事業の概要
- 空調設備と塗装設備の提供: 大氣社グループは、主に「環境システム事業」と「塗装システム事業」の2つの事業を展開しています。環境システム事業では、オフィスビルやホテルなどの一般空調設備に加え、半導体工場や医薬品工場などのクリーンルームといった産業空調設備の設計、施工、資機材の製造販売を手掛けています。これにより、快適な空間作りや精密な生産環境の維持に貢献し、幅広い顧客のニーズに応えています。
- 自動車産業向け塗装設備: 塗装システム事業では、主に自動車の車体やバンパーなどの塗装設備の設計、施工、関連資機材の製造販売を行っています。自動車産業は常に新しい技術や生産方式を求めており、同社はこの分野で培った専門知識と技術力で、顧客の生産性向上と品質維持をサポートしています。自動車以外の建設車両や鉄道車両、航空機など、多様な産業の塗装ニーズにも対応しています。
- 国内外での事業展開: 当社グループは、日本国内だけでなく、32の子会社と3つの関連会社を通じて海外にも事業を展開しています。これにより、グローバルな視点での事業拡大を図り、国内外の多様な市場からの収益獲得を目指しています。特に、海外の日系企業や現地企業への営業強化を通じて、安定した収益基盤の構築に努めています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 環境システム事業の概要: 環境システム事業は、主にビルや工場、研究所などの空調設備に関する設計、施工、監理、そして関連資機材の製造・販売を手掛けています。一般オフィスやホテル、学校といった快適な空間を提供する一般空調設備から、半導体や医薬品工場で求められる高度なクリーンルームなどの産業空調設備まで、幅広い分野に対応しています。最新年度の売上高は1694.2億円と、グループの主要な収益源の一つです。
- 塗装システム事業の概要: 塗装システム事業は、主に自動車産業向けの塗装設備の設計、施工、監理、および関連資機材の製造・販売を行っています。自動車の車体やバンパーの塗装ラインの構築が中心ですが、建設車両、鉄道車両、航空機、一般産業機器など、自動車以外の多様な産業の塗装ニーズにも対応しています。最新年度の売上高は1067.92億円であり、環境システム事業に次ぐ規模でグループの収益に貢献しています。
- 事業セグメントの構成と市場: 大氣社グループは、これら「環境システム事業」と「塗装システム事業」の二つを主軸としており、有価証券報告書に記載されているセグメント情報と同一の区分で事業を展開しています。環境システム事業は、快適性や生産環境の質を求める幅広い顧客層にサービスを提供し、塗装システム事業は、特に自動車産業の生産設備投資に強く依存しています。両事業ともに国内外で展開し、多様な市場ニーズに応えることで事業の安定化を図っています。
2025-03 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| EnvironmentSystem | 事業 | 1,694 | − | − |
| PaintingSystem | 事業 | 1,068 | − | − |
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
3 【事業の内容】当社グループは、国内外にわたり、当社及び子会社32社並びに関連会社3社で構成されており、「環境システム事業」及び「塗装システム事業」を主たる事業としております。「環境システム事業」は、主に一般事務所等に関連するビル空調設備及び工場等の生産設備や研究所等に関連する産業空調設備の設計・監理・施工並びにこれらに関連する資機材の製造・販売を行っております。「塗装システム事業」は、主に自動車産業に関連する塗装設備の設計・監理・施工並びにこれらに関連する資機材の製造・販売を行っております。なお、これらの事業はセグメント情報に掲げるセグメント区分と同一であります。各事業別の市場・顧客分野は次のとおりであります。環境システム事業:事務所、ホテル、店舗、学校、研究所、劇場、ホール、病院、データセンター等の一般空調設備半導体、電子部品、電池、精密機械、医薬品、食品等の製造工場におけるクリーンルーム等及び植物工場等の産業空調設備塗装システム事業:自動車車体・バンパー等、自動車産業向けのほかに建設車両・鉄道車両・航空機・一般産業機器等の各製造工場における塗装設備 事業の系統図は次のとおりであります。 (注) ※1 当連結会計年度において新たに設立したため、連結子会社としております。※2 持分法非適用関連会社
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 弱い 資材価格及び労務単価の高騰を請負金額に反映させることが困難な場合があるため。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 カーボンニュートラル、省エネルギー、環境対策、オートメーション化等に対応したシステム開発力。 |
| 顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい | 中程度 |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | シクリカル |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 高い |
会社が挙げる主要リスク:民間設備投資の変動 / 大規模自然災害に係るリスク / 海外事業及び海外関係会社の管理・統制に関するリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 7 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
大氣社は、空調設備、衛生設備、電気設備などのプラントエンジニアリング事業を主軸としており、長年の実績と信頼に基づくブランド力は一定の評価を得ている。しかし、特許や強力なブランドによる独占的な地位を確立しているとは言い難い。
スイッチングコスト★★☆☆☆
顧客は、建物のインフラに関わる重要な設備を導入するため、一度導入したシステムからの切り替えには、設計変更、工事、再稼働などの多大なコストとリスクが伴う。そのため、一定のスイッチングコストは存在する。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
同社の事業は、特定のプラットフォームやネットワーク効果を直接的に活用するものではなく、ネットワーク効果による競争優位性は限定的である。
コスト優位★☆☆☆☆
規模の経済や独自の技術によるコスト優位性は、建設業界の特性上、限定的である。調達力や効率的なオペレーションによるコスト削減努力は行われていると考えられるが、他社との明確な差別化要因とはなりにくい。
規模の経済★★★☆☆
大氣社は、大規模な建設プロジェクトに対応できる資本力、技術力、人材を有しており、特に大型案件においては、その規模が競争優位性となり得る。長年の事業継続で培われたノウハウも蓄積されている。
- 多様な顧客と市場への対応力: 環境システム事業では、オフィス、ホテル、学校などの一般施設から、半導体、医薬品、食品工場などの高度なクリーンルームを必要とする産業施設まで、非常に幅広い顧客層と市場に対応しています。この多様な顧客基盤は、特定の市場の変動リスクを分散し、安定した事業運営を可能にする強みと言えます。
- 自動車塗装技術の専門性: 塗装システム事業は、自動車産業を主要顧客とし、車体やバンパーなどの塗装設備において高い専門性と実績を持っています。この分野での長年の経験と技術力は、顧客からの信頼を獲得し、競合他社との差別化に繋がっています。また、カーボンニュートラル対応など、変化する自動車産業のニーズに合わせた技術開発を進めることで、競争優位性を維持しています。
