経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1)経営方針当社グループは、「世界で最も信頼、尊敬されるインベストメント・カンパニー」になることで「世界を豊かに、健やかに、そして幸せにする」というミッションの実現を目指す、独立系の資産運用グループであります。また、資産運用サービスを中核事業とする企業グループとしては、日本で初の公開/上場会社であります。私どもの経営の基本方針の第一は、投資家の皆様に真に役立つ投資インテリジェンスを運用商品として提供し、ご満足いただける運用成果をお届けすることであります。そのために、創業以来の「マクロはミクロの集積である。」との投資哲学に基づく徹底したボトムアップ・アプローチを基軸として、常に革新的な投資手法の開発に努めております。さらに、日本株のスペシャリストとしての経験と知識を株式以外の不動産や発電事業等のインフラ資産への投資やプライベート・エクイティ投資にも展開すると共に、韓国・香港の子会社が培った力を統合することで、アジアに関心を寄せる世界中の投資家の期待に応え得る投資インテリジェンスと優れた運用成果の提供に努めてまいります。また、当社グループの伝統である責任投資に対する社会的な要請が高まる中、価値創出に資する責任投資の高度化・拡大・浸透は、健全な資本市場および持続可能な社会の実現に向けた、老舗投資会社としての当社グループの当然の責務であると考えております。方針の第二は、独立系の強みを生かした、効率的・効果的な、健全で透明性の高いガバナンス体制を構築してまいります。具体的には、高度のガバナンス態勢を構築・維持することで顧客からの支持を得るとともに、資本市場に対して範を示してまいります。特に、様々な投資戦略を展開する中でも、グループ会社間、投資戦略間、ファンド間の利益相反管理など、適切なリスク管理を行ってまいります。方針の第三は、顧客を初めとするステークホルダーから選ばれ、結果的に高い収益力を維持すること、またこれらを支える「人財」を育成・擁することは、独立系の存在基盤を確固たるものとした上でパーパスを実現するために必須と考えております。具体的には、バフェット・クラブ等の社内勉強会における投資哲学の共有等から醸成される投資力、ユニークな投資アイデア創出力の他、フロント・バック部門一体となった顧客本位の業務運営や、社内に望ましい行動様式を明確化・浸透させるとともに、各部署・各階層一丸となって投資アイデアを具体的にパッケージング化すること等によって、継続的に他社比で高く、持続可能な収益性を実現するための仕組みが、様々な施策に落しこまれている経営体制を目指してまいります。 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループの収益の大半を占める投信・投資顧問料収入は、運用資産の残高と報酬料率に応じて生じる残高報酬と、運用成績の良否等によって変動する成功報酬に大別されます。後者の成功報酬は、当社グループの全ての運用資産から発生するものではありません。従って、当社グループにとって最も重要な経営指標は、収益の源泉である運用資産の残高及び残高報酬料率であります。運用資産残高の推移は適時に把握するのみならず、その変動がお客様からの新規設定や解約によって生じたものか、市場の一般的動向によるものか、運用成績の良否によるものか等を分析し、当社グループの事業競争力の客観的な把握に努めております。また、より付加価値の高い投資戦略を開発・提供することによって、より高い残高報酬料率の実現に努めております。次に重要な経営指標は、残高報酬の金額から経常的経費を差引いた金額として認識される基礎収益力の水準であります。基礎収益力は持続的かつ安定的な事業運営の基盤でありますから、それが赤字となる状況が生じた場合には、運用報酬の増加を目指すのは当然でありますが、経費削減も含めたあらゆる施策により早期に黒字を回復させる必要があります。一方、基礎収益力が十分な黒字を維持している場合には、成長に向けた投資余力があるとの判断も可能です。さらに、成功報酬の金額及びROEも当然に重要な経営指標であります。当社の営業成績は、基礎収益力と成功報酬によって大半が決定し、その結果に基づき賞与等の支払も決定されますから、成功報酬の多寡が年度毎の営業利益の水準に大きく影響し、結果ROEにも大きく影響します。全運用資産の内で成功報酬が発生し得る資産の割合、成功報酬の発生状況等、業績への影響度合いを把握するだけでなく、より付加価値の高い投資戦略を開発・提供することによって、成功報酬が発生しうる運用資産残高の増加に努めることでROEの向上に努めております。 (3)経営戦略等当社グループは、着実に利益成長を実現する強い体質の構築を目指しております。その達成のため、以下4つの投資戦略が柱であると考えております。 1本目の柱は、日本株式投資戦略です。日本株式を投資対象とする運用戦略は、日経平均株価が史上最高値を更新するなど市場環境は総じて良好であったこと等から当連結会計年度末における運用資産残高が1兆5,190億円に増加いたしました。運用面では、評価機関からは大型株式、中小型株式、超小型株式といった異なる時価総額セグメントにおいて評価を受けることができました。これらの評価は、当社の一貫した投資哲学及び運用プロセスの有効性が、長期的な視点において検証・支持されたものと考えております。また、日本株式ロング・ショート投資戦略を中心として、好調なパフォーマンスを背景に成功報酬は前期に比べ2.8倍の23億61百万円を計上することができ、収益面でも着実な成果を上げることができました。マーケティング面では、グローバルに日本株式への注目度が高まる中、当社は欧州及びアジアを中心に海外投資家向けのマーケティング活動を積極的に展開してまいりました。その結果、当連結会計年度中には、欧州の機関投資家から約500億円規模の資金流入を実現いたしましたが、一方で、足元では投資家による利益確定の動きもあり、キャッシュ・フローの積み上がりは限定的にとどまっております。しかしながら、東京証券取引所の各種要請や政府の各種政策の推進による構造的な変化は引き続き進展しており、日本株式に対する中長期的な投資魅力は高位安定していくものと考えております。海外投資家の多様なニーズに応えながら資金を運用していくことは、当社の強みの一つであり、今後もさらなる飛躍を目指してまいります。2本目の柱は、OneAsia投資戦略(アジア株式を対象とする運用戦略)です。アジア株式を投資対象とするOneAsia運用戦略は、良好なファンド・パフォーマンスが継続した結果、当連結会計年度末における運用資産残高は2,395億円と前期から大きく増加いたしました。足元では、米国及びアジアの機関投資家を中心に、特に韓国株式への関心が高まっております。翌期早々には新たな韓国株式のファンドを立ち上げ、マーケティングを積極化し運用資産残高のさらなる拡大に取り組んでまいります。加えて、成長するインド株式市場を中心に株式会社みずほフィナンシャルグループ、アセットマネジメントOne株式会社との協業を進めることとなりました。