事業等のリスク
ANAグループは、安全の確保を最重要リスクと位置付けており、事故発生時は信用失墜や収入減少に繋がる可能性があります。また、気候変動問題への対応として、二酸化炭素排出量削減目標を掲げていますが、SAF(持続可能な航空燃料)の安定供給や価格変動が収益に影響を与えるリスクがあります。国際情勢の不安定化(米中対立、紛争など)は、国際線事業やインバウンド需要の低迷を通じて、グループ全体の収入に影響を及ぼす可能性があります。さらに、新型コロナウイルス感染症のような大規模な感染症が再発生した場合、需要激減による甚大な影響を受けるリスクも抱えています。
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FY2025|9,472 文字
3【事業等のリスク】当社グループは、航空輸送事業を中核とする企業グループとして、安全の確保を最も重要な社会的使命と位置付け、それが毀損・阻害されることを「最重要リスク」と考えていますが、それ以外にも、近年は新型コロナウイルス感染症によって甚大な影響を受けたほか、その重要性や緊急性が増している気候変動問題に関するリスク、不透明感を増している国際情勢に関するリスクなど、様々なリスクが存在します。当社グループが、当期末時点において、投資家の判断に重要な影響を及ぼし得ると考えているリスクの概要は以下の通りです。なお、以下の内容には将来に関する予測も含まれており、それらの事項は現実とは合致しない可能性があるほか、以下に記載されていない他のリスクが当社グループに影響を及ぼす可能性もあります。 (1) 最も重要なリスク「安全」が毀損・阻害されることは当社グループにとって最も重要なリスクです。<要旨>当社グループは、安全は経営の基盤であり、社会への責務であると位置付けています。安全が毀損・阻害されるような事象が発生した場合には、当社グループに大きな影響を与えます。特に、人的損害が生じた場合には、当社グループへの社会的な信用・信頼を根本から揺るがす可能性があります。航空事故等によって、人的・物的損害が発生した場合には、その損害賠償責任が生ずる可能性がありますが、安全が毀損・阻害された場合の影響はそれに留まらず、顧客が航空機利用を手控えることで当社グループの収入が減少したり、あるいは航空機利用に際して当社グループ以外の便を選択するといった形で、その影響は広範かつ中期に及ぶ可能性があります。なお、安全の確保に向けて、航空機に製造上の不具合等が発生・発覚した場合には、予防的に当該航空機の運航を中止することがありますが、その場合には、航空機不足に起因して欠航や減便等が発生し、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。<変化・展望>当リスクは、引き続き、当社グループにとって最も重要なリスクであると考えています。<対応>当社グループは、安全の推進や安全の品質監査を行う専門組織を設置すると共に、安全を堅持するための持続的な「仕組み」を構築し、再発防止型・未然防止型・未来予測型の安全リスクマネジメント、良好事例や当社グループ外事例の活用、SPI(Safety Performance Indicator)による安全の「見える化」と対策の検討・実施など、更なる安全性の向上を追求しています。同時に、運航乗務員や客室乗務員をはじめ、航空機運航に直接従事する社員に対する継続的、反復的な教育・訓練の実施や、当社グループ社員全体を対象とした安全に関する恒常的な啓発活動も行い、研修施設である「ANAグループ安全教育センター」の活用等を通じて積極的な安全・保安文化の醸成・強化に努めています。また、航空機メーカー等との間でも密接な情報交換や意見交換を行いながら、安全性をはじめとする高品質なオペレーションの実現に取り組んでいます。 (2) 主要なリスク①気候変動問題への対応は重要性や緊急性が増しています。<要旨>航空機運航に際しては、二酸化炭素等の温室効果ガスを排出しますが、これらの削減が急務となっています。当社グループは、燃料効率に優れた航空機への置換えを進めるとともに、SAF(Sustainable Aviation Fuel:原材料の生産・収集から燃焼までのライフサイクルで二酸化炭素排出量を従来燃料よりも大幅に削減した航空燃料)の活用等によって2050年までに二酸化炭素の排出を実質ゼロとする目標を設定していますが、現時点で、SAFが安定的に合理的な価格で十分に供給される目途が立ったものではありません。SAFが安定的かつ十分に供給されない場合には、当社グループは二酸化炭素排出枠を社外の二酸化炭素削減プロジェクト等から購入する必要に迫られ、営業費用の増加をもたらす可能性があるとともに、SAFの価格が高額に留まった場合には、航空機の運航コストが増加して当社グループの収益性に影響を及ぼしたり、そのコストを運賃に転嫁することで鉄道や海運など他の交通手段に対する当社グループの競争力が低下する可能性があります。また、当社グループの二酸化炭素排出削減に向けた計画が目標通りに進まない場合には、顧客の間に、二酸化炭素の排出が相対的に少ない、鉄道など他の交通手段を選好する動きが出てくる可能性があるとともに、日本国内において十分なSAF供給体制が構築されない場合には、厳しい環境基準を設定する一部の国・地域等において、当社グループ航空機の乗り入れに対して制約や制限が課される可能性があります。<変化・展望>気候変動対策は全世界的に喫緊の課題であり、当リスクへの対処は、重要性や優先度が極めて高位であると考えています。また、当リスクについては、将来、航空業界全般および当社グループに対して、より厳格で、より高度な対応を、より速やかに求められる可能性もあると考えています。<対応>燃料効率に優れた新型機材への置換えや、大気中のCO2を回収・吸収し、貯留・固定化するネガティブエミッション技術の活用といった主体的な対応を進めるとともに、SAFの開発・供給体制構築に向けては、同業他社やSAFメーカー、あるいは政府等も含めて官民連携のもとに横断的協力関係を構築しながら、解決を進めていきます。なお、TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)提言に沿った情報については、当社グループホームページにて開示しています。(https://www.ana.co.jp/group/csr/environment/goal/) ②国際情勢の不安定化によるリスクが高まっています。<要旨>当社グループは、更なる成長機会を求めて国際線事業を拡大してきましたが、米中対立、ウクライナや中東地域情勢、第三極勢力の台頭など、国際情勢は不透明さを増しており、将来に向けて不確実性が存在します。国際航空輸送は、これまで経済活動のグローバル化を背景に拡大してきましたが、その流れが停滞・逆行、あるいは戦争・紛争等によって平和な環境が毀損された場合には、業務渡航需要の低迷や観光旅行需要の減少等を通じて、当社グループの収入に影響を及ぼす可能性があります。なお、国際情勢の不安定化は、国際線事業のみならず、インバウンド(訪日外国人観光客)需要の減少等を通じて国内線事業にも影響を及ぼし得るほか、航空機が戦争・紛争地域上空の飛行を取り止めて迂回せざるを得ないケース等、その影響が広範に及ぶ可能性があります。<変化・展望>国際情勢および経済活動グローバル化の行方については不確実性が増しており、リスクとして管理・対処する必要性が高まっていると考えています。<対応>当社グループは、国際線事業の展開に際し、航空ネットワーク構築等において、短期的な収益性のみで判断せず、国際情勢リスクにも配慮した展開を進めており、今後も当対応を継続します。また、海外における顧客獲得に際しても、特定国・地域に過度に偏ることがないよう、バランスを考慮して展開しています。なお、国際情勢の悪化等によって緊急対応の必要が生じた場合には、航空便の運航計画や運航ルートを柔軟かつ迅速に変更させることで、その影響低減を図っています。 ③大規模な感染症の発生は当社グループに甚大な影響を及ぼします。<要旨>当社グループは、新型コロナウイルス感染症によって甚大な影響を受けましたが、将来、大規模な感染症が再び発生した場合には、人的移動の制限・禁止等によって需要が激減し、当社グループに再度大きな影響を及ぼす可能性があります。航空事業は、航空機に関する費用や、それを運航するための人件費といった固定費が大きな割合を占めるため、短期で事業支出を抑制することは容易ではありません。また、そのような事業支出の抑制策を講じた場合には、事業体制の再構築には一定の時間を要するため、需要回復期においても、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。<変化・展望>一般的に気候変動(地球温暖化)は感染症リスクを高めると言われており、当リスクへの対処は重要性が高まっていると考えています。<対応>当社グループは、旅客機に加えて貨物専用機も保有することで、人的移動が減少した状況下でも物的移動に対しては積極的に対応できる体制を構築すると共に、人的移動についても3種の航空ブランド(ANA、Peach、AirJapan)を保有することで、限定された航空需要に対して、最も適切に対応できるようにしています。また、事業構造の多角化を進めており、航空事業非連動の収益ドメイン拡大や、グループの持続的成長に向けたANA経済圏の拡大を進めています。 ④システム障害が発生した場合の影響が大きくなっています。<要旨>当社グループは、航空輸送サービスを、より高品質で、より効率的に提供すべく、事業運営のシステム化を積極的に推進しており、これらのシステムに障害が発生した場合には、その理由が社内要因(自社要因)、あるいはサイバー攻撃等の社外要因であるかの如何を問わず、事業に与える影響が高まっています。航空機運航関連システムに障害が発生した場合には、航空機の運航が困難になる可能性があるほか、予約・決済・搭乗管理といった関連システムで障害が発生した場合にも、予約の受付や決済、空港における搭乗管理などが不可能となり、実質的に航空輸送サービスを提供することが困難となる可能性があります。<変化・展望>システムのクラウド化の進展、事業関連のサプライチェーンの接続や連関性増加、あるいは地政学的視点、さらには攻撃側のAI活用などサイバー攻撃が増加・巧妙化していることを踏まえれば、システム障害・サイバー攻撃に関するリスクは高まっていると考えています。また、当リスクを予防・低減させることに関する社会的要請も高まっていると考えています。<対応>2024年から発足したANAグループCSIRT(Computer Security Incident Response Team)の構築によりシステム障害かサイバーセキュリティ攻撃かが不明である時点から対応することを通じて、包括的・多面的なシステム運用体制を構築するとともに、サイバー事案に対しても海外ステークホルダーに対しても非常に速い対応が可能となりました。また、システム全体のアーキテクチャを監督する機能の設置や社員教育の強化やシステム障害発生対応訓練の実施など、ソフト面での対応強化も行っています。 ⑤情報漏洩リスクへの対処が重要性を増しています。<要旨>当社グループは、顧客組織「ANAマイレージクラブ」会員の個人情報をはじめ、多くの情報を保持していますが、これらの情報が不正に流出した場合には、損害賠償請求を受けたり、各国政府等から制裁金や課徴金の支払いを命じられたり、あるいは顧客や社会からの信用・信頼が失墜して競争力が低下したりする可能性があります。<変化・展望>情報全般の取り扱いに関する社会的な意識・規範の高まりや、各国政府等によって定められる関連法規の強化などを踏まえれば、当リスクに適切に対処する必要性は一層高まっていると考えています。<対応>各国法令等に沿って適切な情報管理を行うと共に、コンピュータウィルス対策やメールのセキュリティチェック、不正操作の監視、情報にアクセスできる社員の制限、全社員を対象とした情報管理に関する教育・啓発活動等を行っています。また、グループ全体のシステムを対象に継続的な点検を行い、システムの老朽化、脆弱性を早期に検出して対応する等、サイバー攻撃や情報漏洩を未然に防ぐ対応を実施しています。 ⑥人権リスクについて対処すべき領域が広がっています。<要旨>当社グループ内のみならず、委託先や取引先、調達先等を含めて、当社グループ事業に関わる事業領域全体で人権侵害にあたる行為が発生した場合には、当社グループが社会的非難を浴びたり、不買運動の対象となったりする可能性があります。また、海外の一部の国・地域ではサプライチェーン上の人権保護に関わる法制化も進んでいます。委託先等のグループ外も含めて人権侵害にあたる行為が発生した場合には、こうした国・地域等において、当社グループが罰則を課される可能性もあります。さらに、業務委託先等を含むサプライヤーで問題が発生し、操業停止等に至った際には、当社グループの事業運営において制約や制限を課される可能性があります。<変化・展望>日本国内における労働力人口減少への対応、あるいは海外事業の拡大を進める中で当社グループの事業に関わる人的リソースは多様化しており、当リスクに対しては、より多面的に対処する必要性があると考えています。<対応>当社グループは、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」において詳述されている手順に沿い、「ANAグループ人権方針」のもと、人権デューディリジェンスの仕組みを構築しています。サプライチェーン上の人権リスク評価を実施し、必要に応じて、社外関係先や労働者本人に対しても対話等を通じて直接確認・調査を行う等、当リスクの適切な管理に努めています。さらに労働者が直接声を上げる仕組みも整備し、グリーバンスメカニズムによる人権尊重も推進しています。また、社内においても人権に関する社員教育や経営レベルの会議体における定期的なモニター等も実施しています。 ⑦激甚化する自然災害のリスクが高まっています。<要旨>航空輸送は、点と点を空路で結ぶという特性上、運輸・運送システムの中では相対的に自然災害への耐性が強く、一部空港が機能不全に陥った場合でも近隣空港を活用した代替輸送が可能といった利点がありますが、当社グループの事業基盤は首都圏に集中しているため、羽田空港や成田空港が自然災害によって大きな影響を受けた場合には、当社グループの事業運営に関して制約や障害が発生する可能性があります。<変化・展望>気候変動(地球温暖化)が自然災害の激甚化をもたらすと言われていることを含めて、当リスクへの対処は重要性が高まっていると考えています。<対応>首都直下地震をはじめ、大規模自然災害が発生した場合でも、早急に運航機能を回復させて公共交通機関としての使命を果たせるよう、事業継続計画(Business Continuity Plan)を策定し、定期的な見直しを行っています。また、事業運営に不可欠な各種中核機能についてはバックアップ系統を整備し、衛星電話や備蓄品、従業員安否確認システム等を用意すると共に、関係者(空港会社等)とも連携しながら、定期的な防災訓練を実施する等の対応をしています。 ⑧当社グループの事業は、為替・原油価格・金利といった市況の変動に大きな影響を受けます。<要旨>1)為替当社グループが使用する航空機は海外メーカーによって製造されているため、円安が大きく進行した場合には、航空機調達コストが増大します。また、営業費用において大きな割合を占める航空機燃料も、その原料となる原油は輸入に頼っているため、同様に円安が大きく進行した場合には、営業費用が増加します。なお、円安は当社グループが海外で得る外貨収入の円建て換算額を押し上げますが、当社グループは外貨建て収入よりも外貨建て支出の方が多いため、その効果は費用増加の全てを相殺できるものではありません。為替変動に対しては、ヘッジ取引等を活用した影響緩和策も講じていますが、これらの対策は影響の緩和や平準化を図ることはできても、その影響を完全に排除するものではなく、費用抑制効果が常に見込まれるものでもありません。2)原油価格航空機燃料の価格は、基本的に原油価格に連動しており、原油価格の高騰は航空機燃料コストの増大をもたらします。当社グループは、一部事業において燃料価格に応じた燃油特別付加運賃(いわゆる「燃油サーチャージ」)を設定・徴収するといった方策も講じていますが、それらの収入は費用増加の全てを常に相殺するものではありません。原油価格の変動に対しては、ヘッジ取引等を活用した影響緩和策も講じていますが、これらの対策は影響の緩和や平準化を図ることはできても、その影響を完全に排除するものではなく、費用抑制効果が常に見込まれるものでもありません。3)金利当社グループは、航空機の調達をはじめ、外部資金も活用した事業運営を行っており、金利が大きく上昇した場合には、その資金調達コストの増加といった形で当社グループに影響を及ぼす可能性があります。<変化・展望>市況変動は常に起こり得るものですが、昨今、国際情勢や経済情勢に関する不確実性も増しており、当リスクへの対処は重要性を増していると考えています。<対応>ヘッジ取引の活用等によってリスクの低減・緩和・平準化を図ると共に、より根本的な対策として、外貨建て収入を増やして為替影響に強い収支構造を構築する、燃料効率に優れた新型機への置換えを推進する、事業ポートフォリオの多角化によって市況変動の影響を受けにくい事業を育成する、適切な財務規律の下で資金調達を実施する等、グループ全体として市況変動に対する耐性を高めていきます。 ⑨競争力の強化や新たな成長に向けた投資は、リスクも伴っています。<要旨>当社グループは、将来に向けて持続的な成長を実現するための投資を検討・実行していますが、これらの投資はリスクも伴っています。航空事業では、他社に対する競争力の維持・向上や温室効果ガスの排出削減に向けて、新型機材の導入等を行っていきますが、大規模な感染症の発生による影響、各種テクノロジーの急速・急激な発達、それに伴った社会の行動様式変化、あるいは政治情勢等に起因したグローバルな経済活動の分断等が生じた場合には、これらの投資が期待したような効果を発揮しない可能性があります。また、グループ全体としてのリスク耐性を高めるべく、航空事業との相乗効果が期待できる事業、あるいは航空事業のノウハウを活用できる事業、即ち、地域創生事業、各種エアモビリティ事業、アバター事業、ANA経済圏事業等への投資を検討・実行していますが、これらの投資は想定した成果を発揮した場合の効果が大きいと期待される一方で、想定した成果を得られない可能性もあります。<変化・展望>投資に関するリスク管理は、引き続き、重要であると考えています。<対応>投資の検討・実行に際しては、取締役会や各種経営レベル会議体での議論・審議のみならず、グループ全社を対象とした投資管理委員会を設置して管理体制の重層化を図ると共に、その評価基準や撤退基準を予め設定する等、当リスクの適切な管理に努めています。 ⑩日本の人口減少により、市場が縮小したり、労働力の確保が困難となっていく可能性があります。<要旨>当社グループは、日本国内を最大の事業基盤としていますが、今後、日本の人口減少が進むにつれて、その市場規模は縮小する可能性があります。また、人口減少は当社グループの事業運営に必要な労働力の確保という観点でも影響を及ぼす可能性があり、その場合には、人件費単価が増加したり、労働力不足、並びに従業員のスキル・知識不足等に起因して事業運営に制約が生じたりする可能性があります。<変化・展望>当リスクは、今後、顕在化すると考えています。<対応>経営戦略の立案等において、人口減少等の各種社会的変化の想定を加味・反映させると共に、LCCブランドを活用した市場全体の活性化にも取り組んでいます。また、中長期にわたって市場の成長が期待できる国際線事業の拡充を進めています。労働力の確保に関しては、適切な配置や教育・研修機会等の拡充によりスキルや知識等の向上を図るとともに、「人財」に対する積極的な投資によって採用競争力を維持・向上させ、機械化、省力化、無人化等を推進し、生産性も高めていきます。 ⑪更なる高速鉄道網の延伸によって、陸上交通機関との競争が激化する可能性があります。<要旨>日本国内では、今後、更なる高速鉄道網の延伸が予定されており、新幹線等との競争が、より激しくなる可能性があります。整備新幹線の延伸や既存新幹線の高速化は、当社グループの国内線事業に関して、市場シェアの低下や価格競争の発生・激化による単価下落といった影響をもたらす可能性があります。<変化・展望>当リスクは、中長期的に顕在化する可能性が高いと考えています。<対応>経営戦略の立案等において、高速鉄道網の延伸や競争環境の変化を加味・反映させると共に、LCCブランドを活用した市場全体の活性化にも取り組んでいます。また、中長期にわたって市場の成長が期待できる国際線事業の拡充を進めています。 (3) その他のリスク①交通政策や航空政策に関するリスク羽田空港等の基幹空港では、その発着可能枠が既に上限に達しているものもありますが、その処理能力向上については基本的に国策に委ねられており、当社グループの今後の事業展開において制約となる可能性があります。また、現時点で当社グループが使用しているこれらの空港における発着枠についても、今後の政策によって縮小・回収といった調整が行われる可能性があります。 ②税制や公租公課に関するリスク航空事業に関しては、航空機燃料税等の税制に加えて、空港着陸料や駐機場使用料、航行援助施設利用料といった公租公課が存在します。これらの税制や公租公課に変更、新設等があった場合には、当社グループに影響を及ぼす可能性があります。 ③景気変動に関するリスク航空輸送が担う中長距離輸送は、日常的な短距離輸送に比べて、景気変動の影響をより受けやすいという特性があります。 ④損益構造・財務構造・資金調達に関するリスク航空事業は、高額である航空機を使用すると共に、貨客量に関わらず運航に連動して発生する費用(燃油費や整備費等)も多いため、需要が大きく減少した場合には、その収益性が大きく低下する可能性があります。また、当社グループは繰延税金資産を計上していますが、将来の課税所得見込みが減少した場合等には、この資産が取り崩される可能性があります。なお、当社グループは設備投資等の必要資金を金融機関や市場から調達する可能性がありますが、当社グループの信用力変動や市場の混乱等によって資金調達に制約を受ける場合は、当社グループに影響を及ぼす可能性があります。 ⑤事業ポートフォリオに関するリスク当社グループは、その収入・収益において航空事業が大きな割合を占めているほか、それ以外の航空関連事業、旅行事業、商社事業についても航空輸送に関連した事業が多く、航空事業に大きな影響が生じた場合には、これらの事業においても連動的に大きな影響が生じる可能性があります。 ⑥訴訟に関するリスク国内外において、当社グループの事業活動に関する各種訴訟等が発生した場合、当社グループに影響を及ぼす可能性があります。
FY2024|9,456 文字
