研究開発費(時系列)
| 年度 | R&D費用(億円) | 設備投資(億円) |
| 2025-03 |
- |
5 |
| 2024-03 |
- |
83 |
| 2023-03 |
- |
75 |
| 2022-03 |
- |
9 |
| 2021-03 |
- |
14 |
研究開発活動(本文)
FY2025|3,531 文字
6【研究開発活動】 当社の研究開発においては、工事の生産性向上、安全性、品質の向上を図り、長期的な安定受注を図るという技術戦略に基づき、年々テーマ数を増やすとともに、持続可能な社会の実現に向けたサステナブル推進に関するテーマなど多くの研究開発に挑戦し取り組んでいます。 本年度はICT技術の活用・建設DX推進により生産性向上に資するシステムの開発、CO2排出量削減、施工の効率化・省力化や鉄道・大規模更新工事を見据えた新たな施工技術の開発を進め、当社の技術力のさらなる向上に努めます。また、保有工法のブラッシュアップにより他社との差別化を図っていきます。 当連結会計年度の研究開発費は1,101百万円(土木工事1,031百万円・建築工事70百万円)で、主な研究開発活動及びその成果は次のとおりです。なお、研究開発活動には、子会社である株式会社ジェイテックとの共同研究開発活動が含まれています。 (1)土木分野①建設DX推進への取り組み~非GNSS環境下でも重機の動きと出来形を1cm単位でリアルタイム検出~建設業界では、深刻な労働力不足を背景に、生産性向上と労働環境の改善が急務となっています。特に、重機の遠隔操作や自動化技術の普及が進む中で、マシンガイダンス技術の重要性はますます高まっています。このような課題に対応するため、当社はCalTa株式会社、株式会社マップフォーと共同で、可搬式LiDARと独自開発の自動検出システムを組み合わせたマシンガイダンス技術を開発しました。本技術は、現場に設置した独自開発の自動検出システムと可搬式LiDARを組み合わせ、重機の位置や動き、掘削などの出来形をリアルタイムで検出・解析するものです。このシステムは、可搬式LiDARが取得した点群データを処理して、重機の動きや掘削形状を自動検出し、端末上でリアルタイムに可視化します。これにより、重機へのLiDAR設置や大がかりな改修を行うことなく、非GNSS環境下 (トンネル、地下空間、屋内などのGNSS信号を受信できない環境)でも、現場状況の正確な把握が可能になります。今後は、本技術を活用して建設現場の遠隔施工を促進し、労働力不足が深刻化する中で建設現場の生産性向上や労働環境改善に貢献してまいります。②鉄道工事の安定的受注に向けた技術開発~鉄道高架橋のプレキャスト化に向けた開発~従来の鉄筋コンクリート高架橋の施工において課題とされていた、大規模な足場・支保工の設置や熟練技能者による複雑な配筋作業に対応すべく、当社はプレキャスト化を推進する新たな施工技術を開発し、実プロジェクトへの適用を実現いたしました。本技術では、「鋼管拘束型鉄筋継手」および「閉合鉄筋継手」という二種類の新しい継手構造を高架橋に導入し、足場不要、省力化、高効率な施工を実現しております。 「鋼管拘束型鉄筋継手」は、あらかじめ基礎部に設置した鋼管内に無収縮モルタルを充填し、柱部材の鉄筋を挿入することで、基礎と柱を一体化する工法です。特殊材料を使用せず、後工程が不要なため、短時間での施工が可能です。「閉合鉄筋継手」は、柱側面と梁端部に配置されたコの字型鉄筋を重ねて接合する工法で、梁部材の鉛直方向からの架設が可能となります。また、柱上部に設置したブラケットにより、足場や支保工を用いずに施工できます。これらの技術は、昨年度に実現場で適用され、足場不要の施工方法、施工誤差の吸収性、施工時間の短縮といった効果を確認しております。今後は、工法のさらなる普及・展開を図るとともに、施工効率の向上やコストダウンに向けた継続的な改良を進めてまいります。③サステナブル推進に関する技術開発~山岳トンネル・シールドトンネルにおけるCO2排出量削減への取組み~当社は、持続可能な社会の実現に向け、環境保全に寄与するさまざまな技術開発に取り組んでいます。その一環として、山岳トンネル工事におけるCO2排出量削減を目的に、地山掘削後の一次支保に使用する吹付けコンクリートに着目した研究開発を進めています。これまでに、CO2排出原単位の低い高炉セメントB種を用いた一般吹付けコンクリートを、比較的温暖な地域のトンネル現場に適用し、CO2排出量の大幅な削減を実現しました。さらに、吹付けコンクリートの強度発現に課題のある寒冷地域においても、検討・実験を重ねることで、現場での適用に成功しています。今後は、その他の材料や部材においても、CO2排出量の更なる削減を目指し、研究を推進してまいります。また、シールドトンネルにおいては、従来のセメントコンクリートに比べ、最大80%のCO2排出量削減が可能なジオポリマーコンクリート「セメノン®」を、国内で初めてシールドセグメントに適用しました。加えて、セメノン®は、従来コンクリートと比べて約15倍の耐酸性、約5倍の透水抵抗性、約1.2倍の耐摩耗性を有しており、下水道関連施設などの酸性環境下においても、長寿命化と維持管理費の低減が可能です。 当社は、これらの技術を積極的に提案・展開することで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。 (2)建築分野①大型物流倉庫・工場への対応~柱(RC)梁(S)の混合構法(MIRACR[ミラクル]構法)の適用拡大~ 建築物における構造合理性に優れた架構形式として、高い軸力保持能力と剛性を有する鉄筋コンクリート(RC)造柱と、ロングスパンに対応可能な鉄骨(S)造梁を組み合わせた「柱RC梁Sの混合構法」が物流倉庫を中心に適用されています。この度、当社保有技術である柱RC梁Sの混合構法(MIRACR構法)の適用拡大を目指して、構法を改定しました。本技術は、鉄筋コンクリート(RC)造柱と鉄骨(S)造梁からなる混合構造において、梁端部柱面に支圧板を配置し、中板および三角スチフナを配置するとともに、周囲をふさぎ板で囲んだRC柱S梁接合部を構築するための構法です。中板には、開口付きと開口なしの場合があります。従来の梁貫通形式に比べて、柱主筋と梁フランジの干渉を避けることが容易にでき、梁段差がある場合には、梁仕口部に設置したFBPプレートを介して、接合部内の中板、三角スチフナを配置することにより梁段差を吸収できる納まりとすることで様々な梁段差にも対応可能であり、接合部の合理的な設計が可能となっています。今後も大型物流倉庫や工場への適用を目指していきます。②建築物の耐震対策への取組み~FMS合金を用いたレンズダンパーの適用~ 建築物の耐震対策として、地震による建物の揺れを吸収するダンパーを設置して、構造安全性を確保する制震構法があります。当社では、これまで、低降伏点鋼材(LY材)のパネル中央部の両面を凹レンズ形状にしたレンズダンパーを生産施設(工場)へ展開してきました。また、レンズダンパーで用いる鋼材として、これまでのLY材に加えて、疲労特性に優れた新材料として注目されている「FMS合金(Fe-Mn-Si 系合金)」を採用し、2022年に構造性能評価を取得しています。FMS合金は、一般流通材として入手可能となった材料であり、優れた疲労特性を有しています。この度、FMS合金を用いたレンズダンパーを鉄骨造10階の事務所ビルに提案して、採用されました。今後、発生が予想されている南海トラフ地震のような長時間の揺れを伴う巨大地震への対応として有効な制震ダンパーとして、BCP対応を含めて、適用を目指していきます。③既存ホーム上家の省力化架設の開発~基礎のプレキャスト化により工期短縮を図る~ 既存駅の線路上空に新たに建築物を構築する際に、既存のホーム上家(屋根)が新設の梁と支障する場合があり、既存ホーム上家撤去前に支障物を避けた高さで、仮設の上家を設ける事例が多く見られます。仮設上家は夜間の限られた時間帯での施工となり、更に、添架設備の盛替えなど、工期増大の一因となっています。そこで、既存上家を新設の梁と支障しない高さまで、添架設備を含めて一括で下げることで、仮設上家の設置や添架設備の移転回数を減らして、既存上家を省力化して架設する工法を東日本旅客鉄道株式会社と共同で開発しました。今回、開発した工法は、既存の上家の鉄骨柱の四隅に等辺山形鋼材による仮柱を設置して、当該部分の鉄骨柱を切断して、油圧ジャッキ等を用いて既存上家全体を下げる工法で、仮設上家施工が省略可能となり、大幅な工期短縮が図れます。今後は実プロジェクトへの適用を目指しています。 (3)不動産事業、付帯事業及びその他 研究開発活動は特段行われていません。