互いの知見・両社グループの強みを共有し、当社は運用力の一層の強化を図るとともに、投資家ニーズや市場動向を踏まえた新たなファンドの組成にも取り組むことで、アジア株式分野における運用実績のさらなる積み上げと商品ラインアップの拡充を進めてまいります。日本株式の運用で培ってきた投資力及び調査力を活用し、本戦略を持続的かつ着実に成長させることで、「アジア株式といえばスパークス」との評価を得られるよう、引き続き、ブランド価値の向上と認知の拡大にも努めてまいります。3本目の柱は、実物資産投資戦略です。再生可能エネルギー発電事業のインフラ資産を主な投資対象とする実物資産の運用戦略は、蓄電所への投資を着実に進めており、当連結会計年度末における実物資産投資戦略の運用資産残高は3,261億円となっております。当社グループは、太陽光発電所への投資を中心に進めてまいりましたが、新たな投資分野として蓄電所事業への取り組みを進めており、2025年3月に札幌市において蓄電所事業へ参画したことに続き、当連結会計年度においては国内4地域において同事業への参画を開始いたしました。加えて、北海道札幌市と北海道地域特化型官民連携グリーントランスフォーメーションファンドを設立し運用を開始いたしました。このファンドの投資対象には、再生可能エネルギー関連インフラに加えて次世代半導体やデータセンターなどが含まれており、投資対象の多様化を図っております。その他、北海道苫小牧においては、グリーン水素の製造・貯蔵・輸送・利用までを視野に入れたサプライチェーン構築に関する、環境省からの委託による実証事業を当連結会計年度も進めてまいりました。当該実証事業は2026年3月末で終了いたしましたが、引き続き事業継続を検討しております。今後も、再生可能エネルギーファンドのパイオニアとしての知見を活かし、実物資産投資戦略の安定的な拡充に努めてまいります。4本目の柱は、プライベート・エクイティ投資戦略です。プライベート・エクイティ投資戦略は、次世代の企業の成長に資する投資を長期的な視点から実践し、投資会社として未来を創造する新たな領域を開拓するため設立した未来創生ファンドを中心に、当連結会計年度末における運用資産残高は1,580億円となっております。当連結会計年度は、未来創生3号ファンドの着実な投資の実行と未来創生1号ファンドの投資先のイグジットを着実に進めてまいりました。未来創生1号ファンドに関しては、この投資の成果が具体的に投資家の皆様へのリターンとして実現し、前期に続き成功報酬を計上しており、日本株式や実物資産の投資戦略に加え、成功報酬の発生源泉となる投資戦略が多層化しております。今後も、革新的な技術やビジネスモデルで世界をリードする企業を発掘・育成することで未来社会に貢献することを引き続き目指してまいります。加えて、日本モノづくり未来ファンドは、澤藤電機株式会社へのTOB(株式公開買付)を実行しており、2024年1月に実施したIJTT社、2025年4月に実施したシンニッタン社に続くものとなります。これで日本モノづくり未来ファンドはフルインベストメントとなり、2026年4月3日に2号ファンドを設立いたしました。引き続き、日本で優れた人財・技術・サービスを有する国内のモノづくり企業に投資し、幅広いネットワークを活用して各社を支援し、適切な経営戦略を展開することで、日本のモノづくりの持続的な発展に貢献することを目指してまいります。その他、当社グループは、実物資産投資戦略を推進してきた経験から、北海道が有する再生可能エネルギー、AI・データセンター、観光といった複数の領域における高い潜在力に着目しております。このような背景から、国内外の富裕層をターゲットとした高級ヴィラの開発に着手し、当連結会計年度は建設を順調に進めてまいりました。完成は当初予定通り翌期になりますが、これを足掛かりに、投資機会が存在していると考える北海道の潜在的な価値を最大限に引き出す様々な投資商品を開発し、世界中から多くの投資を呼び込むことで、運用資産残高の拡大と新たな投資領域の拡大を目指してまいります。 (4)経営環境直近の経営環境については、第一部 企業情報、第2 事業の状況、4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要に含めて記載しております。 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当社グループのパーパスである「(投資を通じて)世界を豊かに、健やかに、そして幸せにする」を実現するため、当社グループの厚い人財力、投資力によって運用パフォーマンスの質を維持・向上させ、持続可能な企業価値向上を実現すべく、主として以下の課題に取り組んでまいります。 課題の第一として、運用資産残高(AUM)3兆円の達成後を見据え、成長実現のための4本柱(「日本株式」「OneAsia」「実物資産」「プライベート・エクイティ」)をバランスよく強化・拡大していくことで高い収益性を維持し、短期的な市場変動の影響を受けにくい安定性、成長性に優れた事業ポートフォリオの構築を目指します。→当社グループマテリアリティ「広範な責任投資の実践」に関連(注3) 当連結会計年度末のグループAUMは、2兆2,428億円(注1)と、これまでの過去最高AUMであった2兆241億円(2006年8月末)を上回り、大幅な増加となりました。これは主として、良好な株式市場環境を背景に、日本株式戦略およびOneAsia戦略を中心としてAUMが増加したことによるものでありますが、こうした市場環境の影響により、当社グループのAUM構成において、日本株式戦略およびOneAsia戦略の比率が相対的に高まり、実物資産戦略およびプライベート・エクイティ戦略の比率は一時的に低下しております。今後も、当社独自の多様な戦略をそれぞれに拡大しつつAUM構成の分散化を進めることで、市場環境の変動に左右されにくい強固な事業ポートフォリオの構築を目指してまいります。また、更なる収益性の向上も重要な課題の一つであります。プライベート・エクイティ戦略においては、来期に設定予定の未来創生4号ファンドやモノづくり未来2号ファンドの残高報酬料率が相対的に高い水準にあることから、グループ全体の残高報酬料率の上昇が期待されます。これに加え、成功報酬については、既に日本株式戦略や実物資産戦略において計上し得る基盤を有しておりますが、プライベート・エクイティ戦略においても、一部ファンドで投資期間が終了し、今後成功報酬を計上できる状況になっております。今後も運用力を高めることで、中長期的、継続的な成功報酬の計上によっても、収益性の一層の向上を図ってまいります。更に、既存投資戦略以外の新たな投資戦略の創出、収益モデルの多様化、中長期的な人財育成等のため、新規事業投資を拡充することで、中長期的な競争力と企業価値の向上を図ってまいります。 課題の第二として、次世代を担う人材を育成、登用し、マネジメント層の世代交代を引き続き進めてまいります。→当社グループマテリアリティ「独立系の強みを生かしたガバナンス」に関連(注3) 持続可能な事業拡大と企業価値向上を実現するべく、効率的・効果的かつ健全で透明性の高いガバナンスの中核となる次世代を担う人材を選抜、育成し、より強固な経営体制を確立してまいります。