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近鉄百貨店(8244)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

小売業 小売

事業の概要

近鉄百貨店グループは、百貨店業を主軸に、卸・小売業、内装業、不動産業、運送業など多岐にわたる事業を展開しています。百貨店業では、自社店舗での商品販売に加え、友の会を通じた前払式商品売買の取次ぎも行っています。卸・小売業では輸入自動車販売や食品の製造・販売を手掛け、内装業では商業施設などの内装工事を請け負っています。不動産業では自社物件の賃貸が主な収益源です。このように、百貨店を核としつつ、関連する様々な事業をグループ全体で展開することで収益を上げています。

出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成

近鉄百貨店グループの事業は主に4つのセグメントで構成されています。最も大きな割合を占めるのは「百貨店事業」で、売上高930.46億円、営業利益39.21億円と、グループの稼ぎ頭です。次に「卸・小売事業」が売上高148.78億円、営業利益3.75億円で、輸入自動車販売や食品の製造・販売を行っています。「内装事業」は売上高40.37億円、営業利益8.73億円で、内装工事などを手掛けています。最後に「不動産賃貸事業」は売上高2.91億円、営業利益2.16億円で、主に自社保有物件の賃貸を行っています。これらのセグメント全体で、百貨店事業が収益の大部分を占める構造となっています。

2025-02 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
DepartmentStoreBusiness 地域 930 39 4.2%
WholesaleAndRetailBusiness 地域 149 4 2.5%
InteriorDecorationBusiness 地域 40 9 21.6%
RealEstateRental 事業 3 2 74.2%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|521 文字
3【事業の内容】当社グループは、当社、子会社5社で構成されており、百貨店業、卸・小売業、内装業、不動産業などの事業活動を展開しております。 当社並びに当社の子会社の営んでいる主な事業内容、各社の当該事業に関する位置づけ及びセグメントとの関係は、次のとおりであります。 百貨店業‥‥‥‥ 当社、㈱近鉄友の会が営んでおります。㈱近鉄友の会は、当社と各種サービスの提供を目的とした前払式の商品売買の取次ぎを行っております。 卸・小売業‥‥‥ ㈱シュテルン近鉄が輸入自動車の販売を、㈱ジャパンフーズクリエイトが食料品の製造・販売をそれぞれ行っております。また、当社は、㈱シュテルン近鉄に販売の取次ぎを行い、㈱ジャパンフーズクリエイトから商品を仕入れております。 内装業‥‥‥‥‥ ㈱近創が内装業を営んでおります。また、当社は、㈱近創に内装工事等の発注を行っております。 不動産業‥‥‥‥ 当社が営んでおります。主に当社が保有する物件の賃貸を行っております。 その他事業‥‥‥ 近畿配送サービス㈱が運送業を営んでおります。また、当社は、近畿配送サービス㈱に業務の委託を行っております。 当社グループの状況について事業系統図を示すと次のとおりであります。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2026時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
流通業界における競争激化、消費行動・生活様式の変容、デジタル化の進行
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 規制
大規模小売店舗立地法、独占禁止法・取適法、景品表示法・JAS法・食品衛生法・製造物責任法(PL法)等
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 中程度
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか シクリカル
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:経営環境上のリスク / 商品取引に関するリスク / 法律の規制、制度の変更に関するリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 6 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

近鉄百貨店は、近鉄グループという強力なバックボーンを持つが、個別のブランド力や特許、規制ライセンスによる明確な無形資産の優位性は限定的。沿線沿いの立地は強みだが、それ自体が直接的な無形資産とは評価しにくい。

スイッチングコスト★☆☆☆☆
根拠:弱い乗り換えの手間・コスト

百貨店という業態上、顧客が他社に乗り換える際の直接的な金銭的・時間的コストは低い。ただし、近鉄沿線住民にとっては利便性からくる一定のスイッチング・コストは存在する可能性がある。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

百貨店ビジネスにおいて、顧客数が増えることでサービス価値が向上するようなネットワーク効果は基本的に見られない。

コスト優位★☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

百貨店業界全体として、効率化や仕入れ努力によるコスト削減は行われているが、近鉄百貨店が構造的に他社より圧倒的に安く仕入れ・販売できるようなコスト優位性は見出しにくい。

規模の経済★★★☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

近鉄沿線という地域密着型の強固な顧客基盤と、主要駅に立地する複数店舗展開により、地域内での一定の規模の経済を享受している。特に近鉄沿線においては、競合が限定される状況がある。

近鉄百貨店グループの優位性は、長年にわたる百貨店事業で培われたブランド力と顧客基盤にあります。特に、友の会を通じた顧客との継続的な関係構築や、外商部門による法人・富裕層向けの取引は、安定した収益源となり、他社との差別化に寄与しています。また、百貨店事業だけでなく、輸入自動車販売、食品製造・販売、内装工事、不動産賃貸といった多角的な事業展開により、特定の事業に依存しないリスク分散型の収益構造を構築している点も強みと言えます。これにより、百貨店業界の競争激化や消費動向の変化に対し、グループ全体で柔軟に対応できる体制を築いています。

