有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|17,522 文字
3 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況(以下「経営成績等」といいます。)に重大な影響を及ぼす可能性があると認識している「主要なリスク」および「当該リスクの管理体制・枠組み」は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 当社および当社の連結子会社である損害保険ジャパン株式会社(以下「損保ジャパン」といいます。)は、損保ジャパンが2023年12月に不適切な保険料調整行為等の問題により金融庁から受けた業務改善命令、ならびに当社および損保ジャパンが2024年1月に自動車保険金不正請求等への対応に関する問題により金融庁から受けた業務改善命令を踏まえ、問題の真因を分析の上、再発防止に向けた取組みを進めております。そのような中、損保ジャパンが保険契約情報等の不適切な管理に関する問題により2025年3月24日付けで金融庁から業務改善命令を受けたことを厳粛に受け止めるとともに、今後、このような問題を二度と起こさないために、業務改善計画を着実かつスピード感をもって実行し、全てのステークホルダーの皆さまからの信頼を1日も早く取り戻せるよう、取り組んでまいります。パーパスの実現やその礎となる企業文化の変革、人材育成、さらにはガバナンスの実効性を高めるための態勢強化等につきましては、グループの不断の取組みを今後も継続してまいります。当社および損保ジャパンに対する行政処分への対応等は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。 (1) 主要なリスクの管理体制・枠組み① リスク管理の全体像当社グループのリスク管理の枠組みである戦略的リスク経営(ERM)は、経営における高性能な『羅針盤』として、次の「3つの機能」を強化・高度化し、損失を未然に回避するだけでなく、新規事業投資などの機会損失を低減させることで、当社グループを最適な方向に導く役割を果たしております。ア. グループが置かれた現在地を正確に把握(現状の多面的な分析) イ. 将来起こりうるリスクを敏感に察知(重要なリスクの的確な把握と対策) ウ.グループが取るべき航路を提示(最適な事業ポートフォリオの提示) 戦略的リスク経営(ERM)は、資本・リスク・収益のバランスを取りながら企業価値の最大化を図る一連の経営管理プロセスとして「戦略執行に係るリスクテイク」と「経営基盤の安定に資するリスクコントロール」の2つの側面を持っております。リスクテイクの側面では、リスクアペタイトフレームワークを中心に資本・リスク・収益に関する分析を重要な経営判断に活かし(上記ウ)、リスクコントロールの側面では、当社グループを取り巻く多様なリスクを特定、分析、評価する仕組み(リスクコントロールシステム)を活用して(上記ア、イ)、不測の損失の極小化と利益の安定を目指しております。 ② リスク管理に関するガバナンス体制当社では、取締役会が制定した「SOMPOグループERM基本方針」に基づき、「戦略的リスク経営(ERM)」の実効性を確保するため、グループ戦略・経営計画と合わせて、リスクテイクの指針としてリスクアペタイト原則、中期リスクテイク戦略およびリスクアペタイト指標からなる「SOMPOグループ リスクアペタイトステートメント」を定めております。グループCEOの諮問機関であるグループ執行会議では、グループのリスクアペタイトステートメント、中期グループERM推進方針、リスク許容度に関する対応方針・対応策などのリスク管理に関する事項について定期的に経営論議しております。また、グループ執行会議の下部組織として、グループCROを委員長とするグループERM委員会を設置しております。グループERM委員会では、リスクテイク戦略などグループの戦略的リスク経営に関する重要な事項やリスク管理部、各主管部を通じた重大リスクのコントロールの状況等について、グループ横断で確認・議論を行っております。その結果はグループ執行会議を経て取締役会へ報告を行っており、取締役会からの助言等も踏まえながらグループのリスク管理に関するガバナンスの強化への不断の取組みを継続する態勢としております。グループCROは、「SOMPOグループERM基本方針」や「中期グループERM推進方針」をグループ会社に周知徹底し、また定期的なモニタリング、各社CROとのディスカッション等を通じ、グループ全体の戦略的リスク経営の実効性の向上を図っております。グループ全体のガバナンス体制においては、グループの方針に沿ったリスク管理体制を整備し、リスク管理を各社にて自律的に行っております。当社および主要子会社においては、施策の策定および運用を行う各部門が自律的にリスク管理を行う第1線、専門的見地から第1線を支援・けん制するリスク管理部・各主管部による第2線、内部監査部門が独立した立場からリスクガバナンス体制の妥当性・有効性を監査する第3線の3線体制によりリスク管理の実効性確保および強化に努めております。なお、2025年4月1日付けでリスク管理部はリスク統括部に名称変更しております。 <リスク管理に関するガバナンス体制(2025年4月以降)> ③ リスクコントロールシステム、リスクと資本の状況リスクコントロールシステムにおいては、「重大リスク管理」の枠組みで当社グループを取り巻く重大リスクを網羅的に特定し、定性的・定量的な評価を行っております。定量化が可能なリスクについては「自己資本管理」「ストレステスト」「リミット管理」「流動性リスク管理」の枠組みで自己資本、流動性などに与える影響を様々な定量指標により分析・評価し、財務健全性およびその向上に必要なリスクコントロールの施策に関する経営論議を行っております。 ア.重大リスク管理当社グループは、「事業に重大な影響を及ぼす可能性があるリスク」を「重大リスク」と定義し、事業の抱えるリスクをボトムアップのリスクアセスメントと、取締役会等によるトップダウンでの確認・議論を通じて網羅的に把握・評価しております。リスク評価の実施にあたっては、経済的損失や業務継続に加えて、お客さま、社会などのステークホルダーの観点でのレピュテーション影響を重視するように基準の明確化を図っております。重大リスクは、グループCROがリスクアセスメントや専門家等の見解に基づいて網羅的に把握し、リスクが当社グループに及ぼす影響を具体的なシナリオで想定した上で、発生可能性および影響度でリスクを定性・定量の両面から評価し、管理状況を年2回以上、グループERM委員会にて協議のうえ、グループ執行会議および取締役会に報告しております。管理態勢の強化が必要なリスクについては、グループ執行会議において議論を行っております。また、現時点では具体的な影響シナリオの想定に基づく評価は困難であるものの、環境変化などにより新たに発現または変化し、今後、当社グループに大きな影響を及ぼす可能性のあるリスクを「エマージングリスク」と定め、個別の重大リスクと関連付けて適切に管理を実施しております。エマージングリスクの選定については、官民の各種情報を将来大きな影響をもたらす可能性のある変化の兆候などの観点から収集・分析し、リスク候補をリストアップしたうえで、その中から重要性を踏まえてリスクを選定しております。 <重大リスクおよびエマージングリスクの管理プロセス> イ.自己資本管理当社グループが保有する保険引受リスク、資産運用リスク、介護リスクおよびオペレーショナル・リスクを定量化したうえで、自己資本がリスク量と比べて充分な水準を維持できるよう管理を行っており、必要に応じ対応策を実施する態勢を整備しております。リスクと資本の状況 2025年3月期においては、事業の拡大などに伴うリスク増加の一方で、政策保有株式の計画を上回る売却やALMの推進による金利リスクのコントロールを実施した結果、同年3月末時点の当社グループのESR(注1)は256%とターゲットレンジ(200~250%、注2)を上回っており、十分な財務健全性を示す水準となっております。 今後も、財務健全性を維持しつつ資本効率・利益安定性の更なる向上を目指すため、グループ収益の拡大と適切なリスクコントロールに取り組んでまいります。(注)1 ESR(Economic Solvency Ratio)は、リスクに対して確保している資本の十分性を示す指標であります。2 ターゲットレンジは、2025年4月1日以降の基準を適用しております。 ウ.ストレステスト当社グループの経営に重大な影響を及ぼし得る事象を的確に把握・管理するために、グループベースで「シナリオ・ストレステスト」、「リバース・ストレステスト」および「感応度分析」を実施し、資本およびリスクへの影響度を分析して、必要に応じ対応策を実施する態勢を整備しております。また、2025年3月末時点で、当社の想定するストレス下においても十分な資本を有していることを確認しております。シナリオ・ストレステスト大規模な自然災害や金融市場の混乱など、経営に重大な影響を及ぼすストレスシナリオが顕在化した際の影響を評価し、資本の十分性やリスク軽減策の有効性検証などに活用することを目的として実施しております。なお、環境変化などに適切に対応するため、ストレスシナリオの妥当性を定期的に検証しております。リバース・ストレステストリスク許容度などに抵触する具体的な事象を探索することで脆弱性を特定し、あらかじめ具体的なストレス事象を想定した対策を検討することを目的として実施しております。感応度分析主なリスク要因の変動が資本とリスクに与える影響を把握するとともに、内部モデルが算出した理論値と実績値との比較を行い、内部モデルの妥当性を検証することを目的として実施しております。 エ.リミット管理 特定事象の発現により多額の損失が生じることを回避するため、与信リスク、出再リスク、自然災害リスクの各々に対してグループベースで最大限度額を定め、その範囲内でリスクの特性を踏まえたリミットを設定し、リミットを超過した場合には対応策を実施する態勢を整備しております。なお、2025年3月末時点で各リスクを適切にコントロールできていることを確認しております。 オ.流動性リスク管理 日々の資金繰り管理のほか、巨大災害発生時などの最大資金流出額を予想し、それに対応できる流動性資産が十分に確保されるよう管理しており、2025年3月末時点で当社に最大の資金流出をもたらすシナリオに対しても、十分な流動性資産を有していることを確認しております。 (2) 主要なリスク① 重大リスクおよびその発生可能性・影響度の評価経営者が当社グループの経営成績等に重大な影響を及ぼす可能性があると認識している「主要なリスク」は、当社グループが定義する「重大リスク」であります。重大リスクおよびその発生可能性・影響度の評価は、下記のとおりであります。<重大リスク一覧> <重大リスクのヒートマップ(発生可能性・影響度)> 影響度発生可能性 経済的損失業務継続性レピュテーション毀損極大5,000億円以上事業免許の取消し信頼の極めて大幅な失墜1年に1回以上大2,000億円以上主要な業務の停止信頼の大幅な失墜(信頼回復に5年以上)10年に1回以上中100億円以上一部の業務の停止信頼の失墜(信頼回復に2~3年以上)100年に1回以上小100億円未満-信頼の失墜の可能性は低い100年に1回未満 また、エマージングリスクの状況は以下のとおりであります。<エマージングリスク一覧>革新的な医療技術リスクの概要・当社事業への影響・革新的な医療技術により、疾病・傷害の治療方法等が変化することで、保険ニーズが変化する可能性・生命保険事業において第三分野保険の保有が多く、革新的な診断・治療技術が市場に普及することで、疾病の早期発見・生存率向上・治療期間長期化などにより、想定していた給付金の支払いが大きく変動する可能性対応策の例革新的な医療技術の状況や影響の調査。また、調査結果を踏まえ、将来の保険事業に与える影響を分析し、商品・サービスの開発に活用するなど今後の対応を検討生物多様性の喪失リスクの概要・当社事業への影響・生物多様性喪失に関する、規制の厳格化やビジネス影響、政府方針・消費者選好の変化に伴うレピュテーションリスク・物理的リスクの観点では、台風・ハリケーンの激甚化や頻度増加、生態系を活用した減災機能の低下、被害悪化による火災保険等の保険金支払、再保険コストの増大や生態系サービスの劣化に伴う自然への依存度が高いセクターの業績悪化による保険収益の減少、投資リターンの減少・移行リスクの観点では、自然関連の訴訟等に伴う賠償責任保険の保険金支払増加、商品・サービスにおける生物多様性・自然資本の取組みや情報開示の優劣によるレピュテーションリスクや企業価値の低下対応策の例生物多様性・自然資本の開示基準に関する動向の調査や自社への影響評価を継続するとともに、国内外の保険事業バリューチェーンにおける生物多様性・自然資本への依存と影響を分析。生成AI等がもたらす新たなリスクリスクの概要・当社事業への影響・AIの急速な普及による社会的な変化などに対応できないこと、またはAI活用の遅れによる機会損失、競争力低下・AIの業務利用における誤情報のお客さま等への提供、知的財産権の侵害、情報漏えい等、およびこれらに伴う社会的信用の失墜対応策の例社内業務利用等のAI活用推進。AIシステム開発時のリスク評価、利用開始後のモニタリングなどのガバナンス態勢の構築。利用者向けのガイドライン提供による社内教育・注意喚起不確実性の高い要因による重要インフラの停止リスクの概要・当社事業への影響セキュリティが不十分な物理的またはデジタル重要インフラの大規模・長期停止による当社の事業中断、想定外の巨額の保険金支払等対応策の例太陽嵐等を含めた不確実性の高い各種要因による災害の発生可能性や重要インフラに及ぼす影響に関する調査・分析を実施ビジネスと人権に関する規制・ガイドライン強化リスクの概要・当社事業への影響・グローバルな人権に関する法律や規制・ガイドラインの変更が人権に対する社会の感度を高め、それによって増加するステークホルダーからの人権訴訟の増大やレピュテーション毀損・ステークホルダーから人権訴訟があった場合、訴訟に対応するための費用の発生。その他、人権尊重に関する当社グループの取組みが社会から不適切とみなされ、レピュテーションを毀損しブランド毀損や企業価値・信用の低下対応策の例ビジネスと人権に関する規制・ガイドラインで求められる事項に則った方針の公表、人権リスクのアセスメント強化、ステークホルダーとの対話を実施。グループ全体での人権デュー・ディリジェンスの取組みを実施する体制構築 ② 重大リスクの分類ごとのリスクの概要と対応策の状況経営戦略リスク 1. 競争環境の悪化・転換 <リスク概要>デジタル関連等の異業種からの新規参入や生成AIをはじめデジタル技術進展への対応不十分による競争力・収益基盤の劣化・毀損、シェアリング経済の拡大や国内の人口減少・高齢化等を背景としたマーケット規模の縮小や技術革新に伴う事故の減少による保険ニーズの減少等による当社グループの経営成績等への影響 <対応策の状況> デジタル戦略、M&A等を実行し、「SOMPOのパーパス」実現へのトランスフォーメーションを進めております。例えば、生成AI活用・データドリブンな意思決定を可能にするワークフローの構築等をはじめとした既存事業の生産性向上、デジタル技術の活用や、防災・減災・モビリティ領域等における社会課題起点での新商品・サービスを通じた新たな価値創造、それらの実現を支えるデジタル分野の専門人材の採用・育成によるデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めております。 2. マクロ経済環境の大幅な変化 <リスク概要>世界経済の減速による収入の大幅減少、急激なインフレ進行による事業コスト・支払保険金の増加を商品・サービス価格に転嫁できない可能性や金融資産の価値下落 <対応策の状況> 世界経済の減速や急激なインフレ変動など、マクロ経済の状況が事業に与える影響を注視し、保険料収入や支払保険金などの適切な見積もりおよびそれを踏まえた施策を講じております。また、マクロ経済環境の変化は、運用資産の価格変動を通じて当社の資本の状況にも大きな影響を与えるため、発生しうる複数のシナリオを設定したうえで、当社グループへの影響を分析し、対応策を講じております。 3. 地政学リスク <リスク概要>地政学的緊張の高まりによる制裁の応酬や重大事象の発生などによる当社グループへの波及的な影響(金融資産の価値下落、支払保険金増大、事業中断など) <対応策の状況> 外部専門家の知見も活用して、当社グループに大きな影響を及ぼすシナリオ(市場への影響含め)を調査し、財務的な影響の検証を行い、経営上の影響を見極められるよう注視しております。また、危機発生時の役職員の行動等を示したマニュアルや業務継続計画等を整備し、訓練や自主点検を通じて、実効性のある危機対応体制の維持に努めております。 4. パンデミック <リスク概要>人々の生活や産業活動に制約をかけるレベルのパンデミック(世界的な大流行)が発生した場合の当社グループに及ぼす影響(支払保険金増大、世界経済の減速による事業計画の未達、事業中断、金融資産の価値下落など) <対応策の状況> 新型コロナウイルスのパンデミック時に得た経験を踏まえ、新たな感染症等のパンデミックの発生に備えた業務継続計画を策定し、定期的に訓練を実施するとともに、業務継続計画の有効性の検証を行っております。また、その後の大きな変化から来る機会と脅威に柔軟に対応できるよう、環境変化への注視など続けてまいります。 5. 税制・規制の変更 <リスク概要>保険業に係る法規制、監督態勢、金融行政方針等の大幅な変更に対して適切な対応が実施されないリスク(行政処分、イノベーション機会の喪失、事業コストの増大、訴訟に伴う賠償金の支払い、レピュテーション毀損など) <対応策の状況> 関連法令の改正状況の把握に努め、必要な対応を実施しております。また、「損害保険業の構造的課題と競争のあり方に関する有識者会議」や金融審議会「損害保険業等に関する制度等ワーキング・グループ」における議論等、損害保険業の構造改革に関する動向を適時適切に把握しております。 6. ガバナンス不十分(内部統制の機能不全) <リスク概要>グループガバナンス機能(内部統制システムの整備・運用を含む)の発揮が不十分なことで生じるリスク(当社とグループ会社間におけるコミュニケーション不足・情報共有不足を起因とした当社の監督機能の不全。意思決定プロセスなどに対する内部統制システムの機能不全による戦略目標の実現不能、規制からの逸脱、レピュテーション毀損など。) <対応策の状況> グループガバナンスを適切に機能させるために、リスクベースでグループ会社の内部統制の十分性・実効性を適時・適切に把握する管理・モニタリング体制の検証・強化を進めております。具体的には、損保ジャパンについては、当社役員の取締役兼任者を増員し、取締役会議長をグループCEOが務める等、監督態勢を強化しております。また、不芳情報の報告を含む当社とグループ会社間のコミュニケーションの活性化および内部通報制度の利用促進・スピークアップ風土の醸成に取り組んでおります。 7. 戦略投資・新事業に係るリスクの見誤り <リスク概要>戦略投資・新事業(デジタル技術関連を含む)に対するリスク認識が不十分なことによる、出資金の毀損、レピュテーション毀損、デジタル技術・システムによる投資対効果不発揮 <対応策の状況> デジタル戦略・M&Aや大規模システム開発等の大規模投資は取締役会等で妥当性を十分議論して実行しておりますが、環境変化や想定を超える困難などのために期待した成果が得られない可能性があるため、実行後も定期的に所定の基準に基づいて妥当性が失われていないことおよび撤退基準に抵触していないことを確認しております。 8. システム戦略リスク <リスク概要>・外部環境の急速な変化、プロジェクトマネジメントの不備、システム開発の複雑化、人材不足等の各種要因により、各事業に大きな影響を及ぼす大規模なシステム開発プロジェクトにおいて、スケジュール延伸、予算超過、品質低下等が発生するリスク・ビジネスの機会損失、ROIの低下、企業の信用毀損の発生や他社との競争力の劣後等への影響 <対応策の状況> 適切なITガバナンスを確保するため国際標準に沿った管理プロセスを整備しております。また、大規模システム開発プロジェクトに対しプロジェクトモニタリングを実施する態勢を整え、適切なプロジェクトの遂行に努めております。 9. 気候変動(物理的リスク) <リスク概要>・気候変動による想定を超える巨大風水災損害(雪・雹災等を含む)の発生、または発生頻度の上昇による保険引受収支への影響・風水災損害の拡大に伴い再保険マーケットがハード化し、再保険キャパシティが大幅に減少することによるリスクの集積および利益安定性の低下 <対応策の状況> IPCC(気候変動に関する政府間パネル)、NGFS(気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク)などの外部機関の研究成果や、大学等の研究機関と連携して得た科学的知見を踏まえた取組みを進めており、気象・気候ビッグデータを用いた大規模分析によって、台風や洪水、海面水位の変化の影響を受ける高潮の平均的な傾向変化や極端災害の発生傾向について、平均気温が上昇した気候下での長期的な影響を把握するための取組みを行っております。また、巨大風水災損害が当社グループに及ぼす影響をコントロールするために、商品改定・引受条件見直しを行っております。 10. サステナビリティリスク <リスク概要>・サステナビリティに関する企業への社会的要請が高まる中で、脱炭素社会への移行に向けた商品・サービス展開の遅れ等、対応が不十分なことによるステークホルダーからのレピュテーション毀損。気候変動対応に係る規制強化等による化石燃料資産の価格下落(座礁資産)・ビジネスと人権の規範に反する不適切な行為・事象の発生、発生時の不十分な対応・未是正によるステークホルダーからのレピュテーション毀損 <対応策の状況> 移行リスクについては、保険引受や資産運用を中心としたグリーントランジションプランを掲げ取組みを進めるとともに、人権リスクに関しては、各事業の事業プロセス(バリューチェーン全体)を対象に発生する可能性のある「潜在的な影響とリスク」を特定し、評価を行っております。これらの取組みについては、グループCSuOを議長とする「グループサステナブル経営推進協議会」において、状況把握、協議を行い、取締役会等に報告する体制を構築しております。 11. 人的資本リスク <リスク概要>・多様な意見が受け入れられるコーポレートカルチャーへの変革が進まないことによる従業員エンゲージメント低下・グループ人材を強化できず、また、DEI等に対する対応不十分により人材確保ができず、戦略的な人材配置計画が実現しない状態の発生 <対応策の状況> 人的資本のリスクについて、人事制度面では、人材競争力の向上を図るため、自律的なキャリア形成を促進するジョブ型人事制度や多様な働き方を実現する制度など、自分自身の人生の意義や目的あるいは働く意義である「MYパーパス」に基づくキャリアを描ける人事制度を構築しているほか、自律的な学びを促進するためのプラットフォームを整備して、その機会を従業員に提供しております。また、性別、障害の有無、国籍、年齢等に捉われない人材を登用したうえで、人材への投資を拡大することにより従業員の専門性向上を図り、さらには遵守しなければならない行動原則等の策定を含めた、グループ企業理念体系の見直しを実施し、グループ役職員の認識・思考・価値観および行動の変革および浸透を図っております。 財務・運用リスク 12. 市場の大幅悪化 <リスク概要>・国内外の有価証券等に幅広く投資しており、株式・為替・金利相場の変動により、資産の価値が下落した場合の投資実現損や時価評価損の発生、公正価値の下落等による当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性・予定利率(契約時にお客さまにお約束する運用利回り)を設定した契約期間が長期の保険商品を販売しており、金利の低下局面で、実際の運用利回りが予定利率を下回る可能性・反対に、金利の上昇局面では、主に貯蓄性商品において、お客さまが予定利率の高い商品に乗り換えることに伴う保険契約の解約が増加する可能性・国内生命保険事業については、保険商品の長期性から保険負債の金利感応度が大きく、資産の金利感応度とミスマッチが生じることにより、金利変動時に実質自己資本が減少するリスクが大きくなる可能性 <対応策の状況と評価> 当社グループは、保有することで保険取引において公正な競争を阻害する要因となりうる株式については、2030年度末を目処に保有残高ゼロとする計画を策定しております。特に2024年度以降は削減ペースを加速させ、着実に残高が減少しており、株式相場下落の影響が低減するよう努めております。また、為替変動の影響については、グループベースで為替リスク量をモニターし、円高により自己資本が大幅に減少するリスクを管理しております。 積立保険の満期返戻金や国内生命保険事業などの長期の保険負債の金利感応度に対しては、経済価値ベースの観点と保険業法に基づく会計の観点とのバランスを踏まえつつ長期の投融資を実行することで、資産負債全体の金利感応度を低減させ、実質自己資本に対する金利変動の影響を抑制するとともに、国内生命保険事業では、保障性商品をはじめとする金利の影響を受けにくい商品の保有割合を高めることにも努めております。なお、市場の大幅悪化など、経営に重大な影響を及ぼすストレスシナリオが顕在化した際の影響を定期的に評価しております。 13. 投融資先、出再先の破綻 <リスク概要>投融資先・保証保険の保証先の破綻や信用力低下等による金融資産の価値下落・保険金支払、また出再先再保険会社の破綻等に伴う再保険金回収不能による当社グループの経営成績等への影響 <対応策の状況> 投融資先については特定の与信先への集中、また再保険の出再先については特定の再保険会社への集中を回避するため、社内格付に応じたリミットを設定し、当該リミットを超えることがないように定期的にモニタリングを実施して適切に管理しております。 14. 