FY2024|3,285 文字
6【研究開発活動】 当社の研究開発においては、工事の生産性向上、安全性、品質の向上を図り、長期的な安定受注を図るという技術戦略に基づき、年々テーマ数を増やすとともに、持続可能な社会の実現に向けたサステナブル推進に関するテーマなど多くの研究開発に挑戦し取り組んでいます。 本年度はICT技術の活用・建設DX推進により生産性向上に資するシステムの開発、CO2排出量削減、施工の効率化・省力化や鉄道・大規模更新工事を見据えた新たな施工技術の開発を進め、当社の技術力のさらなる向上に努めます。また、保有工法のブラッシュアップにより他社との差別化を図っていきます。 当連結会計年度の研究開発費は1,018百万円(土木工事891百万円・建築工事127百万円)で、主な研究開発活動及びその成果は次のとおりです。なお、研究開発活動には、子会社である株式会社ジェイテックとの共同研究開発活動が含まれています。 (1)土木分野①建設DX推進への取り組み~PC・RC構造物の建設に変革をもたらす統合システムの構築~当社ではPC・RC構造物の建設プロセスにおいて最新のICT、IoT、AIを活用して、生産性向上と品質向上を実現するツールやシステムとして「コンクリート打設管理システム」や「配筋検査システム」などを開発してきました。現在、これらの技術を統合した建設システム「TK Construction Flow 360」の構築に取組んでいます。 本システムは、画像や点群等により得られる多種・多様・大容量の情報をクラウド上で一元管理し、それらの情報を建設プロセスの各段階でのツールやシステムで効果的に使用します。数値や図などを活用して情報を視覚的に示すことで、誰もが、いつでもどこからでも状況を把握し、指示・確認することを容易にし、PC・RC構造物の建設を多角的にサポートします。本システムを使用することで、発注者、元請、専門工事会社間での情報共有の強化、コミュニケーションの円滑化により、遠隔臨場や集中管理の効果を最大限に高め、さらなる業務の効率化、省人化に貢献し、建設現場全体の働き方改革を促進します。②鉄道工事の安定的受注に向けた技術開発~深礎工法の施工環境改善に向けて機械式深礎工法(Shinso-MaN工法)を開発~ 駅改良工事のような狭隘かつ近接構造物の多い箇所に用いられていた深礎工法について、人力主体で実施していた作業を、遠隔操作による機械化・システム化することにより、施工性・安全性を向上した工法を東日本旅客鉄道株式会社他3社と共同で開発しました。従来の深礎工法は、杭孔底面に作業員が降り、掘削・排土をしながらライナープレートを設置し掘り進めていきます。作業は危険で過酷なものであることから、少子高齢化に伴う作業員の担い手不足や作業の長期化による建設費用の増大といった課題がありました。開発した工法では、人力での掘削を機械式の掘削・排土システムにより代替することで、作業環境を大幅に改善しました。この機械は、杭孔外から遠隔操作されるため、掘削作業員が危険な杭孔内へ降りる必要はありません。掘削スピードも、人力と比較して大幅に向上しています。今後は、更なる施工効率向上、コストダウンなど工法のブラッシュアップを図っていきます。③サステナブル推進に関する技術開発~山岳トンネルにおけるCO2排出量削減技術の開発~ 当社では、持続可能な社会の実現に向けて、環境保全に役立つさまざまな技術開発に取組んでいます。このうち、山岳トンネルにおけるCO2排出量削減を目的として、地山掘削後の一次支保に用いる吹付けコンクリートを対象に研究開発を進めてきました。一般的に吹付けコンクリートでは、急結性や初期強度発現性の確保のために普通ポルトランドセメントを用いますが、本研究ではCO2排出量原単位の少ない高炉セメントB種を用いた場合の吹付けコンクリートの配合を検討し、従来配合に匹敵する品質を有することを確認するとともに実施工への適用を図りました。実施工においても、フレッシュ性状、初期強度、圧縮強度や発生粉じん量などについて、要求性能を満足する結果が得られ、吹付けコンクリート1m3あたり119kg※に相当するCO2排出量の削減が可能となりました。今後も本技術を山岳トンネルのCO2排出量削減のひとつとして普及展開を図るとともに、吹付けコンクリートのさらなる低炭素化に向けての研究開発を進めていきます。※一般財団法人セメント協会HP「セメントのLCIデータの概要」のセメント品種別イベントリデータより算出 (2)建築分野①建設DXの推進に向けた取り組み~建物外周壁開口部の遮音検討BIMアドインツールの開発~ 集合住宅やホテルの設計では、居室内の静謐性を確保するために、仕様書などの中で、外部から建物の外周壁を透過して、室内で生じる騒音の目標値が一般に定められています。そのため、当社では、計画時に敷地周辺の外部騒音を調査し、騒音の目標値を満足し得る建物外周壁並びに外周壁に含まれる窓や換気口(以後、外周壁開口部と記す。)の遮音仕様の検討を行っています。今回、BIMで構築するモデルが、パーツごとに様々な情報を併せ持つ特徴を活かし、業務の効率化を目的として、建物外周壁開口部の遮音検討BIMアドインツールを開発しました。本ツールは、これまで机上で行っていた予測計算を、BIMソフトウェア上で連携して行うもので、ダイアログの各種条件設定時に、計算に必要な情報をBIMモデルから自動的に取得して計算します。また、設定した室内騒音の目標値に対する判定までをシステム化しており、目標値を満足する外周壁開口部の遮音仕様が定まるまで繰り返し計算を実施します。本ツールの利用により、予測検討に要する作業時間は、従来に比べて1/10以上短縮され、業務の効率化が図れていることを確認しました。②鉄骨造柱梁接合部の柱絞り工法の開発~シンプルダイア®の適用拡大~ 鉄骨造の建物において、角形鋼管を用いた柱で上下階の柱幅が異なる場合、上方に向かい柱径を絞るテーパー管形式を接合部パネルに用いる方法があります。しかし、テーパー管形式は、製作難易度が高く製作に時間を要するため、コストアップや納期に与える影響が大きい形式です。そこで、鉄骨造のホテル・オフィスビルの中間階や倉庫の最上階などを対象に、製作が容易であり製作時間も短縮できる異幅接合部工法(シンプルダイア®)を開発しました。本工法は、上階柱に接続する通しダイアフラムを厚くすることで、テーパー加工を施さない接合部パネルとすることができます。本工法により接合部製作を省力化したところ、従来のテーパー管形式と比較してコストダウンが図れました。現在、設計施工案件を中心に採用されており、今後も鉄骨造の商業ビルや大型物流施設へ適用していきます。③上家直接基礎の開発~基礎のプレキャスト化により工期短縮を図る~ ホームの延伸・拡幅や駅改良工事等により、新たに旅客上家を構築する場合、上家を支える基礎工事が発生します。直接基礎の構築には多くの作業ステップ・工種があり、工期が長期化する場合があります。そこで、ホーム上での作業の省力化を目的とし、複数のプレキャストコンクリート部材を結合させることで上家基礎を構築する工法を東日本旅客鉄道株式会社と共同で開発しました。通常は、ホーム下の掘削・整地から、型枠、鉄筋工事、コンクリート打設と多くの作用ステップがありますが、今回、開発した工法は、事前に製作したプレキャストコンクリート部材を敷き並べたあと、その隙間をコンクリートの他、プレミックスグラウトを用いて充填することも可能とするものです。ホーム上での型枠設置や配筋作業の省力化だけでなく、現場打ちのコンクリート作業も削減可能となり、工期短縮が図れます。今後は実プロジェクトへの適用を目指しています。 (3)不動産事業、付帯事業及びその他 研究開発活動は特段行われていません。
