結子会社)は、当社、雪印種苗㈱および雪印ビーンスターク㈱を中心に、コーポレートスローガン「未来は、ミルクの中にある。」に基づき、事業戦略上急務となっている研究開発課題や、中長期的成長の基盤となる基礎研究を幅広く実施しております。原材料価格の高騰による調達コストの上昇、また国内外の乳・乳製品需給が変動する中、環境変化を先取りして消費者に受け入れられる商品を継続的に提案するために、乳(ミルク)の価値を中軸に「市場対応型商品」と「付加価値型商品」を両輪とした商品開発を行っております。また、商品開発を支える研究開発として、乳(ミルク)の機能を中心として「おいしさ」と「健康機能」の追及を主軸とした基礎研究と技術開発に取り組んでおります。 当連結会計年度の研究開発費の総額は4,297百万円です。各セグメント別の主な研究開発活動は次のとおりです。〈乳製品〉当連結会計年度の研究開発費の総額は1,873百万円です。●当社チーズカテゴリーにおいては、かつお節やいぶりがっこなど日本人の食生活に古くから親しまれている燻製に着目し、スモーキーな香りをまとった商品を上市致しました。6Pチーズのバラエティ商品として「6Pチーズスモーク味」、スライスチーズの新たな提案となる「スモーク香るスライスチーズ」、一口サイズでプリっとした外側となめらかな内側の絶妙な食感のコントラストを楽しめるスモークチーズ「なめらかスモークチーズ」を発売。伸長するベビーチーズカテゴリーにはナチュラルチーズが気軽に楽しめる「ブルーチーズ入りベビーチーズ」、焦がした醤油の芳ばしい風味のある「焦がし醤油ベビーチーズ」を発売し、消費税増税後の高まる家飲み需要に対応致しました。またチーズをよりおいしく食べる提案として、16種類の穀物を配合、香ばしい風味とサクッとした食感を実現した「チーズのための玄米クラッカー」を発売致しました。油脂カテゴリーにおいては、若年層のマーガリン需要獲得を図るため、不二家の「ミルキー」の味が楽しめる「ミルキーソフト」の第三段として「ミルキーソフト いちご味」を発売致しました。今後も様々な食シーンの提案と、たゆまざる商品力向上へ取り組んで参ります。 乳製品事業における「おいしさ」と「健康機能」に関する研究を行い、おいしさを構成する技術と、当社独自の乳製品の健康機能の深耕を目的に検討を行い、得られた研究成果(新知見、新技術、新手法など)を乳製品の商品開発と商品力強化、および当社独自の機能性素材の価値向上に活用致しました。主な研究成果は以下の通りです。・ゴーダチーズの熟成を制御することを目的に、チーズ水分を吸収するアクティブ包装(脱酸素剤・乾燥剤を備えたバリアカップ包装)を用いてゴーダチーズを熟成させ、熟成と風味に与える影響を評価した。その結果、アクティブ包装したゴーダチーズは、リンデッド製法と同様に高い嗜好評点が得られ、アクティブ包装によりゴーダチーズの熟成を制御が出来る可能性が示唆された。・マーガリンにおけるトリアシルグリセロール(TAG)組成および物理的特性が、マーガリンのざらつきの原因となる粗大結晶形成の挙動に及ぼす影響を調べた。TAG組成が異なる配合のモデルマーガリンを急冷固化し、保存中の結晶化挙動を偏光顕微鏡観察、X線回折、SFC(固体脂含量)測定により評価した結果、油脂結晶の粗大化はTAG組成とSFCの影響を複合的に受けることが示唆された。・ナチュラルチーズの発酵中の代謝過程の評価に、SPME-GC/MS法を用いた香気成分分析、溶媒抽出-GC/MS法を用いたメタボロミクス技術が適用可能かを検証した。試験管内にて10gのモデルカビ系チーズを調製し、発酵中の経時的な成分解析を実施した。その結果、ジアセチルの分解過程などの公知の代謝過程だけでなく、香気成分前駆物質から香気成分への生成過程を評価できた。以上より、今回の分析法はナチュラルチーズの香気成分制御における発酵条件検討に有用である可能性が示唆された。これらの研究成果は日本包装学会での発表と、論文としてJournal of American Oil Chemists' Society、Journal of Bioscience and Bioengineeringに掲載致しました。 ●雪印ビーンスターク㈱「赤ちゃんとお母さんをはじめ、家族の健康といきいきしたくらしをサポート」する商品をお客様にご提供するために、「母乳調査研究」、「乳幼児の食生活実態調査」をはじめとする赤ちゃんに関する調査研究、「妊産婦・授乳婦の食事調査」などの調査研究を実施しています。これらの調査研究をもとに、粉ミルク・ベビーフードなどの赤ちゃん向け商品、お母さんのための母親向け商品、シニア世代の健康をサポートする機能性食品などの幅広い商品の開発を行っています。今年度は、当社の基幹商品の新生児からの乳児用調製粉乳「ビーンスターク・すこやかM1」、ならびに9か月齢からのフォローアップミルク「ビーンスターク・つよいこ」を上期にリニューアル発売しました。「すこやかM1」は、2015年から雪印メグミルク㈱と共同で開始した第3回全国母乳調査における研究成果を生かし、日本で初めて乳児用調製粉乳に「オステオポンチン」を配合しました。当社初となる乳児用調製液状乳「ビーンスターク・液体ミルク すこやかM1」は、乳児用調製粉乳「ビーンスターク・すこやかM1」と同じ開発思想を基に、「オステオポンチン」「DHA」等の成分を配合し、2020年4月に発売致しました。女性の社会活躍が進む中での、妊娠中、授乳中、子育て中の女性向け商品として、指定医薬部外品「ビーンスタークマム ママスマイル」を2020年3月に発売致しました。つらい疲れを回復し、肌の不調を改善する、レモン・ライム風味のミニドリンクです。2018年度に発売した、大人のための“粉ミルク型サプリメント”「プラチナミルク for バランス」は、風味を改良して2020年2月よりリニューアル発売致しました。当社初となる機能性表示食品「整腸のプロバイオ」を、2020年2月に発売致しました。お通じの改善のために、1日1回6滴で10億個の生きて届くビフィズス菌がとれるオイルタイプのサプリメントです。60℃以下の料理や飲み物に振りかけて使用します。又、機能性表示食品「大人のDHA&EPA」を2020年3月に発売致しました。中高年の気になる中性脂肪を低下し、記憶をサポートするソフトカプセル型のサプリメントです。1日5粒で手軽に有効量のDHAとEPAを摂取することができます。研究開発では、雪印メグミルク㈱と当社による第3回全国母乳調査を継続して実施しています。今年度は、第52回欧州小児消化器肝臓栄養学会年次総会(イギリス)において、母乳の主要栄養素濃度は分娩後日数経過に応じて変化すること、および新たに母親のn-3系脂肪酸摂取量が母乳中のたんぱく質濃度に関係する可能性を報告しました。さらに、母乳調査研究の参加者募集が完了したことから、本調査研究の概要を明らかにした論文を、学術雑誌「International Journal of Environmental Research and Public Health」に秋田大学大学院医学系研究科と共同で執筆投稿し、オンライン掲載されました(2020年3月13日付)。今後は、収集した母乳の成分と対応する母子の背景情報との関連性を調べてまいります。 〈飲料・デザート類〉当連結会計年度の研究開発費の総額は1,479百万円です。●当社牛乳・乳飲料カテゴリーにおいては、「毎日骨太MBP®」(900ml、500ml)、「毎日骨太MBP® 1日分のカルシウム」(LL200ml)および「アカディおなかにやさしく」(900ml、500ml、180ml)を新たな位置づけの商品として発売致しました。「毎日骨太MBP®」は、乳脂肪率を従来の1.0%から1.8%に引き上げ、よりミルクらしい味わいに近づけ、毎日続けやすいおいしさを目指しました。「アカディおなかにやさしく」は、乳糖を分解しながらも「おいしさ特許製法」により、牛乳らしい味わいに仕立てています。いずれも大容量タイプ(900ml)は、「ピュアパックセンス ウェーブ」という口栓付き容器を日本で初採用しました。また、たっぷりボトルで楽しめる本格ラテの「BOTTLATTE」シリーズ(400ml)の容器をスリムタイプの容器(300ml)に変更し、「Bottlatte&Go」シリーズとして3品(カフェラテ、エスプレッソラテ、ロイヤルミルクティ)を発売致しました。持ち運びしやすいスリムな形状、簡単開封できる内フタがないキャップにすることにより、利便性・携帯性を向上させ、さらなる飲用シーンの拡大を目指します。