3【事業等のリスク】当社グループは、航空輸送事業を中核とする企業グループとして、安全の確保を最も重要な社会的使命と位置付け、それが毀損・阻害されることを「最重要リスク」と考えていますが、それ以外にも、近年は新型コロナウイルス感染症によって甚大な影響を受けたほか、その重要性や緊急性が増している気候変動問題に関するリスク、不透明感を増している国際情勢に関するリスクなど、様々なリスクが存在します。当社グループが、当期末時点において、投資家の判断に重要な影響を及ぼし得ると考えているリスクの概要は以下の通りです。なお、以下の内容には将来に関する予測も含まれており、それらの事項は現実とは合致しない可能性があるほか、以下に記載されていない他のリスクが当社グループに影響を及ぼす可能性もあります。 (1) 最も重要なリスク「安全」が毀損・阻害されることは当社グループにとって最も重要なリスクです。<要旨>当社グループは、安全は経営の基盤であり、社会への責務であると考えていますが、安全が毀損・阻害されるような事象が発生した場合には、当社グループに大きな影響を与えます。特に、人的損害が生じた場合には、当社グループへの社会的な信用・信頼を根本から揺るがす可能性があります。航空事故等によって、人的・物的損害が発生した場合には、その損害賠償責任が生ずる可能性がありますが、安全が毀損・阻害された場合の影響はそれに留まらず、顧客が航空機利用を手控えることで当社グループの収入が減少したり、あるいは航空機利用に際して当社グループ以外の便を選択するといった形で、その影響は広範かつ中期に及ぶ可能性があります。なお、安全の確保に向けて、航空機に製造上の不具合等が発生・発覚した場合には、予防的に当該航空機の運航を中止することがありますが、その場合には、航空機不足に起因して欠航や減便等が発生し、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。<変化・展望>当リスクは、引き続き、当社グループにとって最も重要なリスクであると考えています。<対応>当社グループは、安全の推進や安全の品質監査を行う専門組織を設置すると共に、安全を堅持するための持続的な「仕組み」を構築し、再発防止型・未然防止型・未来予測型の安全リスクマネジメント、良好事例や当社グループ外事例の活用、運航乗務員や客室乗務員を対象とした疲労リスクマネジメント、SPI(Safety Performance Indicator)による安全の「見える化」など、更なる安全性の向上を追求しています。同時に、運航乗務員や客室乗務員をはじめ、航空機運航に直接従事する社員に対する継続的、反復的な教育・訓練の実施や、当社グループ社員全体を対象とした安全に関する恒常的な啓発活動も行い、研修施設である「ANAグループ安全教育センター」の活用等を通じて積極的な安全・保安文化の醸成・強化に努めています。また、航空機メーカー等との間でも密接な情報交換や意見交換を行いながら、安全性をはじめとする高品質なオペレーションの実現に取り組んでいます。 (2) 主要なリスク①気候変動問題への対応は重要性や緊急性が増しています。<要旨>航空機運航に際しては、二酸化炭素等の温室効果ガスを排出しますが、これらの削減が急務となっています。当社グループは、燃料効率に優れた航空機への置換えを進めると共に、SAF(Sustainable Aviation Fuel:原材料の生産・収集から燃焼までのライフサイクルで二酸化炭素排出量を従来燃料よりも大幅に削減した航空燃料)の活用等によって2050年までに二酸化炭素の排出を実質ゼロとする目標を設定していますが、現時点で、SAFが安定的に合理的な価格で十分に供給されるという技術的な目途が立ったものではありません。SAFが安定的かつ十分に供給されない場合には、当社グループは二酸化炭素排出枠を社外の二酸化炭素削減プロジェクト等から購入する必要に迫られ、営業費用の増加をもたらす可能性があると共に、SAFの価格が高額に留まった場合には、航空機の運航コストが増加して当社グループの収益性に影響を及ぼしたり、そのコストを運賃に転嫁することで鉄道や海運など他の交通手段に対する当社グループの競争力が低下する可能性があります。また、当社グループの二酸化炭素排出削減に向けた計画が目標通りに進まない場合には、顧客の間に、二酸化炭素の排出が相対的に少ない、鉄道など他の交通手段を選好する動きが出てくる可能性があると共に、日本国内において十分なSAF供給体制が構築されない場合には、厳しい環境基準を設定する一部の国・地域等において、当社グループ航空機の乗り入れに対して制約や制限が課される可能性があります。<変化・展望>気候変動に関する問題は全世界的に喫緊の課題であり、当リスクへの対処は、重要性や優先度が極めて高位であると考えています。また、当リスクについては、将来、航空業界全般および当社グループに対して、より厳格で、より高度な対応を、より速やかに求められる可能性もあると考えています。<対応>燃料効率に優れた新型機材への置換えや、大気中のCO2を回収・吸収し、貯留・固定化するネガティブエミッション技術の活用といった主体的な対応を進めると共に、SAFの開発・供給体制構築に向けては、同業他社やSAFメーカー、あるいは政府等も含めて官民連携のもとに横断的協力関係を構築しながら、解決を進めていきます。なお、TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)提言に沿った情報については、当社グループホームページにて開示しています。(https://www.ana.co.jp/group/csr/environment/goal/) ②国際情勢の不安定化によるリスクが高まっています。<要旨>当社グループは、更なる成長機会を求めて国際線事業を拡大してきましたが、米中対立、ウクライナや中東地域情勢、第三極勢力の台頭など、国際情勢は不透明さを増しており、将来に向けて不確実性が存在します。国際航空輸送は、これまで経済活動のグローバル化を背景に拡大してきましたが、その流れが停滞・逆行、あるいは戦争・紛争等によって平和な環境が毀損された場合には、業務渡航需要の低迷や観光旅行需要の減少等を通じて、当社グループの収入に影響を及ぼす可能性があります。なお、国際情勢の不安定化は、国際線事業のみならず、インバウンド(訪日外国人観光客)需要の減少等を通じて国内線事業にも影響を及ぼし得るほか、航空機が戦争・紛争地域上空の飛行を取り止めて迂回せざるを得ないケース等、その影響が広範に及ぶ可能性があります。<変化・展望>国際情勢および経済活動グローバル化の行方については不確実性が増しており、リスクとして管理・対処する必要性が高まっていると考えています。<対応>当社グループは、国際線事業の展開に際し、航空ネットワーク構築等において、短期的な収益性のみで判断せず、国際情勢リスクにも配慮した展開を進めており、今後も当対応を継続します。また、海外における顧客獲得に際しても、特定国・地域に過度に偏ることがないよう、バランスを考慮して展開しています。なお、国際情勢の悪化等によって緊急対応の必要が生じた場合には、航空便の運航計画や運航ルートを柔軟かつ迅速に変更させることで、その影響低減を図っています。 ③大規模な感染症の発生は当社グループに甚大な影響を及ぼします。<要旨>当社グループは、新型コロナウイルス感染症によって甚大な影響を受けましたが、将来、大規模な感染症が再び発生した場合には、人的移動の制限・禁止等によって需要が激減し、当社グループに再度大きな影響を及ぼす可能性があります。航空事業は、航空機に関する費用や、それを運航するための人件費といった固定費が大きな割合を占めるため、短期で事業支出を抑制することは容易ではありません。また、そのような事業支出の抑制策を講じた場合には、事業体制の再構築には一定の時間を要するため、需要回復期においても、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。<変化・展望>一般的に気候変動(地球温暖化)は感染症リスクを高めると言われており、当リスクへの対処は重要性が高まっていると考えています。<対応>当社グループは、旅客機に加えて貨物専用機も保有することで、人的移動が減少した状況下でも物的移動に対しては積極的に対応できる体制を構築すると共に、人的移動についても3種の航空ブランド(ANA、Peach、AirJapan)を保有することで、限定された航空需要に対して、最も適切に対応できるようにしています。また、事業構造の多角化を進めており、航空事業非連動の収益ドメイン拡大や、グループの持続的成長に向けたANA経済圏の拡大を進めています。 ④システム障害が発生した場合の影響が大きくなっています。<要旨>当社グループは、航空輸送サービスを、より高品質で、より効率的に提供すべく、事業運営のシステム化を積極的に推進しており、これらのシステムに障害が発生した場合には、その理由が社内要因(自社要因)、あるいはサイバー攻撃等の社外要因であるかの如何を問わず、事業に与える影響が高まっています。航空機運航関連システムに障害が発生した場合には、航空機の運航が困難になる可能性があるほか、予約・決済・搭乗管理といった関連システムで障害が発生した場合にも、予約の受付や決済、空港における搭乗管理などが不可能となり、実質的に航空輸送サービスを提供することが困難となる可能性があります。<変化・展望>システムのクラウド化の進展、事業関連のサプライチェーンの接続や連関性増加、あるいは地政学的視点からもサイバー攻撃が増加・巧妙化していることを踏まえれば、システム障害・サイバー攻撃に関するリスクは高まっていると考えています。また、当リスクを予防・低減させることに関する社会的要請も高まっていると考えています。<対応>昨年、当社グループ全体のシステム運営・管理を担う専門組織として、ANAグループ全体のサイバーセキュリティを俯瞰する、グループIT部およびANAグループCSIRT(Computer Security Incident Response Team)を設置して、ANAグループ全体へのサイバーセキュリティ全体のガバナンス強化やサイバー攻撃への強化をすすめ、システム障害およびサイバー攻撃にも包括的・多面的なシステム運用体制を構築してきました。また、システム全体のアーキテクチャを監督する機能の設置や社員教育の強化やシステム障害発生対応訓練の実施など、ソフト面での対応強化も行っています。 ⑤情報漏洩リスクへの対処が重要性を増しています。<要旨>当社グループは、顧客組織「ANAマイレージクラブ」会員の個人情報をはじめ、多くの情報を保持していますが、これらの情報が不正に流出した場合には、損害賠償請求を受けたり、各国政府等から制裁金や課徴金の支払いを命じられたり、あるいは顧客や社会からの信用・信頼が失墜して競争力が低下したりする可能性があります。<変化・展望>情報全般の取り扱いに関する社会的な意識・規範の高まりや、各国政府等によって定められる関連法規の強化などを踏まえれば、当リスクに適切に対処する必要性は一層高まっていると考えています。 <対応>各国法令等に沿って適切な情報管理を行うと共に、コンピュータウィルス対策やメールのセキュリティチェック、不正操作の監視、情報にアクセスできる社員の制限、全社員を対象とした情報管理に関する教育・啓発活動等を行っています。また、グループ全体のシステムを対象に継続的な点検を行い、システムの老朽化、脆弱性を早期に検出して対応する等、サイバー攻撃や情報漏洩を未然に防ぐ対応を実施しています。 ⑥人権リスクについて対処すべき領域が広がっています。<要旨>当社グループ内のみならず、委託先や取引先、調達先等を含めて、当社グループ事業に関わる事業領域全体で人権侵害にあたる行為が発生した場合には、当社グループが社会的非難を浴びたり、不買運動の対象となったりする可能性があります。また、海外の一部の国・地域ではサプライチェーン上の人権保護に関わる法制化も進んでいます。委託先等のグループ外も含めて人権侵害にあたる行為が発生した場合には、こうした国・地域等において、当社グループが罰則を課される可能性もあります。さらに、業務委託先等を含むサプライヤーで問題が発生し、操業停止等に至った際には、当社グループの事業運営において制約や制限を課される可能性があります。<変化・展望>日本国内における労働力人口減少への対応、あるいは海外事業の拡大を進める中で当社グループの事業に関わる人的リソースは多様化しており、当リスクに対しては、より多面的に対処する必要性があると考えています。<対応>当社グループは、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」において詳述されている手順に沿い、「ANAグループ人権方針」のもと、人権デューディリジェンスの仕組みを構築しています。サプライチェーン上の人権リスク評価を実施し、必要に応じて、社外関係先や労働者本人に対しても対話等を通じて直接確認・調査を行う等、当リスクの適切な管理に努めています。また、社内においても人権に関する社員教育や経営レベルの会議体における定期的なモニター等を実施しています。 ⑦激甚化する自然災害のリスクが高まっています。<要旨>航空輸送は、点と点を空路で結ぶという特性上、運輸・運送システムの中では相対的に自然災害への耐性が強く、一部空港が機能不全に陥った場合でも近隣空港を活用した代替輸送が可能といった利点がありますが、当社グループの事業基盤は首都圏に集中しているため、羽田空港や成田空港が自然災害によって大きな影響を受けた場合には、当社グループの事業運営に関して制約や障害が発生する可能性があります。<変化・展望>気候変動(地球温暖化)が自然災害の激甚化をもたらすと言われていることを含めて、当リスクへの対処は重要性が高まっていると考えています。<対応>首都直下地震をはじめ、大規模自然災害が発生した場合でも、早急に運航機能を回復させて公共交通機関としての使命を果たせるよう、事業継続計画(Business Continuity Plan)を策定し、定期的な見直しを行っています。また、事業運営に不可欠な各種中核機能についてはバックアップ系統を整備し、衛星電話や備蓄品、従業員安否確認システム等を用意すると共に、関係者(空港会社等)とも連携しながら、定期的な防災訓練を実施する等の対応をしています。 ⑧当社グループの事業は、為替・原油価格・金利といった市況の変動に大きな影響を受けます。<要旨>1)為替当社グループが使用する航空機は海外メーカーによって製造されているため、円安が大きく進行した場合には、航空機調達コストが増大します。また、営業費用において大きな割合を占める航空機燃料も、その原料となる原油は輸入に頼っているため、同様に円安が大きく進行した場合には、営業費用が増加します。なお、円安は当社グループが海外で得る外貨収入の円建て換算額を押し上げますが、当社グループは外貨建て収入よりも外貨建て支出の方が多いため、その効果は費用増加の全てを相殺できるものではありません。為替変動に対しては、ヘッジ取引等を活用した影響緩和策も講じていますが、これらの対策は影響の緩和や平準化を図ることはできても、その影響を完全に排除するものではなく、費用抑制効果が常に見込まれるものでもありません。 2)原油価格航空機燃料の価格は、基本的に原油価格に連動しており、原油価格の高騰は航空機燃料コストの増大をもたらします。当社グループは、一部事業において燃料価格に応じた燃油特別付加運賃(いわゆる「燃油サーチャージ」)を設定・徴収するといった方策も講じていますが、それらの収入は費用増加の全てを常に相殺するものではありません。原油価格の変動に対しては、ヘッジ取引等を活用した影響緩和策も講じていますが、これらの対策は影響の緩和や平準化を図ることはできても、その影響を完全に排除するものではなく、費用抑制効果が常に見込まれるものでもありません。3)金利当社グループは、航空機の調達をはじめ、外部資金も活用した事業運営を行っており、金利が大きく上昇した場合には、その資金調達コストの増加といった形で当社グループに影響を及ぼす可能性があります。<変化・展望>市況変動は常に起こり得るものですが、昨今、国際情勢や経済情勢に関する不確実性も増しており、当リスクへの対処は重要性を増していると考えています。<対応>ヘッジ取引の活用等によってリスクの低減・緩和・平準化を図ると共に、より根本的な対策として、外貨建て収入を増やして為替影響に強い収支構造を構築する、燃料効率に優れた新型機への置換えを推進する、事業ポートフォリオの多角化によって市況変動の影響を受けにくい事業を育成する、適切な財務規律の下で資金調達を実施する等、グループ全体として市況変動に対する耐性を高めていきます。 ⑨競争力の強化や新たな成長に向けた投資は、リスクも伴っています。<要旨>当社グループは、将来に向けて持続的な成長を実現するための投資を検討・実行していますが、これらの投資はリスクも伴っています。航空事業では、他社に対する競争力の維持・向上や温室効果ガスの排出削減に向けて、新型機材の導入等を行っていきますが、大規模な感染症の発生による影響、各種テクノロジーの急速・急激な発達、それに伴った社会の行動様式変化、あるいは政治情勢等に起因したグローバルな経済活動の分断等が生じた場合には、これらの投資が期待したような効果を発揮しない可能性があります。また、グループ全体としてのリスク耐性を高めるべく、航空事業との相乗効果が期待できる事業、あるいは航空事業のノウハウを活用できる事業、即ち、地域創生事業、各種エアモビリティ事業、メタバース・アバター事業、ANA経済圏事業等への投資を検討・実行していますが、これらの投資は想定した成果を発揮した場合の効果が大きいと期待される一方で、想定した成果を得られない可能性もあります。<変化・展望>投資に関するリスク管理は、引き続き、重要であると考えています。<対応>投資の検討・実行に際しては、取締役会や各種経営レベル会議体での議論・審議のみならず、グループ全社を対象とした投資管理委員会を設置して管理体制の重層化を図ると共に、その評価基準や撤退基準を予め設定する等、当リスクの適切な管理に努めています。 ⑩日本の人口減少により、市場が縮小したり、労働力の確保が困難となっていく可能性があります。<要旨>当社グループは、日本国内を最大の事業基盤としていますが、今後、日本の人口減少が進むにつれて、その市場規模は縮小する可能性があります。また、人口減少は当社グループの事業運営に必要な労働力の確保という観点でも影響を及ぼす可能性があり、その場合には、人件費単価が増加したり、労働力不足に起因して事業運営に制約が生じたりする可能性があります。<変化・展望>当リスクは、今後、徐々に高い確率で顕在化すると考えています。<対応>経営戦略の立案等において、人口減少等の各種社会的変化の想定を加味・反映させると共に、LCCブランドを活用した市場全体の活性化にも取り組んでいます。また、中長期にわたって市場の成長が期待できる国際線事業の拡充を進めています。労働力の確保に関しては、適切な配置や教育・研修機会の拡充等、「人財」に対する積極的な投資によって採用競争力を維持・向上させると共に、機械化、省力化、無人化等を進め、生産性も高めていきます。 ⑪更なる高速鉄道網の延伸によって、陸上交通機関との競争が激化する可能性があります。<要旨>日本国内では、今後、更なる高速鉄道網の延伸が予定されており、新幹線等との競争が、より激しくなる可能性があります。整備新幹線の延伸や既存新幹線の高速化は、当社グループの国内線事業に関して、市場シェアの低下や価格競争の発生・激化による単価下落といった影響をもたらす可能性があります。<変化・展望>当リスクは、中長期的に顕在化する可能性が高いと考えています。<対応>経営戦略の立案等において、高速鉄道網の延伸や競争環境の変化を加味・反映させると共に、LCCブランドを活用した市場全体の活性化にも取り組んでいます。また、中長期にわたって市場の成長が期待できる国際線事業の拡充を進めています。 (3) その他のリスク①交通政策や航空政策に関するリスク羽田空港等の基幹空港では、その発着可能枠が既に上限に達しているものもありますが、その処理能力向上については基本的に国策に委ねられており、当社グループの今後の事業展開において制約となる可能性があります。また、現時点で当社グループが使用しているこれらの空港における発着枠についても、今後の政策によって縮小・回収といった調整が行われる可能性があります。 ②税制や公租公課に関するリスク航空事業に関しては、航空機燃料税等の税制に加えて、空港着陸料や駐機場使用料、航行援助施設利用料といった公租公課が存在します。これらの税制や公租公課に変更、新設等があった場合には、当社グループに影響を及ぼす可能性があります。 ③景気変動に関するリスク航空輸送が担う中長距離輸送は、日常的な短距離輸送に比べて、景気変動の影響をより受けやすいという特性があります。 ④損益構造・財務構造・資金調達に関するリスク航空事業は、高額である航空機を使用すると共に、貨客量に関わらず運航に連動して発生する費用(燃油費や整備費等)も多いため、需要が大きく減少した場合には、その収益性が大きく低下する可能性があります。また、当社グループは繰延税金資産を計上していますが、将来の課税所得見込みが減少した場合等には、この資産が取り崩される可能性があります。なお、当社グループは設備投資等の必要資金を金融機関や市場から調達する可能性がありますが、当社グループの信用力変動や市場の混乱等によって資金調達に制約を受ける場合は、当社グループに影響を及ぼす可能性があります。 ⑤事業ポートフォリオに関するリスク当社グループは、その収入・収益において航空事業が大きな割合を占めているほか、それ以外の航空関連事業、旅行事業、商社事業についても航空輸送に関連した事業が多く、航空事業に大きな影響が生じた場合には、これらの事業においても連動的に大きな影響が生じる可能性があります。 ⑥訴訟に関するリスク国内外において、当社グループの事業活動に関する各種訴訟等が発生した場合、当社グループに影響を及ぼす可能性があります。
FY2023|9,106 文字
