6【研究開発活動】当社は、高度化・多様化するお客さまのニーズに応え、サステナブルな社会の実現に貢献するための研究開発を推進しております。また、継続的な成長を目指し、総合設備工事業の枠にとらわれない事業創出に向けた研究開発にも取組んでおります。当連結会計年度における研究開発の主な成果は以下のとおりです。子会社においては、研究開発活動は行われておりません。なお、研究開発費は1,174百万円でした。 (研究開発の内容)(1)カーボンニュートラル社会の実現に貢献する研究当社はCSV事業戦略のひとつとして、カーボンニュートラル社会を実現するZEB※1の普及に取組んでおります。これまでに、自社ビルでZEB技術を検証するために「エネフィス九州」、「エネフィス四国」、「エネフィス北海道」を建設し、運用実態の評価を通じてZEB技術の有効性を研究してきました。2022年度は、これらの実績と数多くのZEB施工実績から得られたノウハウをもとに、新たな自社ビルとして「北陸支店」を建設しました。ZEBでありながらレジリエンス※2とWellness※3にも配慮しており、働きやすく地球にやさしい次世代の建物です。さらに現在は、施工プロセスからDXを駆使することで3つの脱(脱カーボン、脱ストレス、脱ルーチン)を実現し、新しい働き方を推進する現代的「OMOYA」(母屋)を目指した建物として新潟支店を建設中です。ZEBやWellnessの具体的な実現手段として培った研究開発には、①自然の光と室内環境をシームレスに繋ぐクラウド型輝度制御システム、②執務者の知的生産活動を高めるバイオフィリックデザイン※4、③個々人の感じ方を全体空調にフィードバックするクリマチェア連動制御などがあります。今後は、自社ZEBの評価・検証を通じて得られたノウハウをもとに、更にサステナブルな社会の実現に向けた技術開発も進めてまいります。また、これまでのカーボンニュートラル建築の設計・施工・評価に対する取組を、今後のZEB設計・施工に活用するだけでなく社内外へ広く発表することで、カーボンニュートラル社会の実現に貢献します。 ※1 ZEB:net Zero Energy Buildingの略。建物で消費するエネルギーを再生可能エネルギーでまかなう建物。正味の消費エネルギーがゼロとなる建物を『ZEB』(完全なZEB)と呼ぶ。※2 レジリエンス:変化への適応性や事業回復性能に優れること。※3 Wellness:建物利用者の健康性、快適性。※4 バイオフィリックデザイン:建築環境における自然とのつながりの向上を図った空間デザインの手法。 (2)クラウド型監視制御システムの開発当社は、クラウドコンピューティングにより監視制御ソフトウェアを提供するクラウド型監視制御システムを開発しております。また、このシステムを活用し当社が設備運用サポートを継続的に提供するサービス「リモビス®」の提供も開始しました。2022年度は2件の新規受注があり、リモビスのサービスを開始しております。また、将来的にリモビスの活用が見込まれる分野の客先施設において、機能検証のためのPoC※5(概念検証)を1件実施しました。クラウド型監視制御システム及びリモビスのサービスは、開発しながら顧客に活用していただき改善を繰り返すアジャイル型開発のプロセスを推進しております。したがって、今後もPoCや共同研究を実施し、得られた知見を基に更なる機能改良を継続して実施します。また、海外展開も視野に入れた多言語対応、AI※6による制御機能の搭載に向けた開発にも着手しております。 ※5 PoC:Proof of Conceptの略。新しい技術やアイデアが実現可能か、期待する効果が得られるかを検証するための簡易な試行。※6 AI:Artificial Intelligenceの略。これまで人間にしかできなかった知的行為を機械に代行させるためのアルゴリズム(人工知能)。 (3)DXによる現場の施工効率化に関する研究現在、建設分野においてもDX化は日進月歩の状況にあり、工事工程管理や資機材管理などの管理業務の効率化に留まらず、工事作業の遠隔支援や工事完了後の品質確認なども効率化する技術が多く登場しています。当社は、これまでに全方位(360度)カメラを用いた現場状況の3次元記録手法(Construction Visualizer 4D)を開発し、施工現場で試用しながら、さらなる利用価値向上を図ってきました。2022年度は、大学の協力を得て、3次元記録の測量精度の評価手法を開発しました。これにより、本技術によって作成した3次元モデルの品質を平準化できるようになりました。現在は、3次元の形状モデルの作成のみならず、計器類や調整弁などを認識する技術開発にも着手しています。今後は、これまでに施工現場での試用を通じて得られた課題をもとに、さらなる測量精度の向上、機能の充実化を図り、現場業務のDX化に貢献します。 (4)再生医療分野向け独自技術開発再生医療は、これまで治療が困難であった病気や怪我に対する新しい医療として注目されています。しかし、再生医療等製品の製造には品質管理や環境整備など多大なコストがかかるため、治療費が高額になり再生医療の普及を阻害する要因となっています。再生医療が普及するためには、有効性と安全性を確保したうえでコストを低減する必要があります。当社は、CSV事業創出の一環としてこの課題の解決に取組んでいます。