ヨーグルトカテゴリーでは、「目や鼻の不快感を緩和する」機能で機能性表示食品の届出を完了し、当社独自の乳酸菌である「乳酸菌ヘルベ」を使用したドリンクタイプのヨーグルトを発売致しました。「恵 megumi」ブランドにおいては、シリーズ全体のパッケージデザインをリニューアルしました。商品名のロゴやアイコンを躍動感のあるデザインにして視認性を高め、機能性表示食品の「ガセリ菌SP株ヨーグルト」シリーズは、キャッチコピーを短くして、保健機能「内臓脂肪を減らす」を見やすく表示致しました。デザートカテゴリーでは、当社が得意とする「チーズ」と、長年培ってきた独自の技術を持つ「デザート」を融合させてつくり上げた、多層で楽しめるチーズスイーツとして、「CHEESE MEETS SWEETS 濃厚チーズプリン」と「CHEESE MEETS SWEETS すっきりレアチーズ」を発売致しました。また、アジアのカフェで出逢えるおいしいデザートをイメージして作った「アジア茶房」ブランドにおいて、アジアンスイーツを2層で楽しむ商品を2品(杏仁マンゴー、黒ごま白ごまプリン)発売致しました。 飲料・デザート類事業における「おいしさ」、「健康機能」に関する研究では、主に当社独自のプロバイオティクス乳酸菌や乳素材の機能性の深耕を目的に検討を行い、得られた研究成果(新知見、新技術、新手法など)を「ヨーグルト」、「牛乳、乳飲料」などの商品開発に応用し、商品力強化に活用致しました。主な研究は以下の通りです。・Lactobacillus helveticus SBT2171(以下、LH2171)の口内環境改善作用とそのメカニズムの検討を行った。その結果、LH2171が口腔内で抗菌ペプチドの発現を上昇させることで歯周病の原因となる歯周病菌の増殖を抑制し、歯肉組織の炎症を抑制する可能性が示された。・当社保有の乳酸菌を加齢線虫に投与した結果、乳酸菌の中でも特にヘテロ発酵を行うLactobacillus属が、加齢線虫における温度記憶能力の低下を抑制した。また、加齢線虫における記憶能力の低下の抑制は、単なる寿命延長や運動機能の維持とは独立した機構であることが示唆された。・女性長距離ランナー(大学生)に半年間40mgのMBPを摂取して貰い、その結果、MBP摂取前は高骨代謝状態であったが、MBP摂取により、過剰な骨代謝は抑制された。また、MBP摂取期間中に疲労骨折は発生しなかった。MBPの摂取により、若齢女性アスリートの過剰な骨代謝を抑制して骨質を改善する可能性を見出した。これらの研究成果は、日本栄養・食糧学会大会、日本分子生物学会などの各学会での発表の他、論文として体力・栄養・免疫学雑誌に掲載致しました。 〈飼料・種苗〉当連結会計年度の研究開発費の総額は945百万円です。●雪印種苗㈱飼料分野では草地における雑草比率増加や異常気象下での刈遅れなどによって自給飼料の品質が低下してしまう問題に対し、繊維分解酵素にマンガンを添加して飼養するとさらに消化性が高まることを確認致しました。一方、サイレージ添加用乳酸菌について、現行品に配合しているセルラーゼよりも繊維分解活性が高い酵素を開発し、特許出願致しました。次年度以降、実用化に向けた取り組みを進める予定です。また、オーチャードグラスの高糖含量新品種「えさじまん」の給与・産乳性試験結果3年分をまとめ、農水省委託プロジェクト会議で報告致しました。統計的な有意差は確認できなかったものの、対照品種と比較して試験牛群において採食量・泌乳量が多い傾向が観察されました。試験方法に関して、飼料研究の今後の課題として検討していきます。子牛育成においては近年急速に普及した代用乳多給法によって発生する飼養管理の課題を回避することを目的として、脱脂粉乳/ホエイ比を再検討する試験を実施致しました。ホエイ比を高めると下痢の発生率が高まる傾向が認められたため、超音波検査装置を用いた消化管内カード形成観察法の併用によって最適な比率の検討に取り組みます。牧草・飼料作物種子分野では栄養価が高く、道東においても越冬性が優れるフェストロリウム「ノースフェスト」を品種採択しました。また、オーチャードグラス「東北8号OG」およびシロクローバ「アバラスティング」が北海道優良品種に選定されました。「アバラスティング」については次年度から発売する予定です。府県向け飼料作物としてソルガム「FS1701bmr」の親系統とエンバク「夏疾風」の品種登録出願を進めています。トウモロコシに関しては府県・道内の両地域で栽培できる耐病性品種「LG30500」が現地試験でも好評だったことから、次年度発売予定と致しました。畑作・園芸種苗分野では近年の温暖化に対応し、耐暑性を付与したエダマメ「GLYSB1023」の品種登録出願を行いました。また、ブロッコリーのニッチ市場に向けて耐寒性早生品種「ドームツリー」を品種採択し、各地で普及を進めました。緑肥用ヒマワリとしてはバーティシリウム病抵抗性である「NS KRUNA」を選抜し、次年度に道内・府県の双方で現地試験を展開することと致しました。また、緑肥用ソルガム「つちたろう」を盛夏栽培することによってアブラナ科根こぶ病胞子密度を抑制できることを確認致しました。SDGsに関連する当社の取組みのひとつとして現地試験を強化推進していきます。花卉分野ではポットカーネーション国内トップシェアを目指し、新色を含む7系統を品種登録出願致しました。また、次の戦略商品として多芽性ユリ3系統を品種登録出願致しました。併行して、採算性に問題があったF1シクラメン開発からの撤退を決定し、選択と集中を進めました。生理活性物質関係では将来的なバイオスティミュラントの興隆による競争激化に備、発根促進液肥「闘根242」、「根真人232」の低コスト製法を開発し、パイロットプラントによる試作品の肥料登録を行いました。さらに、北大共同研究において、「闘根」を処理することにより水稲種子が嫌気条件下で発芽するために必要な遺伝子の発現が顕著に昂進されることを明らかにしました。また、スイートコーン冷凍食品工場で発生し、廃棄されている煮汁中の天然植物ホルモンを乳酸菌培養により強化し、液肥原料とする調製方法を開発致しました。SDGsの観点からも実用化を進めて行きます。環境緑化分野ではウィンターオーバーシード用のアニュアルライグラス「フェアウェイⅢ」を商品採択致しました。また、ゴルフ場グリーン向け種子繁殖性クリーピングベントグラスとして一世を風靡した「CY-2」の耐暑性・耐病性・冬季緑度をさらに改良した後継品種「CY-4」について品種登録出願準備を進めると共に全米芝質評価試験 NTEPへ事前エントリーを行いました。国内外での実用化を目指します。 当社グループは、今後もコーポレートスローガンである「未来は、ミルクの中にある。」を基本に、乳(ミルク)の可能性の追求および酪農生産への貢献を目指した、高付加価値で独自性のある商品の開発を進めてまいります。
FY2019|5,645 文字
5【研究開発活動】当社グループ(当社および連結子会社)は、当社、雪印種苗㈱および雪印ビーンスターク㈱を中心に、コーポレートスローガン「未来は、ミルクの中にある。」に基づき、事業戦略上急務となっている研究開発課題や、中長期的成長の基盤となる基礎研究を幅広く実施しております。原材料価格の高騰による調達コストの上昇、また国内生乳生産量の減少による乳原料不足など、いまだ厳しい外部環境の中、このような環境変化を先取りして消費者に受け入れられる商品を継続的に提案するために、乳(ミルク)の価値を中軸に「市場対応型商品」と「付加価値型商品」を両輪とした商品開発を行っております。また、商品開発を支える研究開発として、乳(ミルク)の機能を中心として「おいしさ」と「健康機能」の追及を主軸とした基礎研究と技術開発に取り組んでおります。 当連結会計年度の研究開発費の総額は4,382百万円です。各セグメント別の主な研究開発活動は次のとおりです。〈乳製品〉当連結会計年度の研究開発費の総額は1,894百万円です。・提出会社チーズカテゴリーにおいては、さけるチーズのラインナップ強化として「さけるチーズベーコン味」を発売致しました。さけるチーズはさいて食べる楽しさ、独特な食感、子供から大人まで楽しめるミルキーでマイルドな風味によって需要が年々拡大している商品です。「ベーコン味」は家飲みのおつまみ用途に最適でありながらお子様も大好きな味であり、一層の市場拡大に貢献致します。