3【事業等のリスク】当社グループは、航空輸送事業を中核とする企業グループとして、安全の確保を最も重要な社会的使命と位置付け、それが毀損・阻害されることを「最重要リスク」と考えていますが、それ以外にも、近年は新型コロナウイルス感染症によって甚大な影響を受けた他、その重要性や緊急性が増している気候変動問題に関するリスク、不透明感を増している国際情勢に関するリスクなど、様々なリスクが存在します。当社グループが、当期末時点において、投資家の判断に重要な影響を及ぼし得ると考えているリスクの概要は以下の通りです。なお、以下の内容には将来に関する予測も含まれており、それらの事項は現実とは合致しない可能性がある他、以下に記載されていない他のリスクが当社グループに影響を及ぼす可能性もあります。 (1) 最も重要なリスク「安全」が毀損・阻害されることは当社グループにとって最も重要なリスクです。<要旨>当社グループは、安全は経営の基盤であり、社会への責務であると考えていますが、安全が毀損・阻害されるような事象が発生した場合、当社グループに大きな影響を与えます。特に、人的損害が生じた場合には、当社グループへの社会的な信用・信頼を根本から揺るがす可能性があります。航空事故等によって、人的・物的損害が発生した場合、その損害賠償責任が生ずる可能性がありますが、安全が毀損・阻害された場合の影響はそれに留まらず、顧客が航空機利用を手控えることで当社グループの収入が減少したり、あるいは航空機利用に際して当社グループ以外の便を選択するといった形で、その影響は広範かつ中期に及ぶ可能性があります。なお、安全の確保に向けて、航空機に製造上の不具合等が発生・発覚した場合には、予防的に当該航空機の運航を中止することがありますが、その場合、航空機不足に起因して欠航や減便等が発生し、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。<変化・展望>当リスクは、引き続き、当社グループにとって最も重要なリスクであると考えています。<対応>当社グループは、安全の推進や安全の品質監査を行う専門組織を設置すると共に、安全を堅持するための持続的な「仕組み」を構築し、事後対応型の安全リスクマネジメントに留まらず、未然防止型・未来予測型の安全リスクマネジメントを取り入れ、3H(初めて、変更、久しぶり)を対象としたリスクマネジメント、運航乗務員や客室乗務員を対象とした疲労リスクマネジメント、SPI(Safety Performance Indicator)による安全の「見える化」など、更なる安全性の向上を追求しています。同時に、運航乗務員や客室乗務員をはじめ、航空機運航に直接従事する社員に対する継続的、反復的な教育・訓練の実施や、当社グループ社員全体を対象とした安全に関する恒常的な啓発活動も行い、研修施設である「ANAグループ安全教育センター」の活用等を通じて安全を守り抜く企業グループ文化の醸成・強化に努めています。また、航空機メーカー等との間でも密接な情報交換や意見交換を行いながら、安全性をはじめとする高品質なオペレーションの実現に取り組んでいます。 (2) 主要なリスク①気候変動問題への対応は重要性や緊急性が増しています。<要旨>航空機運航に際しては、二酸化炭素等の温室効果ガスを排出しますが、これらの削減が急務となっています。当社グループは、燃料効率に優れた航空機への置換えを進めるとともに、SAF(Sustainable Aviation Fuel:原材料の生産・収集から燃焼までのライフサイクルで二酸化炭素排出量を従来燃料よりも大幅に削減した航空燃料)の活用等によって2050年までに二酸化炭素の排出を実質ゼロとする目標を設定していますが、現時点で、SAFが安定的に合理的な価格で十分に供給されるという技術的な目途が立ったものではありません。SAFが安定的かつ十分に供給されない場合、当社グループは二酸化炭素排出枠を社外の二酸化炭素削減プロジェクト等から購入する必要に迫られ、営業費用の増加をもたらす可能性があるとともに、SAFの価格が高額に留まった場合には航空機の運航コストが増加して当社グループの収益性に影響を及ぼしたり、そのコストを運賃に転嫁することで鉄道や海運など他の交通手段に対する当社グループの競争力が低下する可能性があります。また、当社グループの二酸化炭素排出削減に向けた計画が目標通りに進まない場合、顧客の間に、二酸化炭素の排出が相対的に少ない、鉄道など他の交通手段を選好する動きが出てくる可能性があると共に、日本国内において十分なSAF供給体制が構築されない場合、厳しい環境基準を設定する一部の国・地域等において、当社グループ航空機の乗り入れに対して制約や制限が課される可能性があります。<変化・展望>気候変動に関する問題は全世界的に喫緊の課題であり、当リスクへの対処は、重要性や優先度が極めて高位であると考えています。また、当リスクについては、将来、航空業界全般および当社グループに対して、より厳格で、より高度な対応を、より速やかに求められる可能性もあると考えています。<対応>燃料効率に優れた新型機材への置換えといった主体的な対応を進めると共に、SAFの開発・供給体制構築に向けては、同業他社やSAFメーカー、あるいは政府等も含めて官民連携のもとに横断的協力関係を構築しながら、解決を進めていきます。なお、TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)提言に沿った情報については、当社グループホームページにて開示しています。(https://www.ana.co.jp/group/csr/environment/goal/) ②国際情勢の不安定化によるリスクが高まっています。<要旨>当社グループは、更なる成長機会を求めて国際線事業を拡大してきましたが、米中対立やロシア・ウクライナ情勢、あるいは第三極勢力の台頭など、国際情勢は不透明さを増しており、将来に向けて不確実性が存在します。国際航空輸送は、これまで経済活動のグローバル化を背景に拡大してきましたが、その流れが停滞・逆行、あるいは戦争・紛争等によって平和な環境が毀損された場合、業務渡航需要の低迷や観光旅行需要の減少等を通じて、当社グループの収入に影響を及ぼす可能性があります。なお、国際情勢の不安定化は、国際線事業のみならず、インバウンド(訪日外国人観光客)需要の減少等を通じて国内線事業にも影響を及ぼし得る他、航空機が戦争・紛争地域上空の飛行を取り止めて迂回せざるを得ないケース等、その影響が広範に及ぶ可能性があります。<変化・展望>国際情勢および経済活動グローバル化の行方については不確実性が増しており、リスクとして管理・対処する必要性が高まっていると考えています。<対応>当社グループは、国際線事業の展開に際し、航空ネットワーク構築等において、短期的な収益性のみで判断せず、国際情勢リスクにも配慮した展開を進めており、今後も当対応を継続します。また、海外における顧客獲得に際しても、特定国・地域に過度に偏ることがないよう、バランスを考慮して展開しています。なお、国際情勢の悪化等によって緊急対応の必要が生じた場合には、航空便の運航計画や運航ルートを柔軟かつ迅速に変更させることで、その影響低減を図っています。 ③大規模な感染症の発生は当社グループに甚大な影響を及ぼします。<要旨>当社グループは、新型コロナウイルス感染症によって甚大な影響を受けましたが、将来、大規模な感染症が再び発生した場合、人的移動の制限・禁止等によって需要が激減し、当社グループに再度大きな影響を及ぼす可能性があります。航空事業は、航空機に関する費用や、それを運航するための人件費といった固定費が大きな割合を占めるため、短期で事業支出を抑制することは容易ではありません。また、そのような事業支出の抑制策を講じた場合、事業体制の再構築には一定の時間を要するため、需要回復期においても、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。<変化・展望>一般的に気候変動(地球温暖化)は感染症リスクを高めると言われており、当リスクへの対処は重要性が高まっていると考えています。<対応>当社グループは、旅客機に加えて貨物専用機も保有することで、人的移動が減少した状況下でも物的移動に対しては積極的に対応できる体制を構築すると共に、人的移動についても3種の航空ブランド(ANA、Peach、Air Japan)を保有することで、限定された航空需要に対して、最も適切に対応できるようにしています。また、事業構造の多角化を進めており、航空事業非連動の収益ドメイン拡大や、グループの持続的成長に向けたANA経済圏の拡大を進めています。 ④システム障害が発生した場合の影響が大きくなっています。<要旨>当社グループは、航空輸送サービスを、より高品質で、より効率的に提供すべく、事業運営のシステム化を積極的に推進しており、これらのシステムに障害が発生した場合、その理由が社内要因(自社要因)、あるいはサイバー攻撃等の社外要因であるかの如何を問わず、事業に与える影響が高まっています。航空機運航関連システムに障害が発生した場合には、航空機の運航が困難になる可能性がある他、予約・決済・搭乗管理といった関連システムで障害が発生した場合にも、予約の受付や決済、空港における搭乗管理などが不可能となり、実質的に航空輸送サービスを提供することが困難となる可能性があります。<変化・展望>システムの高度化、各システム相互間の接続や連関性増加、あるいは社会一般的にサイバー攻撃が増加・巧妙化していることを踏まえれば、システム障害に関するリスクは高まっていると考えています。また、当リスクを予防・低減させることに関する社会的要請も高まっていると考えています。<対応>当社グループ全体のシステム運営・管理を担う専門組織として、グループIT部を設置してシステム障害発生を防止すると共に、障害発生時にはその影響を低減しつつ早期に復旧させられるように、包括的・多面的なシステム運用体制を構築しています。また、社員教育の強化やシステム障害発生対応訓練の実施など、ソフト面での対応強化も行っています。 ⑤情報漏洩リスクへの対処が重要性を増しています。<要旨>当社グループは、顧客組織「ANAマイレージクラブ」会員の個人情報をはじめ、多くの情報を保持していますが、これらの情報が不正に流出した場合、損害賠償請求を受けたり、各国政府等から制裁金や課徴金の支払いを命じられたり、あるいは顧客や社会からの信用・信頼が失墜して競争力が低下したりする可能性があります。<変化・展望>情報全般の取り扱いに関する社会的な意識・規範の高まりや、各国政府等によって定められる関連法規の強化などを踏まえれば、当リスクに適切に対処する必要性は一層高まっていると考えています。<対応>各国法令等に沿って適切な情報管理を行うと共に、コンピュータウィルス対策やメールのセキュリティチェック、不正操作の監視、情報にアクセスできる社員の制限、全社員を対象とした情報管理に関する教育・啓発活動等を行っています。また、グループ全体のシステムを対象に継続的な点検を行い、システムの老朽化、脆弱性を早期に検出して対応する等、サイバー攻撃や情報漏洩を未然に防ぐ対応を実施しています。 ⑥人権リスクについて対処すべき領域が広がっています。<要旨>当社グループ内のみならず、委託先や取引先、調達先等を含めて、当社グループ事業に関わる事業領域全体で人権に反する行為が発生した場合、当社グループが社会的非難を浴びたり、不買運動の対象となったりする可能性があります。<変化・展望>日本国内における労働力人口減少への対応、あるいは海外事業の拡大を進める中で当社グループの事業に関わる人的リソースは多様化しており、当リスクに対しては、より多面的に対処する必要性があると考えています。<対応>当社グループは、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」において詳述されている手順に沿い、「ANAグループ人権方針」のもと、人権デューディリジェンスの仕組みを構築しています。サプライチェーン上の人権リスク評価を実施し、必要に応じて、社外関係先に対しても直接確認・調査を行う等、当リスクの適切な管理に努めています。また、社内においても人権に関する社員教育や経営レベルの会議体における定期的なモニター等を実施しています。 ⑦激甚化する自然災害のリスクが高まっています。<要旨>航空輸送は、点と点を空路で結ぶという特性上、運輸・運送システムの中では相対的に自然災害への耐性が強く、一部空港が機能不全に陥った場合でも近隣空港を活用した代替輸送が可能といった利点がありますが、当社グループの事業基盤は首都圏に集中しているため、羽田空港や成田空港が自然災害によって大きな影響を受けた場合、当社グループの事業運営に関して制約や障害が発生する可能性があります。<変化・展望>気候変動(地球温暖化)が自然災害の激甚化をもたらすと言われていることを含めて、当リスクへの対処は重要性が高まっていると考えています。<対応>首都圏直下型地震をはじめ、大規模自然災害が発生した場合でも、早急に運航機能を回復させて公共交通機関としての使命を果たせるよう、事業継続計画(Business Continuity Plan)を策定し、定期的な見直しを行っています。また、事業運営に不可欠な各種中核機能についてはバックアップ系統を整備し、衛星電話や備蓄品、従業員安否確認システム等を用意するとともに、関係者(空港会社等)とも連携しながら、定期的な防災訓練を実施する等の対応をしています。 ⑧当社グループの事業は、為替・原油価格・金利といった市況の変動に大きな影響を受けます。<要旨>1)為替当社グループが使用する航空機は海外メーカーによって製造されているため、円安が大きく進行した場合、航空機調達コストが増大します。また、営業費用において大きな割合を占める航空機燃料も、その原料となる原油は輸入に頼っているため、同様に円安が大きく進行した場合には、営業費用が増加します。なお、円安は当社グループが海外で得る外貨収入の円建て換算額を押し上げますが、当社グループは外貨建て収入よりも外貨建て支出の方が多いため、その効果は費用増加の全てを相殺できるものではありません。為替変動に対しては、ヘッジ取引等を活用した影響緩和策も講じていますが、これらの対策は影響の緩和や平準化を図ることはできても、その影響を完全に排除するものではなく、費用抑制効果が常に見込まれるものでもありません。2)原油価格航空機燃料の価格は、基本的に原油価格に連動しており、原油価格の高騰は航空機燃料コストの増大をもたらします。当社グループは、一部事業において燃料価格に応じた燃油特別付加運賃(いわゆる「燃油サーチャージ」)を設定・徴収するといった方策も講じていますが、それらの収入は費用増加の全てを常に相殺するものではありません。原油価格の変動に対しては、ヘッジ取引等を活用した影響緩和策も講じていますが、これらの対策は影響の緩和や平準化を図ることはできても、その影響を完全に排除するものではなく、費用抑制効果が常に見込まれるものでもありません。3)金利当社グループは、航空機の調達をはじめ、外部資金も活用した事業運営を行っており、金利が大きく上昇した場合、その資金調達コストの増加といった形で当社グループに影響を及ぼす可能性があります。 <変化・展望>市況変動は常に起こり得るものですが、昨今、国際情勢や経済情勢に関する不確実性も増しており、当リスクへの対処は重要性を増していると考えています。<対応>ヘッジ取引の活用等によってリスクの低減・緩和・平準化を図るとともに、より根本的な対策として、外貨建て収入を増やして為替影響に強い収支構造を構築する、燃料効率に優れた新型機への置換えを推進する、事業ポートフォリオの多角化によって市況変動の影響を受けにくい事業を育成する、適切な財務規律の下で資金調達を実施する等、グループ全体として市況変動に対する耐性を高めていきます。 ⑨競争力の強化や新たな成長に向けた投資は、リスクも伴っています。<要旨>当社グループは、将来に向けて持続的な成長を実現するための投資を検討・実行していますが、これらの投資はリスクも伴っています。航空事業では、他社に対する競争力の維持・向上や温室効果ガスの排出削減に向けて、新型機材の導入等を行っていきますが、新型コロナウイルス感染症に関する影響の長期化や多様化、各種テクノロジーの急速・急激な発達、それに伴った社会の行動様式変化、あるいは政治情勢等に起因したグローバルな経済活動の分断等が生じた場合、これらの投資が期待したような効果を発揮しない可能性があります。また、グループ全体としてのリスク耐性を高めるべく、航空事業との相乗効果が期待できる事業、あるいは航空事業のノウハウを活用できる事業、即ち、地域創生事業、各種エアモビリティ事業、メタバース・アバター事業、ANA経済圏事業等への投資を検討・実行していますが、これらの投資は想定した成果を発揮した場合の効果が大きいと期待される一方で、想定した成果を得られない可能性もあります。<変化・展望>投資に関するリスク管理は、引き続き、重要であると考えています。<対応>投資の検討・実行に際しては、取締役会や各種経営レベル会議体での議論・審議のみならず、グループ全社を対象とした投資管理委員会を設置して管理体制の重層化・複層化を図るとともに、その評価基準や撤退基準を予め設定する等、当リスクの適切な管理に努めています。 ⑩日本の人口減少により、市場が縮小したり、労働力の確保が困難となっていく可能性があります。<要旨>当社グループは、日本国内を最大の事業基盤としていますが、今後、日本の人口減少が進むにつれて、その市場規模は縮小する可能性があります。また、人口減少は当社グループの事業運営に必要な労働力の確保という観点でも影響を及ぼす可能性があり、その場合、人件費単価が増加したり、労働力不足に起因して事業運営に制約が生じたりする可能性があります。<変化・展望>当リスクは、今後、徐々に高い確率で顕在化すると考えています。<対応>経営戦略の立案等において、人口減少等の各種社会的変化の想定を加味・反映させるとともに、LCCブランドを活用した市場全体の活性化にも取り組んでいます。また、中長期にわたって市場の成長が期待できる国際線事業の拡充を進めています。労働力の確保に関しては、適切な分配や教育・研修機会の拡充等、「人」に対する積極的な投資によって採用競争力を維持・向上させるとともに、他社との競争において差別化の源泉とならない業務については、機械化、省力化、無人化等を進めていきます。 ⑪更なる高速鉄道網の延伸によって、陸上交通機関との競争が激化する可能性があります。<要旨>日本国内では、今後、更なる高速鉄道網の延伸が予定されており、新幹線等との競争が、より激しくなる可能性があります。整備新幹線の延伸や既存新幹線の高速化は、当社グループの国内線事業に関して、市場シェアの低下や価格競争の発生・激化による単価下落といった影響をもたらす可能性があります。<変化・展望>当リスクは、中長期的に顕在化する可能性が高いと考えています。<対応>経営戦略の立案等において、高速鉄道網の延伸や競争環境の変化を加味・反映させるとともに、LCCブランドを活用した市場全体の活性化にも取り組んでいます。また、中長期にわたって市場の成長が期待できる国際線事業の拡充を進めています。 (3) その他のリスク①交通政策や航空政策に関するリスク羽田空港等の基幹空港では、その発着可能枠が既に上限に達しているものもありますが、その処理能力向上については基本的に国策に委ねられており、当社グループの今後の事業展開において制約となる可能性があります。また、現時点で当社グループが使用しているこれらの空港における発着枠についても、今後の政策によって縮小・回収といった調整が行われる可能性があります。 ②税制や公租公課に関するリスク航空事業に関しては、航空機燃料税等の税制に加えて、空港着陸料や駐機場使用料、航行援助施設利用料といった公租公課が存在します。これらの税制や公租公課に変更、新設等があった場合、当社グループに影響を及ぼす可能性があります。 ③景気変動に関するリスク航空輸送が担う中長距離輸送は、日常的な短距離輸送に比べて、景気変動の影響をより受けやすいという特性があります。 ④損益構造・財務構造・資金調達に関するリスク航空事業は、高額である航空機を使用するとともに、貨客量に関わらず運航に連動して発生する費用(燃油費や整備費等)も多いため、需要が大きく減少した場合には、その収益性が大きく低下する可能性があります。また、当社グループは繰延税金資産を計上していますが、将来の課税所得見込みが減少した場合等には、この資産が取り崩される可能性があります。なお、当社グループは設備投資等の必要資金を金融機関や市場から調達する可能性がありますが、当社グループの信用力変動や市場の混乱等によって資金調達に制約を受ける場合は、当社グループに影響を及ぼす可能性があります。 ⑤事業ポートフォリオに関するリスク当社グループはその収入・収益において航空事業が大きな割合を占めている他、それ以外の航空関連事業、旅行事業、商社事業についても航空輸送に関連した事業が多く、航空事業に大きな影響が生じた場合、これらの事業においても連動的に大きな影響が生じる可能性があります。 ⑥訴訟に関するリスク国内外において、当社グループの事業活動に関する各種訴訟等が発生した場合、当社グループに影響を及ぼす可能性があります。
FY2022|10,180 文字
2【事業等のリスク】当社グループは航空事業を中核とする企業グループとして、安全の確保を最も重要な社会的使命と位置づけ、それが毀損・阻害されることを「最重要リスク」と考えていますが、これ以外にも、現在も引き続き大きな影響を受けている感染症に関するリスクをはじめ、全世界的にその対策が急務となっている気候変動に関するリスクや、事業のグローバル化を進める中でその影響度合いが増している国際情勢に関するリスク、あるいは非航空事業を強化するに際しての投資に関するリスク等、様々なリスクが存在します。当社グループが、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えているリスクの概要は以下のとおりです。なお、以下の事項は、当期末時点において当社グループが判断したものであり、その内容には将来に関する予測も含まれていることから、これらの事項は現実とは合致しない可能性もあります。また、以下に記載されていない他の事項が当社グループに影響を及ぼす可能性もあります。なお、文中の将来に関する事項は、当期末現在において当社グループが判断したものです。 重要事象等について当社グループは新型コロナウイルス感染症の拡大により、売上高が減少する等、甚大な影響を受けました。このような未曾有の状況下で当社グループは、人件費及び前年の大型機を中心とした早期退役による減価償却費・整備費等の削減に加え、航空機等の設備投資を精査・抑制し、実施時期も見直しています。当連結会計年度においては、転換社債型新株予約権付社債及び普通社債の発行により1,700億円を調達した他、民間金融機関から1,000億円の借り換えを行い、当連結会計年度末の現金及び預金に有価証券を加えた手元流動性は9,509億円となりました。今後も必要に応じて適宜新規借入等の資金調達を行い、グループ各社の手元流動性の確保に努めてまいりますことから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しています。 (1) 最も重要なリスク「安全」が毀損・阻害されることは当社グループにとって最も重要なリスクです。<要旨>当社グループは、安全が経営の基盤であり、社会への責務であると考えていますが、安全が毀損・阻害されるような事象が発生した場合、当社グループに大きな影響を与えます。特に、人的損害が生じた場合には、当社グループへの社会的な信用・信頼を根本から揺るがす可能性があります。航空事故等によって、人的・物的損害が発生した場合、その損害賠償責任が生ずる可能性がありますが、安全が毀損・阻害された場合の影響はそれに留まらず、顧客が航空機利用を手控えることで当社グループの収入が減少したり、あるいは航空機利用に際して当社グループ以外の便を選択するといった形で、その影響は広範かつ中期にも及ぶ可能性があります。なお、安全の確保に向けては、航空機に製造上の不具合等が発生・発覚した場合、予防的に当該航空機の運航を中止することがありますが、そういった措置が取られた場合、航空機不足に起因する欠航や減便が生じ、当社グループの収入が減少したり、他社に対する競争力が低下したりする可能性があります。<変化・展望>当リスクは、引き続き、当社グループにとって最も重要なリスクであり続けると考えています。<対応>当社グループは、安全の推進や安全の品質監査を行う専門組織を設置すると共に、安全を堅持するための持続的な「仕組み」を構築し、事後対応型の安全リスクマネジメントに留まらず、未然防止型・未来予測型の安全リスクマネジメントを取り入れ、3H(初めて、変更、久しぶり)を対象としたリスクマネジメント、運航乗務員や客室乗務員を対象とした疲労リスクマネジメント、SPI(Safety Performance Indicator)による安全の「見える化」など、更なる安全性の向上を追求しています。同時に、運航乗務員や客室乗務員をはじめ、航空機運航に直接従事する社員に対する継続的・反復的な教育・訓練の実施や、当社グループ全体を対象とした安全に関する恒常的な啓蒙活動を行い、研修施設である「ANAグループ安全教育センター」の活用等を通じて安全を守り抜く企業グループ文化の醸成・強化に努めています。また、航空機メーカー等との間でも密接な情報交換や意見交換を行いながら、安全性をはじめとする高品質なオペレーションの実現に取り組んでいます。 (2) 主要なリスク①今なお、当社グループは、感染症による大きな影響を受けています。<要旨>新型コロナウイルス(COVID-19)感染症による影響は未だ収束していません。各国政府や自治体等によって移動の制限・禁止措置が講じられる、あるいは出入国管理が厳格化される場合等においては旅客需要が激減し、当社グループの収入に大きな影響を及ぼします。そのような場合においても、航空事業に関しては航空機に関する費用や、それを運航するための人件費といった固定費が大きな割合を占めるため、事業支出を抑制することは容易ではありません。また、各国政府や自治体等による公的な措置が撤廃されても、顧客の間に出張や旅行の再開を見合わせるような動きが残る場合には同種の影響が生じる可能性があります。なお、需要回復期においては、一時的に事業規模を縮小している海外委託先等が業務受け入れ能力の復元に時間を要する等、当社グループの事業規模回復計画に影響を及ぼす可能性があります。<変化・展望>今回の新型コロナウイルス(COVID-19)感染症は、当リスクの重要性を改めて浮き彫りにしました。一般的に、科学的根拠の確立までには至っていないものの、気候変動(地球温暖化)は感染症リスクを高めると言われており、将来に向けて、当リスクは対処の重要性が高まっていると考えています。