8098

稲畑産業(8098)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

卸売業 商社・卸売

事業の概要

稲畑産業グループは、情報電子、化学品、生活産業、合成樹脂の4つの分野で商品の販売と製造を行っています。特に、子会社69社、関連会社14社からなる広範なネットワークを活用し、国内外で事業を展開しています。主力は合成樹脂事業と情報電子事業で、多岐にわたる商品を仕入れて販売する商社機能と、一部製品の製造も手掛けることで収益を上げています。法人主要株主への販売・購入も行い、安定した取引基盤を築いています。

出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成

稲畑産業グループの事業セグメントは、情報電子、化学品、生活産業、合成樹脂の4つです。情報電子事業は、電子材料などを国内外で販売・購入しています。化学品事業は、様々な化学品を国内外で販売・製造しています。生活産業事業は、食品や医薬品原料などを扱っています。合成樹脂事業は、樹脂製品の販売や、東南アジアを中心に樹脂コンパウンドの製造・販売を行っています。売上高では合成樹脂事業が最も大きく、次いで情報電子事業が続き、この2つが稼ぎ頭です。地域別ではアジアでの売上比率が46%と高く、海外での事業展開が活発です。

2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
InformationTechnology 事業 2,641 85 3.2%
Chemicals 事業 1,183 29 2.5%
LifeIndustry 地域 538 12 2.2%
Plastics 事業 4,015 131 3.3%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|2,104 文字
3【事業の内容】当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社(稲畑産業㈱)、子会社69社、関連会社14社で構成されており、情報電子、化学品、生活産業、合成樹脂、その他の各分野における商品の販売及び製造を主たる業務としております。また、法人主要株主1社に対して商品の販売及び製品の購入を行っております。 当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。なお、次の4部門は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に掲げるセグメントの区分と同一であります。 (情報電子事業) 当社が直接商品を販売するほか、子会社SHANGHAI INABATA TRADING CO.,LTD.、INABATA SINGAPORE (PTE.) LTD.、TAIWAN INABATA SANGYO CO.,LTD.、INABATA EUROPE GmbH及びINABATA AMERICA CORPORATION他を経由して販売するとともに一部の商品を購入しております。 また、子会社INABATA SANGYO (H.K.) LTD.及びINABATA PHILIPPINES,INC.他を経由して商品を販売しており、子会社INABATA KOREA & CO., LTD.及び関連会社アルバック成膜㈱他から商品を購入しております。(化学品事業) 当社が直接商品を販売するほか、子会社INABATA EUROPE GmbH及びINABATA AMERICA CORPORATION他を経由して販売するとともに一部の商品を購入しております。その他に、子会社INABATA THAI CO.,LTD.、INABATA SINGAPORE (PTE.) LTD.及びINABATA MEXICO, S.A. de C.V.他を経由して商品を販売しており、子会社SHANGHAI INABATA TRADING CO.,LTD.及び稲畑ファインテック㈱他より商品を購入するとともに一部の商品を販売しております。 また、子会社HI-TECH RUBBER PRODUCTS CO.,LTD.は子会社INABATA THAI CO.,LTD.より原料を購入し製品を販売しており、子会社SHANGHAI INABATA FINE CHEMICAL CO.,LTD.は子会社SHANGHAI INABATA TRADING CO.,LTD.を経由して製品を販売しております。(生活産業事業) 当社が直接商品を販売するほか、子会社SHANGHAI INABATA TRADING CO.,LTD.及びDNI GROUP, LLC他より商品を購入するとともに一部の商品を販売しております。その他に、子会社INABATA AMERICA CORPORATION他を経由して商品を販売しており、子会社INABATA SINGAPORE (PTE.) LTD.及び稲畑ファインテック㈱他から商品を購入しております。 また、子会社DNI GROUP, LLCは子会社稲畑ファインテック㈱を経由して商品を販売しております。 (合成樹脂事業) 当社が直接商品を販売するほか、子会社PT. INABATA INDONESIA 、INABATA PHILIPPINES,INC.及びINABATA THAI CO.,LTD.他を経由して販売しております。その他に、子会社TAIWAN INABATA SANGYO CO.,LTD.、INABATA SINGAPORE (PTE.) LTD.及びSHANGHAI INABATA TRADING CO.,LTD.他を経由して販売するとともに一部の商品を購入しており、子会社太洋プラスチックス㈱他に原料を販売し、製品の一部を購入しております。 また、東南アジアを中心に、子会社IK PLASTIC COMPOUND PHILS.INC.、SIK (THAILAND) LTD.、PT. S-IK INDONESIA、SIK COLOR (M) SDN. BHD.及びSIK VIETNAM CO.,LTD.他を生産拠点とし、子会社INABATA PHILIPPINES,INC.、PT. INABATA INDONESIA、INABATA THAI CO.,LTD.、INABATA MALAYSIA SDN. BHD.、NOVACEL (THAILAND) CO.,LTD.及びINABATA VIETNAM CO.,LTD.他を経由して樹脂コンパウンド事業を展開しております。 [事業系統図]以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。 (注)上記事業の区分は、セグメント情報における事業区分と区分内容は同じであります。ただし、一部の関係会社については取扱商品が多岐にわたるため区分表示しておりませんが、セグメント情報では各セグメント別に振り分けております。無印 連結子会社※ 関連会社で持分法適用会社

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2026時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
情報電子材料、ケミカル原料、食品、合成樹脂の多くが商品相場の変動に影響を受けるため。
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 低い(分散)
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:海外活動に潜在するリスク / 人材の育成・確保に係るリスク / 事業投資に係るリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 7 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

特定のブランド力や強力な特許は限定的。ただし、長年の事業活動で培われた信用や、特定のサプライヤー・顧客との関係性は無形資産の一部と見なせる可能性がある。具体的な数値での把握は難しい。

スイッチングコスト★★☆☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

化学品や合成樹脂などの専門商材を扱うため、顧客は代替品を探す手間や品質確認コストを考慮すると、一定のスイッチングコストが存在する。しかし、商材によっては代替が容易なものもある。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