世界のチーズデザートをヒントにした商品開発を行っている「Cheese sweets Journey」については、ハワイをテーマに「パイン香るベイクドチーズ仕立てのスイーツ」を発売致しました。伸長著しいベビーチーズカテゴリーにおいてはナチュラルチーズを気軽に楽しめるをコンセプトとした「モッツァレラ入り ベビーチーズ」を発売し、高まる家飲み需要に対応しました。油脂カテゴリーにおいては、若年層のマーガリン需要獲得を図るため、不二家の「ミルキー」の味が楽しめる「ミルキーソフト」の第二段として「ミルキーソフト キャラメル味」を発売致しました。今後も様々な食シーンの提案と、たゆまざる商品力向上へ取り組んで参ります。 乳製品における「おいしさ」と「健康機能」に関する研究を行い、おいしさを構成する技術と、当社独自の乳製品の健康機能の深耕を目的に検討を行い、得られた研究成果(新知見、新技術、新手法など)を乳製品の商品開発と商品力強化、および当社独自の機能性素材の価値向上に活用いたしました。主な研究成果は以下の通りです。・プロセスチーズを想定したモデルチーズにおいて、原料の乳化剤が物性・構造変化におよぼす影響を検討した結果、乳化剤のHLBによって、粘度および硬度が変化することを確認しました。また、脂肪球の大きさにも影響を与えることがわかりました。この知見は、プロセスチーズ類の食感や物性の調整技術として活用していきます。・マーガリン類を想定したモデル乳化物において、風味を形成する香気成分の遊離メカニズムについて研究しました。その結果、香気成分の遊離は、香気成分の炭素鎖と、モノグリセリドの脂肪酸の分子間相互作用の影響を受けることがわかりました。この知見は、マーガリン類の風味調整技術として活用していきます。・噴霧乾燥によるホエー粉製造を想定し、ホエー中のミネラルが乾燥速度に与える影響を研究した結果、カルシウムによる増粘が乾燥速度を低下させることがわかりました。 これらの研究成果は日本食品科学工学会などの学会で発表し、論文としてFood Hydrocolloids、日本食品科学工学会誌に掲載いたしました。・雪印ビーンスターク㈱「赤ちゃんとお母さんをはじめ、家族の健康といきいきしたくらしをサポート」する商品をお客様にご提供するために、「母乳調査研究」、「乳幼児の食生活実態調査」をはじめとする赤ちゃんに関する調査研究、「妊産婦・授乳婦の食事調査」などを調査研究し、粉ミルク・ベビーフードなどの赤ちゃん商品、お母さんのための母親商品、シニア世代の健康をサポートする機能性食品などの幅広い研究・商品開発に取り組んでいます。商品開発では、当社の基幹商品の新生児からの乳児用調製粉乳「ビーンスターク・すこやかM1」ならびに9か月齢からのフォローアップミルク「ビーンスターク・つよいこ」を発売しています。「すこやかM1」は、長年の母乳調査研究、とくに免疫機能の研究成果を込めた粉ミルクです。2018年度は、ピップ株式会社との共同取組により発売し、数々のメディアで紹介頂いた、大人のための“美味しい粉ミルク型サプリメント”「プラチナミルク for バランス」のスティックタイプ「プラチナミルク for バランス スティック10本」を発売しました。お母さん向け商品としては、「ビーンスタークマム つわびー」を発売しました。本商品は、産婦人科医と一緒に考えた、妊娠初期の食べられないママのためのサプリメントです。ビタミンB6と葉酸を手軽に摂取することができ、特に葉酸摂取が重要な妊娠初期の女性におすすめです。赤ちゃん向け商品としては、「ビーンスターク つよいこ」をリニューアルし、2019年4月1日より発売しております。本商品は、牛乳では摂りにくい「DHA」、「鉄」、離乳食で不足しがちな「カルシウム」など、お子様に大切な栄養素をバランスよく配合したフォローアップミルクです。また現在、雪印メグミルク㈱との共同研究として、約30年ぶりとなる全国的な母乳調査研究を実施しています。これらの研究の一環として、日本、中国、韓国、デンマークの4か国間の国際共同研究に参画し、最近の日本人の母乳中オステオポンチン(OPN)濃度を調査しました。OPNは、免疫に働きかける機能をもつ母乳中の成分です。その結果、母乳中のOPN濃度およびたんぱく質中のOPNの割合は国によって異なり、産後日数の経過に伴い濃度が低下することが明らかになりました。800検体を超えた多国間での母乳とOPNに関する共同研究は世界初の取り組みとなります。これらの研究について、5月にスイス・ジュネーブで開催された欧州小児消化器肝臓栄養学会(European Society for Pediatric Gastroenterology, Hepatology and Nutrition : ESPGHAN)において、学術発表しました。また、本研究結果は欧米の小児学専門誌「Journal of Pediatric Gastroenterology and Nutrition」にオンライン掲載されました。 〈飲料・デザート類〉当連結会計年度の研究開発費の総額は1,583百万円です。・提出会社牛乳・乳飲料カテゴリーにおいては、たっぷりボトルで楽しめる本格ラテの「BOTTLATTE」シリーズに、コールドブリュー(低温抽出製法)コーヒーを使用し、キレのある軽やかな味わいを楽しめる「BOTTLATTE カフェラテクリアテイスト」を新たにラインナップに加えました。また、シリーズにおいて、シズルを立たせたデザインに変更し、各商品のこだわりをコピーでパッケージ正面に記載致しました。カップ飲料では、“ミルクの濃厚さ” にこだわって開発した「濃厚ミルク仕立て」シリーズに、カフェなどでも人気のチーズフレーバーを使用した「濃厚ミルク仕立て フロマージュミルク」を新たにラインナップに加えました。天然果汁・野菜・清涼飲料カテゴリーでは、健康意識の高まりに対応する商品として、Dole®ブランドより、機能性表示食品の果汁100%飲料「Dole® Handy Charge Berry Mix」、「Dole® Handy Charge Lemon Mix」2品を発売し、オフィスワーカーの様々なシーンに寄り添い、おいしさと機能で応援いたします。ヨーグルトカテゴリーでは、「ガセリ菌SP株シリーズ」において、お客様からのニーズに応えるべく、生乳、乳製品、乳たんぱく質のみを使用し、甘味のないプレーンタイプの「恵 megumi ガセリ菌SP株ヨーグルト 生乳仕立てプレーン」を発売いたしました。甘味がなくてもおいしく食べられる商品をシリーズに加えることで、フルーツ系ラインナップでは取り込むことが出来なかった新たなユーザー獲得を目指します。デザートカテゴリーでは、当社独自の特許製法*により重ねた4層のハーモニーで彩り豊かなおいしさをお届けする「重ねドルチェシリーズ」において、多層デザートの魅力をよりわかりやすくお客様へ伝え、お楽しみいただけるよう、「重ねドルチェ caffè&ブランマンジェ」と「重ねドルチェ fruttaピーチ」を発売いたしました。また、大人が楽しむデザートとして、お酒とスイーツの融合に着目し、カジュアルに飲まれるカクテルを、2層のおいしいデザートで楽しむ「カクテルジュレ カシスオレンジ風味」を発売しました。*多層食品及びその製造方法:方法特許第4022558号 飲料・デザート類における「おいしさ」、「健康機能」に関する研究では、主に当社独自のプロバイオティクス乳酸菌や乳素材の機能性の深耕を目的に検討を行い、得られた研究成果(新知見、新技術、新手法など)を「ヨーグルト」、「牛乳、乳飲料」などの商品開発に応用し、商品力強化に活用いたしました。 主な研究は以下の通りです。・当社独自のプロバイオティクス菌である「ガセリ菌SP株」が骨格筋細胞のミトコンドリアの生合成を促し、加齢による修復能力の低下に伴う筋損傷からの回復を促進することを、細胞実験により見出しました。・マウスを対象とした動物実験において、当社独自の乳酸菌であるヘルベティカス菌(SBT2171株)を投与することにより、花粉症の症状を緩和する可能性を見出しました。・ヒトを対象とした試験において、当社独自の乳酸菌であるヘルベティカス菌(SBT2171株)を含む発酵乳を摂取することにより、ダニやハウスダストによる目や鼻の不快感が緩和されることを確認しました。 これらの研究成果は、日本乳酸菌学会、日本食品免疫学会などの各学会での発表の他、論文としてFunctional Foods in Health and Diseaseに掲載いたしました。 〈飼料・種苗〉当連結会計年度の研究開発費の総額は905百万円です。