8058

三菱商事(8058)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

卸売業 商社・卸売

事業の概要

三菱商事グループは、国内外の多数の連結子会社と持分法適用会社を通じて多岐にわたる事業を展開する総合商社です。地球環境エネルギー、マテリアルソリューション、金属資源、社会インフラ、モビリティ、食品産業、電力ソリューションなど、幅広い分野で商品の取扱いやサービスの提供を行っています。特に、天然ガス・石油の開発・生産、液化天然ガス(LNG)事業、金属資源の販売などが主要な収益源となっています。世界経済の動向や商品市況が業績に大きく影響する構造です。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成

三菱商事の事業セグメントは、地球環境エネルギー(天然ガス・石油開発、LNGなど)、マテリアルソリューション(化学品、プラスチック、鉄鋼製品など)、金属資源(鉄鉱石、原料炭、銅など)、社会インフラ(プラント、都市開発、機械など)、モビリティ(自動車、タイヤなど)、食品産業(食品原料、加工食品、流通など)、電力ソリューション(発電事業など)に分かれています。これに加えて、財務・経理・人事・ITなどの「その他」事業も存在します。特にエネルギー資源や金属資源関連事業が収益の柱であり、グローバルに展開しています。

有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2025|1,452 文字
3 【事業の内容】当社グループが営む事業の内容については、第5 経理の状況 連結財務諸表注記1をご参照ください。当社は取扱商品又はサービスの内容に応じて事業を複数の営業グループに区分しており、それぞれの事業は、当社の各事業部門及びその直轄の関係会社(連結子会社 843社、持分法適用会社 362社)により推進しています。(注)連結対象会社数は、連結子会社が連結経理処理している関係会社817社を除いた場合には388社となります。 事業セグメントごとの取扱商品又はサービスの内容については、第5 経理の状況 連結財務諸表注記6をご参照ください。事業セグメントごとの主要な関係会社は以下のとおりです。 主要な連結子会社主要な持分法適用会社地球環境エネルギー三菱商事エネルギーCUTBANK DAWSON GAS RESOURCESDGS JAPANDIAMOND GAS HOLDINGSDIAMOND LNG CANADA PARTNERSHIPアストモスエネルギー BRUNEI LNGCAMERON LNG HOLDINGSJAPAN AUSTRALIA LNG (MIMI) マテリアルソリューション三菱商事ケミカル三菱商事プラスチック メタルワンCAPE FLATTERY SILICA MINESサウディ石油化学東洋紡エムシーMCC DEVELOPMENTMETANOL DE ORIENTE,METORMITSUBISHI CEMENT金属資源ジエコ三菱商事RtMジャパンMITSUBISHI CORPORATION RTM INTERNATIONALMITSUBISHI DEVELOPMENTANGLO AMERICAN QUELLAVECOANGLO AMERICAN SURCOMPANIA MINERA DEL PACIFICOIRON ORE COMPANY OF CANADA 社会インフラ千代田化工建設三菱商事都市開発三菱商事マシナリレンタルのニッケンDIAMOND REALTY INVESTMENTSMITSUBISHI ELEVATOR HONG KONGモビリティDIPO STAR FINANCEISUZU UTE AUSTRALIATRI PETCH ISUZU SALES三菱自動車工業MITSUBISHI MOTORS KRAMA YUDHA SALES INDONESIATOYO TIRE食品産業三菱商事ライフサイエンスAGREX DO BRASILCERMAQINDIANA PACKERS伊藤ハム米久ホールディングスOLAM GROUPS.L.C.エム・シー・ヘルスケアホールディングス三菱商事パッケージング三菱商事ロジスティクス三菱食品 日本ケアサプライ三菱オートリース三菱HCキャピタルライフコーポレーションロイヤリティマーケティングローソン 電力ソリューション三菱商事エナジーソリューションズDIAMOND GENERATING ASIADIAMOND GENERATING CORPORATION ENECONEXAMPその他三菱商事フィナンシャルサービスMC FINANCE & CONSULTING ASIAMITSUBISHI CORPORATION FINANCE 現地法人欧州三菱商事会社北米三菱商事会社米国三菱商事会社三菱商事(上海) (注) 「その他」に含まれる取扱商品又はサービスは、財務、経理、人事、総務関連、IT、保険等です。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
商品市況や為替レートの変動リスクを負う一方、長期契約やヘッジ策を講じているため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 設備
天然ガス・石油の開発・生産事業、液化天然ガス(LNG)事業、炭鉱開発、銅鉱山プロジェクトなど大規模な設備投資を伴う事業を多数展開。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか シクリカル
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
会社が挙げる主要リスク:世界マクロ経済環境の変化によるリスク / 商品市況リスク(エネルギー資源、金属資源) / 為替リスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 8 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★☆☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

三菱商事は、長年にわたり築き上げてきたグローバルな事業ネットワーク、信頼性、および多様な事業ポートフォリオが強み。特に、資源・エネルギー分野における長年の取引関係や、非資源分野での新規事業開発力は無形資産と言えるが、特定のブランド力や特許による独占性は限定的。

スイッチングコスト★☆☆☆☆
根拠:弱い乗り換えの手間・コスト

総合商社としてのビジネスモデルは、多岐にわたる顧客やサプライヤーとの関係性を基盤としている。しかし、個々の取引においては、価格や条件交渉が中心となり、顧客が他社へ乗り換えることによる直接的な損失は限定的である場合が多い。一部の長期契約や共同事業ではスイッチングコストが発生する可能性はある。

ネットワーク効果★★★☆☆
根拠:中程度利用者増が価値を生む

三菱商事は、世界中に広がる子会社・関連会社・取引先との強固なネットワークを有している。このネットワークを通じて、情報収集、事業機会の創出、リスク分散が可能となる。特に、資源開発やインフラプロジェクトなど、大規模かつ複雑な案件では、このネットワークが事業遂行の鍵となる。

コスト優位★★☆☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

総合商社として、規模の経済を活かした調達力や物流網の効率化は一定のコスト優位性をもたらす。しかし、事業ポートフォリオが多岐にわたるため、全ての事業セグメントで構造的なコスト優位性を確立しているとは言えない。資源価格や為替変動の影響を受けやすいビジネスモデルでもある。

