1861

熊谷組(1861)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

建設業 建設・資材

事業の概要

  • 主力事業
    建設事業を中核とし、連結子会社が建設用資機材の製造販売も手掛けています。
  • 周辺事業
    保険事業や事務代行、建設技術商品の提供なども行い、多角的な収益源を確保しています。
  • 事業構造
    熊谷組本体と子会社が連携し、建設関連の幅広いサービスを提供しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 土木事業
    売上1051.07億円、営業利益69.4億円で、主にインフラ関連の建設工事を手掛けています。
  • 建築事業
    売上2671.85億円、営業利益8.46億円で、建物建設が中心の主力事業です。
  • 子会社等事業
    売上1262.88億円、営業利益64.8億円で、建設周辺事業や資機材販売などが含まれます。
2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
CivilEngineeringWorks 事業 1,051 69 6.6%
BuildingConstructionWorks 事業 2,672 8 0.3%
Subsidiaries 事業 1,263 65 5.1%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2025|362 文字
3【事業の内容】 当社グループは、建設事業及びその周辺関連事業を主たる事業としている。事業の内容及び当該事業に係わる位置づけは次のとおりである。 なお、以下は主要な事業の内容により区分しており、セグメント情報におけるセグメント区分と同一ではない。 建設事業     当社及び連結子会社である㈱ガイアート、関連会社である笹島建設㈱他が建設事業を営んでいる。  また、連結子会社であるテクノス㈱は建設事業のほか、建設用資機材の製造販売等を行っている。 その他の事業   連結子会社である㈱テクニカルサポートは保険事業及び事務代行事業を営んでおり、当社は事務業務の一部を委託している。  また、連結子会社である㈱ファテックは建設技術商品の提供事業を営んでおり、当社はその一部の提供を受けている。  事業の系統図は次のとおりである。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
建設資材市況や労務単価が高騰した場合、民間工事では追加コストを回収できない可能性があるため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
建設技術者の減少、特定資格の保有が求められること、多様な施工経験の必要性。
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 中程度
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか シクリカル
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:建設投資の動向 / 建設資材市況及び労務単価の変動 / 建設技能労働者の不足
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 9 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

熊谷組は建設業であり、強力なブランドや特許などの無形資産による競争優位性は限定的。技術力やノウハウは存在するが、模倣が比較的容易な側面もある。

スイッチングコスト★★☆☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

建設プロジェクトにおいては、発注者とゼネコン間の信頼関係や過去の実績が重要視される。一度取引が始まると、乗り換えにはコストやリスクが伴うため、一定のスイッチングコストが存在する。

ネットワーク効果★☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

建設業においては、サプライヤーや協力会社とのネットワークは重要だが、それが直接的な競争優位性につながるほどの強力なネットワーク効果は限定的。特定の地域や分野での強みはあり得る。

コスト優位★★☆☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

建設業は規模の経済が働きやすいが、熊谷組の規模は大手総合建設業と比較すると中堅クラス。資材調達や建設技術における効率化はコスト優位性に寄与する可能性があるが、圧倒的ではない。

規模の経済★★★☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

売上高は4000億円台後半であり、一定の規模を持つ。大規模プロジェクトの遂行能力や、複数のプロジェクトを同時に管理する能力は、規模の経済による優位性を示唆する。しかし、業界トップクラスではない。