第37回定時株主総会においても社内取締役を増員しておりますが、中でも次世代のCEO選任は、当社グループにとって引き続き非常に大きな経営課題であることから、取締役会は十分な時間と資源をかけて、この課題に引き続き取り組んでまいります。具体的には、次世代を担うマネジメントに必要な素養・資質としては、単に高い専門性や豊富な経験を備えるだけではなく、人格・人間力にも優れていること、当社グループの行動規範(バリュー)である「ARTSの精神(注4)」を体現できていることが極めて重要と考えております。これらの要件を充たした人材に対して、直接CEOから学ぶ機会を作り、衆目が認める結果を残した者の中から、また将来の当社グループの成長を牽引できる資質や能力を備えている者の中から、次世代のCEOを登用してまいります。同時に、創業時から創業者が大切にしている価値観である、当社グループのパーパス、ビジョン、ミッション、バリューといった企業理念(注5)を、次世代の組織にもしっかりと浸透、引き継いでいくための諸施策を、引き続き講じてまいります。 課題の第三として、当社の競争力の源泉を強化し、中長期的な企業価値向上に資する人的資本の活用を高度化するために必要な諸施策を実行してまいります。→当社グループマテリアリティ「持続可能で高い収益性とそれらを支える人財」に関連(注3) 日本企業の企業価値に占める無形資産の割合は、一般的に欧米企業に比べて格段に低いとされています。裏を返せば、無形資産の価値を高めることで、企業価値を飛躍的に高める余地が残っているともいえます。無形資産の中で、最も典型的な資産は人的資本であり、特に当社グループのように、有形資産をほとんど有しない企業にとっては、人的資本の重要性は非常に高いと考えます。よって、当社グループらしさをさらに追求しつつ、外部環境の変化にも適応することで、従来にも増して「人的資本」の活用を高度化させてまいります。具体的には、当社グループのパーパス、ビジョン(=思想)に共感して集う優秀な人財が、様々な多様性を互いに尊重し、最高のプロフェッショナルとなるべく能力・技術(=技)の向上に主体的に取り組むだけでなく、思想・技を実現するために必要と考える行動規範(=所作)を大切にすることで優れた人格形成にも取り組み、全員が一丸となって「もっと良い投資」を実現するための組織に必要な諸施策を実行してまいります。また、当社グループの競争力の源泉である「①イノベーション力」×「②コミュニケーション力」、すなわち「個々の高い専門性を掛け合わせて組織で戦う」チーム力・組織力を強化してまいります。具体的には、①アカウンタブルで再現性の高い投資力やユニークな投資アイデア創出力を強化し、②社内に望ましい行動様式を明確化・浸透させるとともに、全社一丸となって投資アイデアを具体的に商品化(パッケージング化)する力を強化し、③そのための基盤となる働きやすい環境を整えます。さらに、これら諸施策によって強化されたチーム力・組織力を「イノベーション」創出に活かし、魅力的な投資を社内外に積極的にコミュニケーションしていくことで当社グループの競争力を強化し、企業価値向上を図ってまいります。 (注1)当連結会計年度末(2026年3月末)運用資産残高は速報値です。(注2)「基礎収益」とは事業の持続的かつ安定的な基盤となる収益力を示す経営指標であり、その算定方法は以下のとおりです。 基礎収益=残高報酬(手数料控除後)-経常的経費(注3)当社グループのマテリアリティ(重要課題)については、下記ウェブサイトをご参照ください。 https://www.sparx.jp/sustainability/materiality.html(注4)ARTSの精神 当社グループの行動規範であり、Arigato、Responsiveness、Thoroughness、Sympathyのそれぞれ頭文字をとったものです。 A:共に働く仲間、関係するすべての人に敬愛と感謝の気持ちを持って行動します。 R:変化への最大の対応として俊敏さを大切にし、常にスピーディな対応を徹底します。 T:緻密で丁寧な活動が、革新的な知見を生み出すことを信じ、常に極め続けます。 S:調和と貢献の姿勢でお客様と仲間に接します。謙虚さ、誠実さが、お互いの成長につながると信じ、品格をもって行動します。また、柔軟に多様性を受け入れる広い心を持ち、自由な議論の場を創出します。(注5)当社グループの企業理念については、下記ウェブサイトをご参照ください。 https://www.sparx.jp/philosophy/
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1)経営方針当社グループは、「世界で最も信頼、尊敬されるインベストメント・カンパニー」になることで「世界を豊かに、健やかに、そして幸せにする」というミッションの実現を目指す、独立系の資産運用グループであります。また、資産運用サービスを中核事業とする企業グループとしては、日本で初の公開/上場会社であります。私どもの経営の基本方針の第一は、投資家の皆様に真に役立つ投資インテリジェンスを運用商品として提供し、ご満足いただける運用成果をお届けすることであります。そのために、創業以来の「マクロはミクロの集積である。」との投資哲学に基づく徹底したボトムアップ・アプローチを基軸として、常に革新的な投資手法の開発に努めております。さらに、日本株のスペシャリストとしての経験と知識を株式以外の不動産や発電事業等のインフラ資産への投資やプライベート・エクイティ投資にも展開すると共に、韓国・香港の子会社が培った力を統合することで、アジアに関心を寄せる世界中の投資家の期待に応え得る投資インテリジェンスと優れた運用成果の提供に努めてまいります。また、当社グループの伝統である責任投資に対する社会的な要請が高まる中、価値創出に資する責任投資の高度化・拡大・浸透は、健全な資本市場および持続可能な社会の実現に向けた、老舗投資会社としての当社グループの当然の責務であると考えております。方針の第二は、独立系の強みを生かした、効率的・効果的な、健全で透明性の高いガバナンス体制を構築してまいります。具体的には、高度のガバナンス態勢を構築・維持することで顧客からの支持を得るとともに、資本市場に対して範を示してまいります。特に、様々な投資戦略を展開する中でも、グループ会社間、投資戦略間、ファンド間の利益相反管理など、適切なリスク管理を行ってまいります。方針の第三は、顧客を初めとするステークホルダーから選ばれ、結果的に高い収益力を維持すること、またこれらを支える「人財」を育成・擁することは、独立系の存在基盤を確固たるものとした上でパーパスを実現するために必須と考えております。具体的には、バフェット・クラブ等の社内勉強会における投資哲学の共有等から醸成される投資力、ユニークな投資アイデア創出力の他、フロント・バック部門一体となった顧客本位の業務運営や、社内に望ましい行動様式を明確化・浸透させるとともに、各部署・各階層一丸となって投資アイデアを具体的にパッケージング化すること等によって、継続的に他社比で高く、持続可能な収益性を実現するための仕組みが、様々な施策に落しこまれている経営体制を目指してまいります。 