出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。(1)経営の基本方針近鉄百貨店グループは、1.創造と革新の姿勢をもって、積極果敢に目標と取組む2.顧客第一の精神に徹し、まごころと感謝の念をもって奉仕する3.よりよき生活の提案者を目指し、魅力ある店づくりに努める4.相互信頼を基盤として、取引先との共存共栄をはかる5.理解と協調にもとづく人間関係を樹立し、働きがいのある職場環境をつくることを経営方針としております。そして、お客様の生活のさまざまな場面で、より素敵な暮らしづくりを応援し、幅広い品揃えときめ細かなサービスの提供を通じて、すべてのステークホルダーの皆様の期待に応えるとともに、地域の発展に貢献する企業であり続けることを目指しております。 (2)中長期的な経営戦略及び対処すべき課題文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末に当社グループが判断したものであります。経営者が認識している今後の見通しにつきましては、国際情勢の不安定化やこれらに伴う物価上昇の懸念などにより、景気の先行きは依然として予断を許さない状況が続くものと思われます。また、環境問題をはじめとする社会問題がより拡大、複雑化するなかで、地域とそこに暮らす人々に対する企業の社会的責任はますます大きくなり、「地域社会の発展」と「持続可能な社会の実現」に対する取組みを推進していくことは、企業として目指すべき姿であります。このような状況の下、当社グループは、2年目を迎える中期経営計画に基づき、引き続き「新たな価値創造事業会社」である「百“価”店」へと生まれ変わるべく、あべのハルカス近鉄本店及び外商を核として既存事業をより強固にするとともに、事業環境の変化に対応するための基盤強化に向けた諸施策を遂行します。また、2021年4月に策定したESG方針に基づき、経営戦略の柱としてESG推進に取り組み、社会課題の解決と地域社会及び企業の持続的成長を目指します。なお、「中期経営計画(2025~2028年度)」は以下の内容を骨子としております。①長期ビジョン ~2036年 創業100周年に向けて~ a.環境認識今後、当社が直面するのは、非連続で不確実性の高い事業環境です。日本全体が生産年齢人口の減少と超高齢化のフェーズに入り、労働市場・消費市場の減少が進行、加えてインフレや金利上昇、消費の二極化、デジタル化を含めた技術の進化など外部環境は急激に変化しております。当社では課題への対応を行いながら、この変化を事業機会と捉え、当社の持つ資産や地域で培ってきた信頼をベースに、企業としてのさらなる成長を目指します。 b.長期ビジョン当社が常に立ち戻る原点であるミッションは、経営理念である「市民生活の向上と地域社会の発展に貢献し続ける」ことです。このミッションの基、前・中期経営計画で定めた長期に目指す姿「くらしを豊かにするプラットフォーマー」へとさらなる進化を図るため、現・中期経営計画では「新たな価値創造事業会社=百“価”店へと生まれ変わる」ことを掲げています。くらしのプラットフォームとは、近鉄商圏に「暮らす」「働く」「訪れる」人々に向けて、多種多様な「価値」を提供する“場”を意味します。これまでの百貨店事業で培った「店頭での接客力」「外商というお客さまに寄り添う人的サービス」「デジタル対応」といった様々な顧客接点を活かし、百貨店内の事業のみならず近鉄グループ力も活かした様々なモノ・コト・サービスを提供する企業を目指します。2036年に大軌百貨店開業から数えて創業 100 周年を迎える当社は、これまでも様々なチャレンジをし続け、常に進化してきました。近鉄グループを代表する小売業として今後もこの進化への歩みを止めず、「豊かなくらしと価値ある生活文化」を創造・提供し、商圏顧客のLTV(顧客生涯価値)最大化を目指します。  c.サステナビリティ当社は鉄道沿線を主要商圏として事業を展開しており、地域とともに成長・発展する地域共創型百貨店として、地域への社会貢献を推進しています。「地域に寄り添い、地域と活きる」を方針に、「地域共創の実現」、「地球環境への貢献」、「個人と企業の相互の絆と成長」を重点取組みと掲げ、ESG経営を推進します。当社の強みである「地域共創の実現」に向けては、地域産品を紹介・販売する「路(みち)シリーズ」の展開、自社農場での大阪いちご「はるかすまいる」の生産・販売、2024年から新たにマンゴーの生産、市民活動団体や個人ボランティアとの連携によるあべのハルカス近鉄本店での「縁活(エンカツ)」プロジェクトなどを実施してきました。また、「地球環境への貢献」に向けては店舗を横断したプロジェクト活動を実施、「個人と企業の相互の絆と成長」に向けては柔軟な働き方への環境整備に加え、2025年3月にはカスタマーハラスメントに対する基本方針を策定するなど、安心して働ける職場環境づくりにも力を入れています。②中期経営計画(2025~2028年度)2025~2028年度の4年間を、事業環境の変化に対応し、事業・体制を進化・深耕させる期間と位置づけます。既存事業をより強固にしながら、事業ポートフォリオの拡大に向け、新たな核となる事業の種まき・育成を行うとともに、社会構造変化に対応した将来への基盤整備により、持続的な成長を図り「くらしを豊かにするプラットフォーマー」を目指します。 a.「百“価”店事業」への進化  ・旗艦店 あべのハルカス近鉄本店「リモデル」あべのハルカス近鉄本店では、開業直後から課題に対してスピード感を持って対応し、コロナ禍においても積極的に施策を強化してまいりました。10周年を経たあべのハルカス近鉄本店では現・中期経営計画期間においてリモデルを実施し、常に期待される「価値創造百貨店」へと進化させます。4年間で全館10万㎡の約3割をリモデルし、顧客層の拡大、次世代顧客獲得を図ります。  ・あべの・天王寺エリアの魅力最大化旗艦店「あべのハルカス近鉄本店」を有する「あべの・天王寺エリア」を最重要拠点とし、あべのハルカス近鉄本店を中心にエリア全体で、4年間で100億円の投資を計画します。あべの・天王寺エリアは、ターミナルでありながらも緑や文化を有する大阪市内でも有数の文教地区であり、足元商圏には大規模居住地が広がり、新幹線・関西国際空港・大阪国際空港にもダイレクトアクセスのできる好立地にあります。中期経営計画期間において、あべのハルカス近鉄本店のみならず、当社所有の商業施設である「Hoop」「and」についてもリモデルを実施し、また2025年7月には近隣住民の「ウェルビーイング」な生活をサポートする地上4階建の医療モール「あべのウェルビーイングテラス」を開業しました。