これまでに、設備設計で培った気流制御技術を生かし、低コストで使いやすい細胞調製施設や装置に関する研究を行ってきました。自社施設「セラボ殿町」に当社開発の「エアバリアブース®」を用いてまったく新しい構造の細胞調製施設を構築し、綿密な検証を実施してその結果が評価されました。これにより当施設を活用する関係会社が再生医療等製品の製造業許可を取得しました。この成果は関連施設の既成概念を脱した技術が認められたもので、この技術を活用することで再生医療等製品の製造効率を飛躍的に向上させることになります。引き続きモックアップによる開発と検証を行い、当施設の構造を広く活用できるように標準化を進めてまいります。 (5)超臨界二酸化炭素※7を用いた産業用ケミカルエアフィルタの再生に関する実用化開発SDGsの達成に貢献する廃棄物削減の取組として、超臨界二酸化炭素を洗浄溶媒とする産業用ケミカルエアフィルタのリユース事業(フィルタ再生事業)に取組んでいます。この事業は、国内の半導体業界を中心に着実に再生数を増やしています。半導体市場は国内外で増加傾向であり、半導体工場に欠かせないものであるフィルタ再生能力の強化は不可欠です。そこで、大学や研究機関との共同研究で得られた再生効率向上技術を反映した新プラントを増設し、海外への事業展開に着手しました。今後は、新プラントを用いた共同研究成果の検証を進め、更なる再生効率向上に取組みます。また、超臨界二酸化炭素の制御ノウハウを生かした技術転用を見据え、異業種との連携を通じた様々な検証実験を進めていく予定です。 ※7 超臨界二酸化炭素:加圧・加熱により、超臨界状態になった二酸化炭素。液体と気体の両方の性質を持つ超臨界二酸化炭素は産業用ケミカルフィルタの洗浄に効果的。 (6)設備エンジニアリングに欠かせない設計・施工技術に関する研究当社は建築設備に欠かせない光・空気・水に関する技術をコアとして、イノベーション力とエンジニアリング力を結集し、建物のライフサイクルを通した空間価値を提供しています。したがって、お客様のニーズにマッチした環境を提供し続けるためには、設備の設計・施工技術の向上が永遠の課題となっています。データセンターをはじめとする大規模空調設備に対しては、CFD(Computational Fluid Dynamics)による気流シミュレーションを活用した最適化提案を実施しています。気流分布や温度分布を可視化して、設計要件を満たす設備条件を施工前にコンピュータ上で確認し、その結果に基づいて着実な施工を行っています。建築設備技術の高度化・多様化に伴い、CFDの研究はますます重要になっています。また、空気や水を送るダクトや配管の品質確保にも取組んでいます。一例として、配管の防食については大学との共同研究やメーカーとの協議を通じて、腐食原因の究明からその対策方法の確立まで理論的な考察だけでなく製造工程の見直しなども含め、日々研究を進めています。
FY2022|3,177 文字
5【研究開発活動】当社は、高度化・多様化するお客さまのニーズに応え、サステナブルな社会の実現に貢献するための研究開発を推進しております。また、継続的な成長を目指し、総合設備工事業の枠にとらわれない事業創出に向けた研究開発にも取り組んでおります。当連結会計年度における研究開発の主な成果は以下のとおりです。子会社においては、研究開発活動は行われておりません。なお、研究開発費は1,076百万円でした。 (研究開発の内容)(1)カーボンニュートラル社会の実現に貢献する研究当社はCSV事業戦略のひとつとして、カーボンニュートラル社会を実現するZEB※1の普及に取り組んでいます。これまでに、自社ビルでZEB技術を検証するために「エネフィス九州」、「エネフィス四国」を建設し、運用実態の評価を通じてZEB技術の有効性を研究してきました。2021年度は、これらの実績と数多くのZEB施工実績から得られたノウハウをもとに、寒冷地での完全ZEBを実現した「エネフィス北海道」を建設しました。さらに、ZEBでありながらレジリエンス※2とWellness※3にも配慮した新たな自社ビルとして「新北陸支店」の建設にも着手しています。新北陸支店は、街並みに調和しつつ環境性能と働きやすさの両立を目指した次世代オフィスであり、金沢市SDGs未来都市計画にも合致する建物です。ZEBやWellnessの具体的な実現手段として培った研究開発には、①自然の光と室内環境をシームレスに繋ぐ輝度制御システム、②執務者の知的生産活動を高めるバイオフィリックデザイン※4、③個々人の感じ方を全体空調にフィードバックするクリマチェア連動制御などがあります。今後は、更にサステナブルな社会の実現に向けた技術開発も進めてまいります。また、これまでのカーボンニュートラル建築の設計・施工・評価に対する取り組みを、今後のZEB設計・施工に活用するだけでなく社内外へ広く発表することで、カーボンニュートラル社会の実現に貢献します。 ※1 ZEB:net Zero Energy Buildingの略。建物で消費するエネルギーを再生可能エネルギーでまかなう建物。正味の消費エネルギーがゼロとなる建物を『ZEB』(完全なZEB)と呼ぶ。※2 レジリエンス:変化への適応性や事業回復性能に優れること。※3 WELLNESS:建物利用者の健康性、快適性。※4 バイオフィリックデザイン:建築環境における自然とのつながりの向上を図った空間デザインの手法。 (2)AI※5/IoT技術を活用したスマートビル制御システムの開発建築設備をIoT化し、自動制御装置をソフトウェア化してクラウドに実装するスマートビル制御システム「リモビス®」を開発し、商用サービスの受注を開始しました。リモビスの機能向上に向けた研究開発として、リモビスで得られる建物運用に関するビッグデータを利用したデジタルツイン※6の構築を進めています。現実世界の建築設備の制御を高精度かつ高速に最適化するために、クラウド上でAIを活用してリモビスで制御します。AIの開発については、専門知識を有する大学と共同研究を実施することで開発のスピードアップと精度向上を図っています。2021年度は、構築中のデジタルツインに関するベンチマークテストを実施し、その効果検証を進めています。さらに、オフィスにおける環境や執務者の行動をIoTで見える化し、ABW※7に移行しつつある働き方における快適空間の創造にも取り組んでいます。 ※5 AI:Artificial Intelligenceの略。これまで人間にしかできなかった知的行為を機械に代行させるためのアルゴリズム(人工知能)。※6 デジタルツイン:フィジカル(現実)空間にあるシステムの情報を、IoTなどを活用してサイバー(仮想)空間に送り、サイバー空間にフィジカル空間と同じシステムを再現すること。※7 ABW:Activity Based Working の略。「時間」と「場所」を自由に選択できる働き方のこと。 (3)DXによる現場の施工効率化に関する研究労働人口の減少に伴い人手不足となっている建設業の状況を打破するため、ICTなどの先端技術を活用した施工効率化の研究開発を推進しています。これまでに、全方位(360度)カメラを用いた現場状況の3次元記録手法を開発し、本開発技術を「Construction Visualizer 4D(略称ConVis4D)」と名付けました。この技術は、高価な撮影装置を必要とせず、技術者の熟練度を必要としないことから普及が見込まれており、①現場の進捗状況の記録にかかる労務負荷削減、②遠方支援者との情報共有の促進、③顧客に伝わり易いリアリティのある改修提案、などに活用されており、特許庁での活用に対し国土交通省よりi-Construction大賞の優秀賞を受賞しました。2021年度は、ConVis4Dが広く施工現場で活用されることを目的に、汎用性を高めるための撮影方法について研究を推進しました。また、多くの社内説明会や現場での撮影指導を積み重ねたことにより、改修工事を主体に普及が進んでいます。今後は、専門知識を有する大学の協力を得ながら、更なる3Dモデル化精度の向上を目指すとともに、DX技術を有する別の大学の協力も得ながら、この3DモデルデータをBIMソフトで図面化する技術として発展させ、全社的なDX(ICT技術の活用)による施工効率化を推進してまいります。 (4)再生医療分野向け独自技術開発再生医療は、これまで治療が困難であった病気や怪我に対する新しい医療として注目されております。しかし、再生医療等製品の製造には品質管理や環境整備には多大なコストがかかるため、治療費が高額になり普及を阻害する要因となっています。再生医療が普及するためには、有効性と安全性を確保したうえでコストを低減する必要があります。当社は、CSV事業創出の一環としてこの課題の解決に取り組んでいます。これまでに、設備設計で培った気流制御技術を生かし、低コストで使いやすい細胞製造施設や装置に関する研究を行っており、局所的にクリーン環境を構築できる「エアバリアブース®」や細胞調製に必要なクリーン環境をコンパクトにまとめた「オールインワンCPユニット®」を開発しました。そして、当分野の著名な研究者との共同研究を推進し、さらに新たに設立した子会社と連携することで臨床用の製品を製造する施設の中で課題の解決と検証を進めています。 (5)超臨界二酸化炭素※8を用いた産業用ケミカルエアフィルタの再生に関する実用化開発SDGsの達成に貢献する廃棄物削減の取り組みとして、超臨界二酸化炭素を洗浄溶媒とする産業用ケミカルエアフィルタのリユース事業(フィルタ再生事業)に取り組んでいます。フィルタ再生事業は、実用化してから着実に再生数を増やしており、多くの顧客の廃棄物削減に貢献しています。現在は更なる社会貢献を目指し、海外への事業展開も進めています。海外への事業展開、並びに昨今の半導体の情勢を鑑みると、相当数の処理量増加が見込まれるため、フィルタの再生効率向上は喫緊の課題となってきます。当社は、これまで専門知識を有する大学や研究機関とともに再生効率を上げる共同研究を実施し、実際のプラントでその効果を検証してまいりました。今後は更なる効率化に関する研究開発を続けるとともに、当技術の他分野への応用などを検討していく予定です。 ※8 超臨界二酸化炭素:加圧・加熱により、超臨界状態になった二酸化炭素。液体と気体の両方の性質を持つ超臨界二酸化炭素は 産業用ケミカルフィルタの洗浄に効果的。
FY2021|2,843 文字