- グローバルな事業展開力: 国内外に多数の子会社と関連会社を持つことで、グローバルな事業展開力を有しています。これにより、特定の国や地域のリスクを分散しつつ、世界各地の市場機会を捉えることが可能です。海外での現地系企業への営業強化や日系メーカーとの連携を通じて、持続的な成長を目指しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針当社グループは、創業理念(社是)「顧客第一」と社名「大気社」が示す「エネルギー・空気・水」の環境対応技術を核として、グローバルに事業領域を拡大し、安定的かつ持続的な成長を目指します。そして全てのステークホルダーにとって魅力ある会社づくりをすすめ、社会に貢献してまいります。 (2) 長期ビジョン当社グループは、「エネルギー・空気・水の創造的なエンジニアリングにより、持続可能な社会へ貢献する」、「多様な人材・知見を融合し、一人一人がお互いを尊重し合うグローバル企業となる」ことを長期ビジョンとして掲げております。これらの長期ビジョンの実現により、当社グループの経済的価値と社会的価値の長期的・持続的な増大を目指してまいります。 ① エネルギー・空気・水の創造的なエンジニアリングにより、持続可能な社会へ貢献するInnovative Engineering for a Sustainable Society - with energy, air and water -社会的課題の解決へのチャレンジを通じて、エネルギー・空気・水に関わる、ハード面の技術革新、ソフト面の経験知の蓄積、新たな領域への知的探索により、総合エンジニアリング力の強化を図ります。それが新規事業・新規顧客の開拓や既存顧客への「専門性の高い顧客ニーズへの処方箋」の提供に繋がり、当社の差別化戦略となると考えております。そして差別化によって、企業成長を実現すると同時に、社会的課題の解決、すなわち持続的な社会への貢献を目指します。その1つとして、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて取り組んでまいります。 ② 多様な人材・知見を融合し、一人一人がお互いを尊重し合うグローバル企業となるDiversity, Equity & Inclusion as a Global Company当社にもともとあった多様性を受容する企業風土をベースに、社員一人一人の価値観を大切にし、より各人が能力を発揮でき、相乗効果を生む仕組みづくりを進め、世界で働く多様な視点や知見を持った人材が交わる真のグローバル企業として、国を問わず活躍できる企業となることを目指します。さらに当社においては、技術開発を含む事業活動において社内外の多様な人材・技術を結合・融合させて新たな価値を生み出すこともインクルージョンの1つと捉え、2つの意味でインクルーシブな企業を目指します。 (3) 10年プラン2035(2026年3月期-2035年3月期)当社グループは、2025年5月15日に開示しました10年プランにおいて、2035年のありたい姿として、「Be Engineering for a Sustainable Society」(「持続可能な社会の構築」に貢献するグローバルエンジニアリング企業)を掲げております。広範な産業領域での生産革新の進展と脱炭素などのサステナビリティが問われる中で、さまざまな工学分野の要素技術の組み合わせで、最適なシステムを構築することで、社会課題を解決することが当社グループの使命と考えております。2035年のありたい姿の実現に向けて、「Innovative Engineering」、「Global Inclusion」の2つの指針を掲げました。また、それら2つの指針の下に当社にとっての「8つの戦略的焦点」を定めました。① 2つの指針(ア) 「Innovative Engineering」「さまざまな工学分野の要素技術」を複合化することで求められる機能を発揮するシステム・仕組みを構築し、スマートでカーボンニュートラルな産業発展に貢献する企業を目指します。・産業領域への注力エレクトロニクス、自動車、医薬品、データセンターなどの先端産業領域に対するエンジニアリングを強化し、大気社の「原点」である独自性を発揮します。 ・「Design, Build & Care」の追求デザインの提案から施工、アフターケアまで一貫したサービスを提供することで、高付加価値を創造するエンジニアリングを目指します。・GXとDXの最適化カーボンニュートラルとデジタル化に挑む企業の生産環境の脱炭素化やスマート化を推進し、最先端技術を駆使したソリューションを提供します。(イ) 「Global Inclusion」地球規模(グローバル)の環境・社会課題の解決をめざして世界各地(ローカル)に根差したビジネスを展開し、世界各地の産業・社会・人々と共に繁栄できる企業を目指します。・グローバルネットワーク50年をかけて構築した20カ国・30拠点に及ぶグローバルネットワークを活用し、国内外の産業界との信頼関係を強化します。・グローバル研究開発体制世界各地域の産業界のニーズに応え、課題を解決するエンジニアリングとバリエーションのある高度技術を提供するため、5つのグローバル研究開発拠点を設置し技術革新に挑みます。・グローバル&ローカルコミットメント世界各地の市場ニーズを熟知した人材による事業展開を通じ、地球規模の環境・社会課題の解決に貢献します。 ② 8つの戦略的焦点(ア) 「成長産業」への積極展開半導体・電子部品、モビリティ、バッテリー、バイオ、医薬品、データセンターなどの成長産業市場に注力し、技術革新と市場ニーズに応えることで事業拡大を図ります。これにより、持続可能な社会を支えるエンジニアリングサービスを提供します。(イ) グローバルな「地域戦略」北米、インド、欧州、ASEANなどの海外市場において、求められる技術と製品を提供し、地域特性に合わせた戦略を展開することでグローバルな競争力を強化します。(ウ) 「非日系企業」の開拓当社グループの「技術ケイパビリティ」の「見える化」、独自の技術・ノウハウの「標準化」を通してグローバルに成長を遂げる非日系企業の開拓を進めます。それにより日系企業中心の顧客ポートフォリオの変革を目指します。(エ) 「知的資本」の増強産業・社会のCO2削減に貢献する新技術を駆使した新しい事業の開発による「GXエンジニアリング技術」の高度化と、自動車向け塗装システム事業で培った先進的なファクトリーオートメーション技術による「DX・オートメーション技術」の高度化を通して、広範な産業領域における「グリーン化」と「スマート化」に貢献します。(オ) 「人的資本」の増強「急増するビジネス機会」への対応力を強化するため、「人的資本の拡充(数的・質的)」と「ビジネスプロセスの合理・効率化」を図ります。(カ) 「事業推進・モニタリング体制」の強化成長戦略会議やデジタルイノベーション委員会の新設、デジタル戦略委員会の機能強化、ROIC経営のグループ全体への浸透等により、事業推進とモニタリング体制を強化します。 (キ) 「グループグローバル経営基盤」の強化「グローバル共通システム基盤」の導入や、「ITガバナンス体制」の強化、「アセアン地域管理部」の新設などの取り組みにより、グローバルにガバナンスの強化を図ります。(ク) DX戦略データ分析とシミュレーションを活用した新しい価値の提供、海外拠点間の連携・共創による活性化、業務プロセス改善による業務効率化と高収益化を推進します。 (4) 目標とする経営指標10年プラン2035及び中期経営計画の財務・非財務目標は、以下のとおりであります。 項目中期経営計画(2028年3月期)中期経営計画(2031年3月期)中期経営計画(2035年3月期)受注工事高2,960億円――完成工事高3,365億円4,000億円5,000億円超経常利益227億円――親会社株主に帰属する当期純利益158億円――自己資本利益率(ROE)10.3%11.0%12.0%以上自己資本比率40%以上――配当政策(DOE)4.0%4.5%5.0%以上自己株式取得50億円――政策保有株式の対純資産比率15%以下――CO2排出量(スコープ1・2)(2022年度比)26%削減42%削減53%削減CO2排出量(スコープ3)(2022年度比)15%削減25%削減35%削減従業員数――7,200名 (5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当社グループは、長期ビジョン・2035年のありたい姿の実現に向け、2026年3月期から始まる中期経営計画を「変革に向けた再構築」の3年間と位置づけ、財務戦略の実行、成長戦略の実行、成長戦略を支える制度・体制の整備を経営課題と定めております。① 財務戦略の実行最適な資本バランスを考慮しつつ、政策保有株式の売却、投資前営業キャッシュフロー、分配可能資金、借入金による資金を活用し、将来のキャッシュ創出力を強化するための成長投資、基盤インフラ投資、また、株主還元として配当、自己株式取得を着実に実施してまいります。 (単位:億円)区分項目金額キャッシュイン政策保有株式の売却50基礎キャッシュフロー(投資前営業キャッシュフロー)515分配可能資金(現預金)または借入金の活用165キャッシュイン 合計730キャッシュアウト成長投資事業成長投資(R&D、新規事業関連投資等)65キャピタルアロケーション(M&A等) ※220デジタル成長投資70成長のための人的投資25成長投資 合計380基盤インフラ投資35配当165自社株買い150キャッシュアウト 合計730 ※キャピタルアロケーションの地域別内訳日本70億円北米70億円インド50億円欧州20億円ASEAN10億円合計220億円 ② 成長戦略の実行(ア) 環境システム事業市場戦略としては、半導体・電子部品市場におけるプレゼンスの維持と向上を目指しています。半導体分野では、九州や東アジアでのプロジェクト体制強化、精密温調機器ソリューションの提供を進めます。