大規模災害時の資金繰り <リスク概要>大規模災害時等の資金繰りのために多額の借入れや金融資産の売却等が必要となることによる当社グループの経営成績等への影響 <対応策の状況> 資金繰りについては保険子会社ごとに管理しており、巨大災害時の資金ニーズや金利上昇に伴う解約増加等に対応できる流動性資産が十分確保されるようにして管理しております。 オペレーショナルリスクおよびコンプライアンスリスク 15. 委託先・提携先に関するリスク <リスク概要>代理店等を含む重要な外部委託先の業務遂行能力不足、経営破綻、法令等違反、不適切行為、サービス撤退等による委託業務の継続が困難となる状態の発生および賠償金支払やレピュテーション毀損 <対応策の状況> 当社グループは、当社および損保ジャパンに対する行政処分の指摘を受けて、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり再発防止策を進めております。その中でも、コンプライアンスやお客さま保護を重視する健全な企業風土を醸成し、グループ役職員の認識・思考・価値観および行動を変革するために、遵守しなければならない行動原則等の策定を含めた、グループ企業理念体系の見直しを行いました。今後さらなる浸透を図るべく周知、教育等を行っていく予定であります。 また、法規制や社会規範および企業倫理に則った適正な企業活動を行うための態勢を整備するだけではなく、グループ各社で発生している不適切事案の具体事例を分析し、共通する課題への対策を実施することなどにより、グループ全体の内部統制システムの実効性向上に努めてまいります。 16. システム障害 <リスク概要>・機器の故障、人為的ミス、情報システムの不備といった内部要因や災害等の外部要因により、情報システムの停止、誤作動等のシステム障害が発生するリスク・復旧コストの発生やサービス停止による機会損失、信用失墜による取引等への影響 <対応策の状況> 適切なITガバナンスを確保するため国際標準に沿った管理プロセスを整備しております。各種手順や基準を定めることでシステム障害の未然防止を図るとともに、システム障害等の定期的な分析、事業継続計画(BCP)の整備、平時からの訓練といった各種対策を実施することで、継続的にシステムリスクの低減等に努めております。 17. サイバーセキュリティ <リスク概要>・サイバー攻撃により当社グループまたは代理店・委託先へのセキュリティ侵害が発生し、情報システムの停止、誤作動、不正使用、データ破壊・改ざん、重大な情報漏えい、サプライチェーンの寸断等が発生するリスク・調査・復旧コストの発生やサービス停止による機会損失、信用失墜による取引等への影響の他、個人情報保護法やEU一般データ保護規則(GDPR)等の各国法令違反等の発生 <対応策の状況> 日々高度化・巧妙化するサイバー攻撃に対しては、対応能力を継続的に向上させることが何よりも重要と認識しております。サイバー攻撃に対する管理態勢を整えるとともに、グループ一丸となってサイバーセキュリティ対策(詳細は後述「サイバーセキュリティへの取組み」を参照)に取り組み、対応能力の継続的な向上を図っております。 なお、2025年4月21日、損保ジャパンのウェブシステムに対する第三者による不正アクセスが発覚し、お客さまの情報の一部が外部に流出した可能性があることを認識しました。本件による影響を確認のうえ適切に対応を行うとともに、事案発生を踏まえた管理態勢の見直しを進めてまいります。 18. 労務リスク <リスク概要>・国内外の労働関連法令違反や過重労働に係る訴訟や離職者増加などによる、事業停止やレピュテーション毀損、健康経営取組みの不十分・パワハラなどの各種ハラスメントを主因とした従業員の心身の不調、生産性低下などによるコスト負担や退職者の増加およびそれに伴う人材採用や要員確保が困難となる状態の発生 <対応策の状況> 長時間労働等による労務リスクについては、適正な勤怠管理を徹底し、またハラスメントの撲滅、メンタルヘルス対策、健康経営推進およびキャリア採用者の拡充等を通じたインクルーシブな文化の醸成に取り組んでおります。 19. 機密情報・顧客情報漏えい(サイバー攻撃を除く) <リスク概要>グループ各社において、役職員による重大な情報漏えいの発生を起因とした賠償金支払およびレピュテーション毀損 <対応策の状況> 「SOMPOグループ顧客情報管理基本方針」等を定め、各種の安全管理措置などの管理態勢を整備し、重大な情報漏えい発生の未然防止を図っております。 20. コンプライアンスリスク <リスク概要>・当社グループの各事業に適用される法規制や海外事業を展開する各国・地域で適用される法規制への違反とこれに伴う課徴金等の支払い、役職員等による不正行為、外部からの犯罪行為、訴訟に伴う賠償金の支払い等・法令違反や不祥事等の発生による当社グループの社会的信頼・信用の失墜 <対応策の状況> 法規制や社会規範および企業倫理に則った適正な企業活動を行うための態勢を整備するだけではなく、グループ各社で発生している不祥事等の具体事例を分析し、グループで共通する課題への対策を実施することなどにより、グループ全体の内部統制システムの実効性向上に努めております。役職員へは、「SOMPOグループコンプライアンス行動規範」や役職員を業務の中で正しい判断・行動へ導くための判断基準である「SOMPOのYes」などの研修を実施、コンプライアンス意識の浸透・定着を推進しております。また、不祥事等の早期発見を図るため、内部通報制度の利用に関するグループ共通の相談受付窓口を設置し、その実効性を検証しながら運用しております。 21. コンダクトリスク <リスク概要>・当社グループが提供する商品・サービスや業務慣行と社会やお客さまをはじめとしたステークホルダーの期待との間にギャップが生じることによる企業価値の毀損・当社グループの商品・サービスや個人情報収集、AI活用などに関するガバナンスがステークホルダーの期待を下回る、および市場の健全性に悪影響を及ぼす可能性 <対応策の状況> コンプライアンスやお客さま保護を重視する健全な企業風土を醸成するため、グループ全役職員に適用される「SOMPOグループコンプライアンス行動規範 実践の手引き」をリニューアル、また「SOMPOのYes」を策定し、浸透を図るべく継続的に周知・教育等を行ってまいります。 事業固有リスク 22. 国内巨大地震、23.国内巨大風水災、24. 海外巨大自然災害 <リスク概要>・大規模な自然災害が発生し、多額の保険金等の支払いが発生することによる、保険引受収支への影響・再保険の手配が困難となる等の影響により、リスクアペタイトに沿ったリスク管理が難しくなる状態 <対応策の状況> 自然災害リスクについて、集積が過大とならないよう、グループの資本水準を踏まえたリミットを地域別・自然災害種類別に設定し、当該リミットを超えることがないように定期的にモニタリングを実施して適切に管理しております。また、ストレステストを定期的に行い資本の十分性を確認しつつ、再保険の活用や資本の充実を通じて事業の安定化を図るとともに、自然災害による保険金支払のリスクについて定量的に評価することで、適切な料率設定・商品設計を行っております。 25. テクノロジー巨大災害(サイバー) <リスク概要>大規模なサイバー攻撃等が発生し、多額の保険金の支払いが発生することによる、保険引受収支への影響 <対応策の状況> 主要な保険子会社において、リスクモデルによる定量評価に基づくサイバー保険の予想最大損害額を算出し、あらかじめ設定したリミットまたはガイドラインに対する状況を定期的にモニタリングしております。 26. 従来型爆弾テロ <リスク概要>大規模なテロ攻撃から生じる、人的・物的・経済的混乱による甚大な損害 <対応策の状況> 従来型爆弾テロなどの予想最大損害額を算出し、予め設定したリミットに対する状況を定期的にモニタリングしております。 27. 介護事業環境の見誤り <リスク概要>・在宅介護から施設介護までフルラインナップの介護サービスを提供していることから生じる、介護事業環境を見誤るリスク・介護保険法の改正ならびに介護報酬の改定、介護市場における競争激化、介護人材の需給ギャップ拡大などに起因する従業員確保が困難となる状態の発生 <対応策の状況> SOMPOケア株式会社では、将来に向かって拡大していく介護人材の需給ギャップを見据え、データとテクノロジーの活用によって、介護施設のオペレーションの効率化を図ることで時間を創出し、人は人にしかできないことに注力し品質を伴う生産性向上を実現する「未来の介護」を追求しながら、介護事業の持続的成長を目指します。さらに、この流れを介護業界全体へ波及させることで、介護の未来を変えていきます。 28. 介護事業における重大不祥事件 <リスク概要>・重大不祥事件が発生してブランド価値を毀損するリスク・食中毒、集団感染症の発生、高齢者事業特有の事故等の発生およびそれらによる社会的信頼・信用の毀損、レピュテーション毀損 <対応策の状況> SOMPOケア株式会社では、ご利用者さまとの信頼を築くため、コーポレート・ガバナンス体制、事業所管理体制の構築に取り組んでおります。ガバナンス・リスク・クオリティ・コンプライアンス委員会を経営会議の諮問機関として設置し、リスク管理・品質にかかわる重大事象への対応や、内部監査結果などの内部統制に関する事項の審議を実施するとともに、本社リスク管理部門では事故情報を集約し、再発防止策の周知・徹底を図っております。 その他リスク 29. 事業中断 <リスク概要>大規模地震等の自然災害、大規模テロ攻撃、新型感染症等のパンデミック、サイバー攻撃等による大規模システム障害等が発生し、本社機能、保険金支払、介護サービスの提供などにおける円滑な業務運営が阻害される状態 <対応策の状況> 当社グループでは、従来から大規模な地震などの自然災害、新型感染症等のパンデミックの発生、サイバー攻撃等による大規模システム障害発生の有事に備えた業務継続計画を策定し、定期的に訓練を実施するとともに、業務継続計画の有効性の検証・改善等に努めております。 また、直近では、「首都直下地震」や「南海トラフ地震」の被害想定に基づくグループ各社の業務継続計画の整備状況の点検や最新の通信手段・電力ファシリティの配備、サイバー対応の有事体制やグループ内連携フローの明確化などを通じて、更なる危機対応力向上へ向け、グループ各社の重要業務の継続のための改善を行っております。 30. レピュテーションリスク <リスク概要>ネガティブ情報がマスメディアの報道・インターネット上の記事等に流布されることによるブランド価値の毀損 <対応策の状況> レピュテーションリスクについては、当社が定める規程において、ネガティブ情報による信用毀損リスクをコントロールする方法を明確化し、迅速かつ適切に対応することで、影響の抑制を図っております。また、危機発生時に情報開示要否を判断するための基準を作成し、適時適切な情報開示を徹底しております。さらに、不芳情報の報告ルールに基づき、グループ内のレピュテーション事案を会社として早期に把握する体制を構築しております。 <サイバーセキュリティへの取組み>① 基本方針の策定 当社グループでは、サイバーセキュリティへの取組みにより安心・安全な社会を構築することが企業の社会的責任であるとの認識のもと、「SOMPOグループサイバーセキュリティ基本方針」を定め、グループ全体でサイバーリスク管理態勢の整備に努めております。 ② 管理体制 当社内にサイバーCoE(Center of Excellence)態勢を構築し、情報処理安全確保支援士やCISSP(Certified Information Systems Security Professional)などのサイバーセキュリティ人材が中心となり、グローバルレベルで実効的な態勢の強化を推進しております。その方針や方向性については、グループCIOをはじめとする関連役員による協議を踏まえ決定しており、特に部門横断での対応が求められるレジリエンスの強化に向けては、関係各部が相互に連携しながら対応にあたっております。 ③ リスクの把握と対応計画策定 当社グループでは、グループ各社のサイバーセキュリティ対策状況を定量的にモニタリングし可視化を行う「サイバーメトリックス」を構築しております。サイバーメトリックスは、グループ内の各社から、サイバーセキュリティの管理強度や網羅性に関するデータを集め、それらを統一的に評点化したうえで、ダッシュボード上に視覚的に表示したものです。これにより、各社のサイバーセキュリティ対策状況につき、経営層を含め、共通目線での理解を可能としております。各社の対策状況は、KPIを策定し管理しており、把握した課題に対しては、サイバーCoEや外部コンサルティング会社の知見を活用してPDCAサイクルを通じた改善を継続的に実施しております。 <サイバーメトリックスによるサイバーセキュリティ対策の可視化イメージ> ④ 緊急対応体制・復旧体制 当社内にHD-CSIRT(Computer Security Incident Response Team)を組成し、事案発生時の情報連携や意思決定、フォレンジック調査といった有事の際に必要となる各種対応を適時迅速に行えるよう組織的な整備を行っております。 また、マルウェア感染等のインシデントを想定した実践的なサイバーインシデント演習を定期的に実施し、レジリエンスの強化に努めております。 ⑤ 保護対策の実施 当社グループでは、多層防御を前提とした総合的な技術的対策を実施しております。「ゼロトラストセキュリティ」の考えの下、SASE基盤(Secure Access Service Edge)の導入やSOC(Security Operation Center)での監視等を通し安全性の確保に努めているほか、クラウドの設定ミスを防ぐセキュリティガードレールの適用、インターネット資産の監視と保護を行うサイバーパトロール活動、IT資産を対象とした脆弱性診断、侵入テストの実施といった各種の対策を実施しております。 人的対策としては、当社グループの全従業員を対象にサイバーセキュリティ教育やフィッシングメール訓練を実施し、従業員の倫理観とセキュリティ意識の向上を図っております。また、当社内にサイバーセキュリティの研究開発の拠点である「サイバーラボ」を設置し、サイバーセキュリティの知識共有を目的としたイベントや体験型の研修をグローバルレベルで定期的に開催することで、人材の育成と知識、専門性の向上に努めております。 また、サイバーセキュリティ対策は当社グループのみではなく、取引先である代理店や委託先等における対策も不可欠であることから、契約時のセキュリティチェックや定期的なモニタリング等、取引先のセキュリティ対策を意識した取組みを実施しております。
FY2024|13,918 文字
3 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況(以下「経営成績等」といいます。)に重大な影響を及ぼす可能性があると認識している「主要なリスク」および「当該リスクの管理体制・枠組み」は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 当社および損害保険ジャパン株式会社(以下「損保ジャパン」といいます。)は、ビッグモーター社による自動車保険金不正請求等への対応に関する問題により、2024年1月25日に金融庁から業務改善命令を受けました。また、損保ジャパンは、独占禁止法に抵触すると考えられる不適切な保険料調整行為等の問題により、2023年12月26日に金融庁から業務改善命令を受けました。当社および損保ジャパンに対する行政処分への対応等は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。 (1) 主要なリスクの管理体制・枠組み① リスク管理の全体像当社グループのリスク管理の枠組みである戦略的リスク経営(ERM)は、経営における高性能な『羅針盤』として、次の「3つの機能」を強化・高度化し、損失を未然に回避するだけでなく、新規事業投資などの機会損失を低減させることで、当社グループを最適な方向に導く取組みを実施しております。ア. グループが置かれた現在地を正確に把握(現状の多面的な分析) イ. 将来起こりうるリスクを敏感に察知(重要なリスクの的確な把握と対策) ウ.グループが取るべき航路を提示(最適な事業ポートフォリオの提示) 戦略的リスク経営(ERM)は、資本・リスク・収益のバランスを取りながら企業価値の最大化を図る一連の経営管理プロセスとして「戦略執行に係るリスクテイク」と「経営基盤の安定に資するリスクコントロール」の2つの側面を持っております。リスクテイクの側面では、リスクアペタイトフレームワークを中心に資本・リスク・収益に関する分析を重要な経営判断に活かし(上記ウ)、リスクコントロールの側面では、当社グループを取り巻く多様なリスクを特定、分析、評価する仕組み(リスクコントロールシステム)を活用して(上記ア、イ)、不測の損失の極小化と利益の安定を目指しております。 ② リスク管理に関するガバナンス体制当社では、取締役会が制定した「SOMPOグループERM基本方針」に基づき、「戦略的リスク経営(ERM)」の実効性を確保するため、グループ戦略・経営計画と合わせて、リスクテイクの指針としてリスクアペタイト原則、中期リスクテイク戦略およびリスクアペタイト指標からなる「SOMPOグループ リスクアペタイトステートメント」を定めております。グループCEOの諮問機関であるGlobal Executive Committee (以下「Global ExCo」といいます。)では、グループのリスクアペタイトステートメント、中期グループERM推進方針、リスク許容度に関する対応方針・対応策などのリスク管理に関する事項について定期的に経営論議しております。また、Global ExCoの下部組織として、グループCROを委員長とするグループERM委員会を設置しております。グループERM委員会では、リスクテイク戦略や資本配賦などグループの戦略的リスク経営に関する重要な事項やリスク管理部、各主管部を通じた重大リスクのコントロールの状況等について、グループ横断で確認・議論を行っております。グループCROは、「SOMPOグループERM基本方針」や「中期グループERM推進方針」をグループ会社に周知徹底し、また定期的なモニタリング、各社CROとのディスカッション等を通じ、グループ全体の戦略的リスク経営の実効性の向上を図っております。グループ会社においては、グループの方針に沿ったリスク管理体制を整備し、リスク管理を自律的に行っております。なお、2024年4月1日付けでGlobal ExCoはグループ執行会議に改組しております。 <リスク管理に関するガバナンス体制(2024年4月以降)> ③ リスクコントロールシステム、リスクと資本の状況リスクコントロールシステムにおいては、「重大リスク管理」の枠組みで当社グループを取り巻く重大リスクを網羅的に特定し、定性的・定量的な評価を行っております。定量化が可能なリスクについては「自己資本管理」「ストレステスト」「リミット管理」「流動性リスク管理」の枠組みで自己資本、流動性などに与える影響を様々な定量指標により分析・評価し、財務健全性およびその向上に必要なリスクコントロールの施策に関する経営論議を行っております。 ア.重大リスク管理当社グループは、「事業に重大な影響を及ぼす可能性があるリスク」を「重大リスク」と定義し、事業の抱えるリスクをボトムアップのリスクアセスメントと、取締役会等によるトップダウンでの確認・議論を通じて網羅的に把握・評価しております。リスク評価の実施にあたっては、経済的損失や業務継続に加えて、お客さま、社会などのステークホルダーの観点でのレピュテーション影響を重視するように基準の明確化を図っております。重大リスクは、グループCROがリスクアセスメントや専門家等の見解に基づいて網羅的に把握し、リスクが当社グループに及ぼす影響を具体的なシナリオで想定した上で、発生可能性および影響度でリスクを定性・定量の両面から評価し、管理状況を年2回以上、経営執行協議会(Managerial Administrative Committee)(以下「経営執行協議会(MAC)」といいます。)および取締役会に報告しております。変化が大きいリスクや対策等に関する議論が必要なリスクについては、Global ExCoまたは経営執行協議会(MAC)において議論を行っております。また、現時点では具体的な影響シナリオの想定に基づく評価は困難であるものの、環境変化などにより新たに発現または変化し、今後、当社グループに大きな影響を及ぼす可能性のあるリスクを「エマージングリスク」と定め、個別の重大リスクと関連付けて適切に管理を実施しております。エマージングリスク候補は、官民の各種情報源のホライゾン・スキャンによって収集してエマージングリスク・レジスターに登録し、そのうち、所定の基準に該当するものをエマージングリスクに選定しております。 なお、2024年4月1日付けでGlobal ExCoおよび経営執行協議会(MAC)はグループ執行会議に改組しております。<重大リスクおよびエマージングリスクの管理プロセス> イ.自己資本管理当社グループが保有する各種リスクを統一的な尺度(VaR:Value at Risk)で定量化し、自己資本がリスク量と比べて充分な水準を維持できるよう管理して、必要に応じ対応策を実施する態勢を整備しております。リスクと資本の状況 2024年3月期においては、事業の拡大などに伴うリスク増加の一方で、政策保有株式の計画的な売却やALMの推進による金利リスクの削減などのリスクコントロールを実施した結果、同年3月末時点の当社グループのESR(注1)は251%とターゲットレンジ(200~250%、注2)の上限付近にあり、十分な財務健全性を示す水準となっております。 今後も、財務健全性を維持しつつ資本効率・利益安定性の更なる向上を目指すため、株式リスクの削減を進めるとともに、グループ収益の拡大と適切なリスクコントロールに取り組んでまいります。(注)1 ESR(Economic Solvency Ratio)は、リスクに対して確保している資本の十分性を示す指標であります。2 ターゲットレンジは、2024年4月1日以降の基準を適用しております。ESR ウ.ストレステスト当社グループの経営に重大な影響を及ぼし得る事象を的確に把握・管理するために、グループベースで「シナリオ・ストレステスト」「リバース・ストレステスト」および「感応度分析」を実施し、資本およびリスクへの影響度を分析して、必要に応じ対応策を実施する態勢を整備しております。また、2024年3月末時点で、当社の想定するストレス下においても十分な資本を有していることを確認しております。シナリオ・ストレステスト大規模な自然災害や金融市場の混乱など、経営に重大な影響を及ぼすストレスシナリオが顕在化した際の影響を評価し、資本の十分性やリスク軽減策の有効性検証などに活用することを目的として実施しております。なお、環境変化などに適切に対応するため、ストレスシナリオの妥当性を定期的に検証しております。リバース・ストレステストリスク許容度などに抵触する具体的な事象を探索することで脆弱性を特定し、あらかじめ具体的なストレス事象を想定した対策を検討することを目的として実施しております。感応度分析主なリスク要因の変動が資本とリスクに与える影響を把握するとともに、内部モデルが算出した理論値と実績値との比較を行い、内部モデルの妥当性を検証することを目的として実施しております。 エ.リミット管理 特定事象の発現により多額の損失が生じることを回避するため、与信リスク、出再リスク、自然災害リスクの各々に対してグループベースで最大限度額を設定し管理しており、2024年3月末時点で各最大限度額に抵触していないことを確認しております。また、各限度額の枠内で予備的にリミット管理を行っております。 オ.流動性リスク管理 日々の資金繰り管理のほか、巨大災害発生時などの最大資金流出額を予想し、それに対応できる流動性資産が十分に確保されるよう管理しており、2024年3月末時点で当社に最大の資金流出をもたらすシナリオに対しても、十分な流動性資産を有していることを確認しております。 (2) 主要なリスク① 重大リスクおよびその発生可能性・影響度の評価経営者が当社グループの経営成績等に重大な影響を及ぼす可能性があると認識している「主要なリスク」は、当社グループが定義する「重大リスク」であります。重大リスクおよびその発生可能性・影響度の評価は、下記のとおりであります。<重大リスク一覧>分類No.重大リスク評価(対前期の変化:→)影響度発生可能性ア.経営戦略リスク 外部環境1競争環境の悪化・転換中大2マクロ経済環境の大幅な変化極大中3地政学リスク中大4パンデミック大大5税制・規制の変更中大事業戦略6ガバナンス不十分大中→大7新事業に係るリスクの見誤り中中8システム戦略中大9気候変動リスク(物理的リスク・移行リスク)大中10サステナビリティリスク中中11風評リスク中中人材・要員12人的資本のリスク中→大大イ.財務・運用リスク 市場リスク13市場の大幅悪化大中信用集中リスク14投融資先、出再先の破綻小→中中流動性リスク15大規模災害時の資金繰り小小ウ.オペレーショナルリスクおよびコンプライアンスリスク 事務リスク16委託先管理の失敗中→大大システムリスク17システム障害中大18サイバーセキュリティ大中コンプライアンスリスク等19労務リスク中→大中20機密情報・顧客情報漏えい(サイバー攻撃を除く)中→大大21法令違反・不祥事中→極大大22コンダクトリスク中→極大中→大エ.事業固有リスク 保険引受リスク 自然災害23国内巨大地震大中24国内巨大風水災中中25海外巨大自然災害中中その他26サイバー集積リスク中中 介護事業リスク 介護事業リスク27介護事業環境の見誤り小中28重大不祥事件中→大中→大オ.その他リスク -29事業中断リスク大中 <重大リスクのヒートマップ(発生可能性・影響度)> 影響度発生可能性 経済的損失業務継続性レピュテーション毀損極大5,000億円以上事業免許の取消し信頼の極めて大幅な失墜1年に1回以上大2,000億円以上主要な業務の停止信頼の大幅な失墜(信頼回復に5年以上)10年に1回以上中100億円以上一部の業務の停止信頼の失墜(信頼回復に2~3年以上)100年に1回以上小100億円未満-信頼の失墜の可能性は低い100年に1回未満 また、エマージングリスクの状況は以下のとおりであります。 <エマージングリスク一覧>No.エマージングリスクリスクの概要対応策の例1革新的な医療技術疾病・傷害の治療方法の変化による保険ニーズの変化革新的な医療技術の状況や影響を調査2生物多様性の喪失生物多様性に関わる物理的リスク(気候変動とのフィードバックループを通じた自然資本の毀損)および移行リスク(規制厳格化、レピュテーション毀損)政策・消費者選好、開示要件の変更による影響を調査するとともに、課題解決の取組みを試行3生成AI等がもたらす新たなリスクAI等のテクノロジーの急速な進展・普及およびそれによる社会的期待の変化に伴う機会逸失、レピュテーション毀損等生成AI等の適切な社内活用を支援し、各種規制・社会的な要請に対応するためのガバナンス態勢を構築4重要インフラの停止(宇宙嵐など不確実性の高い要因を含む)セキュリティが不十分な物理的またはデジタル重要インフラの大規模・長期停止老朽化等と外的要因とが重なって重要インフラが混乱するシナリオを調査・分析 ② 重大リスクの分類ごとのリスクの概要と評価、対応策の状況ア.経営戦略リスク(No.1~12)a.リスクの概要と評価当社グループを取り巻く外部環境が変化し、経営戦略の前提条件が現実の事業環境と合わなくなる、またはグループガバナンス機能(内部統制システムの整備・運用を含む)や戦略的な人材配置が不十分となったなどの場合に経営戦略に合致するビジネスモデルの構築ができないことにより、当社グループの経営成績等に重大な影響が生じるリスクを「経営戦略リスク」と認識しております。影響が大きいと考える環境変化等は以下のとおりであります。 短期的なリスクとしては、急激なインフレ進行による事業コスト・支払保険金の増加を商品・サービス価格に転嫁できないリスクや金融資産の価値下落リスク、気候変動により想定を超える風水災損害が発生するリスク、サステナビリティ関連の取組みが不十分とみられることや、風評がマスコミ報道・インターネット上の記事等に流布された場合にブランド価値が毀損するリスク、デジタル関連等の異業種からの新規参入やAIをはじめデジタル技術進展への対応不十分により競争力・収益基盤が劣化・毀損するリスク、地政学的緊張の高まりによる制裁の応酬や重大事象の発生などによる波及的な影響が生じるリスク、パンデミックによる人々の生活や産業活動への制約等が当社事業に影響を及ぼすリスク、コンプライアンス・顧客保護を重視する健全な組織風土への変革が実現できないリスク、多様な意見が受け入れられるコーポレートカルチャーへの変革が進まないことにより従業員エンゲージメントが低下するリスクなどにより、当社グループの収益力が低下する可能性があります。長期的なリスクとしては、シェアリング経済の拡大や国内の人口減少・高齢化等を背景としたマーケット規模の縮小や技術革新に伴う事故の減少による保険ニーズの減少等が当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また、脱炭素社会への移行に伴い、温室効果ガス(GHG)の高排出セクターの座礁資産化や信用リスクの悪化が、当社グループの保険事業や資産運用に影響を与える可能性があると認識しております。 b.対応策の状況当社グループでは、外部環境の変化は脅威とともに機会をもたらすと捉えて、デジタル戦略、M&A等を実行し、「SOMPOのパーパス」実現へのトランスフォーメーションを進めております。例えば、生成AI活用・データドリブンな意思決定を可能にするワークフローの構成等をはじめとした既存事業の生産性向上、デジタル技術を活用した新商品・サービスなどを通じた新たな顧客価値の創造、それらの実現を支えるデジタル分野の専門人材の採用・育成によるデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めております。経済環境の悪化については、インフレによる世界経済・金融市場の悪化などの日々の変化を注視したうえで、当社グループへの影響を分析し、対応策を講じております。地政学リスクについては、当社グループに大きな影響を及ぼすシナリオの想定と対応体制の検証を行い、規制変更リスクについては、関連する国内外法規制等の動向の情報を収集するなどして、経営上の影響を見極められるよう注視しております。将来のパンデミックについては、新型コロナウイルス感染症拡大の経験を活かし、大きな変化から来る機会と脅威に柔軟に対応できるよう、環境変化への注視など続けてまいります。また、グループガバナンスを適切に機能させるために、グループ会社の内部統制の十分性・実効性を適時・適切に把握する管理・モニタリング体制の強化を進めております。デジタル戦略・M&Aや大規模システム開発等の大規模投資は取締役会等で妥当性を十分議論して実行しておりますが、環境変化や想定を超える困難などのために期待した成果が得られない可能性があるため、実行後も定期的に所定の基準に基づいて妥当性が失われていないことおよび撤退基準に抵触していないことを確認しております。また、気候変動による物理的なリスクについては、自然災害の激甚化などの影響に関して気候シナリオを活用した分析などに取り組んでおります。脱炭素社会への移行に伴うリスクについては、保険引受や資産運用を中心としたグリーントランジションプランを掲げ取組みを進めるとともに、グループCSuOを議長、国内損害保険、海外保険、国内生命保険、介護の各事業のサステナビリティ担当役員およびCSOをメンバーとする「グループサステナブル経営推進協議会」において、これらの取組みの状況把握、協議を行い、必要に応じてGlobal ExCoや経営執行協議会(MAC)に報告する体制を構築しております。風評リスクについては、当社で定める規程に従い適時適切に対応することで、影響の極小化を図っております。人的資本のリスクについて、人事制度面では、人材競争力の向上を図るため、自律的なキャリア形成を促進するジョブ型人事制度や多様な働き方を実現する制度など、自分自身の人生の意義や目的あるいは働く意義である「MYパーパス」に基づくキャリアを描ける人事制度を構築しているほか、自律的な学びを促進するためのプラットフォームを整備して、その機会を従業員に提供しております。また、人材への投資を拡大し、従業員の専門性向上を図り、さらにはグループ役職員の認識・思考・価値観および行動を変革するため、遵守しなければならない行動原則等の策定を含めた、グループ企業理念体系の見直しおよび浸透を図っていく予定であります。なお、2024年4月1日付けでGlobal ExCoおよび経営執行協議会(MAC)はグループ執行会議に改組しております。「気候関連財務情報開示タスクフォースの提言を踏まえた取組み(気候変動リスク)」については、リスクの影響および対応策が広範にわたることから、別途「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 ●気候変動関連情報開示(TCFD提言に基づく情報開示)」に記載しております。 イ.財務・運用リスク(No.13~15)a.リスクの概要と評価市場変動や投融資先・保証保険の保証先・再保険の出再先の破綻・信用力の悪化、大規模災害時の資金繰り悪化等により業績・財政状態が悪化するリスクを「財務・運用リスク」と認識しております。当社グループにおいては国内外の有価証券等に幅広く投資しており、株式・為替相場等の変動により、資産の価値が下落した場合には、売却損や評価損の発生、評価差額金の減少等により、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは予定利率(契約時にお客さまにお約束する運用利回り)を設定した契約期間が長期の保険商品を販売しており、金利の低下局面では、実際の運用利回りが予定利率を下回るリスクがあります。反対に、金利の上昇局面では、主に貯蓄性商品において、お客さまが予定利率の高い商品に乗り換えることに伴う保険契約の解約が増加する可能性があります。さらに国内生命保険事業は、保険商品の長期性から保険負債の金利感応度が大きく、資産の金利感応度とミスマッチが生じることにより、金利変動時に実質自己資本が減少するリスクが大きくなる可能性があります。 b.対応策の状況当社グループは、保有することで保険取引において適正な競争を阻害する要因となりうる株式については、2030年度末を目処に保有残高ゼロとする計画を策定しております。これにより、株式相場下落の影響が一定低減するよう努めております。また為替変動の影響については、グループベースで為替リスク量をモニターし、円高により自己資本が大幅に減少するリスクを管理しております。積立保険の満期返戻金や国内生命保険事業などの長期の保険負債の金利感応度に対しては、長期の投融資を実行することで、資産負債全体の金利感応度を低減させ、実質自己資本に対する金利変動の影響を抑制するとともに、国内生命保険事業では、保障性をはじめとする金利の影響を受けにくい商品の保有割合を高めることにも努めております。投融資にあたっては、特定の与信先への集積を回避するためリミットを設定して管理しております。資金繰りについては保険子会社ごとに管理しており、巨大災害時の資金ニーズや金利上昇に伴う解約増加等に対応できる流動性資産が十分確保されるようにして管理しております。 ウ.オペレーショナルリスクおよびコンプライアンスリスク(No.16~22)a.リスクの概要と評価各種法規制への違反、外部委託先や代理店の管理(公正な取引を含みます。)の失敗、システム障害、サイバー攻撃、長時間労働・ハラスメント等の労務トラブル、顧客情報の漏えい、不正行為、ミスコンダクトなどが発生するリスクを「オペレーショナルリスクおよびコンプライアンスリスク」と認識しております。当社グループは業務を行うにあたり、保険業法をはじめとした各種事業に適用される法規制、海外においては、事業を展開する各国・地域の法規制の適用を受けておりますが、これらの法規制が遵守されないリスクがあります 。また、当社グループが提供する商品・サービスや業務慣行と社会やお客さまをはじめとしたステークホルダーの期待との間にギャップが生じて利用者保護や市場の公正性・透明性などに悪影響を及ぼし、結果として企業価値を毀損するコンダクトリスクがあります。 当社グループのシステムは事業を行う上で重要な要素の一つであり、安定した稼働に向けた管理態勢の整備と適切なセキュリティ対策に努めておりますが、機器の故障や人為的ミスによる情報システムの不備といった内部要因、災害やサイバー攻撃による不正アクセス等の外部要因等により、情報システムの停止、誤作動、不正使用、データ破壊・改ざん等といったシステムリスクがあります。 当社グループは、多数のお客さまの情報を取り扱っているほか、様々な経営情報等の内部情報を保有しており、これらの情報に関しては、グループ各社において、情報管理態勢を整備し、厳重な管理を行っておりますが、サイバー攻撃による場合を含めて重大な情報漏えいが発生するリスクがあります。上記以外にも、事務ミス、外部委託先管理の失敗、従業員の心身の不調、役職員等による不正行為、外部からの犯罪行為、訴訟に伴う賠償金の支払い等、業務運営に伴うさまざまなオペレーショナルリスク・コンプライアンスリスクが存在します。これらのリスクが発生した場合には、直接・間接のコストおよび業務運営の支障発生、金融庁等による行政処分、当社グループの社会的信頼・信用の失墜等により、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 b.対応策の状況当社グループは、当社および損保ジャパンに対する行政処分の指摘を受けて、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり再発防止策を進めております。その中でも、コンプライアンスやお客さま保護を重視する健全な企業風土を醸成し、グループ役職員の認識・思考・価値観および行動を変革するために、遵守しなければならない行動原則等の策定を含めた、グループ企業理念体系の見直しおよび浸透を図っていく予定であります。また、法規制や社会規範および企業倫理に則った適正な企業活動を行うための態勢を整備するだけではなく、グループ各社で発生している不適切事案の具体事例を分析し、共通する課題への対策を実施する等により、グループ全体の内部統制システムの実効性向上に努めてまいります。長時間労働等による労務リスクについては、適正な勤怠管理の徹底に加え、リモート環境下でのマネジメントスキルおよびリモートコミュニケーションの向上を図る体制を整備しております。システム障害、サイバー攻撃といったシステムリスクについては、管理態勢を整備し継続的にシステムリスクの低減等を進めております。中でも日々高度化・巧妙化するサイバー攻撃に対しては、対応能力を継続的に向上させることが何よりも重要と認識し、グループ一丸となってサイバーセキュリティ対策(詳細は下記「サイバーセキュリティへの取組み」を参照)に取り組んでおります。<サイバーセキュリティへの取組み>① 基本方針の策定 当社グループでは、サイバーセキュリティへの取組みにより安心・安全な社会を構築することが企業の社会的責任であるとの認識のもと、「SOMPOグループサイバーセキュリティ基本方針」を定め、グループ全体でサイバーリスク管理態勢の整備に努めております。 ② 管理体制 当社内にサイバーCOE(Center of Excellence)態勢を構築し、情報処理安全確保支援士やCISSP(Certified Information Systems Security Professional)などのサイバーセキュリティ人材が中心となり、グローバルレベルで実効的な態勢の強化を推進しております。その方針や方向性については、グループCIOをはじめとする関連役員による協議を踏まえ決定しており、特に部門横断での対応が求められるレジリエンスの強化に向けては、関係各部が相互に連携しながら対応にあたっております。 ③ リスクの把握と対応計画策定 当社グループでは、グループ各社のサイバーセキュリティ対策状況を定量的にモニタリングし可視化を行う「サイバーメトリックス」を構築しております。サイバーメトリックスは、グループ内の各社から、サイバーセキュリティの管理強度や網羅性に関するデータを集め、それらを統一的に評点化したうえで、ダッシュボード上に視覚的に表示したものです。これにより、各社のサイバーセキュリティ対策状況につき、経営層を含め、共通目線での理解を可能としております。各社の対策状況は、KPIを策定し管理しており、把握した課題に対しては、サイバーCOEや外部コンサルティング会社の知見を活用してPDCAサイクルを通じた改善を継続的に実施しております。 <サイバーメトリックスによるサイバーセキュリティ対策の可視化イメージ> ④ 緊急対応体制・復旧体制 当社内にHD-CSIRT(Computer Security Incident Response Team)を組成し、事案発生時の情報連携や意思決定、フォレンジック調査といった有事の際に必要となる各種対応を適時迅速に行えるよう組織的な整備を行っております。 また、マルウェア感染等のインシデントを想定した実践的なサイバーインシデント演習を定期的に実施し、レジリエンスの強化に努めております。 ⑤ 保護対策の実施 当社グループでは、多層防御を前提とした総合的な技術的対策を実施しております。「ゼロトラストセキュリティ」の考えの下、SASE基盤(Secure Access Service Edge)の導入やSOC(Security Operation Center)での監視等を通し安全性の確保に努めているほか、クラウドの設定ミスを防ぐセキュリティガードレールの適用、インターネット資産の監視と保護を行うサイバーパトロール活動、IT資産を対象とした脆弱性診断、侵入テストの実施といった各種の対策を実施しております。 人的対策としては、当社グループの全従業員を対象にサイバーセキュリティ教育やフィッシングメール訓練を実施し、従業員の倫理観とセキュリティ意識の向上を図っております。また、サイバーセキュリティの知識共有を目的としたイベントや体験型の研修を定期的に開催することで、人材の育成と知識、専門性の向上に努めております。 エ.事業固有リスク(No.23~28)(保険引受リスク)a.リスクの概要と評価国内損害保険事業、海外保険事業および国内生命保険事業において想定外の支払保険金が発生するリスクを「事業固有リスク(保険引受リスク)」と認識しております。当社グループは、国内外の地震・風水災・雹災・雪災等の自然災害による損害に対して巨額の保険金等を支払うことがあり、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。当社グループにおいては特に、気候変動に伴う風水災の頻発や激甚化による支払保険金増加の影響が大きいと認識しており、保険引受収支の悪化や、十分な再保険の手配が困難となる等の影響により、安定した保険の提供が難しくなる可能性もあります。 また、当社グループでは、サイバーリスクの補償を目的とした専用の保険商品を販売しておりますが、ソフトウェアの脆弱性を狙ったサイバー攻撃が大規模に発生した場合などに、同時多発的にお客さまのデータの破壊・窃取、事業中断等に関する保険金等を支払うことにより、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 b.対応策の状況当社グループでは、国内外の自然災害リスクについて、集積が過大とならないよう、グループの資本や利益水準を踏まえたリミット金額を地域別・自然災害種類別に設定し、当該リミットを超えることがないように定期的にモニタリングを実施して適切に管理しております。また、再保険の活用や国内の異常危険準備金等の積み立てを行い、事業の安定化を図るとともに、自然災害による保険金支払のリスクについて気候変動を踏まえて定量的に評価することで、適切な料率設定・商品設計を目指しております。 また、サイバー保険については、モデルや想定されるシナリオに基づき、予想最大損害額の算出を行っており、主要な保険子会社のそれぞれでモニタリングリミットを設けて、リスクの把握と適切な引受水準の維持・管理に努めております。 (介護事業リスク)a.リスクの概要と評価当社グループは、多くの高齢者やそのご家族の多様なニーズにお応えするため、SOMPOケア株式会社が在宅介護から施設介護までフルラインナップの介護サービスを提供しており、介護事業戦略の遂行において介護事業環境を見誤ることや、重大不祥事が発生してブランド価値を毀損するリスクを「事業固有のリスク(介護事業リスク)」と認識しております。介護事業においては、介護保険法の改正ならびに介護報酬の改定、介護市場における競争激化、介護人材の需給ギャップ拡大などに起因する従業員確保の困難、食中毒、集団感染症の発生、高齢者事業特有の事故等の発生およびそれらによる社会的信頼・信用の毀損、風評リスクの発生等により、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 b.対応策の状況SOMPOケア株式会社では、ご利用者さまとの信頼を築くため、コーポレート・ガバナンス体制、事業所管理体制の構築に取り組んでおります。ガバナンス・リスク・クオリティ・コンプライアンス委員会を経営会議の諮問機関として設置し、リスク管理・品質にかかわる重大事象への対応や、内部監査結果などの内部統制に関する事項の審議を実施するとともに、本社リスク管理部門では事故情報を集約し、再発防止策の周知・徹底を図っております。また、リアルデータプラットフォームの技術を活用した介護事業者向けサービスである「egaku」、ICT・最先端テクノロジーの介護現場での有効活用を推進し、生産性向上および処遇改善を通じた介護人材の需給ギャップの解消を目指しております。 オ.その他リスク(No.29)(事業中断リスク)a.リスクの概要と評価大規模地震等の自然災害、大規模テロ攻撃、新型感染症等のパンデミック(世界的な大流行)、サイバー攻撃等による大規模システム障害等が発生し、本社機能、保険金支払、介護サービスの提供などにおける円滑な業務運営が阻害されるリスクを「その他リスク(事業中断リスク)」と認識しており、当該リスクは当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 b.対応策の状況当社グループでは、従来から大規模な地震などの自然災害、新型感染症等のパンデミックの発生、サイバー攻撃等による大規模システム障害発生の有事に備えた業務継続計画を策定し、定期的に訓練を実施するとともに、業務継続計画の有効性の検証を行っております。 また、直近では、東京都防災会議の「首都直下地震等による東京の被害想定」に基づくグループ各社の整備状況の点検や最新の通信手段・電力ファシリティの配備、サイバー対応の有事体制やグループ内連携フローの明確化などを通じ、更なる危機対応力向上へ向け、グループ各社の重要業務の継続のための改善を行っております。
FY2023|10,846 文字
3 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況(以下「経営成績等」といいます。)に重大な影響を及ぼす可能性があると認識している「主要なリスク」および「当該リスクの管理体制・枠組み」は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 主要なリスクの管理体制・枠組み① リスク管理の全体像当社グループのリスク管理の枠組みである戦略的リスク経営(ERM)は、経営における高性能な『羅針盤』として、次の「3つの機能」を強化・高度化し、損失を未然に回避するだけでなく、新規事業投資などの機会損失を低減させることで、当社グループを最適な方向に導く取組みを実施しております。ア. グループが置かれた現在地を正確に把握(現状の多面的な分析) イ. 将来起こりうるリスクを敏感に察知(重要なリスクの的確な把握と対策) ウ.グループが取るべき航路を提示(最適な事業ポートフォリオの提示) 戦略的リスク経営(ERM)は、資本・リスク・収益のバランスを取りながら企業価値の最大化を図る一連の経営管理プロセスとして「戦略執行に係るリスクテイク」と「経営基盤の安定に資するリスクコントロール」の2つの側面を持っております。リスクテイクの側面では、リスクアペタイトフレームワークを中心に資本・リスク・収益に関する分析を重要な経営判断に活かし(上記ウ)、リスクコントロールの側面では、当社グループを取り巻く多様なリスクを特定、分析、評価する仕組み(リスクコントロールシステム)を活用して(上記ア、イ)、不測の損失の極小化と利益の安定を目指しております。 ② リスク管理に関するガバナンス体制当社では、取締役会が制定した「SOMPOグループERM基本方針」に基づき、「戦略的リスク経営(ERM)」の実効性を確保するため、グループ戦略・経営計画と合わせて、リスクテイクの指針としてリスクアペタイト原則、中期リスクテイク戦略およびリスクアペタイト指標からなる「SOMPOグループ リスクアペタイトステートメント」を定めております。また、グループCEOの諮問機関であるGlobal Executive Committee (以下「Global ExCo」といいます。)の下部組織として、グループCROを委員長とするグループERM委員会を設置し、リスクテイク戦略や資本配賦などグループの戦略的リスク経営に関する重要な事項や当社グループを取り巻く重大リスク等について、グループ横断の経営議論を行っております。グループCROは、「SOMPOグループERM基本方針」や「中期グループERM推進方針」をグループ会社に周知徹底し、また定期的なモニタリング、各社CROとのディスカッション等を通じ、グループ全体の戦略的リスク経営の実効性の向上を図っております。 <リスク管理に関するガバナンス体制>③ リスクコントロールシステム、リスクと資本の状況リスクコントロールシステムにおいては、リスクアセスメントを起点として、「重大リスク管理」の枠組みで当社グループを取り巻く重大リスクを網羅的に特定し、定性的・定量的な評価を行っております。また、定量化が可能なリスクについては「自己資本管理」「ストレステスト」「リミット管理」「流動性リスク管理」の枠組みで自己資本、流動性などに与える影響を様々な定量指標により分析・評価し、財務健全性およびその向上に必要なリスクコントロールの施策に関する経営論議を行っております。 ア.重大リスク管理当社グループは、「事業に重大な影響を及ぼす可能性があるリスク」を「重大リスク」と定義し、事業の抱えるリスクを網羅的に把握・評価しております。重大リスクは、グループCROがリスクアセスメントや専門家等の見解に基づいて網羅的に把握し、リスクが当社グループに及ぼす影響を具体的なシナリオで想定した上で、発生頻度および影響度(経済的損失、業務継続性およびレピュテーション毀損の3項目)でリスクを定性・定量の両面から評価し、管理状況を年2回以上、グループCOOの諮問機関である経営執行協議会(Managerial Administrative Committee)(以下「経営執行協議会(MAC)」といいます。)および取締役会に報告しております。変化が大きいリスクや対策等に関する議論が必要なリスクについては、Global ExCoまたは経営執行協議会(MAC)において議論を行っております。また、長期の時間軸で当社グループのビジネスモデルへの影響を評価するために、今後10年以上増大トレンドが続くと想定されるリスクの観点を評価軸に加え、リスク対策の妥当性検証などへの活用を行っております。また、現時点では重大リスクではないものの、環境変化などにより新たに発現または変化し、今後、当社グループに大きな影響を及ぼす可能性のあるリスクを「エマージングリスク」と定め、重大リスクへの変化の予兆を捉えて適切に管理をしております。