研究開発活動(本文)
FY2025|3,090 文字
6 【研究開発活動】当社グループは、建設構造物の品質や安全性の向上、さらには脱炭素社会の実現など多様化する社会のニーズに柔軟に対応すべく、建設に関する技術の研究開発を推進しています。2023年10月に開設したクロスイノベーションセンター(通称:クロスアイ)を拠点に、研究開発の促進に加え、ベンチャー企業等との交流による新技術の開拓を積極的に進めています。当社グループの当連結会計年度における研究開発に要した費用の総額は1,774百万円です。セグメントごとの研究開発活動について示すと次のとおりです。 (土木事業)土木事業では、発注者のニーズを的確に捉えつつ、施工の高度化や持続可能な社会の実現に寄与する技術などの研究開発を進めています。また、社会インフラの維持更新や自然環境の修復・保全に関わる技術などの開発にも取り組んでいます。(1) プレキャストPC床版の新しい継手工法「Zスパイラル®工法」を開発プレキャストPC床版を、矩形状のスパイラル筋「Zスパイラル筋」を用いて接合する継手工法「Zスパイラル®工法」を昭和コンクリート工業㈱と共同で開発しました。近年、高速道路の老朽化対策として床版取替を行う大規模更新工事が多く発注されており、施工性の向上が求められていました。本工法は、床版取替工事の標準工法であるループ継手と同じループ筋にZスパイラル筋、せん断キーを組み合わせ、早強コンクリートを充填して一体化させるシンプルな構造です。本工法で接合したプレキャストPC床版は、床版の疲労耐久性を評価する輪荷重走行試験により、耐用年数100年相当を有することを確認しました。標準工法では、ループ筋内に橋軸直角方向鉄筋を通す作業に多くの時間と労力を要しますが、本工法は、Zスパイラル筋をループ筋の上部から挿入し、ループ筋に結束固定するだけでよいため、配筋作業時間を大幅に短縮できるうえ、橋軸直角方向鉄筋を通すための足場の設置や作業ヤードの確保が不要となります。実物大の床版試験体を用いた施工性確認試験により、接合部の配筋にかかる作業時間をループ継手工法に比べ約75%短縮できることを確認しました。今後は、高速道路の床版取替工事に本工法を積極的に提案し、普及・展開を図っていきます。 (2) 「山岳トンネルの覆工コンクリート自動打設システム」を開発山岳トンネルにおける覆工コンクリート施工の省人化・省力化を目的に、コンクリートの圧送と締固め作業を自動化する「自動打設システム」を北陸鋼産㈱と共同で開発しました。本システムは、当社が開発した「高速打設システム」と「圧力計による打設高さ検知システム」を組み合わせ、これに圧送ポンプ機のリモコン端子と型枠バイブレータの制御盤を接続し、あらかじめ設定したコンクリートの打上がり高さに応じたポンプの圧送速度、ポンプと型枠バイブレータの稼働・停止を自動制御するものです。これにより、覆工コンクリートの打設が、打設口の切替え作業を除き自動化され、打設作業における省人化と、技能労働者の経験や感覚に頼らない施工が実現します。当社技術研究所において、実大規模の移動式型枠に中流動コンクリートを用いた施工実験を行い、本システムの実用性を確認しました。バイブレータの稼働のタイミングや作動時間をコンクリートの打上がり高さの計測値に基づき定量的に制御し、脱型後の表面観察や表面透気係数試験等で品質が確保されていることを確認しました。今後は、現場での施工結果をフィードバックして技術のブラッシュアップを図るとともに、移動式型枠の設置や養生などの作業を含めた自動化に取り組み、山岳トンネル工事のさらなる生産性向上を目指します。 (3) 「有機フッ素化合物(PFAS)による地下水・土壌汚染浄化技術」を開発人体への有害性が指摘されている有機フッ素化合物(以下、「PFAS」)について、超強力酸化触媒を用いて浄化する技術を名古屋大学と共同で開発しました。多くの産業分野で利用されているPFASは自然界でほぼ分解されず、人体や環境中に長く残る特性を持っています。現在、国内での検出事例が報道されるなど汚染問題が顕在化しています。本技術は、名古屋大学物質科学国際研究センター/大学院理学研究科の山田泰之准教授・大学院理学研究科の田中健太郎教授のグループが開発した超強力酸化触媒「金属錯体担持カーボン触媒」を用いてPFASを酸化分解するものです。今回、同大学研究グループとの共同研究により、カーボン触媒のさらなる高活性化に成功し、水溶液中で様々なPFASが酸化分解可能であることを確認しました。さらに本技術を用いれば、汚染された河川水からPFASの一種であるPFOA(ペルフルオロオクタン酸)を99%以上吸着により除去しつつ、その一部を分解できることがわかりました。今後は、触媒にさらなる改良を加えるとともに、本技術をPFASにより汚染された地下水・土壌の浄化工事等に適用し、環境修復・保全の観点から社会に貢献していきます。 (建築事業)建築事業では、建築物を地震から守り安全・安心を提供する免震技術や、快適性を高める室内環境技術、SDGs達成にも貢献する省エネ・省資源・環境配慮技術などの開発、さらには企画・設計・施工の各フェーズにおける合理化などに取り組んでいます。(1) 巨大地震にも対応できる「性能可変オイルダンパー(VOD®)」を実適用東北大学、(有)シズメテックと共同開発した「性能可変オイルダンパー(VOD®)」を既存免震建物である当社名古屋支店に設置しました。免震建物にVOD®を適用することで、中大地震時には免震効果を維持しつつ、巨大地震時には減衰力(自身のエネルギーを吸収し揺れを小さくする力)が増加し、免震層の擁壁への衝突を回避します。当社名古屋支店は、国土交通省通知「超高層建築物等における南海トラフ沿いの巨大地震による長周期地震動対策について」に記載のある「設計時に構造計算に用いた地震動の大きさを上回る可能性が高い地域」にあり、巨大地震時には建物が免震層の擁壁に衝突するおそれがありました。この対策として、既設の従来型ダンパーをVOD®に全数交換する改修工事を行いました。このVOD®の開発・実建物への適用が評価され、「第26回日本免震構造協会賞 技術賞」を受賞しました。今後は、長周期地震動作用時に擁壁への衝突が危惧される既存の免震建物のほか、従来よりも免震クリアランスを抑えることで建築面積を拡大できる狭小敷地の免震建物にも本技術を適用していきます。 (2) 大型の物流倉庫や店舗の設計合理化が可能な「奥村式鉄骨基礎梁工法」を開発鉄骨造(以下、S造)の建築物において、基礎梁をS造の梁として既製杭と接合する「鉄骨基礎梁工法」を開発し、(一財)日本建築総合試験所の建築技術性能証明(GBRC性能証明 第24-20号)を取得しました(特許出願中)。本工法は、杭を埋め込んだ下部フーチングと、上部構造の柱と基礎梁の接合部を巻き込んだ上部フーチングを直列的に結合することが特長です。これにより、基礎梁をRC造の梁とした場合と比べて、基礎梁重量の減少による杭径等の縮小に伴う杭工事費の削減や、鉄筋・型枠・コンクリートなどの躯体数量の減少に伴う施工の省力化と工期短縮が期待できます。今後は、大型物流倉庫や店舗の設計施工案件などで積極的に提案していきます。 (投資開発事業)研究開発活動は特段行われていません。 (その他)研究開発活動は特段行われていません。