三菱商事の優位性は、グローバルかつ多角的な事業展開によるリスク分散と、幅広い産業領域における強固な事業基盤にあります。多数の連結子会社と持分法適用会社を通じて、エネルギー、金属、化学品、食品、自動車、インフラなど多様な分野で事業を推進しており、特定の事業や地域に依存しない収益構造を構築しています。また、長期にわたる国際的な取引実績とネットワークは、新規参入が困難な強固な参入障壁となり、安定的な事業運営を可能にしていると考えられます。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】1. 「経営戦略2027 -総合力をエンジンに未来を創る-」当社は、2025年4月に、新しい経営戦略として「経営戦略2027-総合力をエンジンに未来を創る-」を策定・公表しました。当社を取り巻く事業環境は、かつてないほど地政学リスク、経済情勢リスクが複雑に絡み合う中、地域特性に応じた脱炭素の現実解を探る動き、AIの急速な発展に伴う様々な変化もあり、政治・経済・環境・技術等あらゆる面で不確実性が一段と高まっています。このような不確実性の高い事業環境において、変化によるリスクと機会を踏まえて柔軟に事業戦略を見直しつつ、既存事業の収益基盤の更なる強化と案件創出に取り組むべく、当社の中長期的な経営方針を、今回の「経営戦略2027」としてまとめました。 (1)経営戦略■目指す姿多様性に裏打ちされた「総合力」を事業環境に応じて発揮することで、最適な事業ポートフォリオを構築し、持続的な成長と企業価値向上を実現する企業。 総合力:多様な事業をグローバルに展開、多彩・多才な人材がオペレーションに深く関与することで、信用・信頼を築き上げ、幅広い産業知見・深いインサイトを蓄積し、時代の変化を先取りして柔軟に事業戦略を進化させる力。 ■定量目標成長性を測る新たな中核指標として「営業収益CF:平均成長率10%以上」、資本効率を意識した経営の継続・強化指標として「ROE:2027年度に12%以上」を目標に掲げ、成長性と効率性の同時実現を目指します。 ■財務健全性「Net Debt Equity Ratio:0.6倍」を上限目処に設定し、財務健全性を維持しながら、戦略的にレバレッジを活用する方針とします。 ■株主還元累進配当を維持すると共に、機動的に自己株式取得を行うとする基本方針を維持します。 (2)経営戦略2027実現のための価値創造メカニズム従来の循環型成長モデルを「Enhance(磨く)」「Reshape(変革する)」「Create(創る)」に再定義し、当社の競争優位性である総合力と、それぞれを強化する施策の掛け合わせにより、中長期的な成長を実現します。 (3)資金配分戦略2027年度までの3年間で、約1兆円の更新投資及び約3兆円以上の拡張・新規投資を計画します。また、キャッシュフローの状況により追加配分枠が生じた場合は、投資パイプライン等を踏まえ、投資又は追加還元への配分を検討します。 2. 当連結会計年度のセグメント別の事業環境① 地球環境エネルギーグループ主要商材であるLNGの世界需要は微増し、2024年の需要は約4.1億トンとなりました。なお、アジアのLNGスポット価格は、ウクライナや中東等での地政学リスクの高まりや、各地域における冬場の気温要因(欧州は厳冬・アジアは暖冬等)により、百万Btu(英国熱量単位)当たり9米ドル台から17米ドル台の間でボラティリティ高く推移しました。原油価格(Brent)は、年度初めには1バレル80米ドル台後半で推移しましたが、世界経済の減速懸念等を背景に当連結会計年度末時点では1バレル70米ドル台中盤まで下落しました。 ② マテリアルソリューショングループ世界経済の不透明感や各種素材の主要市場である中国経済の減速、需給ギャップを埋める輸出増加の影響を受け、厳しい事業環境が続きました。特に鉄鋼業界では、国内需要が弱含みで推移する一方、中国からの鋼材輸出が高水準で推移したことにより、アジアを中心として鋼材市況は低調に推移しました。一方、北米地域では高金利政策の影響が懸念されましたが、建設・インフラ分野向け等を中心に需要は引き続き底堅く推移しました。 ③ 金属資源グループ主力事業の一つである原料炭については、中国の不動産セクターを中心に鋼材需要が減少した中で、鋼材の生産規模が維持されたことで、安価な鋼材がインド・東南アジアに輸出され、鋼材市況の値崩れ及び原料炭市況の低迷に繋がりました。もう一つの主力事業である銅については、中国製錬会社による減産計画の発表や銅大手資源メジャー再編の兆候を受けた投機資金の流入等を主因に5月に史上最高値を付けましたが、実需の低迷や投機筋の利益確定等に伴って価格は反転し、2025年1月以降は米国関税政策に左右される形で乱高下しました。 ④ 社会インフラグループ米国不動産事業では、米国利下げの実施があったものの、市場全体の取引量の十分な回復には至っておらず厳しい事業環境が続いています。一方、データセンターにおいてはクラウドの普及や生成AI需要に伴い、市場拡大が見込まれており、世界最大市場である米国市場への参入を実現しました。産業機械分野では、底堅い設備投資需要や円安の影響等を受けて、事業環境は堅調に推移しました。 ⑤ モビリティグループ世界的な金利の高止まり、特にアセアンにおける実体経済の軟化や厳格なファイナンス(自動車ローン)審査の継続等により自動車市場は低迷し、競合各社が購買力のある顧客を巡り値引き競争が激化する等、厳しい事業環境にありました。その中で、アセアンを始めとする既存の自動車バリューチェーン事業ではデジタル活用による顧客体験の質向上・ブランドロイヤリティ強化等を推進し、インド・日本ではモビリティサービス事業の構築を推進しました。 ⑥ 食品産業グループ穀物価格の高騰は落ち着いてきている一方、円安等の影響で国内の飼料価格の高値は継続しており、国内畜産関連事業の収益を圧迫しました。鮭鱒養殖事業ではチリでのコスト改善が進んだ一方、ノルウェーにて病害が発生するなど、厳しい状況にありました。食料・バイオ燃料事業においては、需要がグローバルベースで中長期的に増加する見通しであり、食料安定供給体制の強化やバイオ燃料の供給網構築等を目指し、世界最大級の農産物事業会社であるADM(Archer-Daniels-Midland Company)と戦略的業務提携に関わる覚書を締結しました。 ⑦ S.L.C.グループ国内小売・流通事業に関しては、原材料価格の高騰、インフレ、賃金上昇等のコスト圧力に対する影響等はあったものの、消費者ニーズを踏まえたマーケティング施策による売上拡大や、DXの推進によるコスト合理化、オペレーション最適化により事業は堅調に推移しました。また、金融事業に関しては、金利・為替のボラティリティの影響は限定的に止まり、事業は堅調に推移しました。 ⑧ 電力ソリューショングループ世界各国ともに脱炭素とエネルギー安定供給の両立に向けた政策に舵を切った中でも、エネルギー安全保障にも寄与する再生可能エネルギー(以下、「再エネ」)への新規投資は着実に実行され、再エネの主力電源化の流れは不可逆的なものとなっています。一方、再エネの導入増加に伴い、その間欠性を補い安定した電力供給に貢献する蓄電池等のフレックス電源、それらを活用する機能の必要性が高まっています。 3. 翌連結会計年度以降のセグメント別の事業環境の見通し① 地球環境エネルギーグループ脱炭素社会への移行には進展が見られるものの、地域や商材によってペースが異なります。次世代エネルギーは、商材によっては一部需要の後ろ倒しが見られる一方、SAF(Sustainable Aviation Fuel)やクリーンアンモニア等、社会実装に向けて進展している商材も見られます。また、天然ガス/LNGは相対的に環境負荷が低い点等を背景に、アジアを中心に中長期的な需要増加が見込まれます。 ② マテリアルソリューショングループ低・脱炭素化の進展や技術革新の加速化により、素材産業を取り巻く事業環境は今後も変化を続けていくことが想定されます。また、人口増加を支える住宅・インフラ素材、軽量化・電化を支える素材、デジタル社会の発展を支える素材等のニーズは今後も着実に伸張することが見込まれます。 ③ 金属資源グループ原料炭においては、米国関税政策に起因する物流への影響、インド等の新興国による需要の牽引、中国鋼材需要並びに同国鋼材輸出量の推移、天候等に起因する原料炭生産者の供給制約等、海上貿易市場へ影響を与え得る事象を注視しています。銅においては、引き続き堅調な需要と供給側の制約によりタイトな需給環境となる見込みです。中長期的には、新興国を中心とする世界経済の成長や、脱炭素・電化を背景とした再エネ・EVの普及、生成AI等の進展によるデータセンター増加等により、金属資源の需要は底堅く推移することが見込まれます。 ④ 社会インフラグループ米国不動産事業については、インフレ・金利動向に影響を受ける状況に変化はなく、不動産取引量の回復状況を注視しています。データセンターについては、クラウドの普及や生成AI需要拡大に伴い日米共に市場拡大が見込まれています。また、社会インフラの維持・発展を支える産業機械分野は、底堅い需要増加が見込まれます。 ⑤ モビリティグループ主力地域であるアセアンの自動車市場は、厳格なファイナンス審査や競合各社との激しい競争が暫く継続する見通しであり、また米国の関税政策が実体経済に影響を及ぼす可能性もあり、不透明な事業環境が続くと予想されます。一方、同地域での自動車市場は、潜在的な需要や自動車普及率に鑑みると、中長期的には回復・更なる拡大に転じると想定されます。