  • 安定施工体制
    専門工事会社との協力体制「熊栄協力会」により、安定した施工能力を確保しています。
  • 技術者育成
    多様な施工経験の計画的付与や社内研修で、技術者の専門知識と資格取得を支援しています。
  • 海外展開
    ODAや日系企業案件に限定し、政治・経済リスクを抑えつつアジアで建設事業を展開しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりである。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。(1) 経営方針 熊谷組グループビジョンのもと持続的成長と企業価値向上を目指し、2024年5月に前「中期経営計画(2021~2023年度)」において掲げた「長期構想」を踏襲した『熊谷組グループ 中期経営計画(2024~2026年度)~持続的成長への新たな挑戦~』を策定した。「社会から求められる建設サービス業の担い手」という役割のもと、時代を問わず社会課題と真摯に向き合い、目指す社会の実現を図っていく。 ■熊谷組グループビジョン〈熊谷組グループが目指す企業像〉 「高める、つくる、そして、支える。」 独自の現場力(優れた技術力を豊かな人間力で活かす現場力)を高め、独自の価値であるしあわせ品質(建造物の外形的・機能的な品質に加え、そこに集う人、そこを使う人が満足し続けられる品質)をつくり、時代を超えてお客様と社会を支え続ける。 ■長期構想〈2030年以降を見据えた経営方針〉 社会から求められる建設サービス業の担い手として、限りある資源が循環し、ひと・社会・自然が豊かであり続ける社会の実現に貢献する。 ■中期経営計画〈2024~2026年度の方針・戦略・目標〉 「持続的成長への新たな挑戦」をスローガンとして掲げ、これまでの取組みを継続させ「稼ぐ力」「選ばれる力」を徹底的に強化するとともに、周辺事業を加速させ、両利きの経営を目指す。 (2) 経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 我が国経済は、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が引き続き景気回復を支えることが期待される。しかし、米国の通商政策の影響による対米輸出依存度の高い地域における景気の下振れリスクや、ウクライナ情勢や中東地域情勢などの地政学的リスクが存在する。加えて、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響なども、我が国の景気を下押しするリスクとなっている。なお、これらに端を発する金融資本市場の変動等の影響に一層注意する必要がある。 建設業界においては、民間企業の建設投資は、企業収益の改善等を背景に、増加基調が持続すると思われる。また、公共投資については、2025年度予算は前年度とほぼ同水準が確保され、自然災害の激甚化・頻発化に関する防災・減災、国土強靭化に関連する公共投資や老朽化した社会インフラの更新などの計画的な公共投資など、引き続き堅調に底堅く推移すると予想される。一方で、労働力不足が年々深刻化するなかでの労働時間規制への対応や、建設現場の安全管理の強化が求められており、また、環境に配慮した持続可能な工法や資材調達及びDXの推進など、業界全体での連携や技術革新が求められている。 なお、今般の米国の関税措置による当社グループの事業及び業績への影響については、米国との輸出入取引がないため、直接的な影響はない。間接的な影響としては、米国への輸出高が多い自動車、自動車部品、半導体製造装置等のメーカーの国内における設備投資が手控えられ、生産分野の受注高が減少することが考えられる。ただし一方で、第一次トランプ政権時から始まっていた米国と中国の関税対立を嫌った生産拠点の国内回帰の動きがさらに強まる可能性もあり、国内建設市場への影響は、現時点では予測困難な状況である。建設コスト面では、一部輸入資機材の価格上昇リスクはあるが、輸入先はアジア圏が中心であり、影響は軽微と判断している。また米国で展開している不動産投資については、市況の低迷等がリスクとなるが、現在の投資額から大きな影響はないものと考えている。何れにしても引き続き米国の関税措置による事業環境の変化を注視していく。 (3) 経営戦略 当社グループは2024年度を初年度とする「中期経営計画(2024~2026年度)」を策定した。今般策定した計画は、前「中期経営計画(2021~2023年度)」において掲げた「長期構想」を踏襲し、当社グループが目指す「限りある資源が循環し、ひと・社会・自然が豊かであり続ける社会」の実現に向けた取組みを示しており、「目指す将来の姿」として掲げていた2030年度の“連結経常利益500億円”を、改めて2035年度の長期構想上の目標とした。また、本計画のスローガンとして「持続的成長への新たな挑戦」を掲げ、①建設事業の強化、②周辺事業の加速、③経営基盤の充実を基本方針として、計画期間中の“連結経常利益300億円”を数値目標と定めた。 (4) ESG課題への取組み 熊谷組グループビジョンのもと事業活動を通じて社会課題解決に貢献するとともに持続的成長による企業価値向上を目指していくため、2019年4月に「ESG取組方針」を策定し、CO2排出抑制、再生可能エネルギー事業、都市再生事業、人財育成、ステークホルダーとの関係強化などに全社を挙げて取り組んでいる。 なお、2024年5月に重要課題(マテリアリティ)の改定と個別課題の見直しを行った。 「ESG取組方針」 ■当社は、環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)の視点から解決すべき重要課題(マテリアリティ)を特定し、持続可能な事業活動を追求していく。  ■当社は、グループが保有する技術・経験・ノウハウを活用して新たな価値を創造し、SDGsに代表される社会課題の解決に貢献する事業活動を展開していく。  ■当社は、事業活動を通じてステークホルダーとのコミュニケーションによる信頼関係の構築に努め、企業価値の向上を目指していく。  「ESG取組方針」のもと、持続可能な社会の形成と自らの持続的な成長のため、ステークホルダーにとって重要と考えられる課題をESG視点で特定し、事業活動を通して社会課題の解決(社会価値)と事業収益の拡大(経済価値)の双方を追求する。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりである。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。(1) 経営方針 熊谷組グループビジョンのもと持続的成長と企業価値向上を目指し、2024年5月に前「中期経営計画(2021~2023年度)」において掲げた「長期構想」を踏襲した『熊谷組グループ 中期経営計画(2024~2026年度)~持続的成長への新たな挑戦~』を策定した。「社会から求められる建設サービス業の担い手」という役割のもと、時代を問わず社会課題と真摯に向き合い、目指す社会の実現を図っていく。 ■熊谷組グループビジョン〈熊谷組グループが目指す企業像〉 「高める、つくる、そして、支える。」 独自の現場力(優れた技術力を豊かな人間力で活かす現場力)を高め、独自の価値であるしあわせ品質(建造物の外形的・機能的な品質に加え、そこに集う人、そこを使う人が満足し続けられる品質)をつくり、時代を超えてお客様と社会を支え続ける。 ■長期構想〈2030年以降を見据えた経営方針〉 社会から求められる建設サービス業の担い手として、限りある資源が循環し、ひと・社会・自然が豊かであり続ける社会の実現に貢献する。 ■中期経営計画〈2024~2026年度の方針・戦略・目標〉 「持続的成長への新たな挑戦」をスローガンとして掲げ、これまでの取組みを継続させ「稼ぐ力」「選ばれる力」を徹底的に強化するとともに、周辺事業を加速させ、両利きの経営を目指す。 (2) 経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 我が国経済は、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が引き続き景気回復を支えることが期待される。しかし、米国の通商政策の影響による対米輸出依存度の高い地域における景気の下振れリスクや、ウクライナ情勢や中東地域情勢などの地政学的リスクが存在する。加えて、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響なども、我が国の景気を下押しするリスクとなっている。なお、これらに端を発する金融資本市場の変動等の影響に一層注意する必要がある。 建設業界においては、民間企業の建設投資は、企業収益の改善等を背景に、増加基調が持続すると思われる。また、公共投資については、2025年度予算は前年度とほぼ同水準が確保され、自然災害の激甚化・頻発化に関する防災・減災、国土強靭化に関連する公共投資や老朽化した社会インフラの更新などの計画的な公共投資など、引き続き堅調に底堅く推移すると予想される。一方で、労働力不足が年々深刻化するなかでの労働時間規制への対応や、建設現場の安全管理の強化が求められており、また、環境に配慮した持続可能な工法や資材調達及びDXの推進など、業界全体での連携や技術革新が求められている。 なお、今般の米国の関税措置による当社グループの事業及び業績への影響については、米国との輸出入取引がないため、直接的な影響はない。間接的な影響としては、米国への輸出高が多い自動車、自動車部品、半導体製造装置等のメーカーの国内における設備投資が手控えられ、生産分野の受注高が減少することが考えられる。ただし一方で、第一次トランプ政権時から始まっていた米国と中国の関税対立を嫌った生産拠点の国内回帰の動きがさらに強まる可能性もあり、国内建設市場への影響は、現時点では予測困難な状況である。建設コスト面では、一部輸入資機材の価格上昇リスクはあるが、輸入先はアジア圏が中心であり、影響は軽微と判断している。また米国で展開している不動産投資については、市況の低迷等がリスクとなるが、現在の投資額から大きな影響はないものと考えている。何れにしても引き続き米国の関税措置による事業環境の変化を注視していく。 (3) 経営戦略 当社グループは2024年度を初年度とする「中期経営計画(2024~2026年度)」を策定した。今般策定した計画は、前「中期経営計画(2021~2023年度)」において掲げた「長期構想」を踏襲し、当社グループが目指す「限りある資源が循環し、ひと・社会・自然が豊かであり続ける社会」の実現に向けた取組みを示しており、「目指す将来の姿」として掲げていた2030年度の“連結経常利益500億円”を、改めて2035年度の長期構想上の目標とした。また、本計画のスローガンとして「持続的成長への新たな挑戦」を掲げ、①建設事業の強化、②周辺事業の加速、③経営基盤の充実を基本方針として、計画期間中の“連結経常利益300億円”を数値目標と定めた。 (4) ESG課題への取組み 熊谷組グループビジョンのもと事業活動を通じて社会課題解決に貢献するとともに持続的成長による企業価値向上を目指していくため、2019年4月に「ESG取組方針」を策定し、CO2排出抑制、再生可能エネルギー事業、都市再生事業、人財育成、ステークホルダーとの関係強化などに全社を挙げて取り組んでいる。 なお、2024年5月に重要課題(マテリアリティ)の改定と個別課題の見直しを行った。 「ESG取組方針」 ■当社は、環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)の視点から解決すべき重要課題(マテリアリティ)を特定し、持続可能な事業活動を追求していく。  ■当社は、グループが保有する技術・経験・ノウハウを活用して新たな価値を創造し、SDGsに代表される社会課題の解決に貢献する事業活動を展開していく。  ■当社は、事業活動を通じてステークホルダーとのコミュニケーションによる信頼関係の構築に努め、企業価値の向上を目指していく。  「ESG取組方針」のもと、持続可能な社会の形成と自らの持続的な成長のため、ステークホルダーにとって重要と考えられる課題をESG視点で特定し、事業活動を通して社会課題の解決(社会価値)と事業収益の拡大(経済価値)の双方を追求する。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。① 財政状態及び経営成績の状況  当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境や企業収益の改善が進むなか、個人消費は、物価上昇の影響はあるものの持ち直しの動きがみられ、設備投資もソフトウェア投資を中心に堅調に推移するなど、景気は緩やかながら回復基調を維持した。  建設業界においては、住宅投資は横ばいとなったものの、民間企業の建設投資は企業収益や業況感の改善が続くなかで、引き続き増加した。また、公共投資も関連予算の執行により底堅く推移しており、総じて良好な受注環境が持続した。しかし、資材費や労務費の高止まりがみられ、採算面では一部に厳しさが残った。  このような経営環境のもと、当社グループは2024年5月に策定した①建設事業の強化、②周辺事業の加速、③経営基盤の充実を基本方針とする『熊谷組グループ 中期経営計画(2024~2026年度)~持続的成長への新たな挑戦~』にグループ一丸となって取り組み、持続的成長への挑戦を続けているところである。  この結果、当社グループの当連結会計年度における財政状態及び経営成績は以下のとおりとなった。a 財政状態・資産 総資産は、前連結会計年度末に比べ46億円(1.0%)減少し、4,625億円となった。 流動資産は、前連結会計年度末に比べ120億円(3.3%)減少し、3,574億円となった。コマーシャル・ペーパーの償還及び配当金の支払等により、現金預金が199億円減少している。 固定資産は、前連結会計年度末に比べ73億円(7.5%)増加し、1,051億円となった。関係会社等への貸付により、長期貸付金が24億円増加している。・負債 負債は、前連結会計年度末に比べ65億円(2.3%)減少し、2,807億円となった。 流動負債は、前連結会計年度末に比べ140億円(5.8%)減少し、2,293億円となった。コマーシャル・ペーパーが149億円、短期借入金が27億円減少している。 固定負債は、前連結会計年度末に比べ75億円(17.2%)増加し、513億円となった。長期借入金が75億円増加している。・純資産 純資産は、前連結会計年度末に比べ18億円(1.0%)増加し、1,818億円となった。利益剰余金は、配当により56億円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益93億円の計上により37億円増加している。なお、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ0.8ポイント向上し、39.3%となっている。 b 経営成績・売上高(完成工事高) 売上高は、増加していた期首手持ち工事の消化が進み、前連結会計年度に比べ553億円(12.5%)増加し、4,985億円となった。 なお、当社グループの事業内容は、建設事業とその他の事業に大別されるが、その他の事業に重要性がないため、連結損益計算書上は区分していない。・売上総利益(完成工事総利益) 売上総利益は、売上高の増加並びに土木事業の売上総利益率(完成工事総利益率)の改善により、前連結会計年度に比べ22億円(6.2%)増加し、383億円となった。