FY2024|2,709 文字
6 【研究開発活動】当社グループは、建設構造物の更なる品質や安全性の向上、さらには脱炭素社会の実現など多様化する社会のニーズに柔軟に対応すべく、建設に関する技術の研究開発を推進しているなか、2023年10月に産官学民の技術者等との分野を超えた交流・連携の拠点として東京丸の内にクロスイノベーションセンター(通称:クロスアイ)を開設し、技術開発の促進に加え、ベンチャー企業等との交流による新技術の開拓を積極的に進めています。当社グループの当連結会計年度における研究開発に要した費用の総額は1,804百万円です。セグメントごとの研究開発活動について示すと次のとおりです。 (土木事業)土木事業では、顧客ニーズに対応した、施工の高度化や持続可能な社会の実現に寄与する技術などの研究開発を進めています。また、自然災害への対応や社会インフラの維持更新に関わる技術などの開発にも取り組んでいます。(1) 山岳トンネル工事の安全対策として「肌落ち監視システム」を開発山岳トンネル工事において、切羽(掘削の最先端部分)での肌落ち(トンネルを掘削した面から岩石等が落下すること)災害の防止を目的に、切羽鏡面(掘削方向に対する垂直面)に吹付けたコンクリートのひび割れを検出して肌落ちの予兆を知らせる「肌落ち監視システム」を㈱システム計画研究所と共同で開発しました。本システムは、カメラで撮影した切羽画像から、切羽鏡面の吹付けコンクリートに発生したひび割れをAIで検出し、肌落ちの予兆を警告するシステムです。吹付けコンクリート供試体や切羽鏡面の吹付けコンクリートなどのひび割れ画像を教師データとして作成したAI学習モデルを用いて、高い精度でひび割れを検出することができます。長崎県発注の山岳トンネル工事に適用し、切羽監視責任者が切羽に極力接近することなく、短時間でひび割れ検出結果を表示でき、肌落ち監視を補助するシステムとして有効であることを確認しました。今後は、施工の安全性向上に寄与するシステムとして積極的に現場適用していくとともに、本システムの更なる高度化を図ります。 (2) 「下水道内部の水位モニタリングシステム」を開発下水道管路の老朽化対策や局所的な豪雨などによる内水氾濫(雨水が排水できなくなり浸水する現象)の軽減を目的に、管路内部の水位データを広域かつ効率的に取得・管理できるモニタリングシステムを㈱コアシステムジャパンと共同で開発しました。本システムは、①センサ技術、②通信技術、③水位計の固定治具の3項目を工夫することにより、省電力・高耐久・機器設置の簡便性を実現するものです。これにより効率的でコストを抑えた下水道管路内部のモニタリングシステムを確立しました。①センサ技術は、腐食に強く耐雷性にも優れた光ファイバを用いた「ヘテロコア光ファイバ水位計」を採用しました。従来型の水位計よりも低コストであることから多数の設置が可能となります。②通信技術は、従来のLTE通信に加え、消費電力が少ないLoRa通信も採用しました。LoRa通信ではクラウドへのデータ転送を行わないため、マンホール下に設置した送信機から受信機を搭載した点検車が走行しながらデータを取得することとしました。主要なマンホールに設置するメイン機器はリアルタイムに計測できるLTE通信を用い、メイン機器を補完する位置に設置するバックアップ機器はLoRa通信を用います。これにより、LTE通信のみを使用する場合と比べ、消費電力と通信料の大幅な低減を実現しました。③水位計の固定治具は、アンカーレスで容易に着脱が可能な「水位計一体型固定治具」(自社開発技術(特許取得済み))を採用することで、設置時間を従来の25%に短縮し、機器設置の効率化を実現しました。今後は、自治体等の管理する供用中の下水道管路に本システムを適用・運用し、効果の検証を行います。また、運用によって得られた知見から、機器の改良を行い、更なる機能向上を図ります。 (建築事業)建築事業では、建築物の資産価値を維持し安全性を確保する免震・制振技術や、快適性を高める室内環境技術、SDGs達成にも貢献する省エネ・省資源・環境配慮技術などの開発、さらには企画・設計・施工の各フェーズにおける合理化などに取り組んでいます。(1) 免震層の過大な水平変位を抑える「性能可変オイルダンパー」を開発免震建物において長周期地震動の影響を受けた際に生じる過大な水平変位を抑制し、建物が擁壁に衝突することを防ぐ「性能可変オイルダンパー(以下、VOD)」を東北大学、(有)シズメテックと三者共同で開発しました。まずは、既存免震建物である奥村組名古屋支店に設置されているダンパーをVODに取り替える(2024年8月予定)こととしており、 2024年1月に「奥村組名古屋支店に用いる性能可変オイルダンパー」として、(一財)日本建築センターから評定(BCJ評定-IB0041-01)を取得しました(特許出願中)。VODは、免震層に生じた水平変位に応じて減衰力(地震のエネルギーを吸収し揺れを小さくする力)が自動で無段階に切り替わります。地震による揺れが続いている間は、性能変化により増加した減衰力を維持することで建物の水平変位を抑制するため、上部構造に作用する最大地震力を従来型のダンパーと同等に抑えられるとともに、長周期地震動作用時に免震層の最大水平変位を抑制することができます。今後は、長周期地震動作用時に擁壁への衝突が危惧される既存の免震建物のほか、水平クリアランスを十分に確保できない狭小敷地における免震建物の建設にも本技術を適用していきます。 (2) 梁せいを小さく抑えて、設計自由度を高める「奥村式扁平梁工法」を開発鉄筋コンクリート造建築物において、梁幅を柱幅より広くし、一般的な梁よりも梁せい(梁の高さ)を小さく抑えた扁平梁を適用する「奥村式扁平梁工法」を開発し、(一財)日本建築総合試験所の建築技術性能証明(GBRC性能証明 第19-13号改1)を取得しました。本工法では、扁平梁を補強筋等で適切に補強することにより、剛性や耐力を確保しつつ、柱幅に対する梁幅の比(扁平率)を最大3倍まで広げ、梁せいを最大で柱幅の半分まで小さくすることが可能です。これにより、住戸内の有効天井高や窓開口を大きく確保できるため、設計の自由度が高まります。今後は、主に高層・超高層の集合住宅等への適用を積極的に進めていきます。 (投資開発事業)研究開発活動は特段行われていません。 (その他)研究開発活動は特段行われていません。