ネットワーク効果が事業の根幹をなす構造ではない。顧客やサプライヤーとの関係性は重要だが、ユーザー数の増加が直接的にサービス価値を高めるタイプではない。

コスト優位★☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

卸売業として、規模の経済によるコスト削減効果は一定程度期待できる。しかし、メーカーのような製造プロセスにおける構造的なコスト優位性は見出しにくい。為替や調達コストの変動影響を受けやすい。

規模の経済★★★☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

化学品・合成樹脂・情報電子化学品・生活産業の4分野で多岐にわたる事業を展開し、グローバルな調達・販売網を持つ。特定の分野では一定の市場シェアを確保しており、業界規模に対して最適な少数寡占の一角を担っていると言える。

稲畑産業グループの強みは、情報電子、化学品、生活産業、合成樹脂の多岐にわたる事業分野と、アジア、北米、欧州に広がるグローバルな販売・製造ネットワークです。多数の子会社・関連会社を通じて、多様な商品を世界中で供給できる点が競争優位性となっています。特に合成樹脂事業では、東南アジアを中心に生産拠点を持ち、樹脂コンパウンド事業を展開しており、地域に根差した供給体制を構築しています。これにより、顧客の多様なニーズに対応し、安定的な事業基盤を維持しています。

出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 この文中には、将来に関する記述が含まれております。それらの記述は、当連結会計年度末時点において、入手可能な情報に基づいて当社グループが判断したものであり、不確定な要素を含んでおります。 (1)社是・経営理念 当社は、「愛」(I)、「敬」(K)を社是と定め、「人を愛し、敬う」という人間尊重の精神に基づき、社会の発展に貢献することを経営理念としております。グローバルに事業を展開する商社グループとして、高い専門性や複合機能を活用して、顧客や社会のニーズに応えることで価値ある存在として常に進化を続けることを目指しています。 (2)長期ビジョン「IK Vision 2030」 この経営理念や目指す姿を踏まえ、2030年頃の当社グループの「ありたい姿」として、長期ビジョン「IK Vision 2030」を公表しています。この「IK Vision 2030」において、当社の根本が商社であることを再確認するとともに、創業以来、長年培ってきた専門知識を持つ人材、商社業のツールとなる製造・物流・金融機能、そして海外19カ国約70拠点で展開する拠点網などの経営資源を最大限活用することで商社機能の複合化と高度化を図り、顧客への付加価値の提供を更に進めて参ります。 長期ビジョン「IK Vision 2030」連結売上高1兆円以上を早期に実現複合機能の高度化商社機能を基本としつつも、製造・物流・ファイナンス等の複合的な機能の一層の高度化を図る事業ポートフォリオ情報電子・合成樹脂以外の事業の比率を1/3以上に海外比率70%以上 (3)中期経営計画「New Challenge 2026」 当社グループは、長期ビジョン「IK Vision 2030」に向けた中期経営計画の第3ステージとして、2024年4月より、2027年3月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画「New Challenge 2026(以下、「NC2026」)」をスタートしております。「NC2026」では、これまでから更に成長に軸足を移し、“投資による成長の加速”をメインテーマとしております。「NC2026」の概要は以下のとおりです。 ■ 中期経営計画「NC2026」の概要 ● 最終年度の目標数値・指標 2027年3月期売上高9,500億円営業利益270億円経常利益260億円親会社株主に帰属する当期純利益190億円ROE10%以上ネットD/Eレシオ0.5倍以下自己資本比率概ね50%前後想定為替レート145.00円/USD ※1 目標数値・指標は、2024年5月9日公表。 ※2 ネットD/Eレシオ=(有利子負債-現預金)/自己資本   ● キャピタルアロケーション(資本配分) 「NC2026」期間中の3カ年のキャピタルアロケーション(資本配分)計画については、営業キャッシュフロー等による650億円程度のキャッシュインを想定しており、このうち50~60%程度を投資等に、40~50%程度を株主還元に配分する計画です。   ● 株主還元の基本方針と政策保有株式の縮減方針 株主還元については、以下のとおりです。政策保有株式の縮減方針については、2022年5月に公表した縮減方針にもとづき、着実に実施してまいります。 株主還元の基本方針・配当総額については、DOE(株主資本配当率)4~4.5%を目安とする。・一株当たりの配当額については前年度実績を下限とし、減配は行わず、継続的に増加させていくことを基本とする。(累進配当)・各年度の総還元性向は50%以上を原則とする。※2027年3月期より変更政策保有株式の縮減方針・中長期的に政策保有株式の縮減を更に進め、2027年3月末までに2021年3月末残高に対して概ね80%削減する。※当初の方針である「「NC2023」期間中の3年間で政策保有株式の残高を2021年3月 末残高に対して50%削減する」については既に達成済み  ● 戦略の全体像 「成長戦略」と「経営基盤戦略(財務戦略、サステナビリティ戦略、デジタル戦略)」に分類しており、それぞれの戦略の概要は以下のとおりです。成長戦略は、長期ビジョン「IK Vision 2030」に沿った形で展開しております。 成長戦略長期ビジョン戦略連結売上高1兆円以上手段:投資の積極化による収益拡大事業領域:環境関連ビジネス、食品等生活産業ビジネスの拡大複合機能の高度化複合機能(特に製造・物流)強化による差別化・収益性向上事業ポートフォリオ主要セグメント(合成樹脂・情報電子)の深耕主要セグメントに並ぶ収益の柱の確立海外比率70%以上成長エリア(従来のアジア拠点に加え、特にインド、メキシコなど米州)の深耕未開拓エリア(東欧等)への進出 経営基盤戦略経営基盤戦略財務戦略資本効率の更なる向上と累進配当を始めとする株主還元の重視「資本コストや株価を意識した経営」の実践(PBR1倍を常態的に超える株価水準の早期達成)サステナビリティ戦略全社推進の土台となるサステナビリティマネジメントの整備:マテリアリティに沿った戦略とKPI・目標の設定及びモニタリングデジタル戦略経営情報インフラの高度化とグループ全体のセキュリティ強化 (4)2027年3月期連結業績予想 2027年3月期の経営環境といたしましては、世界経済は地域によってばらつきはあるものの、基本的には緩やかな回復が続くとみていますが、中東情勢や金融・為替市場の変動、米国の通商政策の動向による影響等により、不透明感が高まっています。 とりわけ中東情勢については、ナフサ由来の樹脂や化学品原料を取り扱う当社グループは、大きな影響を受ける可能性があります。