国内外の専門家の知見も活用して洗い出したエマージングリスク候補をエマージングリスク・レジスターに登録し、そのうち、想定される影響度が一定以上のものをエマージングリスクに選定しております。現在、「革新的な医療技術」、「生物多様性」などのエマージングリスクを選定し、損失軽減の観点だけではなく、新たな保険商品・サービスなどのビジネス機会の観点からモニタリングおよび調査研究を行っております。<重大リスクおよびエマージングリスクの管理プロセス> イ.自己資本管理当社グループが保有する各種リスクを統一的な尺度(VaR:Value at Risk)で定量化し、自己資本がリスク量と比べて充分な水準を維持できるよう管理して、必要に応じ対応策を実施する態勢を整備しております。リスクと資本の状況 2023年3月期においては、事業の拡大などに伴うリスク増加の一方で、政策保有株式の計画的な売却やALMの推進による金利リスクの削減などのリスクコントロールを適切に実施した結果、同年3月末時点の当社グループのESR(注)は223%とターゲットレンジ(200~270%)の範囲内であり、十分な財務健全性を示す水準となっております。 今後も、資本・リスク・リターンの適切なバランスのもとで、財務健全性を維持しつつ資本効率・利益安定性の更なる向上を目指すため、収益性向上とリスク分散を進めるとともに株・金利リスクの削減等に取り組んでまいります。(注)ESR(Economic Solvency Ratio)は、リスクに対して確保している資本の十分性を示す指標であります。 ESR ウ.ストレステスト当社グループの経営に重大な影響を及ぼし得る事象を的確に把握・管理するために、グループベースで「シナリオ・ストレステスト」「リバース・ストレステスト」および「感応度分析」を実施し、資本およびリスクへの影響度を分析して、必要に応じ対応策を実施する態勢を整備しております。また、2023年3月末時点で、当社の想定するストレス下においても十分な資本を有していることを確認しております。シナリオ・ストレステスト大規模な自然災害や金融市場の混乱など、経営に重大な影響を及ぼすストレスシナリオが顕在化した際の影響を評価し、資本の十分性やリスク軽減策の有効性検証などに活用することを目的として実施しております。なお、環境変化などに適切に対応するため、ストレスシナリオの妥当性を定期的に検証しております。リバース・ストレステストリスク許容度などに抵触する具体的な事象を探索することで脆弱性を特定し、あらかじめ具体的なストレス事象を想定した対策を検討することを目的として実施しております。感応度分析主なリスク要因の変動が資本とリスクに与える影響を把握するとともに、内部モデルが算出した理論値と実績値との比較を行い、内部モデルの妥当性を検証することを目的として実施しております。 エ.リミット管理 特定事象の発現により多額の損失が生じることを回避するため、与信リスク、出再リスク、海外自然災害リスクの各々に対してグループベースで最大限度額を設定し管理しており、2023年3月末時点で各最大限度額に抵触していないことを確認しております。また、各限度額の枠内で予備的にリミット管理を行っております。 オ.流動性リスク管理 日々の資金繰り管理のほか、巨大災害発生時などの最大資金流出額を予想し、それに対応できる流動性資産が十分に確保されるよう管理しており、2023年3月末時点で当社に最大の資金流出をもたらすシナリオに対しても、十分な流動性資産を有していることを確認しております。 (2) 主要なリスク① 重大リスクおよびその発生可能性・影響度の評価経営者が当社グループの経営成績等に重大な影響を及ぼす可能性があると認識している「主要なリスク」は、当社グループが定義する「重大リスク」であります。重大リスクおよびその発生可能性・影響度の評価は、下記のとおりであります。<重大リスク一覧> 分類No.重大リスクア.経営戦略リスク 外部環境1競争環境の悪化・転換2大規模景気後退3地政学リスク4パンデミック5税制・規制の変更事業戦略6ガバナンス不十分7新事業に係るリスクの見誤り8システム戦略9気候変動リスク(物理的リスク・移行リスク)10サステナビリティリスク11風評リスク人材・要員12人材・人材力不足イ.財務・運用リスク 市場リスク13市場の大幅悪化信用集中リスク14投融資先、出再先の破綻流動性リスク15大規模災害時の資金繰りウ.オペレーショナルリスクおよびコンプライアンスリスク 事務リスク16委託先管理の失敗システムリスク17システム障害18サイバーセキュリティコンプライアンスリスク等19労務リスク20顧客情報漏えい(サイバー攻撃を除く)21不祥事・機密情報漏えい22コンダクトリスクエ.事業固有リスク 保険引受リスク 自然災害23国内巨大地震24国内巨大風水災25海外巨大自然災害その他26サイバー集積リスク 介護事業リスク 介護事業リスク27介護事業環境の見誤り28重大不祥事件オ.その他リスク -29事業中断リスク <重大リスクのヒートマップ(発生可能性・影響度)> 影響度発生可能性 経済的損失業務継続性レピュテーション毀損極大5,000億円以上事業免許の取消し信頼の極めて大幅な失墜1年に1回以上大2,000億円以上主要な業務の停止信頼の大幅な失墜(信頼回復に5年以上)10年に1回以上中100億円以上一部の業務の停止信頼の失墜(信頼回復に2~3年以上)100年に1回以上小100億円未満-信頼の失墜の可能性は低い100年に1回未満 変化が大きいリスク・・・変化の速度が速いまたはその幅が大きいと想定されるリスク長期的増大トレンドにあるリスク・・・今後10年以上増大トレンドが続くと想定されるリスク ② 重大リスクの分類ごとのリスクの概要と評価、対応策の状況ア.経営戦略リスク(No.1~12)a.リスクの概要と評価当社グループを取り巻く外部環境が変化し、経営戦略の前提条件が現実の事業環境と合わなくなる、またはガバナンス機能や人材ニーズ対応が不十分となったなどの場合に経営戦略に合致するビジネスモデルの構築ができないことにより、当社グループの経営成績等に重大な影響が生じるリスクを「経営戦略リスク」と認識しております。影響が大きいと考える環境変化等は以下のとおりであります。 短期的なリスクとしては、急激なインフレ進行による事業コストや支払保険金の増加を商品・サービス価格に転嫁できないリスクや金融資産の価値減少リスク、気候変動により想定を超える風水災損害が発生するリスク、サステナビリティ関連の取組みが不十分とみられることや、風評がマスコミ報道・インターネット上の記事等に流布された場合にブランド価値が毀損するリスク、デジタル関連等の異業種からの新規参入やAIをはじめデジタル技術進展への対応不十分により競争力・収益基盤が劣化・毀損するリスク、地政学的緊張の高まりによる制裁の応酬や重大事象の発生などによる波及的な影響が生じるリスクなどにより、当社グループの収益力が低下する可能性があります。長期的なリスクとしては、シェアリング経済の拡大や少子・高齢化等を背景としたマーケット規模の縮小や技術革新に伴う事故の減少による保険ニーズの減少およびパンデミックによる人々の生活や産業活動への制約等が当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また、脱炭素社会への移行に伴い、温室効果ガス(GHG)の高排出セクターの座礁資産化や信用リスクの悪化が、当社グループの保険事業や資産運用に影響を与える可能性があると認識しております。 b.対応策の状況当社グループでは、外部環境の変化は脅威とともに機会をもたらすと捉えて、デジタル戦略、M&A等を実行し、「安心・安全・健康のテーマパーク」へのトランスフォーメーションを進めております。例えば、AI・ビッグデータ等の技術を活用した既存事業の生産性向上、デジタル技術を活用した新商品・サービスなどを通じた新たな顧客価値の創造、デジタル分野の専門人材の採用・育成によるデジタルトランスフォーメーション(DX)基盤の構築を進めております。経済環境の悪化については、インフレによる世界経済・金融市場の悪化などの日々の変化を注視したうえで、当社グループへの影響を分析し、対応策を講じております。地政学リスクについては、当社グループに悪影響を及ぼすシナリオの検討を行い、規制変更リスクについては、関連する国内外法規制等の動向の情報を収集するなどして、経営上の影響を見極められるよう注視しております。デジタル戦略・M&Aや大規模システム開発等の大規模投資は取締役会等で妥当性を十分議論して実行しておりますが、環境変化や想定を超える困難などのために期待した成果が得られない可能性があるため、実行後も定期的に所定の基準に基づいて妥当性が失われていないことおよび撤退基準に抵触していないことを確認しております。将来のパンデミックについては、新型コロナウイルス感染症拡大の経験を活かし、大きな変化から来る機会と脅威に柔軟に対応できるよう、環境変化への注視など続けてまいります。また、気候変動による物理的なリスクについては、自然災害の激甚化などの影響に関して気候シナリオを活用した分析などに取り組んでおります。脱炭素社会への移行に伴うリスクについては、保険引受や資産運用を中心としたグリーントランジションプランを掲げ取組みを進めるとともに、グループCSuOを議長、国内損害保険、海外保険、国内生命保険、介護・シニアの各事業のCSuO(サステナビリティの統括責任者を含む)およびCSOをメンバーとする「グループサステナブル経営推進協議会」において、これらの取組みの状況把握、協議を行い、必要に応じてGlobal ExCoや経営執行協議会(MAC)に報告する体制を構築しております。風評リスクについては、当社で定める規程に従い適時適切に対応することで、影響の極小化を図っております。「気候関連財務情報開示タスクフォースの提言を踏まえた取組み(気候変動リスク)」については、リスクの影響および対応策が広範にわたることから、別途「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 ●気候変動関連情報開示(TCFD提言に基づく情報開示)」に記載しております。 イ.財務・運用リスク(No.13~15)a.リスクの概要と評価市場変動や投融資先・保証保険の保証先・再保険の出再先の破綻、大規模災害時の資金繰り悪化等により業績・財政状態が悪化するリスクを「財務・運用リスク」と認識しております。当社グループにおいては特に、国内株式の価格変動や金利変動の影響が大きいと認識しております。 当社グループは、お客さまとの中長期的な関係維持の観点等から、多くの株式を保有しているほか、安定的な資産運用収益を得るため、国内外の有価証券等に幅広く投資しております。株式相場の下落等により、これらの資産の価値が減少した場合には、売却損や評価損の発生、評価差額金の減少等により、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 また、当社グループは予定利率(契約時にお客さまにお約束する運用利回り)を設定した契約期間が長期の保険商品を販売しており、金利低下により、実際の運用利回りが予定利率を下回るリスクがあります。さらに国内生命保険事業では、保有する有価証券のデュレーションに対して保険負債のデュレーションが長期であることから、金利低下により、経済価値ベースの保険負債の増加額が有価証券等時価の増加額を上回るため、実質自己資本を減少させるリスクがあります。 b.対応策の状況当社グループは、政策保有株式を継続的に削減することにより、株式相場下落の影響を低減するよう努めております。積立保険の満期返戻金や国内生命保険事業などの長期の保険負債に対しては、キャッシュ・フローに見合う長期の投融資を実行することで金利変動の影響を抑制するとともに、国内生命保険事業では、経済価値ベースの保険負債に対して金利低下の影響を受けにくい保障性商品の保有割合を高めることにも努めております。投融資にあたっては、特定の与信先への集積を回避するためリミットを設定して管理しております。資金繰りについては保険子会社ごとに管理しており、巨大災害時の資金ニーズや金利上昇に伴う解約増加等に対応できる流動性資産が十分確保されるようにして管理しております。 ウ.オペレーショナルリスク・コンプライアンスリスク(No.16~22)a.リスクの概要と評価各種法規制への違反、外部委託先や代理店の管理の失敗、システム障害、サイバーセキュリティ、長時間労働・ハラスメント等の労務トラブル、顧客情報の漏えい、不正行為、ミスコンダクトなどが発生するリスクを「オペレーショナルリスク・コンプライアンスリスク」と認識しております。当社グループは、保険業法をはじめとして各種事業に適用される法規制、事業を展開する各国で適用される法規制を遵守して事業を遂行しておりますが、これらの法規制へ違反した場合、金融庁等からの行政処分を受ける可能性があります。 人為的ミスによる情報システムの不備等の内部要因、サイバー攻撃による不正アクセス等の外部要因により、情報システムの停止、誤作動、不正使用等が発生するシステムリスクがあります。また、当社グループは、多数のお客さまの情報を取り扱っているほか、様々な経営情報等の内部情報を保有しており、これらの情報に関しては、グループ各社において、情報管理態勢を整備し、厳重な管理を行っておりますが、サイバー攻撃による場合を含め、万一重大な情報漏えいが発生した場合には、当社グループの社会的信頼・信用が失墜する、あるいは対応費用の支払いが発生することにより、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 事務ミス、外部委託先管理の失敗、従業員の心身の不調、役職員等による不正行為、外部からの犯罪行為、訴訟に伴う賠償金の支払い等の発現により、直接・間接のコストおよび業務運営の支障発生、金融庁等による行政処分、当社グループの社会的信頼・信用の失墜等の影響を受ける可能性があります。 社会意識やお客さまの嗜好・行動の変化によって当社グループの商品・サービスや業務慣行とステークホルダーの期待との間にギャップが生じて利用者保護などに悪影響を及ぼし、結果としてブランド価値を毀損するコンダクトリスクがあります。 b.対応策の状況当社グループは、各事業の高い公共的使命および社会的責任を常に認識し、「SOMPOグループ コンプライアンス基本方針」をはじめとする各種方針の下、法令等のルールや社会規範および企業倫理に則った適正な企業活動を行う態勢を整備しております。また、「SOMPOグループ コンプライアンス行動規範」を定めて当社グループ内の役職員に周知徹底し、役職員一人ひとりのコンプライアンス意識を醸成しております。システム障害のリスクについては、システムリスク管理態勢を整備し、継続的にシステムリスクの低減等を進めております。サイバー攻撃のリスクについては、サイバーセキュリティへの取組みが企業の社会的責任であるとの認識のもと「SOMPOグループ サイバーセキュリティ基本方針」を定め、グループ各社における対応態勢の整備を継続して進めるとともに、当社内に専門組織を設置し、グループ全体での包括的・横断的な対策を通してグループ会社と共にサイバーセキュリティの成熟度の向上を目指しております。長時間労働等による労務リスクについては、適正な勤怠管理の徹底に加え、リモート環境下でのマネジメントスキルおよびリモートコミュニケーションの向上を図る体制整備を進めております。コンダクトリスクに関しては、予兆把握・未然防止の取組みを実施し、外部委託先管理については、委託開始から委託の解除までプロセスに応じた適切な管理を行うことを定めるなど管理態勢を構築しております。 エ.事業固有リスク(No.23~28)(保険引受リスク)a.リスクの概要と評価国内損害保険事業、海外保険事業および国内生命保険事業において想定外の支払保険金が発生するリスクを「事業固有リスク(保険引受リスク)」と認識しております。当社グループは、国内外の地震・風水災・雪害等の自然災害による損害に対して巨額の保険金等を支払うことがあり、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。当社グループにおいては特に、気候変動に伴う風水災の頻発や激甚化による支払保険金増加の影響が大きいと認識しており、保険引受収支が悪化する等の影響が生じることにより、安定した保険の提供が難しくなる可能性もあります。 また、当社グループでは、サイバーリスクの補償を目的とした専用の保険商品を販売しておりますが、ソフトウェアの脆弱性を狙ったサイバー攻撃が大規模に発生した場合などに、同時多発的にお客さまのデータの破壊・窃取、事業中断等に関する保険金等を支払うことにより、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 b.対応策の状況当社グループでは、国内の自然災害リスクに備えて、再保険の活用や異常危険準備金等の積み立てを行い、事業の安定化を図るとともに、自然災害による保険金支払のリスクについて気候変動を踏まえて定量的に評価することで、適切な料率設定・商品設計を目指しております。 なお、海外の自然災害リスクについては、集積が過大とならないよう、グループの資本や利益水準を踏まえたリミット金額を地域別・自然災害種類別に設定し、当該リミットを超えることがないように定期的にモニタリングを実施して適切に管理しております。 また、サイバー保険については、モデルや想定されるシナリオに基づき、予想最大損害額の算出を行っており、リスクの把握と適切な引受水準の維持に努めております。 (介護事業リスク)a.リスクの概要と評価当社グループは、多くの高齢者やそのご家族の多様なニーズにお応えするため、SOMPOケア株式会社が在宅介護から施設介護までフルラインナップの介護サービスを提供しており、介護事業戦略の遂行において介護事業環境を見誤ることや、重大不祥事が発生してブランド価値を毀損するリスクを「事業固有のリスク(介護事業リスク)」と認識しております。介護事業においては、介護保険法の改正ならびに介護報酬の改定、介護市場における競争激化、介護人材の需給ギャップ拡大などに起因する従業員確保の困難、食中毒、集団感染症の発生、高齢者事業特有の事故等の発生およびそれらによる社会的信頼・信用の毀損、風評リスクの発生等により、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 b.対応策の状況SOMPOケア株式会社では、ご利用者さまとの信頼を築くため、コーポレート・ガバナンス体制、事業所管理体制の構築に取り組んでおります。ガバナンス・リスク・クオリティ・コンプライアンス委員会を経営会議の諮問機関として設置し、リスク管理・品質にかかわる重大事象への対応や、内部監査結果などの内部統制に関する事項の審議を実施するとともに、本社リスク管理部門では事故情報を集約し、再発防止策の周知・徹底を図っております。また、リアルデータプラットフォームの技術を活用した介護事業者向けサービスである「egaku」、ICT・最先端テクノロジーの介護現場での有効活用を推進し、生産性向上および処遇改善を通じた介護人材の需給ギャップの解消を目指しております。さらに、生産性、品質の高い介護サービスのノウハウを活かした介護事業者へソリューションを提供するビジネスプロセスサポートの展開、認知機能低下予防サービスの推進を通じ、超高齢社会の日本が抱える社会的課題の解決を目指してまいります。 オ.その他リスク(No.29)(事業中断リスク)a.リスクの概要と評価大規模地震等の自然災害、大規模テロ攻撃、新型感染症等のパンデミック(世界的な大流行)、サイバー攻撃等による大規模システム障害等が発生し、本社機能、保険金支払、介護サービスの提供などにおける円滑な業務運営が阻害されるリスクを「その他リスク(事業中断リスク)」と認識しており、当該リスクは当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 b.対応策の状況当社グループでは、従来から大規模な地震などの自然災害、新型感染症等のパンデミックの発生、サイバー攻撃等による大規模システム障害発生の有事に備えた業務継続計画を策定し、定期的に訓練を実施するとともに、業務継続計画の有効性の検証を行っております。 また、直近では、東京都防災会議の新たな「首都直下地震等による東京の被害想定」に基づくグループ各社の整備状況の点検およびサイバー対応の有事体制やグループ内連携フローの明確化などを通じ、更なる危機対応力向上へ向け、グループ各社の重要業務の継続のための改善を行っております。
FY2022|18,857 文字
2 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況(以下「経営成績等」といいます。)に重大な影響を及ぼす可能性があると認識している「主要なリスク」および「当該リスクの管理体制・枠組み」は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 主要なリスクの管理体制・枠組み① リスク管理の全体像異常気象による自然災害の頻発化・激甚化、地政学的な緊張の高まりや急激に進行するインフレによる世界経済・金融市場への影響など、事業環境の不確実性が高まる中、リスク管理の役割がますます重要になってきております。当社グループのリスク管理の枠組みである戦略的リスク経営(ERM)は、経営における高性能な『羅針盤』として、次の「3つの機能」を強化・高度化し、損失を未然に回避するだけでなく、新規事業投資などの機会損失を低減させることで、当社グループを最適な方向に導く取組みを実施しております。ア. グループが置かれた現在地を正確に把握(現状の多面的な分析) イ. 将来起こりうるリスクを敏感に察知(重要なリスクの的確な把握と対策) ウ.グループが取るべき航路を提示(最適な事業ポートフォリオの提示) 戦略的リスク経営(ERM)は、資本・リスク・収益のバランスを取りながら企業価値の向上を図る一連の経営管理プロセスとして「戦略執行に係るリスクテイク」と「経営基盤の安定に資するリスクコントロール」の2つの側面を持っております。リスクテイクの側面では、リスクアペタイトフレームワークを中心に資本・リスク・収益に関する分析を重要な経営判断に活かし(上記ウ)、リスクコントロールの側面では、当社グループを取り巻く多様なリスクを特定、分析、評価する仕組み(リスクコントロールシステム)を活用して(上記ア、イ)、不測の損失の極小化と利益の安定を目指しております。 <SOMPOグループの戦略的リスク経営(ERM)の3つの機能と全体像> ② リスク管理に関するガバナンス体制当社では、取締役会が制定した「SOMPOグループERM基本方針」に基づき、「戦略的リスク経営(ERM)」の実効性を確保するため、グループ戦略・経営計画と合わせて、リスクテイクの指針としてリスクアペタイト原則、中期リスクテイク戦略およびリスクアペタイト指標からなる「SOMPOグループ リスクアペタイトステートメント」を定めております。また、グループCEOの諮問機関であるGlobal Executive Committee (以下「Global ExCo」といいます。)の下部組織として、グループCROを委員長とするグループERM委員会を設置し、リスクテイク戦略や資本配賦などグループの戦略的リスク経営に関する重要な事項や当社グループを取り巻く重大リスク等について、グループ横断の経営議論を行っております。グループCROは、「SOMPOグループERM基本方針」や「中期グループERM推進方針」をグループ会社に周知徹底し、また定期的なモニタリング、各社CROとのディスカッション等を通じ、グループ全体の戦略的リスク経営の実効性の向上を図っております。 <リスク管理に関するガバナンス体制>③ リスクコントロールシステム、リスクと資本の状況リスクコントロールシステムにおいては、リスクアセスメントを起点として、「重大リスク管理」の枠組みで当社グループを取り巻く重大リスクを網羅的に特定し、定性的・定量的な評価を行っております。また、定量化が可能なリスクについては「自己資本管理」「ストレステスト」「リミット管理」「流動性リスク管理」の枠組みで自己資本、流動性などに与える影響を様々な定量指標により分析・評価し、財務健全性およびその向上に必要なリスクコントロールの施策に関する経営論議を行っております。 ア.重大リスク管理当社グループは、「事業に重大な影響を及ぼす可能性があるリスク」を「重大リスク」と定義し、事業の抱えるリスクを網羅的に把握・評価しております。重大リスクは、グループCROがリスクアセスメントや専門家等の見解に基づいて網羅的に把握し、リスクが当社グループに及ぼす影響を具体的なシナリオで想定した上で、発生頻度および影響度(経済的損失、業務継続性およびレピュテーション毀損の3項目)でリスクを定性・定量の両面から評価し、管理状況を年2回以上、グループCOOの諮問機関である経営執行協議会(Managerial Administrative Committee)(以下「経営執行協議会(MAC)」といいます。)および取締役会に報告しております。変化が大きいリスクや対策等に関する議論が必要なリスクについては、Global ExCoまたは経営執行協議会(MAC)において議論を行っております。また、長期の時間軸で当社グループのビジネスモデルへの影響を評価するために、今後10年以上増大トレンドが続くと想定されるリスクの観点を評価軸に加え、リスク対策の妥当性検証などへの活用を行っております。 また、現時点では重大リスクではないものの、環境変化などにより新たに発現または変化し、今後、当社グループに大きな影響を及ぼす可能性のあるリスクを「エマージングリスク」と定め、重大リスクへの変化の予兆を捉えて適切に管理をしております。国内外の専門家の知見も活用して洗い出したエマージングリスク候補をエマージングリスク・レジスターに登録し、そのうち、想定される影響度が一定以上のものをエマージングリスクに選定しております。現在、「革新的な医療技術」、「生物多様性」など4件のエマージングリスクを選定し、損失軽減の観点だけではなく、新たな保険商品・サービスなどのビジネス機会の観点からモニタリングおよび調査研究を行っております。