<対応>当社グループは、旅客機に加えて貨物専用機も保有することで、人的移動が減少した状況下でも物的移動に対しては積極的に対応できる体制を構築するとともに、人的移動についても3種の航空ブランド(ANA、Peach、AirJapan)を保有することで、限定された航空需要に対して、最も適切に対応できるようにしています。また、現在、事業ポートフォリオの多角化を進めており、全世界に約3,800万人(2022年3月末日現在)の会員を有するANAマイレージクラブを基盤としたプラットフォーム型事業の拡大等を通じ、非航空事業の強化を進めています。 ②気候変動問題への対応は更に重要性や緊急性が増しています。<要旨>航空機運航に際しては、二酸化炭素等の温室効果ガスを排出しますが、これらの削減が急務となっています。当社グループは、燃料効率に優れた航空機への置換えを進めるとともに、SAF(Sustainable Aviation Fuel:原材料の生産・収集から燃焼までの過程で、二酸化炭素の排出量が少ない持続可能な供給源から製造されるジェット燃料)の活用等によって2050年までに二酸化炭素の排出を実質ゼロとする目標を設定していますが、現時点で、SAFが安定的に合理的な価格で十分に供給されるという技術的な目途が立ったものではありません。SAFが安定的かつ十分に供給されない場合、当社グループは二酸化炭素排出権(枠)を他産業等から購入する必要に迫られ、営業費用の増加をもたらす可能性があるとともに、SAFの価格が高額に留まった場合には、航空機の運航コストが増加して当社グループの収益性に影響を及ぼしたり、そのコストを運賃に転嫁することで鉄道や海運など他の交通手段に対する当社グループの競争力が低下したりする可能性があります。また、当社グループの二酸化炭素排出削減に向けた計画が目標通りに進まない場合、顧客の間に、二酸化炭素の排出が相対的に少ない、鉄道など他の交通手段を選択する動きが出てくる可能性があるとともに、日本国内において十分なSAF供給体制が構築されない場合には、厳しい環境基準を設定する一部の国・地域等において、当社グループの航空機の乗り入れに対して制約や制限が課される可能性があります。<変化・展望>気候変動に対する問題認識は世界的に急速に高まっており、当リスクへの対処は、重要性や優先度が極めて高くなっていると考えています。また、当リスクについては、今後より厳格でより高度な対応が求められる可能性もあると考えています。<対応>燃料効率に優れた新型機材への置換えといった主体的な対応を進めるとともに、SAFの開発・供給体制構築に向けては、同業他社やSAF製造会社等を含めて横断的な協力関係を構築しながら、関連企業・関連産業が一体となった課題解決を進めていきます。なお、TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)提言に沿った情報については、当社グループホームページにて開示しています。 ③国際情勢の不安定化によるリスクが高まっています。<要旨>当社グループは、更なる成長機会を求めて国際線事業を拡大してきましたが、米中対立やロシア・ウクライナ情勢等によって国際情勢は不安定化しており、将来に向けて不透明性が増しています。国際線航空輸送は、これまで、経済活動のグローバル化を背景に拡大してきましたが、大国間対立によってその流れが停滞・逆行したり、あるいは戦争や紛争によって平和な環境が毀損された場合、業務渡航需要の低迷や観光旅行需要の減少等を通じて、当社グループの収入に影響を及ぼす可能性があります。なお、国際情勢の不安定化は、当社グループにおいて、国際事業のみならず、インバウンド需要(訪日外国人観光客)の減少等を通じて国内線事業にも影響を及ぼし得る他、航空機が戦争・紛争地域上空の飛行を取りやめて迂回すること等から、事業コストの増加等の影響は広範に及ぶ可能性があります。<変化・展望>東西冷戦の終結を受けて進行してきた経済活動グローバル化の拡大・加速については、一部、不透明感も漂うようになっており、リスクとして管理・対処する必要性が高まったと考えています。<対応>当社グループは、国際線事業の展開に際し、航空ネットワーク構築等において、短期的な収益性のみで判断せず、国際情勢リスクにも配慮した展開を進めており、今後とも、当対応を継続します。また、海外における顧客獲得においても、特定国・地域に過度に偏ることがないよう、バランスを考慮して展開しています。なお、国際情勢の悪化等によって緊急対応の必要が生じた場合には、航空便の運航計画や運航ルートを柔軟かつ迅速に変更させることで、その影響低減を図っています。 ④システム障害が発生した場合の影響が大きくなっています。<要旨>当社グループは、航空輸送サービスを、より高品質で、より効率的に提供すべく、事業運営のシステム化を積極的に推進しており、これらのシステムに障害が発生した場合、その理由が社内要因(自社要因)、あるいはサイバー攻撃等の社外要因であるかの如何を問わず、事業に与える影響が高まっています。航空機運航関連システムに障害が発生した場合には、航空機の運航が困難になる可能性がある他、予約・決済・搭乗管理といった周辺システムで障害が発生した場合にも、予約の受付や決済、空港における搭乗管理等が不可能となり、実質的に航空輸送サービスを提供することが困難となる可能性があります。<変化・展望>システムの高度化、各システム相互間の接続や通関性増加、あるいは社会一般的にサイバー攻撃が増加・巧妙化していることを踏まえれば、システム障害に関するリスクは高まっていると考えています。また、当リスクを防止・低減させることに関する社会的要請も高まっていると考えています。<対応>当社グループ全体のシステム運営・管理を担う専門組織として、グループIT部を設置してシステム障害発生を防止するとともに、障害発生時にはその影響を低減しつつ早期に復旧させられるように、包括的・多面的なシステム運用体制を構築しています。また、社員教育の強化やシステム障害発生対応訓練の実施等、ソフト面での対応強化も行っています。 ⑤情報漏洩リスクへの対処が重要性を増しています。<要旨>当社グループは、全世界に約3,800万人(2022年3月末日現在)の会員を有する顧客組織「ANAマイレージクラブ」会員の個人情報をはじめ、多くの情報を保持していますが、これらの情報が不正に流出した場合、損害賠償請求を受けたり、各国政府から制裁金や課徴金の支払いを命じられたり、あるいは顧客や社会からの信用・信頼が失墜して競争力が低下するといった可能性があります。<変化・展望>情報全般の取り扱いに関する社会的な意識の高まりや、各国政府等によって定められる関連法規の強化等を踏まえれば、当リスクに適切に対処する必要性は一層高まっていると考えています。<対応>各国法令等に沿って適切な情報管理を行うと共に、コンピュータウィルス対策やメールのセキュリティチェック、不正操作の監視、情報にアクセスできる社員の制限、全社員を対象とした情報管理に関する教育活動等を行っています。また、グループ全体のシステムを対象に継続的な点検を行い、システムの老朽化、脆弱性を早期に検出して対応する等、サイバー攻撃や情報漏洩を未然に防ぐ対応を実施しています。 ⑥人権リスクについて対処すべき領域が広がっています。<要旨>当社グループ内のみならず、委託先や取引先、調達先等を含めて、当社グループ事業に関わる事業領域全体で人権に反する行為が発生した場合、当社グループが社会的非難を浴びたり、不買運動の対象となったりする可能性があります。<変化・展望>日本国内における労働力人口減少への対応や海外事業の拡大を志向する中で、当社グループの事業に関わる人的リソースは多様化しており、社会的、国際的に人権意識が一層高まっていることも踏まえれば、当リスクに対しては、より多面的に対処する必要性が高まっていると考えています。<対応>当社グループは、国連人権理事会で承認された「ビジネスと人権に関する指導原則」に沿った事業運営を行っており、社内においては、人権に関する社員教育や啓蒙活動、経営レベルの会議体における定期的なモニター等を実施するとともに、必要に応じて、社外関係先に対しても、直接的に確認・調査を行う等、当リスクの適切な管理に努めています。 ⑦激甚化する自然災害のリスクが高まっています。<要旨>航空輸送は、点と点を空路で結ぶという特性上、運輸・運送システムの中では相対的に自然災害への耐性が強く、一部空港が機能不全に陥った場合でも近隣空港を活用した代替輸送が可能といった利点がありますが、当社グループの事業基盤は首都圏に集中しているため、羽田空港や成田空港が自然災害によって大きな影響を受けた場合には、その事業運営において大きな制約や障害が発生する可能性があります。<変化・展望>一般的に、気候変動(地球温暖化)は自然災害の激甚化をもたらすと言われており、将来に向けて当リスクは高まっていると考えています。<対応>首都圏直下型地震をはじめ、大規模自然災害が発生した場合でも、早急に運航機能を回復させて公共交通機関としての使命を果たせるよう、事業継続計画(Business Continuity Plan)を策定し、定期的な見直しを行っています。また、事業運営に不可欠な各種中核機能についてはバックアップ系統を整備し、衛星電話や備蓄品、従業員安否確認システム等を用意すると共に、関係者(空港会社等)とも連携しながら、定期的な防災訓練を実施する等の対応をしています。 ⑧当社グループの事業は、為替・原油価格・金利といった市況の変動に大きな影響を受けます。<要旨>1)為替当社グループが使用する航空機は海外メーカーによって製造されているため、円安が大きく進行した場合、航空機調達コストが増大します。また、営業費用において大きな割合を占める航空機燃料も、その原料となる原油は輸入に頼っているため、同様に、円安が大きく進行した場合には、営業費用が増加します。なお、円安は、当社グループが海外で得た収入の円建て換算額を押し上げますが、当社グループは、外貨建て収入よりも外貨建て支出の方が多いため、その効果は費用増の全てを相殺できるものではありません。為替変動に対しては、ヘッジ取引等を活用した影響緩和策も講じていますが、これらの対策は影響の緩和や平準化を図ることはできても、その影響を完全に排除するものではなく、費用抑制効果が常に見込まれるものでもありません。2)原油価格航空機燃料の価格は、基本的に原油価格に連動しており、原油価格の高騰は、航空機燃料コストの増大をもたらします。当社グループは、一部事業において、燃料価格に応じた燃油特別付加運賃(いわゆる「燃油サーチャージ」)を設定・徴収するといった方策も講じていますが、それらの収入は、費用増加の全てを常に相殺するものではありません。原油価格の変動に対しては、ヘッジ取引等を活用した影響緩和策も講じていますが、これらの対策は影響の緩和や平準化を図ることはできても、その影響を完全に排除するものではなく、費用抑制効果が常に見込まれるものでもありません。3)金利当社グループは、航空機の調達をはじめ、外部資金も活用した事業運営を行っており、金利が大きく上昇した場合、その資金調達コストの増加といった形で当社グループに影響を及ぼす可能性があります。 <変化・展望>市況変動は、従来から常に起こり得るものですが、国際情勢や経済情勢に関する不確実性が増していることを踏まえれば、当リスクが顕在化する可能性は高まっていると考えています。<対応>上記のように、ヘッジ取引の活用等によってリスクの抑制・緩和・平準化策を講じるとともに、より根幹的な対策として、外貨建て収入を増やして為替影響に強い収支構造を構築する、燃料効率に優れた新型機への置換えを推進する、事業ポートフォリオの多角化によって市況変動の影響を受けにくい事業を育成する、適切な財務規律の下で資金調達を実施する等、グループ全体として、市況変動に対する耐性を高めていきます。 ⑨競争力の強化や新たな成長に向けた投資は、リスクも伴っています。<要旨>現在、当社グループは、新型コロナウイルス(COVID-19)感染症による大きな影響を受けていますが、この状況を克服して経営の安定性を回復し、将来に向けては新たな成長も実現するための投資を検討・実行していますが、これらの投資はリスクも伴っています。航空事業では、他社に対する競争力の維持・向上や温室効果ガスの排出削減に向けて新型機材の導入といった投資を行っていきますが、今後、新型コロナウイルス感染症の影響によって縮小した市場が想定レベルに回復しない場合や、各種オンライン技術の浸透・定着等によって社会の行動様式に想定を上回る大きな変化が生じる場合、あるいは国際情勢に起因して経済活動のグローバル化に予期せぬ大きな変化が生じる場合等において、これらの投資は期待した効果を発揮しない可能性があります。また、グループ全体としてのリスク耐性を高めるべく、航空事業との相乗効果が期待できる関連事業や航空事業のノウハウを活用できる可能性がある類似事業、即ち、顧客関連事業(プラットフォーム型事業)やドローン関連事業、MaaS(Mobility as a Service)関連事業、宇宙関連事業等への投資を検討・実行していますが、これらの投資は、想定した成果を発揮した場合の効果は大きいと期待される一方で、想定した成果を得られない可能性もあります。<変化・展望>現在、当社グループが、新型コロナウイルス(COVID-19)感染症によって大きな影響を受けていることを踏まえれば、投資に関するリスク管理は、より重要になっていると考えています。<対応>投資の検討・実行に際しては、取締役会や各種経営レベル会議体での議論・審議のみならず、グループ全社を対象とした投資管理委員会を設置して管理体制の重層化・複層化を図るとともに、その評価基準や撤退基準を予め設定する等、当リスクの適切な管理に努めています。 ⑩人口減少により、既存の市場が縮小したり、労働力の確保が困難になっていく可能性があります。<要旨>当社グループは、日本国内を最大の事業基盤としていますが、今後、日本の人口減少が進むにつれて、その市場規模は縮小する可能性があります。業務出張需要や観光旅行需要などを担う航空輸送の特性を踏まえれば、人口に関連した市場規模の変動については、総人口よりも、より速い速度で減少するとされている生産年齢人口の影響を受ける可能性もあります。また、人口減少は、事業運営に必要な労働力の確保という観点でも影響を及ぼす可能性があり、その場合、人件費単価が増加したり、労働力不足に起因して事業運営上に制約が生じたりする可能性があります。<変化・展望>直ちに顕著な影響が生じるとは考えていませんが、中長期的に、当リスクは高い確率で顕在化すると考えています。<対応>経営戦略の立案等において、人口減少等の各種社会的変化の想定を加味・反映させるとともに、LCCブランドを活用した市場全体の活性化にも取り組んでいます。また、中長期にわたって、今後とも市場の成長が期待できる国際線事業の拡充を進めていきます。労働力の確保に向けては、適切な分配、教育・研修機会の拡充等の、「人」に対する積極的な投資によって採用競争力を維持・向上させるとともに、労働力人口の減少に備えて、他社との競争において差別化の源泉とならない業務の機械化、省力化、無人化等を進めていきます。 ⑪更なる高速鉄道網の延伸等によって、陸上交通機関との競争が激化する可能性があります。<要旨>日本国内では、今後、更なる高速鉄道網の延伸が予定されており、新幹線等との競争が、より激しくなる可能性があります。整備新幹線の延伸や既存新幹線の高速化は、当社グループの国内線事業に対して、市場シェアの低下や、価格競争の発生・激化による単価下落といった影響をもたらす可能性があります。<変化・展望>当リスクは、今後、顕在化する可能性が高いと考えています。<対応>経営戦略の立案等において、高速鉄道網の延伸等の競争環境の変化を加味・反映させるとともに、LCCブランドを活用した市場全体の活性化にも取り組んでいます。また、中長期にわたって、今後とも市場の成長が期待できる国際線事業の拡充を進めていきます。 (3) その他のリスク①交通政策や航空政策に関するリスク羽田空港等の基幹空港では、その発着可能枠が既に上限に達しているものもありますが、その処理能力向上については基本的に国策に委ねられており、当社グループの今後の事業展開において制約となる可能性があります。また、現時点で当社グループが利用しているこれらの空港における発着枠についても、今後の政策によって縮小・回収といった政策調整が行われる可能性があります。 ②税制や公租公課に関するリスク航空事業に対しては、航空機燃料税等の税制に加えて、空港着陸料や駐機場使用料、航行援助施設利用料といった公租公課が存在します。これらの税制や公租公課に変更、新設等があった場合、当社グループに影響を及ぼす可能性があります。 ③景気変動に関するリスク航空輸送が担う中長距離輸送は、日常的な短距離輸送に比べて、景気変動の影響をより受けやすいという特性があります。 ④損益構造・財務構造・資金調達に関するリスク航空事業は、高額である航空機を使用するとともに、貨客量に関わらず運航に連動して発生する費用(燃油費や整備費等)も多いため、需要が大きく減少した場合には、その収益性が大きく低下する可能性があります。また、当社グループは、繰延税金資産を計上していますが、将来の課税所得見込みが減少した場合等には、この資産が取り崩される可能性があります。なお、当社グループは、設備投資等の必要資金を金融機関や市場から調達する可能性がありますが、当社グループの信用力変動や市場の混乱等によって資金調達に制約を受ける場合は、当社グループに影響を及ぼす可能性があります。 ⑤事業ポートフォリオに関するリスク当社グループは、その収入・収益において航空事業が大きな割合を占めている他、それ以外の事業についても、旅行事業や航空関連事業等、航空輸送に関連した事業が多く、航空事業に大きな影響が生じた場合、これらの事業においても連動的に大きな影響が生じる可能性があります。 ⑥訴訟に関するリスク国内外において、当社グループの事業活動に関する各種訴訟等が発生した場合、当社グループに影響を及ぼす可能性があります。
FY2021|9,367 文字
2【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当期末現在において当社グループが判断したものです。 分類リスクの要因リスクの内容リスクへの対応策外部環境国際情勢・北米、欧州、中国、アジア方面に国際線を展開しており、政情不安、国際紛争、大規模なテロ、外交関係の悪化等で需要が減少。・急激な需要減退時には、機動的に運航規模の縮小を実施。・特定事業に過度に依存しない事業ポートフォリオ構築。・継続的なコスト構造改革による原価低減と固定費の流動化。・手元流動性の確保。景気低迷・国内外の景気低迷による航空需要の減少。航空政策・首都圏(羽田・成田)等の混雑空港の発着枠が他社有利に配分。・航空機燃料税、着陸料、航援料の軽減措置が縮小・廃止。・国土交通省との協議や海外航空会社とのイコールフッティングを踏まえた要望等。市況変動(原油・為替)・原油価格が短期間で高騰し、ヘッジ等の自助努力や運賃転嫁が追い付かない。・為替相場が急激に円安に振れて、航空機及び燃油の調達コストの高騰が自助努力の範囲を超える。・計画的、継続的に原油のコモディティ・デリバティブによるヘッジ取引を実施。・収入で得た外貨を可能な限り外貨建て支出に充当。・外貨の一部について、先物為替予約及び通貨オプション取引を活用。感染症・大規模災害・重大な感染症が蔓延し、感染地域での移動自粛や移動規制等により航空需要が激減。・大規模災害等により、長期間にわたって空港の運用制限や飛行経路の制限が発生、または当社施設が損壊した場合、航空需要の大幅に減少や当社グループ便の運航に影響を及ぼす。・急激な需要減退時には、機動的に運航規模の縮小を実施。・継続的なコスト構造改革による原価低減と固定費の流動化。・手元流動性の確保。・当社グループ便の運航に関わる主要機能が喪失しないように事前に施設・設備面の対策を実施。・国土交通省が2019年度に策定したガイドライン(A2-BCP)に基づき、空港運営会社と連携して空港全体での災害対策の強化を図る。内部環境経営戦略(事業構造)・競争激化や消費者の行動変容による従来型ビジネスモデルの陳腐化。・特定事業への収益依存。・将来の需要動向や社会環境変化を見据えた、事業ポートフォリオ及びコスト構造の見直し。・各事業セグメントにおける競争優位を確保する差別化戦略。航空安全(航空機事故等)・航空機事故が発生した場合、お客様への信頼や社会的評価が失墜し、グループ経営に大きな影響を及ぼす。・安全リスクマネジメント体制の構築、専門組織による安全監査、安全に関する最新情報の収集と社内共有等、組織的な対応策の構築と実施。・運航に直接従事しているグループ社員への訓練や、全グループ社員に対して体験型の研修も含めた安全教育等、継続的な訓練・啓発の実施。・損害賠償や運航機材の修復・買換えに対して航空保険による補填。 分類リスクの要因リスクの内容リスクへの対応策内部環境IT(システム障害)・サイバー攻撃・情報漏洩・システム依存度が高いため、システム障害やサイバー攻撃により、運航維持やサービスに大きな影響を及ぼす。・個人情報の漏洩が、法令違反による多額の制裁金等の支払いや、信用失墜による顧客流出に繋がる。・多層防御(入口対策、出口対策、ウイルス侵入対策)と、その防御を24時間365日で監視。・システム面、運用面での情報漏洩防止対策の実施。・社員のセキュリティリテラシー教育の実施。損益構造・需要が大きく減少した場合に、固定費やオペレーションコストが硬直的であるため、損益に与える影響が大きい。・特に、夏場の需要が大きく減少した場合は、業績への影響が大きい。・需要規模や予約動向に応じて最適機材を投入し、機動的な需給適合を推進。・継続的なコスト構造改革による原価低減と固定費の流動化。財務・各事業収支が悪化した場合あるいは資産売却を決定した場合等に、固定資産や投資有価証券の減損または売却損が計上される。・事業収支の悪化等により将来の課税所得の見込額が低下した場合、繰延税金資産の取り崩しが発生し損失が計上される。・中期経営戦略および利益計画の立案と遂行。・利益計画の進捗モニタリング。 上記の主要なリスクを加えた、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあると考えています。 (1) 重要事象等について当社グループは新型コロナウイルス感染症の拡大により、売上高が減少する等、甚大な影響を受けました。このような未曾有の状況下で当社グループは、航空事業において運航規模を抑制し、燃油費等の運航関連費用を削減しています。また、役員報酬・従業員の賃金・一時金等の減額や、グループ外に委託していた整備業務の内製化による固定費の削減に加え、航空機等の設備投資を精査・抑制し、実施時期も見直しています。民間金融機関及び日本政策投資銀行から、合計9,350億円規模の借入を実施した他、公募及び第三者割当増資により2,976億円の資金を調達しました。また、融資枠としてコミットメントライン契約を締結しています。今後も必要に応じて適宜新規借入等の資金調達を行い、グループ各社の手元流動性の確保に努めてまいりますことから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しています。 (2) 国際情勢等の影響によるリスク現在、当社グループは北米・欧州・中国・アジア方面を中心に国際線を展開しています。今後、当社グループ便の就航地域や事務所等の拠点が所在する地域で政情不安、国際紛争、大規模なテロ事件が発生した場合や、就航国との外交関係が悪化した場合には、当該地域路線の需要減少等により当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。 (3) 法的規制に関するリスク当社グループは、航空運送事業者として航空事業関連法規の定めに基づき事業運営を行っています。また、旅客・貨物を含めた国際線事業においては、条約、二国間協定、IATA(国際航空運送協会)及びICAO(国際民間航空機関)の決定事項その他の国際的取決めに従った事業運営が求められています。