足元では、事業や業績に対して大きな影響は生じておりませんが、今後については、紛争当事国間の交渉状況や、現地石油精製施設等インフラの被害状況、海峡封鎖など輸送に係る状況が非常に流動的であり、顧客の対応によって影響が大きく変化する可能性もあるため、現時点では、合理的な影響度合いや影響額の見積もりは困難です。 事業としては、特に樹脂全般を取り扱う合成樹脂事業、化学品原料を取り扱う化学品事業への影響が大きくなると想定され、また事態が長期化した場合、他の事業にも影響が出る可能性があります。 各事業セグメント・地域で、顧客との情報交換をより緊密に行い、情報の収集に努めるとともに、商社としての調達機能を発揮し、サプライチェーンの維持に貢献できるよう努めてまいります。 2027年3月期の連結業績見通しにつきましては、売上高890,000百万円、営業利益27,500百万円、経常利益27,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益21,000百万円を予想しております。 なお、業績見通しの前提となる為替レートにつきましては、1USD=155.00円を想定しております。                        (単位:百万円)連結業績見通し2027年3月期売上高890,000営業利益27,500経常利益27,500親会社株主に帰属する当期純利益21,000
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 この文中には、将来に関する記述が含まれております。それらの記述は、当連結会計年度末時点において、入手可能な情報に基づいて当社グループが判断したものであり、不確定な要素を含んでおります。 (1)社是・経営理念 当社は、「愛」(I)、「敬」(K)を社是と定め、「人を愛し、敬う」という人間尊重の精神に基づき、社会の発展に貢献することを経営理念としております。グローバルに事業を展開する商社グループとして、高い専門性や複合機能を活用して、顧客や社会のニーズに応えることで価値ある存在として常に進化を続けることを目指しています。 (2)長期ビジョン「IK Vision 2030」 この経営理念や目指す姿を踏まえ、2030年頃の当社グループの「ありたい姿」として、長期ビジョン「IK Vision 2030」を公表しています。この「IK Vision 2030」において、当社の根本が商社であることを再確認するとともに、創業以来、長年培ってきた専門知識を持つ人材、商社業のツールとなる製造・物流・金融機能、そして海外19カ国約70拠点で展開する拠点網などの経営資源を最大限活用することで商社機能の複合化と高度化を図り、顧客への付加価値の提供を更に進めて参ります。 長期ビジョン「IK Vision 2030」連結売上高1兆円以上を早期に実現複合機能の高度化商社機能を基本としつつも、製造・物流・ファイナンス等の複合的な機能の一層の高度化を図る事業ポートフォリオ情報電子・合成樹脂以外の事業の比率を1/3以上に海外比率70%以上 (3)中期経営計画「New Challenge 2026」 当社グループは、長期ビジョン「IK Vision 2030」に向けた中期経営計画の第3ステージとして、2024年4月より、2027年3月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画「New Challenge 2026(以下、「NC2026」)」をスタートしております。「NC2026」では、これまでから更に成長に軸足を移し、“投資による成長の加速”をメインテーマとしております。「NC2026」の概要は以下のとおりです。 ■ 中期経営計画「NC2026」の概要 ● 最終年度の目標数値・指標 2027年3月期売上高9,500億円営業利益270億円経常利益260億円親会社株主に帰属する当期純利益190億円ROE10%以上ネットD/Eレシオ0.5倍以下自己資本比率概ね50%前後想定為替レート145.00円/USD ※1 目標数値・指標は、2024年5月9日公表。 ※2 ネットD/Eレシオ=(有利子負債-現預金)/自己資本   ● キャピタルアロケーション(資本配分) 「NC2026」期間中の3カ年のキャピタルアロケーション(資本配分)計画については、営業キャッシュフロー等による650億円程度のキャッシュインを想定しており、このうち50~60%程度を投資等に、40~50%程度を株主還元に配分する計画です。   ● 株主還元の基本方針と政策保有株式の縮減方針 株主還元については、以下のとおりです。政策保有株式の縮減方針については、2022年5月に公表した縮減方針にもとづき、着実に実施してまいります。 株主還元の基本方針・配当総額については、DOE(株主資本配当率)4~4.5%を目安とする。・一株当たりの配当額については前年度実績を下限とし、減配は行わず、継続的に増加させていくことを基本とする。(累進配当)・各年度の総還元性向は50%以上を原則とする。※2027年3月期より変更政策保有株式の縮減方針・中長期的に政策保有株式の縮減を更に進め、2027年3月末までに2021年3月末残高に対して概ね80%削減する。※当初の方針である「「NC2023」期間中の3年間で政策保有株式の残高を2021年3月 末残高に対して50%削減する」については既に達成済み  ● 戦略の全体像 「成長戦略」と「経営基盤戦略(財務戦略、サステナビリティ戦略、デジタル戦略)」に分類しており、それぞれの戦略の概要は以下のとおりです。成長戦略は、長期ビジョン「IK Vision 2030」に沿った形で展開しております。 成長戦略長期ビジョン戦略連結売上高1兆円以上手段:投資の積極化による収益拡大事業領域:環境関連ビジネス、食品等生活産業ビジネスの拡大複合機能の高度化複合機能(特に製造・物流)強化による差別化・収益性向上事業ポートフォリオ主要セグメント(合成樹脂・情報電子)の深耕主要セグメントに並ぶ収益の柱の確立海外比率70%以上成長エリア(従来のアジア拠点に加え、特にインド、メキシコなど米州)の深耕未開拓エリア(東欧等)への進出 経営基盤戦略経営基盤戦略財務戦略資本効率の更なる向上と累進配当を始めとする株主還元の重視「資本コストや株価を意識した経営」の実践(PBR1倍を常態的に超える株価水準の早期達成)サステナビリティ戦略全社推進の土台となるサステナビリティマネジメントの整備:マテリアリティに沿った戦略とKPI・目標の設定及びモニタリングデジタル戦略経営情報インフラの高度化とグループ全体のセキュリティ強化 (4)2027年3月期連結業績予想 2027年3月期の経営環境といたしましては、世界経済は地域によってばらつきはあるものの、基本的には緩やかな回復が続くとみていますが、中東情勢や金融・為替市場の変動、米国の通商政策の動向による影響等により、不透明感が高まっています。 とりわけ中東情勢については、ナフサ由来の樹脂や化学品原料を取り扱う当社グループは、大きな影響を受ける可能性があります。足元では、事業や業績に対して大きな影響は生じておりませんが、今後については、紛争当事国間の交渉状況や、現地石油精製施設等インフラの被害状況、海峡封鎖など輸送に係る状況が非常に流動的であり、顧客の対応によって影響が大きく変化する可能性もあるため、現時点では、合理的な影響度合いや影響額の見積もりは困難です。 事業としては、特に樹脂全般を取り扱う合成樹脂事業、化学品原料を取り扱う化学品事業への影響が大きくなると想定され、また事態が長期化した場合、他の事業にも影響が出る可能性があります。 各事業セグメント・地域で、顧客との情報交換をより緊密に行い、情報の収集に努めるとともに、商社としての調達機能を発揮し、サプライチェーンの維持に貢献できるよう努めてまいります。 2027年3月期の連結業績見通しにつきましては、売上高890,000百万円、営業利益27,500百万円、経常利益27,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益21,000百万円を予想しております。 なお、業績見通しの前提となる為替レートにつきましては、1USD=155.00円を想定しております。                        (単位:百万円)連結業績見通し2027年3月期売上高890,000営業利益27,500経常利益27,500親会社株主に帰属する当期純利益21,000