FY2023|2,994 文字
6 【研究開発活動】当社グループは、建設構造物の更なる品質や安全性の向上、さらには脱炭素社会の実現など多様化する社会のニーズに柔軟に対応すべく、建設に関する技術の研究開発を推進しているなか、2022年4月1日に新設した技術本部を拡充し、将来的な事業領域の拡大を見据え、ロボットやエネルギー関連技術、ビッグデータの活用、生物多様性に配慮した技術など、新たな分野についても積極的に研究開発を進めていきます。当社グループの当連結会計年度における研究開発に要した費用の総額は1,771百万円です。セグメントごとの研究開発活動について示すと次のとおりです。 (土木事業)土木事業では、顧客ニーズに対応した、施工の高度化や持続可能な社会の実現に寄与する技術などの研究開発を進めています。また、自然災害への対応や社会インフラの維持更新に関わる技術などの開発にも取り組んでいます。(1) マスコンクリートのパイプクーリング制御システム「ひえたくん®」をNETIS登録マスコンクリート(部材断面の大きなコンクリート)の温度ひび割れを抑制するパイプクーリング(コンクリート内部に配置したパイプに水を循環させ、コンクリートを冷却する工法)の効果を高めるため、㈱アクティオと共同で開発したクーリング水の流量・流方向を自動制御するシステムを「ひえたくん®」と命名し、NETIS(国土交通省の新技術情報提供システム)に登録しました。本システムは、コンクリート温度を管理目標値に漸近するようにクーリング水の流量を自動調整するとともに、クーリングパイプの入口側と出口側のコンクリート温度差が小さくなるようにクーリング水の流方向を自動で切り替えることで、セメントの水和熱によるコンクリートの温度ひび割れを防止するものです。クーリング状況は、WEBモニタリングシステムにより遠方から確認することが可能で、コンクリートの温度管理業務の省力化も図れます。今後は、温度ひび割れの発生が想定されるコンクリート構造物の品質向上及び省力化に寄与するシステムとして普及・展開していきます。 (2) 地盤改良施工状況・動態観測可視化システム「施工影響XRウォッチャー」を開発地盤改良工事における施工状況及び地盤変状状況をリアルタイムで監視する可視化システム「施工影響XRウォッチャー」を開発しました(XR: 仮想空間画像処理技術)。本システムは、地盤改良の施工位置や進捗状況などの施工情報をリアルタイムで3次元的に可視化することができます。また、周辺に取り付けた沈下計等の動態観測情報を集約することで、地盤の異変を即座に把握でき、監視業務の効率化や異常事態への迅速な対応が可能となります。今後は、現場適用により本システムの機能向上を図り、施工の安全性向上に寄与するシステムとして展開していきます。 (3) 災害廃棄物の推定システムの開発及び最適な処理方法の検討に着手豪雨や地震など大規模災害時における復旧作業では、災害廃棄物の迅速な処理が社会的課題となっており、自治体は被害状況などから統計的に災害廃棄物の量を予測し、処理実行計画の立案・更新をしています。しかし、災害廃棄物は、個々の災害の特性によって発生量や種類、発生箇所などが大きく異なり、正確に予測することが困難であるため、処理実行計画の策定が遅れ、処理効率の低下や復旧・復興の遅れを招くことが危惧されています。そこで、災害廃棄物の量と種類を迅速かつ正確に推定する計測システムの開発及び災害特性に応じた災害廃棄物の最適な処理方法の検討に着手しました。災害廃棄物の推定については、非可視光領域の波長を検知可能な「ハイパースペクトルカメラ」を用いた手法の確立を目指し、災害特性に応じた最適な処理方法については、土砂を分別する実験を通じて、含水率や粘性等の特性に応じた最適な分別方法の検証を進めています。今後も、計測システムの開発及び最適な処理方法の検討を継続し、刻一刻と変化する災害廃棄物の仮置場の状況や効率的・効果的な処理方法を迅速に処理実行計画へフィードバックし、災害からの早期復旧・復興、資源循環型社会の形成に貢献していきます。 (建築事業)建築事業では、建築物の資産価値を維持し安全性を確保する免震・制振技術や、快適性を高める室内環境技術、SDGs達成にも貢献する省エネ・省資源・環境配慮技術などの開発、さらに企画・設計・施工の各フェーズにおける合理化などに取り組んでいます。(1) より大きな引抜き抵抗力を評価できる場所打ちコンクリート拡底杭工法を開発より大きな引抜き抵抗力を評価できる場所打ちコンクリート拡底杭工法「奥村・丸五式引抜き抵抗杭工法(OMR/B-2)」を丸五基礎工業㈱と共同で開発し、(一財)ベターリビングの評定(CBL FP020-21号)を取得しました。本工法は、これまで考慮されなかった拡底部側面の傾斜による引抜き抵抗力を評価できるため、従来工法よりも杭の軸径部のスリム化や、杭長の短縮が可能となります。これにより、掘削土量や打設するコンクリート量、施工時に使用する安定液量などを削減でき、コストや地球環境への負荷の低減に繋がります。今後は、超高層建物や高さに対して幅が狭い中層建物などの合理的な杭工法として積極的に適用していきます。 (2) 「コンクリート散水養生 自動認識ロボット」を開発コンクリートの散水養生における乾湿状況を自動で認識できる「コンクリート散水養生 自動認識ロボット」を、ユアサ商事㈱と共同で開発し、実用化に向けた実証試験を行いました。コンクリート打設後の散水養生は、コンクリートの強度や仕上がりを左右するため、乾湿状況の管理が非常に重要です。しかし、適切な湿潤状態を維持するには目視による常時確認が必要で、大変な労力がかかるうえ、養生期間において湿潤状態が維持されていることを定量的に自動記録する技術の開発も進んでいないことから、効率的な湿潤養生管理を実現する技術の開発に着手しました。「コンクリート散水養生 自動認識ロボット」は、桐生電子開発(同)と共同開発した光学センサ(特許出願中)を搭載しており、コンクリート表面の乾湿状況を定量評価し自動認識することで、コンクリート打設後の湿潤養生管理を適切に行うとともに、点検・記録作業の省人化を可能とします。