<重大リスクおよびエマージングリスクの管理プロセス> イ.自己資本管理当社グループが保有する各種リスクを統一的な尺度(VaR:Value at Risk)で定量化し、自己資本がリスク量と比べて充分な水準を維持できるよう管理して、必要に応じ対応策を実施する態勢を整備しております。リスクと資本の状況 当社グループでは、政策保有株式の計画的な売却によって、国内株式の価格変動によるリスクの削減を着実に行ってまいりました。2022年3月末時点の当社グループのESR(注)は246%であり、十分な財務健全性を示す水準となっております。 資本・リスク・リターンの適切なバランスのもとで、財務健全性を維持しつつ資本効率・利益安定性の更なる向上を目指すため、収益性向上とリスク分散を進めるとともに株・金利リスクの削減等に取り組んでまいります。(注)ESR(Economic Solvency Ratio)は、リスクに対して確保している資本の十分性を示す指標であります。 ウ.ストレステスト当社グループの経営に重大な影響を及ぼし得る事象を的確に把握・管理するために、グループベースで「シナリオ・ストレステスト」「リバース・ストレステスト」および「感応度分析」を実施し、資本およびリスクへの影響度を分析して、必要に応じ対応策を実施する態勢を整備しております。また、2022年3月末時点で、当社の想定するストレス下においても十分な資本を有していることを確認しております。シナリオ・ストレステスト大規模な自然災害や金融市場の混乱など、経営に重大な影響を及ぼすストレスシナリオが顕在化した際の影響を評価し、資本の十分性やリスク軽減策の有効性検証などに活用することを目的として実施しております。なお、環境変化などに適切に対応するため、ストレスシナリオの妥当性を定期的に検証しております。リバース・ストレステストリスク許容度などに抵触する具体的な事象を探索することで脆弱性を特定し、あらかじめストレス事象に備える対策を検討することを目的として実施しております。感応度分析主なリスク要因の変動が資本とリスクに与える影響を把握するとともに、内部モデルが算出した理論値と実績値との比較を行い、内部モデルの妥当性を検証することを目的として実施しております。 エ.リミット管理 特定事象の発現により多額の損失が生じることを回避するため、与信リスク、出再リスク、海外自然災害リスクの各々に対してグループベースで最大限度額を設定し管理しており、2022年3月末時点で最大与信等限度額に抵触していないことを確認しております。また、各限度額の枠内で予備的にリミット管理を行っております。 オ.流動性リスク管理 日々の資金繰り管理のほか、巨大災害発生時などの最大資金流出額を予想し、それに対応できる流動性資産が十分に確保されるよう管理しており、2022年3月末時点で当社に最大の資金流出をもたらすシナリオに対しても、十分な流動性資産を有していることを確認しております。 (2) 主要なリスク① 重大リスクおよびその発生可能性・影響度の評価経営者が当社グループの経営成績等に重大な影響を及ぼす可能性があると認識している「主要なリスク」は、当社グループが定義する「重大リスク」であります。重大リスクおよびその発生可能性・影響度の評価は、下記のとおりであります。 <重大リスク一覧> 分類No.重大リスクア.経営戦略リスク 外部環境1競争環境の悪化・転換2経済環境の悪化3地政学リスク4パンデミック5税制・規制の変更事業戦略6ガバナンス不十分7新事業に係るリスクの見誤り8大型システム開発プロジェクトの遅延等9気候変動リスク(物理的リスク・移行リスク)10サステナビリティリスク11風評リスク人材・要員12人材・人材力不足イ.財務・運用リスク 市場リスク13市場の大幅悪化信用集中リスク14投融資先、出再先の破綻流動性リスク15大規模災害時の資金繰りウ.オペレーショナルリスクおよびコンプライアンスリスク 事務リスク16委託先管理の失敗システムリスク17システム障害18サイバーセキュリティコンプライアンスリスク等19労務リスク20顧客情報漏えい(サイバー攻撃を除く)21不祥事・機密情報漏えい22コンダクトリスクエ.事業固有リスク 保険引受リスク 自然災害23国内巨大地震24国内巨大風水災25海外巨大自然災害その他26サイバー集積リスク 介護事業リスク 介護事業リスク27介護事業環境の見誤り28介護事業における重大不祥事件発生オ.その他リスク -29事業中断リスク <重大リスクのヒートマップ(発生可能性・影響度)> 影響度発生可能性 経済的損失業務継続性レピュテーション毀損極大5,000億円以上事業免許の取消し信頼の極めて大幅な失墜1年に1回以上大2,000億円以上主要な業務の停止信頼の大幅な失墜(信頼回復に5年以上)10年に1回以上中100億円以上一部の業務の停止信頼の失墜(信頼回復に2~3年以上)100年に1回以上小100億円未満-信頼の失墜の可能性は低い100年に1回未満 変化が大きいリスク・・・変化の速度が速いまたはその幅が大きいと想定されるリスク長期的増大トレンドにあるリスク・・・今後10年以上増大トレンドが続くと想定されるリスク ② 重大リスクの分類ごとのリスクの概要と評価、対応策の状況ア.経営戦略リスク(No.1~12)a.リスクの概要と評価当社グループを取り巻く外部環境が変化し、経営戦略の前提条件が現実の事業環境と合わなくなる、またはガバナンス機能や人材ニーズ対応が不十分となったなどの場合に経営戦略に合致するビジネスモデルの構築ができないことにより、当社グループの経営成績等に重大な影響が生じるリスクを「経営戦略リスク」と認識しております。影響が大きいと考える環境変化等は以下のとおりであります。 短期的なリスクとしては、急激なインフレ進行による事業コストや支払保険金の増加を商品・サービス価格に転嫁できないリスクや金融資産の価値減少リスク、気候変動により想定を超える風水災損害が発生するリスク、サステナビリティ関連の取組みが不十分とみられることや、風評がマスコミ報道・インターネット上の記事等に流布された場合にブランド価値が毀損するリスク、デジタル関連等の異業種からの新規参入やデジタル技術進展への対応不十分により競争力・収益基盤が劣化・毀損するリスク、各国間の産業競争の激化などにより事業機会を制約されるリスクなどにより、当社グループの収益力が低下する可能性があります。長期的なリスクとしては、シェアリング経済の拡大や少子・高齢化等を背景としたマーケット規模の縮小や技術革新に伴う事故の減少による保険ニーズの減少およびパンデミックによる人々の生活や産業活動への制約等が当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また、脱炭素社会への移行に伴い、温室効果ガス(GHG)の高排出セクターの座礁資産化や信用リスクの悪化が、当社グループの保険事業や資産運用に影響を与える可能性があると認識しております。 b.対応策の状況当社グループでは、外部環境の変化は脅威とともに機会をもたらすと捉えて、デジタル戦略、M&A等を実行し、「安心・安全・健康のテーマパーク」へのトランスフォーメーションを進めております。例えば、AI・ビッグデータ等の技術を活用した既存事業の生産性向上、デジタル技術を活用した新商品・サービスなどを通じた新たな顧客価値の創造、デジタル分野の専門人材の採用・育成によるデジタルトランスフォーメーション(DX)基盤の構築を進めております。経済環境の悪化については、急激に進行するインフレによる世界経済・金融市場の悪化などの日々の変化を注視したうえで、当社グループへの影響を分析し、対応策を講じております。地政学リスクについては、悪影響を及ぼすシナリオの検討を行い、規制変更リスクについては、関連する国内外法規制等の動向の情報を収集するなどして、経営上の影響を見極められるよう注視しております。デジタル戦略・M&Aや大規模システム開発等の大規模投資は取締役会等で妥当性を十分議論して実行しておりますが、環境変化や想定を超える困難などのために期待した成果が得られない可能性があるため、実行後も定期的に所定の基準に基づいて妥当性が失われていないことおよび撤退基準に抵触していないことを確認しております。将来のパンデミックについては、新型コロナウイルス感染症拡大の経験を活かし、大きな変化から来る機会と脅威に柔軟に対応できるよう、環境変化への注視など続けてまいります。また、気候変動による物理的なリスクについては、自然災害の激甚化などの影響に関して気候シナリオを活用した分析などに取り組んでおります。脱炭素社会への移行に伴うリスクについては、保険引受や資産運用を中心としたグリーントランジションプランを掲げ取組を進めるとともに、グループCSuOを議長、グループ各社の役員をメンバーとする「グループサステナブル経営推進協議会」において、これらの取組みの状況把握、協議を行い、必要に応じてGlobal ExCoや経営執行協議会(MAC)に報告する体制を構築しております。風評には、当社で定める規程に従い適時適切に対応することで、影響の極小化を図っております。 リスクの影響および対応策が広範にわたることから「気候関連財務情報開示タスクフォースの提言を踏まえた取組み(気候変動リスク)」について、別途本項目の(3)に記載しております。 イ.財務・運用リスク(No.13~15)a.リスクの概要と評価市場変動や投融資先・保証保険の保証先・再保険の出再先の破綻、大規模災害時の資金繰り悪化等により業績・財政状態が悪化するリスクを「財務・運用リスク」と認識しております。当社グループにおいては特に、国内株式の価格変動や金利変動の影響が大きいと認識しております。 当社グループは、お客さまとの中長期的な関係維持の観点等から、大量の株式を保有しているほか、安定的な資産運用収益を得るため、国内外の有価証券等に幅広く投資しております。株式相場の下落等により、これらの資産の価値が減少した場合には、売却損や評価損の発生、評価差額金の減少等により、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 また、当社グループは予定利率(契約時にお客さまにお約束する運用利回り)を設定した契約期間が長期の保険商品を販売しており、金利低下により、実際の運用利回りが予定利率を下回るリスクがあります。さらに国内生命保険事業では、保有する有価証券のデュレーションに対して保険負債のデュレーションが長期であることから、金利低下により、経済価値ベースの保険負債の増加額が有価証券等時価の増加額を上回るため、実質自己資本を減少させるリスクがあります。 b.対応策の状況当社グループは、政策保有株式を継続的に削減することにより、株式相場下落の影響を低減するよう努めております。また、積立保険の満期返戻金や国内生命保険事業などの保険負債のキャッシュ・フローに見合う長期の投融資を実行することにより、金利変動の影響が小さくなるよう努めるとともに、投融資等に関する集積リスクに対してはリミットを設定して管理しております。さらに国内生命保険事業では、経済価値ベースの保険負債に対して金利低下の影響を受けにくい保障性商品の保有割合を高めることにも努めております。資金繰りについては保険子会社ごとに管理しており、巨大災害時の資金ニーズや金利上昇に伴う解約増加等に対応できる流動性資産が十分確保されるようにして管理しております。 ウ.オペレーショナルリスク・コンプライアンスリスク(No.16~22)a.リスクの概要と評価各種法規制への違反、外部委託先の管理の失敗、システム障害、サイバーセキュリティ、長時間労働等による労務トラブル、顧客情報の漏えい、不正行為、ミスコンダクトなどが発生するリスクを「オペレーショナルリスク・コンプライアンスリスク」と認識しております。当社グループは、保険業法をはじめとして各種事業に適用される法規制、事業を展開する各国で適用される法規制を遵守して事業を遂行しておりますが、これらの法規制へ違反した場合、金融庁等からの行政処分を受ける可能性があります。 人為的ミスによる情報システムの不備等の内部要因、サイバー攻撃による不正アクセス等の外部要因により、情報システムの停止、誤作動、不正使用等が発生するシステムリスクがあります。また、当社グループは、多数のお客さまの情報を取り扱っているほか、様々な経営情報等の内部情報を保有しており、これらの情報に関しては、グループ各社において、情報管理態勢を整備し、厳重な管理を行っておりますが、サイバー攻撃による場合を含め、万一重大な情報漏えいが発生した場合には、当社グループの社会的信頼・信用が失墜する、あるいは対応費用の支払いが発生することにより、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 事務ミス、外部委託先管理の失敗、従業員の心身の不調、役職員等による不正行為、外部からの犯罪行為、訴訟に伴う賠償金の支払い等の発現により、直接・間接のコストおよび業務運営の支障発生、金融庁等による行政処分、当社グループの社会的信頼・信用の失墜等の影響を受ける可能性があります。 社会意識やお客さまの嗜好・行動の変化によって当社グループの商品・サービスや業務慣行とステークホルダーの期待との間にギャップが生じて利用者保護などに悪影響を及ぼし、結果としてブランド価値を毀損するコンダクトリスクがあります。 b.対応策の状況当社グループは、各事業の高い公共的使命および社会的責任を常に認識し、「SOMPOグループ コンプライアンス基本方針」をはじめとする各種方針の下、法令等のルールや社会規範および企業倫理に則った適正な企業活動を行う態勢を整備しております。また、「SOMPOグループ コンプライアンス行動規範」を定めて当社グループ内の役職員に周知徹底し、役職員一人ひとりのコンプライアンス意識を醸成しております。システム障害のリスクについては、システムリスク管理態勢を整備し、継続的にシステムリスクの低減等を進めております。サイバー攻撃のリスクについては、サイバーセキュリティへの取組みが企業の社会的責任であるとの認識のもと「SOMPOグループ サイバーセキュリティ基本方針」を定め、グループ各社における対応態勢の整備を継続して進めるとともに、当社内に専門組織を設置し、グループ全体での包括的・横断的な対策を通してグループ会社と共にサイバーセキュリティの成熟度の向上を目指しております。長時間労働等による労務リスクについては、適正な勤怠管理の徹底に加え、リモート環境下でのマネジメントスキルおよびリモートコミュニケーションの向上を図る体制整備を進めております。コンダクトリスクに関しては、予兆把握・未然防止の取組を実施し、外部委託先管理については、委託開始から委託の解除までプロセスに応じた適切な管理を行うことを定めるなど管理態勢を構築しております。 エ.事業固有リスク(No.23~28)(保険引受リスク)a.リスクの概要と評価国内損害保険事業、海外保険事業および国内生命保険事業において想定外の支払保険金が発生するリスクを「事業固有リスク(保険引受リスク)」と認識しております。当社グループにおいては特に、気候変動に伴う風水災の増加による支払保険金増加の影響が大きいと認識しております。 当社グループは、国内外の地震・風水災・雪害等の自然災害による損害に対して巨額の保険金等を支払うことがあり、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また、気候変動に伴う風水災の頻発や激甚化によって、支払保険金が増加し、保険引受収支が悪化する等の影響が生じることにより、安定した保険の提供が難しくなる可能性もあります。 また、当社グループでは、サイバーリスクの補償を目的とした専用の保険商品を販売しておりますが、ソフトウェアの脆弱性を狙ったサイバー攻撃が大規模に発生した場合などに、同時多発的にお客さまのデータの破壊・窃取、事業中断等に関する保険金等を支払うことにより、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 b.対応策の状況当社グループでは、国内の自然災害リスクに備えて、再保険の活用や異常危険準備金等の積み立てを行い、事業の安定化を図るとともに、自然災害による保険金支払いのリスクについて気候変動を踏まえて定量的に評価することで、適切な料率設定・商品設計を目指しております。 なお、海外保険事業では、自然災害リスクの集積が過大とならないよう、グループの資本や利益水準を踏まえたリミット金額を地域別・自然災害種類別に設定し、当該リミットを超えることがないように定期的にモニタリングを実施して適切に管理しております。 また、サイバー攻撃により想定される事故事例を洗い出し、そのうち重要と考えられるものにつき予想最大損害額の算出を行い、リスクの把握および低減に努めております。 (介護事業リスク)a.リスクの概要と評価介護事業戦略の遂行において介護事業環境を見誤ることや、重大不祥事が発生してブランド価値を毀損するリスクを「事業固有のリスク(介護事業リスク)」と認識しております。当社グループは、多くの高齢者やそのご家族の多様なニーズにお応えするため、SOMPOケア株式会社が在宅介護から施設介護までフルラインナップの介護サービスを提供しております。介護事業においては、介護保険法の改正ならびに介護報酬の改定、介護市場における競争激化、従業員確保の困難、食中毒、集団感染症の発生、高齢者事業特有の事故等の発生およびそれらによる社会的信頼・信用の毀損、風評リスクの発生等により、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 b.対応策の状況当社グループの介護事業を担うSOMPOケア株式会社では、ご利用者さまとの信頼を築くため、コーポレート・ガバナンス体制、事業所管理体制の構築に取り組んでおります。ガバナンス・リスク・コンプライアンス委員会を経営会議の諮問機関として設置し、リスク管理にかかわる重大事象への対応や、内部監査結果などの内部統制に関する事項の審議を実施するとともに、本社リスク管理部門では事故情報を集約し、再発防止策の周知・徹底を図っております。また、ICT・最先端テクノロジーの介護現場での有効活用を推進し、生産性向上および処遇改善を通じた介護人材の需給ギャップの解消を目指しております。さらに、生産性、品質の高い介護サービスのノウハウを活かした介護事業者へソリューションを提供するビジネスプロセスサポートの展開、認知機能低下予防サービスの推進を通じ、超高齢社会の日本が抱える社会的課題の解決を目指してまいります。 オ.その他リスク(No.29)(事業中断リスク)a.リスクの概要と評価大規模地震等の自然災害、大規模テロ攻撃、新型インフルエンザ等のパンデミック(世界的な大流行)、サイバー攻撃等による大規模システム障害等が発生し、本社機能、保険金支払い、介護サービスの提供などにおける円滑な業務運営が阻害されるリスクを「その他リスク(事業中断リスク)」と認識しており、当該リスクは当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 b.対応策の状況当社グループでは、従来から大規模な地震などの自然災害、新型インフルエンザ等のパンデミックの発生、サイバー攻撃等による大規模システム障害発生の有事に備えた業務継続計画を策定し、定期的に訓練を実施するとともに、業務継続計画の有効性の検証・改善等に努めてまいりました。 昨年度は、新型コロナウイルスのグローバルな感染拡大を契機として想定する事象を追加し、事象ごとに「行動計画」を定めて危機対応力を引き上げましたが、今年度は大規模システム障害に関する対応方針の明確化等、更なる危機対応力向上へ向け、グループ各社の重要業務の継続のための対策に努めております。 (3) 気候関連財務情報開示タスクフォースの提言を踏まえた取組み(気候変動リスク)当社グループは「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」に賛同し、気候変動に対する様々な取組みと透明性の高い情報開示に努めております。 ① 気候変動への対応体制(ガバナンス)当社グループは、「“安心・安全・健康のテーマパーク”により、あらゆる人が自分らしい人生を健康で豊かに楽しむことのできる社会を実現する」というSOMPOのパーパスに基づき、その実現に向けた重点課題であるマテリアリティの一つとして「経済・社会・環境が調和したグリーンな社会づくりへの貢献」を定めております。SOMPOのパーパス実現に向けたグループ全体の戦略や方針に基づき、執行役および執行役員が対策を実行し、その遂行状況を取締役会が監督する体制を構築しております。グループCSuO(Chief Sustainability Officer)は、サステナビリティ領域の最高責任者として、気候変動をはじめとするグループのサステナブル経営に関する戦略を策定・実行し、グループ全体のサステナビリティ機能を統括する役割を担っております。サステナビリティ推進の専任部署としてサステナブル経営推進部を設置し、気候変動をはじめとするグループ全体のサステナビリティ推進を実践する体制を構築しております。グループ各社の役員で構成する「グループサステナブル経営推進協議会」では、気候関連を含むサステナビリティ戦略・取組方針の周知や、主にビジネス機会の側面での各社の取組状況を確認・協議しております。気候変動戦略やその遂行状況については、Global ExCo、経営執行協議会(MAC)において経営議論が行われ、その議論の状況は取締役会に報告されております。 また、リスク管理に関しては、取締役会が定める「SOMPOグループERM基本方針」に基づいてリスクコントロールシステムを構築しており、Global ExCoの下部組織であるグループERM委員会などを通じて、グループCRO(Chief Risk Officer)が各事業の抱えるリスクを網羅的に把握・評価し、当社グループに重大な影響を及ぼす可能性があるリスクを「重大リスク」と定め、その管理状況を定期的に経営執行協議会(MAC)および取締役会などに報告し、対策の有効性などを検証しております。気候変動に起因する自然災害の激甚化、脱炭素社会への移行に伴う資産価格への影響、市場選好の変化などのリスクは重大リスクとして、グループCSuOおよびグループCROが責任者となって対策を実施しております。(注)2021年度の開催状況(カッコ内は気候変動関連の議題を扱った回数)Global ExCo(2)、経営執行協議会(MAC)(5)、グループサステナブル経営推進協議会(3)、グループERM委員会(2) ② 気候関連のリスクと機会への対応(戦略)当社グループは、パーパス実現に向けて優先的に取り組むべき社会課題(マテリアリティ)として、「経済・社会・環境が調和したグリーンな社会づくりへの貢献」を掲げ、その実現に向け、2021年度からの中期経営計画で、気候変動リスク・機会に対する複合的なアプローチを実践する「SOMPO気候アクション」により気候変動への「適応」、「緩和」、「社会のトランスフォーメーションへの貢献」の3つのアクションを掲げ、様々な取組みを行っております。 ア.気候関連のリスクと機会気候変動の進展による自然災害の激甚化や発生頻度の上昇、干ばつや慢性的な海面水位の上昇などの「物理的リスク」のみならず、脱炭素社会への転換に向けた法規制の強化や新技術の進展が産業構造や市場の変化をもたらし、企業の財務やレピュテーションに様々な影響を与える「移行リスク」が顕在化する可能性があります。また、これらのリスクに付随して、企業の事業活動に起因する気候変動影響や炭素集約度の高い事業への投資、不適切な開示などによる法的責任を追及する気候変動訴訟が米国中心にグローバルに増加しており、当社の損害保険事業における賠償責任保険の支払保険金を増大させる可能性があります(「賠償責任リスク」)。一方で、自然災害リスクの認識の強まりや社会構造の変革は、新たなサービス需要の創出や技術革新などのビジネス機会をもたらします。当社は、IPCC、世界経済フォーラムなど外部機関の研究成果を踏まえて、気候変動が事業に与えるリスクと機会を整理し、短期、中期(5~10年後:2030年頃)および長期(10~30年後:2050年頃)の時間軸で評価・分析・対応を進めております。気候変動による物理的リスク、移行リスクに伴う主な変化と、当社にとって重大な影響を及ぼすと想定されるリスクと機会は下表のとおりです。 イ.シナリオ分析a.物理的リスク当社グループの損害保険事業は、台風や洪水、高潮などを含む自然災害の激甚化や発生頻度の上昇に伴う想定以上の保険金の支払いによる財務的影響を受ける可能性があります。リスクの定量的な把握に向けては、2018年以降、大学等の研究機関と連携することで科学的知見を踏まえた取組みを進めており、「アンサンブル気候予測データベース:d4PDF※1(database for Policy Decision making for Future climate change)」などの気象・気候ビッグデータを用いた大規模分析によって、台風や洪水、海面水位の変化の影響を受ける高潮の平均的な傾向変化や極端災害の発生傾向について、平均気温が2℃または4℃上昇した気候下での長期的な影響や、事業戦略に活用する観点から5~10年後の中期的な影響を把握するための取組みを進めております。 また、当社グループは、UNEP FI(国連環境計画・金融イニシアティブ)のTCFD保険ワーキンググループに参画し、同ワーキンググループが2021年1月に公表したガイダンスに基づく簡易な定量分析ツール※2を用いた台風に関する影響度の試算を行っております。気候変動リスクへの金融監督上の対応を検討するNGFS(気候変動リスクに係る金融当局ネットワーク)が検討を行っているシナリオ分析の枠組みも活用して、引き続き分析を進めてまいります。台風の発生頻度 約▲30%~+30%1台風あたりの損害額 約+10%~+50% また、米国ハリケーンや洪水など含む海外の自然災害に関しては、外部のリスクモデル会社や研究機関との提携を通じて気候変動による影響分析を進めており、自社独自のシナリオを構築し、海外自然災害リスクモデルへ適用する取組みを進めております。※1 文部科学省の気候変動リスク情報創生プログラムにて開発されたアンサンブル気候予測データベースです。