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1)経営成績等の状況の概要 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等)の状況の概要は次のとおりであります。 ①経済環境 当連結会計年度における世界経済は、一部の地域において弱さがみられるものの、総じて緩やかな回復が続きました。ただし、足元では、中東情勢を始めとして先行きに対する不透明感が高まっています。 米国では、設備投資や生産を中心に、景気は緩やかに拡大しました。中国では、不動産市場の停滞による影響などにより、景気はやや減速しました。アジア新興国では、インドの景気は拡大、インドネシアは緩やかに回復しており、またタイでも持ち直しの動きがみられました。欧州では、ユーロ圏は、消費や設備投資を中心に景気持ち直しの動きがみられました。また、英国では、景気は持ち直しているものの、ペースは緩やかになっています。 日本経済は、緩やかに回復しました。個人消費や設備投資は緩やかに持ち直しており、雇用情勢にも改善の動きがみられました。輸出や生産は概ね横ばいとなりましたが、企業収益には、米国の通商政策による影響が残るものの、改善の動きがみられました。 ②財政状態及び経営成績の状況a.財政状態(資産) 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ56,166百万円増加(対前期比12.7%増)し、498,138百万円となりました。 流動資産の増加34,094百万円は、主に現金及び預金、商品及び製品並びにその他が増加したこと等によるものであります。 固定資産の増加22,072百万円は、主に有形固定資産、投資有価証券並びに無形固定資産が増加したこと等によるものであります。 (負債) 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ26,783百万円増加(同11.9%増)し、252,200百万円となりました。 流動負債の増加16,018百万円は、主に短期借入金、支払手形及び買掛金並びにその他が増加したこと等によるものであります。 固定負債の増加10,765百万円は、主に長期借入金並びに繰延税金負債が増加したこと等によるものであります。 (純資産) 当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ29,382百万円増加(同13.6%増)し、245,938百万円となりました。これは、主に為替換算調整勘定、利益剰余金並びにその他有価証券評価差額金が増加したこと等によるものであります。 この結果、自己資本比率は47.3%(前連結会計年度末より0.2ポイント増加)となりました。期末発行済株式総数に基づく1株当たり純資産額は4,416円83銭(前連結会計年度末より589円30銭増加)となりました。 b.経営成績 当連結会計年度における売上高は、832,745百万円(対前期比0.6%減)となりました。利益面では、営業利益は26,164百万円(同1.3%増)、経常利益は27,748百万円(同6.2%増)となり、いずれも過去最高を更新しました。親会社株主に帰属する当期純利益は、20,632百万円(同4.0%増)となりました。 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。 《情報電子事業》 情報電子事業は、前期にあった大型装置の販売が当連結会計年度には無く、また、太陽光発電の関連材料の販売が減少したことなどもあり、売上が減少しました。 フラットパネルディスプレイ(以下、FPD)関連は、第2四半期までパネルメーカーの稼働は安定的に推移しましたが、第3四半期から調整気味となりました。当社の状況は、中小型パネルや車載向け、またOLED向けは堅調でしたが、大型パネル向けが減少しました。 LED封止材は、屋外ディスプレイ向けの需要が堅調で、当社の販売も増加しました。 インクジェット関連は、ホーム&オフィス向けで、一部顧客の生産不調により販売が減少しました。ただ、注力している産業向けは市場の成長が続いており、当社の販売も増加しています。 複写機関連は、新規商材の獲得等により、関連材料の販売が増加しました。 太陽光発電関連は、需要は底堅いものの、安価なパネル・製品が流通する一部地域で激しい価格競争が継続しており、当社の関連材料販売も減少しました。こうした状況を踏まえ、比較的価格競争の影響を受けにくい北米、インド向けの取り組みを加速しています。 リチウムイオン電池関連は、EVの販売鈍化が継続していることに加え、米国での補助金終了の影響もあり、グローバルで関連材料の販売がやや減少しました。 フォトマスク関連は、半導体向け、FPD向けともに、関連材料の販売が増加しました。 半導体関連は、前期にあった大型装置の販売が当連結会計年度には無く、売上は大幅に減少しました。一方、中国向け半導体材料全般の需要が伸びるとともに、AI関連市場の活況を背景に、先端半導体向け材料の販売が大幅に増加しました。 これらの結果、売上高は239,336百万円(同9.4%減)となりました。セグメント利益(営業利益)は7,042百万円(同16.9%減)となりました。 《化学品事業》 化学品事業は、自動車部品用原料や塗料・インキ・接着剤関連、建築資材関連などのビジネスが堅調に推移し、売上が増加しました。 樹脂原料・添加剤は、ウレタン材料等の販売は増加しましたが、米国向け樹脂原料が減少し、トータルで販売が減少しました。 自動車部品用原料は、需要は概ね横ばいでしたが、放熱材が伸長し、販売が増加しました。 塗料・インキ・接着剤関連は、新規商権の獲得等により、販売が増加しました。 製紙用薬剤は、関税率引き上げの影響等により米国向けが大幅に減少し、販売が減少しました。 建築資材関連は、新設住宅着工戸数は減少しましたが、ハウスメーカーや建材メーカー向けの拡販等により、販売が増加しました。 これらの結果、売上高は125,137百万円(同5.8%増)となりました。セグメント利益(営業利益)は3,548百万円(同20.3%増)となりました。 