FY2023|3,533 文字
6【研究開発活動】 当社の研究開発においては、工事の生産性向上、安全性、品質の向上を図り、長期的な安定受注を図るという技術戦略に基づき、年々テーマ数を増やすとともに、持続可能な社会の実現に向けたサステナブル推進に関するテーマなど多くの研究開発に挑戦し取り組んでいます。 本年度はICT技術の活用・建設DX推進によりヒューマンエラー防止に資するシステムの開発、遠隔施工システムの開発、鉄道・大規模更新工事を見据えた新たな施工技術の開発を進め、技術力のさらなる向上に努めます。また、保有工法のブラッシュアップにより他社との差別化を図っていきます。 当連結会計年度の研究開発費は966百万円(土木工事854百万円・建築工事111百万円)で、主な研究開発活動及びその成果は次のとおりです。なお、研究開発活動には、子会社である株式会社ジェイテックとの共同研究開発活動が含まれています。 (1)土木分野①建設DX推進への取り組み~3Dセンサを活用した鉄道工事における立入禁止エリア侵入検知システムを開発~ 鉄道工事における線路内への人や車両の侵入を自動検知する「3Dセンサを活用した鉄道工事における立入禁止エリア侵入検知システム」を開発しました。鉄道工事において線路内へは所定の手続き(線路閉鎖手続き等)が完了した後に立ち入って作業を開始しますが、ヒューマンエラー等の要因により手続き完了前に人や工事用車両が列車運行エリアに誤って侵入するリスクがありました。本システムでは、日本電気通信システム株式会社の「NEC3次元物体検知ソフトウェア」を活用し、監視エリアに侵入した人や車両をリアルタイムに検知します。また、このソフトウェアと工事従事者に対して緊急ブザーやメールにてアラート発報する仕組みを組合せたシステムを構築しました。今後、本システムを東日本旅客鉄道株式会社の協力のもとで鉄道工事現場に試行導入し、実導入に向けた検証及び運用方法の検討を行います。②鉄道工事の安定的受注に向けた技術開発~深礎工法の施工環境改善に向けて機械式深礎工法(Shinso-MaN工法)を開発~ 駅改良工事のような狭隘かつ近接構造物の多い箇所に用いられていた深礎工法について、人力主体で実施していた作業を、遠隔操作による機械化・システム化することにより、施工性・安全性を向上した工法を東日本旅客鉄道株式会社他3社と共同で開発しました。従来の深礎工法は、杭孔底面に作業員が降り、掘削・排土をしながらライナープレートを設置し掘り進めていきます。作業は危険で過酷なものであることから、少子高齢化に伴う作業員の担い手不足や作業の長期化による建設費用の増大といった課題がありました。開発した工法では、人力での掘削を機械式の掘削・排土システムにより代替することで、作業環境を大幅に改善しました。この機械は、杭孔外から遠隔操作されるため、掘削作業員が危険な杭孔内へ降りる必要はありません。掘削スピードも、人力と比較して大幅に向上しています。今後は、現場導入に向けて工法のブラッシュアップを図っていきます。③サステナブル推進に関する技術開発~小型木質バイオマスガス化発電システムの開発~ 当社とDOWAサーモテック株式会社は、間伐材や果樹剪定枝等、幅広い原料の活用をめざして半炭化技術に着目し、2018年度から東京工業大学との共同研究、様々な木質系・草木系バイオマス素材を半炭化しガス化する試験を行ってきました。そして実用化に向け、2021年度から半炭化装置および定格出力200kW規模のガス化発電装置の製作を進め、2022年度より実証実験を開始しました。本システムは、木材を直接燃焼させるのではなく、過熱蒸気発生装置で発生させた過熱蒸気(300-350℃)を使用して半炭化したうえで、ガス化して発電機を稼働させます。半炭化のプロセスを経ることで、一般的に木質バイオマス発電燃料として使用される木質チップの他にも、樹木・果樹の剪定枝や、河川・ダム流木を発電燃料として活用することができます。またガス化のプロセスを経ることで、小規模の発電を効率良く実施することが可能になり、比較的狭いエリア内で集められる木質系バイオマス素材で、地産地消により発電に必要な量をまかなうことが可能です。今後は、実証試験機を使用して連続運転試験等を実施し、発電事業への展開の準備や更なる効率化をめざして機器の改良を実施する予定です。 (2)建築分野①鉄建式変位制御型座屈拘束ブレースの開発~地震から建物を守る新しい制振ブレース(ディレイブレース®)の実用化~ 地震に強い建物の構造形式として、耐震構造や免震構造の他、建物の揺れを制御して、耐震安全性を向上させる制振構造があります。この度、座屈拘束ブレースを制振部材として利用する鉄建式変位制御型座屈拘束ブレース(ディレイブレース®)を開発しました。柱・梁の主架構とブレースの接合部において、ガセットプレートのボルト孔を細長い形状のスロットホールとすることで、所定の層間変位量に達するとブレースに軸力が作用する独自の機構を有しています。このボルト孔のルーズ長を変更することで、地震時においてブレースに軸力が作用するタイミングを遅らせることが可能となり、上下階の剛性バランスを改善して、応力分散効果を得て建物の損傷を防止します。従来では部材の靭性能の確保が難しかった継続時間が長い地震動にも対応できます。本技術は、超高層・高層ビルおよび物流倉庫・工場などの鉄骨造の建物で地震被害の軽減を期待できることから、企業のBCP対策に向けた取り組みにもつながり、実プロジェクトへの適用を目指しています。②帯状濡れセンサモニタリングシステムの実用化~環境配慮型BFコンクリートCELBIC(セルビック)の適用拡大~ 当社の環境関連、特に、CO2削減技術として、セメントの一部を、産業副産物を有効利用した高炉スラグ微粉末に置換することで、材料由来のCO2排出量を削減した「環境配慮型BFコンクリート CELBIC(セルビック)」を開発し、現場への適用を進めています。CELBIC(セルビック:Consideration for Environmental Load using Blast furnace slag In Concrete)は、循環型社会の形成と地球環境問題の改善に寄与することを目的とし、建築コンクリート構造物に求められる所要の品質を確保しつつ、コンクリート材料に由来する二酸化炭素の排出量の約9~63%を削減する環境配慮型コンクリートです。当社では、これまで、千葉県成田市にある建設技術総合センター内の実験棟建替え工事で、土間コンクリートにCELBICを適用し、当初予定のコンクリートと比べて57.2%減となる約35tのCO2排出量削減に貢献しました。この度、事務所ビル新築工事の基礎梁・耐圧版への適用として、250m3を打設して60.3%のCO2削減率となる42.7tのCO2排出削減を実現しました。今後もCELBICのさらなる適用拡大に向けて技術開発に取り組んでいきます。③建設DXの推進に向けた取り組み~鉄道工事におけるXR※技術の適用~ 建設DXの一環として、鉄道工事のうち、駅関連施設の工事において、BIMや点群データなどのICT技術を活用して、スマートプロジェクトマネジメント実現に向けて対応しています。駅関連施設の工事では、作業時間が終電から始発の数時間に限定される場合や駅利用のお客様対応など、施工時間と施工場所の制約があり、工事を進める上で、事前に発注者や協力業者と作業手順の確認などにBIMを活用したデジタルデータの利用を進めています。今回、駅構内の自由通路建設に於いて、自治体事業者、発注者と施工者の間で、XR技術を利用して施工手順の説明と確認作業を実施しました。事前に作成したBIMデータを、XRツールに組み込んで、タブレット端末を通して、3Dデータを現実空間に投影することで、現地において施工前と施工後の自由通路出来形の確認がタブレット端末上で可能となり、合意形成に要する時間が大幅に短縮され、その有効性が確認されました。今後ともICT技術の利用による生産性向上を目指して、建設DXの推進に取り組んでいきます。※XR(クロスリアリティ):VR(仮想現実)やAR(適用現実)、MR(複合現実)といったあらゆる仮想空間技術と現実空間を融合し、現実にはない、新たな現実を知覚できる技術の総称 (3)不動産事業、付帯事業及びその他 研究開発活動は特段行われていません。