また、グローバル全体での電動化・自動運転化は、普及速度に変化はあっても不可逆的に進展する見込みであり、周辺市場の成長と新たな事業機会が見込まれます。 ⑥ 食品産業グループ米国の関税政策の影響で貿易フローが変わる可能性など、不確実性の高い事業環境が続くものと予想されます。一方、世界の人口増加に加え、バイオ燃料の台頭等で基礎食料の需要拡大は続く見通しです。また、消費者のWellbeing志向の高まりや嗜好の多様化など、食の質的向上へのニーズもグローバルに拡大していくと予想されます。 ⑦ S.L.C.グループ中長期的には国内の人口減少・高齢化に伴う消費市場縮小の流れ、短期的には原材料価格の高止まりや金利上昇の影響が想定されますが、当面は安定した消費動向やインバウンド需要の増加等により、対面市場は底堅く推移していく見通しです。また、海外でも、米国や東南アジア等を中心に、人口増加や経済成長に伴う対面市場の伸長や新たな事業機会が見込まれます。 ⑧ 電力ソリューショングループ先進国を中心として電化進展・AI普及に伴うデータセンター新設等に牽引され、電力需要急増加の機運が高まり、局地的な電力需給の逼迫が社会課題になりつつあります。カーボンニュートラルに向けたエネルギー移行期間の長期化が現実的になりつつある中でも、脱炭素推進に向けて再エネを始めとするクリーン電力の安定的な供給に対するニーズは更なる高まりが見込まれます。 4. 個別重要案件当連結会計年度における重要な個別案件については、「3 事業等のリスク 2.主要なリスクの概要 ⑤事業投資リスク」内の(重要な投資案件)をご参照ください。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】1. 「経営戦略2027 -総合力をエンジンに未来を創る-」当社は、2025年4月に、新しい経営戦略として「経営戦略2027-総合力をエンジンに未来を創る-」を策定・公表しました。当社を取り巻く事業環境は、かつてないほど地政学リスク、経済情勢リスクが複雑に絡み合う中、地域特性に応じた脱炭素の現実解を探る動き、AIの急速な発展に伴う様々な変化もあり、政治・経済・環境・技術等あらゆる面で不確実性が一段と高まっています。このような不確実性の高い事業環境において、変化によるリスクと機会を踏まえて柔軟に事業戦略を見直しつつ、既存事業の収益基盤の更なる強化と案件創出に取り組むべく、当社の中長期的な経営方針を、今回の「経営戦略2027」としてまとめました。 (1)経営戦略■目指す姿多様性に裏打ちされた「総合力」を事業環境に応じて発揮することで、最適な事業ポートフォリオを構築し、持続的な成長と企業価値向上を実現する企業。 総合力:多様な事業をグローバルに展開、多彩・多才な人材がオペレーションに深く関与することで、信用・信頼を築き上げ、幅広い産業知見・深いインサイトを蓄積し、時代の変化を先取りして柔軟に事業戦略を進化させる力。 ■定量目標成長性を測る新たな中核指標として「営業収益CF:平均成長率10%以上」、資本効率を意識した経営の継続・強化指標として「ROE:2027年度に12%以上」を目標に掲げ、成長性と効率性の同時実現を目指します。 ■財務健全性「Net Debt Equity Ratio:0.6倍」を上限目処に設定し、財務健全性を維持しながら、戦略的にレバレッジを活用する方針とします。 ■株主還元累進配当を維持すると共に、機動的に自己株式取得を行うとする基本方針を維持します。 (2)経営戦略2027実現のための価値創造メカニズム従来の循環型成長モデルを「Enhance(磨く)」「Reshape(変革する)」「Create(創る)」に再定義し、当社の競争優位性である総合力と、それぞれを強化する施策の掛け合わせにより、中長期的な成長を実現します。 (3)資金配分戦略2027年度までの3年間で、約1兆円の更新投資及び約3兆円以上の拡張・新規投資を計画します。また、キャッシュフローの状況により追加配分枠が生じた場合は、投資パイプライン等を踏まえ、投資又は追加還元への配分を検討します。 2. 当連結会計年度のセグメント別の事業環境① 地球環境エネルギーグループ主要商材であるLNGの世界需要は微増し、2024年の需要は約4.1億トンとなりました。なお、アジアのLNGスポット価格は、ウクライナや中東等での地政学リスクの高まりや、各地域における冬場の気温要因(欧州は厳冬・アジアは暖冬等)により、百万Btu(英国熱量単位)当たり9米ドル台から17米ドル台の間でボラティリティ高く推移しました。原油価格(Brent)は、年度初めには1バレル80米ドル台後半で推移しましたが、世界経済の減速懸念等を背景に当連結会計年度末時点では1バレル70米ドル台中盤まで下落しました。 ② マテリアルソリューショングループ世界経済の不透明感や各種素材の主要市場である中国経済の減速、需給ギャップを埋める輸出増加の影響を受け、厳しい事業環境が続きました。特に鉄鋼業界では、国内需要が弱含みで推移する一方、中国からの鋼材輸出が高水準で推移したことにより、アジアを中心として鋼材市況は低調に推移しました。一方、北米地域では高金利政策の影響が懸念されましたが、建設・インフラ分野向け等を中心に需要は引き続き底堅く推移しました。 ③ 金属資源グループ主力事業の一つである原料炭については、中国の不動産セクターを中心に鋼材需要が減少した中で、鋼材の生産規模が維持されたことで、安価な鋼材がインド・東南アジアに輸出され、鋼材市況の値崩れ及び原料炭市況の低迷に繋がりました。もう一つの主力事業である銅については、中国製錬会社による減産計画の発表や銅大手資源メジャー再編の兆候を受けた投機資金の流入等を主因に5月に史上最高値を付けましたが、実需の低迷や投機筋の利益確定等に伴って価格は反転し、2025年1月以降は米国関税政策に左右される形で乱高下しました。 ④ 社会インフラグループ米国不動産事業では、米国利下げの実施があったものの、市場全体の取引量の十分な回復には至っておらず厳しい事業環境が続いています。一方、データセンターにおいてはクラウドの普及や生成AI需要に伴い、市場拡大が見込まれており、世界最大市場である米国市場への参入を実現しました。産業機械分野では、底堅い設備投資需要や円安の影響等を受けて、事業環境は堅調に推移しました。 ⑤ モビリティグループ世界的な金利の高止まり、特にアセアンにおける実体経済の軟化や厳格なファイナンス(自動車ローン)審査の継続等により自動車市場は低迷し、競合各社が購買力のある顧客を巡り値引き競争が激化する等、厳しい事業環境にありました。その中で、アセアンを始めとする既存の自動車バリューチェーン事業ではデジタル活用による顧客体験の質向上・ブランドロイヤリティ強化等を推進し、インド・日本ではモビリティサービス事業の構築を推進しました。 ⑥ 食品産業グループ穀物価格の高騰は落ち着いてきている一方、円安等の影響で国内の飼料価格の高値は継続しており、国内畜産関連事業の収益を圧迫しました。鮭鱒養殖事業ではチリでのコスト改善が進んだ一方、ノルウェーにて病害が発生するなど、厳しい状況にありました。食料・バイオ燃料事業においては、需要がグローバルベースで中長期的に増加する見通しであり、食料安定供給体制の強化やバイオ燃料の供給網構築等を目指し、世界最大級の農産物事業会社であるADM(Archer-Daniels-Midland Company)と戦略的業務提携に関わる覚書を締結しました。 ⑦ S.L.C.グループ国内小売・流通事業に関しては、原材料価格の高騰、インフレ、賃金上昇等のコスト圧力に対する影響等はあったものの、消費者ニーズを踏まえたマーケティング施策による売上拡大や、DXの推進によるコスト合理化、オペレーション最適化により事業は堅調に推移しました。また、金融事業に関しては、金利・為替のボラティリティの影響は限定的に止まり、事業は堅調に推移しました。 ⑧ 電力ソリューショングループ世界各国ともに脱炭素とエネルギー安定供給の両立に向けた政策に舵を切った中でも、エネルギー安全保障にも寄与する再生可能エネルギー(以下、「再エネ」)への新規投資は着実に実行され、再エネの主力電源化の流れは不可逆的なものとなっています。一方、再エネの導入増加に伴い、その間欠性を補い安定した電力供給に貢献する蓄電池等のフレックス電源、それらを活用する機能の必要性が高まっています。 3. 翌連結会計年度以降のセグメント別の事業環境の見通し① 地球環境エネルギーグループ脱炭素社会への移行には進展が見られるものの、地域や商材によってペースが異なります。次世代エネルギーは、商材によっては一部需要の後ろ倒しが見られる一方、SAF(Sustainable Aviation Fuel)やクリーンアンモニア等、社会実装に向けて進展している商材も見られます。また、天然ガス/LNGは相対的に環境負荷が低い点等を背景に、アジアを中心に中長期的な需要増加が見込まれます。 ② マテリアルソリューショングループ低・脱炭素化の進展や技術革新の加速化により、素材産業を取り巻く事業環境は今後も変化を続けていくことが想定されます。また、人口増加を支える住宅・インフラ素材、軽量化・電化を支える素材、デジタル社会の発展を支える素材等のニーズは今後も着実に伸張することが見込まれます。 ③ 金属資源グループ原料炭においては、米国関税政策に起因する物流への影響、インド等の新興国による需要の牽引、中国鋼材需要並びに同国鋼材輸出量の推移、天候等に起因する原料炭生産者の供給制約等、海上貿易市場へ影響を与え得る事象を注視しています。銅においては、引き続き堅調な需要と供給側の制約によりタイトな需給環境となる見込みです。