《生活産業事業》 生活産業事業は、ライフサイエンス関連、食品関連とも総じて好調で、売上が増加しました。また、食品関連の収益改善が進み、セグメント利益(営業利益)は大幅に増加しました。 ライフサイエンス関連は、医薬品、日用品ともに原料販売が堅調に推移し、全体で販売が増加しました。 食品関連は、農産品については、冷凍野菜・果実の販売が堅調に推移、株式会社佐藤園の新規連結による茶製品の販売も加わり、販売が増加しました。水産品は、国内の回転寿司・量販店向けが好調に推移し、うなぎ加工品のEC販売等も好調でした。米国市場向けは、水産加工品の販売はやや低調でしたが、デザート製品の拡販等により、全体で販売が増加しました。 これらの結果、売上高は60,115百万円(同11.8%増)となりました。セグメント利益(営業利益)は2,215百万円(同88.5%増)となりました。 《合成樹脂事業》 合成樹脂事業は、総じて各分野向けで堅調に推移し、売上が増加しました。 汎用樹脂関連は、日用品、建築向けなど総じて各分野の需要は停滞しましたが、輸入品の拡販に注力し、販売が増加しました。 高機能樹脂関連では、OA向けは前年が好調だった反動もあり、販売が減少しました。一方、炭素繊維などの新規ビジネスが始まりました。 自動車関連は、グローバルで販売がやや増加しました。地域別では、東南アジア、中国で販売が減少しましたが、メキシコでは前年並み、国内では微増、インドでは大幅に増加しました。中国では、日系自動車向け販売は低調でしたが、現地メーカー向け販売が拡大しました。メキシコでは、米関税引上げをにらんだ駆け込み需要の反動があったものの、前年並みを維持しました。 コンパウンド事業は、総じて堅調に推移しました。 ポリオレフィン原料の販売は、国内は堅調でしたが、輸出は主力であるアジアの電線被膜向けが大幅に減少し、全体でも減少しました。 フィルム関連(軟包装分野)は、販売は前年並みとなりました。 スポーツ関連は、グリップテープを中心に国内、海外ともに好調に推移し、販売が大幅に増加しました。 シート関連は、輸入原料の拡販や新規顧客の開拓が進み、販売が増加しました。 リサイクル原料ビジネスは、順調に拡大しています。 これらの結果、売上高は407,974百万円(同1.6%増)となりました。セグメント利益(営業利益)は13,221百万円(同1.0%増)となりました。 ③キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、資金という。)は、税金等調整前当期純利益及び長期借入れによる収入が、有形固定資産の取得による支出、法人税等の支払額、配当金の支払額及び無形固定資産の取得による支出を上回ったこと等により、前連結会計年度末に比べ17,341百万円増加し、72,698百万円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動の結果獲得した資金は21,075百万円(前連結会計年度は19,903百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益及び売上債権の減少額が、法人税等の支払額、その他の流動資産の増加額及び棚卸資産の増加額を上回ったこと等によるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動の結果使用した資金は13,012百万円(前連結会計年度は9,498百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出及び無形固定資産の取得による支出が、投資有価証券の売却による収入を上回ったこと等によるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動の結果獲得した資金は3,922百万円(前連結会計年度は805百万円の使用)となりました。これは主に、長期借入れによる収入が、配当金の支払額を上回ったこと等によるものであります。 ④販売及び仕入の実績a.販売実績 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)(百万円)前年同期比(%)情報電子239,33690.6化学品125,137105.8生活産業60,115111.8合成樹脂407,974101.6その他181100.0合計832,74599.4 b.仕入実績 当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)(百万円)前年同期比(%)情報電子215,79890.9化学品107,371109.7生活産業50,571114.0合成樹脂359,010100.1その他4599.4合計732,79799.2 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ①中期経営計画「NC2026」2年目の進捗状況の分析 当連結会計年度は、3カ年の中期経営計画「NC2026」の2年目となります。経営成績を踏まえた、2年目の進捗状況の分析は以下のとおりであります。 (百万円)NC2026第165期2年目実績NC2026第165期2年目計画NC2026第166期最終年度目標売上高832,745890,000950,000営業利益26,16424,50027,000売上高営業利益率3.1%2.8%2.8%経常利益27,74823,50026,000親会社株主に帰属する当期純利益20,63217,50019,000ROE9.3%10%以上10%以上ネットD/Eレシオ(倍)0.06倍0.5倍以下0.5倍以下自己資本比率47.3%概ね50%前後概ね50%前後想定為替レート150.67円/USD145.00円/USD145.00円/USD  ※1 NC2026 2年目計画及び最終年度目標は、2024年5月9日公表。※2 ネットD/Eレシオ=(有利子負債-現預金)/自己資本※3 NC2026 2年目実績の為替レートは実績値  売上高は、主に情報電子事業の事業環境が悪化したことにより、2年目の計画に対して未達となりました。 営業利益は、売上高総利益率の上昇などにより、2年目の計画を上回りました。 経常利益は、営業利益が計画を上回ったことなどにより、2年目の計画を上回りました。 親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益が計画を上回ったことなどにより、2年目の計画を上回りました。 ROEは、増配や自己株式の取得を実施しましたが、利益剰余金の増加等による株主資本の増加により、2年目の計画に対してやや未達となりました。 ネットD/Eレシオ、自己資本比率は、最終年度の目標を満たしており、財務の健全性は十分に確保できています。  報告セグメント別の進捗は、以下のとおりであります。 《情報電子事業》(百万円)NC2026第165期2年目実績NC2026第165期2年目計画NC2026第166期最終年度目標売上高239,336283,000312,000セグメント利益(営業利益)7,0427,2008,450セグメント利益率2.9%2.5%2.7%  売上高は、大型パネル向けのディスプレイ関連材料、コンシューマー向けインクジェット関連材料、太陽電池関連材料の販売が振るわず、2年目の計画に対して未達となりました。 