事業等のリスク
主なリスクとして、鉄道事業における重大事故の発生は、多額の費用や信頼失墜につながる可能性があります。また、九州地域の人口減少や少子高齢化は、運輸サービスや商業施設の利用者減少、不動産販売の低迷に影響を及ぼす恐れがあります。地震や台風などの自然災害、テロなどの人的災害は、保有資産の損壊や事業運営の停止を引き起こす可能性があります。さらに、感染症の流行や経済動向、国際情勢の変化も、観光客の増減や資材価格の変動を通じて業績に影響を与える可能性があります。
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|14,393 文字
3【事業等のリスク】当社グループは、九州新幹線をはじめとした九州主要都市間を結ぶ鉄道ネットワークを有しており、鉄道事業に加えて、鉄道事業との相乗効果の高い不動産業(駅ビル商業施設、マンション、ホテル等)、小売業、飲食業、建設業等について九州を中心に展開しております。本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性のあると認識している主なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 1 安全の確保に関する事項鉄道事業にかかる重大事故があった場合、第三者から損害賠償等の請求を受ける可能性があるほか、損傷した鉄道路線の修繕や交換に要する多額の支出、運休による収入の減少及び当社グループの評判や社会的信頼の毀損を生じる可能性があります。なお、新幹線を中心に、鉄道ネットワークは相互連携しているため、比較的小規模な事故が当社グループの鉄道の運行に広範囲にわたって支障を来たす可能性があり、当社グループの収益の減少又は鉄道サービスや設備の安全性そのものに対する懸念や、場合によっては当社グループの鉄道事業以外の事業に対する社会的信頼やブランド価値に影響を及ぼす可能性があります。当社グループにおいて、基幹事業である鉄道事業の安全は最大の使命であり、企業価値の源泉であるという認識の下、経営トップの主体的関与により安全管理に係るPDCAサイクルを適切に機能させ、安全監査及び安全点検等を実施することにより、更なる安全の確保に努めています。 2 少子高齢化等の人口動向に関する事項当社グループの主な事業エリアである九州は、人口減少率が国内の他のエリアよりも高く、加えて高齢者の割合も高い傾向が続くと予測されています。今後の九州の人口減少及び少子高齢化によって、通勤や通学等の定期収入、ビジネスや旅行等の定期外収入が減少する場合、運輸サービスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの駅ビル等の商業施設や店舗等の利用者が減少する場合や、賃貸マンション・分譲マンションの利用者・購入者が減少する場合、不動産・ホテルグループや流通・外食グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。進行する人口減少に対して、当社グループは、沿線価値を高める駅ビル及びマンション開発等により沿線の定住人口を増やすとともに、ビジネスや観光、アジア各国との地理的なメリットを活かしたインバウンド需要の取り込み等により交流人口を増やし、鉄道事業の収入の確保や九州圏内の消費の活性化を図っております。 3 自然災害等に関する事項当社グループは、九州を中心として幅広い事業を展開しており、そのなかで鉄道軌道、鉄道車両、不動産といった多くの固定資産を有しているため、地震、火山の噴火、津波、台風、地滑り、豪雨、大雪、洪水等の自然災害、テロリズムや武力紛争等の人的災害が発生した場合には、かかる保有資産の大規模な修繕に加え、当社グループの業務運営の全部若しくは一部を継続できない又は重大な支障が生じる可能性があります。特に当社グループの事業が集中する九州あるいは福岡において甚大な被害が生じた場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。2020年7月に発生した「令和2年7月豪雨」の影響により、久大本線及び肥薩線の鉄道施設に被害を受け、肥薩線においては、現在も一部区間において代行輸送を行っております。昨今の自然災害の頻発及び激甚化を踏まえて、着実な安全投資を行い、新幹線脱線対策や構造物の耐震補強の対策や、降雨による線路沿線斜面の落石・崩落防止等の対策を講じるほか、机上訓練や避難誘導訓練等を実施する等、ハード及びソフト両面の防災及び減災対策の強化に努めております。 4 感染症に関する事項重大な感染症が国内外において発生・流行した場合、社会経済活動の制約やお客さまの外出の自粛、社員の感染等により、鉄道事業を始めとした当社グループの正常な事業活動ができなくなり、当社グループの財政状態及び経営成績に大きな影響を与える可能性があります。新型コロナウイルス感染症が発生・流行した際には、鉄道利用者の大幅な減少、駅ビル等商業施設の休館又は営業時間短縮等による賃料収入の低迷、ホテルの休館又は客室稼働率減等に伴う売上減少等の影響が発生しました。国内外で重大な感染症拡大の恐れがある場合には、当社が定める「新型インフルエンザ等対策業務計画」に基づき、社長を対策本部長とする対策本部を設置し、政府関係機関・自治体との連携や感染防止への措置など、事業継続に向けた対策を速やかに実施します。 5 経済動向や国際情勢に関する事項当社グループは、運輸サービス、不動産・ホテル、流通・外食、建設、ビジネスサービス等の様々な事業を主に九州で展開しており、消費増税や政府による経済政策の影響等、日本全体の経済環境のほか、福岡市やその他の主要都市部をはじめとした九州の経済環境の影響下にあります。また、昨今の米国等の関税影響、為替相場の状況、政治的要因、自然災害、異常気象、事故、感染症の流行等の国内外の状況により、韓国、中国、台湾、香港その他の近隣のアジア諸国及び地域をはじめとした海外からの観光客の増減、資材やエネルギー調達価格の変動等の影響を受ける可能性があります。これらにより、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 6 JR九州グループ会社に対するガバナンス強化策に関する事項当社は、グループ会社に対するガバナンス強化に取り組んでおりますが、グループ会社においてガバナンス強化策が着実に実行されず、安全や法令順守意識の欠如、安全管理体制の不備、法令に関する理解不足等により、社会的影響の大きい事象を発生させてしまった場合、当社グループの信用が失墜すると共に、事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社は、連結子会社であるJR九州高速船株式会社において、安全確保に関わる重大な問題が発生したことを受け、2024年9月3日に第三者委員会を設置し調査を実施いたしました。第三者委員会からの調査報告書を踏まえ、2024年11月26日に公表しました再発防止策で、グループ会社に対するガバナンス強化策を定めております。今後も継続的に取り組み、当社グループにおける安全意識の向上及び安全管理体制の再構築を図り、安全を最優先とした事業運営を行ってまいります。 7 情報技術(IT)上の問題に関する事項当社グループにおいては、鉄道事業をはじめとする様々な事業を安全かつ適切に運営するため、様々なITシステムを利用しています。また、当社グループと取引関係にある他の会社(各旅客会社間の収入清算等の計算業務を委託している鉄道情報システム株式会社等)においても同様にITシステムが利用されております。当社グループではDX戦略を制定し、ITシステムのセキュリティ強化を進めるとともに、インシデントの早期検知や復旧等の対応能力向上に努めております。また、情報セキュリティ委員会を設置し、セキュリティリスクを経営課題としてとらえ、グループ全体の対策推進に取り組んでおります。しかしながら、それらの施策にもかかわらず、当社グループ又は当社グループと取引関係にある他の会社のITシステムに関する事故、故障、サイバー攻撃及び人為的な過誤・不正操作等により、鉄道の遅延、不具合、きっぷの発券及び予約機能の障害又は遅延をはじめとして、当社グループの事業運営に様々な問題が起こる可能性があるとともに、当社グループの安全性又は信頼性に対する懸念が生じ、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 8 個人情報保護に関する事項当社グループは、鉄道事業をはじめとする様々な事業を営んでおり、これらの性質上多数の個人・法人の顧客から様々な情報を取得し保有しております。個人情報に関して、当社グループは、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)に基づき、個人情報取扱事業者として、個人情報保護に係る義務等の遵守が求められており、社内規程の整備、セキュリティ強化及び社員教育の徹底等の対策に努めております。しかしながら、当社グループが保有する顧客情報等の個人情報やその他重要な情報が外部に漏洩した場合には、損害賠償請求や行政処分を受ける可能性があります。また、かかる事案に対応するための時間及び費用が生じ、当社グループの事業運営上の支障や社会的信用の低下による顧客喪失等により、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 9 競合に関する事項当社グループの各事業は競争に晒されています。運輸サービスグループにおいては、安全性、コスト、速達性、利便性、快適性その他の点で、他の鉄道会社に加え、自動車、バス、航空機、船舶等の他の輸送機関との間でも競合しております。特に九州では高速道路が多く利用されており、都市間を結ぶ当社グループの新幹線や特急列車と競合しています。また、不動産・ホテルグループにおいては、利便性、顧客獲得能力、価格、賃料その他の賃貸条件、ブランド力の点で、他の不動産デベロッパーやホテル事業者と競合しています。そのほか、流通・外食グループにおいては利便性、価格、施設の魅力、顧客満足度等の点で類似の小売・飲食事業者と、建設グループ及びビジネスサービスグループにおいては九州全域又はその他の地域に所在し類似サービスを提供する事業者と競合しています。当社グループが顧客の嗜好や需要の変化、技術の進展に対応できず、又は、競合他社の統合等により競争力を向上又は維持できない場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 10 保有資産の価値に関する事項当社グループは、土地その他の不動産を中心に、多くの固定資産を所有しており、経営環境の変化や収益性の低下等により当該固定資産への投資額の回収が見込めなくなった場合には、減損損失を計上することが必要になり、また、将来かかる資産を簿価未満で売却する場合には、売却損を計上する可能性があります。当社グループは、鉄道事業において継続的に多額の設備投資を実施しているため、将来において鉄道事業の業績が予想以上に低調となった場合には、鉄道事業固定資産について減損損失を計上する可能性があります。また、当社グループの繰延税金資産は、税務上の繰越欠損金及び将来減算一時差異について、収益力及びタックス・プランニングに基づく将来の課税所得発生額を見積り、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると認められる範囲内で計上しております。従って、将来の課税所得の予測・仮定に基づいて繰延税金資産の一部又は全部の回収ができないと判断した場合、繰延税金資産は減額される可能性があります。さらに、市場金利の変動や発行主体の業績又は資産状況の悪化等により、当社が保有する投資有価証券等の金融資産の市場価値が下落する可能性があります。このような事象が生じた場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 11 外部委託先や取引先に関する事項当社グループは、事業上様々な局面において、第三者である外部事業者に対し、業務委託等を行っております。例えば、不動産・ホテルグループでは、建設業務の一部及び居住用物件の賃貸及び販売管理を第三者に委託しております。さらに、流通・外食グループ及びビジネスサービスグループでは、第三者生産者、卸売業者及びメーカーより原材料や商品の仕入れを行い、コンビニエンスストアの運営については株式会社ファミリーマートとのフランチャイズ契約に基づいております。このため、これらの第三者又はその再委託先が、当社グループの定める基準を満たす商品やサービスの提供等を怠った場合やこれらの第三者に起因する問題や事故が発生した場合、当社グループの社会的信用や当社グループの事業等に重大な影響を及ぼし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 12 企業買収等に関する事項当社グループは、成長戦略として企業買収等を行っており、また、将来行う可能性があります。企業買収等の実施に当たっては、対象会社の財務内容等に関するデューデリジェンスを綿密に行いますが、当該デューデリジェンスの過程で検知できなかった偶発債務や未認識債務等が顕在化した場合等には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。加えて、適切な対象企業を見つけることができないこと、受入可能な取引条件を交渉・合意できないこと、買収資金を調達できないこと、必要な同意や許可等を取得できないこと、法令上の問題を解決できないこと等の理由に基づき、企業買収等を行うこと自体ができない可能性もあります。また、企業買収等実行後の事業環境の変化に伴い、対象会社の収益力が低下した場合や期待するシナジーが実現できない場合、減損損失を認識する必要が生じ、投資の回収が不可能となる等、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 13 環境規制や気候変動に関する事項当社グループは、主として運輸サービスグループ及び不動産・ホテルグループにおいて、不動産を所有しております。当社グループは、かかる不動産の取得に際し、土壌汚染、水質汚濁、建物へのアスベスト等の有害物質等の使用に関する環境調査を実施しておりますが、かかる調査によりすべての有害物質等の存在又は使用等が事前に判明する保証はありません。また、土地の所有者は、土壌汚染対策法(平成14年法律第53号)に基づき、さまざまな場面において、土壌汚染に関する調査を実施しなければならず、また、人体への健康被害を生じうる土壌汚染が判明した場合には、その所有者は、土壌汚染に関する帰責性の有無及び善意・悪意を問わず、当局より有害物質等の除去を命じられる可能性があります。また、建築基準法(昭和25年法律第201号)及び大気汚染防止法(昭和43年法律第97号)に基づき、既存建物の解体、修繕等に関し、アスベストの除去又はその他一定の措置を講じる必要があります。有害物質等の存在は、不動産の販売、賃貸借、開発又は担保としての利用の制約となる可能性があり、また、資産価値の低下、有害物質等の除去等に要する費用の増加等を生じる可能性があります。また、同様に、ポリ塩化ビフェニルについてもポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(平成13年法律第65号)に基づき適正に保管、処分等を実施するために、費用の増加等を生じる可能性があります。さらに、かかる有害物質に起因して、現実に人体への健康被害等が生じた場合には、当社グループは、損害賠償等の責任を負う可能性があります。その結果、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、2015年の国連気候変動枠組条約第21回締約国会議での「パリ協定」採択を機に、世界的に脱炭素社会に向けた動きが広がっております。こうしたなか、低炭素化に向けた政策・規制の見直しが実施され、税負担、事業活動における諸材料・エネルギーの調達コスト、設備・車両の変更等の対応費用が増加する可能性があります。また、気候変動が進展し、自然災害の頻発や激甚化により設備への被害が増額した場合に、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループでは、脱炭素社会の実現を重要課題の一つと位置付け、気候変動問題への対応を進めており、2021年2月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明するとともに、TCFDに沿った気候関連情報を開示しました。また、鉄道事業における省エネ型車両の導入、建物の省エネ化及び再生可能エネルギーの導入などの取り組みを推進するとともに、2025年2月には2050年GHG排出量実質ゼロに向けたロードマップを策定しました。しかしながら、このような取り組みにも関わらず、株主・投資家から低炭素化への取り組みが不十分である、又は気候変動に関する情報開示に的確に対応していない、などと判断され信頼・評価が低下した場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 14 特有の法的規制(1)鉄道事業に係る法律関連事項当社は、鉄道事業者として鉄道事業法の定めに基づき事業運営を行っております。また、JR会社法の適用対象からは除外されたものの、同法の附則に定められた「当分の間配慮すべき事項に関する指針」等に配慮した事業運営が求められております。これらの詳細については、以下のとおりです。① 鉄道事業法(昭和61年法律第92号)当社グループの鉄道事業においては、鉄道事業法の規制を受けております。鉄道事業者は本法の定めに従い、営業する路線及び鉄道事業の種別ごとに国土交通大臣の許可を受けなければならない(第3条)とともに、旅客の運賃及び料金について国土交通大臣の認可を受け、その範囲内での設定・変更を行う場合は、事前届出を行うこととされております(第16条)。また、鉄道事業の休廃止については、国土交通大臣に事前届出(廃止の場合は廃止日の1年前まで)を行うこととされております(第28条、第28条の2)。この他、国土交通省の指針や事業の公益性の観点から鉄道事業において大きな方針転換を図ることができない可能性があります。 ② 旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律(平成27年法律第36号)(以下「JR会社法改正法」という。)JR会社法改正法附則第2条において、当社及び当社の鉄道事業の全部又は一部を譲受け、合併等により施行日以降経営する者のうち国土交通大臣が指定するもの(以下「新会社」という。)が事業を営むに際し、当分の間配慮すべき事項に関する指針(以下「指針」という。)を定めると規定されております。この指針は2015年12月に告示され、2016年4月1日より適用されております。指針に定められた内容は概ね次のとおりです。・会社間(新会社との間又は、新会社と北海道旅客鉄道株式会社、四国旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社又は東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社、西日本旅客鉄道株式会社、並びにその事業の全部若しくは一部を譲受、合併、分割、相続によりJR会社法の改正法(平成13年法律第61号)の施行日以後経営するもののうち国土交通大臣が指定するものとの間をいう。)における旅客の運賃及び料金の適切な設定、鉄道施設の円滑な使用その他鉄道事業に関する会社間における連携及び協力の確保に関する事項・国鉄改革の実施後の輸送需要の動向その他新たな事情の変化を踏まえた現に営業している路線の適切な維持及び駅その他の鉄道施設の整備に当たっての利用者の利便の確保に関する事項・新会社がその事業を営む地域において当該事業と同種の事業を営む中小企業者の事業活動に対する不当な妨害又はその利益の不当な侵害を回避することによる中小企業者への配慮に関する事項国土交通大臣は、指針を踏まえた事業経営を確保するため必要があると認めるときは、新会社に対し、その事業経営について必要な指導及び助言をすることができるとされており(附則第3条)、さらに正当な理由がなく指針に反する事業運営を行ったときには、勧告をすることができるとされております(附則第4条)。なお、当社はこれまでも指針に定められた事項に沿った事業運営を行ってきており、この指針は今後の当社の事業運営に大きな影響を及ぼすものではないと考えております。 (2)運賃及び料金の設定又は変更当社が鉄道事業における運賃及び料金を設定又は変更する際には、鉄道事業法に規定された必要な手続きを経る必要があり、何らかの理由により当該手続きに基づいた運賃及び料金の設定又は変更を機動的に行えない場合には、当社の収益に影響を与える可能性があります。手続きの詳細については以下のとおりです。① 運賃及び料金の認可の仕組みと手続き鉄道運送事業者が旅客の運賃及び新幹線特急料金(以下「運賃等」という。)の上限を定め、又は変更しようとする場合、国土交通大臣の認可を受けなければならないことが法定されております(鉄道事業法第16条第1項)。また、その上限の範囲内での運賃等の設定・変更及び在来線特急料金等その他の料金の設定・変更については、事前の届出で実施できることとなっております(鉄道事業法第16条第3項及び第8項)。鉄道運送事業者の申請を受けて国土交通大臣が認可するまでの手続きは、概ね次のようになっております。 (注)1 鉄道事業法第64条の2に基づく手続きであります。また、国土交通省設置法第23条では、運輸審議会が審議の過程で必要があると認めるとき又は国土交通大臣の指示等があったときに公聴会が開かれることが定められております。2 鉄道営業法第3条第2項で、運賃その他の運送条件の加重をなす場合に7日以上の公告をしなければならないことが定められております。 なお、各旅客会社における独自の運賃改定の実施の妨げとなるものではありませんが、国鉄改革の実施に際し利用者の利便の確保を図るため、旅客会社では、現在、2社以上の旅客会社間をまたがって利用する旅客及び荷物に対する運賃及び料金に関し、旅客会社間の契約により通算できる制度とし、また、運賃について、遠距離逓減制を加味したものとしております。 ② 運賃改定に対する当社の考え方イ 当社では、1987年4月の会社発足以降、消費税等を転嫁するための運賃改定(1989年4月、1997年4月、2014年4月及び2019年10月)を除くと、1996年1月10日に初めての運賃改定(平均7.8%)を実施し、2025年4月1日に29年ぶりとなる2度目の運賃改定(平均15.0%)を実施いたしました。今後も総合的な経営判断に立ち、適正な利潤を確保し得るような運賃改定を適時実施する必要があると考えております。ロ 事業経営に当たっては、まず収入の確保と合理化努力を進め効率的な経営に努めますが、適正利潤についてはこのような努力を前提とした上で、将来の設備投資や財務体質の強化等を可能なものとする水準にあることが是非とも必要であると考えております。ハ 鉄道事業の資本費用に大きな影響を与える設備投資については、安全・安定輸送を前提とし、案件ごとに必要性等を勘案しつつ実施しております。なお、当社としましては、事業者の明確な経営責任の下で主体的に設備投資に取り組むことが必要であると認識しているところであります。 ③ 国土交通省の考え方当社の運賃改定に関し、国土交通省からは、次のような考え方が示されております。イ 当社を含む鉄道事業の運賃の上限の改定に当たっては、鉄道事業者の申請を受けて、国土交通大臣が、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたもの(以下「総括原価」という。)を超えないものかどうかを審査して認可することとなっている(鉄道事業法第16条第2項)。なお、原価計算期間は3年間とする。ロ 総括原価を算定するに当たっては、他の事業を兼業している場合であっても鉄道事業部門のみを対象として、所要の株主配当を含めた適正な利潤を含む適正な原価を算定することとなっている。また、通勤・通学輸送の混雑等を改善するための輸送力の増強、旅客サービス向上等に関する設備投資計画の提出を求め、これについて審査を行い、必要な資本費用については原価算入を認めているところである。ハ 総括原価を算定する方法としては、当該事業に投下される資本に対して、機会費用の考え方による公正・妥当な報酬を与えることにより資本費用(支払利息、配当金等)額を推定するレートベース方式を用いる方針であり、総括原価の具体的な算定は以下によることとしている。総括原価=営業費等(注1)+事業報酬・事業報酬=事業報酬対象資産(レートベース)×事業報酬率・事業報酬対象資産=鉄道事業固定資産+建設仮勘定+繰延資産+運転資本(注2)・事業報酬率=自己資本比率(注3)×自己資本報酬率(注4)+他人資本比率(注3)×他人資本報酬率(注5)(注)1 鉄道事業者間で比較可能な費用について、経営効率化を推進するため各事業者間の間接的な競争を促す方式(ヤードスティック方式)により、比較結果を毎事業年度終了後に公表するとともに、原価の算定はこれを基に行うこととしている。2 運転資本=営業費及び貯蔵品の一部3 自己資本比率30%、他人資本比率70%4 自己資本報酬率=公社債利回り実績値+β×(全産業(陸運業除く。)平均自己資本利益率-公社債利回り実績値) ※ 公社債利回り実績値:国債(10年もの)、地方債、政府保証債の平均の過去5年平均 ※ β:(TOPIXの変化率と鉄道会社の株価変化率の共分散)÷(TOPIXの変化率の分散)5 他人資本報酬率=当社の場合、法定債務を除き、債務実績利子率の上場旅客会社4社平均の過去5年平均ニ なお、認可した上限の範囲内での運賃等の設定・変更、又はその他の料金の設定・変更は、事前の届出で実施できることとなっているが、国土交通大臣は、届出された運賃等が、次の(a)又は(b)に該当すると認めるときは、期限を定めてその運賃等を変更すべきことを命じることができるとされている(鉄道事業法第16条第9項)。(a)特定の旅客に対し不当な差別的取扱いをするものであるとき(b)他の鉄道運送事業者との間に不当な競争を引き起こすおそれがあるものであるとき (3)整備新幹線についてア.整備新幹線の建設計画整備新幹線は、1970年に制定された全国新幹線鉄道整備法(昭和45年法律第71号)に基づき、1973年に整備計画が決定されており、当社は九州新幹線(鹿児島ルート(福岡市~鹿児島市)、西九州ルート(福岡市~長崎市))について営業主体とされました。このうち、九州新幹線(鹿児島ルート)については、2004年3月13日に新八代・鹿児島中央間、2011年3月12日に博多・新八代間がそれぞれ開業しました。九州新幹線(西九州ルート)については、武雄温泉・長崎間(西九州新幹線)がフル規格で建設主体である鉄道建設・運輸施設整備支援機構(以下「鉄道・運輸機構」という。)により工事が進められ、2022年9月23日に武雄温泉駅で博多・武雄温泉間を走行する在来線特急と対面乗換を行うこと(いわゆるリレー方式)により暫定開業しました。また、新鳥栖・武雄温泉間については、当初、在来線を活用する軌間可変電車を導入する予定であったものの、2017年7月14日の国土交通省の軌間可変技術評価委員会において、軌間可変電車の安全性、経済性について引き続き課題が残っているものと評価されるなど、軌間可変電車の開発状況に鑑み、2018年7月19日に与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム九州新幹線(西九州ルート)検討委員会(以下「検討委員会」という。)により導入が断念されました。その後、2019年8月5日の検討委員会において、「九州新幹線(西九州ルート)の整備のあり方等に関する基本方針」が示され、武雄温泉駅での対面乗換が恒久化することはあってはならず、新鳥栖・武雄温泉間はフル規格(複線)で整備することが適当であることと、今後は、国土交通省、佐賀県、長崎県、当社の間で協議を行い、検討を深めていくべきであり、国土交通省に対し、協議の実施と検討委員会への報告を求めることとされました。以後、これまでに国土交通省と佐賀県との間で複数回の協議がなされ、この間、国土交通省と当社、国土交通省と長崎県との間でも個別に協議が行われましたが、合意には至っておりません。したがって、現時点において、新鳥栖・武雄温泉間の整備方式は決定しておりません。 イ.整備新幹線建設の費用負担整備新幹線は、鉄道・運輸機構が建設を行っており、その費用は国、地方公共団体及びJRが負担することとされていますが、当社の負担については、整備新幹線の営業主体となるJRが支払う貸付料を充てることとされています。1997年10月の北陸新幹線高崎・長野間の開業に伴い、整備新幹線の営業主体であるJRが支払う貸付料の額の基準が設けられ、現在は独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法施行令(平成27年政令第392号)(以下「施行令」という。)第6条に規定されています。施行令において、貸付料の額は、当該新幹線開業後の営業主体の受益の程度を勘案し算定された額に、貸付けを受けた鉄道施設に関して鉄道・運輸機構が支払う租税及び鉄道・運輸機構の管理費の合計額を加えた額を基準として、鉄道・運輸機構において定めるものとされています。ここでいう受益は、新幹線が開業した場合の当該新幹線区間及び関連線区区間の収支と、開業しなかったと仮定した場合の並行在来線及び関連線区区間の収支を比較し、前者が後者より改善することにより営業主体が受けると見込まれる利益とされており、具体的には、開業後30年間の需要予測及び収支予測に基づいて算定されることとなります。なお、この受益の程度を勘案し算定された額については、開業後30年間は定額とされています。また、租税及び鉄道・運輸機構管理費相当額については、営業主体の当該新幹線開業後の経費として、受益算定の際に反映されています。整備新幹線の建設を行う鉄道・運輸機構は建設費の調達を行い、建設した施設を保有することとされています。当社は完成後にこの施設の貸付けを受け、開業後に上記の貸付料を支払うこととなっており、建設期間中における同機構への建設費の直接負担は原則としてないものとされています。なお、九州新幹線(鹿児島ルート)については、JR会社法改正法及び九州旅客鉄道株式会社の経営安定基金の取崩しに関する省令(平成27年国土交通省令第61号)に基づき、上記貸付料の定額部分につき、2016年4月1日から各区間の開業後30年までに係る貸付料の全額(約2,205億円)を一括して2015年度末に鉄道・運輸機構に支払っております。また、2022年9月23日に開業した武雄温泉・長崎間(西九州新幹線)について、当該路線の営業主体となる当社が、建設主体である鉄道・運輸機構に支払う新幹線鉄道施設の貸付料の年額は、定額部分5.1億円に租税及び管理費相当額を加えた額となります。 ウ.並行在来線の扱い九州新幹線(鹿児島ルート)については、2004年3月の新八代・鹿児島中央間の開業時に、並行在来線である鹿児島本線八代・川内間は経営分離され、「肥薩おれんじ鉄道株式会社」に引き継がれました。また、西九州新幹線については、長崎本線江北・諫早間は経営分離せず、2022年9月23日の開業時点で上下分離し、当社は、当該開業時点から3年間は一定水準の列車運行のサービスレベルを維持するとともに、当該開業後、23年間運行を維持することを関係6者(当社、佐賀県、長崎県、検討委員会、国土交通省及び鉄道・運輸機構)にて合意しており、2022年9月の武雄温泉・長崎間(西九州新幹線)の開業時に、当該合意に基づいて、長崎本線江北・諫早間の鉄道施設の一部を「一般社団法人佐賀・長崎鉄道管理センター」に譲渡し、上下分離方式へ移行しております。 エ.整備新幹線建設に関する当社の考え方イ.記載の貸付料のうち、受益の程度を勘案して算定される額は、実際の収益に関わらず定額を支払うこととされているため、収支が予測を下回る場合、当社の鉄道事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。当社は、2019年3月27日の検討委員会において、リレー方式による運営が長期化又は固定化することは、地域振興効果が極めて限定的になること等から、到底受け入れられない旨の表明をしております。また、少しでも早期に全線開業できるよう要望しており、2024年7月30日の検討委員会においても、同様の要望をしております。さらに、2019年4月12日に国土交通省より鉄道・運輸機構に対して、工事予算の増額等を主旨とする工事実施計画(武雄温泉・長崎間)の変更認可がなされました。なお、2018年11月28日の与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームにおいて、当社は、整備新幹線の建設費に応じて貸付料を引上げることについて、整備新幹線の基本的なスキームを大幅に逸脱するものであり受け入れられるものではない旨の表明をしております。また、2021年6月14日に検討委員会より、九州新幹線(西九州ルート)について、新鳥栖・武雄温泉間の在来線については、JR九州が運行を維持することが不可欠である等の検討状況が示されました。なお当社は、経営上極めて重要な課題となる並行在来線の取扱いについては、・在来線の利便性の問題は、地域の皆さまにとって重要な課題である・必ずしも経営分離を前提とせず、佐賀県等から具体的な課題認識のご意見を拝聴しながら、真摯に議論を 深めたい・佐賀県と国土交通省の「幅広い協議」において、「フル規格」という選択肢にある程度の目途がつきそう な段階になれば、議論を深めたいとの考えを、国土交通省との協議において示しております。 15 不動産・ホテルグループに関する事項当社グループの不動産・ホテルグループにおいては、収益化まで長期にわたるプロジェクトの各過程で多額の投資を行います。そして、建設資材価格及び人件費の上昇による建設費の増加、金利水準並びに金融政策をはじめとする当社グループが制御できないさまざまな外部要因により、完成に要する時間と投資額等が増加し、想定していた収益を生まないことがあります。不動産販売業においては、販売価格の低下や、完成した販売用不動産を長期にわたって保有せざるを得ない場合に評価損を認識することがあります。不動産賃貸業においては、大型テナントの喪失、空室率の上昇や賃料の低下が生じる場合があり、駅ビル商業施設のテナント売上が減少した場合は、賃料収入の売上連動部分が減少します。ホテル業においては、景気動向の影響を受けやすいため、景気低迷による企業活動の縮小や個人消費の減退が続いた場合、過当な価格競争による売上減少、また、これに伴う事業収支の悪化により、有形固定資産の減損損失を計上する可能性があります。また、当社グループは、プロジェクトの完成後にも、テナント、居住者その他の利用者に生じた不測の損失、損害、被害の責任や、建築瑕疵の補償費用の負担を負うことがあります。このような事象が生じた場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
FY2024|15,016 文字