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループの収益の大半を占める投信・投資顧問料収入は、運用資産の残高と報酬料率に応じて生じる残高報酬と、運用成績の良否等によって変動する成功報酬に大別されます。後者の成功報酬は、当社グループの全ての運用資産から発生するものではありません。従って、当社グループにとって最も重要な経営指標は、収益の源泉である運用資産の残高及び残高報酬料率であります。運用資産残高の推移は適時に把握するのみならず、その変動がお客様からの新規設定や解約によって生じたものか、市場の一般的動向によるものか、運用成績の良否によるものか等を分析し、当社グループの事業競争力の客観的な把握に努めております。また、より付加価値の高い投資戦略を開発・提供することによって、より高い残高報酬料率の実現に努めております。次に重要な経営指標は、残高報酬の金額から経常的経費を差引いた金額として認識される基礎収益力の水準であります。基礎収益力は持続的かつ安定的な事業運営の基盤でありますから、それが赤字となる状況が生じた場合には、運用報酬の増加を目指すのは当然でありますが、経費削減も含めたあらゆる施策により早期に黒字を回復させる必要があります。一方、基礎収益力が十分な黒字を維持している場合には、成長に向けた投資余力があるとの判断も可能です。さらに、成功報酬の金額及びROEも当然に重要な経営指標であります。当社の営業成績は、基礎収益力と成功報酬によって大半が決定し、その結果に基づき賞与等の支払も決定されますから、成功報酬の多寡が年度毎の営業利益の水準に大きく影響し、結果ROEにも大きく影響します。全運用資産の内で成功報酬が発生し得る資産の割合、成功報酬の発生状況等、業績への影響度合いを把握するだけでなく、より付加価値の高い投資戦略を開発・提供することによって、成功報酬が発生しうる運用資産残高の増加に努めることでROEの向上に努めております。 (3)経営戦略等当社グループは、着実に利益成長を実現する強い体質の構築を目指しております。その達成のため、以下4つの投資戦略が柱であると考えております。 1本目の柱は、日本株式投資戦略です。日本株式を投資対象とする運用戦略は、日経平均株価が史上最高値を更新するなど市場環境は総じて良好であったこと等から当連結会計年度末における運用資産残高が1兆5,190億円に増加いたしました。運用面では、評価機関からは大型株式、中小型株式、超小型株式といった異なる時価総額セグメントにおいて評価を受けることができました。これらの評価は、当社の一貫した投資哲学及び運用プロセスの有効性が、長期的な視点において検証・支持されたものと考えております。また、日本株式ロング・ショート投資戦略を中心として、好調なパフォーマンスを背景に成功報酬は前期に比べ2.8倍の23億61百万円を計上することができ、収益面でも着実な成果を上げることができました。マーケティング面では、グローバルに日本株式への注目度が高まる中、当社は欧州及びアジアを中心に海外投資家向けのマーケティング活動を積極的に展開してまいりました。その結果、当連結会計年度中には、欧州の機関投資家から約500億円規模の資金流入を実現いたしましたが、一方で、足元では投資家による利益確定の動きもあり、キャッシュ・フローの積み上がりは限定的にとどまっております。しかしながら、東京証券取引所の各種要請や政府の各種政策の推進による構造的な変化は引き続き進展しており、日本株式に対する中長期的な投資魅力は高位安定していくものと考えております。海外投資家の多様なニーズに応えながら資金を運用していくことは、当社の強みの一つであり、今後もさらなる飛躍を目指してまいります。2本目の柱は、OneAsia投資戦略(アジア株式を対象とする運用戦略)です。アジア株式を投資対象とするOneAsia運用戦略は、良好なファンド・パフォーマンスが継続した結果、当連結会計年度末における運用資産残高は2,395億円と前期から大きく増加いたしました。足元では、米国及びアジアの機関投資家を中心に、特に韓国株式への関心が高まっております。翌期早々には新たな韓国株式のファンドを立ち上げ、マーケティングを積極化し運用資産残高のさらなる拡大に取り組んでまいります。加えて、成長するインド株式市場を中心に株式会社みずほフィナンシャルグループ、アセットマネジメントOne株式会社との協業を進めることとなりました。互いの知見・両社グループの強みを共有し、当社は運用力の一層の強化を図るとともに、投資家ニーズや市場動向を踏まえた新たなファンドの組成にも取り組むことで、アジア株式分野における運用実績のさらなる積み上げと商品ラインアップの拡充を進めてまいります。日本株式の運用で培ってきた投資力及び調査力を活用し、本戦略を持続的かつ着実に成長させることで、「アジア株式といえばスパークス」との評価を得られるよう、引き続き、ブランド価値の向上と認知の拡大にも努めてまいります。3本目の柱は、実物資産投資戦略です。再生可能エネルギー発電事業のインフラ資産を主な投資対象とする実物資産の運用戦略は、蓄電所への投資を着実に進めており、当連結会計年度末における実物資産投資戦略の運用資産残高は3,261億円となっております。当社グループは、太陽光発電所への投資を中心に進めてまいりましたが、新たな投資分野として蓄電所事業への取り組みを進めており、2025年3月に札幌市において蓄電所事業へ参画したことに続き、当連結会計年度においては国内4地域において同事業への参画を開始いたしました。加えて、北海道札幌市と北海道地域特化型官民連携グリーントランスフォーメーションファンドを設立し運用を開始いたしました。このファンドの投資対象には、再生可能エネルギー関連インフラに加えて次世代半導体やデータセンターなどが含まれており、投資対象の多様化を図っております。その他、北海道苫小牧においては、グリーン水素の製造・貯蔵・輸送・利用までを視野に入れたサプライチェーン構築に関する、環境省からの委託による実証事業を当連結会計年度も進めてまいりました。当該実証事業は2026年3月末で終了いたしましたが、引き続き事業継続を検討しております。今後も、再生可能エネルギーファンドのパイオニアとしての知見を活かし、実物資産投資戦略の安定的な拡充に努めてまいります。4本目の柱は、プライベート・エクイティ投資戦略です。プライベート・エクイティ投資戦略は、次世代の企業の成長に資する投資を長期的な視点から実践し、投資会社として未来を創造する新たな領域を開拓するため設立した未来創生ファンドを中心に、当連結会計年度末における運用資産残高は1,580億円となっております。当連結会計年度は、未来創生3号ファンドの着実な投資の実行と未来創生1号ファンドの投資先のイグジットを着実に進めてまいりました。未来創生1号ファンドに関しては、この投資の成果が具体的に投資家の皆様へのリターンとして実現し、前期に続き成功報酬を計上しており、日本株式や実物資産の投資戦略に加え、成功報酬の発生源泉となる投資戦略が多層化しております。今後も、革新的な技術やビジネスモデルで世界をリードする企業を発掘・育成することで未来社会に貢献することを引き続き目指してまいります。