・販売費及び一般管理費 販売費及び一般管理費は、研究開発費やDX関連費用の増加等により、前連結会計年度に比べ5億円(2.5%)増加し、240億円となった。・営業利益 営業利益は、売上総利益の増加により、前連結会計年度に比べ16億円(13.0%)増加し、142億円となった。・営業外損益 営業外収益は、受取利息及び受取配当金の増加等により、前連結会計年度に比べ7千万円増加し、14億円となった。 営業外費用は、有利子負債の期中平均残高の増加に伴う支払利息の増加及び投資事業組合運用損の増加等により、前連結会計年度に比べ3億円増加し、13億円となった。 ・経常利益 これにより、経常利益は、前連結会計年度に比べ13億円(10.5%)増加し、144億円となった。・特別損益 特別利益は、投資有価証券売却益5千万円など合計6千万円を計上した。 特別損失は、関係会社株式評価損3億円や損害賠償金2億円など合計6億円を計上した。・法人税等 法人税、住民税及び事業税36億円、将来減算一時差異の減少等により法人税等調整額7億円を計上した。・親会社株主に帰属する当期純利益 以上により、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ10億円(12.5%)増加し、93億円となった。 セグメントごとの経営成績(セグメント間取引消去前)は次のとおりである。a 土木事業受注高は、前連結会計年度比4.3%増の1,109億円であった。売上高は、同5.0%増の1,051億円、営業利益は、同54.3%増の69億円となった。 b 建築事業受注高は、前連結会計年度比0.3%減の2,683億円であった。売上高は、同17.3%増の2,671億円、営業利益は、同60.2%減の8億円となった。 c 子会社 売上高は、前連結会計年度比8.5%増の1,358億円、営業利益は、同8.0%増の64億円となった。 なお、当該セグメントにおいては、受注生産形態をとっていない子会社もあるため受注実績を示すことはできない。 ② キャッシュ・フローの状況  営業活動によるキャッシュ・フローは、82億円のプラス(前連結会計年度は169億円のプラス)となった。 投資活動によるキャッシュ・フローは、119億円のマイナス(前連結会計年度は107億円のマイナス)となった。 財務活動によるキャッシュ・フローは、164億円のマイナス(前連結会計年度は223億円のプラス)となった。 為替換算による増加を含め、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は前連結会計年度末に比べ199億円(28.4%)減少し、501億円となった。③ 生産、受注及び販売の実績  当社グループが営んでいる事業の大部分を占める建設事業では「生産」を定義することが困難であり、子会社が営んでいる事業には「受注」生産形態をとっていない事業もあるため、グループとしての生産実績及び受注実績を示すことはできない。また、建設事業では請負形態を取っているため「販売」という定義は実態にそぐわない。このため、生産、受注及び販売の実績については、可能な限り「① 財政状態及び経営成績の状況」において報告セグメントの種類に関連付けて記載している。   なお、参考のため、提出会社個別の事業の状況は次のとおりである。a 受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高期別区分前期繰越工事高(百万円)当期受注工事高(百万円)計(百万円)当期完成工事高(百万円)次期繰越工事高(百万円)第87期 (自 2023年4月1日至 2024年3月31日)土木工事195,109106,425301,534100,128(201,406)201,270建築工事339,733269,163608,896227,799(381,097)381,142計534,842375,589910,431327,927(582,503)582,413第88期 (自 2024年4月1日至 2025年3月31日)土木工事201,270110,971312,242105,107(207,134)206,822建築工事381,142268,392649,535267,186(382,349)382,084計582,413379,364961,778372,294(589,484)588,907(注) 1 前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含む。2 次期繰越工事高の下段表示額は、当事業年度末の外国為替相場に基づき外貨建工事の繰越工事高を修正したものであり、上段( )内は修正前である。 b 受注工事高の受注方法別比率 工事の受注方法は、特命と競争に大別される。期別区分特命(%)競争(%)計(%)第87期(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)土木工事18.481.6100建築工事12.787.3100第88期(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)土木工事28.771.3100建築工事48.651.4100(注) 百分比は請負金額比である。 c 完成工事高期別区分官公庁(百万円)民間(百万円)合計(百万円)第87期(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)土木工事55,42644,702100,128建築工事28,159199,639227,799計83,586244,341327,927第88期(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)土木工事62,94742,160105,107建築工事30,725236,460267,186計93,672278,621372,294(注) 1 完成工事のうち主なものは次のとおりである。第87期環境省平成29年度中間貯蔵(大熊3工区)土壌貯蔵施設等工事北大阪急行電鉄株式会社北大阪急行線の延伸事業のうち土木工事三井不動産レジデンシャル株式会社・野村不動産株式会社・三菱地所レジデンス株式会社・伊藤忠都市開発株式会社・東方地所株式会社・株式会社富士見地所・袖ヶ浦興業株式会社(仮称)幕張新都心若葉住宅地区計画(B-3街区)日鉄興和不動産株式会社、三菱地所レジデンス株式会社(仮称)羽沢横浜国大駅前A地区 開発計画学校法人 東京女子学園(仮称)東京女子学園中学校・高等学校建替え計画第88期農林水産省信濃川左岸流域農業水利事業 1号幹線用水路1号トンネル建設工事国土交通省一般国道452号 芦別市 鏡トンネル工事三井不動産株式会社(仮称)安城市大東町商業施設計画新築工事西新宿五丁目中央南地区市街地再開発組合西新宿五丁目中央南地区第一種市街地再開発事業 施設建築物等新築工事アパホーム株式会社・アパマンション株式会社(仮称)アパホテル&リゾート〈大阪難波駅タワー〉新築工事2 第87期及び第88期ともに、完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はない。d 次期繰越工事高(2025年3月31日現在)区分官公庁(百万円)民間(百万円)合計(百万円)土木工事88,301118,520206,822建築工事46,971335,112382,084計135,273453,633588,907(注) 次期繰越工事のうち主なものは次のとおりである。