3【事業等のリスク】当社グループは、九州新幹線をはじめとした九州主要都市間を結ぶ鉄道ネットワークを有しており、鉄道事業に加えて、鉄道事業との相乗効果の高い不動産業(駅ビル商業施設、マンション、ホテル等)、小売業、飲食業、建設業等について九州を中心に展開しております。本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、これらは当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 1 感染症に関する事項2020年2月頃からの急速な新型コロナウイルス感染症の拡大及び緊急事態宣言の発令に伴い、社会経済活動に大きな制約が生じ、当社グループにおいても、鉄道利用者の大幅な減少、駅ビル等商業施設の休館又は営業時間短縮等による賃料収入の低迷、ホテルの休館又は客室稼働率減等に伴う売上減少、コンビニエンスストア及び飲食店舗等の休業、営業時間短縮又は利用者減少等による売上減少等の影響を受けておりましたが、提出日現在においては、新型コロナウイルス感染症による行動制限の解除に伴う社会経済活動の正常化が進み、サービス分野を中心に緩やかな景気の回復が続いております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の完全収束後も、在宅勤務やオンライン授業の拡大などにより、人々が移動又は接触を避ける新しい行動様式が広まる場合には、当社グループの鉄道、駅ビル商業施設、ホテル、コンビニエンスストア及び飲食店舗等への需要が中長期的に減退する可能性もあります。このように、新型コロナウイルス感染症、SARS(重症急性呼吸器症候群)、新型インフルエンザ等をはじめとする重大な感染症が国内外で発生・蔓延し、インバウンドを含めた人的移動の自粛や制限、企業活動の縮小、サプライチェーンの寸断等が生じることで経済活動全体が停滞した場合、当社グループの事業における需要の減退等により、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。国内外で重大な感染症拡大の恐れがある場合、対策本部を設置し、政府関係機関・自治体との連携や感染防止への措置など、事業継続に向けた対策を速やかに実施します。しかしながら、感染力が強く、社員や委託先に罹患者が大量発生した場合等は、事業の継続に影響を及ぼす可能性があります。 2 少子高齢化等の人口動向に関する事項当社グループの主な事業エリアである九州は、人口減少率が国内の他のエリアよりも高く、加えて高齢者の割合も高い傾向が続くと予測されています。進行する人口減少に対して、当社グループは、沿線価値を高める駅ビル及びマンション開発等により沿線の定住人口を増やすとともに、ビジネスや観光、アジア各国との地理的なメリットを活かしたインバウンド需要の取り込み等により交流人口を増やし、鉄道事業の収入の確保や九州圏内の消費の活性化を図っております。今後の九州の人口減少及び少子高齢化によって、通勤や通学等の定期収入、ビジネスや旅行等の定期外収入が減少する場合、運輸サービスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの駅ビル等の商業施設や店舗等の利用者が減少する場合や、賃貸マンション・分譲マンションの利用者・購入者が減少する場合、不動産・ホテルグループや流通・外食グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 3 自然災害等に関する事項当社グループは、九州を中心として幅広い事業を展開しており、そのなかで鉄道軌道、鉄道車両、不動産といった多くの固定資産を有しているため、地震、火山の噴火、津波、台風、地滑り、豪雨、大雪、洪水等の自然災害、テロリズムや武力紛争等の人的災害が発生した場合には、かかる保有資産の大規模な修繕に加え、当社グループの業務運営の全部若しくは一部を継続できない又は重大な支障が生じる可能性があります。特に当社グループの事業が集中する九州あるいは福岡において甚大な被害が生じた場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。2016年4月に発生した「平成28年熊本地震」では、九州新幹線をはじめとして当社グループの施設が大きな被害を受けました。また、2020年7月に発生した「令和2年7月豪雨」の影響により、久大本線及び肥薩線の鉄道施設に被害を受け、肥薩線においては、現在も一部区間において代行輸送を行っております。昨今の自然災害の頻発及び激甚化を踏まえて、着実な安全投資を行い、新幹線脱線対策や構造物の耐震補強の対策や、降雨による線路沿線斜面の落石・崩落防止等の対策を講じるほか、机上訓練や避難誘導訓練等を実施する等、ハード及びソフト両面の防災及び減災対策の強化に努めております。 4 経済動向や国際情勢に関する事項当社グループは、運輸サービス、不動産・ホテル、流通・外食、建設、ビジネスサービス等の様々な事業を主に九州で展開しており、消費増税や政府による経済政策の影響等、日本全体の経済環境のほか、福岡市やその他の主要都市部をはじめとした九州の経済環境の影響下にあります。また、為替相場の状況、政治的要因、自然災害、異常気象、事故、感染症の流行等の国内外の状況により、韓国、中国、台湾、香港その他の近隣のアジア諸国及び地域をはじめとした海外からの観光客の増減、資材やエネルギー調達価格の変動等の影響を受ける可能性があります。これらにより、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 5 中期経営計画に関する事項当社グループは2022年3月に「JR九州グループ中期経営計画2022-2024」を発表し、経営数値目標を定めております。しかし、例えば、今後の新型コロナウイルス感染症の状況、人々の価値観やライフスタイルの変化、国内外及び九州の政治・経済情勢、大規模な自然災害、不動産市況、エネルギー価格の高騰、法令規制の変化、雇用環境の悪化、新規事業の経験不足、提携や買収の失敗、その他幅広いリスク・要因の影響を受け、重点戦略としている「事業構造改革の完遂」、「豊かなまちづくりモデルの創造」及び「新たな貢献領域での事業展開」やデジタル化の推進、事業ポートフォリオの組み換え、成長投資等を計画どおりに推進できない場合には、当中期経営計画における目標を達成できない可能性があります。また、当社グループの運輸サービスと不動産・ホテルの両事業は相互に関連しているため、一部の事業の低迷が他の事業にも影響する可能性があります。その他、当社グループの施策が奏功しなかった場合、当社グループの前提及び予測が不正確若しくは不十分であった場合、又は顕在化したリスク要因に対して当社グループが適切な対応を実施できない場合等においては、当中期経営計画における目標の達成に影響を及ぼす可能性があります。 6 情報技術(IT)上の問題に関する事項当社グループにおいては、鉄道事業をはじめとする様々な事業を安全かつ適切に運営するため、様々なITシステムを利用しています。また、当社グループと取引関係にある他の会社(各旅客会社間の収入清算等の計算業務を委託している鉄道情報システム株式会社等)においても同様にITシステムが利用されております。当社グループではDX戦略を制定し、ITシステムのセキュリティ強化を進めるとともに、インシデントの早期検知や復旧等の対応能力向上に努めております。しかしながら、それらの施策にもかかわらず、当社グループ又は当社グループと取引関係にある他の会社のITシステムに関する事故、故障、サイバー攻撃及び人為的な過誤・不正操作等により、鉄道の遅延、不具合、きっぷの発券及び予約機能の障害又は遅延をはじめとして、当社グループの事業運営に様々な問題が起こる可能性があるとともに、当社グループの安全性又は信頼性に対する懸念が生じ、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 7 個人情報保護に関する事項当社グループは、鉄道事業をはじめとする様々な事業を営んでおり、これらの性質上多数の個人・法人の顧客から様々な情報を取得し保有しております。個人情報に関して、当社グループは、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)に基づき、個人情報取扱事業者として、個人情報保護に係る義務等の遵守が求められており、社内規程の整備、セキュリティ強化及び社員教育の徹底等の対策に努めております。しかしながら、当社グループが保有する顧客情報等の個人情報やその他重要な情報が外部に漏洩した場合には、損害賠償請求や行政処分を受ける可能性があります。また、かかる事案に対応するための時間及び費用が生じ、当社グループの事業運営上の支障や社会的信用の低下による顧客喪失等により、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 8 競合に関する事項当社グループの各事業は競争に晒されています。運輸サービスグループにおいては、安全性、コスト、速達性、利便性、快適性その他の点で、他の鉄道会社に加え、自動車、バス、航空機、船舶等の他の輸送機関との間でも競合しております。特に九州では高速道路が多く利用されており、都市間を結ぶ当社グループの新幹線や特急列車と競合しています。また、不動産・ホテルグループにおいては、利便性、顧客獲得能力、価格、賃料その他の賃貸条件、ブランド力の点で、他の不動産デベロッパーやホテル事業者と競合しています。そのほか、流通・外食グループにおいては利便性、価格、施設の魅力、顧客満足度等の点で類似の小売・飲食事業者と、建設グループ及びビジネスサービスグループにおいては九州全域又はその他の地域に所在し類似サービスを提供する事業者と競合しています。当社グループが顧客の嗜好や需要の変化、技術の進展に対応できず、又は、競合他社の統合等により競争力を向上又は維持できない場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 9 保有資産の価値に関する事項当社グループは、土地その他の不動産を中心に、多くの固定資産を所有しており、経営環境の変化や収益性の低下等により当該固定資産への投資額の回収が見込めなくなった場合には、減損損失を計上することが必要になり、また、将来かかる資産を簿価未満で売却する場合には、売却損を計上する可能性があります。当社グループは、鉄道事業において継続的に多額の設備投資を実施しているため、将来において鉄道事業の業績が予想以上に低調となった場合には、鉄道事業固定資産について減損損失を計上する可能性があります。また、当社グループの繰延税金資産は、税務上の繰越欠損金及び将来減算一時差異について、収益力及びタックス・プランニングに基づく将来の課税所得発生額を見積り、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると認められる範囲内で計上しております。従って、将来の課税所得の予測・仮定に基づいて繰延税金資産の一部又は全部の回収ができないと判断した場合、繰延税金資産は減額される可能性があります。さらに、市場金利の変動や発行主体の業績又は資産状況の悪化等により、当社が保有する投資有価証券等の金融資産の市場価値が下落する可能性があります。このような事象が生じた場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 10 外部委託先や取引先に関する事項当社グループは、事業上様々な局面において、第三者である外部事業者に対し、業務委託等を行っております。例えば、不動産・ホテルグループでは、建設業務の一部及び居住用物件の賃貸及び販売管理を第三者に委託しております。さらに、流通・外食グループ及びビジネスサービスグループでは、第三者生産者、卸売業者及びメーカーより原材料や商品の仕入れを行い、コンビニエンスストアの運営については株式会社ファミリーマートとのフランチャイズ契約に基づいております。このため、これらの第三者又はその再委託先が、当社グループの定める基準を満たす商品やサービスの提供等を怠った場合やこれらの第三者に起因する問題や事故が発生した場合、当社グループの社会的信用や当社グループの事業等に重大な影響を及ぼし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 11 企業買収等に関する事項当社グループは、成長戦略として企業買収等を行っており、また、将来行うことがあります。企業買収等の実施に当たっては、対象会社の財務内容等に関するデューデリジェンスを綿密に行いますが、当該デューデリジェンスの過程で検知できなかった偶発債務や未認識債務等が顕在化した場合等には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。加えて、適切な対象企業を見つけることができないこと、受入可能な取引条件を交渉・合意できないこと、買収資金を調達できないこと、必要な同意や許可等を取得できないこと、法令上の問題を解決できないこと等の理由に基づき、企業買収等を行うこと自体ができない可能性もあります。また、企業買収等実行後の事業環境の変化に伴い、対象会社の収益力が低下した場合や期待するシナジーが実現できない場合、減損損失を認識する必要が生じ、投資の回収が不可能となる等、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 12 環境規制や気候変動に関する事項当社グループは、主として運輸サービスグループ及び不動産・ホテルグループにおいて、不動産を所有しております。当社グループは、かかる不動産の取得に際し、土壌汚染、水質汚濁、建物へのアスベスト等の有害物質等の使用に関する環境調査を実施しておりますが、かかる調査によりすべての有害物質等の存在又は使用等が事前に判明する保証はありません。また、土地の所有者は、土壌汚染対策法(平成14年法律第53号)に基づき、さまざまな場面において、土壌汚染に関する調査を実施しなければならず、また、人体への健康被害を生じうる土壌汚染が判明した場合には、その所有者は、土壌汚染に関する帰責性の有無及び善意・悪意を問わず、当局より有害物質等の除去を命じられる可能性があります。また、建築基準法(昭和25年法律第201号)及び大気汚染防止法(昭和43年法律第97号)に基づき、既存建物の解体、修繕等に関し、アスベストの除去又はその他一定の措置を講じる必要があります。有害物質等の存在は、不動産の販売、賃貸借、開発又は担保としての利用の制約となる可能性があり、また、資産価値の低下、有害物質等の除去等に要する費用の増加等を生じる可能性があります。さらに、かかる有害物質に起因して、現実に人体への健康被害等が生じた場合には、当社グループは、損害賠償等の責任を負う可能性があります。その結果、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、2015年の国連気候変動枠組条約第21回締約国会議での「パリ協定」採択を機に、世界的に脱炭素社会に向けた動きが広がっております。こうしたなか、低炭素化に向けた政策・規制の見直しが実施され、税負担、事業活動における諸材料・エネルギーの調達コスト、設備・車両の変更等の対応費用が増加した場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループでは、脱炭素社会の実現を重要課題の一つと位置付け、気候変動問題への対応を進めており、2021年2月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明するとともに、TCFDに沿った気候関連情報を開示しました。また、鉄道事業における省エネ型車両の導入、建物の省エネ化及び再生可能エネルギーの導入などの取り組みを推進するとともに、2022年3月には2050年CO2排出量実質ゼロに向けたロードマップを策定しました。しかしながら、このような取り組みにも関わらず、株主・投資家から低炭素化への取り組みが不十分である、又は気候変動に関する情報開示に的確に対応していない、などと判断され信頼・評価が低下した場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 13 運輸サービスグループに関する事項(安全対策について)当社グループは、基幹事業である鉄道事業における安全は最大の使命であり、企業価値の源泉であるという認識の下、経営トップの主体的関与により安全管理に係るPDCAサイクルを適切に機能させ、安全監査及び安全点検等を実施することにより、更なる安全の確保に努めています。鉄道事業にかかる重大事故があった場合、第三者から損害賠償等の請求を受ける可能性があるほか、損傷した鉄道路線の修繕や交換に要する多額の支出、運休による収入の減少及び当社グループの評判や社会的信頼の毀損を生じる可能性があります。なお、新幹線を中心に、鉄道ネットワークは相互連携しているため、比較的小規模な事故が当社グループの鉄道の運行に広範囲にわたって支障を来たす可能性があり、当社グループの収益の減少又は鉄道サービスや設備の安全性そのものに対する懸念や、場合によっては当社グループの鉄道事業以外の事業に対する社会的信頼やブランド価値に影響を及ぼす可能性があります。 (法的規制について)(1)鉄道事業に係る法律関連事項当社は、鉄道事業者として鉄道事業法の定めに基づき事業運営を行っております。また、JR会社法の適用対象からは除外されたものの、同法の附則に定められた「当分の間配慮すべき事項に関する指針」等に配慮した事業運営が求められております。これらの詳細については、以下のとおりです。① 鉄道事業法(昭和61年法律第92号)当社グループの鉄道事業においては、鉄道事業法の規制を受けております。鉄道事業者は本法の定めに従い、営業する路線及び鉄道事業の種別ごとに国土交通大臣の許可を受けなければならない(第3条)とともに、旅客の運賃及び料金について国土交通大臣の認可を受け、その範囲内での設定・変更を行う場合は、事前届出を行うこととされております(第16条)。また、鉄道事業の休廃止については、国土交通大臣に事前届出(廃止の場合は廃止日の1年前まで)を行うこととされております(第28条、第28条の2)。この他、国土交通省の指針や事業の公益性の観点から鉄道事業において大きな方針転換を図ることができない可能性があります。 ② 旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律(平成27年法律第36号)(以下「JR会社法改正法」という。)JR会社法改正法附則第2条において、当社及び当社の鉄道事業の全部又は一部を譲受け、合併等により施行日以降経営する者のうち国土交通大臣が指定するもの(以下「新会社」という。)が事業を営むに際し、当分の間配慮すべき事項に関する指針(以下「指針」という。)を定めると規定されております。この指針は2015年12月に告示され、2016年4月1日より適用されております。指針に定められた内容は概ね次のとおりです。・会社間(新会社との間又は、新会社と北海道旅客鉄道株式会社、四国旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社又は東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社、西日本旅客鉄道株式会社、並びにその事業の全部若しくは一部を譲受、合併、分割、相続によりJR会社法の改正法(平成13年法律第61号)の施行日以後経営するもののうち国土交通大臣が指定するものとの間をいう。)における旅客の運賃及び料金の適切な設定、鉄道施設の円滑な使用その他鉄道事業に関する会社間における連携及び協力の確保に関する事項・国鉄改革の実施後の輸送需要の動向その他新たな事情の変化を踏まえた現に営業している路線の適切な維持及び駅その他の鉄道施設の整備に当たっての利用者の利便の確保に関する事項・新会社がその事業を営む地域において当該事業と同種の事業を営む中小企業者の事業活動に対する不当な妨害又はその利益の不当な侵害を回避することによる中小企業者への配慮に関する事項国土交通大臣は、指針を踏まえた事業経営を確保するため必要があると認めるときは、新会社に対し、その事業経営について必要な指導及び助言をすることができるとされており(附則第3条)、さらに正当な理由がなく指針に反する事業運営を行ったときには、勧告をすることができるとされております(附則第4条)。なお、当社はこれまでも指針に定められた事項に沿った事業運営を行ってきており、この指針は今後の当社の事業運営に大きな影響を及ぼすものではないと考えております。 (2)運賃及び料金の設定又は変更当社が鉄道事業における運賃及び料金を設定又は変更する際には、鉄道事業法に規定された必要な手続きを経る必要があり、何らかの理由により当該手続きに基づいた運賃及び料金の設定又は変更を機動的に行えない場合には、当社の収益に影響を与える可能性があります。手続きの詳細については以下のとおりです。① 運賃及び料金の認可の仕組みと手続き鉄道運送事業者が旅客の運賃及び新幹線特急料金(以下「運賃等」という。)の上限を定め、又は変更しようとする場合、国土交通大臣の認可を受けなければならないことが法定されております(鉄道事業法第16条第1項)。また、その上限の範囲内での運賃等の設定・変更及び在来線特急料金等その他の料金の設定・変更については、事前の届出で実施できることとなっております(鉄道事業法第16条第3項及び第8項)。鉄道運送事業者の申請を受けて国土交通大臣が認可するまでの手続きは、過去の例によれば概ね次のようになっております。 (注)1 鉄道事業法第64条の2に基づく手続きであります。また、国土交通省設置法第23条では、運輸審議会が審議の過程で必要があると認めるとき又は国土交通大臣の指示等があったときに公聴会が開かれることが定められております。2 鉄道営業法第3条第2項で、運賃その他の運送条件の加重をなす場合に7日以上の公告をしなければならないことが定められております。 なお、各旅客会社における独自の運賃改定の実施の妨げとなるものではありませんが、国鉄改革の実施に際し利用者の利便の確保を図るため、旅客会社では、現在、2社以上の旅客会社間をまたがって利用する旅客及び荷物に対する運賃及び料金に関し、旅客会社間の契約により通算できる制度とし、また、運賃について、遠距離逓減制を加味したものとしております。 ② 運賃改定に対する当社の考え方イ 当社では、1987年4月の会社発足以降、消費税等を転嫁するための運賃改定(1989年4月、1997年4月、2014年4月及び2019年10月)を除くと、1996年1月10日に初めての運賃改定(平均7.8%)を実施いたしました。今後も総合的な経営判断に立ち、適正な利潤を確保し得るような運賃改定を適時実施する必要があると考えております。ロ 事業経営に当たっては、まず収入の確保と合理化努力を進め効率的な経営に努めますが、適正利潤についてはこのような努力を前提とした上で、将来の設備投資や財務体質の強化等を可能なものとする水準にあることが是非とも必要であると考えております。ハ 鉄道事業の資本費用に大きな影響を与える設備投資については、安全・安定輸送を前提とし、案件ごとに必要性等を勘案しつつ実施しております。なお、当社としましては、事業者の明確な経営責任の下で主体的に設備投資に取り組むことが必要であると認識しているところであります。 ③ 国土交通省の考え方当社の運賃改定に関し、国土交通省からは、次のような考え方が示されております。イ 当社を含む鉄道事業の運賃の上限の改定に当たっては、鉄道事業者の申請を受けて、国土交通大臣が、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたもの(以下「総括原価」という。)を超えないものかどうかを審査して認可することとなっている(鉄道事業法第16条第2項)。なお、原価計算期間は3年間とする。ロ 総括原価を算定するに当たっては、他の事業を兼業している場合であっても鉄道事業部門のみを対象として、所要の株主配当を含めた適正な利潤を含む適正な原価を算定することとなっている。また、通勤・通学輸送の混雑等を改善するための輸送力の増強、旅客サービス向上等に関する設備投資計画の提出を求め、これについて審査を行い、必要な資本費用については原価算入を認めているところである。ハ 総括原価を算定する方法としては、当該事業に投下される資本に対して、機会費用の考え方による公正・妥当な報酬を与えることにより資本費用(支払利息、配当金等)額を推定するレートベース方式を用いる方針であり、総括原価の具体的な算定は以下によることとしている。総括原価=営業費等(注1)+事業報酬・事業報酬=事業報酬対象資産(レートベース)×事業報酬率・事業報酬対象資産=鉄道事業固定資産+建設仮勘定+繰延資産+運転資本(注2)・事業報酬率=自己資本比率(注3)×自己資本報酬率(注4)+他人資本比率(注3)×他人資本報酬率(注5)(注)1 鉄道事業者間で比較可能な費用について、経営効率化を推進するため各事業者間の間接的な競争を促す方式(ヤードスティック方式)により、比較結果を毎事業年度終了後に公表するとともに、原価の算定はこれを基に行うこととしている。2 運転資本=営業費及び貯蔵品の一部3 自己資本比率30%、他人資本比率70%4 自己資本報酬率=公社債利回り実績値+β×(全産業(陸運業除く。)平均自己資本利益率-公社債利回り実績値) ※ 公社債利回り実績値:国債(10年もの)、地方債、政府保証債の平均の過去5年平均 ※ β:(TOPIXの変化率と鉄道会社の株価変化率の共分散)÷(TOPIXの変化率の分散)5 他人資本報酬率=当社の場合、法定債務を除き、債務実績利子率の上場旅客会社4社平均の過去5年平均ニ なお、認可した上限の範囲内での運賃等の設定・変更、又はその他の料金の設定・変更は、事前の届出で実施できることとなっているが、国土交通大臣は、届出された運賃等が、次の(a)又は(b)に該当すると認めるときは、期限を定めてその運賃等を変更すべきことを命じることができるとされている(鉄道事業法第16条第9項)。(a)特定の旅客に対し不当な差別的取扱いをするものであるとき(b)他の鉄道運送事業者との間に不当な競争を引き起こすおそれがあるものであるとき なお、1999年の鉄道事業法改正により総括原価方式に基づく現行の鉄道運賃・料金制度が法定化されて以降、企業会計制度等が変更されたことに加え、高齢化する社会、コロナ禍の影響によるライフスタイルの変化、自然災害の激甚化、カーボンニュートラルやデジタルトランスフォーメーションへの対応等により、鉄道事業を取り巻く環境が大きく変化し、鉄道事業に求められる役割やニーズが多様化・高度化している中、鉄道事業の安定的・持続的な運営等を確保していく観点から、総括原価の算定方法を定める「収入原価算定要領」の見直しが、国土交通省により、2024年4月に行われました。今般の見直し内容は、当社の運賃改定における総括原価の計算やそれに基づく運賃改定の可否等に影響を及ぼす可能性があります。 (整備新幹線について)(1)整備新幹線の建設計画整備新幹線は、1970年に制定された全国新幹線鉄道整備法(昭和45年法律第71号)に基づき、1973年に整備計画が決定されており、当社は九州新幹線(鹿児島ルート(福岡市~鹿児島市)、西九州ルート(福岡市~長崎市))について営業主体とされました。このうち、九州新幹線(鹿児島ルート)については、2004年3月13日に新八代・鹿児島中央間、2011年3月12日に博多・新八代間がそれぞれ開業しました。九州新幹線(西九州ルート)については、武雄温泉・長崎間(西九州新幹線)がフル規格で建設主体である鉄道建設・運輸施設整備支援機構(以下「鉄道・運輸機構」という。)により工事が進められ、2022年9月23日に武雄温泉駅で博多・武雄温泉間を走行する在来線特急と対面乗換を行うこと(いわゆるリレー方式)により暫定開業しました。また、新鳥栖・武雄温泉間については、当初、在来線を活用する軌間可変電車を導入する予定であったものの、2017年7月14日の国土交通省の軌間可変技術評価委員会において、軌間可変電車の安全性、経済性について引き続き課題が残っているものと評価されるなど、軌間可変電車の開発状況に鑑み、2018年7月19日に与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム九州新幹線(西九州ルート)検討委員会(以下「検討委員会」という。)により導入が断念されました。その後、2019年8月5日の検討委員会において、「九州新幹線(西九州ルート)の整備のあり方等に関する基本方針」が示され、武雄温泉駅での対面乗換が恒久化することはあってはならず、新鳥栖・武雄温泉間はフル規格(複線)で整備することが適当であることと、今後は、国土交通省、佐賀県、長崎県、当社の間で協議を行い、検討を深めていくべきであり、国土交通省に対し、協議の実施と検討委員会への報告を求めることとされました。以後、これまでに国土交通省と佐賀県との間で複数回の協議がなされ、この間、国土交通省と当社、国土交通省と長崎県との間でも個別に協議が行われましたが、合意には至っておりません。したがって、現時点において、新鳥栖・武雄温泉間の整備方式は決定しておりません。 (2)整備新幹線建設の費用負担整備新幹線は、鉄道・運輸機構が建設を行っており、その費用は国、地方公共団体及びJRが負担することとされていますが、当社の負担については、整備新幹線の営業主体となるJRが支払う貸付料を充てることとされています。1997年10月の北陸新幹線高崎・長野間の開業に伴い、整備新幹線の営業主体であるJRが支払う貸付料の額の基準が設けられ、現在は独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法施行令(平成27年政令第392号)(以下「施行令」という。)第6条に規定されています。施行令において、貸付料の額は、当該新幹線開業後の営業主体の受益の程度を勘案し算定された額に、貸付けを受けた鉄道施設に関して鉄道・運輸機構が支払う租税及び鉄道・運輸機構の管理費の合計額を加えた額を基準として、鉄道・運輸機構において定めるものとされています。ここでいう受益は、新幹線が開業した場合の当該新幹線区間及び関連線区区間の収支と、開業しなかったと仮定した場合の並行在来線及び関連線区区間の収支を比較し、前者が後者より改善することにより営業主体が受けると見込まれる利益とされており、具体的には、開業後30年間の需要予測及び収支予測に基づいて算定されることとなります。なお、この受益の程度を勘案し算定された額については、開業後30年間は定額とされています。また、租税及び鉄道・運輸機構管理費相当額については、営業主体の当該新幹線開業後の経費として、受益算定の際に反映されています。整備新幹線の建設を行う鉄道・運輸機構は建設費の調達を行い、建設した施設を保有することとされています。当社は完成後にこの施設の貸付けを受け、開業後に上記の貸付料を支払うこととなっており、建設期間中における同機構への建設費の直接負担は原則としてないものとされています。なお、九州新幹線(鹿児島ルート)については、JR会社法改正法及び九州旅客鉄道株式会社の経営安定基金の取崩しに関する省令(平成27年国土交通省令第61号)に基づき、上記貸付料の定額部分につき、2016年4月1日から各区間の開業後30年までに係る貸付料の全額(約2,205億円)を一括して2015年度末に鉄道・運輸機構に支払っております。また、2022年9月23日に開業した武雄温泉・長崎間(西九州新幹線)について、当該路線の営業主体となる当社が、建設主体である鉄道・運輸機構に支払う新幹線鉄道施設の貸付料の年額は、定額部分5.1億円に租税及び管理費相当額を加えた額となります。 (3)並行在来線の扱い九州新幹線(鹿児島ルート)については、2004年3月の新八代・鹿児島中央間の開業時に、並行在来線である鹿児島本線八代・川内間は経営分離され、「肥薩おれんじ鉄道株式会社」に引き継がれました。また、西九州新幹線については、長崎本線江北・諫早間は経営分離せず、2022年9月23日の開業時点で上下分離し、当社は、当該開業時点から3年間は一定水準の列車運行のサービスレベルを維持するとともに、当該開業後、23年間運行を維持することを関係6者(当社、佐賀県、長崎県、検討委員会、国土交通省及び鉄道・運輸機構)にて合意しており、2022年9月の武雄温泉・長崎間(西九州新幹線)の開業時に、当該合意に基づいて、長崎本線江北・諫早間の鉄道施設の一部を「一般社団法人佐賀・長崎鉄道管理センター」に譲渡し、上下分離方式へ移行しております。 (4)整備新幹線建設に関する当社の考え方(2)記載の貸付料のうち、受益の程度を勘案して算定される額は、実際の収益に関わらず定額を支払うこととされているため、収支が予測を下回る場合、当社の鉄道事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。当社は、2019年3月27日の検討委員会において、リレー方式による運営が長期化又は固定化することは、地域振興効果が極めて限定的になること等から、到底受け入れられない旨の表明をしており、少しでも早期に全線開業できるよう要望しているところです。さらに、2019年4月12日に国土交通省より鉄道・運輸機構に対して、工事予算の増額等を主旨とする工事実施計画(武雄温泉・長崎間)の変更認可がなされました。なお、2018年11月28日の与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームにおいて、当社は、整備新幹線の建設費に応じて貸付料を引上げることについて、整備新幹線の基本的なスキームを大幅に逸脱するものであり受け入れられるものではない旨の表明をしております。また、2021年6月14日に検討委員会より、九州新幹線(西九州ルート)について、新鳥栖・武雄温泉間の在来線については、JR九州が運行を維持することが不可欠である等の検討状況が示されました。なお当社は、経営上極めて重要な課題となる並行在来線の取扱いについては、・在来線の利便性の問題は、地域の皆さまにとって重要な課題である・必ずしも経営分離を前提とせず、佐賀県等から具体的な課題認識のご意見を拝聴しながら、真摯に議論を 深めたい・佐賀県と国土交通省の「幅広い協議」において、「フル規格」という選択肢にある程度の目途がつきそう な段階になれば、議論を深めたいとの考えを、国土交通省との協議において示しております。 14 不動産・ホテルグループに関する事項当社グループの不動産・ホテルグループにおいては、収益化まで長期にわたるプロジェクトの各過程で多額の投資を行います。そして、建設資材価格及び人件費の上昇による建設費の増加、金利水準並びに金融政策をはじめとする当社グループが制御できないさまざまな外部要因により、完成に要する時間と投資額等が増加し、想定していた収益を生まないことがあります。不動産販売業においては、販売価格の低下や、完成した販売用不動産を長期にわたって保有せざるを得ない場合に評価損を認識することがあります。不動産賃貸業においては、大型テナントの喪失、空室率の上昇や賃料の低下が生じる場合があり、駅ビル商業施設のテナント売上が減少した場合は、賃料収入の売上連動部分が減少します。ホテル業においては、景気動向の影響を受けやすいため、景気低迷による企業活動の縮小や個人消費の減退が続いた場合、過当な価格競争による売上減少、また、これに伴う事業収支の悪化により、有形固定資産の減損損失を計上する可能性があります。また、当社グループは、プロジェクトの完成後にも、テナント、居住者その他の利用者に生じた不測の損失、損害、被害の責任や、建築瑕疵の補償費用の負担を負うことがあります。このような事象が生じた場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
FY2023|15,246 文字
3【事業等のリスク】当社グループは、九州新幹線をはじめとした九州主要都市間を結ぶ鉄道ネットワークを有しており、鉄道事業に加えて、鉄道事業との相乗効果の高い不動産業(駅ビル商業施設、マンション、ホテル等)、小売業、飲食業、建設業等について九州を中心に展開しております。本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、これらは当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 1 感染症に関する事項2020年2月頃からの急速な新型コロナウイルス感染症の拡大及び緊急事態宣言の発令に伴い、社会経済活動に大きな制約が生じており、当社グループにおいても、鉄道利用者の大幅な減少、駅ビル等商業施設の休館又は営業時間短縮等による賃料収入の低迷、ホテルの休館又は客室稼働率減等に伴う売上減少、コンビニエンスストア及び飲食店舗等の休業、営業時間短縮又は利用者減少等による売上減少等の影響を受けておりましたが、提出日現在においては、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類感染症に変更されるなど、社会経済活動の正常化がより一層進むことでサービス分野を中心に緩やかな景気の回復が期待されております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の完全収束後も、在宅勤務やオンライン授業の拡大などにより、人々が移動又は接触を避ける新しい行動様式が広まる場合には、当社グループの鉄道、駅ビル商業施設、ホテル、コンビニエンスストア及び飲食店舗等への需要が中長期的に減退する可能性もあります。このように、新型コロナウイルス感染症、SARS(重症急性呼吸器症候群)、新型インフルエンザ等をはじめとする重大な感染症が国内外で発生・蔓延し、インバウンドを含めた人的移動の自粛や制限、企業活動の縮小、サプライチェーンの寸断等が生じることで経済活動全体が停滞した場合、当社グループの事業における需要の減退等により、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。国内外で重大な感染症拡大の恐れがある場合、対策本部を設置し、政府関係機関・自治体との連携や感染防止への措置など、事業継続に向けた対策を速やかに実施します。しかしながら、感染力が強く、社員や委託先に罹患者が大量発生した場合等は、事業の継続に影響を及ぼす可能性があります。 2 少子高齢化等の人口動向に関する事項当社グループの主な事業エリアである九州は、人口減少率が国内の他のエリアよりも高く、加えて高齢者の割合も高い傾向が続くと予測されています。進行する人口減少に対して、当社グループは、沿線価値を高める駅ビル及びマンション開発等により沿線の定住人口を増やすとともに、ビジネスや観光、アジア各国との地理的なメリットを活かしたインバウンド需要の取り込み等により交流人口を増やし、鉄道事業の収入の確保や九州圏内の消費の活性化を図っております。今後の九州の人口減少及び少子高齢化によって、通勤や通学等の定期収入、ビジネスや旅行等の定期外収入が減少する場合、運輸サービスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの駅ビル等の商業施設や店舗等の利用者が減少する場合や、賃貸マンション・分譲マンションの利用者・購入者が減少する場合、不動産・ホテルグループや流通・外食グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 3 自然災害等に関する事項当社グループは、九州を中心として幅広い事業を展開しており、そのなかで鉄道軌道、鉄道車両、不動産といった多くの固定資産を有しているため、地震、火山の噴火、津波、台風、地滑り、豪雨、大雪、洪水等の自然災害、テロリズムや武力紛争等の人的災害が発生した場合には、かかる保有資産の大規模な修繕に加え、当社グループの業務運営の全部若しくは一部を継続できない又は重大な支障が生じる可能性があります。特に当社グループの事業が集中する九州あるいは福岡において甚大な被害が生じた場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。2016年4月に発生した「平成28年熊本地震」では、九州新幹線をはじめとして当社グループの施設が大きな被害を受けました。また、2020年7月に発生した「令和2年7月豪雨」の影響により、久大本線及び肥薩線の鉄道施設に被害を受け、肥薩線においては、現在も一部区間において代行輸送を行っております。昨今の自然災害の頻発及び激甚化を踏まえて、着実な安全投資を行い、新幹線脱線対策や構造物の耐震補強の対策や、降雨による線路沿線斜面の落石・崩落防止等の対策を講じるほか、机上訓練や避難誘導訓練等を実施する等、ハード及びソフト両面の防災及び減災対策の強化に努めております。 4 経済動向や国際情勢に関する事項当社グループは、運輸サービス、不動産・ホテル、流通・外食、建設、ビジネスサービス等の様々な事業を主に九州で展開しており、消費増税や政府による経済政策の影響等、日本全体の経済環境のほか、福岡市やその他の主要都市部をはじめとした九州の経済環境の影響下にあります。また、為替相場の状況、ロシア・ウクライナ情勢をはじめとした政治的要因、自然災害、異常気象、事故、感染症の流行等の国内外の状況により、韓国、中国、台湾、香港その他の近隣のアジア諸国及び地域をはじめとした海外からの観光客の増減、資材やエネルギー調達価格の変動等の影響を受ける可能性があります。これらにより、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 5 中期経営計画に関する事項当社グループは2022年3月に「JR九州グループ中期経営計画2022-2024」を発表し、経営数値目標を定めております。しかし、例えば、今後の新型コロナウイルス感染症の状況、人々の価値観やライフスタイルの変化、国内外及び九州の政治・経済情勢、大規模な自然災害、不動産市況、エネルギー価格の高騰、法令規制の変化、雇用環境の悪化、新規事業の経験不足、提携や買収の失敗、その他幅広いリスク・要因の影響を受け、重点戦略としている「事業構造改革の完遂」、「豊かなまちづくりモデルの創造」及び「新たな貢献領域での事業展開」やデジタル化の推進、事業ポートフォリオの組み換え、成長投資等を計画どおりに推進できない場合には、当中期経営計画における目標を達成できない可能性があります。また、当社グループの運輸サービスと不動産・ホテルの両事業は相互に関連しているため、一部の事業の低迷が他の事業にも影響する可能性があります。その他、当社グループの施策が奏功しなかった場合、当社グループの前提及び予測が不正確若しくは不十分であった場合、又は顕在化したリスク要因に対して当社グループが適切な対応を実施できない場合等においては、当中期経営計画における目標の達成に影響を及ぼす可能性があります。 6 情報技術(IT)上の問題に関する事項当社グループにおいては、鉄道事業をはじめとする様々な事業を安全かつ適切に運営するため、様々なITシステムを利用しています。また、当社グループと取引関係にある他の会社(各旅客会社間の収入清算等の計算業務を委託している鉄道情報システム株式会社等)においても同様にITシステムが利用されております。当社グループではDX戦略を制定し、ITシステムのセキュリティ強化を進めるとともに、インシデントの早期検知や復旧等の対応能力向上に努めております。しかしながら、それらの施策にもかかわらず、当社グループ又は当社グループと取引関係にある他の会社のITシステムに関する事故、故障、サイバー攻撃及び人為的な過誤・不正操作等により、鉄道の遅延、不具合、きっぷの発券及び予約機能の障害又は遅延をはじめとして、当社グループの事業運営に様々な問題が起こる可能性があるとともに、当社グループの安全性又は信頼性に対する懸念が生じ、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 7 個人情報保護に関する事項当社グループは、鉄道事業をはじめとする様々な事業を営んでおり、これらの性質上多数の個人・法人の顧客から様々な情報を取得し保有しております。個人情報に関して、当社グループは、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)に基づき、個人情報取扱事業者として、個人情報保護に係る義務等の遵守が求められており、社内規程の整備、セキュリティ強化及び社員教育の徹底等の対策に努めております。しかしながら、当社グループが保有する顧客情報等の個人情報やその他重要な情報が外部に漏洩した場合には、損害賠償請求や行政処分を受ける可能性があります。また、かかる事案に対応するための時間及び費用が生じ、当社グループの事業運営上の支障や社会的信用の低下による顧客喪失等により、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 8 競合に関する事項当社グループの各事業は競争に晒されています。運輸サービスグループにおいては、安全性、コスト、速達性、利便性、快適性その他の点で、他の鉄道会社に加え、自動車、バス、航空機、船舶等の他の輸送機関との間でも競合しております。特に九州では高速道路が多く利用されており、都市間を結ぶ当社グループの新幹線や特急列車と競合しています。また、不動産・ホテルグループにおいては、利便性、顧客獲得能力、価格、賃料その他の賃貸条件、ブランド力の点で、他の不動産デベロッパーやホテル事業者と競合しています。そのほか、流通・外食グループにおいては利便性、価格、施設の魅力、顧客満足度等の点で類似の小売・飲食事業者と、建設グループ及びビジネスサービスグループにおいては九州全域又はその他の地域に所在し類似サービスを提供する事業者と競合しています。当社グループが顧客の嗜好や需要の変化、技術の進展に対応できず、又は、競合他社の統合等により競争力を向上又は維持できない場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 9 保有資産の価値に関する事項当社グループは、土地その他の不動産を中心に、多くの固定資産を所有しており、経営環境の変化や収益性の低下等により当該固定資産への投資額の回収が見込めなくなった場合には、減損損失を計上することが必要になり、また、将来かかる資産を簿価未満で売却する場合には、売却損を計上する可能性があります。当社グループは、鉄道事業において継続的に多額の設備投資を実施しているため、将来において鉄道事業の業績が予想以上に低調となった場合には、鉄道事業固定資産について減損損失を計上する可能性があります。