FY2022|2,531 文字
5【研究開発活動】 当社の研究開発においては、工事の生産性向上、安全性、品質の向上を図り、長期的な安定受注を図るという技術戦略に基づき、年々テーマ数を増やすとともに、持続可能な社会の実現に向けたサステナブル推進に関するテーマなど多くの研究開発に挑戦し取り組んでいます。 本年度はICT技術の活用・推進により、省力化を目的とした遠隔施工システムの開発、鉄道・大規模更新工事を見据えた新たな施工技術の開発を進め、技術力のさらなる向上に努めます。また、保有工法のブラッシュアップにより他社との差別化を図っていきます。 当連結会計年度の研究開発費は827百万円(土木工事714百万円・建築工事113百万円)で、主な研究開発活動及びその成果は次のとおりです。なお、研究開発活動には、子会社である株式会社ジェイテックとの共同研究開発活動が含まれています。 (1)土木分野①建設DX推進への取り組み 建設業界で進められる現場作業の効率化を目的とした「ICT技術の全面的な活用」にもとづき、当社でも数々の施策を研究開発し、建設現場に導入することによって、建設生産システム全体の生産性向上を図っています。 3Dスキャナーによる計測と3DCADモデルを組み合わせ、施工管理および検査の効率化を図る技術として、鉄筋の配筋検査システムの開発を進めています。また、コンクリート打設作業における業務の効率化と品質向上を目的として、画像解析とウェアラブルセンサーを用いて打設されたコンクリートの状況や作業員の動きをAIにより解析し的確な状況把握と品質低下リスクの抽出を行うコンクリート打設管理システムの開発、生コンの全量モニタリング技術、コンクリートスランプの画像データによる性状評価技術などの開発に取り組んでいます。 トンネル工事においては、UAV(Unmanned Aerial Vehicle)を活用した切羽の3D画像取得から切羽の画像解析システムの開発、鉄道工事における立入禁止エリアへの誤進入検知システムの開発などに取り組んでいます。②鉄道工事の安定的受注に向けた技術開発 当社の代表的な保有工法であるHEP&JES工法は、鉄道・道路等の新しい立体交差工法として開発され、幅広く適用が図られています。今年度も引き続き、適用範囲の拡大、さらなるコストダウンを目指すとともに、大断面および大深度の案件にも取り組めるよう、構造検討および構造実験を継続し、研究開発を推進します。 鉄道工事においても生産性の向上が求められています。当社は、鉄道高架橋の鉄筋コンクリートプレキャスト部材の開発や鋼・コンクリートの複合構造の鉄道高架橋の開発を進めています。また、鉄道工事での適用が多い深礎工法においては、省人化につながる機械掘削方式の技術開発にも取り組んでいきます。 さらに、これまでの軌道変位計測に代わる新たな軌道監視、路盤監視システムの開発にも取り組んでいきます。③サステナブル推進に関する技術開発 当社では、ダムの流木や果樹園の剪定枝などを有効利用する半炭化材製造装置の開発およびそれらを燃料としたガス化発電装置の開発を進めています。 また、CO2削減の技術開発にも新たに取り組みます。当社では、CO2の削減可能なセメント材料の実用化に向けた現場炭酸化養生方法や鉄道構造物での活用を目指した技術開発、山岳トンネル工事の吹付コンクリートの低炭素化に向けた技術開発に取り組みます。その他、低温プラズマ乾燥機を利用した再生セメントの製造に向けた技術開発などにも取り組んでいきます。 (2)建築分野①鉄道工事におけるBIM(Building Information Modeling)活用 建設DX推進の一環として、当社が得意とする鉄道工事、特に駅改良工事と新駅建設工事でBIMを積極的に活用しています。既存駅舎の詳細な構造データを3Dスキャナにより点群データ化して、BIMモデルを構築します。既存駅舎解体から、仮設構造物の設置、新築工事に至るまで、様々な施工場面を想定して、既存構造物と新設構造物の支障や干渉のチェックから、揚重機による吊荷や躯体の出来形、納まりまで、コンピュータ上で事前にシミュレーションすることで、品質管理から工事の安全対策まで、協力業者から発注者や監理者との協議など、幅広く対応しています。一方、屋根形状が複雑な新駅建設工事では、設計図面から、BIMモデル化して、屋根下地鉄骨から屋根材料の詳細な納まりまで、鉄骨ファブリケータ、屋根材料メーカーとの打合せを行い、施工会議における重要な施工計画ツールとして活用しています。当社ではBIM活用を基盤としてICT技術による生産性向上を目指しています。 ②帯状濡れセンサモニタリングシステムの実用化 帯状濡れセンサモニタリングシステムは、濡れセンサと温度センサを組み込んだ帯状のセンサを型枠(せき板)の内表面に設置することにより、コンクリート打設時のコンクリートの充填状況をリアルタイムに把握することが可能です。さらに、濡れセンサ出力率と豆板・巣による空隙率は負の相関性が高いことを利用して、コンクリートの密実性を検知することが可能であるため、コンクリートの締固め状況を把握することにより、豆板防止などコンクリート構造物の品質向上に効果的です。 使用する帯状濡れセンサは静電容量式のセンサであり、電極間の静電容量を測定し、比誘電率の変化からフレッシュコンクリートの充填を検知します。センサの形状は帯状となっており、測点ごとの濡れ検知ではなく、線状に濡れ検知ができるため、コンクリートの充填状況が詳細に把握できます。③配筋検査システムの開発 鉄筋の立体配置を認識する「配筋検査システム」の開発を進めています。このシステムは専用カメラで撮影した画像から、検査部位の鉄筋の本数、鉄筋径、間隔、配置を立体的に捉えて認識する仕組みとなっています。配筋検査業務時間の60%削減を目指して、令和4年度に作業所での実証実験を行い、令和5年度からの本格運用を目指しています。 (3)不動産事業、付帯事業及びその他 研究開発活動は特段行われていません。
FY2021|2,380 文字
5【研究開発活動】 当社の研究開発においては、長期的に安定受注を得る、新しい分野へ挑戦する、工事の生産性向上を図る、工事の安全性、品質の向上等の技術戦略にもとづき、年々テーマ数を増やしながら、多様な開発に取り組んでいます。今年度は、技術力を核とした競争力の強化として、ICT技術力の差別化を図るため、作業の省力化を目的とした次世代高速通信を活用した施工システムや検査システムの開発、導入を進めています。 当連結会計年度の研究開発費は754百万円(土木工事700百万円・建築工事54百万円)で、主な研究開発活動及びその成果は次のとおりです。なお、研究開発活動には、子会社である株式会社ジェイテックとの共同研究開発活動が含まれています。 (1)土木分野①プレキャスト鉄道高架橋の開発 当社の主力工事である鉄道工事においても生産性向上を目的として、プレキャスト化が求められています。そこで、現在、鉄筋コンクリートプレキャスト部材や、鋼・コンクリートの複合構造とした鉄道高架橋等の開発を進めています。②大規模更新工事への技術開発 社会資本の老朽化対策として、大規模な修繕・更新工事についての計画が発表され、実施されています。長大橋梁の床版取替え工事については、現在施工中の工事を題材として施工の効率化を図る技術開発を推進します。 また、トンネルの覆工コンクリートについては、老朽化したトンネルの覆工打ち替えや、補修補強技術の開発を進めています。③建設DX推進への取り組み 建設業界で進められる現場作業の効率化を目的とした「ICT技術の全面的な活用」にもとづき、当社でも数々の施策を研究開発し、建設現場に導入することによって、建設生産システム全体の生産性向上を図っています。 