加えて、日本モノづくり未来ファンドは、澤藤電機株式会社へのTOB(株式公開買付)を実行しており、2024年1月に実施したIJTT社、2025年4月に実施したシンニッタン社に続くものとなります。これで日本モノづくり未来ファンドはフルインベストメントとなり、2026年4月3日に2号ファンドを設立いたしました。引き続き、日本で優れた人財・技術・サービスを有する国内のモノづくり企業に投資し、幅広いネットワークを活用して各社を支援し、適切な経営戦略を展開することで、日本のモノづくりの持続的な発展に貢献することを目指してまいります。その他、当社グループは、実物資産投資戦略を推進してきた経験から、北海道が有する再生可能エネルギー、AI・データセンター、観光といった複数の領域における高い潜在力に着目しております。このような背景から、国内外の富裕層をターゲットとした高級ヴィラの開発に着手し、当連結会計年度は建設を順調に進めてまいりました。完成は当初予定通り翌期になりますが、これを足掛かりに、投資機会が存在していると考える北海道の潜在的な価値を最大限に引き出す様々な投資商品を開発し、世界中から多くの投資を呼び込むことで、運用資産残高の拡大と新たな投資領域の拡大を目指してまいります。 (4)経営環境直近の経営環境については、第一部 企業情報、第2 事業の状況、4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要に含めて記載しております。 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当社グループのパーパスである「(投資を通じて)世界を豊かに、健やかに、そして幸せにする」を実現するため、当社グループの厚い人財力、投資力によって運用パフォーマンスの質を維持・向上させ、持続可能な企業価値向上を実現すべく、主として以下の課題に取り組んでまいります。 課題の第一として、運用資産残高(AUM)3兆円の達成後を見据え、成長実現のための4本柱(「日本株式」「OneAsia」「実物資産」「プライベート・エクイティ」)をバランスよく強化・拡大していくことで高い収益性を維持し、短期的な市場変動の影響を受けにくい安定性、成長性に優れた事業ポートフォリオの構築を目指します。→当社グループマテリアリティ「広範な責任投資の実践」に関連(注3) 当連結会計年度末のグループAUMは、2兆2,428億円(注1)と、これまでの過去最高AUMであった2兆241億円(2006年8月末)を上回り、大幅な増加となりました。これは主として、良好な株式市場環境を背景に、日本株式戦略およびOneAsia戦略を中心としてAUMが増加したことによるものでありますが、こうした市場環境の影響により、当社グループのAUM構成において、日本株式戦略およびOneAsia戦略の比率が相対的に高まり、実物資産戦略およびプライベート・エクイティ戦略の比率は一時的に低下しております。今後も、当社独自の多様な戦略をそれぞれに拡大しつつAUM構成の分散化を進めることで、市場環境の変動に左右されにくい強固な事業ポートフォリオの構築を目指してまいります。また、更なる収益性の向上も重要な課題の一つであります。プライベート・エクイティ戦略においては、来期に設定予定の未来創生4号ファンドやモノづくり未来2号ファンドの残高報酬料率が相対的に高い水準にあることから、グループ全体の残高報酬料率の上昇が期待されます。これに加え、成功報酬については、既に日本株式戦略や実物資産戦略において計上し得る基盤を有しておりますが、プライベート・エクイティ戦略においても、一部ファンドで投資期間が終了し、今後成功報酬を計上できる状況になっております。今後も運用力を高めることで、中長期的、継続的な成功報酬の計上によっても、収益性の一層の向上を図ってまいります。更に、既存投資戦略以外の新たな投資戦略の創出、収益モデルの多様化、中長期的な人財育成等のため、新規事業投資を拡充することで、中長期的な競争力と企業価値の向上を図ってまいります。 課題の第二として、次世代を担う人材を育成、登用し、マネジメント層の世代交代を引き続き進めてまいります。→当社グループマテリアリティ「独立系の強みを生かしたガバナンス」に関連(注3) 持続可能な事業拡大と企業価値向上を実現するべく、効率的・効果的かつ健全で透明性の高いガバナンスの中核となる次世代を担う人材を選抜、育成し、より強固な経営体制を確立してまいります。第37回定時株主総会においても社内取締役を増員しておりますが、中でも次世代のCEO選任は、当社グループにとって引き続き非常に大きな経営課題であることから、取締役会は十分な時間と資源をかけて、この課題に引き続き取り組んでまいります。具体的には、次世代を担うマネジメントに必要な素養・資質としては、単に高い専門性や豊富な経験を備えるだけではなく、人格・人間力にも優れていること、当社グループの行動規範(バリュー)である「ARTSの精神(注4)」を体現できていることが極めて重要と考えております。これらの要件を充たした人材に対して、直接CEOから学ぶ機会を作り、衆目が認める結果を残した者の中から、また将来の当社グループの成長を牽引できる資質や能力を備えている者の中から、次世代のCEOを登用してまいります。同時に、創業時から創業者が大切にしている価値観である、当社グループのパーパス、ビジョン、ミッション、バリューといった企業理念(注5)を、次世代の組織にもしっかりと浸透、引き継いでいくための諸施策を、引き続き講じてまいります。 課題の第三として、当社の競争力の源泉を強化し、中長期的な企業価値向上に資する人的資本の活用を高度化するために必要な諸施策を実行してまいります。→当社グループマテリアリティ「持続可能で高い収益性とそれらを支える人財」に関連(注3) 日本企業の企業価値に占める無形資産の割合は、一般的に欧米企業に比べて格段に低いとされています。裏を返せば、無形資産の価値を高めることで、企業価値を飛躍的に高める余地が残っているともいえます。無形資産の中で、最も典型的な資産は人的資本であり、特に当社グループのように、有形資産をほとんど有しない企業にとっては、人的資本の重要性は非常に高いと考えます。よって、当社グループらしさをさらに追求しつつ、外部環境の変化にも適応することで、従来にも増して「人的資本」の活用を高度化させてまいります。具体的には、当社グループのパーパス、ビジョン(=思想)に共感して集う優秀な人財が、様々な多様性を互いに尊重し、最高のプロフェッショナルとなるべく能力・技術(=技)の向上に主体的に取り組むだけでなく、思想・技を実現するために必要と考える行動規範(=所作)を大切にすることで優れた人格形成にも取り組み、全員が一丸となって「もっと良い投資」を実現するための組織に必要な諸施策を実行してまいります。また、当社グループの競争力の源泉である「①イノベーション力」×「②コミュニケーション力」、すなわち「個々の高い専門性を掛け合わせて組織で戦う」チーム力・組織力を強化してまいります。具体的には、①アカウンタブルで再現性の高い投資力やユニークな投資アイデア創出力を強化し、②社内に望ましい行動様式を明確化・浸透させるとともに、全社一丸となって投資アイデアを具体的に商品化(パッケージング化)する力を強化し、③そのための基盤となる働きやすい環境を整えます。