加えて、近鉄グループや周辺商業施設、地元企業と連携し、交流人口も定住人口も1日を過ごすことのできるエリアへ、キタ・ミナミとは違う「個性」を確立し、魅力アップを図ります。  ・全社顧客戦略全社顧客の再定義により新たな顧客政策を推進し、近鉄商圏の顧客LTV(顧客生涯価値)最大化につなげます。具体的には百貨店の組織別顧客(外商、KIPS、友の会)に加え、近鉄グループ顧客ID統合を活用し、近鉄グループ各社の顧客を当社の顧客(候補)として再定義します。また、保有カード・組織別ではない「顧客層別」政策を、特に上位層については外商組織を中心に推進し、優良顧客へのランクアップ、VIP化を進めます。あわせて、富裕層への取組みを強化します。特にあべのハルカス近鉄本店に新設する「プレミアムサロン(仮称)」や、アテンドサービス、ライフコンシェルジュサービスの提供など、接遇やサービス面を強化し、外商売上高を2024年度から約2割増まで伸ばす計画です。  ・地域店の進化地域店は「近鉄百貨店」として地域の価値向上に貢献し、駅前立地にある地域のインフラ機能として、必要なモノ・コト・サービスを提供し、「なくてはならない」存在であり続けます。地域店についてはコロナ禍を経ての構造改革により、前・中期経営計画期間に全店黒字化を達成いたしました。現・中期経営計画期間においては、今後も利益を安定継続させるため、収益構造改革、コスト構造改革、働き方改革、3つの改革を徹底し、もう一段階の店舗構造改革を進めます。館としては低層階に百貨店機能を集約し、デパ地下や上質なライフスタイルを提供、一方で中層階から上層階には大型専門店や地域コミュニティ・サービス機能を導入するなど、地域に必要なモノ・コト・サービスを提供する「価値提供型」店舗への進化を目指します。また地域店各店にあべのハルカス近鉄本店で取扱う商材の窓口機能を構築し、地域商圏のお客さまにサービスの最大化を図ります。   ・自主事業の進化当社事業における柱のひとつへと成長した自主事業は、次のステップへと進化させます。業種・店舗数を拡大してきたフランチャイズ形態については、「量」から、事業の生産性向上をも目指す「質」への転換を図ります。またフランチャイズ事業で培ったノウハウを百貨店事業の深耕や新たな事業ポートフォリオの構築など他事業に活かし、全社でのさらなる成長を図ります。 b.新たな事業ポートフォリオへの種まき「くらしを豊かにするプラットフォーマー」としての事業拡大を目指し、百貨店事業で培った「強み」や「コンテンツ」という資産を活用し、将来の新たな収益の柱となる事業を積極的に育成しております。自社生産による農業事業(大阪いちご「はるかすまいる」等)では、生産だけにとどまらず、規格外品の活用等を通じた新たな商品開発などに取り組んでおります。またオリジナルグッズ開発ビジネスや法人企業向けの商事事業(BtoB事業)、内装業における外部顧客からの受注拡大等、将来の成長の柱となる事業ポートフォリオへの種まきを進めてまいります。 c.将来への基盤整備  ・人的資本経営事業の成長・拡大の根源となる人への投資を積極的に進めます。多様な事業や職域の特性に対応するため、2027年度に人事制度を抜本的に改革いたします。また、従業員が「働きたい」と思える環境整備も整え、2025年度より新規事業提案制度「近鉄イノベーションラボ」を実施するなど、一人ひとりが持つ“価”を見出し・育て・最大限の発揮・次世代へ繋いでいくための人的資本経営を目指しています。これらの処遇改善や人事制度改革を含め、4年間で約40億円の人的資本投資を計画しています。  ・DX戦略すべての事業と実務領域において、全社一体となってDXを加速させます。特に「顧客とのつながりの強化」「リアル店舗DX」「ワークスタイル変革」をDX戦略の3本の柱として注力し、4年間で約20億円の投資を計画しています。あわせて事業部門とDX推進担当部門が協同する推進体制を整え、DX推進人財の育成に取り組みます。長期的な観点で「システムのシンプル化・スピード化・全体最適化」を進めます。 d.「資本コストや株価を意識した経営」の実現全体戦略においての投資と還元のバランスを取りながら、さらなる企業成長を図ります。あべの・天王寺を中心に成長投資をおこなう一方、事業環境の変化に対応した基盤強化への投資も実施します。 今後は収益性向上と株主還元方針の見直しにより、連結ROE9.0%以上を目指します。  ・収益性向上中期経営計画の着実な実行を通じて、特にあべの・天王寺エリアへの集中投資や自主事業を中心とした商品力強化、顧客戦略強化などにより、連結売上高営業利益率を5.0%以上に高め、収益性の向上を図ります。  ・株主還元方針の見直し自己資本が着実に蓄積されている状況を踏まえ、将来の事業展開に備え財務体質の強化を図る一方で、安定的な配当を継続するこれまでの方針から2025年度(2026年2月期)より、財務健全性を維持しつつ、業績に応じた株主還元を強化する方針にシフトします。また、2025年度(2026年2月期)より、30%を目安に連結配当性向目標を新設しています。業績に応じた配当をおこなうとともに、株主・投資家との関係性をより深めるため、市場との積極的な対話の推進、株主優待の利便性向上等に取り組み、PBR向上を目指します。 (3)目標とする経営指標当社グループは、収益性の向上と最適な株主還元を追求し、「資本コストや株価を意識した経営」の実現を最重要課題の一つと位置付けております。中期経営計画(2025~2028年度)において掲げた下記に記載の最終年度の連結営業利益目標65億円については、当連結会計年度において67億円を計上し、前倒しで達成しました。今後は、株主資本コスト(5.0%~6.0%)を上回る資本収益性を確保するため、連結売上高営業利益率を5.0%以上に高めるとともに株主還元を強化し、連結ROE(自己資本当期純利益率)9.0%以上を目指します。「中期経営計画」の最終年度である2028年度の連結経営目標数値は以下のとおりです。・連結営業利益            65億円・ROE             9.0%以上 ※新リース会計基準適用前