・雪印種苗㈱飼料分野では、酪農における牛体管理の重要課題であるルーメンアシドーシス研究*を進めており、公的機関と連携してルーメン微生物の評価を中心に飼料素材の検討を継続しています。また子牛の健全な生育を助ける代用乳の素材および配合の改良研究を重点課題として取り組んでいます。さらに母牛の出産前後の健康を維持する有望な素材を探索し、周産期サプリメントの商品化に向けた研究を継続しています。酪農に貢献する新たな機能と特徴を持つ乳酸菌製品の開発へ向けて、新規乳酸菌株およびサイレージ用酵素の性能評価試験を継続実施しています。この中で、乳酸菌の菌株を改良したサイレージ用資材サイマスターACが2018年度の北海道指導参考事項に認定され、当該商品と技術の普及促進が期待されます。*ルーメンアシドーシスとは、牛の1番目の胃であるルーメン内が、酸性になって、ルーメン内に生息する微生物 がダメージを受けたり、ルーメン粘膜(上皮組織)が損傷してしまうという病的な状態のことです。牧草・飼料作物種子分野では、栄養価に優れサイレージ発酵特性の良好な自給飼料として期待される高糖含量オーチャードグラス「えさじまん」の機能を検証する産乳性試験および安定生産を確認する採種性試験を継続しています。飼料用トウモロコシについては九州と関東・東北での圃場試験において耐倒伏性・耐病性・収量性の良好な1品種、北海道で耐病性と収量性に優れる2品種を選抜し、2019年に販売を開始しました。また北海道(道央・道南)と府県全域で収量性と耐病性に優れる1品種を2020年に市場投入する予定です。畑作・園芸種苗分野では、カボチャ「栗天下」の青果品質の市場評価が高いことから北海道以外へも普及拡大することとし、安定した青果の供給のために栽培に関して技術支援を行っています。スイートコーン「ピュアホワイト」に続く「ピュアホワイトSP」も青果の品質と栽培のしやすさに関して高い評価を得ています。花卉分野では、ポットカーネーション7品種を新たに品種登録出願し、生産者向け苗の出荷を開始しました。またシクラメンの組織培養苗を2品種、新たに発売しました。鉢物・ガーデン用ダリア「おひさまダリア」苗の本格販売を開始しました。生理活性物質関係では、畑作・園芸作物の根張りを良好にする当社独自の機能性液肥「根真人232」の市場競争力をさらに向上させるため、製造方法の改良に取り組んできました。改良に目途が立ち、製造試験を継続しています。また線虫や病原菌による作物被害の抑制・軽減を目的として、さまざまな病害のメカニズム研究を進めています。環境緑化分野の芝生・植生関係では生態系・環境に調和した草種・品種の開発を進めており、寒冷地・高冷地に向く芝生用ケンタッキーブルーグラス「ハイディ」の販売を開始しました。また、自社育成のノシバ品種「エンルム」、「イジャニ」は増殖圃を北海道研究農場と千葉研究農場に設置し、特性を確認するとともに販売へ向けた増殖を継続しています。当社グループは、今後もコーポレートスローガンである「未来は、ミルクの中にある。」を基本に、乳(ミルク)の可能性の追求および酪農生産への貢献を目指した、高付加価値で独自性のある商品の開発を進めてまいります。
FY2018|5,416 文字
5【研究開発活動】当社グループ(当社および連結子会社)は、当社、雪印種苗㈱および雪印ビーンスターク㈱を中心に、コーポレートスローガン「未来は、ミルクの中にある。」に基づき、事業戦略上急務となっている研究開発課題や、中長期的成長の基盤となる基礎研究を幅広く実施しております。原材料価格の高騰による調達コストの上昇、また国内生乳生産量の減少による乳原料不足など、いまだ厳しい外部環境の中、このような環境変化を先取りして消費者に受け入れられる商品を継続的に提案するために、乳(ミルク)の価値を中軸に「市場対応型商品」と「付加価値型商品」を両輪とした商品開発を行っております。また、商品開発を支える研究開発として、乳(ミルク)の機能を中心として「おいしさ」と「健康機能」の追及を主軸とした基礎研究と技術開発に取り組んでおります。 当連結会計年度の研究開発費の総額は4,330百万円です。各セグメント別の主な研究開発活動は次のとおりです。〔乳製品〕 当連結会計年度の研究開発費の総額は1,757百万円です。① 当社油脂カテゴリーにおいては、加工油脂食品類のおいしさや使いやすさなどの特性の向上に取り組むとともに、トランス脂肪酸低減に取り組んでおります。家庭用マーガリン類の全商品について配合を見直し、トランス脂肪酸を多く含む部分水素添加油脂を使用しない配合を実現した商品を発売しました。また若年層のマーガリン需要獲得を図るため、甘味系スプレッドの開発を行い、幅広い世代のお客様の認知率、食経験、好感度が高い株式会社不二家の「ミルキー」の味が楽しめる商品として「ミルキーソフト」を発売致しました。チーズカテゴリーにおいては、カテゴリーの更なる活性化に向けた商品力、ラインナップの強化に取り組んでおります。プロセスチーズでは最大ボリュームのスライスチーズにおいて、外食メニューで人気の高まっているチェダーチーズを100%使用した「チェダースライス」を発売致しました。また、世界のチーズデザートをヒントにした商品開発を行っている「Cheese sweets Journey」については、北欧をテーマに「3種のベリーとヨーグルト風味のチーズスイーツ」を発売致しました。伸長著しいベビーチーズカテゴリーにおいては「スパイシーサラミベビーチーズ」を発売し、高まる家飲み需要に対応しました。長年お客様にご愛顧頂いている「6Pチーズ」については外装カートンの開封シールをつまみやすく開けやすいシールに変更致しました。食品カテゴリーでは、「かんたんマッシュポテト」を食事の支度を短時間に対応できる商品として発売致しました。今後も様々な食シーンの提案と、たゆまざる商品力向上へ取り組んで参ります。 乳製品における「おいしさ」と「健康機能」に関する研究を行い、おいしさを構成する技術と、当社独自の乳製品の健康機能の深耕を目的に検討を行い、得られた研究成果(新知見、新技術、新手法など)を乳製品の商品開発と商品力強化、および当社独自の機能性素材の価値向上に活用いたしました。主な研究成果は以下の通りです。・部分水素添加油脂を使用しない配合の家庭用マーガリン類の開発においては、当社独自の乳化技術や結晶化制御技術を活用することにより、「風味のよさ」や「ぬりやすさ」を両立した商品にすることができました。また、当社独自の油脂加工技術や油脂配合技術により、飽和脂肪酸の低含有量化を実現し、引き続き「コレステロール0(ゼロ)」の訴求が可能な商品を実現しました。・マーガリン類を想定したモデル乳化物において、添加する乳化剤が結晶形成に与える影響について研究した結果、水滴界面上の飽和モノグリセリドが鋳型となって結晶核形成を促進し、結晶を微細化させる作用があることがわかりました。・チーズの風味は、チーズ中の脂肪やタンパク質の分解の程度によって変わります。チーズの風味を強化する研究において、食用真菌類の培養物をチーズ添加して熟成させることで、過度な遊離脂肪酸の生成が抑えられ、タンパク質の分解率が増したチーズになることがわかりました。・マウスを対象とした動物実験において、バターミルクからリン脂質を濃縮して調製した乳由来リン脂質高含有素材を配合した飼料を摂取させたところ、小胞体ストレスによる肝臓の脂肪蓄積を低減させる効果があることを見出しました。これらの研究成果は家庭用のマーガリン類・ショートニングの商品の価値向上に活用するとともに、アジアオレオサイエンス会議・日本油化学会年会、日本栄養・食糧学会大会、日本食品科学工学会などの各学会で発表いたしました。② 雪印ビーンスターク㈱「赤ちゃんとお母さんをはじめ、家族の健康といきいきしたくらしをサポート」する商品をお客様にご提供するために、「母乳調査研究」、「乳幼児の食生活実態調査」をはじめとする赤ちゃんに関する調査研究、「妊産婦・授乳婦の食事調査」などを調査研究し、粉ミルク・ベビーフードなどの赤ちゃん商品、お母さんのための母親商品、シニア世代の健康をサポートする機能性食品などの幅広い研究・商品開発に取り組んでいます。商品開発では、当社の基幹商品の新生児からの乳児用調製粉乳「ビーンスターク・すこやかM1」ならびに9か月齢からのフォローアップミルク「ビーンスターク・つよいこ」を発売しています。「すこやかM1」は、永年の母乳調査研究、とくに免疫機能の研究成果を込めた粉ミルクです。