また、当社グループの繰延税金資産は、税務上の繰越欠損金及び将来減算一時差異について、収益力及びタックス・プランニングに基づく将来の課税所得発生額を見積り、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると認められる範囲内で計上しております。従って、将来の課税所得の予測・仮定に基づいて繰延税金資産の一部又は全部の回収ができないと判断した場合、繰延税金資産は減額される可能性があります。さらに、市場金利の変動や発行主体の業績又は資産状況の悪化等により、当社が保有する投資有価証券等の金融資産の市場価値が下落する可能性があります。このような事象が生じた場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 10 外部委託先や取引先に関する事項当社グループは、事業上様々な局面において、第三者である外部事業者に対し、業務委託等を行っております。例えば、不動産・ホテルグループでは、建設業務の一部及び居住用物件の賃貸及び販売管理を第三者に委託しております。さらに、流通・外食グループ及びビジネスサービスグループでは、第三者生産者、卸売業者及びメーカーより原材料や商品の仕入れを行い、コンビニエンスストアの運営については株式会社ファミリーマートとのフランチャイズ契約に基づいております。このため、これらの第三者又はその再委託先が、当社グループの定める基準を満たす商品やサービスの提供等を怠った場合やこれらの第三者に起因する問題や事故が発生した場合、当社グループの社会的信用や当社グループの事業等に重大な影響を及ぼし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 11 企業買収等に関する事項当社グループは、成長戦略として企業買収等を行っており、また、将来行うことがあります。企業買収等の実施に当たっては、対象会社の財務内容等に関するデューデリジェンスを綿密に行いますが、当該デューデリジェンスの過程で検知できなかった偶発債務や未認識債務等が顕在化した場合等には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。加えて、適切な対象企業を見つけることができないこと、受入可能な取引条件を交渉・合意できないこと、買収資金を調達できないこと、必要な同意や許可等を取得できないこと、法令上の問題を解決できないこと等の理由に基づき、企業買収等を行うこと自体ができない可能性もあります。また、企業買収等実行後の事業環境の変化に伴い、対象会社の収益力が低下した場合や期待するシナジーが実現できない場合、減損損失を認識する必要が生じ、投資の回収が不可能となる等、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 12 環境規制や気候変動に関する事項当社グループは、主として運輸サービスグループ及び不動産・ホテルグループにおいて、不動産を所有しております。当社グループは、かかる不動産の取得に際し、土壌汚染、水質汚濁、建物へのアスベスト等の有害物質等の使用に関する環境調査を実施しておりますが、かかる調査によりすべての有害物質等の存在又は使用等が事前に判明する保証はありません。また、土地の所有者は、土壌汚染対策法(平成14年法律第53号)に基づき、さまざまな場面において、土壌汚染に関する調査を実施しなければならず、また、人体への健康被害を生じうる土壌汚染が判明した場合には、その所有者は、土壌汚染に関する帰責性の有無及び善意・悪意を問わず、当局より有害物質等の除去を命じられる可能性があります。また、建築基準法(昭和25年法律第201号)及び大気汚染防止法(昭和43年法律第97号)に基づき、既存建物の解体、修繕等に関し、アスベストの除去又はその他一定の措置を講じる必要があります。有害物質等の存在は、不動産の販売、賃貸借、開発又は担保としての利用の制約となる可能性があり、また、資産価値の低下、有害物質等の除去等に要する費用の増加等を生じる可能性があります。さらに、かかる有害物質に起因して、現実に人体への健康被害等が生じた場合には、当社グループは、損害賠償等の責任を負う可能性があります。その結果、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、2015年の国連気候変動枠組条約第21回締約国会議での「パリ協定」採択を機に、世界的に脱炭素社会に向けた動きが広がっております。こうしたなか、低炭素化に向けた政策・規制の見直しが実施され、税負担、事業活動における諸材料・エネルギーの調達コスト、設備・車両の変更等の対応費用が増加した場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループでは、脱炭素社会の実現を重要課題の一つと位置付け、気候変動問題への対応を進めており、2021年2月に、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明するとともにTCFDに沿った気候関連情報を開示しました。また、鉄道事業における省エネ型車両の導入や建物の省エネ化などの取り組みを推進するとともに、2022年3月には2050年CO₂排出量実質ゼロに向けたロードマップを策定しました。しかしながら、このような取り組みにも関わらず、株主・投資家から低炭素化への取り組みが不十分である、又は気候変動に関する情報開示に的確に対応していない、などと判断され信頼・評価が低下した場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 13 運輸サービスグループに関する事項(安全対策について)当社グループは、基幹事業である鉄道事業における安全は最大の使命であり、企業価値の源泉であるという認識の下、経営トップの主体的関与により安全管理に係るPDCAサイクルを適切に機能させ、安全監査及び安全点検等を実施することにより、更なる安全の確保に努めています。鉄道事業にかかる重大事故があった場合、第三者から損害賠償等の請求を受ける可能性があるほか、損傷した鉄道路線の修繕や交換に要する多額の支出、運休による収入の減少及び当社グループの評判や社会的信頼の毀損を生じる可能性があります。なお、新幹線を中心に、鉄道ネットワークは相互連携しているため、比較的小規模な事故が当社グループの鉄道の運行に広範囲にわたって支障を来たす可能性があり、当社グループの収益の減少又は鉄道サービスや設備の安全性そのものに対する懸念や、場合によっては当社グループの鉄道事業以外の事業に対する社会的信頼やブランド価値に影響を及ぼす可能性があります。 (法的規制について)(1)鉄道事業に係る法律関連事項当社は、鉄道事業者として鉄道事業法の定めに基づき事業運営を行っております。また、JR会社法の適用対象からは除外されたものの、同法の附則に定められた「当分の間配慮すべき事項に関する指針」等に配慮した事業運営が求められております。これらの詳細については、以下のとおりです。① 鉄道事業法(昭和61年法律第92号)当社グループの鉄道事業においては、鉄道事業法の規制を受けております。鉄道事業者は本法の定めに従い、営業する路線及び鉄道事業の種別ごとに国土交通大臣の許可を受けなければならない(第3条)とともに、旅客の運賃及び料金について国土交通大臣の認可を受け、その範囲内での設定・変更を行う場合は、事前届出を行うこととされております(第16条)。また、鉄道事業の休廃止については、国土交通大臣に事前届出(廃止の場合は廃止日の1年前まで)を行うこととされております(第28条、第28条の2)。この他、国土交通省の指針や事業の公益性の観点から鉄道事業において大きな方針転換を図ることができない可能性があります。 ② 旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律(平成27年法律第36号)(以下「JR会社法改正法」という。)JR会社法改正法附則第2条において、当社及び当社の鉄道事業の全部又は一部を譲受け、合併等により施行日以降経営する者のうち国土交通大臣が指定するもの(以下「新会社」という。)が事業を営むに際し、当分の間配慮すべき事項に関する指針(以下「指針」という。)を定めると規定されております。この指針は2015年12月に告示され、2016年4月1日より適用されております。指針に定められた内容は概ね次のとおりです。・会社間(新会社との間又は、新会社と北海道旅客鉄道株式会社、四国旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社又は東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社、西日本旅客鉄道株式会社、並びにその事業の全部若しくは一部を譲受、合併、分割、相続によりJR会社法の改正法(平成13年法律第61号)の施行日以後経営するもののうち国土交通大臣が指定するものとの間をいう。)における旅客の運賃及び料金の適切な設定、鉄道施設の円滑な使用その他鉄道事業に関する会社間における連携及び協力の確保に関する事項・国鉄改革の実施後の輸送需要の動向その他新たな事情の変化を踏まえた現に営業している路線の適切な維持及び駅その他の鉄道施設の整備に当たっての利用者の利便の確保に関する事項・新会社がその事業を営む地域において当該事業と同種の事業を営む中小企業者の事業活動に対する不当な妨害又はその利益の不当な侵害を回避することによる中小企業者への配慮に関する事項国土交通大臣は、指針を踏まえた事業経営を確保するため必要があると認めるときは、新会社に対し、その事業経営について必要な指導及び助言をすることができるとされており(附則第3条)、さらに正当な理由がなく指針に反する事業運営を行ったときには、勧告をすることができるとされております(附則第4条)。なお、当社はこれまでも指針に定められた事項に沿った事業運営を行ってきており、この指針は今後の当社の事業運営に大きな影響を及ぼすものではないと考えております。 (2)運賃及び料金の設定又は変更当社が鉄道事業における運賃及び料金を設定又は変更する際には、鉄道事業法に規定された必要な手続きを経る必要があり、何らかの理由により当該手続きに基づいた運賃及び料金の設定又は変更を機動的に行えない場合には、当社の収益に影響を与える可能性があります。手続きの詳細については以下のとおりです。① 運賃及び料金の認可の仕組みと手続き鉄道運送事業者が旅客の運賃及び新幹線特急料金(以下「運賃等」という。)の上限を定め、又は変更しようとする場合、国土交通大臣の認可を受けなければならないことが法定されております(鉄道事業法第16条第1項)。また、その上限の範囲内での運賃等の設定・変更及び在来線特急料金等その他の料金の設定・変更については、事前の届出で実施できることとなっております(鉄道事業法第16条第3項及び第4項(ただし、2023年4月28日に公布された地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律第3条に基づき、同法律が施行された場合、鉄道事業法第16条第3項及び第8項))。鉄道運送事業者の申請を受けて国土交通大臣が認可するまでの手続きは、過去の例によれば概ね次のようになっております。 (注)1 鉄道事業法第64条の2に基づく手続きであります。また、国土交通省設置法第23条では、運輸審議会が審議の過程で必要があると認めるとき又は国土交通大臣の指示等があったときに公聴会が開かれることが定められております。2 鉄道営業法第3条第2項で、運賃その他の運送条件の加重をなす場合に7日以上の公告をしなければならないことが定められております。 なお、各旅客会社における独自の運賃改定の実施の妨げとなるものではありませんが、国鉄改革の実施に際し利用者の利便の確保を図るため、旅客会社では、現在、2社以上の旅客会社間をまたがって利用する旅客及び荷物に対する運賃及び料金に関し、旅客会社間の契約により通算できる制度とし、また、運賃について、遠距離逓減制を加味したものとしております。 ② 運賃改定に対する当社の考え方イ 当社では、1987年4月の会社発足以降、消費税等を転嫁するための運賃改定(1989年4月、1997年4月、2014年4月及び2019年10月)を除くと、1996年1月10日に初めての運賃改定(平均7.8%)を実施いたしました。今後も総合的な経営判断に立ち、適正な利潤を確保し得るような運賃改定を適時実施する必要があると考えております。ロ 事業経営に当たっては、まず収入の確保と合理化努力を進め効率的な経営に努めますが、適正利潤についてはこのような努力を前提とした上で、将来の設備投資や財務体質の強化等を可能なものとする水準にあることが是非とも必要であると考えております。ハ 鉄道事業の資本費用に大きな影響を与える設備投資については、安全・安定輸送を前提とし、案件ごとに必要性等を勘案しつつ実施しております。なお、当社としましては、事業者の明確な経営責任の下で主体的に設備投資に取り組むことが必要であると認識しているところであります。 ③ 国土交通省の考え方当社の運賃改定に関し、国土交通省からは、次のような考え方が示されております。イ 当社を含む鉄道事業の運賃の上限の改定に当たっては、鉄道事業者の申請を受けて、国土交通大臣が、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたもの(以下「総括原価」という。)を超えないものかどうかを審査して認可することとなっている(鉄道事業法第16条第2項)。なお、原価計算期間は3年間とする。ロ 総括原価を算定するに当たっては、他の事業を兼業している場合であっても鉄道事業部門のみを対象として、所要の株主配当を含めた適正な利潤を含む適正な原価を算定することとなっている。また、通勤・通学輸送の混雑等を改善するための輸送力の増強、旅客サービス向上等に関する設備投資計画の提出を求め、これについて審査を行い、必要な資本費用については原価算入を認めているところである。ハ 総括原価を算定する方法としては、当該事業に投下される資本に対して、機会費用の考え方による公正・妥当な報酬を与えることにより資本費用(支払利息、配当金等)額を推定するレートベース方式を用いる方針であり、総括原価の具体的な算定は以下によることとしている。総括原価=営業費等(注1)+事業報酬・事業報酬=事業報酬対象資産(レートベース)×事業報酬率・事業報酬対象資産=鉄道事業固定資産+建設仮勘定+繰延資産+運転資本(注2)・事業報酬率=自己資本比率(注3)×自己資本報酬率(注4)+他人資本比率(注3)×他人資本報酬率(注4)(注)1 鉄道事業者間で比較可能な費用について、経営効率化を推進するため各事業者間の間接的な競争を促す方式(ヤードスティック方式)により、比較結果を毎事業年度終了後に公表するとともに、原価の算定はこれを基に行うこととしている。2 運転資本=営業費及び貯蔵品の一部3 自己資本比率30%、他人資本比率70%4 自己資本報酬率は、公社債応募者利回り、全産業平均自己資本利益率及び配当所要率の平均、他人資本報酬率は借入金等の実績平均レートニ なお、認可した上限の範囲内での運賃等の設定・変更、又はその他の料金の設定・変更は、事前の届出で実施できることとなっているが、国土交通大臣は、届出された運賃等が、次の(a)又は(b)に該当すると認めるときは、期限を定めてその運賃等を変更すべきことを命じることができるとされている(鉄道事業法第16条第5項(ただし、2023年4月28日に公布された地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律第3条に基づき、同法律が施行された場合、鉄道事業法第16条第9項))。(a)特定の旅客に対し不当な差別的取扱いをするものであるとき(b)他の鉄道運送事業者との間に不当な競争を引き起こすおそれがあるものであるとき なお、1999年の鉄道事業法改正により総括原価方式に基づく現行の鉄道運賃・料金制度が法定化されてから20年以上が経過するなか、新型コロナウイルス感染症の影響によるライフスタイルの変化やデジタル技術の発展・普及への対応、地域における交通モード間における連携強化等、現行の鉄道運賃・料金制度における課題について議論する「交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会鉄道運賃・料金制度のあり方に関する小委員会」が、国土交通大臣の諮問により2022年2月に設置されました。当社も、ヒアリング対象として出席した同委員会において柔軟な鉄道運賃・料金制度への見直しが必要であることについて意見を述べております。2022年7月には同委員会の中間とりまとめにおける当面の対応として、現行の運賃・料金制度を前提に、総括原価の算定方法の見直しや現行制度の運用の改善・工夫等について具体的な検討を開始し、結論を得たものから順次実施するとされたことから、引き続き同委員会での議論及び鉄道運賃・料金制度見直しの動向を注視してまいります。 (整備新幹線について)(1)整備新幹線の建設計画整備新幹線は、1970年に制定された全国新幹線鉄道整備法(昭和45年法律第71号)に基づき、1973年に整備計画が決定されており、当社は九州新幹線(鹿児島ルート(福岡市~鹿児島市)、西九州ルート(福岡市~長崎市))について営業主体とされました。このうち、九州新幹線(鹿児島ルート)については、2004年3月13日に新八代・鹿児島中央間、2011年3月12日に博多・新八代間がそれぞれ開業しました。九州新幹線(西九州ルート)については、武雄温泉・長崎間(西九州新幹線)がフル規格で建設主体である鉄道建設・運輸施設整備支援機構(以下「鉄道・運輸機構」という。)により工事が進められ、2022年9月23日に武雄温泉駅で博多・武雄温泉間を走行する在来線特急と対面乗換を行うこと(いわゆるリレー方式)により暫定開業しました。また、新鳥栖・武雄温泉間については、当初、在来線を活用する軌間可変電車を導入する予定であったものの、2017年7月14日の国土交通省の軌間可変技術評価委員会において、軌間可変電車の安全性、経済性について引き続き課題が残っているものと評価されるなど、軌間可変電車の開発状況に鑑み、2018年7月19日に与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム九州新幹線(西九州ルート)検討委員会(以下「検討委員会」という。)により導入が断念されました。その後、2019年8月5日の検討委員会において、「九州新幹線(西九州ルート)の整備のあり方等に関する基本方針」が示され、武雄温泉駅での対面乗換が恒久化することはあってはならず、新鳥栖・武雄温泉間はフル規格(複線)で整備することが適当であることと、今後は、国土交通省、佐賀県、長崎県、当社の間で協議を行い、検討を深めていくべきであり、国土交通省に対し、協議の実施と検討委員会への報告を求めることとされました。以後、これまでに国土交通省と佐賀県との間で複数回の協議がなされ、この間、国土交通省と当社、国土交通省と長崎県との間でも個別に協議が行われましたが、合意には至っておりません。したがって、現時点において、新鳥栖・武雄温泉間の整備方式は決定しておりません。 (2)整備新幹線建設の費用負担整備新幹線は、鉄道・運輸機構が建設を行っており、その費用は国、地方公共団体及びJRが負担することとされていますが、当社の負担については、整備新幹線の営業主体となるJRが支払う貸付料を充てることとされています。1997年10月の北陸新幹線高崎・長野間の開業に伴い、整備新幹線の営業主体であるJRが支払う貸付料の額の基準が設けられ、現在は独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法施行令(平成27年政令第392号)(以下「施行令」という。)第6条に規定されています。施行令において、貸付料の額は、当該新幹線開業後の営業主体の受益の程度を勘案し算定された額に、貸付けを受けた鉄道施設に関して鉄道・運輸機構が支払う租税及び鉄道・運輸機構の管理費の合計額を加えた額を基準として、鉄道・運輸機構において定めるものとされています。ここでいう受益は、新幹線が開業した場合の当該新幹線区間及び関連線区区間の収支と、開業しなかったと仮定した場合の並行在来線及び関連線区区間の収支を比較し、前者が後者より改善することにより営業主体が受けると見込まれる利益とされており、具体的には、開業後30年間の需要予測及び収支予測に基づいて算定されることとなります。なお、この受益の程度を勘案し算定された額については、開業後30年間は定額とされています。また、租税及び鉄道・運輸機構管理費相当額については、営業主体の当該新幹線開業後の経費として、受益算定の際に反映されています。整備新幹線の建設を行う鉄道・運輸機構は建設費の調達を行い、建設した施設を保有することとされています。当社は完成後にこの施設の貸付けを受け、開業後に上記の貸付料を支払うこととなっており、建設期間中における同機構への建設費の直接負担は原則としてないものとされています。なお、九州新幹線(鹿児島ルート)については、JR会社法改正法及び九州旅客鉄道株式会社の経営安定基金の取崩しに関する省令(平成27年国土交通省令第61号)に基づき、上記貸付料の定額部分につき、2016年4月1日から各区間の開業後30年までに係る貸付料の全額(約2,205億円)を一括して2015年度末に鉄道・運輸機構に支払っております。また、2022年9月23日に開業した武雄温泉・長崎間(西九州新幹線)について、当該路線の営業主体となる当社が、建設主体である鉄道・運輸機構に支払う新幹線鉄道施設の貸付料の年額は、定額部分5.1億円に租税及び管理費相当額を加えた額(ただし、2023年3月期分の貸付料の額は年度途中の開業のため日割り計算)となります。 (3)並行在来線の扱い九州新幹線(鹿児島ルート)については、2004年3月の新八代・鹿児島中央間の開業時に、並行在来線である鹿児島本線八代・川内間は経営分離され、「肥薩おれんじ鉄道株式会社」に引き継がれました。また、西九州新幹線については、長崎本線江北・諫早間は経営分離せず、2022年9月23日の開業時点で上下分離し、当社は、当該開業時点から3年間は一定水準の列車運行のサービスレベルを維持するとともに、当該開業後、23年間運行を維持することを関係6者(当社、佐賀県、長崎県、検討委員会、国土交通省及び鉄道・運輸機構)にて合意しており、2022年9月の武雄温泉・長崎間(西九州新幹線)の開業時に、当該合意に基づいて、長崎本線江北・諫早間の鉄道施設の一部を「一般社団法人佐賀・長崎鉄道管理センター」に譲渡し、上下分離方式へ移行しております。 (4)整備新幹線建設に関する当社の考え方(2)記載の貸付料のうち、受益の程度を勘案して算定される額は、実際の収益に関わらず定額を支払うこととされているため、収支が予測を下回る場合、当社の鉄道事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。当社は、2019年3月27日の検討委員会において、リレー方式による運営が長期化又は固定化することは、地域振興効果が極めて限定的になること等から、到底受け入れられない旨の表明をしており、少しでも早期に全線開業できるよう要望しているところです。さらに、2019年4月12日に国土交通省より鉄道・運輸機構に対して、工事予算の増額等を主旨とする工事実施計画(武雄温泉・長崎間)の変更認可がなされました。なお、2018年11月28日の与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームにおいて、当社は、整備新幹線の建設費に応じて貸付料を引上げることについて、整備新幹線の基本的なスキームを大幅に逸脱するものであり受け入れられるものではない旨の表明をしております。また、2021年6月14日に検討委員会より、九州新幹線(西九州ルート)について、新鳥栖・武雄温泉間の在来線については、JR九州が運行を維持することが不可欠である等の検討状況が示されました。なお当社は、経営上極めて重要な課題となる並行在来線の取扱いについては、・在来線の利便性の問題は、地域の皆さまにとって重要な課題である・必ずしも経営分離を前提とせず、佐賀県等から具体的な課題認識のご意見を拝聴しながら、真摯に議論を 深めたい・佐賀県と国土交通省の「幅広い協議」において、「フル規格」という選択肢にある程度の目途がつきそう な段階になれば、議論を深めたいとの考えを、国土交通省との協議において示しております。 14 不動産・ホテルグループに関する事項当社グループの不動産・ホテルグループにおいては、収益化まで長期にわたるプロジェクトの各過程で多額の投資を行います。そして、建設資材価格及び人件費の上昇による建設費の増加、金利水準並びに金融政策をはじめとする当社グループが制御できないさまざまな外部要因により、完成に要する時間と投資額等が増加し、想定していた収益を生まないことがあります。不動産販売業においては、販売価格の低下や、完成した販売用不動産を長期にわたって保有せざるを得ない場合に評価損を認識することがあります。不動産賃貸業においては、大型テナントの喪失、空室率の上昇や賃料の低下が生じる場合があり、駅ビル商業施設のテナント売上が減少した場合は、賃料収入の売上連動部分が減少します。ホテル業においては、景気動向の影響を受けやすいため、景気低迷による企業活動の縮小や個人消費の減退が続いた場合、過当な価格競争による売上減少、また、これに伴う事業収支の悪化により、有形固定資産の減損損失を計上する可能性があります。また、当社グループは、プロジェクトの完成後にも、テナント、居住者その他の利用者に生じた不測の損失、損害、被害の責任や、建築瑕疵の補償費用の負担を負うことがあります。このような事象が生じた場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
FY2022|14,846 文字
2【事業等のリスク】当社グループは、九州新幹線をはじめとした九州主要都市間を結ぶ鉄道ネットワークを有しており、鉄道事業に加えて、鉄道事業との相乗効果の高い不動産業(駅ビル商業施設、マンション、ホテル等)、小売業、飲食業、建設業等について九州を中心に展開しております。本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、これらは当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。文中におけるセグメント名称は、2022年4月1日以降の新しいセグメント区分に基づくものであります。 1 感染症に関する事項2020年2月頃からの急速な新型コロナウイルス感染症の拡大及び緊急事態宣言の発令に伴い、社会経済活動に大きな制約が生じており、当社グループにおいても、鉄道利用者の大幅な減少、駅ビル等商業施設の休館又は営業時間短縮等による賃料収入の低迷、ホテルの休館又は客室稼働率減等に伴う売上減少、コンビニエンスストア及び飲食店舗等の休業、営業時間短縮又は利用者減少等による売上減少等の影響を受けております。提出日現在においても、新型コロナウイルス感染症の収束時期は不透明であり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼしています。また、新型コロナウイルス感染症が収束する場合も、在宅勤務やオンライン授業の拡大などにより、人々が移動又は接触を避ける新しい行動様式が広まる場合には、当社グループの鉄道、駅ビル商業施設、ホテル、コンビニエンスストア及び飲食店舗等への需要が中長期的に減退する可能性もあります。このように、新型コロナウイルス感染症、SARS(重症急性呼吸器症候群)、新型インフルエンザ等をはじめとする重大な感染症が国内外で発生・蔓延し、インバウンドを含めた人的移動の自粛や制限、企業活動の縮小、サプライチェーンの寸断等が生じることで経済活動全体が停滞した場合、当社グループの事業における需要の減退等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。国内外で重大な感染症拡大の恐れがある場合、対策本部を設置し、政府関係機関・自治体との連携や感染防止への措置など、事業継続に向けた対策を速やかに実施します。しかしながら、感染力が強く、社員や委託先に罹患者が大量発生した場合等は、事業の継続に影響を及ぼす可能性があります。 2 少子高齢化等の人口動向に関する事項当社グループの主な事業エリアである九州は、人口減少率が国内の他のエリアよりも高く、加えて高齢者の割合も高い傾向が続くと予測されています。進行する人口減少に対して、当社グループは、沿線価値を高める駅ビル及びマンション開発等により沿線の定住人口を増やすとともに、ビジネスや観光、アジア各国との地理的なメリットを活かしたインバウンド需要の取り込み等により交流人口を増やし、鉄道事業の収入の確保や九州圏内の消費の活性化を図っております。今後の九州の人口減少及び少子高齢化によって、通勤や通学等の定期収入、ビジネスや旅行等の定期外収入が減少する場合、運輸サービスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの駅ビル等の商業施設や店舗等の利用者が減少する場合や、賃貸マンション・分譲マンションの利用者・購入者が減少する場合、不動産・ホテルグループや流通・外食グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 3 自然災害等に関する事項当社グループは、九州を中心として幅広い事業を展開しており、そのなかで鉄道軌道、鉄道車両、不動産といった多くの固定資産を有しているため、地震、火山の噴火、津波、台風、地滑り、豪雨、大雪、洪水等の自然災害、テロリズムや武力紛争等の人的災害が発生した場合には、かかる保有資産の大規模な修繕に加え、当社グループの業務運営の全部若しくは一部を継続できない又は重大な支障が生じる可能性があります。特に当社グループの事業が集中する九州あるいは福岡において甚大な被害が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。2016年4月に発生した「平成28年熊本地震」では、九州新幹線をはじめとして当社グループの施設が大きな被害を受けました。また、2020年7月に発生した「令和2年7月豪雨」の影響により、久大本線及び肥薩線の鉄道施設に被害を受け、肥薩線においては、現在も一部区間において代行輸送を行っております。昨今の自然災害の頻発及び激甚化を踏まえて、着実な安全投資を行い、新幹線脱線対策や構造物の耐震補強の対策や、降雨による線路沿線斜面の落石・崩落防止等の対策を講じるほか、机上訓練や避難誘導訓練等を実施する等、ハード及びソフト両面の防災及び減災対策の強化に努めております。 4 経済動向や国際情勢に関する事項当社グループは、運輸サービス、不動産・ホテル、流通・外食、建設、ビジネスサービス等の様々な事業を主に九州で展開しており、消費増税や政府による経済政策の影響等、日本全体の経済環境のほか、福岡市やその他の主要都市部をはじめとした九州の経済環境の影響下にあります。また、為替相場の状況、ロシア・ウクライナ情勢をはじめとした政治的要因、自然災害、異常気象、事故、感染症の流行等の国内外の状況により、韓国、中国、台湾、香港その他の近隣のアジア諸国及び地域をはじめとした海外からの観光客の増減、資材やエネルギー調達価格の変動等の影響を受ける可能性があります。これらにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 5 中期経営計画に関する事項当社グループは2022年3月に「JR九州グループ中期経営計画2022-2024」を発表し、経営数値目標を定めております。しかし、例えば、今後の新型コロナウイルス感染症の状況、人々の価値観やライフスタイルの変化、国内外及び九州の政治・経済情勢、大規模な自然災害、不動産市況、エネルギー価格の高騰、法令規制の変化、雇用環境の悪化、新規事業の経験不足、提携や買収の失敗、その他幅広いリスク・要因の影響を受け、重点戦略としている「事業構造改革の完遂」、「豊かなまちづくりモデルの創造」及び「新たな貢献領域での事業展開」やデジタル化の推進、事業ポートフォリオの組み換え、成長投資等を計画どおりに推進できない場合には、当中期経営計画における目標を達成できない可能性があります。また、当社グループの運輸サービスと不動産・ホテルの両事業は相互に関連しているため、一部の事業の低迷が他の事業にも影響する可能性があります。その他、当社グループの施策が奏功しなかった場合、当社グループの前提及び予測が不正確若しくは不十分であった場合、又は顕在化したリスク要因に対して当社グループが適切な対応を実施できない場合等においては、当中期経営計画における目標の達成に影響を及ぼす可能性があります。 6 情報技術(IT)上の問題に関する事項当社グループにおいては、鉄道事業をはじめとする様々な事業を安全かつ適切に運営するため、様々なITシステムを利用しています。また、当社グループと取引関係にある他の会社(各旅客会社間の収入清算等の計算業務を委託している鉄道情報システム株式会社等)においても同様にITシステムが利用されております。当社グループではデジタル戦略を制定し、ITシステムのセキュリティ強化を進めるとともに、インシデントの早期検知や復旧等の対応能力向上に努めております。しかしながら、それらの施策にもかかわらず、当社グループ又は当社グループと取引関係にある他の会社のITシステムに関する事故、故障、サイバー攻撃及び人為的な過誤・不正操作等により、鉄道の遅延、不具合、きっぷの発券及び予約機能の障害又は遅延をはじめとして、当社グループの事業運営に様々な問題が起こる可能性があるとともに、当社グループの安全性又は信頼性に対する懸念が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 7 個人情報保護に関する事項当社グループは、鉄道事業をはじめとする様々な事業を営んでおり、これらの性質上多数の個人・法人の顧客から様々な情報を取得し保有しております。個人情報に関して、当社グループは、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)に基づき、個人情報取扱事業者として、個人情報保護に係る義務等の遵守が求められており、社内規程の整備、セキュリティ強化及び社員教育の徹底等の対策に努めております。しかしながら、当社グループが保有する顧客情報等の個人情報やその他重要な情報が外部に漏洩した場合には、損害賠償請求や行政処分を受ける可能性があります。また、かかる事案に対応するための時間及び費用が生じ、当社グループの事業運営上の支障や社会的信用の低下による顧客喪失等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 8 競合に関する事項当社グループの各事業は競争に晒されています。運輸サービスグループにおいては、安全性、コスト、速達性、利便性、快適性その他の点で、他の鉄道会社に加え、自動車、バス、航空機、船舶等の他の輸送機関との間でも競合しております。特に九州では高速道路が多く利用されており、都市間を結ぶ当社グループの新幹線や特急列車と競合しています。また、不動産・ホテルグループにおいては、利便性、顧客獲得能力、価格、賃料その他の賃貸条件、ブランド力の点で、他の不動産デベロッパーやホテル事業者と競合しています。そのほか、流通・外食グループにおいては利便性、価格、施設の魅力、顧客満足度等の点で類似の小売・飲食事業者と、建設グループ及びビジネスサービスグループにおいては九州全域又はその他の地域に所在し類似サービスを提供する事業者と競合しています。当社グループが顧客の嗜好や需要の変化、技術の進展に対応できず、又は、競合他社の統合等により競争力を向上又は維持できない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 9 保有資産の価値に関する事項当社グループは、土地その他の不動産を中心に、多くの固定資産を所有しており、経営環境の変化や収益性の低下等により当該固定資産への投資額の回収が見込めなくなった場合には、減損損失を計上することが必要になり、また、将来かかる資産を簿価未満で売却する場合には、売却損を計上する可能性があります。当社グループは、鉄道事業において継続的に多額の設備投資を実施しているため、将来において鉄道事業の業績が予想以上に低調となった場合には、鉄道事業固定資産について減損損失を計上する可能性があります。また、当社グループの繰延税金資産は、税務上の繰越欠損金及び将来減算一時差異について、収益力及びタックス・プランニングに基づく将来の課税所得発生額を見積り、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると認められる範囲内で計上しております。従って、将来の課税所得の予測・仮定に基づいて繰延税金資産の一部又は全部の回収ができないと判断した場合、繰延税金資産は減額される可能性があります。さらに、市場金利の変動や発行主体の業績又は資産状況の悪化等により、当社が保有する投資有価証券等の金融資産の市場価値が下落する可能性があります。このような事象が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 10 外部委託先や取引先に関する事項当社グループは、事業上様々な局面において、第三者である外部事業者に対し、業務委託等を行っております。例えば、不動産・ホテルグループでは、建設業務の一部及び居住用物件の賃貸及び販売管理を第三者に委託しております。さらに、流通・外食グループ及びビジネスサービスグループでは、第三者生産者、卸売業者及びメーカーより原材料や商品の仕入れを行い、コンビニエンスストアの運営については株式会社ファミリーマートとのフランチャイズ契約に基づいております。このため、これらの第三者又はその再委託先が、当社グループの定める基準を満たす商品やサービスの提供等を怠った場合やこれらの第三者に起因する問題や事故が発生した場合、当社グループの社会的信用や当社グループの事業等に重大な影響を及ぼし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 11 企業買収等に関する事項当社グループは、成長戦略として企業買収等を行っており、また、将来行うことがあります。企業買収等の実施に当たっては、対象会社の財務内容等に関するデューデリジェンスを綿密に行いますが、当該デューデリジェンスの過程で検知できなかった偶発債務や未認識債務等が顕在化した場合等には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、適切な対象企業を見つけることができないこと、受入可能な取引条件を交渉・合意できないこと、買収資金を調達できないこと、必要な同意や許可等を取得できないこと、法令上の問題を解決できないこと等の理由に基づき、企業買収等を行うこと自体ができない可能性もあります。また、企業買収等実行後の事業環境の変化に伴い、対象会社の収益力が低下した場合や期待するシナジーが実現できない場合、減損損失を認識する必要が生じ、投資の回収が不可能となる等、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 12 環境規制や気候変動に関する事項当社グループは、主として運輸サービスグループ及び不動産・ホテルグループにおいて、不動産を所有しております。当社グループは、かかる不動産の取得に際し、土壌汚染、水質汚濁、建物へのアスベスト等の有害物質等の使用に関する環境調査を実施しておりますが、かかる調査によりすべての有害物質等の存在又は使用等が事前に判明する保証はありません。また、土地の所有者は、土壌汚染対策法(平成14年法律第53号)に基づき、さまざまな場面において、土壌汚染に関する調査を実施しなければならず、また、人体への健康被害を生じうる土壌汚染が判明した場合には、その所有者は、土壌汚染に関する帰責性の有無及び善意・悪意を問わず、当局より有害物質等の除去を命じられる可能性があります。また、建築基準法(昭和25年法律第201号)及び大気汚染防止法(昭和43年法律第97号)に基づき、既存建物の解体、修繕等に関し、アスベストの除去又はその他一定の措置を講じる必要があります。有害物質等の存在は、不動産の販売、賃貸借、開発又は担保としての利用の制約となる可能性があり、また、資産価値の低下、有害物質等の除去等に要する費用の増加等を生じる可能性があります。さらに、かかる有害物質に起因して、現実に人体への健康被害等が生じた場合には、当社グループは、損害賠償等の責任を負う可能性があります。