東日本高速道路株式会社東京外かく環状道路 本線トンネル(南行)大泉南工事中日本高速道路株式会社東名高速道路(特定更新等)酒匂川橋他2橋床版取替工事東急不動産株式会社、京浜急行電鉄株式会社、第一生命保険株式会社(仮称)北仲通北地区B-1地区計画新築工事三井不動産レジデンシャル株式会社・野村不動産株式会社・三菱地所レジデンス株式会社・伊藤忠都市開発株式会社・東方地所株式会社・株式会社富士見地所・袖ヶ浦興業株式会社(仮称)幕張新都心若葉住宅地区計画(B-4 街区―住宅棟)三田駅前Cブロック地区市街地再開発組合三田駅前Cブロック地区第一種市街地再開発事業 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容a 経営成績の分析 当社グループの売上高については、期首繰越工事高の増加等により前連結会計年度実績、期首計画値をともに上回った。 利益については、売上高の増加や土木事業の利益率改善があった一方で、建築事業においては低採算工事の影響等により利益率が低下し、営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度実績を上回ったものの、期首計画値を下回る結果となった。 自己資本比率は、有利子負債の返済による現金預金の減少等により総資産が減少したため、39.3%と前連結会計年度と比べ0.8ポイント向上した。ROEは、親会社株主に帰属する当期純利益が前連結会計年度を上回ったため、5.2%と前連結会計年度と比べ0.4ポイント向上した。 受注高は、土木事業の官庁分野が好調で受注を伸ばしたことなどにより前連結会計年度実績、期首計画値をともに上回った。 b セグメントごとの経営成績の分析・土木事業 受注高は、震災復旧関連や高速道路関連を中心に大型工事を複数受注したことなどにより、前連結会計年度比4.3%増の1,109億円となった。 売上高は、期首繰越工事高の増加等により、同5.0%増の1,051億円となった。営業利益は、売上高の増加に加え、追加設計変更獲得などにより利益率が改善したため、同54.3%増の69億円となった。・建築事業 受注高は、受注時粗利益の確保及び施工体制を考慮し、同0.3%減の2,683億円となった。 売上高は、期首繰越工事高の増加等により、同17.3%増の2,671億円となった。営業利益は、複数の大型工事において想定以上の物価上昇により採算が悪化した影響などにより、同60.2%減の8億円となった。・子会社 売上高は、株式会社ガイアートにおける期首繰越工事高及び受注高の増加や華熊営造股份有限公司における大型工事の進捗などにより、同8.5%増の1,358億円となった。営業利益は、各社において利益率の改善が進んだことなどにより、同8.0%増の64億円となった。 c 中期経営計画の達成状況 『熊谷組グループ 中期経営計画(2024~2026年度)~持続的成長への新たな挑戦~』で掲げた指標の計画値及び経営戦略に対する達成状況は次のとおりである。指標2026年度(計画値)2024年度(実績値)差異連結売上高   (百万円)500,000498,581△1,418連結経常利益  (百万円)30,00014,411△15,588ROE      (%)10.05.2△4.8自己資本比率   (%)45.039.3△5.7配当性向     (%)40.059.719.7  基本方針1:建設事業の強化■国内土木事業・インフラ大更新分野 全国のダム、橋梁、道路、トンネル、水道などの社会基盤を整備する技術開発及び施工実績を着実に伸ばしている。・再生可能エネルギー分野 再生可能エネルギー分野の取組みとして、水力・陸上風力については活発な需要に対応して着実に実績を積み上げている。洋上風力については、SEPの大規模投資を実施し受注に向け準備を整えている。・防災・減災、国土強靭化分野 地震や豪雨で被害を受けた能登半島の逢坂トンネル、国道249号線、塚田川、輪島市農地復旧等の迅速な対応を実施している。また、逢坂トンネルは無人化施工で取り組み、安全・安心な施工を実現している。・資源循環分野 能登半島における門前クリーンパークの復旧工事を施工し、また、新たに三重県や鹿児島県にて産業廃棄物処分場の施工を始めている。■国内建築事業・環境配慮型建築分野 建築物の施工・運用各段階での環境負荷を最小限に抑えることを目的としている。グリーン鋼材などの低炭素建材の使用、再生可能エネルギーの利用、廃棄物の削減、引渡後のエネルギー効率の向上などに取り組んでいる。・各種プラント分野 生活基盤インフラである焼却場・火葬場等のプラントに加えて、輸出基準に適合した食肉処理施設の増設も見込まれている。現在、各施設で施工を行っており、今後これらの実績やノウハウを活かしていく。・中大規模木造建築分野 当社の技術である「環境配慮型λ-WOODⅡ® 1.5時間・CLT 1,2時間 耐火床」を採用した木造と鉄骨造のハイブリッド構造のオフィスビル(「KiGi AKIHABARA」東京都千代田区)を受注した。・市街地再開発分野 都心や地方都市などで再開発事業が増加傾向にあり、新規案件の事業参画を目指して積極的に取組みを進めている。・データセンター分野 この分野はAI普及による成長が顕著で、東電不動産株式会社発注の柏崎レジリエンスセンター新築工事を受注し、施工を進めている。■海外建設事業・東南アジア地域におけるインフラ整備分野 インドネシア共和国のジャカルタ下水道整備工事の進捗率は約30%である。土木事業本部より2名の若手技術者を迎え、交通渋滞が激しいなかでの道路占有や、埋設物の移設が必要な状況でありながらも、当工事は順調に進行している。・ベトナムにおける商業施設分野 土地の所有権に関する政府機関との承認手続き後、2025年2月末に起工式を迎えることができた。・台湾における建築事業分野 建築事業本部より若手の技術者を迎え、台北駅前の超高層ビルや事務所ビル、住宅など、多くの大型案件が予定通り順調に進捗している。  基本方針2:周辺事業の加速■不動産開発事業・地域創生プロジェクト 福井県のかつやま恐竜の森(長尾山総合公園)再整備・管理運営事業(Park-PFI事業)は2025年4月よりホテル棟新築工事が着工した。2027年秋のホテル開業を目指している。・飯田橋プロジェクト 下宮比町地区では、都市計画決定に向けて施設建築物の検討をしている。また、権利者へ再開発事業における税務などの勉強会や個別相談ヒアリングをするなど、具体的に事業を進めている。揚場町地区では、事業計画の説明会を始める。■再生可能エネルギー事業・保有SEP船を活用した洋上風力発電事業 一般海域における洋上風力発電の建設工事は、2027年頃から本格化する。当社を含むゼネコンとマリコンのコンソーシアム6社は建設工事で不可欠なSEPを共同保有し、洋上風力市場へ工事参入する。本SEPは洋上風力発電機の大型化を見据え改造中である。また、着床式、浮体式両フィールドでの洋上風力発電施設建設への活用が期待される。・陸上風力発電 2024年度はEPCとして中泊風力、新岩屋ウィンドパーク、二枚田風力、土木工事として勇知風力等の工事を実施した。・小水力発電 燃料調達が不要で安定的に供給できる小水力発電事業に取り組む。地元関係者の協力を得て複数個所の発電所を建設・運営することで、規模の拡大と効率的な運用を目指す。・バイオマス発電 2024年9月、福島県の間伐材やバーク(樹皮)等を燃料とする飯舘みらい発電所(7.5MW)が営業運転を開始した。■技術商品事業・脱炭素バイオマス燃料の製造・販売事業 2023年より脱炭素バイオマス燃料「ブラックバークペレット(BBP)」の製造・販売事業に着手している。2025年2月には、BBP製造拠点となる「西条ペレット工場」が着工し、2026年10月より製造、販売を予定している。・コッター式継手の販売事業 当社以外のゼネコン各社にコッター式継手を販売することで順調に売上げを伸ばし、今後は年間10,000組を超える安定した販売が見込まれている。さらに、品質管理アプリやプレキャスト壁高欄等の関連技術の外販も開始した。■新事業創出・その他事業・環境保全型ハイブリッド農業 2024年度実証実験においては独自藻類株による微細藻類の大量培養並びに完全閉鎖循環型アクアポニックス(陸上養殖+水耕栽培)の安定稼働を実現した。