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。(1)経営の基本方針近鉄百貨店グループは、1.創造と革新の姿勢をもって、積極果敢に目標と取組む2.顧客第一の精神に徹し、まごころと感謝の念をもって奉仕する3.よりよき生活の提案者を目指し、魅力ある店づくりに努める4.相互信頼を基盤として、取引先との共存共栄をはかる5.理解と協調にもとづく人間関係を樹立し、働きがいのある職場環境をつくることを経営方針としております。そして、お客様の生活のさまざまな場面で、より素敵な暮らしづくりを応援し、幅広い品揃えときめ細かなサービスの提供を通じて、すべてのステークホルダーの皆様の期待に応えるとともに、地域の発展に貢献する企業であり続けることを目指しております。 (2)中長期的な経営戦略及び対処すべき課題文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末に当社グループが判断したものであります。経営者が認識している今後の見通しにつきましては、国際情勢の不安定化やこれらに伴う物価上昇の懸念などにより、景気の先行きは依然として予断を許さない状況が続くものと思われます。また、環境問題をはじめとする社会問題がより拡大、複雑化するなかで、地域とそこに暮らす人々に対する企業の社会的責任はますます大きくなり、「地域社会の発展」と「持続可能な社会の実現」に対する取組みを推進していくことは、企業として目指すべき姿であります。このような状況の下、当社グループは、2年目を迎える中期経営計画に基づき、引き続き「新たな価値創造事業会社」である「百“価”店」へと生まれ変わるべく、あべのハルカス近鉄本店及び外商を核として既存事業をより強固にするとともに、事業環境の変化に対応するための基盤強化に向けた諸施策を遂行します。また、2021年4月に策定したESG方針に基づき、経営戦略の柱としてESG推進に取り組み、社会課題の解決と地域社会及び企業の持続的成長を目指します。なお、「中期経営計画(2025~2028年度)」は以下の内容を骨子としております。①長期ビジョン ~2036年 創業100周年に向けて~ a.環境認識今後、当社が直面するのは、非連続で不確実性の高い事業環境です。日本全体が生産年齢人口の減少と超高齢化のフェーズに入り、労働市場・消費市場の減少が進行、加えてインフレや金利上昇、消費の二極化、デジタル化を含めた技術の進化など外部環境は急激に変化しております。当社では課題への対応を行いながら、この変化を事業機会と捉え、当社の持つ資産や地域で培ってきた信頼をベースに、企業としてのさらなる成長を目指します。 b.長期ビジョン当社が常に立ち戻る原点であるミッションは、経営理念である「市民生活の向上と地域社会の発展に貢献し続ける」ことです。このミッションの基、前・中期経営計画で定めた長期に目指す姿「くらしを豊かにするプラットフォーマー」へとさらなる進化を図るため、現・中期経営計画では「新たな価値創造事業会社=百“価”店へと生まれ変わる」ことを掲げています。くらしのプラットフォームとは、近鉄商圏に「暮らす」「働く」「訪れる」人々に向けて、多種多様な「価値」を提供する“場”を意味します。これまでの百貨店事業で培った「店頭での接客力」「外商というお客さまに寄り添う人的サービス」「デジタル対応」といった様々な顧客接点を活かし、百貨店内の事業のみならず近鉄グループ力も活かした様々なモノ・コト・サービスを提供する企業を目指します。2036年に大軌百貨店開業から数えて創業 100 周年を迎える当社は、これまでも様々なチャレンジをし続け、常に進化してきました。近鉄グループを代表する小売業として今後もこの進化への歩みを止めず、「豊かなくらしと価値ある生活文化」を創造・提供し、商圏顧客のLTV(顧客生涯価値)最大化を目指します。  c.サステナビリティ当社は鉄道沿線を主要商圏として事業を展開しており、地域とともに成長・発展する地域共創型百貨店として、地域への社会貢献を推進しています。「地域に寄り添い、地域と活きる」を方針に、「地域共創の実現」、「地球環境への貢献」、「個人と企業の相互の絆と成長」を重点取組みと掲げ、ESG経営を推進します。当社の強みである「地域共創の実現」に向けては、地域産品を紹介・販売する「路(みち)シリーズ」の展開、自社農場での大阪いちご「はるかすまいる」の生産・販売、2024年から新たにマンゴーの生産、市民活動団体や個人ボランティアとの連携によるあべのハルカス近鉄本店での「縁活(エンカツ)」プロジェクトなどを実施してきました。また、「地球環境への貢献」に向けては店舗を横断したプロジェクト活動を実施、「個人と企業の相互の絆と成長」に向けては柔軟な働き方への環境整備に加え、2025年3月にはカスタマーハラスメントに対する基本方針を策定するなど、安心して働ける職場環境づくりにも力を入れています。②中期経営計画(2025~2028年度)2025~2028年度の4年間を、事業環境の変化に対応し、事業・体制を進化・深耕させる期間と位置づけます。既存事業をより強固にしながら、事業ポートフォリオの拡大に向け、新たな核となる事業の種まき・育成を行うとともに、社会構造変化に対応した将来への基盤整備により、持続的な成長を図り「くらしを豊かにするプラットフォーマー」を目指します。 a.「百“価”店事業」への進化  ・旗艦店 あべのハルカス近鉄本店「リモデル」あべのハルカス近鉄本店では、開業直後から課題に対してスピード感を持って対応し、コロナ禍においても積極的に施策を強化してまいりました。10周年を経たあべのハルカス近鉄本店では現・中期経営計画期間においてリモデルを実施し、常に期待される「価値創造百貨店」へと進化させます。4年間で全館10万㎡の約3割をリモデルし、顧客層の拡大、次世代顧客獲得を図ります。  ・あべの・天王寺エリアの魅力最大化旗艦店「あべのハルカス近鉄本店」を有する「あべの・天王寺エリア」を最重要拠点とし、あべのハルカス近鉄本店を中心にエリア全体で、4年間で100億円の投資を計画します。あべの・天王寺エリアは、ターミナルでありながらも緑や文化を有する大阪市内でも有数の文教地区であり、足元商圏には大規模居住地が広がり、新幹線・関西国際空港・大阪国際空港にもダイレクトアクセスのできる好立地にあります。中期経営計画期間において、あべのハルカス近鉄本店のみならず、当社所有の商業施設である「Hoop」「and」についてもリモデルを実施し、また2025年7月には近隣住民の「ウェルビーイング」な生活をサポートする地上4階建の医療モール「あべのウェルビーイングテラス」を開業しました。加えて、近鉄グループや周辺商業施設、地元企業と連携し、交流人口も定住人口も1日を過ごすことのできるエリアへ、キタ・ミナミとは違う「個性」を確立し、魅力アップを図ります。  ・全社顧客戦略全社顧客の再定義により新たな顧客政策を推進し、近鉄商圏の顧客LTV(顧客生涯価値)最大化につなげます。具体的には百貨店の組織別顧客(外商、KIPS、友の会)に加え、近鉄グループ顧客ID統合を活用し、近鉄グループ各社の顧客を当社の顧客(候補)として再定義します。また、保有カード・組織別ではない「顧客層別」政策を、特に上位層については外商組織を中心に推進し、優良顧客へのランクアップ、VIP化を進めます。