さらに、これら諸施策によって強化されたチーム力・組織力を「イノベーション」創出に活かし、魅力的な投資を社内外に積極的にコミュニケーションしていくことで当社グループの競争力を強化し、企業価値向上を図ってまいります。 (注1)当連結会計年度末(2026年3月末)運用資産残高は速報値です。(注2)「基礎収益」とは事業の持続的かつ安定的な基盤となる収益力を示す経営指標であり、その算定方法は以下のとおりです。 基礎収益=残高報酬(手数料控除後)-経常的経費(注3)当社グループのマテリアリティ(重要課題)については、下記ウェブサイトをご参照ください。 https://www.sparx.jp/sustainability/materiality.html(注4)ARTSの精神 当社グループの行動規範であり、Arigato、Responsiveness、Thoroughness、Sympathyのそれぞれ頭文字をとったものです。 A:共に働く仲間、関係するすべての人に敬愛と感謝の気持ちを持って行動します。 R:変化への最大の対応として俊敏さを大切にし、常にスピーディな対応を徹底します。 T:緻密で丁寧な活動が、革新的な知見を生み出すことを信じ、常に極め続けます。 S:調和と貢献の姿勢でお客様と仲間に接します。謙虚さ、誠実さが、お互いの成長につながると信じ、品格をもって行動します。また、柔軟に多様性を受け入れる広い心を持ち、自由な議論の場を創出します。(注5)当社グループの企業理念については、下記ウェブサイトをご参照ください。 https://www.sparx.jp/philosophy/
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】業績等の概要(1)業績 当連結会計年度の日本株式市場は、米国の通商・金融政策や中東情勢など外部要因の影響を受けつつも、米国の利下げ観測、円安基調、国内企業の好業績、関税緩和への期待、日銀及び米国連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策の安定などを背景にリスク選好が強まり、全体として上昇基調を維持しました。夏場以降は、米中・日米間の通商交渉の進展や、生成AI分野を中心としたハイテク株の上昇が相場を押し上げ、日経平均株価は秋口にかけて史上最高値を更新するなど堅調な推移となりました。さらに、自民党総裁選で高市氏が選出され、積極財政や成長投資を掲げた政策方針が市場に好感されると、日経平均株価は史上初の5万円台を突破する強い上昇となりました。一方、AI関連銘柄を中心に過熱感が意識され利益確定売りが優勢となったほか、米国連邦公開市場委員会(FOMC)や日銀会合の前には、金融政策を巡る不透明感から調整局面となる場面もありました。年明けの日本株式市場は日経平均株価が大幅高でスタートしました。2月の衆議院選挙では自民党が戦後最多となる316議席を獲得し、高市政権の政治基盤強化と財政拡張策への期待から日本株式市場はさらに上昇しました。その後、日銀の早期利上げ観測が後退したことも追い風となり、日経平均株価は連日で過去最高値を更新し、2月末まで強い上昇基調が続きました。3月に入ると、イスラエル・米国によるイランへの攻撃開始を受け、中東情勢の混迷や原油価格の急騰が懸念され、日本株式市場は大幅な調整局面となりました。しかし日経平均株価は51,000円台を維持し、前期末比43.4%高の51,063.72円で当年度の取引を終えました。 このような市場環境のもと、当社グループの当連結会計年度末運用資産残高は、2兆2,428億円(注1)と前期末に比して19.8%増加いたしました。その結果、当連結会計年度における残高報酬(注2)は前期比3.8%増の164億67百万円となりました。成功報酬(注3)は、前期比57.4%増の29億86百万円となり、営業収益は前期比9.0%増の195億78百万円となりました。 営業費用及び一般管理費は、前期比3.0%増の105億52百万円となりました。これは、主に人件費の増加及び本社オフィスの増床等に伴う減価償却費の増加によるものです。これらの結果、営業利益は前期比17.0%増の90億25百万円、経常利益は前期比14.5%増の89億9百万円となりました。また、投資有価証券売却益を計上したこと等により、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比21.6%増の63億84百万円となりました。 なお、事業の持続的かつ安定的な基盤となる収益力を示す指標である基礎収益(注4)は、経常的経費の増加はあるものの、それを上回る残高報酬の増加により、前期比7.1%増の71億99百万円(前期は67億22百万円)となり、過去最高値を更新いたしました。 (注1)当連結会計年度末(2026年3月末)運用資産残高は速報値であります。(注2)残高報酬には、日本再生可能エネルギー投資戦略に関連する発電所等の管理報酬を含んでおります。(注3)成功報酬には、株式運用実績から発生する報酬の他に、日本再生可能エネルギー投資戦略に関連する発電所スキームの組成の対価等として受ける一時的な報酬(アクイジションフィー)及びプライベート・エクイティ投資戦略に関連する出資履行金額を分配累計額が超過する場合に受ける報酬等を含んでおります。(注4)基礎収益とは、経常的に発生する残高報酬(手数料控除後)の金額から経常的経費を差し引いた金額であり、当社グループの最も重要な経営指標のひとつであります。 (2)キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ18億57百万円減少し、当連結会計年度末は195億27百万円(前期比8.7%減)となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主たる要因は次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは59億1百万円の収入(前期は50億63百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益95億81百万円、法人税等の支払額27億44百万円の計上等があったことによるものです。(投資活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは38億80百万円の支出(前期は21億24百万円の支出)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出42億37百万円、投資有価証券の売却及び償還による収入31億38百万円、預け金の預入による支出27億12百万円の計上等があったことによるものです。(財務活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは40億18百万円の支出(前期は33億91百万円の支出)となりました。これは主に配当金の支払い27億86百万円、リース債務の返済による支出9億15百万円の計上等があったことによるものです。