電子部品分野では、水再利用事業への参入、エネルギーマネジメント事業の強化、海外電気事業の強化を図ります。それらを支える取り組みとしては、日本では人的リソースの増強と最適化、生産性向上、協力会社との関係強化を推進し、ASEANでは組織体制の強化としてシンガポールに統括部を設置し、情報共有や人的リソースの強化、技術イノベーション拠点の設立を進めます。さらに、カーボンニュートラルに向けたGXエンジニアリング技術開発を推進し、エネルギーソリューションの高度化、資源循環対応の強化、環境規制対応の強化を図ります。(イ) 塗装システム事業四輪および非四輪市場におけるプレゼンス維持・向上を目指しています。四輪市場では、グリーンファクトリー化によるドライ加飾技術の実用化、四輪車OEMへの積極展開、スマートファクトリー化によるオートメーション技術の高度化、欧州顧客ポートフォリオの拡大を推進します。非四輪市場では、四輪市場で磨いてきた塗装技術、カーボンニュートラル技術の他産業への展開として、環境システム事業との営業シナジーで産業空調領域のスマート化に貢献していきます。多品種少量生産のスマートファクトリー化、ドライ加飾適応市場の探索、デジタルツイン技術によるコンサルティングからアフターメンテナンスまでの一貫したサービス提供、GHG排出量の削減提案による工場運営コンサルティングの実現を図ります。中でもバッテリー産業においては、環境システム事業と塗装システム事業の技術シナジーを活用し、増加するバッテリー工場建設需要に応える新しい製造ライン構築方法を提案し、新たな価値を創造します。(ウ) 新規事業事業開発本部のもと、調査~研究開発~営業~事業開発まで一貫して担う切れ目のない体制を確立し、中長期的な事業化実現に向け、各プロセスの連動を強化してまいります。事業開発基盤の強化を図るとともに、社内外ネットワークによる多様な技術の融合を通して、技術、産業分野、地域の3つの側面から「未知・未開拓領域」の探索を進めます。具体的には、熱エネルギー・排気処理、サーキュラーエコノミー(循環経済)への貢献、CO2回収などの環境・社会課題を解決する「新しい事業」を推進します。 ③ 成長戦略を支える制度・体制の整備・「事業推進・モニタリング体制」の整備成長戦略会議やデジタルイノベーション委員会の新設により経営資源配分戦略とデジタル戦略の監督・執行を強化するとともに、デジタル戦略委員会に①全社BIM戦略、②グローバルコミュニケーション、③ITガバナンス・情報セキュリティ、④AI積極的活用、⑤電子購買の「5つの専門部会」を設け、デジタル戦略を推進してまいります。・グローバルガバナンスの強化海外関係会社のナショナルスタッフのトップ(CEO)をグループ経営に参画させる「グループ執行役員制度」、成長投資などの投資インセンティブを高め長期的な投資を継続推進するための「新管理会計制度」、「グローバル共通システム基盤」の導入などによりグローバルガバナンスの強化を図ります。・グローバル人材ポートフォリオマネジメントの構築グローバル人材ポートフォリオマネジメントの構築に向け、まずASEAN地域から海外拠点の人材データベースを構築・運用します。技術カルテによる可視化とマネジメントを実現し、効率的な運用を目指します。新卒およびキャリア採用では、奨学金制度や大学連携、スカウティングを活用し、専門人材を獲得します。さらに、海外向け人材育成体制の強化、魅力ある評価・報酬制度の整備、ロイヤリティ・エンゲージメント向上のための施策を推進し、グローバルな人材基盤を強化します。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針当社グループは、創業理念(社是)「顧客第一」と社名「大気社」が示す「エネルギー・空気・水」の環境対応技術を核として、グローバルに事業領域を拡大し、安定的かつ持続的な成長を目指します。そして全てのステークホルダーにとって魅力ある会社づくりをすすめ、社会に貢献してまいります。 (2) 長期ビジョン当社グループは、「エネルギー・空気・水の創造的なエンジニアリングにより、持続可能な社会へ貢献する」、「多様な人材・知見を融合し、一人一人がお互いを尊重し合うグローバル企業となる」ことを長期ビジョンとして掲げております。これらの長期ビジョンの実現により、当社グループの経済的価値と社会的価値の長期的・持続的な増大を目指してまいります。 ① エネルギー・空気・水の創造的なエンジニアリングにより、持続可能な社会へ貢献するInnovative Engineering for a Sustainable Society - with energy, air and water -社会的課題の解決へのチャレンジを通じて、エネルギー・空気・水に関わる、ハード面の技術革新、ソフト面の経験知の蓄積、新たな領域への知的探索により、総合エンジニアリング力の強化を図ります。それが新規事業・新規顧客の開拓や既存顧客への「専門性の高い顧客ニーズへの処方箋」の提供に繋がり、当社の差別化戦略となると考えております。そして差別化によって、企業成長を実現すると同時に、社会的課題の解決、すなわち持続的な社会への貢献を目指します。その1つとして、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて取り組んでまいります。 ② 多様な人材・知見を融合し、一人一人がお互いを尊重し合うグローバル企業となるDiversity, Equity & Inclusion as a Global Company当社にもともとあった多様性を受容する企業風土をベースに、社員一人一人の価値観を大切にし、より各人が能力を発揮でき、相乗効果を生む仕組みづくりを進め、世界で働く多様な視点や知見を持った人材が交わる真のグローバル企業として、国を問わず活躍できる企業となることを目指します。さらに当社においては、技術開発を含む事業活動において社内外の多様な人材・技術を結合・融合させて新たな価値を生み出すこともインクルージョンの1つと捉え、2つの意味でインクルーシブな企業を目指します。 (3) 10年プラン2035(2026年3月期-2035年3月期)当社グループは、2025年5月15日に開示しました10年プランにおいて、2035年のありたい姿として、「Be Engineering for a Sustainable Society」(「持続可能な社会の構築」に貢献するグローバルエンジニアリング企業)を掲げております。広範な産業領域での生産革新の進展と脱炭素などのサステナビリティが問われる中で、さまざまな工学分野の要素技術の組み合わせで、最適なシステムを構築することで、社会課題を解決することが当社グループの使命と考えております。2035年のありたい姿の実現に向けて、「Innovative Engineering」、「Global Inclusion」の2つの指針を掲げました。また、それら2つの指針の下に当社にとっての「8つの戦略的焦点」を定めました。① 2つの指針(ア) 「Innovative Engineering」「さまざまな工学分野の要素技術」を複合化することで求められる機能を発揮するシステム・仕組みを構築し、スマートでカーボンニュートラルな産業発展に貢献する企業を目指します。・産業領域への注力エレクトロニクス、自動車、医薬品、データセンターなどの先端産業領域に対するエンジニアリングを強化し、大気社の「原点」である独自性を発揮します。 ・「Design, Build & Care」の追求デザインの提案から施工、アフターケアまで一貫したサービスを提供することで、高付加価値を創造するエンジニアリングを目指します。・GXとDXの最適化カーボンニュートラルとデジタル化に挑む企業の生産環境の脱炭素化やスマート化を推進し、最先端技術を駆使したソリューションを提供します。(イ) 「Global Inclusion」地球規模(グローバル)の環境・社会課題の解決をめざして世界各地(ローカル)に根差したビジネスを展開し、世界各地の産業・社会・人々と共に繁栄できる企業を目指します。・グローバルネットワーク50年をかけて構築した20カ国・30拠点に及ぶグローバルネットワークを活用し、国内外の産業界との信頼関係を強化します。・グローバル研究開発体制世界各地域の産業界のニーズに応え、課題を解決するエンジニアリングとバリエーションのある高度技術を提供するため、5つのグローバル研究開発拠点を設置し技術革新に挑みます。・グローバル&ローカルコミットメント世界各地の市場ニーズを熟知した人材による事業展開を通じ、地球規模の環境・社会課題の解決に貢献します。 ② 8つの戦略的焦点(ア) 「成長産業」への積極展開半導体・電子部品、モビリティ、バッテリー、バイオ、医薬品、データセンターなどの成長産業市場に注力し、技術革新と市場ニーズに応えることで事業拡大を図ります。これにより、持続可能な社会を支えるエンジニアリングサービスを提供します。