あわせて、富裕層への取組みを強化します。特にあべのハルカス近鉄本店に新設する「プレミアムサロン(仮称)」や、アテンドサービス、ライフコンシェルジュサービスの提供など、接遇やサービス面を強化し、外商売上高を2024年度から約2割増まで伸ばす計画です。  ・地域店の進化地域店は「近鉄百貨店」として地域の価値向上に貢献し、駅前立地にある地域のインフラ機能として、必要なモノ・コト・サービスを提供し、「なくてはならない」存在であり続けます。地域店についてはコロナ禍を経ての構造改革により、前・中期経営計画期間に全店黒字化を達成いたしました。現・中期経営計画期間においては、今後も利益を安定継続させるため、収益構造改革、コスト構造改革、働き方改革、3つの改革を徹底し、もう一段階の店舗構造改革を進めます。館としては低層階に百貨店機能を集約し、デパ地下や上質なライフスタイルを提供、一方で中層階から上層階には大型専門店や地域コミュニティ・サービス機能を導入するなど、地域に必要なモノ・コト・サービスを提供する「価値提供型」店舗への進化を目指します。また地域店各店にあべのハルカス近鉄本店で取扱う商材の窓口機能を構築し、地域商圏のお客さまにサービスの最大化を図ります。   ・自主事業の進化当社事業における柱のひとつへと成長した自主事業は、次のステップへと進化させます。業種・店舗数を拡大してきたフランチャイズ形態については、「量」から、事業の生産性向上をも目指す「質」への転換を図ります。またフランチャイズ事業で培ったノウハウを百貨店事業の深耕や新たな事業ポートフォリオの構築など他事業に活かし、全社でのさらなる成長を図ります。 b.新たな事業ポートフォリオへの種まき「くらしを豊かにするプラットフォーマー」としての事業拡大を目指し、百貨店事業で培った「強み」や「コンテンツ」という資産を活用し、将来の新たな収益の柱となる事業を積極的に育成しております。自社生産による農業事業(大阪いちご「はるかすまいる」等)では、生産だけにとどまらず、規格外品の活用等を通じた新たな商品開発などに取り組んでおります。またオリジナルグッズ開発ビジネスや法人企業向けの商事事業(BtoB事業)、内装業における外部顧客からの受注拡大等、将来の成長の柱となる事業ポートフォリオへの種まきを進めてまいります。 c.将来への基盤整備  ・人的資本経営事業の成長・拡大の根源となる人への投資を積極的に進めます。多様な事業や職域の特性に対応するため、2027年度に人事制度を抜本的に改革いたします。また、従業員が「働きたい」と思える環境整備も整え、2025年度より新規事業提案制度「近鉄イノベーションラボ」を実施するなど、一人ひとりが持つ“価”を見出し・育て・最大限の発揮・次世代へ繋いでいくための人的資本経営を目指しています。これらの処遇改善や人事制度改革を含め、4年間で約40億円の人的資本投資を計画しています。  ・DX戦略すべての事業と実務領域において、全社一体となってDXを加速させます。特に「顧客とのつながりの強化」「リアル店舗DX」「ワークスタイル変革」をDX戦略の3本の柱として注力し、4年間で約20億円の投資を計画しています。あわせて事業部門とDX推進担当部門が協同する推進体制を整え、DX推進人財の育成に取り組みます。長期的な観点で「システムのシンプル化・スピード化・全体最適化」を進めます。 d.「資本コストや株価を意識した経営」の実現全体戦略においての投資と還元のバランスを取りながら、さらなる企業成長を図ります。あべの・天王寺を中心に成長投資をおこなう一方、事業環境の変化に対応した基盤強化への投資も実施します。 今後は収益性向上と株主還元方針の見直しにより、連結ROE9.0%以上を目指します。  ・収益性向上中期経営計画の着実な実行を通じて、特にあべの・天王寺エリアへの集中投資や自主事業を中心とした商品力強化、顧客戦略強化などにより、連結売上高営業利益率を5.0%以上に高め、収益性の向上を図ります。  ・株主還元方針の見直し自己資本が着実に蓄積されている状況を踏まえ、将来の事業展開に備え財務体質の強化を図る一方で、安定的な配当を継続するこれまでの方針から2025年度(2026年2月期)より、財務健全性を維持しつつ、業績に応じた株主還元を強化する方針にシフトします。また、2025年度(2026年2月期)より、30%を目安に連結配当性向目標を新設しています。業績に応じた配当をおこなうとともに、株主・投資家との関係性をより深めるため、市場との積極的な対話の推進、株主優待の利便性向上等に取り組み、PBR向上を目指します。 (3)目標とする経営指標当社グループは、収益性の向上と最適な株主還元を追求し、「資本コストや株価を意識した経営」の実現を最重要課題の一つと位置付けております。中期経営計画(2025~2028年度)において掲げた下記に記載の最終年度の連結営業利益目標65億円については、当連結会計年度において67億円を計上し、前倒しで達成しました。今後は、株主資本コスト(5.0%~6.0%)を上回る資本収益性を確保するため、連結売上高営業利益率を5.0%以上に高めるとともに株主還元を強化し、連結ROE(自己資本当期純利益率)9.0%以上を目指します。「中期経営計画」の最終年度である2028年度の連結経営目標数値は以下のとおりです。・連結営業利益            65億円・ROE             9.0%以上 ※新リース会計基準適用前
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要① 経営成績の状況当期のわが国経済は、海外における経済政策の不確実性や地政学的リスクの影響に加え、物価高騰の継続により消費者マインドが不安定化しているものの、雇用・所得環境の改善を背景に、景気は緩やかな回復基調をたどりました。百貨店業界におきましては、国内売上は好調に推移した一方、免税売上は上半期に前年の円安効果や特選洋品の値上げ前の駆け込み需要による反動減がみられ、下半期は一度回復の兆しをみせたものの、日中関係の悪化の影響等により、全国百貨店売上高は勢いに精彩を欠いて推移しました。このような状況の下、当社グループは、「くらしを豊かにするプラットフォーマー」を長期ビジョンとした中期経営計画(2025~2028年度)を昨年4月に策定し、「百“価”店事業」への進化など4つの基本方針に基づく諸施策を強力に推進するとともに、各事業における収益力向上に懸命の努力を払いました。この結果、当社グループの業績につきましては、売上高は125,450百万円(前期比9.0%増)、営業利益は6,718百万円(同25.5%増)となり、経常利益は6,613百万円(同28.5%増)となりました。