今年度は、大人のための“美味しい粉ミルク型サプリメント”「プラチナミルク」をピップ株式会社との共同取組により発売しました。「プラチナミルク」は、当社が半世紀以上にわたる母乳研究および乳幼児用粉ミルクの研究で培った研究開発力で応える新カテゴリー商品です。本品については、世間の関心も高く、発売後、数々のメディアでご紹介いただきました。赤ちゃん向け商品としては、「ビーンスターク 赤ちゃんのプロバイオ ビフィズスM1」を発売しました。母乳栄養児の腸内にはビフィズス菌が多く存在します。本品は、生後0か月以降の“赤ちゃんのすこやかな毎日”を応援する生きたビフィズス菌が効果的に摂取できるオイル(植物油)ドロップス型の商品です。世界各国で発売されているビフィズス菌のオイルドロップス型サプリメントを当社が日本で初めて発売しました。また現在、雪印メグミルク㈱との共同研究として、約30年ぶりとなる全国的な母乳調査研究を実施しています。今年度、これらの研究の一環として、大阪樟蔭女子大学との共同研究により、最近の日本人の母乳中ビタミンD濃度を明らかにしました。2016年に収集した母乳では、夏に母乳中のビタミンD濃度が高いこと、また、外出時間と母乳中ビタミンD濃度に有意な正の相関が認められ、母乳中ビタミンD濃度は季節や外出時間の影響を強く受けることがわかりました。また、2016年に収集した母乳では、1989年に収集した母乳に比べて母乳中ビタミンD濃度が低いことが認められ、経年的なビタミンD栄養状態の低下が母乳中ビタミンD濃度低下に寄与した可能性が考えられました。これらの研究成果を、「第71回日本栄養・食糧学会」他において、学術発表しました。 〔飲料・デザート類〕 当連結会計年度の研究開発費の総額は1,611百万円です。・ 当社牛乳・乳飲料カテゴリーにおいては、「“リラックスした集中”を持続させ、仕事をはかどらせてくれる“デスクトップラテ”」というコンセプトの「BOTTLATTE」シリーズで、新たに「カフェラテ砂糖不使用」「コーヒーリッチ」の2品を発売しました。既存の2品(「カフェラテ」、「クリーミーカフェラテ」)と合わせ、パッケージをスタイリッシュなデザインにリニューアルし、賞味期間を18日間に延長しました。カップ飲料商品では、“ミルクの濃厚さ” にこだわって開発した「濃厚ミルク仕立て クリーミーミルク」、「濃厚ミルク仕立て カフェラテ」、「濃厚ミルク仕立て 抹茶ラテ」をリニューアルし、さらにミルク感が引き立つ味わいにしました。果汁・野菜・清涼飲料カテゴリーでは、市場規模が拡大しているスムージーにおいて、既存品2品(「Dole® GREEN SMOOTHIE」「Dole® BERRY SMOOTHIE」)のリニューアル、ならびに新商品2品(「Dole® CITRUS SMOOTHIE」「Dole® PINK SMOOTHIE」)を発売いたしました。ヨーグルトカテゴリーでは、「恵 megumi ガセリ菌SP株ヨーグルト」を、ヨーグルトで初めてとなる「内臓脂肪を減らすのを助ける」特定保健用食品(トクホ)として、2018年3月20日より、全国発売いたしました。さらに、機能性表示食品の「恵 megumi ガセリ菌SP株ヨーグルト ドリンクタイプ」に、新商品(ベリーミックス)を3月20日より追加し、「ガセリ菌SP株ヨーグルト」シリーズのラインナップを強化してターゲット層の拡大とシリーズの活性化を図ってまいります。デザートカテゴリーでは、2015年秋に発売してからご好評をいただいている「たべる雪印コーヒー」をリニューアルいたしました。「雪印コーヒー」の味により近づけるよう風味を改良し、“雪印コーヒーを食べて楽しむ” という魅力をより高めました。 飲料・デザート類における「おいしさ」、「健康機能」に関する研究では、主に当社独自のプロバイオティクス乳酸菌や乳素材の機能性の深耕を目的に検討を行い、得られた研究成果(新知見、新技術、新手法など)を「ヨーグルト」、「牛乳、乳飲料」などの商品開発に応用し、商品力強化に活用いたしました。主な研究は以下の通りです。・当社独自のプロバイオティクス菌である「ガセリ菌SP株」のRSウイルス(Respiratory Syncytial ウイルス)増殖抑制効果について、マウスを対象とした動物実験により、経口投与された「ガセリ菌SP株」が消化器官から肺に作用するメカニズムに関する新たな知見を得ることができました。・当社独自の乳酸菌であるヘルベティカス菌(SBT2171株)の摂取がインフルエンザ感染後のウイルスの増殖を抑制する効果について、マウスの細胞を使った実験により、メカニズムに関する新たな知見を得ました。・マウスを対象とした動物実験において、当社独自の乳酸菌であるヘルベティカス菌(SBT2171株)を投与することにより、自己免疫性脳脊髄炎の発症や悪化が抑制される可能性があることを見出しました。・マウスを対象とした動物実験において、当社独自の乳酸菌であるサーモフィルス菌(SBT1277株)の脱脂乳培養物を摂取することにより、肝臓の脂質蓄積が抑制され、脂質代謝が改善される効果があることを見出しました。これらの研究成果は、日本食品免疫学会、日本食品科学工学会などの各学会での発表の他、論文としてFrontiers in Microbiologyに掲載いたしました。 〔飼料・種苗〕 当連結会計年度の研究開発費の総額は961百万円です。・ 雪印種苗㈱飼料分野では、代用乳の機能性向上と原価低減を目的に7銘柄をリニューアルしました。改善ポイントはタンパク源の変更、新規アミノ酸の添加です。自給飼料有効活用関係では、高消化性のオーチャードグラス「えさじまん」の乾物消失率、乳生産について優位性が確認されました。乳酸菌関係は、予乾ロールサイレージ向けとして、「サイマスター3」を発売しました。牧草・飼料作物分野ではアルファルファ「ケレス2」とチモシー「キウス」は出願公表されOECD登録も完了しました。根釧地域において利用可能なフェストロリウム「ノースフェスト」の品種登録を申請しました。2015年に優良品種に認定されたシロクローバ「アバパール」と2013年に同じく優良品種に認定されたメドウフェスク「コスモポリタン」を2018年から発売しました。畑作・園芸種苗分野では大根夏系新発売品種「夏巡り」は北海道において順調に拡売されています。枝豆は「神風香」の試作結果が良好なため2018年から本格販売を開始しました。スイートコーン「ミエルコーン84」の試作結果が良好なため本格販売を開始しました。花卉はポットカーネーションの自社育成9品種を品種登録申請し受理されました。シクラメン培養塊茎1品種を品種採択し、2018年から発売しました。植物機能性研究分野(微量分析技術・生理活性物質・緑肥)では高速液体クロマトグラフ質量分析計の活用が順調に進んでおり、今後新規の物質分析を進めます。緑肥関係ではイネ科とマメ科の新規のカバークロップについて試験を進め、発売に向けてステップアップを図ります。環境緑化分野の芝生関係ではケンタッキーブルーグラス「レジェンド」を「エクスカージョン」の後継品種として品種採択し、また新規の植生用品種としてメドウフェスク「レバンシュ」を品種採択し発売しました。 当社グループは、今後もコーポレートスローガンである「未来は、ミルクの中にある。」を基本に、乳(ミルク)の可能性の追求および酪農生産への貢献を目指した、高付加価値で独自性のある商品の開発を進めてまいります。
FY2017|5,577 文字