(イ) グローバルな「地域戦略」北米、インド、欧州、ASEANなどの海外市場において、求められる技術と製品を提供し、地域特性に合わせた戦略を展開することでグローバルな競争力を強化します。(ウ) 「非日系企業」の開拓当社グループの「技術ケイパビリティ」の「見える化」、独自の技術・ノウハウの「標準化」を通してグローバルに成長を遂げる非日系企業の開拓を進めます。それにより日系企業中心の顧客ポートフォリオの変革を目指します。(エ) 「知的資本」の増強産業・社会のCO2削減に貢献する新技術を駆使した新しい事業の開発による「GXエンジニアリング技術」の高度化と、自動車向け塗装システム事業で培った先進的なファクトリーオートメーション技術による「DX・オートメーション技術」の高度化を通して、広範な産業領域における「グリーン化」と「スマート化」に貢献します。(オ) 「人的資本」の増強「急増するビジネス機会」への対応力を強化するため、「人的資本の拡充(数的・質的)」と「ビジネスプロセスの合理・効率化」を図ります。(カ) 「事業推進・モニタリング体制」の強化成長戦略会議やデジタルイノベーション委員会の新設、デジタル戦略委員会の機能強化、ROIC経営のグループ全体への浸透等により、事業推進とモニタリング体制を強化します。 (キ) 「グループグローバル経営基盤」の強化「グローバル共通システム基盤」の導入や、「ITガバナンス体制」の強化、「アセアン地域管理部」の新設などの取り組みにより、グローバルにガバナンスの強化を図ります。(ク) DX戦略データ分析とシミュレーションを活用した新しい価値の提供、海外拠点間の連携・共創による活性化、業務プロセス改善による業務効率化と高収益化を推進します。 (4) 目標とする経営指標10年プラン2035及び中期経営計画の財務・非財務目標は、以下のとおりであります。 項目中期経営計画(2028年3月期)中期経営計画(2031年3月期)中期経営計画(2035年3月期)受注工事高2,960億円――完成工事高3,365億円4,000億円5,000億円超経常利益227億円――親会社株主に帰属する当期純利益158億円――自己資本利益率(ROE)10.3%11.0%12.0%以上自己資本比率40%以上――配当政策(DOE)4.0%4.5%5.0%以上自己株式取得50億円――政策保有株式の対純資産比率15%以下――CO2排出量(スコープ1・2)(2022年度比)26%削減42%削減53%削減CO2排出量(スコープ3)(2022年度比)15%削減25%削減35%削減従業員数――7,200名 (5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当社グループは、長期ビジョン・2035年のありたい姿の実現に向け、2026年3月期から始まる中期経営計画を「変革に向けた再構築」の3年間と位置づけ、財務戦略の実行、成長戦略の実行、成長戦略を支える制度・体制の整備を経営課題と定めております。① 財務戦略の実行最適な資本バランスを考慮しつつ、政策保有株式の売却、投資前営業キャッシュフロー、分配可能資金、借入金による資金を活用し、将来のキャッシュ創出力を強化するための成長投資、基盤インフラ投資、また、株主還元として配当、自己株式取得を着実に実施してまいります。 (単位:億円)区分項目金額キャッシュイン政策保有株式の売却50基礎キャッシュフロー(投資前営業キャッシュフロー)515分配可能資金(現預金)または借入金の活用165キャッシュイン 合計730キャッシュアウト成長投資事業成長投資(R&D、新規事業関連投資等)65キャピタルアロケーション(M&A等) ※220デジタル成長投資70成長のための人的投資25成長投資 合計380基盤インフラ投資35配当165自社株買い150キャッシュアウト 合計730 ※キャピタルアロケーションの地域別内訳日本70億円北米70億円インド50億円欧州20億円ASEAN10億円合計220億円 ② 成長戦略の実行(ア) 環境システム事業市場戦略としては、半導体・電子部品市場におけるプレゼンスの維持と向上を目指しています。半導体分野では、九州や東アジアでのプロジェクト体制強化、精密温調機器ソリューションの提供を進めます。電子部品分野では、水再利用事業への参入、エネルギーマネジメント事業の強化、海外電気事業の強化を図ります。それらを支える取り組みとしては、日本では人的リソースの増強と最適化、生産性向上、協力会社との関係強化を推進し、ASEANでは組織体制の強化としてシンガポールに統括部を設置し、情報共有や人的リソースの強化、技術イノベーション拠点の設立を進めます。さらに、カーボンニュートラルに向けたGXエンジニアリング技術開発を推進し、エネルギーソリューションの高度化、資源循環対応の強化、環境規制対応の強化を図ります。(イ) 塗装システム事業四輪および非四輪市場におけるプレゼンス維持・向上を目指しています。四輪市場では、グリーンファクトリー化によるドライ加飾技術の実用化、四輪車OEMへの積極展開、スマートファクトリー化によるオートメーション技術の高度化、欧州顧客ポートフォリオの拡大を推進します。非四輪市場では、四輪市場で磨いてきた塗装技術、カーボンニュートラル技術の他産業への展開として、環境システム事業との営業シナジーで産業空調領域のスマート化に貢献していきます。多品種少量生産のスマートファクトリー化、ドライ加飾適応市場の探索、デジタルツイン技術によるコンサルティングからアフターメンテナンスまでの一貫したサービス提供、GHG排出量の削減提案による工場運営コンサルティングの実現を図ります。中でもバッテリー産業においては、環境システム事業と塗装システム事業の技術シナジーを活用し、増加するバッテリー工場建設需要に応える新しい製造ライン構築方法を提案し、新たな価値を創造します。(ウ) 新規事業事業開発本部のもと、調査~研究開発~営業~事業開発まで一貫して担う切れ目のない体制を確立し、中長期的な事業化実現に向け、各プロセスの連動を強化してまいります。事業開発基盤の強化を図るとともに、社内外ネットワークによる多様な技術の融合を通して、技術、産業分野、地域の3つの側面から「未知・未開拓領域」の探索を進めます。具体的には、熱エネルギー・排気処理、サーキュラーエコノミー(循環経済)への貢献、CO2回収などの環境・社会課題を解決する「新しい事業」を推進します。 ③ 成長戦略を支える制度・体制の整備・「事業推進・モニタリング体制」の整備成長戦略会議やデジタルイノベーション委員会の新設により経営資源配分戦略とデジタル戦略の監督・執行を強化するとともに、デジタル戦略委員会に①全社BIM戦略、②グローバルコミュニケーション、③ITガバナンス・情報セキュリティ、④AI積極的活用、⑤電子購買の「5つの専門部会」を設け、デジタル戦略を推進してまいります。・グローバルガバナンスの強化海外関係会社のナショナルスタッフのトップ(CEO)をグループ経営に参画させる「グループ執行役員制度」、成長投資などの投資インセンティブを高め長期的な投資を継続推進するための「新管理会計制度」、「グローバル共通システム基盤」の導入などによりグローバルガバナンスの強化を図ります。・グローバル人材ポートフォリオマネジメントの構築グローバル人材ポートフォリオマネジメントの構築に向け、まずASEAN地域から海外拠点の人材データベースを構築・運用します。技術カルテによる可視化とマネジメントを実現し、効率的な運用を目指します。新卒およびキャリア採用では、奨学金制度や大学連携、スカウティングを活用し、専門人材を獲得します。さらに、海外向け人材育成体制の強化、魅力ある評価・報酬制度の整備、ロイヤリティ・エンゲージメント向上のための施策を推進し、グローバルな人材基盤を強化します。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、これらの会計基準に基づき、決算日における資産・負債及び収益・費用の数値に影響を与える見積りが行なわれているものがあります。会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」をご参照ください。なお、これらの見積りにつきましては、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。 (2) 経営成績当期における世界経済は、東欧や中東などの地政学的なリスクの長期化や、資源エネルギー価格の高止まり、トランプ新政権の関税政策への警戒感など不安定な状態が続きました。米国では、政策金利の引き下げがあったものの、依然として高い水準であり、インフレ率も高止まって推移しました。一方で、底堅い雇用や所得環境を背景とした個人消費の増加により景気は堅調に推移しました。中国では、不動産市場を始めとした内外需要の低迷により景気は減速して推移しました。東南アジアでは、中国からの設備投資シフトや、労働市場の改善などを背景に内外需要は回復に向かっており、景気は堅調に推移しました。