中長期的には、新興国を中心とする世界経済の成長や、脱炭素・電化を背景とした再エネ・EVの普及、生成AI等の進展によるデータセンター増加等により、金属資源の需要は底堅く推移することが見込まれます。 ④ 社会インフラグループ米国不動産事業については、インフレ・金利動向に影響を受ける状況に変化はなく、不動産取引量の回復状況を注視しています。データセンターについては、クラウドの普及や生成AI需要拡大に伴い日米共に市場拡大が見込まれています。また、社会インフラの維持・発展を支える産業機械分野は、底堅い需要増加が見込まれます。 ⑤ モビリティグループ主力地域であるアセアンの自動車市場は、厳格なファイナンス審査や競合各社との激しい競争が暫く継続する見通しであり、また米国の関税政策が実体経済に影響を及ぼす可能性もあり、不透明な事業環境が続くと予想されます。一方、同地域での自動車市場は、潜在的な需要や自動車普及率に鑑みると、中長期的には回復・更なる拡大に転じると想定されます。また、グローバル全体での電動化・自動運転化は、普及速度に変化はあっても不可逆的に進展する見込みであり、周辺市場の成長と新たな事業機会が見込まれます。 ⑥ 食品産業グループ米国の関税政策の影響で貿易フローが変わる可能性など、不確実性の高い事業環境が続くものと予想されます。一方、世界の人口増加に加え、バイオ燃料の台頭等で基礎食料の需要拡大は続く見通しです。また、消費者のWellbeing志向の高まりや嗜好の多様化など、食の質的向上へのニーズもグローバルに拡大していくと予想されます。 ⑦ S.L.C.グループ中長期的には国内の人口減少・高齢化に伴う消費市場縮小の流れ、短期的には原材料価格の高止まりや金利上昇の影響が想定されますが、当面は安定した消費動向やインバウンド需要の増加等により、対面市場は底堅く推移していく見通しです。また、海外でも、米国や東南アジア等を中心に、人口増加や経済成長に伴う対面市場の伸長や新たな事業機会が見込まれます。 ⑧ 電力ソリューショングループ先進国を中心として電化進展・AI普及に伴うデータセンター新設等に牽引され、電力需要急増加の機運が高まり、局地的な電力需給の逼迫が社会課題になりつつあります。カーボンニュートラルに向けたエネルギー移行期間の長期化が現実的になりつつある中でも、脱炭素推進に向けて再エネを始めとするクリーン電力の安定的な供給に対するニーズは更なる高まりが見込まれます。 4. 個別重要案件当連結会計年度における重要な個別案件については、「3 事業等のリスク 2.主要なリスクの概要 ⑤事業投資リスク」内の(重要な投資案件)をご参照ください。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 重要性のある会計方針及び見積り財務諸表の作成にあたり、経営者は、決算日における資産及び負債の報告金額、偶発資産及び負債の開示、報告期間における収益及び費用の報告金額に影響を与える様な見積りを行う必要があります。見積りは、過去の経験やその時点の状況として妥当と考えられる様々な要素に基づき行っており、他の情報源からは得られない資産及び負債の帳簿価額について当社及び連結子会社の判断の基礎となっています。経営者は見積りが必要となる項目に関する評価は合理的であると判断しています。ただし、これらの評価には経営者としても管理不能な不確実性が含まれているため、前提条件や事業環境などに変化が見られた場合には、見積りと将来の実績が異なることもあります。当社及び連結子会社の財政状態又は経営成績に対して重大な影響を与え得る会計上の見積り及び判断が必要となる項目の詳細は、第5 経理の状況 連結財務諸表注記2「(5)重要な会計上の判断、見積り及び仮定」をご参照ください。 (2) 当連結会計年度の業績の概況当連結会計年度においては、インフレの緩やかな低下を受けて、欧米の中央銀行が利下げを実施する中、世界経済は底堅い成長を維持しました。日本経済に関しては、実質賃金の改善等、雇用・所得環境が改善する中で個人消費が底堅く推移するとともに、堅調な企業収益を背景に設備投資には持ち直しの動きが見られ、景気は緩やかな回復基調を維持しました。 このような環境下、当連結会計年度の業績の概況は、以下のとおりとなりました。経営戦略の進捗状況、当連結会計年度以降における主な取り組み、及び経営環境に関しては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。(単位:億円)前連結会計年度当連結会計年度増減主な増減要因収益195,676186,176△9,500取引数量減少及びローソン持分法適用会社化に伴う減少売上総利益23,59718,364△5,233ローソン持分法適用会社化に伴う減少や豪州原料炭事業の販売数量減少販売費及び一般管理費△16,923△14,653+2,270ローソン持分法適用会社化に伴う減少有価証券損益2,3303,056+726前年度に計上した海外発電事業における売却益及び再評価益の反動の一方、ローソン持分法適用会社化に伴う再評価益固定資産除・売却損益3721,346+974豪州原料炭事業における有形固定資産の売却益固定資産減損損失及び戻入△296△39+257前年度に計上した海外食品事業における固定資産減損の反動その他の損益-純額△1,041765+1,807前年度に計上した千代田化工建設関連引当金の反動及び戻入金融収益3,0543,426+372受取配当金の増加や貸付金増加による金利収入増加金融費用△1,911△1,706+205借入金の減少による金利費用減少持分法による投資損益4,4443,375△1,069国内洋上風力発電事業における減損損失等及び三菱自動車工業の持分損益の減少税引前利益13,62613,934+308-法人所得税△3,377△3,172+206豪州原料炭事業における利益減少当期純利益10,24910,762+514-当期純利益(当社の所有者に帰属)(%はROE)9,64011.3%9,50710.3%△133△1.0%- ※四捨五入差異により縦計・横計が合わないことがあります(以下同様)。 (3) 当連結会計年度のセグメント別業績概況事業セグメント別の「当社の所有者に帰属する当期純利益(純損失)」は下表のとおりです。セグメント別の事業内容及び業績の詳細は、第5 経理の状況 連結財務諸表注記6をご参照ください。(単位:億円)前連結会計年度当連結会計年度増減主な増減要因地球環境エネルギー2,3881,986△402[-]マレーシアLNG事業(前年度事業投資先清算益反動)、シェールガス事業(市況下落)マテリアルソリューション739683△56[+]化学品製造事業(前年度減損の反動) [-]北米樹脂建材事業(市況要因)、鉄鋼製品事業(数量減少)金属資源2,9552,278△677[+]豪州原料炭事業(炭鉱売却) [-]豪州原料炭事業(数量減少・市況下落)社会インフラ509398△111[+]海外不動産運用事業(前年度評価損の反動及び税効果計上)、エネルギーインフラ関連事業(完工損益) [-]北米不動産開発事業(減損・売却損)、千代田化工建設(米国ゴールデンパスLNGプロジェクト関連引当繰入)モビリティ1,4141,124△290[+]インド自動車関連事業(再編に伴う既存株式再評価益) [-]三菱自動車工業(市況低迷)、アセアン自動車事業(市況低迷)食品産業△253924+1,177[+]海外食品事業(前年度減損の反動)、鮭鱒養殖事業(前年度持分利益減少の反動)、日本KFCホールディングス株式売却、PRINCES株式売却S.L.C.1,0271,850+823[+]ローソン(持分法適用会社化に伴う再評価益) [-]関連会社株式売却(前年度利益の反動)電力ソリューション979△156△1,135[+]海外電力事業(米州太陽光発電事業における損益改善) [-]海外電力事業(前年度資産売却益の反動)、国内電力事業(洋上風力発電事業における減損損失等) (4) 販売、仕入及び受注の状況① 販売の状況「(2) 当連結会計年度の業績の概況」及び第5 経理の状況 連結財務諸表注記24をご参照ください。 ② 仕入の状況仕入は販売と概ね連動しているため、記載は省略しています。 ③ 受注の状況販売までの期間が1年以内の受注は販売と概ね連動しているため、記載は省略しています。販売までの期間が1年超の受注については、第5 経理の状況 連結財務諸表注記24をご参照ください。 (5) 流動性と資金の源泉① 資金調達方針と流動性マネジメント当社では事業活動を支える資金調達に際して、低コストでかつ安定的に資金が確保できることを目標として取り組んでいます。資金調達にあたっては、コマーシャル・ペーパーや社債等の直接金融と銀行借入等の間接金融とを機動的に選択・活用しており、その時々でのマーケット状況に応じた有利手段を追求しています。当社は資本市場でのレピュテーションも高く、加えて間接金融についても、メガバンク以外に外銀・生保・地銀等の金融機関とも幅広く好関係を維持しており、調達コストは競争力のあるものとなっています。今後とも長期資金を中心とした資金調達を継続するとともに、経営戦略2027の下、投資の順調な実行等で追加資金が必要となった際は財務健全性を維持できる範囲でレバレッジの活用も検討しながら、十分な流動性の確保を行っていく方針です。当連結会計年度の資金調達活動としては、前連結会計年度に引き続き、財務健全性の向上に努めつつ調達を行いました。これらの資金調達活動の結果は以下のとおりです。 前連結会計年度末(億円)当連結会計年度末(億円)グロス有利子負債(リース負債除く)51,28046,170ネット有利子負債(同上)37,82330,472長期資金(グロス有利子負債うち長期分)38,55035,344長期資金比率(%)75%77%流動比率(%)144%149% (注)1.