これらの規制により、当社グループの事業における運賃、飛行空域、運航スケジュール、安全管理等について様々な制約を受けます。更に、当社グループの事業は、運賃及び料金の設定につき独占禁止法その他諸外国の類似の法令の制約を受ける可能性があります。 (4) 環境規制に関するリスク近年、地球環境保全の一環として、航空機による騒音、温室効果ガス(CO2等)の排出量、環境汚染物質の使用及び処理、主な事業所におけるエネルギー使用等に関する数多くの国内・海外法規制が導入、または強化されつつあります。当社グループは、これらの法規制を遵守するため多額のコストを負担していますが、2021年から導入された国際航空における温室効果ガス抑制に関わる排出権取引及び削減スキームに加えて、世界共通の環境税等の新たな規制が導入された際には、事業活動が制限され、または多額の追加的費用を負担しなければならない可能性があります。 (5) 航空業界を取り巻く環境のリスク各国における航空政策や、日本国内における交通政策の変更、有力な競合他社の合併や相互資本提携等、今後、現在の競争環境や事業環境が大幅に変化した場合、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。①発着枠に関わるリスク現在、新型コロナウイルスの影響による需要減退が継続しているものの、今後の需要回復時には、首都圏(羽田空港・成田空港)をはじめとした混雑空港の発着枠の割当て数や、時期等が当社グループの想定と異なった場合、当社グループの経営計画の達成に影響を及ぼす可能性があります。②公租公課に関わるリスク航空事業に関する公租公課として航空機燃料税や着陸料、航行援助施設利用料等があげられますが、現在、日本国内をはじめとしてこれらの公租公課に関して時限的な軽減措置を受けており、今後、軽減措置の縮小・廃止が行われた場合、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。 (6) 景気が低迷するリスク航空事業は、景気動向の影響を受けやすい事業であり、国内外の景気が低迷すると、個人消費の落ち込みや企業収益の悪化による航空需要の減少または単価の下落といった影響を受ける可能性があります。 (7) 原油価格変動によるリスク航空機燃料は原油精製による製品のため、その価格は原油価格に連動する傾向があります。中東産油国での政情不安、米国でのシェールオイル生産体制、新興国の急激な経済成長に伴う原油需要の増加、石油備蓄量または埋蔵量の減少、原油への投機的な投資行動、自然災害等の要因により原油価格が当社グループの予測を超えて変動した場合、当社グループの経営に以下のような影響を及ぼす可能性があります。①原油価格が上昇した場合のリスク原油価格が上昇すると、航空機燃料の価格も上昇するため、当社グループの大きな費用負担となります。このため、航空機燃料の価格変動リスクを緩和し、営業利益の安定化を図ることを目的として原油及び航空機燃料のコモディティ・デリバティブを利用して計画的、継続的にヘッジ取引を実施していますが、原油価格が短期間で高騰した場合、自助努力によるコスト削減や運賃及び料金等への転嫁には限界があるため、ヘッジポジションの状況等によっては価格高騰の影響を完全には回避できない可能性があります。②原油価格が急落した場合のリスク上記の通り、当社グループは原油価格の変動リスクを緩和するためヘッジ取引を実施しており、原油価格が短期間で急落した場合、航空機燃料価格に応じて設定している燃油サーチャージ収入が減少または消滅する一方で、ヘッジポジションの状況等によっては燃油費が即座には減少せず、価格下落の効果を享受できない可能性があります。 (8) 為替変動によるリスク当社グループは、外貨収入よりも外貨支出の方が多く、円安になった場合には収支に与える影響は少なくありません。為替相場変動による収支への影響を緩和するため、同種通貨間においては収入で得た外貨を可能な限り外貨建て支出に充当しつつ、航空機及び航空機燃料の調達に必要な外貨の一部については、円貨換算ベースでの支払額の平準化ならびに抑制を図ることを目的として先物為替予約及び通貨オプション取引を活用しています。しかし、為替相場が短期間で急激に円安になった場合、自助努力によるコスト削減や運賃及び料金等への転嫁には限界があるため、ヘッジポジションの状況等によっては当社グループの収支に影響を及ぼす可能性がある一方、為替相場が短期間で急激に円高になった場合、ヘッジポジションの状況等によっては外貨建て支出が円貨換算ベースで即座には減少せず、円高の効果を享受できない可能性があります。 (9) 競合リスク今後、燃油費、資金調達コスト、環境規制への対応またはその他の要因により、当社グループ事業のコストが上昇する可能性があり、その場合、当社グループが利益を確保するためには、間接固定費等のコスト削減を実施するとともに、当該コストを運賃・料金等に転嫁する必要があります。しかしながら、当社は国内外の同業他社やLCCの他、国内線の一部路線においては新幹線等の代替交通機関とも競合関係にあるため、コスト転嫁が大きく制約を受け、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。 (10) 感染症の発生・蔓延に関するリスク現在、当社グループは新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により甚大な影響を受けていますが、今後も新たな感染症が発生・蔓延した場合、各国政府による各種規制や移動自粛等の大幅な需要の減少により、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。また、大規模に社員・委託先での罹患者が発生した場合、事業継続面で影響を及ぼす可能性があります。 (11) 災害等リスク地震、津波、洪水、台風、積雪、火山噴火等により、長期間にわたって空港の運用制限や飛行経路の制限が発生、または当社グループ便の運航に関する主要な機能が喪失する等した場合、航空需要の大幅な減少や、当社グループ便の運航への影響等を通じ、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。特に、当社グループがデータセンターを首都圏に設置していることや、国内線・国際線全便の運航管理を羽田空港にて実施していること等により、首都圏で大規模な地震や台風等の被害が発生した場合、当社グループの運航そのものが長期間停止し、当社グループの経営に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (12) 経営戦略に関するリスク①フリート戦略に関するリスク当社グループは、航空事業において、経済性の高い機材の導入や需給適合の推進を軸としたフリート戦略に則ってボーイング社、エアバス社、デハビランドカナダ社、三菱航空機㈱から航空機の導入を進めていますが、納期が財務上やその他の理由により遅延した場合、当社グループの事業に支障を及ぼす可能性があります。更に、かかる戦略は以下の要因により奏功せず、また、その所期する効果が減殺される可能性があります。1)ボーイング社への依存当社は、上記のフリート戦略に沿って導入を計画している機材の多くをボーイング社に対して発注しています。したがって、ボーイング社が財政上その他の理由により当社または同社製品の保守管理等を行う会社との間の契約を履行できない場合、当社グループのフリート戦略に沿った機材の調達または保守管理等ができず、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。2)三菱航空機㈱による機材開発計画の進行遅延等当社は、三菱航空機㈱が開発中の「三菱スペースジェット」の導入を決定していますが、開発活動は一旦立ち止まることが公表されており、今後の開発方針によっては、当社グループの事業に支障をきたす可能性があります。②事業構造に関するリスク連結売上高の大半を航空事業及び航空関連事業が占めていることに加えて、旅行事業や商社事業も航空事業と密接に関連している等、当社グループの事業構造は航空事業に多くを依存しています。したがって、航空事業全体に影響を及ぼす事象が発生した場合、他の事業セグメントの収益による補完ができず、当社グループの経営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。③投資に関するリスク当社グループは、更なる成長に向けて、海外諸国を含め、新たな事業への進出または他企業等への出資や企業買収を行う可能性がありますが、これら出資等が所期する効果を得られない可能性や、各出資会社等の利害が一致せず、当社が適切と考える方法による事業運営ができない可能性、出資等の対象とした企業の経営が悪化した場合に当社が経済的負担を負う可能性及び当社以外の出資会社等が事業から離脱する可能性があります。 (13) 提携戦略が奏功しないリスク当社グループは、スターアライアンスに加盟しています。また、ATI(独占禁止法適用除外)認可に基づき、アジア米州間ネットワークにおいてはユナイテッド航空と、日欧間ネットワークにおいてはルフトハンザドイツ航空、ルフトハンザグループであるスイスインターナショナル エアラインズ、オーストリア航空、ルフトハンザカーゴAGとの共同事業を実施しています。加えて、アジアを中心に、アライアンスの枠を超えた個別提携を推進しています。しかしながら、各国の独占禁止法の制約等によりアライアンスの解体を余儀なくされた場合や、他のアライアンスパートナーが、スターアライアンスを脱退した場合、個別2社間提携の解消や提携先の経営悪化・再編・信用力の低下等が発生した場合、または外的要因で提携活動に対する規制が強化されるようなことがあった場合等には、提携効果が低下し、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。 (14) 航空安全に関するリスク①航空機事故等当社グループ運航便及びコードシェア便で航空機事故が発生した場合、当社グループに対するお客様の信頼や社会的評価が失墜し、事故直後から中長期的に需要が減少して当社グループの経営に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、他社において大規模な航空機事故が発生した場合においても、同様に航空需要が減少して当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。なお、航空機事故が発生した場合、損害賠償や運航機材の修復・買換え等に多額の費用が発生しますが、これらの直接的費用のすべてが航空保険にて填補されるわけではありません。②航空法違反等当社の事業運営においては航空法や管轄官庁からの通達等の遵守が求められていますが、これら航空法等への重大な違反は、航空法上の不利益処分等(行政処分、行政指導)を受ける可能性があり、過去においても整備不備や運航乗務員等による飲酒行為等の通達違反により、事業改善命令を受けています。このような不利益処分等は当社グループの運航の安全性への信用に影響を及ぼすことに加え、更なる再発や違反の重大性によっては、業務停止や事業免許の取り消し措置を受け、当社グループの経営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。③耐空性改善通報等航空機の安全性を著しく損なう問題が発生した場合、法令に基づき国土交通大臣から耐空性改善通報等が発出され、機体や装備品に対し指示された改善策を施すまで同型式機材の運航が認められない可能性があります。また、法令に基づく耐空性改善通報等が発出されない場合であっても、技術的見地から安全性が確認できない場合、自主的に当該型式機材の運航を見合わせ、点検等の整備を行うことがあります。このような事態が発生した場合、当社グループの航空機の安全性に関する信用及び経営に影響を及ぼす可能性があります。特に、ボーイング777型機、同787型機、同767型機、同737型機、エアバスA320型機、同A321型機等、当社グループの主力となる機種において重要・中長期的な不具合や技術的な問題が発生した場合、当社グループの経営により深刻な影響を及ぼす可能性があります。 (15) 顧客情報等漏洩リスク当社グループは、ANAマイレージクラブの会員数約3,744万人(2021年3月末日現在)に関わる会員情報をはじめ、膨大な顧客等に関する情報を保持しており、個人情報保護法やその他諸外国の類似法令により、これらの個人情報を適切に管理することが求められています。当社グループでは、プライバシーポリシーを定め、個人情報の取扱いに関する当社グループの姿勢・考え方を広くお客様に告知するとともに、システム対策を含め情報セキュリティについては想定しうる対策を講じています。また、セキュリティホールをなくすべく、業務手順の改定やシステム改修を継続的に実施していますが、不正アクセスや業務上の過失等、何らかの原因により大規模な個人情報漏洩事故が発生した場合、多額の損害賠償費用が発生し、また、信用失墜により、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。 (16) IT(システム障害)リスク当社グループは、お客様へのサービス及び運航に必要な業務等、システム依存度が高い業種といえます。自然災害、事故、コンピュータ・ウィルス、不正アクセス、電力供給の制約や大規模停電、故障や不具合等によりかかるシステムあるいは通信ネットワークに重大な障害が発生した場合、お客様へのサービス及び運航の維持が困難になるとともに、信用失墜により当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループのシステムは他提携航空会社においても使用されており、その影響範囲は当社グループ内にとどまらなくなる可能性があります。 (17) 人事・労務に関するリスク当社グループの従業員の多くは労働組合に所属しており、当社グループの従業員が集団的にストライキ等を行った場合、当社グループの航空機の運航が影響を受ける可能性があります。 (18) 人材確保に関するリスク現在、新型コロナウイルスの影響により需要減退が継続しているものの、今後の需要回復時には、LCCの運航規模拡大等により運航乗務員等に対する需要が再び高まることが想定されます。一方で、運航乗務員等の育成には一定期間の教育訓練等が必要であり、当社グループが適時に適切な員数の適正能力を有する運航乗務員等を確保できない場合、当社グループの経営が影響を受ける可能性があります。また、労働市場における需給バランスの変化によって、空港ハンドリング等の人材不足、または賃金水準の高騰が発生する可能性があります。 (19) 損益構造に関するリスク当社グループは、航空機材費ならびに機種によって定まる燃油費及び空港使用料等、搭乗率の影響を受けない費用が全体のコストに占める割合が高く、経済状況に即応した事業規模調整の自由度が低位なため、旅客数または貨物輸送量が減少した場合、損益に与える影響が大きくなる可能性があります。また、当社グループの航空旅客事業は夏場に売上が増加する傾向があるため、当該時期において需要が大きく減少した場合、その事業年度における当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (20) 財務に関するリスク①資金調達コストの増加当社グループは、機材調達等のため銀行借入・社債発行等により資金調達を行っています。しかしながら、今後、航空業界の事業環境が悪化した場合、金融市場が混乱した場合、税制、政府の金利政策や政府系金融機関の保証制度等が変更された場合、もしくは当社の信用格付けが格下げされた場合等においては、当社にとって有利な条件による資金調達が困難または不可能となる結果、資金調達コストが増加し、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。また、多額の有利子負債による調達については、金利負担や返済資金を要する結果として、運転資金や投資資金の確保に悪影響を及ぼす可能性があります。②資産減損等のリスク当社グループは、その事業の性質上多くの固定資産を保有していますが、今後各種事業収支が悪化した場合、もしくは資産売却を決定した場合等には、固定資産や投資有価証券の減損または売却損の計上が必要となる可能性があります。③繰延税金資産に関するリスク事業収支の悪化等により、将来の課税所得の見込額が低下した場合、繰延税金資産の取り崩しが発生し、損失を計上する可能性があります。 (21) 訴訟に関するリスク当社グループは事業活動に関して各種の訴訟に巻き込まれるおそれがあり、これらが当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。
FY2020|9,824 文字
2【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当期末現在において当社グループが判断したものです。 分類リスクの要因リスクの内容リスクへの対応策外部環境国際情勢・北米、欧州、中国、アジア方面に国際線を展開しており、政情不安、国際紛争、大規模なテロ、外交関係の悪化等で需要が減退。・急激な需要減退時には、機動的に運航規模の縮小を実施。・国際線事業に過度に依存しない事業ポートフォリオ構築。・継続的なコスト構造改革による原価低減と固定費の流動化。・手元流動性の確保。景気低迷・国内外の景気低迷による航空需要の減退。航空政策・首都圏(羽田・成田)等の混雑空港の発着枠が他社有利に配分。・航空機燃料税、着陸料、航援料の軽減措置が縮小・廃止。・国土交通省との協議や海外航空会社とのイコールフッティングを踏まえた要望等。原油価格・為替変動・原油価格が短期間で高騰し、ヘッジ等の自助努力や運賃転嫁が追い付かない。・為替相場が急激に円安に振れて、航空機及び燃油の調達コストの高騰が自助努力の範囲を超える。・計画的、継続的に原油のコモディティ・デリバティブによるヘッジ取引を実施。・収入で得た外貨を可能な限り外貨建て支出に充当。・外貨の一部について、先物為替予約及び通貨オプション取引を活用。感染症・災害・重大な感染症が蔓延し、感染拡大地域での需要減退や国内外での移動自粛により、航空需要が激減。・災害等により、空港の長期間の運用制限・飛行経路の制限を受ける場合や、当社施設が損壊した場合、運航便に影響が生じ、または航空需要が大幅に減退。・急激な需要減退時には、機動的に運航規模の縮小を実施。・継続的なコスト構造改革による原価低減と固定費の流動化。・手元流動性の確保。・空港事務所の機能が喪失しないように事前に施設・設備面の対策を実施。・国土交通省が2019年度に策定したガイドライン(A2-BCP)に基づき、空港運営会社と連携して空港全体での災害対策の強化を図る。内部環境経営戦略(事業構造)・競争激化や消費者の行動変容による従来のビジネスモデルの陳腐化。・特定事業への収益依存。・将来の需要動向や消費者の行動変容を見据えた、航空事業を中心としたビジネスモデルやコスト構造の見直し。・事業ポートフォリオ構築と事業ごとの競争優位を確保する差別化戦略。航空安全(航空機事故等)・航空機事故が発生した場合、お客様への信頼や社会的評価が失墜し、グループ経営に大きな影響を及ぼす。・安全リスクマネジメント体制の構築、専門組織による安全監査、安全に関する最新情報の収集と社内共有等、組織的な対応策の構築と実施。・運航に直接従事しているグループ社員への訓練や、全グループ社員に対して体験型の研修も含めた安全教育等、継続的な訓練・啓発の実施。・損害賠償や運航機材の修復・買換えに対して航空保険による補填。 分類リスクの要因リスクの内容リスクへの対応策内部環境IT(システム)・情報漏洩・システム依存度が高いため、システム障害やサイバーテロにより、運航維持やサービスに大きな影響を及ぼす。・個人情報の漏洩は、法令違反による多額の制裁金等の支払いや、信用失墜による顧客流出に繋がる。・多層防御(入口対策、出口対策、ウイルス侵入対策)と、その防御を24時間365日で監視。・システム面、運用面での情報漏洩防止対策の実施。・社員のセキュリティリテラシー教育の実施。損益構造・需要が大きく減少した場合に、固定費やオペレーションコストが硬直的であるため、損益に与える影響が大きい。・特に、夏場の需要が大きく減少した場合は、業績への影響が大きい。・需要規模や予約動向に応じて最適機材を投入し、機動的な需給適合を推進。・継続的なコスト構造改革による原価低減と固定費の流動化。財務・各事業収支が悪化した場合あるいは資産売却を決定した場合等に、固定資産の減損または固定資産の売却損が計上される。・事業収支の悪化等により、将来の課税所得の見込額が現在のタックス・プランニングの見積りよりも低下した場合、繰延税金資産が減額される。・中期経営戦略および利益計画の立案と遂行。・利益計画の進捗モニタリング。 上記の主要なリスクを加えた、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあると考えています。 (1) 重要事象等について当社グループは新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、甚大な影響を受けており、今後も極めて厳しい経営状況が続くと見込まれております。このような未曾有の状況下で当社グループは、航空事業において運航規模を抑制し、燃油費等の運航関連費用を削減する他、役員報酬・管理職賃金の減額や従業員の一時帰休の活用等で人件費を削減することに加え、航空機等の設備投資を精査・抑制し、実施時期も見直しています。また、本年4月から6月の3か月間で、民間金融機関及び日本政策投資銀行から、合計5,350億円規模の借入を実施した他、融資枠として既存の1,500億円に加えて新たに3,500億円のコミットメントライン契約を締結しました。今後も必要に応じて適宜新規借入等の資金調達を行い、グループ各社の手元流動性の確保に努めてまいりますことから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。 (2) 国際情勢等の影響によるリスク現在、当社グループは北米・欧州・中国・アジア方面を中心に国際線を展開しています。今後、当社グループ就航地域や事務所等の拠点が所在する地域で政情不安、国際紛争、大規模なテロ事件が発生した場合や、就航国との外交関係が悪化した場合等、当該地域路線の需要の減少等により当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。 (3) 法的規制に関わるリスク当社グループは、航空運送事業者として航空事業関連法規の定めに基づき事業運営を行っています。また、旅客・貨物を含めた国際線事業においては、条約、二国間協定、IATA(国際航空運送協会)及びICAO(国際民間航空機関)の決定事項その他の国際的取決めに従った事業運営が求められています。これらの規制により、当社グループの事業における運賃、飛行空域、運航スケジュール、安全管理等について様々な制約を受けます。更に、当社グループの事業は、運賃及び料金の設定につき独占禁止法その他諸外国の類似の法令の制約を受けることがあります。 (4) 環境規制に関わるリスク近年、地球環境保全の一環として、航空機による騒音、温室効果ガス(CO2等)の排出量、環境汚染物質の使用ならびに処理、主な事業所におけるエネルギー使用等に関わる数多くの国内・海外法規制が導入、または強化されつつあります。当社グループは、これらの法規制を遵守するため多額のコストを負担していますが、2021年から導入が決定されている国際航空における温室効果ガス抑制に関わる排出権取引及び削減スキームに加えて、世界共通の環境税等の新たな規制が導入された際には、事業活動が制限され、または多額の追加的費用を負担しなければならない可能性があります。 (5) 航空業界を取り巻く環境のリスク日本国内における航空政策あるいは地域政策の方針転換や、経営破綻等に起因する合併や資本提携による競合他社の状況変化等、今後、現在の競争環境や事業環境が大幅に変化した場合、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。①発着枠に関わるリスク首都圏(羽田空港・成田空港)をはじめとした混雑空港の発着枠の割当て数や、時期等が当社グループの想定と異なった場合においては、当社グループの経営計画の達成に影響を及ぼす可能性があります。②公租公課に関わるリスク航空事業に関する公租公課等として航空機燃料税や着陸料、航行援助施設利用料等があげられますが、航空機燃料税、着陸料及び航行援助施設利用料については現在、国の時限的な軽減措置を受けており、今後、軽減措置の縮小・廃止が行われた場合、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。 (6) 景気が低迷するリスク航空産業は、景気動向の影響を受けやすい業界であり、国内外の景気が低迷すると、個人消費の落ち込みや企業収益の悪化による航空需要の低下を引き起こす可能性があります。なお、国際線(旅客・貨物)事業については、中国やその他アジア・北米を中心とした海外市場への依存度が高いため、当該地域の経済状況により、輸送人数・輸送重量の減少及び輸送単価の下落といった影響を受ける可能性があります。 (7) 原油価格変動によるリスク航空機燃料は原油精製による製品のため、その価格は原油価格に連動する傾向があります。中東産油国での政情不安、米国でのシェールオイル生産体制、新興国の急激な経済成長に伴う原油需要の増加、石油備蓄量または埋蔵量の低下、原油への投機的な投資行動、自然災害等の要因により原油価格が当社グループの予測を超えて変動した場合には、当社グループの経営に以下のような影響を及ぼす可能性があります。①原油価格が上昇した場合のリスク原油価格が上昇すると、航空機燃料の価格も上昇するため、当社グループにとって大きな負担となります。このため、航空機燃料の価格変動リスクを緩和し、営業利益の安定化を図ることを目的として原油ならびに航空機燃料のコモディティ・デリバティブを利用して一定期間のうちに計画的、継続的にヘッジ取引を実施していますが、原油価格が短期間で高騰した場合、自助努力によるコスト削減や運賃及び料金等への転嫁には限界があるため、ヘッジポジションの状況等によっては価格高騰の影響を完全には回避できない可能性があります。②原油価格が急落した場合のリスク当社グループは原油価格の変動リスクを緩和するためヘッジ取引を実施しており、原油価格が短期間で急落した場合、燃油サーチャージ収入が減少あるいは消滅する一方で、ヘッジポジションの状況等によっては燃油費が即座には減少せず、価格下落の効果を享受できない可能性があります。 (8) 為替変動によるリスク当社グループは、外貨収入よりも外貨支出の方が多く、円安になった場合には収支に与える影響は少なくありません。為替相場変動による収支への影響を緩和するため、同種通貨間においては収入で得た外貨を可能な限り外貨建て支出に充当しつつ、航空機及び航空機燃料の調達に必要な外貨の一部については、円貨換算ベースでの支払額の平準化ならびに抑制を図ることを目的として先物為替予約及び通貨オプション取引を活用しています。しかし、為替相場が短期間で急激に円安になった場合、自助努力によるコスト削減や運賃及び料金等への転嫁には限界があるため、ヘッジポジションの状況等によっては当社グループの収支に影響を及ぼす可能性がある一方、為替相場が短期間で急激に円高になった場合、ヘッジポジションの状況等によっては燃油費が即座には減少せず、円高の効果を享受できない可能性があります。 (9) 競合リスク今後、燃油費、資金調達コスト、環境規制への対応その他の要因により、当社グループの事業にかかるコストが上昇する可能性があります。かかる場合、当社グループが利益を確保するためには、間接固定費の削減等のコスト削減を実施するとともに、かかるコストを運賃・料金等に転嫁する必要があります。しかしながら、当社は国内外の同業他社やLCCの他、一部の路線については新幹線等の代替交通機関と競合関係にあるため、かかるコストの転嫁により価格競争力が低下し、または競合相手との価格競争上かかるコスト転嫁が大きく制約を受ける結果、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。 (10) 新感染症の発生・蔓延に関するリスク重大な新感染症が発生・蔓延した場合の被害増大は、国際線のみならず全事業の需要減退リスクになり得ます。風評による顧客の航空利用の意欲の低下を含め、感染拡大や被害増大、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大時に実施されたような各国の出入国規制や日本国内における移動自粛要請により、国内線及び国際線の利用客数が激減し、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。また、感染力が強い新感染症が流行し、予想を超える社員・委託先での罹患者の大量発生や毒性の変化が生じ強毒化した場合等は、事業継続面で影響を及ぼす可能性があります。 (11) 災害等リスク地震、津波、洪水、台風、積雪、火山噴火、感染症、ストライキ、暴動等により空港が長期間閉鎖または運用制限がかかる場合、飛行経路が制限を受ける場合には、その間当該空港又は当該経路を利用する運航便に影響が生じ、または航空需要が大幅に減退することにより、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。特に、当社グループがデータセンターを首都圏に設置していること、国内線・国際線全便の運航管理を羽田空港にて実施していること及び当社グループの旅客の大半が首都圏空港を利用していること等により、地震、台風等の大規模災害が発生した場合、当該施設において火災等の災害が発生した場合、またはストライキ等により空港もしくはそのアクセスが閉鎖された場合、当社グループのシステムもしくは運航管理機能または運航そのものが長期間停止し、当社グループの経営に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (12) 経営戦略に関わるリスク①フリート戦略に関わるリスク当社グループは、航空事業において、経済性の高い機材の導入、機種の統合、ならびに需給適合の深化を軸としたフリート戦略に則ってボーイング社、エアバス社、ボンバルディア社、三菱航空機㈱から航空機の導入を進めていますが、納期が財務上その他の理由により遅延した場合、当社グループの事業に支障を及ぼす可能性があります。更に、かかる戦略は以下の要因により奏功せず、また、その所期する効果が減殺される可能性があります。1)ボーイング社への依存当社は、上記のフリート戦略に従って導入を計画している機材の多くをボーイング社に対して発注しています。したがって、ボーイング社が財政上その他の理由により当社又は同社製品の保守管理等を行う会社との間の契約を履行できない場合には、当社グループのフリート戦略に沿った機材の調達又は保守管理等ができず、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。2)三菱航空機㈱による機材開発計画の進行遅延等当社は、三菱航空機㈱が開発中の「三菱スペースジェット(旧MRJ)」の導入を決定しており、引き渡し時期は2021年度以降が予定されていますが、引き渡し時期が更に延期された場合には、当社グループの事業に支障をきたす可能性があります。②事業構造に関わるリスク連結売上高の殆どを航空事業及び航空関連事業が占めていることに加えて、旅行事業や商社事業も航空事業と密接に関連している等、当社グループの事業構造は航空事業に多くを依存しています。航空事業全体に影響を及ぼす事象が発生した場合に、他の事業セグメントの収益による補完ができず、当社グループの経営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。③投資に関するリスク当社グループは、更なる成長領域の拡大のために、新たな事業への進出あるいは他企業等への出資または企業買収を行うことがありますが、これら出資等が所期する効果を得られない可能性、各出資会社等の利害が一致せず、当社が適切と考える方法による合弁会社の運営ができない可能性、合弁会社の経営が悪化した場合に当社が経済的負担を負う可能性及び当社以外の出資会社等の経営悪化や同事業からの離脱の可能性があります。また、海外諸国や航空事業との関連性が低い事業への進出については、所期する効果を得ることが困難になる可能性があります。 (13) 提携戦略が奏功しないリスク当社グループは、スターアライアンスに加盟しています。また、ATI(独占禁止法適用除外)認可に基づき、アジア米州間ネットワークにおいてはユナイテッド航空と、日欧間ネットワークにおいてはルフトハンザドイツ航空、ルフトハンザグループであるスイスインターナショナル エアラインズ、オーストリア航空、ルフトハンザカーゴAGとの共同事業を実施しています。加えて、アジアを中心に、アライアンスの枠を超えた個別提携を推進しています。しかしながら、各国の独占禁止法の制約によりアライアンスの解体を余儀なくされた場合、他のアライアンスパートナーが、スターアライアンスを脱退し、もしくは事業方針を変更した場合、他のアライアンス・グループが競争力を強化した場合、または2社間提携の解消や経営悪化・再編、提携先の信用力の低下等が発生した場合、もしくは外的要因で提携活動に対する規制が強化されるようなことがあった場合等には、提携効果が低下し、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。 (14) 航空安全に関するリスク①航空機事故等当社グループ運航便及びコードシェア便で航空機事故が発生した場合、当社グループに対するお客様の信頼や社会的評価が失墜し、事故直後から中長期的に需要が低下して当社グループの経営に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、他社において大規模な航空機事故が発生した場合においても、同様に航空需要が低下して当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。なお、航空機事故が発生した場合、損害賠償や運航機材の修復・買換え等に多額の費用が発生しますが、これらの直接的費用のすべてが航空保険にて填補されるわけではありません。②航空法違反等当社の事業は航空法や管轄官庁からの通達等の遵守が求められていますが、これら航空法等への重大な違反は、航空法上の不利益処分等(行政処分、行政指導)を受ける可能性があり、過去においても整備不備や運航乗務員等による飲酒行為等の通達違反により、事業改善命令を受けています。このような不利益処分等は当社グループの運航の安全性への信用に影響を及ぼすことに加え、更なる再発や違反の重大性によっては、業務停止や事業免許の取り消し措置を受け、当社グループの経営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。③耐空性改善通報等航空機の安全性を著しく損なう問題が発生した場合、法令に基づき国土交通大臣から耐空性改善通報等が発出され、機体や装備品に対し指示された改善策を施すまで同型式機材の運航が認められない場合があります。また、法令に基づく耐空性改善通報等が発出されない場合であっても、技術的見地から安全性が確認できない場合、自主的に同型式機材の運航を見合わせ、点検等の整備を行うことがあります。このような事態が発生した場合、当社グループの航空機の安全性に関する信用及び経営に影響を及ぼす可能性があります。特に、当社グループは、ボーイング787型機等、新型機種への集約を進めていますが、当社グループの主力となる新型機種について設計上想定外の不具合または技術的な問題が発生した場合には、当社グループの経営により深刻な影響を及ぼす可能性があります。 (15) 顧客情報等漏洩リスク当社グループは、ANAマイレージクラブの会員数約3,665万人(2020年3月末日現在)に関わる会員情報をはじめ、膨大な顧客等に関する情報を保持しており、個人情報保護法やその他諸外国の類似法令により、これらの個人情報を適切に管理することが求められています。当社グループでは、プライバシーポリシーを定め、個人情報の取扱いに関する当社グループの姿勢・考え方を広くお客様に告知するとともに、システム対策を含め情報セキュリティについては想定しうる対策を講じています。また、セキュリティホールをなくすべく、業務手順の改定やシステム改修を継続的に実施していますが、不正アクセスや業務上の過失等、何らかの原因により大規模な個人情報漏洩事故が発生した場合、多額の損害賠償費用が発生し、また、信用失墜により、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。 (16) IT(システム)リスク当社グループは、お客様へのサービス及び運航に必要な業務等、システム依存度が高い業種といえます。自然災害、事故、コンピュータ・ウィルス、不正アクセス、電力供給の制約や大規模停電、故障や不具合等によりかかるシステムあるいは通信ネットワークに重大な障害が発生した場合、お客様へのサービス及び運航の維持が困難になるとともに、信用失墜により当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループのシステムは他提携航空会社においても使用されており、その影響範囲は自社グループ内にとどまらなくなる可能性があります。 (17) 人事・労務に関わるリスク当社グループの従業員の多くは労働組合に所属しており、当社グループの従業員が集団的にストライキ等を行った場合、当社グループの航空機の運航が影響を受ける可能性があります。 (18) 人材確保に関わるリスクLCCの運航規模拡大等により運航乗務員等に対する需要が高まっている一方、運航乗務員等の育成には一定期間の教育訓練等が必要であり、当社グループが適時に適切な員数の適正能力を有する運航乗務員等を確保できない場合には、当社グループの経営が影響を受ける可能性があります。また、労働市場における需給バランスの変化によって、空港ハンドリング等の人材不足、あるいは賃金水準の高騰が発生する可能性があります。 (19) 損益構造に関わるリスク当社グループは、航空機材費等の固定費、ならびに主として機種によって定まる燃料費及び空港使用料等、搭乗率の影響を受けない費用が全体のコストに占める割合が高く、経済状況に即応した事業規模調整の自由度が低位なため、旅客数あるいは貨物輸送量が減少した場合、損益に与える影響が大きくなる可能性があります。また、当社グループの航空旅客事業は夏場に売上が増加する傾向があるため、かかる時期において需要が大きく減少した場合には、その事業年度における当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (20) 財務に関わるリスク①資金調達コストの増加当社グループは、機材調達等のため銀行借入・社債発行等により資金調達を行っています。しかしながら、今後、航空業界の事業環境が悪化した場合、金融市場が混乱した場合、税制、政府の金利政策や政府系金融機関の保証制度等が変更された場合、もしくは当社の信用格付けが格下げされた場合等においては、当社にとって有利な条件による資金調達が困難または不可能となる結果、資金調達コストが増加し、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。②資産減損等のリスク当社グループは、その事業の性質上多くの固定資産を保有していますが、今後各種事業収支が悪化した場合、あるいは資産売却を決定した場合等には、固定資産の減損または固定資産の売却損の計上が必要となる可能性があります。③繰延税金資産に関するリスク事業収支の悪化等により、将来の課税所得の見込額が現在のタックス・プランニングの見積りよりも低下した場合、繰延税金資産の回収可能額が減少し、繰延税金資産が減額される可能性があります。 (21) 訴訟に関わるリスク当社グループは事業活動に関して各種の訴訟に巻き込まれるおそれがあり、これらが当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。 (22) 航空機燃料確保に関わるリスク当社グループは、羽田空港・成田空港の発着枠拡大を最大のビジネスチャンスと捉え、事業拡大を計画する中で大幅な航空機燃料の使用量増加を見込む一方、航空機燃料の適切な数量確保が出来ない場合、当社グループの航空機の運航に影響を与える可能性があります。
FY2019|7,602 文字
2【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあると考えています。なお、文中の将来に関する事項は、当期末現在において当社グループが判断したものです。 (1) 景気が低迷するリスク航空産業は、景気動向の影響を受けやすい業界であり、国内外の景気が低迷すると、個人消費の落ち込みや企業収益の悪化による航空需要の低下を引き起こす可能性があります。なお、国際線(旅客・貨物)事業については、中国やその他アジア・北米を中心とした海外市場への依存度が高いため、当該地域の経済状況により、輸送人数・輸送重量の減少及び輸送単価の下落といった影響を受ける可能性があります。 (2) 経営戦略に関わるリスク①フリート戦略に関わるリスク 当社グループは、航空事業において、経済性の高い機材の導入、機種の統合、ならびに需給適合の深化を軸としたフリート戦略に則ってボーイング社、エアバス社、ボンバルディア社、三菱航空機㈱から航空機の導入を進めていますが、納期が財務上その他の理由により遅延した場合、当社グループの事業に支障を及ぼす可能性があります。 更に、かかる戦略は以下の要因により奏功せず、また、その所期する効果が減殺される可能性があります。 1)ボーイング社への依存 当社は、上記のフリート戦略に従って導入を計画している機材の多くをボーイング社に対して発注しています。したがって、ボーイング社が財政上その他の理由により当社又は同社製品の保守管理等を行う会社との間の契約を履行できない場合には、当社グループのフリート戦略に沿った機材の調達又は保守管理等ができず、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。 2)三菱航空機㈱による機材開発計画の進行遅延等 当社は、三菱航空機㈱が開発中の「三菱スペースジェット(旧MRJ)」の導入を決定しており、引き渡し時期は2020年度半ばが予定されていますが、引き渡し時期の遅延が発生した場合には、当社グループの事業に支障をきたす可能性があります。②発着枠に関わるリスク 当社グループは、羽田空港・成田空港の発着枠拡大を最大のビジネスチャンスと捉え、各種投資や事業運営体制の整備を図っています。2020年度を目途として、羽田空港の年間発着枠については、44.7万回から48.6万回へ、成田空港の年間発着枠については、30万回から34万回へ増加する見通しとなっていますが、今後の首都圏における両空港(羽田・成田)の発着枠の割当て数や、時期等が当社グループの想定と異なった場合においては、当社グループの経営計画の達成に影響を及ぼす可能性があります。③LCC事業に関わるリスク LCC事業については、当該事業進出の目的である新規航空需要の創出に至らないことや、国内外の他のLCCとの競争激化により、所期する効果が得られない可能性があります。また、運航乗務員数の不足や他社流出により、策定した事業計画が遂行できなくなる可能性があります。更には、海外を含めたLCCによる事故や不安全事象の発生により、LCCに対する顧客離れが起こる可能性もあります。④投資に関するリスク 当社グループは、更なる成長領域の拡大のために、新たな事業への進出あるいは他企業等への出資または企業買収を行うことがありますが、これら出資等が所期する効果を得られない可能性、各出資会社等の利害が一致せず、当社が適切と考える方法による合弁会社の運営ができない可能性、合弁会社の経営が悪化した場合に当社が経済的負担を負う可能性及び当社以外の出資会社等の経営悪化や同事業からの離脱の可能性があります。また、海外諸国や航空事業との関連性が低い事業への進出については、所期する効果を得ることが困難になる可能性があります。 (3) 原油価格変動によるリスク航空機燃料は原油精製による製品のため、その価格は原油価格に連動する傾向があります。中東産油国での政情不安、米国でのシェールオイル生産体制、新興国の急激な経済成長に伴う原油需要の増加、石油備蓄量または埋蔵量の低下、原油への投機的な投資行動、自然災害等の要因により原油価格が当社グループの予測を超えて変動した場合には、当社グループの経営に以下のような影響を及ぼす可能性があります。①原油価格が上昇した場合のリスク 原油価格が上昇すると、航空機燃料の価格も上昇するため、当社グループにとって大きな負担となります。このため、航空機燃料の価格変動リスクを抑制し、営業利益の安定化を図ることを目的として原油ならびに航空機燃料のコモディティ・デリバティブを利用して一定期間のうちに計画的、継続的にヘッジ取引を実施していますが、原油価格が短期間で高騰した場合、自助努力によるコスト削減や運賃及び料金等への転嫁には限界があるため、ヘッジポジションの状況等によっては価格高騰の影響を完全には回避できない可能性があります。②原油価格が急落した場合のリスク 当社グループは原油価格の変動リスクを緩和するためヘッジ取引を実施しており、原油価格が短期間で急落した場合、燃油サーチャージ収入が減少あるいは消滅する一方で、ヘッジポジションの状況等によっては燃油費が即座には減少せず、価格下落の効果を享受できない可能性があります。 (4) 新型インフルエンザ等の感染症に関わるリスク新型インフルエンザをはじめ重大な感染症が発生・蔓延した場合の被害増大は、国際線のみならず全事業の需要減退リスクになり得ます。風評による顧客の航空利用の意欲の低下を含め、感染拡大や被害増大により、国内線及び国際線の利用客数が激減し、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。また、感染力が強い新型インフルエンザ等が流行し、予想を超える社員・委託先での罹患者の大量発生や毒性の変化が生じ強毒化した場合等は、事業継続面で影響を及ぼす可能性があります。 (5) 為替変動によるリスク当社グループは、外貨収入よりも外貨支出の方が多く、円安になった場合には収支に与える影響は少なくありません。為替相場変動による収支への影響を緩和することを目的として、同種通貨間においては収入で得た外貨を可能な限り外貨建て支出に充当しつつ、航空機及び航空機燃料の調達に必要な外貨の一部については、円貨換算ベースでの支払額の平準化を図るためにも先物為替予約及び通貨オプション取引を活用しています。しかし、為替相場が短期間で急激に円安になった場合、自助努力によるコスト削減や運賃及び料金等への転嫁には限界があるため、ヘッジポジションの状況等によっては当社グループの収支に影響を及ぼす可能性がある一方、為替相場が短期間で急激に円高になった場合、ヘッジポジションの状況等によっては燃油費が即座には減少せず、円高の効果を完全には享受できない可能性があります。 (6) 国際情勢等の影響によるリスク現在、当社グループは北米・欧州・中国・アジア方面を中心に国際線を展開しています。今後、当社グループ就航地域や事務所等の拠点が所在する地域で政情不安、国際紛争、大規模なテロ事件が発生した場合や、就航国との外交関係が悪化した場合等、当該地域路線の需要の減少等により当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。 (7) 法的規制に関わるリスク当社グループは、航空運送事業者として航空事業関連法規の定めに基づき事業運営を行っています。また、旅客・貨物を含めた国際線事業においては、条約、二国間協定、IATA(国際航空運送協会)及びICAO(国際民間航空機関)の決定事項その他の国際的取決めに従った事業運営が求められています。これらの規制により、当社グループの事業における運賃、飛行空域、運航スケジュール、安全管理等について様々な制約を受けます。更に、当社グループの事業は、運賃及び料金の設定につき独占禁止法その他諸外国の類似の法令の制約を受けることがあります。 (8) 訴訟に関わるリスク当社グループは事業活動に関して各種の訴訟に巻き込まれるおそれがあり、これらが当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。当社の子会社である全日本空輸株式会社は、米国司法省から提起されていた国際航空貨物・旅客輸送に関わる価格調整等の容疑については、諸般の事情を総合的に勘案した結果、司法取引に合意していますが、国際旅客輸送に関わる集団民事訴訟についても、2019年1月に和解金58百万米ドルの支払いを条件とした和解に合意したため、和解金相当額64億円を、2019年3月期決算において独禁法関連費用として特別損失に計上しています。 (9) 公租公課等に関わるリスク航空事業に関する公租公課等として航空機燃料税や着陸料、航行援助施設利用料等があげられますが、航空機燃料税、着陸料及び航行援助施設利用料については現在、国の時限的な軽減措置を受けており、今後、軽減措置の縮小・廃止が行われた場合、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。 (10) 環境規制に関わるリスク近年、地球環境保全の一環として、航空機による騒音、温室効果ガス(CO2等)の排出量、環境汚染物質の使用ならびに処理、主な事業所におけるエネルギー使用等に関わる数多くの国内・海外法規制が導入、または強化されつつあります。当社グループは、これらの法規制を遵守するため多額のコストを負担していますが、2021年に向けて導入が決定されている国際的な温室効果ガスに関わる排出権取引スキーム、世界共通の環境税等の新たな規制が導入された際には、事業活動が制限され、または多額の追加的費用を負担しなければならない可能性があります。 (11) 航空業界を取り巻く環境のリスク日本国内における航空政策あるいは地域政策の方針転換や、経営破綻等に起因する合併や資本提携による競合他社の状況変化等、今後、現在の競争環境や事業環境が大幅に変化した場合、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。 (12) 競合リスク今後、燃油費、資金調達コスト、環境規制への対応その他の要因により、当社グループの事業にかかるコストが上昇する可能性があります。かかる場合、当社グループが利益を確保するためには、間接固定費の削減等のコスト削減を実施するとともに、かかるコストを運賃・料金等に転嫁する必要があります。しかしながら、当社は国内外の同業他社やLCCの他、一部の路線については新幹線等の代替交通機関と競合関係にあるため、かかるコストの転嫁により価格競争力が低下し、または競合相手との価格競争上かかるコスト転嫁が大きく制約を受ける結果、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。 (13) 提携戦略が奏功しないリスク当社グループは、スターアライアンスに加盟しています。また、ATI(独占禁止法適用除外)認可に基づき、アジア米州間ネットワークにおいてはユナイテッド航空と、日欧間ネットワークにおいてはルフトハンザドイツ航空、ルフトハンザグループであるスイスインターナショナル エアラインズ、オーストリア航空、ルフトハンザカーゴAGとの共同事業を実施しています。加えて、アジアを中心に、アライアンスの枠を超えた個別提携を推進しています。しかしながら、各国の独占禁止法の制約によりアライアンスの解体を余儀なくされた場合、他のアライアンスパートナーが、スターアライアンスを脱退し、もしくは事業方針を変更した場合、他のアライアンス・グループが競争力を強化した場合、または2社間提携の解消や経営悪化・再編、提携先の信用力の低下等が発生した場合、もしくは外的要因で提携活動に対する規制が強化されるようなことがあった場合等には、提携効果が低下し、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。 (14) 運航リスク①航空機事故等 当社グループ運航便及びコードシェア便で航空機事故が発生した場合、当社グループに対するお客様の信頼や社会的評価が失墜し、事故直後から中長期的に需要が低下して当社グループの経営に大きな影響を及ぼす可能性があります。 また、他社において大規模な航空機事故が発生した場合においても、同様に航空需要が低下して当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。なお、航空機事故が発生した場合、損害賠償や運航機材の修復・買換え等に多額の費用が発生しますが、これらの直接的費用のすべてが航空保険にて填補されるわけではありません。②耐空性改善通報等 航空機の安全性を著しく損なう問題が発生した場合、法令に基づき国土交通大臣から耐空性改善通報等が発出され、機体や装備品に対し指示された改善策を施すまで同型式機材の運航が認められない場合があります。 また、法令に基づく耐空性改善通報等が発出されない場合であっても、技術的見地から安全性が確認できない場合、自主的に同型式機材の運航を見合わせ、点検等の整備を行うことがあります。このような事態が発生した場合、当社グループの航空機の安全性に関する信用及び経営に影響を及ぼす可能性があります。当社グループが所有・運航する型式機種について想定外の不具合または技術的な問題が発生した場合には、当社グループの経営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。 (15) 顧客情報等漏洩リスク当社グループは、ANAマイレージクラブの会員数約3,459万人(2019年3月末日現在)に関わる会員情報をはじめ、膨大な顧客等に関する情報を保持しており、個人情報保護法やその他諸外国の類似法令により、これらの個人情報を適切に管理することが求められています。当社グループでは、プライバシーポリシーを定め、個人情報の取扱いに関する当社グループの姿勢・考え方を広くお客様に告知するとともに、システム対策を含め情報セキュリティについては想定しうる対策を講じています。また、セキュリティホールをなくすべく、業務手順の改定やシステム改修を継続的に実施していますが、不正アクセスや業務上の過失等、何らかの原因により大規模な個人情報漏洩事故が発生した場合、多額の損害賠償費用が発生し、また、信用失墜により、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。 (16) 災害等リスク地震、津波、洪水、台風、積雪、火山噴火、感染症、ストライキ、暴動等により空港が長期間閉鎖または運用制限がかかる場合、飛行経路が制限を受ける場合には、その間当該空港又は当該経路を利用する運航便に影響が生じ、または航空需要が大幅に減退することにより、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。特に、当社グループがデータセンターを首都圏に設置していること、国内線・国際線全便の運航管理を羽田空港にて実施していること及び当社グループの旅客の大半が首都圏空港を利用していること等により、地震、台風等の大規模災害が発生した場合、当該施設において火災等の災害が発生した場合、またはストライキ等により空港もしくはそのアクセスが閉鎖された場合、当社グループのシステムもしくは運航管理機能または運航そのものが長期間停止し、当社グループの経営に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (17) 損益構造に関わるリスク当社グループは、航空機材費等の固定費、ならびに主として機種によって定まる燃料費及び空港使用料等、搭乗率の影響を受けない費用が全体のコストに占める割合が高く、経済状況に即応した事業規模調整の自由度が低位なため、旅客数あるいは貨物輸送量が減少した場合、損益に与える影響が大きくなる可能性があります。また、当社グループの航空旅客事業は夏場に売上が増加する傾向があるため、かかる時期において需要が大きく減少した場合には、その連結会計年度における当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (18) IT(システム)リスク当社グループは、お客様へのサービス及び運航に必要な業務等、システム依存度が高い業種といえます。自然災害、事故、コンピュータ・ウィルス、不正アクセス、電力供給の制約や大規模停電、故障や不具合等によりかかるシステムあるいは通信ネットワークに重大な障害が発生した場合、お客様へのサービス及び運航の維持が困難になるとともに、信用失墜により当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループのシステムは他提携航空会社においても使用されており、その影響範囲は自社グループ内にとどまらなくなる可能性があります。 (19) 人事・労務に関わるリスク当社グループの従業員の多くは労働組合に所属しており、当社グループの従業員が集団的にストライキ等を行った場合、当社グループの航空機の運航が影響を受ける可能性があります。 (20) 人材確保に関わるリスクLCCの運航規模拡大等により運航乗務員等に対する需要が高まっている一方、運航乗務員等の育成には一定期間の教育訓練等が必要であり、当社グループが適時に適切な員数の適正能力を有する運航乗務員等を確保できない場合には、当社グループの経営が影響を受ける可能性があります。また、労働市場における需給バランスの変化等によって、空港ハンドリング等の人材不足、あるいは賃金水準の高騰が発生する可能性があります。 (21) 財務に関わるリスク①資金調達コストの増加 当社グループは、機材調達等のため銀行借入・社債発行等により資金調達を行っています。しかしながら、今後、航空業界の事業環境が悪化した場合、金融市場が混乱した場合、税制・金融政策および政府系金融機関の保証制度等が変更された場合、もしくは当社の信用格付けが格下げされた場合等においては、当社にとって有利な条件による資金調達が困難または不可能となる結果、資金調達コストが増加し、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。②資産減損等のリスク 当社グループは、その事業の性質上多くの固定資産を保有していますが、今後各種事業収支が悪化した場合、あるいは資産売却を決定した場合等には、固定資産の減損損失または売却損の計上が必要となる可能性があります。 (22) 航空機燃料確保に関わるリスク当社グループは、羽田空港・成田空港の発着枠拡大を最大のビジネスチャンスと捉え、事業拡大を計画する中で大幅な航空機燃料の使用量増加を見込む一方、航空機燃料の適切な数量確保が出来ない場合、当社グループの航空機の運航が影響を受ける可能性があります。
FY2018|7,508 文字
2【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあると考えております。なお、文中の将来に関する事項は、当期末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 景気が低迷するリスク航空産業は、景気動向の影響を受けやすい業界であり、国内外の景気が低迷すると、個人消費の落ち込みや企業収益の悪化による航空需要の低下を引き起こす可能性があります。なお、国際線(旅客・貨物)事業については、中国やその他アジア・北米を中心とした海外市場への依存度が高いため、当該地域の経済状況により、輸送人数・輸送重量の減少及び輸送単価の下落といった影響を受ける可能性があります。 (2) 経営戦略に関わるリスク①フリート戦略に関わるリスク 当社グループは、航空事業において、経済性の高い機材の導入、機種の統合、ならびに需給適合の深化を軸としたフリート戦略に則ってボーイング社、エアバス社、ボンバルディア社、三菱航空機㈱から航空機の導入を進めておりますが、納期が財務上その他の理由により遅延した場合、当社グループの事業に支障を及ぼす可能性があります。 更に、かかる戦略は以下の要因により奏功せず、また、その所期する効果が減殺される可能性があります。 1)ボーイング社への依存 当社は、上記のフリート戦略に従って導入を計画している機材の多くをボーイング社に対して発注しています。したがって、ボーイング社が財政上その他の理由により当社又は同社製品の保守管理等を行う会社との間の契約を履行できない場合には、当社グループのフリート戦略に沿った機材の調達又は保守管理等ができず、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。 2)三菱航空機㈱による機材開発計画の進行遅延等 当社は、三菱航空機㈱が開発中の「MRJ(三菱リージョナルジェット)」の導入を決定しており、引き渡し時期は平成32年度半ばが予定されていますが、引き渡し時期の遅延が発生した場合には、当社グループの事業に支障をきたす可能性があります。②発着枠に関わるリスク 当社グループは、羽田空港・成田空港の発着枠拡大を最大のビジネスチャンスと捉え、各種投資や事業運営体制の整備を図っています。平成32年度(2020年度)を目途として、羽田空港の年間発着枠については、44.7万回から48.6万回へ、成田空港の年間発着枠については、30万回から34万回へ増加する見通しとなっておりますが、今後の首都圏における両空港(羽田・成田)の発着枠の割当て数や、時期等が当社グループの想定と異なった場合においては、当社グループの経営計画の達成に影響を及ぼす可能性があります。③LCC事業に関わるリスク LCC事業については、当該事業進出の目的である新規航空需要の創出に至らないことや、国内外の他のLCCとの競争激化により、所期する効果が得られない可能性があります。また、運航乗務員数の不足や他社流出により、策定した事業計画が遂行できなくなる可能性があります。更には、海外を含めたLCCによる事故や不安全事象の発生により、LCCに対する顧客離れが起こる可能性もあります。④投資に関するリスク 当社グループは、更なる成長領域の拡大のために、新たな事業への進出あるいは他企業等への出資または企業買収を行うことがありますが、これら出資等が所期する効果を得られない可能性、各出資会社等の利害が一致せず、当社が適切と考える方法による合弁会社の運営ができない可能性、合弁会社の経営が悪化した場合に当社が経済的負担を負う可能性及び当社以外の出資会社等の経営悪化や同事業からの離脱の可能性があります。また、海外諸国や航空事業との関連性が低い事業への進出については、所期する効果を得ることが困難になる可能性があります。 (3) 原油価格変動によるリスク航空機燃料は原油精製による製品のため、その価格は原油価格に連動する傾向があります。産油国での政情不安、新興国の急激な経済成長に伴う原油需要の増加、石油備蓄量または埋蔵量の低下、原油への投機的な投資行動、自然災害等の要因により原油価格が当社グループの予測を超えて変動した場合には、当社グループの経営に以下のような影響を及ぼす可能性があります。①原油価格が上昇した場合のリスク 原油価格が上昇すると、航空機燃料の価格も上昇するため、当社グループにとって大きな負担となります。このため、航空機燃料の価格変動リスクを抑制し、営業利益の安定化を図ることを目的として原油ならびにジェット燃料のコモディティ・デリバティブを利用して一定期間のうちに計画的、継続的にヘッジ取引を実施していますが、原油価格が短期間で高騰した場合、自助努力によるコスト削減や運賃及び料金等への転嫁には限界があるため、ヘッジポジションの状況等によっては価格高騰の影響を完全には回避できない可能性があります。②原油価格が急落した場合のリスク 当社グループは原油価格の変動に対してヘッジを実施しているため、原油価格が短期間で急落した場合、燃油サーチャージ収入が減少あるいは消滅する一方で、ヘッジポジションの状況等によっては燃油費が即座には減少せず、価格下落の効果を享受できない可能性があります。 (4) 新型インフルエンザ等の感染症に関わるリスク新型インフルエンザをはじめ重大な感染症が発生・蔓延した場合の被害増大は、国際線のみならず全事業の需要減退リスクになり得ます。風評による顧客の航空利用の意欲の低下を含め、感染拡大や被害増大により、国内線及び国際線の利用客数が激減し、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。また、感染力が強い新型インフルエンザ等が流行し、予想を超える社員・委託先での罹患者の大量発生や毒性の変化が生じ強毒化した場合等は、事業継続面で影響を及ぼす可能性があります。 (5) 為替変動によるリスク当社グループは、外貨収入よりも外貨支出の方が多く、円安になった場合には収支に与える影響は少なくありません。為替相場変動による収支への影響を緩和するため、同種通貨間においては収入で得た外貨を可能な限り外貨建て支出に充当しつつ、航空機及び航空機燃料の調達に必要な外貨の一部については、円貨換算ベースでの支払額の平準化ならびに抑制を図ることを目的として先物為替予約及び通貨オプション取引を活用しております。しかし、為替相場が短期間で急激に円安になった場合、自助努力によるコスト削減や運賃及び料金等への転嫁には限界があるため、ヘッジポジションの状況等によっては当社グループの収支に影響を及ぼす可能性がある一方、為替相場が短期間で急激に円高になった場合、ヘッジポジションの状況等によっては燃油費が即座には減少せず、円高の効果を享受できない可能性があります。 (6) 国際情勢等の影響によるリスク現在、当社グループは北米・欧州・中国・アジア方面を中心に国際線を展開しています。今後、当社グループ就航地域や事務所等の拠点が所在する地域で政情不安、国際紛争、大規模なテロ事件が発生した場合や、就航国との外交関係が悪化した場合等、当該地域路線の需要の減少等により当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。 (7) 法的規制に関わるリスク当社グループは、航空運送事業者として航空事業関連法規の定めに基づき事業運営を行っています。また、旅客・貨物を含めた国際線事業においては、条約、二国間協定、IATA(国際航空運送協会)及びICAO(国際民間航空機関)の決定事項その他の国際的取決めに従った事業運営が求められています。これらの規制により、当社グループの事業における運賃、飛行空域、運航スケジュール、安全管理等について様々な制約を受けます。更に、当社グループの事業は、運賃及び料金の設定につき独占禁止法その他諸外国の類似の法令の制約を受けることがあります。 (8) 訴訟に関わるリスク当社グループは事業活動に関して各種の訴訟に巻き込まれるおそれがあり、これらが当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは以下の事象について、今後訴訟の提起等を受ける可能性があり、あわせて他の国及び地域においても同様の調査が開始される可能性があります。米国における価格調整疑惑に関する件米国司法省から提起されていた国際航空貨物・旅客輸送に関わる価格調整等の容疑については、諸般の事情を総合的に勘案した結果、司法取引に合意しておりますが、提起されている旅客輸送に関する集団民事訴訟については、現時点では詳細の分析は困難な状況です。 (9) 公租公課等に関わるリスク航空事業に関する公租公課等として航空機燃料税や着陸料、航行援助施設利用料等があげられますが、航空機燃料税、着陸料及び航行援助施設利用料については現在、国の時限的な軽減措置を受けており、今後、軽減措置の縮小・廃止が行われた場合、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。 (10) 環境規制に関わるリスク近年、地球環境保全の一環として、航空機による騒音、温室効果ガス(CO2等)の排出量、環境汚染物質の使用ならびに処理、主な事業所におけるエネルギー使用等に関わる数多くの国内・海外法規制が導入、または強化されつつあります。当社グループは、これらの法規制を遵守するため多額のコストを負担していますが、2021年に向けて導入が決定されている国際的な温室効果ガスに関わる排出権取引スキーム、世界共通の環境税等の新たな規制が導入された際には、事業活動が制限され、または多額の追加的費用を負担しなければならない可能性があります。 (11) 航空業界を取り巻く環境のリスク日本国内における航空政策あるいは地域政策の方針転換や、経営破綻等に起因する合併や資本提携による競合他社の状況変化等、今後、現在の競争環境や事業環境が大幅に変化した場合、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。 (12) 競合リスク今後、燃油費、資金調達コスト、環境規制への対応その他の要因により、当社グループの事業にかかるコストが上昇する可能性があります。かかる場合、当社グループが利益を確保するためには、間接固定費の削減等のコスト削減を実施するとともに、かかるコストを運賃・料金等に転嫁する必要があります。しかしながら、当社は国内外の同業他社やLCCの他、一部の路線については新幹線等の代替交通機関と競合関係にあるため、かかるコストの転嫁により価格競争力が低下し、または競合相手との価格競争上かかるコスト転嫁が大きく制約を受ける結果、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。 (13) 提携戦略が奏功しないリスク当社グループは、スターアライアンスに加盟しております。また、ATI(独占禁止法適用除外)認可に基づき、アジア米州間ネットワークにおいてはユナイテッド航空と、日欧間ネットワークにおいてはルフトハンザドイツ航空、ルフトハンザグループであるスイスインターナショナル エアラインズ、オーストリア航空、ルフトハンザカーゴAGとの共同事業を実施しています。加えて、アジアを中心に、アライアンスの枠を超えた個別提携を推進しています。しかしながら、各国の独占禁止法の制約によりアライアンスの解体を余儀なくされた場合、他のアライアンスパートナーが、スターアライアンスを脱退し、もしくは事業方針を変更した場合、他のアライアンス・グループが競争力を強化した場合、または2社間提携の解消や経営悪化・再編、提携先の信用力の低下等が発生した場合、もしくは外的要因で提携活動に対する規制が強化されるようなことがあった場合等には、提携効果が低下し、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。 (14) 運航リスク①航空機事故等 当社グループ運航便及びコードシェア便で航空機事故が発生した場合、当社グループに対するお客様の信頼や社会的評価が失墜し、事故直後から中長期的に需要が低下して当社グループの経営に大きな影響を及ぼす可能性があります。 また、他社において大規模な航空機事故が発生した場合においても、同様に航空需要が低下して当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。