日本経済は、海外における金融政策や地政学リスクなどにより景気下押しの懸念が続いたものの、堅調な個人消費やインバウンド需要等を背景に緩やかに回復しました。 当社グループにおける市場環境につきましては、海外市場では世界経済の減速懸念はあるものの、各メーカーによる設備投資は堅調に推移しました。一方、国内市場では半導体関連や自動車メーカー、またデータセンター関連の投資が継続しており、都市圏における再開発の需要も堅調に推移しました。 このような状況のもと、当社グループは中長期的な成長を目指し、以下の取り組みを推進しています。1つ目は、中期経営計画で環境システム事業の掲げる『業務の仕組みの改善と生産性向上』における取り組みとして、2024年度にプロダクトマネジメント部を設立し、フロントローディングによる現場業務プロセスの変革、BIM推進、人材育成、業務支援拡大を推進しています。大型プロジェクトの設計や施工の初期段階から作図や施工計画に積極的に関与し、高精度なBIMモデルを活用することで、施工手順やコスト、人員計画の事前検討、実際の施工プロセスへの反映、設備や仕様などの「もの決め」を前倒しで行っています。それらの取り組みは、現場での作業負担の軽減や積算の精度向上につながるだけでなく、機器の配置や経路の検討、さらにはユニット化、歩廊や架台の設計提案も可能となる利点があります。当社では、こうした上流工程での検討・調整に力点を置くことで全体の品質・効率を高めるフロントローディングの考え方に立って、プロジェクトの運営を行っています。プロダクトマネジメント部はスクラム型組織として、BIM・フロントローディング、業務支援などの多様なタスクに対し、関係部門が協力して迅速な対応と改善を行い、新しい業務フローを主導するとともに、新しいデジタル業務マインドを持った人材を育成していきます。 2つ目は、塗装システム事業の掲げる『国内外での確固たる地位の確立』における取り組みとして、当社は欧州市場における事業拡大を目的に、2024年6月、ドイツに「Taikisha Deutschland GmbH」を設立しました。世界の四輪市場はコロナ前の水準に回復し、今後も安定した需要が見込まれる中で、とりわけ欧州市場は、自動車産業の技術革新をけん引する重要な存在であることから、当社では戦略的に重要な市場と位置づけています。欧州は、自動車塗装の分野で世界トップシェアを持つ競合企業が本拠を構える市場です。こうしたフィールドにあって、当社は、主要自動車メーカーとのパートナーシップを強化するとともに、自動化技術を駆使し、塗装工場を一括で請け負えるサプライヤーとしての地位の確立を目指します。あわせて、省エネルギー技術や欧州規制に合致した環境負荷低減技術を活用し、カーボンニュートラルの実現に貢献するソリューションを提供してまいります。現在、欧州の自動車メーカーからの大型案件の受注に取り組んでおり、この工事への参画を通じて欧州メーカーの仕様やニーズへの理解を深め、他の自動車メーカーからの受注にもつなげていきたいと考えています。加えて、オートメーション事業の強化を図り、航空機業界など多様な業界へも展開していくことも視野に入れています。今後も現地の事情に精通したナショナルスタッフの活躍により、欧州市場でのプレゼンスを高め、顧客や社会の課題解決に貢献し続けるとともに、欧州市場での成長をさらに加速させてまいります。 このような状況のもと、当期における受注工事高は、国内は顧客の投資時期の見直しの影響を受け減少したものの、海外で増加し、2,774億3百万円(前期比5.3%増加)となり、うち海外の受注工事高は、1,401億43百万円(前期比21.7%増加)となりました。完成工事高は、前期の大型案件の剥落などにより、国内・海外ともに減少し、2,762億12百万円(前期比5.9%減少)となり、うち海外の完成工事高は、1,316億35百万円(前期比4.5%減少)となりました。利益面につきましては、完成工事総利益は450億5百万円(前期比16億93百万円増加)、営業利益は179億71百万円(前期比2億98百万円減少)、経常利益は199億38百万円(前期比85百万円増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は110億26百万円(前期比45億75百万円減少)となりました。 セグメントごとの業績(セグメント間の内部取引高を含む)は次のとおりであります。 環境システム事業受注工事高は、国内の産業空調分野で減少したものの、ビル空調分野および、中国やタイなどで増加し、前年を上回りました。完成工事高は、前期に国内の産業空調分野および台湾において、大型案件が大きく寄与したことの反動減等により、前期を下回りました。この結果、受注工事高は、1,791億97百万円(前期比4.2%増加)となりました。このうちビル空調分野は、537億95百万円(前期比48.6%増加)、産業空調分野は、1,254億2百万円(前期比7.6%減少)となりました。完成工事高は、1,694億43百万円(前期比21.7%減少)となりました。このうちビル空調分野は、368億39百万円(前期比9.6%減少)、産業空調分野は、1,326億3百万円(前期比24.6%減少)となりました。セグメント利益(経常利益)につきましては、152億99百万円(前期比17億28百万円減少)となりました。 塗装システム事業受注工事高は、インドや韓国などで増加し、前期を上回りました。完成工事高は、国内や北米などで増加し、前期を上回りました。この結果、受注工事高は、982億5百万円(前期比7.2%増加)となりました。完成工事高は、1,069億56百万円(前期比38.8%増加)となりました。セグメント利益(経常利益)につきましては、42億56百万円(前期比14億51百万円増加)となりました。 セグメントごとの受注工事高・完成工事高(セグメント間の内部取引高を含む)区分前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)(百万円)当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)(百万円)前期比(%)受注工事高 環境システム事業ビル空調36,20553,79548.6 産業空調135,697125,402△7.6 小計171,902179,1974.2 (うち海外)(45,909)(60,386)(31.5) 塗装システム事業 91,64698,2057.2 (うち海外) (69,232)(79,757)(15.2) 合計 263,549277,4035.3 (うち海外) (115,142)(140,143)(21.7)完成工事高 環境システム事業ビル空調40,75636,839△9.6 産業空調175,778132,603△24.6 小計216,535169,443△21.7 (うち海外)(74,041)(60,653)(△18.1) 塗装システム事業 77,041106,95638.8 (うち海外) (63,771)(71,168)(11.6) 合計 293,577276,399△5.9 (うち海外) (137,812)(131,822)(△4.3) 生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。 当社グループが営んでいる事業の大部分を占める設備工事業では生産実績を定義することが困難であり、設備工事業においては請負形態をとっているため販売実績という定義は実態にそぐいません。よって、受注及び売上の状況については「セグメントごとの業績」において報告セグメントの種類に関連付けて記載しております。 なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりであります。設備工事業における受注工事高及び完成工事高の状況① 受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高期別区分前期繰越工事高(百万円)当期受注工事高(百万円)計(百万円)当期完成工事高(百万円)次期繰越工事高(百万円)前事業年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)環境システム事業ビル空調42,59429,93372,52837,32135,207産業空調74,19390,040164,234101,87162,362小計116,788119,973236,762139,19297,569塗装システム事業32,95725,71058,66819,36039,307合計149,746145,684295,430158,553136,877(うち海外)(7,423)(5,619)(13,042)(8,203)(4,838)当事業年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)環境システム事業ビル空調35,20751,30886,51533,61952,895産業空調62,36264,763127,12672,19854,927小計97,569116,072213,641105,818107,823塗装システム事業39,30727,06666,37438,80627,567合計136,877143,138280,016144,624135,391(うち海外)(4,838)(10,977)(15,816)(5,612)(10,203) (注) 1 前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含んでおります。