これに、名古屋店閉店に伴う受取補償金や政策保有株式の売却益を特別利益に計上し、減損損失、名古屋店閉店に伴う店舗閉鎖損失や店舗改装に伴う除却損等を特別損失に計上し、法人税等を差引した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は3,709百万円(同6.4%増)となりました。 事業のセグメント別業績は、次のとおりであります。 <百貨店業>百貨店業におきましては、収益力及び集客力の強化に注力するとともに、さらなる企業価値の向上を推進してまいりました。まず、当社は昨年4月13日から10月13日まで開催された「大阪・関西万博」で会場内オフィシャルストアを運営いたしました。次に、中期経営計画の重点施策の一つとして掲げる「旗艦店あべのハルカス近鉄本店『リモデル』」の取組みとして「何度も行きたくなるデパ地下」の構築を目指し、菓子売場において、特に人気の高い洋菓子のカテゴリーを中心に「百貨店初出店」「関西初出店」のブランドを導入するなどの改装を実施いたしました。さらには、あべの・天王寺エリアの魅力最大化の施策として、Hoop1階に「SALOMON(サロモン)」「New Balance(ニューバランス)」といった人気スポーツブランドを、同館5階に大型スポーツ専門店「スーパースポーツゼビオ」を導入いたしました。これにより、あべのハルカス近鉄本店・Hoop・andの3館が、これまで以上にそれぞれの役割・機能を活かしながら新たな価値を提供し、あべの・天王寺エリアを活性化させるための体制が整いました。加えて、地域店においては、地域生活に「なくてはならない存在」を目指し、魅力ある店舗づくりに取り組みました。上本町店では、地下2階菓子売場に全国初の常設店となる桃スイーツ専門店「OSAKA PEACH(オオサカピーチ)」など複数の新ブランドを導入したほか、草津店では、1階食料品売場に現代の個食・時短需要の高まりに対応するため、惣菜の品揃えを強化し、冷凍食品コーナーを導入いたしました。また、和歌山店2階に和歌山県初出店の「ハンズ」を、四日市店1階にセミセルフ型コスメショップ「グリーンコスメティックガーデン」をそれぞれ導入するなど、フランチャイズ・自主運営売場を積極的に拡充し、収益力の向上に努めました。さらに、名古屋店「近鉄パッセ」では、「名古屋駅地区再開発計画」による閉店日の本年2月28日までの50日間、これまでの感謝の気持ちを込めて「28年間ありがとう!さよならPass’e 閉店SALE!」を開催し、多くのお客様にご来店いただきました。これらの諸施策を推進したことに加え、外商売上が好調に推移した結果、売上高は103,168百万円(前期比10.9%増)、営業利益は5,692百万円(同45.2%増)となりました。 <卸・小売業>卸・小売業におきましては、株式会社シュテルン近鉄で中古車の販売が好調に推移し増収となったものの、益率の低下やデモカーのリース料等の諸経費の増加により減益となり、売上高は15,024百万円(前期比1.0%増)、営業利益は196百万円(同47.5%減)となりました。 <内装業>内装業におきましては、株式会社近創でホテル工事の受注が好調に推移したことにより、売上高は4,470百万円(前期比10.7%増)となったものの、前年には高益率のホテル工事の受注があったため、営業利益は788百万円(同9.7%減)となりました。 <不動産業>不動産業におきましては、「あべの・天王寺エリアの魅力最大化」の施策として昨年7月1日に医療モール「あべのウェルビーイングテラス」を開業したことなどにより、売上高は340百万円(前期比16.6%増)、営業利益は241百万円(同11.5%増)となりました。 <その他事業>その他事業におきましては、前連結会計年度に連結子会社であった株式会社Kサポートが連結範囲から外れたことにより、売上高は2,446百万円(前期比14.3%減)、営業利益は57百万円(同13.8%減)となりました。 ② 財政状態の状況当連結会計年度末における総資産は、減損損失の計上により、有形固定資産が減少した一方で、現金及び預金や短期貸付金の増加などにより、前期末に比べ10,360百万円増加し124,749百万円となりました。負債は、短期借入金が減少した一方で、支払手形及び買掛金や未払法人税等の増加などにより、前期末に比べ3,112百万円増加し78,924百万円となりました。純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上や自己株式の減少などにより、前期末に比べ7,248百万円増加し45,825百万円となりました。この結果、自己資本比率は36.7%となりました。 ③ キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前期末に比べ2,069百万円増加し4,658百万円となりました。「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、税金等調整前当期純利益、減価償却費及び減損損失の計上に名古屋店閉店に伴う補償金の受領が加わり15,234百万円の収入(前期 6,730百万円の収入)となりました。「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、短期貸付金の貸付による支出や有形及び無形固定資産の取得による支出などにより、12,495百万円の支出(前期 3,900百万円の支出)となりました。「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、自己株式の処分による収入があったものの、借入金の返済や配当金の支払により669百万円の支出(前期 3,970百万円の支出)となりました。 ④ 生産、受注及び販売の実績a.生産実績当連結会計年度における生産実績は、当社グループ全体の事業活動に占める比重が極めて低いため、記載を省略しております。 b.受注実績該当事項はありません。 c.