その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、2015年の国連気候変動枠組条約第21回締約国会議での「パリ協定」採択を機に、世界的に脱炭素社会に向けた動きが広がっております。こうしたなか、低炭素化に向けた政策・規制の見直しが実施され、税負担、事業活動における諸材料・エネルギーの調達コスト、設備・車両の変更等の対応費用が増加した場合、当社グループの事業、業績及び財政状況に影響を与える可能性があります。当社グループでは、脱炭素社会の実現を重要課題の一つと位置付け、気候変動問題への対応を進めており、2021年2月に、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明するとともにTCFDに沿った気候関連情報を開示しました。また、鉄道事業における省エネ型車両の導入や建物の省エネ化などの取り組みを推進するとともに、2022年3月には2050年CO₂排出量実質ゼロに向けたロードマップを策定しました。しかしながら、このような取り組みにも関わらず、株主・投資家から低炭素化への取り組みが不十分である、又は気候変動に関する情報開示に的確に対応していない、などと判断され信頼・評価が低下した場合、当社グループの事業、業績及び財政状況に影響を与える可能性があります。 13 運輸サービスグループに関する事項(安全対策について)当社グループは、基幹事業である鉄道事業における安全は最大の使命であり、企業価値の源泉であるという認識の下、経営トップの主体的関与により安全管理に係るPDCAサイクルを適切に機能させ、安全監査及び安全点検等を実施することにより、更なる安全の確保に努めています。鉄道事業にかかる重大事故があった場合、第三者から損害賠償等の請求を受ける可能性があるほか、損傷した鉄道路線の修繕や交換に要する多額の支出、運休による収入の減少及び当社グループの評判や社会的信頼の毀損を生じる可能性があります。なお、新幹線を中心に、鉄道ネットワークは相互連携しているため、比較的小規模な事故が当社グループの鉄道の運行に広範囲にわたって支障を来たす可能性があり、当社グループの収益の減少又は鉄道サービスや設備の安全性そのものに対する懸念や、場合によっては当社グループの鉄道事業以外の事業に対する社会的信頼やブランド価値に影響を及ぼす可能性があります。 (法的規制について)(1)鉄道事業に係る法律関連事項当社は、鉄道事業者として鉄道事業法の定めに基づき事業運営を行っております。また、JR会社法の適用対象からは除外されたものの、同法の附則に定められた「当分の間配慮すべき事項に関する指針」等に配慮した事業運営が求められております。これらの詳細については、以下のとおりです。① 鉄道事業法(昭和61年法律第92号)当社グループの鉄道事業においては、鉄道事業法の規制を受けております。鉄道事業者は本法の定めに従い、営業する路線及び鉄道事業の種別ごとに国土交通大臣の許可を受けなければならない(第3条)とともに、旅客の運賃及び料金について国土交通大臣の認可を受け、その範囲内での設定・変更を行う場合は、事前届出を行うこととされております(第16条)。また、鉄道事業の休廃止については、国土交通大臣に事前届出(廃止の場合は廃止日の1年前まで)を行うこととされております(第28条、第28条の2)。この他、国土交通省の指針や事業の公益性の観点から鉄道事業において大きな方針転換を図ることができない可能性があります。 ② 旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律(平成27年法律第36号)(以下「JR会社法改正法」という。)JR会社法改正法附則第2条において、当社及び当社の鉄道事業の全部又は一部を譲受け、合併等により施行日以降経営する者のうち国土交通大臣が指定するもの(以下「新会社」という。)が事業を営むに際し、当分の間配慮すべき事項に関する指針(以下「指針」という。)を定めると規定されております。この指針は2015年12月に告示され、2016年4月1日より適用されております。指針に定められた内容は概ね次のとおりです。・会社間(新会社との間又は、新会社と北海道旅客鉄道株式会社、四国旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社又は東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社、西日本旅客鉄道株式会社、並びにその事業の全部若しくは一部を譲受、合併、分割、相続によりJR会社法の改正法(平成13年法律第61号)の施行日以後経営するもののうち国土交通大臣が指定するものとの間をいう。)における旅客の運賃及び料金の適切な設定、鉄道施設の円滑な使用その他鉄道事業に関する会社間における連携及び協力の確保に関する事項・国鉄改革の実施後の輸送需要の動向その他新たな事情の変化を踏まえた現に営業している路線の適切な維持及び駅その他の鉄道施設の整備に当たっての利用者の利便の確保に関する事項・新会社がその事業を営む地域において当該事業と同種の事業を営む中小企業者の事業活動に対する不当な妨害又はその利益の不当な侵害を回避することによる中小企業者への配慮に関する事項国土交通大臣は、指針を踏まえた事業経営を確保するため必要があると認めるときは、新会社に対し、その事業経営について必要な指導及び助言をすることができるとされており(附則第3条)、さらに正当な理由がなく指針に反する事業運営を行ったときには、勧告をすることができるとされております(附則第4条)。なお、当社はこれまでも指針に定められた事項に沿った事業運営を行ってきており、この指針は今後の当社の事業運営に大きな影響を及ぼすものではないと考えております。(2)運賃及び料金の設定又は変更当社が鉄道事業における運賃及び料金を設定又は変更する際には、鉄道事業法に規定された必要な手続きを経る必要があり、何らかの理由により当該手続きに基づいた運賃及び料金の設定又は変更を機動的に行えない場合には、当社の収益に影響を与える可能性があります。手続きの詳細については以下のとおりです。① 運賃及び料金の認可の仕組みと手続き鉄道運送事業者が旅客の運賃及び新幹線特急料金(以下「運賃等」という。)の上限を定め、又は変更しようとする場合、国土交通大臣の認可を受けなければならないことが法定されております(鉄道事業法第16条第1項)。また、その上限の範囲内での運賃等の設定・変更及び在来線特急料金等その他の料金の設定・変更については、事前の届出で実施できることとなっております(鉄道事業法第16条第3項及び第4項)。鉄道運送事業者の申請を受けて国土交通大臣が認可するまでの手続きは、過去の例によれば概ね次のようになっております。 (注)1 鉄道事業法第64条の2に基づく手続きであります。また、国土交通省設置法第23条では、運輸審議会が審議の過程で必要があると認めるとき又は国土交通大臣の指示等があったときに公聴会が開かれることが定められております。2 鉄道営業法第3条第2項で、運賃その他の運送条件の加重をなす場合に7日以上の公告をしなければならないことが定められております。 なお、各旅客会社における独自の運賃改定の実施の妨げとなるものではありませんが、国鉄改革の実施に際し利用者の利便の確保を図るため、旅客会社では、現在、2社以上の旅客会社間をまたがって利用する旅客及び荷物に対する運賃及び料金に関し、旅客会社間の契約により通算できる制度とし、また、運賃について、遠距離逓減制を加味したものとしております。 ② 運賃改定に対する当社の考え方イ 当社では、1987年4月の会社発足以降、消費税等を転嫁するための運賃改定(1989年4月、1997年4月、2014年4月及び2019年10月)を除くと、1996年1月10日に初めての運賃改定(平均7.8%)を実施いたしました。今後も総合的な経営判断に立ち、適正な利潤を確保し得るような運賃改定を適時実施する必要があると考えております。ロ 事業経営に当たっては、まず収入の確保と合理化努力を進め効率的な経営に努めますが、適正利潤についてはこのような努力を前提とした上で、将来の設備投資や財務体質の強化等を可能なものとする水準にあることが是非とも必要であると考えております。ハ 鉄道事業の資本費用に大きな影響を与える設備投資については、安全・安定輸送を前提とし、案件ごとに必要性等を勘案しつつ実施しております。なお、当社としましては、事業者の明確な経営責任の下で主体的に設備投資に取り組むことが必要であると認識しているところであります。 ③ 国土交通省の考え方当社の運賃改定に関し、国土交通省からは、次のような考え方が示されております。イ 当社を含む鉄道事業の運賃の上限の改定に当たっては、鉄道事業者の申請を受けて、国土交通大臣が、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたもの(以下「総括原価」という。)を超えないものかどうかを審査して認可することとなっている(鉄道事業法第16条第2項)。なお、原価計算期間は3年間とする。ロ 総括原価を算定するに当たっては、他の事業を兼業している場合であっても鉄道事業部門のみを対象として、所要の株主配当を含めた適正な利潤を含む適正な原価を算定することとなっている。また、通勤・通学輸送の混雑等を改善するための輸送力の増強、旅客サービス向上等に関する設備投資計画の提出を求め、これについて審査を行い、必要な資本費用については原価算入を認めているところである。ハ 総括原価を算定する方法としては、当該事業に投下される資本に対して、機会費用の考え方による公正・妥当な報酬を与えることにより資本費用(支払利息、配当金等)額を推定するレートベース方式を用いる方針であり、総括原価の具体的な算定は以下によることとしている。総括原価=営業費等(注1)+事業報酬・事業報酬=事業報酬対象資産(レートベース)×事業報酬率・事業報酬対象資産=鉄道事業固定資産+建設仮勘定+繰延資産+運転資本(注2)・事業報酬率=自己資本比率(注3)×自己資本報酬率(注4)+他人資本比率(注3)×他人資本報酬率(注4)(注)1 鉄道事業者間で比較可能な費用について、経営効率化を推進するため各事業者間の間接的な競争を促す方式(ヤードスティック方式)により、比較結果を毎事業年度終了後に公表するとともに、原価の算定はこれを基に行うこととしている。2 運転資本=営業費及び貯蔵品の一部3 自己資本比率30%、他人資本比率70%4 自己資本報酬率は、公社債応募者利回り、全産業平均自己資本利益率及び配当所要率の平均、他人資本報酬率は借入金等の実績平均レートニ なお、認可した上限の範囲内での運賃等の設定・変更、又はその他の料金の設定・変更は、事前の届出で実施できることとなっているが、国土交通大臣は、届出された運賃等が、次の(a)又は(b)に該当すると認めるときは、期限を定めてその運賃等を変更すべきことを命じることができるとされている(鉄道事業法第16条第5項)。(a)特定の旅客に対し不当な差別的取扱いをするものであるとき(b)他の鉄道運送事業者との間に不当な競争を引き起こすおそれがあるものであるとき なお、1999年の鉄道事業法改正により総括原価方式に基づく現行の鉄道運賃・料金制度が法定化されてから20年以上が経過するなか、新型コロナウイルス感染症の影響によるライフスタイルの変化やデジタル技術の発展・普及への対応、地域における交通モード間における連携強化等、現行の鉄道運賃・料金制度における課題について議論する「交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会鉄道運賃・料金制度のあり方に関する小委員会」が、国土交通大臣の諮問により2022年2月に設置されました。当社も、ヒアリング対象として出席した同委員会において柔軟な鉄道運賃・料金制度への見直しが必要であることについて意見を述べており、同委員会での議論及び鉄道運賃・料金制度見直しの動向を注視してまいります。 (整備新幹線について)(1)整備新幹線の建設計画整備新幹線は、1970年に制定された全国新幹線鉄道整備法(昭和45年法律第71号)に基づき、1973年に整備計画が決定されており、当社は九州新幹線(鹿児島ルート(福岡市~鹿児島市)、西九州ルート(福岡市~長崎市))について営業主体とされました。このうち、九州新幹線(鹿児島ルート)については、2004年3月13日に新八代・鹿児島中央間、2011年3月12日に博多・新八代間がそれぞれ開業しました。九州新幹線(西九州ルート)については、武雄温泉・長崎間(西九州新幹線)がフル規格で建設主体である鉄道建設・運輸施設整備支援機構(以下「鉄道・運輸機構」という。)により工事が進められており、2022年9月23日に武雄温泉駅で博多・武雄温泉間を走行する在来線特急と対面乗り換えを行うこと(いわゆるリレー方式)により暫定開業する予定です。また、新鳥栖・武雄温泉間については、当初、在来線を活用する軌間可変電車を導入する予定であったものの、2017年7月14日の国土交通省の軌間可変技術評価委員会において、軌間可変電車の安全性、経済性について引き続き課題が残っているものと評価されるなど、軌間可変電車の開発状況に鑑み、2018年7月19日に与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム九州新幹線(西九州ルート)検討委員会(以下「検討委員会」という。)により導入が断念されました。その後、2019年8月5日の検討委員会において、「九州新幹線(西九州ルート)の整備のあり方等に関する基本方針」が示され、武雄温泉駅での対面乗換が恒久化することはあってはならず、新鳥栖・武雄温泉間はフル規格(複線)で整備することが適当であることと、今後は、国土交通省、佐賀県、長崎県、当社の間で協議を行い、検討を深めていくべきであり、国土交通省に対し、協議の実施と検討委員会への報告を求めることとされました。以後、これまでに国土交通省と佐賀県との間で複数回の協議がなされ、この間、国土交通省と当社、国土交通省と長崎県との間でも個別に協議が行われましたが、合意には至っておりません。したがって、現時点において、新鳥栖・武雄温泉間の整備方式は決定しておりません。 (2)整備新幹線建設の費用負担整備新幹線は、鉄道・運輸機構が建設を行っており、その費用は国、地方公共団体及びJRが負担することとされていますが、当社の負担については、整備新幹線の営業主体となるJRが支払う貸付料を充てることとされています。1997年10月の北陸新幹線高崎・長野間の開業に伴い、整備新幹線の営業主体であるJRが支払う貸付料の額の基準が設けられ、現在は独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法施行令(平成27年政令第392号)(以下「施行令」という。)第6条に規定されています。施行令において、貸付料の額は、当該新幹線開業後の営業主体の受益の程度を勘案し算定された額に、貸付けを受けた鉄道施設に関して鉄道・運輸機構が支払う租税及び鉄道・運輸機構の管理費の合計額を加えた額を基準として、鉄道・運輸機構において定めるものとされています。ここでいう受益は、新幹線が開業した場合の当該新幹線区間及び関連線区区間の収支と、開業しなかったと仮定した場合の並行在来線及び関連線区区間の収支を比較し、前者が後者より改善することにより営業主体が受けると見込まれる利益とされており、具体的には、開業後30年間の需要予測及び収支予測に基づいて算定されることとなります。なお、この受益の程度を勘案し算定された額については、開業後30年間は定額とされています。また、租税及び鉄道・運輸機構管理費相当額については、営業主体の当該新幹線開業後の経費として、受益算定の際に反映されています。整備新幹線の建設を行う鉄道・運輸機構は建設費の調達を行い、建設した施設を保有することとされています。当社は完成後にこの施設の貸付けを受け、開業後に上記の貸付料を支払うこととなっており、建設期間中における同機構への建設費の直接負担は原則としてないものとされています。なお、九州新幹線(鹿児島ルート)については、JR会社法改正法及び九州旅客鉄道株式会社の経営安定基金の取崩しに関する省令(平成27年国土交通省令第61号)に基づき、上記貸付料の定額部分につき、2016年4月1日から各区間の開業後30年までに係る貸付料の全額(約2,205億円)を一括して2015年度末に鉄道・運輸機構に支払っております。また、武雄温泉・長崎間(西九州新幹線)については、当該路線の営業主体となる当社が、建設主体である鉄道・運輸機構に支払う新幹線鉄道施設の貸付料は、現段階で決定しておりません。 (3)並行在来線の扱い九州新幹線(鹿児島ルート)については、2004年3月の新八代・鹿児島中央間の開業時に、並行在来線である鹿児島本線八代・川内間は経営分離され、「肥薩おれんじ鉄道株式会社」に引き継がれました。また、九州新幹線(西九州ルート)については、長崎本線肥前山口・諫早間は経営分離せず、2022年9月23日に予定されている開業時点で上下分離し、当社は、当該開業時点から3年間は一定水準の列車運行のサービスレベルを維持するとともに、当該開業後、23年間運行を維持することを関係6者(当社、佐賀県、長崎県、検討委員会、国土交通省及び鉄道・運輸機構)にて確認しております。 (4)整備新幹線建設に関する当社の考え方(2)記載の貸付料のうち、受益の程度を勘案して算定される額は、実際の収益に関わらず定額を支払うこととされているため、収支が予測を下回る場合、当社の鉄道事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、建設の遅滞等により開業の遅れが発生した場合や、開業後の収益が予測を下回った場合、当社グループの事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。当社は、2019年3月27日の検討委員会において、リレー方式による運営が長期化又は固定化することは、地域振興効果が極めて限定的になること等から、到底受け入れられない旨の表明をしており、少しでも早期に全線開業できるよう要望しているところです。さらに、2019年4月12日に国土交通省より鉄道・運輸機構に対して、工事予算の増額等を主旨とする工事実施計画(武雄温泉・長崎間)の変更認可がなされました。なお、2018年11月28日の与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームにおいて、当社は、整備新幹線の建設費に応じて貸付料を引上げることについて、整備新幹線の基本的なスキームを大幅に逸脱するものであり受け入れられるものではない旨の表明をしております。また、2021年6月14日に検討委員会より、九州新幹線(西九州ルート)について、新鳥栖・武雄温泉間の在来線については、JR九州が運行を維持することが不可欠である等の検討状況が示されました。なお当社は、経営上極めて重要な課題となる並行在来線の取扱いについては、・在来線の利便性の問題は、地域の皆さまにとって重要な課題である・必ずしも経営分離を前提とせず、佐賀県等から具体的な課題認識のご意見を拝聴しながら、真摯に議論を深めたい・佐賀県と国土交通省の「幅広い協議」において、「フル規格」という選択肢にある程度の目途がつきそうな段階になれば、議論を深めたいとの考えを、国土交通省との協議において示しております。 14 不動産・ホテルグループに関する事項当社グループの不動産・ホテルグループにおいては、収益化まで長期にわたるプロジェクトの各過程で多額の投資を行います。そして、建設資材価格及び人件費の上昇による建設費の増加、金利水準並びに金融政策をはじめとする当社グループが制御できないさまざまな外部要因により、完成に要する時間と投資額等が増加し、想定していた収益を生まないことがあります。不動産販売業においては、販売価格の低下や、完成した販売用不動産を長期にわたって保有せざるを得ない場合に評価損を認識することがあります。不動産賃貸業においては、大型テナントの喪失、空室率の上昇や賃料の低下が生じる場合があり、駅ビル商業施設のテナント売上が減少した場合は、賃料収入の売上連動部分が減少します。ホテル業においては、景気動向の影響を受けやすいため、景気低迷による企業活動の縮小や個人消費の減退が続いた場合、過当な価格競争による売上減少、また、これに伴う事業収支の悪化により、有形固定資産の減損損失を計上する可能性があります。また、当社グループは、プロジェクトの完成後にも、テナント、居住者その他の利用者に生じた不測の損失、損害、被害の責任や、建築瑕疵の補償費用の負担を負うことがあります。このような事象が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
FY2021|13,729 文字
2【事業等のリスク】当社グループは、九州新幹線をはじめとした九州主要都市間を結ぶ鉄道ネットワークを有しており、鉄道事業に加えて、鉄道事業との相乗効果の高い不動産業(駅ビル商業施設、マンション、ホテル等)、小売業及び飲食業等について九州を中心に展開しております。本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、これらは当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 1 感染症に関する事項2020年2月頃からの急速な新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、社会経済活動に大きな制約が生じています。当社グループにおいては、鉄道利用者の大幅な減少、駅ビル等商業施設の休館又は営業時間短縮による賃料収入の低迷、ホテルの休館又は客室稼働率減に伴う売上減少、コンビニエンスストア及び飲食店舗等の休業又は営業時間短縮等による売上減少等の影響を受けております。提出日現在においても、新型コロナウイルス感染症の収束時期は不透明であり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼしています。また、新型コロナウイルス感染症が収束する場合も、在宅勤務やオンライン授業の拡大などにより、人々が移動又は接触を避ける新しい行動様式が広まる場合には、当社グループの鉄道、駅ビル商業施設、ホテル、飲食店舗等への需要が中長期的に減退する可能性もあります。このように、SARS(重症急性呼吸器症候群)、新型インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症等をはじめとする重大な感染症が国内外で発生・蔓延し、インバウンドを含めた人的移動の自粛や制限、企業活動の縮小、サプライチェーンの寸断等が生じることで経済活動全体が停滞した場合、当社グループの事業における需要の減退等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。国内外で重大な感染症拡大の恐れがある場合、対策本部を設置し、政府関係機関・自治体との連携や感染防止への措置など、事業継続に向けた対策を速やかに実施します。しかしながら、感染力が強く、社員や委託先に罹患者が大量発生した場合等は、事業の継続に影響を及ぼす可能性があります。 2 少子高齢化等の人口動向に関する事項当社グループの主な事業エリアである九州は、人口減少率が国内の他のエリアよりも高く、加えて高齢者の割合も高い傾向が続くと予測されています。進行する人口減少に対して、当社グループは、沿線価値を高める駅ビル及びマンション開発等により沿線の定住人口を増やすとともに、ビジネスや観光、アジア各国との地理的なメリットを活かしたインバウンド需要の取り込み等により交流人口を増やし、鉄道事業の収入の確保や九州圏内の消費の活性化を図っております。今後の九州の人口減少及び少子高齢化によって、通勤や通学等の定期収入、ビジネスや旅行等の定期外収入が減少する場合、運輸サービスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの駅ビル等の商業施設や店舗等の利用者が減少する場合や、賃貸マンション・分譲マンションの利用者・購入者が減少する場合、不動産・ホテルグループや流通・外食グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 3 自然災害等に関する事項当社グループは、九州を中心として幅広い事業を展開しており、その中で鉄道軌道、鉄道車両、不動産といった多くの固定資産を有しているため、地震、火山の噴火、津波、台風、地滑り、豪雨、大雪、洪水等の自然災害、テロリズムや武力紛争等の人的災害が発生した場合には、かかる保有資産の大規模な修繕に加え、当社グループの業務運営の全部若しくは一部を継続できない又は重大な支障が生じる可能性があり、特に当社グループの事業が集中する九州あるいは福岡において甚大な被害が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。特に2016年4月に発生した「平成28年熊本地震」では、九州新幹線をはじめとして当社グループの施設が大きな被害を受けました。また、昨年7月に発生した「令和2年7月豪雨」の影響により、久大本線及び肥薩線の鉄道施設に被害を受け、肥薩線においては、現在も一部区間において代行輸送を行っております。昨今の自然災害の頻発及び激甚化を踏まえて、着実な安全投資を行い、新幹線脱線対策や構造物の耐震補強の対策や、降雨による線路沿線斜面の落石・崩落防止等の対策を講じるほか、机上訓練や避難誘導訓練等を実施する等、ハード及びソフト両面の防災及び減災対策の強化に努めております。 4 経済動向や国際情勢に関する事項当社グループは、運輸サービス、建設、不動産・ホテル、流通・外食等の様々な事業を主に九州で展開しており、消費増税や政府による経済政策の影響等、日本全体の経済環境のほか、福岡市やその他の主要都市部をはじめとした九州の経済環境の影響下にあります。また、海外、特に韓国、中国、台湾、香港その他の近隣のアジア諸国及び地域からの観光客の増減について、為替相場の状況、政治的要因、自然災害、異常気象、事故、感染症の流行等の国内外の状況に影響を受ける可能性があります。これらにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 5 中期経営計画に関する事項当社グループは2019年3月に「JR九州グループ中期経営計画2019-2021~次の『成長ステージ』に向けて~」を発表し、経営数値目標を定めておりましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により、当社グループを取り巻く事業環境は当中期経営計画策定時において想定していたものと大きく変わっており、経営数値目標の達成は困難な見通しであることから、2020年11月に経営数値目標を取り下げました。なお、当中期経営計画において掲げている3つの重点取り組み「更なる経営基盤強化」「主力事業の更なる収益力強化」「新たな領域における成長と進化」に基づく各施策につきましては、新型コロナウイルス感染症による事業環境の変化を踏まえた必要な修正を行ったうえで継続してまいります。施策の実施にあたっては、例えば、インターネットを利用したきっぷの販売やイールドマネジメントが予想どおりに進まない可能性、鉄道事業の効率化・省人化等の推進を通じた経費削減策が計画どおりに実行できない可能性、今後の不動産開発プロジェクトが成功しない可能性、さらには、当社グループのノウハウ及び経験を、九州域外での事業展開等に際して当社に有利な形で活用できない可能性があります。また、当社グループの運輸サービスと不動産・ホテルの両事業は相互に関連しているため、一部の事業の低迷が他の事業にも影響する可能性があります。 6 情報技術(IT)上の問題に関する事項当社グループにおいては、鉄道事業をはじめとする様々な事業を安全かつ適切に運営するため、様々なITシステムを利用しています。また、当社グループと取引関係にある他の会社(各旅客会社間の収入清算等の計算業務を委託している鉄道情報システム株式会社等)においても同様にITシステムが利用されております。当社グループではデジタル戦略を制定し、ITシステムのセキュリティ強化を進めるとともに、インシデントの早期検知や復旧等の対応能力向上に努めております。しかしながら、それらの施策にもかかわらず、当社グループ又は当社グループと取引関係にある他の会社のITシステムに関する事故、故障、サイバー攻撃及び人為的な過誤・不正操作等により、鉄道の遅延、不具合、きっぷの発券及び予約機能の障害又は遅延をはじめとして、当社グループの事業運営に様々な問題が起こる可能性があるとともに、当社グループの安全性又は信頼性に対する懸念が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 7 個人情報保護に関する事項当社グループは、鉄道事業をはじめとする様々な事業を営んでおり、これらの性質上多数の個人・法人の顧客から様々な情報を取得し保有しております。個人情報に関して、当社グループは、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)に基づき、個人情報取扱事業者として、個人情報保護に係る義務等の遵守が求められており、社内規程の整備、セキュリティ強化及び社員教育の徹底等の対策に努めております。しかしながら、当社グループが保有する顧客情報等の個人情報やその他重要な情報が外部に漏洩した場合には、損害賠償請求や行政処分を受ける可能性があります。また、かかる事案に対応するための時間及び費用が生じ、当社グループの事業運営上の支障や社会的信用の低下による顧客喪失等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 8 競合に関する事項当社グループの各事業は競争に晒されています。運輸サービスグループにおいては、安全性、コスト、速達性、利便性、快適性その他の点で、他の鉄道会社に加え、自動車、バス、航空機、船舶等の他の輸送機関との間でも競合しております。特に九州では高速道路が多く利用されており、都市間を結ぶ当社グループの新幹線や特急列車と競合しています。また、不動産・ホテルグループにおいては、利便性、顧客獲得能力、価格、賃料その他の賃貸条件、ブランド力の点で、他の不動産デベロッパーやホテル事業者と競合しています。そのほか、建設グループにおいては九州全域又はその他の地域に所在する建設事業者と、流通・外食グループにおいては利便性、価格、施設の魅力、顧客満足度等の点で類似の小売・飲食事業者と競合しています。当社グループが顧客の嗜好や需要の変化、技術の進展に対応できず、又は、競合他社の統合等により競争力を向上又は維持できない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 9 保有資産の価値に関する事項当社グループは、土地その他の不動産を中心に、多くの固定資産を所有しており、経営環境の変化や収益性の低下等により当該固定資産への投資額の回収が見込めなくなった場合には、減損損失を計上することが必要になり、また、将来かかる資産を簿価未満で売却する場合には、売却損を計上する可能性があります。当社グループは、鉄道事業において継続的に多額の設備投資を実施しているため、将来において鉄道事業の業績が予想以上に低調となった場合には、鉄道事業固定資産について減損損失を計上する可能性があります。また、当社グループの繰延税金資産は、税務上の繰越欠損金及び将来減算一時差異について、収益力及びタックス・プランニングに基づく将来の課税所得発生額を見積り、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると認められる範囲内で計上しております。従って、将来の課税所得の予測・仮定に基づいて繰延税金資産の一部又は全部の回収ができないと判断した場合、繰延税金資産は減額される可能性があります。さらに、市場金利の変動や発行主体の業績又は資産状況の悪化等により、当社が保有する投資有価証券等の金融資産の市場価値が下落する可能性があります。このような事象が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 10 外部委託先や取引先に関する事項当社グループは、事業上様々な局面において、第三者である外部事業者に対し、業務委託等を行っております。例えば、不動産・ホテルグループでは、建設業務の一部及び居住用物件の賃貸及び販売管理を第三者に委託しております。さらに、流通・外食グループ及びその他グループでは、第三者生産者、卸売業者及びメーカーより原材料や商品の仕入れを行い、コンビニエンスストアの運営については株式会社ファミリーマートとのフランチャイズ契約に基づいております。このため、これらの第三者又はその再委託先が、当社グループの定める基準を満たす商品やサービスの提供等を怠った場合やこれらの第三者に起因する問題や事故が発生した場合、当社グループの社会的信用や当社グループの事業等に重大な影響を及ぼし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 11 環境規制や気候変動に関する事項当社グループは、主として運輸サービスグループ及び不動産・ホテルグループにおいて、不動産を所有しております。当社グループは、かかる不動産の取得に際し、土壌汚染、水質汚濁、建物へのアスベスト等の有害物質等の使用に関する環境調査を実施しておりますが、かかる調査によりすべての有害物質等の存在又は使用等が事前に判明する保証はありません。また、土地の所有者は、土壌汚染対策法(平成14年法律第53号)に基づき、さまざまな場面において、土壌汚染に関する調査を実施しなければならず、また、人体への健康被害を生じうる土壌汚染が判明した場合には、その所有者は、土壌汚染に関する帰責性の有無及び善意・悪意を問わず、当局より有害物質等の除去を命じられる可能性があります。また、建築基準法(昭和25年法律第201号)及び大気汚染防止法(昭和43年法律第97号)に基づき、既存建物の解体、修繕等に関し、アスベストの除去又はその他一定の措置を講じる必要があります。有害物質等の存在は、不動産の販売、賃貸借、開発又は担保としての利用の制約となる可能性があり、また、資産価値の低下、有害物質等の除去等に要する費用の増加等を生じる可能性があります。さらに、かかる有害物質に起因して、現実に人体への健康被害等が生じた場合には、当社グループは、損害賠償等の責任を負う可能性があります。その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、2015年の国連気候変動枠組条約第21回締約国会議での「パリ協定」採択を機に、世界的に脱炭素社会に向けた動きが広がっております。こうした中、低炭素化に向けた政策・規制の見直しが実施され、税負担、事業活動における諸材料・エネルギーの調達コスト、設備・車両の変更等の対応費用が増加した場合、当社グループの事業、業績及び財政状況に影響を与える可能性があります。当社グループでは、気候変動問題を重要課題の一つと位置付け、気候変動問題への対応を進めており、2021年2月に、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明するとともにTCFDに沿った気候関連情報を開示しました。また、鉄道事業における省エネ型車両の導入や建物の省エネ化などの取り組みを推進するとともに、2050年 CO₂排出量実質ゼロに向けたロードマップの策定を進めております。しかしながら、このような取組みにも関わらず、株主・投資家から低炭素化への取り組みが不十分である、又は気候変動に関する情報開示に的確に対応していない、などと判断され信頼・評価が低下した場合、当社グループの事業、業績及び財政状況に影響を与える可能性があります。 12 運輸サービスグループに関する事項(安全対策について)当社グループは、基幹事業である鉄道事業における安全は最大の使命であり、企業価値の源泉であるという認識の下、経営トップの主体的関与により安全管理に係るPDCAサイクルを適切に機能させ、安全監査及び安全点検等を実施することにより、更なる安全の確保に努めています。鉄道事業にかかる重大事故があった場合、第三者から損害賠償等の請求を受ける可能性があるほか、損傷した鉄道路線の修繕や交換に要する多額の支出、運休による収入の減少及び当社グループの評判や社会的信頼の毀損を生じる可能性があります。なお、新幹線を中心に、鉄道ネットワークは相互連携しているため、比較的小規模な事故が当社グループの鉄道の運行に広範囲にわたって支障を来たす可能性があり、当社グループの収益の減少又は鉄道サービスや設備の安全性そのものに対する懸念や、場合によっては当社グループの鉄道事業以外の事業に対する社会的信頼やブランド価値に影響を及ぼす可能性があります。 (法的規制について)(1)鉄道事業に係る法律関連事項当社は、鉄道事業者として鉄道事業法の定めに基づき事業運営を行っております。また、JR会社法の適用対象からは除外されたものの、同法の附則に定められた「当分の間配慮すべき事項に関する指針」等に配慮した事業運営が求められております。これらの詳細については、以下のとおりです。① 鉄道事業法(昭和61年法律第92号)当社グループの鉄道事業においては、鉄道事業法の規制を受けております。鉄道事業者は本法の定めに従い、営業する路線及び鉄道事業の種別ごとに国土交通大臣の許可を受けなければならない(第3条)とともに、旅客の運賃及び料金について国土交通大臣の認可を受け、その範囲内での設定・変更を行う場合は、事前届出を行うこととされております(第16条)。また、鉄道事業の休廃止については、国土交通大臣に事前届出(廃止の場合は廃止日の1年前まで)を行うこととされております(第28条、第28条の2)。この他、国土交通省の指針や事業の公益性の観点から鉄道事業において大きな方針転換を図ることができない可能性があります。 ② 旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律(平成27年法律第36号)(以下「JR会社法改正法」という。)JR会社法改正法附則第2条において、当社及び当社の鉄道事業の全部又は一部を譲受け、合併等により施行日以降経営する者のうち国土交通大臣が指定するもの(以下「新会社」という。)が事業を営むに際し、当分の間配慮すべき事項に関する指針(以下「指針」という。)を定めると規定されております。この指針は2015年12月に告示され、2016年4月1日より適用されております。指針に定められた内容は概ね次のとおりです。・会社間(新会社との間又は、新会社と北海道旅客鉄道株式会社、四国旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社又は東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社、西日本旅客鉄道株式会社、並びにその事業の全部若しくは一部を譲受、合併、分割、相続によりJR会社法の改正法(平成13年法律第61号)の施行日以後経営するもののうち国土交通大臣が指定するものとの間をいう。)における旅客の運賃及び料金の適切な設定、鉄道施設の円滑な使用その他鉄道事業に関する会社間における連携及び協力の確保に関する事項・国鉄改革の実施後の輸送需要の動向その他新たな事情の変化を踏まえた現に営業している路線の適切な維持及び駅その他の鉄道施設の整備に当たっての利用者の利便の確保に関する事項・新会社がその事業を営む地域において当該事業と同種の事業を営む中小企業者の事業活動に対する不当な妨害又はその利益の不当な侵害を回避することによる中小企業者への配慮に関する事項国土交通大臣は、指針を踏まえた事業経営を確保するため必要があると認めるときは、新会社に対し、その事業経営について必要な指導及び助言をすることができるとされており(附則第3条)、さらに正当な理由がなく指針に反する事業運営を行ったときには、勧告をすることができるとされております(附則第4条)。なお、当社はこれまでも指針に定められた事項に沿った事業運営を行ってきており、この指針は今後の当社の事業運営に大きな影響を及ぼすものではないと考えております。 (2)運賃及び料金の設定又は変更当社が鉄道事業における運賃及び料金を設定又は変更する際には、鉄道事業法に規定された必要な手続きを経る必要があり、何らかの理由により当該手続きに基づいた運賃及び料金の設定又は変更を機動的に行えない場合には、当社の収益に影響を与える可能性があります。手続きの詳細については以下のとおりです。① 運賃及び料金の認可の仕組みと手続き鉄道運送事業者が旅客の運賃及び新幹線特急料金(以下「運賃等」という。)の上限を定め、又は変更しようとする場合、国土交通大臣の認可を受けなければならないことが法定されております(鉄道事業法第16条第1項)。