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれております。2 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)であります。3 当期受注工事高のうち海外工事の割合は、前事業年度は3.9%、当事業年度は7.7%であります。4 前事業年度及び当事業年度における海外受注工事高はそれぞれ当期受注工事高の10%を超えていないため、主要な海外受注工事についての記載を省略しております。 ② 受注工事高の受注方法別比率工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。期別区分特命(%)競争(%)計(%)前事業年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)環境システム事業ビル空調11.09.520.5産業空調50.011.861.8小計61.021.382.3塗装システム事業5.911.817.7合計66.933.1100.0(うち海外)(2.5)(1.4)(3.9)当事業年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)環境システム事業ビル空調25.610.335.9産業空調33.411.845.2小計59.022.181.1塗装システム事業8.510.418.9合計67.532.5100.0(うち海外)(5.7)(2.0)(7.7) (注) 百分比は請負金額比であります。 ③ 完成工事高期別区分国内海外合計(B)(百万円)官公庁(百万円)民間(百万円)(A)(百万円)(A)/(B)(%)前事業年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)環境システム事業ビル空調6,42130,899--37,321産業空調661100,7025080.5101,871小計7,083131,6015080.4139,192塗装システム事業-11,6657,69539.719,360合計7,083143,2668,2035.2158,553当事業年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)環境システム事業ビル空調3,86929,750--33,619産業空調1171,3688181.172,198小計3,881101,1188180.8105,818塗装システム事業-34,0124,79412.438,806合計3,881135,1305,6123.9144,624 (注) 1 海外工事の地域別割合は、次のとおりであります。地域前事業年度(%)当事業年度(%)北米0.711.2東南アジア44.521.7東アジア20.515.8南アジア27.729.1その他6.622.2計100.0100.0 2 完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。 前事業年度 請負金額50億円以上の主なものJapan Advanced Semiconductor Manufacturing㈱F23P1 Cleanroom package東和薬品㈱山形工場第三期建設工事(空調・衛生設備工事)鹿島建設㈱500 CUP棟1階2階空調設備工事Japan Advanced Semiconductor Manufacturing㈱F23P1 AAS package 当事業年度 請負金額20億円以上の主なもの鹿島建設㈱仙台小林製薬医薬品新工場建設工事大林・錢高・岩田地崎建設共同企業体(仮称)赤坂二丁目計画 (現 赤坂グリーンクロス)大成建設㈱(仮称)赤坂二丁目プロジェクト新築工事 (現 赤坂トラストタワー)大成建設㈱住不六本木7丁目計画新築工事 空調・衛生 (現 住友不動産六本木セントラルタワー) 3 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。 前事業年度Japan Advanced Semiconductor Manufacturing㈱29,232百万円18.4% 当事業年度㈱大林組23,972百万円16.6% ④ 手持工事高 (2025年3月31日現在)区分国内海外合計(B)(百万円)官公庁(百万円)民間(百万円)(A)(百万円)(A)/(B)(%)環境システム事業ビル空調3,55849,337--52,895産業空調-54,8201070.254,927小計3,558104,1571070.1107,823塗装システム事業-17,47110,09636.627,567合計3,558121,62910,2037.5135,391 (注) 手持工事のうち請負金額55億円以上の主なものは、次のとおりであります。スズキ㈱湖西新塗装工場 塗装設備設置工事2025年7月完成予定新光電気工業㈱新光電気工業㈱ 新井工場 新棟建設工事(空調生産衛生設備)2025年10月完成予定日産自動車㈱追浜)塗装工場 塗装ブース設置工事2025年11月完成予定㈱福井村田製作所越前たけふ駅前 研究開発センター新築2026年1月完成予定 (3) 財政状態(資産)当連結会計年度末の流動資産は前連結会計年度末に比べ3.7%増加し、2,109億35百万円となりました。これは、受取手形・完成工事未収入金等が265億42百万円増加し、有価証券が90億円、現金預金が79億6百万円それぞれ減少したことなどによります。当連結会計年度末の固定資産は前連結会計年度末に比べ8.9%減少し、575億13百万円となりました。これは、建物・構築物が41億93百万円増加し、投資有価証券が45億55百万円、のれんが28億13百万円それぞれ減少したことなどによります。この結果、当連結会計年度末の資産合計は前連結会計年度末に比べ0.7%増加し、2,684億48百万円となりました。 セグメントごとの資産は次のとおりであります。(環境システム事業)当連結会計年度末の流動資産は前連結会計年度末に比べ1.3%減少し、1,044億6百万円となりました。これは未成工事支出金が9億30百万円減少したことなどによります。当連結会計年度末の固定資産は前連結会計年度末に比べ18.1%減少し、305億37百万円となりました。これはのれんが28億19百万円、投資有価証券が48億12百万円それぞれ減少したことなどによります。その結果、当連結会計年度末の資産合計は前連結会計年度末に比べ5.7%減少し、1,349億43百万円となりました。 (塗装システム事業)当連結会計年度末の流動資産は前連結会計年度末に比べ47.5%増加し、867億72百万円となりました。これは受取手形・完成工事未収入金等が262億37百万円、現金預金が18億17百万円それぞれ増加したことなどによります。当連結会計年度末の固定資産は前連結会計年度末に比べ6.3%増加し、113億14百万円となりました。これは機械、運搬具及び工具器具備品が4億34百万円増加したことなどによります。その結果、当連結会計年度末の資産合計は前連結会計年度末に比べ41.2%増加し、980億86百万円となりました。 (負債)当連結会計年度末の流動負債は前連結会計年度末に比べ2.4%減少し、1,010億30百万円となりました。これは、短期借入金が94億52百万円、未成工事受入金が57億69百万円それぞれ増加し、支払手形・工事未払金等が152億77百万円、未払法人税等が25億80百万円それぞれ減少したことなどによります。当連結会計年度末の固定負債は前連結会計年度末に比べ4.3%減少し、109億31百万円となりました。これは、繰延税金負債が7億46百万円減少したことなどによります。この結果、当連結会計年度末の負債合計は前連結会計年度末に比べ2.6%減少し、1,119億62百万円となりました。(純資産)当連結会計年度末の純資産合計は前連結会計年度末に比べ3.2%増加し、1,564億86百万円となりました。これは、利益剰余金が64億1百万円、為替換算調整勘定が26億26百万円それぞれ増加し、その他有価証券評価差額金が26億84百万円、自己株式の取得及び処分により20億円それぞれ減少したことなどによります。 (4) キャッシュ・フロー当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ212億52百万円減少し、420億13百万円(前期末は632億65百万円)となりました。(営業活動によるキャッシュ・フローの状況)営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上などにより増加したものの、売上債権の増加や仕入債務の減少などにより、212億19百万円の資金減少(前期は207億38百万円の資金増加)となりました。(投資活動によるキャッシュ・フローの状況)投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入や定期預金の払戻による収入などにより増加したものの、定期預金の預入による支出や有形及び無形固定資産の取得による支出などにより、49億82百万円の資金減少(前期は21億48百万円の資金増加)となりました。(財務活動によるキャッシュ・フローの状況)財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額や自己株式の純増減額などにより減少したものの、短期借入金の純増額などにより、19億7百万円の資金増加(前期は55億45百万円の資金減少)となりました。 (資本の財源及び資金の流動性)① 資金需要設備工事等のための材料費、労務費、外注費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに業務改革、技術開発、情報化投資、海外拠点の拡充など当社グループの市場競争力強化のための投資等に資金を充当しております。② 資金の源泉主として営業活動により稼得した資金のほか、金融機関等からの借り入れにより、必要資金を調達しております。また、運転資金の効率的な調達を行うため、主要取引銀行と貸出コミットメント契約を締結しております。 (5) 為替相場の変動による財政状態及び経営成績の変動状況連結財務諸表を作成するにあたり、在外連結子会社の財務諸表を換算しているため、為替相場の変動により、総資産、キャッシュ・フロー、完成工事高及び経常利益に影響を受けております。主に米ドル、タイバーツ、中国元、インドルピー及びフィリピンペソの為替の変動が大きく影響しております。 第76期第77期第78期第79期第80期2021年3月2022年3月2023年3月2024年3月2025年3月総資産のうち「為替換算調整勘定」(百万円)△2372,0174,7797,75710,383キャッシュ・フローにおける「現金及び現金同等物に係る換算差額」(百万円)△7991,7371,9191,9773,042 主な在外連結子会社における完成工事高及び経常利益に与える為替変動による影響 第79期第80期増減為替変動による影響A×B(百万円)2024年3月2025年3月TaikishaUSA, Inc. *1完成工事高外貨ベース(米ドル 千)147,180A218,182B10.922,382換算レート(円)*3140.55 151.47円貨ベース(百万円)20,686 33,048経常利益外貨ベース(米ドル 千)7,100A△636B10.92△6換算レート(円)*3140.55 151.47円貨ベース(百万円)997 △96Taikisha(Thailand)Co., Ltd. *2完成工事高外貨ベース(タイバーツ 百万)5,144A4,490B0.271,212換算レート(円)*34.04 4.31円貨ベース(百万円)20,782 19,355経常利益外貨ベース(タイバーツ 百万)200A414B0.27111換算レート(円)*34.04 4.31円貨ベース(百万円)808 1,787五洲大気社工程有限公司 完成工事高外貨ベース(中国元 百万)1,210A799B1.23983換算レート(円)*319.81 21.04円貨ベース(百万円)23,976 16,831経常利益外貨ベース(中国元 百万)108A92B1.23113換算レート(円)*319.81 21.04円貨ベース(百万円)2,157 1,938TaikishaEngineeringIndia PrivateLtd.完成工事高外貨ベース(インドルピー 百万)6,660A7,206B0.06432換算レート(円)*31.75 1.81円貨ベース(百万円)11,655 13,042経常利益外貨ベース(インドルピー 百万)401A504B0.0630換算レート(円)*31.75 1.81円貨ベース(百万円)702 913Taikisha Philippines Inc.完成工事高外貨ベース(フィリピンペソ 百万)4,754A4,454B0.12534換算レート(円)*32.52 2.64円貨ベース(百万円)11,980 11,760経常利益外貨ベース(フィリピンペソ 百万)457A493B0.1259換算レート(円)*32.52 2.64円貨ベース(百万円)1,153 1,303 (注) *1 子会社3社を含んだ連結数値*2 子会社5社を含んだ連結数値*3 換算レートは第79期及び第80期における期中平均レート
事業リスク
- 民間設備投資の変動リスク: 企業の設備投資の動向は、大氣社グループの受注や売上、利益に大きな影響を与えます。特に、海外における日系企業の投資減少や、国内自動車メーカーの生産縮小、世界的な自動車販売の低迷は、塗装システム事業の受注減少に直結する可能性があります。また、自動車業界のカーボンニュートラルへの移行に対応できない場合、顧客離れを招くリスクがあります。
- 大規模自然災害・感染症のリスク: 地震、津波、風水害などの自然災害や、感染症の世界的流行は、事業を展開する地域に甚大な被害をもたらし、直接的な物的・人的損害だけでなく、顧客の事業活動や経済情勢全体に悪影響を及ぼす可能性があります。これにより、同社グループの経営成績に長期的な影響が出るリスクがあります。
- 海外事業における固有リスク: 海外での事業展開は、予期せぬ法規制の変更、政情不安、為替変動、顧客の倒産による債権回収不能など、様々なリスクを伴います。これらのリスクが顕在化した場合、海外関係会社の業績悪化や連結財務諸表への悪影響を通じて、グループ全体の経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 民間設備投資の変動のリスク当社グループの事業においては、受注環境の変化が、売上、利益に大きく影響を与える可能性があります。環境システム事業では、海外における日系企業の投資の減少、塗装システム事業では、国内自動車メーカーの国内生産縮小の継続や世界的な自動車販売の低迷による設備投資の減少により、受注工事高が減少し、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また、自動車メーカー各社のカーボンニュートラル実現に向けた生産設備の変化への対応が遅れると、顧客離れを招き、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。これに対し環境システム事業では、海外において、現地系企業への営業体制の強化、国内営業と連携した日系メーカーへの受注活動の推進を行ってまいります。また、塗装システム事業では、カーボンニュートラル実現に向けた顧客の生産設備に変化をもたらす当社の技術開発を加速するとともに、自動化技術を軸に、従来からの四輪・二輪車市場に加え、他の産業への参入を推し進め、オートメーション事業の拡大を目指してまいります。 (2) 大規模自然災害に係るリスク当社グループが事業を展開する地域において、地震、津波、風水害等の自然災害や、感染症等の世界的流行が発生したことで損失が発生し、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。なお、大規模・広域な自然災害の発生にあっては、当社グループの直接的な物的・人的被害のみならず、顧客の事業活動、ひいては経済情勢にまで影響が及び、その影響が長期化することによって、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。これに対し国内外の不測の災害や事故、事件などの発生に備え、危機管理の基本方針を定め、危機管理体制を構築しています。危機が発生した場合、人命や事業継続に対する影響度に応じて対応レベルを3段階に区分し、それぞれのレベルに対応した危機対策を実施することを定めています。 (3) 海外事業及び海外関係会社の管理・統制に関するリスク海外各地において展開している事業については、予期しない法規制の改正、政情不安等が業績に影響を及ぼす可能性があります。外貨建工事契約に係る請負代金の入金及び発注代金の支払いについて為替変動による損失発生の可能性があります。