販売実績当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2025年3月1日至 2026年2月28日)品名売上高(百万円)前年同期比(%)百貨店業衣料品13,87893.8身回品6,09489.0家庭用品1,992106.9食料品34,663113.6食堂・喫茶1,21387.4雑貨34,095126.0サービス1,365106.5その他9,921106.2消去△5797.8計103,168110.9卸・小売業食料品3,32598.9自動車関連12,411101.2消去△71195.6計15,024101.0内装業内装6,981109.7消去△2,511108.0計4,470110.7不動産業賃貸391111.9消去△5088.1計340116.6その他事業運送3,98899.3その他--消去△1,54163.5計2,44685.7合計125,450109.0 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この作成にあたり、当連結会計年度末の資産及び負債並びに当連結会計年度に係る収益及び費用の報告金額に影響を与える事項について、過去の実績や現在の状況等に応じた合理的な判断に基づき見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容a.経営成績に重要な影響を与える要因当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載しております。このうち、当連結会計年度において特に留意すべき要因については次のとおりであります。・経営環境上のリスク b.経営成績の分析・検討内容経営成績に重要な影響を与える要因を踏まえた当連結会計年度の経営成績の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。海外における経済政策の不確実性や地政学的リスクの影響に加え、物価高騰の継続により、消費者マインドが不安定化しているものの、雇用・所得環境の改善を背景に、景気が緩やかな回復基調をたどり、当社グループの売上高は125,450百万円(前期比9.0%増)、営業利益は6,718百万円(同25.5%増)となりました。百貨店業では、免税売上は前年の円安効果や特選洋品の値上げ前の駆け込み需要による反動減が見られたもの、「大阪・関西万博」で会場内オフィシャルストアを運営したほか、外商売上も好調に推移し、さらに、収益構造及びコスト構造改革を継続的に推し進め、安定した利益を獲得できる体制づくりに注力したことにより、百貨店業全体の売上高は103,168百万円(前期比10.9%増)となり、営業利益は5,692百万円(同45.2%増)となりました。卸・小売業では、株式会社ジャパンフーズクリエイトでは、主力商品であるノルウェーサーモンの価格高騰により商品価格が高止まりし、主力販売先の量販店への卸売りが減少しました。一方、株式会社シュテルン近鉄は、メルセデス・ベンツのモデルチェンジがなく、新車販売に苦戦したものの、中古車販売に注力し好調に推移しました。また、車点検等のアフターセールスに丁寧に取り組んだことで、部品売上や修理といったアフターサービスも堅調に推移したため、卸・小売業全体の売上高は15,024百万円(前期比1.0%増)となりました。一方、益率の低下やデモカーのリース料等の諸経費の増加により営業利益は196百万円(同47.5%減)となりました。内装業では、株式会社近創で、得意分野であるホテル関連を中心に、学校や商業施設などの新規顧客開拓による事業拡大に向けた受注活動に注力したため、内装業全体の売上高は4,470百万円(前期比10.7%増)となりましたが、前年度には高益率のホテル工事の受注があったため、営業利益は788百万円(同9.7%減)となりました。不動産業では、「あべの・天王寺エリアの魅力最大化」の施策として昨年7月1日に医療モール「あべのウェルビーイングテラス」を開業したことなどにより、不動産業全体の売上高は340百万円(前期比16.6%増)、営業利益は241百万円(同11.5%増)となりました。当社グループの経常利益は、上記の要因により6,613百万円(前期比28.5%増)となりました。これに、名古屋店閉店に伴う受取補償金や政策保有株式の売却益を特別利益に計上し、減損損失、名古屋店閉店に伴う店舗閉鎖損失や店舗改装に伴う除却損等を特別損失に計上し、法人税等を差引した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は3,709百万円(同6.4%増)となりました。c.経営判断のために採用している経営指標とその達成状況及びその理由当社グループは、当連結会計年度を開始年度とする「中期経営計画(2025~2028年度)」に基づき、事業環境の変化に対応し、事業・体制を進化・深耕させる期間と位置付けて、既存事業をより強固にしながら、事業ポートフォリオの拡大に向け、新たな核となる事業の種まき・育成を行うとともに、社会構造変化に対応した将来への基盤整備により、持続的な成長を図り「くらしを豊かにするプラットフォーマー」を目指し、様々な施策を実行してきました。「中期経営計画(2025~2028年度)」において、当社グループは、「営業利益」、「ROE」を重要な指標と位置付けております。 2026年2月期経営数値目標(2029年2月期)営業利益67億円65億円自己資本当期純利益率(ROE)8.8%9.0%以上 ③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報主な内容は「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。当社グループの資金需要の主なものは、商品の仕入や営業費用などの運転資金に加え、店舗物件の改装や修繕などに伴う設備資金であります。これらの資金需要に対応すべく、主に自己資金及び金融機関からの借入金により必要な資金を調達しております。なお、キャッシュ・フロー関連指標の推移は次のとおりであります。 2022年2月期2023年2月期2024年2月期2025年2月期2026年2月期自己資本比率(%)27.929.232.333.736.7時価ベースの自己資本比率(%)85.480.382.374.558.8キャッシュ・フロー対借入金比率(年)6.71.70.60.70.1インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)27.093.6150.196.5222.4(注)自己資本比率:自己資本/総資産時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産キャッシュ・フロー対借入金比率:借入金/営業キャッシュ・フローインタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利息の支払額※ 各指標の算出は、連結ベースの財務数値によっております。※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。なお、期末発行済株式数より控除する自己株式に、株式需給緩衝信託Ⓡが保有する当社株式46,800株が含まれております。