6【研究開発活動】当社グループ(当社および連結子会社)は、当社、雪印種苗㈱および雪印ビーンスターク㈱を中心に、コーポレートスローガン「未来は、ミルクの中にある。」に基づき、事業戦略上急務となっている研究開発課題や、中長期的成長の基盤となる基礎研究を幅広く実施しております。原材料価格の高騰による調達コストの上昇、また国内生乳生産量の減少による乳原料不足など、いまだ厳しい外部環境の中、このような環境変化を先取りして消費者に受け入れられる商品を継続的に提案するために、乳(ミルク)の価値を中軸に「市場対応型商品」と「付加価値型商品」を両輪とした商品開発を行なっております。また、商品開発を支える研究開発として、乳(ミルク)の機能を中心として「おいしさ」と「健康機能」の追及を主軸とした基礎研究と技術開発に取り組んでおります。 当連結会計年度の研究開発費の総額は3,942百万円です。各セグメント別の主な研究開発活動は次のとおりです。〔乳製品〕 当連結会計年度の研究開発費の総額は1,795百万円です。① 当社 バター・油脂カテゴリーにおいては、市場構成比が拡大傾向にあるグルメタイプ(バターやバター風味を加え た、味わいリッチなタイプ)のマーガリン市場において、カロリーカットの新提案「ネオソフト バター風味 カ ロリー50%カット」を発売しました。また、購買層の拡大を図るため、乳飲料で若い人から年配の方まで幅広い 世代に人気の「雪印コーヒー」ブランドを活用したパンスプレッド「雪印コーヒーソフト」を発売しました。 チーズカテゴリーにおいては、カテゴリーの更なる活性化に向けた商品力、ラインナップの強化に取り組んで おります。プロセスチーズでは、日本を代表する和素材である抹茶を使用した「Cheese sweets Journey 抹茶の チーズスイーツ」を発売し、スイーツ系チーズ市場の活性化を目指しました。最大ボリュームのスライスチーズ では、「スライスチーズ お徳用」と「とろけるスライス お徳用」を発売し、使用頻度が高いご家庭に合わせた ラインナップの強化を行ないました。ナチュラルチーズでは、北海道産100%の生乳と生クリームのコクに、さわ やかなシャルドネが合わさった「雪印北海道100 クリームチーズ シャルドネ」の発売や、辛味とうまみを強化 した「雪印北海道100 さけるチーズ とうがらし味」の改良を行ない、大変ご好評をいただいております。 食品カテゴリーでは、健康意識の高いお客様を中心にご愛顧をいただいている商品である、コップ1杯で1日 分の1/2のカルシウムが効率的に摂取できる「毎日骨太 スキム」が「特定保健用食品」を取得しました。今後も 様々な食シーンの提案と、たゆまざる商品力向上へ取り組んで参ります。 乳製品における「おいしさ」と「健康機能」に関する研究を行い、おいしさを構成する技術と、当社独自の乳 製品の健康機能の深耕を目的に検討を行ない、得られた研究成果(新知見、新技術、新手法など)を乳製品の商 品開発と商品力強化、および当社独自の機能性素材の価値向上に活用いたしました。 主な研究成果は以下の通りです。 ・ラットを対象とした動物実験において、高脂肪食摂取による脂質代謝の状態が悪化することが、チーズの摂取 によって抑制される可能性があることを見出しました。 ・乳製品の食感は、その微細構造と密接な関係があります。乳製品の微細構造観察手法として従来から電子顕微 鏡観察が用いられてきましたが、観察対象である試料(乳製品)を高圧化で凍結処理することにより、これま でより詳細な乳製品の微細構造観察が可能になりました。 ・低脂肪で飽和脂肪酸含量の低いファットスプレッドにおいて、電気伝導度(乳化の安定性の指標)を適切な条 件に調整することによって、風味の発現と微生物の抑制を両立させることができる技術的な知見を得ました。 これらの研究成果は、学術雑誌(Daily Science & Technology)、綜合画像研究支援(IIRS)可視化ワークショ ップ(共催:日本顕微鏡学会生体解析分科会)で発表いたしました。また、一部の研究成果につきましては、公 開特許公報として公開されました。 ② 雪印ビーンスターク㈱ 「赤ちゃんとお母さんをはじめ、家族の健康といきいきしたくらしをサポート」する商品をお客様にご提供するために、「母乳調査研究」、「乳幼児の食生活実態調査」をはじめとする赤ちゃんに関する調査研究、「妊産婦・授乳婦の食事調査」などを調査研究し、粉ミルク・ベビーフードなどの赤ちゃん商品、お母さんのための母親商品、シニア世代の健康をサポートする機能性食品などの幅広い研究・商品開発に取り組んでいます。 商品開発では、当社の基幹商品の新生児からの乳児用調製粉乳「ビーンスターク・すこやかM1」ならびに9か月齢からのフォローアップミルク「ビーンスターク・つよいこ」を発売しています。「すこやかM1」は、永年の母乳調査研究、とくに免疫機能の研究成果を込めた粉ミルクです。 今年度は、赤ちゃん向けの商品として、乳児用調製粉乳「ビーンスターク・すこやかM1」を50ml調乳できる使いきり包装の「すこやかM1ミニスティック」を新発売しました。本商品は母乳育児のお母様の少しだけミルクを足したいとの要望におこたえして開発しました。夜間や外出時にも便利な商品です。 お母さん向け商品としては、妊娠期の栄養補助食品として「ビーンスタークマム 毎日葉酸+Ca(カルシウム)」を新発売しました。妊娠期に不足しがちな葉酸とカルシウムがおいしく摂れるぶどう風味のタブレットです。 さらに、妊娠前から妊娠期に大切な栄養素である葉酸をはじめとする様々な栄養素を補うことができるサプリメントとして、「ビーンスタークマム 葉酸+鉄+亜鉛」ならびに「ビーンスタークマム 葉酸+鉄+Ca」を新発売しました。いずれも水で飲むタイプのサプリメントです。とくに「ビーンスタークマム 葉酸+鉄+亜鉛」は、赤ちゃんが欲しいと思っている方におすすめのサプリメントです。 また現在、約30年ぶりとなる全国的な母乳調査研究を実施しています。母乳調査は雪印乳業時代より、第1回(1960年)、第2回(1989年)調査を実施し、今回で第3回目の実施となります。本調査では、過去2回の調査との比較により、約60年間の日本人の母乳成分の変化を把握します。また、今回は母乳成分分析だけでなく、母親の生活習慣や食事調査、乳児の発達状況、5年間の追跡調査を併せて実施します。本調査研究は雪印メグミルクとの共同研究として、粉ミルクなどの育児品開発とともに、新規の機能性食品開発への応用や母子栄養に関する貴重な情報を得ることが期待されます。 〔飲料・デザート類〕 当連結会計年度の研究開発費の総額は1,329百万円です。・ 当社 牛乳・乳飲料カテゴリーにおいては、独自の世界観を持った本格飲料「BOTTLATTE」シリーズの基幹である「カフェラテ」のブラッシュアップとともに、新規フレーバーとして「コーヒーリッチ」「クリーミーカフェラテ」を発売し、ラインナップ強化しました。カップ飲料商品では、 “ミルクの濃厚さ” にこだわって開発した「濃厚ミルク仕立て クリーミーミルク」、「濃厚ミルク仕立て カフェラテ」、「濃厚ミルク仕立て 抹茶ラテ」を発売しました。 果汁・野菜・清涼飲料カテゴリーでは、「甘さひかえめ」、「糖分ひかえめ」といったニーズにお応えした「Dole® 糖分30%OFF」シリーズを新たに発売いたしました。またコンビニエンスストアを中心に活性化しているスムージ-市場において、「Dole® SMOOTHIE」をリニューアルし、「Dole® GREEN SMOOTHIE」を新たに発売しました。 ヨーグルトカテゴリーでは、乳酸菌研究において様々な健康機能が明らかになっている当社独自の2つのプロバイオティクス乳酸菌「ガセリ菌SP株」と「ビフィズス菌SP株」を使用した商品開発および商品力向上に引き続き注力しております。特に「ガセリ菌SP株」においては、これまでの当社乳酸菌研究の中で蓄積してきた研究成果を用いて、2015年に ”機能性表示食品制度” を活用し、「恵ガセリ菌SP株ヨーグルトシリーズ」計4品を販売しました。2016年は、さらに、宅配専用商品として初めて「ガセリ菌SP株が内臓脂肪を減らす」機能を訴求した「恵ガセリ菌SP株ヨーグルト宅配専用」及び「恵ガセリ菌SP株ヨーグルトドリンクタイプ宅配専用」を発売いたしました。 デザートカテゴリーでは、フルーツゼリーのおいしさに「プラスアルファ」の価値として「希少糖」を使用した「FRUITDESSERT希少糖入り オレンジゼリー」と「FRUITDESSERT希少糖入り グレープゼリー」を発売いたしました。 飲料・デザート類における「おいしさ」、「健康機能」に関する研究では、主に当社独自のプロバイオティクス乳酸菌や乳素材の機能性の深耕を目的に検討を行ない、得られた研究成果(新知見、新技術、新手法など)を「ヨーグルト」、「牛乳、乳飲料」などの商品開発に応用し、商品力強化に活用いたしました。主な研究は以下の通りです。・当社独自のプロバイオティクス菌「ガセリ菌SP株」が有する酸化ストレス抑制効果について、マウス培養細胞を 用いた実験により、その作用メカニズムに関する新たな知見を得ることができました。・当社独自の乳酸菌であるヘルベティカス菌(SBT2171株)の摂取が、インフルエンザ感染後のウイルスの増殖を 抑制する可能性と、そのメカニズムに関する新たな知見を得ました。・当社独自のプロバイオティクス菌である「ガセリ菌SP株」の摂取が、RSウイルス感染に伴う肺でのウイルスの増 殖を強く抑制し、ガセリ菌SP株がRSウイルスに対する感染防御を高める可能性を新たに見出しました。