藻類培養×アクアポニックスの掛け合わせによる模倣不可能な付加価値を創出し、藻類を核としたスマート一次産業の実現を目指す。今後の事業化に向けた検証のため、当該ラボラトリーで天然地下水を利用して養殖したトラウトサーモン「SAGAアクポニサーモン」を試験販売した。同プロジェクトは社会に大きなインパクトと価値をもたらすことが評価され、2024年8月に経済誌「Forbes JAPAN」が発表した、「Xtrepreneur AWARD 2024」において「GX/カーボンニュートラル」部門を受賞した。・再エネ電源供給&EMSパッケージ事業 再エネ電源の自社開発については継続的に取り組み中である。また、再エネ由来の電源供給とPPA・蓄電池等の活用による電力事業の検討を開始し、2025年2月に太陽光発電オンサイトPPA事業が稼働した。・国内PPP/PFI事業 実績については竣工1件(周南地区衛生施設組合新斎場)、着工2件(八王子駅南口集いの拠点、かつやま恐竜の森)となった。これまで建設受注を主目的として実績を積み上げてきたが、今後は供給開始後も含めた事業全体の管理運営や資金調達について当社が主体となる取組みを強化する。・道路トンネルMOM事業 現在、香港において4件の道路トンネルのMOM(Management,Operation and Maintenance)事業を行っており、今後さらに東南アジアにおけるインフラ維持管理業務の拡大を目指していく。  基本方針3:経営基盤の充実■DX・DX人財マネジメント 当社は、全社員を対象としたeラーニングによるITリテラシー教育を行っており、2024年度の受講率は91%である。2024度からDX高度人財育成に特化した教育プログラムを導入し、「自部署における業務改善・効率化を構想し、新たなデジタルツールを積極的に活用・周知できる人財」すなわちDXサポーター人財の育成教育(IT/DX基礎教育プログラム)を開始した。毎年各本部・支店毎で一定数のDXサポーター人財を選出し、基礎と業務に活かせる実践という2か年のカリキュラムを受講してもらうことで、DXサポーター人財を増やしていく計画である。・施工管理の効率化 当社は、2023年度より全従業員を対象に、Azure基盤のOpenAI生成AIモデルを活用した「Kumagai Chat AI」を提供してきた。2024年12月には、ファイル読込、データ分析の回答機能を含めた大幅なバージョンアップを実施した。また、筑波大学の協力を得て生成AIに関するワークショップを実施し、当社参加メンバーは実際の業務に直結するようなユースケースを立案した。これを社内で公開し、業務の効率化を図っている。こうした施策により、社員に対し情報収集・調査の迅速化と高度化、アイデア創出と高品質な文章生成、プログラミング作業、そしてデータ分析といった多岐にわたる業務においてサポートをしている。 d 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況」の「3 事業等のリスク」に記載のとおりである。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報a キャッシュ・フローの状況の分析 営業活動によるキャッシュ・フローは、工事未払金などの仕入債務や法人税等の支払いを上回る水準で売上債権の回収が進んだことなどにより、82億円のプラス(前連結会計年度は169億円のプラス)となった。 投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資や米国及びベトナムにおける不動産事業への投資等により、119億円のマイナス(前連結会計年度は107億円のマイナス)となった。 財務活動によるキャッシュ・フローは、コマーシャル・ペーパーの償還等により、164億円のマイナス(前連結会計年度は223億円のプラス)となった。 為替換算による増加を含め、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は前連結会計年度末に比べ199億円(28.4%)減少し、501億円となった。 b 資本の財源及び資金の流動性・資本政策の基本方針 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保し、財務健全性を保つことを基本方針としている。当連結会計年度末において現金預金は501億円保有しており、自己資本比率も39.3%と一定水準を保っていることから、現状では財務健全性に大きな懸念はない。 短期運転資金は、自己資金、金融機関からの短期借入及びコマーシャル・ペーパーの発行を基本としており、設備投資に係る資金や長期運転資金は、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としている。当連結会計年度末における流動比率は155.8%、固定長期適合率は45.1%と高い安全性を保っている。・資金需要 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、建設事業に係る外注費や資機材費等の工事費、人件費を中心とした販売費及び一般管理費の営業費用である。大型工事における支出先行及び人員数の増加により営業費用に対する資金需要は増加傾向にある。また、中期経営計画に掲げている基本方針に基づき、周辺事業における確固たる収益源創出のための400億円規模の投資のほか、90億円規模の設備投資を計画している。 なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は421億円となっている。 ・株主還元 2024年5月に策定した「中期経営計画(2024~2026年度)」では、適正かつ安定的に利益還元していくことを基本方針とし、連結配当性向40%目途を財務目標に掲げている。また、事業環境の変化や各事業戦略・投資の進捗に応じて、自己株式の取得を含め機動的に追加還元を検討する方針である。 ・資金調達 当社グループは、資金調達の手段として金融機関からの借入及びコマーシャル・ペーパーの発行等を活用している。資金調達のより一層の安定化並びに効率化を図るため、シンジケートローン契約を締結しており、そのうち長期のターム・ローンの当連結会計年度末の契約総額は289億円、コミットメントラインの当連結会計年度末の契約総額は200億円(借入実行残高30億円)である。 安定的な資金調達手段を確保しており、突発的な資金需要の発生にも十分対処可能な状況である。 また、成長投資等の資金需要への対応にあたり、今後は財務規律を維持しつつ、資金調達手段の多様化を進めることなどにより調達コストの削減に努めていく。 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定  当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における資産、負債並びに収益、費用の金額に影響する見積り、判断及び仮定が必要となり、これらは継続した評価、過去の実績、経済等の事象、状況及びその他の要因に基づき算定を行っているが、本質的に不確実性を内包しており、実際の結果とは異なる場合がある。  当社グループの重要な会計方針のうち見積り、判断及び仮定による算定が含まれる主な項目は、貸倒引当金、完成工事補償引当金、工事損失引当金、偶発損失引当金、賞与引当金、株式給付引当金、退職給付費用、一定の期間にわたり収益を認識する方法(いわゆる旧工事進行基準)による収益認識、繰延税金資産の回収可能性等があり、当該見積り、判断及び仮定と実際の結果に重要な差異が生じた場合は、当社グループの連結財務諸表に影響を及ぼす可能性がある。  連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりである。