営業の実績 (1)営業収益の実績当社グループの連結営業収益の項目別内訳は以下のとおりです。項目前連結会計年度(2025年3月期)当連結会計年度(2026年3月期)金額(百万円)構成比(%)金額(百万円)構成比(%)残高報酬15,85788.3%16,46784.1%成功報酬(注)1,89710.6%2,98615.3%その他2051.1%1240.6%営業収益合計17,961100.0%19,578100.0%(注)成功報酬には、上場株式投資戦略2,361百万円(前期は783百万円)、再生可能エネルギー投資戦略からのアクイジションフィー212百万円(前期は229百万円)、プライベート・エクイティファンドについて出資履行金額を分配累計額が超過する各段階ごとに、一定割合を受領する報酬412百万円(前期は879百万円)が含まれております。・残高報酬 残高報酬料率(ネット・ベース)の推移は以下のとおりです。区分前連結会計年度(2025年3月期)当連結会計年度(2026年3月期)当社グループ残高報酬料率(ネット・ベース)0.67%0.64%(注) 残高報酬料率(ネット・ベース)=(残高報酬-残高報酬に係る支払手数料)÷ 期中平均運用資産残高 ・成功報酬(株式運用ファンド関連) 成功報酬は、単純なケースでは過去のファンド計算期間末日の「一口当たり純資産価額」=「Net Asset Value Per Share」(以下、「NAVPS」と言います。)の最高値を、今ファンド計算期間末日のNAVPSと比較して、今ファンド計算期間末日のNAVPSの方が高かった場合に、値上がり部分に一定料率をかけて計算します(これを「ハイ・ウォーター・マーク方式」といいます)。 また、契約によっては、ベンチマークを一定以上上回った部分に一定料率をかけて計算するものもあります。(再生可能エネルギーファンド関連) 事業計画を策定、工事業者の選定・管理、固定価格買取制度の認定手続き、資金調達など、一連の発電所開発プロセスが成就した場合に、プロジェクトコストに一定料率を乗じた成功報酬(アクイジションフィー)を受領する場合があります。 また、当社子会社が運用する再生可能エネルギーファンド(グリーン・フィールド投資ファンド(*))が投資対象である発電所を売却して譲渡益が発生する場合には、その売却益に一定料率を乗じた成功報酬を受領する場合があります。 なお、この売却に際しては、上記とは別の当社子会社が運営する再生可能エネルギーファンド(ブラウン・フィールド投資ファンド(*))も売却先候補となりますが、その場合であっても、双方のファンドを運用する両子会社は、それぞれ適切な利益相反管理のもとで独立した意思決定を行っており、双方のファンドの投資家にとって、それぞれが最良の条件で譲渡取引を執行しております。譲渡価格の決定に際して外部評価機関の評価を利用しております。(*)グリーン・フィールド投資ファンドとは、発電所の開発段階から運転開始までのフェーズに投資するファンドであります。また、ブラウン・フィールド投資ファンドとは、発電所の運転開始後のフェーズに投資するファンドであります。絶対リターン追求型の運用に多いハイ・ウォーター・マーク(HWM)方式の成功報酬の仕組み(注)1.上記の図は成功報酬の仕組みを簡便に説明したもので、実際の成功報酬の体系及びファンドの基準価格の 計算方法を厳密に説明しているものではありません。(注)2.上記では、説明の都合上、成功報酬の料率を便宜的に20%として計算しております。 (2)運用資産残高の実績 以下の表は、当社グループの当期の運用資産残高の実績を示したものです。なお、日本円建て以外の運用資産残高を日本円に換算する際には、それぞれの時点における月末為替レートを用いております。 当社グループは、市場に影響されない安定的な投資戦略と収益性の高い投資戦略によるハイブリッドのビジネスモデルを強化・拡大して成長することを目指しており、現在「日本株式」、「OneAsia」、「実物資産」及び「プライベート・エクイティ」の投資戦略を4本の柱としております。 ① 投資戦略別の四半期運用資産残高の推移 (単位:億円)投資戦略2025年6月2025年9月2025年12月2026年3月日本株式13,57214,62515,59215,190OneAsia1,5681,6742,0712,395実物資産3,0213,1463,1463,261プライベート・エクイティ1,6931,6771,5251,580合計19,85521,12422,33622,428(注) 1.金額は、時価純資産額であり、表示単位未満を切り捨てて表示しております。 2.2026年3月末運用資産残高は速報値となっております。 ② 平均運用資産残高 (単位:億円) 2025年3月期連結会計年度2026年3月期連結会計年度当社グループ合計19,12221,364(注) 1.各期の月末運用資産残高の単純平均であります。2.金額は、時価純資産額であり、表示単位未満を切り捨てて表示しております。3.2026年3月末運用資産残高は速報値となっております。 ③ 成功報酬付運用資産残高及び比率会社名 2025年3月2026年3月当社グループ合計残高(億円)6,5717,012比率(%)35.131.3(注) 1.金額は、時価純資産額であり、表示単位未満を切り捨てて表示しております。 2. 2026年3月末運用資産残高は速報値となっております。 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。(1) 重要な会計方針及び見積り 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、後述の「第5経理の状況」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」をご参照ください。 (2)当連結会計年度の経営成績の分析当年度のグループ運用資産残高(AUM)は2兆2,428億円と前年度末に比して19.8%増加いたしました。また、事業の持続的かつ安定的な基盤となる収益力を示す指標である基礎収益は、経常的経費の増加はあるものの、それを上回る残高報酬の増加により、前期比7.1%増の71億99百万円(前期は67億22百万円)となり、前期に引き続き過去最高値を更新いたしました。スパークスを支える土台は着実に強くなっていると考えております。 日本株式を投資対象とする運用戦略は、日経平均株価が史上最高値を更新するなど市場環境は総じて良好であったこと等から当連結会計年度末における運用資産残高が1兆5,190億円に増加いたしました。運用面では、評価機関からは大型株式、中小型株式、超小型株式といった異なる時価総額セグメントにおいて評価を受けることができました。これらの評価は、当社の一貫した投資哲学及び運用プロセスの有効性が、長期的な視点において検証・支持されたものと考えております。また、日本株式ロング・ショート投資戦略を中心として、好調なパフォーマンスを背景に成功報酬は前期に比べ2.8倍の23億61百万円を計上することができ、収益面でも着実な成果を上げることができました。マーケティング面では、グローバルに日本株式への注目度が高まる中、当社は欧州及びアジアを中心に海外投資家向けのマーケティング活動を積極的に展開してまいりました。