また、その上限の範囲内での運賃等の設定・変更及び在来線特急料金等その他の料金の設定・変更については、事前の届出で実施できることとなっております(鉄道事業法第16条第3項及び第4項)。鉄道運送事業者の申請を受けて国土交通大臣が認可するまでの手続きは、大手民営鉄道事業者における近年の例によれば次のようになっております。 (注)1 鉄道事業法第64条の2に基づく手続きであります。また、国土交通省設置法第23条では、運輸審議会が審議の過程で必要があると認めるとき又は国土交通大臣の指示等があったときに公聴会が開かれることが定められております。2 鉄道営業法第3条第2項で、運賃その他の運送条件の加重をなす場合に7日以上の公告をしなければならないことが定められております。なお、各旅客会社における独自の運賃改定の実施の妨げとなるものではありませんが、国鉄改革の実施に際し利用者の利便の確保を図るため、旅客会社では、現在、2社以上の旅客会社間をまたがって利用する旅客及び荷物に対する運賃及び料金に関し、旅客会社間の契約により通算できる制度とし、また、運賃について、遠距離逓減制を加味したものとしております。 ② 運賃改定に対する当社の考え方イ 当社では、1987年4月の会社発足以降、消費税等を転嫁するための運賃改定(1989年4月、1997年4月、2014年4月及び2019年10月)を除くと、1996年1月10日に初めての運賃改定(平均7.8%)を実施いたしました。今後も総合的な経営判断に立ち、適正な利潤を確保し得るような運賃改定を適時実施する必要があると考えております。ロ 事業経営に当たっては、まず収入の確保と合理化努力を進め効率的な経営に努めますが、適正利潤についてはこのような努力を前提とした上で、将来の設備投資や財務体質の強化等を可能なものとする水準にあることが是非とも必要であると考えております。ハ 鉄道事業の資本費用に大きな影響を与える設備投資については、安全・安定輸送を前提とし、案件ごとに必要性等を勘案しつつ実施しております。なお、当社としましては、事業者の明確な経営責任の下で主体的に設備投資に取り組むことが必要であると認識しているところであります。 ③ 国土交通省の考え方当社の運賃改定に関し、国土交通省からは、次のような考え方が示されております。イ 当社を含む鉄道事業の運賃の上限の改定に当たっては、鉄道事業者の申請を受けて、国土交通大臣が、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたもの(以下「総括原価」という。)を超えないものかどうかを審査して認可することとなっている(鉄道事業法第16条第2項)。なお、原価計算期間は3年間とする。ロ 総括原価を算定するに当たっては、他の事業を兼業している場合であっても鉄道事業部門のみを対象として、所要の株主配当を含めた適正な利潤を含む適正な原価を算定することとなっている。また、通勤・通学輸送の混雑等を改善するための輸送力の増強、旅客サービス向上等に関する設備投資計画の提出を求め、これについて審査を行い、必要な資本費用については原価算入を認めているところである。ハ 総括原価を算定する方法としては、当該事業に投下される資本に対して、機会費用の考え方による公正・妥当な報酬を与えることにより資本費用(支払利息、配当金等)額を推定するレートベース方式を用いる方針であり、総括原価の具体的な算定は以下によることとしている。総括原価=営業費等(注1)+事業報酬・事業報酬=事業報酬対象資産(レートベース)×事業報酬率・事業報酬対象資産=鉄道事業固定資産+建設仮勘定+繰延資産+運転資本(注2)・事業報酬率=自己資本比率(注3)×自己資本報酬率(注4)+他人資本比率(注3)×他人資本報酬率(注4)(注)1 鉄道事業者間で比較可能な費用について、経営効率化を推進するため各事業者間の間接的な競争を促す方式(ヤードスティック方式)により、比較結果を毎事業年度終了後に公表するとともに、原価の算定はこれを基に行うこととしている。2 運転資本=営業費及び貯蔵品の一部3 自己資本比率30%、他人資本比率70%4 自己資本報酬率は、公社債応募者利回り、全産業平均自己資本利益率及び配当所要率の平均、他人資本報酬率は借入金等の実績平均レートニ なお、認可した上限の範囲内での運賃等の設定・変更、又はその他の料金の設定・変更は、事前の届出で実施できることとなっているが、国土交通大臣は、届出された運賃等が、次の(a)又は(b)に該当すると認めるときは、期限を定めてその運賃等を変更すべきことを命じることができるとされている(鉄道事業法第16条第5項)。(a)特定の旅客に対し不当な差別的取扱いをするものであるとき(b)他の鉄道運送事業者との間に不当な競争を引き起こすおそれがあるものであるとき(整備新幹線について)(1)整備新幹線の建設計画整備新幹線は、1970年に制定された全国新幹線鉄道整備法(昭和45年法律第71号)に基づき、1973年に整備計画が決定されており、当社は九州新幹線(鹿児島ルート(福岡市~鹿児島市)、西九州ルート(福岡市~長崎市))について営業主体とされました。このうち、九州新幹線(鹿児島ルート)については、2004年3月13日に新八代・鹿児島中央間、2011年3月12日に博多・新八代間がそれぞれ開業しました。九州新幹線(西九州ルート)については、武雄温泉・長崎間(西九州新幹線)がフル規格で建設主体である鉄道建設・運輸施設整備支援機構(以下「鉄道・運輸機構」という。)により工事が進められており、2022年度秋頃に武雄温泉駅で博多・武雄温泉間を走行する在来線特急と対面乗り換えを行うこと(いわゆるリレー方式)により暫定開業する予定です。また、新鳥栖・武雄温泉間については、当初、在来線を活用する軌間可変電車を導入する予定であったものの、2017年7月14日の国土交通省の軌間可変技術評価委員会において、軌間可変電車の安全性、経済性について引き続き課題が残っているものと評価されるなど、軌間可変電車の開発状況に鑑み、2018年7月19日に与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム九州新幹線(西九州ルート)検討委員会(以下「検討委員会」という。)により導入が断念されました。その後、2019年8月5日の検討委員会において、「九州新幹線(西九州ルート)の整備のあり方等に関する基本方針」が示され、武雄温泉駅での対面乗換が恒久化することはあってはならず、新鳥栖・武雄温泉間はフル規格(複線)で整備することが適当であることと、今後は、国土交通省、佐賀県、長崎県、当社の間で協議を行い、検討を深めていくべきであり、国土交通省に対し、協議の実施と検討委員会への報告を求めることとされました。その後、2020年10月23日までに国土交通省と佐賀県との間で3回の協議がなされ、2020年11月26日には国土交通省と当社、2020年12月25日には国土交通省と長崎県との間で協議が行われましたが、現時点において、新鳥栖・武雄温泉間の整備方式は決定しておりません。 (2)整備新幹線建設の費用負担整備新幹線は、鉄道・運輸機構が建設を行っており、その費用は国、地方公共団体及びJRが負担することとされていますが、JRの負担については、次のイ及びロ(当社の負担はイのみ)を充てることとされています。イ 整備新幹線の営業主体となるJRが支払う貸付料等ロ 既設の新幹線鉄道施設の譲渡収入の一部1997年10月の北陸新幹線高崎・長野間の開業に伴い、整備新幹線の営業主体であるJRが支払う貸付料の額の基準が設けられ、現在は独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法施行令(平成27年政令第392号)(以下「施行令」という。)第6条に規定されています。施行令において、貸付料の額は、当該新幹線開業後の営業主体の受益の程度を勘案し算定された額に、貸付けを受けた鉄道施設に関して鉄道・運輸機構が支払う租税及び鉄道・運輸機構の管理費の合計額を加えた額を基準として、鉄道・運輸機構において定めるものとされています。ここでいう受益は、新幹線が開業した場合の当該新幹線区間及び関連線区区間の収支と、開業しなかったと仮定した場合の並行在来線及び関連線区区間の収支を比較し、前者が後者より改善することにより営業主体が受けると見込まれる利益とされており、具体的には、開業後30年間の需要予測及び収支予測に基づいて算定されることとなります。なお、この受益の程度を勘案し算定された額については、開業後30年間は定額とされています。また、租税及び鉄道・運輸機構管理費相当額については、営業主体の当該新幹線開業後の経費として、受益算定の際に反映されています。整備新幹線の建設を行う鉄道・運輸機構は建設費の調達を行い、建設した施設を保有することとされています。当社は完成後にこの施設の貸付けを受け、開業後に上記イの貸付料等を支払うこととなっており、建設期間中における同機構への建設費の直接負担は原則としてないものとされています。なお、九州新幹線(鹿児島ルート)については、JR会社法改正法及び九州旅客鉄道株式会社の経営安定基金の取崩しに関する省令(平成27年国土交通省令第61号)に基づき、上記貸付料の定額部分につき、2016年4月1日から各区間の開業後30年までに係る貸付料の全額(約2,205億円)を一括して2015年度末に鉄道・運輸機構に支払っております。また、九州新幹線(西九州ルート)については、当該路線の営業主体となる当社が、建設主体である鉄道・運輸機構に支払う新幹線鉄道施設の貸付料については、現段階で決定しておりません。 (3)並行在来線の扱い九州新幹線(鹿児島ルート)については、2004年3月の新八代・鹿児島中央間の開業時に、並行在来線である鹿児島本線八代・川内間は経営分離され、「肥薩おれんじ鉄道株式会社」に引き継がれました。また、九州新幹線(西九州ルート)については、長崎本線肥前山口・諫早間は経営分離せず、2022年度秋頃に予定されている開業時点で上下分離し、当社は、当該開業時点から3年間は一定水準の列車運行のサービスレベルを維持するとともに、当該開業後、23年間運行を維持することを関係6者(当社、佐賀県、長崎県、検討委員会、国土交通省及び鉄道・運輸機構)にて確認しております。 (4)整備新幹線建設に関する当社の考え方(2)記載の貸付料のうち、受益の程度を勘案して算定される額は、実際の収益に関わらず定額を支払うこととされているため、収支が予測を下回る場合、当社の鉄道事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、建設の遅滞等により開業の遅れが発生した場合や、開業後の収益が予測を下回った場合、当社グループの事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社は、2019年3月27日の検討委員会において、リレー方式による運営が長期化又は固定化することは、地域振興効果が極めて限定的になること等から、到底受け入れられない旨の表明をしており、少しでも早期に全線開業できるよう要望しているところです。さらに、2019年4月12日に国土交通省より鉄道・運輸機構に対して、工事予算の増額等を主旨とする工事実施計画(武雄温泉・長崎間)の変更認可がなされました。なお、2018年11月28日の与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームにおいて、当社は、整備新幹線の建設費に応じて貸付料を引上げることについて、整備新幹線の基本的なスキームを大幅に逸脱するものであり受け入れられるものではない旨の表明をしております。 13 不動産・ホテルグループに関する事項当社グループの不動産・ホテルグループにおいては、収益化まで長期にわたるプロジェクトの各過程で多額の投資を行います。そして、建設資材価格及び人件費の上昇による建設費の増加、金利水準並びに金融政策をはじめとする当社グループが制御できないさまざまな外部要因により、完成に要する時間と投資額等が増加し、想定していた収益を生まないことがあります。不動産販売業においては、販売価格の低下や、完成した販売用不動産を長期にわたって保有せざるを得ない場合に評価損を認識することがあります。不動産賃貸業においては、大型テナントの喪失、空室率の上昇や賃料の低下が生じる場合があり、駅ビル商業施設のテナント売上が減少した場合は、賃料収入の売上連動部分が減少します。ホテル業においては、景気動向の影響を受けやすいため、景気低迷による企業活動の縮小や個人消費の減退が続いた場合、過当な価格競争による売上減少、また、これに伴う事業収支の悪化により、有形固定資産の減損損失を計上する可能性があります。また、当社グループは、プロジェクトの完成後にも、テナント、居住者その他の利用者に生じた不測の損失、損害、被害の責任や、建築瑕疵の補償費用の負担を負うことがあります。このような事象が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
FY2020|13,068 文字
2【事業等のリスク】当社グループは、九州新幹線をはじめとした九州主要都市間を結ぶ鉄道ネットワークを有しており、鉄道事業に加えて、鉄道事業との相乗効果の高い不動産業(駅ビル商業施設、マンション、ホテル等)、小売業及び飲食業等について九州を中心に展開しております。本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、これらは当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 1 感染症に関する事項2020年2月頃からの急速な新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、社会経済活動に大きな制約が生じています。当社グループにおいては、鉄道利用者の大幅な減少、駅ビル等商業施設の休館又は営業時間短縮による賃料収入の低迷、ホテルの空室率増加、駅構内のコンビニエンスストア及び飲食店舗等の売上減少等の影響を受けております。提出日現在において、政府の緊急事態宣言は解除されていますが、新型コロナウイルスの収束時期は不透明であり、当社グループの経営成績及び財政状態への影響がいつどの程度緩和されるのかについて現時点で合理的な見積もりを行うことは困難であります。また、新型コロナウイルスが収束する場合も、在宅勤務やオンライン授業の拡大などにより、人々が移動又は接触を避ける行動様式が広まる場合には、当社グループの鉄道、駅ビル商業施設、ホテル、飲食店舗等への需要が中長期的に減退する可能性もあります。このように、SARS(重症急性呼吸器症候群)、新型インフルエンザ、新型コロナウイルス等をはじめとする重大な感染症が国内外で発生・蔓延し、インバウンドを含めた人的移動の自粛や制限、企業活動の縮小、サプライチェーンの寸断等が生じることで経済活動全体が停滞した場合、当社グループの事業における需要の減退等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。国内外で重大な感染症拡大の恐れがある場合、対策本部を設置し、政府関係機関・自治体との連携や感染防止への措置など、事業継続に向けた対策を速やかに実施します。しかしながら、感染力が強く、社員や委託先に罹患者が大量発生した場合等は、事業の継続に影響を及ぼす可能性があります。 2 少子高齢化等の人口動向に関する事項当社グループの主な事業エリアである九州は、人口減少率が国内の他のエリアよりも高く、加えて高齢者の割合も高い傾向が続くと予測されています。進行する人口減少に対して、当社グループは、沿線価値を高める駅ビル及びマンション開発等により沿線の定住人口を増やすとともに、ビジネスや観光、アジア各国との地理的なメリットを活かしたインバウンド需要の取り込み等により交流人口を増やし、鉄道事業の収入の確保や九州圏内の消費の活性化を図っております。例えば、2011年3月に開業した博多駅ビルについては、開業後1年間の福岡都市圏における鉄道の近距離収入が対前年で11%増加しました。今後の九州の人口減少及び少子高齢化によって、通勤や通学等の定期収入、ビジネスや旅行等の定期外収入が減少する場合、運輸サービスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの駅ビル等の商業施設や店舗等の利用者が減少する場合や、賃貸マンション・分譲マンションの利用者・購入者が減少する場合、不動産・ホテルグループや流通・外食グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 3 自然災害等に関する事項当社グループは、九州を中心として幅広い事業を展開しており、その中で鉄道軌道、鉄道車両、不動産といった多くの固定資産を有しているため、地震、火山の噴火、津波、台風、地滑り、豪雨、大雪、洪水等の自然災害、テロリズムや武力紛争等の人的災害が発生した場合には、かかる保有資産の大規模な修繕に加え、当社グループの業務運営の全部若しくは一部を継続できない又は重大な支障が生じる可能性があり、特に当社グループの事業が集中する九州あるいは福岡において甚大な被害が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。特に2016年4月に発生した「平成28年熊本地震」では、九州新幹線をはじめとして当社グループの施設が大きな被害を受けました。昨今の自然災害の頻発及び激甚化を踏まえて、2021年度を最終年度とする3ヶ年の中期経営計画における総額約700億円の安全投資により、新幹線脱線対策や構造物の耐震補強の対策を講じるほか、机上訓練や避難誘導訓練等を実施する等、ハード及びソフト両面の防災及び減災対策の強化に努めております。 4 経済動向や国際情勢に関する事項当社グループは、運輸サービス、建設、不動産・ホテル、流通・外食等の様々な事業を主に九州で展開しており、消費増税や政府による経済政策の影響等、日本全体の経済環境のほか、福岡市やその他の主要都市部をはじめとした九州の経済環境の影響下にあります。また、海外、特に韓国、中国、台湾、香港その他の近隣のアジア諸国及び地域からの観光客の増減について、為替相場の状況、政治的要因、自然災害、異常気象、事故、感染症の流行等の国内外の状況に影響を受ける可能性があります。これらにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 5 中期経営計画に関する事項当社グループは2019年3月に「JR九州グループ中期経営計画2019-2021~次の『成長ステージ』に向けて~」を発表し、経営数値目標を定めております。しかし、例えば、インターネットを利用したきっぷの販売やイールドマネジメントが予想どおりに進まない場合や鉄道事業の効率化・省人化等の推進を通じた経費削減策が計画どおりに実行できない場合には、当中期経営計画における目標を達成できない可能性があります。また、今後の不動産開発プロジェクトが成功しない場合、さらには、当社グループのノウハウ及び経験を、九州域外での事業展開等に際して当社に有利な形で活用できない場合等には、当中期経営計画における目標の達成に影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社グループの運輸サービスと不動産・ホテルの両事業は相互に関連しているため、一部の事業の低迷が他の事業にも影響する可能性があります。その他、当社グループの施策が奏功しなかった場合、当社グループの前提及び予測が不正確若しくは不十分であった場合、又は顕在化したリスク要因に対して当社グループが適切な対応を実施できない場合等においても、当中期経営計画における目標の達成に影響を及ぼす可能性があります。 6 情報技術(IT)上の問題に関する事項当社グループにおいては、鉄道事業をはじめとする様々な事業を安全かつ適切に運営するため、様々なITシステムを利用しています。また、当社グループと取引関係にある他の会社においても同様にITシステムが利用されております。当社グループではデジタル戦略を制定し、ITシステムのセキュリティ強化を進めるとともに、インシデントの早期検知や復旧等の対応能力向上に努めております。しかしながら、それらの施策にもかかわらず、当社グループ又は当社グループと取引関係にある他の会社のITシステムに関する事故、故障、サイバー攻撃及び人為的な過誤・不正操作等により、鉄道の遅延、不具合、きっぷの発券及び予約機能の障害又は遅延をはじめとして、当社グループの事業運営に様々な問題が起こる可能性があるとともに、当社グループの安全性又は信頼性に対する懸念が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 7 個人情報保護に関する事項当社グループは、鉄道事業をはじめとする様々な事業を営んでおり、これらの性質上多数の個人・法人の顧客から様々な情報を取得し保有しております。個人情報に関して、当社グループは、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)に基づき、個人情報取扱事業者として、個人情報保護に係る義務等の遵守が求められており、社内規程の整備、セキュリティ強化及び社員教育の徹底等の対策に努めております。しかしながら、当社グループが保有する顧客情報等の個人情報やその他重要な情報が外部に漏洩した場合には、損害賠償請求や行政処分を受ける可能性があります。また、かかる事案に対応するための時間及び費用が生じ、当社グループの事業運営上の支障や社会的信用の低下による顧客喪失等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 8 競合に関する事項当社グループの各事業は競争に晒されています。運輸サービスグループにおいては、安全性、コスト、速達性、利便性、快適性その他の点で、他の鉄道会社に加え、自動車、バス、航空機、船舶等の他の輸送機関との間でも競合しております。特に九州では高速道路が多く利用されており、都市間を結ぶ当社グループの新幹線や特急列車と競合しています。また、不動産・ホテルグループにおいては、利便性、顧客獲得能力、価格、賃料その他の賃貸条件、ブランド力の点で、他の不動産デベロッパーやホテル事業者と競合しています。そのほか、建設グループにおいては九州全域又はその他の地域に所在する建設事業者と、流通・外食グループにおいては利便性、価格、施設の魅力、顧客満足度等の点で類似の小売・飲食事業者と競合しています。当社グループが顧客の嗜好や需要の変化、技術の進展に対応できず、又は、競合他社の統合等により競争力を向上又は維持できない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 9 保有資産の価値に関する事項当社グループは、土地その他の不動産を中心に、多くの固定資産を所有しており、経営環境の変化や収益性の低下等により当該固定資産への投資額の回収が見込めなくなった場合には、減損損失を計上することが必要になり、また、将来かかる資産を簿価未満で売却する場合には、売却損を計上する可能性があります。当社は、2016年3月31日の経営安定基金の取崩しに伴い、2016年3月期決算において多額の減損処理を実施いたしました。かかる経営安定基金の取崩しに伴う減損処理において、鉄道事業固定資産のほぼ全額について減損処理が適用されたため、現在保有する鉄道事業固定資産について追加的に減損損失を計上するリスクは高くないものと認識しておりますが、当社グループは、鉄道事業において今後も継続的に多額の設備投資を実施していくため、将来において鉄道事業の業績が予想以上に低調となった場合には、鉄道事業固定資産について減損損失を計上する可能性があります。また、当社は、省令に基づき経営安定基金を取り崩し、鉄道路線網の維持向上に資する鉄道事業の用に供する資産への設備投資を行うための原資として、国内債券等の金融資産を保有しております。2020年3月末時点において、その過半(簿価ベース)は、市場流動性の高い金融資産でありますが、市場金利の変動や発行主体の業績又は資産状況の悪化等により、保有する金融資産の市場価値が下落する可能性があります。このような事象が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 10 外部委託先や取引先に関する事項当社グループは、事業上様々な局面において、第三者である外部事業者に対し、業務委託等を行っております。例えば、不動産・ホテルグループでは、建設業務の一部及び居住用物件の賃貸及び販売管理を第三者に委託しております。さらに、流通・外食グループ及びその他グループでは、第三者生産者、卸売業者及びメーカーより原材料や商品の仕入れを行い、コンビニエンスストアの運営についてはファミリーマート社とのフランチャイズ契約に基づいております。このため、これらの第三者又はその再委託先が、当社グループの定める基準を満たす商品やサービスの提供等を怠った場合やこれらの第三者に起因する問題や事故が発生した場合、当社グループの社会的信用や当社グループの事業等に重大な影響を及ぼし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 11 環境規制に関する事項当社グループは、主として運輸サービスグループ及び不動産・ホテルグループにおいて、不動産を所有しております。当社グループは、かかる不動産の取得に際し、土壌汚染、水質汚濁、建物へのアスベスト等の有害物質等の使用に関する環境調査を実施しておりますが、かかる調査によりすべての有害物質等の存在又は使用等が事前に判明する保証はありません。また、土地の所有者は、土壌汚染対策法(平成14年法律第53号)に基づき、さまざまな場面において、土壌汚染に関する調査を実施しなければならず、また、人体への健康被害を生じうる土壌汚染が判明した場合には、その所有者は、土壌汚染に関する帰責性の有無及び善意・悪意を問わず、当局より有害物質等の除去を命じられる可能性があります。また、建築基準法(昭和25年法律第201号)及び大気汚染防止法(昭和43年法律第97号)に基づき、既存建物の解体、修繕等に関し、アスベストの除去又はその他一定の措置を講じる必要があります。有害物質等の存在は、不動産の販売、賃貸借、開発又は担保としての利用の制約となる可能性があり、また、資産価値の低下、有害物質等の除去等に要する費用の増加等を生じる可能性があります。さらに、かかる有害物質に起因して、現実に人体への健康被害等が生じた場合には、当社グループは、損害賠償等の責任を負う可能性があります。その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 12 運輸サービスグループに関する事項(安全対策について)当社グループは、基幹事業である鉄道事業における安全は最大の使命であり、企業価値の源泉であるという認識の下、経営トップの主体的関与により安全管理に係るPDCAサイクルを適切に機能させ、安全監査及び安全点検等を実施することにより、更なる安全の確保に努めています。鉄道事業にかかる重大事故があった場合、第三者から損害賠償等の請求を受ける可能性があるほか、損傷した鉄道路線の修繕や交換に要する多額の支出、運休による収入の減少及び当社グループの評判や社会的信頼の毀損を生じる可能性があります。なお、新幹線を中心に、鉄道ネットワークは相互連携しているため、比較的小規模な事故が当社グループの鉄道の運行に広範囲にわたって支障を来たす可能性があり、当社グループの収益の減少又は鉄道サービスや設備の安全性そのものに対する懸念や、場合によっては当社グループの鉄道事業以外の事業に対する社会的信頼やブランド価値に影響を及ぼす可能性があります。 (法的規制について)(1)鉄道事業に係る法律関連事項当社は、鉄道事業者として鉄道事業法の定めに基づき事業運営を行っております。また、JR会社法の適用対象からは除外されたものの、同法の附則に定められた「当分の間配慮すべき事項に関する指針」等に配慮した事業運営が求められております。これらの詳細については、以下のとおりです。① 鉄道事業法(昭和61年法律第92号)当社グループの鉄道事業においては、鉄道事業法の規制を受けております。鉄道事業者は本法の定めに従い、営業する路線及び鉄道事業の種別ごとに国土交通大臣の許可を受けなければならない(第3条)とともに、旅客の運賃及び料金について国土交通大臣の認可を受け、その範囲内での設定・変更を行う場合は、事前届出を行うこととされております(第16条)。また、鉄道事業の休廃止については、国土交通大臣に事前届出(廃止の場合は廃止日の1年前まで)を行うこととされております(第28条、第28条の2)。この他、国土交通省の指針や事業の公益性の観点から鉄道事業において大きな方針転換を図ることができない可能性があります。 ② 旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律(平成27年法律第36号)(以下「JR会社法改正法」という。)JR会社法改正法附則第2条において、当社及び当社の鉄道事業の全部又は一部を譲受け、合併等により施行日以降経営する者のうち国土交通大臣が指定するもの(以下「新会社」という。)が事業を営むに際し、当分の間配慮すべき事項に関する指針(以下「指針」という。)を定めると規定されております。この指針は2015年12月に告示され、2016年4月1日より適用されております。指針に定められた内容は概ね次のとおりです。・会社間(新会社との間又は、新会社と北海道旅客鉄道株式会社、四国旅客鉄道株式会社及び貨物会社又は東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社、西日本旅客鉄道株式会社、並びにその事業の全部若しくは一部を譲受、合併、分割、相続によりJR会社法の改正法(平成13年法律第61号)の施行日以後経営するもののうち国土交通大臣が指定するものとの間をいう。)における旅客の運賃及び料金の適切な設定、鉄道施設の円滑な使用その他鉄道事業に関する会社間における連携及び協力の確保に関する事項・国鉄改革の実施後の輸送需要の動向その他新たな事情の変化を踏まえた現に営業している路線の適切な維持及び駅その他の鉄道施設の整備に当たっての利用者の利便の確保に関する事項・新会社がその事業を営む地域において当該事業と同種の事業を営む中小企業者の事業活動に対する不当な妨害又はその利益の不当な侵害を回避することによる中小企業者への配慮に関する事項国土交通大臣は、指針を踏まえた事業経営を確保するため必要があると認めるときは、新会社に対し、その事業経営について必要な指導及び助言をすることができるとされており(附則第3条)、さらに正当な理由がなく指針に反する事業運営を行ったときには、勧告をすることができるとされております(附則第4条)。なお、当社はこれまでも指針に定められた事項に沿った事業運営を行ってきており、この指針は今後の当社の事業運営に大きな影響を及ぼすものではないと考えております。 (2)運賃及び料金の設定又は変更当社が鉄道事業における運賃及び料金を設定又は変更する際には、鉄道事業法に規定された必要な手続きを経る必要があり、何らかの理由により当該手続きに基づいた運賃及び料金の設定又は変更を機動的に行えない場合には、当社の収益に影響を与える可能性があります。手続きの詳細については以下のとおりです。① 運賃及び料金の認可の仕組みと手続き鉄道運送事業者が旅客の運賃及び新幹線特急料金(以下「運賃等」という。)の上限を定め、又は変更しようとする場合、国土交通大臣の認可を受けなければならないことが法定されております(鉄道事業法第16条第1項)。また、その上限の範囲内での運賃等の設定・変更及び在来線特急料金等その他の料金の設定・変更については、事前の届出で実施できることとなっております(鉄道事業法第16条第3項及び第4項)。鉄道運送事業者の申請を受けて国土交通大臣が認可するまでの手続きは、大手民営鉄道事業者における近年の例によれば次のようになっております。 (注)1 鉄道事業法第64条の2に基づく手続きであります。また、国土交通省設置法第23条では、運輸審議会が審議の過程で必要があると認めるとき又は国土交通大臣の指示等があったときに公聴会が開かれることが定められております。2 鉄道営業法第3条第2項で、運賃その他の運送条件の加重をなす場合に7日以上の公告をしなければならないことが定められております。なお、各旅客会社における独自の運賃改定の実施の妨げとなるものではありませんが、国鉄改革の実施に際し利用者の利便の確保を図るため、旅客会社では、現在、2社以上の旅客会社間をまたがって利用する旅客及び荷物に対する運賃及び料金に関し、旅客会社間の契約により通算できる制度とし、また、運賃について、遠距離逓減制を加味したものとしております。 ② 運賃改定に対する当社の考え方イ 当社では、1987年4月の会社発足以降、消費税等を転嫁するための運賃改定(1989年4月、1997年4月、2014年4月及び2019年10月)を除くと、1996年1月10日に初めての運賃改定(平均7.8%)を実施いたしました。今後も総合的な経営判断に立ち、適正な利潤を確保し得るような運賃改定を適時実施する必要があると考えております。ロ 事業経営に当たっては、まず収入の確保と合理化努力を進め効率的な経営に努めますが、適正利潤についてはこのような努力を前提とした上で、将来の設備投資や財務体質の強化等を可能なものとする水準にあることが是非とも必要であると考えております。ハ 鉄道事業の資本費用に大きな影響を与える設備投資については、安全・安定輸送を前提とし、案件ごとに必要性等を勘案しつつ実施しております。なお、当社としましては、事業者の明確な経営責任の下で主体的に設備投資に取り組むことが必要であると認識しているところであります。 ③ 国土交通省の考え方当社の運賃改定に関し、国土交通省からは、次のような考え方が示されております。イ 当社を含む鉄道事業の運賃の上限の改定に当たっては、鉄道事業者の申請を受けて、国土交通大臣が、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたもの(以下「総括原価」という。)を超えないものかどうかを審査して認可することとなっている(鉄道事業法第16条第2項)。なお、原価計算期間は3年間とする。ロ 総括原価を算定するに当たっては、他の事業を兼業している場合であっても鉄道事業部門のみを対象として、所要の株主配当を含めた適正な利潤を含む適正な原価を算定することとなっている。また、通勤・通学輸送の混雑等を改善するための輸送力の増強、旅客サービス向上等に関する設備投資計画の提出を求め、これについて審査を行い、必要な資本費用については原価算入を認めているところである。ハ 総括原価を算定する方法としては、当該事業に投下される資本に対して、機会費用の考え方による公正・妥当な報酬を与えることにより資本費用(支払利息、配当金等)額を推定するレートベース方式を用いる方針であり、総括原価の具体的な算定は以下によることとしている。総括原価=営業費等(注1)+事業報酬・事業報酬=事業報酬対象資産(レートベース)×事業報酬率・事業報酬対象資産=鉄道事業固定資産+建設仮勘定+繰延資産+運転資本(注2)・事業報酬率=自己資本比率(注3)×自己資本報酬率(注4)+他人資本比率(注3)×他人資本報酬率(注4)(注)1 鉄道事業者間で比較可能な費用について、経営効率化を推進するため各事業者間の間接的な競争を促す方式(ヤードスティック方式)により、比較結果を毎事業年度終了後に公表するとともに、原価の算定はこれを基に行うこととしている。2 運転資本=営業費及び貯蔵品の一部3 自己資本比率30%、他人資本比率70%4 自己資本報酬率は、公社債応募者利回り、全産業平均自己資本利益率及び配当所要率の平均、他人資本報酬率は借入金等の実績平均レートニ なお、認可した上限の範囲内での運賃等の設定・変更、又はその他の料金の設定・変更は、事前の届出で実施できることとなっているが、国土交通大臣は、届出された運賃等が、次の(a)又は(b)に該当すると認めるときは、期限を定めてその運賃等を変更すべきことを命じることができるとされている(鉄道事業法第16条第5項)。(a)特定の旅客に対し不当な差別的取扱いをするものであるとき(b)他の鉄道運送事業者との間に不当な競争を引き起こすおそれがあるものであるとき(整備新幹線について)(1)整備新幹線の建設計画整備新幹線は、1970年に制定された全国新幹線鉄道整備法(昭和45年法律第71号)に基づき、1973年に整備計画が決定されており、当社は九州新幹線(鹿児島ルート(福岡市~鹿児島市)、西九州ルート(福岡市~長崎市))について営業主体とされました。このうち、九州新幹線(鹿児島ルート)については、2004年3月13日に新八代・鹿児島中央間、2011年3月12日に博多・新八代間がそれぞれ開業しました。九州新幹線(西九州ルート)については、武雄温泉・長崎間がフル規格で建設主体である鉄道建設・運輸施設整備支援機構(以下「鉄道・運輸機構)という。)により工事が進められており、2022年度に武雄温泉駅で博多・武雄温泉間を走行する在来線特急と対面乗り換えを行うこと(いわゆるリレー方式)により暫定開業する予定です。また、新鳥栖・武雄温泉間については、当初、在来線を活用する軌間可変電車を導入する予定であったものの、2017年7月14日の国土交通省の軌間可変技術評価委員会において、軌間可変電車の安全性、経済性について引き続き課題が残っているものと評価されるなど、軌間可変電車の開発状況に鑑み、2018年7月19日に与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム九州新幹線(西九州ルート)検討委員会(以下「検討委員会」という。)により導入が断念されました。その後、2019年8月5日の検討委員会において、「九州新幹線(西九州ルート)の整備のあり方等に関する基本方針」が示され、武雄温泉駅での対面乗換が恒久化することはあってはならず、新鳥栖・武雄温泉間はフル規格(複線)で整備することが適当であることと、今後は、国土交通省、佐賀県、長崎県、当社の間で協議を行い、検討を深めていくべきであり、国土交通省に対し、協議の実施と検討委員会への報告を求めることとされました。 (2)整備新幹線建設の費用負担整備新幹線は、鉄道・運輸機構が建設を行っており、その費用は国、地方公共団体及びJRが負担することとされていますが、JRの負担については、次のイ及びロ(当社の負担はイのみ)を充てることとされています。イ 整備新幹線の営業主体となるJRが支払う貸付料等ロ 既設の新幹線鉄道施設の譲渡収入の一部1997年10月の北陸新幹線高崎・長野間の開業に伴い、整備新幹線の営業主体であるJRが支払う貸付料の額の基準が設けられ、現在は独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法施行令(平成27年政令第392号)(以下「施行令」という。)第6条に規定されています。施行令において、貸付料の額は、当該新幹線開業後の営業主体の受益の程度を勘案し算定された額に、貸付けを受けた鉄道施設に関して鉄道・運輸機構が支払う租税及び鉄道・運輸機構の管理費の合計額を加えた額を基準として、鉄道・運輸機構において定めるものとされています。ここでいう受益は、新幹線が開業した場合の当該新幹線区間及び関連線区区間の収支と、開業しなかったと仮定した場合の並行在来線及び関連線区区間の収支を比較し、前者が後者より改善することにより営業主体が受けると見込まれる利益とされており、具体的には、開業後30年間の需要予測及び収支予測に基づいて算定されることとなります。なお、この受益の程度を勘案し算定された額については、開業後30年間は定額とされています。また、租税及び鉄道・運輸機構管理費相当額については、営業主体の当該新幹線開業後の経費として、受益算定の際に反映されています。整備新幹線の建設を行う鉄道・運輸機構は建設費の調達を行い、建設した施設を保有することとされています。当社は完成後にこの施設の貸付けを受け、開業後に上記イの貸付料等を支払うこととなっており、建設期間中における同機構への建設費の直接負担は原則としてないものとされています。なお、九州新幹線(鹿児島ルート)については、JR会社法改正法及び九州旅客鉄道株式会社の経営安定基金の取崩しに関する省令(平成27年国土交通省令第61号)に基づき、上記貸付料の定額部分につき、2016年4月1日から各区間の開業後30年までに係る貸付料の全額(約2,205億円)を一括して2015年度末に鉄道・運輸機構に支払っております。また、九州新幹線(西九州ルート)については、当該路線の営業主体となる当社が、建設主体である鉄道・運輸機構に支払う新幹線鉄道施設の貸付料については、現段階で決定しておりません。 (3)並行在来線の扱い九州新幹線(鹿児島ルート)については、2004年3月の新八代・鹿児島中央間の開業時に、並行在来線である鹿児島本線八代・川内間は経営分離され、「肥薩おれんじ鉄道株式会社」に引き継がれました。また、九州新幹線(西九州ルート)については、長崎本線肥前山口・諫早間は経営分離せず、2022年度に予定されている開業時点で上下分離し、当社は、当該開業時点から3年間は一定水準の列車運行のサービスレベルを維持するとともに、当該開業後、23年間運行を維持することを関係6者(当社、佐賀県、長崎県、検討委員会、国土交通省及び鉄道・運輸機構)にて確認しております。 (4)整備新幹線建設に関する当社の考え方(2)記載の貸付料のうち、受益の程度を勘案して算定される額は、実際の収益に関わらず定額を支払うこととされているため、収支が予測を下回る場合、当社の鉄道事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、建設の遅滞等により開業の遅れが発生した場合や、開業後の収益が予測を下回った場合、当社グループの事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社は、2019年3月27日の検討委員会において、リレー方式による運営が長期化又は固定化することは、地域振興効果が極めて限定的になること等から、到底受け入れられない旨の表明をしており、少しでも早期に全線開業できるよう要望しているところです。さらに、2019年4月12日に国土交通省より鉄道・運輸機構に対して、工事予算の増額等を主旨とする工事実施計画(武雄温泉・長崎間)の変更認可がなされました。なお、2018年11月28日の与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームにおいて、当社は、整備新幹線の建設費に応じて貸付料を引上げることについて、整備新幹線の基本的なスキームを大幅に逸脱するものであり受け入れられるものではない旨の表明をしております。 13 不動産・ホテルグループに関する事項当社グループの不動産・ホテルグループにおいては、収益化まで長期にわたるプロジェクトの各過程で多額の投資を行います。そして、建設資材価格及び人件費の上昇による建設費の増加、金利水準並びに金融政策をはじめとする当社グループが制御できないさまざまな外部要因により、完成に要する時間と投資額等が増加し、想定していた収益を生まないことがあります。不動産販売業においては、販売価格の低下や、完成した販売用不動産を長期にわたって保有せざるを得ない場合に評価損を認識することがあります。不動産賃貸業においては、大型テナントの喪失、空室率の上昇や賃料の低下が生じる場合があり、駅ビル商業施設のテナント売上が減少した場合は、賃料収入の売上連動部分が減少します。ホテル業においては、景気動向の影響を受けやすいため、景気低迷による企業活動の縮小や個人消費の減退が続いた場合、過当な価格競争による売上減少、また、これに伴う事業収支の悪化により、有形固定資産の減損損失を計上する可能性があります。また、当社グループは、プロジェクトの完成後にも、テナント、居住者その他の利用者に生じた不測の損失、損害、被害の責任や、建築瑕疵の補償費用の負担を負うことがあります。このような事象が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