今後は、建設現場に即した操作性や耐久性の向上、自動散水設備との連携及びロボットの小型化等の改良を進め、2024年度からの一般販売(ユアサ商事による)を目指します。 (3) 「音環境プレゼンテーションシステム」に工事騒音評価機能を追加建物計画時に設計仕様の音環境を一般の方にもわかりやすく体感してもらうことを目的に開発した、完成建物の音環境をクラウド上で計算して再現し、試聴することができる「音環境プレゼンテーションシステム」に工事騒音評価機能を追加しました。適用可能な音域を工事騒音で問題となりやすい重低音域の周波数まで拡充するとともに、複数の工事騒音や暗騒音の影響を考慮した試聴音を再生できるよう改良しました。今後は、設計案件だけでなく、施工案件にも積極的に活用していきます。 (投資開発事業)研究開発活動は特段行われていません。 (その他)研究開発活動は特段行われていません。
FY2022|2,144 文字
5 【研究開発活動】当社グループは、DX(デジタルトランスフォーメーション)やカーボンニュートラルの実現に向けた技術革新への対応等について、社内外における取り組みをさらに充実させるべく、建設技術に関する業務を集約し、より戦略的な技術開発を推進するための統括組織として、2022年4月1日付で技術本部を新設し、効率的な研究開発を進めています。当社グループの当連結会計年度における研究開発に要した費用の総額は1,629百万円です。セグメントごとの研究開発活動について示すと次のとおりです。 (土木事業)土木事業では、生産性向上に寄与する新技術の確立や当社保有技術の改良・高度化など、顧客に対する提案力の向上につながる技術の開発に注力しています。また、持続可能な社会への貢献を目指し、社会インフラの維持更新に関わる技術や環境に配慮した技術の開発などにも取り組んでいます。(1) CIMによる5次元施工シミュレーションシステムを開発建設工事における構造物の3次元モデル(CADオブジェクト)と工程情報(時間軸)を連携した4次元施工シミュレーションシステムに積算情報を加えた「5次元施工シミュレーションシステム」を開発しました。本システムは、㈱パスコの3次元データ統合ソフト「PADMS」をベースとし、㈱ビーイングの工程管理ソフト「BeingProject-CCPM」と積算ソフト「Gaia」を連携させたものです。構造物のCADオブジェクトと工程情報、積算情報をIDで関連付けることで各情報を一元化し、時間軸で連動させることが可能となります。また、CADオブジェクトを工種ごとに色分けし、施工状況を可視化できるため、工程の進捗に応じた3次元モデルと積算情報のコストを一つの画面上で確認できます。さらに、本システムはシミュレーション機能を搭載しており、施工計画の変更に柔軟に対応することが可能です。今後は、公共工事におけるBIM/CIMの原則適用を見据え、本システムの機能向上を図り、生産性向上に寄与するシステムとして展開していきます。 (2) 生物多様性の保全に貢献するビオトープを整備建設工事において求められる動植物の環境保全対策や、工場・大規模商業施設などの敷地内の生態系に配慮した緑地整備など、生物多様性の保全に関する研究をさらに発展させるため、弊社技術研究所内に実験用ビオトープを整備しました。ビオトープには、実験フィールドとなる「生育実験池」と「保全池」及び展示フィールドとなる「浮葉池」を設けました。流入水量や水位を調整できる5つの生育実験池では、異なる条件下における希少植物の生育状況を調査します。保全池では、植物の自生地以外での生育に向けた代償措置を実践します。また、浮葉池では、主に浮葉系の希少植物を生育・展示します。今後、生物多様性の保全に貢献する研究を進めるとともに、ビオトープや緑地の設計・施工、維持管理に関する技術を蓄積し、顧客への提案につなげます。また、ビオトープを活用して地域の子どもたちの環境教育にも取り組んでいきます。 (建築事業)建築事業では、建築物の資産価値を維持し安全性を確保する免震・制振技術や、快適性を高める室内環境技術、SDGs達成にも貢献する省エネ・省資源・環境配慮技術などの開発、さらに企画・設計・施工の各フェーズにおける合理化に取り組んでいます。(1) 改修工事に伴う既存梁の新たな貫通孔補強工法を開発し、建築技術性能証明を取得既存建物の改修において既存梁に設備配管等の貫通孔を新たに設ける場合、貫通孔により低下した梁の構造性能を補強する必要がありますが、従来の認定補強工法は炭素繊維を用いるため高コストとなっていました。そこで、当社は炭素繊維を用いず、鋼板をアンカーで貫通孔の周りに固定して隙間をエポキシ充填する補強工法を開発し、(一財)日本建築総合試験所の建築技術性能証明(GBRC性能証明 第22-05号)を取得しました。これにより、梁貫通孔の補強にかかるコストを従来よりも大幅に低減することができるようになりました。今後は、建物の長寿命化を支えるリノベーション技術の一つとして、積極的に展開していきます。 (2) 複合構造梁「奥村式ハイブリッド梁構法」を開発し、建築技術性能証明を取得柱をRC造、梁をS造とするハイブリッド構造は、全てをRC造とする場合に比べて建物の大スパン化と躯体重量軽減の両立を可能とする合理的な構造ですが、柱梁接合部の鉄骨部材加工が煩雑になることが課題でした。そこで、梁の端部をRC造、中央部をS造とする「奥村式ハイブリッド梁構法」を開発し、(一財)日本建築総合試験所の建築技術性能証明(GBRC性能証明 第21-13号)を取得しました。本構法を用いることで、柱梁接合部の合理化による施工性の向上及び躯体数量の低減が可能となります。また、従来のハイブリッド構法と併せて、建物の条件や顧客の要求性能に応じた最適な構法を選択できるようになります。今後は、大型物流倉庫や店舗などの設計施工案件で積極的に提案していきます。 (投資開発事業)研究開発活動は特段行われていません。 (その他)研究開発活動は特段行われていません。
FY2021|2,171 文字