セグメント利益(営業利益)は、利益率は向上しましたが、売上高が計画を下回ったことにより、2年目の計画に対して未達となりました。  なお、同事業において、NC2026策定時に想定した主なコアビジネス(商材)と成長ビジネス(商材)は以下のとおりです。コアビジネス(商材)ディスプレイ関連コンシューマー向けインクジェット関連成長ビジネス(商材)環境・エネルギー分野(太陽電池関連、二次電池関連)半導体・電子部品関連産業用インクジェット関連 《化学品事業》(百万円)NC2026第165期2年目実績NC2026第165期2年目計画NC2026第166期最終年度目標売上高125,137132,000139,000セグメント利益(営業利益)3,5483,0503,250セグメント利益率2.8%2.3%2.3%  売上高は、EV関連素材などの販売が伸び悩み、2年目の計画に対して未達となりました。 セグメント利益(営業利益)は、利益率が向上したことにより、2年目の計画を上回りました。  なお、同事業において、NC2026策定時に想定した主なコアビジネス(商材)と成長ビジネス(商材)は以下のとおりです。コアビジネス(商材)樹脂原料・添加剤、コーティング原料・塗料、建材成長ビジネス(商材)EV関連素材海外展開強化 《生活産業事業》(百万円)NC2026第165期2年目実績NC2026第165期2年目計画NC2026第166期最終年度目標売上高60,11566,80072,800セグメント利益(営業利益)2,2152,6003,100セグメント利益率3.7%3.9%4.3%  売上高は、医薬品原料や、国内・海外での水産加工品の販売がやや未達となり、2年目の計画に対して未達となりました。 セグメント利益(営業利益)は、売上高が計画を下回ったことにより、2年目の計画に対して未達となりました。  なお、同事業において、NC2026策定時に想定した主なコアビジネス(商材)と成長ビジネス(商材)は以下のとおりです。コアビジネス(商材)医薬品、家庭用品原料国内の水産加工品成長ビジネス(商材)再生医療分野、核酸・バイオ医薬品関連海外の水産加工品 《合成樹脂事業》(百万円)NC2026第165期2年目実績NC2026第165期2年目計画NC2026第166期最終年度目標売上高407,974408,000426,000セグメント利益(営業利益)13,22111,55012,100セグメント利益率3.2%2.8%2.8%  売上高は、総じて各ビジネスが堅調に推移し、ほぼ2年目の計画どおりとなりました。 セグメント利益(営業利益)は、総じて各ビジネスの利益率が向上し、2年目の計画を上回りました。  なお、同事業において、NC2026策定時に想定した主なコアビジネス(商材)と成長ビジネス(商材)は以下のとおりです。コアビジネス(商材)自動車、OA向け高機能樹脂フィルム・シート関連成長ビジネス(商材)コンパウンド事業リサイクル樹脂、グリーンビジネス ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、主に営業活動及び政策保有株式の売却等により獲得した資金を、当社の配当政策に基づく現金配当及び自己株式の取得による株主還元の実施、NC2026の計画達成に向け、事業の拡大・新規ビジネスの開拓・将来の成長に向けた投資等に使用しました。これらの結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ17,341百万円増加し、72,698百万円となりました。  当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、各営業部門の事業計画・投融資計画に照らして、必要な資金を内部留保や金融機関からの借入金及び社債を中心に調達し、その資金を運転資金や事業拡大に向けた投融資に使用しており、金融商品での運用や投機的な取引は行わないこととしております。 当連結会計年度は、営業活動と政策保有株式の売却を積極的に進めたことで獲得した資金を事業拡大のための投資や株主還元等に使用しました。 資金の流動性の維持、国内及び海外におけるグループ全体の運転資金の機動的かつ安定的な調達を行うため、取引銀行4行と31,191百万円の貸出コミットメント契約を締結しております。 国内の連結子会社及び海外の一部の連結子会社において、キャッシュ・マネジメント・サービスを導入しており、資金の効率化と流動性の確保を図っております。 これらの施策等により不測の事態に備え資金の流動性を維持しております。 ③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、資産、負債、収益、費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。 a.棚卸資産の評価 主として移動平均法及び先入先出法による原価法によっており、期末における正味売却価額が取得原価より下落している場合には、正味売却価額をもって貸借対照表価額としております。 正味売却価額の算定方法については、期末前後での販売実績に基づく価額を用いる等、合理的に算定された価額を正味売却価額としております。なお、長期滞留等により営業循環過程から外れた棚卸資産など正味売却価額を合理的に算定することが困難な棚卸資産につきましては、帳簿価額を処分見込価額まで切り下げる等の方法により、収益性の低下を適切に貸借対照表に反映させております。 前期に計上した簿価切下額の戻入れにつきましては、主に洗替え法により当期に戻入れをおこなう方法を採用しております。 b.貸倒引当金の評価 「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。 c.退職給付会計について 当社グループの従業員の退職給付に係る資産、退職給付に係る負債及び退職給付費用は、簡便法を採用している連結子会社を除き、割引率、退職率、予想昇給率、長期期待運用収益率、死亡率等の計算基礎を設定の上、数理計算結果に基づき算定しております。 退職給付債務の計算に用いる割引率と年金資産(企業年金制度に対して設定した退職給付信託を含む)の長期期待運用収益率は、特に重要な前提条件であります。割引率は安全性の高い債券(主として長期国債)の利回りを基礎として主として3.1%、年金資産の長期期待運用収益率は年金資産のポートフォリオ、過去の運用実績及び運用方針等を総合的に考慮して主として3.0%を使用しております。 また、他の基礎率も定期的に見直しており、基礎率を見直した場合や、退職給付債務の数理計算に用いた見積り数値と実績との差異、年金資産の期待運用収益と実際の運用収益との差異が生じた場合には、数理計算上の差異が発生し、将来の退職給付に係る負債及び退職給付費用を増加させるおそれがあります。 数理計算上の差異については、平均残存勤務期間以内の一定の年数(主として13年)で按分する方法により費用処理しております。 未認識数理計算上の差異については、税効果会計を適用の上、純資産の部におけるその他の包括利益累計額の退職給付に係る調整累計額に計上しております。