グロス有利子負債のうち、4,860億円はハイブリッドファイナンスであり、格付機関は残高の50%である2,430億円を資本と同等に扱っています。 2.ネット有利子負債はグロス有利子負債より現金及び現金同等物、並びに定期預金を控除したものです。 翌連結会計年度は、引き続き資金調達ソースの多様化等を通じて、中長期的に安定した調達基盤を維持する方針です。また、連結ベースでの資金効率の向上に向けた取組みも継続します。金融市場の環境は、地政学リスクや主要国の金融政策の変化など、引き続き予断を許さない状況のため、細心の注意を払って対処すべく、現預金等及び銀行融資枠(コミットメントライン)を十分に確保し、流動性を維持してまいります。連結ベースでの資金管理体制については、当社に加え、国内外の金融子会社及び特定の海外現地法人(以下、財務拠点)において集中して資金調達を行い、子会社へ資金供給するというグループファイナンス方針を原則とし、資金調達の一元化による資金効率の向上、流動性の確保を図っています。結果として、当連結会計年度末では、連結有利子負債のうち85%が当社及び財務拠点による調達となっています。当連結会計年度末時点の当社及び財務拠点でコマーシャル・ペーパー及び1年以内に償還を予定している社債を合わせた短期の市場性資金が5,998億円あるのに対して、現預金、コミットメントライン、一年以内に満期の到来する公社債が合計で2兆7,884億円あり、カバー超過額は2兆1,886億円と十分な水準にあると考えています。なお、当社のコミットメントラインについては、協調融資枠として円貨で5,100億円を国内主要銀行より、外貨で主要通貨10億米ドル、ソフトカレンシー1.5億米ドル相当を欧米を中心とした国内外の主要銀行より取得しています。当社ではグローバルな資金調達とビジネスを円滑に行うため、格付投資情報センター(R&I)、ムーディーズ・インベスターズ・サービス(Moody's)、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)の3社から格付けを取得しています。当連結会計年度末の当社に対する格付けは以下のとおりです。 R&IMoody'sS&P長期AA(見通し安定的)A2(見通し安定的)A(見通し安定的)短期a-1+P-1A-1 ② 資産及び負債・資本当連結会計年度末の資産及び負債・資本の概況は下表のとおりです。(単位:億円)前連結会計年度末当連結会計年度末増減主な増減要因総資産234,596214,961△19,635- 流動資産116,76587,524△29,241ローソン持分法適用会社化に伴う売却目的保有資産の減少非流動資産117,831127,437+9,606ローソン持分法適用会社化に伴う持分法で会計処理される投資の増加及びLNG関連事業におけるリース新規開始による使用権資産の増加負債133,647113,418△20,229- 流動負債81,32158,830△22,491ローソン持分法適用会社化に伴う売却目的保有資産に直接関連する負債の減少非流動負債52,32754,588+2,261LNG関連事業におけるリース新規開始によるリース負債の増加及びローソン持分法適用会社化に伴う残存保有持分の公正価値評価益による繰延税金負債の増加資本100,948101,543+595- 当社の所有者に帰属する持分90,43993,687+3,248当期純利益の積み上がりによる利益剰余金の増加非支配持分10,5107,856△2,654ローソン持分法適用会社化に伴う減少 ネット有利子負債(リース負債除く)37,82330,472△7,351- また、セグメントごとの前連結会計年度及び当連結会計年度における情報は以下のとおりです。 (前連結会計年度) (単位:億円) 地球環境エネルギーマテリアルソリューション金属資源社会インフラモビリティ持分法で会計処理される投資8,7753,4415,8946,8205,127その他の投資2,8571,7553,2738551,537有形固定資産及び投資不動産 4,0141,2329,6331,523527無形資産及びのれん471605194765資産合計28,75321,03543,79220,93419,760 (単位:億円) 食品産業S.L.C.電力ソリューションその他、調整・消去連結金額持分法で会計処理される投資3,4704,9826,503△345,009その他の投資2,1063,3614012,00218,148有形固定資産及び投資不動産 2,7596695,96089427,211無形資産及びのれん2,0583523,5202297,429資産合計21,64646,62227,3104,742234,596 (当連結会計年度) (単位:億円) 地球環境エネルギーマテリアルソリューション金属資源社会インフラモビリティ持分法で会計処理される投資9,5623,5186,3036,9365,478その他の投資2,6411,5745,4036341,749有形固定資産及び投資不動産 4,8211,2709,9501,825529無形資産及びのれん421633398856資産合計32,46920,21445,38121,59518,481 (単位:億円) 食品産業S.L.C.電力ソリューションその他、調整・消去連結金額持分法で会計処理される投資2,94910,8515,8191451,430その他の投資1,6383,3884432,37219,842有形固定資産及び投資不動産 2,9526616,14592129,074無形資産及びのれん2,3723553,3482337,589資産合計19,52125,87325,1216,307214,961 ③ キャッシュ・フロー当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ2,850億円増加し、1兆5,366億円となりました。キャッシュ・フローの内訳は下表のとおりです。(単位:億円)前連結会計年度当連結会計年度増減当連結会計年度の内訳及び主な増減要因営業活動によるキャッシュ・フロー13,47416,583+3,109(当連結会計年度の内訳)営業収入や配当収入により資金が増加 (主な増減要因)法人税の支払額の減少や配当収入の増加投資活動によるキャッシュ・フロー△2,058△2,739△681(当連結会計年度の内訳)融資の回収や関連会社宛て投資の売却による収入の一方、設備投資、ローソン持分法適用会社化に伴う現預金の減少やその他の投資の取得により資金が減少 (主な増減要因)原料炭事業における一部炭鉱売却による収入や融資の回収の一方、ローソン持分法適用会社化に伴う現預金の減少やその他の投資の取得により減少フリーキャッシュ・フロー11,41613,844+2,428-財務活動によるキャッシュ・フロー△10,862△15,307△4,445(当連結会計年度の内訳)自己株式の取得や借入金及びリース負債の返済、配当金の支払いにより資金が減少 (主な増減要因)短期借入債務の返済現金及び現金同等物に係る為替相場変動の影響額479226△253-売却目的保有資産に含まれる現金及び現金同等物の増減額△4,0884,088+8,175(当連結会計年度の内訳)ローソン持分法適用会社化に伴い、前年度のローソン保有現金及び現金同等物の売却目的保有への振り替えを振り戻したことにより資金が増加 (主な増減要因)前年度のローソン保有現金及び現金同等物の売却目的保有への振り替えによる現預金の減少の反動及び、当年度のローソン持分法適用会社化に伴う前年度のローソン保有現金及び現金同等物の売却目的保有への振り替えを振り戻したことによる増加 現金及び現金同等物の増減△3,0542,850+5,904- 営業収益キャッシュ・フロー(リース負債支払後)11,7859,837△1,948(当連結会計年度の内訳)リース負債の支払いの一方、当期純利益や配当収入により資金が増加 (主な増減要因)主に減価償却費等及び固定資産損益を除く当期純利益の減少調整後フリーキャッシュ・フロー9,7277,098△2,629- 財務会計上の営業キャッシュ・フローとは別に、将来の新規投資や株主還元などの原資を適切に表すべく、運転資金の増減影響を控除した営業キャッシュ・フローに、事業活動における必要資金であるリース負債支払額を反映した「営業収益キャッシュ・フロー(リース負債支払後)」と、更に投資活動によるキャッシュ・フローを加えた「調整後フリーキャッシュ・フロー」を定義しています。 投資キャッシュ・フローの主な内容は下表のとおりです。新規・更新投資売却及び回収・海外電力事業(電力ソリューション)・欧州総合エネルギー事業(電力ソリューション)・豪州原料炭事業(金属資源)・LNG関連事業(地球環境エネルギー)・鮭鱒養殖事業(食品産業) ・北米不動産事業(社会インフラ) ・CVS事業(S.L.C.)・北米シェールガス事業(地球環境エネルギー)・豪州原料炭事業(金属資源)・海外電力事業(電力ソリューション)・海外食品事業(食品産業)・欧州送電事業(電力ソリューション)・銅事業(金属資源)・外食関連事業(食品産業)・欧州総合エネルギー事業(電力ソリューション)・北米不動産事業(社会インフラ) 配当は持続的な利益成長に合わせて増配していく「累進配当」を行う方針としています。自己株式の取得は、総還元性向の水準及び資本構成の適正化のために実施したものです。負債による資金調達は、流動性と財務健全性の観点で適切な水準を維持する方針としています。