5 【研究開発活動】当社グループは、土木本部、建築本部及び技術研究所を中心に基礎・応用・開発の各分野で広範な技術開発を促進するとともに、重要なテーマに対しては社内横断的なプロジェクトチームを編成し、効率的な研究開発を推進しています。また、多様化する社会及び顧客のニーズに的確に対応するため、学際、業際分野において共同研究の強化を行っています。当社グループの当連結会計年度における研究開発に要した費用の総額は1,666百万円です。セグメントごとの研究開発活動について示すと次のとおりです。 (土木事業)土木事業では、生産性向上に寄与する新技術の確立や当社保有技術の改良・高度化など、顧客に対する提案力の向上につながる技術開発に注力するとともに、持続可能な社会の実現に向けて、社会インフラの維持更新に関わる技術や環境に配慮する技術の開発などにも取り組んでいます。(1) AIを用いた下水道管渠の損傷検出システムを開発下水道管渠の維持管理において、管渠内部の調査業務を効率化するとともに、損傷判定品質の確保を実現する損傷検出システムを開発しました。本システムは、今後主流となることが見込まれる広角レンズのテレビカメラ調査にAIを用いて、管渠内部の損傷箇所を検出するものです。広角テレビカメラにより撮影した動画を、展開画像への変換と画像分割を行ったうえで本システムに入力し、AIが画像を解析することにより、技術者と同等の精度で管構造情報と損傷情報を取得します。技術者は、解析結果として出力される損傷情報が付記された展開画像及び取得情報のリストの確認に注力できるため、損傷判定品質の向上が見込めます。また、出力された結果は、調査業務報告書の資料としても活用できます。今後は、検出精度のさらなる向上や、管種や管径などの適用範囲の拡大により本システムの機能向上を図り、下水道管渠の維持管理業務を省力化する技術として積極的に提案していきます。 (2) 自動削孔装置を開発既存鉄筋コンクリート(以下、RC)構造物の補強工事に用いられる、“あと施工せん断補強工法”及び“あと施工アンカーを用いた壁等の増設工法”において、削孔作業の省力化、効率化を実現する自動削孔装置を、それぞれの工法に合わせて、2種類開発しました。大径用(最大削孔径φ40mm程度)、小径用(最大削孔径φ25mm程度)の両装置とも、削孔計画に従って自動で削孔し、削孔位置、削孔深さ、削孔数、削孔時間等の施工結果データを自動的に記録します。RC壁試験体を用いた性能確認実験により、削孔位置・削孔深さは人力施工と同等の精度が確保できること、また、作業の労力軽減、作業時間の短縮が図れることを確認しました。今後は、あと施工せん断補強工法に類する、当社開発の「後施工六角ナット定着型せん断補強鉄筋ベストグラウトバー」に本装置を適用し、既存RC構造物の補強工事の生産性を向上させる技術として、積極的に提案していきます。 (建築事業)建築事業では、建築物の資産価値を維持し安全性を確保するための免震・制振技術や、快適性を高めるための室内環境技術、SDGsへの貢献にもつながる省エネ・省資源・環境配慮技術などの開発、さらに企画・設計・施工の各フェーズにおける合理化に取り組んでいます。(1) 2倍拡底杭工法を拡充し、評定を取得当社と丸五基礎工業㈱が共同で開発した「2倍拡底杭工法(OMR/B工法を用いた場所打ちコンクリート拡底杭工法)」について、コンクリートの設計基準強度の適用上限を従来の45N/mm2から80N/mm2まで拡げる追加開発を行い、2020年5月8日付けで(財)日本建築センターの評定(BCJ評定-FD0255-09)を取得しました。これにより、従来よりも大きな荷重が作用する超高層建築物や柱間隔の広い建築物の杭にも適用できるようになりました。掘削土量や使用材料を削減でき、大幅なコスト削減と環境負荷の低減につながる技術として、今後も積極的に展開していきます。 (2) 音環境プレゼンテーションシステムを改良し、機能を拡充既開発の音環境プレゼンテーションシステムを、クラウド環境で操作できるように改良し、機動性の向上を図りました。音環境性能(音の響き方や遮音など)は通常、数値で示すことが多く、一般の方にはその性能をイメージしてもらいづらいことから、当社では設計仕様から音環境を予測計算して試聴音を作成・再生できるシステムを開発しています。従来のシステムではノートパソコンで試聴音を作成していましたが、これをクラウド上で行うことで、処理速度が大幅に向上し、打ち合わせ先で仕様変更があった場合も、即時にそれに対応した試聴音を作成できるようになりました。使用機器はモバイル端末と試聴用のヘッドホンのみと可搬性に優れていることに加え、インターネットに接続可能な場所であればどこでも使用でき、試聴音の作成作業を技術者がクラウド上で遠隔地から行うことも可能であるため、高い機動力を発揮します。本システムの向上した機動力を活かして、発注者や設計者との打ち合わせ、VE提案などに積極的に活用していきます。 (投資開発事業)研究開発活動は特段行われていません。 (その他)研究開発活動は特段行われていません。
FY2020|2,066 文字
5 【研究開発活動】当社グループは、土木本部、建築本部及び技術研究所を中心に基礎・応用・開発の各分野で広範な技術開発を促進するとともに、重要なテーマに対しては社内横断的なプロジェクトチームを編成し、効率的な研究開発を推進しています。 また、多様化する社会及び顧客のニーズに的確に対応するため、学際、業際分野において共同研究の強化を行っています。 当社グループの当連結会計年度における研究開発に要した費用の総額は1,443百万円です。 セグメントごとの研究開発活動について示すと次のとおりです。 (土木事業)土木事業では、生産性向上に寄与する新技術の確立や当社保有技術の改良・高度化などの顧客に対する提案力の向上に繋がる技術、社会インフラの維持更新に関わる技術、さらに環境に配慮する技術の開発などに取り組んでいます。(1) トンネルの補修・補強工事に用いる曲面天井用研掃システムを開発インフラ施設の補修・補強工事における天井コンクリート表面の研掃作業の効率化、粉塵飛散の抑制、安全性の向上を図るべく、作業の機械化に取り組んできました。このたび、すでに機械化に成功している平面状のコンクリート表面に加え、トンネルなどの曲面状のコンクリート表面にも対応できるシステムを開発しました。本システムは、天井コンクリート表面に押し当てる研掃ヘッドに首振り機能を付与するとともに、センサーを用いてコンクリート表面と研削ノズルとの距離を一定に保つことで曲面の研掃を可能にし、研掃に伴う粉塵などの飛散を、研削ノズル近傍の吸引口からのバキューム吸引と2重の飛散防止枠により抑制します。今後は、リニューアル工事において、作業環境の改善や作業効率の向上が図られる施工技術として、積極的に提案していきます。 (2) 覆工コンクリートの高速打設システムを高度化当社が開発した覆工コンクリートの高速打設システムに、ひび割れ誘発目地を形成する技術を付加することで、システムの高度化を図りました。本システムは、一回の打設スパン長を延伸する“ロングスパンセントル方式”による打設を「前後同時」、「左右同時」、「圧入方式の併用」という3つの要素技術により高速化するもので、スパン長が長いことによる不特定箇所でのひび割れ発生リスクの低減が課題でした。そこで、本システムに、セントル中央の周方向に連続して設置した金属製目地板を、コンクリート打設後に順次引き抜く方法でひび割れ誘発目地を形成する技術を付加し、模擬トンネルでの実規模施工実験により、不特定箇所でのひび割れ発生の抑制に有効であることを確認しました。今後は、本システムの実工事への本格適用に向け、さらなるブラッシュアップを図るとともに、山岳トンネルの急速施工技術として積極的に提案していきます。 (建築事業)建築事業では、建築物の機能・価格・工期などにおいて優位性を持つための技術、安全性や快適性をより高めるための免震・制震技術や室内環境技術、持続可能な社会の実現を目指した省エネ・省資源技術やストック活用技術、さらに周辺地域への影響や工事環境を改善する技術の開発などに取り組んでいます。(1) オールラウンド免震システムを開発し、実物件に適用大地震時の安全性と平常時の微振動抑制機能を併せ持った高性能な免震システム「オールラウンド免震」を開発し、精密加工工具メーカーの開発センターに適用しました。免震構造は、耐震構造に比べて微振動(人が感じない非常に小さな揺れ)の影響を受けやすいため、精密機械を用いて生産や研究を行う施設に採用する際は、加工精度や生産性などへの影響を考慮し、対策を行う必要があります。本システムは、従来の免震装置に振動エネルギーを吸収する「微振動対策ダンパー」を併用することで、平常時の微振動を抑制するものです。今後は、大きな揺れから小さな揺れまでオールラウンドに対応できる技術として、本システムを積極的に展開していく予定です。 (2) 奥村組技術研究所管理棟を改修し、Nearly ZEB評価を取得奥村組技術研究所管理棟を、快適な室内空間を実現しながら、建物で消費するエネルギー「ゼロ」を目指すZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化改修し、BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)認証のNearly ZEB評価を取得するとともに、(一社)環境共創イニシアチブが公募するZEBリーディング・オーナーに認定登録されました。本建物に、省エネ技術として①高断熱化外皮、②高効率空調、③高効率LED照明、④タスク・アンビエント照明などを採用し、創エネ技術として太陽光発電を採用することで、一次エネルギー消費量を基準ビルに対して76%削減しました。本建物で得られた知見を生かし、ZEBプランナーとして、またZEBリーディング・オーナーとして、ZEBの積極的な展開を図り、脱炭素社会の実現を目指します。 (投資開発事業)研究開発活動は特段行われていません。 (その他)研究開発活動は特段行われていません。
FY2019|1,860 文字
5 【研究開発活動】当社グループは、土木本部、建築本部及び技術研究所を中心に基礎・応用・開発の各分野で広範な技術開発を促進するとともに、重要なテーマに対しては社内横断的なプロジェクトチームを編成し、効率的な研究開発を推進しています。 また、多様化する社会及び顧客のニーズに的確に対応するため、学際、業際分野において共同研究の強化を行っています。 当社グループの当連結会計年度における研究開発に要した費用の総額は1,337百万円です。 セグメントごとの研究開発活動について示すと次のとおりです。 (土木事業) 土木事業では、生産性の向上に寄与する新技術の確立や当社保有技術の改良・高度化など顧客に対する提案力の向上に繋がる技術の開発に注力しています。また、社会インフラの維持更新に関わる技術や環境配慮技術の開発にも取り組んでいます。(1) 覆工コンクリートにおける高速打設システムの開発山岳トンネル工事における急速施工を目的として、覆工コンクリートの高速打設システムを開発しました。 本システムは、「前後の同時打設」、「左右の同時打設」、「圧入方式を併用する打設」という3つの要素技術を取り入れることで作業を高速化し、一回の打設スパン長を延伸する“ロングスパンセントル方式”による打設においても、従来の打設サイクルの維持を可能とするものです。ロングスパンセントルの本格運用に向け、本システムのさらなるブラッシュアップを図り、山岳トンネルの急速施工技術として積極的に提案していきます。 (2) 塩害リスクのあるRC構造物に加熱改質フライアッシュを適用コンクリートの耐久性と施工性の向上を目的として、塩害リスクのあるRC構造物に加熱改質フライアッシュを混和材として適用しました。 加熱改質フライアッシュは未燃炭素を化学混和剤の効果発現に影響を与えない1%以下に除去しており、通常のフライアッシュに比べ高い品質安定性を有しているため、劣化リスクを低減します。この度、河口湾に建設する水門翼壁部のコンクリートに混和材として使用し、コンクリートへの塩分浸透の抑制及び施工時のワーカビリティー向上への寄与を確認しました。今後も耐久性のモニタリングを実施し、加熱改質フライアッシュの適用拡大に取り組んでいきます。 (建築事業)建築事業では、機能、価格、工期などにおいて優位性を持つ商品(建築物)を創り出すための技術、都市・建物の安全性、快適性をより高めるための免震・制震技術や建築環境技術、さらに工事環境を改善するための技術等の開発に注力しています。また、持続可能な社会を構築していくためのストック活用技術や省エネ・省資源等の環境負荷低減技術の開発にも取り組んでいます。(1) 大開孔付き基礎梁工法の技術性能証明を取得大開孔を有するRC造の基礎梁の梁せいを小さくすることで躯体及び掘削工事のコストを低減する「大開孔付き基礎梁工法」を開発し、(一財)日本建築総合試験所の建築技術性能証明(GBRC性能証明第18-16号)を取得しました。 本工法は、基礎梁の大開孔を開孔際あばら筋や平行四辺形斜め補強筋等で補強することにより、一般的に基礎梁せいの1/3以下と規定されている開孔径を1/2まで許容することができる工法です。本工法の適用により、開孔径φ600mmの人通孔を設ける場合、基礎梁せいは従来の1,800mmから最小で1,200mmまで縮小できるため、型枠やコンクリート、及び掘削土の数量を低減でき、コストダウンを実現することができます。 (2) アクティブ消音システムを改良し、適用範囲を拡大建設機械などから発生する騒音の低減を目的として開発した「アクティブ消音システム」を改良し、走行する建設車両のエンジン音への適用を可能にしました。 本システムは、マイクで測定した騒音と逆位相の音をスピーカから出力して騒音を打ち消すもので、低周波の騒音の低減に有効な技術です。従来は全周波数に対して逆位相音を計算していたため、走行車両のエンジン音のように、騒音の周波数特性が短時間で変化する場合は計算が追い付かず、十分な効果が得られないことがありました。そこで、対象を主要な周波数帯に絞り込んで計算するように改良することで計算時間を大幅に短縮し、対応可能としました。 本システムは、工事現場周辺環境の保全技術として、積極的に展開していく予定です。 (不動産事業)研究開発活動は特段行われていません。 (その他)研究開発活動は特段行われていません。
FY2018|1,803 文字
5 【研究開発活動】当社グループは、土木本部、建築本部及び技術研究所を中心に基礎・応用・開発の各分野で広範な技術開発を促進するとともに、重要なテーマに対しては社内横断的なプロジェクトチームを編成し、効率的な研究開発を推進しています。 また、多様化する社会及び顧客のニーズに的確に対応するため、学際、業際分野において共同研究の強化を行っています。 当社グループの当連結会計年度における研究開発に要した費用の総額は1,080百万円です。 セグメントごとの研究開発活動について示すと次のとおりです。 (土木事業) 土木事業では、生産性の向上に寄与する新技術の確立や当社保有技術の改良・高度化など顧客に対する提案力の向上に繋がる技術の開発に注力しています。また、社会インフラの維持更新に関わる技術や環境配慮技術の開発にも取り組んでいます。(1) 鉄道施設の補修工事に自動研掃装置を適用インフラ施設の補修・補強工事にともなうコンクリート表面の削り取り作業の効率化を目的に開発した乾式自動研掃装置を、鉄道施設の補修工事に初めて適用しました。 本装置は従来人力で行ってきたコンクリート表面の汚れや脆弱部を削り取る作業を機械化するもので、作業時間に制約がある供用中の鉄道施設の補修工事においても、粉塵等の飛散抑止による作業環境の改善を図りつつ、効率的な施工が可能となりました。本装置以外にも、目的や部位別に数種類の自動研掃装置を保有しており、補修・補強工事の生産性向上に資する技術として、積極的に展開していきます。 (2) 画像解析による杭の施工管理システムの開発高速画像解析技術を応用して基礎杭の鉛直精度をリアルタイムで把握できる施工管理システムを開発しました。 本システムは、杭打機の掘削用ロッドを2方向からビデオカメラで撮影し、その画像データを「顔認証」などに用いられる技術を利用して高速で解析するもので、ロッドの傾斜角や掘削深度、さらには杭の曲がりを修正するための最適なロッド角度をリアルタイムに算出することができます。杭打機操縦者は、タブレットPCやウェアラブル端末(スマートグラス)を介してこれらの情報を把握し、施工に反映させることができるため、操縦者の習熟度に左右されない高品質な施工が可能となります。 (建築事業)建築事業では、機能、価格、工期などにおいて優位性を持つ商品(建築物)を創り出すための技術、都市・建物の安全性、快適性をより高めるための免震・制震技術や建築環境技術、さらに工事環境を改善するための技術等の開発に注力しています。また、持続可能な社会を構築していくためのストック活用技術や省エネ・省資源等環境負荷低減技術の開発にも取り組んでいます。(1) 立体自動倉庫のラック地震対策技術を拡充物流施設や工場などの立体自動倉庫において、ラック(荷棚)全体の荷物の落下を抑制する目的で開発した「ラック制震」技術の低廉化に加え、新たに個々の積荷を対象とした「パレット免震」技術を開発し、地震対策技術を拡充しました。 「ラック制震」技術では、本技術の特長であるラック脚部の制震ユニットに滑り支承を採用することで、従来の転がり支承とほぼ同等の性能を維持しつつ、費用の削減を実現しました。「パレット免震」技術は、ラックに収容される個々のパレットとラックフレームとの間に免震装置を設置するものであり、新設だけでなく既設のラックにも適用でき、重要性の高い積荷を載せるパレットに限定するなど、要求性能に応じて使い分けることが可能です。 (2) 「タイル調査支援システム」を開発外壁に用いられているタイルは、剥落すると歩行者等に危害を加えるおそれがあることから、定期的に全面にわたる打診等の調査が義務づけられています。従来のタイル打診調査では、現地で調査結果を手書きで記録しており、記録の整理作業を含めると多大な労力を要していましたので、調査の省力化を目的として、「タイル調査支援システム」を開発しました。 本システムはウェアラブル端末と小型のセンサーで構成されており、センサーで検知した打診棒の位置やタイルの状態などの調査結果をその場で電子情報化でき、携帯性にも優れているため、調査の迅速化・省力化を可能にします。 (不動産事業)研究開発活動は特段行われていません。 (その他)研究開発活動は特段行われていません。
FY2017|1,767 文字
6 【研究開発活動】当社グループは、土木本部、建築本部及び技術研究所を中心に基礎・応用・開発の各分野で広範な技術開発を促進するとともに、重要なテーマに対しては社内横断的なプロジェクトチームを編成し、効率的な研究開発を推進しています。 また、多様化する社会及び顧客のニーズに的確に対応するため、学際、業際分野において共同研究の強化を行っています。 当社グループの当連結会計年度における研究開発に要した費用の総額は865百万円です。 セグメントごとの研究開発活動について示すと次のとおりです。 (土木事業) 土木事業では、生産性の向上に寄与する新技術の確立や当社保有技術の改良・高度化など顧客に対する提案力の向上に繋がる技術の開発に注力しています。また、社会インフラの維持更新に関わる技術や環境配慮技術の開発にも取り組んでいます。(1) 既設RC柱の曲げ補強工法の開発鉄道橋や道路橋をはじめとする既設構造物の耐震補強工事に広く適用することができる既設の鉄筋コンクリート(RC)柱の曲げ補強工法を開発しました。 本工法は、既設RC柱のせん断補強用として開発し、多くの施工実績を持つ当社保有技術「スパイラル巻立工法」をベースとしており、これに曲げ補強用として高強度の軸方向鉄筋を付加し、吹付モルタルで仕上げたもので、従来に比べて補強厚さが薄く、かつ施工性と経済性に優れた曲げ補強が可能となります。