5【研究開発活動】当社は、高度化・多様化するお客さまのニーズに応え、持続可能な社会の発展に貢献するための研究開発を推進しております。また、継続的な成長を目指し、総合設備工事業の枠にとらわれない事業創出に向けた研究開発にも取り組んでおります。当連結会計年度における研究開発の主な成果は以下のとおりです。子会社においては、研究開発活動は行われておりません。なお、研究開発費は754百万円でした。 (研究開発の内容)(1)エネフィス®シリーズを活用した脱炭素化に関する研究カーボンニュートラル社会の実現に向けたZEB※1化の取り組みは、「エネフィス九州」、「エネフィス四国」に続き、「エネフィス北海道」の竣工を迎えます。エネフィス四国は2020年度に「環境・社会への配慮」が認められDBJ Green Building認証(4つ星)や、カーボンニュートラル賞の受賞に繋がりました。エネフィス北海道は、寒冷地という厳しい条件の中でも『ZEB』(完全なZEB)を達成し、更には、働き易さの実現という視点で取り組んだWELLNESS※2が向上する研究開発成果を取り入れCASBEE-SWO Sランクを取得しました。エネフィスシリーズを通じた具体的な研究開発内容として、①個別の快適感が得られるイス型タスク空調「クリマチェア®」との親和性を図る空調方式に関する研究、②自然採光や人の感じ方にまで配慮して明るさ感を調和させた照明計画に関する研究、③執務者と自然とのつながりを意識したバイオフィリックデザイン※3による快適性向上に関する研究、などを推進しています。特に、クリマチェアは「新型コロナウイルス感染症の影響で自然換気が求められるなか、各執務者の暑さ、寒さ対策に有効である」ことなど、その機能が高く評価され、環境・設備デザイン賞の最優秀賞を受賞しました。 ※1 ZEB:net Zero Energy Buildingの略。建物で消費するエネルギーを再生可能エネルギーでまかなう建物。正味の消費エネルギーがゼロとなる建物を『ZEB』(完全なZEB)と呼びます。※2 WELLNESS:建物利用者の健康性、快適性。※3 バイオフィリックデザイン:建築環境における自然とのつながりの向上を図った空間デザインの手法。 (2)IoT/AI※4技術を活用したスマートビル制御システムの開発建築設備をIoT化し、自動制御装置をソフトウェア化してクラウドに実装するスマートビル制御システム「リモビス®」を開発し、商用サービスの受注を開始しました。リモビスの機能向上に向けた研究開発として、リモビスで得られる建物運用に関するビッグデータを利用したデジタルツイン※5の構築を進めています。現実世界の建築設備の制御を高精度かつ高速に最適化するために、クラウド上でAIを活用してリモビスで制御します。AIの開発については、専門知識を有する大学と共同研究を実施することで開発のスピードアップと精度向上を図っています。さらに、オフィスにおける環境や執務者の行動をIoTで見える化し、ABW※6に移行しつつある働き方における快適空間の創造にも取り組んでいます。 ※4 AI:Artificial Intelligenceの略。 これまで人間にしかできなかった知的行為を機械に代行させるためのアルゴリズム(人工知能)。※5 デジタルツイン:フィジカル(現実)空間にあるシステムの情報を、IoTなどを活用してサイバー(仮想)空間に送り、サイ バー空間にフィジカル空間と同じシステムを再現すること。※6 ABW:Activity Based Working の略。「時間」と「場所」を自由に選択できる働き方のこと。 (3)ICT(情報通信技術)の活用による現場の施工効率化に関する研究労働人口の減少に伴い人手不足となっている建設業の状況を打破するため、ICTなどの先端技術を活用した施工効率化の研究開発を推進しており、2019年度までに、デジタルカメラ画像を用いた現場状況の3次元記録手法を開発しました。この技術は、高価な撮影装置を必要としないことから普及が見込まれており、①現場の進捗状況の記録にかかる労務負荷削減、②遠方支援者との情報共有の促進、③顧客に伝わり易いリアリティのある改修提案、などに活用されております。2020年度において、多くの現場でこの3次元記録手法を活用したところ、デジタルカメラによる撮影では熟練度ならびに撮影時間に実用上の課題があることがわかりました。これらの課題を解決する方策として、全方位(360度)カメラを用いた撮影手法を取り入れ検証を進めた結果、熟練度を必要としない撮影方法の確立および撮影時間の大幅な削減を達成し、デジタルカメラによる撮影と同等の3次元画像を得ることに成功いたしました。今後は、早稲田大学の協力を得ながら、この技術の汎用性の向上に取り組み、全社の現場で汎用的に活用できる技術として発展させ、全社的なICT技術の活用による施工効率化を推進してまいります。 (4)再生医療分野向け独自技術開発再生医療は、これまで治療が困難であった怪我や病気に対する新しい医療として注目されております。しかし、細胞製造に係る品質管理や環境整備には多大なコストがかかるため、治療費が高額になり普及を阻害する要因となっています。再生医療が普及するためには、品質を確保したうえでコストを低減する必要があります。当社では,これまでの設備設計で培った気流制御技術を生かし、低コストで使いやすい細胞製造施設や装置に関する研究を行っており、局所的にクリーン環境を構築できる「エアバリアブース®」や細胞調製に必要なクリーン環境をコンパクトにまとめた「オールインワンCPユニット®」を開発しました。そして、更なる開発のために慶應義塾大学病院との共同研究や神戸アイセンター病院との共同研究を推進しており、実際の臨床試験に利用しています。 (5)超臨界二酸化炭素※7を用いた産業用ケミカルエアフィルタの再生に関する実用化開発SDGsの達成に貢献する廃棄物削減の取り組みとして、超臨界二酸化炭素を洗浄溶媒とする産業用ケミカルエアフィルタのリユース事業(フィルタ再生事業)に取り組んでいます。フィルタ再生事業は、実用化してから着実に再生数を増やしており、多くの顧客の廃棄物削減に貢献しています。2020年度は、東北大学・広島大学との共同研究により再生効率を上げる研究を実施しました。これにより、当初より再生効率を20%上げるメカニズムを構築し、実際の再生プラントで検証しました。今後は更なる処理量の増加が見込まれるため、効率化に関する研究開発を続ける予定です。 ※7 超臨界二酸化炭素:加圧・加熱により、超臨界状態になった二酸化炭素。液体と気体の両方の性質を持つ超臨界二酸化炭素は 産業用ケミカルフィルタの洗浄に効果的です。
FY2020|2,438 文字
5【研究開発活動】当社は、高度化・多様化するお客さまのニーズに応え、持続可能な社会の発展に貢献するための研究開発を推進しております。また、継続的な成長を目指し、総合設備工事業の枠にとらわれない事業創出に向けた研究開発にも取り組んでおります。当連結会計年度における研究開発の主な成果は以下のとおりです。子会社においては、研究開発活動は行われておりません。なお、研究開発費は778百万円でした。 (研究開発の内容)(1)ZEB※1の実現・WELLNESS※2の向上に関する研究地球環境の保全に貢献するため、九州支社と四国支店をそれぞれ「エネフィス九州」「エネフィス四国」としてZEBに建て替え、運用実態を検証しております。さらに、寒冷地でのZEB実現を目指し、北海道支店の建て替えに着手しました。これらのプロジェクトを通じ、ZEBでありながらWELLNESSが向上する建築設備の研究にも取り組んでおります。具体的な研究開発内容として、①個別の快適感が得られるイス型タスク空調「クリマチェア」の運用評価やIoT※3化、②実際の見え方に近い「明るさ感指標」を使った照明計画の妥当性評価、③バイオフィリックデザイン※4の有効性評価などを推進しております。 ※1 ZEB:net Zero Energy Buildingの略。建物で消費するエネルギーを再生可能エネルギーでまかなう建物。正味の消費エネルギーがゼロとなる建物を『ZEB』(完全なZEB)と呼びます。※2 WELLNESS:建物利用者の健康性、快適性。※3 IoT:Internet of Thingsの略。あらゆる物同士の連携を目的に、通信機能を搭載してインターネットに接続する技術。※4 バイオフィリックデザイン:建築環境における自然とのつながりの向上を図った空間デザインの手法。 (2)IoT/AI※5技術を活用したスマートビル制御システムの開発建築設備をIoT化し、自動制御装置をソフトウェア化してクラウドに実装するスマートビル制御システム「リモビス」を開発し、商用サービスの受注を開始しました。「リモビス」のさらなる進化を目指し、機能改善・機能向上を目指した研究を進めるとともに、異業種連携による開発も推進しております。研究面では、「エネフィス四国」を活用し、「リモビス」により、①『ZEB』の運用実態の遠隔監視、②運用改善のための自動制御内容の遠隔更新、③快適性を向上させる自動制御内容の遠隔追加、などを実施し、建物の運用状態における機能改善、機能向上を実証しております。異業種連携の面では、株式会社電通国際情報サービスの「オフィス利用者管理・会議予約システム」が、日本マイクロソフト株式会社の提供するオープンプラットフォーム上で「リモビス」と連携するシステムを構築し、2019年秋の「CEATEC2019」で発表いたしました。今後は「リモビス」で収集したビッグデータとAIを活用して、エネルギー削減や快適性向上を即時的に運用改善する機能を開発し実装していく予定です。 ※5 AI:Artificial Intelligenceの略。これまで人間にしかできなかった知的行為を機械に代行させるためのアルゴリズム(人工知能)。 (3)ICT(情報通信技術)の活用による現場の施工効率化に関する研究労働人口の減少に伴い、人手不足となっている建設業の状況を打破するため、ICTなどの先端技術を活用した施工効率化の研究開発を推進しております。当連結会計年度は、早稲田大学の協力を得て、カメラ画像を用いた現場状況の3次元記録手法を開発しました。この技術は、高価な撮影装置を必要としないことから普及が見込まれており、①現場の進捗状況の記録にかかる労務負荷削減、②遠方支援者との情報共有の促進、③顧客に伝わり易いリアリティのある改修提案、などに活用されております。また、経験弱者でも容易に手早く施工物の養生作業※6ができる器具・機材を開発し、施工の生産性向上を図ると共に、品質・安全性の確保にも貢献しております。 ※6 養生作業:建設現場にて、施工済みの機器等を後工程の汚れや傷から保護する作業。 (4)再生医療分野向け独自技術開発再生医療は、これまで治療が困難であった怪我や病気に対する新しい医療として注目されております。しかし、高額であるため普及に向けてはコストの低減等の課題があります。当社では,再生医療をより身近なものにするために低コストで使いやすい施設や設備の研究を行っており、局所的にクリーン環境を構築できる「エアバリアブース」や細胞培養加工に必要なクリーン環境をコンパクトにまとめた「オールインワンCPユニット」を開発しました。