事業リスク

三菱商事の主要なリスクは、世界経済の変動、商品市況の変動、為替変動、株価変動、金利変動、信用リスクです。世界経済の減速や地政学リスクは、商品価格や取扱量に影響を与え、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。特に、エネルギー資源や金属資源の価格変動は、当期純利益に直接的な影響を与えます。また、円高の進行は海外事業からの収益を減少させ、金利上昇は有利子負債の利息負担を増加させる可能性があります。取引先の信用悪化による損失もリスクの一つです。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|9,190 文字
3 【事業等のリスク】1. リスク管理体制当社では、営業グループと各リスクに対応したコーポレート専門部局が連携し、適切なリスク対応が可能な管理体制を整備しています。なお、以下については当連結会計年度末以降提出日までの管理体制に係る変更等を反映しています。 2. 主要なリスクの概要① 世界マクロ経済環境の変化によるリスク世界的な、又は地域的なマクロ経済環境の変化は、個人消費や設備投資と深く関係し、商品市況にも影響を及ぼします。その結果、当社がグローバルかつ多様な産業領域に展開している事業の商品・製品価格、取扱量やコストなどに変動をもたらし、経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。当連結会計年度においては、インフレの緩やかな低下を受けて、欧米の中央銀行が利下げを実施する中、世界経済は底堅い成長を維持しました。世界経済の先行きは、緩やかな成長を維持すると見られますが、米中対立、ロシア・ウクライナ情勢、中東情勢等地政学リスクに加え、米国の関税政策が各国経済に及ぼす影響、特に中国経済の先行き等不確実性が非常に高く、動向を注視しています。 ② 市場リスク以下「当期純利益」は、「当社の所有者に帰属する当期純利益」を指しています。当期純利益への影響額は、他に記載のない限り当社の当連結会計年度の連結業績を踏まえて試算した、翌連結会計年度に対する影響額を記載しています。 a. 商品市況リスク当社は、商品の売買取引や保有する資源エネルギーの権益における生産物の販売、そして関係会社の製造する工業製品の販売などの活動を通じて、様々な商品価格の変動リスクを負っています。特にエネルギー資源及び金属資源の取引においては、売買価格の変動を通じて当社の業績に大きな影響を及ぼします。また、投資の評価においても商品価格が重要なインプットとなる場合があります。特に事業期間が長期に及ぶ場合、短期的な価格の動向よりも中長期的な価格見通しの方が、投資の評価により重要な影響を与えるため、将来の需給環境等のファンダメンタルズや、社外の金融機関等の提供するデータ等を考慮して、商品ごとに当社としての見通しを策定しています。商品市況の長期的な低迷又は上昇が想定される場合には、保有する有形固定資産や持分法で会計処理される投資などの減損及び減損戻入を通じて、業績に影響を与える可能性があります。当社の重要な投資案件については、「⑤ 事業投資リスク(重要な投資案件)」をご参照ください。 (エネルギー資源)当社は北米、東南アジア、豪州などにおいて、天然ガス・石油の開発・生産事業、液化天然ガス(LNG)事業を行っており、天然ガス・原油価格は当社の業績に大きな影響を与えます。原油(Brent)価格は、中東情勢の緊迫化やロシア制裁強化等の上昇要因により、1バレル80米ドル超まで上昇する局面が見られたものの、中国経済の成長鈍化やトランプ政権の相互関税発表による世界経済の減速懸念等を背景に、3月末には1バレル70米ドル中盤まで下落しました。今後も地政学リスクの高まり、各国経済情勢、OPEC/非OPECの生産動向等によって価格が上下するボラティリティの高い展開が続くと認識しています。なお、当社のLNG販売の大半は長期契約であり、LNG価格は原油価格にリンクしているものが大宗となります。1バレル当たりの原油価格が1米ドル変動すると、当社の当期純利益は主に持分法による投資損益を通じて年間約20億円増減すると試算されます。ただし、LNG・原油の価格変動が当社の業績に影響を及ぼすまでにはタイムラグがあるため、価格変動が直ちに業績に反映されるとは限りません。また、当社のLNG販売の一部はスポット契約にて販売しています。アジアのLNGスポット価格は欧州ガス価格と一定程度連動しており、欧州情勢の影響も受けます。10月上旬のアジアのスポットLNG価格は百万Btu(英国熱量単位)当たり13米ドル半ばで開始し、ロシア・ウクライナ情勢に起因する地政学リスクの高まりや、欧州での気温低下・風力発電出力の低下等の価格上昇要因が続き、2月には17米ドル前半まで上昇しました。一方、その後暖冬による中国・北東アジアの需要低迷等により、3月末時点では13米ドル弱まで下落しました。 (金属資源)当社は、100%出資子会社の三菱デベロップメント社(MITSUBISHI DEVELOPMENT PTY LTD、本社:豪州ブリスベン、以下MDP社)を通じて、製鉄用の原料炭を販売しており、石炭価格の変動はMDP社の収益を通じて当社の業績に影響を与えます。また、MDP社の収益は、石炭価格の変動の他にも、豪ドル・米ドル・円の為替レートの変動や悪天候、労働争議等の要因にも影響を受けます。銅についても、生産者としての価格変動リスクを負っています。1トン当たりの価格が100米ドル変動すると当期純利益で年間25億円の変動をもたらす(1ポンド当たりの価格が0.1米ドル変動すると当期純利益で年間54億円の変動をもたらす)と試算されますが、粗鉱品位、生産・操業状況、再投資計画(設備投資)等、価格変動以外の要素からも影響を受けるため、銅の価格のみで単純に業績への影響額が算出されない場合があります。 b. 為替リスク当社は、輸出入、及び外国間などの貿易取引において外貨建ての決済を行うことに伴い、円に対する外国通貨レートの変動リスクを負っています。これらの取引では必要に応じて、先物為替予約などによるヘッジ策を講じていますが、それによって完全に為替リスクが回避される保証はありません。また、当社の海外事業に対する投資については、為替変動により、外貨建の受取配当金や海外連結子会社・持分法適用会社の持分損益の円貨換算額が増減するリスクが存在し、外国通貨に対して円高が進むと当期純利益にマイナスのインパクトを与えます。米ドル・円のレートが1円変動すると、当社の当期純利益は年間約40億円増減すると試算されます。加えて、在外営業活動体の換算差額を通じて自己資本が増減するリスクが存在するため、一部の大口の投資については主に先物為替予約を用いたヘッジ策を講じています。 c. 株価リスク当社は、当連結会計年度末時点で、取引先や関連会社を中心に1兆1,913億円(時価)の市場性のある株式を保有しており、株価変動のリスクを負っています。上記の価格は1,268億円の評価益を含んでいますが、株式の動向次第で評価益は減少するリスクがあります。また、当社の企業年金では、年金資産の一部を市場性のある株式により運用しています。よって、株価の下落は年金資産を目減りさせるリスクがあります。 d. 金利リスク当社の当連結会計年度末時点の有利子負債総額(リース負債除く)は4兆6,170億円であり、一部を除いて変動金利となっているため、金利が上昇する局面では利息負担が増加するというリスクがあります。