3Dスキャナーによる計測と3DCADモデルを組み合わせ、施工管理および検査の効率化を図る技術として、配筋検査システムの開発を進めています。また、コンクリート打設作業における業務の効率化と品質向上を目的として、画像解析とウェアラブルセンサーを用いて、打設されたコンクリートの状況や、作業員の動きをAIにより解析し、的確な状況把握とリスクの抽出を行うコンクリート打設管理システムを開発しました。 橋梁工事では、ICT機器や通信設備の装備・活用による帳票作成の省力化、施工データの一元化による現場職員の作業の飛躍的な効率化の構想と推進、当社独自の橋梁現場施工管理システムの構築を行い、順次、実際の工事に適用を図っています。 鉄道工事においても3DCADモデルの施工計画の活用による既設構造物との取り合い確認や、施工順序の事前検討等、安全性のさらなる向上や現場職員の作業の軽減化、効率化を図り、生産性の向上に努めています。 (2)建築分野①鉄道工事におけるBIM(Building Information Modeling)活用 建設DXの取り組みとして、鉄道工事のデジタル化推進を行っています。3次元測量から点群データを取得し、既存建物をBIMモデル化することで、工事着手前に様々な施工シミュレーションを行い、最適な施工計画を立案し工事を進めています。一例として、新設するホーム上家のBIMモデルと既存建物のBIMモデルを合成し、新設する鉄骨と駅施設物の干渉確認をすることができ、実際に、これを基に工事に支障がない箇所への移設検討や提案をBIMデータ上で事前に関係者間で共有し、スムーズに工事を進めることができました。今後も鉄道工事においてはBIM運用を行い、工事の安全・生産性の向上に寄与していきます。 ②あと施工部分スリット工法「AWAT工法」の追加評定取得 株式会社エフアイティー(本社:東京都墨田区、社長:篠原友徳)と共同開発した「あと施工部分スリット工法(AWAT工法)」の一般評定(評定番号 CBL RC004-20号)を、令和3年2月24日付けで一般財団法人ベターリビングより追加取得しました。AWAT工法は、非構造壁と柱の間にスリットを設け、構造的に縁切りをすることで、柱の変形性能を向上させ、既存建物の耐震性能を向上させる、あと施工スリット工法のひとつです。今回取得した評定内容は、鉛直部分スリットに加えて水平部分スリットの評価法が一般評定に追加されました。これまでに腰壁・たれ壁・袖壁については鉛直部分スリットの評定法を確立しており、耐震改修設計に活用されていましたが、今回、新たに水平部分スリットの評価法を確立したことで、これまで採用できなかった壁への適用が可能となりました。今回の追加評定で、これまで適用を諦めていた案件も施工可能となり需要拡大が見込めます。③環境配慮型コンクリートの開発と展開 建設業におけるカーボンニュートラルの実現への一環として、普通ポルトランドセメントに対して、10~70%の範囲で高炉スラグ微粉末を使用したコンクリートとする「CELBIC―環境配慮型 BF コンクリート―」について、一般財団法人日本建築総合試験所より令和3年2月22日付けで、建設材料技術性能証明(GBRC 材料証明 第20-04号)を再取得しました。CELBIC(セルビック:Consideration for Environmental Load using Blast furnace slag In Concrete)は、循環型社会の形成と地球環境問題の改善に寄与することを目的とし、建築コンクリート構造物に求められる所要の品質を確保しつつ、コンクリート材料に由来する二酸化炭素の排出量の約9~63%を削減する環境配慮型コンクリートです。今後はお客さまへの提案を行い、積極的に適用を図っていきます。 (3)不動産事業、付帯事業及びその他 研究開発活動は特段行われていません。
FY2020|3,035 文字
5【研究開発活動】 当社の研究開発においては、長期的に安定受注を得る、新しい分野へ挑戦する、工事の生産性向上を図る、工事の安全性向上等の技術戦略にもとづき、年々テーマ数を増加させ取り組んでいます。今年度は、建設技術総合センター内に新築した施工実験棟を、新たな施工システムの開発に活用していきます。 当連結会計年度の研究開発費は747百万円(土木工事687百万円・建築工事59百万円)で、主な研究開発活動及びその成果は次のとおりです。なお、研究開発活動には、子会社である株式会社ジェイテックとの共同研究開発活動が含まれています。 (1)土木工事①プレキャスト鉄道高架橋の開発 当社の主力工事である鉄道工事においても生産性向上を目的として、プレキャスト化が求められています。そ こで、現在、鉄筋コンクリートプレキャスト部材や、鋼・コンクリートの複合構造とした鉄道高架橋等の開発を 進めています。②大規模更新工事への技術開発 社会資本の老朽化対策として、大規模な修繕・更新工事についての計画が発表され、実施されています。長大 橋梁の床版取替え工事については、現在施工中の工事を題材として施工の効率化を図る技術開発を推進します。 また、トンネルの覆工コンクリートについては、老朽化したトンネルの覆工打ち替えや、補修補強技術の開発 を進めています。特に、インバートの増設については、従来工法から大幅な作業の効率化を図る新工法を開発し 、実用化をめざします。③i-Constructionへの取り組み 建設業界で進められる現場作業の効率化を目的とした「ICT技術の全面的な活用」にもとづき、当社でも数々 の施策を研究開発し、建設現場に導入することによって、建設生産システム全体の生産性向上を図っています。 3Dスキャナーによる計測と3DCADモデルを組み合わせ、施工管理および検査の効率化を図る技術として、 配筋検査システムの開発を進めています。 橋梁工事では、ICT機器や通信設備の装備、活用による帳票作成の省力化、施工データの一元化により現場 職員の作業を飛躍的に効率化を図る、当社独自の橋梁現場施工管理システムを構築し、順次、実際の工事に適用 を図っています。 鉄道工事においても3DCADモデルの施工計画の活用による既設構造物との取り合い確認や、施工順序の事前 検討等、安全性のさらなる向上や現場職員の作業の軽減化、効率化を図り、生産性の向上に努めています。 ④バイオマスガス発電システムの開発 河川堤防や道路、鉄道では、沿線の雑木や草木を定期的に伐採していく必要があります。これらの中には、廃 棄物として処理されるものも多く、処理費用や環境的側面から課題となっていました。一方、従来のバイオマス ガス発電プラントは、その原料が木材ペレットや木材チップに限定され、多くを輸入に頼っている状況です。 当社では、河川堤防や道路、鉄道沿線等からの伐採草木を一括して材料として使用できるバイオマスガス発電 システムの開発を進め、廃棄物の減少とエネルギーとしての有効利用を進めています。 (2)建築工事①施工BIM(Building Information Modeling)の鉄道工事への展開 BIM推進グループでは、鉄道工事への施工BIM適用として『鉄道施設の新築工事』でBIMを活用しました。新築前の既存駅舎解体工事に於いて、敷地や作業時間に制約の多い駅部で、大型クレーンを用いた通路・弧線橋の一括撤去工事の施工計画書を作成する際に、建設当時の図面や現地調査にもとづいてBIMモデルを構築しました。BIMによるデジタルモデルとして、既存通路部等の解体手順をシミュレーションすることで、支障物との離隔距離を把握した上で、安全性を考慮した施工計画書を作成することが可能となりました。また、実際の撤去工事に際しても、事前に工事関係者へ作業内容を周知して、安全に施工することができました。今後も設計施工案件等を対象にBIM運用を行い、工事の安全・生産性の向上に寄与していきます。 ②ZEB(Zero Energy Building)の開発 ZEBは、快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることをめざした建物のことです。