そして、更なる開発のために慶應義塾大学病院との共同研究や理化学研究所との共同研究を推進しております。また,2020年2月に設立した子会社「セラボヘルスケアサービス株式会社」が手掛ける幅広いサービスに対しても、必要な技術開発を行う予定です。 (5)データセンター向け環境制御技術開発近年、大規模なデータセンターの建設が多くなっております。当社も多くのデータセンターの建設に携わっております。データセンターにはセキュリティ対策、地震対策、停電対策、乾燥対策など、特別仕様の設備が求められるとともに、サーバーの発熱も多く空調にかかる運用コストの削減も重要な課題です。当社は、最適なサーバー室の温湿度環境を維持する空調設備、停電時の空調復旧システム、直接外気冷房システムなどを計画し、シミュレーションやモックアップ検証、竣工後の計測などを実施して精度を高めてお客様へ提供しております。また、データセンター向けに、運用コストが低く精度の高い気化式加湿器として「WIT WET」を開発しました。この加湿器はデータセンターだけでなく、病院や製薬工場など、精度の高い加湿を求められる施設にも適用可能です。
FY2019|2,453 文字
5【研究開発活動】当社は、高度化・多様化するお客さまのニーズに応え、持続可能な社会の発展に貢献するための研究開発を推進しています。また、継続的な成長を目指し、総合設備工事業の枠にとらわれない事業創出に向けた研究開発にも取り組んでいます。当連結会計年度における研究開発の主な成果は以下のとおりです。子会社においては、研究開発活動は行われておりません。なお、研究開発費は647百万円でした。 (研究開発の内容)(1)ZEB※化技術に関する研究自社オフィス「エネフィス九州」において、快適性、環境性能(エネルギー消費量や環境への負荷)などを運用上で監視・改善することで、世界的な建築物の環境性能認証システムである「LEED」の最高ランク「Platinum」を取得しました。また、ZEBリーディングオーナーとしての更なる取り組みとして『ZEB』(完全ZEB)を実現した「エネフィス四国」を2019年5月に建設いたしました。低炭素社会の実現に欠かせないZEBを普及させることは設備エンジニアリング会社の責務ととらえ、ZEBガイドラインよりも低コストで建設しています。また、エネルギー消費量の削減技術と同時に、快適性・健康性を向上するための技術開発を進めており、国の進める働き方改革やWELL認証※への対応にいち早く取り組んでいます。個人の熱的嗜好性の違いを補完するための送風・加熱機能付きオフィスチェア「クリマチェア」の開発や、室内全体の明るさ感を向上するための照明システムの開発を進めています。 ※ZEB:net Zero Energy Buildingの略。建物で消費するエネルギーを再生可能エネルギーでまかなう建物を指す。このうち、消費エネルギーを標準的な建物の半分以下に削減した建物をZEB Ready、正味の消費エネルギーがゼロとなる建物を『ZEB』という。※WELL認証:人間の健康・快適性を重点に考慮した認証制度。日本ではCASBEE-ウェルネスオフィスが開発されている。 (2)IoT(Internet of Things)技術を活用したスマートビル制御システムの開発建築設備の通信を無線化し、自動制御装置をソフトウェア化してクラウドに実装するIoTスマートビル制御システム「リモビス」の開発が完了し、新たな形のビル運用サービスとして展開する準備を進めています。エネフィス四国では、第一号のリモビス導入物件として『ZEB』(完全ZEB)の運用状況を遠隔で監視し、クラウドに蓄積したデータ解析結果に基づく運用ルールの改善も遠隔で実施します。この取り組みにより、サービスマンが現地に行くコストの削減や、改善ルールが適用されるまでの時間の短縮化が図られ、本サービスが建物のライフサイクルコストの削減に寄与することを検証します。また、オフィス空間の快適性向上に関して、リモビスが当社開発品のクリマチェアとビル空調の連携を担うことができるため、コスト削減と快適性向上を両立するスマートビル運用の実現につながります。 (3)ICTを活用した施工効率化に関する研究労働人口減少のなか、品質を確保しつつ生産性を向上させるために、ICT(情報通信技術)を活用した施工効率化の研究開発を推進しています。現場の状況を撮影したカメラ画像を3D化し、工事の進捗や品質管理をより詳細に、かつ、現地で目視するのと同等のレベルで把握できる技術を開発しています。今期は実証段階に入り当社の建設中の現場で有効性の確認を行っています。これにより遠方の熟練者による支援の円滑化を図り、経験の浅い職員にも十分なサポートができる体制が構築できます。また、BIM※やVR(バーチャルリアリティ)を活用することで、現場関係者の迅速な合意形成ができ、生産性向上および品質管理の精度向上につながります。※BIM:Building Information Modelingの略。建物の設計や構造計算だけでなく、部材の選定、施工計画、コストなどを含めて総合的に管理するコンピューターシステム。建物に関する様々な情報をすべて一元的に管理することで、建設業務全体の効率化や、建築家・施工業者・施主の意思疎通を図ることができる。 (4)再生医療分野向け技術開発将来を期待されている再生医療をより身近なものとするため、当社は細胞の培養や加工をする施設(CPF:Cell Processing Facility)の建設コストや運用コストを大きく低減させる提案や技術開発に積極的に取り組んでいます。これまでに、細胞調製に必要な清浄環境を安価で構築することができる「エアバリアブース」を開発し、多くの企業・研究機関に採用されてきました。当期は、細胞の受入れから加工、出荷までを行うことができる「オールインワンCPユニット」を開発し、展開を始めています。毎年、大阪で開催される再生医療産業化展でも大変ご好評をいただきました。展示会に来場されるお客様からの声や、セラボ殿町で推進しているオープンイノベーションを活用し、今後も再生医療分野の新たなニーズに応える開発に取り組み、それらをスピーディに市場展開していきます。 (5)照明設備に関する研究快適かつ省エネな空間の創造には、照明設備の適切な設計が必要です。ZEBが普及するにつれ、省エネルギーを目的としたタスク&アンビエント照明システム※が一般的になりつつありますが、机上が明るくても部屋全体が暗くなりすぎて陰鬱な環境になるという問題があります。当社では、省エネを確保しつつも部屋全体が暗くなりすぎないように、室内の明るさ感を維持・向上させるためのシステムの開発に取り組んでいます。実用的なシステムを構築するために、実環境下(エネフィス九州や技術研究所オフィス)で評価しながら開発を進めています。※タスク&アンビエント照明システム:周囲(アンビエント)を最低限の明るさとし、作業面(タスク)の明るさを確保する照明設計方法。
FY2018|2,031 文字
5【研究開発活動】当社は、高度化・多様化するお客さまのニーズに応え、持続可能な社会の発展に貢献するための研究開発を推進しています。また、継続的な成長を目指し、総合設備工事業の枠にとらわれない事業創出に向けた研究開発にも取り組んでいます。当連結会計年度における研究開発の主な成果は以下のとおりです。子会社においては、研究開発活動は行われておりません。なお、研究開発費は649百万円でした。 (研究開発の内容)(1)ZEB※化技術に関する研究福岡市に建設した自社オフィス(九州支社・スマートエネルギーラボ)をプラットフォームとし、快適性・省エネルギー性に関する検証評価および調整を実施しました。その結果、運用上のZEB(ZEB Ready)を達成することができ、サステナブル建築賞(一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構)を受賞いたしました。今後につきましては、四国支店においてもこれまで培った研究技術を更に発展させることにより、正味の消費エネルギーがゼロとなる『ZEB』の達成を目指し、新たな自社オフィスの建設計画を進めております。※ZEB:net Zero Energy Buildingの略。建物で消費するエネルギーを再生可能エネルギーでまかなう建物を指す。このうち、消費エネルギーを標準的な建物の半分以下に削減した建物をZEB Ready、正味の消費エネルギーがゼロとなる建物を『ZEB』という。 (2)IoT(Internet of Things)技術を活用したスマートビル制御システムの開発IoTをオフィスビルの建築設備に適用するための技術開発を行っています。個人個人の好みに合わせた室内環境を自動で構築するシステムや、フレキシビリティに富んだ自動制御システムの開発に取り組んでいます。建築設備の通信を無線化し、自動制御装置をソフトウェア化してクラウドに実装する本IoTスマートビル制御システムでは、様々なモノがインターネットによってつながります。そこには、セキュリティや通信のロバスト性※など情報通信ならではの課題が生まれます。今後は、様々な企業と連携し、お互いの強みを活かした技術開発を推進します。※ロバスト性:一般的には、システムが持つ外乱に対する強さを示す。ここでは、セキュリティを脅かすハッキングやウイルス、通信障害となる干渉電波などを外乱とみなし、それらの影響を最小限に留めるシステム的な強さを意味している。 (3)ICTを活用した施工効率化に関する研究労働人口減少のなか、品質を確保しつつ生産性を向上させるために、ICT(情報通信技術)を活用した施工効率化の研究開発を推進しています。現場の状況を軽量の装着型カメラにより記録し、工事の進捗や品質管理を自動で確認できる技術を開発しています。これにより、遠方の熟練者や作業員に伝達するツールを活用し、現場業務の軽労化を目指しています。また、BIM※やVR(バーチャルリアリティ)を活用することで、現場関係者の迅速な合意形成ができ、生産性向上および品質管理の精度向上につながると期待しています。※BIM:Building Information Modelingの略。建物の設計や構造計算だけでなく、部材の選定、施工計画、コストなどを含めて総合的に管理するコンピューターシステム。建物に関する様々な情報をすべて一元的に管理することで、建設業務全体の効率化や、建築家・施工業者・施主の意思疎通を図ることができる。 (4)再生医療分野向け技術開発将来を期待されている再生医療をより身近なものとするため、当社は細胞の培養や加工をする施設(Cell Processing Facility)の建設コストや運用コストを大きく低減させる提案や技術開発に積極的に取り組んでいます。