なお、航空機事故が発生した場合、損害賠償や運航機材の修復・買換え等に多額の費用が発生しますが、これらの直接的費用のすべてが航空保険にて填補されるわけではありません。②耐空性改善通報等 航空機の安全性を著しく損なう問題が発生した場合、法令に基づき国土交通大臣から耐空性改善通報等が発出され、機体や装備品に対し指示された改善策を施すまで同型式機材の運航が認められない場合があります。また、法令に基づく耐空性改善通報等が発出されない場合であっても、技術的見地から安全性が確認できない場合、自主的に同型式機材の運航を見合わせ、点検等の整備を行うことがあります。このような事態が発生した場合、当社グループの航空機の安全性に関する信用及び経営に影響を及ぼす可能性があります。特に、当社グループは、ボーイング787型機等、新型機種への集約を進めていますが、当社グループの主力となる新型機種について設計上想定外の不具合または技術的な問題が発生した場合には、当社グループの経営により深刻な影響を及ぼす可能性があります。 (15) 顧客情報等漏洩リスク当社グループは、ANAマイレージクラブの会員数約3,268万人(平成30年3月末日現在)に関わる会員情報をはじめ、膨大な顧客等に関する情報を保持しており、個人情報保護法やその他諸外国の類似法令により、これらの個人情報を適切に管理することが求められています。当社グループでは、プライバシーポリシーを定め、個人情報の取扱いに関する当社グループの姿勢・考え方を広くお客様に告知するとともに、システム対策を含め情報セキュリティについては想定しうる対策を講じています。また、セキュリティホールをなくすべく、業務手順の改定やシステム改修を継続的に実施していますが、不正アクセスや業務上の過失等、何らかの原因により大規模な個人情報漏洩事故が発生した場合、多額の損害賠償費用が発生し、また、信用失墜により、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。 (16) 災害等リスク地震、津波、洪水、台風、積雪、火山噴火、感染症、ストライキ、暴動等により空港が長期間閉鎖または運用制限がかかる場合、飛行経路が制限を受ける場合には、その間当該空港又は当該経路を利用する運航便に影響が生じ、または航空需要が大幅に減退することにより、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。特に、当社グループがデータセンターを首都圏に設置していること、国内線・国際線全便の運航管理を羽田空港にて実施していること及び当社グループの旅客の大半が首都圏空港を利用していること等により、地震、台風等の大規模災害が発生した場合、当該施設において火災等の災害が発生した場合、またはストライキ等により空港もしくはそのアクセスが閉鎖された場合、当社グループのシステムもしくは運航管理機能または運航そのものが長期間停止し、当社グループの経営に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (17) 損益構造に関わるリスク当社グループは、航空機材費等の固定費、ならびに主として機種によって定まる燃料費及び空港使用料等、搭乗率の影響を受けない費用が全体のコストに占める割合が高く、経済状況に即応した事業規模調整の自由度が低位なため、旅客数あるいは貨物輸送量が減少した場合、損益に与える影響が大きくなる可能性があります。また、当社グループの航空旅客事業は夏場に売上が増加する傾向があるため、かかる時期において需要が大きく減少した場合には、その事業年度における当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (18) IT(システム)リスク当社グループは、お客様へのサービス及び運航に必要な業務等、システム依存度が高い業種といえます。自然災害、事故、コンピュータ・ウィルス、不正アクセス、電力供給の制約や大規模停電、故障や不具合等によりかかるシステムあるいは通信ネットワークに重大な障害が発生した場合、お客様へのサービス及び運航の維持が困難になるとともに、信用失墜により当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループのシステムは他提携航空会社においても使用されており、その影響範囲は自社グループ内にとどまらなくなる可能性があります。 (19) 人事・労務に関わるリスク当社グループの従業員の多くは労働組合に所属しており、当社グループの従業員が集団的にストライキ等を行った場合、当社グループの航空機の運航が影響を受ける可能性があります。 (20) 人材確保に関わるリスクLCCの運航規模拡大等により運航乗務員等に対する需要が高まっている一方、運航乗務員等の育成には一定期間の教育訓練等が必要であり、当社グループが適時に適切な員数の適正能力を有する運航乗務員等を確保できない場合には、当社グループの経営が影響を受ける可能性があります。また、労働市場における需給バランスの変化によって、空港ハンドリング等の人材不足、あるいは賃金水準の高騰が発生する可能性があります。 (21) 財務に関わるリスク①資金調達コストの増加 当社グループは、機材調達等のため銀行借入・社債発行等により資金調達を行っています。しかしながら、今後、航空業界の事業環境が悪化した場合、金融市場が混乱した場合、税制、政府の金利政策や政府系金融機関の保証制度等が変更された場合、もしくは当社の信用格付けが格下げされた場合等においては、当社にとって有利な条件による資金調達が困難または不可能となる結果、資金調達コストが増加し、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。②資産減損等のリスク 当社グループは、その事業の性質上多くの固定資産を保有していますが、今後各種事業収支が悪化した場合、あるいは資産売却を決定した場合等には、固定資産の減損または固定資産の売却損の計上が必要となる可能性があります。
FY2017|7,461 文字
4【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがある。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。(1) 景気が低迷するリスク航空産業は、景気動向の影響を受けやすい業界であり、国内外の景気が低迷すると、個人消費の落ち込みや企業収益の悪化による航空需要の低下を引き起こす可能性がある。なお、国際線(旅客・貨物)事業については、中国やその他アジア・北米を中心とした海外市場への依存度が高いため、当該地域の経済状況により、輸送人数・輸送重量の減少及び輸送単価の下落といった影響を受ける可能性がある。 (2) 経営戦略に関わるリスク①フリート戦略に関わるリスク 当社グループは、航空事業において、経済性の高い機材の導入、機種の統合、並びに需給適合の深化を軸としたフリート戦略に則ってボーイング社、エアバス社、ボンバルディア社、三菱航空機株式会社から航空機の導入を進めているが、納期が財務上その他の理由により遅延した場合、当社グループの事業に支障を及ぼす可能性がある。 更に、かかる戦略は以下の要因により奏功せず、また、その所期する効果が減殺される可能性がある。 1)ボーイング社への依存 当社は、上記のフリート戦略に従って導入を計画している機材の多くをボーイング社に対して発注している。従って、ボーイング社が財政上その他の理由により当社又は同社製品の保守管理等を行う会社との間の契約を履行できない場合には、当社グループのフリート戦略に沿った機材の調達又は保守管理等ができず、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性がある。 2)三菱航空機株式会社による機材開発計画の進行遅延等 当社は、三菱航空機株式会社が開発中の「MRJ(三菱リージョナルジェット)」の導入を決定しており、引き渡し時期は平成32年度半ばが予定されているが、引き渡し時期の遅延が発生した場合には、当社グループの事業に支障をきたす可能性がある。②発着枠に関わるリスク 当社グループは、羽田空港・成田空港の発着枠拡大を最大のビジネスチャンスと捉え、各種投資や事業運営体制の整備を図っている。平成32年度(2020年度)を目途として、羽田空港の年間発着枠については、44.7万回から48.6万回へ、成田空港の年間発着枠については、30万回から34万回へ増加する見通しとなっているが、今後の首都圏における両空港(羽田・成田)の発着枠の割当て数や、時期等が当社グループの想定と異なった場合においては、当社グループの経営計画の達成に影響を及ぼす可能性がある。③LCC事業に関わるリスク LCC事業については、当該事業進出の目的である新規航空需要の創出に至らないことや、国内外の他のLCCとの競争激化により、所期する効果が得られない可能性がある。また、運航乗務員数の不足や他社流出により、策定した事業計画が遂行できなくなる可能性がある。更には、海外を含めたLCCによる事故や不安全事象の発生により、LCCに対する顧客離れが起こる可能性もある。 ④投資に関するリスク 当社グループは、更なる成長領域の拡大のために、新たな事業への進出あるいは他企業等への出資又は企業買収を行うことがあるが、これら出資等が所期する効果を得られない可能性、各出資会社等の利害が一致せず、当社が適切と考える方法による合弁会社の運営ができない可能性、合弁会社の経営が悪化した場合に当社が経済的負担を負う可能性及び当社以外の出資会社等の経営悪化や同事業からの離脱の可能性がある。また、海外諸国や航空事業との関連性が低い事業への進出については、所期する効果を得ることが困難になる可能性がある。(3) 原油価格変動によるリスク航空機燃料は原油精製による製品のため、その価格は原油価格に連動する傾向がある。産油国での政情不安、新興国の急激な経済成長に伴う原油需要の増加、石油備蓄量又は埋蔵量の低下、原油への投機的な投資行動、自然災害等の要因により原油価格が当社グループの予測を超えて変動した場合には、当社グループの経営に以下のような影響を及ぼす可能性がある。①原油価格が上昇した場合のリスク 原油価格が上昇すると、航空機燃料の価格も上昇するため、当社グループにとって大きな負担となる。このため、航空機燃料の価格変動リスクを抑制し、営業利益の安定化を図ることを目的として原油並びにジェット燃料のコモディティ・デリバティブを利用して一定期間のうちに計画的、継続的にヘッジ取引を実施しているが、原油価格が短期間で高騰した場合、自助努力によるコスト削減や運賃及び料金等への転嫁には限界があるため、ヘッジポジションの状況等によっては価格高騰の影響を完全には回避できない可能性がある。②原油価格が急落した場合のリスク 当社グループは原油価格の変動に対してヘッジを実施しているため、原油価格が短期間で急落した場合、燃油サーチャージ収入が減少あるいは消滅する一方で、ヘッジポジションの状況等によっては燃油費が即座には減少せず、価格下落の効果を享受できない可能性がある。 (4) 新型インフルエンザ等の感染症に関わるリスク新型インフルエンザをはじめ重大な感染症が発生・蔓延した場合の被害増大は、国際線のみならず全事業の需要減退リスクになり得る。風評による顧客の航空利用の意欲の低下を含め、感染拡大や被害増大により、国内線及び国際線の利用客数が激減し、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性がある。また、感染力が強い新型インフルエンザ等が流行し、予想を超える社員・委託先での罹患者の大量発生や毒性の変化が生じ強毒化した場合等は、事業継続面で影響を及ぼす可能性がある。 (5) 為替変動によるリスク当社グループは、外貨収入よりも外貨支出の方が多く、円安になった場合には収支に与える影響は少なくない。為替相場変動による収支への影響を緩和するため、同種通貨間においては収入で得た外貨を可能な限り外貨建て支出に充当しつつ、航空機及び航空機燃料の調達に必要な外貨の一部については、円貨換算ベースでの支払額の平準化並びに抑制を図ることを目的として先物為替予約及び通貨オプション取引を活用している。しかし、為替相場が短期間で急激に円安になった場合、自助努力によるコスト削減や運賃及び料金等への転嫁には限界があるため、ヘッジポジションの状況等によっては当社グループの収支に影響を及ぼす可能性がある一方、為替相場が短期間で急激に円高になった場合、ヘッジポジションの状況等によっては燃油費が即座には減少せず、円高の効果を享受できない可能性がある。 (6) 国際情勢等の影響によるリスク現在、当社グループは北米・欧州・中国・アジア方面を中心に国際線を展開している。今後、当社グループ就航地域や事務所等の拠点が所在する地域で政情不安、国際紛争、大規模なテロ事件が発生した場合や、就航国との外交関係が悪化した場合等、当該地域路線の需要の減少等により当社グループの経営に影響を及ぼす可能性がある。 (7) 法的規制に関わるリスク当社グループは、航空運送事業者として航空事業関連法規の定めに基づき事業運営を行っている。また、旅客・貨物を含めた国際線事業においては、条約、二国間協定、IATA(国際航空運送協会)及びICAO(国際民間航空機関)の決定事項その他の国際的取決めに従った事業運営が求められている。これらの規制により、当社グループの事業における運賃、飛行空域、運航スケジュール、安全管理等について様々な制約を受ける。更に、当社グループの事業は、運賃及び料金の設定につき独占禁止法その他諸外国の類似の法令の制約を受けることがある。 (8) 訴訟に関わるリスク当社グループは事業活動に関して各種の訴訟に巻き込まれるおそれがあり、これらが当社グループの経営に影響を及ぼす可能性がある。また、当社グループは以下の事象について、今後訴訟の提起等を受ける可能性があり、あわせて他の国及び地域においても同様の調査が開始される可能性がある。米国司法省から提起されていた国際航空貨物・旅客輸送に関わる価格調整等の容疑については、諸般の事情を総合的に勘案した結果、司法取引に合意しているが、提起されている旅客輸送に関する集団民事訴訟については、現時点では具体的な請求額の明示はなく、詳細の把握及び分析は困難な状況である。 (9) 公租公課等に関わるリスク航空事業に関する公租公課等として航空機燃料税や着陸料、航行援助施設利用料等があげられるが、航空機燃料税、着陸料及び航行援助施設利用料については現在、国の時限的な軽減措置を受けており、今後、軽減措置の縮小・廃止が行われた場合、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性がある。 (10) 環境規制に関わるリスク近年、地球環境保全の一環として、航空機による騒音、温室効果ガス(CO2等)の排出量、環境汚染物質の使用並びに処理、主な事業所におけるエネルギー使用等に関わる数多くの国内・海外法規制が導入、又は強化されつつある。当社グループは、これらの法規制を遵守するため多額のコストを負担しているが、2021年に向けて導入が決定されている国際的な温室効果ガスに関わる排出権取引スキーム、世界共通の環境税等の新たな規制が導入された際には、事業活動が制限され、又は多額の追加的費用を負担しなければならない可能性がある。 (11) 航空業界を取り巻く環境のリスク日本国内における航空政策あるいは地域政策の方針転換や、経営破綻等に起因する合併や資本提携による競合他社の状況変化等、今後、現在の競争環境や事業環境が大幅に変化した場合、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性がある。 (12) 競合リスク今後、燃油費、資金調達コスト、環境規制への対応その他の要因により、当社グループの事業にかかるコストが上昇する可能性がある。かかる場合、当社グループが利益を確保するためには、間接固定費の削減等のコスト削減を実施するとともに、かかるコストを運賃・料金等に転嫁する必要がある。しかしながら、当社は国内外の同業他社やLCCの他、一部の路線については新幹線等の代替交通機関と競合関係にあるため、かかるコストの転嫁により価格競争力が低下し、又は競合相手との価格競争上かかるコスト転嫁が大きく制約を受ける結果、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性がある。 (13) 提携戦略が奏功しないリスク当社グループは、スターアライアンスに加盟している。また、ATI(独占禁止法適用除外)認可に基づき、アジア米州間ネットワークにおいてはユナイテッド航空と、日欧間ネットワークにおいてはルフトハンザドイツ航空、ルフトハンザグループであるスイスインターナショナル エアラインズ、オーストリア航空、ルフトハンザカーゴAGとの共同事業を実施している。加えて、アジアを中心に、アライアンスの枠を超えた個別提携を推進している。しかしながら、各国の独占禁止法の制約によりアライアンスの解体を余儀なくされた場合、他のアライアンスパートナーが、スターアライアンスを脱退し、もしくは事業方針を変更した場合、他のアライアンス・グループが競争力を強化した場合、又は2社間提携の解消や経営悪化・再編、提携先の信用力の低下等が発生した場合、もしくは外的要因で提携活動に対する規制が強化されるようなことがあった場合等には、提携効果が低下し、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性がある。 (14) 運航リスク①航空機事故等当社グループ運航便及びコードシェア便で航空機事故が発生した場合、当社グループに対するお客様の信頼や社会的評価が失墜し、事故直後から中長期的に需要が低下して当社グループの経営に大きな影響を及ぼす可能性がある。なお、平成29年1月19日に新千歳空港で発生した、ANAウイングス株式会社が運航するANA1831便のオーバーランの件については、現在国土交通省運輸安全委員会により原因の究明が続けられているが、今後、最終的な調査結果が発表される予定である。また、他社において大規模な航空機事故が発生した場合においても、同様に航空需要が低下して当社グループの経営に影響を及ぼす可能性がある。なお、航空機事故が発生した場合、損害賠償や運航機材の修復・買換え等に多額の費用が発生するが、これらの直接的費用のすべてが航空保険にて填補されるわけではない。②耐空性改善通報等航空機の安全性を著しく損なう問題が発生した場合、法令に基づき国土交通大臣から耐空性改善通報等が発出され、機体や装備品に対し指示された改善策を施すまで同型式機材の運航が認められない場合がある。また、法令に基づく耐空性改善通報等が発出されない場合であっても、技術的見地から安全性が確認できない場合、自主的に同型式機材の運航を見合わせ、点検等の整備を行うことがある。このような事態が発生した場合、当社グループの航空機の安全性に関する信用及び経営に影響を及ぼす可能性がある。特に、当社グループは、ボーイング787型機等、新型機種への集約を進めているが、当社グループが依存する新型機種について設計上の欠陥又は技術的な問題が発生した場合には、当社グループの経営により深刻な影響を及ぼす可能性がある。 (15) 顧客情報等漏洩リスク当社グループは、ANAマイレージクラブの会員数約3,101万人(平成29年3月末日現在)に関わる会員情報をはじめ、膨大な顧客等に関する情報を保持しており、個人情報保護法やその他諸外国の類似法令により、これらの個人情報を適切に管理することが求められている。当社グループでは、プライバシーポリシーを定め、個人情報の取扱いに関する当社グループの姿勢・考え方を広くお客様に告知するとともに、システム対策を含め情報セキュリティについては想定しうる対策を講じている。また、セキュリティホールをなくすべく、業務手順の改定やシステム改修を継続的に実施しているが、不正アクセスや業務上の過失等、何らかの原因により大規模な個人情報漏洩事故が発生した場合、多額の損害賠償費用が発生し、また、信用失墜により、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性がある。 (16) 災害等リスク地震、津波、洪水、台風、積雪、火山噴火、感染症、ストライキ、暴動等により空港が長期間閉鎖又は運用制限がかかる場合、飛行経路が制限を受ける場合には、その間当該空港又は当該経路を利用する運航便に影響が生じ、又は航空需要が大幅に減退することにより、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性がある。特に、当社グループがデータセンターを首都圏に設置していること、国内線・国際線全便の運航管理を羽田空港にて実施していること及び当社グループの旅客の大半が首都圏空港を利用していること等により、地震、台風等の大規模災害が発生した場合、当該施設において火災等の災害が発生した場合、又はストライキ等により空港もしくはそのアクセスが閉鎖された場合、当社グループのシステムもしくは運航管理機能又は運航そのものが長期間停止し、当社グループの経営に重大な影響を及ぼす可能性がある。 (17) 損益構造に関わるリスク当社グループは、航空機材費等の固定費、並びに主として機種によって定まる燃料費及び空港使用料等、搭乗率の影響を受けない費用が全体のコストに占める割合が高く、経済状況に即応した事業規模調整の自由度が低位なため、旅客数あるいは貨物輸送量が減少した場合、損益に与える影響が大きくなる可能性がある。また、当社グループの航空旅客事業は夏場に売上が増加する傾向があるため、かかる時期において需要が大きく減少した場合には、その連結会計年度における当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。 (18) IT(システム)リスク当社グループは、お客様へのサービス及び運航に必要な業務等、システム依存度が高い業種といえる。自然災害、事故、コンピュータ・ウィルス、不正アクセス、電力供給の制約や大規模停電、故障や不具合等によりかかるシステムあるいは通信ネットワークに重大な障害が発生した場合、お客様へのサービス及び運航の維持が困難になるとともに、信用失墜により当社グループの経営に影響を及ぼす可能性がある。また、当社グループのシステムは他提携航空会社においても使用されており、その影響範囲は自社グループ内にとどまらなくなる可能性がある。 (19) 人事・労務に関わるリスク当社グループの従業員の多くは労働組合に所属しており、当社グループの従業員が集団的にストライキ等を行った場合、当社グループの航空機の運航が影響を受ける可能性がある。 (20) 人材確保に関わるリスクLCCの運航開始等により運航乗務員等に対する需要が高まっている一方、運航乗務員等の育成には一定期間の教育訓練等が必要であり、当社グループが適時に適切な員数の適正能力を有する運航乗務員等を確保できない場合には、当社グループの経営が影響を受ける可能性がある。また、労働市場における需給バランスの変化によって、空港ハンドリング等の人材不足、あるいは賃金水準の高騰が発生する可能性がある。 (21) 財務に関わるリスク①資金調達コストの増加当社グループは、機材調達等のため銀行借入・社債発行等により資金調達を行っている。しかしながら、今後、航空業界の事業環境が悪化した場合、金融市場が混乱した場合、税制、政府の金利政策や政府系金融機関の保証制度等が変更された場合、もしくは当社の信用格付けが格下げされた場合等においては、当社にとって有利な条件による資金調達が困難又は不可能となる結果、資金調達コストが増加し、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性がある。②資産減損等のリスク当社グループは、その事業の性質上多くの固定資産を保有しているが、今後各種事業収支が悪化した場合、あるいは資産売却を決定した場合等には、固定資産の減損損失又は売却損の計上が必要となる可能性がある。