事業リスク

  • 建設投資変動
    官民の建設投資が減少した場合、受注競争激化や工事採算悪化のリスクがあります。
  • コスト変動
    建設資材市況や労務単価の高騰が、工事代金に転嫁できず採算を圧迫する可能性があります。
  • 人財不足
    建設技能労働者や技術者の不足が深刻化し、受注機会の損失や労務費高騰につながる恐れがあります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|5,592 文字
3【事業等のリスク】1 リスク管理の体制 当社は、業務遂行上のリスク発生の防止及び低減のために、2025年4月に社長を委員長とするリスクマネジメント委員会を設立した。本委員会は、リスクに対する統括責任の明確化を図り、各部門が抱えるリスク及びその対策を一元管理することを目的としており、企業活動における全社的なリスクマネジメントの強化を推進するものである。主な活動内容としては、事業における潜在的リスクに対する予防的措置や、顕在化したリスクへの対応策の検討及び指示を行うことや、モニタリング等に基づくリスクマネジメント報告の確認を通じて、リスクの把握と管理を徹底することである。 2 主要なリスク 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりである。ただし、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、現時点では重要性が高くないと判断したリスクもあり、予見し難いリスクも存在し得る。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。(1) 建設投資の動向 当社グループの建設事業は、官公庁及び民間企業が主な顧客であるが、官公庁は財政状況や施策等、民間企業は経済環境や消費動向等により中長期的に建設投資の動向が変動する。我が国の建設投資は2011年度以降、増加傾向で推移しているが、縮小に向かった場合は、状況により競合他社との受注競争が激化し、受注高が減少するほか工事採算が低下する可能性がある。 当社グループは、建設市場の質的・量的変化に柔軟に対応できる企業体質を確立すべく、長期構想“2030年以降を見据えた経営方針”を定めるとともに、本方針に基づき策定した中期経営計画における各種施策に取り組んでいる。なお、長期構想及び中期経営計画については、「第2 事業の状況」の「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりである。 (2) 建設資材市況及び労務単価の変動 建設工事請負契約にあたり、建設資材及び労務単価等について適正価格での契約に努めているが、契約締結後に建設資材市況や労務単価が高騰する場合がある。当該コスト増加分について、公共工事においては契約条項により一定の工事代金の変更を請求できるが、民間工事においては発注者との協議となり、状況によりコスト増加に見合う工事代金の追加を獲得できない可能性がある。このため市況等の上昇局面では、予め単価上昇を織り込んで工事価格を見積もることや資材の調達を早期に行うなどの対応が必要となる。 (3) 建設技能労働者の不足 建設業界における技能労働者は、高齢化が進むとともに若年層の入職率・定着率が伸びず、減少傾向にある。中長期的に高齢者の大量離職が見込まれるなか、技術継承へ向けた将来の担い手の確保・育成が喫緊の課題となっている。今後、技能労働者の減少がさらに進んだ場合、他社との人財獲得競争が激化し労務費が高騰するとともに、人員を確保できないことに伴う施工能力の縮小により、受注高が減少する可能性がある。 当社グループは、専門工事会社を中心とした施工協力業者で組織された「熊栄協力会」と連携し、安定した施工体制を確立するとともに、技能労働者不足の解消及び優秀な人財の確保に向けた取組みを行っている。現在の建設業界の命題である「技能労働者給与水準の全産業労働者平均までの向上」を目指した労務単価の引上げを軸に、手当の支給を含む優良技能労務者認定制度の運用、能力や経験に応じた処遇を受けられる環境を整備するための建設キャリアアップシステムの導入などを進めているほか、施工現場における完全週休二日への移行といった処遇改善施策を推進している。 (4) 人財の確保 建設業界では、建設投資が増加基調となっている一方で、建設技術者の減少が課題となっており、当社グループにおいても、収益及び品質の向上のために優れた人財の確保と育成が急務であると認識している。その対応として、新卒者に加え施工管理経験がある人財の中途採用をジョブ・リターン制度の整備等により拡大するとともに、ダイバーシティ推進の取組みもあり、高齢者、女性及び外国人等を積極的に活用している。 また、建設工事の入札や施工管理においては、担当技術者に工種毎の施工経験や特定資格の保有を求められることがあり、適任者が不足した場合は受注機会を逸し、受注高の減少につながる可能性がある。すでに一部の工種についてその発注時期によっては担当者を確保出来ず、入札参加を断念するケースも発生している。このため将来的な案件を見据え、技術者に計画的に多様な施工経験を積ませているほか、分野別や階層別に社内研修を実施し、専門知識を修得させている。また、技術士や一級建築士等の公的資格について受験者を対象に社内講習や模試を実施するなど資格取得の支援、促進に努めている。 (5) 海外における事業展開 当社グループの海外事業は、現在アジア諸国において建設事業を中心に展開している。海外における事業は、進出国において政治、経済、社会情勢の著しい混乱が生じた場合や法規制が強化された場合等は、事業が遅延する又は遂行不能に陥る可能性がある。また、未成熟な法制度、社会制度、文化や商慣習の違い等により正当な工事代金の請求及び回収が困難となる場合や想定外のコストを負担するリスクが内在している。このため、当社グループは、各々の情勢等に精通した国・地域にのみ進出することとし、当社が請け負う建設工事については、原則として我が国ODA(政府開発援助)や日系企業による事業に限定している。 なお、海外事業においては、事業拠点の現地通貨や米ドル等による外貨建取引のほか、外貨建の資産、負債、収益、費用を一定の基準により円換算する。現在の当社グループの海外事業の規模では為替レートの変動による影響は小さいが、取引の収入と支出の通貨構成や入出金のタイミングを概ね一致させること、又は為替予約取引等を行うことにより為替リスクを軽減している。 (6) 建設事業における自然条件及び自然災害の影響 工事施工において、地質や地盤、天候等の自然条件に特殊性がある場合、事前にそれを把握できなかったことにより工法の変更や手戻りなどが生じ工事コストが増加する可能性がある。