・当社独自の機能性素材であり、骨代謝改善効果が認められている「乳塩基性タンパク質(MBP®)」について、疲 労骨折の発生率が比較的高い女子長距離陸上選手の骨質悪化を改善する可能性を新たに見出しました。 これらの研究成果は腸内細菌学会、日本農芸化学会、日本食品免疫学会、日本臨床スポーツ医学会などの各学会で発表するとともに、「ガセリ菌SP株」および「ビフィズス菌SP株」を使用した「ナチュレ恵megumi」をはじめとする「恵megumi」ブランド商品や、「MBP®」を使用した「毎日骨太」ブランド商品をはじめとした当社基幹商品の価値向上に活用いたしました。 〔飼料・種苗〕 当連結会計年度の研究開発費の総額は817百万円です。・ 雪印種苗㈱ 飼料開発関係では、乾乳期用のスノードライバランスの嗜好性を改善した商材を5月から販売開始しました。人工乳の新規製品開発のために新規原料の試験を継続しています。肉牛育成用飼料「黒毛まつり」の現地試作を行ない結果が良好であったことから販売を開始しました。 牧草・飼料作物関係では4月に北海道優良品種に認定されたシロクローバ「アバパール」と子実用ソルガム「短尺ソルゴー」を品種採択しソルゴーは販売を開始しました。第3四半期にはテフグラス「ST-1」を品種採択し、次年度から販売予定であります。北海道の公的試験結果からチモシーのシリウス後継「キウス」、アルファルファのケレス後継「ケレス2」、フェストロリウム「ノースフェスト」は成績が良好で優良品種となり、品種登録申請をしました。フェストロリウムは強害雑草対策にも活用できることから拡売が期待されます。 また、緑肥部門では北海道において問題になっていますシロシストセンチュウ対抗作物として有効な野生トマト「ポテモン」を本格販売することにしました。 野菜種子では、良食味シリーズ第2弾の「夏風香」は順調に拡売され、これに続く系統も良好な成績を示しております。大根とカボチャ新系統は北海道における試作が良好であったので、ダイコン「夏巡り」と「春桜舞」、カボチャ「栗天下」、スイートコーン「ミエルコーン89」を採択し、次年度より本格販売します。花卉はポットカーネ―ション自社育種の3系統を品種登録申請し受理されました。 サイレージ用乳酸菌開発では、二次発酵抑制の商材「サイマスターSP」を4月より新発売し、順調に拡売されています。また、飼料イネ用乳酸菌「畜草2号」を高糖分品種用として、畜草1号プラスに加えて9月から販売開始しましたが、両商材共に順調に拡売されております。活力資材関係では闘根の灌注利用として「闘根灌注用232」の商品名で製品採択し2017年より販売開始することとしました。 芝生関係ではトールフェスク「アリッド3」の後継としてターフクオリティの優れる「ダイナマイトLS」を品種採択しました。当社で初めての野芝の開発系統2系統(イジャム、エンルム)を品種登録申請し、次年度から実規模での試験生産を開始します。また、チューイングフェスク「J-5」、ペレニアルライグラス冬季オーバーシード用品種として「ブラックキャット2」、アメージングGSの後継として「アメージングA+」、バミューダグラス「ピラミッド2」を品種採択し販売することとしました。 当社グループは、今後もコーポレートスローガンである「未来は、ミルクの中にある。」を基本に、乳(ミルク)の可能性の追求および酪農生産への貢献を目指した、高付加価値で独自性のある商品の開発を進めてまいります。
FY2016|5,760 文字
6【研究開発活動】当社グループ(当社および連結子会社)は、当社、雪印種苗㈱および雪印ビーンスターク㈱を中心に、コーポレートスローガン「未来は、ミルクの中にある。」に基づき、事業戦略上急務となっている研究開発課題や、中長期的成長の基盤となる基礎研究を幅広く実施しております。原材料価格の高騰による調達コストの上昇、また国内生乳生産量の減少による乳原料不足など、いまだ厳しい外部環境の中、このような環境変化を先取りして消費者に受け入れられる商品を継続的に提案するために、乳(ミルク)の価値を中軸に「市場対応型商品」と「付加価値型商品」を両輪とした商品開発を行なっております。また、商品開発を支える研究開発として、乳(ミルク)の機能を中心として「おいしさ」と「健康機能」の追及を主軸とした基礎研究と技術開発に取り組んでおります。 当連結会計年度の研究開発費の総額は3,846百万円です。各セグメント別の主な研究開発活動は次のとおりです。〔乳製品事業〕 当連結会計年度の研究開発費の総額は1,841百万円です。① 当社 バター・油脂カテゴリーにおいては、ロングセラーブランドである「ネオソフト」の更なるおいしさアップを 図り、歴史を重ねても絶え間ない進化を続けて参ります。また、ネオソフトブランド再構築に向けて、中容量ヘ ルシータイプ「ハーフ」、「キャノーラハーフ」、「べに花」のデザイン改良を行ないました。 プロセスチーズでは、ボリュームカテゴリーの更なる活性化に向けた商品力、ラインナップの強化に取り組ん でおります。伸長するベビーチーズには、春に「うまみベビーチーズ」、秋に「わさびベビーチーズ」を発売 し、家飲み需要にのって大変好評を得ております。最大ボリュームのスライスチーズでは、「こんがり焼ける とろけるスライス」に北海道産芳醇ゴーダを加え、コクとうまみを強化し、究極のスライスチーズを目指しまし た。 ナチュラルチーズでは、人気の「雪印北海道100 さけるチーズ」シリーズに、風味にこだわった「ロース トガーリック味」、消費者を対象としたアンケートで人気のあったフレーバー「バター醤油味」を発売し、こち らも大変好評を得ております。 食品カテゴリーでは、牛乳と混ぜるだけで簡単にホイップクリームができる「かんたんホイップ」に、お客様 の声に応えて、「ちょこっと使い」に便利な使い切りサイズ30gにいたしました。今後も様々な食シーンの提案 と、たゆまざる商品力向上へ取り組んで参ります。 乳製品事業における「おいしさ」と「健康機能」に関する研究では、主においしさを構成する技術と、当社独 自の乳素材の機能性の深耕を目的に検討を行ない、得られた研究成果(新知見、新技術、新手法など)を乳製品 の商品開発と商品力強化、および当社独自の機能性素材の価値向上に活用いたしました。 主な研究成果は以下の通りです。 ・マーガリン類における油脂成分と乳化剤の分布状態について、質量分析イメージング技術を用いた分析によ り、製品品質の向上に結びつく可能性がある新たな知見を得ました。 ・バターの品質および利用価値向上を目的としてバター特有の香気成分の新たな分析方法を確立し、バターらし さを特徴付ける香気成分に関する新たな知見を得ました。 ・当社独自の機能性素材である「ミルクセラミドMC-5」が有する皮膚保湿機能改善効果について、ヒト試験にお いて肌質を改善する効果と有効量に関する新たな知見を得ました。 ・当社独自の機能性素材である「ミルクセラミドMC-5」の摂取が、記憶力などの脳機能を維持または改善する可 能性を、動物試験によって新たに見出しました。 これらの研究成果は、日本食品科学工学会、The International Chemical Congress of Pacific Basin Societies 2015(開催地:米国・ハワイ州)、アジア栄養学会議(日本栄養・食糧学会大会と合同開催)など の各学会で発表いたしました。 ② 雪印ビーンスターク㈱ 「赤ちゃんとお母さんをはじめ、家族の健康といきいきしたくらしをサポート」する商品をお客様にご提供す るために、「母乳調査研究」、「乳幼児の食生活実態調査」をはじめとする赤ちゃんに関する調査研究、「妊産 婦・授乳婦の食事調査」などを調査研究し、粉ミルク・ベビーフードなどの赤ちゃん商品、お母さんのための母 親商品、シニア世代の健康をサポートする機能性食品などの幅広い研究・商品開発に取り組んでいます。 商品開発では、当社の基幹商品の新生児からの乳児用調製粉乳「ビーンスターク・すこやかM1」ならびに9か 月齢からのフォローアップミルク「ビーンスターク・つよいこ」を発売しました。「すこやかM1」は、永年の母 乳調査研究、とくに免疫機能の研究成果を込めた粉ミルクです。 また、母乳栄養者向け「3つの乳酸菌M1」を発売しました。この商品は母乳栄養児の免疫力を高め、アレルギ ー発症を抑えることが期待されます。人工栄養児だけでなく、母乳栄養児へのサポートも取組んでいます。 