FY2019|16,422 文字
2【事業等のリスク】本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがありますが、これらに限定されるものではありません。また、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。なお、文中におけるセグメント名称は、2019年4月1日以降の新しいセグメント区分に基づくものであります。 1 日本全体及び九州の経済状況の変化に関する事項 当社グループは、運輸サービス、建設、不動産・ホテル、流通・外食及びその他事業等の様々な事業を主に九州で展開しており、消費増税や政府による経済政策の影響等日本全体の経済環境のほか、福岡市やその他の主要都市部をはじめとした九州の経済環境の影響下にあります。運輸サービスグループにおいては九州、特に福岡市及びその近郊地域の雇用状況及び就学状況が旅客運輸収入(定期)に影響を与え、日本及び九州の景気低迷によるビジネス利用客及び旅行客の減少が旅客運輸収入(定期外)に影響を与える可能性があります。また不動産・ホテルグループにおいては、福岡市やその他の主要都市部を中心とする商業施設、ホテル及び住宅の需要、金利水準並びに金融政策が不動産の賃料や空室率及び販売価格に影響を与える可能性があります。その他、九州及び国内の建設需要が建設グループの受注高に影響を与え、九州及び国内の消費水準等の変化が流通・外食グループに影響を与える可能性もあります。このような事象が生じた場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 2 中期経営計画に関する事項 当社グループは2019年3月に「JR九州グループ中期経営計画2019-2021~次の『成長ステージ』に向けて~」を発表しております。例えば新幹線・在来線等の需要が人口減少、法規制、経済環境その他の要因によって予想以上に低迷し、顧客の需要や嗜好を正確に把握し対応できない場合には、計画どおりに鉄道運輸収入が達成できない可能性があります。またインターネットを利用したきっぷの販売やイールドマネジメントが予想どおりに進まない場合や鉄道事業の効率化・省人化等の推進を通じた経費削減策が計画どおりに実行できない場合には、当中期経営計画における目標を達成できない可能性があります。その他、競争環境や顧客嗜好の変化その他の要因により、外国人観光客の増加を当社の売上に十分取り込めない場合や、不測の費用や人口動態、法規制、経済状況その他の要因により、今後の不動産開発プロジェクトが成功しない場合、さらには、当社グループのノウハウ及び経験を、九州域外での事業の拡大等に際して当社に有利な形で活用できない場合等には、当中期経営計画における目標の達成に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの運輸サービスと不動産・ホテルの両事業は相互に関連しているため、一部の事業の低迷が他の事業にも影響する可能性があります。さらに、当中期経営計画は、将来の人口動態、外国人旅行客数、人件費その他のコストの水準等、多くの前提及び予測に基づいて作成されております。加えて、当社グループの各事業には、本「2 事業等のリスク」に記載のリスク要因が内在しています。当社グループの施策が奏功しなかった場合、当社グループの前提及び予測が不正確若しくは不十分であった場合、又は顕在化したリスク要因に対して当社グループが適切な対応を実施できない場合等においては、当中期経営計画における目標の達成に影響を及ぼす可能性があります。 3 法的規制に関する事項 (1)鉄道事業に係る法律関連事項について当社は、鉄道事業者として鉄道事業法の定めに基づき事業運営を行っております。また、JR会社法の適用対象からは除外されたものの、同法の附則に定められた「当分の間配慮すべき事項に関する指針」等に配慮した事業運営が求められております。これらの詳細については、以下のとおりです。① 鉄道事業法(昭和61年法律第92号)当社グループの鉄道事業においては、鉄道事業法の規制を受けております。鉄道事業者は本法の定めに従い、営業する路線及び鉄道事業の種別ごとに国土交通大臣の許可を受けなければならない(第3条)とともに、旅客の運賃及び料金について国土交通大臣の認可を受け、その範囲内での設定・変更を行う場合は、事前届出を行うこととされております(第16条)。また、鉄道事業の休廃止については、国土交通大臣に事前届出(廃止の場合は廃止日の1年前まで)を行うこととされております(第28条、第28条の2)。この他、国土交通省の指針や事業の公益性の観点から鉄道事業において大きな方針転換を図ることができない可能性があります。 ② 旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律(平成27年法律第36号)(以下「JR会社法改正法」という。)イ JR会社法の適用対象からの除外JR会社法は、国鉄分割民営化において、旅客会社及び貨物会社の出資・設立を定めるとともに、その目的及び事業範囲について定めるものとして、1986年12月に制定されました。JR会社法の適用を受ける会社は、新株発行や代表取締役の選定等の一定の事項について国土交通大臣による認可が必要とされるほか、中小企業者への配慮等の規制を受けます。旅客会社及び貨物会社は、鉄道事業法の規制に加えて、本法により政府の規制を受けておりましたが、2016年4月1日に当社の完全民営化に向けてJR会社法改正法が施行され、当社はJR会社法の適用対象から除外されております。 ロ 事業を営むに際し当分の間配慮すべき事項に関する指針JR会社法改正法附則第2条において、当社及び当社の鉄道事業の全部又は一部を譲受け、合併等により施行日以降経営する者のうち国土交通大臣が指定するもの(以下「新会社」という。)が事業を営むに際し、当分の間配慮すべき事項に関する指針(以下「指針」という。)を定めると規定されております。この指針は2015年12月に告示され、2016年4月1日より適用されております。指針に定められた内容は概ね次のとおりです。・会社間(新会社との間又は、新会社と北海道旅客鉄道株式会社、四国旅客鉄道株式会社及び貨物会社又は東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社、西日本旅客鉄道株式会社、並びにその事業の全部若しくは一部を譲受、合併、分割、相続によりJR会社法の改正法(平成13年法律第61号)の施行日以後経営するもののうち国土交通大臣が指定するものとの間をいう。)における旅客の運賃及び料金の適切な設定、鉄道施設の円滑な使用その他鉄道事業に関する会社間における連携及び協力の確保に関する事項・国鉄改革の実施後の輸送需要の動向その他新たな事情の変化を踏まえた現に営業している路線の適切な維持及び駅その他の鉄道施設の整備に当たっての利用者の利便の確保に関する事項・新会社がその事業を営む地域において当該事業と同種の事業を営む中小企業者の事業活動に対する不当な妨害又はその利益の不当な侵害を回避することによる中小企業者への配慮に関する事項国土交通大臣は、指針を踏まえた事業経営を確保するため必要があると認めるときは、新会社に対し、その事業経営について必要な指導及び助言をすることができるとされており(附則第3条)、さらに正当な理由がなく指針に反する事業運営を行ったときには、勧告をすることができるとされております(附則第4条)。なお、当社はこれまでも指針に定められた事項に沿った事業運営を行ってきており、この指針は今後の当社の事業運営に大きな影響を及ぼすものではないと考えております。 (2)運賃及び料金の設定又は変更について当社が鉄道事業における運賃及び料金を設定又は変更する際には、鉄道事業法に規定された必要な手続きを経る必要があり、何らかの理由により当該手続きに基づいた運賃及び料金の設定又は変更を機動的に行えない場合には、当社の収益に影響を与える可能性があります。手続きの詳細については以下のとおりです。① 運賃及び料金の認可の仕組みと手続き鉄道運送事業者が旅客の運賃及び新幹線特急料金(以下「運賃等」という。)の上限を定め、又は変更しようとする場合、国土交通大臣の認可を受けなければならないことが法定されております(鉄道事業法第16条第1項)。また、その上限の範囲内での運賃等の設定・変更及び在来線特急料金等その他の料金の設定・変更については、事前の届出で実施できることとなっております(鉄道事業法第16条第3項及び第4項)。鉄道運送事業者の申請を受けて国土交通大臣が認可するまでの手続きは、大手民営鉄道事業者における近年の例によれば次のようになっております。 (注)1 鉄道事業法第64条の2に基づく手続きであります。また、国土交通省設置法第23条では、運輸審議会が審議の過程で必要があると認めるとき又は国土交通大臣の指示等があったときに公聴会が開かれることが定められております。2 鉄道営業法第3条第2項で、運賃その他の運送条件の加重をなす場合に7日以上の公告をしなければならないことが定められております。なお、各旅客会社における独自の運賃改定の実施の妨げとなるものではありませんが、国鉄改革の実施に際し利用者の利便の確保を図るため、旅客会社では、現在、2社以上の旅客会社間をまたがって利用する旅客及び荷物に対する運賃及び料金に関し、旅客会社間の契約により通算できる制度とし、また、運賃について、遠距離逓減制を加味したものとしております。 ② 運賃改定に対する当社の考え方イ 当社では、1987年4月の会社発足以降、消費税等を転嫁するための運賃改定(1989年4月、1997年4月及び2014年4月)を除くと、1996年1月10日に初めての運賃改定(平均7.8%)を実施いたしました。今後も総合的な経営判断に立ち、適正な利潤を確保し得るような運賃改定を適時実施する必要があると考えております。ロ 事業経営に当たっては、まず収入の確保と合理化努力を進め効率的な経営に努めますが、適正利潤についてはこのような努力を前提とした上で、将来の設備投資や財務体質の強化等を可能なものとする水準にあることが是非とも必要であると考えております。ハ 鉄道事業の資本費用に大きな影響を与える設備投資については、安全・安定輸送を前提とし、案件ごとに必要性等を勘案しつつ実施しております。なお、当社としましては、事業者の明確な経営責任の下で主体的に設備投資に取り組むことが必要であると認識しているところであります。 ③ 国土交通省の考え方当社の運賃改定に関し、国土交通省からは、次のような考え方が示されております。イ 当社を含む鉄道事業の運賃の上限の改定に当たっては、鉄道事業者の申請を受けて、国土交通大臣が、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたもの(以下「総括原価」という。)を超えないものかどうかを審査して認可することとなっている(鉄道事業法第16条第2項)。なお、原価計算期間は3年間とする。ロ 総括原価を算定するに当たっては、他の事業を兼業している場合であっても鉄道事業部門のみを対象として、所要の株主配当を含めた適正な利潤を含む適正な原価を算定することとなっている。また、通勤・通学輸送の混雑等を改善するための輸送力の増強、旅客サービス向上等に関する設備投資計画の提出を求め、これについて審査を行い、必要な資本費用については原価算入を認めているところである。ハ 総括原価を算定する方法としては、当該事業に投下される資本に対して、機会費用の考え方による公正・妥当な報酬を与えることにより資本費用(支払利息、配当金等)額を推定するレートベース方式を用いる方針であり、総括原価の具体的な算定は以下によることとしている。総括原価=営業費等(注1)+事業報酬・事業報酬=事業報酬対象資産(レートベース)×事業報酬率・事業報酬対象資産=鉄道事業固定資産+建設仮勘定+繰延資産+運転資本(注2)・事業報酬率=自己資本比率(注3)×自己資本報酬率(注4)+他人資本比率(注3)×他人資本報酬率(注4)(注)1 鉄道事業者間で比較可能な費用について、経営効率化を推進するため各事業者間の間接的な競争を促す方式(ヤードスティック方式)により、比較結果を毎事業年度終了後に公表するとともに、原価の算定はこれを基に行うこととしている。2 運転資本=営業費及び貯蔵品の一部3 自己資本比率30%、他人資本比率70%4 自己資本報酬率は、公社債応募者利回り、全産業平均自己資本利益率及び配当所要率の平均、他人資本報酬率は借入金等の実績平均レートニ なお、認可した上限の範囲内での運賃等の設定・変更、又はその他の料金の設定・変更は、事前の届出で実施できることとなっているが、国土交通大臣は、届出された運賃等が、次の(a)又は(b)に該当すると認めるときは、期限を定めてその運賃等を変更すべきことを命じることができるとされている(鉄道事業法第16条第5項)。(a)特定の旅客に対し不当な差別的取扱いをするものであるとき(b)他の鉄道運送事業者との間に不当な競争を引き起こすおそれがあるものであるとき (3)税制特例措置について当社は、地方税法附則第15条の2第2項に基づき、鉄道事業の用に供する固定資産について2016年度までの固定資産税及び都市計画税の課税標準を2分の1に、地方税法附則第15条の3第1項に基づき国鉄から承継した直接その本来の事業の用に供する固定資産について2016年度までの固定資産税及び都市計画税の課税標準を5分の3にするという特例措置(2015年度における当社試算による減税額は、それぞれ約56億円及び約5億円)を受けておりました。また、地方税法附則第9条第1項に基づき、当社に係る法人事業税の資本割の課税標準の特例措置(2015年度における当社試算による減税額は約3億円)を受けておりました。これらの特例措置については、2016年度の税制改正において見直され、経過措置を経て、2019年度以降は廃止されます。 4 不動産・ホテルグループに関する事項 当社グループの不動産・ホテルグループにおいては、収益化まで長期にわたるプロジェクトの各過程で多額の投資を行います。そして、当社グループが制御できないさまざまな外部要因により、完成に要する時間と投資額等が増加し、想定していた収益を生まないことがあります。当社グループは、完成した販売用不動産を長期にわたって保有せざるを得ない場合には、評価損を認識することがあります。また、駅ビル商業施設のテナントの売上が、経営環境の悪化、テナントの商品の魅力の低下等により減少した場合は、賃料収入の売上連動部分が減少することにより、当社グループの収益に影響を与えることになります。さらに、需要の低下により、賃貸用不動産については、大型テナントの喪失、空室率の上昇や賃料の低下が生じる場合があり、分譲マンションについては販売価格が低下する場合があります。また、当社グループは、プロジェクトの完成後にも、テナント、居住者その他の利用者に生じた不測の損失、損害、被害の責任や、建築瑕疵の補償費用の負担を負うことがあります。このような事象が生じた場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 5 人口動向に関する事項 当社グループの主な事業エリアである九州は、人口減少率が国内の他の地域より高く、加えて高齢者の割合も多いという傾向が続くと予測されています。九州の人口減少及び高齢化によって通勤通学者及び旅行者が減少し、運輸サービスグループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、人口減少によって消費活動が縮小し、駅ビル商業施設やドラッグストア・コンビニエンスストアの店舗等の利用者が減少し、賃貸マンション・分譲マンションの利用者・購入者が減少する場合、不動産・ホテルグループや流通・外食グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 6 競合に関する事項 当社グループの各事業は競争に晒されています。運輸サービスグループは、安全性、運賃、乗り換え時間、運行本数、快適性、利便性、魅力、ブランド、資金調達力その他の点で、他の鉄道会社に加え、バス会社、高速道路事業者、航空会社、船舶事業会社を含む他の産業との間でも競合しております。特に九州では高速道路は多く利用されており、都市間を結ぶ当社グループの新幹線や特急列車と競合しています。また、不動産・ホテルグループの駅ビル商業施設賃貸事業においては、利便性、顧客獲得能力、賃料その他の賃貸条件、ブランド、資金調達力の点で、ショッピング・センターのような他の商業施設事業者と競合しています。また、ホテル業においてはブランド力、コスト、利便性、ロケーションの魅力の点で他のホテル業者と競合しています。加えて、賃貸マンション及び分譲マンション事業においては、ロケーション、利便性、価格、魅力、ブランド、資金調達力等の点で、他の開発業者や不動産所有者と競合しています。そのほか、建設グループにおいては九州全域又はその他の地域に所在する建設事業者と、流通・外食グループにおいては利便性、価格、施設の魅力、顧客満足度等の点で類似の小売・飲食事業者と競合しています。当社グループが顧客の嗜好や必要性の変化に対応できず、又は、技術の変化、競合他社の統合等により競争力を向上又は維持できない場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 7 収益構造に関する事項 当社グループの営む事業のうち、特に運輸サービスグループ及び不動産・ホテルグループにおいては、人件費、修繕費、減価償却費等の固定費が売上に対して高い割合で構成され、また、経費削減に対しては、当社グループの公益的性質や法規制等に基づくさまざまな制約が及んでいます。したがって、当社グループの運輸サービスグループにおいては、固定費が高水準となる場合には経費削減によって利益を上げることに限度があります。また、駅ビルや賃貸マンションの不動産賃貸事業において、賃貸収入が減少した場合でも営業費用は必ずしも減少しないため、営業利益は、市場の賃料水準の低下や空室率の増加、当社グループに不利な賃料交渉の結果等に起因する賃貸収入の減少により大きく影響される可能性があります。8 電気料金、人件費その他営業費用の増加に関する事項 燃料価格の高騰や円安により電気料金が増加する場合、当社グループの事業全般、特に鉄道事業に影響を及ぼします。しかし、当社グループの公益的性質や法規制等により、当該増加を運賃等に転嫁することには限界があり、また、収益を増やすことで当該増加を補うことができるとは限りません。また、当社グループ事業の多くは多くの労働力を必要としますが、近年は日本国内において全般的に人件費が増加する傾向にあります。今後さらなる人口減少及び高齢化により労働市場の競争激化に直面する可能性があり、人材確保のために雇用条件を向上させることが必要となる可能性があります。建設及び不動産・ホテルグループにおける建設資材価格及び人件費の上昇による建設費の増加は、当社グループの業績及び財政状態を圧迫する可能性があるほか、設備投資の遅れを余儀なくされ、建設グループの業績及び財政状態にも影響を与える可能性があります。さらに、流通・外食グループにおいて、原材料費等の上昇を当社グループの提供するサービス、商品の価格へ転嫁することが困難である場合や、国内外のインフレーションや円安による費用増加の場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 9 自然災害、事故に関する事項 当社グループは、九州を中心として幅広い事業活動を行っており、また、その事業に関連し、鉄道軌道、鉄道車両、不動産といった多くの固定資産を有しているため、地震、火山の噴火、津波、台風、地滑り、豪雨、大雪、洪水、感染症の流行等の自然災害、戦争、テロリズム、武装紛争等の人的災害、送電障害等の主要な社会的インフラ障害等が発生した場合には、かかる保有資産の大規模な修繕が必要となり、又は当社グループの業務運営の全部若しくは一部が継続できない又は重大な支障を生じる可能性があり、特に当社グループの事業が集中する九州あるいは福岡において甚大な被害が生じた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、かかる災害等に起因して当社グループの顧客又はその他の第三者に負傷等が生じた場合には、重大な訴訟又は請求等を提起される可能性があり、また、当社グループのサービスや設備の安全性や信頼性に対する公衆の認識に悪影響が生じ、当社グループの社会的信頼を毀損し、又は当社グループのサービスへの需要に影響を及ぼす可能性があります。また、鉄道路線網にかかる重大事故があった場合、第三者から損害賠償等の請求を受ける可能性があるほか、損傷した鉄道路線の修繕や交換に要する多額の支出、運休による収入の減少及び当社グループの評判や社会的信頼の毀損を生じる可能性があります。なお、新幹線を中心に、鉄道路線網は相互連携しているため、比較的小規模な事故が当社グループの鉄道路線の運行に広範囲にわたって支障を来たす可能性があり、また、九州外の路線における災害・事故が、九州新幹線をはじめとする当社グループの路線の運行に深刻な影響を及ぼす可能性があり、当社グループの収益の減少又は鉄道サービスや設備の安全性そのものに対する懸念や、場合によっては当社グループの鉄道事業以外の事業に対する社会的信頼やブランド価値に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは人的及び物的損害に対して保険を契約しておりますが、それらは地震をはじめとする自然災害や事故等によるあらゆる被害を賠償する額として十分ではない可能性があり、保険の対象とされていない又は限度額を超える損害が生じた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 10 保有資産の価値に関する事項 当社グループは、土地その他の不動産を中心に、多くの固定資産を所有しており、経営環境の変化や収益性の低下等により当該固定資産への投資額の回収が見込めなくなった場合には、減損損失を計上することが必要になり、また、将来かかる資産を簿価未満で売却する場合には、売却損を計上する可能性があります。また、当社は、2016年3月31日の経営安定基金の取崩しに伴い、2016年3月期決算において多額の減損処理を実施いたしました。かかる経営安定基金の取崩しに伴う減損処理において、鉄道事業固定資産のほぼ全額について減損処理が適用されたため、現在保有する鉄道事業固定資産について追加的に減損損失を計上するリスクは高くないものと認識しておりますが、当社グループは、鉄道事業において今後も継続的に多額の設備投資を実施していくため、将来において鉄道事業の業績が予想以上に低調となった場合には、鉄道事業固定資産について減損損失を計上する可能性があります。当社グループでは引き続き収益確保に努めておりますが、このような事象が生じた場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 11 観光客の減少に関する事項 当社グループの事業及びその成長戦略は、海外、特に韓国、台湾、中国、香港その他の近隣のアジア諸国及び地域からの観光客の増減を含む九州における観光市場の動向により影響を受ける可能性があり、九州の観光市場は、日本又は海外の経済状況(特にアジア諸国及び地域の経済不安定)、為替相場の状況、政治的要因、諸地域における対日感情、自然災害、異常気象、事故、感染症の流行、政府の観光促進策、日本の他の観光地の競争優位性等の影響を受ける可能性があります。これら要因等により、九州への観光客が減少した場合、又は当社グループが九州への観光客を取り込むことができなかった場合には、当社グループの成長戦略、事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 12 整備新幹線に関する事項 (1)整備新幹線の建設計画整備新幹線とは、1970年に制定された全国新幹線鉄道整備法(昭和45年法律第71号)に基づき、1973年に整備計画が決定された北海道新幹線(青森市~札幌市)、東北新幹線(盛岡市~青森市)、北陸新幹線(東京都~大阪市)、九州新幹線(福岡市~鹿児島市、福岡市~長崎市)を指します。1987年の国鉄分割民営化の際、当社はこれら新幹線のうち九州新幹線(鹿児島ルート(福岡市~鹿児島市)、西九州ルート(福岡市~長崎市))について営業主体とされました。九州新幹線(鹿児島ルート)は、2004年3月13日に新八代・鹿児島中央間、2011年3月12日に博多・新八代間がそれぞれ開業しました。整備計画決定から約38年を経て全線がつながり、新大阪・鹿児島中央間において山陽新幹線と九州新幹線の相互直通運転が開始されました。また、九州新幹線(西九州ルート)は、2004年12月の「政府・与党申合せ」において、九州新幹線(西九州ルート)武雄温泉・諫早間の整備は、「並行在来線区間の運営のあり方については、長崎県の協力を得ながら佐賀県において検討を行うこととし、速やかに結論を出すこととする。調整が整った場合には、着工する。その際、軌間可変電車方式による整備を目指す。」ことが決定されました。その後、佐賀県、長崎県及び当社の三者で調整を行った結果、2007年12月16日、当社が肥前山口・諫早間を経営分離せず、上下分離方式により運行すること等について、基本合意に達しました。これを受け、2008年3月26日に武雄温泉・諫早間がスーパー特急方式により認可・着工されました。九州新幹線(西九州ルート)諫早・長崎間は、2009年12月24日の整備新幹線問題検討会議において、基本的な5つの条件(①安定的な財源見通しの確保、②収支採算性、③投資効果、④営業主体としてのJRの同意、⑤並行在来線の経営分離についての沿線自治体の同意)を満たすことを確認した上で着工することとされました。2011年12月26日「整備新幹線の取扱いについて」(政府・与党確認事項)において安定的な財源の見通しを付けたことを踏まえ、2012年4月の整備新幹線問題検討会議で収支採算性や投資効果について確認されたことから、営業主体の同意手続きや沿線自治体の同意手続きを経て、2012年6月29日に認可されました。この認可では、既着工区間であった武雄温泉・諫早間と新たな区間(諫早・長崎間)を一体的な事業(佐世保線肥前山口・武雄温泉間の複線化工事を含む)として扱い、軌間可変電車方式(標準軌)により整備し、開業時期については諫早・長崎間の着工から概ね10年後とされており、建設主体である鉄道・運輸機構により工事が進められております。さらに、軌間可変電車の開発の遅れに伴い、2016年3月29日、当社、佐賀県、長崎県、与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム九州新幹線(西九州ルート)検討委員会(以下「検討委員会」という。)、国土交通省及び鉄道・運輸機構は、武雄温泉・長崎間の施設が完成する2022年度に、当該区間にフル規格車両を投入し、博多・武雄温泉間を走行する在来線特急と武雄温泉駅で乗り換えを行うこと(いわゆるリレー方式)により開業すること等について合意(以下「6者合意」といいます。)しました。その後、2017年7月14日の国土交通省の軌間可変技術評価委員会において、軌間可変電車の安全性、経済性について引き続き課題が残っているものと評価されるなど、軌間可変電車の開発状況に鑑み、2018年7月19日の検討委員会において、「九州新幹線(西九州ルート)の整備のあり方に係る中間とりまとめ」がなされ、軌間可変電車の西九州ルートへの導入は断念せざるを得ず、フル規格、ミニ新幹線の2つの整備方式の得失を総合的に検討した上で、いずれかを選択する必要がある旨の方針が示されました。 (2)整備新幹線建設の費用負担整備新幹線は、鉄道・運輸機構が建設を行っており、その費用は国、地方公共団体及びJRが負担することとされていますが、JRの負担については、次のイ及びロ(当社の負担はイのみ)を充てることとされています。イ 整備新幹線の営業主体となるJRが支払う貸付料等ロ 既設の新幹線鉄道施設の譲渡収入の一部1997年10月の北陸新幹線高崎・長野間の開業に伴い、整備新幹線の営業主体であるJRが支払う貸付料の額の基準が設けられ、現在は独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法施行令(平成27年政令第392号)(以下「施行令」という。)第6条に規定されています。施行令において、貸付料の額は、当該新幹線開業後の営業主体の受益の程度を勘案し算定された額に、貸付けを受けた鉄道施設に関して鉄道・運輸機構が支払う租税及び鉄道・運輸機構の管理費の合計額を加えた額を基準として、鉄道・運輸機構において定めるものとされています。ここでいう受益は、新幹線が開業した場合の当該新幹線区間及び関連線区区間の収支と、開業しなかったと仮定した場合の並行在来線及び関連線区区間の収支を比較し、前者が後者より改善することにより営業主体が受けると見込まれる利益とされており、具体的には、開業後30年間の需要予測及び収支予測に基づいて算定されることとなります。なお、この受益の程度を勘案し算定された額については、開業後30年間は定額とされています。また、租税及び鉄道・運輸機構管理費相当額については、営業主体の当該新幹線開業後の経費として、受益算定の際に反映されています。整備新幹線の建設を行う鉄道・運輸機構は建設費の調達を行い、建設した施設を保有することとされています。当社は完成後にこの施設の貸付けを受け、開業後に上記イの貸付料等を支払うこととなっており、建設期間中における同機構への建設費の直接負担は原則としてないものとされています。なお、当社は、JR会社法改正法及び九州旅客鉄道株式会社の経営安定基金の取崩しに関する省令(平成27年国土交通省令第61号)(以下「省令」という。)に基づき、九州新幹線(新八代・鹿児島中央間及び博多・新八代間)の上記貸付料の定額部分につき、2016年4月1日から各区間の開業後30年までに係る貸付料の全額(約2,205億円)を一括して2015年度末に鉄道・運輸機構に支払っております。また、九州新幹線(西九州ルート)の開業後以降、当該路線の営業主体となる当社が、建設主体である鉄道・運輸機構に支払う新幹線鉄道施設の貸付料については、現段階で決定しておりません。 (3)並行在来線の扱い2004年3月の九州新幹線(鹿児島ルート)新八代・鹿児島中央間の開業時に、並行在来線である鹿児島本線八代・川内間は経営分離され、「肥薩おれんじ鉄道株式会社」に引き継がれました。また、九州新幹線(西九州ルート)においては、長崎本線肥前山口・諫早間は経営分離せず、2022年度に予定されている開業時点で上下分離し、当社は、当該開業時点から3年間は一定水準の列車運行のサービスレベルを維持するとともに、当該開業後、23年間運行を維持することを6者合意にて確認しております。 (4)整備新幹線建設に関する当社の考え方(2)記載の貸付料のうち、受益の程度を勘案して算定される額は、実際の収益に関わらず定額を支払うこととされているため、収支が予測を下回る場合、当社の鉄道事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、建設の遅滞等により開業の遅れが発生した場合や、開業後の収益が予測を下回った場合、当社グループの事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社は、2019年3月27日の検討委員会において、リレー方式による運営が長期化又は固定化することは、地域振興効果が極めて限定的になること等から、到底受け入れられない旨の表明をしており、少しでも早期に全線開業できるよう要望しているところです。さらに、2019年2月6日に工事予算の増額等を主旨とする工事実施計画(武雄温泉・長崎間)の変更認可申請が鉄道・運輸機構より国土交通省に対してなされているところですが、当社は、2018年11月28日の与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームにおいて、整備新幹線の建設費に応じて貸付料を引上げることは、整備新幹線の基本的なスキームを大幅に逸脱するものであり、受け入れられるものではない旨の表明をしております。 13 訴訟に関する事項 当社グループは、事業の遂行に関して、訴訟、行政処分その他の法的手続きが提起又は開始されるリスクを有しております。当社グループに対する訴訟その他の法的手続きが開始された場合、その解決には相当の時間及び費用を要する可能性があるとともに、社会的関心・影響の大きな訴訟等が発生した場合や、当社グループに対する損害賠償の支払等当社グループにとって不利益な裁判所の判断や裁判外の和解等がなされた場合には、社会的信用が低下し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 14 情報技術(IT)上の問題に関する事項 当社グループにおいては、鉄道事業をはじめとする様々な事業を安全かつ適切に運営するため、多くの部分でITシステムを利用しています。また、当社グループの鉄道事業と密接に関連する他の鉄道事業会社、電力会社、通信サービス提供会社及び金融機関等、当社グループと取引関係にある他の会社においても同様にITシステムが利用されております。当社グループ又は当社グループと取引関係にある他の会社のITシステムに関する事故、故障、ハッキング、コンピューターウィルスの感染及び人為的な過誤・不正操作等により、鉄道の遅延、不具合、発券及び予約機能の障害又は遅延、列車衝突又はその他の事故のリスクの増大等、様々な問題が起こる可能性があり、これらのシステムに重大な障害が発生した場合、事業運営上の支障、収益の減少、修繕・交換費用・設備投資の増加が生じ、また、当社グループの安全性又は信頼性に対する懸念を生じ、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 15 風評に関する事項 当社グループの営む事業に関し、事故、不正行為、違法行為、個人情報の漏洩若しくはその他の不祥事等が発生し又は発生したと報じられた場合には、当該事業のみならず、当社グループ全体の社会的信用が低下し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが事業を営む業界における他社の事故や不祥事等が、当該業界全般に対する評判、ひいては当該業界に属する当社グループの評判にも影響を及ぼす可能性があります。当社グループ又は当社グループが事業を営む業界全般に対する風評・風説が、報道機関・市場関係者への情報伝播、インターネット上の掲示板やSNSへの書込み及び匿名の書簡・電子メール等により拡散した場合、当社グループの商品、サービス及び事業に対するイメージ・社会的信用が低下し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 16 個人情報保護に関する事項 当社グループは、運輸サービス、建設、不動産・ホテル、流通・外食及びその他事業等様々な事業を営んでおり、これらの性質上多数の個人・法人の顧客から様々な情報を取得し保有しております。個人情報に関して、当社グループは、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)に基づき、個人情報取扱事業者として、個人情報保護に係る義務等の遵守が求められております。当社グループが保有する顧客情報等の個人情報やその他重要な情報が外部に漏洩した場合には、損害賠償請求や行政処分を受ける可能性があります。また、かかる事案に対応するための時間及び費用が生じ、当社グループの事業運営上の支障や社会的信用の低下による顧客喪失等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 17 金融資産に関する事項 当社は、省令に基づき経営安定基金を取り崩し、鉄道路線網の維持向上に資する鉄道事業の用に供する資産への設備投資を行うための原資として、国内債券等の金融資産を保有しております。2019年3月末時点において、その過半(簿価ベース)は、市場流動性の高い金融資産でありますが、市場金利の変動や発行主体の業績又は資産状況の悪化等により、保有する金融資産の市場価値が下落した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 18 外部委託先や取引先に関する事項 当社グループは、事業上様々な局面において、第三者である外部事業者に対し、業務委託等を行っております。例えば、不動産・ホテル事業では、建設業務の一部及び居住用物件の賃貸と販売管理を第三者に委託しております。さらに、流通・外食事業及びその他事業では、第三者生産者、卸売業者及びメーカーより原材料や商品の仕入れを行い、コンビニエンスストアの運営についてはファミリーマート社とのフランチャイズ契約に基づいております。このため、これらの第三者又はその再委託先が、当社グループの定める基準を満たす商品やサービスの提供等を怠った場合やこれらの第三者に起因する問題や事故が発生した場合、当社グループの社会的信用や当社グループの事業等に重大な影響を及ぼし、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 19 退職給付制度に係る損失に関する事項 当社グループの退職給付費用及び債務は、将来の退職給付債務算出に用いる年金数理上の前提条件に基づいて算出しておりますが、割引率等の前提条件に変更があった場合、又は金利環境の急変その他の要因により、実際の結果が前提条件と異なる場合等には、退職給付費用及び債務が増加する可能性があります。また、当社グループの退職給付制度を改定した場合にも、追加的負担が発生する可能性があります。その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 20 環境規制に関する事項 当社グループは、主として運輸サービス、不動産・ホテル及びその他事業において、不動産を所有しております。当社グループは、かかる不動産の取得に際し、土壌汚染、水質汚濁、建物へのアスベスト等の有害物質等の使用に関する環境調査を実施しておりますが、かかる調査によりすべての有害物質等の存在又は使用等が事前に判明する保証はありません。また、土地の所有者は、土壌汚染対策法(平成14年法律第53号)に基づき、さまざまな場面において、土壌汚染に関する調査を実施しなければならず、また、人体への健康被害を生じうる土壌汚染が判明した場合には、その所有者は、土壌汚染に関する帰責性の有無及び善意・悪意を問わず、当局より有害物質等の除去を命じられる可能性があります。また、建築基準法(昭和25年法律第201号)及び大気汚染防止法(昭和43年法律第97号)に基づき、既存建物の解体、修繕等に関し、アスベストの除去又はその他一定の措置を講じる必要があります。有害物質等の存在は、不動産の販売、賃貸借、開発又は担保としての利用の制約となる可能性があり、また、資産価値の低下、有害物質等の除去等に要する費用の増加等を生じる可能性があります。さらに、かかる有害物質に起因して、現実に人体への健康被害等が生じた場合には、当社グループは、損害賠償等の責任を負う可能性があります。その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