また、事業の特性として施工現場が地震や台風・豪雨等の自然災害に見舞われた場合、工事が中断するほか復旧に多大なコストと時間を要するなど著しい損害を被るおそれがある。 当社グループは、事前調査、工法検討等を徹底し、自然条件面における予期せぬ事象等により工事の採算が低下しないよう努めるとともに、自然災害に対しては、各種保険に加入するなど損失を極小化するよう対策を講じている。 (7) パンデミック 感染症が世界的に大流行した場合、工事中断や資機材の納入が滞ること等に伴う工程遅延や感染症対策に係るコストの発生などにより採算が低下することが見込まれ、また、民間企業を中心に設備投資が停滞することにより受注高が減少する可能性がある。 (8) 工事の施工不良 工事施工にあたっては、建設物の仕様や施工条件が多岐にわたり、また、想定を超えて外的要素から影響を受けることがある。このような状況のもと、施工不良の発生可能性を完全に排除することは困難であるため、是正費用に充てるべく一定金額を引当計上している。しかし、万が一、施工した建設物に重大な施工不良があった場合、引当額を上回る多大な修復費用や損害賠償責任が生じる可能性がある。また、当社グループの社会的信用が低下し、受注高の減少につながるおそれがある。 当社グループは、建設物の設計・施工にあたり、品質マネジメントシステムの適切な運用及び継続的な改善により、高品質な製品・サービスの提供に努めている。 (9) 建設事業における労働災害及び事故 建設事業は、作業内容や作業環境などの特性により、他の産業と比較して重篤度の高い労働災害が発生するおそれがあり、また、第三者に対し損害を与える事故が発生する可能性が高い。万が一、重大な労働災害もしくは事故が発生した場合、多大な補償費等の負担が生じるとともに、社会的信用が低下し、関係諸官庁等の工事入札において指名停止になるなど、受注高の減少につながる可能性がある。 当社グループは、労働災害及び事故への対策を最優先課題と位置付け、安全教育の実施、日常的な安全点検、施工部門と安全部門との連携強化、入念な施工計画の策定といった安全衛生マネジメントシステムの厳格な運用により労働災害及び事故の撲滅に努めている。 (10) 固定資産及び投資有価証券の減損 当社グループは、都市再生・再開発事業といった新事業創出への取組みの一環として不動産の取得を進めているが、経営環境の著しい悪化などにより保有資産の収益性が低下又は市場価格が下落した場合、固定資産の減損損失が発生するおそれがある。また、収益機会の獲得や関係強化を図るため顧客や提携先等の有価証券を保有しているが、投資先の業績が悪化又は市場価格が下落した場合も同様に減損損失が発生する可能性がある。 当社は、各種資産の評価方法と投融資活動に係るリスクを定量的に管理するための投融資基準を定め、財政的影響が大きい案件については、経営会議及び取締役会において経営指標の見通しや財務規律の維持の観点を踏まえて取得の検討を行っている。取得後は、採算性検証のためのモニタリングによって採算悪化が見込まれ、将来的な収益率等が目標とする基準値を上回る可能性が極めて低いと判断された場合、また有価証券については、保有が当社グループの事業遂行上有用ではないと判断された場合は売却等を検討するなど、損失の最小化に努めている。 (11) 顧客及び取引先の信用 建設事業において、工事着工後に発注者が信用不安や経営破綻などに陥った場合、売掛金や受取手形などの債権が回収不能となるおそれがある。また、施工協力業者等の取引先が同様な状況となった場合、工程が遅延し工事コストが増加する可能性がある。 当社グループは、顧客の信用については、会議体及び専門部署により、顧客の与信判定、契約内容の審査、債権保全方法の検討等を実施している。また、債権管理規程、工事契約締結に向けた与信限度額設定基準等の社内規程を整備し、与信管理の徹底に努めている。取引先の信用については、新規に取引を開始する場合、直近の財務諸表をもとに審査を実施している。また、取引高が一定の規模以上の施工協力業者に対しては、財務面の評価に加え、ヒアリング等による経営全般の評価を年1回実施している。 (12) コンプライアンス違反 建設事業の運営に際しては、建設業法、独占禁止法等、様々な法律により規制を受けている。これらの法的規制に違反した場合や社会的要請に反した行動等により、法令等による刑事罰、行政処分、損害賠償責任等が課せられるほか、顧客、株主、取引先等の会社を取り巻くステークホルダーからの信用失墜につながる。 当社グループではこれらのリスクを払拭するため、「行動指針」「コンプライアンス行動ルール」をはじめとする各種規程を定め、内部機能を中心にコンプライアンス体制を構築するとともに、経営から独立した組織として「法遵守監査委員会」を設け、外部有識者による評価・勧告体制を執っている。また、このほかコンプライアンス研修等の教育を通じ、全役職員に対するコンプライアンス意識の向上、周知徹底を図っている。 (13) 環境問題 世界的な人口増加と産業活動の急拡大によって生じる資源の枯渇や地球温暖化等の環境問題は、世界共通の解決すべき社会課題として認識されている。社会資本の整備を担う建設業においては、工事施工時等に排出されるCO2をはじめ建設廃棄物や建設発生土などによる環境への負荷を社会的責務として積極的に削減する必要があり、そのためには継続的に一定の対策費用が発生する。また、工事施工にあたっては様々な環境関連法令等の規制を受けているが、土壌汚染や水質汚染等の環境事故が発生した場合は、復旧費用や損害賠償金、補償金等の負担が生じるほか、当社グループの社会的信用が低下し、受注高の減少につながるおそれがある。 当社では、環境マネジメントシステムの適切な運用及び継続的な改善により、環境負荷の低減及びより良い環境の創出を図っている。また、「エコファーストの約束」においてCO2排出量の削減や、工事現場における混合廃棄物排出量の削減、グリーン購入対象資機材の購入など低炭素社会の構築や循環型社会の形成を推進するとともに、環境基準遵守のもと、環境事故の防止に努めている。 (14) 情報セキュリティ 当社グループにおいては、第三者による不正アクセスなどのサイバー攻撃により、設計、施工などの各種サービスを提供するにあたり取得した個人や顧客の情報、施工中物件の情報等が漏洩した場合には、信用の毀損による顧客の喪失や損害賠償等の損失が発生し、業績等に影響を及ぼす可能性がある。当社グループは、これらのリスクに対応するため情報セキュリティ基本方針と情報セキュリティ対策基準で構成する情報セキュリティポリシーを定め、重点的な管理を行うとともに、情報セキュリティインシデントの未然防止活動及び発生時の体制を強化するため、熊谷組グループCSIRT「KUMA-CSIRT」を2024年5月に設立した。

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