しかし、この有利子負債の相当部分は金利の変動により影響を受ける営業債権・貸付金等と見合っており、金利が上昇した場合には、これらの資産から得られる収益も増加するため、金利の変動リスクは、タイムラグはあるものの、相殺されることになります。また、純粋に金利の変動リスクにさらされている部分についても、見合いの資産となっている投資有価証券や固定資産からもたらされる取引利益、配当金などの収益は景気変動と相関性が高いため、景気回復の局面において金利が上昇し支払利息が増加した場合には、見合いの資産から得られる収益も増加し、結果として影響が相殺される可能性が高いと考えられます。ただし、金利の上昇が急である場合には、利息負担が先行して増加し、その影響を見合いの資産からの収益増加で相殺しきれず、当社の業績は一時的にマイナスの影響を受ける可能性があります。このような金利などの市場動向を注視し、機動的に市場リスク対応を行う体制を固めるため、当社ではALM(Asset Liability Management)委員会で金利変動リスクの管理を行っています。 ③ 信用リスク当社は、様々な営業取引を行うことによって、売掛金、前渡金などの取引与信、融資、保証及び出資などの形で取引先に対して信用供与を行っており、取引先の信用悪化や経営破綻等による損失が発生する信用リスクを負っています。また、当社は主としてヘッジ目的のためにスワップ、オプション、先物などのデリバティブ取引を行っており、デリバティブ取引の契約先に対する信用リスクを負っています。当社では当該リスクを管理するために、取引先ごとに成約限度額・信用限度額を定めると同時に、社内格付制度を導入し、社内格付と与信額により定めた社内規程に基づき、与信先の信用状態に応じて必要な担保・保証などの取付けを行っていますが、信用リスクが完全に回避される保証はありません。取引先の信用状態悪化に対しては取引縮小や債権保全策を講じ、取引先の破綻に対しては処理方針を立てて債権回収に努めていますが、債権等が回収不能になった場合には当社の業績は影響を受ける可能性があります。 ④ カントリーリスク当社は、海外の会社との取引や出資において、国の政治・経済・社会情勢に起因した、代金回収や事業遂行の遅延・不能等が発生するカントリーリスクを負っています。当社においては、国ごとのリスク状況の把握、カントリーリスク対策制度の立案・管理を、コーポレート担当役員(CFO)を委員長とするALM委員会で行っています。カントリーリスク対策制度では、各種リスク要因を踏まえ各国を区分の上、区分ごとに枠を設定する等の手法でカントリーリスクを一定範囲内にコントロールしています。また、個別案件のカントリーリスクについては、保険を付保するなど、案件の状況に応じて適切なリスクヘッジ策を講じています。ロシア、ウクライナ両国宛てリスクについても、同制度を通じて管理しています。しかしながら、上記のようなリスクヘッジ策を講じていても、当社の取引先や出資先若しくは進行中のプロジェクト所在国の政治・経済・社会情勢の悪化によるリスクを完全に回避することは困難です。そのような事態が発生した場合、当社の業績は影響を受ける可能性があります。なお、ロシア・ウクライナ情勢の影響については、第5 経理の状況 連結財務諸表注記2 「(5)重要な会計上の判断、見積り及び仮定」をご参照ください。 ⑤ 事業投資リスク当社は、株式・持分を取得して当該企業の経営に参画し、商権の拡大やキャピタル・ゲイン獲得などを目指す事業投資活動を行っていますが、この事業投資に関連して投下資金の回収不能、撤退の場合に追加損失が発生するリスク、及び計画した利益が上がらないなどのリスクを負っています。事業投資リスクの管理については、新規の事業投資を行う場合には、投資の意義・目的を明確にした上で、リスクを定量的に把握し、事業毎の期待収益率などを踏まえて意思決定を行っています。投資実行後は、事業投資先ごとに、毎年定期的に「経営計画書」を策定しており、投資目的の確実な達成のための管理を行う一方、計画した収益を上げていない先については、持分売却・清算による撤退を含め、保有方針を明確にすることで、効率的な資産の入替を行っています。 このような投資評価の段階での案件の選別、投資実行後の管理を厳格に行っていますが、期待する利益が上がらないというリスクを完全に回避することは困難であり、事業環境の変化や案件からの撤退等に伴い、当社の業績は影響を受ける可能性があります。 なお、事業投資に含まれる商品市況リスクについては、「② a. 商品市況リスク」をご参照ください。 (重要な投資案件)a. 豪州原料炭及びその他の金属資源権益への投資当社は、1968年11月にMDP社を設立し、炭鉱開発(製鉄用の原料炭)に取り組んできました。2001年には、MDP社を通じ、約1,000億円で豪州クイーンズランド州BMA原料炭事業(以下、BMA)の50%権益を取得し、パートナーのBHP社(BHP Group Limited、本社:豪州メルボルン)と共に世界最大規模の原料炭事業を運営しています。また、当連結会計年度末時点のMDP社の有形固定資産帳簿価額は9,946億円となっています。 前連結会計年度末において、MDP社が権益の50%を保有するブラックウォーター炭鉱、及びドーニア炭鉱に関する資産及び負債を売却目的で保有する処分グループに分類し、連結財政状態計算書の「売却目的保有資産」及び「売却目的保有資産に直接関連する負債」にそれぞれ1,976億円、656億円を計上していましたが、2024年4月2日に、当該資産及び負債について、Whitehaven Coal Ltd宛てに売却が完了しました。詳細については、第5 経理の状況 連結財務諸表注記11をご参照ください。 b. チリ銅資産権益への投資当社は、アングロ・アメリカン社(Anglo American Plc、本社:英国ロンドン、以下アングロ社)、チリ国営の銅生産会社であるCorporación Nacional del Cobre de Chile社(本社:チリ国サンチャゴ)と三井物産株式会社の合弁会社(以下、合弁会社)と共に、チリ国銅資源権益保有会社アングロ・アメリカン・スール社(Anglo American Sur S.A.、本社:チリ国サンチャゴ、以下アングロスール社)の株式を保有しています。アングロスール社への出資比率は、アングロ社グループが50.1%、合弁会社が29.5%、当社グループが20.4%となっており、当社の取得額は45.1億米ドルです。同社は、チリ国内にロスブロンセス銅鉱山、エルソルダド銅鉱山、チャグレス銅製錬所、並びに大型の未開発鉱区等の資産を保有しています(同社合計の2024年銅生産量実績は約22万トン)。当社はアングロスール社への投資に対して持分法を適用しています。同社宛ての投資に関しては、持分法で会計処理される投資として減損の兆候判定を行っています。同社の生産・開発計画は長期間に及び、短期的な価格動向よりも中長期的な価格見通しの方が、投資評価により重要な影響を与えるため、最新の銅価見通しや開発計画を含め、中長期的な観点から評価し判断しています。当連結会計年度末の帳簿価額は1,532億円となっています。 c. ペルー銅資産権益への投資当社は、アングロ社と共同で、ペルー共和国ケジャベコ銅鉱山プロジェクト(以下、ケジャベコ)の権益保有会社であるアングロ・アメリカン・ケジャベコ社(Anglo American Quellaveco S.A.