事業リスク

稲畑産業グループは、海外での事業展開が広範であるため、予期せぬ法規制の変更、政治・経済情勢の悪化、人材確保の困難さ、税制の影響など、海外活動に潜在するリスクを抱えています。また、商社事業の核となる人材の育成・確保が、少子高齢化や人材流動化の影響で困難になる可能性があり、事業投資や事業再構築が計画通りに進まないリスクもあります。さらに、製造・加工する製品や仕入販売する商材の品質問題、取引先の信用リスク、商品市場の変動、サイバー攻撃による情報システム・情報セキュリティリスク、為替変動リスクも経営に影響を与える可能性があります。

出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|5,561 文字
3【事業等のリスク】当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性のある主要なリスクには以下のようなものがあります。当連結会計年度に実施した「取締役会の実効性評価」(自己評価)におけるリスク評価分析の結果を踏まえ、当社グループの経営成績等への影響や発現可能性という観点から、重要性が高いと考えられるリスクから順に記載しております。なお、これらのリスクは必ずしも全てのリスクを網羅したものではなく、想定外のリスクや重要性が低いと考えられる他のリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。また、この文中には、将来に関する記述が含まれております。それらの記述は、当連結会計年度末時点において、入手可能な情報に基づいて当社グループが判断したものであり、不確定な要素を含んでおります。 (1)海外活動に潜在するリスク 当社グループの海外における生産及び販売活動は、東南アジアや北東アジア、北米、欧州と多数の地域に及びます。これらの海外市場への事業進出には、予期しない法律又は規制の変更、不利な政治又は経済要因、人材の採用と確保の難しさ、未整備の技術インフラ、潜在的に不利な税制の影響、その他の要因による社会的混乱などのリスクが内在しております。 当社グループは、各国法令、環境法規制、社会情勢・取引先動向等に注視し、変化に合わせた迅速な対応を実施できるよう体制を整備し、それらリスクの低減に努めております。 当連結会計年度における所在地別の売上高では、アジア合計が46%であり、最も影響を受ける地域であります。 自然災害や感染症流行等の非常時の対策としては、海外の主要な拠点において事業継続計画(BCP)を策定、運用しております。 (2)人材の育成・確保に係るリスク 商社事業を核とする当社グループにとって、人材は最も重要な財産であり価値創造の源泉です。持続的な企業価値向上のためには、展開する4つの事業分野のみならず、経営・財務・ITなど経営基盤を支える専門分野に精通した優れた多様な人材の育成・確保が日本及び海外拠点において必要です。 人的資本の育成・強化を重要な経営課題と捉え、社内体制の整備を進め、当社グループの価値創造を担う人材の育成・確保に努めておりますが、一方で少子高齢化の進行や人材の流動化の影響により必要な人材確保が困難となる場合や、人材育成が順調に進まない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (3)事業投資に係るリスク 当社グループでは、事業展開をするにあたり、合弁・ジョイントベンチャーなど実際に出資を行い、持分を取得するケースが多々あります。特に連結対象となる関係会社に対する投資については当該グループ会社の財政状態及び経営成績の動向により、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、商社ビジネス拡大を主たる目的としたマイノリティー投資を基本としており、マジョリティー投資については、リスク・金額を限定して行っております。 NC2026では全社成長戦略として投資の積極化による収益拡大を目指しております。重要性の高い新規投資案件については、M&Aを行う専門部署が営業部門等と連携して定量面・定性面からリスク等の評価・分析を行ったうえで、経営者がメンバーとなる審査会議で審議を行います。投資実行後、定期的にモニタリングを行い、一定の基準に満たない案件などについては、適宜、対策を講じるよう努めております。 (4)事業再構築に係るリスク 当社グループは、事業の選択と集中の推進のため、不採算事業からの撤退、子会社や関連会社の売却・再編による事業の再構築を継続しております。これらの施策に関連して、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。各国政府の規制や雇用問題等によって、事業再構築の計画が適時に実行できない可能性もあります。また、当社グループが事業再構築の実施により、当初の目的の全部又は一部を達成できる保証はありません。なお、撤退検討基準を設けて、該当する当社グループ会社に対しては審査会議において撤退等の審議を行っております。 (5)品質に係るリスク 当社グループは商社グループでありますが、合成樹脂コンパウンド、プラスチックフィルム、医薬品原料、水産加工品等の製造・加工会社を国内外に有しております。それらで製造・加工する製品については、信頼性や安全性を確保できるよう品質管理に努めております。また、商社として情報電子、化学品、生活産業、合成樹脂の4つの事業分野において取引先より仕入・販売する多様な原料・商材についても、グローバルに変化するそれら原料・商材に係る環境や安全関連の法規制、規格の動向等を把握して、品質管理に努めております。 しかしながら、品質問題を完全に回避することは困難であり、当該問題により生じた損失について、当社グループが責任を負う可能性があります。その場合、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (6)取引先の信用リスク 当社グループ事業は国内外の多数の取引先に対して信用を供与しております。当社グループにおいては海外取引先も含めたグローバルな与信管理を行ってはおりますが、必ずしも全額の回収が行われる保証はありません。従いまして、取引先の不測の倒産・民事再生手続等による貸倒損失や貸倒引当金の計上を通して、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 当連結会計年度末時点において、当社グループの受取手形及び電子記録債権の金額は25,553百万円、売掛金は179,470百万円、棚卸資産の金額は96,524百万円であり、その合計額は総資産の61%を占めております。重要性が高い与信供与については、経営者がメンバーとなる審査会議で審議を行います。売掛金及び棚卸資産については、連結グループ各社の残高推移を月次ベースでモニタリング管理しております。 (7)商品市場の変動リスク 当社グループが取り扱う、情報電子材料、ケミカル原料、食品、合成樹脂の多くは商品相場の変動に影響を受けます。そのため市況の変動への弾力的な対応ができなかった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性が生じることになります。各営業部門にて、市場の情報を収集して、価格動向を注視するとともに、在庫管理を徹底しております。 