その結果、当連結会計年度中には、欧州の機関投資家から約500億円規模の資金流入を実現いたしましたが、一方で、足元では投資家による利益確定の動きもあり、キャッシュ・フローの積み上がりは限定的にとどまっております。しかしながら、東京証券取引所の各種要請や政府の各種政策の推進による構造的な変化は引き続き進展しており、日本株式に対する中長期的な投資魅力は高位安定していくものと考えております。海外投資家の多様なニーズに応えながら資金を運用していくことは、当社の強みの一つであり、今後もさらなる飛躍を目指してまいります。 アジア株式を投資対象とするOneAsia運用戦略は、良好なファンド・パフォーマンスが継続した結果、当連結会計年度末における運用資産残高は2,395億円と前期から大きく増加いたしました。足元では、米国及びアジアの機関投資家を中心に、特に韓国株式への関心が高まっております。翌期早々には新たな韓国株式のファンドを立ち上げ、マーケティングを積極化し運用資産残高のさらなる拡大に取り組んでまいります。加えて、成長するインド株式市場を中心に株式会社みずほフィナンシャルグループ、アセットマネジメントOne株式会社との協業を進めることとなりました。互いの知見・両社グループの強みを共有し、当社は運用力の一層の強化を図るとともに、投資家ニーズや市場動向を踏まえた新たなファンドの組成にも取り組むことで、アジア株式分野における運用実績のさらなる積み上げと商品ラインアップの拡充を進めてまいります。日本株式の運用で培ってきた投資力及び調査力を活用し、本戦略を持続的かつ着実に成長させることで、「アジア株式といえばスパークス」との評価を得られるよう、引き続き、ブランド価値の向上と認知の拡大にも努めてまいります。 再生可能エネルギー発電事業のインフラ資産を主な投資対象とする実物資産の運用戦略は、蓄電所への投資を着実に進めており、当連結会計年度末における実物資産投資戦略の運用資産残高は3,261億円となっております。当社グループは、太陽光発電所への投資を中心に進めてまいりましたが、新たな投資分野として蓄電所事業への取り組みを進めており、2025年3月に札幌市において蓄電所事業へ参画したことに続き、当連結会計年度においては国内4地域において同事業への参画を開始いたしました。加えて、北海道札幌市と北海道地域特化型官民連携グリーントランスフォーメーションファンドを設立し運用を開始いたしました。このファンドの投資対象には、再生可能エネルギー関連インフラに加えて次世代半導体やデータセンターなどが含まれており、投資対象の多様化を図っております。その他、北海道苫小牧においては、グリーン水素の製造・貯蔵・輸送・利用までを視野に入れたサプライチェーン構築に関する、環境省からの委託による実証事業を当連結会計年度も進めてまいりました。当該実証事業は2026年3月末で終了いたしましたが、引き続き事業継続を検討しております。今後も、再生可能エネルギーファンドのパイオニアとしての知見を活かし、実物資産投資戦略の安定的な拡充に努めてまいります。 プライベート・エクイティ投資戦略は、次世代の企業の成長に資する投資を長期的な視点から実践し、投資会社として未来を創造する新たな領域を開拓するため設立した未来創生ファンドを中心に、当連結会計年度末における運用資産残高は1,580億円となっております。当連結会計年度は、未来創生3号ファンドの着実な投資の実行と未来創生1号ファンドの投資先のイグジットを着実に進めてまいりました。未来創生1号ファンドに関しては、この投資の成果が具体的に投資家の皆様へのリターンとして実現し、前期に続き成功報酬を計上しており、日本株式や実物資産の投資戦略に加え、成功報酬の発生源泉となる投資戦略が多層化しております。今後も、革新的な技術やビジネスモデルで世界をリードする企業を発掘・育成することで未来社会に貢献することを引き続き目指してまいります。加えて、日本モノづくり未来ファンドは、澤藤電機株式会社へのTOB(株式公開買付)を実行しており、2024年1月に実施したIJTT社、2025年4月に実施したシンニッタン社に続くものとなります。これで日本モノづくり未来ファンドはフルインベストメントとなり、2026年4月3日に2号ファンドを設立いたしました。引き続き、日本で優れた人財・技術・サービスを有する国内のモノづくり企業に投資し、幅広いネットワークを活用して各社を支援し、適切な経営戦略を展開することで、日本のモノづくりの持続的な発展に貢献することを目指してまいります。 なお、経営成績の分析については、「第2事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)業績」に含めて記載しております。 (次期の見通し) 当社グループの主たる事業である投信投資顧問業は、経済情勢や相場環境、また投資実行や売却の機会等による影響を大きく受けることから、将来の業績予想は難しいと認識しており、次期の見通しについての具体的な公表は差し控えさせていただきます。 (3)当連結会計年度の財政状態の分析<資産の部> 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ76億61百万円増加し、576億円となりました。主な増減内訳は、現金及び預金が18億57百万円の減少、預け金が27億23百万円の増加、仕掛販売用不動産が18億96百万円の増加、投資有価証券が47億22百万円の増加となっております。 <負債の部・純資産の部> 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ19億64百万円増加し、183億96百万円となりました。主な増減内訳は、預り金が10億61百万円の増加、繰延税金負債が10億37百万円の増加となっております。 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ56億96百万円増加し、392億4百万円となりました。主な増減内訳は、利益剰余金が35億93百万円の増加、資本剰余金が3億35百万円の減少、自己株式が1億34百万円の減少、その他有価証券評価差額金が22億31百万円の増加となっております。 (4)資本の財源及び資金の流動性① キャッシュ・フロー キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(2)キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しております。 ② 資本の財源及び資金の流動性当社グループの投資を目的とした主な資金需要につきましては、シードマネー投資等によるものであります。短期運転資金は自己資金を基本としており、シードマネー投資等につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。なお、当連結会計年度末における借入金等の有利子負債の残高は100億92百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は195億27百万円となっております。