、本社:ペルー共和国リマ、以下AAQ社)の権益40%を保有しています。ケジャベコは約7.9百万トン(銅分換算)の埋蔵量を見込む大規模鉱山で、高いコスト競争力を有しており、2022年に銅精鉱の生産を開始しました(2024年銅生産量実績は約31万トン)。当社はAAQ社への投資に対して持分法を適用しています。AAQ社宛ての投資に関しては、持分法で会計処理される投資として減損の兆候判定を行っています。ケジャベコの生産計画は長期間に及び、短期的な価格動向よりも中長期的な価格見通しの方が、投資評価により重要な影響を与えるため、最新の銅価見通しや開発計画を含め、中長期的な観点から評価し判断しています。当連結会計年度末の投資及びAAQ社に対する融資額の帳簿価額は5,168億円となっています。 d. モントニー・シェールガス開発プロジェクト/LNGカナダプロジェクト当社は、カナダにおいて上流資源開発からLNGの生産・輸出販売に至る天然ガスバリューチェーンを構築しています。上流事業として、パートナーのOvintiv社と共に、当社100%出資子会社のCUTBANK DAWSON GAS RESOURCES LTD.社を通じてシェールガスの開発事業を行っています。当社グループの権益保有比率は40%で、当連結会計年度末の「持分法で会計処理される投資」の帳簿価額は2,683億円となっています。また、生産された天然ガスの一部をLNGとして輸出販売するため、事業パートナーと共に2018年にLNGカナダプロジェクトの最終投資決定をしました。同プロジェクトは、年間1,400万トンの生産能力を持つ天然ガス液化設備を建設し、日本など東アジアの需要国向けにLNGを輸出販売する事業で、2025年中ごろの生産開始を予定しています。当社は子会社のDiamond LNG Canada Partnershipを通じて参画しており、パートナーであるShell社、Petronas社、PetroChina社、韓国ガス公社と共に同プロジェクトを推進しています。当連結会計年度末のDiamond LNG Canada Partnershipの有形固定資産帳簿価額は4,098億円、使用権資産帳簿価額は2,455億円となっています。 e. ローソン社への出資当社は、2017年に株式会社ローソン(以下、ローソン社)の発行済株式数の16.6%を株式公開買付けにより取得し、それまで保有していた33.4%と併せて、発行済株式の過半数を保有することとなり、同社を連結子会社としました。その後、KDDI株式会社(以下、KDDI)による同社株式の公開買付け(2024年4月25日付完了)及び同社株式の株式併合を用いたスクイーズアウト手続きを経て、2024年8月15日付で当社及びKDDIの出資比率を50%へ調整しました。これに伴い、株主間契約の効力が発生したことにより、当社は同社に対する単独支配を喪失し、同社を共同支配企業に分類しています。当連結会計年度末のローソン社宛て投資の帳簿価額は5,287億円となっています。詳細については、第5 経理の状況 連結財務諸表注記11及び37をご参照ください。ローソン社は、コンビニエンスストア「ローソン」のフランチャイズシステム及び直営店舗の運営を行うとともに、海外コンビニエンス事業及びそれ以外の周辺事業を運営しています。ローソン社の店舗網は、2025年2月末時点で、日本全国に約14,700店、海外に約7,400店の合計約22,100店の規模になっています。 f. Enecoへの投資当社は、2020年3月に、中部電力株式会社と共同で設立したDiamond Chubu Europe B.V.を通じて、欧州で総合エネルギー事業を展開するN.V. Eneco(以下、Eneco)の100%の株式を約5,000億円で取得しました。Enecoは、再生可能エネルギー(以下、再エネ)開発・供給事業、トレーディング事業、小売・新サービス事業それぞれの事業分野で高い競争力・適応力を有する総合エネルギー事業会社です。当社は、Enecoの再エネに関する技術力・ノウハウを活用し、欧州及び欧州外で再エネ開発を加速させ、経済価値、社会価値、環境価値の三価値同時実現に資する取り組みを強化する方針です。電力需要や欧州マクロ経済が低迷する場合には、Enecoの業績や、取得時に認識したのれんの減損などを通じて当社の業績に影響を与える可能性があります。当連結会計年度末の「のれん」の帳簿価額は1,449億円(持分比率勘案前)となっています。詳細については、第5 経理の状況 連結財務諸表注記14をご参照ください。 ⑥ コンプライアンスに関するリスク当社は、国内外で多くの拠点を持ち、あらゆる産業を事業領域としてビジネスを展開していることから、関連する法令・規制は多岐にわたっています。具体的には日本の会社法、税法、金融商品取引法、独占禁止法、贈収賄関連諸法、安全保障貿易管理等貿易関連及び制裁関連諸法、環境関連諸法や各種業法を遵守する必要があり、また海外で事業を展開する上では、それぞれの国・地域での法令・規制に従う必要があります。特に、足元ではロシア・ウクライナ情勢に起因する各国経済制裁が導入・強化されていますが、当社はその動向を適時にフォローし、チーフ・コンプライアンス・オフィサーを当社最高責任者として、適切な対応を行っています。当社はコンプライアンス委員会を設け、その委員会を統括するチーフ・コンプライアンス・オフィサーが連結ベースでの法令・規制遵守を指揮・監督しています。その指揮・監督の下、各営業グループ・部門のコンプライアンス・オフィサーが、固有のコンプライアンス施策の立案・実施をするなど、コンプライアンス意識を高めることに努めています。また、当社は、子会社及び関連会社(上場会社は除く)に対して、当社と同等の水準で各社に適したコンプライアンス管理体制を構築させ、又はさせるように努めています。しかしながら、このような施策を講じてもコンプライアンス上のリスクは完全に回避できない可能性があり、関連する法令・規制上の義務を実行できない場合には、当社の業績は影響を受ける可能性があります。 ⑦ 危機事象発生による人命への被害・事業中断等のリスク地震、大雨、洪水などの自然災害・異常気象や、新型インフルエンザ・新型コロナウイルス等の新興感染症、重大事故、テロ・暴動、東アジア・欧州・中東等における地政学的要因による有事発生、その他国内外における危機的な事象が発生した場合、当社の社員・事業所・設備やシステムなどに対する被害が発生し、営業・生産活動に支障が生じる可能性があります。当社では、緊急危機対策本部を設置し、危機発生時における当社関係者の安全確保・安否確認等の初動対応、重要業務の事業継続計画(BCP)の整備、建物・設備・システム等の耐震対策(データ等のバックアップを含む)、定期訓練、必要物資の備蓄等の各種対策を講じています。また、あらゆる事象を想定したリスク・影響度分析に基づく初動対応・事業継続計画(BCP)の策定、継続的なPDCAサイクルの実施等の包括的なマネジメント活動である事業継続マネジメント(BCM)を推進し、各種危機に備えています。しかし、全ての被害や影響を回避できるとは限らず、かかる事象の発生時には当社の業績は影響を受ける可能性があります。 ⑧ 気候変動に関するリスク「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」の「2. リスク管理」に記載しています。

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