当連結会計年度においては、情報電子事業における太陽光発電関連ビジネスで、市場価格下落の影響を受けました。 (8)情報システム・情報セキュリティに係るリスク 当社グループは、商社グループとして事業を展開する上で、取引先の機密情報や個人情報及び当社グループの機密情報や個人情報を有しております。これら情報の外部流出や破壊、改ざん等が無いように、「情報セキュリティ規程」を制定し、情報管理手続きを定めたマニュアルを整備して、グループ全体で管理体制を構築し、徹底した管理と情報セキュリティ強化、従業員教育等の施策を実行しております。規程・マニュアル等については、随時見直しを行い、新たなリスクやテクノロジーに対応するよう努めております。 また、働き方改革の推進等によりリモート環境での業務が増加する傾向にあることを踏まえ、従来のウィルス対策ソフトだけではなく、端末の挙動を監視するエンドポイントセキュリティシステムを導入する等、ゼロトラストの考え方に沿ったセキュリティ強化に努めております。まず、セキュリティインシデントに対して、迅速かつ正確に対応するために社内に対応チームとしてのCSIRT(Computer Security Incident Response Team)を立ちあげて社内外の情報連携を強化するとともに、更に、外部セキュリティオペレーションセンター(SOC)による24時間/365日の監視を行っております。そして、サイバー攻撃等の被害による財政状態への悪影響を低減するために当社グループに対してサイバーセキュリティ保険に加入しております。 しかしながら、昨今サイバー攻撃はますます高度化しているため、外部からの予期せぬ不正アクセス等を完全に排除することは困難であり、そのような不測の事態が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (9)為替の変動リスク 当社グループは、海外の事業展開における製品、原材料の生産と販売活動及び貿易活動を行っております。原則として為替予約等によるヘッジ取引を行っておりますが、外貨建取引等に伴う為替レート変動の影響を受ける可能性があります。また、各地域における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成のために円換算されており、換算時の為替レートにより、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。 当連結会計年度における為替差損は9百万円となり、為替換算調整勘定は40,460百万円となりました。 (10)環境に係るリスク 当社グループは、国内外において4つの事業分野で幅広い商材を取り扱っており、これら商材の製造・販売は当該地域の環境規制や環境配慮商材への変更等の影響を受ける可能性があります。合成樹脂事業においては、脱プラスチック商材への変更の影響を受ける可能性があります。仕入先の分散化に取り組むと共に、脱炭素社会・循環型社会への貢献に向けて、リサイクル商材など環境負荷を低減する商材の販売に各事業において注力しております。 また、気候変動リスクについては、気候変動起因による自社事業活動への影響を適切に把握し、サステナビリティ委員会において評価・モニタリングを行い、取締役会が監督しています。その内容は、TCFDが提言する情報開示フレームワークに沿って開示しております。詳細は、コーポレート・ガバナンス報告書(2026年6月17日開示予定)をご参照ください。 (11)法規制に係るリスク 当社グループは、事業展開する各国において、事業・投資の許可、国家安全保障又はその他の理由による輸出制限、関税をはじめとするその他輸出入規制等、様々な政府規制の適用を受けております。これらの制限を遵守できなかった場合は、コストの増加につながる可能性があります。従いまして、これらの規制は当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 当連結会計年度における海外売上高比率は54%と高く、輸出入規制に大きな影響を受ける可能性があります。そのため、社内に輸出管理委員会を設置し、リスクの軽減に努めております。 (12)金利に係るリスク 当社グループは、営業活動や事業投資等の資金を金融機関からの借入又は社債発行等を通じて調達しております。国内外の金利動向を把握し、固定・変動調達比率を調整することなどで金利リスク管理を行い、支払利息の低減に努めておりますが、金利水準の急上昇等により当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 当連結会計年度における支払利息は1,557百万円となりました。 (13)自然災害等のリスク 当社グループが事業を展開する国や地域において、地震、津波、台風等の自然災害、又は感染力の強い感染症が発生した場合には、当社グループの社員・事務所・設備の被害により、当社事業に悪影響を及ぼす可能性があります。また、これらの災害による、サプライチェーンの分断や当社グループが取り扱う商材の市場における需給変動等により、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。 これら災害の悪影響に対しては、当社グループの危機対応の基本方針に基づいた事業継続計画(BCP)を策定し、社員の安全確保を最優先に事業継続を行いますが、全ての被害や悪影響を回避できるとは限らず、将来の当社グループの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。 (14)保有有価証券の時価下落に係るリスク 当社グループではビジネス戦略上多数の会社の株式等に出資又は投資しております。株式市場の動向悪化、又は出資先の財政状態の悪化により、保有有価証券の減損リスクがあります。 当連結会計年度末における投資有価証券の計上額は42,620百万円となりました。また、特定投資株式の保有方針や保有の合理性、銘柄ごとの詳細については「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (5)株式の保有状況」に記載しております。 (15)退職給付債務の変動リスク 当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待収益率に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は計上される債務に影響を及ぼします。また、損益面では、当該影響額は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用に影響を及ぼします。また、年金資産には退職給付信託として上場有価証券を信託しているため株価の変動の影響を受けやすく、割引率の変動及び年金資産運用の結果による損益のブレにより当社グループの年金費用は増減します。株価の下落、割引率の低下や年金資産運用利回りの悪化は当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 当連結会計年度末における退職給付に係る負債の計上額は2,395百万円となりました。

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