建物で消費する照明や空調などの一次エネルギーを、省エネルギーによって使う量を減らし、創エネルギーによってエネルギーを創ることで、年間の消費量を正味でゼロに近づけるZEB建物の提供を推進しています。この度、当社の建設技術総合センター内で新しい施工実験棟を建設するにあたり、太陽光発電による創エネルギー、全館LED照明(在室検知センサー付)、自然換気窓、高効率空調機による運転効率向上、全熱交換器による外気負荷軽減などの省エネ技術を採用して、省エネルギー(50%以上)+創エネルギーで100%以上の一次エネルギー消費量の削減を実現している建物(エネルギー消費量が正味ゼロ)として、BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)における第三者認証の最高評価 ZEBを令和元年10月に取得しました。また、令和2年1月に一般社団法人 環境共創イニシアチブが公募するZEBプランナーへの認定登録も行い、これからもZEB建物の提供を通して、低炭素・循環型社会への対応を図っていきます。③新型小水力発電装置の開発と展開 小水量・低流速という過酷な条件下でも発電可能な新型の「小水力発電装置」の開発を実施しています。狭隘な 農業用水路やトンネル湧水を排出する中央排水溝程度の水量で発電できることを目的としており、このような水流 があれば、山間部や農村部でも電気を使用できるようになります。現在、開発した小水力発電機を自治体で複数個 設置して、同時に稼動させて試験運転を行なっています。低炭素社会における環境負荷低減技術の技術開発の一つ として、農業関連施設への展開、環境関連技術に興味を持つ自治体、企業を中心に説明会や見学会を開催して、普 及展開に努めています。 ④超高層建築の受注に向けた地下外壁の合理化工法(PSP工法の引抜き対応)の開発 超高層建築では、高さが高くなるに従い、塔状比(高さと幅の比)が大きくなる傾向があり、地震時の引抜き対 策として、別途、杭や地盤アンカーを構築したり、基礎重量を増したりして、コストアップ要因の一つとなってい ました。大規模・大深度の掘削を伴う地下工事を想定したRCS合成壁工法の開発に続き、ソイルセメント壁の芯 材を本設の引抜き抵抗として利用するために、ソイルセメント壁を実際に施工して、引抜き試験を行い、所定の性 能を有していることを確認しました。この結果をもとに第三者機関である一般財団法人日本建築総合試験所(GB RC)から建築技術性能証明(引抜き抵抗を追加)を取得しました。これにより、ソイルセメント壁の芯材(H形 鋼のS造)と鉄筋コンクリート造(RC造)の地下壁をシアコネクタで一体化するRCS合成壁と同じ機械による 施工が可能となり地下工事の合理化が図れます。今後も受注に向けて工法の適用を図るとともに、引き続き研究開 発を行います。 ※(PSP:Permanent Soil cement mixing Pile) (3)不動産事業、付帯事業及びその他 研究開発活動は特段行われていません。
FY2019|2,422 文字
5【研究開発活動】 研究開発活動においては、「市場性」を充分把握し、当社の付加価値を高める技術開発や環境ビジネスに積極的な取組を行い、技術と営業が一体となったメンバー編成による活動を行っています。また、総合評価制度への対応を主軸とする研究開発活動にも力を入れ、技術戦略を持って経営に貢献する研究開発を推進しています。 当連結会計年度の研究開発費は559百万円(土木工事502百万円・建築工事57百万円)で、主な研究開発活動及びその成果は次のとおりです。なお、研究開発活動には、子会社である株式会社ジェイテックとの共同研究開発活動が含まれています。 (1)土木工事①効率的な立体交差工法の開発 当社の代表的な保有工法であるHEP&JES工法、COMPASS工法は、鉄道・道路等の新しい立体交差 工法として開発され、幅広く適用が図られています。今年度も引き続き、適用範囲の拡大、さらなるコストダウ ンをめざし、大断面および大深度の案件にも取り組めるよう、構造検討および構造実験を継続し、研究開発を推 進しています。 また、小断面のアンダーパス工法であるCOMPASS工法も、よりコストダウンが可能で施工延長の制約がない新たな工法として、工事への適用を図っていきます。②大規模更新工事への技術開発 社会資本の老朽化対策として、大規模な修繕・更新工事についての計画が発表され、実施されています。トンネルの覆工コンクリートについては、老朽化したトンネルの覆工打ち替えや、補修補強技術の開発を進めています。また、インバートの増設については、従来工法から大幅な工期短縮を図る新工法を開発し、実用化をめざします。③i-Constructionへの取り組み 建設業界で進められる現場作業の効率化を目的とした「ICTの全面的な活用」にもとづき、当社でも数々の施 策を研究開発し、建設現場に導入することによって、建設生産システム全体の生産性向上を図っています。 3Dスキャナーによる現地測量と3DCADモデルを組み合わせた施工計画を各種工事で試行し、管理業務の効 率化や共通理解を図ります。また、トンネル工事や橋梁工事におけるICT機器や通信設備の装備、活用による帳 票作成の省力化、施工データの一元化を推進しています。 鉄道工事においても3DCADモデルの施工計画の活用による既設構造物との取り合い確認や、施工順序の事前検討等、安全性のさらなる向上や現場職員の作業の軽減化、効率化を図り、生産性の向上に努めています。 ④バイオマスガス発電システムの開発 道路や鉄道では、沿線の雑木や草木を定期的に伐採していく必要があります。これらの中には、廃棄物として 処理されるものも多く、処理費用や環境的側面から課題となっていました。一方、従来のバイオマスガス発電プ ラントは、その原料が木材ペレットや木材チップに限定され、多くを輸入に頼っている状況です。 当社では、道路や鉄道沿線からの伐採草木を一括して材料として使用できるバイオマスガス発電システムの開 発を進め、廃棄物の減少とエネルギーとしての有効利用を進めています。 (2)建築工事①施工BIM(Building Information Modeling)の展開 BIM推進グループでは、「フロントローディング」の一環としてでBIMの活用を行いました。工事受注前に、既存躯体から室内の様子を3Dレーザースキャナによる測量を採用することにより、取得した3次元データから点群データ化して、BIMモデルを構築し、デジタルモデルで既存改修部の現状把握を正確にすることが可能となり、既存設備の撤去・移設等の計画を関係者へ事前に周知する事ができました。さらに、現地測量の作業量も従来よりも大幅に低減でき、作成した既存部のBIMモデルに足場などの仮設材を合成することで施工計画検討を3次元で詳細に行う事ができました。その他、作成したBIMモデルから仮設数量を算出し、事前に計画した工事量も合わせて把握することができました。今後も設計施工案件等において早期にBIM運用を行い生産性の向上に寄与していきます。②新型小水力発電装置の開発と展開 小水量・低流速という過酷な条件下でも発電可能な、新型の「小水力発電装置」の開発を行いました。狭隘な農業用水路やトンネル湧水を排出する中央排水溝程度の水量で発電できることを目的としており、このような水流があれば、山間部や農村部でも電気を使用できるようになります。現在、自治体の協力を得て実施した試験運転では、イノシシやシカによる田んぼへの獣害対策として、侵入防止電気柵2.2kmを1台の発電装置で可能としています。その他、防災のための河川の水位計測データや、監視カメラの動画の送信や山間部の雨量計測などに使用する電力として、利用することが可能です。低炭素社会における環境負荷低減技術の技術開発のひとつとして、環境関連技術に興味を持つ自治体、企業を中心に説明会や見学会を開催して、普及展開に努めています。③超高層建築の受注に向けた地下外壁の合理化工法(RCS合成壁)の開発 超高層建築の受注に向けて、大規模・大深度の掘削を伴う地下工事を想定した条件で、RCS合成壁の曲げせん断実験を行い、所定の構造性能を有していることを確認しました。また、今回の実験結果に対して、第三者機関である一般財団法人ベターリビングから一般評定も取得しました。これにより、ソイルセメント壁の芯材(H形鋼のS造)と鉄筋コンクリート造(RC)の地下壁をシアコネクタで一体化したRCS合成壁は、構築後にその合成効果により、地下工事の合理化および地下外壁の壁厚の低減が可能となります。今後も受注に向けて工法の適用を図るとともに、引き続き研究開発を行います。 (3)不動産事業、付帯事業及びその他 研究開発活動は特段行われていません。