事業リスク

近鉄百貨店グループは、主に以下のリスクを認識しています。第一に、百貨店業は人口減少や景気・消費動向、流通業界の競争激化、消費行動の変化に大きく影響を受けるため、業績悪化につながる可能性があります。第二に、商品や食品の品質・安全性に関する問題発生や、掛売取引先の倒産による売掛金回収不能により、信用失墜や損失発生のリスクがあります。第三に、大規模な地震や火災などの災害発生時には、店舗の損壊や商品調達の停滞、社会インフラの機能低下により、事業活動に重大な影響が出る可能性があります。最後に、情報システムの機能不全や個人情報の漏洩は、営業活動への支障や社会的信用の失墜を招くリスクがあります。

出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|3,863 文字
3【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のようなものがあります。当社グループは、これらのリスクの発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努めております。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営環境上のリスク当社グループの主力セグメントである百貨店業は、主に一般消費者を対象とするため、地方・郊外の人口減少等の社会情勢や景気動向、消費動向等の経済情勢に大きく影響を受けるほか、流通業界における競争激化も予想されます。さらに、消費行動・生活様式の変容、デジタル化の進行、衣料品・アパレルの低迷、インバウンド需要等、今まで以上に変化のスピードが加速しており、これらの環境変化が当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、このような環境変化に対応するため、店舗構造改革、コスト構造改革を推し進め、事業モデルの抜本的な改革に取り組んでおります。また、今後持続的な成長を続けるため、2年目を迎える中期経営計画に基づき、新たなビジネスモデルの構築に邁進いたします。同計画については「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)中長期的な経営戦略及び対処すべき課題並びに目標とする経営指標」に記載しております。 (2)商品取引に関するリスク当社グループの主力セグメントである百貨店業は、消費者向け取引を行っております。当社グループが製造・販売する商品の品質や食品の安全性に対して信用毀損が生じた場合、売上高の減少等、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループでは百貨店業の外商部門をはじめとして、法人向け等の掛売取引を行っております。取引先の倒産による売掛金の回収不能等による損失の発生により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。商品の品質や食品の安全性については、関係法令の遵守状況の確認や品質・衛生管理のチェックなどを定期的に実施し十分留意しております。また、法人向け等の掛売取引については与信管理を十分に行っております。 (3)法律の規制、制度の変更に関するリスク当社グループは事業展開するにあたり、出店等については大規模小売店舗立地法、商品仕入面においては独占禁止法・取適法等、商品販売面においては景品表示法・JAS法・食品衛生法・製造物責任法(PL法)等、その他、環境・リサイクル関連法規など様々な法律による規制を受けております。万一これに違反する事態が生じた場合は、社会的信用が失墜するとともに、企業活動が制限される可能性があります。当社グループでは、関係法令・規則の制定、改正等の動向について常にモニタリングしており、必要に応じて顧問弁護士への相談や意見聴取を行うとともに、社員教育等を通じて法令遵守の重要性を社内に周知徹底しております。 (4)新規事業への取組みに関するリスク当社グループでは、企業の成長、競争力を高めるため従来の枠組みにとらわれることなく新規事業への取組みをおこなってまいります。新規事業においては不確実な要素が多く、事業環境や市場ニーズの変化等により新規事業の確立が困難となり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼすほか、法律や規制に対する事前確認の不足により、社会的信用が失墜するとともに、企業活動が制限される可能性があります。当社グループでは、新規事業において想定されるあらゆるリスクを事前に洗い出し、評価し、対策を講じるための体制を強化するため、コンプライアンス推進本部が主体となって、様々なリスクに対する検証を行っております。 (5)災害等のリスク当社グループの主要な店舗・事業所の所在地は、東南海・南海地震の対策強化地域に含まれており、地震発生の可能性が比較的高い地域であります。想定を超える大規模な地震が発生した場合は、店舗等の事業所が甚大な被害を受け、復旧に多額の費用と時間を要するなどの直接的な影響があります。さらに、仕入先の被災による商品調達の停滞、さらには日本経済全体の消費マインドが冷え込むなど間接的な影響を受ける可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、大規模な火災が発生した場合、被害者への損害賠償責任、商品・建物への被害が考えられ、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、これら災害等の影響により、電気・水道・ガスの使用制限、道路・空港・港湾施設の閉鎖、通信機能の不具合等社会インフラ機能の低下が生じた場合、当社、協力会社及び取引先の事業活動に支障が生じ、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、緊急地震速報の受信装置を主要店舗に設置しているほか、異例事態対応マニュアルを作成・配布し、地震発生時の対応の周知徹底を図っております。火災については、消防法に基づき定期的に検査・訓練等を実施し、万一の火災に備え、予防又は被害を最小限にとどめる努力をしております。さらに、当社グループは、災害等の発生に備えた危機管理体制の整備に取り組んでおり、平時から、老朽化したインフラへの投資、施設の定期的な点検、損害保険の付保等の対策を講じているほか、店舗等が被災した場合でも、お客様・従業員の安全確保を前提として、早期の営業再開、営業の継続による商品供給を通じて、社会インフラとしての役割、社会的責任を果たすことを目的とした事業継続計画(BCP)を策定しております。 (6)情報管理に関するリスク①情報システムの機能不全当社グループは、POSシステム、経理システム、商品受発注システム、顧客情報管理システム等多くの情報システムを有しております。想定した以上の自然災害の発生、従業員の過誤によるシステム障害やコンピュータウィルスの感染等が起こった場合、営業活動に大きな支障をきたし、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、これらの情報システムの機能不全を防ぐため、電源の二重化、バックアップシステム構築、不正侵入防止プログラム等の対策を講じております。 ②個人情報の漏洩当社グループは、外商顧客、ギフト顧客、友の会会員など多数の個人情報を保有しております。万一、情報が外部に漏洩した場合は、当社グループの社会的信用が失墜するなどして、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、個人情報保護法その他の関係法令等を遵守し、お客様からお預かりしている個人情報の保護に万全を期すため個人情報保護方針を定めるとともに、個人情報管理規程などの社内規程等の整備や情報システムのセキュリティ向上、従業員教育の充実などにより万全を期しております。また、保険を付保することにより業績への影響に備えております。 (7)資金調達・金利変動のリスク当社グループは、主に金融機関からの借入れによって資金調達を行っておりますが、消費環境の悪化及び競争の激化などによって当社グループの中長期的な経営計画に不安が生じた場合や、急激な金利変動が生じた場合、当社グループの業績、財政状態及び資金調達に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、金利変動による影響を軽減するため、状況に応じて一定程度の金額を長期固定金利で調達しているほか、取引金融機関との間で情報交換を密にし、相互の信頼関係を築くとともに、銀行取引以外の資金調達方法についても研究しております。また、金融環境変化について状況把握に努め、安定的・効率的な資金繰りの実践に取り組んでおります。 (8) ESG経営への取組みに関するリスク当社グループは、2030年に向けての長期戦略において「地域に寄り添い、地域と活きる」というESG方針を掲げESG経営を推進しておりますが、取組みの遅れにより、ステークホルダーからの信用失墜、気候変動リスクへの対応の遅れ、炭素税規制による増税等のリスクを有しております。当社グループでは、これらのリスクへの対応として、ESGの推進及び取組み状況の開示等を実施しております。   (9)人的資本に関するリスク当社グループの事業活動は人財に大きく依存しており、百貨店業をはじめとした各分野において、優秀な人財の確保・育成が必要であると認識しております。当社グループは、百貨店の枠を超えた事業開発を進めていくなかで、従業員の多様性を尊重し、人財価値を高めることで持続的な企業価値向上を目指し、人財の多様性確保を含む人財育成の方針に基づいた採用及び育成の取組みを行っております。しかしながら、労働力人口の減少による働き手の不足及び人財の流動性の高まりにより人財獲得競争が激化するなかで、計画通りに事業活動に必要なスキルを有する人財の確保が図れなかった場合は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、人的資本に対する当社の考え方の詳細は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)人的資本」をご参照ください。

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