さらに、このたび約30年ぶりに全国的な母乳調査研究を開始しました。母乳調査は雪印乳業時代より、第1回 (1960年)、第2回(1989年)調査を実施し、今回で第3回目の実施となります。本調査では、過去2回の調査 との比較により、約60年間の日本人の母乳成分の変化を把握します。また、今回は母乳成分分析だけでなく、母 親の生活習慣や食事調査、乳児の発達状況、5年間の追跡調査を併せて実施します。本調査により、粉ミルクな どの育児品開発とともに、新規の機能性食品開発への応用や母子栄養に関する貴重な情報を得ることが期待され ます。 専門学会での外部発表では、「妊産婦へのプロバイオティクス投与による乳児のアレルギー発症予防の可能性 (新生児栄養フォーラム・東京)」の口頭発表や「αS1-カゼイン加水分解物とL-テアニンを含有する食品が睡 眠の質の悪化を訴える中高年女性の睡眠に及ぼす影響(日本女性心身医学会雑誌)」の論文投稿など、当社の研 究成果を報告しました。また、NHKや中日新聞社、共同通信社などマスコミ関係から取材を受け、当社の研究開 発成果を積極的に情報発信しました。 〔飲料・デザート類事業〕 当連結会計年度の研究開発費の総額は1,198百万円です。・ 当社 牛乳・乳飲料カテゴリーにおいては、新たに紙ゲーブル・カップに次ぐ第3の容器「TT容器」の特徴を最大 限引き出し、独自の世界観を持った本格飲料「BOTTLATTE」シリーズを発売しました。複数ラインナッ プで市場に定着するブランドを目指します。 カップ飲料商品では、オフシーンのリラックスに着目し“上質なひとやすみ”を提供する「なごむブレンド」 シリーズを発売しました。 果汁・野菜・清涼飲料カテゴリーでは、野菜飲料において漠然とした健康感による訴求からの脱却を目指し、 野菜Daysシリーズの刷新をいたしました。果汁混合タイプについては“栄養素訴求”により具体的健康感を 付与し、野菜100%タイプにおいては“野菜の甘み”と“飲みごたえ”が両立した「農協野菜Days美味野菜」 を容量900mlで新たに発売いたしました。 ヨーグルトカテゴリーでは、乳酸菌研究において様々な健康機能が明らかになっている当社独自の2つのプロ バイオティクス乳酸菌「ガセリ菌SP株」と「ビフィズス菌SP株」を使用した商品開発および商品力向上に引き続 き注力しております。特に「ガセリ菌SP株」においては、これまでの当社乳酸菌研究の中で蓄積してきた研究 成果を用いて、平成27年4月より開始された機能性表示食品制度を活用し、はっ酵乳カテゴリーにおいて初めて 「ガセリ菌SP株が内臓脂肪を減らす」機能を訴求した機能性表示食品として「恵ガセリ菌SP株ヨーグルトシリー ズ」計4品をリニューアル発売しました。リニューアル前と比較し、いずれも3倍以上の売上げを示すなど、大 変好評を得ております。 デザートカテゴリーでは、市場の新定番“トールカップデザート”の充実化を図るため、ブランド力(雪印コ ーヒー)×技術力を掛け合わせ“あの味”を食べて楽しむ、たっぷりおいしいトールカップデザート「食べる雪 印コーヒー」を発売いたしました。また、国内外で注目を高めている「和風」をイメージし、消費者の魅力度が 高く、かつ和菓子の特長「もっちり」、「もちもち」食感を追求した「和とミルクデザート もっちり白ゴマ /もっちりミルク」を発売しました。 飲料・デザート類事業における「おいしさ」、「健康機能」に関する研究では、主に当社独自のプロバイオテ ィクス乳酸菌や乳素材の機能性の深耕を目的に検討を行ない、得られた研究成果(新知見、新技術、新手法な ど)を「ヨーグルト」、「牛乳・乳飲料」などの商品開発に応用し、商品力強化に活用いたしました。 主な研究は以下の通りです。 ・当社独自のプロバイオティクス菌「ガセリ菌SP株」が有する内臓脂肪蓄積抑制効果について、ヒト試験にお いて、その作用メカニズムに関する新たな知見を得ました。 ・当社独自のプロバイオティクス菌である「ガセリ菌SP株」の摂取が、インフルエンザワクチン摂取後の抗体 産生を促進し、免疫指標であるNK細胞活性等を高めることにより、インフルエンザに対する防御機能を高める 可能性を、ヒト試験によって新たに見出しました。 ・当社独自のプロバイオティクス菌「ビフィズス菌SP株」が産出する菌体外多糖の構造を解析し、産出される 多糖が特徴的な構造を有すること、また腸内環境改善に寄与している可能性について、新たな知見を得まし た。 ・当社独自の機能性素材であり、骨代謝改善効果が認められている「乳塩基性タンパク質(MBP®)」が、骨末 端を伸ばす効果を有する可能性を、動物試験によって新たに見出しました。 これらの研究成果は日本乳酸菌学会、日本食品免疫学会、アジア乳酸菌学会(開催地:タイ)、アジア栄養学 会議(日本栄養・食糧学会大会と合同開催)などの各学会で発表するとともに、「ガセリ菌SP株」および「ビ フィズス菌SP株」を使用した「ナチュレ恵megumi」をはじめとする「恵megumi」ブランド商品や、「MBP®」を 使用した「毎日骨太」ブランド商品をはじめとした当社基幹商品の価値向上に活用いたしました。 さらに、北海道大学遺伝子病制御研究室に開設している当社寄附講座「プロバイオティクス・イムノロジー研 究部門」においては、プロバイオティクス菌がもたらす疾病予防機能の評価および作用機序の解明を目指した研 究を行なっております。本寄附講座の研究成果である「ガセリ菌SP株」による免疫系を活性化させる効果と、 「ヘルベティカス菌」による免疫調節作用について、国際酪農連盟主催「ワールドデーリーサミット2015」(開 催地:リトアニア)において、日本から唯一の招待講演として発表を行ないました。 〔飼料・種苗事業〕 当連結会計年度の研究開発費の総額は807百万円です。・ 雪印種苗㈱ 飼料開発関係では、昨年来実施しております代用乳の低コスト素材の商品への組み込みをすすめ、昨年の「ま るまるみるく」に続いて、「ロボジャック」に組み込んだ製品を5月から販売を開始しました。肉牛用配合飼料 「名人ぐんぐん」改良版の試作の結果良好であったことから11月から販売を開始しました。人工乳関係ではモネ ンシンの使用が認められたことから、新規人工乳「轟スターターM」の販売を1月から開始しました。 TMRの二次発酵を抑制する原料の試験を昨年来継続し、全国において現地試験を行ない、結果はおおむね良好 であり、併せて特許も申請しました。TMR新規素材(副産物廃糖液)の現地試験結果が良好であったために富士 TMRセンターにて利用を開始しました。 牧草・飼料作物関係ではイタリアンライグラスの優春後継の「タチユウカ」を秋から販売を開始しました。極 早生「ヤヨイワセ」は過去の成績と同じように良好な結果を確認したために、品種採択し、10月に品種登録出 願しました。北農研センターと共同開発した糖含量の高いオーチャードグラス「えさじまん」と早生チモシー 「マオイ」の品種登録・OECD登録が完了しました。トウモロコシは「わかば」後継品種としてSH4812を選抜し平 成28年度より一部販売することにしました。北海道の優良品種に認定されたシロクローバ「アバパール」、都府 県用子実用ソルガム「短尺ソルゴー」、芝生用トールフェスク「ダイナマイトLS」を品種採択することに決定し ました。 野菜種子は、良食味シリーズ第1弾の「味風香」を販売開始し、良好な評価を受けております。この品種に続 く第2弾として準備しております「夏風香」を品種採択し平成28年から販売することにしました。保存性の優れ る白皮かぼちゃ「つきみ」、水耕用レタス「フレアベル」を8月に品種採択し本格販売を開始します。また、大 根新系統の北海道における試作が良好であり、試作を継続します。花卉は自社育種の系統を含むポットカーネー ション9品種を8月に品種採択し、品種登録を申請しました。 植物活力資材関係ではホウ素供給用資材:商品名「B作」とビート用液肥SSH-555:商品名「ねぶとり君555」 の販売を開始しました。サイレージ用乳酸菌「サイマスター」は北海道の指導参考事項に認定されたために販売 が順調です。この商材に続く二次発酵抑制の商材として「サイロSP」のリニューアル版「サイマスターSP」を商 品採択し平成28年度より販売することとしました。 当社グループは、今後もコーポレートスローガンである「未来は、ミルクの中にある。」を基本に、乳(ミルク)の可能性の追求および酪農生産への貢献を目指した、高付加価値で独自性のある商品の開発を進めてまいります。