FY2018|2,255 文字
5【研究開発活動】 研究開発活動においては、「市場性」を充分把握し、当社の付加価値を高める技術開発や環境ビジネスに積極的な取り組みを行い、技術と営業が一体となったメンバー編成による活動を行っています。また、総合評価制度への対応を主軸とする研究開発活動にも力を入れ技術戦略を持って経営に貢献する研究開発を推進しています。 当連結会計年度の研究開発費は552百万円(土木工事502百万円・建築工事50百万円)で、主な研究開発活動及びその成果は次のとおりです。なお、研究開発活動には、子会社である株式会社ジェイテックとの共同研究開発活動が含まれています。 (1)土木工事①効率的な立体交差工法 HEP&JES工法は鉄道・道路等の新しい立体交差工法として開発され、幅広く適用が図られています。今年度は、適用範囲の拡大、さらなるコストダウンをめざし、大断面及び大深度の案件にも取り組めるよう、構造検討及び構造実験を継続し、研究開発を推進しています。 また、小断面のアンダーパス工法であるCOMPASS工法も、よりコストダウンが可能で施工延長の制約がない新たな工法の実用化が完了しました。今後、鉄道関連だけではなく道路関連の案件にも積極的に取り組む予定です。②大規模更新工事 社会資本の老朽化対策として、大規模な修繕・更新工事についての計画が発表され、実施されています。トンネルの覆工コンクリート補強やインバートの増設など大規模修繕工事等に対応しやすいよう、これまでに研究開発してきた成果をさらにブラッシュアップし、効率化、省力化を目指します。そのほか各研究機関とも連携し共同研究も進めていく予定です。③トンネル工事の効率化 当社の得意分野である道路・鉄道トンネル工事において、工事の省力化・生産性向上を図る技術を次々と開発し、実工事に導入しています。 従来、課題であった長大トンネル工事における前方探査のための先進ボーリング工法やICTを利用した出来形管理、ベルトコンベアによる掘削ズリ(岩石・土砂)の坑外運搬、インバート構築の急速化などに、新技術を考案しました。実際の工事で実施をすることで、他社との差別化を図るとともに、社員の作業を軽減し、飛躍的に生産性が向上しています。④i-Constructionへの取り組み 建設業界で進められる現場作業の効率化を目的とした「ICTの全面的な活用」にもとづき、当社でも数々の施策を研究開発し、建設現場に導入することによって、建設生産システム全体の生産性向上を図っています。 ICT土工だけでなく、小規模土工での3Dスキャナーの導入による出来形管理の省力化、トンネル工事や橋梁工事におけるICT機器や通信設備の装備による管理業務の効率化、鉄道工事においても3DCADモデルの施工計画の活用による共通理解の深度化など、現場社員の作業の軽減化、効率化を図り、生産性の向上に努めています。 (2)建築工事①施工BIM(Building Information Modeling)の実施 BIM推進グループを立ち上げ、「ルートイン宇都宮ゆいの杜新築工事」、「建設技術総合センター研修施設棟Annex建築工事」、「津田山駅橋上本屋ほか新設その他工事」等にて施工BIMの運用を行ないました。主に、「外装・内装の仕上げ確認」や、「鉄骨建方の施工検討」、「躯体形状の把握」、「配管設備のモデル統合」などに活用しました。施工計画段階で施工シミュレーション動画を、また内部の形状把握にウォークスルー動画を作成し、施主・監理者・協力業者との打合せに有効活用することができました。その他、改修工事で3Dレーザースキャナを使用し、施工前の支障物確認や既存建物形状を点群データ化することで、施工計画検討に有効活用することができました。また、総合評価案件の技術提案に「施工BIM」を活用し、受注拡大に向けた運用を行ないました。今後は設計施工案件等において早期にBIM運用を行ない生産性の向上に寄与していきます。②新型小水力発電装置の開発 小水量・低流速という過酷な条件下でも発電可能な、新型の「小水力発電装置」の開発を行いました。狭隘な農業用水路やトンネル湧水を排出する中央排水溝程度の水量で発電できることを目的としており、このような水流があれば、山間部や農村部でも電気を使用できるようになります。例えば、石岡市の協力を得て実施した試験運転では、イノシシによる田んぼへの獣害対策として、侵入防止電気柵2.2kmを1台の発電装置で可能としています。その他、防災のための河川の水位計測データやリアルタイム動画を観測所に送信したり、山間部の雨量計測などを行う電力としたりすることが可能です。今後、低炭素社会における環境負荷低減技術の技術開発のひとつとして、普及に向けて開発していきます。③超高層RC造住宅の受注に向けた柱梁一体型PCa部材の開発 超高層RC造住宅の受注に向けて、サイクル工程を短縮するために、柱梁一体型PCa部材の実大実験を行いました。実大実験を行うことで柱接合部の主筋を貫通させるシース管と柱主筋・梁主筋の納まりや、PCa柱製作時たわみ等を確認する事ができました。その他、柱梁一体型PCa部材において異なる強度のコンクリート打ち分けを行い、部材製作精度を確認しました。今後も引き続きPCa工法の研究開発を行っていきます。 (3)不動産事業、付帯事業及びその他 研究開発活動は特段行われていません。
FY2017|2,261 文字
6【研究開発活動】 研究開発活動においては、「市場性」を充分把握し、当社の付加価値を高める技術開発や環境ビジネスに積極的な取り組みを行い、技術と営業が一体となったメンバー編成による活動を行っています。また、総合評価制度への対応を主軸とする研究開発活動にも力を入れ技術戦略を持って経営に貢献する研究開発を推進しています。 当連結会計年度の研究開発費は395百万円(土木工事368百万円・建築工事27百万円)で、主な研究開発活動及びその成果は次のとおりです。なお、研究開発活動には、子会社である株式会社ジェイテックとの共同研究開発活動が含まれています。 (1)土木工事①効率的な立体交差工法 HEP&JES工法は、鉄道・道路等の新しい立体交差工法として開発されました。施工実績を重ね、コストダウンとともに地盤切削JES工法の確立をはじめ、多様な施工条件でも対応できるよう開発を進めてきました。 今年度は昨年より開発を検討してきた大断面および大深度の案件にも取り組めるよう、構造検討や基礎実験を継続し研究開発を進めています。 また、小断面のアンダーパス工法であるCOMPASS工法についても、よりコストダウンが可能で施工延長の制約がない新たな工法の実用化が完了し、鉄道関連だけではなく道路関連の案件にも積極的に取り組む予定です。②更新改築工事 社会資本の老朽化対策として、今後、大規模な鉄道・道路等の修繕・更新工事が見込まれます。トンネルの覆工コンクリート補強やインバートの増設など大規模修繕工事等に対応しやすいよう、これまでに研究開発してきた成果をさらに効率化し、工期短縮を目指します。 また、駅改良工事等では狭隘な場所で耐震補強に伴う増し杭工事を行うなど、空頭の低い施工条件の工事が少なからずあり、このような場所では超低空頭場所打ち杭工法の適用が見込まれます。③i-Constructionへの取り組み 現場技術者不足等により現場作業の効率化は喫緊の課題となっており、当社も、「ICTの全面的な活用(ICT土工)」等の施策を建設現場に導入することによって、建設生産システム全体の生産性向上を図り、魅力ある建設現場を目指すi-Constructionの取り組みを進めています。 