多数の実験例(アンサンブル)を活用することで、台風や集中豪雨などの極端現象の将来変化を確率的にかつ高精度に評価し、気候変化による自然災害がもたらす未来社会への影響についても確度の高い結論を導くことができます。※2 IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:国連気候変動に関する政府間パネル)第5次評価報告書のRCP8.5シナリオに基づき、2050年と現在との間の台風の発生頻度や風速の変化を捉え、頻度や損害額の変化を算出するモデル。 なお、損害保険契約や再保険契約は短期契約が中心であり、激甚な気象災害の発生傾向を踏まえた保険引受条件や再保険方針の見直しによって、保険金支払いが想定以上となるリスクの抑制が可能です。また、グローバルな地理的分散や短期・中期の気候予測に基づく定量化、長期的なシナリオ分析による重大リスクの特定・評価などの多角的なアプローチにより、物理的リスクに対するレジリエンスの確保を図っております。 b.移行リスク移行リスクによる当社グループの保有資産(国内株式、国内社債、外国株式、外国社債)への影響については、今世紀末までの気温上昇を産業革命前から1.5度、2度、3度未満に抑えるシナリオを前提に、MSCI社が提供する気候バリューアットリスク(CVaR:Climate Value-at-Risk)※3を用いて、低炭素な世界経済への移行が企業に及ぼす「政策リスク」と気候変動の緩和や適応に向けた取組みによる「技術機会」が及ぼす影響を分析しました。※3 MSCI Climate Value-at-Risk・気候変動に伴う政策の変化や災害による企業価値への影響を測定する手法の一つ。・気候関連のリスクと機会から生じるコストと利益の将来価値を現在価値に割り引いたものであり、当社資産運用ポートフォリオにおける各銘柄の保有時価ウェイトを考慮し、2021年3月末時点における影響度を算出。 <SOMPOホールディングス 気温上昇シナリオ別 移行リスクと機会のCVaR分析結果>(補足)本レポートには、MSCI Inc.、その関連会社、情報提供者(以下「MSCI関係者」)から提供された情報(以下「情報」)が含まれており、スコアの算出、格付け、内部使用にのみ使用されている場合があり、いかなる形態でも複製/再販したり、金融商品や指数の基礎または構成要素として使用することはできません。MSCI関係者は、本サイトに掲載されているデータまたは情報の正確性および完全性を保証するものではなく、商品性および特定目的への適合性を含め、すべての明示または黙示の保証を明示的に否認します。MSCI関係者は、本サイトのデータまたは本情報に関連する誤りや脱落、あるいは直接的、間接的、仕様的(利益損失を含む)な損害について、たとえその可能性を通知されていたとしても、いかなる責任も負うものではありません。 以上のとおり、政策リスクの影響は技術機会によって相殺されるため全体的な影響は限定的ですが、シナリオ別では、1.5度シナリオ下での政策リスクと技術機会の影響が最も大きく、また、保有資産別では、国内株式への影響が最も大きくなっております。 ウ.レジリエンス向上の取組みa.リスクへの対応当社グループでは、保険引受先や投融資先の企業に対するグリーン移行支援を通じて社会の変化に対する企業のレジリエンスを高めると同時に、資産運用ポートフォリオの管理等により、移行リスク軽減に取り組んでおります。投資先については、株式保有先のうち温室効果ガス(GHG)高排出の上位20社を中心とするエンゲージメントの強化により、グリーン移行を促進しております。公社債については満期償還時にGHG高排出セクターから低排出セクターへの入れ替えの促進等を通じて、資産運用ポートフォリオにおけるGHG排出量を2025年までに25%削減(2019年度比、株式・社債のGHG総排出量ベース)する目標を掲げ、移行リスクの削減と機会の捕捉を行ってまいります。また、保険引受については、新設・既設の石炭火力発電や炭鉱開発(一般炭)への新規の保険引受停止や、オイルサンドおよび北極野生生物保護区(Arctic National Wildlife Refuge)でのエネルギー採掘プロジェクトへの新規保険契約を停止する方針を掲げ、ネットゼロ社会への移行を後押ししてまいります。ただし、二酸化炭素回収・利用・貯留技術(CCS、CCUS)やアンモニア混焼等の革新的な技術を有するなど、パリ協定の実現に資する削減効果が認められる場合には慎重に検討し対応する場合があります。自社のGHG削減については、2030年までに2017年度比で60%削減する目標を掲げております。2021年度は、損害保険ジャパン株式会社の本社ビルの電力を再生可能エネルギー由来に切り替えるなど、目標達成に向けたロードマップに沿って着実に取組みを進めております。 b.機会への対応当社グループでは、「AgriSompo」による農業保険のグローバル展開を通じた食料安定供給への貢献や、気候リスクコンサルティングサービスの開発・提供、AIを活用した防災・減災システムの開発等、製品・サービスを通じた自然災害レジリエンスの向上に取り組んでおります。エネルギー源については、「ONE SOMPO WINDサービス」(洋上風力発電事業者向け保険・リスクマネジメントサービス)をはじめとする再生可能エネルギーの普及に貢献する商品・サービスを展開するとともに、取引先との協業等によるカーボンニュートラルに貢献する新たな商品・サービスの開発にも取り組んでまいります。また、ネットゼロ社会の実現に向けて、世界の様々な組織や団体等において、規制やガイダンス策定等の議論が活発に行われております。当社グループでは、これらのルールメイキングに対して積極的に関与しリードすることにより、社会のトランスフォーメーションに貢献するとともに、これらの取組みを通じた知見の蓄積やレピュテーションの向上によってパートナーを呼び込むなどグループのビジネス機会の創出・拡大を図ってまいります。 [当社グループが参画するイニシアティブ(ネットゼロ関連)]・PCAF Insured-Associated Emissions Working Group(保険の引受を通じたGHG排出量の測定・開示のための国際基準を策定するワーキンググループ)・ネットゼロ・アセットオーナー・アライアンス(NZAOA)・ネットゼロ・アセットマネージャーズ・イニシアティブ(NZAM) ③ リスク管理当社は、グループの経営理念・パーパスおよび経営計画における目指す姿の実現に向けて、その達成確度を高めるためにリスクアペタイトフレームワークを構築し、「取るリスク」、「回避するリスク」を明確にしております。自然災害リスクについても、リスクアペタイトを明確化するとともに、自然災害が発生した場合に想定される保険金支払を気象学等の科学的知見や当社商品特性を踏まえて定量的に把握したうえで、財務健全性や収益性、利益安定性への影響、再保険マーケットの動向等をふまえて、再保険方針およびグループ全体のリスク保有戦略を策定し、管理しております。気候変動リスクは、戦略的リスク経営(ERM)のリスクコントロールシステムの重大リスク管理、自己資本管理、ストレステスト、リミット管理、流動性リスク管理の枠組みにおいて、多角的なアプローチでコントロールしております。詳細は、「(1) 主要なリスクの管理体制・枠組み」をご参照ください。 ア.気候変動リスクフレームワーク(気候変動リスクの特定、評価および管理)自然災害リスクを含む気候変動リスクに関しては、気候変動が保険事業以外を含めた当社グループの事業の様々な面に影響を及ぼすこと、その影響が長期にわたり、不確実性が高いことを踏まえて、既存のリスクコントロールシステムを補完し、長期的な気候変動が様々な波及経路を通じて当社グループに影響を及ぼすシナリオを深く考察してリスクを特定・評価および管理するための気候変動リスクフレームワークを構築しております。気候変動リスクフレームワークでは、気候変動の複雑な影響を捕捉するために、以下の3ステップで評価を行い、「② 気候関連のリスクと機会への対応(戦略)」で述べたリスクと機会を整理しております。 2022年は、探索的評価と位置づけて、IPCC、世界経済フォーラムなど外部機関の研究成果を踏まえて、起こり得る政策的移行パターン(下表)を想定したリスク評価を行い、気候変動リスクマップとして可視化しました。A.緩やかに移行温暖化の進行により広い地域が熱波に襲われ、深刻な食糧危機や水不足が発生。甚大な自然災害の頻発から死亡率も上昇。政治的不安定から地域紛争、テロ拡散、難民の増大。B.直ちに大幅な移行脱炭素政策の急激な推進によって化石燃料価格が高騰し、産業空洞化や急激なインフレ等からG7諸国の経済に大きな悪影響を及ぼす。C.各国が異なるスピードで移行各国・地域が異なるスピードで政策的・技術的移行を進めるため、地政学的・経済的な摩擦や各国間の格差が拡大。 気候変動リスクマップは、継続的なモニタリングが必要なリスクを可視化したもので、主に保険引受および資産運用に影響を与えるリスクの影響度、可能性、発現時期、傾向などを俯瞰することで、取締役会および執行の諸機関における気候変動に関する議論の活発化を図ってまいります。 イ.既存のリスク管理フレームワークとの統合気候変動リスクフレームワークで捉えたリスクの認識は、重大リスクの「主な想定シナリオ」に反映して管理を行い、また、気候変動との間で相互に影響を与える事象である「生物多様性の喪失」はエマージングリスクとして調査研究を行っております。(下表) 気候変動に関連する重大リスク等と主な想定シナリオ重大リスク・エマージングリスク気候変動に関連する主な想定シナリオ気候変動リスク(物理的リスク)台風・ハリケーンの激甚化または頻度増加による火災保険等の保険金支払い、再保険コストの増大。気候変動リスク(移行リスク)脱炭素に向けた政策・法規制の強化、技術革新の進展による株式・債券の価格変動など。事業中断リスク想定シナリオを超える大規模自然災害等の発生に伴う重要業務停止の長期化、人命被害など。パンデミック森林減少や永久凍土の融解による重大な新興感染症パンデミックの発生増加。生物多様性リスク気候変動に伴う生態系の破壊などにより生物多様性が毀損、農作物の生育などに悪影響が及ぶ。 また、気候変動リスクフレームワークを通じて得られた知見を、既存のリスクコントロールシステムの枠組みである自己資本管理、ストレステスト、リミット管理、流動性リスク管理に反映させていく事で、リスク管理全体の高度化を図ってまいります。 ④ 指標と目標ア.主な指標温室効果ガス(GHG)排出量(2020年度実績)温室効果ガス(GHG)総排出量区分総排出量 スコープ1,2,3(除く投融資)[単位:t-CO2e]241,946 投資先の温室効果ガス(GHG)総排出量※区分株式社債 スコープ3(投融資)[単位:t-CO2e]948,530906,207 投資先の加重平均炭素強度(WACI: Weighted Average Carbon Intensity)※区分株式社債スコープ3(投融資)[単位:t-CO2e/百万米ドル]100.58133.77 再生可能エネルギーの導入率2020年度末 1%未満その他環境指標電力使用量(2020年度) 29,424万kWh紙使用量(2020年度) 6,580トン ※ MSCI ESG Research社が提供するデータを使用し、国内外の上場株式と社債の投資先におけるスコープ1およびスコープ2を対象に算出(上場株式のカバー率は93%、社債のカバー率は84%、いずれも時価ベース)。GHG排出量は投資先のEVIC(Enterprise Value Including Cash:現金を含む企業価値)ベースに対する当社持分であり、WACIは、各投資先企業の売上高あたりのGHG排出量をポートフォリオの保有割合に応じて加重平均した値。 イ.主な目標温室効果ガス(GHG)削減目標区分目標達成時期スコープ1,2,3(含む投融資)実質排出ゼロ2050年スコープ1,2,3(除く投融資)60%削減(2017年度比)2030年スコープ3(投融資)25%削減(2019年度比)2025年 再生可能エネルギーの導入率- 2030年目標 70%以上- 2050年目標 100%
FY2021|12,367 文字
2 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況(以下「経営成績等」といいます。)に重大な影響を及ぼす可能性があると認識している「主要なリスク」および「当該リスクの管理体制・枠組み」は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 主要なリスクの管理体制・枠組み① リスク管理の全体像大規模自然災害の増加、超低金利環境の常態化や新型コロナウイルス感染症の拡大など、事業環境の不確実性が高まる中、リスク管理の役割がますます重要になってきております。当社グループのリスク管理の枠組みである戦略的リスク経営(ERM)は、経営における高性能な『羅針盤』として、次の「3つの機能」を強化・高度化し、損失を未然に回避するだけでなく、新規事業投資などの機会損失を低減させることで、当社グループを最適な方向に導く取組を実施しております。ア. グループが置かれた現在地を正確に把握(現状の多面的な分析) イ. 将来起こりうるリスクを敏感に察知(重要なリスクの的確な把握と対策) ウ.グループが取るべき航路を提示(最適な事業ポートフォリオの提示) 戦略的リスク経営(ERM)は、資本・リスク・収益のバランスを取りながら企業価値の向上を図る一連の経営管理プロセスとして「戦略執行に係るリスクテイク」と「経営基盤の安定に資するリスクコントロール」の2つの側面を持っております。リスクテイクの側面では、リスクアペタイトフレームワークを中心に資本・リスク・収益に関する分析を重要な経営判断に活かし(上記ウ)、リスクコントロールの側面では、当社グループを取り巻く多様なリスクを特定、分析、評価する仕組み(リスクコントロールシステム)を活用して(上記ア、イ)、不測の損失の極小化と利益の安定を目指しております。 <SOMPOグループの戦略的リスク経営(ERM)の3つの機能と全体像> 「戦略的リスク経営」の実効性を確保するため、グループ戦略・経営計画と合わせ、リスクテイクの指針として、リスクアペタイト原則、中期リスクテイク戦略およびリスクアペタイト指標からなる「SOMPOグループ リスクアペタイトステートメント」を定めております。 ② リスクコントロールシステム、リスクと資本の状況リスクコントロールシステムにおいては、リスクアセスメントを起点として、「重大リスク管理」の枠組みで当社グループを取り巻く重大リスクを網羅的に特定し、定性的・定量的な評価を行っております。また、定量化が可能なリスクについては「自己資本管理」「ストレステスト」「リミット管理」「流動性リスク管理」の枠組みで自己資本、流動性などに与える影響を様々な定量指標により分析・評価し、財務健全性およびその向上に必要なリスクコントロールの施策に関する経営論議を行っております。 ア.重大リスク管理当社グループは、「事業に重大な影響を及ぼす可能性があるリスク」を「重大リスク」と定義し、事業の抱えるリスクを網羅的に把握・評価しております。重大リスクは、グループCROがリスクアセスメントや専門家等の見解に基づいて網羅的に把握し、リスクが当社に及ぼす影響を具体的なシナリオで想定した上で、発生頻度および影響度(経済的損失、業務継続性およびレピュテーション毀損の3項目)でリスクを定性・定量の両面から評価し、管理状況を年2回以上、グループCOOの諮問機関である経営執行協議会(Managerial Administrative Committee)(以下「経営執行協議会(MAC)」といいます。)・取締役会に報告しております。変化が大きいリスクや対策等に関する議論が必要なリスクについては、グループCEOの諮問機関であるGlobal Executive Committee または経営執行協議会(MAC)において議論を行っております。また、長期の時間軸で当社グループのビジネスモデルへの影響を評価するために、今後10年以上増大トレンドが続くと想定されるリスクの観点を新たに評価軸に加えました。今後、リスク対策の妥当性検証などへの活用を行ってまいります。また、現時点では重大リスクではないものの、環境変化などにより新たに発現または変化し、今後、当社グループに大きな影響を及ぼす可能性のあるリスクを「エマージングリスク」と定め、重大リスクへの変化の予兆を捉えて適切に管理をしております。国内外の専門家の知見も活用して洗い出したエマージングリスク候補をエマージングリスク・レジスターに登録し、そのうち、想定される影響度が一定以上のものをエマージングリスクに選定しております。現在、「革新的な医療技術」、「生物多様性」など5件のエマージングリスクを選定し、損失軽減の観点だけではなく、新たな保険商品・サービスなどのビジネス機会の観点からモニタリングおよび調査研究を行っております。 <重大リスクおよびエマージングリスクの管理プロセス> イ.自己資本管理当社グループが保有する各種リスクを統一的な尺度(VaR:Value at Risk)で定量化し、自己資本がリスク量と比べて充分な水準を維持できるよう管理して、必要に応じ対応策を実施する態勢を整備しております。リスクと資本の状況 当社グループでは、政策保有株式の計画的な売却によって、国内株式の価格変動によるリスクの削減を着実に行ってまいりました。2021年3月末時点の当社グループのESR(注)は238%であり、十分な財務健全性を示す水準となっております。 資本・リスク・リターンの適切なバランスのもとで、財務健全性を維持しつつ資本効率・利益安定性の更なる向上を目指すため、収益性向上とリスク分散を進めるとともに株・金利リスクの削減等に取り組んでまいります。(注)ESR(Economic Solvency Ratio)は、リスクに対して確保している資本の十分性を示す指標であります。 ウ.ストレステスト当社グループの経営に重大な影響を及ぼし得る事象を的確に把握・管理するために、グループベースで「シナリオ・ストレステスト」「リバース・ストレステスト」および「感応度分析」を実施し、資本およびリスクへの影響度を分析して、必要に応じ対応策を実施する態勢を整備しております。また、2021年3月末時点で、当社の想定するストレス下においても十分な資本を有していることを確認しております。シナリオ・ストレステスト大規模な自然災害や金融市場の混乱など、経営に重大な影響を及ぼすストレスシナリオが顕在化した際の影響を評価し、資本の十分性やリスク軽減策の有効性検証などに活用することを目的として実施しております。なお、環境変化などに適切に対応するため、ストレスシナリオの妥当性を定期的に検証しております。リバース・ストレステストリスク許容度などに抵触する具体的な事象を探索することで脆弱性を特定し、あらかじめストレス事象に備える対策を検討することを目的として実施しております。感応度分析主なリスク要因の変動が資本とリスクに与える影響を把握するとともに、内部モデルが算出した理論値と実績値との比較を行い、内部モデルの妥当性を検証することを目的として実施しております。 エ.リミット管理 特定事象の発現により多額の損失が生じることを回避するため、与信リスク、出再リスク、海外自然災害リスクの各々に対してグループベースで最大限度額を設定し管理しており、2021年3月末時点で最大与信等限度額に抵触していないことを確認しております。また、各限度額の枠内で予備的にリミット管理を行っております。 オ.流動性リスク管理 日々の資金繰り管理のほか、巨大災害発生時などの最大資金流出額を予想し、それに対応できる流動性資産が十分に確保されるよう管理しており、2021年3月末時点で当社に最大の資金流出をもたらすシナリオに対しても、十分な流動性資産を有していることを確認しております。 (2) 主要なリスク① 重大リスクおよびその発生可能性・影響度の評価経営者が当社グループの経営成績等に重大な影響を及ぼす可能性があると認識している「主要なリスク」は、当社グループが定義する「重大リスク」であります。重大リスクおよびその発生可能性・影響度の評価は、下記のとおりであります。 <重大リスク一覧> 分類No.重大リスクア.経営戦略リスク 外部環境1競争環境の悪化・転換2経済環境の悪化3地政学リスク4パンデミック5税制・規制の変更事業戦略6ガバナンス不十分7新事業に係るリスクの見誤り8大型システム開発プロジェクトの遅延等9気候変動リスク10ESGリスク11風評リスク人材・要員12人材・人材力不足イ.財務・運用リスク 市場リスク13市場の大幅悪化信用集中リスク14投融資先、出再先の破綻流動性リスク15大規模災害時の資金繰りウ.オペレーショナルリスクおよびコンプライアンスリスク 事務リスク16委託先管理の失敗システムリスク17システム障害(サイバー攻撃含む)コンプライアンスリスク等18労務リスク19顧客情報漏えい20不祥事・機密情報漏えい21コンダクトリスクエ.事業固有リスク 保険引受リスク 自然災害22国内巨大地震23国内巨大風水災24海外巨大自然災害その他25サイバー集積リスク 介護事業リスク 介護事業リスク26介護事業環境の見誤り27介護事業における重大不祥事件発生オ.その他リスク -28事業中断リスク <重大リスクのヒートマップ(発生可能性・影響度)> 発生可能性影響度 経済的損失業務継続性レピュテーション毀損極大1年に1回以上5,000億円以上事業免許の取消し信頼の極めて大幅な失墜大10年に1回以上2,000億円以上主要な業務の停止信頼の大幅な失墜(信頼回復に5年以上)中100年に1回以上100億円以上一部の業務の停止信頼の失墜(信頼回復に2~3年以上)小100年に1回未満100億円未満-信頼の失墜の可能性は低い 変化が大きいリスク・・・変化の速度が速いまたはその幅が大きいと想定されるリスク長期的増大トレンドにあるリスク・・・今後10年以上増大トレンドが続くと想定されるリスク ② 重大リスクの分類ごとのリスクの概要と評価、対応策の状況ア.経営戦略リスク(No.1~12)a.リスクの概要と評価当社グループを取り巻く外部環境が変化し、経営戦略の前提条件が現実の事業環境と合わなくなる、またはガバナンス機能や人材ニーズ対応が不十分となったなどの場合に経営戦略に合致するビジネスモデルの構築ができないことにより、当社グループの経営成績等に重大な影響が生じるリスクを「経営戦略リスク」と認識しております。影響が大きいと考える環境変化等は以下のとおりであります。 短期的なリスクとしては、デジタル関連等の異業種からの新規参入やデジタル技術進展への対応不十分により競争力・収益基盤が劣化・毀損するリスク、各国間の産業競争の激化などにより事業機会を制約されるリスク、気候変動により想定を超える風水災損害が発生するリスク、ESG取組が不十分とみられることや、風評がマスコミ報道・インターネット上の記事等に流布された場合にブランド価値が毀損するリスクなどにより、当社グループの収益力が低下する可能性があります。長期的なリスクとしては、シェアリング経済の拡大や少子・高齢化等を背景としたマーケット規模の縮小や技術革新に伴う事故の減少による保険ニーズの減少等が当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 b.対応策の状況当社グループでは、外部環境の変化は脅威とともに機会をもたらすと捉えて、デジタル戦略、M&A等を実行し、「安心・安全・健康のテーマパーク」へのトランスフォーメーションを進めております。例えば、AI・ビッグデータ等の技術を活用した既存事業の生産性向上、デジタル技術を活用した新商品・サービスなどを通じた新たな顧客価値の創造、デジタル分野の専門人材の採用・育成によるデジタルトランスフォーメーション(DX)基盤の構築を進めております。地政学リスクについては悪影響を及ぼすシナリオの検討を行い、規制変更リスクについては、関連する国内外法規制等の動向の情報を収集するなどして、経営上の影響を見極められるよう注視しております。デジタル戦略・M&Aや大規模システム開発等の大規模投資は取締役会等で妥当性を十分議論して実行しておりますが、環境変化や想定を超える困難などのために期待した成果が得られない可能性があるため、実行後も定期的に所定の基準に基づいて妥当性が失われていないことおよび撤退基準に抵触していないことを確認しております。また、気候変動による物理的なリスクについては、自然災害の激甚化などの影響に関して気候シナリオを活用した分析などに取り組んでいます。脱炭素社会への移行に伴うリスクやESG関連の取組不十分等のリスクについては、グループCOOを議長、グループ各社の役員をメンバーとした「サステナビリティ・CSR協議会※」において状況把握、協議を行い、必要に応じて経営執行協議会(MAC)に報告する体制を構築しています。風評には、当社で定める規程に従い適時適切に対応することで、影響の極小化を図っております。※サステナビリティ・CSR協議会は、2021年4月1日に名称を「グループサステナブル経営推進協議会」に変更しました。リスクの影響および対応策が広範にわたることから「新型コロナウイルス感染症が及ぼす影響および対応策の状況(パンデミック)」および「気候関連財務情報開示タスクフォースの提言を踏まえた取組(気候変動リスク)」について、別途本項目の末尾に記載しております。 イ.財務・運用リスク(No.13~15)a.リスクの概要と評価市場変動や投融資先・保証保険の保証先・再保険の出再先の破綻、大規模災害時の資金繰り悪化等により業績・財政状態が悪化するリスクを「財務・運用リスク」と認識しております。当社グループにおいては特に、国内株式の価格変動や金利変動の影響が大きいと認識しております。 当社グループは、お客さまとの中長期的な関係維持の観点等から、大量の株式を保有しているほか、安定的な資産運用収益を得るため、国内外の有価証券等に幅広く投資しております。