(2) 山岳トンネル工事におけるCIM用ソフトウェアの開発山岳トンネル工事における施工情報を一元管理し、3次元データの作成が容易で優れたパフォーマンスを有するCIM用ソフトウェアを㈱パスコと共同で開発しました。 本ソフトウェアは、大量データの高速処理と応答性に優れる3次元基本ソフトウェアをベースとし、山岳トンネルCIM用として3次元データ作成の簡易性と快適な操作性を実現したもので、現場のCIM導入・運用にかかる負荷を大幅に軽減させることができます。今後は、山岳トンネル工事での活用はもとより、他の工種へも広く展開を図るなど、建設事業全体におけるCIMの導入を推進していきます。 (建築事業)建築事業では、機能、価格、工期などにおいて優位性を持つ商品(建築物)を創り出すための技術、都市・建物の安全性、快適性をより高めるための免震・制震技術や建築環境技術、さらに工事環境を改善するための技術等の開発に注力しています。また、持続可能な社会を構築していくためのストック活用技術や省エネ・省資源等環境負荷低減技術の開発にも取り組んでいます。(1) 30年経過した免震装置の性能を確認1986年に竣工した日本初の実用免震ビル「奥村組技術研究所管理棟(茨城県つくば市)」において、建物そのものを揺らす自由振動実験を実施し、30年経過した今でも免震装置の性能が確保され、十分に安全性を維持していることを確認しました。 本実験は供用中の建物全体をジャッキで水平方向に強制的に10㎝スライドさせた後、一気に解放することにより自由振動させ、免震装置の安全性能と経年による特性変動を検証するものです。今後も約10年間隔で同様の自由振動実験を行い、当社でしか得られない最先端の実証データを収集し免震技術の発展に貢献し続けていきます。 (2) 「現場添加型高流動化コンクリート」の建築技術性能証明を取得建設現場にトラックアジテータで搬入された普通コンクリートに分離抵抗性を有する高流動化剤を添加、ドラムを回転・撹拌して製造する「現場添加型高流動化コンクリート」を開発し、(一財)日本建築総合試験所の建築技術性能証明(GBRC性能証明 第16-16号)を取得しました。 開発したコンクリートは過密配筋部などコンクリートの充填が困難とされる工事において、従前より使用されている高強度コンクリートと同程度の流動性を持ちつつ、セメント量が少なくひび割れを抑制できるほか、建設現場で容易に製造可能で適用地域の拡大が図れます。また、騒音の発生源となるドラムの回転速度を抑えても安定した流動性を確保(特許出願済)できることから、周辺環境への配慮が必要な市街地においても対応可能です。 (不動産事業)研究開発活動は特段行われていません。 (その他)研究開発活動は特段行われていません。
FY2016|1,553 文字
6 【研究開発活動】当社グループは、土木本部、建築本部及び技術研究所を中心に基礎・応用・開発の各分野で広範な技術開発を促進するとともに、重要なテーマに対しては社内横断的なプロジェクトチームを編成し、効率的な研究開発を推進しています。 また、多様化する社会及び顧客のニーズに的確に対応するため、学際、業際分野において共同研究の強化を行っています。 当社グループの当連結会計年度における研究開発に要した費用の総額は788百万円です。 セグメントごとの研究開発活動について示すと次のとおりです。 (土木事業) 土木事業では、他社との差別化を図る新技術の確立や当社保有技術の改良・高度化など顧客に対する提案力の向上に繋がる技術の開発に注力しています。また、社会インフラの維持更新に関わる技術や環境配慮技術の開発にも取り組んでいます。(1) 補修・補強工事におけるコンクリート表面の乾式自動研掃装置の開発道路トンネルの補修・補強工事などの広範囲に及ぶコンクリート表面の削り取り作業において、坑内の粉塵飛散を抑制しながら連続的かつ高効率な処理を可能とする乾式自動研掃装置を開発しました。 本装置は従来重い工具を用いて人力で行ってきたコンクリート表面の汚れや脆弱部を削り取る作業を機械化したもので、作業環境の改善はもとより、作業の効率化と仕上がり品質の向上が図れるなど、社会インフラの老朽化対策工事に広く適用することができます。(2) 山岳トンネル工事における高速ずり搬出システムの開発発破工法による山岳トンネル工事で発生したずり(岩石片)を掘削場所から坑外に高速搬出するシステムを開発しました。 本システムは破砕機と伸縮式ベルトコンベアを効果的に配置してずりの破砕効率や運搬効率を高めるもので、工期短縮やコスト低減の効果が大いに期待できることから、長距離・大断面トンネルの急速施工に活用していきます。 (建築事業)建築事業では、機能、価格、工期などにおいて優位性を持つ商品(建築物)を創り出すための技術、都市・建物の安全性、快適性をより高めるための免震・制震技術や建築環境技術、さらに工事環境を改善するための技術等の開発に注力しています。また、持続可能な社会を構築していくためのストック活用技術や省エネ・省資源等環境負荷低減技術の開発にも取り組んでいます。(1) 「増打ち壁耐震補強工法」の建築技術性能証明を取得鉄筋コンクリートの既存壁に高強度モルタルを吹き付けて壁厚を増すことにより、既存建物の耐震性能を高める工法の設計・施工法を確立し、(一財)日本建築総合試験所の建築技術性能証明(GBRC性能証明 第15-09号)を取得しました。 本工法は増打ち壁と既存躯体(柱・梁)との接合にアンカー筋を使用せず、型枠組み立ても不要なため、騒音・振動・粉塵の抑制や工期の短縮が図れるなど、稼働を停止することが困難な学校や病院でも建物を使用しながら工事を進めることができます。 (2) 日本初の実用免震ビルによる免震装置経年変化検証実験に着手竣工後30年目を迎える日本初の実用免震ビル「奥村組技術研究所管理棟(茨城県つくば市)」による免震装置経年変化検証実験に着手しました。 実建物を用いた本実験は供用中の建物全体をジャッキで強制的に水平移動させたうえ、ジャッキの力を一気に解放して自由振動させることにより、免震装置の安全性能と経年による特性変動を検証するもので、免震技術の開発や洗練化につながる貴重なデータの収集・蓄積を可能とし、ソリューション提案にも活かせるなど、建物の安全性向上と資産価値増大への貢献が大いに期待できます。 (不動産事業)研究開発活動は特段行われていません。 (その他)研究開発活動は特段行われていません。