当社は、今期中に総合的な施工管理支援ツールを土木全現場へ導入し、写真撮影・測量をはじめとする現場における業務のほか、施工計画書や各帳票作成などの机上業務についても効率化を進めてまいります。 そのほか土工事現場においてはマシンガイダンスによる施工のほか、3D測量、3Dデータを活用し出来形測量や管理の効率化に取り組んでいます。④バイオマスガス発電 地方創生が求められている昨今、その切り札として分散型エネルギーが注目されています。那須バイオマスガス発電プラントは、東日本高速道路(株)と当社が道路の維持管理で発生する刈草、剪定枝の新たな利活用システムとして開発しました。実証実験を経て、平成28年3月に施設の維持管理は東日本高速道路(株)の子会社に移管され、隣接する那須高原SAと電気の系統連携も始まりました。また、平成28年2月から3月には、維持運転で必要な作業足場や一部機器の設備改良が行われました。 (2)建築工事①BIM(Building Information Modeling)への取組み BIMは、建物の3次元デジタルデータをコンピューター上でモデル化し、躯体から設備、仕上げ工事の管理情報などの属性データを追加して、建物の設計・施工から維持管理まで情報を一括して管理する手法です。今回、当社設計施工の岐阜工場部品加工工場建設工事(川崎重工業発注)で、意匠BIMとの連携を図り、施工BIMを試行しました。長大スパンのトラス梁の施工のほか、複雑な鉄骨架設の対応に施工BIMを積極活用しました。施工計画の立案から施主との合意形成に利用し、施工BIMが情報の伝達と共有に大変有効であることを確認しました。今後も施工BIMの水平展開を図り、生産性の向上に寄与して行きます。②SWORD(ソード)工法による線路上空建物の施工 当社の得意とする線路上空への構造物の構築工法として、SWORD(ソード)工法があります。今回、ソード工法を川崎駅北口自由通路新設・駅改良他(JR東日本発注)で採用しました。平成18年にJR立川駅改良工事で、はじめて採用されて以来の実施工になります。ソード工法は、あらかじめ夜間作業で設けた発進構台上において、昼間作業で上部構造体(鉄骨)を組み立てた後、夜間作業にて線路上空をスライドさせることにより所定位置に設置します。夜間作業を最小限に減じ、安全性と施工能率を向上させる工法です。今後とも工期短縮、コストダウンを可能にする工法の確立を目指し、研究開発を行います。③超高強度コンクリートの大臣認定取得 高層RC造建物で必要な超高強度コンクリート(設計基準強度80~120N/mm2)の国土交通大臣認定を2016年10月4日付けで取得しました。この大臣認定は高強度コンクリートにおける火災時の爆裂抑制工法(FPC工法)で使用されているポリプロピレン樹脂粉末を混入した超高強度コンクリートの強度発現性状とフレッシュコンクリート性状を確認し、(一財)日本建築総合試験所における性能評価を経て取得しました。さらに、関連技術の研究開発を継続して行きますしています。 (3)不動産事業及びその他 研究開発活動は特段行われていません。
FY2016|2,042 文字
6【研究開発活動】 研究開発活動においては、「市場性」を充分把握し、当社の付加価値を高める技術開発や環境ビジネスに積極的な取り組みを行い、技術と営業が一体となったメンバー編成による活動を行っています。また、総合評価制度への対応を主軸とする研究開発活動にも力を入れ技術戦略を持って経営に貢献する研究開発を推進しています。 当連結会計年度の研究開発費は319百万円(土木工事300百万円・建築工事19百万円)で、主な研究開発活動及びその成果は次のとおりです。なお、研究開発活動には、子会社である株式会社ジェイテックとの共同研究開発活動が含まれています。 (1)土木工事①効率的な立体交差工法 HEP&JES工法は、鉄道・道路等の新しい立体交差工法として開発されました。施工実績を重ね、コストダウンとともに、地盤切削JES工法の確立をはじめ、多様な施工条件でも対応できるよう取り組んでいます。 今年度も市場調査を行うとともに、基礎実験等を行い、これまでに対応出来なかった施工条件の工事にも取り組めるよう研究開発を進めてまいります。 また、小断面のアンダーパス工法であるCOMPASS工法についても、コストダウンと工期の短縮が図れるよう構造の見直しを含め、研究開発を実施しています。②メンテナンス分野 社会資本の老朽化対策として、今後、大規模な鉄道・道路等の修繕・更新工事が見込まれます。施工実績の多い鋼板圧入耐震補強工法については、適用可能な地盤の拡大に向け改良を行う計画です。また、当社が共同開発を行った超低空頭場所打ち杭工法については、都心部の耐震補強は狭隘な場所での杭工事が多く適用の拡大が見込まれます。 これまでの研究成果を生かし、多くの地層に対応出来る工法を開発し、現場の効率化・高品質の構造物の構築を目指します。また、今後、各研究機関とも連携し共同研究を進めていく予定です。③ICTを用いた現場効率化への取り組み 現場技術者不足等により現場作業の効率化は喫緊の課題となっており、当社も、ICT(Information and Communication Technology)を活用し、現場の生産性向上を図る取り組みを進めています。 今期より総合的な施工管理支援ツールを本格的に現場へ導入し、写真撮影・測量をはじめとする現場業務の他、施工計画書や各帳票作成などの管理業務についても効率化を進めています。 また、土工事現場においてはマシンガイダンスによる施工、CIM(Construction Information Modeling)の試験運用を行い、現場管理の効率化・品質向上を図ります。④バイオマスガス発電 地方創生が求められている昨今、その切り札として分散型エネルギーが注目されています。当社は、分散型エネルギーとして有力視されているバイオマスガス発電の実証実験を東北自動車道那須高原SA(上り線)で東日本高速道路株式会社などと継続的に共同研究を実施しています。前年度は、実験プラントの設備改良を行い、昼夜連続試運転で成果を挙げることができました。 今年度は、那須高原SA(上り線)の送電が開始される予定であり、さらに合理的、経済的な2号機の設計に向けた共同研究を進めてまいります。 (2)建築工事①あと施工部分スリット工法(AWAT(あわっと)工法) 従来、腰壁やたれ壁に取り付くサッシ部に、あと施工耐震スリットを設ける場合、サッシの詰めモルタル等を取り除くことが必要でした。そのためサッシ全体の取り外しが必要となり、居住しながら、あと施工耐震スリットを設置することが困難でした。 そこでサッシの詰めモルタル等を残すことが可能な設計法を確立し、また構造実験でも有効性を確認し、2016年2月に(一財)ベターリビングより追加評定を取得しました。サッシの取外しを行わずに構造スリットの施工を実施することが可能となり、より汎用性が高い施工法となりました。 今後は、「AWAT工法研究会」加盟各社において、官公庁や民間などの耐震改修工事への展開を図ります。②レンズ型制震ダンパーの採用 当社設計施工の「東京精密八王子工場第六工場新築工事」において、エネルギー吸収能力に優れた弾塑性ダンパー「レンズ型制震ダンパー」を採用しました。 今後、レンズ型せん断パネルダンパーを適用して、制震構造とした場合の設計法の開発も行い、更なる適用拡大を目指します。③BIM(Building Information Modeling)への取組み BIMは、コンピューター上に作成した3次元の建物のデジタルモデルに、コストや仕上げ、管理情報などの属性データの情報を追加し、建物の設計、施工から維持管理まで情報の活用を行うソリューションです。 現在、意匠BIMについては実施をしていますが、今後、施工BIMを構築し、生産性を向上させます (3)不動産事業及びその他 研究開発活動は特段行われていません。