株式相場の下落等により、これらの資産の価値が減少した場合には、売却損や評価損の発生、評価差額金の減少等により、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 また、当社グループは予定利率(契約時にお客さまにお約束する運用利回り)を設定した契約期間が長期の保険商品を販売しており、金利低下により、実際の運用利回りが予定利率を下回るリスクがあります。さらに国内生命保険事業では、保有する有価証券のデュレーションに対して保険負債のデュレーションが長期であることから、金利低下により、経済価値ベースの保険負債の増加額が有価証券等時価の増加額を上回るため、実質自己資本を減少させるリスクがあります。 b.対応策の状況当社グループは、政策保有株式を継続的に削減することにより、株式相場下落の影響を低減するよう努めております。また、積立保険の満期返戻金や国内生命保険事業などの保険負債のキャッシュ・フローに見合う長期の投融資を実行することにより、金利変動の影響が小さくなるよう努めるとともに、投融資等に関する集積リスクに対してはリミットを設定して管理しております。さらに国内生命保険事業では、経済価値ベースの保険負債に対して金利低下の影響を受けにくい保障性商品の保有割合を高めることにも努めております。資金繰りについては保険子会社ごとに管理しており、巨大災害時の資金ニーズや金利上昇に伴う解約増加等に対応できる流動性資産が十分確保されるようにして管理しております。 ウ.オペレーショナルリスク・コンプライアンスリスク(No.16~21)a.リスクの概要と評価各種法規制への違反、外部委託先の管理の失敗、システム障害(サイバー攻撃を含む)、長時間労働等による労務トラブル、顧客情報の漏えい、不正行為、ミスコンダクトなどが発生するリスクを「オペレーショナルリスク・コンプライアンスリスク」と認識しております。当社グループは、保険業法をはじめとして各種事業に適用される法規制、事業を展開する各国で適用される法規制を遵守して事業を遂行しておりますが、これらの法規制へ違反した場合、金融庁等からの行政処分を受ける可能性があります。 人為的ミスによる情報システムの不備等の内部要因、サイバー攻撃による不正アクセス等の外部要因により、情報システムの停止、誤作動、不正使用等が発生するシステムリスクがあります。また、当社グループは、多数のお客さまの情報を取り扱っているほか、様々な経営情報等の内部情報を保有しており、これらの情報に関しては、グループ各社において、情報管理態勢を整備し、厳重な管理を行っておりますが、サイバー攻撃による場合を含め、万一重大な情報漏えいが発生した場合には、当社グループの社会的信頼・信用が失墜する、あるいは対応費用の支払いが発生することにより、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 事務ミス、外部委託先管理の失敗、従業員の心身の不調、役職員等による不正行為、外部からの犯罪行為、訴訟に伴う賠償金の支払い等の発現により、直接・間接のコストおよび業務運営の支障発生、金融庁等による行政処分、当社グループの社会的信頼・信用の失墜等の影響を受ける可能性があります。 社会意識やお客さまの嗜好・行動の変化によって当社グループの商品・サービスや業務慣行とステークホルダーの期待との間にギャップが生じて利用者保護などに悪影響を及ぼし、結果としてブランド価値を毀損するコンダクトリスクがあります。 b.対応策の状況当社グループは、各事業の高い公共的使命および社会的責任を常に認識し、「SOMPOグループ コンプライアンス基本方針」をはじめとする各種方針の下、法令等のルールや社会規範および企業倫理に則った適正な企業活動を行う態勢を整備しております。また、「SOMPOグループ コンプライアンス行動規範」を定めて当社グループ内の役職員に周知徹底し、役職員一人ひとりのコンプライアンス意識を醸成しております。システム障害のリスクについては、システムリスク管理態勢を整備し、継続的にシステムリスクの低減等を進めております。サイバー攻撃のリスクについては、グループ各社における対応態勢の整備を継続して進めるとともに、当社内にサイバーセキュリティの専門組織を設置し、グループ全体での包括的・横断的な対策を通してグループ会社と共に成熟度の向上を目指しております。長時間労働等による労務リスクについては、適正な勤怠管理の徹底に加え、リモート環境下でのマネジメントスキルおよびリモートコミュニケーションの向上を図る体制整備を進めております。コンダクトリスクに関しては、予兆把握・未然防止の取組を実施し、外部委託先管理については、委託開始から委託の解除までプロセスに応じた適切な管理を行うことを定めるなど管理態勢を構築しております。 エ.事業固有リスク(No.22~27)(保険引受リスク)a.リスクの概要と評価国内損害保険事業、海外保険事業および国内生命保険事業において想定外の支払保険金が発生するリスクを「事業固有リスク(保険引受リスク)」と認識しております。当社グループにおいては特に、気候変動に伴う風水災害の増加と大規模サイバー攻撃による支払保険金増加の影響が大きいと認識しております。 当社グループは、国内外の地震・風水災・雪害等の自然災害による損害に対して巨額の保険金等を支払うことがあり、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また、気候変動に伴う風水災害の頻発や激甚化によって、支払保険金が増加し、保険引受収支が悪化する等の影響が生じることにより、安定した保険の提供が難しくなる可能性があります。 また、当社グループでは、サイバーリスクの補償を目的とした専用の保険商品を販売しておりますが、ソフトウェアの脆弱性を狙ったサイバー攻撃が大規模に発生した場合などに、同時多発的にお客さまのデータの破壊・窃取、事業中断等に関する保険金等を支払うことにより、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 b.対応策の状況当社グループでは、国内の自然災害リスクに備えて、再保険の活用や異常危険準備金等の積み立てを行い、事業の安定を図るとともに、自然災害による保険金支払いのリスクについて気候変動を踏まえて定量的に評価することで、適切な料率設定を目指しております。 なお、海外保険事業では、自然災害リスクの集積が過大とならないよう、グループの資本や利益水準を踏まえたリミット金額を地域別・自然災害種類別に設定し、当該リミットを超えることがないように定期的にモニタリングを実施して適切に管理しております。 また、サイバー攻撃により想定される事故事例を洗い出し、そのうち重要と考えられるものにつき予想最大損害額の算出を行い、リスクの把握および低減に努めております。 (介護事業リスク)a.リスクの概要と評価介護事業戦略の遂行において介護事業環境を見誤ることや、重大不祥事が発生してブランド価値を毀損するリスクを「事業固有のリスク(介護事業リスク)」と認識しております。当社グループは、多くの高齢者やそのご家族の多様なニーズにお応えするため、SOMPOケア株式会社が在宅介護から施設介護までフルラインナップの介護サービスを提供しております。介護事業においては、介護保険法の改正ならびに介護報酬の改定、介護市場における競争激化、従業員確保の困難、食中毒、集団感染症の発生、高齢者事業特有の事故等の発生およびそれらによる社会的信頼・信用の毀損、風評リスクの発生等により、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 b.対応策の状況当社グループの介護事業を担うSOMPOケア株式会社では、ご利用者さまとの信頼を築くため、コーポレート・ガバナンス体制、事業所管理体制の構築に取り組んでおります。ガバナンス・リスク・コンプライアンス委員会を経営会議の諮問機関として設置し、リスク管理にかかわる重大事象への対応や、内部監査結果などの内部統制に関する事項の審議を実施するとともに、本社リスク管理部門では事故情報を集約し、再発防止策の周知・徹底を図っております。また、ICT・最先端テクノロジーの介護現場での有効活用を推進し、生産性向上および処遇改善を通じた介護人材の需給ギャップの解消を目指しております。さらに、生産性、品質の高い介護サービスのノウハウを活かした介護事業者へソリューションを提供するビジネスプロセスサポートの展開、認知機能低下予防サービスの推進を通じ、超高齢社会の日本が抱える社会的課題の解決を目指してまいります。 オ.その他リスク(No.28)(事業中断リスク)a.リスクの概要と評価大規模地震等の自然災害、大規模テロ攻撃(サイバーテロを含む)や、新型インフルエンザ等のパンデミック(世界的な大流行)等が発生し、本社機能、保険金支払い、介護サービスの提供などにおける円滑な業務運営が阻害されるリスクを「その他リスク(事業中断リスク)」と認識しており、当該リスクは当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 b.対応策の状況当社グループでは、従来から大規模な地震などの自然災害や新型インフルエンザ等のパンデミックの発生等の有事に備えた業務継続計画を策定し、定期的に訓練を実施するとともに、業務継続計画の有効性の検証・改善等に努めてまいりました。 今般の新型コロナウイルスのグローバルな感染拡大を契機として想定する事象を追加し、事象ごとに「行動計画」を定めて危機対応力を引き上げ、グループ各社の重要業務の継続のための対策に努めております。 新型コロナウイルス感染症が及ぼす影響および対応策の状況(パンデミック) 新型コロナウイルスのグローバルな感染拡大は人々の生活や産業活動を制約し、大きな影響を及ぼしましたが、今後はワクチン接種が進み、人の移動や一か所に集まることの制限を伴いつつも、正常化に向かうものと予想しております。 新型コロナウイルス感染症の波及効果は他のリスクに比して多方面に渡り、オンラインでの商品購入やリモートワークの一般化、グリーンリカバリーへの期待や人の健康意識の高まり、各国財政状況の悪化など、グローバルに人の行動や経済社会に変化をもたらしました。 当社グループは、長期的視点に立って、デジタル化の加速、グリーンリカバリーやお客さまの健康意識の高まりなどの大きな変化から来る機会と脅威に柔軟に対応できるよう、環境変化への注視と取るべきアクションの検討を続け、ニューノーマルの世界において「安心・安全・健康のテーマパーク」として、あらゆる人が自分らしい人生を健康で豊かに楽しむことのできる社会の実現に取り組んでまいります。 気候関連財務情報開示タスクフォースの提言を踏まえた取組(気候変動リスク) 当社グループは「気候関連財務情報開示タスクフォース(以下「TCFD」といいます。)」に賛同し、気候変動に対する様々な取組と透明性の高い情報開示を行っております。TCFD提言により開示を推奨されている情報のうち、事業等のリスクに関連する内容は以下のとおりであります。 なお、「気候変動リスク」は、経営戦略に関する「重大リスク」とも位置付け、気候変動による風水災損害の増大および脱炭素社会への移行に伴うレピュテーションや資産価格への影響のそれぞれに対し、対応策を実施しております。 <気候変動への対応体制> 当社はグループ、取締役会が定める「グループERM基本方針」に基づいたリスクマネジメント体制を構築しています。当社グループに重大な影響を及ぼす可能性があるリスクを「重大リスク」と定義し、事業の抱えるリスクを網羅的に把握・評価したうえで、その管理状況を定期的に経営執行協議会(MAC)や取締役会などの会議体に報告する体制としています。気候変動については、想定を超える風水災損害の発生および脱炭素社会への移行に伴うレピュテーション毀損や資産価格への影響などをもたらすことから重大リスクと位置づけ、役員が責任者となって対策を実施しております。 <自然災害激甚化に伴うリスクへの対応> 当社グループの国内損害保険事業および海外保険事業においては、気候変動に伴う風水災の頻発や自然災害の激甚化によって支払保険金が増加し、保険引受収支が悪化する等の影響が生じることにより、安定した保険の提供が難しくなる可能性があります。 風水災リスクに関しては、従来からストレステストを実施し、経営に重大な影響を及ぼすストレスシナリオが顕在化した場合の影響を定量的に評価し、資本の十分性やリスク軽減策の有効性を検証しております。2018年からは、「アンサンブル気候予測データベース:d4PDF」(注)を活用し、気象・気候ビッグデータを用いた台風・豪雨に関する大規模分析を行い、気温が2℃または4℃上昇した気候下における災害の平均的な傾向変化や極端災害の発生傾向を定量的に把握する取組を進め、中長期にわたる自然災害の影響の定量分析・把握に努めております。 (注)d4PDFは、文部科学省の気候変動リスク情報創生プログラムにて開発されたアンサンブル気候予測データベースであります。多数の実験例(アンサンブル) を活用することで、台風や集中豪雨などの極端現象の将来変化を、確率的に、かつ高精度に評価することが可能であります。また、気候変化による自然災害がもたらす未来社会への影響についても確度の高い分析ができるという特徴があります。 <脱炭素社会への移行に伴うリスク・機会への対応> 脱炭素社会への移行に向けた法規制の強化やテクノロジーの進展が、産業構造および地域社会の変化をもたらし、保険ニーズの変化、株式などの運用資産の価値毀損等、当社グループの将来の業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。一方で、産業構造の変革は、新たな保険ニーズやマーケットの創出などのビジネス機会の拡大ももたらすと捉え、脱炭素社会への移行を見据えてさまざまなビジネスに取り組んでおります。上述のリスク・機会に適切に対応するために、当社グループはグループCOOを議長、グループ各社の役員をメンバーとした「グループサステナブル経営推進協議会」において状況把握、協議を行い、必要に応じて経営執行協議会(MAC)に報告する体制を構築しています。また社内外のステークホルダーとの対話を、社会・経済の変化をとらえ、当社グループへの期待を把握し、グループの事業を発展させる重要な機会と位置づけ、継続的に実施しております。 <中期経営計画における取組方針「SOMPO気候アクション」> 当社グループは1992年に国内金融機関で初めて「地球環境室」を設置して以降、30年にわたり地球環境問題に取り組んでまいりました。長年にわたる取組の歴史(レガシー)と様々な取組を通じて築き上げたNPO・NGO、サステナビリティ推進団体等のステークホルダーとのパートナーシップを強みと位置づけ、2021年度からの中期経営計画では、気候変動への適応、緩和、社会のトランスフォーメーションへの貢献を通じて人と自然が調和した包摂的でレジリエントなカーボンニュートラル社会の構築を目指してまいります。 (SOMPO気候アクションの全体像) 運用資産の価値毀損のリスクについては、中長期的な運用ポートフォリオのレジリエンス向上に向け、気候変動等のトレンドが運用ポートフォリオに与える影響の定量的な検証を進めております。
FY2018|5,109 文字
2 【事業等のリスク】当社グループの事業その他に関して、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、主として以下のものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 日本の経済環境悪化に伴うリスク当社グループの業績は、わが国の経済環境や金融市場に大きく影響されます。当社グループは、主な事業基盤を日本国内に置くとともに、保有する主な運用資産が有価証券、貸付金等であり、国内株式、国内債券、国内融資および国内不動産等、わが国経済の変動に対するリスクが相対的に大きい資産ポートフォリオとなっております。このため、今後わが国の経済環境等が悪化した場合には、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (2) 国内損害保険事業・国内生命保険事業に関するリスク当社グループは、保険事業を中心とした事業展開を行っておりますが、自動車保有台数の減少、少子高齢化等を背景としたマーケット規模の縮小や、規制緩和による新規参入会社の出現、技術革新に伴う事故の減少による保険ニーズの減少や長寿化による保険ニーズの変化、業界再編等による顧客・提携先との関係の変化、デジタル技術進展への対応不十分に起因する競争力・収益基盤の劣化・毀損等、わが国の保険業界を取り巻く環境は大きく変化しております。今後、保険業界を取り巻く環境が更に悪化した場合には、収益力が低下する等、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (3) 介護・ヘルスケア事業に関するリスク当社グループは、SOMPOケア株式会社およびSOMPOケアネクスト株式会社の完全子会社化、投資事業有限責任組合を通じた株式会社シダーへの出資等、介護市場における取組みを強化しております。介護・ヘルスケア事業においては、介護保険法の改正ならびに介護報酬の改定、介護市場における競争激化、従業員確保の困難、食中毒、集団感染症の発生、高齢者事業特有の事故等の発生、およびそれらによる社会的信頼・信用の毀損、風評リスクの発生等により、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (4) 海外保険事業に関するリスク当社グループは、海外における保険事業の拡大に積極的に取り組んでおりますが、海外の保険市場には、わが国の保険市場にはない各国固有のリスクが存在しております。主なリスクは、現地における政治・社会・経済情勢の変化、為替変動、法律・規制の変更であり、さらに、進出している国や地域によっては、テロ・暴動等による政治的・社会的混乱も考えられます。また、M&Aによる買収企業において、投資金額に見合う収益が得られないリスクもあります。これら海外保険事業に関するリスクが発現した場合には、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (5) 関連事業に関するリスク当社グループは、保険事業以外に、ヘルスケア関連事業、アセットマネジメント事業、確定拠出年金事業、アシスタンス事業、住宅リフォーム事業、延長保証事業等の事業伸展も図っております。これらの事業を展開する市場は、それぞれ厳しい競争にさらされており、投資金額に見合う収益が得られない場合には、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (6) 規制の変更に伴うリスク当社グループは、保険業法をはじめとして、会計制度・税制等、様々な規制に基づき、各種事業を運営しております。今後、これらの規制が新設または変更された場合には、保険商品等の販売やサービスによる収入の減少、準備金の一層の積み増しや租税負担の増加等により、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (7) 保険商品に関する自然災害リスク当社グループは、わが国および海外の地震・風水災・雪害等の自然災害による損害に対して巨額の保険金等を支払うことがあります。そのため、当社グループは、補償(保障)内容および料率を適切に設定するとともに、再保険の活用や異常危険準備金等の積み立てを行っておりますが、予想の範囲を上回る頻度や規模の自然災害が発生した場合には、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (8) 予測を超える保険金等の支払リスク当社グループの主要事業である保険事業は、売上原価が保険金等の支払いによって事後的に確定する性質を有しております。そのため、当社グループは、補償(保障)内容および料率を適切に設定するとともに、将来の保険金等の支払いに備えて、保険契約準備金の積み立てを行っておりますが、実際の保険事故の発生率や生命保険等の保険期間が長期にわたる契約の解約率等が当初の予測と乖離した場合には、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (9) 再保険に関するリスク当社グループでは、再保険を活用し、巨大損害や自然災害に対するリスク分散に努めておりますが、再保険市場の環境変化により、再保険料が高騰する、あるいは十分な再保険が手当てできないリスクがあります。また、再保険会社の破綻等により、再保険金が回収不能となる信用リスクも伴います。これら再保険に関するリスクが発現した場合には、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (10) 株式等の価格変動リスク当社グループは、お客さまとの中長期的な関係維持の観点等から、大量の株式を保有しているほか、安定的な資産運用収益を得るため、国内外の有価証券等に幅広く投資しております。株式相場の下落等により、これらの資産の価値が減少した場合には、売却損や評価損の発生、評価差額金の減少等により、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (11) 金利変動リスク当社グループは、債券や貸付金等の固定金利資産を保有しており、金利上昇により、資産の価値が減少するリスクがあります。一方、当社グループは、生命保険や損害保険の積立保険等、予定利率(契約時にお客さまにお約束する運用利回り)を設定した商品を販売しており、金利低下により、実際の運用利回りが予定利率を下回るリスクがあります。また、当社グループが発行している劣後債は、発行から一定期間経過以降の利払いが変動金利となるため、金利上昇により利払いが増加するリスクがあります。これら金利変動リスクが発現した場合には、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (12) 為替変動リスク当社グループは、米ドル、ユーロ等の外貨建て資産・負債を保有しております。為替変動の影響を受け、資産の価値が減少、あるいは負債の価値が増加した場合には、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (13) 信用リスク当社グループは、株式、債券、貸付金等を保有し、また、信用・保証保険等を販売しております。株式・債券の発行者、貸付先、信用・保証保険契約の保証先の信用力低下や破綻等が発生した場合には、資産の価値の減少、貸倒損失や保険金支払の発生等により、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (14) 自然災害等の発生に伴う事業中断リスク当社グループは、大規模地震等の自然災害や新型インフルエンザ等のパンデミック(世界的な大流行)の発生等の有事に備え、業務継続計画を策定する等、業務継続体制の構築・整備・検証に努めておりますが、こうした管理にもかかわらず、円滑な業務運営が阻害された場合には、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (15) 情報漏えいに関するリスク当社グループは、多数のお客さまの情報を取り扱っているほか、様々な経営情報等の内部情報を保有しております。これらの情報に関しては、当社グループ各社において、情報管理態勢を整備し、厳重な管理を行っておりますが、万一重大な情報漏えいが発生した場合には、当社グループの社会的信頼・信用が失墜する、あるいは対応費用の支払いが発生することにより、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (16) 風評リスク当社グループに対する風評が、マスコミ報道やインターネット上の記事・投稿等により流布した場合に、お客さまや投資家の理解・認識に影響を及ぼすことにより、当社グループの社会的信頼・信用が毀損される可能性があります。当社グループでは、風評に適時適切に対応することで、影響の極小化を図るよう努めておりますが、悪質な風評が流布した場合には、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (17) 流動性リスク財務内容の悪化等による新契約の減少に伴う保険料収入の減少、大量ないし大口解約に伴う解約返戻金支出の増加、地震等の巨大災害発生に伴う支払保険金の増加等により、資金を確保するために通常よりも著しく高いコストを必要としたり、市場の混乱等により保有資産に関して通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされた場合には、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (18) システムリスク情報技術の進展に伴い、当社グループの事業運営は、情報システムへの依存度を高めてきています。そのため、自然災害、事故、サイバー攻撃による不正アクセス等の外部要因、人為的ミスによる情報システムの不備等の内部要因により、情報システムの停止、誤作動、不正使用等が発生するシステムリスクが内在します。また、システム開発の遅延等により、お客さまへ提供するサービスにおいて他社に劣後する恐れがあります。当社グループでは、システムリスク管理態勢を整備し、継続的にシステムリスクの低減等を進めているものの、重大なシステム障害が発生した場合には、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (19) 繰延税金資産の減少に関するリスク当社グループは、現行の会計基準に従い、将来の課税所得を合理的に見積もったうえで、回収可能性を判断し、繰延税金資産を計上しておりますが、将来の課税所得見積額の変更や税率変更等の税制の改正等により、繰延税金資産が減少し、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (20) 格付の低下に伴うリスク当社グループの一部の保険子会社は、格付会社から格付を取得しております。格付会社は各社の財政状態をはじめ、事業環境等を含めた様々な要因により、格付を見直しております。仮に、格付が引き下げられた場合には、営業活動や資金調達コスト等に悪影響が生じ、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (21) 人事・労務に関するリスク当社グループは、事業領域の拡大や事業環境の複雑化に対応するため、マネジメント層を含め、「多様性」・「専門性」の実現に向けた優秀な人材の確保・育成に力を入れていますが、必要となる要員数の増加やスキルセットの高度化に伴い、人材不足や人事・労務問題が生じる場合があります。こうしたリスクが発現した場合には、当社グループの成長力と競争力に影響を及ぼす可能性があります。 (22) お客さま本位の適切な業務運営が行われないリスク当社グループは、「お客さまの視点ですべての価値判断を行う」というグループ経営理念等に基づき、グループ全体で「お客さまの声」に真摯に耳を傾け、商品・サービス・業務運営の改善に活かすなど、お客さま本位の業務運営の実現に向けて取り組んでいます。しかしながら、変化が激しい時代において、お客さまの声を的確に捉えきれず、お客さま本位の業務運営が定着しない場合には、当社グループの競争力または業績や財政状況に影響を及ぼす可能性があります。 (23) その他のリスク上記のほか、事務ミス、役職員等による不正行為、法令違反、外部からの犯罪行為、訴訟に伴う賠償金の支払い等の発現により、直接・間接のコストが発生する、業務の運営に支障が生じる、当局から行政処分を受ける、当社グループの社会的信頼・信用が失墜する等のリスクがあります。また、積極的に事業展開を進めていく中、新たな事業への進出やM&A等において、投資金額に見合う収益が得られないリスクもあります。こうしたリスクが発現した場合には、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