さらに、連結財務諸表作成にあたっては海外関係会社の財務諸表を換算するため、為替相場の変動により当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また、客先の倒産による債権の貸し倒れ、事前に想定できなかった問題の発生やこれらのリスクに対処できないことなどにより、海外関係会社の事業計画が達成できず業績が悪化し、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。これに対し海外進出先の政治・経済や法令の動向について情報収集を行い、カントリーリスク・海外の法規制リスクの抑制に努めます。外貨建工事契約に係る請負代金の入金及び発注代金の支払いから発生する為替リスクについては、先物為替予約等のヘッジを実施し、債権の未回収リスクについては、受注前審査による与信管理を強化するなど、可能な限りリスクの回避をしております。また、引き続き海外関係会社のガバナンス体制の高度化を進めてまいります。 (4) 技術開発に係るリスクカーボンニュートラル、省エネルギー、環境対策の改善・向上、オートメーション化等、顧客からの高まるニーズに対応したシステムの開発が遅れた場合、他社との技術的な差別化が図れず、受注機会損失や顧客からの信頼度や企業評価の低下などにより、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、カーボンニュートラルの実現に向けた脱炭素ビジネスへの取組としての環境負荷低減技術、当社の強みとなる技術である自動化技術の開発・実証を進め、社会的課題の解決を目指してまいります。そのために、技術開発センターや新宿本社のR&Dサテライト施設「TAIKISHA INNOVATION GATE Shinjuku」を活用し、コミュニケーションの幅を広げ、社内外のソリューションの融合やイノベーションの発掘につなげていくとともに、デジタル技術を活用し、当社グループの横断的な活動の強化や学術機関・スタートアップ企業との融合による革新的技術開発の推進により、社会のニーズを先取りしたテーマに取り組んでまいります。 (5) プロジェクトの遂行における人材に係るリスク当社グループの事業分野である、建設業・設備工事業は、人材に大きく依存しております。国内においては、高齢化の進展や技術者育成の遅れにより、スキル・経験を有する技術者・技能者の数や質の低下が懸念されることに加えて、2024年4月から建設業においても時間外労働の上限規制が適用されたことに伴い、技術社員の総労働時間が減少し、中長期計画を達成するための設計・施工体制が構築できない場合、業績への影響が発生する可能性があります。また、海外においても、現地従業員の育成の遅れや離職により、現地化推進を担う中核人材が確保できず、長期的な海外事業展開に影響が発生する可能性があります。これに対し協力会社との連携を強化するとともに、従前より行っているモジュール化の更なる推進や現場業務のフロントローディングの推進による現場作業の省力化と業務負荷平準化を進めてまいります。社内においては、研修を通じた基礎技術力の向上と現場における実践教育により、社員の技術力アップを図り、人材の育成を進めてまいります。また、デジタル技術を活用し、生産性を高めることにより、働き方改革を進め、魅力ある職場づくりを行い、人材確保に努めます。また、海外においても、グローバル人事制度の導入により、中核人材の確保と育成に努め、現地化を進めてまいります。なお、社員の健全な心と体の維持・増進のため、2020年に「健康経営宣言」を発表し、代表取締役社長を健康管理責任者とした健康経営推進体制を明示し、様々な社員の健康施策の立案・実施とともに、その施策効果の検証と継続的な改善を行ってまいります。 (6) 法令順守に係るリスク当社グループの事業分野は、建設業法、独占禁止法、労働基準法をはじめ、多くの法的規制を受けており、当社グループ役員または従業員が法令に違反する行為を行った場合には、当社グループの事業活動が制限され、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。これに対し法令順守の維持・意識の向上を図るため、eラーニングなどによるコンプライアンス教育プログラムの継続的な実施とフォローを行い、また、コンプライアンス意識調査を実施し、コンプライアンス活動の有効性の検証と改善プロセスへの反映により、ルール違反を起こさない風土・仕組みづくりを行っていきます。 (7) 重大事故や品質不具合による契約不適合等のリスク施工プロセスにおける事故、品質不具合等の契約不適合が発生した場合、社会的信用の失墜、及び顧客からの訴訟も含めた損害賠償請求等により業績面の影響が発生する可能性があります。請負工事については、顧客との間の工事請負契約に基づき、竣工後一定期間、契約不適合責任を負っており、この契約不適合責任に伴って発生する費用について、過去の実績に基づき完成工事補償引当金を計上しておりますが、当該費用が引当金残高を上回って発生することで、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。これに対し当社グループは、安全関係のICT・デジタル技術の活用や工場加工品比率の向上を通じて現場作業を削減し、安全と品質に関わる施工リスクの低減を図るとともに、協力会社への作業手順の共有と指導を徹底し、社員・サプライヤーの教育水準を高めることで、安全意識と品質のさらなる向上、安全管理体制の強化に努め、建設現場における安全衛生管理に万全の対策を講じています。また、施工管理システムの見直しや施工管理のデジタル化、品質に関する情報共有、不具合の未然防止策の検討などを行う技術本部の新設によりグループ全体で安全、技術品質の確保をするための体制と活動を強化してまいります。なお、万一、訴訟等が提起された場合に備え、弁護士と連携し、訴訟等に適切に対応する体制を整備しております。 (8) 資材価格及び労務単価の変動リスク燃料高騰などの影響による建設資材の調達価格の高騰や少子高齢化・担い手不足により労務単価が高騰し、これを請負金額に反映させることが困難な場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。これに対し受注時の地域別適正原価の把握や、契約における物価変動リスクのヘッジなどを通じ、資材価格及び労務単価の変動リスクの抑制に努めております。 (9) 機密情報漏洩に係るリスク年々、高度化、多様化、巧妙化するサイバー攻撃や、従業員の不正による故意のデータ持出し等により、個人情報や顧客情報等の機密情報が漏洩した場合、信用の失墜や損害賠償などにより、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、当社グループのITセキュリティ診断結果を基にリスク軽減施策のロードマップを策定し、対策を実施しております。また、今後デジタル技術の活動を展開していく上で、データプラットフォームの連携などにより機密情報の漏洩リスクがさらに高まっていくことから、デジタル戦略委員会にITガバナンス・情報セキュリティ分科会を発足し施策を推進してまいります。また当社ではITインシデント発生時の対応体制(大気社版CSIRT)を構築し、全社員を対象としたITセキュリティのeラーニングや標的型攻撃メール訓練など社員教育を進め、機密情報の外部への流出防止に努めております。 (10) 気候変動に係るリスク今後、脱炭素社会へ移行していく中で、政策、法律、技術、市場が変化し、企業の財務やレピュテーションに様々な影響を及ぼす可能性があります。当社グループにおいても、顧客の気候変動対応の動きにうまく適応できないことによる顧客離れ、カーボンニュートラル対応技術開発の遅れによる競争力の低下、炭素税導入によるコスト増加、また、平均気温上昇による労働生産性の低下や猛暑日の増加による施工中止など、これらの移行・物理リスクが当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、設備の小型化、省エネ化など低炭素な施工技術・システムの開発、工場のZEB化など省エネ設備の施工拡大、施工における機械化・自動化の推進などに取り組んでまいります。 (11) 人権に係るリスク当社グループの事業活動により人権への負の影響を引き起こした場合、もしくはそれを助長するような事態が生じた場合には、是正や救済の対応に関する追加的な費用の発生、社会的信用の低下を起因とした事業活動の停滞などにより、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、グローバルに事業を展開する企業として人権尊重を最も重要な事項の一つとして認識しており、当社グループの事業活動における人権に関する規範として「大気社グループ人権方針」を定めています。同方針のもと、ガバナンスの順守、サプライチェーン全体を対象とした人権デュー・ディリジェンスの実施、役員・社員に対する教育・啓発活動など、人権尊重に向けた取組を推進し、人権リスクの低減や防止に努めております。