FY2018|16,995 文字
2【事業等のリスク】 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがありますが、これらに限定されるものではありません。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 1 日本全体及び九州の経済状況の変化に関する事項 当社グループは、運輸サービス、建設、駅ビル・不動産、流通・外食及びその他事業等の様々な事業を主に九州で展開しており、予定されている消費増税や政府による経済政策の影響等日本全体の経済環境のほか、福岡市やその他の主要都市部をはじめとした九州の経済環境の影響下にあります。運輸サービスグループにおいては九州、特に福岡市及びその近郊地域の雇用状況及び就学状況が旅客運輸収入(定期)に影響を与え、日本及び九州の景気低迷によるビジネス利用客及び旅行客の減少が旅客運輸収入(定期外)に影響を与える可能性があります。また駅ビル・不動産グループにおいては、福岡市やその他の主要都市部を中心とする商業施設及び住宅の需要、金利水準並びに金融政策が不動産の賃料や空室率及び販売価格に影響を与える可能性があります。その他、九州及び国内の建設需要が建設グループの受注高に影響を与え、九州及び国内の消費水準やビジネス関連需要の変化がホテルや流通・外食グループに影響を与える可能性もあります。このような事象が生じた場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 2 中期経営計画に関する事項 当社グループは2016年5月に「JR九州グループ中期経営計画2016-2018」を発表しております。例えば新幹線・在来線等の需要が人口減少、法規制、経済環境その他の要因によって予想以上に低迷し、顧客の需要や嗜好を正確に把握し対応できない場合には、計画どおりに鉄道運輸収入が達成できない可能性があります。またインターネットを利用したきっぷの販売やイールドマネジメントが予想どおりに進まない場合や鉄道事業の経費削減策が計画どおりに実行できない場合には、当中期経営計画における目標を達成できない可能性があります。その他、競争環境や顧客嗜好の変化その他の要因により、外国人観光客の増加を当社の売上に十分取り込めない場合や、不測の費用や人口動態、法規制、経済状況その他の要因により、今後の不動産開発プロジェクトが成功しない場合、さらには、当社グループのノウハウ及び経験を、九州域外での事業の拡大等に際して当社に有利な形で活用できない場合等には、当中期経営計画における目標の達成に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの運輸サービスと駅ビル・不動産の両事業は相互に関連しているため、一部の事業の低迷が他の事業にも影響する可能性があります。さらに、当中期経営計画は、外国人旅行客数、「平成28年熊本地震」の影響、人件費その他のコストの水準等、多くの前提及び予測に基づいて作成されております。加えて、当社グループの各事業には、本「2 事業等のリスク」に記載のリスク要因が内在しています。当社グループの施策が奏功しなかった場合、当社グループの前提及び予測が不正確若しくは不十分であった場合、又は顕在化したリスク要因に対して当社グループが適切な対応を実施できない場合等においては、当中期経営計画における目標の達成に影響を及ぼす可能性があります。 3 法的規制に関する事項 (1)鉄道事業に係る法律関連事項について当社は、鉄道事業者として鉄道事業法の定めに基づき事業運営を行っております。また、JR会社法の適用対象からは除外されたものの、同法の附則に定められた「当分の間配慮すべき事項に関する指針」等に配慮した事業運営が求められております。これらの詳細については、以下のとおりです。① 鉄道事業法(昭和61年法律第92号)当社グループの鉄道事業においては、鉄道事業法の規制を受けております。鉄道事業者は本法の定めに従い、営業する路線及び鉄道事業の種別ごとに国土交通大臣の許可を受けなければならない(第3条)とともに、旅客の運賃及び料金について国土交通大臣の認可を受け、その範囲内での設定・変更を行う場合は、事前届出を行うこととされております(第16条)。また、鉄道事業の休廃止については、国土交通大臣に事前届出(廃止の場合は廃止日の1年前まで)を行うこととされております(第28条、第28条の2)。この他、国土交通省の指針や事業の公益性の観点から鉄道事業において大きな方針転換を図ることができない可能性があります。 ② 旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律(平成27年法律第36号)(以下「JR会社法改正法」という。)イ JR会社法の適用対象からの除外JR会社法は、国鉄分割民営化において、旅客会社及び貨物会社の出資・設立を定めるとともに、その目的及び事業範囲について定めるものとして、1986年12月に制定されました。JR会社法の適用を受ける会社は、新株発行や代表取締役の選定等の一定の事項について国土交通大臣による認可が必要とされるほか、中小企業者への配慮等の規制を受けます。旅客会社及び貨物会社は、鉄道事業法の規制に加えて、本法により政府の規制を受けておりましたが、2016年4月1日に当社の完全民営化に向けてJR会社法改正法が施行され、当社はJR会社法の適用対象から除外されております。 ロ 事業を営むに際し当分の間配慮すべき事項に関する指針JR会社法改正法附則第2条において、当社及び当社の鉄道事業の全部又は一部を譲受け、合併等により施行日以降経営する者のうち国土交通大臣が指定するもの(以下「新会社」という。)が事業を営むに際し、当分の間配慮すべき事項に関する指針(以下「指針」という。)を定めると規定されております。この指針は2015年12月に告示され、2016年4月1日より適用されております。指針に定められた内容は概ね次のとおりです。・会社間(新会社との間又は、新会社と北海道旅客鉄道株式会社、四国旅客鉄道株式会社及び貨物会社又は東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社、西日本旅客鉄道株式会社、並びにその事業の全部若しくは一部を譲受、合併、分割、相続によりJR会社法の改正法(平成13年法律第61号)の施行日以後経営するもののうち国土交通大臣が指定するものとの間をいう。)における旅客の運賃及び料金の適切な設定、鉄道施設の円滑な使用その他鉄道事業に関する会社間における連携及び協力の確保に関する事項・国鉄改革の実施後の輸送需要の動向その他新たな事情の変化を踏まえた現に営業している路線の適切な維持及び駅その他の鉄道施設の整備に当たっての利用者の利便の確保に関する事項・新会社がその事業を営む地域において当該事業と同種の事業を営む中小企業者の事業活動に対する不当な妨害又はその利益の不当な侵害を回避することによる中小企業者への配慮に関する事項国土交通大臣は、指針を踏まえた事業経営を確保するため必要があると認めるときは、新会社に対し、その事業経営について必要な指導及び助言をすることができるとされており(附則第3条)、さらに正当な理由がなく指針に反する事業運営を行ったときには、勧告をすることができるとされております(附則第4条)。なお、当社はこれまでも指針に定められた事項に沿った事業運営を行ってきており、この指針は今後の当社の事業運営に大きな影響を及ぼすものではないと考えております。 (2)運賃及び料金の設定又は変更について当社が鉄道事業における運賃及び料金を設定又は変更する際には、鉄道事業法に規定された必要な手続きを経る必要があり、何らかの理由により当該手続きに基づいた運賃及び料金の設定又は変更を機動的に行えない場合には、当社の収益に影響を与える可能性があります。手続きの詳細については以下のとおりです。① 運賃及び料金の認可の仕組みと手続き鉄道運送事業者が旅客の運賃及び新幹線特急料金(以下「運賃等」という。)の上限を定め、又は変更しようとする場合、国土交通大臣の認可を受けなければならないことが法定されております(鉄道事業法第16条第1項)。また、その上限の範囲内での運賃等の設定・変更及び在来線特急料金等その他の料金の設定・変更については、事前の届出で実施できることとなっております(鉄道事業法第16条第3項及び第4項)。鉄道運送事業者の申請を受けて国土交通大臣が認可するまでの手続きは、大手民営鉄道事業者における近年の例によれば次のようになっております。 (注)1 鉄道事業法第64条の2に基づく手続きであります。また、国土交通省設置法第23条では、運輸審議会が審議の過程で必要があると認めるとき又は国土交通大臣の指示等があったときに公聴会が開かれることが定められております。2 鉄道営業法第3条第2項で、運賃その他の運送条件の加重をなす場合に7日以上の公告をしなければならないことが定められております。なお、各旅客会社における独自の運賃改定の実施の妨げとなるものではありませんが、国鉄改革の実施に際し利用者の利便の確保を図るため、旅客会社では、現在、2社以上の旅客会社間をまたがって利用する旅客及び荷物に対する運賃及び料金に関し、旅客会社間の契約により通算できる制度とし、また、運賃について、遠距離逓減制を加味したものとしております。 ② 運賃改定に対する当社の考え方イ 当社では、1987年4月の会社発足以降、消費税等を転嫁するための運賃改定(1989年4月、1997年4月及び2014年4月)を除くと、1996年1月10日に初めての運賃改定(平均7.8%)を実施いたしました。今後も総合的な経営判断に立ち、適正な利潤を確保し得るような運賃改定を適時実施する必要があると考えております。ロ 事業経営に当たっては、まず収入の確保と合理化努力を進め効率的な経営に努めますが、適正利潤についてはこのような努力を前提とした上で、将来の設備投資や財務体質の強化等を可能なものとする水準にあることが是非とも必要であると考えております。ハ 鉄道事業の資本費用に大きな影響を与える設備投資については、安全・安定輸送を前提とし、案件ごとに必要性等を勘案しつつ実施しております。なお、当社としましては、事業者の明確な経営責任の下で主体的に設備投資に取り組むことが必要であると認識しているところであります。 ③ 国土交通省の考え方当社の運賃改定に関し、国土交通省からは、次のような考え方が示されております。イ 当社を含む鉄道事業の運賃の上限の改定に当たっては、鉄道事業者の申請を受けて、国土交通大臣が、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたもの(以下「総括原価」という。)を超えないものかどうかを審査して認可することとなっている(鉄道事業法第16条第2項)。なお、原価計算期間は3年間とする。ロ 総括原価を算定するに当たっては、他の事業を兼業している場合であっても鉄道事業部門のみを対象として、所要の株主配当を含めた適正な利潤を含む適正な原価を算定することとなっている。また、通勤・通学輸送の混雑等を改善するための輸送力の増強、旅客サービス向上等に関する設備投資計画の提出を求め、これについて審査を行い、必要な資本費用については原価算入を認めているところである。ハ 総括原価を算定する方法としては、当該事業に投下される資本に対して、機会費用の考え方による公正・妥当な報酬を与えることにより資本費用(支払利息、配当金等)額を推定するレートベース方式を用いる方針であり、総括原価の具体的な算定は以下によることとしている。総括原価=営業費等(注1)+事業報酬・事業報酬=事業報酬対象資産(レートベース)×事業報酬率・事業報酬対象資産=鉄道事業固定資産+建設仮勘定+繰延資産+運転資本(注2)・事業報酬率=自己資本比率(注3)×自己資本報酬率(注4)+他人資本比率(注3)×他人資本報酬率(注4)(注)1 鉄道事業者間で比較可能な費用について、経営効率化を推進するため各事業者間の間接的な競争を促す方式(ヤードスティック方式)により、比較結果を毎事業年度終了後に公表するとともに、原価の算定はこれを基に行うこととしている。2 運転資本=営業費及び貯蔵品の一部3 自己資本比率30%、他人資本比率70%4 自己資本報酬率は、公社債応募者利回り、全産業平均自己資本利益率及び配当所要率の平均、他人資本報酬率は借入金等の実績平均レートニ なお、認可した上限の範囲内での運賃等の設定・変更、又はその他の料金の設定・変更は、事前の届出で実施できることとなっているが、国土交通大臣は、届出された運賃等が、次の(a)又は(b)に該当すると認めるときは、期限を定めてその運賃等を変更すべきことを命じることができるとされている(鉄道事業法第16条第5項)。(a)特定の旅客に対し不当な差別的取扱いをするものであるとき(b)他の鉄道運送事業者との間に不当な競争を引き起こすおそれがあるものであるとき (3)税制特例措置について当社は、地方税法附則第15条の2第2項に基づき、鉄道事業の用に供する固定資産について2016年度までの固定資産税及び都市計画税の課税標準を2分の1に、地方税法附則第15条の3第1項に基づき国鉄から承継した直接その本来の事業の用に供する固定資産について2016年度までの固定資産税及び都市計画税の課税標準を5分の3にするという特例措置(2015年度における当社試算による減税額は、それぞれ約56億円及び約5億円)を受けておりました。また、地方税法附則第9条第1項に基づき、当社に係る法人事業税の資本割の課税標準の特例措置(2015年度における当社試算による減税額は約3億円)を受けておりました。これらの特例措置については、2016年度の税制改正において見直され、経過措置を経て廃止されることが決定しております。詳細については以下のとおりです。 ① 固定資産税及び都市計画税の課税標準についてイ 国鉄改革により当社が承継した本来事業用固定資産に係る固定資産税及び都市計画税について、課税標準を価格の5分の3に軽減(2016年度のみ、2017年度以降は完全に廃止)ロ 当社が所有し又は借り受けている固定資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準に関する経過措置(2019年度以降は完全に廃止)(a)2016年度 課税標準を価格の2分の1に軽減(b)2017年度 課税標準を価格の5分の3に軽減(c)2018年度 課税標準を価格の5分の3に軽減ハ その他所要の措置 ② 法人事業税の資本割の課税標準について資本金等の額から、事業年度の区分に応じ次に掲げる金額をそれぞれ控除(a)2016年度 資本準備金の額から資本金の額を控除した金額(b)2017年度 資本金の額及び資本準備金の額の合計額に4分の3の割合を乗じて得た金額(c)2018年度 資本金の額及び資本準備金の額の合計額に2分の1の割合を乗じて得た金額 4 駅ビル・不動産グループに関する事項 当社グループの駅ビル・不動産グループにおいては、収益化まで長期にわたるプロジェクトの各過程で多額の投資を行います。そして、当社グループが制御できないさまざまな外部要因により、完成に要する時間と投資額等が増加し、想定していた収益を生まないことがあります。当社グループは、完成した販売用不動産を長期にわたって保有せざるを得ない場合には、評価損を認識することがあります。また、駅ビル商業施設のテナントの売上が、経営環境の悪化、テナントの商品の魅力の低下等により減少した場合は、賃料収入の売上連動部分が減少することにより、当社グループの収益に影響を与えることになります。さらに、需要の低下により、賃貸用不動産については、大型テナントの喪失、空室率の上昇や賃料の低下が生じる場合があり、分譲マンションについては販売価格が低下する場合があります。また、当社グループは、プロジェクトの完成後にも、テナント、居住者その他の利用者に生じた不測の損失、損害、被害の責任や、建築瑕疵の補償費用の負担を負うことがあります。このような事象が生じた場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 5 人口動向に関する事項 当社グループの主な事業エリアである九州は、人口減少率が国内の他の地域より高く、加えて高齢者の割合も多いという傾向が続くと予測されています。九州の人口減少及び高齢化によって通勤通学者及び旅行者が減少し、運輸サービスグループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、人口減少によって消費活動が縮小し、駅ビル商業施設やドラッグストア・コンビニエンスストアの店舗等の利用者が減少し、賃貸マンション・分譲マンションの利用者・購入者が減少する場合、駅ビル・不動産グループや流通・外食グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 6 競合に関する事項 当社グループの各事業は競争に晒されています。運輸サービスグループは、安全性、運賃、乗り換え時間、運行本数、快適性、利便性、魅力、ブランド、資金調達力その他の点で、他の鉄道会社に加え、バス会社、高速道路事業者、航空会社、船舶事業会社を含む他の産業との間でも競合しております。特に九州では高速道路は多く利用されており、都市間を結ぶ当社グループの新幹線や特急列車と競合しています。また、駅ビル・不動産グループの駅ビル商業施設賃貸事業においては、利便性、顧客獲得能力、賃料その他の賃貸条件、ブランド、資金調達力の点で、ショッピング・センターのような他の商業施設事業者と競合しています。加えて、賃貸マンション及び分譲マンション事業においては、ロケーション、利便性、価格、魅力、ブランド、資金調達力等の点で、他の開発業者や不動産所有者と競合しています。そのほか、建設グループにおいては九州全域又はその他の地域に所在する建設事業者と、流通・外食グループにおいては利便性、価格、施設の魅力、顧客満足度等の点で類似の小売・飲食事業者と、その他グループのホテル業においてはブランド力、コスト、利便性、ロケーションの魅力の点で他のホテル業者と競合しています。当社グループが顧客の嗜好や必要性の変化に対応できず、又は、技術の変化、競合他社の統合等により競争力を向上又は維持できない場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 7 収益構造に関する事項 当社グループの営む事業のうち、特に運輸サービスグループ及び駅ビル・不動産グループにおいては、人件費、修繕費、減価償却費等の固定費が売上に対して高い割合で構成され、また、経費削減に対しては、当社グループの公益的性質や法規制等に基づくさまざまな制約が及んでいます。したがって、当社グループの運輸サービスグループにおいては、固定費が高水準となる場合には経費削減によって利益を上げることに限度があります。また、駅ビルや賃貸マンションの不動産賃貸事業において、賃貸収入が減少した場合でも営業費用は必ずしも減少しないため、営業利益は、市場の賃料水準の低下や空室率の増加、当社グループに不利な賃料交渉の結果等に起因する賃貸収入の減少により大きく影響される可能性があります。8 電気料金、人件費その他営業費用の増加に関する事項 燃料価格の高騰や円安により電気料金が増加する場合、当社グループの事業全般、特に鉄道事業に影響を及ぼします。しかし、当社グループの公益的性質や法規制等により、当該増加を運賃等に転嫁することには限界があり、また、収益を増やすことで当該増加を補うことができるとは限りません。また、当社グループ事業の多くは多くの労働力を必要としますが、近年は日本国内において全般的に人件費が増加する傾向にあります。今後さらなる人口減少及び高齢化により労働市場の競争激化に直面する可能性があり、人材確保のために雇用条件を向上させることが必要となる可能性があります。建設及び駅ビル・不動産グループにおける建設資材価格及び人件費の上昇による建設費の増加は、当社グループの業績及び財政状態を圧迫する可能性があるほか、設備投資の遅れを余儀なくされ、建設グループの業績及び財政状態にも影響を与える可能性があります。さらに、流通・外食グループにおいて、原材料費等の上昇を当社グループの提供するサービス、商品の価格へ転嫁することが困難である場合や、国内外のインフレーションや円安による費用増加の場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 9 自然災害、事故に関する事項 当社グループは、九州を中心として幅広い事業活動を行っており、また、その事業に関連し、鉄道軌道、鉄道車両、不動産といった多くの固定資産を有しているため、地震、火山の噴火、津波、台風、地滑り、豪雨、大雪、洪水、感染症の流行等の自然災害、戦争、テロリズム、武装紛争等の人的災害、送電障害等の主要な社会的インフラ障害等が発生した場合には、かかる保有資産の大規模な修繕が必要となり、又は当社グループの業務運営の全部若しくは一部が継続できない又は重大な支障を生じる可能性があり、特に当社グループの事業が集中する九州あるいは福岡において甚大な被害が生じた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、かかる災害等に起因して当社グループの顧客又はその他の第三者に負傷等が生じた場合には、重大な訴訟又は請求等を提起される可能性があり、また、当社グループのサービスや設備の安全性や信頼性に対する公衆の認識に悪影響が生じ、当社グループの社会的信頼を毀損し、又は当社グループのサービスへの需要に影響を及ぼす可能性があります。また、鉄道路線網にかかる重大事故があった場合、第三者から損害賠償等の請求を受ける可能性があるほか、損傷した鉄道路線の修繕や交換に要する多額の支出、運休による収入の減少及び当社グループの評判や社会的信頼の毀損を生じる可能性があります。なお、新幹線を中心に、鉄道路線網は相互連携しているため、比較的小規模な事故が当社グループの鉄道路線の運行に広範囲にわたって支障を来たす可能性があり、また、九州外の路線における災害・事故が、九州新幹線をはじめとする当社グループの路線の運行に深刻な影響を及ぼす可能性があり、当社グループの収益の減少又は鉄道サービスや設備の安全性そのものに対する懸念や、場合によっては当社グループの鉄道事業以外の事業に対する社会的信頼やブランド価値に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは人的及び物的損害に対して保険を契約しておりますが、それらは地震をはじめとする自然災害や事故等によるあらゆる被害を賠償する額として十分ではない可能性があり、保険の対象とされていない又は限度額を超える損害が生じた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 10 保有資産の価値に関する事項 当社グループは、土地その他の不動産を中心に、多くの固定資産を所有しており、経営環境の変化や収益性の低下等により当該固定資産への投資額の回収が見込めなくなった場合には、減損損失を計上することが必要になり、また、将来かかる資産を簿価未満で売却する場合には、売却損を計上する可能性があります。また、当社は、2016年3月31日の経営安定基金の取崩しに伴い、2016年3月期決算において多額の減損処理を実施いたしました。かかる経営安定基金の取崩しに伴う減損処理において、鉄道事業固定資産のほぼ全額について減損処理が適用されたため、現在保有する鉄道事業固定資産について追加的に減損損失を計上するリスクは高くないものと認識しておりますが、当社グループは、鉄道事業において今後も継続的に多額の設備投資を実施していくため、将来において鉄道事業の業績が予想以上に低調となった場合には、鉄道事業固定資産について減損損失を計上する可能性があります。当社グループでは引き続き収益確保に努めておりますが、このような事象が生じた場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 11 観光客の減少に関する事項 当社グループの事業及びその成長戦略は、海外、特に韓国、台湾、中国、香港その他の近隣のアジア諸国及び地域からの観光客の増減を含む九州における観光市場の動向により影響を受ける可能性があり、九州の観光市場は、日本又は海外の経済状況(特にアジア諸国及び地域の経済不安定)、為替相場の状況、政治的要因、諸地域における対日感情、自然災害、異常気象、事故、感染症の流行、政府の観光促進策、日本の他の観光地の競争優位性等の影響を受ける可能性があります。これら要因等により、九州への観光客が減少した場合、又は当社グループが九州への観光客を取り込むことができなかった場合には、当社グループの成長戦略、事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 12 整備新幹線に関する事項 (1)整備新幹線の建設計画整備新幹線とは、1970年に制定された全国新幹線鉄道整備法(昭和45年法律第71号)に基づき、1973年に整備計画が決定された北海道新幹線(青森市~札幌市)、東北新幹線(盛岡市~青森市)、北陸新幹線(東京都~大阪市)、九州新幹線(福岡市~鹿児島市、福岡市~長崎市)を指します。1987年の国鉄分割民営化後、当社はこれら新幹線のうち九州新幹線(鹿児島ルート(福岡市~鹿児島市)、西九州ルート(福岡市~長崎市))について営業主体とされました。九州新幹線(鹿児島ルート)は、2004年3月13日に新八代・鹿児島中央間、2011年3月12日に博多・新八代間がそれぞれ開業しました。整備計画決定から約38年を経て全線がつながり、新大阪・鹿児島中央間において山陽新幹線と九州新幹線の相互直通運転が開始されました。また、九州新幹線(西九州ルート)につきましては、2004年12月の「政府・与党申合せ」において、九州新幹線(西九州ルート)武雄温泉・諫早間の整備は、「並行在来線区間の運営のあり方については、長崎県の協力を得ながら佐賀県において検討を行うこととし、速やかに結論を出すこととする。調整が整った場合には、着工する。その際、軌間可変電車方式による整備を目指す。」ことが決定されました。その後、佐賀県、長崎県及び当社の三者で調整を行った結果、2007年12月16日、当社が肥前山口・諫早間を経営分離せず、上下分離方式により運行すること等について、基本合意に達しました。これを受け、2008年3月26日に武雄温泉・諫早間がスーパー特急方式により認可・着工されました。九州新幹線(西九州ルート)諫早・長崎間は、2009年12月24日の整備新幹線問題検討会議において、基本的な5つの条件(①安定的な財源見通しの確保、②収支採算性、③投資効果、④営業主体としてのJRの同意、⑤並行在来線の経営分離についての沿線自治体の同意)を満たすことを確認した上で着工することとされました。2011年12月26日「整備新幹線の取扱いについて」(政府・与党確認事項)において安定的な財源の見通しを付けたことを踏まえ、2012年4月の整備新幹線問題検討会議で収支採算性や投資効果について確認されたことから、営業主体の同意手続きや沿線自治体の同意手続きを経て、2012年6月29日に認可されました。この認可では、既着工区間であった武雄温泉・諫早間と新たな区間(諫早・長崎間)を一体的な事業(佐世保線肥前山口・武雄温泉間の複線化工事を含む)として扱い、軌間可変電車方式(標準軌)により整備し、開業時期については諫早・長崎間の着工から概ね10年後とされており、建設主体である鉄道・運輸機構により工事が進められております。さらに、軌間可変電車の開発の遅れに伴い、2016年3月29日、当社、佐賀県、長崎県、与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム(西九州ルート)検討委員会(以下「検討委員会」という。)、国土交通省及び鉄道・運輸機構は、武雄温泉・長崎間の施設が完成する2022年度に、当該区間にフル規格車両を投入し、博多・武雄温泉間を走行する在来線特急と武雄温泉駅で乗り換えを行うこと(いわゆるリレー方式)により開業すること等について合意(以下「6者合意」といいます。)しました。 (2)整備新幹線建設の費用負担整備新幹線は、鉄道・運輸機構が建設を行っており、その費用は国、地方公共団体及びJRが負担することとされていますが、JRの負担については、次のイ及びロ(当社の負担はイのみ)を充てることとされています。イ 整備新幹線の営業主体となるJRが支払う貸付料等ロ 既設の新幹線鉄道施設の譲渡収入の一部1997年10月の北陸新幹線高崎・長野間の開業に伴い、整備新幹線の営業主体であるJRが支払う貸付料の額の基準が設けられ、現在は独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法施行令(平成27年政令第392号)(以下「施行令」という。)第6条に規定されています。施行令において、貸付料の額は、当該新幹線開業後の営業主体の受益の程度を勘案し算定された額に、貸付けを受けた鉄道施設に関して鉄道・運輸機構が支払う租税及び鉄道・運輸機構の管理費の合計額を加えた額を基準として、鉄道・運輸機構において定めるものとされています。ここでいう受益は、新幹線が開業した場合の当該新幹線区間及び関連線区区間の収支と、開業しなかったと仮定した場合の並行在来線及び関連線区区間の収支を比較し、前者が後者より改善することにより営業主体が受けると見込まれる利益とされており、具体的には、開業後30年間の需要予測及び収支予測に基づいて算定されることとなります。なお、この受益の程度を勘案し算定された額については、開業後30年間は定額とされています。また、租税及び鉄道・運輸機構管理費相当額については、営業主体の当該新幹線開業後の経費として、受益算定の際に反映されています。整備新幹線の建設を行う鉄道・運輸機構は建設費の調達を行い、建設した施設を保有することとされています。当社は完成後にこの施設の貸付けを受け、開業後に上記イの貸付料等を支払うこととなっており、建設期間中における同機構への建設費の直接負担は原則としてないものとされています。なお、当社は、JR会社法改正法及び九州旅客鉄道株式会社の経営安定基金の取崩しに関する省令(平成27年国土交通省令第61号)(以下「省令」という。)に基づき、九州新幹線(新八代・鹿児島中央間及び博多・新八代間)の上記貸付料の定額部分につき、2016年4月1日から各区間の開業後30年までに係る貸付料の全額(約2,205億円)を一括して2015年度末に鉄道・運輸機構に支払っております。また、九州新幹線(西九州ルート)の開業後以降、当該路線の営業主体となる当社が、建設主体である鉄道・運輸機構に支払う新幹線鉄道施設の貸付料については、現段階で決定しておりません。 (3)並行在来線の扱い2004年3月の九州新幹線(鹿児島ルート)新八代・鹿児島中央間の開業時に、並行在来線である鹿児島本線八代・川内間は経営分離され、「肥薩おれんじ鉄道株式会社」に引き継がれました。また、九州新幹線(西九州ルート)においては、長崎本線肥前山口・諫早間は経営分離せず、2022年度に予定されている開業時点で上下分離し、当社は、当該開業時点から3年間は一定水準の列車運行のサービスレベルを維持するとともに、当該開業後、23年間運行を維持することを6者合意にて確認しております。 (4)軌間可変電車の九州新幹線(西九州ルート)への導入を含む整備新幹線建設に関する当社の考え方(2)記載の貸付料のうち、受益の程度を勘案して算定される額は、実際の収益に関わらず定額を支払うこととされているため、収支が予測を下回る場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、九州新幹線(西九州ルート)において運行することが予定されている軌間可変電車は鉄道・運輸機構により開発途上にあり、安全性、耐久性、保全性及び経済性が確保されることが十分確認される必要があり、開発状況等によっては、整備スキームへ影響を及ぼす可能性があります。さらに、建設の遅滞等により開業の遅れが発生した場合や、開業後の収益が予測を下回った場合、当社グループの他の事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、九州新幹線(西九州ルート)に関しては、2017年7月14日の国土交通省の軌間可変技術評価委員会において、軌間可変電車の安全性、経済性について引き続き課題が残っているものと評価されたことを受けて、当社は、2017年7月25日の検討委員会において、車両コストが大幅に増額となり収支採算性が成り立たず、軌間可変電車による運営は困難である旨の意見を表明しております。併せて、安全性の課題の解決には少なくとも年単位の時間を要することが見込まれることから、新幹線インフラの整備効果が極めて限定的になるリレー方式による運営が長期化することが懸念され、経営上大きな問題となる旨の意見を表明しております。 (5)九州新幹線(西九州ルート)の整備のあり方の検討について2017年9月27日の検討委員会において、2022年度の対面乗換方式での開業以降の西九州ルートの整備のあり方に関し、以下の場合の比較検討作業(費用、投資効果、収支採算性、工期、山陽新幹線への乗り入れ等)が国土交通省に対し指示され、2018年3月30日の検討委員会で国土交通省から比較検討結果が報告されました。検討委員会の委員長より、今後、JR九州、佐賀県、長崎県のヒアリングを行った上で夏頃までに一定の結論を出す方針が示されています。①フリーゲージトレインを導入する場合②フル規格の新幹線で整備する場合③ミニ新幹線で整備する場合 13 訴訟に関する事項 当社グループは、事業の遂行に関して、訴訟、行政処分その他の法的手続きが提起又は開始されるリスクを有しております。当社グループに対する訴訟その他の法的手続きが開始された場合、その解決には相当の時間及び費用を要する可能性があるとともに、社会的関心・影響の大きな訴訟等が発生した場合や、当社グループに対する損害賠償の支払等当社グループにとって不利益な裁判所の判断や裁判外の和解等がなされた場合には、社会的信用が低下し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 14 情報技術(IT)上の問題に関する事項 当社グループにおいては、鉄道事業をはじめとする様々な事業を安全かつ適切に運営するため、多くの部分でITシステムを利用しています。また、当社グループの鉄道事業と密接に関連する他の鉄道事業会社、電力会社、通信サービス提供会社及び金融機関等、当社グループと取引関係にある他の会社においても同様にITシステムが利用されております。当社グループ又は当社グループと取引関係にある他の会社のITシステムに関する事故、故障、ハッキング、コンピューターウィルスの感染及び人為的な過誤・不正操作等により、鉄道の遅延、不具合、発券及び予約機能の障害又は遅延、列車衝突又はその他の事故のリスクの増大等、様々な問題が起こる可能性があり、これらのシステムに重大な障害が発生した場合、事業運営上の支障、収益の減少、修繕・交換費用・設備投資の増加が生じ、また、当社グループの安全性又は信頼性に対する懸念を生じ、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 15 風評に関する事項 当社グループの営む事業に関し、事故、不正行為、違法行為、個人情報の漏洩若しくはその他の不祥事等が発生し又は発生したと報じられた場合には、当該事業のみならず、当社グループ全体の社会的信用が低下し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが事業を営む業界における他社の事故や不祥事等が、当該業界全般に対する評判、ひいては当該業界に属する当社グループの評判にも影響を及ぼす可能性があります。当社グループ又は当社グループが事業を営む業界全般に対する風評・風説が、報道機関・市場関係者への情報伝播、インターネット上の掲示板やSNSへの書込み及び匿名の書簡・電子メール等により拡散した場合、当社グループの商品、サービス及び事業に対するイメージ・社会的信用が低下し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 16 個人情報保護に関する事項 当社グループは、運輸サービス、建設、駅ビル・不動産、流通・外食及びその他事業等様々な事業を営んでおり、これらの性質上多数の個人・法人の顧客から様々な情報を取得し保有しております。個人情報に関して、当社グループは、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)に基づき、個人情報取扱事業者として、個人情報保護に係る義務等の遵守が求められております。当社グループが保有する顧客情報等の個人情報やその他重要な情報が外部に漏洩した場合には、損害賠償請求や行政処分を受ける可能性があります。また、かかる事案に対応するための時間及び費用が生じ、当社グループの事業運営上の支障や社会的信用の低下による顧客喪失等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 17 金融資産に関する事項 当社は、省令に基づき経営安定基金を取り崩し、鉄道路線網の維持向上に資する鉄道事業の用に供する資産への設備投資を行うための原資として、国内債券等の金融資産を保有しております。2018年3月末時点において、その過半(簿価ベース)は、市場流動性の高い金融資産でありますが、市場金利の変動や発行主体の業績又は資産状況の悪化等により、保有する金融資産の市場価値が下落した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 18 外部委託先や取引先に関する事項 当社グループは、事業上様々な局面において、第三者である外部事業者に対し、業務委託等を行っております。例えば、駅ビル・不動産事業では、建設業務の一部及び居住用物件の賃貸と販売管理を第三者に委託しております。さらに、流通・外食事業及びその他事業では、第三者生産者、卸売業者及びメーカーより原材料や商品の仕入れを行い、コンビニエンスストアの運営についてはファミリーマート社とのフランチャイズ契約に基づいております。このため、これらの第三者又はその再委託先が、当社グループの定める基準を満たす商品やサービスの提供等を怠った場合やこれらの第三者に起因する問題や事故が発生した場合、当社グループの社会的信用や当社グループの事業等に重大な影響を及ぼし、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 19 退職給付制度に係る損失に関する事項 当社グループの退職給付費用及び債務は、将来の退職給付債務算出に用いる年金数理上の前提条件に基づいて算出しておりますが、割引率等の前提条件に変更があった場合、又は金利環境の急変その他の要因により、実際の結果が前提条件と異なる場合等には、退職給付費用及び債務が増加する可能性があります。また、当社グループの退職給付制度を改定した場合にも、追加的負担が発生する可能性があります。その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 20 環境規制に関する事項 当社グループは、主として運輸サービス、駅ビル・不動産及びその他事業において、不動産を所有しております。当社グループは、かかる不動産の取得に際し、土壌汚染、水質汚濁、建物へのアスベスト等の有害物質等の使用に関する環境調査を実施しておりますが、かかる調査によりすべての有害物質等の存在又は使用等が事前に判明する保証はありません。また、土地の所有者は、土壌汚染対策法(平成14年法律第53号)に基づき、さまざまな場面において、土壌汚染に関する調査を実施しなければならず、また、人体への健康被害を生じうる土壌汚染が判明した場合には、その所有者は、土壌汚染に関する帰責性の有無及び善意・悪意を問わず、当局より有害物質等の除去を命じられる可能性があります。また、建築基準法(昭和25年法律第201号)及び大気汚染防止法(昭和43年法律第97号)に基づき、既存建物の解体、修繕等に関し、アスベストの除去又はその他一定の措置を講じる必要があります。有害物質等の存在は、不動産の販売、賃貸借、開発又は担保としての利用の制約となる可能性があり、また、資産価値の低下、有害物質等の除去等に要する費用の増加等を生じる可能性があります。さらに、かかる有害物質に起因して、現実に人体への健康被害等が生じた場合には、当社グループは、損害賠償等の責任を負う可能性があります。その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