FY2017|4,762 文字
4 【事業等のリスク】当社グループの事業その他に関して、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、主として以下のものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 日本の経済環境悪化に伴うリスク当社グループの業績は、わが国の経済環境や金融市場に大きく影響されます。当社グループは、主な事業基盤を日本国内に置くとともに、保有する主な運用資産が有価証券、貸付金等であり、国内株式、国内債券、国内融資および国内不動産等、わが国経済の変動に対するリスクが相対的に大きい資産ポートフォリオとなっております。このため、今後わが国の経済環境等が悪化した場合には、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (2) 保険業界を取り巻く環境変化に伴うリスク当社グループは、損害保険を中心とした事業展開を行っておりますが、自動車保有台数の減少、少子高齢化等を背景としたマーケット規模の縮小や、規制緩和による新規参入会社の出現、技術革新に伴う事故の減少による保険ニーズの減少、業界再編等による顧客・提携先との関係の変化、デジタル技術進展への対応不十分に起因する競争力・収益基盤の劣化・毀損等、わが国の保険業界を取り巻く環境は大きく変化しております。今後、保険業界を取り巻く環境が更に悪化した場合には、収益力が低下する等、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (3) 介護・ヘルスケア事業に関するリスク当社グループは、SOMPOケアメッセージ株式会社およびSOMPOケアネクスト株式会社の完全子会社化、投資事業有限責任組合を通じた株式会社シダーへの出資等、介護市場における取組みを強化しております。介護・ヘルスケア事業においては、介護保険法の改正ならびに介護報酬の改定、介護市場における競争激化、従業員確保の困難、食中毒、集団感染症の発生、高齢者事業特有の事故等の発生、およびそれらによる社会的信頼・信用の毀損、風評リスクの発生等により、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (4) 海外保険事業に関するリスク当社グループは、海外における保険事業の拡大に積極的に取り組んでおりますが、海外の保険市場には、わが国の保険市場にはない各国固有のリスクが存在しております。主なリスクは、現地における政治・社会・経済情勢の変化、為替変動、法律・規制の変更であり、さらに、進出している国や地域によっては、テロ・暴動等による政治的・社会的混乱も考えられます。また、M&Aによる買収企業において、投資金額に見合う収益が得られないリスクもあります。これら海外保険事業に関するリスクが発現した場合には、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (5) 関連事業に関するリスク当社グループは、保険事業以外に、介護・ヘルスケア事業、アセットマネジメント事業、確定拠出年金事業、アシスタンス事業、住宅リフォーム事業、延長保証事業等の事業伸展も図っております。これらの事業を展開する市場は、それぞれ厳しい競争にさらされており、投資金額に見合う収益が得られない場合には、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (6) 規制の変更に伴うリスク当社グループは、保険業法をはじめとして、会計制度・税制等、様々な規制に基づき、各種事業を運営しております。今後、これらの規制が新設または変更された場合には、保険商品等の販売やサービスによる収入の減少、準備金の一層の積み増しや租税負担の増加等により、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (7) 保険商品に関する自然災害リスク当社グループは、わが国および海外の地震・風水災・雪害等の自然災害による損害に対して巨額の保険金等を支払うことがあります。そのため、当社グループは、補償(保障)内容および料率を適切に設定するとともに、再保険の活用や異常危険準備金等の積み立てを行っておりますが、予想の範囲を上回る頻度や規模の自然災害が発生した場合には、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (8) 予測を超える保険金等の支払リスク当社グループの主要事業である保険事業は、売上原価が保険金等の支払いによって事後的に確定する性質を有しております。そのため、当社グループは、補償(保障)内容および料率を適切に設定するとともに、将来の保険金等の支払いに備えて、保険契約準備金の積み立てを行っておりますが、実際の保険事故の発生率や生命保険等の保険期間が長期にわたる契約の解約率等が当初の予測と乖離した場合には、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (9) 再保険に関するリスク当社グループでは、再保険を活用し、巨大損害や自然災害に対するリスク分散に努めておりますが、再保険市場の環境変化により、再保険料が高騰する、あるいは十分な再保険が手当てできないリスクがあります。また、再保険会社の破綻等により、再保険金が回収不能となる信用リスクも伴います。これら再保険に関するリスクが発現した場合には、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (10) 株式等の価格変動リスク当社グループは、お客さまとの中長期的な関係維持の観点等から、大量の株式を保有しているほか、安定的な資産運用収益を得るため、国内外の有価証券等に幅広く投資しております。株式相場の下落等により、これらの資産の価値が減少した場合には、売却損や評価損の発生、評価差額金の減少等により、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (11) 金利変動リスク当社グループは、債券や貸付金等の固定金利資産を保有しており、金利上昇により、資産の価値が減少するリスクがあります。一方、当社グループは、生命保険や損害保険の積立保険等、予定利率(契約時にお客さまにお約束する運用利回り)を設定した商品を販売しており、金利低下により、実際の運用利回りが予定利率を下回るリスクがあります。また、当社グループが発行している劣後債は、発行から一定期間経過以降の利払いが変動金利となるため、金利上昇により利払いが増加するリスクがあります。これら金利変動リスクが発現した場合には、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (12) 為替変動リスク当社グループは、米ドル、ユーロ等の外貨建て資産・負債を保有しております。為替変動の影響を受け、資産の価値が減少、あるいは負債の価値が増加した場合には、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (13) 信用リスク当社グループは、株式、債券、貸付金等を保有し、また、信用・保証保険等を販売しております。株式・債券の発行者、貸付先、信用・保証保険契約の保証先の信用力低下や破綻等が発生した場合には、資産の価値の減少、貸倒損失や保険金支払の発生等により、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (14) 自然災害等の発生に伴う事業中断リスク当社グループは、大規模地震等の自然災害や新型インフルエンザ等のパンデミック(世界的な大流行)の発生等の有事に備え、業務継続計画を策定する等、業務継続体制の構築・整備・検証に努めておりますが、こうした管理にもかかわらず、円滑な業務運営が阻害された場合には、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (15) 情報漏えいに関するリスク当社グループは、多数のお客さまの情報を取り扱っているほか、様々な経営情報等の内部情報を保有しております。これらの情報に関しては、当社グループ各社において、情報管理態勢を整備し、厳重な管理を行っておりますが、万一重大な情報漏えいが発生した場合には、当社グループの社会的信頼・信用が失墜する、あるいは対応費用の支払いが発生することにより、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (16) 風評リスク当社グループに対する風評が、マスコミ報道やインターネット上の記事・投稿等により流布した場合に、お客さまや投資家の理解・認識に影響を及ぼすことにより、当社グループの社会的信頼・信用が毀損される可能性があります。当社グループでは、風評に適時適切に対応することで、影響の極小化を図るよう努めておりますが、悪質な風評が流布した場合には、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (17) 流動性リスク財務内容の悪化等による新契約の減少に伴う保険料収入の減少、大量ないし大口解約に伴う解約返戻金支出の増加、地震等の巨大災害発生に伴う支払保険金の増加等により、資金を確保するために通常よりも著しく高いコストを必要としたり、市場の混乱等により保有資産に関して通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされた場合には、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (18) システムリスク情報技術の進展に伴い、当社グループの事業運営は、情報システムへの依存度を高めてきています。そのため、自然災害、事故、サイバー攻撃による不正アクセス等の外部要因、人為的ミスによる情報システムの不備等の内部要因により、情報システムの停止、誤作動、不正使用等が発生するシステムリスクが内在します。また、システム開発の遅延等により、お客さまへ提供するサービスにおいて他社に劣後する恐れがあります。当社グループでは、システムリスク管理態勢を整備し、継続的にシステムリスクの低減等を進めているものの、重大なシステム障害が発生した場合には、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (19) 繰延税金資産の減少に関するリスク当社グループは、現行の会計基準に従い、将来の課税所得を合理的に見積もったうえで、回収可能性を判断し、繰延税金資産を計上しておりますが、将来の課税所得見積額の変更や税率変更等の税制の改正等により、繰延税金資産が減少し、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (20) 格付の低下に伴うリスク当社グループの一部の保険子会社は、格付会社から格付を取得しております。格付会社は各社の財政状態をはじめ、事業環境等を含めた様々な要因により、格付を見直しております。仮に、格付が引き下げられた場合には、営業活動や資金調達コスト等に悪影響が生じ、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (21) 人事・労務に関するリスク当社グループは、事業領域の拡大やグローバル化に対応するため、人材の「多様性」、「専門性」の実現に向け、優秀な人材確保・育成に力を入れていますが、事業領域の拡大に伴いグループの要員も増加していることから、人材不足や人事・労務問題が生じた場合には、当社グループの成長力と競争力に影響を及ぼす可能性があります。 (22) その他のリスク上記のほか、事務ミス、役職員等による不正行為、法令違反、外部からの犯罪行為、訴訟に伴う賠償金の支払い等の発現により、直接・間接のコストが発生する、業務の運営に支障が生じる、当局から行政処分を受ける、当社グループの社会的信頼・信用が失墜する等のリスクがあります。こうしたリスクが発現した場合には、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
FY2016|4,763 文字
4 【事業等のリスク】当社グループの事業その他に関して、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、主として以下のものがあります。なお、本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。 (1) 日本の経済環境悪化に伴うリスク当社グループの業績は、わが国の経済環境や金融市場に大きく影響されます。当社グループは、主な事業基盤を日本国内に置くとともに、保有する主な運用資産が有価証券、貸付金等であり、国内株式、国内債券、国内融資および国内不動産等、わが国経済の変動に対するリスクが相対的に大きい資産ポートフォリオとなっております。このため、今後わが国の経済環境等が悪化した場合には、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (2) 保険業界を取り巻く環境変化に伴うリスク当社グループは、損害保険を中心とした事業展開を行っておりますが、自動車保有台数の減少、少子高齢化等を背景としたマーケット規模の縮小や、規制緩和による新規参入会社の出現、技術革新に伴う事故の減少による保険ニーズの減少、業界再編等による顧客・提携先との関係の変化、デジタル技術進展への対応不十分に起因する競争力・収益基盤の劣化・毀損等、わが国の保険業界を取り巻く環境は大きく変化しております。今後、保険業界を取り巻く環境が更に悪化した場合には、収益力が低下する等、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (3) 介護・ヘルスケア事業に関するリスク当社グループは、ワタミの介護株式会社(新商号「SOMPOケアネクスト株式会社」)および株式会社メッセージの子会社化や、投資事業有限責任組合を通じた株式会社シダーへの出資等、介護市場における取組みを強化しております。介護・ヘルスケア事業においては、介護保険法の改正ならびに介護報酬の改定、介護市場における競争激化、従業員確保の困難、高齢者事業特有の事故等の発生、風評リスクの発生等により、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (4) 規制の変更に伴うリスク当社グループは、保険業法をはじめとして、会計制度・税制等、様々な規制に基づき、各種事業を運営しております。今後、これらの規制が新設または変更された場合には、保険商品等の販売やサービスによる収入の減少、準備金の一層の積み増しや租税負担の増加等により、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (5) 保険商品に関する自然災害リスク当社グループは、わが国および海外の地震・風水災・雪害等の自然災害による損害に対して巨額の保険金等を支払うことがあります。そのため、当社グループは、補償(保障)内容および料率を適切に設定するとともに、再保険の活用や異常危険準備金等の積み立てを行っておりますが、予想の範囲を上回る頻度や規模の自然災害が発生した場合には、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (6) 予測を超える保険金等の支払リスク当社グループの主要事業である保険事業は、売上原価が保険金等の支払いによって事後的に確定する性質を有しております。そのため、当社グループは、補償(保障)内容および料率を適切に設定するとともに、将来の保険金等の支払いに備えて、保険契約準備金の積み立てを行っておりますが、実際の保険事故の発生率や生命保険等の保険期間が長期にわたる契約の解約率等が当初の予測と乖離した場合には、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (7) 再保険に関するリスク当社グループでは、再保険を活用し、巨大損害や自然災害に対するリスク分散に努めておりますが、再保険市場の環境変化により、再保険料が高騰する、あるいは十分な再保険が手当てできないリスクがあります。また、再保険会社の破綻等により、再保険金が回収不能となる信用リスクも伴います。これら再保険に関するリスクが発現した場合には、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (8) 海外保険事業に関するリスク当社グループは、海外における保険事業の拡大に積極的に取り組んでおりますが、海外の保険市場には、わが国の保険市場にはない各国固有のリスクが存在しております。主なリスクは、現地における政治・社会・経済情勢の変化、為替変動、法律・規制の変更であり、さらに、進出している国や地域によっては、テロ・暴動等による政治的・社会的混乱も考えられます。また、M&Aによる買収企業において、投資金額に見合う収益が得られないリスクもあります。これら海外保険事業に関するリスクが発現した場合には、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (9) 株式等の価格変動リスク当社グループは、お客さまとの中長期的な関係維持の観点等から、大量の株式を保有しているほか、安定的な資産運用収益を得るため、国内外の有価証券等に幅広く投資しております。株式相場の下落等により、これらの資産の価値が減少した場合には、売却損や評価損の発生、評価差額金の減少等により、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (10) 金利変動リスク当社グループは、債券や貸付金等の固定金利資産を保有しており、金利上昇により、資産の価値が減少するリスクがあります。一方、当社グループは、生命保険や損害保険の積立保険等、予定利率(契約時にお客さまにお約束する運用利回り)を設定した商品を販売しており、金利低下により、実際の運用利回りが予定利率を下回るリスクがあります。また、当社グループが発行している劣後債は、発行から一定期間経過以降の利払いが変動金利となるため、金利上昇により利払いが増加するリスクがあります。これら金利変動リスクが発現した場合には、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (11) 為替変動リスク当社グループは、米ドル、ユーロ等の外貨建て資産・負債を保有しております。為替変動の影響を受け、資産の価値が減少、あるいは負債の価値が増加した場合には、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (12) 信用リスク当社グループは、株式、債券、貸付金等を保有し、また、信用・保証保険等を販売しております。株式・債券の発行者、貸付先、信用・保証保険契約の保証先の信用力低下や破綻等が発生した場合には、資産の価値の減少、貸倒損失や保険金支払の発生等により、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (13) 自然災害等の発生に伴う事業中断リスク当社グループは、大規模地震等の自然災害や新型インフルエンザ等のパンデミック(世界的な大流行)の発生等の有事に備え、業務継続計画を策定する等、業務継続体制の構築・整備・検証に努めておりますが、こうした管理にもかかわらず、円滑な業務運営が阻害された場合には、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (14) 情報漏えいに関するリスク当社グループは、多数のお客さまの情報を取り扱っているほか、様々な経営情報等の内部情報を保有しております。これらの情報に関しては、当社グループ各社において、情報管理態勢を整備し、厳重な管理を行っておりますが、万一重大な情報漏えいが発生した場合には、当社グループの社会的信頼・信用が失墜する、あるいは対応費用の支払いが発生することにより、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (15) 風評リスク当社グループまたは保険業界に対する風評が、マスコミ報道やインターネットの掲示板への書き込み等により流布した場合に、お客さまや投資家の理解・認識に影響を及ぼすことにより、当社グループの社会的信頼・信用が毀損される可能性があります。当社グループでは、風評に適時適切に対応することで、影響の極小化を図るよう努めておりますが、悪質な風評が流布した場合には、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (16) 流動性リスク財務内容の悪化等による新契約の減少に伴う保険料収入の減少、大量ないし大口解約に伴う解約返戻金支出の増加、地震等の巨大災害発生に伴う支払保険金の増加等により、資金を確保するために通常よりも著しく高いコストを必要としたり、市場の混乱等により保有資産に関して通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされた場合には、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (17) システムリスク情報技術の進展に伴い、当社グループの事業運営は、情報システムへの依存度を高めてきています。そのため、自然災害、事故、サイバー攻撃による不正アクセス等の外部要因、人為的ミスによる情報システムの不備等の内部要因により、情報システムの停止、誤作動、不正使用等が発生するシステムリスクが内在します。また、システム開発の遅延等により、お客さまへ提供するサービスにおいて他社に劣後する恐れがあります。当社グループでは、システムリスク管理態勢を整備し、継続的にシステムリスクの低減等を進めているものの、重大なシステム障害が発生した場合には、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (18) 関連事業に関するリスク当社グループは、保険事業以外に、介護・ヘルスケア事業、アセットマネジメント事業、確定拠出年金事業、アシスタンス事業、住宅リフォーム事業、延長保証事業等の事業伸展も図っております。これらの事業を展開する市場は、それぞれ厳しい競争にさらされており、投資金額に見合う収益が得られない場合には、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (19) 繰延税金資産の減少に関するリスク当社グループは、現行の会計基準に従い、将来の課税所得を合理的に見積もったうえで、回収可能性を判断し、繰延税金資産を計上しておりますが、将来の課税所得見積額の変更や税率変更等の税制の改正等により、繰延税金資産が減少し、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (20) 格付の低下に伴うリスク当社グループの一部の保険子会社は、格付会社より格付を取得しております。格付会社は各社の財政状態をはじめ、事業環境等を含めた様々な要因により、格付を見直しております。仮に、格付が引き下げられた場合には、営業活動や資金調達コスト等に悪影響が生じ、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 (21) 人事・労務に関するリスク当社グループは、事業領域の拡大やグローバル化に対応するため、人材の「多様性」、「専門性」の実現に向け、優秀な人材確保・育成に力を入れていますが、事業領域の拡大に伴いグループの要員も増加していることから、人材不足や人事・労務問題が生じた場合には、当社グループの成長力と競争力に影響を及ぼす可能性があります。 (22) その他のリスク上記のほか、事務ミス、役職員等による不正行為、法令違反、外部からの犯罪行為、訴訟に伴う賠償金の支払い等の発現により、直接・間接のコストが発生する、業務の運営に支障が生じる、当局から行政処分を受ける、当社グループの社会的信頼・信用が失墜する等のリスクがあります。こうしたリスクが発現した場合には、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。