大部屋の中に設置することで細胞調製に必要な清浄環境を構築することができるエアバリアブースをキーアイテムとして、CPFの生産性と作業性の向上をアピールし、その一般化を目指しています。また、オープンイノベーションにより、エアバリアブースに閉鎖型自動細胞培養装置を組み合わせたスマートCPユニットを開発し、必要最低限のスペースとコストで細胞培養を可能にする提案を行っています。これらは、さまざまな場面においてご好評をいただいており、導入実績も着実に伸びています。 (5)電気設備に関する研究太陽光発電により得られる直流電力をそのまま照明器具等へ供給することで、直流⇒交流の変換損失を低減する直流給電システムを利用して、再生可能エネルギーの有効利用に取り組んでいます。また、事務所内の照明計画について、机上面の物理的な光の量だけでなく、執務者が感じる室内空間全体の明るさにも着目し、省エネルギーでも明るく感じられる快適な空間の構築を目指した研究も行っています。九州支社では、直流給電システム、明るさ感による照明計画の実証を行っています。
FY2017|1,844 文字
6【研究開発活動】当連結会計年度における研究開発は、従来からの基本理念である「地球とひとに優しい環境の創造」を目指し、ビルや工場の空調をはじめとする省エネルギー関連技術、半導体・医薬品対応のクリーン関連技術、廃棄物削減などの資源の有効利用技術を中心に取り組んでまいりました。具体的な研究成果としては、以下のものがあります。子会社においては、研究開発活動は行われておりません。なお、研究開発費は663百万円でありました。 (研究開発の内容)(1)ZEB化技術に関する研究オフィスのZEB化に向け、平成28年5月に福岡市にあります九州支社を建て替えました。本オフィスには、総合設備業という当社の独自性を活かした技術や開発品が多数導入されており、単なる省エネルギー性だけでなく、快適性にも着目して評価を行ってきました。季節ごとに設備の運用状態の整理やアンケート調査を実施し、快適性を悪化させないような究極の省エネ運用の検討や、開発品の課題の抽出を行ってきました。特に、空調設備では放射空調や当社開発品『シーリングフリー』の省エネ運用に関するノウハウを蓄積してきました。また、照明設備では、明るさ感を考慮したアンビエント照明と自席のタスク照明における、視認性や照射範囲等の課題を整理し、お客様への実導入へのステップへと移っています。 (2)IoT技術の建築設備への適用に関する研究ICT技術の発展により、ありとあらゆるモノをインターネットにつなげ、あらたなビジネスを生み出すIoT(Internet of Things)が様々な分野に適用されようとしています。当社グループは、このIoTをオフィスの空調設備に導入するための技術開発を行っています。建築設備における空調の自動制御は、時々刻々と変化する環境の変化を捉え、空調機器の動作量を演算し、所定の環境が維持されるように空調機器を制御しています。これをIoTに置き換えるための研究開発を推進しています。 (3)データセンターの省エネルギー化に寄与する研究開発クラウド社会の到来により、大量のデータ通信が行われるようになり、近年、そのデータを管理するデータセンター(以下、DCと略す)の需要がますます高まっています。DCでは、サーバーラック等のIT機器の冷却のために膨大な空調エネルギーを消費しており、その削減は喫緊の課題となっています。現在、DCの省エネルギー技術として注目を浴びているのが外気冷房システムであり、その採用数は増加しています。外気冷房とは、中間期・冬期などの冷涼な外気の熱を空調に利用することで、IT機器の冷却に必要な空調エネルギーを削減するシステムです。しかし、不安定な外気を利用するため、サーバー室の温度管理を困難にする原因となり、外気を当初の計画通り利用できていないという問題がありました。当社グループは、外気冷房に関して、その安定利用を実現する3つの要素技術の開発に取り組んでおり、平成30年度にはそれらを統合したDC最適運用システムの完成を目指しています。この技術は、PUE※1.2以下を目指すことを目的としており、外気冷房を最大限に活用した省エネルギーを図りながら、安定したサーバー室内環境の実現に貢献いたします。※PUE…DCの電力使用効率を表す。DC(総施設)の全消費エネルギーをIT機器の消費エネルギー(電力量)で割った値であり、PUEが1に近いほど、空調などのIT機器以外の消費エネルギーが低いことを表す。 (4)再生医療向け自動培養システム スマートCPユニット昨年当社グループでは細胞培養加工施設向けに細胞の感染リスクを低減するシステムとしてエアバリアブースを開発しました。エアバリアブースは半開放型のクリーンブースであり、ブース内を微陽圧に維持することによりクリーン化することが可能です。このエアバリアブースと細胞の自動培養装置(株式会社カネカ製)を組み合わせ、大がかりな設備改修を必要としない設置型の細胞培養ブース「スマートCPユニット」を開発しました。一般的な細胞培養加工施設は比較的広いスペースが必要で、クリーン環境構築のためのコストと工期がかかりますが、スマートCPユニットは設置するだけで省スペースのクリーン環境を構築でき、容器密閉型の自動培養装置によって手軽に細胞培養が行えます。今後は、株式会社カネカと販売に関して連携し、歯科や美容外科の病院、クリニックをターゲットとして拡販していきます。