FY2017|16,510 文字
4【事業等のリスク】 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがありますが、これらに限定されるものではありません。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 1 日本全体及び九州の経済状況の変化に関する事項 当社グループは、運輸サービス、建設、駅ビル・不動産、流通・外食及びその他事業等の様々な事業を主に九州で展開しており、予定されている消費増税や政府による経済政策の影響等日本全体の経済環境のほか、福岡市やその他の主要都市部をはじめとした九州の経済環境の影響下にあります。運輸サービスグループにおいては九州、特に福岡市及びその近郊地域の雇用状況及び就学状況が旅客運輸収入(定期)に影響を与え、日本及び九州の景気低迷によるビジネス利用客及び旅行客の減少が旅客運輸収入(定期外)に影響を与える可能性があります。また駅ビル・不動産グループにおいては、福岡市やその他の主要都市部を中心とする商業施設及び住宅の需要、金利水準並びに金融政策が不動産の賃料や空室率及び販売価格に影響を与える可能性があります。その他、九州及び国内の建設需要が建設グループの受注高に影響を与え、九州及び国内の消費水準やビジネス関連需要の変化がホテルや流通・外食グループに影響を与える可能性もあります。このような事象が生じた場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 2 中期経営計画に関する事項 当社グループは平成28年5月に「JR九州グループ中期経営計画2016-2018」を発表しております。例えば新幹線・在来線等の需要が人口減少、法規制、経済環境その他の要因によって予想以上に低迷し、顧客の需要や嗜好を正確に把握し対応できない場合には、計画どおりに鉄道運輸収入が達成できない可能性があります。またインターネットを利用したきっぷの販売やイールドマネジメントが予想どおりに進まない場合や鉄道事業の経費削減策が計画どおりに実行できない場合には、当中期経営計画における目標を達成できない可能性があります。その他、競争環境や顧客嗜好の変化その他の要因により、外国人観光客の増加を当社の売上に十分取り込めない場合や、不測の費用や人口動態、法規制、経済状況その他の要因により、今後の不動産開発プロジェクトが成功しない場合、さらには、当社グループのノウハウ及び経験を、九州域外での事業の拡大等に際して当社に有利な形で活用できない場合等には、当中期経営計画における目標の達成に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの運輸サービスと駅ビル・不動産の両事業は相互に関連しているため、一部の事業の低迷が他の事業にも影響する可能性があります。さらに、当中期経営計画は、外国人旅行客数、「平成28年熊本地震」の影響、人件費その他のコストの水準等、多くの前提及び予測に基づいて作成されております。加えて、当社グループの各事業には、本「4 事業等のリスク」に記載のリスク要因が内在しています。当社グループの施策が奏功しなかった場合、当社グループの前提及び予測が不正確若しくは不十分であった場合、又は顕在化したリスク要因に対して当社グループが適切な対応を実施できない場合等においては、当中期経営計画における目標の達成に影響を及ぼす可能性があります。 3 法的規制に関する事項 (1)鉄道事業に係る法律関連事項について当社は、鉄道事業者として鉄道事業法の定めに基づき事業運営を行っております。また、JR会社法の適用対象からは除外されたものの、同法の附則に定められた「当分の間配慮すべき事項に関する指針」等に配慮した事業運営が求められております。これらの詳細については、以下のとおりです。① 鉄道事業法(昭和61年法律第92号)当社グループの鉄道事業においては、鉄道事業法の規制を受けております。鉄道事業者は本法の定めに従い、営業する路線及び鉄道事業の種別ごとに国土交通大臣の許可を受けなければならない(第3条)とともに、旅客の運賃及び料金について国土交通大臣の認可を受け、その範囲内での設定・変更を行う場合は、事前届出を行うこととされております(第16条)。また、鉄道事業の休廃止については、国土交通大臣に事前届出(廃止の場合は廃止日の1年前まで)を行うこととされております(第28条、第28条の2)。この他、国土交通省の指針や事業の公益性の観点から鉄道事業において大きな方針転換を図ることができない可能性があります。 ② 旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律(平成27年法律第36号)(以下「JR会社法改正法」という。)イ JR会社法の適用対象からの除外JR会社法は、国鉄分割民営化において、旅客会社及び貨物会社の出資・設立を定めるとともに、その目的及び事業範囲について定めるものとして、昭和61年12月に制定されました。JR会社法の適用を受ける会社は、新株発行や代表取締役の選定等の一定の事項について国土交通大臣による認可が必要とされるほか、中小企業者への配慮等の規制を受けます。旅客会社及び貨物会社は、鉄道事業法の規制に加えて、本法により政府の規制を受けておりましたが、平成28年4月1日に当社の完全民営化に向けてJR会社法改正法が施行され、当社はJR会社法の適用対象から除外されております。 ロ 事業を営むに際し当分の間配慮すべき事項に関する指針JR会社法改正法附則第2条において、当社及び当社の鉄道事業の全部又は一部を譲受け、合併等により施行日以降経営する者のうち国土交通大臣が指定するもの(以下「新会社」という。)が事業を営むに際し、当分の間配慮すべき事項に関する指針(以下「指針」という。)を定めると規定されております。この指針は平成27年12月に告示され、平成28年4月1日より適用されております。指針に定められた内容は概ね次のとおりです。・会社間(新会社との間又は、新会社と北海道旅客鉄道株式会社、四国旅客鉄道株式会社及び貨物会社又は東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社、西日本旅客鉄道株式会社、並びにその事業の全部若しくは一部を譲受、合併、分割、相続によりJR会社法の改正法(平成13年法律第61号)の施行日以後経営するもののうち国土交通大臣が指定するものとの間をいう。)における旅客の運賃及び料金の適切な設定、鉄道施設の円滑な使用その他鉄道事業に関する会社間における連携及び協力の確保に関する事項・国鉄改革の実施後の輸送需要の動向その他新たな事情の変化を踏まえた現に営業している路線の適切な維持及び駅その他の鉄道施設の整備に当たっての利用者の利便の確保に関する事項・新会社がその事業を営む地域において当該事業と同種の事業を営む中小企業者の事業活動に対する不当な妨害又はその利益の不当な侵害を回避することによる中小企業者への配慮に関する事項国土交通大臣は、指針を踏まえた事業経営を確保するため必要があると認めるときは、新会社に対し、その事業経営について必要な指導及び助言をすることができるとされており(附則第3条)、さらに正当な理由がなく指針に反する事業運営を行ったときには、勧告をすることができるとされております(附則第4条)。なお、当社はこれまでも指針に定められた事項に沿った事業運営を行ってきており、この指針は今後の当社の事業運営に大きな影響を及ぼすものではないと考えております。 (2)運賃及び料金の設定又は変更について当社が鉄道事業における運賃及び料金を設定又は変更する際には、鉄道事業法に規定された必要な手続きを経る必要があり、何らかの理由により当該手続きに基づいた運賃及び料金の設定又は変更を機動的に行えない場合には、当社の収益に影響を与える可能性があります。手続きの詳細については以下のとおりです。① 運賃及び料金の認可の仕組みと手続き鉄道運送事業者が旅客の運賃及び新幹線特急料金(以下「運賃等」という。)の上限を定め、又は変更しようとする場合、国土交通大臣の認可を受けなければならないことが法定されております(鉄道事業法第16条第1項)。また、その上限の範囲内での運賃等の設定・変更及び在来線特急料金等その他の料金の設定・変更については、事前の届出で実施できることとなっております(鉄道事業法第16条第3項及び第4項)。鉄道運送事業者の申請を受けて国土交通大臣が認可するまでの手続きは、大手民営鉄道事業者における近年の例によれば次のようになっております。 (注)1 鉄道事業法第64条の2に基づく手続きであります。また、国土交通省設置法第23条では、運輸審議会が審議の過程で必要があると認めるとき又は国土交通大臣の指示等があったときに公聴会が開かれることが定められております。2 鉄道営業法第3条第2項で、運賃その他の運送条件の加重をなす場合に7日以上の公告をしなければならないことが定められております。なお、各旅客会社における独自の運賃改定の実施の妨げとなるものではありませんが、国鉄改革の実施に際し利用者の利便の確保を図るため、旅客会社では、現在、2社以上の旅客会社間をまたがって利用する旅客及び荷物に対する運賃及び料金に関し、旅客会社間の契約により通算できる制度とし、また、運賃について、遠距離逓減制を加味したものとしております。 ② 運賃改定に対する当社の考え方イ 当社では、昭和62年4月の会社発足以降、消費税等を転嫁するための運賃改定(平成元年4月、平成9年4月及び平成26年4月)を除くと、平成8年1月10日に初めての運賃改定(平均7.8%)を実施いたしました。今後も総合的な経営判断に立ち、適正な利潤を確保し得るような運賃改定を適時実施する必要があると考えております。ロ 事業経営に当たっては、まず収入の確保と合理化努力を進め効率的な経営に努めますが、適正利潤についてはこのような努力を前提とした上で、将来の設備投資や財務体質の強化等を可能なものとする水準にあることが是非とも必要であると考えております。ハ 鉄道事業の資本費用に大きな影響を与える設備投資については、安全・安定輸送を前提とし、案件ごとに必要性等を勘案しつつ実施しております。なお、当社としましては、事業者の明確な経営責任の下で主体的に設備投資に取り組むことが必要であると認識しているところであります。 ③ 国土交通省の考え方当社の運賃改定に関し、国土交通省からは、次のような考え方が示されております。イ 当社を含む鉄道事業の運賃の上限の改定に当たっては、鉄道事業者の申請を受けて、国土交通大臣が、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたもの(以下「総括原価」という。)を超えないものかどうかを審査して認可することとなっている(鉄道事業法第16条第2項)。なお、原価計算期間は3年間とする。ロ 総括原価を算定するに当たっては、他の事業を兼業している場合であっても鉄道事業部門のみを対象として、所要の株主配当を含めた適正な利潤を含む適正な原価を算定することとなっている。また、通勤・通学輸送の混雑等を改善するための輸送力の増強、旅客サービス向上等に関する設備投資計画の提出を求め、これについて審査を行い、必要な資本費用については原価算入を認めているところである。・総括原価=営業費等(注)+事業報酬(注)鉄道事業者間で比較可能な費用について、経営効率化を推進するため各事業者間の間接的な競争を促す方式(ヤードスティック方式)により、比較結果を毎事業年度終了後に公表するとともに、原価の算定はこれを基に行うこととしている。ハ 事業報酬は、10%配当を前提とする配当所要率(11%)による必要額を各事業部門別に実績年度専属固定資産割合により配賦した配当所要額及び社債・借入金に係る支払利息とされている。ニ なお、認可した上限の範囲内での運賃等の設定・変更、又はその他の料金の設定・変更は、事前の届出で実施できることとなっているが、国土交通大臣は、届出された運賃等が、次の(a)又は(b)に該当すると認めるときは、期限を定めてその運賃等を変更すべきことを命じることができるとされている(鉄道事業法第16条第5項)。(a)特定の旅客に対し不当な差別的取扱いをするものであるとき(b)他の鉄道運送事業者との間に不当な競争を引き起こすおそれがあるものであるとき (3)税制特例措置について当社は、地方税法附則第15条の2第2項に基づき、鉄道事業の用に供する固定資産について平成28年度までの固定資産税及び都市計画税の課税標準を2分の1に、地方税法附則第15条の3第1項に基づき国鉄から承継した直接その本来の事業の用に供する固定資産について平成28年度までの固定資産税及び都市計画税の課税標準を5分の3にするという特例措置(平成27年度における当社試算による減税額は、それぞれ約56億円及び約5億円)を受けておりました。また、地方税法附則第9条第1項に基づき、当社に係る法人事業税の資本割の課税標準の特例措置(平成27年度における当社試算による減税額は約3億円)を受けておりました。これらの特例措置については、平成28年度の税制改正において見直され、経過措置を経て廃止されることが決定しております。詳細については以下のとおりです。 ① 固定資産税及び都市計画税の課税標準についてイ 国鉄改革により当社が承継した本来事業用固定資産に係る固定資産税及び都市計画税について、課税標準を価格の5分の3に軽減(平成28年度のみ、平成29年度以降は完全に廃止)ロ 当社が所有し又は借り受けている固定資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準に関する経過措置(平成31年度以降は完全に廃止)(a)平成28年度 課税標準を価格の2分の1に軽減(b)平成29年度 課税標準を価格の5分の3に軽減(c)平成30年度 課税標準を価格の5分の3に軽減ハ その他所要の措置 ② 法人事業税の資本割の課税標準について資本金等の額から、事業年度の区分に応じ次に掲げる金額をそれぞれ控除(a)平成28年度 資本準備金の額から資本金の額を控除した金額(b)平成29年度 資本金の額及び資本準備金の額の合計額に4分の3の割合を乗じて得た金額(c)平成30年度 資本金の額及び資本準備金の額の合計額に2分の1の割合を乗じて得た金額 4 駅ビル・不動産グループに関する事項 当社グループの駅ビル・不動産グループにおいては、収益化まで長期にわたるプロジェクトの各過程で多額の投資を行います。そして、当社グループが制御できないさまざまな外部要因により、完成に要する時間と投資額等が増加し、想定していた収益を生まないことがあります。当社グループは、完成した販売用不動産を長期にわたって保有せざるを得ない場合には、評価損を認識することがあります。また、駅ビル商業施設のテナントの売上が、経営環境の悪化、テナントの商品の魅力の低下等により減少した場合は、賃料収入の売上連動部分が減少することにより、当社グループの収益に影響を与えることになります。さらに、需要の低下により、賃貸用不動産については、大型テナントの喪失、空室率の上昇や賃料の低下が生じる場合があり、分譲マンションについては販売価格が低下する場合があります。また、当社グループは、プロジェクトの完成後にも、テナント、居住者その他の利用者に生じた不測の損失、損害、被害の責任や、建築瑕疵の補償費用の負担を負うことがあります。このような事象が生じた場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 5 人口動向に関する事項 当社グループの主な事業エリアである九州は、人口減少率が国内の他の地域より高く、加えて高齢者の割合も多いという傾向が続くと予測されています。九州の人口減少及び高齢化によって通勤通学者及び旅行者が減少し、運輸サービスグループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、人口減少によって消費活動が縮小し、駅ビル商業施設やドラッグストア・コンビニエンスストアの店舗等の利用者が減少し、賃貸マンション・分譲マンションの利用者・購入者が減少する場合、駅ビル・不動産グループや流通・外食グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 6 競合に関する事項 当社グループの各事業は競争に晒されています。運輸サービスグループは、安全性、運賃、乗り換え時間、運行本数、快適性、利便性、魅力、ブランド、資金調達力その他の点で、他の鉄道会社に加え、バス会社、高速道路事業者、航空会社、船舶事業会社を含む他の産業との間でも競合しております。特に九州では高速道路は多く利用されており、都市間を結ぶ当社グループの新幹線や特急列車と競合しています。また、駅ビル・不動産グループの駅ビル商業施設賃貸事業においては、利便性、顧客獲得能力、賃料その他の賃貸条件、ブランド、資金調達力の点で、ショッピング・センターのような他の商業施設事業者と競合しています。加えて、賃貸マンション及び分譲マンション事業においては、ロケーション、利便性、価格、魅力、ブランド、資金調達力等の点で、他の開発業者や不動産所有者と競合しています。そのほか、建設グループにおいては九州全域又はその他の地域に所在する建設事業者と、流通・外食グループにおいては利便性、価格、施設の魅力、顧客満足度等の点で類似の小売・飲食事業者と、その他グループのホテル業においてはブランド力、コスト、利便性、ロケーションの魅力の点で他のホテル業者と競合しています。当社グループが顧客の嗜好や必要性の変化に対応できず、又は、技術の変化、競合他社の統合等により競争力を向上又は維持できない場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 7 収益構造に関する事項 当社グループの営む事業のうち、特に運輸サービスグループ及び駅ビル・不動産グループにおいては、人件費、修繕費、減価償却費等の固定費が売上に対して高い割合で構成され、また、経費削減に対しては、当社グループの公益的性質や法規制等に基づくさまざまな制約が及んでいます。したがって、当社グループの運輸サービスグループにおいては、固定費が高水準となる場合には経費削減によって利益を上げることに限度があります。また、駅ビルや賃貸マンションの不動産賃貸事業において、賃貸収入が減少した場合でも営業費用は必ずしも減少しないため、営業利益は、市場の賃料水準の低下や空室率の増加、当社グループに不利な賃料交渉の結果等に起因する賃貸収入の減少により大きく影響される可能性があります。 8 電気料金、人件費その他営業費用の増加に関する事項 燃料価格の高騰や円高により電気料金が増加する場合、当社グループの事業全般、特に鉄道事業に影響を及ぼします。しかし、当社グループの公益的性質や法規制等により、当該増加を運賃等に転嫁することには限界があり、また、収益を増やすことで当該増加を補うことができるとは限りません。また、当社グループ事業の多くは多くの労働力を必要としますが、近年は日本国内において全般的に人件費が増加する傾向にあります。今後さらなる人口減少及び高齢化により労働市場の競争激化に直面する可能性があり、人材確保のために雇用条件を向上させることが必要となる可能性があります。建設及び駅ビル・不動産グループにおける建設資材価格及び人件費の上昇による建設費の増加は、当社グループの業績及び財政状態を圧迫する可能性があるほか、設備投資の遅れを余儀なくされ、建設グループ会社の業績及び財政状態にも影響を与える可能性があります。さらに、流通・外食グループにおいて、原材料費等の上昇を当社グループの提供するサービス、商品の価格へ転嫁することが困難である場合や、国内外のインフレーションや円安による費用増加の場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 9 自然災害、事故に関する事項 当社グループは、九州を中心として幅広い事業活動を行っており、また、その事業に関連し、鉄道軌道、鉄道車両、不動産といった多くの固定資産を有しているため、地震、火山の噴火、津波、台風、地滑り、豪雨、大雪、洪水、感染症の流行等の自然災害、戦争、テロリズム、武装紛争等の人的災害、送電障害等の主要な社会的インフラ障害等が発生した場合には、かかる保有資産の大規模な修繕が必要となり、又は当社グループの業務運営の全部若しくは一部が継続できない又は重大な支障を生じる可能性があり、特に当社グループの事業が集中する九州あるいは福岡において甚大な被害が生じた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、かかる災害等に起因して当社グループの顧客又はその他の第三者に負傷等が生じた場合には、重大な訴訟又は請求等を提起される可能性があり、また、当社グループのサービスや設備の安全性や信頼性に対する公衆の認識に悪影響が生じ、当社グループの社会的信頼を毀損し、又は当社グループのサービスへの需要に影響を及ぼす可能性があります。平成28年4月には、「平成28年熊本地震」が発生したことにより、九州新幹線が一時全線不通となったほか、鉄道設備等の損傷や、流通・外食事業やホテル業等で一時閉店及びお客さまの減少が発生しました。これにより、当社グループは、平成29年3月期において30億58百万円の災害による損失に加えて60億12百万円の災害損失引当金を計上しております。現在は、九州新幹線は通常運転に戻ったほか、他事業においても営業状況は回復しており、当社の事業及び業績への影響は一過的なものと考えておりますが、「平成28年熊本地震」又は将来の更なる地震の発生等の影響により、当社グループの設備等又は被災地における重要な社会的インフラの修繕等の遅延又は費用超過等が生じた場合には、国内外からの旅行客の需要が減退する可能性があります。また、鉄道路線網にかかる重大事故があった場合、第三者から損害賠償等の請求を受ける可能性があるほか、損傷した鉄道路線の修繕や交換に要する多額の支出、運休による収入の減少及び当社グループの評判や社会的信頼の毀損を生じる可能性があります。なお、新幹線を中心に、鉄道路線網は相互連携しているため、比較的小規模な事故が当社グループの鉄道路線の運行に広範囲にわたって支障を来たす可能性があり、また、九州外の路線における災害・事故が、九州新幹線をはじめとする当社グループの路線の運行に深刻な影響を及ぼす可能性があり、当社グループの収益の減少又は鉄道サービスや設備の安全性そのものに対する懸念や、場合によっては当社グループの鉄道事業以外の事業に対する社会的信頼やブランド価値に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは人的及び物的損害に対して保険を契約しておりますが、それらは地震をはじめとする自然災害や事故等によるあらゆる被害を賠償する額として十分ではない可能性があり、保険の対象とされていない又は限度額を超える損害が生じた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 10 保有資産の価値に関する事項 当社グループは、土地その他の不動産を中心に、多くの固定資産を所有しており、経営環境の変化や収益性の低下等により当該固定資産への投資額の回収が見込めなくなった場合には、減損損失を計上することが必要になり、また、将来かかる資産を簿価未満で売却する場合には、売却損を計上する可能性があります。また、当社は、平成28年3月31日の経営安定基金の取崩しに伴い、平成28年3月期決算において多額の減損処理を実施いたしました(詳細については、「7 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご参照ください。)。かかる経営安定基金の取崩しに伴う減損処理において、鉄道事業固定資産のほぼ全額について減損処理が適用されたため、現在保有する鉄道事業固定資産について追加的に減損損失を計上するリスクは高くないものと認識しておりますが、当社グループは、鉄道事業において今後も継続的に多額の設備投資を実施していくため、将来において鉄道事業の業績が予想以上に低調となった場合には、鉄道事業固定資産について減損損失を計上する可能性があります。当社グループでは引き続き収益確保に努めておりますが、このような事象が生じた場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 11 観光客の減少に関する事項 当社グループの事業及びその成長戦略は、海外、特に韓国、台湾、中国、香港その他の近隣のアジア諸国及び地域からの観光客の増減を含む九州における観光市場の動向により影響を受ける可能性があり、九州の観光市場は、日本又は海外の経済状況(特にアジア諸国及び地域の経済不安定)、為替相場の状況、政治的要因、諸地域における対日感情、自然災害、異常気象、事故、感染症の流行、政府の観光促進策、日本の他の観光地の競争優位性等の影響を受ける可能性があります。これら要因等により、九州への観光客が減少した場合、又は当社グループが九州への観光客を取り込むことができなかった場合には、当社グループの成長戦略、事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 12 整備新幹線に関する事項 (1)整備新幹線の建設計画整備新幹線とは、昭和45年に制定された全国新幹線鉄道整備法(昭和45年法律第71号)に基づき、昭和48年に整備計画が決定された北海道新幹線(青森市~札幌市)、東北新幹線(盛岡市~青森市)、北陸新幹線(東京都~大阪市)、九州新幹線(福岡市~鹿児島市、福岡市~長崎市)を指します。昭和62年の国鉄分割民営化後、当社はこれら新幹線のうち九州新幹線(鹿児島ルート(福岡市~鹿児島市)、西九州ルート(福岡市~長崎市))について営業主体とされました。九州新幹線(鹿児島ルート)は、平成16年3月13日に新八代・鹿児島中央間、平成23年3月12日に博多・新八代間がそれぞれ開業しました。整備計画決定から約38年を経て全線がつながり、新大阪・鹿児島中央間において山陽新幹線と九州新幹線の相互直通運転が開始されました。また、九州新幹線(西九州ルート)につきましては、平成16年12月の「政府・与党申合せ」において、九州新幹線(西九州ルート)武雄温泉・諫早間の整備は、「並行在来線区間の運営のあり方については、長崎県の協力を得ながら佐賀県において検討を行うこととし、速やかに結論を出すこととする。調整が整った場合には、着工する。その際、軌間可変電車方式による整備を目指す。」ことが決定されました。その後、佐賀県、長崎県及び当社の三者で調整を行った結果、平成19年12月16日、当社が肥前山口・諫早間を経営分離せず、上下分離方式により運行すること等について、基本合意に達しました。これを受け、平成20年3月26日に武雄温泉・諫早間がスーパー特急方式により認可・着工されました。九州新幹線(西九州ルート)諫早・長崎間は、平成21年12月24日の整備新幹線問題検討会議において、基本的な5つの条件(①安定的な財源見通しの確保、②収支採算性、③投資効果、④営業主体としてのJRの同意、⑤並行在来線の経営分離についての沿線自治体の同意)を満たすことを確認した上で着工することとされました。平成23年12月26日「整備新幹線の取扱いについて」(政府・与党確認事項)において安定的な財源の見通しを付けたことを踏まえ、平成24年4月の整備新幹線問題検討会議で収支採算性や投資効果について確認されたことから、営業主体の同意手続きや沿線自治体の同意手続きを経て、平成24年6月29日に認可されました。この認可では、既着工区間であった武雄温泉・諫早間と新たな区間(諫早・長崎間)を一体的な事業(佐世保線肥前山口・武雄温泉間の複線化工事を含む)として扱い、軌間可変電車方式(標準軌)により整備し、開業時期については諫早・長崎間の着工から概ね10年後とされており、建設主体である鉄道・運輸機構により工事が進められております。さらに、軌間可変電車の開発の遅れに伴い、平成28年3月29日、当社、佐賀県、長崎県、与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム(西九州ルート)検討委員会、国土交通省及び鉄道・運輸機構は、武雄温泉・長崎間の施設が完成する平成34年度に、当該区間にフル規格車両を投入し、博多・武雄温泉間を走行する在来線特急と武雄温泉駅で乗り換えを行うこと(いわゆるリレー方式)により開業すること等について合意(以下「6者合意」といいます。)しました。 (2)整備新幹線建設の費用負担整備新幹線は、鉄道・運輸機構が建設を行っており、その費用は国、地方公共団体及びJRが負担することとされていますが、JRの負担については、次のイ及びロ(当社の負担はイのみ)を充てることとされています。イ 整備新幹線の営業主体となるJRが支払う貸付料等ロ 既設の新幹線鉄道施設の譲渡収入の一部平成9年10月の北陸新幹線高崎・長野間の開業に伴い、整備新幹線の営業主体であるJRが支払う貸付料の額の基準が設けられ、現在は独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法施行令(平成27年政令第392号)(以下「施行令」という。)第6条に規定されています。施行令において、貸付料の額は、当該新幹線開業後の営業主体の受益の程度を勘案し算定された額に、貸付けを受けた鉄道施設に関して鉄道・運輸機構が支払う租税及び鉄道・運輸機構の管理費の合計額を加えた額を基準として、鉄道・運輸機構において定めるものとされています。ここでいう受益は、新幹線が開業した場合の当該新幹線区間及び関連線区区間の収支と、開業しなかったと仮定した場合の並行在来線及び関連線区区間の収支を比較し、前者が後者より改善することにより営業主体が受けると見込まれる利益とされており、具体的には、開業後30年間の需要予測及び収支予測に基づいて算定されることとなります。なお、この受益の程度を勘案し算定された額については、開業後30年間は定額とされています。また、租税及び鉄道・運輸機構管理費相当額については、営業主体の当該新幹線開業後の経費として、受益算定の際に反映されています。整備新幹線の建設を行う鉄道・運輸機構は建設費の調達を行い、建設した施設を保有することとされています。当社は完成後にこの施設の貸付けを受け、開業後に上記イの貸付料等を支払うこととなっており、建設期間中における同機構への建設費の直接負担は原則としてないものとされています。なお、「7 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載のとおり、当社は、JR会社法改正法及び九州旅客鉄道株式会社の経営安定基金の取崩しに関する省令(平成27年国土交通省令第61号)(以下「省令」という。)に基づき、九州新幹線(新八代・鹿児島中央間及び博多・新八代間)の上記貸付料の定額部分につき、平成28年4月1日から各区間の開業後30年までに係る貸付料の全額(約2,205億円)を一括して平成27年度末に鉄道・運輸機構に支払っております。また、九州新幹線(西九州ルート)の開業後以降、当該路線の営業主体となる当社が、建設主体である鉄道・運輸機構に支払う新幹線鉄道施設の貸付料については、現段階で決定しておりません。 (3)並行在来線の扱い平成16年3月の九州新幹線(鹿児島ルート)新八代・鹿児島中央間の開業時に、並行在来線である鹿児島本線八代・川内間は経営分離され、「肥薩おれんじ鉄道株式会社」に引き継がれました。また、九州新幹線(西九州ルート)においては、長崎本線肥前山口・諫早間は経営分離せず、平成34年度に予定されている開業時点で上下分離し、当社は、当該開業時点から3年間は一定水準の列車運行のサービスレベルを維持するとともに、当該開業後、23年間運行を維持することを6者合意にて確認しております。 (4)整備新幹線建設に関する当社の考え方(2)記載の貸付料のうち、受益の程度を勘案して算定された額は、実際の収益に関わらず定額を支払うこととされているため、収支が予測を下回る場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、九州新幹線(西九州ルート)において運行することが予定されている軌間可変電車は鉄道・運輸機構により開発途上にあり、安全性、耐久性、保全性及び経済性が確保されることが十分確認される必要があり、開発状況等によっては、整備スキームへ影響を及ぼす可能性があります。さらに、建設の遅滞等により開業の遅れが発生した場合や、開業後の収益が予測を下回った場合、当社グループの他の事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。 13 訴訟に関する事項 当社グループは、事業の遂行に関して、訴訟、行政処分その他の法的手続きが提起又は開始されるリスクを有しております。当社グループに対する訴訟その他の法的手続きが開始された場合、その解決には相当の時間及び費用を要する可能性があるとともに、社会的関心・影響の大きな訴訟等が発生した場合や、当社グループに対する損害賠償の支払等当社グループにとって不利益な裁判所の判断や裁判外の和解等がなされた場合には、当社グループの社会的信用、事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 14 情報技術(IT)上の問題に関する事項 当社グループにおいては、鉄道事業をはじめとする様々な事業を安全かつ適切に運営するため、多くの部分でITシステムを利用しています。また、当社グループの鉄道事業と密接に関連する他の鉄道事業会社、電力会社、通信サービス提供会社及び金融機関等、当社グループと取引関係にある他の会社においても同様にITシステムが利用されております。当社グループ又は当社グループと取引関係にある他の会社のITシステムに関する事故、故障、ハッキング、コンピューターウィルスの感染及び人為的な過誤・不正操作等により、鉄道の遅延、不具合、発券及び予約機能の障害又は遅延、列車衝突又はその他の事故のリスクの増大等、様々な問題が起こる可能性があり、これらのシステムに重大な障害が発生した場合、事業運営上の支障、収益の減少、修繕・交換費用・設備投資の増加が生じ、また、当社グループの安全性又は信頼性に対する懸念を生じ、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 15 風評に関する事項 当社グループの営む事業に関し、事故、不正行為、違法行為、個人情報の漏えい、その他の不祥事等が発生し、又は発生したと報じられた場合には、当該事業のみならず、当社グループ全体の社会的信用が低下し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが事業を営む業界における他社の事故や不祥事等が、当該業界全般に対する評判、ひいては当該業界に属する当社グループの評判にも影響を及ぼす可能性があります。当社グループ又は当社グループが事業を営む業界全般に対する風評・風説が、報道機関・市場関係者への情報伝播、インターネット上の掲示板やSNSへの書込み、匿名の書簡・電子メール等により拡散した場合、当社グループ、商品、サービス、事業のイメージ・社会的信用が毀損し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 16 個人情報保護に関する事項 当社グループは、運輸サービス、建設、駅ビル・不動産、流通・外食及びその他事業等様々な事業を営んでおり、これらの性質上多数の個人・法人の顧客から様々な情報を取得し保有しております。当社グループは、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)に基づき、個人情報取扱事業者として、個人情報保護に係る義務等の遵守が求められております。当社グループが保有する顧客情報等の個人情報やその他重要な情報が外部に漏洩した場合には、損害賠償請求や行政処分を受ける可能性があり、またかかる事案に対応するための時間及び費用が生じ、当社グループの事業運営上の支障や社会的信用が毀損することにより顧客の喪失が生じる等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 17 金融資産に関する事項 当社は、省令に基づき経営安定基金を取り崩し、鉄道路線網の維持向上に資する鉄道事業の用に供する資産への設備投資を行うための原資として、国内債券等の金融資産を保有しております。平成29年3月末時点において、その過半(簿価ベース)は、市場流動性の高い金融資産でありますが、市場金利の変動や発行主体の業績又は資産状況の悪化等により、保有する金融資産の市場価値が下落した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。18 外部委託先や取引先に関する事項 当社グループは、事業上様々な局面において、第三者である外部事業者に対し、業務委託等を行っております。例えば、駅ビル・不動産グループでは、建設業務の一部及び居住用物件の賃貸と販売管理を第三者に委託しております。さらに、流通・外食事業では、第三者生産者及び卸売業者より原材料の仕入れを行い、コンビニエンス・ストアの運営についてはファミリーマート社とのフランチャイズ契約に基づいております。このため、これらの第三者又はその再委託先が、当社グループの定める基準を満たす商品やサービスの提供等を怠った場合やこれらの第三者に起因する問題や事故が発生した場合、当社グループの社会的信用や当社グループの事業等に重大な影響を及ぼし、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 19 退職給付制度に係る損失に関する事項 当社グループの退職給付費用及び債務は、将来の退職給付債務算出に用いる年金数理上の前提条件に基づいて算出しておりますが、割引率等の前提条件に変更があった場合、又は金利環境の急変その他の要因により、実際の結果が前提条件と異なる場合等には、退職給付費用及び債務が増加する可能性があります。また、当社グループの退職給付制度を改定した場合にも、追加的負担が発生する可能性があります。その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 20 環境規制に関する事項 当社グループは、主として運輸サービス、駅ビル・不動産及びその他事業において、不動産を所有しております。当社グループは、かかる不動産の取得に際し、土壌汚染、水質汚濁、建物へのアスベスト等の有害物質等の使用に関する環境調査を実施しておりますが、かかる調査によりすべての有害物質等の存在又は使用等が事前に判明する保証はありません。また、土地の所有者は、土壌汚染対策法(平成14年法律第53号)に基づき、さまざまな場面において、土壌汚染に関する調査を実施しなければならず、また、人体への健康被害を生じうる土壌汚染が判明した場合には、その所有者は、土壌汚染に関する帰責性の有無及び善意・悪意を問わず、当局より有害物質等の除去を命じられる可能性があります。また、建築基準法(昭和25年法律第201号)及び大気汚染防止法(昭和43年法律第97号)に基づき、既存建物の解体、修繕等に関し、アスベストの除去又はその他一定の措置を講じる必要があります。有害物質等の存在は、不動産の販売、賃貸借、開発又は担保としての利用の制約となる可能性があり、また、資産価値の低下、有害物質等の除去等に要する費用の増加等を生じる可能性があります。さらに、かかる有害物質に起因して、現実に人体への健康被害等が生じた場合には、当社グループは、損害賠償等の責任を負う可能性があります。その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。